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1979-12-05 第90回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月五日(水曜日)    午前十時三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小山 一平君     理 事                 秦野  章君                 福島 茂夫君                 坂倉 藤吾君                 馬場  富君     委 員                 古賀雷四郎君                 佐々木 満君                 中村 禎二君                 藤井 丙午君                 山内 一郎君                茜ケ久保重光君                 戸叶  武君                 小平 芳平君                 中野  明君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  土屋 義彦君    政府委員        環境庁長官官房        長        正田 泰央君        環境庁企画調整        局長       金子 太郎君        環境庁企画調整        局環境保健部長  本田  正君        環境庁自然保護        局長       藤森 昭一君        環境庁大気保全        局長       三浦 大助君        環境庁水質保全        局長       馬場 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        国土庁水資源局        水資源計画課長  和気 三郎君        厚生省環境衛生        局水道環境部計        画課長      石原 公道君        林野庁指導部森        林保全課長    野村  靖君        運輸省港湾局環        境整備課長    高田 陸朗君        建設省都市局都        市計画課長    高橋  進君        建設省都市局下        水道部公共下水        道課長      玉木  勉君        建設省都市局下        水道部流域下水        道課長      伊藤 俊美君        建設省河川局水        政課長      安仁屋政彦君        会計検査院事務        総局第一局長   岩井  毅君    参考人        公害防止事業団        理事長      城戸 謙次君        公害防止事業団        理事       宮城 恭一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (公害対策及び環境保全に関する件)  (環境影響評価法案取扱いに関する件)  (琵琶湖霞ケ浦等富栄養化防止に関する  件)  (公害健康被害補償制度の見直しに関する件)  (環境庁不正経理に関する件)  (公害防止事業団建設譲渡業務上の債権不保  全に関する件) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 小山一平

    委員長小山一平君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため、本日の委員会公害防止事業団理事長城戸謙次君及び同理事宮城恭一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小山一平

    委員長小山一平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 小山一平

    委員長小山一平君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 戸叶武

    ○戸叶武君 環境庁長官土屋さんに御質問をいたします。  土屋さんは人柄のよい人で好評のあるばかりでなく、この公害対策及び環境整備には真っ正面で情熱を傾けて取り組んでおられるということなので、今度は政治家土屋さんとしての見識実行力ということが評価される段階になっておりますが、幸いに環境庁各省の優秀な人たちがおのおのプライドを持って取り組んでいる省であり、本委員会も、各党の人たちが、この問題は未来に対して光を与える、希望を与える問題だというので、真剣に取り組んでおりますから、そういう意味においていままでのアセスメント法案を三度もつん流してしまったということに対するいやみなどは言わないことにして、とりあえず、仏の顔も三度までということがありますが、四度目ぐらいは土屋さんによってアセスメント法案を物にしてもらいたいと思いますので、まず第一に新大臣の所信を承りたいと思います。
  6. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) ただいま政界の大先輩である戸叶先生から大変ありがたい身に余る御激励のお言葉を賜りまして感激で胸がいっぱいでございます。非力でございますが、誠心誠意環境行政と取り組んでまいりたいと思います。  申し上げるまでもなく、環境行政は、国民の健康を脅やかす公害を防止し、一たび破壊されると回復が困難なかけがえのない自然を保護し、さらに住みよい快適な生活環境を確保するという重大な使命を有しております。私は環境庁長官に就任いたしましてまだ日が浅いのでございますが、任重く道険しと申しましょうか、責任の重大さを深く痛感いたしておる次第でございます。申すまでもなく、この環境行政は、国民の健康の保護生活環境及び自然環境保全という崇高な使命を持っておるものであります。私は、こうした環境行政原点に立って、公害未然防止に意を用いつつ長期的に、快適な、潤いのある国民生活環境の確保を目指し、総合的な施策の展開を図ってまいりたいと存じます。  私は、このような基本的姿勢のもとに、次のような事項を重点といたしまして環境行政推進全力を挙げてまいりたいと思います。  まず第一に、環境汚染未然防止の徹底であります。このために、先ほど先生が御指摘になられました環境影響評価制度につきまして法制化を図ることにより一層の努力を傾けてまいりたいと思います。  それから第二に、社会、経済変化を踏まえた長期的、総合的な環境政策確立でございます。特に石炭利用の払大などエネルギー需給構造変化に対し所要の調査検討を進めて、適切な施策推進を図ってまいりたいと存じます。  第三には、各種公害防止対策の一層の推進でございます。交通公害対策、また窒素酸化物対策、それからまた富栄養化及び赤潮対策を中心といたしましてさらに積極的に推進をいたしてまいりたいと思います。  第四には、公害健康被害者対策充実でございます。公害健康被害者救済制度の円滑な実施、また環境行政原点と言われておりまする水俣病認定業務の促進、また国立水俣病研究センター充実を図る所存でございます。  第五に、自然環境保全でございます。自然公園等保護、管理の強化鳥獣保護施策充実等のほか、身近な自然との触れ合いを図るための施策推進いたしてまいりたいと考えております。  第六には、世界に冠たるわが国が誇り得る国立公害研究所充実強化でございます。科学的な知見に基づいた環境行政推進するために今度ともその一層の内容の拡充強化努力をいたしてまいりたいと思っております。  以上、環境行政に取り組むに当たりまして、私の決意政策推進の方向づけにつきまして私の考えを申し述べましたが、環境行政推進に当たりましては、十分に国民の声に耳を傾け、その理解と信頼のもとにこれを行うべきことは言うまでもありません。  なお、この際一言おわびを申し上げたいのは、このたび綱紀の面におきまして国民の不信を招く事態を生じたことでございます。このことはまことに遺憾なことでございまして、この機会をおかりいたしまして国民皆さん方に心からおわびを申し上げるとともに、環境庁長官たる私自身みずから姿勢を正して、庁員一体となって国民の負託にこたえるために真剣にまじめに今後環境行政に取り組んでまいる所存でございます。先生方の今後とも御理解ある御協力、御支援を賜りますように伏してお願いを申し上げます。
  7. 戸叶武

    ○戸叶武君 土屋長官は、私の質問の中で、アセスメント法案に対してどういう取り組みをやるか、その姿勢がほぼわかったような面もありますけれども、的確な回答を得なかったのでありますが、いつこれを物にして実施するかという決意だけでも、それは言い残したのだと思いますので、承りたいと思います。
  8. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 環境影響評価法案につきましては、先生案内のとおり、前の通常国会提出できるよう関係省庁及び与党政務調査会と協議を進めてまいったのでございますが、会期内における調整がむずかしい状況でございましたので、法案提出を見送らざるを得なかったような次第でございます。しかしながら、本年四月に行われましたこの環境影響評価制度のあり方についての中央公害対策審議会の答申では、現在の実績またその他わが国の実情を踏まえた実現可能なものであるとして、速やかに環境影響評価法制化を図るべきであるとしております。また、本年四月、与党政務調査会環境部会から、環境影響評価の実効ある制度確立を目指して鋭意努力すべきであるという見解が示されております。さらに、前通常国会での法案提出を見送った際にも、前上村長官は、今後も引き続いて鋭意検討を重ね、一層の努力を払うということを閣議でも発言をいたしております。さらに、私との事務引き継ぎにおきましても、幾つかの事務引き継ぎ事項の中でも冒頭このことに対して努力をしていただきたいという強い要請も受けておるような次第でございまして、今後率直に言って非常に厳しい面もございますが、私といたしましては、次期通常国会に出すように全力を傾けて努力をいたしてまいりたいと思います。
  9. 戸叶武

    ○戸叶武君 高度経済成長におけるマイナスの面が公害としてあらわれたのは事実であると思います。高度経済成長なしに日本の前進はあり得なかったでありましょうし、いまでもそのラッパ吹きの下村君あたりがゼロ成長にしろと言うが、ゼロ成長というわけにもいかないでありましょう。そういうときに、私たちは、盾の両面というわけじゃありませんが、やはり高度経済成長によって荒っぽく自然破壊がなされたその傷をどうやって埋めるかというのは政治における重要な課題だと思うのであります。ですから、アセスメント法案環境庁で幾たびか練っても、高度経済成長の妨害になるのじゃないかというふうなあさはかな考えから、財界の方の人たちからはクレームがついております。政府は、財界に対してはばかに腰が弱くて、国会の方は無視します。国民の声というものが通らないで、一部の人たちの声のみがすぐに敏感に内閣に反映しておりますが、財界の人でも相当見識ある人はそうは言っていられないぞという反省も出ていると私は思うのです。  御承知のように、近代的な労働組合運動が起きる前におけるイギリスの高度経済成長政策が行われた近代資本主義発展の初期におきましては、大変ひどい労働条件のもとに労働者は働かせられ、機械が発明されても機械のために労働者が首になるというようなことが随所に起きたときには、日本徳川末期における國定忠次みたいな人間が義賊になってそうして機械破壊するというようなラッダイト運動などというものも起きたのであります。そういう破壊からは何も結論が生まれないというところに近代的なトレードユニオニズムの発展があったと思うのでありますが、やはりいまの新左翼と言われるような人たちのむちゃくちゃな破壊による革命の絶叫というものはわれわれから見ればどうも頭が変なのじゃないかと思っておりますけれども、こういうふうな矯激な人たちをすらも輩出したというのも、これも公害一つだと思うのです。政治は、もっとノーマルに、もっと話し合いで具体的に問題を解決するということが処理されていかなければ、私は思わぬ混乱というものが生まれてくると思うのです。  そういう意味において、いまのアセスメント法案は、あなたの言うことだから、あなたから初めて聞くんだから素直に私たちは聞いておりますが、いままでの政府は、言うだけは言って、言い逃れでその場をごまかすという官僚特有の小ずるさがつきまとっておったと思うのです。もうそれでは済まなくなったと思います。そういうところに、私は、石油をめぐるイラン革命以後における世界発想というものが、アメリカ流の力、ソ連流の力の外交では片づかないところまで来たと思います。力じゃないです。やっぱりお互いの立場立場を理解し合って、どうやってもう一度自然と人間との融合を取り戻すかという重大な課題がこの公害対策の中には含まれております。そういう意味において、あなたは、お人がいいだけじゃなく、なかなか見識人だということを承っているので、やはり何のための環境庁かわからないようなところでいまの各省から出てきたまじめな人たちはいつまでも働いているわけにはいかなくなると思います。あなたの取り上げた感激を与えなければ、政治の躍動というものと発想の転換は出てこないんです。いまが最期のころです。いまの政界のようなヘドロの世界になったら、救いようのない、手直しのできないようなところへ来ちゃって、ここが終点ですからどうぞお降りを願いますということを告げなければならないようなところまで来たのじゃないかと思います。環境庁の方にもここは終点ですからもう解体を願いますと言われない前に、環境庁はまだ生きているんだ、諏訪湖のように死んだ湖にはなっていないというだけの活力をやはりあなたによって取り戻してもらいたいというのが念願ですから、言葉だけでなく、ひとつ未来を先取りするために、戦争公害の問題は今後における政治の最大の課題です。戦争をなくさせるということと公害をなくするということは。それを御承知の上であなたの大任を果たしてもらいたいと思います。これは希望ですが。  そこで、問題は、勇気を持つ者が——具体的に水資源以外に資源らしきものはなしとまで言われている滋賀県において、滋賀県知事、知事だけの発意ではないでしょうが、一丸となっての県会での宣言がなされました。あの琵琶湖富栄養化阻止条例、十月十六日の、このことが成立したことは、燐を含んだ合成洗剤の販売、使用を禁止し、工場、事業所の排水に対し、窒素、燐を規制する全国で初めての条例でありますから、この影響するところは私は大なるものがあると思います。市民闘争と結びついて、いまのような中央政府が怠慢ならば、主権者である国民の力を結集してこれに対応しようというようなコミュニティーコミュニケーションを通じての市民闘争というものが私は随所に起きてくると思います。一部のいままでの急進的な人々運動というよりは、大衆運動として日本政治を新しい角度から揺すぶる一つの勢いがここから生まれてくると思います。その滋賀県における具体的な条例の成立、それがどのように現在各方面に影響しているか、直ちに霞ヶ浦にも波及しているようですが、霞ケ浦だけではない、全国的に私はこの問題が閉ざされた国会をぶち破って直接住民運動と結びついて国民政治活動活力を与えるきっかけになると思いますが、どういうふうに環境庁ではそれをとらえておりますか。
  10. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 先生案内のとおり、滋賀県の琵琶湖は、千三百万人になんなんとする近畿圏人たちのとうとい水源地、水がめでございます。しかるに、最近プランクトンがふえてまいりまして、それがために汚濁が非常に進行いたしまして、水道の水が臭くなったり、そしてまた、ろ過器等に故障を生じたために、先ほど来お話しございましたとおり、県におきまして、県民の同意を得まして、燐を含んだ洗剤石けん使用、売買、贈答等を含めて禁止するような条例をつくりましたことに対しましては、水質保全の見地からいたしましても私は意義のあることであると、かように考えておるような次第でございます。  それからまた、わが環境庁におきましても、従来この燐の問題に対しましても深い関心を持ちまして、通産省あるいはまた洗剤工業会に対しましても燐の低減化の問題、それからまた製品開発、新開発等につきましても強く要請をしてまいりました。今日すべての製品におきまして燐の含有量が一〇%以下になっておるような次第でございますが、今後も燐の低燐化、新製品開発に対しましても関係方面に対しまして強く要請をいたしてまいる所存でございます。琵琶湖を契機といたしまして全国的に運動が展開されてきておるやに聞いておるのでございますが、私はその点に対しましても高く評価をいたしておるような次第でございます。  以上でございます。
  11. 戸叶武

    ○戸叶武君 この条例は、十月十七日に公布、来年七月に施行される見通しを持っておりますが、この間においていろいろな論議もなされると思うのでありますが、これに反対する側では、日本石鹸洗剤工業会等では、富栄養化原因物質は有機物、窒素、燐、鉄分、マンガン、ビタミン等があるので、一割程度の燐を削減しても水質改善には役立たないとさえ言っております。また、学会では、燐の占める割合は、滋賀県等の調査によると、一割でなく二割程度になっている。合成洗剤中の燐の占める割合は約四割とのことであるということでこれに反駁しております。工業会側の指摘するところは、洗剤規制だけでなく、下水道のたれ流し、これを整備しないから問題が起きるのではないかと言ってかなり痛いところも突いておるのでありますが、私は、二十数年前、アメリカにおける五湖の付近を調査し、ミシガン、イリノイ、インジアナの諸大学で水の問題とあそこの食糧生産に関する科学的ないろいろな研究のデータをもらったことがありますが、その後においてもアメリカインジアナ州等では洗剤規制というものにやはり問題を相当しぼっております。下水整備というのは金がかかる。下水整備は当然行わなけりゃならないけれども、下水整備よりもとりあえず行わなけりゃならないのは、最近特に燐の含有量が多くなってきたのは洗剤にあるというような形でアメリカでも取り上げられているのが事実であり、ニューヨーク州等においてもこの問題が問題になっております。  そういう意味において、洗剤関係の業者の言い分言い分として、政府としては、やはり洗剤関係石けんにかわることもできるので、各所において洗剤よりも石けんをというような主婦の運動も起きておりますが、この問題は、できることから具体的にやって、洗剤さえ放逐すればすべてが成れりというのでなく、下水整備の問題もこれと並行してやらなけりゃならないのですが、下水整備の問題はどうも環境庁よりも国土庁ですか、建設ですか、建設の方の人たちはこれをどういうふうに受けとめ、考えておりますか。
  12. 玉木勉

    説明員玉木勉君) お答えいたします。  下水道はただいま第四次下水道整備五カ年計画事業を進めておるところでございまして、現在、五十三年度末の下水道普及率が二七%ということでございます。したがって、現状におきましては、まず二次処理下水道普及を図ることが先決でございまして、まあ必要に応じまして高度処理という方法も検討してまいりたいというふうに考えております。
  13. 戸叶武

    ○戸叶武君 この下水道整備の問題は、私の選挙区は栃木県でありますが、国立公園地帯とは申しながらも、鬼怒川、塩原、日光等、いずれも温泉地でありまして、下水がそのまま川に流れているというようなことが指摘されて大問題になったことがありましたが、若干の期間を置いて下水の問題を整備しなければならないというので、相当程度下水道整備というものがいま整備されつつあります。そういう意味において、あるところまで中央の役所なり公共団体がこういう問題と取り組まなければならない面があるのですが、先に立つのはいつも財源の問題です。いまの日本における事態というものは、時代地方時代に来たと大平さんが言っておりますけれども、日本のように自主財源を持たない地方が、中央においていろいろなものをおっかぶせてきても、今度は中央の援助に頼るだけであって、自己の財源というものを持たないがために四苦八苦しなければならない状態で問題が前進しないような現状にあると思います。やはりコミュニティーコミュニケーションというものが近代民主主義における一番の基本的な問題でありますが、コミュニティーにおけるコミュニケーションが盛んになっても、ないそでは振れないという形で財源捻出のめどがつかないと、どんないいことも私は実施段階には移っていかないのじゃないかというふうに思っております。  そういうところで、環境庁あたり、いまも言うように、建設省でもいろいろな五カ年計画なり何なりをもって模索している模様でありますが、やはり水の問題に関しては国土庁が大きな責任を持っていると思いますが、いまエネルギー時代だと言って、エネルギー資源石油資源がない日本の国においては、一にもエネルギー、二にもエネルギー、寝ても起きてもエネルギーエネルギーの中に埋没してしまって、イランにおける失敗のように動きのとれないような、情報を正確につかまないで、国賊扱いで帰ってきたら首切るぞと言われるような王様と組んで日本の皇室と仲よくしていかなきゃならないというようなことを言う通産大臣もいれば、政府の言うことだから政府と調子を合わせていけばいいだろうというので大抵のむちゃや高値で買っても石油のことならしかられないだろうと言って飛び込むような通産大臣もいる。それに従って大財閥があわてて私の方の責任問題解決をしましょうと言いながら、赤字が累積してやっていけなくなると、これは政府の方で国の方で金を出してもらわなけりゃ動きがとれませんよというように開き直る大財閥もある。めちゃくちゃです。石油と言えば大抵悪いことをやっても済むだろうというような通念が日本政界財界に根強くいま残っているところに、KDDどころの騒ぎじゃない、日本官僚組織財界、いまの政権を握っている政界、すべてが奈落へ落ちなければならないような危ない道を歩んでいると思います。これはおのずから反省が沸くであろうし、総裁選挙をめぐる福田さんや大平さん、あれを取り巻く人々の争いを見ても、渦中に入った福田さんやあるいは大平さんの孤独な姿というものを私は見ちゃいれないほど気の毒な気もするのです。政治の体質がこうなっちゃったからどうにもできないんだという末期的な現象が日本には生まれてきているのです。もう政界に期待できない、国民の力で何とかこれは一つの活路を開かなければならないというのがいまの政治離れをした国民の白けた感情の中に燃える新しい私は炎だと思うのであります。そういう意味において、環境庁あたりが具体的な政策を通じて、観念的なイデオロギーは必要としない、どうやって国民生活を救い、未来に繁栄の道を開き希望を与えるかというともしびをともしていかなければ、地獄への道が開かれていくであろうということを私は恐れるんです。  こういう点において、石油だけではない、一番大切なのは太陽の熱と水です。土です。水をおろそかにして石油だけの中に埋没している日本政治政治として、そのうちにこれはいやでも反省が生まれるでしょうが、水に対してどういうふうな取り組みをいま国土庁では長期的な中期的な計画の上に立って当面の対策を立てているか、国土庁から大あらましでよいですが、その点を承りたいと思います。
  14. 和気三郎

    説明員和気三郎君) お答えいたします。  全国的な水需給の展望につきまして昨年の八月に国土庁といたしましては長期的な観点に立った水資源開発、水利用の合理化等を計画的に進めるために長期的水需給計画というものを策定いたしました。  この計画によりますと、水資源の水需要量は、生活水準の向上、それから産業の発展、農業の近代化等により今後とも増大するものと予想されておりまして、昭和五十年現在の総需要量は八百七十六億トン、年間でございますが、これが昭和六十五年には千百四十五億トンヘと、年間でございますけれども、なると考えておりまして、この間に新規に増加する需要量が年間二百六十九億トンになるものと考えております。  また、昭和五十年現在におきましても水需給の現況は決して安定しておりませんで、不安定な取水量、すなわち川の水が少なくなっているとき、渇水等におきまして取水が十分できないというものの、使用量が三十三億トン年間ございます。また、そのほかに、地盤沈下を生じているところの地下水の転換等を図らなければならないものがございまして、それらを全部足しまして今後新たに六十五年までにさらに新しい水源に求めなければならないものが年間三百二十六億トンあるわけでございます。  これらの需要に対しまして、水供給を図っていかなきゃならないわけでございますが、これらは、ダムの建設、湖沼の開発等を積極的に進めて、河川水の開発をすること等を行いまして可能な量が三百四十億トンぐらいあろうかと思いますが、これらのことから水需給の見通しというものは全国的には比較的マクロ的に均衡がとれているように見ますけれども、しかし、水需要と供給というのは地域性の高いものでございますので、地域的に見まして関東臨海、それから近畿臨海、北九州の三地域につきましてはなお不足が六十五年時点におきましても生ずるであろう、約年間九億トンぐらい不足するのではなかろうかというような見通しを立てております。
  15. 戸叶武

    ○戸叶武君 アメリカの著名な国土計画の権威者の一人で、水の研究者の学究がおりますが、その人が、日本にとってうらやましいことは、台風がもたらしてくる豊富な水と、働くことの好きな技術水準の高い一億人の人口を持っていることで、資源がないどころか、日本は大きな資源を持っているということを指摘しておりますが、日本では、対策として、沖繩に行ってみましても、私はワイフとともに十回程度沖繩を往来しておりますが、その中で台風のときの荒れ方の処置と対策のみを講じておって、台風がもたらした水をどうしてあのサンゴ礁の上にできた島にためるかということに対する配慮がなかったがために、いままで沖繩におけるサトウキビもあるいはパイナップルもハワイのようにうまくできないのは、台風でなく、台風のもたらしてきた水を地上にとめおくところのため池的な一つ施策も十分なされていなかったことで、これを十数年前に指摘して以来、沖繩においてもいま水をためておかなければならないというため池の方式が弘法大師や二宮尊徳のとき以上に緊急な事態として取り上げられておりますが、私は日本においてもこの水の問題はやはり一面的な水の被害の面からだけ見るのではなくて、この台風がもたらしてくる水をどうやって大切に受けとめておくかということが、私のくににおけるたとえば田中正造が闘った谷中村のため池の遊水地でも、いま水がめ的にこれを保存しようというころに三転四転して変わってきております。やはり、琵琶湖であろうが、霞ケ浦であろうが、一つの水がめであります。人々が飲む水道の水だけでなく、工業用水の重大さは日を増して加わってきております。埼玉県においても、地方の新聞等を見ると、伏流水があった武蔵野がゼロ地帯から埋め立てられてしまって、そうして水がなくなってしまった。これをどうやって復興するかということをいま真剣に考えているようであります。西ドイツにおいても、エアハルトが高度経済成長政策の音頭をとって暴走した時代でも、大統領のアデナウアーや、アデナウアーの弟分の食糧農林大臣のリペック博士が農業基本法に力を入れたのは、やはり第一次産業と第二次ないし第三次産業との成長率、所得のギャップ、この矛盾を是正をしていくのが経世の学である、そういう意味において農業を保護しなけれがならないという観点で農業基本法はできたんです。日本のように、もうからないものはぶった切ってアメリカからでも入れろというような非常に荒っぽい、この瑞穂の国の伝統を破っていくやり方がそう長く続くものじゃありません。そういうふうに歴史的な流れと伝統というものを見失って、目先のことのみに走っていく二流、三流の政治家によって日本の国土は破壊せられ、人心も破壊されてきたのですが、それを取り戻すのがいまのときだと思います。これは建設省国土庁以上に、今後の環境行政においてこれらの省庁と十分な連絡をとりながら具体的な対策を早急に処置してやらなければならないところがあるのじゃないかと思いますが、環境庁においては、水のことはやたらに水を流しちゃって構わないんですか、その辺のことをひとつ承りたいと思います。
  16. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) ただいま先生から水の問題につきまして大変貴重な御見解をお伺いしたわけでございますけれども、水資源としても非常に大事なことでございますし、またその水が水質が十分利用するに足りるように確保されなければならぬことは言うまでもないわけでございます。そういう意味におきまして、水質汚濁防止法に基づきまして私ども水質環境基準なりあるいは排水基準等を設けまして水質規制等の措置を講じておるわけでございますが、いまお話のございましたように、最近特に閉鎖性水域におきましては水質の改善がはかばかしくないという状況でございます。東京湾、伊勢湾、あるいは瀬戸内海等の海域におきましても、またそれ以上に琵琶湖、諏訪湖、あるいは霞ケ浦というような湖沼につきましては、ほぼ完全な閉鎖性水域でございますので、非常に水質の改善がはかばかしくないということでございまして、やはりこの水質を保全し改善をするということが急務でございます。  そこで、私どもも、そういう意味におきまして、この水域の汚濁の要因になっておりますもろもろの発生源等につきまして、必要な規制なりあるいは行政指導なり、そういうものを通じまして改善を図ってまいりたいと思うわけでございます。大変多岐にわたるわけでございまして、産業排水もございますし、あるいは近年とみに生活排水のウエートが大きくなっておるわけでございます。そういう意味で、発生源対策と同時に、やはりこれをやるからにはいろいろ下水道の整備であるとかあるいはその他の施策が大変重要なわけでございまして、関係各省庁と十分連絡をとりながら御協力を得ながら進めてまいる所存でございます。
  17. 戸叶武

    ○戸叶武君 土屋長官から筑波にできた公害研究所のことを高く評価されたことは私も非常に感激するところであります。研究調査機関というものを、私は絶えず、農林水産常任委員長のときにも、運輸常任委員長のときにも、予算委員会等でも見てまいりましたが、私は筑波の研究所を見て、五年目の祝典のときでしたか、こんなにも短期間に整備されたか、施設よりも若い学究がアンビシャスなものを持ってあそこへ飛び込んでいる。所長も若いし、研究者もなかなか有能な人をそろえているが、若い感激未来を開こうという情然を傾けております。私は、アメリカに、二十年ほど前から、特に公害問題を重視してアメリカがどういうふうにあれと取り組むかを、たびたび、いままで五回行っておりますけれども、行くたびに聞いてまいりましたが、あの月の世界に挑戦する宇宙科学への科学者が動員された時代と違って、天井ばかり見ないで、われわれの足元の地上における問題をもっと片づけていかなけりゃならないという反省の上に立って、優秀な若い学者が怒濤のように公害研究に取り組んでまいったのであります。それを私は日本の親しい財界人の一人に見てもらいに行って、非常に賛成したが、いまの若い重役連中というのは、いまの全日空や丸紅に見られるように、当座金のもうかるようなことを荒っぽくやれば成功するという観念が植えつかっておって、どうも耳を傾ける者がなかったと言って彼は慨嘆したまま手がつけられないでいましたが、私は短い間の公害対策特別委員長時代に、その前にもそうですが、あそこの国際的な月島のいろいろな機械の展覧場に見に行って公害関係の機械が並べられているのを見て、ああ、日本でも大企業が金をもうけるだけじゃなくて、自治体等の要請もあるのだろうが、下水の問題、汚水の問題、公害の問題とこれだけ取り組もうという先取りを始めたかとびっくりしましたが、さらに驚いたのは、筑波の公害研究所に行って、研究所、調査所というのはコウモリが巣くっているような何かむなしさを後で感ずるようなところが多いのに、ここには何という活気がみなぎっているのであろうかということで驚いたのです。  今後、日本が、科学技術、経済協力において先進国会議において約束したような役割りを果たそうとするならば、アジアは公害の巣です。東南アジア諸国に与えるのは、ほうそうはなくなったということですが、あらゆるばい菌の巣になっております。気候のせいもあるでしょうが、ヘドロがたまっております。日本人がこれはたれ流したんだというところがインドネシアやフィリピンにもあります。イランの次には、要らぬ心配かもしれないが、フィリピンにインドネシアに火を吐くのじゃないかとまで言われているときに、やたらに暴動をやり、革命を絶叫しても、問題解決にはならぬ。そういうときに、静かに筑波の研究所にでも導いて、発展途上国の優秀な人々公害問題と取っ組めるような人をその国に送り込むということが私は日本の今後において東南アジアの人々に貢献する一番大きな仕事じゃないかと思います。日本に留学したが政府は雇ってくれない、食ってもいけないというのでなくて、どういう形にでも資格を与え、政府がそれをやらざるを得ない、また日本その他の先進国がそれに協力してその人たちの働きの場を与えるというようなことがなければ、仙人じゃないから感激を持って青年が働く場において全力を尽くすことはできないのだと思います。私は、科学発明関係か何かの博覧会が筑波には行われるということでありますが、うそばっかり筑波山の筑波じゃなくて、本当のことを教える筑波になってもらいたので、そういうときに、機械もさることながら、東南アジアの人を人心を把握することが一番大切だと思いますので、ユートピアン・ソシアリストの人々が、機械が発明されたことによって機械人間に奉仕してくれるのかと思ったら、機械のやつがおれたちの首をとりに回ったというので機械破壊を行ったような、産業革命初期のああいうむちゃくちゃな抵抗が高度成長政策の被害者たちからいま起きつつありますけれども、もっと話せばわかる、もっと冷静に対処すれば問題解決は可能だという線を公害対策の面からでも出していただきたいと思うのですが、長官は情熱を傾けてやろうという腹を決めているようですから、腹を決めるだけじゃなく、真理は常に具体的でなければならない。具体的な政策を通じて政治を変える以外に、イデオロギーや宗教においては騒ぎは拡大できるが問題解決には寸毫もならないと思いますので、おとなしそうであるが情熱がある長官からひとつそこいらのところをどういう腹構えでこれから臨むか、腹切りに行くのじゃないが、腹をぽんとたたいて勇気のあるところを示してもらいたいと思いますが。
  18. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) ただいま戸叶先生から国立公害研究所に対しまして大変御理解ある御発言をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。  実は、私、十一月の二十四日に国立公害研究所霞ケ浦の水質汚濁の状況を見たいということで行ってまいりました。先ほど来先生からるるお話がございましたとおり、参りまして驚いたことに、研究所の職員が情熱を持って取り組んでおる姿を目の当たり拝見いたしまして、本当に私は力強く痛感し、職員の皆さん方に対しましても環境庁の職員であるという誇りと自信を持って研究努力をしてもらいたいということを申し上げてまいったようなわけでございますが、昭和四十九年三月以来当庁といたしましても鋭意その充実強化を図ってまいった次第でございますが、現在研究の基盤となる大型実験施設も順次整備され、研究活動は一段と本格化いたしてまいったような次第でございます。さらに私は環境庁の最重点施策一つといたしましてこの内容の拡充強化全力を傾けて努力をいたしてまいりたいと思います。  また、東南アジアからの人たちの受け入れも考えたらどうかという御意見、大変ありがたい御意見でございますので、受け入れ体制ができ得ますならばぜひ実現の方向でこれまた努力をいたしてまいりたいと考えております。
  19. 戸叶武

    ○戸叶武君 私の人生モットーは、政治は足跡をもって描く芸術であるという言葉に尽きております。長官が、長官に赴任すればいち早く霞ケ浦に飛び込んで行き、国立公害研究所を見てその研究者の若さと情熱に打たれたと言っております。いまの環境庁各省の優秀な人たちがお互いに各省を代表してプライドを持って集まってきております。人を得ている以上は、この人たちにむなしさを感じさせるような環境庁にはさせてもらいたくない。そういう意味において、きょうあなたの決意は、きわめてじみな表現でしたが、私は非常に意のあるところがわかりました。どうぞ、そういう意味において、真理は常に具体的でなければならない、政権闘争は権謀術策でなくて具体的な政策を謙虚な形において国民に審判してもらって前進するものでなければならないという構えで私は日本政治の根本的な改革のきっかけを、原動力を、吸引力を環境行政の中から生んでいただかれんことを期待して、私の質問はこれで終わります。
  20. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 きょうは、戸叶先生から、長官の所信というか決意がただされたわけであります。そのことに関しまして質問をしていくわけでありますが、その前に一つだけ注文をつけておきたいと思うのです。  まず、第二次の大平内閣が出発しまして環境庁の政務次官は引き続き留任ですね。政務次官は、就任のあいさつの際の委員会には出席されますが、一切姿を見たことがないわけです。私は、少なくとも政務次官、しかも環境庁の性格からいきますと各省間のいわゆる政治調整、こうした問題はきわめて重要なポイントにあろうと思うわけです。委員会論議を十分に政務次官としては踏まえながら長官を補佐をしていくという重大な任務がある、こう思うのでありますが、出席を見たことがありません。こういう形では環境庁全体が一体環境行政について真剣に取り組んでいるのかどうなのかということについて形の上から私は問題点がある、こういうふうに思うのですが、その辺は長官としてはどうお考えになるでしょうか。
  21. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 山東政務次官が再度政務次官にされたということは、私は政府におきましてもその過去の手腕というものを評価されたものであると、かように確信をいたしておるのでございますが、御指摘のとおり政務次官が余り顔を見せないという点に対しましては、私の責任でもございますので、よく本人に直接注意をいたしてまいりたいと思います。
  22. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 先ほどの長官の所信というか決意の中で、後段になりますが、このたび綱紀の面においていわゆる国民の不信を招く事態を生じたと、このことはまことに遺憾だという表明があったわけであります。この綱紀の面において国民の不信を招く事態という綱紀の面にしぼっての問題でありますが、これは一体どういう問題を指すのか、それから綱紀の面で国民の不信というが、綱紀の面以外に国民の不信を招いていることは環境行政としてないのか、この辺について長官の所信を承りたいと思います。
  23. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 私が申し上げるまでもなく、環境行政というのは国民の理解と協力と信頼なくして行政の成果を上げることはでき得ないと確信をいたしております。その責任ある環境庁におきまして今回のような不祥事件が起きましたことは何としても申しわけなく、国民の皆様方に対しまして心から深くおわびを申し上げる次第でございます。今後私といたしましては、御指摘のございました綱紀の粛正あるいはまた予算の適正な執行に万全を期すとともに、長官たる私自身が何と申しましても最高の責任者でございますから、みずから姿勢を正して、そうして庁員が一体となってまずもって国民の信頼を取り戻すために真剣に環境行政に取り組んでまいらねばならぬという決意を新たにいたしておるような次第でございます。
  24. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 綱紀の面は具体的にいま長官は表明がありませんでしたが、きょう私は後ほど具体的にお伺いをしようとしておりますいわゆるそれぞれ新聞あるいは報道関係で報道されております環境庁のカラ出張問題、あるいは公害防止事業団の関係、こうしたものを指すのだろう、こう思うのです。私が先ほどお伺いをしておりますのは、そのこともさることながら、公害行政全般の問題としていま国民の不信を買っている問題点があるのではないのか、こういうふうにお尋ねをしているわけです。たとえばNO2の基準の緩和の問題等につきましてはこの委員会の中でたびたび論議をしてまいりました。そのことについては野党各党全部そろいましてきわめて問題ありという指摘をしてきたわけであります。ところが、環境庁は、これは抜き打ち的に言うならばその問題についての結論を下されて基準緩和に踏み切る。いま、そのことに対して、訴訟が起こったり、各地のそれぞれの健康被害を受けられた方々を中心にしてきわめて問題になっているわけであります。さらに、そのことに対する抗議に対して環境庁からなかなか具体的に回答が寄せられない、あるいは患者との交流がうまくいかない、こうした問題等が一面であるわけです。さらにまた、先ほど長官が熱意を持って取り組まれようとしておる環境影響評価法の制定の問題、こうした観点につきましても山田長官当時に私自身が指摘をいたしましたけれども、各地方の自治体が国の制度を待っておったのではなかなかこれは進んでいかない、したがってみずからでこれを制定をしようという動きになっておるのに、地方の方が先走っては困るというような立場でのいわゆる長官談話が発表される。こうした問題も、私は、環境行政が後退をしておるという一つ一つの具体的なテーマとしていま国民環境行政に対する不信となって噴き出しておる、こういうふうに思うのですが、その辺は長官は違ったお考えをお持ちなんでしょうか、不信としてお持ちなんでしょうか、いかがでしょう。
  25. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 先生案内のとおり、環境庁が誕生いたしましてまだ日が浅いのでございますけれども、それなりに行政の面におきましても成果は上げてきておるものと私は確信をいたしておるのでございます。しかしながら、最近、交通公害の問題とか、あるいはまた先ほど来いろいろお話がございました湖沼とか内海とか、早急に対処していかなければならない問題も起こっております。そこで、私は、これらの問題に真剣に庁内を督励いたしまして全力を傾けて努力をいたしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。  それから環境影響評価の問題につきましても先生お触れになりましたが、大平内閣はまさに地方時代ということを言われておりますが、この問題につきましても地方公共団体におきましてはもうすでに都道府県及び政令都市の八四%が制度化し、あるいはまた制度化の検討を行うなど、制度化への機運が高まってきております。また、知事会や議長会などからも環境影響評価法案の制定について要望書が出されております。私は、こういう地方の声を踏まえて、この環境影響評価法案の取り扱いにつきましては、いろいろな厳しい面も持っておりますが、通常国会に出すように真剣に取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  26. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 ちょっとあいまいなんですが、それぞれの地方自治体が独自で取り組まれることについては評価をしつつ、なお国としては制度化について最善の努力をする、こういうふうに理解していいんですか。
  27. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) さようでございます。
  28. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 わかりました。  そこで、先ほども戸叶委員の質問の中にありましたが、滋賀県で琵琶湖富栄養化防止条例が成立しました。これに対して、先ほど長官は、大変意義がある、高く評価をしている、こういう見解が表明をされたわけでありまして、問題はこの条例の性格からいきまして、これこそ滋賀県だけが条例をつくって、そして条例の持つ目的というものが達成でき得るというふうにはわれわれとしては考えられないのであります。むしろもっと広域的に協力体制というものが組まれていかなければ効果を上げ得ないであろう、こう思うのであります。先般、当委員会として滋賀県におじゃまをいたしまして、これは先回私から御報告を申し上げたところでありますが、その際にも、この制度を国が取り上げてそして大きく援助をしてもらいたい、こうした要望がなされているわけであります。具体的に言えば、たとえばこの洗剤の問題等について、先ほど長官は、工業会にも働きかけをして燐の削減の技術等の開発を含めながらこれの除去について努力をしておる、こういうお話がございました。たとえば滋賀県内に洗剤を製造している工場というのはないわけであります。そういう意味ではいいんですが、たとえば条例でもってこれらを県内でなるべく少なくしていこうじゃないかという観点で成功させようとすれば、これはやはり日本が国を挙げてその問題について取り組んでいくという姿勢をきちっときわめて強く追求をしなければならない、こう私は考えるのです。したがって、今日の状況を見れば、むしろ琵琶湖条例をつくった、このことが全国に波及しては困るという立場での動きが幾つかあるようでありますが、それらについて長官としての一定の見解をお聞きをしておきたい。さらに付言をして言えば、最近のテレビ等のあのコマーシャルを見ておりますと、たとえば石けんの関係のコマーシャルというのはほとんどありません。ところが、洗剤の方は、これは一日のうちで相当のウエートを占めて宣伝が行われておるのであります。これは自由主義の陣営でありますから、やるのは勝手だといえばそれまでの話でありますが、それらの問題についての整理等も当然私は必要であろう。そうして、たとえばこの宣伝等についてのいわゆる協力を求めていく行為等も環境庁としてはとるべきではないのだろうか、こういうふうに思うのですが、その辺はいかがなものでしょうか。
  29. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 先生お説のとおりでございまして、過般、滋賀県におきましてこの条例が制定されたということは、何と申しましても千三百万になんなんとする近畿圏人たちの水がめであるというところに力点が置かれたのではないかと、私はかように考えておるようなわけでございますが、全国の湖沼それぞれの特質がございますから、いますぐここで一本の法律をつくって規制をするということについてはどうかなと、こういう感じを持っておるのでございますが、先生の御意見はごもっともな御意見でございまして検討に値をいたしますので、庁内におきましても前向きで検討をさしていただきたいと思います。  それから実は霞ケ浦へ参りまして感じましたのですが、雨が降った翌日だったものですから非常に水質の汚濁がひどかったのですが、水深七メートルですか、一番深いところへ船で参りましてそうしてあの器械をおろしてはかりましたところが大体一メーターぐらいしか透明度がなかったのですが、あそこの汚濁の原因等を聞いてみますと、農業用水それから畜産排水を含めて四二%、それから家庭の雑排水が約三〇%、産業排水が三〇%であるというような話を聞きまして、ですからこれは燐や窒素だけじゃないと思うのですね。ですから、やっぱり私は総合的に対策というものを立てていかなくちゃならないのじゃないかということを素人なりに痛感をいたした次第でございます。  それからまた、洗剤の問題でございますが、先ほども申し上げましたとおり、環境庁から通産省並びにまた石けん洗剤の工業会等に対しましても強く低燐化、新製品開発ということを要請をしてまいっております。その報告を環境庁からも聞いております。また、私、確認の意味で実際にやっておるかどうかということも担当官にもお尋ねをいたしたのでございますが、今後も洗剤の低燐化、新製品開発につきまして関係方面に対しましても強く要請をいたしてまいりたいと思います。
  30. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 富栄養化の問題につきましては、これはいま長官が言われますように、幾つかの要素が重なっていることは事実なんでありましょう。しかし、今日までの論議の中でも、あるいは実態調査、あるいは学術的な検討の中でも、燐、窒素にきわめて大きな原因ありということはほとんど一致してきておるわけであります。また、現実問題として私の住んでおります三重県におきましても、早くから海岸部で、洗剤はだめじゃないか、こういう立場から洗剤追放運動というのが展開されまして、しかも漁協の婦人部その他が中心になりまして生活態様から変えていこうじゃないかということで努力をして、その結果きわめて水質に大きな影響あり、たとえば養殖ワカメ等が、洗剤野放しの状態のときには相当萎縮をした、それが洗剤追放運動に立ち上がってからその周辺でのいわゆるワカメ養殖等にきわめて大きな効果があらわれたというような実例等も幾つか出ているわけであります。また、最近におきましては静岡県の掛川で、洗剤をそのままにしておったときの状況と洗剤追放をした場合の状況というものを実態調査の結論を一応発表されているわけです。こうした関係等について当然これは事務当局としては掌握をされているというふうに私は思うのでありますけれども、少なくともそういうような状況で原因がはっきりしてきたものから対応を講じていくというのが当然の措置であろう、こう思うのであります。したがって、私は、ほかにもいろいろな要素はあるけれども、それらも全部究明されてからなんていう——今日の科学でもわからぬことの方が多いのですから、わからぬことの多いやつを、これがわからない、これがわからないということでそれまで対策を講じないというのではお話にならない。はっきりした原因がつかめればそれから除去をしていくという姿勢をあくまでも貫徹をしていってもらいたい、こういうふうに思うのですが、その辺は事務当局に何かあれば……。
  31. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) ただいま御指摘がございましたように、水域の富栄養化に燐、窒素が関与している、これはもう明白な事実でございまして、その中で洗剤が何がしかの寄与をしているということもこれもまた事実でございますが、ただ、先生もいまお話しございましたように、大変多岐にわたる発生源でございまして、家庭排水なりあるいは工場排水、あるいは農畜産業なり、その他の問題ともろもろあるわけでございまして、それらにつきまして私どもも富栄養化防止の観点からいろいろ調査実施をしてきておるわけでございます。  そこで、琵琶湖につきましては、先ほど長官から申し上げましたように、琵琶湖の持つ特殊性にかんがみまして、合成洗剤もこれまた住民の長い歴史の中でああいうような条例が出てきたのではなかろうかというふうに思うわけでございますけれども、私ども、やりやすいところからやったらどうかという御意見、これもごもっともでございますけれども、ただ合成洗剤だけを取り出して、それに非常に強い販売、製造の禁止とかいうようなことは、国の政策としてはなかなかそれはむずかしいのではなかろうかというように考えておるわけでございます。  そこで、私どもは、いわゆる閉鎖性水域におきます富栄養化に対処する、一歩でも前進をさせるということで、水域におきますとりあえず燐の目標レベルというものを設定する必要がある。いずれは水質汚濁防止法に基づきます燐、窒素につきまして環境基準なりあるいは排水基準を設定をするということが最終目標でございますけれども、それまでに若干の時間がかかりますので、とりあえず燐につきまして水域中の目標レベルを設定するというようなことで検討会を発足させまして、第一回の検討会が近々開かれる予定になっておるわけでございます。そういうものを通じまして私ども総合的な一つ考え方をまとめまして、そういう中でいろいろ対策充実してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  32. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 次に、公害健康被害補償制度の問題についてお伺いをしますが、この制度の中で一番柱になっております地域指定であります。聞くところによりますと、これは昨年から動き始めておるわけでございますが、どのような形になれば地域指定が解除されるのか、むしろ解除する立場のためのいわゆる条件、これを検討しているというふうに聞いているわけでありますが、そうした動きがあるとするならば、その動向についてひとつ明確に説明をいただきたい。
  33. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 恐れ入りますが、部長の方から……。
  34. 本田正

    政府委員(本田正君) 公害健康被害補償法は、御存じのとおり、四十九年に法が施行されまして、それ以来五年たっているわけでございます。これも先生十分御存じだと存じますけれども、法の仕組みそのものが幾つかの割り切りをもって実は発足をしているわけでございます。ただいま御指摘の地域指定の解除の要件につきましても、これらをいわゆる救済法をめぐりますところの幾つかの問題の一つとして私どもは制度を預かっている立場から検討していることは事実でございます。しかしながら、解除要件だけを検討しているというわけではございませんで、先ほど申し上げましたようにいろいろな問題がございます。そういったものを、あくまでも法の目的でございますところの公害患者の迅速かつ公正な保護を図るという立場から、この法律の運用が円滑に行われるように、これは当然制度の主管者として検討を進めているわけでございます。そういった観点から、その一つとして御指摘の解除要件もおいおい検討はいたしております。しかしながら、現在そういったいろいろな角度からのいろいろな検討をやっておりまして、これを現在どうするかということは決まってございません。もろもろの角度からそういう検討が進められているということを御理解賜りたいと存じます。
  35. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 もろもろの問題はそれは当然検討するのはやぶさかではないのであります。ただ、今日の状況の中で、とりわけ、先ほど私質問の中で申し上げましたように、NO2に対するところの基準緩和の問題があって、そうしてその直後にこの見直し問題が動向として出てきている。これは当然関連がある。しかも、その前提になってきたのは、言うなれば経済が減速をしてまいりまして、そして固定発生源のいわゆるS分が大分減った、こういう動きの中で、言うなら公害健康被害補償にかかわる財源問題をめぐって工業会の中で問題が提起をされてきたわけであります。むしろ移動発生源についてこれからは問題じゃないか、固定発生源のいわゆる八割負担というのはおかしいのじゃないのかというのがそもそもの起こりじゃないのでしょうか。そこから、地域指定をし、地域指定の中のいわゆる公害認定患者の経費負担を実情と合わないところに負担をさしていることをいつまで続けるんだというのが、これが言うならば言い分じゃなかったのでしょうか。そういう形の中で見直しをせざるを得ないところに追い込まれて、そしてその枠の中にあなた方が乗って検討を始めたというのが実態じゃないのでしょうか。その辺は明確にしてもらいたい。
  36. 本田正

    政府委員(本田正君) 公害健康被害補償法を担当する私どもといたしましては、この法律の運用というものが、先ほど申し上げましたように、目的でございます公害患者の迅速かつ公正な保護を図るという目的に沿って円滑に実施していくのが私どもの責務だと存じます。そういった観点から、この法律が施行後五年たっております。いろいろ割り切った——割り切りと申しますのは、たとえば地域指定をすること、疾病を四疾病に限定すること、あるいは暴露要件の問題等々いろいろございます。そういったものをより円滑に実施していくという立場から、これは制度の主管者として当然いろいろな角度から研究もし、検討もし、そして円滑に運用されるように努力をすると、そういった観点から検討を進めているわけでございまして、いま先生御指摘のような事情があるから——いろいろな要望はいろいろな団体から聞いております。それは患者団体も含めましていろいろ聞いております。しかし、それがあるからといってあえて地域指定の解除をやるとか、そういう検討じゃございません。あくまでも法の趣旨に基づいて検討を行っているというのが現状でございます。
  37. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いずれこの問題は深く突っ込んでやりたいと思うのですが、具体的にきょうは当面地域指定解除の問題は具体化をしない、こういうふうに約束をいただけますか。
  38. 本田正

    政府委員(本田正君) 地域指定を解除するということだけに血道を上げているということじゃないということはぜひ御理解いただきたいと思います。しかし、いろいろ検討が進みます中に、学問的なあるいは調査研究も含めまして総合的に先ほどから申し上げておりますような検討を進めているわけでございます。解除要件だけをこの検討から外すとか外さぬとか、そういう問題でもないかと存じます。総合的な検討の中でいろいろな角度から検討を進めていくということで御理解賜りたいと存じます。
  39. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 質問に答えてもらいたい。検討を進めているということはわかりました。検討を進めているんですが、その結論はまだ出ませんね。
  40. 本田正

    政府委員(本田正君) いろいろな角度からいろいろな検討をしておりますが、いまだに結論を得たものはございません。検討を継続実施中でございます。
  41. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 どうも官僚答弁というのは結論がなかなかわからなくて困るのですが、まあ改めてやることにいたします。  これは昨日の新聞で一斉に報道をされております公害認定、いわゆるぜんそくの関係ですね。ぜんそく性気管支炎、これはまあ病名に医学的に明確な整理をされていない、こういう立場から、こうしたものは大体二歳程度ぐらいまでであとはないはずだという前提から、六歳以上は認めないというこういう話が環境庁として出ているのですが、これはどういうことなんでしょうか。
  42. 本田正

    政府委員(本田正君) 公害の第一種、つまり大気の関係の公害病と言われますものは、先生御存じのとおり、いま先生御指摘のぜんそく性気管支炎を初め、気管支ぜんそく、それから慢性気管支炎、肺気腫と、この四つがあるわけでございます。いま御指摘のぜんそく性気管支炎というものを除きましてはこれは医師が病気を診断する場合にわりとはっきりした診断がつくわけでございます。ところが、ぜんそく性気管支炎というのは、これは従来からわが国でも問題がございまして、国際的にもこのぜんそく性気管支炎という名は実はないわけでございます。いろいろな病気を何と申しますか総合してつける病名、そういうふうにお解しいただきたいと思います。  そこで、現在のぜんそく性気管支炎の認定基準はどうなっているかといいますと、四十七年に通知を出しまして、その通知の中にも、このぜんそく性気管支炎というのは学術用語上または国際的にも定義が明らかでないが、ということを示してございますけれども、そういった疾病の性格がございます。  そこで、現に現在四十一の指定地域がございますが、それぞれ認定審査会というものが十五名以内で編成いただいておりますが、認定審査会の会を毎年これもやっております。あるいは全国会議、あるいはブロック会議で。そういったところで、従来から何とか審査あるいは学術的な意味からも、あるいは患者の立場からも、ぜんそく性気管支炎というのはどうももう少しはっきりできないものかと、そういう要請がずっと毎年あったわけでございます。そういったことから、実は去年の秋から、私どもでは、主として小児科の専門家七名から成る委員会といいますか、専門家の御意見を聞いてもう少しぜんそく性気管支炎というものを明らかにするということから検討をいただいてきたわけでございます。その専門家の意見を聴取した結果が出ましたので、かねてからの検討を依頼されておりました全国の認定審査会の全国会議にその要旨を示しまして御意見を拝聴する、いわばたたき台として御意見を拝聴すると、こういったことを実は先月やったわけでございます。そういうことでございまして、ぜんそく性気管支炎を今後も全国の認定審査会の委員の先生方だけじゃなくて、いろいろな、たとえば主治医、そういった方々の意見も拝聴しながら、このぜんそく性気管支炎というものを学問的に明確化していきたいと、そういうことでございます。したがいまして、現在、まだそういう意見を聴取している段階でございますので、ぜんそく性気管支炎についていろいろ意見を聞いて固めなくちゃいけませんので、そのような段階であるということを御理解賜りたいと存じます。
  43. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしたすと、報道とあなたのいまの説明とは大分違いますね。この報道には環境保健部が明確に答えた形になっていますが、「ぜんそく性気管支炎の認定要件について「二歳以下の者に多くみられるもので、六歳以上の者は認定の対象としない」との結論を得、これをまとめて、十一月九日に開かれた認定審査会全国会議に提出した。」と、こうなっているわけですね。すでに庁としてはこれはもう結論を出している、こういう問題になりますね、この報道が正確であれば。その辺は一体どう違うのでしょうか。  それからあわせてもう一つお聞きをいたしておきたいことは、私は御承知のように三重県の出身です。そうしますと、公害の問題が社会的に取り上げられて、そうして認定を受けられるような制度をつくるまで大変なことだったわけですね。これは御承知のとおりだと思う。その間いわゆる四日市ぜんそくというぜんそく、普通のぜんそくだというふうに言われているものと違った四日市ぜんそくというこういうものが一体どういう形で裁かれることになったのですか。これはこれからの公害に伴うところの健康被害の部面では、今日医学的に整理のし切れない問題というのは幾つか出てくるのじゃないのでしょうか。それを今日ある医学的なものに分類しないと環境庁としては全部それは打ち切るという方針なんでしょうか。
  44. 本田正

    政府委員(本田正君) まず第一点、報道と違うじゃないかとおっしゃいましたけれども、同じでございます。と申しますのは、環境庁が方針を決めてそれを通知したという段階じゃないことは先ほど御説明申し上げました。報道もそうは言っておりません。先ほど申し上げましたように、全国の認定審査会の代表の方々の会議、これは毎年百五十名ぐらいお集まりになりますけれども、そういった会からぜんそく性気管支炎をもう少し明確化してくれぬか、非党に現地の審査に当たっていていろいろと支障を来すという御意見が長年ございまして、それを受けて私どもが専門家の意見を徴した結果がまとまったと、こういう段階でございます。それを一つのたたき台として、かねて全国の審査会の先生方の集まりであるそういったところから意見があったわけですから、そこにこういうかっこうで出ましたということを御報告したというのが現状でございます。したがって、先ほど申し上げましたように、これからいろいろ一つのたたき台でございますから意見を聞いて、そしてそれをもし固まりますならばそのときにどう取り扱うかは決めなくちゃいけませんけれども、まだ意見をそういった形で聞いているというのが現状でございます。  それから先生の三重県四日市の四日市ぜんそくという言葉で包含される疾病についてどういうことかということでございますけれども、まあ四日市ぜんそくとかあるいは川崎ぜんそくとかいわゆる総括した用語があったのも事実でございます。そういったものを医学的に大気汚染と因果関係の深そうな疾病ということで、現在は、いわゆる四日市ぜんそくというものを、ぜんそく性気管支炎、慢性気管支炎、気管支ぜんそく、肺気腫、そういった疾病に分類されて、それがいわゆる公害病というものに指定されているわけでございます。したがって、四日市ぜんそくと言われるものを現在の医学的なあるいは科学的な知見を持って分類すれば、いま申し上げました四つになる、四つに包含されると、こういうふうに御理解賜りたいと存じます。
  45. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 それはちょっと理解できませんね。そうしますと、従来ぜんそく性気管支炎というふうに認定をされていわゆる公害患者認定ができたものが、これからはそれでは六歳以上の者は認定しないということになるのか。そうしますと、従来認定されておった者が明確にどちらかに区分をされなければ認定されないと、こうなりまして、どちらかへの区分のできないものは一体どうなんですか。それは明らかな切り捨てになるのじゃないのでしょうか。本来なら従来のままであれば当然認定されるものが、この分類を明確にしなさい、これからはそれでは認定できませんよと、こういうことによって、原因がいかにあろうとも、体の調子その他からいきまして切り捨てになるのじゃないのでしょうか。それは一体どういうことになりますか。
  46. 本田正

    政府委員(本田正君) 現在の通知でも実は示されておりますけれども、ぜんそく性気管支炎というのは本来子供の病気であると。まあ本来というのも、学術用語にない、世界的にもないから、おかしいのでございますが、子供の病気であると。まずぜんそく性気管支炎というのは二歳までに発生するものだというのがいまの学問的な見解です。そこで、現在の通知はどうなっておるかといいますと、ぜんそく性気管支炎というのは、いろいろ呼吸器系疾病がある中で反復性気管支炎だけをいうんだと、こういうふうに実はされているわけです。それを、今回は、反復性気管支炎だけに限るということは、結論が出たわけじゃございませんけれども、また指示したわけでもさらさらございません、現時点では。が、反復性気管支炎だけでは狭過ぎるじゃないかというような御意見もあるわけです。ですから、ほかのたとえばアレルギー性気管支炎とかあるいは小児気管支ぜんそくとか、そういったものも場合によっては含まれるんだと、委員会の御検討のいわゆるたたき台としてということです。そういった、つまり本来のぜんそく性気管支炎というのは、大体低年齢、まあ幼児までに起こるものであって、それ以上の年齢では、学術的には、医学上は、ほかのたとえば気管支ぜんそくとかあるいは慢性気管支炎とかいうものに分類されてしかるべきだという一つの御見解をいただいた、こういうことでございます。
  47. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 よくわかりませんがね。私は医者の専門じゃありませんから、むしろそういう点では長官の方がよく御承知かわかりませんが。  公害の場合は、一定地域を限定すれば何が主原因かという大体主になるものはある程度判断ができても、複合汚染原因ですね、最近、とりわけ、どれだけの一定の地域であっても原因物質一つだけというものは絶対ないはずです。健康に及ぼす影響の問題として。そうなりますと、その複合汚染原因の中でとりわけ健康に被害を及ぼすものというものが明らかにこれとこれとこれだと、さっきの水質と一緒なんですよ、これとこれとこれだというふうに明確になっているものが大体中心になって対応策が講じられてきておる。しかし、そのほかに健康に影響を与えているものが幾つかあるだろう、こういう状況の中で、とりわけその地域に固定をして、どうしてもこの地域にはこういう系統のものが発生をするんだという新たな問題が提起をされている。これは科学の進歩、社会的な進歩、必要悪と言っていいほど出てくるのだろうと思う。それらの問題が、すべて今日までの医学的に分類ができなければ公害の問題として——検討していくのはいいですよ、研究していくのはいいんですが、研究の過程にあってはっきりしないものについても、いままではっきりしているもので全部分類をしなければこれから公害の問題としては認定しないと言うんなら、いわゆる公害基本法を制定する場合の附帯決議の趣旨は一体どうなるのでしょうか。少なくとも今日の医学的にも、あるいは原因等についても明確にならないものであったにしても、集中的にその地域にあるとすれば、何らかの要素が働いているだろう、そうしたものについては当然これはいわゆる公害のもたらしたものだというふうにして認定をし、対策を講じていくべきではないのかということが基本法の附帯決議の趣旨なのじゃないのでしょうか。そういう立場からいきますと、ここで六歳までというふうに限定をしなければならぬ、しかもこれは小児の問題だというんなら、小児の問題は昔からありますよ。小児ぜんそくといってぼくら聞かされています。ところが、それは一般的な話でありまして、少なくとも公害が原因だというときに、その一般論が通用するんでしょうか。それを二歳までが普通だから六歳まで幅を持っているんだからそれでよろしいという論議が通用するのでしょうか。私はそんなものじゃないと思う。そこの問題について環境庁が結論を出して諮問している。医学的にもういままで調べてきたのですから、そのとおりいくのじゃないですか。私は、そうしたところに、冒頭申し上げましたように、たとえばNO2の問題等についても、あるいはアセスの問題等についても、こうしたことがちょこちょこと論議抜きにして環境庁としては表明をされている。そうしたことがすべて国民のいわゆる不信を買っておる、環境行政に対して。一時は大変頼もしい環境庁だった。ところが、最近は、むしろ国民の立場から見れば、環境庁が中に入ってまあまあと言ってむしろ抑えつけてきているのじゃないかという不信感をもたらしていることになるのではないのか。こういう不信を国民の中に植えつけていることになるのじゃないのかということを指摘を申し上げている。再度これはもう一遍突っ込みますが、私は率直に言ってそういう感じがいたします。この辺は、ひとつ長官から、私の感じの問題、こうした動きの問題にひとつ総括的に御答弁をいただきたいと思います。
  48. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 環境庁といたしましては、先ほど来部長からるる御答弁申し上げましたとおり、まだ具体的な結論は出しておりません。坂倉先生の御意見等も踏まえて今後検討さしていただきたいと思いますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
  49. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 次に、これは厚生省、運輸省に伺いますが、東京湾、大阪湾で廃棄物の埋め立て計画があるということで資料をちょうだいいたしました。厚生省の方は、まあこれは比較的一応計画の全面が理解のできる資料でございます。運輸省の方は、残念ながらまあこれ一ついただいたわけでございます。少なくとも官庁が計画検討し、しかも予算をつけておるのに、このパンフ一つ国会提出をする資料でございますということについて、私は少し問題があります。これは、運輸省、十分に検討してください。厚生省からはちゃんといただいています。  そこで、これをきょうは深く突っ込もうというふうには思いませんが、この廃棄物による埋め立て計画の動向の中で私が心配をいたしますのは、今日、これは三十年の初期段階計画をしておったものがいま動き出しておるわけですが、いわゆる東京湾岸道路、これは建設省が所管であります。この東京湾岸道路の計画概要を見てまいりますと、これは川崎から東京湾をよぎって橋をかけることになっていますね。この橋をかけるのに当たっても、島を二カ所つくりまして、そしてトンネルも含めて実は計画が成っておるのですが、東京湾全体、たとえば運輸省の立場からいきますと、港湾という立場から廃棄物で東京湾の奥部に埋め立てをする。しかも今度は湾岸の方で橋がかかる。こうした問題等について総合的にこの問題が検討されておるのかどうなのか、この辺を少しお聞きをしたいことと、それから厚生省の方と運輸省の方と話をしながら進められておるというふうに聞いておるのですが、これがこんなものですから違うのだろうと思うのですが、これを見せていただいておるところと厚生省のこの計画と若干埋め立て面積等について相違があるように思うのですが、この辺は本当にきちっと計画調整し、立場の違いを前提にしつつ一つのものをつくり上げようとしておるのかどうか、この辺のところを含めて、この計画、それから今後の動向について、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  50. 高田陸朗

    説明員(高田陸朗君) 先生がおっしゃいましたように、東京湾、大阪湾ともに、背後に大都市を控えておるために、湾内の各種の利用がなされておるわけでございます。両湾に関しましては、御指摘のとおり、湾岸道路など各種の構想が検討されております。広域廃棄物埋め立て湾構想の計画の具体化に当たりましても、港湾審議会などの場を通じまして関係省庁との調整を図るなど、湾の利用にかかわる長期的な姿をとらえ、かつ環境への影響等総合的な見地に立って各種の検討を重ねてまいることとしております。  それから二点目に御指摘のありました厚生省との構想の関係でございますが、厚生省がこの種の構想を持っておるということは私ども十分承知しております。現在は本構想に関する調査段階でありまして、両省で調整を図りながらおのおののテーマを分担して調査実施しておる段階でございます。テーマの分担の仕方といたしましては、私ども運輸省は主に海の部分の調査を分担してございます。また、この構想の内容について両省間で定期的に情報の交換等をもつ会合を持っておりまして、相互の内容の理解を深めるべく努力を重ねておる段階でございます。本構想実現のためには、関係省庁、特に厚生省との調整を図ることが必要であるというふうに当然ですが考えておりますので、今後ともこういった努力を続けてまいる所存でございます。
  51. 石原公道

    説明員(石原公道君) 先生御指摘のとおり、これからこの事業を東京湾並びに大阪について具体的に実施してまいります際には、環境問題という問題が一番大きな問題になるわけでございます。そういう意味では、われわれは、事前の環境関係のアセスメント問題等については、今後指針の策定等々具体的な手順を踏まえていきます際には、そういった全体的な東京湾の総合開発という観点からの調整という問題も基本に置きながらアセスメント関係の問題についてはしっかり取り組んでまいりたいと思っております。  なお、現在のところ、私ども、首都圏並びに近畿圏、さらに現在のところは予備調査段階ではございますけれども中部圏につきまして、広域的ないわば内陸部における廃棄物の最終の捨て場がなくなっているという状況は昭和六十年代の初めにはどうしても解決をしなきゃいけない事態になろうと、かように厚生省としては考えておりまして、このためにはぜひとももう内陸においてかなりな量の処分地はとうてい不可能だという認識のもとに海に求めざるを得ない、しかし、貴重な海面であり、そこにおける生物環境あるいは漁業者の関係等、やはりこれも貴重な空間でございますから、そういったものは、単にごみという観点からだけでなくて、いわば幅広く考えていかなきゃならないとは思っておりますが、われわれとしてはどうしてもこの計画をそういう意味で実現させたいと、かように考えております。いまのところは運輸省の方においては港湾施設の一環としてそういう広域廃棄物護岸計画という形でのいわば海洋性廃棄物あるいはしゅんせつ土砂等といったふうな観点からの計画もございますので、その両者をどうまとめていくかということは、両省とも緊密に連絡をとりながらただいま調整中であるということでございます。
  52. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 環境庁はどうですか、この計画は当然お聞きになっていると思うのですが、環境庁としてはどういう見解をお持ちなんでしょうか。
  53. 金子太郎

    政府委員(金子太郎君) 本件につきましては、運輸省及び厚生省の方から構想及び事業の内容などについて説明を承っております。私どもといたしましては、ただいま厚生省の方からお答えがございましたように、昭和六十年代の初めには廃棄物、特に産業廃棄物の処分地の問題が東京及び大阪湾沿岸地区において深刻になるだろうという点については全く同じでございますが、率直なところ、東京湾につきましては、東京都の鈴木知事さんが、他府県の廃棄物を積んだ車が都内を頻繁に往復することは好ましくないのではないかという考えを持っておられますし、東京都以外の県が、あるいは海岸もある、あるいはまだ若干山といいますか、内陸へ廃棄する場所もないではない。そういうような状態を見ますと、東京湾については、ややこういう公団をつくってやらなければいけないという情勢は薄いのではなかろうか。それに対して大阪府下のもろもろの市におきましては、もう現在すでに産業廃棄物の投棄が行き詰まっておりまして、業者に金を払って投棄を委託しているようでございますが、それがどうも不法投棄の根源になっているやに承っておりますし、これはほっておくわけにはいかない。したがって、緊急性においては大阪湾の方の埋め立てが非常に高いのではなかろうかというふうに判断いたしております。  なお、両省とも公団をつくって公団の責任において廃棄施設を維持管理する考え方になっているようでございますけれども、行政改革などの最近のもろもろの情勢を拝察いたしますと、公団をつくるという前提には無理があるのではなかろうか。公団をつくらないで、地方自治体が何らかの形で組合をつくるか何かの形でこういうものをやることはできないだろうか、そういう面で環境庁としてもお手伝いできることがあればやりたいというふうに考えておりますが、いかんせん両省とも公団をつくっておやりになるというたてまえを変えておられないものですから、その限りにおいては私どもの出番はまだないというふうに考えております。
  54. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 きょうはそれ以上突っ込んで私はやろうとは思いませんが、これは、長官、いまお聞きいただいていますように、ざっくり言いまして、たとえば東京湾の場合でも、まあ大阪の場合でもそれに似てくるわけですが、少なくとも関係省庁として広域でしかも相当総合的な条件というものが出てくるのですから、これは少なくとも関係省庁としても大きな計画を持っているところは全部集まらなきゃならぬ。集まった上で、しかも同時に環境保全の立場等も踏まえつつこれは一つの結論を出していかなきゃならぬと思うのですね。ところが、往々にしてそれぞれの所管庁でまだ計画計画だと言いながら進めていきますと、それが固まってしまって抜き差しならなくなるというのが今日の状況でありまして、後から環境庁が環境の立場でこれはと文句を言ってもなかなかそうはまいらない。こういうことになったのでは困りますし、これは相当五十一年度から金がついて具体的に動き出している課題でありまして、少なくとももう少し国土庁環境庁、それからいま厚生と運輸、それぞれの立場がありますし、それに先ほど一つの例として指摘をしましたように東京の場合ですと湾岸道路の関係等が出てまいりまして建設省も含めまして、もう少しきちっとした計画になるようにということを私は心配せざるを得ないのであります。具体的な問題は幾つか指摘をせざるを得ないところがあるのですが、きょうはやめますけれども、そういう意味で、ひとつ長官も十分に注意をして、この辺についての環境庁姿勢が後になって問われないようにぜひ御注意をいただきたいと、こう思います。  次に、環境庁のいわゆる職員の旅費の支出の不正経理問題でありますが、余り時間がありませんので、もう要点は十分わかっておると思いますから、まとめて質問をいたしますが、一つは、不正経理に対するところの性格、それから不正経理だというふうに判断ができれば、当然不正に取得をされた額は一体どういう形で処理をされておるのか、この辺の問題がありましょうし、それから事前にこの問題についての環境庁からの説明を聞いておる形の中では、従来報道されました内容の中で一部漏れていると思うのであります。それは、たとえば出張旅費の関係だけではなくて、庁費についても不正流用の形があると、こういう報道が十月の四日の日に出ているわけでありますし、こうした点を含めて、なぜこういう問題が発生することになったのか、環境庁としては、その原因は一体那辺にあるか、この辺をひとつ究明をされておればきちっとしてもらわなければならないし、されていないとすればこれは当然その原因については態度を明確にすべきであろう、こう思いますし、それから形の上からいきますと、この不正経理を行った責任というのは、これは旅行命令権者が初めから、たとえばカラ出張の場合ですね、これはカラ出張で経費を浮かすものですよということを承知で命令権者が行ったのか、あるいは命令権者は当然命令どおり執行されるものと、こう確信をしておって、そして命令をしたが、実は被命令者がその命令に従わなかったから被命令者に責任があるというのか、あるいは同時にもう一つの問題点は、命令を受けた者が行かなかったことを確認をしないで金が支払われているわけでありますから、これは支出担当官が責任を持つべきものなのかどうなのか、この辺の関係についてもひとつきちっと整理をしてもらいたい。  後でまた聞きますが、同時にこれは環境庁自体できちっとしてもらいたいが、会計検査院としては、いま私が申し上げたような内容について、環境庁に対して具体的にどこがどうなのかということについての指摘をされておるのかどうか、ここら辺は後で承ってみたいと、こう思いますが。
  55. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) ただいま坂倉先生の御指摘の件につきましては、先ほど大臣がお話し申し上げましたとおり、今回の事態は大変遺憾に思っておる次第でございます。一括して御質問がございましたので、十分きわめているというわけではございませんが、考えておることを申し上げたいと思っております。  まず、第一点のカラ出張と申しますか、今回の経理の不当の性格の話でございますが、これは御案内のように、職員旅費をその旅費の本来の目的でなくて違うことに使った、こういうのが制度的な性格でございますが、別な面から見ますると、これの原因につながっていくのでございますが、当庁が非常に夜勤の率が高い。企画官庁であり、調整官庁であり、したがいまして多くの企画業務があり、残業に伴うさらに各般の百、二百のオーダーのいろいろな研究会、それから先生方とのミーティング、会議、そういったようなものがあるわけでございます。したがいまして、夜食が大半——それは先生の御質問にまだございませんが、夜食が大半でございまして、いわば表現が適当かどうかわかりませんが、必要経費論みたいな考え方が一つあろうかと思っております。そういうことでございます。  それから報道関係でございますが、このカラ出張の件と申しますのは、職員旅費とかあるいはそれに伴う経理問題はなかなかむずかしゅうございまして理解しにくい点がありますので、報道の方でどうこうということはございませんが、事実と申し上げられるのは、いま検査院から御指摘いただいているのは、職員の旅費の問題でございまして、庁費についてのそういう問題はございません。庁費につきましてはもちろんその中は多種多様でございましていろいろな費用がございますが、庁費というのは本来いろいろの使い方ができる仕組みになっておりまして、流用というような言葉はなじまないのじゃないかと、こう私は役所としては理解いたしておる次第でございます。  それから先ほどちょっと申し上げましたが、なぜ発生したかということにつきましては、原因の究明ということでありますが、一つは、先ほど申し上げたような環境庁のバックグラウンドと申しますか背景があるわけでございます。それに加えて、そういったような需要にこたえて本来なら庁費の方で支出してしかるべきじゃなかったか、こういう反省をいたしておりますが、これをあえてせずに職員旅費の方で賄ってしまったというのが実態でございまして、その辺の事務の何と申しますか流れの比率、あるいは監督、そういったものについて問題があったと、こういうふうに私は理解いたしております。  それから四番目の経理の責任でございますが、この種のことはまた法律上多年の法律上、それから予算執行職員に関する法律、会計法、財政法その他がございますが、そういった面から責任を総合的に考えなくちゃなりませんので一概には申し上げられませんが、いま先生が御指摘になりました旅行命令権者、それから支出の会計の担当官、それから出張した本人、こういったことでございますが、形式的に申し上げればそれぞれに応じた先ほど申し上げたような法律に照らしていろいろな責任があると思っております。思ってはおりますが、その責任も、たとえば出張者本人をとらえますれば全くこの場合は問うような責任じゃございませんし、総体的に概観すれば、やはり管理担当責任の方が強い、責任の所在と言えば管理担当の方が責任が強いと、こういう感じがいたしております。まあその辺のこともよく検討はいたしておりますが、総括的に申し上げればそんな感じがいたしております。
  56. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) ただいまお尋ねのございました旅費の架空支出という問題がございましたことは、これは事実でございます。これはただいま環境庁から御答弁がありましたとおりでございまして、私どもといたしましては、先般これに関しまして環境庁側に質問を発しまして、環境庁の見解を伺い、現在におきましては昭和五十三年度決算検査報告に不当事項として掲記いたすべく審議中でございます。  それから庁費の流用の問題でございますが、これはただいま環境庁から御説明がありましたとおり、流用というのはちょっと当たらないのではないかと思っております。  なお、庁費につきまして不正不当な支出というものは検査の結果ございませんでした。  なお、不正経理責任問題でございますが、予算執行職員等の責任につきましては、これは法律に基づきまして今後本院におきまして弁償責任等の検定をいたすということがあるかと存じますが、その際になお詳しく調査検討することに相なろうかと存じます。  以上でございます。
  57. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 念のために検査院にお聞きをいたしますが、検査院として把握をされております件数あるいは総金額というのはおわかりでしょうか。
  58. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、ただいま本院におきまして決算検査報告に掲記すべく最終的な審議を行っているところでございますので、この点につきましてはいましばらく御猶予をいただきたいと思います。
  59. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 重ねてお聞きをいたしますが、環境庁は検査院の指摘によりまして独自でこの具体的な内容について調査をされておる、これは調査中というふうに承っておるのですが、そうしますと、全体としてはまだ不確定、検査院はさらに検査を続行されていると、こういうふうに理解していいでしょうか。
  60. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) そういう意味ではございませんで、これを不当事項として掲記するに当たりまして、正確に何件、何円が不当であったかというこの件数、金額というものは私どもの役所の仕組みといたしましては最終的には検査官会議の議決を経なければなりませんので、それまでは審議中であるということでございます。
  61. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 長官、いまのやりとりの中で、言うならばむしろ環境庁の良心に基づいてこれからきちっと処理をしなければならぬ。もちろんこのしでかしたことについては、いま担当の方から答弁がありましたが、必要なものを必要なようにつくり上げたんだからという、ざっくり言うとそういう話であります。これは私はまさに事務屋の話でありましてそんなものではなかろう、少なくとももう少しこれはきちっとした取り扱いが必要であろうというふうに思いますが、そういう前提も踏まえて、長官としての今後の防止対策、同時にこの問題についてのピリオドをどう打つか、この辺の所信を承っておきたいと思います。
  62. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 私といたしましては、今後このような不祥事件が絶対に起こらないように予算の適正な執行につきましては庁員全員に対しまして徹底を期してまいりたいと思います。それから先生案内のとおり、大平内閣は綱紀の粛正それから行政改革、これを打ち出しております。さようなわけで、今後の結論等を見まして私は厳正な処置をとってまいりたいと、かように考えております。
  63. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 時間がありませんから次へ移りますが、改めてこの問題はたとえば決算委員会その他の本来の仕事になろうと思いますから、そちらの方へ移すことにいたします。  次に、公害防止事業団建設譲渡資金の建設譲渡の業務で会計検査院から債権保全のあり方が不適当である、こういう立場の指摘を受けられて、みずからもそれについて調査をされておると思うのですが、まず検査院の債権保全に関する指摘の概要についてこれは検査院から少し御説明をいただきます。
  64. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) では、概要につきまして御説明を申し上げます。  公害防止事業団では、公害防止事業団法に基づきまして、工場及び事業場が集中しかつ産業公害が著しくまたは著しくなるおそれがある地域におきまして、産業公害を防止するための共同防止施設、共同利用建物、工場移転用地等の公害防止施設を必要としている中小企業者及び地方公共団体等に対しまして、これらの施設を設置し譲渡するなどの業務を行っておりますが、本院におきまして、これらの譲渡施設のうち、中小企業者に譲渡したもの百十五件、総額七百六十九億四千百九十九万余円につきまして検査いたしましたところ、譲渡施設につきまして抵当権設定登記を怠っておりましたものが十一件、これの被担保債権額は八十億八千百十五万余円、次に担保額が不足しておりますのに添え担保を徴することを怠っておりましたものが二十件、これに対します担保不足額二十二億五千百八十九万余円がございまして、譲渡施設に対する債権の保全が十分でないものが見受けられましたので、今後は譲渡施設の抵当権設定登記については所有権移転登記と同時にこれを行うように改め、また添え担保の確保につきましてはその目的のため譲渡契約の際に提出させる念書に登記簿謄本、不動産鑑定評価書等の添付を義務づけるとともに、担保につきましての実査を行うなどいたしまして念書を実効あらしめるものとするとともに、関係諸規程を整備し、関係職員に対する指導を徹底して譲渡施設にかかわる債権の保全措置を図るよう是正改善の措置を要求したものでございます。
  65. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そこで、昨年度の予算の説明の際に、この委員会の中で、公害防止事業団事業概要としては、造成建設事業は百八十六件、二千一億円、こう報告をされているわけであります。その内訳は、共同公害防止施設十九件、二十六億円、そのうち完成譲渡は十七件、共同利用建物について五十八件、四百六十九億円、三十三件が完成譲渡済み、工場移転用地八十二件、七百億円、これは七十件が完成譲渡、共同福利施設二十七件、これは八百六億円、十九件が完成譲渡、これの合計をいたしますと、百八十六件の二千一億円、そのうち完成譲渡が百三十九件と、こうなるわけでございます。いま検査院から御報告を受けました件数でいきますと、これは百六十三件、そのうちの対民間の関係が百十五件で、それを検査対象にした、こういう話でありまして、少し件数が食い違うのですが、これは期間の問題なんでしょうか。たしか検査院の指摘は、五十三年度分についてということになるわけでありまして、私が先ほど申し上げました数字も五十三年十二月ですから、五十三年度にしては三カ月分が不足をしているのですが、三カ月の差がいまの数字の相違になるのかどうか、この辺ひとつ説明をいただきたいと思います。
  66. 城戸謙次

    参考人城戸謙次君) ただいまのは統計の時点の相違だと思います。
  67. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、この民間の担保不足の二十件というものは、これは未完のものは含んでいなくて完成譲渡をしたものの中で担保不足が二十件と、こう理解していいんですか。
  68. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) そのとおりでございます。未完成のものでございますと、これはまだ相手に引き渡しもいたしませんし、これに対して抵当権設定もできかねるわけでございます。
  69. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうすると、譲渡に関する契約というのはいつの時点で契約をされるのか。それから相手方に引き渡す、いわゆる譲渡の相手方に引き渡たすのはいつの時点で行われるのか。
  70. 城戸謙次

    参考人城戸謙次君) 譲渡の契約でございますが、これは譲り受けの申し込みを受けた後、公害調査及び信用調査を行って工事着手前に締結する、こういうやり方になっております。それから相手方に引き渡す段階で確定契約を結んでおるわけでございまして、譲渡契約と確定契約、この二段階を経ているわけでございます。
  71. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 その手続的なものは業務方法書、たとえば譲渡に関する契約の問題は第九条、それから相手方に引き渡す問題につきましては同じく方法書の十二条、これに基づいて行われているということでいいですね。
  72. 城戸謙次

    参考人城戸謙次君) さようでございます。
  73. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、引き渡しの際に所有権移転登記、それから抵当権の設定登記、これは当然手続的にいって完了をされないと終わらないわけですが、これがやっていなかったということになるわけですか。
  74. 城戸謙次

    参考人城戸謙次君) いま御指摘のとおり、一部やられていないのがあったと、こういうことでございます。
  75. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 検査院にお伺いをしますが、これはもとはもう明らかな法律違反、こういうふうに理解していいんですね。
  76. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) お説のとおり、業務方法書違反ということになると思います。
  77. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 方法書は、むしろ事業団にとっては一番の骨のはずだと思うのですが、その骨が骨どおりいかなかった何か理由があるのですか。
  78. 城戸謙次

    参考人城戸謙次君) 私どもは、施設を譲渡します場合、割賦金の担保をいたしますために、譲渡施設上に抵当権を設定しますほかに、不足分を添え担保として取っているわけでございます。ところが、いろいろな事情によりまして添え担保が取れないものがあったわけでございますので、その場合、それと同事項の関係にあります登記を押さえるということで、これを担保を提供する間接的な強制手段にも使うということでそういう措置を従来とってまいったわけでございます。
  79. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、先ほど御答弁いただきましたように、工事にかかる最初の段階として、相手がいわゆる審査対象になった場合に、これが有資格者であるかどうかということを審査をしてそこで仮に契約が成立をする。そうして具体的工事ができまして、そうして完了をして相手方に引き渡す。このときに本契約を結ぶ。ところが、その本契約の中に、そうすると担保を取る部分についてその段階で不足、不足ではあるけれども渡さなければしょうがないと、こういうことで渡しているわけですか。
  80. 城戸謙次

    参考人城戸謙次君) この譲渡施設の部分はすでにでき上がったものでございますから、抵当権の設定をする場合には、こちらの方としまして所有権移転等の登記を前提としてやりますればできるわけでございますが、問題は添え担保でございます。したがって、いまおっしゃるように、確定契約の段階で添え担保が取れないようになっては困るわけでございますので、譲渡契約前に一応添え担保に関します念書をとっておったわけでございます。ところが、その念書自身が、検査院の御指摘のように、実効性が必ずしも十分でなかった等の事情もございまして、確定契約の段階になって取れないものが出てきた。そのためにただいまのような措置をとってきた。これが従来の私どものやってきたやり方でございまして、この点会計検査院からいろいろ御指摘もいただいておりますが、事実関係はそういうことでございます。
  81. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局、添え担保が取れないということは、担保能力として不足をしているということになりますね。不足を承知で相手方に渡してしまう、これがいままでやってきたやり方ですと、こう開き直られても、私は困るのじゃないですか。それこそおかしいのじゃないですか。
  82. 城戸謙次

    参考人城戸謙次君) 私どもは、したがって、そういうことで登記をしないままの段階で添え担保を取れるような努力を続けてきたと、こういうような形をとっておったわけでございます。
  83. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 少なくとも、いま国がやっている役所の仕事というものは、きちっとその辺が確保されてからでないと事が進んでいかないものでしょう。しかも、会計法のたてまえというのは必ずそうなっているはずですね。それに準拠されているのは事業団も同じじゃないのでしょうか。そうなりますと、あなた方素人じゃなくて、それを業にしている立場からいって、きわめてこれはずさんな形であったとしか言いようがありませんね。その辺について、環境庁は、当然これは事業団法の施行規則第十三条で事業計画が義務づけられていますね。そうしてそれに対してその事業実施内容等について、十六条の中で報告義務がこれまた義務づけられておるわけですね。ここでこの辺の問題というのはチェックができなかったのでしょうか。
  84. 金子太郎

    政府委員(金子太郎君) 従来の事業計画は、債権の保全に関するものまでも含めていないという慣行でございましたので、したがいまして、事業報告書の方にも債権保全に関する記載がなかったと、こういういきさつでございます。しかしながら、今回の事件は、私どもといたしましても監督不行き届きでまことに申しわけない事件だと考えておりまして、何らかの制度的な改善策を考えなければならないということで目下検討中でございます。
  85. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 待ってくださいよ。含めていない慣行だと。慣行というのは、これは言うならしきたりでありまして、しきたりが法制化をしていくというのは通例でしょうけれども、少なくともそれは法律に基づいての問題じゃなくて、法律上の解釈の問題として慣行ができ上がってきた。したがって、そこに問題点が出たわけですから、これは別に具体的な検討をするまでのものじゃなくて、法律そのものに原則としてぴしっと合わせるということで解決つくのじゃないでしょうか。環境庁から当初いただきました資料によりますと、いま話がありましたように、事業団として、「諸規程の整備等も含め現在具体的方策を検討中」と、こうなっているのですが、私は、検討しなくてもいまの法体系の中で十分それはやらなければならぬ、ただ手抜きをしておったことが慣行になった、こういうふうに理解をするのですが、間違いですか。
  86. 金子太郎

    政府委員(金子太郎君) 先ほど慣行と申し上げましたけれども、この公庫、公団、事業団のような特殊法人といわれるものの事業計画というものは、そもそもどういうものを織り込むべきであるかということは、この特殊法人発足以来、財政当局、法制局その他でずっと議論されてきたことでございまして、おのずから各特殊法人間で共通なあるいは類似な仕組みになっておりまして、いままでその辺を——その辺と申しますのは債権保全状況だと思いますけれども、債権保全状況にかかわるものを事業計画に入れるという考え方がなかったということでございます。
  87. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 その辺は、私は、法律あるいは規則をきちっと規則どおり行えば、この種指摘をされるような取り扱いというのはない。ただ、それを人為的に、やらなきゃならぬのを忘失をしておったとか欠落をしておった、そういう場合の指摘というのはわかりますが、それが慣行であるとか、従来からそうやってますという話じゃ、これはまことにお粗末な話としか言いようがないのであります。それからもう一つは、もう一つの業務であります貸付業務がありますね。この貸付業務の関係についてこれは間違いありませんか。検査院、どうでした、これは検査されていますか。
  88. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 私どもといたしましては、融資先にまでは検査権限が及びませんので、検査ということではただいまのところやっておりませんが、一応事業団側がなさる調査に同行して見せていただく、いわゆる肩越し検査と申しますか、こういったものを一部実施いたしております。この融資につきましては、ただいまのところ、さして不当と認めた事態はございません。
  89. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 もう時間がなくなりまして困っているですが、また改めてこれは適当な場でやりたいと思いますが、貸し付けの問題について実はこれもある報道でありますが、大阪環境事業協同組合というのがございますね。これは報道で報道されていますから御承知だろうと思うのですが、ここの理事長の渡辺国男さん、これがかつては廃棄物の不法投棄でたとえば四十八年の二月に一万円、四十九年四月に五万円、五十年の十月に四十万円、こういうふうな罰金を、いわば前科がある、不法投棄で。こういう人が理事長になっておる大阪環境事業協同組合の問題について、これが再び不法投棄でそのことが明るみになった。これはもうまさにこの貸付業務についても審査の体制というのがなっていないのじゃないのか、こういう立場の指摘をこれは報道しているわけでありまして、これまた公害防止事業団だからというのじゃありませんが、環境行政についてはきわめて大きな私は問題点だ。こういうような問題はどういうふうに事業団として処理をし、事業団として今後こういう問題についての対処方をするのか、一切こうしたものについての報告は環境庁としては受けとめていないのかどうか、この辺最後にお伺いをしておいて、時間が来ていますから質問を終わりたいと思います。これは長官からも後できちっとしてもらいたい。
  90. 城戸謙次

    参考人城戸謙次君) ただいまの大阪環境事業協同組合の件でございますが、これは融資とおっしゃいましたけれども、実はこれも造成建設事業の一環でございまして、検査院から御指摘を受けました二十件の一つに入っております。登記未了と、それから添え担保が取れてないと、この二点の御指摘をいただいているわけでございます。私ども、検査院から具体的な案件を含めまして今後の措置の要求を受けましたこと、このような事態になったことはまことに遺憾だと思っておるわけでございまして、今後事業団挙げまして全力をもって債権保全に取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  91. 金子太郎

    政府委員(金子太郎君) ただいまの理事長の御答弁のとおりのことを私どもも事業団の方からかねがね報告を受けております。
  92. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 報告を受けていると言うんなら私ちょっと聞きたいのですが、そうすると、現在では、この大阪環境事業協同組合のたとえば金は返ってきているのですか。
  93. 金子太郎

    政府委員(金子太郎君) 貸付業務ではなくて、造成建設業務の対象である、こういうことでございます。
  94. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 環境庁の監督下にある事業団におきまして会計検査院からこの債権保全について適切を欠いておる旨の指摘を受けましたことは、監督官庁といたしましてまことに遺憾にたえない次第でございます。環境庁といたしましては、中小企業の公害防止というこの事業団の任務を念頭に置きつつ、事業団が債権の保全に所要の措置を講ずるように厳正に今後指導をいたしてまいります。
  95. 小山一平

    委員長小山一平君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  96. 小山一平

    委員長小山一平君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  97. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほど坂倉理事から御質問があって御答弁があったカラ出張ということについて若干質問いたしたいわけです。  この場合に、鉄建公団の不正経理ということが次々と報道されていた段階環境庁とカラ出張で不正経理があるということが報道されて大変驚きもしたわけです。その内容として、官房長の談話として伝えられておりましたのは、その段階では課ぐるみとか局ぐるみということは考えられないというふうな談話があわせて載っておりました。そういうことになりますと、出張命令される方が課長なり局長なり、その辺最初にお尋ねしたいのですが、一体だれが出張命令をされるのか。そうして、それが課ぐるみ、局ぐるみでないということになると、全く個人の不正になるわけですね。個人が、実は出張しないけれども、出張命令の命令簿を出し、提出し、旅費を受け取り、しかも出張先へは行かなかったということで、それで恐らく復命もするのじゃないですか、官庁のしきたりとしては。その復命もあるのかないのか。いずれにしても、課長も知らない、局長も知らないということになると、ある個人が不正をしたということになるわけですよ、でしょう、と思いますが、そういう点御説明をいただきたい。  それから、先ほどの御答弁だと、要するに必要経費なんだ。そのカラ出張で浮かしたお金というのは結局は夜食代のようですね、先ほどの説明では。超過勤務をする夜食を必要とする、その夜食代の必要経費なんだというふうな答弁だったですが、そうなりますと、これは全く個人の問題じゃなくて、課なり局であるいは環境庁としてやったことであって、最初の伝えられた官房長の談話は全く事実を伝えていなかったということになろうかと思います。その点いかがですか。
  98. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) お答えを申し上げます。  命令権者はだれかというお話でございますが、制度上は命令権者は一般職員につきましては各局の局長でございます。課長になりますと事務次官が命令いたします。局長になりますると大臣が命令をすると、こういう仕組みになっております。  いまの組織ということですが、この不当な経理の起こってくる過程と申しますのは、ある課なら課の庶務の担当者が複数おりますが、そういうところでだれだれが出張するという計画をいたします。そして所定の命令をもらいまして、それからさらに所定の手続をとってお金を払うという形になるわけです。本来はそうなるわけですが、私どもの役所の中ではいままでこういう種類のものについては管理者が知悉していなかった、事実について知悉していなかったということが問題なわけでして、これ自体が非常に問題でございまして、さっき申し上げましたように、十分な監督責任が問われてしかるべきわれわれの事態だったと、こう思っておるわけであります。  ただ、いろいろな課である程度のこういう事実が発生いたしておりますが、たとえば組織的と申しますか、組織的というのはそういう指揮とか命令とか指示とかというのが本筋であろうと思いますが、そういうものはなかったと、ただわりと広く出ていたということでございまして、私どもの認識では事実関係はいま先生が御指摘したとおりでございますが、組織ぐるみでやっていたというようなことはなかったと思っております。  それから復命はしている者もあるし、していなかった者もあるというのが結果でございまして、これは非常に問題であろうと思っておりまして、改善事項としては文書をもって復命するようにという改善事項を遅まきながら改めていたしたわけでございますが、事実関係はおっしゃるとおりいろいろなまちまちなケースが多うございました。  それから経費につきまして、先ほどカラ出張の性格というようなお尋ねがあったので、このカラ出張自身は先ほど申し上げたような背景でやむを得ずやってしまって、いけないことをやってしまったと、こういう認識を持っておるわけでございますが、それは担当者がそういうふうにしたというのじゃなくて、これは組織の、役所という中の話ですから、これは先ほど坂倉先生にお答え申し上げたとおり、全体の責任というふうに責任ということから考えれば、これはもうわれわれ管理する者、監督者の責任であると、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  99. 小平芳平

    ○小平芳平君 私がいまこうしてお尋ねしている趣旨は、環境庁は他の省庁に比べて出張が多いのが当然じゃないかと思うんですね。それは環境を守る、あるいは公害の発生を防止する、あるいは被害者を救済する、いずれにしても現地を知らないでただ机の上で会議だけしているということは、行政としても政治としても中途半端なことになるのじゃないでしょうか。したがいまして、国民の立場、市民的な立場で考えた場合、環境庁は環境を守るために被害者救済のために一番現地の実情をよく知っている官庁だということであってほしいと思うわけです。また、そういう趣旨でこの委員会でもたびたび各委員の皆さんからも御発言があったと思うのです。しかしながら、この出張旅費はかえって夜食代になっているんだということ、しかもその後の報道では五十三年度で九千万円の出張旅費予算が二千万円ほどカラ出張に費やされていたというようなことが報道されているんですね。その辺の真偽はどうですか。そしてまた、そういうことは先ほどの御説明では非常に不明瞭ですが、要は管理者が知らないうちに一般職員は課長の出張命令を受け、管理者が知らないうちにこの受け取った旅費をどこで夜食代にするのか、全然管理者はそういうことは知らなかったということも腑に落ちないですね。そんなのんきな官庁があるとは思えないですね。したがいまして、別にそういうことが、いまここでどういう責任を明らかにしろなんという意味ではなくて、現地視察、現地調査に一番力を入れるべき官庁、入れるべきというのは語弊があるかもしれませんが、国民の立場に立って言えば、そうしてほしいと思う、願う、そういう官庁が、二割強もカラ出張で何か管理者もわからないように予算が使われていたというのは非常に不可解でもあり、また不審でもあるわけです。いかがですか。
  100. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 出張の件につきましては私ども十分に反省いたしておりまして、先生の御説のとおり、ただ企画調整官庁だからといって徹夜徹夜でもって会議ばかりやっているのが能じゃないということは思っております。十分に必要なものは予算の範囲内できちんと精力的にやっていくというふうにいたしたいと思っております。その点はおっしゃるとおりだと思います。  それから三番目の、全く管理者が知らない、でたらめじゃないか、これはもう本当に申し開きのできないような事実だと思っております。  それから数字につきましては、検査院の方の審議の過程でございますので、御遠慮さしていただきたいと思います。
  101. 小平芳平

    ○小平芳平君 もちろん数字はそういうことで先ほども終わっておりますので、その以上言いませんけれども、要は二割強というようなそういう大きな部分が、全く現地視察、現地調査という出張とは関係のないところへ使われたということですね。それは非常によろしくないわけですね。  それからこれは長官も先ほどの御答弁で改めていくという御趣旨はわかりましたが、やはり環境庁というのがあるからかえって日本環境行政公害対策にマイナスだというようなことにならないように、大いに士気もふるい起こし、また役立っていただかなくちゃならないと思うんですね。
  102. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) ただいま小平先生からいろいろお話がございましたとおり、環境庁国民生活に密着いたしました役所でございまして、何と申しましても国民から信頼と協力、理解を得られなかったならば環境行政というものを推進してまいるわけにはまいりません。先ほど来の御意見にもございましたとおり、いろいろ現場をよく認識して行政を進めてまいらねばならないと思います。さような大事な環境庁においてこのような不祥な事件が起きたということは、もう理由のいかんを問わず何としても申しわけなく、重ねて国民皆さん方に深くおわびを申し上げる次第でございます。ただ、先生、弁解がましいようなことになって大変恐縮でございますが、先ほど官房長からもちょっとお述べになりましたとおり、環境庁は十八省から職員が参っておりまして、やはり各省との調整機関と申しましょうか、日中は各省といろいろ連絡をしたり話し合いをしたりしてどうしても夜遅くなるような機会がありまして、つい夜食に出したり、また交通費に使ったりといったようなふうに私は聞いておるのでございますが、いずれにいたしましてもよくないことですから、これはこの機会に改めて、そして、これを出発点として何回も申し上げておりますとおり私自身がえりを正して、そして職員一体となって真剣に環境行政と取り組んでまいりたいと思います。
  103. 小平芳平

    ○小平芳平君 長官のその御趣旨はよくわかりましたが、それで、歴代環境庁長官は水俣へ行きましたり、いろいろな面で現地視察をするということ、その上に立って環境行政を進めようというふうにしてこられたと思いますが、土屋長官の日程なり予定と言ってもまだこれから予算編成その他で大変な時期でありますが、そういう点についてのお考えがあったらお聞かせいただきたい。
  104. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) まだ私も長官を拝命したばかりでございまして、勉強中でもございますし、もう近々来年度予算編成の時期にも入りますものですから、ここでただいま時期をいつにと明確には申し上げられませんが、水俣も含めて視察等も考えてまいりたいと思います。
  105. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから次の問題ですが、環境影響評価法案について、この点についても午前中にも御答弁がありましたので内容的に繰り返していただく必要はないわけですが、私もまた繰り返してお尋ねはいたしませんけれども、代々のここのところ何代かにわたって環境庁長官国会において環境影響評価法案を提案いたしますということを何回も言っているわけですね。それで、毎年のように環境庁長官の所信表明には第一項目にこの評価法案を提案をいたしますと言いながら、結局断念せざるを得なくなったということを続けてきております。それで、土屋長官としては、厳しい情勢にあるが必ずやり遂げたいというふうな御趣旨ですか、先ほどの御発言は。ただ、私が特に申し上げたいことは、客観情勢といいましょうか、最初の段階のころ必ず提案いたしたいとおっしゃった長官発言と現段階ではずいぶん客観情勢が変わってきているのじゃないかと思うのです。そういう点を環境庁としてはどう判断しておられるか。具体的に申しますと、各省庁でなおかつ反対するのかどうか、どういうふうに把握しておられるか、あるいは中公審からは速やかに法制化を図るようにという答申もあったことであるし、あるいは国際的にもOECD理事会の決議とか、あるいは地方公共団体がいろいろな形で実施しているとか、そういう点から考えて、もはや土屋長官がいま決心をし、提案しようということに対する足を引っ張るところはないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  106. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 歴代長官が、先生お説のとおり、環境影響評価法案を出すべく努力をされましたことは事実でございます。また、前長官との引き継ぎ事項の中にも、冒頭、この問題を最重要項目の一つとして取り上げられておりました。それからまた、先生がお述べになりましたとおり、中央公害対策審議会からも答申をいただいております。それからまた、先ほどの御答弁でも申し上げましたとおり、地方公共団体、都道府県等からも強い要望がなされております。はたまた国際的にはOECD理事会が加盟各国に対しましてこのアセスメント法の制度確立を勧告いたしております。それからまた、環境庁の幹部諸君から聞いたところによりますと、関係省庁も最近は大分この問題に理解を持ってきておるやに聞いておりますが、しかしながら、反面、一部には厳しい反対の意見と申しましょうか、そういう面もございますので、やはりしんぼう強く粘り強く、そしてしかも機敏に国会提出でき得ますように、私はともあれ誠心誠意最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  107. 小平芳平

    ○小平芳平君 厳しい反対は自民党くらいじゃないですか。前に環境庁からいただいた資料にも「自由民主党政務調査会商工部会、法制化は時期尚早と決議」となっておりますね、五十三年四月二十六日。五十三年四月二十七日には「自民党の環境部会では国会提出を決議」となっておりますね。この辺が問題であるだけであって、あとは国際的にもあるいは国内的にもこれ以上ずるずると延びていくという理由はなくなっちゃっているのじゃないですか。気持ちはどうですか。
  108. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 先生、わが自由民主党は幅の広い民主的な政党でございますので、いろいろ反対、賛成ございますけれども、熱意を持ってこの問題の理解を得るように最善の努力をしてまいりたいと思います。
  109. 金子太郎

    政府委員(金子太郎君) アセスメント法案をめぐりますいろいろな情勢が四年前に初めて提案いたしましたときと大きく変わってきているという点は、小平委員の御指摘のとおりだと思っております。当時は、中央官庁の幹部の方々は、アセスメントとは何かねというような、そういうことをやるのかねというようなことを言われる方が多かったのですが、また、アセスメントのことを知っているのは比較的若い課長さん以下というような状態でございましたけれども、今日ではアセスメントそのものをやるということはもう定着してきたと言っていいと思います。また、その間のいろいろな経験を踏まえまして、新幹線につきましても、電源立地につきましても、事業を所管している通産・運輸・建設というような省庁でそれぞれアセスメントの指針とか審査の基準とかいうようなものが通達等の形で出されております。  そういう状態でございまして、現在残っております問題は、一つには、アセスメントを行う場合の技術とか、手法とかいうものが確立されていないのではないかというような問題、それからもう一つは、住民参加または住民関与とも申しますが、その問題は、これは実は情報公開にも連なるわけでございますけれども、その問題自体も各省の出している指針等では必ず説明会などを開き縦覧などをすることになっておりますから、事実問題として否定する向きはないわけでありますが、それを法制化することによって当該事業に反対する方々に反対者としての武器といいますか、何かそういうことを与えるもとになるのはまずい、したがって時期尚早、こういうような点にだんだん問題がしぼられてきているというようなことかと思います。しかしながら、最近の国際的な学会などでも言われておりますように、日本は、公害防止については明らかに先進国であるが、事アセスメントに関する限りは後進国並みである、アメリカは国家環境政策法を施行して十年間の経験を持って、最近では、アセスメント自体の合理化、やらなくてもいいところを縮めるというような合理化をすでにやっているという批判を受けております。そういうことを聞くにつけましても、この法案の成立に向けて関係方面の合意をなるべく早くいただきたいと思っておるところであります。
  110. 小平芳平

    ○小平芳平君 土屋長官から自由民主党は幅の広い政党であるというお話がありまして、私たちもそう思いますけれどね。そう思いますけれども、自民党政調会環境部会長という方が水俣病について発言をなさった。これはまことに適当でないといって御本人が取り消すですかおわびするかというふうなニュースを私も見たことがありますが、そのときには、環境庁長官には産業界に理解のある人がならなければ困るというような発言もあったように伝えられております。その後、間もなく土屋長官が就任したわけですか、あるいはその前ですか、まあ同じころですね、そういうことが伝えられてきております。ですから、それは幅広い意見は当然ありましょう、議論も出るでしょうが、環境庁長官としては自民党のそういう意見に引っ張られていったのでは、水俣病についてどうこう言って突っ込まれたらすぐ謝らなくちゃいけないようなそういう意見に環境庁長官が引っ張られていたり環境庁事務当局が引っ張られていたのでは、本来の環境庁の存在の意味が全くなくなってしまう、かえって有害になってしまう、環境庁の存在そのものが、ということを憂えるゆえに、今回のアセスメント法案を提案するに当たりましてはそうした自民党のそういう意見には引っ張られないということが言えますか。
  111. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) ただいま小平先生から水俣病のお話が出ましたが、水俣病問題は私は環境行政原点であると、さように認識をいたしておりますし、また、この問題とも真剣に取り組んでまいりたいと思いますが、率直に言って、党内にもいろいろの意見のあることはぜひ先生ひとつ御理解を賜りたいと思いますが、ともあれ、この環境影響評価法案は、先ほど局長の方からも御答弁いただいたとおり、各界、各方面に非常に理解をいただいてまいっておりますので、ともあれ、これを国会に出すべく全力を傾けて努力いたしてまいります。
  112. 小平芳平

    ○小平芳平君 自民党内に幅広い意見のあることは承知いたしますから、水俣病に対する不穏当な発言をするようなそういう党内の意見に環境庁長官また環境庁事務当局は引っ張られない、左右されない、本来の環境庁の目的で進むということになりますか。
  113. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 重ねて御答弁さしていただきますが、環境庁の精神に徹して一生懸命努力してまいります。
  114. 小平芳平

    ○小平芳平君 あと、事前環境影響評価についての内容についてはまた別の機会に御質問したいと思います。むしろ提案されてから大いに論議したいと思います。  次に、これも先ほどの坂倉理事からのお話で出ましたが、公害病認定に年齢制限をするという、ぜんそく性気管支炎は六歳未満の者しか認定されないようになるではないかというような点ですね、こういう点についての御答弁がありました。私が次にお尋ねしたい点は、その点は先ほどの御答弁でわかりましたから結構なんですが、要するに、公害被害者がふえるのはおかしいじゃないかという意見があるんですね。公害被害者が認定患者数がどんどん毎年ふえてくるのはおかしいじゃないか、二酸化硫黄の汚染は基準内におさまってきているじゃないか、にもかかわらず認定患者がふえるのはどういうわけだというような意見がある。しかし、それについてもまた、NO2あるいは粉じんについては考慮されていないというような点、あるいはNO2の基準を大緩めに緩めてしまったというような点、そういう点が無視されながら、ただSO2についてこうだということだけで話を進めるのはおかしいということについて、いかがですか。
  115. 本田正

    政府委員(本田正君) 御指摘のように、現在の公害健康被害補償法に基づきますところの指定地域の指定要件と申しますかにつきましては、窒素酸化物あるいはその浮遊粉じんというものは指定要件の中に指標としては入ってございません。これは、当時、そのNOxなりあるいは浮遊粉じんというもののデータが四十九年当時でございますが、非常に不足していたことから、指標を硫黄酸化物だけに持ってきているわけでございます。この公害健康被害補償法をめぐります御意見につきましては、これが幾つかの大きな割り切りをもって発足した制度であるがゆえに、いろいろとそれは御意見が各方面からあることは重々承知いたしております。また、一方、この制度をうまく運用していくということこそ私どもの務めでございますし、つまり公害患者の迅速かつ公正な保護を図るという目的に沿いまして適切ないい運用を図っていくということ、まあそういうことでいろいろ検討いたしているわけでございますが、NO、等につきましても指定要件の中にないわけでございますので入れたらどうだという御意見も拝聴いたしております。そこで、私どもは、補償法とそれからNOxの環境基準というものは連動はいたしておりませんけれども、NOxが指定要件の中にどう評価さるべきなのかということをやる必要があると存じます。そういったことで現在その検討を進めております。指定要件に入れるとか入れぬとかいう前に、これは健康被害補償法上NOxをどう評価したらいいのか、そういう検討も一連の公害健康被害補償法のたくさんある検討の重要な一つとして検討を進めてまいっております。
  116. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、部長に伺いますが、硫黄酸化物だけが減ってきた、汚染が減少したといたしましても、このことによって健康被害が当然減っていくということにはならないわけでしょう。
  117. 本田正

    政府委員(本田正君) きわめて危機的な状態と言われます数年前までは、SOxも高い、NOxも高い、浮遊粉じんも高いという状態でございました。ところが、非常に幸いなことに最近きわめて大気の状況は改善されております。つまり、SOxというのは目に見えて減少している。それから浮遊粉じんも減少しております。ただNOxが横ばいだとよく言われます。したがって、その下がった分だけは非常に空気がよくなったということは言えると存じます。したがいまして、公害認定の疾病というものはこれは非特異的な疾病ではございますけれども、空気がよくなれば理屈の上ではそれだけ被害を受ける方々が少なくなるというのが理屈だろうと思います。御指摘のように、SOxだけが減ったからといってゼロになるわけじゃございませんし、いろいろNOxとかあるいは浮遊粉じんとかそういう大気汚染でございますから絡みというものも当然これは念頭に置いてしかるべきだとは存じております。
  118. 小平芳平

    ○小平芳平君 NOxは横ばいで粉じんは減っているのですか。いまそうおっしゃったですか。
  119. 本田正

    政府委員(本田正君) はい。
  120. 小平芳平

    ○小平芳平君 大気局の方ではそうなっておりますか。
  121. 三浦大助

    政府委員(三浦大助君) 先生御指摘の窒素酸化物の汚染状況でございますが、私ども五十二年の調査まで公表してございます。これによりますと、窒素酸化物の濃度は、五十二年度は前年度の五十一年度に引き続きまして横ばい状態である、こういう評価をしておったわけでございますが、これを環境基準の達成率につきまして見ますと、これは昭和五十三年の七月に環境基準と測定法の中のザルツマン係数を改定いたしました関係から、この改定に照らして整理を行いますと、一時間値の一日平均値〇・〇六PPm以上の測定局の割合と申しますのは四・六%、それから〇・〇四PPmから〇・〇六PPmという値を示した局の割合と申しますのは二五・二%、それから〇・〇四PPm未満の局の割合と申しますのは七〇・二%でございます。  なお、粉じんのお話も先ほどちょっと出ておりましたですが、浮遊粉じんのうちで環境基準が設定されております浮遊粒子状物質というのがございますが、これにつきましても五十一年度に引き続き五十二年度は横ばい状態であるということでございまして、浮遊粒子状物質につきましては環境基準の達成率が少し悪うございまして二四%ということになっております。
  122. 小平芳平

    ○小平芳平君 いま私がお尋ねしたいことはこの傾向を伺いたいわけですが、五十二年度ではいかにも古いわけですね。その後はどうなりますか。
  123. 三浦大助

    政府委員(三浦大助君) 五十三年度の調査結果につきましては、全国から都道府県から調査票を集めまして現在集計中でございまして、十二月中には発表できることと思います。しかし、すでに各県単位でかなり発表はされておりますので、それを見ますと、大都市を持つ都道府県では、硫黄酸化物、窒素酸化物の環境基準の達成率は、いま先生は傾向とおっしゃいましたが、いままで硫黄酸化物はかなり下がってまいりました。それから窒素酸化物は横ばい状態と、こういうことであったわけでございますけれども、どうも大都市を持つ都道府県で環境基準の達成率が悪くなってきた、こういう傾向が各都道府県の発表のデータからうかがえますが、これにつきましては現在私どもの方で集計を急いでおりまして、これの分析もいまやっておりますので、十二月中には先生の方にまた御報告できるかと思います。
  124. 小平芳平

    ○小平芳平君 集計中であり十二月にまとまるということは、もう間もなくといろ、三だと思いますから、それを待つことにいたしまして、部長の方もそういうことは御存じなんでしょう。ですから、横ばいだからといってゆっくり構えているわけにもいかないわけでしょう。
  125. 本田正

    政府委員(本田正君) もちろん、大気による健康被害ということにつきまして絶えずいろいろ検討調査を続けております。特に先生が先ほど御指摘のいろいろなものの複合といいますか、そういった観点もぜひ考慮に入れなくちゃいけないわけでございます。そういった観点から調査研究を進めております。
  126. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、私は、宮崎県の旧松尾鉱山の砒素による健康被害についてお尋ねをしたい。  この点については何回も当委員会で問題提起しておりますので、その初めからの詳しい説明は非常に時間がかかりますので省略をいたしますが、五十三年二月二十二日のこの委員会で砒素による健康被害を全身被害として認めるようにということを主張するのに対しまして、環境庁側は、砒素による健康被害検討委員会があって検討をしているということでありましたが、その後どうなりました。
  127. 本田正

    政府委員(本田正君) いま御指摘の、検討委員会があってというのは、恐らく四十九年まで検討委員会が持たれた委員会じゃないかと存じます。そういう委員会ということじゃなしに、検討を内部的に続けているという趣旨だったと存じます。そこで、いろいろいま御指摘がございましたように、果たして砒素中毒というものが皮膚の色素沈着を示したり、あるいは角化といいますかかたくなったり、そういったもの、あるいは鼻の鼻中隔鼻に疾病があるとか、あるいは多発性神経炎を起こすとかいろいろございますが、それだけじゃなくて、もっと肝障害等の内臓疾患、そういったものもあり得るのじゃなかろうかという御指摘もいただいておりますし、御意見も聞いております。そこで、いろいろ専門の先生方とも相談しつつあったわけでございますが、この七月に慢性砒素中毒に関する会合というものを九人の専門家から成る会合をつくりまして直接検討に入ってもらっております。まだ二回実質審議をいただいただけでございますけれども、そういう観点から九名の会合を持っていただきまして検討に入っております。
  128. 小平芳平

    ○小平芳平君 説明するとそれに長く時間を取られますので、時間が限られておりますので簡単に申し上げているわけですが、五十三年二月二十二日の委員会では、当時の山本部長が、四十八年十一月から四十九年にかけて七回ほど検討委員会を聞きました、しかしその後は開いてないということに対して、それはきわめて怠慢である、これだけ被害者から強い要求があるにもかかわらず、何年間も砒素による全身被害についての検討をしていないということは怠慢であるというような私の発言に対して、環境庁長官は早速やらせますというようなことになっておりますので、そういう趣旨ですね、いまおっしゃったことは。
  129. 本田正

    政府委員(本田正君) 全くその趣旨でございます。
  130. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、要するにそれから以後も裁判所ではずっと被害者からの訴えがあってそのことを調べているわけですから、証人尋問でずっと砒素による全身的な健康被害があるということを被害者が訴える、それで証人に立って先生方が証言をしていらっしゃるわけです。したがって、それは裁判所へ任しておけというふうにとられちゃ困るわけですね、何のための環境庁かわからなくなるから。それが第一点であります。  それから次の第二点としまして質問いたしたいことは、宮崎県の旧松尾鉱山地区においては四十九年十一月に岡山大学の自主検診班が被害者が大量にいると発表した。五十年十一月には県が調査をして全員がシロだと発表した。被害者はいないと。ところが、五十一年三月には、今度は北九州市医師団が自主検診をして、皮膚、鼻、神経に限っても六人がクロだと発表した。六人の被害者がいると発表した。そこで、その段階で私が質問したわけです。そうしますと、このときの環境庁の答弁では、県が精密検査をします。県が検診をするのですから、したがってそれを待ちたいという一点張りで終わっているんですね、その段階では。その後、確かに県が検診をなさいました。その結果、十二人中四人がクロだと県の検診で発表しておるのですね。要するに、従業員でない方、地域住民の方を県が十二人検診した結果、四人まではクロだと、被害があると、こういうふうに発表している。自主検診でも被害があると発表した。それから県の検診でも被害者が四人いると発表した。なぜじゃ地域指定をし、公害認定をするというその作業が進められないのかということになっているのですが、いかがですか。
  131. 本田正

    政府委員(本田正君) まず第一点の裁判所任せじゃ困るじゃないかということです。これは先ほど申し上げましたような趣旨で、いろいろ御意見があるのを承知しております。裁判の証人に立たれましていろいろな先生がいろいろな御意見、それも承知いたしております。そういったことも含めまして、先ほどこの七月に発足いたしました慢性砒素中毒に関する会合、そこで御検討をいただいているところでございます。また、どうしても御検討いただかなくちゃいけない項目であろうと存じております。  それから第二点、県が検診したということは、いま先生御指摘の四十九年あるいは五十一年でございますかの自主検診というものをやはり受けまして、受けてというのか、そういったことの事実があったわけでございますが、そこで当時指摘されました十六名につきまして県が五十三年の三月に検診をいたしております。その結果、いま先生は四名とおっしゃったのですが、私は、三名——実は間違っておればお許しいただきたいと思いますが、については、色素沈着あるいは角化等の症状があって疑いが濃厚であると、こういうふうなことらしゅうございます。ただし、砒素との因果関係につきましてはこれはようまだわからぬということで検討中だということを現在まで聞いております。患者さん方の御要請もございまして五十三年の十二月には検診の十六名、実際受診した方は十二名だと聞いておりますけれども、十二名についてのいわゆる皮膚科その他の科の検診の結果を検査項目ごとに記入した表を各受診者にお送りしたということもあるみたいでございます。ともあれ、宮崎県の認定審査会の先生方を中心にする先生方によってこれをどう評価するのかということが現在進められているというふうに聞いております。したがって、まだ結果が出ていないわけでございます。したがいまして、地域指定をなぜしないのかということにつきましても、そういう現状でございますので私ども非常に県の結果を注目しております。したがいまして、そういう段階でございますから、地域指定についてはそれが出た後に検討すべきことだと存じております。
  132. 小平芳平

    ○小平芳平君 検討すべきことであるという認識をされていらっしゃるということは了解できますけれども、それから続きを私がまた説明いたしますと、この宮崎県の新聞報道も四人で出ております。ずっとですね。それから診断書と言っていいか、いま部長さんは診断書とは言わなかったですね。まず何かを郵送する。要するに診断結果を受けた人に郵送をしたから、それでその人の病名が書いてあるわけです。色素沈着とか多発神経炎とか、そういう病名が書いてあるから、普通に言うとこれは診断書ですね。その診断書が送られてきた。送られてきたのに対して県はどう説明しているかというと、これは中間発表だと言っているんですね。ですから、お医者さんへ行って検診を受けた、診断書が送られてきた、その診断書は中間発表の診断書、そういうものがあるんですか。お医者さんじゃないからぼくはわからないですけれどもね。そこで、いま部長が説明されるように、県の意見と自主検診班の意見と合わないわけです。お医者さん同士が。合わないからというので、今度は両方のお医者さんたちが代表を出して話し合いをやるわけですね、二時間の。そういうことがわかっていますか。そうして、二時間にわたって両方からお医者さんが出まして、代表三名ずつ六名ですね、話し合ったが、やっぱり結論が出ないわけです。そこで、県の方で約束の二時間が過ぎたからといって話し合いを打ち切ったわけです。その打ち切った後はもう何の音さたもない。被害者の要求に応じて話し合いをやったじゃないかということだけで、あとは進まないですね、全然。ですから、これはどう判断されますか。県の方は被害なしで来たわけですが、しかし、自主検診でいろいろ訴えてくるものですから、じゃやりましょうといって検診をしたら、四人はこれこれしかじかの病名があるというんです。そこで、両方のお医者さん代表三人ずつで話し合ったけれども、けりがつかない。どうなりますか。
  133. 本田正

    政府委員(本田正君) 第一点の、診断書が出たんだからこれはもうはっきりしているじゃないかということでございますが、県が中間発表と言っている、こういうことですが、私は県の言っている方が正しいと思います。と申しますのは、診断書というのじゃなくて、私が県から聞いている話では、検診者に対していろいろな検診をいたします。内科もやるし、あるいは皮膚科もやるし、そういった検診の項目に応じて症状を列記して、こういう症状がありましたとかいうことを列記したのであって、病名をそこでぴしっとつけるのが実は診断書でございますから、ですから、検診結果の検診項目を羅列した、羅列という言葉はちょっと悪うございますが、示した表を個人に渡したと、そういうことでございます。結果がまだ後半に先生おっしゃったようにそういうのがあるわけですから出ていないわけですから、診断書じゃない。したがって、中間発表といいますか、中間的な、症状をお知らせ申し上げたと、こういうことだと思います。その意味は、やはり何らかの症状があるとそれの対症療法といたしまして治療を急ぐようなことも人によってはあり得ると思います。したがって、あなたはこういう症状ですよということをとりあえずお知らせする、そういう意味じゃなかろうかと存じます。  それから第二点の、県の意見と自主検診なさった方々の専門医の意見が食い違っているじゃないか、結論的にはそういう状態が——打ち切ったと先生おっしゃいましたけれども、そういう状態が現在続いているわけなんです。つまり、打ち切ってこれから検討しない、意見の交換をしないというのじゃないということでございまして、その状態が残念ながらまだ継続している、したがって結論が出ていないと、こういうことでございます。私どもとすれば、一刻も早く結論を県の方で出していただくように非常に注目しているわけでございますので、重ねて県の方にもお願いしてみたいと存じます。
  134. 小平芳平

    ○小平芳平君 検診項目の羅列だけじゃないんですね。検診項目の羅列だけなら、五種類なり十種類の検診項目が上がっているだけでしょうから、それだけを通知する理由は全然ないわけです。あなたはここが悪いというチェックがしてあるから通知する意味があるのじゃないですか。全然そんな、検診項目だけで、あなたの検診はこれだけの項目をやりましたなんて、そんなことを通知する必要は全然ないですよ。大体、趣旨は、両方の意見が合わないことはここでまた意見が合うわけないんだから。そこで、一番のいま被害者として困っている問題は、精密検診をやるから来なさいと言うんですね、県は。ところが、精密検診というのは何をやるのですか。要するに、皮膚に色素沈着があるからといってその皮膚を切って取って検査をするという意味ですか。
  135. 本田正

    政府委員(本田正君) 専門でないのでようその辺のことまでわかりませんが、一般的に一つのたとえば色素沈着というものも、これは決して特異的な症状ではないわけでございます。特異的な、つまりこの原因があってこれが出る、それ以外はないというたぐいのものじゃない。つまり、非特異的ないろいろな原因から色素沈着というのは来るわけでございます。そういったことを、色素沈着があるということはそれは見た目に熟練した医師だったらわかると思いますが、これがどこから来たか、どういう原因で来たかというような分析のために普通精密検診をやるわけでございます。皮膚を取ってそれをどうするというようなことはちょっと存じませんけれども、そういう趣旨で精密検診は行われると存じます。  それから先ほど当初におっしゃいました検診項目だけを患者に知らしたというのじゃなしに、こういう検診項目の結果、それがプラスに出たとかマイナスでありましたとかいう結果ももちろん知らせておりますので、ちょっと説明が足りずにまことに申しわけございませんでした。
  136. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうふうな皮膚を、色素が沈着しているからといって、砒素によるか砒素によらないか、それは確かにわからないでしょう、一般的にもありますから。しかし、それを精密検査をするからと言われて、私がこの砒素健康被害者の問題を何度か問題提起しましたし、また被害を受けていらっしゃる方をよく知っております。知っている方がいらっしゃるのですが、入院しまして事細かに切り取られた人がいます。ですから、そういうようにいままでの経過が経過だけに、したがって、現地の新聞の見出しにも「信頼関係回復が急務」という見出しで新聞が解説記事を載せておられますけれども、全く信頼関係回復が急務であって、いままではなしと発表して、自主検診でつつかれるとあると。まああるということが部長の説明だとまた違うみたいな説明もされるけれども、精密検診が必要だということに現段階では県は言っている。しかし、どこまで行ってけりがつくかと聞きたいんですね。今度は入院した、あっちこっち色素の沈着があるからといって切り取られた。その結果砒素には関係なかった。要するに、分析しても砒素が出なかったということを言うのか言わないのかわかりませんけれどもね、素人ですから。そういうことは何か解決の道はないんですか、専門家として。
  137. 本田正

    政府委員(本田正君) 専門家でないのでちょっとその辺医学的なことにはあれでございますが、やがて私は県の——実はきのうもたまたま別な用件でございましたけれども県の部長にもお会いしましていろいろ聞いてみたわけです。気になるから。決して先生おっしゃるような状態だけではないようにも聞きましたけれども、ともかくやはりこの結論というものを急いでくれよということを、私友人でございますのでたまたまそういう話も出たわけでございますが、重ねて私は県の方で御判断が早く出ますように注意していきたいと存じております。
  138. 小平芳平

    ○小平芳平君 土屋長官ね、いまちょっとお立ちになっていたけれども、大体はお聞きになっていらっしゃいましたね。要するに、信頼関係回復が先決というふうに現地の新聞に報道されておりますが、全く信頼したくてもできない、被害住民に言わせれば。信頼なんかしろといったって無理じゃないか。要するに、被害はないと言っている。自主検診で突き上げられたら実はあると言って、それで精密検査をするからまた来なさい。何を検査してくれるかそれを知りたいんですよ。それがわからなくてのこのこ行って、皮膚を切り取って分析したら砒素は出ませんでした、やっぱりあなたは関係ありませんということになるのか。信頼関係があれば、砒素でなけりゃないという判断を下してもらう、そのための検診も受けましょうけれどもね。信頼関係が先決だと思うんです。そういうためにこそ県とそういうふうに動きがとれない。動きがとれないことはないと部長は言うけれども、まず被害者としては土呂久鉱害ですよ。例の土呂久鉱害が始まって報道されて八年、それから訴訟が起きて四年にもなっているんです。もう。ですから、何らかそこで行政がやるべき手があったら早くやってほしい、こういうふうに私は要請しているんですが、いかがです。
  139. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 先ほど来、先生の御意見、また部長の答弁を聞いておりまして、技術的な面もございまして非常にむずかしい面もございますが、県と早急によく連絡をとりまして対処してまいりたいと思います。
  140. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっと時間がなくなりましたので、あと一点だけ別の問題ですが、低周波の公害につきまして大分前ですが沓脱委員からもいろいろ細かく御指摘があったのですが、それで私も長野県とか山梨県とか成田空港とかいろいろ調べてみたわけですが、そういう点は時間がありませんので省略をいたしまして結論だけお尋ねしますが、環境庁は何か調べておられるかどうか。要するに、この低周波公害に悩まされている住民としては、健康被害の調査、あるいは基準の設定、こういう点について一日も早く結論が出ることを待ち望んでいるのですが、いかがですか。
  141. 三浦大助

    政府委員(三浦大助君) 御指摘の低周波空気振動でございますが、これにつきましては、もう先生案内のとおり、発生源がきわめて多種多様でございます。これもかなり何回かいろいろな場で取り上げられておりまして、環境庁といたしましても昭和五十一年度から年次計画をもちまして代表的な発生源及びその実態、あるいは生活環境への影響、あるいはまた人体に対します影響などにつきまして調査を進めてきたわけでございます。今年度も引き続き調査研究を行っておりますが、低周波空気振動のレベルと、それから物的といいますか心理的あるいは生理的な影響との相関というものが個人差が非常に大きゅうございまして、なかなか規制の設定に至るまでにはまだちょっと時間が要するのじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。そうは申しましても、現実に苦情が出ておる問題でございますので、五十三年度からは低周波空気振動の防止対策が明らかになった発生源から順次具体的な対策の手引きを作成いたしまして低周波空気振動の防止につきまして指導をしているということでございます。
  142. 馬場富

    馬場富君 最初に新長官質問いたします。  午前午後ときょう皆さんから環境行政についての後退の面がかなり指摘されました。環境アセスメントの三年の見送りとか、あるいはNOx基準の緩和、あるいは今回の公害病の認定の六歳以上の解消等の一連の環境行政の後退が強く国民に批判され、また国民もそれに対して環境行政に対する期待に大きい失望を感じておるというのが現状でございます。過去の長官は別といたしまして、新長官として行政に対して前進的なお考えを聞かせていただきたいと、こう思うのです。
  143. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 申し上げるまでもなく、環境行政は、国民の健康の保護、それから自然環境保全、環境の未然防止、それからアメニティ、いわゆるよりよき環境づくり、これが環境庁に課せられた使命であると、かように私は確信をいたしております。私はこの問題と取り組んで真剣に努力をしてまいりたいと思います。
  144. 馬場富

    馬場富君 それじゃ次に具体的な問題に入ります。  最初に、木曽川右岸の流域下水道について質問いたします。この問題は過去にも論議されたことがございますが、この木曽川右岸流域下水道というのは、木曽川に一つは直結してこの下水道が設けられておる。そしてそのために木曽川汚染が非常に問題点となっておる。木曽川は岐阜、愛知、三重のやはり大きな灌漑でもあるし、また結局飲料水にも使われておるという大事な河川です。そういう点でこの汚染が非常に心配されておる。それにあわせまして最近に至ってやはり立地の問題で土地買収等について大きい訴訟問題等も起きてきている。現地住民の反対の声も強くなっておると、そういう点でこの点を質問いたします。  最初に、この木曽川右岸流域下水道計画と概要とあわせまして認可の時期等について説明していただきたいと思います。最初に建設省の方から。
  145. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 木曽川右岸流域下水道につきましては、昭和四十九年八月五日に都市計画決定がなされております。それに従いまして都市計画事業認可が五十二年二月七日、同じく下水道法上の事業認可が五十二年二月七日という形で法的な手続は済んでおるわけでございますが、計画の概要といたしましては、計画面積が一万三千八百六十ヘクタールございます。それから計画人口が五十九万六千人、計画処理水量が六十万二千トン毎日という形になっておりまして、処理場面積は全体で四十ヘクタールでございます。  以上でございます。
  146. 馬場富

    馬場富君 その中で、木曽川と、長良に一つ流域分がございますけれども、特に木曽川に流される関係のことを主体に質問いたしますが、処理場ですね、工業用水と生活用水との割合はどんな状況でございますか。
  147. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) このうち、工場排水関係が大体二二%ございまして、全体で六十万二千トンは先ほど申しましたけれども、工場排水が十三万二千トンございます。
  148. 馬場富

    馬場富君 それでその中で木曽川分については合計で二十九万三千九百六十トンでよろしょうございますか。木曽川分です。
  149. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 木曽川分ですか、具体的な数字はいま手元にございませんけれども……
  150. 小山一平

    委員長小山一平君) 発言の許可をとってから発言をしてください。
  151. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 細かい数字は現在持っておりませんが、大体半分くらいが木曽川分だと考えていただいて結構でございます。
  152. 馬場富

    馬場富君 それで、処理方法について簡単で結構ですから。そして、流入されるBODの汚染の状況と、それから処理する排水のBODについて説明していただきたいと思います。
  153. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 流入いたしてまいります水質でございますが、計画上の問題は、正確には現在持っておりませんが、大体一五〇から二〇〇PPm程度でございますけれども、これを現在行われています二次処理施設と申しますか活性汚泥法で処理をする計画になっておりまして、これによりまして二〇PPmまで落とすということでございますが、当初は比較的水量的に余裕がございますので、それよりもよい水質で排除できるのではないかというふうに思っております。
  154. 馬場富

    馬場富君 この計画には当初は三次処理は含まれておるかおらぬか、どうですか。
  155. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) この流域下水道計画を固めました場合に、木曽川の環境基準を主体にいろいろな計算をしたわけでございますが、環境基準を達成、保持をするというようなことで検討いたしますと、二次処理の水準でほぼ大丈夫だということになっておりまして、現在のところは二次処理で対応するという形になっておりますが、引き続きまして伊勢湾関係の水質環境のいろいろな検討が行われますので、それによりましてはさらに高度の場合もあるということになりますが、現在のところは二次処理水準で計画されておるわけでございます。
  156. 馬場富

    馬場富君 この認可に当たって、建設省は現地調査をされましたか。
  157. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 私も八月に動いたわけでございますが、前任者が、これはまあ直接この計画で行ったか私は存じておりませんけれども、課長あるいは補佐なりが岐阜県とよく打ち合わせをして現地にも行っておるはずでございます。
  158. 馬場富

    馬場富君 そういう中途半端な返事はいかんのであって、じゃ環境庁に聞きますが、環境庁はこの点についての協議が行われておると思います。認可について。それについての状況を教えていただきたいのと、あわせまして環境庁は現地を実際見たかどうかです。
  159. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 環境庁への協議でございますが、これは下水道法に基づきまして流域下水道整備総合計画、いわゆる流総の一番上位段階計画でございますが、それにつきまして建設大臣が認可をする際に環境庁長官に協議をするという仕組みになっておるわけでございまして、個々の流域下水道計画につきましては協議を受ける仕組みになっていないわけでございます。  そこで、本件の木曽川及び長良川流域別下水道整備総合計画につきましては、五十一年十月に協議を受けまして五十二年の一月二十日付けで協議を了しておるわけでございますが、その際に、終末処理建設に当たっては特に地方公共団体等の調整が十分図れるよう指導されたい旨の意見を付して同意をいたしておるわけでございます。  なお、この協議を受けまして、これに対する検討の視点でございますが、公共水域の水質の保全という観点から私ども検討いたしておるわけでございますが、先ほどの説明にもございましたようにいろいろなデータからあるいは現在の水質状況等から見まして十分環境基準は達成し得るというような判断で同意をいたしたわけでございます。  このことのために特に現地の調査はやっていないと思っております。
  160. 馬場富

    馬場富君 それでこれはいろいろな問題点は幾つかありますけれども、特にこの処理場というのは各地方にもまれな木曽川の本流の河川敷の中につくられるという一つのやっかいな処理場であるということと、それからこの処理場は直に木曽川本流に一つは排水が放流される。その放流の地点から一宮市の浄水場の取入口は約一キロ、それからこう下がった位置に名古屋市のやはり上水道の半分の人口を給水する取り入れ口がある。この二点についてもうこれは愛知県でも過去から非常に大きな問題を呼んできたことですが、この水道の取り入れ口がすぐ排水口の間近にあるということを建設省環境庁も御存じかどうか。
  161. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 下水道は御存じのように水質環境を保全するためにつくる施設でございますけれども、この木曽川右岸流域下水道につきましては、確かに木曽川の非常に清流でございますが、それに上水源が相当あるということは私ども把握をいたしておりまして、これに対する影響を十分考えながら決定したわけでございます。この処理場の下流側に幾つかございます。先ほどお話ございました一宮市の取水源でございますけれども、これはこの処理場から少し上の方で分派をいたしておりまして、その派川から下流で取っておるということでございます。これは余り影響がないかと思います。それから名古屋市が取っております朝日取水口がございますけれども、これは処理場から大体二十キロばかり下流ということでございまして、影響が比較的少ないであろうというような判断でこの位置に決められておるわけでございます。  御存じのように、処理場の位置の決定というのは非常にむずかしくて、処理区域全体を考えまして、まずその水系の中で適切な空地があるであろうかというようなことから始まるわけでして、それから水域環境といったそれとの対応をどうしたらいいであろうかというようなことになるわけでございまして、確かに計画自体は完璧なものというのをつくるのはなかなかむずかしい面があるわけでございますが、これは関係者といろいろ打ち合わせをいたしまして一応の調整をやって決めておるわけでございます……
  162. 馬場富

    馬場富君 環境庁、知っておるかどうかだけでいい、いろんなこと言わぬで。
  163. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 下流にあることは承知しております。
  164. 馬場富

    馬場富君 ここで環境庁一つお尋ねしますが、木曽川上流のこの付近の、いわば笠松、起ですね、この付近の環境基準と現在の水質状況を御説明願いたい。数字でBODでいいですから、簡単でいいです。
  165. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) それじゃ犬山から申し上げますか。
  166. 馬場富

    馬場富君 どうぞ。
  167. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 犬山が環境基準がA類型でございまして、二PPmでございますが、現在が一PPmでございます。これは五十三年の平均でございます。それから笠松がB類型で、環境基準が三PPmでございますが、現在は〇・八。それから起は、環境基準がB類型、三PPm以下でございますが〇・九。それから愛知県に入りまして成戸……
  168. 馬場富

    馬場富君 それでいいです。時間がないので。  そこで、問題なのは、なぜこの地点を選んだかということなんですけれども、これは過去にもかなり問題にされてきたんですが、水質基準はかなり過去から思うと木曽川の場合は上昇してきていますが、平均に見ましてやはり一PPm前後と、こう見なきゃならぬと私はあの付近は思うわけです。多い場合は一・五ぐらいのところがあるわけです。上昇するんですね。そこで、この立地されたところが実は犬山頭首工から四キロぐらいの下なんです。そして、ほかのいろいろな問題点もありますけれども、結局犬山から木曽川あたりにかけまして名古屋港の取り入れ口までの間約五キロぐらいの間は、時期によって異常渇水が起こっているんです。それで、先ほどの建設省が説明されました二〇PPmはろ過されて流されるというわけですが、そこで川の水が大量にあるためにこれは緩和されて、いわゆる河川環境が一ないし二になって、結局これは薄まって流れていくということで理解されるわけです。ところが、あの地点については犬山の頭首工が濃尾用水の取水期に至ってはゲートを閉めちゃうわけです。そうした場合に、あそこに流れる量というのは頭首工の流水路を見ましてもわかりますように、異常渇水が起こってくるわけです。そうした場合に、あの木曽川が小さな子供でも歩いて渡れるぐらいの渇水が起こるわけです。その一番ひどいところが今回のいわゆる処理場が設置されようとする場所なんです。かつて四十四年にあの木曽川に十万匹のアユの大量死があった。公害の始まりとも言われていますよ。あのときに十万匹死んだ原因というものはニチボーからのいわゆる公害物質が流れたとあわせまして渇水期と重なったためにあの多量のアユが死んだ、その地域がちょうど処理場をつくる地域なんです。こういう自然現象が起こった場合どうすることもできないそのままの水が、いわゆる朝日の取り入れ口から名古屋水道に流入されるということが考えられるわけです。こうした場合、こういうふうにまたいろいろな重金属とかそういうものが含まれた場合には大変な事態も起こりかねないというのが、実はあの愛知県民やあの地域の人たちの非常に心配な点なんです。これに対して、県当局についてもまた岐阜県当局についても的確な説明をするのが一つもないわけです。そういう事態が起こったならば上流のダムを落としますと。上流のダムをどこで落とすかと聞いてみると、結局五時間もかかるような上流のダムを落として、そうしてその水は一キロから二キロの用水口に入ってしまう、こういうことになってしまうわけです。こういうような事態が右岸の下水処理場にはあるという点で、地元や愛知県下の人たちにおいてはこれはまだ未処理のまま現在まで認可がおりながら反対運動が続けられておるというのが現状なんですね。こういう点で、先ほど環境庁はまだ一遍も見たことがないというようなことをおっしゃっていますけれども、水質基準を担当するあなた方ですよ、一遍この機会に現地を調査してそうして岐阜県当局とも一遍話し合いされる必要があるのじゃないか、この点どうでしょうか。
  169. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 私ども、先ほど申し上げましたように、通常の場合であれば環境基準上からして問題はないという判断でおるわけでございますが、いろいろ異常渇水時等の問題、これがあるとすれば、この点につきましてはまたいろいろ建設省なりあるいは県の方と十分お話を伺いながら対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
  170. 馬場富

    馬場富君 長官にお尋ねしますが、いま局長はそういうことを言っていますけれども、こういうような非常に問題点があるんです。また後ほど建設省に聞きますけれども、いま用地買収等についてもかなり問題が出ておりますので、やはり水質問題ともあわせまして環境庁の担当官が一遍現場をよく見る必要が私はあると思うが、長官、どうでしょうか。
  171. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 先ほど来、馬場先生からいろいろ現地の模様につきまして詳細承りまして、私もよく理解できました。環境庁事業主体ではございませんが、水質保全というような立場からできるだけ早い機会に担当官に現地へ調査をさせるというような処置をとってまいりたいと思います。
  172. 馬場富

    馬場富君 あと建設省ですけれども、いま用地買収が行われておりますけれども、ここにいろいろな問題が起こっております。それはいまいろいろな質問をしたいわけですけれども、時間がございませんので、私の調べた範囲では、この所要面積が約四十町歩かかるわけでございますけれども、この中に十五町歩の個人山林がございます。それから十一町歩の共有占用地がある。それから七町歩のこれも占用地がございます。この中でいま問題になっておるのは十一町歩という前渡西町の共有占用地がございますが、これは建設省の方で間違いございませんか、御答弁願いたいと思います。
  173. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 御質問のとおり、現在約十一・二ヘクタールの土地につきまして、これは古うございますが、昭和十九年に岐阜県稲葉郡前宮村の前渡町の足立良夫さんという方の名義で岐阜県知事が許可しております。その占用の目的は松林ということでございまして、占用の期限は無期限、占用料は無料と、そういう条件で許可がされております。
  174. 馬場富

    馬場富君 現在もそれは続行中ですね。
  175. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) そのとおりでございます。
  176. 馬場富

    馬場富君 ここで建設省の担当局の方に質問いたしますが、実は用地買収のこの件で、いま建設省がおっしゃったように四十町歩の中の十一町歩というのはいわゆる河川敷で、所有は建設省です。かつて戦争中に松根油や水防林ということで三百七十戸の部落が共有で占用する、永久ということでこれは岐阜県知事と契約をなしたものです。現在は所属が建設省になっておるわけです。これが九月十七日に至ってその一部の人たちの岐阜県との契約によりまして占有権の売買契約がなされておるわけです。そしてしかもその売買契約によりまして九月二十一日には一億二千五百万円の手付金が各務原市の稲葉東支所農協を通しまして一部の人たちにその金額が渡っておるという事実です。こんなような状況がいまその処理場の敷地に起こりながら、それを県当局はひた隠しに隠そうとしている。その問題でやはりそういう共有林の区長たちからは裁判問題もいま提起されておるわけです。この点について建設省は御存じかどうか、お尋ねしたい。
  177. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 岐阜県の方から用地の買収の状況についてはいろいろ伺っておりまして、裁判の問題が起こっておるということも伺っております。
  178. 馬場富

    馬場富君 だから、あなたのところが許可された、しかもいま水質については問題も多いそういう処理場が、用地買収についても四十町歩のうち十五町歩の個人山林についてはもう三分の二以上の人が売らないと言って反対しておるんです。しかも、その中で十一町歩の共有林は、そういう共有者、区長以下が全部反対して、一部の人たちだけが県と契約を結んで売買契約でその権利を売ってしまおうとまでしておるわけです。こういう問題が白昼党々と行われておるような状況を認可された建設省の方も私はほうっておいてはいかぬと思うのです。こういう点について建設省も私は環境庁とあわせて現地をよく調査して、そして県当局やそういう問題点について善処方を指導されるべきだと思いますが、いかがですか。
  179. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 用地の買収の問題につきましては、県が主体性を持って交渉いたしておるわけでございますが、用地交渉の問題でいろいろな手続、これは一応法的な手続を踏んでやっているのだと思います。私は用地の専門家ではございませんのではっきりわかりませんけれども、一応そういうことだと思いますので、それに対する対応の問題については一番よく知っております岐阜県とよく相談をいたしまして対処してまいりたいと思います。
  180. 馬場富

    馬場富君 岐阜県と相談するということよりも、あなたのところが認可されたのですから、建設省の担当官が一応やっぱり現地に赴いてその実情を調査した上で、この問題がもしあなた反対に認可されたものが訴訟等によってこれはだめだということになってしまったならば、やはり認可されたところの責任があるのじゃないですか。そういう点で少なくともやはり現地に行ってそういう状況等も調査された上で県と相談されるようなことは当然のことだと思いますが、どうですか。
  181. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 確かに現地をよく知っていなければどうにもなりませんので、一応現地をよく見るということは必要でございますけれども、その対応の問題については県が主体になってやっておりますので、そちらとの相談をして対応していく必要があるというふうに思うわけでございます。
  182. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 環境庁というのは、昭和四十六年に、公害から国民の健康と命、そして生活環境を守る正義の味方として発足をしたのでございますが、最近では大分様相が変わってきております。特に最近の事情を見ましても、昨年のNO2環境基準の大幅緩和、あるいはアセスメント法の四回に及ぶ流産、いずれも鉄綱業界あるいは自動車工業会など、産業界の強い圧力によってなされてきたということはいまや周知のことになってきております。また、特に重大だと思いますのは、公害に苦しんでおる患者の救済のためにあります健康被害補償法、これに対しても加害企業あるいは産業界の強い意図が働いて、法の見直しだとか、あるいは指定地域解除、患者救済の切り捨て等の動き、こういう計画が着々と進められてきていると言われておりますし、あげくの果てには、先ほども出ておりましたけれども、自民党の環境部会長の森下泰氏の水俣発言、こういうものが出るなど、今日では環境庁というのは国民の期待に反する環境庁に成り下がってきていると思うのであります。  そこで、土屋大臣に特に申し上げて御見解を伺いたいと思いますのは、こういう状況になってきておりますので、特に新しく大臣に御就任になった土屋大臣に、新たな決意でこういった情勢の中で国民の期待にこたえ得る基本姿勢施策の中で明確に示していかなければならないという段階だと思うのですが、まず最初に新大臣の御見解をお伺いしておきたいと思うわけです。
  183. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 沓脱先生、まさしくお説のとおりでございます。環境行政国民生活に密着した大事な仕事でございます。私は冒頭のごあいさつでも申し上げましたとおり、任重く道険しと申しましょうか、真剣にこの問題と取り組んでいくかたい決意でございます。
  184. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この環境庁の基本にかかわる諸問題については、実は本委員会は相当長期開かれておらなかったものでございますので、諸問題について実はお聞きをしたいわけでございますけれども、きょうは時間の都合がございますので、緊急的に問題になっている点についてだけお聞きをしておきたいと思っているわけです。当面、昨今新聞等でも報導されて問題になっておりますし、すでに同僚委員からも御質疑が出ておりますが、健康被害補償法の指定疾患の一つでありますぜんそく性気管支炎の認定問題ですね、これが言われておりますので、この点についてお伺いをしたいと思うわけです。  私が入手いたしました資料を見ますと、この資料は環境庁環境保健部がことしの十一月九日に認定審査会全国会議にお出しになった資料のようでございますが、これによりますと、大変なことが書かれておるので、これについてちょっとお聞きをしたいと思っているわけです。この資料の二ページの2に「ぜん息性気管支炎の認定について(検討会報告要旨)」というのがあるわけですが、この中の1の(3)に「本疾患は二歳以下の者に多くみられるものであり、六歳以上の者については認定の対象としないこと。」という、これは1の「ぜん息性気管支炎の認定要件」の中の(3)でございますが、そういうことが書かれている。さらに3の「被認定者の取扱い」というところで「新規の認定は新通知に従って行なうことになるが、(1)既に本疾患で認定されている六歳未満の者、及び新たに認定される者が六歳以上になつた場合 (2)既に本疾病で認定されている六歳以上の者については、それぞれ次のような扱いとする。」ということで、「(1)の場合については、六歳以上になった最初の更新の際に他の三疾病に鑑別し、該当しない者は更新しない。(2)の場合については、通知発出後の最初の更新の際、他の三疾病に鑑別し、いずれにも該当しない者は更新しない。」というふうに述べられておりますが、これは検討会報告ということで出ておるのですが、これは簡単に言うとどういうことですか。ちょっと説明を聞かしてください。
  185. 本田正

    政府委員(本田正君) 公害認定疾患の対象である四つの疾病の中で、ぜんそく性気管支炎というのは、これは従来から大変学問的、医学的に問題があったわけでございます。しかしながら、一般医家の間ではぜんそく性気管支炎というのが使いなれておられる診断名の一つに上がっておりますので、それを旧法時代から現在に至るまで踏襲してきているわけでございます。そこで、このぜんそく性気管支炎という名称につきまして、また中身につきまして、実は、昭和四十七年に、当時の公害保健課長通知をもって、どのように取り扱うかという通知が出ているわけでございます。それによりますと、一般にぜんそく性気管支炎と言われているものの中に、四十七年までは、反復性気管支炎とか、アレルギー性気管支炎とか、あるいは小児気管支ぜんそく、あるいは乳児気管支ぜんそく、いろいろ医学的な名称が含まれているのだけれども、四十七年以降は反復性気管支炎だけに限るという通知を実は出したわけでございます。それによってずっとその後、現在四十一の指定地域内における十五名以内の委員さん方による認定審査が四十一各地区ごとに行われているわけです。そこで、その認定審査会の先生方の会合を私どもは毎年全国会議を持っておりますし、またブロック会議も五ブロックに分けてやっていただいて、そして認定業務に当たっていただいている先生方の意見交換、あるいは私どもとの意見交換、いろいろな場にしているわけでございます。そういったところから毎年実はその四十七年の通知による運用をやっているのだけれども、認定審査に当たってなかなかやりにくい。そこで、もう少しそのぜんそく性気管支炎というものを医学的に明確化できないものかという要望、要請が毎年あったわけでございます。そこで、去年の秋に七名の小児科の専門医の先生方委員会というものをつくっていただきまして、そしてそこで一年にわたりまして討議をいただいたわけでございます。その結果、一つは、ぜんそく性気管支炎というのが四十七年の通知で反復性気管支炎に限るとされていたのはちょっとしぼり過ぎじゃないか、特に小さい子供の場合には鑑別診断というものはなかなかつかないと、そういうことから反復性気管支炎だけにしぼるのはおかしいのじゃないかという議論のもとにもう少し幅を広げるべきだと。つまり、症状によってはアレルギー性気管支炎とか、あるいは小児気管支ぜんそく、乳児気管支ぜんそく、そういったものも含め得ることがあるのじゃなかろうかということで、四十七年通知よりも、つまり反復性気管支炎だけにしぼらないで疾病対象範囲を広げるべきだという御意見が一つ。それからそれにしてもぜんそく性気管支炎とそれを広げたにしても言われるものは大体二歳までに決着がつくものであって、それが一定年齢以上になれば明らかに鑑別診断というものができ得るわけですから、そのときにはたとえばアレルギー性気管支炎は気管支ぜんそくという疾病に鑑別できるじゃないかと、そういう純医学的な立場からの見解をまとめていただいているわけでございます。つまり、いわば一つの専門家の意見をわれわれが徴しましてそれのまとめ的なものが出たので、そこでさっき先生の申されました全国の審査会の全国会議、そこに、かねて御要望、御意見がありましたものはこういうふうに専門家の意見が出てきましたということを御披露いたしまして、そしてそこでいろいろ、またこれについては世界にも定義がないことでございますから、日本特有のことでございますので、いろいろ御意見があろうかと存ずるのでひとつ意見を十分聞かせてほしいと、いわばそういうものでございます。いま先生がお示しになった資料というのはそういういわばたたき台的な資料であるわけでございます。
  186. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いま言われたのではたたき台だというふうにおっしゃるのだけれども、たたき台に書かれていることは私は非常に重大だと思うんですよ。「本疾患は二歳以下の者に多くみられるものであり、六歳以上の者については認定の対象としないこと。」ということになりますと、大気系の認定疾患というのがいま四疾患ですね。その四疾患のうち、六歳以上の者については四疾患としないで三疾患にするということなんですね、これは。そういう意味ですか。
  187. 本田正

    政府委員(本田正君) 学問的、医学的にはですね……
  188. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、書いてあること。
  189. 本田正

    政府委員(本田正君) そういうことでございます。ただ、これが決まったわけじゃございませんが、そういう分類が適切であろうという御意見でございます。
  190. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私はきょうは時間がないから医学論争をやろうと思っていないですよ。あんたのところの書いてあることをちゃんと意見を聞きたい。ですから、六歳以上は指定疾患を三疾患にするんだと。それで、「被認定者の取扱い」というところを見ると、六歳以上は認定疾患としないということ、それから六歳未満で六歳を超えたらこれは切り捨てるということやね。というのは、ぜんそく性気管支炎あるいはぜんそく様気管支炎とかいろいろ言われていますが、そういう疾患を他の疾患に鑑別し、該当しない者は更新しないというたら、それはぜんそくかあるいは慢性気管支炎か肺気腫でしょう、その三つにぜんそく性気管支炎という疾患名のついている患者をどこかへ振り分けてくれというんだけれども、振り分けられないから、明らかに違いがあるからぜんそく性気管支炎という名前のついているものを、それを六歳になった誕生日に振り分けて該当しないと。ぜんそくとも言えない、慢性気管支炎とも言えない、しかしぜんそく性気管支炎という範疇に入る障害はある、しかしあんたところがつくった枠に入らぬからこれはもう認定患者だけれども更新しないといったら、切り捨てになるんですよね。これをやろうというんでしょう。それで六歳以上の認定患者は全部切り捨てるというんだね。振り分けるというのは、ちょっと私も医学の端くれをさわった人間ですけれども、役所の都合でその疾病の枠を決めて、それに入らぬのは切りますというのは、こんな方針を、しかも専門家の先生方によって一年も討議をしてもろうたんやいうて持ち出すなどというのは、大問題です。だって、公害被害というのはこれは未知の問題なんですよ。太古から公害なんというようなことで人間の健康や命というのが損なわれてきたという歴史が蓄積をされていないわけです。特にわが国では高度成長のあの時期から急速に出ているんだから、いろいろな被害が出てきている。ですから、この健康被害補償法の策定のときにもどのように衆参両院で論議をされたかというと、これは明確に知っていますよ。四疾患に限らないで、公害によると認められる疾患についてはすべて認めていくようにということが基本的な趣旨なんです。公害による健康被害を受けていると認められる者は一人残らず救済をするべしと、そういった点が論議の中心にもなり、また附帯決議にも本院でもつけられておりますよ。そういう法の精神から言うて、このおたくの討論資料か何か知らぬけれども、実に法の精神と相反する姿になっていると思いますが、その点はどうですか。
  191. 本田正

    政府委員(本田正君) 現在たまたまその四疾患に限られているわけでございます。それから先生後半御指摘になったこの法律ができるときのいろいろな論議も承知いたしておりますし、また附帯決議にるる御指摘があることも存じております。そういったことでいろいろな調査研究は別途いたしております。先ほど先生は医学論争をやらないとおっしゃいましたけれども、これは医学的な知見に基づくところの一つのまとめでございまして、医学論争を避けられませんのでそれはお許しいただきたいと存じますが、ぜんそく性気管支炎というものが、現地の主治医さん方それから認定審査会の先生方の間から、取り扱いがむずかしいからひとつ明確にしてくれという医学的な意味での検討要請があったわけでございます。そういった意味でのことでございます。これに対する御意見については、いま先生が御指摘なさったような御意見もいただいております。いろいろな意見がございます。そういった意見を今後は集約していかなくちゃいけないと思います。またこれを委員会に指示するようなことになるというニュアンスのお気持ちであらせられるならば、そうじゃございません。むしろ指示するのであれば、私どもは固まったものとして都道府県の担当部局を集めてそこでお話しすればこれは指示になると思います。しかしながら、繰り返し申し上げておりますように、これは専門の先生方の意見を徴した一つのまとめであって、これからいろいろ御意見を聞いていきたいと、こういうことでございますので、御了解、お含みいただきたいと存じます。
  192. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、いま全国七万人余りの大気系の患者、健康被害補償法に基づく大気系の患者がおりますね。その中でぜんそく性気管支炎と言われている患者さんはどのくらいおりますか、約一万人くらいですか。
  193. 本田正

    政府委員(本田正君) 現在約七万五千名の公害認定患者さんがおられますが、一三%と記憶いたしております。ぜんそく性気管支炎は。
  194. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで何ぼになるですか。
  195. 本田正

    政府委員(本田正君) その一三%がぜんそく性気管支炎、約一万名だと存じます。
  196. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その一万名のうちの六歳以上は何人ぐらいですか。
  197. 本田正

    政府委員(本田正君) 五歳未満が推計だそうでございますけれども四〇%でございます。
  198. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 六歳未満が四〇%……。
  199. 本田正

    政府委員(本田正君) 六歳以下が四〇%でございます。
  200. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 六歳以上というのは六〇%、約六千人、そんな下手なことをやられたら六千人が打ち切られるということになるわけですな。これはえらいことですよ。私は医学論争をやらないと言ったのは、これは時間かかるからやらない、実際は。  それで、時間の都合もあるのでちょっと聞いておきたいのですが、これは六千名の人たちに不安を与えることに一つはなるのではっきりしておきたいのですが、これはこういう御検討の結果が出たということで、全国の認定審査会全国会議で御討議をいただくという資料に出したのであって、環境庁の方針ではないんですな。方針として決まっておるのですか、おらないのですか、そこだけはっきりしてください。
  201. 本田正

    政府委員(本田正君) 申し上げたと存じますけれども、決まっておりません。意見を聴取するための一つの専門家の検討結果を開陳した、それについて意見をこれから求めていくということでございます。
  202. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、この資料にはおかしなことを書いておるんだな。「被認定者の取扱い」という3の項では、「新規の認定は新通知に従って行なうことになるが、」と書いてある。決まっていないんやったら、新通知によって行うがなんてなことを書く必要はあらへんですよ。これはおかしいですよ。だから、これは決まっていないといまおっしゃった。新通知に従って新規の認定は行うがと書いてあるんだけれども、この時点では新通知はいつごろ出すつもりであったのか、こんなものは一切ないのか、どっちかはっきりしてください。
  203. 本田正

    政府委員(本田正君) 取り扱いを含めまして意見を聞いておるわけでございます。新通知と書いてありますのは、現在四十七年の通知があるわけでございます。もしこれがいろいろな御意見を聞いてどうなるか結論はわかりませんけれども、集約された意見になりますならば、取り扱いとすれば四十七年通知じゃないはずだと、こういう趣旨を言っておるだけで、それを含めての御意見を聞いておるわけでございます。そういうふうにお解しいただきたいと思います。
  204. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは大分ごまかしだよね。環境庁の方針も決まっていないのに、次からの認定は新通知によって行うがなんてなことを書く必要はない。大体役所というのはそんな中途半端な文書の書き方をせぬもんですがな。それはもう一字一句手落ちのない文書しか書かぬ役所が、こんな、方針でもないのに次から新通知で行いますがと、こんな中途半端なことを言っちゃいかぬです。  そこで、はっきりしておきたいと思うのは、これは環境庁の決定でないということ。それならこの方針で新通知は出さないですな。
  205. 本田正

    政府委員(本田正君) 医学的にこれがいろいろな意見を聞いてそして固まってまいるといたします。そうしましたときにどうやって示すのかということになれば、四十七年の通知を改正するというのが手段でございます。しかし、申し上げておりますように、これをいつ出すとか、いつまでにまとめるとか、そういうことは決めておりませんし、たまたま、繰り返し申し上げますけれども、そういった意見が出てきたので、宿題報告みたいにかねて要望のあったものはこう出ましたよということを投げかけたわけでございますので、御理解賜りたいと思います。
  206. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それからこれは私やっぱり非常に重大だ思うのは、こういう重大な検討結果がたまたまこの文書が調査資料として手に入ったからわかるけれども、二月ころに新通知を出して全国大騒動になってからやっと国会ではわかると、こういうやり方というのはいつでも次々やられるですな、法律事項でないからということで。長官ね、これは被害者に対して非常に大きく不安を与えますし、国民の代表として審議に参画しなければならない国会におるわれわれにとっても非常に不親切ですよ。こんなものを認定審査会の全国会議に出すぐらいだったら、どうして当委員会の委員のメンバーによこさぬかということです。そのぐらいの親切はあたりまえのことやと思うんですよ。その点は私ども非常に非民主的だと思うんです。国会に対しては。そういうことのないように、ひとつ長官、今後の運営について御配慮を賜りたいと思いますが、いかがでしょう。
  207. 本田正

    政府委員(本田正君) 私からちょっと。認定審査会は、当日、四十一地域あるわけですから、二、三名お出ましになっていて、百五十名からの会議でございます。そういうところに出すということは、何も隠してやっておるということじゃございませんで、あくまでも医学的な見地がこうまとまったからこれについて御意見をいただきたいという真撃な問いかけでございます。ですから、一般的に物を隠したとかそういうことでは決してございませんで、百五十名の人に見せるわけですから、ただ、どうして言わなかったかということになりますと、純然たる医学論争のつもりでございますから、そういうふうに取り扱わせていただいたわけでございます。
  208. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 部長から答弁がございましたとおり、医学的見地から検討がなされたことは事実でありますが、環境庁といたしましてはこの問題につきましてまだ具体的な結論を出したわけではございませんので、どうぞひとつ御理解を賜りたいと思います。
  209. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、最後に私この問題についてぜひ御要望申し上げておきたいと思いますが、さっきもちょっと触れましたように、これが枠だけ決めてしゃくし定規にやられますと、六歳以上六千人の人たちが、すでに認定患者になっている人も打ち切られるというおそれが出てくるわけです。私ども医者の端くれの立場としましても、ぜんそく性気管支炎という病名をつけているものを、慢性気管支炎かぜんそくかどっちかに振り分けろ言われたら、これは困るんですよ。ぜんそくでないからぜんそくとつけられない、慢性気管支炎でないから慢性気管支炎とつけられない、しかしぜんそく性気管支炎という範疇に入る障害はあると。だからそういう病名をつけておるものを、どっちかへ振り分けろ言われたら、医者は困りますぜ。これは困ると思います。私も困ります。私だったら。そういうことの枠を簡単に決めようということは、客観的には六千人が打ち切られてしまうというおそれを十分に感じますので、こういう結論を運用していく段階では健康被害者、公害の患者さんにそういう不安や不利益を与えないような配慮のできるような、でき得べくんばこんな枠はつくる必要はないんだけど、もしこれをやっていくとするなら、こういう点は十分配慮して、担当する全国のお医者さんたちが理解しやすいようなものにしませんと、患者さんは大変な目に遭うと思うのですが、その点はどうでしょう。
  210. 本田正

    政府委員(本田正君) 先生は専門家であらせられるので御理解はいただいておると思いますけれども、四十七年の通知では、つまり現在の取り扱いは反覆性気管支炎だけに限ると、こういうふうになっているわけです。疾病の範囲が。それじゃ余りちょっと……
  211. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはええです。
  212. 本田正

    政府委員(本田正君) そういうふうになっておりますから、もう少し幅を疾病の対象とすれば広げていると、これは案でございますけれども、そういうふうにお解しいただきたいと思います。
  213. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは十分運用については慎重な配慮をされるように重ねて要望しておきます。  時間の都合もありますから次に移りますが、これは九月から報道されておりまして大変問題になっております環境庁の架空経理、いわゆるカラ出張ですね、この問題についてただしておきたいと思います。特に私思いますのは、鉄建公団、あるいはKDD、住宅公団に係るいろいろな不正経理問題等が出ておりますけれども、こういう特殊法人とは違いまして、環境庁の場合には政府本省における問題だという点できわめて事は重大だという立場でお聞きをしておきたいと思うわけでございます。この問題についても同僚委員からもすでに御質疑が出ておるようでございますので、できるだけ簡潔にしていきたいと思っておりますので、最初にお断りをしておきたいと思います。  まず最初にお聞きをしたいのは、検査院の調査でいわゆるカラ出張による総額というのはどのくらいですか。新聞で見てみますと、二百万と書いているのもあるし、一千万、二千万、二千百万と、いろいろな金額が出ておりますが、検査院で御調査になった総額というのはどのくらいになりますか。
  214. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) その点につきましては、五十三年度決算検査報告に掲記いたすべく現在最終的な審議を行っているところでございますので、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。
  215. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いつも御猶予御猶予とおっしゃるんだけれども、あれでしょう、鉄建公団のときでも中間報告までなさった。検査官会議が開けてないので総括は一カ月以上も前にやっておられるけれども言えないんだということだろうと思うんです。大体二千百万だと言われているのですけれども、それに近いですか。
  216. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 非常に微妙な御設問ではございますが、まあそんなには離れていないであろうと御理解いただいて結構でございます。
  217. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、もうそれはそれ以上申し上げません。  そこで、環境庁にお聞きしたいのですが、環境庁は内部調査委員会をつくって御調査をなさった由でございますが、これはお幾らでございますか。これは大体鉄建のときもそうですけれども、内部調査をされたのと検査院でされたのと金額は違うのが普通ですね。
  218. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 環境庁では九月に調査いたしました。この調査は、私どもの行っている趣旨は、検査院の調査の補完的なものと、それから御協力するものと、もちろん単独の調査でございますが、そういう性質を持っておりまして、ある程度の、ある程度と申しますか、数字を把握いたしまして、検査院にお話しして個々のシロクロの判定をお渡ししておりまして、その精査をいま検査院がおっしゃったように審議していただいていると思いますので、数字につきましては基本的にはそのとおりでございますが、さっき検査院でも申し上げたような雰囲気というふうにお考えいただきたいと思います。
  219. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 検査院が指摘された以外の独自調査による金額はどのくらいありますか。これはあるでしょう、内部調査委員会でやられたら。検査院の調査というのは限界がありますからね。それはどうですか。
  220. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 検査院の方では独自にいろいろな方法で御調査がございました。私どもの方でも、まあ独自と申しますか、幾つかの観点で検査院のおやりになった観点を含めて調べましたけれども、私の方の内部調査でございますのでなかなかできにくい面もございました。で、若干の数字と申しますか、それは出てございます。
  221. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 だから、検査院から指摘をされたケースの中で環境庁もそうだと認められる金額、それから指摘されなかったけれども独自の調査をやられて見つけ出した金額、これは両方あるわけですね、環境庁の場合にはね。その総額というのはどのくらいありますかな。これは検査院がほぼ遠からずと言われた金額の半分ぐらいですか。きっちり言うんやったらきっちり言うてもろうたらいいし、言えないんだったらどうですか。
  222. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 独自で見つけ出したと申しますか、自主的にこれこれはそうじゃないかと判断したものはいま申し上げたとおりでございますが、その部分がどのくらいかということはちょっと申し上げられない次第でございます。
  223. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何を言うている。両方集めて、環境庁の内部調査委員会調査をした金額を合わせたらどのくらいになりますかと言うている。大体半分ぐらいですかと言うている。
  224. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 検査院が検査の過程で御指摘された数字及び私どもの方が自主的に調べた数字とを合わせまして、先ほど検査院の局長からお話しになったような雰囲気の数字と、こういうことでございます。
  225. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、数字は検査院から指摘をされた数字とほぼ総額的には近くなっている、近いと、こういうことですか。差は余りないんですな。
  226. 小山一平

    委員長小山一平君) なぞなぞみたいな答弁をしないで、わかっていたらはっきり言いなさい。
  227. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) わかりました。そんなような感じの数字でございます。
  228. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 感じではないよ、あなた。大体不まじめですよね、数字をきちんと言わないというのはね。時間の都合があるからそればっかり言うていられないので、まあそうするとおおむね近づいていると。これはこれで私問題があると思っているんだけれども、ちょっと問題を先に進めます。  検査院にお聞きをしたいのですが、環境庁はこのいわゆる帳簿については正規の帳簿は整っていたということのようですが、そうですが。
  229. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 正規の帳簿と申しますと、恐らく旅行命令簿でございますとか、それから予算の支出簿でございますとか、そういったお尋ねかと存じますが、そういった面では確かに整っております。
  230. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、旅行命令簿とか、あるいはその他それに付随する支出命令簿とかなんとかというのは、みんな正規の帳簿は整っていたという中で、検査院がいわゆるカラ出張を発見するのにはどういうことをどういうふうにして発見したのかという問題が出てくるわけですね。そこで、検査院にお聞きをしたいのですが、そういうことを発見する端緒、手口というか、どうしてこの調査をしたか、そういうあらましを簡潔にちょっと御報告をいただきたい。
  231. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) このようなカラ出張の、まあ旅費の検査でございますか、こういったものにつきましては、原則といたしましてはわれわれといたしまして旅行命令簿、それから出勤簿、超過勤務命令簿、こういったようなものと対査するのが通常でございます。たまたまこの面では非常に出にくかったものでございますから、施錠簿というものも用いましたところ発見の端緒をつかんだわけでございます。その他いろいろな資料と突合はいたしておりますが、これをこのような公開の席で明かしますと、検査のノーハウを公開するということになりますので、御勘弁をいただきたいと存じます。
  232. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはそうやな。その探す手口を全部公開の席上で言うておくと、今度その裏をやられたらわからぬということになりますからね。まあおっしゃるとおりかもしれません。そこで、それはそれ以上お聞きをしませんが、ちょっとお聞きをしておきたいのは、検査院の御調査の範囲は官房及び各局すべてに及んで発見をされたんですか。
  233. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) そのとおりでございます。
  234. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、カラ出張によって出てきている二千万余りの金額ですが、その使途は確認をされましたですか。
  235. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 使途の確認にも努めておるところでございまして、それは環境庁も先ほど午前中の御審議で答弁がありましたように、大部分は超過勤務者に対する深夜の夜食代、それから会議費、こういうふうになっているという説明は受けております。ただし、うち、ある部分につきましては必ずしも資料の整備が十分でございませんで、確認困難というのもございます。
  236. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、確認困難というのがあるということになりますと、使途不明金があるわけですね、その中で。使途不明金がどの程度あるかということですね。金額をおっしゃっていないんだから、割合でも結構です。
  237. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 使途不明金と申せるかどうかはちょっと問題がございまして、説明によれば会議費であるとか夜食代であるというふうなことで、まあ心証としてはそうかもしれぬなというようなものでございます。それがどの程度あったかということは、ただいま最終的な審議中でございますので、ひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  238. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっとわかりにくいんですがね。その確認ね、使途不明金と言えるかどうかはわからないけれども、まだ灰色だというところだと思いますが、これはどうして確認をされておられますか。
  239. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) それぞれの課の担当者等から説明を聴取したということでございます。
  240. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、表帳簿はちゃんと整っているというんだから、裏帳簿というのはあったんですか。
  241. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 裏帳簿があったものもございますし、なかったものもあるということでございます。
  242. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 裏帳簿はあったのはどの程度ありますか。
  243. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) それも事実関係でございまして、ただいま審議中でございますので、いましばらく答弁の方は御容赦を願いたいと存じます。
  244. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 環境庁にお聞きをしたいのですけれども、裏帳簿は全部そろっておりますか。
  245. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 全部はそろっておりません。
  246. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そろっていないのは一体どうしたんですか。
  247. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) そろっていない分と申しますのは、五十三年度の帳簿について、担当者が各省に戻った際に異動の際に廃棄されていた、こういうものでございます。
  248. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、あんたとこはしょっちゅう関係他省から次から次に入れかわるので、自分が次に他省へ戻るという場合には裏帳簿を廃棄するわけ、破ってしまうわけですね。ないのはそうだというのですから、そういうことになっているんですか。
  249. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 庁としてそういうふうにしているわけではございませんが、今回ので調査した結果はそういうふうになっておりました。
  250. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、あんたとこは確かによけい方々から出たり入ったりしていなさるんですが、おたくからもろうた資料を見てみますと、いわゆる庶務担当係長を——裏帳簿を持っている人であると思いますが、ずうっと見てみたけど、去年の四月ごろからずっとおる人の方が多いですよ。これはあんたとこからもろうた資料です。ことしになってからかわった人の方が数が少ない。だから、去年の四月以降、あるいは七月とか八月から来ている人の担当している課では、全部裏帳簿はあったんですか。その辺、はっきりしてください。
  251. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) いま先生の御指摘の、現在私どもの担当者がずいぶんかわっているという事実は把握しておりますが、経理の全担当者が相当の担当者が残っているということについてはもう一回確認さしていただきます。
  252. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 あんたの答弁を聞いたから言うている。他省へ行くときに廃棄したと言うから、あんたがそういう答弁をしたから、そんな言うたら、去年の四月ごろから今日までの担当者の中で他の省へ帰った人の数の方が少ないから、裏帳簿は全部あるんですなというて聞いている。
  253. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) いま先生の御指摘の、全員についてどれが残っているか、ちょっとチェックしないとわかりませんが、さっきちょっと舌足らずでございましたが、本省に帰った場合、内部異動等において、年度の終えたときにそういう廃棄が行われておりましたので、その点をもう一回きちんと調べたいと思っております。
  254. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなことを聞いていない。あんたは、他省へ帰ったときには廃棄をしているのでその分はないとおっしゃった、裏帳簿は。ところが、他省へ五十三年四月以降に帰った人の方が数が少ないから、担当者の中で。大部分は裏帳簿はありましたんやなというて聞いている。実に簡単な話、あるのかないのか言うてくれたらよろしい。
  255. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 裏帳簿というようなものはいろいろな担当者によって個人差がございますが、裏帳簿と言えるもの、あったものもございまするし、それから個人のまあいろいろな封筒なんかに書いてあるメモ程度は残っているものもありました。ないものもございます。
  256. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何やらわからへん。あるものもあるし、ないものもございますと。メモのようなものもございますと。検査院、どうですねん、裏帳簿をちゃんと照合したりして確認をしておられるのですか。
  257. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 裏帳簿のあるものにつきましては領収証と照合をいたし確認はいたしております。
  258. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ないものはどうしているんですか。
  259. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) ないものは領収証によりまして検討はいたしております。
  260. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それまた不思議なんだなあ。裏帳簿がなくて領収証だけで確認してそれでいけますかな。これは領収証だけで認められると私は思わないですよ。やっぱり公金でしょう、国民の血税ですから、費目が変わっておっても、使い道はかくかくしかじか、裏帳簿で会計処理上は不当ではあっても、しかし、金の行き先というのはかくかくしかじか明快だということにならないと、これは逆に言うたら、領収証だけで確認するということになると、どんな領収証を持ってきて書いて並べておってもわからへんわ。逆に言うたら、その金は横領したと言われても反論する材料さえもないということになると思うのですが、その点どうなんですか。
  261. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 確かに、領収証だけでは完全に確認し得たとは申せませんが、あわせて責任者等の説明は求めておりますし、また領収証の内容から見て信用すべきものもございます。また、先生のおっしゃるようなものもございますが、その辺は近々提出いたします検査報告の上で本院の判断を示すはずでございます
  262. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 おかしいなあ。私、会計検査院は、局長はえらいまた何かふんわりしたことをおっしゃるけれども、政府機関だからこそ厳正にやっぱりやるべきだと思っているんですよ。だから、領収証だけでとにかく積み上がって大方わかったと、だから心証を得ましたからよろしいなんというようなことを政府機関でこれをやりおったら、私は環境庁はそれで済むかもわからないけれども、こういう事態というのは各省庁にないとは言えないわけですよ。それが出てきた場合に大変なことになるし、国民は許しませんよ、その点は。だから、その辺ははっきりしてください、検査院。
  263. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 確かに、最終的には領収証しかないものは本院として使途を確認したという結論にはならないであろうと存じます。何分、先ほども申し上げましたように、最終的にはまだその辺決定に至っておりませんので、確定的な答弁は差し控えさしていただきたいと、こういうことでございます。
  264. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、ちょっと確認しておきますが、裏帳簿がなくて領収証だけだということでは会計検査院としては確認をするという態度はとらないということですな。そこははっきりしておいてください。
  265. 岩井毅

    説明員(岩井毅君) 原則としてそのとおりでございます。
  266. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはまああたりまえのことだ。そして、官房長が言われたように、裏帳簿があるのもありますし、ないのもありますということになると、これは最終的にはわからないという部分が出てくるおそれというのは十分あるということですな。まあ時間の都合があるのでそこだけ言うておられないので。  もう一つ、これは環境庁にお聞きをしたいのですが、いわゆるカラ出張の領収証の中に、何というのか、社会通念上のものだと言われている大蔵省とか関係省庁とのおつき合い、そういう領収証はございますか。
  267. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) ございます。
  268. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 カラ出張の中にあるんですか。
  269. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 失礼しました。カラ出張の中ではそういう料亭のものはございません。
  270. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、庁費の中にあるんですか。
  271. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) ございます。
  272. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、私ちょっと聞きたいのですけれども、あなたのところは、聞かんでもいいように資料をもらいたいと言ってもなかなか出さぬから、ちょっと聞かしてもらいますが、庁費の中で昭和五十三年度の会議費の決算額は幾らになりますか。
  273. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 五十三年度の決算額、庁費の中身は、個々には全部締めてございません。
  274. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんな細目の締めもせぬというような——決算するときにやらぬですか。
  275. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 庁費の中の細目については、まだ全部やり切っておりません。
  276. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、五十三年度分がわからぬかったら、五十二年度分はどうですか。
  277. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 五十二年度分については、現在のところこの手元ではわかっておりません。
  278. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何を言うておるんですか、あなた。庁費は、五十二年度分は五億二千八百六十四万四千円でしょう。あなたのところからもらった資料だ。五十三年度は五億二千四百二万五千円。その中の会議費というのは幾らあるかと聞いておる。そんなものがわからぬですか。おかしいな。実にイロハのイの会計もせぬのですか。
  279. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 五十三年度についてはただいま申し上げたとおりでございますし、五十二年度については現在手元にございませんので、先ほど申し上げた次第でございます。
  280. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 手元にないから言えない。それなら後で知らして下さい。いいですな。
  281. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) はい。
  282. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、さっき言うていた、社会通念上の大蔵省、通産省やその他関係省庁とのおつき合いの回数と金額はどのくらいですか。それはありますと言うたからわかっているでしょう。
  283. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 私どもが調べた範囲では、全体で八回ぐらいです。
  284. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これも資料として、隠し立てする必要のない堂々たる会議費から出ている、庁費から出ているものだから、その資料をいただきたいと思いますが、委員長、ひとつお計らいください。
  285. 小山一平

    委員長小山一平君) ただいまの資料は出せますか。
  286. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 資料の中身によりましては、場所等でございますので、資料でなく、明確にはちょっと申し上げられないと思っております。
  287. 小山一平

    委員長小山一平君) それはおかしいじゃないですか。役所の正規の帳簿の中できちっと決算のできているものを、それを部分的なものを資料として出せないというのはどういうわけですか。
  288. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 長官、そんなんだから困るんだ。ちょっと長官の御意見を聞かしてください。
  289. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 再三申し上げておりますとおり、理由のいかんを問わず不正経理が行われましたことはまことに申しわけないと思っております。  また、資料の提出の問題につきましては、よく検討いたしまして出さしていただきたいと思います。
  290. 小山一平

    委員長小山一平君) いまの沓脱委員の資料要求は、いまの問題になっている部分ではないんです。正規の予算で正規に執行したある部分を資料として提出してほしいと、こういうことですから、検討する必要も何もないじゃないですか。出してください。出してくれますか。
  291. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) よく理解いたしました。
  292. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなあたりまえのことはやっぱりあたりまえにしてもらいたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。  それで、もう一つ聞いておきたいのは、先ほど会計検査院にお尋ねをしますと、官房を含めて全局で発見をしたというふうに言われておるんですが、そうすると、旅行命令権者というのはだれだれですか。
  293. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 一般職員については局長でございます。それから課長については事務次官、それから局長については大臣でございます。
  294. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、これは全局でやられて旅行命令権者というのが局長から事務次官から大臣まで、そうすると、これは各局全部やられたというのは、まさに組織ぐるみの不正経理と言わなければならないと思いますが、大臣、どうですか、これは。
  295. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) ただいま先ほど来御答弁ございましたとおり会計検査院におきましても調査中でございまして、裏帳簿までつくってやっておったということも先ほどの質疑承知したようなわけでございまして、私十分まだ理解をしておらないような事態でございます。
  296. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは全局にわたってあったと検査院が言うて、しかも、その旅行命令権者というのは局長から大臣までで判を押しているんでしょう。これはもう監督不行き届きどころじゃなくて、行政責任ですよ、重大な。まさに組織ぐるみの不正経理と言われてもしようがない。これは、大臣、重大だから特に言っているんですよ。言葉の先だけではない。だから、そういうことになれば、これは公金ですし、国民の血税なんですよ。だから、一銭たりとも行方不明だとかうやむやにされてはならぬので、公金の処理についてどうするかということをこれは長官にお聞きをしたいと思います。  というのは、大臣にも皆関係ある言うたら、これはたまたま土屋大臣はこれが起こってからおつきになったんだけれども、上村千一郎前長官、あるいは山田久就元長官、みんな関係してくるんですよ。それで公金の処理をどうするかといって国庫へ返戻せんならぬということになったら、それらの方々は全部これは払わんならぬですよ。そういう重大な内容を持っているので、公金の処理をどうするかという点についてお聞きをしたい。特に前例があるですね。防衛庁ではもう三代にさかのぼって局長が百万ずつみずから返戻をしたと、そして片をつけたというような前例もありますから、そういうこと等を含めて国民の血税なのだからどうするかという点で、これはもうどうしても長官の御見解をお聞きしなきゃいかぬと思うんで、これはもう会計検査院はどうしなさいと言わぬと思うんで、これはやはり庁の責任として態度を明確にしてもらわなかったら国民は納得できない。そこで大臣の見解をお聞きをしたい。
  297. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) おっしゃるとおり、お金は国費でございまして、国民の尊い税金でございます。さようなわけで、先ほど来の先生の御意見も踏まえて、私は最終的な結果を見て適切な厳正な処置と、あわせて判断を下したいと考えております。
  298. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃ、どういう態度をおとりになるかというのは国民が注目をしているということを十分御承知いただいて、いまの御決意を具体化していただくことを特に要望いたしまして、一応質疑を終わります。
  299. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最初に土屋環境庁長官に御要望申し上げておきたいんです。といいますのは、昨年それからことしと、こう振り返りまして、この一年間環境庁は何をやっただろうかと思うほどに何もしちゃいないんです。ですから、何もしちゃいないからといって私は文句を言うつもりはないのであって、環境行政というのはそういう意味じゃむずかしいと思うんですね。理論だけで何かやろうといって余り行き過ぎますと、いろいろ反発を食って前に進まない。それから現実ばかり直視をして現状がこうだからと言っていると、これはまたもう環境庁をつくった存在価値がなくなってくる。ですから、その辺をどういうふうにコントロールしてやるかが環境庁の役割りだと思うのです。一つの物を使ったって、使い方によっちゃ毒にもなれば薬にもなるのですから、だからその辺のところを私は長官が新しく御就任になったのを機会にして、余り大ぶろしき広げないでいいですから、一歩一歩前進をしていって、そして一年たったときに、ああこれだけ環境行政が前に進んで社会環境なり生活環境もよくなった、向上した、よかったなという、そういう環境行政をやってほしいと思います。  そういうことを要望しまして、具体的に最初に琵琶湖の汚染の問題なんです。この間滋賀県が富栄養化防止条例をお決めになりまして、いよいよこれが実施ということになってきています。これについての環境庁の見解というものはどういうものですか、そこからお聞きしたいんです。
  300. 土屋義彦

    国務大臣土屋義彦君) 琵琶湖の問題につきましては、先ほど来私ども御答弁を申し上げておるのでございますが、先生も御案内のとおり、琵琶湖は千三百万人になんなんとする近畿圏人たちの水がめと申しましょうか、大事な水源地であろうかと思います。そこにおいて最近プランクトンがふえてまいりまして、それによって汚濁が生じ、水道の水が臭くなるとか、またろ過器が故障するとか、いろいろな問題が起こってまいりまして、そこで、私は画期的なことであろうかと思いますが、県におきまして燐を含んだ合成洗剤の販売、使用贈答等を禁止するような条例が制定されたことは先生案内のとおりでございますが、環境庁といたしましては、水質保全といったような見地からいたしまして大変意義があるものであると、かように評価をいたしておるような次第でございます。
  301. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いわゆる富栄養化防止条例というんで合成洗剤の販売、使用禁止ということをうたっているんだけれども、それで燐の削減の効果というのはどのくらい出るんですか。
  302. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 琵琶湖のその効果の問題でございますが、琵琶湖におきまして燐が一体どういうところでどの程度発生をしているかといういわば発生源別の負荷量の割合でございますけれども、五十年度の滋賀県が実施した調査でございますが、それによりますと、家庭排水が四八%、それから工業排水が二九%、農業排水が一四%、自然排水が約九%というようなことになっておるわけでございまして、そのうち家庭排水の中で合成洗剤に含まれる燐の負荷量の割合、これは五十年度当時の合成洗剤に含まれる燐の負荷量割合から想定をしておるわけでございますけれども、それから言いますと、生活排水の中で約三八%ということになっております。したがいまして、全体に占める比率は約一八%というのが滋賀県の調査の結果でございます。
  303. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 汚すのを汚さぬようにするために特に燐を減らさなくちゃいかぬということになるわけだけれども、いろいろみんなその努力をしていると思うんですね。国のレベルでこの燐を減らすということについての具体的な御指導といいますか、何か政策を持っておやりになっているんですか。
  304. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 国のレベルの問題でございますが、先ほど長官も申し上げたわけでございますが、燐が水域におきます富栄養化に対しての一要因であるということは事実でございますし、したがいまして、合成洗剤が含みます燐がやはり富栄養化一つ原因物質であることもこれまた事実でございます。  そこで、私ども、そういう観点から言いまして、水域におきます富栄養化を防止する観点から、合成洗剤に含まれております燐の含有率、これを極力低減化していただく、従来二〇%程度あったものが最近は一〇%以下というようなことになっておるわけでございますけれども、さらにこれを一層低燐化努力をしていただくということ、それからまた燐を含まないといいますか、燐にかわります新しい製品開発につきましてそういう問題について努力をしていただくというようなことをいろいろ要請をいたしておるわけでございます。そういうことによりまして燐の合成洗剤からまいります富栄養化の負担を軽くしようというように考えておるわけでございますし、また、一方、瀬戸内海につきましては、瀬戸内海の環境保全特別措置法によりまして具体的に燐の削減計画を立てております。それによりまして、行政指導ではございますけれども、燐の使用につきまして一定の行政指導をしていくというようなことをいま各県の方でやっていただくことになっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、富栄養化を防止するためには、合成洗剤の問題だけではなくて、その他工場排水なり、あるいは一般の家庭排水の問題であるとか、あるいは農林漁業からの問題であるとか、いろいろ発生源が多々あるわけでございますので、国といたしましてはそういうものを総合的にやはり削減をしていくことが必要であろうというように思うわけでございます。そういうようなことでございますが、私どもやはり一番富栄養化が進んでおります湖沼、湖等につきまして、環境中におきます燐のレベルがどの程度が適切であろうかというようなことの検討を現在行っておるわけでございまして、いわば燐の水質目標のレベル、それの検討会を実はつくりまして、近々先生方に集まっていただきまして具体的な検討に入ることにしておるわけでございます。
  305. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 合成洗剤の燐の含有率制限をして下げていって、いま一〇%ぐらいだというような御答弁があったのですけれども、これは政府の行政指導というか、洗剤の業界が自主的にそうやって努力して下がったものだと思うのですね。後段で言われたことはいまいろいろおやりになっておることだと思うのです。特に最後の水質検討会でこれからと言われているのだけれども、具体的にその辺の検討会がいつごろお持ちになれて、そうして持たれても結論が出なきゃ何にもならないんで、ですから、その辺のところを、そう詳しくなくていいですけれども、やっぱり前に向かってそれでこういうぐあいで改善ができるんですというような、その辺のところまでちょっとつけ加えていただかないと……。
  306. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 検討会は、富栄養化防止にかかります燐、窒素の水質目標を決めるということが検討会の趣旨でございますけれども、とりあえずまず燐から手をつけていこうということでございまして、今月中に検討会を開催する予定でございます。でき得れば半年程度の間に燐の目標レベルにつきましてはめどをつけたいというように考えております。   〔委員長退席、理事坂倉藤吾君着席〕  それからもう一つ関連をいたしますが、琵琶湖等に出ておりますいわゆる淡水赤潮がございますけれども、これにつきましてはすでに検討会を開催いたしております。
  307. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それからいま琵琶湖の関係で滋賀県の方のいろいろ富栄養化防止に努めているんですけれども、問題の生活排水ですね。下水道が全国平均で二七%の普及率と言われている中で、滋賀県は何か五%だと聞いたんです。これじゃどうにもならないんで、やっぱりこれは建設省にお聞きしなきゃいけないのだけれども、下火道の整備ということについてよほど本腰を入れてやっていただかにゃならないし、その辺のお考えはどうなんですか。
  308. 伊藤俊美

    説明員(伊藤俊美君) 琵琶湖周辺の滋賀県の下水道の整備の状況でございますが、先ほど先生からおっしゃられたとおり、全国平均に対しましてもはるかに低水準ということでございまして、琵琶湖総合開発によりまして下水道をできるだけ早く整備をするというようなことになっておるわけでございますが、この琵琶湖周辺につきましては、効率的に実施をいたすために、流域下水道事業を主体にいたしまして、それを根幹的なものといたしまして下水道の整備をできるだけ早くやるというようなことになっておるわけでございますが、そのうち湖南中部処理区、湖西処理区、この二つにつきましてはすでに事業化をいたしておりまして、特に湖南中部流域下水道の進捗状況は相当よくなっておる、湖西もそれに引き続いて事業の進捗は図られている状況でございます。それと少し北部にございます彦根・長浜処理区、それから高島処理区という二つがまだ残っておりますけれども、これの事業化につきましてはできるだけ早く具体化するように検討してまいりたいと思っております。そういったものを中心にいたしまして各種の公共下水道が早期に整備されるようにしていきたいというように考えております。   〔理事坂倉藤吾君退席、委員長着席〕
  309. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間がないので、もうちょっとお聞きしたい点もあるんだけれども、ともかく先ほど長官の言われたように、近畿千三百万人の水がめだということなので、もうどうにもこうにもならなくなっちゃってから大騒ぎをしたって手おくれなんで、いまのうちならば私はまだ何とかなると思うのです。  それから瀬戸内海も、これは前にもここで取り上げたこともあるのですけれども、きょうはもう時間がないのでやめますが、やはりもうにっちもさっちもいかなくなって幾ら騒いだってどうにもならないのですから、早目早目に手を打っていただきたいということだけ要望申し上げておきます。  それから二番目に林野庁の方にマツクイムシ、これは私全国を飛び回っているから、特に昨年なんかの関西方面ですね、真っ赤になっちゃって、いまはもう紅葉林だから回りが赤いからそんなのはないのだけれども、もう春でもまるで紅葉みたいに赤くなって、ああいうマツクイムシにやられちゃっているけれども、この被害状況というものはどんなふうになっているのか、特に昨年は異常発生する何かがやはりあったのじゃないかと思うのですね。だから、その辺でどういう対策をおとりになっているのか、そこからお聞きしていきたい。
  310. 野村靖

    説明員(野村靖君) 近年におきますいわゆるマツクイムシの被害につきましては、昭和四十六年度ごろから被害は急激に増加してまいりまして、四十八年、それから五十年度にかけて百万立方を超える状況であったわけでございます。その後、五十一年度、五十二年度はそれぞれ八十万立方程度というようなことで減少傾向にあったわけでございますが、ただいま先生のお話しございましたように、五十三年度に至りまして特に夏季における異常な気象条件等の影響もございまして、これまで比較的被害が軽微であった地域の一部で異常な被害の増加がございまして、民有林、国有林合わせまして二百七万立方という被害量の発生がございました。五十四年度本年度におきましては、九月末現在で中間的に取りまとめたところでございますが、被害量は百四十九万立方メートルとなっておりまして、ちなみに昨年の同時期に対比いたしまして約一割の増加と、こういう状況でございます。  これを地域的にやや詳しく御説明申し上げますと、昨年度は茨城県、静岡県、鳥取県等の関東、東海、山陰地方と、従来どちらかと言いますと比較的被害が軽微であった一部の府県で異常な増加が見られるというのが一つの特徴でございます。それからまた従来マツノザイセンチュウによる被害の発生が見られなかった一部の県に少量ではございますけれども新たに発生しているというようなことがもう一つの特徴でございます。五十四年度本年度におきましても、昨年度非常に増加した地方では一般的な傾向として引き続き増加の傾向が見られております。また、本年度も一部の県で新たに発生が見られるというような状況でございます。一方、五十三年度、五十四年度を通じまして九州、四国及び中国地方と被害が比較的早くから発生した地方でございますが、こういった地方では一部の県におきましては被害がやや減少しているといったような傾向も見られます。  以上が昨年から本年にかけての被害の地域的な特徴でございますが、このように昨年度特に異常に発生した原因でございますけれども、従来からの研究結果、あるいは各都道府県における判断からいたしますと、昨年は特に夏の時期に高温少雨の日が続きまして、これは加害害虫でありますマツノマダラカミキリ、それからこれによって伝播されますマツノザイセンチュウ、こういった加害害虫なり加害昆虫の行動なりあるいは繁殖に非常に好適な条件、逆に松にとりましては非常に乾燥が続くということで枯損被害が促進されるというようなことがございまして、こういった異常な気象条件が被害を加速したのではなかろうかというふうに考えております。本年度につきましては、目下関係都府県にその分析を求めておりまして、現段階では、一概に申し上げられませんけれども、一般的にはやはり昨年度異常な気象条件のもとで、伝播者でありますマツノマダラカミキリの成虫が広範囲にわたって行動し、その結果、本年その生息密度が高まったのではなかろうか、あるいはまた本年も一部の地域では夏季に高温少雨といったような気象条件もございまして、こういったようなことから被害の増加があったのではなかろうかというふうにいま考えております。
  311. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そういうことで被害があったのじゃないかということで、その中の一つとしていま言われたのは高温で雨が少なかった。そういうところへきて、そういう異常気象条件がマツクイムシを発生させるんだということになれば、ことしの夏がそれに当てはまるのかどうか私わかりませんけれども、ある地域なら地域がそういう条件になった。じゃこの地域に早いとこ手を打たないとマツクイムシに皆やられるぞといってその地方に向かってそういう警告というか何でもやって、そして空中散布をするなりなんなりそういうことをやらにゃいかぬと思うんです。ことしはどこかそういうことをおやりになったところがあるのですか。
  312. 野村靖

    説明員(野村靖君) このマツクイムシ被害に対します防除対策といたしましては、まず第一に、この被害を事前に防止する予防措置でございますが、病原体でありますマツノザイセンチュウを伝播しますマツノマダラカミキリを、その伝播する時期、これは大体五月から七月ごろにかけてでございますが、この時期に薬剤の空中散布なりあるいは地上からの散布等によりまして駆除するということで予防措置を講じておりまして、これを計画的に実施をしているところでございます。ただ、この予防措置につきましては、周辺の自然環境でありますとか、あるいは生活環境、農漁業等への影響等を配慮いたしますところから、すべての被害個所についてこの予防措置をとり得ないというような実態にございまして、ちなみに本年度の場合、約五十三万ヘクタールの被害区域がございますけれども、この中で空中散布を実施いたしましたのは約十二万ヘクタールでございまして、割合から申しますと約二割強というようなことでございます。また、地上からの散布も地形あるいは樹高等のいろいろな条件に左右されますので、本年度の場合は約九千ヘクタールというようなことでございます。  したがいまして、こうした予防措置のとり得ないところでどういう対策を講ずるかということになるわけでございますが、第一に、この事後措置ではございますが、被害を受けて枯損をした松を、この中にはマツノマダラカミキリが産卵をいたしまして幼虫が越冬するわけでございますが、この幼虫を駆除し翌年度の蔓延の感染源を断つというようなことで、秋季から冬季にかけまして、立木伐倒駆除と称しておりますが、これを切り倒しまして浸透性の薬剤等で処理をするといったような方法を実施しておりますが、こういった立木伐倒駆除処理を今後強化をしてまいりたい。  それからもう一点は、特に被害の激しいところでは、樹種転換あるいは林種転換と申しておりますが、松以外の樹種に転換ができるところでは積極的にそういった樹種転換等を行いまして、これはまた感染源の防除帯を設けるといったような効果もあるわけでございまして、そういった樹種転換を積極的に講じていきたいというふうに考えております。  それからまた、材を積極的に利用するというようなこともこの駆除効果をあわせ持つというようなこともございまして、被害材の利用促進といったようなことにつきましても力を入れてまいりたいと、かように考えております。  こういった対策を全国の地域の実情に応じまして適切に実施をしてまいりたいと、かように考えております。
  313. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間も余りないのでなんですが、結局五十三万ヘクタールの被害ですね。そこに十二万やった、約二割やった。それは一度だけなんでしょう。
  314. 野村靖

    説明員(野村靖君) これは従来この空中散布を始める段階での考え方としましては、特に激害地ではおおむね三年ぐらい繰り返す、あるいは被害が中程度のところでは二年程度繰り返すといったような判断でこの事業をスタートしておりますけれども、おおむねということでございまして、これは被害の現況等を、特に五十三年度は異常な発生を見ておりますので、被害の現況等を見ながら今後の特別防除の実施につきまして考えてまいりたい。一年一回ということではございません。
  315. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 長官ね、別に長官の御答弁と私言っているのじゃないけれども、これは本気に、本気という言い方はおかしいんだけれども、お考えいただかないといけないと思うんですよ。私もどこがで松のそういういろいろなにしたのを見るけれども、私たちが見て少し赤くなってきたなあ、葉っぱの赤いのが出てきたなあというのはもうあれは危篤なんだそうです。私たち人間が見て。真っ赤っ赤なんというのは全然もうあれは死んじゃっているんで、葉の先がちょっと何か元気がないなあというあのときにそういう松なんかを診断する医者ですね、そういう植物の医者から言わせると、もうその辺のところが御臨終に近いと言っていますね。ですから、私たちが見てあああすこはなんというのはもう全然だめになっちゃっているんです。ですから、そういう点でもって、それは長官もお気づきになっていると思うのだけれども、関西方面の、みんな立ったまま真っ赤になっているなんというのはもうひどいものです。ですから、その辺のところをいろいろと環境上でもって、これも私が冒頭言ったように空中散布をすると何かいい虫も死んじゃうと言って反対運動が起きているのも知っているわけです。だから、そういう点でさっき二割と言われたのも、二割なら二割のそういうところをどこか決めて、そこのところはもう反復して徹底してやってそうしてそういうマツクイムシの撲滅を図る。それからこちらの方はそういうふうないろいろと環境保護団体の言うことを聞いて、じゃ少々あってもやらないとか、何かそういうことをやって、それで環境庁がそういう問題に取り組んでいての成果というものが本当にやっぱり上がってよかったなあという、そういうことでおやりになっていただかないと、いまの林野庁のそういう程度のことで、まあそのうちにまたお役人さんの皆さん方の任期が来て交代しちゃうから、まあおれがいまいるところはあと半年もなんて思ってやっていたんじゃ困るんで、これは本気になってやってもらいたい。  そこで、林野庁の方に聞くんだけれども、枯れた木の伐採とかなんとかやらせるわけでしょう。そういうことについて国で何か補助かなんかしてやらなけりゃあれは大変なことなんだけれども、その辺は考えているんですか。
  316. 野村靖

    説明員(野村靖君) 森林病害虫等防除法によりまして、特に被害の蔓延のおそれのある場合には、農林水産大臣または都道府県知事が駆除命令を発することにいたしておりまして、先ほど申し上げました立木伐倒駆除措置を含めまして必要な駆除措置を講じさせるということになっております。この場合、駆除命令によって措置させたものにつきましては、国と県とでその駆除に要した費用については全額負担をすると、こういうことになっておりまして、今後ともこの命令駆除につきましては強化を図ってまいりたいと、かように考えております。
  317. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 建設省の方、時間がないんで、緑のマスタープランについて簡単にちょっと、申しわけない、いろいろ私もお聞きしたいことがあるんだけれども、聞かしてください。
  318. 高橋進

    説明員(高橋進君) 簡単に申し上げます。昭和五十二年の四月に都市局長通達を各都道府県知事あてに出しまして、都市計画区域につきまして緑のマスタープランをつくるようにという指示をいたしております。それの中身といたしましては、目的といたしますのは、市街地の無秩序な拡大とか都市環境の整備という、そういう都市の骨格形成の上で緑とかオープンスペースというのは非常に大事なことでございますので、そういう意味づけ、あるいは人間との関係で言えば広い意味でのレクリエーション機能として使う、それからあるいは災害防止という観点からも目的として必要なわけでございまして、そういうマスタープランをつくりまして、それに基づいていろいろ都市公園の整備とか、あるいは風致地区とか、緑地保全地区とか、そういったものを指定して、全体として都市全体にその緑とオープンスペースを確保するようにしようと、こういうことでございます。
  319. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これも、長官、お願いしておくんだけれども、私は、これだけのいまいろいろな技術が発達をしてきているんだから、人間が一人炭酸ガスを吐いてそれを浄化するのにどれだけの緑というか木の葉っぱがあったらいいんだというそのぐらいのものが調べて答えが出ていいんじゃないかと思うんですよ、これだけいまいろいろの技術が進んでいますから。それが出てくれば、一つの都市に仮に二百万でも百万でも人間が住むのだったら、その百万の人間が、まあ自動車が出てきて排気ガスを出すともっと大変なものだけれども、そういうのに見合ってどれだけの緑というものが必要なんだということが出てくる。そうしたら、たとえば東京なんかは余り大き過ぎますけれども、どこか一つの都市をモデルにしてやって、いまあるだけの木で何とか賄えるとか、賄えなかったら緑をもっと植えさせるとか、それこそフランスのパリみたいに、個人の庭にある木だろうとも切ることは許可がなければできない、切るならかわりを植えろと言って、そういうなにが私は政策としてとれると思うんです。だから、そういうことをやって、単なる自動車の排気ガスの問題だけ取り上げてがたがたやっているのじゃなくて、都市なら都市そのものの人間がそこにどのくらい住んでおって、それがいい環境の中でやっていくためにはこれだけの緑が必要なんだという、そんなようなものが出せるようにお考えをいただきたいという要望だけ申し上げまして、時間が参りましたので私は終わりにします。
  320. 小山一平

    委員長小山一平君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  321. 小山一平

    委員長小山一平君) この際継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査につきましては閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  322. 小山一平

    委員長小山一平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  323. 小山一平

    委員長小山一平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会