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1979-11-20 第89回国会 参議院 法務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十一月二十日(火曜日)    午後二時六分開会     —————————————    委員異動  十一月十六日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     宮本 顕治君  十一月十九日     辞任         補欠選任      平井 卓志君     永野 嚴雄君      金井 元彦君     園田 清充君      宮本 顕治君     内藤  功君  十一月二十日     辞任         補欠選任      加瀬  完君     小谷  守君      阿具根 登君     吉田 正雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         峯山 昭範君     理 事                 上田  稔君                 永野 嚴雄君                 寺田 熊雄君                 宮崎 正義君     委 員                 大石 武一君                 熊谷太三郎君                 野呂田芳成君                 八木 一郎君                 赤桐  操君                 小谷  守君                 吉田 正雄君                 内藤  功君                 橋本  敦君                 江田 五月君    国務大臣        法 務 大 臣  倉石 忠雄君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       伊東 正義君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局刑事局長   岡垣  勲君    事務局側        常任委員会専門        員        奥村 俊光君    説明員        法務省刑事局長  前田  宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (倉石法務大臣発言問題に関する件)     —————————————
  2. 峯山昭範

    委員長峯山昭範君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、宮本顕治君、平井卓志君及び金井元彦君が委員辞任され、その補欠として内藤功君、永野嚴雄君及び園田清充君が選任されました。  また、本日、加瀬完君及び阿具根登君が委員辞任され、その補欠として小谷守君及び吉田正雄君が選任されました。     —————————————
  3. 峯山昭範

    委員長峯山昭範君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事辞任に伴い、現在、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 峯山昭範

    委員長峯山昭範君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事永野嚴雄君を指名いたします。     —————————————
  5. 峯山昭範

    委員長峯山昭範君) 検察及び裁判運営等に関する調査を議題といたします。  この際、倉石法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石法務大臣
  6. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 去る十一月九日、私が法務大臣に就任いたしました直後の記者会見におきまして、ロッキード事件裁判について感想を求められて申し述べましたことについて、いろいろと御批判を受け、世間をお騒がせいたす結果となり、恐縮いたしております。  このようなことを申し述べましたのは、法務大臣と現に進行中の裁判とは直接関係がないとの前提のもとに、個人的な感想あるいは印象といったものを尋ねられたからでありまして、私としては法務大臣立場から具体的裁判について所見を申し述べる意図は毛頭なかったのであります。  わが国においては三権分立の制度が確立しており、裁判所には厳正中立にして公正無私の伝統がございます上、制度の上からも、法務大臣が現に係属中の裁判を左右するようなことはできないのでありますから、私のこうした発言が、現に進行中の裁判影響を及ぼすことは全くないと存ずるのであります。  しかしながら、法の執行の最高責任者たる法務大臣として、国民誤解を招くような発言をいたしましたことは遺憾であり、反省いたしておるところでございまして、ここに国民の代表である皆様方の前におわびを申し上げるとともに、今後このようなことがないよう十分注意してまいる所存でございます。どうぞよろしく御了承願います。
  7. 峯山昭範

    委員長峯山昭範君) 質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ただいま法務大臣から、先般の記者会見でのお話について、まあ弁明がございました。この弁明は一応私どもとしてお聞きはしますけれども、それによって私ども法務大臣に対する、あなたに対する基本的な立場が変更を見るわけのものではありません。  これからこの問題についていろいろとお尋ねをしたいと思いますが、まずその前に、大臣は四十三年の二月六日、農林大臣としてなさいました記者会見、これは、あなたの国会における議事録を拝見いたしますと、記者会見後の雑談であるということになっておりますが、そのときのお話、これは当時の予算委員会議事録を拝見いたしますと、質問をいたします社会党の柳田さん、あるいは公明党の議員の方などの御質問を見ますと、あなたが「軍艦大砲背景に持たなければだめだ。他国の誠意と信義に信頼している憲法は他力本願だ。」「佐藤首相も“平和憲法”をいっているけれど腹のなかではくすぐったいだろう。こんなばかばかしい憲法を持っている日本はメカケみたいなもので自立する根拠がない。」「日本も原爆を持って三十万人の軍隊でもあったら……」ということをあなたがお話しされたということで質問が行われ、あなたはそれに対して、この新聞報道は「だいぶ誇張と粉飾があるようでありまして、私の真意を伝えておりません。」という答弁をなさっていらっしゃる。しかし、それにもかかわらず、あなたは四十三年の二月二十三日に辞任をなさっておるわけですね。  そこで私は、この際あなたにまず第一にお尋ねしたいのは、現行憲法に対するあなたの認識をお伺いしたい。あなたは現行憲法に対してどういう御意見を持っていらっしゃるのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  9. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 現に存在いたしておりますわが国憲法は、そのまま尊重すべきものであると存じております。
  10. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたはこの問題で国会のいろいろな質問をお受けになったときに、日本外交軍艦大砲軍事力背景がなければだめだということをおっしゃったことはお認めになっているようですね。いまもその御意見はお変わりはないんですか。
  11. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 当時私は、いまお話のございましたように、閣議後の記者会見が済んで、後に数名残った人たちとコーヒーを飲みながら雑談をいたしたということでありまして、その当時のことは大分時間もたっておりますので、記憶が正確でなくなっております。
  12. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたが辞任までなさったその問題に関して記憶がないというのは何事でしょうか。  それでは、いま伺います。あなたは現在の時点で、やはり日本外交はそうした軍事力背景がなければだめだといまでも思っていらっしゃるのですか、その点お伺いしましょう。
  13. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これは、私が法務大臣としてここに参上をいたしておりますので、軽々しく私の私的なことを申し上げる——もう記憶も薄らいでおりますし、時間もたっておりますので、御遠慮を申し上げたいと存じます。
  14. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 国務大臣憲法第九十九条によって憲法を遵守するという基本的な責務を負っておられること、これは御存じでしょうね。
  15. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 憲法はそのまま尊重をすべきものであると存じております。
  16. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そこで私は、あなたが昭和四十三年に憲法の評価について——いまお忘れになったとおっしゃいますから、ですから、いまあなたがそれについてどう言ったかという記憶を喚起しようと考えて御質問したんではないんです。現在の時点でやはりあなたは、日本外交には大砲軍艦やそういう軍事的な背景がなければだめだとお考えになっていらっしゃるかどうか、それを伺っています。それをあなたは法務大臣としてどうだろうかとおっしゃいますが、あなたは国務大臣ですよ。国務大臣はやはりそうした憲法を尊重する責務があるということをお認めになりましたね、あなた。それでしたら、いまの憲法の第九条その他の解釈について明確な認識をお持ちでなければならないはずです。そこでお伺いしている。お答えください。
  17. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私ども所属党には憲法調査会等もございますけれども、いまだに私どもの周辺においても憲法は研究しておる方々もたくさんおられるようでありますけれども、これについて私が固定した考えを持っておるわけではありませんで、遵法すべきものであるということが私の基本的なたてまえであります。
  18. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣、私の質問をよく聞いてからお答えいただきたいんですが、私は、あなたが——いいですか、これは四十三年の二月七日、衆議院予算委員会議録第三号にあるあなたの御答弁を、いま私が御披露申し上げるのですが、「われわれが青年時代に、国際連盟というものがありました時代に、チェコスロバキアのベネシュという有名な外務大臣がありまして、かなり大国を手玉にはとりましたけれども、やっぱりそのバックがチェコという国であるので、彼の手腕にも限界があった。したがって、いま国際連合の中でも、大国といわれるのはアメリカであり、ソビエトロシアであり、そういう国々が大国と常にいわれておるのだ、われわれはそういうことを考えてみると、いま申しましたように、軍事力の伴わない国家外交というものは世界歴史の上においてやっぱり限界があるんだなあと、こういうふうにも思い、そのようにも話しました。」こう言っていらっしゃるんですよ、あなた。御答弁なさっていらっしゃる。そういう憲法に対する御理解は現在の時点でもお変わりがないのか、あるいは日本憲法理解として、平和国家の理念に徹すべきものと考えていらっしゃるのか、そのどちらかをお伺いしておるんです。
  19. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたように、現存憲法はどこまでも遵守すべきものであるという考え方であります。
  20. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これは委員長にお願いしたいんですが、倉石法務大臣が私の質問に対してお答えになっていないんですね。私の質問に対してお答えをいただきたいんです……。  あなたは、やはり日本外交軍事力背景を伴わなければだめだとお考えになっていらっしゃるのか、現在の時点ではそうでもないと、日本外交は全方位外交平和外交に徹すればそれで足ると考えていらっしゃるのか、その間憲法理解についてあなたの御認識に変化があったかどうかをお伺いしているんです。お答えください。
  21. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私はただいま、先ほど申し上げましたように、現存する憲法は厳として遵守すべきものであると考えております。
  22. 峯山昭範

    委員長峯山昭範君) ちょっと速記とめてください。    〔午後二時二十分速記中止〕    〔午後二時五十六分速記開始
  23. 峯山昭範

    委員長峯山昭範君) それでは速記を起こしてください。  倉石法務大臣
  24. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は国務大臣として、あくまで憲法を遵守して内閣外交、防衛に対処することは当然のことと考えております。御指摘発言が、このような私の真意に反したように理解されているようなので、この際これを取り消したいと……
  25. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ちょっと大臣最後の御発言はっきり聞こえませんので、もう一回おっしゃってください。
  26. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 最後のところに申し上げましたのは——指摘発言がこのような私の真意に反するように理解されているようなので、この際これを取り消します。
  27. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣が四十三年二月六日の農林大臣としての御発言のかなめのところをお取り消しになったようですから……。  それでは、今回の五十四年十一月九日の記者会見、初閣議後の記者会見での御発言についてお尋ねをいたします。  これは初閣議後の記者会見で、ロッキード事件公判についての感想を求められた際に、ロ事件被告らについて青天白日を願うという趣旨の御発言をなさったことは間違いないんでしょうか。
  28. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 当日は初閣議に続く記者会見でございましたため、午後一時ごろから約二十五分にわたり会見をし、まず閣議内容報告をし、閣議において総理の言われました綱紀粛正行政改革等についてお話をし、次に抱負を聞かれたので、法務省は従前から司法の独立、国民の権利の保全といった理想に向かって進んできたのであり、各所にしっかりした人たちがいるので、こうした人たち十分手腕、力量を発揮されるようにしていきたい旨を申し述べました。  続いて、昨今の疑惑、不正支払い等に関連して政治倫理の確立、政界浄化について問われました。選挙制度の改善など、かねて私の考えていたことを申し述べました。  その後で一人の記者から、もとより法務省裁判とは一線を画するものだがと前置きして、ロッキード公判についての個人的印象ないしは感想を聞かれたわけでありますが、私は不幸にして党務多忙のためこの裁判のことはほとんど知らないので、お話をするほどこの裁判のことは知らないと申し上げました。その際、同じ国会議員としての立場から個人的な気持ちをつけ加えたのでありますが、その他別の記者から、党関係とか行政改革について一、二の質問があったと思っております。  以上がその概要でございます。
  29. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうしますと、当時は新聞記者の方で個人的な感想を聞くと、国会議員としての、一国会議員としての個人的な感想を聞くという前置きであなたに対する質問があったのでしょうか。
  30. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これ、こっちから問い合わせておるわけではございませんで、いまお答えいたしましたのがそのままでございます。
  31. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ちょっと君、後ろにおって何か知恵つけぬでね。  大臣ね、いまあなたは国会議員としての個人的な感想を聞かれたんだとおっしゃったでしょう。そういうことを新聞記者があなたに言ったんですか、あなたは単にそういうふうに理解しただけなのか、新聞記者がそう言われたのか、その点の事実を伺っているんです。
  32. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 別にその記録を持っているわけではありませんから、正確なことは、いま私が申し上げたのが正確なところでございますが、私に聞かれたのはどっちともはっきりいたしませんけれども個人的なことだと。そうでなければ、裁判に移っているものを法務大臣にお聞きになるはずはないと思うんであります。先ほど申しましたように、当面閣議の問題その他綱紀粛正等の指示があったこと等について、法務大臣としての閣議後の会見を終わったところでありますから、そういうふうに申し上げていいかと思います。
  33. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それでは、一応大臣のおっしゃることをお聞きした上で、大臣のおっしゃったことについてお伺いをしますが、これらの公判にいまひっかかっておる人々、つまり被告人として裁判を受けておる人々がいままで懇意な方であるので、公明正大で、そして青天白日の身になられることを希望するという趣旨のことをおっしゃったことは間違いないんですか。
  34. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 大体私が先ほど申し上げました程度のことを申したわけでございます。
  35. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 時間がたちますので、大臣、端的にお答えいただきたいんですよ。いま私が申し上げたことは、おっしゃったのか。これは新聞が一斉に書いておりますでしょう、あなた御存じでしょう。ですから、それをおっしゃったのか、おっしゃってないのか、端的にお答えください。
  36. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げた程度記憶でございます。
  37. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これはまた同じようなことを繰り返しますが、大臣、あなたも政治家でいらっしゃる、正直でなければいけないでしょう。御記憶がないということはないでしょう。ですから、やはり正直にありのままにお答えください。それが私、政治家として本当にとるべき態度だと思いますよ。大臣も同意見でしょう。ですから、国民が全部この事実については本当のことを知りたいというふうに考えているわけですね。ごまかして通れることじゃありません。あなたは、個人的感想であるかどうかは別として、ロッキード事件被告人たちが公明正大で、そして青天白日の身になることを希望するということをおっしゃったのか、おっしゃってないのか、忘れてしまったのか、端的にお答えください。ごまかして通ることじゃないでしょう。
  38. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私が、いまの会見が済みまして外出するときに、テレビで何か報道があったというので、そのことを聞きまして、これは誤解があるなと思いましたので、午後にまた一度会見をこちらから求めまして、そのとき私が申したことを申し上げます……
  39. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それはいいです、大臣。私の聞いているのはそういうことじゃないです。おわかりでしょう。
  40. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) まあ聞いてください。  御指摘発言の経緯を申し上げますと、これは法務大臣に就任し、初めて登庁いたしました直後の記者会見の席において、閣議報告やら、抱負政治倫理の確立等主要な質問の後、最後に出た質問が、もとより法務省裁判とは一線を画するものだがと前置きをされて、そして、ロッキード裁判についての印象ないしは感想をということでありましたが、不幸にして私は、先ほど申し上げましたように、党務多忙のためこの裁判状況等については最近全く存じなかったので、何も申し上げることはできないと考え、その旨をお答えいたしたのでありますが、同じ国会議員としての立場から、これに個人的感想をつけ加えて申し述べたものであります。したがって、具体的事件に関して法務大臣としての所見を述べたものではありません。ただ国民皆様誤解を与えるならば、これはまことに遺憾なことであり、その意味からも、法務大臣発言の重みを痛切に感じておる次第であります。こういうことをつけ加えて記者方々お話をいたした、こういう経過であります。
  41. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたはこの委員会の冒頭に遺憾の意を表明された、そうですね。それから、いまはまた誤解を招いたので第二回目の釈明をしたということをおっしゃって、その釈明文を読み上げられた。ですから、誤解を受けたその文言についていまお尋ねをしたわけです。これはまた後で伺います。  官房長官のお時間があるようですから……。  官房長官は、今回のこの倉石法務大臣発言についてどのような報告を受けていらっしゃるのでしょう。
  42. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) お答えする前に……。  私、官房長官伊東でございます。いろいろお世話になります。どうぞ就任しましたのでよろしくお願い申し上げます。  いま御質問でございますが、法相法務大臣の御発言があったということを伺いましたので、これは新聞社の方から伺ったのでございますが、何か誤解があるといかぬと思いまして、法相に直接私が、電話でございましたが、お尋ねをしたのでございます。法務大臣からは、いま御答弁のようなお話がございまして、裁判を左右する、そんな影響のあるような、裁判の公正を疑わしめるような発言をしたのじゃないということのお話がございましたので、誤解があるといけませんから、もう一度釈明をされたらいかがでしょうかというようなことを私は当日申したことはございます。そして総理には、遅くなりましたが、法務大臣との御連絡をした結果を法務大臣から直接総理にもお話しになった方がいいじゃないでしょうかということを申し上げて、夜遅かった——何時ごろかいま記憶ありませんが、夜遅かったのでございますが、法務大臣から総理にも直接お電話があったということでございました。経過はそのとおりでございます。
  43. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 で、あなたがあなたなりのお立場で事実を調査なさいまして、いま私も法務大臣に直接お尋ねをしましたが、各新聞が一斉に報道しておることですね。法務大臣個人的感想とおっしゃるが、ロッキード事件関係者が公明正大で青天白日の身になることを希望するという発言をしたという点は、法務大臣認めておられたのですか、あなたに対して。あなたはその事実を把握せられましたか。
  44. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私は一語一語は聞いておりませんが、テレビ等で、当日実はNHKに別の討論会で私行っておったものですから、テレビ等でそういう発言があったことは見たり聞いたりしたのでございます。それで、私としましては、法務大臣裁判を左右されるようなことを言われるはずは、これはもう絶対ないということをかたく信じております。ただ、誤解を招くような発言があるとまずいですから、再度釈明された方がいいじゃないでしょうかということを申し上げ、総理にも実は話したわけでございますが、総理も次の日の記者会見で、誤解を招くような発言は慎むようにという注意を喚起してあるというような、記者会見の場で総理もやったのでございまして、私もその点は同じような考え方でございます。
  45. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いまお話したような誤解を招く発言のその内容なんですけれども、じゃあ官房長官、その誤解を招くような発言というのは、内容はどういうことですか。
  46. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 法務大臣発言裁判の公正を左右するような、影響があるような発言誤解を招くおそれがあるから、そういう発言はまさかされたのではないと思いますが、お互いに慎むようにというようなことで、総理からも法相注意を喚起するということでございます。
  47. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 誤解を招くような発言をしてはいけないという、その注意総理大臣がなさったことはわかりましたが、どの点が誤解を招いたという認識なんですか。全然誤解を招くような発言がなければ、総理大臣がことさらに御注意なさることはないでしょう。どういう点の発言誤解を招いたのでしょう。その誤解を招いた発言内容を、あなたなり大平総理はどのように把握なさったのですか。
  48. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 法務大臣個人ではあるがということで発言をされたわけでございます。ですから、それが直接、法務大臣は係争になっている裁判を左右しようなんで思って言われたことじゃ絶対にないというふうに私は信じておりますが、そういうことが個人資格でも発言されますと誤解を招くおそれがありますから、そういうことは慎まれるようにということで、総理大臣注意を喚起するということだと思います。
  49. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 何か同じようなことを——官房長官、これはやはり法務大臣にもお願いしたい、あなたにもお願いしますから。ありのままに事実を答弁されたらいかがでしょう。誤解を招くような発言、たとえ個人立場においてであっても、誤解を招くような発言があっては相ならぬということで御注意なさったというのでしょう。だから、全然そういう事実がないのに誤解を招いたり、あなた方が注意をなさったりすることはないでしょう。だから誤解を招いたという、その発言内容を私はお尋ねしているのです。おわかりでしょう、私の質問意味が。どういうふうにあなたは把握されておりますか。
  50. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私もお答えしたのですが、個人資格ではあるがと言っておっしゃった、全部言葉を私は覚えておりませんが、おっしゃったわけですよ。そのことを私は言っているわけでございます。
  51. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 その内容を聞いているんです。はっきりおっしゃってください、時間ばかりたちますから。覚えてないんですか、あなたは。覚えてないのに誤解を招いたというふうにいまおっしゃるのですか。覚えていらっしゃるでしょう、法務大臣がどの点の誤解を招いたのか。
  52. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) どうおっしゃったかということは、私は全部は覚えてないんです。それはもう御了解していただきたいと思うんですが、その中で、個人資格ではあるが自分も長年政界に出たので、その友人のということを言われたわけでございますので、その点のどこが——私は誤解を招くといかぬということを申し上げておるので、私は一々いま言葉は覚えてないのでございますが、そういうことでおっしゃったのでございます。
  53. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 官房長官、それじゃ私の方から申しましょう。個人立場ではあるけれども、長年の友人がいま公判に係っておる、それらの人々青天白日の身になることを友人として希望すると、その発言誤解を招いたということなんでしょう、そうでしょう。
  54. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ちょっとそれについて私から。  この点につきましては、私、個人的な感情が入ってそういうことを申したのでありますが、これはそれこそ多くの誤解を生じやすいのでありますので、この点についてはまことに私は、皆さん方国民を代表する方々に対しても相済まぬことであると思っておる次第であります。どうも質問を聞いておりまして、あなたの個人的なお考えでもという言葉もありましたし、そういうことで私が、長年の友人たちのことであるからまことにお気の毒だというような気持ちで申したわけでございます。その点をひとつ御理解をいただきたいと思います。
  55. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま法務大臣がおっしゃいましたが、そういう気持ちで言われたんでございますが、それが、法務大臣として誤解を招きかねない発言は慎まれた方がいいじゃないかということで総理注意を喚起したわけでございまして、さっきからお答えしているとおりなんです。
  56. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 官房長官の時間がありますので、ほかの先生方に譲りますから。
  57. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま官房長官、いろいろお話がありましたけれども、ロッキードの疑獄だとかあるいは航空機疑惑事件等、国会で真相を十分に究明していなかったわけですね。その疑惑解明に、言うならばふたをしているような状態であったという中において、今度の新閣僚の発表で、法務大臣発言等で、国民が今回の大平首相のもとに結束されたという内容を非常に疑い、また軽視するというような形で、これでいいのかなという率直な気持ちがあるのです。いまお話を伺っておりましても、真剣に倉石法務大臣官房長官がひざ突きでその問題について本当に話したのかどうなのかということを伺ってみると、電話でやりとりしたということで、この法務委員会に出席を私どもは要請いたしました。少なくともその内容は覚えてないじゃなくて、内容は十分承知していて臨んだんだと、こういうふうに私どもは解釈しているわけです。そういう意味から、官房長官としてこの問題についてどういうふうな今後の考え方を持っていかれようとしているのか、その点伺っておきたいと思います。
  58. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 先ほどお答えしましたように、法務大臣とは早速電話で連絡し、釈明をされた方がいいじゃないですかという御注意を申し上げ、法務大臣からも総理大臣に直接御連絡をしてくださいということを、当日すぐに実は申し上げたわけでございます。  それで、その後の経緯でございますが、総理記者会見でも、先ほど申し上げましたような、法務大臣注意を喚起するということを自分はやったんだという記者会見もされ、法務大臣にも閣議が始まる前にお会いになって同趣旨のこともまた言われるというようなことで現在まで至っておるのでございます。  法務大臣がいまここでるる御説明されましたように、私どもはそれで法務大臣真意は了解できたと、しかし、今後はひとつ慎んで、誤解を招く発言は慎んでいただきたいというのが率直な私の意見でございます。
  59. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 お話によりますと、新聞記者方々個人的で結構だからというような趣旨質問法務大臣にされたというふうに、私はいま伺ったわけですが、そういうふうにとらえてよろしいんでしょうか。法務大臣に伺って、それから長官に今度は聞きます。
  60. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 閣議後の記者会見は、先ほど私がここで御報告いたしましたように、すべて済んだ後でございますので、実は裁判進行上のことなどお尋ねいただくとは思っておりませんでしたけれども、お気持ちはいかがですかというふうなお問いがあったのでお答えをいたしたと、こういうことであります。
  61. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 官房長官、いま御答弁がありました。個人的にという前提のもとだから、法務大臣という立場の、新任をされた法務大臣という立場——おなかの中にはだれでもそう思っています、国民もそう思っています。法務大臣個人的な立場だからといってそれで済まされるものなのかどうなのか、長官の場合はどういうふうにお考えになりますか。おとりになりますか。
  62. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま法務大臣がおっしゃいましたように、終わりましてから個人的にと言ってお話しされたということを実は承りまして、それで私ども率直な気持ちを申し上げますと、個人的とおっしゃいましても、まあ世間から見ればそれが誤解を招くおそれがあるということであれば、やっぱりそういう発言はなるべく慎んでいただきたいというのが、私ども並びに総理注意を喚起したというのはそういうことでございます。
  63. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 長官の立場だったらどうしますかということを聞いたわけです。
  64. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私は総理と同じ考えでございまして、法務大臣にひとつ御注意を申し上げて、今後そういうことのないようにという御注意を申し上げるというのが私の考えでございます。
  65. 橋本敦

    ○橋本敦君 官房長官に伺いますが、問題の法務大臣発言が、要するに大事な部分、それが法務大臣は、いわゆるロ事件関係の皆さんとは懇意な人たちである、だからしたがって、公明正大で青天白日になることを友人として念願していると、こういうことをおっしゃったこの事実は、官房長官も明確に認められるわけですか。
  66. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 記者会見の後で、個人的と言って法務大臣が御発言になったということは伺っております。
  67. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃ、いま私が指摘した部分は確認をされておるわけですね。  官房長官に伺いますが、いまあの重大なロッキード事件について、検察当局は、東京地裁の公判で公訴の維持、つまり起訴された事実の立証に向けて全力を挙げて検察官は奮闘しておる、そのことについて官房長官はよく御存じでしょうね。
  68. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 新聞で私は見てるんでございますが、そのとおりだと思っております。
  69. 橋本敦

    ○橋本敦君 また大平内閣が口事件の徹底解明という、そういう立場に立つならば、そういう検察官の努力は大いに大平内閣として、これは本当に期待をし、かつ進めるべき——進めるといいますか、期待をする性質のものであると、このことも間違いありませんか。
  70. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 裁判は本当に公正無私、厳正に行われるものだと、外部から何もこれは支配されたり影響されるものではないというふうに私は信じております。
  71. 橋本敦

    ○橋本敦君 それは裁判ということで検察官がそういう努力をされていることを、大平内閣として当然のことだと認識しておられますね。
  72. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) それはもう裁判になって、事件になりまして、片や検察という、片や弁護士ということでやっておるわけでございますから、お話のとおりのことであります。
  73. 橋本敦

    ○橋本敦君 はい、わかりました。  そうすると、一方、個人的見解だとおっしゃるが、青天白日の身になることを期待されるということは、青天白日とはどういうことか。これはどの漢和辞典を引っ張って見ても無罪になることだということが書いてあるでしょう、そうでしょう。個人的見解だと言いながらでも、法務大臣が口事件の人たちが無罪になることを期待するということを、いやしくも個人的見解だと称しながらでも述べてよいことですか。検察官は一方で公訴事実の立証に全力を挙げている。法務大臣個人的と言いながら、その人たちが無罪になることを公然と期待をする、この責任についてどう思われますか。個人的にはそういうことを言ったって、注意すりゃ足りるという程度ですか。
  74. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 先ほどから申し上げておりますように、個人的と言ってお断りになっても、御発言になりましたことがいろいろな誤解国民の皆さんに与えるようなことになってはまずいというふうに思いまして、私も、再度会見をされて真意をお述べになった方がいいだろう、総理からも誤解を招くような発言は慎むようにという注意があったわけでございまして、この御発言があった直後から、そういうことで御注意を願いますということを私は申し上げたのでございます。
  75. 橋本敦

    ○橋本敦君 私の質問に明確に政府の責任で答えてほしい。いま私が指摘した問題の重要性、官房長官理解いただけるでしょうね。検察官は有罪に、立証に向けて全力を挙げている。検察官の職責なんです。ところが、法務大臣個人意見だと、こう言いながらでも無罪になることを期待するとはっきり公言された、大問題じゃないですか、官房長官。これが誤解を招いたということで、誤解を招くような発言は今後注意せよで済むことですか。現に重大な発言なさっているわけでしょう。これに対して、法務大臣を任命された大平総理並びに内閣として、こういう法務大臣個人的見解だと言いながら口事件の人たちが無罪になることを期待すると公然とおっしゃる、重大な政治責任の問題じゃないですか。誤解を招かないようという今後の注意を与えただけで済む、大平内閣はそれでいいと思うんですか。それで本当に大平内閣は徹底的に口事件を解明するという、そういう責任に立っている内閣だと言えますか。もっと内閣としての責任をはっきりさせる、この発言についての政治的責任をはっきりさせる、この必要がありませんか。当然じゃありませんか。どうお考えですか。
  76. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 先ほどから申し上げましたように、日本裁判というものは、私は非常に厳正中立公正無私なものだと思っておりまして、個人的ないろいろな発言とかその他のことで絶対に左右されるものじゃないと私は信じております。で、法務大臣の御発言も、裁判を左右するなんという、そういうことを全然考えておられたんじゃなくて、記者会見の終わった後で、本当に個人的な友情といいますか、そういうことで御発言になったのでございまして、それがしかし誤解を招くといかぬから、そういうことは慎んでいただきたいということで、総理からも御注意を申し上げたのでございまして、私は、法務大臣発言の問題はそれでけりをつけているというふうに思っておるわけでございます。
  77. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間が来たということですからあれですが、いまのような官房長官答弁では絶対納得いきませんよ。誤解を招くから注意するということで内閣の処置が終わったということで、この重大な問題の政治的責任は解消しません。官房長官がいまのような答弁なら、委員長、当然総理を次回にでも結構ですからお願いをして、内閣としての問題の処理について徹底的に究明をしたい。そのことを明らかにして、一応官房長官への質問を終わります。
  78. 江田五月

    ○江田五月君 もう時間がないようですから、簡単に伺いますから、端的にお答え願いたいんですが、ただいま問題になっております法務大臣発言誤解を招くような発言であったということは、これはそのとおりですね。
  79. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 誤解を招くおそれがありますから、そういう発言は慎まれるようにということを総理から申し上げました。
  80. 江田五月

    ○江田五月君 その誤解というのは、裁判の結果を法務大臣が左右しているということですか。
  81. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いまの御質問でございますが、国民の皆さんがそういう報道を受けたときに、そういう法務大臣発言裁判を左右するようなことになるんじゃないかというようなことを考える人もあったらそれはまずいと、そういうことで言われたんじゃ全然ないんだから、誤解を招くおそれがあるような発言は慎んでいただきたい、こういうことだと思います。
  82. 江田五月

    ○江田五月君 ですから、法務大臣裁判の結果を左右しているというように理解をされたら、それが誤解になってはなはだ困るからという、だから注意をされたと、そういうことでよろしいわけですか。
  83. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま係争中のこれは事案でございますので、そういう事案に関係したことを、個人としても言われることは、それに影響を与えるようなことがあるというようなことを思われては大変だから、そういう誤解を招くような発言は慎んでいただきたいと、こういう意味でございます。
  84. 江田五月

    ○江田五月君 ところで、制度上、法務大臣はこの裁判の結果を左右するようなことはあるんですか、ないんですか。
  85. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) これは裁判というのはもう厳正な、中立、本当に公平無私なものでございますから、もうそういうことは絶対にないということを私は信じております。
  86. 江田五月

    ○江田五月君 しかし、法務大臣検察官をワンクッション置いてではありますが、指揮するんじゃありませんか。
  87. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私は、法務大臣がそういうことを考え——これを左右するなんということを絶対考えられたものじゃないというふうに思っております。
  88. 江田五月

    ○江田五月君 制度上と伺っておるんですが、いま現在の制度では、法務大臣公判に立ち会っている検察官の立証活動、公訴官としての活動をいろいろ指揮することはあり得るんじゃありませんか。
  89. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 検察官の任命はありますから、理論的にはそういうことが言われるかもしれませんけれども日本検察もこれはもう本当に厳正中立で、社会公正のためにやっておるわけでございますから、いま法務大臣がおっしゃったことでそれを左右するなんということは絶対に考えておられない、そういうことでございます。
  90. 江田五月

    ○江田五月君 ちょっとその、理論的にはかもしれないとおっしゃったんですが、理論的にはそういうことですね。
  91. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) それは任命権者であるということだけは間違いありません、これは。だけれども、それ以上のことでこの問題について左右されるというようなことは絶対に考えておられぬということを申し上げたわけであります。
  92. 峯山昭範

    委員長峯山昭範君) じゃあ、官房長官ありがとうございました。
  93. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 法務大臣、引き続いてお尋ねをしますが、あなたは最終的には、まあ個人的な感想ではあったけれどもロ事件関係者は懇意な人たちであるから、公明正大で青天白日になられることを友人として念願しておるということをおっしゃったようですが、このロ事件関係者というのは、政治家としては田中角榮、橋本登美三郎、佐藤孝行の三人でありますが、これは御存じでしょうね。
  94. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 改めてどなたかというふうなこと、いまお名前がありましたけれども、はっきりはよく存じておりません。
  95. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ロッキード事件は、御承知のように日本の政界を震駭さした事件ですね。そして衆参両院でロ事件の徹底究明についての国会決議があったこと、これは覚えていらっしゃいますか。
  96. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 国会の決議というのは、実は私はよく存じておりませんが……。
  97. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これはまた重大なことを伺いました。  あなたは、それじゃ伺いますがね、五十一年二月二十三日当時は衆議院議員でいらっしゃいましたか。
  98. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 衆議院議員でございます。
  99. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうしますと、衆議院本会議でロッキード問題に関する決議という決議をしておることをあなたは全く御存じないわけですな。
  100. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ちょっとお尋ねいたしますが、五十一年何月……。
  101. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 五十一年二月二十三日。
  102. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 五十一年という年は、私、選挙区に県会議員補欠選挙がありまして、それに行っておりましてかぜを引きまして、強烈なぜんそくにかかって労災病院に入院いたして一カ月余りおりました。ちょうどそのころのことだと思いますが、正確な記憶を持っておりませんです。
  103. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたがこの決議のときに、衆議院のその決議に加わっていらっしゃったかどうかということは私もつまびらかにいたしておりません。しかし、日本の政界を震駭さしたあのロッキード事件につきまして、国会が本会議で決議をしたこと、これを御存じないというのはどういうものでしょうか。  それからこの決議の前後に、衆参両院の議長裁定というものがございましてね、それに基づいてロッキード委員会というものが国会の中に設けられたこと、これもそうしますと全然御存じないでしょうか。
  104. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それは存じております。
  105. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 田中角榮氏が逮捕されたことは覚えていらっしゃいますね。
  106. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 存じております。
  107. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 橋本登美三郎氏が逮捕されたこと、佐藤孝行氏が逮捕されたことは御記憶はありますか。
  108. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 存じております。
  109. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうしますと、この三人がロッキード事件被告人であるということは御存じなんじゃないでしょうか。
  110. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 存じております。
  111. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、あなたが年来の友人であるので、青天白日となることを希望しておるとおっしゃったのは、この三人以外にはないんじゃないでしょうか。ほかにありますか。
  112. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 特定の人を頭に浮かべてしゃべってしまったわけではありませんで、漠然とただああいう事件にひっかかった人に対する長年の友情で、その方が強く出たということについて大変私は遺憾であると、こういうことを申し上げておるわけであります。
  113. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣、ちょっと普通の常識ではあなたのおっしゃることが理解できないんですが、長年の友情というようなものは、特定の人間でなければ考え得られないことですよ。一般の友人なんていうものでどうして長年の友情ということが言えますか。一般の人、どういう意味ですか、それは。特定の人、特定の友人であればこそ、長年の友情の発露ということが考えられるのでしょう。特定の人以外に何で長年の友情なんていうことが、あなたの長年の友情からの発露としてあり得ますか。あんまりあなた、自分の責任を何とかして逃れようと思って、常識で考え得られないような御答弁をなさると、かえって政治家としてのいろいろな批判をお受けになるんじゃないでしょうか。率直にありのままの事実をおっしゃっていただくように私は希望しますがね、いかがでしょう。
  114. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 率直に申し上げまして、私は当時、具体的な人物を思い浮かべながらその人の裁判の結果がどうなるかというふうなことを考えていなかったのでありまして、ただ、同じ国会議員として長い間おつき合いをいたしておった方を考えますと、気の毒だなあという感じが友人としてありましたので、それを率直に述べたまでのことであります。
  115. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣、冷静にお考えください。長い間の友人、そして友情から発した言葉だとおっしゃる。その長い間の友人というのは、ロ事件関係者と言われる。ロ事件関係者で現に裁判を受けているのは、あなたも御存じの三人ですよ。それが特定の人でなくて何なんでしょう。ロ事件関係者なんでしょう。現に裁判を受けておる人についておっしゃったんでしょう。いかがですか。
  116. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いま申し上げましたように、特定の人を思い浮かべながら申したのではありませんで、私の友人としての感情を申し述べたということに御理解をいただきたいと思います。
  117. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 どうしてもあなたのおっしゃることは理解できない。ロ事件関係者で友人である、それが特定していない、不特定多数の人間だとおっしゃる。そうですか。
  118. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたとおりであります。
  119. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたの御答弁は、とても正常な感覚では理解できないんですよ。私は、あえてあなたを非難したりなんかする気持ちは全くないですよ。ただ、あなたの御答弁が、正直で、ありのままであってほしいと願うんです。ロ事件関係者、長年の友人、それに対する友情としてあなたがおっしゃったとあなたはいままで御答弁になった。それがどうして特定の人間でないのです、どうして不特定の多数になるんです。そんな支離滅裂な答弁がありますか。もう一遍お答えください。
  120. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたとおりであります。
  121. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたはそれで法務大臣として真っ当な答弁だと思われますか。全然常識で考えられないじゃありませんか。あなたがまじめにお答えになっているとしますと、あなたの道理の感覚といいますか、論理的な筋道をお考えになる能力といいますか、そういうものを疑わざるを得ません。  いま私が、官房長官に対する質問の時間がございますので、ほかの方々質問をお譲りしましたんですが、そのときにもうすでに出てしまいましたけれども法務大臣検察庁法で、検察官の事務について検察官を一般に指揮監督できること、個々の事件の処理については検事総長を指揮できること、そういう制度になっておることは御存じでしょうか。
  122. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 存じております。
  123. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 検察官が公判維持のために公判で主張、立証をすることが、検察官の職務として非常に大きなウエートを占めておること、これは御存じでしょうか。
  124. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) この際申し上げますが、検察権も御存じのように行政権の一部でございますから、内閣は行政権の行使について国会に対して連帯して責任を負うとの原則から申せば、内閣の一員である法務大臣検察権の行使についても必要な指揮監督権がなければならないと考えておるわけでありますが、検察は司法権の作用と密接な関連を持ちまして、いわば司法に準ずる性格を有するものでありますから、これに対する法務大臣の指揮監督権にも、性質上当然の制約があるものと考えるのでございます。検察庁法もこの趣旨を含んでいるものと解されるのでございまして、私といたしましては、具体的事件の捜査や処置に関連してはすべて検事総長を信頼いたしまして、かりそめにもその意思に反するような指揮をすることはいたさない所存でございます。
  125. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いまの法務大臣のおっしゃることは、私はそのとおりだと思います。それはいいですが、検察官のその職務ですね、その職務の中に、公判維持のために公判廷で検察官の主張を述べ、犯罪事実の立証をするということは、検察官の職務の重要な部分を占めているということは御存じでしょうか。
  126. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そのとおりだと存じます。
  127. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そしていま同僚の各議員からもお尋ねがございましたように、ロッキード事件に、五十一年以来、検事総長以下検察庁が全力を挙げて取り組み、そして証拠を固めて起訴したこと、これは御存じでしょうね。
  128. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そのとおりだと存じます。
  129. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 その検察官が全力を挙げて捜査をし、そして総理大臣の犯罪を立証する証拠を固めて起訴しました。その検察官の業績について、その検察官の仕事について、あなたは御信頼になっているんですか、それとも信頼はなさっておられないんですか、どちらです。
  130. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は、わが国裁判所及び検察当局に対して全幅の信頼をいたしております。司法当局が今後も従来のよき伝統を守り、不偏不党、厳正公平な立場を堅持されることを確信いたしております。
  131. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたは日本検察庁、検察官が全力を挙げて取り組んだその仕事を御信頼になっていらっしゃるんでしょう、起訴したことも。そうすると、その結果については、当然検察官のそうした業績が生かされること、それが裁判においてもよき結果を生むこと、これを信頼、信用しておられるんじゃないでしょうか。
  132. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたとおり、信頼をいたしております。
  133. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうといたしますと、あなたは法務大臣としての立場で、検察官が総理大臣の犯罪を捜査し、そして証拠を固め、これを起訴したことに対して全幅の信頼をおいているならば、あなたの法務大臣としての認識と、あなたは個人としてではあっても、そうした口事件の関係者青天白日の身となるということ、そういうあなたの願望とは相矛盾するものになりますね。おわかりですか。
  134. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほども申し上げましたように、私が個人的な立場のことを聞かれましたので、ついその方を強く出しましたことについて、これは大変な誤解を生ずるおそれがあると、こういうふうに理解をいたしたわけであります。
  135. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうしますと、あなた御自身も、やはり法務大臣としてのお立場と、あなたがおっしゃった個人的な願望とは相矛盾し相反するものであるということは、あなた御自身もいまはちゃんと認識していらっしゃるわけですね。
  136. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたように、誤解を生ずるような結果になりましたことはまことに国民の代表者である皆様方に相済まぬことであると、こういうふうに存じておるということを先ほども申し上げたとおりでございます。
  137. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 まあ大臣誤解を招いたことも事実でしょうし、それからあなたの個人的なお立場が先に出てしまったということ、それはまあ適当でなかったこと、これはまあそのとおりなんですよ。ただ、私はいま申し上げましたように、あなたの法務大臣としての御職責、それからそのお立場と、あなたが先ほど口事件の関係者青天白日の身となるという個人的な願望をあなたが新聞記者方々お話をなさったその事実と、その願望と、あなたの法務大臣としての御職責とは相入れないもの、相反するものでしょうねとお尋ねしているんです。それはそのとおり肯定なさっていいんじゃないでしょうか。だからあなたは、あれでしょう、誤解を招いたということをあえておっしゃるわけでしょう。そのとおりでしょう。
  138. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) その点は、先ほどお答えいたしましたとおりでございます。
  139. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 どういうことなんでしょうね。  それからもう一つ、大平内閣の大きな政策の中に綱紀粛正ということがあることは御存じですか。
  140. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) よく存じております。
  141. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それから、これはほかの政党のことを申し上げてはなんですけれども、自由民主党の党内でも金権体質を改めなければいけないという意見が非常に強いこと、これも御存じでしょうか。
  142. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) よく存じております。
  143. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そういたしますとね、あなたはまず綱紀粛正を積極的に推進するお立場にあります、法務大臣として。いわゆる汚職事件というようなもの、これはもう徹底的に究明していくと、その先頭に立たなければならない、そういうお立場にあることは御存じでしょうか。
  144. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 綱紀粛正あるいは政治倫理の確立等につきましては、政府も全力を挙げてこれに努力をいたしていく決意でございます。
  145. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 で、あなたは法務大臣としてその先頭に立たなければならないお立場にあること、おわかりですか。お認めになりますか。
  146. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) よく認識をいたしておる次第であります。
  147. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうといたしますと、法務大臣としては、これからもやはり汚職事件の被告人となっているような方々をかばうような御発言は、これからもなさらぬでしょうね。
  148. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これはもう先ほど来たびたび申し上げているとおりでございます。
  149. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたの御決意を伺っているんです。そういうような、たとえ友人ではあっても、汚職事件の被告人として現在公判に付せられているような人々をかばうような御発言は今後はなさらぬでしょうね、そういう御決意があるんでしょうね。それとも、やはり友情として今後もかばうおつもりなのか、その点をお伺いしてますが。
  150. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 十分にそういう点は注意してまいるつもりでございます。
  151. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 注意してどうするんです。注意してどうなさるんです。あなたの御職責を表に出すのか、そういう汚職の被告人を、たとえ友人ではあってもかばうようなことがまたあるのか、どちらなんです。端的にお答えくださいよ。
  152. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 法務大臣として内閣の強く主張いたしております綱紀粛正政治倫理の確立には、私ども全力を挙げて立ち向かってまいるつもりであります。
  153. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それから、先ほどあなたはこのロッキード事件に関する衆参両院の国会決議も御存じないとおっしゃった。これはずいぶん問題になる発言なんですよ、あなた。いまこれについてのあなたの御責任をどういうふうにして問うかということは、私はいま特に申し上げませんけれどもね。台閣に列せられる方々が衆参両院の重要な決議を全然知らないということは、非常に問題の発言だと思います。  それはまあひとまずおきまして、あなたが党務にせわしいためにロ事件内容を知るすべもないとおっしゃった言葉は、これどういうことでしょうか。いまでもロ事件内容御存じないんですか。
  154. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げました記者会見のときに、ロッキード事件に対する感想を聞かれた。そのときにつけ加えました言葉に、まだいま公判になっているんで、内容についてはいままでは詳しく知るすべもなかった、だから、これに対して意見を求められてもお答えはできませんと、こういうことをそのときに申したわけであります。
  155. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それじゃ、お伺いしますが、現在の時点では、ロッキード事件というのはどのような事実を内容とするものであるか、いまは御認識になっていらっしゃるんですか、いまだにロ事件内容御存じないというんですか、どちらでしょう。
  156. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま就任早々でございまして、事務当局から各局のいろいろな説明を聞いておる最中でありまして、まだそういう具体的な問題についてはこれから勉強するわけでございます。
  157. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これはもうただただ私どもとしては驚くだけのことなんですなあ。ロ事件内容御存じない。国民からロ事件についての感想を聞かれた場合、あなたは御答弁ができないですね。つまり、総理大臣が逮捕され、公判に付せられるというようなことは、御承知のように、内閣制度ができまして恐らく初めてでしょう。そういう政界を震駭させた事件について内容だに知らない。これは、ただ驚くべきことなんです。これはどうお考えになりますか。
  158. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) なるべく早くいろいろな勉強をいたしたいと思っております。
  159. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それから、あなたは政界の浄化、政治倫理の確立について、金のかかる現在の中選挙区制度に問題があるので、そこから改めていくことが大事だとおっしゃったようですが、これはお認めになりますか。
  160. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そういうお話雑談的に後でいたしました。
  161. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうしますと、あなたはやはり小選挙区制度を採用すべきであるという御意見でしょうか。
  162. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) なかなかそれはむずかしい、選挙制度というのはむずかしいと思いますが、やっぱり諸外国の例等も参酌いたしまして、それこそ金権体質でない政治をどのようにしていくかということをいろいろな方法で政党においては勉強する必要があると思っております。
  163. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 私どもは、中選挙区制度でもお金がそうかかるものではないという認識に立っております。あなたは中選挙区制度だったら必然にお金がかかると思っていらっしゃるんでしょうか。
  164. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そういうわけでもありませんけれども、現在のような選挙制度をできるだけ、たとえば党営の選挙にするとか、金のかからないようにする必要があるんではないか、こう思っておるわけであります。
  165. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それじゃ、ずばりとお尋ねしますが、あなたは小選挙区制論者ですか。
  166. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は以前にありました選挙制度調査会のメンバーでもありまして、したがって、選挙制度というものについてはいろいろな方の御意見を承っておりますけれどもわが国にふさわしいというようなものはどうやったら、どういうものが一番いいんだろうかということを考えることが必要ではないかと思っておるわけでございます。
  167. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうしますと、小選挙区制度をとるべきか、とるべからざるかについてはまだはっきりとした御意見はお持ちでないと、そういうふうに伺っていいんでしょうか。
  168. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 同じ志を持っておる人たち選挙制度の勉強はいたしておりますが、まだ結論をみんなが出しておるというところまではまいりません。
  169. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 法務大臣にいろいろお尋ねをしました。個人としては、私もいろいろあなたのお人柄なり御性格について考えを持っておりますけれども、公人として、党の立場から申しますと、やはりあなたのいろいろな御認識、法律制度全般に対する御認識ロ事件に対する御認識その他について、やはり強い私どもは不満を持っておりますので、私どもは、あなたの法務大臣としての御責任を追及する立場は今後も続けていきたいと思います。しかし、きょうはこの程度にとどめます。  ここで刑事局長にお尋ねしますが、いまいろいろとお話をお聞きになったでしょう。あなたのこれからの大臣に対する補佐も大変だと思いますけれども、あなたは今回の法務大臣の御発言についてどういうふうな御所感を持っておられますか、それをお伺いします。
  170. 前田宏

    説明員(前田宏君) 御指摘大臣の当初の記者会見におきます発言につきましては、いろいろと御意見もあるところでございますし、本日も先ほど来御質問があったわけでございますが、私の立場からこれが適当であるとかどうとかということを申し上げることはお許し願いたいわけでございますけれども、最終的には大臣も何回か申しましたように、裁判検察に対して全幅の信頼をおいておるということを明確に申されておるわけでございますので、そのように理解をしている次第でございます。
  171. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣個人的な願望が、おのずと大臣の職責の遂行の面ににじみ出てきては困るのですね。そういう場合に、毅然として、やはりあなた方は検察の正しい立場を貫かれる、そういう御決意でしょうね。重ねてお伺いしたい。
  172. 前田宏

    説明員(前田宏君) 御指摘のとおりに努めたいと思います。
  173. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 最高裁の刑事局長にお尋ねをします。  現在の裁判制度の上で、法務大臣が、現に係属中の裁判事件について、とやかく干渉をしたり影響を与えたりすることは制度上はありません。これは、まあだれでも知っておることですがね。評論家の室伏さんなんかが新聞でいろいろ、裁判官も人の子であるから、これについてやはり影響を受けないということはないだろうと、そういう意味で、非常に不謹慎な発言であったということを言っておられる。これは新聞紙上お読みになったでしょう。あなたは今回の法務大臣発言がどういう影響を、具体的なロ事件について与えるかという問題についてお考えになったことがありますか。もしありましたら、端的におっしゃっていただきたい。
  174. 岡垣勲

    最高裁判所長官代理者(岡垣勲君) 私は、この問題につきまして具体的に何も知っていないわけでありまして、せいぜい新聞紙面の上に出ていることを読んで、その限りで知っておるというわけであります。したがって、新聞紙面に出ているだけを前提にして申し上げるわけでありますけれども、その程度のことであって、現に事件を担当している裁判官が、その事件の審理についていささかの影響を受けるというふうには考えていないわけであります。
  175. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 終わります。
  176. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 最初に大臣の御就任のあいさつの点をお伺いをしておきたいと思うんですが、要点のところだけ抜き出してお気持ちをお伺いするわけでありますが、「国民の期待する法務行政の推進のため」にという、こういうことをおっしゃっておられまして、「誠意をもって職務を遂行してまいる所存でありますので、どうかよろしくお願い申し上げます。」と。この「国民の期待する法務行政」と言われておりますけれども、今回の大臣発言国民に与えているという——先ほど誤解という言葉で取りさたを、ずっと続けてやりとりをされてまいりましたけれども、今回のその発言がすでに国民の期待を裏切っているように思えてならないんですが、この点についてお考えを聞いておきたいと思うんです。
  177. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどお答えいたしたとおりでありますが、その先ほどお答えいたしましたところでも申し上げておりますように、私が記者会見のときに申しました言葉の中に個人的な気持ちを多く出し過ぎたことによって、国民の各位に大変誤解を生ずるようなことがあったとすれば大変遺憾千万なことであるということで、それを率直に先ほど申し上げたところでございます。
  178. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは端的に、国民方々の一部の人と言えば一部でありますけれども、当時の新聞紙上で声の欄では、ほとんどの新聞国民の声を載せているわけであります。いま私が伺ったのは、こういう声をどのようにとらえられておりますのか、あるいは国民の声をどんなふうにとらえられているのか、知っている面がありましたら御答弁を願いたいと思います。
  179. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それも先ほどお答え申し上げましたとおりでありまして、私の本意は、ああいうふうに個人的な気持ちを出し過ぎたということについて、いろいろな方に誤解を生ずるようになりましたことは大変遺憾であると、こういう考え方でございます。
  180. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 具体的に幾つかお読みになったものがあれば発表願いたいということを私申し上げたんですが、時間の関係等もありますので、一つ二つその国民の声をひとつとめていただきたいと思います。「素朴だとか、率直だとかいうような問題ではとてもない。底意があって言ったのなら、なおさら問題だが、不用意で発言したのなら、倉石さんはまず法務大臣として不適格ということだ。検察に対するけん制であることは明らかで、そういうことを言いそうな人を法相に選んだという点では、大平さんの姿勢が出たと言える。大体、今回の組閣で、各閣僚のあいさつを聞いていると、行政庁の役人の綱紀粛正を言う人は多いが、政治家の倫理について厳しいことを言う人はゼロ。私は、役人の怠慢もすべては政治家のモラルの低下にあると考えており、まったく残念なことだ」。この「政治家」ということになりますと私どもも含まれるわけでありますが、いずれにいたしましても、この声の中からまた大臣に伺わなきゃならないのは、就任のあいさつの中に、「法務行政に課せられた使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあると」云々と言われております。この「法秩序の維持」という面から考えていきましても、この発言は、私は目に見えない圧力を検察陣に与えているように考えられてなりません。これは私ばかりでなくて、いまの国民の声の一人の人としても、おのずからそういうことになれば法の秩序をみずからが乱しているんじゃないかと、このように思われるわけですが、この点についてどう思われますか。
  181. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そういうただいまお読み聞けになりましたような国民大衆の意見というのは、私ども政治家としては謙虚に承る必要があると思います。  しかしながら、日本裁判検察は不覇独立で毅然たる態度でやっていてくれますので、私は安心いたしまして、その裁判検察の活動を助けるようにいたしていかなければならぬと、こういう決意でございます。
  182. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 きょうのこの法務委員会法務大臣発言によって持たれたわけであります。これはきょうの委員会の冒頭にも、発言を求められているということで釈明をなさいました。その釈明のこと、それからさらには十一月九日のあの夕刻行われた記者会見釈明をされた。なぜそういうふうに釈明釈明をしなきゃならないかという、そのもとの姿勢というものが大臣にあったように私は思うわけであります。  こうしたことから考えてみますと、先ほどの私の質問答弁にありましたように、個人的な感情であるというようなことでありますが、国民は、先ほどちょっと申し上げましたように、一人二人じゃないわけで、ほとんどの国民個人的な感情として受けとめていない、ここにあるわけです。ですから、今後も個人的な発言だと言って何を発言してもいいんだというようなことがあっては、大臣としての私は今後のあり方に対して問題がある、こういうように思うわけです。この点はどうとめられますか。
  183. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 法の執行をいたします最高責任者であります法務大臣といたしまして、国民方々誤解を招くようなことになりましたことはまことに遺憾でございまして、これを強く反省をいたし、将来の参考にいたしてやってまいりたいと思っております。   〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
  184. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣は非常に正直な面がおありだということで、私はずいぶん前には尊敬しておりました。先ほどの同僚委員質問等を伺っておりましたけれども、そのことで少しこれは考えを改めなきゃならないのかなと思われる点が出てきたわけです。  と申し上げますのは、前の話でございますけれども、これは四十五年の十二月の十五日の参議院の農水の委員会でございました。そのときに農林大臣として、これは農薬問題、農薬の取締法の問題を審議している、その大臣の御答弁、この御答弁読んでみますと、当時私の質問お答えしている。全く正直なことをおっしゃられておる。その要点だけちょっちょっと拾って読んでみますと、「私は化学工業会社の社員でありましたけれども、これは何であろうか、こんなもので」——これはDDTの問題であります。DDTがいかに恐ろしいものであるか、BHCという問題、両方取り上げたときのことなんでありますが、「こんなもので消毒ができるならば、これはいい金もうけになるなと思っておりました。やがて東京にたどりついて、私のつとめておりました会社はソーダ会社でありますので、DDTを大量に製造いたしまして、つい最近までやりました。しかし、そのころは化学のほうをやった技師がたくさんおったのでありますけれども、このDDTについて、いまほどの毒性についてだれも何とも言いませんでした。ところが最近になって、たとえば、大掃除なんていうときに区役所は畳を外へ干して、今度は入れるときには新聞紙を敷いて、DDTをまけということを長い間教えておりまして、だれもふしぎに思いませんでした。私どもはそういうことを考えてみますと、われわれの知恵が足りなかったのかもしれませんし、そういう点は不勉強であったのかもしれませんが、そういうことで、残念ながら、ことにわれわれは化学的にはしろうとでございまするので、いま一つDDTの例を申し上げましたけれども、諸般の問題にやっぱりそういうところがあったと思います。」、ずっとこう続きますけれども、省略しますけれども、これ何かと言いますと、四十一年のあれは三月の十六日の日に、予算委員会で私が農薬の問題を取り上げました。このときに指摘しておりましたものが、五年後にDDTの取り締まりの問題が出て法律の一部改正があったわけでございますが、このときの御答弁なんです。その前には、復員してきたらアメリカ軍に頭からそのDDTをかぶせられていた、それもあたりまえのことだと思っていた、こういうふうに率直に答弁なさっておられた。その正直な大臣答弁で、私はそれほどに農薬というものの害というものが恐ろしいものであるかということも知らなかった、初めて今回は知ったという率直なことをおっしゃっておられます。これは法律によって取り締まることができました。  ところが、今回の問題というのはこれから尾を引く問題だと思います。と申し上げますのは、先ほどの例の四十三年の衆議院の予算委員会の問題も、私も同じように取り上げようと思っておりました。寺田委員の方から質問がありましたから、これは私はやめますけれども、いずれにしましても、今回のあのいままでのやりとりから伺ってみますと、まことに率直といいますか、そういうものが御答弁の中にうかがわれていないというようなことを非常に残念に思うわけなんです。こういうことから考えまして、大臣発言というものは重大なことが将来も残されているんだということであります。ですから、それについては将来はそういうことは慎んでやらないというような御答弁でありますけれども、ともあれ個人的感情と言われても、またその真意報道関係誤解をしているとかいうようなことを必ず言われるわけです。四十三年のときにもこういうふうにおっしゃっております。「ただいまお読み聞けの中には、だいぶ誇張と粉飾があるようでありまして、私の真意を伝えておりません。」このように「真意を伝えておりません。」ということを言っております。それから今回の場合も同じことをやはりおっしゃっているわけですね。   〔理事上田稔君退席、委員長着席〕 「初閣議後の記者会見の際、ロッキード公判に関する私の感想を求められ述べたことについて、一部の報道には私の真意を伝えていないと思われる」、この「私の真意を伝えていないと思われる」ということは、前のときも、四十三年の問題のときにも真意を伝えていない、今度も真意を伝えていないと言って、報道関係が勝手に書き立てたんだと言わんばかりの真意を伝えていないということを言われているんです。これは報道関係方々だって黙っちゃいないと思うんですが、こういうことをおっしゃっておられる。この点についても正直さが疑われるということなんですが、こういう点についてどうなんでしょうか。
  185. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私が会見で申しましたときの気持ちが伝わっておらないという意味でございます。それを繰り返して申し上げたわけであります。
  186. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 じゃ報道が、間違って報道されたというふうにとっていいんですか。
  187. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 間違っておるとは申しませんけれども、私はもう少し個人的なことを、何と申しますか、強調し過ぎたものですから、それで誤解を生じたと、そのことのために皆様方に御心配をおかけいたしたことはまことに恐縮いたしておりますと、こういうことを申し上げておるわけであります。
  188. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 寺田委員質問にもありましたけれども、ここにこういうことも、第一回目の記者会見のときに、「私ども、これに関係のある人と言われている人は、懇意な人たちですから、これは公明正大で、青天白日になることを友人として念願している」と、先ほどもこれはずいぶん論じられました。ところが、懇意な人たちですからということ、こういうふうなことから考えますと、寺田委員質問に対して全くすれ違った御答弁をなさっているわけなんですが、懇意な人と、こういうふうに新聞報道がされているんですが、これも間違っていることになるんでしょうか。いま言いました全文ですね、いま私が読み上げました全文が間違っているとおっしゃるんですか……。  もう一度申し上げましょう。「私ども、これに関係のある人と言われている人は、懇意な人たちですから、これは公明正大で、青天白日になることを友人として念願しているけれども、不幸にして忙しくて、事件の内容とかなんとか知るすべがないわけです。新聞記事で知る程度で、党務は忙しくて、政治関係の勉強と、党員のいろいろ希望されることのお手伝いをすることとかなんとかで、忙殺されているので、ほとんどその内容を知るすべがないわけですよ。」と、こういうふうに記事には出ているわけですが、これも違うということなんですか。
  189. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 率直に申し上げまして、私は当時具体的人物を思い浮かべて、その人の裁判の結果がどうなるかというふうなことは考えておりませんでした。ただ、同じ国会議員として長い間のおつき合いのある人々に対する個人的気持ちを一般的に申し述べたわけであります。
  190. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 じゃ、いま私が読み上げました内容について報道が間違っているかと私はお伺いしたわけですが、この点についての御記憶はどうなんですか。
  191. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いまお答えいたしましたのが私のただいまの気持ちであります。
  192. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、報道されたものはどうなんですか。間違って報道されているのか、間違ってないと否定されるのか、どっちなんですか。
  193. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) その当時のことを余りはっきり記憶いたしておりませんけれども、いま私がお答え申し上げましたように、あの事件に関係のあるという人は長年の懇意な人たちだということは、私が申しておるわけであります。
  194. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 じゃ、その懇意の人の名前は何か。先ほど寺田委員の場合は、長い間の友人だという立場の上から質問をされておったわけですが、懇意ということになりますと、懇意というものをどのような解釈なさってますか。
  195. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お互い国会議員同士の懇意なのと変わりありません。
  196. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 少なくとも懇意ということになれば、当然名前なんかは想像されながらお答えをされている記事だと、私はそういう解釈しているんですが、まあこれは大臣とやりとりしてもなかなか結論が出ないようでございますから……。  そこで、先ほど所信表明にありまして、「法務行政に課せられた使命は法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。」と、法秩序の維持というふうな面からいきますと、刑事局長はどういうふうに発言をとらえられておりましたか。大臣発言をどういうふうにおとらえになったか。先ほど寺田委員の方から、大臣発言についてどういうふうにとらえられて、今後の処置に対する考え方を聞かれたようでありますが、私の言っているのは、就任のあいさつの法秩序というものを言う点から、刑事局長としてはどういうふうなお考えを持っておられるか伺っておきたいと思います。大臣発言を通してですね。
  197. 前田宏

    説明員(前田宏君) ちょっとお尋ね趣旨が、あるいは取り違ってお答えすることになろうかと思いますけれども検察当局といたしましては、申し上げるまでもなく、法秩序の維持に万全を期するわけでございまして、先ほども寺田委員お答え申し上げましたように、大臣とされましては、裁判所検察に対して全幅の信頼をおいておるということでございますので、若干いきさつ等がございましたけれども大臣発言が、今後の検察活動、さらにはそれを通しての法秩序の維持について何らの影響を及ぼすものではないと、かように考えております。
  198. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣発言のあり方が問題だと思うんですけれども検察庁法の第十四条の意義というもの、これの中の特に法務大臣の指揮権というものについてどういうふうにお考えになっておるか伺いたいと思います。
  199. 前田宏

    説明員(前田宏君) これもちょっと御質問趣旨がよくわからない点もございますけれども……
  200. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 検察庁法の第十四条。
  201. 前田宏

    説明員(前田宏君) まあ十四条は、先ほどもお話ございましたように、大臣検察官との関係、指揮監督に関する規定でございますが、内部的にはもう改めて申し上げるまでもないように、法務大臣は、検察官を一般に指揮監督することはできるけれども、個々の事件の取り調べあるいは処分については、検事総長のみを指揮することができると、こういう内容になっているわけでございます。で、その法意と申しますか、につきましては、先ほど大臣からも答弁があったところでございますけれども、要するに行政権の行使につきましては、内閣国会に対して責任を負うということになっておって、検察権も広い意味の行政権の一部であるということから、内閣の一員である法務大臣としては、検察権の行使についても指揮監督ができるということを定めるとともに、その一方におきまして、検察権の作用が司法権の作用に準ずるような性格を持っているということから、政党内閣制度を前提といたしまして、そういう関係での影響検察活動に及ばないというように配慮すると申しますか、そういう一面の要請、この両方を調和するという意味でいまのような規定ができておるものと、かように考えております。
  202. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私、いま手元にあるのは、参議院の法務委員会調査室で、「検察庁法第十四条(法務大臣の指揮監督権)について」という、五十一年の四月に、「本資料は、執務参考資料として逐条解説検察庁法(伊藤榮樹著)から抜萃したものである。」ということで出されているのですが、これはお読みになりましたか。御承知ですか。
  203. 前田宏

    説明員(前田宏君) ただいまのお尋ねは、前伊藤局長の著作物と申しますか、検察庁法の解説書を書いたものが転用されているということであろうかと思いますが、先ほど私が申し上げましたのも、大体その理解と同様なことを申したつもりでございます。
  204. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 指揮権の発動といいますか、いわゆる指揮権発動と検事総長の態度といいますか、そういうものについてのお考えはどんなふうになりますか。
  205. 前田宏

    説明員(前田宏君) 先ほども申しましたように、法務大臣検察との関係については、検察庁法の十四条で規定されているところでございますので、法務大臣は理論的には検事総長に対して指揮ができるということになっておりますが、先ほども申し上げましたような法意があるわけでございますから、その精神にのっとった適正な運用がなされるべきものと、かように考えております。
  206. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど官房長官がおいでになったときに、この問題もちょっとありましたけれども、いずれにしましても、今回の大臣発言が、今回のより以上のようなことが非常に心配されるわけです。そういう点から念のために伺っているというわけでありますが、いずれにしましても、検事総長が部下の検察官に対して有する指揮監督権を媒介としてのみ個々の検察官の行う検察事務に干渉し得るのである、こういう面の方から考えていきましても、今後のあり方というものが非常に心配をされるわけですが、この点についてはっきり御答弁をしていただきたいと思います。
  207. 前田宏

    説明員(前田宏君) その点につきましては、先ほど大臣御自身からも恐らく申されたように、私は横で聞いておったわけでございますが、検察権の行使については検事総長を信頼して、かりそめにもその意思に反するような指揮といいますか、そういうことをする考えはないということをたしかおっしゃったように聞いておるわけでございまして、そのように私ども理解しております。
  208. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣、今回の大臣発言の中に、看過できない理由というものがいままで指摘された中にあるわけです。もう一度ここで、現在の憲法が規定されている三権分立を犯した行政権の裁判に対する干渉になり得るのじゃないか、なるんじゃないかというような問題点、それからロッキード事件、すでに司法の手に託されている、こういう中でのカバーをするような発言青天白日でなければならないというような発言、それからさらには、いま言いましたように、検察庁を牽制するようなことがあるようではならないという点があなたの発言についての大きな問題だと思うのです。こういう点をもう一度大臣考えとしてはっきり伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  209. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は、わが国裁判所及び検察当局に対して全幅の信頼をおいておりますし、また、司法当局が今後も従来のよき伝統を守り抜き、不偏不党、厳正公平という姿勢を堅持いたすものと確信をいたしております。
  210. 橋本敦

    ○橋本敦君 法務大臣に率直に伺いますが、いまここであなたの発言が問題になっておりますが、あなたの発言が重大な政治的問題になったというのは、すでに四十三年に一つの例があるわけですね、あなた御自身の例が。あなたはあの四十三年発言が問題になって大臣の職を辞せられたわけですが、あの件について率直な御反省は当時なさっておられたのでしょうか。
  211. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いろいろ考慮いたしまして、あのときはああいう態度をとったわけであります。
  212. 橋本敦

    ○橋本敦君 いろいろ考慮されたというのは、やめるつもりも必要もないと自分は思うが、周囲の諸般の事情からやむなくやめたということを考慮したというのか、みずからやっぱりあの発言には責任をとる必要があると、こう反省をされてあの処置をとられたのか、どちらですか。いまの御答弁ではどちらかがはっきりしませんので、重ねて伺います。
  213. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) あのときはああいう態度をとることが一番適切であると存じてやったのであります。
  214. 橋本敦

    ○橋本敦君 適切だと思われたそのことの中に、みずからやっぱり責任をとる必要がある発言であったという反省はあったのですか、なかったのですか。
  215. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 当時のことを余りはっきり客観的な情勢を記憶いたしておりませんけれども、私はあのときは辞任することがいいと思って判断をいたしたわけでございます。
  216. 橋本敦

    ○橋本敦君 それはわかっています。あの発言はやはり大臣として問題がある、自分に責任があるという点の反省はあったのですかと、こう聞いているのです。おわかりでしょう、質問趣旨は。
  217. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いまは法務大臣として出てまいっておるわけでありまして、過去のことは別個にひとつお願いをいたしたいと思います。
  218. 橋本敦

    ○橋本敦君 それは話が違いますよ。過去のことだけれども、寺田委員質問に対して、国会議事録に載っておるあなたの発言、つまり軍事力背景としなければ十分な外交ができないではないかという、そういう発言については先ほど取り消されたのです。過去の発言だけれども取り消されたのです。よろしいですか。で、あの発言があったという問題からあなたの辞任という問題が起こった。国会で大論議になって新聞でもたくさん出た。そのことについて、あなたはみずから反省するところがあったとお考えになって辞任されたのかどうか、これは答えていただけるでしょう。
  219. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今日の場合は御遠慮申し上げたいと存じます。
  220. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、四十三年のあの問題について、あなた自身は周囲の事情でやめるのが妥当と考えたというだけで、あの発言については反省をなさっていなかったということがはっきりしたと私は思いますよ。そうでしょう、自分自身あの問題について反省したとおっしゃらぬのですから。だからあの問題についても、あれだけ大問題になりながら反省もなさっていないから、軽々にまた今度の問題が起こる、こういうことになっていくんですよ。あなたの口から一言の反省も聞かれないというのはこれは意外です。あなたは先ほどあの発言は取り消された。しかし、発言はこの場で取り消されたけれども軍事力背景にして外交交渉を進めるべきだ、これは本当にやろうと思えばいまの憲法を改正する意外にはないという結論にいきます。あなた御自身いま法務大臣ですが、憲法は改正する必要があるというお考えをお持ちじゃないのですか。考えを持っておられるのじゃないですか。いかがですか。
  221. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどお答えいたしましたように、憲法は厳に遵守いたさなければならないと思っております。
  222. 橋本敦

    ○橋本敦君 それは法務大臣になって、閣僚の憲法遵守義務ということでお答えになるんであって、あなたの実際のお考え憲法を改正するという必要があるという考えを持っておられるということではありませんか。念のために。
  223. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどお答えいたしたとおりであります。
  224. 橋本敦

    ○橋本敦君 あなたはいろんなところで発言されたことについて責任を持ってほしいと思うのですが、私の手元にあるのは昭和五十四年五月二十五日の自由新報であります。この中で、あなたが中央政治大学院の研修会で講演をなさって、その趣旨が出ておるのですね。その中にこうありますよ。「仮にアメリカがいまの憲法を押しつけたにしても、いまや日本は自分の力で憲法を改正する能力を持っているのだから、国際的義務を果たすべき防衛力を自己負担でやるように、なぜ自分の力で憲法を改正しようとしないのかといわれるのも当然のことだと思います。」——恐らくこれは速記録だと思います。自由新報で出ている。これはあなたの党にとって権威のある新聞でしょう。だから、これを見ますと、先ほど発言は取り消された。いま私は、いまの憲法はそのまま遵守するとおっしゃるが、ことしの五月にこういう見解を表明されている、この事実はいかがですか。この事実からすると、あなたがいまの憲法を遵守しますと、こうおっしゃっても、あなたの本当の内心は、先ほどの発言の取り消しは形の上であり、本当は憲法を改正すべきだ、防衛力を強化して軍事力背景に云々というこの考えは変わっていないのじゃありませんか。いかがですか。御記憶あるでしょう、これ。
  225. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいまの憲法については、先ほどお答えいたしたとおりであります。
  226. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃあこのときの講演の要旨はどういう関係になりますか、いまの発言と。
  227. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それは私どもの方にいろいろな政務調査会がありまして、そこでいろいろ検討をいたしております。そういうことをその調査会に——多分活動家が集まったんだろうと思います。そういうところでの話でありまして、ただいま私の立場としては、そういうことよりも、ただいまの憲法をかたく堅持するというのが私どもの任務であると、このように考えております。
  228. 橋本敦

    ○橋本敦君 あなたはいまそういう答弁なさいますが、四十三年のいわゆる「めかけ憲法」だとか何とか言われた発言ということで問題になって辞職をされた、その発言についても反省はなさっておらぬ、そしてまた四十三年の国会議事録にある発言はこの場で取り消されたが、それはまさに委員会運営上の対策としか私は思えぬ。というのは、こういう発言をことしの五月にもなさっている。そしていま憲法を遵守すると、こうおっしゃる。これはまさに今回のあなたのロ事件に関する発言が出てくる背景として、前の問題について反省もなければ、実際は憲法を改正しようという、そういう意図をあなたの考え方としてお持ちの人だという背景から出ている大問題だと私は思うのですよ。まさに法務大臣という立場であれば、国務大臣以上に憲法を遵守するということは、わが国の法秩序を維持をされる、その最高の法秩序である憲法をかたく遵守される、これは当然ですね。そういう資格ある人かどうかが疑われるのです、こういう問題があるから。いいですか。しかもロ事件について言うならば、あなたはロ事件関係者人たちは懇意な友人の人たちであるということを言ったことはお認めになっている。これは単なる国会議員として長年つき合いがあるというだけでしょうか。国会議員の皆さんたくさんいらっしゃる。自民党の皆さんもたくさんいらっしゃる。ロ事件という限られた具体的事件関係する方々があなたの懇意な人たちであるという、そういう意味では非常に具体的であります。ロ事件の皆さんと非常に懇意だというのは、単なる国会議員としてのつき合いという以上に政治的意見を同じゅうする、あるいはいいですか、あるいは派閥を超えていろんな会合やあるいは宴会やあるいはその他の研究会、いろんなところで他の議員の皆さん以上に密接な関係がある、こういう意味で他の国会議員以上に、つまり一般の国会議員以上に特に親しい人たちだと、こういうようになるんじゃありませんか。いかがですか。
  229. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そういうわけではありません。
  230. 橋本敦

    ○橋本敦君 理由もなしにそういうわけではありませんとだけ言われても困りますよ。  たとえば、あなたが政治資金規正法の届け出で、政治献金を受けたのを届け出られておる例を私調べてみました。これは自治省への届け出であります。四十八年の下期と四十九年の上期、あなたは伝えられるところ福田派に属していらっしゃる大政治家ですが、この届け出によれば田中派の政治団体から二百万円政治献金をもらっておられる。これは自治省に届け出てありますから、あなたの政治団体から。これは間違いない。この事実はお認めになりますか。
  231. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 大変意外なことを承るわけでありますが、それは詳細にひとつ御指摘いただければ調べたいと思います。
  232. 橋本敦

    ○橋本敦君 あなたのいまの記憶には全然ないという意味でおっしゃったわけですか。自治省の届け出文書を持ってきてお見せすればおわかりいただけるという意味ですか。幾らでも持ってきますよ。
  233. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私自身がそういうことを扱っておりませんので、ちょっとこちらでも調べてみたいと思います。
  234. 橋本敦

    ○橋本敦君 あなたもお調べいただいたら結構です。あなたの政治団体が受け取っているという、そういう事実について私は聞いておるんですよ。だから、ロ事件関係人たちとあなたは特にお親しいという、そういう関係があるから、わざわざ個人的な感情、見解としてもということで記者会見でみずからつけ加えられたと、こういうことになりはしませんか。そうでなかったら、新聞記者の皆さんからロ事件についてどうかと聞かれたときに、まだあれはよく勉強してないんだよということで終わってよろしい。わざわざあなたの方から個人的に見解をつけ加えられるというのは、よほど親しいということに私は見ますが、いかがですか。なぜわざわざ個人的見解をつけ加えられたんですか。
  235. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどお答えいたしたとおりであります。
  236. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、答えてください、わざわざ個人的見解をつけ加えられた理由。
  237. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどもお話が出ましたように、個人的なことでもいいがというお言葉もありましたし、そういうことだもんですから、私がさっき申し上げましたように、どうも個人的な気持ちが先に立ったので誤解を生じるようになりまして残念でありますと、こういう釈明をいたした次第であります。
  238. 橋本敦

    ○橋本敦君 私が新聞で見る限り、新聞記者の皆さんの質問は、個人的でもよいがというような意見の聞き方はしておられませんね。裁判検察とはおのずから一線を画すべき性質のものではあるがという言葉はあります。ロ事件についてどうお思いになりますかと、こう聞いていますよ。だから、その点はあなたの事実認識と違うんです。違うんですが、いずれにしても、法務大臣という立場個人意見をお述べになっても、その記者会見法務大臣としての記者会見であるという事実は、これはもう消すこともできなければ間違いもない、このことは認識されておりますか。
  239. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それはもうわかっております。
  240. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、あなた自身の認識でも、法務大臣として新しく就任されたその法務大臣のあなたに記者会見質問がいろいろ出た。そういう記者会見なさった。これは認識なさっている。そういう場でわざわざ個人的見解をおつけ加えになって、ロ事件関係者の人とは長年懇意の間柄だから、公明正大に青天白日になることを友人として念願するということをわざわざつけ加えられた、ここに私は問題があると思うんです。  まず聞きますが、青天白日というのはどういう意味でおっしゃったのか、もう一度おっしゃっていただきたい。
  241. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これは私がしばしばお答えいたしましたように、個人的な気持ちが先行して誤解を生ずるようなことになりましてまことに残念でありますと、こういうことを申しておるのはそこであります。
  242. 橋本敦

    ○橋本敦君 いやいや、私の質問に答えていただきたいんです、大臣青天白日の身になられることを友人として念願するとおっしゃった、そこで言う青天白日というのはどういう意味でおっしゃった言葉ですかと、こういう意味です。
  243. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどお答えいたしたとおりであります。
  244. 橋本敦

    ○橋本敦君 つまり、事件関係者が無罪になることを念願するという、このこと以外ありませんね。そうでしょう。
  245. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどお答えいたしたとおりであります。
  246. 橋本敦

    ○橋本敦君 先ほど答えても、間違ったらいかぬから確認しているんですから、答えてくださいよ。そうしないと、私がもうそのことで念を押して進みますよ。無罪になることを期待するという気持ちでおっしゃったことだということでよろしいわけですね、先ほどのとおりだとすれば。
  247. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 何遍かほかの方にもお答えいたしておりますが、そういうつもりで私は個人的なものが先に立ってしまったので、大変一般の方に誤解を生じてしまったことは残念なことでありますということを申しておるわけであります。
  248. 橋本敦

    ○橋本敦君 誤解のしようもない言葉なんです、大臣ロ事件関係者の人が青天白日の身になることを期待するということは、誤解のしようもなしに、あなたは個人的に田中角榮、橋本登美三郎、こういった被告の皆さんが無罪になることを友人として期待されておるということは、誤解のしようもないはっきりしている事実なんですよ。いいですか。  そこで、あなたに伺いますけれども個人という立場と閣僚という重責を負う立場とでそう簡単に区別がつくもんでない。したがって、個人ということで軽々に国務大臣発言を許されるものでないという教訓が前にあったはずですが、つまり稻葉法務大臣が、法務大臣としてでなくて個人として改憲集会に出席されたということで、総理までお呼びをして議論をしたことがある、そのことは御記憶にあるでしょうね。
  249. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) よく存じておりませんが、あったような記憶がいたします。
  250. 橋本敦

    ○橋本敦君 あなたは、私どもから見るとはるかに大先輩の大政治家ですが、先ほどからの答弁聞いておりますと、国会決議も御存じなかったとか、いまの大問題になった稻葉問題も、あったように思うという程度しか認識をなさっておらぬというのは、私はこれは、やっぱり大臣になっていただく大政治家として問題だろうと思いますよ。大問題になったですよ、国会で。あのときに三木総理答弁で、国務大臣として個人と公人との区別はそう簡単につけられるものじゃないということで、そういう誤解のあるような行動をしないようにということで三木総理答弁なさっておるんですよ。  あなた自身に伺いますが、法務大臣として記者会見に臨んでいる。法務大臣として臨んだ記者会見で、個人としての意見発言法務大臣という公的立場発言と、そう簡単に明確に截然と、国民の目から見て、客観的に見て区別でき得る、そういうように軽くお考えですか。それとも、そういう区別はなかなかしがたい、したがって、法務大臣としてはそういう発言は慎重を期さねばならぬという、そういうお考えはそのときにお持ち合わせありませんでしたか。
  251. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これからは気をつけなければいけないと痛感をいたしておるわけであります。
  252. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、つまりそのときそういう問題も余り真剣にお考えなかったということになるわけですが、問題は内容なんです。いいですか、法務大臣。あなたは法務大臣である。先ほどから議論されているように、検察庁法十四条に基づいて個々の具体的事件については検事総長を通じての指揮権をお持ちになっておる方です。そういうことですね。これはもうあなたも御認識のとおり。  で、刑事局長にまずこの点について伺いますが、個々の具体的事件について法務大臣が検事総長を指揮する権限があるということは、具体的に言えば、個々の具体的事件の処理について、あるいは公判進行中起こるいろんな重要な問題について、あるいは判決の結果とその処分について法務大臣の方から報告を求めることができると私は思いますが、いかがですか。
  253. 前田宏

    説明員(前田宏君) ちょっとまたこれもお尋ね趣旨に合うかどうかわかりませんが、条文に書いてございますように、個々の事件の取り調べ、処分について指揮できるということでございますので、その限度において必要な報告を求めることもあり得るかと思います。
  254. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、したがって、ロッキード事件という重大な国民的注目を浴びているわが国の金権腐敗体質を徹底的に究明しなきゃならぬという国民の期待を担って、検察官がいまやっているあの裁判について、法務大臣、あなたは検察庁法十四条に基づいて検事総長にこれからも報告を求める、それができるんですよ。そういう権限がある立場なんですよ。  それからもう一つ、刑事局長に伺いますが、検察庁には処分請訓規程という規程が昭和二十三年に法務庁検務局秘第三十六号訓令として定められておる。これは秘ですから、私どもも要求しても見してもらえぬのですが、あのロッキード事件という重要な事件は、この処分請訓規程に基づいて当然逮捕、起訴、こういったことについては大臣に請訓を仰ぐ事件として今日まで処理してきたはずだと思いますが、間違いありませんね。
  255. 前田宏

    説明員(前田宏君) いま橋本委員も申せられましたように、処分請訓規程自体は内部的なものでございますが、具体的なお尋ねに即して申しますと、いわゆるロッキード事件につきましてはこの処分請訓規程の対象にはなっておりません。
  256. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうですが、私はそう思っていたんですが。しかし、あの事件の処理経過については、検事総長は法務大臣に請訓を求められたという経過新聞にも出ておりました。これは間違いないでしょう、いかがですか。
  257. 前田宏

    説明員(前田宏君) まあ言葉の表現になってくるかと思いますが、請訓という言葉の使い方かもしれませんけれども、実際問題として、重要な事案につきまして検察側から事実上の連絡と申しますか、通報と申しますか、そういうことがあるということは事実でございますが、ここに言う処分請訓ということではないと、こういうことでございます。
  258. 橋本敦

    ○橋本敦君 それじゃ、その規程が見してもらえないからこういうことになるんです。それはよろしいです。具体的なロッキード事件については、いいですか、国会議員の逮捕、そして起訴、公判進行、こういう過程で、検察庁内部の扱いとして、あの事件は法務大臣報告をし、指揮を仰ぐということでやってきた事件であることは間違いないんじゃないですか。
  259. 前田宏

    説明員(前田宏君) ただいまお尋ねロッキード事件における国会議員の方の逮捕なり処分につきましては、当時、私自身立ち会っておりませんけれども、当時のことといたしまして、検察庁の方から大臣あてに報告というのか、連絡というのか、そこも不正確になるといけませんけれども、あったということは事実ございます。ただ、どうしてよろしいかというような形で指揮を受けたとかいうようなことになりますと、必ずしも適切ではないんではないかというふうに考えておりますし、またいわゆる請訓というようなことの理解、私ども理解といたしましては、事件の越訴、不起訴の処分と逮捕等は含みますけれども、その後の公判経過等について一々御連絡を受けるというようなことは、通常考えていないわけでございます。
  260. 橋本敦

    ○橋本敦君 刑事局長、このロッキード事件というのは要するに前総理にかかわる重大な事件、国民的注視を浴びている重大な事件、国会でも特別決議があり、国会でさんざん真相究明で論議をされた重大事件、この事件を検察庁が処理するについて法務大臣報告もしない、意見も聞かない、そういうことはあり得ないと、これははっきり言っていいんじゃないですか、どうですか。
  261. 前田宏

    説明員(前田宏君) 御指摘のようなことでございまして、当然その逮捕なり処分につきましては検察庁の方から大臣にも報告といいますか、連絡といいますか、あったことは事実でございます。
  262. 橋本敦

    ○橋本敦君 そして、今後の進行がどうなるかわかりませんが、終局、判決の確定に至るまで検察官はいろんなことをやらなくちゃならぬし、判決の結果に基づく処分もしなきゃならぬ。そういう場合に、この事件は法務大臣に対して報告をし、連絡をするということも間違いないですね、これからも。
  263. 前田宏

    説明員(前田宏君) その内容にもよりけりだと思いますけれども、必要に応じて、必要があればそういうことが行われると思います。
  264. 橋本敦

    ○橋本敦君 法務大臣、おわかりですか。ロッキード事件というのはそういうようにして、あなたが検察庁法十四条で持っておられる権限という問題から言っても、あなた自身が報告を求めることも法律上可能である。そして実際の扱いとして法務省は、検察庁当局は重要問題について、今後もあのロ事件については必要があればあなたに連絡をし報告をする、意見を聞くこともある、こういう重大な事件ですよ。そういう重大な事件について、いいですか、個人的な見解だと、こうあなたは陳弁なさるけれども法務大臣としての公式な記者会見において、いま検察庁が有罪立証に向けて全力を挙げている、それをあなたが支持をし激励をする、そういう立場にありながら無罪を念願する、こういう重大な発言をするというこの事態について、一体あなたは法務大臣ですよ、いま。何ぼ個人というようにおっしゃっても、法務大臣ですよ。このロ事件について、法務大臣として個人的な感情を言ったのだとおっしゃるけれども、実に重大なことを言ったという認識はお持ちですか。
  265. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたように、記者質問を受けましたときに、個人的な気持ちが先に立ってああいう発言をいたして誤解を生じましたことはまことに残念だったということをお答えいたしておるわけであります。
  266. 橋本敦

    ○橋本敦君 誤解じゃないんです、法務大臣。いま私がるる説明したように、いやしくも法務大臣であるあなたが行う公的記者会見で、個人的な見解であるとこうおっしゃるけれども、いま検察庁が全力を挙げている方向、法務大臣としてはそのことを積極的に支持しなきゃならない方向、それとまるで逆のことを、あの人たちを無罪にすることを念願するというまるで逆の方向を、個人的な見解だと言っても、おっしゃるということは、法務大臣としては許されぬことじゃないですか、どうですか。個人的であったら許されるといまでもお考えですか、はっきりしてください。
  267. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) その点はやはり先ほどお答えいたしたとおり、残念なことだと思っております。
  268. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、個人的な感情、見解をつけ加えたとおっしゃるけれども法務大臣としては言うべき筋合いのものでない、重大な発言をしたという反省をされておると、こう受け取ってよろしいわけですか。
  269. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) わが国裁判検察は不偏不党で厳正公平な立場をとっておりますので、私は、この裁判並びに検察については全面的な信頼をおいてやっておるわけであります。
  270. 橋本敦

    ○橋本敦君 検察に全面的信頼をおいておられる……。いいですか、それで検察は全力を挙げて公訴事実の立証に努力するであろう、だから法務大臣個人的にそれと逆に、信頼しているから、片一方で私は個人的にそれと逆さまの無罪を念願する、こういうことを言ってもよろしいんですか。はっきりしてください。信頼していたら、そんなことを言っていいんですか。
  271. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど政府委員も、それからここでほかの方もお話がありましたように、厳正公平な立場検察も司法部も持っておりますので、安心してやっておる、こういうことであります。
  272. 橋本敦

    ○橋本敦君 信頼しているから、安心してそういう個人的見解をつけ加えても構わぬと考えておられるんですか。考えておられるとしたら大問題ですよ。先ほどおっしゃったように、法務大臣としては個人的にしろ言うべきことでないことを言ったという反省をされておるんじゃないんですか。どっちなんです。
  273. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今後こういうことのないように十分注意をいたすつもりであります。
  274. 橋本敦

    ○橋本敦君 私があなたに申し上げておる、たとえ個人という言い方であれ、言っちゃならぬことを言ったという、そのことの自覚はおありだから、今後は注意すると、こういうふうに答弁なさったんだと、私はそう理解します。  ところで、あの問題は、あんなふうに発言なさったという問題は、今後注意するということで一体済むことでしょうか、率直に大臣に伺います。いまもあなたはロ事件関係人たちとは懇意な友人関係である事実は変わりないです。そうでしょう。法務大臣におなりになったから疎遠になるとか、友人関係が切れるとか、そういうことじゃありませんね。だからああいう発言をなさっている。だからいまもあなたは個人的に、あなたの気持ちとしては、早く青天白日、無罪になることをいまも念願しておられるあなたの個人的な気持ちは変わりないんでしょう。
  275. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今後はこういうことのないように十分注意をいたしたいと思います。
  276. 橋本敦

    ○橋本敦君 法務大臣発言について今後注意するということは聞きました。だから私はその質問を繰り返してないんです。この古い友人の皆さんが、ロ事件関係をしておるこの皆さんがあなたの古い友人である事実は、あなたが法務大臣になっても変わりないんだから、個人的には、胸のうちでは、心の中ではあの発言をなさったとおり、青天白日の身になってもらうことを念願しておられる気持ちは、これはいまも変わりないんですねと、こう言っているんです。
  277. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 司法部と検察の厳正公平な立場を守り抜いていただけることを確信いたしております。
  278. 橋本敦

    ○橋本敦君 全然答えになってないですよ、これ、皆さんお聞きになっても。理事会で協議していただくというのもまた時間とりますから、これは申しわけないと思うんですが、法務大臣、もう一遍言いますから、時間とりますから、端的に答えてくださいよ。今後は注意されるとおっしゃった。もうそのことを聞いているんじゃないんです。個人的なあなたの希望、念願、これはあなたのお気持ちとしていまもその点は変わりはないんでしょうと、こう聞いているんです。発言は、今後注意するとおっしゃったからよろしい。——大臣の気持ち聞いているのに紙が回ってくるのはおかしいよ、そんなものは。
  279. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど来たびたび私がお答えいたしておるつもりでありますが、ここで法務大臣として個人的な立場を申し述べるよりは、やはり裁判並びに検察は毅然としておるから安心しておるということを、ひとつ私の法務大臣としての答えにいたしていただきたいと思います。
  280. 橋本敦

    ○橋本敦君 それは法務大臣、ちょっとあなた責任回避の答弁ですよ、責任回避の。そんなことをいまここでおっしゃるなら、個人的な気持ちを聞かれたらそういうことは聞かぬでくれというようなことをおっしゃるなら、なぜあのときにおっしゃったんですか、わざわざつけ加えられたんですか。そのときにおっしゃっておいて、それが問題になったら今度は口を閉ざすというのは、これは国会としては認められぬことですよ。端的に言いますと、法務大臣、残念ながらあなたは、いまなお個人的にはロ事件関係人たち青天白日の身になることを友人として念願しておられる気持ちに変わりはない、こう先ほどの答弁を聞いて、私はそう結論せざるを得ません。そうだとすれば法務大臣個人的にしろ絶対言ってはならぬという重大な発言をしたんだということは認められている。その気持ちはいまも変わってないとおっしゃった。法務大臣として、国民は、国会はあなたを信頼できませんよ、変わってないんですから。変わったとおっしゃらぬのですから。青天白日を期待する、その念願に変わりはないとおっしゃるんですから。そうでしょう、変わったとおっしゃらぬのですから。今後発言注意される、それだけで本当に国民的な課題であるロ事件の徹底的究明という、まさに検察当局が国民の期待を担っていまがんばっているその重大な問題について、全幅の信頼をしているというだけではいけません。最高の責任の地位にあるあなた自身が、具体的な事件の処理について今後報告も受け、意見も聞かれることはあるんです。そういうことも認められている。その中で、あなたがそういう個人的な見解が変わっていない人だとしたら、法務大臣としてとどまっていただく資格はないですよ。しかも個人的な見解にしろ言っちゃならぬことを言ったことも認められておる。あなたはこの問題について、事の重大さをもっと深刻に考えて、みずから責任をとって辞任をするという、そういうところまで自分自身の反省をきわめられる必要があると私は思いますが、いかがですか。
  281. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 何遍もお答えいたして相済みませんけれども、先ほどお答え申し上げたとおりであります。
  282. 橋本敦

    ○橋本敦君 先ほど答えられた答えには納得できぬです。あなたは法務大臣という実に重要な地位にありながら、軽々にこういう問題を起こされたんです。しかも個人的な関係や気持ちは変わっておらぬ。法務大臣として、そういうあなたは適格を欠くということが一層明確になったと私は思います。  みずから反省をして辞任されることを強く要求して一応きょうの質問を終わりますが、あなたの答弁には数々の納得できない点があるので、今後また私どもとしては追及しなきゃならぬと、こう思っております。そのことを申し上げて、時間が来ましたので質問を終わります。
  283. 江田五月

    ○江田五月君 法務大臣、私はまだこうして国会に出てきて二年少々しかたっていない。あなたはもう何といいますか、この政治の世界の長老で、これまでもいろんな経験をされてきて、むしろ私から見るといろいろと御指導を仰がなきゃならぬ立場の方じゃないかと思うんですが、あるいは失礼なお尋ねをするかもしれませんが、どうもいままで伺っておりますと、何か自分の心の中に本当に思っていることを探られては困るとか、ばれては困るとかいうような、そういう感じの答弁でないかというふうに感ずるんですが、もう少し何か、あれですか、揚げ足を取られては困るとか、本当のことがばれては困るとかいうようなことがあるんですか。
  284. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 何にもありません。
  285. 江田五月

    ○江田五月君 そうしますと、ひとつ率直にお考えのことを披瀝していただいて、むしろ私どものこれからの模範になるような態度を示していただきたいと思うんですが、あなたが就任後、初閣議の後の記者会見で述べられたことがいまこうして大騒ぎになっているわけでありまして、こうマスコミ、その他でも騒がれる、国会でも衆参両方の法務委員会あるいはそのほかの委員会でもいろいろ議論になる、かなり大きく騒がれていることは、これはあなたにとっていかがですか、不思議なことなんでしょうか、それともまことにこれだけ騒がれるようなことであったとお考えなんでしょうか。
  286. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私、しばしばここでお答えいたしておりますように、私の気持ちとしては、会見のときに個人的な感情を強く出したものですから、私の真意誤解されているということは非常に残念なことだと、こういうことを申し上げておるわけであります。
  287. 江田五月

    ○江田五月君 その大臣真意というのは何ですか。
  288. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 法務大臣に就任をいたしたわけでありますから、裁判が不偏不党で行われますように——これは私は安心していいと思います。それから、検察裁判と同じような立場でありますので、これも厳正公平にやられる、また私の任務は、そういうことをできるだけ支援することも必要である、こういう考え方に立っているわけであります。
  289. 江田五月

    ○江田五月君 この委員会の冒頭で、大臣発言を求められて、制度法務大臣が現に係属中の裁判を左右することはできないのだということを申されました。で、これは、いまもう前に同僚の委員がいろいろとお尋ねがありましたが、いまでもこのとおりだとお思いですか。
  290. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私はそのように心得ておりますが、事務当局からひとつ御説明申し上げるのが結構だと思います。
  291. 前田宏

    説明員(前田宏君) 先ほどいろいろとお尋ねがございまして、申し上げたような程度においては、何といいますか、法務大臣の関与する分野もないわけではありませんけれども、基本的にはいま大臣がおっしゃったようなことが、基本的な制度としてはそういうことだという理解だと思います。
  292. 江田五月

    ○江田五月君 いやいや、制度上は、法務大臣が現に係属中の裁判を左右することは、制度上はかなりできるんじゃありませんか、刑事局長。
  293. 前田宏

    説明員(前田宏君) その裁判を左右するという言葉自体が問題かと思いますけれども裁判所がなさる裁判について大臣が右に向けとか左に向けとかいうようなこと、それ自体ができないことは、先ほど最高裁からもお答えになったとおりだと理解しております。
  294. 江田五月

    ○江田五月君 たとえば、法務大臣が検事総長にある特定の事件について公訴の取り消しを指揮されたら、これは裁判がなくなってしまうんじゃありませんか、その指揮に従って検事総長がもちろんそれなりの手続をとればですが。
  295. 前田宏

    説明員(前田宏君) 大臣のおっしゃった趣旨は、先ほど私が申し上げたように、裁判所に対して影響を与えて何か裁判を左右するということは制度的にはあり得ないと、こういうことを申されたように理解しております。
  296. 江田五月

    ○江田五月君 裁判所に対する影響の行使があってならないことは、これは当然なんですが、裁判を左右するというのは、裁判所に対する影響力の行使だけではなくて、当然検察官もまた裁判を左右しようと法廷の活動を行っているんじゃありませんか。
  297. 前田宏

    説明員(前田宏君) 江田委員に私から理論めいたこと、理屈めいたことを申し上げる必要もないわけでございますが、理屈的には先ほど御指摘のような、公訴の取り消しとかいうようなこともあり得るわけですけれども大臣発言真意は、それこそ御趣旨は、そういうことを頭に置いておっしゃったのではなくて、裁判所に対して何か大臣がある影響力を与えるというようなことは制度的にないと、こういうことをおっしゃったものだというふうに考えております。
  298. 江田五月

    ○江田五月君 私は、大臣にそこで基本的なそれこそ誤解があるのではないかという気がして仕方がないのですが、大臣個人的に何をおっしゃっても全然現場の司法の運営に影響がないのだと、制度上そもそもそういうことがあり得ないのだからということで平気でいろいろなことをおっしゃっても、現実には制度上いろいろな影響を及ぼすような制度ができているわけで、したがって、法務大臣というものは、現実に自分の権限を行使していろいろ裁判を左右するようなことをしてはならないだけではなくて、どこから見ても、第三者、まるっきり事情を知らない人から見ても、裁判を左右しているようなことは全くあり得ないというそういう姿勢を保っていかなければいけないのではないかという、そういうことを考えながらお尋ねをしているわけですが、この点、大臣、どうお考えなんですか。
  299. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は司法部を信頼をいたしております。同様に検察も信頼をいたしておりますので、これは先ほど検察庁法の十四条のお話がありましたように、ああいうつもりで検察に対処してまいりたい、こう思っているわけであります。
  300. 江田五月

    ○江田五月君 大臣が司法部なり検察なりを信頼されていること、そして検察庁法十四条の指揮権の発動というようなことはなさらないつもりであること、事はそういう問題じゃないので、大臣が司法部、検察を信頼されるだけじゃなくて、国民からも信頼される検察であり信頼される裁判所であるように法務大臣というものは常に気をつけなければいけないのではないかということをお尋ねしているのです。
  301. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 法務大臣といたしましての立場は、やっぱり個人的感情とは厳に区別すべきものでありまして、私情によって職責が左右されるべきものではないと自覚をいたしております。
  302. 江田五月

    ○江田五月君 法務大臣の職責というのは、日々の法務行政を取り扱っていくということを超えて、裁判なり検察なりの運営、司法権の行使というようなものに対する国民に対する権威とかあるいは国民から受ける信頼とか、そういうものをしっかり守っていかなければいけないということもまた大きな任務じゃないでしょうかということを聞いているのです。
  303. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 法務大臣として、私は、検察並びに裁判に対しては、先ほどお答え申し上げましたようなつもりでやってまいるつもりであります。
  304. 江田五月

    ○江田五月君 あなたが信頼しておるということじゃなくて、国民検察なり司法なりを信頼しているという、その国民と司法との、あるいは検察との信頼関係をあなたは増すことがあってもそれを覆すようなことをしてはならない、これもあなたの大きな任務ではないかということを聞いているのです。
  305. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いま私がお答えいたしましたのは言葉足らずでございましたけれども、法の執行の最高責任者としての法務大臣といたしましては、国民誤解を招くような発言をいたしましたことは遺憾でありますし、反省いたしておる次第であります。
  306. 江田五月

    ○江田五月君 その国民誤解というのはどういうことですか。国民は何を誤解したと言われるのですか。
  307. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど来しばしば申し上げておりますように、記者から尋ねられましたときに、自分の個人的な友情関係のことが強く出て、そういうことのために誤解を生じたということがあり得ると思うのです。そういうことについてまことに遺憾であったと、こういう反省をいたしておるということでございます。
  308. 江田五月

    ○江田五月君 そこで、反省をされるのはもちろん必要なことだと思いますが、あなたがこの発言によって国民に与えたあなたに言わせれば誤解検察なり司法なりに対する国民の信頼を傷つけた程度、これはどうも私は、ただこの委員会発言を求めて、遺憾だ、反省しているということを申されるだけではなかなか回復しないのではないかと思うのです。  そのことについてもう少し伺ってまいりますが、ロッキード事件というものを、まあこれはあなたは余り詳しくは御存じないのかもしれませんが、とにかく政治家が、しかも総理大臣までやったような高官が逮捕され起訴された事件であるということ、これはもう申し上げるまでもないんで、いまこのロッキード事件というのが国民から一体どういうふうに見られているのかということですね、非常に注目を浴びている事件であり、しかも国民が一部には無罪の予測も——これはもちろん専門的な予測じゃありませんけれども、行われている。しかもこの無罪というのは、法律の適正な適用によって無罪になるというよりも、むしろ政治的な影響によって無罪になるんではないかというような、そういうような議論もいろんなところで行われている。そういう注目を浴びている事件であるということ、これはあなたもちろん御存じでしょうね。
  309. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) あの係属中の事件については、私がとやこう申し上げない方がいいと思います。
  310. 江田五月

    ○江田五月君 ロッキード事件というのは、そういう意味で、まああなたのお立場お答えになることは遠慮されるのかもしれませんが、そういう意味で、いま裁判検察の一つの大きな試練なんです。ですから、これを担当している裁判所もあるいは担当している検察官も弁護人も、それこそ一生懸命になって日本の法の信頼を確保するためにがんばっているんじゃないでしょうか。政治的影響で左右されるというものでなくて、有罪になるか無罪になるか、それはもちろん結論がどうであるかというのはわかりませんが、政治的影響ではなくて、政治から離れて、それこそ不羈独立した司法の運営が行われているんだということをはっきりさせるために、関係者が皆本当に血みどろの努力をしている事件なんじゃないですか。どう思っていらっしゃるんですか。
  311. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いまお答えいたしましたように、私が余りこれに言及しない方がいいと思っております。
  312. 江田五月

    ○江田五月君 しかし、あなたはもうすでに言及されているわけですね。個人的な感想だということであっても青天白日を望むと、念願するというふうな言及をされていて、後はそれは個人的な念願であって遺憾であった、反省していると、もうそこから先は、後はもう言及されないというわけですか。
  313. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は、しばしば申し上げておりますように、司法部並びに検察については全面的な信頼をおいて、この人たちの活動にまつわけでございます。
  314. 江田五月

    ○江田五月君 あなたの言うことはどうも、私が冒頭申し上げましたが、何か自分の本当の気持ちがあらわれては困る、あるいはしっぽをつかまれては困るというような感じがしてならないんですけれども、余りここで押し問答していてもどうも仕方がありませんが、あなた自身の発言というのは、この初閣議の後の記者会見での発言というのは、これは私は、あなたが望んでいるような検察の何といいますか、この不偏不党、不覊独立、こういうものに影響を与えたんではないかとやはり一般人は誤解しますよ。たとえば、これでロッキード事件の判決が出る、仮に無罪になったとする、さああなたの個人的なお気持ちは、青天白日を望まれるわけですから、そうすると、本当に法務大臣、この事件の控訴を一線検察官が望んだとしても許すかどうか。無罪を望んでいる人が控訴を許すようなことはないんじゃなかろうかというようなことに仮になると、やはり現に法廷でこの事件の立証のために神経をすり減らしている検察官としては、士気をそがれることになるんじゃないでしょうか。  刑事局長、立会検察官というものの活動についてちょっと伺うんですが、そうした士気といいますかね、一生懸命全神経を集中させて公判の立証活動に当たる、いろいろな申し立てその他を行っていくということが判決の結果にかなり大きな影響を持つと思いますが、どうですか。
  315. 前田宏

    説明員(前田宏君) その士気という言葉でございますが、検察官が精いっぱい努力する、努力が足りない場合にはそれなりの結果も起こることもあるということにおいては関係があるかもしれませんけれども、当面の問題について考えます場合には、先ほど来お話がございますように、検察当局としては、関係の事件の公判立証には全力を傾けているところでございますし、今後もそのことについては全く変わるところはない、かように確信いたしております。
  316. 江田五月

    ○江田五月君 公判における立証活動には裁量の余地がかなりあるんじゃありませんか。
  317. 前田宏

    説明員(前田宏君) これはもちょっとお尋ね趣旨を十分理解しないことになろうかと思いますけれども、まあ検察官としてそれぞれの事案に応じて一番最善と思う立証活動をするわけでございますので、それが後から見て不十分であったとかいうようなことはあり得るかと思いますけれども、やっておる本人たちとして見れば、最善の努力をするということにおいては全く変わりはないものと考えております。
  318. 江田五月

    ○江田五月君 たとえば証人の尋問の場合でも、非常に重要だと思えばとことん食いついて尋問するかもしれませんが、多少枝葉末節というようなところになると、妙な答えが出てきても尋問に手心を加えていくとか、あるいは対立当事者の尋問に本来異議申し立てをしても構わないようなところでちょっと差し控えておくとか、いろいろと裁量の余地があって、あるいは上手、下手もあって、きわめて微妙で、やはり一人一人の立ち会いの検察官がどこまで食いついていくか、どこまで執念を持っていくかというようなことが——もちろん事件によってですが、場合によっては非常に結果に大きな影響をもたらすものじゃないかと思いますが、いかがですか。
  319. 前田宏

    説明員(前田宏君) 異議を申し立てるとか、あるいは尋問を差し控えるというようなことは、その立証の必要性に応じていろいろあり得るわけですけれども委員お尋ねのような意味で、ほかの要素から何か手心を加えると申しますか、十分やるべきことをやらないというようなことはあり得ないことだと思います。
  320. 江田五月

    ○江田五月君 しかし、やはり国民は、法務大臣が自分はこの人たちが無罪になるのがいいと思っているというようなことを言えば、現場の検察官はそれなりにやはり考えるだろうなと国民考えるんじゃないかと思いますよ。こういう司法にとっていま、あるいは検察にとって大きな試練になっているロッキード事件について、こういう不用意なことを個人的なことであっても法務大臣がおっしゃるという——ある新聞には適格性が疑われるというふうに、適任性を疑わせるというふうに書いてある新聞もあるんですが、まさしくそういうことじゃないかと思うんです。  さて法務大臣、この発言については、こうして遺憾であると、反省しているということを、こうおっしゃるだけで、それで後はもう、それだけですか。みずからこの発言によって棄損された検察と司法の信用を回復させるための行動は、それ以上にはおとりになるつもりはないんですか。
  321. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 全力を挙げて、ただいまお話のように、司法部の権威を高揚されるように努力をいたしてまいりたいと思っております。
  322. 江田五月

    ○江田五月君 世論はいま、検察とか司法の権威の向上は、この段階であなたが辞任されるのが一番だというふうに思っているんじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  323. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたとおりであります。
  324. 江田五月

    ○江田五月君 終わります。
  325. 峯山昭範

    委員長峯山昭範君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会