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1979-12-06 第90回国会 参議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月六日(木曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————   委員氏名     委員長         後藤 正夫君     理 事         衛藤征士郎君     理 事         金丸 三郎君     理 事         佐藤 三吾君     理 事         神谷信之助君                 加藤 武徳君                 梶木 又三君                 金井 元彦君                 鈴木 正一君                 夏目 忠雄君                 鍋島 直紹君                 山内 一郎君                 小山 一平君                 志苫  裕君                 野口 忠夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 前島英三郎君                 安井  謙君     —————————————    委員異動  十一月二十六日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     戸塚 進也君  十二月六日     辞任         補欠選任      志苫  裕君     赤桐  操君      野口 忠夫君     丸谷 金保君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         後藤 正夫君     理 事                 衛藤征士郎君                 金丸 三郎君                 佐藤 三吾君                 神谷信之助君     委 員                 加藤 武徳君                 金井 元彦君                 鈴木 正一君                 戸塚 進也君                 夏目 忠雄君                 山内 一郎君                 赤桐  操君                 小山 一平君                 丸谷 金保君                 上林繁次郎君                 前島英三郎君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    後藤田正晴君    政府委員        警察庁刑事局長  中平 和水君        警察庁交通局長  杉原  正君        自治大臣官房長  石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       花岡 圭三君        自治省行政局長  砂子田 隆君        自治省行政局選        挙部長      大林 勝臣君        自治省財政局長  土屋 佳照君        自治省税務局長  石原 信雄君        消防庁長官    近藤 隆之君        消防庁次長    鹿児島重治君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   武智 敏夫君        法務省民事局第        一課長      藤井 正雄君        法務省刑事局刑        事課長      根來 泰周君        自治大臣官房審        議官       久世 公堯君        日本国有鉄道旅        客局サービス課        長        猪俣 為久君        日本国有鉄道事        業局次長     市川 静夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○調査承認要求に関する件 ○消防施設強化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方行政改革に関する調査  (選挙に関する件)  (地方行財政問題に関する件)     —————————————
  2. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  議事に入ります前に、一言ごあいさつを申し上げます。  私は、先般本委員会委員長選任をされました後藤でございます。何分にもふなれではございますが、皆様の御協力をいただきまして、公正かつ円滑に委員会の運営を図って職責を果たさせていただきたいと存じます。  どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)     —————————————
  3. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 委員異動について御報告いたします。  去る十一月十五日、坂元親男君、中村太郎君及び鍋島直紹君委員辞任され、その補欠として山内一郎君、梶木又三君及び私、後藤正夫がそれぞれ選任されました。  また、十六日、熊谷弘君が委員辞任され、その補欠として鍋島直紹君が、また、十九日、永野嚴雄君委員辞任され、その補欠として金井元彦君が、また、二十六日、梶木又三君が委員辞任され、その補欠として戸塚進也君がそれぞれ選任をされました。     —————————————
  4. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、地方行政改革に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 御異議ないと認め、そのように決定をいたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 消防施設強化促進法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。後藤田自治大臣
  8. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ただいま議題となりました消防施設強化促進法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  市町村消防施設整備につきましては、昭和二十八年の消防施設強化促進法の制定により、国庫補助制度の確立を見て以来、逐次その充実強化が図られてきたところでありますが、昭和四十九年度には、人口急増市町村における消防施設整備を促進するため、昭和五十三年度までの五年間、これらの消防施設整備に係る国庫補助率を引き上げることとされたところであります。しかしながら、昭和五十四年度以降においても、なお相当数人口急増市町村の存在が予想されますので、これら市町村における市街地の拡大等に伴う消防施設整備緊急性にかんがみ、この国庫補助率特例措置を適用すべき期間を延長する必要があります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  人口急増市町村における消防施設整備を促進するため、これらの市町村における消防施設整備に係る国庫補助率を二分の一に引き上げる措置を、引き続き昭和五十八年度まで講ずることといたしております。  以上が消防施設強化促進法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  9. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 神谷信之助

    神谷信之助君 大きく言いまして、二点の問題をお尋ねしたいと思います。  第一点は、消防力基準の問題といいますか、消防力充足の問題ですね、この問題についてお尋ねしたいと思いますが、まず、消防力充足現状についてどう認識をし、その見通しについてはどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。
  11. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 全国消防力の、「消防力基準」に対する充足率の問題でございますが、私どもの手元で五十三年四月現在の数値を持っておりますが、主なものについて申しますと、消防ポンプ自動車について八五・八%、小型動力ポンプにつきまして六六・八%、はしご自動車につきまして五五・四%、化学消防ポンプ車につきましては五二七%、救急車につきましては九七・一%、消防水利については六三・四%という数字になっております。  ここで申します消防力基準というのは、私どもが示しております「消防力基準」を基礎といたしまして、それぞれの地方公共団体地域実態に合うように補正いたしまして、自分たちの町や村の消防力はこうあるべきだという目標を定めております。その目標を積み上げたものでございます。したがいまして、この私どもの出しております「消防力基準」を何らの補正を加えないで算定いたしますとこの充当率はなお相当高いものになりますが、御承知のように、消防の場合においては地域によっていろいろ実情が異なりますので、私どもがつくりました基準はあくまでも抽象的なものでございまして、実態はやはりそれぞれの地方団体自分たちの町や村の消防力はこうあるべきだと算定したものが実態に一番即するのじゃないかと思いますので、それと比較しますと、いま申し上げましたような数字でございます。  なお、これは約一年前の数字でございますので、その後若干上がっているかと思います。  それからなお、今後基準を引き上げていくのにどういうような方法をとるかということでございますけれども、私ども、御承知のように、三年置きぐらいにそれぞれの地方公共団体に、今後五年間において自分たちの村や町の消防力をどう整備していくかという計画の報告を聴取することにいたしております。現在におきまして、五十三年度を初年度とする五カ年の計画をとっておるわけでございますけれども、それに基づきまして、今後国庫補助金、あるいは地方債地方交付税、そういったものを通じて万全の財源措置を講じていきたいと思っております。  なお、現在私どもが持っておりますところの五カ年計画によりますと、五カ年の計画達成ポンプ自動車につきましては大体一〇〇%に達すると思います。なお、化学消防車あるいははしご消防車につきましては、これは現在の充足率が五〇%台という非常に低いものでございますが、これがそれぞれ七五%から八五%程度までは引き上がるのじゃないかと、そのように思っております。
  12. 神谷信之助

    神谷信之助君 三年ごと調査をなさっているわけですが、いまおっしゃった五十三年の四月現在ですね、その三年前のときに比べて、年にすると大体二%、全体として平均すれば大体二%ずつぐらいの上昇ですかね。消防ポンプ自動車で三年前が八〇%、これが三年間で五・八%伸びている。これは大体二%足らずでしょう。はしご自動車化学消防車は三年前が四八%ぐらいですから、これも大体年二%強という状況ですね消防水利が三年前で五九%ぐらいですか、そういう話です。そうすると上昇率とすれば二%。五年後には消防ポンプ自動車も九六%ぐらいになってきますから、それはほぼ充足するということになるんだろうと思うんですけれども、この点の充足——これはいまおっしゃったように、全国的な基準に基づいてそれぞれの地域条件に応じた基準をつくって、そして消防として責任が持てる、そういう必要な施設ということになるわけでしょう。これはできるだけ早く充足させるために努力をしてもらいたいというように思うんです。  問題は、私はそういう点で、この施設整備はいま申し上げましたように一層強化をして、早く必要なやつを整備してもらわないと、整備不十分の間にも火事は起こるわけですから、その点はひとつ努力をしてもらいたいというように思うんですが、それだけではなしに、消防職員充実が同時に図られなければ、施設というか、器材だけはできてもそれを動かす、運用する職員が不足ということでは、これは宝の持ちぐされになるわけです。その点について消防庁現状把握対策をまずお伺いしたいと思います。
  13. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 現在常備消防職員の数は十一万を超える状況にございまして、年々増加しておるわけでございますが、消防力基準に比較いたしますと、現在の実人員は七七・五%という状況でございます。八割を若干欠けております。  なお、ここで申し上げるところの消防力基準というのは、現有消防力消防施設基礎といたしまして、それぞれの地方団体がその施設を有効に活用するのにはどれだけの人員が必要であるか、欲しいかということで積み上げたものに対して七七五%でございます。現実は七七・五%の人員でこの機械は動いておるわおでございますが、御承知のように、救急自動車消防ポンプ自動車、あるいは消防ポンプ自動車はしご自動車相互の間の乗りかえというような措置を講じて有効に人員を活用して支障ないようにいたしておるわけでございますが、私どもといたしましては、ぜひ、それぞれの地方公共団体がこうありたいと申しておるその基準充足するように、今後とも地方交付税その他の財源措置を十分講じていきたいと、このように考えております。
  14. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、地元の宇治市の状況——人口急増都市ですが、この消防力体制実態調査してみたんです。そうしますと、消防ポンプ自動車基準台数では十一台ですが、現有は八台ですね。動力ポンプ、これは消防団の方に十四台を予定しているんですけれども、これはまだゼロという状況です。消防職員の方を見ますと、消防力基準でいきますと大体二百五十人以上というんですが、交付税の算入の基礎では百三十七人。現在人員実際には百八人ですね。だから、交付税では一応の人員を見込まれているけれども、実際にはほかのところに食われて人員は少ないという状況です。  それから、宇治市の場合は本署東西消防署があるわけですが、本署が一台と東西分署のどちらかが一台の計二台が初動する。火災が起きれば初動すると、そういう体制で進めています。したがって、東西分署の方にはそれぞれ八名しか配置されていない。まあ昼間は署長、日勤一を加えて十名になりますけれども、夜間は一般的には八名。これで消防車用に五名、救急車用に三名という配置になるんですけれども、実際には二台とも出動するという状況になっているようですね。そうすると、何といいますか、分署には職員はもう一人もおらぬという事態がしょっちゅう起こるわけです。だから、この辺が一つ問題が起こってきておるわけです。  それじゃ、そんなペアで出動する必要があるのかといいますと、火点の両側から包囲作戦をする。初期消火ですね。そうすると、最低二本の筒が要るということで、しかも先着隊後者隊ではどうしても時間差が出てきますから、もうわかったところから、そこから近いところから、東なら東の分署からさっと二台とも出ると、こうなるわけでしょう。それで後から応援に行くということをやっていますからね。だから、消火では初動が一番大事なんで、したがってもうどうしても二台とも出てもらう。そうすると分署空っぽになる。で、空っぽになりますから、窓を閉め、ロッカーも閉ざなければいかぬと、こうなるわけですね。そういう状況が実際にある。  それからまた、一般市民は、道路側にありますからね、火災が起こって一台行ってまだ一台残っておる。火事が起こって、二台あるんだから二台とも行ったらいいじゃないかと、こういう市民感情もありますから、そういう面からいっても、たとえば東の分署の方で火事があれば、東の分署は二台とも出動するという点は市民感情からも必要になって、そうしてもうしょっちゅう空になる。そうすると、これは救急車はもう動かせぬわけですね。そのほかの火事については本署指令室だけで処理せんならぬという状況が実際には起こっているわけです。ですから、この点では、これひとつどうしても、二台出ても最低一人は残るとか、という状況がなければ、実際の問題としてはこれもう空っぽになっちゃうんですからね、大変な状況じゃないかというように私は思います。救急もストップするという状況であるので、この辺が私は火災が起こってその消防活動に従事をするという事態において起こる問題だと。  同時に、もう一つは、火災が起こって消火をする作業だけじゃなしに、御承知のように、防火ですね、これが大前提として重要なことですから、そうすると予防業務というのがこれはきわめて重要になるわけです。消防白書によりますと、防火対象物数というのは、全国的に言いましても、四十七年と五十二年を比べてみても、四十七年が百二十七万件余りあるわけですね。五十二年で百六十万件余りというように、対象物はずっとふえていますし、とりわけ十大都市はふえていると思います。それに対する査察の実際の実施状況を見ますと、必要な査察実施対象に対して六三・九%というのが消防白書から見たところの状況です。  実際に宇治市の場合も、五十二年の七月から五十三年の六月、これで見ますと、対象物数が百十四件でそれに対する査察は八十二回。七一%ですね、査察実施状況はというのは。条例で年二回の査察を決めている一号対象物、これが十五件ありますが、したがって年三十回行かなきゃならぬわけですけれども、それに対してこれも二十一回。ですから七〇%の査察しかできてない。こういう状況なんですが、こういった問題について、消防庁としてはどういう対策をお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  15. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 予防行政の重要なことは言うまでもないところでございまして、防火対象物につきましての年一回の査察あるいは危険物施設に対する査察等、それぞれの消防本部人員の許す限りこれを行っておるところでございます。御指摘ございましたように、最近その件数もだんだん漸増してきておりまして、火災予防査察につきましては五十三年では百四万件に及んでおります。危険物施設につきましては四十七万件、それから建築につきまして消防が同意いたしますけれども、その数に至っては百四十万件というふうに伸びてきております。その意味で、消防行政における予防行政の占めるウエートというのは年々高まってきておるところでございまして、私どもそれに要する財源措置等につきましては、交付税を通じて保障をしておるところでございます。  ただ、この予防行政につきましては、消防当局としてももちろん十分意を用いてやっていかなければならないところでございますが、基本的にはそういった施設管理者方々防災意識を十分お持ちになって、査察を受けても完全な防災設備が整っておるようにということが必要であろうかと思います。しかるに現状は、御承知のように消防法におきましては一定の消防施設の義務づけ等を行っておりますし、あるいは防火管理者の設置を義務づけておりますけれども防火管理者選任に至っては、置かなければならないものでも、七割程度が置かれておって三割程度はまだ置いていないというような状況にございますし、それから防火施設につきましても、法律で定める条件を満たしておらないものも御承知のようにあるわけでございます。私ども地域住民方々、あるいはこういった施設を持っておる方々防災意識の高揚を今後とも推進していかなければならない、それとあわせて消防職員におけるところの予防行政充実していかなければならない、このように考えております。  それからなお、先ほど宇治市の実例をお挙げになりましたが、まことに先生のおっしゃるとおりで、私も宇治市の実態を見てみましたけれども基準に対しまして消防施設あるいは消防職員、格段に充足率が低いわけでございます。私ども宇治市の実情というのをよく存じませんが、地形的条件その他で、こういったことで十分いけるのかどうか、その辺が一つの問題だろうと思います。  なお、宇治市におきましては、御承知のように、私ども地方交付税消防費として算定いたしておりますものの四分の三程度しか現実問題として消防費に充当しておらないということでございます。その他のものは、ほかの経費にもっと必要性のある経費ということで、そちらへ回っておるという状況でございます。全国町村まで含めた基準財政需要額に対する消防費決算状況は、五十二年決算で見ますと八七多程度までいっておりますが、宇治市の七五%というのは特に低いわけでございますので、何か特殊事情があるのかどうか、私どもよくわかりませんが、いずれにいたしましても、もし必要なものであるならば、市長あるいは市議会、あるいは市民方々の合意を得て、もっと消防力充実していただきたい、そのように思っております。
  16. 神谷信之助

    神谷信之助君 長官はもう御承知のように、とりわけ人口急増都市というのは緊急に財政を必要とすると、道路の問題にしろ学校の問題にしろ保育所の問題にしろ。そういうものがやっぱり要求は強いですからね。火事が起こったらえらいこっちゃということになりますけれども火事が起こらぬ限りはそっちの学校の方が先だ、保育所の方が先だと、こうなるでしょう。だから、どうしても人口急増都市財政そのものについての対策がなければ、消防問題というのはそれだけでは解決しないわけですね。交付税は別にひもつきじゃないんですから、自由に使えるわけですからね、だから市長さんは住民の必要に応じてそっちに使うていく。住民の方は、火事が起こったら、そらえらいこっちゃとこうなって、消防自動車が足らぬやないか、人員が足らぬやないかということになりますけれども、平常はそうは思わないし、平常の方が望ましいわけですからね。だから、そのために消防職員が一生懸命努力している。努力すればするほど、人をふやしてくれ、いやこっちの方が先やと、こうなって、自分自分の首を締めているような状況になってしまうんですよ。ですから、その点をひとつ私は、それは当該の市長さんの責任だという考え方、あるいはその地域住民意識の問題だというようなことにしないで特別にやらなければ——これはいまの自治体の財政状況から言えばぼくはやむを得ぬことだと思う。だから、その点をちょっと、一緒に考えてもらわないと、これはぼくはいつまでたってもなかなか解決しないと思う。その点を一つ指摘をしておきたいと思うんです。  それからさらに、都市高層化が進むし、それから地下街地震対策、こういう点で消防力強化というのが必要なわけですけれども、この点特段に、たとえば五カ年計画を策定をして、消防庁として特別のてこ入れをするとかいうようなお考えはないのかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  17. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 先ほども申し上げましたように、私どもは三年ごとにそれぞれの地方団体消防施設整備五カ年計画を出させまして、それを積み上げて全国におけるところの消防施設所要数というのをつかんでおるわけでございます。で、毎年毎年それを基礎といたしまして国庫補助金を確保し、地方債を確保し、そして交付税財源措置をするということをやっておりますので、これ事実上の五カ年計画になろうかと思います。  なお、消防施設につきましては、世の中の移り変わりが非常に激しくて、それに対応して施設強化していかなければならないという宿命を持っておりますので、いまのようなやり方が一番実態に適するのじゃないか、これが実質的な五カ年計画じゃないだろうかと思っておりますので、私ども今後ともこの五カ年計画基礎といたしまして地方公共団体が必要とする消防施設については十分財源措置を講ずるという方針で進んでまいりたいと思います。
  18. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、政府自身消防対策といいますか防災対策というか、それに対する基本ですね、この点ちょっとお伺いしたいんですけれども、五十年代の前期経済計画によると、社会資本の投資百兆円ということで部門別公共投資額が出ておりますが、この中に消防投資というのは一体どのぐらいが見込まれているのか、その辺はどうですか。あるいは新計画ではどういう状況になるのか、この辺ちょっとお伺いしたいと思います。
  19. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 前期五カ年計画公共投資百兆円の内訳の問題かと思いますが、この百兆円につきましては、環境衛生であるとか公共住宅であるとか厚生福祉であるとか、学校道路、鉄道、港湾、そういった大口につきましては、五十一年度から五十五年度までの五カ年間の所要額が計上されておりますけれども消防施設等の小口につきましては、その他十六兆七千七百億、百兆のうちの十六兆七千七百億でございますが、その中に積算されておるということだろうと思います。で、この中に幾ら入っておるかというのは、これは経済企画庁の方でつくったものでございますけれども、恐らく消防施設幾ら幾らというふうには積算の内訳はないのではなかろうか。この十六兆七千億というのは、過去の公共投資のウエートからいきましてまあ大体この程度になっておるということではじき出された数字であるというふうに私ども了解しておるわけでございます。  そこで、この中で消防関係がどの程度あるかということになりますと、先ほど申しております私どもの五カ年計画をこの五年間に置きかえてみまして、五十年度の価格で換算いたしますと約千六百億入っておるということが言えるかと思います。ただ、これはあくまで推計でございます。
  20. 神谷信之助

    神谷信之助君 やっぱり都市の近代化、地下街化、これが進んでいく、そしてあるいは地震対策、その他を含めまして——起こるのはいつかわからぬわけですから、起こってからしまったということではなしに、起こる前にどれだけ早いところ整備をするかということになるわけですからね。この辺、何かひとつ科学的なそういう資料を駆使をして計画をつくって、やっぱりそれを政府全体の経済計画の中にもちゃんと位置づけさして、それに裏づけされながら法的な整備も進めてやっていくということをしないと、これは実際問題なかなか進まないわけです。自治体へ行きましても、消防は必要だと言いながら、実際にはそう目に見えるものではないですからね。国の政治全体の中でやっぱりそうなってきます。防災対策とか消防対策というのは大体そういうことになっていく。道路をつけたり川を直したりするのは目に見えてわかりますからね。だから、そういう点でどうしてもそこのところを重視をするといいますか、相当重点的に強調しなかったら、これはなかなか前進をしないというように思います。  そこで、そういう点を進める上で、消防施設税、これを考えるというお考えはないかという問題です。三十年の十二月七日の地方制度調査会の答申、これは損害保険業務に対する課税を行って消防施設税を目的税として設けるということを答申していますね。それから三十三年の十一月二十九日にも同じ答申をしています。それから三十二年の十月十日の消防審議会ですか、これは主として固定資産——土地を除いて、固定資産に対する課税を行ってはどうかという提言もあります。それから、道路整備五カ年計画、あるいは道路整備計画に基づいて目的税ができておりますわね。だから、この消防施設、あるいはそういうものについても、そういうものをひとつ考える必要があるんじゃないかと思うんですが、この点いかがですか。
  21. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 私ども消防担当者といたしましては、今後の消防のことを考える場合にそういった特定財源があるというごとは非常に望ましいことでございます。いろいろ検討をしておりますが、御承知のように、昭和三十年に地方制度調査会がこの消防施設税を答申いたしまして以来、国会におきましても、たしか四十六年ごろまでは毎年のようにこの問題が議論になっておったところでございます。ただ、火災保険にかかっておる者だけが消防を利用する経費を負担しなければならないのか、あるいは、もしこういった税があれば火災保険料が上がるじゃないかとか、いろいろな反論もございまして、現在に至るまで日の目を見ていないわけでございます。新税を起こす場合には、当然のことでございますが、関係者の納得あるいは国民の世論というものが背景にあるわけでございますので、私ども今後とも、この問題、関係するところが多うございますので、関係方面とも十分折衝しながら慎重に検討してまいりたいと思います。
  22. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間の関係ありますから先へいきますけれども、たとえば防衛庁の予算がことしは二兆九百億でしょう。消防予算は、自治体予算でそれぞれ見てみますと、大体三%前後ぐらいです。これを見ても私は、とにかく国民の生命、財産に非常に大きな影響のあるこの消防業務についての予算的措置というのが非常に微々たるものだという点を指摘をしておきたいと思うんです。したがって、い東国の財政がなかなか逼迫をしているという状況ではありますけれども、この消防力強化の重要性からして補助率のアップを十分考慮してもらいたいというように思うわけです。  もう一つ、こういう問題があります。京都の大山崎町ですが、これは人口急増地帯だったんですが、昨年度から伸びが減りまして対象外になったんですよ。で、人口急増地帯であったとき、そのときに消防施設つくれば補助率アップになりますけどね。ただ、そのときはもうとにかく先に学校をつくらなければいかぬ、保育所をつくらなければいかぬわけでしょう。それで対象から外れて、最後に消防署になったわけです。消防署の新築ということになった。で、前の旧庁のときはもう狭い道の中にありましたからね。今度は国道沿いに持ってこぬといかぬ。で、最後にそこへ手をかける、ところが対象外と、こうなるわけですね。ですからこの辺はひとつ実態に合わして弾力的な運用ができないものかどうか。これらもひとつ検討をお願いしたいと思うんですが、それらを含めてお答えいただきたいと思います。
  23. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 地方公共団体消防費の総額が五十二年度では五千七百億という相当の額になったわけでございます。しかも御承知のように、これ、毎年毎年急激な伸びをしてきております。必要に応じてこういう形になっておるわけでございますが、今後とも私ども、この財源確保につきましては、国庫補助金あるいは地方債あるいは地方交付税を通じて努力してまいりたいと思います。  それからなお、今度の人口急増地区における補助率の特例がまあ一年間で切れる、人口急増でなくなったら翌年から切れるというお話で、最低限一年ということになるわけですけれども、これは自治省令によりましてその翌年までは保障しておりますので、実質的には二年間は保障しておるということでございます。で、これは消防施設内容を見ますと、水槽にいたしましても消防関係の施設にいたしましても、皆一年以内に簡単にできるものばかりでございます。しかも、ものが人命に影響するものであるとするならば、必要であればすぐやってもらうことが望ましいわけでございます。その場合には財源の問題になろうかと思います。で、この法律によりまして、人口急増地区については二分の一の高率補助にしておりますし、お話があれば、必要に応じて地方負担全額を地方債で見るということもできるわけでございまして、そういった方法でこれまで処理してきたわけでございまして、大体それによりまして必要なものは賄っておるということでございます。  いま御指摘の団体については、どういう事情になっておりますか私存じませんけれども、制度は制度として、その団体の消防施設整備できるようやっていきたいと思いますので、具体的な問題についてはなお検討さしていただきたいと思います。
  24. 神谷信之助

    神谷信之助君 では、時間の関係がありますから、次に、救助業務問題に移ります。  五十三年の「救急救助業務の現況」という資料によりますと、救助隊の設置状況は、五十三年度で、八百八十五分の四百六十一ですから五二・一%、それから十大都市は大体すべて設置をしておる。十万以上の都市で八〇・九%の設置。その中で専任救助隊は四七・二%、それから専任救助隊員は三〇・八%という状況です。で、この救助活動が必要になり、それに対する強化の傾向というのがあらわれているのは明らかだと思うんですが、人命救助というのはやっぱり消防活動の第一の主眼で、当然そういうことが必要だというように思うんです。ところが、法的にはこれがきわめて不整備で、またその財源措置も不十分だと思うわけです。  そういう見地からひとつお尋ねしたいと思うんですが、救急業務に従事をする救急隊員について、これは救急業務実施基準によって該当資格が決めてあります。それから、救助業務に従事する救助隊員について、これは一体どういう資格規定があるのかお伺いしたいと思います。
  25. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 現在のところ資格規定はございません。
  26. 神谷信之助

    神谷信之助君 救急業務についてはあって、救助業務についてはそういう資格規定がないという状況です。  さらに、「現況」によりますと、設置根拠ですね、これが条例あるいは規則、訓令等種々いろいろあるわけですが、その実態は把握をされておりますか。されておればその内容を簡単に説明してもらいたいと思います。
  27. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 基本的には、救助につきまして、いま先生御指摘のように関係法規が整備されていないということがございます。消防が人命救助の責任者だということでございますけれども、実は、消防法によりますと、火災時における人命救助ということになりますと、消防組織法一条、消防法一条で、「国民の生命、身体及び財産を火災から保護する」というのが「消防の任務」となっておりますので、火災時における救助作業というのは、まさにこれは消防責任だろうと思います。それ以外の風水害であるとかその他の事故であるとか、そういう場合におけるところの救助というのと消防との関連はどうであろうかということになりますと、強いて申しますと、それ以外の災害については、「災害に困る被害を軽減する」というのが消防法及び消防組織法に書いてありますので、根拠規定といえばこれかなということでございます。  現実の場合はどうかと申しますと、火災が発生いたしまして中高層のビルなどに取り残された人がおる、それでその人たちを救助して火を消す、一連の行為でございますけれども、まさにこれは消防法消防組織法で言うところの消防の義務であると言えると思います。そのほかに、現実問題としてやっております。たとえば交通事故などになりまして自動車の中に閉じ込められてしまったというような事態、一一九番がかかってまいりまして消防が出動いたします。それは、本来救急というのは、その事故に遭われた方を病院へ搬送するというのが任務でございますけれども、そしてこれは消防法の中で消防の任務となっておるわけでございますが、その前段階の作業といたしまして、車の中に閉じ込められた方を車から引き出す、そして病院へ持っていく。これは救助と救急とが一連の作業になるわけでございます。そのほか、そういった場合でなくても、水難、水の中でおぼれた人を助けて病院へ持っていく。あるいはエレベーターの中に閉じ込められた人、マンションの中に閉じ込められた人を救い出して病院へ連れていく。救急と救助が一連となっておる場合等につきまして、これは消防が当然のことながら救急の前提作業として救助を行っておるわけでございます。  で、こういった救助というのをどこまで消防が行うか。あるいは救急につきましては三十八年に法律で義務づけました。それまでの段階は自主的に行っておりましたが、それがだんだんだんだん広がり、国民の間に定着してきたので、三十八年に救急業務というものを、これを消防の義務というふうにしたわけでございますけれども、救助の場合におきましては、消防だけでなくて、事故あるいは災害の態様によりまして、どこが駆けつけて救助するのが適当であるか。現在御承知のように警察でありますとか、海上保安庁でありますとか、あるいは自衛隊というようなものが消防と同様に救助作業に携わっておるわけでございます。現実問題といたしましては災害の態様に応じましてどこが出て行ってやるのが一番能率的、合理的であるかということで、お互いに連絡を取り合ってやっておると、対応しておるという状況でございます。したがって、救急業務に比べまして歴史は非常に新しいと申しますか、まだ救急業務ほど法令上整備されておらない段階にあるのじゃないかと思います。  御承知のように、現在消防団員十一万人のうち、専門にこの救助業務を行っておる者は約五千人というところでございます。ただ、御案内のように、このところ都市形態も、高層ビルもふえてくる、地下街もふえてくる。周度な救助技術を身につけた消防隊員というものに対する必要度というのはますますこれふえてくると思います。で、私ども、現在消防学校あるいは消防学校というようなものを通じましてそういった救助隊員の養成ということに全力を尽くしておる段階でございまして、これがある程度実った暁に、資格基準というような問題になってくるのじゃなかろうかと考えております。
  28. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまおっしゃいましたように、救急業務の方は法制化されてきたわけですが、救助業務の方はそれからまたふえてきたわけですから、新しく起こったというか広がりつつある仕事ですから、これについての法的整備を含めて検討が私はもう必要じゃないかと思うんです。この「救急救助業務の現況」を見ますと、消防本部で救助が四百六十一件、救急が八百八十五件。市町村数で救助が千三百八十九件、救急が二千七百四十四件。隊数それから隊員数ずっと比較しますと、大体救急のほぼ半分余りが救助の件数あるいは救助人員といいますか、隊数、隊員数になってきております。  ですから、いまもお話がありましたが、現に水難の事故があったりしますと、救急車が出動し、そして——宇治へ行きますと天ケ瀬ダムがあるのですけれども、よく車ごとはまったりすることがあるんですね。そうすると、救急車が駆けつけて、そうして——何人かの人が見ているわけでしょう、わしは知らぬというわけにいかぬ。だから、やっぱりロープ一本で自分の何を縛って、そしてもぐって、とにかく助け上げないかぬ。これは、警察も来るのは来るけれども、それは交通整理をしたりするので、何というか、救急車を持ってきた者がやっぱりやらぬといかぬようなことになるわけで、警察の方にも確かに救助業務はあるのだけれども、実際にはもう消防署の人がやらざるを得ぬと、こうなるんですね。そういう実態が、いまも話がありましたが、現実に起こっています。  ところが、いまおっしゃったように、教育の方も、初任教育で実務教育の中に救急業務というのが二十時間ありますけれども救助業務はなし。専科教育で救助課程があり、救助基本訓練もあります。専科課程までいって初めてですが。実際問題としては講習を受ける程度で、実際にはなかなか救助業務をやれる、そういう教育を受けた者は、講習受けた程度でも宇治で見ますと百八人中五、六人ぐらいですね。ですから、そういう人が水難事故とか特殊技能を発揮せないかぬときには出て行くということになるわけです。そういう状況なんですね。  それに対して、今度は財源措置もいまは法的な整備がされておりませんから、救急業務としては交付税措置も独立をしておりますけれども、救助業務については交付税ではほとんどされてないように思うんですが、この点は一体どういうような措置をされておりますか。
  29. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 救助業務についての交付税措置でございますけれども、救助に要するところの設備、備品、そういったものにつきましては交付税の積算の基礎に入れておりますが、それ以外の分につきましては、警防活動の一環といたしまして、人員その他財源措置をしておるという形でございます。なお、特殊な用具が救助作業には要りますので、そういったものについては国庫補助制度も設けております。  それからなお、いま救助業務というのがどんどんふえつつあるというのは事実でございますけれども、件数の上から申しますと、救急は御承知のように年間百七十八万回の出動でございます。救助は一万二千三百回、約一万二千回ぐらいでございますので、ウエートから申しますと救急業務というのは非常に大きなウエートを占める。しかもこれまた年々拡大してきておるという状況でございまして、それに対して救助業務は、いまのところまだ救急に比べれば相当ウエートは小さいけれども今後ふえていくというものでございまして、私ども、先ほど申しましたように、まず第一に、この問題については救助業務を行えるところの職員養成というのが第一でございますので、各県におけるところの消防学校、ただいま御指摘ございましたように、これは現在のところ特別の専科を設けているのが約半数でございまして、あとの半数は警防科の中で若干の訓練をしておるという程度でございまして、これでは不十分だと思います。まず教官が足りませんので、私ども本年度から消防学校に救助科というのを設けまして、そこで教官を養成するというようなこともやっておるわけで、あれやこれや通じまして、今後救助活動に支障がないようやっていきたいと思っております。
  30. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうおっしゃいますがね、人口十万以上の都市ですと、救助隊は八〇・九%設置されておるわけでしょう。だから、それは小さい市町村の場合はそれほどまだ必要はない、救急がほとんどになりますね。しかし、都市化が進んでくる、あるいは観光地を控えておるところとか、そういう状況になってくると救助隊の設置が必要になってきて、そして現に八〇・九%まで普遍化しつつある。私はこの点に着目しないと、後手後手になると思うんですよね、行政が。その点を一つ指摘をしておきたいと思うんです。  したがって、交付税措置もいまの状況できわめてわずかで、常備消防費中に救急、救助訓練用備品ですか、これは二百三十万です。それも五年間というと今年度は五分の一。まあ平年度化にことしからなったようですけれども。それと、その他はホース、保安帽、そういったものが若干の用具ですね。これらが交付税の中では若干計算はされているけれども、微々たるものでしょう。  もう一つ、救助活動で補助対象になっているものとして救助工作車というのがありますね。これは一体どの程度のものを予定をし、交付要綱というのはどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
  31. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 一台一千二百七十万で、三十台分を本年度予算で計上いたしております。で、特殊な工作機械が必要でございますので、車に積むいろいろな工作機械のメニューを並べまして、車とあわせてそれを購入する場合に補助対象とするというというシステムをとっております。     —————————————
  32. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、志苫裕君及び野口忠夫君が委員辞任され、その補欠として赤桐操君及び丸谷金保君が選任されました。     —————————————
  33. 神谷信之助

    神谷信之助君 ですから、車とそれに積み込む用具ですね、これがそろわないと補助対象にならないわけでしょう。ところが実際の場合は、その中にはすでに買っているものがあるわけです。必要ないものと必要なやつがある。たとえば宇治消防署へ行きますと、クレーンとかウインチなんかは必要なんですね。あとはもうあるというわけです。現実には、救助工作車というんですか、そういう名前の車は宇治にもあるのはあるんです。これは普通のトラックにロープなんかを積んでおるわけですね。ところが実際にはクレーンやウインチが必要だ。で、それはたまたま通りかかったトラックで持っているものがあればそれに頼んで使わしてもらうという状況になっておるんですよね。  ですから、もうすでに購入して持っているものまで買わなければ補助対象にならないというのは、ちょっと不合理なんでね、そういった点については、やっぱり必要なものに対してそれで補助対象にしていくという点は運用の面で私は十分考えないと、これ、しゃくし定規にしたのではかえってむだを生むことになると思いますがね、この辺ひとつよろしく頼みたいんですが。
  34. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 運用の問題でございますので、十分検討さしていただきまして、実態に即するよう取り計らってまいりたいと思います。
  35. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから、この救助業務に対する手当ですが、これがどういう措置をされているかというのは御承知かどうか、お伺いしたいと思います。
  36. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 通常の場合出動手当によって措置されておるわけでございますけれども、大都市におきましては通常の出動手当に若干の加算を行っておるという状況でございます。ただ、その額につきましては、各団体の特殊事情を反映してか、現在の段階ではまだ相当格差がございます。
  37. 神谷信之助

    神谷信之助君 これも調べてみますと、月八百円ぐらいの定額で救助業務手当ということになっているんですが、五十三年度の予算が二十四万四千円ぐらいです。これらも含めて、先ほどから長官お話しがありましたように、この問題は新しくふえてきた業務です。確かに全体から言うとまだ一般化していない。しかし、人口十万以上ぐらいの都市まで含めると、都市を中心にこの仕事が増大をしてきている。全体を見ますと、救急業務と救助業務というのは差がありますけれども、そういう都市だけを中心にすると、救急業務の約半分ぐらいが救助業務になってきているんですね。だから、もうすでにそういう段階に来ているわけですから、そこのところをひとつ法的にも整備をし、そうして必要な財源措置も見てやっていくということを考えなきゃならぬ。それで、現行の消防法なり消防組織法ですと、確かにそこまでは考えないで法律はできていますけれども、現実にそういう仕事自身があり、またそれに従事をする職員がおるわけですから、こういった点を整備をしてもらうという点ですね、その点についての検討をぜひ進めてもらいたいというように思いますが、この点を最後にお伺いをしたいと思います。
  38. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 先ほど、救助と救急と比較しまして、全国的な数字で申し上げまして、どうも誤解を招くような点があったことは申しわけなく思います。  先生御指摘のように、救助業務というのは都市によってその必要度が相当違います。現在の状況を見ましても、大都市におきましての救助隊員の質というものは相当高度なものがございます。しかし、中小都市以下になりますとほとんどまだ訓練が行き届いていないという状況で、格差がございます。それからまた大都市におきましても、御承知のように、高層建築、地下街が非常に発達しておるところ、あるいは、具体的に申し上げて恐縮でございますけれども、京都みたいなところ、救助業務の態様がまるで違います。その実態に合うように訓練をするということになりますと、訓練内容についてもおのずから違ってまいるわけでございます。したがいまして、私ども、救助につきましての基準をつくるということにつきましては、いろいろ努力しておりますが、内容が複雑であり、多様化しておるということ等もございまして、なかなか適確なものが現時点においてはできないというような状況でございまして、今後とも十分検討さしていただきたいと思います。
  39. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  40. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  消防施設強化促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案の賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  42. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  金丸君から発言を求められておりますので、これを許します。金丸君。
  43. 金丸三郎

    金丸三郎君 私は、ただいま可決されました消防施設強化促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出をいたします。  案文を朗読いたします。     消防施設強化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、大規模地震対策の推進、石油コンビナート等特別防災区域の防災体制整備を図るとともに、左の諸点についてすみやかにその実現を期すべきである。  一 百貨店、旅館、病院等の特定防火対象物におけるスプリンクラー、屋内消火栓等消防用設備の設置については、法律の完全な実施を期するよう所要の措置を講ずること。  二 消防職員の団結権については、ILOの審議状況に留意し、他の公共部門の労働基本権問題とあわせ、十分かつ慎重に検討すること。  三 消防職員の行う救助業務の円滑な実施を図るため、関係諸法律整備を検討するとともに、隊員の増強、訓練・救助設備の充実救急医療機関の拡充に努めること。  四 消防職・団員の職務の特殊性にかんがみ、その処遇改善を図るため、出勤手当等の増額、勤務体制の改善、職場環境の整備等に努めるとともに、消防団員については、その報酬の改善、退職報償金の充実等を図り、団員の確保に努めること。  五 消防財政強化を図るため、自主税源の強化国庫補助金充実、及び地方債政府資金枠の拡大等特段の措置を講ずること。  六 原子力施設の安全管理について、国の関係諸機関は、連絡を緊密にし、万全の対策を確立するとともに、地元地方公共団体の防災体制の一層の整備を図るため積極的な助成措置を講じ、住民不安の解消に努力すること。   右決議する。  以上でございます。
  44. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) ただいま金丸君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  45. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、金丸君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、後藤田自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。後藤田自治大臣
  46. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  47. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時から再開することとし、休憩をいたします。    午前十一時三十四分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  49. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方行政改革に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  50. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まず、自治大臣、国家公安委員長として後藤田さんが就任なさったわけですが、就任して約一カ月過ぎておる時期ですから、この機会に率直な感想というか、決意というか、そういうものをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  51. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私、今回の組閣に当たりまして、自治大臣、国家公安委員長、北海道開発庁長官を拝命をすることになったわけでございますが、御承知のように、地方の状況は、財政上非常に厳しい情勢下に、内外いろんな問題を抱えておるわけでございます。同時にまた、治安の面につきましても、いつどういう事件が起きるかわからないという、社会の底流に非常な不安感がある時期でもございます。また、北海道につきましては、北海道の現状をどう認識するかというその認識に基づいてのこれまた各方面からの違った御意見が双方からある状況でございますので、こういったいわゆる行政府の長としての仕事につきましては、なかなか厄介な問題を抱えておるように考えておるのでございます。同時にまた、国務大臣といたしましては、御承知のように、今日厳しい政治倫理の確立の問題、こういった状況下にありますだけに、綱紀の問題とか、いろんな当面取り組まなきゃならぬ重要な課題があるように考えておるわけでございます。  そこで、そういった際に、私自身省みまして、過去選挙に際して非常な過ちを犯しております。多くの違反者を出しておるといったようなこともございまするだけに、この選挙違反の実情等について、私自身厳しい自己反省を加えながら、国務大臣として、また行政府の長として仕事を進めなければ、なかなか所期の効果を上げ得ないということを自分自身反省をいたしておるような次第でございますが、こういった反省の上に立って、微力でありますけれども、全力を傾けて、精魂を打ち込んで、私自身の仕事を完遂をしたいと、微力ながら努力を尽くしてまいりたいと、かように考えているような次第でございます。
  52. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まあ第二次大平内閣で、率直に言って、国民の皆さんが一番驚いたのは後藤国家公安委員長だと思いますね。そういった問題で、きょうはひとつ、時間が余りございませんけれども、さらにその問題を含めて深めてみたいと思うんです。  警察庁お見えになっていますか。——今回の総選挙でかなりの違反が出ておるようですけれども、違反の全国的な概況ですね、まず、これをひとつ報告してくれませんか。
  53. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 今回の衆議院議員の総選挙の違反の概況でございますが、まだ当庁としては最終的な統計はとってございませんので、投票期日後一カ月現在の、十一月六日現在の集計の数字でございますが、検挙状況でございますが、総数で七千三十七件、一万三千百五十八名になっておりまして、前回の総選挙におきます同時期の五千八百五十九件、一万二千三百三十三名に比べますと、件数で二〇・一%、人員で二八・六%の増加となっております。  なお、御参考までに罪種別に主なものを申し上げますと、買収が六千三百三十三件、一万一千九百三十一名。自由妨害が七十四件、六十名。戸別訪問が二百四十二件、四百五十二名。文書違反が三百二十八件、六百三十三名。その他が六十件、八十二名となっておりまして、買収が検挙事件のうち件数で九〇%、人員で九一%と最も多い状況でございます。  なお、御参考までに警告の状況を申し上げますと、総数で二万二千七百四件でございまして、今回と同じ解散によります総選挙でありました前々回の一万九千七百五件に比べますと、二千九百九十九件、一五・二%の増加となっておる次第でございます。  以上が、現在までの取り締まりの概況でございます。
  54. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 前回、五十一年の総選挙と対比して、特徴的な違反状況というか傾向というか、そういうものはどういうことですか。
  55. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 今回の違反では、ただいまの報告にも申し上げましたように、買収が前回に比べまして相当数上回っておるというのが実情でございます。  なお、買収の中でも、さらに申し上げますと、後援会中心の買収事犯というものが今回の選挙では相当多かったという印象を私ども持っております。  以上でございます。
  56. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 国家公安委員長として、いまの状況どう思いますか。
  57. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いま局長から御報告申し上げましたように、前回よりは今回の方が買収事犯がふえておるのでございます。いろいろな原因もあろうかと思いますが、何といいましても一番肝心なことは、金のかからない選挙をどうするのかということであろうと思いますが、やはり候補者みずからがよほど考えなきゃならぬという面が一つございます。もう一つは、国民一般の政治倫理といいますか、政治道義といいますか、そういった面についてのさらに一層の啓発運動、こういったものを進めることによって、制度の面もにらみながら、やはりこういった今日の選挙の実態を漸次改善を図っていくということをやらなければならないと、かように実は考えておるわけでございます。
  58. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 警察庁。今度の違反の中で、第二次大平内閣の大臣、政務次官、そういう方々は一体どの程度ございますか。特に大臣はだれとだれですか。
  59. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 実は、私どもの方では個人別の違反統計は集計いたしておりませんので、直ちにお答えいたしかねる次第でございます。
  60. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 個人別に挙げなければ、何百何十何人とこれはならぬわけですわね。ならぬけれども、まあ私の方で新聞に出ておるやつを見ると、後藤田さんが出ておりますね。それから、宇野行管長官も出ているようにあるんですがね。そのほか何かございますか。
  61. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 十一月九日付の毎日新聞をお示しだと存じますが、この新聞出ましたので、私どもで事務的にそれぞれの府県に若干確認したことはございますが、そのときの状況では、この数字は、当時の県警の状況としてはこの数字と大体合致しておったような記憶がございます。
  62. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 中身をちょっとその中から言ってください。大臣、政務次官。
  63. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 武藤嘉文さん、それから宇野宗佑さん、それから後藤田正晴さん、大西正男さん、このように記憶しております。
  64. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 宇野行管庁長官後藤国家公安委員長は一体どういう内容ですか。
  65. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 後藤田大臣の分につきましては、買収事犯だったというように記憶いたしております。  宇野大臣につきましては、手元に資料がございませんのでわかりかねる次第でございます。
  66. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 後藤田さんの場合は、内容はどういうことですか。
  67. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 内容につきましては、事件が三つぐらいございまして、主なものは町会議員である運動員が選挙人に対して買収をしたと、こういう事犯だったように思っております。
  68. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いや、買収が何人でそのほか何人とあるんじゃないですか、数字が。個々の数字が挙がっているんでしょう。
  69. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 件数で申し上げますと、十七件、十六名でございまして、逮捕者が六名でございます。
  70. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 十七件、十六名で、逮捕者が六名。全部買収ですか。
  71. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 買収事犯でございます。
  72. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 法務省来ていますか。——後藤田さんの場合には、四十九年の際も、参議院の徳島地方区で大量な買収、金権選挙というのが新聞をにぎわしたわけですが、何か責任者が二名逃亡しておるとか、いろいろ出ておったんですが、その違反の状況なり公判の状況というのはどうなっておりますか。
  73. 根來泰周

    説明員根來泰周君) まずお断りしなきゃならないわけでございますけれども、警察庁と同じでございまして、私どもは、候補者別には統計はとっていないわけでございます。したがいまして、今回御質問があるということで、私ども特に徳島地検の方に依頼しまして、倉皇の間にまとめたものでございますので、大分誤りがあるのじゃないかということをおそれているわけです。  それから、いまお尋ねの、四十九年の事件は相当古うございますので、記録も大分廃棄した部分がございますので、いまお尋ねの逃亡者が何人かという点についてははっきりした資料がないわけでございます。ただ、違反件数等につきましては、大体私ども調査いたしましたところでは、受理人員でございますが、全部で二百七十三人。現在公判は全部終わりまして、公判未済というのはゼロということになっております。
  74. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 公判の結果の内容を言ってください。
  75. 根來泰周

    説明員根來泰周君) 起訴されたのは五十人おりますので、一々御質問にお答えするというわけにはいかぬわけでございますが、重い方で懲役二年六月、執行猶予四年というような方から、罰金刑というような方までいろいろございます。
  76. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そのいろいろの内容を言ってくださいよ。
  77. 根來泰周

    説明員根來泰周君) 先ほど申し上げましたように、全部で五十人ございますので、全部私どもの方で調査しておるわけでございませんので、お許しいただければありがたいというふうに思います。
  78. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いや、いま持っているだけでいいですから。
  79. 根來泰周

    説明員根來泰周君) 先ほど申し上げましたように、懲役刑で申しますと、長期の者は懲役二年六月、執行猶予四年という者から、低い者は懲役三月、追徴金二万円、執行猶予三年というような者。それから罰金刑で申しますと、高い者は罰金五万円、追徴金二万円というような者、低い者につきましては罰金二万円というような者と、その中でいろいろ量刑がございます。
  80. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは、それぞれの員数はわかりませんか。
  81. 根來泰周

    説明員根來泰周君) 御理解いただけると思いますけれども、裁判というのはもう非常に区々に分かれておりますので、懲役一年は何人という数はちょっと出していないわけでございますので、お許しいただきたいと思います。
  82. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まあ対象が国家公安委員長だから、法務省の方が遠慮してなかなか報告がないんじゃないかと私思うんですが、これは警察庁にお聞きしますが、五十一年の十二月五日の選挙で後藤田さんは買収事件等があるんじゃないですか。
  83. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 五十一年のときには、買収、供応、四十八件、四十四名ございます。内訳は、買収三十三、供応が十一でございます。
  84. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 どうもはっきりしないね。——私が調査したのでは、国家公安委員長、あなたの選挙違反の状況を見ると、四十九年の七月七日が買収が二百七十、戸別訪問三で計が二百七十三。五十一年の十二月の選挙で、買収が四十四、戸別訪問一で四十五。それから今回の選挙で、買収が十六という、買収事件がもう圧倒的ですね。また逮捕者が、四十九年のときに二十八名。五十一年のときに七名。今回六名です。こういうのがあんたの選挙違反の、言うなら実績というか、前歴というか。  ところが、あなたは四十六年は警察庁長官として逆に取り締まる方の総責任者だった。一転して今度は、三回の選挙ともこういう選挙違反を連続してやっておる。これがあなたにかかわる実態のようでございますが、先ほどあなたは選挙違反のことについては反省しておると。これは反省しておる実績と言えますか。
  85. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は最大の失敗の選挙は、やはり四十九年の選挙でございます。で、それを踏まえまして、自後の選挙につきましては違反者を出さぬようにということで、運動員の皆さん方にも事前にはよくお願いはするのでございますが、結果といたしましては、ただいま御指摘がございましたように、前回——実は私は末端での、任意で検挙せられた人の実情というのはわかりません、私には。ただ、逮捕者だけは、私自身申しわけないという気持ちが強いものですから、よく記憶しておるのでございますが、御指摘のように、その後も逮捕者が、前回七名ですか——八名だと思います。前回。いま七名とおっしゃいましたが、私の記憶では八名のはずでございます。で、今回六名というようなことで、当初申し上げましたように、まことにこれは私の不明、不徳の結果であると、深くおわびを申し上げますと言う以外、おわびの言葉もないような次第でございます。それだけに、こういったことを踏まえまして、ひとつこれから将来に向かってはこういったことのないように、ぜひひとつ自分自身さらに戒めてやっていきたいと、かように実は考えておるわけでございます。
  86. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 第二次大平内閣ができたときに、マスコミなどにも出されておったように、たとえば前警視総監をやっていた秦野章さんは、下がかわいそうだと。それから、新聞によっては、金庫番じゃないけれども、田中の警察番というのか、それに成り下がったと、日本の警察は。いろいろ書かれておるわけです。これはやっぱりあなた自身も不本意かもしれないけれども、本来、国家公安委員長というのはそれだけの前歴を持ってなること自体に無理があるのじゃないですか。いまさらあなたにやめなさいと言ってもなかなかやめぬだろうけれども、本来ならこれはあなた自身が辞退すべき性格のものじゃないですか。いかがですか。
  87. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そういった厳しい御批判があることは私も重々わかっておるつもりでございますので、そういう厳しい批判を肝に銘じながら、公安委員長として、まあ公安委員長というのは、御案内のように個々の事件について差し出がましいことを言う立場でございませんので、公安委員会の管理という面で、ひとつ微力でありますけれども、一生懸命身をかたく持しながらやってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  88. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたは刑事被告の田中さんとは、何かふところ刀とかいろいろ害われておるようですけれども、一体どういう関係なんですか。
  89. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 田中さんとは、実はもう三十年ぐらいのつき合いでございます。あの方が偉くなる前からの知り合いでございます。したがって、どちらかといいますと、まあ友人関係といったような関係でございます。仕事の面につきましては、大体私が官房の会計課長をやっておったころ、あるいは交通課長時代かもしれませんが、予算等の面で、もうそのころは党の有力者になっておられましたから、予算なんかの面で非常にお世話になったわけでございます。その後、御承知のように、私、官房副長官をやりましたから、そういった関係で今度は部下としてお仕えをしたわけでございまして、世間ではいろいろ、いまおっしゃったような言葉を使っていらっしゃいますけれども、私自身は別段そんなことを考えているわけじゃないので、内閣当時は、御承知のように名省から俊秀の方ばかり、大体各省の中二階、いわゆる参事官クラスから局長まで、内閣官房のそういった立場の人も入れて三十名前後、あるいはもっとかもしれません。世間では後藤田マシンと言われた機関でございます。これは要するに、政策立案機関ということで、朝八時半から官邸でめしを食いながら一生懸命に内閣の施策を進めようということで、いろいろな政策の立案に当たったわけでございます。したがって、そういう関係でございまして、まあふところ刀とかなんとかという批判はありますけれども、私自身は別段そんなこと思ってないで、私は当時は事務の副長官でございますから、文字どおりの事務官として政策の立案に当たったと、かような関係でございます。
  90. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、三十年来の友達のようなつき合いというか、同時にまた上司でもあると。田中派でもあると。今度はそういう意味合いも含めて自治大臣、国家公安委員長という要職につくというような経緯から見ると、あなた自身はそうじゃないんだということを何ぼ強調しても、国民の皆さんから見ると、これはやっぱり刑事被告人の田中さんの、言うなら守り本尊としての要請であなたがついたんだろう、またつかしたんだろう、その期待があるんじゃないかと、こういう考えになるのは、これは私は自然だと思うんですね。その点は一体あなた自身は、全然ないんだということにはならぬでしょう。率直にひとつ、田中刑事被告人に対して、田中さん自体に対して、一体どうあってほしい、こういう気持ちがあるなら、感想を聞かしていただきたいと思うのです。
  91. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 田中さんとの関係はただいま申し上げましたような次第で、私が自治大臣、国家公安委員長になったというのは、これは大平さんが御選任になったことであって、田中さんとは無関係でございます。  同時にまた、田中さんについてどう思うかという御質問でございますが、あの方はいま法廷の場に立っていらっしゃるわけですから、その法廷の裁きを待っていただくという以外、私の口からそれ以上のことは申し上げるわけにはいけないのでございます。
  92. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 何か、あなたが四十九年に大量の選挙違反をやった当時の県警本部長ですか、いま警察庁にいらっしゃるんじゃないですか。
  93. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) お答え申し上げます。  谷口君という本部長でございますが、いま本庁の刑事局参事官として勤めております。
  94. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 選挙違反をやったときに、こんちきしょうという気持ちはやっぱりこれは人間だから当然持ったことと思うんですがね。今度は一体どういう気持ちですか。
  95. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まあいま佐藤さんのおっしゃる気持ち、これは全然ないかと言いますと、これは私は一般的にはそれはうそになると思いますね。だれしもそうだと思うんです。しかし、私は違うんです。私は長い間警察におっただけに、ひとつ一切遠慮なしにやってくれということを私は絶えず言っているんです。私のために警察の組織が乱れるということだけは絶対あってはならぬと、かように私自身は考えておるわけでございます。したがって、そういった点での私情と言いますか、それをはさんでどうこうということは、私は一切ありません。むしろ、警察としては世間に対する顔もあるだろうと、したがって、私の選挙について非違があるならば遠慮なしにひとつ摘発していただいて結構だよということを私は——もちろんこういう話ですから正式にそんなことを言うわけはありませんけれども、私的な会合等の際にはそれを絶えず言っているのが私のいままでの姿でございます。
  96. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大体あなたの気持ち、意見というものを聞きましたが、先ほども私が申しましたように、これだけの選挙違反を反省するという、四十九年のときにも厳しく反省するというあなたの談話が出ていますね。そして五十一年にまた違反をやって、また厳しく反省すると言って、今度もまた違反をやっていると。そういう累積をしてきておるわけで、これが私は一朝にして直るとはどうしても信じられない。そういう身でありながら今度は国家公安委員長と、こういう立場になったわけですね。  ですから、国民の皆さんから見ると、私はやはり自分の、つかまっておる六名ですね、この者について手心を加えるんじゃないか。もしくは、せっかく田中さんがあなたを国家公安委員長に据えたんだから、田中系統のところに手心を加えるんじゃないかとか、いろんな憶測はあるでしょう。それだけに、やっぱりあなた自身がそう見られておるという、少なくとも警察全体がそう見られる、そういう負い目の中での警察にならざるを得ないのがいまの実態だと思うんですが、それだけにあなた自身がこれにどうこたえていくか、国民の皆さんに。そうでないと。こういうことがやっぱりあなたのこれからの国家公安委員長の中で貫かれていかなきゃならぬと私は思うんです。その決意は、あなた自身がさっき、私は警察畑も勤めただけにそういう私情をはさむことはないということは聞きました。しかし、就任早々あなたが発言しておる経緯を見ると、やっぱり疑問にせざるを得ない点が多々ある。  たとえばあの政治資金規正法の問題ですね。これだけ問題になっておるのは、金権選挙に問題があると。もう大変な議論をして三木内閣のときに一つの改善が行われた。しかし、それでも不十分だということで、政治の浄化に関する防止対策協議会をつくって、今回、九月ですか、答申しておる。ところが、その点におけるあなたの姿勢というのは、各新聞をずっと見ると、ほとんど共通して、きわめて「消極的な発言」と、見出しがですよ。そう受けとめておるわけです。逆に言えば。あなた自身は一体どういう決意ですか。
  97. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御質疑の中にございましたような疑念があることは事実だと思います。それだけに私自身は、先ほど来申し上げまするように、自分の仕事を進める上においてはそういったことを十分腹に置きながら、あるべき当然の姿で仕事を今後進めてまいりたい。したがって、仕事の実績でひとつ御批判をいただく以外方法がないだろうと、かように考えております。なおまた、私の仕事をするのについて田中さんとは一切無関係でございますから、これだけははっきりと申し上げておきたいと思うわけでございます。  なおまた、政治資金規正法の問題でございますが、これは例の航空機疑惑問題等防止対策協議会からの答申もございまして、それを受けられて大平総理から私の方に、この際、個人の経済と政治活動経済、これを区分けをして、そして政治活動経済の面については報告、公表をすると、こういう答申も出ておるんだから、この点についてひとつ自治省として事務的に検討をして、できるだけ早く詰めてくれぬかと、こういうお指図を受けております。それを受けまして、現在選挙部におきまして鋭意検討中でございます。ただ、この問題は、自治省で検討をして、成案ができればまとめますが、その過程において当然、各党に関係のある事柄でございますので、与党である自由民主党はもちろんのこと、野党の皆さん方の御意見等も踏まえまして、その上で最終の案をできるだけ早くまとめたいと、かように考えて、せっかく努力中の状況でございます。
  98. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 さあそこで、いまのあなたの消極的な意見というのが出てくるわけだ。事務当局にそういう事務検討を命じて、そして各党の御相談というのは、これはあたりまえのことですわね。で、あなた自身は、防止協議会が出された政治資金規正法の強化、連座制の強化を含めて、あなた自身としては一体どういう結論を持っているんですか。
  99. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、選挙部長には、実際具体的な問題について見るといろんな問題あるかもしらぬが、私個人の考えは、改正はやるべきであるということを話してございます。政治資金規正法の問題は。  それから、もう一つの連座制の問題でございますね、これはきのうも公選委員会の方で御質疑があったんですが、確かに選挙を正しくするというための一つの私は方法だと思います。これは。ただ、何といいましても、いまのたてまえが、やはり候補者自身と意思のつながりがあると、あるいは客観的に見て当然候補者と意思のつながりがあると認められて、十分指導、監督もできるという立場の人、そういった者が違反を犯した場合には、当然連座制の規定を適用してやるのがあたりまえのことだと思いますけれども、候補者の意思とは何のかかわりなく末端で行われておる場合に——まあ私、内容をよく知らないんです。正直言いまして。規制のやり方について。いま問題になっている案ですね。ただ、それのやり方いかんによっては、これは場合によると選挙が非常に暗いものになるおそれがある。いわゆる何といいますか、お互い摘発班をつくってやるなんというようなことになると、本来選挙を正しくするための連座制の規定が、やり方いかんによっては逆の効果を生むと、新しい選挙運動のやり方というものが始まる危険性を感じておるわけでございますから、連座制を、中身をよく吟味をした上で、これならばというのであれば当然これは規制を強化して一向私は差し支えないと思いますけれども、やり方をよほど慎重に考えないと、結果が思わざる逆の方向に動くおそれがある。それを心配をしておりますから、きのうの御質問の際にはたしか五人とか十人が起訴せられた場合ですか、というお話でございましたが、あるいは判決があった場合ですか、どちらか記憶が定かではありませんけれども、その場合にはそれは当選無効になるんだと、こういう改革案はどうだと、こういう御質問でございましたから、それはちょっと私としてにわかに賛成をいたしかねるんですと、消極意見でございますと、かように申し上げたような次第でございます。
  100. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣、ちょっと衆議院の方に呼ばれておるようですから、後でまたその後をやります。  きょうは大臣一人にしぼって質問しようと思ったけれども、大臣がちょっと中座しましたから、財政局長、すでに予算編成期に入っているわけですけれども、五十四年度の財政状況とあわせて、見通しを含めて、五十五年度予算要求の主要な問題点というか、それについてちょっとお聞きします。
  101. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、五十年度以降地方財政は大変厳しい状況にございまして、御指摘のございました五十四年度におきましては、四兆一千億の財源不足ということでございました。これは交付税特別会計における借り入れと、それから財源対策債の発行等によって穴埋めをしたという状況でございます。で、その後の状況でございますが、私ども景気との兼ね合いにおいていろいろ気にしておったわけでございますけれども、五十三年の後期から、御承知のように企業努力とか、あるいは積極的な財政政策等もございまして、景気は少し上向きになってまいりました。現在でも内需を中心に順調に推移しておる、かように思っておるわけでございまして、したがいまして、五十四年度の財政運営は、財政計画で組んだ状況は無事進めていけるであろうというふうに考えておるわけでございます。  と同時に、税収も景気につれて若干上向きになってまいっておりまして、五十四年度において、地方財政計画で見込んだものよりは若干出てくるであろうと。これは税務当局からの詳しい見解が必要であればまたそちらから申し上げることになりますが、まあ大ざっぱに申し上げまして、当初見込みよりは若干伸びてくるであろう。ただ御承知のように、地方税の場合は、所得税あたりが前年の所得というようなこともございますから、国税の伸びあたりとはかなり事情は違うわけでございますが、緩やかながらも税も伸びておるというようなこと等もございまして、五十四年度は何とか予想どおりの執行ができると思っております。  ただ、お尋ねの五十五年度につきましては、私どもいまのところ率直に申し上げまして、不確実な要素が非常に多くて見通しが立たないわけでございます。全般的に明年度の経済がどういったことになるのかということもわかりませんし、また、国あるいは地方の税制改革等がどういうことになるのかということも不明でございます。また、国の財政の組み方がどういった形になるのか。かなり抑制型になるとも聞いております。そういったもろもろの要素がどういうふうにかみ合っていって、その結果地方財政の収支がどういうことになるのか、ここらが非常にむずかしい時期でございまして、私どもまだその点について的確なる推測ができかねている状況でございます。  ただ、全般を見ましては、私ども財政収支試算等でいろいろと将来を推測しておりますけれども、いま申し上げたような景気の動向とか、税の動き等から見まして、ことしの春ごろ税制の改正がないとした場合に見込みました財政収支の不足額、そういうものよりはずっと少なくなるだろうという感じは持っておりますけれども、いずれにいたしましても、景気が立ち直ったことのために税収等が上がって、あるいは交付税がふえて、それによって財政収支が完全に黒になるような状態ということは考えておりませんし、かなりなやはり調整を要するものが残るであろうということは予想しておりますけれども、いまのところ数字を挙げてこういう状況ではなかろうかということまでは申し上げにくいということでございます。
  102. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 五十四年度の財政の具体的な見通しがわかれば言ってください。
  103. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 五十四年度については、大体財政計画の線に沿って各地方団体において予算を組んでやっておられるわけでございまして、それについて見込んでおった収入面等においては、大体それがへこむというようなことは想像できませんので、予定どおり進めておられると思いますが、五十四年度の歳出面まで含めてどういった決算状況になるかといった見通し等は現段階ではとてもできませんので、財政計画で組んで考え方に従った運営というのは、それは遂行できるということを申し上げられる程度でございます。
  104. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、年内編成ということでいま内閣はいっておるわけでしょう、五十五年度予算は。そうすればあなた、当然大方の五十四年度の見込みを立てて五十五年度の見通しを立てなければ年内編成できぬでしょう。もう少なくともそういう詰めの数字というものは、何千何万というんじゃなくて、概数としては大体この程度はこうだこうだというのは明らかにならなければ目星はつかぬじゃないですお。
  105. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、財政計画は単年度でそれ自体完結するという見込みでやっておりますから、したがって、五十四年度で組んだものはそれはそれで完結していくことになると思うんです。したがいまして、五十五年度にどうなるかという場合は、結局五十五年度の新たな財政需要がどういう形になるか、それから財政収入の方がどういう形になるか、それによって地方財政の見通しを立てるわけでございます。その際に、歳出面においては、いま申し上げましたように、たとえば国の場合ではかなり抑制ぎみでございまして、公共事業等も伸び率はもうほとんどないんだという報道もございますし、いろいろな見方がございます。特に最近新聞等で御承知のように、私どもも正確な話を聞いておるわけではございませんが、来年度にかけて国の財政としては一応のフレームというのをつくっております。  で、ここから国のことになって恐縮でございますが、私が知った限りにおいて申し上げますと、税収は五十四年度の当初見込みよりは国税の場合は四兆五千億ぐらいはふえるであろうといった前提のもとに、赤字国債を一兆減らしたい。そうなれば実際に使えるのは三兆数千億であるという前提のもとに、公債費の増加、それから地方交付税に当然増収分は幾分か回るわけでございます。その当然増の経費を引けば残りはこれぐらいしか使えないと、そういう大まかなフレームを立てて検討しておるという状況でございます。  私どもの場合は、実際に税がどうなるか、若干国税と見通しも異なるので、ある程度の増収はあるだろうとは思っておりますが、まだ的確に把握ができかねております。国の場合、一本化でございますから、九月ぐらいまでは実績として全部出てまいります。地方の場合は、府県はある程度出るわけでございますが、市町村はこれはわからないという点もございまして、あれこれ税務当局でも推測をしてもらっておりますが、まだ明確なところはつかめないということと、それからもう一つ、歳出面においてただいま申し上げました国がそういう窮屈な中でどういうふうにされるのか、公共事業等は本当にゼロなのか、食い込むのか、その他いろいろと不確定な要素が多いわけでございます。それに対応して歳出の予想を立てるということになりますので、いま少し国の方が姿が出てまいりませんと、私ども、いま各省が概算要求しておる段階だけで簡単に推測をするというわけにもまいらないわけでございまして、どうせ年内までにはこれは詰めていかなければなりませんが、現段階では余りにも不確定要素が多い。また、私ども専門家ではございませんし、事案来年度の経済の伸び等がどういうふうになっていくのか、これもまた税収見積もりの根拠になるわけでございますから、大変不確定要素が多くて、まあ議論はしておりますが、なかなかお示しするようなものはちょっと現段階ではないと、こういうことで申し上げておるわけでございます。
  106. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大体わかりました。  そうしますと、この点はどうなりますか。当初の見込みとしては、一般消費税が創設された場合には地方税の方に一定割合を見立てると、こういう構想だったんだけれども、これはもう少なくとも五十五年度についてはあり得ないということは明確になった。そうすると、いまのこの交付税ですね、交付税については三二をこの際ひとつ大幅に引き上げるのか、それとも現行やっている交付税特会という方式でもってやるのか。そこらについてはどういうめどを持っていますか。
  107. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 私どもことしの初めに国会でも御説明を申し上げました収支試算におきましては、今後ともかなりな赤字基調が続くという前提のもとに、また、いろいろな経済の伸びとかどうとかということについて前提を置いた上で収支の試算を出したわけでございまして、その際は、一般消費税という言葉ではございませんが、ある程度増税がなければこういう姿になりますと、そして、新税等をつくって増税がある場合はこういう姿になりますと。まあ二つの形でお示しをしたわけでございます。  ところが、そのときの増税見込みでおった場合は、たしか三兆六千九百億ぐらい五十五年度は赤字であるという前提で、五十五年度に五千五百億円くらい増収があるという、まあ税の何かは別と  いたしまして、見込んでおったわけでございます。しかし、おっしゃいましたように、何かということになりますと、一応消費税的なものができるということが——決めておったわけじゃございませんが、いろいろと税制調査会等で議論しておられましたから、そういうことが頭にあったことは事実でございます。したがいまして、それがなくなったということ——来年度は導入はないということは大体言えると思いますので、そういった点では増税のない形ということを一応頭に置いておかなければならない。しかし、そうは言いましても、新税はできなくても選択的な増税があるかどうかということはこれはわからないわけでございまして、国税においてもいろんなことが検討されておるやに聞いております。したがって、そこの見通しがつかない。  しかし、全般的に見てみますと、これは非常に私見になりますが、五十三年度、五十四年度というのは税が思ったよりは伸びてきておるということも事実でございますから、五十五年度も五十四年度で伸びてきたそこを発射台にして推計をいたしますから、ある程度は、試算で考えておったころよりは伸びるかもしれないという考えもないわけではございません。  そういった面がございますのと、ただいま申し上げました国税のフレームの中で、国税が五十四年度の当初よりも仮に四兆五千億伸びるとすれば、そのうちの交付税分は一兆以上伸びるかもしらぬという推測もつくわけでございます。それともう一つは、先ほど申し上げました、歳出幅がかなり抑圧基調であるという点から見れば、率直に申し上げて、ことし四兆一千億の赤字が出たほどのものは出ないであろうという予測は立てておるわけでございますが、それがどれぐらいになるかということがわかりませんので、私どもとしても現段階ではどういった対応の仕方をするかということもまだ明確には申し上げられないわけでございす。しかし、これは早急に詰めなければならない問題でございます。
  108. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 交付税率は引き上げますか。
  109. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) ただいま申し上げましたような状況でございますから、具体的に一体どの程度赤字幅が出てくるのかと、そういったことといろいろ絡んでくると思います。財源対策としては、おっしゃいましたこと等も含めて、その結果を見ながらでございますけれども、広い立場から検討しなきゃならぬと思っております。
  110. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 何か余りようわからぬけれども……。  また別の角度から聞きたいと思うのですけれども、行政管理庁の方では、一省一特殊法人ですか、十一以上のところは二特殊法人、それ以下は一、さらに認可法人を含めて整理縮小すると、こういう方向が出されているのですが、これは十二月十日までに一応まとめるという方向でやられているわけですが、自治省としては一体どういうお考えですか。
  111. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 自治省といたしましては、現在特殊法人といたしまして四つございます。御案内のとおり、特殊法人が国全体として百十一あるようでございますが、新聞にも出ておりましたように、行政改革の一環といたしまして、一省につきまして特殊法人が十以下の省につきましては一つ、二十以下につきましては二つ減らすという一応の基本的なめどを立てて作業をしておられるわけでございます。私ども所管いたしております特殊法人四つは、もう御案内のとおり、いずれもそれぞれの機能を果たしておるわけでありまして、簡単に廃止というわけにはなかなかこれまいらないものばかりであります。今後これをどうするかということは、いまお話しございましたように、一応行管庁としては十日をめどにして各省庁と十分話し合いをしたいということになっております。私ども現在行管庁に対しましてはこの四つの法人の現在の実態なり必要性というようなものをいろいろ御説明をいたしておる段階でありまして、まだ最終的にこの四つを三つにするとか、あるいは改組するとか、そういう結論を得るには至っておりません。いずれにいたしましても、予算編成期までにはこの辺の結論を行管庁としては各省庁と十分相談の上出したいということになっておりますので、私どもはそういう中で対応してまいりたいと考えております。
  112. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 認可法人、公益法人はどうなっておりますか。
  113. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) ただいま申し上げましたように、特殊法人四つのほかに私どもといたしましては認可法人一つを持っております。で、いま、広い意味では認可法人も含めて行政管理庁ではいろいろ検討を進めておられるようでありますけれども、当面対象になっておりますのは特殊法人四つということに重点をしぼって検討されております。認可法人をどう今後処理されていきますのか、私どもまだ明確な指示をいただいておりませんが、この問題も含めて検討がされていくであろうというふうには考えております。
  114. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすると、いま全然そういう方向では検討してないということですね。——してないというよりもできないと、こういう立場で十日には臨むという考え方ですか。  それともう一つは、自治省の本省自体の局、部の削減の問題も一諾に出ておるのじゃないですか。
  115. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 私どもといたしましては、特殊法人四つを行政管理庁のそういう基本的な方針に基づいてどのように対応していくかと、どのような御相談の仕方をするかということにつきまして、部内ではいろいろ関係各課、関係局とは協議をいたしておりますけれども、まだ最終的な結論を出すという段階には至ってないわけでありまして、いま申しましたように、これから最終的な時期までには部内としても結論を出し、行管庁ともお話しをしたいと、こう思っておるわけであります。  もう一点御質問ございました自治省の中の部局の統合という問題につきましては、これは私ども、新聞紙上等では行政管理庁としてはいろいろな角度から検討なさっておるということは伺っておりますけれども、まだこの点についての具体的な話は承っておりません。と同時に、まだそういう意味でのわが省の中としての具体的な検討には入っておりません。
  116. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これはどなたが御答弁できるのか、ちょっとわからぬですが、地方制度調査会が九月十日に答申しましたですね。この中で、今後継続して審議する事項と、同時に、もうこの際ひとつ政府の方で受けとめて着手をしてもらいたいという区分けをしましたですね。それらの扱いは、当面五十五年度予算編成に向けていまどういう状況にあるんですか。
  117. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいまお話がありましたように、九月十日、十七次地方制度調査会の答申におきましては、引き続いて十八次調査会で検討すべき事項というのがございまして、そのほか政府として行財政にわたる問題で検討すべきもの、これにつきましてはただいま検討中でございます。  なお、答申にもございましたように、国庫補助金あるいは事務配分、あるいは国の地方出先機関の諸問題につきましては、内閣に強力な推進機関というものを設けてその推進を図るようにと、こういうような答申をいただいたわけでございまして、この問題につきましてはいまもお話がございましたような、政府全体の行政改革が現在検討されております。そういう中において地方制度調査会の答申の趣旨を実現するべくいろいろといま相努めておる次第でございます。
  118. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いろいろその中で聞きたい点があるんですけれども、特に補助金整理の問題ですね、これはどういうふうに具体的になっていますか。
  119. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 十一月二十八日に行政改革本部におきまして決定した行政改革内容についてでございますが、これは数点あるのでございますけれども、その中におきまして、「補助金等の整理」という項目がございまして、「早急に整理計画案を検討し、年内に方針をまとめる。」ということにいま相なっております。これは当然のことながら五十五年度の問題になろうかと思うわけでございまして、現在行政改革本部として、また大蔵省としてもいろいろ検討しておられるわけでございますが、五十五年度に実施すべきものにつきましてはその中において検討をせられるよう、私どもも相努めている次第でございます。
  120. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 たとえば、もう強い要望事項であった、法律に基づかない通達による補助金がございますね、たくさん。こういった関係のものは、その中でどういうふうな扱いになっておるんですか、五十五年度は。
  121. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 十七次調査会の答申、補助金につきましてはいろんな事項を御答申いただいたわけでございますが、いま御質問のございましたような観点からは、十七次調査会の答申としては指摘をされていないわけでございます。
  122. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは、あなたのいまの経過を聞いてみると、とても五十五年度に間に合いそうにないですね。
  123. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 十一月二十八日の行革本部の決定におきましても、「当面の実施方針」の中にそういう項目があるわけでございますが、なお「行政改革に関する今後の基本方針」という問題につきまして、これから三年ないし五年の中長期にわたる問題としても引き続き検討すべき方針というものがすでに出されておるわけでございまして、私どもといたしましては、もちろん補助金問題というのは懸案の大問題でございますので、五十五年度の当面の問題としてももとよりでございますが、今後引き続いて検討すべく働きかけていきたいと考えている次第でございます。
  124. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 八〇年代は地方の時代だと、大平さん自身が総裁候補の際に田園都市構想を出して、総理自身が調査会に、何かぜひひとつやりたいと、こういうことを強調なさっておる。そのスタートがもう間もなく来るわけですよ。したがって、いろいろ経緯がございましたけれども、とにかくそれにふさわしい補助金の問題、許認可の問題、それから事務の移管の問題、こういった問題についてはひとつ早急に実行に移すべきだというのが調査会の総意だったと思うんですよね。  それがいまのようなあなたの御報告を聞いておると、その根幹である予算編成が年内に終わる、こういう目標できておるわけですから、きわめて何というんですか、はがゆいというか、遅々としておるというかね、こういう感じしか受けないんですよ。総理も今度の臨時国会の施政方針演説なり、衆参両院の予算委員会の中でもそのことを強調しておる。まさに時期は一番いい環境にあると私は思うんですね。そのときに具体的な、あなたのところの推進がそういう状態では、これはもう本当に私はまさに不安な感じを持つのですけれども、大臣、これはひとついかがですか。
  125. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いままでの御論議で、係の方からお答えをいたしたと思いますが、御承知のように地方の時代という言葉、これはいろいろな御議論があるわけでございます。しかし、私自身は、何といいますか、国全体の仕事の仕組みが、まあ一億一千万の国民の力をどのように一〇〇%発揮できるような仕組みをつくっていくかと、これが八〇なり七〇になっておるのじゃこれは申しわけないわけですから。そこで、現在までの状況を見てみますというと、何といいますか、中央集権とでも言うんですか、国、これは政府でしょう。地方、これは地方政府。この二つの団体の力の配分といいますか、仕事の仕組みといいますか、その配分の仕方が、お互いに機能と責任を分担をし合いながら仕事を進めていくんですが、その関係は、本来は支配の関係あるいは上下の関係ではないはず。同時にまた、全く対立した関係でもない。やはり、しょせんは一つの目的を達成するために、その二つの、地方の政府と中央の政府が力を合わせて協力しながらやっていく、そして一億一千万人の力を一〇〇先発揮できるような仕組みにするというのが理想だと思うんですね。  ところが、現状を見てみますと、どうもやはり、一例ですけれども、たとえば補助金の問題等を見ても、まあ補助金制度そのものは一定の国の、何といいますか、施策を推進をさせる、推進をしてもらうというためにこれは必要な制度ではありましょうけれども、余りにも零細な補助金を通じて、そして実質的な支配というものが行われておる。こういうものは私は、いま仰せのように補助金整理の機会なんですね、ここらは私はやっぱりメスを入れる、あるいはまた、補助金については役割り等がほぼ目的を達成したものも私は検討すればあると思いますね、そういうものも一応廃止をする。で、仕事を廃止したものについては、これはそれでなくなるんですから結構ですが、整理をした結果仕事は残るという面については、これはやっぱり一般財源に振りかえてもらわなきゃなりませんから、そういうようなことも考えながら、一例としての補助金でございますけれども、こういう過度な地方に対する介入の事実というものが私はあると思いますね。  あるいはまた、何といいますか、本来行政改革の時期にやるべき地方支分部局、これはいま整理にかかっておりますけどね、これらだって思い切って改革をして、そして地方公共団体を信頼してやらすべき仕事もあるんじゃないかと思います。こういったようなものを整理をすることによって、そうして地方の時代と言われるんですから、地方団体が法令あるいは国の大きな方針、これに従って地方団体がやればいいのであって、一々のことについて私は指図をすべき筋合いのものではないのじゃなかろうかと、私はさように考えるわけです。  そういう立場から、今回政府で行政の改革、効率化、合理化にせっかく取り組んでいるさなかでございますから、この機会をとらえまして、いま私が言ったような方向で改革が行われることを私自身も期待しておるし、努力もしたい。で、地方制度調査会の十七次の答申等を見ましても、まさに私は考え方はそういう立場に立ってあれはできておると思います。だから、その線に沿ってやっていきたい。ことにまたあの答申の中にはそれを強力に推進するために政府としてもひとつ推進体制をつくったらどうですかと、こういう御答申も得ておるわけですから、そういう線に沿って私は政府全体としてもう少し地方の自主制、創意というものを生かした、そして地方の特性を生かしながら地域開発というものができる体制をつくる。そしてその特色ある地域づくりの総集合によって新しい国づくりに持っていくんだと、こういうことが私はいま要請せられておることじゃないのか、それがいわゆる地方の時代であろうと、私自身はさような考え方を持っておるわけでございます。  そこで、そういう意味合いで、今後自治を担当する者として、政府の中でせっかく努力をしていきたいと、かように考えるのですが、ただ、やはり長年の沿革といいますか、歴史といいますか、それが山積しておるだけに、この仕事は私はなかなか一朝一夕でいけるものとは思いません。しかし、方向はやはりその方向で、あらゆる機会をとらえて一歩一歩現実的な効果が上がるような努力を積み重ねていきたいと、かように私自身は考えているような次第でございます。
  126. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 たしかあした第十八次地方制度調査会の第一回があるんですが、そういう大臣の話を聞くとやっぱり皆げっそりすると思うね。あなたの前々任者の加藤さんが自治大臣のときに、言うなら、要約するとあんたが言ったようなことを言いよった。国と地方の両輪論。そして国の方針に従ってと。いまあなたもそうおっしゃった。従うんじゃないんですよ。国の方針に地方が協力する——対等なんですよ。その発想があなたにもない、いまのあなたの発言の中に。澁谷自治大臣は自治分権と。何でもここで質問すると自治分権。地方自治の確立のために私は体張ってやりますと言い切ってきた。両輪は総理大臣が言えばいいんだ、自治大臣はそんなこと言う必要はないと、こういう立場を堅持してきた。あなたのいまの話を聞くとまたダウンしちゃった。そういう印象を私はいま率直に受けたんです。  問題は、たとえばこの十三兆円に近い膨大な補助金がふえてきておる。地方を経由する場合には、各省は必ず自治大臣と協議しなきゃならぬ。言うなら協議の中でふえてきたと言っても過言ではないんです。問題は、そこに自治省の姿勢が、地方自治、分権というそういう思想がきちんとないために、今日こういう極度の中央集権、補助金政策、こういうことに成り下がってきておるわけですよ。たとえば国費職員の身分移管問題でもそうです。あれはただし書きで、「当分の間」と書いてある。もう三十年たっている。三木総理時代にこれをやりますという総理大臣としての決意も表明されて、衆参両院でも決議された。ところが、いまだにそれが実現しない。それに対して、一体自治大臣としては、いままで各大臣が全力を挙げたと思うんだけれども、しかしやはり車の両輪論という発想ですね。国の方針に従ってという発想ですね。そこから抜け切らないために今日こういう形骸化した自治体に追い込められてきた。財政的に、行政的に。そういう意味では、いまあなたのような発言では、これはあした地方制度調査会発足して議論したって、まさにこれはもうどうしようもない。いかがですか。
  127. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私のお答えで、地方分権の考え方が消極的であるという印象を与えたとするならば大変残念に思うわけでございます。私が申し上げておるのは、やはり国と地方というものは対等の関係だと、支配上下の関係ではないんだと、それはお互いの間で協力をすべき筋合いのものなんだと、こう申し上げているんです。で、その協力の仕方は、今日行き過ぎておるのは、一々の細かいところまで中央官庁が指図をしているではないか。その手段として、小さなつまらぬ補助金を使っているではないか。あるいは補助金を使って、当然地方に任せればいいものを人間まで全部置いちまえといったようなことをやっているではないか。そういうことはどうしてもやめてもらわなきゃならぬのだと。そこで、協力のやり方としては、結局は法令です。基本は。したがって、法令の根本に手を入れる。そしてその法令で大枠を決める。その大枠に基づいて国が一定のこれは方針というのがあるでしょうから、それはひとつ示してくれても結構ですよと、しかし細かな指図は困るんですよと、それは地方にお任せくださいと。そうすることによって私は現在のこの過度な中央集権の弊害というのは直るのじゃなかろうかと、こう私自身は申し上げておるのであって、そういう意味合いにおいて地方分権というものはもう少し推進しなきゃならない。これは地方制度調査会の答申にも、御承知のように、行財政の簡素効率化と同時に地方分権の推進、徹底ということが大きな柱になっておりますから、そういう線に沿ってやっていきたいんだと、かように私申し上げているような次第でございます。
  128. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういう決意ならわかりますけれども、さっき聞いたときの決意といまはがらっと違ってきたわけだ。まあ、なるべくならひとつそういう決意でやってもらいたいと思いますが、当面、補助金の整理、許認可事務の整理の問題、さらに国の事務の地方移管の問題、この三つについては、五十五年度予算編成期を迎えてあなたは決意を持ってやると、少なくとも八〇年代に入るわけだから。それについてはひとつ通常国会を目指して実現できるように努力すると、こういうふうに受け取っていいですか。
  129. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いま仰せのような項目につきましては、政府全体としまして現在取り組んでおります。で、さしあたり五十五年度にやるものはどれだと、三年ないし五年先をにらんでやることはどうだということのいま取り組みにかかっておりますから、五十五年度の分については、ただいま仰せのような項目につきまして、私としても地方分権を推進するという立場で参画をさしていただいて努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  130. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その一環として、三木内閣のときに総理が約束して衆参両院で決議しておる国費職員の身分移管については、この通常国会に向かってあなたは全力を挙げてやると、そういうことで受け取っていいですか。
  131. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) その件につきましても、いま政府の行政改革本部で検討項目で取り上げられまして、そして何らかの結論を得たいということでいませっかく検討中でございます。
  132. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 検討と同時に、あなたはやりますね。
  133. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) もちろん私は、先ほど言ったように地方分権の立場に立って、当然の主張としてやっていきたいと、こう考えております。
  134. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、さっきの話に戻りますが、政治資金の規正法の改正ですね。これはあなたのさっきの反省、決意。私は連座制の問題であなたの見解をさっき聞いておったのですけれども、問題は、国民の皆さんから見ると、具体的に言うならば、あなたのようなああいう四十九年の事件を起こしたときには、これは連座制が発動して議員失格にいかぬのはおかしいというところなんです。逆に言えば。二名逃げて、その逃亡者はだれかと言えば、最終的には禁錮三年の一人だと思いますけれども、逆に言えばそういうところでおさまるところに問題がある。もっとやっぱり厳しくすべきじゃないか。これが私は国民の意見だと思うんですよ。だから、そういう観点で私はもっとやっぱり選挙違反については政治家がえりを正す、正さざるを得ない規制が必要だと思うんですね。そういう観点で私はこの問題について対処していただきたいと思います。  同時に、時間ございませんので聞きますが、政治資金規正法ですね。これについては、さっきせっかくあなたの御意見もあった。あなたはこの問題について今度の通常国会に向けて確信を持って、ひとつ決意を持って提案をして、不明朗な金権選挙を打開する一方、同時に、国民の疑惑を招く不透明な政治資金のあり方について正して明朗化していく、これについて全力を挙げて提案し成立をさせる努力をする、こういう決意と受け取っていいですか。
  135. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) その点についての私の個人的な見解は先ほど申し上げたとおりでございますが、自治省としましては、できるだけ早く成案を得たいということで、選挙部で現在鋭意準備を進めておる段階でございます。で、その準備と並行しながら党の方とも十分協議をして、できるだけ早く成案を得たいと、かように考えております。
  136. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 終わります。
  137. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、臨時国会における総理の所信表明演説の中にも、田園都市構想あるいは地方の時代における新しい地方自治について触れられておったわけでございますが、特に、御案内のとおり町村財政というものはきわめて厳しいものがあるわけでございますが、大臣にお尋ねいたしたいことは、地方財政のいわゆる再建確立についての大臣の取り組む意欲というものを承りたいと思いますし、また、特にこれとこれとこれを中心にしながら取り組むのであるという、そういうところにつきましてもお尋ねを申し上げたいと思います。
  138. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 現在、国、地方団体ともに非常な財政困難な事態に陥っておるわけですが、これは何といいますか、石油危機を発端としまして、それ以来のこういう状況に相なっておると思うのでございますが、私は、第一にやらなきゃならぬことは、一つは歳出の節減合理化、これはやはり徹底をしなきゃならぬのではないか。これは国、地方を通じて言えることであろう。  で、地方財政につきましては、特に地方の自主性、自立性。先ほど申しました地方の時代にふさわしい地方づくりをやるというためにも、何といいましても自主性、自立性を強化するためには地方税あるいは地方交付税、こういったいわゆる一般財源ですね、その増強を図る必要があるのではないのかと、こう思います。御案内のように、地方交付税については三二%ということになっておりますが、それは七割程度しかなくて、残りは借入金であるとかあるいは財源対策債であるとかというようなことによって地方の不足をいま賄っておるような状況ですけれども、やはり本来的には私は地方交付税をも含んだ、何といいますか、地方税、地方の一般財源全体をもう少し安定的な姿に持っていくのが本当のことではなかろうかと、こう思うわけでございます。そういうような意味合いでも努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  139. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 財政再建の柱として大臣が御提言になりました地方交付税の問題でございますが、特に財政力の脆弱な町村にとりまして、昭和五十二年度決算で見ますと、歳入状況は実に地方交付税に三八%を依存しておりまして、地方税収はわずかに一七%というような現状でございます。こういったことから見ますと、どうしても全国の町村、特に町村でございますが、財政再建につきましては地方交付税の交付率の引き上げであるとかあるいは対象税目の拡大とか、これによりまして地方交付税総額を確保しなきゃならないという、そういう悲壮感を持っておるわけでございます。これにつきましては、全国地方六団体の方から、自治大臣あるいは財政局長の方にかねてより強い要望があったわけでございますが、なかなか思うに任せないという現状でございます。  まあ考えてみますと、国家というのは、国づくりの単位といたしまして、一番小さなしかも最も大切な単位としまして市町村があるわけでございますが、その市町村が現在全国に三千二百五十六ですか、ございますが、その三千二百五十六の市町村、しかもその市町村一つ一つが国づくりの最も大切な単位である、そういうところに総理のおっしゃる田園都市構想であるとか、あるいは家庭基盤の充実の思想なり、あるいは地方行政あるいは国づくりの哲学なりがあそこから発生したものであると思うわけでございますが、そうであればあるほど私は大臣が今後取り組む姿勢として、国づくりの最も最先端にある、大切な単位でもある町村、しかし自治権を持っておるこの町村、これを大切にしていくと。そのためには言うまでもなく大臣が御提言されたいわゆる財政再建ということをなさなければいけないんですが、その大宗を占める地方交付税の交付率の問題につきまして、かねて何度もこの場で議論をされたんですが、私は、大臣の地方交付税の交付率の引き上げに対する意気込みというものをお聞かせ願いたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  140. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御意見、よくわかりました。  地方交付税の税率の引き上げを含めまして、いずれにいたしましても地方の財源不足を解消するというための努力を全力を挙げてやりたいと、かように考えます。
  141. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 この問題は、全国の町村長大会とかあるいは全国町村議長会初め全国地方六団体で必ず大会決議をされ、また特別決議をされてきたことでございます。しかし、くどいようでございますが、四十七都道府県、全国三千二百五十六の市町村長、市町村議会議員、都道府県知事が挙げて大会決議をしても何らこれが進捗を見ないということ、これは私どもとしましては、地方自治を考える国会議員としましては、議員立法をもってしてでも取り組まざるを得ないというような、そういうせっぱ詰まった、いわゆるニーズと、それと危機感というものさえ持っておるわけでございます。  そこで大臣、与野党を問わずなかなかむずかしい問題であれば、議員立法やってさえも対処したいという、そういう動きというものがあるんだということを御認識いただきたいと思いますし、またそういうことにつきましての御理解といいましょうか御認識がいままでにございましたか、お伺いいたしたいと思います。
  142. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私も自民党の中で従来地方行政部会に所属をいたしておりましたので、そういった強い御意見があることは百も承知をいたしております。
  143. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 次に、地方自治と深いかかわりを持っております法務省の登記所の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  この問題につきましては、私は先般の委員会でも質問をさしていただきましたが、自来、この登記所の出張所の統廃合が進められておるわけでございますが、昭和三十年代の町村合併時における登記所のいわゆる適正配置による統廃合というのはこれはやむを得ないと思うわけでございますが、御案内のとおり、昭和四十六年以降も適正配置ということで一律に統廃合が進められておるのでありますけれども、この法務局の登記所という問題は、全国の、特に農村山村漁村の過疎地域における町村においては、登記所の統廃合というのは非常に大きな意味を持っております。昭和三十年代でありますと、交通の便もよい、バスの便等かなり頻度数もあってよかったのでありますが、御案内のとおりだんだん過疎化が進みまして、赤字路線がふえてバスの便の頻度も少なくなってくる。一方におきましては、過疎化が進むということは、行政区域も非常に広大なものでございますから、その三つ四つを一つにしていくということになりますと、農村山村漁村における方々には、単に経済的な負担だけではなく地方自治という精神的な側面から見たときの大変大きな負担にもなっておるわけでございます。  たとえば、御案内のとおり、登記所なんというのは明治の初頭につくられたものが非常にたくさんあるわけでございまして、明法以来百年あるいは百十数年続いた登記所が閉鎖されていく。戦後できましたような農林統計事務所とかあるいは食糧事務所というようなものの統廃合とは違った意味で、この登記所は人の戸籍に次ぐところの、いわゆる自治の根源とも言われる土地の問題、地籍を扱うところでございますから、町村にとりましては第二の町村役場の役割りさえをも持っておる。これが廃止される、統合されるということにつきましてはかなり抵抗があるわけでございます。  それでお尋ねいたしたいことは、適正配置というこの基準といいましょうか、それはどこから出てきておるのか。一律に行管の言うところの行政改革の路線にのっとってせざるを得ないのか、それとも適正という言葉に見られる適正配置をした方がスムーズに事務が進むために行われてきたのか、その辺のところにつきましてもお尋ねいたしたいと思います。今後さらにこの統廃合を進める計画があるのかどうか。いままで幾つ統廃合をしてきたのか。また、統廃合のいわゆるルールというものは何であるか。それをまずお尋ね申し上げたいと思うわけでございます。法務省に。
  144. 藤井正雄

    説明員(藤井正雄君) 昭和四十六年から登記所の適正配置計画が実施されるようになりまして、五十四年の十一月末現在で四百八十五庁の統合を実施いたしております。今後の計画といたしましては、特別新たな計画を立てて推進するというわけではございませんが、いままで計画を立てまして推進してまいりましたものがまだ完全には行われておりませんので、従来実施しましたものとのバランスなども考慮しながら積み残した分につきましてなおしばらくこれを進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。  申し上げるまでもなく、この登記所の適正配置計画と申しますのは、政府の行政機構の簡素合理化という施策にのっとって行っておるものでございますが、単にそれにとどまらず、登記行政の適正化という面にも非常に大きなメリットがあるというふうに考えておるものでございます。まあ事務量の多少にかかわらず人員を配置しておるという人員配置のむだをなくすという意味で、行政機構の簡素合理化の目的にかなうわけでありますが、同時に、職員が複数配置されていることによりまして、相互の協力、チェックの体制ができまして、登記の過誤を防止することに役立つわけでありますし、また、分業による能率促進という効果も出てまいろうかと思います。  さらに、これは職員の処遇の改善という面にも役立つものであろうと考えております。登記所には、職員が常に庁舎の中に居住して一日じゅう拘束をされているという状態にありますので、できる限りこういったものも解消していくという方向に持っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  145. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 これからの計画で、幾つのいわゆる登記所を統廃合する予定でございますか。いまからの計画、いま進んでおる計画の残りは幾つあるのでございますか。——いま、四十六年から進められておると、すでにやってきたところとのバランスをとっていかざるを得ないということでございますから、その四十六年の計画がいま進んでおるのでございましょう。ですから、あと幾つ残っておるのかということでございます。幾つ計画路線にあるのか。
  146. 藤井正雄

    説明員(藤井正雄君) お答え申し上げます。  大体計画といたしましては、あと百庁程度あろうかというふうに考えております。
  147. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 あと百庁程度計画にあるのだけれども、これ以外はもうすでに統廃合してきたのですが、統廃合できたというのは、いわゆる地元の抵抗が比較的なくて、話し合いができたから進んできたかと思うのですが、この残りの百というのはその町村のニーズなりあるいは町村のまあ強い抵抗といいますか、そういうものがあって残されてきたのか、たまたま年次計画でこの百だけが残っておるのか、その辺のところはいかがなものでしょうか。
  148. 藤井正雄

    説明員(藤井正雄君) これまでも、できる限り地元市町村の御納得をいただきまして、御了解を得て統合するように進めてまいっております。で、今後もそのように進めてまいっておりますが、なかなかそのような御了承を得ることがむずかしいということで残っておるものが相当数ございます。  それからいま一つは、統合によって一の登記所に他の登記所を受け入れる場合に、建物について手当てをする必要がございますが、それが一度にはできませんので、順次施設整備しながら統合を進めていくと、こういう状態にございます。そのためにおくれているものもございます。
  149. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 これは地域によってかなりばらつきもあるし、また事情も違うかと思うんですが、大分県の場合ですね、これは計画としてはどうなっておるのでしょう。
  150. 藤井正雄

    説明員(藤井正雄君) 大分県につきましては、四十六年以降現在までに十三庁を統合いたしました。今後の予定庁数としては五庁でございます。
  151. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 十三庁統合したんですが、その統合するときも、配置された人員ですね。統合された後のいわゆる人員の数ですね、員数。それはどうなっておりますか。
  152. 藤井正雄

    説明員(藤井正雄君) ただいま申し上げました廃止庁十三庁のうち、十一庁は一人庁でございまして、二庁が二人庁でございます。したがって、十三庁で十五名になりますが、その十五名のうち統合の受け入れ庁へそのまま入りました者が八名、それからそれ以外の庁へ配置された者が七名と、こういうことになっています。
  153. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 それ以外という七名の職員というのは、大分県の中ですか。
  154. 藤井正雄

    説明員(藤井正雄君) さようでございます。
  155. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 そうすると結果的には、統合される前と統合した後と、今日も、職員の数は変わらないと、大分県の中の総枠では。そういうことですね。
  156. 藤井正雄

    説明員(藤井正雄君) そうでございます。
  157. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 これから大分県で五庁統合されるわけなんですが、まあこれはあくまでも計画ですが、計画路線に挙がっておるのですが、大分県の事情いろいろあるようでございますが、いま私が聞き及ぶところによると、佐賀関町ですね、佐賀関の登記所、明治二年に開設されたこの佐賀関の登記所、これが大分の鶴崎に移るという問題ですね。これは二十キロ以上も距離はあると思うんですが、これを将来鶴崎に移す予定ですが、佐賀関町では新産都市法に基づく臨海工業地帯で、八号地の後背地で、これから非常に大きな土地が動くという問題も起こってきますし、あるいは九重、玖珠の問題でも、補助整備事業の問題とかありましょうし、また竹田市に計画されておる直入郡の久住町と、それから直入町と大野郡の大野町を竹田市に移すというような計画があるようでございますが、大変な遠隔地からこの竹田の統合された登記所に来るんですが、しかし、その人員につきましては恐らくまた同じじゃないかと思うんですね。また、一万佐賀関の方は人の数をふやさなければ恐らく対応できないんじゃないかというふうにも私は思うんです。  そして反面、その自治体の住民の皆さん方、マイカーを持っている人はいいんですが、マイカーはない、バスの便はきわめて悪い、いわゆる弱者と言ったら大変申しわけないんですが、特に弱い立場にある、こういう方々にとっては一日がかりになってしまうということも考えられますし、また行政の事務執行の上から見ても、いままでは役場の隣接にある、あるいは同じ敷地の中にあるとか非常に便利がよかったんですが、こんなことを考えますと、住民の皆さん方、これは農協にしてもそう、あるいは商工会にしてもそう、町村議会にしてもそう、町村長にしてもそう、青年会議所とか婦人会とかあらゆる団体が特別な決議みたいなことをして、何としてもでも移さないでくれと、こう言っているわけなんですね。移してみたところで、その職員の数はもとどおりか、あるいはふやさざるを得ないという状況さえ見込まれる。  ですから、私は、これから残っておる百庁というのは、明治時代から続いてきたその地域社会における農村山村漁村におけるところの、まあ明治のロマンをそのまま秘めてきたその登記所を、たった一つの国の町村における出先機関を、あえてここで統廃合せぬでも、残りの分についてはいいんじゃないかなと、そういう感じがするんです。いま行政改革のいわゆる鉄槌みたいなものがありますけれども、私はこの嵐の中で大平総理のおっしゃる田園都市構想とか、家庭基盤の充実とか、農村山村漁村を大切にしていくというような新しい地方の時代におけるこの象徴とも言うべき登記所については、私は一律に統廃合をしなければならないということにはならないんじゃないかなと思うわけでございまして、この百についての再考慮をお願い申し上げたいと思うんです。  これについては行管の答弁をお願いいたしますし、また私は特に自治大臣から、自治サイドから法務大臣に、そして行政管理庁長官に強くこのことを要請していただきまして、何とかこのような事情でございますから、この百庁についてはこのままとどめていただきたいと、このようにお願い申し上げておきます。よろしくどうぞお願いします。
  158. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) お答えいたします。  現下の厳しい内外の諸情勢にかんがみまして、行政の簡素、効率化の一層の推進を図りますことはきわめて重大な課題であるというふうにわれわれは考えております。したがいまして、現在問題になっております地方法務局等の出張所も含めまして、地方支分部局等につきましては、その設置当時におきましては必要なものでありましても、その後の社会経済情勢等によりまして再検討を要するようなものにつきましては、やはり積極的に検討していかざるを得ないというふうにわれわれとしては考えておるわけでございます。  ただ、先生御指摘のとおり、登記所の問題につきましては、非常に歴史的沿革等も持っておりますし、地域におけるいろいろの問題もございますので、それは一律というわけにはまいらないというふうにわれわれも考えております。先ほど法務省の第一課長からも答弁なされましたけれども、われわれとしては、やはり行政改革とそれから登記所の適正配置と、それから地元における住民の利便というような三つの、それぞれ相反する場合もありますしあるいは共通の場合もあろうかと思いますが、そういう三つの中において何とか調和させつつやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  で、先生御質問の今後の予定でございますけれども、御承知のとおり、現在十二月中旬を目途にいたしまして、行政改革計画をつくろうといたしております。で、その柱は一応十一月の二十八日に行政改革本部で決定を見たわけでございますが、一つは特殊法人の整理合理化、二つ目は地方支分部局等の行政機構の整理合理化、三つ目が補助金の整理、四つ目が許認可事項の整理という、大ざっぱに申し上げまして四つの柱を決めておりまして、それらの内容につきまして現在鋭意各機関等と調整を図っているところでございます。先生御指摘の、地方法務局等の出張所につきましても、その中の一環として検討いたしてまいりたいというふうに考えておりますが、われわれ、先ほど言いましたように、従来からやっておるものにつきましては今後ともできれば継続していきたい。ただ、もとよりいろいろ沿革等もございますし、非常にむずかしい問題もございますので、そういうことにつきましては地元との調整を十分図った上でやっていきたいというふうに考えております。
  159. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 少なくとも見直しの対象になるということですね。これはよろしいですね
  160. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) お答えいたします。  見直しの対象と申しますか、先ほど法務省の一課長から申し上げましたとおり、従来からやっておりますのがまだ幾つか、数庁残っております。したがいまして、少なくともそれにつきましては従来どおりやっていきたいということでございます。
  161. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 従来どおりやっていきたいという願望はよくわかるんですが、ただいま申し上げましたように、これにつきましては行管サイドでも、後ほど自治大臣から確たる申し込みがあると思いますから、ぜひこれについてはひとつ見直しをしていただきたいと思います。  大臣、ひとつ答弁をお願いします。
  162. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 登記所の統廃合について、かねがねいろんな問題があることは私も重々承知をしております。ただ、国の基本の行政改革の方針というものは、昨今の世論の状況等を受けまして、この際行政改革を思い切ってやろうということで進めておるわけでございまして、先ほど行管からお話しのようなことが基本の考え方だと思います。  ただ、何といいますか、行政改革というのはやはり簡素、効率化、これが一つですけれども、それはやはり政府なりあるいは地方団体なりの立場に立っての簡素、効率化だけでは不十分だと。やはり何といいましても住民、国民サイドに立ってなるほど簡素、効率化であるということでなければならぬと思います。そういう立場から、法務省の機構いろいろあると思いますが、法務省としてはこれがたった一つ住民サービスの機関なんですね。そういうようなことからいろんな御意見もあり、およそ行政改革というのはなかなか各論に入りますといろんな御意見があることもよくわかります。したがいまして、衛藤さんのいまおっしゃいました意見はやはり住民サイドに立って物を考えろと、こういう御意見だと私は拝聴するのです。そういう意味合いから、行管の方には私の方からも御意見をお伝えをしておきたい、かように考えます。
  163. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 法務大臣の方にもひとつ。どちらにも。
  164. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 承知いたしました。
  165. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 ありがとうございました。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 自治大臣兼国家公安委員長に対して、きょうは三点について質問をしたいと思いますが、まず第一点は、国家公安委員長に御就任をなさった後藤田さんの政治姿勢といいますか、政治倫理観といいますか、この問題についてお尋ねをしたいと思います。  国家公安委員長をお引き受けになってから、当国会で、あるいは国会前にも、新聞記者諸君なんかを含めまして、しばしば問題にされておりましてよく御承知だと思いますが、私もこの点は歴代の国家公安委員長の名誉の問題、それからこれからの国家公安委員会制度自身の問題とも関連をして重要だと思いますからあえてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、警察庁にお尋ねしますが、四十九年七月七日施行の参議院選挙、それから五十一年十二月五日施行の衆議院選挙、それから五十四年十月七日施行の衆議院選挙、この三つの選挙で、後藤田正晴派の選挙違反の事件、容疑別に、それぞれ逮捕の人員数、それからそのうち送検数ですね、検察庁の送った数、それが何名というのを御報告いただきたいと思うのです。  ついでにちょっと申し上げておきますがね、こんなものは別にどうということないのです。数字を集めたらいいだけでしょう。ところが、その資料の提出を何ぼ求めても、警察庁は委員会でないと、その答弁まで明らかにしない。これはひとつ国家公安委員長としてよく認識をしてもらいたい。ほかの省庁は全部出しますよ。法務省はちゃんと出してきているのです。それぐらいの数字は。この点だけつけ加えておきます。  それでは答弁を求めます。
  167. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 昭和四十九年の参議院議員通常選挙の際の違反の状況は、買収、供応百五十七件、二百七十名。うち逮捕者二十六名。この内訳は、買収で百四十二名、供応で百二十八名となっております。なお、文書違反が三件、三名、うち逮捕二名。合計百六十件、二百七十三名。うち逮捕者二十八名でございます。  昭和五十一年の衆議院議員総選挙の際の検挙状況は、買収、供応四十八件、四十四名。うち逮捕者八名。その内訳は、買収が三十三名、供応が十一名、それから戸別訪問が二件、一名。合計で五十件、四十五名。うち逮捕者八名でございます。  昭和五十四年の衆議院議員総選挙の際の検挙状況は、買収が十七件、十六名。うち逮捕者六名、こういうことになっております。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 検察庁へ送った数ですか。
  169. 中平和水

    政府委員(中平和水君) それが送検数でございます。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 当時、特に参議院選挙の場合、糸山英太郎派の選挙違反に次ぐ大量逮捕事件というて評判になった件でありますけれども、このときには後藤田さんは、こういう事件を支持者の皆さんが起こされた、惹起された——まさか後藤田さん自身がそのことを指揮をしたり、あるいは知っておって、あるいは黙認をされておったということではないと思いますけれども、こういう買収、供応の事件、これについてはどういう感想をお持ちだったわけですか。
  171. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) しばしばお答え申しておりますように、これは私自身もちろん知らないわけでございます。しかしながら、しょせんはこれは候補者が責任を負うべき事件だと私は思います。それだけに厳しい自己反省を加えておるわけでございます。  何といいましても、先ほども申しましたように、最大の失敗はあの参議院選挙であったと思います。私は落選したのでございます。で、自分の経験から申しましても、選挙をやる者の身にとって一番厳しいのはこれは落選ということだと思いますが、私自身はそうではありませんでした。私は落選以上のつらさといいますか、苦しさといいますか、それはやはり自分の選挙に関して多数の選挙違反を出したというこの事実でございます。それだけに、こういったことについては——また五十一年も五十四年も出ているでないかという御批判は、当然これは甘受しなければなりません。なりませんが、私はこの参議院選挙の経験というものは私の人生にとっては非常な試練でもあり、同時にまたこういった事柄についての厳しい反省の上に立って政治生活をやらなきゃならぬということだけは肝に銘じておるつもりでございます。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 後藤田さんは、四十四年の八月から四十七年の六月まで警察庁の長官として、日本の警察全体を指揮をしてこられたその責任者である。この間、選挙に当たっては選挙違反の取り締まりについて厳正な態度をもって臨んでこられたと思います。その後藤田さんが一転して今度は自派の運動員の中から選挙違反者を大量に出したわけですから、これは御本人おっしゃるように選挙に落選をしたということ以上に大きいショックだったと思うのです。  そこで、先ほどのお話の中に、したがってその点は候補者自身の責任が問われなきやならぬというふうにおっしゃっています。当時の新聞をずっと見てみますと、そういう大量の選挙違反者を出した、その中には元警察署長さんだった人も含まれているというようなこともあって、警察庁長官もやられた後藤田さんならば、しかも犯罪行為は選挙違反としては最も悪質な買収、供応ですから、これは日本の選挙制度を汚す最大の犯罪でもあるわけで、そういう事件を引き起こしたことに対してみずから責任を感じておられるとすれば、もうこれで政界から身を引いて、再びそういうことはおやりにならないのではないかという報道もされておったのも二、三見かけました。ところが、その点について、一方では責任をお感じになりながら、二年後の次の五十一年の衆議院選挙に立候補されました。このときはみごとに第二位で当選をなさいましたが、やっぱり買収、供応事件による逮捕者を出している。この辺は一体どういうように責任を感ずるということ、あるいは責任をとるということをお考えになっているんでしょうか。お伺いをしたいと思います。
  173. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 率直に申しまして、実は四十九年の選挙といいますのは、時間の余裕のなかったせいもございますが、私自身、警察という立場で選挙を実は裏からは見ておるわけでございます。しかしながら、現実の選挙というものとわれわれが見ておる選挙の実態というのは、相当違っておるなというのが私の率直な感じでございました。同時にまた、私自身、そういった関係で、あの選挙はおみこしに乗った選挙でございまして、どこでだれが何をやっているのかさっぱりわからないというのが実情でございます。ただいま御質問の中に、元署長がおったと、こういうことでございますが、これはおったことは事実でございます。ところが、この方も、実は政治的な系列からいいますと他の陣営の方でございましてね、私自身は面識のない方であったわけでございます。  そういったようなぶざまな選挙であったわけで、ああいった大量の違反が出て、これは本当に申しわけない次第でございますが、ならば一体その責任はどうだと、こういうことでございますが、人間お互いに出処進退、右するか左するか、いろいろこれは複雑な経過を経て、悩み抜くものでございます。そういった、悩み抜いたあげくの果てに、いま一度やはり私自身としては政治の場でこういった汚名をそそぎたいというような考えのもとに実は再度衆議院選に立候補した、そして今日に至った、かような次第でございます。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 七四年の九月三日、七四年の七月七日にいわゆる参議院選が施行されて、その後の九月の三日に、朝日新聞では、あなたは、「こんど(選挙に)出るとしたら(違反は)出しません。」と明言をされておられます。ところが選挙にお出になって五十一年の選挙をやられた。それでやっぱり買収、供応の違反者を出している。一回目の参議院選挙はおみこしであってわからなかった。今度は、二回目はもうそういう点では、はっきり買収、供応なんかの汚ない選挙はやらないと、またどのような支持者に対してもそういうことはやらせないということを恐らく心に誓って選挙に臨まれたと思うんだけれども、やっぱり出てきた。それからさらに先般の五十四年十月七日の選挙でも同じように出てきた。これはどういうことでしょうね。  それでも、だんだん逮捕される件数が減ってきたから、私の意思が通り出したので、この次はもうゼロにしますという、そういう責任のとり方ですか。問題は、責任のとり方というのはそういう責任のとり方でいいんでしょうか。一回目はおみこしでようけ出た。二回目は責任を感じて徹底をした、しかしそれでも出た。三回目も出た。ただ人数は、逮捕者の人員は減ってきた。次のときはゼロになりますからと。そういう形で責任をとるという、そういう意味ですか。責任をとる内容を私はもう少しはっきりしてもらいたいと思います。
  175. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) だれしも選挙に出る者としまして、自分の陣営に対しましては選挙違反を出さないようにということで十分な注意をしてもらいながら選挙はやるわけでございます。しかしながら、今日の選挙の実態、まことに申しわけないんですが、四十九年の反省の上に立ちながらやったにもかかわりませず、再度こういった結果になったわけでございまして、その点について私は深くおわびを申し上げる以外申し上げる言葉はありません。これ以上どうなんだと、こう言われましても、なかなかこれはお答えのしようがありません。それを踏まえながら、今後の選挙についてはもちろんのこと、同時に自分の公の人間としての場における仕事についても、そういった厳しい反省の上に立って今後身を処していきますと、こうお答えする以外実は言葉がないのでございます。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 運動員の方で逮捕された方々に対してはどういう感情をお持ちですか。
  177. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これはまさに私の選挙のために犠牲になられた方だという私自身は感じを持っています。それだけに、こういった方々はもちろんのこと、家族の方にも本当に申しわけないという感じを抱いておるのが率直な私の気持ちでございます。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 一面は私はそうだと思うんですね。あなたを支持をして一生懸命当選をさせるために運動をされた、その方が逮捕されるという事態になった。しかし、逮捕された中身は買収、供応でしょう。民主的な選挙を最も害する犯罪行為でしょう。そして逮捕された方々は、買収、供応することが犯罪行為になると、選挙を汚すものだということを全く知らない方がなさったんですか。そういう方ばかりではないでしょう。知っておりながら、当選をさせるためには買収もやらないかぬ、供応もやらないかぬということで、そこまでやらないと選挙には勝てないというようにお考えになってやられたわけじゃないですか。そういう買収したり、あるいは供応したりするのが全く犯罪行為にならないと、選挙には金で買収しても供応してもいいんだというようにお考えになってそういう事件を起こされたということですか。  一面では、あなたに対する個人的な関係であなたを当選させるために運動されたんですから、それで交通事故に遭ったとか事故に遭ったというのは、それはお気の毒、わかりますよ。その事故の内容が問題です。そんなひどいことをして日本の政治を汚してもらっては困る。そういう人々によって支えられて仮に勝利をして国会に送ってもらっても、それでは日本の民主主義の土台である選挙を破壊するものだ。仮に当選しても私は辞退する。そうして民主主義の土台である選挙の公正を断固として守る。それが警察庁長官としてやってきたその経歴からいっても当然の立場ではないか。そうじゃないですか。そこの政治倫理観ですよ。当選さえすればいい、「一将功成って万骨枯る」と。その人々にはお気の毒や、だからそれはいろいろなそれなりのことをなさるんでしょうけれども、そのことは結局悪を伸ばすことでしょう。選挙を汚れさすことを認めることでしょう。もっとうまいことをやれというだけじゃないですか、警察につかまらぬように。同じことじゃないですか。  私も選挙を二回やりましたよ。買収、供応の違反者は一人も出しませんよ。やれるんですよ、金なんか使わなくたって。この事件で、たとえば参議院選挙で一体どれだけの金が買収に使われているんですか。供応に使われているんですか。そんなことやって、まあ落選したけれども、今度は当選して、しかしたくさんの逮捕者が出た。がんばってくれはってありがとうございました、おかげさんで当選させてもらいましたが、犠牲になっていただきましてお気の毒です。私はそのためにあなた方お金使った分ぐらいはちゃんとお返ししますから、がんばりますよと。これだったらますます賄賂性を持った金の使い方になるでしょう。  一体、日本の民主主義を支える選挙について、警察庁長官をなさった方がどういう認識をお持ちなんですか。そこのところが私は最大の問題だと思うんですがね。いかがですか。
  179. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) もちろん、選挙違反を犯した方の行為の内容それ自身を私は認めているわけではありません。これはやはり選挙を汚すものでありますから、そういうことは私自身容認するわけにいけないのでございます。しかしながら、私がこの立場で、ともかく私の選挙のために、運動のために違反に問われたわけでございますから、こういう場においては、そういった方にまことにお気の毒な立場に立たせてしまったと、申しわけなかったと、こう言っておるわけでございまして、行為の内容を私自身が容認しているわけではありません。それだけに、こういうことは将来ともにこれはないようにやらなきゃならないと、これはもう当然のことでございまして、そう考えているわけでございます。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 やっぱりそこが問題ですよ。応援をして一生懸命やってくれはった、ちょうどたまたま交通事故に遭ったように逮捕されるという不幸なことになって犠牲になってもらいました、本当にお気の毒です。しかし、その行為は決して是認したわけじゃない。それはごまかしなんですよ。そういう行為を絶対にしてもらったら困ると思っていらっしゃるならば、そういう立場ならば、私は、これからもうそういう行為が続く限り、仮に当選をしても、その場合には必ず私は議員を辞退をいたします。だから絶対にそういうことをしてもらっては困ると。事実、やられたその後の五十一年の十二月五日にまた同じような事件が起こっているんですから、そこではっきり身を処したらいい。そうして初めて、あの地域で激烈な戦いをやって買収、供応をやられているわけですから、そういう風潮を正すこともできるんですよ。みずからそういう立場に立たなくて、どうして公正な選挙を進めることができますか。  自治省は明るい選挙を進める運動をずっとやっているわけですよ、予算を使って。買収や供応をやったらいかぬという宣伝をじゃんじゃんやっているわけでしょう。その自治大臣にあなたなって選挙部を指導するわけですけれどもね。私は大変だと思うんですよ。しかも、今度三回目も同じように買収、供応で違反者が出る。そして、国家公安委員長の就任を大平総理から言われて、そうして快諾なさった。まあみずから反省をして、そして厳正にやっていくとおっしゃるが、私は、厳正にやれる保証はない。厳正にやるという立場なら、五十一年のとき五十四年のときのことをはっきりしなさい。あるいは国家公安委員長の就任を言われても、自治大臣は引き受けるけれどもこれは困る。国民がこのことを受けとめてくれないだろうと、はっきりそういう立場をとって初めて、確かに厳正な人だ、そういう立場をみずからは維持したいと努力をなさっているということは言えるでしょう。そのまま公安委員長をお引き受けになる、そうして反省をして、そういう経験を——買収事犯を起こすような経験をたくさん積んでおられるのですから、買収が起こらぬような選挙を進めると、そういうことが経験者だからより豊かだといえば言えるかもしれませんけれどもね。しかし、国家公安委員長が選挙の公正を土台から崩すようなそういう事犯を相次いで出しながらも就任をされるということは、私は非常に怒りを感ずるのですね。  いまからでも私は遅くないと思うんですが、国家公安委員長をみずから御辞退をなさったらどうか。そのことが国家公安委員会の制度をより厳正にし、そして日本の警察官すべてがそのことにさらにみずからの身をふるい立たせて、国民の信にこたえる、そういう道に進むだろう。そういう厳しさこそいま日本の選挙制度をより公正にする上でも、また警察行政をより国民の信頼を得る警察行政にするためにも求められているのじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  181. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 神谷さんのまことに厳しい御批判、これに対し私は申し開きとか言いわけとか、そういうようなことを申し上げることはできません。率直に神谷さんの御意見は腹におさめて今後処していきたいと、かように考えております。
  182. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは後藤田さん自身がお決めになることですから、私はそういう意見を率直に申し上げておきたいと思います。  それでは、第二の問題に移ります。次は、先ほども同僚議員が尋ねておりましたが、地方財政の見通しの問題です。  先ほどの御答弁を聞いておりますと、来年度の地方財政の見通し、全く何というか、五里霧中の感じがするんですね。もう年内に予算編成を完了するとか言われておりますが、今日の段階でまだ五里霧中。確かに税制はどうなるかとか、あるいは歳出節減がどうなっていくのか、いろんな問題が絡んでいることはわかります。しかし、もうちょっと自治省としては来年度の地方財政の財源の見通しとその対策についての基本的な考え方というものを持たないと、あなた任せで一体行っていいのか。まず国の財政が決まらぬと地方財政はどうにもならぬので、まずそっちが先に決まらぬと、ということで、まさに国任せでしょう。先ほどの話じゃありませんが、自治省の立場から言えば、地方自治を確立する、それに必要な財源をどう確保するか。そのためには来年度の予算編成に当たってどれだけの財源を要求する、その財源の中身としてはこれだけのものをどうしても必要とするというものを持たなきゃならぬのじゃないですか。その辺についてひとつ大臣自身の御見解、あるいは財政局長の見解、事務当局の見解ですね、それぞれをお聞きをしたいというように思うんです。
  183. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) もう来年度の予算編成時期に入っておるわけでございますから、お話のようにいろいろな角度から対策を検討しておかなければならないことは当然でございまして、私どもも内部的にはいろいろな資料等をもとに検討はしておるわけでございます。ただ、何分にも、具体的にそれではこういう程度の財源不足になるとかどうとかというようなことを申し上げるには、先ほども申し上げましたとおり、いろいろな不確定要素が多いということでございます。そういうことで、率直に申し上げまして来年度税収の伸びとか交付税の伸びとか、そういったこと等で直ちに収支のギャップが埋まるとは思ってないわけでございます。  したがいまして、何らかの財源手当てが要るだろうと思っております。ただそれがどうなるのか、実際経済の見通しというものが不明確な段階においてどういった税収見込みになるのか、そこも不明でございますし、それから国の方ではある程度のマクロ的な形でフレームを示して財政の厳しさというのを訴えておるわけでございますが、そういった点から私どもとしてはある程度の予測はできるわけでございます。ただ、全般として地方財政の中で——国税とは地方税はやや事情が異なるので、推測がしにくい。また、推測するには若干現段階において資料も不足であるということ等もございまして、的確な見通しができない。それにまた、率直に申し上げまして、やはり国の予算が決まりませんと、それに対応する地方の歳出というものも組みにくいわけでございます。  公共事業一つをとってもそれがどういうことになるのか、先ほども申し上げましたが、各省の概算要求だけで直ちにこうだということも決めかねるわけでございます。それに対応する単独事業をどうするのか等いろいろな問題があるわけでございますので、歳出についてもなかなか十分な詰めができかねるということでございます。そういう点で、全般としての財源の不足がどういう状況になるかということは見込みにくい。ただ、まあこれまた私の個人の勘でございますけれども、ことしの四兆一千億という財源不足よりは少なくなるだろうということは申し上げたわけでございますけれども、そこらの財源不足の幅等によりまして、具体的にどういった手段を講じていったらいいかということも、いろいろな角度から検討しなければならないわけでございます。  そういった意味で、現段階では申し上げにくいけれども財政運営に支障がないような状況に持っていくようにいろんな手段を、交付税率の引き上げといった問題等も含めて、その財源不足の状況等を踏まえた上で検討すると。しかも、その時期はもうかなり迫っておりますので、できるだけ早く、国の状況等が整理される段階において、かねがね議論を進めながら対応できるように検討していきたいと、こう思っておるわけでございます。
  184. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣にはちょっと後で。もう一つで済みますから。  それじゃ、こういう点はいかがですか。地方交付税法の六条に規定をする行財政改革、来年度はこれを具体的に実施を目指して要求する、そういうことになるのか、あるいは従来どおり交付税会計の繰り入れと地方債で処理をすると、財源対策ですね、そういう方途になってしまうのか。自治省としてはどういうようにお考えになって決意されておるのか。この辺はいかがですか。
  185. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 御指摘の、地方交付税法の六条の三の二項の規定がございますが、これに該当するかどうかということももう少し詰めてみなければ結論は出ないわけでございますが、やはりあそこに該当するような、六条の三の二項に該当するような事態が仮に出るというようなことになりますれば、当然それに対応して何らかの措置をとらなきやならぬということになろうかと思うのでございます。  まあ従来は御承知のような形で、交付税特別会計における借り入れ、そしてその二分の一を国庫が持つといったような形で処理をしてきたわけでございます。今後どういった程度の不足額が出るのかということにつきましてはまだ明確でございませんので、その状況を見ながら、あそこでございますような交付税率の引き上げという形で対処するのか、あるいはそれ以外の手段でいくのか、当分の間地方交付税が不足する場合の借り入れについては純増の二分の一を国庫が持つというような附則八条の三の規定等もございますが、そういったいろいろな方法を幅広く頭に置いて適確な、その時点においていろんな予見の中で最も妥当な方法を考えていかなきゃならぬと思っておるわけでございまして、いま現在どの方法でどうということを明確に申し上げる段階ではないわけでございます。御理解願いたいと存じます。
  186. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、大臣にお伺いしますがね、五十年度来地方財政のきわめて深刻な危機の状態がずっと今日まで続いているわけですね。当初からもうわれわれは、いまの交付税法の六条の三の二項ですか、あの規定が、一応三年間それが続いた場合にそういう交付税率の引き上げを初め行財政制度の改革をやると、こうなっておりますね。しかし、これは単年度——五十年度なら五十年度一年でこの状態が終わるものではないと、きわめて深刻な状況で長期にわたるだろう。しかも、この当地方行政委員会でもそういう事態になる前から行財政制度の改革の問題というのは議論になっているし、地方制度調査会の答申は毎回そういうことを指摘をしているわけですから、だからこの機会にこそ勇断をもって自治省自身も調査もし、そして行財政改革の方向というものを明らかにする必要があるということをずっと指摘をしてきたわけです。そうしてずっときているんですよね。  そして、そのたびに結局問題になるのは、国が来年度も財政困難やと、どうするのかわからぬと言うて、最終的には予算編成の段階でいろいろな、特別会計への繰り入れなり地方債で充当するとか、財源対策債の発行とか、そういうことでこう薬張りをしながら、しかもわれわれから言うなれば交付税法違反という、そういう措置で糊塗してきているんですよ。で、いままさにまた来年度予算で同じような状況を繰り返したのでは、これは今度の——ども委員会からの調査で府県なり市町村回らしてもらったり、また独自にいろいろ首長さんのいろんな御意見を聞きますとね、一番困るのは、来年の地方財政、財源がどうなるのか、実際さっぱりわからぬわけですね。だから、一定の見通しがずっと立つと、三カ年計画なり五カ年計画なりいろんなものを自治体自身でその財源を考えながら進めることが可能になる。ところが毎年どうなるかわからぬ。そして借金がふくらんで、その償還がそれだけまたふえてきますから、そういった問題についての見通しが立たないというところから非常な不満が出ているわけですよ。  ですからこれは私は、今度の、国の財政の立て直し、財政再建の第一年度とするとおっしゃっているんだけれども、地方財政についても、その行政、財政制度、両面を踏まえて根本的な改革の展望を持ったその第一年度として来年度予算の編成に自治大臣としては臨んでもらいたい、臨む必要があるだろうと。その点での自治大臣の構想なり決意というものをこの際伺っておきたいというふうに思うんです。
  187. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 神谷さんの御意見は、従来から地方行政を担当しておる者の立場として、そういう御議論がずっと出ていること、これは私もよくわかっております。しかし、何といいますか、現在の国、地方の全体の予算といいますか、財政といいますか、それの仕組みが、国の一応の規模といいますか、そういうものが決まらぬことには、なかなか地方の見通しが立ちにくいという仕組みになっていますね。  たとえて言いますれば、歳入の方一つ考えましても、これは経済の見通しそれ自身が立たなきゃもちろん国も立つわけありませんけれども、経済の見通しは一応立ったと仮定しましても、それに基づいて法人税の収入がどれぐらいになるかというのが、国の方の見通しが立ちませんと御案内のように事業税の見通しが立たない。まあ、これは一例でございますね。あるいはまた、歳出の方について見ますというと、先ほど土屋君がお答えしたように、国全体の公共事業その他の補助事業がどの程度計上になるのかということが決まらぬことには地方の負担分が決まらない。それらが決まらなければ勢い地方の単独事業がどの程度になるのかという正確な見通しも立たないと。こういった全体の仕組みの問題だと。  しかし、おっしゃるように、いままでのような、まあいわばこれこう薬張りでございます。率直に言って。しかし、それをやらなければならないという事態は、やっぱりいつまでも置いておくべき筋合いのものでないことは、私はこれは当然だろうと思うんですが、何といいましても五十年以降、石油ショック以来の日本の経済そのものの変動が非常に激しいわけですね。そこで、国も赤字であれば地方も財政に苦しむと、そういったときに、国税三税の三二%を三八%にしろあるいは四〇%にしろと、これは意見はよくわかるんです。またわれわれもそれを主張しなければならぬと思います。しかしながら、予算編成の全体の仕組みの中で、最後の段階になりますと、今日まで交付税特会に対する借り入れであるとか、あるいはまた臨特で処理をするとか、あるいは財源対策債で処理をするとか、とにもかくにも地方団体の財源不足だけは何とかしてこれは解消をしよう。しかしそれでは例の六条の問題等があるではないかといったようなことで、そのうちの交付税特会借り入れの二分の一は国で負担するというのをこれは立法で制度として認めさそうではないかといったようなことで今日まできておるのが私は実情であろうと思います。  しかし、おっしゃるように、こういう点については、今日行財政制度の改革といったような問題もございますから、そういう点を踏まえながら、自治省としてはあくまでも地方自治の立場に立って、その主張は十分主張として大蔵当局、財政当局にも申し入れはしなきゃならぬと、かように考えておるのですが、さて結果がどうなるかということになりますと、これはなかなか今日の財政状況から見まして、また経済の見通しの問題もありましょう、一挙にいま根本改革まで踏み入ることができるかということになると、これはここで、それは必ずやりますというお約束までは——これは私は率直に申し上げないといけませんので言いますが、なかなか容易ならざる事業であるというふうに私自身は考えております。
  188. 神谷信之助

    神谷信之助君 まあこれ以上言ってもなかなかそれ以上のお答えはできぬだろうとは思いますが、しかし自治体の側から言うと、また来年の予算編成で結局こう薬張りで押し切られるのかと、せっかく勢い込んで自治大臣に就任をされたけれども、やっぱりあきまへんなという感じが率直にしますね。これは大平内閣の政治の基本方針そのものの問題ですから、ここで議論をしても尽きないと思いますが、いずれにしても、自治体が必要とする財源を、少なくとも借金をさらに追加をさせるということで穴埋めをするということだけは避けてもらいたい。これはもう特に六十年以降になってきますと、いままで借りたやつの借金の元利償還が重なってきますから、大変なことになってくるだろうというように思いますから、その点は一つ申し上げておきたいと思います。  最後に、もう一つの問題は、有料の高速道路、これの課税の問題なんです。この問題を扱ってきた自治省、建設省、道路公団ですか、関係者間で委員会をつくって検討されてきたんですが、これについて一体どういう段階でどういう結論になっているか、まず簡単に報告してもらいたいと思います。
  189. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 御指摘の、高速道路の固定資産税の課税問題につきましては、関係者の意見が対立いたしまして、その問題の解決のために有料道路負担問題検討委員会というものが設けられ、学識経験者を中心としてこの問題についての検討が一年以上にわたって行われ、ことしの七月十日にレポートが発表されております。  この報告書の趣旨は、御案内のように、高速道路につきまして固定資産税を課税できるかできないか、すべきかすべきでないか、こういった問題についてはなかなか答えが出しにくい。しかし、高速道路が通過する地域の自治体においていろんな意味の財政需要が発生していることは事実であると。そこでこの問題については、何といいましょうか、課税の問題に正面から答えを出すということをこの委員会は避けまして、具体的な財政措置で問題の解決をすることが適当だと。こういうことを述べております。で、従来からも講じております施策としての救急業務あるいは消防業務、これらについての財政措置強化する、あるいは高速自動車国道の関連道路整備でありますとか、関連各種の公共施設整備、こういったものをさらに積極的に進めるべきだと、こういうことを述べております。それとはまた別に、いわば固定資産税の課税問題にある程度答える形で、高速自動車国道の通過市町村に対する助成金制度を設けてはどうかという提案をしております。この助成金は、高速道路の通過に伴って生じます各種の財政需要にこたえる意味で、具体的にどういう施設をつくるかについては関係自治体の選択を認めると。具体的には、たとえば交通安全施設でありますとか小規模な道路とか児童遊園施設とか集会所とか用排水施設とか、こういった各種の施設について、関係団体が選択して使えるような助成金を交付することが適当であると、こういう報告書が出されたわけであります。  この報告を受けまして、私どもも入り、関係省で、この通過地域市町村の具体の財政需要を調査し、この制度になじむ内容の事業が具体的にどれだけあるかということを精査した結果、日本道路公団関係だけで今後十年間に実施することが必要と考えられる事業費が三百億円ほどある。それから、また同時に首都高速道路公団あるいは阪神高速道路公団の関係地域についても同様の問題があるということで、事業費を見積もりまして、首都高速道路公団と阪神高速道路公団を含めて全部でおおむね四百五十億程度の事業費が十年間に必要であると予想されると、こういう調査結果が出たわけであります。  この結果を踏まえて、現在それぞれ関係省の方から五十五年度分として四十五億円余りの予算要求がなされております。私どもといたしましては、これは長い間の懸案でありますので、この要求額が満額確保されるように関係省にも、また予算当局にも要請しているというのが現状でございます。
  190. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、自治省としてはこの委員会の結論ですね、これでもう了承されたわけですか。
  191. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 関係省の意見がなかなか合わずに結論が出なかった結果、この検討委員会でひとつ検討してもらい、それによって問題を解決しようということできましたので、私どもはこの報告書の内容が完全に実現されるということが当面最も妥当な道ではないかと、いまこのように考えております。
  192. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはちょっと重大ですよ。当委員会でこの問題始めたのはまだ福田一さんが自治大臣のときですよね。そのときはだから十分時間がありましたから、有料道路が初期の時代の方法、それからいまのプール制に移行してからの方法、そういう時代もこの委員会で明らかにして、そして当時福田自治大臣はよく話はわかったと、それなら建設省と話をやろうということになって、それから以後当委員会で毎年この問題は議論になっていますよ。そうして、昨年度もそうですし、ことしも当委員会の附帯決議で、「地方道路整備状況にかんがみ、特に市町村道の道路目的財源の充実を図るとともに、昭和五十五年度から有料高速道路に対する固定資産税の課税、又はこれにかわる措置を講ずること。」と。だから、固定資産税あるいはそれにかわる措置というのは、国鉄なり専売なりやっている交付金、納付金ですね、ああいう方法を——まああれは固定資産税の大体半額ですけれどもね、しかし、少なくともそういう措置をとるべきだというのが衆参を通じて当委員会の大体合意になっているわけですね。だから、そういう決議を踏まえて、そしてこの春の五月二十二日の委員会でも土屋局長は、「五十五年度の予算要求までにはこの附帯決議の趣旨に沿った方向で解決をしたい」と。これは私だけではなしにほかの委員も質問して、そういう答弁をなさっているんです。  ところが、いまのこの答申は全然違うですよ。税金じゃないんです。あるいは、交納付金なら自主的に、自主財源として自由に使えますよ。ところがこれから十年間の間に道路公団については三百億円その財源を準備しますと、必要な事業をやりなさいと、そうしたらそれに少しだけれども、十年間三百億ですから一年間三十億でしょう。道路公団の有料高速道路というのはたくさんの市町村通っていますから、ここで防音壁つくる、ここにいまの集会所つくる、何をつくる、それについてちょびっとずつ——助成金ですからね、渡してやろうと。それで終わりですよ。これはもう使用目的が制限されているわけですから自主財源にならぬわけです。だから、当委員会が附帯決議で言っておる、「有料高速道路に対する固定資産税の課税、又はこれにかわる措置」というのとはもう似ても似つかぬ別の措置なんです。すでに現在有料高速道路が走っている、そのために音がやかましいということで、防音壁つくったりあるいは雨水処理の施設をやらしたり、道路公団に要求してやらしてますよ。いままでやっていることを、今度は固定資産税のかわりに十年間三百億という財源を、そういうものを今度ははっきりさしてつけてもらうというだけの話で、全く趣旨が違いますよ。  だから、この間も指定都市の協議会の皆さんともこの話しておったら、それはもう私らの要求しているのとは全然別の話で、これはもらいますと、必要なんだから。高速道路を走って、いろんなその周辺の地域の皆さんに迷惑をかけているのだから、それは必要な施設はつくってもらう。それと話は違うんだ。固定資産税を本来出すべきなんだ。有料で、金を取っている限りは。特定の者しか使用させないんですから。もう金は取らない、無料になりましたというたらこれは一般道路になりますから、これは課税対象外になるでしょう。初め有料高速道路ができたときは、名神なら名神が有料道路であっても、初めの費用が回収できれば、そうしたらもう無料にするという話だったんだけれども全国の有料道路プールしたでしょう、道路公団は。いつまでたっても続くわけです。どんどんどんどん。道路をつくっている限りは。それではまさに有料道路の永久化であって、恒久化していくので、国鉄と同じじゃないか。それじゃ国鉄並みに交納付金出してあたりまえじゃないかというのが市町村から起こるのはあたりまえなんです。だから、そのことを当委員会でも議論して、そして毎年のようにこのことを問題にしながら、去年と続いてことしもこの問題について附帯決議があるわけです。だから、まさに国会の意思を無視をしたそういう内容で、自治省がわかりましたと言って了承をされるということは、私はちょっと許せないと思うんです。国会軽視もはなはだしい。何のために討議をしたのか。そして、附帯決議は全会一致で採択されて、自治大臣はその趣旨を実現をするために善処いたしますと言ってちゃんと答弁もして、そして終わっているんですからね。縁もゆかりもありませんよ。縁もゆかりもないことをやっているんじゃないですか。  これは、私はもう一遍、大臣新しいわけですからひとつ事情を聞いてもらったらいいと思いますが、少なくとも料金収入が取られている間はこれは一般道路と性格が違うわけですから、これははっきりしてもらう。公共性と言えば国鉄でもそうです。だから、そういう点ではもう国鉄の方が公共性高いですからね。公共的な大量輸送機関ですから。だから、そこでも交納付金として固定資産税の約半分はちゃんと市町村に、自治体側に出しているんですからね。まして有料道路について、このような全然縁もゆかりもない化け物が出てきて、もうそれで手打ちをするということは許されぬ。だから、ひとつこれは仕切り直しをすると、もう一遍やり直すと、附帯決議の趣旨に沿って。これはこれですからね。そういう周辺の市町村に対していろんな損害を与えているのだから、それに対する措置は、防音壁つくるとか、集会所つくるとか、救急体制についての援助をするとか、あるいは雨水の処理についてやるとかいろいろな問題ありますから、それは当然道路公団としてやらなきゃいかぬことでしょう。それを十年間三百億円、まずとりあえず少ないけれどもまあそれでいこうかと。これはこれで出発さしたらいい。後、必要あればさらに財源をふやしてもらう。ですから、税金の問題とは違うんですから。この辺、いかがですか、大臣。——いやいや、これは大臣や。あんたの方はもうあかんいうてバンザイしたんやから。
  193. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) いや、ちょっと。——国会の附帯決議の解釈の問題でございますが、「固定資産税の課税、又はこれにかわる措置」と、「これにかわる措置」の中にはこのような方向も含まれると私ども理解しているわけでございます。
  194. 神谷信之助

    神谷信之助君 あんた、そんなこと言ったらいかぬですよ。五月二十二日の答弁の中で、もう前に同僚議員がずっとやっていましたからね、私は、もうちゃんとやりますなということを確認しただけですけれども、前の同僚議員がやった質問に対しては、固定資産税そのものとはいかぬかもしらぬけれども、あるいは交納付金というような措置を含めまして委員会で検討いたしますと、そういう答弁ですよ。そんな、こんなものまで含めたような答弁というのは、いままでこの委員会での討議の中で一言も出ていませんからね。そんな、ペテンにかけたらいかぬ。大臣、いかがですか。
  195. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この問題は、いままで私が話を聞いておる範囲では、自治省としては、おっしゃるように固定資産税あるいはこれにかわる納付金制度ということで政府税調等の場でもずいぶん主張したもののようでございます。なかなか結論が出なくて、結局また関係省庁にお下げ渡しと、そこで関係省庁でもまた話がつかないといったようなことで、検討委員会ですか、そこでいろいろ議論をして、そのあげく、結局メニュー助成制度というようなことで検討委員会で結論が出たと、こういうことでございますね。  で、私どもの立場は、もちろんこの国会の附帯決議の実現に対して、これはもう最高度に尊重して実現の努力するのは当然でございます。ただ、関係省庁等の意見もあって、この際、この検討委員会の結論に従ってともかく、先ほど局長が言ったように、一番いいのはこれは固定資産税あるいは納付金になることですけれども、まあその他の措置ということで、通過市町村財政負担を軽くすることが、ペストではないかもしらぬがベターではないのか、こういうようなことで今日に至っているわけでございます。  ただ、神谷さんの御意見はよくわかりましたので、そこらはまた私自身の検討はさしていただきたいと思いますが、ここで、これは固定資産税あるいは納付金制度に必ず変えますと言うことは、いままでの長い経過がございますから、明確なお答えをすることだけはひとつ御勘弁を願いたいと、かように思います。
  196. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、だから、大臣の答弁でいいんですがね、問題は、やっぱり建設省や道路公団との話がありますから、もうこれで自治省はバンザイしましたということにしたらいかぬと。これはこれでひとつ中間的結論だけれども、根本問題残っておるんやからまたやろうぜというようにしておかぬと、あと大臣がいろいろな検討してもう一遍やり直そうかと言うたって、もうあれは話済んどるんだというようなことになるとこれは全く大変なことになると思うんですね。この辺はひとつ十分心得てやってもらう。  で、これ、自治省の中里さんですか、その経緯を書いておられるのを見ました。賛成意見、反対意見あります。しかし、私は、これをやれば有料の料金もっと高うせんならぬとかなんとか言っていますが、これこそもうナンセンスですよ。交納付金というのまで含めて私たちは議論していますからね。そうすると、これは必ずしも半額とはなっていないので、半額のところもあれば半額までいってないところもいろいろありますよ、固定資産税の評価の問題ですから。だからそういういろんなことはあるのでね、そんな問題はもう反論したって愚の骨頂やと。問題はやっぱり、永久的あるいは相当長期にわたってプール化されて、そして料金が取られる事態が続くわけですから、そういうのについては当然の措置として考える必要がある。だからプール化される前に、自治省が出している行政解釈、通達、それ自身は、われわれはまだ意見はありますけれども、それはそれで認めているんですよ。しかし、それとその当時の論拠から言えば今日は違うじゃないか、だから課税するのはあたりまえじゃないかと言ったら、そうだということになったわけだ、自治省自身も。それで問題を提起してきているわけですから、これはひとつ、これでわかりました、もうチョンですよということにしないで、この分は中間的到達点であって、根本問題はまだ未解決ということで話が続けられるように十分注意をしてもらって、その間に大臣の方でさらにその経緯を含めてまた検討してもらう。建設大臣なんかとも相談をしてもらうということをひとつお願いをしておいて私の質問を終わります。
  197. 前島英三郎

    前島英三郎君 身障者の問題を幾つかお尋ねいたしますが、統一地方選挙が終わり、さらに十月の衆議院選挙が終わりまして、不在者投票及びハンディキャップを持っている人たちの郵送による投票の実績、おわかりになりましたらまず御答弁いただきたいと思います。
  198. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 不在者投票それから郵便投票の実績について申し上げますと、ことしの四月に行われました統一地方選挙におきまして、まあほとんど全国的に行われたと思われます県議会議員選挙を例に取り上げてみますと、不在者投票の状況は、全国——これは統一選挙と申しましても、御承知のように東京都それから茨城県、沖繩、この三県は除かれておりますが、総数で百十二万八千人、利用率つまり投票者総数に対します割合が二・八五%となっておりまして、前回の統一選挙よりも約五千人、利用率で〇・五%増加しております。それから、去る十月七日に行われました総選挙におきましては、総数が約百七十一万人で、投票者総数に対する利用率が三・一四%となっておりまして、前回の総選挙よりも、つまり五十一年の総選挙よりも総数で約二十三万六千人、利用率で約〇・六%の増ということになっております。  それから、そのうちの郵便投票に関しましての実績でございますが、ことしの統一選挙、やはり同じく県議会議員選挙におきましての実績は、郵便投票の利用者数が一万四千二十五人、五十年の統一選挙と比べまして五百二十九人の増、パーセンテージで四%の増ということになります。それから、総選挙の関係では、今回の総選挙が郵便投票の利用率としまして一万八千八百六十名。前回の総選挙が一万三千百六名でございますので、五千七百五十四名、四四%の増ということになっております。
  199. 前島英三郎

    前島英三郎君 まあそういうことで、だんだん郵便投票の不在者投票というのがふえているわけですけれども、相変わらず郵送料の負担というものが重度な人たちにとって、財政的にも非常に厳しい中で、二百五十円かかるなら投票したって仕方がないというような気持ちも多々あると思いますし、それに伴って、この委員会でも私再三この不在者投票の郵送のいわゆる公費負担、こういう問題を取り上げてきているんですが、検討を約されているわけですね。加藤大臣はもう積極的に検討をすると、こういう御答弁もいただいているわけでありますが、いま神谷さんも大変委員会の反復されることをおっしゃっていますが、私たちも、委員会でやり合ったことがその後どうなっているか非常に、反省もしたいものですから、その後検討はどのような形になっているかお答えいただきたいと思うんです。
  200. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) これは前々からその経費負担につきましては御意見がいろいろ出ておるわけであります。まあその都度お答え申し上げておるわけでありますが、選挙制度のたてまえとしましては、選挙権の行使に必要な経費、たとえば投票するための交通費でありますとかその他の経費は一応自己負担というたてまえが原則になっております。ただ、郵便投票を採用いたしまして相当の期間もたっておりますし、また、その経費負担についての御意見がいろんな委員会の方からも御意見として出てまいっております。私どもの方でも、一応身体障害者に限って、投票権行使に必要な選挙人の負担について新たな公費負担の道を開く方法を具体的に考えていこうということで、それを制度的にどう位置づけていくか、また、予算措置を講ずる場合、負担の実施の方法をどう考えていくか、公職選挙法あるいは国会議員の選挙等の執行経費基準に関する法律の中にこれをどのような形で取り入れていくか、具体的に前向きで検討を続けておるところでございます。
  201. 前島英三郎

    前島英三郎君 そういう意味におきましては、大体いまハンディキャップを持っている人たちが、特に在宅で投票したいという人たちが十万ちょっとぐらいですね。たとえば、まあ七百五十円すべて公費負担にしろというわけじゃなくて、最終的な、一票を投じるこの二百五十円だけを公費負担にすると、財源にしたってざっと二千五百万、十万人としたって二千五百万、いまの一万八千人ぐらいのものですと、もう予算も本当に知れているわけですね。そういう意味では歴代の自治大臣が、もうわずかな金ですから、こんなの大蔵省に出させましょうというようなことを、非公式にもそうおっしゃっている経緯があるので、新大臣は、この在宅者の、特にお年寄りたちも含めました寝たきりの人も四十万人というこういう実情の中で、一票も行使できない。しかも投票所もなかなか遠い、それに階段もある、車いすでも行けない。そういうことで結局郵便投票に頼らざるを得ない。この人たちにやはり健康な人たちと同じような感覚ではやっぱり対処はできないだろうと思うんですね。この人たちの郵便料の負担というものは、やっぱり細々と生活しているんですから、何としても早い時期に私は、最後の、一票を投じるその二百五十円だけをせめて公費負担にするような決断を心からお願いしたいと思うんですが、大臣いかがですか。
  202. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) こういう問題は、私は基本的には、なるほど経費の問題もあるのかもしれませんけれども、それより先に、やはり有権者が選挙権を完全に行使できるような措置をする方が先だというように思います。そういうような意味合いで考えなきゃならぬと思うのですが、なかなか選挙ということになりますと、例の公正確保といいますかね、投票の際の。いろいろ問題があるようですけれども、私はこの問題は、自治省としてはこれは本当に前向きで検討をしなきゃならぬ課題だと考えます。自治省としては、従来からそういうお約束もありますから、大蔵省にはずいぶん交渉しておるようです。ただ、なかなか財政当局のガードも固いようですけれども、基本は私は金の問題じゃなくて——金は当然だと、それは。そうでなくて、権利行使の場を十分与える方が基本じゃないかというふうに私は考えますから、そういうつもりで予算折衝等には当たってみたいと、かように思います。
  203. 前島英三郎

    前島英三郎君 今後老齢化に伴いまして、やはり寝たきりの老人、在宅での寝たきりの方々が多いわけです。こういう方々もやっぱり一票を行使したいと、それがせめて政治に対する一つの表現のあかしでありますから、こういう方々にもやはり郵便投票による道を開いていただきたいというふうにも思うわけですね。その辺は、この問題に取り組まれた土屋財政局長も、なるべく早い時期にこれは検討して前向きに持っていくように努力をしたいということを私も伺っているので、もっと結論的な御返事ができるかと思いましたら、どうもまだまだ一向に前進の気配がないようで大変残念でありますが、やはり来年度の参議院選挙にはそれが実施されるようなスピードでぜひとも大臣にお骨折りをいただきたいと思っております。いかがでございますか。
  204. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) よくわかりました。
  205. 前島英三郎

    前島英三郎君 続きまして、障害者の自立という問題で、足という問題がこれは一番大切なことでありますけれども、なかなかエネルギー事情も悪いわけで、しかしそれでも、幾らガソリンが高くても外に出るには車を使わなきゃならない。その社会復帰の第一の手だてというものは、これは免許取得ということになるのですけれども、その免許取得の、特に重度障害者全般の移動と交通についての話し合いの中でも多々見られるのは、それぞれの自治体によって非常にばらばらであると。つまり、山梨県ではこの部分では取れるんだけれども、やっぱりこの部分を取りたいときは東京でなければだめだとか、何かその辺がちょっと行き渡ってない部分がありまして、杉原局長にもたびたびおいでいただいているんですが、いまできるだけ免許を取りやすい手だてというものを考えていただきたいと思うんですね。  まず、適性相談というのがあるわけですね。これは免許を取ろうとする障害者が必ず相談を受けるわけです。そうしますと、その適性相談の専門職員というものがいるかといいますと、これは置いてないんですね。置いているところはどのくらいあるものですかね。
  206. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 置いている数はちょっと私はあれしておりませんが、大府県の方からだんだんに置き始めておるわけでございます。
  207. 前島英三郎

    前島英三郎君 ここではどういう条件でその適性ということをまず考えられるとお思いですか。
  208. 杉原正

    政府委員(杉原正君) やはり、障害の程度によりまして、まず一つはそれに対応したどういう改造車が必要であるかということ、これ大変にそれが問題なのでございまして、それからもう一つは、その条件として、たとえば耳の場合には補聴器のようなものですね。こういうものとの対応、また、足の悪いような場合には今度は改造車の問題、この両面から検討させていただいておる、こういうことでございます。
  209. 前島英三郎

    前島英三郎君 そういう条件の問題で実に不満が多いんですね。つまり、その人が体の不自由さ、いわゆる見た感覚で、あなたは一・五トン以上はだめだと、あなたはもっと下ですという条件をつける。この辺の科学的な根拠はどういうことを指して免許の一つ条件に加味されているのでしょう。
  210. 杉原正

    政府委員(杉原正君) これは個々の障害の程度がいろいろ違うものですから一概には言えないと思いますけれども、やはり対応される障害の程度、年齢の問題、そういうものを加味しながら検討をさせていただいておるということで、むしろ従来から見ますとかなりいろんなこと——とにかくできるだけ出すという前提で、この数年大変に身障者に対する免許はうんと伸びておるのでございますので、まあ御意見の、条件をできるだけ緩和すると、それには安全というものが常につきまとうものですから、やはりその点とのバランスをとりながらよく考えていきたいと、こう思っております。
  211. 前島英三郎

    前島英三郎君 とにかくハンディキャップが重ければ重いほど非常に危い車で免許を取れと、こう言うんです。ぼくはこれは違うと思うんですね。体が不自由で、その人が免許を取りたいといったら、やはりその人が、自分はハンディキャップがあるから、パワーステアリングのハンドルの切れのいい重量の高いものを取りたいと、それがその人の能力で受かる受からないは別問題ですよ、次の問題ですから。しかし、あんたは車いすなんだからそんなでかい車は取らせない。あなたは脳性麻痺だからこれ以上の車だと危いと。それは運転の技術の問題は別の問題であって、車の条件をやはり適性検査の中の一つ基準に組み入れることは、私は大変間違いだと思うんですね。そういう意味では何か妙に、非常に重量制限が各都道府県まちまちで、大変窓口で、身障者で免許証を取得しようとする人たちが非常に泣かされて、しかもそれが差別的発言にまでつながっているというところを見ますと、たとえば適性相談の専門職員の問題あるいは訓練や研修、教育というようなものまで一体どうなっているんだろうかという疑問を抱かざるを得ないんですね。その辺はどうなんでしょうね。ぼくはやはり免許をとりたいという人が選ぶ車で、選ぶ重量でやはり統一的に門戸は開くべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  212. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 実は、こういう各県のアンバランスみたいなものがあってはまずいわけでございまして、本年全国的に中央で業務監察の一つにこの免許行政を取り上げておりまして、その中でこの身障者の問題というのを重点の一つに取り上げてございまして、これは施設の問題、それから先ほどの適性相談の問題、それから具体的な審査、条件のつけ方の問題、これを全部各県から上げまして、これを再検討しようということにいたしておりますので、その点で近い将来に結論が出るようになると思います。
  213. 前島英三郎

    前島英三郎君 実は、身障者の運転免許に関する調査というものを神奈川県の総合リハビリテーションセンターでやりまして、これにおきますと、とにかく運転免許実地試験の専任試験官がいるのはたった五県にすぎない。あとは全く身障者のことはわからずに、おまえはこれじゃぜいたく、おまえはこれじゃだめというので、勝手に振り分けされてかなり手厳しい。窓口でもっと温く迎えてくれる都道府県はないかというような、インフォーメーションを設けてくれというような、そういうふうな実態もあるわけですね。ですから、やはり今後身障者にとって、やはり自立ということを考えていきますと、どうしても車は補装具、足であるという観点から、自分が重度であれば、自分の能力の中で一体自分にはどの車が一番ふさわしいかという手とをむしろ自分で判断させるように、ひとつ大きく重量制限の問題は拡大をしていただきたい、心からそう思うわけです。  それから、実地試験なんですけれども、検定車の配置というのが非常にまちまちなわけですね。自分で本当は車を持ち込めればいいんだけれども自分の持ち込みは許さない。持ち込む場合にはブレーキを取りつけろと。このブレーキ一つ十万円ぐらいするわけですから。試験官のブレーキまで自分の車に取りつけまして免許を取得しなければならないというふうなことで、やはり検定車の配置も今後大いに努力をしていただきたいと、こう思うんですけれども、いかがですか。
  214. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 先ほどのような基本認識のもとで、これからやはり積極的に整備をしていかなきゃならないと思います。  先ほど補助ブレーキの問題が出ましたが、これはことしから資材計画の中で補助ブレーキというものは各県に全部配分ができるような、そういう整備ができるような形になりましたので、さらに対策は進むと思います。
  215. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうもありがとうございました。  さて、国鉄にちょっとお伺いしたいんですが、在来線の整備、改善というようなものが昨今大変叫ばれているわけですけれども、その基本方針としまして、駅ビル会社への国鉄の投資が目立っているわけですが、国鉄にとってこれはどういう利益につながるというふうにお考えになっていますか。
  216. 市川静夫

    説明員(市川静夫君) 私どもの国鉄がいま非常に大きな赤字を出しておりまして、この財政再建には何といいましても本体の旅客収入、貨物収入の増大を図るのが第一でございますけれども、それと同時に付帯収入と申しますか、関連事業収入と申しますか、そういうものの増大を図ることも大事だと思っております。それで、いま先生のおっしゃいました駅ビル開発ということも、この関連事業収入の増大の重要な柱の一つでございます。国鉄が駅ビルに出資してよいということになりましたのは昭和四十六年の一月からでございまして、それ以後現在まですでに三十七社の駅ビル会社をつくっております。  で、これをつくりますことのメリットと申しますと、一つは、いままでみすぼらしい駅舎だったのを新しい駅舎に取りかえるというようなことで、地域を引き立てるといいますか、地域との協調に役立つという面が一つございまして、またそれに伴って旅客の利便の増進ですとか、鉄道利用の促進にもつながるというふうに考えております。  それから二番目には、駅ビル料金の増収ということで、先ほど申しました関連事業収入の増大につながるということでございます。先ほど申しました、すでに三十七社の駅ビル会社があると申しましたけれども、そのうち五十三年度にこれらの駅ビルから国鉄に納入されました料金額は約二十二億でございます。これらの駅ビル会社ができましてから五十三年度までの累積は七十一億に達しております。このような関連事業収入の増大というメリットがあるわけでございます。  そのほか、この駅ビル会社が成績を上げて配当を始めるようなことになりますと、国鉄も出資しておりますから、それに見合った配当が国鉄に入ってくるということになります。  さらに、今後国鉄はいま四十二、三万おります職員を三十五万にまで減らそうとしておりますが、その退職者の受けざらという面でもこの駅ビルをつくるというメリットがあるわけでございます。
  217. 前島英三郎

    前島英三郎君 そういうことになりますと、当然それぞれの自治体と協議もしなきゃなりませんでしょうし、何よりも赤字の国鉄の財政再建の一環としては私たちも理解できるわけですが、それに伴って、そういうもうけだけを計算されるのは結構だけれども、それに伴うやはり地域の人たちへのサービスということを私はやっぱり忘れてもらいたくないと思うんですね。これは駅舎全体の大改造を行うわけなんです。現実にそういう予定を幾つか私たちも知らせていただいているわけなんですが、その際、身障者等の利用を考慮した設計ということを私は心からお願いしたいわけですね。ところが、八王子というようなところで、実は一つの運動が国鉄と非常に対立関係になっております。これも地域の八王子市議会でも国鉄に、そういう意味での身障者に対する整備ということを、決議文を届けているにもかかわらず、実際は新しい駅ビルになってもなかなか身障者が中央線に乗れないというような、いろいろ見通しの暗いものがあるんですね。  私は、そういう意味での地域住民へのサービスの一環として、これは健康な人たちだけが住んでいる町じゃないわけですから、ハンディキャップを持った人たちへの考慮というものをやっぱり積極的に取り入れていただきたいと思うんですが、その辺はどうお考えになっていますか。
  218. 市川静夫

    説明員(市川静夫君) いままでつくってまいりました駅ビルにつきまして、そういう配慮もある程度してきております。たとえば車いすを使ってそのまま使用できるトイレでございますけれども、そのようなものも、たとえば札幌ですとか、亀戸、あるいは新宿、それから松本などの駅ビルにはすでにそういう設備をしておりますし、現在工事中でございます——いま大阪などで大きな工事をやっておりますけれども、大阪とか三ノ宮とかあるいは京都の地下街とか、そういうところにもそういう設備をすべく計画をしております。今後も前向きな態度でこういうものに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  219. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 前島君、時間が来ております。
  220. 前島英三郎

    前島英三郎君 はい。  時間が来ておりますから、本当はもっと細かく、八王子でトラブルになっている問題点なども指摘しておきたいところがあるわけですけれども、とにかく国鉄の財政再建の一環として、そうした大改造をする。まあ大改造をするのはいいけれども、かえってハンディキャップを持った人たちが使いにくくなってしまう。たとえばデパートが六時で閉まっちゃうともうそのエレベーターが利用できないものですから、それ以後は車いすでそのエレベーターは利用できないんだとか、あるいは切符も買えないんだとかいうようなことになってしまいますと、やっぱりますます身障者が町へ出る機会を阻害することになっていくと思うんです。ですから、今後駅ビルが改造されるにつきましては、世の中には歩ける人と歩けない人しかいないんですから、目の見える人と見えない人しかいないんですから、やはり目の見えない人あるいは歩けない人のことを念頭に置いた設計というものを公共輸送機関の一つ責任として私はやっていただきたいことを強く要求いたしまして質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  221. 後藤正夫

    委員長後藤正夫君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十五分散会      —————・—————