○
政府委員(
森山信吾君) まず今年の下期の
原油の
見通しでございますが、上期につきましては、
先生御
指摘のとおり、
計画より若干上回る形で
輸入ができましたので、まあまあというところでございます。下期
計画によりますと、一億四千八百万キロ
リッター入るべきでございまして、いまのところ下期をさらに二つに分けまして、下期の
前半、つまり十月−十二月と、一月−三月に分けてみますと、十−十二は七千万キロ
リッターはまず確実に入ってくる、こういう
見通しがついております。しかしながら、この
見通しはやや低目の
数字でございまして、ちょっと前に、一月近く前にエスティメートした
数字でございまして、だんだんとこの
数字も上昇するという
傾向がございます。これは
今期に限ったことではございませんで、一般的にそういう
傾向をたどるものでございまして、現
段階におきましては七千万キロと、こう申し上げておるわけでございますが、
現実にはそれをある
程度上回る形で
輸入が行われるというふうに期待をいたしておるわけでございます。
そこで、先ほど
岩崎先生御
指摘になりました下期八百五十万キロ
リッター足りなくなるんではないか、こういうことを、まあ私
どもの立場といたしましてしばらく前にそういう
可能性もあるということを申し上げた事実はございます。しかしながら、いま申し上げておりますように、だんだんと
実績は上がってくるものでございますので、現
段階におきましては八百五十万キロ
不足というような事態はまずあり得ないというような感じでおります。ちなみに、上期が二百万キロ
リッターオーバーいたしておりますので、その分の
調整をいたしましても現
段階におきましても八百五十万というのは
不足分がやや大き過ぎるということではないかと思うわけでございます。そこで、具体的にしからば一億四千八百万キロ
リッターに対してどの
程度の
数字になるかということになりますと、これは一月−三月をまだ完全な形で把握し切っておりませんので、これこれの
数字だということを的確に申し上げる
段階じゃございませんけれ
ども、少なくとも八百五十万キロ
リッター足りないというようなことはまずあり得ない、こういう状況でございます。
そこで、
備蓄でございますが、現在いわゆる
民間備蓄が九十五日ございます。それに加えまして
国家備蓄が七日分ございますので、合計いたしますと百二日分の
備蓄ということでございます。足りない
原油の
不足は
備蓄を取り崩してでも
今期の
供給計画には支障を来さないというのが
通産省の基本的な
考え方でございますので、この点につきましては心配は要らない、こういうふうに申し上げておきたいと思うわけでございます。
そこで、来年の
見通しでございますが、
東京サミットで決められておりますように
輸入目標が五百四十万バレル・
パー・
デーということでございます。これはことしも五百四十万バレル・
パー・
デーでございますから、その限りにおきましてはことしの
輸入量と来年の
輸入量は大体まあ同等の量になる、こういう
考え方を持っております。五百四十万バレル・
パー・
デーを年間に直しますと二億八千万キロ
リッターということでございます。したかいまして、
昭和五十五
年度におきましても私
どもは二億八千万キロ
リッターの
原油の
調達をすべく最大の
政策努力を傾けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
そこで、いわゆる
石油に対する
不安感、これはどういうところから来ておるかということを申し上げておきたいんでございますが、いま申し上げておりますように、量といたしましての
需給は
バランスがとれておるわけでございますけれ
ども、何となく
石油に対する
逼迫感が強い、これは私は
流通形態の
変更によるところが大きい、こう思っておるわけでございます。と申しますのは、従来、
産油国は主として
メジャーを通じまして世界の各地に
原油の
供給をしておったわけでございますけれ
ども、
メジャーの
依存度がだんだんと下がってまいりまして、
わが国も従来は
メジャーからの
供給を約七割受けておったわけでございます。それが現時点におきましては五割
程度に
メジャーの位置が落ち込んでおるわけでございます。これを一つの例で申し上げますと、
メジャーが
日本の
サードパーティーといいます
メジャーの
系列外の会社に対しまして
供給いたしておりました
数字が、今年の一月は百四十万バレル・
パー・
デーであったわけでございます。それが来年の一月になりますと四十万バレル・
パー・
デーになるわけでございます。百万バレル・
パー・
デー、カットしてまいっているわけでございます。したがいまして、百万バレル、
メジャーからの
供給がカットされますと、それがあたかも
日本の市場から消えていくような、こういう錯覚がございまして、
石油に対する
不安感、
逼迫感が強いのではないかと思うわけでございます。
そこで私
どもは、
メジャーの
供給カットを受けました百万バレルをほかの方法で、ほかの
流通形態で
調達しなければならないということで、まず
政府間取引、
GGと言っておりますが、
政府間取引でその穴を埋める。それから、
DDと言っておりますダイレクトディール、直接
取引でございますが、これで穴を埋める、こういう
政策努力をしてまいりまして、それでなおかつ
不足が出ますと、やむを得ず
スポット物を
調達する、こういうことになるわけでございます。ことしの十−十二月で申し上げますと、
スポット比率が全
原油輸入量のうちの一一%ないし一二%になっておるというのが実情でございます。御
参考までに、ノーマルな
状態でございますと、
スポット物の
比率は四%ないし五%でございますから、
メジャーからカットされたものを
GGないし
DDで
調達し切れない分を
スポットに頼っておる。それが従来の
実績に比べまして約倍ぐらいになっておる、こういう形でございます。
したがいまして、そこに
流通形態の
変更に伴います構造の変化がありますから、
スポット物になりますと、どうしても
価格が上昇せざるを得ないという
現実がございます。現在
スポット物は
ロッテルダム市況で大体
相場がわかるわけでございますが、つい最近まで四十一ドル七十五セントというのがございました。いわゆる
公示価格、公定の
相場は上限が二十三・五ドルでございますから、倍近い格差があるということでございまして、これがまあ
日本の
原油調達に相当なインパクトを与えているということではないかと思うわけでございます。そこで、私
どもはできるだけ来
年度におきまして
スポットの
比率を下げて、
政府間調達あるいは
DD調達、こういったことに
努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
次に
中間三品の御質問ございましたが、
灯油、
軽油、
A重油につきまして概況を申し上げます。
まず
灯油につきましては、ことしの十月末の在庫で、昨年に比べまして約五%積み増しをいたしております。昨年が六百七十七万キロ
リッター、ことしが七百十万キロ
リッターございます。五%の
アップでございます。
それから
軽油につきましては、昨年の十月が百四十七万キロ
リッター、ことしの十月が百六十四万キロ
リッターでございまして一一・四%
アップでございます。
それから
A重油は、昨年が二百二十一万、それから今年が二百六十二万キロ
リッターということでございまして一八・五%
アップ。
中間三品を合計いたしますと、昨年が千四十五万キロ
リッターに対しまして、ことしが千百三十六万キロ
リッターということでございまして、八・七%の
アップということでございまして、生産は順調に進んでおりますし、在庫もいま申し上げたように昨年に比べまして相当大幅に積み増しをいたしておりますので、事、量に関します限り十分な手だては講じておるということが言えようかと思います。
それから、製品の流通
段階におけるタイムラグがあり過ぎて、いわゆる
便乗値上げ的なものがあるんではないか、こういう御
指摘でございますが、私
ども通常値上げを認めますのは、
原油の値上げが行われまして直ちにそれを反映さしておるわけじゃございません。諸外国でやっております実情は、こういった
原油のような国際商品は
原油調達の
段階で値上がりをいたしますと、直ちに製品へ反映させるという手段をとっておる国々が多いわけでございますけれ
ども、
日本の場合は構造的にそういう仕組みをとっておりませんでしたので、やはりそこに一定期間置く必要があるんではないか。特に
先生御
指摘のように、
備蓄の問題がございますので、それとの
調整をいたしまして、しかるべき船積みの期間あるいは通関の期間等を合わせまして値上げの実施を認めているということでございまして、その値上げの実施を認めるに際しましては、いま申し上げましたある
程度の前に
調達した
価格でなければいけない。そのときの金利
水準等もあるいは為替レートの
水準等も勘案した上で決めるということでございまして、いやしくも
便乗値上げと言われることのないような十分な配慮を払っております。
ちなみにこの十月、昨年の十月とマクロ的に比較いたしてみますと、
原油の代金は九九%ほど上がっておりますが、
灯油の値段はマクロ的に申し上げまして六四%の値上げでございますので、
原油の値上げ代金の大分下ということになっておりますから、マクロで見る限りこれも
便乗値上げはないということでございます。
そういうような
政策努力を続けることによりまして、
国民の皆様方に安定した
供給をさしていただきたい、こういう
努力をしておるつもりでございます。