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竹本委員 この問題は、具体的にまた後で御相談もいたしますから、きょうはそれ以上触れません。
そこで、本論に返りまして、次の問題は
政府の
経済見通し、あるいは政治の見通しもそうかもしれませんが、おおむね楽観的であり過ぎると私は思うのです。選挙でも、二百七十名はとれる、中には二百八十名とれるといって、楽観的な、希望的な観測のもとに解散をやった。やってみればごらんのような
状況になった。田中さんに言わせれば、雨が降ったので十名減った、
増税を言ったので十名減った、合わせて二十名減ったのだという説明があるそうですが、それは別として、雨は全国どこでも降ったのですから。いずれにしても、政治の見通しというものもきわめて楽観的であり、希望的観測が多過ぎる、
経済情勢については、特にそれがはなはだしいと私は思うのです。
そういう
意味から、たとえばいま一番重大な油の問題につき、あるいは
インフレ、
物価の問題についても、日銀を初め
大蔵省も、九月ごろになれば仮需要はおさまって、大体十月ごろからは
物価は安定するだろうというような希望的観測が相当強かったと思うのです。事実はそれに反しておる。さらに、石油の供給の問題についても、OPEC全体の生産量が四%ぐらいふえたとか、あるいは備蓄が相当ふえてきておるというようなことで、しかも日本の上半期には四百万キロか七百万キロ輸入がむしろふえたということもあって、いたずらに楽観的な御
意見があちらこちらで言われたわけですけれども、これからの問題は、下半期あるいは来年の問題だと思うのですが、それらについてもとにかく楽観的であり過ぎる。楽観的というのはいろいろ
意味があるでしょう。事実を知っておって楽観的になる場合もあるし、事実の勉強が足らないために楽観的になる場合もある。
特に私が指摘したいことは、中東の政治情勢なんというものは全く予断を許さない。私は選挙戦のときにもたびたび言ったのですけれども、ホメイニさんが来年のいまごろ大統領であるかどうか大変な疑問だ。そういう中東の刻々変転する政治情勢を前提にして、一人の
大臣と約束をしたとか、一人の使節がどうしたとかいうことですべて楽観的に
考えるなんということは、全く危険きわまりない
考え方であると思います。そういう
意味で楽観的な
考え方というものはぜひひとつ改めていただきたい。
円安問題についても同様です。これは時間がありませんから、日本の
円安がどこまでいくか、日本の
インフレに対してどこまでの分析をするかということは、これこそ本格的に
予算委員会なりあるいは大蔵
委員会においても十分論議すべきであると思いますが、これもついでに
大臣によく希望を申し上げておきます。
そういう
意味で、たしか新自由クラブあたりでは
予算を編成する、
予算を論議する前には特別に国会を開いて、これからの
経済情勢をどう見るかというようなことについて、それだけを
中心にした本格的な論議をやるべきであるというような
意見が出ておったと思いますが、そういう本格的なあるいは総論的な、全体的な見通しについての論議が日本の国会においてははなはだ不足しておると思うのですね。したがって、各論ばかりが先に急がれる、そして
委員会の
議論も、まあ口が悪いとおしかりをいただくかもしれぬが、課長
会議以下の
議論が多過ぎる。もう少し本格的な高い次元の政治的な展望なり政治の基本戦略に立った論議をぼくはしてほしいと思うのです。しかし、そういうものはやる時間がない。第一、
機会がないですね。それから
機会があっても、
大臣の御都合もあるものだから、各質問者の時間は非常に制約されて本格的な
議論はできない。しかも、きょうもそうであるように、図書館の目録みたいに
一般消費税からあらゆる問題を
議論する。そんなことで本当の
議論ができるはずがない。ですから、もう少し
重点的に、そして本格的に論議を深めていくべきであるし、
大臣も本
委員会にもたびたび御出席を願って、そういう大きな基本的な見通しについてはひとつ本格的な
議論を十分やっていただくように、これも要望ですが、お願いをしておきたいと思います。
円安問題も一口だけ申し上げますけれども、こういう問題についてもいまの
インフレの問題とあわせてよほど
議論をしなければならぬと私は思うのです。円高がある、
円安があるということで頭が混乱する面もあったでしょうけれども、これからの
円安――だれかが言いましたけれども、何しろ日本は油に弱いということで、OPECが何か
会議をやると言えば、それだけで
円安になる心配さえあるというような
状況でございますから、この問題も先ほど申しますように深刻に受けとめていただきたい。
次に論旨を進めまして、先ほど来から
大臣の答弁を聞いておりますと、私は大政治家を
期待しておる
竹下さんでございますが、答弁が若干官僚的になったと思うのですね。それは非常にそつがないけれども、結局何を言っているのかよくわからぬ。五十五年度の
一般消費税についてもわかったようなわからぬようになっておるし、五十六年度についてもなおさらわからなくなっておる。そのほかの問題もそうですが、
大臣に希望したいことでございますが、私はいまの
インフレの問題を分析もしないまま、
円安の問題も論議をしないままに結論になって恐縮なんですが、これからの日本
経済は大変厳しくなって、恐らく想像以上に厳しいと思うのですね。そこで、日本の
財政のあり方についても、ごまかし答弁やあるいは大衆迎合答弁で乗り切れるような情勢ではないと思うのですね。だから、
竹下大臣の
最初の
委員会でございますから、もう少し突っ込んだ、もう少し思い切った、もう少し荒っぽい結論をむしろ
委員会を通じて
国民にぶっつけられると私は
期待したものです。それがいま申しましたように、しっぽをつかまれないという点においては非常に名答弁でございますが、一体どういうことまで、どういうふうに
考えておられるのか、以心伝心で若干わかりますけれども、少なくとも
国民にはわからない。本
委員会のメンバーがやっとわかる
程度だと思うのですね。しかし、私はそれではだめだと思うのです。それではだめだ。たとえば、
増税なんかの問題は、過去において馬場鍈一さんが
増税をやられたときに、親任式のときに
最初の記者会見で
増税だと言いましたよ。そして、後で何かで読んだのですけれども、一番きらわれることは一番
最初に言っておかなければだめだということを馬場さんが言っておる。これは政治家として心得べき
一つの重大なポイントだと思うのですね。したがって、大蔵
委員会の第一回の会合において、
竹下大蔵大臣が、右か左かわからないような答弁ではなくて、これからは非常に厳しくなるんだ、したがって
予算の編成についても、もう一部にそういう声も上がっておりますけれども、
景気振興と
物価抑制と両にらみでいくなんというようなのんきなことを言って、これで一体この危機が乗り切れるはずはない、したがって両にらみはやめます、この点とこの点はもう覚悟してもらわざるを得ないんだというぐらいのことを大胆率直に
国民にアピールされる方がいいのではないか。いやなことは
最初に言っておく、むずかしいことは
最初に言っておくということでないと、大平内閣はそんなに長く続くとも思わぬが、結局、そうすると、
財政再建なんというもののむずかしい仕事は、手がかり、糸口もつかまないうちに内閣は終わる心配がないかと私は思うのです。真剣な
意味で私は申し上げます。
大臣、いかがですか。