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1980-03-28 第91回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月二十八日(金曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 古屋  亨君    理事 佐藤 守良君 理事 関谷 勝嗣君    理事 保岡 興治君 理事 田畑政一郎君    理事 吉原 米治君 理事 西中  清君    理事 三浦  久君 理事 青山  丘君       相沢 英之君    江藤 隆美君       瓦   力君    北川 石松君       三枝 三郎君    浜野  剛君       三原 朝雄君    水野  清君       久保 三郎君    斉藤 正男君       新盛 辰雄君    関  晴正君       石田幸四郎君    草野  威君       薮仲 義彦君    四ツ谷光子君       渡部 正郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君  出席政府委員         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         運輸大臣官房総         務審議官    永井  浩君         運輸省海運局長 妹尾 弘人君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省船員局長 山元伊佐久君         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君         運輸省航空局長 松本  操君         海上保安庁長官 真島  健君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局放射能         監理室長    穂波  穰君         環境庁水質保全         局企画課長   原  健彦君         外務大臣官房外         務参事官    井口 武夫君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    越川 文雄君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      大高 英男君         運輸大臣官房審         議官      西村 康雄君         運輸大臣官房環         境課長     高島  等君         海上保安庁警備         救難部長    野呂  隆君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     瓦   力君   斉藤 正男君     日野 市朗君 同日  辞任         補欠選任   瓦   力君     宇野  亨君   日野 市朗君     斉藤 正男君     ————————————— 三月二十六日  国内用船外機検査免除に関する請願足立篤  郎君紹介)(第三〇八八号)  交通損害保険士業務資格認定制度創設に関す  る請願辻英雄紹介)(第三〇八九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第四九号)      ————◇—————
  2. 古屋亨

    古屋委員長 これより会議を開きます。  内閣提出海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三浦久君。
  3. 三浦久

    三浦(久)委員 まず通産省に、多くの人々に被害を及ぼしましたあのカネミ油症事件、これの原因になりましたPCBの問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、いまPCB製造中止になっておりまして、そしていろいろな回収がなされていると思います。そういう意味で、現在PCB自体が貯蔵されているのがあると思うのですけれども、その貯蔵されているPCBの量、それから場所保管方法、これについてお尋ねをしたいと思います。
  4. 大高英男

    大高説明員 お答え申し上げます。  PCBは現在、鐘淵化学工業株式会社高砂工場におきまして、約五千七百トンが屋外タンク貯蔵所及び倉庫に保管されております。それから三菱モンサント株式会社におきましては、九百二十六トンが保管されておるところでございます。
  5. 三浦久

    三浦(久)委員 これは高砂市の海岸にタンクがあるのだろうと思うのですが、大変危険な状況ではないかと私は思っています。あのカネミ油症事件が発生したのも、このPCBというのは腐食性があるということですね。そのためにピンホールがあいたわけですから、そういう意味で、これをいつまでも現在のような保管方法で放置しておくことはできないのではないか、もしも水島事故のような流出事故などになりますと、これは海洋汚染といいますか、海は死の海になってしまうのではないかというおそれを私は抱いておるわけですが、環境庁来ておりますか。現在このPCBによる環境汚染状況はどうなっているのか。公共水域だけで結構です。
  6. 原健彦

    原説明員 お答えいたします。  PCBによります環境汚染状況環境基準への適合状況に関しまして御説明申し上げたいと思います。  五十二年度の全国の河川、海域等水質調査の結果によりますと、PCBにつきまして環境基準に適合しないものが三千九百二十七件中に四検体ございまして、〇・一二%でございます。この場所香川県で三検体、それから三重県で一検体あったわけでございます。その後、五十三年度におきまして同地点の調査をいたしましたところ、PCBは検出されませんでした。また、五十三年度におきましてPCB基準に適合しない検体の検出は、兵庫県で一検体、これは四千二百十一検体調査いたしましたところ一検体ということで、〇・〇二%でございますが、一検体ございました。その後、調査の後をフォローしておりますけれども、検出されておりません。  以上でございます。
  7. 三浦久

    三浦(久)委員 いまのお答えですと、海または川に関しては、PCBに関してはほぼ良好な状態だということですけれども、しかし、先ほど申しましたように、流出事故のようなものが発生しないということは言えないと私は思うのです。そういう意味で、万が一こういう事故が発生をしたら大変なことになるわけで、これを永久に現在の保管方法でもって貯蔵していくということは適当ではないと私は考えているわけですけれども通産省といたしましては、今後この貯蔵PCBの最終的な処理についてどういうようにお考えになっていらっしゃるのかお尋ねをいたしたいと思います。
  8. 越川文雄

    越川説明員 お答え申し上げます。  液状の廃PCBにつきましては、できるだけ洋上焼却をしていきたいということでいま検討いたしておるところでございます。
  9. 三浦久

    三浦(久)委員 これは製造中止になって貯蔵されてからかなりの年限がたつわけです。最終的には洋上焼却がいいということなんですが、いままではどうしてそれができなかったのでしょうか。
  10. 越川文雄

    越川説明員 私どもの方といたしましては、洋上焼却をいたす上でまずその安全と、また確実に行われなければいけないということを大前提といたしておりまして、学識経験者方々に御協力いただきまして、五十二年から委員会を設けまして技術的な検討等を行ってきておるわけでございますが、慎重な検討ということと、また一方では、私どもの方といたしましては、委員会検討結果として外国の船、いわゆる廃油等焼却につきましての実績がかなりある船を利用したいというようなこともございまして、それの配船上問題等もございまして時間がかかっておるということでございます。
  11. 三浦久

    三浦(久)委員 いまオランダにバルカナス号というのがありますね。これはPCB焼却する能力があるというふうに言われておりますけれども、このバルカナス号を使って焼却をするとか、そういうことはお考えになっていらっしゃるのですか。
  12. 越川文雄

    越川説明員 先ほど私のお答えの中で申し上げました外国船というのが先生指摘バルカナス号でございまして、これが有機塩素系廃油焼却について世界で一番実績を持っておるということで、先ほど申し上げました委員会におきましても、それでやれば安全に焼却が可能であるという一応の方向は出てございます。
  13. 三浦久

    三浦(久)委員 そうしますと、いつからそういう洋上焼却にかかられるわけでしょうか。
  14. 越川文雄

    越川説明員 先ほどお答え申し上げましたように、これまで安全性についての一応の方向が出てまいったわけでございますけれども、これにつきましてさらに具体的に洋上焼却を実施していくという上から、環境面安全面で現実の焼却に即した細部の検討を現在やっておるということでございまして、そういったような検討あるいは漁業関係者等との調整を通しまして、できるだけ早い機会に実現したいと考えておるわけでございます。
  15. 三浦久

    三浦(久)委員 できるだけ早い機会にと言われるのですけれども、私が通産省にお聞きしたのでは、さっきのお答えで大体六千六百何トンかある。これを洋上焼却するのに大体三カ月くらいかかるというようなお話ですね。そうすると、いま漁業権漁業補償の問題をちょっと言われましたけれども公海で燃やすわけでしょう。今度、この法律によればちゃんとそういう海域まで指定されるわけです。そうすれば何も漁業権の問題とか、そういうものは起きてこない。また、公海上にはいわゆる漁業権というようなものは存在していないと思うのです。たとえば公海であればどこの船だって通っているし、自衛隊はどんどん演習もやっている。そういうことで、そういう問題は余り大きな問題じゃない。特にこの法律が出ればそういうことは全部解決できるわけです。私は、大体いつごろまでにその焼却を終わらせたいというような計画があればお教えいただきたいと思うのです。このことはまた、いわゆるカネミ油症患者さんの切なる願いでもあると思うのです。ですから、その辺のおおよそのめどでもついておればお話しいただきたいと思うのです。
  16. 越川文雄

    越川説明員 洋上焼却を具体的にどこの場所でやるか等につきましては、気象条件等の問題もございまして、先ほどのお答えの中にございました委員会におきましてこれから具体的に御検討いただく、また関係機関もございますし、漁業関係方々との調整もございまして、そういったような面からの検討も必要になっておるわけでございます。それと、何と申しましても、現段階におきましては技術的面での検討すべきこともまだ残ってございますので、そういったようなものの見通しを得た上でということになろうかと思います。
  17. 三浦久

    三浦(久)委員 しかし、もう製造中止になってから何年たちますか。四十六年でしょう、製造中止行政指導を出したのが。それでいまだに研究中、そんなことは許されないのじゃないかと私は思うのです。国民感情から見ても、もっと具体的に作業を進めるべきですよ、八年も九年もたっているのですからね。ですから、一日も早くその焼却に取りかかるように強く希望しておきたいと思います。  それから、運輸省お尋ねしますけれども海上焼却の問題に関して今度新たに法改正規制を設けることになっておりますけれども、たとえば海上焼却の場合に、船舶の例について言えば、まだ日本にはそういう焼却船というのは一隻もないわけですね。いままで規制がなくて自由にできるというような状況の中でも、海上でまた船上でそういう焼却をした例はないわけですね。そうすると、これは運輸省にとっては未知の世界だ。そういう炉について検査済み証とかいろいろなものを発行していかなければならぬ。この炉は船に積んでいくわけですから、技術的にいろいろな問題が出てくるだろうと私は思うのです。この検査船舶検査官がおやりになりますね。そうすると、この前原子力船「むつ」のときにも、その炉に関しては船舶検査官がおやりになって——謝敷さんが首席船舶検査官だった当時です。私は正直言って、船舶検査官教育、技術的な問題も含めて教育をしっかりしないと、実効のあるそういう焼却炉規制とか焼却方法規制、そういうものができないのじゃないかと思うのです。ですから、仏つくって魂入れずなんということを言いますけれども、こういう制度をつくってもそれに対応できるような運輸省体制ができていないと絵にかいたもちになってしまうということを心配するわけです。そういう意味で、この船舶検査官に対する教育を具体的にどういうようにこの法案との絡みでやられようとしているのか、それをお教えいただきたいと思います。
  18. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 今度の海洋汚染防止法改正に伴います洋上焼却につきましては、基本的に要焼却確認物質洋上で燃やすわけでございます。私どもとしましては、まず焼却設備の構造なりあるいは焼却方法なりについて条約の附属書で技術的な内容規定されております。この技術的な内容で見る限りにおきまして、先ほど問題になりました有機ハロゲン加工物等分解効率燃焼効率で代替するという代替方法をとっております。したがいまして、基本的には現在船舶検査官二百四十名おりますが、大学で造船なり、あるいは機関なり、あるいは電子工学をやっておりますが、燃焼に関する基本的な勉強はしておるわけでございます。したがいまして、あとは燃焼についての燃焼効率確認し、燃焼温度確認し、排ガスのガス分析、これは最近は計器で自動的にやることになりますが、こういったことが決まってまいりますれば、それに応じて燃焼に関します基本的な工学の知識をもとにして研修をやってまいりたい、こう考えております。
  19. 三浦久

    三浦(久)委員 それは二百四十名全部にやるのですか、それとも、たとえば船をそんなに何隻も何隻もあちこちでつくるというものじゃないから、結局は本省で何人かの専任のそういう船舶検査官というものを特別に教育するとか、どういうような方法をお考えになっていらっしゃいますか。
  20. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 現在のところ、化学関係製品についての検査につきましては、本省専門官を一人置いておりまして、常時勉強させておりますが、この者を中心にしまして、先生指摘のように多くの数にならないと思いますので、なるべく専門の者を養成する意味で数をしぼって教育をしたい、こう考えております。
  21. 三浦久

    三浦(久)委員 それから船の中の出来事というのは、刑事事件かどうかは別として、民事事件も含めれば全部船長責任ですね。そうすると、たとえば油濁防止管理者なんというのを省令で定める船舶については置くようになっております。ところが、この焼却船の場合にそういう炉の管理者といいますか、こういうものは置くような設備になっていないのですね。そうすると、一切船長がこれの責任を負わなければならない。これはどうも非現実的であり、実際的じゃないのじゃないかと思うのです。ですから、油濁防止管理者というようなものを一面では置いているわけですから、この法改正でもって洋上焼却規制されるということになれば、当然やはり炉の専門管理者といいますか、そういうものを置く必要があるのじゃないかと私は思うのですが、この点、いかがでございましょう。
  22. 永井浩

    永井(浩)政府委員 いま船舶局長からお答え申し上げましたように、炉そのものにつきましては、炉ごと焼却物質ごと基準等を具体的に定めてございます。したがいまして、炉の運転そのものはそれほどむずかしい問題ではないと思います。しかも船の場合におきましては大体機関部がこれに当たっておりますが、炉関係基礎教育も受けておりますので、そういった面で特に専門管理者を置く必要はないかと思いますが、先ほどございましたようなPCB等特殊な物質のものにつきましては、たとえば海上保安庁確認の際に専門家に立ち会って指導してもらうというようなことも現在検討いたしております。
  23. 三浦久

    三浦(久)委員 いまちょっと油濁防止管理者の問題が出ましたけれども、これは外国船には適用がないのでしょう。事故を起こすのは外国船が非常に多いのですね。ですから、油濁防止管理者もいないし、またその規定もつくらなくともいいというようなことに外国船についてはなっているのです。そういう結果かどうか、それは因果関係ははっきりしないかもしれぬけれども、結局外国船についての事故が多い、こうなっている。そうしますと、これは外国船に対してはどういう規制をしていくのかということが一つ問題だと思うのです。その点で運輸省の御意見をちょっと承りたいと思うのです。
  24. 永井浩

    永井(浩)政府委員 御指摘のように、油濁防止管理者の設置とかあるいは業務規定の策定につきまして、これは日本独特の制度でございます、したがいまして、これを外国船適用するということは、国際協調上もいろいろ問題があろうかと思います。そのほかの規定につきましては、一般的にわが国の領海であれば当然適用があるわけでございまして、そういった面で十分指導なり取り締まりをやっていく、このように考えております。
  25. 三浦久

    三浦(久)委員 お話を聞きますと、いろいろ外国ごとに中国語だとかギリシャ語だとかいろいろなものでもって簡単な絵入りのパンフレットみたいなものをつくって渡していらっしゃるようですけれども、しかしそれだけでは足りないんじゃないか。やはり荷受け会社に油濁防止管理者を置くべきじゃないか。荷受け会社にというのは何かとっぴな感じがするかもしれませんけれども、しかしたとえば四日市の港でああいう事故が二回にわたって連続して起きましたでしょう。あの場合でも実質的にはその賠償の責任をとっているのは荷受け会社ですよ。外国船じゃない。外国船がやらなければ荷受け会社の方でやりますということを約束しているわけですからね。だから実際の処理に当たってはやはり荷受け会社がそういう責任を持っているわけですよね。ですからいまでも荷受け会社が任意にそういういろいろな防災のために仕事をしていると思うのですけれども、しかしこれは法律上ぴちっと荷受け会社に油濁防止管理官を置かせる、それで外国船については、それが自由に法律的な権限を持って外国船にもちゃんと乗っていけるようにする、こういうことをやはりやった方がいいんじゃないか。これは法的にもそういうふうに制度を改めた方がいいんじゃないかというふうに私は考えているのですけれども、その点、運輸省のお考えはいかがでしょうか。
  26. 永井浩

    永井(浩)政府委員 外国船の荷物につきまして、荷主の方の問題でございますけれども船舶は、運航中の問題につきましては運送人である船会社の全責任でございますので、これに対して荷主である会社責任を持つというのは法律上不可能であろう、このように考えております。ただ、荷受け前後の問題につきましては、たとえば現在でも船から陸上のタンクに油を荷揚げするときに消防法等規定で若干の規制はございます。そういった意味荷役前後の問題はあるいは検討課題となろうかと思いますけれども、少なくとも船が運航中の問題については非常にむずかしい問題だろう、こういうふうに考えております。
  27. 三浦久

    三浦(久)委員 私が言いましたのも荷役前後の問題について伺っているのですけれども、それはどうでしょうか。
  28. 永井浩

    永井(浩)政府委員 今後勉強課題とさせていただきたいと思います。
  29. 三浦久

    三浦(久)委員 それから私、いまの制度の中で、事故が起きた場合に一つ不備な点があると思うのです。これはいろいろなことをやられておりますけれども、たとえば四日市の場合ですと、これはどうしても漁民は出てくるなといったって出てきますわ、船に乗って。吸着マットを投げたり、ひしゃくで油を取ったり、これは本当に涙ぐましい努力をしていると思うのですよ。特に四日市の場合は五十三年十一月八日に発生し、年が明けたらすぐ一月十九日にまた流出事故でしょう。漁民にとっては、特にこの時期というのはちょうどノリ作業を終わって取り入れにかかるときなんですね。ノリというのはちょうど寒いときですから。こういう時期に二度も起こされるということは漁民にとっては身を切られるよりつらい問題だと私は思いますね。ですから、どうしても自分でもって出ていきますわ。出ていくと、これは新聞報道ですけれども海上保安庁の方で邪魔になるというようなことでけ散らすというような事態も出ていると聞いているんですよね。私は、漁民というのは自分ノリ漁場だけを守ろう、そういう観点で動きますから、そうじゃなくて、もうノリはだめだというような判断を海上保安庁がすれば、ノリはだめだけれども今度もっとほかの被害が起きないようにとかいうような立場で海上保安庁は動くから、それは確かに邪魔だというような場合もあるだろうと思いますね。しかし、少なくとも私はこういう大きな油の流出事故が起きた場合には、漁民協力がなければ絶対にこれは解決できない問題だろうと思っているんですよ。その点は運輸省どういうふうにお考えでしょうか。
  30. 真島健

    真島政府委員 いま先生指摘のように、事故が起こった場合その近辺でノリひびその他が非常に多いというようなときには特にそうでございますが、その他の場合でも、地元の有力な漁協なり漁民方々の御協力というものは非常に大切な要因だと思っております。
  31. 三浦久

    三浦(久)委員 そうであるとすれば、いまたとえば防災センター契約防災措置実施者ですか、こういうものをつくって一定の訓練もしておられると思いますけれども漁業組合とそういう契約防災措置実施者ということで契約をしているという例は香川県だけなんですよ。そうしますと私はやっぱりこういうやむにやまれず出動してくる漁民、こういう人たちを、万が一事故が起きた場合には一つのそういう防災体制の中に組織的に組み入れる、そしておのおのその持ち分に従って有効な対策を講ずることができるように常日ごろからしておくということが大事じゃないかと思うのですね。そうでないと、おまえは邪魔だとか、何言っているんだ、おれのノリがつぶされるのに邪魔だとは何だとかいって現場でそういう摩擦が起きますと、これはもうちょっと防災の実が上がらないというようなことになりますね。ですから、たとえば事故が発生したら海上保安庁への通報義務がありますから海上保安庁に来る。それから自治体にすぐ連絡をとるとか、それから漁業協同組合連絡をとるとか、漁協が各個人に連絡をとる、そしてそれがおのおのどういう持ち分で動くのかというそういう計画をつくり、それは事故の態様がいろいろでしょうけれども、そういうやっぱりある程度の想定をして計画をつくり、そして年に一度とか二度そういう訓練漁民を交えてやる、そういうことを検討すれば私は非常にスムーズに防災の実が上がっていくんじゃないかというふうに考えるわけですね。この点、運輸省どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  32. 真島健

    真島政府委員 先生も御承知かと思いますが、全国の八十一港程度、非常に重要な港湾につきましては流災協と申しまして、油流出時の全体の体制をどういうふうにするか、それから総合的に訓練をここでやっていこうじゃないかというようなことで、これは任意団体でございますけれども、タンカーの船舶所有者あるいは石油企業港湾運送業者、先ほど御指摘のございましたような防災センター契約しておるような業者の方、あるいは漁業関係者海事関係官公署地方公共団体、こういうようなものが一体となりまして、これはもう大分前からこういう組織ができておるわけでございまして、この団体におきまして実は総合的な訓練というようなものもやっておるわけでございます。ただ、この流災協の全組織全国の全部の中に漁業関係が入っているかどうかといいますと、やはりその辺は若干欠落しておる流災協もあるようでございますが、今後こういうものと防災センターといろいろ連絡をとりながら、現実的に総合的な訓練というようなことを漁協方々も含めた形での全体的な姿でやっていくように私どもも指導し、努力をいたしたいと思っております。     〔委員長退席佐藤一守一委員長代理着席
  33. 三浦久

    三浦(久)委員 わかりました。防災センター契約防災措置実施者訓練されているというのですけれども、これは聞きますと五年に一度ぐらいしか回ってこないというんですね。これではやはりなかなか実際の事故に対して対応はできないのじゃないか。いま漁民も入れてそういう訓練もするということですから、五年に一度というのじゃなくて、やはり事故が発生しそうな重要港湾についてはできる限り頻繁にやっていただくように要望いたしたいというふうに思います。  それから、大臣、この前BG財団の問題についてお尋ねしまして、いろいろ問題点があるので、詰めて統一見解を出したい、こういう大臣の御答弁があったわけですけれども、そのBG財団について、またお尋ねいたしたいと思います。  三月三十一日でBG財団に対する協賛レース、いわゆる通達の期限が切れますけれども、現在の時点でこれを延期なさったのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  34. 西村康雄

    ○西村説明員 お答え申し上げます。  BG財団におきましては、現在非常に各地域の市町村から海洋センターを設置してほしいという要望が強く参っております。そういう要望を受けまして、BG財団自身として、現在の事業をさらに拡張するかどうか、それを検討しております。それで、その検討につきまして、先般先生に御報告したと思いますが、非公式な話がございまして、それで私どもの方からいろいろと問題点を指摘したというような経緯がございまして、その後、まだBG財団は正式にこういうふうな事業でこういたしたいということは私どもの方に参っておりません。したがいまして、運輸省としては、BG財団から一応そういう問題点を煮詰めてまいりました段階で、今後の延長問題というものを含めて検討する、こういうことになろうかと思います。
  35. 三浦久

    三浦(久)委員 この競艇をやった上がり、二五%の上がり、これは憲法八十九条で、公金というものは宗教法人とか宗教的な活動に使ってはいけないというのがありますね、その公金に当たりますか、どうですか。
  36. 西村康雄

    ○西村説明員 モーターボート競走による収益金、地方公共団体に入りました金そのものは公金に当たると思います。
  37. 三浦久

    三浦(久)委員 BG財団というのは、これは私は民法三十四条に基づいて設置されている通常の一般的な公益法人だと思いますけれども、BG財団というのは公の支配に属する財団ですか。
  38. 西村康雄

    ○西村説明員 いまここで、BG財団が憲法八十九条のそこに言っている公の支配に属するかどうか、私が政府としての確定的な解釈を申し上げる立場ではございませんが、BG財団は、まず一つは、いまお話がありましたように、民法三十四条に基づく財団法人でございます。したがいまして、その限りで監督を受けている。そして、具体的には運輸大臣の所管に属する公益法人設立及び監督に関する規則というのを受けて、各種報告の義務づけを受けているということ。そして、業務及び財産の状況に関する検査等、これは民法自身で規定しておりますが、これに従ってやっているということ。それから、BG財団の、これは特殊な問題でございますが、協賛競走を受けて行う事業につきましては、さらに民法の各主務大臣の監督に属するという規定を受けまして、現在基本的な事業計画及び基本的な収支計画、そして、毎年度の計画について、通常の公益法人以上に細かい監督をしているという事実について御報告さしていただきたいと思います。
  39. 三浦久

    三浦(久)委員 それはあなたたちが勝手にやっていることであって、法律に基づいてやっているんじゃないのだな。たとえば船舶振興会であれば、モーターボート競走法に基づいて設立をされ、ただし民法三十四条に基づく法人だというふうになっておるけれども船舶整備公団の場合には、一応その法律でもって予算でもちゃんと縛るようになっているのですね。そうでしょう。BG財団というのは、一般の法人じゃないですか。監督は民法上の監督にしかならないのですよ。私は法務局にも聞いてみている。すると、公益法人がみんな公の支配に属するなんということはありません、と言っている。予算と人事、これについて政府が法律的にきちっと介入できるというものでなければ、公の支配には属しませんと言っていますよ。だから、たとえば私立学校の場合は、学校教育法とか私立学校法だけではこれは援助できない。ですから、私立学校振興助成法というものをつくって、そこで人事と予算についてもぴしっと国が介入できるようにしてあるのですよ。そうでしょう。そうじゃないと憲法違反になるからね。BG財団というのは、法律上はただ民法の監督官庁の監督を受けるというだけです。予算についても人事についても、法律的にあなたたちが何ら関与をすることのできない一般的な法人ですよ。もしかあなたのおっしゃるように、民法上の公益法人が全部公の支配に属するのだということになったら、これはまさに珍論ですよ。そんなことを言っている学者もいないし、政府の人もいませんよ。だから、あなたも言葉を濁したけれども、しかし実際上はこういうふうに介入しているのですなんということを言っているけれども、それはやってはいけないところにやっているから、それを隠蔽するためにあなたたちがそういうことをやっているということ。むしろあなたの発言は、公の支配に属さないところに出しているということを自白しているようなものですね。  そして、もう一つ聞きます。このBG財団の公益目的、これは何ですか。
  40. 西村康雄

    ○西村説明員 BG財団の目的、これが御承知のように寄附行為の第一条に書いてございますが、ここでは「この法人は、わが国の四周をめぐらす青い海と、これに続く緑の国土を場とし、主として青少年を対象に、海洋性レクリエーション事業を軸とした実践活動を通して、海事思想の普及をはかるとともに、その人間形成と体力向上をはかり、もって海洋国日本の発展に資することを目的とする。」とこう申しております。ここで、海事思想の普及を軸とする、こういうことでございます。
  41. 三浦久

    三浦(久)委員 これは、そんなことを書いてない。海事思想の普及を図るのは、これは「青少年を対象に、海洋性レクリエーション事業を軸とした実践活動を通して、海事思想の普及をはかるとともに、その人間形成と体力向上をはかり、」となっていますね。これは、憲法八十九条に言う教育活動に当たりませんか、どうですか。
  42. 西村康雄

    ○西村説明員 憲法八十九条の教育、これがどういう内容を持っているかでございますが、政府がこれまで明らかにしてきた見解は、教育というのは、人の精神または肉体的な育成を目指して人を教え導くということであり、そして、教育する者が教育される者を教え導いて計画的にその目標に達成させる、こういうことを言っております。私どもこれを案ずるに、BG財団の目的は、このような意味での教育には当たらないと理解しております。
  43. 三浦久

    三浦(久)委員 そんなこじつけちゃいかぬよ。社会教育法をあなたは読んでいるでしょう。社会教育法という法律があるのですよ。そこで「「社会教育」とは、学校教育法に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動をいう。」その「教育活動」の中には「体育及びレクリエーションの活動を含む。」と書いてある。体育、レクリェーション活動も社会教育であるとはっきり書いてある。そうすると、このBG財団の寄付行為を見れば、まさに体育の向上であり、そしてまたレクリエーション活動を軸としておるでしょう。これが社会教育じゃなくて何なんですか。
  44. 西村康雄

    ○西村説明員 社会教育という概念は、先生指摘のように大変広い概念でございます。しかし、憲法にいう教育というのがすべての社会教育を含むかといえば、これは含むと思いません。したがいまして、社会教育の中でも、先ほど申し上げましたようなきわめて計画的な育成を図るというようなものについては憲法にいう教育に当たると思いますが、BG財団のような、一般に公開し、そしてだれでもが随時利用できるというような施設の提供をしている普及活動につきましては、教育に当たるということはないと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 三浦久

    三浦(久)委員 それはあなたが勝手に解釈しているのであって、社会教育というのはちゃんと社会教育法に規定されている。そしてそこには、レクリェーション活動も体育の向上も含むんだと書いてあるでしょう。そうでしょう。そして、憲法にいう教育活動の中には家庭教育というものは含まれない、しかし社会教育は含まれるというのが大体通説ですよ。あなたたちがそんな勝手な解釈をして、そして憲法違反をあえて犯しながらBG財団に金を出している。憲法の八十九条には、公金は公の支配に属しない教育事業、そういうものに出してはいけない、博愛事業にも慈善事業にも出してはいけないと言っているでしょう。ところが、BG財団の会長である笹川さんはどう言っています。こういう博愛事業とか慈善事業とかいま言ったような教育事業、こういうものを公金を使ってやっているんだな。憲法八十九条の趣旨というのは、そういう博愛事業、慈善事業で自分の名を売るんだったら、そんなものは自分の金でやれということなんです。何も公金を使って売名行為に手をかすことはないのです。公金でしょう。競艇のテラ銭だから公金なんですよ。公金だという答弁が出ておるでしょう。そういう公金を使って、一私的公益法人BG財団に競艇の売り上げを六%もやり、六%だけじゃない、船舶振興会に三・三%も行っておるわけだ。競走会に行っておるのもそのまま行ってしまう。要するにみんな行ってしまうんだ。そんなことをしていままでに三百二十億円も金を出し、そしていまBG財団は四、十八年から三百億円も現金を握っているじゃないですか。それで憲法の八十九条に違反する疑いというのは私はきわめて強いものがあると思う。きょうは時間がありませんからまた次にやらせてもらいますけれども、憲法の問題だけじゃなくて、モーターボート競走法の問題、省令との関係を見ても、このBG財団に金を出すということは法律的にもいろいろな問題点があるのです。  大臣、事は憲法の問題ですから、憲法というのは、自分たちの違法な行為を隠蔽するために勝手に解釈するというようなことは許されないと思うのです。憲法の八十九条には、いま私が言いましたように、公のお金は公の支配に属さない教育活動、慈善事業、そしてまた博愛事業に支出してはならないとなっている。私はこのBG財団は公の支配に属さない、そういう法人だと思います。それはもうお認めになっているとおりです。それからまた教育活動をやっているのです。定款ではっきりしています。社会教育法にいう社会教育をやっていることは間違いないのです。そうすれば、そういう財団に公金を支出するということは私は憲法違反になると思うのですけれども、大臣の御見解をお聞きしたいと思う。そしてまた、そういう疑いのある公金の支出に手をかすようなことは今後させないでほしい。ですから延長する通達を出すというようなことはやめてほしいと私は思うのですけれども、大臣の御答弁を伺いたいと思うのです。
  46. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 憲法問題についてはよく理解できませんが、レクリエーション活動として非常に要望が強いものがございます。いろいろ御指摘の御意見もございましたので、十分検討させていただきたいと思います。
  47. 三浦久

    三浦(久)委員 終わります。
  48. 古屋亨

    古屋委員長 青山丘君。
  49. 青山丘

    ○青山委員 最初に海上保安庁に少しお尋ねしておきますが、今回の法改正は国際条約に基づいて国内法の整備をしておきたいということで、法改正前、現行における取り締まり体制についての海上保安庁の御見解を伺っておきたい。それから、法改正後に取り締まり体制をより強化していかなければならないと私は考えてますが、この程度の取り締まり体制だけは確保していきたい、こういう海上保安庁の御見解を伺っておきたいと思います。
  50. 真島健

    真島政府委員 お答えをいたします。  現在、つまり現行法下における私どもの全体の取り締まり体制でございますが、私ども取り締まりの側でございますので、やはり一番手足となりますのは船艇、航空機それと優秀な人員、こういうことになると思います。そこで船艇、航空機でございますけれども、大体、五十四年度末の勢力は、巡視船艇は三百三十隻でございます。さらに航空機につきましては四十八機ということでございます。私ども、この船艇、航空機勢力は、公害取り締まりだけでなくて領海警備その他非常に多目的に使っております。今回の法改正によりまして私どもに新しく課せられてくる任務は、例の確認制度に伴う事務量の増加ということが非常に目立つところでございますけれども、私どもは、全体のいままでの公害取り締まり体制、現行法下においてもこれで一〇〇%いいと決して思ってはおらないわけでございまして、今後とも勢力の増強ということで、実は現在審議をいただいております五十五年度の政府予算案におきまして、巡視船につきましては六隻の増強、巡視艇につきましては五隻の増強、さらに巡視艇のうちで古くなりましたものを最新の型にもっていくという代替につきまして十一隻、したがいまして、船艇につきましては五十五年度に十一隻の増強をいたし、新鋭な能力を備えた代替船として十一隻をお願いをしておるわけでございます。  航空機につきましても、特に増強を五機、さらに古くなりました型のヘリコプター等の新鋭化ということでの代替に七機ということでこの増強を図るとともに、これは金額的には大した金額にならないかと思いますけれども、何と申しましても複雑化してくる公害取り締まりでございますので、要員の質の向上ということで研修その他の経費の若干のお願いをいたしまして、今後の公害取り締まり体制をさらに強化をいたしたい、このように考えております。
  51. 青山丘

    ○青山委員 届け出、申請と確認制度について後でまた少し触れさせていただきますけれども、私は現在話題となっております関西国際空港の建設に伴う海洋汚染等公害の問題について少し触れたいと思います。  瀬戸内海、大阪湾ともどもこのすばらしい自然は、この恵沢を国民がひとしく亨受して後の世まで継承されなければならないかけがえのない財産であります。  最初に大臣にお尋ねしますが、そういう意味で瀬戸内海環境保全臨時措置法が昭和四十八年に制定をされまして、大型埋め立てについては自然環境に及ぼす影響を十分に事前に評価された上でその可否が論議、決定されなければならないようになったのでありますが、今回の海洋汚染及び海上災害防止法の一部改正が提案されておりますその精神も、まさに自然環境を守っていく、そしてクリーンな世界をつくる、こういうものであります。現在大阪湾内に関西新国際空港を建設するという計画があって、航空審議会においても埋め立てにするか浮体にするか論議が盛んに進められておりますが、その選択に当たっては当然環境の変化及び建設に伴う公害について十分に検討されて、総合的な立場に立って決定されなければならないと思いますが、あえていま一度大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  52. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 関西新空港建設による周辺地域の環境に及ぼす影響があることは否定できません。問題はその影響の度合いが環境保全の見地から容認できないようなものであってはならないということであると考えております。  関西国際空港の建設工法については、現在航空審議会において空港機能面からの検討を踏まえ、工事中及び完成後における自然環境への影響はもとより、工事による地元への経済的影響、具体的建設技術、さらには工期、工費、維持費など、御質問の事項を含め広範かつ多岐にわたる面から総合的な審議を進めているところでございます。
  53. 青山丘

    ○青山委員 大臣のお立場から、十分建設公害について環境の変化について配慮しながら総合的な判断をしていく。ただ、地元の経済に配慮する余り基本的な態度がもし損なわれるようなことになれば後の世に汚点を残す、私はこういう心配をするものですから、以下質問をさせていただきます。  浮体工法については、各工場でユニットがつくられて空港建設予定地である沖合い五キロの地点で接合されるだけでありますから、環境変化及び建設に伴う公害はほとんどないと私は思っています。しかしながら、埋め立て工法に伴う多くの不安が最近浮き彫りにされてまいりまして、空港建設期成労組協議会がことしの一月三十一日に運輸大臣に提出をしました「公開質問状」の中にもその点については幾つか指摘されております。時間がないから、本当は読ませていただこうと思ったのですが、大臣、目を通しておってくださると思いますので、また機会があったら委員の皆さんも目を通していただきたいのですが、こういう指摘をされていることにかんがみて運輸省は各種の調査をしてこられた。これらの各種の調査の結果が近々に政府から発表されるということで、その前に少し触れておきたいと思います。  運輸省がこれまで進めてこられた調査の目的について、それは私どもは埋め立て工法に対する調査だと考えているのですけれども、いかがでしょうか。
  54. 松本操

    ○松本(操)政府委員 現在私どもがやっております調査は、自然環境、生活環境、社会環境といったようなものを含めまして、環境保全というものがどのようにして達せられるかというふうなことを環境調査の大きなテーマのもとに締めくくってやっておるわけでございまして、確かに四十九年に最初の関西空港についての答申が出ましたときに幾つかの工法を比較検討して、その時点においては埋め立て工法が主流であろう、こういうことでございましたから、その後しばらくの間埋め立てについて重点を置きつつ研究をしておったことは事実でございますが、五十二年の終わりごろから浮体についても問題が出てまいりました。浮体についての主として技術的な面、そこら辺を五十二、五十三あたりから手をつけ始めた、こういうことでございます。  環境問題については、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、埋め立てということを前提にいたします以上、そこに何らかの自然の状況の変化が起こるわけでございますので、それが許容される範囲内にとどめ得るのかどうかということが最大の調査の眼目になるわけでございます。したがって、その方面に相当の努力を費やしたことは事実でございますけれども、いまの時点におきましては埋め立てを目途とした調査というふうにしぼった調査ではない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  55. 青山丘

    ○青山委員 きょうが二十八日、三日前の二十五日の公害特別委員会だと記憶しておりますが、民社党の木下議員の質問に対する山本飛行場部長の答弁に、浮体に比較して埋め立てはより環境公害面で問題があるというような発言をしておられると聞いておりますが、もう一度確認しておきたいと思います。
  56. 松本操

    ○松本(操)政府委員 私が直接お答えしたのでございませんので、正確にどのように飛行場部長がお答えしたかは現在承知しておりませんけれども、おっしゃいますように、埋め立てというものは必ず海の中に何か作業しなければならないわけでございますし、その作業をするためにまたいずれからか埋め立て用の土砂というものを持ってこなければならないということも事実でございますから、したがって、そういう意味において何らかの形で自然との対応がかなりの規模で生ずる、これは否定できないことであろうかと思います。また、そういうことがございますからこそ、先ほど冒頭先生がおっしゃいましたような諸般の法規制等も行われて、これらの行為が自然環境の破壊につながらないようにというための配慮もなされている、こういうふうに理解をいたしております。
  57. 青山丘

    ○青山委員 航空局長の御答弁は飛行場部長が答えたんだからということでしょうけれども、航空局長の御見解はいかがでしょうか。
  58. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいま私がお答え申し上げた中に含めたつもりでございますが、埋め立てというものはともかく自然というものを相手に何がしかの人為的な作業をするわけでございます。したがって、浮体工法としていま検討されているものは、自然を対応として動かすところは、いわゆるドルフィンと呼ばれる部分を地底にたたき込む作業、ここのところがもっぱらでございましょう。もちろんそのほかにも多少自然との間のかかわり合いというのは出てくるかとも思いますけれども、かかわり合いの度合いにおいては埋め立ての方が大きいということは、客観的に言えると私も思います。
  59. 青山丘

    ○青山委員 私もそう思います。昭和四十九年以来、埋め立てを中心にいろいろな調査が進められてきておるわけですけれども、昭和五十二年浮体工法の調査研究費が予算計上されて以来、航空局長は埋め立てと浮体を公正に取り上げてこられたと申しておられます。私もその辺は確認しております。  そこで、造船工業会から、浮体工法の生態系を含めた環境調査を国に依頼しておりまするけれども、現状ではそのまま放置されている。これはどういう理由なのか。生態系への影響がきわめて少ないとそれは判断しておられるものかどうか。もしそうじゃないというのならば、恐らく航空局長がさっき答弁の中でおっしゃりたかったのは、暗黒海面の問題ではないかと思うのですけれども、その点についてももし問題だというならば、やはり調査を進めていくべきだと私は思うのですが、どうでしょう。
  60. 松本操

    ○松本(操)政府委員 五十三年末から五十四年の頭ごろにかけて、いま先生おっしゃいましたようなことが非公式に造工の方から私どもの方に話があったようでございます。浮体による自然環境とのかかわり合いというのは、ドルフィンの打ち込みについては、これは海底工作でございますので、海水の汚濁といったような——純粋、従来経験のある問題で処理できるかと思いますが、大きな問題は、大阪湾内にともかく構造物ができるわけでございますので、それによる海流の変化が一体どうなるのかという基本的な問題がございましょう。この点につきましては、実は埋め立てについてかなり突っ込んだ調査をしてきております。これに対応させますと、浮体の場合は、要素浮体が幾つか間隔を置いて海面に林立をしておる、こういう形でございますので、完全に海面を排除するという形ではございません。したがって、定量的なところまではなかなかむずかしいかと思いますけれども、定性的に見てその影響は少ないということは言えるのではなかろうか。  暗黒海面の問題につきましては、これは非常に議論の多いところでありまして、かえって要素浮体に対するカキその他の付着が魚巣と化し得るのではないかという御議論もあるようでございます。  また、これは実験をするといいましても、とても実験できるような規模のものでもございません。千ヘクタール前後の広さの暗黒海面を実験的につくろうということも不可能でございますので、結局、考察程度の範囲を出ないのではないか。そういう意味において、この問題は折々漁業専門家に私どもの方も意見を伺ってはおりますけれども、必ずしもまとまった見解というのは出てきていないようでございまして、この問題が問題の決め手になってくるのかどうかという点については、私ども現時点では確とした結論を得ておりませんが、完全に放置をしておるというわけではなくて、折に触れて魚類生態系の専門家の御意見などは承ってはおりますけれども、なかなかまとめてやるという方法論的なむずかしさもあって、現時点においては大規模に調査をするという段階には至っていないという状況でございます。
  61. 青山丘

    ○青山委員 暗黒海面についてはいまおっしゃったように、ある意味では魚類の生態系にいい効果をあらわすかもしれないとすら言われているのですね。それから大阪湾の潮流が〇・八ノット。〇・八ノットというのは一時間に千四百四十メートルくらいだそうですが、五千メートルとすると、三時間あれば大体変わってしまうわけですから、ほとんど問題はない。しかし、海上に島を一つ人工的につくるということになってまいりますと、これは海流の流れに影響が出てくるでしょうし、よどみがもし出てくれば、これは生態系に非常に大きな影響を与えてくる。これは海洋の将来にとってきわめて重要な問題になってきます。そこで、今日まで各種調査を進めてこられました。この調査の結果、環境影響について政府案が近く出されると聞いておりますが、事実でしょうか。
  62. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、環境影響評価というものを私どもはしてまいらなければなりませんので、評価の材料となるべき調査というのを過去何年かにわたってやってきておるわけでございます。当初、五十四年度末には、およそ各般のそういった調査の結論を取りまとめ得るというふうに予測をしておったわけでございますが、多少作業のおくれがございます。したがって、遺憾ながら五十四年度末には間に合いかねておるわけでございますけれども、そう遠くない時点で、逐次これらの結果を取りまとめて、環境評価までいけないにいたしましても、調査の結果の概要の取りまとめということはできる見込みでおります。
  63. 青山丘

    ○青山委員 それはいつごろですか、後でお答えいただきたい。  それからいま潮流が話題になっておりますが、私はヘドロと潮流について若干お尋ねしたい。少し進ませていただきますけれども、後で答弁を求めます。  運輸省は、空港を埋め立てによって建設する場合の工事中の濁りが心配されるが、護岸を先行施工することなどによって濁りの拡散を防止できる、こういうふうに言っておられます。根拠は審議会の答申によるものだと思っております。航空審議会の答申にこれと同趣旨の内容が書かれておるのですけれども、しかし、護岸ができるからその中の埋め立てについては汚染、汚濁は防ぎ得るだろう、こういうことですが、護岸をつくるために地盤改良をしなければなりません。その地盤改良をするためには、およそ千七百万立米のヘドロが出てくるということも認められているところです。千七百万立米といいますと、けさもNHKのテレビで、昨年一年間日本人が飲んだアルコールの量は霞が関ビルの十三杯分だ、こう言って報道されておったのですが、千七百万立米と言えば、霞が関ビルのおよそ三十五、六杯、百メートルと百メートルの縦横、そして長さが千七百メートル、こういう膨大な量のヘドロが出てくるわけですね。このヘドロの処理はどうするのですか。そのヘドロの処理については諸説紛々といいますか、聞くたびに答弁が違っておったと言うべきじゃないかと思うのです。航空局長は一貫してといいますか、一つの考え方をお持ちのようです。  すでにこのヘドロの処理について五つ、六つ論議されておる内容をちょっと披露させていただきますけれども、サンドコンパクションによって押し出されたどろは石の間隙を埋めたり横に押し出されたりする、十分公害に注意してやる、だから——だからというのは私の考え方ですが、大丈夫だと言わんばかりの発言を二月四日、埋め立て工法の参考人が述べておられます、第二番目に、二月十六日、私どもの岡田議員のヘドロ処理の質問に航空局長は、ヘドロは取って外洋に捨てるとはっきりと答弁しておられます。第三に、次の日の朝日新聞には、航空局長の発言に対して航空局関西空港計画室の談話が載っています。いま持っていますが、実際に外洋に運んで処理する必要はまずないと航空局長の国会における答弁を否定しているわけです。航空局長の答弁がいいかげんだったのか、航空局長の答弁は国民に対して誠実に述べられたのか、あるいは計画室の発言はまことに無責任であったのか、その辺はよくわかりませんけれども、こういう報道がなされております。第四番目、さらに二月末ですけれども、岡田議員の質問に対して政府から回答が出されておりました。それを見ますと、盛り上がり土を密閉式グラブで撤去する方法の採用が考えられる。ヘドロというのは土という概念なんですかね。あれはどろという概念でしょうね。土捨て場所は他の埋め立て造成中の場所が通例だが、外洋に捨てることもありうる。若干ニュアンスが違って航空局長に近い、計画室の考え方とは意見を異にしておる、計画室の考え方を否定した回答書が出ているのです。第五番目、二月二十二日期成労組協議会のメンバーに対して、ヘドロ処理は密閉式グラブで外洋に捨てる、こういうふうに航空局長は述べておられます。第六番目、三月二十五日の参議院の予算委員会で民社党の柳澤錬造議員に対して、ヘドロ処理は二通りあるが別途どける方法がベースになると述べておられる。諸説入り乱れているわけです。これはヘドロ処理を含めた埋め立て工法が技術的にまだ非常に不確定だということを私は感じるわけです。聞いておられる委員の皆さんもそういう印象だろうと思う。  それで、質問させていただきますが、昭和四十九年以来、軟弱地盤あるいは深いところにおける大規模埋め立て工事の可能性についても莫大な国家予算を投入して研究されてきた。そしてそれがすでに六年もたっている。航空局長は、埋め立ては百年の歴史があって資料は豊富である、安定した技術として推奨してきたと言っておられるのですけれども、わずかこの一カ月間にこんなに答弁が変わってきておって、明確な回答がいまだに出てない。これは相当重大なことが隠されておるのではないかとすら私は考えるのです。これは私個人ですよ。その辺の見解をまず伺っておきたいと思います。
  64. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず最初の御質問の環境に関する調査の結論がいつごろまとまるのかという点でございますが、四月中心環境関係の、特に埋め立てにかかわる部分のまとめ、魚類に及ぼす影響とか、そういうふうなものを含めた海洋関係の部分、ここら辺はまとまるのではないかというふうにいま考えております。それから少しおくれまして騒音、大気汚染、こういったような問題についての取りまとめができるのではないか、このように考えております。  次にヘドロの点でございますが、まず、言葉から受ける感じと実態との間に非常に開きがございまして、ヘドロといいますと、何か足を踏み込みますとひざまで入ってしまうような感じがするわけでございますが、ボーリングをいたしました結果から判断したところによりますとそういったようなものではなくて、軟弱地盤、粘土層と申しますか、これをどう言えば感覚と実態が一番ぴったりするのかわかりませんけれども、かつてどなたかが比喩でおっしゃったという、たとえば、ヘドロ層の上に埋め立てをするのは豆腐の上に金塊を置くようなとか、そういうふうなものでもございませんし、またヘドロを棒の先か何かでちょっとかき回すとあたり一面が一遍に濁ってしまうといったようなものでもない。現在の大阪湾内においてヘドロと称されているものはそのような土質のものではないということをまず最初に御認識いただければと思います。  次に、これを土質屋は第一粘土層と言うようでございますが、これの扱いについていま先生から、いろいろと言い方が違っておるではないかという点の御指摘がございましたが、あえてお答え申し上げますと、いずれも間違っていないわけでございまして、実は参考人の意見を踏まえました工法小委員会委員の御議論の中でも、サンドコンパクションをする場合に、サンドコンパクションのやり方を考えれば、仮に私、ヘドロと申し上げますが、盛り上がるヘドロの量をコントロールできるという御意見の方もあったわけでございます。それから、そういうコントロールの結果ヘドロが多少持ち上がっても、その上に捨て石を置いていけば、捨て石と捨て石との空隙の間にヘドロが入り込んでしまうからあえて取って持っていく必要はないではないかという御意見のあったことも事実でございます。しかし私が首尾一貫して申し上げておりますのは、そういう考え方はあるけれども、最も安全サイドを考えれば、ヘドロを取り除く、どこかほかのところへ持っていくという考え方をベースにするのが筋ではないだろうか。その場合にどこへ持っていくのか、どうやって持っていくのかということが議論になるわけでございますが、どうやってというのは、従来のような普通のグラブバケットでは海水汚濁の原因になりますので密閉式のバケットを使う。これは密閉式でございますから海水その他が漏ってまいりませんので、完全にどろをつまんだまま海面上に引き揚げる。どこへということになりますと、持っていき場所は二通りあるわけで、もし近間に埋め立て工事が現実に行われておるといたしますならば、そこへ持ってまいりまして捨てるということをいたしますと、遠くへ持ち運ぶ必要がなくなるわけでございます。しかし、そのときにちょうどうまいことそういうところがございませんと、これは架空のお話になってしまいますので、私は一番安全な考え方として、海洋汚染防止法その他法令の定めるところに従ってここならいいと言われているところ、大体五十海里以上沖合いでございますけれども、いわゆるC海域というところまで持っていって——本当は五十海里以内でもいいようでございますが、安全のためにC海域の五十海里以上のところまで持っていくということにしたらばどうか。そうして、現在まだ試算の段階にすぎませんけれども、埋め立て工法についての経費いかんという試算の中ではそういうふうなことをしたのを踏まえて数字を組み立ててある、こういうことでございますので、あれに移り、これに移りと変わっているわけではないのでございまして、先生の御指摘はどれもこれも全部理屈としてはあり得るわけなんですが、ただ勘定の上では、あるいは現在の計画段階では一番確実な方法、一番金のかかる方法というのを押さえてみたらいかがか、こういうことで申し上げてきておるわけでございます。
  65. 青山丘

    ○青山委員 時間が本当にないので先に進まないといけないのですけれども、千七百万立米というこんなに大量なヘドロをかつて捨ててきた実績があるのかどうか。海上保安庁は、今回の法改正によると、確認の申請を求めればその許可を得られる、確認制度さえ、手続さえとればいいということなんでしょうか。これは仮定の話をして大変恐縮なんですけれどもこのような状況の中で確認の申請が出されて確認済み証というものを出されるのかどうか。どうですか海上保安庁
  66. 真島健

    真島政府委員 今回の法案で海上保安庁長官確認をするという廃棄物あるいは焼却に関する制度でございますけれども、当該廃棄物が政令でこれから決められるわけでございますけれども、現行法の十条の三項に書いてございますもののうちで今度条約等におきまして厳しく規制がされておるもの、そういうようなものを政令でピックアップをいたしまして、それについては確認制度がかかるわけでございます。  いまの御指摘のヘドロについて、私ちょっと技術的にこの政令の中にひっかかるかどうかわかりませんが、恐らくこれは確認制度の対象外のものになるのではないか、ちょっと私いま正確な資料ございません。
  67. 青山丘

    ○青山委員 もういい、質問しておいてもういいと言うのは失礼だけれども、航空局長、私から言わせてもらうとこれまでの航空局の対応というのはどれも正しいということにはならないと思うのですね。あなたがおっしゃることをすぐその場で、しかし時間がなくて私も迷っておるのですよ。この問題はもう一遍改めてやらせてもらいます。  それからヘドロについて航空局長の答弁の中にもあった、ほうっておいてもいい、石を落とせばその間に埋まるとか、サンドコンパクションの方法によれば盛り上がってくればそのままでもいいんじゃないか、こういうことなんですけれども、護岸をつくるために出てくるヘドロなんですね。そんなところに護岸をつくって航空局長の見解は一貫して外洋に捨てるというお考えのようですからそれはそれで私はその方がいいと考えています。けれども、工法小委員会でそういう問題をそんな程度の扱い方で論議されているというのはまことに残念で仕方がない。税金を納める国民にしてみたら大変なお金で飛行場ができるわけですから、その飛行場ができてくる過程の中で工法が決められる論議が、石っころ捨てていけばその間にヘドロが埋まっていくとか、間隙に埋まるとか、そのままやっていけば何とかなるだろうとか、公害に配慮しながら気をつけて埋め立てるとか、そんなことは気をつけるに決まっているわけですよ。しかし気をつけたってだめだからこういう調査をしておられるわけなんですよね。海洋の汚染及び建設に伴うところの公害は絶対に出してはいけない。そうでなければ大阪湾内がそれこそ〇・八ノットで汚濁が始まれば恐らく一晩で全部どろで埋まる可能性だってないとは言えない。冒されてしまう。  時間がないから、最後に一問だけ質問させてもらいます。  潮流の変化を調査するために、潮流によどみが出るのではないかという心配があった。そのために水理模型実験の結果が私どもは知りたい。私どもは大きなよどみが出たと聞いているのです。その模型は現在あるのですか。あれば水理模型実験をして私どもに見せていただきたい。いかがでしょうか。
  68. 松本操

    ○松本(操)政府委員 水理模型実験、潮流よどみの前にちょっとお許しを得て、ヘドロの数字だけを先ほど忘れましたので訂正さしていただきたいと思うのですが、千七百万立米とおっしゃいましたのは砂ぐいの量でございまして盛り上がるヘドロの量は三百四十万というふうに私どもは想定しておりますのでその点は訂正をさしていただきたいと思います。  それから潮流のよどみの点につきましては、水理模型実験とそれからシミュレーションと両方でいろいろと検討いたしました。大体毎分十数センチのスピードに対して二ないし四センチの増減が起こってくるわけでございます。ふえるところもあれば減るところもある。よどみというものが起こったというふうには私どもは見ていないというのが現状でございますが、しかしこれは先ほど申し上げましたように、あとちょっとしばらく時間をいただけますと全体的な調査の結果をきちっとまとめた形でごらんに供することができるようになりますので、正確にはそのときにお答え申し上げるべきかと存じます。  なお、この水理模型そのものは久里浜の港湾技術研究所にまだ存置されておりますし、従来相当数の方がごらんになってもおるわけでございまして、特に関西空港周辺の方もお越しになってごらんになったようでございますが、五十五年度におきましても追加的な実験ということは私ども構想の中にはあるわけでございますので、そういう機会を得まして興味をお持ちの方にこらんいただくということはできるのではないか、このように考えております。
  69. 青山丘

    ○青山委員 質問を終わりますが、最後に一言。  三百四十万立米でいいとおっしゃると、そうすると引き算しますと千三百六十万立米が埋まっていくということなんですよね。飛行場をつくったってそのままずぶずぶっと埋まっていくことだってまた考えられますね。非常に危険が伴っていて同時に海洋の汚染が心配される。十分調査をしていただかないと、この工法を進めていただくのは大変疑問がある。しかしそれに比べて浮体については非常に建設に伴う公害もないということもまたつけ加えて発言をさせていただいて、質問を終わります。
  70. 古屋亨

  71. 田畑政一郎

    ○田畑委員 先般来新聞紙上をにぎわしております徳山丸事件でございます。  私、率直に申し上げまして、この徳山丸事件というのはいろいろな情報から検討いたしまして氷山の一角ではないか、こういう印象を持つんですね。それはなぜそういうふうに考えるかといいますと、この徳山丸に乗り組みました加藤邦彦というルポライターがおられる。これも新聞によって明らかでございますが、このルポライターが海上保安庁の第六管区の保安部に出頭しておる。そしてこの内容を言っておるわけでございますが、そのときにまさかそんなことはないだろうということを係官は言っておるわけです。それからまたこれは私の聞いた話であります。それは加藤さんからじかに聞いたのでありますが、船の上の問題というのはなかなかむずかしいので、証拠隠滅といいましょうか、後に証拠が残らないということからしまして、これはなかなか摘発しにくいんだ、こういうことを言っておるわけですね。本人は実は相当なしっかりした人でありまして、ルポライターであります。しかも実際に船に乗って、それを見たり作業をしてきたということが明らかになるに従って、いわゆる調書といいますかそういう書類の作成に入っておるわけでございます。またこれも聞いた話でございますが、この加藤さんが新聞社に対して、こういうことがあるということを言われたそうでございますが、これはある新聞では初めは取り上げられなかった。それで、この種の問題というのは、これは確かに海の上のことでございますから、口だけではなかなか、はっきり証拠が残っておりませんので取り上げられない可能性があるわけでございます。そういう点から考えまして、この徳山丸というのは実際にはもっとほかにたくさん例があるんじゃないかということをうかがわしめる点があるわけでございまして、こういう点につきまして、これは海上保安庁でございますか、一体いままでどういうふうにやってきたかということをちょっとお伺いしたいと思います。
  72. 真島健

    真島政府委員 確かに先生指摘のとおり、海上の事件、特に船内でひそかに行われるというような犯罪につきましては摘発が非常にむずかしい点があるわけでございます。今回の徳山丸事件、この種の海洋汚染防止法違反と申しますか、そういう事例で私ども過去に、数は少のうございますが、たとえば四十八年に高尾山丸、これは四万五千総トン、これもスラッジを投棄した件でございます。五十一年にはスロップ油を投棄いたしましたタンカー隆洋丸、五十三年には、外国船でございますが、リベリア船籍のタンカー、マイティ・トレーダー、これもスラッジを投棄したわけでございます。こういう事例を、これもなかなか端緒はつかみにくいことでございましたけれども、検挙をいたしておりまして、決してこれで絶無ではないということは考えながら、海上のむずかしさから考えまして、一体どういうふうにしたら私ども取り締まりの実が上がるだろうか、大分長い間研究は続けております。     〔委員長退席佐藤(守)委員長代理着席〕 しかしながら、確かになかなかむずかしい問題でございまして、こういう事犯がある程度の率で起こっておるのではないか、このような感じで今後の対策を、今回の事件をも契機といたしまして、さらに強めていきたい、このように考えておるところでございます。
  73. 田畑政一郎

    ○田畑委員 いまほど、さらにこういった問題についても考えていきたいと言われておるのでありますが、私率直に言いまして、この事件を見まして、これはかなり共犯関係といいますか、そういう犯罪を行うに当たって、元請会社、下請会社、また孫請会社というものの関係というのはかなり精密に組まれているんじゃないかという感じを受けるわけでございます。  御案内のように船会社は出光タンカーの船でございますが、それを山水商事というのが請け負いまして、その山水商事から、いま取り調べを受けている内外産業というのが受けまして、そしてそれがまたいわゆる人夫を大阪あるいは神戸において求めまして、その人夫が二十三人乗り込んでこれを目撃したりあるいは作業に従事したわけでございますが、いわゆる出光タンカーの直接の請負会社でありますところの山水商事、この山水商事は山下新日本汽船の系列になるところの会社でございまして、ここの会社の専務取締役の田中克佳という方は、その下請である内外産業の会社の社長をしておる。そうでしょう。それからまたこの元請の山水商事のいわゆる株主の一人であり社長であるところの川辺という人は、今度は下請の内外産業の同じく取締役をしている。全くそこはきちんとしているわけですね。そうしてこういう不正事件が行われている。出光は知らないかどうか、これは私は知らないと逃げるわけにはいかないのじゃないかと思うのです。この点について、こうした縦で上から下まできちっと組まれた今日の海運業界といいますか、そういったものについて一体運輸省はどういうふうに監督しているのか、これをお伺いしたいと思うのです。
  74. 永井浩

    永井(浩)政府委員 いわゆるタンククリーニング業という業種につきましては、港内で行う作業、これは港湾運送事業法に基づきまして港湾関連事業ということで、その中の一つの船倉の清掃業という形で監督いたしておりますが、外洋等で行うタンククリーニング業そのものについては法規制はございません。
  75. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これは運輸大臣いかがですか。こういうものは法規制がないから投げてもいいのですか。
  76. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 海は国民のものであり、人類のものでございます。どうしても海の汚染防止は人類挙げて取り組んでいかなければならないものでございますから、法規制があろうとなかろうと、海の汚染は絶対避けていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
  77. 田畑政一郎

    ○田畑委員 私は、ただいま提出されておるこの法案について一番疑問に思うことは、これは三百トンから百トンまでの船に対してビルジの規制を強化するということがこの法律の一つの内容になっているのです。そんな小さい船を規制しておいて、大きな船については法規制がないからいいんだというようなことでは、これは審議できませんですよ。はっきりしてください、その点。
  78. 永井浩

    永井(浩)政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、いわゆる事業として事業監督法規がないという意味でございまして、この海洋汚染防止法規定は何人にも適用があるわけでございますから、法律に違反する行為があれば当然これによって取り締まりあるいは処罰の対象になるわけでございます。
  79. 田畑政一郎

    ○田畑委員 一体こうした、今回起きましたような事件、こういうスラッジの作業というのは船においてはどの程度なされるものでございますかが一つ。それからもう一つは、たとえば一万トン以上の船といたしましょう。その一万トン以上の船というのは一体わが国にはどれくらいあるのか。これはわが国の船についてで結構でございます。
  80. 真島健

    真島政府委員 ただいま私どもとりあえず持っております資料、四万総トン以上の日本船舶でございますが、大型タンカーでございますが、これが、日本船舶が百四十九隻、これは五十四年七月一日現在の数字でございます。
  81. 永井浩

    永井(浩)政府委員 タンククリーニングの回数でございますが、通常タンカーがドック入りする際にタンククリーニングを行っている、こういうことでございます。
  82. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そのドック入りするときのタンククリーニングというのは大体どれくらいやるのか、こういうことです。
  83. 真島健

    真島政府委員 通常一年に一回やると思われます。
  84. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そうすると、いま海上保安庁の御答弁によると、四万総トン以上のタンカーはわが国の国籍のものは百四十九隻です。しかもこれは一年に一回やる。これは一日に一隻ずつ入っても百四十九日だ。こういうもののいわゆるクリーニングに対して海上保安庁は一体どういう形で見回っているのかということですね。数にしてみればこれはわずかなものです。しかしその及ぼす被害は大きいわけです。だから、この点については、今回出てきたから言うわけではありませんけれども、元請から下請、孫請、そして最後には日雇い労働者によって行われておる。こういう状況に対して一体どういうふうにこれは規制しているのか。これくらいのことはきちんと規制できないのかということについて私は疑問に思うわけでございます。どうでしょう、大臣、この百四十九隻にいわゆるそれを監視するところの保安庁の職員を乗せてもやっていけないことは私はないと思うのです。そうすればこういう事故はなくなるわけです。いかがですか。
  85. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 海上保安庁長官から答弁をさせます。
  86. 真島健

    真島政府委員 確かに四万総トン以上百四十九隻でございます。そのほかに私ども対象にしなければならないと思っておりますのは外国用船でございます。これも大体四万総トン以上を拾ってみますと、先ほどの日本船舶とほとんど同じ数、全体で三百隻足らずでございます。しかしながら、これらが一年に一回入港し、たまたまドックする、その際にそのすべての船舶海上保安官を乗せたらどうかという御指摘かと思います。そういうことにすれば、確かに海上保安官が乗船しております限り、こういうスラッジ投棄その他の海洋汚染防止法に違反するような行為は行われないということが確かに言えると思います。ただ、私ども、やはり全体の三百隻程度の船に常に少なくとも一人を乗せる、一人ではどうかということになれば二人くらい乗せなければいかぬというようなことを考えますと、いま直ちに海上保安官を必ず乗船させて取り締まるというところまでお約束がしかねるわけでございますけれども、少なくとも今後、私ども多少手薄であったと思いますのは、タンククリーニングをやる、その後に必ず出たスラッジ等、これは陸上の処理業者に渡って処理をされます。そうしますと、私ども、もう少し情報収集あるいは個別のタンカーについての知識を精細にいたしまして、この程度のタンカーであれば、たとえば当該何々丸についてはスラッジはどのくらい出るのが普通ではないか、それと処理業者のところに上がってまいります処理量、こういうものの追跡調査を今後さらに精細に行うというようなことによりまして、この種の事犯をできるだけ根絶をする。そのほかに、もちろん、せっかくヘリコプター搭載型巡視船等も出てまいりましたので、タンククリーニングが非常に行われます四国沖等におきまして、できるだけ監視体制を強めながら、この種事犯に対処してまいりたいと思っております。     〔佐藤(守)委員長代理退席、関谷委員長代理着席
  87. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これは読売新聞の報道によりますと、この徳山丸には油の記録簿がなかったのですね。十分なかった。そうでしょう。
  88. 真島健

    真島政府委員 油記録簿はございましたけれども、当該の事項について記載がございませんでした。
  89. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それから、乗船員の、これは作業員と言うのか私は正式には知りませんが、乗って作業した人々の記載してあるところの名簿はなかったですね。
  90. 真島健

    真島政府委員 名簿そのものはございますが、実はその名簿と実際に乗った方の同一性というのが、確認が非常にむずかしいようでございます。
  91. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それは記載簿それ自身はあっても内容は記載してない、油の記録簿もない、乗った人の名前も書いてない、これはなめられっ放しですよ。こういう状況にあるのが、たまたまある一人のルポライターが乗ったからわかった。ところが私は率直に言うて、これほど海上保安庁が、この問題について、もちろん海上保安庁が熱心にやっておられぬというわけではありませんよ、しかし少なくともこの問題について、こういうような船自体がそういうやり方をやっていたということは、これはそれだけやはりこの種のものについては、検査というか取り締まりというか、そういったものが非常に緩慢であるという証拠じゃないか。  そうして、これは大臣にやはりやっていただかなければならぬことは、これは小さい船も結構ですが、しかしいわゆる一流の船会社が操っておるところのこういう大きい船については、やはりこの際不退転の決意をもって、少なくともこういう態度が直るまではやっていくというような表明がなかったらだめだと思うのです。特に海に囲まれているわが国、しかも大型タンカーを大量に出入りさせているわが国におきましては、その点を明確にしなければ、これは国民の信頼にこたえることはできないというふうに私は思うわけでございます。いかがでしょうか、大臣。
  92. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 いま海上保安庁長官から取り締まりのことにつきましてはいろいろ御説明を申し上げたわけでございますが、いささか野方図に海洋投棄が行われているような感じがするわけでございます。海洋環境の悪化を防ぎ、海をきれいにするということは、運輸省としては重要な課題でございます。今般の徳山丸の事件を契機にして、さらに決意を新たにして監視、取り締まりの強化、海事関係者に対する指導の強化、海洋汚染防止につきさらに一層努力してまいりたいと存じます。  なお、船主あるいは船員関係等に次官通達を出しまして、十分に注意を喚起することにいたしました。
  93. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それでは、きょうは実は労働省の方からお見えになっておるわけですね。作業状況でございますが、この乗り組みましたクリーニングをするための作業員の作業状況について、労働基準局は調査を開始するというような新聞記事を読みましたが、どの点について調査を開始しておるのですか、お伺いしたい。
  94. 岡部晃三

    ○岡部説明員 徳山丸の問題につきましていろいろな労働条件にかかわる事項が問題とされておりまして、現在兵庫労働基準局及び所轄の労働基準監督署におきまして調査を実施しているところでございます。  どういう点の問題があるかということになるわけでございますが、まず労働時間の問題があろうかと存じます。非常に長時間労働であるというような報告が寄せられておりまして、そうなりますとまず労働基準法三十六条の三六協定があるかどうか。それからまた所定の休憩時間が与えられているかどうか、それからまた賃金の問題でございますが、適正に支払われているかどうかというところがございます。そのほかにこの作業内容でございますが、まず不活性ガスを船倉内に充満させましてこれをファンで排出する、それからスプリンクラーによる洗浄を六、七十度の温水をもって行う、その後入るわけでございますが、そういう作業の過程におきましてたとえば酸素欠乏の問題はないかどうか、あるいはまた危険物にかかわるいろいろな問題はないかどうか等々の観点から、安全衛生の面の問題を調べているところでございます。それからいま一つ、休養施設が果たしで十分であったかどうかというふうな観点を加えましてただいま調査中でございます。
  95. 田畑政一郎

    ○田畑委員 労働省にお伺いしたいと思うのですが、陸上においてそういうガスが出てまいるような仕事、この場合にはしばらくは中へ入れぬわけでございますが、そういう仕事に入ります場合には、大体労働者というのはどういう防護措置と申しますか、そういったものが必要なんですか。ちょっと具体的にお答えいただきたい。
  96. 岡部晃三

    ○岡部説明員 たとえばそういうガスを含めまして、まず酸素の濃度の測定をいたさなければならないわけでございます。酸素濃度が一八%以上になるまで換気をいたさなければならないということになるわけでございます。それができない場合には呼吸保護具の使用が定められているわけでございます。それからまた、作業中に監視人を配置しなければならない、あるいは命綱の着用あるいはまたひっくるめまして特別教育の実施、このようなことが義務づけられております。
  97. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そういったいま労働省から答弁のあったようなことは、労務者にとって陸上であるならば必要なわけですね。この場合は海上でありますが、いわゆる陸上の状況で、船員でないということによって労働省は調査しているわけなんですね。それなら船員は一体どうなっているのか、船員には一体こういうものがあるのかどうか、こういうことも私の方としては疑問に思うのです。一体なぜこういう危険な業務に携わらされるときに、一定の保護基準というか、あるいは保護装置、器具を含めましてそういったものを持っていないのかということが私は大きな問題じゃないか。大企業の船会社はなぜこんなものを用意しておかないか。タンククリーニングは当然あるんでしょう。それにもかかわらずない。私の手元にある資料によりますと、これはずいぶん古い話でございますが、昭和四十五年の五月に四日市で、この原油ガスのたまったタンク内に入って、そして爆発事故を起こしておる。そして何人かの人が死んでおるのですね。こういうものに対して一体船の場合にはどうなるのか、この点をやはりわれわれはこれから明確にしていかなければならぬと思う。小さい船はいいですよ。大きいりっぱな船がこんなことをしていないんじゃ、これは海運国日本として恥ずかしい問題じゃないかと思うのですね。この辺、いかがでございますか。
  98. 永井浩

    永井(浩)政府委員 船員の労働の安全及び衛生につきましては、船員法の八十一条で、危険の防止その他の事項につきまして労働安全衛生規則を定める、こういうことになっております。
  99. 田畑政一郎

    ○田畑委員 その労働安全衛生規則を定めるというのは、この場合には具体的に一体どんなことをされるのですか。何をされるか。
  100. 永井浩

    永井(浩)政府委員 手元に法令を用意しておりませんので、後刻報告させていただきます。
  101. 田畑政一郎

    ○田畑委員 船には危険物取扱い免状といいますか、そういったものはあるんですか。
  102. 永井浩

    永井(浩)政府委員 船の運送に関しまして、危険物を運ぶあるいは積みつけるという場合には、船舶安全法の体系で危険物安全貯蔵の規則ができております。
  103. 田畑政一郎

    ○田畑委員 船の場合には危険物の取り扱いに対して非常に態度が緩慢なといいますか、十分でないと私は思っております。しかしこれにつきましては、何か本会議が始まるらしいので、どうもいいところで終わりでございますが、また午後の部にやらしていただきたいと思います。
  104. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時五十三分開議
  105. 古屋亨

    古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田畑政一郎君。
  106. 田畑政一郎

    ○田畑委員 休憩前にも御質問いたしたわけでございますが、海上におきまして船舶に乗り込んでおりまして、その場合の危険物の取り扱いについて十分な手当てがなされておらないのじゃないかという点、これについて局長お見えになりましたのでお伺いしたいと思います。
  107. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 お答えをいたします。  海洋航行中の船舶に搭載されております危険物の取り扱い等につきまして、私どもとしては、基本的には、船舶安全法の二十八条に「航行上の危険防止に関する事項」という条項がありまして、これを受けまして、昭和三十二年に危険物船舶運送及び貯蔵規則というものを決めております。これは、基本的には船舶に積み込みます危険物、私どもは、火薬類、高圧ガス等を含めまして、御指摘の引火性液体類等九種類に分けて整理をしております。これに関しまして、品目ごとに、包装とかラベルとか積みつけの方法とかいうものを決めまして、安全確保を図っておるわけでございます。  何分、化学薬品等を含めまして、かなり時代の進展により製品の種類等がふえてまいっております。国際的には、技術的にこれをどう取り扱っているかと申しますと、政府間海事協議機関、IMCOと称する国際機関におきまして技術的な小委員会をかなり頻繁に持っております。これによりまして、一番新しいのを申しますと、一九六五年に個品輸送のコードをつくり上げております。これは約千五百種類くらいの危険物についての規定でございます。それから、タンカーのような危険物をタンクにばら積みする船につきましては、特に危険物ばら積み船のコードを七一年につくっております。さらに、最近LPG、LNG等ガス輸送船が出てきておりますので、これについて、七五年に技術的な内容を詰めまして勧告をしておるわけでございます。  私どもとしましては、先ほどの危険物船舶輸送及び貯蔵規則の個々の技術的基準につきましては、これらの勧告を十分盛り込んでその都度その都度手当てをしてまいっております。  特に、先生指摘の引火性液体類または爆発性の蒸気を発する物質というものを積んで動きます場合に、通常ですと工事その他をやりませんが、たとえば造船所に入りましたとき、あるいは先生指摘の航行途中におきます清掃を行う場合等がございます。この場合におきましては、工事その他の作業施行者があらかじめガスの検定を行い、爆発または火災のおそれがないことについて船舶の所有者または船長確認を受けなければならない、こういう規定を設けておりまして、実際にはこれらの技術的な基準なり内容につきまして細かく決めました危険物取扱規程をその船ごとに決めまして、船長に供与をして万全を期しているというのが実態でございます。     〔委員長退席佐藤(守)委員長代理着席
  108. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それでは、徳山丸にはガス検知器はついておりましたか。
  109. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 船にはガス検知器を持っていなければならないことになっております。
  110. 田畑政一郎

    ○田畑委員 海上保安庁いかがですか、持っていたか持っていないかわからないのですか。
  111. 真島健

    真島政府委員 私どもで検証をした結果、所有しております。
  112. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これも先ほどの油の帳簿、それから乗った乗客、船員等の帳簿と同じように、備えつけてあったけれども機能していないということじゃないですか、保安庁どうですか。
  113. 真島健

    真島政府委員 今回の徳山丸の場合、これは事故ではございませんで、スラッジの不法投棄が行われたわけでございまして、その際に使われていたかどうか、これは私どももこれから捜査をいたしますが、今度の徳山丸の場合は、事故が起こったということではないわけでございます。
  114. 田畑政一郎

    ○田畑委員 私はその辺が、海上保安庁も大変御努力はなさっていらっしゃるのだろうと思うが、危険物の問題について、やはり海上では非常に関心が薄いといいますか、非常に軽く扱われていると思うのですね。たとえば陸上でございますと、ガソリンスタンドの職員とかタンクローリーの運転手でさえも、危険物取り扱いの免状を持っている。そのことについて一定の教習を受けているわけですね。ところが、海上でございますと、なるほどいま船舶局長がおっしゃったように、一応、船長あるいはそこで作業する作業隊の長に対しては一定の枠づけはしております。しかし、本当に今度あそこに入って作業いたしました人たちがそうした危険物に対する知識というものをどの程度持っていたかというと、私はわからないと思う。また船長自身も、あれほどの投棄が行われたにもかかわらず、私は知らなかった、こう言っているわけですからね。しかも、加藤さんというルポライターの手記によりますと、相当なにおいが立ち込めて最初は立ち入りができなかった、相当ガスを発散させてから初めて立ち入りをした、こういう手記になっているわけです。そういうことを考えますと、私はそういう危険物、爆発物がだんだんふえていくのに対して、海上の場合にはそれに対する手当てというのはきわめて薄いんじゃないか。御案内のとおり、そうした化学薬品物を積んでおるところのケミカルタンカーなどが非常に最近はふえているわけですね。そういうことを考えますと、これは釈迦に説法のようでございますが、盲点と申しましょうか、そういうものに対する毅然たるある種の方向といいますか、行政措置を、あるいは法律上の措置を講じなければならない段階に来ておるのではないかというふうに思うわけでございます。この点についてやはり危険物取扱者としての責任ある地位をある程度作業者の長であるとか、あるいは船長であるとか、一等航海士であるとかいう者に持たしめて、そしてそれに対して講習をするというようなことが必要になっておる段階ではないかというふうに思うわけでございます。これは私の意見でございますが、どうお考えになるか、ひとつ所見をお聞かせいただきたいと存じます。
  115. 山元伊佐久

    ○山元政府委員 お答え申し上げます。  船員につきましては、労働安全関係につきまして船員法、あるいはこれに基づきます船員労働安全衛生規則等によりましていろいろ細かい規制が加えられておりまして、特に危険物の取り扱いに関しましては、その取り扱いの基準だとか、あるいは危険を防止するための命綱とか安全ベルトなどの保護具だとか、検知器具とか、落下防止設備等、いろいろな面にわたりまして非常にきめの細かい措置を講じております。また毎年度船員災害防止計画を策定いたしまして、それの確実な励行ということを促進しているところでございます。  しかしながら、先生がただいま御指摘になりました徳山丸事件のように、スラッジの清掃作業を行う者が船員でなくて陸上の労働者であるという場合につきましては、船員法の適用はなくて、陸上の労働安全衛生法が適用になっておりますし、またその法律に基づきましてかなりきめ細かく規制が行われてはいるというように聞いております。しかし、現実に停泊中あるいは航行中船内で陸上の労働者の方々作業をする場合には必ずしも行き届かないという点もあろうかと思いますので、労働省の方においてさらにきめの細かい規制措置が加えられるべきだと思いますが、労働省から運輸省に対して協力方要請がありましたら、船員局といたしましても、関係船長あるいは船員に対して十分に陸上の労働者の責任者と事前に打ち合わせをやるとか、あるいは作業手順について万全を期するよう協力をいたしてまいりたいと考えております。
  116. 田畑政一郎

    ○田畑委員 御答弁ではございますが、私はやはりちょっと納得できないところがあるのですね。たとえばこういうことを言っておる人があるのです。陸上におきましては消防法という法律があるのですね。この消防法に基づいて危険物取り扱いの免許というのが出されておる。そして、その責任者が明確になっているわけです。ところが、海上消防法というのはないということ自体が、これほど大きな災害を生むものをどんどん輸送しているのに、しかも危険物を担当しておるのにおかしいじゃないか。海上消防法というものを制定すべきである。そしてその海上消防法というのは範囲が広うございますが、その中において危険物取扱者というものについて明確な位置づけを行うべきではないか、こういうことを言っている人があるのです。  ところがいま船員局長お話によると、これはおかから来た方やから労働基準局の方であって、船員の方とは関係ないのだ、もう少し労働の方でやってもらったらどうだろうかというような御意見でございますけれども、しかし問題は、災害が起こったらどこで起こるのですか。おかの方で起こるのじゃないですね。災害が起これば、海上において災害が起こるのでありますし、被害を受けるのは船舶であり、船舶に乗り組んでいる人が全部被害を受けるのですよ。そうすると、おかの人を雇ったんだからこれは海上の方は関係がない、あるいは関係があっても第二義的なものだということで話は済まされるものではないと思うのです。  私はその点、今日運輸省の持っておられる姿勢というのは、やはりこういう危険物を取り扱っているということに対する姿勢が非常に消極的なんじゃないかというふうに考えざるを得ないわけです。したがってこの問題につきましては、それはいろいろ理屈はあるでありましょう。今日徳山丸が出てきたものですから、いろいろと理屈はあるでありましょうが、少なくとも海の問題についてはやはり海の方で責任を持っていくのだという体制をつくっていただくということを努力していただきたいと思います。これは要望しておきますが、できましたならば大臣から一言そういう点についての御感想をいただきたいと思います。
  117. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 御発言の御趣旨に沿うように努力をしたいと思います。
  118. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それからもう一つ同じように申し上げておきたいと思います。  先ほど御答弁ございましたように、この船に乗り込んでいわゆるスラッジの投棄を行いました内外産業というのは、これは清掃法の適用を受けて設置された業者ではない。それからまた海洋汚染防止法によるところの規定によって設置された業者でもない。いうならば谷間の中にできているところの業者である。結局、谷間の中にできている業者が、先ほどお話がございましたように一年間に三百隻の大型タンカーについて全部クリーニングをやるわけなんです。そうすると、そのクリーニングをやるものは両方とも法律適用を受けて、いわゆるきちんとした条件でつくられている会社でないとすれば、これは私は大きな問題だと思うのです。だから、その辺のところも運輸省としては、そういうクリーニングを行う会社についてはきちんとした登録をするとかあるいは点検をするとかというような規定を定めなければならぬというときに来ているのじゃないか。いわゆる百トンとか三百トンとかというようなものについてまでこういう規定を設けられる以上、この大型タンカーの清掃というかそういう業者に対しては一つの定めを設けて、そしてきちんと責任を持たせるべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点いかがでございましょう。
  119. 永井浩

    永井(浩)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、行為者としてのこういう請負業者あるいは作業員につきましては、海洋汚染防止法で十分いろいろな規定を義務づけられておるわけでございます。お説のようにこの事業を事業法的なとらえ方でやるべきではないかという問題につきましては、事業法それぞれの目的によって設けられておりますが、なお勉強いたしましてその辺の是非を検討してみたい、このように考えております。
  120. 田畑政一郎

    ○田畑委員 ただいま勉強してやるというお話でございますからそれ以上は申し上げませんが、この内外産業というのは、私は手元に資料を持っておりますが、決して出光タンカーだけを請け負っているのではないのです。たくさんの大手の船会社を引き受けておるわけですね。だからここ一件だけ起こったとはどうも考えられないのです。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことを考えますと、徳山丸だけで百五十トンとかなんとかというスラッジの量が出たとか出ぬとかと言われているわけですが、それをそのほかのいわゆる船会社に全部適用してみますと、これは莫大な量に上るのではないか。それほどの業者に対してなおかつ法律上その設置の内容について規制がないということは海洋日本としては時代おくれだと私は思うのですね。だから、その点は私はこの際皆様方に強く要望を申し上げておきたいと思います。  それから本題の話も一つありますので、これもやらせていただきたいと思うのでありますが、今回の法律改正によりまして、海上保安庁確認を行って確認の証明書を発行するということに相なっておるわけでございます。この点につきまして排出処理業者でございますか、実は私はこれのいろいろの意見を徴したわけでございますが、産業廃棄物の取り扱いについては手続が大変厳しいわけでございます。特にこれは厚生省関係、自治体関係に相なっておりまして、各自治体が排出企業に対しては産業廃棄物の試験成績書、処分方法、数量、発生工程、それから処理者との間におけるところの契約書並びにサンプル等を求めることになっておるわけでございます。これが一つ。  それからまた、収集運搬業者船舶の所有者に対しましてはさらに、これは一々申しませんが、事業計画書とか取り扱う産業廃棄物の一覧表等、十数項目にわたるところのいわゆる書類を求めることになっております。私のところに書類がございますが、これだけの書類を提出をすることになっておるわけでございます。業者としましてはそんなに大きい業者はないと私は思うのです。もちろん海上保安庁に対しても一定の書類はいままで出しておるわけでございます。そこで、今回海上保安庁はさらにそれを確認をされるという手続を踏まれることに相なっておるわけでございますが、一体どういうふうな——書類ばかりよけい出して、そしてやる、そうすれば、当然でございますが、たとえばこれだけほどの小さい産業廃棄物でも一たん試験をいたしますと、これは十万、二十万あるいは三十万とかかるわけでございます。何遍も何遍も繰り返して手続をしなければならぬということになると、これは産業廃棄物を投棄するのに莫大な金がかかる。莫大な金がかかるとどういうことになるか。結局マンホールに下水と一緒に流す。これは現在でも下水で流しているものがあるのです。そういうことになれば、せっかくこれは法律改正して厳格にやろうとしたものがマイナスになってしまう。だから、この確認事項というのはどういう程度のことをおやりになられるのかということをここで聞きたいと私は思うのであります。
  121. 真島健

    真島政府委員 お答えいたします。  私ども確認行為を行う場合、個々の確認行為の目的は、政令で定められております危険なものを含んだものであるかどうか、基準に適合しているかどうか、そういうような観点から省令その他で決めてまいりたいと思っておりますけれども、いま御指摘のように、地方公共団体に対しましてすでに同じようなことが同じような状況で出ておるということがはっきりいたしますれば、私どもこれから細かく決めていく段階におきまして、すでに地方公共団体その他で求められて提出をされておる資料、これは地方公共団体等と連絡をとりながら重複をしないように、実際に確認を申請される方々に過剰な負担をかけないという方針で処理をしてまいりたいと思っております。
  122. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これは海上保安庁あるいは環境庁でも結構ですが、御存じですか。たとえば海洋投棄につきましては、東京、神奈川県においてはこれを許しておりますけれども、千葉県、茨城県、静岡県等においては一切許しておらない。各県の自治体の考え方によって海洋投棄においては差別があるということを御存じでございますか。
  123. 真島健

    真島政府委員 私、具体的な県名その他はそれぞれ詳しくは存じませんけれども、県によって取り扱いが違っておるということは聞いております。
  124. 田畑政一郎

    ○田畑委員 大臣、これは県によって取り扱いが違うのです。それからまた、政令都市等においても取り扱いが違うのです。だから簡単に言いますと、一つ一つの都市によって取り扱い方法が違うのです。その点について産業廃棄物の収集業者は非常に困っておる。しかもまた船舶でございますが、排出物の船舶につきましても、たとえば神奈川県にあるところの船舶は東京都にはできるだけ回さない、そういうようなことになっておりまして、言うならば自治体のなわ張りというのはここに鋭く出ておるわけでございます。だから産業廃棄物の海洋投棄を行う業者はどう言っておるかというと、海上保安庁がやってくれるなら海上保安庁全国統一的にやってもらいたい、ばらばらじゃ困る、そのばらばらで困るところへもってきてダブルチェックされてはどうにもならない、こういう苦情が上がっておるのです。だから、この点大臣もよく聞いておいてもらいたいと思うが、こういう複雑の上に複雑の様相では困る。きょうは厚生省は呼んでありませんけれども、この厚生省の取り扱いについては自治体がばらばらに取り扱っておるのですね。だからその辺のところは運輸省としてはしかと考えて運用してもらわないと、これは大変複雑で困ったことになるわけでございますが、そういう点について何か所見があったらお伺いしたいと思います。
  125. 真島健

    真島政府委員 先生の御指摘、まことに私もそのとおりだと思います。私どもが今度の確認行為をやります場合の事務手続、これは当然私どもでやりますので、全国統一的なものをつくってそこでやっていきたいと思いますけれども、片方、地方公共団体、厚生省関係の方の問題は、これは私どもが何とも申し上げられるものではございませんけれども、やはり御協力を求めながら全体ができるだけ早い機会に、少なくとも基本的な部分において全国統一的になされるような努力をしてまいりたいと思います。
  126. 田畑政一郎

    ○田畑委員 大臣、これは困るのですよ。海上保安庁全国統一でやる、こうおっしゃる。自治体はばらばらだ。そうすると業者はどうなりますか。結局、全国統一でやる海上保安庁に対しては全国統一のやり方をしなければならぬ、自治体にはそれぞれの自治体に応じたまた別の内容のものを取りそろえなければならない。そうなりますと、業界としましては検査が厳重なことをいやがるわけじゃないのです。やり方の違う幾つかの段階を経なければならぬということが問題なんですね。したがいまして、これをつくられる以上、運輸大臣は、そういった問題について厚生大臣あるいは厚生省との間に十分理解を得て、業者が繁雑になるようないわゆる手続はやめていただいて、海上保安庁と自治体とができるだけ足並みをそろえられるようなやり方をつくってもらうように努力していただきたいと私は思うのです。いかがでございましょう。
  127. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 御指摘の点について厚生省とよく相談をしてまいりたいと思います。
  128. 田畑政一郎

    ○田畑委員 以上をもって終わります。
  129. 古屋亨

    古屋委員長 薮仲義彦君。
  130. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、さきの委員会で積み残した問題、またそのとき御答弁いただけなかった問題、資料等を後でいただきましたので、その辺を含みながら、重ねて、この法案がここで審議をされ、改正されることによって日本の海がきれいになる、この改正案さえ通れば海洋は少なくともよりよい海洋になるということを期待しながら、何点か御質問したいと思うのでございます。  まず、海上保安庁にお願いしました資料をいただきました。ところが、余り違反件数が多く、これを全部とても集計は不可能であるというお話でございますので、それは了といたしまして、何点か大変に悪質な問題を挙げてもらいました。その問題をざっと目を通しただけでも、五十一年——五十三年、近年でもこの不法な行為は減っていない。しかも、前回に指摘しましたように、八年前に本法が成立してからも違反件数は変わらない。では一体なぜこのような事犯が後を絶たないのか。海上保安庁は、精いっぱいやっております、しかも監視の能力は年々増強されております、そのような話です。それでこのように減らないのだったら、では一体どうすれば減るのか。これをきょう、私、一つ一つ確認をしてまいりたい。  きょうは港湾局長お見えだと思いますが、まず港湾局長確認したいのは、海上で発生する、いわゆる汚染原因であるビルジあるいはバラスト水のうち、陸上で処理しなければならない部分等々、いわゆる海洋を汚染する原因物質は、現在陸上に設置された処理施設能力で十分処理できるのかどうか、その辺からいかがでございましょう。
  131. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答え申し上げます。  私ども廃油処理施設のためにいろいろ施策をしている立場でございますけれども、大量に廃油が発生する港につきましては四十七年ぐらいまでにほぼ整備が終わっておりまして、その後現在に至るまでは、今度は少量に発生する港についての設備の増設、新設、それから、さらに最近になりましては、今度はそういう施設のいろいろな、たとえば排水の基準が強化されたことに伴います改造、あるいはさらに計測の設備の改良というようなことを現在はやっている状況でございます。  ちょっと整備の状況を申し上げましたのは、全体といたしまして私どもに受け入れを要請される量に対しましては、私ども関係しております施設は、各港におきまして現在、相当十分にそろっているというふうに理解をしているというところでございます。
  132. 薮仲義彦

    薮仲委員 その処理施設にはいろいろあるわけですね。いわゆる港湾管理者が設置するもの、あるいは石油精製業者が設置するもの、あるいは民間の業者が設置するもの等、いろいろあろうかと思うのですが、そのうちの港湾管理者が設置する部分については、運輸省は補助金を出しておられる。補助金というのは国民の税金ですから、その税金の使われ方が適正でなければならないし、目的に合致しなければならない。  そうなってきますと、私がここでお伺いしたいのは、いまの局長の御答弁ですと、施設能力的には十分整っております、こういうお話でございます。施設能力は十分ですと言うからには、当然どの程度の排出量があって、この程度の処理能力ならいいな、こういう基本的な——いわゆる発生量と処理能力というのはバランスはとれていますか。
  133. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 簡単に申し上げますと、石油ショックの年と申しますか、昭和四十八年度に、こういう施設で受け入れました廃油の量が最大になっております。四十九年にちょっと下がりまして、五十年以降大体横ばい状態が現在続いているわけでございます。全国廃油処理施設で扱いました量が年間約千二百万トンというかっこうで横ばいになっております。それを、こういうような施設の年間の処理能力ということを一応計算してみましたものと比べますと、全体で一七%程度の稼動率になっているというのが実情でございます。
  134. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、海上保安庁にちょっと確認させていただきますけれども、私がこれから進めていきたいのは、バラスト水のいわゆる基準を上回った油分の濃い部分、あるいはビルジの油分の濃い部分、油水分離器で分離され、油分の濃い部分については陸上の処理施設で処理しなければならない、あるいは問題になっておりますスラッジ等も当然そこへ運ばれてくるものだと思うのでございますけれども、私はここでちょっと保安庁からいただいた資料を読み上げますので、間違いがなければ間違いがない、その辺の御返事だけいただければ結構です。  まず、内航タンカーのバラスト、これについては、いわゆる監督をする責任の立場から、現在内航タンカーはバラストをどのように処理しているか、監視の立場から聞いたお答えでございますけれども海上保安庁としては、内航タンカーの航海について次のように考えておる。  まず第一点は、内航タンカーは、そのほとんどがノンバラストで航海可能である。  二番目に、気象、海象条件の悪いときには、バラスト航海を実施することもある。  三番目に、内航タンカーの一般的な航路上では、通常バラストの排出はできない。  四番目に、搭載バラストは、廃油処理施設で処理されている。  こういう御答弁をいただいておりますが、これは間違いございませんか、長官。
  135. 真島健

    真島政府委員 私どもが見ておる限りでは、こういうことに考えております。
  136. 薮仲義彦

    薮仲委員 官房からいただいた資料をなぜいま確認したかと言いますと、これは船舶から発生する油性汚水の量、その第一点が内航バラスト水約一千万トン。いまの保安庁の御指摘のように、まずこの一千万トンは、いま海上保安庁が監視の立場から見ても、ほとんど陸上の処理施設で処理されておるという御答弁だと思うのでございます。  そこで第二点、これをお伺いしたいのでございますが、先般の徳山丸の事実関係、これも保安庁から資料をいただきました。  ここでちょっと、一つだけ保安庁に確認させていただきたいのは、スロップ、いわゆるタンククリーニングをした部分で、これは汚水でございますね。陸上の廃油処理施設で処理しなければならないスロップ、発生量が千五百十二トン、こうなっておりますが、間違いございませんか。
  137. 真島健

    真島政府委員 間違いございません。
  138. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは次に、船舶局長にちょっとお伺いしたいのでございますが、タンカーの船体検査でございます。通常は、定期検査は四年に一度と聞いております。中間に、二年に一度は定期検査を行う、ないしは一年に一度ずつは定期検査をやっている船がほとんどだ、このように聞いておりますけれども、その点、間違いございませんか。
  139. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 四年に一回の定期検査のほかに、中間検査等を行っております。
  140. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少し明確にお答えいただきたいのですが、二年に一度の中間検査、毎年一度は、タンカーは、やる船もあればやらない船もあるのですか、ほとんど大体一年に一度はドック入りをして検査をいたしますか、しませんか。二年に一度は中間検査でやるとは聞いておりますが、その点、いかがでしょうか。
  141. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 検査としましては、四年に一遍の定期検査と二年に一遍の中間検査でございますが、油水分離器その他につきましては、中間検査のときも検査を実施しているというふうに考えております。
  142. 薮仲義彦

    薮仲委員 いわゆる定期検査のとき、タンカーの場合は必ず、この間問題になりましたようなタンククリーニングを実施してドック入りするはずでございますけれども、その点、間違いございませんか。
  143. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 定期検査の場合には、当然、船体全部の検査をいたしますので、ドックに入る場合にはタンククリーニングをした上で、ガスがないことを確認して検査をしております。
  144. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはひとつ海運局長に聞いた方がいいのかもしれませんけれども、日本の国は資源がございませんので、石油のほとんどは輸入いたしております。年間の輸入量は相当な量でございますけれども、五十三年度の実績でいきますと、大体二億七千十二万キロリットル、これが日本の国にいわゆる外航タンカーによって運び込まれた原油の量でございますが、私がお伺いしたいのは、このタンカーがまた産油国へ荷を積みに行くとき、現在は海洋汚染の問題が非常に厳しい、そういうことから、先般の委員会でも指摘しましたけれども、分離バラストタンクを備えていない場合には、クリーンバラストタンクにして行かなければならない。タンカーの中の一つの船倉をきれいにして、そこへバラスト水を入れて、相手の国に行ったときに沿岸でそれを排出しても問題ないように、クリーンバラストにしております。このように伺っておりますが、この点、間違いございませんか。
  145. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 そのように聞いております。
  146. 薮仲義彦

    薮仲委員 では港湾局長にお伺いします。  このいわゆるクリーンバラストタンクにするために洗浄する。洗浄したときの汚水、これは、陸上の処理施設、油分の多い部分は当然陸上の処理施設で処理しなければならない汚水であること、それから先ほど船舶局長確認しました、ドック入りするとき、タンクをクリーニングしたとき、そのときには、やはり油分の多いクリーニングした汚水、これは陸上の処理施設でしか処理できない部分だと思いますが、いかがでしょうか。
  147. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  陸上で処分する以外に道がないかどうかということは、ちょっと私、専門外でございますけれども、このようなタンクの洗浄水の受け入れというのは、廃油処理施設といたしましても、バラストに次ぎまして相当量を占めているものでございます。
  148. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃこれはどなたが責任を持って御答弁いただけるのですか。官房ですか。審議官、どうぞ。
  149. 永井浩

    永井(浩)政府委員 タンクの洗浄水等につきましても、当然、一定の希釈度まで薄めた場合のほかは陸上の廃油施設で処理する、こういうことになります。
  150. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで問題なんですよ。これは官房の審議官からいただいたものですけれども、つじつま合わせみたいな資料で、私、これから具体的にちょっと言いますけれども、「船舶から発生する油性汚水の量(昭和五十四年につき推計)」内航バラスト水約一千万トン、外航バラスト水、これはまあいま言ったクリーンバラストでよその国へ行く分だ、こういう御説明でした。それは認めます。でも、いま申し上げたように、クリーンバラストにするとき、洗浄したときの汚水は当然陸上で処理しなければならない。これは私もいろいろな関係施設に聞いてみました。そのとおりです。クリーンバラストはちゃんとやっております、タンカーの会社に聞きました。発生しております、これは陸上の処理施設で処理しております、これは一つ聞きました。それからもう一つ、定期点検のためドック入りをするとき、完璧にタンカー内は洗浄いたします、本格的にやってきれいにいたしますということでした。いま日本のタンカーの保有隻数ですが、外航タンカーが二百二十隻、これは運輸省の数字ですから、間違いないです。内航船が二千二百五十五隻、隻数だけで言ってみましても、二千四百七十五隻のタンカーを現在保有しているわけです。これを粗っぽい計算をいたしますと、四年に一度の定期検査ですが、二年に一度はドック入りするということになっているのです。もちろん、実際は毎年ほとんどやっているのです。でも、船舶局長はその辺明確に御答弁にならない。百歩譲って二年に一度やったとして、この二千四百七十五隻の半分は一年間に一度はドック入りしているのです。千二百三十七隻はクリーニングを毎年やっているのです。これは粗っぽい計算ですよ。でも、明確な資料が出てこないから、こちらでこうやって推計するしかない。そうしますと、ここに出ておりますように、内航バラスト水約一千万トン、ビルジその他約二百万トンを処理いたしました、一千二百万トンの処理をいたしましたと、この官房の書類に載っているのです。なぜ私がこれを指摘したか、ここに問題があるんですよ。  これも港湾局からいただいた資料でございます。先ほどの御説明のとおりになっております。ところが、横ばいとおっしゃった、そのとおりです。そこに問題があるんですよ。「廃油処理実績の推移」これをいただいたのです。千二百万トンの処理しかやっておらぬのです。実際は、日本の国には処理能力は六千万トンございます。でも、その一八%の千二百万トンしか現在処理しておりません。いかがですか。私がちょっと指摘しましたけれども、ちょっとここで港湾局長にもう一度、補助金を使っているのですから、いいかげんなバックデータでこの処理施設に補助金を出されたのでは困りますから、ちょっと確認しておきますけれども、補助金を使っている以上、いま言われた処理の数字をつかまなくて処理施設をつくるというようないいかげんなことは許されないんですよ。いわゆるタンククリーニングにこれだけの汚水が出ます、クリーンバラストにするのにこれだけの汚水が出ます、それからビルジの発生量はこれです、と。先ほど海上保安庁確認したように、内航バラストは一千万トン、これは陸上の処理施設でやります、ほとんど陸上の処理施設でやらなければならない数量でございますが、いま私が申し上げた、タンククリーニングのときに発生するその汚水はどの程度に考えていらっしゃるのか。それから定期検査でドック入りするときに発生する汚水量はどのぐらいで考えていらっしゃるのか、この二つ御答弁ください。
  151. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 私が先ほど、油水分離器の試験を行いますということを申し上げましたが、現在の海洋汚染防止法におきましても、航行中に一定の希釈度以下に希釈した廃油につきましては、これは船の外に出すことが許されておるわけでございまして、たとえばタンカーが定期検査のために入ります前に、この基準をもって海洋に廃棄することもあると思います。
  152. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 私ども廃油理事業の許可をいたしますわけでございますけれども、その場合に大抵の場合港でございますけれども、それぞれの港におきましてこういう量の受け入れが要請されるだろうという見通しを立ててくるわけでございます。それに対しまして、設備が過剰にならないであろうかという観点から、これを許可していくわけでございます。したがいまして、必ずしも先生のおっしゃいますように、全国でどうであるというようなことで常にチェックをしているといいますか、実際問題としてそういうやり方をしていないということが一点でございます。  それから、特に先生おっしゃいました港湾管理者が設置する場合でございますけれども、これに対しまして二分の一の国の補助金を出しているわけでございます。この面につきましては、民間の事業者が手を挙げてみずから廃油理事業を行いたいというところはそれに任せていこうではないか。しかしながら、ある特定の港におきまして、それでは十分でない、しかし民間の者がこれを事業として実施するというような需要がないという場合に、当該の港をできるだけきれいにしたいという観点から、いわゆる需給のバランス、量的なバランスということではなくて設置をしているのが港湾管理者の場合に多いわけでございます。そういうものに対しては、私どもは直接二分の一の国庫補助をしているというのが実際のやり方でございます。
  153. 薮仲義彦

    薮仲委員 私が言っているのは、もう少し問題の本質を港湾局長はよくつかんでおいていただきたいのですが、私がここで言っておりますように、官房から出ておる資料、内航バラスト一千万トン、ビルジその他二百万トン、これだけで一千二百万トンなんです。これは陸上で処理しなければならない総量なんです。ところが、さっき私がわざと海上保安庁に事実確認の数字を聞いたのですが、この違反を行った一隻の船、この船だって、スロップ、いわゆるタンククリーニングしたときの汚水が千五百十二トン発生しているわけですね。たとえばこれを単純にタンカーに掛けますと、これだけでも百万トンを超す汚水が出ているのです。これは入港、ドック入りするとき、これはしないでそのまま行ってしまったのですが、定期検査や何かやる船は相当こういうものを出しているわけです。相当量のタンククリーニングの汚水が出ている。しかも、クリーンバラストにするために汚水が出ている。その汚水は一体どこで処理しているのか。何百万トンか何千万トンかしりませんけれども港湾局長処理施設があると言っているけれども処理能力でわずか一八%しかやってない。千二百万トンしかやってない。そうすると、足してみると合わないじゃないですか。だから、こういう海洋汚染がなくならないのですよ。一体何をやっているのか。私の所管じゃございません、わかりません。幾ら法案をつくったって、汚水はこれくらい出ますよ。一体だれがチェックをしているのですか。いま発生している内航バラスト水あるいはクリーンバラストにするための洗浄水、それからドック入りするときのタンククリーニングの汚水、その発生量をつかんできっちりと押さえていればこそ、陸上の処理施設にこれだけ入っているということがわかるのです。つかんでいなくてなぜわかるのですか。ほとんどの局長、官房が来ていらっしゃるのですから、つかんでいる局があったら御答弁ください。
  154. 永井浩

    永井(浩)政府委員 船内から発生いたします油性汚水の量を把握するのは非常に困難でございます。船の大きさあるいはエンジンの種類等によって非常に異なるわけでございますので、お手元にお届けしました資料も推計ということでございますが、これは船の種類、航路あるいはエンジンのタイプ等によってモデル、原単位をつかみまして推計したものでございます。そう大きな違いはないと思いますが、そういったことで、船ごとに一隻一隻の報告を求めて集計したものではございません。したがって、そういった意味での統計はございません。
  155. 薮仲義彦

    薮仲委員 まあその程度の御答弁しか返ってこないのは、もう先刻わかっておりました。  ではもっと具体的にやりましょう。なぜこれができないのか。保安庁から先般の徳山丸の事実関係を伺いました。この手元の資料にあるとおり間違いないのか、一応読み上げていただいた方がいいと思います。時間がございませんので簡単に、事実関係が私にいただいた資料でよければ、それをそのとおり読み上げてください。
  156. 真島健

    真島政府委員 陸揚げしましたスロップ量千五百十二トン、スラッジ二千二百六十袋、約九十トンでございます。
  157. 薮仲義彦

    薮仲委員 いや、船名から船主、ずっとその事実関係だけ言ってください。
  158. 真島健

    真島政府委員 船名徳山丸、総トン数十三万六千八十九トン。船主出光タンカー株式会社タンククリーニング実施事業者内外産業株式会社。発生廃油陸揚げ量及び引き取り業者等、処理事業者、名称神原タンククリーニング株式会社、陸揚げ量、スロップ千五百十二トン、回収船新水丸、船主オクゾノ海運。スラッジ二千二百六十袋、約九十トン、回収船第十一繁丸、船主砂田船舶株式会社
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま御報告いただいたのが今度の事実関係です。今度のこの法案改正で一番大事なのは、これから私が質問させていただく点でございますが、法案ができても一体これで取り締まれるかどうか、これがなくなるかどうかという意味で各局長にお伺いいたします。これは運輸省として、先般の委員会で大臣は、各局長と話し合ってこういう事犯をなくすように努力するとここで御答弁をなさった。私はその大臣の答弁をいただいた上でここで質問するわけでございます。  まずお伺いしたいのは船舶局長です。船舶局長はこの事案の中でどの部分にかかわり合って、船舶局としては今後どうすればこういう事犯がなくせるか、局長の権限内でできることがあったらおっしゃってください。
  160. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 私どもは二つあろうかと思います。一つは大型タンカーについて、最近の条約で決められました比較的油分を船外に出すことの少ない原油洗浄装置あるいは分離バラストタンク、これが条約によって決められますが、少なくとも条約以前……(薮仲委員「時間がないから、この中身について言ってください」と呼ぶ)一つは、そういうことで大型タンカーについてはだんだん少なくなっていくこと、もう一点は、先刻の海洋汚染防止法あるいは今後の改正によりまして、油水分離装置を含め、船外に排出する油分につきまして油水分離装置の検査を通じて少なくし得るように努力をしてまいるということでございます。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がございませんので、私が聞いている質問に明確に御答弁を、次の局長からお願いいたします。私は、いま保安庁長官の読み上げた事案の中で何ができるかと聞いているのでございますから、今後分離バラストタンクをつけますとか、油水分離器を設置させますとか、そんなことは聞いていないのです。この事案の中で船舶局長は何ができるか。いまのお話の中では、この事案についてはほとんどできない、かかわりがない、こういう結論と私は理解しました。  次の港湾局長、あなたはこれを今後起こさないために、この事案にどこの部分にかかわり合って、どの部分にどういう指導ができるか、言ってください。
  162. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 今回の事件に非常に直接に関係して申し上げますと、先ほど申しましたように、施設の量としては十分にあるというような状態から、特に非常に細かいことでいろいろやっていかなければならないことはあるとは思いますけれども、全般的に申しまして余りないと申し上げるのが一番簡単かと思います。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうすると、港湾局長もこの事案では何もできない。船舶局長もできなかった。次は船員局長、何がおできになりますか。
  164. 山元伊佐久

    ○山元政府委員 今回の事件の直接の不法行為者は、陸上の事業者及びそれに使用される者ではございますけれども、行われた行為が船上であり、また一等航海士が油濁関係の管理責任者でもございますので、関係船員に対して海洋汚染については絶滅を期するように、今後船員の再教育等に一層力を入れてまいりたいと考えております。
  165. 薮仲義彦

    薮仲委員 船員局長、重ねてお伺いしますけれども局長通達で船長に対して、このような船員の資質にかかわるような行為はすべきではないというような通達をお出しになるお考えはございますか。
  166. 山元伊佐久

    ○山元政府委員 事務次官名をもちまして関係事業団体の方には通達がすでに出されておりますが、これを受けまして船員局長名で日本船長協会、日本船舶機関士協会、海洋会、全日本船舶職員協会に対しましてすでに通達をいたしております。
  167. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃあ海運局長、この事犯の中で海運局長がかかわり合っている部分と、どう取り締まれるか、御答弁ください。
  168. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 本件に関しましては法律的には私どもの所管では実はないわけでございますけれども、海運業者に対する一般的監督者という立場から今回のこの具体的な事件に関しましても当該会社に、所管の部局とも相談いたしまして、作業実施者の選任あるいはその監督、それから今後の法令遵守というようなことに関しまして改善計画を出させまして厳重に指導をしてまいりたい、かように考えております。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 海運局長がおできになるのは船主に対してやるということですか。
  170. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 船主に対してです。
  171. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、いまお聞きになっていただいたと思うのです。ここにいらっしゃるのは運輸省のそうそうたる局長さん方。いま四人の方にこの事犯について御答弁いただいたのです。じゃあできることは何ですか。四人の局長の中でおできになるのは二人しかいない。一人は船員局長船長に対してこういうことは起こすなということで注意をいたします、もう一人は海運局長が船主に対してこのような違法行為を起こさないようにしなさい、そういうことなんですよ。  ところが大臣、ほんの二、三の例だけで申し上げますと、保安庁から、いままでの過去の違反の事例を、あんまり数が多いですから何点かだけで結構ですと言ってもらった資料、これは運輸省にとって恥だと私は思うのですよ。その中で両罰規定で罰せられているのは一体だれなのか。これで見ますとほとんどがタンククリーニング業者です。そういうのが多いんですよ。ところが、運輸省が束になってかかったってタンククリーニング業者には法の網は一つもかかっていない。不法行為を起こしている人に運輸省の監督あるいは指導行政が何にも行き届かない。間接的にしか何にもできない。実行行為者に対して何にもできない。この罰金をだれが受けているんだ、だれがいつどの程度の処分を受けたんだ、この資料をもらったんです。名前を挙げると気の毒ですからやめておきますけれども、企業の名前全部出ていますから、これは運輸大臣はもうおわかりのことです。  このようないわゆる法の網をくぐらない部分でみんな不法が行われる。これでは幾ら、この法案を審議しました、これで海がきれいになりますと言ったって、この事案たった一つ取り上げて、どなたが取り締まれるのですかと聞いていくと、むなしさしか残らないじゃないですか。私は、これではよくないと思うのです。しかも先ほど来官房もあのような答弁をしている、これではいかぬと思うのです。  なぜこれがなくならないかというと、処理すべき事柄についてチェックをしない。発生する量についてもきちんとやらない。たとえばここの中で私が一つ大臣に申し上げますけれども、一番事故を起こしているのはタンククリーニング業者です。これは現在の法律適用は何にも受けていません。さっき船員局長の前の委員への御答弁にもありましたように、労働省所管の港湾労務者が来てぽっとやるんですよということです。大臣は、ルポライターが入ってくれたのはよかったとほめていらっしゃったけれども、本当はそういう問題ではないと思うのです。もっと重要な問題です。もしもこのタンククリーニング業者にちょっとでも運輸省の手が届いていればあるいはこれは防げる問題かもしれない。  たとえばこのような海洋汚染事故を起こしそうな物質を扱うクリーニング業者そのものに対して、各地に海上保安部があるんですから、その保安部部長あてに、何月何日何という船のタンククリーニングを行います、従業員は何名でかくかくしかじか何時から何時まで、そして発生したスラッジ等はどこどこの処理施設に入れます、何も許可とかなんとか厳重なことを言わなくたって、報告書を一枚出して、結果はどうだった、発生したスラッジの量と陸上げした量、たったこの一つのことをやっただけでもこれだけの事故をある程度防げるのじゃないか、私はそう思いますけれども、大臣いかがでしょう。
  172. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 この法案が通りましても守る意思がなければいつまでたっても海洋の汚染は防止されません。監視機関としての海上保安庁の能力に対してはいろいろ問題もございますけれども、できるだけ海上保安庁の能力を発揮させて取り締まりを厳重にしていきたい。また船主あるいは船の運航責任者、これらの人に海洋をきれいにするという意識をよく持ってもらいたいということで、次官通達あるいは船員局長名で理解を得る運動を始めておりますので、徹底した取り締まりとそれから理解を深める仕事両方努めてまいりたいと思います。
  173. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣に一つ一つ伺っていきますけれども、いま私が申し上げたのは、タンククリーニング業者の起こす事犯が多過ぎます、これを運輸大臣が指導監督できるような体制考えられたらいかがですか、海上保安庁でも地域の港湾局でも結構です、そういう手続をおとりになればこういう事犯は少なくともいままでより減るでしょう、海上保安庁へ、このような処理をいたしますよ、どうせ取り締まりを受けるのですから、ならば取り締まりを受けるべき海上保安庁でもいいじゃないですか、保安部でいいと思うのです、そこへかくかくしかじかということを書類で提出させる手続を一つとればこのような悪質な違反は大分減ると思いますけれどもいかがですかと聞いているんです。いかがでしょう。
  174. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 タンククリーニング業者についてどのような処置をしますか、検討して実行を進めたいと思っております。
  175. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の言っている方向に賛成ですか反対ですか、いかがでしょう。
  176. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 委員のおっしゃっていることが海洋汚染防止に大変必要なことだと考えられます。
  177. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは次に、大臣ばかり聞くとあれですから、官房に今後のためにお伺いしておきますけれども、官房からいただいた資料は推計ですとお逃げになる。それはそれで結構です。しかし、推計であっても、この推計は私に言わせればはっきり言って余りにもひど過ぎるのですよ。私のところに出されたのは、こういう余りあいまいな資料を今後お出しになるのは賛成じゃないんですが、内航バラスト水一千万トン、外航バラスト水二千万トン、ビルジその他二百万トン、計三千二百万トン、これは前の委員会で四十五年当時同僚委員の松本先生の質問に対してビルジの排出量は約一%と答えた、その数字にぴたり合っているような数字なんですが、それはそれとして、私はそのことを言いたいんじゃなくて、このほかに先ほど申し上げましたようにタンククリーニングの汚水も出ます、クリーンバラストの汚水も出ます、こういう問題をきちっと運輸省の網の中でつかめるような体制をつくっておかないからこういうことが起こるんです。  先ほどは大変失礼でした。私は本当に申しわけないと思うのです。局長さん方にお一人お一人御答弁いただいた、全く申しわけない。これはむしろ官房のところでこういう問題をきちっとつかんで、そして業者が不法なことのできないように、そういう体制を各局と連絡をとって、どの局が、あなたは一体この問題で何と何と何ができるんです、あなたは何と何と何ができますか、運輸省の持っている機構と能力でこういう問題をなくそう、すぐ海上保安庁が取り締まればいいということじゃないと私はこの間から言っているんです。運輸省のすべての機能を有効に生かして、では何が抜けていたんだ——これは荒っぽい指摘です。資料がないからこういう荒っぽい指摘になっているんです。もっと明確な資料を下さればもっと的確な指摘をしてあげたい。何回突っ込んでもお出しにならない。だから粗っぽい指摘かもしれないけれども、粗っぽい指摘の中だってこんなに抜けているのです。  運輸省としては、こんなことが年々減らないということは恥ずかしいことだという観点に立って、官房が真剣になって、こういうバラスト水についてはこうしよう、クリーニングしたときはこういうふうにしよう、そういう手続を積み上げていけば、全体的な量がわからなくたって、だれが処理してだれが港湾施設にいるか、たとえばクリーンバラスト水を入れてやるときに、一枚の書類でもいい、タンクをクリーニングいたします、クリーニングの結果陸上の処理施設に処理すべき量はこのぐらい発生しました、それをたとえばその地域の港の港湾局へ届け出た、あるいはタンカーが出ていくときはあの海運局に届け出をしたとか、そういう姿勢があればおのずと心が引き締まってくる。このことは海運局も知っているぞ、いま自分がやっていること、タンクをクリーニングしていることは知っているのだ、海運局も知っているし、港湾局も知っているぞ、そうなったら変なことはできないでしょうと言うのです。  それによってこういう不法な行為が正しく行政指導されていくのが正しい行政のあり方であって、法をつくったって、大臣がおっしゃったそのとおりです、守る気持ちがなければしり抜けです。でもいまのこの法は余りにも——現場へ来てたった一件、この一つの事件、事案を聞いても、どの局も手が出せない。手が出せないような仕組みになっているじゃないですか。だから、これはいまのままでは減らないのですよ。本当にこの法律改正して海洋汚染防止する考えなら、いま私が指摘した点、簡単なことかもしれないけれども、海運局はこの部分は監督するぞ、港湾局はこの部分は監督するぞ、ドックへ入って洗浄するときの量は船舶局が担当しろ、各局で分担してこれをきちんとやれば、私はこのような不法投棄は目に見えて少なくなると思うのですが、官房審議官いかがですか。
  178. 永井浩

    永井(浩)政府委員 海洋汚染防止法を所管しております私どもとしては、御指摘のように各局の調整をやっておるわけでございますが、今回の徳山丸事件につきましても各局と相談いたしまして、先ほど大臣からお話し申した大臣の命による次官通達を出しました。それから、司法上の操作は海上保安庁でやっていますが、行政ベースの調査も可能な限りいまやっておるわけでございます。ただ、不十分であるという点につきましては御指摘のとおりでございまして、たとえば今後の統計のとり方とか、制度の面については改善の方向について検討してまいりたい、このように考えております。
  179. 薮仲義彦

    薮仲委員 もっと明確にお伺いしたいのですが、私が指摘したこと、港湾局はこの部分をもう少ししっかりしようじゃないか、船舶局はこの部分を担当してくれ、海運局はこの部分を担当してくれ。私が言ったように、汚水の量をチェックするのにそういう機能を考えたらどうか。この意見については賛成ですか反対ですか。
  180. 永井浩

    永井(浩)政府委員 汚水の量をはかることを例に申しますと、いろいろな施設、船内あるいは洋上において出ておるわけでございまして、これを各局で分担する方がいいか、あるいは直接私どもの方でチェックするのがいいか、そういう問題があろうかと思いますので、いずれにいたしましてもできるだけ的確な数字をつかめるように努力いたしたいと思います。
  181. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は数量の問題というのは確かにつかみにくいことはわかるのですよ。私の言っているこの質問の趣旨をよく踏まえて答えてくださいよ。私は、こういうことをやっていることを運輸省が知っているなというふうにしておくことが大事ですよと言うのです。ですから仮に数量を出すのは二の次、三の次でもいいです。たとえば業者がきょうはドック入りするためにタンククリーニングしています、このことは船舶局が知っております、このクリーンバラストを入れるためにタンクの中を洗っております、この業務は海運局長が知っております、そうなってくれば数量云々じゃないのです。こういう手続をやって行政の網をかけてきちんとできるように、書類一枚でもいいからやったらいかがですか。数量をどこでとろうが、手続上の問題で私は問うているのじゃないのです。いまやっている事業がわからないのでしょう。運輸省の網にかかっていない。だから、書類一枚でもいい、そういうことをちゃんと考え方向はいかがかと言うのです。いかがでしょう。
  182. 永井浩

    永井(浩)政府委員 御指摘のようにタンククリーニング業者の行動形態をつかむためには、陸上で廃油処理施設を使う場合は、港湾管理者であれば港湾局、その他の事業者であれば海運局、造船所で処理する場合には船舶局ということになります。それから港内で行う場合には海上保安部といったものも権能がございます。こういったものをどういう制度で把握していくかということについて検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  183. 薮仲義彦

    薮仲委員 ではその方向検討なさって、こういう問題がこの法案通過と同時に目に見えて減るように御努力をいただきたい、このことをお願いして、時間がなくなりましたので次の問題に入りたいと思うのですが、さっき船舶局長の方からお話があった問題をちょっとお伺いしますが、その前に官房に質問したいのです。  これは本法ができたときにわが党の松本委員の質問に当時の運輸大臣がこう答えているのです。当時の運輸大臣の答弁でございますから官房に聞いた方がいいと思うのでございますが、当時は三百トン以上の船にビルジの排出がかかったわけであります。そこで、三百トン以下から発生するビルジの量もばかになりませんよというのが質問の趣旨なんです。その答弁で当時の運輸大臣は「いまの三百トン以下は規制しないことになっておりますが、私は海運局、船舶局に対しまして、最低二十トンくらいまでは、今後新しく建造する場合にはこういうような設備をするようにということで、監督行政の上から指導していく。」こういうことが進むことによって海洋汚染は減ります、こういう答弁を大臣がしているわけです。  二十トンくらいまでこういう行政指導をおやりになったのですか。簡単に答えてください。
  184. 永井浩

    永井(浩)政府委員 その後指示を受けまして、関係者とも種々打ち合わせをしたわけでございますが、結論から申し上げますと、その結論の実行の形が今回の御審議をお願いしております百トン以上という形になっております。さらに小さい船につきましては、一応船舶整備公団からこういった設備のための融資の道は開けておりますが、残念ながら、さらに小型の船のこういったビルジ排出防止装置というものの設置は例を見ておりません。
  185. 薮仲義彦

    薮仲委員 まだこれができていないということですね。  ではもう一つ。同じくビルジの排出がいまマイル当たり六十リットルまではいいですよ、百PPmというものが排出基準にかかっておりますが、いずれにせよそういうことになっておるわけでございますが、それは必ずしも数値の上で正確につかむことは、走行中の船ですから困難である、こういう問題が指摘されたときに、やはりそのときの答弁にこういう答弁が出ております。そういう油分の濃度については、予算を要求して開発の段どりをつけております、そして、排出されるバラスト等の排出のスピードと量等を記録して、適正な量しか排出しないような自動的な機器の開発は簡単です、これもそうむずかしいものではないと考えられます、ビルジの排出については人為的じゃなくてメカニックの中で、決められた量の油分しか海洋へ排出されないようにちゃんと開発研究をし、船体の中にそういうものを取りつけてまいります、こういう答弁ですが、これはどうなっておりますか。
  186. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 法律によります排出の量及び排出の油分濃度につきまして監視をして捨てていくということをやらなければいかぬわけでございますが、基本的には、先生がおっしゃいました油分の濃度計、それから連続記録機器、それから排出水が基準値以上になった場合に自動的にこれを停止するという機器につきましては、ビルジの排出機器については、この開発が五十四年度までに終わっております。それから、バラスト水の排出につきましても、同じようなもの、それからさらに船速計等が要るわけでございますが、これも要素・としては開発が進んでおります。  現在、設置義務が課せられておりませんが、先ほど引用いたしました七三年の汚染防止条約によりますと、一定の船舶について設置が義務づけられることになりますし、かつ、七六年一月一日以降の建造契約の船については遡及適用ということになりますので、この設置は促進されるというふうに考えております。
  187. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、いまお話のあったビルジの問題に関連して船舶局長にお伺いしたいのですが、ビルジ排出防止装置は、すべてのタンカーと総トン数百トン以上の船舶にこの法律適用されるようになるわけでございますが、間違いございませんね。
  188. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 このビルジの排出についての機器というのは二つ種類がありまして、一つは、エンジンから漏れる油とか、そういったものがみだりに流れないように、船の中で油だめとかあるいは油水分離器とかこし器とか、そういうものと、それから先ほど私が申し上げましたのは、これを船外に排出する機器と、こう分かれておりまして、前者の方は技術的にはきわめて簡単なものでございます。したがって、今度海洋汚染防止法で義務づけられれば、これは即できると思います。
  189. 薮仲義彦

    薮仲委員 ビルジの排出の方法は二通りだ、そのとおりだと思うのです。一つは油水分離、一つは油が漏れないように全部ガードします、もう一つは、ためておいて、それを陸上で処理します、いま局長のおっしゃったのはこういうことだろうと思うのでございます。  そこで、私は時間がないのではしょって一つだけお伺いしますけれども船舶安全法に基づくいわゆる船体検査がございますね。これは五十四年三月の運輸省船舶局の資料でございますけれども船舶検査方法というのはこれでおやりになるのですか局長
  190. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 船舶局で行います今度の法律に関する検査としましては、船体検査の中で、先ほど申しました油を船内に貯蔵し、あるいはこすというものでございます。基本的には、油水分離器につきましては型式承認制度をとっておりますので、その型式承認された油水分離器につきましても、検査の都度立入検査を励行してまいりたい、こう考えております。
  191. 薮仲義彦

    薮仲委員 私はそこまでは聞いていないのですけれども、いまビルジの排出防止について船舶のほとんど九〇%近くに油水分離装置というのがついておるのですが、それは間違いございませんか。
  192. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 パーセントはしかと覚えておりませんが、現在は少なくともタンカー及び三百トン以上の船には全部ついていると思います。
  193. 薮仲義彦

    薮仲委員 簡単にちょっと指摘だけして局長の御答弁をいただきたいのですが、私は専門家じゃありませんが、この「船舶検査方法」をざっと読んでみました。この中で、ビルジの個所を何カ所か調べたのでございますが、ビルジポンプの圧力を調べます、それからビルジポンプにあってはその排水試験も行います、それから、ビルジポンプを船舶に据えつけた後における吸引個所の吸引能力とか排水試験も行います、こういうふうに出ておるわけでございまして、その他のことは載っていないのですが、私が申し上げたいのは、この中に何がないかというと、油水分離の能力です。一番肝心なのは油水分離なんです。ポンプの圧力とかを検査しておりますとかおっしゃるけれども、少なくとも、この運輸省の正確な資料の中に、完全に油分と水分が分離されているかどうかが検査の対象になっておりませんが、これでよろしいのですか。
  194. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 油水分離の性能そのものは、先ほど申しました型式承認でこの能力を持たなければいかぬというふうになっております。あとは、つけますといかに油水を分離できるかというのは、吸引力側のポンプの能力と、それからこし器が目詰まりしていないかどうか、この二つがポイントでございますので、能力については型式承認できちっと決まっておりますから、それは当然船側に能力についての表示があるという前提でその検査の心得は書いておるのだと思います。
  195. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは時間がありませんからそれだけにしておきますけれども、油水分離というのがこれからの海洋汚染では非常に大事な部分になってまいりますので、この辺についての検査要項をさらにしっかりとやっていただくことを要望して、その問題を終わります。  時間がございませんので、大臣に二つほど簡単にお伺いしたいのですが、これは大臣に簡単にお伺いするしか時間がなくなりました。  一つは、私はさきの委員会からずっと指摘しておりますように、船員の資質の向上というのは将来にわたって非常に大事な問題だ、現在海運行政全体が抱える問題も、この船員の雇用の問題であり、船員の資質の向上というのがこれから運輸省が取り組む大事な問題で、しかもこのような海洋汚染などに象徴されるように、もしも船員の資質が向上しておればこんなこともないのではないかと感じられることが多々あるわけです。いずれにせよ、船舶の上で行われた事案がほとんどでございます。  そこで大臣にお伺いしたいのは、これも国際的な問題でございますが、私は将来のために、これは運輸省、特に運輸大臣にしっかりと取り組んでいただきたいのは、千九百七十八年の船員の訓練、資格証明及び当直維持の基準に関する国際条約があるわけでございますが、これはまだ二カ国ですかしか批准はされておりませんが、これは船員の資質の向上等の上から非常に大事な課題ではないかな、私はこう考えるのでございますが、時間がないですから、それではこの問題だけにしますから、船員局長と大臣のこれに取り組む姿勢を伺ってきょうは終わりたいと思いますので、お願いします。
  196. 山元伊佐久

    ○山元政府委員 ただいま先生の御指摘のSTCW条約は、一昨年の七月にIMCOの会議におきまして採択をされたところでございまして、この条約は国際的なレベルで船員の資質を高めようという趣旨でございます。  実質世界一の海運国である日本といたしましては、この条約の批准並びに国内法化につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  197. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 この条約は船員の訓練、資格証明及び当直維持の基準内容としたものであり、船員の資質の向上等のために有意義なものと考えております。  本条約の批准のための国内体制の整備に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  198. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、最後でございますけれども、二度の委員会にわたって、今度の問題でいろいろと指摘をさせていただいて、余り好ましい事案ではないことでの質問であったわけでございますが、それもこれも、私はやはり運輸行政の中で、日本の海運、もちろん船舶あるいは海上保安、すべての問題が好ましい方向に進んでほしいということで何点か指摘をさせていただきました。  質問を終わるに当たって、最後に、この法案とともに、日本の海運行政すべてが好ましい方向に、なかんずく海洋汚染については目覚ましい改善が示されるように大臣に篤と希望をいたす次第でございますが、最後に大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  199. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 先般の徳山丸の事件等を見まして、非常に私は腹を立てて不愉快に思っております。  このたび、この法案の御審議に当たりまして、この法案の趣旨を生かして徹底的に海洋の汚染防止の対策を進めてまいりたい、かように決意している次第でございます。
  200. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  201. 古屋亨

  202. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 早速質問に入らしていただきます。  海洋汚染防止法第三十八条の通報義務について、お伺いしたいと思いますが、運輸省令で定めている一定量以上の油が流出した場合、直ちに通報するように義務づけられておりますが、これは速やかに油の防除対策をとり、拡散するのを防止する、そういう目的を持っているのではないのですか。
  203. 真島健

    真島政府委員 いま御指摘のとおりの趣旨であると私どもも了解しております。
  204. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ところが、資料によります事故例を見ますと、中には四分というのもありますけれども、短くて十分、五十分あるいは一時間以上、こういうふうな油漏れ事故の通報例が五十三年、五十四年の資料の中に出ております。いままで通報の義務違反に問われた例は何件あるでしょうか。
  205. 真島健

    真島政府委員 御承知のとおり、この条文には罰則がついておりますので、送致いたしまして処罰になりました件数は、五十二年に九件、五十三年に三件、五十四年には七件でございます。
  206. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 この第三十八条の通報義務によりますと、運輸省令で定めている百リットルまで、それから一〇〇〇PPm、こういうふうに規定がされております。ところが、この通報例を見ましても、百リットルを超えているという拡散事故が非常に多発をしております。五百リットルだとか二百リットルだとかその辺はまだ少ない方ですけれども、中には百キロリットル単位の流出事故がふえているというのがこの五十三年、五十四年の資料によって明らかになっております。  たとえば、昨年の一月十九日、四日市港で起きました昭和四日市石油でのタンカー事故の場合も、十三時二十五分に油の流出が起こっているわけですけれども、保安庁への通報は十四時七分、この間四十二分も経過をしているわけでございます。このときの流出した油、これは会社の発表では、初め三キロリットルの流出があった、こういうふうな報告があったようでございますけれども、その後海上保安庁の御調査によりますと、その十倍、三十八キロリットル以上の油が付近の漁場一帯に拡散をした。そして、付近の漁場では、ノリの養殖あるいは貝その他の漁場に非常に重大な被害が及んだ、こういうことが報告をされております。このような場合も直ちに通報したことになるのでしょうか。
  207. 真島健

    真島政府委員 御指摘の点は「直ちに」というのは、恐らく定量的に何分とか何時間とか、そういう基準があるはずだという御指摘かと存じます。「直ちに」という趣旨といたしましては、先ほども先生の方から御指摘がございましたように、われわれができるだけ早く漏れた状況を知る、その趣旨でのことでございますので、早いにこしたことはないわけでございますけれども、実はただ漏れたという通報だけいただいてもなかなかわれわれも困るわけでございまして、この三十八条関係でいろいろ規定しておりますように、いつ出たのか、どのくらいの量の、どのくらいの濃度の油が出たのか、さらにその広がりがどのくらいになるだろうかということを通報事項の中に入れておるわけでございます。したがいまして、量その他については比較的早くある程度の推定がつくと思います。一方、われわれが駆けつける前にも、当然のことでございますけれども船舶所有者側はこれに対する応急処置というのをとりあえず手当てしていかなければならない。応急手当てというものと、これからの広がりというようなものを即座になかなか判断できない。応急措置をやりながら、ある程度のことを推定し、いろいろと考えながら通報してくるというような場合が、量が多くなればなるほどあるかと存じます。そういう意味で私ども実は「直ちに」というのが二十分でなければいかぬ、あるいは三十分でなければいかぬというふうなことは考えていないわけでありますが、もちろん常識的に、半日も一日もおくれたというような場合は、当然「直ちに」ではない。やはりそのときの油の出た量、当時船舶所有者その他がやっておった応急措置の状況、そういうようなことをいろいろ勘案して、罰則ということになりますと、それは考えなければいけないというふうに考えておりまして、二十分、三十分というふうな、非常にかたい線を引いた考え方は現在のところとっておらない次第でございます。
  208. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 私はいま「直ちに」に当たるのかといった質問をしただけで、別にそれが罰則に当たるのかというふうには聞いておりませんし、また、その「直ちに」というのを、五分だから「直ちに」なのか、一分だから「直ちに」なのかというふうなことは、こんな場合には定量的には言えない、当然のことだと思うのですけれども、もう一つの例を挙げてみたいと思うのです。  これは同じ四日市で起こっているわけですけれども、五十三年十一月八日、やはり同じ昭和四日市石油で、タンカー隆洋丸が流出事故を起こしております。このときは四時四十五分に発生し、通報は五時三十五分、この間五十分経過している。この場合わが党は調査団を派遣いたしまして、この二つの事故について調査をしているわけですけれども、わが党の調査に対して昭和四日市石油四日市製油所は、事故発生から通報までの経過を次のように報告をしてきているわけなんです。  読ませていただきます。   隆洋丸流出油事故時の連絡概要  十一月五日   五時十五分ごろ   (1)本船バースマスターより、無線で、本船でリークありとの連絡があった。   (2)リーク状況不明のため、無線で照会したが連絡とれず。   五時二十五分〜五時三十分    無線報告を受けた宿直員は、確認のため、船舶電話による繰り返し発信問い合わせを行う。   五時四十五分    本船と船舶通話可能となり、本船から外部への漏洩を確認した。   六時零分    海上保安部、消防本部へ漏油通報「原油船から油が漏れたとの連絡があり、くわしい状況は不明」と報告。  こういうふうな報告が上がっているわけです。同社の報告によりますと、事故発生から通報まで一時間二十分経過をしている、これは非常に問題があると思うんです。この隆洋丸の事故のときの通報義務者はだれになっておりますか。
  209. 野呂隆

    ○野呂説明員 お答えします。  船長または施設管理者でございます。
  210. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そういたしますと、このときは隆洋丸の船長とそれから四日市製油所の施設管理者通報義務者になっておる、こういうことでございます。  この四日市製油所のわが党への報告を見ておりますと、会社の回答で明らかなように、通報おくれの原因は、船舶や昭和四日市石油の内部連絡体制の不備にあるのではないか、こういうふうに思われるのですけれども、このような場合でも通報は直ちにされたことになるのでしょうか。
  211. 野呂隆

    ○野呂説明員 先生指摘のとおり、本件につきましては「直ちに」というのに該当しておるとは思えません。若干その辺に問題があったようでございますので、その直後に、今後は直ちに通報するように関係者を指導いたしております。
  212. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 私はこの場合思うのですけれども、三十八条に確かに通報義務者というのは、この場合ですと船長または製油所の管理責任者、こういうふうになっておりますけれども、隆洋丸で流出事故が起こった、こういう場合、事故が起こった場合にすぐに海上保安庁連絡をせよ、こういうふうになっていますね。直ちに海上保安庁連絡しろ。海上保安庁につながればいい、こういうことになっているようでございますけれども、そうしますと、この報告を見ておりますと、バースマスターが海上保安庁連絡をするより先に会社の製油所の方に連絡をしている。そしてしかも、本船と製油所との間の連絡体制が不備であるというために一時間二十分もおくれている。こういうところにこの隆洋丸の——これは百五キロリットルの油を流出しているわけですから、非常に大きな油の流出になっていると思うのですけれども、この辺はどのようにお考えになりますか。
  213. 野呂隆

    ○野呂説明員 先生指摘のように、この事件が発生いたしましたのは夜間でございました。社内の連絡体制も夜間のために若干不十分な点がございまして、その辺も通報がおくれた一因かというふうに私どもは了解いたしております。
  214. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ただいま夜間ということでしたけれども、四時四十五分が夜間というのはおかしいのじゃないですか。朝でしょう。早朝ではありませんか。早朝にしてもこの時期にすると暗かった、こういうことがあるのでしょうけれども、それでは夜間だとか早朝だとか事故が起こった場合に、非常に連絡が不備になるおそれがあるときにでもこういうふうな荷揚げがされている、こういうところにも問題が起こっているのではないかというふうに私は思いますが、次に進ましていただきます。  三十八条のただし書きに私は問題があるのではないかというふうに思うのです。先ほど長官のお答えの中に、量が多ければ多いほど応急措置をとりながら通報するのだ、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、「当該排出された油が運輸省令で定める範囲をこえてひろがるおそれがないと認められるときは、この限りでない。」ちょっと漏れただけでも一々通報しなければいかぬということでは余りにも気の毒だから、こういうふうなことがあるように考えられるのですけれども、この規定通報義務者が主観的にこれは運輸省令で定める油の広がり以上に広がらない、おそれがないと判断さえすれば、通報しなくてもよいというふうに解釈をされやすくなっているのではないでしょうか。
  215. 野呂隆

    ○野呂説明員 お答えいたします。  通報義務を大量の油に限定いたしましたのは、排出された場合の海洋環境に与える影響、こういうものを考慮したからでございます。被害の発生の防止の観点からはそれで十分ではないかと考えておりますが、海上保安庁といたしましては、少量の油でも流出した場合には直ちに通報するよう、同様の措置をとるように行政指導で行っております。
  216. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 行政指導でそういうふうにやっておられるのになおかっこういうことが起こる、違反例もある、通報もしない人がおるということになりますので、海上保安庁がずいぶん涙ぐましい御努力をしていらっしゃることにつきましては、私は十分に承知しているわけでございますけれども、先ほど私が申しましたように、こういうふうな油漏れ事故が外に漏れるということは、油の漏れるのも困るけれども四日市石油はまた油を漏らしたと、できるならばほかに漏らさないで自分たちだけで始末をしてしまいたい、こういうふうに事故など極力社外に知らせまいとする企業に悪用されることにもなりかねない、私はそのように考えるのです。確かにこのごろは海洋汚染に対しての国民からの突き上げもずいぶん厳しくなってきましたので、全部の企業が悪いとは申しません。しかし、このたびの徳山丸事件等を見ますと、まだまだそういうふうな企業は後を絶たない、こういうふうな観点から見ますと、このただし書きについてはもう少し突っ込んで法的に規制をしていく必要があるのではないかと私は考えるのです。この条文は、たとえば流出しているタンクの油の残留量がはっきりしていてもう百リットル以上は流れ出ませんということがはっきりしている場合ならこれはもう別に通報しなくても自分のところの船であるいは製油所で始末がつくかもわかりません。しかし、大体事故を起こしている船というのはタンカーが多かったり、わりと油を積んでいる船が多い。特にタンカーなどでどのくらいの油を積んでいるか、隆洋丸などは十五万キロリットルも油を積んでいたわけですから、どこまで油が流れ出るかわからない、こういうふうなことも、これは素人が考えても考えられるわけなんです。それで、規定以下しか排出しないことが明確に確認できる場合を除いてはすべて直ちに通報すべき義務を課すようにすべきではないかと私は考えるわけですけれども、どのようにお考えですか心
  217. 真島健

    真島政府委員 確かにいろいろ問題がこの規定にはあるかと存じます。ただ、非常に厳しく厳しくやることが——これは妙なあれでございますけれども自分が油を流して自分で自白といいますか、自分の過ちを官憲に白状しなければならないというようなこと等の絡みもいろいろございまして、どの辺まで罰則をもって強制する通報義務というのを考えるかということだろうと思っております。先生の御指摘もしかし非常に検討に値する御見解だと思いますので、検討させていただきたいと思います。
  218. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 油の流出事故の場合に遅ければ遅いほど人手がたくさんかかっているということです。たとえば、この隆洋丸のときも、海上保安庁から延べ百七十七隻、他官庁から延べ四十五隻、民間から延べ三百十一隻、航空機が四十機、こういうふうな大量の船が出、飛行機が出、そして約三日間ですか、かかってやっと油を防ぎとめた、こういうふうになっておりますので、後からそれほどのことが起こるんだったら、初めに多少厳しい規制と思われても、いま海洋汚染防止法でわれわれの海洋環境をよくしていこう、こういうふうなことでございますので、いま検討に値するとおっしゃっていただきましたので、ぜひこの機会に御検討をいただくように重ねてお願いを申し上げます。  その次の問題に移らしていただきます。貨物油の荷役における油流出防止対策について。同じく先ほどもちょっと出ましたけれども、昨年の一月十九日、四日市港におけるリベリア船のワールド・エンデバー号、これが大変大きな被害をもたらしておりますが、どういう原因でこの事故が起こっているのでしょうか。
  219. 野呂隆

    ○野呂説明員 ワールド・エンデバ一号の油流出の原因は、同船の原油タンクの内部を貫通しまして船首つり合いタンクに通じておりますバラスト専用ラインのパイプに腐食による破口が生じまして、原油タンク内の油がクリーンバラストに混入していたためである、こういうふうに承知いたしております。
  220. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 この場合の船体にも問題がなかったかどうか、徹底的に究明をされる必要があると思うわけです。タンカーを二重底にするというふうなことも国際的にも検討されているところですが、私の質問は、船体の問題はさておきまして、重大な点は、流れ出した油がオイルフェンスを乗り越えて拡散していったために漁場等に大きな被害をもたらした、こういうことです。  このときは風の向きで鈴鹿の沖には行かないのではないか、今度は漁場には被害がないのではないかと初めは言われておったわけですけれども、風向き、潮流が変わったために鈴鹿沖にまで広がりまして、ノリ被害、こういうふうなことが相次いで起こった。当時の新聞を見てみますと、また昭石かと叫ぶ漁民からの強い怒りの声が上がっている、こういうふうな新聞記事も見えております。ところが、この油流出事故が起こりました五十四年一月十九日の十三時三十分には、四日市港には強風波浪注意報が出されておった。これは気象庁からの資料をいただいております。当該時刻には強風波浪注意報が出されていた。一月十八日十九時四十五分発表したものを一月十九日十時四十分に内容を更新し、同日十五時三十分解除、こういうふうになっているわけです。その内容は、強い冬型の気圧配置となっていますので、十九日中は北西の風が強く、海上は波浪が高くなっていますので注意してください。最大風速は陸上で十ないし十三メートル毎秒、海上で毎秒十五メートルないし二十メートルの見込みです。こういうふうな強風波浪注意報が出されている。この強風注意報は、湾内でも波の高さが一・五メートル以上、こういうふうになると言われているのですけれども、当時の新聞を見てみますと、当日は伊勢湾には強風波浪注意報が発令されており、油がオイルフェンスを乗り越えて広がっていった、こういうことが出されているわけです。オイルフェンスが役に立たなかった。しかも、強風波浪注意報が出されている中で油を送る仕事をした。こういうところで非常に大きな被害が起こっている、こういうことが明らかになっておりますけれども、なぜ強風波浪注意報がまだ出されているときに貨物油の荷役ができるようになっているのでしょうか。
  221. 野呂隆

    ○野呂説明員 危険物の荷役につきましては港長の許可となっておりますが、荷役を許可するに当たりましては、荷役量とかあるいはパースの立地条件、設備安全対策、こういうものを考慮いたしまして、船舶交通安全上の見地から、あるいは防災上の見地から判断して、条件を付して許可をいたしております。  先生の御指摘は、荷役等の中止をなぜしなかったかという御指摘だと思いますが、荷役中止の基準もございまして、一応風速十五メートル、波高一・五メートル以下で作業するよべに指導いたしております。当時、四日市のアウターシーバースにおける風速、波浪は、私どもの巡視艇が付近で観測しましたところ、十ないし十三メートル、波高五十センチないし一メートルの状態であった、こういうふうに聞いておりまして、荷役を中止する寸前の状態ではなかったか、かように思っております。
  222. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 実はオイルフェンスというのは、せっかくちゃんと装備をしていらっしゃるのにあれですけれども、オイルフェンスというのは、波の高さが三十センチを超えると油がオイルフェンスを乗り越える、こういうふうに一般的にも言われているわけです。オイルマットも役に立たない。風の強いときにはそういうふうなことがある、こういうふうに言われているところで、いまの回答を聞きますと、波の高さは五十センチから一メートルだ。そうすると、オイルフェンスを乗り越える可能性は十分にあった。こういうふうな気象条件の中で荷役が行われた。港則法には、危険物の取り扱いについては港長の許可を得なければならない、こういうふうになっているわけですけれども、港長が許可をされるということにつきましては、許可をする条件というものがあると思うのです。これは届け出ではないのですから、許可をするためには条件があると思うのです。この条件は一体どのようになっているのか。ただ港長の裁量で、きょうは危険だからやめろだとか港外に出なさいとかそういうふうになっているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  223. 野呂隆

    ○野呂説明員 まず危険物の荷役の許可についてでございますが、先生お尋ねが特に大型タンカーを対象としたものであろうかと思いますので、その点について御説明させていただきます。  まず、シーパースあるいはドルフィン等を建造いたします場合に、その建造届が出されます。その建造届が出ました段階におきまして、その施設の強度あるいは地理的条件、気象、海象、そういうものをいろいろ検討いたしまして、そのバース等の使用の条件を付しております。     〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕  それから次に、港長の許可でございますが、そこに大型タンカーが着きます場合には、先ほど申しましたように荷役量それからバースの立地条件、設備、安全対策、こういうものと、さらに船舶交通安全上の見地、こういうものを検討いたしまして、まず大型タンカーについて申しますと、特に夜間に開始されます引火性危険物の荷役は、原則として許可をしないことになっております。それから許可をする場合に種々の条件を付しておりますが、先ほど申しましたようにバースの建造届のときに出しました条件はそのまま、この中には中止条件あるいは離着桟の条件が入っておりますが、それ以外に、火気を発するおそれがある作業を行わない、あるいは無風状態または付近に激しい電磁あらしのあるような場合には、積み荷作業またはガスフリー作業等、開口部から引火性ガスが突出するような作業は行わない、それから漏洩時の拡散を防止するためオイルフェンスを展張するとともに、油処理剤等を直ちに使用できるように準備しておくこと、それから着桟中のタンカーから三十メートル以内に他船が接近しないよう標識を設置するか、警戒船あるいは警戒員を配置する、こういうような条件等を付して許可いたしております。
  224. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ところがこのエンデバー号のときに、私が言いたいのは、強風波浪注意報が出されている最中に荷役がされている。しかもこの日の強風波浪注意報は、同日の十五時三十分には解除されている。だからもう少し待てばいわゆる気象庁からの強風波浪注意報が解除されているわけですから、先ほど風速と波浪をはかった、十メートルないし十三メートルで、大したことがなかったとはおっしゃいませんけれども、大したことがなかったような口ぶりだったわけです。そういうふうな状況作業をやってこれだけの被害が起こった。こういうふうになりますと、こういう危険物の荷役を中止する条件の中に、ぜひこうした強風波浪注意報が発令中には荷役を中止することを条件の一つとして考えられる必要があるのではないでしょうか。これは一般の国民が聞いた場合に、やはり何か危険が起こるかもわからないから強風波浪注意報が出されているわけであって、ただ風が強くなりますよというだけの注意報ではないと思うのです。そういうふうな状況の中であえて荷役をさせている。そしてこれだけの大きな被害を起こしている。そういう中で、こういう強風波浪注意報等の気象条件が出されているときを条件の一つとして考える余地がないのかどうかお答え願いたいと思います。
  225. 野呂隆

    ○野呂説明員 地形、風向その他いろいろの条件もあろうかと思いますが、先生の御意見を拝聴いたしまして検討させていただきます。
  226. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 私は、今度海洋汚染防止法が一部改正されて私たちが海の環境を守っていくということになるのですけれども、大体タンカー等の扱いにつきましては、先ほどの私の質問、それからこの質問、両方とも企業がもうけ本位で早く荷揚げをしたい、ちょっとでも長いこと港についていると着船料をたくさん払わなければならない、そういうふうなコマーシャルベースといいますか、そういう中でそうした規制行政指導の御苦労の中でなされているけれども、そうした企業に対するやや甘い見方があるのではないかと思いますので、そうしたやり方には追随しないで、環境漁業を守るという立場できちんと規制をされるように再度お願いしたいと思います。  それでは、次の問題に移らせていただきます。  この油流出事故はどういう原因が多いのかというのを資料によって見ますと、これが案外過失による事故が多い。もちろん破損による漏洩事故もございますけれども、過失による事故が多いと言われているわけです。先ほどの御質問の中にも、船員の資質の向上ということが言われておりましたが、ここに海上保安庁がお出しになりましたパンフレット、日本語、中国語、ロシア語、英語、韓国語と、これだけおつくりになりまして、これをそれぞれの船に渡して教育をしていらっしゃる、非常に涙ぐましい、こういうふうに思うのですが、このパンフはどのようにして行政指導にお使いになっているのでしょうか。
  227. 野呂隆

    ○野呂説明員 指導の方法でございますが、海上保安官が直接訪船いたしまして船の乗組員に手渡して指導しております。それからもう一つは、代理店等を通じましてパンフレットを渡しております。  以上でございます。
  228. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そうすると、船の乗組員、船員として資格を持っている人にこれを渡して教育をしていらっしゃる、こういうことでありますね。  ところが私はこのパンフレットを読ましていただきまして、乗組員ということになりますと船員の資格を持っておられるということになると思うのですけれども、たとえば「送油開始、最初はゆっくり送油、パイプラインの漏えいの有無」いわば専門の方にこのような幼稚なと言ったらしかられるかもわかりませんが、このような内容のパンフをお配りにならなければならないのかどうか、この辺を私大変疑問に思うわけです。大臣も御存じだと思いますが、これが外国文の方になりますと、こういう大変楽しい絵がかいてあるわけですけれども、これなどは、油が漏れているときにそこでさぼっておってはいけませんよというふうに書いてあるわけです。こういうふうなパンフレットを見せなければならないというところに私は問題があるんじゃないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
  229. 真島健

    真島政府委員 油濁防止指導についていま先生示されました外国語の四種類のパンフレット、これは外国の船員にあるいは外国船の代理店を通じて配っておるわけでございます。  このパンフレット自体も、実は汚染防止法が成立をいたしましてしばらくの間は相当かたいといいますか、法令の概要等をただ書いたようなパンフレットでございましたけれども外国の船員の方々が非常に資質が悪いというふうにわれわれ断定するわけにはいかないと思いますけれども外国船の汚染事犯、隻数に比較しますと案外多いわけでございまして、やはりそういったような原因、海難事故でもそうでございますけれども、うっかり、ぼんやりしたというような不注意、これによるものが非常に多いことに重点を置かなければならない。そういう意味では、非常によく知っておる船員の方が読んだらばかにしているようなことをと思われるかもしれませんけれども、やはり動作は常に基本に忠実に、これをやることによって私は不注意による油濁等の事犯なり事故なりが防げるのじゃないだろうか。外国方々については特にそういうことで、そのようなパンフレットをお配りしておるわけでございます。
  230. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ただいまのお答えの中で、外国船事故も多い、こういうふうなお答えがございましたが、パンフレットから少し話が変わりますけれども、それでは日本船舶外国船舶の汚染発生件数の割合はどのようになっていますでしょうか。
  231. 真島健

    真島政府委員 最近二、三年の外国船による汚染防止法違反事故の隻数でございますけれども、五十二年には外国船舶二百六十九隻、五十三年には百九十二隻、五十四年には二百三十八隻でございます。これに対しまして日本船は、五十二年が五百五十七、五十三年が五百九、五十四年が五百三十一。したがいまして、全体に占めます外国船舶の比率は三三%、二七%、三一%、この程度になっております。
  232. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 国籍別に見ますとどこが多くなっていますか。
  233. 真島健

    真島政府委員 五十四年について申し上げますと、パナマ籍五十九、リベリア三十六、韓国二十九、ギリシャ二十二、これで百四十六ということになりまして、五十四年の外国船のうち六一%はこれらの船籍の船でございます。
  234. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 外国船舶によります海洋汚染で、原因は何が一番多くなっているでしょうか。
  235. 真島健

    真島政府委員 いまちょっと資料があれでございますが、恐らくは過失といったようなところが多いんだろうと思っております。正確な数字はまた申し上げます。
  236. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そうしますと、外国船舶による海洋汚染は多分過失によるものが非常に多いだろう、こういうふうなお話でございましたが、先ほどパンフレットの話で四カ国語のパンフレットをつくって行政指導をしていらっしゃる、こういうふうに伺いましたが、その他こうした外国船舶についてどういう措置、行政指導を行っておられるのか、お願いいたします。     〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
  237. 真島健

    真島政府委員 パンフレットによるPR的な指導のほかに、当然のことでございますけれども、領海内におきましては、私ども外国船に対しても汚染防止法を適用いたしております。したがいまして、随時立入検査をやります。そのときに指導をする。さらには講習会を開くというようなことでやっておりますが、そのほかに年に二回は船舶漏油事故防止推進期間、これは一週間くらいのものでございますけれども、乗組員、関係者に対して積極的な防止指導を行っておるわけでございます。その際にそういうようなパンフレットもまた使いながら指導を行っております。
  238. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 先ほどどこの国籍が多いかと聞いたら、パナマ、リベリアということでしたが、そうなりますといわゆる便宜置籍船の問題が出てくる、このように思うわけです。いわゆる便宜置籍船の海洋汚染発生件数が非常に多い。わが国でもこの便宜置籍船によるいろいろな問題がたくさんあると思うのです。船員の賃金の問題だとかいろいろな問題でこの便宜置籍船についてはまだまだこれから私たちが追及をしていかなければならない問題があると思うのです。日本の海運界を本当に国民のための海運にしていくのかどうかという観点から見ましても、便宜置籍船の問題は追及していかなければならないと思いますけれども、賃金が安いというふうなことのためにいわゆる発展途上国の人たちを船員に使う場合が多い。よく俗にきのうまでヤシをとっておった人をきょう船に乗せておるということが便宜置籍船の船員の場合には言われておるわけです。先ほどの同僚委員の御質問にもございましたが、外国船舶について船員の質が非常に問題である。これはもちろんわが国の船員の質も高めなければいけませんけれども、これを国際的に船員の質を高めていく。そのことは結局私どもの立場から言いますと、発展途上国の皆さん方の船員の質も高める、そういうふうな中で国際的に船舶の労働者の労働条件だとか賃金というふうなものが平均をしてくる、そういうふうな問題も出てくるのではないかというふうに思いますけれども、先ほど少し御質問がございましたが、いわゆる千九百七十八年の船員の訓練、資格証明及び当直維持の基準に関する国際条約につきまして、わが国はいまのところどういう態度をとり、そしていま国内の体制としてはどういうふうにしておられるのか、もしこれが批准をされますとわが国の海運界ではどういう影響が起こってくるのか、その問題について簡単にお答えください。
  239. 山元伊佐久

    ○山元政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘の条約は通常STCW条約と言われておりまして、いろいろの経過を経まして一昨年の七月にIMCOの会議におきまして採択が行われているところでございます。  この条約に対応するわが国の基本的な方針につきましては、先ほど大臣から御答弁がありましたように、積極的に取り組むという姿勢でございまして、現在その基本的な方針のもとに、すでに船員中央労働委員会並びに海上安全船員教育審議会におきましてこの条約の国内法化につきまして調査、審議を進めていただいておりまして、その結論を見まして所要の措置を講じてまいりたいと考えております。結論が出まして日本が条約を批准するということになりました場合には、日本は実質世界一の海運国でございますし、この条約は国際的なレベルで船員の質を高めようという趣旨でございますので、他の多くの国が批准に向けて積極的に動き出すというように考えられますし、また、これが発効いたした場合には国際的に船員の質の向上は高まり、船舶の航行の安全がより確保されることになるものと考えられます。
  240. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 もうこれで質問を終わらせていただきますけれども、ただいまの条約につきましては、いわゆる国際的に基準がつくられまして船員の資質向上が図られるということは、便宜置籍船に多いと言われています基準以下船の安全向上、あるいは海洋汚染防止法の法の精神にもかなう、こういうふうに私も考えますので、政府としましても、先ほどの御答弁の中でも積極的に取り組んでいきたいというふうなことを言われておりましたけれども、ぜひともそういうことでこの批准に向けて積極的に取り組んでいただきますように最後にお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  241. 古屋亨

    古屋委員長 渡部正郎君。
  242. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 最初に、外務省の井口参事官にお伺いしたいと思いますが、私は条約のことは余り詳しくありませんので、教えていただくということで御説明いただきたいと思います。  今度のいわゆる海洋投棄規制条約、これは聞いたところによりますと、七二年の国連の人間環境会議の勧告が発端だということでございますが、恐らくこの環境会議では非常に広範にいろいろなことが問題になったんだろうと思います。その勧告によってできました今度の条約というもの、海洋汚染防止に関する条約でございますけれども、船と飛行機からの排出ということで対象を限った経緯をちょっとお伺いしたい。と申しますのは、海の汚れということを考えますと、船、飛行機によるもののほか、海岸から直接投げ捨てられるものもございましょうし、あるいは河川から海洋に流出するというものもあるというふうに思いますし、世界の海全体の汚れに対する原因ということから言いますとどれが一番犯人かということもあると思いますが、この会議がきっかけになってできました条約が船と飛行機に限ったその経緯をちょっと、これは外務省の井口外務参事官にお伺いしたい。それが一つでございます。  それからその次に、これは海上保安庁真島さんよりも野呂さんにお伺いした方がいいのかもしれませんが、今度の法改正によりまして、もちろん日本の場合でございますけれども、海洋に対する排出といいますか、排出投棄といいますか、排出投棄される量ですね、これが一体どのくらい減ることが予想されるか。大変漠然とした質問でございますので、お答えの方も漠然としたお答えでよろしゅうございますが、質、量ともに、法改正によって排出自体あるいは投棄自体の減り方、それはどのくらい期待できるというふうにお考えになっているのか、それをひとつ野呂警備救難部長に、まずその二点についてお伺いしたいと思います。
  243. 井口武夫

    ○井口説明員 お答え申し上げます。  ストックホルムの人間環境会議では、これは人間環境全体を保全するという目的で非常に多くの行動計画が採択されたわけでございまして、その場合に実は海洋環境の保護というのが一つの大きな課題になったわけでございます。海洋環境に関しましては、確かに陸上宣言あるいは河川、河口を通ずるその他たとえば海底開発、大陸だなの開発、こういうような汚染もございますし、海洋汚染の原因というのはいろいろございます。船舶の通常の運航に伴って生ずる汚染もございます。しかしながら、従来公海の自由で比較的海洋における投棄というものが国際的には条約がグローバルなものがなかったわけでございまして、地域的にはヨーロッパではございましたけれども、やはり公海全体を規制する条約をつくる必要があるということでございます。したがって、でき上がりました経緯は、やはり海洋環境の保護というものを包括的にするには船舶もしくは航空機による故意の投棄というものを規制する必要があるということででき上がったわけでございまして、それだけ海洋環境の保護を完全にしたい、それから国際法的にもそれだけ進化があった、こういうふうに考えていただきたいと思います。
  244. 真島健

    真島政府委員 海洋投棄でございますけれども、私どもで最近、五十三年でございますけれども、把握しております海洋投棄量、これは廃酸、廃アルカリといったような産業廃棄物が三百五十九万トン、そのほかに屎尿その他の一般廃棄物が四百八十九万トン、このようになっておるわけでございますけれども、この法律によりまして、従来水銀等の投棄につきましては、ある程度希釈されたものをコンクリート固型化すれば投棄を許されておりました。しかし、これが絶対禁止になってまいります。水銀そのものが製法の変化によりまして海洋投棄分が次第に少なくなってきておるということも手伝いましてそういう部分は減ってまいるのではなかろうか、非常に漠然たる感じでございますけれども、そのように感じております。
  245. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 それでは少し角度を変えてお伺いしたいと思いますが、これも真島長官にお伺いするしかないと思いますが、海運白書ですか、それのコピーをいま手元に持っておるのでございますが、最近のものによりますと、いろいろな詳細なところは略して結論だけ申し上げますと、「これまでの調査では周辺海域、排出海域とも汚染の進行は認められていない。」というふうに書いてあるわけでございますが、これはすでに法律をつくって一生懸命やったからだと思いますが、現状で汚染の進行が認められないということであるならば、条約ということを抜きにいたしますと法律を何も変える必要がないのじゃないかという、ちょっと皮肉な反論も成り立つわけでございますが、進行は認められないけれども現状の程度というのはやはり相当憂慮すべき状態であるのかどうかはちょっと私が読んだところ白書は触れておりません。経年変化はない、それはわかりましたけれども、じゃそれでは現状はどうなのか、もっと減らさなければならない状態なのか、このぐらいならしようがないという状態なのか、そこのところ、これをひとつお伺いしたいと思います。  それから、関連して第二の点、これも真島長官になってしまうようでございますけれども、この前の海洋汚染防止法が提案されましたときの提案の趣旨といいますか、そのときは大変勇ましいことが書いてございまして、「船舶等から排出される油及び廃棄物の飛躍的増大は、海洋の汚染を急速、かつ、広域的に進行させ、このまま放置すれば、海洋の自然環境の破壊を通じて、人間の生存環境そのものさえ脅かすことが懸念されており、」と非常に勇ましい、激しい文句が書いてあるわけでございますけれども、今度の法改正の趣旨には、「今後とも国際的動向にも十分対応しつつ、対策の充実強化を図る必要があるものと考え」るということで、大変トーンダウンしているわけでございます。このトーンダウンした理由、これは、この前は条約が直接前提とされずにわが国独自の法律をつくったわけですが、そのときは大変勇ましかったのだけれども、今度はトーンダウンしている。これは趣旨だけの話ですが、トーンダウンしたような感じは、これはいままでの法律で十分実効が上がったので、いまあんまり問題ないということなのか、あるいは法律はこの前は初めから出した法律、今度はその一部改正だからあんまり元気が出ないということなのか、あるいは条約があるからまあおつき合いしなければならぬということで、日本政府自体としてはそれほど深刻な実体的な法改正の理由を持っているわけではないということなのか、その辺の一つの感触をお伺いしたいと思います。
  246. 真島健

    真島政府委員 海洋の汚染度全体が横ばいという感じであるというふうに先生が御指摘になったわけでございます。  私どもが海洋の汚染度について調査をしておりますやり方を簡単に申し上げますと、水路部におきまして、相当長期的な変動を監視するという目的で、わが国の周辺海域、それから産業廃棄物の排出の海域、これはA海域でございますが、それから主要な湾、東京湾その他主要な湾、ここにおける海水あるいは海底の堆積物、この中の汚染物質濃度、この測定を中心として調査を行っております。このような感じの調査環境庁も行っておられると承知しております。  その結果によりますと、確かにそれほど大きな変化が起こってはきていないということは結果として出てまいっております。しかし私どもが現行の海洋汚染防止法の取り締まりということについてやっておりますところから見る限りでは、公害事犯というものは減ってはいない、油が全体として省エネ云々ということで伸び悩んでおるという状況にもかかわらず、油汚染による事犯というものはまだ後を絶たないといいますか、むしろ横ばいで減る傾向にない。そういうことから考えますと、さらにきれいにしていく、こういう観点に立ちますと、今度の条約の改正に応じまして私どももそれなりの体制をとって海をきれいにする働きの一翼を担わなければならないのではないか、このように考えておるわけでございます。  また、先ほどの、前回の改正のときの意気込みと今回の場合に大分トーンダウンという御指摘でございますけれども、私どもの基本的な姿勢としては変わっていないつもりでございます。表現的に確かに多少の変化があるかと思いますけれども、私どもの態度は、前回のときも、今回の改正に際しましても変わっておりません。
  247. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 前回も今回も変わっていないということでございますが、今度の法改正の中には条約が直接要請しておりませんビルジの規制を強化するという項目が入っておるわけでございますが、それでは条約があるから法律改正するということを一応よそに置きまして、現状から見て法改正をしなければならないような問題点というのは何かということを重ねてお伺いしたいと思います。  それから関連してでございますが、廃棄物の排出というもの自体は計量的に捕捉することが可能だろうと思います。これはない方がいいに決まっておりますけれども。しかし、廃棄物の排出、海に捨てられるその量と海の汚染というものは必ずしも関連するものではないと私は思います。一応別個の問題であるというふうに考えられる。ということは、同じものを捨てるにいたしましても、処理の仕方とか捨てる場所とかいろいろなことでも違ってくるわけでございますから、この排出あるいは投棄の数量とそれからそれが原因となって海が汚染される汚染の程度とは必ずしも正比例的に関連しているものではないというふうに思うわけでございまして、そこで排出規制と汚染を減らすということは何かちょっと別個の観点の問題であるという気がしますが、ところが目につく方は廃棄でございますから、法律に反して捨てたのはけしからぬじゃないか、そこに関心が集中するわけでございます。しかし行政が本当に期待している効果は投棄そのものではなくて、それによってもたらされた結果の方が重大でございます。何が結果の問題かというと、これは条約自身も触れておりますように大変広範でございまして、人間の健康ですとか、海洋生物ですとか、あるいは快適性が阻害されるとか、海の利用が阻害されるとか、非常に広範な保護法域というものを考えながら条約なり法律なりというものをつくっていく、こういうことになるわけでございます。そうなりますと、廃棄されていく物の計量的な把握もさることながら、海の汚染度の把握というものが確実に的確になされておりませんと、法律がねらっている、条約がねらっている結果、その結果の推移というものがはっきりいたしませんから、対策を考えようにも考えようがないということでございます。  実は、今度の質問をいたす前に関係の省庁の方に来ていただきまして、海洋の汚染度について日本政府はどのような測定あるいは検査というようなことをやっておるかということをやや詳細に伺ったのでございますけれども世界じゅうの海は一つにつながっておりますので、たとえばおふろの水ですと、かき回して平均化してサンプルを一つとれば全体のことが推察がつくということがありますけれども、海はなかなかそうはいかない。しかも海はまた陸地と違いましてしょっちゅう動いて、三百六十五日変化している。そういう巨大で流動的な海洋の汚染度、それを客観的に捕捉する、そのシステムとして現在日本政府がやっておられることはどうも非常に不十分ではないだろうか。そうなりますと、汚染の程度が確定できませんと、なかなか対策も考えられないということになると思うのですが、その辺のところをひとつお伺いしたい。  そして、それとの関連で、たとえば今度の法改正によりまして海洋の汚染が減るといたしますと、これは海上保安庁だけではないようでございまして、環境庁も関係があるようでございますが、現在の検査体制といいますか、それでもって、法律の施行による汚染の方への影響、効果というものが相当の正確さ、相当の密度で測定できるようなそういう検査体制、監視体制というのは現在あると認識しておられるかどうか、一その点についてお伺いしたいと思います。
  248. 永井浩

    永井(浩)政府委員 最初の質問のビルジの規制の強化についてでございますけれども、これは現在三百トン未満につきましてはビルジの規制がないわけでございます。ただ、小型船につきましてもかなりの量のビルジは出ているということで、私どもかはてから小型船に対する規制考えておったわけでございますが、さらに行政管理庁の監察の結果に基づく勧告等もございまして、百トンまで下げたということでございます。したがいまして、推定でございますが、現在の希釈されないビルジ、生のまま出ているビルジの約四割程度はこれによって減る、このように考えておるわけでございます。  それからあと、環境調査の件につきましては環境庁の方からお答えいたします。
  249. 原健彦

    原説明員 お答えいたします。  海洋の汚染度をどのように客観的に把握できるかという点でございますが、大きな海でございますのでなかなかむずかしい問題でございますが、私どもといたしましては二つの面からその調査を従来からやっております。  一つは、五十年度から始めたものでございますが、日本近海海洋汚染実態調査ということで海洋汚染の実態の把握に努めておるところでございます。これはただいまA海域、B海域というように廃棄物の処理投棄をする海域が決まっております。その海域を通ります五測定線を設定いたしまして、その五測定線につきまして四十六の点におきまして、毎年二回でございますが、調査をいたしております。  調査の項目といたしましてはCOD、水銀、砒素、鉛、カドミウム、PCB、炭化水素等、十七項目にいたしております。この調査の結果によりますと、現在のところ、わが国の近海におきまする海水中の重金属等の濃度につきましては、もともと海水中に自然に存在しておりました量と比較いたしまして問題となるような値にはなっておりません。  もう一つの調査といたしましては、これは環境基準の達成の面から調査をいたします。これは四十六年度からずっとやっておるわけでございまして、公共水域水質測定を行いまして、環境基準の面から水質汚濁の状況を監視しております。  これは海域におきましては二千百八十七地点につきまして調査をいたしております。この調査の項目につきましては、健康項目といたしまして水銀、カドミウム、シアン等九項目、それからまた生活環境項目といいますか、有機汚濁の項目といたしましてPH、COD、DO、ノルマルヘキサン抽出物質等五項目、これを調べておるわけでございます。環境基準につきましては、どちらかといいますと、沿岸に近い海域でございますので、この辺はかなり汚染の著しいといいますか、汚染の見られるところでございます。しかしながら、環境基準を超える検体数の割合といいますか、環境基準を超える不適合率といいますか、それにつきまして見ますと、健康項目につきましては〇・〇七%、生活環境項目につきましては海域において一七・五%、そういうふうに数字になっております。  私ども、この二つの調査を今後とも続けてまいりまして、海洋汚染の実態の把握に努めてまいりたいと思っております。
  250. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 法改正によってどのくらいの効果が出たかというのを捕捉するだけの精度、密度を持っているかという点についてはちょっとお答えがなかったように思いますが、それは結構でございます。  時間がありませんので、次の質問に移らしていただきます。  自然環境の破壊というのは大問題でございまして、エコロジーというのは大変大事な問題だと思いますが、しかし人間が生活している限りは必ずある程度自然を壊すということはやむを得ないことでございます。自然だけを大事にするなら人間を全部殺してしまえば自然が人為的に壊されるということはなくなるわけでございます。人間のサバイバルと自然のエコロジーとどこに妥協点を見出していくかというのが私は公害行政だろうと思うのでありまして、ただもう全然壊されてはいけないのだという立場に立つのはちょっと宗教みたいなものでございまして、現実の行政はそれであっては困ると思うわけでございますが、そういうような考え方を前提としてお伺いするわけでございます。  今度のこの法案が通りまして法律改正されますと、国民のサイドからいって新たにどんな負担を民間にかけていくことになるのでしょうか。  たとえば確認制度の運用一つにつきましても、民間のいろいろな関係業者の方や何かが人手も要るでしょうし、時間もかけなければいけない、お金もかけなければいけないということになると思いますし、ビルジについても、いずれはそのために民間がコストをかけなければならないという事態が起こってくると思います。同時に、新しく法的規制をふやしていくわけでございますから、海上保安庁にいたしましても取り締まりの強化ということもございましょうし、確認制度の運用ということもございましょうし、それだけに、事務量、業務量がふえるわけでございます。これは人もふえるでしょうし、予算もふえるでしょうし、あるいは船を初めとする機材器具もふやしていかなければ、新たに課した法規制の実効を期することはできないということになっていくのであろうと思います。そこで、官民ともに新しい法的規制によってコストをかけるわけでございますが、そのコストをかけただけ、それに見合うだけの効果、また先ほどのように効果に戻るわけでございますが、効果が期待できるのでなければ国民は納得いたしません。  そこで、今度の法改正については、時間がないので詳しい具体的な例が挙げられなくて残念でございますけれども、新たに法的規制を加えることによる官民のコストとそういうことをやって期待できる効果との間にバランスが成立する性質の問題であるのかどうなのか、その辺についてお伺いしたいと思います。  時間がありませんので、あわせて全部申し上げたいと思います。  今度の法律改正、いや現在の法律そのものが、当然のことでございますが、海に対する関心が非常に強い。そこで、今度の改正によりまして海に投げ捨てられるものが減るだろうと思いますが、減った分は今度は一体どうするのか。陸に置いておくということになると思いますけれども、海に捨てるものを規制するならば、海に捨てられなくなったものを陸でどう処理するかということについての対応する手段を講じておきませんと、陸の方がふん詰まりになる感じがするわけでございます。そういう点で陸と海は一貫しているわけでございまして、しかも、人間は陸に住んでいるのでございまして、海の上を行き来するのはほんの部分にすぎません。そうすると、陸の方が問題だと思うのですけれども、海をきれいにするために海に捨てない、それじゃ海に捨てなかったものは今度は陸ではどう受けとめるのか、その辺について環境庁はどう考えておられるのか、それをお伺い  しておきたいと思います。
  251. 永井浩

    永井(浩)政府委員 最初にお尋ねのございました、この法律施行に際してのコストがどれぐらいかかるかという問題でございますけれども、この条約批准に伴いまして新たに海洋投棄を禁止される物質というのはそうございません。と申しますのは、前回の改正で廃棄物の規制を行いまして、いわば条約の先取りの形で行っておりますので、新たに海洋投棄を規制されますのは銅、亜鉛、弗化物、こういったものについて今後はコンクリート固形化するということを考えておりますが、そういったことについての規制が追加になる。これは確かに相当遠くの海域まで運ぶということでございますので、経費はかかりますが、ただ、件数がそうあるとは考えられませんので、そう大きな費用負担にはならないのじゃないか、このように考えております。  それから、主としてビルジの規制につきまして、小型船に拡張するわけでございますが、これにつきましては、小型船用のこの種の施設が大体百五十万から二百万でございます。それに必要な隻数を掛けますと、大体二十一億ないし二十八億ぐらいの負担になると考えております。  こういった経費増のほかに、海上保安庁としてはこの法実施のために若干の増員をお願いしております。  一方、これに伴って、海を利用するためのいわば社会的費用と申しますか外部不経済が、これはなかなか評価できない問題でございますが、こういったことによって評価できないけれどもかなり大きなプラスになる、このように考えております。
  252. 原健彦

    原説明員 お答えいたします。  従来から廃棄物を最終的に処分するについては、できるだけ海洋投入は避けるという立場で、一般的には海洋投入は禁止する、ごく例外的に海洋投入を認めるという立場でおりました。  そういうことで、実は産業廃棄物一つ取り上げましても、わが国で発生いたします産業廃棄物が全体で二億トン程度あるわけでございます。そのうち従来海洋投入しておりましたものは四百万トンを切るという程度でございました。このうち、今後法律改正されましても従来どおり投棄できるものが大部分でございますので、そういった面では量的には大した問題にはならないのではないかと思います。  たとえば、今回の法律改正というか条約の批准に関連して、直接に問題になるのは水銀の汚泥の投入の禁止でございますが、これは四十九年から五十二年ごろまでは年間四万トンから五万トンほどコンクリート固形化いたしまして投入しておったわけでございますが、通産省等の指導もありまして、現在のところでは五十四年では五百トシというふうにすでに減っております。  そういった面ですでに各企業の方では努力しておりますし、特別には問題はないのではないかと思っております。
  253. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 そろそろ時間が参りましたので締めくくりの質問をさせていただきたいと思います。  最近、エネルギーの問題から、省エネルギーの見地から、ある程度環境基準を下げなければならないというのは世界の趨勢になっているわけでございます。先ほど申しましたように、自然は生き残ったけれども人間は死んだというのでも困るわけでございまして、環境行政は自然の保護と人間の保護との接点にあると私は考えますし、エネルギー事情が変わればその接点も移動するということがあると思いますので、そういう点で、海洋の問題についても余り極端なことを考えるべきではないというふうに当然思うわけでございますけれども、同時に、いまちょっと触れましたように、何かやるにはやはりコストがかかるわけでございます。ことに確認申請書を出すと言いましても、たとえば海上にある船の中で生じた廃棄物を捨てる場合の確認申請なんというのは、実際にはどういう運用になるのか、恐らく無電か何かで連絡して書類審査ということになるでしょうし、海上保安庁の船がそこへ行って一々実態的な検査をしたら、とても事務がふえてたまらないという気がいたしますし、その辺のところ、この法改正をおやりになりましたならば、民間にどれだけの負担を強いるのか、政府はどれだけのコストをかけてどれだけのことをやるのかというのは、やることの生み出す効果というものを頭に置きながら実際的な運用を図っていただきたいということが要望でございます。  いまの時代は、行政改革というかビッグガバメントという問題もございますし、なるべく経費をかけたり、よけいなことというと極端ですが、はっきりした効果の期待できないものは政府としてもやらない方がいいと思いますし、またエフェクティビネスというものの関連性のないような施策は、いまの国民は賢いから受け付けるはずがございません。そういうことが一つございます。  それから、質問の準備でいろいろお伺いしている過程で、海洋については船を持っている海上保安庁ということで、海上保安庁に非常に重点がかかっているように思います。環境庁はちょっと一歩後に下がったような感じを私は受けたのでございます。これは私の個人的感想にすぎなければ幸いでございますけれども……。  それはそれとして、海洋の汚染防止について環境庁、運輸省海上保安庁の間の一体的な協力関係というものにやや問題があるような気がいたします。いろいろな点がございますが、この法律改正、いずれ通ると思いますが、これにつきましてはいまの時代にふさわしいような運用の体制というものを考えていただきたいということをお願いいたしまして、お答えは結構でございますので私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  254. 古屋亨

    古屋委員長 久保三郎君。
  255. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大分質疑も進みまして、私が改めて質問することは余りたくさんないようです。そういうわけで、多少重複しますが、若干お尋ねしたいと思うのです。  一つは、今度の法律改正は、言うならば海洋汚染防止するために海洋への廃棄物あるいは油の投棄を規制するということに尽きるわけでしょうが、いまでもこの間の徳山丸のような不法投棄、あるいは疑いというか、まだ不法投棄と断定できないのかもしれませんけれども、いずれにしても問題がある。それからいままで、そういうものだけじゃなくて、不法投棄そのものが後を絶っていないという事実を考えれば、今度の法律改正によって規制を強化しても、それは単なる規制の強化だけであって、実際にはなかなかその規制が徹底しないのではないかという心配があるわけです。  ついては、単に法律さえ改正すればいいのだ——いままでは三百トン未満はビルジの方は野放しだが、今度は百トン未満までにしましょう、一つの拡大であります。そうすればそれだけの効果があるのかどうかというのは、あるだろうと思いますけれども、徳山丸の事件を例にとっても、どうも大きい船の方が不法投棄は多いのじゃないかと思うのです。  これは海上保安庁に聞いた方がいいと思うのですが、長官、いままで不法投棄したもののうち、いわゆる小型の船の方が多いのか、大きい船の方が多いのかどちらですか。  それからもう一つは、あなたたちが投棄する海域を決めておりますね。そういう海域について、言うならば現場を見たというか、現場を調査したためしがたくさんあるのですか、あるいは常時、日常の業務としてそういうものについて監視をしているのかどうか。
  256. 真島健

    真島政府委員 ただいまの不法投棄と申しますか、海洋汚染防止法違反の事例の中で船形、大型、小型どうなるか、ちょっといま資料を整えますのでそれまでお待ちいただきますが、徳山丸のようなこの種の事犯、これは私どもなかなか端緒をつかみがたいこともございまして、いままでそれほど例はございません。過去数年の間に四、五件、同じようなスラッジの不法投棄二件、さらにバラスト水の不法排出等二件ぐらいの検挙をいたしておりますけれども、私ども、そういう当該の船がたとえばある港を出てクリーニング海域から作業を終わってさらにほかの港へ入ってくるのをずっと追跡するというやり方は余りとっておりません。スラッジの不法投棄というようなことになりますと、現場確認というのは船に乗っていない限りなかなかむずかしいわけでございますけれどもタンククリーニング海域を重点的に航空機、巡視船艇で監視をする、そのほかに陸上で、スラッジその他揚げてくるわけでございます、これは実は事後のあれになってしまうわけでございますけれども、その辺の状況調査しながら容疑船を割り出していく。たまたまマイティ・トレーダー号という事件の場合には、残念ながらすでに不法投棄が終わった後でございましたけれども、ある意味では幸いなことに、投棄したものが海岸に潮のかげんで流れ着いたというようなことがございまして、検挙が可能になったわけでございますけれども、一般的には、普通のと申しますか陸上での情報入手、船艇、航空機による虞犯と思われる海域の巡視警戒、こういうやり方でやっております。
  257. 野呂隆

    ○野呂説明員 大きさにつきましてトン数別の内容を申し上げます。  一番多いのが二十トンから二百トンでございまして、五十四年について申し上げますと三百十九隻となっております。次に二百トンから五百トン、五百トンから三千トン、三千トンから一万トン、一万トン以上というふうに分かれておりますが、これは大体百隻から百二十隻の間でございます。最も少ないのが二十トン未満で、三十八隻となっております。  またタンカーについて申し上げますと、五十四年につきまして一番多いのが二十トンから二百トンでございまして四十一隻、それからその次は一万トン以上のタンカーで三十一隻、こういうふうになっております。
  258. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまの数字は隻数の数字でありますから、不法投棄の量からいけば大きい船の方が多いですな。そうですね。そういうものを前提にして考えると、小さい船だからいいというわけじゃありませんけれども、小さい船はおおむね陸岸に近い方向を走っている内航船が多いだろうと思うのですね。だから海上保安庁のそういう監視の目に触れる場合も非常に多いので検挙した数が多いのかもしれませんね。大きい船は外洋へ出ていくという関係もあるので捕捉しがたい、こういうふうに見ていいと思うのです。  ついては、法改正に直接関係なくても、そういう不法投棄についての取り締まりを強化することがねらいだとするならば、改めてそういう傾向に合った警戒体制というか指導体制というか、そういうものを考えていかなければならぬだろうと思うわけであります。新たな考えありますか。
  259. 真島健

    真島政府委員 私ども、先ほど申し上げましたようなやり方で汚染防止法違反全般について体制をとってまいったわけでございますけれども、今回徳山丸事件のような事件が起こりました。確かに私ども、この取り締まりのやり方、体制等を一度見直す必要があるのではないか、このように考えております。  その一つは、基本的にはまず情報収集でございます。それとともに、私ども勉強いたしまして、たとえばスラッジ等につきまして申し上げますれば、大型タンカーがよけい出すわけでございます。大型のタンカー、これは日本船については当然相当のデータがあるわけでございますし、当該の船を使っておる会社におきましては、自分の船が一年に通常一回くらい入渠してスラッジを出すというときに普通どのくらいこの船なら出るという情報があるのではないか、そのように思います。これはある意味会社側がなかなかしゃべらないかもしれませんけれども、私ども何らかの情報収集と申しますか勉強も兼ねまして、そういうデータをまず積み重ねるということと、今度は陸上で、スラッジを実際に揚げて処理業者処理させるわけでございますから、その関連のつかみ方といったようなものについて勉強して一つのマニュアル的なものをつくってまいりたい。そのほかに、当然のことでありますけれども、私どもが監視をしておるという状況が、たとえ直接検挙につながりませんでも、ある意味では抑止効果になるであろう。私どもができるだけ密にタンククリーニング海域  これは情報でいつどの船がどこらに行くだろうということはわかりますので、でき得る限りそういう海域での監視を強めていく、こんなようなことをこれから部内で検討して実施をしてみたらどうだろう、このように考えております。
  260. 久保三郎

    ○久保(三)委員 素人でよくわかりませんけれども、スラッジを出すときというのはどういうときにやるのですか。船舶局長、あなたのお話のようにドックに入ったときにおおむねやるのですか、それからもう一つビルジはタンクをクリーニングしたときに出すのが原則ですか。
  261. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 一般的に船におきます油分もしくは油の処理考えますと、ビルジそのものは小さい船、大きい船ともにエンジンルーム等から出てまいるわけでございます。これはビルジだめ、もしくはスロップタンクに入れて、スロップタンクの中で水と一緒にまじったものが水と油がだんだん分離して、下の方は排出基準に従って五十海里以上なら出せる、上に残ったのが非常に油分の濃い廃油になるわけでして、これは陸上の施設で燃やすということになろうかと思います。これが普通のビルジでございます。  それから、スラッジと申しますのは、タンククリーニングした後で  タンククリーニングしますと、水もしくは油でありますが、水の場合を考えますと、水を油のカーゴタンクに入れてそれで噴射して洗うわけでございますが、その洗った水は同じようにほかのタンクに入れて持っていくかあるいはスロップタンクといいますか、ビルジだけのタンクに入れるかどっちかするわけですが、そこでも同じように油水を長い間かかって分離して薄いものは下から出していく、油分で上にあるものはたまっていく、こうなるわけです。それはあくまでも船からおかに揚げて燃やすなり何かの処分をするわけです。それからスラッジは洗った後でどうしても壁とかあるいは底にこびりつく非常に粘度の高いものがあるわけです。これはスコップなり何なりで人為的に取って、ためて、それは陸上に揚げて処理をする、こういうことでございます。したがってスラッジを揚げるといいますのは、基本的には普通の場合ではなくて、船の定期検査なりあるいは中間検査のときが普通だろうと思います。
  262. 久保三郎

    ○久保(三)委員 港湾局長、あなたの方は、おかの方でのそういう廃棄物の燃焼とか処理、そういうものの施設の監督、それから業者の監督、そういうものをやっているわけですね。そこでお聞きするのですが、いまの船舶局長の御答弁のように、スラッジは港へ入ったときに持ち出して焼いてもらう、あるいは捨てるということなんですが、これはしょっちゅうあることではなさそうにいまお話を聞きましたが、そういうものは定期的に業者が船を持っている船社と契約をしておるのでしょうか。それと同時に、もう一つは、監督の場合は、何船が何月何日何時にどの程度いわゆる焼却を依頼されたとかいうような業者の記録はあるのですか。
  263. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  長期にわたる契約というのは恐らく例がないだろうと思います。一回一回スポット物として受け入れるというのが実情ではないかと思います。  それと記録簿でございますけれども、私ども毎年一回、受け入れた量等の報告を出させておりますけれども、これは集計をしましたものが出てまいりまして、一件一件というものではございません。
  264. 久保三郎

    ○久保(三)委員 これは監督というが、どういう部分を監督するのか、ちょっとはっきりしません。たとえば海洋汚染防止するためにそういう施設をつくらせて、そこでやるというだけの話で、海洋汚染防止するというもっと積極的なこの法律なら法律に基づくような意図はそれはないのですね。
  265. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  積極的ということの意味にもよりますけれども、私ども港湾局の方の立場といたしましては、要するに船舶から出てまいります廃油というものを受け入れられる施設を整備していく。それが今度は廃油処理の過程の中におきまして確実に行われるという範囲のことを中心としてやっているわけでございます。
  266. 久保三郎

    ○久保(三)委員 便宜を供与するための一つの制度であるというふうにしかならないので、積極的に海洋の汚染を防止するための施策というか、それではなさそうに思うので、これもひとつ考えていかなければならないと思うのです。施設がありますからどうぞ御利用くださいというだけの話であって、便所に行こうかと思っても便所がなくては困るので、公衆便所をつくってあげたという程度のものではないかと思うのです。不心得の者は法律を犯して立ちションをするといっても仕方がないということですね。そういうことでは、先ほどの話にもありましたが、運輸省自体の中でもどうもみんな、ばらばらとは言いませんけれども、余り連携が密ではなさそうに思うのです。本来本当に不法投棄なり何なり取り締まって海洋の汚染を防止しようということならば、たとえば船長には、船には航海日誌というのがあるわけですが、その航海日誌に、どこでビルジを出したとか、どこでスラッジを処分したとかいうことが書いてあるはずだと思うけれども、そういうものは書く義務はないのでしょうかね。
  267. 永井浩

    永井(浩)政府委員 船舶におきます油の取り扱いにつきましては、油濁防止管理者というのを一定の船には乗り込ませることを義務づけております。これはおおむね一等航海士がこれに当たっております。さらにその油濁防止管理者の業務の内容規定いたしますために油濁防止規程というのを策定するように義務づけております。また油の作業につきましてはそれぞれの作業内容を記録するように油記録簿というものを設置し記録を義務づけております。
  268. 久保三郎

    ○久保(三)委員 まだいま取り調べ中ですから何とも言えないのでしょうが、話に聞くと、徳山丸の問題でいわゆるその一等航海士なる者は業者に任せてあるので、どこへ捨てたかわからないと言っているというような話も聞いているわけなんでありまして、その責任者というのは、記録簿がある、記録簿があるというのはただ単に何月何日に処分したというだけで、処分方法その他も、細かい話ですがきちんと書くことになっているのかどうか。書いてあるとするならばはっきりしていると思うのですね。ところがいままでの話によればその辺がはっきりしない。その辺どうなんですか、細かい話で恐縮だが……。
  269. 野呂隆

    ○野呂説明員 お答えいたします。  詳細に書くようになっております。油濁防止管理者船長を補佐しまして船舶からの油の不適正な排出の防止に関する業務の管理を行っておりまして、ビルジの排出、それからスラッジの陸揚げ、その他タンククリーニング等は同記録簿に記載することになっております。徳山丸の場合はこの記載がございませんでした。
  270. 久保三郎

    ○久保(三)委員 記載がなければ直ちに、これは何というか強制的な権力の発動もしてその後の取り調べに入るのが順序なんだが、船に乗っけてどこかまでやって途中からおりろ、こういう話をしたのでしょう。何かどうも形式的なことばかり整えておいて実質的なことはちょっと抜けておるんじゃないかという感じがするので私は細かい質問をしているわけだ。だからどんなに法律や規則を決めてみても、さっき言ったように連携もなしと言ったら語弊があるが、つけていますか、つけています、たまたま調べてみたらつけていない、けしからぬというだけの話ではわれわれとしては法律をつくる立場からいって生きた運用がなされていないように思うのであります。  それからその点でいままで御質問申し上げたのですが、時間もあれですからそういう点についてひとつこれは大臣、よろしゅうございますか、お尋ねしていいですか。いずれにしても私はそういうふうな感じがしている。事運輸省だけ見ても、保安庁それから船員局それから官房もあるのですね。それから船舶港湾、それぞれいろいろこの問題だけでも権限を分割されているわけですね。これを有機的に運用するということがかなり欠けているんじゃないかという感じがするのですよ。だからこの際法律改正することも一つでありますが、有機的に動かせる体制をつくるために一遍御検討いただいたらどうかというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  271. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 せっかく法案を改正成立いたしましてもその実効が上がらなければ何にもなりませんので、この際十分体制検討してまいりたいと考えております。
  272. 久保三郎

    ○久保(三)委員 次に行きましょう。  次は、環境庁の局長さんいらっしゃいますね。——わさわざお出ましいただいたのは、課長でもいいんじゃないかという話をきのうしつこく政府委員室の皆さんから私要求されました。いや大臣というか長官来てもらいたいんだ。別に大した質問するわけじゃないのですが、先ほど前の同僚の方からもお話があったように、環境庁と海上保安庁というかそういう関係があるんだが、どうも環境庁は一歩後ろの方に従っているような感じですよ。私もそういうふうにとれる。ところが環境保全というかそういう責任はまさに環境庁長官にあるわけなんです。しかもこの法律改正するというさなかに、質問に対する答弁だけならば課長でまずいなんということはないですよ、だけれども、その受けとめ方がどうも違うんじゃないかということで、せめて局長さんいらっしゃいということでおいでをいただいたわけなんです。おわかりいただきたいと思うのです。この忙しいのに何でぼくが行かなきゃならないのかなんという考えがあったとすればこれはとんでもない話でありますから。まあ前置きはそれぐらいにしまして……。  あなたの方は海のごみ捨て場を指定しますね。このごみ捨て場を指定はしたが、そのA海域、B海域、C海域は五十海里以上のところですが、どの程度どういう物質がこれまで捨てられているんですか。それはおたくで把握しているんですか。
  273. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 お答え申し上げる前に、先生からおしかりを受けたわけでございますけれども、出席の御要求があった場合には出るのが当然でございますので、そのように心がけておるわけでございます。  ただいま海域の問題でお尋ねがあったわけでございますが、A海域、B海域、C海域を指定いたしまして、それぞれ廃棄物の種類ごとに場所を決めておるわけでございますが、それの投入量につきましては私ども海上保安庁調査をいただいているわけでございます。
  274. 久保三郎

    ○久保(三)委員 海域を指定する場合はおたくですね。それはどういうものを基準にしてやっているんですか。  それからもう一つ。指定してから時間が多少たっております。だから、A海域なんというのは深いところでやっているのか知りませんけれども、大体どの程度たまったかわからぬではちょっと困るだろうと思うのです。だから、海域を指定したが、後のいわゆる点検というかチェックはあなたの方がするんですか、海上保安庁長官の方のいわゆる責任でやるのか、どっちでやるんです。
  275. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 海域の指定の考え方でございますが、まず基本的な考え方を申し上げますと、極力海洋投入は避けるということが基本でございますが、そこで海洋に還元することができます廃棄物につきましては、水産動植物の生育環境としての非常に重要な沿岸海域に影響を与えることがないように配慮をしながら、海洋還元を促進するために海流の状況等を考慮いたしまして、廃棄物が拡散されやすい海域に、また拡散されやすい方法で排出をするという考え方をとっておるわけでございます。C海域等がそういうような形でございます。  それから、その他の廃棄物で有害物質を含んだものを固形化した、コンクリート化したものとか、その他の金属くずとか、燃えがら等につきまして、やむを得ず海底を処分場所として使用する、こういう考え方の場合には、水産動植物の生育環境なりあるいは漁業に影響がないということ、海底ケーブルが敷設されていないこと、あるいは沈降する過程で散乱をしにくいというようなことを満たすような海域にいたしておりまして、この場合には今後のモニタリングの必要性から限定した海域というようにいたしておるわけでございます。  なお、その海域につきましてどの程度の量があるかという数字をいま持っておりませんが、海上保安庁の方で調査をされることになっておるわけでございます。
  276. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そうしますと、海域の指定は環境庁で決めるわけですね。それで後の管理は、管理と言ったらおかしいが、これは保安庁長官の方でやるんですか。
  277. 真島健

    真島政府委員 海洋投入してよろしいというものが廃棄物清掃関係法律の方で決まってまいります。それから捨てていい海域環境庁の方のいろいろな基準から決まってまいります。私どもがやっておりますことは、法令の規定によって海洋投棄を許されたものが確実に規定方法で所定の海域に捨てられるかどうか、これをチェックをしておるわけでございますが、しかし私どもには水路部というものもございます。したがいまして、これは法律上私どものやるべきことであるかどうかという点については若干議論のあるところかと思いますけれども、いわゆるA、B、Cの海域につきまして、あるいはこれは別途内海の湾その他いろいろのところにおきまして、油、PCB、水銀、カドミウム、クロムといったような関係物質についての調査をやっております。これは五十年ごろからある程度国際的な基準に基づいて汚染度の調査ということでやっておりまして、私どもの感じといたしましては、現在の状況ではこれが一番信用できるのではないだろうか。私どもはこの汚染度の調査状況を見ながら、仮に変化が相当出てくるというようなことになりますれば、関係のところと御相談しながら今後どうするかというようなことをまた決めていただく、こういうことにしたらどうか、こんなような感じで調査をやっておる次第でございます。
  278. 久保三郎

    ○久保(三)委員 結論的にいまのお話を申し上げますれば、いわゆる環境庁で決めた投棄の海域の管理は保安庁長官が自国船についてはやっておるということですね。外国の船は別ですからね。そういう意味ですか。
  279. 真島健

    真島政府委員 海域の管理というとなんでございますけれども、その当該の海域に廃棄物を捨てに行く船舶についてのチェックということは私どもがやっておるということでございます。
  280. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それはどういうふうにしてチェックするのですか。
  281. 真島健

    真島政府委員 非常に少量の廃棄物投棄の場合を除きまして、私どもでは廃棄物を海洋に投入する船舶について登録制度を施行いたしまして、登録をさせております。そこで、そういう廃棄物を捨てる船の一つの設備といたしまして、自動航行記録装置というものを設置させております。私、技術的に正確に説明はできませんけれども、この自動航行記録装置はロランあるいはデッカのチャートと走行距離とが連動いたしまして、どの海域までどの地点にどういうふうに動いたかということが記録されるようになっておる装置でございます。その装置を後で調べますと、大体どの海域をどういうふうに走っていって、どこでどのくらいとまっておったかというようなことが大体推定できるわけでございまして、そういうやり方で遠隔の海域に捨てに行く船についてはチェックを行っておるわけでございます。
  282. 久保三郎

    ○久保(三)委員 その船を持っている業者、そういうものを業とする者の監督はどこでやっておるのですか。
  283. 永井浩

    永井(浩)政府委員 事業者としての監督ではございませんが、船舶を廃棄物の排出に常用しようとする、そういう船につきましては海上保安庁長官の登録を受けなければならないことに法律上なっております。
  284. 久保三郎

    ○久保(三)委員 保安庁長官、登録した船についてどんな監督をしておるのです。
  285. 真島健

    真島政府委員 登録をいたします船につきましては、申請書が出てきて、そこで所定の要件があれば登録をいたすわけでございますけれども、この登録をした船につきましては、立入検査その他をときどきやりまして、監督をしておるわけでございます。
  286. 久保三郎

    ○久保(三)委員 登録をしないでそういうものを運搬し、指定の海域に投棄したらどういうことになります。
  287. 真島健

    真島政府委員 ごく少量の投棄物の場合には、これは登録を必要としないことになっております。
  288. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いや、登録をしないで大量のものをやったらどうなのかと聞いているのですよ。少量のものはいいです。
  289. 野呂隆

    ○野呂説明員 五トン以上の船舶が登録せずにこの業をやったときには、海洋汚染防止法違反として検挙いたします。
  290. 久保三郎

    ○久保(三)委員 これは船の登録だけであって、業の登録ではないのですね。おかしいと思わないですか。業の登録は環境庁長官がやることじゃないかな。そうでしょう。環境庁は登録してあるのですか。
  291. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 環境庁につきましては、環境庁設置法なりその他の法令によりまして、海洋汚染防止法の中におきます陸上で発生をいたします廃棄物につきまして、海洋投入の場合の排出方法と排出基準、それから排出の海域を決める、基準を決めるというのが環境庁の任務でございます。
  292. 久保三郎

    ○久保(三)委員 船の登録ということは業の登録になりますか。
  293. 永井浩

    永井(浩)政府委員 船舶の登録でございまして事業の登録ではございませんが、ただ登録の際に必要なチェックをするわけでございまして、たとえば船舶の廃棄物の積み込み、排出について必要な設備、構造を有するかどうかといったようなことをチェックするわけでございます。さらにこの登録を受けた船が廃棄物を運搬する場合には、廃棄物処理記録簿というものを備えつけさせまして、必要な事項をこの記録簿へ記載させるというようなことで、単に登録ということだけではなくそういったチェックも行っておるわけでございます。
  294. 久保三郎

    ○久保(三)委員 よくわかりませんね。手前どもの感覚では、業態はやはりはっきり把握しておくことが必要だし、それに使う船は船でやはりきちんと登録なり何なりして厳重にやらなければ、船さえ完全なら何やってもいい——何やってもいいということはないでしょうが、やれるということは、いまのその他のものと比べてどうも不十分のように思う。     〔委員長退席佐藤(守)委員長代理着席〕  環境庁というのは、たとえば基準を決めたりごみ捨ての場所を決めたりすることだけが環境庁の仕事なんですか。
  295. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 ただいまお答え申し上げましたのは、海洋汚染防止法の中の環境庁の権限を申しあげたわけでございまして、環境庁の一般的な責務といたしましては、公共用水域におきます水質の保全を図ることが当然あるわけでございまして、そのために私ども環境基準を設定いたしまして、各海域ごとに環境基準地点等におきまして水質検査をいたし、適合しているかどうかの判定をする。あるいはまた、海洋におきます重金属の存在状態等につきましての調査をいたしておるわけでございます。
  296. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間もありませんから先にいきましょう。しかし、ずいぶん徹底しない制度ですね。  そこで、この法律で言う海洋汚染防止というのは海の水を汚染しないようにすることですか、あるいは条約で言う海洋汚染というのは海の水のことでありますか。
  297. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 私どもの立場ではそういうことからとらえております。
  298. 久保三郎

    ○久保(三)委員 海は無限に深いわけじゃなくて底があるのですね。いわゆる海底汚染というのは海洋汚染の中に入らないのですか。
  299. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 大変むずかしいあれでございますけれども、一般的に水質に影響を及ぼすような海底の汚染といいますか底質の問題等につきましては、私どももいろいろ、特に内海、内湾等におきましては県等を通じまして調査もいたしておるような状況でございます。したがいまして、それが水質に影響をいたすというようなことであれば当然関係が出てくるというふうに考えられるわけでございます。
  300. 久保三郎

    ○久保(三)委員 ごく初歩的な例ですが、たとえばPCBは比重は軽いんですか、それとも重くて水に流した場合には下に沈でんしますか。どっちです。
  301. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 PCBは海洋投入を禁止しております。
  302. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いや、水に入れたらば浮かぶのか沈でんするのか、どっちですかと聞いているのです。
  303. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 私どもPCBその他有害物質洋上焼却の施設を検査する立場でつかんでおりますが、比重そのものは一・五から大きいもので一・八ぐらいですから、浮かべればそのものとしては沈むと思います。
  304. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そこでPCBの話をしているのです。あなたは、投棄は禁止していますということなんだな。投棄は禁止しているが、流れて下に沈んでいる、それを魚が食べた、その魚を人間が食べて死んでいったという事故があったでしょう。だから、海洋汚染防止というのは海底まで含めてきれいにしなくちゃいけないというのか、それとも水だけの話をしているのかということで聞いているのですよ。わかりますか。
  305. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 一般的には海底も入ろうかと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  PCBにつきましては投棄をしたのではなくて、PCBを使用しております工場等の工場排水等から排水をされたということで、それが底質にたまっておりまして、いろいろ問題を起こしたことがあるわけでございますが、それにつきまして私どもは、四十八年にPCBの問題がいろいろ出まして、それ以降底質におきますPCBの存在状況等について調査をいたし、問題のあるところはしゅんせつその他によりましてPCBの除去の事業を行っているわけでございます。
  306. 久保三郎

    ○久保(三)委員 だから尋ねたんですよ。禁止はしているけれども流れ出た、流してしまったというときには、さっきの話もありましたように取り締まりということになるのでしょう。それは海洋汚染ではなくて、海底も含めた海洋汚染防止法という法律でも取り締まれるのじゃないか、こういうふうに私は考える。後で研究してください。  それからもう一つあなたに聞きますが、この条約の第四条第一項の(a)「附属書Iに掲げる廃棄物その他の物の投棄は、禁止する。」こう書いてある。この附属書Iに書いてあるもの以外に、これから投棄を禁止するものが予想されるかされないか、これで終わりかどうか、それを聞きたい。
  307. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 附属書Iに掲げております物質につきましては禁止いたしておりますので、これ以降このほかに新たに禁止するものはないと思います。
  308. 久保三郎

    ○久保(三)委員 わかりました。  そこで、低レベルの放射能を含んだ廃棄物、こういうものについては今度の法律改正で特別な許可というか確認というか、そういうものが出れば捨ててもいい、こういうことになるわけですね、永井議官
  309. 永井浩

    永井(浩)政府委員 放射性物質につきましては別の法体系で処理いたします。したがって、この海洋汚染防止法では直接に触れていないわけでございますが、所要の炉規制法等の改正を行なって禁止または確認制度を創設すると聞いております。
  310. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それだけじゃなくて、いま審議中のこの法律に基づく確認というか、そういうものは関係ないのですか。
  311. 永井浩

    永井(浩)政府委員 この御審議いただいております法律改正の中の確認制度というのは放射性物質を除いた残りの廃棄物でございます。
  312. 久保三郎

    ○久保(三)委員 環境庁に聞きますが、もしもというか万が一と言った方がいいのかもしれませんけれども、よその方で審議しているからよくわかりませんが、いまのこの条約に関連して低レベルの放射性物質を含んだものを海洋投棄をする場合、どこへ捨てます。それはもう大体内定しているんですか。
  313. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 放射性物質につきましては環境庁の権限から外れておりまして、科学技術庁の方でやっておるわけでございます。
  314. 久保三郎

    ○久保(三)委員 局長、あなたおかしいと思わないの。この法律によるところのA海域とかB海域とかC海域はあなたのところで決めるわけだよ、捨て場所を。何で放射能の問題だけ科学技術庁で決めなければならぬのか、これはどういう理由だかわかりますか。
  315. 馬場道夫

    ○馬場政府委員 環境庁で所掌しておりますものは、先ほど申し上げましたA海域、B海域、C海域の問題でございますけれども、いわゆる産業廃棄物なり一般廃棄物の有害物質なりその他の廃棄物ということでございまして、放射性物質につきましては科学技術庁の設置法にもございますし、あるいは私どもの方の公害対策基本法その他の法律で除かれておりまして、先ほど申し上げましたA海域、B海域、C海域海域と放射性物質の廃棄の海域とは全く関係がないというように考えているわけでございます。
  316. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それじゃ科学技術庁、どこへ捨てますか。
  317. 穂波穰

    ○穂波説明員 お答えいたします。  私どもがただいま計画しております試験的海洋投棄、これは昭和五十六年の春を目標にして計画しておりますが、一応四つの海域を選定いたしておりまして、まだ明確にどの海域に投棄するという計画は固まっておりません。  四つの海域はA、B、C、Dと名づけておりまして、A海域は、北緯二十六度、東経百五十度、これは大体東京の東南約千四百五十キロメーターのところでございます。B海域と申しますのは、北緯三十度、東経百四十七度のところでございまして、東京からいいますと南東約九百キロメーターのところでございます。三番目の海域でございますが、これは北緯三十度、東経百六十度、これは日本から東南東約二千キロメーターのところでございます。四番目の海域が北緯三十六度、東経百五十八度のところでございまして、これが東京から東約千七百キロメーターでございます。
  318. 久保三郎

    ○久保(三)委員 保安庁長官に聞きますが、これが指定されれば、あなたの方でやはりこれは見て回るのですか。それとも科学技術庁で見て回ることになるのですか。どっちです。
  319. 穂波穰

    ○穂波説明員 この低レベル放射性廃棄物の海洋投棄に関しましては、この海域の指定及びその後の確認調査等は国が責任を持つと申しておりますが、これは科学技術庁が主体でやることになっております。
  320. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そうしますと、この法律がそのまま成立すれば、いまのお話のように、A、B、C、Dの海域を指定する、その指定は国際的に合意に達するものになるわけですか。  それからもう一つ。いまの御説明では、廃棄物を持っていく、そして投棄していくというものは、あなたの方の監督下においてこれをやらせるということですか。
  321. 穂波穰

    ○穂波説明員 お答えいたします。  第一の点の、国際的に認知されるかというような点でございますが、私ども今国会に原子力規制法の改正もお願いしております。また、ロンドン条約という海洋への投棄を禁止する条約もお願いしておりますが、まず私どもは、ロンドン条約を一応批准することの承認を今国会にお願いしている次第でございます。私どもは、海洋投棄をする際にはOECD、経済協力開発機構でございますが、このNEAの原子力機関の中に海洋投棄多国間協議監視機構というのがございます。これに入りましてから投棄をしようとしているわけでございます。このNEAの海洋投棄多国間協議監視機構に入りますと、新しい海域につきましては、一年前に通告しなければいけません。OECD・NEAの専門家会議によりまして、その海域の妥当性等が評価されることになっております。もちろんこの評価の結果等は参加国、沿岸諸国、関係諸国に送られることになっております。そういう意味で、国際的な評価も受けてから投棄する、こういうことにしております。  二番目の確認の事項でございますが、私ども計画といたしましては、投棄物の比重だとか、放射能濃度だとか、固化体の健全性だとか、これは国の職員によって確認事務を行うことにしております。なお、実際の投棄に当たりましては、国の職員を、現地といいますか船に乗せまして出すほか、先ほど申し上げましたOECDの多国間監視機構に入りますと、OECDの方からスーパーバイザーと申しますか、エスコーティング・オフィサーと普通言っておりますけれども、監視人と言ったらよろしいのでございましょうか、その人間が必ず投棄船に乗って、その投棄海域及び投棄の方法等を確認することになっております。
  322. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間がありませんので、もう二つほどお聞きします。  一つは、廃油ボールの漂着が一時よりは少ないという保安庁の報告でありますが、私は、少なくなっているかどうかはっきりわかりませんけれども、一つは調べ方によって違うのじゃないかというふうに思う。いずれにしましても、廃油ボールは依然として日本のそれぞれの海岸に漂着していろいろな問題を起こしているわけです。廃油ボールの原因は何かというと、大体が南シナ海あたりでタンカーが洗浄して、その洗浄水を南シナ海で流す。この流れたものが黒潮に乗って北上してくる、それが廃油ボールの漂着である。こういうふうな説明を従来からしているのですが、あるいはそうかもしれません。それからもう一つは、タンカーの洗浄であります。これは場所を指定していないようでありますが、少なくともそういうものは——なるほどビルジの規制もしております、おりますが、果たして的確にそのとおりになっているのかどうかという問題は、私は大変疑問があると思うのですね。希釈して一〇〇PPmですか、よく知りませんが、そういうふうにならなければ出ていかない装置というものは恐らくないのじゃないか。人間の目で見て、大体これはそれ以下だなというので、航行中なら、いいからたれ流していこう、一つはこういうことであると思うのです。少なくともこれは国際的な問題にもなると思うのでありますが、日本の国は四面海に囲まれているのでありますから、海洋の汚染ばかりでなくて、陸地の汚染が問題になっているわけなんで、そういうタンカーのクリーニングをする場所をわが沿海の周辺において規制するというか、あるいは指定する、そういう工夫を考えたことはないのですか。もうこれはどこでもいいから適当にやってもらおうじゃないかということになっているのですか。いかがです。  もう一つ。廃棄物の中で、通常の船の生活あるいは航空機の生活、そういうものから出る廃棄物は出してもいいわけですね。ところが、船にしても最近のように大型のカーフェリーというようなことになると、これは定員いっぱい入ると何百人か乗るわけですね。そういうものの生活から出る廃棄物というのは、これはかなりの量になると思うのです。廃棄物を出すなといっても出るのでありますが、この処理について、海洋汚染というか湾内、港湾の清浄というか、そういう問題から、やはり新たな工夫をすべきだと思うのだが、これについてはどういうふうに考えておりますか。以上二つ。
  323. 真島健

    真島政府委員 廃油ボールその他の関連で御指摘がございました、タンカーのクリーニング海域というものを何か特に工夫して考えてみたことがあるかということでございますが、私ども実は不勉強で、これは考えてみたことはまだございません。
  324. 永井浩

    永井(浩)政府委員 御指摘の、人がたくさん乗っております船についての廃棄物の取り扱いでございますけれども、一般的には、御説明のありましたように、日常生活に伴い生ずるゴミ等は廃棄禁止の例外にしております。ただ、搭載人員が政令で定める人員以上である船のものにつきましては、所定の排出海域、排出方法規制を行っています。この搭載人員は現在せいぜい百名以上となっております。
  325. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間ですが、真島長官、いまのお話は、不勉強で研究したことはない、考えたことはないという意味ですか。質問は考えたらどうですかという意味なんです。考える余地、そんなのは素人の考えで必要ないという意味なんですか、いまのお答えは。
  326. 真島健

    真島政府委員 それはそうではございませんで、私ども実は廃油ボールに関連いたしましても、あの辺での日本船も外国船もあると思いますけれども、タンカーが恐らくある程度の油を流しておるのではないだろうか。湾内その他もちろんそういうところでのタンククリーニングについての規制というものはやりますし、五十海里という汚染防止ゾーン、この内側でのクリーニングといったような漏油を伴うような作業というものについても規制をしておりますけれども、では具体的に五十海里の外側でどの程度、どこに、どういうふうにということを、なかなかうまい名案が考えつかないという意味でございます。
  327. 久保三郎

    ○久保(三)委員 私は五十海里以上の外でやれ、内へ来てやっちゃいけないと言うのではなくて、一定の場所を指定して、そこには廃油処理の施設を置く。だから、やるのなら一つの港湾の中でやれと言うのです。そういうことで費用はたくさんかかると思うのでありますが、やるのならやはりそういう方法以外にはない。外洋で適当にひとつクリーニングしてやれということになると、これは五十海里であるか三十海里であるかわからぬけれども適当な場所になってしまうということなんで、そういう意味のことを考えてみたらどうだろうかというふうに思うのですが、いずれにしても、先ほど申し上げたように、体制を整えることが先のようですね。そうでないと、法律をたくさんつくっても実効が上がらぬし、依然として油はたれ流しということにもならざるを得ないと思うのです。  そういうことを要望して、終わります。
  328. 古屋亨

    古屋委員長 これにて本案に対する質疑は終了しました。  次回は、来る四月一日午前十時理事会、午前十時半委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会