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1979-11-27 第90回国会 衆議院 本会議 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十四年十一月二十七日(火曜日)
—————————————
開 会 式 午後零時五十八分
参議院議長
、
衆議院参議院
の副
議長
、
常任委員長
、
特別委員長
、議員、
内閣総理大臣
その他の
国務大臣
及び
最高裁判所長官
は、
式場
である
参議院議場
に入り、所定の位置に着いた。 午後一時
天皇陛下
は、
衆議院議長
の前行で
式場
に入られ、お席に着かれた。
衆議院議長
は、左の
式辞
を述べた。 …………………………………
天皇陛下
の御臨席をいただき、第九十回
国会
の
開会式
を行うにあたり、
衆議院
及び
参議院
を代表して、
式辞
を申し述べます。
現下わが国
をめぐる
内外
の諸
情勢
は、まことに多端であり、緊急に
解決
すべき幾多の問題があります。われわれは、この際、当面する重要問題に対処して、十分な
審議
につとめるとともに、適切な
施策
を強力に推進し、もつて
国民生活
の
安定向上
に一段の
努力
を払わなければなりません。 ここに、
開会式
にあたり、われわれに負荷された
使命達成
のために
最善
をつくし、もつて
国民
の委託にこたえようとするものであります。 ………………………………… 次いで、
天皇陛下
から左のお
ことば
を賜った。 ………………………………… 本日、第九十回
国会
の
開会式
に臨み、全
国民
を代表する諸君と親しく一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。 ここに、
国会
が、当面する
内外
の
課題
に対処するに当たり、国権の
最高機関
として、その
使命
を遺憾なく果たし、
国民
の信託にこたえることを切に望みます。 …………………………………
衆議院議長
は、お
ことば書
をお受けした。 午後一時五分
天皇陛下
は、
参議院議長
の前行で
式場
を出られた。 次いで、一同は
式場
を出た。 午後一時六分式を終わる
————◇—————
昭和
五十四年十一月二十七日(火曜日)
—————————————
議事日程
第二号
昭和
五十四年十一月二十七日 午後二時
開議
一
国務大臣
の
演説
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
大平内閣総理大臣
の
所信
についての
演説
午後二時四分
開議
灘尾弘吉
1
○
議長
(
灘尾弘吉
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
国務大臣
の
演説
灘尾弘吉
2
○
議長
(
灘尾弘吉
君)
内閣総理大臣
から
所信
について発言を求められております。これを許します。
内閣総理大臣大平正芳
君。 〔
内閣総理大臣大平正芳
君登壇〕
大平正芳
3
○
内閣総理大臣
(
大平正芳
君) 第九十回
国会
に臨み、
所信
の一端を申し述べます。 私は、
さき
の
特別国会
において、再度、
内閣総理大臣
に指名され、
国政運営
の重責を担うことになりました。
先国会
におきましては、速やかに進めなければならない
首班指名
とこれに続く組閣がおくれ、
所信表明
の機会を持ち得ず、
国政
の停滞を招いたことについて、まずもって、
国会
を通じて
国民
に対し、心からおわび申し上げるものであります。(
拍手
)
さき
の総
選挙
に示された
国民
の厳粛なる
審判
をどのように受けとめ、その結果に対する
政治的責任
をいかに処理するかについて、
自由民主党
内に
論議
を招き、見解も大きく分かれました。この
論議
の収束に手間取り、しかもそれが異例な方法によらざるを得なかったことは、私の不明のいたすところであり、深く反省いたしております。 私は、
国民
の
政治
に対する
信頼
をいかにしてつなぐかが、私にとって最大の
政治課題
であると
考え
ております。また、今回の総
選挙
における
国民
の
審判
は、
自由民主党
が
立場
を異にする人々の
意見
にも耳を傾け、おごることなく謙虚な
姿勢
で
国政
を担当すべしということであると
考え
ております。(
拍手
)私は、総
選挙
に示された
国民
の
意思
を誠実に受けとめ、
内外
の厳しい諸
情勢
に
対応
する適切な
施策
を展開するとともに、確かな一九八〇年代への構築に向けて、
最善
の
努力
を傾けてまいる
決意
であります。
さき
の総
選挙
において最も端的にあらわれた
国民
の
意思
は、
行政
における
綱紀
の粛正と
政治
における
倫理
の
確立
でありました。 最近、
綱紀
の厳正たるべき
政府部内
及び
政府関係機関
の一部において、
不正経理
その他
国民
の非難を招く事件が明らかとなったことは、まことに遺憾であります。
関係省庁
を挙げて引き続き真実の解明を急ぎ、その
責任者
については厳正な処分を行う
考え
であります。同時に、かかる
綱紀
の弛緩を戒め、
予算
の
不当使用
の根絶を図るため、
政府
及び
政府関係機関
に関し、
予算
の計上とその
執行
について再
点検
を行うほか、
内部監査
の徹底、
勤務体制
の厳正を期してまいるつもりであります。また、
公団等
の
役職員
の
賞与等
の
あり方
に関しても、
国民
の納得の得られるよう改めていく
所存
であります。
政治倫理
の
確立
につきましては、
さき
に明らかにしたところに従い、
政治資金
の
明朗化
、企業の
自主的監視機能
の
整備
、
行政
上の
手続
と
責任
の
明確化
、
制裁法規
の
整備強化等
を順次進めてまいる
考え
であります。
政府部内
でも早急に諸般の準備を進め、
関係法規
の改正については、成案を得次第、
国会
に提案する
方針
であります。公正で金のかからない
選挙制度
の
あり方
については、
国会
との緊密な連携のもとに、鋭意
検討
を進めてまいります。また、
政治家
の
資産公開等
については、事の性質上、
国会
の
審議
、
検討
にまつべきものと
考え
ておりますが、
政府
としてもこれに十分
協力
してまいる
所存
であります。
政治
の基本は、申すまでもなく、あらゆる
政策
の決定と
運営
に公正の精神が満ち、清廉な態度が貫かれておることであります。私は、
政治
に対する
信頼
の
原点
がここにあることを肝に銘じ、まず、私を初め
閣僚
が率元して
政治
に臨む
姿勢
を厳しく戒め、今日
国民
が抱いている
政治
に対する
不信感
を払拭しなければならないと
考え
ております。新
内閣
の発足に当たり、各
閣僚
に対し、
綱紀
の保持に関して特に
具体的指示
をいたしたのも、かかる
考え
によるものであります。
行政
の
整理
、
簡素化
による刷新は、
国民
から最も強く求められている
課題
であります。
経済
の
高度成長
の過程であらわれた
行政
の
肥大化
や
過剰介入
は、今日におきましては、
冗費節約
の上からも、
経済社会
の
活力維持
の上からも、厳しく戒められなければならないと確信しております。
政府
は、
国会
の
協力
を得て、
行政
が簡素で、しかも効率的なものとなるよう、その改革を進めてまいる
決意
であります。 すなわち、
政府
は、十月十二日に決定した
定員削減計画
を着実に実行いたしますとともに、実情に即して職員の
配置転換
を精力的に進めてまいります。同時に、
行政機構
の
あり方
と
機能
を
見直し
、
特殊法人
、
省庁
の
付属機関
及び
地方支分部局等
について統廃合に関する
計画
を
年内
に作成し、
計画
的にその実現を図ってまいります。また、
許認可制度等
の
行政事務
に関しましても、旧来の惰性を排し、その
整理
、
簡素化
を積極的に進めてまいる
考え
であります。 このたびの総
選挙
を通じて
国民
の間に
財政
に関する
論議
が一段と深められたことは、意義深いことであったと思います。われわれは、八〇年代を迎えて、
エネルギー
問題を初めとする不安定な
国際経済
の
情勢
に備えますとともに、
文化
の
時代
にふさわしい
生活
の
質的充実
を図る新たな
行政需要
に応ずる
財政的用意
がなければなりません。さらに、
財政面
からのインフレーションを回避することは
政治
の大きな
責任
であります。この意味におきまして、
財政
の
再建
は緊要な
課題
であり、少なくともその
必要性
については、
国民
の
理解
がかなりの程度得られたものと思います。
政府
としては、
昭和
五十五年度
予算
におきましては、
国債発行額
を前年度より相当程度
減額
して
財政再建
の第一歩とする
方針
であります。そのため、まず、税の
自然増収分
は、優先的に
国債発行
の
減額
に充てる
方針
であります。また、
歳出面
におきましては、
経費全般
にわたり徹底的な
節減
と
合理化
に努める
所存
であります。とりわけ、いわゆる三K問題を初め、
既存
の
制度
、
慣行
の
見直し
を行うほか、
補助金
については、
年内
に
整理
、
合理化
のための
計画
を作成し、その
役割り
、
効果等価
総
点検
を行って、思い切った
廃止減額
の実行に着手する
考え
であります。
歳入面
につきましては、
租税特別措置
の
整理
、
合理化
を初め、
既存税制
の
見直し
を行い、
税負担
の公平と税収の確保を図る
考え
であります。 なお、今年度の
国家公務員
の
給与改定
につきましては、
指定職
を除く
一般職公務員
につきましては人事院勧告どおり
実施
し、
指定職
については
実施
時期を十月に繰り下げるなどの
措置
を講ずる
方針
であります。しかし、この
実施
に当たりましては、今日の厳しい
財政状況
にかんがみ、
退職手当制度
の
見直し
を行うなど
人件費
の抑制、
行政経費
の
節減
を図る
措置
を講じてまいる
所存
であります。
わが国経済
は、依然として
内外
に多くの
不安定要因
と厳しい
制約要因
が続いております。
石油
につきましては、サミット、
国際エネルギー機関等
を通ずる
関係国
の
努力
と
産油国
の
協力
により、マクロ的な
需給
には大きい不均衡は見られず、これまでのところ
わが国
への輸入もほぼ
計画
どおり確保いたしております。しかしながら、
石油価格
は、
イラン情勢
の変化を初め、中東における
不安定要因等
を反映して著しい上昇を示し、一層周到な
対応
が必要であると
考え
ております。
物価動向
でありますが、
消費者物価
は総じて安定的に推移しておるものの、
卸売物価
は
国際商品
の
値上がり
や
円安傾向等
から、引き続きかなり上昇しております。
政府
としては、今後とも
国際協調
を果たしつつ、
物価
の安定と景気、雇用の
維持
を両立させる慎重な
政策運営
を図ってまいります。その際、
石油
その他
国際商品
の
値上がり
に伴う
便乗値上げ等
を厳しく監視するとともに、物資の
需給
の安定を図り、
公共事業
の適正な
執行等
にも留意し、
物価
の安定には特に意を用いてまいる
考え
であります。 不安定な
石油事情
に対処するため、
省エネルギー対策
に一層力を入れ、来年は、本年をさらに上回る
消費節減
を進めますとともに、
環境保全
に留意しつつ、
原子力等
の
代替エネルギー
の開発を推進し、あわせて、
石油
の
供給源
の
多角化等
に精力的に取り組んでまいる
決意
であります。
灯油等
の
供給
につきましては、当面、十分な在庫を備えておりますが、今
需要期
において
供給
不安を来すことのないよう、今後とも生産及び流通の両面にわたって十分な配慮を払う
所存
であります。
国際情勢
を見ますと、
政治面
におきましても、
経済面
におきましても、厳しさを加えつつあります。そのような
国際環境
の中で、
わが国
がその平和を確保し、一層の発展を図ってまいるためには、その
国際的地位
にふさわしい
責任
と
役割り
を果たすべきことは言うまでもありません。
わが国
としては、
日米友好関係
の
維持
を基軸としつつ、
中国
との
友好関係
の増進、北方領土問題の
解決
を含む日ソ間の
善隣友好関係
の
確立
、韓国との
友好協力関係
の
維持
、
ASEAN諸国
を含むアジア・
太平洋地域諸国
との
協力関係
の
強化等
を図ってまいる
考え
であります。また、朝鮮半島、東南アジア、
中近東等
における
政治
的
経済
的な安定のために、
わが国
は、
国際社会
の一員として、積極的に
協力
してまいる
姿勢
がなくてはなりません。 最近とみに緊張を高めつつある米国と
イラン
との
関係
につきましては、
わが国
は、深い関心を持って注視しており、事態が人道的な観点からも一日も早く円満な
解決
を見ることを強く希望するものであります。また、
インドシナ難民
の救済につきましても、
政府
は、できる限りの援助を行ってまいる
考え
であります。
東京ラウンド交渉
の
成果
につきましては、その
実施
のための
国内手続
を急ぐ
方針
であります。 なお、私は、十二月初旬に
中国
を、明年一月には豪州、ニュージーランドを訪問し、これら
諸国
との
相互理解
を深め、一層強固な
関係
を築き上げたいと
考え
ております。 私は、現代は
文化
の
時代
であるとの認識に立ち、
田園都市国家
の
構想
と
家庭基盤
の
充実
を提唱してまいりました。明治百年の
近代化
の精華を踏まえ、
日本固有
のよき伝統を生かしながら、一九八〇年代に向けて、豊かな
創造力
と自由な
活力
に支えられ、多様な
文化
に彩られた
日本型福祉社会
を
構想
し、
国民
の英知と
エネルギー
をこの方向に向けてまいることが望ましいと
考え
るからであります。
文化
の
時代
は、同時に
地方
の
時代
であります。
地方
の
自発性
と
自主性
の高揚を通じて、ゆとりと
活力
に満ちた多彩な
地域社会
を形成することは、この
構想
を具体化する上で欠かすことのできないところであります。私は、
田園都市国家
と
家庭基盤充実
の
構想
を一層深めるとともに、当面、
さき
に
国会
で明らかにしたところに従って、具体的な
施策
の展開を図ってまいる
所存
であります。 急速に、しかも確実に迫り来る
高齢化社会
においては、労働、医療、教育そして
産業
の
あり方
までが大きな変革を迫られております。この移行を円滑に進めてまいるため、明確な
展望
のもとに、定年の問題を初め、在来の仕組みや
慣行
を見直すなど、
計画
的にその
対応
を進めてまいる
考え
であります。 われわれが迎えようとしておる一九八〇年代は、七〇年代にも増して厳しい試練と新たな
課題
が待ち受けていることが予想されます。しかし、同時に、
文化
の
時代
、
国際化
の
時代
として新しい飛躍の
可能性
が秘められております。私は、あらゆる
立場
、あらゆる階層を通じて広く
国民
の
信頼
と合意を形成し、七〇年代の教訓を生かしながら、新しい発想と
対応
をもって、これらの
課題
を克服し、
社会
の進歩の
可能性
を導き出していく
考え
であります。 私は、
国政
を進めるに当たって、
政治
と
行政
の厳正と清潔さを高めることを
原点
に据える
決意
であります。
国民
の
意見
と批判には謙虚に耳を傾け、信ずるところを率直に
国民
に語り、おごることなく現実を直視してまいる
所存
であります。
施策
の
成果
を絶えず省み、未来への
展望
を常に考究し、信義と
責任
を重んじて内政、外交を着実に展開し、
国民
の負託にこたえてまいる覚悟であります。
国民各位
の御
理解
と御
協力
を切にお願いするものであります。(
拍手
)
————◇—————
玉沢徳一郎
4
○
玉沢徳一郎
君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、来る二十九日午後一時より本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
灘尾弘吉
5
○
議長
(
灘尾弘吉
君)
玉沢徳一郎
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
灘尾弘吉
6
○
議長
(
灘尾弘吉
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
動議
のごとく決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十一分散会
————◇—————
出席国務大臣
内閣総理大臣
大平
正芳
君 法 務 大 臣 倉石 忠雄君 外 務 大 臣 大来佐武郎君 大 蔵 大 臣 竹下 登君 文 部 大 臣 谷垣 專一君 厚 生 大 臣 野呂 恭一君
農林水産大臣
武藤 嘉文君
通商産業大臣
佐々木義武
君 運 輸 大 臣
地崎宇三郎
君 郵 政 大 臣 大西 正男君 労 働 大 臣 藤波 孝生君 建 設 大 臣 渡辺 栄一君 自 治 大 臣
後藤田正晴
君 国 務 大 臣 伊東 正義君 国 務 大 臣 宇野
宗佑
君 国 務 大 臣 小渕 恵三君 国 務 大 臣 長田 裕二君 国 務 大 臣
久保田円次
君 国 務 大 臣 正
示啓次郎
君 国 務 大 臣 園田
清充
君 国 務 大 臣 土屋 義彦君
————◇—————