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1980-03-07 第91回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月七日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 古屋  亨君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 守良君    理事 関谷 勝嗣君 理事 保岡 興治君    理事 田畑政一郎君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 三浦  久君    理事 青山  丘君       相沢 英之君    江藤 隆美君       北川 石松君    三枝 三郎君       浜野  剛君    三原 朝雄君       水野  清君    山村新治郎君       久保 三郎君    斉藤 正男君       新盛 辰雄君    関  晴正君       石田幸四郎君    草野  威君       薮仲 義彦君    四ツ谷光子君       岡田 正勝君    永江 一仁君       渡部 正郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局審議官  戸田 博愛君         運輸大臣官房長 杉浦 喬也君         運輸大臣官房総         務審議官    永井  浩君         運輸大臣官房観         光部長     上田  浩君         運輸省海運局長 妹尾 弘人君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松本  操君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      森下 忠幸君         外務省国際連合         局外務参事官  中村 泰三君         大蔵省主計局主         計官      尾崎  護君         文部省初等中等         教育局中学校教         育課長     垂木 祐三君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道副         総裁      馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         日本国有鉄道常         務理事     加賀山朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     繩田 國武君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   新盛 辰雄君     大原  亨君   田畑政一郎君     八木  昇君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     新盛 辰雄君   八木  昇君     田畑政一郎君 同月七日  辞任         補欠選任   正木 良明君     西中  清君   永江 一仁君     岡田 正勝君 同日  辞任         補欠選任   岡田 正勝君     永江 一仁君 同日  理事西中清君二月二十二日委員辞任につき、そ  の補欠として西中清君が理事に当選した。 同日  理事田畑政一郎君同月六日委員辞任につき、そ  の補欠として田畑政一郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関  する件等運輸行政基本施策)      ————◇—————
  2. 古屋亨

    古屋委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関谷勝嗣君
  3. 関谷勝嗣

    関谷委員 大臣にまずお伺いをいたしたいと思うわけでございますが、今回の通常会所信表明を聞かしていただきまして、昨年の所信表明というものもまた改めて見てみたわけでございますが、前回の場合は、公共輸送の重視ということが基本考えであったようでございます。今回は、大臣が述べていらっしゃいますように、石油が異常なる高騰を始めたということでございますから、エネルギー制約下における運輸行政をどのように進めていくか。省エネルギーというものを頭の中に入れて運輸行政をやっていかなければならないと思うわけでございます。ただ、特に感じますのは、そういう省エネルギーというようなことを基本にいたしますと、どうしても今度は安全性運輸国民の足であるわけでございますが、その基本姿勢としての安全性というのは決して忘れてはならないことでございますが、安全性を十分に確保した上でのエネルギー節約下における運輸行政をどのように進めていこうと大臣考えていらっしゃるか、詳しく御報告をいただきたいと思います。
  4. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 おっしゃるとおりに、省エネルギー考えまして、今後の交通体制をやっていかなければならないわけでございます。この交通省エネルギー体制からいきまして、交通機関自体エネルギー効率効果を向上させるなど検討し、さらに大量輸送を行うことのできます鉄道あるいは自動車バス、このようなところへ転換を図るように促進をしてまいりたいと存じます。また、安全対策には十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  5. 関谷勝嗣

    関谷委員 省エネルギーということを運輸面において考えましたときには、技術開発ということが大きな問題として出てくると思うわけでございますが、各局長にそれぞれお伺いいたしたいと思いますが、鉄道にいたしますと、これはもう電力というものは避けがたい。船にいたしますと、これは重油がなければ動かない。航空はもちろんケロシン、これもまた油であるわけでございますが、そういうように、運輸行政の上から考えてみますと、現在使っておるそれぞれのエネルギーというものをほかのものに転換するということはまず不可能であろうと思うのです。今度は、技術開発といいましても、陸、海、空、もうこれ以上の極端にそれぞれのエネルギーを使わなくても済むような技術開発というものも実際には現在進んでいないように思うわけでございますが、それぞれの局長さんは、省エネルギーのもとにおいてどのように考えておるか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 永井浩

    永井(浩)政府委員 最初に総括的にお答え申し上げます。  運輸部門におきます省エネルギー対策といたしましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、一つは、省エネルギー的な交通体系、つまり公共輸送機関中心とした輸送体系を形成していくということが必要でございますが、いま御指摘のように、各交通機関ごとにそれぞれ省エネルギーのための技術開発を進めるということもまた必要だと思っております。  ただ、交通機関につきましては、移動動力源を抱えておるのが大部分でございますので、他の部門エネルギー対策に比べて非常にむずかしい点は確かにございます。それぞれの部門におきましても、私どもいろいろ技術開発あるいは普及に努めておるわけでございますが、たとえば船舶部門におきましては、低回転の大直径プロペラ研究とかあるいはタービン船ジーゼル機関主機換装をやってエネルギー効率を高めるといった例、あるいは自動車部門におきましては、エネルギー使用合理化法に基づきまして、昭和六十年までに平均的に一二・三%の省エネルギー効果を上げるように業界を指導しておるわけでございます。特に航空部門につきましては、これは非常にむずかしい問題でございますが、たとえば現在の航空路を編成し直しまして、短絡的な航空路を設定するというような作業も進めておるわけでございます。  また、代替エネルギーにつきましても同様でございまして、非常にむずかしい分野でございますけれども原子力船の安全な開発とかあるいは石炭の見直し、そういった問題について検討を進めているわけでございます。
  7. 関谷勝嗣

    関谷委員 私がそういうようなことでエネルギーを転換する余地はどうも運輸関係には少ないということをお伺いいたしましたのは、大臣から御答弁いただきましたように、そういうようなことでございますから、今度はそういうようなことが余り大してできないとなると、地方公共輸送などを中心とした交通体系を確立していく。ですから、現在の体系を強化していくということも一つ考え方でありましょうし、そのエネルギー自体では大した効果がないから、今後運輸行政においては、エネルギーそのものではいま以上の省エネルギーというものは余りできない。先ほど答弁されましたように、航空路もまだもっと近い道、短絡的な航空路をつくることができるのではないかと思います。しかし、そのときにはそういうようなことで短絡的につくり過ぎて今度は危険性が増したのではいけないわけでございますから、そのあたりの兼ね合わせが非常にむずかしいと思うわけでございます。ですから、省資源ということを頭に入れて交通体系をもう一度見直す必要があるのではないか。それに対しては運輸省は現在どういう姿勢を持っているかお伺いいたしたいと思います。
  8. 永井浩

    永井(浩)政府委員 交通部門で特にエネルギー消費効率の悪いのはいわゆるマイカーでございます。そういった意味で特に通勤通学等につきましては大量公共輸送機関鉄道とかバスといったエネルギー消費効率のいい交通機関に誘導したいということで、これらの交通機関輸送力整備あるいはこれらの交通機関が乗りやすいというような形で諸般の施策を講じてまいりたい。それによりまして個別交通手段から公共交通機関の方へ誘導していきたい、こういうことで今後の交通施設整備あるいは維持につきましてはその方針でもってやってまいりたい、このように考えております。
  9. 関谷勝嗣

    関谷委員 伺いますところによりますと、そういうようなことで運輸関係は大して省資源的なことには協力はできないと思っているのかどうか知りませんが、通産省計画をいたしております代替エネルギー関係の会合に運輸省が外されておるというようなことを伺うのですが、それはその後どうなっておるでしょうか。
  10. 永井浩

    永井(浩)政府委員 具体的な交通機関動力源としての問題としましては、運輸省も当然参画しあるいは運輸省独自で検討を進めておるわけでございまして、石油にかわる新しいエネルギー研究開発というものについて、基礎的なものについては通産省がおやりになっている、このように御理解いただきたいと思います。
  11. 関谷勝嗣

    関谷委員 省資源考えますと、大量輸送ということが出てくるわけでございまして、大量輸送になりますと何といいましても国鉄の問題が出てくるわけでございます。国鉄の問題はまた各論的に、特別措置法委員会に付託されましたときに改めて細かく質問をいたしたいと思うわけでございますが、大きな問題につきまして一、二質問をいたしたいと思うわけでございます。  累積赤字が五十四年度の末にはとうとう六兆円にもなるという状態になりまして、六十年度に三十五万人体制をつくり上げる、そうしてまた、収支均衡も図りたいというわけでございますが、この内容を見てみますと、本当に国鉄再建のもう最後再建案ではなかろうか。今回の法律を成立さすことができて実際にそれだけの効果が出ないということになりますと、もう国鉄再建は不可能なような感じがする最後再建案というふうにわれわれは考えておるわけでございます。そういうような意味もあって、総裁高木さん以外にはもう適格者はいないということで今回また再任になったわけでございますから、それだけの意気込みというもの、総裁がどのように考えておるか。そして後日委員会に付託されます国鉄再建特別措置法、これに対する取り組み方、姿勢というものをお聞かせいただきたいと思います。
  12. 高木文雄

    高木説明員 いま大変大きな赤字を抱えておりますが、その要因はいろいろあると思います。いろいろあると思いますけれども、やはり石油ショック以後、国内の経済状態がいろいろ変わりましたときに、私ども経営の切りかえがおくれておるということが何としても大きな要素であるというふうに考えております。鉄道というのは他の産業に比べまして大変労働集約的産業でございますので、日本賃金水準が上がってまいりました過程において従来から比べますと人件費負担経営全体にとって重圧になってきておるわけでございます。石油ショックから五年余りを経過いたしまして、民間の企業はなべていろいろと減量経営が行われたわけでございまして、これによって新しい形の経営構造に変わっていっていると思いますけれども、私どもはその点の切りかえがおくれた、これまたなかなか切りかえがむずかしいという事情はあるのでございますけれども、とにかくしかし結果としてはおくれたと言わざるを得ないと思っております。そういう意味で、たまたま大量退職者がある時期でございますし、ほかの時期とは違っていわば欠員補充といいますか、新規採用を相当思い切って抑制することをすれば余り大きな摩擦なく減量が可能であると考えておりますので、そういう意味でその点を中心にして経営の改善を図ってまいりたい。ただ、非常に残念なことに、しばしばお願いをいたしておりますように、年金の問題とか退職金問題等いろいろ自分だけでできないフィールドのことがございます。六十年度には何とか単年度収支均衡するように持ってまいる覚悟でおりますけれども、その場合でも年金の問題あり、退職金の問題ありということで、これはいかにも私どもの手には負えない。また、たまたまそのころは東北上越新幹線が当然開業して間もない時期に六十年は当たると思いますが、開業直後にはどうしても東北上越在来線と合わせますと赤字にならざるを得ないということで、六十年に収支均衡するように持ってまいりますと申してはおるものの、同時に六十年というのは非常にぐあいが悪い時期でございまして、そういう意味でいろいろな条件づきで収支均衡させていただくということをお願いをしておるわけでございます。各方面に、利用者皆様にもいろいろ御迷惑をかけるし、国民皆様にも御迷惑をかけるわけでございますが、いずれにいたしましても、私ども自体経営側といわず、働く人といわず、事態を十分認識してみずから締めなければいけないわけでございまして、当面そういう気分を引き締めて仕事をするような空気をつくることにまずまず全力を挙げてまいりたいと思っております。
  13. 関谷勝嗣

    関谷委員 いまのお話を伺いますと、もうはや六十年度というのは非常にまずい時期であるという言葉が出てくるようでございますし、六十年度には三十五万人体制をやる、総裁がおっしゃったように、年金問題にいたしましても、六十年を調べてみますと、年金受給者が四十万人、組合員が三十五万ですからそれで一一四%ということになるわけでございますから、これ一つとってみてもはや無理な状態である、そして、いまおっしゃったように、上越新幹線などができるとまたこれ非常に赤字がふえるのではないかというようなことを、いまこの法律がまだこの委員会に出ない前にそういう答弁をいただいたわけでございまして、はやもう再建は無理ではないかというような気がいささかするわけでございますが、どうですか、もう無理ですか。
  14. 高木文雄

    高木説明員 今回の再建法律前提となっております考え方は、昨年の七月に私どもがつくらしていただきました基本構想案考え方をそのまま大筋においてお認めいただいておるというふうに私どもは理解をいたしております。そういう意味で、基本構想案ではどういうことを考えておったかということを申しますと、幾つかの条件のもとに単年度収支均衡するという状態を六十年度につくり上げたいと考えておるわけでございます。その幾つかの条件というのは、年金の問題とそれから退職金の問題、これはどのように減量経営をしましても、やはり時間の経過とともに相当数の人がやめていかざるを得ないわけでございまして、そしてその諸君には、従来からルール化されておりますところに従って退職金は支払わざるを得ないだろう。まあ、経営状態がこういう状態だからといって、この段階退職金支払いに関するルールを直すというわけにもいかないであろう。また年金についても長い間、額のいかんはともかくといたしまして、職員諸君が掛金を掛けてまいったわけでございますから、これを途中でひどくドラスチックに直してしまうというわけにもいかないであろう。すると、これらの負担現時点におけるお客様に持っていただく、つまりそれを運賃計算の基礎とするということはなかなかむずかしいということを考えてまいりますと、やはりその部分については何らかの形で、財政上の援助とは限りませんけれども、何らかの形で政府全体としてお助けいただくということを前提にせざるを得ないと考えております。  また東北上越新幹線の問題は、これは経過的な問題でございます。長い目で見ましたならば、私どもはそろばんはとれると思っておりますけれども開業直後の段階は、償却なり借入金の負担なりからいいまして、六十年代で東北上越に関する収支均衡は困難だというふうに考えております。そうした条件のもとにおいて、いろいとお助けをいただくという条件のもとにおいて、単年度収支均衡するように、六十年度収支均衡するようにいたします、それがためには相当思い切って三十五万人体制をとることにいたしますというのが基本構想案考え方でございます。でございますから、当時新聞論調等におきましても、名前は再建構想と書いてあるけれども再建不能構想という開き直りの案ではないかという指摘を受けたわけでございますけれども、私どもは、いつまでも何といいますか一種の取りつくろいをもってしてはいけないのであって、現状をそのまま国民の前に明らかにして、ここまではできますがここから先はできませんというふうに申し上げざるを得ないと考えておるわけでございまして、そういう意味では、再建と言うけれども再建を頭からもう放棄しているではないかというただいまの御疑問はごもっともでございます。しかし、現状はそこまで追い込まれておるわけでございますので、これだけのことは私どもはいたしますからどうかお助け願いたい、そういう気持ちの組み合わせでできておるのが、今回の私ども考え方でございます。
  15. 関谷勝嗣

    関谷委員 どうも背筋の寒くなるような御答弁をいただいたわけでございますが、運賃値上げ経過をずっと見てみましても、もう認可制になる前それから認可制以降におきましても、五十三年、五十四年そして今回の五十五年と申請をしておるわけでございますが、国鉄当局におきましても、五十三年は一二・二%旅客でやっておるわけでございます。五十四年度が八%でございますが、今回は四・三%ぐらいで、せいぜい物価の上昇する程度しか運賃値上げもやっていくことができない。確かにこれは無限に上げることができるものでもないと思いますし、ましてや航空運賃あるいは私鉄との関係どもにらみながら運賃を上げていかなければならないわけでございます。かつてのように、運賃値上げしてそれで赤字を少しでも減らしていこうというような考えも、なかなかそうはいかないような時勢でもございます。それから先ほどの年金の問題あるいは退職金の問題あるいは今後の新幹線の問題、そういうようなことを考えましたときには、総裁がおっしゃいましたように、もうこれとこれは国鉄自体ではとても解決できる問題ではないというようなこと、これは総裁のいろいろな談話の中にちらちらとは出て、新聞報道もされておるようでございますが、もうここまで来たのであれば、これとこれは国鉄自体ではどうにもならないということをもう徹底して国民に告げる、そしてそれ以外は国鉄のそういういろいろな努力でやっていくことができるのだというものをもっと明確にやるべきだと思うのでございます。それをあやふやな状態にしておいて再建再建だと言いましても、もうこれで再建にならなければとても再建なんてできっこない、そのぎりぎりの時点まで来ておるわけでございますから、そのあたりをもっとはっきりしたらどうでしょう。総裁いま頭に思いつく問題で、これとこれはとてもやれません、国の方で援助しなければできないということは、何と何がございますか。
  16. 高木文雄

    高木説明員 長期的な観点から考えますと、まず大きな問題が年金の問題でございます。それから六十二年ぐらいまでの問題として非常に困っている問題が、退職金の急増でございます。この退職金の方は六十二年、六十三年ぐらいをピークといたしまして、今度は急激に退職者の数が減ってくるということになりますので、その意味では、六十三年ぐらいから退職金負担というものは感じられなくなってまいりまして、逆に退職金支払い額平均年度よりもむしろ急に減ってくるということになります。その時点では六十二、三年までに急増いたします異常退職金支払い分を取り崩すといいますか、そういう形で処理をしていったらいいんではないかと思います。  そこで、六十年度で一口に退職金の問題と年金の問題があると申しましたが、二つは非常に性格が違うわけでございまして、年金の問題はますますどうにも収拾のしようがなくなるというような形に年度経過とともになってまいりますし、退職金の方の問題は六十二年、三年ぐらいをピークにしてむしろ楽になっていくということでございます。  それから東北上越新幹線の問題は、大体いまのところ開業初年度から十年前後経過いたしませんと、在来線と合わせてバランスがとれるということにならないのではないか。前は東北新幹線につきましては大体五年ぐらい、上越新幹線につきましては十年ぐらいたてばそれぞれバランスがとれると考えておりましたが、最近の他の輸送機関との競争関係から見まして、旅客がふえることは余り期待できませんので、東北上越とも十年前後たちませんと収支がなかなかバランスがとれないのではないかというふうに考えております。  あと残る問題は、かねがね問題となっておりましたいわゆる公共負担の問題でございますけれども、これはいろいろと利用者に大変御迷惑はかけておりますけれども学割り、学生の定期あるいは貨物の三等級物品等につきまして近年少しずつ手直しをさせていただいておりますので、だんだんと残る問題は減ってきておりますが、身体障害者の問題とかそれから学割りについてもまだまだいろいろ問題があります、あるいは貨物についても問題があります、ということで、多少とも問題は残っております。  最後に、やはり大きな問題となっておりますのは地方交通線の問題でございまして、ことし五十五年度におきまして千二百億円弱の補助金をいただくわけでございますけれども、千二百億円弱の補助金をいただきましてもなおかつそれと同額ないしそれ以上の赤字ということになります。これについては今回の法律でいろいろお願いいたすわけでございますけれども、やはりそう際限なく補助金をいただくわけにもいかないのではないかという考え方でございまして、大体いま赤字の半分ぐらいを補助金をいただくようになっておりますが、率直に言ってほぼ限界に来ておるのではないかというふうに考えておりまして、今回の法案の中でもある意味では大変に無理なお願いをする、新しいポリシーを立てるということにいたしておるわけでございます。  なお、以上が主な点でございますが、ほかにも若干問題なしといたしません。これらの点につきましては今後ともいろいろ財政上の援助お願いするということも考えないではありませんが、それらを総括いたしまして、毎年毎年の収支については現時点、五十五年度時点をさらに大幅に上回るような補助金お願いしなくても何とか毎年毎年の収支は償っていくようになし得るのではないかと考えておるわけでございまして、いま申し上げましたような点が私どもでは手の届かないフィールドの問題でございます。
  17. 関谷勝嗣

    関谷委員 あとの細かいことはまた法律案が運輸委員会へ来ましたときにお伺いをいたしたいと思います。  航空局長にお伺いいたしたいのでございますが、今回の航空運賃値上げ、これは五年ぶりでございますが、ほかの公共料金が非常に大きく値上げをされましたし、またされるわけでございます。航空運賃が二三・八%上がったわけでございますが、このときに、五年ぶりだということですぐ値上げを認めたわけではないでしょうが、査定を十分にやっていると思いますが、賃金の上昇率はどのように考え、配当率はどのように考えたのか。そしてまた石油の価格をどれぐらいと考えて査定をしたか、今後の石油値上げを含んでいるのか含んでいないのか。  それからわが党でもこの問題で論議をいたしましたときには、航空会社の職員の給与が非常に高いのではないか、特に乗務員、パイロットを初めそういうメンバーの給与が高過ぎるというようなことがよく言われたわけでございますが、他の企業と比べての実態はどうなんであろうか。もちろん航空運賃値上げの中にはそういう人件費も考えられておるわけでございますから、そのあたりをどのように査定して今回の決定にしたか、御報告をいただきたいと思います。
  18. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  今回の航空運賃の改定に当たりまして、いま先生おっしゃいましたようないろいろな面から査定をしておるわけでございますが、まず第一に燃料の値上がりにつきましては、これは客観的事実としてとらえざるを得ませんので、したがって五十四年度末の時点においてはっきり計算できる額、大体キロ当たり六万六千円程度、これは五十三年度の価格に比べて二・七、八倍になろうかと思いますが、この額をもって燃料費の内訳としたわけでございます。  次に、人件費の問題でございますが、これにつきましてはかねてからいろいろと社会的な議論もあるわけでございますので、この際、運賃を査定していくに当たりましての一つ考え方といたしまして、人件費の値上がりの率というものを大体五%ということに押さえたわけでございます。しかしここら辺のところは一部に誤解を受けているようでございますけれども、私どもとしては賃金がこうあるべきだということではなくて、現在の運賃を査定するに当たっての基本的な考え方として燃料費その他の経費、人件費、いろいろあるわけでございますが、人件費のありようとして一つのモデルケースを見た場合に上昇率を五%に押さえ、さらにいまも御質問がございましたが、航空企業の従業員の中で乗務員の賃金が非常に高いということが言われておるわけでございますが、この乗務員の賃金を押し上げておりますのは乗務手当でございます。乗務手当の仕組みは御案内と思いますが保証給的なものがございまして、各社とも大体月六十五時間の乗務給というものがベースに置いてあるわけでございます。実際は六十五時間を下回っているのが事実でございます。そこで計算のありようといたしましては、実績主義ということに基づいて積み上げ計算をしてみる、そういったようなことを重ねた上に、さらに企業によりましては企業努力と申しますか、生産性向上と申しますか、経営合理化と申しますか、こういうふうなものを過去の実績等から勘案いたしまして、一つの係数を求めてこれを掛けていく、そういう形で人件費をはじき、これらを全部足しました上で、収入と支出との最後のめどになります事業報酬につきましては事業報酬率を八%というふうに押さえております。この八%という数字についてもいろいろと議論はあろうかと思いますけれども、他業種との関連性あるいは少なくとも配当を八%程度するということは必要ではないかというふうなことから、事業報酬率の対象となるべき試算については十分に厳密に査定をしたつもりでございますけれども、そういったようなことを積み上げた上で今回の運賃の改定をしたわけでございます。  とりわけ御質問のありました航空企業の給与について他の産業と比較するということになりますと、あるいは平均年齢でございますとか、あるいは他産業といいましてもどこと比較するかとかという点でいろいろむずかしい面がございますけれども、一般的に平均の勤労者の賃金水準を一〇〇と仮定いたしました場合、航空会社の従業員の賃金水準というものは全社の平均で一五〇前後でございます。運航乗務員につきましてはこれはやや高うございまして、四〇〇程度になっております。客室乗務員、地上職員は大体一二四、五というところでございましょうか。こういうことでございますので、勤務の条件でありますとかあるいは労働の内容でありますとかいう点をも加味して比較するということになりますとあるいは議論があるかもしれませんが、一般的な労働統計等に出ております数字から比較いたしますとただいま申し上げたようなことになっておるわけです。  そういう点を加味して考えました結果が、先ほど御説明したような今回の運賃改定に当たっての査定のプロセスであった、こういうことでございます。
  19. 関谷勝嗣

    関谷委員 運輸省もそういう公共料金の認可を担当しておるわけでございますから、今後いろいろな値上げにおいては十分査定をしていただくということでお願いをいたしたいと思うわけでございます。  時間がありませんので航空局長に、簡単で結構でございますが、成田空港の第二期計画の進捗状態は一体どうなっておるのか。それから成田空港の見学ということはまだ相変わらず制限をされておるようでございます。小学生と中学生は普通に入れるようでございますが、それ以外は制限をされておる。そうなりますと、構内で営業しております店舗などは経営というのが非常にむずかしくなってきているのではないかと思いますが、このあたりはいつまでこのような状態が続くのであろうか。予測としては非常にむずかしいのでございましょうが、とはいえ警備をおろそかにしたのではまた問題が起こるわけでございますから、いまの警備体制のもとでもっと見学を緩和するとか、あるいは別の方法で一般の人ももっと気軽に見学することができるようなことは何か考えとしてできないものであろうか、そういうようなことを特に感ずるわけでございます。  それとまた、白米航空協定というのも交渉がとだえてからもう二年たとうとしておるわけでございますが、この日米間の問題は非常にむずかしいことで、いままで何回となく日米航空協定の改定ということで運輸省も努力したわけですけれども、その後一向に進展がない、そのようなこと、簡単でいいですから御返答いただきたいと思います。
  20. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず成田空港の二期計画の問題でございますが、やはり何と申しましても成田空港はわが国を代表する表玄関でございますので、現在の状況をもって足れりとするわけにはまいらないわけでございます。今後さらに空港施設の整備拡充を図らなければならない、このように考えておるわけでございます。ただ、このためには、基本的な問題といたしまして、やはり空港というものが大きくなっていくのは周辺地域との協調、調和の上に立って大きくなっていくということが必要不可欠のことであろうかと考えておりますので、現在いろいろな面で、たとえば周辺対策なりあるいは農業対策なり、いろいろな面でこの点を前進させておるわけでございますが、そういったようなことを踏まえ、地元といろいろとお話し合いを通じてその理解を得た時点で、なるべく早く二期工事に着手するようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。  それから見学者の問題につきましては、確かに御指摘のように、現在やはり百数十名の過激派集団があの周辺に常駐をしておりますし、また何か事があります場合は、あるいはバルーンを上げるとかあるいは無届けのたいまつデモをするとかというふうなことが行われておるような状況でございますので、ある程度当該空港の出入りについて制限的にならざるを得ないというのはやむを得ないことかと思いますが、しかし、そうは申しましても、たとえば八月の夏休みというふうなときには積極的に小中学生等に来てもらうようにするとかというふうなことで、少しでもへいで固めた空港というふうなイメージを払拭するような方向に努力をしておるわけでございます。  また、見学者が少ないということによって、構内に出店しております、特にかつての地権者で転業なさった方々が何かと不便を感じることもよくわかるので、こういう方には、たとえば家賃の割引とかその他いろいろの援助はしてきておるわけでございますけれども、何と申しましても基本的には先ほど申しましたような周辺対策をさらに浸透させることによりまして、この空港を余りがちがち固めなくても皆さんが安心して出入りできるような空港にしていくというのが基本問題だと思いますが、それまでの間はある程度の警備というものは警備としながらも、見学者の取り扱いその他にさらに工夫を重ねることによりましてもう少しファミリアーな空港にしていく、それと同時に、出店者等の収支も改善されるような努力をしていくというふうにいたしたいと考えております。  最後にお尋ねのございました日米の問題につきましては、御案内のようにここしばらくの間本格的な交渉が中断をいたしておりますが、私どもとしては基本的にやはり日米間には不平等が存在しているのではないかという考えを持っておるわけで、そのための是正ということを図っていくという基本方針に何ら変わりはないわけでございますが、一方アメリカ側はそのこととは別に、非常に極端なかつ急速な自由化政策ということを標榜しております。これはアメリカの国内政策として行う分においては問題は局所的にとどまるわけでございますが、これを国際政策にまで推し広めてきておりますので、アメリカのこういった考え方について反発する各国が非常に多いわけで、現についせんだって行われましたICAO運送会議におきましても、アメリカのこのような考え方に対する反発というのはかなり強かったようでございます。さらにまた、ことしになりましてから国内法で国際競争法というものをつくりました。これによって国内的な体制固めをしたものと思われます。したがって、この法律が直ちに国際問題にそのままはね返ってくるというわけではないと思いますけれども、しかし、基本的な議論というものを下から積み上げてまいりませんと、当座のしのぎということはあるいはあるかもしれません、あるいはあるかもしれませんが、基本的な詰めというものを十分にやってから取りかかってまいりませんと、この話はかえってまずい方向へ行ってしまうということも考えられますので、今後とも粘り強くわが方の主張をしながら、当座の問題も基本的な考え方を阻害しない範囲において解決しつつ、一方において旅客公衆の利便は確保しながらわが方の言い分は必ず通すという考え方に立ちまして粘り強い交渉を続けてまいりたい、このように考えております。
  21. 関谷勝嗣

    関谷委員 日米航空協定の改定というのは基本的なものを積み上げてという答弁だったわけですけれども、本当に基本的な状態というのは、もう何年来何回となくやっているので、これも本当に、国鉄再建ではないけれども、もう最後のところまで来ているのじゃないかと思いますが、ひとつ日米航空協定も早くやっていただきたいと思います。  あと各局長さんに来ていただいたのでございますが、時間が参りましたので、また次回の機会に質問をさせていただきたいと思います。(拍手)
  22. 古屋亨

  23. 田畑政一郎

    ○田畑委員 きょうは、大臣の所信の表明に対する総括的な党を代表しての質問でございますので、私の質問も全体的に及ぶわけでございます。したがって、それぞれの方々のひとつ明快な御答弁お願いいたしたい、かように思う次第でございます。  まず最初に、総合交通体系と申しましょうか、あるいは政策と申しましょうか、そういった言葉につきましては、大臣所信表明の中でも、若干でございますが触れられております。それからまた昨年十二月の国鉄再建問題に対する閣議了解の中においても触れられておるのでございます。しかしながら、その総合交通体系におけるいわゆる各交通機関の整合性あるあり方というものについては、必ずしも明確になっておらない。一体これをどのようにして追及をしていくのかということについては必ずしも明確ではないと私は考えておるわけでございます。しかし、この問題は交通問題の一つの哲学のようなものでございますから、やはりある程度きちんとして整理を進めないと、たとえば今回のローカル線のように、ただ採算性が合わないからこれを切り捨てるといいますか、撤廃するということだけでは、私は、部分的なものはありましても全体像が明らかになっておらないということでは、これは運輸行政としては正しくないのではないかというふうに思うわけでございまして、この点大臣の所信をお伺いをいたしたいというのが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、そうした総合交通体系を確立していきますための一つの方策といたしまして、公正競争という原則、公正なる立場での各交通機関の競争という原則は欠くことのできない原則ではないかというふうに考えておるわけでございます。そういう立場から、わが日本社会党は、かねてから国鉄財政危機の問題とも関連をいたしまして、国鉄に課せられておる公共割引問題というのを取り上げてまいりました。独立の議員立法による法律案などを用意してまいったわけでございます。最近におきましては、国鉄当局あるいは運輸省におきましてもこの問題は取り上げられておるわけでございまするが、しかしながら実際には、今回の国鉄危機の状況につきましても、この問題は何ら用意されておらない、こういうことでございます。この件につきまして運輸省は、今日まで、恐らく二、三回にわたりまして、各年度において厚生省あるいはまた文部省等に対しまして、この問題について申し入れをされたということを聞いておるのであります。  たとえば、通勤者に対するところの割引料、五一%でございますが、仮に一%これを引き上げいたしますと百億円のいわゆる財源が入ってくるというふうに聞いておるわけでございます。五一%あるものを四〇%にすれば一千億円以上の収入が上がることになるわけでございます。きょうここに八十八線と伝えられておりますけれども、ローカル線廃止によりまして浮いてくる財源が八百億台から一千億程度と言われておるわけでございまして、そういう点を考えるならば、この公共割引の問題というのを最優先的に取り上げてこそ、航空機あるいは自動車等に対しまして公正競争の原則というのが確立されるのではないか。総合交通体系を追求しようとするならば、こういった不公正な問題をまず最初に手がけるべきではないかと私は考えておるわけでございます。  したがって、毎年こうした問題について一定の限度追求されながら、今日、ローカル線を廃止するという事態のもとにおいてすらなおかつこれが何ら実現を見ていないということについて、運輸大臣はどう考えておられるか、これもお伺いをしたいと思うわけでございます。
  24. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 今後わが国におけるエネルギー、環境、空間等の制約条件が一層強まっていくことを考えますと、わが国の経済社会の発展に伴って、ますます多様化、高度化しつつ増大してまいるわけでございます。したがいまして、効率のよい鉄道バス等の大量公共輸送機関のサービスの向上を図りましてそれに誘導してまいる、こういうような交通体系をつくってまいりたいと思います。  また国鉄に対しての御意見がございましたが、国鉄は独占的な交通機関という位置から落ちてしまいまして、モータリゼーションの発達あるいは航空機輸送に対する乗客の転換、このようなことでございますので、国鉄の今後の輸送体系に対する位置についても十分配慮していかなければならない時代になってきたと思うのであります。  また、公共負担のことにつきましてお触れになりましたが、昨年の十二月の国鉄再建法案の閣議了解において、公共負担の問題について各省といろいろ打ち合わせ、今後学識経験者の御意見も踏まえてこの問題を積極的に検討していく、こういうことをいま進めておるわけでございますので、できるだけ公共負担の問題を解決いたしたい、かように考えておるものでございます。
  25. 田畑政一郎

    ○田畑委員 私は、ただいま大臣から御答弁ございましたが、そういうことでは運輸委員会は納得できないのじゃないかと思うのでございます。と申しますことは、総合交通体系というものについて、具体的に各交通機関というものがあるわけでございますが、それに対してどうあるべきなのかということについては、もっと鮮明に、国民にわかるように、やはり運輸省としてはビジョンを出すべきではないかと考えておるのであります。  なるほど、国鉄なら国鉄再建方針の中においては多少触れられております。これは国鉄の特性というものに関して触れられておる。あるいは、経済七カ年計画においても多少触れられておる部分はございます。しかし、現実の交通機関の情勢というものはそれ以上に複雑であり多岐であります。したがって、総合交通政策を実施しようとするならば、そこにどういう形において整合性を持たせていくのかということについて、やはり運輸省はもっと親切丁寧なる構想というものを打ち出して、それを運輸委員会なり国会を通じて国民に明らかにしていく責任があると考えておるわけでございます。いま大臣の御答弁になるような程度のものであっては、これは何も従来と変わりはないわけでございまして、もう少しそういったものをわかりやすく国民の前に提示してもらいたいと思うわけでございます。  それと、この公共割引の問題については、これは検討なさっているだけではいけないのではないか。現実に大臣はいままで厚生省なり文部省なりにこのかけ合いをなさったことがあるのではないですか。その結果は一体どうなっているのですか。逆に、いわゆる割引をもっとふやせ、割引の適用範囲を拡大せよという回答が返ってきているというような状況であります。この問題を議論するために、いわゆる関係各省間の懇談会が開かれておるということを聞いておるのでありますが、その懇談会の現実の状況は一体どうなっているのですか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  26. 永井浩

    永井(浩)政府委員 最初の、総合交通体系の問題について御説明申し上げます。  先生御指摘のように、総合交通体系につきましては、自由競争ということが前提であるという考え方を私どもとっておるわけでございまして、この基本的な考え方につきましては、四十六年の運輸政策審議会の答申あるいは同じ年の関係閣僚会議の決定についても貫かれておるわけでございます。ただ、交通社会におきましてはいわゆる完全な市場というのはございません。そういう意味で、必要な政策介入、主として財政援助等でございますけれども、こういったものを政策介入を行うということになっておるわけでございます。  私どもはそういう基本方針のもとに個々の行政について進めてまいったわけでございますが、特に、最近のエネルギー情勢あるいは環境問題といったような交通を取り巻く諸条件も今後十分加味していかなければならないということで進めてまいりたい、このように考えております。
  27. 山地進

    ○山地政府委員 公共負担の問題につきまして、先生先ほどおっしゃられたとおり、五十三年六月に国鉄運賃の各種割引制度に関する関係閣僚会議というのが開催されて以来、そういった閣僚会議というのは現在に至るまで開催しておりません。ただし、その間、これも御指摘のありましたように、五十三年の八月と昨年の八月、予算の概算要求に対して国鉄総裁から文部大臣並びに厚生大臣に、公共負担の軽減方についてお願いをしてきているわけでございます。その際の両省の回答というのは、やはり長年の歴史があるものでございますから、こういうものについては引き続き特段の御配慮を賜りたい、こういうような御回答でございました。  今後のこの問題の進め方につきましては、ただいま大臣の方から御答弁のございましたように、今回の閣議了解に基づきまして、公共負担の軽減対策について関係省庁において検討を進め早急に結論を得る、これは前回の五十二年十二月の公共負担の問題の取り扱いから比べますと、大変具体的に、各省間で検討するということが各省に義務づけられているわけでございまして、私どもといたしましても、今回は来年度の予算に向けましてこういった会議の開催をいたしまして、この問題について精力的に詰めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  28. 田畑政一郎

    ○田畑委員 このように国鉄財政が悪化をしておるということについては、もう内外ともに明らかになっておるわけです。しかも、この問題の中でこの公共割引というのは非常に重要な位置を占めておる、大臣御存じのとおりでありまして、ローカル線を切り捨てるというような、こういう地域住民に迷惑を与えるような問題が出ているときに、まだこの問題の結論が出ていないということは私はおかしいと思う。少なくとも、いま鉄監局長が申しましたが、来年度までにはきちんと結論を出せるかどうか、一体それだけの決意を大臣は持っておられるのかどうかということを私は非常に疑問に思うのです。いまお話があったように、五十三年八月、五十四年八月と二回繰り返し申し入れはされておるけれども、これは単なる申し入れであって、言うならば一つの申し開きとしてなされておるにとどまっておるのであって、本当にやる気がないというふうに思われても仕方がないのではないかと思うのであります。したがって、大臣は、これは重大な決意を持ってこの問題を解決していく、少なくともローカル線問題を抱えている以上は、この問題はそれ以前に解決していくというようなつもりでの不退転の決意があるのかどうかということをこの席上で承っておきたいと思います。
  29. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 先ほど国鉄総裁から関谷委員にお答えを申し上げましたように、国鉄再建のためにはいろんな課題がございます。いわゆる年金の問題、退職金の問題また御指摘地方交通線の合理化、こういうものを含めて国鉄の体質改善をしていかなければならぬわけでございます。その中で、お話しの公共料金負担も大きな影響を与えているものでございます。御趣旨に沿いまして、全力をふるってこの問題を解決してまいりたいと存じております。
  30. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それでは、続いて総合交通政策上必要な問題について質問を続けたいと思うのでありますが、一つは新経済社会七カ年計画でございます。この問題は、大臣は所信の中でお取り上げになっていらっしゃるわけでございます。いわゆる新経済社会七カ年計画は、御案内のように、石油が上がってまいりまして、あるいはまた経済見通しが変更してまいりましたということ等からいたしまして、本年の一月二十五日ごろいわゆる見通しについては一部修正ということに相なっておるわけでございます。しかしながら、大臣所信表明の中では、これを基礎としてやっていくということを申されておるのでございまするが、この点は私、いささか問題があるのじゃないかと思うわけでございます。その辺の事情等につきまして、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのかということをお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  それからいま一つの問題といたしましては、これも総合交通政策を遂行するために、新経済七カ年計画は国全体の問題でございまするが、しかし、わが党はかねてから地方交通の維持整備に関する法律案というのを用意いたしておったわけでございますが、五十三年の十月十八日の本委員会におきまして、この問題が全党一致の決議によって取り上げられました結果、わが党としても政府の国会決議尊重を期待いたしまして、議員提出によるところの法律案を一時取り下げておるわけでございます。しかし、一向にこれが実行に移されてこない。法的措置を含むところの行財政措置を講じてもらいたいというのが国会決議でございます。ところが、今日四千キロのローカル線を廃止するというような重大な問題が出ておりますにかかわらず、この国会決議をどの程度に尊重されるかということは、当局からも、また大臣からも言明に相なっておらない、これは私はおかしいと思うのです。だから、基本的な問題は抜きにして、部分的な問題だけをやろうとする。これでは私は今日の複雑多岐にわたるところの運輸行政、しかも国民にとって欠くことのできないところのいわゆる交通機関の問題に対して対処していくためには、これは本末転倒のやり方であるというふうに思わざるを得ないわけでございます。したがって、この問題について、この国会決議をどのように尊重されようとしているのかということについてお伺いをいたしたい、かように思うわけでございます。
  31. 永井浩

    永井(浩)政府委員 最初に、新経済社会七カ年計画についてお答え申し上げます。  新経済社会七カ年計画の策定時と今日におきましては、かなり経済情勢が変動いたしておりますので、これを見直しをしなければならないということで、先般経済審議会におきまして、新経済社会七カ年計画のフォローアップの報告がございました。これは二月二十二日の報告でございますが、その中で、たとえば国民総支出が従来の計画ですと五・七%の実質平均伸び率でございましたのを五、五%に見直す、あるいは物価上昇率が三%程度と考えておったのは五%程度に考え直すという、これは一つの試算でございますが、そういったことで、フレームの中では多少の試算がなされておりますが、基本的な考え方としては、この七カ年計画を維持していくということに相なっておるわけでございます。したがいまして、たとえば公共投資部門におきましても、二百四十兆という数字は現状のままになっておるわけでございます。今後のいろいろな経済情勢につきましてはきわめて不透明でございますが、少なくとも現時点においては、七カ年計画は存続、維持していくという考え方に立っておるわけでございます。  それから二番目の、五十三年の当委員会におきます御決議の問題でございますが、地域交通の維持と地域住民のシビルミニマムを確保するという意味では、私どもやはり地域の各交通機関経営を確保していくということが最大の問題だろう、このように考えております。御決議の趣旨もそのようなことだと承っておるわけでございますが、従来から、地域におきますバスの補助あるいは中小私鉄の補助といったものを進めてまいりまして、その内容も年々充実してまいったわけでございます。ただ、やはり安定的な財源を確保するためには、特定の財源を定めまして、特別会計というものを創設したらどうかということで、五十四年度、五十五年度の予算編成過程においていろいろ検討したわけでございますが、残念ながら今日見送らざるを得ないという状況でございます。  こういったことで、地域の輸送機関経営維持を重点にした財政措置については、なお今後検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  32. 田畑政一郎

    ○田畑委員 この新経済社会七カ年計画でございますが、これはいまお話がございましたように、成長率を下方修正するということを原則にして修正せざるを得なくなったわけです。それにもかかわらず、具体的な二百四十兆円の投資については何も変わらないのだ、こういうことに相なっておるわけでございます。これは私は大変な矛盾だと思うのです。そうして鉄道、港湾、航空関係などに約二十七兆円の投資を行うことに相なっておるわけでございまするが、これは、基本を変更いたしました以上、具体的な投資計画についても狂いが出てくることは間違いないと思うのです。その辺のところを何の考慮もなしに、そのまま所信表明に取り入れられておるということについては、いささかわれわれとしては納得できない点があるわけでございます。こういう点、一体どういうふうに考えられるかということでございます。  それから、地方公共交通機関の決議でございますが、御案内のように、地方交通機関というものにつきましての必要性があるかないかといった問題については、これは単なる財源措置だけではないのです。やはりそこに地方におけるところの交通のあり方というものの総合的な計画というものがまずなければ、ただ金さえ出せばそれでいいというようなものではないと思うのです。したがって、もちろん財政措置ということも一つの柱ではございまするが、そういう計画をどのように打ち立てていくかということについて、私どもは、少なくとも地方における計画は地方のいわゆる住民代表あるいはまた県知事、そういったものが率先して立てるべきではないか。もちろん国は幹線の問題につきましては、これは国がやらなければなりませんが、地方問題については地方へこれを任せてはどうかということを繰り返し繰り返し申し上げてまいったわけであります。その点について、一体どのように措置をされようとしておるのか、こういった問題をあわせてもう一遍お答えいただきたいと思います。
  33. 永井浩

    永井(浩)政府委員 最初の七カ年計画の御質問でございますが、現在の私どものポジションは先ほど申し上げたとおりでございますが、当然のことながら、経済というのは大変変動いたしておりますので、今後ともこういったものはフォローアップしていかなければならない、このように考えておるわけでございまして、主として経済審議会あるいは経済企画庁の方でこういった問題を処理されると思いますが、私どもの方も交通部門の立場から十分参画してまいりたい、このように考えております。  それから地域交通の問題でございますが、御指摘のように、地域の交通というのはきわめて具体性あるいは地域性の問題でございます。したがいまして、これを中央で抽象的に処理しても実効ある措置は期待できない、このように考えておりますので、従来から、たとえば地方バスの補助対象を選定する場合には地方の公共団体と協議するとか、あるいは大都市におきます交通整備につきましては、都市計画段階とか、あるいは各種審議会に公共団体の代表の方に入っていただいて、地域の意見を十分くみ上げながら措置してまいった、このように考えておるわけでございますが、やはり地域におきましてもそれぞれの交通体系、長期的な交通体系も必要かと考えております。こういった意味で、たとえば私どもの出先機関でございます陸運局を中心といたしまして、関係の公共団体等の意見を十分反映した地域交通計画というものを立てるべきではないか、目下検討しておる段階でございます。
  34. 田畑政一郎

    ○田畑委員 いま御答弁がございましたが、この地域公共交通問題について、検討を繰り返しているだけでは、これは大臣、困るのです。これも、さきの公共割引の問題じゃございませんけれども、ずいぶん長い間の議論になっているのです。だから、もうそろそろこういうふうにやるという、これは百歩前進とはいかないまでも、二十歩や二十歩は新鮮味のある方針がこの委員会の席上で語られないと、いつも繰り返しの議論だけではいけないと思うんですね。だから私は、ここできちんと聞きたいことは、地方の交通計画というものは、いまおっしゃったようにやはり地方の実情を聞かなければわからないのだ、そういうところでやってほしいという希望は述べられたわけでございまするから、したがって、それをどういうふうにしてやるのか。検討というのじゃ困るんですよ。そこまでわかっていながらなおかつ検討されているのじゃ困るのであって、大体こういうふうにしてやる、そして次の段階はこういうふうにしてやりたいというようなものをやはりここで明確に、明らかにしていただきたいと思うのです。大臣、いかがですか。この前も一応お話があったわけでございまするが、やはりこの際、委員会の席上、明確にしていただきたいと思います。
  35. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 地方交通対策は、先生のおっしゃるように大変重要なことでございます。地域、地方の意見をくみ上げて体系をつくっていかなければならぬわけでございますが、それと同時に、全国的な広域行政も考えなければなりませんので、それの整合性を十分考え検討してまいりたいと思います。
  36. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これは大臣、そういう国会における優等生答弁では困るんですよ。これは専門委員会で私は具体的に聞いているわけですから、一体、その地域の交通計画というものを、だれを中心にしてどのように立てていくかということをきちんと御答弁いただきたいと思うのです。
  37. 永井浩

    永井(浩)政府委員 まだ事務的な案で恐縮でございますけれども、現在、地方交通の陸上交通を所管しておりますのは陸運局長でございます。陸運局には地方陸上交通審議会という、設置法に基づく審議会がございますので、この場を活用いたしまして、地域ごとの交通計画、少し長期的な交通計画考えたらどうかということで検討しておるわけでございます。さらに個別的な問題、各路線をどうするというような問題につきましては、従来からもいろいろな形で公共団体の意見を聞いてやっておりますが、そういった問題を踏まえた上で、いわゆる地域総合交通体系といったような問題についても検討すべく準備を進めておるわけでございます。
  38. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これはかねがね私どもが主張しておるし、これは大変具体的な問題なのです。だから抽象的議論では私はいけないと思うのです。運輸省もやはり具体的なものを出して御答弁願う筋合いのものであるというふうに私は思います。したがって、この問題をさらに追及したいわけでございますが、後から私の同僚議員が再度この問題について追及いたしますので、ぜひそれまでに十分腹を打ち合わせをしておいていただきたいと思います。  それから、次に移りたいと思うのでございますが、先ほどお話がございましたように、こうした総合交通政策といいますか、地方交通政策を含めまして、樹立をいたしますための財政問題については、運輸省は大変苦慮されているということは、われわれかねがね承っております。そのために特別会計を設置したいということからいたしまして、五十四年度予算におきましては、車検に係るところの税金を、それからまた五十五年度におきましては、自動車の重量に係るところの税金を対象としてその財源をつくりたいということで御努力をいただいておるわけでございます。  ただ、私は、この車検にいたしましても、重量関係に対する税金にいたしましても、率直に言って、これには哲学がないと思うんですね。金はつくりたい、ところが何か新税が欲しいというだけであって、そこに一貫した思想というのが流れておらないと思うのです。これでは、財政をつくろうといたしましても、つくることができないのじゃないか。われわれがかねがね申し上げておることは、これは総合交通政策であります。やはりそれぞれに分野は分かれておりましても、いわゆる輸送機関はお互いに補完し合いながら発展していかなければならぬし、そこに一定の整理といいますか整合性が必要である。また、財源の見方といたしましても、その原則に立たなければならないというのがわれわれの主張でございます。したがいまして、私ども社会党がかねがね主張いたしておりますことは、たとえば港湾あるいは航空、そういった特別会計があるわけです。また、道路もあるのです。そういうものを総合いたしまして、そうして必要な個所に対して財源を振り向けていく。こういう一貫性、思想性を持った特別会計を設置しなければならぬということを申し上げておるのです。航空の方はそのままにしておく。港湾の方はそのままにしておく。道路はなぶれない。そこでこっちは、自動車をたたいて金を取ろうというわけでございまするが、これでは、私はやはりそこに思想性というものが流れておらないと思うのです。だから運輸大臣は、この際勇気をもって、そうした総合的な政策のもとにおける財源づくりというものをここで考えられてはどうかというふうに私は考えるわけでございまするが、この点に対する御所見をお伺いしたいと思います。
  39. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 それぞれの特別会計はそれぞれの考え方で行われておるわけでございます。昨年の暮れに陸上特別会計をぜひ認めてもらいたいということで折衝したわけですが、残念ながら認められなかったわけでございますが、これは今後の交通体系のためにぜひ必要だと存じますので、来年度には設定に努力をしてまいりたい、かように存じております。
  40. 田畑政一郎

    ○田畑委員 どうも大臣の御答弁は不明確でございまして、私の言っておることに対してお答えがないわけでございます。しかし、時間の関係もございますので、これ以上の追及はいたしません。  今回の所信表明によりますと、大臣国鉄再建問題について「国鉄が採来においてもその使命を全うし得るか否かは、今回の対策の成否にかかっていると言っても過言ではありません。」こういうふうにきわめて強い調子で、国鉄問題は今回のローカル線を含むところの成否にかかっているということを指摘されておるわけです。これより前に、二月十九日の自由民主党総務会におきまして御決議があるわけでございます。この御決議を見ますると、「国鉄労使は今回の再建計画最後再建の機会であり、」ここを繰り返して読みます。「今回の再建計画最後再建の機会であり、これを達成し得ない場合、残る方策は民営への全面的移管以外にはあり得ない事を十分認識し、」云々と相なっておるのでございます。大臣、いかがですか。この自民党総務会の決議と今度のあなたの所信表明はどういう関係を持っているのです。私はこれを聞きたいです。そうして、これに失敗したら民営だというようなことを言っていいのですか。与党であるところの自由民主党さんが軽々しくそう言われる。大臣も自由民党員ならそれに拘束される。私は、これは余りにも言い過ぎではないかと思うのでございます。極端に言いますけれども、もし国鉄を本当に民営にする気があるなら、もう民営にしたらどうですか。そんなことは実際問題としてできないでしょう。私は、そんなことを軽々しく言い、それを下敷きにして大臣所信表明がなされておるとするならば、まことに重大だと思う。はっきり御答弁をいただきたいと思います。
  41. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 このたびの国鉄再建法案は、国鉄の体質の改善、合理化、人員の削減あるいは地方の住民の方々に対して大きな影響を与えます地方交通線バス転換等、いろいろ厳しい法案の内容でございます。この法案をぜひお認め願いたいということで、わが自由民主党の総務会に御説明を申し上げたわけでございますが、国鉄再建は命がけでやらなければできないぞ、もしこれができない場合にはどうするのだというようなことでいろいろ御議論があったわけでございますが、いま先生お話しの民営云々の問題は、私は運輸大臣あるいは国鉄総裁に対しての励ましの言葉と解釈をしておるわけでございます。
  42. 田畑政一郎

    ○田畑委員 もし大臣がこういう民営移管論というものを励ましの言葉であるとお聞きになるのでしたら、これは私は重大な問題であると思う。これは国民の期待とは全く反していると思うのですね。たとえば、「運輸と経済」という本の三月号が運輸調査局から出ております。大臣ももうお読みだと思います。これを読みますと、たとえば慶大教授の加藤寛さんなどはこう言っておられる。今度この助成をしようということは、結局だんだんといわゆる車社会が存続できなくなったときに対する、国鉄が継続をして、いてもらわなければならないということに対する先行投資みたいなものであって、そういう形で、いよいよのときの対策として、国鉄に対してはふだんから金を出しておくのだ、こういう気持ちを持たなければならぬと言っておられるのであります。また瀧山さんという方は、エネルギーが無制限にあるものではない、石油はなくなってくる、そういう場合に、石油を余り消費しない国鉄を育成しておかなければならぬということを言っておられる。こういうように相当の識者が、今日国鉄の存続というものは国民生活にとって重要であるということを繰り返し言っておられるのですね。そのときに、あなたは、採算がとれなければ民営に移すのだ、それを激励の言葉として受けとられるということは、いささか不見識だと思うのです。これは国会答弁としてなっていませんよ。だから私は、大臣もこの際は、そういう決議はあったけれども、私としては国鉄の今日の使命を全うするために全力を挙げてやっていくのだぐらいのことを言ってもらわなければ、これは答弁になりませんよ。
  43. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 国鉄再建に対しては、不退転の決意で実行するということでございますし、また国鉄の公共性というものは除くわけにいかないわけでございますから、国鉄の公共性を考えまして何としても再建をするということに邁進をしたい、かように考えておるわけでございます。
  44. 田畑政一郎

    ○田畑委員 初めからそう言ってくださいよ。  それから次に、運賃値上げ問題についてお伺いをいたしたいと思います。  これは国鉄総裁の方がいいのではないかと思うのでございますが、当初いわゆる消費者物価上昇分に見合う分として運賃値上げ一千百六十億円を予定されておりましたところ、それがどういう関係か、千三十八億円のいわゆる収入増分と相なったわけでございます。その後これがさらに野党との話し合いによって修正されまして、一千六億円ですか、その程度に相なったわけですね。その事情と、そして予算では一千三十八億円でございますが、実際に今回申請されておる値上がりによっては、その差額が生じるわけですね。その差額というのはどういうふうに処理されるのか、お伺いしたいと思います。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
  45. 高木文雄

    高木説明員 ただいまお示しの千百六十億円あるいは千三十八億円あるいは千億円強という金額は、現在運輸審議会で御審議いただいております本年の四月からの改定についての増収のお願いの内容でございます。うちの全体としての収入については、本来これまでの運賃水準での収入というのが大宗をなすわけでございまして、いまお願いしております改定分というのは四%強ということになるわけでございますから、必ずしもその分だけで御判断いただくべきではなくて、全体として二兆円を超える収入がうまく計画どおりに上げられるかどうかということで評価をしていただきたいと思います。その意味では、当初、予算上は千百六十億円ということが計算上出ておりますけれども、実際問題として、私どもとしては大変競争が厳しくなっておりますから、またいろいろな意味で物価あるいは利用者負担に対する影響というものも考えなければならないということで、いろいろ細々と、これはどうだろうか、あれはどうだろうかということでやっておりますうちに、若干千百六十億よりは少ない金額にならざるを得なかったわけでございますけれども、その分についてはやはり全体としていろいろ努力をして、そして既存の運賃ベースで考えました場合の見込み額、これはほとんど増収を見てなかったわけでございますけれども、そういう点について、企業努力によって増収を図るということをすれば、百億というのはなかなか容易でない金額ではございますけれども、何とかやっていけるのではないか。  一例を挙げますと、五十四年度の実行状況を見ておりましても、旅客の方はなかなか必ずしもうまくいっておりませんけれども貨物の方では予算よりはかなりの収入が上がっております。そういうことで努力の次第あるいは事情の変化がありますれば、百億がらみのものは何とか上げられるのではないか、そういうことで埋め合わせていきたいというふうに考えております。
  46. 田畑政一郎

    ○田畑委員 何だか国鉄総裁の御答弁ははっきりせぬですね。一千百六十億円というのは予算に計上されておるけれども、今度運輸省に出している、あるいは与野党間の話し合いの結果、一体どれだけ運賃値上げで収入になるのですか、この一千百六十億に対して実際の金額上はどれだけ、きちんと言ってくださいよ。
  47. 高木文雄

    高木説明員 与野党の話し合いの分につきましてはまだ正式に私どもお話を承っておりませんのですけれども、恐らくきょうあすのうちに何か御指示があるものと思っておりますが、その前の段階では千三十八億円でございます。
  48. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これは運輸省はいかがなんですか、どういうことになっておりますか。
  49. 山地進

    ○山地政府委員 四党の話し合いの結果につきましては、いま高木総裁からお話しございましたように、私ども、国会の中でそういう事実があるということは了知しておるわけでございますが、行政府としてこれをどういうふうに受けとめるかということにつきましては、まだ政府全体の問題がございますので、私どもとしてこれをどういうふうに実行していったらいいかということまで詰めていないということでございます。  それから、千百六十億と千三十八億の差額の問題につきましては、これは全体的な増収努力、二兆五千億というようなベースのものがあって、それに千百六十なり千三十八というのが乗るわけでございまして、年度間を通じて値上げしなかったら幾らあるだろうという見込みと、値上げの分が幾らあるだろうという、トータルで国鉄収支が償うというのが目的でございますから、トータルでは償うようにするというのが国鉄総裁の御答弁かと思います。
  50. 田畑政一郎

    ○田畑委員 だんだん上の方へ行かにゃいかぬですが、大臣いかがでございますか、いまの三党修正は。
  51. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 そのようなお話を承っておりますが、正式にまだ聞いておりませんので、その段階において考えたいと思います。
  52. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これ、いずれにいたしましても新聞で大体ごらんのとおりでありますが、幾分か運賃収入が減ることになる。この収入が減った分を、いま鉄監局長の御答弁によりますと、いわば企業努力によってカバーしていくということですね。私は、これは野党と与党との修正を拒否するわけじゃございませんが、ただ漠然として予算書には一千百六十億円の増収は出ておるし、あとは企業努力でやれというようないいかげんなといいますか、そういう形だけで果たして予算というのはいいものかどうかということを非常に疑問に思うわけですね。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕 たとえばこの分についてはいわゆる一般会計から持ってくるとか、あるいはまた工事費を減らすとかというようなきちんとしたものでなければ、これは予算とは言えないと思うのですよ。幾分紙には書いてあるけれども、実際はこれはできないんだ、あとはひとつ何とかやってくれというようなものを、実際少なくとも国のこういう関係で議論していいものかどうかということは私は疑問に思うのですね。だからこの問題につきましては、当然こういうふうに運賃収入が減ってまいったわけでございますから、それに見合うべき財源の措置というものを明確にするのが本当じゃないかと思うのですよ。どうですか、運輸大臣。それがあるのが本当じゃありませんか、それが一つ。  それから運賃の問題についてもう一つ言いますと、運賃はこのごろは大臣最後に御決裁になるわけです、もう一定の範囲内においては国会は要らない。ところが国鉄は毎年運賃が上がりますから、大体これは通年制何とかということはありますけれども国鉄運賃だけは一年のうちに三分の二、半分より以上、もう来年の運賃は九月ごろから出てまいりますから、絶えず運賃値上げの問題が新聞紙上に載っているのですよ。これでは国鉄は評判が悪くなるのは間違いないと私は思う。少なくとも航空機あるいは私鉄、タクシー、そういうものを見ましても大体二年に一遍なんです。ところが国鉄だけは一年の三分の二は絶えず運賃値上げ運賃値上げと言って、予想から決定まで新聞に書かれておるというのが現実の姿ですね。こういう値上げのあり方というものは一体いいのかどうか、これはどうですか。
  53. 山地進

    ○山地政府委員 値上げの問題、非常に各方面に御迷惑をかげながらやっているわけでございますが、私ども運輸産業いろいろございますけれども、その中で国鉄は助成がなければ一兆五千億も常に赤字があるというところが一番ほかの産業と違いがあるのではないだろうかと思います。ほかの私鉄にいたしましてもバスにいたしましても、それは一応原価、利潤を償うような運賃ということを原則として、もちろん経営努力ということを前提にするわけでございますけれども、そういうことで、あとは物価の上昇をどう加味しながら運賃値上げしていくかということで、二年に一遍ということで済む場合もございますし、あるいは三年に一遍で済む場合もあるし、あるいは逆に一年で値上げしなければならないという情勢がある場合もあるわけでございます。ところが国鉄については常にこういった赤字が恒常的にある。その赤字を一体だれが負担していくのかということになりますと、毎年値上げの問題というのが絡まってこざるを得ない。まことに残念でございますし、私どもとしても非常に困った問題であるわけでございますが、この赤字を一体だれが負担するかということで運賃値上げというものから切り離せられないのが現状でございます。
  54. 田畑政一郎

    ○田畑委員 こういう運賃値上げについてももう少し工夫されたらどうかと私は思うのですよ。これほど新聞でいつも議論になっていたのでは商売になりませんわ、正直なところ言って。この辺をひとつ御研究なさるということ。  それからいまの予算の問題です。いつも運賃値上げについては修正が生じてくるのですよ。あと企業努力というようなことだけで逃げられるわけですが、これでは私は、これを実行する国鉄もたまったものじゃないと思う。だからこの辺も、運賃値上げが延びた場合には、予算と違った場合にはどうするかということの具体性をきちんと示してやっていただくということにしていかないとだめなんじゃないかと思いますので、強く要望いたしておきます。  それから次に移りたいと思うのでございますが、航空局長にお伺いしたいと思います。  一つは、きょうは私、本を持ってきたのです。これは航空政策研究会から毎月一回か二回、大変りっぱな本を出していただいて、私はいつも興味深くこれを見ている。前航空局長高橋さんの「日本航空政策について」という講演がございまして、これは二回やったらしいのですが、私の持ってきましたのは後からやられた「続」の方でございます。これを見ますと、航空政策についての若干の補足をされているのですが、その中の最大の問題は何かといいますと、結局、最近は機材や航空技術、そういったものが非常に進んでまいったということが書いてあるわけです。しかしながら、それで飛行機は絶対的に大丈夫かというとこれは大丈夫じゃない。絶対的じゃない、相対的なものである。ということは、人間というものは生身なものであって、無人機械を飛ばすなら別でございますけれども、人間が乗っている以上は、生身の人間の問題であるから、おなかもこわすし、かぜも引くし、家で夫婦げんかもするし、うれしいこと、悲しいこと、いろいろあります。人間ですからそういうことが影響してこないとは言えない。したがって、人間的な安定感といいますか、生きがいというか、全人格的なものが飛行機に関係する者にとっては、特にパイロットの問題を取り上げているわけですが、重要であるということを取り上げていらっしゃるのです。まことに結構なお話ですという質疑が後からございます。これについては、この会議には日航の社長の朝田さんもお出になっているのですね。  ところがどうですか。いま日航では御案内のとおり、ここでも取り上げられましたけれども、労働争議が起きておる。先般、十三年目に東京地労委から労働組合の言い分が正しいという結論の裁定が出ているのですね。これを会社は上へ持っていこうというような話があるらしいのです。一体政府の出資しているところの特殊法人において、しかも十数年にわたって労働争議が継続しているということはいかがですか。私は高橋さんのこの書物を読んでこう思うのです。ああいうものを扱っている人は人間的にもりっぱでなければいかぬし、精神も安定しているということが私は必要だと思うのです。しかしそれが血で血を洗うような争議を十数年繰り返している。これは日本航空界にとって汚点だと私は思うのです。だからこの辺でこの問題を解決をして、労使和解の方向に進んでいくということについては、運輸省の仕事じゃないというようなきれいごとじゃなしに、何らかの積極的な態度を示していかなければならないのじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  55. 松本操

    ○松本(操)政府委員 前段おっしゃいますように、機械を動かすのは人でございますから、人間関係というものはいずれの社会においても大事にされなければならないし、良好な人間関係を助成していくということが重要なことはお説のとおりだと思います。  御指摘のございました日航のある組合と会社との間の問題、足かけ十三年かかっておるわけでございますが、実質的な議論はここ最近のことであったようでございます。その結果、御案内のとおりのことでございますが、会社側としては、会社として従来とってきた考え方というものが十分都労委に認識されなかったという点にいささか遺憾に感じている面があるようでございます。  運輸省自身といたしまして、こういった労使間の問題に介入すべき立場にございません。したがって、日航に対しどうしろこうしろということを申すわけではございませんが、しかし、私自身も会社の方に対しましては、この問題が早急に円満な常識的な解決を見ることを強く期待しておるということは強く申し述べてございます。会社としてはこれを中労委に提訴したい、こういうことのようでございますが、私が承知しております限りにおいて、提訴は提訴としながらも、労使間における自主的な交渉というものは引き続き行ってまいりたいということに労使とも何らかの合意ができているやに聞いておりますので、会社側は会社側の言い分がございましょうし、組合にも組合側の言い分がございましょう。私どもはそれを聞いて右か左か言う立場にはございませんが、先ほど申し上げましたように、こういった問題は常識な範囲の中で円満にかつ早急に解決されるのが当然のことであろうかと思います。私自身、そういった基本的な物の考え方につきましては、会社側の方にもきちっと申し入れてございますし、また会社側もその趣旨を体して今後善処していくであろうことを期待している次第でございます。
  56. 田畑政一郎

    ○田畑委員 ぜひ積極的にひとつやっていただきたい、こう思います。  それから続いて、先ほど自民党の方の御質問にもお答えになっておりましたが、航空に関する日米交渉の問題でございます。  大臣は、懸案の問題であり引き続いて努力していく、こういうお答えでございます。かつて佐藤総理大臣は沖繩返還がない限り日本の戦後は終わっていない、こういう有名な言葉を残されたわけでございますが、しかし少なくとも航空機に関する問題につきましては、日米の間の不均衡というものが是正されない限りにおいては戦後は終わっていないと言って過言ではないと思うわけでございます。その内容を見ますと、以遠権の問題にいたしましてもその他の問題にいたしましても、まあ運賃は別といたしましても、輸送力問題等についても、非常な不均衡が残っておるわけでございます。したがってこれをどう解決するのか。ところが、アメリカの大統領は国際航空競争法を成立させましてますます自由化を進めようとしておる。ことしは大統領選挙があるのですよ。大臣は、ここに大いにやりますと書いてあるけれども、一体どうして大臣はやるのかという疑問を持たざるを得ないのです。大臣、あなたは所信は表明されておるのですが、何か自分が直接アメリカへでも行ってやられるのか、あるいは場合によっては日米航空協定を破棄して——破棄するとどういうことになるのですか、これもお伺いしておきたいと思うのですが、ともかく不退転の決意を持ってやるのかどうか。所信表明にあるわけですから、一遍もう少し詳しく大臣から御説明いただきたい。
  57. 松本操

    ○松本(操)政府委員 大臣からお答え申します前に、いま先生のおっしゃいましたことの中で具体的な点で、たとえば破棄したらどうなるかという点などをお答えしておきます。  破棄いたしますと、現在の航空協定上一年間そのまま残っておるわけでございます。したがって、その一年の間に今度は新しいものをつくらなければならない、こういうことになるわけでございますが、従来よその国で破いた——破いたと言うとおかしゅうございますが、破棄した例がございますが、破棄してうまくいったところもございますし、破棄して結局もとと余り変わらない形に戻ったところもございます。米英の間のごときは、破棄して最後の一年目に、恐らく時計をとめてサインをしたのではないかと言われるぐらい難航した。そういう例もございますので、ただ破棄してしまえば向こうがびっくりするというわけにもなかなかまいらないというあたりのところがこの問題のむずかしさでございます。  基本的な大臣の御所見は、大臣からひとつお聞きいただきたいと思います。
  58. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 日米航空協定につきましてはいろいろ問題点があるようでございます。私がアメリカへ行って早速決まるというものでもないと思うわけでございますが、先般新しく駐米大使になりました大河原大使が来られまして、その話の中でも、恐らく日米航空協定の問題についていろいろこれから議論をしなければならぬと思うのでぜひ御協力願いたいということを私から話した経緯もございますが、何とかこの問題解決の道を求めてまいりたい、かように存じております。
  59. 田畑政一郎

    ○田畑委員 大臣、これは容易なことではありませんよ。あなたは軽々しく所信表明で言っているが、もっと困難な事態を明確に認識されて所信表明は言明してもらわないといけない。本当にやる気があるなら、時計をとめるくらいやらなければいかぬ——時計をとめるかどうかは別として、それくらいの決意を持たなければこれはなかなか解決できませんよ。簡略に述べられておるわけですが、もっと深刻に受けとめてやっていただくということでないといけないのじゃないかと思います。これは要望しておきます。  それから、外務省の方をお呼びしてありますので、一言だけお聞きしたいと思いますが、定期船同盟憲章条約というものがUNCTADで定まっておるわけでございますが、わが国はまだ批准をいたしておりません。どういうわけで批准をしないのか、お聞きをしたいと思います。
  60. 中村泰三

    ○中村説明員 定期船同盟憲章条約につきましては、お説のとおり、昨年五月のUNCTADでなるべく早くこれに加入するようにという決議がコンセンサスで採択されておりまして、わが国もこれに参加いたしております。  基本的な考え方といたしましては、この憲章条約にできるだけ早く加入することが必要であるという判断から、現在、鋭意検討を進めておりまして、その検討が終わり次第、この条約を国会に提出して御審議を仰ぎたいというふうに考えておりますが、なお、この具体的な加入の方法その他につきまして、先進海運諸国等との間の調整もございますので、作業を完了するまでにはまだ若干の日にちが必要ではないかというふうに考えております。
  61. 田畑政一郎

    ○田畑委員 定期船同盟憲章条約にわが国が加入することによりまして、開発途上国と申しますか、そういう方々との間にも、いわゆるこの運賃同盟というのは成立するわけでございます。したがって、先進諸国の中においてもこれに加盟する機運は高まっておりますけれども、わが日本国は、特にこうした開発途上国との間におけるところの緊密な関係というものは重視していかなければならない国柄にあると思うわけでございます。したがって、運輸省といたしましても、この問題に対するところの積極的な加入の手続の準備体制というのを整えられてはいかがかというふうに思うわけでございます。この点につきまして、海運局長の御答弁をいただきたいと思います。  それからもう一つ、造船問題について簡単にお伺いしたいと思うのでございますが、造船におきましては、大変不況でございまして、詳しいことは申し上げませんが、特に中小造船が大変困っておるという現実がございます。これに対して中小造船の労使関係者から、いわば分野法をつくって中小企業だけを育成するような一つの方策を講じてほしいというような要望も私ども聞いておるわけでございます。そういった問題について、分野法をつくれとまではきょうは申し上げませんが、何らかの救済措置を講ずるつもりがあるのかどうかということについてこの席上において承っておきたい、かように思います。
  62. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 定期船同盟憲章条約に関しましては、先ほど外務省の方からもお答えいたしましたとおり、政府といたしましても、できるだけ早く加盟いたしまして、これによって、南北間の潮流を認識しつつ、その定期船同盟に対する海運政策の調整を図り、さらに、これを基準といたしまして、国際海運秩序というものの基準づくりをしていきたい、このように考えておりますので、早期加盟ということを推進していきたいと思っております。  ただ、先ほども外務省の方から申しましたように、加盟の方法あるいは国内的にそれをどういうふうに措置していくか、こういった問題についてなお若干の調整を要しますので、若干時日をおかりしたいと思っております。
  63. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 中小造船所の不況対策について、先生御指摘の点も配慮しながらやってまいっておりますが、基本的に、一般の需要造成あるいは雇用対策のほかに、中小造船所だけを対象にしました金融なりあるいは信用の問題なりについての対策をとっております。  基本的には、最近やや大型船におきまして需要が出てまいっております。まいっておりますが、五千トン以上の大型船の分野につきましては特に不況カルテルをつくりまして、大きな造船所がある範囲以上の操業にならないようにという工夫をしておりますので、したがって、これは中小造船所にとっていい影響が出てきつつあるというふうに考えております。  ただ、そうは言いましても、中小造船業にとって基本的な需要であります内航船でございますとかあるいは官庁船のうちで小型のもの等につきましては、引き続き船舶整備公団等が現在までやってまいりました中小造船所に優先的に発注するという措置は続けてまいりたい、こう考えております。
  64. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これで終わりますが、最後に私一つだけ要望しておきたいと思います。  今日、造船業界は大変不況でございますが、中には、いわゆる船の受注を受ける際にダンピングいたしまして、非常に安い値段で受けておる、そういう大手業者があるんです。たとえば佐世保で有名になった坪内さんなんかはその例なんです。その結果として造船業界が全体として非常に迷惑をこうむっておる、同時に労働者も迷惑をこうむるというようなことがあるわけなんです。そういうような、言うならば極端に安い価格でもって受けておる大手業者というものに対しては、行政上十分な監督指導が必要なんじゃないか。お互いにこうした不況時代に競争原理だけであおりますと、これは大変なことになるのではないかと思うわけでございまして、そういう点は十分監督をしていただくということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  65. 古屋亨

    古屋委員長 吉原米治君。
  66. 吉原米治

    ○吉原委員 先ほどの同僚田畑委員質問に関連をしてお尋ねをいたします。  地方における陸上公共交通全般にわたって、そのあり方について、大臣並びに運輸省にお尋ねをいたします。  まず、大臣所信表明の中で「エネルギー制約下における運輸行政基本的課題は、運輸部門における省エネルギーを推進し、将来にわたって国民の求める安全で良質な輸送サービスを安定的に確保していくことにある」、こういうふうに述べられておりますが、具体的に、この「安全で良質な輸送サービスを安定的に確保する」ということは、一体どんな輸送手段を考えておっしゃっていられるのか、まず最初にお尋ねをしたい。
  67. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 エネルギー情勢の変化あるいは環境の問題、また、社会情勢、経済情勢のいろいろな変化を十分考えまして、安全でかつ省エネルギー効果の上がる大量輸送、いわゆる国鉄あるいはバス、このような輸送機関に誘導するような政策をとってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  68. 吉原米治

    ○吉原委員 省エネ時代でございますから、大量輸送機関に乗客を誘導する、こういうお考えであるように理解をいたします。  私もその点については全く同感でございますが、昨今の新聞あるいはまた非公式に承っております、地方における公共交通、これをどうやって維持整備していくのか、この考え方が明らかにされないままに今回国鉄のローカル線切り捨て案が報道されております。少なくとも一方で、省エネルギー時代だから大型輸送機関を強化充実をして、そちらの方向に利用者の誘導を図っていくという一方の旗を上げながら、一方ではそれを逆に切り捨てていこうという。運輸省側は、全く切り捨てっ放しじゃございません、軌道をパスに切りかえるのでございます、住民の足は守ります、こうおっしゃるでしょう。  しかし、今日まで軌道が果たしてきた役割り、国鉄の線路が果たしてきた役割りというのは、大臣御承知のようにはかり知れないものがあるのです。つまり、少なくとも鉄道というのはバスよりも歴史が古い。いま国鉄当局考えていらっしゃるような廃止対象とされるローカル線沿線一帯は、いわゆる過疎地帯。この過疎地帯を走っておる鉄道の果たしてきた今日的な役割りというのは大きなものがあると私は思いますし、この線路を中心に、あるいは駅舎そのものがその町の、部落の玄関口になっておる。つまり鉄道とともにこの沿線の部落や町は形成されてきたのですよ。それを今回廃止する、少なくとも日本国有鉄道経営からは外すというのですから、私は、そういう部分的な改善といいますか、これは私に言わせれば、改善ではない、改悪だと思うのですが、地方の交通機関をいびつな形にしてしまう、こういう考え方で実は最近打ち出されました国鉄再建法は見ておるのです。  そこで大臣にお尋ねをするのですが、日本国有鉄道法の二条に国鉄の性格が位置づけられておるのです。少なくともいま、もうからないから切り捨てます、国鉄経営から外しますという発想は、国鉄法の二条に民法上の商事会社でありませんということが規定してある、この精神からいっても反しておるのじゃございませんか。どうお考えですか。
  69. 山地進

    ○山地政府委員 今回の地方交通線対策を支えている幾つかの原理があると思うのでございますが、基本的にまずは、地方における効率的な交通はどうやったらいいのだろうかということがございます。エネルギー的に言いましても、二千人以下のところでは鉄道よりもバスの方がエネルギー効率がいいという事実がございますし、全国的に道路が発達した現在、地方における国鉄のシェアというのは年々下がりつつあるわけでございまして、国鉄の公共的な使命というものにつきましては、昨今は地方においては低下してきているというのがまず第一でございまして、むしろ効率的な輸送にかえるということが一つ基本になっております。  それからもう一つは、先生御指摘のような国鉄財政状況から見て再建をどう進めたらいいだろうかという中で、国鉄経営努力をもってしてもいかんともしがたい分野であるということで、私どもとしては、この部分についてはより効率的な輸送機関の方へ肩がわりしていただいて、そして片や国鉄負担を軽くする、こういう考え方からローカル線というものを推進しているわけでございまして、第二条にいいます、公法上の法人であって、営利を目的とする社団または商事会社その他の社団に関する商法の規定に定める商事会社ではないということは、もちろん営利を目的としているわけではございません。ただし、公共企業体として、第一条に書いてございますように「能率的な運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進する」というような立場から、やはり収支というものについて十分関心を持っていきたい。ただし、その収支という場合には、国からの助成というものもある程度前提に入っているのは事実であろうかと思います。
  70. 吉原米治

    ○吉原委員 大臣にお尋ねするのですが、あなたのおっしゃっておる所信表明の中で、良質な輸送サービスを安定的に供給するという意味は、いま鉄監局長がおっしゃったような趣旨でございますか。どういう意味ですか。つまり、もうけになるという、財政上の見地からいう良質のサービスということを言っておるのか、あるいは利用者の立場に立った良質な輸送サービスというふうにも受けとめられるわけですが、どっちですか。
  71. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 地方交通線につきましては、線路の保守、維持あるいは駅舎の維持というものを考えまして、一日千人前後の乗客では実は全く成り立たない、赤字の累積になるわけでございます。最近は道路の発達も非常に進んでまいりましたので、地元の方々とお話をして、その代替のバス路線、こういうものをつくって御理解いただいて、足の確保をする、こういう方針で進めてくるわけでございますから、バス輸送体制さえしっかりすれば、良質の足の確保ということは果たせるものでないかと考えております。
  72. 吉原米治

    ○吉原委員 良質な輸送サービスというのは、出る赤字財政上の負担が軽くなるということが一つ、と同時に、バス路線に切りかえるということが二つ目ですね。一体、発想が、財政的な負担が少なくなる、したがって良質な輸送サービス、バスに切りかえることが良質な輸送サービス、国鉄側に言わせれば、大臣の感覚から察するに、バスに切りかえることによってもうけになるのですか、赤字にならぬと思っていらっしゃるのですか。
  73. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 現在の地方交通線を維持するよりは赤字の軽減が図られるというように考えております。
  74. 吉原米治

    ○吉原委員 大臣がそのような認識ですから実は困るのです。最初に私が申し上げましたように、バスと軌道というものは本質的に——今日、並行して運行はされておりますものの、列車を利用する利用客とバスを利用する乗客の質というのは、質がおのずと違ってくる、このように認識をすべきだと思うのです。バスに切りかえることによって、従来の財政負担が軽くなるという発想。少なくとも、バスに切りかえても財政負担はやむを得ぬなということを思っていらっしゃる。そう思っていらっしゃるゆえに、五カ年間は転換のための交付金を出しますと、こう言っておられるようでございますが、五カ年間はなるほど転換の交付金によって運行はされるでございましょうが、五カ年過ぎたらどうなるのですか。交付金は出ませんよ。そうなったら、どうなるのですか。
  75. 山地進

    ○山地政府委員 前段の、バスのお客とそれから鉄道利用者というのは違うのではないだろうかという御議論でございますけれども、私どものいろいろの交通の実態を見ておりますと、それぞれ輸送分野というのがあろうかと思います。長距離は飛行機、中距離は列車、それから近距離は自動車、こういうように大ざっぱに言って分かれると思うわけでございますが、地方交通線だけに限ってこれを議論する場合には近距離が地方交通線の実態かと思いますし、地域内の旅客流動というのが大宗を占めておろうかと思いますので、その点につきましては、先生の御指摘ではございますけれども、やはり旅客として見れば汽車とバスということについては同じような旅客の流動であろうかと考えております。  それから、バスに転換した場合、その欠損について、転換の補償金とおっしゃられましたけれども、欠損のことであろうかと思いますが、欠損の補助をある程度一定の期間やりたいと考えておりまして、五年というふうに別にいまのところ決めてあるわけではございませんが、要するにバスの輸送で安定する期間というものを、定着していくということを考えて、鉄道のいまの実態から言いますと、並行路線があってバスが走っている場合が非常に多いかと思いますが、そういったバスに転換する場合、従来のお客と一緒にするわけでございますので、バス会社から見て増発需要というものもありますし、ピーク時のサービスもあるわけですから必ずしもすべて利益に結びつくとは限りませんけれども、かなりの程度収支の改善が見込まれ得るのではないだろうか、かように考えまして、助成についてはある一定期限を付してこれを考えているわけでございます。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
  76. 吉原米治

    ○吉原委員 第三セクターで鉄道をそのまま存続運行する、経営する、もしくは第三セクターによってバス路線に転換をする、そういうふうに私は新聞報道で見ておるのです。その場合に転換のための交付金を五カ年間にわたって交付をする、そういうふうに理解をしておったのですが、第三セクターに移管をする、先ほどの同僚田畑議員の質問に対して、励ましの言葉だと、こう大臣おっしゃいましたけれども、民営移管にするあるいはバスに切りかえる、そのことによって逆に財政負担がなくなるあるいは軽くなる、こういう発想は、いまの鉄監局長のお話の中にも赤字が予測されておる、だから何らかの方法で補てんをしていきたい、こうおっしゃっていますが、その場合、私は五年間だと思っておりましたが、それは特に定めはないんだとこうおっしゃればそれでいいのですが、その場合はどういう法的根拠に基づいて赤字負担を埋めていくということになるのでございますか。別の法律を準備なさっていらっしゃるのですか。
  77. 山地進

    ○山地政府委員 いまの御質問にお答えする前に、私もちょっと勘違いした点がございますので訂正させていただきますが、こういった第三セクターあるいはバスに転換する場合に二つの助成制度が考えられております。一つは転換補償金と言いまして、これが一営業キロ当たり三千万円を出すということでございます。三千万円を、いま先生がおっしゃいました五年間というのは、その三千万円を分割支払いをする期間が五年間でございます。この使途は定期券の差額補助とかあるいはバスを購入するにしてもあるいは第三セクターの車両を購入する場合でもそういった当初の初期投資という考え方一つあろうかと思います。それからもう一つは、地元の方々からいろいろ御要望があろうかと思いますが、たとえばバスにする場合のバスストップとかあるいは道路の改修とかその他いろいろ資本投資的なものがあろうかと思います。そういったものについて、これは損益と関係なく出したらどうだろうかということが転換補償金でございます。それからもう一つ、欠損補助、営業主体が決まってやった場合、バスにしても第三セクターにしても、そういったところで欠損が出た場合にそれをどうやって助成するかというのが欠損補助でございますが、これは一定期間、先生のお言葉の五年間ぐらいが一つのめどかと思うのでございますけれども、一定期間を限って助成をするということでございます。その根拠でございますけれども一つは今回の法律に転換を促進するための助成というような言葉が一応出ておりますし、その他運営のための助成というような言葉もこの中にございます。ただし、ことしの予算に関して見ますと、法律前ではございますが、転換補償金というのは予算に計上されておりまして、これらのものは法律でなくて予算補助としても支給できるという形になっております。
  78. 吉原米治

    ○吉原委員 細かくはまた正規に出されます再建法の審議の段階質問ができると思いますから、余り突っ込んだ質問はいたしませんけれども、少なくとも、いま考え方が鉄監局長から述べられましたけれども、欠損補助と資本投資的な投資、こういう考え方も出ておりますけれども、いずれにしても将来にわたっての地方の公共交通をどうやって維持整備していくかという観点から考えますと、依然として現在の、法律ではありませんけれども予算措置として過疎バスに対する補助要綱が現行ございます。そういう精神で転換したバスの代替運行についても補助助成をしていくんだ、この裏づけになる法律考えていらっしゃらないわけですか。現在のものとこれから国鉄のローカル線をバス路線に切りかえていこう、その二つを絡めてバスの方には補助をしていくという法的な根拠がない、場合によっては財政上の理由で一方的に切り捨てることもできるんだ、特にこの昭和五十五年度予算編成の段階でサンセット方式と称して一定の期間を決めて補助をした場合に効果の上がらないものについては切り捨てるというそういう方向も一時期大蔵省筋から出されたようでございますが、法的な裏づけがない、そういう意味で、いまから地方公共交通のあり方についてそれを維持整備していくためには必要な立法措置を講じなければならぬ。特に五十三年の十月、先ほど田畑同僚議員の方からも質問ございました必要な立法措置、行財政措置を講ずべきである、こういう決議がなされておるにもかかわらず、いまだにそれが実現されていない。そういう観点からひとつ鉄監局長、あなたお答えになりましたから、基本的な考え方についてお答えを願いたい。
  79. 山地進

    ○山地政府委員 ただいま私の答弁の中で転換補償金と欠損補助のことを申し上げましたけれども、現在はこういったことについてはことしの予算には予算補助として計上されているわけでございますが、今回提出いたしました法律におきましては、「政府は、予算の範囲内において、日本国有鉄道に対し、特定地方交通線の廃止の円滑な実施を図るための措置に要する費用を補助することができる。」これが転換補償金の根拠でございます。今度の法律による根拠になるわけでございます。  それからもう一つは、「政府は、予算の範囲内において、特定地方交通線を廃止する場合に必要となる一般乗合旅客自動車運送事業又は地方鉄道業を経営する者に対し、政令で定めるところにより、その事業の運営に要する費用を補助することができる。」これが今回新しく法律の根拠がこの地方交通線に関する限りできたということでございます。あと一般の助成の問題につきましては、担当の局長からお答えさせます。
  80. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いまお話のありました過疎バスに対する補助でございますが、先生おっしゃいましたように、現在は予算措置によってやっておるわけでございます。この法制化の問題についてでございますが、一般的に法律補助についても見直しをするというような情勢で、そういう面からの制約もあるわけではございますが、いろいろ私ども検討いたしましたところを若干申し上げますと、たとえば離島航路整備法等では、予算の範囲内で補助することができると規定しているだけでございます。私どもの地方バスについては補助要綱でいろいろ明確に決めておりまして、必ずしも法制化を図っても実質的に余り変わりがないのじゃないか。それから地方バスの補助につきましては、御案内のように逐年内容をいろいろ変えてございます。したがいまして、法律でいろいろ細かい要件を決めてしまいますと、運用が非常に弾力的にいかないという面が出てくるのではないだろうか。それから予算措置では不安定ではないかという御心配ですが、地方バスに対します補助額は、毎年増加しております。生活路線に対する補助が始まりました四十七年度では五億七千万ほどでございましたが、五十五年度予算では八十五億と、約十五倍というふうになっておる次第でございます。しかしながら、この制度が安定してきますと、あるいは法律化の道が検討できるかなというふうに思っておるのが現在の段階でございます。
  81. 吉原米治

    ○吉原委員 私は、なぜそのようなことを尋ねるかといいますと、少なくともいまからやろうとしておる国鉄のローカル線を切り捨てていくという構想が打ち出されておる。なるほど日本国有鉄道経営から外す部分についてはいろいろ配慮をなされておるようであります。しかし、その他の地方交通機関には、特にバスに転換するという話も再三出ておりますから一つの例として申し上げますが、現在の地方の公共交通を守っておる主たる役割りを果たしておるのはこのバス部門でございますが、そういうものに何ら法的な裏づけがないじゃないか。なるほど法律で決めてしまえば運用上幅が狭まるからむしろいまのままの方がいいのではないか、こういう意見もあるかもわかりませんが、逆に言うと、いつでも取り払ってしまうことができるわけですからね。ところが、いまの公共交通、なかんずくバス企業なんというものが、ついここ三年や五年で、あるいは十年先を見通しても、私企業という枠内で考えられない交通手段になっておることは御承知のとおりなんです。  一昨年、五十三年十月の国鉄のローカル線も含めた地方の公共交通をどうやって維持整備していくのか、ひとつこの立法行財政措置を講じようじゃないかという全会一致の決議がなぜ具体化されないのか。どういう支障があって今日一年有余もかかって青写真ができないのですか。財政上の問題がございます、こう言われるかもわからぬ。それじゃ一体この青写真がつくられて、この事業をこうやって、地方の公共交通を守っていくためにはどれだけの財源が要りますということを計算されておるのですか、お答え願いたい。
  82. 永井浩

    永井(浩)政府委員 五十三年の御決議の趣旨は、地方交通関係企業の経営の維持ということ、それによって地方の住民の足を守るという御趣旨だと思います。そういう意味で、私どもは「立法行財政措置」とございますが、行財政措置につきましては従来からできるだけのことをしてまいったわけでございます。ただ、安定的財源を確保するという意味で特別会計という方策も検討してまいったわけでございますが、これは今日まで実現しておりませんが、そういった意味で、やはり何と申しましても財政措置、財源確保ということが、この地方のバス経営あるいは鉄道経営の確保に一番重要な問題だろう、このように重点を置いて考えておるわけでございます。
  83. 吉原米治

    ○吉原委員 できるだけこの決議の趣旨に沿って努力したと言われるけれども、私ども言っておるのは、部分的じゃないのですよ。地方の公共交通全体をどう見直して、どのように維持していくのか、国鉄も含めて私どもは決議したはずなんです。特会制度はなるほど去年とことし出されました。こんな弱い者いじめの、マイカー族と称するそういう階層から税金を取り立てていこうというふうなその発想自体が、無理な発想でございます。マイカーから増税をするということについては当然抵抗があるということは、皆さん方は百も承知のはずだった。出されるのは御自由ですけれども、もしこれで財源が求められなかったらこのようにしようじゃないかという案はあったのですか。皆さんたくさんいらっしゃってお考えになったのでしょうけれども、少なくとも私が言いたいのは、全体の青写真をつくって、ひとつこれだけのことをやって地方の交通を維持していこうというためには何十何兆何百億の金が要ります、その全体の計画書ができ上がって、その計画の中の今回国鉄部分はこうしますというのなら、中身について一〇〇%賛成できないにしても、話はわかるのです。だから、もう一番手短なといいますか、地方の交通には、国鉄あり、都市交あり、私鉄ありでしょう。国側の負担分だけを早く何とか軽くしたいための部分的な措置だ。それではいかぬというのがわれわれが言っておる。全体の計画を立てないままにこういうものが実施されるということになれば、鉄道線路から今度は道路へおりてくるのですから、そうなってくると、既存のバス業者とどういう競合が起こるのか、あるいは道路事情はいまの道路事情でいいのか。恐らくローカル線の沿線一帯は先ほど言いましたように過疎地帯ですから、道路幅も何十年来同じ道路幅、そうでなくとも交通繁雑になって、安全上危険だと思われる。マイカーが走る、トラックが走る、バスが走る、その上に鉄道部門の代替バスがまたおりてくる、こうなったときの道路状況は一体どのように改善をしなければならぬか、既存の業者との関係はどういうふうに調整をするのか、そういうこともきちっと青写真をつくりながら進めていかないと、全体の地方交通というのがいびつなものになってしまうということをわれわれは心配するのです。その全体計画がなぜできないのか。財源があるとかないとか別として、計画はこのようにして今後の地方の交通を守っていきますというその考え方基本にならないと私はだめだと思う。なぜ出されぬのですか。いつになったら一体出していただけるのですか。大臣、お答え願いたい。
  84. 永井浩

    永井(浩)政府委員 先ほども申し上げましたように、地方交通の維持につきましていろいろ私どももできるだけのことをしてまいったわけでございますが、御指摘のように、政策を進めるための指針といたしまして長期的なビジョンあるいはその地域の経済情勢等に応じた交通計画が必要であろう、このように私どもも理解しておるわけです。ただ、地域の交通につきましてはきわめて具体的なきめ細かな方策というのも必要でございます。たとえば地方交通線の問題につきましても、これをどうこうする場合には、そういった関連道路、他の交通機関との関係、こういったものは当然それぞれ個々具体的に判断すべきものと考えております。そういった個々具体的な政策とそれから長期的なビジョンの政策、これは両々相まつべきものであろう、このように考えております。長期的なビジョンはやはりどうしてもどちらかというと地域におけるマクロ的な計画、あるいはやや抽象的にならざるを得ない。それと個々具体的、何町のどの交通をどうするかという問題とはちょっと次元が違うのじゃないか、このように理解しておるわけでございます。
  85. 吉原米治

    ○吉原委員 いま全体の計画部分的なものと両面相まってということで、私の主張は否定はされなかったのですけれども、全体の計画ができていないのでしょう。できていないままに個別に、部分的にやっていくといびつな地方の交通行政というものができ上がってしまうのじゃないかというのを私は心配するのですよ。だからマクロ的なものをまず出して、その中で、恐らく後ほど提案されます国鉄再建法の問題についてこうしたいというのが順序ではないかということを言っておるのです。その全体計画が、マクロでも結構ですよ、なぜできないのですか、こうお尋ねしておるのです。
  86. 永井浩

    永井(浩)政府委員 地域交通計画を府県単位に私どもも過去数年来勉強してまいっております。これはやや長期的展望に立った問題でございますが、都道府県の数で申し上げますと十幾つ勉強しております。さらにこれに加えまして今後とも進めてまいりたいと思いますが、そういった勉強を進めていく間でそういった計画を何らかの形でオーソライズするという方法も必要ではないか、このように考えております。そういった問題と同時に個々具体的なものの取り扱いというものとどちらを先、後ということではなく、それぞれ、両々相まってということで進めていかなければならないんじゃないか、このように考えておるわけでございます。
  87. 吉原米治

    ○吉原委員 お答え願いたいのですが、その全体計画はいつごろ打ち出されるお考えでございますか。
  88. 永井浩

    永井(浩)政府委員 地域の、たとえば都道府県別に検討してまいりますと約五十のブロックが必要でございますのでまだ相当な時間がかかります。もちろんこれにはそう巨額ではございませんが予算措置も必要でございますので、いまのところ何年までということは申し上げかねますけれども、私どもとしては各地域ごとにできるだけ速やかに勉強をしてまいりたい、このように考えております。
  89. 吉原米治

    ○吉原委員 私が言っておるのは青写真ですよ、計画ですよ。地方の公共交通をどうやって今後維持していくのか。実施の段階になれば確かに言われるように財源も要るでしょう。しかしその計画すらできないというのは、先月決議したんだから日にちがありませんと言われるならわかる。決議がなされてから一年半もたっておるのだからその青写真ぐらいはもうできてもいいんじゃないですか、こういうことを言っておるのです。あなた方も道路を直す場合によく計画路線だとか実施路線だとか言われるのでしょう。その計画がなぜできないのか、このことを尋ねておるのです。もう一回お答え願いたい。
  90. 永井浩

    永井(浩)政府委員 地域の交通計画と申しましても、その地域におきます人口の動向あるいは今後の産業の動向等全般のフレームワークをつくって、それから人の流れ、物の流れ、あるいは各種交通施設の計画等をかみ合わせていかなければなりません。そういった意味でいろいろな基礎になる調査がどうしても必要でございます。また多くの方の意見、特に公共団体等の方の意見も聞いていかなければならない、こういうことでございますので、一つ計画を立てるためには一年前後ぐらいの時間はかかると思います。そういったことで、私どももなるべく進めてはまいりたいと思いますが、そう一月とか二月という単位で地域の交通計画ができるんではない、このように考えております。
  91. 吉原米治

    ○吉原委員 一年余り、こうおっしゃったんですが、いまから一年ですか。
  92. 永井浩

    永井(浩)政府委員 たとえば県を一つのブロックと考えた場合にそのブロックの交通計画を策定いたしますのに一年ぐらいかかるだろう、こういうことでございます。過去に私どもも数年間で約十五府県の計画を立ててまいりましたが、これも平均しますとやはり一年近く府県ごとにかかっておるわけでございます。
  93. 吉原米治

    ○吉原委員 どうも論議がかみ合わぬようでございますが、いまの一年というのは、全国で十幾つあるという説明でございましたけれども、少なくとも、各都道府県あるいはブロックならブロック別でも結構です、あなたの方から指示をおろされて、あるいはいま地方の計画は県の段階でという意見を私どもも主張いたしておりますが、皆さん御参画なさって各ブロックごとあるいは県ごとにでも計画策定に入られたら一年後にはできるんでございますな。
  94. 永井浩

    永井(浩)政府委員 どうも説明が不十分で恐縮でございますが、一つの県を作業に取りかかりまして約一年前後と申し上げました。ですから、たとえば私ども陸運局が九つございますけれども、九つの陸運局が手がければ、いろいろ作業の難易はあろうかと思いますけれども、一年間に九つというものができるわけでございます。ただこれにはやはり人間の手と予算が多少伴いますのでそういった制約はあろうかと思いますが、そういった中で私どもはできるだけ早く逐次やっていきたい、このように考えておるわけでございます。
  95. 吉原米治

    ○吉原委員 それではひとつ決議の具体化に向かって最大限の御努力をお願いをしたい、このことを強く要請をしておきたいと思います。  それから、今度打ち出されるであろう国鉄再建法の中に特別運賃制度を考えていらっしゃるようでございますが、これはローカル線を廃止した部分、あるいは廃止をしないまでも一日一キロ二千人、それに近いところのローカル線については特別の高い賃率を採用したいという発想のように私は考えた、新聞の報道でそういう理解をしておるのですが、少なくともいまローカル線、過疎地帯一帯を走っておりますこの種の鉄道を利用しておる階層というのは非常に交通的な弱者なんですよ。つまり自分自身で自分の足を守るという手段を持つことができない年寄りや婦人や子供や通学生、一般的に言う交通弱者なんですよ。そういう弱者に負担を強いるということになるのです。特別運賃制度というものはそういう考え方で、交通的に弱い者いじめだ、そういう認識を持っていまこういう構想を打ち出されておるのかどうなのか、あるいはまた俗に見切り発車と言われておりますが、沿線の皆さんと協議、相談をしましょう、相談がまとまらないうちはやりませんというのならまあ常識的ですな。今回出された考え方というのは、沿線の皆さんと協議、御相談をするといっても、当初一年のようでしたが二年に延長されたようでございますが、二カ年たちましたら、今度は自動的に国鉄側は運輸省にローカル線の廃止を申請することができるという、まことに一方通行型の内容になっている。それじゃ何のために一体沿線の皆さんと協議をする価値があるのか。協議はまとまってもまとまらなくても二年後には自動的にやるというのなら、もう協議をせぬと同じじゃないですか。少なくとも日本人的な感覚で言うと、協議をしましょうと言うのなら、協議をして調ってからやりますというのが常識ではないのですか。そこら辺の考え方を私の認識に誤りがあるかどうか、どなたかお答え願いたい。
  96. 高木文雄

    高木説明員 特別運賃のところについてお答えをいたします。  ただいまの先生のお尋ねでは、特別運賃制度といわゆる地方交通線のうちの特別地方交通線、さらにその中のバス転換の問題と結びつけて私ども考えているやにお受け取りのようでございますが、もちろんこれは法案の段階で御審議いただくわけでございますけれども、私どもがいま考えております特別運賃と申しますのは、これはバス転換対象路線とかいうこととは全く関係がないわけでございます。私どもは現在大体二万二千キロの営業距離の運行をさしていただいておりますが、そのうち一万三千キロ、幹線というべきか、一万三千キロの部分と残余の九千キロの部分運賃水準を変えさしていただきたいという考え方でございます。  なぜそういう考え方をとるかと申しますと、従来から長い間にわたりまして賃率は全国一本であったわけでございます。それでもどうにかやっていけた時代もございますが、特に昭和五十一年のかなりの大幅の改定以来、都市近郊におきます国鉄運賃と私鉄の運賃の格差が非常に拡大をしてまいりました。一方、地方におきます私鉄もしくはバス運賃水準と国鉄運賃との格差が拡大してまいりました。私どもは公共的使命というお役をいただいておりますし、そしてまた全国の運賃水準が地域によって違うということについては大いに問題があるとは考えておりますけれども、ここまでまいりますと、都市地域における運賃の水準とその他地域における運賃の水準を同一にしておくということでは、原価との乖離が余り大きくなりますので、率直に申しますと二段階運賃にさしていただきたいという考え方から出ておるわけでございます。
  97. 吉原米治

    ○吉原委員 いずれまた法案審議の段階で詳しくお尋ねいたしますから、時間も参りましたので、地方公共交通をどうやって維持整備していくのか、国鉄の問題も含めての論議はここら辺にしておきたいと思いますが、あと二点だけ準備をいたしておりました質問がございますので、よろしくお願いしたいと思います。  一つは、運輸大臣所信表明交通安全の対策に触れられておりますが、先月の二十日だったと思いますが、関西で京阪電鉄の転覆事故が発生をいたしております。原因はもう御承知のとおり中学生による置き石事故であることは新聞報道でも明らかになっておりますが、運輸省としては、その後転覆事故に対して一体どういう行政指導をやられてきたのか、今日までの状況、それから今後どのような対策を講じていこうとされておるのか。  現地の報告を聞きますと、あの転覆事故以来四件の置き石をされた、そういう現状も報告されておりますが、乗務員はこういった状況に対しても恐怖感を持って、乗務するのがこわいという感情も持っておるようでございます。運輸省としての今日までの指導、これから先の対策、それから小中学生によるそういった問題ですから、もちろん文部省の指導、さらには当該会社が今後こういった事故を防止するための線路のさくがきの整備だとか、架道橋からの落下物の防護だとか、排障器の改良だとか、こういうものにかなりの金をかけて安全対策を恐らく講ずるだろうと思いますけれども、いま転覆事故を起こしました京阪電鉄は御案内のように中小私鉄でない、大手に属する会社でございますから、大手会社にはこの種の問題については残念ながら助成措置がない。もちろん関係会社も安全対策についてはかなりの金をかけて真剣に取り組むことは間違いないと思いますが、行政サイドも積極的に安全対策を進めていくという見地から、この種の対策費についての応分の助成があってしかるべきじゃないか。この問題を含めてひとつ御回答を願いたい。
  98. 山地進

    ○山地政府委員 この京阪の置き石による列車事故が起きまして、私ども従来から警察とか教育機関あるいは地域団体、沿線住民に対して、これは地域ぐるみでこういうものを防止するようにお願いをしなければいけないということを鉄道事業者の方にかねがね申しておったわけでございますが、今回このような事件が起こりましたので、主として青少年の教育問題と考えまして、今般二月の二十六日付で鉄道監督局長から文部省の初等中等教育局長あてに、この種の問題について再発を防止するため、学童に対する指導教育につき各都道府県教育委員会その他関係機関、団体に対する徹底方をお願いいたしました。それから同時に、国有鉄道の公安本部長あるいは民鉄協会から同じく初等中等教育局長あてに、それぞれの立場からこの件についてお願いをしたわけでございます。  それから当事者でございます京阪におきましては、非常に詳細な事故防止、予防のための点検ということを二十項目ぐらいにわたりまして、人間の点あるいは先ほど先生の御指摘のあったようなさくをつくるとか、そういった施設の面それぞれにつきまして詳細な検討を行ったようでございますのでそれらについては同業者にさらにそういうものを周知徹底するというような措置を講じ、お互いの協力によってそういう情報を交換してこのような問題が起きないようにしたい、かように考えております。  助成の点につきましては、いまのような広範な防止対策という中でどういったものが公共的に助成しなければならないかということを含めまして今後は検討をいたしてまいりたいと思いますけれども現状では直ちに助成に結びつけて考えてはおりません。
  99. 垂木祐三

    ○垂木説明員 御説明申し上げます。  先般、大阪府下で電車の脱線事故が中学校の生徒の置き石を原因といたしまして発生いたしましたことは大変遺憾に存じておるわけでございます。ただいま運輸省の方からの御説明もございましたが、文部省といたしましても、このようなわずかのいたずらから重大な事故が発生することはきわめて憂慮すべきことでございますので、先月二十九日付で文部省の初等中等教育局長名をもちまして、都道府県の教育委員会あるいは都道府県の知事の方に、鉄道妨害の防止につきましての通知を出したところでございます。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕  その主な内容といたしましては、児童生徒が置き石、投石あるいは線路への立ち入り等の鉄道の妨害の行為を絶対に行わないように指導の徹底を求めますとともに、児童生徒の健全育成ということを考えまして、児童生徒がよく善悪を判断いたしまして社会の規則を守って行動することができるように、学校教育のあらゆる機会をとらえまして指導を行うこととか、あるいは学校におきまして児童生徒の校外における生活の実態を十分把握するようにということを通知いたしておるわけでございます。なお、あわせまして、学校から家庭に対しまして児童生徒の鉄道妨害の防止につきましても協力を求めるように述べておるところでございます。
  100. 吉原米治

    ○吉原委員 残念ながら、時間が超過しましたので、一件だけは、関係者の皆さんせっかくお越しになりましたが、時間切れで、次回に譲りますので、その節お願いしたいと思います。  終わります。
  101. 古屋亨

  102. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣が間もなくお見えになるということでございますので、最初に永井審議官にお伺いをいたしておきたいと思います。  先ほど社会党の委員から総合交通体系の問題についていろいろ触れられたところがございました。この総合交通体系につきましては、四十八年度末に起こったいわゆる石油ショック以来約六年間にわたって、予算委員会あるいは運輸委員会あるいは物価問題特別委員会におきまして、総合交通体系の見直しをしなければならないじゃないかという議論がそれぞれの委員会委員より提起をされたわけであります。それに対してそのときどきの総理あるいは経企庁長官より何度となく、早期見直しをする必要がある、こういう旨の発言があったわけでございます。何度も何度も繰り返されてきたわけでございますけれども、いまだにその見通しについてははっきりしていない、こういう現状にあるわけでございます。私はいま総合交通政策の内容に入ろうとするわけではありませんけれども、いわゆる低成長時代への交通政策の総合的な立て直しというものが急務であることは言うまでもないわけでございますから、どうしてもこれをやる必要があるというふうに認識をいたしておるわけでございます。  そこで四十六年に設定をされた総合交通体系のあり方、これの成立までのプロセスを見ますと、最初に運輸省から運政審に対して、総合交通体系のあり方を諮問しておられる。そしてそれから約一年間を経過して運政審の答申があり、その間、その後段において経企庁もいろいろ動きがあったようでございまして、総合交通問題関係閣僚会議の設置等があり、そういう議論を踏まえて四十六年の十二月に閣議で「総合交通体系について」が了承された、こういう経過になっておるわけでございます。そういうふうにして見ますと、運輸省が運政審に諮問される下敷きがいつ出るかによってこの総合交通体系の見直し、新しい総合交通体系といいましょうか、そういうものが成立するめどが出てくるのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。  そこで、運輸省においては総合交通体系もしくは総合交通政策を運政審に諮問する段階になっているかどうか、この点についてまずお伺いをいたしたいわけであります。
  103. 永井浩

    永井(浩)政府委員 総合交通政策につきましては、御指摘のように四十六年、ちょうど高度成長期の最後の時代に作成したわけでございますが、その後安定成長と申しますか、低成長時代に入りまして、また当時予想もしなかったエネルギー問題、当時も環境問題はございましたけれども、さらに深刻化するような環境問題、こういった交通を取り巻く環境が大幅に変わってまいりましたので、私どももこの見直しをスタートラインとして新しい総合交通体系をつくらなければならないのではないかということで事務的に準備を進めてまいったわけでございますが、前回の例もありますように、私どもの事務的な作業だけではなくて、やはり各界の御意見を伺ってやりたいということで、運輸政策審議会に御審議をお願いするということを考えておりまして、近く諮問したい、このように考えております。
  104. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 審議官は、近く運政審に諮問をしたい、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、近くというのは、十年という歳月を見れば一年も近いわけでございまして、この運政審への諮問がいわば新しい総合交通体系の出発点になるわけでございますので、この時期を明確にしていただかないと、いつごろ新しい総合交通体系ができるかというめどもつかぬわけでございまして、もう少し時期について明確におっしゃることはできませんか。
  105. 永井浩

    永井(浩)政府委員 現在、四月早々にも諮問をいたしたいということで準備を進めております。
  106. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これはいままでのいろいろな大臣の御答弁に比較いたしますと大変明確な見通しの答弁をいただいたわけでございまして、大変結構かと思うのです。  それでは、四月に運政審に諮問すると、運政審で大体どのくらいの期間がかかるか。前回ですと一年ぐらい経過して答申が出ているというふうに思いますが、めどはその前後と考えてよろしいかどうか、その点もう一度お伺いします。
  107. 永井浩

    永井(浩)政府委員 御審議をお願いします事項が大変多岐にわたっておりますし、当然その前提となります経済、社会の動向というものも御審議をお願いしなければならないということで、やはり相当な時間がかかると思います。ただ、相手のあることでございますので、私どもからいつまでというお願いはできかねますが、前回の例を見ますと、約一年前後で答申をいただいておりますので、おおむねそういう目途でお願いしたい、このように考えております。
  108. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは経企庁がお見えになっていればお伺いしたいわけですが、いまの永井審議官のお話でございますと、諮問が四月に出されます。それで一年あるいは一年をちょっと経過するかもしれませんけれども、答申がそこら辺で出てくる、こういうことになりますれば、前回の例でいきますと、運政審の答申が四十六年の七月に出されておりますが、四十六年の四月、すなわち三カ月ぐらい前には総合交通問題の関係閣僚協議会が設置されておるということになりますが、やはり答申が得られればその前後にそういうようなことになる。そして、約八カ月後ですか、総合交通体系が閣議了解というふうになりましたが、経企庁においても大体そういうような一つの期間と申しますかその流れで、新しい総合交通体系ができる、こういうふうにお考えですか、この点を明らかにしてください。
  109. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 先ほど来先生から御指摘ありましたように、前回の経過はそういうことでございますが、われわれ経済企画庁といたしますと、四十六年の十二月の臨時総合交通問題閣僚協議会による考え方、言ってみますと、国民のニーズを踏まえながら競争原理にのっとってそれぞれの交通機関の特性に応じた望ましい分担関係をつくっていくのだ、その基本的な考え方は現在でもある程度妥当するものだろうという考え方は持っておるわけでございます。したがいまして、今後も基本的にはこういう方向に沿いながら、経済社会の変化に応じて弾力的に対処してまいる必要があるだろう。基本的にはそういう考え方でございますが、先ほど来先生の御指摘にございますように、社会経済情勢が非常に変化をいたしておりますし、見直しを行うべきではないかという御意見のあることも十分承知をいたしておるところでございます。  したがいまして、経済企画庁といたしましては、関係運輸省、建設省、国土庁、警察庁、その他に対しまして、どういうところを見直す必要があるのだろうかということで、それぞれ所管所管についての検討お願いをしておるところでございます。先ほどの運輸省のお話のように、運輸省としては、運政審に近く諮問をされるということでございますので、それら関係各省の検討の結果を踏まえながら、総合的な調整あるいは総合的な作業というものを進めていきたいというふうに考えております。したがいまして、現時点でいつまでにどういう手順でということまでは申し上げかねる状況でございます。
  110. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 なかなかいつまでというのは言いにくい点があることは私もわかるのですけれども、前回の例もあるわけでございますから、前回の例とそう時間的にずれることはない、こういうふうに考えていいですか。
  111. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 時間的なことは、先ほど申し上げましたように、申し上げるだけの準備も検討も進めておりませんので、お許しをいただきたいと思いますが、ただ、前回と現在の違いは、やはり経済の情勢といいますか、これからの先行きの不透明感というものが非常に強い時期であるというふうに考えますと、必ずしも前回の例どおりにいくかどうかというところについては、現時点では何とも申し上げかねるというふうに思います。
  112. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣、いまお留守の間に、若干総合交通体系の問題を議論をしておったわけでございますが、大臣も御存じのとおり、運政審に対してこの四月に総合交通体系のあり方について新しく諮問をされるそうでございまして、前回の例が、答申が出るまで約一年くらいかかっているわけなんです。それから、経企庁がその間にいろいろ作業をして、運政審の答申が四十六年の七月に出されましたけれども、それから約五カ月後総合交通体系についての閣議了解がなされたわけです。ですから、今回の場合も、これからの時代の交通問題の基本的な政策でありますから、やはり早いところ見直しをしなければならぬ。  そこで、ひとつ運輸大臣の御決意をお伺いをしたいわけでございますが、前回の例にならえば、約一年半で運政審への諮問から総合交通体系についての閣議了解まで大体一年半で出されていく。何とかそこら辺の時間の間にこの問題について決着をつけるように強力に推進をする、そういう御決意に立っていただかねばならぬと思うのですが、いかがですか。
  113. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 運政審はしばらく開かれなかったわけでございますので、先般委員の一部入れかえ等をいたしまして、いま先生がおっしゃるように、総合交通体系について近く会合を開いていただきまして、本格的に検討に入っていただく、早急に結論を出してもらうように要請をする決意でございます。
  114. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それではもう一つ大臣に伺っておきたいのですけれども、新しい総合交通体系のめどが大体出てきたわけですね。そうなりますと、いままでいろいろ議論のあった陸上特会の問題がもう一度改めて議論にならなければならないというふうに私は思います。  いろいろな議論はこの際省くといたしまして、残念ながらことしの予算編成にはこれのめどがつかなかったわけでございますけれども、やはり将来のことを考えますと、どうしてもこの陸上特会というものが必要ではないか。それでなければ財政の確保はむずかしいのじゃないかというふうに思いますので、この陸上特会について、いままで大臣は余り積極的な御発言がなかったように思うのでございますけれども、今回の予算編成でだめだったから全く永久にあきらめてしまったのか、あるいは大臣としては、近い将来においてもう一度これを強力にプッシュする、五十六年以降においてプッシュするというようなお気持ちに立っていらっしゃるのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  115. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 わが国における今後のエネルギー情勢、環境の問題等、制約条件が強まってまいりましたので、長期的な観点に立って鉄道バス、効率のよい交通機関等を生かしていかなければならないわけであります。そういう意味におきまして、私この役所に来るまで、この陸上特会の問題に対して十分承知しておりませんでしたが、非常に重要性を認識してまいりまして、次の機会にはぜひこの陸上特会を成立するように努力をいたしたい、かように考えております。
  116. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは次の問題に移りまして、国鉄の施設の老朽化問題と、それから、国のいわゆる国鉄財政への投資の姿勢の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  政府国鉄再建構想は、十二月の二十九日に閣議了解がなされたわけでございますけれども、それによりますれば、収支均衡の回復の目標年度昭和六十年度、そういうふうに置いておるわけでございます。私は、いろいろな問題がふくそうしておるので、そう簡単にはいかないというふうに考えておるわけでございます。この昭和六十年度をめどとした収支均衡という問題は、損益勘定の上での均衡ということは考えられるわけですけれども、資本勘定は借入金で投資を行っておるわけでございますので、恒常的に大幅赤字であろう、この基調は変わらない、こうならざるを得ないと思うわけでございます。  これから議論をするに当たりまして、まず国鉄総裁にお伺いをしたいわけでございますが、六十年度における累積債務はどのぐらいになるというふうに想定をしていらっしゃいますか。
  117. 高木文雄

    高木説明員 六十年度の累積債務、これはずいぶん先でございますし、金額が大きいので、ちょっとなかなかむずかしいわけでございますが、約二十兆というふうに考えております。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 五十四年の予定の数字でありますけれども、長期債務残高が十兆一千六百四十一億でありますから、約倍になる、こういうような数字であろうと思います。大臣、これから議論をいたしますので、この問題をよくひとつ御記憶をいただきたい。  そこで、基本設備の老朽化の問題。これはいろいろデータが出ておりますが、特に、一般的にわかりやすい状況を申し上げますれば、国鉄が出されております「国鉄現状」、このパンフレットによりますと、耐用年数の推移の一覧が載っておるわけです。これを見ますと、車両については耐用年数が十一年から二十年、こういうふうになっておりますけれども、この十年未満を除いて実に一万八千両、こういうような数字になっておりますね。また二十年以上を経過したものが大体六千から六千五百車両ぐらい。昭和三十年から五十四年、ですから二十四年間でございますけれども、この二十年以上経過したものを見ておっただけでも相当な数字になる。恐らく三倍ぐらいになっていやせぬかというふうに思われます。十年以上経過というものを五十四年度と比較してみますと、実に二・六倍、こういうような感じであります。  また、橋げたの方を見てみますと、これも大変な数字になっておって、全体の五一%が四十年以上を経過しておる、そういう状態ですね。  それからトンネルの方は、三十年が二百二十一キロであったのが、五十四年では六百五キロ、二・七倍。こういうふうになっておるということは、やはりこれはきわめて安全性に問題があるのではないかと思うんですね。この安全性の問題をいろいろ担当に伺ってみますと、修理をしていくから耐用年数を過ぎても十分に安全性は確保されておると言う。私もそれはあろうかと思います。しかし、やはりいろいろな設備でございますから、これが修理を加えて永遠に保持できるという問題ではないわけでありまして、この傾向がどんどんふえるということは、いまの国鉄財政の中からいきまして、やはり安全性を確保する、この基礎設備への投資が減少しているということを物語っておる、これはもう紛れもない事実だと私は思いますね。これがこのまま続いていくようなことになってくると大変である、こういうふうに私は思うわけです。  もう少しこの問題について議論をいたしますと、たとえばトンネルの中で石とかれんがづくり、そういうものをずっと見てみると、四十年を経過したものが四二・八、六十年を経過したものが五九・九、六十三年を経過したものが六四・七、いろいろな資料を見ますと実に三分の二というようなことになっておって、あるいは橋梁下部の問題を考えてみても、そういうような数値がきわめて顕著である、あるいは橋梁上部工の状態を見てもそうである。いろいろなことが言えるわけでございますけれども、やはり安全性を確保するという意味では、単に修理でもたしていくということは物理的に不可能なわけでございますから、長期的に見た場合、そういう諸設備は必ず摩滅していくわけでしょう。いま国鉄の方にいろいろ状況をお伺いしますと、修理でやっていますから大丈夫ですと言いますけれども、やはり鉄筋コンクリートの橋梁下部工は、最大限何年で取りかえなければならぬのだ、あるいはコンクリートによるところの橋梁下部工については何年で取りかえなければならないのだというような原則が示されなければならないのではないか、私はこういうふうに考えるわけであります。なぜかならば、国鉄は、いわゆる新経済七カ年計画、これに対応して国鉄関係の投資計画というものが当然考えられていると思うのでございますけれども、その金額がどのようになっておるのか、そこら辺から十分に検討しながらこの問題を考えなければならぬのだ、こう思っているわけです。  大変ややこしい議論になって恐縮でございますが、まず国鉄にお伺いをいたしますけれども、いま申し上げました新経済七カ年計画に対応した国鉄関係の投資計画というのはどのぐらいの規模を見込んでいらっしゃるのか、まずそれを教えていただきたい。
  119. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 お答え申し上げます。  新社会経済計画の七カ年計画におきましては、鉄道関係投資といたしまして二百四十兆のうちの十七兆七千五百という数字は決まっております。この中におきまして、これは国鉄、建設公団並びに地下鉄等も含めておりまして、国鉄のポーションというものはこの中で幾らという数字ははっきり決まっておりません。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、今回の基本構想ではどのぐらいの投資を見込んでいますか。
  121. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 昨年の七月に出しました基本構想案の中におきましては、ほぼ現状程度の投資規模に抑制していくという考え方で。ございまして、五十三年度価格におきまして、毎年、実質約一兆円という考え方でございますので、七カ年分で約七兆円を見込んだわけでございます。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 七カ年で約七兆というようなことのようでございますが、その中でいわゆる取りかえに対する投資、それからいろいろな維持強化を図らなければならないための投資、そういうものがあると思うのですけれども、そこら辺はどのぐらいを見込んでいらっしゃるのですか。
  123. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 投資の枠としましては、ただいま申し上げましたように七兆と見込みましたが、その中の各プロジェクト別のいろいろな内容については、現在、さらに検討を進めている段階でございます。ただ、おおむねこの中の三兆ないし三兆五千億ぐらいが取りかえ投資に充てられるものという見当で現在作業を進めているところでございます。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうしますと、取りかえ投資が七カ年で三兆五千億、年間にいたしますと大体七カ年でございますから、五千億程度、こういうことになるわけですね。そうすると、いわゆる予算を考える場合に、その投資を、取りかえだけでも年間五千億はどうしてもやらなければならない。そういうことになりますと、総裁、これはその五千億に見合う取りかえの原則がなければならない。いま国鉄はなかなか原則をお示しならぬのだけれども、これでは交通安全の問題について大変不満を持たざるを得ないのであって、毎年五千億程度はかえますよというわけですね。そうであるならば、そういった諸設備のいろいろなものを何年ですっかり取りかえなければならぬのだというものが確定されていない限りは、取りかえ投資の三兆五千億というのは出てこないはずですね。ですから、修繕だけじゃなくて、原則的に何年に取りかえなければならないという考え方国鉄内部にあるのではないか、そういうものを明確にしなければ本当の意味の投資というものが計算できないのじゃないかと思うのですけれども、この点いかがでしょう。
  125. 高木文雄

    高木説明員 ただいま申し上げましたように、三兆五千億くらいのことを考えておるわけでございますが、三兆五千億というのは年率で五千億になります。五千億で十分かどうかというと、必ずしも十分でないわけでございまして、残念ながら六十年までの期間では、だましだまし修繕をしながらやっていく、トンネルとか橋とかについては徐行ということもやりながらやっていくということでぎりぎりという感じでございます。本来ならば、設備の現状からいってどのくらいの取りかえ投資が必要かという基準をつくり、それによって額を算定すべきものかと思いますが、基準をつくってやりますと、いまの七年間で三兆五千億という程度のオーダーではちょっと不足をすることになるかと思いますので、率直に申しまして、再建計画の方からいって、投資の枠を抑えられるということになりますと、毎年毎年当面非常に危ないところを直していくのに追われている感じでございまして、理論的に立てましても、それが現実には実現できないことになるものでございますから、現在のところは、おっしゃるのが筋だとは思いますけれども、全体計画を立てることに余り重点を置いていないのが現状でございます。それではいけないということはそのとおりでございますけれども再建計画の方からいいまして、どうしてもその程度に抑えざるを得ないということから、きわめて現実的には、その種の作業が特に取り組まれないまま置かれておると申し上げた方がいいかもしれないと思います。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 さて大臣国鉄総裁の方からかなり悲観的な見通しのお話がございました。私は、そこら辺までもう少し突っ込んで議論しようと思いましたけれども、これはどう議論してみても間違いないのですね。要するに、国鉄再建財政計画という枠の中から年間五千億という数字が出てくるのであって、とてもじゃないけれども、これでは十分な設備投資ではない、これは明確なわけですよ。いま国の方針は、まだいろいろな議論をそれまでの間にしなければなりませんけれども、時間がありませんから率直に申し上げますと、国の助成の方式というのは、損益勘定に対して五十五年が二千九百四十二億、資本勘定が四百七億ですね。それから、特定債務整理勘定は三千四百五十七億で、全部で六千八百億ばかりになるわけでしょう。私に言わせると、一体これはどういうことなんだということですね。しかも、資本勘定助成というのは、前年までは、少ないけれどもふえる傾向にあったわけですね。これは御存じでしょう。五十二年三百八十三億、五十三年七百十七億、五十四年七百五十一億、五十五年が四百七億と極端な落ち込みになっているわけです。約半分に減ってしまっている。それは国の財政事情が厳しいということは私もよく知っています。ですから損益勘定等への助成の方が財政効果は大きい、この点も私は否定はしないのです。ですけれども大臣考えてみてくださいよ。何ぼ損益勘定に助成をしても、いわゆる設備の老朽化問題については全く対応できないじゃないですか。この問題を一体どうされるのですか。いまは修復して何とかやっておるからいいですよ。しかし、十年後あるいは十五年後ということになってくると、国鉄は設備の上においても全く老朽化して、他の輸送機関との競争関係はますます劣悪化していく。しかも交通安全という交通機関の最も基本的なる使命も、これは危機にさらされてくる。これは財政問題ではなくて、本当にそういった意味では、国鉄を存続させるのが意味があるのかないのか、交通機関として使用することができるのかできないのかという基本的な問題にかかってくるのじゃないですか。幾ら損益勘定の助成をこれから仮にふやしたとしても、設備が老朽化して乗れなくなってしまったら一体どうします。これだけの大変な助成をしておいて、しかも老朽化を黙って見逃しておくような国の助成のあり方というものは私はないと思う。ここはひとつ腹を据えて返答してもらいたい。どうですか。
  127. 山地進

    ○山地政府委員 国鉄のこういった投資規模全体の問題は、先生のおっしゃるように、財政の立て直しの見地から何とかして抑えたいということでございますけれども、その中で一体それをどういうふうに使うのかということについては、いろいろな考え方があろうかと思います。取りかえを主にして使うということと、あるいは複線とか電化とか新規のものに投資をする、そういう必要性もかなりあるわけでございます。それをどの程度にあんばいしていくかというのは非常にむずかしいと思うわけでございますが、先生の御指摘の助成の問題でございますけれども、損益勘定の方でも、これは工事費の補助金というものがございます。これは工事にかかる費用の金利を負担するわけでございまして、これも実は設備投資をしやすくしているという効果があるわけでございまして、損益勘定に入ってはおりますけれども、これも設備投資を促進するという意味からは非常に有効な手段かと思います。その他大都市の交通整備補助金とか、大都市交通運営費補助金とか、それぞれの役割りに従って資本勘定あるいは損益勘定で入っているわけでございまして、昨年資本勘定に入っておりました地方交通線の運営費補助みたいなものは、ことしはそれを損益勘定に挙げておるわけでございます。内容的にはそれほど違ったものではございませんので、資本勘定が減ったから投資について政府の助成が減ったというふうには一概に言えないのではないだろうか、かように考えております。
  128. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それは私の言い方も足らなかったと思うけれども、しかしあなた、それは言葉のごまかしじゃないですか。国鉄はいま毎年五千億設備投資につぎ込んでも、なお安全性の問題については問題が出てきますとおっしゃっておるのですよ。そういったいろいろな助成の仕方がある、これは私も見て知っておるけれども、設備投資に対しても国が投資をしなければ一体どうなるのですか。では借入金で設備投資をいたしますということになってくると、先ほど明かされたように、六十年までに長期債務は残高が二十兆円になるだろうと言われておるでしょう。そうしますと、その間の利子は大変な金額になるのじゃないですか。そちらの面からも財政が圧迫されることは間違いないはずですね。確かに借入金に対しては三・五の助成ですか、そういうものがあることも知っていますよ。しかし、長期債務残高が二十兆円になる時代が来るのでしょう。そちらの方の返還額あるいは長期債務の利息というものがこれまた膨大にふえてくるわけでありまして、そういう点から見ても設備の老朽化という問題はいまの財政問題だけでは片づかない問題が中にあるわけでしょう。これは否定しようがないじゃないですか。何とかしなければいけない。だから、国鉄の設備投資がこれからも毎年一兆円規模で行っていかなければならないわけだから、それに対する政府の助成の方式というものはきちっと確立をしなければ、これからの老朽化は急速に進むんだし、安全性というものは急速に低下してくる、だれが見てもこう考えざるを得ないじゃないですか。ここのところを政府は一体どうやっていくのかということです。国鉄は、財政計画があるから、財政の方から考えざるを得ないからそれは少々削っておけ、もう少し後ろへ回しておけと言われればそれは抵抗しがたいでしょう。だけれども、少なくとも運輸省は大蔵省とけんかしてでもこの投資の問題というものは正確にその柱を立てておかなければ、将来の交通安全という問題は大問題ですよ。私の言うことは間違っていますか。あなたはいろいろなことをおっしゃっておりますけれども、鉄監局長、私がいま言うたことは間違っておるかどうか、それだけ言うてください。
  129. 山地進

    ○山地政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、考え方で二つに分けて投資規模ということと損益ということの関連でございますけれども、先生の言外にお示しになっている考えというのは、投資規模はかなりふくらむと財政を圧迫する、これは金利として財政を圧迫するということだろうと思います。現在の国鉄の金利というものは二つの部分に分かれておりまして、一つが設備投資による部分でございます。それからもう一つ赤字借入金に対する金利、この二つになっておるわけでございまして、今回のたな上げ措置というのはこの赤字の借入金の部分についての対策を主として考えているというふうに御理解いただいていいのだろうと思います。  ところで、設備投資の方の借入金の金利につきましては、先ほど来御説明したように工事費補助金とか、そういった補助金で金利負担を軽減していく。元来国鉄の工事については運賃によって負担していただくのが原則であるということから言いますと、この程度の、三・五%の助成、これは国鉄の設備全体でございますし、大都市については別途また補助があるわけでございますが、そういったことで国鉄の採算ということを考えていくというのが一つ基本ではないだろうか、こういうふうに考えているわけでございます。  そこで、現在の問題になっております取りかえ等の五千億ということをどうやって中に入れていくのかということになりますと、投資規模の範囲にとてもなかなかおさまらない。そこでさっき総裁がおっしゃったようにだましだましということが出てくる。そのことは否定できないだろうと思うのです。そのために補修費が高くつくのかどうかという採算問題もまた片方ではあろうかと思いますけれども、現在の財政投資能力ということ、あるいは片方ではそれがはね返ってくる国の損益に対する助成というこの財政負担という方から考えましても、この取りかえの問題というのはなかなかむずかしい問題で、私の方も非常に頭の痛い問題だということを申し上げているわけでございます。いかにしたものだろうかと私どもとしても頭を痛めているわけでございます。
  130. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 頭が痛いだけならいいですよ。困った困ったと言うだけでは問題は解決しないのであって、五十五年度国鉄収支のあらましを見ても、利息が八千三百六十四億というふうに想定をされておるのでしょう。そうすると、六十年度の長期債務二十兆という時代が来れば利子だけで一兆円をはるかに超えますよ。倍ぐらいになってしまうんじゃないですか。二兆円近い数字になってくるんじゃないですか。それだけでこれまた大変な財政負担になるわけであって、いま財政負担の問題もあるけれども安全性という問題をでは財政の中でどう吸収していくんだではなくて、安全性をまず第一義に考えなければならぬでしょう、人間を運ぶんだから。だから、それに見合う投資というものをしなければならない。それの計算というものはこの国鉄財政問題とは別途考えなければならないはずだということを私は申し上げたいわけなんです。そうなりませんか。人間の命が何物にもかえがたいと言われている時代にあって、老朽化はほうっておきます、人命が危機にさらされてもそれは財政上救助できません、いままでの御答弁からいけばそういう筋道が出てくるじゃないですか。一体これは大臣、どうします。何とか知恵を出してもらわなければならない。
  131. 山地進

    ○山地政府委員 先生の御指摘のように安全ということの内容かと思うのです。安全度ということについて許容範囲というのがどの程度あろうかということになるかと思いまして、国鉄当局、先ほど加賀山常務理事が申し上げたとおり三兆五千億ということの内容、これを、パーセントで安全ということを言えるかどうかわかりませんが、それをかなり高めた場合の数字とかなり低めた場合、低めた場合というのがその安全を損なうという意味ではないと思うのでございますけれども、その範囲で考えたらどうだということで、若干の幅はある、私どもはそう思っておりまして、その範囲で国鉄が恐らく再建基本構想案で三兆五千億ということを考えたんだろう、私はそう思っております。
  132. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういう御答弁は私はいただけない答弁だと思うのですよ。そのことはさっきも私は前提条件として申し上げたわけだから。しかし、設備というのは修理を加えたからといって永久に存続が許されるべき性質のものではないでしょう。鉄監局長のその御答弁は科学性を無視した答弁になるんじゃないですか。それではいかにもおかしいでしょう。この問題だけやっていられないからもうやめますけれども、しかし、再度御要求を申し上げるわけでありますけれども、いま国鉄財政上の問題があるから恐らく内部では取りかえ原則を検討していると思うのだけれども表に発表できないわけですよ。ここにも問題があるんです。あるんですけれども、しかし本当に交通機関の最大使命である安全性という角度から考えれば、今後国鉄は、少なくともこの法案が出てくる以上、六十年までの間にそういうような科学的な根拠に基づいた意味での取りかえ投資というもの、それはどうしてもこの程度はやらなければならないのだということを試算して報告してもらわねばならない、こう私は思います。あなたは先ほどの私の考えについては御否定なさらなかったわけだから、その論理をたどっていけばそういうことになるじゃないですか。これはできますか。
  133. 高木文雄

    高木説明員 直接ただいまのお尋ねに対するお答えにはならぬかもしれませんが、実は現時点でどのぐらい取りかえに金を使っているかと申しますと、一兆余の全体の投資の中で大体三千億強でございます。それで私どもの方は年率五千億ぐらいのベースではなお取りかえ投資に使いたいというふうに考えております。その意味で現在では最小限度のものも満たし得ない状態になっております。ところで片っ方で、いまの再建計画の方で年率で大体一兆円の投資ということを考えた、そして取りかえ投資は五千億ぐらいはどうしても要るんだということを考えた場合、つじつまが合わないじゃないかというふうにお受け取りになるかもしれませんが、いま、五十五年度、五十六年度が一番きついときでございまして、四千億という巨額の金を、一兆円の中の四千億という部分東北新幹線工事の方に取られておるわけでございます。五十五、五十六を過ぎますと新しいプロジェクトを考えなければ、いまの一兆円という枠の中で東北新幹線のような新規投資に回す資金をやめまして、それでいわば浮いてきますから、それを取りかえ投資の方に向けるということになるわけでございまして、そうなりますと、先ほどお示しになりましたある種の基準を考えながらどういうペースで取りかえ投資を進めていくべきやという理論値を出していくこともまあまあ可能なものになってくるというふうに考えております。  いまの五千億というオーダーは必ずしも厳密に計算したものではございませんが、理論値から計算していったものからいいましても、そう著しく低いということは言えないわけでございますので、まあまあ六十年までの六年間の再建期間中、後半においては相当程度取りかえ投資に重点を置いてやっていければ御心配の点、安全という問題についてはまずまず御心配いただかなくてもどうにかいけるかどうかというぐらいのところで渡っていけるのではないかと思っております。また、古くなればなるほど修繕費がかかってくるものですから、そういう意味からいいましても修繕費負担と金利負担との関係からいいましても、本当は一年も早く新規投資の方を抑制して取りかえ投資の方に回したいのですけれども東北新幹線、こういう状態でございますので、何としてもこれだけはやってしまわなければいかぬということで、本来あるべき姿よりはいささか一、二年取りかえ投資の方に金を回す期間がおくれるという現状になっておるわけでございまして、私どもも安全が一番大事なことでございますから、再建計画もさることながら、安全はまたさらにそれ以上重大な問題でございますから、そこは相当気を配ってやっておるつもりでございます。
  134. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この問題はこれでやめますよ。だが、これは考えてもらわなければいかぬですよ、本当に。いまの総裁答弁、なお反論すべき問題点もあるのですけれども、今後の問題として次回等にまたこの議論をさせていただきたいと思います。しかし、運輸大臣にくれぐれもお願いをしておきますけれども、まさにいまの財政上の組み立て方からいけば、将来この安全性の問題はきわめて大きな社会的課題になってくるということは頭の中に置いていただいて、来年度の助成措置についても、投資への直接助成はやるんだというぐらいの考え方をお持ちいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  私は問題を七つばかり用意したのでございますけれども、二つ目でつっかえてしまって、もうあと五分しかないということでございますから、ほかの問題はやめることにいたしまして許認可問題について運輸省に伺っておきたい。いわゆる行政改革の問題。これもいろいろ大臣の所信等から伺いながら入りたいと思いましたけれども、時間もありませんから私の方からばらばら申し上げることにしましょう。  五十二年の十二月二十三日閣議決定されて、「行政改革の推進について」というものが決まりました。五十四年十二月二十八日、同じく行政改革の実施問題について決まったわけでございます。五十二年のときには運輸省関係は三百八十件の計画で三百五十二件を実施した。去年の暮れに決まったものは九十三件、整理計画を持っておる。これを五十四年五十五年度にわたって実施をするんだというお話でございますが、この行政改革の成果というものは何にもわからぬわけですな。この間から運輸省の係の方に伺っておりますけれども、この三百八十件、九十三件、件数ばかりお示しになるだけでございまして、こういうような許認可事項の数字がございますということをいま一生懸命御説明になるのでございますが、そういう五十二年三百八十件、五十四年度九十三件の計画を立てて、それが一体どのような効果が上がったのか、そういう問題については国民の前にはいささかも明らかにされていないわけです。それでは一体行政改革をやった意味がどれだけあるかと言いたくなってしまうわけでありまして、この問題について正確に報告することはできないのか。またその成果を国民に知らせるために何か報告書をつくるとか、あるいは運輸白書等に明細にこういうような効果が上がったということをお書きになるか、何か方法はないのでしょうか。この点をひとつ伺っておきたいと思います。
  135. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 いままでの行政改革、いろいろな成果が考えられるわけでございますが、先生がおっしゃいました一つの問題は許認可あるいは報告の整理という観点からする成果、それから二番目は機構と定員の縮減という点からする行政の簡素化、それから三番目は補助金等の整理を行っております。この三つの点でそれぞれ成果を上げるべく努力をし、また現実に成果が上がっておるものと私ども思います。  余りはっきりしてないじゃないかということでございますが、目に見えたものと目に見えないものがございますので、金額的にはなかなか把握できませんが、五十三年度で実施した金額でわかる範囲で申し上げますと、補助金の整理等では約百四十億の整理を行っております。それから五十二年から五十四年にかけまして第四次の定員削減を行っておりますが、これを年間平均して計算いたしますと、これも概数でございますが、約五十億円程度の成果が上がるということで、金額的に年平均いたしまして二百億円程度は目に見えたものとして言えるのではないか。  さらに、そういう成果を表に発表すべきじゃないかという御指摘でございます。運輸白書等がございますが、この許認可あるいは報告等の整理の問題はいわば非常に個別的、大変専門的な内容でございますので、そうしたものを外部へ発表するにいたしましても非常に技術的にむずかしい、おわかりいただくことが非常にむずかしいとは思いますが、今後何らかの形で行政改革の成果を皆様方にお示しするように努力していきたいと思います。
  136. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 何らかの努力をするということでございますから結構でございますが、たとえば、大臣、いま私は運輸省なり建設省の方に道路許可問題についていろいろ要請を出しておるのですよ。それは道路を使用するについて、バスとかあるいは路線トラックとか、区域トラック、それから建設機械を積んだ重量運搬物、これは三カ月とか半年とか一年という許可期限になっているわけです。これは行政改革の一環でやろうという姿勢を向こうでも示しておられるわけですが、まだ結論は出ておりませんけれども、そういうことが仮にオール一年というふうになりますれば、これはやはり行政改革の大きな成果になるんですね。いま一年間に十万件ぐらいコンピューターに入れて整理しておるわけですよ。そういう意味での手間も省けるし、あるいは三月に一遍申請に行かなければならない、手数料を払わなければならない、そういうことも一年に一遍になれば仕事量は四分の一に減るわけですから、申請する方も助かるし役所の方も手間が省けるということですね。そういうようなことが具体的に示されなければ、役所の方で行政改革をやってます、やってますと言ったって、国民の方は信用しないですね。こういう成果が上がった、そういうところにむだがあったがということになって、それが連鎖反応的に行政改革への大きな成果を生んでいくんじゃないかと私は思う。これは御答弁は要りません。そういうわけで、ひとつ何らか公表できるような努力をするということでございますので、きょうはその程度にとどめておきますので、これはぜひやはり発表をしてもらいたいし、各省庁にも行管にも働きかけて、これこれこういうような制度を実施した、一年間の成果はこうであるというぐらいの明確な答えが出るような御努力をしていただきたい。御答弁なしで、要望だけ申し上げて終わりにします。
  137. 古屋亨

    古屋委員長 三浦久君。
  138. 三浦久

    ○三浦(久)委員 運輸省にお尋ねをいたしたいと思います。  きょう私は石炭対策特別委員会、また予算委員会の分科会等の質疑に出ておりましたので、いままでの同僚議員の質疑を拝聴いたしておりませんので、いろいろ重複する点もあると思いますけれども、御勘弁いただきたいと思います。  私は、大臣所信表明を聞いておりまして、いろいろなところに矛盾がある、そういう感を非常に深くしたわけであります。これではとても、だれでも、いつでも、どこでも、こういう交通手段を利用できるというような目的とはほど遠いんじゃないか、そういう目的はなかなか実現できないんじゃないか、そういう感を深くいたしたわけであります。大変多岐にわたる所信表明でありますので、その全般について触れるということはできませんけれども、そのうち重要な点だと思われる点について四つ五つお伺いをいたしたいというふうに思います。  いま大変大きな問題は、公共料金の値上げの問題であります。これは国民生活に非常に重大な影響を及ぼしているというのは、大臣も御承知のとおりです。ことしになって値上げされたもの、これから値上げが予想されるもの、ちょっと申し上げますと、電力、ガス、これは大幅な引き上げです。また米、麦、これはもう上がりました。酒、たばこ、電報、電話、切手代、はがき代、そして大学、高校の授業料、もうメジロ押しなのです。まあ新聞などによりますと、参議院選挙を控えて自民党の予定候補者の皆さんも、こんなに公共料金の値上げがメジロ押しではとても参議院選挙は闘えないというふうな悲鳴を上げているというほど、国民生活に大きな影響を及ぼすものだというふうに私は考えています。  ところが去年もことしも、この公共料金値上げのトップバッターが運輸省なのであります。たとえば昨年は、まず国鉄の通学定期の割引率の引き下げによる運賃値上げ、大手私鉄の値上げということで、新しい年を迎えたわけであります。ことしは航空運賃値上げに始まりました。そしてさらに国鉄運賃値上げされようといたしておるわけです。日本共産党は、この航空運賃値上げについては、運輸省に対してその値上げが大変不当だ、そしてまた同時にこの値上げを許せば、次から次へと公共料金値上げの口火になってしまう、ですから、この値上げはしないようにという申し入れを二月の四日にいたしております。  そこで私どもは、その根拠といたしまして、一つはまず膨大な内部留保がある。内部留保というのはもうけであります。もうけを形を変えて蓄積している。中には税金のかからないもうけというふうに言ってもいいかもしれません。これはたくさんあります。それからまた、今度の値上げに当たっても、八%の事業報酬率を見込んでいるということですね。八%、これをもっと圧縮できないか。さらに減価償却、これが実情に合っていない。したがって経費が不当に多く見積もられて利益隠しが行われている。四番目は、ジェット料が五〇%上がりますけれども、これも乗客から取り過ぎている。いわゆる特着料との関係で申し上げますと取り過ぎている。不当に航空会社がもうけを上げるようになっている、こういう点を指摘したわけであります。このような問題点をたくさん抱えていながら、とうとう五社平均二三・八%の航空運賃値上げが行われてしまったわけでありますけれども大臣は今回の値上げ認可に当たって、いま私が指摘をいたしましたような点について、全く問題がない、今後ともこういう問題は検討する必要がないんだ、こういうようにお考えになっているのか、それとも今後の認可に当たっては考慮するというお考えでいらっしゃるのか、お尋ねを申し上げたいと思うのであります。
  139. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いまお話のございました二月四日のお申し越しについて私が承っておりますので、それがどのように考慮されたかという点についてはお答え申すべきかと存じます。  減価償却、内部留保、事業報酬率、ジェット料金、こういう点についていま逐一簡略な御説明がございましたが、たとえば減価償却につきましては、いろいろな御議論もございましょう。しかし、安定的に、恒常的に航空機材の機能を維持していくという点を考えますと、現在の法定減価償却率というものを使っていくのが現時点においては妥当な考え方ではないかというのが私どもの結論でございました。  内部留保につきましては、おっしゃるような面も確かにあるわけでございますが、しかし一方、私ども運賃を計算していきますに当たりまして、経常収支ということで勘定をしていく、そういうことになりますと、内部留保の取り崩しというものは必ずしも経常収支に直接的に寄与するということになるわけではございません。ただしかし、こういったような物の考え方につきましては、私どもとしても今後いろいろときめ細かな研究は継続して行っていくべきであろうかと考えております。  事業報酬率について八%という私ども考え方に対し、かつての事例なども引かれてもう少し低い数字でもいいのではないかというお示しがございました。これは事業報酬率を求めるに当たりましての資産をどのように評価するかという点につきまして、私どもとしては可能な限り、たとえば航空機材を幾らに見積もるかというふうな場合にも、事業計画に即応いたしまして、架空の機材などを中に勘定することがないように、また個々の金額を出すに当たりましても、合理的に限定された金額というものを積み上げることによってもとの値段を出し、それに対する八%の配当ということを念頭に置いて事業報酬率を勘定いたしたわけでございますが、八%というのはこれらの勘定の結果でございまして、先生たしか七・二五という数字をおっしゃったように私記憶しておりますが、そのときは金利の状態現状と違っておったというふうなこともございました。現状に合わせて計算をいたしますと八を上回るわけでございますが、私どもは統一査定の考え方に立ってこれを八というふうにしぼったつもりでございます。なお、事業報酬率のあり方もやはり今後の議論の中におきまして私ども勉強はしてまいりたい、こう考えております。  ジェット料金につきましては、確かに一時期、おっしゃいますようにジェット料金が特着料として払います分を上回ったことがあったことは否定いたしませんが、最近においてはむしろ逆の現象を生じておったわけでございます。それは特着料が倍に値上げになったということが大きく効いておったわけでございます。今回のジェット料金の算定に当たりましては、ロードファクターをなるべく現実に近い数字にするというふうな細かな配慮をいたしまして勘定した結果、九百円という数字を出したわけでございますが、これは取り過ぎということではなくて、むしろ些少な数字ではございますが、五十五年度、平年度の勘定では三億程度企業の方が持ち出しになるというのが私どもの見積もりでございます。ジェット料金につきましては、その事柄の性質上いやしくも取り過ぎなどということが起こらないように今後とも十分に配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  140. 三浦久

    ○三浦(久)委員 内部留保について今後もきめ細かく検討していくというお話で、私は結構だと思うのですけれども、例を挙げますと、日航は五十三年度で九百五十一億円の内部留保金を持っているのです。全日空は六百四十一億円です。値上げによる増収分というのは、日航の場合には三百八億円ですね。全日空の場合には六百二十一億円です。ですからこの内部留保を取り崩すことによって値上げは何もしなくてもいいという結果になる。全部取り崩すというわけにはいかないでしょう。これを取り崩すということは私は必要だと思うのですね。もちろん取り崩した分がそれだけ単年度の収入になるかと言えば、それは利益に計上されることになり、それにまた税金がかかりますから全部というわけにはいかないでしょう。しかし少なくともそういう内部留保金というものがある。これは過去のもうけ過ぎですよ。過去ずっと運輸省が認可した航空運賃によってどんどんもうけが累積しているわけですから、そういうものを赤字になった場合にはやはり吐き出させる、こういう措置は当然とらなければ大企業本位だというふうに言われるのじゃないでしょうか。  それから事業報酬八%、これも八%は必要ないと私は思うのです。一般的に電力の場合でも全部八%というのが通例化してしまっているようなんですね。しかし、国民生活がこんなに苦しいというような状況のときには、そしてまた公共料金のどんどん上がっていくというような場合には、これを四%にするとか三%にするとか、そういうような措置は当然政府としても考えられなければならないことだと私は思うのです。私鉄が昨年上がりましたけれども、これは事業報酬率は七・二五ですよ。八%とまあ若干近いけれども、しかし八%よりは低い率でもって決められているわけでしょう。ですから、国民生活を守るという観点からも、この事業報酬率について政府自身が——航空運賃だけ、私鉄運賃だけじゃなくて、政府として全公共事業の事業報酬率がどの程度が適正なのか。資本主義だからもうけなければならぬ、これはわかりますよ。われわれもそれは否定しない。しかしもうけ過ぎはいかぬ。国民の生活実態との相関関係でこういう事業報酬率というものを決めていかなければならない問題だというふうに私は考えるわけであります。  それから、減価償却の問題にしても、たとえばボーイング747を例にとりますと、日本では償却年数が、ちょっと機種が違うのがありますから六年から七年ですね。ところが同じ飛行機でパンナムは十六年、そしてノースウエストは十五年です。ですから、いかに減価償却が過大に行われているのかということは、外国と比べてももう一目瞭然なんですね。  こういうように利益隠しが行われているということ、この点も私は値上げを審査するときには厳正に考慮に入れてほしいというふうに思います。  それから、いま航空局長が、ジェット料金は航空会社の持ち出しになるんだということを言われましたけれども、これは違うのですね。たとえば全日空を例にとってみましょう。五十二年度は二十億六千八百万円も乗客から取り過ぎました。これはお認めのとおりです。そしてその後御指摘のように、特着料が上がりましたので、五十三年度は十四億四千三百万円赤字になっています。そして五十四年度の上期を見てみますと、ジェット料の収入は五十五億一千五百万円です。特着料の支出七十二億五千五百万円です。ですからこれは企業が十七億四千万円持ち出しになっていますね。しかし五十年度は、さっき言いましたように二十億以上のもうけをこれで上げている。こんなもので上げてはいけないもうけでしょう。それで今度は十七億四千万円の持ち出しになっているのだからというので五〇%ジェット料金を値上げしました。そうするとジェット収入が五十五億一千五百万円ですから、上期も下期も同じだという前提で計算をすれば、五〇%アップによって八十二億七千二百五十万円収入が上がるじゃありませんか。特着料、これは同じでしょう。上げていないのですから。そうすると特着料は同じように七十億五千五百万円。そうすると差し引き、われわれの勘定では全日空だけ見ても半期で十億一千七百五十万円このジェット料金でもうけるということになるのです。これはやはり取り過ぎになっているというのがわれわれの計算ですが、運輸省はどういうふうにお考えですか。
  141. 松本操

    ○松本(操)政府委員 重ねて内部留保その他についての御指摘があったわけでございますが、先ほどお答えしましたように内部留保は経常収支に直接的に寄与するものではなく、私どもは、平年度というものを決め、経常収支の枠の中において運賃がいかにあるべきかという議論を組み立てておるわけでございますので、お説はお説で私ども研究はするということを先ほどもお答えしたわけでございます。現時点における私ども考え方というものはそう大きく違っているということではないのではないか、このように考えるわけでございます。  ジェット料金につきましていま数字を挙げてお示しがございました。一社一社のことではなくて三社の合計で申し上げますと、五十一年度に十億六千万円のプラスがございます。五十二年に二十八億三千万円のプラスがございます。しかし五十三年の九月一日に特着料を倍額に値上げをいたしております。したがいまして五十三年度におきましては三社合計三十三億二千万円の要するに持ち出しになっております。五十四年の上期におきまして三十六億五千万の持ち出しになってきておるわけでございますので、五十一年と五十二年で総合して約三十九億ばかりのプラスになっておりましたものは、五十三年度赤字と申しますか持ち出し分でほとんどキャンセルをいたしました。五十四年度は完全に持ち出しになっておるわけでございます。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕 この五十三年九月一日に上がりました特着料はその後引き続き実施をされておるわけでございますので、今度の五〇%の値上げによる勘定におきまして、私が先ほど申し上げましたように、わずかの数字ではございますけれどもマイナスの勘定になる。つまり旅客から徴収したジェット料金というものはそのままそっくり特着料に形を変えて特会の中に繰り入れられ、それが周辺対策費に有効に使われる、こういう形になっているわけでございます。今後、少なくともこういった逆ざやと申しますか収入が支出を上回るというふうなことがないように十分監視をしてまいりたい、こういう趣旨の御返事をしたわけでございます。
  142. 三浦久

    ○三浦(久)委員 運輸省の方は航空三社の例でいく、私の方は全日空の例でいっていますから、これは数字を幾らやってもかみ合わない。ですけれども、こういうジェット料金で、少なくともいま私が試算した全日空の例によればもうけが出ちゃうんですね。こういうことは私は非常に不合理だというふうに思っています。ですから、ひとつ運輸省は今後国民の立場に立って、こういう公共料金の値上げにはシビアな態度で臨んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。また、一般国政の審議の際に細かい点はいろいろと論議をさせていただきたいというふうに思います。  次に、私は、国鉄運賃値上げ申請の取り扱いについてお尋ねしたいと思います。  たとえば今度の国鉄運賃値上げの申請がありました。その申請を受けた後、四日後にそのまま運輸審議会に運輸省は諮問をしていますね。ところが、御承知のとおり今回の与野党の予算修正に当たって、通学定期の割引率、これは最初七八・八%から七五・八%に引き下げる、こういう原案だったわけですが、何かそれをあっさり七七・三%の割引率でオーケーしている。与野党の話し合いができた、こういう状況ですね。これに伴う財源というのは国鉄の企業努力でやるんだ、こんなことが報道されています。私は、この諮問をするに当たっての運輸省の態度、これはそういう意味ではちょっと不見識じゃないか。何かちょっと騒げばすぐぱっと割引率を引き上げる。こういうようなことは運輸審議会に諮問をする際に、学生の生活は苦しいわけですから、もっとぎりぎりの検討をした上で諮問をすべきではないか。ですから、今回の国鉄運賃値上げ申請の諮問は安易に過ぎているのじゃないか、深い検討がなされていないじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないわけでありますけれども、この点、運輸大臣の御答弁お願い申し上げたいと思います。
  143. 山地進

    ○山地政府委員 国鉄運賃値上げにつきまして、ただいま申請から四日後であるということと、それから今回、国会で三%を一・五%に引き下げたということにつきまして関連を持って御質問があったかに思います。  まず第一の申請から諮問まで四日間ということでございますが、これは国鉄運輸省関係におきまして、いろいろと申請者である国鉄から内部的な御相談というのはかなり前からございまして、その内容につきましては私どもとしてもできる限り熟知していた関係から、四日間ということで諮問ができたというふうに御理解いただきたいと思います。  それから、第二点の三%を安易に一・五%に切られているという御指摘でございますが、今日時点まで、この件につきましては国会で四党間でお話があったにとどまっておりまして、私どもの方には立法府から行政府という形でございましょうか、そういう形ではまだ何ら伝達が正式には行われていない。もちろん新聞、テレビ、その他で、私どももそういうことで四党間で合意が成ったということは承知しておりますけれども、われわれ行政府として直ちにそれではどういうふうに対応するかというような段階には至ってない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  144. 三浦久

    ○三浦(久)委員 まだ正式に話がないからどういうふうに対応するか決まっていないということですが、そうすると、これはいやだと言って拒否するということもあり得るという御答弁ですか。しかし、これは正式に話があるなしにかかわらず、あれだけ九日間も国会が空転をして、そしてその結果いわゆる合意されたものでしょう。いま鉄監局長からお話がありましたように、新聞、テレビでもって十分承知しておる。新聞、テレビだけじゃないでしょう。内部的にもそれはいろいろ情報があって、正式にはまだ来ていないけれども、実際には十分承知していることじゃないですか。それをまだどうなるかわからないと言うようなことはごまかしだと思うのですね。やはりこれは客観的な事実として皆さん方は従わざるを得ないでしょう。それじゃ与野党の皆さんがいる前で、いや従うかどうかまだわかりませんと、そんなことが言えるのですか。私は言えないと思うのですよ。これは結果的にはそうならざるを得ない問題ですよ、客観的には。ですから、やはりもう少し学生の立場に立って、また国民の立場に立って、厳正な審査をしてほしいというふうに私は思います。その点はもう質問しません。  次に、関連してですけれども国鉄運賃値上げの問題でありますけれども、今回の値上げの申請というのは、一口に言って大変国民泣かせの値上げである、また、大企業に対しては大変甘い値上げになっているということを指摘したいと思うのです。  まず、旅客運賃をちょっととってみたいと思うのですけれども国鉄総裁、通勤通学、そして生活圏等の近距離の値上げが著しいのです。まあ、遠距離の値上げであれば、シーズン四回旅行に行くのを二回に減らすとかいろいろ節約の方法はありますよ。しかし、通勤通学とか、そういう生活圏の近距離というのはなかなか節約ができないでしょう。どうしても使わざるを得ない。そういうところの値上げが大変激しいのですね。これはおたくからもらった資料ですけれども、たとえば五十一年度を見てみますと——失礼しました。近距離の資料がちょっとありませんので省略しますけれども、これはもう国鉄自身にもらった資料ではっきりしております。この数年間の値上げをずっと見てみますと、近距離の値上げ率の方が遠距離よりもはるかに高い数字になっている、このことだけは事実であります。ですから、結局、幾ら上げてもお客が逃げない、取れるところから取ってやれ、そういうような意図が露骨に見える、そういう値上げだということですね。これは国鉄の公共性というようなものをかなぐり捨てちゃって、結局経済的な採算だけを追求する、そういう観点しかもうないのじゃないか、そういう疑問すら出るような値上げだと思います。  それに比べますと貨物はどうか。たとえば大企業の貨物は今度の等級制の廃止によって結局値下げになっていますでしょう。たとえば自動車、鋼材、電気製品、こういうものは大変大きな値下げになった。ところが鮮魚、野菜、米、こういう生活用品は大幅な値上げになっているわけです。たとえばここにありますが、お米などは、いままで八万五千円だったものが十万一千五百円になるとか、鮮魚の場合でも二十三万八千五百円のものが二十八万四千円になるとか、どんどん上がっています。ところが電気製品ですと、いままで七万五百円であったものが逆に六万八千五百円になるとか、自動車の場合ですと、十七万一千五百円のものが十六万六千円に値下げになる、こういうような状況になっているわけですね。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕 私は、こういう非常に荒っぽい運賃値上げのやり方というものはやめて、もっと国民生活の実情に合ったやり方をしなければならないというふうに思うのです。今回の値上げ国鉄の公共性という点からいって非常に問題があるというふうに考えますけれども、この点について国鉄総裁の御意見を伺いたいと思います。
  145. 高木文雄

    高木説明員 御存じのとおり、数次にわたります改定によりまして競争力が落ちてきているわけでございまして、大変な御迷惑をおかけしますし、われわれとしても決して値上げというのはうれしいものではないわけでございますけれども、しかし、改定させていただく以上はある程度実収につながるということにならなければ意味がないわけでございます。上げたけれどもお客さんが減って、収入が思ったほどにいかないというのでは何にもならないわけでございますので、やはり競争関係を意識せざるを得ないところに現状がだんだんと強まっておるわけでございます。その結果、御指摘のように公共的使命と申しますか、そういう面において欠くるものがあるじゃないかという非難は各方面から寄せられております。私どももその点は非常につらいことだと思っておりますけれども、しかし、いまの現状から見ますと、どうしても競争力といいますか、改定をいたしました場合にそれだけ実収を上げ得るということでなければ意味がないというふうに考えているわけでございます。  なお、貨物につきましては、従来から、これは三十年来だと思いますが、いろいろ政策等級の割引的なものを織り込みまして、何等級にも価格の立て方がなっておったわけでございますけれども、もうそろそろ従価等級制度をやめさせていただいて、お客さんの貨物の貨幣価値ということとは関係なく、あるいは特別な施策ということとは関係なく、やはり目方に応じ、距離に応じて、つまり輸送コストに応じて運賃を立てるようにさせていただきたい。これは二十何年来の歩みのいわば終着点のようなことになるわけでございますが、この際、従価等級をやめさせていただいて、そして原価にスライドしたような形、全体としては大変赤字でございますけれども、原価にスライドしたような形にさせていただきたいという立て方をしたわけでございます。  ただ、このことは大変大問題でございますので、私どももそう簡単に踏み切ったわけではございません。今日までいろいろな方の御意見も承ってまいりましたし、それから、そのことによって農産物等に影響が大きく出てはいけないということで、関係の専門家の方々の御意見も承ってまいりました。  輸送型を定型化する、そして大量化した場合には、相対的に安くすることになっております。定型輸送、大型大量輸送割引というようなものを考えることにいたしておりますから、実際にはタリフの変わるほどには上がらないということで、ある程度荷主さんにも、不満ながら仕方ないかなということをいま言っていただいているわけでございます。しかし、なおこれはなかなか影響するところが大きいわけでございますので、個別の立て方につきましては、運輸審議会に諮問して審議していただくと同時に、個別契約のあり方について、いま個別業種あるいは個別品目ごとに検討いたし、そのタリフの変化ほどには実際の適用運賃が上がらないように、毎日各関係の方々との間に話を進めさしていただいております。
  146. 三浦久

    ○三浦(久)委員 五十二年に国鉄運賃の法定制というものが緩和されました。それ以来わずか二年四カ月ぐらいの間に、国鉄値上げ、これは運賃も料金も含めてですが、値上げは今回で五回になりますね。これは大変大きな影響を国民に及ぼしていると思います。私は、こういう法定制というものを緩和するというようなことをやりますと、結局もう際限なく上がっていくと思うのです。たとえば料金の問題をとってみますと、国鉄料金の法定制が外されたのは昭和三十五年七月ですが、当時政府は何と答弁しておったかといいますと、この料金で増収を図ることはいたしません、こう言っておったのです。これは、私は前回も質問したことがありますけれども、料金でもって国鉄の増収を図るということはありません、かえって料金を値下げするために法定制を外すんだというような答弁まであるんですよ。  当時、国鉄収入のうち運賃収入というのは八六%でした。料金は一四%だった。ところがどうでしょう。この料金の法定制を外したために、五十三年度運賃収入は六二・六%に下がって、料金収入は三七・四%に上がってきているわけです。新幹線は、これは最初からそうですが、運賃が四七・五%、料金は五二・五%でこれは完全に逆であります。  こういうように、法定制緩和というこの立法目的、こういうものを離れて、その制度自体がひとり歩きしてしまっておるという状況になっているのですね。ですから、安易にこの料金の値上げ、さらに運賃値上げというものに頼っていこうとしている、そういう傾向が如実にあらわれているわけであります。私は、そういう意味ではこの法定制を緩和した弊害というのはいま極端に出てきていると思います。  たとえば、あの物価狂乱のとき、国会では一たん成立をいたしました運賃値上げ、これを二回にわたって実施時期を延期するということを行っているわけです。これは四十八年の四月から実施のものを四十九年の三月に修正する、さらに四十九年三月から四十九年の十月まで実施を延期する、こうやって国民生活防衛のための一助になってきているわけです。ところが、現在のように国会でもって全然審議されないというようなことになりますと、いまこれほど国民の生活が困っている、そういう場合でも、国会はこの運賃値上げについて法律的にはどういう対処もできないという状況になっているのです。ですから、国会自身がこの国民生活を防衛するという機能を果たし得ない、そういうことになっているわけです。大変残念な結果になってきているわけです。  ですから私は、この法定制の緩和というものをやめなければならぬ、いわゆる法定制を復活すべきだというふうに考えておるのですが、運輸大臣並びに国鉄総裁の御意見を承りたいと思います。
  147. 山地進

    ○山地政府委員 いま御指摘のありましたように、法定制を緩和してから今回の値上げは三度目でございます。先ほど五回値上げという御指摘がございましたけれども、これは最初の五十三年の第一回の値上げのときに、普通運賃値上げを六月七日、それから料金を十月一日、それから通学定期を一月一日というふうに、言ってみれば影響力を少なくするために分けて延ばしたのがあるわけでございます。それから昨年一回やりまして、ことしになっているわけでございますが、改定限度額ということをまず法律の中に決めてあるわけでございます。これは経費の増高分に見合うように、物価変動率というものを経費に掛けて国鉄運賃値上げの上限というのをお定めいただいているわけでございます。  しかしながら、この三回の値上げを見てみますと、改定限度額が五十三年度は約五千億、四千九百三十九億だったのに対しまして二千二百四十三億、五十四年度は改定限度額千九百六十八億に対して千六百十一億、今回が二千二百億ぐらいの限度額に対して結果的には千三十八億の申請に終わっているわけでございまして、この間国鉄はこういった法定制緩和に対して、非常に自由自在といいますか恣意的といいますか、そういうような感じでこの法律の運用をしていない。先ほど料金についてそういう事実があったかと思いますけれども、今回の運賃値上げにつきましては、むしろ国鉄自身の値上げ能力ということに非常に限定されてきているというふうに私どもは思っております。  ところが、国鉄から出てくる赤字というものは毎年多くなる一方でございまして、国の財政援助というのは五千三百七十七億から六千百八十一億というように逐次上がっております。にもかかわらず、国鉄赤字というのは消えませんで、ことしは助成前で一兆五千億にもなろうかというような現状でございますので、このような現状において一体この赤字をどうやってだれが負担するのかということを考えます場合には、やはり利用者が払うということを考えざるを得ないというふうに私どもは思っておりまして、したがって、今後もこの運賃法定制緩和の制度というのが必要であろうかと考えております。
  148. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いま御説明がありましたけれども、この法定制緩和というのは、ただ単に国民の生活を苦しめているというだけではなくて、私は、国鉄当局の非常に安易な経営姿勢、こういうものをももたらしているのだというふうに指摘せざるを得ないのです。どんなずさんな経営をやっても、それはどんどん経費に計上される。それで運賃値上げにおっかぶせていく。こういうことがもう自由自在にできるという道を開いているということなんです。ですから、たとえばこの前の参議院で内藤議員から質問がありましたけれども、橋形クレーンの問題でもそうでしょう。あれは各地でもって全部で一千何百億というような投資が、全然使われないで寝たきりになっているというのでしょう。そしてその補修費がかかるでしょう。一体そんなずさんな計画がありますか。  ここに五十二年度の会計検査院の指摘がありますが、千四百五十七億円ですよ。「貨物関係等の施設、設備の建設工事が計画に比べて著しく遅延していたり、」——著しくですよ。「完成した施設、設備が極めて非効率に使用されているもの」一千四百五十七億三千七百九十三万余円、こうなっていますよ。その下にもまだありますね。「配備された機械、装置等が全く使用されていなかったり、極めて非効率に使用されているもの」百二十四億七千二百五十一万余円というのです。こんなでたらめな経営がありますか。そして、それではこういうことの責任が国鉄の部内でだれか問われているのですか。普通の会社だったら、こんなことをやれば首ですよ。  これは私、国鉄総裁にお尋ねしますが、こういう不当支出をやる。むだな投資をやる。千何百億円のものがいままで一度も使われなかった。そういうことをやって、だれがどういう責任をとったのですか。
  149. 高木文雄

    高木説明員 まずお断りいたしますが、千四百億円の投資額というのはそのとおりでございます。ただ、非稼働資産が千四百億あるということではないわけでございまして、ごらんのように東京貨物ターミナルもちゃんと動いておるわけでございます。問題は、当時の四十年代において見通された貨物輸送の量と今日の量とが減っておりますから、したがって、購入しました土地の全部を活用しないで、いま一部だけというか、レールを敷かないまま置いてございます。そういう関係で、前の問題が過大投資であったことは事実でございます。  その問題は、私どもも何も御指摘を受けるまでもなく、かねがね意識しておるわけでございまして、その後貨物の輸送量の減に伴いまして計画を縮少いたしたわけでございます。したがって、その責任という議論になりますと、それはいろいろな見方があろうかと思いますけれども、明らかにその事実に応じて計画改定を行っておるわけでございますので、それを見過ごしたとか見逃したとか、漫然と放置してあるとかいうわけではないのでございます。その事態に応じて計画を変更し、縮小いたしておるわけでございますから、その意味では、見通しが悪かったことについての責任の御追及でありますれば、あるいはそういう見方もあるかもしれませんけれども、それぞれちゃんと対応した措置がとられてきておりますので、前回、検査院等につきましてもそういうことはよく申し上げておるわけでございまして、計画時点経済状態、今日の経済状態、それからその間における輸送形態の変化をごらんになりますれば、そのときそのときに対応して最善の措置をとってきたものと、私は過去の諸先輩のやられたことについてそういうふうに評価をいたしております。
  150. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それが最善ですか。ここに国鉄の体質があるのですよ。それではまさに国鉄経営陣自身が全く親方日の丸じゃないですか。三菱商事だって、かずのこでたった百億円だ。たった百億円損しただけだ。それだって水産部長は更迭されているでしょう。そこがけじめというものですよ。これだけ大きな損害を国民に与えておきながら、最善を尽くしました。最善を尽くしてこんな損害を与えるんだったら、そんな国鉄経営陣は退陣すべきですよ。そうでしょう。これだけ大きな被害を与えて——きのうも新聞に出された。毎年毎年大きな不当事項の指摘を受けながら、それが改まっていないという。運賃値上げだけをするのじゃなくて、そういう国鉄経営陣の姿勢、ちゃんとけじめをつけるべきですよ。運輸省も、一体何を監督しているのですか。  時間がもうありませんので、余りお話しできないのですけれども国鉄再建の問題でも、たとえば更生会社は普通どういうことをやりますか。この国鉄というのはいま更生会社よりひどいでしょう。更生会社というのは、まず過去の債権、こういうものはみんなカットしていくのですよ。そうでしょう。利息も、こんなものはみんな支払い停止ですよ。たとえば、債権は三分の一でもう切ってしまうとか、そしてそれを五年据え置きでもって十年で払うとか、そういうような処置をみんなとっているのです。ところが、どうですか、国鉄が何ぼ赤字になって運賃値上げになり、合理化が行われ、国が何千億円という金をどんどんつぎ込んでいる、そういう中にあっても、全然痛痒を感じない債権者がおる。大銀行ですね。国鉄の長期債務、十兆円を超えているのでしょう。それはいろいろありますよ、財投や何かもある。しかし大企業や大銀行が持っている債権、そういう債権には何にも手をつけない。そのまま保存して、利息もちゃんと国の税金やら何やらで払ってやっている。こんなことでは再建できないですよ。普通、事業をやるという場合には、この利息の負担というのは大変大きなものです。だから、更生会社になった場合には、みんな利息は支払い停止です。ですから、大企業、大銀行が持っている債権、こういうものについては、支払いは停止すべきですよ。それが国民だけに犠牲を負わせるような、そんな再建計画じゃだめだ。やはり大企業、大銀行にもそれ相応の負担をかけなければだめですよ。いままでもうけにもうけてきたのだから。こういう国鉄が緊急なときほどそういう措置をとるべきだと私は思います。まあ発想の転換をしたらどうかという意見ですけれども運輸大臣、いかがですか。あなたも事業家ですから、おわかりでしょう。
  151. 高木文雄

    高木説明員 私どもも、民間の企業の再建と同じようなことができれば非常にやりやすいと思うわけでございます。ただ、実際問題としては、それをやれば、まあ大部分政府資金でございますから、結局郵便貯金の支払い停止というところまでつながっていくわけでございまして、それがなかなかできにくいわけでございます。民間企業の分を切れということをいまおっしゃいましたけれども、その場合にはだれも貸してくれないわけでございますから、翌日からすべての支払いがとまるというわけでございまして、何かそういうことができればと思いますけれども、どうもどれ一つなかなかできない情けない状態でございます。何かいいお知恵がありましたら御拝借いたしたいと思います。
  152. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は財投を切れとか、そんなことを言っているのじゃないですよ。大企業、大銀行の債権についてというふうに限定して言っていますよ。これが長期債務のほとんどなんですから。実際そうでしょう。それは十万円買ったとか五万円債権を買ったという人はおりますけれども、そんなものは微々たるものであって、大銀行、大企業が持っているということですよ。ですから、それに対してそれ相応の責任というものをやはり分担してもらわなければ、再建はできないというふうに私は思うのです。  次に、最後になりましたが、競艇の問題についてお尋ねします。  まず開催日です。これは参議院で去年わが党の神谷議員から質問があった問題ですから、もう内容は詳しくお話ししませんけれども、要するにモーターボートのレースをやります場合、レースの開催日というものは法律で決められていますね。それを受けた省令でぴちっと決められておる。開催日がそう決められておる。そしてまた、その金の配分も決まっていますね。これはみんな笹川さんのところに行くようになっていますね。ところが、協賛レースということで、法律が定めた開催日以外に協賛レースというものをやっている。協賛レースをよけいにやっているわけです。そして、その金は、船舶整備公団とか、それから船舶振興会、もう一つ法律で決められたのがありますが、モーターボート競走会、ここに行くようになっていますね。そうして、この協賛レースの場合には、そのほかにBG財団、これは笹川さんがつくった民法三十四条に基づいて全く任意につくった団体で、何の法律の規定もありません。船舶振興会、それからこのモーターボート競走会、これは一応モーターボート競走法の規定に基づいてつくられている。ところが、BG財団というのはそんなものじゃない。ただ一般の民法上の任意な財団法人である。ここにあなたたちの通達で売り上げからの六%が全部行っちゃうのです。主催者である自治体には全然入らないという、そういう仕掛けになっているのですね。  そこで、私はお尋ねしたいのですけれども、そういう特例措置がいままで四十九年から五十一年度までに限るということで行われてきたのですが、今度はそれをまた延期しまして、そして五十四年度までに限るというふうにしたわけですね。これはそういう通達が出されているわけですね。そして、その通達で六%拠出させているわけですね。これは五十四年度に限るというふうになっています。もう五十四年度というとことしの三月の末で終わりですけれども、そういう方針に変更はありませんか。もう笹川さんにはお金をやらないのですか。どうなんですか。
  153. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 お答え申し上げます。  モーターボート競走法によりまして、一般の競走のほかに、省令の定めるところによりまして、協賛レースを行っております。過去、沖繩博あるいは万博等に加えまして、いま先生御指摘のB&G財団に対して協賛レースを行ってきているわけでございます。これまでのところ四十九年度から五十一年度まで、五十二年度から五十四年度までというふうに協賛レースを行ってきております。  私どもとしましては、一つは、競走を行っております地方自治体等の御意見がありまして、いわゆる競走を施行していない自治体に対して均てん化をしたいという希望が非常に強いわけでございます。それで、均てん化の問題とあわせましてBG財団の事業内容をよく検討した上で、先回の希望につきましては、オイルショック以後の材料費の高騰等で延長したわけでございます。しからば今後どうかということにつきましては、私どものところにも来ておりますが、BG財団の海事思想の普及に関します体育館なりプールなりあるいは艇庫なり、こういったものに対する希望が非常に強うございます。したがいまして、現在担当のところでBG財団の事業計画について検討を加えておりますが、その検討を見た上で、さらに均てん化の趣旨に沿って、どういうふうに扱うか慎重に検討したい、こう考えております。
  154. 三浦久

    ○三浦(久)委員 計画を見た上でとあなたは言うが、五十四年度で終わるのだとあなたたちは決めているわけでしょう。計画を見てから決めるとか、それから検討するなんという筋合いのものじゃないじゃないですか。もうあと二十日しかないのだから。あなたたち自身がいままでの間、四十九年度から今年度まで百八十億円以上の金を出しているのですよ、ストレートで、一民間団体に。何の法的根拠もなくて、こういうことをやっておいて、計画が出てから検討するというのは一体どういうことですか。計画なんか出なくたって、あなたたち自身が、いままで五年も六年もの事業計画をずっと見ていればわかるはずでしょう。もう五十四年度も終わりじゃないですか。そこで計画を見てからと言う、いまだ計画が出ていないのですか。そういう計画がいま本当に出されていないということであれば、大体もうやれないということじゃないですか。これから計画をつくってどうするのですか。それはあなたたちはいまの時点で、こんな不当なことはやらないならやらない、そういうふうにはっきり答弁すべきじゃないですか。どうですか。
  155. 永井浩

    永井(浩)政府委員 BG財団につきましては、民法に基づきまして運輸大臣の許可をした公益法人でございます。それで、BG財団の当初計画では、たとえば地方のそれぞれの海洋体育センターにつきまして、四十五カ所の計画ということで進めてまいったわけでございますが、最近、特に地方の公共団体、市町村等から、これをぜひつくってほしいという要望が非常に強く参っております。数から言いますと、二百カ所前後になろうかと思いますが、こういった要望に対して、BG財団としては何とか対処したい、こういう希望を私どもの方に表明しておりますので、その是非あるいはその中身等について、私どもいま検討を進めておるところでございます。
  156. 三浦久

    ○三浦(久)委員 運輸省にも要求があるなどと言っているけれども、それは笹川が金をもうけたいためにこういう例文をつくって市町村にみんな組織しているのだ。ここに笹川がつくった例文があるよ。そんなこともあなたたち見抜けないようじゃ、あなたたちの目は節穴かと言いたいね。要望がありますからというが、要望は、笹川が金もうけのために組織しているんだよ。それであなたたちは、開催日の例外として、この施行規則の三条の四で決められているわけでしょう。そうすると、売り上げの六%をやるなんということはだれが決めたのか、ちょっと答弁してください。
  157. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 協賛レースにつきましては、もともと施行者であります地方自治体が、均てん化のために協力をしたいということが発端でございます。したがいまして、六%というのは、通常は全体の売り上げから返還金を出して、その後実費を差し引いて地方自治体に入るのですが、これが大体一〇%前後でございます。一〇%前後の中で六%ということを決めましたのは、これは何も私どもが強制的に決めたわけでなくて、BG財団に協賛をするという趣旨でございますから、売り上げの収益につきましては全部協賛目的のところに出すというのが協賛の趣旨でございます。したがいまして、売り上げの一〇%前後から六%を引きました残りにつきましては、この金をもちまして競走場の周辺整備に使う、こういうのが地方自治体の施行者協議会の合意事項でございます。
  158. 三浦久

    ○三浦(久)委員 うそを言っちゃいかぬですよ。協賛レースだってレースをやればちゃんと法律で決められたところにしか金はやっちゃいけないようになっているんだよ。ギャンブルというのは制限的に行っているんだから、無制限にやっちゃいけないのです。モーターボート競走法によりますと、開催日まで法律で決めるようになっている。もちろん政令の委任もありますけれどもそうなっている。それから、たとえば船舶振興会に幾らやる、競走会に幾らやるということもちゃんと法律で決められているじゃないですか。だからあなたたちは協賛レースをやった場合でもちゃんと船舶振興会には通常のレースと同じように三・三%やっているじゃないですか。そうでしょう。モーターボート競走会には一・二%やっているじゃないか。みんな法律に基づいてやっているんだよ。それを何で六%をBG財団にやるということだけが法律で決まっていないんだ。勝手にあなたたちが通達を出して、これは船舶局長から各海運局長あての通達で六%とするなんて書いてある。幾らどこの団体にやるなんということをあなたたち船舶局長が勝手に決めることじゃないんだ。それは国会が決めることだよ。君たちはどういう法的な根拠で売上金の六%の金を笹川のBG財団に流しているんだね。どういう法的根拠かはっきりさしてください。
  159. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 協賛レースにつきましても、先生御指摘のように、法律で決められたところに従ってそれぞれ収益が入ってまいります。したがいまして、船舶振興会には一号、二号合わせまして三・三%、それから競走会にも入ります。競走会からは賦課金も入ってきます。  それで、これはもともとあくまでも協賛レースでございますので、地方自治体に入ります地方自治体の収益の中から協賛をしたい、こういうことでございまして、施行者であります地方自治体が協議をしてそれで協賛をしたいという申し出がいままで来ております。その中で、従来は協賛のために、原則として収益のほとんどすべてをBG財団に協賛するという趣旨でやってまいっておりましたが、その率を前々年度の売り上げの六%というふうに統一的に運用したいという申し出がありまして、それを私どもとしましては、その合意に基づきまして通達をした次第でございます。
  160. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは答弁になっていない。協賛レースの場合でも船舶振興会、モーターボート競走会、これに対してはこの法律で決められた額の金を出しているわけだ。あなたたちが協賛レース、協賛レースと言うけれども、この協賛レースというのは開催日をふやしてもよろしいということだけを決めているんだよ。それだけでしょう。その金をどこにやるなんということはだれが決めているの。BG財団の活動に協賛するというそういう目的で開催日をふやしてよろしい、こうなっているわけだ。そうしたら、その売上金についてはどういうように分配するのかということについてはあなたたちが勝手に決められることかね。法律で規定しなければ決められないだろう、そんなこと。国会が決めなければ決められないだろう。だから船舶振興会についても、モーターボート競走会についても、法律で定められているそういう率での金を渡しているじゃないか。何でBG財団だけが法律の適用外になるんですか。これは法の不備なんですよ。いいですか。もしか六%なら六%をやるということであれば、モーターボート競走法にそういうことを書いておかなければいかぬよ、協賛レースの場合にはそれに六%やるんだとか五%やるんだとか。そんなことをあなたたちが勝手に運輸大臣の告示でBG財団を指定して、そして船舶局長が六%だなんて、そんなことをあなたたちが勝手に決められる筋合いのものじゃないのだ。それはモーターボート競走法のたてまえがそうなっているでしょう。何回も言うけれども、開催日は法律で決まっている、そしてふやす場合もちゃんと規定がある、そしてどこの団体に金をやるかということまで法律でぴしっと額まで決まっておる。何でBG財団だけ、笹川にだけ法律の適用外に運輸省の勝手な判断でもって六%も金をやらなければいかぬのか。これは通達でしょう。通達というのは内部通達だよ。第三者に効力がないものですよ。そうでしょう。地方自治体には何の効力もないんですよ。どうですか、その点だけちょっと答えてください。
  161. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 あくまでもBG財団の行います事業につきまして、事業が海事思想の普及とモーターボート競走の目的に合っております。したがいまして、協賛レースで上がりました収益については、先生おっしゃいますとおり振興会にも入ってきます、モーターボート競走会あるいは連合会にも入ってきます。これもすべて協賛のためにBG財団に拠出するということになっておりまして、いまおっしゃいます施行者の出し分につきましては、施行者が協賛をするというたてまえで合意をしたものにつきまして私が海運局長に通達をしましたのは、海運局長は、各自治体につきましてこういうことで自治体が出しますという話を、私の方としては競走を現実に監督しております地方の海運局長に通達で流した、こういうことでございます。
  162. 三浦久

    ○三浦(久)委員 だから、何の根拠があってそんな通達をあなたは出すんですか。さっきから何遍も言うけれども、だれに金を幾らやるのか、いつ開催するのか、みんな法律で決めなければいけないことじゃないですか。それを勝手に六%だなんていって、いままでの間に百八十億円以上の金ですよ、それをどんどん笹川に流しているじゃないですか、あなたたちは。そういうことは法の趣旨に反すると私は思うのだな。こんなものきっぱりやめるべきでしょう。あなたたち、これ、何とか記念事業で始めたというけれども、もう五年以上たっている。それをまた延ばそうという、永久に続けるつもりですか、こんなこと。笹川は自分の責任で事業をやっているんじゃないんだ。モーターレースの上がりからどんどん湯水のように金が入ってくるんだ、それで事業をやる。だれだってできるでしょうこんな事業。何で一民間団体の笹川のBG財団に六%の売上金をやらなければいけないのですか。そんな法的根拠はないんだよ。あなたたち、勝手にやっているんだ。法制局を呼んできなさい。あなたたち答えられないんだから、法制局を呼んできなよ。こんなでたらめなことはないじゃないか。法律で決まったことしかできないのですよ。それを勝手に六%の金、一年間に何十億という金ですよ。そんなものを勝手にあなたたちの判断で支出ができますか。法制局呼んできなさいよ。法律違反ですよ。通達なんというのは内部通達なんで、外部の人間は拘束しないのだから、もしあなたたちが拘束させているとしたら、笹川が選手会を握っている、競走会を握っている、それに手向かえば選手を派遣しないというおどしが来るから結局は言うことを聞かざるを得ないということ。そうすると、あなたたちは笹川の威力を背景にしてこういう通達を出して、そしてそれを自治体に押しつけているという結果になるんだ。こんな法治国家がどこにありますか。どうですか。どういう法的根拠があるのですか。法的根拠を明らかにしてください。
  163. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 再三御答弁申し上げておりますとおり、もともと施行者であります地方自治体が、海事思想の普及に関連いたしましてBG財団に協賛をしたい、こういうのが基本でございまして、したがいまして、私どものところに施行者協議会の会の合意事項としてBG財団についての協賛をしたい、こういう申し出がありまして、それを私どもは受けて内部通達として、現地を監督しております海運局長に通達を出しておるわけでございます。したがいまして、協賛という趣旨でございますから、これは当然施行者の自主的な意思によって決められる、こういうことになっております。
  164. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ちょっと答弁にならない。さっきも申し上げましたけれども、協賛レースだから勝手に配分していいということじゃないのですよ。協賛レースだから、協賛をしている団体、BG財団に全部やっていいということになっていないでしょう。そんなことをやったら、法律違反じゃないか。どんなレースであろうと、レースをやった場合には、主催者はこの法律によってちゃんと船舶振興会に幾ら、競走会に幾らとやらなければいかぬようになっているのですよ。これはすべての支出がそういうように法定化されているわけです。それをあなたたちが何で一民間団体である笹川のBG財団だけに、法律にも何も規定がないのに六%の金をやるのだ。これはまるで強盗みたいなものじゃないか。何で金を出さなきゃいけないのか。法律に規定がないのに何で金を出せるのですか。
  165. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 再三御答弁を申し上げておりますが、基本的にはモーターボート競走法によりまして、収益はそれぞれ法律の定めに従って入っていくわけです。それをそれぞれの収益の入った機関が自主的にBG財団に協賛をするという自主的な意思でございまして、いま先生御指摘の施行者であります地方自治体に入ります一〇%前後の中から地方自治体が協賛をする、こういうたてまえでございます。
  166. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、六%の金は自治体が自発的に出している、こうおっしゃるのですか。それならなぜこんな通達を出すのだね、あなたたちは。
  167. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 私の通達のもとには、施行者の全国団体であります施行者協議会が、前々年度の売り上げの六%をBG財団に協賛したいという意思を自主的に申し出ておりますので、それを確認して現場を監督しております地方海運局長に通達をしている、こういうことでございます。
  168. 三浦久

    ○三浦(久)委員 自主的であれば、そんなことあなたたちは介入すべきことじゃないじゃないですか。何でそんなこと介入しなければいけないのですか。自主的にやるのであれば、自主的に任せるべきでしょう。それを何でこんな通達を出すのか。通達はこうなっているといって、六%を強制的に召し上げているじゃないですか。自主的なら、何でこんなものを出すのか。おかしいでしょう、大臣、どうですか。こんな不合理なことはありませんよ。この売り上げというのは、もちろん公金ですよ。自治体のものですよ。その公金を、全く法律の規定も何もないのに、通達一つでもって六%BG財団に横流ししているわけですよ。こんな不正なことは即刻やめるべきじゃありませんか。いままで百八十億円以上出している。この金だって返させなければいかぬですよ。大臣答弁を求めたいと思うのです。
  169. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 御指摘のBG財団についていろいろ問題点がございますので、よく詰めて統一的な見解を出したいと思います。
  170. 三浦久

    ○三浦(久)委員 もう時間が、さっきから催促されておりますからやめますけれども、これは決して延長しちゃいけない問題です。あとわずか二十日しかありませんけれども、この期間に運輸省が本当に良識をもって対処することを私は強く要望して、質問を一応終わらせていただきます。
  171. 古屋亨

  172. 岡田正勝

    岡田(正)委員 同士の青山先生、永江先生の御好意によりまして、これから一時間、運輸大臣所信表明に関しまして質問を行います。  運輸大臣は、所信表明の中の第三の柱といたしまして、航空輸送網の整備について述べておられます。またその中で、関西新空港の建設推進についても述べておられますので、そのことに関連をいたしまして以下お尋ねをいたしたいと思うのであります。  さて、その前にちょっと大臣にお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、昨晩のテレビ並びに本日の各新聞にでかでかと載っております銚子沖二百キロメートルにあります高さが三千メートルから四千メートルの富士山クラスの第一鹿島海山というものが、この海底火山が真っ二つに割れまして、その真半分がずるずると日本海溝の中へ千八百メートルももぐり込みつつある。恐るべき現象である。世界で初めての発見と言われておりますが、本日のこの新聞御存じでありますかどうですか。
  173. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 新聞も見ましたし、この件について海上保安庁長官から報告を受けております。
  174. 岡田正勝

    岡田(正)委員 続いて質問いたします。  さて、大臣もごらんになったのであれば、あるいは海上保安庁の御報告を受けていらっしゃるならば、このいわゆる太平洋プレートのずれ込み、いわゆる日本の方へどんどん移動してきておる、その逆に今度は日本海の沿岸側の方が持ち上がりつつある。俗に一般的な説では、一年間に日本海側の日本の海岸は五センチメートルずつ太平洋へ寄り、そして太平洋岸は一年間に五センチずつアメリカへ近づいていきつつあるということもやはりこういうことが裏づけになるのだと思うのでありますが、この海底の不思議さ、自然の不思議さ、地震の恐ろしさということには御認識を新たにされたと思いますが、大臣の御感想はいかがでありますか。
  175. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 海上保安庁の説明におきましては、このいろいろの変化は何十万年というサイトで行われるので、いま急に大きな障害は起きない、こういう報告でございました。
  176. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは続いてお尋ねいたしますが、大臣、東京湾の入り口に旧帝国陸軍が敵襲を防ぎますために、帝都を守るために第一、第二、第三海堡というものを築造いたしまして、その後どうなったかということにつきまして御存じでありますか、お尋ねいたします。
  177. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 私はつまびらかにしておりませんが、先般先生がこの問題についてお触れになったことを聞いております。
  178. 岡田正勝

    岡田(正)委員 先般二月十六日の予算委員会におきまして、私がこのことに触れたのですから、大臣は少なくともその資料については、実はあなたの所管する官庁すなわち運輸省の第二港湾建設局の調べがこんなにあるのであります。これはごく一部分だと思いますが、私の手元に入った資料だけでもこれだけあります。このぐらいはせめてお読みになっておいていただきたかったですね、大臣の誠意として。ごらんになっていないのならば私がごらんに入れますから、どうぞ一遍見てください。——どうも運輸省の資料を私の方から資料提出したようで立場が逆さまでありますが、御存じないようでありますから、ここでちょっと大臣の認識を新たにしていただきたい。地震というものに対する認識でございます。  第一、第二、第三海堡というのがありますが、第三海堡は御承知のとおり明治二十五年から大正十年にかけまして営々として築き上げたものでございます。その年月は三十年の長きに及んでおります。その工費も実に莫大なものでありまして、この三十年かかった苦難の大工事が完成した途端に、二年余り大砲が座っておっただけで、その後に襲ってまいりました大正十二年九月のあの関東大震災のとき、瞬時にしてこの第三海堡は崩壊水没したのであります。海中に五メートル沈んだのであります。こういう事実はその資料に歴然と書いてあるのでありますが、さてその後が大変であります。第一、第二海堡土をつくったために、東京湾の潮流の関係で第一、第二海堡土のところにはどんどん海砂が押し寄せてくる。したがって、そこは海が浅瀬になって船が通れない。第三海堡があります、その第三と第二の間しか船が通れぬというので遭難船が相次ぎまして、東京湾の海上交通いかにすべきかということの検討書がそこに入っております。その結果、撤去すべきかあるいは第一、第二の浅瀬の方をしゅんせつをしてそっちに海路を変えるかというようなことをいろいろと検討いたしましたが、どちらも莫大な経費がかかってらちが明かない。結局、とどのつまり第三案といたしまして、海上交通管制局を設けまして東京湾の交通整理をしようということに相なっております。ただいまでは、入港するにしても出港するにいたしましても、その前日の正午までにその運航計画を管制局に届け出をしなければ東京湾の入り口は通れないことになっておる。まことに大きな障害物となっておることは、それを読まれたらおわかりになると思うのであります。  この島というものは、直径が二キロメートルのいわゆるすりばち状の岩の上に、しかもその岩のてっぺんは水面から一メートルほどしか沈んでいないという非常に浅いものであります。そのすりばちの中に石と砂を投げ込みましてその上に物すごい工事をやっておるのですね。一個の重さが四十トンから千五百トンという、大きいものは全部鉄筋コンクリートづくりという防壁までつくったにかかわらず、どんな大波が来ても決して崩れることのないような堅固なものでありましたが、しかし関東大震災で一夜にして海中マイナス五メートルに沈没をしてしまった。しかもその下の岩は全然どうにもなっておらぬのです。岩の上につくった砲台だけがなくなったのであります。こういう事柄について、目の前で、東京湾の入り口で地震による公の被害があったということを大臣はひとつ認識を新たにしてもらいたいと思うのであります。  さて、時間がたちますので逐次本題に入ってまいりますが、まず第一の質問は、さきに私が二月十六日予算委員会で埋め立て工法、浮体工法、双方の価格構成につきまして資料を提出するように要求をいたしました。後日、政府から回答がありました。その回答はこれでありますけれども、ここに「地方局調査」と書いてありますが、この一兆二千七百億円の価格の推定は一体だれが出したのでしょうか、お答えを願いたいと思います。
  179. 松本操

    ○松本(操)政府委員 埋め立てについて建設費を調査いたしましたのは、近畿、中国、四国地方の港湾及び空港の直轄工事を行っております運輸省の第三港湾建設局でございます。
  180. 岡田正勝

    岡田(正)委員 間違いなく地方局の調査ということですね。
  181. 松本操

    ○松本(操)政府委員 地方局と書きましたのは、第三港湾建設局が組織上地方局でありますのでそう言っただけでございますが、地方局の調査の内容のありようをもう少し申し上げますと、第三港湾建設局は自分で設計をしたり工事を監督したりあるいはその費用を計算したりということが仕事でございます。したがいまして護岸、埋め立てにかかわります構造、こういったようなものにつきましてはみずから設計し工費を積算したわけでございますが、土砂の採取、運搬、こういった問題は第三港湾局の自前の仕事ではございません。したがって、こういうものにつきましては第三港湾局は一部コンサルタントに発注をいたしました。これらの数字を第三港湾局の判断において総合して、お手元にお届けしたような数字を全体的に取りまとめた、こういういきさつでございます。
  182. 岡田正勝

    岡田(正)委員 わかりました。  そこで私はこのいただきました一枚の、一枚の中でも四分の一ぐらいしか占めておりませんが、この価格の算定をながめてみまして、きわめて粗っぽい、変な言い方ですがまことに雑な計算であります。これが少なくとも官辺で計算したものであるということについては、私は納得できない。  そこで、この埋め立ての関係について一部コンサルタントに見積もりを依頼したのであるから、大半は三港建がつくったものであるから地方局の提出ということにした、こうおっしゃっておりますが、実際にこの仕事をやるというのは業界になるわけです。片や浮体工事をやろうという方の見積もりというのは造船工業会という名前になって出されております。いわゆる民間の見積もりということになっておりますが、それではなぜこの官辺筋と書いてあるものを民間ということにしてお出しにならぬのか。いまおっしゃったところによりますと一部をコンサルタントが、護岸、埋め立てなどの構造と工費の計算については三港建がやったということでありますが、三港建がおやりになったにしましても、これはやはり業界にも依頼をしておると思います。何と申しましてもサンドコンパクションあるいはサンドパイル、いろいろの問題があり、あるいは土砂を取る、あるいは海砂を取る、そういう関係の大仕事になってまいりましたら当然業者の方から見積もりをとっておると思いますが、その業者は一体どこですか。
  183. 松本操

    ○松本(操)政府委員 細かなところまで私承知しておるわけではございませんが、この計算をするのに当たって第三港湾建設局が外注をいたしましたところは、埋立俊深協会、これは埋め立てについての総合的な業者の集まりでございます。環境開発研究所、これは土砂を取ってまいります場合に環境を後どういうふうに片づけるかという問題、これが土砂の費用に大きく効いてまいりますので、環境の扱いについて相当の知識経験を有するところに検討をさせたわけでございます。それから土砂の運搬につきましては、パイプラインかコンベヤーかという議論がございます。この両方につきまして、たとえばパイプラインについては鋼材倶楽部、あるいはコンベヤーシステムについては海洋開発建設協会、いずれも社団法人でございますが、こういうところにそれぞれ最も得意とする技術によってやった場合どうなるかということを調査させたわけでございます。
  184. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それではこの際委員長お願いいたしたいと思うのでありますが、片方は浮体工法を行う上の業界としての全体の見積もりが出ておるわけでありますから、片や埋め立ての方につきましても業界としての見積もりがあってこそ比較対照の検討の材料になると思うのでありまして、私はその両方をぜひとも出してもらいたい。その資料要求をいたしたいと思うのです。なぜならば、こんな雑な見積もりではだれが見てもわかるはずがございません。ですから両方の業界のまとまった意思で見積もりを双方出してもらって、引き比べができるように、検討の材料となるように、国民によくわかる見積もりにしてもらいたいと思うので、その資料提出を要求する次第であります。委員長、お取り計らい願います。
  185. 古屋亨

    古屋委員長 いまの御提案の点につきまして、とりあえず航空局長から答弁の申し出がありますので答えさせます。
  186. 松本操

    ○松本(操)政府委員 私はへ理屈を言うつもりはございませんが、浮体工法につきまして、造船工業会等と書いた資料がございます。この等というのは、私どもの直轄研究機関でございます船舶技術研究所と港湾技術研究所が基本的な勉強をいたしておりますので、それを踏まえ、その上乗せとなりました具体性を持ったものを造船工業会でおやりになったものと組み合わせて私どもが作成したのがあの資料でございます。  それから、両方の業界の方から参考人という形でそれぞれ一度ずつ御意見を伺っております。この場合には造船工業会及び埋め立てに関連する幾つかの業界、それぞれの方々から資料をちょうだいいたしておりますし、説明も聴取をいたしております。なおその際に、造船工業会の方はそれなりの考え方による計算の数字が出てきております。埋め立ての方もまたそれなりの計算による数字が出てまいっております。現在はこれ以上細かなものは私どもとして手元にあるわけではございません。特に浮体に関係いたしましては、造船工業会の方がかなりしさいな検討をしておいででございますので、その数字は相当しっかりしたものであると仮に考えますと、それは参考人の提出資料という形ですでに出ておるわけでございます。埋め立ての方につきましては埋め立ての業界から出しました資料が同じレベルで出ておるわけでございます。私どもの方で基本的な比較の原則というものを細かに詰めたわけでもございませんで、それぞれの業界がそれぞれの判断でお書きになった部分が多うございますので、一律に比較するのはいささか困難な面がございますけれども、これらの資料は手元にもございますので、これは先生のところに早速にもお届けするようにいたしたいと思います。
  187. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。それではとりあえずその資料を出してください。ただし、その資料を出されるときにお願いしておきたいことは、比較検討ができるようにしてください。だれが見てもわからぬような資料では何を出してもらってもわからぬわけです。ですから、わかる資料を出してください。それを注文しておきます。委員長、よろしくお願いします。  それでは、時間がありませんので次に参らしていただきます。  三月三日の航空審議会の工法委員会におきまして、労働組合代表の方々が御出席に相なり意見を開陳しておられます。その際の労働組合側として行った見積もり額を拝見いたしましたが、これから見ますと価格に大きな差が出ておりますね。ものすごい差があります。約倍の違いが埋め立て工事においてありますが、これについてどう思われますか、お答え願います。
  188. 松本操

    ○松本(操)政府委員 三月三日に空港建設期成労働協議会の方々から伺いました意見、その際に提出されました資料、先生おっしゃいますように非常に数字が違っております。浮体工法の数字は審議会資料をそのままお使いになっておりました。それはランウエーが二本ある集中案ということで一兆四千六百三十二億という数字でございましたが、埋め立てにつきましては、審議会資料のランウエーが三本ある部分に対応する一兆三千億という数字に並列をいたしまして期成労協見積もりということで二兆三千二百五十一億、一兆の差のある大きな数字が出てきておるわけでございます。  そこで、違いをざっとこの表の上からだけ見てみますと、設備費二千六百三十三億、海砂、石材、土砂購入費三千五百六十一億、ここがきわめて大きく違ってきているもとになっておるようでございます。この点につきましては、審議会の席上におきましても各委員から、今後の比較検討のために勉強したいから、どういうふうな理由でこれらの数字が出てきたのかを教えてほしい、こういう御要望がありました。御出席の参考人の方からも提出の用意があるというお答えがあったように私ども承っておりますので、今後その積算内訳をいただきまして十分精査し、比較検討ができるような形で今後の議論を積み上げてまいりたい、こう思っております。
  189. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ただいまの御答弁、大変素直でありまして結構です。ああいうわかる御答弁お願いいたします。  次に、いまの期成労協の試算の価格構成の費目の区分、これをよく見てみますと、海上に島をつくるのには当然土砂を掘る、それを運ぶ、そして投棄する、跡始末はまたそれの治山治水が要る、そういうものを行い、基礎工事など所要の工事をやって人工島をつくり上げる、完成するのに一体幾ら要るかというプロセスごとに順序を追って、必要とする金額がよく理解できるように並べてあるのであります。構成してあるのであります。こういう積算の方法だったら国民のどなたがごらんになってもよくわかるわけでありますが、この考え方についてどう思われるか、御所信を承りたいのであります。
  190. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、参考人の方にはなるべく自由な考え方で御意見をお出し願っておりますので、私どもの書き方と食い違っておる点があるわけでございます。たとえば、期成労協のお出しになった資料の設備費というところに入っているものは、注によりますとコンベヤーの施設、道路建設費、作業基地、積み出し港湾の建設費、こういったようなものだということでございますが、私どもの方の分類で申しますと、作業船、機械の調達費、作業基地あるいは作業員団地の建設といったようなものは護岸埋め立て建設費という中に実は入ってしまっております。したがって、恐らく今度護岸工事費あるいは埋め立て工事費に入っております数字の方にはこの期成労協の方では入っていないのではないかと思います。ちなみに、この前のときにも御質問があったやに記憶しておりますけれども、埋め立て土砂の採取費あるいは河川改修費、什器搬入用道路の建設費、作業員団地の建設及び用地借り上げ費、あるいは遊水池、沈砂池等の諸対策費、こういったようなものは埋め立て土砂の採取に必要な経費という中に全部込みにして私どもの方は足してしまった答えだけしか書いてございません。これらを細かに区分けしていけば、実は先生おっしゃるようにだんだんとわかりやすさもふえてくるわけでございます。したがって、先ほど御注文のございました浮体と埋め立てとの対照のありようにつきましては、どういうふうに対照すればいいのかという点についての定論がまだないので、せっかく努力をしてなるべくわかりやすくしたいとは思っておりますが、余り細かな数字まで切り込んでまいりますと、何せ第三港湾建設局の方ではじきました数字は官庁の見積もりの数字をベースにしてはじいているという経緯がございますので、単価その他についてはなかなかに公表しにくいという点はお含みおきいただきたいと思います。
  191. 岡田正勝

    岡田(正)委員 いまお答えいただきました答弁を聞いておりますと、聞くとだんだん出てくるのですね、お尋ねをするとだんだん細かいのが出てくるわけです。細かいといっても、一つの単位がみんな一千億の単位ですよ。ここで私は一つの例を挙げますが、たとえば私の住んでおります広島県の尾道というところから島をずっと渡りまして四国の今治というところへ本州と四国の連絡橋をかける、その橋でさえ三千億円ですよ。はい、本四架橋は三千億でございますと言うたんで委員会答弁になりますか。余りにもけたが大き過ぎるじゃありませんか。やはり私は、問えば出る、問えば出るんなら書いてくださればいいじゃないですか、そういうものを出していただきたいということをお願いをしておるのであります。  委員長、これもさっきと同様、わかりやすい、比較検討ができるようなものという条件の中でございます。よろしくお願いいたします。  さて次に、労働組合が、一期工事分のみで、埋め立ての場合は、ここに出ておりますように二兆三千二百五十一億円、浮体のちょうど倍、という五十三年度末の価格を算定したということは注目すべき事柄ではないでしょうか。これが見当として大きく違いがないとするといたしますと、これは五十三年度末の価格でありますから、国民は、その後の値上がり分、そして土木工事特有のつきものであります工期が延びたからといって年度ごとに工事費を割り増す、あるいはその金利、各種の補償費やあるいは施設帯の建設費など、さらに多額の負担をしなければならないことになります。  国といたしましては、いずれの工法をとるにいたしましても、最終的には公団債など特別会計の借金として事業を行うことになると思いますが、たとえば、開港時期を昭和六十四年の春ごろと仮定をいたしまして、開港時の所要能力、十五万回程度の規模の空港をつくるのに必要とするすべての金額の積算と明細を提出をされたいと思うのであります。資料要求をするものであります。  ただし、これは主滑走路が一本と補助滑走路が一本の場合で、これを前提としての見積もりでございます。それを埋め立ての方も浮体の方も両方等しく公平に検討しなければならぬわけですから、両方とっていただきたい。このことを要求いたします。委員長、よろしくお願いいたします。
  192. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいま先生の設定されました条件にぴたりかなうものは、私ども現時点のところ正直手持ちを持っておりません。  埋め立てにつきましては、滑走路を二本、ただしエプロンの広さが小さい、エプロンを広げたものを二期工事とする、こういう考え方で従来来てしまっておりますし、浮体の方は、滑走路は二本でいいんだ、むしろ集中案か分離案かというところに従来はいささか議論が偏っておりました。最近になって、浮体の方々にも、主滑走路二本、補助滑走路一本という形ならばいかがになりますかという漠然とした質問を申し上げて、それなりの御検討はいただいておりますけれども、この場合にも、たとえば水タンクとか燃料タンクとかいったようなものがまだ入っておりませんし、埋め立ての場合にも上物は入っておりませんし、橋は両方とも入ってきておりません。  したがって、先生御要望のような委細をきちっと彼此対照できるような形での詰め上げというのは、私ども自身がやらねばならないことというふうに認識をいたしておりますし、現在の小委員会にも当然この種の資料を提出しなければ議論の詰めようがないというふうに認識をしておるわけでございますが、正直な話、現時点ではそういう資料を持っておりません。しかし、なるべく早い機会にそういう資料が審議会の場に出るようにしなければならないというふうにも自覚をしておりますので、できる限り私どもとしては作業を急ぎまして、御要望の趣旨に沿ったものができるようにいたしたいと思います。
  193. 岡田正勝

    岡田(正)委員 昭和四十九年度航空審の答申によりますと、年間所要の離着陸能力は十五万回程度でよかろうということになっておったのでありますから、私は当然その線に沿っての見積もり比較というものがあり得る、なければおかしい、いままで何をしておったのかということになるわけでありまして、埋め立ての場合は主滑走路を二本とするのだということを言っていらっしゃいますが、主滑走路を一本と二本との違いは、年間たった二十五万回と二十六万回の一万回しか違わないんですよ。長さが四千メーターも五千メーターもあるような大きな滑走路をもう一本同じものをこしらえて、しかもたった一万回しか違わない、二十六万回と二十五万回、こんなあほな話がありますか。しかも、いまお尋ねをいたしましたら、十五万回程度というのは実はただいま資料がないのでございますとおっしゃいます。優秀なる三港建に命じて、速やかに十五万回程度の発着能力でよかったらどれくらいかかるかという資料を出されるくらいのことはいとも簡単なことでしょうが。六年間も研究なさって、いままで何をしておったのですか。ぜひともひとつ、十五万回程度の当初答申案どおりの空港をつくったら、浮体の場合が幾ら、埋め立てが幾らという比較案を出してもらいたい。  委員長、ぜひ資料要求をお願いします。
  194. 松本操

    ○松本(操)政府委員 答申のときの滑走路の数は実は三本でございまして、三本で十五、六万と、こういうふうにその当時の答申は粗っぽく見積もっていたわけでございます。その後いろいろと私ども研究をしてまいりました過程において、滑走路一本、二本、主滑走路をどうするかという議論までさかのぼってもう一度詰め直していったという経緯がございますので、答申のときに滑走路が、主が一本、補助が一本でスタートしたわけではなかったものでございますので、したがって、全体の滑走路の数が二本というものについてそう突き詰めた議論を私どもしてなかったことは、おしかりを受けても実はやむを得ないので、事実でございます。  ただ、埋め立てということで考えました場合には、問題は護岸が非常にいま問題である、これは御専門の方に釈迦に説法でございますが、そういうことでございますので、護岸の部分にかなりの金を食いますので、それをベースにしてもし滑走路一本という御注文でございますれば、滑走路を一本にし、海水面を残しておく、こういう方法があると私は思いますので、そういうふうな修正をしたものを作成するということは私は可能だと思います。  ただ、多少の時間をおかしいただきたいということをお願い申し上げているだけでございまして、そのようなものをつくってお出しする点については何ら私ども問題はない、このように考えております。
  195. 岡田正勝

    岡田(正)委員 いつごろ出ますか。
  196. 松本操

    ○松本(操)政府委員 どの程度詳細にという点によっても変わりますけれども、浮体の方と大体見合える程度の概算レベルということでございましたら二週間はかからないと思います。
  197. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは必ず出してください。わかりやすいように出してください。  次の質問に入らせてもらいますが、政府が明確な判断を示さないことには、国民は泉州沖の埋め立てについて予算面から大きな不安を持つことになると思います。なぜなら、ヘドロの海の中に税金を捨てていくわけでありますからね。まさに捨て土でしょう。まさに捨て石でしょう。税金を捨てていくわけでありますから、全くこれはなくなってしまうのではないかな、本当に捨てるのではないかなという心証を国民に与えるのではないかと思うのであります。  さてそこで、工法の選択につきまして、環境アセスメントなどを含めて慎重に検討を要しますが、労働組合の方から問題を提起されておりますが、まことにごもっともなことばかりでございます。国民が納得するように解明すべきであると思いますが、その御用意はありますか、どうですか。
  198. 松本操

    ○松本(操)政府委員 これだけの大工事でございますので、工法が何であるにせよ、その建設途上における環境に与える諸般の問題あるいは工事が終わってしまってから、相当長期にわたって環境に与える影響、これは十分に検討していかなければならない、当然のことだと思います。さらに、建設技術そのものの細かな点でありますとか、あるいはさらには維持運営費がどのくらいかかるのか、かからないのかとか、そういう点を全部ひっくるめませんと、先生おっしゃいますように、どれだけの金を投入してどんなものができて、いつまで使えるのかということがわからないわけでございますので、これをこれからの審議会の議論の中におきましても、早急に詰めていかなければならない。その大前提一つとなります環境問題については、毎度御説明申し上げておりますが、当初三月末までにはレポートがまとまる、こういうふうに期待をしておったのでございますが、遺憾ながら多少のおくれはあるようでございます。一カ月、二カ月ということではございません。多少のおくれということでまとまりそうべでございますので、そういうものもまた審議会に出しまして、いままでは工法の技術的な議論しかしておりません。そこに環境の問題を絡め、さらに前段において御質問のありましたような経済的な問題も絡め、総合的な判断というのをこれからの作業の中で詰めていく、こういうふうにいたしたいと考えております。
  199. 岡田正勝

    岡田(正)委員 では次に、環境庁お見えになっていますか、環境庁の方にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  さて、ここで環境庁の方は、この問題は初めてお聞きになるのではないかと思いますので、土量のことだけについて、ちょっとその規模を申し上げておきますが、この埋め立てに要しますところの土量の総数は五・六億立方メートルという膨大なものでありまして、中国にありますあの万里の長城、あれが四本すぽっと海の中に入ってしまうほどの土量であります。たとえての話でありますが、青森から鹿児島まで二千二百キロメートルの長さにわたって高速道路をつくったその土量、すなわち仮定でありますけれども、土手の下の幅が五十メートル、土手の上の幅が二十五メートル、土手の高さが六メートルという二千二百キロメートルの青森から鹿児島までのその高速道路のどろが全部がばっと海の中に入ってしまうほどの大きさでございます。しかも、これを他の例にとりますと、日本国民が、赤ちゃんもみんな一人と勘定いたしまして、十トンのダンプカーで一杯ずつ大阪湾へ運んでくるほどの土量なのでございます。しかも、これが大阪湾の泉州沖五キロメートルのところへ、水深二十メートル、そしておかゆのようなヘドロの厚みが三十メーターのところに落とし込んでいくのでありますから、大変な土量だなということをまず御認識をいただきまして、その上でひとつ質問を聞いていただきたいと思います。  私は、二月十六日の予算委員会でサンド・コンパクション・パイル、これは砂のくいのことでありますが、その工法で、砂ぐいを圧入をしていくことによって盛り上がってくるヘドロの処理についてお尋ねをしたのであります。そのとき政府の御答弁によりますると、密閉式のグラブで、ばけつのようなものでつかんで、そして水をじゃぼじゃぼ落としながらどろをとるとおっしゃるのであります。そして、それを別の埋立地あるいははるか太平洋のかなたへ持っていくのだとおっしゃっているのでありますが、この計画されている砂の量というのは一千七百万立方メートルというものでございまして、これにいわゆるヘドロがおっかかっていくわけでありますから、このヘドロの量は大体同じ量、一千七百万立方メートルのヘドロがぐっと上に浮いてくるわけであります。その量というものは、大ざっぱに言いましたら、この近所で霞が関ビルがありますが、あの霞が関の三十五杯分であります。これだけの大量のヘドロを処理しなければなりませんが、これを掘ったりあるいは海へ投棄をしたりというようなことをすれば、その汚染が拡散をいたしまして、著しく海面を汚していくと思いますが、このことについて、環境庁はどう考えられますか。
  200. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  いま先生から大変具体的に工事の内容をお伺いしたわけでございますけれども運輸省がいま実施されておりますいろいろな調査は、私どもまだ正式に聞いておりませんので、御指摘の点につきまして、具体的な案件として私ども見解を示すことはまだできないわけでございますけれども、こういった大規模な事業につきまして、環境保全上どうしたらいいかというような観点からお答えいたしたいと思います。  こういった一般的に環境に著しい影響を及ぼすようなおそれのあるような大事業につきましては、当然のことでございますけれども、環境汚染を未然に防止するため、その事業の実施が及ぼすであろういろいろな現象等につきまして調査、予測、評価、こういったものをいたしまして、所要の対策を講じていく、いわゆる環境アセスメントをやるということが必要だと考えておるわけでございまして、そのアセスメントの対象といたしましては、先ほど来お話がありますように、施設ができた後これを使っていく段階で、飛行場でございますから航空機の発着に伴う大気への影響もございますし、それから空港の施設の運営あるいはアクセスコースというふうな問題もございます。それから、施設そのものがあるということ、たとえば埋め立てでございますと、その面の海域が消滅するわけでございますし、浮体工法でも、太陽光線に対しての影響があると思いますが、そういったことも当然やらなければならない。それから、何よりも、工事中の影響についてはその段階でどのような影響が海生生物等に対してもあるかというふうなことも含めてチェックしなければならぬ。特にいまお話がありましたように、大変大量のヘドロの拡散につながるというようなことでございますと、これは環境影響について十分慎重に検討していただくことが必要であろうか、こんなふうに考えておるわけでございます。
  201. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それから、太平洋へ持っていって捨てるかもしれぬということもおっしゃっているわけでございますが、今回この国会に提出されております国際的な海洋汚染防止協定、これとの関係についてはいかが考えていらっしゃいますか、お答え願います。まだ法案を読んでおりませんか。
  202. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ちょっと私勘違いしておりまして失礼いたしました。  海洋汚染防止法上は、海洋投棄をいたしますヘドロに有害物質がない場合、このような場合には公海上にこれを処分することができるはずでございますので、いま私手元に詳細の資料を持っておりませんので、これ以上細かにお答えできませんですけれども、可能性については私ども一応勉強はしたつもりでございます。
  203. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは、海洋汚染防止法は現実にはまだ法案が提出された段階でございまして、具体的な論議に入っておりませんから、後日にこの論議はお譲りをいたしたいと思います。  それでは、続いて環境庁にお尋ねをしますが、グラブでつかみ取る、その場合は大きな鉄のつめを、人間が十人くらい入るような大きなつめでありますが、それを海の中にどぶんとほうり込んで、そうしてヘドロをつかみ上げて、水をじゃあじゃあ流しながら上げていくわけであります。当然この海域というものは湖のようにじっとしているのじゃありません。大阪湾の海流は、その時速は〇・八ノットであります。その〇・八ノットの海流の中でそんな乱暴な仕事をいたしましたならば、その周辺の海底というものは大変なことになってくる。言うならば、速度にして一晩の間に大阪湾全体を覆い尽くすほどの汚染となってまいります。しかも、それが一日ではないのであります。政府の方で御計画になったスケジュール表から見ましても、二年ないし三年はかかるとなっておるのであります。ということになれば、当然大阪湾全体の魚類その他生物の生態系全般に対して影響を与えることはきわめて大きいものがあると思いますが、環境庁としてはどう思われますか。
  204. 森下忠幸

    ○森下説明員 先ほども申しましたとおり、具体的な工法もまだ決まっておりませんようですし、私どもに直接事務的に御協議いただいているわけではございませんので、直接的な御答弁というわけではございませんけれども、私どもが類似のものについて、公有水面埋立法などに基づきましていろいろな案件を処理しております。そういった経験に基づいて申し上げますと、当然、そういった工事が行われます段階で潮流の問題とか漁業あるいは海生生物へのいろいろな影響が出てまいりますから、これらについて、事前の実測調査等に基づきましていろいろな予測をするというふうなことを計画段階で十分慎重にやっていただくことが必要だと考えております。
  205. 岡田正勝

    岡田(正)委員 日本国民が一番期待をしておる日本国民の健康と安全を守ってくれる大御所である環境庁、これはすばらしい威勢のいい回答が出るかと思ったのでありますが、現在の役所の機構から言いますと、事業主管省である運輸省の方から御計画が出ないとそれを事前にチェックするという機能がないというようなことでございまして、聞けば聞くほどさびしい限りでございます。何でそんなに官庁というのは不自由なところであろうかと思うのです。あなたも新聞をずいぶん読んでいると思うが、そのことをいま責めてもいたし方ありませんし、時間がありません。大臣は四時になると退席されるそうなので続いて質問を申し上げてまいります。  環境政策上からお聞きをするのでありますが、こうしたプロジェクトや工法にはヘドロ汚染などの大きな問題があります。そのことはおわかりと思います。そこで工法などの諸条件が決められる前に、環境庁としていかなる調査を行うか、あるいはまた政府案決定の後——いまは事前であります。政府案決定の後、環境に与える影響についてどのような調査をなさるのか、その点についてお尋ねをする次第であります。  またいま一つは、地元の住民や関係団体などから具体的な項目につきまして調査の要求がありました場合、これをどう受けとめられるのか、お尋ねをしたいと思うのであります。
  206. 森下忠幸

    ○森下説明員 いま先生がお話しになりましたように、具体的な案件ということで政府として意見を取りまとめるという段階になりますれば当然、環境保全上からの意見を環境庁は申し述べるわけでございますが、その以前におきまして直接的な調査をするというふうなことにはなっておらないわけでございます。  それから、実際にこういった計画が具体化した段階で住民の方々からいろいろな意見が出てくる場合どうなるかというようなことでございますが、これも私どもがいままでやってまいりました経験に即しまして申し上げますと、地元住民から確かにいろいろな開発行為に対しまして意見が出てまいります。それは、地域住民の方々が環境保全上の問題につきまして、地域の生活者としての経験に基づく大変骨董な情報だというふうに私ども位置づけておりまして、こういった意見を踏まえて関係省庁といろいろ御相談もいたしますし、またその段階で必要に応じまして事業者等に対しまして補足的な資料を出していただくというふうなこともやりまして、私どもの立場から十分環境保全上の検討をしてまいる、こんなふうに考えております。
  207. 岡田正勝

    岡田(正)委員 この新空港は世界でも全く初めての沖合い海上空港としての計画でありますが、投棄される土砂の量も先ほど申し上げたとおり五・六億立方メートルというもう未曽有のものであります。恐らく世界でも経験したことがありません。その大量のヘドロの除去も、かつて日本の業界においても経験したことのないスケールのものであります。航空審議会の検討を待つことなく環境庁として独自の調査を行い、問題点を先に指摘をしておくというような措置をとるというお考えはございませんか、お尋ねをいたします。
  208. 森下忠幸

    ○森下説明員 いま航空審議会の方の関西航空部会のメンバーにも実は私どもの事務次官がなっておりますので、私どもこれと並行しつつ勉強はしておりますけれども、事務的に直接調査に乗り出すとかそういうことはできないわけでございます。しかし勉強はあわせてやらしていただくつもりでございます。
  209. 岡田正勝

    岡田(正)委員 専門の課長さんのお答えでありまして、お答えはまことにまじめでありますが、さっき感想を申し上げたように、事が決まってからでなければ意見を述べることもできない、何と不自由な環境庁だなと思うのであります。  そこで、お帰りになったら環境庁長官にお伝え願いたいと私は思いますが、この際、激励をしておきたいと思うのであります。これは国民を代表して申し上げるのでありますが、関西新国際空港の計画というものは世界でも初めての海上空港であります。しかも大規模開発を伴うものでありまするから、建設公害を起こさずに自然環境や地域社会の生活や文化が守られる空港建設となるように環境庁といたしましては、いかなる圧力にも屈することなく、いかなる風潮にも押し流されることなく、国民のために毅然とした態度を貫いて最善を尽くしていただくよう要請をして環境庁に対する質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。  それでは続いて、大臣離席をされましてまことに残念でありますが、質問をさせていただきます。  沈下問題についてでありますが、二月十六日の予算委員会におきまして提出を求めましたボーリング図、これによりますと、ここにいただきましたが、浅いもので百十メーター、深いものでも二百メーターでとどめておりますね、この十本のボーリングは。この柱状図、ボーリング図によりますと、まだまだ下にヘドロ層があるではありませんか。これは岩盤へ到達したからやめたんですか。なぜ途中でやめたのか、それだけはっきりしてください、時間がありませんから。
  210. 松本操

    ○松本(操)政府委員 試験的に行っておりますボーリングの目的は、地層がどういう形になっているか、地盤がどういう形になっているかということをチェックするのが一つの目的でございます。岩盤まで到達しなければならないというふうには私ども考えておりませんので、地層の耐力というものがある一定の数字に到達すればそれをもって十分であるというふうに考えていいのではないか。     〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕 たとえばN値というのは、先生御専門でございますから御案内だと思いますが、N値が三十から五十というあたりのところになれば、相当の構築物に耐えられるというふうに一般に言われておるそうでございます。N値三十ないし五十のポイントが出てまいりますのは、五、六十メートルの深さでございますけれども、しかしその下の地盤というものもこの際十分にチェックをしておきたいということで百十ないし二百メートルのところまでの深層ボーリングを行ったわけでございます。ポートアイランドその他におきましては、それほど深くはやっていないわけでございますけれども、われわれとしてはいろいろな面から十分なデータをとっておきたいということで、かなり深いところまでいたしましたが、恐らく場所によっては千ないし二千メートルくらい掘りませんと岩盤には届かないだろうと思います。岩盤の上にがっちりと積み上げなければならないということでは埋め立ての場合必ずしもないというふうに私どもとしては考えております。
  211. 岡田正勝

    岡田(正)委員 聞けば聞くほど——千メートルも二千メートルも下へ行かぬと岩盤がない。N値のことは、これは地耐力の関係でよく存じておりますが、しかし、そのN値というのは、要するに岩盤の上に自然に沈積をいたしました土砂の耐力でございまして、その岩盤そのものが動いた場合、地震があった場合にどうなるかというようなことは当然研究をしておかなければなりません。実は私、昨日建設省に対しましてある町の国道のバイパスをつけることについて、なぜその国道のバイパスの建設費がはじき出されないのか、なぜその設計書が出ないのかということを聞きましたら、その理由はたった一つ、ボーリングができていないからだ、こういうのです。山の中ですよ。ボーリングができていないからといって、ボーリングは全体で延長九キロメートルしかない中で、幾らの距離がボーリングができないのですかと言ったら、たった一千メートルであります。しかも山ですよ。地はだも出ているのですよ。そして、住民の許可がないから入れないので、一キロメートルのボーリングがなければ設計書ができない、工費の見積もりもできない、土木技術の専門家である建設省はそうのたまわれるのであります。ところが、建設技術の方には、むしろどちらかというと港湾局は対ぐらいでいくかもわかりませんが、運輸省ということになれば、ちょっと後ずさりのような感じの関係でございますが、そこではたった十本で、途中でヘドロがあろうと何であろうと、岩盤までいかぬでもいい、断層があるかないかも調べぬでもいいというような態度でよろしいのかどうか、もう一遍はっきりと性根を据えて御返答いただきたい。
  212. 松本操

    ○松本(操)政府委員 私、専門家でない立場で、専門家の先生にいろいろ申し上げるのは気がひける面もございますが、ヘドロという言葉によって代表されております海底の状況というものが、多少先生のおっしゃるのとは違っておるようでございます。私も、当初ヘドロという言葉から、仮に潜水夫が入りますと、ひざくらいまではもぐってしまうのかと思っておりましたら、あの近所には潜水夫も入れておるようでございますが、くるぶしの程度までは入るがその程度のことである、ずばずば入ってしまうぬかみそのような状態ということではないようでございます。     〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕  それから次に、深層ボーリングを千メートル、二千メートルなぜしなかったのかという点につきましては、先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、地盤の締まりぐあいというものは、大体百メートルから二百メートルの間何本かの層をとってまいりますことによって、砂層と粘土層がどのようなかかわり合いを持っており、それぞれのN値あるいは一軸圧縮試験値、こういうようなものがあるようでございますが、こういうものを専門家が鑑定した結果、たとえば、ポートアイランド地区の土質あるいは大阪南港の土質等と比較して、深さが百メートル前後のところでほぼ見合う状態であるというふうに判断をした。それから、断層の問題につきましても、深さ二百メートルまでのところを音波探査によって何本か線を引いて調査をしておるわけでございますが、一部小規模な断層があるということは認められております。ただ、ボーリングをいたしましたときにとってまいりましたサンプルの中から、花粉分析調査ということを行いまして、それによって空港建設予定地域近辺におきましては、過去一万年以上の長期にわたって地層のずれが起こっていないというようなことが立証されておるのだそうでございます。したがいまして、この前も私お答えいたしましたが、詳細な設計をしてまいります場合には、当然もっと密なボーリングが必要でございましょう。埋め立てが可能かどうか、地盤改良が可能かどうか、それによってどのようなマウンドを敷き、どのような工法によって護岸を立ち上げるかという概念の設計をするに当たっては、一応私ども調査しました数字をもってかなりの信頼度のものが得られているというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  213. 岡田正勝

    岡田(正)委員 時間がありませんので、さらに申し上げておきますが、航空局長、あなたからいただきましたボーリング図、それから地層図、それを見ますると、あなたは予算委員会で私に、この空港の海底は非常に平たんな地域でありますから、不同沈下を起こすことはないというふうに考えておりますということを言われましたが、これはあなたの方も持っておられると思うが、資料の2−2をごらんください。委員の皆さんもごらんください。こういうふうにあらゆるところでうねりたくって、まことに複雑な地層です。しかも傾斜をいたしております。何がなだらかですか。こういうことをもってこの委員会答弁をなされるということは、まことに私としては憤慨にたえぬのでありますが、時間がありませんから、この見解は聞きません。また後日にお譲りをいたします。  さて、ここで重要な問題を申し上げておきます。去る二月二十二日に鋼構造協会が開きました研究会で、京都大学の、地質学の日本の権威者と言われております赤井教授が講演をなさいました。その講演としては、沖合い人工島は、地盤改良の施工性とその効果、長期圧密による沈下、耐震問題等、多くの点で疑問が残っており、まさに豆腐の上に金塊を載っけるようなものだと語られました。またその赤井教授にさらに聞きますと、運輸省から研究を委託をされておりますが、その結果について公表が禁じられておるので言うことはできないと言われておりますが、なぜこれを禁じたのですか。何を依頼されたのですか。そういう資料を出してもらいたい。なぜ運輸省は、せっかく研究依頼をしたのに、その研究依頼の結果の公表について本人に口どめをされたのか、はっきりとしてもらいたい。御回答願います。
  214. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず簡単に最初の地層の問題でございますが、先生がいまごらんに供されましたものは、海岸から直角にとった方でございますから、それはおっしゃるように、だんだん沖に行くに従って厚くなっております。それにまた直角にとりました場合は、おおむね平行になっております。  それから、いまの京都大学の先生のお話でございますが、私どももそのことを承知をいたしまして、豆腐の上に金塊を載せるというのは、学者にしてはいかにもおかしなたとえだと思って聞きましたところ、素人わかりしやすく言ったのだ、こういうふうな御趣旨であったようでございます。  それからまた、私どもは直接同教授にいろいろなことをお願いし、委託したことはございません。先ほど冒頭に出てまいりました第三港湾建設局が委員会を開いていろいろな調査をしたようでございます。そのときのメンバーの一人に赤井教授が入っていたかもしれません。通常、契約をもって調査を依頼いたしました場合に、成果品は契約をした側に移る、したがって契約を受けた側の方は、契約した側の、発注主の方の許可なしに勝手にあちこちにその成果品を持ち歩いては困るというのは、通常契約条項として書きます。同教授の場合に、果たしてそういうようなことがあったかどうか私はよく存じませんが、私が承知しておる限りでは、積極的に同教授に対して口どめをはかったということはないというふうに思いますけれども、なお御発言でございますので、十分にその点は私どもの方で調査いたします。
  215. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それは航空局長もわからぬとおっしゃるのでありますから、われわれにわかる道理はない。しかし、本人ははっきりと御講演をなさっていらっしゃるのであります。委託を受けて研究をしたが、その結果については公表を禁じられておる、口どめをされておるという。まことに重大なことではありませんか。この問題については、地層の関係につきまして赤井教授に依頼したことは何か、その研究の中身は何か、結果はどうであったのか、その資料はぜひ国会としても必要な資料でありますので、提出をお願いしたい。委員長のお取り計らいをお願いいたします。
  216. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいまもお答えいたしましたように、至急調査をいたしまして、その結論について御報告できるようにいたします。
  217. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは最後に申し上げておきます。  一部深層混合処理工法を使うというようなこともおっしゃっておりますが、あなた方の方で最も信頼をしております竹中工務店、そこの土橋顧問の話によりますと、二月二十二日の日本鋼構造協会の講演におきまして、その論文を出しておられますが、地震のときの深層混合処理、あなた方がこれをもって最高である一〇〇%であると太鼓判を押しておるその深層混合処理による改良地盤の地震に対する挙動については不明な点が余りにも多い、その設計法も確立をされていないという趣旨のことを発言をされておるのであります。ほかにもこれと同じ考え方を持つ専門家が多くおります。しかも、この予定の地点は先例のない、この横断図を見ましてもわかるように、途中で複雑な起伏がいっぱい起きておる。なだらかなところへ何で複雑な起伏が起きなければならなかったのであるか、そういうものの解明も全然ないところへ、こういう危険を承知の上でおやりになることは、私はこの上さらに慎重にも慎重を期してもらいたいと思うのであります。先般も一部申し上げましたが、御存じであろうと思いますけれども、ここへ資料を持ってきております。なければ差し上げますが、アメリカのボストン空港は、アメリカで最も古い空港であります。一九二〇年ごろに計画をいたしまして、しゅんせつで一九四〇年代に本格的な埋め立てを始めました。その後は、あなたが一番信頼しておるサンドドレーン工法で改良してでき上がった空港であります。ところが、それが不同沈下がやまないのです。不同沈下がやまないで、十年ごとに改良工事をしなければ維持できないという空港であります。ぜひひとつお考えをいただきたい。さらにいまひとつ。昨年の十月十六日、フランスのニース新空港、これは造成中の大災害でありますが、一部新聞にも伝えられておりますからあなたも御承知と思いますけれども、これなどもでき上がったと思ったら、そのでき上がったところまでがふわっといつの間にかなくなっちゃった。しかも、その結果は、数多くの人命の犠牲まで伴っておるのであります。まさに自然を侮った結果がこういうことになったのではないでしょうか。地震の心配はない、断層の心配はない、岩盤までいくことはない、途中のN値が三十から五十あったらもう御の字だ、何を言っていますか。あなたはそういうことを言っているが、それではN値が三十から五十以上もあったと言われるあの大谷重工の例を、あなたは御存じでありますか。私は、現実に自分がその場で仕事をして見てきておりますが、あの兵庫県の尼崎市というところがあります。その尼崎市の外側の海のところへ、いま境界線として、全く万里の長城かと思われるようなりっぱな自動車道のついた防波堤ができ上がっております。延々とコンクリートづくりでありますが、その防波堤の外の海をごらんなさい。一遍行ってみてください。陸の上に大谷重工業の重機械工場ができておったのですよ。それがたった火力発電所が地下水を披いたというだけでどんどん地盤沈下をして、工場まるごと海に沈んで、いまだに建屋も煙突も全部海の中にありますから、消えちゃおらぬから、行って見てください。陸地の上の地盤強固なところに建った工場ですら大谷重工業は尼崎工場一つを全然放棄しなければならなかったのであります。こういうこともあるのですから、決して自然を侮ってはならない。そのことを私は国民のために、そして税金をむだ使いしないために強く強く要望いたしまして、あなたの口から運輸大臣に必ずそのことを伝えていただくよう要求をいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  218. 古屋亨

    古屋委員長 渡部正郎君。
  219. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 初めにお伺いしておきますが、日本鉄道が敷かれましてから長い年月がたつわけですが、恐らく鉄道というのはずっともうかっていたのじゃないかと思います。百年近くもうかっていたのじゃないかと思います。もうからなくなりましてから十数年ということで、国鉄赤字は非常に大変なことになっているわけでございます。いろいろな条件が非常に変化してきているわけですけれども、一体いまの国有鉄道というものは採算がとれなければならないものだという考え方に立っておられるのか、あるいは国の鉄道であって、私鉄、民鉄とは違うのだから、ある程度の赤字を出しても国鉄のサービスは現状においてもなお続けなければならないのだという思想に立っておられるのか、これを大蔵省、運輸省国鉄それぞれに、考え方、原点を最初にお伺いしたいと思います。
  220. 高木文雄

    高木説明員 昨年の七月に私どもでいろいろ作業いたしまして、運輸省の方に御提出いたしました基本的な考え方の作業の過程において、いまおっしゃったこともいろいろ検討いたしたわけでございますが、結論的には結局二万二千キロのうち一万三千キロのところまでは何とか自力で経営できるのじゃないか。というのは、一日当たりの交通量が八千人までのところは、私鉄でやっておられるやり方等を十分学びますればやっていかれるのじゃないか。しかし交通量がそれ以下のところは、現在の鉄道のシステムではやはりどうしても人件費がよけいかかります関係もありまして、なかなか自力ではできないのじゃないかというようなほぼ結論に達したわけでございまして、そういう意味では、現状では他の道路とかその他の交通手段との競争関係を頭に置いて考えました場合に、一日当たり交通量八千人以下のところはどうもいかにがんばってみてもやれそうもないと見当をつけたわけでございまして、今回の法律の案の中でそこのところで線を引いて、一日当たりの交通量が八千人のところに線を引いて、それ以下のところはやはり補助金をいただかなければやれない、またいささかでも運賃を上げさせていただかなければやれない、私どもそういうふうに考えるに至ったわけでございます。
  221. 尾崎護

    ○尾崎説明員 お答えいたします。  国鉄が公社という公企業体として経営されておりますというたてまえから申しますと、助成なしに運営をしていただくものと私どもは存じておりますが、ただ、国鉄現状を見ますと、なかなかそのようなことを申しているわけにもまいりませんし、特に国鉄赤字が蓄積をされてまいりますと、結局はそれは国民負担の問題として考えなくてはいけないということになります。そこで、一般会計いま大変苦しい事情でございますが、いわゆる構造的問題を中心に心要な助成を続けていくということで、昨年末の閣議了解におきましてもそのように理解して政府としての方針を決めたわけでございます。
  222. 山地進

    ○山地政府委員 いまお二人がお答えになったので余り答えることはないのでございますが、世界的に見ましてやはり鉄道が斜陽になっているというのは、これは覆うべくもない事実だろうと思います。旅客輸送で、しかも長距離でもうかっているというか収支を償っているのは、日本だけではないだろうかと思いますが、これも太平洋ベルト地帯に人間が稠密に集中したという特異な現象があるわけでございまして、あとは大都市の中の特に通勤通学というようなこれも人間が集まっているところに特殊の現象であろうかと思いますが、こういったところで鉄道特性というものを発揮しているわけでございまして、鉄道特性とそれからもう一つは公共的な使命を尽くしていくというところで国鉄というものが収支を償っていくのではないだろうかと私ども考えております。
  223. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 現在国鉄というものが自動車、飛行機等に圧迫をされている、こういう現状があるわけでございますけれども、にもかかわらず国鉄の利用のされ方というものを考えてみますと、たとえばディスカバージャパンとか銀河鉄道とかそういうレジャー、観光的な利用のされ方もございますし、新幹線が恐らくそうであると思いますけれども、企業活動というか、ビジネスというか、そういう利用のされ方もあるわけでございます。しかしそのほかに、たとえば国防上、国としては一定の国鉄のあるいは鉄道のサービスというものを確保しなければならないという観点もあるわけでございますが、先般電話で防衛庁の原防衛局長に、おまえのところは一体防衛庁始まって以来鉄道というものを国防の観点から何か考えてみたことがあるかと聞いたら、これは全くないという返事でございましたので、国防の問題はわきへ置きたいと思いますけれども、しかしそれ以外にもたとえば地域開発一つの手段としてインフラストラクチュアをつくってやる、そういうファクターとして鉄道のサービスをやるということも考えられるわけでございます。先ほど鉄監局長がちょっと触れられましたように通勤通学というような問題これも単に観光やあるいはレジャーと同じに扱うことはできないという性格を持っておるわけでございます。  国鉄について経済合理性ということが言われるわけでございますけれども、その経済合理性という問題は、民鉄であるならばもうからない仕事はやめたらいい、しかし、それが公社であれ何であれ、国の鉄道であるという名前がついている以上はもうからなくてもやらなければならないサービスというのはあるのではないか、現在においてもあるのではないか。たとえばいま申し上げました国防、地域開発あるいは通勤通学の足の確保というふうな問題があると私は思います。公社であれ役所であれ労働生産性自体は高めていかなければならない。一人でできる仕事を三人でやっている、これはおかしいということは言えるけれども、企業的な採算をとらなければならないのかどうなのか。  六十年を目安にいろいろな財政再建がなされるわけでございますが、その後を展望した場合でも、私の質問が不十分なためにお答えが余り的に合わなかったのですけれども、構造的赤字と言われるものは別にして、今後における国鉄の運営というものに対して、国の立場で、あるいは国鉄の立場で、赤字を覚悟でやらなければならないサービスがあるのだという原点に立つのか、もう斜陽なんだからもうからないものはどんどんやめていくなり何なりして、少なくとも収支償う運営をやっていくべきものである、もうかれば幸いであるという考え方に立たれるのかどうかということを聞きたかったわけであります。そのことをこれから申し上げることの御質問と関連してもう一度答えていただきたいと思います。  去年あたり日本の住宅がウサギ小屋であるということがヨーロッパのある国で大変話題になりまして、日本のマスコミもそれをキャリーいたしまして、世界で二番目か三番目かのGNPを誇るわれわれ日本人の住宅というのはウサギ小屋なのかということがしばらく話題になりました。これはヨーロッパからニュースが流れてきましたが、実はアメリカはもう十数年も前から日本の住宅はウサギ小屋だと言っております。ウサギ小屋というのはウオーリンという言葉でございまして、これはウサギ小屋というもとの意味のほかに狭小過密住宅という転じた意味もあるわけでございますから、必ずしもウサギということで侮べつして言ったわけではございません。  ところでもう一つ日本の社会的な生活について言われておりますのは、日本の道路、ことに大都市の道路というのは全く迷路である。これはアメリカ、ヨーロッパで盛んに言われていることでございますが、このウサギ小屋と迷路にもう一つ言われていることが。ございまして、それは日本の大都市、少なくも大都市のラッシュ時における通勤電車、あれは家畜運搬車だということはもう長い間外国人から言われてきたことでございます。東京を例に挙げますと、現在でも非常に混雑度が高い。これも昔、「運輸経済統計要覧」というのを運輸省で出しておられまして、それに混雑度と言うべきところを乗車効率ということで書いてある、これはけしからぬ話じゃないかということを言ったことがございます。最近は混雑度と書き直しておるようでございますけれども、とにかく定員の二倍半ぐらいの人を乗せて運んでいるという状況でございます。この前に御質問さしていただいたときにもちょっと触れたのでございますが、とにかく日本人というのはほかの主要国に比べますとやたらと電車に乗っている国民でございまして、この間もちょっと申し上げましたけれども、たとえばアメリカと比べますと二十倍以上乗る。イギリス、ドイツ、イタリアと比べると八倍から九倍ぐらい乗る。フランスあたりと比べても六倍ぐらい乗る。しかも新幹線の乗客を除きますと半分は通勤通学、いわゆる定期券乗車でございます。こんな国は日本しかない。そういうことで家畜運搬車でもあるわけですけれども、通勤通学の足の確保ということは国家的に見て非常に重大なことになっているわけでございます。  昔は運輸大臣が就任されますと新宿駅かどこかで朝の混雑事情を御視察をなさる。けれども一向に改まっておりません。たとえば新宿から四谷、東京で一番混雑度の高い国電のいわゆる混雑度がここ十年間それほど改善されていない。これはもちろん国鉄だけの責任ではないわけでございますけれども、そういうことで通勤の足の確保などというものは採算を度外視してやらなければならない、そういう状態にあるというふうに考えるわけでございます。  そこで、その関連でもう一つ私問題だと思いますが、これは質問を兼ねてお伺いをするわけですけれども、たとえば東京の近郊の私鉄と国鉄を比べた場合に、学割りの定期でもよろしゅうございますけれども現状において一体国鉄と私鉄とどっちが高いのか、その点をお伺いしたいと思うわけでございます。通勤の問題というのは大変な問題でございまして、私、労働組合の人に、通勤時間の買い上げ闘争というのをやったらどうか、諸外国には例がないほど通勤に時間をかけて、しかも家畜運搬車で運ばれているんだと言ったら、労働者の方は、いや、会社が定期を買ってくれるから損していない。冗談言ってはいけない。日本の現在の労働人口の一時間当たりの大体の値段というのは——値段と言うのも変ですが、千円を超える状況でございまして、通勤に一時間かかれば往復二時間、二千円損しているわけでございますから、そういう点で労働条件というのは社会的に非常に劣悪だ。その原因は何のことはない、都市構造がだめで住宅がだめでそして家畜運搬車でということがあるわけでございます。  そういうようなことをいろいろ考えますと、まず私がお伺いしたいのは、一体国鉄なり運輸省、家畜運搬車と言われるこの通勤時間の混雑——私は電車で通っているものですから、この間国電の駅でこういうチラシをもらいました。「朝の一時間に一日の乗車人員の三〇%が集中。この混雑緩和のために、電車はフル運転中です。」という宣伝のビラをいただいてきたのでございますが、一体二・五倍などという混雑度を解消するお気持ちがあるのかないのか。また大蔵省としても、これは赤字覚悟でサービスの改善をやらなければならない、行政のテーマであるというふうにお考えになっているのかどうなのか。もしも現在の定期乗客の運賃が私鉄と比べて国鉄の方が高いということであるならば、ことに学割りについての数字を伺いたいのですが、そういうことであるならばその点について——運輸省の統計によりますと、通勤通学を運んでいる人員の数は現在は民鉄と国鉄とほぼ同じでございます。そこで片方が非常に安くて、片方が高いということになりますと非常に問題ですけれども、その辺のところについてお伺いしたいと思います。
  224. 山地進

    ○山地政府委員 幾つか御指摘ございましたけれども、もちろんこの混雑度というのはまさに家畜運搬と言われてもしようがないと思いますが、昭和四十七年の都市交通審議会の答申では、昭和六十年までにこの混雑率を一五〇%ぐらいに下げるということを目標に輸送力の増強というものを策定したわけでございますが、これにつきましては個々の企業主体の財政状況あるいは国並びに地方公共団体の財政事情等もありまして現在これには至っておりませんが、何とか二三〇とか二二〇というようなものをできるだけ緩和するように、片方ではまた冷房化とかその混雑度に対する緩和の問題というものをいろいろ考えているのが現状でございます。  それから運賃格差の点についてお触れになったかと思いますけれども、現在一番よく言われておりますのは、新宿−八王子間が京王帝都で二百十円、国鉄が四百十円だったかと思いますが、この格差につきましても、国鉄の遠距離逓減というのが三百キロからしか効いてこないのに対して、私鉄の方は自分の線内における遠距離逓減ということもやっておりますので、国鉄としてそれに対応ができない。全体的な運賃値上げをするとますます格差が開くという点で、これについては何とか大都市交通の運営上できるだけその格差を縮めたいということを考えているわけでございますが、今後の運賃値上げにつきまして、また今回の値上げにつきまして、またこの格差が若干広がっていくということはまことにやむを得ないことかなというふうに現在は思っております。
  225. 高木文雄

    高木説明員 現在、御存じのとおり東京周辺では黒字になっているわけでございます。ということは、コストに比べて運賃がいささか高過ぎる傾向にあるということが言えると思います。しかし、私の方は全国統一運賃というシステムでずっとやっておりますし、それから現在は実行はできておりませんけれども、なるべく自前でやれという精神が公社スタート以来今日まであるものでございますから、かなり無理をして都市通勤についてはサービスに対応する以上の運賃をいただいてやっているというようなこともあります。  また、私鉄経営国鉄経営はいろいろな面で全く違っておりまして、私鉄は必ずしも鉄道だけで経営が支えられていることではないと思いますので、現在の都市周辺におけるコストを前提としたそれぞれの立て方は、国鉄の方もいささかノーマルだと言い切れない点がありますし、私鉄の方もノーマルだと言い切れない点がありまして、両方の関係から国鉄の方が私鉄よりも倍ぐらい高くなっているという現状についてはこのままでいいとは思っておりませんけれども、さてどうやって解決するか、いまの条件下で国鉄の中だけで解決する方法はなかなかないというので困っておるわけでございます。  ただ、大都市の通勤についてどう考えているかということについては、よく御存じのとおり、もう十何年前から東京につきましてはいわゆる五方面作戦ということで輸送力をふやす努力はしてきておるわけでございまして、この場合にはいわば採算を度外視して、現在都市周辺で線路をつくりますと、一本線路をふやしますのに、場合にもよりますけれどもキロ当たり二百億ぐらいかかるわけでございますから、そういう意味から言いますと、いまから建設をしてつくるというのは採算的には合わないわけでございますけれども、それでもいまの五方面作戦というようなことで一生懸命やっておりますのは、前々から国鉄としてはやはり大都市の通勤は私どもの採算とは関係なくやらなければならないものだという認識が一般的であるからではないかというふうに思っております。  最近は特に財政お願いをして三割の建設費補助金をもらっているわけでございますが、三割もらっただけでもまだ採算的にはとても引き合わないのでございますけれども、私どもは少なくともその面は経営的には非常にまずいのですけれども、とてもそう言っておれないということで、大都市通勤は私どもの採算を考えなくてもやらなければならない使命であるというつもりでおりますし、さればこそそういうところの建設はいまでも引き続いてやっておるということで、いまそうした問題についての私どものスタンスを御理解願えるのじゃないかと思います。
  226. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 日本の非常に異常な通勤地獄が解消されないのは、政治家が大体ラッシュの電車に乗らない、高級官僚が車で通っている、肝心のマスコミの人は大体朝出るのが遅いのでラッシュの通勤時間に乗らないということで問題化されないのだという意見があるわけでございますが、現在のままでいま総裁がおっしゃいますように通勤電車の混雑度を緩和するのはなかなか投資的にむずかしいと思います。たとえば西独で、フレックスタイムというのを同じような事情から非常に国家的な一つの事業としてやって、ある程度の成功を見ているわけでございます。国鉄でもいま時差出勤というようなことをやっておられるわけでございますけれども、これは国鉄運輸省だけの問題じゃないと思いますけれども、大都会に田舎から若いのが出てくるということもありまして、大都市だけの現象とも私は思いませんけれども、やはり通勤地獄の解消というのは非常に大きな政治課題である。それに真剣に取り組まなかったから自民党政府は都会の支持を失ったのだと思うぐらいの深刻な問題ではないかと思うわけであります。片や投資の面、それから逆に違った方向での問題の解決ですけれどもフレックスタイムなど、これは国鉄なり運輸省から積極的に関係の省庁なりあるいは民間に働きかけられまして通勤地獄の解消に取り組んでいただきたいと思います。  関連しまして、六十年までに国鉄赤字を解消するということで四千キロに及ぶ赤字路線を廃止するという問題が出ているわけでございますけれども、私は、これは果たしてやれるのかどうかということに対して非常な危惧の念を感じております。というのは、国鉄はすでに四十三年でございますか、八十三線の廃止を決めて現在まだ十一線しかできていないということがあるわけでございますが、住民の反対というものが大変強く起こってきて結局はやれないことになってしまうのじゃないかと私は思うわけでございます。これは代議士の問題ではございませんで、いまの世の中非常に様子が変わっておりまして、代議士は余り力がなくなっておりまして、代議士が承知したからできるとか、代議士が住民の人を押さえつけるとか、そんなことのできる世の中ではございません。そこで国会議員、政治家が動くとか動かないということではなくて、もっと草の根的な住民パワーというものに遭って赤字線の廃止がたじろいでしまう。とても六十年までに四千キロ廃止なんということはできないのじゃないかという感じがするわけでございます。  たとえばそのことは、これは運輸省関係ではございませんけれども、中央高速道路の三鷹の料金所の住民の反対で、何年間もたった一カ所の開通ができない。成田空港もそうでございますし、原子力船「むつ」というものをつくってもとにかくどこの港にも寄れないということで、草の根的な住民パワーというものが行政を妨げて立ちはだかるということは非常に例も多いわけでございますし、今度の赤字線廃止ということについて考えてみましても、いままで私が得た感想では、とてもこれは住民パワーの壁にぶつかって成功させることはむずかしいと思います。これは協議会をつくっても、政治家が動いてもだめだと思いますが、その辺の最近の例から見て考えられる住民パワーを十分織り込んだ上で今度の計画考えておられるのかどうか、それをお伺いしたい。  それからもう一つは、バスをかわりに走らせるときの詳細な計画を国会に提示されていろいろ議論される、これは私は必要ないと思います。これは完全な行政の分野でございますので、全般的なことを国会が議論して、詳細な計画は行政当局なり国鉄がおやりになればいいと思うのですが、ただ、一つ、最近アメリカなどで新しい政策を打ち出しますときにはファクトシートというものを公表いたします。ある一つの政策が選択されたその背景のいろいろなデータを全部そろえて発表するという、いわゆるファクトシートというものがあるわけでございます。何と訳すのか、私知りません。財政的なファクトシートは十分出されているように思いますけれどもバス転換について、道路の状況ですとか、果たして油のあるうちはバスに乗らずにマイカーに逃げたりしないだろうとか、それからバスバスと簡単におっしゃいますけれども、主要国の中では日本は道路の状況が非常に悪くて、自動車交通可能道路の比率あるいは舗装の比率すら、ほかの先進国と比べると話にならないくらい劣悪でございます。しかも、自動車だけは多くて、非常に混雑している。そういうところに四千キロの鉄道サービスにかわるバスのサービスを持ち込んでどういうことが起こってくるのかということに関するファクトシート、そういうものがないと、国民もわれわれも問題をちゃんと考えることができないという気がするのですが、その辺のことについてお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  227. 高木文雄

    高木説明員 いまから十年ぐらい前から、国鉄ではできればやめさしていただきたいということで、いろいろ苦労を重ねてきたわけでございますけれども、まあほとんど成果が上がっていなかったわけでございます。なぜかということなのですけれども、どうもいままでのやり方は、レールを外すということに問題が集中し過ぎておったように思うわけでございまして、それではいまの住民の方々の同意が得られないのはむしろあたりまえではないか。今度の考え方はそういう考え方ではなくて、何かほかの方法に変えられないか。パスとは限りませんけれどもバスならバスにかえられないか。そうすれば資源的にむだ、二重投資とか二重な経常費負担というものが減るじゃないか。その金をせっかくのことなんだからもっと有効に使う方法を考えられないか。それを一緒に考えていただきたいというスタンスで臨めないものだろうかということが一つ。  それから、実は国鉄の立場で申しますと、政府の各機関にももっと御協力いただけないか。レールをやめてということである以上は、道路の御担当の建設省の方々にも当然御参加願わなければいけませんし、その他いろんな関係の皆さん、国、府県、市町村の段階のもろもろの御担当の方に一緒に考えていただけないか。そういうことがないと、とても国鉄だけではできないわけでございまして、そういう趣旨で協議会をお願いをするという形を前々から強くお願いをいたしておりまして、今回法律考えようかというところまで来たわけでございます。  ファクトシートの問題というのは絶対に必要なことだと思うのですけれども、どういう形でそういう御提示をしたらいいのかということになりますと、私どものいま考えておりますのは協議会で、路線別協議会ということで考えておりますから、その路線別協議会でそれをお示しをして皆さんで議論をしていただくということにしてはどうか。いまの法案では見切り発車条項という音が非常に強く出ましたものですから、どうもまだ、私ども考えておりますような協議会運営ではなくて、とにかくやめるのだということを前提とした協議会のように新聞報道等から受け取られておるわけでございますけれども、それではどうにもうまくいかないということは、いまお示しいただきました成田の問題とか、現に私ども新幹線の工事とかでもそういうことを痛感いたしておりますので、そういうどころで相談をしていただくような雰囲気をぜひつくっていただきたい。そうすれば、いま渡部先生は十年前からやってうまくいかないのだから、今度もうまくいかないのじゃないかと言われますけれども、そういう基本のスタンスを変えていけば御相談に乗っていただけるのではないかとわれわれ考えているわけでございます。  それと十年前と非常に違いますのは、いま問題になっております線区では、お客様の数が十年前に比べまして大体六割に減っております。当時と同じ線区で大体平均四割以上減りまして、六割ぐらいにいま減っております。それから道路の状況も十年前とはずいぶん変わってきております。そういう意味で、十年前にやってうまくいかなかったのじゃないかということからいまもうまくいかないのではないかという御心配については、そういう面も確かにありますけれども、かなり十年前とは違っている、それからわれわれのスタンスも十年前とは違えていくという前提でいけば、それは相当骨の折れることだと思いますし、住民の方々にも相当いろいろ御心配をかけなければならぬことだと思いますが、全然入り口でどうにもできないことではないのではないかというふうにいまは考えているわけでございます。
  228. 古屋亨

    古屋委員長 よろしいですね。
  229. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 ありがとうございました。      ————◇—————
  230. 古屋亨

    古屋委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴いまして、現在理事が二名欠員になっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 古屋亨

    古屋委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       田畑政一郎君 及び 西中  清君 を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会