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1979-12-07 第90回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月七日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 河野  正君    理事 戸沢 政方君 理事 西田  司君    理事 八田 貞義君 理事 山本 幸雄君    理事 島田 琢郎君 理事 馬場  昇君    理事 古川 雅司君 理事 則武 真一君    理事 中井  洽君       天野 公義君    池田  淳君       田原  隆君    中村正三郎君       橋本龍太郎君    畑 英次郎君       吹田  愰君    宮下 創平君       土井たか子君    野口 幸一君       竹内 勝彦君    森田 景一君       東中 光雄君    木下敬之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         環境庁長官官房         長       正田 泰央君         環境庁企画調整         局長      金子 太郎君         環境庁企画調整         局環境保健部長 本田  正君         環境庁自然保護         局長      藤森 昭一君         環境庁大気保全         局長      三浦 大助君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君  委員外出席者         環境庁長官官房         会計課長    神戸 芳郎君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 平野 侃三君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     山本 雅司君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      大高 英男君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     伊藤 俊美君         会計検査院事務         総局第一局長  岩井  毅君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件      ――――◇―――――
  2. 河野正

    河野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑英次郎君。
  3. 畑英次郎

    畑委員 私は、すでに当委員会においても論議のされましたことを承知をいたしておるわけでございますが、大分地域におきます新産都がらみの八号地問題について、環境庁側の御意見を伺いたいと考えるわけでございます。  この問題につきまして、従来環境庁におかれましては、大分地域公害防止計画の策定といった問題には非常に真剣な御指導といいますか、そういうものをいただきまして、県当局におかれましてもそれなり努力をいたしまして、今日かなり企業群張りつけが行われておる中にございまして、それなり環境保全がなされておるというような評価もいただいておるのではなかろうかと考えます。  しかし、つい最近、御案内のとおり八号地の問題に関して県の方においての、これは環境庁の御指導をいただきましての中における作業ではないかと考えるわけでございますが、環境アセス一つ作業が終わりまして、それを住民あるいは関係市町村縦覧に付しておるわけでございます。これをめぐりまして、最近またいろいろ新たな論議を呼んでおるわけでございますが、この問題に対して、従来の環境庁のお立場におけるかかわり合いあるいは基本的な考え方、まずこういった点について長官の御意見を伺いたいと思うわけでございます。
  4. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  ただいま先生指摘大分地域開発につきましては、環境保全の面から環境庁としても今日まで深い関心を持ってまいったところでございます。  八号地中断につきましては、当時の三木環境庁長官示唆により県知事が行ったものでございますが、今回の環境影響評価については、環境庁はこれまでの経験また中央公害対策審議会答申等を参考といたしまして、手続あるいはまた技術の面など、基本方針について助言を行ってまいっておるところでございます。  また、この評価書案につきましては、大分県知事要請を受けて環境庁意見を述べることとなっておりますので、評価書等内容については、今後地域住民意見を尊重しながら地域環境保全の観点から慎重に審査をさせることと考えております。
  5. 畑英次郎

    畑委員 そういうような従来のいきさつの中からただいま県当局住民縦覧に付しております評価書案をめぐりまして、一部の方におかれましては、本年の三月二十三日に当委員会において、この大分地域環境アセスメントに関して環境庁企画調整局長の御答弁が、その議事録を拝見いたしますと、この環境アセスメントによって直ちに八号地計画に結びつかないというような内容発言がなされておるわけでございます。これについて、私は私なりにいささか疑問を感ずるわけでございますが、この辺について再度その発言趣旨を明確に確認をさせていただきたいと思います。
  6. 金子太郎

    金子政府委員 ただいまお尋ねの本年三月、前企画調整局長、実は現在の次官でございますが、前企画調整局長答弁が、その真意なり解釈なりについて若干問題を起こしているということはかねがね承っております。そういうこともございますので、前局長、現次官からよく真意をお聞きして本日出てまいったわけでございます。  あの答弁におきまして、今回のアセスメントは直ちに八号地中断にかかわっているものではない――「直ちに」という表現を用いております。その趣旨は、ただいまも畑委員から御説明ございましたように、今回のアセスメント新産都市大分地域全体、その中にはもちろんいわゆる八号地を含むわけでございますが、その全体について、いわば計画段階において、環境容量などの範囲内においてどの程度の企業立地ができるかというようなことをアセスしたわけでございます。  そのアセスメントは、現在私どもアセスメント法案考えておりますところの事業に即するアセスメント実施アセスメントとも言われておりますが、そういうものではない、八号地埋め立て等実施するに当たって行うアセスメントでもない、その意味では直接八号地解除にかかわるものではない、こういう意味合いでございますが、当該計画大分地域全域を対象とするものであり、いわゆる八号地を含んでいるということは、間接的にはかかわりがあるということでございまして、今回のアセスメントの最終的な評価が固まった段階で、恐らく県当局におかれては八号地埋め立てにかかわる実施アセスメントをされる段階があるのであろうと推定いたしておりますが、その実施アセスメントを行うときの有力なあるいは重要な基礎資料一つになるものであろう、こういうふうに判断いたしております。
  7. 畑英次郎

    畑委員 くどいようですけれども、この点が地元の方では非常に問題になっているわけでございます。  五十四年三月二十三日の上村政府委員の御答弁にございます「中断をいたしましたときに、アセスメントをやるというのが一つ条件になっておったことは御案内のとおりでございます。いまやっておりますのは、そういう意味アセスメントではない。」というように断言をいたしておりますけれども、これは断言するのは非常に間違いであって、今回やっております環境アセスも、あの際に環境庁示唆をいただきまして知事みずからが課しましたいわゆる三条件一つ、その一つ環境アセスの一〇〇%を満たすものではありませんけれども、少なくともそれに大きなかかわり合いのあるといいますか、ある程度その三条件一つを満たし得る、あるいは前進なし得る、さような環境アセスである、かような環境庁の御理解であるのかどうか。私は当然そういう姿であるというように理解をいたしておりますが、この辺につきまして重ねてお答えを願います。
  8. 金子太郎

    金子政府委員 先ほども申し上げましたように、間接的に関係があるということでございますので、そこから先は中断解除をだれがやるのか、いつやるのか、こういうようなことともかかわってまいります。  先ほど畑委員から言われましたように、三木環境庁長官示唆に基づいて当時の大分県知事責任における御判断によって中断がなされ、そのときに知事みずからが三条件を課されたわけでございますので、この中断解除するかどうかの判断も当然大分県知事がなされるべきものというふうに考えております。
  9. 畑英次郎

    畑委員 御案内のとおり、ただいま行われました概括的な環境アセスにつきましては、八号地が当然入っておるわけでございますが、ただいまこれにつきまして住民縦覧あるいは市町村意見を聴取いたしまして、その意見の取りまとめをいたしました段階で、なおまたそれに対する措置を県当局が立案いたしましたものを資料として環境庁の方にお出しになる。それに対しまして環境庁としましての意見といいますか、あるいは行政指導といいますか、こういうものが行われるやに承知をいたしておるわけでございますが、ただいまの御発言によって、その際におきましても、いわゆる中断解除についての判断につきまして環境庁がとやかく意見を言うということはあり得ないというように私は理解をするわけでございますが、その辺につきましてお答えを願いたいと思います。
  10. 金子太郎

    金子政府委員 その点につきましては、今回の計画アセスメントそのものが確かに環境庁助言によって行われた面があるということではございますが、その準備書にあらわれますところのもろもろの結果につきましては、現在鋭意分析し検討を進めているところでもございますし、また来月にも県当局から住民意見その他を踏まえていろいろな資料をちょうだいいたすことになっておりますが、それもあわせ検討いたしまして、その段階であのアセスメント内容についておおむねいいとかあるいは困るとかいう意見を表明することになる段取りでございます。したがいまして、いまの段階で断定的なことを申し上げるわけにはまいらないのでございますけれども、もしもその最終的な私ども判断がよろしいということでありますれば、そこから先は知事さんの御責任において中断解除をなさるかどうか、こういう段取りになるのではなかろうかと思います。  しかしながら、本件は十数年前からもみにもんだ非常にむずかしい問題でございますので、八号地埋め立て等について大分県当局がなされるアセスメントその他については、私どもは重大な関心を持って見守ってまいりたい、このように考えております。
  11. 畑英次郎

    畑委員 現在の時点では、局長のお立場ではそういうようなお答えしかできないかもしれませんけれども、私ども考えますのに、現在県が行っております環境アセスは、金額にしても二億といったような数字にも相なっております。なおまた、この実施に当たりましては、かなり環境庁の御指導助言をいただきましたので、その内容は逐一御承知になっていらっしゃるというようにも考えておるわけでございまして、そういうような意味合いでは、この出てまいります評価書案なるものがノーというような結論にはなり得ない。逆に言いますと、ノーになり得るというような余地を残しながら今日まで二年二カ月でございますか、やらせたということになりますと、これまた問題があるのではないかと思いますが、その辺についてどのようにお考えでしょうか。
  12. 金子太郎

    金子政府委員 おっしゃるとおり私どもいろいろな角度から助言をしてまいりましたので、現在まで私どもが持っております感触といたしましては、おおむね妥当なものであるようだということでございます。
  13. 畑英次郎

    畑委員 この大分新産都八号地問題は当委員会でも再三論議があったようでございますが、このケースは全国的にも非常な関心が寄せられております。なおまた、御案内のとおり、この新産都八号地計画の取り消しを求める行政訴訟反対住民グループによってなされた。しかし、これは裁判所によって却下されたというような一幕もございまして、従来から一つの大きな懸案でございます環境アセス法の成案における、これは当たりさわりがあるかもしれませんけれども一つのテストケースの重要な要素を含んだ従来の歩みであったというようにも考えておるわけでございます。  そういう中にございまして、この問題につきましては、県当局におきましても、なおまた、関係者の間におきましても、いわゆる従来の環境アセス法案の今後の取り組みというものに対しても、重要な関心あるいはそれとの結びつきというものを物事の判断の中でどうしても考えざるを得ない、こういう要素もございますので、環境庁におけるこの従来の環境影響評価法案でございますか、そういったものの取り扱い、これに対する長官一つの御決意というものも、この機会にお聞かせを願いたいと思います。
  14. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  先生指摘のとおりでございまして、この法案につきましては、歴代長官国会に提出いたすべく努力をなされたのでございますが、ついに日の目を見るに至らなかった次第でございます。私と前上村長官との引き継ぎの事項の中におきましても一番トップに取り上げられた問題でもございますし、また本年四月に行われました中央公害対策審議会答申等もこれあり、また先生先ほど来お述べになりましたとおり、都道府県初め地方公共団体からも強い要請を受けております。私といたしましては、これらの点を踏まえまして、次の国会に提出いたすべく最善の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  15. 畑英次郎

    畑委員 ただいまの長官の御決意のほどはそれなり承知をさせていただくわけでございますが、この環境影響評価制度をめぐりまして、最近地方公共団体においても条例等をやられておりますケースもあるように承知をいたしております。あるいは諸外国の例でもかなり進んだ国のケースもあるのではないかと思いますが、その辺の事情について、企画調整局長実態をこの機会にお知らせを願いたいと思います。
  16. 金子太郎

    金子政府委員 環境アセスメント法案をめぐる内外情勢は、この春以来かなり大きく変わってきているように感じております。  国内的には、第一に北海道川崎市などで条例が制定され、その条例に基づいて実際にアセスメントが行われるというケースが出てまいっております。北海道川崎以外にも要綱などでアセスメント実施し、その実績が出てきているという府県、市が十幾つも出てきております。そういう経験の積み重ねの中におきまして、自治体ごとアセスメント手続範囲評価項目というようなものがばらばらであっては困る、特に自治体自治体にまたがるような比較的大きな事業につきましては、アセスメントの根拠になるものがばらばらであっては困る、東京都の知事さんもそういうことを言われておられますし、事実そういう例が出てきている、こういうことがございます。これはまさに、比較的大きなプロジェクトあるいは県と県にまたがるようなプロジェクトについては国で統一的な基準あるいは手続を決めてもらいたい、こういう要望ではなかろうか。中には、現状のままでは真に必要な事業遂行が著しくおくれて困る、こういうような声すら出てきているという点が大きな移り変わりの第一点であろうかと思います。  第二点は、都市計画事業とのかかわり合いでございますが、御承知のとおり、小樽バイパスなどのような道路事業などは都市計画とぶつかる場合が非常に多いわけでございますけれども都市計画事業知事が行う、現在の条例要綱等におけるアセスメント事業者が行う。説明会公聴会をやる場合に、主催者が違う、時期が違う、その他縦覧の期間なども違う、のみならず、アセスメントのための説明会が先に開かれるために、都市計画事業のいわゆる地権者が怒り出してうまくいかない、こういうような例が出るなど、都市計画事業遂行の方に支障が出ている。これは私ども早くにわかっておりまして、環境庁案におきましては、法の附則において都市計画法を直しまして、その調整をいたしております。それで条例または要綱では都市計画法との調整ができない、それを早く調整してもらいたいということを建設省の方から言われております。それが第二点でございます。  それから第三点は、予測評価の手法とか技術というものが確立されていないではないか、こういう議論がかねがねあるわけでございますけれども、現に新幹線とか電源立地につきましては、すでに建設省運輸省、通産省においてアセスメントやり方あるいは審査基準というようなものを通達の形で出しておられまして、それで現に非常に大きなアセスメント実施して結論を出しております。また各省が出されますそういう技術的な指針を統合するといいますか、共通項を見つけるといいますか、そういう意味で、環境庁におきましても、ことしの二月に総括的な技術指針の案をつくりまして、各省、各都道府県などに差し上げまして、現在御意見を聞いているという段階でございます。またアメリカなどでも、環境アセスメントというものは、アセスのために新しい技術を開発するものではない、現在使い得る技術を駆使して行うものだ、現にアセスメントを行うだけの技術確立しているし、アメリカにおいて十年間の経験確立した技術でりっぱにアセスメントをやっている、こういうことを文書で私どもに示しております。このようなことから、技術的な問題というものがアセスメント法を成立させるためのネックにはすでになっていない、こういうふうに考えております。  そのほか、国際的には、OECDにおきまして、ことしの春加盟各国に対しましてアセスメント制度確立を勧告いたしておりますし、EC諸国におきましても、統一的な制度確立に向けて一歩を踏み出しておりますし、アメリカにおきましては、国内だけでなくて、メキシコ湾原油流出事故などに顧みまして、国際アセスメント制度化ということを呼びかけるようになっております。  こういうような内外情勢の変化は、この春以来かなり著しいものがあると考えておりまして、こういう事情を背景にいたしまして、関係方面に御説明申し上げ御納得をいただきたい、そのように考えている次第でございます。
  17. 畑英次郎

    畑委員 ただいまアセス法につきましていろいろお伺いをしたわけでございますが、そういう中の物の考え方と今回の八号地関連との実態、これを照らし合わせましても、私ども地域経済界等におきましては、いささか時間がかかり過ぎるのではないか、あるいはまた、この答申の中でもいささか抽象的に書いてございますけれども住民の参加といいますか、関与といいますか、こういった問題、これらの問題につきまして非常に危惧の念をお持ちの向きもございます。  しかしながら、法そのものの制定を急ぐという趨勢にあることは、これまた言うまでもないというように考えるわけでございます。そういう中にございまして、私は時間がございませんので再度申し上げたいわけでございますが、いわゆるこの中断解除という問題は、先ほど来お話がございましたように、あくまでも大分県知事判断ですべきものであるという理解に立ちますし、なおまた、かなり県当局におかれましては予定されますこのアセス法の精神をくみ取ったここ数年来の歩みではなかったかというように考えます。中断いたしましたのが四十八年。今日までかなりの年月を要しておるわけでございますから、さような問題点も、これはやはり今後の法案の成立を急がせるそういう中における一つの貴重な生きた材料といいますか経験にお願いしたいと思いますし、ただいま申し上げますように、あくまでも中断解除知事判断ですべきものである、かような認識に立つわけでございますが、この点再度局長のお考えをお願いしたいと思います。
  18. 金子太郎

    金子政府委員 今回の大分地区におきますアセスメントやり方は、中央公害対策審議会の御答申の線にも沿い、また現在私ども関係各省に御了承いただくように努力しております環境庁案やり方ともほぼ同じでございまして、畑委員言われますとおり、環境アセスメント法案のテスト的な性格を持っている、これは明らかだろうと思います。そのために、時間がかかったという御指摘でございますが、いろいろむずかしい事情もあり、初めての経験もあるということで、このような時間がかかったという点について御了承いただきたいと思いますが、その中断解除するかどうかは知事判断であるという点の御確認につきましては、全くそのとおりであるとお答え申し上げる次第でございます。
  19. 畑英次郎

    畑委員 わかりました。  終わります。
  20. 河野正

  21. 馬場昇

    馬場委員 私は、幾つかの具体的な問題をただしながら、土屋環境庁長官公害環境行政に対する姿勢を国民の前に明らかにしていただきたいと思います。  まず、長官、いま多くの国民は最近の公害環境行政は非常に後退しつつある、こういうような批判を持っておりまして、それに対して非常に不平、不満、不信感を持っておりまして、ときには憤りをも持っておるわけでございます。私どもも、この委員会で多くのことをこういう点について批判をしてきたところでございますが、たとえば水俣病について言いますと、新次官通達というものを出して患者を切り捨てる、そういう批判が非常に強く出て、これは今日までも残っておるわけでございますし、昨年の七月のNO2の基準を従来の二、三倍に緩和した、こういうこともその一つのあらわれでございますし、またもろもろ環境破壊に対しましても、環境庁が許可しておるんじゃないか、こういうような批判もございますし、いま議論にもなりました環境アセスメント法も長い間日の目を見ない、そういう状況も続いておりました。総体論的に言いますと、最近の環境行政というのは産業界公害環境に対する反撃といいますか、巻き返しといいますか、そういうものに環境庁が屈しておる、こういう批判があるのでございます。そういう批判があるということを十分知っておられると思うのですけれども、そういうことを腹に置きながら、具体的なことにお答えいただきたいと思うのです。  まず第一点は、公害健康被害補償法の改悪の動きについてでございます。まず、これは大臣からでも事務当局からでも結構でございますけれども産業界がこの公害健康被害補償法について、この制度の改正を政府や自民党に働きかけておる、こういうぐあいに私は聞いているのですけれども、それは事実でございますか。
  22. 本田正

    本田政府委員 公害健康被害補償法をめぐります諸問題につきましても、重々承知いたしております。公害健康被害補償法昭和四十九年に施行されまして、すでに五年たっております。これは先生御存じのとおり大変ないろいろ割り切りを持って発足いたしておりますけれども割り切りをやったがゆえに、いろいろな問題点があるわけでございます。そういった点につきまして、いろんな方面からの御意見、御要望は聞いております。
  23. 馬場昇

    馬場委員 いろんな方面からの御意見、御要望は聞いておるということで、産業界からこういう働きかけがあっているということをお認めになったわけですね。  そこで、具体的に聞きますと、指定地域解除を検討しておるというぐあいに聞いておるのです。そのことは、産業界もそういうことを検討してくれと言ってきておるというぐあいに聞いておるのですが、このことは指定地域解除を検討されておるのかどうかということ。もう一つ公害病範囲を縮小しようとしておる、このことを検討しておる、こういうぐあいに聞いておるのですが、これも要望があっているのか、そして事実そういう縮小を検討しておるのか、この二点について具体的にお答えください。
  24. 本田正

    本田政府委員 地域指定解除要件、それから公害指定疾病の中の検討、そういったことは科学的な、あるいは医学的な立場においていろいろ検討しているのは事実でございます。ただ、いま先生指摘の二点だけを検討しているというわけではございませんし、それから先ほど申し上げましたように、公害健康被害補償法というのは、いろいろ問題があることを承知いたしております。そういった角度から、全般的ないろんな角度から制度の所管者として検討いたしております。ただし、これは経済界から言われたからと、そういう観点からではございません。法の運営を円滑に実施するという観点から検討いたしております。
  25. 馬場昇

    馬場委員 あなたはえらい逃げておりますが、はっきりさせておかぬと後で食い違いますから。経済界からそういう要望があっているのかということを、さっき少し抽象的に言われましたので、まずはっきり言っていただきたいと思うのです。  そしてまた、いまの答弁でも、この二つもその中で全般的にやっているみたいな答弁でしたが、この二つを実際やっているということかどうか、そういうことをはっきり答えてください。
  26. 本田正

    本田政府委員 いま御指摘の二点についても検討はいたしております。ただ、どうぞ御理解賜りたいことは、その二点だけじゃないということでございますので、そのように御理解賜りたいと思います。
  27. 馬場昇

    馬場委員 産業界からそういう要望があっているかどうか、はっきり答えてください。
  28. 本田正

    本田政府委員 要望という形ではございませんけれども、いろんな御意見があるということは拝聴いたしております。
  29. 馬場昇

    馬場委員 なかなか逃げの答弁のようでございますが、もう少し中身について見解を聞いてから大臣に質問したいと思うのですけれども、NO2や粉じんを含めた総合的な大気汚染、この状態は私はまだ非常に深刻な状態であると思うのですよ。これについてどう判断しておられるのかということ。  それからもう一つは、環境が少し改善されたといっても、ものすごくまだ潜在的な患者はおると思うのです。これは水俣病の例ですけれども、対岸の天草というところでいまごろ水俣病の申請がたくさん行われておりますけれども、これは、たとえば申請すると魚が売れなくなるから、村八分になるから申請できない、そういうようないろいろな圧力とかそういう問題があって申請できずにいたのが、いまごろ権利意識に目覚めて、あるいはもう体がどうにもならぬということで申請しつつあるのですが、それと似たようなことが至るところにある。そういう潜在患者というのはまだたくさんおる、そう私は思うのですが、この二点についての環境庁の今日の判断、見解を示してください。
  30. 本田正

    本田政府委員 公害健康被害補償法という立場から大気の汚染状況を見ますと、かつて非常に危機状態にあると言われた大気の汚染状態からはずいぶんと改善されていると存じます。特に、健康被害補償法で問題になります硫黄酸化物につきましては、急速に改善が図られております。しかし、その他の汚染物質、たとえば窒素酸化物等につきましては横ばいの状態が続いております。したがいまして、以前に比べますとずいぶんと改善されたと解しております。  それから、潜在患者がいるのじゃないかという御指摘でございますが、この公害健康被害補償法に基づきますところのいわゆる公害病というものは、ぜんそく性気管支炎、気管支ぜんそく、慢性気管支炎、それから肺気腫の四つでございます。こういった疾病というものは、これも割り切り一つでございますが、非特異的な疾患でございます。水俣病と違いましていろいろな原因からくる疾患でございます。そういった疾患の性格ではございますけれども、大気もずいぶんと改善されてきつつございますので、いわゆるまだ申請をなさらないという患者さん方はおられるとは存じますが、その後に患者がふえているということは考えておりません。
  31. 馬場昇

    馬場委員 学習会じゃないのですから、勉強みたいなことは言わなくて、質問にだけ答えてください。  私は、複合的な汚染状態はまだ深刻な状態にあるかどうか、どう考えておるかと言ったのですよ。それに対して考えておるか考えていないか言えばいいんだよ。  それから、潜在患者というのは、いま申請すべきものがまだ残っているということはお認めになりました。  そこでもう一つ、最近報道されたところによりますと、ぜんそく性気管支炎を六歳限度に切り捨てるということを実際、具体的に考えておられるということを聞いておるわけですけれども、現在、これ以上の人が五千七百人ぐらいおるようでございますが、端的に答えていただきたいのは、ぜんそく性気管支炎を六歳以上は切り捨てるということを検討なさっておるのかどうか、そしてやろうと思っておられるのか、端的に答えてください。
  32. 本田正

    本田政府委員 六歳以上の認定患者を切り捨てるというようなことは、一切考えておりません。
  33. 馬場昇

    馬場委員 いまのような端的な答弁がいいのですよ。  そこで、大臣にお聞きしたいのですが、いま私と部長のやりとりをお聞きになっておったと思うのですよ。私はここで、長官環境行政の姿勢として聞いておきたいのですが、公害対策基本法の制定のときに経済との調和、こういう条項が削除されたわけです。このことは大臣も御承知のとおりでございまして、ここでは多くの議論をしましたところで、削除された意図というのは大臣御存じのとおりと思うのです。だから、公害対策基本法のときに経済との調和条項が削除された、その精神でこういう公害行政をやっていただきたい。それについての大臣の御見解です。  それからもう一つは、四十八年に公害健康被害補償法が制定、通過いたしますときに、衆議院、参議院で附帯決議が行われておるのですが、その中で、現行の四疾病というものをやはり拡大すべきだというような物の考え方地域指定の要件に窒素酸化物を入れてこの地域を拡大すべきだというような趣旨の附帯決議がついております。これはまとめて言うと、すべての公害患者を落ちこぼれのないように全部救いたい、救うべきだという精神の法律でございますので、そういう附帯決議も実はついておるわけでございます。  大臣、そこで、いまと同じような趣旨の話ですけれども、この法律というものは、健康の保護、そして被害者救済、これが最優先であって、産業界のいろいろな要望とか、あるいはまた産業界の負担金の問題とか、そういう問題で絶対に後退させてはならないというのがこの法の趣旨であると思うのです。いま私は、三点について、この法の趣旨、そのときの附帯決議というものについて申し上げたのですが、この趣旨で本法を運用していっていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  34. 土屋義彦

    土屋国務大臣 馬場先生お説のとおりでございまして、私は、今回環境庁長官に就任するに当たりまして、まずもって人間の健康の保護、それから自然環境の保全、それから公害の未然の防止、それからアメニティー、よりよき環境づくり、この問題と非力ではございますが真剣に取り組んでいくという決意を新たにいたしておる次第でございますし、それからまた、人間の命を守る、このことを中心として今後も私は環境行政と取り組んでまいる所存でございます。  それから、附帯決議の件につきましては、私も国会議員の一人といたしまして、院の決議を尊重いたしまして、その趣旨に沿って一生懸命やらせていただきます。
  35. 馬場昇

    馬場委員 初心忘るべからず、この後、いまからずっと環境行政をやっていかれるのですから、その気持ちでぜひお願いいたしたいと思います。  そこで、第二の問題についてでございますが、水俣病について自民党の森下前環境部会長が発言をやっておられます。これはもう大臣もあるいは環境庁の方々も御承知と思いますけれども、十一月十九日に、二百人の財界人が集まって第二回の経団連フォーラムが行われました。そのときのテーマは「環境問題を考える」というテーマで討論が行われております。当時の森下自民党環境部会長はこのフォーラムに出て、こういうことを前置きにしてあいさつをしておると伝えられております。環境庁長官は他の約束のため来られませんのでということを前提にして、自分があいさつをなさっているのです。このことは、環境庁長官の代理だというぐあいにこのような発言から私は受け取れるわけでございますが、森下さんはこの経団連フォーラムに環境庁長官の代理で出られたのかということが第一です。  第二は、それとは別に、このフォーラムに環境庁長官に来てくださいという招請の案内状があったのか、なかったのか、この二点についてまず事務的に聞いておきます。
  36. 金子太郎

    金子政府委員 あのフォーラムは、環境庁に何ら相談をしないでプログラムの中に環境庁長官予定とかなんとか書いてありまして、それから環境庁に出てくださいというお話がございましたけれども環境庁長官がお出になる筋合いのものではないということで、はっきりお断りいたしました。それで恐らくおはちが森下先生の方に回ったのではなかろうか。ですから、事実上のかわりにという意味ではなかろうか、こういうふうに理解いたしております。
  37. 馬場昇

    馬場委員 このときの発言で伝えられておるところによりますと、水俣病について森下さんは、「熊本県では、申請すれば水俣病患者になって、カネがもらえるから、そのうち県民全部が水俣病患者になる。私も熊本県に住んで水俣病患者になりたい」こう発言されておるわけでございます。  この発言について長官はどう思われますか。そしてまた、森下さんは何の目的でこういう発言をなさったと思いますか。さっき企画調整局長は、森下さんが出たのも想像で言ったわけですから、環境庁長官はこの発言についてどう思うか。そしてまた、森下さんが何の目的でこういうことを言ったんだろう、それについての大臣の御感想をお聞きしたいのです。
  38. 土屋義彦

    土屋国務大臣 馬場先生、私が御答弁しなくちゃならぬのを局長が出てしまったものですから、大変失礼いたしました。  明確に申し上げますが、森下議員に対しまして、私にかわって出席をしてもらいたいと言ったことは一言もございません。  それから、熊本県人になりたいというような発言は、この水俣病の問題はかつてもう地球上にない人類の悲劇と私は理解しております。このような発言をいたしましたことは、亡くなった方々初め患者さんを冒涜するようなことであって、私はまことにもって遺憾にたえないと思っております。  その後、自民党の控え室でございましたか会いましたときに、私も一言申し入れをしようと思ったのでございますが、森下議員の方から私の顔を見るなり、まことに申しわけなかった。党並びに環境庁には関係のない私の全く個人のことなので、ひとつよろしくと、こういうことでございました。
  39. 馬場昇

    馬場委員 このフォーラムは経済界が当面の重要な問題について合意づくりをするという討論集会であって、第二回目だそうでございますね。当面の非常に重要な問題について合意づくりをするような討論集会であった、こう位置づけておるフォーラムだそうでございまして、そしてこの中で二人の財界の人が基調講演をなさっているのです。その二人とも、「わが国の環境政策には不合理な面が多い」ということを基盤にしたような発言が行われておるわけでございます。そして、これまた伝えられるところによりますと、森下さんは「歯に衣着せず話します」ということをまず言って、「環境庁長官には産業界理解のある人がなってもらわなければ困る」そう言って、「戦う経団連になってくれ」こういうことを森下さんは言っているのです。だから、これはいま大臣が言われました、済まなかったとか迷惑をかけたとかいうような問題ではなしに、大体失言とか放言というのは、その人の本音の部分が出るわけですよ。倉石さんのあの青天白日の問題だって、あれは大体本音ですよ、それはきょうの話と違いますけれども。私は、これは森下さんの本音であり、そして自民党の環境行政に対する本音とも思われます。しかし、こういうことではこのことは許しておけないと思うのです。だから、済まなかったとか迷惑をかけたということでは私は済まされないと思います。  そこで、私は大臣にお尋ねしたいわけでございますが、大臣もさっきちょっと言われましたけれども、これはさっき議論いたしましたように、現在の公害補償法というのをこの森下発言は否定しておるのですよ。そして皆さん方がやっておられます環境行政というのを侮辱しております。そしてまた水俣病について言いますと、この水俣病行政というのは熊本県政の最大の課題です。そして裁判所から、こういう認定がおくれているのは不作為違法だという判決を受けながら、そのもとで熊本県政は知事初め一生懸命これをやっておる。そういう人たちに対して、熊本県民、熊本県政をも愚弄した発言ですよ。そしてまた、私から言わせますと、本当に水俣病という――これは長官は御存じでした。人類の最も悲劇、世界の公害の原点ということをおっしゃって御存じでしたが、この森下さんの発言は本当に水俣病の広さ深さというのを全然知らない無知な態度でございます。実はこれについて熊本県知事はきのう森下さんに対して抗議をいたしております。きのう熊本を発送して東京事務所に抗議文を持ってきております。そして善処を求めておるのです。  そこで、熊本県知事だけでなく、環境の法律が否定され、環境行政が愚弄されたこの発言について、森下さんに環境庁が抗議して釈明を求めるべきじゃないか。そしてまた、私どもはこの委員会でも真剣に、国会も公害行政をやっているのですよ。森下さんも国会に出てきて、この国会の審議さえも侮辱したような発言については、この委員会で謝罪すべきじゃないか、私はこう思うのです。まず、環境庁から抗議して、釈明を求め、できれば長官が、森下さん、出てきて、やはりこの委員会等で釈明をし、陳謝をすべきだ、そういうことを私はやるべきだと思うのですが、長官、いかがでございますか。
  40. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生先ほど私が申し上げましたとおり、私の方からあの後すぐ抗議と申しましょうか、森下議員に会ってお話をしようと思ったところが、私の顔を見た途端に、申しわけなかった、党並びに環境庁関係のないことで、私が個人で発言したことであるので御理解を願いたい、まあこういうことでございましたが、きょうこの正式の委員会発言もこれあり、私は森下議員に対しまして御意向をお伝えしたいと思います。
  41. 馬場昇

    馬場委員 大臣、だから公式に環境庁長官として抗議をして釈明を求める、そしてこれはやはりこの委員会に出てきて釈明をすべきじゃないか、私がそれを要求しているわけですから、このこともあなたが森下さんに伝えていただいて、それに対する回答を持ってきていただきたい。この二つのことをお願いしたいのですが、いかがでございますか。
  42. 土屋義彦

    土屋国務大臣 よく御理解いたしました。
  43. 馬場昇

    馬場委員 御理解いたしますということは、そうしますということですか、どういうことですか、ちょっとわからなかったのですが。
  44. 土屋義彦

    土屋国務大臣 どうも失礼いたしました。お伝えいたします。
  45. 馬場昇

    馬場委員 大臣は非常にまじめな方でございますので、誠心誠意私の意見をやっていただけるものと信じておりますが、そこで長官、このことについてもう一つ言っておきたいのは、この発言を聞いた患者さんがどういう気持ちだったかということはあなた想像がつきますかどうか、このことなんですよ。  私は多くの患者さんに会いました。患者さんは何と言ったかというと、言葉はないと言うのですよ。この言葉を本当に水俣病行政をやる上において大臣、かみしめておいていただきたいと思うのです。そして何も本人に言いたくないと言いながらも、やはりこう言います。私も地元の生まれですからよく知っているのですが、私が知っている、私のような大きい頑健な漁民の方が、まさに一日に六十回も七十回もけいれんを起こして、この水俣病にはネコ踊り病という名前さえあるのですが、けいれんを起こして、そして狂い死にしていったのですよ。患者さんたちはこう言うのですよ。その漁民の方が摂取した量の水銀を、森下さん、飲んでもらいたい、それだけだという言い方をするのです。そしてまたもう一つ、森下さんに娘さんがあるかどうかは知らぬけれども、森下さんの娘さんに水銀を飲んでもらって、そして生まれたときに目も見えないのですよ、口もきけないのですよ、もちろん耳も聞こえない、お父さんお母さんの顔もわからないのですから、お父さんお母さんとも言えないのですよ、そして生けるしかばねで、二十歳、二十一歳になっても赤ちゃんみたいな胎児性患者、その人に御飯を食べさせられませんから、重湯を茶飲み茶わん一杯入れるのに何時間とかかるのですよ、吸引力がないですから。生けるしかばねの胎児性患者、そういう子供を森下さんの娘さんに生んでもらいたい、こう言います。そして、いままさに生活も破壊され、体も破壊され、認定申請を出した。不作為の違法状態です。何年たっても受けられない。体と生活が破壊しておる、こういう人と一緒に生活をしてもらいたい、こういうことを実は言っておるわけでございます。この患者さんたちの気持ちというものは推しはかっていただけると思うのですが、この人たちと、森下さんなりあるいは自民党の環境部会、そういう人たちと、このような雲泥の差のあるような物の者え方では水俣病は救われない。だから一緒に話し合いをしてみようじゃないか、公開討論なんかを申し入れをしてあるわけです。こういう点について公開討論はどうかということで患者さんと森下さん、あるいは大臣も含めていいでしょう、あるいは自民党の環境部会の方とも話し合っていいでしょう、やはり話し合いをするという機会は必要じゃないかと思うのです。それについて大臣がやはりあっせんをしていただくとか、そういう労をとっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  46. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先ほど来私が申し上げておりますとおり、森下議員個人の発言ということに相なるかと思います。先ほど来の先生の御趣旨を体して、この問題も含めて、私は森下議員に正確にお伝えしたいと思います。
  47. 馬場昇

    馬場委員 まだ申し上げたいことがあるのですが、一応大臣が誠心誠意私の言ったことで御努力なさるということでございますので、この努力を見守りながら、また質問するところがあれば質問したいと思います。  次に、もう一つの問題です。環境庁の不正経理の問題でございます。日本鉄建公団を初め公社公団、あらゆる特殊法人といってもいいくらいに最近不正経理が行われておることが報道され、事実が明らかになっておるわけでございますが、九月十七日の会計検査院の定例検査が行われてそのことが発表になって、中央官庁でイの一番に環境庁の不正経理が明らかになりました。私はまことに遺憾なことだと思います。私ども、ちょうど選挙の最中でございましたが、環境庁のことですから報道を注意深く見守っておりましたら、九月二十二日じゃなかったかと思うのですが、環境庁は正田官房長を責任者として内部に調査会をつくって事実を明らかにするということを新聞報道で国民に明らかにされたようでございます。それで、正田さんが責任者であるならば、その調査結果を明らかにしていただきたいと思います。
  48. 正田泰央

    ○正田政府委員 ただいま馬場先生から御指摘いただきました件につきましては、私ども環境庁の幹部といたしまして、国民の皆様に対して大変申しわけない事態が発生したと思っておる次第でございます。  本件につきましては、御指摘のように、環境庁といたしましても直ちに調査委員会を設置いたしまして、会計検査院の調査に並行いたしまして、会計検査院の調査の補完及び補強という形で調査を行った次第でございます。その調査の中身につきましては、現在会計検査院が審議し、取りまとめておると報告を聞いております。また、検査院は、伺うところによれば、今月定例の検査の国会報告という作業のために、いま申し上げたような審議の作業をしているという連絡を受けておりまして、具体的に数字等を私どもの方で申し上げる段階に至っておりませんが、検査院の方の報告の連絡がございますれば申し上げられる、こう思っておりますが、今後はこのようなことがないように庁目星同がんばっていきたい、こう思っております。
  49. 馬場昇

    馬場委員 はなはだおかしな答弁でございます。あなた方はこんな不祥事を起こしてさっきお謝りになったのですから、不祥事を起こして内部で調査をするということを委員会までつくってやっておられる。会計検査院は会計検査院独自で法律に基づいてやっていいわけです。ところが会計検査院が発表しなければ発表できないとか、何の関係がありますか。これはあなた方が自主的に環境庁でできたことを環境庁責任において調べて、こうでした、済みませんでしたと謝るのが、これが姿勢を正した姿であるし、あたりまえの姿です。それを何で検査院が発表しないからわからぬというのか。  聞きますけれども、あなた方の調査実態が明らかになったのですかならなかったのですか、いまその過程ですかどうですかということをお聞きしたいと思うし、きのうですか、参議院での公特で議論されまして、四局二十六課に不正があったのだという話も出たと報道されております。そして裏帳簿もつくってあったんだ、大蔵省や通産省を八回接待したとか、その前の報道等によっても、各課の庶務担当者が各課員の印鑑を預かっておって、空出張命令簿に印鑑を押してやっておったんだ、あるいは出張したって環境庁は復命書も出す必要がない、いろいろなことが実は報道されておるでしょう。こういうことについて事実あったのですかなかったのですか。  それで、私どもが伝え聞いておるところによりますと、大体二千万程度の不正が五十三、五十四年度にあったんだ、こういうことも実は伝え聞いておりますけれども、こういうことについて大体私がいま言ったようなことは事実であるかどうかということについて答弁を願いたい。
  50. 正田泰央

    ○正田政府委員 お答え申し上げます。  私どもの方の調査によりますれば、庁内の局に普遍的にこういう事態があったこともわかりました。  それから、裏帳簿というお話でございますが、これは庶務経理担当者のメモ、そういったものについてのことでございますし、メモが人事異動、年度の交代、そういうときに廃棄されておりまして、そういうことを昨日申し上げたのが実態でございます。  それから、各省庁とのお話でございますが、私どもの方の幹部が五十三年度に各省庁とのいろいろな会議の後に儀礼的な会合を行った、こういうことが調査の結果わかりました。ただし、これは庁費による正式の会議でございますが、そういうことを申し上げたわけでございます。  それから、印鑑の御指摘でございますが、これはいろいろなセクションによってさまざまな形がございまして、本人が預かっているとか、そういうふうな実態がございました。  それから、最後に先生がお話しになりました二千万という数字については、私ども調査の中身もそれに近いというふうに申し上げさせていただきます。
  51. 馬場昇

    馬場委員 これは大臣にお聞きしたいのですけれども環境庁の不正経理事件が明らかになりまして、九月二十二日だったかと思いますが、大平総理大臣が大阪で記者会見をなさっておりまして、環境庁の疑惑は早急に解明をする、空出張については弁解の余地がない許しがたい行為で厳重に処分する、こういう発言をなさっています。同じ日に上村前環境庁長官も静岡県で記者会見をして、環境庁としても早急に内部調査を進め実態を解明する、こういうことをおっしゃっているわけでございます。  そういう点から言いますと、今日この委員会でこうでございましたという全貌が明らかになっていないのは、こういうものは怠慢と言うのはおかしいのですけれども、反省の色がない。だから、環境庁は会計検査院とは別に環境庁内で実態を明らかにして――いつまでに国民の前に明らかにするのか、いつごろそれはでき上がるのかということについて長官決意を聞いておきたいと思うのです。  いまみたいな答弁では、本当に国民の血税を使っているという意識に欠けている、またものすごく悪いことをしたという意識にも欠けている。私は綱紀の問題として考えざるを得ないのです。特に環境庁はこの問題についても少し批判されているのが報道として伝わっているのです。たとえば会計検査院が調査に入ったところが環境庁は書類の提出を拒んだ、こういうふうにも伝わっておるのです。そしてまた、発覚するのを恐れて帳簿を改ざんした、こういう事実もあったのだということが会計検査院筋から出ておるわけでございます。その点、こういう臭い物を調査するのにものすごく非協力的である、そう伝えられているところに、いまみたいに現在までこの実態環境庁筋から明らかにできないのは問題だろうと思うのです。大臣、この点についてなるべく早く環境庁責任において国民の前に実態を明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  52. 土屋義彦

    土屋国務大臣 申し上げるまでもなく、環境庁国民に密着した役所でございまして、何と申しましても国民の信頼と協力なくして行政の成果等を上げることはでき得ないと思います。中央官庁においてこのような不祥事件が起きましたことはまことに申しわけなく、環境庁長官といたしまして、国民の皆様方に心から深くおわびを申し上げる次第でございます。  私が長官を仰せつかって初めての記者会見の席においても、この問題については厳正な処置をとりますということをお約束いたしておりますので、ただいままだ会計検査院において調査中でもございますので、それらの結果等も踏まえて、私は適切な厳正な処置をとってまいりたいと考えております。
  53. 馬場昇

    馬場委員 大臣、私がさっきから言っているのは、会計検査院に任せるのではなしに、自分たちの内部で調査会もつくっているのだからやりなさいということですが、いまの答弁は会計検査院のあれを待ってからというように聞こえてしようがない。私は、これはあなた方の力で、あなた方の中でやるべきではないかということを申し上げておるわけでございますので、その点いかがですか。
  54. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生お説のとおりでございまして、環境庁内部におきましても、この問題に対しましては真剣に対処してまいりたいと思いますので、ぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。
  55. 馬場昇

    馬場委員 いまの質問のときに大臣非常にりっぱなことを言われました。環境庁国民に密着しておる――どこの省庁も密着しているのですけれども環境庁は特に密着している役所であるということをおっしゃったのです。私はそのことは当然だと思います。  そのことにも関係するのですが、そういうことで環境庁こそ本当に弱い住民の味方でなければならぬわけです。たとえば産業界住民が対立したようなときには、環境庁住民の味方であるのは当然のことですが、そういう環境庁が、私はきのうも大臣に予算のことで申し入れに行ったのですが、私があそこへ入るときに検問を受ける。このことは、私がどうということではありませんが、国民すべてがあそこで検問を受けるわけです。ほかの省庁にはああいうことはございませんね。一番開かれて国民に密着しておるべき環境庁が、国民に向かってとりでをつくっているわけです。  私はまず質問いたしますけれども、何のために、どういう人間をチェックするためにあの入門規制をやっているのか、そのことについてお尋ねしたい。
  56. 正田泰央

    ○正田政府委員 お答えを申し上げます。  入門規制の事情について、いろいろの過程の中で馬場先生非常にお詳しいと承っておりますが、この目的は、環境庁におけるいろいろな陳情がございますが、平穏かつ冷静な陳情をお願いしたいということ、及びどこの役所でも共通でございますが、爆発物その他のいろいろな危険性、そういった庁舎管理上の観点で行っている次第でございます。
  57. 馬場昇

    馬場委員 陳情はほかの役所でも皆同じでしょう。爆発物だってほかの役所に持ち込まれたら困るわけでしょう。他の役所はしてないのに何で環境庁だけやっているのですか、それを聞いているのです。  そして、入門規制の過程で馬場先生にお世話になったからと言うけれども、入門規制するのに私がお世話した覚えはないですよ。誤解のないようにそのことはしていただきたいのです。私はしないようにお世話したことはあります。  それはそれとして、とにかくほかの省庁でやっていないわけでしょう。だから環境庁は何のために、だれを対象としてこれをやっているのか。いまの話ではどこの省庁とも少しも変わりません。変わらなかったら外したらいい。環境庁、あの役所だけがああしているのですから、他の役所と違うところを言ってください。
  58. 正田泰央

    ○正田政府委員 先生指摘のように、先ほど申し上げた事情各省庁とも共通した事情がございます。しかしながら、わが環境庁では一年ないし二年前に陳情に当たって必ずしも静穏とは言いがたい事情が発生し、トラブルがあった事実がございます。したがいまして、そういうような陳情では行政官庁としての、合同庁舎としての各省の平穏な執務の維持のために支障があるということが事情でございまして、しかしながら、先生のおっしゃったような点は、私ども終始念頭においてやってきたつもりでございます。また改善を若干ずつ図ってもおりまするし、今後もそういうような努力は続けてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  59. 馬場昇

    馬場委員 ほかの省庁と違うところはいま明らかになりました。一、二年前にトラブルがあった、このことがほかの省庁と違うところだ。それしかほかの省庁と違うところは考えられません。そういたしますと、一年前トラブルがあったというのだから、公害患者、特に水俣病患者、それを支援する人たち、こういうことになります。そうすると、あのとりでというのは公害患者に対するとりでとしか考えられないのです。それ以外に言いようがないわけです。  そこで、今度は長官にお尋ねいたします。トラブルがあったのは私も知っているのです。ところが、長官、このトラブルがなぜ起こったかというところが問題でございます。名前を挙げて恐縮ですけれども、私も何代かの長官とお会いして知っておりますけれども、たとえば三木長官のときなんかはトラブルは起こらなかったのです。またほかの長官のときにもトラブルは起こらなかったのです。ある長官のときにトラブルが起きた。全部にトラブルが起こるはずがない。ある特定な長官のときにトラブルが起こったということは、その長官の姿勢によるということは当然想像できるわけでございます。  もう一つは、長官個人じゃなしに、あるいは庁全体の流れが、たとえば公害患者を押しつぶそうという流れに動きつつある、そう感ずるときにトラブルが起きた。そういう行政をしなければトラブルは起こらないのです。私もトラブルが起きたときにそういうことがないようにということでいろいろ努力をしたから知っております。いまの環境庁長官土屋さんは非常にまじめで、環境行政理解がある人、あなたが長官をしておれば、一生懸命やっていただければトラブルは起こりませんよ。そしたらあそこは解いていいじゃないですか。解くということはあなたの手柄じゃなしに、日本の環境行政住民に開かれておる、本当に正しい姿に戻ることになるのです。そういう点で、いまのあの入門規制は被害者である公害患者等に対して行われておる。どうしても許せない。住民に対してとりでを張っている。開かれた環境庁ではない。そしてその姿は、さっきから言っておりますように、産業界等を守って被害者を敵にしているとしか映らないのです。新しい環境庁長官になられたのですから、この際、あの入門規制を解いて、開かれた環境行政を、私は後退しない環境行政をいまからやりますよということを示していただきますと、今後の環境行政は非常によくなると思うのです。そういう点について、あの入門規制は新長官のもとではやめていただきたいと思うのですが、どうですか。
  60. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生の御意見ごもっともであろうと私は思います。実はNHKの「奥さんごいっしょに」という番組に出ましたときにも、私は率直に、わが環境庁は開かれた役所でございます、時間の許す限りお見えになりました方は役所においていつでも喜んでお目にかからしていただきますということを国民の皆様方にテレビを通じお訴え申し上げているような立場からも、その問題につきましては率直に言って非常に責任を感じておるのでございますが、先ほど来官房長からもお話がございましたとおり、八省庁ですか入っておりまして、いろいろその省庁との話し合い等もなされておるようなわけでございますので、今後段階的に改善をしてまいりたいということでひとつぜひ御理解を賜りたいと思います。
  61. 馬場昇

    馬場委員 ちょっといまのはわからなかったのですけれども各省庁がたくさん入っているのは知っているのです。段階的に改善してまいる。すぼめてあるのを少しずつ広げていくということじゃないでしょうからね。だからこれは、入門規制をやめたい、そういう考え方で、関係があれば他省庁とも話をしていきたい、こういうことだろうと思うのですが、それでいいですか。
  62. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生の御意見も踏まえて前向きで検討さしていただきたいと思いますので、御理解を願いたいと思います。
  63. 馬場昇

    馬場委員 ちょっと前向きというのははっきりしなかったんですよね。前向きというのは、やめろと言うからそちらの方に向いて歩いていくんだと思うのですけれども、前向いておって後ろに下がったら困るので、だからそういう点はっきり、あんなのはいいと思っておられるのですか、悪いと思っておられるのでしょう。そしてすべきじゃないと思っておられるのでしょう。その方向にいきます、努力しますということでしょう。
  64. 土屋義彦

    土屋国務大臣 そのとおりでございます。
  65. 馬場昇

    馬場委員 次にもう一点、いまのは国民に開かれていないということで言ったので、それとも関係するのですが、環境庁には秘密行政というものはそうあってはならないと私は思います。他省庁はともかくとして、環境庁は開かれた行政をしなければならぬと思うのですけれども、その点について水俣病の臨時審査会の例をとってお尋ねしてみたいと思うのです。  この認定促進の臨時措置法は患者切り捨てだという批判がいろいろありました。私どもは、国会の中で、そういう批判がないように、そうならないように精いっぱい努力をして修正等もいたしました。そして通過したのですけれども、今日までまだまだ十分な理解を得てない部分もあることは事実です。  そこで、そのときの附帯決議で、この臨時審査会は、患者の信頼を受けるような審査委員を任命せよという附帯決議になっている。ところが任命に当たっては患者の理解を十分受けるような手だてをしていないのです。そういう形でこの臨時審査会は発足したのですが、今日この審査会がどうなっているんだということを私どもが聞いたって環境庁は教えないのです。いま四十七名この審査会に出ていることは知っておりますけれども、たとえばいつごろこれが検診作業をやって、いつごろ第一回目の審査会をやるんだ、これについてもなかなか明らかにしない。こんなことは、いつ検診をいたします、いつ第一回の審査会をいたしますと堂々と明らかにすべきです。秘密でも何でもない。そういうことを明らかにしないというのはおかしい、私はこういうぐあいに思うのです。やはりこういう問題は民主的に公開でやるのはあたりまえですが、そういうことで民主的公開というのはわかるのですが、大体この臨時審査会について、いつ検診していつ審査会を開くということの計画ですか。
  66. 本田正

    本田政府委員 私ども決して秘密主義ということで行政をやっているつもりはございませんが、特にこの水俣病臨時審査会の件につきましては、いろいろ患者さん方の申請のぐあい、それからまた検診をやらなくちゃいけないこと、審査をもちろんやること、そういったことでいろいろな方面と折衝せぬといけませんので、なかなか時間がかかり、明確な期日を申し上げることもできずに来たわけでございますが、ようやく検診の方はこの十三日、十四日に実施できる運びになりました。そのデータをもちまして、できるならば年内に審査会が開けるようにおいおい努力をしているところでございます。
  67. 馬場昇

    馬場委員 大臣、熊本県にも審査会が、本体があるのです。少なくともその運営と同じくらいの開かれた運営をしていかなければならないと思います。審査会の日程が決まりましたならば明らかにいたしますね。いま今月中にということでございますけれども、十三、十四日の検診はわかりました。今月中にいつ開くということが決まりましたら、事前に明らかになさいますね。熊本県と同じような状況でやる、そして日付を明らかにしてくれということでございますが、どうですか。
  68. 本田正

    本田政府委員 できるだけ十二月中に実施すべく調整を図りつつあるところでございますし、決まりましたならば事前に申し上げたいと存じております。
  69. 馬場昇

    馬場委員 時間も迫ってきたわけでございますが、もう一点質問申し上げておきたいのです。  先ほど出ました環境アセスメント法についてでございますが、流産、流産でございましたけれども先ほどの質疑で、私も聞いておりまして、大臣が次の通常国会で全力を挙げてがんばるというようなことを答弁なさっておったようでございますが、本当に野党の納得するような案で、自民党を説得して、次の通常国会で通したい、そういう強い決意であられると思うのですけれども、どうですか。
  70. 土屋義彦

    土屋国務大臣 自民党に対しましては、私自身がみずから先頭に立って、理解の得られるように、また野党の先生方に対しましても御理解をいただけるような法案づくりに最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  71. 馬場昇

    馬場委員 最後に、チッソ株式会社の金融支援措置に関する事項でお尋ねしたいと思うのですが、これは経過を説明する必要はないと思いますが、実は熊本県がこの十二月五日から県会を開いております。ここで補正予算を計上して、その中で二十二億九千百万円の第三回目の県債を提案をしておるわけでございます。これについて、非常に厳しい県会情勢でございます。第一回目を五十三年の十二月に出したときに熊本県議会が附帯決議をつけておるのです。この附帯決議に基づいて政府要望が出ているのですが、それが十分行われていないという不満があるからです。たとえばチッソに万一があった場合に十分な措置をとるとか善処するとか書いてあるが、一〇〇%国が責任をとるのかということに対してはまだ明らかになっていない。そういう点に対する不満、七項目ありますが、そういう不満があります。  それから、五十四年の六月に第二回の県債を発行するというときに、やはり第一回目の要望に対する不満とともに、熊本県の要望がさらに二項目追加されました。それは水俣工場の体質改善に当たって雇用の減退、地域の混乱を伴うものであってはならない、こういうことです。それが第一です。第二は、熊本県政始まって以来の異例中の異例、緊急避難としての県債を出しているわけでございますから、国も異例中の異例と言われるような熊本県に対する水俣病関係の財政援助をすべきだ。この二点が実は第二回目に委員長報告という形で出まして、追加されて、国に要望されておるわけでございます。  そこで、これは第一に、通産来ておられると思いますが、チッソ水俣工場の強化拡充、あそこを撤退しないのはもちろんですが、強化拡充をするということは、歴代環境庁長官なり通産大臣も約束しておられるわけでございますが、さっき言いました県会の要望という形でチッソ水俣工場の強化拡大というのは、既存の事業を強化するということ、それから新規事業を興すということ、こういうことが内容でございますし、雇用の減退、これは人数を減らしてはならぬということとともに、実際は下請会社とか子会社に移したり、そこで労働条件を下げてはならない、それらの意味を含めて熊本県が国に要望しているのです。これに対してチッソが現在までこたえていないという状況で非常に不満があるのです。これについて、このような体制でチッソに行政指導を十分やってもらう、そういうことがなければ、なかなか県債も問題が多いということでございますので、通産省のこれに対する考え方を聞いておきたいと思います。  それから、環境庁長官にはもう私ども熊本県の議員団でお願いしたのですが、たくさんの予算にかかわる要望をいたしております。たとえばその中の一つで、水俣病の認定業務に従事する――認定業務ですよ、認定業務に従事する職員が熊本県に五十人おる。この五十人の中で国庫補助の対象になっているのは八人です。これじゃいかぬ。やはり五十人全部国庫補助の対象にしてくれないか、予算はそれについては八千二百万円ぐらいしか要らないんだ、こういう要望も出ておるのです。  それからもう一つは、水俣病関係の国庫補助率というのが二分の一です。これを四分の三にしてくれ。これに要る経費は六千五百万です。大臣、御承知のとおりに水俣病の申請というのはいままで三十一県から出ておるわけですよ。三十一県の県民から申請が出ておる。それを熊本県独自で県債を引き受けておる、こういうこともございまして、三十一県にわたるような問題なら国が直接認定業務をやれというのが基本要求でございますけれども、それを熊本がやっているのですから、そのくらいのことはしていいじゃないか、こういうことでございますし、この点についての環境庁答弁を願いたいと思うのです。
  72. 土屋義彦

    土屋国務大臣 水俣の問題に対しまして、県が県債発行という異例な措置をとっていただいたことに対しましても、深く心から感謝を申し上げる次第であります。  御指摘の補助対象職員は五十人のうち八人ということでございますが、また水俣病関係経費のうちの国庫補助率が現行二分の一、これを四分の三に引き上げてほしいという御要望につきましては、含めて、関係各省と連絡をとりながら努力してまいりたいと思います。
  73. 山本雅司

    山本説明員 チッソ工場の合理化問題に関しましては、先生指摘のとおり、現在までの県債発行の際の委員長報告等に出ておりますように、雇用の減退を伴わないように、なおかつ地域経済の混乱を引き起こさないようにという基本精神のもとに現在企業がいろいろ計画、検討していると承知しております。したがいまして、これができるだけ早く、しかも先ほども申し上げましたような精神のもとに十分な計画ができ、それが実行されるように私どもも期待しておりますし、必要な助言指導もやっていきたいと考えております。
  74. 馬場昇

    馬場委員 時間が来ましたので、質問を終わります。
  75. 河野正

    河野委員長 島田琢郎君。
  76. 島田琢郎

    ○島田委員 馬場委員の質問で大分緊張の面持ちでありますので、私は少し話題を変えまして、国立公園の管理体制の問題についてお尋ねをしてみたいと思います。  事務的なことで最初にお尋ねをしておきますが、国立公園あるいは国定公園、また都道府県の管理にかかわります地方公園はそれぞれ幾つあって、延べ面積ではどのくらいになっているか、この点をまず聞きたいと思います。
  77. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 ただいまのお尋ねにつきましてお答え申し上げます。  国立公園は現在二十七カ所、国定公園は五十一カ所、都道府県立自然公園につきましてはちょっと資料がございませんが、約三百というふうになっております。  面積につきましては、資料がただいま手元にございませんけれども、国立公園につきましては約二百二万ヘクタールということになっております。
  78. 島田琢郎

    ○島田委員 全体的な正確な数字をお持ちになっていないということについては理解をしますけれども、環境白書に載っているのですね。この環境白書はどこでつくっているのですか。
  79. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 もちろん環境庁でございます。
  80. 島田琢郎

    ○島田委員 大事な問題に対して、それは何十何アールまで言えと言っているのではありませんが、面積の把握などというのは序の口の話ですから、しかも公害白書できちっと出ているのです。出ているのを聞いている私も意地が悪いのかもしれませんけれども、私は実はこの公害白書というのは興味を持ってほとんど読みました。確実に私の頭に数字まで入ってはおりませんけれども、大まかに環境庁が言わんとしていることについて理解をいたしました。その膨大な中で数字を言えというのは無理があるかもしれませんけれども、少なくともあなたの所管にかかわる国立公園の面積ぐらいは把握していなければ――あなたはこれと関係のない係におられるということですか。
  81. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 ただいま概数を申し上げましたけれども、正確に申し上げますと、国立公園につきましては二百二万三百七十三ヘクタール、国定公園につきましては百十四万六千五十七ヘクタール、都道府県立自然公園につきましては二百二万九千百九十四ヘクタールでございます。
  82. 島田琢郎

    ○島田委員 私はなぜそういう厳しいことを言うかというと、いま管理体制の問題を聞こうと思っているからなのです。入口のところでそういう状態では、私が推定するところ、この国立公園にかかわる管理体制もそうしっかりいっていないのではないかという感じがいたします。  もう少し数字的なことをお尋ねしてまいりますが、国立公園の延べ面積というのは日本の全体の国土面積から言うと何%になりますか。
  83. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 国立公園、国定公園等合わせまして国土面積の約一三%でございます。
  84. 島田琢郎

    ○島田委員 国立公園に管理事務所が置かれているところがあります。二十七全部に置かれておるのでしょうか。
  85. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答え申し上げます。  二十七カ所全部に管理事務所というものは置かれておりませんが、十カ所に管理事務所、その他には管理員事務所というものが置かれております。
  86. 島田琢郎

    ○島田委員 それはどこどこですか。
  87. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 管理事務所の置かれております公園は十カ所でございますが、阿寒国立公園、十和田八幡平国立公園、日光国立公園、富士箱根伊豆国立公園、中部山岳国立公園、吉野熊野国立公園、大山隠岐国立公園、瀬戸内海国立公園、阿蘇国立公園、西表国立公園、以上の十カ所でございます。
  88. 島田琢郎

    ○島田委員 つまり二十七カ所のうち十カ所しか管理事務所が置かれていないのですが、そのほかには管理員事務所といったようなものがあるというお話であります。そういたしますと、管理事務所を置くという一応の規定というものがあって十カ所ということに限定されているのか、それともランクづけがあって、そのランクに基づいて事務所が置かれているのか、いかがですか。
  89. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 管理事務所の設置につきましては、環境庁の組織規則にその位置、場所等をはっきり決めて設置を規定しております。
  90. 島田琢郎

    ○島田委員 その規定によれば十カ所の管理事務所ということに相なる、こういうふうに理解いたしますが、さらに十カ所以外のところに管理事務所を置こうとすると、管理規定そのものを変えなければ置けないということになるわけですか。
  91. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 国の機関でございますので、その設置の根拠を置かなければならないというふうに考えております。
  92. 島田琢郎

    ○島田委員 ちょっと最後のところがわからなかったのですが、変えなければだめだ、置けないと……。
  93. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 法令的な根拠を設けなければ設置できない、こういうことでございます。
  94. 島田琢郎

    ○島田委員 設置基準というようなものの中身に入らなくてはならないわけですけれども、設置基準の中には、全部でなくて結構ですが、主としてどういうものを基準にしてこの十の事務所が置かれているのか。
  95. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  管理事務所の設置基準といいますか設置の根拠は、ただいま申し上げました環境庁組織規則に設けられておりますが、実質的にどこに管理事務所を置くかということにつきましては、その公園の置かれました状況を勘案しまして、特に重要と認められるものにつきまして事務所を設置する、こういう判断をいたしております。
  96. 島田琢郎

    ○島田委員 重要という判断は何か基準があってやるのですか。それとも審議会みたいなものの中で論議をして、それらをもとにして判断をするのですか。その判断はどういう基準判断をするのか、それはだれがどこでやるのか。
  97. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 事務所でございますので、この設置について審議会等の意見を伺って決めるということはいたしておりませんが、当該公園の置かれている状況からいたしまして、利用者が特に多いとか、地形その他からいたしまして管理上重要な問題がある、こういうふうないろんな条件を勘案しまして、そうしたプライオリティーを決定いたしておる次第でございます。
  98. 島田琢郎

    ○島田委員 一事務所の規模はどういうものですか。たとえば職員の数とか、あるいは大まかに言って予算の問題とか、それから建物の規模であるとかいったようなものはどうなっているのですか。
  99. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  十カ所の事務所の職員的な規模は、おおむね、大小ございますが、三、四名が中心でございます。それからおおむねでございますけれども、一カ月の運営費というものは約六十万というふうなことになっております。建物の大きさ等につきましては、従来からの古い建物を使ったりいろいろいたしております関係もございまして、一概には申せませんけれども、その三、四人の規模にふさわしい程度の事務所というふうになっております。
  100. 島田琢郎

    ○島田委員 この事務所におられる人は、全部管理員としての資格を持っておるわけですか。
  101. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 さようでございます。
  102. 島田琢郎

    ○島田委員 そういたしますと、管理員は十カ所にして四十名程度ということになりますが、それぐらいの人数ですか、いまは。
  103. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 そのとおりでございます。
  104. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると、あとは事務所のないところに駐在をしている管理員ということになるわけですね。
  105. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 さようでございます。
  106. 島田琢郎

    ○島田委員 そこで、管理員という問題についてお尋ねをしていきますが、いま事務所があるところに駐在をされる管理員、それから事務所なしで単独で管理員としての資格で管理をされている人、こう分けるわけでありますが、特に事務所の所在のないところにおける管理員の指揮監督というのはどういう形でおやりになっておるのですか。
  107. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  単独で駐在しております管理員につきましても、指揮監督の系統は、それぞれ十カ所の管理事務所の所長の指揮監督下に入る、こういう体制をとっておりまして、その間の連絡は十分にいたしております。
  108. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると、管理事務所があるのは二十七のうち十である、ないところが十七ある。その十七のところを私は言っているわけですれども、そこの管理員は管理事務所長の指揮下に入ると言いますが、ちょっとその辺がわからないのですけれども、もうちょっと詳しく話してみてください。
  109. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 十カ所に管理事務所がございますが、その事務所及びその周辺に単独で駐在しております管理員がその所長の指揮監督下に入る、こういうことでございます。
  110. 島田琢郎

    ○島田委員 管理事務所のあるところで管理員がいるところは問題はないわけですが、管理事務所がないところが十七あると言っているでしょう。それは近くの管理事務所の指揮監督下に入るんだ、こう言っても、公園は全国ずっと二十七あるわけですね。かたまって特定なところにあるわけじゃないのですね。そこのところがどうもわからないのですが、私の理解の仕方が悪いのか。
  111. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 本来から言いますと、各国立公園にそれぞれの管理事務所というものが置かれるのが望ましいかと思いますけれども、現状におきましてはいろいろな制約上やむを得ませんので、管理事務所という組織は十カ所に置きまして、その他単独で駐在しております管理員につきましては、それぞれのグループに分けまして、たとえば志賀高原なら志賀高原駐在の職員は中部山岳国立公園管理事務所の所長の指揮のもとに入る。指揮のもとに入るというのはやや形式的でございますけれども、たとえば予算の配賦とか、その単独駐在員の管轄しております地域における許認可事項等は、中部山岳の事務所長のもとに集められまして、そこから本省へ上がってくる、こういうふうに業務の上で統括をしておるということでございます。
  112. 島田琢郎

    ○島田委員 さて、管理員と言われる人の資格要件というのはかなり厳しいものですか。  それから、管理員の仕事の範囲というのは、また権限というのはどの辺まであるのですか。
  113. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申します。  現在、各国立公園に配置されております管理員は、国家公務員試験の造園系統の上級職の試験に合格した専門家でございます。これはもちろん身分といたしましては国家公務員でございまして、一般職の職員ということになっております。  それから権限はいろいろございますけれども、一般的に言いまして大きな問題は、自然公園法に基づきます許認可等に係る事項について取り扱いをいたしておりますし、公園の利用等に対する指導その他もいたしております。
  114. 島田琢郎

    ○島田委員 まあ置かれている環境が環境であるだけに、この方々は大変御苦労が多いわけです。そして責任も重い。その割りにはどうも報酬がいま一つぱっとせぬ。こういう感じで私は現地で受けとめております。これらの改善について、私はやはり積極的にやらなければいかぬというふうに思っている一人です。しかも、機動力等についてもきわめて不備ではないかというふうに思うのですが、この点はいかがです。
  115. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 御指摘のことにつきましては、先生の仰せられますとおり、国立公園の管理員というものは広範な地域の保護管理に当たりまして、非常に業務の上でも特殊性がございます。したがいまして、私どもとしましては、第一に管理員の定員を逐次ふやすということで、ここ数年来数名の増員を続けております。こうした定員につきましては、厳しい状況下でございますけれども関係方面理解を得てその努力をいたしておる次第でございます。  また、手当につきましても、先ほど申しましたように、一般的な給与は一般職の給与法の適用に基づきまして行われておりますけれども、その一般的な業務のほかに、公園管理員の勤務地がおおむね先生の御指摘のように山間僻地であるとかあるいは寒冷地であるということもございまして、そのことに関しまして、私どもとしましては、毎年これらの手当の改善につきまして機会あるごとに関係当局要望いたしまして、努力をしてまいっております。まだこれが十分とは思っておりませんけれども、今後とも引き続いてその面における努力を強化してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  116. 島田琢郎

    ○島田委員 最後に、もう時間が来ましたから、もう少し聞きたかったのですが、これでやめますけれども、大臣、非常に山の中で環境も悪く、子どもの教育だって大変だ、こういう状態の中で勤務されておるこうした方々、いまいみじくも定員をふやすなりあるいはそのほかの諸手当等でも充実を図っていきたいというお答えがあったから、私は努力に期待をいたしますけれども、こういうところで、つまり底辺でまさにこつこつと一生懸命おやりになっている、さっきの環境庁の空出張を初めとするいろいろなそういう問題を考えますときに、こういうところにおる人たちの身分、そして生活の状態というものをしっかり目配りをしてあげてやるのがやはり大臣としての大事なもう一つの任務だと私は思うのですよ。ひとつここにしっかりスポットライトを当てておやりいただきたいと思うのですが、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  117. 土屋義彦

    土屋国務大臣 ただいま島田先生から現場に働く管理員の人たちに対しまして本当に思いやりのある御発言をいただきまして、まことにありがとうございました。私は、いずれ機会を見まして現場に参りまして、職員の皆さん方ともひざを交えて話し合いをしてみたいと思っております。何しろもう御案内のとおり国立公園は広範にわたっておりますので、管理体制の面におきましても御指摘のとおり不備の面もあろうかと思いますが、また人員増の問題につきましても非常にむずかしい面もございますけれども、ただいま局長から答弁いたしましたとおり、私自身も鋭意努力をいたしてまいりたいと思います。
  118. 島田琢郎

    ○島田委員 お見受けするところ、大臣は大変誠実そうな、まじめそうな方だというふうに私は思いますので、ぜひひとつそういう見忘れられたようなところ、そこをしっかりおやりいただくように重ねて要望を申し上げておきたいと思います。  終わります。
  119. 河野正

    河野委員長 この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十六分開議
  120. 河野正

    河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  121. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 先般、滋賀県におきまして、御承知のように、富栄養化防止条例が制定されました。これの施行は来年、こういったことになっておりますが、内外に大きな反響を呼んでおります。そこで、全国の中でも滋賀県として初めてのことであり、そしていろいろと困難があるのではないか、こういった面も考えられるわけでございます。滋賀県の中にある琵琶湖の問題でございますが、特に近畿千三百万の人たちの飲料水源である。そういった観点から考えてみましても、これは真剣になって取り組んでいかなければならない、そういった大事な問題でございます。  そこで、この富栄養化防止条例が制定されたことに関して、環境庁としてどう取り組んでいくのか、どうバックアップしていく考えなのか、その辺の見解を最初に明らかにしていただきたいと思います。
  122. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  ただいまも先生がお述べになりましたとおり、琵琶湖は千三百万人になんなんとする近畿圏の人たちのとうとい水源地でございます。しかるに、最近プランクトン等が大変ふえてまいりまして、それがために琵琶湖が汚濁され、そこで県におきましても、県民の同意を得まして、燐を含んだ洗剤の販売、使用、贈答等を禁止する条例をつくられたわけでございますが、環境庁といたしましては、水質保全の立場から大変意義があるものである、かように高く評価をいたしておる次第でございます。  また、今日まで環境庁におきましては燐の低燐化、それからまた代替製品の開発等に対しましては、かねてより通産省、業界等に対しましても強く要請をしてまいっておりまして、現在におきましてはほとんど洗剤においてその含有量が一〇%以下にまで削減されておるような次第でございますが、今後ともこの低燐化あるいはまた代替製品の開発につきまして引き続き強く要請をいたしてまいる所存でございます。
  123. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 滋賀県として、富栄養化防止のために、県独自の努力をずっと積み重ねてきた経過というものは御承知のとおりでございますが、その中で、国に対して総量規制とか、あるいは燐、窒素等の環境基準、排出基準、こういったものを定めるように要求もしてきました。ところがそういったものもできずに後手後手になってきているのが国の対応の仕方。本来、瀬戸内海あるいは東京湾、伊勢湾、こういったところが総量規制に踏み切ったときに、当然飲み水の最も大事な点であり、それ以外にも重要なものとして恩恵を受けてきておるこういった琵琶湖のようなものも、総量規制等に着手していかなければならないときであったと思うわけです。ところがそういった面に滋賀県としては独自で踏み切らざるを得なかったというところに、本当にこれは国の対応の仕方というものが非常におくれてきておる。こういった面を考慮に入れて、今後国としてこのまま過ごしていくわけにはいきません。  そこで、燐、窒素等の環境基準あるいは排出基準をもう出してもよい、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  124. 馬場道夫

    馬場政府委員 お答えいたします。  ただいま、先生から燐、窒素の排出基準の問題の御指摘があったわけでございますけれども、私どもも燐、窒素が富栄養化の主要な物質でもございますし、特に富栄養化が進行しておる状況の中におきましては、なるべく早くこれを設定しなければならないというように考えておるわけでございます。  そこで、私どもも、最終的には燐、窒素に関します環境基準、それから水質汚濁防止法に基づきます排出基準を設けまして、一定の水準で規制をするということを指向しておるわけでございますが、燐、窒素につきましてはまだいろいろむずかしい問題がございまして、環境庁の中に、少なければ少ないほどいいというようなものでもございませんし、いろんな水の利用形態によりましてレベルが変わってくるわけでございます。そういう意味での知見の蓄積が必ずしもまだ十分でございませんし、現在その辺の検討をいたしている段階でございます。  しかしながら、その間に富栄養化も進行しておるわけでございますので、私どもとしては富栄養化に対して何らかの総合的な対策が必要であるという認識は持っておるわけでございまして、そういう面で私どもも、水域中におきます燐、窒素の環境中の目標レベルというものを早急に設定をしたいということで、実は学識経験者に集まっていただきまして検討会を発足をさせまして、今月中に第一回の検討会を開くことにいたしておるわけでございますが、とりあえず湖沼を中心にいたしまして、燐の水質環境中における目標レベルを設定をいたしたいというように考えておるわけでございまして、そういうものによりまして総合的な対策を逐次講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  125. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今後の対策として、ぜひこれを、国のいままでのおくれた部分を取り戻して早急に取り組んでいってもらいたい、こう思うわけです。  そこで、今回、滋賀県が富栄養化防止条例の中で燐、窒素に関する基準といったものを定めてまいりましたが、今後こういうところへ国として基準を設けていくのに、滋賀県の出してきたものよりもなお緩やかになるというようなことになったら、ちょっとこれは問題じゃないかと思いますけれども、その辺の考えはどうですか。
  126. 馬場道夫

    馬場政府委員 お答えいたします。  滋賀県で今度設定しようとしております目標、これは審議会の答申があったようでございまして、まだこれから検討されると思いますが、琵琶湖におきます四十年代なりあるいは五十年の初期の水準を目標にするというようなことをお考えのようでございます。  私ども考えておりますのは、一体どの辺が各湖沼の性格等によりまして適正な水準であろうかという検討をいたしているわけでございまして、具体的に個々の湖沼にそれを適用するといいますか、そういう場合には当然県でやっておられるようなことも十分尊重しながらやってまいるというようなことに相なろうかと思います。
  127. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一回聞いておきますが、滋賀県がそういうものを制定していく中で、国としてはそれよりもシビアに考えてやっていくのかどうか。もう一度明確に答えてください。
  128. 馬場道夫

    馬場政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいま学識経験者の方に集まっていただいて検討会を開こうという段階でございますので、検討会の先生方の御意見等も十分参酌しながら、またいま先生のおっしゃったようなことも十分頭に入れながら、その辺は進めてまいりたいというように思うわけでございます。
  129. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは通産省にお伺いいたしますが、ここへ出てきた今回の条例の中で一番問題になるのは、合成洗剤の問題でございます。これは長い経過があるわけでございますけれども、その中で通産省として、こういう事態になってきて、やはり認識の上で持っておっていただかなければならない点があるわけです。そこで、合成洗剤による環境汚染というのはどうなっていくんだという、この認識を通産省はどうお持ちなのか、お答え願いたいと思います。
  130. 大高英男

    ○大高説明員 お答えいたします。  一口に琵琶湖の環境汚染と申しましてもいろいろな問題があるかと存じますが、その中で富栄養化の問題につきましてはいろいろな原因が複雑に関係しておるわけでございます。よく言われます赤潮につきましても、まだその発生機構が十分解明されていないという段階にあるわけでございます。したがいまして、合成洗剤の中に含まれておる燐につきましても、私ども合成洗剤だけを取り上げて規制をするというふうなことでなくて、産業系、生活系等のすべての分野にわたって総合的な対策を立てることによってこの問題を解決する必要があろうかと存じておるわけでございます。  通産省といたしましては、従来からこの合成洗剤につきましては、その中に含まれます燐分につきましての低減化の行政指導をしておるところでございまして、その結果といたしまして、昭和五十四年度からは、合成洗剤中に含まれます燐の含有量を一〇%以下に削減するというふうな状況になるようこれまで取り計らってまいったところでございます。
  131. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その燐の問題として一〇%以下に努力なさっていくということは大事な点ですが、今後、もちろん合成洗剤だけではございません、いろいろ総合的な見地からこういう閉鎖性水域というものにどう対処していかなければならないかということはございます。だが、少なくともこの合成洗剤の中の燐を無燐化という運動、あるいはそういうふうにならないかということで言われておりますけれども、この低燐化、そして無燐化へ持っていくといったものをどんな目途で行政指導をし、同時に、どういうようにして開発を進めていくか、こういった点を通産省にもう一度お伺いしたいと思います。
  132. 大高英男

    ○大高説明員 お答えいたします。  先ほどのような御説明で、通産省といたしましては、洗剤中に含まれます燐の低減化という方向でこれまでやってきたところでございますけれども、今後この方向はなお引き続いて実施していきたいというふうに考えております。  それで、洗剤中に含まれます燐のことでございますけれども、この燐分は洗剤の洗浄力を維持するために必要な洗たく助剤としての役割りがあるようでございまして、この洗浄力を減らさないようにしながら燐を削減していくということが大切なことかと存じます。現段階におきましては、燐にかわるべき代替の物質がいろいろと検討されておる状況でございます。  私どもといたしましては、本年度から環境庁の特別研究調整費等もいただきまして、燐の削減をどういうぐあいに実施できるのかというふうな検討を開始いたすこととしております。そのようなことを通じまして、今後ともなお一層低燐化に向かって努力していきたい、かように考えております。
  133. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、合成洗剤に対して今回滋賀県として力を入れておるわけですね。これを粉石けんに切りかえていく、こういった面で、意識の上におきましてもまた実際の面におきましても、もうすでにそういった運動が進んでいっているわけです。そういう中で、これは単なる、そこにおる人たちが、下流におる人たちが飲む大事な水だから、あるいはいろいろな面で重要な面があるのだから、その人たちがやっていけばいいんだというような考え方になってしまっては大変なことだと思うのですね。  そこで、いま話がございましたが、合成洗剤に燐が入っていれば、洗浄力の面でこれが補助となって大事なんだ、こういうことであります。しかし、粉石けんで十分やってきたときもあるし、現在またそれに関して、そういうものを使っていく中にあっては、いろいろな不便な面がございます。全力を尽くして、値段の面においても、また手間のかかっていく面においても、いろいろと苦労をしているわけですね。そういうものを考えた上でこれに対応していかなければならないと思うのです。  そこで、今後どうしたって消費者として粉石けんに切りかえていく、粉石けんの需要がだんだん増大していく、ところが現時点ではその原料となるもの、ヤシ油等の原料コストが非常に高い、したがって、コストの面においてもいろいろと大変な面がある、こういう面からいくと、消費者に対して不安を抱かしてはならないと思うのですね。そこで、この原料の大量獲得等を含めて、通産省として、粉石けんに切りかえていっても大丈夫なんだという対処の仕方、どのようにしていくのか、お答え願いたいと思います。
  134. 大高英男

    ○大高説明員 粉石けんの主原料となっておる油脂分は、牛脂とかヤシ油などの天然油脂でございます。それらの天然油脂は、そのほとんどが輸入に頼っておるというのが現状でございます。それで、天然油脂であるがために非常に供給上の弾力性が乏しいというのが現状でございます。したがいまして、原料輸入の急激な増加というふうな事態に立ち至りますと、その供給上の問題が起こってまいります。したがいまして、現在のような洗剤の規制が非常に局地的な場合には問題がない、こういうことでございますけれども、これが全国的に急激にそういうことになった場合には非常に困難な事態に立ち至るのではないかというふうに思われる次第でございます。
  135. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 だから、その対処をちゃんとやっていかなければならぬ点と、今回のこの滋賀県の条例制定に対して、一部のところで合成洗剤の販売禁止というのは憲法違反であるとして裁判を起こそうとしておるというような動きもあるやに聞いておりますけれども、そういう面におきましては、お互いにやはり環境を守っていこうという意識の上で重要なものとして、公共的な福祉、命を守るという立場から言えば、そういった面は非常に慎重に対処をしていかなければならない点ではないか。これはお答えしてもらう必要はございませんけれども、そのように考えておる次第でございます。  そこで、環境庁にお伺いいたしますけれども、淡水赤潮対策調査費としてことし初めて調査費が一千四百万円ついたように伺っております。これをどのように使われたのか。現在もまだ進んでおるのではないかと思いますけれども、その内訳を教えてください。
  136. 馬場道夫

    馬場政府委員 琵琶湖におきます富栄養化防止あるいは淡水赤潮の対策のために、その発生機構の解明を中心といたしまして、淡水赤潮の予算が本年度から計上されまして、いまその検討が進められている段階でございます。その予算額は、ただいま先生おっしゃいましたように、千四百八十四万でございますが、このうち滋賀県に委託をしております分が六百万円でございます。残りは文献調査であるとかいろいろの関係で別のところでやっておるわけでございますが、そのような形で進めておるわけでございます。
  137. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 淡水赤潮の研究は、いわゆる海洋赤潮の研究よりもさらにいろいろな面で困難な面があるわけです。そういう意味で、滋賀県としても五十四年度の琵琶湖関係予算の中で、赤潮委託研究費として一千二百万、赤潮調査費として、流入河川背景調査費、ウログレナの培養調査費等を含めて三千二百万、合計で四千四百万、県では負担しております。そこへ、いま局長から話がありましたように、発生状況調査費として国の予算の六百万を入れて五千万円からの予算をつぎ込んでやっておるわけです。したがって、今後五十五年度はどういうようにやっていくのか。相当前向きな形で進めていくと思いますが、その内容を教えてください。
  138. 馬場道夫

    馬場政府委員 本年度から発足いたしましたので、五十五年度はさらにこれを拡充強化してまいりたいと私ども考えておるわけでございます。  なお、直接琵琶湖だけを対象にしたわけではございませんが、淡水域におきます富栄養化のための基礎的な調査研究を国立公害研究所でやっておるわけでございまして、これは約一億余りの予算をもちまして、公害研の総力を挙げまして淡水域におきます富栄養化に関します総合的な研究をやっておる。このことも、琵琶湖の赤潮問題あるいは淡水赤潮問題にはいろいろな面で関係をし、また寄与することができるのではなかろうかと思うわけでございます。
  139. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いま私が言っているのは、ことし一千四百万の淡水赤潮調査費がつきましたが、五十五年度はどんな要求になっておるのですか。
  140. 馬場道夫

    馬場政府委員 五十五年度ただいま大蔵省に要求しておりますのは千九百万余りでございます。
  141. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 前上村環境庁長官が、五十六年度より琵琶湖に関しての総量規制を実施する、こういう発言をしておりますけれども、そのとおりできますか。
  142. 馬場道夫

    馬場政府委員 現在、先生承知のように、水質汚濁防止法の改正によりまして総量規制制度が発足をいたしまして、瀬戸内海、伊勢湾、東京湾につきましては本年六月から総量規制制度がスタートをしたわけでございますが、御承知のように、総量規制は広域的な閉鎖性水域において実施をすることができるという制度でございます。私ども、琵琶湖につきましてもその重要性にかんがみまして総量規制を実施することが妥当であろうというように考えておるわけでございます。現在のところ考えておりますのは、五十六年度を目途に琵琶湖につきまして総量規制を導入するということで検討を進めたいと思っておるわけでございますが、そのためにいろいろの準備等の調査が必要でございます。そこで、五十五年度におきまして、これに関連をいたします必要な調査かなり広範に実施する必要がございますので、そのような準備を推し進めておる段階でございます。
  143. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この総量規制を実施するためには、県としても莫大な予算が必要となってきます。また人員も必要でございます。環境庁としても余り県に負担をかけてはならない、いろいろな点を配慮すべきだと思いますけれども先ほどの赤潮調査費千九百万を要求しておるようでございますが、今後湖沼水質総量規制という面でのこういう調査費の名目、そういった面も教えてください。
  144. 馬場道夫

    馬場政府委員 予算は湖沼水質総量規制検討調査費という名称でございまして、約七千万円弱でございます。
  145. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これはほとんどが琵琶湖に使われると考えてよろしいでしょうか。
  146. 馬場道夫

    馬場政府委員 そのように考えております。
  147. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次に、下水道の問題に関してお伺いいたします。  湖沼の水質悪化で一番重大なものは、滋賀県は御承知のように下水道が五%弱、これはもうひどいものです。こういう中であとがみんなたれ流しというような状態になっておる。この状況でいま努力をして、湖南、湖西、あるいはまた彦根方面、高島方面、こういった四カ所に今後の計画として、すでに着手しているところもあるわけでございますが、流域下水道をつくっていこう、こういった状況になっておるのは御承知のとおりです。  そこで、特に湖沼における流域下水道事業として、こういうような重要なところに関しては、国においてその必要性のある湖沼を指定して、そして湖沼に関連する下水道事業並びに湖沼に関連する下水道事業を推進する必要のある湖沼周辺都市を別途指定してはどうか、こういう考えがあるようですが、そういうようにしていくお考えはないかどうか、お伺いしたいと思います。
  148. 伊藤俊美

    ○伊藤説明員 先ほど先生から御指摘いただきましたように、琵琶湖の下水道の整備状況は五%そこそこで非常におくれておりますが、周辺の下水道整備の計画といたしましては、現在大津市におきまして単独公共下水道で実施をいたしております。それから近江八幡市の沖の島、これは特定環境保全公共下水道ということで実施をいたしておるわけでございますが、その他のところにつきましては、先ほども御指摘ございましたように、流域下水道事業を根幹といたしまして、それに各種の公共下水道をつないでいくというような方針で実施をしておるわけでございます。  そのうち湖南中部流域下水道につきましては、四十七年から事業に着手をいたしまして、現在管渠が二十キロ程度工事が進められております。それから処理場につきましても、鋭意その稼働に向けまして努力をいたしておるのでございまして、五十六年度から始まる予定でございます次期五カ年の早期には動かすことができるのではないかというふうに考えております。それから湖西の処理区につきましては、五十二年度から着手をいたしておりますが、これも次期五カ年のできるだけ早期に稼働するということを考えております。それから、彦根、長浜の処理区、高島処理区につきましては、現在地元と折衝中でございまして、折衝が済み次第早期に、次期五カ年になると思いますけれども、着手していきたいというふうに考えております。  それに関連いたします各種の公共下水道は、現在大津市、草津市それから守山市等五市四町におきまして事業が進められておるわけでございますが、建設省としてもこういったものを含めましてできるだけ早期に事業の促進に当たっていきたいというふうに考えております。  先ほど指摘がございましたように、湖沼関係につきましては非常に重要であるので、指定をして別の制度でやるべきではないかという御指摘ではございますが、現在の補助率の問題等につきましては、琵琶湖総合計画におきまして特例の補助率が定められておりますけれども、下水道につきましては、実は四十九年度に補助率アップがなされまして、この特例補助率に対しましても、それを上回るというような状況でございます。それと、それに関連いたします河川とか道路とかいうものにつきましての補助率、それらに比較いたしましても現在のところそれほど遜色ないというような状況でございまして、もし考えるといたしますれば公共下水道の幹線等の補助対象率、こういった問題につきましては第四次五カ年計画におきましても改良を見ておるわけでございますが、次の五カ年計画におきましても検討をしてまいりたいというふうに思います。したがいまして、現在のところ閉鎖性水域だけを特別取り上げて考えるということは考えておりません。
  149. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 琵琶湖総合開発に関連していまの補助率がほとんど変わりないものになってしまって、決して一千三百万の水がめだから特別にというような事態にはなっていない、こういうことがはっきりしておるわけです。  そこで、いろいろ要望が出てきているのは、何といったってそれはお金がかかります。しかも、これは一県だけの問題ではない。近畿の問題であり、また全国の問題でございます、この水を守っていくということは。したがって、これをやっていくからには、たとえばきめ細かに、一つ一つの補助というものを何らかの形で優先的に取り上げていく必要があるのじゃないか。たとえばこういう要望が出ています。湖沼周辺流域下水道事業の管渠の建設費も、この補助率を処理場並みに、いまが三分の二ですが、これを四分の三に改めてもらいたい、こういう要望が出てきています。それからまた、いまのは流域下水道です。公共下水道に関しても、たとえば末端の管渠に至るまで補助対象にしてもらいたい。それから建設費の補助率を流域下水道並みにこれも同じく四分の三まで引き上げてもらいたい、こういうような要望があるわけでございますけれども、こういった面を今後どう対処する考えですか。
  150. 伊藤俊美

    ○伊藤説明員 先ほど説明いたしましたように、補助率につきましては、他事業に対しましても決して遜色がない状況でございまして、これについては引き上げは困難であろうかと思います。  ただ、先生指摘の幹線管渠の全部が対象になってはおらないわけでございますけれども、五カ年ごとにその改善を図ってまいっておりまして、第五次五カ年につきましてもできるだけその改善に努力をしてまいりたいと思います。
  151. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 たとえば公共下水道の問題一つを取り上げても、こういうようになるのですよ。国庫補助の対象というものを見てみると、その中の管渠の補助を考えてみますと、二百五十ミリ管、直径がそういうもの以上のものでなければ、これは補助対象にはなっていかない。しかも、それが地域の状況にも全部影響が出てきて、すべてが補助対象になるというのではない。たとえば大津市の場合を見ると、二百五十ミリ管だけを考えても補助対象になるのはわずか二二・二%です。だから、あとの七七・八%というものは全部持ち出しになるわけです。近江八幡市の場合はわずか一〇%、これが補助対象です。だから、九〇%からのものが県に負担がかかっていく、あるいは地方自治体に負担がかかっていく。八日市の例を見ても、二百五十ミリ管で一七・三%というのですから、八二・七%というものがこういうようなものに外れてきておる。こういうことから考えて、特にこういう飲料水源として重要なところは特別措置を講ずべきじゃないか、こういうふうに言っておるのです。これはどうですか。いい考えはございませんか。
  152. 伊藤俊美

    ○伊藤説明員 補助対象の問題につきましては、実は全国的な問題でもあるわけでございまして、全国の動きと合わせましてそういう点も検討していきたいというふうに思いますが、ただ、現在の補助対象の基準そのものは政令で定められておるわけでございまして、次期五カ年におきまして実態を十分把握をしまして、その改善に当たってまいりたいと思います。
  153. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私が言っているのは、これは全国みんな重要ですよ。だがどんどん汚れているのです。これを何とかして汚れをとめよう。いまとまってないのですよ。いま富栄養化防止条例、一応こういったものができ上がりました。来年施行される。果たしてそれでとまるかどうかもわかりません。何とかしてとめようとして努力しておる。ところが、下水道の進捗状況というものも非常に遅々として進んでいない。それからこういう補助の対象というようなものを考えてみても非常に厳しいものがある。したがって、こういうようなところは、特別に何も琵琶湖だけを言っているのじゃないのです。そういう飲料水源として重要なところにはそのような方針をとるべきだ、こう要望しておるわけでございますので、その点をぜひ御理解いただきたいと思います。この問題、余り時間的にございませんので、次に移ります。  国土庁にお伺いしますが、総合開発法の問題として、四十七年から琵琶湖総合開発法が時限立法として施行されてきたわけですが、あと二年で切れるわけです。現在のこの進捗率を説明していただきたいと思います。
  154. 平野侃三

    ○平野説明員 御説明申し上げます。  琵琶湖総合開発事業の五十四年度までの事業費の累計見込み額でございますが、約三千八百九億円でございまして、計画策定時の総事業費見込み額が四千二百六十六億円でございますので、これは四十六年度価格でございますが、進捗率は名目約九〇%になっております。ただ、この間におきます建設物価の上昇がございますので、四十六年度価格に修正いたしますと進捗率は約五〇%程度になります。
  155. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまの説明ですと、これはもう当然あと二年でこれを消化していくというのは非常に困難になっていく。この問題は延長という問題になると思いますが、どうお考えでしょうか。
  156. 平野侃三

    ○平野説明員 十カ年計画であと二年余を残しておるわけでございますので、この期間内に事業の一層の推進を図るということがまず重要であると考えておりまして、このための努力をいたしておるところでございますが、現在滋賀県におきまして琵琶湖総合開発事業の総合的な検討作業を行っているところでございますので、その推移を見ながら、琵琶湖総合開発特別措置法の延長及び琵琶湖総合開発計画の改定につきまして検討を進めてまいりたいと考えております。
  157. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 推移を見るのは重要ですが、これはもうだれが見ても、十年間で進めてきてあと二年強、約八割のものが過ぎてきたにもかかわらず、五〇%も進んでない。こういう中で、これはだれが見ても当然延長という問題は考えていかなければならない。わかり切ったことですね。そういう答弁をされておるわけですが、この場で延長と、さらに財源の追加、これを決断すべきだと思いますけれども、その辺どういうように考えておりますか。
  158. 平野侃三

    ○平野説明員 残期間が二年余ということでございますので、この期間内に、予算的な問題のみでございませんで、物理的にも完成が困難な事業というものがあることは十分認識いたしております。この現状を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、滋賀県の検討作業の推移を見ながら、関係行政機関とも十分密接な連絡をとって、法律の延長と計画の改定について具体的な検討を進めたいというふうに考えております。
  159. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最後に、先ほども問題になりましたが、現在の綱紀の乱れ、今国会におきましてはいろんな角度から論じられております。その中で、本委員会におきましてもこの問題を論じなければならないということに私どもは非常にいやな思いをするわけですけれども、どうかこういった面を一つ一つ実態調査し、今後このような国民を欺くようなものに持っていってはならないという立場から、私はもう一点この問題で質問をさせていただきます。  出張していたはずの職員が、退庁簿に署名している、そういう実態というのは一体どうなっているんですか。そういった面でのそこの職員の状態を上司はどう掌握しておるのか、あるいはまたそういう中にあって、全体がなれ合い的にそのような形を暗に認めたものでなっていったのかどうか。その実態をまず最初に明らかにしていただきたいと思います。
  160. 正田泰央

    ○正田政府委員 今回の件につきましては、まことに申しわけない次第だと思っております。  ただいま先生指摘の点につきましては、基本的にはなれ合いとかそういうことではございませんで、われわれ管理監督にある者のふだんの注意、認識が極度に欠如しておった結果と存じておりまして、御指摘のような事実が確かにあったわけでございますが、出張命令を聞きながらなおかつ役所に来て仕事をしているということでございました。
  161. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 出張をしているにもかかわらず庁内で仕事をしているというのはどういうことなんですか。それをもっとわかるように。一体それは上から命令したのかあるいはその人が自分の考えでやったのか。あるいはそれによって何らかの出張の費用が入ってくるわけですね。そういうものは一体本人のところへいったのかあるいはそれは何らかのものに使われていったのか、その点もう一度、もうちょっとわかりやすく説明してください。
  162. 正田泰央

    ○正田政府委員 御質問の趣旨がよくわかりました。空出張の実態につきましては、ある課の庶務経理等の担当で、課内の経費を捻出するために職員の出張命令を出し、その結果、会計上の支払いを受けて、出張の金額を保管し、それを使用したというのが実態でございます。したがいまして、本人はもちろん出張していないわけでございます。それが空経理の実態でございます。
  163. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ある課内といま言いましたね。そうすると、一つの課だけのことですか。
  164. 正田泰央

    ○正田政府委員 いま例を挙げて申し上げたわけでございまして、課の中の実態でございます。それが庁内で普遍的に行われていたというのが全般の問題でございます。
  165. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまわかっておるのは、たとえば自然保護局とか大気保全局とかいろいろあると、こういうように考えておるのですが、これは全部にあったと判断していいのですか。
  166. 正田泰央

    ○正田政府委員 私ども環境庁には課及び室がございます。その上に局があるわけでございますが、ほとんど全体にわたっていた面がございます。年度の差は、ございます。
  167. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 先ほど課内ということで一つの課を出しましたね。それは例として出したのですが、そうすると、これは課長なら課長がそういったものを暗に認め、あるいは暗に認めるのじゃなくて、そういうようにやれと、こういうように持ってきたのかどうか、その辺が大事だと思うのです。これは、いまいろいろと疑惑を受けておる本人たちは非常に苦しい立場にあると思うのですよ。それを監督していく上司、その局にあってあるいはその課にあって、果たしてその課ぐるみで局ぐるみでそういうことをやっておったのだったら、これは大変な問題になってくると思うのですけれども、その辺明確に答えてください。
  168. 正田泰央

    ○正田政府委員 お答えいたします。  私ども調査では、組織の管理責任者が指示をしていたということはございません。
  169. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それだったら、なぜ全体に影響してくるのでしょうかね。では、それは本人がわかっていながら、悪いことは知りながらそういうようにやったと、ここで言い切っていいのですか。もう一度答えてください。
  170. 正田泰央

    ○正田政府委員 お答えいたします。  いま先生指摘の本人とおっしゃるのは出張者のことではないと思いますが、先ほど申し上げました経理担当の組織にある者、それでございます。
  171. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうじゃないんですよ。出張していたはずの職員が退庁簿にちゃんと署名しているのでしょう。ということは、出張もしていないのに出張したように――これが空出張なんですよ。あたかも出張したようにして、その費用を浮かしているのでしょう。何かに使っているのでしょう。あるいは本人のところへ入ったのですか、あるいはそれはその局なら局、課なら課で、組織ぐるみでやっておるのかどうか、その点をはっきりせよと言っているのです。
  172. 正田泰央

    ○正田政府委員 本人のふところに入っているということは一件もございません。ただいま申し上げましたような担当者がその資金をプールして、それを残業の夜食などに使用したというのが実態でございます。
  173. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、やはり上から何らかの指令が出て、こういうようにやれというふうにして、その本人はしたくはないけれどもそういう形にしたと判断していいのでしょうか。
  174. 正田泰央

    ○正田政府委員 指令というふうなものはございません。しかしながら、そういう担当者の上司である監督者の責任であるということを申し上げているわけでございます。
  175. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それはおかしいですね。本人のところへもいかない。では何らかに使われた。この空出張で、環境庁全体でなくてもいい、どこかの局でもいいですが、本年なら本年あるいは昨年なら昨年で、そのわかった時点の中で、一体どれくらい行われているのですか。たとえば一つの局で費用にしでどれくらいになるのですか、言うてください。
  176. 正田泰央

    ○正田政府委員 現在、会計検査院が国会報告をいたすべく内部の資料を整理し審議をし、集計をし審議中でございます。それで、私どもの方ではその数字をまだ報告をいただいていませんので、どういうきちんとした数字が来るかわかっておりません。
  177. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひその点の実態というものは、いま環境庁として何としてもこういう不明朗なものになってしまったことに関して、よくない、こう反省してやっていかなければならぬ点にあることは事実でございますけれども、これはまず実態を究明しなければなりませんね。したがって、こういう件数は一体どれぐらいあったのか、何人がやっておったのか、額はどれぐらいになるのか。それから出張以外にも何らかのからくりはあるのか。ほかにも残業だとかいろいろなものがあると思います。経理の操作だとかいろいろなものがあるかもわかりません。そういったものがあるのかどうか、つかんでおりますか。
  178. 正田泰央

    ○正田政府委員 数字につきましては、先ほど申し上げましたように、検査院がきちんと整理したものをいただくまでは私どもの方は確認ができないわけです。  なおかつ、先生がいま御指摘になりましたような、どういう使途に使ったと判定できるか、こういう使途に使っていないと判定するか、その辺の判定の結果も、報告の時点で検査院からその判定がございませんと、私どもの方ではわからないわけでございます。
  179. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それはいつごろまでにわかりますか。そしてぜひこの委員会でも明らかにしてもらいたいと思いますし、その点答えてください。
  180. 正田泰央

    ○正田政府委員 私どもの方では、検査院からは、今月の中旬ごろに国会報告をするので、その時点に連絡をすると……(竹内(勝)委員「今月の……」と呼ぶ)今月の中旬という話でございます。
  181. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、ぜひそれをこちらへも報告してください。そして改めてその問題を、委員会におきましても、ぜひこういったことのないように持っていかなければなりませんし、同時に、先ほどの点、まだ私がわからないのは、だれかが指令したのかしないのか、この点だけはぜひ解明していかなければならない問題だと思います。  それから、ぜひ今後処分も含めて――処分といったって、これは一体どこにその原因があるのか。本人でない、あるいは指令もしていないということになってくると、これは全然いまのところわからないわけですけれども、そういう処分も含めて、今後の対応の仕方、大臣に所感をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  182. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  理由のいかんを問わず、このような不祥事件が起きましたことはまことに申しわけなく、重ねて心から深くおわびを申し上げる次第でございます。  処分の問題等につきましては、いずれ結果が出ましたならば、その結果に基づいて厳正な処置をとってまいりたいと思いますし、ともあれ私が環境庁責任者でございますから、私自身がみずから姿勢を正して、庁員一体となって今後国民の信頼を取り戻すために最善の努力をいたしてまいらねばならぬと思います。
  183. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  184. 河野正

  185. 土井たか子

    ○土井委員 私は、きょう大きく分けて二点質問をいたします。後の方で、環境行政そのものの姿勢にかかわる経理に関係をする問題を取り上げたいと思いますが、まず先に、兵庫県の芦屋、西宮、尼崎の港湾計画に伴う埋め立てについて質問をさせていただくことにいたします。  この港湾計画は、もう申し上げるまでもなく、御承知のとおり、四十二年に港湾審議会で計画が決定をいたしまして、四十六年に埋め立ての免許が出ているわけであります。ところがその後四十八年の三月に至りまして、この着工が中止になりまして、利用計画について自治体段階で一部変更が出てまいりました。この利用計画の変更に従いまして、運輸省に対しまして再度、この埋め立ての免許についての期間伸長の申請と同時に、利用計画についての一部変更の申請が出されたわけでございます。そうして五十四年、ことしの二月二十三日には、その西宮の埋め立てについて、西宮地区の認可が運輸省から出され、続いてこの十月二十七日に、残るただ一つ地域でございました浜甲子園の埋め立てについての認可が運輸省から出されまして、これで全部、芦屋、西宮、尼崎の埋め立て計画についての運輸省側から出される認可については済んだというかっこうになると思うわけでありますが、そのとおりなんですか、どうですか、運輸省からまず御答弁をお願いします。
  186. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。そのとおりでございます。
  187. 土井たか子

    ○土井委員 四十六年に埋め立ての免許が出されたときには、その免許の内容として、いつ着工するかという問題、それから工事の期間の問題、つまりいつ完成させるかという問題、さらにはこの利用の目的の問題、こういうことについて、具体的に認可をされる場合に、内容が明記されていたはずでございますけれども、そのことはどのように相なっておったわけでございますか。
  188. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  事業の期間の関係につきましては、免許庁の方からの条件として指示されているという性格のものでございます。  それから、土地利用につきましては、申請書の中に入っていたかと思います。
  189. 土井たか子

    ○土井委員 それではお答えにならない。認可をなさるのは運輸省ですからね。着工の時期、完成の時期、また利用目的については、十分にそのことを認可対象として認可されているんじゃないですか。いまのような御返答じゃ返答にならないですよ。
  190. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 申しわけありません。申請書には入っておりまして、認可をする際に私ども審査をするわけでございます。ただ、事柄といたしましては、いまの期間のような問題につきましては、免許権者が指定するという性格のものであるということでございます。
  191. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、この免許権者は建設省ということになるわけですか。
  192. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  港湾区域内でございますから、港湾管理者でございます。もし認可ということでございましたら、運輸大臣でございます。
  193. 土井たか子

    ○土井委員 認可については、運輸大臣、おっしゃるとおりなんですね。認可をされたことに従って、これは工事計画というものが、四十六年当時にすでに具体的にされていて、そしてこのことについて認可に従って、県からの許可に基づいて今度は着工するという段取りになると思うのですが、これは、その認可についてされているにもかかわらず、四十六年から四十八年に至るまで工事が進んでおらずに、そして工事自身が中止をされたままで、今度は利用計画について一部変更ということについて、いろいろと討議が重ねられるということに相なって、そうして今回、いよいよ改めて計画の一部変更ということを、先ほど申し上げたとおり、期間の伸長申請と同時に運輸省に出された、こういうかっこうになるのですから。  法制局にお尋ねしますけれども、この間、そういうふうな関係から考えますと、毎年これはやはり伸長手続というものを具体的にとらなければならないはずだと思われますけれども、いかがでございますか。期間についての伸長手続ですね、いかがでございますか。
  194. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  公有水面埋立法の第十三条ノ二によりまして、「都道府県知事正当ノ事由アリト認ムルトキハ免許ヲ為シタル埋立ニ関シ」とありまして、ちょっと飛ばしますと、「前条ノ期間ノ伸長ヲ許可スルコトヲ得」いうことがありまして、これにつきましては、特に一年、一年というような規定はないと思いますので、何と申しますか、その許可の申請があればできるということになっていると思います。  なお、多少突然のお尋ねでございましたので、若干、正確でない点があるかとも存じます。
  195. 土井たか子

    ○土井委員 いま、そういうふうな法制局側の御答弁なんですが、その辺少し、もうちょっと研究してもらわぬと困るようであります。しかし、そういう前提でも、ひとつ、問題点はいまから言うところ少し確かめていただきたいのですが、四十六年に免許を施工者側は取得した、管理者側は取得した、そうして今回、その埋め立ての免許を取得したときとは違った埋め立てについての計画の変更で、改めて申請を運輸省にするという、こういうことに相なったわけです。かつてこの埋め立てについて、免許を取得したときは四十六年でございますから、公有水面埋立法についても現行法とは違います。御承知のとおりですね。それから当時は瀬戸内海の環境保全特別措置法という法律がまだ立法されておりません。ところが今回は瀬戸内の環境保全特別措置法も、現に現行法としてございますし、公有水面埋立法についても四十八年の改正から現行法になっております。こういうことからすると、ことし運輸省がこの認可をするに当たって関連する法律として考えるべきは、現行法でもってこの申請を受理していろいろと勘案すべきではないかと思われますが、いかがでございますか。――法制局の答弁をお願いいたします。
  196. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたとおり、ちょっと突然のお尋ねでございますので、必ずしもはっきりしないかとも思いますけれども、四十八年に法律が改正されましたときに、附則の規定がございまして、ちょっと読みますと、「この法律による改正前の公有水面埋立法(以下「旧法」という。)第二条〔免許〕の免許に係る埋立て、」ちょっと飛ばしますと、「については、なお従前の例による。」ということになっております。  したがいまして、免許が改正前の規定による免許という場合の埋め立てについては「従前の例による。」ということでございますので、その辺は具体的な点、ちょっと承知しておりませんのでわかりませんけれども、この法律の読み方によってはあるいは広い読み方もできるのかなという感じもいたしますけれども、なおこの条文の趣旨なり立法当事の経緯等を少し研究させていただきたいと思います。その上で明確なお答えを申し上げたいと思いますが……。
  197. 土井たか子

    ○土井委員 いろいろ御答弁の上から言うと、不確かな御答弁しか出てこないかもしれません、急にこれ質問するわけですから。  しかし、これはいかがですか。いまのは公有水面埋立法についての御答弁だったわけでしょう。瀬戸内海環境保全特別措置法からしますと、特に埋め立てについては十三条の一項あたりから考えまして、これは留意を必要とされております。そういう関係からすると、これは現に運輸省から認可をするに当たって、瀬戸内海環境保全特別措置法というものを念頭に置かないでいろいろと認可手続考えられても許されるわけでありますか、いかがですか。
  198. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの運輸大臣の認可と申しますのは、公有水面埋め立てにかかる事実上の行為のように、公有水面埋立法の都道府県知事の埋め立ての免許、許可というものの関係ではないように存ずるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、他のそういう瀬戸内海についての特別な法令があれば、そういう精神は諸手続に当たって考えるべきものであろうとは思いますけれども、ただ、具体的にその手続をどういうふうに手続の中で反映させなければいけないかという問題については、ちょっと実態承知しておりませんし、突然のお尋ねでもございましたので、そこまではまだ検討をしかねております。
  199. 土井たか子

    ○土井委員 法制局からの慎重にお考えをいただくという結果は、改めてじっくりと次回ひとつ尋ねたいと思いますが、ただ一つ、そういう法律上、片や旧法と新法との間にいろいろはさまった手続がずうっと一連展開されているという問題をはらみながら、しかし旧法によって考えるとしても、これからの問題というのは、私はこれは別枠に考えてよい問題が別にあると思うのです。それは五十二年六月の二十三日という日に、改めて港湾計画に伴う埋め立てについての利用計画の一部変更に対して中央港湾審議会が討議をされた結果、これに対してよろしいとおっしゃる際に、環境庁から運輸省に対して御承知のとおりに当初は十四項目、それから六項目になりました申し入れがございましたね。この申し入れの中身というのは、やはり運輸省が認可をされる際には十分にしんしゃくされなければ、これはいまの瀬戸内海環境保全特別措置法の条文に拘束されない、法的拘束性は旧法に従った場合は勘案しなくてもよいといっても、現状からすると、環境保全ということに対していろいろ配慮をしないということでは許されませんから、環境庁から少なくとも正式に申し入れられている中身に対しては答えなければいかぬと私は思うのですよ。  ところが、経緯は新しい長官だからこれはるる申し上げているわけで、経過からするとこの辺は言う必要もないような段階の問題なんですけれども、実は、西宮地域については先ほど少し触れましたけれども、二月の二十三日に運輸省が認可を出されるに当たりまして、環境庁側は全く六項目の中身について聞かされずに運輸省側は認可を出されてしまったという実は経緯があるのです。私はこのことを当委員会において質問しましたら、前長官もそれは思わしくない、環境庁としてはやはり瀬戸内の環境保全ということに対して、十三条の規定の趣旨からしたら、努力をするという義務があるのであるから、したがって、そういうことに対しては十分にこれから気をつけるという趣旨の御答弁があったわけでありますが、もうすでに西宮地域については二月二十三日に認可がされてしまってから後質問をした節に、環境庁としては聞かされてないという御答弁だったわけです。したがって、その点はあと環境庁として何らかの努力をして、聞かされてない、聞かされてないということで済まさないで、運輸省に対しては何らかの補完措置をなさることが努力の中身であってしかるべきだと思うのですが、その点何らかの補完措置というものを環境庁としてはされたのかどうかということを一つ聞きたいのです。
  200. 金子太郎

    金子政府委員 私ども五十二年六月二十日付をもちまして運輸省要請をいたしました。これはいわゆる十四項目というものでございます。これは運輸省の方から兵庫県知事の方におりているわけでございますが、その兵庫県知事から三回にわたりまして本件に関する報告を受けております。この報告を全体的に見ますと、当方が要請いたしました項目に対応した検討結果となっておりまして、要請に対する措置はなされたものといたしまして、特に異存はないと判断いたしております。
  201. 土井たか子

    ○土井委員 ちょっと待ってくださいよ。時間的経過から申し上げますと、西宮地区の埋め立てについては二月段階でもうすでに認可がおりちゃっているのです。三回といまおっしゃったのは、たしか三月、七月、九月の三回を指しておっしゃっているのだと思うのです。西宮地区についての認可がおりてから後三回聞かれたことがどうして西宮地区についてすでに認可がおりてしまっていることに対する補完措置になっているのですか。認可はすでにおりてしまっているのですよ、環境庁は六項目についての中身を十分に聞かされないままに。したがいまして、環境庁が六項目についての申し入れをされたことの意味が何ら生かされないままに、この西宮地区についての認可がおりてしまったことに対して、環境庁としてはどういう補完措置をなさるかということを環境保全上の努力の中身として問われていたのが、二月段階にすでに許可がおりてしまってから後の話であります。いまおっしゃった三月、七月、九月、恐らくそれを指して三回とおっしゃっていると思うのですけれども、このことは浜甲子園の認可についての問題じゃないですか。私が申し上げているのは、西宮地区についての認可の問題なんですよ。これは環境庁は聞かされないままに認可が出ちゃったのです。その認可が出されてしまったということに対して、環境庁としては何らかの措置があってしかるべきだという意味で、補完措置をどうなすったかということを聞いているのですから、すりかえないでください。いかがですか。
  202. 金子太郎

    金子政府委員 西宮についてはやっておりません。浜甲子園について引き続きやる、こういうことでございます。
  203. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、西宮地区については六項目の申し入れば手続上から言うといまだに満たされないままに、具体的には満足させられないようなかっこうのままで認可と許可がすでになされてしまっているということをお認めになりますね。
  204. 金子太郎

    金子政府委員 先に認可がおりたのは遺憾だとは思いますが、すでに認可がおりてしまったという現実があったわけでございます。
  205. 土井たか子

    ○土井委員 これは環境庁、遺憾じゃ済まないですよ。ここで遺憾だと思いますがで済まそうと思っても、そうはいかない。管理者である兵庫県からもう許可が出ちゃって、これからいよいよ着工して工事というのが進行するという、手続からいったらそういう順序、段階になっているわけですけれども、何らかそれについて環境庁としては環境保全上の措置というものを、やられてしまったから仕方がないじゃないんで、努力を払われてしかるべきではないですか。この部分については、運輸省に対して申し入れられたことがほごなんですよ。  長官から、それはまあ遺憾でありました、これは環境保全からいったら、特に瀬戸内海については全国でもことさら環境保全を必要としていることのために特別措置法というものを当委員会において立法しているわけですから、環境庁としても、その趣旨を体して十分に環境保全努力をしなければならない。これはさきの上村長官の御答弁の中にもにじみ出ているのです。努力させます、われわれも努力します、こういうことなんです、長官。いまのようなことでは、これはすっぽ抜けもいいところなんですよ。何らかの措置があってしかるべきだと思うのですが、善後策としてそれじゃどういうことを措置としてなさるおつもりでございますか、そこのところをひとつお聞かせください。
  206. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先ほど先生の御意見を拝聴いたしまして、全くそのとおりであろうと申しわけなく思っております。環境庁の存在が無視されたような感じを深くいたしたような次第でございまして、今後はさようなことがないように、私は部下を督励して対処してまいりたいと思います。
  207. 土井たか子

    ○土井委員 長官、それは今後はそのようなことがないように督励していきたいということを、こういうことがあるたびにここで御答弁なされば済む問題じゃないと私は思うのです。すでに、こういうことであったということに対しては、環境庁としては何らかの補完措置というのをおとりになるということが、当然事実関係からしたら、いま問われているんじゃないですか。この西宮地区の認可もすでに出ちゃった。許可も出ちゃっているのですが、しかし環境庁としては、環境保全のために申し入れられた六項目について知らなかったうちに、十分に聞かされなかったうちにこういうことになってしまったことについて、何らかの善後策をお講じになる必要があると思うのですが、このことについて具体的にひとつお示しをいただかないと、今後とおっしゃる意味が生きてこないのです。いかがですか。
  208. 土屋義彦

    土屋国務大臣 率直に言って、先生、まことに申しわけないのでございますが、私、ただいま詳細質疑の中で承ったようなわけでございまして、先生の御発言の御意思を体して、運輸省等に対しましても厳しく申し入れをしてまいりたいと思います。
  209. 土井たか子

    ○土井委員 これから工事が進むのは、兵庫県段階で進むわけですから、そっちの方に具体的にいろいろな物の言い方というものがあってしかるべきだと思うのです。もちろん運輸省に対しては、今後こういうふうなことのないようにしっかりやっていただかなければ、それはお話になりません。  そこで、時間の方が私大変気にかかりますから、十月二十七日にもうすでに認可が出ております浜甲子園の問題についてちょっとお尋ねしたいのです。  この埋め立てについての利用計画の中で、いま最大の問題は何かといったら、下水道の終末処理場がそこに建設されるということなんです。私は、下水の整備というのは大切だと思っております、必要だと思っております。ただ、しかし、これは瀬戸内海環境保全特別措置法から考えていきますと、大阪湾奥部というのはまさにこの地域なんですが、水域からすると、十分に留意をしなければならない地域に指定されているのですね。瀬戸内海環境保全臨時措置法第十三条第一項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針というのがちゃんと環境庁から出ているわけですから、その中を見ますと、指定地域にちゃんと入っているのです。その中に、まさにこの西宮とか尼崎とか芦屋も全部大阪湾の奥部に当たるわけですが、留意事項というものを見ていきますと、水質汚濁防止法による特定施設を設置しないものに限って埋め立てについては認めるという姿勢がここにちゃんと書かれているのですよ。ところがこの水質汚濁防止法による特定施設の中に、下水の終末処理場というのが入るのです。水質汚濁防止法に従って考えていきますと、ちゃんと明記の規定でそういうことになっているのです。この浜甲子園、つまりいま申し上げた瀬戸内海環境保全特別措置法の十三条の一項にいうところの埋め立てについての規定の運用から言うと、特に留意しなければならない地域に入っている大阪湾奥部の中に、ここで禁じられている「水質汚濁防止法による特定施設」を設置することについて、環境庁としてはよろしいとお考えなんですか、いかがなんですか。
  210. 金子太郎

    金子政府委員 本件につきましては、二日前に運輸省から許可を行う旨の通知を受けております。環境庁といたしましてもやむを得ない、このように判断いたしております。
  211. 土井たか子

    ○土井委員 環境庁運輸省の下請なんですか。運輸省環境局なんですか。いかがなんです。瀬戸内海環境保全特別措置法という法律をもちろん環境庁運輸省も守ってもらわなければなりません。法律によって行政は行使されるわけですからね。この規定はどうなるのですか。十三条の一項に基づくところの大阪湾奥部が指定水域になっている。しかも、ここの運用からするとつくってはならない施設というものをつくることを認める環境庁のこの問題に対する認識というのはまことにおかしいですよ。いかがです。
  212. 金子太郎

    金子政府委員 ただいまの御説明では、つくってはならないと言われますが、留意事項の中に「公害防止・環境保全に資するもの」というものがございまして、これは差し支えないという解釈でございます。――失礼いたしました。「留意事項に適合しない埋立てはできるだけさけるように配慮すること。」とありますので、この解釈上やれるということでございます。
  213. 土井たか子

    ○土井委員 そういうことを言いますと、何でもできるようになっちゃうのです。わざわざ規制する法律の意味がなくなっていくのですよ。「できるだけ」というふうに書いてあるから、努力はしたけれども仕方がないじゃ環境行政は務まらないですよ。これは、私はあと持ち時間が少ないですから、時を改めてじっくりやります。この問題についてもうちょっと勉強しておいてください。よろしいですか、局長
  214. 金子太郎

    金子政府委員 本件につきましては、いきさつについてもう少し詳細に説明する時間を次回与えていただきたいと思いますが、私どもは下水道終末処理施設は「公害防止に資するもの」の中の代表的なものであると判断したわけでございます。
  215. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、この運用に関する基本方針の中で「水質汚濁防止法による特定施設を設置しないもの」というふうに書いてあるところは問題が多いですね。水質汚濁防止法という法律に従って考えていきますと、ちゃんと中で下水の終末処理施設というのが明示されているのです。特定施設として明示されているのですよ。これは局長もうちょっと勉強してくださいよ。やっちゃならないと明示されているものについて、「できるだけ」とあるからやられたってしようがないという論法は、これは通用しないのです。やったらいけないと書いてある。にもかかわらず、できる限り努力をしたけれども仕方がないというところの中身をそれじゃ次回までによく勉強してきて、理路整然と、なるほどとうなるような答弁をひとつ用意しておいてください、よろしいか。このことについて納得できないと、これは法律を行政によってぶつ壊すのですよ。よろしゅうございますね。勉強しておいてください。
  216. 河野正

    河野委員長 答弁要りますか。
  217. 土井たか子

    ○土井委員 いや、もう答弁要らないです、いまの調子だったら。勉強しておいてください。時間がないから次の質問に移ります。いまいろいろ尋ねてみたけれども、これは基本的なことなので、ひとつ次回までに勉強しておいてもらって、もう一度この点は私もやりますから。よろしいですね。  もうあと一つと、先ほど予告したことについて、いま会計検査院の方が部屋に来られたようですから質問を続けます。  それは、先ほど不正経理があるということを、空出張ということで御質問の中で取り上げて問題にされたのですが、単に空出張による職員の方々の残業用の飲食代とか、単なる予算の流用上の問題じゃなくて、環境庁自身のいろいろな環境行政について基本姿勢が問われるような問題が実はほかにあると見ているのです。  そこで、お尋ねをしたいのですが、現在各局にはいろいろな委員会がある、たとえば温排水の検討の委員会等々いろいろあると思うのですが、現在どのくらいの数が各局にありますか、いかがですか。それぞれここに御出席の局長さんから、各局にどれくらいの委員会があるかというのを答えてください。
  218. 正田泰央

    ○正田政府委員 便宜私から、現在手持ちの資料で恐縮ですが、答えさせていただきます。  法定の審議会とか何かは別にいたしまして、いま先生おっしゃった検討会等でございますが、百三十ほどございます。
  219. 土井たか子

    ○土井委員 そういう委員会が全部実働しているとは言えないですね。実際問題いろいろ見てまいりますと、その委員会が半分くらいは開店休業みたいなありさまだということを私たちはいろいろ調べた結果掌握をしているわけでありますが、予算との関連で、一応委員会調査費とか出張費とかそういうものに充てられている予算で実働をやっていない委員会のそれぞれの予算というものは、つまり経費が余った場合にはどういうふうにそれの処理がなされているのですか、いかがですか。
  220. 神戸芳郎

    ○神戸説明員 旅費は費目で、目のところで、職員旅費あるいは委員等旅費あるいは施設施工旅費となっていますので、その目の範囲内では使えるわけでございます。
  221. 土井たか子

    ○土井委員 そういうふうな大まかな御答弁をされるであろうと私は予期しておりましたが、私の調査によりますと、環境庁は、こういう委員会なんかの経費、たとえば旅費を含んでの経費なんですが、それを会計課であるとか各局の予算配分の筆頭か何かがプールして、ほかに流用しているのじゃないかというふうな事実があるようです。たとえばある局のある課では、昭和五十四年度予算で認められた委員会の旅費というのが約一千百万円強あるはずだけれども、実際にそのために使える予算というのはその半分くらいに削られて出てくるというんですね。いわば途中の段階でピンはねされているわけなんです。こういうふうなピンはねした額を何に使っているかということになると、ここがずいぶん疑いが濃い問題があるようでありまして、どうもいままでは長官の視察旅費であるとか交際費であるとか局長の接待交際費なんかに流用されている疑いがあると実は言われ続けてきたのですよ。これは先ほどの御答弁にも出たようでありますけれども、一局一課の問題じゃないので、環境庁全体がいままで慣行としてやってこられているようでありますが、そういった慣行はあるのかないのか。これはお伺いしたら、そんなのはございませんと環境庁お答えでしょうから、会計検査院に御出席をお願いしたのですが、いらっしゃいますよね。そういったような事実なり慣例なりを一連の調査で把握なすっていらっしゃるかどうか、そういう調査をなすったことがあるかどうか、いかがでございますか。
  222. 岩井毅

    ○岩井会計検査院説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問にぴったりと当てはまるかどうかはわかりませんが、このたび御承知のように、私ども環境庁におきます空出張に絡む不当経理という問題で検査はいたしたわけでございますが、確かに環境庁全庁にわたりまして空出張というような経理が行われておったことは事実でございます。
  223. 土井たか子

    ○土井委員 空出張の問題はそのとおりでしょうが、いま申し上げたのはそれとはまたちょっと違うわけですね。つまり各局ごとにいろいろ調査研究のための委員会が設けられているわけです。第三者機関として委員会が設けられている。その委員会に使うべき予算が、委員会が実働していないことのために残る経費がどのようになっているかということと、実際問題、必要な経費として予定されている予算の半額くらいしか来ないことのために実働ができないという問題と二つが絡んでいるのです。それでは予算の上であった、このあとのあるべきはずの半額は一体何に使われているかという問題になると、先ほど私が申し上げたような疑いがまことに濃い。こういう問題に対して、会計検査院としてはいままでにお調べになったことがございますかということをもう一度御答弁いただきたい。
  224. 岩井毅

    ○岩井会計検査院説明員 当然検査の過程におきましては見ておるとは思うのでございますが、その点につきましては、検査の結果の報告は受けておりません。ただいま資料としても持ち合わせておりません。
  225. 土井たか子

    ○土井委員 これは私は非常に重大な問題だと思っているのです。環境庁というのは周知のとおり環境保全を進めるための企画調整の官庁ですからね。その主たる任務からすると委員会活動というのは非常に大切だということを言わざるを得ません。その委員会調査であるとか旅費に充てられている予算というのは、そのために充てられている予算でありまして、それをそのとおりにやはり活用するという必要があると思うのです。いま委員会の中では、数多くの委員会の数字を先ほど局長お答えいただいたのですが、全部が実働しているとは言えないので、約半数は開店休業みたいなありさまだというのも、私はいろいろ調べていくと把握しているわけですが、そういうことからすると、これは環境庁全体の基本姿勢にかかわる問題だということを言わざるを得ません。  そこで、会計検査院としては、その事実関係について調査した結果をまだ報告を受けていないということでありますが、ぜひともこのことについて調査をして、ひとつ報告を公にしていただきたい。当委員会にも出していただきたい。委員長、そのことを委員長から、ひとつその調査報告の中身について報告を受けられるように私の方から申し入れたいと思いますが、いかがでございますか。
  226. 河野正

    河野委員長 理事さんと相談して……。よろしゅうございますか。
  227. 土井たか子

    ○土井委員 と同時に、最後に一言申し上げますが、これは私もここに持ってまいりましたけれども国会でやはりいろいろと検討する資料として、毎年年度の初めに、重点施策の概要というのを私どもは手元にいただきます。この事柄からすると、概要ですから大まかなわしづかみの中身しか書かれていないのです。それぞれの各局別にその年その年これに従って考えられている予算の内訳というのが用意されているはずでありまして、その中に、いま私が申し上げたいろいろな関係委員会についての予算も計上されていることが具体的にあるはずであります。私はそういう資料を要求しましたところが、それは内部資料であって一切外には出せない、こういう話なんでありますが、綱紀の粛正を言われているのは、大平総理の基本方針なんですね。そういうことからすると、環境庁長官、いかがですか、これは少なくとも疑惑を晴らすというふうな意味からいっても、環境行政の姿勢をしっかりと正していくという上からいっても、これは明らかにされていいだろうと私は思うのですが、長官、ひとつ長官自身のそのことに対しての御決断のほどをここではっきり承りたいと思うのですが、いかがですか。
  228. 土屋義彦

    土屋国務大臣 土井先生、まことに申しわけございませんが、官房長からちょっと御答弁さして  いただきます。
  229. 土井たか子

    ○土井委員 いや、それはだめ。環境庁長官、これは少なくとも環境行政の基本姿勢を正すというふうな意味からいっても、あるべき環境行政実施する担当責任の最高の長でしょう、長官は。したがって、こういうことに対しては勇断をもって臨んでいただきたいと思いますよ。いままでそういう慣行ありとするならば、この慣行を正すという意味においても、それから不正があるというのはまことに好ましくない、このことを徹底的に正すという意味においても、どうです長官、決断をなさるべきですよ。
  230. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生指摘の今回の不祥事件、理由のいかんを問わずまことに申しわけないと心から思っておりますし、この結論につきましては、私は厳正な処置をとってまいりたいと思いますが、ただいまの資料要求につきましてはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  231. 土井たか子

    ○土井委員 委員長から再度その資料については要求を厳に環境庁長官に対してされますように申し入れをいたしたいと思います。(八田委員「理事会の承認事項にしましょう」と呼ぶ)
  232. 河野正

    河野委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  233. 河野正

    河野委員長 速記を起こしてください。
  234. 土井たか子

    ○土井委員 それでは委員長、ありがとうございました。終わります。
  235. 河野正

    河野委員長 東中光雄君。
  236. 東中光雄

    ○東中委員 長官にお伺いするのでありますが、ことしの九月十五日、三重県の大杉谷でつり橋の切断事故があって、大阪の「山と友の会」のパーティーのうち、一人の人が即死、一名が重傷という悲惨な事故がありました。ここに読売新聞のその現場の墜落していくときの写真が出ておりますので持ってまいりましたが、「メーンワイヤが切れた直後の大杉谷堂倉つり橋(矢印が転落死した赤松さん)」まさにこれ――ちょっと委員部、これを長官に見せてください。これはつり橋のワイヤが切れたということなんですが、いわゆる山の遭難というものとは性質が全く違うわけであります。しかも、この場所というのは国が決めている国立公園であります。吉野熊野国立公園。国立公園は全体として国が管理責任を負っているところであります。そこでこういう事故が起こったのでありますが、長官はどのようなお考えでおられるか、所見をまず承りたいと思います。
  237. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  本件の事故が環境庁所管の国立公園の中で発生し、死傷者を出しましたことは大変残念であり、亡くなられた方々に対しまして心から哀悼の意を表する次第でございます。現段階におきましては事故原因等につきまして調査が行われておるところでございますが、その結果を踏まえて、今後このような事故の再発を見ることがないように、国立公園の利用者の安全性の確保につきましては最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  238. 東中光雄

    ○東中委員 つり橋の管理者である三重県当局に対して環境庁は何か具体的な処置をとったのかどうか。また全国二十七カ所の国立公園があるわけですが、こういういわば施設の不備によって事故が起きるということが大いにあり得ると思うのですが、いまここで起こっておることについて環境庁は何か処置をとったのか、とっていないのか。哀悼の意だけを言われても、これはどうにもならぬわけで、どうですか。
  239. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  大杉谷の事故は、私どもとしましても、国立公園を預かる者といたしましても大変遺憾なことでございますが、今回の事故発生に伴いまして三重県当局からの報告を直ちに求めまして、この善後策をどうするかということも検討したわけでございますが、ただいま先生承知のように、三重県におきましては、先ほどの大臣の御答弁にもございますように、事故原因調査というものが警察当局等の手によりまして進められておる状況でございます。この辺を私どもはもう少しその模様を見なければならないというふうに思っておりますが、ただ、先生のお話にもございましたように、それはそれとしまして、現に起こっている問題についていかに対処するか、このことについて私どもはいまいろいろ考えをまとめているところでございます。こうした事故が国立公園の中におきまして過去にも起きたこともございまして、その都度管理、災害防止、事故防止ということにつきましては、その情勢に応じて指示をしておりますけれども、このたびのことにつきましても、これはただ単に大杉谷だけの問題ではなくて、恐らく全国にもその危険性というものがある個所があるいはあるかもしれないということもございますので、それらを全般的に点検をするというふうなことのために、これからしかるべき措置をとろうというふうに考えておるところでございます。
  240. 東中光雄

    ○東中委員 いろいろ言われましたけれども、何にもしておらぬということじゃないですか。そうでしょう。責任を大体感じておられるのかどうかということさえ、いまの御答弁では私は疑いたくなるような答弁だったと思うのです。国立公園というのは、自然公園法の目的で言っていますね、「すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、もって国民の保健、休養及び教化に資することを目的とする。」というふうに言っていますね。「保健、休養」なんです。その目的で国立公園にしておいて、そこで施設の不備で亡くなっている人が起こっておる。目的からいったらまるきり逆の方向へ行っておるのですから、それについて環境庁としては責任を感じておられるのですか、どうなったか聞いているだけだ。まだ答えがないのだというのでは余りにも無責任ではないですか。責任はまず感じておられるのですか、おられないのですか、どうなんですか。
  241. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 最初に申し上げましたように、国立公園の全般的な管理というものは当然私ども責任でございますから、この中において発生しました事故についてみましては、私どもとしても大変遺憾に考え、またその再発の防止ということにおいて今後の万全を期したい、こういう基本的な考え方でございます。  ただ、先生もよく御承知のように、わが国の公園制度といいますものは、公園全般は当然環境庁長官が審議会の意見を聞いて指定をいたしますが、個々の公園事業につきましては、国が直轄で行うものもあり、また都道府県等が承認ないし認可を得て実施をするというものもございまして、それぞれの施設についての施設の設置者ないしは管理者としての責任もまたあるわけでございます。そういう意味におきまして、責任の度合いにはいろいろございますけれども、私どもとしましては、それを総括して行政として十分戒めなければならないところである、かように考えております。
  242. 東中光雄

    ○東中委員 今後のことと、いまの起こったことについての遺憾の意というだけなんで、今度起こったことについて遺憾の意を、要するに責任を感じておるのだったら、それに対してどうするのかということを聞いているのです。それは何もやってないということをいまも答えておられるわけです。国立公園はその地域の指定を、いま局長言われたように、なるほど環境庁がやります。しかし、そのほか国立公園の保護や利用のための公園計画や公園事業もいずれも環境庁長官が決めることになっている。しかも自然公園法の十四条の一で「国立公園に関する公園事業は、国が執行する。」というふうになっておる。国定公園とはその点はまるきり違う。地方自治体意見も聞かない。全部国がやることになっておる、計画事業の執行も。法律でそうなっていますね。しかも「保健、休養及び教化に資する」目的でやっておるのです。そこで起こった事故に対して、何もしてないじゃないですか。一体どう考えているのですか。
  243. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 この問題は、法律上の問題と行政全般を管理するものとの立場におけるそれぞれの責任があると私ども考えております。先生のただいまおっしゃられましたように、自然公園法は、もちろんその公園の計画及び事業につきましては環境庁長官が決定し執行することになっておりますけれども、また同時に、国立公園の事業につきましては、地方公共団体等も承認ないしは認可を得てこれを実施することができるというふうになっておりまして、今回事故の起きました大杉谷の遊歩道及びつり橋を含むものでございますが、この事業は法律上は県が実施をしているものでございまして、したがいまして、法律上の責任ということになりますと、第一次的にはどうしてもその施設を設置した県の管理の問題に帰するのではないだろうか、かように思うわけでございます。その責任のとり方といたしましてはいろいろございますけれども、御遺族ないしは負傷に対する賠償というふうなものも含めましていろいろあると思いますけれども、それらにつきましては、現在三重県においてこれは対処されているわけでございまして、その成り行きを見なければならないというふうに思いますが、行政全般の立場としまして、先ほどから申しておりますように、今後の発生を防止する、これが私どものまずとるべきことであろうというふうに考えておりますので、当初に申し上げましたように、私どもとしましては、危険個所の点検というようなことも含めて安全を期するという方途を考え出そうというふうに思っておるところでございます。
  244. 東中光雄

    ○東中委員 十四条の一項は原則を書いておるのでしょう、「公園事業は、国が執行する。」と。あなたが言っているのは二項じゃないですか。本件の事業は確かに二項でやられたものだと十分承知しています。しかし、一項に原則が書いてある。その原則も全然やってない。そういう立場で今度は二項の、いわば原則から言えば例外的なものであるはずのものがたまたまやられておるんだ。そうしたらあなたの方は、今後の対策はやるけれども、いまの問題についてはもう三重県だけが責任をどうするか検討しておるんで、あなたの方はもう全然関係ないんだ、こういう姿勢でおるとすれば、改めて聞きますけれども、現在二十七カ所ある国立公園で国が執行しているところ、要するに十四条の原則規定、第一項に基づいて「公園事業は、国が執行する。」として執行しているのがありますか。あったらどこか言ってください。
  245. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 十四条の一項、二項の関係は、先生よく御承知のとおり、これは一項が原則であることは間違いございませんが、しかし、二項の発動された場合には、その施設の設置管理の責任というのはその事業執行者にあります。それは言うまでもないことでございますけれども、国が直括しておりますものの二十七の国立公園の中で、およそ五十七地区につきましては国が直括で事業を行っております。たとえばつり橋の類似なもので言えば、上高地の河童橋のごときものは国が直括で実施をいたしておるものでございます。
  246. 東中光雄

    ○東中委員 この事故のあったつり橋は、大台ケ原から千尋滝線道路として昭和三十八年に公園計画として決定をした。これは環境庁が決定をしたのですね。それに従って執行している。執行はこの二項で県がやった、また県がどこへ委任したかそれは別として。そういう関係になっておるんで、環境庁計画によってやって、そしてここでこういう事故が起こっているのです。だから、それに対して具体的に起こったことについてどうするか。もう環境庁は一切知らぬ顔をして、三重県だけだということでほっておくのかどうか、これが一つ。それから、今後の対策としては一体具体的にどうするんだということを明らかにしてください。
  247. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 先ほどから申しておりますように、私どもは、三重県で起こりました問題が、直ちに三重県だけの問題であって、私どもには関係がないとは全然思っておりません。ただ、その責任のとり方といいますか、責任に基づく処置といいますものにつきましては、施設を設置した県と、私ども公園を管理するという立場においては、そこに差があるだろうというふうに考えておるわけでございまして、私どものなすべきことは十分なす、これは当然でございます。  それからもう一つ、今回のことについて、今後こうした事故の再発を防止するためにどういうことを行うかということにつきましては、先ほどから述べておりますように、当該県はもちろんでございますけれども、むしろもっと広げまして、全部の国立公園につきまして、そうした施設の有無等につきまして、その都度、従来からも事故が起こるたびにそうした部分を指摘し、また点検のポイントを指示しながらやってきておりますけれども、今回の事故にもかんがみまして、またその原因究明その他が行われるのに並行いたしまして、私どもとしては、いわば総点検といいますか、そういうことを実施して、今後も事故の根絶を期する、こういう考え方を持っているわけでございます。
  248. 東中光雄

    ○東中委員 こういう公園事業を国以外の者が執行する際、自然公園法施行令の九条で、その管理または経営について国へ届け出ることになっているわけですけれども、本件のつり橋については、その管理についてどういう届けが出されておりますか。
  249. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 御指摘の点につきましては、七条の規定がございまして、この事業を執行する者につきましては、事業の承認ないし認可がありました場合に、ただいまのような届けを出すということになっております。  本件につきましては、結論を申しますと、届け出は出されておりません。この点につきましては、従来の処理の方法としまして、事業を執行する者が地方公共団体のようなものである場合には、当初の事業の承認申請の段階におきまして、その管理の方法を確認をいたしまして、その執行につきましては都道府県というふうな責任ある団体がその方法において行うということが確認されておりますし、また公園管理事務所等の当該職員が絶えず県とも接触がとれる、現場も見れるというようなこともありまして、届け出というものも公共団体については行っていないというのが現状でございますけれども、今回のような事故にかんがみまして、その点につきましても、そうした慣行というものにつきましては、これを再検討しまして、改める方向で物を考えていきたい、こういうふうに思っております。
  250. 東中光雄

    ○東中委員 要するに、届け出は出てない。  ところで、つり橋は道路法の適用は受けません。その写真を見てわかりますように非常に危険です。しかも、ここへ休養のために大いに来なさいということで公園にしているわけですから、こういうものについて管理基準なり安全基準なり、そういうものが定められておるのかいないのか、その点はどうですか。
  251. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 御指摘のように、つり橋については道路ということでもございませんので、これについてもよるべき安全の基準というふうなものは現在ございません。したがいまして、私の方は、このつり橋が事業として申請が出てまいりました場合には、たとえば道路で言いますと、歩道橋といいますか跨道橋といいますか、ああしたものの構造等につきまして行われております基準等も勘案しながら、審査段階でもって安全性を確認する、それからまた、設置後の点検等についてもその際に指示をするというふうなことでやってきておるわけでございます。  しかしながら、今回のような事故にもかんがみまして、今後利用者の一層の安全確保ということを図るためには、専門技術の分野にもわたりましてなかなかむずかしいことではございますけれども、今後その面も十分検討してまいりまして、安全確保のための指針のようなものも設定をする、こういうことを含めて今後の推進に当たりたい、こういうふうに考えております。
  252. 東中光雄

    ○東中委員 管理基準も安全基準もない、今後やるということですけれども、遅いですね。一体環境庁は何をしているんだと言いたくなるんです。環境庁長官は、施設の管理については施行令の十七条で改善命令も出せるということになっているわけですね。だから、実情を当然つかんでおかなければ命令なんか出しようがないわけですから、全国の公園の中のつり橋の中で危険な状態にどこがなっておるかなっていないか、ぐあいはどうかというようなことはちゃんとつかんでおるのですか。全部つかんでおりますか。
  253. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 つり橋全体につきましては、私の方は、ただいま資料はございませんけれども、大杉谷のようなところでは非常につり橋が多く、十三というようなことで、年に大体一カ所ないし二カ所のつり橋の申請が出ておる状況でございます。全国的な数字は、大変申しわけありませんが、いま申し上げるあれがございません。したがいまして、相当程度のつり橋が国立公園内にあるというふうに考えております。その中で環境庁が直接責任を持つつり橋につきましては、先ほど申しました河童橋でございますが、その他のつり橋につきましても、今回の事故にかんがみまして、私どもとしてはできるだけいまのような安全の指針のようなものも考慮しつつ、その点検に努めてまいりたい、かように考えております。
  254. 東中光雄

    ○東中委員 改善命令を出せる立場長官が全然実情もつかんでない。命令の出しようがないじゃないですか。全く自分のところが執行している分のことだけを言っているわけですけれども、そうじゃないところはどのくらいあるかもわからない、どういう実情にあるのかもわからない、改善命令だけは出せる、こんな怠慢なことというのはあり得ぬと私は思うのですね。特に今度のこのつり橋の場合は、三十七年に設置してから、四十八年に一回点検したけれども、もう六年ほうりっ放しという状態になっているわけです。そしてここはどんどん人が通るということで、もうそこへ行けば危険だということは当然予測できるはずなんです。管理者は予測しなければいかぬわけです。ところがそのままほうっておいたということでこういう事故が起こったわけですから、三重県だけじゃなくて、環境庁も――それは執行者は三重県であって管理者は当該村であるかもしれませんけれども、具体的に調べもし、あなたは責任はあると言っているのですから、全面的に責任があるわけではないが、しかし、何らかの責任があるということは先ほど言われたから、長官、最後に、そういう点についてきっちりと調べ、それから環境庁として、どういう性質のものでどの範囲のものかは別として、その責任を具体的に果たすために、捜査とは別にその状況について処置すべきだと思うのですが、長官決意を聞いて質問を終わりたいと思います。
  255. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  環境庁所管の国立公園の中で起こった問題でございまして、決して三重県だけが責任があるとは思っておりません。私ども責任というものは痛感をいたしておりますし、今後お亡くなりになられた方の死がむだにならないように、利用者の安全性確保に対しましては都道府県を督励し、最善を尽くして努力をいたしてまいります。
  256. 東中光雄

    ○東中委員 今後の安全対策ということに当然全部なってしまうのですけれども、この被害者に対してどうするのか、何か三重県当局とも一緒になって処置をするのかしないのか。しないというのだったら、環境庁というのはそういうところかということになるのですが、まさか新長官はそんなことは言われないだろうと思って質問しているのであります。
  257. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生のおっしゃるお気持ちは十分承知をしておりますし、まことに申しわけございませんが、ただいま三重県当局において事故の原因等についても究明中でもございますし、今後県ともよく御連絡しながら対処してまいりたいと思います。
  258. 東中光雄

    ○東中委員 終わります。
  259. 河野正

    河野委員長 則武真一君。
  260. 則武真一

    ○則武委員 私は、公害関係で特に最近問題になっております例の健康被害補償法の問題を中心に最近の環境庁の基本姿勢をただしたいというふうに思います。  初めに新しい長官にお伺いいたしたいのですが、先ほどからのお話を聞いていてもどうも運輸省や通産省に何か押し込まれているような気がしてならないのであります。去年のNO2の基準緩和の問題、また四年越しのアセスメント法案の流産の問題、また最近のいわゆる公害健康被害補償法地域指定解除の動き等々を見るときに、環境行政というものがもう一度公害基本法等の原点に立ち戻っていく必要があるのではないかというふうに思いますので、そういう点で、世間では経済界や大企業の圧力に押されているんじゃないかとか、またある住民団体等からはもう環境破壊庁だというような非常に残念な汚名がかぶせられているわけでありますから、その辺でひとつ新長官決意をお伺いいたしたいというふうに思います。
  261. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生指摘のとおり、環境庁が今日どうも後退したんじゃないかという声があることも私は十分承知をいたしておりまして、その点まことに残念であり、まことに申しわけなく思っておるのでございますが、何と申しましても環境行政はもう国民に直結した大事な仕事でございまして、人間の健康の保護、それからまた自然の保全、公害の事前防止、それからアメニティーという崇高な使命を仰せつかっているようなわけでございまして、私は環境庁長官としてこれらの問題と、イデオロギーを越え、国民立場に立って、微力でございますが、真剣に取り組んでまいります。
  262. 則武真一

    ○則武委員 私は余り美辞麗句を聞こうとは思っていないのです。私がお聞きしたポイントは、経済界、経団連等の圧力で地域指定解除等の動きをなさっているのかどうかということをお聞きしているのですから、そこのところを、そういう圧力には屈していないとかいるんだとか明確にお願いしたい。
  263. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  さようなことはありません。
  264. 則武真一

    ○則武委員 それでは私は二つの面からお聞きしたいと思うのですが、一つは倉敷市、これは公害健康被害補償法指定地域を持っているコンビナートのあるところですが、倉敷市特定気道疾病患者医療費給付条例というのがございます。この条例でもっていわゆる健康被害補償法の横出しといいますか、法で指定地域にかかっていない地域を市独自で公害患者を認定してその医療費を見よう、こういう結構な条例でありますけれども、この条例が残念ながらことしの倉敷市議会で廃止されました。その廃止に至るいきさつに環境庁が重大なかかわり合いを持っていらっしゃる、かかわり合いというよりもむしろ環境庁の事実上の後押しといいますか、合意、こういったものが倉敷市当局に与えられた上で、この国の健康被害補償法の横出しになっていた市条例が撤廃をされていった。やがてこれがまた国の健康被害補償法の重大な改悪なり地域指定解除につながっていくのではないか、こういう懸念を私は持つのでありますけれども、その立場からひとつお伺いいたしたい。  倉敷市で条例廃止を決められるに当たって答申をされておる倉敷市公害健康被害対策協議会というのがありまして、この協議会は市当局、市議会、市医師会の三者構成のようでありますが、その答申の中で「本協議会は環境庁首脳と会談を重ね」云々というふうになっておるんですけれども環境庁はいつ会談をなさったのか、何回ぐらい倉敷市当局と会談をなさったか、そのときに出席をなさった環境庁の首脳とは一体どなたか、どういうお話をなさったのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  265. 本田正

    本田政府委員 いつどこでだれが会ったかというような話し合いではなかったと聞いております。と申しますのは、倉敷市のは、国の指定地域からはみ出るいわゆる独自の指定地域であったわけでございますが、そこを倉敷市におかれては、長年何度かにわたり国の指定地域にしてくれという要望があったわけです。そういうお話し合いは何回か聞いていると存じますが、日時とか、それからだれが会ったか、随時やっていると思いますが、ということはちょっと記録にございませんのでわかりません。
  266. 則武真一

    ○則武委員 肝心なところへくると記録にないと言うんですが、倉敷市側はちゃんと記録をつくっております。倉敷市側はいろいろな記録がありますが、五十三年九月二十六日、この協議会と環境庁が会談をしておりますが、この会談はどこでやられたでしょうか、出席なさった方はだれだれか、またどういう内容で市当局とお話し合いになったか、お聞きしたいと思います。
  267. 本田正

    本田政府委員 日時は定かでございませんが、私も一、二度お会いしたことがございます。倉敷市の市長さんとも一遍ございますし、それから市の当局の方々とお会いいたしまして、そしてお話を承ったことは、指定地域にはならないか、つまり公害健康被害補償法によりますところの地域指定要件というものがございます、これに合わないのかどうかということを聞かれたと記憶しております。そのとき私は、いろいろいままでのデータを参酌いたしました上でも、国の指定地域にするということは無理でございます、このようにお答え申し上げております。
  268. 則武真一

    ○則武委員 倉敷市側の記録によると、上村企画調整局長本田環境保健部長、寺松保健業務課長が出席をされておるんですが、間違いありませんか。
  269. 本田正

    本田政府委員 多分そういう前企画調整局長、それから担当である寺松保健業務課長、それに私というのは間違いございません。
  270. 則武真一

    ○則武委員 そこで、お話し合いになっておる内容の議事メモがここにございますが、きわめて重大なことがこの中で話し合われております。環境庁は、「今後、地域指定拡大はあり得ないと思っているので、御了解をお願いしたい。また、地域指定拡大はできない旨の文書回答は、できないことはないけれども、スマートでないので、事務的に、内部で検討してみる。」つまり地域指定の拡大はあり得ないということを文書で回答してしまうわけにはいかぬけれども、まあそのつもりだと。ここで、「文書回答はできないことはないが、スマートにはできない」というのは、これは何か公害の被害を受けていらっしゃる患者団体等に見つかるとまずい、こういう意味でおっしゃったんでしょうか。それともまた、事務的に検討してみて、最終的に倉敷市当局にこういった内容の文書をお与えになったかどうか、お聞きしたいと思います。
  271. 本田正

    本田政府委員 事柄の性格上、文書で出すべき性格ではないと存じます。当時のお話、その日だけのお話の記録は私どもにございませんし、定かでございませんけれども、たとえば一般に地域指定要望されまして、そうしてそれが科学的ないろいろな根拠のもとに地域指定ができないというようなことを文書で出せと言われたかどうかも私は覚えておりませんが、また言われたにいたしましても、出すような性格じゃないと存じます。
  272. 則武真一

    ○則武委員 地域指定の問題だけじゃないのですね、そこで話し合われているのは。環境庁はこういうふうにも言っています。議事メモによりますと、市の条例で五百人について施策がとられておるけれども、これは地方自治体がやっているんだろう、「倉敷市が実施している条例は、住民福祉のためにやっているものと解している。」と。つまり公害患者対策じゃない、これは福祉対策としておやりになっているんだろう、「旧法では、救済という意味のものであったけれども、最近は福祉患者がふえている。」こういうこれまた非常に重大な発言であります。つまり公害被害者の救済とか補償という立場ではなく、住民福祉という問題だ、そして、最近は福祉患者がふえておるということになると、国の健康被害補償法で言うところの公害患者も、これは福祉としてやっていらっしゃるのか、こういう問題になってくるのであります。そういう点で、事は非常に根本問題に立ち至ってまいりますので、明確にこのお答えをいただきたいと思います。簡潔にお願いします。
  273. 本田正

    本田政府委員 「福祉」という言葉を使ったという記憶、私に全くございません。公害行政が福祉対策の一環であるかもしれませんけれども、倉敷市の例を挙げて、それが福祉対策である、そういう趣旨発言をした記憶、私全くございません。
  274. 則武真一

    ○則武委員 御存じのように、倉敷市のこの条例をつくったいきさつにつきましては、倉敷市の環境部長自身がちゃんと「産業と環境」の本に論文を載せていらっしゃいますが、これは当然法律によって救済をされなければならないけれども、それを市として公害病患者を救済する立場でやっているんだというふうに述べていらっしゃるし、条例制定のいきさつからも、これが一般福祉の問題ではなく、公害患者対策としてやられたということも明らかなわけであります。  そういう点で、環境庁がこういう形で、結局住民福祉のためとか、福祉患者が最近はふえてきておるという言い方で、暗に公害対策の必要性がもうなくなっているというようなニュアンスを倉敷市当局に述べているわけですね。  ここに私はその議事メモを持っているのですけれども、いま申し上げた三人の方がお話しになったのしかないのですね、あなたは肝心なところは忘れたとか知らないとおっしゃるけれども。だとすると、これはやはり重大な環境庁の失言であり、そういうことが、倉敷市がせっかくつくり上げてきた市独自の公害患者対策の条例をも環境庁は、そんな福祉なんかはもう公害対策ではないと言わんばかりの言い方をするから、もうそれでは廃止しようかというふうになっていったんじゃないかと、私はそういう経過から感じるわけであります。  この点私は、環境庁がただかかわっているのではなくて、事実上倉敷市の条例廃止に合意を与えている、共犯というふうに呼ばせていただいてもいいと思うのですが、そういう立場じゃないかと思うので、これは住民サイド、患者の立場から言うと、非常に遺憾なことだというふうに思います。この点もう一つ明確に、当時の環境庁の倉敷市に対する最終的な姿勢をお答えいただきたいと思います。
  275. 本田正

    本田政府委員 いまお話しの問題は、倉敷市が独自でお決めになる、そういう性格のものでございます。したがいまして、環境庁がそれに介入するがごときあるいは環境庁意見によってどうの  こうのということは一切ございません。
  276. 則武真一

    ○則武委員 この点はこの後で触れたいと思いますが、環境庁と倉敷市当局の会談の議事メモの信憑性をめぐって、それだけ環境庁の方でしらをお切りになるのなら、私は委員長にお願いをして、公害行政の基本に触れる問題ですから、ぜひひとつ市当局の方々をも参考人として来ていただいて明確にしていただきたいというふうに思いますので、後でお取り計らいをお願いいたしたいと思います。  前へ進みますけれども、この議事メモによると、さらにまだ重大なことが出てまいります。現在中央公害対策審議会で審議しておることであり、諮問してすでに一年経過しておるのだ、その結果を待っておる環境庁としては、中公審が地域指定解除要件について結論を出すのを急いでほしいという気持ちだ、こういう表現であります。このことは、まさに私たちには全く知らされていないことであるし、すでに一年前に中公審にこういう諮問をしておる、結果を急ぐ気持ちで待っている、こういうふうな話でありますけれども、一体これはどういうことなんでしょうか。
  277. 本田正

    本田政府委員 先生いまお読み上げになりましたことは、全く事実ではございません。
  278. 則武真一

    ○則武委員 ますますこうなると、さっきから申し上げておるように、この議事メモの中身をめぐって、私は関係者をひとつ参考人として呼んでいただきたいということを重ねて委員長の方にお願いをするわけであります。  つまり、結論の方を言いますと、地域指定解除の物差しはすでに中公審に諮問されて一年が経過しておる、いま審議中だ、結果待ちだ、しかも環境庁はそれを早く出してほしいと期待しているというような姿勢、そこに私が懸念しておるということではなくて、事実として環境庁自体がこの公害健康被害補償法地域指定解除を急いでいるというふうに思えてならないのであります。そういう点で、いま中公審の部会で審議をされておる中身について、いわゆる六項目の内容について資料を私もいただいておりますけれども、まさに諮問がなされているのかどうかということがまず一つあります。しかし、諮問がなされていなくても、中公審はすでに六項目の検討をしておる。その検討内容にいろいろあるでしょうけれども地域指定解除要件がある。そうしてその解除要件をめぐっていつでも結論が出せる状態になっているんだと言わんばかりの議事メモの話しぶりであります。そういう点で、まさにこの国会をもだまし、さらにまた患者や国民の皆さん方をないがしろにしておる行為と言わなければならぬので、この点そういう記憶がないとか、全然事実と違うということになりますと、これは重大な問題でありますから、事実を確認するためにひとつぜひ後で検討をお願いいたしたいと思います。  時間がありませんので先に進みます。  私は、そういう環境庁の姿勢と関連して、きょう前段の各委員の質問の中でも出ましたけれども、どうも財界やいろんなところでこの地域指定解除やいろんな問題に圧力がかかっているんじゃないかという問題が出てきておるのであります。経団連の三十年史というのがありますが、その中でこういうことが書いてありますね。「経団連の環境安全委員会は、四元俊明環境庁環境保健部の保健企画課長ら担当官を幹事会に招いて「重ねて公費負担の導入を図るようこの制度の根本的見直しを要請した。」四元保健企画課長は、「今後は指定地域解除を行政の目標としたい」……」これは恐るべきことでございます。五十年の十二月十五日、新法が四十九年九月に発足して半年もたつかたたないかのときに、環境庁のお役人は経団連に出向いて、「指定地域解除を行政の目標としたい」、こういうことを経団連でぬけぬけとおっしゃっていらっしゃる。これこそ私は国民をだますものだと思うのです。  そういう点で、時間がございませんので若干はしょりますけれども、五十一年二月末も「公害健康被害補償制度に関する要望」という意見書を経団連は出していらっしゃいます。さらに五十一年三月二十四日には、当時の小沢環境庁長官が同じく経団連の環境関係の部会に招かれて、「当会要望趣旨の徹底方を図った。」そしてそこで長官は「環境庁側制度全体の見直し作業昭和五十一年度初めから開始することに同意した」こういうふうに言われて、制度全体の見直しということは環境庁長官を先頭に経団連との間にいわば密約のようなものができているということが、事実関係として経団連の業務報告や日誌の中から出てくるわけであります。  こういう点で一つ明確にお聞きしたいのですが、こういった一連の経団連側の資料によってあなた方が経団連に約束をされていること、こういう問題について責任を持って明確にしていただきたいと思います。
  279. 本田正

    本田政府委員 地域指定解除要件を諮問したということを先生再三再四おっしゃいますが、そういう事実は全くございませんので、御了解賜りたいと思います。  それから、経団連のそういうお話を受けて私どもが検討しておるというふうにもおっしゃいますけれども、そういうことでは決してございません。制度の主管者といたしまして、公害健康被害補償法を、つまり迅速かつ公正に公害患者の保護を図るという法の目的に従いまして、当然制度の主管者としてそれがうまく運用されるように私どもいろいろな角度からの検討をしておるのが事実でございます。
  280. 則武真一

    ○則武委員 そういうふうにおっしゃるだろうと思って、もう一つ次のことも明らかにしておきたいと思うのです。  五十一年度の経団連の事業報告ナンバー三十六にこういうふうに書いてあります。「制度改正の抜本対策と当面緊急の是正策を盛りこんだ「公害健康被害補償制度改正に関する意見」をとりまとめ、五十二年二月八日政府・与党関係方面に建議し、現行補償制度の見直しに手をつけることができた」「抜本対策についても政府として前向きに検討する旨意向を表明している」ここで言う「前向き」というのは、私の立場から言うと後向きなんです。つまり公害病患者を打ち切ってしまう。地域指定解除の方向という意味にとれるわけですけれども、ちゃんと経団連側は皆さん方が再三経団連の会議で表明されたことを、ただおっしゃったという議事録があるだけじゃなく、事業報告の中で評価しておるのです。  そしてさらに、五十二年六月の「経団連月報」では、「三月四日、要望意見を取りまとめ、制度の根本的見直しを早期に開始するよう環境庁、通産省など政府、その他の関係方面要望を行なった。その後、政府も本制度の見直しの必要性については基本的に了承し、現在すでに環境庁、通産省の事務レベルでその検討を開始している」これが経団連の報告書の内容であります。  こういうふうに、抜本対策を環境庁が経団連の言う「前向きに検討する」いまもう「事務レベルでその検討を開始している」こういう報告について一体どうなんですか。
  281. 金子太郎

    金子政府委員 五十年から五十二年にかけてのただいまの一連の「経団連月報」等につきましては、私どもも当時それを見まして愕然といたしまして、再度経団連に抗議を申し込んでおります。たとえば私どものところに陳情においでになって、陳情の趣旨はわかりました、こう言えば早速了解してそのとおりに作業に取りかかる、こういうような表現をされては困る。団体屋さんというのは、メンバーの会社などに対していろいろやってやったと言わざるを得ないような立場におありになるかもしれないけれども、それははなはだ迷惑であるから、そういうことは慎んでもらいたいとたしか二度か三度申し入れをした記憶がございます。
  282. 則武真一

    ○則武委員 もう時間がないので終わりますけれども、しかし、結論的に言うなら、あなた方が再々経団連の会議へ出ていって次から次へと要望書を経団連から突きつけられて、それに対してだんだん、一層深い約束をなさってきた、その評価がいまのさまざまな文書であらわされているのであって、あなた方が本当に毅然とした姿勢を持っていらっしゃるなら、そんなところへ出向く必要もなかったかもしれないですね。そういう意味で、私は、これは非常に環境行政の基本に触れる問題として、やはり経団連なり大企業の圧力に屈服しておると言われても仕方がない、こういうふうに思えてならぬのであります。  そういう点で、私は、この健康被害補償法というのは公害問題の原点と言われておりますが、やはり公害というのは、被害者がおり、被害者があるからこそその救済をするということが公害対策なのであります。そういう意味で、この地域指定解除というような方向ではなくて、あくまでも公害をなくするということと公害の被害者を救済する、こういう基本点に立ってやっていただけるのかどうか、こういうことをひとつ最後に明確に長官の方からお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  283. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  現時点におきまして中公審にも答申もいたしておりませんし、見直し等も考えておりません。公害被害者の立場に立って、今後も前向きで取り組んでまいりたいと思います。
  284. 河野正

    河野委員長 中井洽君。
  285. 中井洽

    ○中井委員 まず、大臣にお尋ねをいたします。  先ほどから各委員から御質疑がありました環境庁の不正経理の問題で、一つは、大臣として何が原因でこういう不正経理が起こったとお考えになっておるか。  二つ目は、大臣の御就任前の問題でありますが、今後大臣としてどういう形で不正経理が出ないような対応策をとっていくとお考えになっておられるか。  この二つの点でお答えをいただきたいと思います。
  286. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  御案内のとおり、環境庁は十八省庁から職員が来ております。そして調整機関と申しましょうか、仕事の性質上各省庁といろいろ話し合いするような問題等も多くて、勢い日中話をした後役所へ帰ってまいりましていろいろ仕事をしたり、そうしますと遅くなって夜食を食べるとか、また自動車を利用するとか、そういう面に一〇〇%というわけじゃございませんが、大半使われたやに聞いておるのでございます。そのほか、御指摘なされた不正の面にも使われておるようにも聞いておるのでございますが、ともあれこういう問題が起きたということは、再三繰り返し申し上げておるとおり、何としても申しわけないと重ねて心からおわびを申し上げる次第でございます。  今後は、綱紀の粛正でございますが、やはり私みずからえりを正して、そして環境庁の職員が一体となって国民の負託にこたえてまいらねばならぬ、かように考えております。
  287. 中井洽

    ○中井委員 官房長、先ほどからお話のありました庁内の調査結果というものはいつぐらいに出ますか。
  288. 正田泰央

    ○正田政府委員 庁内の調査結果は、基本的には検査院の報告があったときにわかりますので、その際はっきり申し上げられると思います。したがいまして、現在はきちんとした数字は申し上げられません。よろしくお願いいたします。検査院からの御連絡では、中旬に入って国会に御報告されるというふうに承っております。
  289. 中井洽

    ○中井委員 この問題につきましては、会計検査院の報告あるいは環境庁調査の結果等がわかったらお出しをいただいて、委員長理事会でお諮りをいただいて、ひとつ委員会で集中審議をするなりあるいは理事会で説明を受けるなり、何らかのお取り扱いをお願いしたい、このように思います。
  290. 河野正

    河野委員長 理事会で協議を諮りたいと思います。
  291. 中井洽

    ○中井委員 先ほどの大臣のお答えでございますが、今後出さないようにする、えりを正す、そのとおりであろうと思います。また使い道等、いろいろと原因等もお考えであろうと思いますが、環境庁だけじゃなしに、中央の官公庁全体に、あるいは私どもも戒めなければならないのでありましょうけれども、やはり国民の税金だということをもっと徹底して意識して使っていく、その精神が必要であろうと思うのであります。どうぞひとつ大臣の方も、先ほどから御答弁を聞いておりますと、ずいぶん張り切っておやりいただいておるようでございます。大変生意気でありますけれども、その気持ちでよろしくお願いを申し上げます。  もう一つ、大臣にお尋ねを申し上げます。  これも、先ほどからございました環境アセスメント法の問題であります。この法案の重要性について環境庁長官としてどのように御認識をされているか、お尋ねをいたします。
  292. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先ほど来私が御答弁を申し上げておるとおりでございますが、この環境影響評価法案につきましては、前通常国会に提出をいたすべく関係省庁及び与党の政務調査会とも協議、検討を進めてまいりましたが、会期内に調整を遂げることはむずかしい状況であったので、法案提出を見送らざるを得なかったような次第でございます。(中井委員「そうではなしに、その法案の重要性についてどう考えるか」と呼ぶ)これは開発等をする場合に、事前の、その地域の環境にどんなように影響するかというような意味におきましても、非常に重要な意味を持っておるような次第でございます。
  293. 中井洽

    ○中井委員 おわかりになっていらっしゃるのかどうかわからぬような答弁でありましたけれどもお答えの中で、初めに少しお述べになられようとしたのでありますが、私自身は国会へ出させていただいてまだ三年でありますが、六回か七回か国会をやっております間、毎回毎回冒頭環境アセスメント法をどうするのですかという質問をして、そして国会の終わりのころにはまた、来年もやるのですかという質問をしなければならないわけであります。まあ御努力はいただいておるのでしょうけれども、そういう何年も何年も流れておる最大の理由というもの、あるいは原因というものがどこにあるとお考えですか。
  294. 土屋義彦

    土屋国務大臣 この法案を提出いたすべく歴代の大臣が大変御努力をなすったことは先生案内のとおりと思いますが、まあわが自由民主党内におきましても、この法案提出に対しましてはいろいろな御意見等もあり、その御了承が得られなかったというのが偽らざるところの実情であります。
  295. 中井洽

    ○中井委員 どうぞ大臣、さっきの張り切ったいろいろの御答弁を御自分の御所属なさっておられる自民党内部の中で十分発揮をなさって、ぜひともおまとめをいただいて国会へ今度こそ御提出をいただきたい、このようにお願いをいたします。特に、自民党内部のことでありますから、大変失礼でありますが、先ほどどなたかの委員にありました森下発言、あの森下さんだって自民党の環境部会長か何かをなさっておったのだと私は承っております。全く荘然とするような発言であります。それが自民党の内部で環境部会の責任者をやっておられた。本当に、果たしてまとめる気があるのかどうか、こういったことさえ疑いたくなるような姿勢であります。そういったことを含めて御努力をいただけるものか、御認識をいただいて、自民党内で、あるいは政府内で調整のために御努力をいただけるものかどうか、もう一度決意をお尋ねを申し上げます。
  296. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生案内のとおり、わが自由民主党は大変民主的な党でございまして、いろいろ反対、賛成等ございますことは御案内のとおりでございますが、私は、この法案を通すために先頭に立って関係議員とひざを交えてでもお話し合いをいたしまして、そしてぜひとも次の国会に提出でき得ますように、幸い全国的に公共団体あるいはまた県、市町村等からも強い要望等も出ておりますので、そういうものを背景といたしまして、これが通過に努力をいたしてまいりたいと思います。
  297. 中井洽

    ○中井委員 それでは、次の質問に移ります。  先ほどの本宙部長の委員の御質問に対する答弁の中で、公害健康被害補償制度の問題で、その当時いろいろな割り切りをしたんだ、その割り切りしたことに対して幾つかの見直しをしておる、こういう答弁があったように思います。その見直しの例として、地域指定解除条件考えていく、あるいはぜんそく性気管支炎の先ほどから問題になっております六歳以上の認定というものをしていかないんだ、あるいは違う病気として判定をし直すのだ、こういった問題が例に挙がっておりましたが、それ以外に何か見直しというものをお考えになっていらっしゃいますか。
  298. 本田正

    本田政府委員 たくさんの検討すべき事項がございまして、たとえば窒素酸化物を現在あります指定要件の中でどう評価したらよろしいのかとか、入れるのか入れぬのかという問題とか、あるいは自動車重量税をただいま二割でやっております。そういったものをどう考えたらよろしいのかという問題、あるいはその暴露要件というのもございます。それから患者の治療というものをリハビリテーションも含めて補償法上どういうふうに促進したらいいのか等々たくさんの問題を検討いたしております。
  299. 中井洽

    ○中井委員 私は前のNOXの問題のときにも申し上げたのでありますけれども、科学的にどんどん見直していく、これはもうあたりまえのことで、賛成だ、このように考えております。そういった問題で、先ほど大臣の御答弁の中に、共産党の則武さんの御質問に対する御答弁の中で、地域指定解除条件づくりということを考えていないんだ、こういう御答弁があったように思います。私は、この前の委員会で御答弁を、部長にだったですか、いただきまして、条件というものはつくっていくのだ、そしてそれも時期を見て中公審に答申するんだ、こういう御答弁をいただいているわけであります。この問題についてもう一度統一した御答弁というものをいただきたい、このように思います。
  300. 本田正

    本田政府委員 地域指定解除要件だけを検討しているわけではございませんが、現在いろいろな角度から検討しているものの一つでございます。決して地域指定要件だけを検討しているというふうに誤解いただかないようにお願い申し上げたいのでございますけれども、大気の汚染によりまして公害の患者さん方というものが出ているわけでございます。そういったことによって認定しておりますそういった状態というものは一刻も早く解消、非常に誤解を受ける言葉でございますけれども、大気を改善して、現在四十一地域、七万五千人もおられる患者さん方を早く生まないような状態に持っていくことこそ環境庁の責務じゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。そういう角度から、たとえば地域指定解除するということは容易じゃございませんけれども、そういう検討は科学的な検討でなくちゃいけないと存じます。そういった科学的な検討もいろいろ項目を言いますとたくさんございます。そういった項目については検討いたしております。ただ、中公審に諮問するかどうかということにつきましては、いつ諮問するのかとか、いつじゃ検討結果がまとまるのか、そういうことは現在ないということを大臣申し上げたと存じます。
  301. 中井洽

    ○中井委員 それではもう一つのぜんそく性気管支炎の六歳以上の患者さんについては、今後ぜんそく性気管支炎という病名では認定をしない、こういう新聞記事が出ておりました問題でお尋ねをしたいと思います。この方針は大体決定でございますか。
  302. 本田正

    本田政府委員 決定ではございません。
  303. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ簡単に経過を御説明いただけますか。
  304. 本田正

    本田政府委員 いわゆる公害病と言われます四つの疾病の中で、ぜんそく性気管支炎を除きますところの気管支ぜんそくとか慢性気管支炎等につきましては、比較的診断がやさしいそうでございます。はっきりした病気だそうでございます。ところがぜんそく性気管支炎という病気は日本特有の名前でございまして、まことに医学的な話ではなはだ恐縮でございますけれども、非常にあいまいな疾病名であるわけでございます。そこで私どもは、毎年、全国の四十一の指定地域にございます審査会というのがございますが、その審査会の先生方から成る全国会議を年に一回、それからまたブロック会議もやっております。そういった会の席上で、現地で認定審査に当たっている先生方から、もう少しぜんそく性気管支炎というものの定義をはっきりしてくれぬか、そうしないと非常にやりにくいし作業を進めにくい、こういう話が毎年ございまして、それを受けまして私どもは、去年の秋から小児科の専門医七名から成るところの委員会を、専門家の意見を聞くという形で意見を取りまとめていただいたわけでございます。その取りまとめていただいた結果を認定審査会の先月ございました全国会議に、たたき台として、かねて御要望のありましたものはこういうふうにできました、ひとつ御意見を十分また拝聴したい、そういうことで提出した資料でございます。
  305. 中井洽

    ○中井委員 小児科のお医者さんに聞きましても、大体部長のおっしゃられたようなこと、ぜんそく性気管支炎というのはもう六歳以上になると大体そういう病名はないんだというようなことは、そのとおりのようであります。逆に言えば、ぜんそく性気管支炎という病名で公害病患者さんを認定してきた、しかも六歳以上の方で数千人おられる。どうしてそういう形になったのか、その理由についてお尋ねをいたします。
  306. 本田正

    本田政府委員 はなはだ技術的な話になって恐縮でございますが、現在ぜんそく性気管支炎の認定要件というものがございます。これは四十七年に私どもが全国の指定地域を有する行政部局に出した通知でございます。これによりますと、ぜんそく性気管支炎というのは非常に定義があいまいであるけれども――通知にそう書いてあります、当面こういうふうにやってくれということで、ぜんそく性気管支炎というのは反復性気管支炎だけをとりなさい、こういうことでございます。ところが、そういう通知が出ているのでありますけれども、実際にはアレルギー性気管支炎とかあるいは小児気管支ぜんそくとか乳児気管支ぜんそくとか、そういったものがごっちゃになってやられているみたいでございます。その辺がかねて審査会の先生方が非常にやりにくいという御意見になってきたものだと存じます。  したがいまして、今回御検討いただいた中身につきましては、これはこれからいろいろな、たとえば実地医家の意見を聞いておいおいと固めたい、固められるものなら固めたいと思いますけれども、まだまだ流動的だと存じます。しかしながら、今回の御検討の中身を見てみますと、単にぜんそく性気管支炎を反復性気管支炎に限るということじゃなくて、疾病の範囲とすればもう少し広げたような形にはなっております。ただし、先生指摘のように、本来ぜんそく性気管支炎というものは二歳までに起こる病気であって、二歳を過ぎれば極端に少なくなるし、もう少し過ぎればなくなるのだ、こういう御見解でございます。そこで六歳というような言葉も出てきたのじゃなかろうかと存じております。
  307. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、いま六歳以上のぜんそく性気管支炎として公害病に認定されている患者さん、もう一度診断をしていただく。そうしますと、どれかのぜんそくの病気にきちっと診断ができるであろう。したがって、言われるような切り捨てであるとか、そういう形にはならない、このように理解してよろしゅうございますか。
  308. 本田正

    本田政府委員 おおよそ五、六歳になりますと、ぜんそく性気管支炎というものは慢性気管支炎か気管支ぜんそくか、まさか肺気腫というのは子どもですからないと存じます。そういったものに分類されてしかるべきである。それから反復性気管支炎みたいなものはぜんそく性気管支炎と言えるかもしれません、小児であれば。そこで、みんながいままでぜんそく性気管支炎と言われていたものが、たとえばある年齢以上の者についてどちらかに全部が分類されるかどうかということは、これはわかりません。またそうするかどうかということも、私ども意見を徴している段階でございますので決めてございません。
  309. 中井洽

    ○中井委員 お医者さんの意見を聞きますと、昔からぜんそく性気管支炎というのはまあまあ大きくなったらないのだ。たとえば四日市なら四日市で小児科のお医者さんが慢性気管支炎だという形で認定をする。審査会へ出すと、審査会の方から逆に、この診察をぜんそく性気管支炎に変えてくれぬか、こういう話がある。そういう形で変えたやつがたくさんあって、実は十歳過ぎてもぜんそく性気管支炎の患者さんというのがいるんだ。それはなぜかというと、ぜんそく性気管支炎の場合には、私ははっきりと知りませんが、何か二年に一遍の診察というのですか、見直しという形、そして慢性気管支炎だと三年に一遍の見直しという形になっておる。したがって、悪く勘ぐれば、まあぜんそくというものは、気管支炎というものはなかなかむずかしいものだから、言うてきたらとにかくぜんそく性気管支炎というあるかないかわからぬ病名に当てはめて認定して、そして二年に一遍見直しの中で振り落としていこう、そういう発想でいままでやってきたのじゃないか、このように思えるのですが、その点について、そういう事実があるのか、あるいはそういうことをやられてきたのか、あるいはそういうぼくの考え方が間違っておるのかどうか、ひとつ御見解を承りたいと思います。
  310. 本田正

    本田政府委員 そういう事実があるかどうか、ちょっと私不勉強で存じませんけれども、毎年全国の審査会の先生方から成る全国会議等では、とにかくぜんそく性気管支炎というのは非常に扱い、判断に困る、こういう意見があるわけでございます。ただ故意に、とにかく患者さんでございますから、何らかの気管支の、いわゆる呼吸器系の症状はあると存じます。したがいまして、本来ならば正規の病名である、世界的にもはっきりしている慢性気管支炎とか気管支ぜんそくとかいうものに分類されるものであろうと存じますけれども、いまおっしゃっていただきましたような事例について、果たしてそういうことを各先生がなさっているかどうかということについては、ちょっと存じ上げておりません。
  311. 中井洽

    ○中井委員 一度調べてください。いいですか、本田さん。一遍調べてください。どういうことであるのか私も知りませんが、現実に診察をなさったお医者さん方は、審査会の方からちょっと診断を変えてくれぬかと言われて変えたことがあるとはっきりとぼくにもおっしゃっております。そういったことが一つありますといろいろと疑われる要因、あるいは環境庁の姿勢というものがこのごろおかしいんじゃないかと思われる要因になろうかと思うのであります。ひとつ十分気をつけておやりをいただきたい、このように思います。  もう一つは、この問題で、いまお話にもございましたけれども、このように理解していいわけですか。たとえば環境庁が今度審査会の方へ、このようにしたらどうかと言って御発表なさった考えは、まあまあ二歳くらいまででぜんそく性気管支炎というものはなくなるのだ、しかし確実なところ五歳くらいまで少し幅を持たせよう、それ以上は絶対この病気はないから、慢性気管支炎なりほかの病名という形で診断をして認定をしていくのだ、そういうことで理解していいわけですか。
  312. 本田正

    本田政府委員 申し上げましたように、これは七名の専門医の意見を聞きながら、宿題であった審査会の要望に対してまとめ上げたものでございます。それを審査会にこういうふうにできましたということで返しているわけです。これからいろいろな方面での意見も聞かなくちゃいけないと思います。ただ、そのたたき台になるものは、いま先生がおっしゃったように、本来ぜんそく性気管支炎というのは二歳までが多いのだ、そして六歳以下かあるいは未満か、それ以上になるとぜんそく性気管支炎というのはないのだという御意見でございます。それについてもいろいろ御意見は出てこようと思います。したがいまして、そういう段階でございますから、現在それで突き進むとか通知を改正するとか、そういったことではないということを御理解賜りたいと存じます。
  313. 中井洽

    ○中井委員 最後に、大臣にお考えを承りたいわけでありますが、たとえば去年のNO2の問題、あるいはただいまのぜんそく性気管支炎の問題、あるいは先ほど私が言いました指定解除のための条件をつくるという仕事、そういったことをすべて私はもうあたりまえだというふうに考えます。その当時の科学の知識が不確かな中で思いっ切り安全性を見込んでやったことやらが、その後科学知識の集積やら何かではっきりしてきてきちっきちっと見直しができる、そういったことはあたりまえにこれからもいろいろな意味でやっていけばいいし、あるいは逆に規制を科学的に強めなければならないのはどんどんやっていけばいいと思います。それが私は環境行政だと思います。  しかし、これらの問題が何か新聞に、環境庁の発表の仕方が悪いのか何か知りませんが出るたびに、環境行政の後退という形で載せられる。それはそういう面も大いにあるのかもしれません。しかし、そういう形でしかとられない。そこに環境庁の何か発表の仕方あるいは考えの仕方、説明の仕方、そういった不足な点があるのじゃないかと私は思うわけであります。そういったことについて環境庁長官としてどのようにお思いですか。
  314. 土屋義彦

    土屋国務大臣 いろいろ国民の中にも反対、賛成、御意見は多々あろうかと思いますが、環境庁といたしましては、やはり科学的な判断によって、今後も勇気と決断を持って環境行政を実行してまいりたいと思います。
  315. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。終わります。
  316. 河野正

    河野委員長 次回は、来る十一日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会