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1979-12-06 第90回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月六日(木曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 内海 英男君    理事 片岡 清一君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君    理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君    理事 稲富 稜人君       小里 貞利君    菊池福治郎君       久野 忠治君    近藤 元次君       佐藤 信二君    佐藤  隆君       田名部匡省君    高橋 辰夫君       玉沢徳一郎君    西田  司君       福島 譲二君    保利 耕輔君       渡辺 省一君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    新村 源雄君       馬場  勇君    日野 市朗君       細谷 昭雄君    本郷 公威君       権藤 恒夫君    瀬野栄次郎君       武田 一夫君    中林 佳子君       神田  厚君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  武藤 嘉文君  出席政府委員         農林水産政務次         官       近藤 鉄雄君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      犬伏 孝治君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         水産庁次長   米澤 邦男君  委員外出席者         大蔵省関税局輸         入課長     中島  潔君         国税庁直税部所         得税課長    西内  彬君         文部省体育局学         校給食課長   坂元 弘直君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   武田 誠三君         参  考  人         (日本中央競馬         会副理事長)  増田  久君         参  考  人         (日本発馬機株         式会社代表取締         役社長)    三上 泰知君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(競馬に関する問  題)  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 内海英男

    内海委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  本日、競馬に関する問題について御出席を願っておる参考人は、日本中央競馬会理事長武田誠三君、日本中央競馬会理事長増田久君、日本発馬機株式会社代表取締役社長三上泰知君、以上三名の方々であります。  この際、参考人各位に申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。  参考人からの御意見委員からの質疑お答えをいただくという方法で行い、参考人委員長許可を得て発言を願い、委員に対しては質疑ができないこととなっておりますので、さよう御了承を願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
  3. 片岡清一

    片岡委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、御出席いただきました参考人方々に若干の御質問を申し上げたいと存じます。  まず最初に、参考人皆様方には、われわれの国政調査について御協力を賜りますことにつきまして、心から厚くお礼を申し上げたいと存じます。  最初に私は、農林省に対してお伺いいたしたいのでありますが、今回のこの発馬機株式会社の問題は、十一月二十八日に告訴人であられる三上さんから警視庁に告訴せられて表面化したわけでございます。私は、この告訴状を見ましたときに、最初はこれは何となく何か会社の内紛の問題であるように思われまして、この問題が直ちにわれわれの国政調査になじむ問題であるかどうかという点に若干の疑問を持ったものでございます。しかし、これは農林省監督指導しておる日本中央競馬会から五〇%以上の出資がなされておる日本発馬機株式会社の問題でございますので、そういう意味で、広い意味においては当然調査の対象として取り上げるべき問題であるとは存じますが、何となくどうも代表取締役である三上告訴人被告訴人である二人の方との間の何か会社内部の問題であるようにも思われるわけでございます。私は、農林省として平素監督をしておる競馬会関連した問題としてこの発馬機株式会社の問題をどういうふうに認識しておられるのか、その点について農林水産省当局意見を承りたいと存じます。
  4. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 今回、中央競馬発馬機に関する事件発生を見ましたことは、日本中央競馬会監督する立場にある農林水産省といたしましても、まことに遺憾に存じております。  現在まで私どもが把握した事件の概要でございますが、日本中央競馬会は、この日本発馬機株式会社との間で発馬機作業請負契約なるものを毎年締結をいたしまして、この契約に基づいて発馬機の作業の請負を実施をしてきておるということがございます。また、この発馬機株式会社の株式の五〇%を日本中央競馬会が保有をしておるということがございます。今回発生を見ました発馬機にかかわる問題は、日本発馬機株式会社中央競馬会請負契約関連して日本発馬機株式会社の中で発生した事案であるというふうに理解をいたしておるところでございます。
  5. 片岡清一

    片岡委員 したがって、これはやはり公の問題として十分究明すべきもの、究明といいますか調査をすべきものというふうに考えておると見ていいわけですか。
  6. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、日本中央競馬会競馬施行関連をして発生をしておる問題である、日本中央競馬会の行う競馬は特別の法律に基づいて設立された法人たる日本中央競馬会施行主体として競馬法もと施行しておる、それにつきまして農林水産省としては監督責任を持っておる、こういうことでございますので、どの程度関連かというその関連程度についてはさまざまの差があるとは思いますが、いずれにいたしましても、公的な立場にある団体において発生した問題であるというふうに理解をいたしております。
  7. 片岡清一

    片岡委員 わかりました。  それで私は、この内容についてこれからお伺いしていきたいと思いますが、まず競馬会武田理事長さんにお伺いしたいのです。  中央競馬会とこの日本発馬機株式会社との関係についていろいろお伺いしたいわけでございますが、第一にお伺いいたしたいのは、発馬機というのはどういう機械なのか。テレビなどで私は見ておるわけでございまして大体わかっているのですが、この中央競馬の使用している発馬機の種類、台数がどうなっているのか。またその特徴といいますか、何か特別の仕掛けがあってそういう機械を使用しなければほかから融通してもらえないという関係にあるのか、その辺のことをお伺いいたしたいと存じます。
  8. 増田久

    増田参考人 技術的問題でございますので、私から答えさせていただきます。  競馬会におきましては、昭和三十五年からウッド式という発馬機を使っておったわけでございます。ところが、このウッド式発馬機は前と後ろにパイプがありまして、スタートの際にどうしても馬がややもするとひっかかるという危険がございまして、これを何とか改良しなければならないということが種々言われておりまして、四十五年から発馬機会社に研究を委託いたしまして、新しい機種の開発をお願いしておったわけでございます。  現在日本で使われております発馬機は、たとえば地方競馬では宮地式というものが使われております。これはなぜ中央競馬で使われないかと申しますと、重量が非常に重い。そのために、芝コースでございますのでそれは使えないという問題が一つあります。それからもう一つ枠数であります。枠数というのは出馬の頭数でございますが、それが中央競馬の場合、ダービーの場合は二十八頭も走るというようなことがあるのですけれども、その機械ではとてもそういう二十八頭も発走させるというようなことができない。そういうことで、どうしても多数連結できてしかも軽い、しかも確実にあく機械、こういうもので、四十五年から開発いたしまして、それが四十八年に完成を見た、それが現在使っております四八式発馬機、こういうことでございます。ほかのものに比べてそういう特徴がある機械でございます。  台数は、八枠制のものが十二台、十二枠のものが十二台、それから八枠の練習機が十二台、計三十六台でございます。
  9. 片岡清一

    片岡委員 そうしますと、やはりこれは特別のパテントがあるんだろうと思いますが、パテントによって特定の会社契約を結んでじゃないとなかなか競馬施行ができない、こういうものであると存じます。そういう関係からかということになると思いますけれども中央競馬会がこの発馬機株式会社出資をしておるというのはどういう経緯によってしておるのか、その理由、その状況等について伺いたい。
  10. 武田誠三

    武田参考人 私からお答えいたします。  お答えいたします前に、私ども業務関連をして、発馬機会社発馬関係仕事を請け負わせておりましたことに関連をいたしまして、このような世間をお騒がせするような事態が出来ましたことにつきまして、深くおわびを申し上げたいと存じます。  そこで、私ども発馬機会社の方へ出資をいたしておりますことにつきましての経緯を申し上げますと、この発馬機会社昭和四十年に設立をされたものでございます。その当時、先ほど増田参考人から申し上げましたように、ウッド式という発馬機を使っておったわけであります。これはニュージーランドの特許に係るものでありますが、それの日本における施行権野沢組が持っておりました。野沢組が持っておりましたものにかかわるウッド式発馬機を使っておったのでありますが、発馬関係業務、これは大変に勤務状態も技術的にも特殊なものがございますので、発馬機会社をつくってそこで一手に請け負わせる方が、いろいろな管理面その他から見て得策であるという判断のもと発馬機会社を設立したものであります。  当初は野沢組の方で全額出資をしたいというようなお話があったようでありますが、これにつきましていろいろ折衝いたしました結果、五一%を共栄商事株式会社並びにその関連個人、それから残りの四九%を野沢組並びにその関連個人という形で出資をするということに決まりまして、共栄商事株式会社中央競馬会関連をして設立されておりました会社でありますが、そういう持ち分関係スタートをしたものであります。  その当時、先ほど申し上げましたような発馬機につきまして、野沢組がいろいろと知識も豊富でありましたし、操作もやっておりましたので、発馬機会社執行陣におきましては、社長については共栄商事系といいますか、あるいは中央競馬会関連をした人、それから、業務執行陣である専務取締役については野沢組糸の人、さらに常務につきましても野沢組糸の方が入られたというようなことに相なっております。社長専務取締役が、いずれも代表取締役としての業務を執行するという形でスタートをしたのであります。  それがその後、五十二年であったと思いますが、共栄商事の方から、その株を持っておることについて必ずしも運営上配当その他も十分あるわけでもないし、譲りたいという意向もあり、かたがた私どもとしては、発馬機関係のことについてより直接に指導ができる体制をとった方がいいのではないかというような考えから、共栄商事の持ち株を全部中央競馬会の方で譲り受ける、こういう形で現在私ども発馬機会社株主ということになっておるわけでございます。
  11. 片岡清一

    片岡委員 時間が限られておりますので、なるべく簡単にお答えをお願いしたいと思います。  それでは、今度のだんだん問題になってきております契約金、その内容を見ますと、発馬機会社ダミー会社であるエス・イー・エスといろいろ契約をし、物を買い取っておる。そういうときに相当大きく水増しをして買い取っておる。そういうことがひいて中央競馬会との契約内容になると思いますが、何かその監督が十分でなかったために契約料金が少し甘かったというふうに言われておるように思いますが、その間の事情はどうなんでしょうか。やはりその発馬機会社に対して監督が十分行き届いていないというふうに思われるわけですが、その点事情を説明していただきたいと思います。
  12. 武田誠三

    武田参考人 片岡先生から簡単にというお話がございましたので、なるべく簡単に申し上げたいと思いますが、この契約請負契約に相なっております。それで、発馬機そのものが、先ほど申し上げましたようにきわめて特殊なものでございます。  そこで、この四八型の発馬機ができましたときに、これをどの程度の価格と評価をするかということにつきましてはなかなかむずかしい問題がございまして、鑑定人等意見を求めまして、それぞれの主要な部品あるいは全体としての評価等もしてもらったわけであります。したがいまして、そういった鑑定評価もとにいたしまして、また一部その他の補修用の器材につきましては、そもそもこの発馬機会社開発をした機械でございますので、発馬機会社が最も専門的な知識を持っておりますので、そちらの方から見積もりを出してもらいまして、かつまたこれは初めての機械でございますので、どのくらいの消耗といいますか、部品の取りかえが必要であるかということにつきましてもなかなか即断ができないということで、これについても発馬機会社を通じまして大体の見積もりをとりまして、それをもとにしてわれわれと発馬機会社との間で折衝をいたし、またわれわれの方もスタート関係職員等十分参画をいたしまして、結局この程度でまず初年度はやってみようということで、後ほどそれの実績に基づいて修正をするということで大体の見積もり額をつくりまして、それを各発馬機、どこで何回やるかということはわかりますから、一日当たりの単価を計算いたしまして、各競馬場での開催日数に応じまして発馬機会社請負金として支払いをする、こういう形をとったわけであります。そして五十一年になりまして、五十年の実績をチェックいたしまして、それに基づいてさらに五十一年以降の契約をしてきた、大体こういう経緯でございます。
  13. 片岡清一

    片岡委員 それでは、ひとつ今度発馬機会社代表取締役であられる三上参考人にお伺いしたいのですが、今回の事件告訴状内容によりますと、とにかく小山専務及び菅沼常務さんがダミー会社をつくって、そしてそのダミー会社から発馬機を購入し、そしていろいろな部品も納めさせておる。その段階において大分いろいろ水増しをしておる。その水増し状況が、告訴状によりますと相当大きなものである。二倍とか三倍とかいうものじゃなしに、十数倍といったようなかっこうになっておる。ことに五十四年の一月から五十四年の十一月までの発馬機契約について、大体六千七百万円支払えばいいものを三億一千五百万支払っておる。その間二億四千八百万円の水増しがあった、こういうことが書かれておるわけでございます。その他部品の納入についてもべらぼうな水増しが行われておる、こういうことでございます。  三上参考人は、去年の九月に競馬会理事から御就任になったようでございます。監督を厳重にするという意味で御就任になったと思いますが、おいでになりましてから今日まで相当の年数がたっております。この問題は、そういう大きな水増しがあるというならば、代表取締役としての間相当おわかりになっておったと思いますし、またおわかりになっていなければならぬと思います。そういう問題なら、専務及び常務のやっておることについて厳重な監督をなされ、指導をされるということは、内部の問題として当然のことと存じます。ところが、どうもそれがそのままほったらかしになっておったように私には思われる。そしていまになって大変大きな問題であるからこれはけしからぬ、こういうことで告訴をされた、こういうことでございますが、その間、私は三上参考人としてもやるべきことはおやりになっておったと思いますけれども、外部から見ますと、何かほったらかしになっておったような気がいたすのですが、その点納得のいく説明が得られたらありがたい、こう思う次第でございます。
  14. 三上泰知

    三上参考人 先生の御質問お答えする前に、今回の不祥事によりまして世間をお騒がせし、また関係方面に多大の迷惑を及ぼしましたことをここに謹んで深くおわびする次第でございます。  さて、先生の御質問でございますが、先生指摘のように、私は昨年の九月に発馬機会社社長として就任したものでございます。それ以前は競馬会におりまして、こういう仕事の担当はしておりませんでしたが、この発馬機会社に対する競馬会の見方というものはある程度承知しておりました。それによりますと、なかなかまじめな会社でよくやっておる、特に皆さん競馬場にお出かけになりまして競馬をごらんになりますと、当社の社員が制服を着てきびきびやっておるというふうなことでかなり好評を得ておった、こういうふうに理解をしておりました。  さて、今回の件でございますけれども、十一月二十三日、祝日でございましたが、当日の朝刊を見まして実は唖然としたわけでございます。そこで、早速私どもこの事実関係究明に取りかかったわけでございますけれども、その翌日の二十四日に新聞記者会見を持ちまして、私どもこの事件に対する姿勢を表明したわけでございますが、その時点まではまだこれだけのことが行われたなというはっきりしたものは十分にはつかんでおりませんでした。明けまして二十五日の日に、先ほど先生の御質問の中に名前が出ました菅沼常務に問い詰めました結果、この告訴状にあるような趣旨の自供を得ました。そこで、私ども急遽何かきちんとした裏づけになるものをということで、競馬会の御協力もいただきまして調査をやりました結果、先生質問の中にございましたような五十四年の一月から十一月までの間だけでも相当な額の水増し請求があり、またそれが請求どおり支払われて、ストレートに部品を購入しておったならば九千七百万程度で済んだものが非常に不当に社外に金が流出をした、こういう結果がわかったわけでございまして、会社利益を守るために、また株主利益を守るために、これ以上の調査は私どもとしては非常にむずかしい、またぼんやりしているうちに財産がどこかへ隠匿されるということがあっては困るということで急遽告訴に踏み切ったということでございます。  そもそも最初からそういう認識で私就任をいたしまして、早く言えば信頼関係ということに基づいて業務を執行しておりまして、その間にこれはどうかなという事務上のことはございますけれども、少なくとも今回の事件を予測させるようなことについては、私ども何ら感知することはできなかった。まことに不明を恥ずる次第でございます。
  15. 片岡清一

    片岡委員 時間がございませんので、きわめて大事な点だけをなおお伺いしたいと思いますが、いまの問題についても若干私はいろいろお伺いしたいのですが、次に、一番大きな問題でございます今回の事件で多額の使途不明の金があって、これが農林関係政治家に流れておるということが新聞に大きく出ておるわけでございます。この発馬機株式会社というのはいわゆる特殊法人ではございませんので、KDDのような会社とは違う。したがって、こういう会社から政治資金規正法に規制されておる段階における政治資金政治家に行っておったというようなことがございましても、それは何ら違法でもなければ問題でないと存じます。ところが、何か新聞に取り上げられて大きく出ますと、国民の皆さん方はまた何かややこしいことがあるのじゃないか、あるいはまた贈収賄関係でもあるんじゃないかという疑いを持って、これが政治の不信に非常に大きくつながっていくと思います。  それで私は、率直にお伺いいたしたいのでございますが、こういう事実があるのかないのか、こういう点をひとつ競馬会からと三上社長さんから簡単にお伺いしたいと思います。
  16. 武田誠三

    武田参考人 私どもとしては、いま先生からお話がございましたような国会議員の方へお金が流れたということは絶対にないと信じております。
  17. 三上泰知

    三上参考人 私もまた同様でございます。
  18. 片岡清一

    片岡委員 そうであればまことに問題ないし、これは政治道義上からも大変結構なことだと存じます。  そこで、もう時間がありませんので、一つお伺いしたいのでございますが、こういうことが問題になりましたので、日本発馬機専務常務告訴されたことによりまして、今後の業務執行、いわゆる競馬という大事な公の公務執行に支障が出てこぬかどうか、非常に心配になるのですが、その点ちょっと、あるかないかということを簡単にお答え願いたいと思います。
  19. 武田誠三

    武田参考人 これはそういうことが起こらないように、私どもとしてもできるだけの支援をしたいと思っております。現にこの事件が起こりましてから今日まで中山その他で競馬施行されておりますが、これは円滑に行われております。大丈夫だと思っております。
  20. 片岡清一

    片岡委員 それならもう一つだけ私はお伺いしたいのですが、もう時間が参ったようですが、昨日のサンケイ新聞によりますと、中央競馬会がこの発馬機株式会社に対して、多分ゲートの開発協力金というもののために三億七千万の融資をしておる。これは本来は目的外融資でありますので農林水産大臣許可を要する、こういうことになっておりますが、それを得ないで融資が行われておるということが新聞に出ておるわけでございますが、この経緯について農林水産省の所見を伺いたいと思います。
  21. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 中央競馬会から日本発馬機株式会社に対しまして発馬機開発関連をいたしまして協力金支出がある事実は御指摘のとおりでございます。この協力金につきましては、中央競馬会業務運営上必要不可欠な発馬機という機械につきまして、その発馬機を使って請負契約をしておる中央競馬会として機械開発協力をするという業務上の必要性に基づいて行われたもの、そしてこの協力金支出はいわば実質的には融資でございまして、一定期間は無利息でございますが、その後は金利をつけて、一定期間後には返済をされるべき支出ということになっております。そういうことで業務の一環として行われておりますので、中央競馬会支出予算に計上をされておりまして、その支出予算は全体として農林大臣が認可をするということで適正なものということで認めておるわけでございます。
  22. 片岡清一

    片岡委員 なお私はお伺いしたいことがあるのでございますが、もう時間が参りましたのでこれでやめますが、こういう事態はまことに農林省自体監督も十分でなかった、また中央競馬会発馬機株式会社に対する監督も十分でなかった、社長さんの三上さんももう少し事前に早く知っていただけばそういうことがなかったのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。それぞれの御関係方々がもう少し真剣にしっかりやっていただけばこういう事態が起きなかったのじゃないかというふうに思いますので、ひとつ今後一層自重していただき、これらの問題についてかような世間を騒がせるようなことの起きないように十分監督指導をお願いいたしたい、こういうふうに思います。それを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  23. 内海英男

  24. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、今回の日本発馬機不正事件発生以来連日連夜、この問題が単に日本発馬機一社の問題ではない、政府全額出資をしている日本中央競馬会の経営の乱脈の問題、そうした点とこれは不離一体関係にある問題であり、当然監督権を持つ農林水産省の重大な責任のある問題ではないか、こういうふうに判断をしていろいろ調査をしてきたわけであります。そうして見ますと、調査をすればするほど乱脈経営であり、利益隠しである、こういう実態がだんだんと明らかになってきているように思うわけです。私は、そういった点を具体的に指摘しまして、きょうおいで願いました中央競馬会理事長、副理事長あるいは発馬機三上社長からひとつ明確な答弁を願って、この真相を明らかにしたい、こういうふうに思うわけです。  競馬は、最近において非常に大きな一兆円産業と言われるようなふうに財政がふくれ上がって、いまでは総収入が一兆一千三百九十二億円。先ごろから問題になっております国際電電が五十四年度予算で一千三百八十三億というのから見ますと十倍近い予算を運用しているわけで、それだけにこの経営の衝に当たる者は真剣に取り組んでいかなければならないというふうに考えるわけであります。ところが、大変残念なことに、そうした一兆円からの国家の出資による予算を運用している中央競馬会が、その出資会社の経営監督の無責任さから内部において役員を告訴しなければならない、こういう告訴状を出さねばならない事態に立ち至った問題、こういう点について理事長はどういうふうに考えているか、そして、最初に、この日本発馬機の経営の乱脈は私ども調査をもってしてもその実態が明らかにできない状況にあります。  ここで、限られた時間の中で質問するわけでございますから、数字をもってひとつ端的にお答えを願いたいと思いますが、現在使途不明金は幾らであるか、それから日本発馬機に残額は幾らあるのか、この数字をひとつ中央競馬会の方から御答弁願いたいと思います。
  25. 武田誠三

    武田参考人 私ども関連をいたしております発馬機会社関連をしてこのような不祥事が起きましたことについては、私どもとしてはいままでの監督指導が不十分であったということについて深く反省をいたし、かつまた遺憾に思っております。これらにつきましては、今後の事態の判明に伴いましていろいろな意味で改善措置並びに自粛措置を講じてまいりたいというように考えております。  それから、いま先生からお話がございました使途不明金あるいは損害を受けた額といったようなものが幾らになるかということにつきましては、現実に発馬機会社の方で使用をいたしました部品の数量なり実際の単価というものが遺憾ながらわかっておりません。したがいまして、数字をもってここにこれが幾らということをお示しすることができないのは申しわけがないと思っております。  なお、使途不明金というようなことで税務署の方で処理をされたということは伺っておりますが、これにつきましては、私の方としては税務署の方からそれに関連をした数字を直接いただいておりませんので、これもまた直接お答えすることができないのは申しわけないと思います。
  26. 小川国彦

    小川(国)委員 大変無責任な話だと思うのです。あなた方が少なくとも五〇%出資をした会社である。しかも、日本発馬機社長それから常務取締役、監査役、少なくとも三名、この中央競馬会から派遣された役員がいる。野沢組から発馬機に来た役員が三人、半数の役員を送っていながらその会社の実態というものが国税当局によってしか全くわからない、こういうことでは一体その会社の派遣されていた役員や監査役は何をやっていたのか、こういうことになるわけであります。  そうすると、いまの理事長の答弁では、あなた方は使途不明金と言われるのは、いまの段階告訴状に出ているエス・イー・エスに対して三億一千五百万の金を払って、そのうち二億四千八百万の損害を受けている、これだけの事実しかあなた方の方は把握していない、こういうことになりますか。
  27. 武田誠三

    武田参考人 発馬機会社とエス・イー・エスとの間における一月から十一月までの、いままでわかりました金額が二億四千数百万、こういうことでございます。
  28. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、七億とも九億とも言われるこの使途不明金というものについては、皆さん方の方ではこの問題発生以来調査委員会を設けて連日調査を続けておられるようですが、いまだに使途不明金の額というものは、中央競馬会としてもあるいは日本発馬機としても、いずれも把握されていないのですか。理事長社長からそれぞれ答弁願いたい。
  29. 武田誠三

    武田参考人 これにつきましては、先ほど申し上げましたように、私どもとしては明確な数字をいまだ把握いたしておりません。
  30. 三上泰知

    三上参考人 目下解明を急いでおる最中でございまして、四十八年から五十三年までの間は大体こんなものかなという数字ですね。これは事件発生後直ちに税務署に対します修正申告書あるいは確定申告書、そういったもののコピーを手に入れまして——原本がなかったわけでございますからコピーを手に入れまして、それからはじき出していきまして、ほぼこんなものかなという程度の数字は現在握っておりますけれども、それはいわば隠し所得という形で課税の対象になったわけでございます。  そのほかに、五十四年度につきましては、告訴状に記載してございますあの数字がそれに加算をされる、そういう形で、輪郭としては、一部報道されましたような、大体あんな程度の数字になるんじゃないかな、しかし真相が果たしてそうかどうかということは、事実関係を一番よく承知しているはずの被告訴人が二人とも所在不明ということで、私どもとしては、そこに確認をするというすべが現在ではございませんので、その点は司直の手による解明を待って、私どもの受けました損害と申しますか、そういったものを解明したい、かように考えております。
  31. 小川国彦

    小川(国)委員 大体こんな数字とかいうことでは——国会の委員会で御答弁願うわけです。しかも、政府出資の団体が出資している会社ですから、新聞に出ておったとか、大体こんな数字ということではなくて、推定されているいまの数字をひとつ申し上げていただきたいと思います。
  32. 三上泰知

    三上参考人 四十八年から五十三年まで、ごまかしの所得が約六億、これは目下照合中でございまして、確信を持って申し上げられる正確な数字はまだ手元に持っておりません。それに先ほど申し上げました告訴状にございます五十四年分二億四千、これはまだ全部ではございませんで相当部分でございますが、それを足しただけで大体八億余という形になるわけでございます。これがいわばあったであろうと税務署の方で認定をいたしまして、それに対する課税、こういう措置がとられたわけでございます。そのほかにあるいは何があったのか、その点も調査の対象になるわけですけれども、私どもの現在の調査能力ではちょっとこれ以上は非常にむずかしいのではないかということで、告訴に踏み切りましたのも正確にお調べをいただきたいという趣旨もございます。
  33. 小川国彦

    小川(国)委員 いま八億四千万円という隠し所得プラスごまかし所得、そういうものが数字が出てきたわけですが、この金がどこに使われたか、これは皆さんが告訴された二人の役員だけで費消されたというふうにはちょっと常識では理解し切れない問題があるわけです。  先ほど自民党の質問に対して、政界への献金はない、こういうお話でありましたが、それならこの費用の中に中央競馬会に対する上納金とかあるいは地方競馬の中に日本発馬機が食い込むための地方の政界、官界、そういうところに対する工作資金、そういうことで持ち出された疑いもあると言われておりますけれども、その点、この金がそういう方面に使われたかどうか、その点はどういうふうに掌握されておりますか。
  34. 武田誠三

    武田参考人 中央競馬会の方へ上納金として使われたということは全くないというふうに考えております。
  35. 三上泰知

    三上参考人 告訴前に被告訴人の一人でございます菅沼常務に真相究明を行ったわけでございますが、その段階では、彼の言によれば、使途不明の部分についてはわからない、これは小山専務しかわからない、自分は承知しておらぬ、政界に対する献金とかあるいは競馬会に対する上納金とか、そういうことは自分はないと思うというふうなことを申しておりました。  私どもとしましては、現在までの社内調査ではそういった政治献金とかあるいは上納金とか、それから私ども中央競馬のみならず地方競馬についても請負業務を実施をしておるわけでございますが、そういう方面に対して多額の金が流れたというふうな形跡は発見できません。その点はむしろ司直の解明に期待をしたい、こういう段階でございます。
  36. 小川国彦

    小川(国)委員 先ほど武田理事長は上納金はないとおっしゃいましたけれども中央競馬会の中央あるいは末端の競馬場を含めて、そういうところの何らかの費用負担をさせておった、こういうことはございませんか。
  37. 武田誠三

    武田参考人 通常の盆暮れの贈り物みたいなものはあったかもしれないと思いますけれどもお話のような私ども職員等が自分で負担すべき費用をここに負担させるというようなことはないと信じております。
  38. 小川国彦

    小川(国)委員 この点はまだ相当な問題点が残っておりますけれども、次に移らしていただきます。  発馬機補修機材使用報告書、こういう用紙があるのですけれども、これを理事長あるいは副理事長競馬会の役員の方はごらんになったことがありますか。
  39. 増田久

    増田参考人 見たことはございます。
  40. 小川国彦

    小川(国)委員 これはいつから競馬会で採用なすったわけですか。
  41. 増田久

    増田参考人 先ほど武田参考人から申し上げましたとおり、五十年度にどのようにして実績をチェックするかという一つの方法として五十年度から始められたというふうに記憶をいたしております。
  42. 小川国彦

    小川(国)委員 それで、これは三枚一組になっていますけれども、これはどういうふうに仕分けるようになすったわけですか。中央競馬会としてこの三枚をどういうふうに仕分けしてチェックするか、この補修機材の請求書ですね、この報告書で請求書の裏づけになるデータですね。
  43. 増田久

    増田参考人 その三枚とも、一部はたとえば「競馬場殿」となっておりますけれども、現実の扱いは、これは三枚とも発馬機会社に渡されていたというのが実態でございます。
  44. 小川国彦

    小川(国)委員 ここに競馬会の重大な無責任さの問題があると私は思うのですよ。先ほど理事長の答弁では、昭和五十年から従来のウッド式から四八式に発馬機機械をかえた。そして初年度はどのくらいいろいろな部品の取りかえで補修費がかかるかというのでチェックをして、そしてこういう報告書を出させる。これを三枚のコピーにして、そして本来ならこれを一部は競馬会がとって二部を発馬機がとって、しかも報告書にはちゃんとサインの欄があるのですね。私実物のコピーを持っておりますが、この実物のところにはちゃんとサインの欄があって、ここに競走員ですか、それぞれやる。一日一番やる場合は三会場でやる。一会場にはスターター台のそばに三人の競走員が行く。その人の確認がなければ発馬機部品を取りかえてはいけない、こういうことになっているわけですね。ですから、発馬機のこの部品発馬機の人間が取りかえたいというときには、その中央競馬会から派遣している競走員がそこに、これはかえてよろしいというサインをして、そして初めてこの伝票が積み上がっていくわけです。積み上がった伝票に総額の請求書が添えられて初めて中央競馬会がその金を払う、これが常識だと思うのですね。ところが皆さんの方は、その伝票を三枚とも全部発馬機にやってしまっていたんですね。これでは中央競馬会としては何ら補修機材の請求書について——請求書が一枚来たら金を払うということになってしまうわけですよ。請求書の裏づけが、どういう伝票がたまって請求書になるのかというのが、これは世間の常識ですよ。そういう世間の常識を踏まえずに五十年から五十一年、五十二年、五十三年、五十四年と、五年間もこういうような形で、相手が請求書を持ってくれば金を払う。飲食に行っても、料理が幾らで酒が何本出てと、ちゃんと細かい明細書を持ってくるわけです、細かい飲食でも。まして皆さんの方は補修機材費は、四十九年までは五千五百四十万円だったものが五十年には一億五千四十万に三倍になって、五十一年には二億八千八百七十万になり、三億一千七百二十万になり、五十三年は三億五千万ですよ。年間の中央競馬会発馬機の取引は十億三千二百万、このうちの三五%を占める三億五千万のこの機材費の請求に対して、あなた方はその伝票を一遍も調べずに、そうして請求書のまま金を払っていた。だから先ほど問題になったように、こんな多額の金が行方不明金で出てくるというのは当然じゃないですか。これは理事長、この責任をどういうふうに考えますか。単に告発して、告訴したから済む問題じゃないですよ。国際電電と同じじゃないですか、このやり方は。盲判を五年間押してきて、こうした重大な損害を与えた責任というのは、これは中央競馬会が重大な責任を負うべき問題だと私は思いますが、理事長農林省責任者にひとつ答弁を願いたい。
  45. 武田誠三

    武田参考人 ただいま先生お話がございました発馬機会社においてどの部品をどういうふうに取りかえたかということにつきましては、取りかえた部品についての数量的なチェックをスターターがした、その書類がずっと回ってきて集められて発馬機会社からわれわれの方へ提示されるという仕組みになっておったわけでございますが、その間に発馬機会社の方でいまの書類を全部偽造をいたしまして、われわれの担当官の方に提示をした、その際に十分なチェックが行われなかったということについては、その間の仕事の粗漏さがあったということについて深く責任を感じております。これについては、ただ、いわゆる先生お話のような数量単価が入ったものではなくて、これだけのものが取りかえられたということについてのチェック伝票といったものでございます。これにつきましては、私どもとしては発馬機がきわめて正確に作動をいたしておりましたし、両方の会社に対しても十分な信頼を持っておりましたために、その間のチェックが必ずしも十分ではなかったということについては深く責任を感じております。
  46. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 先ほども申し上げましたが、今回の事件発生を見たことにつきまして、監督官庁たる農林水産省としても非常に残念に思って深く反省をしておるところでございます。  農林水産省といたしましては、毎年度中央競馬会業務が適正に行われるよう法令に基づく業務検査を実施してまいっておりまして、その業務検査の中で諸契約が適正に行われるように必要なチェックをし、また指導もしてまいってきておるところでございます。  今回の事件につきましては、現在のところまだ全貌は必ずしも明らかではございませんけれども、これまでの事実に徴しますと日本競馬会日本発馬機株式会社との取引について疑問を提出しなければならぬ事実があるように考えられます。  その取引につきまして考えてみますと、発馬機というのがきわめて特殊な機械で適正な単価がなかなかむずかしい、不正経理が巧妙に仕組まれていたということから、残念ながらそのような事実が発見できなかったことはまことに申しわけないと存じております。
  47. 小川国彦

    小川(国)委員 農林省には競馬監督課というのがあるのですが、あなた方はこの出資をした事態については認めているわけですね。発馬機競馬会出資した事態は認めている。競馬会の予算も毎年認めてきている。これは農林省としても重大な責任があると思うのですよ、こういう放漫経営を中央競馬会にやらせてきた責任が。  それから、理事長の答弁で明確ではないのですが、この五十年から行われたこうした伝票偽造ですが、私の調査したところでは、地方競馬場の方がきちんとサインをした伝票を全部発馬機に上げていますね。ところが、この五年間というもの日本発馬機は、この三通上がってきたやつは自分のところへ全部上がってきちゃってるんですから、中央競馬会には一部もないのですから、これは自由に改ざんできるわけですよ。ですから、競争員の三文判を全部こしらえて、最低九個だそうですよ。人がかわると変えて、こう全部押して、それを持って、皆さんが予算査定のときに部品代幾らだと言うと、その偽造したやつを全部持っていった、そういう形ですね。それには皆さんも五十年の発足当初には競争員にこれにサインするようにという制度を一遍とったんだと思うのですよ。それが末端の競馬場でいつの間にかごまかされて、そういうものが中央へ上がってこなくなった。そこに一つ疑点があるわけです、そういう上がってこなくなったことに。  それからまた、中央のこことの契約担当者がいつの間にか伝票の確認を不十分なまま、こういう偽造されたやつで、いわば請求書で、伝票も一枚も確認してこなかった。この五年間の担当理事はだれになるのですか。担当部はどこになるのですか。担当課はどこになるのですか。五年間盲判を押してきた担当者はどういう理事で、どういう部長で、どういう課長であったのか。それを理事長からちょっと答えていただきたい。
  48. 増田久

    増田参考人 当時の五十年の理事は來正理事であったと思います。経理担当をしておられたと思います。それが五十二年までだったかと思いますが、五十二年までは來正という理事が担当いたしておりました。
  49. 小川国彦

    小川(国)委員 理事長、こういう重大な損害を中央競馬会に与えた、国の特殊法人に与えたそういう責任者に対しては、こういう五年間にわたる怠慢の担当役職員ですね、これに対して、こういう事実が明らかになった場合、その責任の処置はどういうふうにおとりになりますか。理事長を含めてひとつお答え願います。
  50. 武田誠三

    武田参考人 事実がはっきりいたしました段階において慎重に検討いたしたいと思っております。
  51. 小川国彦

    小川(国)委員 こんな答弁で納得できませんですよ。慎重にじゃないです。あなたはもう五年間偽造された請求書で金を払ってきた、そういう事実を認めているわけでしょう。請求書だけで伝票一つ確認しないで予算を毎年決めてきた、そういうことを慎重になんてことじゃなくて、厳正に処分するという態度がなかったら、国の特殊法人の最高責任者として務まりますか。もう一遍答弁してください。
  52. 武田誠三

    武田参考人 事実関係その他を十分明らかにいたしました上で、それに応じた処置はせざるを得ないものであろう、もう当然であるというふうに考えております。
  53. 小川国彦

    小川(国)委員 農林省、この問題についてどういうふうな責任のとらせ方をしますか、これはあなた方も含めて。
  54. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 監督立場にある農林水産省といたしましては、競馬会における適正な措置がどのようにとられるかということを十分見きわめ、必要があれば必要な指導を行っていきたいと思っております。
  55. 小川国彦

    小川(国)委員 こんなことで審議できないですよ。こういう不正な事実を、五年間もそんなでたらめなことを競馬会がやってきて、そういうことが明らかになった時点で処分を明確にしない。厳正な態度で臨むくらいの気持ちがなかったら、こういうようなごまかしを認めてきた体質がこういう事件を引き起こしているわけですよ。その点について、私はとてもこれは納得できる答弁ではございませんから、委員長の方で、さらに理事会でも検討していただいて、これに対する処置をひとつ明確にしてもらいたいと思います。  それから次に、こういう形で日本発馬機が今日の事態に立ち至ってきているわけですが、先ほど理事長は、この会社に対して今後また再建のためできるだけ支援したいということなんですが、さっき言ったように日本発馬機には相当な行方不明金があって、それからエス・イー・エスというトンネル会社から二億五千三百万円の借金があって、それから加えてもう一つ、五十三年の確定申告で見ると、中央競馬会には二千万円の黒字で報告していますが、税務署へ提出した国税庁への書類ですと二百三十七万円の赤字になっている。日本発馬機自体は五十三年十二月いっぱいの決算で二百三十七万の赤字がある。そこに二億五千三百万の借入金もある。それから政府からの借入金もある。こういうことになると、この会社は五億円余の借金を抱えて倒産せざるを得ない状態に追い込まれておりますが、これを支援しようということになるわけですか。理事長に答弁してもらいたい。
  56. 増田久

    増田参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、この四八式発馬機というものは他にいまのところかえがたい機械でございます。したがいまして、これを使うということはどうしても前提とせざるを得ない。そういたしますと、人との問題も絡み合わせまして、この会社を正すべきことは正し、取るべきものは取りますけれども、そういうことと別に再建すべきものは再建する、援助すべきものは援助するという姿勢で臨みたいと考えております。
  57. 小川国彦

    小川(国)委員 あなた方は八億四千万の使途不明金を出させ、それからまた五億円の負債を抱えさせ、いずれもあなた方の指導監督のだらしのなさからこういう事態を引き起こしておりながら、それでもなおかつその発馬機が必要だから何とかしなければならぬ。こういうでたらめな経営を埋め合わせだけしていればいい、結局金が余っているから、こういうことにけじめをつけないでどんどん金だけつぎ込めばいい、こういう考え方になってくると思うのですよ。金さえあれば何でも解決する、そういうやり方で国の特殊法人を運用されては国民はたまったものじゃない、こういうように思うのですが、そういう点はさらに今後の同僚議員の追及にゆだねたいと思います。  次に、私は、皆さんの日本発馬機への貸付金からさらに調査を進めている中で、皆さん方中央競馬会がさらに全国の競馬券の発売所に対して大変な貸し付けをしている、こういう実態が調査の中で明らかになってきたわけです。それで見ますと、あなた方のこの貸付金は、一番大きいところでは後楽園の場外馬券売り場に四十七億五千万円。これは第一、第二の二つの本館、別館という発売所、私先日見てきましたけれども、この建物に対して建設費の二分の一ということで四十七億五千万。それからまた札幌の中央競馬場の場外センターに二十二億五千万。それから巽興業というところに十億。それから大永紙通商というところに一億一千万。全国の場外馬券売り場に総額で百四十五億三千二百万という金を貸しているわけです。しかも、これは五年間から長いのですと十年間据え置きになって、この間は無利息、無利子。それから十年償還ということで、利息が二%から五%。五%というのは一社で、あと全部二%ですね。こういう低金利でしかも長期間据え置くというのは、私はあなた方の利益隠しじゃないかというふうに思うわけですが、本来いろいろなビルを借りて場外馬券売り場をつくるのなら、それは権利金とか保証金というものを払うのならわかりますよ。こういう五年間も据え置いて、複利計算でいくと、十億のものは五年間たつと十五億になるそうですよ。二十億の建物をつくったときに十億の金を貸してやったら、五年間据え置いているうちに利息で五億になったら残額はもう五億になっちゃうわけです。  ところが、後で言いますが、そこにまたあなた方の払っている家賃がべらぼうに大きいわけですね。後楽園などは全部で四十七億五千万の金を貸して、大体九十億くらいの建物をつくって、その家賃が年間二十億です。ですから、三年か四年たったら、その建物の建設費を全部回収できるということになってしまう。これは大変な利益隠しではないかというふうに思うのですが、こういう貸付金は一体どこから、どういう費目から皆さんお出しになっていたのですか。この支出の費目と収入の費目をまず明らかにしていただきたい。
  58. 増田久

    増田参考人 予算上は事務諸費の中の目であります建築協力金から支出しております。
  59. 小川国彦

    小川(国)委員 建築協力金というのはわかっていますが、これはあなた方がつくった言葉で、私は貸付金だと思っているのですが、この貸付金の大きな款、項、目での費目です。それはどこから出しているかということです。
  60. 増田久

    増田参考人 款は業務管理費、それから項は事務諸費、そのうちの目の建設等協力金でございます。
  61. 小川国彦

    小川(国)委員 この中に宏和という会社が出てまいります。これは大阪の西区土佐堀、株式会社宏和というところに四十九年三月に五億円、それから九月に五億円、合計十億円の金を無利息で貸しております。これは場外馬券売り場の建設資金として貸されたようでありますが、いまだに建物が着工されてないわけです。着工されてない建物に、もう建築費の一部に相当する十億円の金を昭和四十九年から貸し付けているわけです。しかも、その場外馬券売り場はいまだに一坪も建設されていない。そうすると、四十九年から五十四年の今日まで考えてみますと、預金をしておいても約一・六倍に複利計算でまいりますとなっている。そうすると、この宏和という会社は建物を何もつくらないで建物の建築費の半分というのを貸し付けてもらって、十億円を貸し付けてもらって、それでもうその金を積んでいるだけで六億円近い利益を上げていることになってしまうわけですね。何で一体こういう実体のないところにまで金を貸し付けるのですか。
  62. 増田久

    増田参考人 昭和四十八、九年におきましては、私どもは、大阪地区における場外売り場というものが不足しておりまして非常に問題がございましたので、どうかして整備いたしたいということを計画しておりました。そのときにその一環として、宏和が土佐堀というところに土地を持っておりまして、そこに場外馬券売り場を建てるということでございました。それで、しかも隣にさらに五百坪ばかりの土地が残っておる。しかも、この地元の関係も非常にいい。それでもう即刻に建つ見込みだということで調査いたしましたところ、そういうことが十分可能であるという判断をいたしまして、四十九年に二回にわたって土地購入代も含めて十億円、協力金として出したわけでございます。ところが、見込み違いが若干ございまして、急遽地元の反対運動が起こりまして、現在に至っても好転する兆しはない、こういうことでございまして、もはやここの土地にはことしは建たない、ここには建たないということを私どもの方も腹を決めまして、本年の六月、宏和に対しまして直ちに全額返済するよう催告をいたしております。これに対しまして、向こうの方から東京簡易裁判所に調停の申し立てがあって、現在調停が行われているわけでございまして、向こうは何らか返済期の猶予を見てくれ、それから支出経費の協力金から控除してくれというようなことの願いであるようでありますけれども、われわれとしては、いま先生のおっしゃったようなことも含めまして、断固返済してもらうということで現在訴訟をしておる段階でございます。
  63. 小川国彦

    小川(国)委員 断固返してもらいたいと言葉はかっこういいのですけれども、十億円もの金をあなた方が、その場外馬券売り場ができたところに権利金とか、私の言うように保証金として払って、そして借りて設備をするならわかるのですよ。そうじゃなくて、土地を買ってこれから上物をつくる、海のものとも山のものともつかないところにいきなり十億円の金を貸してしまって、できなかったから今度金を返してくれと言ったって、これはそう簡単に返ってくるはずはないわけです。出す時点でこういうものはもっと慎重に考えなければならないと思うのですが、建築協力金というのですか、この貸し付けは、一体どういう考えでこんな貸し付けをやっておるわけですか。
  64. 増田久

    増田参考人 ちょっと宏和のことに触れますけれども、私の方は担保を十分押さえておりますから、取り返すことは十分できると確信をいたしております。  それから、協力金でございますけれども先生は先ほど保証金とおっしゃいました。まさにこれは保証金に当たるものでございます。現在ビルのテナント等におきましては、通常の例といたしまして一番多いのは六割から七割保証金として取る。それで据え置き期間も普通最も多いのが五年ないし十年、金利も一・八%というのが最も頻度の多い例になっておるわけでございます。そういうことで、われわれも場外発売所という特殊な、他に転用のない建物をつくっていただくわけでございますから、その保証金としては、本来ならばもっと高く払わなければならない性質のものであろうかと思いますけれども世間通常並みに五〇%、それで五年ないし十年の据え置き、二%の金利ということで処理しているわけでございます。
  65. 小川国彦

    小川(国)委員 これは世間の常識から考えても非常に常識外れな考え方なんです。保証金とか、そういう名目できちんと出すならいいのですが、あなた方がこういうふうに五年も据え置いて、しかも返還が始まるのは六年から先なんです。しかも、私が申し上げたように、家賃と両方合わせるともう三、四年で元を取ってしまう、相手にとってこんなありがたい商売はないわけです。ですから、場外馬券売り場を少なくとも契約しようというなら、土地、建物が確保される見通しが十分立っているところに金を貸すのならいいのですが、そういう見通しがないところに五年間も貸しておいて、その利息分を考えただけでも五、六億になるわけですね。あなた方はその返還訴訟を起こすと言えばそれでいいかもしれませんが、そういうことで解決する問題ではないと思うのです。これはある意味では利益隠しのために、現在上がってくる利益をあなた方は隠すために五年先にまで据え置いて、それから十年がかりで返せばいいということで、利益をこういう会社にばらまいてきたというふうに受け取らざるを得ないのですよ。端的にあらわれたのがこの宏和の例だと私は思うのですね。実体のないところに金を貸しちゃって、そして取り返しがつかない。理事長、これはあなた方の重大な責任問題だと思いますが、理事長は一体この焦げついた金について、これも国の特殊法人に大変な損害を与えている問題ですから、どういうふうにこの問題をお考えになりますか。どういうふうに責任をお感じになりますか。
  66. 武田誠三

    武田参考人 増田君からお答えいたしましたように、建設協力金というのは、いろいろなビル等を建設いたしますときに、一般的に保証金と言われるものが建設協力金とか、いろいろな別の名前で呼ばれておる場合があるようであります。私どもの取り扱いもそれと同じ考え方でやっておるのであります。  宏和の問題につきましては、先ほど申し上げましたような段階にいまございまして、これについては全額を回収するという考え方のもとに措置を  いたしておるわけでございます。
  67. 小川国彦

    小川(国)委員 この貸し付けに当たって皆さんの方は建設資金の半額を貸すということでやっておりますけれども、この建設費について、場外馬券をやっておる、たとえば後楽園とか東京楽天地とか京阪神不動産とか、こういうところと建設会社契約を結んでいるその契約書を確認して二分の一の貸し出しをしておりますか。
  68. 増田久

    増田参考人 オーナーと関係ないあるいは建築会社関係ない設計業者等に依頼いたしまして、わが方と協力して厳重に監査しております。
  69. 小川国彦

    小川(国)委員 いま厳重にやっていらっしゃるということでしたけれでも、あなた方の方に建築会社とこれらの場外馬券会社との間に結ばれた最終的な契約書は書類としてございますか。
  70. 増田久

    増田参考人 契約書はとってあります。
  71. 小川国彦

    小川(国)委員 見積もり書ではございませんよ。見積もり書ではなくて、契約書も、幾ら幾らで契約しましたという一片の文書ではなくて、どういうところにどういう工事費がかかって、最終的にこれだけになったという建築会社と場外馬券会社との契約書が全部そろったもの、それぞれの貸し付け企業を決定するもとになる総建設費が明らかになってくるその契約書、そればございますか。
  72. 増田久

    増田参考人 ございます。
  73. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、あなたのところの経理部長は私にうその報告をしたことになりますね。あなたの方の経理部長に私がこの事情を尋ねたときには、まず見積もり段階ではあなた方の建築設計事務所がつぶさにやる。しかし、最終的な建築会社と場外馬券会社との間でつくった請負契約書については、金額が幾らに決まったという一片の通知の報告書をもらうだけで、その契約書はない。そこに経理部長さんいらっしゃいますから、ちょっとその辺を明確にしてもらいたい。あなた方の方では契約書全体はない、こういうことを経理部長さんは私に報告してきているのですが、その辺ちょっと明確にしてもらいたい。
  74. 増田久

    増田参考人 経理部長は、そういうことを発言したことはないということでございます。
  75. 小川国彦

    小川(国)委員 これは一緒に立ち合った証人もおりますからあれですが、それは恐らく私どもに対して書類を提出したくないためにそういうごまかしの発言をしてきたのじゃないかというふうに私は思いますよ。あなた方の内部の、そういうふうにうそでできるだけ何かを隠そうとすることがこういういろいろな問題を引き起こしていると思いますが、私は数名の私の秘書と一緒にこれを尋ねた中で確認していることですから、そういう点は今後また明らかにしていくことにしたいと思います。  いずれにしましても、あなた方の経理関係をずっと見てまいりますと、いずれも、今日までの余剰金の運用の問題あるいはこうした関係会社への貸し付けの問題、そういう問題についても農林大臣には真相をできるだけ知らさないように、一般にはわからないように、そういう形で問題を処理してきた感じが非常に強いわけです。そして皆さんが株式取得をしている日本馬匹輸送、日本トータリゼータ・日本発馬機・こういうところの株式取得についても、昭和三十一年から四十四年までは、たとえば日本馬匹輸送に三十一年三百万円出資をするときには余裕金で処理をする。三十二年に六百万出すときも余裕金ということで処理する。四十四年の増資も余裕金で処理する。ところが、五十三年から千八十万という多額の金を出資するときには固定資産という名目に変えてしまった。それから日本トータリゼータについても昭和四十三年には二千五百万円の余裕金という科目の中から出していた。ところが、五十三年に富士通から株を取得するときの五百万円は、固定資産から今度は出してきている。日本発馬機の五十二年における二百五十万の株の取得についても固定資産からということになってきている。私は、これは一つの経理のごまかしではないかというふうに思っているわけです。というのは、日本中央競馬会法という国の定めている法律によってまいりますと、余裕金ということになりますと、余裕金の運用は中央競馬会法の第二十五条でいきますと、「競馬会は、左に掲げる方法以外の方法によって業務上の余裕金を運用しようとするときは、農林水産大臣許可を受けなければならない。一 金融機関への預金 二 国債その他省令で定める有価証券の保有」、これ以外のときには全部農林大臣許可を受けなければならない、こういうふうになっているわけです。ですから、あなた方が子会社をつくったり増資をしたりしていくときに余裕金でやるとするならば、明確に農林大臣許可を受けなければならない。ところが、日本発馬機の場合のように固定資産という形で金を出していきますと、これは余裕金という形で明確な条項に基づいた農林大臣の承認ではなくて、あなた方の言うように、予算書の中に入っていたから農林大臣はそれで認可したのであろう、こういう勝手な解釈をつくって、余裕金の本来の考え方というものをねじ曲げてやってきたというふうに私ども理解せざるを得ないのです。こういうことが結局農林大臣がそうした中央競馬会が株式を取得した会社に対してもきちんとした監督ができないような状況になって、今回の日本発馬機のような事件を引き起こしてきている、こういうふうに思うわけなんですが、余裕金というのは流動資産です。一般の会社のあれでまいりますと、こういう子会社をつくったときは関連会社の株式取得状況ということできちんと報告書に載っている。ところがあなた方は、その他の固定資産の項目の中に入っているからということで、これをごまかしてきている。こういうやり方が今日の問題を農林省監督においても不十分にせしめたというふうに思うわけですが、農林大臣がきょうばいないので畜産局長に伺いますけれども、こういう余裕金から固定資産に変えたというやり方をあなた方は是認してきたのかどうか、その点をひとつ農林省の方から伺いたい。
  76. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 予算編成の当初の時点におきまして出資の予定が明らかな場合には、予算の上で出資ということで認可をいたしております。ただ、年度当初には明らかでない、途中でその必要が生じた場合の処理といたしましてそのことが起きることがほぼ予測される場合には、さしあたって事務諸費の中で支出をするということを事前に了解をして予算を実行し、取得した後はその出資金につきましては資産に計上するという処理をしてきておるというふうに承知いたしております。
  77. 小川国彦

    小川(国)委員 ただ、農林大臣の権限としてこういうような形で今後余裕金じゃなくて、その他の固定資産なんというような項目の中に出されてきた場合、農林大臣が明確にこれらの株式取得の実態というものを把握していくことは困難じゃないか。競馬監督課にしてもそういう実態を把握できないからこそ、今度のような問題に対して一体競馬監督課が何をしてきたのか、こういう責任を問われざるを得ないわけですよ。あなた方が余裕金で認めたのじゃないのですよ。固定資産なんかで認めた出資金が、こういういいかげんな会社をつくらせるから、結局こういう不始末を起こしたわけで、これは中央競馬会責任と同時に、あなた方がこういうでたらめな、大臣の明確な承認を経ないような経理処理でやらせてきたからこういう不祥事が起こってきているわけです。これは私は、農林省中央競馬会とぐるだ、こう言わざるを得ないのですよ。こういうように政府の権限、政府出資した特殊法人というものを明確に監督できるようなこの中央競馬会法を空文化していくというようなやり方を農林省が一緒になって認めてきている。そうでしょう。従来の出資は、日本馬匹にしてもトータリゼータにしても全部余裕金でやってきているのですよ。これらは途中で取得したものもありますよ、この余裕金の中には。取得したのがあるのじゃないですか。
  78. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 農林水産省としては、競馬会に対し業務並びに経理の適正な実施について監督をし指導してまいったつもりでございます。  それで、ただいまの件につきましては、予算の執行それ自体につきまして御指摘でございますが、農林省といたしましては決算書の提出を求めておりまして、財務諸表におきまして、貸借対照表上それが資産に計上されるということを確認をいたしておるわけでございます。  なお、今回の事件関連をいたしまして私どもといたしましては、競馬会と取引関係あるいは出資関係のある会社等との関係につきまして公正な取引関係が維持、形成されるように厳正にやってほしいという旨の通達を十一月三十日に発出をいたしておりまして、さらに厳正に適正に経理の執行が行われるように努力をしてまいりたいと存じております。
  79. 小川国彦

    小川(国)委員 通達だけで解決できる問題じゃありませんが、もう若干同僚議員の時間をいただいていますので、最後に、この中央競馬会の今日の財政収支の状況を短期間に精力的に取り組んでやってきた中で、非常に複雑怪奇でわかりにくくなっている。いろいろな費目の出し方が、あるときは開催費から出たり、あるときは事業費から出たり、あるときは雑収入に入ってきたり、まさに伏魔殿のような経理処理になっているのですね。それがこういう不祥事をこれからも起こしていくのじゃないかというふうに私は思うのですが、こういう中央競馬会法に基づく経理処理について、経理処理を明確にしていく経理細則というものは中央競馬会にあるのですか。
  80. 増田久

    増田参考人 あります。それに従って厳正に処理をいたしております。
  81. 小川国彦

    小川(国)委員 それじゃその経理細則を直ちに当委員会に提出していただきたいと思います。それに基づいて私はさらに今後の審議を進めたいと思います。  委員長からその経理細則の提出を……
  82. 内海英男

    内海委員長 増田参考人、出せますか。
  83. 増田久

    増田参考人 後ほど提出いたします。
  84. 内海英男

    内海委員長 出せますと答弁しました。
  85. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは、以上で終わります。
  86. 内海英男

    内海委員長 柴田健治君。
  87. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 参考人の御三方御苦労さんでございます。  先ほど来から同僚議員の質問に答えていただいたわけでありますが、まず武田参考人にお尋ねしたいのですが、今度の事件についてこれからの改善策をどうするのかということをまず聞きたい。発馬機との関係を断ち切れるものかどうか、この点の見解を聞いておきたい。
  88. 武田誠三

    武田参考人 先ほど増田君からもお答えをいたしましたように、現在の競馬施行してまいりますために四八型の発馬機はどうしても使用せざるを得ない機械でございます。したがいまして、いまの段階ではこの発馬機会社を健全に再建させまして、従来のような形で発馬機会社を使ってまいりたい。もちろん正すべきところは正した上でありますが、そのようにいまの段階では考えております。
  89. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 発馬機三上社長にお尋ねしたい。  発馬機とエス・イー・エスとの関係なんですが、発馬機会社の定款とエス・イー・エスの定款の事業内容はほぼ同じなんです。それで発馬機会社からエス・イー・エスに出資しておる。そうすると、自分のところの会社の事業内容と同じような事業内容を持つ会社になぜ出資したのか、その点の見解を聞きたい。
  90. 三上泰知

    三上参考人 当社、発馬機会社の定款、事業目的とエス・イー・エスの定款による事業目的とがほぼ一致しておることは、今回の事件発覚後、調査によりまして私ども承知しております。その出資関係につきましては、発馬機会社がこの株式会社エス・イー・エスに出資をしたという事実は、私は承知しておりません。当社の専務取締役常務取締役、いずれも両名被告訴人になっておるわけでございますが、これらが個人的に増資に応じて出資をした、そういうふうに理解をしております。
  91. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 三上社長は、このエス・イー・エスの会社の中身は全然知らなかったと言うのですか。
  92. 三上泰知

    三上参考人 事件が起こりまして、私ども調査するまでは全く存じておりませんでした。
  93. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 私は三上社長を責めるわけではないけれども、小山、菅沼という二人がやった、知らなかった、それは世間には通らないと思うのです。一般社会にはそんなばかな答弁は通らないと思うのです。いやしくもあなたは社長として発馬機の定款に基づいた事業内容を忠実に守らなければならない、遂行しなければならない責任があるわけです。それを重役の小山さんでもみんなあなたのグループで、重役がまた別の同じような事業内容会社出資しておっておれは知らなかった——結果的には発馬機会社を完全に空洞化するような陰謀であったのか。どうしてもエス・イー・エスという会社が必要になったのか。きのうきょう始めた取引の会社ではないのだから、あなたは事件が起きてから初めて知ったなんというのは、こんな無責任社長日本にはいないのじゃないですか。その責任はどうですか。
  94. 三上泰知

    三上参考人 いまとなりましてはもう先生指摘のとおりでございまして、こういうことは常識では全く考えられない。私もその点につきまして不明を恥ずるほかないわけでございまして、十分に責任は感じております。その点については、私には、あるいは私のほか競馬会筋からこの会社に参っております者には、一切すみからすみまでが秘匿されておったのが調査の結果今回わかった事実でございます。
  95. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 先ほど小川委員からいろいろ細かい点に質問があったわけでありますが、小山さんというのがどんな悪質な人か知らないけれども法人として定款もあり、それに対して収支の計算書、決算書いろいろある、試算表というものが出てくるわけですから、発馬機社長としてもう少し権威ある、そして専門的に勉強していくならば、こういう事件は起きなかったであろうと私は思います。  それから、武田理事長に聞きたいのですが、競馬会の方は全額国の出資であり、そして競馬会の方から発馬機の方へ出資しているわけですね。発馬機から重役が——個人であろうと何であろうと重役には間違いないのだから、重役としてそういうエス・イー・エスの会社をつくった。全部一連的な関連を持っている。われわれ社会通念上から言うと、競馬会発馬機もエス・イー・エスの会社も、三者一体となって陰謀的にやった、そう受けとめざるを得ないのですが、その点の考え方を聞かしていただきたい。
  96. 武田誠三

    武田参考人 だまされておってなっとらんというおしかりを受けるかもしれませんが、私どもといたしましては発馬機会社からの決算書その他を信用いたしてまいりまして、このようなからくりが行われているということについては全く存じませんでしたので、その点については株主としてあるいは発馬機会社を利用しておった者として深く責任を感じております。
  97. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 私は武田理事長がそういう答弁をするのを不思議に思うのですよ。あなたの歩んだ道というものは、農林省では事務次官として最高の地位にあった。長年農林省にお勤めになって、行政の最高責任者、権威者である。やめられて今度、農林漁業金融公庫の総裁として金融の専門家である。だから経理には非常に詳しい人だった。そして今度競馬会理事長として——天下り人事といえばそうだけれども、あなたの歩んできた経過から見ると、そうした財政金融そしてまた経理については専門家だとわれわれは見ている。それを信用しておったからだまされてわからなかったというのは、余りにも不見識だと思うのですが、その点のお考えはどうですか。
  98. 武田誠三

    武田参考人 先生からの御批判はそういうことであるかもしれませんけれども、現実問題として私も発馬機会社の決算書は正しいものというように下からの説明でも受けておりましたし、形式的に決算書それ自体を連年見てみますと、いずれも正しくつじつまは合っておりますし、それ以上の追及をするだけの疑念を私としては全く持っていなかった、こういうことでございます。
  99. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 発馬機社長三上さんにお尋ねしたいのですが、農林議員五名という数字が具体的にマスコミに載ったわけです。いままでの答弁を聞いておると、何もわからないしよく知らない、こういうことを盛んに繰り返して答弁されておりますね。けれども、そういう答弁を今度は裏返して考えた場合には、国会議員、政界にそうした献金であるとかいろいろな贈り物は全然なかったと、こう言う。あなたはそこだけは調べて答弁している。あとは何もわからぬ、よくわかりません、こういう答弁なんですが、政界に献金したようなことは絶対ありませんという、ここだけは重点的に調べられて確認して答弁されたのか、その点はっきりしておきたい。
  100. 三上泰知

    三上参考人 新聞の報道記事でそういうことが大きく出ておりましたので、社内調査では、そんなことは常識では考えられないけれども、万が一ということがありますので一応全部一わたり聞いたわけでございます。いずれも調査の結果は何も出てまいらない。また、私どもの観念では、そういうことをする必要がこの会社にない、ちょっと私どもとしては考えられないということから、あの報道記事でも、国税局に対する小山専務の陳述という中にそういうことがあったというふうなニュアンスで書かれておったように思いますけれども、恐らく苦し紛れな言いわけとしてさようなことが使われたのではないか。私どもとしてはそういうことをする理由、必要がいささかもないということから、現在までの調査ではそういうことは絶対になかった、こういうふうに確信をしております。
  101. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いまの段階では、ないと言う。これから司直の手が伸びるわけですね。脱税を含めていろいろ使途不明金について告発されたわけですから、結局どんどん捜査の手が伸びて、万が一そうした政治家に対してパーティー券の購入なり、そしてまた陣中見舞いなり、また平素の海外出張に対するせんべつなり、いろんな形で政界の人々に流れておったというのが出てきた場合には、あなたはどうしますか。
  102. 三上泰知

    三上参考人 さようなものが出てくるはずがないといまでも思っております。
  103. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 あなたはそこだけを出てきてないと確信で、そこだけ調査したのですか。われわれがいまこれから——時間の関係もございますが、たとえば使途不明金の中で告発された金額、この中でどことどことを重点に調べられたんですか。
  104. 三上泰知

    三上参考人 使途不明金というのが要するに税金関係の書類からこれくらいのものが隠されておった、ごまかされておった、これは一応推定できるわけですが、そういうものは当社の帳簿には載っておらないわけです。簿外にどこかに隠されておる、したがって、そういうものの使途の手がかりになるようなものはもう一切社内には残されておらないというのが実情でございまして、したがって私どもは別に新聞記・事をもとにいたしまして、政治献金とか、あるいはその他の方々に何かしたかということを重点的に調べたわけではございませんで、一体どういうふうに所得がごまかされて、所得がごまかされたものが一体どこにあるのか、ごまかし方はどうしたのか、その辺を調べていった過程の中で、先ほどの先生の御質問に対しては、お答え申し上げましたようなことが言える、そういう確信を持っておりましたのでさよう申し上げました。
  105. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 脱税の関係で追徴金が出てくるわけですね。追徴金は、これは個人が払ったのですか。発馬機が払ったのですか。だれが払ったのですか。
  106. 三上泰知

    三上参考人 これもまだ十分に調査が行き届いておりませんので、これが事実だということを確信をもって申し上げることはできませんけれども、一応形としてはとりあえず税務当局の方に発馬機名義の手形が振り出されておりまして、その手形が期日が来る以前にどこからか資金が入ってまいりまして、銀行小切手と交換されて税金が支払われている、かような経過になっておるようでございます。ですから簿外に隠された資金がございまして、いままでその資金を操作してとりあえず入れた手形を小切手と交換しまして、手形が不渡りになるというような状況からこの事件が発覚しないようにだれかがそこで操作をやっておった、そういうふうな仕組みがだんだんわかりかけてきておるわけでございますが、私ども調査能力としては大体そこら辺まででございまして、どうしても警視庁の方にお願いしてやっていただくというしかございません。
  107. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どうも社長の答弁を聞いておると、われわれもあなたの話術にだまされるような——あなた、小山さんにだまされて、また国会であなた、そういうだましの答弁をしてもらっては困るんで、何としても、この手形を発行するのは社長名でしょう。専務が発行するのですか、手形は。
  108. 三上泰知

    三上参考人 代表権は専務にございますので、いまとなりましてはやろうと思えばできた、こういうことかと思います。
  109. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 そんなら、あなたは代表権を持たない社長、だということですか。
  110. 三上泰知

    三上参考人 代表権は、取締役社長と、それから専務取締役の小山君と、この二人が定款上持っております。
  111. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 それは発馬機の手形で第一段階は操作した。手形の期限が切れたらどっからか持ってきて埋めた。こんな言い逃れの答弁は社長としては私は納得できないという気がするわけですね。  それから武田理事長に聞きたいのですが、このエス・イー・エスというトンネル会社、トンネルというよりか、これが本家のようです。それで発馬機がトンネル会社になっているようです。そして発馬機会社競馬会の方は出資をして育成、強化をして、そして相当の被害というか水増しの請求を受けて競馬会は払った。被害を受けた競馬会の方は何も告発も告訴もしないというのはおかしいじゃないですか。理事長としてはどういう見解を持っておりますか。
  112. 武田誠三

    武田参考人 これにつきましては、私どもとして発馬機会社に対して、いずれ私どもとしてこうむりました被害額と申しますか、というようなものが明らかになりました場合には、これの回収は図っていかざるをえないというように思っております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 小山なり菅沼と私どもとの間の犯罪関係というものがどういうふうになりますか、私も法律的によくわかりませんが、当面はいずれにいたしましても発馬機会社における小山、菅沼両名の告発によって司直の手が入る日が一日も早く来まして真相が明らかになるということを待っておる、こういうことでございます。
  113. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 発馬機の一部長だとか一職員がやったというのは、個人的にやったなということが考えられるけれども、いま発馬機三上社長の答弁から見ると、代表権を持っておる人ですよ。代表権を持つというのは、会社ぐるみやったと言われてもしようがないのですよ。会社ぐるみ。個人がやったとは言えないです。  それから三上社長にお尋ねしたいのですが、小切手はどこが発行したか、それは調べられましたか。手形は発馬機会社の代表権を持っておる専務が発行したんだ。しかし、期限が切れるとばれるから今度は支払わなければならぬということで、小切手でやった。その小切手の発行者はだれですか、確認しましたか。
  114. 三上泰知

    三上参考人 そのものは私は確認はしておりません。そのように社内調査で聞いております。(「小切手の振出人がわからないなんて、そんなばかなことがあるか、冗談じゃないよ、知っているだろう、言えよ」と呼ぶ者あり)ですから、私はあいまいなことを申し上げることはできませんので、私の知っている限りのことを申し上げておるわけでございますけれども、それが会社名義の小切手ですね、これは私の名前になります。取締役社長になります。それで、約手が税務署の方に差し押さえられた。それを期限が来る前に別な、恐らく簿外だと思いますが、この辺が大変まだ究明できないところなんですけれども、簿外に資金があって、その資金から小切手が発行されまして約手と取りかえられている、なし崩しに支払われていった、そういう経過をたどったんじゃないかと思います。その辺のところをむしろ司直の手で解明をしていただきたいという点でございます。
  115. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 もう時間が参りましたから余り細かいことをお尋ねすることはできないわけですが、これは監督官庁の農林省の皆さんにも、いずれ日を改めて真相を究明をし、そしてとにかくこれからそういうことが起きないような策を講じなければならない。そのためには競馬法の改正もしなければならないのではなかろうか。そういうことで、いずれまた次の機会にお願いをしたいと思うのですが、何としても競馬会の方の無責任、ルーズ、放漫、どちらから見ても感心するところはない。  そういうことで、いま社会に流れておるのは、農林省農林省競馬会競馬会発馬機もそう、そのまたトンネル会社をたくさんつくってやっているそういう一連のやっていることは暗黙の了承か暗黙の了解か、皆了解済みだという判断をせざるを得ないわけであります。一人や二人が中間に誤りを犯したというものではない。これは意図的で、計画的で、半ば知能犯的な犯罪になっておると言わざるを得ないわけですから、農林省の方も重大な責任がある。きょうは大臣が来て真相を聞いておいていただけばありがたかったのですが、大臣は出てこないという。そういうことで、いずれ改めて質問いたしますが、いままでのような答弁では、これはもう国民もわれわれも納得ができないということを十分知っておいていただきたい、こう思います。  以上で終わります。
  116. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 武田一夫君。
  117. 武田一夫

    武田委員 お三人にちょっとお尋ねしますが、いま世間ではKDDの問題とこの日本発馬機の問題、いわゆる大物がKDDで、小物の日本発馬機会社とか言われていますが、私はそのKDDの不正、そうしたものをこの際明らかにしながら、そうしたものが国民の前にはっきりとした形で、納得できるような形で示さなければいけない、こう思います。  そういう意味でまず最初にお尋ねしますが、日本発馬機会社というのはどういうような事情で生まれたか。先ほど理事長は、業務が特殊なものであるために要するにこういう会社を設立した、こういうふうな話がありましたが、それだけですか。
  118. 武田誠三

    武田参考人 発馬機関係業務関係につきましては、それを作動いたします開催日が御承知のように土、日でございます。また、トレーニングセンターその他各競馬場で普通の練習時におきます発馬練習というものがきわめて早朝に行われるわけでありますが、また、それらの機械を各競馬場に常に移動して歩いている。同時に、それの整備、補修をする人もあちらに行き、こちらに行くというような特殊な勤務状態並びに発馬機という特殊な機械を扱います専門的な知識というようなこと、両方が絡んでおりまして、これについていろいろな管理面、また経費の節約というような点を全部入れまして、四十年当時に発馬機会社というものを別につくってこれに担当させることが得策であるという判断のもとにできた会社でございます。
  119. 武田一夫

    武田委員 それならば、経理の節約等もあるし、管理等もあるとなれば、競馬会の中の一つの部門として置いた方がもっとこれはよかったんじゃないか。私が聞くところによりますと、これはほかにもっと事情があったんだ。ストの問題がございますね、そのストによって機械が現地に運ばれないということによって問題が起きたときの責任逃れとして発馬機会社をつくっておいて、そうしてそういう事態があったときはそちらに責任をおっかぶせる形でこういうものを生み出してきた。そのうちに、これをやっている間に、リースでございますから——大体地方競馬の場合はみんな買っていますね。この場合リースです。非常にうまみがあるということで、要するに出資を全額、先ほど言った共栄ですか、最初野沢組だけでやりたいというのを半分出していく、そこに人を送っていく、そこで監督権指導権というのを持っていく、さらにそれは、そういうつながりの中でおいおい人もそちらの方にやりながら、いわゆる天下りと言われるようなそういう受けざらにしていくんだ、こういうような一つのつながりでこれが出てきた、こういうことはないのですか、理事長さん。
  120. 武田誠三

    武田参考人 私どもの役職員が天下るための受けざらというようなつもりでつくったものでは全くございません。
  121. 武田一夫

    武田委員 それではスト対策につくったものでもない、こういうことですか。
  122. 増田久

    増田参考人 これをつくったときの経緯を知っている方が実は全部亡くなっておりまして、詳しい事情はよくわからない点がございます。しかし、うわさとしてございますことは、これはうわさでございまして確証で言うわけでございませんけれども、当時私どもの組合がストライキを盛んにやって、そのために管理職競馬というものをやらざるを得なかった。ところが、管理職競馬でやる場合に、発馬機の部門は特殊なものであって、とても管理職の手には負えない。したがって、そういうことも考えれば、先ほど理事長が申し上げましたような事情に加えてそういう事情もあったかというような、これもうわさとして聞いております。
  123. 武田一夫

    武田委員 別な問題に入りますが、新聞報道によると、中央競馬会日本発馬機の巨額の脱税事件について、一年前に東京国税局の税務調査の真っ最中に取引銀行から、これは大変なことになるんじゃないか、あるいは相当根深い脱税事件に発展するんじゃないかという情報を得ている、こういうことですが、それは事実ですか。
  124. 増田久

    増田参考人 たしか昨年の十月であったかと思いますけれども、ある銀行から、国税庁が入ってきて発馬機会社の銀行の口座を調査していますよ、何で調査しているかわからないけれども調査している事実がありますよという情報は得ました。
  125. 武田一夫

    武田委員 そのとき、そうしたことに対して調査、確認というものをやりましたか。
  126. 増田久

    増田参考人 早速発馬機会社三上社長を呼んで聞いたわけですけれども、その事情三上さんにはわからない。小山さんとお会いしまして私は事情を聞きましたところ、最初の発言は、私に対して、これは競馬会とは関係ありませんという発言でございました。関係はありません、あなたに申し上げることはございませんというのがその当時の小山さんの言でございました。そういうことを申しましたものですから、私としては、いわゆる私たちの一連の出資会社でもあるのだし、そういう事情というものはやはりはっきり言うべきではないか、どういうことか言えということで言っておりましたところ、十二月七日になりまして文書をもって何にもありませんでしたという報告を受けた、これが真相でございます。
  127. 武田一夫

    武田委員 要するにだまされたわけですね。結局はそのためにこうした事態を招いてしまった、こういうことになるわけですね。それは非常に問題だと思うのです。  農水省に聞きますけれども、そういうようなことは農水省の方では何か情報とかはキャッチしてなかったか。
  128. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 当時の局長に確かめましたが、いま増田参考人から発言のとおりの報告を受けております。
  129. 武田一夫

    武田委員 報道によると、官庁関係からも発馬機に問題があるというサゼスチョンがあったようだということですが、そういうことはないと言えますか。
  130. 増田久

    増田参考人 全くございませんでした。
  131. 武田一夫

    武田委員 三上さんにお尋ねします。  あなたが社長になられたのが五十三年九月ですね。その社長になられたいきさつをお話し願いたいと思う。
  132. 三上泰知

    三上参考人 私の競馬会理事の退任は五十三年九月十五日でございますけれども、任期満了が迫りました時点から競馬会のそういう役員の人事については特に御相談にあずかるということがございませんで、任期満了の日を待っておったわけでございまして、満了する前に内示として発馬機会社の方へひとつ行ってもらいたいというふうなお話がございました。ですから、何か特段のいきさつがあったかというお尋ねかと思いますけれども、そういったいきさつはなくて、たまたま前任者が六年ほどやっておりますので、この機会に選手交代、そういう趣旨に私は受け取っておりました。
  133. 武田一夫

    武田委員 この告訴状はあなたがつくられたわけですね。中身はよく読んでいますね。それではちょっと読んでみます。ただ、前任者がそういうことでたまたま行かれたというわけですが、この「告訴犯罪事実の要旨」の三番目を見ますと、「昭和五三年九月一六日告訴人会社の新社長として元競馬会理事三上泰知就任することによる監督強化がとられることと相前後して、」、こういうのですが、これはどういう内容でございますか。この「監督強化がとられることと相前後して、」云云、こうなりますが、御説明いただきたい。
  134. 三上泰知

    三上参考人 これは公式に伺ったわけではございませんけれども、前任者が発馬機社長として競馬会とのコミュニケーションが余り密接でないというふうなことがあった模様でございまして、そういうところから、もう少し競馬会と風通しのいい人間をというふうなお気持ちが競馬会の方にあったのかと思いますが、それを受けまして私「監督強化」云々というふうな表現を使ったわけでございます。
  135. 武田一夫

    武田委員 そうすると風通しのためですね。  これはこういうことではないのですか。この当時、あなたが行かれるころに国税当局の手入れが始まって、厄介なものだというようなことがちらちらわかっていたものだから、そのために何らかの手を打たなくてはならぬ。もし風通しのためであるならば、それじゃあなたが、ここの二番目にあるような「忠実にその職務の執行をなすべき義務がある」と小山、菅沼の二人にこう言っていますな、その義務を怠ったと。あなたもその義務を怠って、ただ風通しが、すっと風がいくようになったということにならざるを得ないと思うのですが、恐らくこれはあなたがここに就任されるころにちょうど符合するように国税局のいわゆる手入れ、調査といいますか、そういうのが入っていたのじゃないですか。それを何とかしなくちゃいけないと思いながら結局はそれができないでこのようにきて、それを何らかの形で責任逃れするためにこのようなものが出てきたんだと勘ぐられてもしようがないのじゃないですか。どうですか。
  136. 増田久

    増田参考人 私から申し上げた方が適当かと思いますけれども事件が起きてからわかったことでございますが、国税庁が発馬機会社に手が入ったのは昨年の六月であったようであります。銀行に来たのはその最後の締めくくりのための調査であったようであります。そういうことは、私たちは前に入ったということは全然知らなかった。そういうことがあったということも知らなかった。それは今度の事件が起きて初めてわかったことでございまして、当時三上さんがなられたときにはわれわれは、そちらにお願いしたときにはそういう事件があるということは全然関係のなかった、知らなかったことでございます。
  137. 武田一夫

    武田委員 それじゃ、知らないで通すのでしょうから、次にいきます。  あなた方が調査委員会というものを設けてこの実情を一生懸命調査しましたね。それで、この裏金がどういうふうに流れたかということについてよく調査をなさっていったようですが、国税局はその日本発馬機の役員の個人資産の増減を含めていろいろ徹底的に調べたが、隠し財産の存在はなかったと言ってある。ただ、あなた方が調べたところが、中央競馬会の精査というのですから、もうかなり詳しく一生懸命精密に調査したということでしょう、精査という言葉が新聞記事の中に出ておりますから。そうしたら、裏金を預金しておくとばれるために、無記名の割引債券で個人的に保管していることがわかった。だから背任、横領で個人的な犯罪が強いとして告訴するんだ、こういうような理論づけをしているのですが、これはどちらが正しいのかということなんです。その後また税務調査ではやはりそういうものはなかった、個人財産もふえてないし、巨額の財産をふやすほどのはでな遊興もない、二人の収支決算をきれいに見るとそういうことが一層明らかになってきた、こういうことなんですが、どうですか、これは。
  138. 増田久

    増田参考人 私ども国税庁から何の情報も得ておりませんので、国税庁がどういう調査をなさったかは全然知りません。そういう情報はありません。私どもは、先ほど三上参考人から申し上げましたとおり、いろいろ関係者から聞き、特に直接の加害者である菅沼さんを問いただしたわけでございますが、その際の彼の発言といたしまして、政治献金その他の上納金というものは一切ありません、それから隠し金は、そのまま預金すると見つかるから、これは無記名の割引債券にして、それを小山個人が保管する、これが一番安全な方法だ、そういうことで小山が現在保管している、したがって、それがどのように、どんな形で保管され、またどのように使われているのか、それについては知らない、こういう発言があったわけでございます。
  139. 武田一夫

    武田委員 税務調査によりますと、その割引債というのは四十七年以前に買われたものであるということも突きとめている、こういうことが報道されているのですが、もしそれがわからないとすれば、やはりその点はもっと調査委員会というものをフルに機能を発揮させてやるべきでないでしょうか。それはやっておりますか。
  140. 増田久

    増田参考人 そういう点になりますと、残念ながらわれわれの力にはとても及ばない、やはりどうしても権力にお願いをせざるを得ない点であろうと思います。とても力が及ばない点だと思います。
  141. 武田一夫

    武田委員 時間の都合で次に移りますが、中央競馬会政治家との結びつき、あるいは農林官僚との結びつきが相当深いということで、先ほどもそのことで質問がありましたけれども、五年間にわたって年間一千万から三千万、一億五千万くらいの金が使われたとか、これはもう農林関係に力のある官僚、それに競馬関係者、中央競馬会にも上納したとか、さらにまたこれは地方の競馬会にもあるいはそういう関係者にも使われたと、あれは十一月の何日でしたか、書上と言うのですか、トンネル会社社長がテレビで言っておりましたが、それはもう飲んだり食ったりいろんなものに使われたのがそばにいてわかるという。小山がいつも工作が大変なんでとにかく苦労しているのだ、これは一緒にいてわかるのだ、全部あれはそういうふうに使ったのだというようなこともはっきりと断言している。こういう事実ですね。増田理事長さんは、とんでもない、全くのうそだとおっしゃっているようでありますが、これは本当にとんでもない全くのうそかどうか、もう一度お尋ねしたいし、農林省関係も、その点について、言われるようなことがないというような、あるいはあるのか、そういう事態をしかと調査をして答えが出るものを持っているのかどうか、答えていただきたい。
  142. 増田久

    増田参考人 当時の書上さんの発言の中に、新聞記事で見ますと、政治家に献金したり、競馬会に上納したこともないし、する必要は全然ないということを書上さんの言として言っていることもほかの新聞には載っておるわけでございます。したがって、私はそういうことは書上さんも認めておられないのだろうと思います。
  143. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 農林水産省といたしましては、新聞報道がされた当日、直ちに競馬会に事実関係究明を指示いたしまして、先ほどお話の出ました調査委員会を競馬会は設けて真相の究明に当たっておるわけでございますが、種々報道がされておることに税務当局という言葉が出てまいりますので、私どもといたしましても、税務当局において使途不明金の使用先が明らかになっているのではないかということで、東京国税局及び芝税務署に係官を派遣をいたしまして事実関係はどうかということをただしましたところ、個別の事案であるので言うわけにはいかないということで、そのことが明らかになっておりません。私どもとしては、やはり中央競馬会における調査委員会による真相の究明と、一方司直の手による捜査による事実関係の明確化に期待をいたしておるわけでございます。
  144. 武田一夫

    武田委員 局長にもう一つ伺いますが、農林省関係、いわゆる監督官庁の中にもそうしたことがあるという話が出ている。さらに今度は地方競馬——地方競馬は助成金を出しているわけですね。そこにも食い込んでいってそうしたことをにおわす。本人ははっきりそう言っている。いろんな金がかかるのでそういう関係者に使った、こういうようなことです。事実、日本発馬機は、やはり関東周辺などでは宮地式ゲートに機械がかえられているという事実があるわけです。たとえば高崎競馬場の例を見ますと、五十年から五十一年までは日本発馬機だけだが、五十四年になると、二千七百万近くで日本スターティングゲートですか、そこの宮地式ゲートというのが入って、そういうものがいいのだということで発馬機機械がそれにかわられている。そのためにそれを今度は何とか巻き返ししなくちゃいけないということで、そちらの関連のところにもそうした働きをしたのだというようなことと符合するような事実がある。こういうようなことは、当局としては、調べてそういうことはない、あるいはまた、これから調べていくのだ、そういう段階かどうか、答えてほしい。
  145. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 ただいままでのところ、そのような事実は全く承知をいたしておりません。  今後どうするかというお話でございますが、指導監督上の立場から事実関係を明らかにする必要があろうかと思いますが、私ども調査といたしましてはどうしても限界があるのではないかというふうに存じております。しかし、できるだけ明らかにしていきたい気持ちでございます。
  146. 武田一夫

    武田委員 この件について和田理事から質問がありますので……
  147. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 和田一郎君。
  148. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 関連質問をさせていただきます。  まず増田理事長にお伺いしますが、エス・イー・エスという会社がわかったのを増田さんは記者会見で十一月の二十六日の朝に増田さん御自身から発表されていらしゃいますけれども、どういう経緯でこの会社がわかったのか、ちょっと簡単に説明してください。
  149. 増田久

    増田参考人 先ほど申しましたとおり、この事件発生した後直ちに、農林省指導もありまして調査委員会をつくったわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 そして発馬機会社に参りまして書類及び手形類を一切押さえて検問いたしたところ、頻々としてエス・イー・エスというものを相手に振り出す手形が出てくる。そしてこのエス・イー・エスとは一体何者であるかということが疑問になりまして、それをだんだん関係者に問い詰めていくうちに、それが日曜日の午前中に関係者の発言から、こういう裏会社、トンネル会社と申しますか、そういうものがあるという事実が明らかになってきて、直ちに私の方で、これは本当は調査権はないのですけれども、エス・イー・エスに行って関係の資料を見せていただいた、こういうことで明らかになってきたわけでございます。
  150. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 三上社長にお聞きいたしますけれども三上さんはやはり増田さんと同じような形でおわかりになったのかどうか。その前からそういうのを御存じであったのかどうか。どうでしょう。
  151. 三上泰知

    三上参考人 増田さんと同日でございまして、私の方が一足先にその事実を知りました。それで、増田さんのところに本人を同道いたしまして、私が陪席をして、増田さんにてんまつを報告してもらったわけでございます。この中で、私が菅沼常務指摘をいたしましたことは、そんな会社ができて、よく話を聞けば、発馬機会社の取締役が向こうの会社の取締役を兼ねておる、それから社員も一部ですけれども向こうに兼務させているというふうなことを会社の取締役会にかけないでできるわけがない、取締役会の承認がなければできないはずだ、それはどうしたんだというふうなことも聞いたわけでございますが、時間が長くなるからはしょって申し上げますけれども、要するに取締役会の承認を得たという旨の覚書に社長印を押して、向こうの会社に差し入れてあるはずです、そこまで聞いたのです。そういうこととあわせまして、競馬会に参りましててんまつの報告をしたわけでございまして、私も全くその時点で初めてそんな会社の存在を知ったという、まことにうかつな話でございます。
  152. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 その点については社長が判この盗用だとかなんとかで告訴されておりますから、その点については私はここで言いませんけれども、報道の中に、このエス・イー・エスという会社発馬機会社がやっておった業務をほとんど移管されたということが出ていますね。この点はどうなんですか。たとえば発馬機会社が買うものはほとんどそのエス・イー・エスを通って、トンネルにした、これはわかるのですよ。もう一つは、発馬をする競馬場の一切の業務請負、それまでも全部契約者となって、エス・イー・エスが地方競馬契約しておった、こう出ているわけですけれども、その点についてはどうですか。
  153. 三上泰知

    三上参考人 事件発覚後私ども調査によりまして、エス・イー・エスの定款が当社、発馬機会社の定款とほぼ同様なものであるという事実と、それから現実にすべての部品、消耗品類の調達がこのエス・イー・エスという会社の設立以後、五十三年一月以降ですか、この会社を経由して、つまりこの会社を介在さして調達が行われたということが調査の結果判明したわけでございます。
  154. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 時間がありませんので部分だけで結構ですけれども、あなたの会社がいわゆる発走関係業務を請け負っている競馬場、これは中央競馬会は別にしまして、地方競馬はどことどこかわかりますか。
  155. 三上泰知

    三上参考人 ちょっと地域的には北から南へというふうに系統的になっておりませんで恐縮でございますが、兵庫県の園田、姫路両競馬場、それから広島県福山競馬場、北海道は岩見沢、旭川、帯広、北見、それから足利競馬場、島根県益田競馬場、再び北海道に帰りますけれども、北海道はさらに札幌、岩手県が盛岡、水沢、山形が上山競馬場ですか、以上全国で十五競馬場、ここには請負契約ということでやっております。
  156. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 十一月の二十六、二十七、二十八日当時、書上さんという方がいろいろ報道関係の方に話をしていらっしゃるんですね。その中に中津、足利、札幌はエス・イー・ニスで全部請け負っている、契約者となってやっておる、こういうことを発表していらっしゃいまして、一斉に報道されておりますけれども、それじゃその点は書上さんの間違いまたはうそである、こういうことでいいんでしょうか。足利と札幌、いまおっしゃいましたけれども、中に入っておると思うのですけれども……。
  157. 三上泰知

    三上参考人 先ほど申し上げました請負を実施しておりますもののほかに、発馬機を納入しておるところがかなりございます。台数にすればかなりな台数になりますけれども、その中に中津というのが含まれております。
  158. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 そうしますと、書上さんという方も相当いいかげんなことをおっしゃっている、こういうふうに受け取ってよろしいのですかね。たとえば報道関係の中に足利競馬と出ておるわけですよ。足利競馬はエス・イー・エスで請け負っている。ところが、足利競馬場に聞きましたら、エス・イー・エスとは一切関係ない、あなたのところと契約している、こう言っておるのですがね。どちらが本当なのか、それをはっきりしてもらいたいと思う。
  159. 三上泰知

    三上参考人 私は書上さんとおっしゃる方の報道を見ておりませんでしたのでよくわかりませんけれども、恐らくいままでそういう名前は耳にされたんだろうと思います。いろいろなこととあるいは混同されておったのかもわかりません。
  160. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 これは足利競馬場の問題でございますけれども昭和五十一年当時に発馬機を購入またはリースしなければならぬという事態発生した時点で、農林省競馬監督課の方にいろいろ助言を求めておるようでございますけれども、そのときにはどのような助言をされましたか。
  161. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 いま、ちょっと前の時点のことでございますので、調べてからすぐお答えいたします。
  162. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 もう一つお聞きいたしますけれども、足利競馬場に一開催幾らで契約されているのか、社長おわかりですか。
  163. 三上泰知

    三上参考人 ただいまその資料を持ち合わせておりませんので、わかりません。
  164. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 それじゃ中央競馬会の方にちょっとお聞きしたいと思いますけれども、副理事長で結構ですが、大体そんなに差はないと思うのですが、中央競馬会日本発馬機の間での契約の中で、一つの会場で一開催、一日当たり幾らぐらいな請負になっているのですか。わかりませんか。
  165. 増田久

    増田参考人 私ども、御存じのように土、日の発売でございますので、どうしても高くならざるを得ないのですが、一日当たり賃借料は三百一万五千円でございます。
  166. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 三百一万五千円というのは、これは発走の関係一切の請負が一日当たり三百一万五千円、間違いないですね。——間違いなければ、足利での契約を見ますと、一日当たりの単価が、これはリース代でございますけれども、派遣員三名を含めて二十三万七千円になっているのですけれども、これはばかに高いのじゃないですか。これの関係はどうですか。二十三万七千円でございますから、一日当たりの単価です。それがあなたの方では三百一万五千円ということでいろいろ種類はあると思いますが、余りに違い過ぎるものですからちょっと聞いてみたのです。
  167. 増田久

    増田参考人 私が答えるのは適当かどうかわかりませんけれども、条件が、台数が違ったり、それから人数が違ったりしておりますので、これをすぐ比較できるかどうか自信がございません。後ほど検討させてからお答えさしていただきます。
  168. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 条件が違うことは違うと思いますが、大体発走回数も、それから足利の場合は十二頭立てなのですけれども、そんなに変わるわけはなくて、二十三万円が三百万というと十倍以上でございますから、条件が違い過ぎるじゃないか。私は考えるのですが、もしこれがこういう比較でございますと、物すごい利益発馬機会社の方へいく。どんどん脱税もできれば好きなような会計の操作ができる。非常に皆さん方の経理のあり方が不自然のように思うのですけれども、どうですか。
  169. 増田久

    増田参考人 御存じのとおり、台数も多いし、それから使う日にちが非常に少ない土、日、土、日でございますから非常に機械のアイドルが大きいわけでございます。そういうことの結果として高くなっているのであって、これをまた別の比較でいたしますと、私が後で比較表をつくって差し上げて結構だと思いますけれども、決して高くはないというふうに考えております。
  170. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 それでは、増田参考人が比較表をおつくりになりましたらこちらに渡していただくようにお願いいたします。
  171. 増田久

    増田参考人 検討して差し上げるようにいたします。
  172. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 関連を終わります。
  173. 武田一夫

    武田委員 引き続いて質問いたしますが、この発馬機のゲート、これの修理費といいますか、修繕費といいますか、大体年間どのくらいあるものですか、もしわかれば教えていただきたいのですが、どこの競馬場の例を挙げても結構です。
  174. 増田久

    増田参考人 恐縮でございますけれども、もう一度お願いしたいと思います。よく理解できなかったので申しわけございません。
  175. 武田一夫

    武田委員 要するにゲートの修理代といいますか、修繕代というか、そういうものはあるわけでしょう。ですから、そういう機械の修理に年間どのくらいの金額が、その一つ競馬場で、たとえば府中なら府中、もしどこかの一例でもいいからわかったら教えてもらいたい、こういうことです。資料は何か持っていませんか。
  176. 増田久

    増田参考人 私の方は請負契約で一日幾らでお払いするわけでございますので、現実に幾ら修理費がかかったかということになりますと、発馬機会社の方の問題になろうかと思います。そういう点で、私の方でちょっといま資料を持ち合わせておりません。
  177. 武田一夫

    武田委員 どうですか、発馬機社長さん。
  178. 三上泰知

    三上参考人 私の方で調べまして提出いたします。
  179. 武田一夫

    武田委員 府中とか中山とかに聞いたのですが、これはおたくたちの関係でしょう。そうしたら、要するに全部中央競馬会の本部に聞いてくれというのですよ。どこへ行ってもあなた方に聞いてくれというのです。たとえばあともう一つ時間がないから一緒に言いますが、副賞(景品)というのがあるでしょう。これだって全部そちらで独占的にやっているから、権限はわれわれには何もないから、全部みんな中央会に聞いてくれということで答えが出てこない。それでも中山の場合を聞いたのですが、補修料は、一開催当たり幾らとして請求が来て、われわれは金だけ払うのだ、こういうことなんですが、これはそのとおりですか。
  180. 増田久

    増田参考人 私の方の契約は、先ほど申し上げましたとおり請負契約でございまして、一回、一回の実績でそれを検討して実績払いでやるという形ではないわけでございます。私の方は年間の総経費をはじいて、それを一日当たりの単価に直しているわけでございます。したがって、競馬場の支払いは実際に修理しようがしまいが一日幾らということで払うわけでございますから、競馬場では修理費が幾らかかったかということは現実にはわからないというのが実態でございます。
  181. 武田一夫

    武田委員 そうすると、現地の方はそういうのは一切わからなくてもいいわけですね。おたくの方だけでわかっていればいいのだ、おまえらはただ言われるとおりやれ、こういうのがいまのシステムだ、こういうわけですね。  それでは、時間もないのですが最後にもう一つ。  機械をいまやっているところから次のところに運びますね。そのとき何日間かブランクがありまして、保管するということもあり得ると思うのです。そのときの保管料というのはどうなっているのですか、これは三上さん。
  182. 三上泰知

    三上参考人 先生の御趣旨は、保管料を競馬会に請求して取っておるか、こういう御趣旨でございますか。ゲートは私どもの所有物でございますので、競馬会の倉庫を借りまして使わないときは保管している、こういうことでございまして、保管料を競馬会に請求するということはなかったと思います。
  183. 武田一夫

    武田委員 保管料というのは取ってない、要するに発馬機に場所を貸している、そうですね。  それではまだ時間がありそうですが、おたくの中央競馬会というのは、いろいろな外郭団体やら子会社をたくさんお持ちですね。ここに政府の資料としてもらった中でも十ある。日本軽種馬云云、中央競馬会云々とずいぶんあります。それで日本馬匹輸送自動車、これは一〇〇%の出資です。トータリゼータ株式会社、これも一〇〇%、発馬機は御承知のとおり五〇%、その他は五〇%あるいは九六%、八〇%の出資をしている。そのほかにもいろいろな名前の会社が出て、新聞、雑誌等に出てくる会社だけでも十四、五あるわけですが、農林省関係方々やら、あるいは競馬会方々がずいぶん役員さんとなってずっとお入りになっているのですが、どのくらいの人がこうしたところの役員やらそういう立場におさまっているのか、具体的な数をちょっと教えてもらいたいと思います。
  184. 増田久

    増田参考人 私の方にはいろいろな団体が確かにございます。たとえば馬術連盟とか、生産者の軽種馬協会とか、あるいはトカラ馬の保存協会とか、そういうところまでうちの団体だといいますと幅広くなるのですけれども、私の方の直接関係しているといいますか、一番密接な競馬会社の団体と申しますと、八つの会社と五つの団体と申しますか、公益法人になるわけでございます。その十三で申し上げますと、役員の数が九十一、本会の出身者がそのうち四十二名でございます。それから職員でございますが、千六百名、そのうち、うちからの天下りと申しますか、あれが十三人でございます。
  185. 武田一夫

    武田委員 いろいろ見てみますと、かなりの各部門の偉いところに鎮座ましましているわけですね。こういうところでこういう事件があると、必ずこうした問題で受けざらづくりのためにやったとかなんとか言われる。しかも、そこにはそれがあるために、こうした問題があるときには先輩がそういう場所にいるために余り強くも言えないとか、手心を加えるとかというような批判、こういうものが出てくるのじゃないかと思うのです。農林省としましても、おたくの関係方々、ずいぶんこちらの方にお入りになっているようですね。こういうようなものは、必要なものもあるでしょうが、やはり十分な検討をしなければ今後こうした問題を起こす一つの要因になりかねないのじゃないかと思うのですが、農水省としてはどうでしょうか。局長さんとか課長さんとかずいぶんお入りになっていますね。局長さん、どうですか。
  186. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 中央競馬会並びに中央競馬会関連団体、会社におきまして、農林省から退職した人がかなりの数入っておるわけでございます。それぞれの必要性またそれぞれの人の知識、経験等を生かすということで入っておると考えておりますが、やはりそういうことがいろいろ疑惑の原因として見られるということにつきましては十分反省をし、えりを正さなければならぬというふうに考えております。今回の事件関連におきまして、先ほど申し上げました通達を出しておりますが、人事関係についても十分慎重な配慮をすることを考えておることを明らかにいたしております。
  187. 武田一夫

    武田委員 時間が来ましたから、以上で終わります。
  188. 内海英男

    内海委員長 津川武一君。
  189. 津川武一

    ○津川委員 今回の発馬機をめぐる思わしくない、芳しくない状況に対して、私たち心から心配しております。そして、一日でも早くこの状態から抜け出し、さらには再びこういうことのないような状態をつくらなければならないと思っているわけであります。  そこで、私たちなりに勉強したり調べたりした状況でいきますと、おもしろくない状態というのは、日本発馬機が新洋物産から五億二千万の部品を買い上げて五億二千万払っておる。一つ一つ部品の単価を不当に水増ししておる。納めた個数を増して、そして結局四億円だけ新洋物産関係日本発馬機が不当に手に入れている。それから輸送会社の鈴祐は、橋田商店というものが介在したらしいのですが、これも輸送代や部品を六億四千万日本発馬機から鈴祐に払わせて、三億一千万戻させて実際に使ったのが三億三千万、こんな形で出ております。そしてもっと国民の疑惑、怒りを買っておるのは、新洋物産が国税庁の手入れを受けると、これをエス・イー・エスという会社に変えて、ここでまた二億四千八百万、にせ文書で日本発馬機が不当に手に入れる。こうして国の全額出資である国民の税金を使っている中央競馬会に多大の損害を与えている。この総計の額は九億六千万とも十億三千万ともいろいろ言われております。これが一つの状態でございます。  二つには、こういうお金を隠したために脱税が出ております。申告所得が四十八年から五十一年まで三千万前後、五十二年に五千八百五十八万、隠し所得が四十八年から五十三年まで六億五千四百五十三万円、税務署から二億九千三百三十万、こういうふうな追徴税をかけられております。これも国民として納得できないことでございます。  もう一つ、この会社専務理事小山さんに対してはいろいろなことが言われております。年間三千六百万円前後の交際費を使った、遊興費に使った、中央競馬会地方競馬関係者の接待工作に使った、公営競馬への繰り込みのための工作費に使った、土曜、日曜には全国の競馬開催地に出張して二百万、三百万毎回持って行った、一カ月八百万、年間三千六百万、いろいろなことが言われております。これはまだ確たる事実の全貌をどうしてつかまえるのかという問題も残っております。これに対して農林水産省はどう考えて、どの程度つかまえて、どう指導してきて、これからどう指導して全貌を国民に明らかにさせて問題を解決し、将来再び繰り返さないためにどうしてきたのか、どうするつもりか、この現状をどう把握しているか、まずお答え願います。
  190. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、今回の事件につきまして監督立場にある農林水産省としては非常に残念に思い、深く反省をしておるところでございます。  これまでの農林省のとった措置でございますが、去る十一月二十三日の朝刊に新聞報道されまして、同日直ちに中央競馬会に対しまして事実関係究明をするよう指示をいたしました。中央競馬会におきましては二十三日に調査委員会を設置し、事実関係究明に当たってまいってきておるところでございます。その後電話連絡あるいは報告等で事態が明らかになった部分についてそれぞれ報告を受けておりますが、その事実に基づきまして十一月二十八日に御承知のように発馬機会社社長三上さんの名前をもって警視庁に商法の特別背任罪容疑で告訴をしたということがございます。  ただいままでの状況で申し上げますと、事件の全貌はまだ明らかでございません。事件内容が明らかになるにつれて、その原因を究明し、かかる事態が再び起きないような対策を競馬会に対して求めてまいりたいというふうに考えておりますが、やはり私どもの、また競馬会においても同様でございますが、任意にいろいろ供述を求め、書類を調べるといいましても、なかなか限界がある。もちろんその範囲内で最善の努力をしなければならぬと思いますが、それを超える問題については、やはり司直の手を煩わさざるを得ない、そのことによって、事態がさらに明らかになるよう期待をいたしておるところでございます。
  191. 津川武一

    ○津川委員 明らかになるにつれて問題を解決したい。明らかにするために、農林省は積極的にこの際は行動を起こさなきゃならない。発馬機が新洋物産で四億円不当に中央競馬会から取っている。脱税が摘発されると、その後エス・イー・エスという会社をつくって、またやっている。こういうことは調査が明らかになってからじゃなく、農林省自身が必要なものを呼ぶなりしてやればわかる話で、われわれよりもはるかに能力を持っている。そういう農林省の態度がまだこのような状況になっている。司直の手に預けると言っておりますが、いま司直は動いておりますか。
  192. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 捜査当局の捜査活動については、私ども情報を得ておりません。
  193. 津川武一

    ○津川委員 捜査はまだ動いてないですよ。それで、それを待ってという。だから農林省自身が事件を守っているみたいだ。三上社長はエス・イー・エスの部分は告発しているんだ。ところが、新洋物産のことを告発してないんだ。必要なことも告発してないんだ。しかも三上さんは、ここの場でも、あの小山さんが政党に、農林関係の議員に金をまいたということは苦し紛れに言っているだろう——すると今度は小山さんから誣告罪で逆に訴えられますよ。告発の一部も、それもとまってしまいます。何にも進んでないのです。司直の手は何にも進んでない。農林省自身から、司直の手にこれを告訴するというのはわかりますが、どうでございます。
  194. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 私どもが法令上権限を持って報告聴取を求め、あるいは立入検査ができますのは中央競馬会まででございまして、中央競馬会と取引関係のある会社まで出向いたり、あるいは報告を求めることは法令上はできないわけでございます。もちろん中央競馬会を通じて契約関係のある相手方でございますので、中央競馬会から事実関係の報告を求めるということで、ただいままでやってまいっておるところでございます。
  195. 津川武一

    ○津川委員 そう答えるだろう、そう逃げるだろうと思っていました。そこで中央競馬会、いま私が挙げた商社をごまかしていた、脱税をした小山専務の私行の中にたくさんの問題がある、こういう状態はどう全貌をつかまえているか、どのように処置したか、これからどうするつもりか、これを中央競馬会からお伺いします。
  196. 武田誠三

    武田参考人 御承知のように、小山専務あるいは菅沼常務と接触することができない状態にいまございます。できるだけ三上社長を通じまして、この両名に会っての情報の聴取というようなことがどうも基本になるように思うのでありますが、これができないという状態であります。したがいまして、私どもとしては、実際にどういう手口でどれだけのものが着服されているといいますか隠され、またそれがどう動いているかということの全容をつかみかねておるわけであります。  いずれにいたしましても、介在いたしました会社がいまお話がございましたように新洋物産ないしエス・イー・エス、また鈴祐、いろいろなものが名前が上がっております。こういうものに接触し得る限りの接触は求めてまいりたい、あるいは発馬機会社を通じて求めてまいりたいというように思っておりますが、なかなか相手方の方の状況もございまして、具体的にその点が十分に進んでないというのが現状でございます。
  197. 津川武一

    ○津川委員 私は事をせっかちに処理するつもりはありませんけれども事件新聞に出たのは十一月二十二日ですよ。きょうまで十七日になりますか。それで理事長は新洋物産に接触したい、鈴祐に接触したいと言う。だから接触してなければこの十七日間、問題の本質をどこかで隠す、細工する時間的な余裕が理事長や副理事長理事の方で行われているのじゃないかという疑問を持たれるわけです。  そこで、農林省にお伺いします。  中央競馬会の定款によりますと、理事長、副理事長農林大臣が任命する。理事農林大臣の承認を経て理事長が任命する。この農林大臣任命と農林大臣の承認を得ている理事、この人たちの名前、この人たちの前歴、この人たちが農林省で前に何をしておったか、この人たちの現在の俸給、この人たちのボーナス、この人たちの退職手当、これを明らかにしていただきます。
  198. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 競馬会役員のうちに農林水産省出身の者が現在五名おります。理事長武田さん、それから副理事長増田さん、本日参っておる参考人でございます。そのほか常務理事の斎藤吉郎、理事の塩田清隆、監事の安藤恭、以上でございます。  農林省における最終の官職の名前でございますが、武田さんは事務次官、増田さんは畜産局長、斎藤さんは大臣官房審議官、塩田さんは九州農政局長、安藤さんは外国勤務の後大臣官房付で退職をいたしております。  俸給の月額でございますが、理事長は百万五千円、副理事長は八十二万五千円、常務理事は七十二万、それから塩田理事は六十八万、監事の安藤さんは六十万三千円でございます。  ボーナスにつきましては、ちょっといま手元に資料がございません。(津川委員「きのうもらったでしょう」と呼ぶ)すぐ改めてお答えを申し上げます。  それから退職金につきましては、競馬会をやめた場合の退職金という趣旨でございますれば、まだ計算をいたしておりません。
  199. 津川武一

    ○津川委員 五十三年のボーナスで言うと、理事長が六百十五万六千円、副理事長が五百五万三千円、常務理事が四百四十一万円、監事が三百六十九万三千円。この方たちは常勤していますか。農林省いかがです。
  200. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 常勤の役員でございます。
  201. 津川武一

    ○津川委員 そこで理事長にお伺いします。  月給の多いことは、いまの庶民感情から言えばかなりなもの。お仕事をしていただかなければならぬ、お仕事を。  そこで、いま言われたように、柴田委員もおっしゃったが、武田さんは農林事務次官であると同時に農林漁業金融公庫の総裁もされたことがある。そうして副理事長増田さんが畜産局長なんだ。斎藤常務農林省でもまた官房審議官という偉い人なんだ。こういう人たちがおって、十一月二十二日に問題が提起されていままでほったらかしておくという。しかも中央競馬会ば資本金の四十九億二千四百十二万九千円が全額国庫出資、大臣任命の理事長、副理事長、大臣承認の理事が控えておって、発馬機のこの状態の全貌がいままでもわからない。相手があるとかなんとかおっしゃっていますけれども、ここいらは一体何なのでございましょう。本当に全部がわからないのでしょうか。これが一つ。どうしたならばこの全貌を明らかにするか。せっかちに聞くわけにはいきませんけれども、国民に向かっていつごろまでには明らかにするということまで言明していただくぐらいは必要だと思いますが、いかがでございますか。
  202. 武田誠三

    武田参考人 私どもとしては実態をできるだけ早く明らかにしたいというように思っておりますけれども、御承知のように、私どもとしては特別な権限を持っているわけではございません。したがいまして、どうしても司直の手にゆだねざるを得ない部分があることは、もう十分おわかりをいただけると思います。したがいまして、私どもの及びます限りの資料の収集なり実態の究明はいたしてまいりたいと思いますが、この全貌がいつになったらことごとく解明できるということをいま言えとおっしゃられましても、これは何ともお約束いたしかねるということでございます。
  203. 津川武一

    ○津川委員 司直の手を待つといって、中央競馬会としては警察、検察庁に何らかの行動を起こしていましょうか。  特に小山さんという発馬機専務理事菅沼常務理事、逃げると一年たってもつかまらない例が現に選挙違反であるんだ。それで司直の手が出てくるでしょうか。中央競馬会として、だから具体的に問題を解明するという姿勢がないから、その姿勢がこの状態を起こしたと思うし、これからも繰り返す心配が出てくると思うのです。ここいらの中央競馬会の計画をまず聞かしていただかなければ、私は国民にかわっての質問も進まなくなります。理事長いかがでございます。増田さんでもいいですよ。畜産局長の経歴を持ったベテランだから、どちらでも結構です。
  204. 武田誠三

    武田参考人 私どもとしても、小山専務なり菅沼常務、これらと接触をしたい、あるいはどこかへまた隠れてしまわれては困るという気持ちは多分にございますけれども、私どもとしてこのお二人なり何なりをどこかに隔離しておく権限があるわけでもございませんし、お二人ともまだ自由を拘束されてない状態でございますし、できるだけ情報を集めていつでも接触し得るような状態に置きたいという希望は十分に持っております。
  205. 津川武一

    ○津川委員 そこで、理事長にお伺いしますが、発馬機会社の役員のどなたとどなたが、中央競馬会との関係はどうなっているか、お答え願います。
  206. 増田久

    増田参考人 お答え申し上げます。  社長三上泰知、それから代表取締役専務が小山一雄、常務取締役菅沼重遠、同じく木村正、取締役深瀬達雄、それから監査役松尾良正、顧問戸嶋千秋、参与吉田彰、嘱託高松繁、以上でございます。
  207. 津川武一

    ○津川委員 いま挙げた方は中央競馬会にどう関係しておったか。中央競馬会との関係
  208. 増田久

    増田参考人 三上さんは御存じのとおり競馬会理事をやられた方でございます。それから木村さんはうちの審判員をやられた方でございます。松尾さんは広報室長をやられた方でございます。それから戸嶋さんは総務部長だったと思います。それから吉田さん、これも審判関係、それから高松さんもうちの参与だったと思います。
  209. 津川武一

    ○津川委員 役員のうち六人、二人いないだけですよ。社長がおいでになる。常務がおいでになる。中央競馬会の室長をした人もおいでになる。これでわからないと言う。私、農林漁業金融公庫の総裁をされた経済、経理のベテランに物を申し上げるのも気がひけますが、五、六年の収支決算書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、発馬機のを見られませんか。社長があなたのところの理事ですよ。専門家が接触できないなどと言って発馬機は別のものだ——どうなんです。すぐにおやりになってみてくださいませんか。いま挙げた発馬機の四つの書類、ここ四十二年から五十三年までお取りになって私たちにお示しくださいよ。そうすると、私たちももう少し国民に向かって解明の道があるかと思います。専門家に向かって私説教しておるみたいでまことに恐縮ですが、ここいらあたりは専門家として事態究明の道を国民の前に明らかにしていただきます。
  210. 武田誠三

    武田参考人 私は必ずしも専門家ではございませんけれども発馬機会社の決算に関連をいたしますいまお話がございましたような書類は、私も見ております。ところが、はなはだ申しわけないことでありますが、これが全部つくられたもの、実態をあらわしていないつくられたものでありまして、その限りにおいて全部、上手にというと語弊がございますけれども、きっちりした決算書は私どもの手元には出てきておるわけでございます。私どもが聞いております限りにおいては、発馬機会社の中で社長その他競馬関係の役員にはその書類を最終の決算書として見せておる。それで承認を得ておる。別途にもう一つ本物のといいますか、実体の決算をしておったというようなことのようでございます。
  211. 津川武一

    ○津川委員 あなたが金融公庫の総裁をやったときわかっておるでしょう。資金の申請をしますね。うそを書いてありますね。みんな見破ったでしょう。私はそのためにどれほど農業団体に資金を借りるために苦労したかわかりません。農業団体がどうしても欲しいとき作文したということはあります。それをきちんと見破ったのはあなたたちだよ。いまここになって発馬機のそれが見破れないなんというのはおかしな話なんです。だから専門家のあなたに私はこう強く言うのです。だから行動を起こしてほしいと言うのです。どういう行動を起こすか、ここで明らかにしてほしいと言うのです。やってみなければわからないでしょうが、大体いつごろまでにはめどをつけるつもりだというくらいは話していただかなくてはならなくなりましたよ。もう一度お答え願います。
  212. 武田誠三

    武田参考人 どうも大変私の力を高くお買いでありがたいと思いますけれども発馬機会社におきます過去何年間にわたりますこの不正なやり口というものについては、それぞれの証拠あるいは実態というものを何らかの形でつかまえていくということにならざるを得ないわけでありますが、その帳簿の所在からそれがどういうものであるかを全部洗い出すということはとうてい私どもの力ではできないというように私は思っております。もちろん実態というものについて発馬機会社の方からそれをできるだけ洗い出した書類を提出してもらうということがまず第一かというふうには思っております。
  213. 津川武一

    ○津川委員 見通しをつけて、鈴祐にでも、それから新洋にでも当たれば問題が解決されるのです。  そこで、実は理事長の態度を見て私なるほど腰が重いなと思ったのは、関連会社なんです。日本軽種馬登録協会は、現理事長が前中央競馬会理事長なんです。専務の堀力さんが畜産局前職員、常務理事の宮崎さんが前農林省畜産局付属機関の職員、理事の安引さんが日本中央競馬会理事、こういうふうになってきて、資本金二千万のうち一千万中央競馬会出資しているのです。中央競馬社会福祉財団は、現理事長清井正さんが中央競馬会の前の理事長なんです。専務の村田豊三さんが前畜産局長なんです。そして武田さんもこの理事をしておる。理事の瀬川さんは中央競馬会常務理事なんです。理事の今井さんが中央競馬会理事なんです。これは一千万の資本金のうち五百万中央競馬会から出資されている。競馬保安協会は、ここにも八名の役員のうち三名中央競馬会から出ておりますが、ここでは理事長が前の道路公団の監事、副理事長が畜産振興事業団の参与、そして理事の古西さんが精糖工業会の理事長である。それから馬事文化財団は、理事長が前の競馬会の監事の津軽義孝さん、ここは六名の人が全部中央競馬会関係なんです。競争馬理化学研究所は、理事長が前の日本中央競馬会常務理事の高橋幸一さん、役員四名のうち二人が中央競馬会、三千万の資本金のうち二千四百万を中央競馬会が出している。中央競馬会弘済会は、会長の筧さん、これは中央競馬会の前の常務理事、副会長の須田立さん、以下役員十二名が十二名全部中央競馬会の職員、そして二億円のうち五百万が中央競馬会から出資されておる。日本トータリゼータは、取締役社長が前中央競馬会常務理事の金丸さん、それで役員七名のうち中央競馬会出身者が四名、三千万全額出資日本発馬機がいま言ったようなことです。  まだたくさんあるけれども、こうなってくると、中央競馬会は、何をしても信頼して、専門家の理事長が余り書類を見なくてもよろしいんだね。その過程の中に出てきて、これが中央競馬会一家をつくっている。だから心配なのは、発馬機のことが心配になったら、小川さんが、今度は券を売る施設の不正融資のことが出てきたでしょう。これは至るところに出てくる。これはかなり粛正しなければならない。このことについて政府は、こういう形で、あなたたちが任命した理事長、副理事長、大臣の指名、全部承認されている理事がやっている中央競馬会、これでいいのか。先ほど畜産局長は何か通達を出してこの点もやると言ったけれども、これでいいのかどうか、まず伺わしていただいて、何らかの形でこれは検討しなければならぬ。ここに問題が出てくると思うのでございます。まず農水省から答えていただきます。
  214. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 中央競馬会関連団体につきまして、いまお話しのような役員の就任があるわけでございますが、私ども承っておるところでは、それぞれの必要性に基づいて団体がつくられ、それぞれの役員が競馬に関して知識、経験を有するということで御就任になったものというふうに理解をいたしておりますが、先ほど申し上げましたとおり、中央競馬会自体が適正な競馬を執行する大きな責任を持っておるということからいたしまして、そういう見地からどうであろうかという点につきましては、いままでは適正に行われておると存じますけれども、さらに改めて精査をするということは先ほどもお答えしたとおりでございます。
  215. 津川武一

    ○津川委員 中央競馬会理事になったらもうしめたものなんだよ、どこかの関連会社の会長か社長専務か。ここで政府に対するおべっかも始まるし、汚職の根源もあるので、これはぜひぜひ粛正していただかなければならない重大な事項なんです。  こんなことで関連会社も使って競馬会はやりますので、競馬会の収入、純利益はものすごくふえていくのですね。四十九年、馬券の収入が七千七百八十二億円、五十一年九千九百四十九億冊、五十二年一兆一千十億円、五十三年一兆一千三百九十三億田、そのときの利益が四十九年四百四十七億円、五十一年五百三十六億円、そして五十二年五百八十七億円、このとおり物すごくもうかっていくのです。これを温存する機構が、やはり関連会社理事を送り込む、農林省のエリートの官僚を送り込む、こういうことによってこれが温存されてくる。その結果、中央競馬会の特別積立金、四十八年度までの累計が九百十八億円、四十九年千百四十二億円、五十三年二千百九十四億円、それで厳正な経理を行うべきものを、特別積立金を五%の利息に勘定していくと、これで五十三年は百八億円の利息、累計で四百十三億円の利息、そして、よく勘定してみたらどうしても合わない利息が百七十五億円ばかり出てくる。ここいらで中央競馬会の純益、収入というものを国民にどのようにして返すのか。こういうべらぼうなもうけがあるところに、どんどん融資もできるし、どんどん協力費としてお金も出せるし、発馬機の根源もここにあると思うわけです。しかも、この特別積立金は皆さんの定款によりますると、一切のものを払った後に残る特別積立金、すべての規定による納付及び規定による積立金をしてもなお剰余があるときは、すべてこれを特別積立金として積み立てる。積み立てたお金をどこにどう使うか何もない。ここにもまたいろいろなことが起こる根源があるわけなんです。したがって、利益全体、特別積立金をどのようにするか、こういう点を中央競馬会から、そして、この指導農林省はどうするかお伺いして、私はもし納得すればこれで終わります。
  216. 武田誠三

    武田参考人 私どもとしては特別積立金はいわゆる企業会計上におきます剰余利益金でございます。したがいまして、これはいわば自己資本みたいな形のものでございますから、一部はいろいろな施設、備品等になっております。固定資産化されております。それから残りの一部が流動資産という形になっておりまして、私どもとしては、特別積立金につきましてはそういう形で今後施設費に相当部分が使われていく、一部が流動資産という形で運営上の資金ということに相なっていくというふうに考えております。
  217. 津川武一

    ○津川委員 そこで、特別積立金が二千百億円から超して、毎年の純益が五百億円を超している。したがって、純益からやればいいのです。そこで、特別積立金は農林省、一応国でちょうだいして国民に返す方法を——特別積立金にやはり条件をつけなければならぬ、やっているうちにこういうふうな気持ちに私はなったわけです。この点の政府の見解を聞かせていただきます。それで終わります。
  218. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 特別積立金は競馬会法に基づきまして、剰余金の二分の一に相当するものは国庫納付金として納付されます。いわゆる第二国庫納付金と言われるものでございます。残り二分の一につきましては、先ほど武田参考人からお答え申し上げましたように、現実にはその大部分は固定資産化されております。企業会計方式の算定でございますので、それを現金化してどうこうということは、競馬施設そのものを処分するという話になりまして、競馬ができなくなるということに相なるわけでございますので、政府といたしましては、競馬会の行う競馬が公正適確に行われるための施設として、それが合理的に使われることが望ましいと考えております。
  219. 津川武一

    ○津川委員 中央競馬会の剰余金それから利益金、特別積立金の使途に対して、改めてまた機会を求めて農林大臣にお伺いすることにして、きょうは終わります。
  220. 内海英男

    内海委員長 この際、午後二時十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時三十五分休憩      ————◇—————     午後二時十一分開議
  221. 内海英男

    内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。稲富稜人君
  222. 稲富稜人

    ○稲富委員 私がお尋ねしようと思いますことは大体午前中各同僚委員からお尋ねがありましたので、あるいは重複する点があるかと思いますけれども、別な角度から重複を避けてお尋ねいたしたいと思いますので、その点あらかじめ御了承を願っておきたいと思うのでございます。  最初三上参考人にお尋ねいたしまして、それから中央競馬会政府ということで質問を進めていきたいと思います。  最初に、三上参考人に対してお尋ねいたしたいと思いますことは、あなたは中央競馬会の役員から今回日本発馬機会社の方に就任されたわけでございます。先刻片岡委員質問に対しましては、日本発馬機会社はよくやっている会社だと思っておったというようなお話でありました。それで、すでに昨年の九月に社長として就任されたのでございますが、就任されてから発馬機会社内容に対してどういう感想を持たれたのであるか、その点まず承りたいと思うのであります。
  223. 三上泰知

    三上参考人 私就任いたしましてまず最初に気がつきましたことは、社長以下七十名程度の大変小さな会社でございますけれども、それだけに事業の運営についてはわずかな数の役員がお互いに相談し合って決めていくということで今日まで進んでまいっておったと理解しておったのですが、入ってみまして、意外に大事なことが相談されないで特定個人の意思で進められているというふうなことを最初に感じました。  そこで、私が真っ先にやりましたことは、とにかく聞いてみるといままで取締役会というのはやっておらなかったという話だけれども、これはいかぬ、小なりといえども会社である限りにおいては商法によって定めがあるからきちんとしなければいかぬということで、就任をしたのが九月の半ばでございますけれども、十月から役員会という形のものを実行しております。事の大小を問わずすべて役員会にかけなさい、そこで物事を決していこうということでやり始めまして、五十四年からは役員会をやる日も定例日を定めまして、毎月第一、第三木曜日、議題があってもなくても役員会を必ずやるという形で今日に至っておるわけでございますが、かなりな内容が役員会にかかって決定をされております。また、その記録も私が就任して以来残されておりますけれども、いまからこの事件を振り返って考えてみますと、非常に大切なポイントになるようなことが実はこの役員会にかかっておらなかったということで、陰でひそかに行われておったと考えざるを得ないような事実がございます。  それから、ほかの先生の御質問に答えまして、競馬会との風通しをよくするという趣旨も私が派遣された理由の中に含まれておったと思いますけれども、その件につきましては、業務の実行概況について月例報告を競馬会の方に毎月お出しをしております。その中には役員会でどういうことを審議したか等はもちろんでございますけれども、日常の業務処理のかなり細かい点まで列挙いたしまして、会社業務運営の進行状況がかようであるということをわかりやすく競馬会の方に御理解いただく、そういう性格の月例報告を毎月競馬会の方にお出しをしております。  そのほかに就任して真っ先にやりましたことは、すでにあります会社の規程類でございます。これは一応目を通しまして、その中で若干気づいた点もございます。たとえば組織規程が十分に整備をされておらない。業務の運営に多少ぎくしゃくする面があるということから、組織規程につきましては具体的に提案をさせまして役員会で決定をして一部改正をするというふうな措置をとったり、あるいは規則はあるけれども現実が必ずしも規則にあっておらぬ。つまり規程上いろいろな規則をつくっておかないといけないから一応つくってあるけれども、いわばどこかの規程類を本屋で買ってきてそれをまる写ししたような感じで、社の実態に必ずしもぴったりと一致するような規程類ではない。こういう感じを持ったものですから、規程類につきましてもじっくり腰を据えて研究機関を置いて、改めるべきものは改めるという方向で総務部に原案の提出方をかねがね求めておったということもございます。  総じまして、非常に小さい会社であるので、いままでは何事も余り相談をしないで実権を持っている人が自分の思うなりにやってきたという感じがまずいたしました。これはあくまでも感じでございますけれども、こういうことは一掃しなければいかぬということで少しずつ手をつけ始めておったやさきにこういう事件が起こりまして、さて社内調査をいたしましていろいろなことがわかってきたわけですが、それらをどういうふうに理解するか、なるほどこの一年間を振り返ってみますと、ああいうことは役員会にもかけなかったな、そういう感じがするわけでございます。  そういうことでお答えになりますかどうか、私としてはまことにやる気でやったわけでございますけれども、目が開いておらなかったことがいかにも残念でございます。
  224. 稲富稜人

    ○稲富委員 非常に御丁寧な御答弁でございましてありがとうございました。  では、あなたは、従来この会社が脱税行為をやっておった、あるいは裏金づくりをやっておった、こういうようなことはその間にお知りになったのでございますか。
  225. 三上泰知

    三上参考人 夢にもそういうことは感じておりませんでした。今回の新聞記事によって実は初めて知ったという状況でございます。
  226. 稲富稜人

    ○稲富委員 ちょうど就任されて一年間ですか、一年間以上になるが、やはりあなたは脱税行為あるいは裏金づくり、こういうことは全然お知りにならなかったということでございます。  そこでお尋ねしたいと思いますが、競馬会からあなたのほかに監査役が一人行かれておりますね。この監査役の方は発馬機会社からは無報酬であって、競馬会の参与として参与の給料をもらいながら監査役をやっていらっしゃる、こういうふうに聞いておりますが、事実そうでございますか。また、事実そうであるとするならば、どうしてそういうことがやれるか。発馬機会社の監査役でありながら無報酬であるし給料は中央競馬会から受ける、こういうことは変則じゃないかと思います。この点は、あなたは知っていらっしゃったと思いますが、どうでございますか。
  227. 三上泰知

    三上参考人 私が就任いたしましたときに現在の監査役が同時に就任されておったわけでございますが、当時は競馬会の参与という身分を持っておられました。主たる給与は競馬会の参与ということで、私どもの方は非常勤、無給でございました。これは先生指摘のとおりでございます。これが一つの通例だとは決して私思っておりません。  競馬会関連団体の役職員、従業員等の給与につきましては、競馬会の方から一種の統一的な指導がございます。これは各団体の財政規模によって各団体が独自にこれを決めますと均衡が非常に乱れるということから、あくまでも統一的な指導でございますけれども、そういうものが行われておりまして、その線に沿って当社の監査役につきましては、片方において参与としての給与があるならば無給でよろしいではないかということで今日に至っておるわけでございまして、そのことが監査役として機能を発揮されることに特別にかかわりがあるというふうには私は考えておりませんでした。
  228. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは非常に重大な問題で、社長としてあなたが責任者とお考えになる場合に、発馬機会社の監査役であるならば当然発馬機会社として給料を払うべきものであって、発馬機会社にあっても無給である、しかも中央競馬会からの給料によってその人が発馬機会社の監査役をする、こういうことに非常に経営のルーズさがあったのじゃないかと思うのです。これも不都合じゃないと思っていらっしゃったというのでございますが、その点はわれわれはどうも腑に落ちないのだが、いかがでございますか。
  229. 三上泰知

    三上参考人 給与が出ている出ていないという——世間的に言いますと、いかにも無給で監査役という重任を果たせるかという問題はあろうかと思います。そこを私としては、社長としては意識をしておらなかったと申し上げればこれはうそになりますが、意識はしておりましたが、現実にそういう例がほかにないでもないということから、まあまあということで過ごしておったわけでございます。
  230. 稲富稜人

    ○稲富委員 いまの発馬機会社の経理内容が非常にずさんであることは今度の問題でもわかりますし、最近になってこれが新聞に載ったから社長みずからが知るというほど経理内容がずさんである。こういう点から申し上げましても、監査役というのはその会社の監査役でございますから責任を持たなくちゃいけない。それを無報酬で監査役にして、しかも監査役はよそから給料を受ける、こういうことで経理面の本当の監査ができるかどうかということは、これは常識として考えられることで、私はこの点も非常に問題があったのじゃないかと思うのでございますが、この問題は次の質問と一緒に御答弁願いたいと思います。  この発馬機会社パテントを持っておったと聞いておりますが、このパテントはいまだれの所有になっておるか、この点を承りたいと思います。
  231. 三上泰知

    三上参考人 事件が起こりまして社内調査をやりましたその以前におきましては、パテントは当然会社の所有である、私はこういう認識でおったわけでございます。事件後、調査の結果、その所有権がすでにかなり以前に小山個人に移されておったという事実は、私も初めて知りました。
  232. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは後で中央競馬会に聞きたいと思うのでございますけれども会社が当然取得するパテントを小山個人が持っておった、このパテントは、現在は小山個人のものでございますか、会社の所有になっておりますか。
  233. 三上泰知

    三上参考人 小山個人の所有になっております。
  234. 稲富稜人

    ○稲富委員 小山個人パテントを持ったということは、すでに先刻理事長の答弁の中にもあったのでございますが、一番最初にニュージーランドのウッド式というものを野沢組が輸入して持ってきたものを、発馬機が製造販売の権利を取りながら何かの工夫をしてパテントを取ったというのですが、その当時はやはり小山専務の所有だったか、会社の所有であったか、どういう経過で小山個人の所有に帰したか、その点のいきさつは御存じでございますか。
  235. 三上泰知

    三上参考人 この会社が発足したのは十五年前でございますけれども、その当時、御質問ウッド式のゲートの製造パテント、製造権をだれが購入し、それに基づいてだれが製造しておったかということにつきましては、私は詳しくは存じておりません。
  236. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではお尋ねしますが、小山専務がそのパテント、権利は持っていて、小山専務からそのパテントを借りて日本発馬機会社がこれを製造しておる、その権利はどこまでも小山に所属したものである、こういうことになるわけでございますか。——副理事長がむずむずしておりますから、競馬会の方でひとつ答弁を……。
  237. 増田久

    増田参考人 私からちょっとお答えいたします。  確かに最初会社で届け出があったわけでございます。それが届け出てから何日か後に、知らない間に小山に切りかえられているという形になっているわけでございます。それで、一件は違いますけれども、使っているもののうちの三件は、現在は大体小山のものになっているのではないかというふうに推察をされるわけでございます。  ただ、そこのところでよくわからないといいますか、確かに会社パテントでありますけれども開発者が小山であるとするならば、会社として登録するときに小山にロイアルティーを払うというのが普通の常識であろうと思うのです。それからまた、もし小山に移っているならば、小山にパテント料を払っているという経理の処理がなされるべきだと思うのでありますけれども、そういうことはどちらもなされていない。ですから、知らない間に小山個人に変わってきたということでございまして、われわれいま調べて、まだよくわからない点もありますけれども、当時の関係者に聞きますと、これは取締役会で承認しているわけですが、現実には取締役会は全然開かれていないわけです。そういうものが書類として出ているわけですけれども、それも偽造したものではないかということもいま調べている最中でございます。
  238. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとパテントというのが非常に重大な役割りを持っているわけですが、その重大なパテントの所有者が、中央競馬会も、社長になられておる三上さんも、会社が当然持っているものだと思っていたところが今度のこの問題が表面化してから初めて小山個人の所有であったということが知らされた、こういうことになるわけでありますか。これは中央競馬会の方からひとつ……。
  239. 増田久

    増田参考人 おっしゃるとおりでございます。
  240. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは奇怪な話でございまして、こういうような重大な問題を全然知らされてなかったというところに非常に問題があるわけであります。  この問題について三上さんに一つお聞きしたいことは、これは先刻からもう同僚から質問があったのでございますが、この間警察の調べに対し、て、小山さんが言ったかどうか知りませんが、非常に金が要ったということは、競馬会その他に非常に金を使っている、こういうようなことを言っているのでございます。馬主や中央競馬会、公営競馬関係者、有力者にいろいろな金が要った。それから中央競馬からツケを回されている交際費も自分のところで払っている。あるいは農林関係国会議員五人に合わせて年間一千万円から三千万円程度の献金をしたと言ったということも新聞に報道されております。  これはただ単に国会議員に流れたというのなら漠然としているけれども、五人の国会議員に贈ったということが断定されておる。五人ということになれば名前もわかるはずなんですが、こういうような的確なことを小山が言っている。知らないんだ、こうおっしゃればそうでございますが、あなたは社長として、こういうようなことが報道されたということの根拠が那辺にあるかということは、会社責任者としておわかりになるのであるか、この点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  241. 三上泰知

    三上参考人 私先ほど先生の御質問にちょっと勘違いいたしまして、間違ったことをお答えしましたので訂正をさせていただきます。  会社が発足しました当時ニュージーランドからウッド式ゲートというのを輸入をして、これは結果がいいということで日本で使うことになったのですけれども、一々輸入しておったのではいかぬからということでパテントを買いまして、そのパテントもと日本国内で製造いたしまして、それを一時競馬会が買い上げたという経過がございますが、そのパテント関係については、ずっと以前のことでございますのでつまびらかにいたしませんと私お答えしたので、現在の発馬機パテント関係のことをお問いになっておったのかと思いますけれども、ちょっと勘違いをいたしましたので訂正いたします。  それで、先ほどの御質問ですが、私どももあの新聞記事を確かに見ました。小山専務が国税局に対してそういうことを言ったというふうに報道されておるわけでございますが、その内容小山専務にいま確かめるすべもございませんし、また、私どもが社内調査で全部見ました証票、書類等の中にはそれを裏づけるようなものは何一つ出てまいりませんので、私どもとしては、もしそういうことが仮に国税局に対して供述をされたといたしましても、その内容について肯定すべき資料も何も持たないということでございます。要するに真偽のほどはわかりません。ただ、そういうことは考えられないということは言えるのじゃないかと思います。
  242. 稲富稜人

    ○稲富委員 次に、中央競馬会に尋ねる前に一つ念を押しておきたいと思いますことは、ただいまのこのウッド式のスターティングゲートというものは、ニュージーランドからまず野沢組が三十五年に買い込んできて、そして野沢組が製造と販売権を持って、その後四十年に野沢組と、これはあなたの下会社である共栄商事が合併してこの会社ができ、それとあなたの方との密接な関係ができたことになったわけでございますが、その間において競馬会もそのパテントというものはどこまでもその発馬機会社が所有しているものだと思っておった、こういうことなのでございますね。  さらに、もしもそう思っておったにもかかわらず、現在は小山専務の所有に帰しているというならば、その間どういうような経緯で、ただ詐欺をしたのであるか、どういうようなことになって小山個人の所有に帰したか、この点はお調べになっておるのか、その経過もわかったらひとつお聞きしたいと思います。
  243. 増田久

    増田参考人 これは四十五年に現在の四八式の開発をいまの発馬機会社に委託をして、四十八年にそれが完成を見るわけでございます。したがって、それに伴うパテントは当然会社に帰属すべきものであるということで、五十年の契約のときにおきましても、競馬会としてはパテントは当然会社のものということを強く主張し、小山との間に若干のあれはあったようでありますけれども、それは競馬会はそういうふうに指導もし、そういうふうに理解をしておったし、現に最初はそういう形でパテントの申請がなされておったことは事実であります。しかし、その後、われわれの関知しない間に小山のものになっていたということは、今度の事件で初めて知ったというのが実態でございます。
  244. 稲富稜人

    ○稲富委員 三上参考人に聞きたいのですが、その間に発馬機会社が似たようなエス・イー・エスというトンネル会社をつくっておったということ、これはどういうようなもくらみがあって同じ性質の会社、先刻からも同僚から質問がありましたけれども、同じ定款のこういうようなものを二つつくったという意図ですね。単にこれはトンネル会社をつくって、そこで別な金を、中間で裏金をつくる目的であったのであるか、あるいは小山個人がこのエス・イー・エスという会社をつくって、自分がパテントを持っておるから、将来はエス・イー・エスにパテントを持って逃げ込もうという腹があったのであるか、その点に非常に疑わしい点があると思うのですが、あなたはその社長として、現在の立場から、どうしてこういうようなエス・イー・エスというような会社をつくらなければいけなかったのであるか、あなたとしての感触をひとつ承りたいと思います。
  245. 三上泰知

    三上参考人 いまとなりますれば、私も先生が推測されましたような線でエス・イー・エスとパテントが知らない間に会社から個人に移譲をされた、この二つの事実がひょっとしたら結びつけられるのではないかなという感じはいたしておりますけれども、それを予測させるような事実がいまのところつかめておりませんし、もうこの辺になりますと司直の解明にまつ以外はないというふうに感じております。
  246. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで中央競馬会にお尋ねしたいと思いますが、中央競馬会はこの発馬機会社に対して五〇%の出資をされております。出資をされておるということは——もちろん最初の一緒になった会社共栄商事のものを譲り受けられてこういう結果になったという経過は知っております。ただ、ここで承りたいと思うことは、少なくともあなた方がそのように出資をされたということはやはり競馬会業務の一環としておやりになった、出資された以上は、この点、そう解釈せざるを得ないが、それはどうでございますか。
  247. 増田久

    増田参考人 午前中に理事長からもたびたびお答え申し上げたのでございますけれども発馬機業務そのものは競馬会が直営でやるよりも別会社でやった方が経営的には合理的であるという線はいまでも変わっておりません。したがって、今後もそういう線でやるべきであろうと思っております。それは労務管理の上もありますし、経営上の問題もございます。しかしながら、その株を持ったというのは、先ほども何回も申し上げましたとおり、いろいろ競馬会と発馬磯との間の意思疎通と申しますか、あるいはたとえば五十年のときにはまだ共栄商事が持っておって、私の方とは直接的な関係がない、そういうときに小山との争いになりますと、競馬会はいかなる権限でわれわれを調査するのかというような言がすっと出てくる。こういうことでは両者の関係はよくない。そういう意味でわれわれは、より風通しのいい形にした方が今後発馬機との関係はよくいくのではないかという考えもありまして、四十二年にたまたま共栄商事からの申し込みがありましたので受けて立った、こういうことでございます。
  248. 稲富稜人

    ○稲富委員 ずいぶん聞きたいことがありますけれども、私の時間がだんだんなくなりますので、非常に残念でございますが、かいつまんで申し上げます。  競馬の発馬というものは非常に重大な業務一つでございます。他の会社にその運営まで任せるということは、これは本来競馬をやる上から見ますと非常に危険な仕事であったと私は思う。実はスターティングゲートを競馬会がつくるときもずいぶん問題になった。御承知のとおり、それまでは地方競馬はスターティングゲートを使っておったけれども中央競馬は使わなかった。なぜ中央競馬会競馬の近代化のためにスターティングゲートを使わないかとずいぶん問題になったことがあります。しかしながら、あなたの方では慎重を期して、いいものをつくるのだ、こう言って、地方競馬よりもおくれてスターティングゲートを使用された。それほど慎重にやられるならば、このウッド式をニュージーランドから買い込むという場合も、ほかの会社が買い込んでくる、なぜ自分の方から早くこれに対して手をつけなかったか。この点も競馬会が非常に粗漏であったか、こういうことを私たちは考える。  さらに、こういうようなことから、いま言うような発馬機会社がその会社をつくってその事業に対する実権を握ってしまっておる。それだから、もしも向こうに反対されればもう競馬はできないことになる。その弱みがあるから、いろいろな要求等をいやいやながらでも甘んじなくちゃいけないことになるのじゃないか。先刻からもいろいろ指摘がありましたように、われわれから言うなら不当だというような金が支払いされておる。こういう支払いに対しましてもこの発馬機会社というものが、自分の方はそのパテントを持っておるのだ、業務一切を自分が握っておるのだ、この要求を聞かなかったならばもう競馬の発馬はできないじゃないか、競馬会競馬施行ができないじゃないか、こういうようなことで、その弱みを持って競馬会がいろんな服従をしておったのじゃないか、こういうことも考えられるわけでございます。これは将来の競馬の運営において非常に重大な問題がある。しかもこの発馬機に対するパテントというものがいままだ小山の手にあるとするならば、今後の競馬の運営に対しましても非常に重大な問題があるわけでございますので、事は非常に重大である、私はかように考えておるわけでございますが、この重大なものに対して、なぜ競馬会はもっと積極的に今日まで取り組んでこなかったのであるか、この点をひとつお尋ねしたいと思うのでございます。
  249. 増田久

    増田参考人 パテントの問題でございますが、その点についてわれわれも非常に心配をいたしておりますから、それをわれわれの手に押さえることをいま慎重に検討しておりまして、競馬施行に支障のないように十分法的措置を講じたいと思っております。  確かに発馬機の問題は、競馬の中核をなすことの一つであることは間違いない。そういうことで競馬会が直接やれというお話、もっと積極的にやれという御意見、それは十分検討に値する問題だと思います。しかし、先ほど申しましたとおり、現在の段階では四八式というものがまだ一番いい機械であって、それからやり方としてもいまの方式で十分に監督し得るものであるならば、現在の体制でいいのではないかというふうにも考えておりますけれども先生の御意見もありますので、そういうことも含めて将来の問題として検討さしていただきたいと思います。
  250. 稲富稜人

    ○稲富委員 私の質問時間ももう六分しかありませんので、まだたくさん聞きたいことはありますけれども、結論に入らなければしょうがないのでありますが、きょうの午前中にも質問がありましたように、こういうような不確実な会社に対して中央競馬会は三億七千万円の融資をされておる。また、先刻指摘のありました大阪の場外馬券場に対しましても融資をされておる。この融資をされておるということは、二十五条の「競馬会は、左に掲げる方法以外の方法によって」——先刻言われましたこの余裕金ではないということでやられておる、こうなりますと、二十三条によります通常予算の中から出されたということになる。通常予算というものは、これは当然農林水産大臣がその認可をしているわけなんです。この中からこういうずさんな金の貸し方がされたというと、これはひいては農林大臣が認可の責任を負うということになってくるわけでございます。特にこういうような多額の融資をする場合に、担保なんかに対してはどういう態度をとっておられたか、この点もあわせてお聞きしたいと思うのでございます。
  251. 増田久

    増田参考人 発馬機の場合の担保は、発馬機そのものが担保に全部入っております。  それから場外のような場合には、土地が全部われわれの担保に、第一抵当に入っているということで、債権は十分に確保されているのが現状でございます。
  252. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、この場合は発馬機が担保になっておる。パテントはないでしょう、パテントは担保の対象になっていない、こういうことになりますと、いよいよこれを運営する場合は、発馬機だけはもらっておっても競馬の運営はどう影響するか、この点はどういうふうに解釈されておるか。
  253. 増田久

    増田参考人 この点につきましてはいま弁護士と十分相談しておりますけれども、法的にこれを使用できる体制がとり得るものというふうに確信いたしております。
  254. 稲富稜人

    ○稲富委員 それはあなたの方の解釈であって、これは非常にうるさい問題だと思う。パテントに対してその担保権を設定しておったというならば、これは何よりも大きな力であるけれどもパテントは向こうにある。発馬機だけは担保に取っておる。これでは将来の運営というものがやれないということになるのは重大な問題である、痛しかゆしの問題なんです。こういうような粗漏なやり方がやられたということは非常にずさんではなかったか、こういうそしりを受けることになるのじゃなかろうか、かように考えます。  それで、こういうような融資をやられたということは、この二十三条には「競馬会は、毎事業年度、省令の定めるところにより、収入及び支出の予算を定めてこれを当該事業年度の開始前に農林水産大臣に提出し、その認可を受けなければならない。」こういうことが書いてありますから、予算書は受けられたと思う。そうすると、この融資がどういうように使われるか、またそういうずさんな融資がされるということに対しては、農林大臣が認可する上においてはこれは当然検討しなければいけない問題であると思いますが、これに対して農林省はどういうような考え方を持っていらっしゃるか、この点ひとつ政府にお伺いしたい。
  255. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 お話日本発馬機に対する協力金でございますが、予算上計上し、これを認可いたしております。したがいまして、それが適正に行われるということについての指導監督責任はあるわけでございまして、決算上それのチェックを当然いたしておるわけでございますが、残念ながら決算書が粉飾されていたということから、私どもとしては非常に残念な事態であった。これにつきましては競馬会と十分打ち合わせをして、いかなる是正措置がとり縛るか、十分検討をいたしたいと存じております。
  256. 稲富稜人

    ○稲富委員 もう時間が来ましたので、まだお尋ねしたいことは三分の一もしておりませんけれども、いずれの機会に譲ることにいたしますが、こういうようなずさんな経営がやられるということは、中央競馬会に対して申し上げたいことは、中央競馬会そのものの気分がはなはだ弛緩しているのではないかと私は思うのですよ。競馬開催に対しましては、今後競馬会の経理方面に対しても、さらにまた出先のいろんな子会社に対しましても、監督並びに経理の面に対しては競馬会ももっと厳しい態度でこれは臨まなければいけないのではないだろうかと感じたわけであります。  さらにまた、政府といたしましても、特殊法人である中央競馬会がこういうようなずさんな経理をやるということに対しては、監督上十分責任があるのであるから、この点に対しては、政府といたしましても、十分なる監督、ことに経理上の問題に対しましては、監督を厳重にしていく必要があると私は思います。  最後に、私一言申し上げたいと思いますことは、こういうように競馬会内容が非常にたるんでおるということ、今回のこの発馬機会社等の経営や、またずさんな金の支出、こういうことも、その本体もわきまえないでこれにおんぶしてしまっておった、ここに私は非常に手落ちがあったと思う。こういうようなことは非常に気分が弛緩しておったと思う。これはなぜかというと、長い間中央競馬会というものが、年々歳々競馬というものが盛んになってくるが、その組織の上にあぐらをかいてしまっておる。ここに大きな原因があると私は思う。  そういう点から、現在の中央競馬会法というものは昭和二十九年に成立されておる。もうずいぶん時代が変わってきております。時代が変わってきておるから、時代の変わった、この時局に合ったような中央競馬会法の改正をやるべきではないかとわれわれはしばしば主張したけれども、それを言うと、政府も、何とか検討いたしますと言いながら、一つもその結果はあらわれていない。そういうように、政府みずからも競馬の問題に触れることはタブーである、触れたくない、逃げようとする、こういうようなことは政府にもあると思う。また、この組織の上にあぐらをかいておる中央競馬会の方にもそれがあると思う。  こういう点は、これを機会に政府中央競馬会も、さらに関連する子会社等も本当にこの際えりを正して、過去を反省しながら、こういうようなことに対しては、時代に沿ったような競馬法の改正も当然行うと同時に、これが運営に対しましても、心を新たにしてやる決意がなければいけない、かように思いますが、これに対する政府並びに中央競馬会の意のあるところを承りまして、私の質問を終わりたいと思いますが、所見を承りたいと思います。
  257. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 競馬につきましては、中央競馬地方競馬、ともに関係者の努力によりまして、おおむね順調な発展を遂げてきておりまして、その面から見まして、今日のこの事態を招いたということは非常に残念に思っております。  ただいま御指摘の制度改正の問題につきましては、これまで競馬の改善を図る目的で諸規定の改正の積み重ねをしてまいっておりますけれども、今後とも状況に応じ、競馬のより一層な健全な発展を図るために検討を進めてまいりたいと考えております。
  258. 武田誠三

    武田参考人 私どもといたしましても、今回の不祥事によりまして大変御迷惑をかけ、かつまた、中央競馬の信頼に著しく傷がつきましたことについて、深く反省をいたしております。  今後、大衆に支持されております中央競馬といたしましては、えりを正しまして、一層この信頼の回復に努めまして、経理を初め運営そのものの適正を期してまいりたいというように考えております。
  259. 稲富稜人

    ○稲富委員 これで終わりたいと思います。  競馬法の改正に対しまして、私、五十一年の五月十九日、本委員会においてこういう点を改正すべきであるといって、そういう点まで指摘して競馬法の改正を要望いたしました。その上政府は、貴重な御意見だから検討いたしますと言っておった。五十一年ですよ。一つも検討されていない。農林省のそういう姿勢が、ひいては競馬会の気分を弛緩させたと私は思う。これは両方に責任があると思うから、きょうは何とか検討するというのではなく、まじめに検討していただきたい。ただ答弁だけの検討ではなくして、本当にこの問題に対しては踏み込んで、みんなが納得し得るような、また、国民から信頼されるような、公正な競馬施行する、こういう方向に進んでいただきたいということを特に私はこの機会に強く要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  260. 内海英男

    内海委員長 以上で、競馬に関する問題についての質疑は終わりました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。      ————◇—————
  261. 内海英男

    内海委員長 引き続き、農林水産業振興に関する件について質疑を行います。玉沢徳一郎君。
  262. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 農林水産業の現状について質問させていただきます。  特に、最近の豚肉の下落によります養豚農家の現状、これにつきまして質問をさせていただきたいと存じます。  例年ですと、豚肉の価格は夏場が高く秋口安い、こういうような状況でございますが、本年になりますと、夏場におきましても価格がきわめて下落をいたしまして、この九月下旬におきましては豚肉の卸売価格五百二十九円、最近では若干よくなっておりまして五百六十一円ぐらいでありますけれども、しかし、豚肉の安定基準価格でありますところの六百一円を下回っておるわけでございます。養豚農家の生活は非常に苦しいわけでございますが、農林水産省といたしまして、この原因はどういうところに起因するのであるか、どういうふうに認識しておられるか、まず、その点についてお伺いをいたしたいと存じます。
  263. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 最近の豚肉の価格は、ただいまお話しのとおり、ことしの八月下旬以降安定基準価格を下回って推移をいたしております。その低落の原因については、いろいろ考えられるわけでございますが、基本的には、何と申しましても需要の伸びを上回って生産が推移をするということがあるわけでございまして、生産がそのように大幅に伸びておる、その原因について考えてみますと、一つは、昭和五十二年九月以降配合飼料価格が値下げをされてまいっておりまして、養豚経営の収益性が向上をいたしまして、豚肉の生産意欲が増大したということが挙げられるかと存じます。  それからもう一つは、養豚経営の規模が繁殖経営、肥育経営ともに拡大をし、かつ専業化してまいる。さらには、繁殖、肥育の一貫経営が進展をしたということで、価格の変動に対して経営の規模の弾力性が少なくなってきておるということが挙げられるかと存じております。
  264. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 いま局長お話は、需要の伸びを上回って生産が伸びておる、こういうことが一つの主たる原因であるというふうに申し述べましたのでありますが、確かに、豚肉の生産量というものを過去三カ月の資料によって見ますと、七月は一一%、八月は一一%、九月一一%の豚肉の生産量の伸びに対しまして、消費は、七月は三%、八月は三%、九月も同じく三%、したがいまして、確かにアンバランスであると思います。ただ、これだけで十分であるか。配合飼料の価格が下がっているので生産意欲が増大をした、こういうことだけで理解していいかという点につきましては、若干問題があると思うのであります。  と申しますのは、外国からの輸入数量がきわめて増大をいたしておるわけでございます。これを見ますと、たとえば七月は、昨年の七月に比べますと二二二%の増となっておるわけであります。八月は一七八%の増となっておるわけであります。九月は一五一%増と相なっておるわけであります。つまり需要と生産のアンバランスに加えまして、豚肉の外国からの輸入が非常に、異常なまでに伸びておる。ここに私はもう一つの最大の原因があるのではないか、かように考えておるわけでございまして、まず、これに対してどう考えるか、農林水産省の認識についてお伺いいたしたいと思います。
  265. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 本年に入りまして、豚肉の輸入が対前年比で大幅な伸びになっておることは、そのとおりであると考えております。豚肉の輸入数量が国内で豚肉の供給数量の中においてどの程度の割合を占めるかということをここ二、三年振り返ってみますと、おおむね一〇%程度でございます。それがことしに入りまして、いま申し上げましたように伸びておるということからいたしますと、ただいまの趨勢でいきますと年間十四万トン。そういたしますと、一四%程度の割合を占めることになると考えております。ただ、輸入の数量は全体の供給数量の中でそういう割合でございますが、これが生産者に対して気持ちの上で非常に大きな圧迫を与えておるということは否めないというふうに考えております。
  266. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 そこで、これは気持ちの上でというだけではないと思いますね。つまり、たとえば国内のハム加工メーカ一等が、できるだけ外国のものを使って、国内のものは余り使いたくない、こういうようなところにも一つ問題があるのではないか。  そこで、輸入が増加してきている原因につきましては、関税の問題も一つあるのではないか、こういうことが指摘されておるわけであります。大蔵省おいでになっておりますか。——これは事実を確認をいたしたいわけでありますが、わが国におきましては、豚肉は差額関税制度をとっているわけですね。そこで、豚肉のロースであるとかもも、それぞれの部位肉と言っているわけでありますが、それぞれを個々に入れますと、関税を非常に高く取られる。ところが、これをセットで輸入をいたしますと、関税が非常に安くなる。そこで、これをうまく利用いたしまして、この制度を乱用をして、かなり豚肉の輸入が拡大をされているのではないか。もっと正確に申し上げますと、たとえばロースにおきましてはキロ九百五十円、ももキロ七百二十円のものを、九対十四のセット契約で輸入した場合におきましては、二十三キログラム当たりの関税は千八百六十三円となる。ところが、これを別々に同量輸入した場合の関税は四千六百三十五円、こういうことに相なるわけです。そこで、このセット契約の実態でございますけれども、たとえばロースをきょう輸入いたしまして税関を通す、ももは一カ月後に入れる、いずれもこれをセット契約として認めておるのではないか。それからまた、税関を別々に通しておるとかいろいろな方法が指摘されておるわけでありますが、私どもは、確かに安い食糧を国民に供給するという点もきわめて重要でありますけれども、やはり関税を設ける理由というのは、国内の養豚業者も十分外国のものと競合しながらも生産をし生活をしていく、こういうようなたてまえで関税というものが設けられておると私は考えるわけです。  そういう意味におきまして、この制度を乱用いたしまして、安い肉がどんどん輸入されて、国内の市場を非常に大きくかき乱すということは、これはきわめて遺徳なことであると考えるわけでありまして、大蔵省といたしましては、これに対してどういうような指導をしておるか。新聞等によれば、指導しておるということでありますけれども、その実態につきまして、ひとつ御説明をいただきたいと存じます。
  267. 中島潔

    ○中島説明員 お答えいたします。  確かにセット契約ということで豚肉が輸入されているのは事実でございますが、先ほど先生指摘のように、単価がいろいろございまして、現在の関税法では、豚肉は枝肉とその他の肉というような分け方をしておりまして、部分肉につきましては、その部位ごとに税率を決めるということにはなっていないわけでございます。したがいまして、課税価格の高低によって税率が違う。一定価格以下でございますと差額関税、一定価格を超えますと一〇%の従価税ということになっておるわけでございます。セット契約はいろいろな形があろうかと思いますが、いろいろな部位の肉を組み合わせまして、単価としましては一本というものがあるわけでございます。これはいろいろな買い方がございますので、部位ごとに値段を決めろとわれわれの方で言うわけにもまいりませんので、契約上そういう価格が一本と、一本単価になっているものにつきましては、申告価格についても一本単価でもいたし方がないのではないかというように考えております。ただ、その場合にいたしましても、契約上いろいろな部位の組み合わせがございますので、契約と違った組み合わせのような肉が到着した場合には、これは契約上の一本単価で買ったとはちょっと認めがたいということで、先ほど先生指摘のように、肩はきょうあるいはももは一カ月後というようなものについてまで一本単価で申告してよろしいということにはいたしておりませんので、あくまでも、契約上単価が一本で、しかも到着した貨物が契約の組み合わせと同じというものに限って一本単価でいいというような指導をしておりまして、各税関にもその旨を連絡しまして、各税関に書類が来ました場合には、契約書等をチェックして、一本単価が認められるものだけに限るということで厳重に運用している次第でございます。
  268. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 これはきわめて厳重に指導していただきたいということを要請しておきます。  そこで、今度は豚肉の安定基準価格六百一円というものが経営安定上きわめて重大でありますから、こうしたものにできるだけ近づける努力をしていかなければならぬ。全般的にこうした方向に向かって対策を講じていくということにつきまして、大臣がおられないようでありますから、政務次官に農林水産省を代表いたしまして全般的な対策につきまして御説明を賜りたいと思います。
  269. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 玉沢先生からいろいろ御指摘をいただいているわけでございますが、私たちといたしましても、非常に苦労して養豚経営をやってこられた農家の方々が、その生産物である豚肉を一般の市場に持っていった場合に最近のように低落現象である、こういうことで御苦労なさっている状況につきましては、非常に頭を痛めておりまして、農林省としてもこれに対していろいろ対処してまいっているつもりでございますが、何といっても、先ほどの畜産局長の話にもございましたけれども、需給の不均衡、端的に言って総体的に供給が多過ぎる、こういうことでございますから、この需給を均衡させて価格の安定を図るということをしなければならない、こういう考えで、実は、生産者団体でつくっていただいております養豚経営安定推進会議、これは中央の段階でつくっていただいて、さらにこれとの流れの中で都道府県段階でも養豚関係者から成る会議をつくっていただき、中央段階、都道府県段階の生産者の方々の話し合いで、ある程度の計画生産をお願いする。できればもっと進めまして、市町村段階まで下がってこの生産調整をしていただく必要があるんじゃないか、こういうことでお話をしているわけであります。  片っ方で、従来、養豚経営につきましては国としてもいろいろ助成措置を講じてまいりました。たとえば、養豚団地整備事業ということで国が二分の一の補助金を出してまいったとか、また近代化資金を通じて融資をしてまいったわけでございますが、こういう事情でございますので、できればこういったことの事業の圧縮や計画の延伸等の措置も講じていただきたい、こういうことで全体として生産を計画化してある程度規制をする、こういう措置をまず第一にとっております。  また、第二に、片っ方では消費の拡大を何としてもしていかなければならない、こういうことでございますので、生産者団体や食肉小売団体、消費者団体等で食肉消費対策協議会をつくっていただき、現在二十七都道府県にもうできておるわけでありますけれども、この協議会を通じまして、実は地区地区で豚肉をある程度特別販売をして消費の拡大をしていただく。具体的には、たとえば一週間に一遍ぐらい値引きをするとか、場合によっては値段は同じだけれども量を少しふやすとか、または景品をつける、そういう形で小売段階、スーパー段階でともかく豚肉を食べていただくようなそういうきっかけをつくっていきたい、こういうことであります。さらに、実は農村で必ずしも全体的な豚肉の消費が進んでいないような面もございますので、特別に全農から農協にというルートで、実はみそ、しょうゆで少し味をつけた豚肉を、特別加工した豚肉をそういう農協ルートで農家の方々には買っていただく、適正な価格でお分けする、こういうような措置を講じさせていただいております。その他、テレビその他を通じてのいろいろなPRを、これも国が金を出し、また県、市町村にも御協力を願って、生産者団体にも御協力を願って大いに宣伝をしていただく。  第三に、現在相当豚肉が余っているというわけでございますから、それをひとつ自主的に調整保管をしていただきたい、こういうことで生産者団体にお願いをいたしまして、実は当初十一月段階では何か十万頭ぐらい調整保管をしていただこうという話だったんですけれども、最近またこれを十一月半ばに十万頭ふやしている。合計二十万頭ぐらいの調整保管をしていただこう。現在もうすでに十四万頭ぐらいは保管をしていただいているようでございますけれども、こういうことで全体で生産調整をお願いする、消費の拡大をお願いする、そしていま当面ある程度だぶついたものについては調整保管をお願いする、こういう形で何とか需給の均衡を図って、域内の値段をある程度適正なものにしていきたい、こういうことで、農林省といたしましては、関係各団体とお話をして御協力を得ながらこれまで努力をさせていただいている、こういうことでございます。
  270. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 需給均衡を図るための措置三つお伺いいたしたわけでありますが、自主調整保管、各生産者団体の話し合いによって十万頭から二十万頭に持っていこう、こういう考えであるようでありますが、これはこれで結構でありますが、同時にまた、畜産物の価格安定等に関する法律によって、畜産振興事業団により品物が非常にだぶついた場合はこれを買い上げる、こういうことで対策も講ずることもできるんではないか、こういうことに対しましてどのような見解を持っておられるか、この運用方法につきましてはいろいろな判断があると思いますので、それについて御見解を賜りたいと思います。
  271. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 玉沢先生から御指摘がございました畜産物安定に関する法律、通称畜安法に基づく措置といたしまして、いわゆる生産者団体が調整保管をされる場合に、畜産振興事業団からその場合に必要なお金の金利や保管料に対して助成を申し上げる、こういうことがございますし、また同時に、この事業団による買い上げという措置も考えられるわけでございます。ただ、これは実際問題として、先ほどお話しいたしましたように、何といってもいまの豚肉価格の低迷状況は全体としての生産が消費に対していささか多過ぎる、こういうことでございますから、生産と消費の段階の基本的な均衡というものが実現できませんと、たとえば一時的にある程度買い上げをして価格を支えることがあってもそれは長続きしない、こういうことで、率直に申しまして、できるだけ生産者団体の方々の自主的な努力で、ある程度生産を調整していただく、また、生産者団体の自主的な努力でそれを持っていただく、こういうことで、基本的な需給関係、生産調整というものを何とかひとつ努力していただきたいということで、いまお話をしておる現状でございます。
  272. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 これは情勢を十分検討して判断をして政策決定をするということでございますので、今後十分検討していただきたいと存じます。  そこで、消費の拡大ということにつきまして、いろいろ消費者団体その他努力をされておるということにつきましては、それでよろしいと思いますが、ただ、農林水産省といたしまして、やはり豚肉の品質改善というものに対しましても十分意を用いる必要があるのではないか。たとえば、ハムメーカー等を見てみますと、日本の豚の肉は非常に脂身が多い。これは、できるだけ高カロリーで早く生産をいたしたい、こういうようなことで、高カロリーを与えましてやるために、脂身が多くて加工に手がかかる。そういうことで、外国からの肉の方が使いやすいというような需要者側からの問題も指摘されておるわけでございます。それから、大量生産によって豚肉の品質が落ちてきているのではないか。だから、もう少し肉質を改善するための努力というものも農林水産省として取り上げていいのではないか。こういう点につきまして、畜産局長、御見解がありましたらお答え願います。
  273. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 お答えいたします。  豚肉の品質につきまして、私どもも、従来のような消費が伸びる時代と比較いたしまして、これからの消費の動向を考えますと、品質を改善する必要性というのは一瞬高まってまいっておるというふうに考えられます。  現在の豚肉の品質について私どもの考えているところを申し上げますと、肉豚の生産のもとになります純粋種豚については、これは外国のものと比較してそう遜色はないと考えておりますが、実際の養豚経営におきましては、雑種強勢を行うために交雑をするわけでありますが、純粋種豚同士の別の系統で交雑する、その交雑が計画的に行われていない。さらに、飼養管理の面におきまして、たとえば子豚用のえさをもう子豚といえない時期までずっと食べさせておるというような、飼養管理の面で十分でない点がある。そういうことから肉質が区々さまざまなものが出てくる。これが全体として、わが国の豚肉の品質が悪いのではないかということになっておると存じます。今後これを改善いたしますためには、種豚の改良は今後もやっていかなければなりませんけれども、やはり重点的に取り上げなければならぬ問題は、交雑を計画的に行うような指導、それから飼養管理技術の改善のための指導、これらに重点を置いた啓蒙指導を進めてまいりたいと思いますが、このようなことは、政府がもちろん指導しなければなりませんけれども、養豚経営者みずからの努力に負うところが多いと考えられます。  このたびの豚肉価格低落の問題に対処して、先ほど三本の対策を政務次官から拳答え申し上げましたが、その一つであります計画生産体制づくりの中で、生産者団体が組織をいたしました推進会議におきまして、緊急の課題といたしましてこの品質問題を取り上げていただくということで、目下この推進会議を構成する団体と打ち合わせをいたしておりまして、この会議と歩調を合わせて、いま申し上げましたような対策を講じていきたいと考えております。
  274. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 今後の一つの問題点を提起いたすのですが、養豚に限らず養鶏でもそうでありますけれども、商社に典型的に見られるわけでありますが、大規模かつ大資本で農業の部門に進出をしてまいりまして市場を独占をしておる、そのために中小の畜産農家が非常に困っておるという問題がございます。やはり日本の食糧を確保するためには、現在転作等によって非常に厳しい情勢を強いられておる農家を今後とも守っていく上におきまして、また、わが国の自由競争の原理を守っていく上におきましても、余りにも大資本や大規模で市場を独占するというような企業に対しましては、税金をたくさん取るとか、あるいは何らかの規制をしましてやっていく必要があるのではないか、こう考えるわけでございます。聞くところによりますと、ドイツ等におきましては、企業養豚とかそういうことをやっているものに対しましては、相当税金を取りまして、対等に農家が競争をしていけるような基盤をつくっておる、こういうことを聞くわけでありますが、政務次官、これに対しまして御見解がありましたらひとつ言っていただきたい。私はそういう方向に進んでいくべきだ、こう考えるわけであります。
  275. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 玉沢先生の御指摘、全くごもっともでございまして、せっかく農家の皆さんが苦労して転作をされて、養豚や養鶏やまたいろいろなことをやっていらっしゃる、そこにすぐ大きな金を持ってきて養豚、養鶏をやって、それでせっかくの農家の方々の苦労が実らないようなことになっては、これはまことに申しわけないと思うわけであります。  そういう認識をもちまして、実は先ほどもお話し申し上げました全体としての需給バランスを何とか確保して豚肉の適正な価格を維持したい、こういう努力の中で、計画生産というのをいまお話ししたわけでありますが、そういう計画生産の枠外で会社が養豚経営をする、そして大量の豚肉を市場に持ち込んでくる、こういうことのないように、計画生産の枠の中にそういうような形の経営も取り込んで、話をして、豚肉市場の安定を確保するだけではなしに、養豚農家の経営の安定も何とか確保してまいりたい、こういう指導農林省としてさせていただいているわけであります。
  276. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 終わります。
  277. 内海英男

    内海委員長 細谷昭雄君。
  278. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私は、農民の期待と怒りというものを代表いたしまして、初めての質問でございます。ただ、三十分しかありませんので、どうぞ大臣もひとつ手短にしかも率直にお答え願いたいと思います。  私、最初にこの新聞の記事を紹介いたしたいと思います。「再三の要請、申し入れにもかかわらず、国が約束した一期三年間固定の原則が破られたことは極めて遺憾だ。」これは秋田県の佐々木知事の談話でございます。「これまで米の需給状況を冷静に受け止め、食管の維持存続をかけ、耐え難きを耐え、生産調整の自主的上積みや消費拡大に取り組んできた。今回は三年間固定の公約厳守を追って要請を続けてきたが、政府自ら閣議了解事項を破棄し、積み増しを強制することは農政不信をさらに増幅し、事態をますます混乱に陥れるものであり、憤まんにたえない。政府はそのズサンな計画と公約不履行についてまず行政責任を明らかにすべきであり、猛省を促す。今回の配分は積雪寒冷地の特殊事情と米の生産適地の実情を無視したもので遺憾だ。」これは農協五連の土肥会長の談話であります。十一月三十日に大臣が通達をしました各都道府県の割り当ての終わった次の日、十二月一日の秋田魁新報の記事でございます。  農林水産省の見通しの誤りによって、このようにどうしても固定した三年間の原則を守れなかった、遺憾であるということは、当委員会でも先日の本会議でも大臣が率直に謝ったことでございますけれども、問題は、原則として第一期の三カ年を固定する、こういう原則が変更されたということは明らかであります。したがって、私自身当委員会ないしは本会議のいろいろな答弁を聞きましても、どうしても納得できないことが一つある。それは、閣議了解の中身が変わったのだから、当然もう一度閣議にかけなければならないのではないか、そう思うわけであります。したがって、十一月三十日の各都道府県に対して十四万四千ヘクタールの上増しをした省議決定、これは通達が違反なのではないか、こう思うわけであります。したがって、閣議の再確認は不必要だという根拠をもう一度お聞きしたい。これが第一点。  第二に、農林大臣は、いま出かせぎの農民が全国からどのくらい出ておられるか、これを御存じですか。出かせぎ農民の数、それからその主な出身地は御存じですか。これは大臣の認識のほどをお聞きしたいと思います。
  279. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 大変厳しいおしかりをいただいておりますが、私どもといたしましては、今回の問題については率直に遺憾の意を表明をいたしておるわけでございまして、最初三十九万一千ヘクタールで出発したところに大変な見込み違いがあったのではなかろうか、これについては率直に認めているわけでございます。ただ、いま御指摘のように、それでは、一応閣議においては閣議了解として三年間固定をしておるのだから、その目標面積を改定することは改めて閣議の了解を得るなりすべきではないか、こういう御指摘かと思いますが、私ども、言葉をとらえているようで大変恐縮でございますけれども、あくまでこれは原則であって、非常に見込み違いではあったけれども、反収が増加したこと、あるいは消費が思うに任せず減退を続けたこと、これらでとにかく六百五十万トンというような在庫ができてしまった現実を踏まえると、まことに、その原則としてというところに重点を置いて、閣議の了解には反していないという形で御理解をいただきたい。しかも、いまの秋田県知事の気持ちもよくわかりますけれども、この間から申し上げておりますようにこのまま——少し詳しくなって、時間がないようで恐縮でございますが、ここでもし私どもが踏み切らなかった場合には、五十四年度の生産調整が御承知いただいておりますように四十七万三千ヘクタールでございます。これは農業団体が最初目標にお立てになりました一割に達しなくて、自主的におやりいただいたわけでございますが、七・九%にしか達しなかった。こういう現実の事態を踏まえると、ここでまた自主的な形だけにお任せをしておいたときには、来年の米の在庫量が非常にふえる心配がある。こういう形で、そうなるとこれは食管の根幹を揺るがすことにもなりかねない。結果的には農民の皆様方にも御迷惑をおかけすることになる、こういう心配から、私は、何とか御理解をいただきながら、ひとつ今度の目標面積の改定を政府でもってお願いをしたい、こういうことをやらしていただいたということでございます。  それから、全国へ出ていただいておるのは約十五万人と承知をいたしておりますが、大体どこの出身地かというところまで私は正確には判断をいたしておりませんが、大体東北地区からお出になる方が多いのではなかろうか、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
  280. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私の聞きたいことに対して率直に答えておりませんが、問題は、私は閣議の了解事項をもう一度再確認する必要がないのかどうかということを聞いておったわけです。したがって、いまのあれはもう何回も大臣からも聞きました。恐らく大臣もまたかというふうに思われるのじゃないかと思いますが、幾ら聞いてもそこはわからない。私は、もう十一月三十日の省議決定というのは、これは閣議了解事項の違反じゃないか、そういう点の疑念というのはまだ消えません。質問は留保いたします。  その出かせぎ者の数というのは、これは事務当局も大変不正確だと私は思います。十四、五万と大臣は言いましたが、実際は労働省の調べによりますと本年の六月一日で三十五万、しかし実際問題としては推定で四十万から五十万人だというように言われております。少なくなってこうなんですよ。大臣からは、なぜ一体こういう出かせぎが出ておるのか、このことを農林大臣として十二分に考えていただきたい。この出かせぎの問題はまた後の機会に取り上げたいと思います。  それで、問題は、行政の見通しの誤りということによって過酷な生産調整を実施するわけでありますので、当然その前提がなければなりません。その前提は何かと申しますと、生産農民に対する代償措置があるかどうかということなんです。私は、農民の要求というものを大体この三つに集約されると思います。一つは、農業の未来というものに希望を持って向かえる、そういう長期の食糧需給政策がこうなるというふうに政府によって示されること、これが第一点なんです。第二点は、田畑輪換、土地改良、こういった基盤整備というものを国費によって完備するということ。第三点は、当然、生産物の流通、価格保証体系、これの完備です。これのうちのどれか一つでも農林大臣が、これを一つやりますから何とかひとつ十四万四千ヘクタールの追加を認めてくれないか、こう言うのが当然でしょう。ところがさっぱりそれがない。単に大臣が頭を下げるだけ。これでは納得しませんよ。このまま代償措置もないままいきますと、来年の参議院選挙は農村部では自民党全滅ですよ。この代償措置をどう考えておりますか。
  281. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 まず第一点の、こういうふうに需給関係がなるんだからひとつお米についてはこういうことでごしんぼう願いたいが、こういう作物をつくっていただければ必ず大丈夫だからというような見通しでもあればいいけれども、全くそういう見通しもないままにこういうことを押しつけるのはけしからぬ、こういう点でございますが、御承知いただいておりますように、私ども、いま農政審議会にいろいろ議論をいただいておるわけでございまして、何とか来年春、一九八〇年代なるべく早いうちに今後の長期の需給見通しというものをそれぞれの作物ごとにつくりたいと思っておるわけであります。本当はそれができてからお願いをすればよかったのかもしれませんけれども、いろいろと農家の準備の都合を私どもお聞きすると、いずれにしてもやるのなら年内早いうちにやってほしいという御希望であったように承っておりますので、その辺のところはタイミング的に、御指摘のような形の前に片っ方のしんぼうしてくれというのだけを先に打ち出さざるを得なかったのはまことにわれわれも残念に思いますけれども、そういう点を御理解をいただきたい。来年の春にはひとつ思い切って農家の皆さんにはっきりした見通しをお出ししたい、こう考えております。  それから、御承知いただいているように、基盤整備その他については、排水対策特別聖業というのを昨年からこの転作に伴ってやらせていただいておるわけでございまして、これについては強力に進めてまいりますし、また、流通関係につきましてもいろいろと今後一溜メスを入れ、前向きで取り組んでいきたい。農民だけが非常に苦労をさせられるというような印象をお持ちの点を私は一日も早くなくすように努力をしていきたい、こう考えておるわけでございます。  参議院選挙は、これはどっちが勝つかはこれからの問題でございまして、私どもは、何とか自民党が勝ってもらいたいという気持ちを持っていることは偽らないところでございます。
  282. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 ことしの十一月、農水省から「昭和六十五年農産物の需要と生産の長期見通し」の試算が発表されました。一体全体、政府はこれによって長期計画を立てられるつもりなのか。第一点は、これによりますと、昭和六十年代は八十万ヘクタールの生産調整は必至というふうに考えておりますが、そのとおりなのか。二番は、食糧自給の方向ではなくて、当分、将来も食糧外国依存の政策という基調は変わらない、このように見るわけでありますが、それがそうなのか、端的にお答えを願いたいと思います。
  283. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 もし必要ならば細かい数字は補足的に事務当局から後ほど御報告させていただくといたしまして、考え方といたしまして率直に私申し上げさせていただきたいと思います。  この間の中間見通しは私が大臣に就任する以前に出されたものでございまして、私は、大臣に就任いたしまして以来、必ずしもあの中間見通しにとらわれることはないのではないか、たとえば米一つ取り上げましても、消費の拡大について農林省としてもやるべきことがあるんではないか、そういうものをもっと努力をすべきではないか、あるいは転作についてももっと強力に、たとえば麦一つ取り上げてみても、日本の麦がなぜふえていかないか、一つは麦が非常に雨に弱い、ところが、たまたま麦の刈り入れのときが日本の場合には梅雨にひっかかるということがあるわけでございまして、米だって非常に早くできる米ができたわけでありますから、麦でも早くできる麦ができないはずは決してないんではないか、従来、戦後の農業というものはどちらかというとどうも米の技術には非常に力を入れてこられたけれども、麦の品種改良という技術開発については必ずしも十分ではなかったんではないか、農林水産省としては、そういうことももっと積極的に取り上げて強力に進めていくべきではないかということも省内でいま議論をしておりまして、何とか少しでも農民の皆様方に喜んでいただけるような需給見通しをつくっていきたい、こう考えておるわけでございます。
  284. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 この六十五年の見通しによりますと、飼料の大量な輸入政策というものを持っておるわけです。いまの大臣のお答えからしますと、これはどうしても転換をしなければならないというふうに大臣はお考えだと私は思うのです。  資料によりますと、飼料作物の作付については、昭和四十七年が七十六万八千ヘクタール、五十三年が九十四万八千ヘクタール、そして六十年になりますと百四十六万九千という計画であったわけですが、六十五年の見通しになりますとほとんどふえなくて百五十六万。これはやはり計画を変更せざるを得ないということだと思うのですよ、この見通しからしますと。問題の自給率ですが、五十三年の可消化養分総量でわずか九・八%、六十五年の見通しが一体どのくらいないのか、これはわかりませんけれども、五十四年現在で一〇・三%です。この見通しでいきましても恐らくその程度だと思うのです。  問題は、皆さん方がおやりになろうとしておる今回の転作、この五十三万五千ヘクタールの転作というものには自信がおありなのかどうか、端的に言ってください。あと時間がありませんので説明は要りません。
  285. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 飼料作物というのはトウモロコシなどのことを御指摘かと思うのでございますが、これは私も専門家ではないので事務当局からの説明だけでございまして、事務当局の説明が間違いなければ間違いないんでございますが、とにかくトウモロコシというのは日本ではとてもあれだけのコストには匹敵できない、こういうことで輸入に相当依存せざるを得ない、こういうことのようでございます。
  286. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 恐らく自信がないと思うのですよ。問題は、この際、食用米の過剰というものを解消し、しかも米づくり農民には精いっぱい米を増産してもらう、かつ食糧自給率を高めていく、こういうことがもし政策的にできれば一審いいわけですよ。ところがそれはあるんです。えさ米というものを真剣に政策として取り上げていただきたい、こう思うのです。  そこで、私は、幾つかの問題を提案したいと思います。  えさ米というものの発想は、青刈りの稲——青刈り稲は現在転作奨励作目の中に入っておりますけれども、この青刈り稲の実情というものが生産農民の中でおかしいじゃないかという発想から生まれたものであります。  青刈り稲の転作ということを考えてみますと、全国で全体で飼料作物としては一一・六%、全耕地面積の五・四%。しかし東北になりますと、これが二三・六%、転作面積としては一二・六%。私の方の秋田でも、青刈りが飼料としては二六・九四%、転作面積の比としては一二・一%。東北一般に高いわけであります。しかし問題点があります。二回刈りをしないと収量が間に合わないという点。そうすれば労力的に非常に無理だ。二つ目の点は、農薬のために飼料に適さないという点。三つ目は、実取り直前に青刈りをする、これを刈るということは農民の生産意欲にとっては身を切られるようにつらい、こういう問題がありますので、実取りをした上でえさ米として活用すべきじゃないかという要求は当然生まれてきたわけであります。したがって、この生産農民の発想から出たえさ米というものを、ぜひ取り上げていくべきではないかということが一つ。  二つ目の点は、えさ米の研究や実験というものは、いまや全国的に民間の力で推進されておるわけであります。私の秋田県の中でも、一つは自治体の中で、大曲市の農政課が直接にえさ米の実験、青刈り稲の実験をやっております。私の方の秋田県農業試験場、これは全農の委託でことしからやっております。さらに、農民の研究グループでは、秋田県の羽後町の高橋良蔵さんという方が中心になりまして、二年続きでえさ米の研究が進められております。  この例を申し上げますと、表作にアキヒカリという在来種を植える。裏作に青刈りのライ麦を植える。こうしてまいりますと、数量的に自家飼料としては千二百八十三・二キロ一反歩からとれる。これはみんな酪農グループですので、酪農家が市販されておる配合飼料を買うとして一キロ六十二円で換算しますと、反収が十一万七千円になります。十一万七千円、これは研究結果、実験結果です。ですから、これは当然有効なすぐれた自家飼料、自給飼料として大変な価値があるということなんです。  第三番目には、すぐれた研究の実験がたくさん報告をされております。一つはアルボリオという外国種の育種でありますけれども、宇都宮大学の菅原名誉教授と茨城県の小室さんという農民の共同研究が現在非常に立派な成果として報告をされております。私、写真を持ってきておりますので、後からお見せします。もう一つは、全中の実験農場があります。これはもう大臣御承知のとおりだと思います。全国に三カ所。さらに委託農業試験場は全国で五カ所、これがことしから育種に取り組んでおります。農協単独では、大分県で一カ所やっております。農林水産省でも、北陸農業試験場で始めております。大学では、東北大学の角田教授を初め農学部の皆さん方、さらに宇都宮大学では菅原名誉教授のもとで始められておる。ほとんどが大学研究機関ないしば試験場を除いては民間のペースで進められておるというところに問題があるわけです。  問題は、こういうふうに農林水産省は、情報によりますと、当局である畜産局なり園芸局ですか、これは消極的、大臣官房は積極的だというような話もあります。農林水産省は現在えさ米では揺れておる。民間でどんどん自然発生的に必要から生まれてきたそういうえさ米の研究なり何なりというのを、なぜ一体本腰を入れて研究しようとしないのか、この点を第一点お聞きしたい。  第二点として、当面私は次の三つのことについて直ちに農林水産省は取り組むべきだと思っておるわけです。その一つは、先ほど例を挙げましたように、畜産農家の場合は転作のうちで稲の青刈りをやっておるわけですけれども、この稲の青刈りの代替としまして実取りのえさ米の転作を認めること。第二点としましては、食糧事務所や農協の管理下に、畜産をやっておらない非畜産農家の皆さん方にこの青刈りをえさ米として認めることができないか。第三点目は、えさ米の実験は主として民間のペースで行われておる。この実験田を転作田として取り扱うこと、転作として認めること。この三つについて農林水産省の考え方を示していただきたい。  さらにつけ加えますと、いま研究機関で非常に困っておるのは、在来種を使いますと流通の問題がありますから、外国の品種を取り入れたいと思ってもなかなか簡単に入手できない。したがって、農水省でこの入手についてあっせんできないかということなんです。これについて端的にお答え願いたい。
  287. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 えさ米につきましては、生産者にとってつくりやすい、あるいはまた湿田のような土地条件でもつくれるというメリットがあるわけでございますが、その反面、主食用の米の生産に比べまして収益性が極端に低い、むしろ所得がマイナスに出るというようなことがございます。したがいまして、生産技術やコストの面で合理化の可能性というものを詰める必要がある。それからまた、流通面で主食用米との識別の問題等、さらにこれも検討しなくてはならないという問題があるわけでございます。  そこで、いま先生からのお尋ねの問題は、畜産農家なりあるいは非畜産農家、そういう方が稲の青刈りをやっておりますけれども、そういう農家についてはむしろえさ米の転作を認められないかというお話でございます。一つは、基本的には米から他作物への転換ということを念頭に置いておりますので、そういう意味からいたしまして、主食用にしろえさ用にしろ用途の違いはございますが、やはり米であるということからいたしますと、転作という世界においては基本的な問題でございますので、検討を要すると思っております。  なお、現在時点でこれを転作作物と認めろということにつきましては、やはり米から畑作物への転換、こういう角度でございますので、転作作物として現段階において認めることは非常に困難である、かように考えるわけでございます。  それから第三点に実験田、これは全農なども三カ所ほどやっているのがございます。その他、いまお話がございましたように、民間でもやっている向きがあるわけでございますけれども、これも転作田として認めたらどうかというお話でございますが、転作田ということでこれを奨励金の対象にするということは、先ほど申し上げたような理由からきわめて困難でございます。なお、これは奨励金は無理であるが転作としてカウントできぬかというような問題もあるわけでございますが、カウントするということは奨励するということにも相なりますので、いまの段階では直ちには踏み切れない。しかし、検討は引き続いてやっていきたいというふうに思っております。  それから、外国の品種の入手についてのあっせんということにつきましては、これは技術会議の方からちょっとお答えさしていただきます。
  288. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 外国の品種を入れることにつきましては、従来とも、試験研究の必要上入れるという点につきましては、試験場を通して入れて、それを私どもがいろいろと検定をした上で関係の方にお配りをしたり、いろいろやっておりますので、これからもそういうことでやっていけるというように思います。ただ、一般の方が種を直接入れるということは、植物防疫上いろいろ問題がございますので、それはできないようになっていると思います。
  289. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 時間が終了しましたのであれですけれども、問題はやはり、二瓶局長の答弁を聞きますと園芸当局は消極的だ、官房の方が積極的だということを裏づけしておると思いますが、私は大臣に聞きたかったのです。この問題は政策なんです。役所の問題じゃないのです。そのことを大臣、もっとしっかり腹に据えていただきたい。これは十年一回りしたのでしょう、生産調整が。十年一回りして、何をやってもだめだった、結局米に返ってきたというのですよ。何ですか局長、そういう農民の声を無視したおざなりの事務的答弁ではだめなんですよ。  私は、今回はこれで時間を終了いたしましたけれども、粘り強くこれからも何回も聞きますから。えさ米を政策化するということは、生産農民の生産意欲を高めると同時に、さっき言いましたように、米の過剰を解消するのですよ。しかも、外国の食糧に頼らない、自給ができるということ、自給率を高めるということ。さらに、もしこれをやりましたら、武藤農政の名を後世に残しますよ。大臣、最後に腹構えを伺いたい。
  290. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 いま写真も見せていただきました。しかし、事務当局はあのように、なかなかむずかしい、コストの面からいっても、また判別の面からいっても、いろいろ問題点があると言っておりますので、私まだ就任以来大変いろいろな問題で時間がございませんが、時間の許す限り、この問題については一遍よく真剣に検討してみたい、こう考えております。
  291. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 終わります。
  292. 内海英男

    内海委員長 和田一郎君。
  293. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 若干の質問をさせていただきます。  最初に、台風十六号及び長雨のために相当な被害が出ておりまして、特に稲がたんぼに立ったままで倒伏してしまいまして、そして長雨にたたられた。穂発芽といいますか、芽が出てしまってどうにもならないという被害がございました。私自身も、特に私の出身の栃木県の南部、これはもう最大の被害の場所でございまして、よく見てまいりました。関東から東北方面が非常に多いようでございますけれども、その実態についてちょっと申し上げます。  これは栃木県のみの倒伏の面積でございますけれども、水稲の場合は二万三千八百八ヘクタールで、被害総額が二十九億一千六百七十三万円、それから陸稲が三千三百九十五ヘクタール、六億九千万円、このような被害でございます。一応政府の方の買い入れは実現はいたしました。しかし、価格、収量とも非常に厳しい状況にございまして、値段といたしましても、一番いいのが六十キロで一万二千円、それからB、Cになりますと、Bの場合はそれから千円引く、Cの場合は二千円を引くというような形になってまいりまして、非常に値段も安い。収穫の方も、普通は反当たり平均九俵程度のところが四俵ぐらいしかとれない、こういうことでございまして、現実には穂発芽の問題が非常に尾を引いております。  そこで、まずこの対策につきまして、一番問題になってくるのは課税の問題なんです。これは大蔵省の税務当局の方にちょっとお尋ねをいたしますけれども、いままでは反当たり平均というような考え方で課税をしておりました。しかし、今回は特にトヨニシキであるとか、アキニシキであるとか、またはコシヒカリというような銘柄米が、非常に前半は調子がよかったために、頭の方が重くなって倒れる状況が多いということで、こういう銘柄米の方が非常に被害が大きい。そこへ穂発芽はあったけれども反平均ということで税をかけられますと、非常に不公平というよりも厳しい税のかけ方になってくる。こういうことで、ぜひ品種別に課税をしてもらいたい、こういう声が非常に強いのです。今回からぜひそうしてもらいたいということでございます。これはたとえば何のトヨニシキをつくっているということは明らかでございますから、そういう形で具体的な課税の方法がとれるか、この点についてひとつ税務関係にお尋ねしたいと思います。
  294. 西内彬

    ○西内説明員 お答えをいたします。  農業所得につきましては、記帳に基づく収支計算が一般的に期待できませんものですから、先生御存じのように、申告の際の目安とするために税務署と市町村が協力をいたしまして農業所得標準を作成しておるわけでございます。  水稲の所得標準につきましては、十アール当たり——先ほど一反と申されましたが、そのとおりで、一反歩当たりの平均的な収入金額と必要経費に基づきまして所得を算定する仕組みになっております。この場合の収入金額は、各市町村ごとに調査いたしました収穫量と百キログラム当たり平均単価により計算をいたしておるわけでございます。  水稲の所得標準の作成は銘柄別に区分をして行っておりませんが、収穫量を反映した地力等級別の地域ごとに収穫量や必要経費の状況を十分に調査いたしまして、その調査実績や各種の統計資料、それに農業団体からの意見を参考にいたしまして、実態をよく反映したものをつくるように努力をしておるわけでございます。  お尋ねの、銘柄別に区分して所得標準を作成することにつきましては、水稲の品種が非常に多岐にわたっておるものでございますので、作成手続が複雑になり、実務面で実際上困難であると申し上げるほかないと存じます。ただ、現行の方式によりましても銘柄別の収穫の状況等は地域別に十分織り込まれて作成をされております。  水稲が被害を受けた場合には、被害による減収量等を地域ごとに実情を調査いたしまして、また農業団体の意見も十分お聞きをしまして、被害の実態を反映した標準を作成するよう従来から指示をしております。先般開かれました全国所得税課長会議でも同趣旨の指示を行いました。栃木県のトヨニシキ、アキニシキの被害につきましては、現地の税務署でその状況を十分調査いたしました上で、実情が反映した所得標準が作成されるように第一戦の指導を強めてまいりたいというふうに考えております。
  295. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 いま大蔵省の方から説明がございましたけれども、確かに大変な作業だと思いますが、サンプルの取り方の問題ですから、それほど各地域においては大変な事務量とは思いません。また、市町村ごとに農業所得標準課税協議会があると聞いております。それをフルに使っていただいて、ぜひそういう点に関しての課税をよろしくお願いしたいと思うのですが、よろしゅうございますね。
  296. 西内彬

    ○西内説明員 銘柄別の作業は非常にむずかしいとは存じますが、実態がよく反映するように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  297. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次に行きまして、特に種子の購入、もみ種、これがまた問題になってまいりまして、来年どうしようかということも相当考えているわけでございます。これは五十三年度、昨年も県、市等での補助金がございまして、そういう例があったわけでございますけれども、今回も県の農業災害条例を発動するということでございますけれども、こういう場合の国庫補助は一体どうだろうか、出せるかどうかということ、ぜひこういうものを出していただきたいと思うのですが、この点どうでしょうか。
  298. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 台風十六号と長雨によりまして、栃木県等を中心に相当の被害があったことは聞いております。量的な問題につきましては十分確保できると考えておりますが、問題は、その購入に対しまして国が助成をするかどうかというお話でございます。もちろんいままで種もみについて助成をしたという過去の例もこれはございます。ございますけれども、これは相当広範囲、要するに県の数も相当多いし、また被害額にしても非常に大きな場合、たとえば五十一年の冷害のときがそうでございますが、そういう場合にやったケースはございます。ただ、今回の場合を考えますと、そういうものに比べますと被害の方が少ないということと、ただいまお話がございましたように、栃木県当局におきまして条例によりまして助成措置を講ずるということが決まっております。他方、また、国の方におきましては天災融資法を発動いたしまして、経営資金につきましては低利の融資をするということでございますので、金なりそういう農業資材なり、農家の経営上必要なものについては、その融資資金で手当てをしていただくというような点からいたしまして、国として種もみ購入の補助をする、助成をすることはきわめて困難であろう、かように考えます。
  299. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 これは大臣にちょっと聞きますけれども、先ほどの御答弁では、五十一年にはやった。しかし、被害額が少ないからやらないということではなくて、これは長雨という一つの気象現象のあれでございますから、どうでしょうか、国としても多少は補助する気はございませんか。
  300. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 やや事務的な面もございますので、私から答弁さしていただきます。  五十一年の冷害等においてあったという例を申し上げたわけですが、北海道外二十県ということで七億二千万ほど三分の一補助で出したわけでございます。今回も栃木県の方と連絡はとっておりますけれども、三分の一補助ということで県条例でやっていますのが四百四十六万ということで、非常にそういう意味では規模が小さいという話と、それから、先ほど申し上げましたように、この十六号台風、長雨の関係につきましては天災融資法を発動いたしておりまして、経営資金を低利で融資するということをいたしております。農家の方が種もみの手当てをするということはまさに経営上の問題でございますし、それで措置していただきたい、かように考えるわけでございます。
  301. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次に行きまして、減反、転作がまたふえたわけでございますけれども、皆さん相当苦労しましていろいろな作物を転作しているわけなんです。しかし、特定作物に向かない場所が相当ある。特に昔からの水田地帯、平たんなところは非常に向かないという例もございます。私たち見てまいりましたのは、大豆に紫斑病が出まして、その作付、栽培方法の指導が間に合わないというのが現状なんです、あれは農業改良普及所の指導が。そういうことで、普及所の方も一生懸命躍起になっているわけですが、なかなか研究の方も追いつかないということがあるようでございます。しかし減反はどんどん進んでいくということでございます。ですから、その作付方法の指導が十分されていない、これをしっかりやらないと、行政改革で切られちゃいます、はっきり言って。そういう点について、大臣どうでしょう。局長でなくて、たまには大臣答えてください。
  302. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 大豆につきまして大分、紫斑病等が出ておるということが指摘されておるわけでございます。この大豆の紫斑病につきましては、防除のやり方といたしまして病害虫発生予察事業というのをやっております。それによりまして発生予察情報を農家の方に早く提供するというのが一つ。それからもう一つは、やはり種子消毒でございます。種子によりまして相当伝播するという問題がございますので、種子消毒の徹底によります無病極子の播種ということ。それから生育期になりまして薬剤散布、これまた大事でございますので、そういう面での指導ということで、農蚕園芸局の方で植物防疫課というのがございますが、五月に都道府県の担当者等も招集いたしまして、その指導事項等もいろいろ指示するというようなことで、大豆の病害虫防除の徹底を図っているわけでございます。  問題は、一つはそういう植物防疫ということで病害虫防除所という組織を通じてやるのと、それから先生いまお話されました農業改良普及所がございますので、その普及員の方と連携をとりまして指導をやっていくということで考えておりますが、来年度はさらに大豆の病害虫防除につきましては予算的にも充実をしまして、体系的にこの指導の方を強めていきたいということで、現在予算要求等も行っておるところでございます。
  303. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 せっかく転作で、特に重点的にお願いをしておる大豆でそういう病虫害が出るということは非常に残念でございますので、いま事務当局から御説明申し上げましたように、来年度はひとつそういうことが起きないように、なお一層強力な指導をいたしまして、防除対策を考えていきたいと考えております。
  304. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 どうか予算の獲得についてもひとつよろしく頼みます。  それから、特定作物の中のソバでございますけれども、値段が非常に不安定だということで、価格安定措置をぜひという声が非常に多い。これは四十五キロで計算するんでしょうか、五十一年は一万五千円、五十二年が一万円、五十三年、去年は六千四百円、五十一年から比べると半分以下に減ってしまったということでございますので、こういう関係の価格安定措置はどのように考えていらっしゃいますか。
  305. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ソバは先生指摘のとおり特定作物にいたしております。そこで、特定作物の中で価格安定制度というか、そういう措置がないのはソバではないか、ソバについて何かそういう措置を講ずるべきであるという強い声がございまして、実は契約栽培ということは進めておりましたけれども、一歩進めて価格安定といいますか、そういう措置を五十四年度、本年度から講じていくということにいたしてございます。この仕組みといたしましては、農協等の農業団体と需要者サイドで契約栽培をやるわけでございますけれども、その契約価格の上下一〇%の幅以上に暴騰あるいは暴落するというような場合に、契約当事者に対して所要の価格補てんをやるということでございます。そういたしますと、その価格補てんをするための事業主体を決めなければならぬというので、県段階法人をつくる。どうしてもそういう県段階でできないところは中央で一本でやるといって事業主体を決め、補てんする財源を造成するわけです。その補てんする財源の半分を国が補助します。こういう形で考えております。五十四年度で新規でございますけれども、八件ほど予定をいたしております。現実にも中央段階日本蕎麦協会が実施主体になっておりますが、青森と岩手がこれに入っております。それから県の段階で新しく法人をつくってというところは山形、茨城、栃木、長野、宮崎、鹿児島ということで、栃木県等でもそういうことでスタートを切っていただいております。そういうことで、若干なりとも価格安定の措置ということについては心がけていきたい、こういうことでございます。
  306. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 それから次は、水田利用再編奨励補助金が、これまたせんだっての委員会で議論されましたとおり、三年不変を一年短縮して上乗せをする、こういうことでございますが、当然、補助金の増額なり、または適用作物の拡大であるとか、期間の延長、こういう補助制度の見直しを行うべきと思いますけれども、その点についてはどうでしょうか。
  307. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今回、三十九万一千ヘクタールという転作等目標面積、これにつきまして、毛糸ギャップがきわめて厳しいという現実に照らしまして、十四万四千ヘクタール上乗せをいたしたわけでございます。ただ私たちが考えておりますのは、今回の五十五年度、これはあくまでも一期三年目という位置づけをいたしております。したがいまして、基本的な枠組みといいますものは原則として動かさないという立場に立ちまして、五十六年度から始まる第二期につきましては、これはいろいろ検討なり見直しをやらなければならぬと思っておりますが、五十五年度につきましては、一期三年目ということで基本的な枠組みは原則として変えない、必要最小限度の手直しをするにとどめたい、かように考えております。
  308. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 一期三年目というのはそちらの観念でございまして、やられる方は一期三年ではなくて三年目に変わったということですから、ひとつ少額ではなくて大いに考えてもらいたいと思います。  具体的に申し上げますと、特に特定作物に比べて地域特産物は非常に低い。特に大麻、落花生、コンニャク、こういうものは補助金単価が低い。しかしながら、特定作物に簡単に変えるわけにいかないところがずいぶんございますから、しかも、おっしゃったような一期三年だということではなくて、三年間不変のところが変わったのですから、そういう点で、これの単価の見直しはどうか、こういうわけです。
  309. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 地域特産物と言われております大麻、落花生、コンニャク等、これはいわゆる四万円口で考えておるわけでございますが、特定作物にできないかというお話でございます。  私たちといたしましては、この特定作物といいますものは、転作を拡大すべき戦略的作物というふうな考え方に立っておるわけです。その際に、どういう考え方、物差しで選んだのかと言われますと、一つは転作の可能性が非常に大きいということ、それから今後大幅に自給力を高める必要がある、それから収益性の問題が転作拡大のネックになっているというような観点から、大豆なり飼料作物なり麦などを選んだわけでございます。  そこで、いま御指摘のございました大麻、落花生等を見ますと、大麻は栃木県が主産地でございますが、よその県では余り見当たらないわけでございます。それから落花生につきましては、これは栃木県も第三位の作付面積になっていますが、茨城、千葉が何といいましても大きいところでございます。ただ、全国的な面から見ますと、いわゆる地域特産物だということだろうと思います。その他コンニャクにつきましても、群馬なり、最近は栃木県の方も伸びておるように思っております。  そういたしますと、地域特産物でいま先生の御指摘になったものをそれでは入れるかということになりますと、今度はまたサトウキビはどうかとか、いろいろな話がいっぱい出てまいります。したがいまして、それじゃそれは全部入れちゃったらいいじゃないかということになりますと、これは五万五千円口というのではなくて、基本額五万五千円と四万円とありますが、四万円口というのはもうなくなってしまう、五万五千円一本というようなことにもなりかねませんし、これもどうかなと。先ほど言いましたような考え方で一応線を引いておりますので、ただいま御指摘の大麻等につきまして、五十五年度から特定作物並みの五万五千円に格上げをするということは非常に困難である、こう申し上げざるを得ないと思います。
  310. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 特定作物にしてくれという言い方ではなくて、補助単価を少し上げろ、こういうことを言っておるわけです。あなたおっしゃったように全部一律でやってしまえというのではなくて、もっと検討していただきたいと思いますね。  それから次は、桑。桑につきましては、三年で補助金が切れますけれども、これはこのままでいいのかどうかという問題なんです。ですから、五年に延ばせないか、こういう声が非常に多い。この点についてはどうです。
  311. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 桑につきましては、現在三年ということでございますが、これを五年なりに延ばしてくれというような御要望は県の方からもいろいろ伺っております。  ただ、私たちの考え方といたしましては、いわゆる桑なり果樹なり、こういう永年性作物の奨励金の交付期間、これは育成期間がある程度必要である、しかも、その期間中には育成のためのお金も相当かかります。しかし、その育成期間を過ぎれば相当の収益が期待できて、定着性も高いというようなことで、奨励補助金の水準としては五万五千円口ということで高くいたしますとともに、対象期間を、果樹であれば五年、それからただいま御指摘の桑であれば三年ということで決めておるわけでございますが、実は桑につきまして、一体何年たてば本当に収益の面で、まともな姿といいますか、平常な水準になるのかということをやはり吟味をいたしております。そういたしますと、四年目からは大体通常の収入の姿になるというふうに見られますので、やはり三年間で十分ではないか、こういうふうに実は考えております。したがいまして、五十五年度からこれをさらに期間延長するというのは困難かと考えております。
  312. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 これは四年目から金になるから三年でいいだろうということでなくて、非常にこれは厳しいのです、特に桑の場合は。それから、六月ごろになりますと必ず大粒のひょうが降ってまいりまして、桑が全滅ということがずいぶんあるわけですよ。ただ、順調に育っていれば三年、四年目から金になりますけれども、そういうことがなかなか不可能なので、どうだろう、五年に延ばしてもらえないかというのが実は声なんです。いまの御答弁を聞いておりますと、こうなっておりますからこうだと、とんとんとんと非常に冷たい印象を私は受けているのですけれども、大臣、どうですか、ひとつ……。
  313. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 いま事務当局から局長の答弁がございましたように、片一方においては面積の改定を私どもお願いをしながら、転作奨励金その他については三年間どうも大変かたい姿勢でガードを固めておりまして、非常に苦しいのでございますが、やはりいま、たとえば一つ桑という問題を取り上げてこれでやりますと、なかなかその他に大きく影響いたしますので、やはり五十六年度以降の第二期のときにいろいろと再検討させていただく、こういうことで御理解をお願い申し上げたいという姿勢をとっておりまして、これは大変冷たいようでございますけれども、桑だけでなくいろいろな問題があるものでございますから、そういうことでいまのところ御理解をぜひいただきたいと思うわけでございます。
  314. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 もう一つ問題なのは、農協管理水田ですけれども、これは現在二年になっておりますけれども、この期間の延長はどうだろう、こういう声も強い。その点についてはどうですか。
  315. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 農協管理水田につきましては、同じ圃場につきまして通算二年までというふうに現在の要綱上は決めてございます。それで、問題は、今回先ほど申し上げましたような十四万四千ヘクタールの上乗せをお願いをいたしております。したがいまして、やはり労働力が不足するというようなことで、都市近郊地帯あるいは土地条件が悪いということで山間地帯、こういうところでは、この水田預託といいますか農協管理といいますか、そういう形のものがふえてくるだろうというふうに考えております。したがいまして、県の方からもいろいろ要望もございましたし、私たちといたしましては、今度はこの期間を連続三年までというふうに変えたい、通算二年を連続三年までと変えたい、かように考えております。
  316. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 それでは来年度から連続三年に変えたい、こういうわけですね。——わかりました。  それから、これは事前に通告してなかったのですけれども、減反に対する各市町村のいろいろな事務費がこれまた超過負担で莫大な持ち出しをしているということでございまして、この点についてはどうでしょう。まるっきり持ち出しということです。それで、私もことしの予算委員会で聞きましたら、農業政策そのものも各地方自治団体の一つ仕事であるからというふうな、そういう意味の答えを受けたと私は思っておりますけれども、それではまずいと思います。しかも、これは法令でもなければ各市町村の条例でもない、ただ転作に対するいろいろな経費を超過負担しているというだけにすぎないわけでございまして、非常に違法性があるようなお金ですから、この点についてひとつ大臣どうでしょうか。
  317. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編対策の関係事務費でございますが、これにつきましては、市町村の方からも、いわゆる超過負担がある、それを解消してほしいというお話がございます。もちろん、この水田利用再編対策は、農業の再編成ということで市町村の事務という面もございます。したがいまして、市町村が見ておりますもの全部について国が肩がわりして出すというわけにはまいらぬと思いますが、やはり標準的な経費というものを見て、これを逐次ふやしていきたいというふうに考えております。  五十三年度に指導推進費十二億というのを、五十四年度は十八億八千万にふやしております。それから交付事務取扱交付金というのがございますが、これにつきましても、五十三年度、補正後でございますが、十三億五千万ほどございましたが、五十四年度、これは大体同じでございますが十三億五千六百万ほどに増額をいたしております。さらに、五十五年度、現在要求をいたしておりますが、指導推進費補助金の方は、五十四年度を十八億八千万というのを二十二億四千五百万ということで要求をいたしておりますとともに、交付事務取扱交付金、これは十七億二千八百万ということで要求をいたしております。  そういう状況でございます。
  318. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 これはいまも、各市町村もやはり農業という一つの政策があるのだというお言葉ですけれども、この減反政策だけは市町村の問題ではなくて、これはやはり国策の問題ですから、市町村財政を圧迫する理由にしてもいいということにはならぬと思うのです。やはりこれは全額国で見るのが当然だと思うのですよ。こういうことで超過負担がどんどんふえていって、そうして市町村財政が圧迫されるということは大変な問題ですから、これは五十五年度二十二億と十七億二千万ですか要求していらっしゃいますけれども、この点ひとつ大臣考えていただきたいと思うのです。どうでしょう。
  319. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 われわれが相当無理をお願いをしておる、それに対して市町村が超過負担をしなければならないということは避けなければいけないことはよく私も理解できます。きょうお話を承りましたので、私もその辺もう少しメスを入れさせていただいて、市町村が余り御迷惑のかからないような形になるように努力をさせていただきますので、ひとつもう少し時間をおかしいただきたいと思います。
  320. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 それでは、ひとつ来年度の予算編成に関しましても、大臣のその御努力をぜひお願いしたいと思うのです。  それで、これも通告はしておりませんでしたけれども、十一月の初旬ですか十月の下旬だかちょっとわかりませんでしたけれども、東京で開かれた第一回日米農産物定期協議会で、アメリカの方から、日本の過剰米の輸出に対して暗に輸出自粛を求めてきたというような記事が出ておりますし、これに対してわれわれは非常に懸念を抱いているのですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  321. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 御存じのように、日本の過剰米が非常に出ておりますので、これの処理の方法として輸出に向けております。今年度、当初は二十万トン程度を予定しておりましたけれども、各国から、特にバングラデシュ、韓国、インドネシアというような国からの要望がございまして、現在までのところ六十万トン以上の契約が成立しております。世界の米の貿易量というものはそれほど大きい貿易量ではございませんので、日本の米の輸出が急激にふえたということに対して、タイやアメリカというような従来からの輸出国が非常な懸念を持っておるということは事実でございます。御指摘がございましたように、十一月の初めに日米農産物の定期協議がございまして、その席上でアメリカ側からこの点についていろいろと指摘がございました。アメリカ側の言い分といたしましては、もう一つ余剰農産物の処理原則というものがFAOによって方向づけられておりまして、伝統的な輸出国とは協議をするということになっておりまして、伝統的輸出国としてアメリカ側は十分アメリカ側の意見を聞いてくれという申し入れがあったわけでございます。  わが方といたしましては、この輸出は平常的な輸出ではなくて、過剰米処理という一時的な輸出であるという事情と、それからまたこの輸出は商業的な輸出というよりも援助的な性格が強いということを強く申し上げまして、こちらの立場を主張いたしております。したがいまして、この問題については、今後ともアメリカと話し合っていかなきゃならぬ課題であると考えておりますけれども、私どもとしては、できるだけアメリカ側にこの辺の事情理解させるように今後とも努めてまいりたいというふうに思っております。
  322. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 時間がございませんので、先に進みます。  次は、本題の養豚関係に入りますけれども、ほとんどの皆さん方が触れておりますから、要点だけ追って答えをお願いしたいと思います。  そこで、まず大臣にお伺いしたいのは、現下の豚肉の状況からすれば、畜産物価格安定法を早急に発動して、これに基づく調整保管及び畜産振興事業団買い上げを実施すべきであると考えますけれども、この点はどうでしょうか。
  323. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 きのうも御答弁申し上げたのでございますが、確かに六百一円から見ると相当下回っておるわけでございます。しかしながら、せっかくいまいろいろと団体の方で自主調整保管をお始めいただいたところでございますし、また、輸入規制につきましても、自由化でございますから、私ども直接はできませんが、これも団体と商社との間でお話しいただいて、十二月一日からの新規契約は差し控えていただいておりますし、それらの状況を踏まえて、なおその上に計画生産もおやりをいただく、こういうような状況でなおやっていただいて、まだ非常に低迷を続けるというようなときには、畜安法に基づく、あるいはいまの自主調整保管よりはより強い、私どもの認可をさしていただく形の調整保管をやっていただくという手もあるだろうと思います。買い上げという問題もいま御指摘ございましたが、やはり買い上げというものをやることがすぐそのまま将来の長い目で見た場合にプラスであるかどうかという点においては、私はまだ判断をつけかねておりまして、これは最悪の場合は考えざるを得ない。しかし、なるべくそういう最悪の事態を招く最終的な手段までいく前に何とかいい形にひとついかないであろうかということで、いまいろいろと御協力を願っておる、こういうことでございまして、きのうも申し上げましたが、買い上げという問題に対しては、いまここで買い上げをしますと言うわけにはまだいかないという点を御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  324. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次は、豚肉の需給回復のためには生産を需要に合わせることも必要でございますけれども、最も基本的な手段の一つは、豚肉の消費拡大を進めることでございまして、消費拡大を強力に進める必要があると思いますけれども、そのためには、特に小売価格を引き下げ、喜んで消費者に買っていただく方策をとることが有効であると思います。また、消費者のニーズにこたえるような品質の豚肉の生産供給を図っていくことも必要と思います。これらの点について畜産局としてはどのように対処していくのか、伺いたいと思います。
  325. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 ただいまの状況は、豚肉の生産が需要の伸びを上回って推移をしておる、そのために価格が低落をしておるということでございまして、いまお話しのように、消費拡大の対策を講ずることは、その需給のバランスをとる一つの側面として非常に重要な事柄であると考えております。  現在、消費拡大の対策といたしましては、一つは特別の販売事業というものを実施いたしております。これは生産者団体、食肉流通団体、さらに消費者団体などで構成をする食肉消費対策協議会、これは全国二十七都道府県に設置をされておりますが、この対策協議会による豚肉の値下げ販売あるいは増量販売、さらに啓蒙宣伝等を実施いたしております。  それからもう一つは、農村地域に対する消費促進対策でございまして、農村地域での豚肉の消費量は、都市地域に比べますと一人当たりで約六割程度という水準でございます。したがいまして、農村地域の豚肉の消費を拡大するために、これはことしの秋から準備を始めておりまして、全農以下の農協系統組織で豚肉の味つけの加工品をつくりまして、これを農村地域に農協系統ルートで販売をしていくという特別の対策を講じております。  さらにこのほか、テレビでありますとか、新聞、チラシ等を利用した豚肉の料理、食肉としての豚肉の利用の知識等の普及宣伝を実施しております。  こういう消費拡大対策と同時に、先ほど御指摘のありましたように、小売価格を卸売価格に連動さしてそうして消費拡大を図っていくということはもちろん重要でございまして、私どもといたしましては、関係団体に対し、小売価格の引き下げを行うように繰り返し指導を行っております。  それから、最後に、豚肉の品質向上についてでございますが、これは種豚自体の改良と、それからその種豚を使って交雑を豚肉生産の場合には行います。交雑と申しますのは、それぞれの系統ごとの組み合わせによりまして、雑種強勢でいいものをつくるという、そういう交雑で豚肉の生産が行われておりますが、その交雑を計画的に行うということも重要でございます。  さらに、肥育の段階におきます飼養管理、飼い方についても重要でございまして、現在の養豚の実態を見ますと、子豚用のいわば赤ちゃん豚に食べさせるようなえさを子豚と言えないかなり大きくなった段階にも給与をしておる。これが水っぽい肉をつくるということが指摘をされております。これは一例でございますが、そういった飼育管理におきます技術の改善を普及指導していくということを考えておりますが、これらの対策はやはり国、県の指導もとよりでございますが、養豚農家自体の積極的な取り組みが必要であると考えておりまして、ただいま進めております養豚の計画生産体制づくり、その中でこの品質改善の問題を緊急の課題として取り上げて、養豚農家の自主的な活動として、これが定着実施されるようにお願いをしておる段階でございます。
  326. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 時間がありませんので、局長、もう少し答弁を短くしてくれませんか。ごていねいでまことにありがたいのですが。  次は、豚肉価格の低迷の中で、養豚経営の収益性は著しく低下しつつありまして、当面の飼料代金の支払いや借入金の返済のための資金繰りには困難を生ずる事態もずいぶん出ております。このような状況を踏まえまして、かつての畜産危機の時期にもとられた措置に基づきまして、養豚経営の安定を図るため、緊急の融資措置及び既往の制度資金借入の条件緩和等を実施すべきであると思いますけれども、これはどうでしょうか。
  327. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 最近の豚肉の価格の低落によりまして、農家の収益性は悪化してまいっております。そのために資金繰り等も苦しくなっておる状況にあるのではないかと考えられますが、その事態はこの九月以降でございまして、それまではかなりの高収益でございまして、全体として養豚農家の資金の状態がどうであるかということはなお見てまいらなければならないと考えておりますが、最近の豚価の対策といたしまして、自主調整保管、消費拡大、計画生産という対策を講じておりますので、それらの成果と今後の豚価の推移を見守りながら、資金対策について、その要否を含めまして、検討を進めてまいりたいと考えております。  なお、制度資金の償還条件の緩和につきましては、現行制度のもとで償還期間の延長ないしは中間据え置きといった措置もとり得ることになっておりますので、資金の種類及び借入者の個々の事情に応じて対処してまいるように指導をしてまいりたいと考えております。
  328. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 ところで、最近における養豚経営は規模拡大が顕著に伸展してきておりますけれども、その中にあって大企業による養豚経営も増加しまして、農家養豚を圧迫している状況となっております。このような状況は、養鶏部門においても見られるところでございますが、鶏卵の生産調整をめぐって本委員会においても種々論議が行われたと承知しております。この際、企業養豚と農家養豚について、分野調整といいますか、両者の適切な調整のための措置が必要と思いますけれども、これはどうでしょうか。
  329. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 確かに、企業養豚という形でこれが進出をし、農家の養豚が圧迫を受けておるということがしばしば言われるわけでございますが、私ども調査したところによりますと、企業養豚が最近急速に伸びておるという事態には必ずしもないのではないかということで、また頭数の全体の中に占める割合からいたしますと、五、六%程度ということではないかと考えられます。しかし、そういう形の養豚が、これから進めようとしております計画生産の外側で行われるということになりますと、いろいろ問題が起きると考えておりまして、実は計画生産体制づくりの中に飼料工業会も加えまして、そのメンバーであります飼料会社が進出をいたしております養豚もこの中に含めて、相互の話し合いで生産調整をしていくというふうにただいまのところ進めておるところでございます。
  330. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 養豚経営のコストの多くは飼料費でございまして、これまでの養豚経営の発展は飼料価格の安定によるところが大きかったわけでございますが、豚肉価格の低迷で先行きに大きな不安を持っている養豚農家は、最近言われている飼料価格引き上げの見通しに非常に不安を覚えております。したがって、豚肉価格の回復とあわせて、飼料価格の引き上げ抑制のための行政指導を強化してもらって、また、政府操作の飼料の適切な運営によりまして、養豚農家の負担増加を招かないようにしてもらいたい、こういう方針をお聞きしたいと思っております。
  331. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 配合飼料価格は、それ自体民間で決定されるものでございますが、農林水産省としても、その適正な価格形成が行われるよう指導をしてまいっております。  今後の配合飼料価格につきましては、御承知のように、飼料穀物価格が高水準で推移しておりますほかに、円安でありますとか、フレート高でありますとかという要因によりまして、コスト圧力は強まっております。こうした状況が続くといたしますと、配合飼料価格のある程度の値上げはやむを得ないものではないかと考えております。しかし、仮に値上げをされた場合には、配合飼料価格安定基金制度の適切な運用によりまして、畜産農家への影響を極力抑えるようにいたしたいと考えております。
  332. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次は、大臣にちょっとお聞きしますけれども、豚肉価格が低迷している中で、本年に入って豚肉の輸入が、先ほども質問にあったのですけれども、急増しております。豚肉の需給緩和にさらに拍車をかけていると思いますので、国際的にもいろいろ問題はあると思いますが、輸出国の理解を得る努力を積極的に行い、国内の需給事情に即応した輸入の調整をすべきと思いますけれども、大臣の方針をお伺いします。
  333. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 御承知いただいておりますように、一応自由化品目になっておるわけでございまして、政府が積極的に輸入抑制に乗り出すということは大変むずかしい問題がございます。しかし、いまお話しのように、関係国に対してより理解を深めるということは必要なことでございまして、幸いおとといデンマークの——御承知のとおり、デンマークからは相当いま入っているわけでございますが、デンマークの外務大臣が参りましたので、日本の実情をよく説明をして、自由化品目ではあるけれども、当然オーダリーマーケティングをあなたの方は心がけてもらうべきではないかということを強く要請をいたしておきました。そして、先ほども触れましたけれども、農業団体からの強い要請もございまして、いま新規契約は十二月一日以降ストップをしていただいておるような情勢でございまして、いまのような豚価の低迷した状態が続く限りは、できるだけそういう形になるよう、私ども望ましい姿としておりまして、直接指導はできませんけれども、できるだけそういう形が今後もある程度続いていくような形を望んでおる、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  334. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 最後に畜産局長にちょっとお聞きいたしますが、午前中の、例の参考人を呼んでの日本発馬機の問題でございます。  私の質問関連質問で、時間がなかったものですから意を得ておりませんけれども、栃木県の足利市の競馬場がございます。この競馬場での発馬関係の一切の業務契約しておるのは、例の書上さんというエス・イー・エスの社長さんの話を新聞紙上で読みますと、エス・イー・エスは契約をしておる、こういうような状況に書いてありました。そして一般もそのように了解をしております。しかも、そのときに、小山という専務が地方団体関係者の方に金品を贈ったような、そういうニュアンスの文章も出ておりまして、この問題は中央競馬会だけではなくて地方競馬にも波及しておりまして、現在、議会で紛糾しておる、そういう状況もございますので、これは先ほどの御答弁から推しますと、エス・イー・エスは足利の競馬場には一切関係ない、こういうふうな状況に私はとれるのですけれども、これは農林省側としても、足利競馬場におきますところの発馬一切の業務日本発馬機契約をしておるのであって、エス・イー・エスの関係は一切ないと私は思いますが、その点についての確認をひとつ局長から御答弁を願いたいと思います。
  335. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 午前中お答えが十分できなくて失礼をいたしました。私どもで確認をいたしましたところ、足利市長と日本発馬機会社との間で直接発馬機賃貸借契約の締結を行っております。したがいまして、いまお話しの書上社長の発言は誤りだというふうに存じます。  なお、午前中、農林省発馬機の足利競馬場への導入について指導をしたというお話がございましたが、これは、足利市で使っておりました発馬機が県営の宇都宮競馬場に県の都合で移される、その後どうするかということにつきまして、業務検査の際に、発馬機を当然導入すべきである、どこそこの発馬機ということではございませんで、発馬機を当然導入すべきであるということを申し上げた。それが指導という形で受け取られておるようでございますが、御了解をいただきたいと存じます。
  336. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 以上で終わります。
  337. 内海英男

    内海委員長 中林佳子君。
  338. 中林佳子

    ○中林委員 それでは、私は豚肉の問題に限って質問させていただきます。  御承知のように、豚肉は食肉需要の四割を供給しており、重要な食糧供給源となっているのですが、豚肉の安定的生産は養豚農家だけではなくて、消費者にとっても必要なことです。最近の豚肉の卸売価格の暴落は、生産農家に深刻な影響を与えております。効果的な価格対策が強く求められているわけですが、そこでお伺いいたします。  指定食肉の卸売価格の動向、最近の動向でよろしゅうございますから、どうなっているかお答え願います。
  339. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 東京市場におきます卸売価格の動向でございますが、この規格は省令規格のものでございまして、九月は平均五百五十三円、十月が五百四十三円、十一月が五百五十二円と上向きになっておりまして、昨今はおおむね五百六十円がらみという状況になっております。
  340. 中林佳子

    ○中林委員 上向きになっているというようなお話、若干ですけれども。しかしながら、五十四年度の豚肉の安定基準価格は一キログラムが六百一円に決定されており、八月末以来の卸売価格がこの安定基準価格を大幅に下回っていることはよく御承知のとおりです。畜安法の第三条では、安定基準価格について、その額を下回って「指定食肉の価格が低落することを防止することを目的として定めるもの」とする、このように記しているわけですが、安定基準価格以下で三カ月以上も推移するという異常な事態になっていますが、法律の公布施行後、このように長期間安定基準価格を下回るような事態がこれまであったのか。あったならば、それを答弁してください。
  341. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 豚肉の卸売価格が安定基準価格を下回る事態が過去にもございましたけれども、最近のような形は、これまでの価格の状況から見て異なった形になっておりまして、いままでになく長期化しておるという状況でございます。
  342. 中林佳子

    ○中林委員 要するに、畜安法が施行されて、この法律に基づいて事業団の買い入れをした、そういうことがあったのかどうか、その点をお伺いします。
  343. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 事業団による豚肉の買い入れは、昭和三十七年に一回と、それから四十一年から四十二年にかけてと、合計二回行われております。
  344. 中林佳子

    ○中林委員 そこでお尋ねするわけですが、昭和三十七年と昭和四十一年から四十二年にかけて安定基準価格を下回り、それが下回るようになって何日目あるいは何カ月日にその畜安法を発動されたのか、そして買い上げをされたのか、その点をお伺いしたいのです。
  345. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 ちょっと当時の資料を持ち合わせておりませんので、正確にはわかりませんが、下がり始めてからある期間、どのぐらいの期間かという御質問でございますが、一定期間がたった後行われたというふうに考えております。
  346. 中林佳子

    ○中林委員 一定期間というのがわからないのですけれども……。
  347. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 調べて、後ほどお答えいたします。
  348. 中林佳子

    ○中林委員 それでは、その期間を調べるというのはいつわかりますか。
  349. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 明日でもわかるかと存じます。
  350. 中林佳子

    ○中林委員 できれば、この委員会のあれでわかるとよろしいと思いましたけれども、では、明日でもぜひお願いいたします。  農林水産省から出されております豚価対策の概要では、一、計画生産の推進、二、消費拡大の推進、三、自主調整保管の実施が挙げられているわけですが、これらの対策で安定基準価格の水準への価格回復を図ることができるのでしょうか、その見通しについてお答え願います。
  351. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 いまお話しの三つの対策を総合的に講じまして、安定基準価格に達するように努力をしておるところでございます。
  352. 中林佳子

    ○中林委員 努力をするということで、見通しとして、大体どのぐらいになったら達することができるのかという一定の見通しがつけられると思うのですけれども、その点はどうなのでしょうか。
  353. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 見通しでございますが、これからの出荷量、毎日毎日の出荷量がどのぐらいあるか、それから消費量がどのぐらいになるかという計画的な数字がございますれば見通しが立つのでございますが、価格の動向、需給動向というのはそれぞれ自由な形で行われておる活動の成果として出てくるものでございますので、なかなかいつというふうには申し上げにくい事情にございます。
  354. 中林佳子

    ○中林委員 このたびは見通しが立たないということで、養豚農家の方はこの先大変不安になっているわけなんです。そこで、政府としても、一体いまどのぐらい豚が過剰になっていて、消費がどのぐらいの見通しで推移する、あるいは輸入の量がどのぐらいでということで、いま政府がとっているいろいろな対策あるいは民間団体が立てている対策などにかんがみて、そういう見通しを立てなければ具体的な施策というのもできないと思うわけです。  そこでお尋ねするわけですけれども、いま過剰になっている頭数、全体の日本の養豚農家で頭数として大体どのぐらい過剰になっているのかお聞きしたいのです。
  355. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 なかなかお答えにくい事柄でございますが、出荷量としてどれだけ多いかという問題か、あるいは飼養規模頭数、飼養頭数としてどのぐらい多いかという、どちらでございましょうか。
  356. 中林佳子

    ○中林委員 出荷量で結構です。
  357. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 出荷量の方で申しますと、これは毎日変動いたしますので、どのぐらいが適正であるか、消費量と見合ってどのぐらいが多いのかということはなかなか申せないのでございますが、当面調整保管二十万頭でやっております。当面の供給の出荷量が多い数量といたしましては二十万頭というふうに考えております。
  358. 中林佳子

    ○中林委員 そうすると、自主調整保管で二十万頭の枠がある。いま十四万頭ぐらいは調整しているということで、あと六万頭ぐらい余裕があるように伺うわけですが、そうすれば、自主調整保管で六万頭保管すれば大体過剰はなくなるとお考えなのでしょうか。
  359. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 需要との関係もございます。いま十二月でございまして、年末需要で例年季節的に需要が伸びる時期でございます。したがって、この年末期におきましては価格はさらに回復していくものというふうに考えておるところでございます。
  360. 中林佳子

    ○中林委員 政府の御答弁では二十万頭ぐらいが過剰というような発言でしたが、全農が調べた資料によりますと、四十万頭ぐらいに達するというようなことまで言われているのです。ですから、その辺を、もう少し農家の実情なりを調べていただいて、そうしないといまの二十万頭調整保管で何となく解決できるような印象が与えられるのですが、いまの養豚農家の実情から言えば、かなりかけ離れた数字であろうと私は思うわけです。このような養豚農家の深刻な実情にもかかわらず、現在進められている対策だけでは現在の危機的状況の解決はできないことはもう明らかなんです。畜安法は主要な畜産物の価格安定を図ることを直接の目的の一つとしているわけですね。  食肉便覧の法令の解説では、「本制度は、価格変動幅を縮小するという観点から、畜産振興事業団が市場に介入して食肉供給量を調整するという手段がとられており、その需給操作の目標として安定基準価格及び安定上位価格という安定価格帯が政府によって定められ、市価がこの範囲に落着くよう畜産振興事業団による買入れ及び売渡しが行われる。」このように解説されているわけです。  これから考えても、当然、法治国家であるわけですし、畜産振興事業団による買い入れ、調整保管措置をとるべきだ、このように思うわけですけれども政府のお考えをお聞きします。
  361. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 指定食肉につきましての価格安定制度の趣旨につきましては、いまお話しのとおりと私どもも考えております。ただ、現実の価格安定制度の運用に当たりましては、需給との関係を考えながらやっていく必要があるわけでございまして、供給過剰の状態がずっと続くというような状況にあります場合に、これを事業団買い入れによって市場から一時豚肉を隔離をするといいましても、それがどんどん恒常化をいたしまして豚肉の在庫がたまる一方になるということになりますと、養豚経営の今後の健全な維持発展というのは非常にむずかしくなる、そういう事柄も考慮に入れながらこの制度の運用については考えていかざるを得ないというのが現状でございます。
  362. 中林佳子

    ○中林委員 需要との関係で豚肉がだぶついていて、それがあるからもうそれ以上買い入れることができないということだったわけですが、この需要とのバランスを考えていくならば、消費拡大だとかあるいは輸入規制だとかいろいろな問題を含んでいるわけです。この問題については後で質問したいと思うわけです。  さらに、法律を発動するというたてまえからお伺いするわけですが、ここに大成出版社の農林法規解説全集で、畜産局の食肉鶏卵課長あるいは畜政課の職員が法律の解説を行っているわけですね。これによりますと、買い入れを行う時期という解説の項目があるわけですが、これで見ますと、「畜産振興事業団の買い入れがいかなる時期に行われるかについては、本法上何らの規定はない。しかし、価格安定制度の目的が指定食肉の価格変動を防止することにあり、その目標として安定価格が定められていることからみれば、当然、指定食肉の価格が安定基準価格を下って低落し、またはそのおそれがある場合と理解すべきであろう。従来の運用としては、市場買入れの場合には、指定食肉の価格が下落傾向にあり、かつ安定基準価格を下回って推移した日が」、いいですか、これからが大切なところですが、「三日ほど続いた市場において開始することとしている。」このようにここの解説で基準が決められているわけですね。ここにある運用基準は変更されているのですか。現在の基準を明らかにしてください。
  363. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 ただいまの日数の関係についてお答え申し上げますが、それは昭和四十一年の買い入れの際の運用でございました。その当時の豚肉の需給事情とただいまの需給事情との間では、生産の増大、規模拡大といった状況で大きく変わっております。ただいまの状況につきましてどう対応するかということで、私ども生産者団体とも協議をいたしまして、現在とっておる措置を進めておるところでございます。
  364. 中林佳子

    ○中林委員 これは、政府当局が解説をされ基準を設けられているわけです。これがなお変えられたということは全くありませんし、畜安法もそのままいま生きているわけです。それについて、事情が変わったからいま検討中だとかいうことは、法律を施行するときに当てはまらないわけでしょう。だから、そういうのがちゃんと明記されて出る文書があるならば、当然それが有効になってくると思いますけれども、検討中の場合だったらこれが有効になるのではないですか。
  365. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 四十一年の、どのような場合に買い入れるかというのは、その四十一年当時の買い入れについて通達を出したものでございまして、現時点ではその通達が適用されるわけではございません。
  366. 中林佳子

    ○中林委員 しかし、現にこうやって解説全集として、いわば法律をどのように発動していくかということで解説されているわけですね。これが消えたのならば、次のこういう対応があるとか、あるいは消えましたとかいうようなものがなければならないはずだと思うのですね。買い入れを行う時期としての解説文書でしょう。  それでは、そういうものが後から出たのですか。それを訂正しますとか、こういう数字はなくなりましたとか、そういうことがなければ、私も初めて国会議員になりましたけれども、こういう法律を考えていく場合に、何を基準にしていいか全くわからないわけです。どういうことになっているのかちゃんと答えてください。
  367. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 そこに事例として掲げられておりますのは、昭和四十一年の買い入れに当たっての基準でございまして、豚肉の買い入れをいかなる場合に行うかについては、買い入れの時期のたびごとに検討をして決めてまいるという考え方をとっておるわけでございます。
  368. 中林佳子

    ○中林委員 これは買い入れを行う時期とかいろいろ指定されているわけですけれども、四十一年に限るとか、そのときだけとかいう注釈は一体どこに書いてあるわけですか。
  369. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 四十一年当時の通達はちょっといま手元にございませんが、買い入れの時期というものを示して、そしていまお話しのような三日あるいは三日ないし五日というのを書いております。四十一年の通達は、買い入れの時期を四十一年の何月何日からということで規定いたしております。
  370. 中林佳子

    ○中林委員 私は、通達を申し上げているのではないのです。先ほど言いましたように、政府の食肉鶏卵課長及び畜政課の職員が法律の解説を行って、こういうときには買い入れの方法はこうするのだとか、言わなくてもおわかりいただけると思いますけれども、そういうものが出ているわけです。私どもは、こういうものを参考、基準にしながら正しい行政を行ってほしいと思っているわけです。こういうことになっているわけですが、大臣のお考えはいかがなものでしょう。
  371. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 畜安法の解釈、運用についての通達というものが、いま局長は四十一年の買い入れのときを対象としての通達だ、こういうことを言っておるわけでございます。私も残念ながらまだその通達も見ておりませんし、いま御指摘の解説書も見ておりませんので、これはどういう形になっておるのか、もしそういう誤解を招くような解説書であれば、その辺はきちんとしなければいけない。法律の運用、解釈について、こうだと思って読んでいる人たちに誤解を招くようなことは直さなければいけないわけでございますから、その辺は早速私も帰って調べてみたい、こう思います。
  372. 中林佳子

    ○中林委員 非常に残念なことですね。いま養豚農家が大変困って、事業団の買い入れをしてくれというようないろいろな陳情が来ているわけでしょう。それにもかかわらず、大臣がこういう解説のものも見ていないとか、通達も見ていないとか言う。せめていままでの買い入れをやったときの歴史ぐらいはちゃんと勉強していただきたいと思うわけですよ。そうでなければ、本当に農家の方方の意向を大切にするとか、国政に反映するとかいうことはできないのではないかと私は大変残念に思っております。この問題だけでできるわけではございませんけれども、要するに、私が勝手に解釈をしているのではなくて、農林省が出している解説のいわば基準でございますから、これがどういうぐあいに変わったのか。時の情勢によってころころ変わるようでは、基準というのはなくてもいいわけですよ。ですから、この点を少しはっきりしていただきたいと思います。どういうぐあいに変わってきているのか、あるいは変わっていないけれども実情によって変わるようになっているのか、その辺の関係を明らかにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
  373. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 畜産物価格安定法の規定の読み方でございますが、その解説書にも書いてございますように、いかなる場合に買い入れをするかについては明文の規定はございません。したがって、それは運用にゆだねられておる。それで、その運用に際して、いかなる場合に買い入れをするかというときに、過去の事例として四十一年の事例が出ておるというふうに理解をいたしております。  今回の場合につきましては、四十一年と比べますと、需給の規模も非常に変わってきております。生産の事情も大きく変わってきております。そういうことで、いま直ちに買い入れを行うことが非常に困難であるということは、先ほど大臣がお答えしたとおりでございまして、今後、これまで講じておる対策がなかなか効果を示さない、また畜安法に定める調整保管自体も期待ができないという場合には最終的な措置として買い入れを行わざるを得ないということになると、そうした場合における買い入れはどういうふうにやるのかということを、その時点で検討することに相なるわけでございます。
  374. 中林佳子

    ○中林委員 この問題だけで議論するわけにはいきませんけれども、少なくとも、四十一年の買い入れのときには、基準価格以下で三日間推移したときには買い入れることができるということでやっているわけでしょう。一体どのぐらい経過してそれを発動したかということは、いまここに資料がないから明らかにならないとおっしゃったわけですけれども、その基準どおりしたとすればそういうことなんです。  そうしますと、いまそれが三カ月以上でしょう。全くお話にならないほど長期の低落傾向を続けているにもかかわらず、この畜安法の発動、事業団の買い入れができないという事態は、本当に私は政府の行政能力そのものを疑わざるを得ない、養豚農家の方々の実態に背いた姿勢であるということを指摘せざるを得ないわけです。畜安法に基づく価格安定策を早急にとられるよう要求いたします。  もしもこのまま放置するならば、日本の養豚の基本的基盤が崩壊しかねない状態だと思うのです。現在、養豚農家は一頭出荷するごとに一万円の赤字が出ると言われております。出荷すればするほど赤字を抱え込む状況です。この事態は個々の農家で解決できるものでは決してありません。  私は島根県の人間ですけれども、島根県の簸川郡の湖陵町というところがございます。ここの町では、農業所得の八割を養豚で占めているのです。いわばこの湖陵町の農業は養豚だけと言っても過言ではない状況になっております。かつては出かせぎの村で過疎が進んでいたのです。米の減反も進んでくるというような中で、第二次農業構造改善事業にのっとって、いまでは二百戸二百万頭という養豚の町になっているわけです。この湖陵町に住む養豚農家の人が言っているわけですが、いままで悪いときは確かにあった、ビッグサイクルでそれでも少し待てばよくなった。そういう意味で、養豚に非常に希望をつないで、どんどん経営も大きくし、借金もふやして、この町で生きようということで後継者も出てきた。過疎の村だったわけですが、最近は人口もふえてきたというときに、今度は三カ月以上も下落傾向が続くということになると、全く先の見通しがない。しかも、政府は何ら救済措置をとってくれないじゃないかということで、大変な憤りを持っております。いま湖陵町の農家は一戸当たり大体八百万円の借金を抱えているわけですが、これが一千万円の借金になれば、自分の財産は全部なげうってやめなければならない事態になる。しかも、養豚を始めるときもかなり年とっていたけれども、いまもう年とってこれをやめてしまえば働くこともできない。いわば自分の首にかかっているような状態だと言っているわけです。いわば湖陵町の町の存立にかかわるような重大な事態になっているわけです。これは、ただ島根県の湖陵町だけの問題では決してありません。全国の養豚農家を象徴的にあらわしている事態だと思うのです。  農林大臣、こういう事態をどのようにお考えになっているのか、所見をぜひお聞きしたいと思います。
  375. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 きのう以来申し上げておりますように、確かにいまの豚価は低迷をしてきておりますが、自主的な調整保管をしていただいただけでもいま豚価は少し上がってきたわけでございまして、それに加えて計画生産もやっていただけると承っておりますし、私どもは、先ほど事務当局から申しましたように、年末には毎年需要が増加することも大体例年の例からいって想像されますので、そういう点で、私は年末においてある程度豚価が回復していくであろうということを期待いたしておるわけでございます。そういうことを踏まえながら、なおかつ、しかし将来ともに低迷を続けるというときには、場合によれば畜安法に基づく調整保管も農業団体においてやっていただくのも一つの方法か、また最終的には畜安法によって買い上げをするということも考えなければならないかもしれない。しかし、そういう最終手段をとる前に何とか豚価が少なくとも安定基準価格になるようなことがあれば一番望ましいのではないか、こう考えておるわけでございます。
  376. 中林佳子

    ○中林委員 全く民間団体依存、しかも成り行き任せ、情勢いかんによるということで、行政サイドの施策が感じられないわけですね。もう本当に残念至極、いまの農政そのものに対して希望が持てないということをはっきりと示しているのではないかと思います。畜安法などのあれをずっと見て最後にはというようなことではなくて、ぜひ早急な適用を求めるわけです。  次に、養豚農家はこのように大変価格が暴落しているにもかかわらず、小売価格の方はほとんどと言っていいほど下がってないのです。ここに農水省が出している食肉流通統計というのがございますが、ここで見ましても、昨年の九月とことしの九月を比較して、東京の小売価格ロース百グラム二百円、ことしが百九十三円、わずか七円しか下がってないわけです。今度大阪市場を見ますと、大阪が同じロース百グラムで、これは九月の大阪の統計はないのですが、九月と八月で比較してみましても、大阪では昨年の九月が百九十六円、ことしの八月が百九十七円というふうにむしろ上がる傾向にあるということなんです。これは一体どういうことでこのようになっているのか、その辺をお聞きしたいのです。
  377. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 小売価格につきましては、その代表的なものとして東京の消費者物価で見てまいっておりますが、豚肉の小売価格はことしの八月が百五十五円、これは中肉でございますので、先ほどのロースとは違いますが百五十五円。それから九月が百五十三円、十月が百四十五円、十一月が百四十三円と、十一月は前年同期に比べまして九三%、七%の値下がりでございます。
  378. 中林佳子

    ○中林委員 まことに都合がいい数字を並べられたわけですけれども、実際ここにちゃんと資料があるので見ますと、大阪の方はむしろ上がる傾向にあるというような状況があるわけです。これはどうなんですか。
  379. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 いまの大阪の価格ば八月でございましょうか。
  380. 中林佳子

    ○中林委員 九月は幾らになりますか、ロースで。
  381. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 八月は卸売価格もまだ高い時期でございまして、この時期は豚肉の消費需要も強い時期でございますので、それ以降の価格がどうなっておるかということになろうかと思いますが、その資料ではまだ九月以降は出てないと存じます。
  382. 中林佳子

    ○中林委員 わかりませんか。この資料では出てないのですが、そちらの方でわかりませんでしょうか。
  383. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 後で御説明申し上げます。
  384. 中林佳子

    ○中林委員 私が質問しましたのは、若干東京の方で下がっていると言っても、いわば農家があれだけ暴落している比率から言えば、本当にわずか、若干ということで、消費者にとっては下がっているという感じが全くないと言っていいほどの感覚なんです。ですから、そういうことは一体なぜこのように小売価格は下がらないのか、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  385. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 卸売価格と小売価格の連動の問題は、実は古くて新しい問題でございます。豚肉について見ますと、全体の傾向といたしましては、卸売価格が下がったときにはある一定のタイムラグをもって小売価格に連動をしていく。それから卸売価格が上がったときも同様に一定のタイムラグをもって上がるという傾向がございます。ただし、卸売価格の変動の幅に比べまして小売価格の変動の幅は小さいという傾向がございますが、これはやはりわが国の、食肉に限りません、小売構造の問題がその背景にあるのではないかというふうに考えております。
  386. 中林佳子

    ○中林委員 その小売構造というものをお聞きしたかったわけですが、先にさせていただきますが、いわば消費者にとっても小売価格が安くなればもっと豚肉を食べられる。そういうことになりますと、先ほどからおっしゃっていた豚肉のだぶつきを解消する、いわば消費拡大につながるのですよ。そうすると、消費者も助かるし、生産者も助かるということで、いわば一石二鳥の状態になると思うわけですが、小売価格が下がっているとは言っても、わずかしか下がっていない。もっと下げられるはずだと私は思うわけですが、そこにはやはり行政指導がなければちゃんとしたところまで下がらないというふうに思うわけです。ですから、この小売価格を下げていく行政指導、これはどのようになさるおつもりでしょうか。
  387. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 小売構造とさっき申し上げました。若干補足しますけれども、その小売構造を支えております消費者行動、これとの関連もあること、これを申し上げますと長々となりますので、そのことがあることだけ申し上げておきます。  それから、小売価格と消費量との関係でございますが、残念ながら豚肉については比較的価格弾性値は少のうございます。価格が下がったことによる消費量の増大ということは比較的少ないのでございます。それで、消費拡大対策といたしましてことしの秋以降私どもが進めておりますのは、一つは食肉の特別販売事業を進めておりますが、この中で、小売価格の値下げの運動と同時に増量販売、おまけ販売という形で、同一の単価ではありますが、それにおまけの量を加えるという形のものを進めておるわけでございます。  それから小売店等に対する値下げの指導につきましては、これはもうことしの夏以降機会あるごとに通達あるいは口頭をもって指導をいたしております。
  388. 中林佳子

    ○中林委員 豚肉の小売価格が下がっても余り需要は伸びないというようなことをおっしゃいましたが、それは下がったというのは消費者にとってはほんのわずか一円や二円という状況ではないのですよ。だから、行政指導で下がったという状況になりますと、私どもは大いに豚肉を買う。私自身も主婦でございますし、その辺の感覚というのはわかるのです。安くなれば買いますよ。ですから、ぜひその辺の行政指導を強めていただきたいと思います。  次に進みますけれども、先ほど融資の問題で、九月以前は養豚農家は高収入だったから、豚価の推移を見守りながらそういうことを考えたいというようなお話があったわけですけれども、九月以前高収入だったというのは、まあまあ経営が成り立っていた、赤字にはならなかったという状態だと思うのです。幾らそういう状態であっても、養豚農家というのは五十一年の豚生産振興資金だとか、あるいは五十二年の畜産経営改善資金だとか、あるいは農林漁業金融公庫の近代化資金だとかの多額な借入金によって、規模をどんどん拡大してきているのです。現在三百頭以上で一貫経営のところは一千万円以上の借入金に依存している者が全体の四〇%にもなるということですから、高収入だったから資金対策を余り考えなくてもいいんだというような発想がおありならば、その点はぜひ改めていただきたいと思います。  今日、養豚農家が、価格が暴落し赤字が発生する、借入金の返済とか飼料代の返済が非常に困難な状態になっている。先ほど申しました湖陵町の例でも、返済ができないから単位農協から借り入れをして非常に高い利息のものまで借りなければならない、すでにこういう状況にまでなっていて、いま養豚農家とすればつなぎ資金を早急に求めているわけですね。ですから、私は、償還期限の延長だとか、低利の制度融資、救済措置のある制度融資、ぜひこれを設ける必要があると思うのですけれども、具体的な政府の対応をお答え願います。
  389. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 先ほど収益状況について申し上げましたが、私ども試算をしておるところによりますと、肥育豚の平均の数字で申し上げますが、ことしの七月、八月は利潤と所得が一頭当たりそれぞれ約一万円でございます。それからそれ以前におきましても五千円程度の利潤、所得が一頭当たりに出ております。九月以降は確かに価格の低落によりまして利潤は発生をしなくなる、所得も規模によりまして一部マイナスが出るという状況でございまして、非常に苦しい状況になっておるということは十分わかるわけでございますが、資金対策として考えます場合には、ある程度期間を見て経営動向がどうかということを考えざるを得ないわけでございます。いま農協の話が出ましたけれども、そういったその博点時点の短期の資金繰りの問題等については、農民の協同組織としてある農協がそういう機能を果たすべきものであるというふうに考えております。
  390. 中林佳子

    ○中林委員 たとえば、いままでの制度融資の償還期限の延長だとかあるいは利子補給だとか、具体的なことでお考えになっていることばいま何にもないのですか。
  391. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 制度資金につきましては、その制度資金ごとに、近代化資金あるいは農林漁業金融公庫資金につきまして償還猶予あるいは中間据え置きの措置がとり得ることになっております。それぞれの資金の種類及び各農家の実情に応じてそれらの措置が講じられ得るように、私どもとしては指導をしてまいりたいと考えております。
  392. 中林佳子

    ○中林委員 これまでのいろいろな論議でも明らかになったことですが、現在のこの豚肉の価格の低落の背景としては、生産過剰ということが指摘されているわけですけれども、豚肉の輸入量は部分肉ベースで年間十万トンを超えているわけです。これは生体にして約二百万頭に相当するものだと言われているわけですが、ことしの輸入が昨年同期に比べてどのような比率になっているか、御答弁願います。
  393. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 豚肉の輸入数量でございますが、五十二年及び五十三年は、暦年でございますが、部分肉ベースでそれぞれ十万トン強でございます。五十四年の一月から十月までは前年対比で一四〇%ということに相なっております。
  394. 中林佳子

    ○中林委員 これでもわかりますように、生産過剰というよりも輸入増大が暴落に拍車をかけているということが言えるのではないかと思います。輸入問題を放置したままでは現在の暴落は解決できないというふうに思うわけです。国内生産に打撃を与えるような無秩序な輸入体制を改めるよう指導すべきだと私は思うのですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  395. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 ただいま申し上げましたように、前年同期対比で一月から十月までことしの場合は四〇%の増加になっております。主要な輸入相手国はデンマーク、アメリカ、カナダでございますが、今後の豚肉の輸入については、生産者団体が国内の加工メーカーの団体あるいは輸入商社の代表に対して、国内の豚肉の需給事情、特に価格が低落して畜産農家、養豚農家が非常に経営として苦しい実情を訴えまして、善処を求め要請を行っております。加工業界ではこれに対応いたしまして、大臣からも先ほどお答えいたしましたように、この十二月から輸入の豚肉を新規契約しない、当分の間見合わせるということにいたしております。こうした対応もございまして、輸入豚肉から国産豚肉への原料の切りかえは進んでいくものというふうに考えております。政府が輸入の規制をするということは、ガットに加盟しておるわが国といたしましては、自由化品目でございますので、これは非常に困難な問題でございます。
  396. 中林佳子

    ○中林委員 十二月一日以降、輸入業者が自粛して発注しないというお話がありましたけれども、これまですでに発注している部分があるわけで、それは何年まで、どの程度期間日本の中に入ってくるんでしょうか。
  397. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 先ほど申し上げました加工メーカーの対応として、一つは新規契約を申し上げましたが、そのほかに既契約に基づいて輸入されるものについては引き取りをできるだけ先に延ばす。それから第三に、すでに入っておる原料用の豚肉で在庫になっておるもの、及びできるだけ引き取りを延ばすということをやってもなおやむを得ず引き取らざるを得ないもの、そういうものを対象といたしまして、加工メーカーでは在庫を一時凍結する措置を講ずるということを承知いたしております。
  398. 中林佳子

    ○中林委員 在庫を凍結する、いわば十一月三十日までに発注した部分については日本には入ってこないということなのでしょうか。
  399. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 以前に契約したものについては当然入ってくるわけでございますが、いま私が申し上げたのは、その引き取りをできるだけ引き延ばす、これは保税倉庫その他にそのまま置かれるという状態かと思います。しかしそれはなかなかむずかしい。やむを得ず引き取らざるを得ないものが当然あるわけでございますので、先ほど申し上げました在庫凍結の対象として、たな上げをするということを進めておるところでございます。
  400. 中林佳子

    ○中林委員 十二月一日から発注を見合わせるように自主的にやっているということがありましたけれども、それ以前に発注した部分はかなり長期的に日本に入ってくるものだと私は思うのです。  そこで、先ほど大臣が、デンマークの人が来たときに日本の実情をよく説明したというお話があったんですけれども、どのような具体的な説明をされたのかお聞きしたいんですが。
  401. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 安定基準価格を相当下回っておって養豚農家が非常に苦しんでおる、こういう現状をよく説明し、そういうときだから、あなたの方は輸入をふやしたいかもしれないけれども、こちらはそう簡単にそれじゃどうぞというわけにいかないという、具体的な国内の事情を説明したわけです。
  402. 中林佳子

    ○中林委員 ここに十月二十六日付けの日本農業新聞の報道があるわけですが、これによりますと、部分肉での輸入が急増しているが、部分肉のセット契約ということで輸入申告しているにもかかわらず、実質は分割輸入を図るなどの脱法行為があると報道されているわけです。  大蔵省にお伺いしますが、こういう事態をつかんでいるのでしょうか、実情を明らかにしてください。
  403. 中島潔

    ○中島説明員 セット契約に基づく部分肉が輸入されているのは事実でございますが、他の先生の御質問にもお答えしましたように、セット契約の場合におきましては、一定の部分肉をそれぞれ組み合わせて単価を一本というふうに決めておるわけでございます。そういう契約に基づいて契約の割合と同じ割合で到着した肉につきましては、一本単価で申告してもいいという指導をしておりますけれども契約と違う割合の肉が到着した場合には、契約上の一本単価では申告しては困るということを指導しております。
  404. 中林佳子

    ○中林委員 実情を御存じなのか、一体実情はどのようになっているのか、そういうことを明らかにしていただきたいわけです。  だから、大体こういうことがあるということは察知していらっしゃるのはわかるわけですが、一体どの程度そういう脱法行為があるのか、それはどうなんですか。
  405. 中島潔

    ○中島説明員 現在の関税法では、部分肉の場合でございますけれども、課税価格が高いか安いかによって税率が違うということになっておりまして、部位によって税率が違うという構成にはなっておりません。したがいまして、課税価格は実際にその当事者が幾らで買ってきたかということが問題になるわけでございますが、契約等によりましてそういう価格で買ってきたということが認定できますれば、部位が違っていても同じ価格で申告を認めるということにならざるを得ないと考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、契約の割合と違う割合の肉が入ってきた場合に、その契約上の一本単価で申告しているものはないと考えております。
  406. 中林佳子

    ○中林委員 では、大蔵省の方は、いわば法律どおりやっているもので、そういう部分肉を入れているんだけれどもセット契約で安く入れているという実態、そういう事態があるということはお認めなわけでしょう。
  407. 中島潔

    ○中島説明員 高いか安いかというのは、先ほども申し上げましたように、課税価格が高いか安いか、課税価格は輸入者が具体的に実際に幾らで買ってきたかということがもとになりますので、そういう価格で買ってきたかどうかということが問題になるわけで、われわれといたしましては、契約書等によってそういう価格で買ったかどうかということは確認いたしておるわけでございます。
  408. 中林佳子

    ○中林委員 この日本農業新聞の中でも、大蔵省としてもこういう事態があることをお認めになっているという記事があるわけですね。輸入をすると、豚肉輸入の陰で農家は泣いているわけですし、しかも、そういう輸入の陰で現実にこういう不正なことが行われているわけですね。ですから、私は、当然行政指導でこういう不正なことはするなということがあるべきだと思いますし、その点、輸入という陰でこういうことがやられている実態、大臣は御存じなのでしょうか。もう御存じならばへ大臣としてはどのように対処すればよいとお考えなのでしょうか。
  409. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 私自身まだ確認はしておりませんが、いずれにしてもそういうことがもしあるときは、それはいけないことでございますから、大蔵省には十分申し入れをしてありますので、あとは大蔵省の方でどう対処されるのか、いまちょっとお聞きしていてもまだはっきりしないようでございますから、もう少し申し入れをしておるので返事を聞きたいと思います。
  410. 中林佳子

    ○中林委員 輸入規制が、いま農家の方々にとっては最大の願いになっているわけです。消費を拡大していくためにも、精肉よりも加工向けの消費がふえる見込みとされているわけですね。豚肉の輸入は加工向けということで輸入拡大がされていますが、いまのまま放置すれば輸入はますます増大することになると思いますし、政府が加工メーカーに対して国産豚肉を使うようにという指導をしていただければ、輸入削減の道が開けると思います。  あわせまして、先ほどの方の質問にもありました関税を今度は引き下げる動きがあるわけですけれども、これもぜひ引き下げないで輸入規制の方向に動いていただくことがいまの養豚農家を救う道であると私は思うわけですので、この二点についてお伺いいたします。
  411. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 加工メーカーに対しまして、国産の豚を加工用原料としてできるだけ使ってもらいたいということは要請をいたしております。  ただ、いま輸入がなかなか減らない、逆にふえておるという状況は、一つは品質問題がございます。加工向けの豚肉は、日本の消費者に向くような加工品をつくるということから、品質が国内産に比べて加工適性がある、と申しますのは、日本の豚肉の生産はどちらかといえばフレッシュミートあるいはテーブルミートと言ってもよろしいかと思いますが、それを中心にして拡大をしてきたことから、なかなか加工適性から見て国際競争力が十分ではないということがございます。その点につきましては、やはり品質の改善を図っていくことが必要だと考えております。  それからもう一つは、品ぞろえの問題がございます。輸入のものでございますれば、ロースはロースということで同じ部位のものが一定量まとまって入手ができるという実態がございますが、国産肉の場合にはなかなか対応がしにくい。これはわが国の流通段階で、加工用のものがうまく流れるような措置を品質改善とともに考えていく必要があろうかと考えております。  それから、第二点の豚肉の関税でございますが、先般のMTN交渉におきまして定率関税を一〇%から五%にすることといたしております。豚肉の関税については、御承知のように差額関税がございますので、差額関税によりまして国内養豚に影響を及ぼすことのないように、これはそのまま継続をしていくということにいたしておるわけでございます。
  412. 中林佳子

    ○中林委員 時間が来ましたので終わりますが、養豚農家には関税の引き下げによって多大な影響が及ぶということを申し添えておきます。  以上です。
  413. 内海英男

    内海委員長 神田厚君。
  414. 神田厚

    ○神田委員 本日は、養豚経営の安定の問題、さらには生産農家等からいろいろ要望が出されている問題につきまして、御質問を申し上げたいと思います。  大臣が所用があるようですので、先に大臣に二、三お尋ねをしたいと思いますが、まずかいつまんで御質問申し上げますと、こういう豚肉の需給の状況は一体どこまで続いていくのだろうか、この見通しをひとつきちんと立てていただいて、そしてどういう場合になりましたならば畜安法を発動するのか。いろいろ議論を聞いておりますと、いろいろな手続きなり段階を踏んでやっていくという話でありますけれども、しかしながら、これは時期的な問題がありますから、先ほど年末は需要が高まるということでありますが、年末を過ぎてなおこういう低迷状況が続く場合には思い切った措置をとるというようなお考えがありますのかどうか、この点をひとつお聞かせいただきます。
  415. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 いつまでも低迷を続けていくときには考えなければならぬ、こう申し上げたわけでございまして、御承知のとおり年末がやはり需要期でございますが、大体例年は一−三月がある程度需要が減退をし、そして四月以降になるとまた需要が伸びていくというようなサイクルをつくっておるようでございます。私は、正直な話一−三月にできるかどうか非常にむずかしいと思うのでございますが、四月以降に入っていわゆる需要期に入ってきたときにおいてもなお低迷を続けているというようなときには最終的な手段をとらざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに思っております。しかし、先ほどから申し上げておりますように、できるだけ価格が上がっていくように、せいぜい計画生産を進めていただき、また自主調整保管を強力に進めていただくということになると、その前にひょっとすれば価格が上がっていくのではないかという期待をいたしておりますが、期待をしたにもかかわらずどうしてもうまくいかなかった、しかも需要期に入ってもまた低迷を続けていくというようなときには最終手段をとらざるを得ないのではないか、こういう考え方でいるわけであります。
  416. 神田厚

    ○神田委員 もう一問御質問申し上げます。  そうしますと、いま自主調整の保管事業が行われておりますが、これらに対する対応というのは少し強力にやらざるを得ないのではないか。四月までということになりますと、いまから四カ月こういう形で安定基準価格を割るような形で推移しますと非常に問題なんですね。ですから、こういう最悪の事態というのは、もうそれを割った段階ですでに手を打たなければならないわけでありますから、大臣の御答弁、大臣はきっと前向きにしたおつもりでございましょうが、四月の需要期を待つというのは時期的にツーレートといいますか、遅過ぎるという感じがします。ですから、それはもう少し前に思い切った措置をとってもらうと同時に、当面自主調整保管事業等につきまして枠の拡大、量の拡大を、どうですか、思い切ってできませんでしょうか。
  417. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 せっかくいま自主的に、生産についても計画的に進めようという動きをしていただいておりまして、計画的生産がどういう形で進められるかを少し見せていただきたいという気持ちがあるものでございますから、先ほどのようなお答えになったわけで、恐縮でございますけれども、その辺もう少し生産計画がどういう形になっていくのか、私、見せていただきたいと思っているわけなんです。
  418. 神田厚

    ○神田委員 自主調整の保管事業に対する量の拡大というのは大事なことでございますが、どんなふうに生産改革がやられていくかということは、そういう生産団体に任せるのではなくて、農林省自身が具体的にどういう行政指導をしながらそれをやらしていくか、一緒にやっていくかという態度の問題があるわけですから、それは生産団体だけの問題ではございません。ですから、その辺につきましては、それでは具体的に需給の生産調整の問題についてはどんなふうな形でこれをやっていこうとしているのか、どういうふうな具体的な行政の指導をするのか、これを大臣からひとつ御答弁いただきたいと思っております。
  419. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 御説のとおり、中央においては今度の生産計画を進めていく推進会議ができまして、近いうちに地方地方でもつくっていただくことになっております。どこまで表に立っていけるかどうかは別といたしまして、役所といたしましても、できるだけ、そういう会議に対してはよく現実を踏まえてやっていただけるように指導というか、あるいは相談というか、その辺のニュアンスが非常にむずかしいのでございますが、あくまで自主的にやっていただくというたてまえでございますからあれでございますが、役所は全くタッチしない、関与しないということではないということで御理解いただいて結構かと思います。
  420. 神田厚

    ○神田委員 じっくりと議論をしたいのでありますが、大臣がどうしても退席なさるということでございますので、あとは事務当局、政府委員とやりますので、どうぞ結構でございます。  いまお話を聞いておりますと、現在の状況がどこまでどんなふうになっていくのだろうかという見通しを少しつけなければこの議論は始まらないし、一体どんなつもりでどういうふうな考え方で農林省は養豚経営の安定に努力をするのかという明確な姿勢がないのですね。その辺が一番問題でありますから。  いま大臣は、需要期を迎えて回復しなければということでございましたが、そんな四カ月も安定基準価格を下回って推移をしているのを見ているわけにはいきません。それは行政がないのと同じでございます。ということは、先ほども議論になりましたけれども、畜安法自身の精神の問題にもかかわってくる問題でありますから、そういう意味では担当で専門で一番精通をしているはずであります畜産局帳は、大体どんな手を打てばいつごろまでに豚価智回復をするという見通しをお持ちでありますか。
  421. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 豚肉生産の先行指標といたしまして、豚の種つけそれから子豚の生産動向等がございます。それらの動向から見ますと、なかなか見通し難でございまして、現在進めております計画生産の推進によりましてこれを明確にしてまいる、そのことによりまして需給の均衡というものが図られ、適正な水準になっていくということを私ども期待をいたしておるわけでございます。したがいまして、具体的にいつごろそうなるかということについては、現時点ではなかなか申しにくい状況でございます。
  422. 神田厚

    ○神田委員 それでは全然何も言ってないのと同じじゃないですか。いつごろまでに現在の状況が、たとえば需給計画なりそういうものが出されて、農林省がどういうふうな手を打てば豚価はいつごろ、年末、年内には回復するであろうとか、あるいは自主調整保管事業に枠をふやせばこういう時期程度に来ればこのぐらいになるだろうというはっきりした見通しがなければ、これは何もやらないのと同じじゃないですか。生産団体に任せて、そして具体的に行政指導するのかというと、するのだか、しないのか、これからまた聞きますけれども、それもはっきりしない。そういうことでは、このまま推移してもしようがない。こういう状況を放任をして見過ごしているというふうに、行政の怠慢を言われてもやむを得ないのじゃないかと思います。いかがでございますか。
  423. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 十月以降、先ほど申し上げましたような対策を講じて、懸命に需給のアンバランスを解消する、それによりまして価格の回復を一日も早くできるようにするという努力を政府としてもいたしております。自主的調整保管、それから消費拡大、計画生産の推進、それぞれにつきまして、民間の自主的な活動ではございますが、それが円滑に進められ、積極的により強力に進められるように私ども指導しておるところでございます。  価格の見通しについて、なかなか見通し難と申し上げましたが、この年末十二月需要期におきまして、これまで講じた措置がどのように効果をさらにあらわしてくるか、そのところをいまの時点では推移を見守っておるところでございます。
  424. 神田厚

    ○神田委員 それでは、年末になりましても現在のように安定基準価格を下回って推移をしている場合には、どういう手を打ちますか。
  425. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 他方、計画生産体制づくりを現在進めております。これにつきましては、中央段階でできましたが、地方段階におきましてこれをつくるべく、実は明日も全国の畜産課長を集めまして、その体制づくりを進めます。  十二月価格が回復しない場合どのような措置をとるかということでございますが、私どもとしては、いま講じておる措置、さらに計画生産体制づくりが進められれば価格の回復はあるものという期待をいたしております。したがって、いまの時点でどういう措置、もしうまくいかなかったらどうするかということについては、その時点で検討すべき問題だと考えております。
  426. 神田厚

    ○神田委員 いまから需給計画の地方の段階をつくろうというのでしょう。それが年末までに波及するわけがないじゃないですか。ですから、いままでやってきたことで十二月までにどうしてもだめだったら新たに何をするんだ。ぼくは来年の四月のことを言っているんじゃないですよ。十二月の年末でだめだったらどうするんだという話をしているわけです。仮定の問題には答えられません、そういう無責任な発言はないじゃないですか。  いまから大体予測していってみると、私どもの考え方では、年末に来ても安定基準価格を下回って推移をするというふうに判断をしているのです。ですから、そういう場合にはどうするんだ、どういう手を打つんだ、その時点でそれではどんなふうな具体的な農林省としての考え方を出すんだ、こういうことを聞いているわけです。
  427. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 推移を見ながら検討してまいると申し上げましたのは、いろいろな手だてがさらに考えられるかと思いますので申し上げたわけでございますが、現在進めております対策をより規模を拡大して進めることも、その需給、価格関係等から出てまいります場合もございましょう。また、非常にいま対策を講じておる効果が出ないという場合には、たとえば畜産物価格安定法に基づく措置についても検討せざるを得ない場合も出てくるかと思います。ただ、これからの状況、推移を見ながらその時点で検討するということで考えておるわけでございます。
  428. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、十二月を見て畜安法の発動も考えるということですか。われわれは、これはもうすでに下がった段階で直ちに発動しろという話をしているわけですから、時期的には非常にずれていますけれども、それでもやはり十二月の末を一つのめどとするというふうにわれわれはこれを理解してよろしゅうございますか。
  429. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 いまお答えいたしましたのは、検討内容の手段としてどんなことがあるかということで申し上げたわけでございます。したがって、たとえば自主調整保管の枠をさらに拡大するということもあり得るわけでございまして、十二月までの時点で畜産物価格安定法の措置をいま直ちにとるということを申し上げておるわけではないわけでございます。
  430. 神田厚

    ○神田委員 もう相当安定基準価格を下回って日にちがたっているわけですね。一体、どういう状況にならなければ、先行きの問題じゃなくて、現実的にもう下回っている現実がある中で、なぜ当面こういう問題についてきちんとした法律を発動することができないのか。法律を発動しながら、一方ではそういう需給計画に対しまして強力な行政指導をやっていきながら、両方の相乗効果を求めるような形でなければこの大変な畜産の危機というのは乗り切れない、養豚の安定経営というのは確保できない、こういうふうにわれわれは考えているのですが、その辺はどうなんですか。
  431. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 明確にお答えできなくてはなはだ申しわけないのでございますが、価格安定制度は需給全体の動向と無関係ではないわけでございます。現在の豚肉の生産なり経営動向からいたしますと、非常に規模が拡大をしておる、また、一貫経営が拡大をしておるということから、生産意欲というものはまだ非常に強いという状況にございます。そういうもとで、何ら計画的な生産の推進が図られないままに、畜産物価格安定法による措置を講ずるということは、将来のわが国の養豚にとって非常に暗い姿をもたらすのではないかということを実は恐れておるわけでございます。したがいまして、計画的な生産体制づくり、計画生産を直ちにやるというのではなくて、体制づくりをして、目標を示して、そして、こうやっていくんだ、全体としてそういうことが生産者の中で合意されていくということが一方にあり、かつ、片一方において、先ほど来申し上げましたような各般の対策を講じても十分な効果が出ない、むしろ価格は下がっていくというような状況になった場合に畜産物価格安定法の措置をどうするかということを考える、そういうことで先ほど来申し上げておるわけでございます。
  432. 神田厚

    ○神田委員 畜安法の中にはそんなことが書いてあるのですか、いま局長が前段に述べたようなことが。そういう前提があって、そういうものが解消されなければ畜安法を発動してはいけないという条項はあるんですか。そんなものは何もないじゃないですか。現在の状況を改善させるということが一番大きな問題ですから、それは局長が言うことも全部わからないわけではありませんけれども、こういうふうになったときにはこれは買い上げをすることができるというふうな条文がはっきり明記されているわけですから、まず構造的な問題は、それはお互いに法を発動しても何でもできるわけですから、それをやりながら論議できるわけです。そういうものが解消されなければ全然この法律を発動することができないというのは法律の読み過ぎだというふうに私は考えますが、その辺はどうですか。
  433. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 確かに畜産物価格安定法におきましては、いかなる場合に買い入れを行うかということについての規定はございません。私が申し上げておりますのは、豚肉の価格安定制度は、自由な取引において市場価格が形成される、それは需給関係を反映して価格が形成される、こういう自由な取引、価格形成のもとにおいていかに価格を安定させるかというのが制度の本来の趣旨である。したがって、需給の不均衡が改善される見通しなしにこの畜安法による措置を講ずることは、むしろ価格安定制度そのものを全体としてもう一遍見直さなければならぬ事態になってくるのではないか、そういうことで申し上げておるわけでございます。
  434. 神田厚

    ○神田委員 そういうことならば、こういう状態になるまでにもつときちんと指導したらいいじゃないですか。なるような状況はこのままにしておいて、そして今度は法律の趣旨から言うとそうじゃないという話では、それはだめなんですよ。  これだけをやっていっても時間がありませんから次に移りますが、具体的な需給調整対策を行うということになりましたけれども、生産調整の問題では、いろいろな生産調整をやっておりますが、養鶏の生産調整の場合には農林省は具体的に行政の指導の指針を出しているわけでありますね。今度のこの豚肉の需給の調整対策については、養鶏のときに出したような具体的な行政の指導の通達、そういう有効に機能するものを出す用意があるのかどうか、その辺はどうでございますか。
  435. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 確かにそういう指針が必要であろうと思っております。生産者団体から構成される推進会議の場におきまして需給調整委員会を設けておりまして、それをてこにいたしまして生産者団体とも相談をしながら決めてまいりたいと考えております。
  436. 神田厚

    ○神田委員 これで特に問題になりますのは具体的な指針を出すということに受け取ってよろしゅうございますね。その場合に、この生産調整に従わない部分というのができてくるわけでありまして、特に養鶏の場合には企業養鶏がこれに大変従わない状況がありました。今度は企業養豚の実態の資料を事務局の方から出していただくように話をしまして、いただきましたが、この企業養豚に対する指導の徹底というのは、各農業団体、生産者団体等に任せていたのでは非常にむずかしいような状況がある。これらにつきましても農林省はきちんとした指導をすべきであるというふうに考えますが、その辺のところの考え方はいかがでございますか。
  437. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 指針の出し方につきましても生産者団体と十分協議をいたしたいと思っておりますが、養豚の場合は養鶏と違いまして、関係団体も区々でございます、それから経営規模も区々でございますので、やはり自主的な形で進めることが必要であろう。農業団体の一部では、やはり互助制度といったようなものも検討に値するのではないかというようなことが言われております。それらを含め今後早急に協議を進めてまいりたいと存じております。
  438. 神田厚

    ○神田委員 企業養豚の問題も少し詳しく議論したいのでありますが、大臣も退席しておりますので、次に移ります。  輸入の問題、これも大臣がいないとちょっとあれなんですが、先ほどもちょっと触れられましたけれども、加工業者がほとんど輸入の豚肉を使っている。それに対しまして、国内の豚肉を使ってくれという話をしておきながら、一方では、農林水産省は関税の引き下げをやろうとしている。これは非常に矛盾をしているところですね。これは理屈を言えば差額関税制度だからとかいろいろあるかもしれないけれども、しかし、それはどう言ったって、関税が下がってくれば高級肉なり部分肉なりがたくさん入ってくるわけでありますから、その辺のところは、現在これから畜安法を発動しようかどうか、こんなふうな状況の中で、来年の四月からこの関税の引き下げをやるということにつきましては、私は非常に問題が多いと思うのでありますが、この辺につきましては、これは考えを変えるおつもりはございませんか。
  439. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 先ほどお答えいたしましたように、先般のMTN交渉におきまして、定率関税は確かに五%に引き下げるということにいたしております。同時に、差額関税制度をそのまま継続をするということについても、それは堅持をいたしたわけでございます。  引き下げの五%でございますが、これは昭和五十五年から八年間にわたりまして段階的に行うことと相なるわけでございます。したがいまして、これによる国内への影響は、今後の養豚経営の生産性の向上等により対処できるものというふうに考えておりまして、MTN交渉におきます方針を決めたことについては、政府はこれは変更する考えは持っておりません。
  440. 神田厚

    ○神田委員 その辺のところがちょっとおかしいのですね。これだけめちゃめちゃな需給関係になっている中で、とにかくいまの段階では少しでもやはり輸入も抑えなければならない、そして国内の加工業者にも、この日本の国でできた豚肉を使ってもらわなければならない、こういうことになっているときに、八年間かけてそれを下げるというのは明確になっておりますけれども、少なくとも、さらに門戸を広げて需給のアンバランスを推進するような政策をとるべきじゃないと私は思っております。  この辺は、どうしても変更できないということならば、農林省がそういう態度では、この養豚農家あるいは養豚経営者に対する姿勢というものが非常にあいまいだということを明らかにしてしまうのではないかと思うのですが、その辺はどうでございますか。
  441. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 いま申し上げましたような引き下げも、八年間にわたってステージングで行うわけでございます。生産性向上についての国内対策も、私どもとしては必要に応じて考えてまいるつもりでございます。
  442. 神田厚

    ○神田委員 これはいろいろ議論しても、生産調整をやらせながら生産性向上をやれと言ったって、一遍にそんなこと急にできるわけないのですね。そういうことを言いながら、一方では輸入に門戸を開いているという姿勢、さらには、加工業者に対しましては輸入肉をどんどんと使わしているような状況、こういうことであってはならないので、農林省はやはり農家を守って、その養豚農家の立場にもっと立たなければ、私は非常にむずかしいと思うのですね。  金融の問題、えさの問題、いろいろありますけれども、きょうはそういうことで大臣もいませんから、最後に政務次官に伺いますが、政務次官は、農林政務次官になったことを非常に誇りとして、危機に瀕しているこの日本の農業全般について積極的に取り組みたいんだという、非常にまじめな意欲的な御発言もあるようでございます。特に、今回のこの養豚の問題につきましても、おくにの方ではいろいろ御要望もあるでしょうし、そういうことを踏まえまして、この経営安定あるいは緊急措置の要請に対しまして、どういうお考えをお持ちなのか、最後にお聞きしたいと思います。
  443. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 神田先生のいろいろな御意見、一々大変よく理解をしてまいったつもりでございますが、私も山形に参りますと、仲間が養豚をやっておりまして、いろいろそういった諸君たちからも話を聞くわけでありますが、大臣、畜産局長がるる申し上げておりますように、やはり現下のこの豚肉の低迷状況は、結局は需給のアンバランスである、こういうことでございますから、やはりその需給の調整というものが基本的にない、需給の均衡という基本的な関係が成り立たないと、いろいろなことをやっても、最終的にはなかなか価格の安定に資しない、こういうことであります。  そこで、いまお話があったのですが、輸入をそれじゃどうするのだというお話でありますが、釈迦に説法でありますけれども、一応差額関税制をとっておりますから、少なくとも安定中位価格までは行っているわけです。あとさらには、場合によってはプラスアルファでその上乗せをしていく場合もある。ですから、最低そういう中位安定まで行って、なおかつ(神田委員「高級肉が入っているじゃないか」と呼ぶ)いまおっしゃった高級肉が入ってくるということは、私は農林水産省に来てまだわずかでございますけれども、やはり農林水産省としてそういう高級肉をつくっていただくような畜産指導が必ずしも十分ではなかったのではないかという感じがするわけであります。  ですから、こういう状況の中で、おっしゃるように片っ方で不況で、片っ方で生産向上はなかなかむずかしいということはわかりますが、結局、肉があったって規格が統一してないとか品質の問題があるということで、高くても輸入肉を買うような、そういう状況をこれから農林水産省が真剣になって正していく、そういうことが初めて安定した畜産経営を農家の方々にやっていただける根本的な関係じゃないか、こういうふうに思いますので、そういう方向で、当面の問題はもちろん大事でございますけれども、やはり長い目でこの養豚の指導農林水産省としては当たっていくべきではないか、かように考え、大臣ともどもひとつ大いに力を尽くしてまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  444. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  445. 内海英男

    内海委員長 本郷公威君。
  446. 本郷公威

    ○本郷委員 私は、農政の基本姿勢について大臣にお聞きをしたかったわけですが、大臣が席を外しておりますので、やむを得ませんが、ひとつ次官、誠意を持って答えてもらいたいと思います。  きょう午前中から日本発馬機事件をめぐりましてずいぶん審議がされたわけですが、私はその審議を聞きながら、農水省と日本中央競馬会日本発馬機、この三つの関係が直接的にも間接的にも関係がある、その中に起きた事件だけに、これはきわめて問題は大きいのではないかと考えております。農水省おまえもかという感じがしたわけでございますが、せめてこの減反政策を進めるぐらいの熱意を持ってこういう問題に取り組んできておれば、このような事件も起こらなかったのではないかと思うわけです。  特に注意をしておきたいのは、外郭団体との関係が今日ずいぶん問題になっておりますが、農水省がこの外郭団体を太らせているというイメージを国民に与えるということになれば大変なことであります。そうしたことの今後起こらないように、内部指導を強化してもらいたいと思うのですが、次官、所見があればひとつ述べてもらいたいと思います。
  447. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 本郷先生から非常に大事な点について御指摘があったわけでありますが、やはり農林水産省関係しております団体は非常に数多くございますし、それはそのままずばり農林水産省が見ております各種の農業、林業、漁業の多様性から、そういった非常に数多くの、また変化に富んだ農家の方々、林業者また漁業者の方々を、生産から流通、加工の段階までいろいろ相手にしておりますので、当然いろいろな団体がございますし、また、そういった団体の方々お話をしていかなければ適正な行政ができない、役員だけではどうにもならないような問題もございます。そういうことでございますので、農林水産省としても、そういういろんな団体との関係を大事にしなければならないと思っております。しかし、御指摘がございましたように、それがある意味ではなれ合いになったり、またいろんな不都合なことが起こったりしてはいけませんので、これについてはひとつ大臣ともども厳正にやっていかなければならない、かように考えております。
  448. 本郷公威

    ○本郷委員 さきの委員会あるいは本会議におきまして大臣答弁を聞いたわけですが、農政に対する積極的な姿勢を感じることはできたのですけれども、それは減反政策に対する積極的な姿勢でありまして、残念なことに農民の立場に立った姿勢がうかがえなかったわけです。政府が減反政策を強化すればするほど、農民にとっては生活の基盤が脅かされて、勤労意欲というものを非常に減退さしておるのが現状であります。  そういう立場から、農業が人の生命を維持するために、食糧の確保という大前提に立った場合には、農民の生活安定こそ日本の農業を守る基本施策にせねばならないと私は考えるわけです。農民の生活の安定を図るという農政の基本的な課題をお持ちであればひとつ示してもらいたい。
  449. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 たびたび申し上げておりますように私は山形の人間でございますから、山形だけが農業県ではございませんが、数多くの農家の方々と常時接触をしておりますし、お話を承っておるわけであります。まさに戦中から戦後にかけて非常な苦労をされてこられた農家の方々、特に御年配の方々が、これまで農業をやっておって、おれの人生は間違いであったな、誤ったな、そういうような気持ちには絶対なっていただきたくない、なっていただいてはならない、こういうふうに考えております。  そういう意味では、戦後ずっと稲作農業を中心にやってこられた方々が多いわけでありますから、そういった方々にこの際生産調整をお願いするのは、私たちとしてもまことに胸が締めつけられる思いでございます。しかし、大臣もたびたび申しておりますように、これ以上米の過剰を続けるわけにはいかない。それがとりもなおさず、むしろもっと大きな犠牲や御苦労を農家の方々にお願いしなければならない、こういうことになるので、そこで、今回も再度生産調整をお願いしたような状況であります。  しかし、考えてみますと、日本はGNP世界三番目、米ソの次に三番目でございます。したがって、いわば農産物市場、食糧マーケットとしても、日本経済はまさに世界で第三番目の大きなマーケットを持っておる。日本の農民、漁民はまさに世界三番目の大きなマーケットを持っているわけでありますから、そういう大きなマーケットに対して供給をしていらっしゃる農家の方々の生活また経営が悪くなることは未来永劫に絶対ないと思うのです。それは農林水産省の行政いかんによってりっぱな、安定した経営をしていただける農家をつくることができるし、また、そういう方々を中心としてりっぱな農山漁村をつくることは決して不可能なことではない。この意欲でひとつこれから政策推進に当たっていきたいと思っているわけであります。
  450. 本郷公威

    ○本郷委員 そうなっていないから私は聞いておるわけでありまして、たとえば農業所得についても、二十年前には農家所得の約半分あったのが、現在では三分の一以下に減っておるわけですね。そうなりますと、当然専業農家が減りまして兼業農家がふえる。現在、兼業率が八七・一%という大変な数字になっておるわけです。  そういう実態から見て、いま次官が言われたような観点に立っておれば、このような農家の実態、農民の実態というものは起きていないはずです。ところが、そういうようなことが十分行われずに、とにかく減反政策を中心にして農業の切り捨て、外国からの農産物の輸入を年々ふやしていく、そういう政策が続いてきたところに今日の農業の破壊が進んできておるのじゃないですか。いまの農政というのは、言うならば農業の合理化であって、農民の切り捨て政策と言ってもこれは過言ではないと思うのですが、その点いかがですか。
  451. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 農林水産省は、かねてから自立経営農家というものを一つの将来の農業のあり方の方向として考えて、そのためのいろいろな措置を講じてきたと思うわけでありますが、そう言っても、現実に農地の問題もございますし、また同時に、経済全体が高度成長から安定成長へ変わった、そういう面もございます。農業というのは、林業もそうでありますけれども、息の長い産業でございますから、なかなか急ピッチに改革ができない。そういう意味で、やはり時間をかしていただかなければならないと思うわけでありますが、方向としては、そういう自立経営農家を目指して、また、いろいろな制度の改革をこれまでやってまいりましたし、これからもやってまいりたい、こういうことであります。
  452. 本郷公威

    ○本郷委員 いや、そのような考え方がもう過去実施をされておれば、農水省も今後努力をしていくということが理解できるわけですが、今度発表しました「昭和六十五年農産物の需要と生産の長期見通し」、これは一応皆さん方がつくった目安としては理解ができますが、これまでの政府の生産調整の歴史を見てみると、ちまたに言われておりますように、場当たり農政とかネコの目農政とか言われるように、常に変わってきておるわけですね。昭和五十一年から三年計画で策定した水田総合利用対策というのも、実施に移して一年半ぐらいでもう計画変更せねばならなかった。そして、いま進めております水田利用の再編成対策も、いま問題になっておりますように、三年の固定計画が変更するという、ここ十年間、もう転々として政策変更がなされてきておるわけです。そういうことを考えると、いま次官がいろいろ言われておるような問題をそのまま受け取るわけにはいかないのですね。  また、一方においては、輸入食糧が増加の一途をたどっております。その反面、わが国の自給率はどんどん下がっております。これも私が説明するまでもなく、六〇年には八三%あったのが、現在四〇%以下に下がっております。しかし、外国の状況を見ますと、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス等見ましても、これは一〇〇%を超える自給率を持っておるわけです。  そういう状況を考えたときに、今後の日本の農政は自給率を高めていくという基本に立った農政をしない限り、日本の農業の立て直しというのは困難ではないか、そう考えておるわけですが、ひとつお考えを聞きたいのです。
  453. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 先生のおっしゃるように、国民食糧の自給率を高めなければならないというお考えは私も全く賛成で同意見でございまして、国際的な経済環境その他、石油等厳しい折から、少なくとも食糧ぐらいは国内で自給できる体制を強化していかなければならないと思うわけであります。まさにこのたび生産調整をお願いする一つのゆえんも、米については一〇〇%以上自給しているわけでありますけれども、逆に飼料なり小麦等については、御案内のように自給率が非常に低い。ですから、一〇〇%以上の自給率を達成した米の生産調整をしていただいて、そのかわり自給率の極度に低い飼料農作物なり小麦、大豆等の生産に、せっかくの農家の御努力でございますし、せっかくの貴重な日本の農地でございますから、それが活用していただけるような、そういう方向に国としても政策の転換をしていかなければならない。その間のいろいろな摩擦や御苦労はわかりながら、そういうことであえて今回もお願いを申し上げておりますのも、一に日本国内で食糧自給を高めるための努力を政府ともども皆さんにお願いしよう、農家の方々にお願いしよう、こういうふうに御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  454. 本郷公威

    ○本郷委員 この減反政策は、過去の例を見ますと、前年度は一一二%、それから今年度は一二一%の達成率を見るという予測がされておりますが、政府のこうした減反政策に協力しておる農民の姿ですが、いわゆるペナルティー問題が先般の委員会で問題になって、今度の上乗せ分の十四万四千ヘクタールにはそれはかけないという方針が出されたことは知っておるわけですが、いまの各県あるいは市町村段階において、いわゆるペナルティー問題は余り問題になっていないわけです。減反政策に協力をしないと、農水関係の各種の補助金がたくさんあるのですけれども、この補助金をもらわせないぞ、補助金が削減されるぞ、こういういわゆるおどしが県段階、あるいは農民個人個人に対しては市町村段階においてかけられておるという事実があるわけですね。そうした農業保護の立場からの補助金をてこに使って減反政策を強行しておるということを、私はきょうは指摘をしておきたいのです。この問題については今後起こらないように、ひとつ政府としても十分なる指導をしてもらいたいと考えております。  それから、米の生産調整の中で進められている転作問題ですが、たとえば一般作物の野菜について見ますと、これは私の郷里大分県ですが、近所で転作としてずいぶんトマトを植えておるわけですが、農民が言うのには、大体三年に一度もうけがあればいいという考えです。というのは、でき過ぎたらこれは大変な暴落をするわけです。価格が下がって生産費を割る、そういう状況になるわけです。現在、いわゆる価格安定制度というのがありますが、生産費を割るという状況、そのように暴落した場合に、そうした転作指定野菜等の保証というのがないわけです。だから、私は、今後の転作指導をどのようにすべきかという問題を含めて、こうした転作作物の価格保証、これを考えていかないと、皆さん方が進めておりますこの減反政策に対しては、農民はいまでも不満を持っておるのですけれども、もうついていけない、こういう怒りが爆発するんじゃないかと思うのです。その点いかがですか。
  455. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 その前の質問にもちょっと戻りますけれども、まさにペナルティーにつきましては、これは政府が計画したのがある意味では見通しが甘かったのでお願いするわけでありますから、先生方の御意見もございましたし、ペナルティーなんかは科すべきではないと私思っておるわけでありますが、逆に、かわりに補助金で締めるぞ、こういうお話だったのでありますが、そういうことは私たち全く考えておりませんで、ただ、生産調整をしていただいて転作を進める場合も、従来どっちかといえば画一的にお願いしておったやつを、これからはもっと地域地域の特性に応じて地域特産に切りかえていただくようなお手伝いは、ひとつ県と市町村とも話し合いをしながら農林省として進めさせていただきたい、こういうことで、実は今年度もそうでありますけれども、さらに来年度予算等におきましては、地域農政の推進という形のいろいろな施策を考えて、いま大蔵省に予算を要求しているわけであります。まさにそういう形で国民の食糧ニーズにこたえる多様な生産体制を地域地域の特性に応じてやっていこうということでございますが、その中で、いま野菜、トマトの話がございまして、そういうことがあってはならないと思うわけでありますが、現実にそういうことが起こる可能性があるので、これにつきましては、またいろいろ私たちで考えさせていただいておりますし、また考えさせていただかなければならないと思っておりますが、細かいことにつきましては事務局から話させます。
  456. 本郷公威

    ○本郷委員 農林省の言うことは非常にいいんですよ。地域農政の推進とか、これは確かに地域の農民にとってはいまにも自分たちの生活が豊かになるという錯覚を起こすのですけれども一、現実は、先ほど言ったようにつくればつくるほど貧乏になる、そういう状況がいま農村に起こっておるということを私は申し上げておきます。  時間がもう大分ありませんので、米飯給食の問題について触れたいと思うのですが、米飯給食の導入という問題が政府の消費拡大対策の一つになっておることは御承知のとおりですが、米飯給食の導入が過剰米の処理対策、このようにとられておることに私は問題があると思うのです。米が六百万トンも余っておるからひとつそのはけ場を学校給食に持っていく、そういうような考えに立てば、かつてアメリカの過剰小麦のはけ場を学校給食に求めた政策と同罪ではないかと私は思うわけです。そうした問題がいま学校現場の中には起こっております。これは一つの例ですが、ある村の人たちが米飯の完全給食を教育委員会に要求したら、その教育長が、それは非常にいいことだが、余り米対策を学校現場の中に持ってくるとは何事かと言って対立をして、若干問題になったことがあったわけです。だから、私は、米飯給食の導入というのがそのような余り米を学校給食につぎ込んで解決をしていくという立場を捨てなくてはいけない。あくまでも、給食は学校教育活動の一環でありますから、そういう教育的な立場でこれを解決していく。現在米離れが日本の国民の間に起こっておるといいますが、これは三十年間米を食べない教育を学校でしてきたわけですね。パンは栄養がある、パンを食べれば非常に体位が向上するということを文部省が学校を指導したのですから。そういう中でパン給食はずっと広まっていったのです。これは過去の事実であります。ですから、そういう中で米離れの原因が起きたと私は考えておるわけです。そういう立場に立って、日本民族の主食は米である、やはり主食を確保せねばならないという観点から米飯給食の導入を考えねばこの問題は前進をしない。いま現場は混乱をしていますよ。現に五カ年計画が進んでいないじゃないですか。これはおたくの調査を見ますと、平均すれば大体週に一回ぐらいじゃないですかね。だから、とうてい五カ年計画の週二回ということは達成できないのじゃないか。私は、週二回じゃなくて完全米飯給食、これに向かってひとつ文部省もそれから農水省も努力をすべきではないかと思います。この五カ年計画が進んでいない理由、これは前もちょっと触れられましたが、後でお聞きをしたいと思います。  それからもう一点は、郷里の私の家の前に小学校があります。隣には農協があるのですね。そこには倉庫があります。米が保管をされております、その中の米はどういう米かというのはつぶさに調べておりませんが。ところが、学校給食に使う米は、大分市から約七十キロぐらい離れておるところでありますが、その大分市にあります学校給食会が大分食糧事務所の管轄の米を県下のすみずみの学校まで持っていくわけです。自分の親がつくった米を子供に食べさせる、それは、その村の農協にある米を村の学校で給食に提供する、こういう仕組みにすれば一遍に解決をするわけですよ。それをわざわざ高い運送費を使って運んでおるわけです。私は、そういうような問題についても、これは農水省だけではなくて、学校給食会の運営についてはこれは監督責任は文部省にあるわけですが、そういう面もひとつ考えてもらいたいと思うのです。その問題についての意見を聞きたいのです。
  457. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 実は先生、私も農水省政務次官になる前に文部政務次官をいたしまして、それで学校給食を何とか米でしていただきたいと努力をしておった一人でございますが、先生お話にございましたように、やはり学校給食というのは単におなかのすいた子供たちにおなかいっぱいになるように食糧を胃袋にぶち込んでいく、そういうことじゃなしに、やはり日本人としての性格づくり、教養づくり、そういうことも踏まえてやるべきじゃないか。こういうことで、たとえばスプーンなんかも先割れスプーンみたいなものを何とかなくして、もうちょっとちゃんと食事をするようにしようじゃないかというようなことも努力したわけでございますが、その中で、やはり日本でできるお米を子供たちがおいしく食べるということが非常に大事だということで学校給食をやつてきたのですが、なかなか進まない。一つは価格の問題がございますが、御案内のようにことしから、従来三五%値引きのものを、継続しておる場合には六割、新規の場合には一年間七割という形であえて安くさせていただいて、そして学校でどんどん使っていただく。ですから、今度は値段を思い切って安くしたわけでございますので、採算を考えても学校給食にお米を使っていただくスピードが早まるというふうに私は考えておるわけであります。  古い過剰米を食べさせてはけしからぬ、こういうお話でございますけれども、これは後で食糧庁長官から答弁してもらいますけれども、そういうことは少なくとも最近はないように指導しているつもりでございます。
  458. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 学校給食の考え方につきましては、米飯給食についてただいま次官がお答えしましたような方針でわれわれも取り組んでおります。そのために、本年度からは特にその払い下げ価格を大幅に引き下げまして、六〇%ないしは七〇%というような値引き率にしておるところでございます。  また、内容につきましても、いわゆる過剰米を食わせるというようなことはいたしておりませんで、すべて新米を供給するというようなことにいたしております。ただ米の配分につきましては、できるだけ地域のものを食べるという原則に立っておるはずでございますが、新米の輸送等の関係であるいは地域が交錯するようなことかと思いますけれども、考え方としてはできるだけ地域のものを食べさせるということはとっておるつもりでございます。
  459. 本郷公威

    ○本郷委員 それでは、各市町村段階において地域の農協が保管してある米を支給する、こういう方向で指導されておるというのが一つの方針ですか、確認をしておきたいのです。
  460. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 米の供給につきましては、全体の供給計画の一環でございますので、必ずしもその町村のものをそのまま食べるということにはなっておりませんけれども、できるだけ安い運送経費のものを供給するというたてまえになっておりますから、その意味では地域のものを供給するということにいたしております。
  461. 本郷公威

    ○本郷委員 地場米を供給するというのは農水省の方針じゃないのですか。
  462. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 いい品質の米をできるだけ供給すること、それから新米をできるだけ供給するということにいたしておりますので、時期的な関係等はございますけれども、できるだけ地元の米を供給するという考え方でやっております。
  463. 本郷公威

    ○本郷委員 文部省としては、この五カ年計画は余り進んでいないのですが、その問題点は一体どこにあるのかお聞きしたいのです。
  464. 坂元弘直

    ○坂元説明員 五カ年計画で各都道府県にお願いしておるわけですが、都道府県によっても差がございますし、同一都道府県内によっても進捗率についてはかなり差がございます。いま私どもが承知しております数字ですと、大体大都市を抱えておる都道府県の進捗率が悪い。東京二十三区、川崎、横浜、名古屋、京都、大阪、福岡等大都市を中心にした都道府県の進捗率が悪いのです。これは大都市で消費地であるということから、非常に恐縮な言葉でございますが、父兄からの強い御要望が少ない、農村地ほど多くはないということ。それからもう一つは、御案内のとおり大都市は校地が狭隘でありますので、自校炊飯をやるために炊飯設備を増設する、施設を拡張する校地に恵まれていない。したがって、そうなりますと、勢い委託炊飯で米飯給食を進めなければならない事情にあるわけです。私どもは委託炊飯でもいいからぜひ米飯給食を進めてもらいたいということで強くお願いをしておりますが、しかし、現実には調理従事員の関係者の方々が常勤職員をふやすことを前提に自校炊飯を主張いたしております。そんなような関係で調理員の関係者の方々の御理解と御協力がなかなか得られないというような事情が、大都市で米飯給食が進まない一番大きな理由であろうかと思っております。  私どもは、ことしの春以来、大都市の教育長を個別的に呼んでおりまして、米飯給食の推進方をお願いすると同時に、調理員関係者の方々とも機会あるごとにお会いいたしまして米飯給食について理解と御協力を求めております。その結果、最近では大都市でもかなり米飯給食の動きが出てまいりましたので、いままで私ども関係者にお願いした努力を今後とも強く進めていって、御理解と御協力をいただきたいというふうに考えております。
  465. 本郷公威

    ○本郷委員 時間が来たので、最後に一言要望しておきます。  米飯給食は、いまも話がありましたように、いろいろな現場の問題をはらみながら進められておるわけですが、ひとつ、米が日本人の食生活の中から見捨てられないためにもこの米飯給食の意義を十分に徹底をさして、予算面、いわゆる国の助成ですね、そういうものも強めながら、当初の目的が達成されるように要望して、私の質問を終わります。
  466. 内海英男

    内海委員長 次回は、明七日金曜日午前十時三十分理事会、午前十一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十一分散会