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1979-12-06 第90回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月六日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 藤田 高敏君    理事 天野 光晴君 理事 斉藤滋与史君   理事 高鳥  修君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 伊賀 定盛君 理事 米田 東吾君    理事 田中 昭二君 理事 神田  厚君       小里 貞利君    近藤 元次君       佐藤  隆君    高橋 辰夫君       中島  衛君    原田昇左右君       保岡 興治君    山崎武三郎君       斉藤 正男君    新盛 辰雄君       田口 一男君    吉原 米治君       渡辺 三郎君    武田 一夫君      平石磨作太郎君    薮仲 義彦君       山田 英介君    寺前  巖君       林  百郎君    横手 文雄君       渡辺  朗君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         国土政務次官  望月 邦夫君         農林水産大臣官         房審議官    塚田  実君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         大蔵省主税局税         制第一課長   内海  孚君         国税庁直税部所         得税課長    西内  彬君         文部省学術国際         局学術課長   七田 基弘君         厚生省公衆衛生         局結核成人病課         長       大池 真澄君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     城野 忠雄君         水産庁漁港部計         画課長     佐藤 稔夫君         資源エネルギー         庁公益事業部水         力課長     飯島  滋君         中小企業庁小規         模企業部参事官 山口  務君         運輸省港湾局計         画課長     藤野 慎吾君         運輸省航空局技         術部長     長澤  修君         海上保安庁警備         救難部救難課長 佐々木信義君         気象庁予報部業         務課長     浅田 暢彦君         気象庁観測部地         震課長     渡辺 偉夫君         建設省河川局開         発課長     堀  和夫君         建設省河川局海         岸課長     西原  巧君         建設省河川局防         災課長     川合 恒孝君         建設省河川局砂         防部砂防課長  釣谷 義範君         建設省道路局地         方道課長    山科 喜一君         自治大臣官房参         事官      吉田 弘正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(台風第十六号、第二十号  及び木曽御岳山噴火による災害対策並びに昭  和五十四年度総合防災訓練概要等)      ————◇—————
  2. 藤田高敏

    藤田委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、台風第十六号、第二十号及び木曽御岳山噴火による災害対策並びに昭和五十四年度総合防災訓練概要について、政府から説明を聴取いたします。国土庁柴田審議官
  3. 柴田啓次

    柴田説明員 台風第十六号、第二十号及び御岳山噴火による災害並びに昭和五十四年度総合防災訓練概要について御報告いたします。  台風十六号は、九月二十六日から十月一日にかけて日本列島を縦断し、このため、日本各地に暴風雨、豪雨などによる被害をもたらしました。  その被害状況は、死者、行方不明合わせまして十一名、負傷者百四名、建物の全半壊約四百五十棟、床上浸水五千五百棟となっており、施設関係等被害報告額は、公共土木施設関係農林水産業関係その他を合わせまして、約二千百億円となっております。  なお、この災害激甚災害として指定する政令を十一月十六日に公布いたしております。  次に、台風二十号は、十月十八日から二十日にかけまして、台風十六号とほぼ同じコースで日本列島を縦断し、台風十六号を上回る被害を生じました。  その被害状況は、現在までに判明しているところで、死者、行方不明合わせまして百十八名、負傷者五百七十四名、建物の全半壊約千二百棟、床上浸水約七千棟等となっておりまして、施設関係等被害報告額は、公共土木施設関係農林水産業関係その他を合わせ約三千億円となっております。  この災害につきまして、政府といたしまして、直ちに国土庁長官本部長とする非常災害対策本部設置いたしました。二回にわたりまして政府調査団派遣し、被害状況把握、緊急にとるべき対策検討等所要措置を講じてまいりましたが、諸般の応急対策が円滑に実施され、本部設置の目的を果たすことができましたので、同非常災害対策本部は十二月四日をもって廃止をいたしました。  なお、この災害激甚災害指定する政令につきましては、明日十二月七日に公布をいたすこととしております。  続きまして、御岳山噴火による被害及びその対策について御報告をいたします。  御岳山は、昭和五十四年十月二十八日、有史以来初めての噴火を始め、山頂付近に噴石、灰を堆積させ、北東方向降灰をもたらしましたが、幸いにしてその後黒煙はおさまり、水蒸気の噴出が次第に弱まりながら続いている状況でございます。  噴火による被害につきましては、降灰による野菜、牧草等に若干の被害を生じましたほか、王滝川の牧尾ダム白濁水が流入している状況でございます。  この噴火に対しましては、観測体制整備強化調査団派遣による現地調査を行い、道路除灰等応急対策を講じましたほか、牧尾ダムに流入している白濁水監視等を続けている状況でございます。  登山者危険防止のため、関係町村におきまして、当初山頂付近約五キロメートルの範囲を立ち入り規制いたしておりましたが、噴火状況並びに去る十一月十九日に開催されました火山噴火予知連絡会の見解にも基づきまして、立ち入り規制区域を三キロメートルの範囲に縮めまして、現在山ろくのスキー場の使用に支障のない状況になっております。  次に総合防災訓練についてでございます。  去る十一月十六日、大規模地震対策特別措置法に基づきますところの最初の総合防災訓練を、十八指定行政機関、七指定公共機関及び強化地域の六県百七十市町村並びにその住民合同訓練として、お手元配付実施計画に従いまして実施いたした次第でございます。  今回の訓練におきましては、国と地方公共団体及び住民が一体となって総合的かつ実践的に行うこととし、東海地震の発生が事前に予知され警戒宣言が発せられた、そういう場合を想定いたしまして、できる限り現実に近い形になるように配慮して行ったものでございます。  訓練の主な内容といたしましては、中央におきましては、判定会の招集及び開催訓練非常災害対策要員参集訓練警戒宣言地震予知情報伝達等、国と県市町村間の情報伝達訓練地震災害警戒本部設置及び運営の訓練、自衛隊の地震防災派遣訓練等でございまして、これらのほか、発災後の災害応急対策といたしまして、緊急物資調達訓練実施いたしました。  また、地方公共団体におきましては、国と連携をとりながら、静岡県を中心として、警戒宣言のサイレン、半鐘等による住民への伝達訓練津波危険地域住民避難訓練児童生徒待避訓練避難路及び緊急輸送路確保のための交通規制訓練等実施いたしました。  訓練参加人員につきましては、住民学校児童生徒事業所従業員等直接参加した者で百万人を超え、全体の参加人員は約百五十万人に達するという、かつてない幅広い範囲訓練とすることができました。  なお、地方公共団体及び民間事業所におきましては、現在地震防災強化計画及び地震防災応急計画策定途上である関係もございまして、訓練主体により参加の程度にばらつきを生じましたが、今回の実績につきましては、さらに反省を加えまして、それを踏まえまして、明年以降さらに広範かつ高度な内容訓練として実施してまいる所存でございます。  以上で報告を終わります。     —————————————
  4. 藤田高敏

    藤田委員長 これより質疑に入ります。  この際、申し上げます。  本日は国土庁長官出席時間が午後一時までと限られておりますので、理事会でお決めいただいたとおり、お約束の時間内に国土庁長官中心質疑をされるようお願いいたします。  なお、国土庁長官以外の政府に対する質疑は、本会議散会委員会を再開いたしますので、その際にお願いすることといたしたいと存じますので、御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  5. 原田昇左右

    原田委員 まず、地震対策についてお伺いします。  大規模地震対策特別措置法に基づきまして、地震対策強化地域指定され、さらに大規模防災訓練が行われるに至りまして、着々と地震対策について成果が上がっておるわけでございますが、しかしながら、地震対策事業というものを進める上におきまして、地震対策強化地域におきまして政令指定されておる施設がございますが、この政令以外でも、たとえば、学校病院福祉施設津波対策など非常に重要な地震対策事業があるわけでございますが、これが防災上きわめて重要だと思いますので、ぜひとも政令指定措置をとっていただかないと、強化計画にも定められないということになりまして、はなはだ地震対策片手落ちになると思うのです。  この点について、政令指定範囲を拡大し、学校病院福祉施設あるいは津波対策、こういったものを対象事業とする必要があると思いますが、大臣、いかが考えられるか、御答弁いただきたい。
  6. 園田清充

    園田国務大臣 お答えをいたします。  ただいまの御質疑は、地震対策緊急整備事業について、現在の状況ではなお不十分だ、たとえば学校だとかあるいは病院だとかいうようなものも指定強化財政援助対象にしろという御要望を兼ねての御質疑だと思いますが、先生御承知のとおり、まず私どもが当面とり得る措置で、緊急な問題として計画の中に取り上げておりますものは、避難地避難路消防施設強化というような問題を取り上げておるわけでございまして、御指摘がございました問題を含めて、将来ともに必要性があるのだということは私どもも認めているところでございます。  そこで、今後とも御指摘、御趣旨に沿いながら努力をしてまいる決意で、各省庁理解を得ながら協力を得てまいりたい、かように考えておりますので、御協力をお願い申し上げたいと思います。
  7. 原田昇左右

    原田委員 大臣、その範囲の拡大について措置をするという御答弁でございますので、ぜひともやっていただきたいと思うのです。ただ、これは余り時間がかかりますと、強化計画ができないということになりますので、早急にこれを指定をしていただく必要があると思います。  特に、私この点で申し上げたいのは、法律によりますと、大震法では、政令指定した範囲対象事業しか強化計画に定められないことになっておるというのは、この法律制定段階で実は私どもも少し検討不十分であったのですが、はなはだどうかと思いますので、この点もあわせて、政令対象になっておらなくとも、強化計画にのせるような指導をすることはできないかということについて質問したいと思います。
  8. 柴田啓次

    柴田説明員 お答えいたします。  確かに、先生指摘のとおり、政令指定している事業以外のものは強化計画事業にはならないわけでございます。ただ、強化計画と申しましても、これは地方公共団体の場合ですと、地域防災計画のいわば地震編というべきものでございまして、その地域防災計画の中で、特に政令指定をされた事業強化計画の中に書く、こういうことでございますが、それ以外の事業につきましても、地域防災計画の中の問題として書けるわけでございます。政令指定をされたならば、その中から強化計画の方に移っていく、こういうような感じに相なるわけでございます。それらのものをまた一覧をするような参考資料等も考えられるわけでございますが、そういう点で十分に御要請にこたえ得るのではないか、事業量等把握ができるのではないか、さように考えておるわけでございます。
  9. 原田昇左右

    原田委員 したがいまして、私は、強化計画として片手落ちにならないように、ぜひ対象範囲を早急に拡大してもらうということが必要だと思います。この点について、大臣、よろしゅうございますね。
  10. 園田清充

    園田国務大臣 御趣旨を踏まえながら、十分前向きで検討さしていただきたいと思います。
  11. 原田昇左右

    原田委員 そこで、その対象範囲が拡大されて、一応強化計画ができるといたしますと、この強化計画について、しからば財政上の負担の問題になるわけですが、強化地域関係都道府県からは、六県で事業費九千四百億かかるというような膨大な要求も出てきておるわけでございます。この資金量については、さらに検討の余地はあるかとも思いますけれども、こうしたものは、地方公共団体負担能力から見て、従来の負担率ではとうていやり得ないということになると思います。  そこで、わが自民党の地震対策特別委員会におきましても、これらの事業については住民の生命、財産を保護するために最低限必要な事業であって、その円滑な実施を確保するためには国はその責任において所要措置を講ずることが緊急に必要だということから、高率の国庫負担率を適用しろ、つまり国庫負担率のいままで二分の一とかいろいろなものがあっても、その負担率は原則として四分の三ということに特例を設けなさい、あるいは地方債の充当をしなさい、償還の特例をしなさい、あるいはそのほか個人、企業地震対策事業に対する低利融資等助成策を一括して、特例措置としての所要措置を講じなさいという決議をいたしておるわけでございます。  この点について、政府側誠心誠意これを今度の予算を通じておやりになる気持ちがあるかどうか、しかとひとつ伺っておきたいと思います。
  12. 園田清充

    園田国務大臣 ただいま御指摘がございました、強化地域内においていまの事業実施しようとすれば膨大な金が必要だということも御理解をいただいておるようでございますが、過般、静岡県の山本知事が、知事会の中でも特別部会設置せられまして、各党各派の御協力をいただいた姿の中で、われわれも検討してみたい、政府においても検討しろということでございますし、同時に、いま審議官が申し上げましたとおり、府県、市町村においてそれぞれの計画を現在策定を願っておるところでございますので、この策定と並行し、あわせて知事会等意向も参酌をしながら、私どもば私どもなりにひとつ検討さしていただきたい、こう考えております。
  13. 原田昇左右

    原田委員 この点については、私ども大変真剣に野党各党の方々とも話し合いながら、政府側で仮に特別措置についてお出しにならないということであれば、この災害対策特別委員会特例法をひとつ議決することを考えたいくらいに考えておるわけですが、ひとつこの点について、大蔵省おいででしょうがどうですか、いま検討中の問題について。まあ、特に私の方から要望したいのは、地震対策事業ということを明確に区分してもらいたいということと、負担率特例を設ける、そのほか所要措置を講ずるということになろうと思いますが、予算検討中の段階で恐縮でございますけれども、どういう感触でおられるか、一言御答弁いただきたい。
  14. 保田博

    保田説明員 お答えをいたします。  来年度の予算にかかわります概算要求は非常に膨大な御要求をいただいております。震災対策につきましても、地震予知関係経費とか、あるいは直接的な調査研究あるいはその他の防災対策経費、それから、先ほど来御質問もございましたような政令指定されておりまする避難地避難路あるいは消防施設等、非常にバラエティーに富んだ御要求であります。  それから、それらの要求をわれわれ現在鋭意査定作業を進めておるわけでございますが、これまた各省庁にわたっておりまして、またそれを受けるわれわれの大蔵省主計局の担当も各般にわたっておりまして、これは一概に、ここからここまでが震災対策経費であり、したがってその金額が幾らであるということを一義的に決めるのは、なかなかむずかしいというのが実情でございます。ただ、地震対策はとにかく人命にかかわることでございますから、苦しい財政の中ではあるが、極力重点を置いて予算を編成したいと思っております。  ただ、第二点でお話のございました補助率かさ上げ等につきましては、この地震対策だけではなくて、非常に多方面にわたって補助率かさ上げの御要求がございまして、われわれとしては、この苦しい財政、それから将来の見通しも非常に苦しい中でこれらの御要求にどう対処するか、大変苦慮しておる、こういう段階でございます。
  15. 原田昇左右

    原田委員 大臣にお聞きしたいのですが、いま大蔵省主計官答弁のように、財政上非常に苦しい、こういうときであることはわれわれも十分承知しておるわけです。しかしながら、これを放置しておくわけにはいかないわけでして、政令指定の追加をしていただき、地震防災対策事業というのを別枠にしていただいて、これを特例措置負担率かさ上げしていただくという作業は大変困難な問題だと思うのです。これはよほど国土庁長官政治力によりませんと実行不可能になってくるのではないかと思いますので、ひとつ国土庁長官の御決意をいただきたい。
  16. 園田清充

    園田国務大臣 さっきもお答えを申し上げましたとおり、私どもは私どもなりに問題を内部検討させていただきますが、問題は、政府与党の御意見というものも私どもまだ詳細に承っておりません。そこで、政府与党とも十分ひとつ御協議をさせていただいて、同時に、地震対策の問題でございますので、各党の御協力を得るならば、いま御質疑の中にございましたとおりの御期待に沿うような方向への努力はしてみたいということで、ただし、今日の段階では、さっき申し上げましたとおり政府与党の御意見も承っていないので、私から明確に申し上げることはこの際御遠慮したいと思います。
  17. 原田昇左右

    原田委員 大臣は御就任早々で、われわれが十分特訓をしなかったのは大変申しわけないと思うのですが、しかし、この点はすでに地震対策特別委員会でも決議がございますし、各党とも、非公式にお聞きしたところ、大賛成だ、大いにやろうじゃないかという御内意も承っておりますので、場合によれば、もう政府側がおやりにならなければ、大いにこの委員会で、ひとつ議員立法でもやりたい、こういうように考えておりますし、また、その点もぜひひとつ委員長中心に御相談申し上げたいと思っておりますので、ひとつその空気を大臣よく踏まえて、政府側で善処されるようにお願いする次第でございます。  それから、次に、地震対策法律によりますと、警戒宣言が出ることになりますが、その警戒宣言が生じた段階で、新幹線とか高速道路交通をストップするというように伺っております。原子力発電所についてはどういうことになっておるのかはっきり伺っておりませんが、もちろん安全ですから、そういうのに対しても耐震性があるようにできておると聞いておりますので、簡単にとめるということではないと思うのですが、国土庁長官はこの点についてどういうようにお考えになっておるのか。また、新幹線とか高速道路をとめた場合に、そのときそこにおる人の避難対策をどういうように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  18. 園田清充

    園田国務大臣 本部長として、実は、過般の訓練もいたしましたけれども原子力発電所の問題につきましては所管が通産省でございますので、その場合の措置その他については通産当局から御答弁を願いたいと思います。
  19. 柴田啓次

    柴田説明員 高速道路新幹線等交通対策の問題でございますが、地震防災基本計画におきまして、それらの交通対策について私どもも一番頭を悩ました点でございます。  高速道路につきましても新幹線につきましても、警戒宣言が出た段階でストップする、こういうことになっております。ストップした場合に、警戒宣言が出てから発災までの間に長時間かかった場合、また発災後さらに復旧までに長時間かかった場合、その間の滞留者の問題をどうするかということが一番の問題でございます。これを道路公団あるいは国鉄の責任市町村責任、これが非常な問題でございます。これらにつきましては双方ともいま強化計画をつくっている段階でございまして、その強化計画の中で相互に調整するということを考えております。
  20. 原田昇左右

    原田委員 この点について十分御検討おき願いたいと思います。  それから、大臣にお伺いしたいのですが、実は静岡県に由比の大地すべり地帯があります。ここは集中豪雨等の都度地すべりが起こりまして、東西交通、国道一号、新幹線あるいは東海道、こういったのがストップされるということで、ここの土をとって埋め立てをやりまして東名高速道路をつくったという経緯がありますが、いま建設省、農林省においてこの地すべり対策実施されております。しかし、私ども見るところ、これではまだ十分ではないということで、前のように国土庁中心になって、この土砂をとって、そして土砂の捨て場がありませんから、海岸を埋め立てするあるいは島をつくる、清水の港はどうせ狭くて困っておるのですから、そういうことも考えたらどうかという提案をぜひ私としてはしたいと考えておるのですが、国土庁において関係省庁を集めていただいて、この地すべり対策とあわせて、それを国土の新しい造成に使うというようなことを総合的に考えていただくように、国土庁においてぜひ御検討いただきたいと思います。
  21. 園田清充

    園田国務大臣 先生指摘のとおり、由比町の周辺の市町村も含めまして、由比地区地すべり排土利用調整連絡会議というものが、林野庁を中心として設置せられておるのでございますが、お話がございましたとおり、現在の捨て土をどうするかということで、公用地を優先的に選んで実施してまいっておりますが、実は過般山本知事国土庁に見えられまして、由比地区に一回来てほしいということでございますので、役所側を帯同して現地を私どもも見せていただきたい、そして地元知事の御意向等も十分伺いたいというふうな約束をいたしておりますので、近々一回見さしていただいた上で、御指摘のとおりの方法がいいのかどうかということを検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  22. 原田昇左右

    原田委員 時間でございますので終わります。ありがとうございました。
  23. 藤田高敏

  24. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 本日の災害対策特別委員会での質問者を見ますと、各党静岡県の委員が全員であります。事ほどさように、わが静岡県は、予想される東海大地震対策について関心が深いし、県政の課題であると同時に、国政がこれに取り組む姿勢に対し、厳しいものを持っているわけであります。  ちなみに、もし予想される大地震が発生した場合に大変な被害が予想されるわけでございまして、いかに対策をしようともどうにもならない被害がございます。それは家屋の倒壊とか、あるいは津波被害というものが物的に被害をもたらすということは天命であり、いかんともしようがございません。しかし、防災施設を完備充実することによって被害が大幅に軽減されるのは人的被害でございますし、特にまた火災による焼失家屋等の問題も、備えあれば憂え全くなしとは言いませんけれども、少ないわけであります。  たとえば、もし火災の発生等があった場合となかった場合を想像いたしますと、予知が完全に行われ、防災対策が十分できているとするならば、二十七万五千戸の家屋の焼失が免れるというように予想をされております。死者につきましても、最低見積もって一万九百人の死者が予想されるが、施設訓練の徹底によってこれもまた皆無にすることも不可能ではない。負傷者も、重傷が一万六千七百人、軽傷が九万八千三百人というように予想されるけれども、これまた同様でございます。  こういうことを考えていきますと、私は、予想される東海大地震に対して、防災施設の充実強化、そして防災訓練の反復徹底ということが緊急の課題であろうというように思うわけでございます。大規模地震法が制定されたゆえんもまたそこにあったわけでございますので、原田委員質問と重複をいたしますけれども、長官の決意のほどをもう一度伺いたいと思うわけであります。  お話にありましたように、政令指定事業は、消防施設整備、通信施設整備、避難地整備、避難路整備、緊急輸送路整備、緊急輸送用岸壁整備、緩衝緑地整備の項目であります。もちろんこれも必要でございまして、これに要するわが静岡県の費用は、合計いたしまして千九百七十五億かかります。これに対して国は八百九十九億、県、市町村並びに民間が合計して千七十六億、この政令指定事業につきましては、国と自治体、民間がほぼ半分程度の負担で済むことになっているわけであります。  ところが、政令指定事業でどうしてもやらなければならない緊急の仕事、お話にありました病院整備の事業福祉施設の整備の事業、これは耐震家屋にしなければならないということが重点であります。学校整備も同じであります。さらに津波対策事業、山崩れ等防止事業、緊急輸送用ヘリポートの整備事業、水道施設の整備、防災活動資材整備等があるわけでございまして、これを予算化してみますと二千九億というような数字になりますが、このうち国が四百二十五億、県が四百八十九億、市町村が千三十一億、民間あるいは団体が六十四億というようなことになりまして、この面に至りますと、国の負担がいまの状態ではまことに少なくなってしまうわけであります。今日、国の財政も逼迫をいたしておりますけれども、地方自治体の財政もまたきわめて重要な段階に立ち至っております。しかし、大地震の発生が予想される被害県といたしましては、他の都道府県や市町村、団体とは違った負担をしなければならないわけでございまして、どうしても地方自治体や民間では負担しおおせないものがあるわけであります。  こうした実態を踏まえて、私は、先ほど申し上げました政令指定事業に外れている病院整備から防災活動資材整備に至る、これらの項目につきましても政令指定をいただいて、国が積極的にめんどうを見るという態度がない限り、大規模地震法を制定はしましたけれども、仏つくって魂入れずという結果になることをおそれるわけであります。  先ほど、政府与党との連絡がまだうまくいっていないというようなお話がありましたけれども、連絡がうまくいっていないこと自体がおかしいのでありまして、そんなことは、連絡しようがしまいが、責任者である長官としては最も関心を持っていただかなければならないことであって、むしろ政府が積極的に関係知事会なりあるいは各党と協議をすべきだというように思うわけであります。  具体的な数字を申し上げましたので、十分御理解いただけると思うのでありますけれども、こうした現実を踏まえて、これらの政令から外れている事業についてどういう措置をとろうとお考えなのか、重複するようで恐縮でありますけれども、確固たる信念のほどを伺いたいと思うわけであります。
  25. 園田清充

    園田国務大臣 先ほどお答えをいたしましたけれども、聞いていないということではございません。党でいろいろ御検討をいただいておるということは承知をいたしておりますが、実は国土庁としては、でき得るならばこの際災害局を設置をして、災害対策の一元化を図りたい、こういうことを考えて対処をしてまいりましたが、残念ながら、いまは行政改革で非常にむずかしいということもございます。  それから、なおいろいろ検討してまいりますと、権力の集中化と申しますか、調整機能である国土庁の域を超える部面も出るのじゃないかというような面もございまして、実は私どもとしても、いろいろな面からして、一体どうしたならば御説のように最小限度にこの震災が起きた場合に被害を食いとめられるかということ、そのためにはやはり今日予知体制の万全を期していかなければならないのではないかということで、気象庁に対しまして機材その他の格段の整備、人員の整備というようなものについては、大蔵当局も御配慮を願いたいということを側面的に要請をしておる経緯もございます。  同時に、いまお話がございました防災活動の資材だとか、学校だとか、病院だとか、あるいは津波対策だとかという、広範にわたる財政措置をどうするかということになってまいりますと、私どもは私どもなりに、財政当局、関係省庁との協議、検討も重ねさせていただきますと同時に、願わくは、各党におきましても、さっき自民党の原田委員からもお話がございましたが、委員長提案なりの形で問題を集約されていただけるならば非常に幸いだという気もいたしておりますので、逆に私の方からお願いになるかと思いますけれども、ひとつ御検討を賜りたいと思います。
  26. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 もし政府がこれらに対する立法措置等ができないとかあるいはむずかしいという場合は、すでに超党派で議員立法もやろうじゃないかという話は進んでいるわけであります。したがって、先ほど原田委員からもお話がありましたけれども、当委員会において十分な審議も必要かと思います。思いますけれども、前段に申し上げましたように、具体的な数字を挙げても、やはり、指定事業以外の緊急課題について指定をいただくと同じ助成をいただかなければ、地方自治体ではどうにもならぬ問題だということはもう明白なのであります。  したがって、主管大臣として、より積極的に、なるほど行財政改革が叫ばれておりますし、いろいろ問題がありますけれども、事人命に関する問題であります。事財産に関する問題であります。事国土の荒廃に関する問題であります。大地震法の立法の趣旨からいきましても、やはりこの際、申し上げましたようなことにつきましては、国土庁として、各省庁にまたがる広範、複雑な内容になっておりましょうとも、これを統括して重点的に要求をいただかなければだめだと思うわけでございますので、ぜひひとつそういう点について決意を伺いたいと思うわけです。
  27. 園田清充

    園田国務大臣 御趣旨のほどは、私も痛いほどよくわかります。  そこで、主管省庁である国土庁としては、各省庁とも連絡をしながら、数字でもお示しをいただきましたが、御趣旨に沿うような、皆様方が御検討を賜ります点について、それぞれもろもろの省庁の持つ意見というものを集約的に出しながら、政府提案でいった方がいいのか、議員立法でおやりいただいた方がいいのか、この点ひとつ委員長、皆様方とも御協議をしながら進めさせていただきたいと思います。
  28. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 去る十一月十六日、大がかりな防災訓練実施をされました。その成果と反省点につきましては午後の段階でお尋ねをいたしたいと思っておりますが、先ほど原田委員からもお尋ねがありましたけれども、ようやく新幹線なりあるいは高速自動車道路なりの問題は私は解決のめどは立ったというように思っております。しかし、問題はやはり浜岡の原子力発電所であります。  つい最近、中部電力側は静岡県に対し、大地震発生の予知が行われた場合原子炉をとめてもよろしいという意味の連絡があったやに聞いております。ただしその際、もし予報が外れた場合あるいは最悪の事態で地震が来た場合、耐震構造の上から言って浜岡原子力発電所は大丈夫だが、原子炉をとめた場合に県内を中心としての電力供給に大きな影響がある、その損害賠償をどうしてくれるか、とまでは言っておりませんけれども、そういうような懸念をほのめかしているわけであります。  簡単に原子炉をとめると言いますけれども、これはかなりむずかしい操作があることは当然でありますけれども、中部電力側がとめてもいい、とめる方向に行っていますというような発言をされている段階ですから、通産省の所管ですからその筋に答えてもらいますなんという長官の答弁はおかしいのであって、あなたはこの間の防災訓練だって統括責任者です。もし大地震が発生すれば、あなたは第一線で指揮をしなければならないわけです。先ほど権力の集中など考えものだと言わぬばかりの発言がされましたけれども、事この大地震対策とか防災とかということになりますれば、権力を集中して命令系統を明らかにし、厳重な指揮、統率のもとにやらなければできるわけはないのですよ。会社側がそういう発言をしているのに、あなたはまだ知らないということもおかしいと思うし、私はやはり、とめる必要があるというならば当然とめるべきだというように思うわけです。検討をいただくのはいいですけれども、会社側までそう言っているのですから、この点は県民は重大な関心を持っている。地元ではただ一つ残された懸念なんですよ。もう新幹線もとめる、滞留の人たちをどうするか、炊き出しをするのか、収容所をどうするのかというようなことで、もう具体的な検討に入っているわけだ。高速自動車道路もランプを閉鎖して一斉に通行車をとめるわけです。あるいは避難させるわけです。ただ一つ残っているのがこの浜岡の原子力発電所なんですよ。見解、いかがですか。
  29. 園田清充

    園田国務大臣 さっき御答弁を申し上げましたが、私どもが予知警戒宣言を発した場合には原子炉は停止をするという想定のもとで、前回の訓練も行いました。  いまここにいただきました資料によると、県側に対して中部電力側からいろいろお話があっているようでございますが、諸般の条件等の問題が中部電力側から出ておるということでございますけれども先生指摘のとおり、私の決意から申し上げるならば、こうした重大な非常災害の場合には電力の供給が一時的に停止をしてもやむを得ない、だから、当然停止をするという措置を私どもはとるべきだというふうに考えておりますし、同時に、通産当局にも、これがあたりまえの措置だということで中部電力に対しては強力な行政指導をさせたいと思います。
  30. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 時間が来たので終わりますけれども、電力事情が緊迫するとか困難になるとか言いますが、今日揚水式大規模発電所が各所にできておりますし、サイクルチェンジ等も完成しているので、そんな心配は要らないのですよ。これは中部電力の商売根性で出ているにすぎないので、そんなことは電力業界の常識として全く心配ない。ぜひその基本線で貫いていただきたいということを要望して、終わります。
  31. 藤田高敏

    藤田委員長 新盛辰雄君。
  32. 新盛辰雄

    ○新盛委員 鹿児島県の桜島南岳が、この秋口ごろから再び活発な活動を続けております。もうすでに、ことしまだ一年にならないのでありますが、百回を超える爆発を続けておりますし、最近では、火山の噴出物の中に熱雲と称される、いわば火山ガスでありますが、こうした現象が出ております。京都大学の火山観測所あたりでも、そういう実態について把握をしておられるわけであります。  この火山噴出物というのは、約一千度前後の熱雲を伴って、山の上からふもとの方に向かって、風向きによっては大変な下降力をもって襲ってくる。これによる農作物の被害はまことに甚大なものでありますし、またマグマが高熱を発して火山ガスとなっておりてくるということで、最近では、一七八三年に例の浅間山で、千四百人の犠牲者がこの熱雲に巻き込まれて死んだという記録もあります。  これらの状況から見まして、いま非常に活動が激しくなっている、そういう中で、桜島火山の降灰対策については、さきに成立を見ました活動火山対策特別措置法によって救済すべき宅地の降灰の除去、あるいは側溝、公共の下水道の降灰の除去事業など、あるいは小中学校の教育施設、あるいは保育園、社会福祉施設などの窓枠の改修や、空調設備の強化などを図って、国庫補助事業としてずいぶんと進展をしてきているわけであります。しかし、農林漁業対策事業防災営農の施設等、こういう関係における一連のいわゆる救済助成措置、あるいは土壌等の矯正事業にかかわる、この降灰に対して強い作物の導入というようなことの問題、あるいは商工業者に対する免税などなどの問題で、従来からも取り組んでいただいてきておりますが、現実の問題として、この火山法によってどうしても救済できないような諸問題があります。そういうことに対して、大臣も、今度新しくここに出ておられるわけでありますから、この際、認識として、五十五年度の予算編成期に入っておりまして、いまその折衝の段階でありますから、財政逼迫の中で、こういう防災対策について、いわゆる火山の活動に対する対処の仕方など十分に考えていただかなければならないわけでありますが、この点について大臣のお考えをお聞きしたい。  第二の問題は、今日のこの火山ガスなどの発生等を思うにつけまして、最近では御岳のああいう史上まさに空前の爆発、そしてまた阿蘇や桜島や、かつては有珠の方でもそうでありますが、日本列島のこの火山地帯、そしてこれによって発生する連動的なメカニズムといいますか、こういう火山観測に対する体制強化というものが必要になってくると思うのです。  桜島の例をとって恐縮ですけれども、いまの火山観測の体制というのは、京都大学を中心にやっておられるわけでありますが、三点を五点にしてほしいという要求は前からも出ております。予算上どの程度に配置すればいいかとかという問題ではなくて、現在の観測体制で、いまいる人の問題あるいはまた現在の桜島における降灰状況について、これはどういう観測で、実態はこうなっている、そしてこれからこういうふうに、この桜島の将来は爆発をする、小規模であろうが大規模であろうが、人命、財産に未曽有の損害を与えるようなことになりかねない、そういうことに対する把握、そうしたことも観測体制の一つとして当然政府も考えなきゃならないことでありますが、先ほども議論がありましたが、地震予知の場合における体制強化もそうでございますけれども、そうしたことに対して、大臣としてぜひひとつ御所見をいただきたいと思います。
  33. 園田清充

    園田国務大臣 御指摘のとおり、先生も鹿児島の御出身、私も隣の阿蘇を持っている熊本の出身でございます。それだけに非常に御腐心をいただいております。  まず、いまの活火山の予知の状況から申し上げますと、予知体制というものが、常時監視ができているのが六十七の活火山の中で十七カ所、そして移動観測班というのが二つございます。こうしたことで、必ずしも、お話がございましたとおり、じゃ御岳山あたりはどうしていたんだとか、これは長年間の活火山ではないということが言われていたにかかわらず、ああいう事象が出てまいりますということで、実は火山活動の監視体制というものを強化をしてまいらなければならない、こう考えて対処してまいっておりますが、桜島のミカン等が、ただ降灰でなくしてガスによってやられたというものも、私も見さしていただいておりますし、ただ単に従来の考え方で問題に対処できないということで、問題の一つでございますけれども、農林当局にも、農業共済的な制度だけでは地域住民というものは救われないのではないかということで、この際掘り下げて、もう少し手厚い綿密な対策を講ずべきではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。  なお、その他補足すべき点につきましては、気象庁も参っておりますし、審議官も参っておりますので、補足的に答弁させたいと思います。
  34. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 ただいまの大臣の後の、いわゆる火山ガスの問題と観測体制の問題について、若干補足させていただきます。  火山ガスの問題は、発生源は火口に限られてございます。それから発生をしまして山をおりてくるわけでございますが、現在火山ガスによる災害を受けておりますところの状態は、これは気象状態に非常に左右されてございます。たとえば風が非常に弱いところ、それから風向きが余り変動してない、それに雨が若干降っているというときに起こるわけでございます。火山ガスは、発生するときは百度から数百度になってございますが、発生をしまして山ろくにおりてきますときには、もうすでに温度はかなり低くなってございます。問題になっております火山ガスのうちで、硫化水素とかあるいは炭酸ガスというのは、これは非常に軽いものですから、空気中に飛び散ってしまいますが、亜硫酸ガスだけは重いものですから、水と一緒になりまして硫酸になる。そういうことで発生するもので、これは気象条件の非常に変わったといいますか、非常にレアケースといいますか、そういう特殊な条件で起こると私たちは考えておるわけでございます。  それから、私は気象庁の者でございますが、この桜島の観測については京都大学の観測所もございますが、先ほど先生が三点とおっしゃいましたのは私たち気象庁の観測点でございます。これは、この島内に三点観測点を置きまして、それを、それから数十キロメートル離れております鹿児島地方気象台で隔測をしまして、そこでデータをとりまして、その中でいろいろ計算する装置がございます、そこでいろいろなデータの処理を行っておるわけであります。これは今後火山噴火予知という問題と大きな関係がございますので、さらにその観測施設の整備の強化を図っているわけでございます。  なお、火山噴火予知につきましては、気象庁が現在事務局になっております火山噴火予知連絡会の中で検討され、必要に応じてその中で統一見解あるいは噴火に対する見解を述べることにしております。桜島については本年の二月にそれを行っておりますし、その見解は、現在も同じような考え方に立って火山活動の推移を見守っておる状態でございます。  以上でございます。
  35. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いまそういう体制のもとで、降灰量ですね、指定地域内に広範に降っているわけでありますが、その観測などもできているんですか。もう百回もの爆発をしているのですが、現実に降灰量が幾らになっているとか、あるいは一ヘクタール当たりにどれくらい降っているんだということが、農作物との関連もあるんで、そういうのが把握できないのでしょう。現実に二、三カ月たたなければ答えが出てこないという体制でいいのかどうかということです。
  36. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃいましたのは降灰の観測でございます。これは鹿児島気象台で、一応降灰の基準的な観測はしております。それから各県、それから、私たちのところでございませんが、建設省等でもって数十点の降灰の観測をしていると私は聞いております。その標準的な値として、鹿児島地方気象台でその観測を把握し、それから全体の調整を行っておると伺っております。  以上でございます。
  37. 新盛辰雄

    ○新盛委員 時間が、大臣がいらっしゃる時間だけで、大臣の方を主にして質問しますが、いまの問題はまた後の、午後の部分で深く究明していきたいと思います。  先ほどお答えなかったのですが、五十五年度の予算編成期に入っておるわけですし、防災予算、特に桜島火山対策を初めとして、各地域の日本列島内における火山の予知のいろいろな作業が起こるわけでありますから、そういう面の予算措置について基本的にどうお考えになっておられるか。  それと、降灰の除去事業。今度の御岳の場合でもそうだったのでしょうけれども、農作物に、あるいは市街地域まで含めて、大変除去作業というのが起こってくるわけであります。道路降灰除去あるいは公共下水道などの降灰除去とか、あるいは市街地、宅地などを含めましての除去のあり方について、補助率を一律に三分の二程度にしたらどうか。現行法上きわめて厳しい状況でありますけれども、いまの段階では、これはもうとてもじゃないが地方財政は逼迫を受ける。だから、この点のお考えをひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。大臣、いいですか。  それと、大蔵、国税庁来ているようでございますから、午前中だけで午後は何か御用事があるらしいのでお聞きしますが、例の商工業対策の中で、これは前回の国会の場合でも私の方から申し上げていることなんですが、指定地域内にある商工業者の事業用資産に関する減価償却について、これを、耐用年数の関係においては当然傷みも早いわけですし、その年数を早めてもらえまいか。あるいは租税特別措置法上の特別措置をこの火山法の中で制度化する気はないかどうかということなんであります。そして、アーケード街等の降灰除去事業費についても助成措置ができないか。従来までは、申告の際に、いわゆる青色申告でもそうでありますが、降灰除去の費用を必要経費で落とすという形で出せばよい、こういう指導がされているのですけれども、なかなかそういうふうには現実の問題としてむずかしいわけでありまして、この範囲の決め方あるいは降灰状況、そういう把握がなかなかむずかしいとは思いますが、この点について御検討いただくことになっていました。そういうことについては、いまどういうところまでこの御検討の進みぐあいがあるかをお知らせいただきたいと思います。
  38. 園田清充

    園田国務大臣 お答えをいたします。  まず、全国的に予知体制の問題についてどれだけの予算要求しておるかということでございますが、実は過般の静岡県を中心とする訓練の一つの反省として出てまいりましたことは、やはり何はともあれ予知体制というものの整備が先行しなければならないという考え方から、私どもの方で、特に気象庁の予算について大蔵省は格段の配意をしてほしいということを、これは私から直接に大臣に要請をしてございます。  それから、降灰防除の問題でございますけれども、これは防除をすること自体、先生御承知のとおり風の向きによって変わってまいるので、非常にむずかしい面がございますが、そこで一時期、農産物の降灰防除というようなことで、風の向きに合わせて市町村に若干の財政援助をして、上だけでも覆うような形のものがとれないかというようなことも突っ込んで検討いたしてみました。ところが、東北に風が吹いておると東北に行き、今度は南にということで、移動範囲とそして今日のような量からいたしますと、ビニール等でただ単に覆ったようなことでは、設備的に非常に無理があるような面も出てまいっておりますので、この点については、なおわれわれとしてもひとつ突っ込んだ検討をさせていただきたいと思います。  いまの助成措置の問題その他についてどこまで進んでいるかという問題、同時に、中小企業に対する控除の問題あるいは制度融資に対する延べ払いの問題という問題については、審議官が参っておりますので、審議官の方からお答えさせたいと思います。
  39. 内海孚

    ○内海説明員 ただいま新盛委員からの御質問で、税制上中小企業、商工業者等の耐用年数について特別な措置がとれないかという御質問でございます。  先ほども国土庁長官からお話がありましたように、灰の降る地域にいたしましても、そのときによってかなり状況が違うわけでして、一般的に、自然現象とか自然の状況というものが機械とか家屋とかそういったものの耐用年数に及ぼす影響というのは、なかなか一律的に決めがたいものでございまして、やはり税は公平にやらなければいけないものですから、そういった被害状況というか、耐用年数が具体的にどういう状況によってどのように短縮するかという認定を経まして、御要望に応じていくしか実は道がないわけでございます。そのような意味におきまして、現在、国税局長の認定を経まして、実際に被害があって法定の耐用年数が使えないというようなものにつきましては、認定を経まして、実情に合わせて御要望におこたえするという制度がございますので、私どもなお執行当局にもお話趣旨を伝えまして、一層この制度の円滑な活用によって、御要望の趣旨におこたえできるように検討してまいりたいと思います。
  40. 新盛辰雄

    ○新盛委員 一律三分の二はどうですか。
  41. 西内彬

    ○西内説明員 桜島の降灰の処理のために生じました費用の取り扱いにつきましては、地元の熊本国税局や関係税務署におきまして事情の聴取をいたしますとともに、各種の広報に努めたり、それから説明会を開催しておるところでございます。  今後とも関係署に一層徹底させるように、地元局長に指示をすることといたしたいと考えております。
  42. 藤田高敏

    藤田委員長 薮仲義彦君。
  43. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は大臣に、ダム災害台風災害、大地震防災訓練等についてお伺いしょうと思ったのですが、大臣が時間がないそうですので、私も静岡でございますので、地震の問題を中心にきょうは質問させていただきたいと思うのです。  その前に大臣に、きょうの委員会でも報告ございましたけれども、二十号台風被害報告がいまなされました。公明党の災害部会として、大臣就任早々の十一月十三日に、台風被害が全国的に非常に大きな規模でしたので、これに対する国土庁の真剣な取り組みをお願いしたところでございます。  特に大臣にここで御認識いただきたいのは、静岡は、このように地震の危険にはさらされる、しかもその上に、先ほど来同僚委員の方が指摘しますように、この政令指定事業に除外されている津波対策があるわけです。  今度の台風被害の中で特にひどかったのは、静岡県の海岸線は決定的な被害を受けたわけです。特に大臣御承知のように、建設省直轄の海岸は十一カ所ございます。その中でも、静岡県はその直轄区域が非常に多いわけであります。富士海岸、蒲原海岸、駿河海岸等はみんな直轄海岸です。衆議院は今国会は非常に異常な事態でしたので残念でしたけれども、参議院の災特の先生方は二十号台風の視察にもお見えになりまして、その被害が余りにもひどいので委員会でも取り上げることになったと思うのです。事ほどさように、現在静岡は海岸の浸食が非常に急速に進んでおります。  先日も大臣指摘しましたように、駿河海岸あるいは富士海岸等を含めまして、駿河海岸などは年々十メーターずつ海岸線が後退してまいります。地域の住民の方はこのままで大丈夫かという不安に駆られておりますので、地震の問題に入る前に、国土庁長官として、海岸線の確保、国土保全という立場から、この災害に万全の対策を講じてくださるように、その御決意を最初に伺っておきたいのでございます。
  44. 園田清充

    園田国務大臣 お答えをいたします。  先生から御指摘がございましたとおり、国土庁にわざわざおいでいただいて、静岡県の海岸線の実情についてつぶさにお聞かせいただいたことを私も承知をいたしております。  そこで、実は、海岸線は建設省、農林省それぞれ関係省の所管がございますけれども、従来のような原形復旧にとどめずして、改良復旧を含めて今回の査定はしてほしいということを、関係省庁に対して厳しく申し入れをいたしました。そこで関係省庁とも、従来とは変わった姿の中で、今回の二十号台風に対する災害の査定は進めておるというふうに私どもの方は報告を受けておりますし、理解をいたしておるわけでございます。御指摘の地域につきましても、実情を見て、二度と災害に遭わないような、原形にとどめずして、改良的な復旧の査定が当然進められておるものだと承知をいたしております。
  45. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは直轄海岸、国土庁所管が主でございますので、建設省の海岸課長が来ていらっしゃると思うのですが、いま大臣の御決意にもありましたように、静岡としては直轄海岸の工事は非常に急要なものでございます。いまの汀線から下げないで被害を食いとめていただけるのかどうか、その辺の御決意を一言お伺いしたいのです。
  46. 西原巧

    ○西原説明員 ただいま御質問のございました西駿河湾、蒲原海岸あるいは富士海岸その他直轄海岸につきましては、非常に深い海が近くに来ておりまして、大きな波が参るわけでございます。これを面接受けている堤防でございますので、全国から見ましても非常に大きい規模の堤防をつくってございます。  しかしながら、この二十号台風等によりまして大被害を受けたのは私ども非常に残念に存じている次第でございますが、私ども一歩も退かない、国土保全の第一線が海岸であるというふうに理解しておりますので、いま先生から御指摘がございましたように海岸線を守るということで仕事をしてまいりたい、このように計画し、いろいろ調査等を進めているところでございます。
  47. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかその決意で、住民の不安を解消していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは大臣に、地震の問題を中心にお伺いをしたいと思います。  先ほど大臣は、与党の御説明も詳しくは聴取しておらない——私は災害でずっと地震の問題をやっているわけでございますが、きょうはこの間の防災訓練、私も大臣と知事が宇宙中継といいますか、話し合っているのも現場で見ておりまして、あの防災訓練参加した一人でございますが、先ほどと違って今度は具体的な問題で、こういうことからしてわれわれはこれは指定事業にしてほしいのだ、そういう立場から御理解をいただいていこうと思うのでございます。  ちょっとその前に一つだけ伺っておきたいのは、先般の防災訓練は、県から市町村への高速度ファックスによる情報の伝達というのが主になされたわけで、非常に限られた地域での防災訓練でした。  そこで指摘されなければならないというか、われわれが一番危険視しておりますのは、高速道路上の車は一体どうなんだろうか、新幹線に乗っている乗客の方はどうなんだろうか、あるいはコンビナートはどうなんだろうか、ガスは大丈夫だろうか、こういう具体的な問題であります。特に先ほど来指摘されました原子力発電所はどうだろうか。そうなりますと、いまの国土庁計画でいきますと、二月までには民間を含めましたそういう応急計画が大体上がってきますよ、こういうことになるわけです。やはりこのような限られた訓練ではなくして、ある日を決めて、国全体として、国鉄もあるいは高速道路もコンビナートも、いろいろな危険個所を含めた防災訓練も一度はする日がなければならないのではないか、こう思いますけれども、長官としてはその辺はいかようにお考えでございますか。
  48. 園田清充

    園田国務大臣 先生指摘のとおり、防災訓練というものは、現実に災害等があった場合にどう避難をしどう避難地にたどり着くかというような問題、同時に交通、通信、なかんずく新幹線の問題あるいはバスの問題を含めて、私どもはあの訓練を通じて幾多の反省、教訓を得たわけでございます。  そこで、過般第一回の会議はいたしました。またそれぞれ他の省庁から、この反省の中から私どもの方に新たな報告をされることになっておるわけでございます。  いまおっしゃったように、日本自体が地震列島と申し上げてもよろしかろうと思います、震災列島と申し上げてもよろしかろうかと思います。それだけに、これから先やはり規模を拡大して、全国的な視野の中でいま御指摘をいただいたような防災の日というようなものを定めて、全国民が参加できて、非常の場合に最小限度の被害にとどめられるような訓練が必要であり、私どももその方向での努力をしてまいりたい、こう考えております。
  49. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは時間の関係指摘だけにとどめておきます。  大臣御承知のように、今度の訓練は、異常発見から始まりまして、長官から判定会長、そして招集という事態になって各県へ流れていくわけでございます。そこで私が今後検討いただきたい点は、判定会長が判定会の招集を連絡する、その時点で判定会を招集されるわけでございますが、そこでマスコミに判定会の招集をいたしましたよ、こう流されるわけです。マスコミはそれを三十分間だけとめておりまして、三十分たったら解禁して公表します、流しますよ、こうなっているわけです。ここに三十分しか時間がないわけです。ところが、実際は判定会が招集されるまでに約三十分、判定の結果が出る時間等入れますと、そこで約一時間半から二時間は見なければならない。判定会招集と同時に県の方へは流れていきます。ところが各地方自治体が一番困ったのは、防災対策本部を設置するために必要な職員を招集するのに一時間以上の時間を要する。そうなってまいりますと、マスコミの報道の方が早いことが懸念されるわけです。必要な要員に連絡をしたくても電話回線が混乱するあるいは輸送機関が混乱する、必要な要員が、防災体制が整わないうちに世間が騒然となったのでは、何ら対応できなくなってくるということが非常に大きな課題としてそこで指摘されました。  これからのあり方として、マスコミの公表と各地方自治体の必要な防災要員の招集との関係をどうするか、きょうここで結論をと言っても無理だと思いますので、これはこの間の防災訓練の中で指摘された大事な課題だととどめおかれて、どうか検討をいただきたいと思います。  時間の関係で次に入りたいのですが、政令指定から除外された問題で、私は二つ取り上げたいのです。一つは津波対策、一つは学校施設の問題でございますが、なぜ私が津波対策を取り上げるかといいますと、警戒宣言が発令されたら逃げなさい、これが国土庁の基本的な考えにあるものですから、積極的にこの指定事業の中に入れなかったということが報告されておるわけでございます。  そこで、私は大臣に御理解いただくためにちょっと申し上げますが、これは国土庁審議官で結構です。国土庁は、大規模地震による津波の高さをどの程度と想定なさったか。安政大地震等を例にするならば、大体五メーターから六メーター程度ということだと思うのですが、審議官いかがですか。
  50. 柴田啓次

    柴田説明員 二メーターないし三メーターというふうに承知しております。
  51. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、建設省お見えでございますね。建設省が高潮対策で防潮堤を検討なさっているのは、波高何メーターぐらいですか。時間がないですから、高さだけで結構です。
  52. 西原巧

    ○西原説明員 五メーターないし六メーターでございます。
  53. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま審議官のおっしゃったことは、後で冷静に考えていただくとちょっと違うかもしれませんが、大臣、事ほどさように、安政大地震等でも五メーターから六メーターの波の高さを想定しているわけです。それでこの被害想定、津波想定はつくっているわけです。いま建設省がおっしゃったように、建設省が現在持っている高潮防潮堤でも、五メーターから六メーターの波には耐えてみせるとおっしゃっているのです。  私は現実にあの日、長官が知事と話した焼津のあの学校にいたのです。みんながひもに手をつないで避難するのをその場でずっと見ていました。交通規制も見ていました。そのとき私がしみじみ思ったのは、少なくともこの方々が安全に逃げられるためには、いまの建設省の技術でここにりっぱな津波対策の防潮堤ができれば、被害は最小限に食いとめられる。また、それによって五メーター、六メーターの波のエネルギーを防ぐことができれば、どれほど住居、住民、生命、財産を守れるか。この意味で、津波対策政令指定しなかったことについて非常に大きな問題がある。そこから逃げなければならない、あるいはそこで被害を受けなければならない住民にとっては、政令指定されないことは、単なるデスクワークとは違って非常に大きな問題なのです。ですから、私はこの津波対策はどうしても政令指定に入れていただきたいと思うのですが、大臣決意はいかがでございましょう。
  54. 園田清充

    園田国務大臣 いま、私ども審議官並びに建設省との意見の食い違いがございましたが、従来の経験等から五メーターないし六メーターというものが出ておると思いますので、これを踏まえまして、私どもとしても検討させていただきたいと思います。
  55. 薮仲義彦

    薮仲委員 次に、なぜ私が学校政令指定しなさいと言うか、具体的に申し上げます。  あのとき、お母様方が学校側と打ち合わせをして、学校に子供さんを迎えに来るわけです。そこで名前を確認して、四、五人の子供さんをお母さんが連れて帰るということをやった学校と、学校先生が数人の子供をその町内まで連れていって御家庭に帰した、この二つのケースを訓練したのです。そのことは時間がありませんから申し上げませんが、私がなぜ申し上げたいかというと、あのときは、訓練ですら来れないお母さんがいらっしゃったのです。校長さんも話していました。きょうお迎えに来ないお母さんの問題はどうしましょうかと。ここに問題があるのです。あの緊急事態でお母さんがどこかへ行っていらっしゃって迎えに来れなければ、残ったお子さんは学校で保護しなければならない。そこで、学校教育の立場からいって、子供が学校にいれば安全だという安心感は、父兄にとって必要な概念だと思うのです。ですから、学校にいれば大丈夫だよというところまでの一つの考えを教育者として与えるためには、少なくとも学校政令指定されて、安全な校舎であってほしい。老朽校舎ですぐつぶれるような学校であっては困る、安全であってほしいというのが一つ。  それから、これはもう少し具体的に申し上げたいのですが、国土庁、特に審議官あたりはもう少し勉強してもらいたいのです。静岡の場合について、数少なく静岡、清水、焼津と三市だけ挙げますと、第一次避難場所、第一次にそこへ逃げなさいという避難場所を指定しているのが、たとえば静岡市は百五十カ所ございますけれども、その中で小中学校が七十五カ所、清水市は三十カ所あります第一次避難場所のうち小中学校が二十一カ所、焼津市は二十一カ所の第一次避難場所のうち小中学校が十八です。ほとんどが小中学校に逃げなさいというのです。そこを政令指定しないで勝手にやれということはよくないと思うのです。  きょうは時間がないから指摘するだけにとどめておきますけれども大臣、このように、国土庁計画をつくりなさいという強化計画の中では、学校が全部避難場所になっているのです。それを国が知らないよということはないでしょうけれども、第一次避難場所であり、本当にかわいい、こんな小さな子供さんの生命を守るためにも、老朽校舎はやめて地震に強い学校にすべきだ、こういう決意に私は長官として立っていただきたいのです。  きょうは文部省の方もいらっしゃっているので、文部省はそれに対してどう考えていらっしゃるか、大臣の御答弁の後それを聞いて、質問を終わりたいと思います。
  56. 園田清充

    園田国務大臣 御指摘がございましたように、私どもの内部検討の場合にも、親が学校に迎えに来れない家庭をどうするかという問題までは検討をいたしました。  ただ、先生指摘のとおり、もし避難した場所に全部がとどまって学校から帰れないというときに、学校が安全であるということの保障的な体制は、これは私ども真剣に考えて取り組んでいかなければならない。ただ従来のような老朽校舎を改築するのではなくして、防災的な意味と同時に、学童の安全というものも含めた施設的な方向での検討を、私どもも文部当局に申し入れをし、かつ善処を願うように努力をしてまいりたいと思います。
  57. 薮仲義彦

    薮仲委員 文部省の答弁は午後聞くことにして、時間ですから、これで終わります。
  58. 藤田高敏

    藤田委員長 それでは、文部省の関係は午後答弁してください。  次に、林百郎君。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 御岳山噴火の問題で、財政的な不時の支出が県並びに関係村から出ておりますけれども、長野県関係は三村ですが、これに対して国としてはどういう対策を講じておるわけですか、あるいは講じようとするつもりですか。
  60. 吉田弘正

    ○吉田説明員 御岳山噴火によります長野県及び地元市町村財政需要等につきましては、その実態について、現在長野県を通じてお話を伺っている段階でございますが、これらの実態を把握の上、必要に応じまして、特別交付税なり地方債によって措置いたしたいというふうに考えております。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 各関係自治体から、不時の支出に対してはぜひ特別交付税によって見てもらいたいという要望が非常に強く出ておるのですが、この点についてはどうですか。
  62. 吉田弘正

    ○吉田説明員 現在、関係市町村被害状況等につきましては、県の地方課を通じまして事情を徴している段階でございまして、それをもとに必要によりまして措置してまいりたいというふうに考えております。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで結構です。  事情によってどうするというのですか、認めるのですか、認めないのですか。
  64. 吉田弘正

    ○吉田説明員 事情によりまして、特別交付税を措置するということでございます。特別交付税なり起債を措置するということでございます。(林(百)委員「何ですか、大きな声で」と呼ぶ)特別交付税なり地方債措置するということでございます。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 起債を認めるということですか。
  66. 吉田弘正

    ○吉田説明員 適債事業であればということです、起債の場合には。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 何だかはっきりしないのですが、その起債というのはどういう性質の起債ですか。
  68. 吉田弘正

    ○吉田説明員 災害復旧事業がございまして、それに対応する事業があれば災害復旧事業債を措置するということでございまして、一般的な経費につきましては、起債になじまないものにつきましては、財政状況を勘案の上、必要によりまして特別交付税を措置するということでございます。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 起債ということになれば結局借金になるわけですね。特別な、こういう一万年ぶりに突如として爆発した噴火というようなもので自治体が財政支出する場合に、その後始末を借金でやれ、それでいいのですか。特別なこういう配慮による起債を認めるなら認めるということでなければ、自治省の配慮にならないじゃないですか。
  70. 吉田弘正

    ○吉田説明員 災害対策の起債につきましては、災害対策事業債につきましては、その裏を交付税措置する。普通交付税に算入しておりますので、借金ではございますけれども、その元利償還につきましては交付税措置がなされるということでございます。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 農林水産関係、来ていますか。
  72. 藤田高敏

    藤田委員長 来ています。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 県の補正予算の中で、土壌改良対策事業、飼料購入輸送費、養殖魚緊急配送事業、養殖魚移動用飼育水槽設置費、合わせて一千二百三十七万になるのですが、これは二分の一の補助が認められますか。
  74. 塚田実

    ○塚田政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘いただきました各種の事業でございますけれども、これにつきましては、私どもは県の事業と承っております。私どもの補助事業対象といたしますには、先生御案内のように、個人所有のものでなくて共同利用のものであれば、県の方から申請があれば、私どもの方でそういう予算項目がございますれば対処できるわけでございますけれども、ただいまのは県の予算でやると私ども承知しております。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 県の予算でそういう——あなたの言うような公共用の事業に対する対策費として組まれているものと考えられるのですが、もうすでに県の補正予算の中では、ただいま申しました千二百三十七万円ですか、二分の一の補助は来るということで補正予算が組まれておるのですが、その辺は県と農林水産省との間では意思の疎通はしてないのですか。
  76. 塚田実

    ○塚田政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の各種の事業につきましては、私どもにまだ県の方から申請は来ておりません。今後、県の方から御要望があれば、私どもとしては、御案内のように各種の補助事業があるわけでございますから、県とともに検討はしていきたい、このように考えております。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 次に、気象庁の実情と予算のことについてお聞きしたいのです。  現地からの報告を見ますと、たとえばある旅館の主人は、報道関係の人たちはヘリコプターで飛んできた、ところが、気象庁の係官は六十キロもの重い地震計を担いで鉄道でやってきた、これでは素早い観測は不可能だ。それから予知連の荒牧東大地震研究所の教授は、一人だけNHKの飛行機に便乗さしてもらったというように言っておるわけなんですけれども、気象庁には緊急の事態に備えるためのヘリコプターや飛行機、まあ飛行機でもあればいいことですけれども、そういうものは一台もないのですか。
  78. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるように、飛行機もヘリコプターも一台もございません。(林(百)委員「ないんですか」と呼ぶ)ありません。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 どうしてそういうのを予算要求しないのか。いつ、どこで、どういう事態が起きるかわからないのに、そんな六十キロもある器械を気象庁の人が担いで、それで、報道関係の人はヘリコプターや飛行機に乗っているというのに、汽車でやってたんじゃ、一番責任のあるところが一番情報がおくれてくるということになるんじゃないですか。まあ気象庁は要求するけれども大蔵省がなかなか言うことを聞いてくれない。ここに大蔵省がいますから、大蔵省の人の意見も聞いてみたいと思うのですけれども、これでは笑い物になると思うのですね。気象庁も持っていてもいいんじゃないか。(「海上保安庁や防衛庁のものを使えばいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  80. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 先ほどの先生の飛行機の問題で補足させていただきます。  一つは、自衛隊の飛行機からの写真撮影その他については、すでに幾つかの資料をいただいてございます。もちろん直接に専門家が乗っているわけではございませんが、いろいろな資料をいただくようにすでに、御岳山もそうでございますが、ほかの一般の火山の異常現象についてもそういうデータは入手するようにいたしております。  以上でございます。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省関係等もあるでしょうけれども、こういうのはいま言ったように、自衛隊のものを借りろとか運輸省のものを借りろとかいう意見もありますが、気象庁自体がやはり持っていることが気象庁の権威を高めることになると思いますので、予算要求もし、どうしてもそれがむずかしい場合はわれわれの援助も得て、ぜひ気象庁でこういうものを持ってもらいたいと思うのです。  そこで、いまA級、B級、Cクラスの活火山というのは幾つあるんですか。
  82. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  活火山としては六十七がございます。  ただし、先生おっしゃいましたように、A級、B級、C級という区別は現在のところしておりませんので、その点、活火山として六十七が現在日本にはございます。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 このうち常置観測所を持っているのは幾つあるのですか。
  84. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 十七の火山でございます。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 六十七のいわゆる活火山があるというのに、十七の常置観測所で十分な体制がとれるかどうかということですが、私の手元へ来ている御岳山噴火による各村の要望は、第一は、先ほど私が聞きました特別交付税ですけれども、常置観測所を置いてもらいたいという要望が各自治体からも出ているわけです。私の方で調べてみましたら、昭和五十一年まではここに測候所があったのですが、これが廃止になっておるわけです。こういう点でも気象庁の活火山に対する対策が非常にプアーだと思うわけですが、ここの測候所が廃止になった理由、六十七のうち十七の常置観測所しかないという体制で、不時の事態に対応できるとお考えになっておるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  86. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  先生質問は二つあったと思います。  御岳山の周域には御岳気象通報所という形でございました。それは付近にあります無線ロボットの中継、通報が主な任務であります。その後科学技術、とりわけ情報技術が非常に進歩しましたので、中継、通報は自動化、即時化されて、この業務はすべて親官署である長野地方気象台に集約され、無人化になったわけでありまして、この山そのものに火山観測施設その他ございませんので、この通報所は火山の監視業務は行っておらないわけでございます。もちろん気象官署でございますから、異常があれば云々ということは当然でございますけれども、今回の場合ですと、前兆らしい異常は何ら発見されておりません。  それからもう一つ、全国には六十七の活火山がございますが、その中の十七しか常置観測所がない。あとの火山はどういうような対策を考えているのかと申しますと、各山ごとに特徴がございますので、気象庁では機動班を持っております。機動班は、全国的なものが気象庁本庁にございますし、五十四年度に北海道地域の機動班、福岡管区気象台では福岡地域を担当する機動班が新設されまして、それによって各山ごとの活動について、お医者さんでいいます定期診断を行っておるわけであります。ですから、異常があれば機動班が駆けつける、あるいは異常がなくても、普通の状態ではどういう性質を持っているかを診断する。しかしながら、山の数が六十七ございますので、すべての山を常時監視するというのは現実的には非常に困難なことがありますので、人工衛星によるデータ監視ができないものかということで、これは全国的な地震観測の研究の一環といたしまして、すでに本年度からその研究を開始してございます。その成果を待って将来の監視体制を考えていきたい、こう考えております。  以上でございます。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 時間の関係もありますので、大蔵省審議官が来ていますね。
  88. 藤田高敏

    藤田委員長 審議官は来ておりません。お呼びしますか。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 まいったな。それじゃ、国土庁長官でもいいです。  長官にお尋ねしますが、私は前から思っているのですが、気象庁の予算が非常に少ないのですよ。気象庁では良心的にいろいろのことをやろうと思っているのですけれども予算が少ないためにできないわけなのです。たとえば、私の方の調査では、火山に専門に取り組んでいる人が気象庁の中で三十五人、気象庁では兼務者も入れて百十三名という数字も出しているようですが、非常に少ないのですね。さっき申しましたように、六十七の活火山があるというのに三十五名の専門の研究者しかいないということ、これも予算が乏しいという一つの原因からきていると思うのですが、国土庁長官、気象庁のために大蔵省要求した予算はぜひ通してくれ、これは異常な事態に対して、国民の生活を守り、農業やそのほかの経営を守るためにどうしてもなくてはならないものだからと、腰を据えて大蔵省と交渉する決意があるかどうか。決意だけあっても結果が取れなければ何にもなりませんが、決意を持って成果を上げるような交渉をするかどうか、ここであなたの決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  90. 園田清充

    園田国務大臣 お答えをいたします。  さっき薮仲先生にもお答えをいたしたとおりでございます。実は、私が、着任早々日も浅うございますけれども、まず第一番に感じましたことは、やはり予知体制の整備だということでございまして、そこで大蔵大臣には私自体から、むしろ国土庁予算ということでなくして、気象庁の予算を予知体制の完備のためにふやしてほしいということを、強力に申し入れいたしております。  あわせまして、いまお話がございましたとおり、機材その他がそろっても専門家というのが非常に少ないので、特に地震関係、火山関係の専門家を育成するということから、人づくりに対しても配慮していく必要があるだろうということまで、大蔵省に申し入れておる経緯もございますので、国土庁として最善の努力をしてまいりたいと思いますし、気象庁の充実こそ災害の未然防止につながりますので、努力をさせていただきます。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 終わります。
  92. 藤田高敏

    藤田委員長 渡辺朗君。
  93. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 国土庁長官にお伺いしたいことが幾つかございますが、その前に海上保安庁の方にお尋ねをいたしたいと思います。  先般の台風二十号の被害、各地域に大変甚大なものを残してまいりましたが、一つ私が気がかりなのは、日本近海の船舶の遭難という状態が非常に多かったのではあるまいかと思いますが、実態はいかがでございましょうか、まず聞かせていただきたいと思います。
  94. 佐々木信義

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  台風二十号によるわが国周辺において発生しました海難の隻数でございますけれども、南方海域から駿河湾、北海道沿岸と非常に広い範囲に発生しまして、合計三十七隻の船舶の海難が発生いたしました。
  95. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 遭難された人員その他は……。
  96. 佐々木信義

    ○佐々木説明員 遭難した人員は、現在のところ、海上保安庁の救助状況でございますが、海上保安庁は、これらの海難に対しまして巡視船艇、航空機を発動いたしまして、百二十八名の人員を救助いたしております。しかし、現在のところ七十一名がいまだ死亡または行方不明となっております。
  97. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 関連して、いまのことについてですが、これは日本人だけでございますか。海外の人もかなり遭難していると思います。
  98. 佐々木信義

    ○佐々木説明員 このうち外国人の遭難者は七十五名となっております。
  99. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私も静岡の出身でございますが、たとえばインドネシアの船員が遭難をしております。それから、新聞その他で見ますと、韓国の船がかなり日本近海で沈没したり遭難しておりまして、かなりたくさん死亡しているようでございます。こういった外国の人たち、日本近海において遭難したのですけれども、その救助活動というのを、日本国民はもちろんですけれども、どのようにして行われたのか、そこら辺ちょっと教えていただきたいのです。
  100. 佐々木信義

    ○佐々木説明員 海難が発生いたしました場合には、もちろん当該船舶からの海難情報というか、海難の緊急通信を発信するということがございますし、また一方におきまして、それを感知した人からの連絡ということがございます。こういった情報は私ども海上保安庁におきましては二十四時間お待ちいたしておりますので、この情報を受けましたならば直ちに巡視船艇、航空機を発動させるということで救助を実施いたしております。
  101. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そのことに関連してですが、救援体制は海上保安庁の場合いまどういう体制になっておりますか。いまの航空機発進であるとかいろいろ対策があると思いますけれども、どのような体制でいま救援活動をされるのか、どういうふうな状態でございますか。
  102. 佐々木信義

    ○佐々木説明員 私ども海上保安庁におきましては、全国十一の管区に分けておりまして、その管区の中に保安部署を設定し、そこに巡視船艇を配備いたしております。     〔委員長退席、米田委員長代理着席〕 この情報に基づきまして、巡視船艇、航空機を各基地から発進させているわけでございます。
  103. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 わかりました。  気象庁の方、いらっしゃいますか。——いまの点ですけれども台風が接近しつつあるというふうな警戒警報といいますか、それは日本近海に漁業あるいは航行している船舶にはどのような形で流されているのでございましょうか。なぜこれをお聞きするかといいますと、インドネシアの船員が遭難をしたりそれから韓国の漁船員が遭難をしたり、海外の人々が今回の台風ではかなりたくさん遭難をしている、こういう事実があるわけでして、これに対するコミュニケーションの問題をお聞きしたいからでございます。
  104. 浅田暢彦

    ○浅田説明員 お答えいたします。  先生の、特に質問の外国船に対する気象情報の提供でございますが、それにつきましては、特に日本語がわからない船に対してどうやっているかということを重点的に答弁したいと思います。  一つは、気象庁本庁が、全国海上予報区を対象といたしまして、気象庁船舶気象無線通報という情報を出しております。この海域は、赤道から北の方は北緯六十度、西の方は東経百度から東の方は百八十度という広域にわたっております。そして、これも英文によりまして全般海上警報というものを行っておりまして、この警報の内容といたしましては、気象状態はもちろんでございますけれども、一番問題になっておりますのはどういう方式かということだと思いますので、これは中波及び短波のモールス電信を行っているということです。それで内容は、一日に八回、これは英文で行っております。  いま申し上げましたのは非常に広範囲でありますけれども、次に、日本の海岸から約五百五十キロの範囲におきますと、全国に十二カ所の地方海上予報区というものが設定されておりまして、たとえば札幌管区気象台、函館海洋気象台というようなものがそれを分担しております。いま申しましたそれぞれの担当官署がつくりました、これも英文ではありますけれども、地方海上警報というものを出しております。そして、特に台風時におきましては一日に四回ないし八回という数をこの地方海上警報によって出しておりまして、これは作成しましたらば直ちに海上保安庁の機関に通報いたします。海上保安庁ではこれを受けましたら、入手次第即時に、これも担当が決まっておりまして、放送担当通信所というところから、中波によりますモールス電信によって放送をしているのが実情です。  以上は、英文を知らない船に対しては問題がありますけれども、一応英語というのは共通語になっておりますので、これで間に合うのではなかろうか、このように考えております。     〔米田委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、英文がわからない船に対してはどういうことかと申しますと、別途気象庁では気象庁気象無線模写通報、JMHという略称で呼ばれておりますけれども、これはファクシミリ放送で、絵によって天気図を送るというものであります。  これも種類がございまして、アジア太平洋地上天気図解析、これは実況図でございますが、これを一日四回出しております。これには、特に台風等船舶に対して大きな障害を与えるような現象が図の上に出てまいりますと、いわゆる皆さんお聞きのような台風情報と同じように、どちらの方向にどのくらいのスピードで台風が移動しているか、中心はどのくらいの風が吹くか、それから中心以外の海域でもどのくらいの風が吹くかというような、進路予報を含めての情報がコメントされております。そのほか、同じようなアジア太平洋地上二十四時間予想図もつくりまして、二十四時間後にはこの台風はどのようになるかということも含めて放送をしております。  もちろん船に無線模写受信装置が設備されていればの話でありますけれども、できるだけこのような設備を積んでいただくように気象庁では要望している次第であります。  以上です。
  105. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 大変重要な仕事をしておられるわけでありますが、そのような警戒警報を含めた情報を出しておられるにもかかわらず、日本近海で今回外国の船員の人たちがたくさん遭難された。これは一体どこに原因があったとお考えでございましょう。いまの、ファクシミリとかいったものの装置や何かがないのか、あるいは英文のモールス信号や何かが解読できないのか、あるいはもっとほかに要因があるのか、そこら辺はいかが観測しておられますか。
  106. 浅田暢彦

    ○浅田説明員 ただいまの御質問は、直接気象庁が担当する部分かどうかわかりませんけれども、やはり先ほど最後にお答え申し上げましたように、船における通信設備、無線ファクシミリを含めましての通信設備をどんな小型の船でありましても積んでいただけたらかなり災害が防げたのではないか、かように考えております。
  107. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 今度は大臣にちょっとお尋ねいたします。  この間の台風で、実は私は静岡県の選出でありますが、御殿場というところでは米軍の基地の火災が発生しております。この問題は、御存じでしょうけれども米軍演習部隊が使用している燃料の流出でございます。そして兵舎が十四むねも焼け、あるいはPXの家屋が一むね全焼、こういうことで、米軍の三名が死亡し、日本人がたしか三名やけど、それから米軍の兵士が四十四名もやけどをするという事故でございました。  問題は、台風による濁流が流出してきて、それによって実は火災が発生している。ちょっと関連性がおわかりでないかもわかりませんけれども、問題は燃料の保管状況に関連したことでございました。特に、米軍のこのような基地における燃料の管理方式というのは、保管方式は野戦型でございまして、そのことのためにこういう火災が発生した。実は、その米軍営舎の下の方には部落が四部落もあり、そしてまた人員も三千名近く居住している密集地帯があります。もし火災がずっと下の方に延びていきましたら大変大きな事故にもなったという状況でございます。  これは御存じのことだと思いますが、ついては、米軍の基地における燃料の保管施設について、こういうことが再発しないように保管施設というものを完備させるということがどうしても必要であります。これについては、大臣、いろいろと御考慮はいただき、そしてまた動いていただいたと思いますけれども、結果的にどういうふうな対策が講じられましたでしょうか。そこら辺をお教えいただきたいと思います。
  108. 園田清充

    園田国務大臣 お答えをいたします。  本来、危険物の貯蔵と申しますか、これは消防庁が消防法によって指導してまいっておりますが、いま御指摘のような不幸な事件があったことも承知をいたしておりますし、そこで、防衛施設庁に対して、消防庁として、国内のいわゆる住民の安全ということを基本に置いた考え方で、いま御指摘がございました野戦型ということもやはり許されないことである、そこで、防衛施設庁としても消防法の精神を生かした取り扱いをするように、ひとつ厳重に米軍側に伝えてほしいということの要請を行ったということを聞き及んでおるわけでございまして、私どもも、国内におけるこうした取り扱いについては十分ひとつ、ほかに累を及ぼさないように今後とも注意をし、かつまた、いま御指摘をいただきました点について、善処がなされていなければ重ねて善処を求める意思でございます。さよう御了承を賜りたいと思います。
  109. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それはひとつ至急にやっていただきたい。一つの災害が起こった場合、これをやはり一つのきっかけとしまして、そして完備というような形に早く持っていっていただきたいと思います。要望をいたします。  もう一つ台風に関連いたしまして。これは十月の災害でございました。それから二カ月近くたっております。いろいろ各市町村からの陳情があり、要請があった。そしてまた、住民からの早く復旧をという要望が出てきております。ところが、問題は、いろいろすでに復旧工事や何か着手をされたところもありますけれども、実はやはり手続や何かが大変むずかしい、それから災害の査定や何かに時間がかかる、こういうことで大変おくれがございます。復旧工事というものは、これは政府の方から見るならば綿密にということもございましょう。しかしながら、住民側からとってみたら、この間水害でもって自分たちの家財なりあるいはまた近所の河川というものが荒れたということで、またその間に雨も降る、風も吹くということになりますと、一日が二十四時間ではなくて、本当に早く復旧をということで、千秋の思いでいるわけでございます。そうしたことを考えますと、災害復旧の手続というものをもっともっと簡素化し、迅速にやっていかぬといけないのじゃなかろうか。  この点につきまして、まず建設省から、どのような対策を講じておられるのか、あるいは農林省からも、どのような方策で迅速に復旧を進めていっておられるのか、再度お聞きし、そしてまた長官から、長官の御意見を聞きたいというふうに思います。
  110. 川合恒孝

    ○川合説明員 建設省からお答えいたします。  先生指摘のように、本年度の公共事業施設災害につきまして、地方公共団体の管理にかかわるものにつきまして、現在までのところ、被害額で約四千四百億円余り、個所にしまして十一万九千カ所でございます。  この取り扱いにつきまして、特に、台風二十号が十月に入ってからという非常に遅い時期の災害でございまして、早急にこれらの査定業務をやらなければならないということで、十一月五日付河川局長名をもちまして、各地方公共団体に対しまして通達を出しております。  その一つは、緊急復旧を要する個所につきましては、査定前に事前協議を行いまして復旧工事に着手していただいてもよろしいということでございます。  それから、査定業務の迅速化を図るために、総合単価制の活用というところで、査定設計の簡素化を図っております。従来一件五百万以下の設計につきましてのこういった制度の活用でございましたが、今回の災害につきましては、一件一千万以下の問題についての範囲の拡大を図っております。  もう一つは、民間のコンサルタントの活用を行いまして、これにかかった費用につきまして、設計委託業務ということで二分の一の国庫補助をやるという、この制度を大いに活用していただきたいということの方策をとっておるわけでございます。  また、現地の査定につきまして、一件二百万以下の小さい規模災害につきましては、机上査定の採用というようなことで、災害の査定の事務の簡素化を図る方向を打ち出しているわけでございます。  現在のところ、全被害個所につきまして約六四%の査定が完了いたしておりまして、残る業務につきましても今月いっぱいで査定を完了するという予定にしております。  以上でございます。
  111. 城野忠雄

    ○城野説明員 農林省の方からお答え申し上げます。  趣旨につきましてはいま建設省の方が申し上げましたのと同じようでございますけれども、私ども、農地並びに農業用施設災害復旧につきましては、被害が発生しました後、直ちに担当官を現地派遣いたしまして、復旧方針なり復旧工法の指導を行ったわけでございます。  また、その査定業務の簡素化あるいは早期復旧を図るために、総合単価の適用範囲を拡大いたしておりますが、これは私どもの場合は従来二百万でございましたけれども、二百万を五百万に拡大いたしまして、総合単価で簡素化が図れるようにやったわけでございますし、さらに机上査定というものも大幅に取り上げております。それからコンサルタントの活用は当然でございますけれども、そういった措置を講じまして、施設の復旧、その作業の簡素化、さらに復旧の早期着工、こういうことを図ったわけでございます。
  112. 園田清充

    園田国務大臣 お答えをいたします。  ただいま建設、農林両省から査定の状況につきましては御報告を申し上げたとおりでございますが、実は私の方から関係省庁に対してお願いをし、協力を要請いたしましたのは、いま報告がございましたとおり、机上査定、民間コンサルタントの活用ということを実は強く要請をいたしたわけでございます。  と申し上げますのは、さっき先生の御質問にもございましたが、海上保安庁の方から人身事故について答弁がございましたけれども、本土縦断をしたということで、従来の台風と違って各局間の応援ということができないので、少なくとも独自の姿の中で速やかにこれを終わるということになれば、やはり机上査定等も導入しなければならないじゃないかということと、それから人身事故の問題につきましては、非常に上陸後早かったということも私は事故の大きな原因ではなかったか、こう考えておるわけであります。  そこで、各省庁に対して、十一月中に私のところまでひとつ激甚災その他、天災融資法の発動の指定のできるような事務的なさばきをしてほしいということを農林、建設両省に要請をいたしまして、そこで一番近い日にということで、実は四日の閣議で激甚災等の指定をいたしました。なお、本年度中には一切の査定を完了してほしいということも強く要請をしてございます。心情的には御指摘のとおりです。早く復旧をということが罹災者の方々の気持ちでございますので、この気持ちには何としても私どもこたえる努力をしていかなければならないということで、今後とも各省庁協力しながら、また督励をしながら努力をしてまいる決意でございます。  以上でございます。
  113. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 ありがとうございました。
  114. 藤田高敏

    藤田委員長 吉原米治君。
  115. 吉原米治

    ○吉原委員 大臣お答えを願う前に、運輸省港湾局の方に具体的な例を申し上げて質問をいたしますから、港湾局の方のお答えが済んだ後、大臣に御所見を承りたいと思います。  災害には、自然災害といいますか天災、そして人為災害、人災と言っておりますが、この二種類があると私は思うのです。そこで、大臣所管の事案でございます三全総で言うところの地方の定住圏構想を一体どう具体化していくのか、関心を持っておる一人でございますが、今日全国的な傾向として、地方の開発が進められております。それには公有水面を埋め立てて工業団地をつくる、あるいは山林開発をやって農業団地、住宅団地、あるいはまた工業団地を造成をする、いろいろな形で自然破壊が一口で言いますと進められておる。そういった自然を破壊をしていくわけでございますから、そのことによる環境アセスメント、こういうものは当然危惧されるわけでございまして、調査を綿密にやらなければならぬ、団地はできるけれどもそのことによって周囲の環境を破壊するのじゃないか、これは当然最初に考えるべきじゃないかと思うのです。  ところで、島根、鳥取両県の大体県境に位置します美保湾、これは運輸省の方の所管港湾でございますが、ここで竹内工業団地と称しておるわけでございますが、百十一万九千平米、膨大な団地がいまつくられております。その埋め立ての護岸が影響しておるのではないか、こう地元の方々は言っておりますが、そのことによって美保湾の海水の流れが変わってきた。俗に反射波によって対岸の位置にあります美保関町、これは島根県になりますが、この地域一帯、県道も港湾も漁港も大変な被害が起きておるのです。  最初に運輸省にそういう立場からお尋ねをするのでございますが、港湾の埋め立てを認可されるのは運輸省の港湾局であるはずでございます。この美保湾の埋め立てについては、地元でも自然破壊をするということでかなり反対意見があったようでございますが、あえて認可を与えられた。決して周囲の環境を破壊するものじゃないという立場で認可されたのでございましょうが、十分環境アセスメント調査はなされた上で認可されたのかどうなのか、この点をまず最初にお尋ねをしておきたいと思います。
  116. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 お尋ねの境港の竹内埋め立てにまつわる環境アセスメントの問題でございますが、先生も十分御案内かと思いますけれども、出願に際しまして、出願人の方が環境アセスメントを行います。その内容は、まず環境の質の現況の把握をいたします。内容的には、大気とか水質とか騒音とか水産資源、潮流調査というようなものがございますが、まずそういう現況の調査をいたしまして、そして埋め立ての工事に関して、さらにまた公有水面を陸地に変えることそのものについて、それからまた埋立地の用途に従ってそのような環境がどのような変化をしていくかということについて評価項目を定めまして、その程度とそれから範囲というようなものを予測評価しておるわけでございます。その内容が、いずれの項目につきましても環境基準、あるものにつきましては環境基準に適合しているとか、あるいはまた影響が非常に軽微であるというふうな場合に、埋め立ての免許がなされまた認可もなされるということでございまして、それに該当するものとして、この竹内の百ヘクタール余の埋め立ての免許がなされているわけでございます。
  117. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと、具体的な風速計を使ったり、波高計を使ったり、埋め立ての場合には美保湾の海流にどういう影響を与えるのかという科学的な調査をなされずに予測をされた。恐らくあったとしても軽微なものではないか、こういうふうにいまの御答弁理解をするのですが、具体的にはこれは出願者が行うべきものだ、こうおっしゃっていますが、出願者はそういう意味の調査をされて認可申請をされた経緯があるのかどうなのか、その点もう一つ聞かしていただきたい。
  118. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 ちょっと私の言葉足らず、あるいは言い間違いがあったかもしれませんが、そういう意味で誤解を招いたようでありますが、まず現況の把握現地調査等で行いますということでございます。将来に向かってどのような変化が起こるかということについては、これは予測以外に方法はございませんので予測をいたします。こういうことでございますので、そのように御理解いただきたいと思いますが、いま申し上げましたように、出願人の方でそのような必要な調査を行い、そして予測作業を行いまして埋め立ての出願をしてくるということでございます。
  119. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと、出願者の申請により、また港湾局の方としても出願者の申請内容検討されて、少なくとも、あの地域に膨大な工業団地を埋め立てて造成をするということについては、環境破壊というか自然破壊はないんだ、こういう前提のもとに認可をされたわけでございますね。
  120. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 そのように考えて埋め立ての認可をいたしております。  なお一言申し添えますが、これは埋立法の定めによりまして環境庁長官の意見を求めておりまして、これは環境庁長官の方からも特段の異存がないという御回答をいただいておるところでございます。
  121. 吉原米治

    ○吉原委員 大臣、いま運輸省の港湾局の方から答弁をされておりまして聞かれていらっしゃったと思いますが、これは何も公有水面の埋め立てだけに限らず、山林の開発等に伴って、大小の差はありますけれども何がしかの環境破壊をやる、それがために災害があちこちで起きておる、こういう例は一つ美保湾に限らずでございますが、これから国土庁長官として地域開発をやっていかなければならぬ、そして三全総で言うところの地方の定住圏づくりを具体化していかなければならぬ、そういう場合に、たとえば工業団地づくりにいたしましても、一つは働く場所をつくるんだという前提で開発をされるわけでございますから、そういう意味では定住圏づくりの大きな役割りを果たしておる。そういう意味では国土庁の立場からいきますと望ましい状況ではございますが、そこに付随してくるこういった災害、つまり人災でございますね。よく昔から「天道は自然にして人道は作為なり」ということわざがございますが、まさに人災があちこちに起きているということは否めない事実でございます。  いま一例を挙げて運輸省港湾局の方から御答弁をいただきましたけれども、間違いないだろう、環境庁の方からの御意見も御異存がないようだから、したがって認可をした、こういうことではございますが、結果的に、原因は目下調査中のようでございますが、異常高波によって対岸に大きな被害をもたらしておるという事実は厳然としてございます。これが天災か人災かという色分けはなかなかむずかしいところでございます。出てくる現象は、天災であっても人災であっても同じような現象なんでございます。なかなか区分がつかないわけでございますが、具体的な被害対策というものについては時間の都合で午後の質問の時間にさせていただきまして、したがってこの場では、二十分の質問時間でございますので、大臣の都合もおありのようでございますから、今後の地域開発のあり方、こういうものについて国土庁長官としての御所見を承っておきたい、こう思います。
  122. 園田清充

    園田国務大臣 美保湾の問題につきましては実は私の方では詳細承っておりません。そこで具体的に申し上げることは遠慮させていただきますが、いずれにいたしましても、いま御指摘のような問題があるとするならば、関係省庁に対して私の方から厳しく注意を促しておきたいと思います。  同時に、いま定住圏構想の問題にお触れになりましたけれども国土庁としては、三全総の中で地域住民の方々が安んじて地域の文化、伝統の中で生活できるようにということを、定住圏構想の基本として考えております。  そこでまず、地元市町村、県、これが御協議をいただいたものに従来国がこうしなさいというような方向を示していたものとは違って、地元の考え方というものを優先させたものを国が裏づけし助長して、そして文化的、伝統的な郷土づくりと申しますか都市づくりと申しますか、それをやっていただこうという考え方でございますので、いま御指摘の地域における問題については、環境庁あるいは所管の運輸省に対して私の方から重ねて検討をするように注意をしておきたいと思います。
  123. 吉原米治

    ○吉原委員 それでは、このあとは午後の時間に譲りたいと思います。  終わります。
  124. 藤田高敏

    藤田委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。     午後一時七分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  125. 藤田高敏

    藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。神田厚君。
  126. 神田厚

    ○神田委員 私は、最初にまず、過日行われました防災訓練の件につきまして、御質問を申し上げたいと思っております。  東海地震の発生に備えるということで行われましたこの防災訓練は、非常に大規模な形で行われたというふうに聞いておりますが、しかしながら、最初の試みでもあった関係から、なお幾つかのいろいろな問題が残っているようであります。その点につきまして、今後年一回ぐらいの予定で行うというようなことであるようでありますが、今度のこの訓練の反省を踏まえまして、あるいはその成果を踏まえまして、次のプロセスとしてはどういうふうなことをお考えになっているのか、ちょっとその点をお聞かせいただきたいのであります。
  127. 柴田啓次

    柴田説明員 防災訓練につきましては、大規模地震対策特別措置法によりまして、年一回以上総合的に行え、こういうことが決まっているわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘がございましたように、来年度以降につきましても年一回以上は必ず行うようにしたい、そういうふうに考えております。  今回は、先ほど御報告も申し上げましたように、地震対策強化計画あるいは応急計画がまだ策定中であるような段階でもございまして、各機関等で訓練の程度にばらつきがございましたけれども、来年度におきましては、それをさらに深度化して、今回よりもさらに総合的な訓練としたい、そういうふうに考えております。
  128. 神田厚

    ○神田委員 防災強化計画及び防災応急計画、これを早急に進めなければならないわけでありますけれども、これらの問題については、作業の進展状況というのはいま余り進んでないというお話でありますが、どの程度でございますか。十一月中に、特に防災強化計画についてはこれを取りまとめるようになっておりますですね。
  129. 柴田啓次

    柴田説明員 九月の初めに基本計画をつくりまして、その際にできるだけ早く強化計画、引き続いて応急計画をつくるようにということを、私どもの方で各機関にお願いをしているわけでございます。御指摘のとおり、来年の二月までには法律によりまして応急計画をつくらなければならない、その前には強化計画をつくりたい、そういうふうに考えているわけでございます。  ただいまの進展状況でございますが、各機関におきまして相当程度進捗をしております。ただ、その各強化計画強化計画との間に矛盾が生ずるようなことがあってはいけませんので、それぞれの省庁の間でいま最終的な打ち合わせをしている段階でございまして、なるべく早く全体的にそれを整備したいというふうに考えております。
  130. 神田厚

    ○神田委員 それでは具体的な強化訓練内容の中で、特に大地震法がつくられる過程におきましていろいろ論議を呼んだ問題がございますが、たとえば今度の具体的な訓練の中で、自衛隊に対しましてはどんなふうな具体的な任務をお与えになりましたですか。
  131. 柴田啓次

    柴田説明員 このたびの訓練におきましては、いわゆる通信訓練といいますか、模擬訓練といたしまして自衛隊の地震防災のための出動要請をいたしました。実際に自衛隊が行動いたしましたのは、ヘリコプターが数機、静岡県へ飛んだということでございます。
  132. 神田厚

    ○神田委員 さらに、先ほど同僚の渡辺朗議員の方から御質問がありましたが、静岡県には米軍の基地がございますけれども、この米軍の施設に対しましてはどういう形でこの訓練内容が伝えられましたか。
  133. 柴田啓次

    柴田説明員 米軍の基地につきましては、特別に訓練参加をお願いしませんでした。
  134. 神田厚

    ○神田委員 米軍の基地の中に、先ほど指摘されましたような燃料タンクやその他があるという状況から考えますと、やはり東海大地震の一つの大きな防災訓練の中で、アメリカ軍関係につきましても共同の訓練方向協力させなければならないというふうに考えておりますが、その辺はどういうふうに御判断でございますか。
  135. 柴田啓次

    柴田説明員 御指摘の点につきましては、関係機関とも相談をいたしまして、今後検討させていただきたいと思います。
  136. 神田厚

    ○神田委員 米軍の基地の周辺に相当数の多くの住民が、もちろん日本人でございますが、住んでいる。そういう状況の中で、やはり訓練は全体的な効果を求めていくわけでありますから、そういう意味では、今後ひとつ、これは大きな問題として、防災訓練の中で米軍及びその基地に対する訓練計画についても強力にきちんと組み込んでいくようにしていかなければいけないというように私は考えております。その辺をもう一回きちんと答弁してください。
  137. 柴田啓次

    柴田説明員 いろいろむずかしい問題もあろうかと思いますが、関係機関ともよく相談をしまして、御趣旨に沿うような形にしたいと思います。
  138. 神田厚

    ○神田委員 続いて、今回の訓練東海地震ということでその近辺に限られていた、そのことに関しまして、やはり非常にこれは広範囲に及ぼす影響もあるからということで、たとえば東京都やあるいは神奈川、埼玉等では一つの会議を開きまして、防災に対する連動的な訓練その他のものにつまきしてやっていこうというような計画もあるように聞いておりますけれども、その点についてはどういうふうにお聞きになっておりますか。
  139. 柴田啓次

    柴田説明員 南関東の四都県と二市で知事、市長会議というのをつくっておりまして、そこで十一月二十九日の会議の際、横浜市長からの提唱で、来年の九月一日に四都県二市の合同防災訓練を行う、こういう申し合わせがございまして、私どもの方にも御連絡がございました。  私どもも、今回は静岡県を中心といたしまして東海地域について訓練を行ったわけでございますが、東海大地震が起きました場合に、南関東におきましても交通問題その他いろいろの問題が発生をするわけでございます。さらにまた、東海地震とは無関係に、南関東におきまして別な地震というのが起こらないとは断言できないわけでございます。そういう意味で、関東の四都県二市の知事、市長会議の申し合わせというのは非常に歓迎すべきことでございまして、細部的に詰めまして、ぜひ来年には国も入った一緒の形で実行したい、そういうふうに考えております。
  140. 神田厚

    ○神田委員 今度の大きな訓練を見ていまして、やはり隣接地域に対するそういう共同の行動なり、共同の計画に対する理解なりというものをもっと求めてほしいというような意見も相当出ているようでありますので、その辺のところはひとつよく、国土庁がセンターになりまして連携をとれるようにお願いしたいと思っております。  続きまして、火山関係について御質問を申し上げます。  木曽の御岳山、阿蘇、桜島、いずれもいま非常に活発な活動をしておりまして、木曽の御岳山につきましては現在は非常に落ちついているようでありますけれども、有史以来の山が爆発したということで、大変ショッキングな話題を提供し、かなり地元に対しましても被害を及ぼしたわけでございます。この三つの火山につきましてちょっとお尋ねしたいのであります。  まず木曽の御岳山は、民社党の災害調査団といたしまして現地調査をいたしました。現地の要望は、一番目に常備体制を強化してほしいということと、今後この山がどういうふうになるんだろうかという予測を明確にしていただけたらということがございました。それらの件につきましてお答えいただきたいと思います。
  141. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  質問が二つあったと思います。  御岳山は確かに常時監視をしていない山でございます。現在六十七の活火山の中ではいわば常時監視をしていない火山でございますが、日本全体を考えてみますと、まだ六十七でございますから、五十くらいのものが常時監視ではない山でございます。しかしながら、これは火山そのものが一つ一ついろいろ違いますので、すべてを同じ方法でやるというのはいろいろ問題がございますので、一つには機動観測班の充実ということを私たちは考えておるわけでございます。これは五十四年度に地域の機動班も九州及び北海道に充実さしていただいて、その充実を図って、それぞれが定期的な診断を行うことと、臨時的な緊急処置をするという二つの方法でございます。  もう一つは、これだけまだ数がたくさんあるわけでありますから、もう少しましといいますか、もっといわゆる科学的な方法はないものかということで、数年前からいろいろ考えておりまして、その一つの方法として人工衛星を使う方法ということが現在研究をされております。これは人工衛星の中に積み込んでおります熱赤外の機械を使いまして火山の熱の異常を発見する、あるいは可視といいますか目で見る状態、特に火山の場合は地震よりも地域的には小さくても変化が大きいものでございますから、そういうことも可能であろうということで、これを全国的な火山監視に使えるかどうかを現在研究中でございます。その成果を待って、そういうことも将来の計画に取り入れたいと思っております。  それから御岳山の将来の見通しでございますが、これは十一月の十九日に臨時に火山噴火予知連絡会の拡大幹事会、といいますのは、幹事会がございますが、それに実際に参加しておりますところの大学の先生その他の方を入れまして検討いたしました。確かに現在もそうですが、噴火当時からだんだん弱まってございますが、いろいろな分析をしました結果、これは単純な水蒸気爆発ではなくて、やはりまだこのままで鎮静化するという見通しはにわかに断定しがたいということで、何せこの山は古い観測地がございません。そういうことがございますので、この山の監視についてはまだまだ観測、監視というものを続行しまして、もしも変化がございますと、直ちに火山情報、従来もすでに八回ほど火山情報を出してございますが、その火山情報を出して一般の地元の方に対応をするという方法を考えたいと思っております。  以上でございます。
  142. 神田厚

    ○神田委員 次に桜島の関係では、桜島も大変活発な活動を続けておりますが、特に十一月十八日ですか問題になりました、桜島上空を通過しておりました全日空の飛行機が、この火山れきのために操縦席の窓にひびが入って引き返したというような状況がありました。過去何回かこういう状況があるようでありますけれども、これらの問題につきまして、やはり航空機災害を予防するという意味で、運輸省は、この航空路の変更その他の問題につきまして具体的に何か措置をおとりになりましたか。
  143. 長澤修

    ○長澤説明員 お答え申し上げます。  桜島の噴火によりまして航空機に異常運航が発生しました最初は、昭和五十年の四月八日でございまして、そのとき初めて、全日空のトライスターという飛行機の操縦席の前面の風防ガラスが、火山の噴石によりましてひび割れを生じたことがございます。そこで、早速運輸省といたしましては、まず的確にその火山の噴火情報をつかむということが第一であると考えまして、気象庁といろいろ相談をいたしまして、鹿児島地方気象台と鹿児島空港にございます測候所との間に噴火情報を速報していただく体制をつくり、鹿児島の空港の測候所から、私どもの空港事務所の関係の機関及び航空会社の運航管理の機関へ、直ちにその情報が伝わるような体制を整備いたしました。  それからもう一点は、噴火状況によりまして、通常使っております飛行経路を変更いたしまして、噴煙を避けて通る飛行経路をつくるようにいたしまして、この二つの方法を使いまして、今日まで、年間約百回とも言われます桜島の噴火に対応して、運航の安全を進めてきたわけでございます。  しかるに、先ほど先生から御指摘もございましたように、ことしの十一月十八日になりまして全日空の飛行機が相次いで二機、火山の噴石による被害を受けるという状況がございましたので、私どもがいままで講じてまいりました施策をもう一回再検討いたしまして、改めるべきところはないかということをしさいに検討しました結果、四点ほど新たに従来の対策に加えまして安全運航を図るための対策を追加し、これはすでに現地に指示をいたしました。  その四つの対策内容と申しますのは、まず第一に、従来気象庁からいただいておりました火山情報の中に高層の風の観測値を加えていただく。従来高層風の観測値は一日のうち四回気象庁が定期的にお出しになっておるものでございますけれども、これを噴火があるたびに教えていただいて、これを私どもの管制官なりあるいは飛行機の機長が判断の材料に使うということで、情報内容を厚くするということが一つ。それから、噴火情報が入りました場合の到着機の誘導の方式をさらに検討いたしまして、従来のものに加えて新しい誘導の方式を鹿児島空港について加えるということをいたしました。それから三つ目といたしまして、噴火情報が入りました場合に、出発機は安全に離陸できるということが確認されるまで離陸を中断いたします。これは航空会社に運航管理者というものがおりますけれども、運航管理者がその状況を完全に徹底して確認して初めて飛行機の出発を許可する、こういう施策をとるように強く航空会社を指導いたしました。それから四番目といたしまして、鹿児島空港は御承知のように北側が山に囲まれております。したがって主として飛行機が南側から出入りするようなことになるわけでございますが、桜島の噴火状況によっては南側から進入する、出入りをするということがいろいろむずかしいこともございますので、空港の西側もしくは北側の空域を利用いたしましたVOR進入方式、これは超短波の無線誘導の施設でございますけれども、これを使いました進入方式を設定いたしまして、空港の運用に対して柔軟性を加える。  これらの方策を去る十一月の全日空の異常運航に際しましては加えまして、航空機の運航の安全を進めておる次第でございます。
  144. 神田厚

    ○神田委員 それはすべて指示されて、実行に移っておるわけですね。
  145. 長澤修

    ○長澤説明員 ただいまの申し上げました四つの方策は、すべて現地に指示してございます。そして現地で気象庁あるいは私どもの空港事務所、その間で具体的な方策について現在打ち合わせをしておるところでございます。
  146. 神田厚

    ○神田委員 同じような状況で飛んでいてまたこういう事故が起こったということでありますから、現地の対応をきちんと監督をして、そして責任を持ちまして、運輸省の方がきちんと指示をしたものが早く実行に移されるようにしていただきたいというように、要望しておきます。  時間がなくなってしまいましたので、あと通告しておりました阿蘇の火山の降灰問題につきましては、時間の関係質問ができませんから、この次また改めてさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  147. 藤田高敏

  148. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 午前中に引き続き、予想される東海大地震について伺いたいと思うのですが、最初に、先ほども触れられましたけれども、去る十六日行われた防災訓練について、地方自治体は自治体なりにこれを総括し、反省をいたしております。その中で、ようやく国の体制が一本化され、県、市町村住民のルートが確立をされて、指示、命令系統も明らかになり、訓練の成果は一応評価できる。しかしながら、あの訓練では情報伝達等中心でございましたので、まだまだやらなければならない重要な項目も残っている。特に情報伝達の機関として、御承知のように半鐘あるいはサイレン、さらに有線、無線を通じての電波の利用等々が行われたわけでございますが、特に放送につきましては、ローカル民放を含めてスポットだけを使ったわけであります。したがって、テレビのあるところ等は、十六日の訓練は前々からかなり大がかりな訓練が行われるという予報が出されておりましたので、県民、関係住民、それぞれもう十五日の日には、あしたは訓練だよ、明けて十六日になればきょうは訓練だぞという認識があったわけであります。したがって全く唐突として行ったわけではございませんけれども、やはりオフィスの中で仕事をしていると、半鐘、サイレン等が聞きにくかったというようなことも反省としてはあるわけでありますし、特に県と市町村との連絡におきましては、電波の割り当てあるいは電話の回線の数等々で、ずいぶん手間取ったというような例もあるわけであります。これはあらかじめわかっている訓練においてしかりでありますから、実際こういうことが起きたという場合の情報伝達等は、より一層混乱することが予想できるわけであります。  そこで、関係県や市町村では、無線の電波の割り当てあるいは電話の回線の増加等が緊急の課題だというように言われております。もちろん関係市町村関係府県でこれらの要請を行うことは当然でありますけれども、これを統轄する国土庁として、当然郵政省なりあるいは電信電話公社なりあるいは放送関係者にその強い協力を要請すべきだというように思うわけでございますけれども、御所見はいかがでございますか。
  149. 柴田啓次

    柴田説明員 去る十一月十六日の訓練でございますが、中央と地方との間では情報伝達が主でございましたけれども静岡県下におきましては約百万人以上の方が動員されるという大規模訓練でございまして、特に実際に避難をいたしました住民が七万人にも及ぶ、あるいは学校、幼稚園等の避難訓練は、小、中、高ほとんど全部、あるいは幼稚園も一部含めまして七十一万人にも及ぶ多数の県民の御参加を得られたことは、私どもとしても非常に感激をしているところでございます。  ただいま御指摘がございましたとおり、この訓練の反省の結果といたしまして、情報の伝達ということが一番の問題になっているわけでございます。  いま御指摘がございましたように、いろいろ情報無線網等につきまして整備をしておりますけれども、従来の情報無線網というのは一カ所で災害が起きるとこれに対応する、こういう形を考えていたわけでございます。その点につきましては、このたび予想されます東海地震のように非常に広範囲の区域にわたりまして大災害が起きる、これに対する対応体制というのは必ずしも十分でないということは私ども深く反省をしておるところでございます。特に県と市町村との間の防災行政無線を県でつくっておりますけれども、これは一つのルートに幾つもの市町村がぶら下がっておりますので十分でない。県はそのために、このたびは県庁、中央で統制するだけでなくて、各地方に設けられておりますいわゆる振興センターというような地方総合出先機関で災害対策を取り仕切る、こういう対策をとったのにもかかわらずやはり無線が満員になってしまう、こういう現象が出ているわけでございます。また、これは中央と地方との間の消防庁の無線でございますが、これにつきましても回線数が少なくて、山梨、神奈川、静岡が一つの回線になっている、そのあきを待たなければ連絡がいかない、こういうようなことが起きてきたわけでございます。  それから、先生の御指摘にもございましたとおりサイレン、半鐘等でございますが、静岡県当局の報告によりますと、アンケート調査をした結果八三%の人は大体聞こえた。山間部、農村等におきましては聞こえたけれども、市街地におきまして密閉性の高い建物にいる人あるいは騒音の非常に激しいところにいる人は、鳴るということがわかっていても聞こえなかった、こういう現象が生じているわけでございます。したがいまして、本当に突然起きたような場合にそれが伝わるかどうか、これについての伝達方法を改善する必要があるということが反省点として上がっているわけでございます。  ただいま直接に御質問にございましたことは、国と地方との連携あるいは県内の防災行政無線網の充実でございますが、これらにつきましては主管は消防庁でございますけれども、私どもの方でもこの充実ということをお願いをし、また御協力を申し上げてまいりたい、そういうように考えております。
  150. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 先ほど同僚委員からもお尋ねしたわけでありますけれども学校ですが、大部分の地域で学校が避難場所になっているわけですよ。しかし教育委員会は、とにかく学校で事故を起こされちゃたまらぬということで、ある時期が過ぎますと家庭へ帰すわけですね。父兄が迎えに来るなり、あるいは教師が付き添うなり、あるいは自主防災組織の担当があってその人が迎えに行くなりと。しかしこれは、やがてまた時間を経ずして避難場所である学校へ戻るというようなことに結果的にはなるわけですよ。過日の二十号災害のときも、教育委員会は児童の退校を指示したのですね。先生が付き添って送り届ける。ところが、いま御承知のような生活状態でしょう。夫婦とも家庭をあけているという家庭がずいぶんあるわけですよ。悪い言葉で言えば、学校は追っ払われた、しかし家にはかぎがかかって入れない。入れたとしても、学童一人か幼い兄弟姉妹があらしにおののいて親の帰りを待っている、こういう状態ですよね。施設における災害を恐れるばかりに、とにかく学校から子供を帰せばいいのだ、こういう気持ちがないわけではないのですね。むしろいまの都市部の学校などは、大部分が一般市民の家庭よりも堅牢にできていて、耐震性もあるし、風や雨にも耐える力があるのですよ。ところが、責任逃れか何か知らぬけれども、とにかく家庭へ帰してしまえという気風が強いですね。これは矛盾だと思うのです。文部省も呼んでおけばよかったのですけれども、大部分の学校が大地震に対して避難場所に指定されているのに、そこから一度帰してしまって、そして避難場所である学校へまた戻ってくるというような矛盾があるのですよ。それもこれも、先ほど同僚委員からお尋ねがありましたように、学校が完全な耐震建築になっていないという点も一つあると思う。もう一つは、いま言ったように責任回避論にもなってくると思うのです。この辺の指導は綿密にしていただきたいと思うわけです。同時に、補助の指定対象学校を網羅していただいて、耐震性の強い建物にする必要があると思うのです。国土庁にばかり聞いて大変恐縮ですけれども審議官静岡のことにも大変明るいので、お答えください。
  151. 柴田啓次

    柴田説明員 教育について大変御造詣の深い先生の御質問お答え申し上げるのははなはだじくじたるものがあるのですが、一つには、やはり子供さんと親御さんというのは離れているのがいやだ、できるだけ一緒になりたい、こういう関係があるわけでございます。  それから、警戒宣言が出てから実際の発災までが数時間でございますと、これは行ってまた戻ってくるというような結果に相なるかもしれませんけれども警戒宣言が出てから発災までの間がどれくらいの時間かというのが、まだ予知で定かにできないような状況でございます。  私ども地震防災の基本計画をつくります際に一番頭を悩まして、また最後まで問題になった点は、学校の生徒などをどうするかということでございます。これはまた地域の実情によっていろいろ違います。かぎっ子の非常に多いところもございますればそうでないところもある。あるいは学校が非常にがけ崩れ等で危険なところもありますればそうでないところもある。そこで、基本計画においては、事前にその保護者と学校との間で十分に相談をして決めておきなさい、この程度の規定にとどめているわけでございます。私どもとしては、現実に各地方公共団体強化計画をつくります際に、教育委員会中心になりまして、それぞれの地域の実情に即して、保護者の意見も聞いて、適切な方法を定めていることを期待しているものでございます。  それからなお、学校耐震性の問題でございますけれども学校は、率直に申し上げますならば空間が非常に多くて柱の少ない建物でございますので、これは必ずしも地震に強いものにはなかなかなりにくいという点がございます。ただ、学校はそこにおります児童の安全のためにも役割りは非常に重要でございます。また、広域な被災が起きた後におきまして、その学校を拠点として救済活動をするというような事態も考えられます。そのようなことでございますので、文部省におきましても、この耐震強化につきましていまいろいろ予算要求をやっているところでございます。私どもとしてはその御協力を申し上げてまいりたい、さように考えております。
  152. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 先ほども答弁がございましたけれども、大地震法に基づいて年一回以上の総合訓練ということで、南関東を中心とした広域な訓練計画のあることも承りました。  どうでしょうか、浜岡の原発を訓練でとめるというのは全くできないと思うのですね。それから、たとえばコンビナートのタンクの油を訓練で抜くということもまず不可能ですね。しかし新幹線は、月に一回と言うとオーバーでありますけれども、年に数回午前中保守強化のためにとめておりますね。今日では、もう何月の第何水曜日の午前中はとまりますよと言えば、利用者は全く理解をしているわけですね。  それから高速道路につきましても、過日不幸なトンネル事故がありまして、長い間片側通行なりやっておりました。私は、訓練というのは、その度数を重ねるごとに高度であり、密度の濃いものになっていかなければ意味がないと思うわけでございます。同じ訓練を再三繰り返すことも必要でありますけれども、やはり大地震対策訓練ならば密度の濃いものにしていかなければならぬ。しかし、全く実行不可能なものは別として、あらゆる角度から、各省庁あるいは民間団体の協力を得て高度なものにしていく必要があると思う。そういう意味で、滞留客の扱い等も非常に問題がありますし、時間的な制限等もあるといたしましても、ある時期には新幹線をとめてみる、高速道路も閉鎖してみるというようなことは絶対必要なことだというように思うわけです。  先ほど同僚委員から発言のありました米軍キャンプは、地震とは関係ないぞというような考え方はないと思いますけれども、今度の訓練でも全く訓練参加する要請はしていなかったという話がありますが、これらにつきましても、キャンプの安全ということだけでなくて、場合によっては災害協力させるというような高度な判断からも、やはりある時期には参加をさせるべきだというように思いますが、私は不勉強で条約その他のことは検討せずにお尋ねしているわけですけれども、どんなお考えでしょうか。
  153. 柴田啓次

    柴田説明員 このたびの訓練におきましても、清水コンビナート特別防災地域におきまして、十四社十八事業所参加をいたしまして、図上訓練のようなものでございますがやりました。またデパート、ホテル等におきましても、三百四十九の施設におきまして訓練を実行いたしておるわけでございます。非常に喜ばしく私ども思っているわけでございます。  ただいま御指摘がございました新幹線あるいは高速道路訓練としてとめるという問題でございますが、これはなかなかにむずかしい問題がございます。日本はいっぱいいっぱいでいろいろなことをやっておりますので、このたびの訓練におきまして、国道一号線において十分間交通規制しただけで、相当延々たる渋滞が生じたということもございますので、相当事前に計画をして、事前に十分御相談をしてからでないと、いま確と来年からやりますというお答えはなかなかしがたいのでございます。できるだけ年を追って高度にするように努力してまいりたいと思います。  それから、最後にお尋ねのありました米軍キャンプの問題でございますが、これは私もつまびらかに行政協定等の内容を承知しておりませんので、先ほども、むずかしい問題もあろうかと思いますが関係機関の御意見もよく聞いていろいろ努力してまいりたい、というふうにお答えを申し上げましたけれども、それ以上のことをちょっとつけ加えることができないことをお許しいただきたいと思います。
  154. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 終わります。
  155. 藤田高敏

    藤田委員長 新盛辰雄君。
  156. 新盛辰雄

    ○新盛委員 午前中の質問でどうしても回答がなかったのですが、この降灰除去事業補助率を一律に三分の二にということは、前から申し上げていることですから、いま検討しておられるのか、あるいはこれは予算編成期に入っておりますから、そういう面でどういう御努力をしておられるかをお聞かせをいただきたいと思います。
  157. 柴田啓次

    柴田説明員 降灰除去事業につきまして、いま二分の一というのが原則的な補助率に相なっております。非常に降灰の激しい地域につきましては三分の二になるという特例が設けられてあるのでございますけれども、私どものいまの検討状況では、これを全部一律に三分の二というのは非常に困難ではないか、さように考えております。
  158. 新盛辰雄

    ○新盛委員 降灰の実情は先ほども議論申し上げたんですが、現実の問題ですね。年間百回を超えるというこの激甚降灰、こういう状況でありますから、防除の事業とこの降灰除去事業というのを、いろいろ種類の立て方が大変だとは思いますけれども、非常に広範囲で、範囲のつかみどころがないんだということですが、そこのところをやはり科学的な諸調査をする必要があるのじゃないか。これはぜひ今後の課題として御検討いただきたいと思います。  農林水産省関係を含めて質問いたしますが、この火山性ガスの科学的な分析を行いつつあるということですけれども、農作物への被害は非常に甚大である。最近では、桜島現地ではビワとかあるいはミカンとか、そういうものの主要生産物、これは換金作物であります。ところが、ガスによって、幾ら袋をかぶせておりましても、その中へ入ってきて、腐ってしまって落ちる。壊滅的な状況でありまして、こうした対応策が早急に立てられなければならない。現地ではそう望んでいるのですが、こうした事前、事後の対策について、どういうふうに進めておられるのか、お尋ねをします。
  159. 塚田実

    ○塚田政府委員 お答えをいたします。  桜島と、私どもの農作物被害の試験についてでございますが、その重要性にかんがみまして、私どもは、昭和四十九年度から鹿児島県に対しまして桜島火山降灰対策に関する研究ということで助成もし、試験事業をやってきたところでございます。そして一定の成果を挙げておりまして、その成果に基づいて防災営農対策など所要対策をやってきておるつもりでございますが、その後、最近に至りまして、先ほど御指摘のように、火山性ガスによる被害が非常に多くなってきているという実情にございます。  そこで本年度、五十四年度からは、降灰被害対策のための研究をさらに強化いたしますけれども、火山性ガスによる被害の重要性に着目して、ガス自動分析器の設置による火山性ガスの実態の調査分析、あるいはまた火山性ガスの農作物への影響に関する調査研究実施することとしております。そこで鹿児島県に対しても、この観点から助成措置を講じているという状況にございます。  それで、何分にも試験研究に着手したばかりでございますので、まだその成果は出てきておりませんけれども、私どもは、鹿児島県自体がやっております研究ばかりでなくて、国のこうした助成試験にもよりまして、成果は極力取り入れて、今後の被害対策にそれを使ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  160. 新盛辰雄

    ○新盛委員 質問をしている間にどんどん時間が過ぎますので、一括して少し言いますから、端的にお答えいただきたいと思うんです。  いまのように試験研究を行いながら、抵抗性作物を選定することなども含めて御検討いただいているようでありますが、この防災施設設備事業の一環で、土壌などの矯正事業というのがあるわけであります。こうした中に有機質の素材投入地域、こうしたものを拡大をしてほしい。これは御承知のように火山灰によって土壌の性質が変わってきます。だから、この際、そうしたことの手入れをする必要があるのじゃないか。この有機質の素材投入を行うべきだ。拡大すべきだ。さらに、灰に強い作目導入事業の諸対策はどうしても必要になってくる。このことについてどう考えているか。さらに、こういう園芸あるいは果樹、農作物が悪いとなれば、これから生計を立てていくためには何をやればいいだろうか。畜産を振興していった方がいいか。これは、畜産関係事業の新設をして地域の営農安定を図ったらどうかということも一面ありますが、豚の値段が上がったり下がったりで、もう大変最近ではこの値下がりで、農家は畜産もやりたくないということであります。一家心中という悲劇も、ミカンがやられたので豚を飼ったら、これまたそれで大変値下がりをして、一家心中という悲劇が現に昨年あったわけでありますから、こうした関係を踏まえてどういうふうな畜産形態をつくり上げていくべきか。五十六年度以降、もっと熱心に政府としてもあるいは県としてもそういう計画をお立てになっているように聞いているのですが、それらについて、その進捗状況あるいは現実可能な措置についてひとつお知らせをいただきたい。  それから、野菜の降灰防止栽培促進事業の補助事業の中の採択基準であります。これは一・五ヘクタールというのが一応基準になっているようでありますが、目つぶしのごとく降ってくる灰であります。一・五ヘクタールを基準というのは少し厳しいのではないか、これを緩和する気はないか。さらに施設園芸の張りかえ、防じんビニール、これはとてもじゃありませんが、ガスは降ってくるわ、最近の爆発は、灰の中に火山礫、自動車のフロントを打ち壊すぐらいのそういう石粒が落ちてくるわけであります。こういうことから普通のビニールハウスも若干補助していただいているのですけれども、これじゃとても間尺に合わない。硬化ビニール措置か、あるいはガラスを張ってみたとてこれは大変であります。その辺の研究と、また助成についてどうお考えになっているかをお聞かせいただきたい。これは農林水産省と国土庁関係になるかと思います。  建設省さらに国土庁関係ありますが、土石流の対策であります。これは国の直轄工事でやっておられる向きにつきましては大変敬意を払いますが、具体的に申し上げますと、地獄河原と言われております黒神川の直轄工事、現在進行しているのですが、全体的な規模、そして拡大、雨が降るたびに土石流が防堤を突き破ってくるというような状況であります。もう少しこの枠の拡大はできないか。それから高免河原の土石流対策防災事業として抜本的な対策を講じていかなければならないのじゃないか。これは県の方から要望が出ていると思いますが、砂防区域設定というのはどうなっているのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。  仁田河原の対策、それから金床沢の水系の治山砂防事業、これらについても現在予算も示達されておりますし、工事も進捗しておるようでありますが、具体的なこれからの砂防の面でぜひひとつ力を入れてもらわなければなりませんが、経過があると思いますのでお知らせをいただきます。  それと小型のロードスイーパー購入、これは各地域で小さな路地に入っていくとかあるいは農道に入っていくとか、そういう防じんあるいは降灰除去事業の一環でありますが、こういう小型のロードスイーパーを買うためにぜひ助成してほしい。建設省が大型のを何台か貸与しているという状況もありますが、これらについて助成ができないかどうか。そして、これは桜島周辺の避難道とも関連がありますが、例の国道、県道などのいわゆる整備計画、どうも灰が降るごとに雨が降って側溝を詰まらせてしまうというような状況や、また爆発と地震と併合でありますから道路の傷みが大変早いということで、こうした補修等についてどういうふうに処置をしていただいているか、これもひとつ明らかにしていただきたいと思います。  大蔵省は見えていらっしゃいませんね——それではいいです、午前中なにしましたから。  さらに社会福祉施設等の整備でありますが、社会福祉施設における降灰防除事業ということについては、大変お骨折りをいただいております。しかし、小規模の簡易児童館だとか簡易な老人の憩いの家とか、こういうことに対しては降灰対策事業費の助成というのが非常に手薄になっています。これらについてどうお考えになっているのか、またどうされるのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思う。  最後に、住民の健康対策であります。現在も健康診断やいろいろ保健衛生対策について実施しておられるとは思いますが、最近の火山ガスの後、住民の訴えている耳鳴りだとか頭痛とかあるいは作業ができない、そういうことに対して、やはり健康管理の問題として、ぜひそれらの対策を立てていく必要があると思いますが、衛生対策についてどういうふうに処置をされておられるかをお聞かせいただきたいと思います。  以上、それぞれの担当部門からお答えいただきます。
  161. 塚田実

    ○塚田政府委員 お答えいたします。  ただいま農林水産省関係について御質問の事項を、宿して順次お答えいたします。  まず、土壌等の矯正事業の問題でございます。土壌等の矯正事業を私ども実施しているわけでございますが、この場合、降灰量が著しく多い等の理由によりまして、酸性の矯正だけでは農作物の生育阻害を防止し得ないと認められるような農地について、石灰質資材をあわせて施用を必要とする有機質資材についても、助成の対象としてもうすでに認めているところでございます。そういう意味で、この有機質資材は助成の対象となっているわけでございますが、その対象地域は、鹿児島県知事が作成した防災営農施設整備計画では、石灰質資材の施用は鹿児島市桜島町等周辺五市長村を対象としております。さらに有機質資材をあわせ施用する地域は、桜島島内及び垂水市のようなボラ土壌地帯、そういうふうになっております。これは、これらの地域が降灰量が著しく多くて、かつボラ土壌であるために、農作物の正常な生育を図るには土壌の緩衝能力を高める必要があるということでございまして、私どもの試験研究結果に基づいてこのようにしているわけでございます。現在のところこの事業は円滑、効果的に進められていると私どもは考えております。  次に、そういう降灰が非常に多い中でどちらかと言えば安全な畜産について、あるいは畜産の共同利用施設も含めましてどうかという御質問でございます。  私ども、現在の時点では畜産は取り入れておりませんけれども、桜島の島内において畜産をやる場合には、申すまでもなく粗飼料が果たしてどの程度入手可能であるか、それから降灰による家畜の生理的影響はどうか、あるいは経営採算的に見て畜産経営が可能かどうか、いろいろ検討すべき事項がございます。また事実検討もしているわけでございます。  他方、鹿児島県においても、今後の防災営農対策をどのように推進すべきかということで、畜産も含めていま研究を進めているところでございます。そこで私どもとしましては、県におけるそういう調査研究の結果を待って、県の方からいろいろまた御要望も出てくると思いますから、その際県と協議しながら、ともに検討を進めていきたい、このように考えております。  次は野菜についての問題でございます。  野菜降灰防止栽培促進のために、採択基準を緩和することはできないかということでございます。この事業の採択基準は、露地における野菜、桑等の洗浄施設の整備等の場合には、御質問のとおり受益面積がおおむね一・五ヘクタール以上、それから野菜の被覆栽培についてはおおむね三千平方メートル以上というように、降灰地域における野菜栽培農家の経営安定を配慮して、私どもとしては通常の採択基準よりもかなり緩和しておるわけでございます。現在のところ、この事業降灰地域の野菜農家の経営安定に円滑に機能していると考えております。そういうわけでございますので、そこでなお緩和するということは現在の時点では考えておりませんけれども、県からなりの御要望があれば今後検討する用意はございます。  それから次に、張りかえ用の防じんビニールの問題でございます。施設園芸の張りかえビニールにつきましては、肥料、農薬等と同じように営農用資材の取り扱いとなりますので、その更新については補助対象とすることは困難でございます。しかし、更新用ビニールは営農用資材であるため、一般的には金融の道で対処することができることになっておりまして、農業近代化資金の融資対象にはなっておりませんけれども、一般的な農業関係の金融は幾つかありますので、対処できると考えております。火山活動周辺地域につきましては、防じんビニールに限って特例的に融資対象としているものもございます。たとえば融資条件の中で、利率は個人が六%、農協七%ということで、近代化資金でも特定のこういう地域に限っては対処しているわけでございます。  最後に金床沢の治山防災対策でございます。これを農林省の観点から申し上げますと、近年における桜島の火山活動によります山地荒廃の状況にかんがみまして、昭和五十一年度から民有林直轄治山事業として、桜島地域については昭和五十三年度末までの三カ年間に約二十二億四千万円を実施しております。五十四年度は約十二億七千万円をもって事業の促進を図っております。  金床沢につきましては、御承知のように、当該流域の降灰状況を踏まえまして、砂防事業と調整を図りながら防災対策実施してきておるわけでございますけれども、火山活動には状況変化もいろいろございますので、そういうものに対応し、昭和五十三年度には全体計画の見直しを行ったところでございます。その成果に基づきまして、五十四年度以降計画的に防災対策を講じてまいる考えでございます。  以上でございます。
  162. 釣谷義範

    釣谷説明員 桜島の活火山の砂防対策につき、まして、建設省事業内容について御答弁いたします。  まず黒神川でございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、黒神川については昭和五十一年度から新規に直轄砂防区域に編入いたしまして、現在砂防工事を鋭意実施中でございます。昭和五十三年度、昨年度におきましては一億八千六百万円、昭和五十四年度におきましては二億五千四百万円と、対前年比一・三七倍と重点的に事業費を投入しまして、事業の促進を図っております。なお、今後も、黒神川の直轄砂防工事の全体計画を見直しまして、枠の拡大を図ってまいりたいと考えております。  また、次に高免河原の土石流対策でございますが、高免河原の土石流対策は、高免河原から下流には現在のところ定まった流路がございません。したがいまして新しい流路を設定する必要がございまして、土石流の今後の発生状況を見まして、下流の流路位置をどこに持っていくかにつきまして、現在慎重に地建の方で検討中でございます。今後地元住民協力を得まして、皆様方の御同意も得まして下流の流路位置を設定し、砂防計画を進めてまいりたい、そういうふうに考えておりまして、現在その件につきましては、鹿児島県あるいは鹿児島市それから桜島町とかあるいは地建の内部で検討を進めております。  それから仁田河原の砂防対策でございますが、桜島町におきまして現在関係機関と協力しまして鋭意防災対策実施しておりますが、林野庁当局でもおやりになっておりまするので、先ほどお話がありましたようにいろいろ調整を行いまして、下流の河川の古河良川について現在補助砂防事業実施しております。今後とも土砂対策を積極的に進める所存でございます。  それから金床川の治山砂防対策でございますが、先ほども答弁がありましたように、金床川の砂防対策につきましても、やはり林野庁との関係もございまして、調整を図りつつ現在実施しております。それで五十四年度から、土砂対策としまして、町道から下流部分につきまして補助砂防として事業に着手したところでございます。今後も桜島の噴火活動、上流域の降灰状況を勘案しまして、積極的に土砂対策の促進を図っていく所存でございます。  以上でございます。
  163. 川合恒孝

    ○川合説明員 先生お尋ねの道路降灰除去に対する小型の道路スイーパーの助成に関してでございますが、降灰除去の補助と同じように、機械の購入についても補助の対象とするというような方針で対処していきたいということで、現にことしに入りましてから垂水市から購入の要望がございまして、その線に沿って現在作業を進めているという段階でございます。     〔委員長退席、伊賀委員長代理着席〕
  164. 山科喜一

    ○山科説明員 似島周辺の国県道の整備計画についてお尋ねでございます。  周辺道路につきましては、避難施設緊急整備計画に基づきまして四十八年度から事業実施してございます。国道につきましては五十一年度、県道につきましては五十三年度にこの計画をそれぞれ完了して、現在町道の事業を鋭意実施中でございます。  この緊急整備計画以外の個所の事業につきましても、一般国道の二百二十四号あるいは早崎−桜臨港線という県道がございますが、この二百二十四号につきましては、防災事業等を中心にいたしまして、現在局部的に改良事業実施しており、また早崎−桜島港線につきましては、未改良区間がまだ半分ほどございますけれども、現在、道路改良及び特改一種というような事業で、逐次その整備を促進しておる。舗装は一応終わっておりますけれども、その拡幅に努めておるところでございます。  それから、道路の傷みが非常に早いという御指摘でございました。これにつきましても、それぞれの道路の管理者におきまして迅速に補修するように、私の方からも要求をいたすつもりでございます。
  165. 大池真澄

    ○大池説明員 健康の関係についての御質問お答え申し上げます。  桜島の降灰に関連した住民の健康問題につきましては、地元県の衛生部を中心市町村関係機関団体と連携をとって、対応の努力が行われておるところでございますが、厚生省におきましても、これにこたえ特別に研究班を組みまして、調査研究に昨昭和五十三年度から取り組んでおるところでございます。その研究班におきまして、臨床分野の専門家並びに公衆衛生分野の専門家を配しまして、同地におきます灰その他の環境の測定データと住民の健康との関連について、現在鋭意御研究をいただいておるところでございます。  五十三年度じゅうにおきまして、地元において行われております健康診断のいろいろなデータそれから測定データについて、現在いろいろ検討していただいておるわけでございますが、灰そのものに直接起因する病気というような所見は、これまでのところ、幸いにも特に見出されていないという状況でございます。  なお、先ほど申し上げましたように、昨年からことしにかけまして、特にことしの春ごろからと伺っておりますが、噴煙の状況がやや変わってまいりまして、従来高く噴き上げておったのが風向きによってはややふもとにたなびく。その際にガスも従前よりは問題になってきておるというような状況に呼応しまして、五十四年度におきましても国の研究班は引き続き継続することといたしまして、従来の健康診断を中心に置きながら、その地域におきます環境測定データを関係機関の方からも入手いたし、また補強する必要があるデータについてはその研究班自体でもさらに補強いたしまして、測定体制等もこれに合わせまして常時測定の個所数を従来よりも一カ所増設するとか、測定項目をさらに手厚くするというようなことで、五十四年度も引き続きこういった調査研究に取り組んでおるところでございます。
  166. 伊賀定盛

    ○伊賀委員長代理 薮仲義彦君。
  167. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は午前中に引き続いて質問させていただきますが、午後は特にダムの防災の問題について質問させていただきます。  大臣が所用で欠席のようでございますが、政務次官お見えでございますから、大臣にかわって、われわれの質疑の様子の中からこの問題の対策の重要性を勘案いただいて、篤と御努力いただきたい、こう思うわけでございます。  委員長、政務次官にこれをお見せしたいのですが、よろしゅうございますか。——質問の中でその写真のあれを御説明させていただきます。  私はダムの災害について質問いたしますが、日本の地形、降雨量を有効に活用しようということで各地にダムができておるわけでございますが、御承知のように、農業の灌漑用水あるいは洪水調整というようなことで、治水を目的としたダムあるいは発電ダム等その種類はさまざまでございますけれども、私がきょうここで問題にしたいのは、治水を目的としたダムではなく、いわゆる利水ダムに焦点をしぼってお伺いしたいわけでございます。  エネルギー庁の方からいただいた資料でも、発電ダムは発電のエネルギーを必要とするために非常に急流のところにダムを設置してある。この事情からでしょうけれども、いわゆる堆砂によるワ−ストダムはほとんど発電ダムになっておるのですが、このダムが、本来の機能、目的を果たすこととは別に、このまま放置しますと逆に非常に大きな災害の原因になりかねない。ですから、ダムに対してこの辺でもう一度見直しをしていただきたい。ダムがそこに設置されたことによって、一つはダムの上流部に堆砂が生ずる。いま政務次官にお渡しした「静岡・田代」と書いてあるのは、その堆砂の現状です。設置する以前の昭和三十年ごろと比べると、現在では河床が十メートル以上上がっているわけです。あるいはそれによって洪水時の水位が上がってくる、あるいは下流に冠水地域ができてくる。ダムのゲートからの放流は、エネ庁さんがおっしゃれば、従前の機能を維持するために四十分遅く放流していますから、相当以上に災害を抑えておりますという御説明は十分承知の上で申しておるわけでございますが、下流においては非常に大きな冠水状態が起きてくる、こういうことをきょう問題にしてお話をしたいわけでございますが、いま申し上げましたように上流部で河床が上がるという問題、洪水時の水位が上がるという問題を中心質問をしてまいります。  これは全国的な問題ですが、きょうは大井川水系にだけしぼって質問をさせていただきますが、まず水系でいくならば小さなダムで大間ダム、干頭ダム、これは堆砂の影響でほとんど満砂の状態です。それはさておきまして、笹間川に笹間渡ダムが設置されておりますが、お渡しした写真には載っておりませんが、笹間もダムの上流部で堆砂が起きておる部落でございます。ダムが設置されるとき、そこに住んでいらっしゃる部落の方は、桑ノ山という部落でございますが、ダムができればむしろ被害は少なくなりますよ、発電ダムであっても被害は食いとめられるのです、そう言われて、ダムの建設に同意した。ダムができた当時は、その桑ノ山という部落の中央を通っている県道の三メートルぐらい下に河床があった、そこから上は水が上がりませんよ、こういう説明で、部落の人はダム設置の同意書に判こを押した。ところが、現在どうなったかというと、その県道より上がること八メートル、ここまでは危険区域です、ここから下は水没の危険がございますという事態に立ち至っているわけです。  そこで、建設省の方お見えだと思うのですが、このように危険な状態になってしまったということは、一級河川ないしは、河川にこのようなダム等の構造物をつくる最終責任建設省にあるわけでございまして、この笹間ダムに限って言えば、このように河床が上がること、水没すること、桑ノ山部落十九戸のうち十一戸が水没する、こういう被害を想定しておったのか、それとも想定した見通しよりも見込み違いでこのように水位が上がってしまったのか、その辺簡単にお答えいただきたいのです。
  168. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  発電ダムにつきましては、河川の従前の機能を維持させるということで、ダム操作規程を設けさせまして必要な容量を確保させてやっておりまして、今回のダム操作の問題でも、ダムによって洪水が助長されたということは、私ども調査においてはありません。  大井川につきましては、治水……(薮仲委員「笹間渡ダムのことだけです、私が質問したのは。それだけ答えてください」と呼ぶ)そういうことでございます。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 笹間渡ダムの、この水没することを想定したのかどうかということを聞いたのですよ。よく質問内容を聞いておいてください。
  170. 堀和夫

    ○堀説明員 笹間渡ダムにつきましては、ダムの設置に起因することに対しまして、ダム操作規程で影響がないように対応させてつくらせたわけでございます。異常な洪水、大きな洪水が出てまいりますと、ダムによって、入った流量を下流に、そのまま増加させることなく出しますので、下流では洪水が生ずることはあるわけでございます。
  171. 薮仲義彦

    薮仲委員 よく私の質問をきちっと聞いて答えてください、時間がないのですから。  私の聞いているのは、笹間渡ダムについては、洪水の調節なんかを私は聞いたのではない。私の聞いたのは、笹間渡ダムの堰堤をつくるとき、桑ノ山の部落十一戸が水没するということを建設省は想定して、ダムの建設を許可したのか許可しなかったのか。それとも、いま申し上げたように、当時は県道から下の三メートルより水位は上がりませんよというのが、このように上がったのは、堆砂がふえて見込み違いでこうなったのか、どっちなのかと聞いているのです。どっちなのです。時間がないからちゃんとその点だけきちっと答えなさい。
  172. 堀和夫

    ○堀説明員 当時は想定しておりませんでした。ただ、災害が起こったところはダムから下流でございまして……
  173. 薮仲義彦

    薮仲委員 それだけ答えればいいのですよ、ポイントだけ。  想定していないということは、明らかに見込み違い。いま課長がおっしゃったように、いわゆる河川管理者として、河川のダムができても、その河川の従前の機能を維持するということは、そこに住んでいる部落の人は、少なくとも、このダムができたことによって河川の河床が上がって水没する危険ということはありませんと部落の人は言われた。それが上がったということであるならば、建設省はむしろ、監督責任の上から、河床を下げて部落の安全を図るべきだと思うのですが、どうですか。
  174. 堀和夫

    ○堀説明員 十分調査して、必要な措置は講じたいということでおります。
  175. 薮仲義彦

    薮仲委員 その次は、政務次官にお渡ししたその静岡の井川の上流部田代、それも同じように堆砂の現状です。これは部落では非常に危険を感じております。この堆砂についても、建設省は十分調査をして河床を下げていただきたいと思いますが、いかがですか。
  176. 堀和夫

    ○堀説明員 十分調査して、毎年堆砂状況については調査して、必要な措置をとらせております。
  177. 薮仲義彦

    薮仲委員 毎年調査してというのは、それはいま、私も河川法はよく徹底的にはやっておりませんけれども、河川法を読む限り、これはその構造物を設置した設置者が調査をやって、建設省が独自で河床の調査をやるということにはなっていないようです。  私が申し上げたいのは、いまこの井川の部落の人は、その政務次官にお渡しした写真を見ればわかるとおり、昭和三十年のころより十五メートル以上河床が上がっているのです。この状態に対して、地元ではこの堆砂を少し下げてほしい。——いまの二十号台風のようなときには水位が上がって危険です。この写真はちゃんと開発課にお見せしてある写真です。その危険な状態を少なくするために河床を下げてほしい。これに対して建設省は、調査をしておりますではなくて、下げるか下げないか、明確な御答弁をいただきたいと思います。
  178. 堀和夫

    ○堀説明員 現在、井川ダム上流の堆砂につきましては、中部電力で用地買収等必要な措置を講じているところでございますが、これだけでは十分でありませんので、この堆砂を下げる措置で、たとえば貯水池の水位低下とか、場合によりましては掘削とか、こういう措置について検討しておるところでございます。     〔伊賀委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がありませんから、どうかそのことで真剣に対応をしていただきたいと思うのです。  次に私がお伺いしたいのは、先般の二十号台風による、先ほど来私が質問しないのに何回もお話しになっているダム操作規程、今度はこのダム操作規程についてお伺いします。  これは井川のダム操作規程です。これは建設省が許可した操作規程でございますから、十分御承知だと思うのです。このダム操作規程によりますと、ダムを放流する以前にサイレンを鳴らして住民の方に放流を通知します。「十分前に四分三十秒」こういう看板が大井川を歩けばどこにも立っているのです。川には数多くのダムと発電所があり、ここが、降雨のときや工事のため放流し、川の水が急にふえて危険なことがあります。放流するときはサイレンを鳴らします。これは住民がよく知っているのです。放流の十分前に四分三十秒鳴らします、こうなっているのです。  私は手元に、資源エネルギー庁から畑薙第一、畑薙第二、井川ダムの放流並びに発電流量のデータをいただいております。これは建設省も当然掌握しているところだろうと思うのですが、これは十八日、十九日に井川ダムが発電もしくはゲートから放流した数字が出ているのですが、この十八日、十九日の数値からいくと、どの時点で放流の通知をここにある操作規程の各方面にしなければならないか。何時何分にしなければならないのか。まず建設省、その次にエネ庁からお伺いしたいと思います。
  180. 堀和夫

    ○堀説明員 操作規程によりまして、ダムから放流する場合は、事前に関係機関へ通知することになっております。井川ダムにつきましては、十月十八日の二十時十分から二十五分の間で、操作規程に定められた関係方面に通知しておるところでございます。
  181. 飯島滋

    ○飯島説明員 ダムの放流をするに当たりましては、ダム操作規程に基づきましてあらかじめ報告をすることになっておりますが、今回の場合、井川につきましては、十八日の日に関係先に報告をして以来、その後は報告をしておりませんでした。(薮仲委員「十八日の何時か」と呼ぶ)十八日の二十時十五分に静岡河川工事事務所に通知をしたほか、島田土木、井川支所、井川農協、井川警察、本川根町役場、本川根町警察、長島ダム事務所、こういったようなところに逐次連絡しておりますので、一番早いところで二十時十分、遅いところで二十時二十五分ぐらいに報告しております。
  182. 薮仲義彦

    薮仲委員 そういう答弁が返ってくると思いまして、私は本川根町——ダム操作規程を政務次官も後でよく検討していただきたいのです。この井川ダムの操作規程には、通知すべきところとして、島田土木、井川支所、井川幹部警察官派出所、本川根町役場総務課等々が載っているのです。この中の二カ所だけ調べてみた。これは、木川根町がいわゆる放流通知を受けたときに記録している控えです。そのままコピーしてきた。これによりますと、残念ながら、十八、十九両日ともに井川ダムからは何の連絡も入ってないのです。島田土木へ連絡しましたとおっしゃった。確かに島田土木事務所に、十八日の時点で入っているきりです。私がなぜこれを申し上げたいか。政務次官、さっきの三番、四番のあの写真をもう一回見てほしいのです。あそこはどういう事態になったかといいますと、午後二時半程度のときに、おばあさんが背負われて逃げてきているでしょう。十九日にはサイレンも一回も鳴らないのですよ。放流する十分前に四分三十秒鳴らしますよというのですが、このサイレンを聞いた方が本川根町からずっと歩いてもどこにもいないのです。そんな鳴らし方なんです。なぜ私が言いたいか。しかも、その写真は十九日、翌日なんです。翌日はどこからも通報がないのです。ダムから放流しますという通報がないのです。  これは後でごらんいただきたいのですが、これが井川の放流の記録です。これでいきますと、一番放流したのが、この図面でわかるとおり大体二時に最高の放流をやっているわけです。これでいきますと、もう千六百トン前後ここからだあっと流しているわけです。それによって、そこの青部部落とか川根部落が一気に増水したわけです。そのとき事前に部落の人にはサイレンも何の通報もない。急激に増水してきたから、部落の人はあわてふためいて逃げた。それは昼間の事故ですからいいですけれども、これが真夜中だったら一体どうなるか。寝耳に水とはこのことで、どれだけ大きな被害が出るかはかり知れないのです。  ですから、このダム操作規程に、十分前に四分三十秒なんといっていまエネ庁さんおっしゃったけれども、受けている方では受けてない。これで住民を避難させることなどできたものではない。私がもう一度建設省並びに資源エネルギー庁に指摘しておきたいのは、ダムの操作規程をもう一回見直しなさい。放流のときだけじゃない。いまエネ庁さんも建設省の方も、二言目には発電ダムには治水の責任はありませんとおっしゃる。確かにそのとおり。従前の機能を維持するとおっしゃる。そのとおり。でも、それによって受ける被害というのは大変なものです。人命に損傷を来したら一体どうなるか。ダム操作というものは、ただ放流のときじゃなくて、これ以上、いわゆる千トンなり千五百トンなり流すと下流で溢水しますよ、河道改修が完全じゃないのですから。溢水する危険のある河川、ダムについては、単なるこんなダム操作規程じゃなくて、現状に即して、洪水流入量がふえました、これからダムのゲートからは千トン以上水を流します、ですから住民の人は危険ですから逃げてくださいというような通報をしなければ、被害を受けると私は思うのです。  そういう意味で、きょう指摘しておきたいのは、ダムの操作規程だけではなく、いわゆる洪水に際してゲートから最高の放流をするときには、部落の方が十分避難できるような対応をとりませんと、温水して部落が水没する現状にあるわけですから、きょうは時間がないので余り細かく追及できなくて残念ですが、この点はどうか検討していただきたい。  それで、これは大臣によくお伝えいただきたいのですが、この井川のような大きなダムは、発電ダムですけれども洪水調節できる能力があるのです。この図面を見ていただきますと、満水位まであと二メートルある。二メートルといいますと、約八百万立方ぐらい貯水能力があるのです。雨が降りまして、この井川の洪水で、二十号、ものすごい雨量です。一番最高の流入の量はどのくらいか、毎秒二千トンです。それもわずかです。いま満水位まで二メートルあるというと、毎秒二千トンの水が入ってきても井川ダムならば約一時間以上はたえられるのですよ。そしてゲートから排出する量を調節していただければ、下流において被害をある程度食いとめることができるんじゃないか。ですから、私は、今後関係省庁検討していただきたいのは、発電ダムだからといって、既存の河川法やダム操作規程によらないで、もう一度、河道改修が完全でない時点において、またダムのゲートを開いたことによって下流に被害が起きると想定される場合には、もっと綿密なダム操作規程に改めていただきたい。あるいは、それができないのだったら、完全な河道改修を早急にやるか、どちらかです。でも河道改修は困難だと思います。ダム操作規程によってこの辺は今後十分対策を考えていただきたい。きょうは本当に時間がなくて残念でございますが、どうかこれはまとめて政務次官として、大臣にかわって、このようなダムの操作についてはもう一度専門の立場から見直していただきたい。この点、政務次官にお答えいただきたい。  もう一つ建設省にお伺いしたいのは……
  183. 藤田高敏

    藤田委員長 結論を急いでください。
  184. 薮仲義彦

    薮仲委員 済みません。  長島ダムの水没による大井川線のつけかえで、アプト式の鉄道を地元では要望しておりますけれども、これに対して建設省はどういう対応をするか、この二つだけ伺って、終わりたいと思います。
  185. 望月邦夫

    ○望月(邦)政府委員 ただいまのダムの件でございますが、間々、台風等のときにおきまして、いままでもよくダムによる事故というものが起こっておるわけでございます。自来、操作規程を大分細かくいたしまして、できるだけそういった災害が起こらないようにするということでございますけれども、私もいま初めて大井川の内容につきましてお聞きしたわけでございますので、今後建設省あるいはエネルギー庁とも十分連絡いたしまして、皆様方に迷惑のかからないダム操作規程をつくらなければいけない、かように考えておる次第でございますので、あとしばらく検討させていただきたいと思います。
  186. 堀和夫

    ○堀説明員 長鳥ダムで現在の大井川鉄道のつけかえが必要になるわけでございますが、大井川鉄道はこの地域にとって非常に大事な鉄道であるということは十分認識いたしまして、この地域の地域整備あるいは生活再建という問題に対処することにしております。十分調査して、必要な措置関係方面と協議してやります。  アプト式については、山岳鉄道の一つの方法でありまして、十分検討すべきものと考えておりますので、十分調査して対応することにいたします。
  187. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  188. 藤田高敏

    藤田委員長 林百郎君。
  189. 林百郎

    ○林(百)委員 私は午前中、気象庁の予知体制をもっと充実する必要があるんじゃないか、予算的な措置も充実する必要があるんじゃないかという質問をしたわけですが、何ですか、人工予知気球を揚げて、それで相当の機能を果たすという説明がありまして、それで現在の乏しい体制が解消されてしまってはならないと思いますので、その気象庁の言う火山の現状等を予知するための人工気球というのは、どういう機能を持って、いつごろをめどにして実現されるのか、はっきりさせていただきたいと思うのです。それで、せっかくの気象庁の現状の体制を強化しようという、それが解消されてしまうと心配なので、はっきりお聞きしておきたいと思うのです。
  190. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  先生、前の私のお話のときに若干説明が足りなくて御理解願えなかったと思いますが、具体的に申しますと、現在ランドサット二号、三号が、いわゆる陸地衛星が揚がってございます。そういうことで、その中にいろいろな機械が盛り込んであるわけでございます。これは必ずしも火山そのもののあれじゃなくて、陸地全般のいろいろなことをいわゆる写真でとる衛星でございますが、その中で、火山にも利用できないだろうかということで、現在五つの機関で、宇宙開発公団の御理解といいますか御協力を得まして、その写真から、たとえば熱の状態とか、あるいは地形の変化の状態がわからないだろうかという研究を現在行っているわけでございます。それは当然精度の問題、専門的に言いますと、分解能といいますか、その問題がございますので、やはり研究してみないと正確にはわかりませんけれども地震と違って火山の場合は、場所は非常に狭い地域でございますけれども、変化が非常に大きい。たとえば熱が非常に周囲よりも差が大きいとか、地形も差が大きい。たとえば有珠山の場合ですと、一日に何メーター、ですから、一カ月に直しますと相当なものです。そういう変化がとれるわけでございます。そういうことを異常監視の中で取り入れたい。果たしてそういうことができるのだろうかどうかということを現在研究しておる状態でございます。  以上でございます。
  191. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、現在研究をしておるということで、火山現象を観測するデータが正確に出てくるので、いつを期してそういう装置を入れたものにする、こういう決定的なものではないということなんですね。そういう複雑な火山の状態を観測できる可能性があるかないかということを研究中だということなんですね。そう聞いておいていいですか。
  192. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  そのとおりでございます。
  193. 林百郎

    ○林(百)委員 文部省おいでですか。——御岳山噴火について、常置の観測体制をとってもらいたいという希望が非常に強いので、いま東大あるいは名古屋大学等の観測班が来て、ずっと腰を据えてやっていることはやっているのですが、これはずっと先まで観測するということにはなってないのです。信州大学には地質学科はあるのですが、あれだけの活火山を持っている長野県の大学に、火山のゼミナールかあるいはそういう研究の教授を置くとか、そういうことがありませんが、将来そういうものを信州大学の中に設置する、あるいはそういうゼミナールを置くというようなことは考えられないのでしょうか。大分そういう要望があるのですけれども
  194. 七田基弘

    ○七田説明員 お答え申し上げます。  大学サイドの方の研究は、現在、お話のように東大、名古屋大学を中心にいたしまして御岳の方の観測をやっているわけでございます。  それで、この火山噴火予知につきましては、実は文部省にございます測地学審議会が中心になりまして全体計画をまとめておりまして、そこで実はいろいろ地方大学の協力というような問題も一応考えてみたことがあるのでございますが、いまのところ、やはり研究者がある程度おり、そして研究能力のあるところで、いま申し上げましたように東大あるいは京都大学あるいは名古屋大学というところが中心になっているわけでございます。  しかしながら、今後の問題といたしまして、これは大学等からのいろいろな要望もあると思いますし、測地学審議会の方のいろいろな物の考え方もあると思いますので、そういうことを勘案しながら検討していきたいというように考えております。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 地元からの共通の要望で、降った火山灰が、雨が降るとかあるいは雪解けの時期になって泥水化あるいは泥土の状態で流れ出してくれば、これが一つの新しい災害を引き起こすので、これに対する対策を講ずる必要があるのではないかということが強く要望されておるのですが、これは建設省の管轄になるのですか。これについては何か対策を考えておられるのでしょうか。
  196. 釣谷義範

    釣谷説明員 お答えいたします。  ただいまおっしゃいました御岳山降灰によります泥流災害の発生の懸念に対しましては、まず今年度緊急対策といたしまして、降灰量が非常に大きかった白川流域のところに、たまたま既設の高さ十五メートルの五万立米を貯砂する砂防ダムがございますので、そのダムの堆砂を三万立米除去しまして、とりあえずそれによりまして融雪期の泥流流出に備えることとしております。  なお、現在降灰の分布状況並びに泥流発生の実態等を調査することにしておりますので、五十五年度以降において砂防ダム等の新設等の対応を考えたい、かように考えております。
  197. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ、あそこに牧尾ダムという、大きな飲料水用のダムがあるのですが、この周辺の地質にもし異常が生じているとすれば、このダムの崩壊によって大きな水害が生ずるので、連続的な地動がまだやまないような状態なんですけれども、この牧尾ダム周辺の地質について、これが万一決壊するようなことがないかどうかについての、そして下流全域に不測の災害を起こすようなことがないかどうかというような調査はされているのでしょうかどうでしょうか、これは建設省だと思いますが。
  198. 川合恒孝

    ○川合説明員 牧尾ダムにつきましては、管理は水資源開発公団が管理をしておりまして、その辺の事情は詳しく把握しておりません。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、建設省責任がないのですかね。万一の事態に備えて、その付近の地質を調査して、ダムに対する災害防止のための施設強化というようなことの行政指導は、なさらなくてもいいのですか。
  200. 望月邦夫

    ○望月(邦)政府委員 あのダムは愛知用水がつくりまして、自来水資源公団に引き継がれまして、現在水資源公団が管理しておるわけでございますが、水資源公団で、ああいう濁水あるいは地震等に対しまして、恐らく、私も詳しくは存じておりませんけれども、いまいろいろと調査班を現地に置いて調査しつつ、監視しておると思います。そういうことにつきましては、逐次建設省と連絡をとりながら監視をしておるという状況であろうかと思います。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。両者で十分調査をされまして、万一ダムの決壊による災害の起きないように、水資源開発公団と建設省と両者が相緊密な連絡をとり合って、そして地元の住民の不安を解消するようにしていただきたい、こういうように思うわけです。  それから、これは厚生省になるのですか。ここは簡易水道なんですけれども噴火によりまして水質に異常は認められないのかどうか。大丈夫、この噴火後の水をそのまま飲用水に用いておっても、人体に被害がないというような調査結果は出ているのでしょうか、どうでしょうか。  この前私が気象庁からお聞きしましたときに、いま噴出された灰の分析をしているところでという段階だったものですから、その後どうなっているのか。噴出された灰がどういう性質のものであって、それが飲用水にどういう影響を与えているか。農作物は幸いにして出荷後でありましたので大した被害はないようでございますが、その後飲用水についてどういう影響があるか、また噴出された灰の性質、これをちょっと説明していただきたいと思います。
  202. 山村勝美

    ○山村説明員 お答えいたします。  灰と水質影響でございますが、直後、長野県の衛生公害研究所等で灰及び水の分析を行いました。その結果、周辺の土壌とそれほど大した変わりがないというふうに聞いておりますし、水質については十分把握いたしておりますが、有害物質等の含有量等は水質基準に適合をいたしております。問題はございません。
  203. 林百郎

    ○林(百)委員 降ってきた灰の内容についての分析した結果を、ちょっと説明願えないでしょうか。水に対しての影響はわかりましたけれども、どういうものが含まれていたかということ。
  204. 山村勝美

    ○山村説明員 私、水質の方はその表を見てよく理解できるのでありますけれども、灰の分析結果は間接的にいただいておりますが、これがほかとどう違うのかとか、そういうことについてちょっと説明しかねますので、また後ほど必要があれば資料をお届けしたいと思います。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 気象庁ではわからないでしょうか。この前私のところに来てくださった方は、いま分析中でありますので、たとえばガラス分が含まれているかどうか、それによって野菜の出荷時にどういう注意をしなければならないかというような結果が出てくるんだという説明を受けているのですが、気象庁ではつかんでないでしょうか。
  206. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  恐らく、その値は工業大学の小坂先生がされた値か、あるいは荒牧先生の値かどうか存じませんが、私たちの方で正式な形で、気象庁自体がその分析をしたわけではございません。十一月十九日に行われましたときには、灰の中に、いわゆる分析の中に高温といいますか、温度の高い物質のものが若干含まれているという報告を受けておりますけれども、具体的な詳しいことのあれが現在私の手元にはございません。
  207. 林百郎

    ○林(百)委員 降ってきた灰の内容がどういうものかということがわからなくて、それで飲料水については心配ありませんとか、あるいは土壌については大した影響ありませんというのは、ちょっと国会の答弁として、われわれの質問に対して余り科学的な答弁とは聞こえないわけなんですが、やむを得ないと思います。もしその結果がわかりましたら、私のところへ個人的で結構ですから届けていただきたいと思います。  農林水産省にお尋ねしますが、これはあるいは素人の考えだ、専門的な考えでないから心配がないということがあるかもしれませんが、降灰によって農地が酸性化する心配はないだろうか。したがってこれをアルカリ性にする必要があるので、それに対しての農林水産省の指導と援助を、援助というのは財政的な援助ですが、お願いしたいという要望が地元から強いのですが、これについては農林水産省ではどういうようにお考えになっているでしょうか。
  208. 塚田実

    ○塚田政府委員 お答えいたします。  確かに、噴火が起こりますと土壌の酸性化が心配されるわけであります。酸性化いたしますと、御案内のように作物の生育に非常に大きな影響を及ぼすわけでございます。そこで、私ども県にも照会しておりますけれども、長野県の調査によりますと、大幅な酸性化の心配はないというふうに聞いております。  そこで、こうした酸性化に対処する事業といたしましては、私ども、農地災害復旧事業あるいは防災営農対策事業、これはいろいろありますけれども、特に農地災害復旧事業についてやるにせよ、県の方は大きな心配はないということで、助成についての要望は来ておりません。そこで、今後は長野県と連絡をとり、そういうことが必要であるかどうかを含めて検討してまいりたい、このように考えております。
  209. 林百郎

    ○林(百)委員 降灰の化学的な分析、物理的な分析もしておらないわけですから、農林水産省としても、どういう対策を講じて将来の農業の経営に保証を与えていいかということが十分にならないのもわからないことはありませんけれども、これによって耕地が化学的、物理的被害を受けたものに対しては、十分援助をして農業経営ができるようにしていただきたいと思います。  あともう二点ほどごく簡単なことを聞いておきますが、避難体制を確立する上に必要なことで、基幹道路である国道三百六十一号線の地蔵トンネルの開通を促進してもらいたい。もちろん県道やそのほかの改善もありますけれども、この国道三百六十一号線の地蔵トンネルの開通ということは考えられますかどうか。建設省どうでしょうか。
  210. 山科喜一

    ○山科説明員 三百六十一号の地蔵峠の現在の道は非常に急なところにございまして、これを直すにはどうしてもバイパスが必要でございます。それと、千五百メートル以上のトンネルが必要になってくるんじゃないかと思います。この区間が大体四・八キロほどございます。  ことしから国の補助事業として県が工事に着手したばかりでございまして、まだ相当多くの事業費を必要とするものですから大分時間はかかるかと思いますけれども、とにかく来年度中には用地買収と何とかそれの粗工事で前に進んで、トンネルの入り口まででもとにかく到達したいということで、今後鋭意努力する、このように考えております。
  211. 林百郎

    ○林(百)委員 最後に、これはどこの省庁に聞いていいかわからないのですが、やはり地元の要望です。御岳山噴火のために、山ろく地域にある民宿に対するお客がキャンセルして、非常に広範囲にわたって、あれは夏の信仰の山ですし、それからスキーシーズンに入っても被害があるのではないかということで、非常に民宿がさびれている。これも自然災害によるので、こういうような被害に対して講ずべき、あるいは長期低利の融資をするとか、返済資金の延納の措置をするとかいうようなことが非常に強く要望されているんですが、こういう措置を、これは現行法の火山法によっても、どうもそれに該当する部分が見えません。火山法の十八条に「国及び地方公共団体は、火山現象による自然環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響の調査及び研究を推進し、その成果の普及に努めるものとする。」その成果の普及に努めるものとありますけれども、現実に経済的打撃を受けた者に対する長期、低利の融資だとかあるいは資金返済の延納措置をしてやるとか、そういう具体的なことは書いてありませんので、どうも、火山法の十八条をそのまま適用するといって、私たちも相談を受けたとき答えるわけにもいかないんですけれども、何らかの方法がありますか。これは何省でも結構ですが、管轄の省から聞かせていただきたいと思います。
  212. 柴田啓次

    柴田説明員 登山規制の問題でございますが、これは噴火当初におきましては、山頂から五キロメートルまでを登山規制したわけでございます。十一月十九日に火山噴火予知連を開きまして、その結果を連絡することによりまして、関係町村におきまして三キロまでこれを縮めたわけでございます。したがいまして、いまのスキー場というものは禁止区域から外れているわけでございます。  問題は、来年の夏の問題でございます。来年の夏の問題に関しましては、来年の二月ごろにまた噴火予知連を開きまして、その結果によりまして、危険がないということであればそれを御連絡申し上げまして、関係町村におきまして適切な措置がとられる、こういうふうに相なろうかと思います。  なお、いま現実に民宿等においては被害が出ておりません。有珠山の爆発におきまして相当の被害が出ましたときには、閣議決定をもちまして中小企業者に対する融資、ホテルに対する融資等を行ったわけでございますが、いま現実に被害が起きておりませんので、後段の御質問につきましてはいまのところちょっと措置のしょうがない、こういうことでございます。
  213. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、もし……
  214. 藤田高敏

    藤田委員長 時間が過ぎておりますから、簡単にやってください。
  215. 林百郎

    ○林(百)委員 はい。——もし現実に被害が生じているということがはっきりし、それで皆さんが納得するような数字が出るとすれば、有珠山でとったような措置を講ずることもあり得る、現状ではありませんけれども、あり得ると言っていいんでしょうか。
  216. 山口務

    ○山口説明員 被害が心配されます方が大部分中小企業者であるということで、中小企業庁からお答えいたします。  火山法の問題はさておきまして、一般的に、中小企業者が被害を受けました場合には、災害貸付制度という制度があって、これを適用しておりますが、本件につきましては、先ほど国土庁から御説明がありましたように、現在のところまだ被害が現実のものにはなっていないというふうに理解いたしておりますが、中小観光業者等のキャンセルによります当面必要な運転資金につきましては、現在長野県におきまして中小企業振興貸付資金制度という制度が設けられておりますので、これでもって対応できるというふうに考えております。ちなみに、金利は六%、限度額は運転資金について九百万ということで、かなり有利な制度でございますので、これを御利用いただければいいかと思います。  それから、すでに借りております既往貸付金の返済につきまして、その返済猶予というお話でございますけれども、本件につきましては、個々の中小企業者の実情に即しまして窓口で相談に乗りまして、返済猶予が可能になりますように政府関係金融機関を指導しておりますので、御相談においでいただきたい、こういうふうに思っております。
  217. 林百郎

    ○林(百)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  218. 藤田高敏

    藤田委員長 吉原米治君。
  219. 吉原米治

    ○吉原委員 午前の質問に引き続いて質疑を行います。  先ほどもお話を申し上げましたように、島根、鳥取両県のちょうど境界に当たる地域にあります美保湾におきまして、昨年秋以来しばしば異常高波が発生をいたしまして、鳥取県側の対岸に当たる島根県の美保関町の町内の道路や港湾などに、甚大な被害を与えているわけでございます。そこで、運輸省港湾局に引き続いてお尋ねをしたいのですが、まずその原因についてでございます。  元来、この美保関漁港、あるいはまた近くにございます海崎港は小さな港でございますが、南向きの港でございまして、北東の風には最も強い港である、こういうことが言われてきたわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、昨年の秋以来異常高波がしばしばこの両港を襲って、特に本年に入りましても、五月十四日、七月四日、十月八日、十月十九日、この十九日は二十号台風のときでございますが、ことしに入りましてからも四回にわたって集中的に、両港並びに美保湾に面して走っております県道等に甚大な被害を与えているわけでございます。このため、関係漁民の不安は大変高まってまいりまして、ことしの四月から十一月までの約二百四十日の間で百七十五日も、十数キロ離れた福浦港まで避難せざるを得ない、そういう現象が起きておるわけでございます。  そこでこの原因は、数十年来あるいは先祖伝来といいますか、長年にわたって漁業を営んでおる皆さん方の現地における声を、一昨日私は現地へ行って聞いてまいりましたけれども、こういった状況はわれわれも過去に覚えがないと言われるぐらいの異常な状況でございまして、そこから漁民の皆さんが判断をしたのは、今日まで鳥取県の企業局が行っております先ほど言いました境港市の竹内工業団地でございますが、この団地の造成工事に伴う護岸に当たった波の反射した波が、あの美保湾一帯の海流の流れを変えておるのじゃないか、つまり北東の風であって南西からの波に襲われるという、どう見たってこの護岸工事、団地造成が原因をしておるのじゃないか、あるいはまた、あそこに運輸省直轄の沖の防波堤がつくられておりますが、こういった従来なかった美保湾における構築物が次から次とできてきておる、そういうもののいわば反射波による被害ではないか、こういうふうに、関係の地元漁民は全く疑う余地もないと自信を持って主張をしておる。その主張に対して、運輸省港湾局は一体どのような考え方を持っていらっしゃるのか、お答え願いたい。
  220. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 ただいま先生お言葉の中にありましたように、地元漁民の中でそのような見方、見解があるということにつきましては、私たちも承知をいたしております。  さて、それに対する私たちの考え方でありますが、まず波の性質につきましては相当程度学問的な研究も進んでまいりまして、私たちは、そういった成果を踏まえて港湾の計画建設をやっているわけでございます。  しかしながら、個別の現地の自然条件はきわめて複雑でありまして、理論の適用に際しましても、私たちの持っております技術水準をもってしても、必ずしもすべて明快にわかり切ってしまうということばかりではないというのが実態としてございます。美保湾固有の波浪の特性につきましても、これを詳細に分析、研究する必要があるわけでありますが、現時点におきまして、ただいまお話にありましたような地元の漁業関係者の意見に対しまして、私たちは一般論としては次のように考えておるところでございます。  通常、半島とかあるいはまた防波堤とかいったようなものに遮蔽されました海域は、波浪の直接進入が生じないということは周知のとおりでありまするけれども、実は波には回折現象と言われるものがありまして、当該遮蔽物の裏側へまでも波が進入いたします。また波向き、波がやってまいります方向でありますが、波向きと海底の勾配とは実は密接な関連がありまして、おおむねで申しますと、水深をあらわしますところのコンターラインと申しますか等深線が描かれておりますけれども、その等深線に直角になるような方向に波が進んでくるといったふうなことも知られております。これらの現象は波の向きが風の向きとは必ずしも一致しないということを意味しておるわけでありまして、特に台風とか低気圧の通過など風の向きが複雑に変化するような場合には、周辺の山だとかあるいはまた地形の影響もこれあり、風と波の関係の明確な分析がなかなかむずかしくなってくるということであります。  いまお話に出ましたような海崎港並びに美保関漁港については、これらの現象以外にさらに、ここには先生御無知の境水道からの河川水の流れもございます。また漂砂現象もございまして、海底地形の変化もあったり、また沿岸流などの影響などが、もろもろに複雑に組み合わされた結果として生じた波ではないかというふうに一応考えられるわけであります。  さらに、竹内地区の埋め立て護岸の工事が実は昨年の五月から始まっておるわけでありまして、まだ本格的に構造物ができていないその十月ごろにもそのような被害があったという報告を受けておりますけれども、要は、そういったふうなことをもあわせ考えますと、この海崎港などにおきますところの被害の原因というものを明確に解明するための作業がなかなか困難であるというふうに考えておるところであります。当然のことでありますけれども、このことは、地元の漁業関係者がおっしゃっておりますような竹内の埋め立て護岸による反射波にその原因がある、反射波が原因ではないというふうに断定的に私ここで申し上げておるわけではございません。  いずれにいたしましても、今回のこの原因の解明につきましては、長期にわたりまして気象、海象状況等を観測いたしまして、いまるる申し上げましたもろもろの関連性を詳細に分析することなしに、明快なこの答えを出すということがなかなか困難と考えられますので、私たちはこの点に関しまして積極的に努力をしていきたい。また、港湾管理者さんの方で行われます調査につきましても、技術的なお手伝いと申しますか指導に当たってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  221. 吉原米治

    ○吉原委員 具体的には、いま風速計や波高計を使って現実には調査なさっておるようです。私も現地を確認しておりますが、その調査結果が来年の六月ごろの時点で出るではないか、こういうことを、境港管理組合の皆さんが言ったのか、あるいは神戸にあるようですが、第三港湾建設局、俗に三建と言っておるようでありますが、そこの指導によるものかどうかわかりませんが、いずれにしましても、来年の六月ごろの時点では明確に反射波であるのかないのかという結論が出るやに承っております。しかし、私が想像するのに、きちんと豆腐を切ったように明快な結論が一体出せるのかどうなのか。いま計画課長おっしゃっていましたように、なかなか明快な結論を出すことがむずかしいという、自信がいささかないような御答弁でもございましたが、そういう答弁を聞いてみましても、明快な結論が出ればまことに結構でございますが、もし玉虫色の、反射波であるようなないような結論でも仮に出たとするなら一体どうされるのか。  また、鳥取県側の方は応急対策が年内に終わる、応急対策が終わったのだからもう工事にかかってもいいではないか、こういう主張に対して、島根県側は、いや、それは応急策ができたってだめだ、原因がはっきりするまではだめだということで工事中止になっている。そういうことで、島根、鳥取両県は論議がかみ合ってない。したがって団地造成はいま工事中止になっている。聞くところによりますと、一日工事を休めば金利が百万円とか言っておるようでございますが、そういう現状にございますので、いま私が言いましたように、六月時点で明快に結論が出るだろうかどうだろうか、私は疑わしいと思いますが、出ると仮定をした場合、鳥取県側の主張の、応急措置は済むんだから、その時点で、つまり来春早々にはもう工事再開をしてほしい、ここの辺の両県の論議のかみ合わない問題については、運輸省の港湾局としては拱手傍観をされておる気なんでございますか。
  222. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 調査が進行途上にあるわけでございまするので、結果の見通しについて最終的なことを申し上げさせていただくことは控えさせていただかなければならぬと思いますが、いずれにいたしましても、現在、地元関係者の間で、先生いまお話しのように意見の食い違いがあるということは私たちも承知いたしております。  ただ、いずれにいたしましても、これは港湾ないしは海にまつわる事象の問題でもありまするので、私たちといたしましては、技術的には、要請があれば積極的に対応ないしはお手伝いもさせていただきたいというふうに考えておるわけではありまするけれども現地には、先生も御案内かと思いまするが、島根、鳥取両県でつくられました境港管理組合という港湾に関する管理組織もございます。そういったところもございまするので、そういったところあたりでいろいろ御相談ないしは御調整をいただくことがまず第一義的には重要でもあったり、そこに意味があるというふうに私たち考えております。特に港湾は地域との密着性が非常に強い分野でもありまするので、そういった地域社会の実態に特にお詳しい方々がそういった御相談をいただくということがいいのじゃないかというふうに考えておりまして、国が、国といいますかわれわれの方が積極的に乗り出すということが必ずしも問題の解決に役立つとも思えない場面もございまするので、いまの段階におきましては、現地におけるもろもろの御相談の成り行きを見さしていただきまして、要請でもございますればまたそれなりの、特に技術的な問題につきましてはそれなりのお手伝いをさしていただく考えは持ってございます。
  223. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで、港湾局の計画課長に確認をしておきたいのですが、少なくとも、被害を起こしたその原因がわからないままに、依然として工事が続けられていくということは不当だと私は思うのです。原因がはっきりするまでは、工事は一切中止をすべきだ。特に、いま水面から一メーターの高さでございますが、工事が完成しますと、堤防の護岸の高さがさらに三メーター上乗せになるわけです。そういう工法になっておりますから、なぜ対岸にそういった異常な高波が襲っていくのか、その原因をつかまえないままに工事を続行さすことは不当だと私は思いますが、その意見についてはどういうお考えでございますか。そのとおりだ、そのように思いますということでございますか、どうでございますか。
  224. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 私たち、当面一番重要な問題は、やはり被害の発生をいたしました島根県側の港、われわれが直接担当しておりますところの港は海崎港でございますが、そういった港に対して何もしないで置いておくということは一番よくないことだというふうに考えておりまして、それに対しましては、海崎港の恒久的な安全対策というものを講ずる必要があるという考えに立ちまして、五十四年度の港湾整備事業予算によりまして、急ぎ約四千万円の予算措置をしたところでございまするけれども、さらに、この予算額だけでは海崎港の防波堤の基礎工をちょっとやるくらいにしか役立ちませんので、当面地元の不安の解消という視点から不十分でありまするから、境港の防波堤のためのケーソンを仮の防波堤というかっこう、つまり仮置きをするというふうな形で技術的な対応を進めていっているところでございます。そのような形で、要は、地元の直面しておられますところの不安解消というものとして対応してまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  225. 吉原米治

    ○吉原委員 原因がはっきりするまでは工事は中止すべきじゃないかという私の意見に対して、何もお答えにならぬのですが、答えられませんということでございますか、関知しないということでございますか。
  226. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 原因調査は進んでおります。したがいまして、現時点で関係者がそういったことにつきまして御相談中と聞いておりますので、その成り行きを見さしていただきたい、かように考えております。
  227. 吉原米治

    ○吉原委員 これ以上あなたを責めてもいい御答弁がいただけませんから、この件はこれで打ち切りますが、いま海崎港の恒久対策をおっしゃいました。なるほど、私も現地に行きまして、関係者からこの海崎港の平面図をいただいております。りっぱな防波堤ができる図面になっておりますが、何分、いまは当面ケーソンを配置して応急策をという御説明がございましたが、これから波浪が高まってくる時期でございますので、少なくとも応急措置は早急にやっていただきたいと同時に、いまおっしゃいました恒久対策、恒久対策では防波堤それぞれが図面には書いてございますが、これだけでは十分ではない。一昨日現地の皆さん方といろいろ意見交換をさしていただきましたが、これはあくまでも応急策である、恒久的な対策としては、この港の出口に一文字堤を新設してほしい、これがなされてこそ初めて恒久対策だ、こういうことを漁民の皆さんは主張しておるのです。ですから、この点については一体運輸省としてはどのような姿勢で臨まれるのか、お尋ねをしたい。  なお続いて、農林水産省お見えになっておるはずでございますから。同じような問題が美保関漁港の方に出てまいっておりまして、海崎港に増す被害が出てきておりますが、これに対する応急策、どうされる気なのか。この港の一番突き当たりの位置に五階建てかのホテルがございます。その五階まで波のしぶきがかかったというんですから、まあ想像を絶する波の高さだったと思いますが、そういう現状を御認識になっておると思いますので、美保関漁港に対します応急策、これをひとつ御提示願いたい。  と同時に、時間の関係で一括してやらしていただきますが、この美保関漁港に対しましても、西の堤防、東の堤防それぞれ当面延長してほしい、そして恒久策としてはやはり百メーターの一文字堤を同じくつくってほしい、これがなされてこそ初めて恒久策になるんだ、こういう地元民の強い要望でもございますが、これに対する運輸省、農林水産省それぞれの立場からお答え願いたい。
  228. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 海崎港の恒久対策につきましては、港湾管理者であられる美保関町と検討を進めてまいりまして、従前からあります古い防波堤の外側に東防波堤、西防波堤と名づけましたが、それを整備するということにして、当面その事業にかかったところでございますが、波浪に弱い小型の漁船が利用する港湾でもございますので、いま先生お話しのように、その入り口あたりに一文字堤でも建設したらどうか、こういうことにつきましては、港内の静穏度を高める上におきまして有効であろうというふうに私たちも考えます。したがいまして、現在着手いたしました東西の防波堤が完成いたしました時点でまた、波の状況などをも見ながら、そしてまた港湾管理者であられる地元の美保関町の御意向ども踏まえながら、安全で利用しやすい港湾ができるようにいろいろ相談をし、検討をしてまいりたいというふうに考えます。  以上でございます。
  229. 佐藤稔夫

    佐藤説明員 お答えいたします。  現地におきまして、港内においていろいろ異常の波浪が発生いたしまして、先ほど御指摘のように、民宿の五階までも波が上がったというような事情、あるいは港内で漁船が一隻沈没したとかいろいろな事情、よく聞いております。それで、私どもの方といたしましては、原因のことはさておきまして、ともかく現象がそういうふうに発生しておりますので、早急に対策を講ずべきだろうということで、現在西防波堤と称しておりますが、現地で申しますと海に向かいまして右側の防波堤でございますが、この防波堤を延長することが当面の緊急な問題ではないかということで、現在その防波堤の整備に極力力を入れているところでございます。  なお、恒久対策といたしましては、現地の方におきまして東西防波堤の延長あるいは一文字堤というような話があることを県から聞いてはおりますが、これらにつきましては、現在実施しております西防波堤の完成を見て、なおかつ静穏度が不十分であるというような場合には、地元あるいは県等とも相談いたしまして、十分その対策検討いたしたい、このように考えております。
  230. 吉原米治

    ○吉原委員 一文字堤についてはその必要性は否定なさらぬと思いますが、ぜひひとつ、恒久策として三保関漁港に一文字堤、出口入口の正面百メーターはつくってもらってこそ、初めて恒久策になるのだという強い要請がございます。これに対しては前向きで取り組んでいただけますか。
  231. 佐藤稔夫

    佐藤説明員 先ほども申し上げましたように、西防波堤の実施の結果不十分であるということでございますれば、十分県等とも打ち合わせまして計画検討をいたしたい、こう思います。
  232. 吉原米治

    ○吉原委員 前向きで、誠意を持って取り組んでもらえると理解してよろしゅうございますか。
  233. 佐藤稔夫

    佐藤説明員 前向きということがどういう解釈かと思いますけれども、誠意を持って必ず解決するように努力いたしたいと思います。
  234. 吉原米治

    ○吉原委員 残念ながら時間が参りましたからこれでおきたいと思いますが、午前中も申し上げましたように、この種の件は何も一美保湾に限りません、各地で港湾の埋め立て、あるいは港湾に限らず山林開発等々につきましても、自然が破壊されて、そのことによる人災が、私どもはあえて人災と言いますけれども起こっておる、そういう状況でございますから、どうぞひとつ、国土庁におかれましてもこの種の地域開発については慎重に取り組んでいただきたい、このことをひとつ強く要請をして、質問を終わります。
  235. 藤田高敏

    藤田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会