○飯田
委員 私がきょう
お尋ねしました件は、国の根本問題に関する、国家組織の根本問題に関する問題でありますので、なおざりに放置できないと私は思います。国政
調査権を持つ
国会としても、こういう問題について今後正しい道を探求しなければならない問題であろうと思いますので、ここで皆さん方に
結論を言うてもらうということはちょっとむずかしいかもしれぬので、きょうは一応この
質問で保留しておきますが、将来この問題についてはやります。ここでは、きょうは時間がありませんので、この程度にしておきます。
そこで、この問題につきまして従来最高
裁判所がとっておいでになる統治
行為論につきまして、私は少しく御
質問を申し上げたいと思います。
この最高
裁判所のとっておいでになる統治
行為論は、最高裁がそういう判決をしたから仕方がないではないかでは済まない問題です。この問題は、この判決がどんなに大きな影響をわが国政の上に及ぼしているかわからない。だから、これもまた国政
調査の対象にしなければならぬ問題だと思うわけであります。したがいまして、きょうは簡単に
質問しておきますが、今後しつこくどこまでも追及します。
昭和三十五年六月八日の最高裁大法廷判決の多数
意見は次のように言っております。「衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する
行為であって、かくのごとき
行為について、その
法律上の有効無効を
審査することは司法
裁判所の権限の外にありと解すべきことは」云々として「あきらかである。」こう言っております。また、それに続きまして多数
意見は、これは非常に重要なところですが、「政府の見解は、憲法七条によって、憲法上有効に衆議院の解散を行い得るものであり、」云々としまして、続きまして「
裁判所としては、この政府の見解を否定して、本件解散を憲法上無効なものとすることはできないのである。」こう言っているのです。
これは非常に
意味深長な言葉です。最高裁としては憲法
違反だと思うのだけれども、憲法
違反だというふうに最高裁が言ったならば国政上大
混乱が起こるであろうから、そういうような問題については、最高裁としては何とも言えません、どうぞ御勘弁ください、そういう判決理由です。そういうふうに読めるのです。この問題は重要な問題だと私は思いますよ。解散が無効だから、同時にその次に行われた総
選挙が無効ということにはならない、そういう形式論理的な解釈をとっておいでになるから、この問題は不安を感ぜられる。解散にしても、解散の形式
手続は有効に行われておるのだけれども、問題は内閣の助言にあると思うのです。助言が間違っておる。これは後でまた追及しますが、きょうはやりません。
とにかく統治
行為だ、つまり
裁判所は、政治的な問題だから司法権の審判になじまない、だからどうぞ許してくれ、こういうあれなんですね。政治問題だから憲法
判断ができないというのなら、このことはどういうことですか。よくお
考えください。政治を憲法の上に置くことです。政治問題のために憲法を犠牲にすることです。そうじゃありませんか、政治問題だから憲法
判断ができないというのなら。つまり、一体
日本の政治は憲法の枠内で憲法の基礎の上で行うのか、あるいは憲法を超越して政治を行うことを許されておるのか、これは根本問題に触れる問題です。
この問題に関しまして、こういう判決に従って
内閣法制局はおやりになるという意思なのか、こういう憲法
判断よりも政治
判断の方を有効にする、上位に置くという
考え方をとっておるこの統治
行為論、こういうものについて、本気になってこれを正しいと思っておられるのかどうか、お答えを願いたいと思います。