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渋谷邦彦君 ようやくその態勢が整ったのかなあという感じですね。それにしても大変な手おくれた手の打ち方ではあるまいかと。恐らく
政府としてはボランティア活動というものに一縷の期待をつないできた
経過もあるでしょうし、また難民の受け入れなんかについては、
わが国は単一民族であるとか、あるいは人口密度が非常に厳しいとか、あるいは在日朝鮮人の問題等、いろいろそういう国内における問題があるので、ヨーロッパであるとかあるいは
アメリカ、
カナダあたりでもって受け入れているような同じような条件ではいかない、それはもちろんそういうことも考えられると思うんですけれども、それならそれなりのようにそのイニシアチブを
政府がとりながらそれを強力に進めていかなきゃならぬということは、人道をやはりわれわれが標擁する限り、われわれというよりも
日本国が人道というものを旗印に掲げて、そうした難民救済に少なからず努力をしていくんだというのはこれは絵そらごとになってしまうという、当然
日本に対する反感なり批判の眼というものが向けられてくることは言うまでもないと私は思うんですね。
確かに、緒方団長が行かれたときにも、クリアンサク首相と会われた際、資金援助に対しては大変ありがたいと、しかし資金援助だけではいかがなものであろうかと、果たしてその資金援助したのがどういうふうに円滑に運用されているのかという問題もございましょうし、あるいはまた
食糧援助の場合にいたしましても、いろいろいま取りざたされているような問題があるようでございます。いわゆる難民の手元まで届かぬというような問題ありましょうけれども、しかし、そうした問題はそうした問題として、やはり
相手国との話し合いの中で解除していく以外には方法がありませんので、いずれにしても急がれている問題の中ではもう言うまでもないことでありますが、資金だけではなしに、特にいま急がれている問題は医療班の急派であろうということが考えられるようであります。なかなか赤十字社の方でも当初なかなかお引き受けにならないというような実情もあったようでありますし、そこをどこが一体鈴をつけてそうしてプッシュをしていくのかという、どこが一体責任を持って取り組んでいくのかというのがきわめて不明確だということが残念でたまらないのですね。果たして医療班についても一体何班ぐらい編成されていくのか、そのほかにクリアンサク首相からいろんな要望事項があるわけでしょう。難民キャンプまで行く間の道路が非常に悪路であると、その道路の舗装であるとかあるいは
教育施設であるとか、また医療施設であるとか、それに対する技術
協力もしてもらいたいという要請がある。こういう問題に対して、一体いまどういう措置がとられているのかという問題。
それから、何としても医療とやはり切り離すことのできないのは食糧の問題です。もうとにかくグラフやなんかを見ましても、これが人間の姿かと思えるようなことを、正示さん御自身もごらんになっていると思うんですよね。母親が抱いている子供にしたって、これが子供かと思うくらいに額にしわが寄っているようなやせこけた子供がもう数え切れないほどいる。しかも、いま七百八十万と言われているそのカンボジア民族が、恐らくこの一年間の間に半分ぐらいに減るんではないかと、ワルトハイム事務総長じゃありませんけれども、そういう嘆きの声すらいま出ているわけです。もう急を要するわけです。しかも、そのうちの七十万の数というのが子供である。そのうちの八割がもう病気にかかっているというんですね、マラリア、結核。この事態に対処して、ベルギーを初めとするヨーロッパあたりでは、急ぎ医療班を編成して現地に急派した。その地域には、一人の
日本人の姿すら見えないということが毎日報道されているわけです。
そうした問題、もうやらなきゃならぬ問題が横たわっているわけです。きょうはそれを確認するために、一体どこまでそういうことが具体的に進んでいくのか。大変だ、大変だということはわかっている。
日本がやらなきゃならぬということはわかっている。じゃあ具体的にどういうふうにやっていくのか。いま正示さんの御
説明では、大体年末まではそうなるであろうという、単なる希望的観測を述べられたにすぎないのでありまして、その向こうの人たちにしてみれば一日を急がなきゃならぬという、せっぱ詰まったそういう事態に置かれているのではないだろうか。そういったことについてもう一遍総括的に、これからどういうふうに進めていかれるのか、どなたでも結構ですから御
説明をいただきましょうか。