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1979-12-06 第90回国会 参議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月六日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————  委員氏名     委員長         三木 忠雄君     理 事         安田 隆明君     理 事         山崎 竜男君     理 事         広田 幸一君     理 事         太田 淳夫君                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 江藤  智君                 木村 睦男君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 堀内 俊夫君                 山本 富雄君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 瀬谷 英行君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君     —————————————   委員異動  十一月三十日     辞任         補欠選任      内藤  功君     沓脱タケ子君  十二月一日     辞任         補欠選任      沓脱タケ子君     内藤  功君  十二月六日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     村田 秀三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         三木 忠雄君     理 事                 山崎 竜男君                 山本 富雄君                 広田 幸一君                 太田 淳夫君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 江藤  智君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 堀内 俊夫君                 穐山  篤君                 瀬谷 英行君                 村田 秀三君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  地崎宇三郎君    政府委員        運輸大臣官房長  杉浦 喬也君        運輸省海運局長  妹尾 弘人君        運輸省鉄道監督        局長       山地  進君        運輸省航空局長  松本  操君        海上保安庁長官  真島  健君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁警備局警        備課長      依田 智治君        運輸大臣官房総        務審議官     永井  浩君        運輸省自動車局        整備部長     小林 育夫君        会計検査院事務        総局第五局審議        官        室屋  勇君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      馬渡 一眞君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      仁杉  巖君        日本鉄道建設公        団理事      富樫 勘七君        日本鉄道建設公        団理事      片山  充君        日本鉄道建設公        団理事      渡辺 武男君        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        新東京国際空港        公団理事     井辻 憲一君        新東京国際空港        公団理事     角坂 仁忠君        新東京国際空港        公団理事     増村啓一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○調査承認要求に関する件 ○小委員会設置に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (日本鉄道建設公団経理問題等に関する件)  (国鉄財政再建問題等に関する件)  (航空運賃値上げ問題等に関する件)  (新幹線整備計画に関する件)  (空港整備計画に関する件)  (新関西国際空港問題に関する件)  (内航海運に関する件)  (巡視船整備計画に関する件)  (上越新幹線用地の補償問題に関する件)  (左折車事故防止対策等に関する件) ○新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月十五日、石破二朗君及び長田裕二君が委員辞任され、その補欠として三浦八水君及び堀内俊夫君が選任され、また、十六日、三浦八水君が委員辞任され、その補欠として園田清充君が選任され、十九日、園田清充君が委員辞任され、その補欠として平井卓志君が選任されました。     —————————————
  3. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 理事辞任の件についてお諮りいたします。  安田隆明君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいまの理事辞任に伴い、理事が一名欠員となりました。  この際、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山本富雄君を指名いたします。     —————————————
  6. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても運輸事情等に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 小委員会設置に関する件を議題といたします。  国鉄財政再建等に関する諸問題の調査のため、小委員十名より成る国鉄問題に関する小委員会を設置することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  つきましては、小委員及び小委員長選任につきましては、これを委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、小委員江藤智君、安田隆明君、山崎竜男君、山本富雄君、青木薪次君、穐山篤君、太田淳夫君、内藤功君、柳澤錬造君及び山田勇君、以上十名を指名し、小委員長安田隆明君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可及びその補欠選任並びに小委員会から、参考人出席要求がありました場合の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  13. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会日本鉄道建設公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  15. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 運輸事情等に関する調査議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 広田幸一

    広田幸一君 私はまず大臣に御質問申し上げるんですが、いま運輸行政では鉄建公団の問題をどう処理するか、あるいは緊急を要する国鉄再建問題をどうするか、あるいは航空行政の見直し、こういうたくさん重要な問題が山積しておるときに地崎運輸大臣就任されまして、先般一応の決意表明は聞いたんですけれども、非常に意欲的に取り組んでいらっしゃいますので、国民の皆さんも大変期待されておると思うわけです。そういう意味で、私はいま申し上げました三つの件について御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に鉄建公団の問題ですけれども大臣も就任になって、いろいろといままでのいきさつを御承知になっていらっしゃると思うんですけれども、なぜあのような不正経理事件が起こったのか、問題はそういう体質公団自体にあるではないか、そういう点からお聞かせをいただきたいと思いますし、また仁杉総裁にも同じような意味合いで、やっぱり体質的な面で問題があるではないかと、こういうふうに私思いますので、この点を両氏から御答弁を願いたい。
  17. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) このたびの鉄建公団カラ出張あるいはヤミ給与等の発生につきましては、大変遺憾に存ずる次第でもございますし、私の判断ではいささか公費に対する取り扱いが少しルーズであったのではないかと、かように実は考えられるわけであります。  鉄建公団のいろいろな内部事情等仁杉総裁からいろいろ御聴取願いたいと思いますが、この点に関しまして、監督官庁であります運輸省におきましても、事務次官外三年にさかのぼって鉄建関係のある職にあった者に対する戒告処分あるいは厳重注意、このようなものを行い、また鉄建公団そのもの総裁以下の幹部の更迭をいたしました。そして、現在鋭意不正の問題について解決を急いでおります。不正の支出の問題については、返還も含めて、また中には税金で対処するべきものも出てくるかもしれませんが、早急にこれの結論を出して、そして国民皆様方に納得のいくような処置をしてもらいたいということを公団当局に申し渡しております。  再びこのようなことのないように、厳しく、厳正にいろいろと制度上の問題等も検討しながら、二度とこのような問題を起こさないような配慮をいたしたい、かように存じております。
  18. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) 去る十月二十三日、はからずも日本鉄道建設公団総裁に任命されました仁杉でございます。  今度の鉄建公団不当経理の問題につきましては、国民皆様初め各方面に多大の御迷惑をかけまして、まことに申しわけなく、この席をおかりして深くおわびを申し上げます。今後は一生懸命で事後処理公団再建等に尽力をしてまいりますので、よろしく御指導をお願いいたします。  ただいま御質問の件につきまして、公団体質そのものからこの事件が起こったのではないかという御質問でございます。私、着任いたしましてから、いろいろと内部事情等を調べてみたんでございますが、一つはやはり七割以上の者が、主として土木でございますが、土木電気等技術者集団でございまして、こういう技術者集団技術者は非常に仕事に打ち込むという情熱、これがまた非常にいい特質でございますが、それがございますが、反面事務処理等に暗いという面がございました。御承知のように、青函トンネルであるとか上越新幹線のような大型プロジェクト、しかもかなり難工事の、世界的にも難工事であると言われるような工事を一生懸命で第一線の者は仕上げておるわけでございますが、事務処理について余り管理が行き届いていなかったのではないかというような感じがいたします。これが一つの基本の問題としてあったと思います。  一方、公団の組織が、国鉄、それから新規採用あるいは他官庁からの出向というようないろいろな面がございまして、その間でいろいろと融和とかあるいは横の連絡、縦の連絡等をしておったようでございますが、今回の事件を反省してみますと、第一線現地動きというものを必ずしも本社が十分に把握していなかったのではないかという面がございます。これらは決してサボっていたとかいうことではございませんけれども本社の方で現場の方の動きというものを的確につかんでいなかったのではないかということがございます。
  19. 広田幸一

    広田幸一君 簡単にひとつその辺。大体わかりますから。
  20. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) はい。それで、現在のようなことが起こりました内容がわからなかったという問題、あるいはカラ出張処理したものの中に、正規の会議費であるとかあるいは超勤であるとかいうことで処理できるものをしなかったというような面もございます。ここらに一つ問題点があるように思います。  もう一つ内部監査がちょっと不十分であったというような点がございまして、この点も反省をいたして新しく手を打っていくというつもりでおります。
  21. 広田幸一

    広田幸一君 私の時間は六十分でございまして、できるだけこういう機会ですから質問したいと思っておりますので、質問も簡潔にしたいと思いますが、答弁もひとつ簡潔にお願いしたいと思っておるわけです。  私は、いま大臣総裁の方からお話があって大体わかったんですけれども、私の言いたいのは、私もこの事件が起きてからいろいろと勉強してみたのですけれども、やっぱり、いまも総裁がおっしゃったんですけれども現地事務段階でどうも意思が疎通してない。もう一つは金を、とにかく財政当局から、行って取ってきて仕事をすると、そして、取れるものは取ると。表現がちょっとおかしいんですけどね。やっぱり現場では非常に危険な仕事をしておるにもかかわらず、そういう上の理事者側といいますか、そういうものが別に赤字になろうが黒字になろうがそんなことは関係ないと、そういうふうな無責任体制というものが私はあったと思うんですよね。自己努力というものが欠けておったと、そういうふうに思います。私は、そういうふうなことでこれからの鉄建公団というものは考えていかなければならない、こういうふうにいま思っておりますので、私の意見として申し上げておきたいと思います。  次は、きのうからきょうにかけまして問題になっております鉄建公団存廃、あるいは国鉄との統合問題ですが、大臣も先般の予算委員会で御意見を述べておられますし、また、きょうの新聞等でもそれぞれ述べておられるんですけれども、このことに対して運輸省運輸大臣としてどういうふうにお考えになっておられるのか、ひとつ簡潔に御答弁願いたい。
  22. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 予算委員会その他で御答弁申し上げておりますが、鉄建公団はただいま御指摘のございましたような不正問題等がございましたけれども、現在世界一の長大隧道であるという青函トンネル、あるいは上越新幹線その他CD線AB線、こういう工事を担当している集団でございます。したがって、いま私ども考えておりますのは、この大きなプロジェクトが完了する時点においてこの公団の将来のあり方を考慮したい、このような観点で現在おるわけでございます。
  23. 広田幸一

    広田幸一君 ちょっと私、聞き取れなかったんですけれども、何か自民党行政部会では、いま廃止をすると、青函トンネル上越新幹線工事が終わったならば廃止すると、そういうことをいま決めていくということでありますけれども大臣はそういう工事が終わった段階でいろんなことを考えてそこでやっていく、考えると、こういうふうに言っておられるわけです。そういうふうに確認していいわけですか。
  24. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) そのとおりでございます。
  25. 広田幸一

    広田幸一君 そうしますと、私は、これは行政改革の面で政府もいろいろ検討されておるわけですけれども、そう簡単に結論が出るものではないと思うんです。それは一部自民党の方でもおっしゃっているわけですけど、内部にもいろいろ意見があるようでありますが。でも、私は、この問題は、鉄建公団で働いておる人たちにとっては、いま廃止事件事件として、これからこういう仕事をしなきゃならないという責任はそれぞれ持っていらっしゃると思うんですね、そうなければなりませんが。そういう意味で、いつになったらどうするかということをはっきりしてやらなければ、私は、職員士気も阻喪すると思うんですが、そのような意味で、いっそういう結論をお出しになるか、その点をお聞かせ願いたい。
  26. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) このたびの鉄建公団の不正問題の処理に対しまして、公団総裁以下幹部は非常に責任を感じて、お互いに、これを税でもって処分する部分も含めて返還をしよう、しかし、なかなか、これは過去にさかのぼっておりますから、やめた職員もおりますし、いろいろな場合がございます。しかし、現在の職員お互いにお金を拠出し合って、そして年賦になりますか、月賦になりますかわかりませんが、積極的にこの不正問題を処理しよう、こういう非常な熱意を持っております。  そうしてまた、御存じのように、いま重大なプロジェクトをやっておって、しかも非常に危険な仕事をやっております。私は、こういう公団をいますぐ即座に廃止する、国鉄に合併する、こういうことをいたしますと、ある程度士気が阻喪する。非常に危険な仕事をしているわけでございますから、将来を含めてもっと十分検討して、こういたしますよと言って、役職員士気を落とさないようにしなければならない、これが一つの監督するわれわれの立場ではなかろうか。こういうことで、いまとにかくプロジェクトを一生懸命やってくれ、そして終わった時点でまたいろいろ相談をしようではないか、こういうことを私は発言をしておるわけで、そういう内容を考慮しながら実は検討していきたい、こう思っておるわけであります。
  27. 広田幸一

    広田幸一君 早急に結論を出されるように希望しておきます。  それから、関連をしまして、国鉄総裁鉄建公団総裁に、簡単でいいですから、このことについて、たとえば国鉄と合併をするというようなことについて、どういうふうにいまの時点でお考えになるか、総裁としてはまたどういうふうにお考えになるか、簡単にひとつ答弁願いたい。
  28. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御存じのように、現在、再建の案をようやくまとめまして、それを今後六年間にわたって取り組もうというときでございますので、かなりいろいろ仕事があります。そういう現状からいたしますと、私どもとして、いま鉄建公団のお仕事をお引き受けするということについては、消極的にならざるを得ないという心境でおります。
  29. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) 公団総裁といたしましては、いま運輸大臣からお話がございましたように、いろいろ重要な仕事、危ない仕事をしておりますので、ぜひ、形をどうするかというようなことは今後御議論があると思いますが、存続するという方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  30. 広田幸一

    広田幸一君 続いて質問をいたしますが、鉄建公団存廃国鉄等との合併問題もさることながら、現実問題として起こっております新線建設でございますね、これは一体どうなるのか。政府に、四百四十億ですか、いまのところ運輸省としては財政当局に要請になっておるわけですけれども、そういう問題との兼ね合いも考えていかなければならぬと思うんですが、新線はこれからどうするのか、予算要求とあわして、どういう時期に結論を出すのか、簡明にひとつ御答弁願いたい。
  31. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) AB線の問題と存じますが、これはまあいろいろ御批判がございまして、赤字国鉄をさらに足を引っ張るようなものをつくっておるではないかと、こういう御批判も非常にございます。したがいまして、一応四百四十億円の予算要求はいたしますけれども、全く国鉄以外ではどうしても交通が維持できないとか、あるいはもう九〇%以上できまして、とにかく開通した方がとりあえず御要望にこたえられるというふうな問題等あわせて検討しながら、できるだけ重点的に、効率的に採用する。四百四十億の予算がつきましたから何でもかんでも消化すると、こういう考え方ではなくて、地元の方々ともよく相談しながら、中には第三セクターやその他の形で引き受けるからというような御意見も拝聴しながら、まあむだ遣いしないような、国鉄の足を引っ張らないような形で実施していきたいと、かように考えております。
  32. 広田幸一

    広田幸一君 大変むずかしい質問になると思うんです。片一方では予算要求しなければならない時期にいま来ておるわけですし、それから、いま大臣のおっしゃったように、工事進捗状況によって、赤字になるけれども、でも九〇%以上あるいは八〇%以上金をかけておるものをいまやめるわけにはいかないと。それからおっしゃったように、他に輸送機関がない、そういうところはやっぱり何とか金がかかってもやらなきゃならぬ。それから、地元意見も十分に聞かなければならないと、こういう点で非常に苦慮されておると思うんです。ですから私の質問も、一体いつ——いま予算要求しなきゃならぬわけでしょう、いつの時点でそういう結論を出すのか。いまから住民の意見を聞くったって、そんなに四十一線あるものを一々聞けるわけではないです。ここらのところをまず予算要求に当たってはどういうふうにするのか。  それからもう一つ、私は、これはいま大臣もおっしゃったように地元から大変な反対が出てくると思う、現に出ておるわけですから。それから、これにいわゆる国会議員を初めそういうものがついておるわけですよね。私は相当な英断をもってやらなければ、ただちょっと政治的と言うとおかしいですけれども、そういう点が、私は運輸大臣がここではっきりしないといけないと思うんですが、そういう意味で私は決断を含めて、大体いつまでにこういうものについての結論を出そうとしておるのかということを聞かしていただきたい。
  33. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) そのほかに国鉄赤字ローカル線廃止問題等もございますもので、いずれも非常に先生おっしゃるようにいろんな地元からの厳しい反対、あるいは御要望がございますから、まずこれを処理するということでしばらく時間がかかるわけでございまして、予算要求はいたしますけれども、いま申し上げましたように、要求したところでそれをむだに使う必要はないわけはありますから、早急に決定をするということだけ申し上げて御了承願いたいと思います。
  34. 広田幸一

    広田幸一君 いまおっしゃったローカル線の問題は、これはことしの運輸政策審議会の小委員会結論として、地方で協議会をつくってそこで検討して、約二年ぐらいたって結論が出なかった場合は見切り発車するということが出ておるわけですね、運輸省の方針として。国鉄ですか。それについては大変反対があるわけですが、これも相当な私は決断を要すると思うんです。私自身も、地元にあるわけですね、そういうものが、それでいろいろこの間から陳情受けておりますけれども、そんなに私はいい顔してないわけです。やっぱり国家的な立場でこれを考えていかなければ、新線問題もローカル線の問題もなかなかうまくいかないと思うんですが、少なくともこのローカル線は相当住民の声を聞かないと。新線はこれからつくるんですから、一たん中止するということはできると思うんですね、凍結するということは。しかし、ローカル線の場合はそうはいかないと思いますね。  そういうことと、あわせて時間がありませんから、この、特別運賃をとるということを決めておられるようですね、これは運輸省が決めたか国鉄か知りませんが。特別運賃はやっぱり一応ローカル線の場合にとるという方針なのかね、それもあわせてひとつ御答弁願いたい。
  35. 山地進

    政府委員(山地進君) 地方交通線の対策というのは、先生の御指摘のように、運輸政策審議会の小委員会運輸大臣に御報告をいただいてございますが、それに基づきまして、その線に沿いまして対策を目下検討中でございます。ことしの予算の成立時までには地方交通線対策というものを確立いたしまして、その中で、在来線のローカル線をどういう位置に持っていくのか、あるいはAB線をそれと矛盾しないような形でどうやって持ってったらいいだろうかということを全部包みまして、一つのパッケージみたいな形で対策を整えていきたいと、かように考えております。  その中で、もちろん先生のおっしゃるように、それから小委員会で報告のありますように、協議会というものをつくって議論はもちろんしていただくわけでございますが、そういったことも小委員会の報告に出ておりますから、その線に沿って恐らく対策というものをつくっていくことになるだろうと思います。  それから、特別運賃でございますが、これも小委員会の報告に、国鉄に残すもの、あるいは国鉄から仮にバス転換するまでの間国鉄に残ってるような場合は特別運賃というものをとって、国鉄の合理化とその特別運賃と両方で、地元の方にも負担をしていただきたいというような考え方が述べられておりますが、国鉄の今回の再建の基本構想案にもローカル線の対策が出ておりますが、この中でも段階的に特別運賃をとっていったらどうだろうかという国鉄考え方が出ております。これらにつきましては、地方交通線対策ができた後に私どもの方に申請があり、それを審査して決定していくということになると思います。
  36. 広田幸一

    広田幸一君 大臣、これはもう地元でかなりまあ反対というよりも、いまローカル線を切ってもらうと、バスに転換をしてもらっても困るという住民の意見があるわけですよね。この間も、一昨晩の十時からのNHKのあれでも私見ましたし、地方でもああいうことをいまNHKが何かこう調査をしてやってるわけですがね。ですから、十分に住民の意思を尊重してやるということと、それから、特別運賃については、私も国鉄側の立場はよくわかるわけですけどね。しかし、これは住民にとっても負担になるわけでしてね、これは国鉄以前の問題だと思うんですね。国鉄自己努力以前の問題で、財政当局ともよく話し合いをして、私は特別運賃についてはやっぱりいま早急に考えるべきでないと、こういうふうに思っておりますが、大臣、いかがでございますか。
  37. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) おっしゃる御意見もよくわかるわけでありまして、地方の協議会等を通じて御意見をよく承り、また別な面においての財政措置をあるいはお願いをするようなこともあわせて研究しながら、この問題を解決してまいりたいと、かように存じております。
  38. 広田幸一

    広田幸一君 それから、余り時間がないんですが、国鉄運賃の値上げですね。予算では五%の値上げが計画されておるんですけれども、毎年この運賃を、まあ法律が変わったわけですからね、勝手にと言っちゃおかしいですけれども国鉄側が毎年上げておられるんですが、どうも国民感情として毎年運賃を上げるという、そういうちょっとなじまないではないかという点があります。  それからもう一つは、五%上げて果たしてプラス・マイナスをして収益が出るだろうかと、国鉄離れを促進することになるではないかというような話もあるわけでございますが、この国鉄運賃の五%は現時点としてやっぱりやると、値上げを実行、施行するという考え方でございましょうか。また、もう一つ航空運賃との兼ね合いもあると思うんですが、そこらのことも配慮しておられるのかどうなのか。
  39. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいま昭和五十五年度の予算仕事が進行いたしております。その場合に、来年のいろいろ見通しを立てておりますけれども、なかなか赤字が減らない現状でございます。人員を減らすということも織り込んでおりますけれども、その前提としているいろいろ作業の仕方を変えなければならぬということがありまして、そう一挙に減らせられないということでございます。  あれこれ考えまして、いまのところ私どもとしては、やはり八月の段階予算でお願いをいたしました五%程度の値上げはどうもやらざるを得ない。ただ、いま御指摘もありましたように、だんだん競争力を失なってきておりますから、それが運賃を上げましても収入増につながらなければ何にもならぬわけでございまして、どういうふうにしてやったらいいか、また、利用者の方々への御迷惑ということも考えながら、どの程度のものにしたらいいか苦慮いたしておりますが、予算編成の前後を通じまして、やはり多少とも上げさせていただくという前提でいまのところ考えております。
  40. 広田幸一

    広田幸一君 財政当局の方から恐らく補助金も出すし、そのかわりには運賃を上げよと、そういう強い私は要求というものが出ておるように感ずるわけですね、いま総裁お話を聞いておりますと。まさにそのとおりだろうと思うんですが、まあそれはそれとして、問題は五%上げたことによってサービスがよくなり、しかも収益が上がるということでなければいけないと思うんですがね。ですから、いま総裁がおっしゃったのでは、これからの交渉の段階でまた検討するということでありますから、まるっ切りいまのところ五%上げるということではなしに、まだもう少し検討する余地もあると、こういうふうに理解してよろしいかどうか。
  41. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いま御指摘のように、この際余り運賃を上げない方がいいんではないかという御議論がかなり各方面で一般的に展開されていることは十分承知しておりますし、それは一つの御意見としてきわめてごもっともなものだと思います。しかし、予算を現実に組んでみますと、なかなかそれではさらにどうも赤字がふえるような、収支じりといいますか、損益じりといいますか、そういう面で赤字がふえるような状態でございますので、なるべく値上げ幅が小さい方が望ましいわけではございますけれども、なかなかうまくいかないということでございまして、いまのところはやはり私は上げさしていただくという前提で考えざるを得ないのではないかと思っております。  なお、いま五%とおっしゃいましたけれども、五%というのは、いま予算要求いたしておりますのは収入ベースで五%ふやすということでお願いをしているわけでございますので、運賃ベースではどうしても多少お客さんが減りますからそれよりは高くなるということもありまして、より一層難渋しておりますと申しますか、苦慮いたしておるということでございます。
  42. 広田幸一

    広田幸一君 これには国鉄労働組合やなんかは絶対反対だと、もっとほかに、たとえば新幹線の、どういう言い方になりますか、もう少しあの辺で創意工夫をすればもっと収益が上がり国鉄の利用者もふえるではないかというような意見もあるようでございまして、私も専門ではありませんからよくわかりませんが、いずれにしても、物価はどんどん上がっていきますし、国鉄立場もよくわかりますけれども、もっとほかに自己努力をして、国鉄運賃は上げないようにしてもらいたいということを国民の世論として申し上げておきたいと思います。  それから、鉄建公団総裁質問しますから、簡単に御答弁願いたいと思うのですが、これは前々からの約束事項になっておるように思うんですが、いわゆる不正経理によるお金ですね、これを返済をすると、こういうような方針でいま検討しておるというようなお話が決算委員会等であったように記憶しております、これはうちの穐山委員質問して。  そのことと、それから関係者の処分もこれも百名近くあるけれども、いろいろ事情があって慎重に期しておると、こういうことであります。  それから、今回の不正経理事件がいわゆる公団として組織的にやられたではないかというような話もあって、それには総裁が、そうは思わないけれどももう少しよく調べてみるというように御答弁をなさっておるように記憶しておるわけです。  以上、三点について簡潔に御答弁願いたい。
  43. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) 最初の事後処理の問題につきましては、いま先生から御指摘がございましたように、雑費的に使われましたものにつきましては返還の方向でいま努力をいたしております。  それから、超過勤務につきましては、一部各所、支局あるいは局によっといろいろ違っておりますので、その実態を踏まえまして、ある部分は返還、ある部分は税金というような処理でできないものであろうかというのでいろいろ検討をいたしておるわけでございます。  次に、処分の問題でございますが、この前も御答弁いたしましたが、百五十人程度になる、百五十人余になると思うのでございますが、これは個人の名誉の問題もございますから、各地方に基本方針を流しまして、いま精査をしている段階でございます。ただ、減俸等の処置につきましては、返還の問題とダブるというような問題もございますので、その点につきましてはもう少し慎重に考えてみたいというふうに考えております。
  44. 広田幸一

    広田幸一君 もう一つ総裁落ちてますね、三番目の問題が。
  45. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) 失礼しました。  組織ぐるみであるという御指摘が毎回ございますが、私が着任してみますと、どっか中心があってそれが全部こう指示をしたという形跡はない、形跡がないと申しますか、そういうふうには思えない。それは、一つは超勤見合いのカラ出張を全然していないところがございますし、それからあるところではかなりカラの超勤のようなものが行われているようなところもございますし、各支社、局等によってばらばらでございますので、組織ぐるみと申しますか、どっかが指令したという感じではございません。ただ、全機関にわたりましてこういうことが行われているということは、何か最初のうち小さく行われたことがだんだん横に広がり、それが何となく全機構に及んでしまったんじゃないか。この辺が先ほど申し上げました上下の意思の疎通が必ずしも十分でなかったと思われるという点でございます。
  46. 広田幸一

    広田幸一君 いまの三つの件は早急にひとつ結論を出してもらいたいと思います。
  47. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) わかりました。早急に努力いたします。  ただ、超勤等については、証拠書類がございませんので少し時間がかかります。処分につきましては、いま申し上げましたように、ちょっと時間をかしていただきたいというふうに思っております。
  48. 広田幸一

    広田幸一君 会計検査院にお尋ねしますが、国鉄カラ出張の問題について、いままで調査された内容をひとつ簡単に御説明願いたい。
  49. 室屋勇

    説明員(室屋勇君) お答えいたします。  検査官会議の議を経ておりますし、一応の了解も得ておるところでございますけれども、その内容を公にする前に検査の結果に触れますことは異例のことでございますので、ごく簡単に御報告さしていただきたいと思います。  国鉄におきましては、昭和五十三年度に架空の名目によりまして支出した旅費を別途に経理しておりましたが、これは新聞に報道されておりました盛岡、新潟、門司の三管理局及び博多総合車両部の四部局のほかに、少額ではございますけれども、関西地方資材部にもありまして、これを加えました五つの部局で、出張命令件数にいたしまして千七百十六件、金額にいたしまして約千七百五十万円ほどございました。  その使い道でございますけれども、大部分は会食等の経費に充てられておりまして、その他は儀礼的交際的な経費や諸雑費に使われておりました。  以上のとおりでございます。
  50. 広田幸一

    広田幸一君 私も前もって若干調べておるんですけれども、まあ聞いておるんですが、金額は千七百五十六万四千四百二十九円ですか、多少違うかもわかりませんが、五十二年、五十三年で出ておるわけですが、この鉄建公団の場合と同じように考えられておるんじゃないかと思って、私も同じようなぐあいになっておるんじゃないかと思って見たんですが、どうも内容を見ますと、たとえば会食費等なんかは一人で数百円、最高で二千円か三千円というようなことになっておるようであります。それから、いわゆる香典とか祈祷料とか、何かこの祈祷料というのは、施設をつくるときに神様におがんでもらう、そういうもののようであります。そして雑費は書籍とか新聞代とか、こういうふうな内容であるようです。  そこで、国鉄にはこういう交際費とか食料費とか、こういうものは会計上ないんですか。
  51. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そういう費目はございます。ございますが、いま反省をいたしておりますのは、使われている実態、しかもそれがまあまあ正当、どうしても要るだろうと思われるような実態に比べまして、費目はあることはあるんですけれども、金額的にどうも少し十分だとはいえなかった面があるんじゃないかと。そういう意味で、現場の諸君には大変苦労をさせる結果になっておったように思っております。
  52. 広田幸一

    広田幸一君 私も鉄建公団とこの国鉄のこれとは、ちょっと金額的に調べてみまして、ずいぶんと額も違いますし、わりに渋ってやられておるようですけれども、いずれにしてもそういう科目があるにもかかわらず、金がないからといってカラ出張によって裏金をつくったということは総裁、間違いですね。  それからもう一つ新聞等によりますと、この金の大半が労働組合対策費に使われたというふうになっておるんですけれども、本当にそういうふうになっておるのか。その辺もひとつ明らかにしてもらいたいと思います。  それからもう一つ、時間がありませんから、このお金を将来どういうふうにして返済するか、処分の仕方でありますね、それもひとつあわせて御答弁願いたい。
  53. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 予算の使い方については、費目が決められ、そしてそれでもし足りない場合には申し出てくれば一部他の費目からの流用ということも正規の手続として認められ得ることになっておりますが、それがそういうことでなしに、架空の経理になっておるということについては、これは誤りでございまして、そういう誤った経理を是正しなければならないと思います。  それから、その処理でございますけれども、その処理につきましては、まだ実は検査院からは公式には御通知いただいておりませんし、私ども現場の実態をまだ一〇〇%つかみかねております。しかし、このまま放置することはできないわけでございますので、検査院の報告書が出されました後において厳正に処理をいたすべく、いまから前もっていろいろ準備作業をしておるということでございます。
  54. 広田幸一

    広田幸一君 労組対策費というのはどういう意味ですか。
  55. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 失礼しました。新聞等では労務対策費というような使われ方をしたというふうになっておりますけれども、その後、私どもも調べておりますけれども、この資金でたとえば組合の幹部との間の懇談をするときにそういう金を使ったというような事例はないというふうに報告を受けております。  先ほども申しましたように、会議費とか交際費とか雑費とかいう費目はあるわけでございますから、そういう意味で、そうしたものについては本来の方の金といいますか、費目で支出されているというのが今日まで私どもが聞いておるところでございます。
  56. 広田幸一

    広田幸一君 もう一つお聞きしますが、これ、鉄建公団ではそういうことがあったんですがね、改ざんをしたというような事実は検査院がやられてあったかどうか。
  57. 室屋勇

    説明員(室屋勇君) まあ改ざんという意味の問題でございますけれども、旅行命令書などの関係書類を改ざんしたというような事実はありません。ただやり方といたしましては、架空の出張命令に基づきまして旅行命令書、旅費請求書等の関係書類をつくっておりまして、これによって旅費を支出しております。
  58. 広田幸一

    広田幸一君 総裁、いま検査院の報告では五ヵ所の集計でありますね、ですから、あと何ぼかあるわけですが、そういうところは現在調査というか、監査というか、そういうものを調べておられるわけですね。で、いつごろまでにそういうものが報告といいますか、調べがつくかということを一応確認をしておきたいと思います。
  59. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 過日、十二月三日でございますが、全国の各地域に配置してございます監査役また会計監査役を東京に招集いたしまして、その席で私からいま御指摘を受けております機関以外につきましても内部監査を行うというように指示をいたしました。何分、対象の機関数は大変私ども多いわけでございますし、監査役の数には制限がございますので、まず一、二ヵ月はかかるのではないかと思いますが、それにしてもなるべく早く取りまとめをするようにということで指図をしてあるわけでございます。
  60. 広田幸一

    広田幸一君 鉄建公団の問題もこれあり、国民の関心の的になっておるわけですから、早急にそういうものを調査をしてしかるべく処置をする、いずれのまた機会に御報告願いたいと思います。  あと時間がありませんので、次は航空関係についてお尋ねをいたしますが、今度、航空運賃値上げを五つの会社が申請をしておりますが、この航空運賃値上げの申請について、運輸省としてはどういうふうにいま検討されておるか、簡単に御答弁願いたい。
  61. 松本操

    政府委員(松本操君) 去る十月二十三日、五社から運賃の値上げの申請が出てまいりました。この理由は、定期航空の運賃は四十九年以来据え置かれているわけでございますが、その後、空港整備等に要する経費の分担として賦課いたします着陸料等が累次の改定によってかなりの額になってきたこと、それからさらにそれに追い打ちをかけるように航空燃料の燃料費の上昇がきわめて急速かつ顕著になってきたこと、こういうふうなことから、私どもといたしましてもこのまま放置するということはいささか問題があるのではないかと、このように考えておった時期でもございましたので、これらの申請、五社平均二八・八%の値上げということでございますが、これを受け取りまして、去る十一月十三日、運輸審議会に諮問をいたしまして、現在せっかく御検討を願っておるところでございます。  したがって、審議会の答申を待ち、さらに私どもといたしましても、別途十二分の検討をいたした上で最終的な結論を求めるようにしたい、このように考えております。
  62. 広田幸一

    広田幸一君 四十九年以来五年目の申請でありますし、おっしゃったように燃料も上がっておりますし、公租公課も上がっておりますから、会社の経営も苦しくなったであろうということは私も推測できるわけですが、今度の運賃の値上げの申請の形態を見ますと、従来の総合運賃体系よりも、近、中距離は高くして遠距離は安くするといういわゆる区間のコスト主義的なやり方になっておるわけですけれども、ここを私、見まして、素人ですけれども国鉄運賃との兼ね合いというようなものを考えられておるのか、こういう点については運輸省の方が指導されたのかどうなのかという問題が一つ。  それから、ここに持っておりますけれども、これをずっと見ますと、ずいぶんと離島ですかね、そういうところの運賃が高いですね、改定率が。奄美大島−喜界島、これは三十五キロですけれども、四七・四%。それから福岡と壱岐が六〇%。さっき局長は、平均二八・何ぼか言われたですけれども、こういうふうに距離の短い離島のところは非常に高くなっておるわけですね。そういう点も加味して、今度のこの運賃の認可に当たってどういうふうにお考えになるのか、お聞かせをいただきたいと思うんです。
  63. 松本操

    政府委員(松本操君) まず、御質問の順序多少たがえますが、運輸省が指導したかどうかという点につきましては、特段積極的な指導をしたということではございません。ただ、従来の航空運賃というものを見てみますと、運賃形成の経緯をそのまま踏まえて長年来ておりますものですから、運賃のありようがいずれかといえば総合原価主義に流れまして、路線別の原価というふうなものについての配慮がはなはだしく欠ける、それが航空運賃全体の体系をいささか乱しているのではないか、こういうことが私どもの方でこの夏以来行っておりました作業の結果出てまいりました。そういうふうなことはわが方の見解として各企業には伝えたわけでございますので、そういうことを踏まえて各社がそれぞれの立場からいろいろな見直しをしたということであろうかと思います。  第二の、国鉄との関連の問題でございますが、これは国鉄の運賃の立て方と航空運賃の立て方とが必ずしも基本的な法則において一致しておりません。したがって、故意にこの両運賃の間に何らかの整合性をとろうといたしますと、かなりむずかしい問題が出てまいります。  ただ、航空運賃の側から見表した場合に、三十九年に新幹線が開通をいたしました時点で、ある区間についてはかなり航空の側が新幹線を意識したという事実があったようでございます。それの残渣と申しますか、名残と申しますか、そういう形がなお一部に残っているというふうなのも見えますので、そういう点についてはむしろ率直に航空の側における運賃のありようというものを積み上げてまいりますと、恐らく数百キロ程度までの範囲でございまするならば、航空運賃国鉄運賃との間の整合性というものは自然にとれてくるのではないだろうか。ただ、そうは言っても成り行きに任せるというわけにもまいりますまいから、その点については、私ども省内で鉄道監督局あたりあるいは官房等とも相談をしながら、ある程度の配慮はしていかなければならなかろうと思っておりますが、余り意図的にいじくるということはいささか問題があるのではないか、こう考えております。  最後の三番目の、離島運賃が非常に値上げ率が高くなっているではないかという御指摘は、そのとおりでございますが、これも冒頭申し上げました従来の運賃体系から見ますと、どちらかというと総合原価的にはじいておるものですから、それからもう一つは、離島の運賃はそもそもその前に船舶の航路があるというふうなこともございまして、運賃として払う概念というのが何となく定着していたということもあって、航空運賃というものを生の形でなかなか持ち出しにくかったという経緯もあったかと思います。  したがって、総じて離島のみを運航いたします企業にとってはほとんどがコスト割れになっておりますし、また離島以外の分野とあわせて離島を運航しております航空会社の運賃体系につきましても、離島運賃というものはいずれも原価割れの形になっておる。これをこのまま放置をいたしまして、企業の中の相互補助の形だけに頼るというのは、結局離島の運賃をどこか遠距離の旅客がしょい込むということにもなりかねないわけでございますので、余りそれにのみ依存するのもいかがであろうかと、こうは思いますけれども、ただ現在、離島航空というものが離島の皆さん方の足になっているということも全く事実でございますので、そういう点に十分配慮しながら、先ほど申し上げましたような運輸審議会の御意見等々を尊重しつつ、なるべく合理的に運賃を決めていくようにしたい、こう考えております。
  64. 広田幸一

    広田幸一君 専門の局長に聞くんですから私も質問がおたおたするわけですけれども、先般、沖繩に私たち委員会がこういう問題を特に離島の人たちが要請されておるということで行ったのですけれども、台風があって、沖繩の那覇だけで、県庁からいろいろ事情を聞いただけで帰ってきて、まことに残念だと思っておるわけですけれども、当時お話があったのは、とにかく沖繩の人の県民所得というものは本土の人の六〇%だ。それから離島の人はまたその六〇%のさらに六〇%だということなんです、私はまだ離島に行ったことがありませんのでね。いまおっしゃったように、現在は他に輸送機関がありませんから生活路になっておる。また、いろいろな商売の関係も飛行機を利用してこられるというようなことからすると、いままでは、時間がありませんからあれですけれども、いろいろ航空会社に補助金という形で出しておられるわけですね、五十四年度から形態を変えておられるわけですけれども。いずれにしても島民にとって四〇%も六〇%も上がるということは大変な負担になるし、そういう離島の皆さんの生活実態を考えると、私は特別に配慮すべきだと思うんですね。  そこで、いままでも運輸省が言っておられた通行税ですか、ああいうものも安く——一〇%でしょう、運賃の、あれを離島の人たちに免除してあげれば助かると思うのですが、そういうことは毎年財政当局要求されているようでありますけれども、こういうところをもっと配慮して、今回の運賃の値上げについても考えてもらいたいということが一つ。  それから、時間がありませんから、これはKDDとは違うんですけれども、四十九年から今日まで、全部の航空会社がという気ではありませんが、私はずっと見させてもらいまして、相当な内部保留がありますね。相当な内部保留があるわけです。それから五十四年度でしまいますけれども、飛行機を買うときに減価償却を、いわゆる特別措置法ですね、そういうものがあって、非常に会社がもうけておるわけですよ。私はもうけておると思うのですよ。しかも、いろいろ見ると、いま特殊法人の役職員の賃金の問題が、給料が高いとか安いとか言われておりますが、どうもこの航空会社の給料というものも世界的な航空会社に比べても決して安くない。  そういうふうな点を見ますと、私はもう少し運輸省としても、何でも上げればいいという意味でないわけですから、やっぱり利用する人たち立場に立って考えていく。しかも、いま離島の話も出たわけでしょう。六〇%の六〇%というようなところにおるわけでしょう。しかも、なかなか航空券がとれないという実態で、私はそういう点をやはり考えて、今回の運賃値上げについては、料金値上げについてはお考えになっておるかということを特にお聞きしたいと思う。  簡単に答弁願いたい、まだ一つ二つありますから。
  65. 松本操

    政府委員(松本操君) まず、離島運賃を下げるということにつきましては、先生おっしゃいましたように、航空機のこういう補助をしていた。これが終わりました時点において着陸料等の減免をするというふうなことでコストを切り下げるということの努力をしてまいりました。  さらに、たとえば沖繩県につきましては島民割引というふうな制度も一部の島については設けてございます。そこの住民の方がお乗りになる場合には特段の割引をするというふうなこともしてあるわけでございますが、いまおっしゃいました通行税の減免のようなものも、税体系上いかがかというふうな議論ももちろんあると思います。あると思いますが、私どもとしてはまた、そういう点であるからこそ、また通行税の問題について積極的に取り組みたい。いろいろな方途をあわせ行うことによりまして、御指摘のような御趣旨になるべく沿えるような方向へ持っていきたいと考えております。  特に内部保留あるいは特別償却等についても言及なされたわけでございますけれども、特に人件費の問題につきましては、値上げの申請を受け取りました時点で、安易な人件費の膨張をもってコストアップの要因とするというふうな態度は認めがたい。そこら辺の問題については厳に査定をするということを私ども冒頭宣言をしてございます。御趣旨の点を十分に踏まえて対処してまいりたい、こう思います。
  66. 広田幸一

    広田幸一君 もうあと五分ですから。  これは、この間新聞で私知ったのですけれども、まだ勉強をよくしていないんですが、第四次空港整備六ヵ年計画について、これはこの書類を見ますと三兆二千億円ということになっておるわけです、六ヵ年間で。これを財政当局が、いまの財政の貧困を理由にして難色を示しておるというふうにおっしゃっておるわけです。  ところが、この三兆二千億円の内容を見ますと、一番よけいにこの予算を組まれておるのは関西国際空港ですね、一兆一千九百、約一兆二千億円。大体三分の一強ですね。まあ関西空港の問題は、私が申し上げるまでもなくいろいろいま問題になっておるわけですけれども、こういう計画に対して財政当局ができないということになると、それでなくても、いま羽田にしてもそれから伊丹にしても、周囲の航空環境のために相当な制限があって飛行機が降りてこないという事情があるわけでしょう。今後の航空の需要を考えてみますと、やらなければならない必然性もあるように思うんですが、こういう問題についてはどういうふうにいま運輸省としてお考えになっておるのか、これは大臣にひとつ御答弁願いたいと思います。  それからもう一つ一緒に御答弁願いたいと思うんですが、前段申し上げましたように、航空行政の見直しということであります。  四十五年の閣議決定があって、四十七年の大臣通達、いわゆる航空憲法によって航空行政というものが今日までやられておるわけですけれども、この間はいろんな面で大きな変化を来しておるわけでありますね。ですから、これはもう一遍この辺で見直しをすべきであると、こういうふうな意見がだんだんと出ておるように私は見ておるわけですが、この点、航空行政の見直しについて考え時点に来ておると——たくさんあります、私も書いておりますけれども時間がありませんから——特に、最近は航空会村の企業競争というものが激化しておる。そういうところからいろいろ政治も介入するというようなこともいろんなところでうわさをされておるわけですが、そういうものではなくて、やっぱり利用する利用者の人たち立場に立ってそういう航空行政というものが公平に行われなければならない、そういうふうに私は思いますので、この航空行政の見直しについてどういうふうにお考えになっておるか、二つの点、大臣からまず御答弁を願いたい。
  67. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 第四次の空港整備計画の中心になりますのは、いまおっしゃいました大阪新空港とそれから羽田の拡張と、この二つが主な中心でございます。したがいまして、これは非常に大きな金額の要る問題でございますけれども、いま委員のおっしゃいましたように、航空が大衆交通になってきておるという観点から見ても、これはやはりぜひ実現に踏み切るようにまいりたいと、こう思っておりますが、地元関係自治体その他の意見を聞きながら取り扱ってまいりたいと思うのであります。  そしてしかも、いま各地からさらに飛行便をふやしてくれと、こういう御要望がありますが、いまのところ伊丹、羽田では全くその容量がないと、こういうことも考えまして、ぜひこれはひとつ進めてまいりたい、かように存じておるわけでございます。  それから航空行政の見直しでございますが、これももういわゆる航空憲法で決定しておるわけですが、大分これも、いま申し上げましたように離島から東京へ直行したいとか、あるいはさらにYSからジェットにかえてもらいたいとか、いろんな問題がございまして、需要が大変強まっておりますから、これもそろそろ見直しの時期に来ておるのではないかと、このように判断をいたしております。
  68. 広田幸一

    広田幸一君 時間が参りましたので、いまの第四次の六ヵ年の計画については、財政当局も難色を示しておるけれども、たとえばもう切迫しておる関西空港の建設等については、万難を排してこれを実行するべく運輸省としては取り組むと、こういうことと。それから航空行政の見直しについても、やっぱり検討する時期に来ておると、こういうふうに確認をしてよろしいかどうか。
  69. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) おっしゃるとおりでございます。
  70. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最初にお伺いしたいことは、先ほど広田委員質問に対するお答えで、鉄建公団の統廃合問題でありますけれども青函トンネル上越新幹線といったような、こういうプロジェクトが完成したならば鉄建公団はもう廃止をしてしまうといった意味の御答弁があったんでありますけれども、現在、青函トンネルはかなり進捗をしておりますし、やがて貫通をするだろうと思うんでありますが、青函トンネル上越新幹線ということを言われたけれども、東北新幹線は盛岡どまりになっているわけでしょう。で、東北新幹線が盛岡まででき上がって、青函トンネルができ上がって、それだけでは物の役には立たないわけですな。  青函トンネルができ上がりゃ、いやおうなしにそこをレールを敷いて汽車を通さなきゃならぬわけで、その工事は一体どうなるのかですね。トンネルだけ先にできちゃって後は何にもしないというんじゃ、それこそ暗やみになっちまうわけで、このままほっとくわけにいかぬだろうと思うんですがね。これは一体どうなさるおつもりなのか。  また鉄建公団にしても、仕事だけやって、でき上がったならば後はお払い箱というんじゃ、これまた張り合いのない話ですね。したがって、でき上がった工事について、今後、管理あるいは維持をするといったような責任もこの公団に新しく持たせるということを考えてしかるべきではないか。もしもでき上がった後でトンネルが、雨漏りということはないけれども、水が漏ったとか事故が起きたとかいうことになった場合、もう鉄建公団なくなっちゃったよと、知らないよと、こういうんじゃこれはまずいだろうという気がするんですね。その辺は一体どのようにお考えになっていることなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  71. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 一つは、青函隧道が完成した時点に、どのようにしてこれを活用するかという問題でございますが、本来ならば、いま財政的に問題になっております整備五新幹線の問題でございますが、これを通したいというのが本来の希望でございますけれども、財政問題等でなかなか結論が出ません。したがって、とりあえずいまの在来線につなぐということを考えて、そして青函隧道をむだに使わないようにしなければならない、こういうことを現在考慮しております。そのうちに五新幹線の問題も決定いたしますならば、当然それにも併用できるような形にしなければならない、こういう方針でいくつもりでおります。  しかし、もう一つ鉄建公団廃止問題でございますが、私が先般来各種の委員会でお答え申し上げておりますことは、いま、青函隧道あるいは上越新幹線のような大きなプロジェクトを引き受けて行っておりますと、したがって、このような工事がある程度解決した時点において鉄建公団の将来を考慮いたしますということを申し上げているのでございまして、廃止というようなことは、いま一切私の口からは申し上げておりません。どうしても、いまおっしゃるように保守の問題もございましょうし、また整備五線の問題もございましょうし、いろいろあるわけでございますから、その時点において考えていく、こういう言い方で終始をしているわけでございますから、ぜひその点をひとつ御理解をいただきたいと思います。
  72. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これ、この前にもお伺いしたことあるんですけれども、トンネルができ上がった場合どうするかということで、とりあえず在来線をということなんですけれども、在来線を通すということになると、トンネルの長さだけで五十四キロあるわけですから、貨物列車じゃ一時間かかるわけですな、トンネルをくぐるだけで。途中に駅がないからもっと早く行けるかもしれないけれども。どっちにしても五十四キロというのは貨物列車じゃ一時間ぐらいかかる時間だろうという気がする。新幹線を一緒に走らせるといっても、一本道を一列になって、ウサギとカメと両方走らせるのじゃ、これは新幹線の方もゆっくり走らなければならぬことになる。大変に技術的に問題があろうと思うんですね。  そこで、新幹線は盛岡どまりでやめてしまうということなのか、新幹線ができ上がったならば在来線とのつなぎ方をどうするか。両方走らせるような方法で時間帯を分けて走らせるようにするのかどうか、いろいろ工夫はあるでありましょうけれども、いずれにしてもこのトンネルを利用して北海道まで新幹線を通すという構想は持たざるを得ないのじゃないかなという気がするんです。私ら、北海道へ新幹線をつくったところで赤字になるだろうと思うから、果たして妥当な方法かどうか疑問はありますけれども、ここまででき上がっちまった以上は、北海道新幹線ということも考えざるを得ないんじゃないかなというふうに、大臣の出身地でもありますので、考えるのですが、その辺はどうなんですか。
  73. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) まあ、非常に微妙な御質問でございますが、せっかく青函隧道ができた以上、背骨である縦貫新幹線というのを、この立場になるまでは私は強く希望をしておったわけでございますが、こういう立場になりますとほかの新幹線の御要望もございますから、一方的な私の意見は申しにくいわけでありますが、しかし、いま申し上げましたように世界一の長大隧道、こういうものを長年の技術と国費をかけてつくり上げてきたわけでありますから、やはり盛岡からの先の新幹線をぜひ実現したいものだと実は考えておるわけであります。  しかし、非常にいま国家の財政が厳しいときでございまして、財源その他についてまだいろいろ議論がございますので、さらに財政当局とも慎重に打ち合わせながらこの方針を進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。  なお、いまの貨物線を通す、あるいはウサギとカメではないかと、こういうような御意見がございますが、これはむしろ技術的な問題でございますので、国鉄の方からひとつお聞き取りを願いたいと存じます。
  74. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いま、トンネルができました後どういうふうな使い方をするかということについては、当然運営は、いまのたてまえでは私どもが引き受けることになりますので、いろいろ研究をいたしております。まだはっきりしたところは出ておりませんけれども、どうも両側がつながるのにまだ大分時間がかかりますことを考えますと、やはり当分は在来線として使うということでないと余りにももったいないではないかというふうに考えております。その先、両側がつながったときにウサギとカメをどうするかという問題はありますけれども、その前にまずトンネルが通じましたならば、何とかそれを有効に使うという道がないものかと思っております。  で、貨物につきまして、トンネルでやった方がいいか、従来どおり連絡船でやった方がいいかという問題もいろいろありますが、いままでの検討では、フレートライナーのようなかなり速達を必要とするものはトンネルを利用さしていただくのがいいのではないか。さりとて、全部の貨物を移してしまうということについては相当問題がありまして、その辺、いまなお詰めさしております。もちろん、そういうふうにしました場合に、後何年か先にずっとつながりましたときに、ウサギとカメを一緒に走らすということについても、検討をした上でないとそのときまでの使い方も決まらないわけでございますけれども、まあまあいまのところの検討では、ウサギとカメと時間帯を分ける等によってうまくいくんじゃないかというふうに考えております。
  75. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 世紀の大工事ということになると思いますし、恐らく世界一の規模だろうと思うんです。このトンネル工事は、まああそこにああいうトンネルをつくることが果たして妥当かどうかということは問題があったかもしれませんが、いまごろそれを言っても始まらないです。もうじき先進導抗はつながろうとしているわけです。先般委員会で私ども視察に行きましたけれども、あと四キロしか残っていないというわけですね、先進導抗が。そうすると間もなくつながるだけはつながっちゃうわけですよ。  そこで働いている人たちの労働条件というのは大変なものだと思うんです、海底ですからね。ヤミ出張どころじゃない、本当に四六時中日の当たらないやみトンネルでやっているわけですからね。そこで発破をかけてそれで崩して——この間も岩石を崩したら魚が二匹出てきたというんで皆ぎょぎょと言ったというんです。そういうような話もあるわけなんですがね。こんなところで苦労している人たちにしてみれば、自分たちがせっかくこさえたこのトンネル、でき上がったら後公団はお払い箱だよと、これじゃやっぱり張り合いがないと思うんですね。  そこで公団総裁にお伺いしたいと思うんですけれども、いろいろといろんな問題がございましたけれども、この公団の仕組みそのものがやはり何といいますかね、当てがわれた金はもう全部使ってよろしいと、しかし、その先のことは責任を負わなくていいようになっているんですよね。赤字になろうと黒字になろうと、そんなことは鉄建公団責任じゃないわけです。鉄建公団というのは、財布だけ預かって、中に入っている銭は全部使っていいよと、こう言われているんですよね。あとのツケの方は心配するなと、こう言われているんです。そうすれば、年度末の役所じゃないけれども、あり金みんな使っちゃおうという気になるんですよね。あり金みんな使っちゃうためには、そこでカラ出張だなんという話が出てきたんじゃないかと思うんですがね。  だから、やっぱりいまの鉄建公団の仕組みあるいは任務そのものを、現在のままで果たしていいのかどうか。たとえば、将来その公団仕事についてアフターケアも考えて、いま、国鉄で言えば工事局のような仕事をやっているけれども、将来ともそういったような仕事鉄建公団が引き受けるといったようなことになりゃまた話は別になってくるだろうと思うのでありますけれども公団の任務あるいは形態といったようなことについて再検討する必要はないかどうか。確かに現状のままでいけば、仕事終わりゃ国鉄に吸収しちまえばいいということになっちまうんだけれども、その辺、果たしてどういうふうにお考えになるか、この機会にお伺いしたいと思うんです。
  76. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) まず先に、青函トンネルの推持管理、でき上がった後でございますが、公団がなくなると困るではないかという御指摘でございますが、これは公団存廃の前に、でき上がりましたときには、やはりいろいろ地質とか地層の弱点とかいうことを公団の担当者がよく知っているわけでございますから、そういう保守のチームは、公団に置くかあるいは国鉄に移籍するかは別でございますが、そういう形で公団関係技術者で保守をしていきたいというふうな考え方をしております。  その次に、瀬谷先生からございました公団の仕組みそのものでございますが、これにつきましては、ただいま新線ABCDと、それから民鉄の工事、あるいは新幹線工事というようなことでございますが、いま御指摘がございましたように、国鉄との間の仕事の分け方が、発足当時新線建設だけで発足し、その後いろいろなものが入ってきたというようなことからいって、この際もう一度見直してみる必要があるのではないかということで、国鉄高木総裁ともいろいろ御相談をしているという段階でございますが、いろいろ政治的な問題もございますので、まだもちろん結論に達しているということではございませんが、情報交換はしているという程度でございます。
  77. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 鉄建公団でこさえている新線は、これまたみんな赤字線になるであろうという線ばっかりですよ。そこで、今度赤字線の問題は、つくるときは鉄建公団だと、鉄建公団は産むまでの苦労でもって、産んだ子供は里子へ出しちまう。引き受けた方は、国鉄が全部養育費は負担をしなきゃならぬ、こういうかっこうになっているわけですよ。そこで、この赤字をどこまでしょっていくかということは、今後の国鉄の経常上大変問題だろうと思うんです。  だから、やはり赤字考える場合に、だれが総裁になろうと、この赤字の問題は構造的にどうにもならぬということであれば、それを国鉄自体の責任であるかのように肩身の狭い思いをする必要はないわけなんですから、それじゃ、いっそのことこの赤字線区は国鉄と切り離すか、あるいはいまと独立採算制の枠外に置いて経営を考えるか、何らかの方法をとらないと、これはずるずるべったりに赤字が累積をしていくだけであって処理の方法はつかないだろうと思うんです。だから、こそくな手段を考えるよりも、根本的に国鉄赤字は一体いかにすべきか、本来どうあるべきかということを考えてしかるべきじゃないかと思うんでありますが、その点はどうでしょうか。
  78. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 従来の国鉄経常の考え方は、内部補助といいますか、一方において黒字のところがある、一方において赤字のところがある、それを全体として独立採算をとるようにということであったわけでございますが、最近に至りまして、その黒字のところといえども、他の輸送手段との競争関係上、それほど赤字のところを相互扶助するほどの力がないということがわかってきたわけでございます。  そこで、先ほど来お触れになっておりました地方交通線の問題をこの際はっきりいたしますというのは、しばしばいま地方交通線の問題というのは、廃止をしてバスにかえるかどうかというようなことを中心に今日まで議論されてまいりましたが、そうではなくて、それもありますけれども、その前に、国鉄の本来相互扶助でやっていける部分とそうでない部分とを明確にしたいと、そしてその部分については今後とも存続をするのであれば財政の御援助を得たいと、現在でも地方交通線の補助金というのを、あるいは貸付金というのを千億いただいておりますけど、その性格がはっきりいたしませんので、私の方で相互扶助でやれる部分とそうでない部分を截然と分けまして、そして対処をしていくというふうにいたしたいと、ぜひ来春早々にもその辺を明らかにいたしたいと考えております。  そうすれば、昔からありました在来線の赤字額、それから鉄建公団でおつくりになりましたものの運営赤字というものをいわばプールをするといいますか、一緒にいたしまして、それで全貌を把握できるような形にいたしたいというふうに考えております。
  79. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これは、赤字というのがいつもついて回ったんでは仕事をする人間の方も張り合いがなくなってくるわけですよ。だから、構造的な赤字を解消するというのはやっぱり政治的な判断でもってやらなきゃいかぬと思うんですね。かといって、もうけ過ぎればKDDというようなことになっちゃうんで、ほどほどにしなきゃならぬわけなんですけれども、いまのところKDDほどもうかる見込みはないですよね。  そこで、運輸大臣としては、一体この構造的な赤字を、根本的にあなたの任期中に解消するための策をお立てになる気持ちがあるのかないのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  80. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) おっしゃるように、KDDのようなところまで行っていただければ大変ありがたいわけでございますが、なかなかもってそのようなところには到達するのは大変でございます。そこで、引き継ぎを受けましたところでは、昭和六十年までに三十五万体制を労働組合の理解を得ながらまず達成をするということが第一でございます。  それから、いわゆる国鉄の財産というものは莫大なものがございます。私は、こういうようなものを、合理的に、民営を圧迫しないような内容において、もう少しその別な収支を図るというようなことも考慮すべきではないかということも実は発言をしておるわけであります。  それから、いま申し上げましたように、赤字線というものを、まあAB線でも在来線でもそうでありますが、これはある程度民生安定のためにも、必ずしも全部、まあバスに切りかえて納得をいただけるようなところ、こういうところについては、またさらに私も任期中に進めてまいるように折衝をぼちぼち始めておりますけれども、しかしどうしても民生安定上必要なものもございます。これはやはり必ずしも国鉄の財政で、国鉄の収支で全部引き受けるべきものではないというふうに判断をしております。  これはよけいなことかもしれませんが、通勤、通学定期の国鉄の割引なんかも、私は反面そんなようなことを考えておるわけでありますが、そういうものをあわせてこれから何とか任期中に政治的に決着をつけて、そして明るい国鉄をつくり上げるように努力をしてまいりたいと、かように存じております。
  81. 高平公友

    高平公友君 ただいまも瀬谷委員から、東北新幹線建設に関するお話がありまして、大臣の御答弁は承ったわけでありますけれども、私は、より積極的に推進するという立場に立って、特に運輸大臣新しく着任でありますし、五十五年度の政府原案、これもすでに決定の時期が迫っておる。二十二日に内示とも聞いております。この機会でありますので、国鉄には陸上公共輸送整備特別会計とか、いまの国鉄再建問題ありますけれども、整備五線の建設を一体どうするかという面についてひとつ御質問を申し上げたいと思います。  この経過につきましては、いまここでいまさら申し上げることでもありませんけれども、四十七年に基本計画ができて、四十八年に整備計画ができました。まあ、その機会はみんな関係者挙げてチントンでお祝い会までやった経緯があります。しかしながらオイルショックでストップいたしまして、しかし、地域の高速交通時代に対応する体系をとりたいという形から猛烈に地域の意向を盛り上げまして、五十三年の経済閣僚会議、あれは三月でありましたか。それから十月のこれは整備五線の具体的実施計画についての閣僚会議の了承と、こういうものができまして、そしてそのピッチが急速に高まってきたわけであります。  この閣僚会議の申し合わせに基づいて、五十四年度の予算には環境影響評価調査費として五十億、それから百億の利用債、この発行は公的助成及び財源措置が決定するまで留保ということに相なっておりますけれども、大きく実は進んできたわけでありますが、この閣僚会議の了承事項の中で、五十億の予算をつけるに際して、本格的な環境影響評価を一斉に実施すると、そういう中で五十億というものは計上されたわけであります。今日まで運輸省、まあ国土庁にも五億別につきまして、そういった調査というのは、いままでの御答弁の中で十月いっぱいには遅くとも完了するだろう、しかしいろんな関係から延びたようでありますが、一体この環境影響評価というのは終わったのかどうか、今日どうなっておるのか、これはひとつ鉄監局長から承りたいと思います。
  82. 山地進

    政府委員(山地進君) いまのお尋ねの環境影響評価でございますが、この環境影響評価のお尋ねの一番の問題点は、ルートが先なのかあるいは環境影響評価が先なのかという卵と鶏の議論のようなものでございますが、いずれにいたしましても、ルートを選定するに必要なその環境影響評価ということを十分いままで進めておりまして、たとえば航空写真測量とか弾性波探査とかボーリングあるいは文化財の調査というようなものを従来は進めておりまして、これらについては、おおむね完了し、あとは水文とか植生の現況調査というもの、ほとんどこれも完了に近づきつつあります。  したがいまして、あとは財源というものがついた場合に、環境影響評価というものを直ちに案という形で世間に出すということが近づきつつある、かように考えております。御理解を願いたいと思います。
  83. 高平公友

    高平公友君 案が近づきつつあるということで、これはずいぶん時間がかかっておるわけでありますが、この閣議了解の二番目に「地元の協力体制について見通しをつけたうえ」と、これはまあ地元にいろいろと運輸省、国土庁から金を出して、いろんな調査とか、そういうものは全面的に地元で協力しておるわけですね。  これの手順からいきますと、今度は工事実施計画の認可を申請する、こうなっておるわけですが、一体そういう見込みはどんなぐあいですか。やろうと思えばすぐやれるわけですか。その点ひとつ率直にお聞かせいただきたいと思います。
  84. 山地進

    政府委員(山地進君) いまの仮定の問題が一つございますのは、環境影響評価が完了した後ということが一つ入っております。それからもう一つ、いまの文書の中に並行在来線と合わせた採算から見て国鉄の財政を圧迫しないというような文句も入っているかと思いますが、それらのことを全部考えまして工事実施計画の認可ということになろうかと思います。  したがいまして、環境影響評価が終了した後、ですから、環境影響評価報告書案というのを世間に問いまして、それが地元の方々のいろいろ御議論を経て、環境影響評価となるのに若干さらに時間がかかるということでございますから、工事実施計画の認可というのは、それから後段にございますように、財源措置といういろいろ前提が入った後のことでございますが、それらが整いますれば工事実施計画の認可ということになろうかと思います。
  85. 高平公友

    高平公友君 まあ鉄環局長とすればそんなようなお答えだろうと私は思うとるんです。やろうと思えばすぐできることだと思うんです。問題は財源だと思うんです。ところが、五十五年度の概算要求には整備新幹線の財源につきましては未定と。未定とは何ですかとお聞きしますと、財源措置を十分考えて大蔵省と後で相談して入れるというようなことでいままで推移しておるわけなんです。  しかし、考えてみますと、整備計画をやりましてからすでにまる七年の歳月がたっております。この間にオイルショック等で経済的な一つの時間的なものもありました。長いところでは十数年も同盟会をつくってがんばっておる。全く、どういいますか、一体これはどうなるんだと。この間運輸大臣は、いまの地崎運輸大臣で私が二年半の間に四人もかわっておいでになる。大臣一つ発言に一喜一憂しながら今日まで七年もがんばってきているというのが関係者のこれはもう実態であるわけであります。  そこで、五十五年度予算で未定となっておりますが、これは早急に、私はやっぱり経済の、財政の事情もあると思いますけれども、この種事業というのはやっぱり本当の長期のプロジェクトだと思います。恐らく五年や十年でこれが全部完了するとはだれも関係者は考えていないわけですけれども、しかし、やはりその要望に対してはこれはある程度こたえてやらねばならない。十七都道府県で五千八百万人の関係者が常にこの問題に対して注視をしておる。  最近はどうも政治不信、偉い人が来て、やります、やりますと言うて全然やらぬでないかと、選挙のときだけ言いていくだけじゃないかというのが多くの人の考え方のようであります。私はそうであってはならない。やはり額の多少、それから長期プロジェクトということの、それを十分認識の中で、やはりこたえるところはこたえて、そして地域の長期の計画、そういうものが設置されることによっての地域開発の計画というものが当然できてくると思うわけなんです。  そこで、私は新任の地崎運輸大臣には大きな期待感を持っております。いまほどの瀬谷先生に対する御答弁もありましたけれども運輸行政の最高責任者として、さあ今度五十五年度予算が未定になっておりますが、ここにある程度の数字を書き込む、財源等の見込みも何とかひとつ調整の上、当初はそんなにたくさん金は要らぬと思いますけれども、私はそういうかっこうでやっぱり推進していただきたいと思うわけですが、ひとつ大臣、紙に書いてあるような答弁じゃなしに、率直なお気持ちだけでもひとつお聞かせいただきたい。お願いします。
  86. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) この整備五線計画は、私の聞いているところでは五兆五千億という財源が必要だと言われておりますが、物価値上がり等いろいろ考えますと、あるいは七兆、八兆円というような巨額な金になると思うわけであります。そこへ加えて、いま現在非常に財政が厳しいときでございまして、できるだけあらゆる公共投資等についても抑制をしようではないかと、またある委員においては、この際思い切って五十三年度以前に公共投資の額を減らすべきだと、こういうふうな御意見等もあったりいたしまして、この整備五線の進め方は非常にむずかしい問題があるわけでございます。  しかし、いまおっしゃいましたように将来の日本というものを考え、先行投資というものを考えるならば、私はやはり十年計画を十五年計画に延ばしても、二十年計画に延ばしても、わずかでもやはりこれを芽を出して。国民にある程度期待を持たしていただきたい、こういう考え方を私自身は持っております。おりますが、いま申し上げましたように、財政当局とのこれからの折衝でございますので、十分その点もひとつ考慮しながらお話し合いを進めてまいりたいと、かように存じております。
  87. 高平公友

    高平公友君 大臣のお考えはただいまの御発言で了承しましたが、何としても芽を出すことがやっぱり先決でなかろうか。ことに整備新幹線の各都道府県で、駅は大体県庁の所在地とかあるいはまたそれに準ずるような都市で設置ということに相なっております。最近都市再開発事業というものをやっておりますし、それからまた都市周辺整備事業、こういうのを取り入れまして、そして地域の発展をみんなそれぞれ図っておるわけでありますが、何といいましてもやっぱり駅というのは大体中心になってくるわけなんです。それがどうなんだ、こいつがはっきり決まって、そして大体どの辺に駅の面積が、やがて——いまおっしゃるようにあるいは長くなるかもしれません、それは皆さんは承知でありましょうが、そういうものを考えつつ都市再開発とかそういう事業をお進めいただきたい。むしろみんなあきらめたわけでもないんですけれども、しかしこれを早くやってもらわにゃ、地方は地域振興じゃない、むしろ逆に地方の、どういいますか、近代化に対して足を引っ張っておるという、そういうことで、大体石の上にも三年と言いますけれども、七年も待ちますと、本当に最近怨嗟の声に変わりつつあるということもひとつ御了承いただきたい。  そしてやはりいま大臣おっしゃいましたように、百年の大長期プロジェクトであります。したがってそういう方向づけなり、芽を出して、そのときの財政事情にもよると思いますし、まあ伸び縮みはあってしかるべきだと思いますが、五十五年度予算には、未定を、何らか数字を入れてひとつ希望を持たしていただくようにこれはやっぱり進めていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  88. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 答弁いいですか。
  89. 高平公友

    高平公友君 そうですね、いま申し上げたことについて、大臣、何かお考えあれば。
  90. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 最善の努力をいたします。
  91. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、運輸大臣にお尋ねいたしますが、いろいろと報道によりますと、自民党の行財政調査会が鉄建公団の整理縮小を検討されたようですが、これに対する大臣の御所見はいかがでございますか。
  92. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 自民党の行財政制度調査会でございますか、そこで何らかの審議がされたと聞いておりますが、現在、私のところにはまだ何も通知がございません。党の組織によっては、まだ上部組織がございますから、それによっての通知によって私の意見を述べたいと。そして私は、先般来現在のプロジェクト進行中の鉄建公団については、それがある程度完了する時点において存廃を考慮すると。しかしながら、果たして五十七年度の完成で上越新幹線終わるとか、あるいはいまの青函隧道でも、付帯工事等もいろいろございますから、そう日を切って廃止するということをいますぐ決めることは、公団士気にもかかわるということでいかがかと思いますので、私は終始そのような発言をしております。  党の決定はいまだ私の耳に届いておりませんので、その後において考えたいと思います。
  93. 太田淳夫

    太田淳夫君 予算委員会でも大分行政改革のことが問題になってきたわけですが、行管庁の基本的な方針としては、十二月十日まで各省から報告をもらうという方向で態勢が進んでいるようですが、運輸大臣としてはその点どのように検討されておりますか。
  94. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 行管庁とはいろいろお打ち合わせをしておりますが、いわゆる運輸省で所管をしておると言われておる特殊法人は十一あるわけでございます。私は、必ずしもその十一が全部特殊法人だと私個人としては判断をしておらないわけでありますが、しかし、その十一のうちの二つ、京浜と阪神の埠頭公団、これは来年度中に、いま事務的にいろいろ詰めておりまして、東京と横浜市、大阪、神戸市、ここへ引き継ぐことになるわけでございますが、船主とかいろんな関係もございますので、事務的に詰めて、来年度中にはこれを廃止に持っていこうと、こういうことで、十一のうちの二つは一応これで来年度中に結論を出して、五十六年には完全にこれは廃止と申しますか、移管をすると。こういうことでいま進めておるわけであります。  残りの九つでございますが、行政制度の改革というのは、一つは十三兆円にも上るいろんな補助金、こういうものをあわせて論議されているわけでございますから、運輸省の所管している中で、運輸行政上監督しなければならないために監督している法人がございます、別に助成も何もしておらないと。こういうのもございますので、現実にいまのところこの二公団を私は廃止をいたしますということで、一応十日にはそのような発言に持っていきたいと、かように考えております。
  95. 太田淳夫

    太田淳夫君 行管庁の基本方針も、私も多少疑問があるわけですよね。機械的に各省庁に割り当てるような方式じゃなくて、本来ならばそれぞれ持っている、やっている業務等を見直して、しかるべきこことここというふうに指定するのが本当のやり方じゃないかと思うんですね。  今回の場合は、そういう、機械的に一応各省庁から検討して出させるような方式をとったわけでございますが、いま大臣のお答えでは、その方針に沿っていくというようなお話でございますのであれですが、鉄建公団廃止の問題もいろいろと出ておりますけれども、やはり鉄建公団それ自体の持っている特殊性というか、技術というものもそれぞれあると思うんですね。そういうものをやはり将来とも存続を図っていくような方向も考えられる必要があるんじゃないか。生かしていくような方向ですね。  国鉄さんに合併をというような、そういう話もあるようでございますが、それではやはり国鉄としても将来負担になってくるんじゃないか。そうなりますと、何と申しますか、京王線の工事等をやったような方向で鉄建公団の技術を生かすような方向、その点についてはどうでしょうか。
  96. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) おっしゃるとおりでございまして、鉄建公団の現在の技術というものは大変世界的なものがあるわけでございます。したがって、将来、先ほども質問ございましたように、整備五新幹線の問題もございますし、またこれは全くの私個人の発言でございますが、中国で新しい鉄道の援助等を求められております。その中で、大変な大きな長大隧道がある。中国の技術ではなかなかむずかしいというような話も聞いておりますので、場合によってはそういう経済援助にもお手伝いしてもいいんではないか。  今後、こういうせっかくの世界一の技術集団を生かすすべはいろいろ私はあるのではないだろうか。政府あるいは自由民主党の方針も非常に厳しいものがありますから、なかなかこの辺のところに理解を得られるのはむずかしいわけでありますけれども、このようなものを十分ひとつ理解を得るように主張してまいりたい、かように存じております。
  97. 太田淳夫

    太田淳夫君 ところで、運輸大臣も、AB線の問題で一年間工事は中止するようなお話がありました。その真意をお聞きしたいと思います。
  98. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) これは全部中止をすると、こういうことを実は申し上げたわけではないのでありまして、このAB線はいろいろ御批判がございます。鉄建公団で一生懸命つくって、それでそれが全部国鉄赤字の原因になっている、こういうことでございますので、この点をひとつ考慮しながら重点的に配慮していきたい。  先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、関係地方で協力していただけるところがないだろうか、こういう問題も考えなければならない。また、中には九〇%近くできたものについて、これもどうもいろいろ調査いたしますと、もうやれば必ず赤字になるというところもあるので非常に苦慮しておるわけでありますが、地方の住民の方々の理解あるいは御協力、こういうものも含めて、これは赤字ローカル線にも当てはまるわけでありますが、そういう考え方を持って決定をしていきたいと思いますので、予算は四百四十億の請求をしておりますけれども、何でもかんでも予算については全部使っちまうと、こういう意味じゃなくて、いま申し上げたような観点でやっていきたい、かように考えております。
  99. 太田淳夫

    太田淳夫君 いま工事が九〇%云々というお話もありましたけれども、岐阜県の樽見線という線がありますが、もう一歩でこれは工事が完成するところまで来ているわけですが、地元では、山口線のSLですか、あれと同じような希望もあるんですが、そういった点についてはどのようにお考えでしょうか。
  100. 山地進

    政府委員(山地進君) 樽見線につきましては、おっしゃるとおり工事はほとんど済んでおるように理解しておりますが、その利用と地元の協力の度合いについては、また今後地元の方ともよく御相談しながら詰めてまいりたいと思います。
  101. 太田淳夫

    太田淳夫君 大臣も時間がないようですので、次は空港整備の問題についてお尋ねいたしますが、先ほど同僚の広田委員からも御質問がありましたが、この第四次空港整備六カ年計画の大綱ですか、これ簡単で結構ですが、最も力を入れている点についてお聞きしたいと思います。
  102. 松本操

    政府委員(松本操君) 第四次空港整備六カ年計画案と申しますものは、明五十五年度を初年度として六十年度までの六年間、この間にできる限り空港の整備及び航空保安施設の整備を完成いたしまして、昭和六十年代に入りました時点においては、空港の整備の貧困のために航空輸送需要が十分にさばき切れない、あるいは航空の安全に支障を生ずるとか、そういうことがないような基本的な点までは詰めたいというのが考え方の根本にございます。  総額といたしましては、三兆二千二百億という数字を挙げておるわけでございますが、その三兆二千二百億をさらに分けて申し上げますと幾つかの項目別に分かれてまいります。  一番大きな問題といたしまして国際空港の整備という項目を立てておるわけでございまして、その中には、新東京国際空港、現在の成田空港を完全な形に仕上げていくということと、それからもう長いこと議論をしてまいっております関西国際空港につきまして相当程度のところまで工事を仕上げようというのが大きな考え方に入っております。  そのほかに、一般空港の整備の中に羽田の沖合い展開という考え方がございまして、現在の羽田空港を何がしか沖合いに出し、面積も千ヘクタール程度に広げるということによりまして、まずは大田区、品川区に対する騒音問題の抜本的な解決を図ると同時に、能力的にも現在のものよりも何がしかふえた形に持っていきたい、この三つが空港の問題としては非常に大きな問題でございますが、その他二千メートル級の空港をなるべく多く整備することにより、将来のジェット化に十分対応できるようにしていきたい。  で、あとは環境対策の問題がございます。昭和五十八年というのが環境庁が五十三年の暮れに決めました空港周辺の環境基準の二回目の目標年次、あるいは最終目標年次と言ってもよろしいかと思いますが、が来るわけでございますので、それが六十年度までの中に含まれるという点に着目をいたしまして、できる限り環境基準に合格するような形に持っていきたい、これが大体の全体の構想でございます。
  103. 太田淳夫

    太田淳夫君 成田空港のパイプラインですね、この最終年度としての予算が計上されているわけでございますが、五十六年三月、この目標までに完成の見通しがございますか。
  104. 松本操

    政府委員(松本操君) 空港の本格パイプラインにつきましては、目下公団において文字どおりの全力投球という形で取り組んでいるわけでございます。五十六年三月という目標までに何とか仕上げようということで、特段の体制の整備などもいたしまして一生懸命に公団がやっておるという状況でございます。
  105. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に、先ほどの環境対策ですが、愛知県の名古屋空港ですが、やはりここもジェット機の増便等による非常な騒音の対策について、住民からの要望がいろいろと出ております。来年度の予算の方向としまして、地元から要望が出ております全室防音費ですか、あるいは冷暖房、空調維持費、そういった点につきましてはどのような方向にあるんでございましょうか。
  106. 松本操

    政府委員(松本操君) 名古屋空港は、御案内のように今年度から運輸省が、周辺対策と申しますか騒音対策事業を引き継ぐことに相なりました。したがって、通称騒音防止法と言われております体系にのっとって空港周辺の騒音防止対策を進めるわけでございますが、いま御質問のございました民家の防音工事につきましては、五十四年度から言うところの全室民防に取り組んできておりますので、当然のことながら名古屋空港周辺におきましても五十四年度は全室民防という考え方で取り組むことにいたしております。  ただ、その場合、民防をいたしますと当然非常にたて切った形の家になりますので、各棟においてはやはり冷房の必要が生じてくる。その冷房装置の運転費と言うと大げさでございますが、維持費でございます。これを払えという御要望のあることは十分承知をいたしておりますが、しかし私ども考え方といたしまして、まず民家防音工事そのものを急速に徹底するということが第一段階ではないか。  それを徹底いたしますことによって、少なくとも室内において相当程度の騒音にさらされている方々が基準以下の状態になるわけでございますので、確かに年間何ヵ月間の間に冷房装置を回すとすれば、それなりの経費が要ることはわかりますけれども、それはそれなりの付加価値的なものが生じておるというふうに御理解願えれば、その程度のことは何とか御勘弁願えるのではないだろうかと、このように考えております。  ただ、生活保護世帯のような非常な特殊なものにつきましては、やはり何がしかの御援助をすべきかという考え方で、まず手初めにこの要求を来年度いたしておりますけれども、これについては今後の大蔵当局との折衝にまちたいと、このように考えております。
  107. 太田淳夫

    太田淳夫君 次は新関西空港の、先ほどやはり同僚の広田委員からお話がありましたが、これの答申についてはどのような見通しになっておりましょうか。
  108. 松本操

    政府委員(松本操君) 関西国際空港の答申の現答申と申しますか、旧答申と申しますか、これはすでに四十九年に出ておったわけでございますが、その後かなりの月日もたちましたし、私ども調査、研究も進んでまいりました。そこで、去る十一月に改めて航空審議会の中に関西部会を起こしていただきました。そこですでに二回にわたって御審議を願っておりまして、近くこの十三日に第三回の御審議を願うことといたしております。  私どもの希望といたしましては、五十五年のなるべく早い時期にこれらの答申を踏まえた空港基本計画あるいは環境評価結果といったようなものをひっ提げて地元との話し合いに入りたいと、こう考えておりますので、それに間に合うような形で答申が出していただければと、こう考えてはおりますけれども、しかしこの部会は一つの伝統がございまして、私どもが思ってもなかなかそのとおりには御審議願えないわけで、非常に独自の立場から十分に検討をされるということでございますので、私どももせっかく資料の提供等には御協力を申し上げながら、余り時間はかけない、余り長引かないということを念じつつ審議がスムーズに進むようにしてまいりたいと、こう考えております。
  109. 太田淳夫

    太田淳夫君 これも一つの大きな国家的なプロジェクトでないかと思うんです。その工法につきまして、埋め立てとかあるいは浮体工法とかそれぞれの立場からのいろんな議論があると思うんですが、その部会におけるその点の両方のいろんな議論ですか、あるいは両方の意見を聞くとか、そういうことは行われてまいる予定ですか。
  110. 松本操

    政府委員(松本操君) 四十九年に答申をいただきましたときには、浮体工法、埋め立て工法、桟橋工法、干拓工法、この四つについて部会が検討した結果、当時の時点では埋め立てしかるべしと、こういうことでございました。しかし、その後埋め立てばそのままの形で研究が続けられましたが、浮体につきましては四十九年の答申当時のポンツーン型と違いましてセミサブマージド型と言うのだそうでございますけれども、上部構造物にドラムかんの足をつけたような、そういう新しい技術が開発されてまいりました。  そこで、私どもも五十三年度には相当額の研究費を投入いたしまして、私どもの研究所において何がしかの研究もし、技術的に不可能ではないというところまでは詰めたわけでございますけれども、しかし何せ何百ヘクタール、場合によっては千ヘクタールというような広大な構造物を海上に浮揚させ、これをドルフィンリンクというものを使って係留するということでございますので、なかなか私どもとしても専門的に十分理解し切れないところもございます。  一方、埋め立ての方も、やはり三億何千万立米というふうな土工作業でございますので、基本的には埋め立て工事として多くの先例等もございますけれども、個々に当てはめた具体的な問題については、やはりまだまだ十分に解明され切っているとも申せないと思います。  そこで現在、部会におきまして、十三日に工法についての御説明を申し上げることにしておるわけでございますが、引き続き、恐らく部会としては特別に小委員会なり何なりを設けられて、そこで両工法についての専門家の立場からの話というものを十分に聴取され、さらにその他の意見をもまとめて公平な議論を重ねつつ結論を出すと、こういうことになっていくのではないかと。したがって、いまの時点で工法がいずれぞやということについて私どもがお答え申し上げる状況にない、こういうことでございます。
  111. 太田淳夫

    太田淳夫君 もう一つ航空関係でお聞きしたいんですが、せんだっての本会議におきましても名古屋のオリンピックの話が出まして、総理としても地元からの要請があればいろいろと相談に乗るという話でした。これは中部地域としては、どうしてもこのオリンピックを開催したいということで地元は結束してまいるわけですが、そうなりますと、これがもしも決定するような方向になりますと、名古屋空港というのはいかにもこれは手狭な状態になってきます。そういった点で、新名古屋空港と申しますか、そういうものもやはりいろいろと考えられていかなきゃならない。やはり新関西空港の進行状況とも絡み合ってくるんじゃないかという感じがするんですが、その点についてのお考えはどうでしょうか。
  112. 松本操

    政府委員(松本操君) 現在のところ名古屋空港工事中で、多少の御迷惑をかけておりますが、本来は二千七百四十メートルの滑走路を持っておりますので、相当の大型機あるいは長距離に飛ぶ飛行機の受け入れは可能であろうかと思います。したがって、オリンピックの時点における、大分先の話ではございますが、その時点における航空輸送の関係がどうなるかという点について、実は私どもそう突っ込んで研究しておりません。常識的に考えられる程度でございますれば、名古屋空港だけで全部とらねばならぬということはなかろうかと思いますので、関西及び関東地区の空港に散らすという形で対応できるのではないかというふうには考えております。  ただ、これと関連して、この際名古屋空港も新しく新空港として考えたらどうだというようなお考え地元にあることは承知をいたしておりますけれども、名古屋のあの中部地方というところに、果たして大規模な、将来にわたって使用に耐える空港を設置するような十分な地形的な場所がとれるのだろうか。あるいは飛行場を設置いたします場合には、単に地面の上の問題だけでございませんで、空域と申しますか、空中の状況もよく見きわめないといけませんので、その辺については篤と議論を尽くした上でないと、軽々に答えを出すというのはいかがかと、こういうふうに思います。
  113. 太田淳夫

    太田淳夫君 じゃ、次に国鉄の問題でございますが、先ほども同僚からいろいろと御質問がありましたが、国鉄カラ出張の問題が報道されているわけでございますが、まあ先般鉄建公団のときもいろいろとここで議論がございましたが、やはり一部には国鉄からそれを引き続いてやってきたのだというようなこともあるようですが、こういった不正というのはやはり許すことはできない。先ほど会計検査院から御報告ございましたが、国鉄としての今後の対処はどのようにお考えになってみえますか。
  114. 馬渡一眞

    説明員(馬渡一眞君) 先週の土曜日でございましたか、総裁大臣のところに伺いまして、国鉄のこれからの対処の仕方についての御報告を申し上げた次第でございます。  現在、新潟の局ほか四機関におきまして妥当性を欠く事例があったということで、検査院の最終報告はまだ承っておりませんけれども、現在の国鉄の状態、特に再建のためにこれから取り組んでまいりたいという時期に大変こういうことで御批判を受けましたこと、またそういう事実がございましたことはきわめて遺憾であり、これからの問題につきましてはまずその関係機関についての調査、私どもなりにもう一度いたしたいと思います。と同時に、全部の各機関、地方機関ごとに再度監査機構を使いまして、内部監査を徹底していたしたいと存じます。その上で、もし事実が明らかになり、関係者等が明らかになりましたら、その場合の処分は厳正に行うつもりでございます。  なお、この内部監査につきましては、先ほど総裁がお答え申しましたように、できるだけ早くと存じておりますけれども、なお一、二ヵ月ぐらいかかるのではないかというふうに存じておりますが、それ以前に私ども、現在の時点におきます執行方につきまして、むしろこれからの問題としては、先ほど総裁も申しましたように、現在の国鉄内部の規程によってほとんど支出し得るものではなかったかというふうに考えられますので、内部の経理の執行の仕方につきまして、場合によっては制度的なものの研究もし、あるいは直す必要もあると存じておりまして、それは関係の部局でただいま検討をいたしておる次第でございます。
  115. 太田淳夫

    太田淳夫君 検査院にお尋ねしますけれども、この国鉄あるいは鉄建公団につきまして、検査院としてカラ出張等の不正経理を指摘されたわけですが、この検査の過程でこれらの不正経理を引き起こしたのはどの辺に原因があるのか、この点の感触をお聞きしたいと思うんです。
  116. 室屋勇

    説明員(室屋勇君) 本来、会計経理というものは手続が非常に煩わしいものでございますけれども、これにつきましては、やはり厳正に執行してもらわなきゃならないということは言うまでもないことでありまして、その点、どうも経理についての意識が欠如をしていたといいますか、不十分であったという印象を強く持っております。  それから次に具体的な話になりますが、予算の流し方がどうも実態に沿ってないんじゃないだろうか。たとえば、問題の鉄建公団の方の測量調査試験費でございますけれども、原局からの要求をうのみにして予算を配賦しているというような点も認められました。  それからまた測量試験費等の予算科目の枠組みといいますか、解釈が非常にあいまいでありまして、どのような目的のものをどのような性質のものに使えるか、その解釈が十分はっきりしてない、そのために勢い原局において予算を使う場合にルーズになり、安易に走ったんじゃないかというようなふうに感じております。  それから最後に、公団につきましては総裁発言もございましたが、内部監査体制が人員等の面から見まして必ずしも十分じゃなかったんじゃないだろうかというふうに考えております。  以上の点から、今後は予算の統制をしっかりいたしまして、また厳正な予算の執行をしていただくよう希望しております。  以上でございます。
  117. 太田淳夫

    太田淳夫君 いま検査院からの指摘がございましたが、やはりこの検査院の指摘は、十分これは今後配慮していかなければならない点じゃないかと思うんですが、その点、総裁国鉄と、御所見を伺いたいと思います。
  118. 馬渡一眞

    説明員(馬渡一眞君) まことにそのとおりでございますので、本当にこのような事態、今後絶対再発いたしませんように、人の心とそれから制度、全部あわせましてしっかりやってまいりたいと存じます。
  119. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) いま御指摘のとおりでございます。すでに、旅費の執行の仕方というようなこと、あるいは内部監査に関する事項その他給与の諸規定等の見直しをしておりますが、今後こういうことの二度と起こらないように全力を挙げて努力をしてまいりたいと思っております。
  120. 太田淳夫

    太田淳夫君 次は、返還の問題について、検査院と鉄建あるいは運輸省との間に意見の相違があるように聞いておりますが、その点検査院どうでしょうか。
  121. 室屋勇

    説明員(室屋勇君) 旅費の弁済等につきまして、公団では最終的には検査院の意見を聞いて、また監督官庁であります運輸省の指示もいただいた上で処理したいというようなことを伺っておりますが、この事態につきましては、第一義的には公団及び運輸省の方で決定さるべき問題かと思います。その結果、お話がありますれば承ることになると思います。現在のところは具体的な話は聞いておりません。
  122. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうですが。一部に修正納税というような話も聞いておりますが、その点はどうですか。
  123. 室屋勇

    説明員(室屋勇君) 検査院といたしましては、どういたしましても経理の基本の問題から物を申し上げざるを得ないわけでございますが、出張旅費から超過勤務手当の方へ充当したというようなことでありますと、やはりたてまえといたしましては、超過勤務の事跡がはっきりいたしまして、その事跡に基づいて規定どおりの支払いをするのがたてまえでございますので、どうしても私ども立場から言いますと、これを本人に支給するというような立場から物を考えることはできませんが、超法規的ないろんな考え方で、いろいろむずかしい問題もあろうかと思いますが、そういう話も、公式ではございませんがそういう話も聞いております。  ですから、そういった問題につきましては、先ほど申しましたけれども公団及び運輸省の方で考えていただいて、その後承ったところで私たちはその問題について考えたい。ただいまのところは検査報告を作成しておりまして、まだそこらあたりまで詰めが終わっておりませんので、その点につきましては今後の問題になろうかと思います。
  124. 太田淳夫

    太田淳夫君 じゃ、その点についての運輸大臣の所見を聞いて質問を終わりたいと思います。
  125. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 鉄建公団あるいは国鉄の不祥事に対しましては、大変遺憾に存ずるわけでございます。この処理につきましては、国鉄あるいは公団からいろいろいま御答弁申し上げたわけでございますが、いろいろ事実の認定その他にいささか時日がかかるようでございますが、これを待って検査院とも相談しながら返還、あるいは税で処理できるものは税というような問題を、十分検査院とも打ち合わせしながら処理をさせたい、かように存じております。
  126. 太田淳夫

    太田淳夫君 終わります。
  127. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  128. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 速記をつけて。
  129. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 じゃ、大臣もいないですから、先に内航海運関係の方を少しお聞きをしてまいります。特に船舶整備公団、ことしも、あれは幾らだったですか、予算が取られたんですけれどもなかなか十分ではなくて、国内の旅客船なんか建造したいという意欲は持っておっても、予算の枠がないので建造ができないでいるというのがかなりあると思うんです。  それで、特にこれは旅客船の方は人間を乗せるのですから、ぼろ船を運航しておってまた事故が起きたなんていうとこれは大変なことになるので、そういう点からいくならば、国内の旅客船をもう少し建造ができるように枠を広げるということのお考えはないのかどうか。ことしは一万一千九百トンですか、予算で六十五億。その点と、それから内航海運で、これは前にも私一度取り上げたことがあるんですけれども、一杯船主が七三%もいるという実態なんですが、そういうことで近代化ができるのかどうだろうか。いまのようなことだとなかなか近代化も進まない。よほどのことをやらないと近代化ができないので、その辺のスクラップ・アンド・ビルド方式でもって、思い切ったといってもなかなかそう簡単にいくものではないと思うんですけれども、もうちょっと老朽、不経済船をつぶして近代的な新しい船をつくるということについてのどういうお考えを持っているか、その辺からお聞きしてまいります。
  130. 妹尾弘人

    政府委員(妹尾弘人君) 最初に旅客船の問題でございますが、本年度予算額は、公団予算額は六十五億円、一万一千九百トン。先ほどおっしゃったとおりでございます。従来、ここ二、三年不況が続いておりまして、内航の旅客船、非常にその建造規模量が少なかったということが反映いたしまして、前年度の予算が六十億でことしは六十五億、こういうことでございますが、最近とみに建造意欲も出てまいりまして、やや一部につくりたい船がつくれないという状況が出ているやに聞いておりますが、来年度におきましては相当量の予算要求をいたしておりまして、代替建造、必要な所要の建造量を確保できるのではないかと期待しているわけでございます。  それから、内航貨物船につきましてでございますが、先生御指摘のとおり、約一万隻の船に七千何百の業者がいる。したがって非常に大きな数字のいわゆる一杯船主がいるという現状でございますが、まあ御承知のように昭和三十九年、内航の新しい近代化の政策をとってまいりまして、一つの許可基準ということで一定規模の船主をつくっていきたい、こういう政策を続けているわけでございますけれども、長年船一杯で仕事をしてきたという人たちを一気に、もうこれから仕事ができなくなるんだよというようなことはできないということもございまして、かなりの数の一杯船主がなお存在するという現状でございます。  しかし、内航の近代化ということは、内航貨物が国内貨物輸送の大半を占めているという、非常に重要な使命を担っている現状を考えまして、逐次この近代化を図っていくということで、公団によるいわゆるスクラップ・アンド・ビルド方式による近代化船の建造ということを逐次進めているということでございます。
  131. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 国内旅客船の方は、相当量の予算要求をしていって建造ができるようになると言ったんだけれども、いまどのくらいの要求をして、見通しがなにしているのか。それから後の方の点は、何というの、一気になくすことはできないって、一気になくせなんてとてもできるものではないんですよ。私もそんなことを言っているんじゃない。しかし、七三%という、それが従業員規模にしてもほんのわずかしかいないような、そういうふうな状態でもって近代化ができるわけないのであって、ですからその辺は、一気になんということは望んでいるんじゃないんであって、もうちょっと具体的に、こういうプログラムを持ってそして近代化を図って、内航海運の改善をしていく、近代化をしていくといって、もうちょっと具体的に言ってくれませんか。
  132. 妹尾弘人

    政府委員(妹尾弘人君) 旅客船につきましては、今年度が予算額六十五億で一万一千九百トン、来年度予算要求が百三十一億で二万二千トン、約倍増の予算要求をいたしているわけでございます。  それから、見通しというふうなのは、これはなかなか申し上げられないわけですけれども、私どもといたしましては、必要なものだけは確保していきたいということは念頭において予算折衝に当たる覚悟でございます。  それから一杯船主の問題でございますが、確かに七十何%ということでございますけれども、内航海運対策が行われ始めてから十五年、内航の近代化というのは私どもやはり相当に進捗したんではないかと実は思っているわけでございまして、先ほど、三日ほど前でございますけれども公団の貨物船建造量も百万トンの大台に乗ったということで、百万トンといいますと内航海運船舶の三分の一ぐらいになってまいったわけでございまして、もちろん、その間につくった船がまたスクラップされているというので、それだけの勢力はありませんけれども、相当の近代化船が出てきている、こういう状況でございます。  それで、許認可基準というものも逐次強化してまいるということで、御承知のような業態でございますので余り無理はできませんけれども、可能な限り、少しずつ大規模な業者へ集約していきたい、こういうことで鋭意進めているわけでございます。  具体的な日程と言われますと、なかなか困難な面もございますが、さしあたっていま、その許可基準の見直しというものを現に行っているわけでございます。
  133. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 さっぱりわからないんだけれども局長、三ヵ年間で仮に七三%をせめて五〇%以下に落とします、それを目標にして具体的にこうこうしてみますとか、あるいはもう船齢が十五年なら十五年以上のを動かしているようなのはもう危いからやめさして、そういうところについては進んでスクラップ・アンド・ビルドでもって近代化船に代替建造をさせて、そして近代化を図っていくとか、何かもうちょっと具体的に言ってくれなければ、あなたの先ほどからのお話というのは、近代化も相当進捗していると言って、進捗しているんならば私もこんな質問をしないので、時間もないから、その細かいことを取り上げないんですけれども、もう少しその辺のところを具体的に納得いけるようなお話をしてくれませんか。
  134. 妹尾弘人

    政府委員(妹尾弘人君) いわゆる一杯船主、オーナーの場合ですね、数の上からは、たとえば四国、中国地方の端浦で、船一杯で、主人が船長でその家族がかまをたいて動いている。こういった非常に零細な一杯船主というものが非常に数の上では多いわけでございます。  ただ、内航貨物の大宗と言われている産業用の石炭、セメント、鉄鋼、油、こういったものを長距離大量輸送している非常に核となるものは、やはり内航のそれなりの有力オペレーターのもとに系列化されつつありまして、そういった面で優秀な公団船を使ってやっていく、そういった面での進捗状況は、近代化の進捗状況というのは非常に大きいわけでございます。  ただ、その数の上で、かつては九〇%ぐらいが一杯船主であったわけですけれども、いま七〇%が一杯船主でございますが、数の上で一杯船主の数というものを急速に減らすということは非常に困難なので、何年後にその七〇%を五〇%にするというような計画というものはなかなか立ちにくいわけでございます。ただ、その……
  135. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 もういいです。あなたのようなことを言っているんなら、戦後何回かやった外航海運の再編成、あれはむしろ政府が強権発動までしてやったわけだ。それをしなければ立ち直れないと言って海運の再編成をやってきたわけでしょう。いまのお話をしていることというものは、全くそういうことから言うならば、私は何も内航海運の一杯船主がいけないと言っているんじゃないんですよ。その仕事の性格からいくならば、そういうことでやっていけるのもあるわけだ。  しかし、近代化をしなければこのままではやっていけない。たまたま内航は外国の船が入ってこないからそれで済んでいるわけです。それだから七三%の一杯船主がそのまま存在できるのであって、その辺のところを、海運産業をどうするかということを考えたときにもう少しお考えをいただきたいと思いますし、きょうは時間がないからそれ以上お聞きもしませんけれども、できるならばその辺の具体的なプランをおつくりをいただきたいという要望だけしておきます。  それで、保安庁の長官おいでになったので、巡視船の問題。  二百海里時代に入ってもう何年かたったのですけれども、海上保安体制を確立をするということは私は急がなくてはならないと思うのです。いまもかなり少ない数でもって海上保安庁というのは、私はいつも言うとおり、本当にいろいろの点でもって活躍をなさっているんだから、そういう活躍が十分に行き届くようにやっぱり政府でもしてやらなきゃいけないし、一番私思うのはヘリコプターつきの大型巡視船、いま四隻でしょう。五十四年度予算はもうゼロになっちゃった。十一管区にやはり一杯ずつあのヘリコプターつきの大型巡視船を配置をするぐらいのことを早くしてやる必要があると思うのですけれども、その辺、どうお考えですか。
  136. 真島健

    政府委員(真島健君) 二百海里体制の整備ということにつきましては、五十二年に領海法、漁業水域暫定措置法が施行されましてから、私ども鋭意進めてまいっておりますことは御承知のとおりで、この三ヵ年間にヘリコプター搭載型巡視船、いま先生御指摘になりました船四隻を含めまして、五十一年度末の私どもの船艇勢力は三百十隻でございましたけれども、これが三百三十二隻というふうに、五十四年度予算までで相当の整備が進んでおります。  なお、航空機の方につきましても、五十一年度末の勢力から十三機増強がされまして、現在四十八機、こういう体制になっております。ヘリコプター搭載型巡視船のほかにも千トン型という大型の優秀な巡視船を相当数、先ほど申し上げました数字の中でお認めをいただいておりまして、私どもが五十二年当初に、緊急にはこれだけは要るのじゃないかという目標を立てましたものが相当五十四年度予算までに整備を認められたわけでございまして、ただしかし、現在の勢力でも、先生おっしゃるように海上保安業務自体、領海警備の問題以外の業務についてもいろいろとむずかしい問題が起こってきておりますので、さらに必要な巡視船艇の、あるいは航空機の整備というものを私どもはぜひ五十五年度以降も進めてまいりたい、このように思っております。  ヘリコプター搭載型巡視船につきましては、これはやっと五十三年の終わりごろに最初の船が就役をいたしまして、これは前の「宗谷」の名前をそのままとりまして「宗谷」と名づけましたけれども、これが領海警備等はもちろんでございますが、救難等にも非常に威力があるということで、私どもこれから船艇、航空機の組み合わせの効率的な活用ということも考えながらヘリコプター搭載型巡視船につきましても今後整備を進めてまいりたい、このように考えております。
  137. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 わかりました。  大臣もおいでになったので、計画造船の問題をお聞きをしていくんだけれども、日本の商船隊が五十一年をピークにして減少してきているということは、これはもう御存じだと思うのですよ。特に私が問題にしたいのはその内訳なんですが、昭和四十五年には日本船が七三・七%で外国用船が二六・三%、四分の一が外国用船だったと。それが五十三年になりますと、日本船が四九%で外国用船が五一%というふうに半々になった。この八年間に、量的に見ましても外国用船は昭和四十五年が千二百三十七万重量トンだったのが、五十三年には五千九百五十七万重量トン、五倍になっているんですよ。この日本商船隊の近代化も急がなくてはならない。  まあ特にそういう点で、本年度はまた利子補給が復活してきて、かなりまた建造意欲もいま出てきているのですけれども、もうちょっと思い切ってやっていかないと、こういう形でもって、日本船はふえないでかえって減少していく。それで、外国用船だけがどんどんふえていくという状態で、貿易のことを考えても果たしてよろしいのかどうだろうか。そういう点からいきますと、ことしの利子補給でいまのところどの程度発注が出てくるという見通しを持っているのか。もう百万トンは当然オーバーすると思うのですから、そうなったとき、今後の見通しとしてその辺についてどういうお考えを持っているかということをお聞きしているのです。
  138. 妹尾弘人

    政府委員(妹尾弘人君) 利子補給の復活により、日本船の国際競争力を強化していって日本船の減少傾向に歯どめをかけようということで、今年度から計画造船の充実強化が図られたわけでございますが、幸いにして船主の建造意欲も相当にふえてまいりまして、本年は約百五十万トンの建造規模が出てまいっております。現在、これについて建造の融資のあっせんあるいは利子補給という作業を進めておるところでございます。明年度につきましてもやはり相当数の建造の規模が見込まれますので、明年度につきましてはLNG船を別といたしまして百六十万総トンというものを現在予算要求をいたしております。
  139. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 今年度の予算との関係はどういうふうになっているのですか。
  140. 妹尾弘人

    政府委員(妹尾弘人君) 本年度の計画造船につきましては、予算的には当初組みました予算よりもやや船価の安い船種のものが出てきたというようなことでございまして、トン数的には予算額をオーバーいたしておりますけれども、規定の予算の中で所定の建造は確保できるんではないかという見込みを持っております。
  141. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 いや、私が聞いているのは利子補給は七十万トン、融資三十万トン、百万トンを予算に計上したわけでしょう。局長のいまのお話だと本年度大体百五十万トンぐらいだと。そうすると、五十万トンオーバーしているのも、予算の中でもって利子補給の関係も全部始末ができるということですか。
  142. 妹尾弘人

    政府委員(妹尾弘人君) そういうことでございまして、実は本年度についてはLNG船を予算の中に入れていたわけですけれども、LNG船がイランの問題等ございまして、イランのプロジェクトが中止になった。したがって、本年度予定されていたLNG船の分は他の船種に回せるという関係ございまして、予算的には何とかその中で消化できると、こういうことでございます。  ただ、LNG船について申し上げれば、イランのプロジェクトでなくて、今度はインドネシアのプロジェクトが来年以降に出てまいりますので、来年についてはLNG船三隻を含めまして予算要求いたしております。
  143. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 局長の説明では、私が聞いている範囲じゃつじつまが合わないのでもう少しお聞きしたいのだけれども、時間もないからそれはまた後回しにして、大臣の方にお聞きをしていくんですけれども、IMCO——政府間海事協議機関、昨年の二月に、いわゆる海洋汚染防止でもっての一つの国際条約みたいなものをまとめたわけなんだが、特にあのタンカー、それがいま、私も前からも言っているんだけれども、なかなか進まないようなわけなんです。  で、私が申し上げたいのは、少なくとも世界一の海運国日本が、こういう海洋汚染を防止をして、そしてタンカーも改造していこう、SBTをやるかCOWをやるか、ともかくそういう改造もやって、そうして汚さないようにやっていこうという世界的に約束がされているんだから、そうしたならば率先してそういうことをやるべきじゃないかという主張なんです。  もちろんやるについては、それは海運産業とすれば船を改造して、したがって積み荷が減っちゃうわけなんです。SBTの分離バラストタンクというものを備えつけるということになると、どうしたって一五%ぐらいの積み荷が減るわけなんです。で、お金をかけて改造をして積み荷が一五%も減ってしまう。そうすると、船主にとっては何もメリットがないから、なるべくやりたくないということになるわけです。だから、そのためには融資をしてやるとか税制で何らかの恩典を見てやるということをやらないと、なかなか進まない。これだけの世界一の船を持っている日本が、なるように任せておくんではなくて、世界に率先をしてそういう改造工事もやって海を汚さないということについて範をたれなくちゃいけないと思うんだけれども、だから、このIMCOの決議も、昨年の二月に行われてからさっぱり進まないんで、その辺大臣どうお考えになっているかということをお聞きしたいんです。
  144. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 海洋汚染防止は、これはもう大変重大な国際的、世界的な問題でございます。しかし、いまおっしゃるようないろいろの問題等もございますので、早急に詰めさして、できるだけ早い時期に指示をするように心がけたいと、かように考えております。
  145. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 まあ一言で言えば、大臣、そういうことでいいんですけれどもね、どの辺をめどに持っているか、その辺もうちょっと言ってくれませんか。  アメリカは、もう二年、三年前にカーター大統領は、それをやらない船はもうアメリカの港に入れないということぐらい言っているんですよね。むしろ、アメリカのカーター大統領のその発言に端を発して世界的にこの問題が大きくなって、そしてまとまっていって、いわゆる国際条約ができ上がっていったわけでしょう。だから、その辺のところが、アメリカですらそういう言い方をしているのが、日本の方がそれに対応できないというか、いま、まだぐずぐずしているわけなんですが、政府が進んでリードしてそういう問題について取り組まないと、私はいかぬじゃないかと思うんです。ですから、早急にっておっしゃったんだけれども、どのぐらいの期限でどういうふうな具体的なプログラムをやらせようとしているのか、その辺ちょっと言ってください。そうじゃないとわからぬ。
  146. 永井浩

    説明員(永井浩君) 現在、私どもはこの条約を批准いたします場合に、先ほど先生がおっしゃいましたように、一つは船に対して必要な装置をつけなきゃならない。それからもう一つは、船の基地でございます港に新しい廃油施設もつくらなければならない。と申しますのは、従来は、重質油の排出についての規制があったわけでございますが、この新しい議定書におきましては軽質油、灯油とか軽油等にも及んでおります。そういたしますと、別途の廃油処理施設をつくらなきゃならないと、こういう二つの実態的な大きな問題がございまして、これを逐次整備していくということで、船舶につきましての分離バラストタンクの整備とか、原油洗浄方式の装置とか、こういったものにつきましては、本年度から改造の開銀融資等を実施をしておりますし、また来年度以降も要求していきたいと、このように考えております。  それから、港の受け入れ施設につきましては、現在こういった軽質油の出入りのある港三十数港につきまして、大体どのぐらいの油が出入りし、それからどのぐらいの廃油が出るだろうということの調査がほぼ完了いたしております。  したがいまして、それぞれの港の規模に応じまして保安管理者なりあるいは製油会社、海運会社等がこれらの施設を整備するということで、協議をするよう指示いたしております。  最終的に目標といたしましては、この議定書が決議された際に勧告されました一九八一年にこの条約をなるべく発効しようではないかと、こういう申し合わせがございますので、それに目標を定めて受け入れ体制を整備していきたいと、このように考えております。
  147. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 大臣、これは前にももう予算委員会か何かのときも私言っているんだけれども、条約を批准して発効させるのは、いま言ったとおり一九八一年なんですから、それはそこまでにやればいいことで、別に急がなくてもいい問題はあるんですが、それは早ければ早いほどいいんだけれども。しかし現実の問題として、そういう改造工事をやって海を汚さないようにということについては、どっちみちやらなくちゃいけないということになりゃ、早くやった方がいいことであり、むしろ世界に向かっても日本が率先してこういうこともやって海を汚さないようにしているんだという範をたれなさいと言うんです。  ですから、もう決まってから一年半以上たつんですからね、そういう点でもって、大臣の方に具体的にお聞きをしておくんだけれども、そういうことについての資金の融資をしてやるとか、それから税制上の何かの恩典を考えてやるとか、具体的にこうこうしてやるというところまでなくてもよろしいんですけれども、そういうお考えをお持ちなのかどうなのかということをまずお聞きをしておきたいんです、そこのところだけは。
  148. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 当然そのような施設をつくるためには大変な大きな負担をかけるわけでございますから、税制上あるいは金融上の助成その他については十分配慮をしなければならないと、そのように考えております。
  149. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 わかりました。  それから、大臣にもう一つ。旅客船の問題なんです。  もう日本が実質的には世界一の海運国だということは、これはもう大臣御存じですし、それから世界一の造船国だということも御存じだと思うんです。ところが、その日本に旅客船というのが私は一杯もないではないかと言ったら、この前、いや、あるんですと言って、「にっぽん丸」一万トン。あの「にっぽん丸」というのは、あれはユーゴスラビアで建造したやつを買ったんですね。日本でつくったんじゃないんです。もちろん採算上のことを考えれば、いま旅客船をつくって持つということについてもいろいろの難点は私はあると思うんです。しかし、日本の国が自前の旅客船を一杯も持っていないなんて、私は情けないじゃないかと思う。  そういうことを考えていったときに、もう一つは技術をレベルアップをしていくために、ああいう問題に取り組んでいかなきゃいけないと思うんで、この際国家的なプロジェクトをつくって、ひとつ大型の旅客船を建造をして、そうしていまの日本の技術水準がどのぐらいあるかということを世界に示していくという、そういうことについてのお考えがないかどうか。なかったら、お持ちをいただきたいと思うが、どうです。
  150. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 大変楽しいことでありまして、むしろ最近は何でもかんでもせっかち時代で、何でも飛行機で世界じゅう回って歩くというふうな夢のない時代に、大型旅客船をつくって、楽しくその中でいろいろ勉強したり、あるいは老後の楽しみを持ちながら世界を訪問して歩くなんということは大変結構なことでありますが、まあしかし、何と申しましてもいま航空機時代になって、果たしてこのような船をつくってそろばんに合うであろうかと。これはもう当然船をつくる側から見てもなかなか重大なことであります。イギリスの船なども廃止してしまったというようなこともありまして、なかなか困難な問題だと思います。  しかし、いま先生がおっしゃるように、そういう大きな夢も必要でないかと思いますから、ありきたりの言葉で申し上げますと、十分検討中ということになりますが、ぜひいろいろ勉強さしていただきたいと、かように存じます。
  151. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 大臣、わかりました。  それで、いまおっしゃった夢というか、何かこうプロジェクトチームをつくって、それでいまの日本の技術水準とか、日本人の頭脳やなんか持ち寄って、それで、どういうものができるかなんということを少しおやりをいただきたいと思うんですよ。余りにも経済性の追求ばかりいまの日本はやり過ぎている。このままでいったならば、後七、八年したらいまの日本の技術というものがみんな古くなったときに、後どうするのかということになってしまうんですね。アメリカがアポロを飛ばしたって、私はよく言うんだけれども、そういう経済性や採算性を考えたら、アポロを飛ばすなんてあんなばかなことないわけだ。しかし、あのためにどれだけの新しい技術が開発されて、一般の産業界にそれが役立ってきているか。それがいまの日本にはないわけですよ。  いままでは、外国から技術を買ってきてそれを導入してやっていったらいいですけれども、いま日本がこれだけの経済力を持った国になったら、もうそう簡単に外国から技術を買ってきてやるわけにはいきませんのだから、そうするといやでもおうでもやっぱり自前でもって新しい技術をやっていかなければならない。そういうことがほとんどいま行われていないという状態にあるだけに、こういう問題なんかに取り組んで——関西新空港の問題もそうなんです。そういうものをやりながら、そこから新しい技術が開発をされて一般の産業界にそれが役立っていくということに目を向けなくちゃいけないと思うんで、そういう点でもってぜひ、いま大臣、夢とおっしゃったんですけれども、何とかプロジェクトチームをつくってお取り組みをいただきたいという要望だけ最後に申し上げて、終わります。
  152. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      —————・—————    午後二時開会
  153. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  154. 内藤功

    内藤功君 鉄建公団の経理に絡む疑惑について、具体的に指摘をしておきたいと思います。  これは上越新幹線の建設用地をめぐる補償金の問題なんです。高崎市の飯塚町に新幹線の建設用地として予定をされた東金井市営住宅、この古い住宅を取り壊して移転の補償金一億百七十三万八千九百七十円と、一億余りの金を鉄建公団が出した。ところが、これは前に建設省から補助金をもらってちゃんと除去もし、そして新しい建物十階建ても建っておる。そういう後になって鉄建公団が一億円出した。とんでもない話がありますので、真相をちょっとお聞きしておきたいと思います。  もともとこれは、私の調べたところですが、これが新幹線の上越の予定の線ですね、これがいまの信越本線で北高崎の駅がこの辺にある。そして問題の市営住宅がこの赤線で囲われたところですね。新幹線の線路にかかる。そしていま建っている新しい十階建てがこれであります。この赤線で囲まれた住宅区域は二十五棟三十戸があった。老朽化しておった。四十七年二月から鉄建公団は、この用地とそれから移転の交渉を始めたわけです。  ところが昭和四十九年の三月に高崎市から建設省に補助金の申請があって、建設省の方から不良住宅除却と改良住宅建設の補助金の交付がなされた、二億七千九百五十六万八千円。このほかに県のもありますが、約二億七千九百五十六万円の補助金の交付が決定をして、昭和五十年の三月にこの建物は十階建てでありますが、竣工しておるんですね。そして五十年の五月ごろから入居を始めた。そうして旧住宅はその前の四十八年から四十九年にかけて取り壊しが終わった。そのことは、五百メートルぐらいしかこの鉄建公団事務所は、出張所は離れてないんです、現場から。ですから、すばらしい十階建てがこの沿線に建ったこともみんなよくこれはわかっておられるはずだと思うんですね。  ところが、こういうふうにして新しい建物が建設省の補助金でできたのに、昭和五十二年の六月になりまして、市が今度は鉄建公団に補償の要請をしたと。これは文書でやられたと言うんですが、陳情文的な文章で要請をした。そして五十二年の八月に今度は鉄建公団はこれをのみまして、補償を支払うという協定書を交わした。その折りに補償金の金額は空欄として、とにかく補償金を払うという協定書をつくって、それに古い住宅の図面、もうすでに消滅しておる住宅の図面を添付してそして協定書をつくった。これが五十二年八月。そうして金額も決まってないのに五十二年の十月になって一億百七十三万八千九百七十円という問題のお金を市の方に送金をした。明細書を市から要求されたんだけれども、明細書ははるかずっと後になって送られたようであります。  そうして五十三年の二月に会計検査院が検査に入って、その結果、五十三年の三月に市は公団に返したいと言ってきている。そして五十三年の五月に、これは利息はつけないで返金され、公団では仮受金で雑入で処理をしたようである。そして五十三年の六月からことしの三月までの間に公団と市の間で非常に数多くの打ち合わせが行われておる。市の方は返したいと言うんだが、公団の方は、いやもう返されても困る、受け取ってくれというようなことでいろいろ打ち合わせが行われているわけです。  私どもの方の大まかな調査の経過はこういう経過です。いろんな問題が私はあると思うんです。これについて真相というものを伺っておきたいと思います。  まず問題は、きわめて明確なことですが、十階建ての文字どおり天をつく建築が、しかも新しい建物がそそり立っておると。しかもそのすぐそばには鉄建公団の出張所の事務所があると。そうしてこの建築はどこから金が出たのか、市の財政で出るわけがないのでどういうところから金が出たのかということを、これはもう当然知らなきゃならぬはずだと。そういう物件がもうすでになくなっていると知って金を出したのか、あるいはその物件がまだそこに古いのが存在すると思って出したのか、こういうことをわざわざ聞くまでも私はないと思うんですが、ここらあたりが非常に不思議なことなので、まず問題点の一つとしてそこらあたりの話をお聞きしたいと思うんです。ひとつ疑惑に答え得るように答えてもらいたいと思います。公団にお願いします。
  155. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) お答えいたします。  高崎の市営住宅の補償の問題につきましては、いろんな経緯、大筋、先生のお話大きな食い違いはございません。  市営住宅の補償問題、一番当初は、経過を若干申し上げさしていただきますと、四十七年の十一月ごろに、新幹線が当たるということでその使用する部分につきまして公団が補償するということを高崎市との間で協議が一応口頭でございますが整っております。しかし、当時の実情といたしまして、新幹線反対する地元の方々の反対が非常に強うございまして、その立ち入りができないというような状況でございました。  四十八年、翌年の十二月ごろになりまして、市から建物及び居住者の補償は市が先行して行います、建物図面等を市側から提供してくださいというような条件で、後日用地の幅が確定し次第該当する戸数について公団から市へ補償するという内容の協議が同じく成立いたしております。  その後、五十年四月にようやく現地調査できるような段階になりまして、市側からも立会の要請がございまして現地調査いたしております。その時点では撤去未済が五、六陳ございまして、そのほかの建物は撤去されておりました。ただし、礎石その他が残っておりまして、そういうような点で実際にあったことの確認は私どもとしてできた、かように考えておったわけでございます。  それから五十二年になりまして、先ほど先生、市側との補償金、いろいろお話がございましたが、そのとおりでございまして、六月に書面によりまして市長さんから私どもの方に要望書というものが参りまして、それを受けまして私どもとしては本格的な交渉をいたしまして、文書によります協定書を締結、さらに物件移転補償の契約書を締結して、十月に補償金の支払いをいたしております。金額につきましては、一億百七十三万八千九百七十円でございます。  さらに、年を越しまして二月から三月にかけまして会計検査院のお調べを受けまして、いろいろ御注意を賜りまして、そうこうしている間に、五十三年の五月ごろ電話で、高崎市側からお金を返すというお話がございまして、五月の三十一日付で書面並びに一億百万円、総額の金が返還されたと、こういうことに相なっております。その後高崎市と交渉いたしました結果、最終的に契約を解除いたしまして現在に至っておると、こういう状況でございます。  で、建物があったかという御質問ございましたが、十階建ての建物ができておることはもちろん私ども見ておったわけでございますけれども、途中の経過におきましては、地元反対等で立ち入りできなかったというような事情もございましたので、ある時点で立ち入りできなかったというようなことはございます。  以上でございます。
  156. 内藤功

    内藤功君 公団というのは、ことしの予算でも八百九十八億円の国民の税金、一般会計ですね、それから二千六百八十九億円の財政投融資——国民の郵便貯金、厚生年金からお金をもらってやっている団体ですから、それが一億円という金額、これをこういう形で、実にずさんに何も調べないという状況でぽんと出すと、もう考えられないことなんですね。  で、十階建ての建物がもうちゃんと建っておる。そうすれば、これは市の乏しい財政でできるわけないんだから、これはどこの補助金から出したのかということは聞けばすぐわかる話なんです。そうすると、これは建設省の補助金でやっておると、それならば、この市から出ている鉄建公団に対する補償要求というのを入れる余地はもう全くないんです。これは退けるしかない。ところが、さっき私が言ってあなたも認めたように、協定書でもって話を決めてお金を送ってしまうと、こういうことは全く考えられない。  建物が目に入っていたという答弁ですから、私はもうこれは問題にならぬというふうに思うんです。どうしてこういうような支出をしたのかということですよ。前に建設省からの補助金が出ていて、そうして補助金で建物を建てておいて、そのことが自分の目でもってはっきりわかっているのに、なぜ改めてこういうことをしたのか、しなきゃならない理由というのはあったのかということをもう一遍伺いたいと思うんです。
  157. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) 建物が建っておる姿は見ておりますので知らないわけはないわけですが、今回の件につきまして正直に申し上げますと、補助金の事業であったかどうかという点につきましては、私ども高崎市側から知らされなかったと同時に、私どもも知らなかったというのが実情でございます。  支払いました考え方といたしましては、先ほども申し上げましたように、四十七年十一月の時点、さらには五十二年の時点で再三協議が持たれまして、新幹線使用の分については補償いたしましょうと、市側が移転、撤去については先行して行うから後で補償をしてくださいと、こういうような要請がございまして、それに対し、私どもとしては払いましょうという約束をいたしたわけでございます。  で、五十二年になりまして、その約束を守るというのはやはり信義則として非常に大事なことではなかろうか、私どもの事業、公共事業を推進します場合、市との関係では非常に問題も多うございますし、市の協力なくしてはこのような事柄は円満に遂行しないというようなこともございまして、私どもとしては支払うのが信義則ではないかと、こう判断して払ったわけでございます。
  158. 内藤功

    内藤功君 これはますます驚きいった次第ですね。  で、建物が建っていたのはわかった。あれだけのりっぱな建物をどこの補助金で建てたのかということを、そばに事務所があるのに一人として問い合わせる人間がいない、聞く人間がいない。ただ、高崎市から補助金という話はなかった、建設省の補助金という話がなかったので、ないと思っていたと、こういうことなんです。これは、一億円もの金を支払う、経理を扱う人間としてはまさに失格だと、こういう運営はもう失格だと。いろいろ先ほどから鉄建公団に対する温かい御議論も、運輸委員会ならではの御議論もあったけれども、しかし、そういうようなことを変えなきゃだめですよ、これは。私はそういう点を思いますね。だれも問い合わせるやつがいなかったということは明らかなんだ。  さて、それで、さっき私はこの委員会に入る前におたくのある幹部の人から聞いたところ、とにかく、そこに古い建物があるという申し出があった以上は、それを信用して申し出を受け入れて補償金を払うというのが鉄建国鉄体質なんですと、信じて疑わないのが体質なんですと、こういうお話があって実は唖然としたわけなんですね。こういうような事前にずさんな態度、この建物の資金が一体どこから出ているのか、しかも、新幹線の線路のすぐわきに建っている建物について。遠くに建っている建物だったら補助金がどこから出ているか聞く必要もないだろう。ここに建っている建物をそういう調べもしないということがここでもう明らかになったと思うんですよ。  私がもう一点聞きたいのは、金が送られてきて、まあ仮払い金で雑入に入れた去年の五月末からことしの三月物件補償契約を解除するまでの十カ月の間、いろいろ打ち合わせをやったと言うけれども、これは、市の方は返したいと、公団はどういう態度をとったんですか、その打ち合わせ、一言で言うと。返したいと言うのに対して、公団は、いや、この金は受け取ってくれ、こういう話なんですか。その点、イエスかノーか。
  159. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) 五十三年の五月の返還の経緯につきましては、まあ、返したいという……
  160. 内藤功

    内藤功君 向こうは返したいと、あなたの方はどう言ったのか。
  161. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) それに対して向こうから一方的に送付されたというのが実情でございます。
  162. 内藤功

    内藤功君 あなたはどういう態度をとったんですか。
  163. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) その際の相手方からの書面の内容が精査を要すると判断されるので、とりあえず返しますということですので、まあ、相手方にいろんな事情があろうかと推察して、とりあえず、先ほどお話もございましたように仮受けで受けておいたというのが当時の実情でございます。
  164. 内藤功

    内藤功君 そうじゃないんだ。仮受けで受けたのはわかっているんだけども、その後一年間、約十ヵ月の間何回か打ち合わせしたというんだね。向こうは戻すから受け取ってくれ、公団の方ははい受け取りますと言ったのか、それとも、いや、受け取れませんからあなたの方でおさめてくださいというふうに言ったのか、どっちなのかということです。
  165. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) 現実にもう金が私どもの方に送り届けられておりまして、それに対して私どもの方は、受け取りますと、こういう見解でございます。
  166. 内藤功

    内藤功君 そうすると、何でそんな簡単な話が十ヵ月も続いたんですか。十ヵ月何を打ち合わせしたんですか。
  167. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) 十ヵ月たちました点につきましては、まあ常識的にちょっと期間が長いような気がするわけでございますが、いろいろ事務的に連絡をとっている間に十ヵ月たってしまったというのが実情でございます。
  168. 内藤功

    内藤功君 全くこれは理解ができないです、こんな簡単なことをね。そして、しかもこの一億百七十三万何がしというお金に対して、あなたの方は、そうかと。建設省の補助金をもらっていたんならあなたの方は二重取りじゃないかと、本当なら烈火のごとく怒って、利息もこれをつけろと、今回の件はおまえの方に非があるんだと、こっちは全くだまされたんだと告発もしなきゃならぬ。虚偽公文書の作成、行使あるいは背任、詐欺という罪名もつきかねないケースですからね。そういうことをやったことはあるんですか。相手に対して利息の請求をし、責任を追及し、刑事の責任も追及するぞというような気魄を持って迫るのが普通じゃないですか。一年間あるんだから。そういうことをしたかしないかです。
  169. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) 利息の問題につきましては、返還されました当初、そういう問題もあるということで相手方に申し入れた事実はございます。ただし、最終的には本件の経緯、双方ともにいろいろ協議をしてこういう形になっている経緯を踏まえまして、私どもとしては本件は利息を取らないで処理しようということで、処理しない腹で決着をつけております。
  170. 内藤功

    内藤功君 利息も、一応言っただけであって請求を放棄してしまう。もういままで、聞く必要もないんだけれども、刑事責任その他の責任追及の姿勢も気魄もうかがわれない、こういうまことに不可解な態度であります。  それで、このお金が返ってきてから、今後こういう類似のケースが起こるかもしれない、ほかから、国から補助金もらっていながらまた鉄建公団にも要求するというようなケースが起こり得るかもしれないということに備えて、何か通達か何か出したんですか。
  171. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) 本件につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、会計検査院の御指導もございましていろいろ反省しておる点もあるわけでございますが、いま御指摘の補助金の問題につきましては、本件にかんがみまして今後補助事業との関連につきましては十分配慮して仕事を行うと、補償業務を行うという必要性を感じまして、現在、地方公共団体関連の補償問題については、補助金問題については、特に意を用いて遺漏のないようにするように地方を指導いたしております。
  172. 内藤功

    内藤功君 この事件からそういう注意をしたということであって、この事件の前はそういう注意を払ってなかったということがこれで明らかになったと思うんです。こういうずさんな経理処理をやっている。  さて、会計検査院に伺いますが、検査院は、去年の二月から三月にかけてこれを指摘したようでありますが、その経過、どういう点を不当と見られたかという点について、具体的に述べられたい。
  173. 室屋勇

    説明員(室屋勇君) 検査の概要でございますが、日本鉄道建設公団の東京新幹線建設局に、昭和五十三年の二月二十八日から三月九日までの間に、いま問題になっております上越新幹線建設に伴う高崎市飯塚町内の市営住宅の移転補償についてという補償案件につきまして実地検査を行っております。  本件は、重複するかもしれませんが、公団と市との間で昭和五十二年の八月にいま申し上げました地内の市営住宅移転等について協定を締結いたしまして、同年の十月、その費用といたしまして一億百七十三万円を協定書に基づいて同市に支払っております。  その補償について、協定書の内容及びその現地調査いたしましたところ、補償対象の物件は現に除却されておりまして、その跡地に高層の市営住宅が建設されている状況でありまして、その内容につきまして見ますと、新幹線建設地帯にある木造の平家建ての九十二戸のうち三十戸が支障になるので、これの補償に要する費用及び建物を除却する費用を補償として支払ったものであります。  しかし、その木造住宅は老朽住宅であったために、住宅地区改良法に基づきまして改良地区の指定を受け、四十八年から四十九年度にかけまして国庫補助事業であります東金井地区改良事業で四十八年度国庫補助対象事業費二百四十五万四千円、補助金百二十二万七千円で九十一戸のうち二十二戸を除却しまして、その跡地に四十八、四十九両年度で補助対象額といたしまして四億一千八百四十七万円、補助金二億七千八百三十四万円で九十戸の高層市営住宅を建設しておりまして、残りの六十九戸の除却及び集会所、公園等の環境整備を施行したものであります。  それにつきまして、実地検査におきましては疑問点が多い関係上、検査期間中十分内容について検討をしましたが、時間が不足いたしましたので、本院に帰りましてから建設省所管の検査調書によりまして調査いたしましたところ、本件九十一戸の市営住宅は、老朽住宅でありましたために住宅地区改良法の適用を受け、四十八、四十九の両年度でもって国庫補助事業により改良住宅を建設し、また老朽住宅も同国庫補助事業により除却済みであることが判明したものであります。  その後、五十三年六月一日から三日までの間に、国庫補助事業の関係もありましたので、その方面の主管課と合同で実地検査を行いまして事実を確認いたしまして、六月十二日に質問書を発遣しております。   で、この点につきましては、ポイントといたしましては、現場が、先生がおっしゃいましたように担当事務所とそれほど離れていない点などから見まして、注意しておれば十分諸般の事情は知り得たはずではないか、いま一つ注意が足りなかったのではないかというような点で、そういった意味で十分不当事項として検討すべき問題であろうということで質問書を発遣した次第でございます。  処理につきましては慎重にいろいろ突っ込んだ議論を行ったものでありますが、そこらあたりの遺点につきましては心証がなかなか得られないで、用地事務というようなものは経理担当者の判断だけでは処理するわけにまいらない、相手方のある事務処理でございますので、本院といたしましても非常にむずかしい問題の一つでございますので、諸般の事情を考慮いたしまして、委員会で多数決の結果、一応、不当事項として国会に報告することはやめるということで処理をいたしております。  以上でございます。
  174. 内藤功

    内藤功君 大分お答えで時間をとりましたので次の質問に入りますが、検査院、こういう補助金に絡む二重請求、逆に、二重取りというようなケースは、あなた方の検査の中でいままでにありましたですか。どんな例があるか、簡単に答えてもらいたい。
  175. 室屋勇

    説明員(室屋勇君) 地方公共団体等で昔あったことでございますけれども、二省間にまたがる補助金を両方に申請いたしまして、重複して補助金をもらった事例は、まあ昔の話でございますが過去においてはありました。
  176. 内藤功

    内藤功君 災害補助金で、建設省から道路関係のをもらって、農林省から水路関係のをもらうというふうなことが過去にあったというふうに私も理解しておるんですね。しかし、非常にこれはめずらしいまた不当な例だと思います。  次の質問ですが、公団に聞きますが、きつきあなたは利子の問題を言ったが、この一億百七十三万の利息は幾らというふうにあなた方は当時算出していたか、その利息はいまどうなっておるのか。
  177. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) 当時私ども考えました利息につきましては、公団の中で公団の資金コストというようなものを参考にいたしまして、一応七%ぐらいということで考えたわけでございますが、事務的にかっちり最後まで詰めておりませんので、正確な金額はちょっと申し上げられません。仮に七%として計算いたしますと、一億の、約半年でございますので、大体それによって推察される金額ということを頭に置いておったというのが実情でございます。
  178. 内藤功

    内藤功君 相手に請求したんですか、その金額を、言ってないんですね。頭の中にあるだけなんですか。
  179. 渡辺武男

    参考人(渡辺武男君) 市側との話し合いの中で約三百五十万近くという数字は、話し合いの最中に出しております。
  180. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 内藤君、時間です。
  181. 内藤功

    内藤功君 最後に一つ。  この三百五十万は結局請求しないということで話がついたとさっきお話があった。そうすると、もうこれだけの損失をしているわけですね。金額の多寡の問題じゃなくて、あなた方のやはり経理についての姿勢がよくあらわれている。  最後の質問は、公団総裁運輸大臣にお伺いをしたいんですが、総裁は、いまお聞きになったような実に不始末と、何というか、だらしのない話ですよ。あり得べからざる話ですよ。これについてどういうふうに責任を感じておられるかということを率直にお答え願いたい。  運輸大臣は、監督責任者として、このケースについて今後どのように運輸大臣としての職責を果たしていかれるか、その点も率直に伺いたい。その点を伺って私の質問を終わります。
  182. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) ただいま内藤先生からいろいろ御指摘がございましたが、細かい雰囲気等は私よく存じておりませんでしたが、いまの経過を聞きまして、税金あるいは公金を扱うという立場からいうと、いまのような軽率な処置というものは許さるべきでないというふうに考えます。今後はこういうことに対しまして何らかの方法、ことに補償等はいろいろむずかしい問題がありますので、いま私も、部内に委員会のようなものをつくって処理をしてはどうかというような提案もしておりますが、そういう方法も含めまして、今後かかることのないようにお誓いを申し上げる次第でございます。
  183. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 正確な事務処理あるいは綱紀の粛正、これは当面国民の国家公務員及びこれに準ずる公団、公社等に対しての信頼を著しく傷つけておるわけでございます。そういうことから考えまして綱紀の粛正ということに相なるわけでございますが、先般の閣議におきましても、総理からも不正経理の根絶、あるいは厳正な勤務体制、厳正な事務処理、官公庁からの接待あるいは関係業界からの接待等、綱紀の粛正について、すべてひとつ厳粛に厳しく取り扱うようにという指示を私どもも受けておりますので、運輸省においても関係の諸団体に厳しく、このような不手際な事務処理を含めて、このようなことがないようにということを徹底をして、これを実施してもらうように求めておる次第でございます。
  184. 山田勇

    山田勇君 関西新空港の問題について質疑をしたいと思います。  航空審議会の関西国際空港部会も設置され、いよいよ空港実現の具体化に着手したように見えるんですが、都合会議は何回ぐらい開かれたんでしょうか。
  185. 松本操

    政府委員(松本操君) 部会が開催されましてまだ日が浅うございますので、二回でございます。来る十三口に三回目が開かれる予定になっております。
  186. 山田勇

    山田勇君 空港の名称は決まりましたでしょうか。
  187. 松本操

    政府委員(松本操君) 関西国際空港と現在仮称されておりますが、最終的にどういう名前になるかについてはまだ確定したわけではございません。
  188. 山田勇

    山田勇君 現段階では泉州沖五キロの地点一本にしぼって関西新空港を建設していくという方針でございますか。
  189. 松本操

    政府委員(松本操君) 去る昭和四十九年の航空審議会の答申を尊重してその後の作業が進んでおりますので、いまおっしゃいましたように泉州沖おおむね五キロの沖合いの地点というのを当面の候補地と考えております。当面と申し上げましたのは、ここについての諸般の調査の結果、どうにもこの候補地は使いものにならぬということであれば話は別でございますが、さようなことが起こりません限りここを候補地として集中的に調査、検討を行うと、こういうことにしております。
  190. 山田勇

    山田勇君 部会設置の趣旨と審議事項等資料の一の一によりますと、五十四年度中、すなわち来年の春までに空港計画案、環境影響評価案をまとめて五十五年度に関係府県に提示をするというふうになっておりますが、関係府県とはどの県、どの府を指しておられますか。
  191. 松本操

    政府委員(松本操君) 大阪府、兵庫県、和歌山県の三府県でございます。
  192. 山田勇

    山田勇君 これに隣接する奈良県は入ってございませんね。
  193. 松本操

    政府委員(松本操君) 現在までのところ奈良県との接触はございません。
  194. 山田勇

    山田勇君 運輸省調査資料も新聞などに発表され、具体案が審議される段階となってきましたが、運輸省としましては、最終目的の開港をいつごろとお考えになっておられますか。
  195. 松本操

    政府委員(松本操君) 工期七年程度ということを予測しておりますので、五十五年度中に地元との話がつき、五十六年に着工されるということが可能であれば六十三年ということに計算上はなりますが、公式的な私どもの見解といたしましては、六十年代のなるべく早い時期というのが開港目標の時点でございます。
  196. 山田勇

    山田勇君 何か開港のタイムリミットみたいなものがあるんですか。
  197. 松本操

    政府委員(松本操君) もともと本件につきましては早期完成ということが一部の方々から望まれ、われわれもそれを内心望んできたわけでございますが、しかし地元との十分な話し合い、地元の理解を得るということを最大の前提条件としておりますので、特に目標期日を定めてどうしてもそれまでにしなければならない、そういうふうな考え方はとっておりません。
  198. 山田勇

    山田勇君 成田のように外部から入ってきた人たちとともにそういう大きな反対運動を起こすような兆しがございますか。
  199. 松本操

    政府委員(松本操君) 現在までのところ、多少、過激と申しますか、落ちついて話し合うという程度を超える形での反対運動をなさるグループもあるようでございますけれども、それに対して別途外部から特段の集団がまじって云々という動きは、特に顕著なものはないというふうに承知をしております。
  200. 山田勇

    山田勇君 私は地元大阪なものですが、一部そういう反対人たちもおられるようですが、何か年々空港に対する理解度は深めてきたように感じます。それだけに、運輸省としてできる限りの資料を出し、できる限り地元住民、各関係府県との話し合いをぜひ煮詰めていっていただきたいと思います。  工法について、いま非常に論議が二分されております。埋め立てか浮体かという問題で論議の的がしぼられたようですが、これは大変言いにくい問題かもわかりませんが、浮体、埋め立て、どちらの工法が適当というふうに思っておられますか。
  201. 松本操

    政府委員(松本操君) ただいま御質問にもございましたように、まさに工法について非常にむずかしい議論が、全国的な規模というとやや大げさかもしれませんけれども出ていることは承知をいたしております。  そこで、先ほどお答えいたしました航空審議会の関西部会におきましても、来る十三日の第三回の会合におきまして、工法関係についての一応の基本的なデータというものをごらんに供して、その時点から工法問題の審議に深く入っていただこうというふうに考えております。したがいまして、今後は審議会の運営のありようとも関連をしてまいりますけれども、恐らく浮体あるいは埋め立て、それぞれの工法についての専門家の意見を聞きながら、さらにまた広く関係者の意見ども徴して最終的に工法を決定していくという過程を審議会の方では踏んでいくものと思われます。したがって、四十九年の答申の時点におきましては埋め立てというものが妥当であるということで答申は構成されているわけでございますけれども、その後の技術の進歩、発達というものも踏まえますと、現時点で私どもがいずれの工法に分あり、いずれの工法と決めたというふうに申し上げる時期ではない、このように考えております。
  202. 山田勇

    山田勇君 まあ埋め立てにしろ浮体にしろですが、この浮体工法についてはいまの不況の造船界がございます。そういう点で非常に造船界からの働きかけも強いように私たちも聞いておりますが、工費は大体どのぐらい見積っておられるのでしょうか。
  203. 松本操

    政府委員(松本操君) 工法がまず定かになること、それから工法との関連におきまして空港の形態と申しますか、形でございます、これが明確になりませんと正確に工費を予測することが困難でございます。とりわけ浮体工法につきましてはいろいろと論議がございます。集中的に空港施設を一つの浮体に集めるのか、浮体を二つつくってそれに分散させるのか、あるいは浮体の一方にのみ離発着施設を置き、今度は逆にそれと共同して使うような形の埋め立て部分に旅客施設その他の利便施設を置くようにするのかといったような配分の仕方によってまた激しく動きます。  そこで、現時点で正確な工法を申し上げることは不可能なわけでございますが、仮に埋め立てということに前提を仮定いたしまして、埋め立ての場合にいかがかということで試算をいたしましたところでは約二兆、これは取りつけ部分の橋を含めてということでございますが、上物を含め約二兆、こういうふうに考えております。
  204. 山田勇

    山田勇君 いま陸地から空港までの架橋の話が出ましたが、きょうの朝日新聞大阪版で、アクセスのかなり具体的案というものが新聞で発表されております。城南貨物線を並行しという新大阪からの乗り入れですね、そういうアクセスの問題。これはもう成田で十分運輸省の方もいろいろと御検討なさって勉強もなさったと思うのですが、そのアクセスですが、その架橋というものになりますと、新幹線鉄道は空港構内まで立ち入っているというふうにきょうの朝日新聞では書いておるのですが、そういう場合、相当な予算も、そこに架線、レールというものを引くということになれば相当違ったアクセスの問題が出てくるように思うのでございます。その点いかがでしょうか。
  205. 松本操

    政府委員(松本操君) 関西国際空港のアクセス問題につきましては、これは成田の例を見るまでもなく非常に大事な問題でございます。空港計画の中において当然相当程度まで詰める必要があろうと、このように考えておりますが、いまおっしゃいましたように、仮に鉄道を入れるにいたしましても、それは国鉄のみ入れるのか、国鉄も南海もあわせて入れてくるのか、あるいはたまたまゲージが一緒でございますから、橋を渡って入ってくるところは一本にするということなのか、あるいは空港までのアクセスというのを主として阪神方面からのアクセスのみにとどめて、和歌山県とか奈良県とかというふうな方面はむしろ二の次、結果論的な問題としてとらえるのかどうかというふうなことになりますと、かなり詰めなければならない問題が多いと思います。  ただ、いま私ども基本的に考えておりますのは、空港に対するアクセスだけを考えてそれで終わりというわけにはまいらないのではないだろうか。あの地域についての全般の交通ネットワークの中における空港アクセス問題というとらえ方をすべきであろうと、このようには考えておりますが、国鉄を入れる場合には国鉄自身にむずかしい問題がございますし、たとえば南海ということになりますと、これは私鉄でございますので、南海自身がどういう計画を持つのか、持ったとしてそれがみずから実行可能なのか、あるいは何らかの援助、補助が必要になってくるのかというふうな点をさらに詰めませんと、いまの時点で絵をかいてごらんに供するほどのところまではなかなか詰め切れないというのが実情であると思います。  したがって、いまおっしゃいました大阪の朝日の記事というのは私は承知をしておりませんけれども考え方としては、そういったような考え方は大いにあり得ると思いますが、具体的にどこをどう通ってということになってまいりますと、地元のその通過地点にかかわります市、町の意見も聞かなければなりますまい。さらに広域的な意味から関係府県の意見も聞かなければなりませんでしょうし、そういうふうな点を総合的に判断をして、五十五年なるべく早い時期に地元お話が持ち込めるような形にしたい。  こういう段階でございますので、遺憾ながらいまの時点ではちょっと御質問に直接的に御返事申し上げられないわけでございます。
  206. 山田勇

    山田勇君 けさの朝日新聞ではかなり地図を入れて具体的な発表をしておるわけですが、これはまたゆっくり法案が審議にかかった時点で論議をしたいと思いますが、局長言われたとおり、南海という私鉄がございます。その間に阪和線があります。そして新しいアクセスとして城南貨物線を引っぱってくるという形ですから、三本の鉄道もということは、確保しようと思えばできるわけです。現在動いているのは阪和線、南海ですから。あと兵庫県サイドから和歌山に至るぐらいまで、用地買収の困難な折りから、いわゆる海岸線、いわゆる湾岸道路をつくってはどうか、かなりそういうのも具体化されているというふうに聞いておりますが、自動車の方のそういう高速道路的な湾岸道路についての局長の御意見を聞かしてください。
  207. 松本操

    政府委員(松本操君) 先ほどはどちらかと言いますと、鉄道によるアクセスのみをお答えしたわけでございますが、おっしゃいますように道路によるアクセスも当然考慮の中に入ってまいります。その場合に、現在建設省サイドの既定の計画といたしましては、湾岸道路は空港の近辺まで下がってこない状態でとまっておるようでございますけれども、それをさらに延ばして、その延ばした先をどうするのか、空港周辺で終わりにするのか。さらにそこから他の別種の道路と接合させて和歌山の方へ延ばすのかどうかといったような点になりますと、私ども意見といいますよりも、むしろ道路行政をやっております建設省の意見というものを積極的に伺って決めていくべき問題であろうかと思います。  したがって、今後の段階といたしまして、鉄道のように運輸省自身が管理監督の任に当たるものにつきましては、運輸省責任において検討が直接的にできますが、道路のようなものにつきましては、空港サイドから見た場合、関連道路に及ぼす負荷がこの程度であるということを積極的に示して、建設省なりあるいは関係府県なりの意見によって適当な形のものをまとめていただくという作業を詰めなければならない、このように考えております。
  208. 山田勇

    山田勇君 どうもありがとうございました。  続いて自動車関係についてお尋ねいたします。  十一月の二十七日、奈良県橿原市の自動車練習場で、運転練習のディーゼルトラックをある会社員が練習中、練習場交差点で一たん停止、発進しようとセカンドギアを入れると、クラッチペダルから足を離すと、エンジン内でドカンという音がして小さい爆発音。いきなり時速十五キロ程度で後ろへ下がった。会社員と教官はトラックから飛びおり、その後五十メートルほど後進し、後ぐるぐる回る練習用大型バスとトラックと後部接触した、こういう事故があるということは御承知でしょうか。
  209. 小林育夫

    説明員(小林育夫君) 承知しております。
  210. 山田勇

    山田勇君 もしこのような事故が一般道路で起きておれば大きな事故につながると思います。ディーゼルエンジンは低燃料費のために、メーカーが争って小型車の生産にいま一生懸命になっております。ディーゼルエンジンをつけることに力を注いでいますが、こんな事故を見ますと、こういうディーゼル車自体の大きな欠陥があるんではないかというふうに思います。運輸省も早速この事件については調査をなさったというふうに聞いておりますが、その後の調査の経緯をお聞かせいただきたいと思います。
  211. 小林育夫

    説明員(小林育夫君) お答え申し上げます。  私ども調査した結果によりますと、ただいま先生からお話がございましたように、これは奈良県の自動車教習所の構内におきまして、教習を受けている方が乗りまして、その隣に教官が添乗いたしまして、構内の交差点で一たん停止をしまして、変速ギアを二速に入れてそれで発進しようとした際に、クラッチの操作が不適切であったためにエンジンが停止寸前の状態になった。その際に、クラッチをさらに一たん切ったものを入れてアクセルを踏んだためにエンジンが逆回転をしたと、逆回転をしたことで、その乗っている方と教官があわてて飛びおりてしまったということが原因と考えられておるわけでございます。  それで、ディーゼルエンジンが逆転するということは通常の運転状態では考えられないわけでございます。こうした逆転による事故というのはここ十年間一件も起きておりません。なぜそういうガソリンエンジンにない逆転というような現象が起きるのかということでございますけれども、これは非常に技術的な問題でお答えにくいんですけれども、簡単に申し上げますと、こまを回してこまがとまりますときに逆回転をちょろっととまる寸前にいたすことがございます。で、エンジンも何か負荷が非常に多くなりましてとまります寸前に、そういう逆の方向に回るということが間々ございます。  普通の場合には、それでクラッチを入れましても、前進方向でございますととまってしまいますのでよろしいんですけれども、たとえば坂道の発進のようなときに、そのままずるずるっとこう滑るというようなことで、クラッチをつないでアクセルを入れるということになりますと、エンジンが逆方向にかかってしまうということが絶対にないわけではございません。で、その際には直ちに燃料のストップボタンとかあるいは大型車ではデコンプレバー、これはエンジン内の圧力を外気と通じてしまう、要するに圧力が上がらないようにしてしまう装置、こういうものがついておりますので、これを引けばエンジンがとまって、すぐにエンジンをかけ直せば正回転に戻るわけでございます。したがって、そうした事故には至らないわけでございます。  で、実は私ども驚きましたのは、そういうことが非常にまれなケースでございますけれどもあるということをこの教官が知らなかったということが非常にまあ驚きであったわけでございますけれども、近ごろ非常に、先生御指摘のように、ディーゼル自動車というのが広く一般にも使われております。したがいまして、私ども各社のそのディーゼルの取り扱いの説明書というものを取り寄せて点検をいたしましたけれども、残念ながら、いままで私どもが点検した中では、そういうエンジンが逆回転をしたときの処置というものが実は書いてございません。したがいまして、今後私どもそういう点を指導いたしまして、まあ非常にまれにしか起こらない現象でございますけれども、こういうことが起きた場合にはいま申し上げたようなデコンプレバーなり燃料のストップボタンを直ちに押して一回エンジンをとめてくださいということを、そういう取り扱い説明書の中に書き加えるように今後指導してまいりたい、そのように考えております。
  212. 山田勇

    山田勇君 最後にですが、まあ確かに国会議事堂の前、あの大型トラック、新しい左折するための義務づけになったサイドバンパーそれからバックミラーなどをつけた車を私もきょうちょっと一諸に見していただきましたが、その後これを義務づけしてからの左折車に対する事故というのは減ってまいりましたでしょうか。
  213. 小林育夫

    説明員(小林育夫君) 私どもが警察庁からお聞きしたところによりますと、五十四年の一月から五十四年の十月までの大型車の左折事故の死亡事故の発生件数は、五十三年の同期の件数に比べまして四十九件減少をしております。これ、減少率は二七%ということでございます。しかしながら、減っておりますけれども、これが果たして私どもがやりました緊急対策の結果なのか、あるいは警察初め関連の官庁の交通安全教育の徹底とか、交通環境をいろいろ改善していただいておりますので、その結果なのか、あるいはそれの総合した結果なのか、そういうことについてはまだ分析できておりませんので、すべてがこの対策の結果だということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、私どもはこのうちの何がしかはこの対策によってもたらされた結果だと思っております。
  214. 山田勇

    山田勇君 結構です。
  215. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  216. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に新東京国際空港公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  218. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。地崎運輸大臣
  219. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) ただいま議題となりました新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  新東京国際空港は、長期にわたっての航空輸送需要に対応し、将来における主要な国際航空路線の用に供することができる空港として、新東京国際空港公団において、その建設を鋭意進めてまいりましたところでありますが、関係各方面の協力を得て、昨年五月二十日開港に至り、現在、ほぼ順調に運営されております。今後とも地元の理解と協力のもとに、日本を代表する国際空港としての新東京国際空港の整備、拡充を行ってまいる所存であります。  ところで、新東京国際空港の運営につきましては、新東京国際空港公団が行う業務と空港関連事業者が行う事業が、一体となって行われることが必要でありますが、同空港の円滑かつ効率的な運営を確保していくためには、同公団が、これらの事業に対し投資することができることとすることにより、これらの事業の着実な遂行を確保していく必要があります。このため、この法律案を提案いたしました次第であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、新東京国際空港公団運輸大臣の認可を受けて、同公団の委託によりその業務の一部を行う事業及びその業務と密接に関連する事業で、新東京国際空港の円滑かつ効率的な運営に資するものに投資することができることといたしますとともに、同公団の業務の範囲、大蔵大臣との協議等の規定につきまして所要の改正を行うことといたしております。  以上が、この法律案を提出する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  220. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  221. 穐山篤

    穐山篤君 法案の審議に入る前に、非常に関係が深いわけですが、午前中も航空行政の見直しの問題について同僚委員から質問がございました。どの行政もそうでありますが、一般論として常に行政を見直すと、点検をするというのは当然でありまして、そういう一般論としての行政見直しという話ならばこれも一応了解ができますが、仄聞をするところによりますと、十月の二十九日、特別国会が開会をされる前日ですね、当時の森山運輸大臣から事務当局に対しまして、一般論としての航空行政の見直しという意味もあろうと思いますけれども、特別な意味を含めて行政の見直しについて指示をしたというふうに伺っているわけですが、その点、事務当局の責任者であります航空局長より、そういう事実があったかどうか、その内容についてどういうことが指示をされたか、まず冒頭にお伺いをいたします。
  222. 松本操

    政府委員(松本操君) 前大臣の最後の時点で、大臣がいろいろとやりかけたまま中途半端になっておった仕事がございます。そういったようなものを整理して、事務当局に対していろいろと御指示がございました。  その中に、たとえて申しますと、総合交通体系の問題、この問題も最近にわかにあっちこっちで論じられるようになっているけれども、実は四十六年の時点に、古い運輸政策審議会の答申を踏まえたものがあるだけであって、その後積極的な詰めができていないということもある。航空の問題でしぼって申しますならば、一時、これも新聞等で広く報道されたことがございますが、いわゆるフィルアップと申しますような、なかなか法律的にも政策論的にも扱いにくい問題でございます。こういうふうな問題についてももうちょっと詰めればという段階で実はとまっておる。  したがっていろいろそういった問題があるので、たとえば運輸政策審議会を開くなりあるいはこれを開くのに多少の手間がかかるとするならば、学識経験者を何人か委嘱することによって、少なくとも公平な第三者の意見を聞くという形でこれらの問題に取り組むような体制を考えるべきではないか、こういうお話があったのは事実でございます。  その後もちろん大臣もおかわりになったわけでございます。  私どもといたしましては、単に航空局だけの問題でもございません、運輸省全体の問題でございますので、官房の方が中心になって具体的な方策等について、新大臣のもとでいろいろと研究、検討をしておると、こういう状況でございます。
  223. 穐山篤

    穐山篤君 いま、たとえばフィルアップライトの話があるようにというふうに典型的な問題が提示をされたわけですが、なるほど過去この問題については新聞でも、あるいは委員会でも議論がされたことがあります。その意味で一般的な行政の見直しという範疇であろうと思いますが、なぜ十月二十九日に、ある意味で言えば航空三社の利害にかかわる問題、あるいはその他の関係につきましても利害が伴う問題でありますが、この時期になぜ具体的に、いまたとえばというお話があったんですが、そういうことを指示されたのか。その意図というもの、あるいは背景というものがなければ急にこれだけの問題について引き継ぎをしていく、あるいは特別に指示するということはあり得ないことだと思うんですね。  特に航空問題というのは、御案内のとおり幾つか裁判闘争が行われておりますし、政治問題にもなっているわけです。なぜ十月の二十九日、空席活用権の問題を例に挙げて具体的に研究をしろ、言いかえてみれば研究しろということは改善をしろと。ということはある程度意思として働いているわけですね。非常に私ども不純に感じるわけです。その点についての御感想はいかがですか。
  224. 松本操

    政府委員(松本操君) なぜ十月二十九日であったのかという点につきましては、実は私も明快な御返事のしようがございません。ただ、前の大臣の任期と申しますか、内閣改造があるとすればおのずから大体どのくらいのところというような目途がかなり明確についておったころであったかと思います。そこでフィルアップの問題について御所見を承りましたけれども、本件につきましては、実はこの前の通常国会のときにも具体的に御提案がありました。そのときに当時の森山大臣も私もお答えしたような記憶がございますけれども、この問題についてはひとつ前向きに研究をいたします、こういうことを御返事した経緯があったわけでございます。  したがいまして、それ以後、私どもとしてもいろいろと研究を重ねたわけでございますが、当初非常に簡単なことのように思われておりましたフィルアップという問題も、いろいろと検討いたしてみますと、先ほど要約して私申し上げましたが、法律論及び政策論のいずれから見てもなかなかむずかしい問題がある、さらに実務的な問題を加味しましてもむずかしい問題があるということで、前向きに検討しますということを御返事しながらついに現在におきましてもまだ正確な答えを出すに至っていないわけでございます。  そこで、前の森山大臣、いろいろと施策をされてきたわけでございますけれども、その中で、国会で大臣みずからもお答えになっておったような問題で、しかも別にほうってあったわけではない、いろいろ研究はしながらも答えが出し切れずにいたような問題というふうな問題を、一つの例示的なものとして取り上げられたというのは、私はそう不自然なことではなかったのではないか、このように思っておるわけでございますが、ただ、この答えの出し方といたしまして、やはり公平な第三者の意見を徴して何らかの結論を出していくということであると私どもは理解をしております。  先ほどもお答えいたしましたように、官房の方が主体となろうかとは思いますけれども、たとえば運輸政策審議会あるいはこれにかわるべき懇談会というふうなものが動き始めるといたしますならば、やはり公平な第三者の意見というものを十分に徴して、みだりに事が右左動くことのないように十分心して取り組むべき問題だという点は肝に銘じておるつもりでございます。
  225. 穐山篤

    穐山篤君 本件について、日本航空からは公式な要請書あるいは文書というものが出ているかどうか、それから当然反射的に利害関係を持ちます全日空からも、いろんな角度でお話があったと思いますが、公式の文書で御意見というものが運輸省に出されているかどうか、その点をお伺いします。
  226. 松本操

    政府委員(松本操君) フィルアップライトそのものにつきましては、大分以前に日本航空からそのような意向の表示があったと記憶をいたしております。それから、その後におきましても、公式の文書というスタイルであったかどうか、いま私、正確な記憶を持ち合わせておりませんけれども、あるいはパンフレット的なものであったかも存じません。しかし、何らかの形で促進方の意見の表明があったことは記憶にございます。  それから全日空の方におきましても、この問題について全日空の立場からの意見が、これも公式の文書とか何とかという形であったかどうかはっきりした記憶がございませんけれども、全日空の見解というものが述べられたことについては、私、記憶がございます。
  227. 穐山篤

    穐山篤君 昭和四十七年の航空三社の航空分野について運輸省から通達が出ているわけですが、現在の法律、通達の範囲で言えば、いわゆるフィルアップというのは違反になる、あるいはできないということになるだろうと思うんですが、もし仮に、仮にですよ、技術的にまあよかろうということになった場合、まあ法律の整備ありますよ、ありますけれども、方法論として幾つかケースは考えられるわけですね。事務当局としては、いろんな分野から研究されていると思いますが、現在の航空分野で言えば問題があるけれども、これを一応たなに上げてみれば、日本航空が出されているフィルアップというのを仮に実施をするとするならば、こういう手がある、ああいう手があるという方法があると思うんですね。御所見いかがですか。
  228. 松本操

    政府委員(松本操君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、私どもの検討の結論をまだ得るに至っておりませんので、ここで私が具体的な点にまで触れてお答え申し上げることはいささか適当でなかろうかと思いますけれども、少なくとも法律的な議論をしてまいりました過程での話でございますが、現在、日本航空として法律上行為能力が全然ないんだというふうにとるだけではなくて、行為能力があるんだといろ考え方も成り立ち得ると。ただし、それには相当厳密な枠をかけるというか、前提要件を置くということが必要であろう。そうなりますと、基本的に法律の解釈論としては可能であっても、実務上の問題といたしましては、その前提要件なり枠なりというものが明確化いたしませんと、これは法律として実施に移すべき問題ではないと思いますので、そういう点の詰めが非常に残されておるというふうにいま考えておるわけでございます。  ですから、先生いまおっしゃいましたように、何らかの措置をとらなければという点においては全くそのとおりであろうかと思いますが、その何らかの措置というものが必須不可欠的に法律の改正を伴うとか、そういうことでは必ずしもないようである——ようであるというふうにあえてお答え申し上げておきます。
  229. 穐山篤

    穐山篤君 大臣、これは本問題についての最後の質問になりますが、長らく議論があった問題であることはよくわかります。しかし、利害が非常に伴う問題でありまして、先ほども指摘をしましたように、個人的な名前挙げてはいけませんけれども、橋本運輸大臣の当時、いろんなことがあったわけですね。そんなことを考えてみますと、まあこれを政治的に配慮するというふうなことは許されないと思うんですね。もう少し航空の安全、航空の発展という、そういう意味から慎重に考えていただきたい。言い残していった問題がごく短時間の間に答えが出て実施に移されるということになったとしますと、また大きく疑惑を生むことになりかねないと思いますんで、そうならないように希望をあらかじめしておきます。これはお答えは要りません。  さて次に、公団法の一部改正の問題につきまして伺いますが、公団の方に冒頭お伺いします。  私どもいただいております資料で、開港一年後の五月直後に出されました業務の内容、あるいは経営の成績というふうなものにつきましては、一応目を通したつもりでありますが、おおむね一年半以上開港後経ているわけですが、現在の業務の内容と経営の、あるいはまあ経理の状況といいますか、そういうものについて、ごく簡略にお示しをいただきたい。
  230. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 昨年の五月に開港しましてから一年半余りを経過したわけでございますが、その間にときどき過激派による飛行妨害というようなこと等もございましたけれども、とにかく運航にはほとんど支障がなく、円滑に今日まで推移をしておると言っておおむねよかろうというふうに私ども考えております。  現在の業務の状況でございますが、大体一日に、旅客で申しますと約二万二千人の旅客が出入りをしております。それから貨物でございますと千二百トン、これを一日に取り扱っておりまして、飛行機の発着は一日平均百八十便でございます。そういうふうな状況でございまして、逐次その成績が向上いたしておりまして、たとえば今年十月の実績を昨年の実績十月に比べてみますと、発着回数では六%の伸び、それから旅客数では五%の伸び、貨物では一四%の伸びというふうなことになっております。  その結果が収支の面にどういうふうになっておるかということでございますが、これを五十三年度、これはまあ途中からの開港でございますが、その決算で見ますと、収入が二百四十八億でございまして、これは業務収入。それに対します業務支出が百七十三億、差し引きまして七十五億の黒字ということでございますが、これは実は負債の支払い利息というものを払わぬ前の計算でございます。そこで、支払い利息が年百三十五億、五十三年度でございましたので、この利息を払うと、六十億の赤字ということになります。それからさらに、償却費がございます。これが九十九億でございますが、これを差し引きますと、結局償却後では百五十九億の赤字という計算になっております。  本年度はまだ年度途中でございますが、本年度の収入としましては、約業務収入で三百二十六億と、昨年の二百四十八億に対しまして三百二十六億の収入を予定しておるわけでございますが、上半期の収入実績が約百六十九億でございますので、まずまず大体予定どおりの収入を上げておると言ってよかろうか、さように考えております。
  231. 穐山篤

    穐山篤君 成田につきましてはいろいろないきさつがあって、開港をしたし、制限も規制もしているというところから収入を上げるということについての苦労はよくわかります。しかし、膨大な資金をつぎ込んだ後も年々再々赤字を出すということになるならば、これは国民的な見地から言ってみても余りいいことじゃないと思うんです。  先ほどお話がありましたように、最終的に百五十九億の赤字になったわけですが、収入の面で見積もりよりも入ってこなかったと、あるいは節約の面でもこういうふうに考えたんだけれどもできなかったというふうな点があれば、当然あるわけですが、具体的にお話をいただきたい。
  232. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 昨年は、御承知のようないろいろ事件がございまして開港が延びました、五月二十日まで。そういう関係で予定よりも収入が少なかったということがございます。  その他の点については、着陸料その他の料金関係でございますが、これは厳格な原価計算から出た数字を、公共事業として初めからそのまま適用するというわけにもまいりませんので、そういう面で多少われわれの最初希望したよりも収入が少ないという点はあるかと思いますが、大体において私どもが先ほど申し上げましたように、予想した程度の収入は上げておる。公共事業でございますので、公共事業でなくても操業早々は、何年か最初は赤字というのは、まあそう心配したことでもないと思いますし、ことに空港は公共事業でございますので、初めから黒字というわけにはなかなかまいりませんし、開港が相当おくれて、その間利息を払っておったというようなこともありますので、なかなかその債務を返済し切るということは年数がかかりますけれども、長い目で、ひとつわれわれは考えていきたいと思います。  しかも先ほど申し上げましたように、まだことしの決算予想は出ておりませんが、昨年の百五十九億よりは赤字が減少するだろうというふうに私ども考えておりますので、そう悲観したものでもないというふうな考え方を持っております。
  233. 穐山篤

    穐山篤君 現在、空港公団の業務ではあるけれども、直接公団がやるとすればまた膨大な要員を必要とする、あるいは設備をとらなければならぬということなどもあって、いろんな分野でその業務の全部または一部を業務委託していると思うんですが、その種類、大きなもので結構です。契約の方法はどういうふうになされておるのか、その点をお伺いします。
  234. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) いろいろの仕事がございまして、それを全部公団が直接やるということになりますと相当専門的な技術者も必要になるし、人員もたくさん要るというようなこともありまして、差し支えない範囲において業務を委託をするという考え方でやっております。  委託をいたしております仕事は、大きく分けまして旅客案内サービス業務と、それから駐車場あるいは見学施設等の保守、管理、料金徴収の仕事でございます。それから電力、機械及び照明設備とか、あるいは航空機給油施設の運用、保全に関する業務、それから空港施設の警備業務というようなものが、大きく言って委託業務の内容でございまして、これらにつきましては大体随意契約で契約をいたしております。
  235. 穐山篤

    穐山篤君 警備のことについてちょっとお伺いしますが、公団が警備会社に、あれは日本警備保障ですか、と随意契約をして構内の警備に当たるというのはよくわかるわけですが、公団が千葉県警なりあるいは東京まで要請をして警備をする、こういうことは過去何回かあったんですか。
  236. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 過激派等の大きな集会、デモ等のあります場合には、私どもの方から警察に警備の要請を申し上げております。
  237. 穐山篤

    穐山篤君 警察庁、けさも新聞にも出ておりますように、まだ散発的にいろんな問題が生じておりますね。警備の全貌なんということは余り公にすべきことではないと思いますが、警備の考え方ですね、あるいは特別に配慮をしなきゃならぬ、そういう点についての方針をちょっとお伺いします。
  238. 依田智治

    説明員(依田智治君) 現在成田空港は、千葉県の空港警備隊、これは国の方で昨年認めていただいて設置していただいたんですが、これを中心に一日二千人の体制で公団の警備員その他関係機関と密接な連絡をとりながら警備を実施しておるという状況でございます。  警備の基本としましては、やはり空港公団とか、関係機関等ができる限り自主的に、その責任において警備していただくということが基本でございますが、警察としましても、現に二百人近い極左暴力集団等が現地に常駐して、すきあらばということで反撃の機会をねらっている。工事あくまで阻止、絶対廃港をねらうというようなことで、近くまた十二月十六日にも全国動員の大闘争を組むというような計画がございます。日々いま総裁からお話がありましたように、二万人以上の乗降客等が出入りしておるというような状況でございますので、警察としましても独自の立場から空港の安全な運営、またそれに出入される乗客等国民皆様の安全を確保するという見地から警備に当たっておるという状況でございます。
  239. 穐山篤

    穐山篤君 技術的なことで恐縮ですが、実は私、羽田と成田と大阪と札幌、いろんなところを飛行機で歩くわけですが、体に同じ物を入れて機械を通ってみた。そうしますと、同じ機械でも、さっきはブザーが鳴ったけれども、今度はブザーが鳴らない。大変不思議なことにぶつかって非常に不愉快であったわけです。ブザーが鳴ることについて別段反対しているわけじゃないんだけれども、同じ機械でありながらほんの一分か二分の違いで出入りしただけで、鳴ったり鳴らなかったりする。これは、日本の警備の機械が余り信用ならぬ、この間ある外人に会ったらそんなふうな話をしておったんですが、こういう物の納入検査というのは本来どこでやるんですか。これはどなたにお伺いしたらいいのかよくわかりませんが。
  240. 松本操

    政府委員(松本操君) 大変申しわけございませんが、納入検査をどこでやっているかについてまではちょっといま私、手元に資料がなく、明確な記憶がございませんが、これの仕様につきましては、関係の向きで寄り寄り集まってはどういうふうな仕様にしていくかということについていろいろ議論を重ねてきておるのは事実でございます。  そこで、いま先生、同じようなところに同じような物を入れて、同じ日にちょっとした違いで鳴ったり鳴らなかったりという御指摘がございましたけれども、わりあいに日によっては感度が上がっている場合がございます。感度が上がっております場合には、いまおっしゃいましたように、機械の操作がいささか不安定になっているということはどうも避けられないようでございます。  ただ、入れ方によりまして、同じ物でも今度は入れ方によりまして感ずる場合と感じない場合がある。ここら辺を何とかチェックできないかということで、たとえば、かつて、くつのかかとあるいはくつの中に入れて通るのがチェックできなかったという前例がございます。このために渡り板を敷いて、少し高い位置を、床から高い位置を通るようにするというふうにしてこれをチェックするように改善をする。いろいろ努力はしておるわけでございますが、いま御指摘のようなことがありといたしますれば、私どもの方でもこの問題については相当の注意を払ってきておるつもりでございますので、さらに十分気をつけるようにいたしたいと思います。
  241. 穐山篤

    穐山篤君 公団総裁、いま貨車で燃料を輸送しているわけですが、一日当たり貯蔵量、大ざっぱにどのくらいずつ貯蔵されているんですか。大ざっぱで結構です。
  242. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 現在、千葉と鹿島と両方から合わせまして一日五千五百キロリッターの輸送をいたしておるわけでございますが、現在平均一日に使いますのが確か四千七百キロリッター余りでございますので、その差額が備蓄をされていくわけでございます。ただ、月に二回、設備の点検その他の関係で休みがございますので、平均しますとそれよりも少し低くなる、こういうことでございます。
  243. 穐山篤

    穐山篤君 首都から成田までのアクセス、現在三通りあるわけですね、既設のものが。京成、国鉄、あるいは高速道と。そのほかに成田新幹線とか新高速道路とか、いろんなアイデアがあるわけですね。公共投資の意味からいろんなことを考えるのは結構ですが、しかし、もっと効率的にあるいは財政的に考えてみて、そんなに幾つも成田まで考える必要はないじゃないかという、そういう意見が強いわけですが、既設の三つの交通機関は別にしまして、残り二つの成田新幹線とそれから新高速道路ですか、これの協議の模様といいますか、今後の発展の見込みですね、この点について若干明らかにしてもらいたい。
  244. 山地進

    政府委員(山地進君) 成田新幹線は四十七年の二月に認可になりまして、その後成田線との交差するところまでをいま現在工事をやっております。しかし、成田新幹線自体につきましてはいろいろと反対運動等がありまして、これを東京の方へ引っ張っていくということについては、大変むずかしい問題であろうかということでございますが、一方、いま先生のおっしゃいました成田新高速鉄道というものが成田への優良なアクセス、それからちょうど成田から松虫あるいは千葉ニュータウンというところを通るわけでございますが、そこらの千葉の開発効果といいますか。そういう両方の面から非常に魅力的な案であるということもございまして、その他、先生の御指摘になりました従来の成田の線を空港の中に乗り入れる案とか、あるいは京成自身を乗り入れる案も考えられるわけでございますが、そういったいろいろの案の中で、先生のおっしゃるような効率的な、かつ、アクセスとしても使えるというような案がどういうものであろうかということで、方針としてわれわれの中で検討しておるわけでございます。  一方、その成田新高速鉄道につきましては千葉県、東京都、国鉄、営団地下鉄、鉄建公団、宅地開発公団空港公団、京成及び北総開発というような関係の非常に多い線でございますから、それらの方々が集まりまして協議会をつくって現在まで三回協議会をやっております。その他、幹事会とか、ワーキンググループとかいろいろやっているわけでございますが、それらにおいて、路線の性格とか、機能とか、建設主体をどうするのか、経費をどうするのか、財源はどうだとか、いろいろな議論をいま積み重ねておるところでございます。
  245. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ちょっと関連。  いまの答弁にちょっと関連してお聞きしたいんですが、成田新幹線に京成の乗り入れというのは、いま京成電車が入っているところはちょっと離れていて不便なんだけれども、あれを成田新幹線の予定であるもっと空港の中の方へ乗り入れを一緒にするというプランを考えている、こういう意味なんですか。
  246. 山地進

    政府委員(山地進君) 私の言葉が少し足りなかったかもしれませんが、考えていると言いますか、案としまして幾つかある中の一つとしてそういうものがある。しかも、それにつきましては京成が技術的に、要するにあそこをトンネルで入るものですから、そこへどういうカーブを引いたら京成のいまの駅から向こうの駅に移れるか、そのときのカーブの大きさはどれくらいだったら技術的にいいとか、いろいろ技術的な困難性もあるわけでございます。しかし、とにかく空港内の駅というものは一つしかございませんから、どの、どういう線を東京から引っ張ってきたときに使わしたらいいかということの評価というものについては非常に分かれるわけでございます。その中で京成というものが一つはある、こういう意味でございます。
  247. 穐山篤

    穐山篤君 さて、今回の改正の主たるものは第二十三条の二項、投資に係るわけです。衆議院でも議論があったようですが、「公団の委託によりその業務の一部を行う事業及びその業務と密接に関連する事業で新東京国際空港の円滑かつ効率的な運営に資するものに投資することができる。」、これの「範囲は、政令で定める。」と、こうなっておるわけですが、その「公団の委託によりその業務の一部を行う事業」というのは、ある意味ではわかるような気がするわけですね。しかし、これも厳密に言うとどこまでかというのは非常にむずかしい。「その業務と密接に関連する事業」と言いますと非常に膨大なことが予想されるわけです。なおかつ、それが政令で定められるわけですから、国会の審議なしで決まるわけですね。  そこで、たとえばいま公団が随意契約でやっております給油の問題、あるいは警備の問題等ですが、そういうものを随意契約でなくて、今度は、その都度その都度の随意契約でなくて、第二十三条二項で言う全部投資の対象のものにするということが「その業務の一部を行う事業」ということにかかっているのかかかっていないのか。あるいは「その業務と密接に関連する事業」というのは具体的に言えばどういうものなのか。まず、その辺から明らかにしていただきたい。
  248. 松本操

    政府委員(松本操君) 御審議をお願いしております改正案の二十三条の二に、「公団は、運輸大臣の認可を受けて、公団の委託によりその業務の一部を行う事業」、これが一つございます。もう一つ、「その業務」というのは公団の業務でございますが、公団の「業務と密接に関連する事業で」「空港の円滑かつ効率的な運営に資するもの」、この二つがございまして、それに投資することができると、こういうふうに改正しようということであります。  その前段の「委託によりその業務の一部を行う事業」といいますのは、先ほど御質問に答えて大塚総裁の方から御返事申し上げましたような幾つかの業務があるわけでございますけれども、それらの事業の中で、関連の度合いが非常に大きくかつ重要であるもの、当該事業に対します公団の関与がきわめて必要であると考えられるもの、当該事業に対して公団が投資することにより財政基盤の強化をしておく必要があると考えられるもの、また、公団がその事業に投資をすることが財政上妥当と認められるものというふうに、いろいろと要件をつけてしぼりました。その中で最も適切妥当なものに投資をしていくという形になってまいろうかと思います。  後段の方の密接関連という方になってまいりますと、文章的にやや読みにくい点がございますが、関連する事業ということでございますので、まず公団の業務の範囲の外の業務ということが言えるかと思います。関連でございますから、業務そのものではない。その外側で関連のある業務ではあるけれども、密接に関連をするということでございますから、関連の度合いが相当に高いものということでまず最初のしぼりをかけた。  その次に「かつ」で結びまして、「国際空港の円滑かつ効率的な運営に資する」ということをつけておりますのは、そういったような関連性の高い業務であるだけではとどまらず、そういうことだけでとどまるのではなくて、つまり、単に位置的または取引上の関係があるということだけで投資の対象にしようというのではなくて、その業務が空港の運営上きわめて必要なものであるというふうにしぼられたものについて投資の対象にしていこう、こういうことでございますので、先生いまおっしゃいましたように、非常に広がってぼやけて、どれにでもできてしまうというふうなことにはならないというふうに考えておるわけでございますが、さらに、これの投資に当たりましては運輸大臣の認可を受けるようにしておりますので、その具体的な問題はまた政令で定めるということにして、相当段階のしぼりをかけてあるというふうに考えておるわけでございます。  したがって、いま先生が例示的におっしゃいましたようなものがすべて投資の対象に自動的になっていくというふうなことではない。相当に厳密な検討を経た後に、きわめて関連度の高いものだけに限られるというふうに御理解いただけると思います。
  249. 穐山篤

    穐山篤君 今回法律を出したというのは、具体的に投資をするわけですからこういう法律が出てきたわけですけれども、当面はいわゆる芝山鉄道だけですか。
  250. 松本操

    政府委員(松本操君) 現在考えておりますのは、前段の、委託により業務の一部を行う事業といたしまして日本空港給油株式会社というのがございます。これは先ほど総裁のお答え申し上げた中にもございましたが、公団の設置いたしましたハイドラントを使って給油作業を行っている。それから密接関連の分野で、いま先生おっしゃいました通称芝山鉄道、この二つを当面の投資対象として考えております。
  251. 穐山篤

    穐山篤君 まあ当面ということは、将来はまた別に何かがあると想定するのは当然ですが、考えられるようなものは何があるんですか。現在検討中のものでも結構です。
  252. 松本操

    政府委員(松本操君) 現時点でまだこれといって具体的に詰め切れたものはございませんけれども、業務を委託するという方で考えますと、たとえば構内連絡バスのようなものがあるわけでございまして、こういったようなものはその委託の中にあるいは入るかもしれない。しかし、ここら辺のところはまだ全く具体的な詰めをいたしておりませんので、的確なお答えは差し控えさしていただきます。
  253. 穐山篤

    穐山篤君 どこの企業でもあることなんですが、自分のところで直接しないで業務を委託すると、あるいは契約でその業務の一部をやらせるということはあるわけですが、それにわざわざ投資をするというのは、もっと別の意味がなければ投資というのはなかなかやらないものですね。たとえば国鉄が、まあいろんな工場にしろ、あるいはレール、電力の作業でも委託をしていますが、その企業あるいはその事業に対して投資をするというのはごくまれなんですよね。業務の委託をするのは当然ですけれども、投資をするというのはまれなんです。  そこでお伺いするわけですが、芝山鉄道の方は、芝山町、人口が七、八千人ですね。もし必要があるならばこれは国が、軌道法によるか地方鉄道法によるかわかりませんけれども建設をする、あるいはまあ鉄建公団に建設をさせる、その運輸関係あるいは運転関係の業務を京成に委託をするということはまああると思うんですが、なぜこの二十三条二項で芝山鉄道に投資をするのか、よく意味がわからないんですね。千葉大の清水先生の説を借りるまでもなく、こういうふうな甘えの構造がどんどんどんどんできてくるというのはこれは大変問題だというふうな指摘も第三者からかなりあるわけですね。  私、時間ありませんからまた申し上げますが、たとえば、芝山町から公団及び国に出ております要求の中で、芝山町は十一項目出しておりますね。いろんなことがたくさんあるわけですが、この中に航空記念館というような話もあるわけであります。これが甘えの構造かどうかよくわかりませんけれども、いろんなものが出てくるわけですね。そうすると、その業務の一部を行う事業ではないけれども、密接に関連する事業だというようなことで、どんどんどんどん出資がされる可能性が強いわけです。そういう心配をするわけですね。一度こういう投資条項をつくれば、せきを切ってどんどんどんどん出ていくわけですよ。  芝山鉄道の投資額についても一応聞いておりますけれども、あるいはまあパイプラインについても聞いておりますけれども、これが完成するときには当初の計画の何十倍、場合によれば何百倍の資金がかかるわけですね。こういうのは全部国民負担になってしまう。そういう点について、少し甘い考え方ではないかというふうに指摘をせざるを得ないと思うんです。本当にたとえば芝山鉄道が必要ならば、この投資条項でなくたって、現行法だって鉄道施設法というのがあるわけですからね、それに一項目上げればできるわけです。  で、これはとりあえず、だれが見てもまあこの程度はしょうがなかろうというものがまず目玉商品で出てきて、後どんどんどんどん関連のものが出てきたんでは大変だっていう気持ちを一部に持ちながらも、一部は、その地域に対して十分発展をしてもらわなきゃならないと、こういう気持ちも持つわけですが、非常に問題点なんですね。そこで、まあ私どもとしてはそう容易にこの投資条項を見るわけにいかないと、こういうふうに考えるわけですが、その点いかがですか。
  254. 松本操

    政府委員(松本操君) 御指摘ございましたように、いわゆる地元の甘えの構造とか、それに安易に追随するとかいうふうなことはもちろん厳に戒むべきことであろうかと思います。ただこの芝山鉄道につきましては、先生も御案内かと存じますが、ここに至るまでのいろいろな経緯もございましたし、ましてや芝山町というのがちょうど空港の南側で、直接のアクセスの便その他に全く浴しないというふうな特殊な事情にある地域であるというふうなことをも考えたわけでございます。  特に具体的に申し上げますならば、この鉄道によりまして整備地区というのが空港の中に、芝山に近い方にございますが、この整備地区に通勤する人たち、外から入ってくる人たち、これにとっても非常に便利な鉄道でございますし、空港中心部に勤務する人たちが芝山町の方から出入りするという場合にも、この鉄道があった方が国道二百九十六号との接合点に駅舎を置こうという計画でございますので便利であろうと思われますし、さらに空港の中心部と整備地区との間に鉄道が一本敷かれているということは、その両地点間の人間の移動にも便利であろう、このように考えられますので、その空港利用者の輸送も相当程度持ちつつ、かつ空港の中で仕事をする人たちの輸送にも役に立つ、両方の利便ということによって先ほど申し上げました空港の円滑かつ効率的な運営に資するというふうに考えていいのではないかというふうなことから、この鉄道を空港公団地元公共団体及び関連企業が出資するいわゆる第三セクターというふうにして位置づけたわけでございます。  最初はそういうふうなことを言っておるがだんだんとしり抜けになるのではないかという御指摘でございまして、私もそういうふうなことは厳に慎むべきであると思います。したがいまして、先ほどややややこしい御説明を申し上げましたけれども、この法律の文言に書かれました趣旨というものを十分にわきまえていかなければならないという点については仰せのとおりだと思います。  この空港の将来の発展ということを考えました場合に、これが一つのきっかけになって、後、ふしだらな形で投資が行われるということはしないようにしなければなりませんが、投資の場合は、これは業務勘定の支出でございますので公団がもうけた金の中からということでございます。したがって、先ほど私の説明にも触れましたけれども公団の財政上投資が可能である限界というのはおのずからあろうかと思います。そういう面からも厳にチェックをしてまいりたい、このように考えております。
  255. 穐山篤

    穐山篤君 午前中の質問にもあったわけですが、パイプラインが昭和五十六年の三月に完成をする、全力を挙げてやる、こういう決意の表明があったわけですが、これについての問題もないわけではありませんが、一応五十六年の四月からは鹿島の臨海鉄道は原則的に必要がなくなるわけですね。これはお客さんが乗ったにしてみても実績が示すように二、三十人、こういうことになるわけです。これは撤収をするんですか、それとも残しておくつもりなんですか。あるいは存続するとすればどこに所属をさせるのか、第三セクターの話が別にあるわけですが、それについての計画はいかがですか。
  256. 山地進

    政府委員(山地進君) 鹿島臨海鉄道の収支というものを過去の収支を調べてみたわけでございますが、五十二年度の収支は、収入が六億八千万円ぐらいで支出が営業費用でございますが五億六千万円ぐらい、利益として一億二千万円ぐらいの利益を出しておりまして、営業外費用を引きましても経常損益で一億一千万円ぐらいの利益を上げておった会社でございます。その後パイプラインを引き受けるようになりましてから営業収入というのは十五億、約二倍以上に上がったのは事実でございます。それから営業損益としても約四億八千万円、利益が上がりはいたしましたけれどもこの会社自体といたしましてはかなりな荷物というものを抱えておりまして、かつ、その石油の輸送を引き受けたというのは、暫定的に引き受けるということは会社も知っていたわけでございますので、やはり経営上かなり前からしっかりした会社であり、かつ暫定的に引き受けたものであるので、これがなくなったからといって営業が不振に陥るということはないものだというふうに私どもは理解しております。
  257. 穐山篤

    穐山篤君 分析の違いがありますが、前に進みます。  例のパイプラインの作業について実情をお伺いする予定だったのですが、時間がありませんので一つだけお伺いをしておきますと、これは公団側の出しました広報なんですが、新ルートに基づいていま工事が行われているわけですが、一つ不審な問題が過去あったということを指摘をしておきたいと思うんです。  それは、自治会の中で賛成反対もありましたし、現に反対をしておるところもあるわけですが、磯辺地区に西武不動産、三井農林、それから千葉都市公社、これがそれぞれ分譲住宅を建てて、五十三年の八月に募集をして翌年四月から入った。この磯辺地区の中で、私全部調べたわけではありませんが、西武不動産の分に非常に多かったんですが、パイプラインの反対闘争は一切やりませんという念書を取って入居をさせられた、それが入居の条件であると、こういう事件があったわけです。御存じですか、いかがですか。
  258. 増村啓一郎

    参考人増村啓一郎君) ただいま先生が御指摘になりました件につきましては、新聞紙上で拝見したことがございますが、私どもはそれまで何も存じておりません。
  259. 穐山篤

    穐山篤君 調べていけば、だれがだれに相談をして、念書がどこから出てきたかというのはわかりますが、きょうは時間ありませんからこの点はもう終わります。いずれ改めて別の委員会で問題にしたいというふうに思います。  さて最後に、運輸大臣大臣就任して間もなく例の新幹線の問題について大変な活躍をされたことについては敬意を払うわけです。  さて成田空港の第二期工事の問題です。御案内のとおり、断固反対をしている現地の方々もおります。話し合いが十分に進んでいないというのも現実の状況ですね。しばしば当局からはB、Cの滑走路の建設についても公式、非公式に手が挙がっているわけですが、その意味から言いますと欠陥空港である。A、B、Cが全部整って普通の国際空港、こうなるわけですから、B、Cがない限り、第二期工事が終了しなければいまのままになるわけですね。第二期工事のために必要な予算計画というのは、毎年毎年、今度の来年度に出しております空港整備の五カ年計画の中にも入っているわけです。大臣、第二期工事というのはどうなさるのですか。
  260. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 成田空港はもう日本を代表する空港でございます。しかもますます航空事業というものは拡大をしていくわけでございまして、この空港はさらに整備を行わなければならないのは当然でございます。  しかし、いままでの過去からの実例を見ましても、地元の住民の方々の大変いろいろな反対等もございまして、非常に長いことかかってとりあえず第一期工事が進みまして、昨年の五月の二十日から開港に至ったわけでありますが、私どもとしましては、またさらに地元住民の御理解をいただいて、そして第二期工事、B、Cの工事等に着手をするようにいたしたいと思っておるわけであります。空港公団も、大変その点については一生懸命努力をしながら農民の方々に御理解を得ているようなわけでございますが、なかなか進展をしておらないようでございます。  したがって、きょう御審議いただいております法案の改正もそのうちの一つでありますが、このような問題を解決して地元の御要望にこたえる、また、農業の振興政策に対してもさらにいろいろ推進する、あるいは騒音対策に対しても御協力申し上げる、こういうことでぜひ地元の方々の感情を融和していただきたい。そして早期に二期の工事に着手していただけるようにしていただきたい。そして文字どおりアジアにおける代表的な国際空港、日本における代表的な国際空港という形に進めるようにしてまいりたい。かように思っておるわけでございますが、何を申しましてもそのときには地元の方々の御理解がまず大事であるということで、公団を通じまして最大の努力を努めてまいりたい、かように存じております。
  261. 穐山篤

    穐山篤君 言っている趣旨はよく理解できますが、運輸大臣の気持ちは全力を挙げて話し合うということが中心であって、強制的にやるということは控えたい、しないというふうに考えてよろしゅうございますか。
  262. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 過去の経緯から見ましても、いまの時代を考えましても、強制的に行うような考え方は私は持っておりません。
  263. 内藤功

    内藤功君 今回の改正案は主に成田空港駅から隣接の芝山町に鉄道を延長するためのものと理解をしておりますが、それはそれで結構だと思うのですが、今後のこともありますのでお尋ねをしておきます。  投資の範囲は政令で定めるということでありますが、公団の投資できる範囲というものは、先ほども質問がありましたようですが、厳格に解する必要があると思うのですね。つまり空港公団仕事、任務というものは、法律の新東京国際空港公団法第一条で定められておりますが、その中でも特に成田空港の管理運営ということがこの場合の第一の目的でありますから、この目的から絶対に逸脱をすることなく、いやしくも拡大解釈をすることなく空港の健全な運営管理というところに限られていくべきだと思うのです。この点、先ほどの御説明にもありましたが、逸脱しないための歯どめは何かということについて、運輸省の再度の御見解を求めておきたいと思います。
  264. 松本操

    政府委員(松本操君) 私どももとより先生御指摘のように、その範囲を逸脱をしてむやみと投資条項をふくらまして運用していくようなことは毛頭考えていないわけでございますが、先ほども御説明、御答弁申し上げましたように、改正案二十三条の二の条文は、かなり厳密にしばりをかけてあるようでございます。ようでございますと申しますのは、他の類似の公団の規定に比べましてかなり厳格な書き方になっているというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございますが、さらにそれを実施に移すに当たりましては、これを政令をもって逐一決めますし、それの実施に当たっては運輸大臣の認可も要りますし、また、その時点において大蔵大臣との協議も必要であるというふうに、二重、三重に歯どめがかかってきておるわけでございます。したがって、これの実際の運用に当たりましては、あくまでもこの投資条項の趣旨が、いまおっしゃいましたような目的の範囲を逸脱することがないように絶えずチェックをしながら、厳格な意味で実施に移していくということに心がけてまいりたい、このように考えております。
  265. 内藤功

    内藤功君 いまの点、くどいようですが、大臣のこの点の確認を求めたいと思います。
  266. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) いま航空局長から御説明申し上げたとおり、厳正に、しかも本当に公団の円滑に運営されるための必要なものにしぼって判断をしていきたい、かように考えます。
  267. 内藤功

    内藤功君 次は公団に伺いますが、現在成田空港周辺における防音対策はどうなっているか。特に対象戸数及び申請者の数それから着工した戸数、完成した戸数等の数字を御報告願いたいと思います。
  268. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 全室防音工事の着工でございますが、対象戸数が全部で千九百十三戸でございまして、このうちで申請しました者が千六十九でございます。そして申請した者につきまして公団がいろいろ認定した数が六百八十六戸でございまして、このうちで設計が終わったものが四百九戸でございます。設計が終わりますと同時に金額が決まりますので、各住民の皆さんに対して交付決定をいたします。このうちで現在着工いたしておりますものが二百四十六戸が工事中でございまして、完成しましたものが百六十六戸、かような数字になっております。
  269. 内藤功

    内藤功君 運輸省に伺いますが、騒音で近隣住民の苦情いろいろな申し立てが多くなっておるわけです。この予算の増額措置についての、これは大臣努力のひとつ決意を表明していただきたいと思います。
  270. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 成田空港のみならずその他の空港に対しましても、騒音対策等については非常に住民の方々の強い御希望がございます。過般、担当の局の説明を聞きますと、年間予算の三割以上を騒音対策等に投じているという報告も受けておりますので、今後さらに円滑な空港の運営あるいは住民の御理解をいただくためには、できるだけ予算の獲得をふやしてまいりたい、かように存じております。
  271. 内藤功

    内藤功君 法案に関連をして、航空安全問題について若干伺いたいと思います。  これは航空局長、日本航空の運航形態にマルチ編成という乗務割りがあります。これは機長二名、副操縦士一名、航空機関士二名による乗務編成であります。この制度はモスクワ線あるいはニューヨーク線などの長時間の飛行のためのもので、機長などの運航乗務員が交代で操縦できるように、航空機の安全確保、多数の乗客の生命を守るための制度であると理解してよろしいかどうか。  もう一点は、またこのような運航形態は、航空法の精神から見て運輸省が十分な監視監督のもとに各航空会社のオペレーションズマニュアル、いわゆる管理規程のチェックを行っていると思いますが、この点についての明確な御答弁をお願いしたいと思います。
  272. 松本操

    政府委員(松本操君) いま先生のおっしゃいました通称マルチ編成と呼ばれております乗務割りのことでございますが、この乗務割りにつきましては航空法上、運航規程の中に決めるようになっております。現在の運航規程上は、十時間を超えますものにつきましては機長一人でこれを運航することができないというふうになっておるわけですが、別途日航は労使間の協約によりまして、九時間を超えるものにつきましても、路線によって多少の違いはあるようでございますが、九時間を超えるものについては同じく一人の機長をもって操縦に当たらない、こういうことになっております。これらの詳細の規定は運航規程の中に書いてございまして、これは運輸大臣の認可にかかっておるわけでございます。  したがいまして、先生おっしゃいましたように、これらの問題といいますものは、航空機の安全な運航にきわめて密接な関係のあるものでございますので、したがいまして、航空企業の定めましたものを運輸大臣が認可をするという過程を通して厳重なチェックを私どもはいたすような仕掛けになっておるわけでございます。
  273. 内藤功

    内藤功君 そこでお尋ねしたいのですが、航空法六十八条には、「航空運送事業を経営する者は、運輸省令で定める基準に従って作成する乗務割によるのでなければ、航空従事者をその使用する航空機に乗り組ませて航空業務に従事させてはならない。」と、こう書いてあるところでございます。  そこで、航空会社に乗務割りを義務づけているのですが、日本航空の運航規程にある乗務割りは下記の基準を超えるよう予定してはならないという規定があって、この内容はいま読むのは省略しますが、これに違反する状態が現に行われていると聞くのであります。つい本年の十一月度におきましても、太平洋路線の機長が、最前申し上げましたマニュアルの一ヵ月の最大限度であります八十五時間を超える九十一時間二十分の予定を作成をいたしまして、実乗務時間は八十八時間三十八分という明らかに航空法違反の状態の中で乗務が行われたことがあると聞きます。この点は日本航空の会社側もスケジュールの確認ミスだということで認めておるということであります。  かつて昭和五十一年に、運輸省では、日本航空に対しましてモスクワ路線に百時間の乗務を予定いたしましたときに、航空局からかようなことは再発しないようにという指導がなされたと聞きますが、その後もときどき違反があって、労働組合側から指摘をされて気がつくという状態だと私は聞いております。その都度コンピューターなどのミスと説明しておりますが、スケジュールというものは会社の資格のある専任の専門官がつくっておると思いますから、同じことを何度も違反状態を繰り返すということは、機長が少ないのに無理なダイヤを組む場合とか、あるいは何かはかの原因で無理をするために起こるべくして起きているのではないかという、こういう疑いも持ちたくなるわけであります。  そこで航空局に伺いますが、会社の乗務割につきましては毎月検査をするんですか。これはどういうふうになっておりますか。
  274. 松本操

    政府委員(松本操君) 乗務割りにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、運航規程について厳重な審査をいたします。それが当然に守られるものというのがもちろん前提でございます。直接的にその乗務割りについて逐一わが方が立ち入って検査をするというふうなことは、私どもの手勢の問題からいいましてもなかなかできかねる面がございます。ただ、年に何回か、年によって多少の回数の違いがあるようでございますが、年に何回か安全のチェックを私どもはいたしております。  そういうときに、いまおっしゃいましたような事例、たまさか私はいま十分に承知をしておりませんでしたけれども、そういうふうな事例が発見されますれば、直ちになぜそのような事象が起こったかという原因をチェックをいたしまして、必要により厳重な注意をするなり何なりの措置はとってきているはずでございますけれども、いまそういったような具体的な御指摘もございましたので、さらにそういった面の監督が行き届きますように私どもの方でも工夫をしてまいりたい、こう考えます。
  275. 内藤功

    内藤功君 私は、いろいろ手勢の問題も言われましたが、にもかかわらずやはり最大限に厳重に調査をして、無理があれば是正をしていただきたいと思います。私がこれらのことを重視いたしますのは、機長の労働条件が苛酷かどうかは乗客乗員の生命の安全とまさに運命共同体であるということからであります。ぜひ、いま私の指摘した具体的な事実は、局長、早速調査をして善処していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  276. 松本操

    政府委員(松本操君) 十一月という月日をはっきり明示しての御指摘でございますので、早速調査をいたします。
  277. 内藤功

    内藤功君 そこで、私は次に航空局長に次の資料をお出し願えないかということで要求をいたします。  日本航空の訓練部教官を除くDC8、DC10及び747、この運航乗員部別の機長の数、それから機長の平均乗務時間及び路線別の平均乗務時間、これをいまでなくて結構ですから、後刻提出願いたいと思うのですが、局長、お願いできますか。
  278. 松本操

    政府委員(松本操君) 私、いま完全に聞き取れませんでしたけれども、乗務割りをつくり、機長その他職員の管理をしております以上、そういったような数字は恐らく明らかなものであろうかと思います。調査をいたしました上で御提出できるのではないかと思います。いま私、直ちに御提出できるかどうかわかりませんが、御提出できるのではないかと、こう思います。
  279. 内藤功

    内藤功君 次に、現在日本航空では路線の拡大と機材の増大を見込んで、新たにマルチ編成の改定——組合の方はこれを改悪と呼んでおります。改定をねらっているようでありますが、運輸省ではこの点は御承知でしょうか。
  280. 松本操

    政府委員(松本操君) 日本航空の側がいわゆるマルチ編成の変更について検討をしておるということは聞いております。しかし私ども、まだ具体的にどのような方法で、あるいはどのような方針でというふうに決まったということは何ら承知をいたしておりません。
  281. 内藤功

    内藤功君 これは現在のマルチ編成、機長二、副操縦士一、機関士二ですね、二、一、二、これを今度は機長一、副操縦士二、航空機関士二、一、二、二の体制にするというものだと伝えられております。いま機長及び他の乗員の間でも大問題になって、機長の団体である機長会というところでは会社案をのむかどうかで大いに論議があると、こういうふうに聞いております。結局いま考えられている変則的なマルチ編成一、二、二では労働強化につながるものだと思うのです。  つまり、現在は機長が二名乗務していますから中で交代ができますが、一名にされると、離陸してから着陸まで非常に長い時間、気象条件等が悪い場合でも操縦席から離れられないということで全然気分が休まらない、その間の疲労は相当なものになる、こういうことが航空機の安全運航にとって重大な結果を招く原因にもなりかねません。先ほど申し上げましたが、現行のマルチ編成二、一、二でも航空法違反が頻繁に行われているくらいでありますから、今回の現制度の改定は、これは現在の状況をさらに悪化させるおそれがあるものだと私は考えておるところでございます。  こういう問題について、航空局長の御見解をお伺いをしたい。
  282. 松本操

    政府委員(松本操君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在日航で検討しておると伝えられますマルチ編成の改定案なるものについて、委細を承知していないわけでございますが、いま先生のおっしゃいましたいわゆる一、二、二と申しますか、そういうふうなタイプのものは外国の航空企業には幾つかあるようにも聞いております。ただ、これは数だけの問題では私はないと思いますので、個々のパイロットがどのような資格要件を持っている者かどうか、どういうふうな時間帯においてどのような路線についてそういう組み合わせを使うのかどうかというふうな点を詳細にチェックをいたしませんと、労働強化云々の問題は一応おくといたしましても、航空の安全という見地から見ていささかたりとも問題があるとすれば、冒頭私お答えいたしましたように、私どもとしても運航規程の認可の責任があります以上、そういいかげんな考え方で対処するというわけにはまいらないだろうと思います。  したがいまして、どのような案が出てくるにもせよ、もしそういう案が出てきました場合には、その日本航空の提案を十分に検討いたしまして、その結果について私どもの判断をしたいと、このように考えています。
  283. 内藤功

    内藤功君 最後に運輸大臣に、いまずっとお聞きになっておられまして、技術的な問題は、これはもう局長から答えられましたから、大臣として、こういう航空法の精神に基づいて、しかも安全第一の観点を貫いてこの種の問題に対処されていくという決意を確認をしたいと思うんですが、いかがですか。
  284. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) もう先生おっしゃるとおりでございまして、特に航空はまず第一に安全を考えなけりゃならぬわけでございますから、いま航空局長からお答え申し上げましたような方針を十分確認をしてまいりたいと、かように存ずる次第でございます。
  285. 内藤功

    内藤功君 終わります。
  286. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  288. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、青木薪次君が委員辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。     —————————————
  289. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  290. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  291. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。運輸大臣
  292. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) ただいまは新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果御可決をいただき、まことにありがとうございました。  政府といたしましても、本委員会における審議内容を尊重いたしまして、同法の運用に万全を期するとともに、新東京国際空港の円滑かつ効率的な運営を図るよう、新東京国際空港公団を指導してまいる所存であります。  ありがとうございました。
  293. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会      —————・—————