運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1979-12-07 第90回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月七日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 古屋  亨君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 守良君    理事 関谷 勝嗣君 理事 保岡 興治君    理事 田畑政一郎君 理事 西中  清君    理事 三浦  久君 理事 青山  丘君       相沢 英之君    江藤 隆美君       北川 石松君    三枝 三郎君       浜野  剛君    福家 俊一君       三原 朝雄君    山村新治郎君       久保 三郎君    斉藤 正男君       新盛 辰雄君    関  晴正君       石田幸四郎君    草野  威君       薮仲 義彦君    四ツ谷光子君       永江 一仁君    渡部 正郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 杉浦 喬也君         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 石月 昭二君         運輸省航空局長 松本  操君  委員外出席者         国税庁直税部法         人税課長    四元 俊明君         運輸大臣官房総         務審議官    永井  浩君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部日         本鉄道建設公団         ・本州四国連絡         橋公団監理官  黒野 匡彦君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 犬井 圭介君         運輸省自動車局         整備部長    小林 育夫君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       緒方信一郎君         会計検査院事務         総局第五局審議         官       室屋  勇君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         日本国有鉄道常         務理事     加賀山朝雄君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   仁杉  巖君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   富樫 勘七君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   片山  充君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   渡辺 武男君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   藤田 雅弘君         運輸委員会調査         室長      榎本 善臣君     ————————————— 十二月六日  精神薄弱者等交通運賃割り引きに関する請願  (井上敦君紹介)(第三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件(日本鉄道建設公団に関する問  題及び地下鉄建設に関する問題等)  陸運海運及び航空に関する件(総合交通体系  に関する問題等)  航空に関する件(新関西国際空港に関する問  題)  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件      ————◇—————
  2. 古屋亨

    古屋委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空日本国有鉄道経営及び港湾に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  日本鉄道建設公団に関する問題について、本日、日本鉄道建設公団総裁仁杉巖君、理事富樫勘七君、理事片山充君、理事渡辺武男君、理事藤田雅弘君、以上五名の方々参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  3. 古屋亨

    古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 古屋亨

    古屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
  5. 北川石松

    北川委員 本日は運輸委員会質問機会を与えられまして感謝いたします。  私は五十二年、五十三年、また予算委員会分科会において、運輸に関する質問をいたしてまいりました。解散前に委員会質問要項を提出いたしまして、運輸関係また地元運輸関係に関する発展的要素を含んだ諸問題について、大臣を初め関係当局の御見解をただす用意をいたしておったのでありますが、これが意に反しまして解散総選挙ということになったわけであります。しかし、今日ここに再び質問機会を得たことは神の恵みであり、地元理解ある皆さんの御支持のたまものであると深く感謝いたすものでございます。  ただ、今日まで大臣を初めとする関係当局皆さんから、真剣にこれを取り上げ、真剣にこれに対処するところの答弁に接したこともございますが、その場を何とか糊塗したいというような答弁の観を呈したものもございますので、どうかこういう点によく留意を賜りまして御答弁を賜りたいとお願いを申し上げるものでございます。  まず、関西空港はもう御承知のとおりであり、特に日本成田一辺倒国際空港をもってしては、今後複雑多様化する航空路線というものの円滑なる運営は大変むずかしいものが出てくるんじゃないかと思いますが、かねがね新空港については留意を賜っており、そして予算その他において着々と進行状態にありますが、これについての運輸省姿勢はどうなっているかお聞かせ願いたいと思います。
  6. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 運輸省は、昭和五十五年度を初年度とする第四次空港整備計画関西空港建設を組み入れているが、財政事情が厳しい現今でも、諸般の事情にかんがみ建設は早急に進める必要があると考えております。  国際空港については、昭和四十九年八月に航空審議会答申を受けて以来、環境影響等調査を鋭意進めてきているところであります。これらの調査成果を踏まえ、航空審議会意見を徴した上で、空港計画案環境影響評価案を取りまとめ、昭和五十五年度には関係省庁及び関係府県、すなわち大阪府、兵庫県及び和歌山県でありますが、と協議を行いまして、合意が得られれば早急に具体的計画を決定し、昭和六十年代前半には開港できるようにできるだけ早く事業に着手いたしたいと考えております。  かかる観点から、昭和五十五年度を初年度とする第四次空港整備計画関西国際空港事業費として一兆一千九百億円の枠を計上して財政当局に要求しているところであります。財政事情等厳しい折ではありますが、長年の懸案事項でもあり、できるだけ早く本計画実現を図るという姿勢で対処してまいりたいと存じます。
  7. 北川石松

    北川委員 大臣の、これは総括的御答弁だと思うのでありますが、これに対しての審議会の諮問とかあるいは新空港のプロジェクトとかそういう点について——なるほど今年度も若干の予算は要求されたと思います。しかし、総体的にこれは一兆七千億とか一兆九千億とか言われておりまするが、具体的にどういう構想を一体持っておるか、こういうことをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十九年に航空審議会関西部会答申を受けましてから、その趣旨を尊重いたしまして、まず私どもとして具体的な調査、検討に入りました。それと同時に、やはり成田空港に見ますような貴重な経験があるわけでございますので、地元理解を得る、地元と一体となった空港建設し運営していくということを念頭に置きまして、五十年、五十一年ごろ、地元に対して数次にわたり説明会等を催したわけでございますが、その時点においては、遺憾ながら、まだ空港というものそのものについての反対論者というのが非常に多うございまして、必ずしもわれわれの意を十分に尽くし得るほどの説明ができなかったうらみがございました。そうは申しますものの、五十二年いっぱいかかって大阪府との間にいろいろ話し合いを詰めました結果、関西空港候補地とされております泉州沖に海上一カ所、陸上三カ所の固定測定点をつくる——これも、測定点を設けること自身が直ちに空港建設の第一歩である、こういうふうな誤解がございまして大変に時間を要しましたけれども、おかげさまで五十三年の一月からは、ここで連続的に地象、海象、気象等についてのデータをとることをいたして射るわけでございます。  一方、われわれなりに研究をしておりました問題に加えまして、五十二年ごろになりまして工法そのものについての問題が出てまいりました。御案内のように答申そのものは四つの工法を比較検討した上で埋め立て工法がその時点においては最も妥当ではないかという結論であったわけでございますが、その後、答申当時に考えられておった浮体工法とは異なる浮体工法の案が出てまいりました。したがって、私どもの方もこれについて五十三年度に一億余の研究資金を投入して検討いたしました。ことしの春から夏ごろにかけて、浮体工法も一応技術的に可能性はある、しかし、まだいろいろとむずかしい問題があるのではないかというあたりのところまでを詰めてまいったわけでございます。  このほか、この空港建設について最も大きく取り上げられておりました環境影響の問題につきましては、先ほど御説明いたしました定点観測データのほかに相当の項目にわたりて環境影響評価を委託調査いたしております。その成果は来年早々ぐらいには何とか取りまとめられるのではないかと考えております。  このような動きの中におきまして、地元における空港についての感触も四十九年ごろに比べますと大分変わってまいりました。いろいろと前向きに物事を考えていこうではないかという方もふえてまいりました。そういうふうな状況でもございますし、また空港建設そのものをいつまでも放置しておいてよろしいということでもございませんので、先ほど大臣がお答え申し上げました五十五年度を初年度とする長期計画の中で一兆一千九百億を計上し、そして六十年代のなるべく早い時期に、と申しますのは、この長期計画は六十年度までの計画でございましてそれから先の部分がブランクになりますので、六十年代のなるべく早い時期に空港を完成させるという計画の基本的な立ち上がりの部門についての手当てをまずしたわけでございます。  その後、十一月になりましてから航空審議会の中で第二回目の関西部会をおつくりいただきました。そこで空港基本計画重点を置きながら、さらにその中でも特に工法問題に重点を置くということで研究をしていただくことにいたしました。すでに二回の部会議論を経まして、来たる十二月十三日には第三回目の議論を行い、ここにおいて浮体及び埋め立ての両工法についての基本的な技術概念とでも申しましょうか、そういうものを御説明して、それから部会の方でさらに委細を詰めていただくことになろうかと思っております。  そこで、私どもの気持ちといたしましては、部会審議をできれば年度内あるいはおくれてもそうおそくないあたりのところでおまとめいただいて、それらを踏まえ、別途、先ほど御報告いたしました環境影響評価成果も踏まえ、さらに地元には陸岸部地域計画をどうするのかということについての関心が非常に強いようでございまして、関係省庁とも寄り寄り相談をしているわけでございますが、そういったものを粗く取りまとめたものも添えまして、来年度なるべく早い時期に地元府県と御相談を始めるようにしたいと考えておるわけでございます。したがって、今後の予定をいま明確な形でのスケジュールとしてごらんに供するのはちょっと期が熟していないわけでございますけれども審議会まとまりようが大体私どもが期待しておるような時期にまとまってまいりますれば、来年の夏ごろには突っ込んだ議論地元府県とできるような状態になっているだろう。またもう一方で、私どもの用意する資料のできぐあいにもよるわけでございますけれども、これは全力投球できちっとしたものをつくろうと思っておりますので、地元府県との話し合いがスムーズに進むという仮定をさらにもう一度置きますと、五十六年度には何とか実行面にまで手がつけられるのではないだろうか、このようなのが大体私どもの頭に描いておるスケジュールでございます。
  9. 北川石松

    北川委員 ただいま非常に懇切な御答弁をちょうだいいたしましたが、この推進に当たっては第三者機関とかいろいろ考えておられるらしいのですが、やはり地元の意思を反映する組織体をつぐる形の中で当局との話し合いを進めてもらいたい。たとえば埋め立てとかいろいろな工法があると思うのであります。こういう点についても、十三日に審議会があるということですが、審議会答申が必ずしもそのまま一〇〇%いいとも言えない面もあると思うのであります。責任ある運輸委員会といたしましては、地元意見を反映する関西空港にしていただきたい、このようにこいねがう次第でありまして、その一つとしてあの辺の地勢その他から見まして、埋め立て方式がよいではないかという私見を持っておることも申し添えておきたいと思います。  なお、他に質問がたくさんありますので、私の質問の足らざるところ、答弁を十分得ないところはまた次の運輸委員会でお聞きしたいと思います。  次に移りたいと思います。  私がかねがね申し上げている片町線連続立体高架化については当局において留意していただき、非常に前向きで、いま着々と成果を上げておるものも現実に地元として見ておるのでありますが、四条畷駅の高架化についてはすでに調査費を組んでいただきましたが、これの今後の動きをどのように考えておられるか御答弁をいただきたいと思います。
  10. 高橋浩二

    高橋説明員 四条畷付近高架化につきましては、大阪府から調査の依頼をいただいておりまして五十三年度に引き続きまして本年度も基礎的な地質の調査あるいは基礎的な概略設計、それに伴う大ざっぱな工事費がどのくらいかかるかという調査を私の方は進めております。その結果によりまして大阪府の方が最終的にどういう都市計画を決めるかということをこれから打ち合わせしてまいりたいと思っております。
  11. 北川石松

    北川委員 いま四条畷駅付近高架化について御答弁をいただいたのですが、五十三年度は一千万、五十四年度は六百万の調査費を組んで前向きにやっていただいていることを大変多といたしております。そこで、片町線の延長にある住道駅付近ですが、すでに大東市は駅前のビルを完成しておるにもかかわらず片町線住道駅、ジュウドウ駅と言う人もありますが昔の言い方で言うとスミノドウ駅、この二つの呼称を持つ住道駅が昔のままで放置されておる。ここを利用する乗降客人口増加に伴って大変なものである。繁雑を呈しておるだけじゃなしに、あの住道駅付近高架化が進捗されない。そのままになっておる。すでに実行予算もやってもいいじゃないかという形になりながら実現できていない。着工もされない。このために赤井交差点が大変な交通停滞を来しておる。これは地元の大変な要望です。当局住道駅付近高架化についてはどのような見解でこれを進めていこうとされるか承りたいと思います。
  12. 高橋浩二

    高橋説明員 現在走っております線路高架化する場合にはすべて都市計画事業ということで進めております。ただ道路だけを単独で上げる場合には道路事業ということがございますけれども線路全体を上げる場合には都市計画事業ということでございます。私どもも、町を分断をしているとか、あるいは踏切等によって非常に交通を支障しているといったような面が全国方々にございます。そういう都市計画事業にかかわるものについては、都市側と十分協議いたしまして、できるだけ町の御便宜になるようなかっこうにはしていきたいと思っておりますが、いま先先の御指摘のところについてはまだおっしゃるような状況でございますので、いろいろな点で検討していきたいというふうに考えております。
  13. 北川石松

    北川委員 いま高橋さんの御答弁をちょうだいしたのですが、都市計画というのはすでに大東市で全部決定しておるんですよ、駅前開発についても。いかにこれを実現してくれるかということがいま大きな問題なんです。これは、私は解散前に質問要項にして当局へ出しておるんですよ。もう一度答弁をお願いしたいと思います。
  14. 高橋浩二

    高橋説明員 周辺の方が非常に仕事がしやすいということで恐らく先に済んでおるかと思いますが、私ども仕事というのはいま運行しながら工事を進めていくということで、恐らく若干工事上のむずかしさでおくれているかと思いますけれども、いま先生の御指摘のような点はよく考えてできるだけ早く完成させたいというふうに考えております。
  15. 北川石松

    北川委員 いまの所見を承りまして、もう一つ申し上げておきますと、いまの赤井交差点とか道路というのは大東市の住道駅が上がって近代的な駅ができると自然に上がっていくんですよ。距離は道路まで二百メートルほどなんです。だから自然に上がってくるので、すでに寝屋川改修が済んで、片町線用地買収もでき上がって、もう着手をすればいいという形まで来ていながら、地元とのコンセンサスという言葉がよくはやりますが、話し合いがなかなか容易でないという点が一つのネックというか壁になっているというふうに聞いているのです。だから、これは前向きで予算を停滞させずに実行してもらうように進めていただきたいということをお願いしたいと思います。  時間がないので、次に移ります。  この大阪周辺交通停滞人口増加による自動車台数増加、これは現在の建設省が計画しておる道路だけでは十分にそのふくそうを解決でき得ない。この点につきましては、五十二年の運輸委員会またその予算分科会、そして昨年の六月に質問いたしまして、自動車台数またこれに伴ういろいろのデータを提示しながら、当局に、守口大日まで来ておる地下鉄二号線を寝屋川から枚方へ延伸いたしましてこれの解決をすべきであると思うが当局はどのように考えておられるか、またどのような指導性を持って大阪市と大阪府に対処されるかということを御質問申し上げて、いまだ形づけがなされておらないが、今後これについて、どのように交通状況考えながらこれに対する実現に努力していただけるのか、こういう点について御質問申し上げたい。
  16. 山地進

    山地政府委員 大阪市営地下鉄二号線の延伸問題でございます。これは先生の方がよく御承知なんで、細かいことを御答弁するのはいかがかと思いますが、大阪市の市域外地下鉄建設を行うためには、地元守口市とかあるいは寝屋川市との協議が調うのが前提でございます。その他に大阪市の財政状況とかあるいは他の整備路線との優先の問題とか、いろいろな問題がございまして、この問題については詰めて言えば地元関係者間において十分な協議が行われるということがまず必要だろうと思います。地元協議が調って私どもの方に申請がございます場合には、決定いたします場合には、その地元協議の調ったことを、建設事業主体をだれにするというような具体的なことをお決めいただいて申請が出た場合には十分検討してまいりたい、かように考えております。
  17. 北川石松

    北川委員 担当関係のある御答弁としては当たらずさわらずであると思うのですね。そしてこれは運輸省が直接手をかけてやるものではない、運輸行政一環であることは間違いありませんけれども、やはり大阪府、大阪市、それから寝屋川枚方等を含んだ市の行政一環でもあると思うのですね。と同時に、京阪電鉄という昔からの既得権を持った一つ営利会社もこれに関係をしてくると思うのですね。そういう点からこれの話し合いコンセンサスをどのように持っていくかということと、また、どのように大阪そのもの理解をして受け入れをしていくかということも大事な問題であると思うのですが、このような現時点の緊急な地元民の要望に対して、当局としてはどのように対処をしていただけるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  18. 山地進

    山地政府委員 先生おっしゃるように地元のいろいろの交通問題というのは、私どもといたしましてもニーズに合ったような交通体系というものを迅速につくっていきたい、かように考えているものでございますが、いまおっしゃったようないろいろな関係者がある場合に、これをどうやって進めていくかという手順の問題、御関係の向きからもいろいろ御相談があるわけでございますけれども、こういったものをどうやってまとめていくか、地元の方でいろいろとまずはおまとめいただくか、あるいは私どもの方が積極的にいろいろ御意見を申し上げていくか、これらにつきましては大変むずかしい問題でございます。現在のところ地元の方でお話をお詰めいただいているというふうに私ども理解しておりまして、今後ともまたいろいろと御相談があれば私どもの方としても考えは述べていきたい、かように考えております。
  19. 北川石松

    北川委員 御相談があれば考えをまとめていきたいとおっしゃると、これはいま相談をするような意味を含みながら私は当局の今後の指導的意見を聴取したいと思うのですね。ということは、地下鉄に対しても、あるいはバス事業に対しても、運輸省としては指導的立場において足らざるは補うところの予算をやっておる。こういう点から大日以遠地下鉄の促進、誘致、実現ということは大変至難であるということを思っておる。だから歴代の運輸大臣にも、大臣としてどう考えておられるかということを私は質問申し上げた。こういう点において、地崎運輸大臣はこの地元の切なる要望に対してどのような御指導をなされようというお考えをお持ちでしょうか、お聞きいたします。
  20. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 地下鉄は御承知のように国の助成もございますが、やはり地元担当の市それぞれの財源も当然伴うわけでありますから、十分地元市との協議をしていただいて、その結果によって運輸省も判断する、こういうことになりますので、妙な言い方ですけれども、まず地元をぜひおまとめ願いたいということを申し上げるわけでございます。
  21. 北川石松

    北川委員 地元がまとめ上げた節は、当局としては前向きでこれに対して、予算に対して取り組んでくれるかどうか。たとえば、その地元負担というのが大変膨大な予算になってくる。ところが、連続立体交差は九三%を負担しておって、受益者負担は七%である、こういう中で、今日の複雑な交通情勢を解決するための日本全体におけるところの連続立体交差が着々と、実現しておって、交通ふくそうを解決しておるのです。地下鉄もまたこれの一つの大きなファクター、要素を持っておると私は思う。こういう点において、地元話し合いがついたときに、その予算に対するところの腹構えがあるかどうかを一言聞かしていただきたい。
  22. 山地進

    山地政府委員 地元の方で意見をおまとめになれば、私どもとしても、答申も出ていることでございますので十分前向きに検討してまいりたい、かように考えております。
  23. 北川石松

    北川委員 いま答弁願った前向きという言葉を、大きく善意に私は解釈していきたい。政治は断片的であってはならないのです。継承するところにとうとさがあり、受け継ぐ者がまた前任者の後を受け継ぎながら、これを一つの形をつけていくということによって国民の期待と信頼が生まれてくると思う。前任者の言われたことに責任を持って政府がこれを行っていくということによって、私は今後の信頼度がなお高まると思う。ところが、これが途中で断片的になって、でき上がらないということでは、政治に対する期待感は薄れていく。これが嫌悪感に変わってくる。それは今日の政治の中にみずからの反省もなければ、みずからの公約が実現でき得ないということ。いろいろの要素というものが政治に対する嫌悪感になってくることは、全体として非常に恐しいことであると思うものであります。だから、そういう地元の切なる要望に対しては、どうか前向きな当局としての御指導と、そうして解決のできるようなアクティブな行動をお願いいたしたいと私は思います。  次に移ります。  今日、運輸行政は陸海空の中で立体的、平面的、大変に多くの問題を抱えながらいま行われておると思うのです。その一番最たるものは何であろうかと思いますと、私はやはり燃料であろうと思う。この燃料に対して、運輸関係当局としては、果たしていまの世界情勢の中で安心して自動車台数をふやし、あるいは燃料消費が年々拡大されていくのに対して安閑としておられるのかどうか。どうでございましょう。どなたかの責任ある答弁を願いたいと思う。
  24. 永井浩

    ○永井説明員 先生指摘のとおり、交通機関におきまして燃料は最大の問題でございます。  わが国の燃料消費の国内輸送におきます比率が大体一四%くらいございます。特に、交通機関におきましては、いわゆる代替エネルギーといったものの活用が非常にしにくい分野でございますので、私どもとしては、燃料の確保ということがまず第一でございますが、これは国際情勢その他全般の影響もございますので、燃料の節約あるいは石油の消費の節約といった方向で施策を講じてまいりたいということで、具体的には、たとえば燃料消費効率の悪いいわゆる個別交通機関から効率の高い大量交通機関、鉄道とかバスへ利用者を可能な限り移行する、あるいは効率的な輸送体系、共同一貫輸送とか共同配送といった効率的な輸送体系を指導していく、さらには技術的な問題として低燃料のエンジン等の開発、こういったものに努力していきたい、このように考えております。
  25. 北川石松

    北川委員 いま総括的な御答弁でありますが、きょう私は運輸関係のある燃料問題について、通産大臣、また農林大臣、経済企画庁長官、あるいは総理大臣とか官房長官とかいろいろな方の総合的な御見解を聞きたいと思っておったのであります。なぜであるかというと、たとえば五十四年度に関西空港で二十三億もの予算を計上している。今度十五億の予算要求をしておるのです。ところがいま大蔵省は渋い顔をしているのです。大変渋い顔をしているのです。御承知のとおりなんです。日本の財政再建がダイナミックでなくては続かないということはわれわれも承知しております。そういうための増税もやらなくちゃならぬということも承知しております。そして日本の財政を健全にやっていかなくちゃならぬということもわかっておるが、大蔵省はいま国債が何%、十五兆幾らだから困ると言っておる。こういうことでは私は政治というものは困ると思う。やはり横の関連性を持ちながら、大きな観点において対処しなくちゃいかぬと思う。  そういう点で燃料の問題、いまイランで問題が起きておる。これは通産省任せだ、外務省任せだではいかぬと思うのです。やはり運輸省が、運輸行政の最大の根幹になるエネルギーのために通産省を鞭撻し外務省を鞭撻して、たとえばイランへ三木元総理でも園田前外務大臣でも派遣してくれ、イランを早く解決してくれ、中近東を解決してくれという熱意を示さなくてはいけない。イランの石油というものが日本に供給されているのは大変なものですよ、一七%。こういう点を見たときに、いまこそ私は向米一辺倒ではなしに、日本がイニシアチブをとって、欧州やアメリカが頼み込むのではなしに、日本が真心を持ってイランへ飛ぶだけの——イランへ飛んでかばねをさらしても政治家であればいいじゃないですか。それぐらいのことを私は政府にやる考えがあるかどうかを聞きたいと思っている。そういう点で、運輸大臣のこれに対する積極的なお考えがあるならばお聞かせ願いたいと思います。
  26. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 閣議の席上等でも石油情勢は時時刻々報告を受けております。いま私どもが得ております情報は、現在のところ今年度はまずまず心配がないというような報告を受けておりますが、しかし、先行きは大変不安定であるわけでございます。先般の東京サミットの会議でも、五%のエネルギーをお互いに節約しようというような決議もされておるわけですが、何を申し上げましてもやはり日本は石油経済でありますし、石油が不足いたしますと、必ず日本の経済あるいは日本の産業あるいは個人生活も含めて非常な混乱に陥るわけでございますから、その点についてはしばしば閣議でいろいろ産油国の情勢等の報告も受け、その他それに対する働きかけ、このようなものを積極的に現在行っております。政府としても、これは私が答弁するより総理大臣答弁するべきことだと思いますが、とにかく積極的にこのエネルギーの確保というものに努めていかなければ、日本の経済の破壊ということも考えられますので、運輸省としても大変な大きなエネルギーを消費しているわけですから、意欲的にこの問題については先生おっしゃるように発言をし、そして積極的に確保に努める、こういう努力をいたしたいと存じます。
  27. 北川石松

    北川委員 残された時間があと三分間でございますが、いま地崎運輸大臣から閣僚会議なんかにおいて積極的に発言をしていきたいということで、大変心強いものを感ずるものでございます。  大体私の調査でございますから大まかに申しますと、ガソリンを使用しているトラック、バス、乗用車は三千三百四十八万九千四百六十四キロリットル、これくらいの消費が年間なされると聞いておる。膨大なものだと思うのです。そこで私は、そういう燃料事情を思いますときに、これに一〇%ないし一五%のアルコールを混入してこれを運営せしめる、これの指導実施の方に進むところのお考えがあるかどうか。これには大変な抵抗が出てくると思うのです。しかし、アルコールを一五%混入したからオクタン価が落ちるとかそういうことはないと思う。私は本年、副議長のお供をいたしましてブラジルへ視察に参りました。ブラジルは三〇%のアルコールを混入いたしまして、十分に乗用車としての機能を果たしておる。  去年、五十三年の会計年度に支払われた日本の倉庫米の保管料は五百三十二億六千五百万円、これは去年だけですよ。この保管米からエタノールを醸成するところのプロセスのある工場をつくってアルコールをつくったらいいじゃないですか。保管料は国民の税金、これが差し引きプラスになってくる。そしてこれがガソリンに混入されるということになる。また、日本の農林行政の中で休閑地、つまり遊ばしている、有効農地じゃなしに、米をつくるとかいうことじゃなしに、ヒエや草やアシをはやしている農地を奨励しているような形が農林行政にある。これがまだ今年ふえると言っている。ここにアルコールをつくるところのカンショとかあるいはサトウキビとかいろいろなものを植えて、農民の意欲を上げていくと同時に、そういう意欲を燃やしながら、これがアルコールの供給源になる農地にしていくべきである。どれくらい金が払われているかと言えば、十アール当たり五万五千円払われている。これもまた国民の税金である。こういうことを考えたときに、政治というものは一運輸省だけじゃなしに、農林行政の中にも——そのように日本でアルコールをつくりながらガソリンの中に入れていく。こういう点は総合的に政治によって解決をし、そして国民に生きがいのある、意欲をもたらす政治をやることが今後の行政であろうと思います。政治は遅滞は許されないし、絶えず進まなければならぬ。特に今日いろいろ問題がある中でいろいろなことが言われておる。政治家は要らぬじゃないか、官僚でやったらいいじゃないかと言われる。しかし、その官僚のみでやり得ないところに政治家のひらめき、官僚独善の政治じゃなしに衆議院あるいは参議院、国会の中の英知を求める意欲が各所にあっていいと思う。こういう点について大臣の前向きの御答弁をもう一度賜りたい。
  28. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 実は、ブラジルのアルコール専用車の話、この間メキシコで客死されました元衆議院議員千葉先生のお話、日本も積極的にこれに協力する用意がないかというお話等もございまして、私も非常に関心を持っております。また、少し無責任な発言になるかもしれませんが、日本のエンジンでも二割ぐらいアルコールを混入しても大丈夫だな、こういう御意見も実は聞いておりますが、ただ、日本としては現在のアルコールはいささかガソリンよりは高いということで、これを採用するような機運になるかどうか非常にむずかしいので、まずアルコール対策を考えなければならないということにもなると思います。  それから、名前が何と言いますかマンジョカ、ブラジルの芋でございますが、これも風聞でございますが、沖縄でいま輸入をいたしまして栽培実験をしている、こういう話も聞いております。鉱物資源でない植物資源であるアルコールは大変将来性があるわけで、おっしゃるとおり減反やいろいろなものがありますから、そういうものを利用して、植物からアルコールは製造ができますので、そういう面はぜひ進めていくべきものではないか。これは全く私見でありますけれども、こういう考え方を私どもも感じております。これは十分検討して代替エネルギー対策の一環として進めていくべきものだ、私はかように考えております。
  29. 北川石松

    北川委員 非常にいろいろと御答弁をちょうだいしてありがとうございました。皆さんの御自愛と御健勝を祈ります。  時間が参りましたので、足らざるはまた次の機会にお願いをいたすことにいたしまして、終わります。ありがとうございました。(拍手)
  30. 古屋亨

    古屋委員長 新盛辰雄君。
  31. 新盛辰雄

    ○新盛委員 日本鉄道建設公団の不正事件にかかわる諸問題と国鉄の経営の諸問題について質問をしたいと思います。  まず、会計検査院お見えになっておられると思いますが、今度の鉄道建設公団の不正経理問題について、会計検査院法の第二十六条に基づいて、この事件にかかわる質問書を運輸省あるいは鉄建の方にお出しになっておられるわけであります。このやみ給与と言われている不正の処理について、この部分についての不当な収入分全額を返還をさせる、さらには収入をしたことに対する脱税という面からも税金修正を求めていくといういわゆる質問書を出しておられるわけでありますが、運輸省並びに鉄道建設公団としてはこの取り扱いについてどうされたのかお伺いをしたいと思います。
  32. 山地進

    山地政府委員 会計検査院の方から公団並びに私どもの方に不正経理の問題について御質問がございまして、その当時はそういう事実があるということを私どもとしても確認をしたということでございます。
  33. 新盛辰雄

    ○新盛委員 もう経過が相当過ぎておりますし、二億七千三百万円という不正な捻出ということになっておるわけでありますが、この会計検査院の不正経理問題に関する報告を見ますと、どうしても使途不明の、いわゆる裏づけに足る資料のない灰色の捻出、さらには使途不明金としての百十八万、こういう報告がなされているわけでありますが、記憶に基づいてあるいは領収証なき事情の中でこれらの整理をして、いわゆる横領とかあるいはそれらにかかわる問題はないけれども、やみ給与あるいはやみ経理としての裏づけをとっての内容として出ております。こういうことで会計検査院の報告という中に出ておるわけでありますが、鉄建の内部にも内部監査制度というのはあるわけでありますから、そういう関係の再発防止のためにも、これからこの問題についての取り扱いを厳正にしなければならない。そして一部には組織ぐるみあるいは労使の団体交渉にかかわる結論が出たことによって支出をされている、あるいは上積みがされている、こういうふうに言われておるわけでありますが、本来労働三法が適用されている組合の団体交渉で結論が出たものは、当然公団側の方で予算措置を行わなければならない問題でもあります。それをただ単に内部操作をしておったからこういう事件が出て、あたかも組織の、いわゆる労働組合側の方にも責任がある、そういうふうに指摘をすることは間違いだと思うのであります。そういう面からの、いわゆる正常な団体交渉の中で出てきて、それが組織ぐるみだ、あるいは役員が命令を出して、それによってできたプール資金、それの使途についてとやかく言われているわけでありますから、その面についてこれからのこうした処置についてどういうふうにお考えになっておられるか。これは、公団の総裁からお答えいただきたい。
  34. 仁杉巖

    仁杉参考人 御質問の第一は、内部監査が行われていますが、そういうところで発見できなかったということでございますが、公団の監事並びに監査室がございますが、その中で主として内部監査として目を向けておりましたのが、四千億近くに上ります工事費関係のことが非常に問題になりますので、その方の監査にかなり力を使って、管理費等の面には余り勢力を割いていなかったという現実が一つございます。  もう一つは、やはり監査のやり方が検査院ほど徹底したことができる能力がなかったというようなこともあると思いますが、いずれにいたしましても、内部監査でこういうことが発見できなかったということについてはまことに申しわけないと思っておわび申し上げます。  次に、やみ給与と言われるものでございますが、これもいろいろの考え方がございますが、まず公団の発足当時に、国鉄から移籍をするときの待遇の問題も絡んだようでございますが、当初から、これは四十年ごろでございますが、四十年ごろから一カ月一般公務員よりよけいに出すというような経過をたどってきておりまして、それがだんだんとふくらみまして、この前の給与では公務員に〇・八カ月プラス六万何がしプラス五十二時間の超勤というようなかっこうにふくれ上がってきたというのが現実でございます。  しかし、これは先生指摘のように、公団は労働三法の適用を受けておりますので、団体交渉で決まったことでございまして、また、役職員の給与については流用を禁止されておりますが、その範囲内で処理をしておりますし、超勤は超勤の枠の中で処理をしておりますので、一応適法に処理をされているというのが現状でございます。  ただ、こういうかっこうが非常に望ましくないのではないか、今度の事件を契機としまして、政府その他の方からいろいろ御批判がございまして、ただいまはそういう上積み分というようなものについてはなるべく少なくするというような方向で考えて、現在労使の交渉をやっているという実情でございます。
  35. 新盛辰雄

    ○新盛委員 大臣にお聞きしますが、こうした鉄建の不正経理事件がどうして五十三年度、五十四年度の会計検査院のいわゆる指摘によって出てきたのか。従来、昭和三十九年設立当時以降十五年を経過しているわけでありますが、慣習的なものとしてあったのかどうか、またこういう原因をつくらしめているものは何であるか、さらにはこういうことの再発防止のためにどうすべきか、自己反省、そしてその上に立って役員、総裁以下六名おやめになったし、あるいは恐らく管理者の長たる部長クラスが命令をして出張の空をつくり、あるいは超勤のやみをつくり、そういう中でプールしたという事実が明らかになっています。その命令者等に対する百五十名ぐらいの処分を厳重に考えているという御報告もありました。この辺の状況の中で職員は全然かかわり合いはない——私もそう思います。これはやはり命令者、組織の系統でありますから当然でありますが、現場では相当萎縮している、そのことに対して萎縮しないように督励をして回っているんだと仁杉総裁は言っておられましたが、この建設公団の性格の問題は後ほど触れますけれども、事実こういう過程を通ってきたのでありますから、これに対して大臣はその原因と再発防止についてどう処理をし、あるいはどういうこれからの展望を持っておられるかをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 ただいま仁杉総裁がお答えいたしましたように、国鉄から移籍をしたときのいろいろな条件その他で労使交渉等が行われた、そしてそれでいまのいろいろな問題の発生が始まったものだと思うわけでありますが、私はこれは労働組合には何らの責任はないと感じております。労使交渉において話し合いが妥結をして、その支出の不正経理をした責任者にこれは責任があるわけでございまして、善意の労働組合には何も責任がない、私はかように考えておるわけであります。  しかし、現実にこのような問題が起きたわけでありますから、今後少なくとも部長以上の職員に対しては公務員並みにしてほしいということを決定いたしまして実施をするような形にして、また労働組合の方々にもぜひこれに御協力願いたい、これは要請でございまして、こういう形をとって、そして今後いま問題になっておりますような不正支出だとか空出張だとか、このようなことのないような形に進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。  そして、いま鉄建公団の廃止問題等がいろいろ議論をされております。私は監督の立場にいる人間といたしまして、いま非常に不正、空出張等について管理職を中心にして意欲的にこれの返還あるいは税によっての処理、こういうことを努力しております。それからまた、いま青函隧道、これは御承知のように世界一と言える大規模の隧道、あるいは上越新幹線、その他の工事、それぞれ非常に危険な工事であります。こういう工事について若い技師が一生懸命努力をしておるわけでございますので、このようなことで鉄建公団の士気が阻喪するようなことがあって、それがまた一つの大きな事故に通じるようなことがあっては大変だ、こういうことで、決して将来のことは心配ないようにわれわれも努力をするから、ぜひひとつ意欲的に仕事を続けてもらいたい、こういうことを総裁等を通じまして指導しておるつもりでございます。  そういう意味におきまして、鉄建公団の存廃という問題については、私は、工事その他がまだ数年かかりますので、その間に十分考慮してまいりたい、このようなことで発言を続けておるわけでありますが、私は鉄建公団の士気が落ちないでいっていただきたいということを期待しておるものであります。
  37. 新盛辰雄

    ○新盛委員 職場の第一線で働いておられる方々に不安を持たしたくないという御配慮はよくわかりますが、そこで、反省の上に立つというなら特殊法人であるこの公団の役員の皆さん方が、公務員に準じて管理職のいわゆる期末、勤勉手当というものなどを廃止されて公務員並みにしたところが、役員手当が二三%になったり都市手当が八%になったり、年間十八万ふえるという。これは勤勉手当の方は減るかもしれませんが、また各管理職の手当などが二、三%程度上がる、こういうことではおれたちはしたたかにたたかれて、上の方は反省をしたというけれども逆にこの特殊法人の特色というか、そういう面で上がっていくのはこれは納得できないという声もあるわけであります。だから、現実問題としてそういう不満というのを解消しない限りだめだ。だから三十九年当時、私ども日本社会党がこの公団成立の趣旨説明の際にも明確に反対をしております。国鉄から切り離して高度成長下の経済基盤の強化を図るとか、あるいは地域格差の是正ということで新線建設を別途にいわゆる公団組織としておやりになる、その際にもわが党として実はその対案を提起しているのであります。そういう将来赤字になろうという新線を幾らつくっても、国鉄の経営があるいは国家の輸送体系というものがうまくいくわけはない、そういう一面も持っておりました。  ところがいま大臣は、五十七年、五十八年段階で、青函トンネルとかあるいは上越新幹線ができ上がった時点で存廃については議論していいじゃないか。片一っ方、自民党のことですからこれは公的機関ではないでしょうが、新聞に発表されているように行財政調査会では完了時点で吸収するあるいは廃止する、こういう結論を出しておりますから、これは現場の方々には大変なショックだったと思うのです。しかし、これはもう時期が来ている。それだけに早急にこの形を変えなければならないだろう、廃止すべきである、そういうふうに思っているわけでありますが、大臣そのことをもう一回お答えいただきたいと思うのです。
  38. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 自由民主党の行財政調査会である決定をしたということは新聞等に出ておりましたが、私のところにはまだ現在通知が参っておりません。当然党のそれぞれの機関を通じて最終的に決まると思いますので、それまではこの問題については私はいまここでお答えする立場ではないと考えておりますが、存廃というものについてはいま申し上げましたように、やはり非常に大きな工事その他を抱えておるわけでございますから、これが五十七年という意見もありますが、青函隧道などはそれの取りつけその他を考えますと最低五十八年ぐらいまで事業がかかるのではなかろうかと思いますので、その点において考慮をしたい、このように考えております。
  39. 新盛辰雄

    ○新盛委員 公団の性格ですが、結局新線を、いわゆる鉄道の線路建設をするということで始まったわけですけれども、最近の実情としては、日本鉄道建設公団法が成立をする際に、運輸委員会で附帯決議がなされております。政府は、国鉄と公団の間における協調と業務提携の円滑化を図る。最近ではこのことに対する相談とか協議とか、いわゆる国鉄経営も非常に厳しい状況であります。そして有償、無償を問わずこれができ上がった結果を受けるということになっておるわけですが、そういう面では連携がとれておるのですか。
  40. 山地進

    山地政府委員 その当時の附帯決議の趣旨に沿いまして、私どもとしては国鉄と鉄建公団の間のスムーズな連絡ということに努力してまいります。たとえば開業協議とかあるいは工事のすべての段階においていろいろの協議ということが行われておりますが、これは制度的に行われておるわけでございます。その他いろいろ今後の方針とか、そういうものにつきましてもお互いの意思の疎通を十分図るように配慮してまいっております。
  41. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうした中で、またこれも大臣が心づもりでおっしゃっておるのかどうかわかりませんが、いま新線建設の線別年度別の決算表を持っています。AB線と言われる線区について四十四線、額にして四百四十億、これはこういう事件があったからということなのか。もう行き詰まってしまってどうしようもない、新線建設を中止、こういうふうに言っておられます。さらにつけ加えて大都市間交通線、民鉄はないのでありますが、CD線、これはさらに継続、有償ということになっております。E線、津軽海峡線、これは例の青函トンネルであります。それからG線の中に上越新幹線、成田新幹線、北海道新幹線、北陸新幹線、こういうものがあって、国鉄がやる分と建設公団がやる分と、この辺の区分けもどういうことから起こったのかわかりませんが、どうもその辺が混同される。G線の四国新幹線、これなどは国鉄がということになるのでしょうが、こういうことの予算措置の面から見ましても、現在の新線を建設することはローカル線、いわゆる九千キロのうちの五百キロをバス化して四千キロを別途措置する話とつながってきたのだろうか。あるいは新線建設のまた主たる部分であります新幹線整備五線、これは経済的事情が大変悪化しているということもあって政治的に判断をしなければならないという新年度予算上の問題があります。こういうつくれば赤字になる新幹線。言うならば上越新幹線、東北新幹線ができ上がった時点では経営上三千億の赤字になるのです。これははっきりしています。またほかの新幹線をいまから整備五線とおっしゃって地方陳情にかまけてそちらの方にやってみましても、結局赤字をつくっていくような線区をつくって、また国鉄がということに将来なるということも問題があるわけでありますが、この辺のいわゆる在来線、一方ではローカル線をつぶし、一方では新線建設もこれで中止、そしてまた新幹線整備五線についてはまだ結論が出ていない。こうした総合的な交通輸送の、特に国鉄の関係におけるあるいは鉄道における問題について大臣はどうお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  42. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 まずAB線建設については、国鉄の現状にかんがみまして従来よりさらに工事重点化を図る等慎重に扱ってまいりましたが、今年度さらにそれを徹底することを検討しております。  地方交通線対策との矛盾を避けるためにも、開業後関係地方公共団体からの所要の協力を得られる見通しを確認して工事を行うことといたしております。  五十五年度においても国家財政が非常に厳しい点も考えまして、現在検討中の地方交通線対策が決定されて、それに沿ってAB線の工事の進め方が決まるまでの間、とりあえず工事は中止するというのも一つ考え方でなかろうかと思います。この場合、地元に十分事情説明して地元の協力を得られる、赤字に転落のしないような見通しがついたものについて取り上げてまいりたい、こういう考え方を持っております。  それから、いま上越新幹線、東北新幹線が三千億円の赤字という御発言がございました。これは事務当局から説明をいたさせますが、それは将来はそのような形にならないのではないかと私は思います。現在の状態においてとりあえずそのように当初見込まれる、将来は当然黒字になるものと私は考えております。この詳細は事務当局から答弁をさせます。  それから、整備新五線の問題でございますが、これはまず第一に赤字になるかならないかは別といたしまして、現在の日本財政事情からいって非常に財源が求められないということで、果たしてこれが着工の運びになるかどうかいまのところ不明でございます。さらに、これは所要の財源の求め方、あるいはいまもお話にありましたように、少なくとも経営がペイするかどうか、こういうものをいろいろ勘案しながら決定をしていかなければならない。関係都道府県の非常に強い御希望がありますので、その点も全く無視するわけにはいかないかもしれませんけれども、それ以上に赤字国鉄の足を引っ張るようなこともこれは考えなければならぬわけでありますから、十分その点を考慮しながらこれを検討してまいりたい、かように存じておるわけでございます。
  43. 山地進

    山地政府委員 まず、当面三千億というふうに先生もおっしゃっておられたと思いますが、東北、上越の赤字が当面出るということは事実だろうと思います。ただし、東北、上越は長い期間で考えますと、在来線の赤字というものが今度はふえるわけでございますが、それと新幹線の成績と合わせた、われわれの言う新幹線と在来線と合わせた採算におきましては、長い目で見ますと採算がとれるというふうに考えております。三千億というような数字につきましては、これは当面利子が二千億ぐらい、それから償却が千億ぐらいあるかと思いますが、それを見ますと、少なくとも三千億というものが経営を圧迫するであろう、こういう見方から三千億というふうな数字が出ていたというふうに私は理解しております。  それからもう一つ、鉄建と国鉄との分担というお話もあったのでございますが、これは鉄道建設公団がトンネル技術に非常にすぐれているという点から、鉄建公団はトンネル部分の長いものを工事する、それから国鉄は市街地の方の技術にすぐれている、あるいは在来線をそのまま維持しながら建設するというようなことも考えますと、都市部分の多いような路線については国鉄が実施する、こういうようなことで分担を決めております。
  44. 新盛辰雄

    ○新盛委員 鉄建の方のかかわり合いから国鉄の方の工事関係に入っていきましたが、そういう中で新幹線整備五線の問題等については、いまのところ見通しは全くない。整備五線問題についてはいま接触をされておられるようでありますが、そうなりますと、複線化、電化という在来線の国鉄の問題は従来からも言われておりますし、地域の要望も強いわけでありますが、五十四年までの実績とか五十五年度以降の計画、こういうことも十分に把握をしておられると思います。全体的でいいですが、その進捗率、投資額について国鉄側からひとつお願いをします。  さらに、新幹線の整備五線等がきわめて厳しいというならば、たとえばこれは地元のことを言って恐縮でありますが、スピードアップをするということが輸送量の面においてもかかわり合いがあるわけでありますが、鹿児島本線の博多−鹿児島間をまず複線化する方が先決じゃないか、あるいは指宿線の電化などを含めて、そういうことについてやはり配慮すべきものはするというその段階から輸送力の全体的な展望というのを、後ほど申し上げますけれども、そういうことについてどうお考えになっているかをお聞かせいただきたいと思います。
  45. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま国鉄では、新幹線は御承知のように全部複線でございますけれども、在来線は二万一千キロのうち二六%に相当する部分が複線化されております。これは五十三年度まででございますが、なおただいま全国で約五百キロ余りの区間については複線化をしようということで、引き続いて複線化の工事を進めております。  ただいま完全に複線化になっておりますのは、御承知のように東海道本線とかあるいは東北本線あるいは上越、山陽といったところでございますが、いま先生のちょっとお触れになりました鹿児島本線等については、おおむね六〇%ぐらいが複線化になっておりまして、複線化になっておりますところは非常に輸送力も強いし、あるいは待ち合わせ等の時間も少なくて、スピードも速いという実態でございますが、残りました四割等についてはまだ複線化されておりませんので、輸送力的にも必ずしも強くないという部分が残っております。しかし実態を見ますと、その区間についてのお客様のふえ方というものはそれほど実はふえてまいりませんので、将来にわたりましては、その辺の輸送の実態をよく見きわめて、必要なものについては複線化の計画を進めていきたいというふうに考えております。今後の投資の進め方でございますが、いま申し上げたようなことに見合って、また予算等のいろんな仕事を抱えておりますので、それらをよく勘案をして、複線化の問題についてあるいは輸送力増強の問題については考えていきたいというふうに考えております。
  46. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それとかかわり合いのあります国鉄の施設、何としても輸送力を高めるというその原点は、その基礎になる鉄道の施設であります。最近老朽化するトンネルとか橋とかあるいは線路の構造物に対してすでに危険信号が出ている、六千カ所もあるんだ、こういう発表が監査委員会の報告の中にもあります。したがって、こういう措置について、改善計画をどう進めていかれるのか。また厳しい予算状況でございますから、進めていく面でも大変厳しいものがありましょうが、やはり人命、財産にかえられないことでありまして、この面についてはどういうふうに投資計画を決めてお考えになっておるかをお聞かせいただきたいと思います。
  47. 高木文雄

    ○高木説明員 過日国鉄の再建の構想案というのを取りまとめました際に、どうしてもやはり金利の負担が毎年ふえる、それが経営を大変圧迫するという傾向にございますことを考えまして、この期間中には設備投資計画を抑制ぎみに運営せざるを得ないのではないかという考え方を持っております。  しかし、反面、いま新盛委員から御指摘がございましたように、隧道あるいは橋梁等の路盤施設につきまして非常に老朽化が進んでおります。具体的には、安全のために徐行運転をしなければならぬようなところがふえる傾向にございます。これでは役割りを果たすことができませんので、いま基本構想案の取りまとめの過程におきましては、私どもは、全体としての設備投資額を抑制ぎみにしながら、なお施設の老朽取りかえ、車両の老朽取りかえについては最優先で考えることで進めてまいりたいと思っております。  現在、再建をしなければならない、それがためには利子負担の増加を何とか食いとめなければならない、しかし一面において施設を整備しておかなければならないというのは、今後のもろもろの投資計画の中で私どもとして非常に心配をしている問題でございますが、それは、いま言ったような考え方で何とか取り組んでいけ得るのではないかと考えております。
  48. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いまそういう非常に厳しい状況にあるときですから、内外の注目を集めているわけであります。最近、国鉄の旅費問題について、新潟鉄道管理局ほか四機関で約千七百五十万円と聞いておりますが、それらの使途について、何か労務対策に使ったというような表現がされておりますし、そのことの与える影響がきわめて大きいわけでありますが、この新聞報道等で言われているとおり、大半が労務対策費であったのかどうか。また、こういう不祥事件が起こった背景は何なのか。いま現在内部監査が進められているという話でございますが、国鉄再建の中でこういう状態を起こしていることに対して、総裁はどういうふうにお考えになっているのか。また、これからの再発防止という面でその決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  49. 高木文雄

    ○高木説明員 このたび旅費の不当経理という問題の指摘を受けましたことはまことに申しわけない次第でございます。  内容はどういうことかと申しますと、いわば会議費、交際費、雑費といったような支出科目に当たります経費がどうも窮屈であるということから、旅費を節して、しかしそれをいわゆる空出張というような形で一部金を浮かしたという事実があるわけでございまして、このことはいずれにいたしましてもルール違反でございますので、まことに申しわけないことと思っております。いまお触れになりましたが、無理につくり出したお金を労務対策費に大部分使ったのではないかということが新聞記事等で報道されておりますが、よく調べてみました結果、そういうものはないということが言えると思います。と申しますのは、もろもろの会議費、交際費、雑費といった費目の予算予算上あるわけでございまして、そして管理局にもそれを示達いたしておるわけでございますので、非常にデリケートな問題でありますそういうものにわざわざ不当経理をしたものを充てる必要はないわけでございまして、そうしたいわゆる不当、不正な経理によって捻出してきたものを労務関係に使ったということはないということは最近の調査でほぼ確信を得ております。それにいたしましても、こういう科目が正しく使われていないということは非常に遺憾なことでございます。  これをどうすればいいかといいますと、それらで使いましたお金の大部分は、いろいろ調べました結果、まず内容的にそう問題があるものはございません。問題は、正規の手続を経て、正当科目によって支出すべきものであったものを、正規の手続を経ずして支出をしているというところに問題があるわけでございます。なぜそういうことが行われるかというゆえんのものをいろいろ調べなければならないわけでございますが、やはりどうしても、地方の局の各部あるいはその他の出先機関におきましてそういう所要経費の使い方について当然中央に科目是正に関する申し出、申告をしてきて、そして中央におきまして、必要なものであれば正しい科目への振りかえを行いまして、それで支出すべきものであるわけでございますが、なかなか東京で聞いてもらえないというような先入観がありますために、安易な方法が選ばれておるということではないかと思っております。私どもはこの中をよく調べまして、どのくらいのこの種の経費が必要かということについて、私どもの方で、中央での見方に少し無理があったという部分は直してまいりたいと思っておるわけでございます。いずれにしましても、その基本には、地方でいろいろ処理をいたします場合に、本来の手続を正規に求めてやっていかなければいけないんだという、会計処理についてのルールを守る精神というものがいささか希薄になっておったように思われますし、またわれわれ東京サイドの見方が少しかたくなな面があったのではないか。その両者を直してまいりまして、今後一切こういうことが起こらないように対処いたしたいと考えております。まことに申しわけない次第でございます。
  50. 新盛辰雄

    ○新盛委員 国鉄の財政の諸問題についてお尋ねしておきたいと思います。  国鉄は累積六兆円という莫大な赤字を出している。毎年八千九百億ぐらいの赤字である。政府の助成もまた一般投融資からの財政措置でもございますが、これが約六千億ぐらいある。こういうような状況で毎年毎年こうして赤字が重なっていくわけでありますが、五十一年にたな上げを二兆五千億ぐらいして、さらにそれを合わせて五十五年度以降何か処置されるやに聞いているわけでありますが、六十年までに償還できる見通しが果たしてあるんだろうか。それで、この初年度に当たっているわけでありますし、こうしたことについての考え方を聞いておきたいと思います。  さらに、国鉄の運賃の値上げが最近また取りざたされています。法定主義緩和策によって毎年物価のスライド程度、四・九%、五十五年の四月から千二百億という値上げというものが一応考えられている。もはや今日の運賃制度の状況から見て、陸海空のいわゆる総合交通政策という全般的な面から見ても、国鉄の運賃というのは大量輸送機関の中の最たるものとして、公共料金でございますから、そういう面でもはや限界に来ているのじゃないか。天井につかえてどうにもならないんじゃないか。それならば、こうした他の輸送機関と比較をして、運賃の値上げというのはもはや再検討すべきである。言うならば、来年以降の値上げについてはやらない方がいい。それよりも各機関のいわゆる運賃の内容を長距離とか短距離とか、そういう都市間輸送の面と長距離輸送の面、あるいは逆に新幹線などは値段を下げたっていいじゃないかというようなことなどもいろいろと言われるわけでありますが、これに対するお考え方も聞いておきたいと思います。  そして、最近通学定期の是正問題もあるわけでありますが、国鉄が公的機関であるとするならば、それを使って通学される方々に対する政府の助成、文部省あたりがそういうことに対して深く肩入れをする必要があるのじゃないか。これは前から意見が出ているわけであります。そういうことについて財源をどうするかという問題があるわけですから、それらについてお答えをいただきたいと思います。  まず、この三点についてお願いします。
  51. 高木文雄

    ○高木説明員 第一に、過去債務の問題でございますが、過去にもろもろの事情によって起こっております債務の累積分に対する金利の支払いがきわめて巨額になっております。そこで、再建をするに当たっての一つ考え方といたしましては、恐縮でございますけれども巨額の過去債務についてはぜひとももう一度たな上げをさせていただきたいというふうにお願いをいたしておるわけでございます。そして計画終了年度である六十年に至りましたならば、事業収支はとにかく毎年償うというかつじつまがとれるというか、そういうふうな運営にしていかなければならない。しかし、その前提としては、過去の分はたな上げをさせていただきたいという考え方をとっております。  それをいつ償還するかということでございますけれども、償還につきましては、計画期間中には償還不可能でございまして、後年度において順次償還することを考えていかなければなりませんが、その計画まではいまとても立たないわけでございまして、現状におきましては六十年度までどうするかということで過去債務のたな上げを考えております。  それから、運賃の問題でございますが、御指摘のように過去におきましては国鉄の運賃水準が非常に低かったということが言えたと思いますけれども、ここ数年の間、大変御迷惑をおかけしながら是正をしてまいりまして、運賃水準は他の輸送機関に比べてそう差異がないということになりつつございます。一般的に申しますと、運賃改定をする余裕があるかどうかということについては、その余裕が非常に狭くなってきているということは言えると思いますけれども、改定をすればするだけ逆にお客さんが減るかというと必ずしもそうではない。現に、地域によりましては、他の輸送機関との比較においてまだ私どもの方が大分安い地域はあるわけでございまして、そうした点で、いわゆる一般的値上げについてはなるべく避けつつ、競争力のある部分については上げさせていただくという方向で処理をいたしたい。上げなくても済めばよろしいわけでございますけれども、現状において六十年度までに収支を整えるためには、毎年の経費がふえるものですから、少なくとも経費の増加分くらいは上げさせていただかざるを得ないのではないかと前々考えておりましたが、それも非常に困難でございますので、今度の考え方では、経費の足りない分を上げさせていただくというのではなくて、利用者にがまんしていただける限度ではないかという意味で、消費者物価水準の上昇率に対応するぐらいのものは上げさせていただいてはどうかというふうに考えております。  なお、その際、だんだんと競争力が落ちてきておりますからよほど営業努力をする必要があるわけでございまして、営業努力を織り込みながらやっていきたい。水準の問題はどうしても上げさせていただかざるを得ないと思っておりますけれども、その運用についてはいろいろときめ細かい営業政策をとることによってお客さんが減る現象に歯どめをかけたいと考えております。
  52. 新盛辰雄

    ○新盛委員 では最後に、総合交通体系の全面的な見直し、これは従来からも言われておることですし、最近の省エネルギーの観点からとらえましても転換期に来ている。将来展望に立ってあるべき姿を見出さなければならないわけであります。こうした総合交通政策の論議をするのは運輸省の諮問機関である運輸政策審議会あるいは企画庁あたりにも何かそういう委員会があったらしいのですけれども、それらでこれからいろいろ議論をしよう、公共輸送機関についての全体的な対策を立てたい、本格審議をやりたいということになっておりますが、エネルギーの効率をどう上げるか、これは交通政策の中で一番重要な部分を含んでおります。たとえば航空機と鉄道の運賃の問題は、すべてわれわれは公共輸送機関の中の公共料金であるとして、航空機の場合でも鉄道の場合でも国民に負担をかけることはできないし、航空機はもう十分もうかっているのだから値上げができるものじゃないし、また値上げをさせてはならないわけでありますが、そうなると、ではどうするか。こういう観点に立って、運賃の適正化という内容において、国鉄の役割りは中距離輸送が主力になってこようし、航空機をどうしてもこれから拡充するということになれば長距離輸送という形の中に問題のとらえ方が出てくるかと思うのです。しかしそれも一概にはどうかという問題があります。それぞれの企業があるわけでありますから。そういう面で運賃などの取り扱いについてどういうふうにしていくべきがよりベターか、これはこれからの課題でもありましょうが、最近のエネルギー問題から言えば、国鉄で輸送する部分、航空機で輸送する部分のエネルギーの消費量には相当差があるのじゃないか。だからそういう面での大量輸送機関としてのあり方、総合交通政策、これは大臣にとってもこれからの課題であろうかと思いますが、そのお答えをいただきたいし、また主管局の方からいままでの経過、審議されているのか、検討されていかれようとするのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  53. 永井浩

    ○永井説明員 お答え申し上げます。  総合交通政策の体系的なものといたしましては、先ほど先生指摘のように昭和四十六年に関係閣僚協議会の決定がございます。さらに、それと関連いたしましてその直前に運輸省運輸審議会に御相談申し上げて答申をいただいております。ただ、四十六年当時は高度成長期でございまして、GNPあるいはそれに伴いまして旅客輸送、貨物輸送の相当の伸び率を見込んだガイドラインをつくっておったわけでございます。今日、安定成長と申しますか低成長時代に移行いたしましたし、御指摘のように当時予想しなかったエネルギー問題が大きくクローズアップしてまいりました。さらに国鉄の経営等も一層悪化してきた、こういう状況でございますので、私どもとしては当時の総合交通体系を全面的に見直す必要があるのではないかということで現在事務的に検討しておるわけでございますが、前回の例にもかんがみまして、最終的には運輸政策審議会で御検討いただくことになろうかと思います。
  54. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 戦後三十数年間でずいぶん交通の問題について変化が始まってきております。昔はもう交通といいますと、ほとんど中心は国鉄であったわけでありますけれども、遠いところはほとんど飛行機、報告によりますと、東京から福岡までだと新幹線よりもむしろ飛行機に乗る人の方が多い、こういうような時代になってきています。また、モータリゼーションでオーナードライバーを初めバス輸送、道路の発達、こういうことで、この辺にも大分お客の流れが移っていった。また、貨物輸送もそうでありまして、ドアからドアまでというような考え方で利便化あるいは合理化といいますか、トラック輸送で貨物がどんどん奪われていった。こういうようなことで、これは私の全くの私見でありますが、これからの国鉄の生きていく道は何といっても短距離大量輸送の時代に入っていかなければならないのではないだろうか。まあ、その短距離というのは、三百キロが短距離ですか、五百キロですか、その辺のところの考え方はまたこれからいろいろ検討しなければならぬと思いますが、そういうことで空の交通あるいは陸上のうちの道路交通そしていまの国鉄の軌道による交通と、こういうものをあわせながら再検討をしていく時代に入ってきているのではないだろうか、こういうことを私ども考えているわけであります。したがって、官房を中心にして総合交通体系というものを早急に検討し立案をして、そういう時代に合った体系をひとつつくり上げていきたい、このように考えておるものでございます。
  55. 新盛辰雄

    ○新盛委員 質問を終わります。
  56. 古屋亨

    古屋委員長 関連して、関晴正君。
  57. 関晴正

    ○関委員 第一にお尋ねしたいことは、今度の鉄建公団における不正事件というものはどうして起きなければならなかったのか。空出張というものが平然と行われて、それに疑いも持たれないまま何年続いたのかわからぬという状態であるということについて、公団の持つ会計制度が悪くてこうなったのか、鉄建公団というものの体質がこういうものを生んだものなのか。その辺については監督あるいは指導の任にある運輸大臣、さらにまた本日参考人としておいでになっている仁杉総裁、さらにこれを厳密な意味において会計検査をしておる会計検査院の責任者というものの会計検査のあり方の問題、こういう点からひとつそれぞれお答えをいただきたい、こう思うのであります。  これまで、それぞれ空出張についてのおわびあるいはまた責任を感ずる、その結果として辞任した者、またこれから処分を受ける者等多々あるように見受けられるわけでありますけれども、何のために空出張という事態が発生したのか、よって来るものは何であったのかという空出張のルーツをどの辺にあるものと見ておられるのか、この際それぞれの立場からお答えをいただきたいと思います。
  58. 仁杉巖

    仁杉参考人 お答えいたします。  私、着任以来いろいろと調べ、あるいは考えてみたのでございますが、一つは、技術者の集団でございまして、いい仕事をしたいという意欲が非常に高いし、またそれに相応ないい成果も上げているようでございますが、気質といたしまして職人根性と申しますか、事務処理とかあるいは人事管理というような面に対しまする配慮が必ずしも十分でなかったというような感じがいたします。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕 それで、その結果と申しますか、そういうことを背景といたしまして、公金を取り扱っているというような感覚が必ずしも十分ではなかった、あるいは経理をいろいろと進めてまいります場合に、法律であるとか規則であるとかいうようなものを厳重に守るというような点について必ずしも十分な配慮がされてなかったというようなことが一つございます。  もう一つ、公団の第一線の職員は非常に熱心に働いていろいろ努力をしておるわけでございますが、それらに対しまする本社側の把握というものを、先ほど国鉄総裁も申しましたけれども、その辺のところの配慮が十分いってない。下意上達、あるいは上意下達というようなことが十分いってないというような面がございました。  また、もう一つ内部監査でございますが、これも監事もおりますし監査室もあるのでございますが、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、必ずしも十分に機能していない。その中で、工事費等のチェックに対してはかなり成果を上げているように思いますが、管理費等のチェックに十分な目が向けられていなかったというようなことがございます。それでもう少し突っ込んで申しますと超勤手当に充当した分がございますが、これらにつきましては多少不足ぎみであったということは事実のようでございまして、これが正しい会計処理をされないままに空出張というような形でいったということ、この点はまことに申しわけないと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  それから交際費、雑費、会議費等に向けられた分がございますが、これらのかなり大きい部分は公団の現在の会計処理の中では流用という形で十分賄い切れるものでございますが、それらが先ほど申しました諸規則を守るというような立場の配慮が欠けたためか、空出張というような安易な方法に流れてしまったということのようでございます。これらが、私着任しましてから考えました点でございます。
  59. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 鉄道建設公団では毎年多額の事業をもって建設工事を実施しておりますが、そしてまた従来検査の結果、指摘事項も工事に関するものが大部分でございますので、検査の重点もひっきょう工事計画、設計、積算、施工といったようなものを重視してやってまいりました。公団の事業費は多額に上っておりますし、担当の課ではそのほかに国鉄の工事勘定であります一兆円にのぼる工事担当しておるわけでございますが、限られた人員と日数でございますので、旅費の検査もやっておりますが、十分な時間が割き得られなかったのが実情でございます。その上に旅費につきましては出張命令、旅費の請求書等が出勤簿と符合するというように整理しておりますために、なかなかこういった問題は私たちの検査も非常にやりにくい部分でございまして、こういう空出張は発見しにくいもので、残念ながら従来の検査でこういった不正経理を見逃す結果になったものでございます。これは言いわけになりますけれども、しかしながら会計検査院の検査というものは厳正でなければならないし、かつ国民の信頼にこたえなければならない、そういう重大な使命を持っておりますので、今後は今回の事態にかんがみまして十分反省し、徹底した検査をやっていく所存でございます。
  60. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 今回の不正経理問題については、いかなる理由があっても架空の名目で支出したという行為はとうてい許されるべきものではございません。いろいろいま御説明がございましたが、何といっても公私に対する自覚が足りなかったのではないだろうか、こういうふうに実は判断をしております。したがいまして、今後このような不正のないように厳重に綱紀の粛正と公団の経理の監理に努めてまいりたい、かように存じております。
  61. 関晴正

    ○関委員 私の言っていることに対するお答えには、実はなっておりません。いずれもこれまでのお答えで終わっているわけです。私が聞きたいのは、こういう空出張というもののよって来るものは何であったのかということなのです。これは私は特にこの公団の会計制度にあったのか、鉄建公団というものの体質が技術者集団で弱かった、こういうお話で理解がいくかというのです。私はいかないと思う。そんなものじゃない。私が思うには、田中総理を初めとするところの五億円事件、上が正しからざることをしているものですから下またこれにならう。この精神が、この風潮というものが相当にはびこっていりたのじゃないだろうか、こう私は思うのです。  そこでお尋ねしたいことは、この空出張というものに参加した人員、これは何人になっておるか、参加しなかったのは何人になっておるのか、これを先にお答えいただきます。
  62. 片山充

    片山参考人 空出張も旅費規程にしたがいまして旅費の請求、精算の手続をやっておるわけでございまして、それの関係者と申しますと、まず旅行の命令権者、これは本社ではまず各部の部長でございますけれども、地方の支社につきましては相手によって若干異なりますが、次長あるいは部長に対しましては支社長、課長あるいはその相当職に対しましては部長、一般の職に対しましては課長、それから建設所というのが最末端の組織としてございますけれども、ここでは建設所長が命令権者になる。その命令を受けまして旅費の請求の手続をするわけでございますが、この関係では経理課長でありますとかあるいは経理係長でございますとか、そういった人間が関与するわけでございます。  それで、ここに新潟新幹線局の例がございますけれども、新潟新幹線局で申しますと、先ほど申し上げましたような意味での命令権者の数は四十五名でございまして、そのほかの職員数は六百三十名ばかりになっております。実際に旅行を実行したとされております人間はほぼ全員ではないかと思いますので、これは調査をしておりませんけれども関係者といいますとそういう関係になります。全体の組織につきましてそういう意味での関係者の数はまだ集計はいたしておりません。
  63. 関晴正

    ○関委員 やはり簡潔にお答えいただきたいのです。  言うなれば、命令をした、命令を受けた、そういう数は何名なのか。三千三百九十名中何名なのか。逆に言うならば、そういう空出張に参加しない職員というのはあったのか、なかったのか。こっちの方が早いのかもしれません。お答えください。
  64. 片山充

    片山参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、正確な数字は現在集計はいたしておりませんが、概況として申し上げますと、建設所によっては全然こういう行為のなかったところもございます。あるいは各部各課、ある課によってはこういう空出張という手続を全然やっていないところもございます。
  65. 関晴正

    ○関委員 何名かと聞いておるわけです。特に検査院の方はそれぞれの件数に従って金額まで出しておられます。ですからそれを調べれば私はわかることだろうと思うのですが、とにかく三千三百九十名という公団の職員が総参加の空出張であった、これはこう見ていいのか。いま、参加しない者もある。参加しない者もあるというのは、どのくらいあるのか。パーセントでもよろしゅうございます。部門でもよろしゅうございます。  そこでさらに言いたいことは、数年とにかくこういうことが平気で行われているのが鉄建公団だ。鉄建公団だといまはだれも言っていませんよ。からくり公団だと言っている。これほど信頼が地に落ちているいまの鉄建公団の信頼をどうして回復するか。これからの問題だと私は思います。そこで今回の空出張の摘発に当たっての事態を公明にしてくれたのは内部告発があった、こういうわけなんですから、こういう告発をした方を表彰したらどうか、こう思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
  66. 富樫勘七

    富樫参考人 お答えいたします。  内部の告発をする者があったのでそういう者は表彰したらどうかという先生のお言葉でございますが、私ども考えておりまするに、業務が正しく行われておらない場合に業務を正しい方向に持っていこうという意見を出すということは大変結構なことであり、大いに私どもとしても反省させられるわけでございますが、大体私どもの方といたしまして考えておりますのは、上意下達という空気がありましたならば当然にそういう告発等の行為を誘発しなくても組織的にみずからの体質を改善することができたのではないか、こういう意味で大いに反省いたしております。
  67. 関晴正

    ○関委員 どの辺まで反省しているのかわからぬけれども、えてしてこういう告発した人というのは今度は恨まれる立場になる。私はやはり悪事は隠す方向に進めるのではなくて、悪事はなくするためにとにかく広くそういう公明な精神の持ち主をほめたたえてやる、こういうことがなければならないだろう、こう思います。  次に、この空出張の区分についてお答えいただきたいのは、大臣の報告にも検査院の報告にも、それぞれ旅費の中で現場調査旅費、工事監督旅費、測量及び調査試験費、普通旅費と、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)と分けて出されておりますが、(ウ)の部門というのはどれだけの金額があったのか、お示しください。
  68. 片山充

    片山参考人 検査院の御調査によります分とわれわれの方の内部調査によりますものがあるわけでございますが、まず内部調査によりますものから申し上げますと、富山の事務所、下関支社、大阪支社、東京支社、札幌支社の五カ所で不正経理が行われました合計額が一億二千百六十六万九千円でございます。
  69. 関晴正

    ○関委員 そんなことを聞いているんじゃないですよ。あなた方の調べたのはちゃんと報告で出ている。その報告の中身で、それぞれの旅費の方からどれだけ出されたかということを聞いている。つまり、測量及び調査試験費から多額の金が出た、こういうわけでしょう。多額というのはどれだけかと聞いている。検査院で調べた額と公団で調べた額、トータルでよろしゅうございます。忙しくていま調べられないならば、後で答えてください。時間もありませんから急ぎます。  私は会計検査院にもまた運輸省にもそれから公団の方にも申し上げたいのだが、少なくともこうした事態を招いた最大の原因は、技術が悪かったとか精神が悪かったとかということも原因の中にあるかもしれないけれども、金をもてあましておったということだ、こう思うのですが、その点についてどうですか。
  70. 仁杉巖

    仁杉参考人 先生の御指摘のような意味でございますが、私、見まして、やはり相当大きな繰越額が出ているということがございますので、先ほどもお答えいたしましたが、たとえば空出張に充てた分の予算がひどく不足していたために起こったというふうには考えにくいというふうな感じを持っております。
  71. 関晴正

    ○関委員 何を答えているのかわかりません。私の方から申し上げておきますよ。とにかくこの鉄建公団の予算、決算というものを見ますと、われわれ国会議員が見てわかるようにはまずできていない。その次に専門家が見てもこれがわかるようにはできていない。なぜそんなことが言えるかというと、私はここ十年間における予算と決算のせめて旅費だけでも年度別の調べを出せと言った。これについて答えられたものは、非常に時間がかかってやっとだということで、測量及び調査試験費についてのデータは四十九年からだけです。あとはすぐ出ました。  そこで、測量及び調査試験費の金は年々どのくらい繰り越しておるかというと、大変な額です。四十九年度は七十二億九千五百万円、五十年は五十六億一千八百万円、五十一年は六十二億二千四百万円、五十二年度は五十三億九千二百万円、五十三年度は三十八億一千七百万円、これは個々の部門だけです。全体でどのくらい繰り越しておるかというと、四十九年度は八百四十九億、五十年度は六百三十八億、五十一年は六百二十七億、そうして五十二年は六百八十四億、こんなに多くの額を全体の事業として繰り越し、また測量及び調査試験費の額においてこんなに多く繰り越し、そうしてその費目の中には、わが方の久保三郎氏が一昨日質問した際には細目には旅費があると言われたが、細目にも旅費の項目はない。出たものを後でトータルして決算のときに出てくるという姿なんです。これじゃ次年度に予算を組むときになかなか困るだろうと思うのです。ここに指導監督する者の、運輸省の怠慢がある。また監査をする者、検査をする者にもそこに力の不足というよりも、私は検査をサボっていると思う。さらにまた、特に鉄建公団そのもの指導的理念において著しく欠けておる。こういうようなものを解決するためには、まず三千三百九十人全員を集めて、こうしたものが発生した原因とこうしたものをなくすることについてそれこそ内部でよく討議をすべきものだと私は思うのです。幹部だけでやったって解決するものじゃない。そういう意味で運輸大臣も、なって間もない運輸大臣だけれども、どこへも行かなくてもいいからこの原因とこれを防止するための方策を十分に考えて措置すべきである、私はこう思います。その辺について私の方から要望しておきます。答えていただく時間もないでしょうから、後刻また資料としてもらうことにします。  あと一つだけ。私、港湾の問題でお尋ねしたいことがあるわけです。青森のむつ小川原港という港湾、これは昨年予算が三十三億ついたようであります。ことしは青森県としてもまた百二十億ばかりの予算要求をして、その半分ぐらいまでにいまは来ているのではないだろうかと思うのですが、むつ小川原開発というものにかかわるところの港湾建設であります。ところがむつ小川原開発というものはいまや挫折したも同様なものです。石油精製という化学コンビナートというものは見られない。そこに図られているものは五百六十万キロリットルの備蓄基地というものです。むつ小川原開発変じて備蓄基地となるのです。そういうような備蓄基地となる港湾建設というものを進めることについて、運輸省としてはどう思っておられるのか。また本年度における事業の進捗状況はどこまで行っているのか、これをお答えいただきたいと思います。
  72. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  まず現在の進んでおる状況を申し上げます。  この港湾の整備は五十三年にスタートいたしまして、本年度から海上部分にも着工されるという予定になっております。御承知のように外洋に面しております港湾でございますから、また近くに適当な港がございませんので、作業基地の建設ということで事業を始めているところでございます。  次に、この港湾の開発についての考え方というようなことでお答えすればよろしいかと思いますけれども、むつ小川原港の開発につきましては早急に第一期計画にかかわる工業立地の段階的な具体化を図っていきたいという方針でございますけれども、この計画を策定されました後の状況変化に伴いまして石油の国家備蓄の必要性が生じてきたものでございます。一方、現時点では石油精製の立地計画がまだ具体化されていないということがございます。そのようなことから第一期計画の中の土地利用計画で想定されておりました原油のタンクヤードの一部をこの国家備蓄に振り向けて備蓄用のタンクを建設するということにしたものでございます。  なお、ただいまの情勢は非常に厳しいものがございますけれども、全体的な長期的な考え方といたしましては、この開発の理念というものは実現されるものだと思いますし、港湾の整備は、御承知のように非常に長期の期間を要するものでございます。そういうような意味で基本的な方針に沿って実施を進めていきたいというのが考え方でございます。
  73. 関晴正

    ○関委員 青森県ではこの港をつくるということですでに百三十三億の漁業補償費が県から支出されております。このこと自体にもまた大きな問題がございます。少なくとも港湾建設するということは、この開発計画というものが具体化し、その計画実現性、可能性があるものとして始められるべきものじゃないだろうか。可能性定かならざる段階でなお港湾事業を進めることになっておるのか、港湾というものはそんなに悠長にやっていただけるものなのか、はっきりお答えいただきたい。
  74. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 多少、繰り返しになる面があるかとも思いますけれども、このむつ小川原の開発は、産業構造が低位にあるむつ小川原の地域におきまして、工業開発を契機として産業の振興と住民の生活及び福祉の向上に寄与する。それと同時に、今後の国民生活の安定と国土の均衡ある発展に資するということを目的として計画されたものでございます。その事業の重要性にかんがみまして、関係省庁は環境保全、災害の防止等、いろいろな面について配慮しながら事業の推進を図るということにしているわけでございます。  そして、この全体的な方向というのは、御承知のように、五十二年の十一月に第三次全国総合開発で示されているものでございますけれども、いずれにいたしましても、この構想が時間的な問題というのは非常に見きわめにくい時点であることは事実ではございますけれども、全体的なたとえば東京湾とか瀬戸内というようなところから、大規模な基幹工業の基地というものは、たとえば、こういう東北地区とかというところに持っていこうという考え方は必ず実現されるべきものだと思いますし、先ほども申しましたように、港湾建設、非常に時間がかかるものでございます。したがいまして、いろいろな条件の整備が整いましたことに従いまして、逐次、事業は進めていくべきものだと考えているわけでございます。
  75. 関晴正

    ○関委員 閣議了解という一つのにしきの御旗のもとに、これを進めたことは事実でありましょう。しかし、この閣議了解というものはどれだけの権威を持つものか。閣議で了解したからといって、計画が進むものじゃない。計画が進むようにそれぞれの企業、立地するというものが明らかになっている。それが具体化してその道が開ける、こういうときに、私は港湾仕事というものは初めて取りかかるべきものじゃないだろうか。それが定かでなくても、かかることができるのかどうかということです。  いま一つは、今度は備蓄基地、石油公団が使うことになるだろうけれども、そうなるというと、備蓄基地の専用港みたいなものになる。備蓄基地の専用港ということになるというと、すべき主体というものは石油公団になるんじゃないだろうか。また、石油公団が太平洋に一点、係留のブイ方式のシーバースをつくることになっているわけなんで、それで間に合うことにもまたなるのじゃないか、こう思いますので、その関係港湾局の方の考え方について、もう一遍お聞きしたいと思います。
  76. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  むつ小川原港の整備につきましては、先ほど申し上げましたように、まだ始まったばかりのところでございます。そこで、防波堤の建設を初めといたしまして、これが港としての形を整えるまでには相当な長期間が要るということは間違いのないことだと思います。  そこで、現時点では具体的な企業の立地計画は何があるかと申しますと、先生おっしゃいますとおりに、石油公団による備蓄計画しかございません。しかしながら、これは背後の用地、それ以外の用地等の土地利用というものは、ある程度港湾の整備が進んで、そういう段階で実際の企業というものが決まってくる性質のものではないかと思います。現時点で申しますと、先生がおっしゃいましたように、一時的には漁船等の利用はございますけれども、そういうものを除きますと、ほとんど石油公団だけが主たる利用者になるという時期があるものだろうと考えております。
  77. 関晴正

    ○関委員 不確定な開発計画のために港を掘る、その港のために補償を百三十三億も出しておる。こういうようなとき、国もかんでいるわけなんで、百三十三億の補償については国も負担する考えがあるかどうか、これもひとつ聞いておきたいと思います。
  78. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  百三十三億の漁業補償というものはそれぞれ分担をして支払っていく。直接私どもで申しますと、直轄工事にかかるものにつきましては当然国が負担をする。ただ、現時点では青森県の方で先行して補償をしていただいているということであります。(関委員「払うのか払わないのか」と呼ぶ)払います。
  79. 関晴正

    ○関委員 幾ら持つのです。
  80. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 ちょっと概数で申しわけありませんが、約三分の一程度が直轄の負担になってくるかと思います。
  81. 関晴正

    ○関委員 時間ありませんから、このことはゆっくり次の運輸委員会でまた時間をちょうだいしてやってみたい、こう思います。  最後に、先ほど聞き忘れたのが一つあります。それはパーティー券の問題です。パーティー券の問題についていろいろ論議されたけれども、お名前は言えないということで終始されました。それからこのパーティー券については、正規の予算から出しているものと空出張から出したものとがある、こういうお答えもございました。私は、これが対象人員というものが何名あるのか、それから最高金額はどのくらい出されておったのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  82. 仁杉巖

    仁杉参考人 口数で申しまして百四十五口、金額で申しまして二百九十七万五千円という数字になります。
  83. 関晴正

    ○関委員 人数を聞いているわけです、対象人員。それから一人の最高の口数、金額と申しましょうか、人員と最高額、最低額、それを示してください。
  84. 仁杉巖

    仁杉参考人 この件に関しましてはまことに申しわけございませんが、答弁を勘弁していただきたいと思っております。
  85. 関晴正

    ○関委員 これまでのお答えは、儀礼的な社交的な、そういう範囲に属するものである限りは差し支えないだろう、またそういうつもりで支払った、こういう向きがございました。  そこで、私がとにかくお名前は聞きたいところだけれども、これは幾ら聞いても久保さんにお答えになったところまでしか答えられないだろうけれども、それをよしとするものではありません。しかし、あなた方のやっていることが儀礼的社交的範囲を超えるものであるか、超えるものでないかということの判断、その判断のためには金額を出してもらうことが必要なんで、最高でどのくらい出しましたか。
  86. 仁杉巖

    仁杉参考人 交際費という正式のものから出たのが百九十六万五千円、空出張から出したものが百一万円ということになっておりますが、最高額あるいは人数等に関してはいろいろございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  87. 関晴正

    ○関委員 何の差し支えがあるのです、あなた方、自信と確信を持って出したものに。何の理由で言えないのです。言ってください。言えない理由を言ってください。
  88. 仁杉巖

    仁杉参考人 公団といたしましての判断が非常にまずいという面もございまして、そういう面で特定の方に御迷惑をかけるというような立場になりますので、勘弁をしていただきたいと思っております。
  89. 関晴正

    ○関委員 私は、だれに迷惑をかけるかという個人の問題であるならばある程度理解もして了承もしましょう。しかし、だれと聞いているのではない。あなた方のおやりになった、支出された先の数は何名で、そうしてその支払ったというか、パーティー券を買ってあげた額の最高は幾らか、こう聞いているのです。何でそれが差しさわりがありますか。何でそれが言えません。どこへ連れていったって、どこへ持っていったって言えないという人の方がおかしいでしょう、これは。ひとつ言うてください。
  90. 仁杉巖

    仁杉参考人 いまの件に関しましても、まことに申しわけございませんが、答弁を差し控えさせていただきます。
  91. 関晴正

    ○関委員 この件もまた時間が参りましたから終わるしかないけれども、きょうのお答えで私は了としません。あなたはまた今晩帰ってよく眠って、また、これはやはりそうだ、こういうことに必ずなるだろうと私は思うのです。そうならなければだめです。ならなければまたあなたもやめなければならない。  もう一つ、辞任された役員に対する退職金を払うのか払わないのか、これも聞いておきたいと思います。
  92. 富樫勘七

    富樫参考人 お答えいたします。  ただいま当公団におきまする役員の退職金支給規程によりますと、解職された方につきましても一応支給することができるように相なっておりますので、支払うことにはなろうかと思いますが、現在まで払ってはおりません。
  93. 関晴正

    ○関委員 この問題についても、少なくとも公金をごまかして空出張ということを公然とさせて、その任の最高の責任者がみずから辞任した。その行為をよく吟味をして当たらなければならないことだろう、退職金なんというのはもってのほかだ、私はこう思っております。そういう点については、規程にかんがみてだとか、それからこれまでの慣習に照らしてとかということじゃなくて、言うなれば、すべからざることをした者はどういう処分になるのか、そういう処分になる数々の例というものを吟味してこれには当たってもらわなければならないであろう、こう思いますので、この点についても厳粛なる措置をして対処していただきたいということを希望しておきます。  終わります。
  94. 古屋亨

    古屋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後一時二十七分開議
  95. 古屋亨

    古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草野威君。
  96. 草野威

    ○草野委員 初めに、関西空港建設問題につきまして、若干お伺いをしたいと存じます。  この空港建設問題は大詰めに追ってきておるわけでございますが、初めに運輸省のこれからの計画について簡単に御説明をいただきたいと思います。  中でも、いつごろ地元の合意を取りつける予定にしているのか、その時期、また、着工、開港のめどに至るまでの時期について、これからの全体の計画を簡単に御説明をいただきたいと思います。
  97. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  現在、関西空港問題につきましては、去る十一月六日に航空審議会に新しくまた関西部会をつくりまして、すでに二回の審議を終わり、近く三回目をお願いすることにしておりますが、主として空港の基本計画、その中でもとりわけ工法問題、こういった点に重点を置いて御審議を願うことにしております。  それと別に、私どもの方で前々から環境影響調査をやっておりますので、それの取りまとめが年度末までにはできる見込みでございます。それらを踏まえまして、私どもの方で地元に対する説明資料と申しましょうか、そういったようなものを調製をいたしたい。そして五十五年度早々にはそれを持って地元との話し合いに入りたい、このように考えております。  これはお話し合いでございますから、どういうふうに進展するか、いまから予断めいたことを申すのはいかがかと思いますが、円満な話が進んでいき、大方の了解を得られるということを仮に前提に置きますと、五十六年度中には実務上の作業に入れるのではないだろうか。もしそういうふうに万事順調に進むといたしますれば、六十年代の早い時期に開港にこぎつけることができるのではなかろうかと考えておりますが、要するに立ち上がりの基本計画を取りまとめ、環境影響評価の結果をはっきりさせ、そして場合によっては地域計画の大綱的なものもこれに添えまして、来年度早早なるべく早い時期に地元との話し合いに入るというあたりのところまでが、いま計画といたしましてかなり確定した考え方になっておるわけでございます。
  98. 草野威

    ○草野委員 この新空港部会が現在まで十一月六日、十一月二十七日と二回開かれたということでございますが、この部会の中におきまして審議された中身につきまして簡単に御報告をいただきたいと思います。
  99. 松本操

    松本(操)政府委員 この審議会は、学識経験者二十七名から成っておるわけでございますが、第一回の十一月六日の議論の内容は、第一回のことでもございますので、この審議会を開くに至った経緯、部会に御審議願いたいと思う事案の内容等をあらかじめ御説明をし、さらに大阪空港、現在の伊丹空港でございますが、これの現況、それから関西空港問題についての従来の経緯、そういうことを、主として、俗に申せばイントロダクションと申しますか、そういったようなことと、それから今後の審議の運用のありようというふうなことを御議論願いました。  二回目の十一月二十七日の会議におきましては、まず滑走路の能力、本数、こういったものの議論を、私どもの方から資料を提供して御審議を願い、さらにそれを前提といたしまして、空港の形状が大体どんなことになるか、施設を集中的に配置するという案と分離して配置するという案とがございますので、その両案についてそのいずれをとるかというふうな議論を今後していただくための種といたしまして、集中する場合にはかくかく、分離する場合にはしかじかというふうな資料をごらんに供しました。それと同時に、これらの計算の基礎となってまいります将来の輸送需要の見通しでございますとか、あるいはこの空港におきます、たとえば水、電気、ガス、こういったものの使用量、あるいはここに出入するであろう従業員その他旅客、見学者等の人数の見通し、こういったようなものを参考資料としてごらんに供しました。  これらのものを踏まえて一応議論を整理するとこういうふうになっておりますということを説明いたしましたが、これらの議論はすべて四十九年の八月に出ております前の関西部会答申を検討し直すという形で事務局側が調製したものをもとに御議論を願う、こういう形で運用されております。
  100. 草野威

    ○草野委員 この建設問題につきましていま一番大きな問題になっていることは、工法の問題の決定じゃなかろうかと思います。したがって、いままで二回開かれた部会におきまして当然工法の問題について審議がされたのではないか、このように私も想像しておりました。いまの航空局長のお話ですと、そういう話が全然なかったようでございますけれども工法についてはすでにもう決定したんでしょうか。
  101. 松本操

    松本(操)政府委員 先ほど今月十三日に第三回目を開くということを御報告申し上げたわけでございますが、その第三回目の部会におきまして工法問題に関する資料を提示したい、このように考えております。  工法問題は、御案内のように四十九年の答申におきましては、その時点における判断といたしまして埋め立て工法が適当である、こういう答申になっておったわけでございます。したがいまして、私どももその後埋め立て工法のさらに突っ込んだ勉強をしばらく続けておったわけでございますが、その後浮体工法につきまして新しい技術的な開発が行われてまいりました。それはどういうことかと申しますと、審議会のときの浮体工法というのは、平底のポンツーン型のものを浮かべるという考え方でございましたが、その後、鋼製の上部構造物の下にドラムかんの足をくっつけたような、セミサブマージ、半没型と申すのだそうでございますが、こういう新しいものが考えられてまいりました。これの有用性ということがかなり議論されるようになりましたので、私どもも五十二年度、五十三年度、特に五十三年度に重点を置いて船舶技術研究所と港湾技術研究所に委託をいたしまして技術上の検討をしてもらったわけでございます。  その結果技術的に不可能ではないというところまではたどりついたわけでございますけれども、何せ数百ヘクタールまたは場合によっては千ヘクタール前後という大きさの構造物を海の上に浮かべまして、それをドルフィンと称する仕掛けに固定をする、こういう構想でございますので、私どもの自前の勉強ではまだなかなか十分にわかり切らない面もございます。  そこで十三日の部会におきましては、私ども調査研究いたしました範囲内において、埋め立て工法とはかくかくしかじかのもの、浮体工法とはこのような考え方でこういう概念のものということをごらんに供して、その後恐らく部会といたしましては専門の小委員会なり何なりのグループをつくりまして、それぞれ埋め立てなりあるいは浮体工法なりの専門の方を呼んでさらに突っ込んだ話を聞きながら審議を続ける、こういうことになるのではないかと予測をしておるわけでございます。したがって、現時点において、私どもの方が工法について結論的なものに到達しているということではございません。
  102. 草野威

    ○草野委員 十三日の部会の中におきまして、この工法の問題についても専門の委員会を設置して審議がされるかもしれない、こういうお話でございます。埋め立て工法がよいかまたは浮体工法がよいか、われわれは専門家でないのでそういうことは知識がございません。しかしどちらになるにせよ、これは十分な研究なり審議なりをしていただきたいと思いますが、残念なことにいろいろなマスコミだとかそのほかわれわれの方に来る資料等を見ておりますと、運輸省としては埋め立て工法にまるっきり偏ったような、そういうような感じを受けるわけでございます。そしてまた浮体工法については、造船工業会が一生懸命担いでおる。何か知らないけれども、はっきりもう二派に分かれておるような感じで、そして埋め立て工法の方が非常に先行しておる、こういうような感じを受けております。どちらにするにしても、公平な立場で十分に審議して、そして世界じゆうに自慢できるような新しい空港建設しなければならないと思います。この点についてはぜひお願いをしたいと思います。  それで、この審議会の問題でございますけれども、現在のこの審議会の給論はいつごろ出る予定になっておりますか。それともう一つは、これは非常に大ぜいの国民の方々も注目をしているわけでございますので、この審議会の内容については少し公開をしていただいたらどうか、このように思いますが、いかがでございましょうか。
  103. 松本操

    松本(操)政府委員 まず前段の工法についてあくまで厳正公平な議論を経て決めるべきであるという御指摘は、私といたしましても仰せのとおりだと思います。もし私どもが扱っております資料等にそういう予断を与えるような兆しがあるといたしますれば、十分に注意をして、そういうことのないようにしていきたいと思っております。  ただ、先ほども説明申し上げましたように、答申後数年間というものはやはり埋め立てというものを念頭に置いて私どもの勉強がいささか先行した経緯がございますので、どちらかと言えば私どもの方がいまの時点でやや埋め立てについてデータをより多く持っておるというふうなこともございます。ただ、その私どもの手持ちのデータをもって御議論を願ったのでは、これは公平な議論ということになりませんので、そこで二つの工法を比較するに当たって当然横並びで検討さるべき項目というものを十分に詰めまして、その部分について両方の工法を比較対照するというところまでの資料でまず十三日はスタートを切ろう。その後突っ込んだ議論になってまいりますと、私どもの方の及び切れないところが出ますので、そういうところはそれぞれの専門家に十分議論を尽くしていただく、そういう意味で恐らく部会の方も別途小委員会等で御議論になるのではないか、こう申し上げたわけでございます。  それから第二点の、答申がいつごろになるのかということにつきましては、私どもの気持ちといたしましてはできれば年度内、おくれても来年度早々という気持ちは持っております。それは、冒頭お答え申し上げましたように、五十五年度のなるべく早い時期に地元に対して説明を開始したい。その説明を開始する種といいますものは、審議会において十分御審議願い、答申をいただいたものを踏まえてつくり上げるわけでございますので、そういう意味から言っても早目に答申をいただくことを強く希望はいたしております。しかし、審議会議論をお預けいたしました以上、私どもとしてとかくいつまでに答えを出してくださいということを申し上げるべき立場にないと思っておりますので、事務方としての努力はできる限りしながらも、審議会の方の御議論に任ぜるという形で推移したいと思っております。  それから、審議の内容につきまして、公表、公開さるべきであるという御指摘はごもっともでございます。私どもも、第一回の部会が開かれましたときにそのことを特に部会として御議論いただきました。その結果、特段の用事その他がない限り、この部会が開かれますごとに部会長または部会長代行、ともかくその日の議論の座長を務めた人がプレスミーティングをする、そのとき技術的な問題等について付加的な説明が必要であることもございますので、私ども事務方がそれに同席をする。それと同時に、審議会の席上にいろんな資料が出てまいりますが、この資料の中に実はまだ固まっておりませんがというふうなものも審議会にはどんどん出しております。こういうものが巷間流れてまいりますと、とかくの誤解を招くおそれもございますので、こういうものの扱いについては審議会の委員の方にその場で御決定を願って、これはもう当然公開してしかるべきではないか、こういうふうに御判断いただいたものは、いま申し上げましたプレスレクチュアのときに資料を添えて、全部プレスの方にはお渡しをする。それと同時に、私どもの方は大阪地区に出先というと大げさでございますが、室を持っておりますので、その室を通じて、それを見たいという方にはいつでも閲覧に供するようにいたしますし、あるいは府県等に対しましては、それらの資料を追って送りつけるという形で、データは、よく固まらない、何かよくわかっていないもやもやしたものは別といたしまして、そうでない、きちっと固まったデータについては公表するということで、すでに現在までに、私正確に覚えておりませんが、六種類ぐらいの資料がそういう形で公開をされておるはずでございますが、そういったような資料の公開、審議内容のプレスに対する説明といったようなことを通じて、特に関西の方のプレスの方は非常に熱心にフォローをしていただけるような形にもなっております。そういう場を通して広く関係の方にも承知をしていただくように今後とも努力をしていきたい、こう考えております。
  104. 草野威

    ○草野委員 ともかく二十一世紀を目指すナショナルプロジェクトでございますので、慎重に、事故のないように今後も進めていただきたいと思います。  それでは、次の質問に入りたいと思いますが、運輸省はどなたがいらっしゃいますか。
  105. 古屋亨

    古屋委員長 官房長、石月国鉄部長、黒野日本鉄道建設公団監理官……。
  106. 草野威

    ○草野委員 大臣はいつごろ来るのですか。会計検査院は、室屋さんはお見えですね。それから鉄建公団の総裁は……。冒頭に総裁にお伺いしたいわけでございますので、鉄建公団の総裁がいらっしゃらないもので、ちょっと質問をとめていただきたいと思いますが……。(「決算委員会の方に行っておりますので……」と呼ぶ者あり)
  107. 古屋亨

    古屋委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  108. 古屋亨

    古屋委員長 速記を始めて。  草野君。
  109. 草野威

    ○草野委員 では、質問を続けたいと思います。  次に、日本鉄道建設公団の不正経理問題につきまして、若干お尋ねをしたいと思います。  一昨日の当委員会におきまして、運輸大臣よりこの問題につきましての報告がございました。その中で、五十三年の四月から本年八月までの間に総額三億九千五百万いわゆる空出張によって捻出し云々ということがございました。  きょうは公団にまずお伺いしたいことは、このように不正経理によって捻出をしたいわゆる裏金、これをどういう形で使ったのかという問題が一つと、それからもう一つは、なぜこういう不正をしてまでも捻出をしなければならなかったか、この二点について私はお伺いをしたい、このように存じます。  そこで初めに、超過勤務手当だとか会議費だとか雑費等にこの約四億円の金を充てていたそうでございますけれども、このような多額のお金を捻出しなければならなかった、必要としたその理由、これをまずひとつ総裁にお伺いをしたいと思います。
  110. 仁杉巖

    仁杉参考人 私も着任直後にいろいろと調べてみたのでございますが、会議費等に充てられました金が一億三千方円余りございます。これらのうち、まだ十分会計検査の結論を得ておりませんのではっきりはいたしませんが、かなりの部分が正式に会議費等で処理できるもののように思えております。それ以外のものにつきましては、やはり何と申しますか、立てにくいというようなものも多少あるようでございますが、そういう金が一応一億三千万余りということでございます。それから二億六千万余りのものが超勤充当に使われております。これは全般的に超勤が建設公団の場合、これは役職員の給与でございますから流用禁止になっておりますから、その中で操作をするわけでございますけれども——操作というか金の流用をするわけでございますが、その金額は全般的に見て、まだよくわかりませんけれども、大体少し不足ぎみであった。しかし、配分の仕方が必ずしも適切でございませんで、ある支社、各古屋の支社のようなところは空超勤のようなことも行われておりまして、まあ全般的には不足ぎみであったと思います。大体一人当たり一カ月四時間ちょっとぐらいになっておりますが、そういうことでございますので、超勤の方につきましては不当経理としてもある程度、実際に行ったものの足切りの補てんというようなかっこうになっております。そういうようなかっこうで金が捻出され使われたというふうに理解しております。
  111. 草野威

    ○草野委員 いまの総裁のお話を伺っておりまして、ちょっと私も腑に落ちないわけでございますが、なぜこのような多額のお金を裏金として捻出しなければならなかったか、その一番大きな理由の一つが超勤に充てる金がどうも不足をしたから充てたんだ、こういうことですね。そういうお話ですと非常に私は納得できません。いいですか総裁、先日、おとといの運輸大臣は何とおっしゃったか。事実関係を明らかにします、このようにおっしゃっております。だから、きょうはこの委員会でうそは言わないでもらいたいのです。事実をありのままに全部おっしゃっていただきたいのです。もう一回答弁し直してください。何のためにこの約四億円のお金を捻出しなければならなかったのか、その本当の理由をひとつおっしゃってください。
  112. 仁杉巖

    仁杉参考人 いま申し上げましたとおりでございまして、不正にこういう金を捻出したということは間違いないことでございますが、超過勤務につきましては会計検査等の報告をなお見ないとはっきりいたしませんけれども、多少不足ぎみであったというふうに私は理解をしております。
  113. 草野威

    ○草野委員 理事の方でも結構ですが、公団の職員の方、三千数百人いらっしゃいます。この方々の割り当ての超過勤務の時間、ある方は一カ月二十時間、ある方は三十時間、こういうふうになっていると聞いております。そうしますと、そのための予算は全体で幾ら五十三年度、五十四年度の場合組まれておりますか。
  114. 片山充

    片山参考人 五十四年度の額につきましてはただいま資料を調査しておりますが、ここに五十三年度の額がございますのでそれでお答えを申し上げますと、超過勤務手当は十二億六千五百六十五万三千円となっております。
  115. 草野威

    ○草野委員 総裁に伺いますが、五十三年度の場合十二億の超勤の予算が組まれていた。実際に幾らぐらい不足したのですか。
  116. 仁杉巖

    仁杉参考人 決算といたしましては全額使っております。
  117. 草野威

    ○草野委員 幾ら不足したのですかと聞いているのです。
  118. 仁杉巖

    仁杉参考人 先ほども答弁いたしましたが、これを裏づける資料は現在のところございません。空出張で賄った分を裏づける資料は現在のところございません。
  119. 草野威

    ○草野委員 私はそういうことを聞いているのじゃないのですよ。いいですか、総裁はさっきのお話で、実際に超勤しているけれども予算上足りないのでやむを得ずこういう裏金をつくって流用したんだ、こういうお話なんですよね。だからどのくらい足りなかったんですかと、こう聞いているわけです。それが答えられませんか。
  120. 仁杉巖

    仁杉参考人 ちょっと答弁が舌足らずになっておりますが、私が申し上げましたのは、状況的に見まして超勤が不足ぎみであったのではないかと思っているということを申し上げたので、いま御答弁いたしましたように、これを証するに足るきちっとした資料は会計検査院から御指摘のようにございません。
  121. 草野威

    ○草野委員 これは総裁、あなたはまだ新しいから、それは知らないと言えば知らないで通ぜるかもしれませんけれども、非常に重大な問題なんですよ。この空出張で浮かした約四億円のお金は、少なくとも総裁のお話によれば、超勤のお金が足りないからそっちに回したんだ、そういうふうにおっしゃいましたね。そしていま私がもう一回、どのくらい足りなかったかと今度聞くと、状況的に見てそういう感じがした。感じで税金をそんなに使われちゃ、国民の側からとってみればたまったものじゃないです。しかもあなたは、一昨日の委員会でも、きょうもそうです、肝心なことはしゃべらない。何人かの政治家の名前を隠すことがそんなに大事なんですか。こんなでたらめの経理をやっておって、そしてなおかつ事実を隠そうとする鉄建公団の姿勢は私は許すことはできないと思います。だから私は、きょう冒頭に申し上げたのです。少なくとも一昨日、大臣が事実をすべて明らかにする、そのようにおっしゃっているのです。だから私はこうやって、細かい問題かもしれませんけれども一つずつ伺っているのです。約四億円のお金が項目別にどのくらい使われているか説明をしてください。たとえば交際費にはどのくらい使ったとか、超勤手当としてどのくらい使ったとか、この四億円をひっくるめて結構ですから、この内訳を御説明いただきたいと思います。
  122. 片山充

    片山参考人 総裁からも申し上げておりますように、ただいま検査院の御精査を受けておりますので、われわれの方で一応整理をいたしましたところに従って申し上げますけれども、五十三年度のいわゆる空出張の額は三億八百九十七万八千円余でありまして、そのうち超過勤務手当として充当されましたものが二億百六十万九千円、会議費、交際費的なもの、あるいは雑費に充当いたしましたものが一億七百三十六万九千円。五十四年度分が同様に、超過勤務に充当いたしましたものが五千六百五十二万七千円、雑費等に充当いたしましたものが二千八百八十二万八千円。合計いたしまして、超勤等に充当いたしましたものが二億五千八百十三万六千円、会議費、交際費的なものあるいは雑費に充当いたしましたものが一億三千六百十九万八千円でございます。
  123. 草野威

    ○草野委員 そうしますと、ただいまの御説明によりますと、超勤だけで二億何がしのお金が使われているわけですね。五十三年度におきます一人当たりの超勤の金額は平均すると幾らくらいになりますか。それが一つ。もう一つは、超勤をした方々は何人になりますか。
  124. 片山充

    片山参考人 ただいま手元に資料がございませんので、至急調査をしてお答えいたします。
  125. 草野威

    ○草野委員 では、そのほかの一億三千六百万何がしのお金、これは会議費だとかそれから交際費的な雑費等に使われた、このような御説明でございますけれども、これのまた内訳について伺いたいと思います。いわゆる大蔵省であるとか運輸省であるとかその他の官庁の交際費、会議費的に使ったものはどのようになっておりますか。
  126. 片山充

    片山参考人 先ほど雑費的な経費に充当したと申し上げました金額のうちで、会議費的な経費に充当いたしましたものが九千百三十六万六千円、交際費的な経費に使いましたものが二千四百三十一万五千円、雑費に使いましたものが千七百三十六万七千円となっております。
  127. 草野威

    ○草野委員 この交際費、会議費的に使われた約一億一千五百万円、これは、大蔵省に対する接待費はどのくらいになっていますか。それから、運輸省に対する接待費はどのくらいになっておりますか。また、会計検査院に対する接待費を使っておりますかどうか。
  128. 片山充

    片山参考人 先ほど来申し上げておりますように、ただいままだ検査院の御精査を受けておる段階でもございますし、お尋ねのような細かな使途別の整理はまだできておりません。
  129. 草野威

    ○草野委員 会計検査院に伺いたいと思いますが、いまの問題について答えてください。
  130. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 会議費の内訳……。
  131. 草野威

    ○草野委員 交際費の内訳、会議費の内訳。
  132. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 九月からずっと鋭意検査を進めておるわけで、近く決算検査報告を出します。  それまでの間に、私たちが中心にして検査いたしましたものは、結局旅費が正当の費目に使わていなかったということを中心にしてやっております。それで、関連いたしまして、旅費でなければ何かということで、旅費以外の使途は何だということで、裏帳簿なり領収書なりあるいは各担当者からそれぞれ記憶をたどったり、メモとかいろんなもので確認して、これは旅費以外に使ったのだということは確認しております。それから、担当者等からの説明によれば、これは関係官庁の方方の接待だとか会食、そういったものにこれだけだということで説明は受けております。ただし、これは裏帳簿でございまして、この裏帳簿にはどういう会議の目的だとか、会議の性質だとか、そういったことがわかっておりません。ただ、説明は伺っております。そして、その説明の中でいろいろと予盾がございまして、そして、どうも表向きの説明と実際の相手方と違っているのもございます。それで、私たちが集計いたしましても、どのように集計していいのかどうもいまのところはわからない状況でございます。
  133. 草野威

    ○草野委員 会計検査院に伺いますけれども、今月中にこの結論を出していただけると、こんなようなことを聞きましたけれども、いまのお話ですと、何だかさっぱりわからないようなお話なんですね。そうしますと、この間の御報告いただきました使途不明金が百十八万円しかなくて、あとの六千三百二十一万円の資料の全然ないもの、こういうものについても内容はさっぱりわからないということになるわけですね。それとも、その事実を裏づける他の資料がないという六千三百二十一万円、これについても何らかの形で出していただけるのですか。それとも、いまの見込みでは、全然これは何に使われたか、もうめちゃくちゃになってわからないということでございますか。見通しはどうなんですか。
  134. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 先ほど、いろいろ国会筋等からも御要望がありまして、一応の段階で中間報告といいますか、一応これは不当として指摘するというような判断に基づいて、検査官会議の議を経まして、そして異例ではございますが中間的に発表してもよろしいというようなことで異例の措置をとったわけでございますが、そのときの発表でもおわかりかと思いますけれども、なかなか内容がはっきりしないという趣旨が盛り込んであると思います。それで、それ以後なお精査を進めておりまして、それから公団の方がお調べになりましたものにつきましても資料をいただきまして、いま内容を詰めておりますが、その内容を詰めた結果につきましてはまだ検査官会議の議を経ておりません。しかしながら、大きなめどといたしましては、何分にも公団全体にわたる事柄でございまして、なかなかその内容についてはっきり詰めるということは非常にむずかしい状況でございます。これは裏帳簿とかそういう資料等が整っておりませんので、そこらあたりについては、恐らく最終的にこのような使途に使われた、これが旅費以外のものに使われた、旅費の使い方が非常にずさんであるということはこれは言えますけれども、ただその中身につきまして、どういう中身であるかということは——調査班は日曜日に出たりあるいは夜遅くまでがんばって極力やっておりますので、そこらあたりまでは、最終的にはその調べた結果をなるべく詳細に発表できるようにしたいと思いますけれども、これ以上のことはいまのところ申し上げられません。
  135. 草野威

    ○草野委員 われわれは、このお金の使い方に少なからず疑惑の目で見ているわけです。公団に聞いても全然わからない。そして会計検査院の方に伺っても非常に非観的な見通しである。このままでうやむやにすることは私はできないと思います。したがって、全力を挙げて内容については調査をしていただきたいと思いますけれども、もしこれがうやむやで終わるようなことになれば、これは横領と言っても決して過言じゃありませんし、またそのお金については返してもらわなければならぬと思いますし、公団としてもこの問題についてはひとつ十分に御考慮いただきたいと思います。  わからない問題をいつまでやっていても切りがありませんので、もう一点だけ伺いたいと思います。  それは、先ほども問題になっておりましたけれども、この四億円のうち一部が政治家の方へ流れているということも言われているわけでございます。その中でいまはっきりしていることだけは、総裁が御自身でおっしゃったように二百九十七万五千円というお金が政治家のパーティー券を買ったという形で流れている、そこまでははっきりいたしました。この問題についてはやはりこのままうやむやにするわけにはいかないと私は思います。したがって、その政治家の名前については、この際この席上で御発表をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  136. 仁杉巖

    仁杉参考人 午前中の関先生からのお話の中にもございましたし、前には久保先生からも御質問を受けておりますが、私どもといたしましては、まことに申しわけないのでございますが、自分たちの不手際でこういうことが起きまして御迷惑をかけるという立場でございますので、御答弁を御勘弁願いたいということを申し上げている次第でございます。
  137. 草野威

    ○草野委員 では、総裁はこれらの政治家の方々のお名前は御存じでしょうか。
  138. 仁杉巖

    仁杉参考人 一部存じておりますが、全般的に全部を記憶しているということではございません。
  139. 草野威

    ○草野委員 二百九十七万五千円、これに関する方々のお名前は御存じでしょうか。
  140. 仁杉巖

    仁杉参考人 実は私のやりましたことでないものですから、表を見てはおりますけれども、記憶が十分でないということを申し上げておるわけでございます。
  141. 草野威

    ○草野委員 だれもあなたがやったと言っているのじゃないのですよ。もっとも前任者の問題ですからそういうことも当然引き継いでおられると思いますので、御存じですか、こういうふうに伺ったわけです。いまの御答弁ですと、一部は知っている、表を見てわかっている程度だということでございますけれども、一部の方のお名前はおわかりですね。もう一回確認します。
  142. 仁杉巖

    仁杉参考人 記憶にとどめているものもございます。
  143. 草野威

    ○草野委員 では、何名中何名まで御存じでしょうか。
  144. 仁杉巖

    仁杉参考人 何名という数字は記憶しておりません。
  145. 草野威

    ○草野委員 総裁、あんまりふざけた答弁をしないでください。あなたはいま一部知っているとおっしゃったのでしょう。一部とは何名ですか。
  146. 仁杉巖

    仁杉参考人 一、二名——二名ぐらいは存じております。
  147. 草野威

    ○草野委員 その名前をおっしゃってください。
  148. 仁杉巖

    仁杉参考人 まことに申しわけございませんが、先ほどから申し上げているとおり、名前を申し上げることは御勘弁願いたいと思うわけでございます。
  149. 草野威

    ○草野委員 パーティー券を買ってパーティーの会場に行った方、職員の方の名前をおっしゃってください。
  150. 仁杉巖

    仁杉参考人 ちょっと私、だれが出たかということまで知っておりません。
  151. 草野威

    ○草野委員 きょう理事の方が何人かいらっしゃいますけれども、おわかりになる方はこの場で報告してください。
  152. 富樫勘七

    富樫参考人 私十月二十三日に採用になりました総務担当理事でございますが、前任者のことにつきましてはよくわかっておりませんので、総裁が申し上げたとおり私の方からもちょっとお答えができないのでございます。
  153. 草野威

    ○草野委員 そんなことを聞いているのじゃないのですよ。わかっている人がいたら報告をしてください、こう言ったのですよ。わからない報告を聞いているのじゃないからいいですよ。——いいです、あなたは。  では総裁に伺いますが、ここにいらっしゃる方はわからないのだけれども、本社の方にお戻りになれば当然資料があると思いますので、パーティーへ出席された役員でも職員の方でも結構ですから、いつどこのパーティーへ出席されたか報告していただけますか。
  154. 仁杉巖

    仁杉参考人 御趣旨はよくわかりますが、前から申し上げておりますように、氏名の公表はぜひ御勘弁願いたいとお願い申し上げておるとおりでございまして、よろしくお願いいたします。
  155. 草野威

    ○草野委員 公団の総裁は非常にけしからぬ答弁をしていますよ。私は政治家の名前を聞いているんじゃないのですよ。そのパーティーに出席した役員か職員の人の名前はわかるかと言ったら、いまここでわからない。いまここでわからないというのは、本社に帰ればわかるということですね。その方の名前を後で教えていただけますか、このように言っているのですよ。それをなぜ言えないのですか。
  156. 仁杉巖

    仁杉参考人 御質問の趣旨でございますが、職員があるいは役員が何回くらい出たかということは御報告できるかと思っております。
  157. 草野威

    ○草野委員 質問にちゃんと答えてください。
  158. 仁杉巖

    仁杉参考人 そこまでまいりますとだんだんわかりますが、職員が何人が何回くらい出ておったかということは御報告できると思っております。
  159. 草野威

    ○草野委員 そうしますと、いま総裁は役員、職員の方の名前はどうしても発表したくないということなんですね。  それでは、何月何日、役員か職員の方が何人出席したか、パーティー別に出席した状況を報告していただけますか。
  160. 仁杉巖

    仁杉参考人 何月何日ということにつきましては、記憶になると思いますが、できるだけは努力してみますがむずかしいかと思っております。
  161. 草野威

    ○草野委員 会計検査院の方に伺います。  検査院の方は、このパーティー券の問題について、これに関係している政治家の方々のお名前について御存じでしょうか。
  162. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 私は、残念なことにこの件については知りません。これは検査院の局長はあるいは存じていると思います。
  163. 草野威

    ○草野委員 会計検査院の方は、あなたは御存じなくても局長なら御存じだ。  局長にその名前を発表していただけますか。
  164. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 これにつきましては私、記憶ございませんが、院長が国会で発言されまして、励まされた方の方々の名誉に関することでございますので、院としては発表するわけにはいかないというような趣旨の答弁がございましたので、恐らく氏名について公表することはできないだろうと存じております。
  165. 草野威

    ○草野委員 公団も発表しない、それを検査した検査院の方もわかっているけれども発表しない。  それでは運輸省に伺いたいと思います。  大臣、あなたは鉄建公団の監督に当たっている最高の責任者でございますが、こういう事件に対してどのように思われるでしょうか。
  166. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 かねてから問題になっておりますこの約四億円の金の使い道、そしてその支出の方法、非常に不当な支出をしておりますので、これは何と申しましても許すべからざることでございます。したがって、この面についてはいろいろな形においていままでも処理をしておりますし、また今後の問題としましては返還あるいは税金、こういうもので解決もさせるような指示をしておるわけであります。  さて、いまのパーティー券のようなものでございますが、私は本来の考え方といたしましては、励ます会のようなパーティーというようなものは、公務員であろうが会社員であろうが、それぞれ個人で引き受けて励ますのが当然だと思うわけであります。したがって、公費から出すということについては、先般検査院が、交際費の範囲内で出すのならばある程度の社交的、儀礼的なものであれば差し支えないではないかというような御意見もありましたが、私はなるべく公費はそういうものに使うべきではない、業務執行上に使うべきものだと判断しておりますから、このような支出の仕方は必ずしも賛成することができません。  ただ、問題といたしまして、励まされる方の方はどんなお金で出たのかわからないで喜んで励まされておるわけであります。そうなりますと、それを発表いたしますと、こちらの人は善意で励まされているわけでありますから、このお名前を発表するということは大変個人の名誉に関することになるということですから、これはまことに励まされた方の人の立場を考えますと、私どももこれをはっきり究明し、発表するという態度にはなかなかなりにくいというのが私の現在の判断でございます。
  167. 草野威

    ○草野委員 いまの大臣答弁を聞いて当委員会方々も苦笑されておりますけれども、そうしますと、大臣のお話によりますとこういうことはやっても一向差し支えないような感じを受けてならないわけですね。  では、大臣にもう一つだけ伺いますが、非常に具体的なことで恐縮でございますけれども、いま私が申し上げた政治家の方々のお名前について大臣も御存じでございますか。
  168. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 私は当時この立場におりませんでしたものですから、この内容については全然存じ上げておりません。
  169. 草野威

    ○草野委員 鉄監局長は直接関係する立場にいらっしゃるわけですが、この件について大臣に報告をなさっていないのですか。
  170. 山地進

    山地政府委員 ただいま大臣から御答弁がございまして、交際費からもこういったものは支出すべきでないという大臣の御見解がございましたけれども、私ども、当時といいますか、現在もそうなんでございますが、交際費から社交的、儀礼的に支出されたものについては総裁に全部お任せしてあるわけでございますので、これは業務遂行上そういうものに参加する必要があるという総裁の御判断で参加されたものと理解しておりましたので、この件については私どもはそのお名前までは全部報告をしてもらっていないということでございます。したがいまして、私から大臣には御報告してございません。
  171. 草野威

    ○草野委員 鉄監局長はこういう問題について、少なくともいまのお話のようにパーティー券や何かの支出については余りいいものじゃない。したがって、あなたはそれを監督する立場にいらっしゃるわけですね。そのあなたがよく御存じないということは非常に不自然だし、本当に報告を受けていないのですか。この件に関しては、パーティー券の問題については公団の方から報告を受けていないのですか。
  172. 山地進

    山地政府委員 受けておりません。
  173. 草野威

    ○草野委員 この問題については前から大きな問題になっているわけですね。きょう始まった問題じゃないのです。報告を受けていないということは非常に不自然なんです。公団、総裁、なぜ報告をしないのですか。
  174. 仁杉巖

    仁杉参考人 まことに申しわけございません。
  175. 草野威

    ○草野委員 報告をされますか。
  176. 仁杉巖

    仁杉参考人 よく御相談いたします。
  177. 草野威

    ○草野委員 公団の最高責任者はあなたですね。あなたはこれほど問題になっていることを監督官庁の鉄監局長に報告をするかどうかという質問に対して、相談しますというのはどういうことですか。じゃ報告をされない場合もあり得るわけですか。この事実について正確に報告をなさらないのですか。それともあなたはだれと相談されるのですか。
  178. 仁杉巖

    仁杉参考人 いまちょっと言葉を間違えまして申しわけございません。御報告して御相談いたします。
  179. 草野威

    ○草野委員 もう時間がないから余り同じことを言わせないでください。御報告して相談しますという日本語はないんですね。相談してから報告しますということはあるんですけれども、どうなんですか。
  180. 仁杉巖

    仁杉参考人 端的に、御報告いたします。
  181. 草野威

    ○草野委員 最後に鉄監局長に伺いたいと思います。  このパーティー券問題について公団総裁の方から報告をするというお話をいまいただきました。報告をいただきましたら、責任者としてあなたは委員会の場におきまして政治家の方々の名前を発表していただけますか。
  182. 山地進

    山地政府委員 交際費の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、交際費というものの性格が社交的、儀礼的な範囲で払われておりますので、そういうものについては本来公表しないというのがたてまえだろうと思います。  それから、いまの裏金から出ているものにつきましては、公団の方で返還を含めていろいろ検討中でございますので、それとあわせまして考慮したいと思います。
  183. 草野威

    ○草野委員 最後に、大臣に伺いたいと思います。  いまの鉄監局長答弁を伺っておりましても、実にすっきりしないわけですよ。こういう問題についてはあなた自身の一昨日の報告の中においても、処分するものはきちっと処分する、改善するものはきちっと改善をする、そしてまた事実はすべて明らかにする、このようにおっしゃっておるわけですね。当委員会におきましてもほかの委員会におきましても、この問題はかなり重要な問題として取り上げられておるわけであります。したがって、この際やはりこういう問題を国民の前に公表してこそ初めて改善も処分も行われるのじゃないかと思うのです。こういう肝心なことをうやむやにしてこのままに済まそうとする公団の姿勢はまことにけしからぬと私は思います。したがって、私は大臣にこの問題についてはぜひとも明らかにしていただきたい、このようにお願いしたいと思いますが、大臣のお考えを伺って終わりにしたいと思います。
  184. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 今回の不正事件についての調査はいま鋭意進行中でございますし、それの返還方法とか処理方法もいまいろいろ検討して早期に解決をするということは公団総裁からも申し出ております。私の方からも指示しております。会計検査院等とも相談いたしまして最終的な処理をするのは当然でございます。  ただし、いまの御質問の中にはパーティー券を買ってもらった政治家等の氏名を公表しろという部分の件も御質問の中に入っているのではなかろうかと思いますが、この点については、先ほどお答えいたしましたように、まことに善意の第三者にしては大変名誉を傷つけられることになりますので、いまのところ発表するというような段階にはならない、かように考えております。
  185. 草野威

    ○草野委員 これで質問を終わりますが、総裁のお話にありましたように、二名の方々の名前は少なくとも総裁も御存じでございますし、これは事実を明らかにするという点においてぜひとも明らかにしていただきたい、このように大臣に要求いたしまして質問を終わります。
  186. 古屋亨

    古屋委員長 三浦久君。
  187. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は、二日間にわたるこの鉄建公団の不正問題についての審議にずっと参加いたしておりまして、大変腹立たしい感じでいっぱいであります。  今回の鉄建公団の不正経理事件というのはただ単に経理の不正があったという事件じゃないのです。あなたたちが空出張という不正な手段によって裏金をつくり出した。これはみんな税金ですよ。その税金を運輸省の接待に使ったり、大蔵省の接待に使ったり、そしてまたあげくの果てに自民党や一部の政治家の政経。パーティーのパーティー券の購入に充てるとか、いわゆる政界、官界と全く癒着した醜い姿を天下にさらけ出したわけでしょう。ここにこの問題について国民が大きな憤激を覚えている理由があるわけなんです。ですから私は、この事件の解明はきちんとやらなければならないし、また事後の処理も厳正にやらなければならないというふうに考えています。そういう意味で、この委員会審議の中でまず運輸省や、また会計検査院、さらに当事者である鉄建公団が事件の真相解明に協力をする、そういう態度をとるべきだと私は思うのです。——ちょっと大臣がおられない間に質問の趣旨を言ったのですが、この不正経理事件の真相解明のためにこの委員会審議に協力するということを約束していただきたい、そういう質問であります。
  188. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 このたびの鉄建公団の不正問題は大変大きな問題でございますので、徹底究明する所存でございまして、十分御質問にお答えする所存でございます。
  189. 三浦久

    ○三浦(久)委員 大変大きな事件だという御認識をお持ちのようですけれども、責任をとっておやめになりました鉄建公団の総裁、副総裁、監事、総務担当理事、経理担当理事並びに新潟新幹線建設局長、これら六名の人はいわゆる解任されたのですか、懲戒処分になったのですか、それとも依願退職なんですか、どっちですか。
  190. 富樫勘七

    富樫参考人 前の総裁、副総裁、それから退任いたしました二人の理事、それに監事、この方々は一応任を解かれたということでございます。
  191. 三浦久

    ○三浦(久)委員 時間がないから、質問したものを全部答えてください。新潟新幹線建設局長はどうなんですか。
  192. 富樫勘七

    富樫参考人 新潟新幹線建設局長の本間さんも任を解かれたものでございます。
  193. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、それは懲戒処分ですか。新幹線建設局長というのは職員ではないのですか。役員ですか。
  194. 富樫勘七

    富樫参考人 本間さんは一般の職員でございますから役員ではございません。そして本間さんの処分は依願退職でございます。
  195. 三浦久

    ○三浦(久)委員 だから、正確に言ってもらわなければ困るじゃないですか。あなたはさっき解任されたと言ったでしょう。(富樫参考人「任を解かれたと言ったのです。」と呼ぶ)任を解かれたということと依願退職と違うじゃないですか、あなた。そういうごまかした答弁しちゃだめだよ。なぜ懲戒処分にしなかったのですか。  それからもう一つ。この理事や総裁、副総裁、任を解かれたと言っているけれども、それは鉄建公団法に規定されている職務上の義務に違反をした場合に解任することができるとありますが、それでそれに基づいて解任されたのですか、二点。
  196. 富樫勘七

    富樫参考人 お答えいたします。  解任の事由のうち、職務上の義務違反というわけではございませんが、管理監督責任を問われて職を解いたということでございます。
  197. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、それは公団法の何条に基づいてですか。
  198. 仁杉巖

    仁杉参考人 ただいまの答弁に誤りがございまして、役員、職員ともに願いにより職を解かれている、依願免でございます。
  199. 三浦久

    ○三浦(久)委員 こういうでたらめな答弁をされては困るのですよ。私も制限された時間の中でやっているんでしょう。最初の質問でもって依願退職だと言えばそれで済むことじゃないですか。いかぬよ、富樫君、でたらめなことを言っちゃ。何でそんな当然過ぎるだれもわかっているようなことを、そういうでたらめな答弁をするのですか。そこで謝れ。  それでは、たとえば鉄建公団法の十三条に基づいて解任をするとか、それからまた懲戒処分にするとか、なぜそういうことをしなかったのですか。依願退職というのは、起こした事件の責任に比べて私は非常にあいまいなやり方だと思っているのですけれども、どうですか。
  200. 山地進

    山地政府委員 職務義務違反になるかならないかということを私どもも検討いたしましたのですが、その当時これは職務義務違反までは至らないだろうということで、依願免退職にしたわけでございます。
  201. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いまの答弁は、たとえば運輸大臣が任免権を持っている人たちに関してでしょう。  その議論はちょっとおきますけれども、それじゃ、新潟の新幹線建設局長はどうだったのですか。依願退職ですよ。これはどういうことなんですか。理由を明らかにしてください。
  202. 仁杉巖

    仁杉参考人 私、就任直後でございまして事情もよくわからなかったのでございますが、よく運輸省と御相談をして依願免としたものでございます。
  203. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ちょっとこの事件の性格というものを余りにも安易に考え過ぎていると私は思うのですよ。先ほどからも同僚の委員からいろいろ質問がありましたけれども、これはまさに組織ぐるみの犯罪行為ですよ。この事件というのは、ただ内部規定に違反をしたとか、そういうような簡単なものじゃないということです。そして個人が偶発的にやったものではなくて、長年にわたって組織的に計画的にやられた犯罪ですよ。  たとえばここに今度問題になりました旅行命令書というのがありますよね。これは公文書でしょう。それに旅費請求及び領収書というのがあるでしょう。これも公文書でしょう。公文書に虚偽の事実を記載をすれば、それは虚偽公文書作成罪というりっぱに刑法に該当するんじゃないですか。その点はどういうふうにお考えですか。鉄建公団でも運輸省でもどっちでもいいです。
  204. 山地進

    山地政府委員 先生の御指摘のとおり公文書でございますので、そういった罪を構成するかと思います。
  205. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それに、たとえば旅費請求及び領収書、これは出張をしたとされた職員が請求をしたり領収書を書いたりするそういう場合もあったでしょう、職員に金が支払われたわけだから。しかし、そうじゃなくて、会議費等に使った金、流用した金というのは職員には関係ないわけだ、職員には渡っていないのだから。そうすれば、いわゆる旅行命令権者が旅費請求及び領収書、これを勝手に他人名義で作成したということになるんですよ。これは公文書の名義を偽るわけだから公文書の偽造罪なんですよ。どうなんですか。
  206. 山地進

    山地政府委員 刑事的な問題に関することにつきましては検察当局の御判断にまちたいと思いますが、事実といたしましては公文書であり、そういった偽った目的のために使われたという事実はそのように私ども理解しております。
  207. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすれば、これを行使して、そして公金をだまし取ったのだから詐欺にも当たるわけです。だから、公文書偽造罪、同行使、詐欺罪を構成するのですよ。四億円の詐欺罪ですよ。それも税金ですよ。これほど大きな犯罪を犯しておきながら依願退職とは一体何ですか。特にいわゆる新潟の新幹線建設局長、この場合、どういうことをやっておる人ですか。さあ監査に入るというので監査に入った。今度は空出張の事実をごまかすために帳簿をつくりかえなければいかぬでしょう。これをやっていますよ。これも公文書偽造です。にせの印鑑を持ってきてついておるでしょう。これは印章偽造。そしてそのお金、これも正規には出せないからまた帳簿ににせの記載をする。また公文書偽造、犯罪に犯罪を重ねておるのですよ。こういうことをやった新潟の新幹線建設局長が依願退職でいいのですか。依願退職というのは退職金払うのでしょう。そんなことで運輸省も鉄建公団も事件について本当に深刻な責任を感じているのかどうか。私ははなはだ疑わしいと思っています。答弁してください。
  208. 山地進

    山地政府委員 いまの事実関係については、確かに先生の御指摘のとおりだろうと思うのです。  まず、事実関係の方から申し上げますと、そういった人の印鑑をどこかでつくらしたということ自体——これは後で聞いてみますと未遂になっておるかと思うのです。文書をつくったことは事実でございますけれども、検査院に出したのは正規の文書。出す前に改ざんを図ったというふうに私は理解しております。したがって、いろいろな罪がどのように重なっておるかということについてはある程度先生のおっしゃったことがほとんど確かだろうと思うのであります、そういう一部違うところはあるが。  それから職務義務違反がどういう意味なのか。これも先生の方が法律の大家でいらっしゃるので私どうも余り議論してもかなわないと思うのですけれども、まず、職務義務というのは何だといいますと、監督責任、理事というのは総括するといいますか、総理するのが総裁でございまして、理事の職務というのは業務を統轄する場合の、個々に下部の方で犯した罪を一体どこまで職務義務違反となるかということがポイントかと思います。  そこで、新潟の場合に例をとられたから新潟でいきますと、新潟の新幹線局長がそれを積極的にやったとか奨励したとかあるいは推進したとか、いろいろなことがあれば完全な職務義務違反、これは当然だと思うのですが、それを下の者がやっていたことを知っていたのか知らないのかというところが非常に問題かと思うのですが、そこは知らなかったのだと私は思うのです。
  209. 三浦久

    ○三浦(久)委員 本人は知っておったと言っている。ただ、本社の指示でやったのではない。しかし、ちゃんと知っておってやったと言ってますよ。これはあなたたち事実をもっと調べてほしい。そういうことをやった人間に、また税金でもって退職金を払うなんということは絶対に許せないと私は思う。これはひとつ強く要望しておきます。  それからもう一つ。この役員の件ですけれども、職務上の義務に達反をしていないんだ、管理監督責任を怠っただけだとあなたは言う。そうすると、総裁というのはこの鉄建公団法によれば「その業務を総理する。」となっているでしょう。これ以外に仕事があるのですか。ないでしょう。それから「副総裁は、公団を代表し、総裁の定めるところにより、総裁を補佐して公団の業務を掌理し、」掌理というのは掌握して管理するということでしょう。いろいろ書いてますよ。それ以外に仕事がないのでしょう。それをやらなかったら職務上の義務違反じゃないですか。そんなことはっきりしているんじゃないですか。実行行為をしないからただ単に管理責任だけなんだ、だから軽くしたんだ。この管理責任が重いがために高い月給払って雇っているのじゃないですか。そうでしょう。だから管理監督責任だから軽いんだ、そんなことはありませんよ。国民に四億円も被害を与えたというのは、そういう重大な管理監督の権限があるにもかかわらずそれを行使しようとしなかった、また、行使しなかった、それが原因でしょう。そうであれば当然職務上の義務違反じゃないですか、どうですか。
  210. 山地進

    山地政府委員 なかなかむずかしいお話でございまして、まずその総理する、あるいは掌理するということの意味でございますが、まず不正なことが行われないように部内を統一的に把握していく、公正に資金を使い、公正な業務を行うというようなことが管理監督責任であったと思うのです。  そこで、総裁あるいは副総裁、理事にいたしましても、たとえば担当の分野におきましてそういう不正が行われないようなことを常々心がけておって、しかし知らないところでそういうものが起こった場合には、それは管理が不十分であったけれども職務義務違反はしていないというようなことが言えるかと私ども考えております。
  211. 三浦久

    ○三浦(久)委員 へ理屈を言われますので、それではお尋ねしますけれども、たとえば。パーティー券を扱うところはどこなんですか。これは総裁室というのがあるのですか。
  212. 富樫勘七

    富樫参考人 公団の本社総務部でございます。
  213. 三浦久

    ○三浦(久)委員 総務部が。パーティー券を買う、裏金からそれを出しているわけだね。そうすれば総務部長初め総務部のその経理を担当している人間はちゃんと裏金で出されているということを知っているわけでしょう。どうなんですか。
  214. 富樫勘七

    富樫参考人 お答えいたします。  実態はわかりませんが、金は確かに出しております。
  215. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすれば知っているということでしょう。そうすれば、最も総裁に近いところにいる総務部がそういう裏金を操作しているということを、そういう事案があるにもかかわらず総裁が全然知らない。もし仮に本当に知らないとしても、私はそれは疑わしいと思うけれども、その責任は重大でしょう。しょっちゅう自分が顔を合わしているところでそういう不正な経理が行われて、それを知らない。どこか遠い話と違うのですから、そういう意味で私はやはり重大な職務上の義務違反があるというふうに思っています。  時間がありませんから先へ進みますが、たとえばいまの問題にちょっと関連をして言いますが、新潟の新幹線建設局長は懲戒処分にはならなかった。それじゃ実際にある命令権者とある職員が結託をする。結託しなくてもいい。命令権者が個人的にたとえば一年七カ月にわたって五百万とか一千万とか空出張の金を浮かしておった、それを使っていたということになれば、これは恐らく懲戒免職でしょう。どうなんですか。
  216. 山地進

    山地政府委員 実際に空出張をやっていて、それがその人の個人的な目的のために使われている場合には懲戒処分に当たるようなことだろうと私は思います。
  217. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ですから個々的に分解をしていけば、それは懲戒事由に当たるわけですよ。それを大ぜいでやれば懲戒事由には当たらない、そんなことにはならない。一人殺すのならいいけれども、戦争で一万人殺すのは犯罪にならない、そんな理屈はいま平和の世の中では成り立たないですね。そうでしょう。  私、いままでの事後処理の問題を見ていると、あなたたちは何となく、自分が私的に使ったのじゃないのだ、公金を横領して使っているけれども、しかし自分の個人的なものじゃなくて、まあたとえば仲間と一緒に飲むとか交際費に使ったとかそれから職員に支給したとか、だからそれでいいのだ、余り大して個人的な責任は追及しなくてもいいのだというふうにお考えになっていらっしゃるだろうと私は思う。ところが国民の側から見たらどうですか。これは言葉は悪いけれども一つのどろぼうの集団が結局公金を横領して自分たちの仲間で分け合っている、そういうかっこうにしかなっていないのですよ。  ですから、たとえば空出張で浮かした金を超勤手当に出したなんて言っているけれども、それは鉄建公団が口で言っているだけの話なんだ。何も証拠がないのだから。じゃ、空出張で浮かした金を各人のいわゆる超過勤務手当をぴちっと計算してそれに全部払ったのかといえば、そういうやり方じゃないでしょう。ですから超過勤務手当に払ったなどというのはあなたたちの口実であって、実際はそんなことは何にも証明できない。だからあなたたちは横領したのですよ。それははっきりしているのですよ。だから、これだけ大きな問題を起こしておいて責任者が依願退職、そんなことは私は認めるわけにはいかないと思うのです。  それで退職金はどうするつもりなんですか。
  218. 富樫勘七

    富樫参考人 現在の公団の役員退職金支給規程では支給することになっておりまするが、事態がこういうことでございますし、減額支給という方針をいただいておりますので、若干おくれておる、いま払ってはおりませんというのが現状でございます。
  219. 三浦久

    ○三浦(久)委員 懲戒処分にすれば退職金は払わなくてもいいのですね。そうすると、たとえば総裁、副総裁、理事、監事、彼らを解任にした場合にはどうなるのですか。
  220. 富樫勘七

    富樫参考人 現在の役員退職金支給規程によりますれば、解任をしたときも支給するというたてまえになっております。
  221. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これは運輸省の監督でつくったんですか。総裁とか、副総裁、監事、理事、彼らが職務上の義務に違反した場合に解任するのでしょう。それからあともう一つ、心身がそれにたえないという状態のときとか、二つありますがね。しかし、職務上の義務に違反して、たとえば背任、横領をやった、公団に大きな迷惑をかけた、そういう場合でも退職金を支給することになっている、こういう退職金規程をよく運輸省が認可しましたね。私は、こういう規程はやめるべきだと思う。それはいかがですか。
  222. 山地進

    山地政府委員 御説のとおり、職務義務違反に関しまして、解任の際に退職金を払うというのはおかしいということで、今回、改正をいたしまして、職務義務違反の場合を除き解任される場合も含むというような規程に直してございます。
  223. 三浦久

    ○三浦(久)委員 しかし、いまの運輸省考え方では、職務上の義務に違反したのじゃないというお考えでしょう。  そうすると、退職金は高いですよ、年数に俸給を掛けるのじゃなくて、月数に掛けるのだから。そして、月数に掛けて、百分の三十六以内の割合を乗じて得た額とする、こうなっていますね。この解釈なんですけれども、以内ということは、最高限がそれだけであって、その範囲内であれば幾ら減額してもいいということなんですか。どうなんでしょうか。
  224. 山地進

    山地政府委員 解釈といたしましては、以内というのはまさにそれ以下ということですね。どこまで含むかということについては、限定は言葉以上はないと思います。
  225. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それであれば、私は運輸省に監督をしていただきたいのですけれども、これだけ大きな被害を国に与えておって、そういうことの最高の責任者たちに退職金を払うなどというのは、国民感情から言って許せないと私は思う。  いままでの審議の経過を見ていて、いままで支払っていないというのは、ある程度事件のほとぼりが冷めて、国民の関心が薄くなってからちょろっと満額を払ってやろう、そういう魂胆がありありと見えているんじゃないかと私は思っているのです。これはいかぬ。通常の場合には一カ月ぐらいで払うわけでしょう。それを払っていないというのは、そういう腹が見え透いているような気が私はするのですよ。ですから、減額をするのなら思い切って減額をする、ゼロに減額をする、そういう措置も運輸省としては指導すべきだと私は思うのですが、いかがですか。
  226. 山地進

    山地政府委員 この件につきましては、前運輸大臣のときにいろいろと考慮いたしまして、公団の方に一割減額をするようにということを申し渡しまして、一割減額の手続を進めるようになっております。
  227. 三浦久

    ○三浦(久)委員 一割減額というのは余りにもひどいでしょう。きのう私は、最高限どのくらい支払われるのですかと鉄建公団にお尋ねしたのです。いまだに計算してない。計算しようとしないのですね。これはけしからぬと思いますよ。川島総裁、この方はついこの間千二百六十二万円も退職金をもらっているのですよ。またもらうのですか、たった一割差し引いただけで。そんなことを国民が許しますか。四億円に及ぶ被害を国民に与えておいて、たった一割で。一割差し引いた場合には、副総裁も含めて、退職した理事さん、監事さんたちにどのくらい支払われるのですか、答弁してください。
  228. 富樫勘七

    富樫参考人 お答えいたします。  ただいま先生の挙げられました千二百六十二万二千五百円というのは、副総裁の時代の身分が終わりました時点でお支払いいたしたものでございます。総裁になりましてからの部分については、総裁からは辞退の申し出がありまして、支給しないことにいたしております。  それから、その他の職員の分につきましてはこれから計算するということにいたしておりまするので、ここでは手持ちいたしておりませんので、後刻御報告いたしたいと思います。
  229. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ですから私は昨日からその問題を要求しているのですよ。国会の中でこれだけ大きな問題を起こして、これだけの退職金を払うということが許されるのかどうか、それを審議してほしかった。そういう審議妨害をしてはいかぬと思うのです。大臣もこの委員会の集中審議の冒頭に何とおっしゃっていますか。大臣自身も、たとえば今度のボーナスについても国民の理解を得られるような結論に到達すること等について公団や労働組合に要請する、そういう閣議了解があった、こう言われているんですね。私は、何もボーナス問題だけでない、退職金の問題についてもやはり国民の理解を得られるような処置をしなければならぬと思うのですけれども大臣、いかがでしょうか。
  230. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 この問題については前大臣が、総裁及び理事者に対して辞職を要求して、その際に打ち合わせて、何か前総裁は辞退しているそうでありますが、一割引きで支払うということを決めておるそうでございますので、いま私の口から、それを変更するということを簡単に申し上げにくいので、いささか相談してみます。
  231. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は、国民の納得する線で御処置をいただきたいと思います。  自治省にお尋ねします。  最近政治家の政経パーティーというものが大分はやっておりますけれども、このパーティーの目的は政治資金の獲得にある、これは常識だと思いますけれども、このパーティー券が寄付と認められる場合があるかどうか。あるとすれば、どういう場合なのかということであります。
  232. 緒方信一郎

    ○緒方説明員 お答えいたします。  パーティー券の購入につきましては、まずそのパーティー券の価格が社会常識の範囲内のものであり、かつその購入の枚数も、出席を前提といたしました妥当なものである限りは、政治資金規制法上の寄付には該当しないと考えております。
  233. 三浦久

    ○三浦(久)委員 該当する場合があるとすれば、どういう場合でしょうか。
  234. 緒方信一郎

    ○緒方説明員 ただいま申し上げました、社会常識の範囲を超えているものがある場合には寄付に当たると見られる場合もあるということでございます。
  235. 三浦久

    ○三浦(久)委員 きのう自治省の係の方に来てもらって、お話を承ったのですが、実費を超える部分については寄付と認めざるを得ない、こういうようにおっしゃっていましたけれども、そういう見解を変えられたのですか。
  236. 緒方信一郎

    ○緒方説明員 パーティー券の価格というものが社会常識の範囲内であるかどうかということによって判断をするということでございまして、必ずしも実費云々ということとは直接関係がないと考えております。
  237. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、二万円とか三万円、そういうパーティー券で、そして出る物はまあ五千円ぐらい、実費は五千円ぐらいしかかかっていない、こういうような場合には、その。パーティーは社会常識上どうなんですか、パーティー券の値段は。
  238. 緒方信一郎

    ○緒方説明員 パーティーといいますのは一つの催しでございますので、必ずしもそこで出てくる食事だけが価値のあるものということではないわけでございまして、パーティー全体として一つの価値があるわけでございますから、出席をされます方が二万円なら二万円でそのパーティーとして対価関係にあるというふうに考えられれば、それが社会常識の範囲内であるというふうに認められればそれでいい、そういう考え方でございます。
  239. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いまのお話でも、たとえば一人の政治家のパーティーに一人出席するのに十枚買うとか二十枚買うとか、そういう場合には寄付と認められる場合があるというわけですよ。そうしますと、鉄建公団というのは、政治資金規正法で寄付を禁止されています。大臣、これはよく覚えておいてくださいね。善意なんというものじゃないのですよ。そしてまた、鉄建公団ということを知りながらそこからパーティー券を買ってもらうということ、いわゆる寄付を受けるということ、そのことはやはり政治資金規正法で禁止されています。そして、それに違反した場合には罰則の規定があるのです。ですから、今度鉄建公団のやったパーティー券の購入というのは、そういう犯罪の疑いが非常に濃いのですよ。だから、あなたたちはどの政治家から何枚買ったかということを言わないのだ。そこが原因なんでしょう。鉄建公団、どうなんですか。
  240. 仁杉巖

    仁杉参考人 そういう件につきまして、いろいろと励まされる方のこともございまして、先ほどから申し上げるような態度をとっておるわけでございますが、先ほど御返事しましたように、運輸省ともよく、報告いたしまして御相談いたします。
  241. 三浦久

    ○三浦(久)委員 会計検査院にお尋ねします。  このパーティー券の購入先、いわゆる政治家の名前ですね、そして何枚買ったか、そういうものを記載した帳簿というものはあるのではないですか、いかがでしょう。
  242. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 裏の方はわかりませんが、正規の方はあるということでございます。
  243. 三浦久

    ○三浦(久)委員 公団にお尋ねしますが、その帳簿の記載は正確ですか。
  244. 富樫勘七

    富樫参考人 検査院に行っております分は正確にできているものと思います。
  245. 三浦久

    ○三浦(久)委員 検査院にお尋ねしますけれども、それではどの政治家のパーティー券を買ったのですか。
  246. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 先ほども申し上げましたけれども、前の国会の審議の際に院長の方で、励まされる側の名誉もありますのでこれについては発表できないという答弁をなさっております。したがいまして、院としては発表できないと思います。
  247. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは非常に間違った考え方なんですよパーティー券を買うことは悪いことだったのですか。そういう認識があるのですか。名誉が棄損されるような悪いことなんですか。あなたたちはそう思っているのですか。そういうふうに思っているということは、このことが政治資金規正法に触れるということをあなたたちは知っているということでしょう。普通社会常識的なものであると言うのだったら、堂々と発表したらいいじゃないか。それを、その政治家の名誉に関するから言えないということは、政治資金規正法に違反する状況があることをあなたたちが認識しているということです。そうすればあなたたちには職務上の守秘義務というものはないのです。犯罪行為、不正行為が行われて、それを職務上知った場合に、あなたたちは刑事訴訟法の二百三十九条によって検察庁に告発をしなければならない義務があるでしょう。そういう性格のものであって、あなたたちがそれを守秘義務を理由にしてこの委員会で言わないという理屈は何も成り立たない。その点についてはどう思いますか。
  248. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 先生の御趣旨はよくわかりますので、この問題につきましてはどのようないきさつで——院長の申し上げた趣旨は私はよくわかるのですが、いまの先生の御発言の意味を含めて検討したとは思います。したがいまして、これは院に持ち帰って、先生の御趣旨を上司に報告したいと思います。
  249. 三浦久

    ○三浦(久)委員 あなたはさっき個人の名誉に関すると言ったから、それでは政党別なら言えるでしょう。どういう政党がこのパーティー券を買ってもらったのですか。
  250. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 政党につきましても、やはりこれは個人の名誉と同じように守らなければならないことは同じレベルで考えるべき事項だと思います。
  251. 三浦久

    ○三浦(久)委員 個人の名誉とか政党の名誉とか言うけれども、ではわれわれは一体どうするのですか。われわれも政治家の端くれですよ。自民党だけじゃない、野党も買ってもらったとか、われわれも十把一からげで、いまそういう疑惑の目で見られるということになっているのです。買ってもらった人間、いわゆる犯罪行為を犯した、政治資金規正法違反をやった人間の名誉だけをあなたたちが守って、われわれ正当な活動をしている国会議員の名誉を重んじないというのは一体どういうことなんだ。いいですか、政治家というのは、公に活動したことについてはプライバシーはないのですよ。ましてや、犯罪行為を犯したと疑われる政治家に何の名誉がありますか。もしあなたたちがそういう態度をとり続けるというのであれば、それはあなたたちがぐるになって犯罪人を隠しているということになるじゃないですか。だめですよ。  それでは、もう時間がありませんので、会計検査院に聞きますが、公団が政治家の名前を明らかにし、その政治家一人当たりに対して何枚買ったか明らかにした場合に、それを裏づける答弁ができますか。
  252. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 その場合には、私たちが調査した、確信を持って言える範囲内であれば裏づけることはできると思います。
  253. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いま会計検査院から、鉄建公団が言えばそれを裏づける資料を出せる、そうであるかそうでないかということはきちっと言えるという答弁がありましたね。ですから、鉄建公団に私は言いたい。政治家の名前を明らかにしてください。答弁してください。そして、言えないというなら、その理由を言ってください。
  254. 仁杉巖

    仁杉参考人 まことに申し上げにくいのでございますが、先ほど申し上げましたように、その名前を公表することは御勘弁願っておるわけでございますが、運輸当局にもよく御報告いたしまして処理いたします。
  255. 三浦久

    ○三浦(久)委員 残念ながらもう時間がありません。私がいま御質問申し上げましたように、この政治家の名前を公表しない理由というのは全く存在しないのですよ。守秘義務は完全にないのです。むしろ告発をしなければならないような大きな問題なんです。それを何だかんだと理屈をつけて拒否をされる。ですから、委員長が先ほど私が質問申し上げました政治家名を記録した帳簿を鉄建公団がお出しになるように御指示をいただきたいと思うのです。
  256. 古屋亨

    古屋委員長 この問題は理事会において御相談したいと思いますから、ひとつさよう……
  257. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それであればもう審議をする日にちがないのです。ですから、きょう全部の質問が終わった後ででも休憩にして理事会を開いていただいて、そこで御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  258. 古屋亨

    古屋委員長 御意見として承っておきまして、できるだけそうしたいと思いますが、いまここで直接の返事は待って——終了する前にいたします。
  259. 三浦久

    ○三浦(久)委員 質問を終わります。
  260. 古屋亨

    古屋委員長 青山丘君。
  261. 青山丘

    ○青山委員 一昨日来の鉄建公団の不正経理に対する質疑を通して、国民の前には疑惑はまだ明らかにされていない。しかも、それは厚い官僚機構によってまだガードがかたく守られている。このままでは納税者の立場、国民の立場はまだまだ無視されている、私はそう思わざるを得ません。まことに残念でなりません。  そこで、わずかの時間でありますので、一つ一つお尋ねをさせていただきます。  鉄建の不正経理についてはすでに質疑されてきておりますけれども、このように大規模な不正経理が長年にわたって行われていたその責任、そしてまたそのずさんな経理を全く見抜けなかった運輸省の監督責任は一体どうなるか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  262. 山地進

    山地政府委員 このように鉄建公団が空出張という手段により多額な金を不正に経理したことについては、私どもの監督が不行き届きであった点についてまことに申しわけなく、おわびいたします。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕  なぜ私どもがそういうことについて知り得なかったかということにつきましては、私どもの方の監督も決算の款、項というようなところで見ておりまして、その裏にある行為というものについてはなかなかチェックできなかったということでございまして、今後予算の編成あるいは予算の執行面にわたりましても、私どものできる範囲内で厳重に注意してまいりたいと思います。
  263. 青山丘

    ○青山委員 今回は内部告発によってようやく明らかになってきたのですけれども、このような大規模な不正経理、しかも組織ぐるみの不正。一つには、本社、支社、各建設局すべてで行われてきた。それが組織ぐるみでないという理由には逆にならない。いま一つは、出張命令は本社では部長が、支社では課長がそれぞれ社として出してこられた。これは管理者すべてが知っておられたことに違いない。いま一つは、人事の交流があったわけです。運輸省からも出向者があったはずです。また、天下って理事になって行かれた方もあったはずです。そして出向者交流は、出向者が戻ってきておられるので、その事実を運輸省も知らなかったと言うことは許されない、知っていたのですよ。それは鉄建公団をかばってきた運輸省にもやはり同等の責任があると言わなければならぬと思うのです。これが一つ。そして、組織ぐるみであったと思わざるを得ませんが、鉄建公団総裁はどのような御見解でしょう。
  264. 山地進

    山地政府委員 先生の御指摘のとおり、鉄建公団には現在も二十人以上の者が行っておりまして、半分くらいの者はまた運輸省へ戻ってくるわけでございます。それらの者が運輸省の組織の中において、鉄建公団のこういった不正について何らかの報告をするということが別にございませんで、私どもの鉄道監督局が監督しておるわけでございますが、そういった事実関係については、私どもとしてはまことに申しわけございませんが触れる機会がなかったということでございます。
  265. 仁杉巖

    仁杉参考人 組織ぐるみであったかというその言葉でございますが、実は私も着任以後、すぐいろいろと調べてみますと、各支社あるいは局によりましてやり方がかなり違っておると申しますか、たとえば札幌支社とか青函建設局等では、空超勤見合いの空出張は全然行われてない、本社もやっておりません。雑費的なものにつきましては全支社、局等が行っているということでございまして、本社で幹部の者が集まって談合して地方に流したということではないようでございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、会議費等は正規に立てればいいものが大分あると私は思っておりますが、そういうものに関しましても非常に安易に空出張で処理をした、それが横の方にだんだん広がってしまったのではないか。そういう意味で、横に広がって全部で行われているとすれば組織ぐるみということになるかもしれませんが、本社で謀議をしてそれを流して行われたということではないので、事実の経過の中で結果的にそうなっているというふうに私はいま見ております。
  266. 青山丘

    ○青山委員 こんな不正経理が理事会なりで合議をなされて行われたといったらそれは救いようがありませんよ。しかし、一つ一つの不正、汚職、汚濁といいますか、その積み重ねで鉄建全体が冒されていたことはお認めになりますね。総裁は最近総裁になられたから、過去の事実を余り御存じないかもしれませんけれども、現在明らかにされている時点で、鉄建公団全体が不正に冒されていたことはお認めになりますね。
  267. 仁杉巖

    仁杉参考人 その事実は確かにございます。
  268. 青山丘

    ○青山委員 やはり鉄建公団全体でこの不正経理に対する最後の結末というものはしていただかなければならぬと思うのです。それは、総裁以下六人の免職あるいはたしか十五名でしたか六名でしたか減給、戒告その他で第一次の処分をなされましたけれども、それは一時的な処理であって、将来は公団全体でこの不正経理の決着をつけるべきだと私は思います。その辺の総裁の御見解はいかがですか。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  269. 仁杉巖

    仁杉参考人 仰せのとおりでございまして、まず第一、公金を扱っているという意識あるいはあらゆる法律、規則等を厳格に守るという気持ち、こういうものをまず職員一人一人が持つということでございます。それ以外にもいろいろ細かいことはございますが、それと後処理ということにつきましては、職員も非常に反省いたしまして私どもに協力してくれるという話もございますので、できるだけ皆様方の御非難をやわらげるような方向をとって処理していきたいというふうに考えております。
  270. 青山丘

    ○青山委員 鉄建公団としてはできるだけということですけれども、具体的にはどんなことを考えておられますか。
  271. 仁杉巖

    仁杉参考人 これはまだ運輸省等にも御報告してございません、ごく私見でございますが、五十四年度分につきましては決算がまだ済んでおりませんので、その中できちっと処理できるものはできるかどうかということを一つ検討しております。もう一つ、五十三、五十四にわたりまして会議費等で不正に支出されたものにつきましては、管理職を中心として返還することができないかどうかというような考え方、それから超勤見合いの二億六千というのがございますが、これにつきましては、先ほど私、申しましたが、証拠に足るべき資料がないのでございますけれども、全般的に見て私、そういう言い方はよくないかもしれませんが、超勤が不足ぎみであったということも考えられますので、この辺をいろいろの方と御協議いたしまして、もし認められれば税金を、源泉所得を納めるというような方向で処理ができないだろうか。いずれもまだ私の頭の中にある案でございますが、会計検査の報告がはっきり出ました段階でさらに詰めてまいりたいと思っております。
  272. 青山丘

    ○青山委員 いま私も一つ一つの問題についてお尋ねしようと思っているのです。私が言っているのはそうではなくて、えりを正して鉄建公団の正しい経理と正しい運営について国民から理解が得られる具体的な方法を考えておられるのかということです。あの不正経理の処理の問題については一つ一つ尋ねさせていただきたい。  それから、将来の問題について、それから事後処理について、いままでのやりとりを通じて感じることは、新しい総裁以下役員の皆さんがこれまでの不正経理についてできるだけ隠していきたい、こういう姿が一やはり鉄建公団はまだまだ従来の体質が残っている。納税者としての国民に対して理解が得られる態度ではないと言わざるを得ません。そういうことなんです。  そこで、一つは会計検査院から出されております質問書に対する回答を出しておられますか。  それからいま一つは、空出張によって捻出して超過勤務手当充当分として支給された分に対して回収をされるのか、返納をされるのか。それがなかなか実際むずかしいということかもしれませんけれども、新たに追徴といいますか、納税という形で処分するかもしれないという秋本総務課長さんの談話が新聞等に出ておりましたが、本来、これは所得だから新たに税金を課すという形のものではないでしょう。本当は返済するものでしょう。どうですか。
  273. 仁杉巖

    仁杉参考人 実は正式に昨日私見ましたのですが、いま至急立案をして御返事を出す段階でございます。  それから、超過勤務手当の返還というようなお話だと思いますが、これは一部の支社で空超勤のようなことが行われておる。これは本部の配分が必ずしも適切でなかったということにつながると思うのでございますが、そういうところは返還をするという方針を考えております。そのほかの部分は、先ほどから申し上げておりますように、証拠とすべき、超勤をこれだけやったという書類がございませんので、本来ならば返還ということになるかと思うのでございますが、額も非常に大きいということもございまして、そのうちできれば納税というような形で処理ができないだろうかというのが、先ほども申しましたようにこれは私の個人の考え方でございますが、いまそういうような考え方をいたしております。
  274. 青山丘

    ○青山委員 実は先に進みたいのですけれども、そういうわけにいかなくなってしまいましたが、返還させるべきだと私は思っていますよ。しかし、その根拠が明らかでない、したがってというのは意味が通じないでしょう。追徴という形で納税させる根拠があるのですか。ないにもかかわらず新たに課税させるというのはおかしいじゃないですか。
  275. 仁杉巖

    仁杉参考人 先生の御指摘のとおりでございまして、証拠の書類がきちっとしないという形のものでございますので、なかなか処理に苦慮しているところでございますが、これらにつきましては関係方面とよく御相談いたしまして、私としてはできればそうしたい、そういう方向をとりたいということを申し上げたわけでございます。
  276. 青山丘

    ○青山委員 私は納税という形は正しい解決の仕方ではないと思っています。それしか道がないということに最後はなるのかもしれませんけれども、きちっと結論を出していただきたい。  それからもう一つは、鉄建公団全体がこの不正経理に対する決着をつけるという意味で、また国民の信頼を取り戻すためのびしっとした態度を明らかにしていくためにも、管理職はもちろん公団の職員全体にその空気があるのかどうか疑わしいと思うのです。私は、まじめに働く人たちが正当な報酬を受けることは必要だと思いますよ。しかし長年にわたって不正に支給されてきた多くの鉄建の職員が、いま聞きましたらストライキをしている。それは管理職だけが困るのじゃなくて、結果は納税者に及んでいくわけです。あなたたち管理職がえりを正すと同時に職員の一人一人に対してもそういう姿勢を求めていったらどうですか。全体がそういう姿勢がなければ国民からの理解は得られませんよ。最後の決着をどのような形でつけられるのか、お尋ねします。
  277. 仁杉巖

    仁杉参考人 先生の御指摘に全く同感でございます。ただ、残念なことに、言いわけを申し上げるようでございますが、管理職は一応私に一任というかっこうをとってきてもらっておりますが、一般職員にまで及んでいるとはいま申し上げかねる状況でございます。これに対しましては、午前中に申し上げましたが、公団内の幹部と第一線職員——第一線職員は非常に一生懸命でやってくれているわけでございますが、それが働きいいようにしていくというような形の空気がまだ出ておりません。これは善後処置に追われているわれわれの能力がないと言われればそれまででございますが、できましたら国会が終わりまして手のすき次第、各理事を現地に派遣いたしまして、国民の声あるいは国会の声というものをよく皆に説明いたしまして、打って一丸となって再生に努力するという方向をとってまいりたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  278. 青山丘

    ○青山委員 実は総裁を余り責める気はしないのです。大変言いにくいことですけれども、鉄建公団というのはできるだけ近い将来、国鉄に戻られるのがいいと私は思います。国鉄の方ではありがた迷惑だと言われるかもしれませんけれども、赤字財政、どろ沼財政で苦しんでいる国鉄、一方ではやがて国鉄に戻ってくる、あるいは国鉄に移管してくる赤字ローカル線をどんどんつくられていっては、逆に国鉄の方がまた赤字の上乗せになっていく、こういうことであろうと思うのです。その点では、ある意味で国鉄の判断で建設を進めていくことの方がより国鉄のためだと私は思います。しかしそれはなかなか困難な問題もあるでしょう。地方の地域の生活者にとっては切実な鉄道に対する要請、地方の気持ち、地域の気持ち、それと同時に公共輸送をもっともっとサービスを向上させていくという運輸省姿勢、そして赤字財政に苦しむ国鉄との兼ね合い、なかなか困難であろうと思いますけれども、しかし赤字予備軍をどんどんつくっていくという考え方、受けとめ方を国民はみんなしているのです。そういう意味で、やがてその赤字の穴埋めはわれわれがしなければいけないと国民は思っているのですから——私はそう思う。余りこの問題で深追いしたくないのです。  運輸大臣にお尋ねしますが、十一月二十七日、閣議後の記者会見で運輸大臣は、「日本鉄道建設公団は、国鉄の地方新線、私鉄新線などの工事を手がけており、必要がある。」存続の必要があるという意味だろうと思います。しかし、その後で「自民党とも相談してみないとどうにもならない。」加えて「政府は自民党の出先だから……」という発言をなさっておられますが、運輸大臣、これは記憶にありますか。
  279. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 鉄建公団のあり方につきましては、現在青函隧道あるいは新幹線あるいはAB線あるいはCD線というような工事を進捗中でございますから、これの将来についてはある程度こういう使命が終わる時点において十分考慮したい、私はこういうことを実は再々申しておるわけであります。  政府は自由民主党の出先であると言ったというように新聞に出ておりますが、そういうことを言った覚えはないのでありまして、私は自由民主党の閣僚でございますから自由民主党と不離一体であることはもちろん当然でありますけれども、別に出先官庁ではないわけでありますから、その点はぜひ誤解のないように御解釈を願いたいと思います。
  280. 青山丘

    ○青山委員 言っておりませんか。
  281. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 言っておりません。
  282. 青山丘

    ○青山委員 どういう新聞の報道なのか、運輸大臣の発言として政府は自民党の出先だから自民党とも相談してみないとと報道されたことはあります。そう報道されました。それは言っておられないというのですから深追いはしませんけれども、一昨日の自民党の行財政調査会で昭和五十七、八年ころ青函トンネルと上越新幹線の完成を待って鉄建公団の廃止をさせる、こういうニュースが流れました。運輸大臣の御見解はいかがですか。
  283. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 そのような報道が流れているということを聞かされております。しかし、自由民主党の行財政調査会ですか、党としてはさらにその他の機関を経てあるいは私の方へ通知があるかもしれませんが、現在のところはまだ正式に通知はございません。いま大型プロジェクトを抱えておりますので、鉄建公団は今回の不正に非常に反省をして、この不正問題の解決を積極的に図る、あるいはいま扱っている重大なプロジェクトを真剣に遂行していく、こういう決意に燃えてもらわなければなりませんし、またそのような気持ちになっていただきませんと、不測の事故が起きるようなことがありますと、これは大変大きな問題になるわけでございますから、そういう大きなプロジェクトあるいは使命を終える時点において考慮する、私はこういうことを各委員会あるいはそれぞれの立場で実は表明をしております。したがって、私はどこまでもこの態度を堅持していきたい、かように存じております。
  284. 青山丘

    ○青山委員 運輸大臣の御見解、いろいろと御配慮をされてのお言葉であろうと思って私は理解しています、こちらの一方的な理解かもしれませんけれども。しかし、国の行財政改革、行政改革、行政整理、国家の財政が非常に苦しい状況になってきて国の行政改革がこれほどまでに強く叫ばれたことはありません。あの不正経理はこれとは直接関係がないかもしれませんけれども、不正経理によって鉄建公団の存廃の問題が国民にとっては非常に重要な問題としていま考えられているのです。そしてその意味では国の財政再建の役割りを運輸大臣もまた担わなければならぬと思います。そして外貿埠頭公団ですか、あの整理の問題については聞いておりますけれども、鉄建公団の存廃については運輸大臣がみずからはっきり国民に国鉄なりに合併させる、鉄建公団そのものは廃止するという言明をすることが国民に対して一番誠実な大臣の態度ではないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  285. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 行政改革と申しますか、あるいは十三兆円まで上る補助金の中のむだなものの整理とか、こういうものはこのたびの大平内閣の大きな課題であり、責任でございます。したがって、これはもう意欲的に取り上げて、これを何としてもなし遂げていきたい、これが私ども考え方であります。  ただ、鉄建公団の問題につきましては、たまたま不正問題で国民の皆様方の大変な御批判を受けております。それが即全く国のためにならない公団であるというふうに判断されておることについては私は実は大変残念に思っておるわけでございます。私ども考えておりますことは、いわゆる不要なもの、むだなもの、なくても済むようなもの、こういうものに国民の税金を使っていくべきではない、この際思い切って改革すべきだというふうに判断しておりますので、このたびの不正を発端としまして、鉄建公団が不要である、こういう意見が出ましたことを大変遺憾に存じ、この辺のところはもう少し私どもも十分検討して国民の御判断も仰ぎたい、また委員各位の御意見も伺いたい、かように考えております。
  286. 青山丘

    ○青山委員 鉄建公団が必要ないから廃止してもいいと言っているのじゃないのです。鉄建公団のいたしてきた役割は認めているのです。もとは国鉄の建設局でしょう。  国鉄の高木総裁に最後にお尋ねしますが、あなたの本音はどうかわかりませんけれども、国鉄も赤字軽減のために乗客が一日四千人以下のローカル線はバス輸送に転換するなど整理する考えだ、こう言われております。鉄建公団が建設中のローカル新線は大半がやがてこの基準に当てはまってくる路線ではないか、開業すれば赤字が出てくることが予想されるのに国鉄がそれをかぶっていくのは御免だ、こういう感覚で国民は受けとめているのですが、高木総裁はどんなお考えでしょうか。
  287. 高木文雄

    ○高木説明員 現在、在来ローカル線の赤字が大変多い、これが国鉄の経営を圧迫いたしておる、そこで、これをある程度バス輸送の方に切り換えさせていただきたいと考えております。そのときに片っ方で建設線が建設されておって、それをいずれまた私の方でお引き受けしなければならない、そこの整合性がいささか欠けておるということは事実でございます。したがって、何とか在来線の今後のあり方の問題と地方在来線、ローカル線のあり方の問題と現在建設中のいわゆるAB線の扱いの問題等についてバランスのとれた処理をお願いいたしたいということを切に希望いたしております。  しかし、そのことと、現在鉄建公団がやっていらっしゃる仕事を私どもの方に引き受けないかということとはちょっと別の話でございまして、私どもといたしましては、建設をだれがやるかという問題とは別に、もっと基本的にそうした線区をどういうふうにしたらいいかということについて各般の御検討をいただきたいわけでございまして、私の方がその建設をお引き受けすればそれでうまくいくという問題ではございませんので、いまの組織変更論につきましては、私どもも何とか御勘弁願いたいという意味で消極的な気持ちでおります。
  288. 青山丘

    ○青山委員 最後に一点お尋ねして質問を閉じたいと思いますが、国鉄はどんどん赤字がふえてきておる。財政再建に本当に苦しんできている。その国鉄の外側で赤字路線をどんどんつくっていく、赤字予備軍をつくっていく勢力を認めていくということ自体が行政上矛盾があるのではないか。その矛盾に対して手を染めないで、管理監督者である運輸大臣がこの問題に真剣に取り組まないで——五十七、八年には考えるということですけれども、国民に対してその方向性をはっきり言明されることが運輸大臣の責任だと私は思うのです。いかがでしょう。お尋ねして質問を終わります。
  289. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 鉄建公団が行っている中で特にAB線の問題が非常に大きな問題になっております。いま国鉄は三K赤字の親玉でございまして、これをどうやって再建していくかということが大変大きな問題であります。そしていまの地方交通線をどのような形で処理していくかということをいま検討しているわけであります。したがって、非常に地方の要望の多いAB線におきましても、地方交通線をどう対処するかということで地方の市議会あるいは自治体、こういう向きといまいろいろ相談しております。したがって、AB線の問題についても、黒字になるというようなものは別かもしれませんが、いまお話しのようにどう考えても赤字になるというようなものは、そういう地方交通線対策がある程度めどがつくまではたとえ予算がついても一時ストップするという態度をとっていきたい、かように私は思っております。
  290. 青山丘

    ○青山委員 終わります。
  291. 古屋亨

    古屋委員長 渡部正郎君。
  292. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 いただいております時間が大変短いので、二、三の点について簡潔に御質問させていただきますのでお答えの方もぜひ簡潔にお願いしたいと思います。  まず赤字ローカル線についてお尋ねいたします。これは運輸省の方にお伺いしたいと思いますが、国鉄だけではなくて民営鉄道も含めての話でございます。  人員輸送につきまして、人数で数えた場合と人キロで数えた場合とで、全体の人員輸送の中で定期券を使っておられる人の比率、あるいは人キロの比率がおわかりでしたら教えていただきたい。
  293. 山地進

    山地政府委員 いま資料を調べる間、ちょっと時間をいただきたいと思います。
  294. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 それではちょっと調べていただくことにいたしまして、ついでにもしおわかりだったらお伺いしたいのですけれども、主要国におきましていまわが国について御質問した点でもしも二、三おわかりになっているような国があれば、定期券乗客の比率、人数と人キロについて主要国と日本と比較した場合、大体同じような形になっているものか、それとも非常に違う形になっているものか、教えていただきたいと思います。
  295. 山地進

    山地政府委員 これもあわせていまちょっと調べさせていただきます。
  296. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 大変細かい質問で恐縮でございます。それではちょっと関連して違った角度からお伺いしたいと思いますけれども、主要国と比較してのことは後で申し上げますが、日本の場合に、国民一人当たりのレールの長さ、それから国民一人当たり一年間に鉄道というものを一体どれだけ利用しているものか。国民一人当たりで計算した場合の年間に乗っている延べキロ数がもしおわかりでしたら、これも教えていただきたい。
  297. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 国鉄の方からお答えさせていただきます。  いま先生の御指摘の点でございますが、一人当たりの線路の長さでございますけれども日本が〇・一九メートル、イギリスが〇・三二メートル、フランスが〇・六四メートル、イタリアが〇・二九メートルという形になっております。それから、一人当たりの乗車キロ、一年でございますが、これが日本は大体千七百五十三キロでございます。これに対しまして、英国が五百二十四キロ、フランスが九百七十一キロ、イタリアが六百七十九キロとなっております。  なお、先ほど御質問になりました点で、定期券と普通客の割合でございますが、約七十億人の年間の乗客に対しまして、普通が二十四億人、定期が四十五億人、大体三五用対六五%というような全国の比率でございます。
  298. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 いまお答えになりました数字は何年の数字かお伺いしたいのと、それから、ほかの国も国鉄だけを取り出した場合の比較ですか。
  299. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 最初に申し上げました各国鉄道統計は一九七七年でございますから二年前の数字になります。先ほど申し上げました定期と普通の割合は五十三年の数字でございまして、これは国鉄だけで先ほど御指摘の私鉄までは入っておりません。
  300. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 運輸省がおつくりになりました「運輸経済統計要覧」ですか、これはだれでも見られるものでございますが、今年度版によってざっと私が計算したところは、いまお答えになったのとは大分違っておりまして、もっとも国鉄だけのお話のようですから。先ほどの最初に御質問したこととも関連するわけですが、私がざっと調べたところによりますと、主要国、たくさんありますが二、三例を申し上げてみたいと思います。  国民一人当たりの線路の長さは、たとえばアメリカと比較いたしますと、日本は七分の一ぐらいしかございません。イギリスと比較すると二分の一ぐらい、フランスと比較すると四分の一ぐらい、それから西独と比較すると三分の一ぐらいで、国民一人当たりの線路の長さというのは、民鉄も入れて日本は非常に少ないのでございます。ところが、国民一人が一年間に電車といいますか、列車に乗る距離を比べますと、民鉄を入れてでございますが、驚くなかれ日本はざっとアメリカの三十九倍ぐらい、英国と比べますと四十三倍ぐらいになっている。ヨーロッパのフランス、ドイツなどと比べましても三倍ないし四倍になっている。要するに非常に短い線路にたくさん乗っているというのが日本の鉄道利用の非常な特異性でございまして、なぜそんなに日本人が線路が短いのにたくさん列車に乗っているかということです。これもお聞きしたいところでございますが、時間の関係で御質問は省略いたしますが、ほかの国と比べまして定期券で乗っている人が非常に多いのじゃないかと私は思います。  そうなりますと、定期券の中には通勤と通学とあるわけでございますが、そこで最初にお伺いしたように、赤字ローカル線、いろいろ状況は違うと思いますけれども、いま赤字ローカル線として廃止を考えておられます国鉄についてですが、その中で一体定期券で乗っている人、ことに学生、通学で乗っている人は人数にしてどのぐらいあるものか、あるいは乗っている距離にしてどのぐらいのものか、いまお答えいただかなくても結構ですが、そういうことは十分検討された上で赤字対象路線というものを決めておられるのかどうなのか、それとも単に採算がとれるとれないという観点からだけ赤字路線を決めておられるのか、いままでの検討の経過に関連して御質問したいと思います。
  301. 高木文雄

    ○高木説明員 現在私どもが一応の案として考えておりますのは、一日当たり乗っていただいている数が二千人以下のところについてはバスでもいいのではないかということで、そこをやめさせていただきたいというふうに考えております。  そこの実態はどうかと申しますと、線区ごとに多少の相違はございましょうけれども、ほとんどが定期客でございます。しかも定期客のうちほとんど全部と言っていいくらいの数が学生さんだという場合が多いわけでございます。それはなぜかと申しますと、そういう地域はかなりもう道路も整備されてきておりますので、多くの方が自家用車を利用されるわけですけれども、通勤客の場合、あるいは学生の場合は特に自動車運転ができないわけでございますから、そこでバスまたは国鉄によらざるを得ない。その場合に非常に多くの地域でバスの定期券のお値段とわが国鉄の方のお値段が著しく違っておるわけでございまして、国鉄が安いわけでございます。したがって、学生さんを送り出される親御さんの立場から言いますと、やはりどうしても安い国鉄で通学させたいということになるわけでございまして、それだけに私どもの方もそう簡単にやめるというわけにもいかない、学生さんの足を奪うことになってはいけない、それを具体的にどういう方法で現に利用していらっしゃる住民の方々理解を求めながらバスに切りかえることができるかということが最大のむずかしい問題でございまして、またバスとの関係で、現にバスが走っておりましてもバスに乗らずにわずかな方がうちの方に乗っていただいているという現状をどう理解していいかということに悩まされておるわけでございます。
  302. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 いまの御答弁のように、ローカル線の場合、赤字路線の場合にも通学が非常に多いところが数が多いというふうに私も理解しているわけでございますけれども、通学のための定期券利用者、これは会社員か何かで通勤のバスをもらう場合には会社側が定期券の代金を払うというようなことをやりますけれども、学生の場合には完全に家計負担になってしまうわけでございますバスに切りかえて問題が起こらないような個所もあるとは思いますけれども、やはり通学の場合には通勤以上に時間的な信頼度というものが非常に問題でございまして、学校におくれては話にならないわけでございます。そういう点でバスを運行した場合に定時制が保てるか、時間的な信頼度をいまの国鉄と同じぐらいに保てるかどうかという大問題があると思いますし、いま総裁がちょっとお触れになりましたように、家計の負担の場合、料金が違ってくるという問題もあろうかと思います。時間がないから詳しいことを御質問するのはやめますけれども、果たしてバスに切りかえた場合に国鉄の赤字がどれだけ減るものやら、国全体としてバスを走らせるためにはまたいろいろなことをやらなければいけないでしょうし、国全体のバランスシートの中でバスに切りかえるということが本当にいい政策なのかどうかという問題もあろうと思います。またエネルギーの観点からの問題もあるように思いますし、ことに積雪地帯なんかにおきまして、冬期間バスを走らせて完全に時間どおり学校に送り届けるということについては相当問題があるのじゃないかと思います。学生だけのことを言うわけじゃございませんけれども、その点を十分検討されまして、単にもうからないからやめるという単純な発想ではなしに、通学というのは本当にもう子供の生活にとっては不可欠のものになっているわけでございますから、十分検討されて、赤字路線の廃止ないしは縮小というものをお考えいただくように要望いたしまして、次に移りたいと思います。  これも大変細かいことをお聞きして恐縮でございますが、国鉄の方どなたでも結構でございますが、お答えできるならお答えいただきたいと思います。  東北地方には東北本線と奥羽本線と二本走っておりますけれども、これで現在運行しております特急の本数、もしおわかりでしたらお知らせいただきたいと思います。
  303. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 お答えいたします。  いまちょっと正確に調べたものがございませんが、東北本線で大体一時間に「ひばり」が一本、それに盛岡、青森あたりを加えまして大体昼行の特急で一日に三十本かそこいらじゃないかと思います。それから奥羽線につきましては、「つばさ」あるいは「やまばと」といったようなものがございますので十本以下であると思います。
  304. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 私が調べたところによりますと、臨時列車等もありますのでちょっと計算の仕方がむずかしいのですが、東北本線は二十七本通っておりまして、奥羽本線は六本しか通っておりません。  ところで、福島県と青森県にはさまれております二つずつの県、太平洋岸には岩手と宮城がございまして、日本海側には秋田と山形があるわけでございます。それぞれの二県を足しまして一体人口でどれだけの差があるだろうかということ、それから県民純生産、両方足した場合にどれだけの差があるかというのを計算いたしますと、岩手、宮城を足した場合と秋田、山形を足した場合ですけれども、大体十対七ぐらいの差しかございません。それから福島から東北本線を通って青森に行くキロ数と奥羽本線を通って行くキロ数とではほとんど差がございません。そういうことから考えますと、私の申し上げたことは正しいと仮定しての話でございますが、経済的にも人口的にも十対七ぐらいの差しかないところになぜ特急の運行だけは二十七対六というような大きな差をつけているのか、その理由は一体どういうことなのか、これは国鉄の方にお伺いしたいと思います。
  305. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 御承知のように東北本線の場合には、いま先生のお言葉のような宮城、岩手のほかに青森あるいは北海道向けのお客様を東北本線を通じて運んでおるという事情がございますので、輸送量的に言っても奥羽本線と実際はかなり違うというようなことが実際の本数に反映しておるわけでありまして、輸送サービスとして一個列車当たりどの程度の水準であるかということについてはそれほどの差は実際にはないわけでございます。そういったようなところが本数の差になってあらわれておるというふうに考えております。
  306. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 あと時間が五分しかないそうでございますので先を急ぎますが、東北新幹線はいつ開通するのでしょうか。それと奥羽本線との関連をどう考えておられるのか、ごく簡潔にお答えいただきたいと思います。
  307. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 新幹線の開業は五十六年秋ということで考えております。その際に奥羽線のダイヤの関係はどうかということでございますが、いままで東海道新幹線それから山陽新幹線の開業の例もございますし、大体の考え方といたしましては、高速列車はできるだけ新幹線に持ってきて、それで並行の在来線は普通列車でもって新幹線と接続する。しかし、分岐駅から出ますような線につきましては、その駅から新幹線と接続をする列車を出しまして、両方で最大限いいサービスができるというような形をとりたいというふうに基本的には考えております。
  308. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 奥羽地方というのは奥羽山脈で二分されておりまして、従来東北本線、奥羽本線というのは大動脈、いわば生命線としてあったわけでございます。東北新幹線が開通することによりまして秋田、山形の両県がただ接続線だけでもうみんな太平洋岸に引っ張られるということになりますと、私はいろいろ問題があろうと思います。時間がないので詳しいことは申し上げませんけれども、在来の奥羽本線と東北新幹線の関係につきましては、単に利便ということではなくて経済の大動脈であるということがございますので、その点十分考慮してやっていただきたいと思います。  それから、最後になりましたけれども鉄道建設公団の方にお伺いいたしますが、鉄道建設公団の職員の中で技術者は一体何人おられるのか、その技術者の中でトンネルの専門の技術者は何人おられるのか、それを伺いたいと思います。
  309. 藤田雅弘

    藤田参考人 お答え申し上げます。  公団の技術職員は現在三千四百人のうち二千二百人ほどおります。そのうち土木関係の技術者が大体千六百人ほどございまして、あと電気、機械等の技術者、そういうことであります。
  310. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 トンネルの専門の技術者の数のお答えがなかったわけでありますけれども……。
  311. 藤田雅弘

    藤田参考人 その土木技術者の千六百人のうちの大部分がトンネルの技術者でございます。ほとんどトンネルをやっておりますので、そういうことでございます。
  312. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 青函トンネルが完成いたしまして大清水トンネルが完成いたしますと、あとトンネルの計画があるのかないのか知りませんけれども、もし現在鉄建公団に問題が起こっているということで鉄建公団が現在やっております業務自体を縮小していくという方向に向かうとすると、私は、トンネルの技術者、これが失職してしまうのじゃないかということを非常に心配しているわけでございまして、ちょうどアメリカのNASAのプロジェクトが終わりましたときにNASAの技術者が失業して非常に困ったということがあるわけでございますけれども、何か上越新幹線と青函トンネルが終わったらどうするというような話も先ほど来出ておるわけでございますが、実質的に鉄道を建設するという事業自体を縮小するということは、ことに省エネルギーの見地から考えますと非常に問題があろうと私は思っておるわけでございますが、直接的にはトンネルの技術者というのは一体どうなるのだろうという心配をしております。  その辺のこともございまして、時間がありませんので、最後に取りまとめて運輸大臣と国鉄総裁にお伺いしたいと思いますけれども、確かに現有鉄道建設公団につきましては不正経理の問題とかあるいは行政整理の問題でいろいろな問題が出ておりますが、先ほどお答えがなかったので残念でございますけれども日本の鉄道の利用のされ方というのはほかの先進国に比べて非常に特異性がございます。これは日本のモータリゼーションというのは短期間に起こったということとも関連があるのだろうと思いますけれども、その辺のことを考えますと、これは赤字だからといって鉄道をやめてしまうという単純な発想にはなかなかいかない問題がまだまだ残っているように思いますし、ことに大量輸送機関としての鉄道というものを考えますと、省エネルギーの政策からいきましても鉄道というものを見直すべき時期にあると思います。財政赤字の問題は非常に深刻でございますし、不正経理の問題も大変遺憾なことだと思いますけれども、それはそれとして私は省エネルギーの問題、日本の鉄道の利用の仕方の特異性から考えてむしろ鉄道を見直すべきではないかという考えを持っているわけでございます。  そういうことに関連いたしまして、交通全体のあるいは運輸全体の体系の問題という大きい問題もございますけれども運輸省なり鉄建公団の方方が、不正経理だから申しわけないから小さくします、なくしますとかあるいは行政整理だからこの対象にしますというようなことは、それはその問題として、本当に今日における鉄道、将来の鉄道というものに対して一体どういう考えを基本的に持っておられるのか、大臣と総裁にお伺いして質問を終わりたいと思います。
  313. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 現在日本人口は一億一千五百万でございます。最近の若い世代の御夫婦は子供さんを産む率が大分少なくなりまして、十数年前ですと、若い世代の御夫婦に子供を何人つくるかと伺うと、三人という人が五〇%以上おられました。最近若い世代の御夫婦に子供さんを何人つくるかと言うと、一人でいいというのが五〇%以上になりました。そんな関係人口増加率は大分減ってきております。しかし、二十一世紀あるいは二千十年ごろまでに日本人口はまだ二千万人以上ふえる、少なくとも一億三千五百万あるいは一億四千万ぐらいで静止人口になるのではないか、こういうふうな統計あるいはその他学者の意見がございます。  そこで、いま大平内閣は田園都市構想というようなものを持っておりますし、またこれから産業公害対策、いろいろなものもございますから、狭い国土でありますけれども、それでも広く展開をしていかなければならない、こういうような問題もあります。いま一時的に財政が非常に困難である。ですから、いますぐ新しい新幹線に着手するわけにはいかないとか、あるいはAB線などについても、いま慎重に地方開発線等も考えながらいろいろ将来のAB線の対策も考えていかなければならない、こういうことは申し上げているわけですが、しかし日本の経済なり日本人のエネルギーというものは世界に冠たるものを持っていると私は思います。したがって、将来は、相当大きな人口構造の変化に伴って、地方の開発なり地方の発展なり地方の文化なり、そういうものがいろいろ変わっていくものではなかろうかと思います。いま、一時的な現象によってすぐ何でもかんでもあきらめてしまう、全部やめてしまうというような考え方はするべきではないと私は思います。われわれの子孫のためにも、二十一世紀を展望しながら、このような考え方を持つべきだと私は思います。  そうなりますと、いま鉄建公団等で働いている世界一の優秀な技術者というものは、私はぜひ温存していきたい。今度の行政改革という問題でいろいろ御批判がありますが、反面、優秀な技術者を伝統的に温存していきたいという気持ちを私は非常に強く持っておるわけであります。したがって、先般来、無責任にただ廃止する——十分その時点において考えますということを申し上げておるのは、実はそういう気持ちもあるわけでございまして、その点ぜひ御理解いただきたいと思います。
  314. 高木文雄

    ○高木説明員 私どもは当面の経営の立て直しに非常に苦心しております関係もありまして、いまの大臣の御答弁のように、もう少し気宇広大であるべきかもわかりませんが、どうもちょっとそこまで行きかねる感じでございます。そこで、私どもとしては、非常に長い間、明治以来今日まで日本の大動脈としての国鉄という考え方が基本にあったわけでございますが、最近のお客様の好みから言いますと、長距離はやはり飛行機に相当分野をお願いせざるを得ないのではないかと考えております。しかし飛行機でも自動車でもうまくいかない、むしろ鉄道がうまくいくという分野が多多あるわけでございまして、それは、やはり大都市における通勤輸送、通学輸送の問題、もう一つは、五百キロないし七百キロぐらいの区間の輸送につきましては、なかなか道路でもいずれ賄い切れなくなると思いますので、むしろその辺に主体を置いて当面のいろいろなプランを立ててまいりたいと思っております。なお、エネルギーの問題がどうなりますかによりまして全体の考え方が変わってくるかと思います。ただ、現在問題になっております非常にお客さんの少ない地区について見ますと、何しろずうたいの大きな車両を走らせるものでございますから、地方のローカル線につきましては鉄道の方がエネルギー効率が悪いバスの方がエネルギー効率が明らかによろしいということになっておりますので、そういう見地から言いましても、地方の非常にお客さんの少ない線区についてはバスに転換することが、エネルギー議論からいきましても、また経営論からいきましても望ましいのではないかと考えております。
  315. 渡部正郎

    ○渡部(正)委員 大変結構な御意見をいただいたわけでございますが、財政の問題も非常に深刻な問題でございますし、また公務員ないしは準公務員のモラルというのも、これは非常に大事な問題だとは思いますけれども、いまや地方の時代を控えて、またエネルギーの問題も控えているわけでございまして、私は、日本の鉄道というものをいまこそ長期的な計画を立てるべきだと考えておるわけでございまして、長期展望に立ちまして、鉄道本来の任務といいますか業務が、モラルの問題や財政の問題に隠されてしまって、余りに財政的、余りにモラル的に問題をお考えにならないように運輸大臣と国鉄総裁に強く要望いたしまして質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  316. 古屋亨

    古屋委員長 次回は、来る十一日午前十時理事会、午前十時半委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会