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1979-11-21 第89回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十一月二十一日(水曜日)委員長の 指名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任し た。  税制及び税の執行に関する小委員       愛知 和男君    麻生 太郎君       熊川 次男君    椎名 素夫君       白川 勝彦君    中村正三郎君       村上 茂利君    綿貫 民輔君       伊藤  茂君    沢田  広君       塚田 庄平君    山田 芳治君       坂口  力君    柴田  弘君       正森 成二君    玉置 一弥君  税制及び税の執行に関する小委員長                 愛知 和男君  金融及び証券に関する小委員       麻生 太郎君    稲村 利幸君       熊川 次男君    高鳥  修君       玉生 孝久君    中村正三郎君       林  義郎君    山崎武三郎君       川口 大助君    佐藤 観樹君       島田 琢郎君    堀  昌雄君       古川 雅司君    宮地 正介君       渡辺  貢君    竹本 孫一君  金融及び証券に関する小委員長                 稲村 利幸君  財政制度に関する小委員       稲村 利幸君    大村 襄治君       椎名 素夫君    高鳥  修君       玉生 孝久君    毛利 松平君       山崎武三郎君    山中 貞則君       伊藤  茂君    川口 大助君       島田 琢郎君    山田 芳治君       古川 雅司君    宮地 正介君       多田 光雄君    竹本 孫一君  財政制度に関する小委員長                 高鳥  修君  金融機関週休二日制に関する小委員       愛知 和男君    白川 勝彦君       藤井 勝志君    坊  秀男君       村上 茂利君    山口シヅエ君       山本 幸雄君    綿貫 民輔君       佐藤 観樹君    沢田  広君       塚田 庄平君    山田 耻目君       坂口  力君    柴田  弘君       渡辺  貢君    玉置 一弥君  金融機関週休二日制に関する小委員長                 綿貫 民輔君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十四年十一月二十一日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君    理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君    理事 高鳥  修君 理事 佐藤 観樹君    理事 坂口  力君 理事 正森 成二君    理事 竹本 孫一君       麻生 太郎君    大村 襄治君       熊川 次男君    椎名 素夫君       白川 勝彦君    玉生 孝久君       中村正三郎君    藤井 勝志君       坊  秀男君    村上 茂利君       毛利 松平君    山口シヅエ君       山中 貞則君    山本 幸雄君       伊藤  茂君    川口 大助君       沢田  広君    堀  昌雄君       山田 芳治君    貝沼 次郎君       柴田  弘君    宮地 正介君       渡辺  貢君    玉置 一弥君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  百崎  英君         経済企画庁調整         局調整課長   海野 恒男君         経済企画庁総合         計画局審議官  戸田 博愛君         法務省刑事局刑         事課長     根來 泰周君         大蔵政務次官  小泉純一郎君         大蔵大臣官房長 松下 康雄君         大蔵大臣官房審         議官      福田 幸弘君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省関税局長 米山 武政君         大蔵省銀行局長 米里  恕君         国税庁次長   伊豫田敏雄君         会計検査院事務         総局第四局審議         官       竹尾  勉君         会計検査院事務         総局第五局審議         官       室屋  勇君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      前川 春雄君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十一日  辞任         補欠選任   古川 雅司君     貝沼 次郎君 同日  辞任         補欠選任   貝沼 次郎君     古川 雅司君     ――――――――――――― 十一月十六日  一、国の会計に関する件  二、税制に関する件  三、関税に関する件  四、金融に関する件  五、証券取引に関する件  六、外国為替に関する件  七、国有財産に関する件  八、専売事業に関する件  九、印刷事業に関する件  一〇、造幣事業に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の会計税制関税及び金融に関する件      ――――◇―――――
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制関税及び金融に関する件について調査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛知和男君。
  3. 愛知和男

    愛知委員 まずもって竹下大臣大蔵大臣就任おめでとうございました。同時にまた、国の経済あるいは財政金融、あらゆる面でまことに難題が山積みしております今日だけにこれからいろいろと御苦労が多いかと存じますけれども、ひとつ御健闘をお祈り申し上げます。  まず竹下大蔵大臣就任に当たりまして、何代か続きました大蔵省出身大蔵大臣の後の、いわばいままでといささか御経歴等が違う大臣の御就任でもございますし、大蔵省の内部でも新大臣に大きな政治力といいますか寄せられる期待も大変大きいと承っております。また国民サイドから申しましても、いままでのような同じ路線に立った発想ではなかなか解決できないいろいろな課題がある今日でございますので、新しい発想あるいは決断、実行といったようなもの、新しい大臣に対して大きな期待が寄せられていると思うわけでございますけれども、改めてひとつ新大臣の御決意のほどをまずもってお聞かせをいただきたいと存じます。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま、私の激励ともとれる御所見を交えての決意いかん、こういうことでありますが、私自身出身がどうあれ、私の今日までの政治的環境がどうあれ、それによって大変手法が異なるというようなものではないと思っております。したがいまして、私の今日までの政治環境等から見て私なりに竹下カラーとかいうようなものが出ること自体をむしろ慎むという気持ちで対応しなければならない、言ってみればみずからに対してはきわめて冷静さと慎重さを要求しながらこの責任を果たしていきたい、このように考えております。
  5. 愛知和男

    愛知委員 大臣就任以来、新聞記者会見あるいはインタビュー等で、大臣の今日の経済あるいは一般環境の御認識等につきましてもお話が新聞紙上等に報道されておりますが、きょうはいわば初めての公式の国会でもございますので、まず最初大臣の基本的な御認識等につきまして幾つかお尋ねをしてまいりたいと存じます。  まず最初に、今日の経済状況をどのように御認識をされているかという点でございますが、一時景気も非常に堅調と言われておりましたけれども、最近の統計によりますと、十月あたりを機会にこの景気状況にもいささか転換が見られるというふうなことも言われております。一方物価の問題につきましては、これは十二月にまたOPECが開かれるわけですが、そのときの決定等によっても大きな影響は出てくるかとは思いますけれども、しかしながら先行ききわめて危険視をされているわけでありますが、今日のこの経済状況、特に景気物価と二つの大きな柱を中心大臣の基本的な状況把握、どのようなものかひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 私も、就任いたしましたときの一口あいさつとでも申しましょうか、そのときにも物価景気の両にらみということを基本的態度として適時適切なる施策の展開を行ってまいりますと、こういう言葉で申したわけであります。  確かに最近の経済情勢を見ますと、個人消費あるいは民間設備投資等国内民間需要中心として総じて着実な拡大傾向をたどっておると言えると思います。そうしてまた、雇用情勢も、緩やかではございますが改善の方向にあるということは言えると思うのであります。しかし、いま愛知委員御指摘のとおり、確かに九月期決算等を見ますと、いろいろな民間の論調の中にもかなり自然増収が見込まれるではないかなどというような予測がなされたわけでありますけれども、その後の推移は決して予断を許すような状態ではないというふうに思っております。  そうしてまた、他方、物価面におきましては、消費者物価はまずまず世界の先進国動向等に比較いたしましても安定しておるという認識でよかろうかとも思うのでありますけれども、一方、卸売物価ということになりますと、石油事情あるいは円安等々からいたしましてこれは非常に警戒をして当たらなければならぬ状態であるというふうに考えます。そうした経済情勢のもとでございますので、政府として、もとより物価景気の両にらみという姿勢には変わりないものの、いまあえていずれに傾斜をかけるかというお問いがあったとするならば、物価というものに傾斜して判断をしていかなければならないではないか、そういうような感じでもって対応していきたいと思っております。
  7. 愛知和男

    愛知委員 従来は物価景気両にらみということで経済運営をされてこられましだけれども、新たに多少それのニュアンス的な変更といいますか、これからはどちらかというと物価の方に重点を置いた経済運営をしていきたいというお話だったと解釈をいたします。  さて、そのような経済運営のこれからの基本方針のもとで早速五十五年度の予算編成という大きな課題があるわけでございますけれども、この経済運営と同時に、また財政再建という大きな課題を抱えた五十五年度の予算編成でございますが、この予算編成基本方針といったようなものをひとつお示しをいただきたいと存じます。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 御案内のように、わが国の財政は十五兆円を超える巨額の公債発行を余儀なくされておるという状態であります。そういう異常な事態に立っておるという認識のもとに立ちまして、このような大量の公債をこのまま続けていくことは財政破綻ということのみでなく、いわゆる財政面からインフレを招来するということ、それが経済全体にひずみをもたらして、国民生活の安定を図る上でも大きな問題となるわけであります。  したがいまして、五十五年度予算編成ということになりますと、まずこの公債財政の体質を改善するとでも申しましょうか、そして対応力の回復を図るというようなことが緊急の課題でございますので、昭和五十九年度までに特例公債を解消するという基本的目標といたしまして、昭和五十五年度予算においては、その具体的な第一歩として公債発行額相当程度と、国民にわかるようなというような表現をしておりますけれども、圧縮を図っていきたい、これが一つであります。  そうしてまた、歳出面におきましては、全般にわたって徹底した削減合理化ということになります。極力歳出の伸びを圧縮いたしますとともに、あるいは歳入の面におきましても、税負担の公平というような意味からいたしまして、租税特別措置全般にわたってその整理合理化を図る方向目下作業中であるというふうに御理解をいただきたいと思うわけであります。  したがって、入るをはかって出るを制すると申しますが、まず出るを制した上で、なおかつ歳出増加に伴って財源が不足する場合には、国民理解を得て負担増加を求めることも検討の外に置いているわけではないというふうに御理解をいただければ幸いであります。
  9. 愛知和男

    愛知委員 五十五年度の予算編成は、先ほどの景気を今後とも持続をしなきゃいけない、あるいは物価を抑えていかなきゃいけない、財政再建もやらなきゃいけない、それぞれ相矛盾するような課題を抱えた予算編成でありますから、なかなか大変だとは思うんですが、いまのお話を承っておりますと、この予算編成、どちらかと言うと後ろ向きの点が非常に出てまいりまして、もっとこの予算の積極的な面を強調しなきゃならないんじゃないかと思うんです。というのは、予算編成に当たりまして、やはり重点配分と申しますか、そういう問題をよほど重点を置いていく必要があると思いますし、また一時盛んに言われましたが、ゼロベース予算といいますか、すべてを原点へ戻って、そこから出発をして検討する必要がある、実績主義ではない考え方予算編成に盛り込むべきではないかというようなことなども非常に言われたときがございましたが、こういうときにこそそういう考え方予算編成に盛り込んでいく、こういうことが非常に肝要ではながろうかと思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる従来の予算編成は、対前年度比何%の増であるとか減であるとか、そういう実績主義が今日まで継続しておるという認識は、私もそういう認識に立っております。したがって、サマーレビュー等事務当局それなり各省との協議、検討をやってきました段階の中で、その精神的な背景の中には、言ってみれば実績主義から、まさにゼロベースからの出発というような意気込みでそれぞれやってきたようであります。  御趣旨の方向については、私も、もとより傾聴に値する意見であるし、そうあらねばならぬと思っておりますが、いろいろ予算編成段階に差しかかってまいります今日において、その三四%という大宗を占める補助金等々を見た場合に、全くゼロベース実績主義というものをネグレクトしてそれに対応するわけにもいかぬ。大変な矛盾を感じながら、素人ながら一生懸命でやってみようというふうに思っております。
  11. 愛知和男

    愛知委員 こういう重点配分なりゼロベース予算と申しますと、言うはやすく実行はなかなか困難であるということはよくわかりますが、ひとつ大臣の力強いリーダーシップを御期待申し上げたいと存じます。  先ほど御答弁の中にちょっとございましたが、五十五年度予算における公債発行額につきまして相当程度削減ということで、なかなかこれを具体的な数字でお示しをいただくのは困難かとは思いますけれども、一時、公債発行額予算の中に占める割合を何とか三〇%以下に抑えるというようなことが強調され、当局としても何か歯どめといったようなものが必要だということを非常に強調されたことがございましたが、いろいろな事情でその三〇%もあっさり超えてしまったわけでありますが、この歯どめというものをどこかに設けて、何とかそれ以下に抑えていくというような方針大蔵省としてお持ちかどうか、お答えをいただきたいと存じます。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 いま来年度予算編成に当たりましての公債依存度の問題については、とにかく国民皆さん方からわかっていただける形のものを減していこう、こういう表現をしておるわけであります。大体、この表現もおかしなことでありまして、国民にわかるといえば、一体、百億がわかるのか、二百億がわかるのか、千億台がわかるというのか、兆の大台に乗せなければいかぬというのか、その辺は問題のあるところでございますけれども、いまはまさに、いかにしてこれをわかる形で減していくかということで鋭意作業を進めておって、そうして来年度の経済見通し経済企画庁等と事務的にいま詰めつつありますが、それが定かでない今日、明瞭にはっきりした数字で申し上げる段階にはない。私なりにも、記者会見等国民にわかるようにと言いながら、わかってもらえるのは何ぼであるかということについては、定かなる定義づけを行うだけの能力を持ち合わせていない、こういうことであります。
  13. 愛知和男

    愛知委員 現在の公債発行額を減らすということでございますが、私がお尋ねをしておりましたのは、予算の中で公債発行額をどの程度は許容されるのか。一時は三〇%論がずいぶんございまして、それの理論づけなどにもずいぶん大蔵省当局御苦労された向きもあるわけでありますが、私どもといたしましては、何かそういった歯どめみたいなものがないと、どこまで一体これがふえていくのか、あるいはそういうものを成り行きに任せておいていいものか、非常に不安を覚えるわけでありますが、その点いかがでしょうか。
  14. 禿河徹映

    禿河説明員 ちょっと私の方からお答えさせていただきます。  公債依存度というものがどの程度以下がいいのかということにつきましては、いろいろ実はこれまでも議論がございまして、私ども、公債発行の歯どめというものにつきまして、一体いかなる指標というものがあるかということにつきましても、実は昨年の九月以降財政制度審議会の第一特別部会におきまして公債発行に関する諸問題を取り扱っていただいてきております。  そこで、いろいろの観点から、あるいは各種の指標を用いて、公債発行について歯どめを設けていくのがいい。たとえば、対GNPの比率あるいは一般歳出予算の中での国債費比率等々実はございますが、現在までの特別部会での審議大勢といたしましては、いろいろそういう歯どめというものは考えられようけれども、そこで一本の明確な筋というものはなかなか引きにくい。それでそういうものを総合的に勘案する必要はあるのだけれども、やはり何か明確な、わかりやすい、簡明な歯どめというものを設けることが必要ではないか、こういうのが現在までの審議大勢でございます。  その際に、公債依存度というものは、その後破られましたけれども、やはりかつてあった三〇%という歯どめは大変意義のあったことと思われる。現在三〇%という線はございませんけれども、そういうふうな何か依存度というものについての明確な指標はないものかということで、現在検討を重ねていただいておるようなわけでございます。  ただ、現在までの議論といたしましては、やはり中期的に見まして、まず昭和五十九年度までに特例公債というものから脱却するのが第一であろう。さらにその後の目標といたしましては、建設公債といえども、公共事業関係費等目いっぱい出すというのは決していい方向とは考えられない。やはりいざというときの対応力を残すためにも、建設公債といえども、たとえば発行可能額の半分程度というふうなことに持っていくのがいいのではないかというふうな議論もなされております。  そういういろいろの御論議を踏まえまして、十二月に入りまして、恐らく財政制度審議会の方からもそれに関連する御意見が出されるものと期待いたしておる次第でございます。
  15. 愛知和男

    愛知委員 この問題については、いろいろ議論もあるところでもございますので、きょうは時間がございませんから、またいろいろな機会に御意見などを承っていきたいと思っております。  時間がなくなってまいりましたが、いささか当面の問題でございますけれども、早速予算編成に取りかかっておられるとは思いますが、ことしは例年と違って、選挙があり、その後の経過がございましたので、予算編成作業などが例年に比べてずいぶんおくれているのじゃないかと心配をいたします。  そこで、これから予算編成日程がどういうふうになるか、これは最終的に詰まってない面もおありかとは思いますけれども、予算編成日程につきましてどういうスケジュールを考えておられるか、お示しをいただきたいと思います。
  16. 竹下登

    竹下国務大臣 サマーレビューを通じて各省とのある種のすり合わせが行われ、そしていま事務的にはそれぞれかなりの折衝が行われておるわけであります。しかし、内閣の発足がおくれましたことでありますとか、そういうような事情の中で、例年年内編成をやったときのテンポから見ますと、いまのところ順調に進んでおるとは言えません。しかし、そういう各般の、相談すべき先、すなわち政府関係のそれぞれの調査会でございますとかあるいは党関係調査会でございますとか、そういうものもやっと発足をいたしましたので、まあかなり精力的にそうした方面の御意見を拝聴する等、おくれをここのところ二、三日で急に取り戻しつつある、こういう状態でありますので、私はやはり年内編成ということを目標として精力的に詰めていかなければならぬというふうに考えております。
  17. 愛知和男

    愛知委員 いろいろな意味で大変大切な五十五年度の予算でございます。一方では、一日も早く年内編成実現をしていただきたいわけでありますが、また一方では、いろんな要素をひとつ慎重に取り扱っていただく必要もございますので、いろんな意味大臣の力強いリーダーシップを御期待申し上げます。  最後に、時間もなくなってまいりましたが、もう一つの大きな、最大の課題といってもいい財政再建の問題、このことにつきましても、大臣いろいろな機会に御発言をされておられますけれども、私は、財政再建という問題に取り組む際に一番大切な考え方は、やはり公平というものだと思うのであります。財政を再建しないで放置しておいた場合にはやはりインフレが起きる可能性がある、あるいは財政が硬直化して本来その持つべき所得再配分というような機能が十分果たせなくなる、これは結局不公平が拡散をするということだと思うのでありまして、だから、世の中がより不公平にならないように財政再建をしなきゃならないのだ、結局そういうことだと思うのであります。その手段としていろいろな方法が言われているわけですが、したがって不公平にならないように財政再建をするということになりますと、その手段がより不公平であっては何の意味もないわけでありまして、そこでやはり一番肝心なことが公平ということだと思うのであります。  そういうような観点から大臣も、税金の面でも直間比率の問題とか、いろいろ問題提起をすでになさっておられますけれども、ひとつ、財政再建をやっていく上で、手段としては、歳出カット、そしてさらには歳入を可能な限りふやしていくという両面があるわけですが、歳出カットということも、見方を変えますと、これもやはりある意味では国民負担になるわけであります。増税だけが国民負担なんではなくて、歳出カット負担だと思うのでありますが、そういうような、いろんな意味両面から世の中の公平をどうやって実現をしていくかということが、財政再建に当たって一番肝心なポイントではなかろうかと思います。財政再建の話となりますと、とかく増税なり一般消費税といったようなものがひとり歩きをしまして、増税が是か非かとか、一般消費税がいいか悪いかという議論だけに集中しがちでございますけれども、そうではなくて、もっと原点に立ち返って、公平といったようなものをどう実現するかという観点からこの問題を議論すべきだ、このように思うのでございますけれども、大臣財政再建に取り組む基本的なお考えを、短い時間ではございますけれども、基本的なお考えをお示しいただきたいと存じます。
  18. 竹下登

    竹下国務大臣 先ほども申しましたように、入るをはかって出るを制すると申しまして、まず出るを制する方から手をつけることによって、政府自身のやれることからやっていこう。そう言ってみましても、国民皆さん方の側からすでに既得権であるものに切り込んでいくということはなかなか困難な点も多々ございます。しかし、それであっても、やはり出るを制するというところに重点を置いて、それでなおかつ最小限国民の新たなる負担をいただくという状態にやむを得ず到達いたしたといたしましても、その際はそれこそ国民理解と協力を得なければ新たなる負担を得ることはできない。したがって、たとえば国会を通じ、あるいはまたマスコミ媒体によって国民との問答を繰り返しながら、そうした問題に対しては理解を得る努力を続けていかなければならぬ、基本的にそのように考えております。
  19. 愛知和男

    愛知委員 質問を終わります。
  20. 増岡博之

  21. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 竹下大蔵大臣、大変むずかしい時期にどうも御苦労さまでございます。  まず、予算の問題に入る前に、いま問題になっておりますKDDの問題、これは実は大蔵省も全く無関係でないわけであります。事件の概要については大蔵大臣も大体御存じかと思いますけれども、率直に政治家として今度の国際電電会社の問題をどういうふうに受け取られているか、その点いかがでございますか。
  22. 竹下登

    竹下国務大臣 KDD問題というものがいまマスコミの上でも厳しい世論の批判の対象になっておるということは御指摘のとおりであります。私は最初この認識が非常に甘くて、一民間会社の問題であるというふうな認識でありました。それほど物を知らなかったわけであります。が、しかし、その性格上非常に公的な、ある種の独占体系を持つところの企業であるという認識の上に立てば立つほど全く好ましからざる事態である、そうしてこれが大蔵省との関連におきまして種々なる問題があったというふうに報告を聞いておりますが、遺憾の一語に尽きる問題であるというふうに認識をいたしております。
  23. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私が大蔵省と関係があると言うのは、一つは税関の問題だからであります。  そこでお伺いをしたいのは、今度の事件を見てみますと、約一億円、二十回行われたのではないかというわけであります。私もフリーパスという言葉は正確ではないとは思うのでありますけれども、このような事件が起こったというか、できた背景の中には、この民間会社に対しまして、会長なり社長なりあるいは役員が税関を通るときにかなり便宜供与が行われていた、このことがこういった事件の、何といいますか、幇助というのか、こういうことになっていたようであります。一体何ゆえにKDDという民間会社にこういった便宜供与が行われていたんだろうか。旅具検査場立入基準によりますと、国賓なり公賓なり皇族、外交官、政府要人と、その範囲というのは決められているにもかかわらず、どうして民間会社のこういった役員に対してまでこういう便宜供与が行われていたのか。これについて関税局としては一体どういう見解をお持ちになっているのか、またなぜこの民間会社にこういった便宜供与が行われたのか、その点はいかがでございますか。
  24. 米山武政

    ○米山説明員 いま御指摘のとおり、フリーパスというのはございませんで、通関補助のために出迎え人を検査場へ立ち入りを許可している、こういう制度があるわけでございます。これもいまお話ありましたように、国公賓、これは国際儀礼上の慣行でございます。それから病人も、これは重いトランク等を運ばせるのは非常に大変でございますので、出迎え人に中へ立ち入りさせておりますし、また重要な公務を帯びた者、こうしておるわけでございます。この場合でも、申請を出していただきまして、本当に必要かどうかということを審査して認めているわけでございます。ただいまの御質問、いまの基準から見て、株式会社であるKDDの役員に認めているのはおかしいではないかという御指摘でございます。  成田空港移転前の羽田空港の場合には、御承知のように海外旅行客が非常にふえております。ところが、場所が非常に手狭でございまして、あの中にカート等も十分に配置していないという状況で、通関補助の必要が非常に大きかったわけでございまして、民間人を含めまして内外の要人には手荷物運搬のための補助を認める、こういうふうにしておりました。私ども、その場合でも一応検査はする、それはただ運搬の補助を認めるというだけでございました。そういうことでわれわれ非常に信頼関係で、そういうことはよもやあるまいと思っておりました。もちろん検査も一応しておりました。そういう状況でございましたが、今回成田に移りましてから検査場も非常に広くなりまして、この基準は厳格にやっておりまして、現在は民間人等に対して立ち入り許可を認めるということはいたしておりません。
  25. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、いまの答弁ですと、現在こういった検査場に立ち入らせ、そして代理通関をさせるということは立入基準以外の方にはしていないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  26. 米山武政

    ○米山説明員 御指摘のとおり実行しております。
  27. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一点は、この前十一月の十四日に、KDDの事件につきまして東京税関の成田税関支署長の方が東京地検に告発をしたわけでありますけれども、そのときの告発というのは十月の一日にかかわる佐藤陽一、浅野秀浩、佐藤信義、どうも佐藤が二人も出てきて余り感じがよくないのでありますけれども、この三人の一日に関係するもの及びKDDという法人に対して行ったわけですね。その他、おたくの方もお認めになっておりますけれども、過去二十回にわたって通関をしている、あるいはいわゆる密輸が行われていたんではないかということが言われておるわけであります。おたくの方の発表では、まだこれは調査中ということになっているわけでありますけれども、この現行犯でつかまらなかった分については一体いつごろを目安に、またある程度現物も集めなければ告発できるかどうかもわからぬと思いますけれども、そういった密輸品を集め、そして告発をする――するかしないかわかりませんが、捜査の進行状況がいまどうなっていて、そうして告発にこれが至るのかどうなのか、この点についてはいかがでございますか。
  28. 米山武政

    ○米山説明員 十一月十四日に成田税関支署長が東京地検に告発いたしました内容は、いまお話ありましたとおり、前社長室長の佐藤陽一さんほか二人の十月一日及び二日の通関に際して、現行犯でございますが、現行犯のしかも無申告分だけについて告発しているわけでございます。この三人につきましては、さらに過少申告分、それから過去にも行った疑いがございます。そのほか相当の数の社員が相当回数行った疑いがございます。これを現在調査中でございます。とりあえず三人のその現行分をやったわけでございます。その他の分につきましても、調書をとった分もございます。まだ残っている分もございます。なかなか過去の分につきましてはいろいろ立証がむずかしいというような点もございまして、まだ時間がかかる見込みでございますが、調査中でございますので、まだいつ終わるかというめどはちょっとついておりません。
  29. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで、密輸した品物というのはあくまでこれは会社側が自主的に集めておたくの方に出すことになるのですか、それとも、それ以上のことをおたくの方でやるのですか。
  30. 米山武政

    ○米山説明員 証拠品を集める場合にいろいろな方法があると思います。自主的に出させる場合もありますし、必要な場合には別の措置をとることもあり得ると思います。
  31. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、非現行犯分のおたくとしての捜査の行方というのはいまのところわからない、むしろいまの御答弁で聞きますと、どうも告発まではその分についてはいかないんじゃないだろうかというふうにとれるのですが、それはまだわからぬということですか。
  32. 米山武政

    ○米山説明員 調査中でございまして、まだ告発に至るのか通告で終わるのか、その点については現在見当ついておりません。とにかく調査の進展を待ちまして告発に該当するかどうか判定したいと思っております。
  33. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 次に、国税庁にお伺いをしておきたいのでありますけれども、このKDDの事件を見た場合に、法外に交際費が多い。これは別に法人税を納めれば交際費を使っても一向に構わぬわけでありますから、一〇〇%納める部分もあるわけでありますから、そのこと自体は行政ベースでどうのこうのと言うことはないと思うのでありますが、それにしても交際費ということになると、日商岩井事件のときもそうでありましたけれども、使途不明金というのが大変多い。一体今度の場合に使途不明金というのが、新聞でも数字が出ておりますけれども、かなりあるんではないか。とりわけこれは特殊法人といいましても株式会社でありますから、どうもその辺の調査というのはKDDに対して過去やったのだろうか、特殊法人なるがゆえに手が抜けていたということはなかったんだろうか、またその中で問題になっております使途不明金、これについては一体どのくらい調査が行われたんだろうか、その点についてはいかがでございますか。
  34. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答え申し上げます。  KDDは特殊法人でございますけれども、私の方の扱いは一般の株式会社と全く変わることがなく、普通の調査を行っております。特にKDDのような大法人につきましては、それぞれの局におります経験豊かな特別調査官が担当することになっておりまして、相当の日数をかけましてこれを十分調査しておりますところでございます。  それからもう一点、お尋ねの使途不明金の調査の具体的内容の問題につきましては、個別の問題にわたる事項でございますので、この席での御答弁は差し控えさせていただきたいと思っておりますが、一般論といたしまして、交際費並びに使途不明金の問題につきましては十分な関心を持って常に調査を行っているということは申し上げられると思います。
  35. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それは伊豫田さん、これからなおかつ十分な関心を持って行うという意味ですか。なぜならば、使途不明金はひょっとすると贈収賄になる場合もあれば、あるいは個人の所得に帰する場合もあるわけですね。したがって、いまこれだけ大きな問題になって改めて国税庁としてもう一回調べ直すつもりがあるのか、過去の使途不明金についてかなり詳しくお調べになったことがあるのかどうなのか、その点についてはいかがでございますか。
  36. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 ただいま申し上げましたように、一般論としては、使途不明金につきましては十分な関心を持って、通常の調査に際しましてその行く先等につきまして、できる限りの努力をしてその解明に努めているところでございます。
  37. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ちょっとはっきりしないのは、非常に興味を持って調べたか調べないかは守秘義務の範囲ではないと思うのですね。その点を一点。  それからもう一つは、新聞の報ずるところでは、五十三年の三月期に更正決定をおたくの方で打っているということが出ているわけであります。これは私から何も言うことはないけれども、過去の経緯から言うと、大体守秘義務に属するということで御答弁がいつもなかったわけでありますけれども、私が今度のKDDの事件をずっと見たときに感ずるのは、利益隠し、つまりそれは国税庁に対してじゃなくて、一般の国会や株主に対して税引き後の利益をなるべく小さくするために準備金を積めるだけ積む。交際費も普通のこの規模の企業に比べて約倍使っているということもありますし、それから退職給与引当金も方法を変えまして五十億余もよけいに積んでいる。これ自体はおたくの観点から言ったら違法ではないことは私も存じておりますけれども、問題なのは、そういって表面上は税引き後の利益を非常に小さく見せて五十三年の三月期で更正決定を打つ。これは何するかといいますと、表に出す決算書というのはなるべく利益を小さく見せて更正決定を打ちます。そこから本来ならばさらに税が加わって利益が少なくなるわけでありますけれども、それは更正決定を打ったものは公表されないということを悪用して、利益をなるべく小さく見せるためにそういったいろいろな準備金や積立金やあるいは引当金をあえて余分に積んで、おたくの方からみずから更正決定を打つことを期待をしてやっている節が見えるわけですね。これは余りいいことではないわけであります。税金を納めさえすればいいという問題ではなくて、そういった事実があったんではないだろうかと推察をするのでありますが、その点についてはいかがでございますか。
  38. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 利益をどのように出すかという問題につきまして、確かに引当金の額を調整することによりまして会社の公表利益をどのように調整していくかという問題はございます。ただ、この問題は、税務といたしましては、たとえば退職給与引当金につきましては一定の限度の枠の中におきまして――その細かい内容は説明を省略さしていただきますが、御承知のとおり、税務の定めております枠の中におきましてこれが経費に計上されることを認めるという立場をとっております。したがいまして、たとえば会社が退職給与引当金を税が一応の限界としている枠を超えてお積みになるかならないかの問題は、実は税の問題ではなく企業会計の問題である、このように考えております。ただ、その場合にも、通常の例を申し上げれば、たとえば退職給与引当金を多く積んだ場合につきましては、いわゆる申告調整という方法によりまして、税務申告上、会社の公表決算利益に対してみずから加算をしていただくというのが通例になっておりまして、大部分の会社につきましてはそういう方法によってすでに申告面において大きな利益が計上されてきているという形になっております。したがいまして、更正を期待して利益隠しをやっているというような事実は非常に少ないのではなかろうか、このように思っております。
  39. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この問題の最後にもう一回次長にお伺いをしておきますが、いまこの問題がさらに大がかりな政官界への贈収賄に発展をするのではないかということが言われているわけでありますけれども、それに先立って、さっきちょっと触れましたように、交際費の中の使途不明金、それはいろいろな名目になっていると思うのでありますが、ここまでいろいろなことが出てきて、あるいは絵画が備品としてではなくて経費として落ちているというような問題も報道されておりますし、改めて交際費なり、特に使途不明金についてもう一度洗い直すおつもりがあるのかないのか、この点をもう一度お伺いをします。
  40. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 従来の調査の具体的な内容については、先ほど申し上げましたようなことで差し控えさせていただきますが、KDDにつきましては、すでに五十三年の三月期並びにその前二年につきまして昨年の七月から十月までの間に相当期間の日数をかけまして調査を行っているところでございます。しかしながら、五十四年三月期につきましてはいまだ調査が行われておりません。こういう状況になっております。  最近の新聞等の報道につきましては、国税当局といたしましても十分な関心を持っておりまして、注目しているところでございます。ただ、何分にもKDDは現在関税法違反で東京税関から東京地検に告発されたところでありますので、今後ともその推移を十分見守ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  41. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 本来、ここまで大きな問題でありますから、もう一回、それは庁の方も局の方もみずから調査もしたことでありますから、それをもう一度やり直すということについてはいろいろ内部的な問題もあろうかと思いますけれども、非常に国民が注目している問題でありますから、ぜひ執行面で国民に疑惑を持たれないような調査を今後もしていっていただきたいということを特に注文をつけておきたいと思うのであります。  次に、予算の問題に入りますけれども、一体大蔵原案はいつごろ出すような日程でいま予算の編成作業はしているのですか。
  42. 禿河徹映

    禿河説明員 先ほど大臣の方から五十五年度の予算の編成の日程と申しますか、お答えいたしましたとおり、いろいろ現在までのところ各種の事情から作業が若干おくれておりますけれども、年内編成方針で努力したい、こういう御答弁がございまして、当然私ども事務当局といたしましてはその線に沿いまして年内編成に全力を傾けてまいりたい、かように考えております。したがいまして、年内編成ということに相なりますれば、その前に大蔵原案を内示いたしまして、そして年内にでき上がるようにということでやるわけでございまして、何日までとかいうふうなことはいま申し上げられるような状況ではちょっとございません。
  43. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 大臣、問題は、後から詳しくお伺いしていきますけれども、非常に窮屈な予算編成というところが実感だと思うのであります。その前提として、一体来年度の景気というのはどういうふうになってくるのだろうか。若干愛知さんの御質問の中に現状の認識についてのお話がございましたが、来年度について一体景気は上昇局面になるのだろうか、あるいは下降なんだろうかという認識で、基本的に今度の予算の編成のベースが変わってくると思うのであります。いろいろな民間調査機関でも、国民経済研究協会なんかは、来年の四月、五月はスローダウンするけれども後期はいいんだというところもあるし、あるいは大和証券の来年度の景気予測は、五・二%成長というような、どちらかというと楽観的な、下期には回復に転ずるだろうという話もありますし、こういった認識において公共事業をどうするとかその他の問題がいろいろ変わってくるわけですね。  私は、いまの細かい経済成長なり物価の上昇率については、まだ経済見通しもつくっておるところでありましょうから、そこまではいいのでありますが、一体来年度の景気というのを全体としてどうとらえるか、その点についてはいかがでございますか。
  44. 竹下登

    竹下国務大臣 いまの佐藤委員の御質問の言葉の中にもございましたように、現在経済企画庁等と来年度の経済見通しについて鋭意議論をしておるさなかであります。特に来年度の見通しの問題につきまして、一方OPECが十二月に開かれますと、それが一体どうなるのか大きな要因になるんじゃないか。そうすると、現段階においては来年の経済見通しについて確たる答弁を申し上げる状態にないというのが実態であります。  強いて個人としてどう考えるかというようなお考えがあるといたしましたならば、今日内需というものは比較的堅調であるだけに、来年度の経済運営方向としては、やはり内需中心の運営を展開していかなければならぬではないか。適切な、的確な答弁にならなかったことは十分承知の上でお答えをいたしました。
  45. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうですな、ちょっと余り適切じゃないですな。  私も、いま一体イランの情勢がどうなるかによって、日本の石油問題、それに伴うところのいろいろな問題というのが、いろいろ見方が変わってくるだろうということはわかるのでありますが、ただ石油問題というのはよくなる可能性というのはそうないわけで、その意味では、はっきりしているんじゃないだろうかと思うのであります。  ただ、問題は、民間設備投資がどうなっていくだろうか。大体来年前半ぐらいで終わってしまうんじゃないだろうか。終わるという言い方は正確じゃないかもしれませんが、等々見ていきますと、予算編成をしているのに、来年度の景気はどうなっていくだろうかが全く頭になしにやるというのも、これも私は、あえて言わしていただければ、不見識な予算編成ではないだろうかと思うのであります。  そこで、マル・バツ式で言うのもおかしいのでありますが、景気抑制型あるいは景気に対して全く中立な予算、あるいはせめて幾らかでも財政景気の下支えをしたい、あるいはさらに景気を刺激したい、四つの、景気に対して抑制型、中立型、下支え型、刺激型という中で、強いて選べと言えば、大臣、どういう予算になりますか。
  46. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに現在の財政情勢が景気を刺激するだけの力を持っていないということは、私も認めます。したがいまして、積極型という表現は、これは全くできないと思っております。  さらに中立型であるか、抑制型であるか、あるいは自然体であるか、そういう言葉の問題については、やはり経済見通しが定まったときに、それは言葉の上で確定をしたいという考え方であります。
  47. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それじゃちょっと事務当局にお伺いしますが、いまの段階で、新聞でいろいろと報じられておりますが、一体、予算の枠組みというのはどのくらいになるのだろうか。たとえば、一体、本年度の自然増収はどのくらいになって、来年度は一応税収でざっとどのくらい自然増収が出てくると見ているのか。それから、当然増経費というのは幾らぐらいになっているのか。この予算の枠組みについてはいろいろ新聞で数字が報道されておりますが、どうですか。
  48. 高橋元

    ○高橋説明員 自然増収お尋ねでございますが、下期の景気の成り行きということからやや不透明の度を加えてまいりまして、来年の経済がどう推移するかということについて確定的な計数の政府の中での一致した認識というのはないわけでございます。  そういうことで、はっきりした数字を申し上げることはあるいは問題が多いかと思いますけれども、本年度上期、九月末までの税収が約八兆円でございます。予算に対しまして三六・三%収納いたしました。昨年の九月がたしか三一・七%でございますから、四・七%だけ昨年よりは税収の入り方が早いというのが九月末までの事実でございます。しかしながら、下期にかけて、ただいまも申し上げましたように、経済の先行きが不透明の度を加えている、企業の中にも生産計画の下方修正をやりたいということを言っておられる方も相当あるようでございます。それから、かたがた鉱工業生産指数も九月になってやや下向きになってきた、そういうことがございます。それから、昨年行われておりました戻し税というのは本年はございませんので、その関係でただいま申し上げた四・七ポイントの上回る割合というのは一ポイントばかり大きく表示されておるということもございます。それから、昨年はいわばしり上がりに税収が伸びてきたわけでございますが、本年は四月以来好調な税収のテンポが続いておるということであります。昨年と本年の税収の入り方のテンポを直に比べてみて、このまま年度末まで好調な税収の収納が推移するというふうに予測することはできないと思います。  いまの段階ではっきりした計数ということもあるいはあれですが、お許しを願って感触で申し上げれば、一兆八千から九千ぐらいということかと思います。ただ、これももう少し具体的に企業の決算の見込みなり今後の経済の推移についての実績見込みなりというものを織り込んで精査した上でもう少し確定した数字を申し上げるということで、感触で申し上げさしていただいて大変恐縮でございますが、そんなことでございます。  五十五年につきましては、まだ経済見通しについての一致した認識が先ほどもお断りしましたようにございませんので、ことしいま申し上げたような自然増収があったとして、来年、五十五年度の当初予算と五十四年度の当初予算で何がしの税収の増を見込むことができるかということになりますと、もっとむずかしいわけでございますが、低く見て四兆円から四兆五千億の間というのがいまの感じ、これも感触で恐縮でございますが、お答えにならないようでございますが、いまの感触を申し上げました。
  49. 禿河徹映

    禿河説明員 来年度予算のフレームというものをどのように考えていくのかということにつきましては、ただいま主税局長の方から御答弁がございましたとおり、まず来年度の税収がどういうふうなことになるのか、あるいは国債というものをどの程度のものにするのか、あるいは大きく申しまして来年度の経済見通しがどうなるのかというふうな大きな要素で変動いたすわけでございまして、現在私ども来年度予算のフレームが大体このくらいということを申し上げる段階にはまだ至っておりません。  それからもう一点、来年度の当然増経費が大体どのくらいかというお尋ねがございましたが、いわゆる義務的経費の中で一番はっきりいたしておりますのは、たとえば国債費、これは公債の累増によりまして当然相当程度ふえるものと考えております。さらに税収がふえてまいりますと、地方交付税の増がある。これも相当大きな増加要因になろう、かように考えております。それ以外のいわゆる当然増経費でございますが、これはまた予算編成までのいろいろの実績等々を見ましてそこを固めていくわけでございまして、現在来年度の当然増経費がこのくらいとぴったりここで申し上げる段階に至っておりませんが、御参考までに申しますと、国債費、地方交付税を除くその他の当然増経費と申しますのは、いままでの実績で申しますと、五十二年度がざっと一兆五千六百億程度、五十三年度がやはり同じく一兆五千六百億程度、五十四年度が一兆四千七百億程度、そういう数字に相なっております。
  50. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、国債費は、また後で若干触れますけれども、国債を一兆円減らすという話がありますが、若干数字が狂ってくるにしましても約一兆五千。それから地方交付税交付金が約一兆。いまの話を推量しますと、ざっと四兆ぐらいになるわけですね。そうしますと、大臣、いまの主税局長の答弁でもおわかりのように、確かに本年度の自然増収が一兆八千から一兆九千。これは見通しでありますから幾らか狂うことはあるわけで、それはお互いわかってやらなければいかぬと思うのでありますが、本年度の予算でそれだけプラスになる。それは国債を減らす、あるいは補正予算の問題がありますからちゃらだと思わなければいかぬ。そして来年何も増税をやらないとしても当然増経費が約四兆。それから来年度の自然増収が約四兆。そうしますと、全く何もやらなくても来年度の予算というのは内容的には今年度の予算の内容しかできないという結果になるわけですね。  そこで問題になってくるのは、国債の発行の問題だと私は思うのであります。こういう中でことしの十五兆三千億に対しまして約一兆円減らしたいということが新聞に報じられておりますけれども、愛知議員に対する大蔵大臣の答弁では、国民にわかるような数字という表現にしかなっておりませんけれども、そのくらいの決意で果たして来年度予算というのが財政再建の第一歩の年になり得るのだろうか。これは頭から税収がこういうことだと――もちろん後で質問しますが、増税の問題が当然もっと真剣に切り込まれなければいかぬわけでありますし、歳出の方も減らさなければいかぬわけでありますけれども、いずれにしろフレームといたしましては当然増経費で自然増収分が大体食われていってしまう。あとは増税の分がプラスになり、歳出の面で削った分がプラスになる程度だ。それも一兆や二兆出てくるわけじゃない。そういう中で予算編成考えていく場合に、従来のような下から積み上げで足りない分は赤字国債にしましょうということでは財政再建はできないのではないか。ここではっきりと、これは理屈はないけれども、十五兆二千七百億の本年度の国債に比べて来年度は一兆円なら一兆円減らすという重大な大蔵大臣の政治的決意をもって臨まない限り財政再建一年ということにはならないのではないか、こう思うのでございますが、大臣決意はいかがでございますか。
  51. 竹下登

    竹下国務大臣 御説のとおりだと思うのであります。国民にわかるようなとか、あるいは目に見えるようなという表現で今日まで来ております。目に見えたりわかったりしていただけるのが私はそう小さい金額であるわけにはいかぬと思えますだけに、この兆というものが与える印象というものを考えますときに、好ましい姿であると個人として考えておりますが、いずれにしても国債の減額というものが目に見えるようなとか、わかるようなとかいう表現を使っておりますが、御趣旨の方向で私は対応していきたい。したがって、従来までの、言ってみればいかにして国民に有利に還元、分配していくかという考え方でなくして、サマーレビュー等を通じて今日まで事務当局のすり合わせの状態を聞いてみますと、いかにして切り込んでいくかというような姿勢で対応をしておるというふうに私は理解をいたしております。
  52. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、いまの大蔵大臣の答弁は、昨年当初に比べて一兆円は国債の発行を頭からとにかく切っていくんだ、こういう重大な決意を持って臨むというふうにお聞きしてよろしゅうございますか。
  53. 竹下登

    竹下国務大臣 数字で一兆円というものが好ましいと思っておりますが、しかし現在の段階で、経済見通しが立たない前に一兆円というものを私の立場で確定するということだけは今日避けさせていただきたい。心構えの問題としては、佐藤委員のおっしゃっていることと私の認識と大きな相違はないというふうに理解をしていただきたいと思います。
  54. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 経済見通しとも絡むことも私はわからぬわけではありませんが、ここは予算を決める最高の責任者である竹下大蔵大臣のまさに政治責任の最高のものじゃないだろうか。目に見える数字というのは一つの兆ということでありますから、それが九千五百億とか九千七百億とかいうことではこれはないわけでありまして、理屈で一兆円なのではないのでありますから、財政再建の元年として、とにかくそれは理屈の問題ではなくして、政治姿勢として一兆円は切りますということを、まず歳入の方で歯どめをかけないと、いつまでたっても、後でお伺いしますけれども、補助金の問題にしろあるいは公共事業の問題にしろ、ある意味ではどれもこれも必要だけれども、境目がないのを切るわけでありますから、いや、それならば、一兆円と大蔵大臣が発言をしたけれども、それが九千七百億でもいいではないか、九千五百億でもいいではないかということでは、これは私は財政再建の元年にならないと思うのであります。確かに経済見通しが出ていない段階とはいうものの、非常に重要な大蔵委員会のこの段階でありますから、まさに大蔵大臣の最高の政治決断をあえてもう一度お伺いをしておきたいと思います。
  55. 竹下登

    竹下国務大臣 気持ちの上では私も佐藤委員の御指摘の気構えを持たぬわけではないのでありますが、あとしばしの日時をちょうだいをしないことには、ここで私が、一兆円はびた一文切りません、こういうことをいま言う段階にないと御了承をいただきたいと思います。
  56. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 大体気持ちは通じていると思いますので、これはわれわれもこれから予算要求するわけでありますが、われわれの予算要求の基本的な態度も、ふやす分についてはその分だけ減らすものを探してきなさいという態度で臨むくらい、社会党も次の政権を取ったときに困らぬように十分準備をしているわけでありますから、これは大蔵大臣のためにこの大蔵委員会で、頭から一兆円なら一兆円ことしは発行しませんと言うことが、次の予算編成が大変やりやすくなると思って私質問しているつもりでございますけれども、どうももう一つ御決断がないようでありますが、大体気持ちはわかりましたので、かなりの重要な政治的な要素を含んだ発言だと私は聞いて、次へいきたいと思うのであります。  大蔵大臣のお言葉の中で、まず出るを制しないと入るの問題に入れないのではないかというお言葉がありましたので、まずその出るの方から若干お伺いをしていきたいのでありますが、サマーレビューサマーレビューと言われたのでありますが、主計局次長、一体サマーレビューでどのくらい削減ができるのですか。
  57. 禿河徹映

    禿河説明員 私ども来年度予算の編成に当たりまして、例年になくこの五月から各省と、既存の制度、慣行を含めまして見直すべき事項はないかということで検討を続けてきたわけでございますが、いろいろ経費の性格上、関係者の間でなかなか合意をまだ見るに至らないものもございますし、直ちにまたこれが数字に反映をしていくということも大変むずかしいあれでございます。その後に引き続きまして私どもまた鋭意検討を重ねておるわけでございまして、これはひとつ何としても来年度予算の編成の段階でこれが明らかになるように努力をしていきたい、かように考えて、現在でもその努力を重ねておるような次第でございます。したがいまして、計数的に幾らとかいうふうなことをちょっと申し上げられませんのは残念でございますが、そういう実情を御了承願いたいと思います。
  58. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、来年度予算を組む場合に、まずその当然増経費と言われるものを少し洗わなければいかぬのじゃないかと思うのでありますが、しかしそうは言っても、当然増経費の中で、国債費は減らないし、地方交付税交付金もいまのシステムでやっている限りはどうしようもない。それから、年金受給者が自然にふえてくる、これも減らすというわけにいかぬわけでありますし、公務員給与の改善も当然やっていかなければいかぬということになりますと、あと残るは、すでに契約してある事業費、これを若干繰り延べていくということしかやりようがないんじゃないか。  その中で質問しておきたいのは、公共事業を昨年並みの額にしていくんだということが伝えられておりますが、その決意はどうなっているのか。  それから、防衛費について、現在のGNPの比率に直しまして〇・九というふうになっているのを、〇・八ぐらいまでしかできないのではないか。これは何とか防衛庁の方も〇・九に引き上げたいということでありますが、私が計算をしてみますと、もしそういうことをやりますと、恐らく防衛費だけが伸び率として一〇%台という大変大きな伸び率にならざるを得ぬだろうと思うのであります。一体、この防衛費について伸ばすという、〇・九というのに固執をするお考えがあるのかどうなのか。  それから、伝え聞くところによりますと、健康保険法の改正によって薬代の半額負担等をやるように考えていると聞いておるわけでありますが、従来どおりの健保法を国会に出してそういうことをやるのかどうなのか。  それから、第三子以降の児童手当についても削るという話がありますが、これはそのお考え各省庁の間で詰まっているのかどうか。  それから、これも問題になりました鉄建公団のAB線、赤字線ですね、これについてなお事業を継続をしていくつもりがあるのかどうなのか。その点についてどうですか。
  59. 禿河徹映

    禿河説明員 私ども、最近の財政事情を踏まえまして、当然のことながら財政当局といたしましては、経費の節減合理化を図っていかなければならぬ、こういう姿勢でいろいろ努力を重ねてきておるわけでございますが、先生いまお話がございました個々の経費の問題につきまして、どういうことになるのか、こういうことでございますが、これはちょっと現段階におきまして私どもの方から、これはこういうふうにしたいとか、なるであろうとかいうふうなことを申し上げられる状況にはございません。  ただ、たとえば公共事業等につきましても、最近の財政事情等にかんがみまして、私ども、基本的に極力この抑制を図っていきたい、こういう姿勢はもちろんとっておるわけでございますが、具体的なその取り扱い等につきましては、これからも鋭意検討を重ねてまいりたいと思っております。  それから、たとえば健保法で薬剤費の二分の一負担ということをどうするかというお話がございましたが、これは厚生省の方の最終的な御判断になろうと思いますけれども、私どもといたしましては、昨年の六月でございましたか、国会に出しました、その後いろいろ継続審議、廃案となっておりますが、その健保法の改正案はまた国会の方に恐らく提出されることになるであろう、かように考えております。  それから、児童手当等につきましても、私ども財政審におきましても、この意義等につきまして御論議を願ったわけでございますが、もちろんこの問題につきましても、関係者間あるいは関係省庁間で話がついておるとか、そういう段階のものではございません。  それから、一般的な全体の問題といたしまして、先ほど先生から、いわゆる当然増経費につきましても厳しく見直しをやらなければいけないじゃないか、こういう御指摘がございまして、私ども全くそのつもりで、厳しくこれは抑えられないかということで見直しを行っておるわけでございます。これは、大体義務的な経費でございまして、そこに出てくる数字につきましては、国として責任を持たなければならないわけでございますが、既存の制度等に基づくそういう義務的経費につきましても、その増加を抑制する何らかの方策がないかというようなことで検討もいたしてございますし、あるいは国庫債務負担行為につきましても、その歳出化分につきまして繰り延べがきくものはないかどうか、そういうふうな各般の見直しをやっておるわけでございます。
  60. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間が迫ってまいりましたので、歳入の問題についてお伺いしたいのでありますけれども、きょうの新聞によりますと、自民党の税調の正副会長会議に、租税特別措置法のうちの企業に関係するところの特別措置を、八十二項目中七十項目をいろいろな形で整理削減をする、縮減をするということが報じられているわけでありますけれども、主税局長、この新聞の報道は正しいのですか、どうですか。
  61. 高橋元

    ○高橋説明員 政策税制につきまして、当時法律をもって設置をしていただいたわけでございますが、そのときから時間の推移ないし環境の変化によりまして、政策税制としての存続の意義というのは自然変わってくると思います。租税特別措置の中で政策税制に当たる部分というのは非常に項目が多いわけでありますけれども、そういう意味で常時見直しをしてまいらなければならないということだと思います。  それから、歳出全般につきまして、たとえば補助金の圧縮を図ってまいるというようなこととの関連で、租税特別措置の中の政策税制につきましても、優遇の度合いの圧縮をお考えいただく必要があろうと思います。  そういうことで、租税特別措置の各項目につきまして、それぞれ事態の推移、政策目的ないし財政環境の変化ということに対応して洗い直しを願うということを五十一年度以降相当強力に進めてまいったというふうに私どもは思っております。すでに過去四年間に企業関係の租税特別措置の七五%というものにつきまして、繰り返し見直しを行ってまいりました。五十五年度につきましても、御指摘のありましたような財政環境でございますから、一層強力にそういうことを進めてまいりたいということで、各省がそれぞれ所管しておられます税法の中の対応する部分について、基本的な抜本的な見直しをお願いしておるということでございます。  それから、全体としてどういう項目で何千億くらいの増収を当てにしておるか、こういうことにつきましては、報道がございますけれども、私ども各省といま折衝をいたしておる段階でございますので、その辺はこういう席で申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  62. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 大臣、従来ずっと私も税制の問題をここで論じてきたわけでありますけれども、企業関係の特別措置を縮減してもざっと一千億ではないか。これは税調などでも、もっとやれば二千億か三千億というのでありますけれども、企業関係にしぼればそのくらいではないかということが言われているわけであります。残るは、増税として上がってくるのは、法人税、これも私は前から言っていたわけでありますけれども、税調でも諸外国に比べて上げられる余裕は若干あると言っておるのでありますから、法人税の増税を何%にするかは別としまして、やはりやるべきではないかという点について、どういうふうにお考えになっているのかが一点。  それから、大蔵大臣就任なさってから、増税問題が言われている中で、間接税を中心にして上げたいのだということを新聞記者会見でされている。一体大蔵大臣の頭の中にある間接税というのは、何を主体にしながら考えていらっしゃるのか、二点目にその中身についてお伺いをしたいのであります。とりわけ租税特別措置も、できても一千億かと言われている。法人税はどうもおたくの方では難色があるようだ。それから間接税といっても、後からお伺いしますが、そう大幅に増税するものはないということになってきますと、総選挙の結果、五十五年度の一般消費税の導入は確かに見送られたけれども、結局五十六年度には、また大蔵省は真剣に一般消費税の導入ということを考えないと、財政再建ができないということになってくるのではないだろうか。従来の作法というか筆致から推測をいたしますと、私はどうもそういうことになってしまうような気がするわけであります。したがって、私は国債一兆円を切る問題についても、かなりの決意が要るということを申し上げたわけでありますけれども、法人税の増税、それから間接税のうち、大蔵大臣は何を考えていらっしゃるのか。とりわけ五十五年度は一般消費税は導入しないことになったけれども、いまの調子でいきますと、恐らく五十六年度にはまたこれは大きく頭をもたげてくるということがあるのではないかというふうに考えるのでありますが、その点はどうでございますか。
  63. 竹下登

    竹下国務大臣 まず最初の法人税の問題でございますが、いま主税局長からお話いたしましたように、租税特別措置等の洗い直しをやっておりまして、なおかつ国民皆さん方から新たなる負担を仰がなければならないという状態に立ち至った場合、税目を何にするかということはまだ言える段階ではございません。したがって、法人税は引き上げをやりませんとか、やりますとかいう段階にはないということであります。  次に、私が新聞記者会見で将来考えられることとして間接税の問題について触れたことは事実であります。これは私は、先般の総選挙を通じて、非常に短期間ではあったけれども、国民皆さん方との問答を繰り返す中で、一般消費税というものは、その中身に入る前に入口でヘジテートされた観があった。しかし、いまこそ財政再建そのものは必要だということだけは理解をいただけたのではないか。そういうことになるとすれば、将来新しい負担を求めるという立場に立ち至った場合は、まず直間比率はどうなっておりましょうかとか、あるいは所得税と消費税というものを対応していかがなるものでございましょうか、そういう問題を反復繰り返すときに、初めて理解と協力が得られるものである。その限りにおいて、たとえば他の先進諸国に比べたならば、直間比率という問題においては、どちらかといえば間接税の方にその比重がかかっておるではないかということを申し上げたわけであります。  さらに、その際質問がありました問題につきましては、されば、いわゆる一般消費税というものは間接税の中のどのような位置づけであるか、それはまさにワン・オブ・ゼムであるというふうにお答えいたしたわけであります。  一般消費税を、五十五年は国民理解を得ることができなかったという判断のもとにこれを見送ったが、五十六年にはどうするかという問題も、国民理解と協力の問答の中にこれから決めていくことであって、いま一般消費税は五十六年度も、未来永劫にやりませんとかいうような表現をする段階ではない。やはりワン・オブ・ゼムとして将来とも勉強はし続けていかなければならない問題であるというふうに理解をいたしております。
  64. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私たちも財政再建の問題については大変な危機感を持っているわけでありまして、たとえば来年度一兆円ことしの当初予算より減るといたしましても、十四兆円という膨大な国債が発行されるわけであります。ということになりますと、これが消化できるかどうかは大変問題があるので、私の感じでは十四兆円の消化はできないのではないかという感じを持っておりますが、それは別といたしましても、いま五十四年度末で五十八兆円の国債残高になる。それに十四兆円加えるわけでありますから、五十五年度で約七十二兆円の国債残高になるわけでありますね。片やふえたものと言えば、増税で企業税制をやったにしても、いろいろな増税をやってみても、どう見ても来年度は五千億か。そうすると、国債を減らした一兆円分だけで一兆五千億何とか財政再建にプラスしたけれども、今度はさらに七十二兆円の国債残高が残るという状態でありますから、財政再建の第一歩というものはまだまだほど遠い状況だということを私は考えなければいかぬと思うのであります。その中で一般消費税国民が拒否反応をしたのは、五十五年度導入ということではなくて、一般消費税のシステムそのものに国民が反対したのだと私は理解しておるのでありますが、大平内閣はいつまで続くかわかりませんけれども、次の選挙までは一般消費税というものはできないのだというふうに考えていただくのが選挙と議院内閣制の正しいあり方だと私は思うのであります。それを付言をしておきまして、財政再建はなかなか厳しいわけでありますので、とりあえず来年度の国債発行をせめて当初一兆円削るというのは至上命令だ、竹下大蔵大臣の最高の政治責任をもって当たる決意をしていただかないと財政再建なんかとてもできないと思うのであります。  最後に、こういった財政再建の中で非常に重要なのは、行政整理もそれなりにしなければいかぬことも私たちもわかりますが、国税庁職員の定数の問題、これは私、前から取り上げてきているわけでありますけれども、行政管理庁にも来ていただいておりますが、他の行政機関と違いまして、国税庁の場合には、人をふやすことによってもちろん経費もかかりますが、それと同時に、あわせて税収が入ってくる歳入庁という特殊な立場にあるわけですね。その意味で、とりわけこの五年間に約一万人近くの方が定年といいますか、年齢でやめていかれるという人口構成になっている国税庁の中で、政府の一律定員削減の中に国税庁が入っていることは、財政再建財政再建と言いながら、肝心かなめの税収確保の面から言いますと、私はきわめて遺憾なことだと思うのであります。行政管理庁、この国税庁という特殊の、歳入を得るという財政再建の中にあって非常に重要な役所についてこれから定数をさらに細かく決めていくわけでありますけれども、一体どういう認識を持っていらっしゃるのか。  そして、あわせて国税庁にお伺いをしておきたいのは、ずいぶん国税庁も努力をして配置転換をして都市四局に集めたり、あるいは中の機械化をしたり、いろいろな努力をして人を使わずにやってきたと思いますけれども、それも限度にきたのじゃないかと思います。まさに財政再建の柱といいますか、税収を確保する庁として、この定員確保の問題について一体どういう認識を持っていらっしゃるのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  65. 百崎英

    ○百崎説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、国税庁の職員の方々につきましては、税収の増加期待できる、そういう特殊な面があることは私どもも十分承知しておりまして、従来からも定員の査定に当たりましては、可能な限り必要な増員措置を講じてきているつもりでございます。  ただ、この春の委員会におきましても、先生御指摘のような、国税庁の職員についてはそういう特殊な面があるからこれを何か別な体系で管理してはどうか、こういう御指摘もございました。たとえばよく話に出ますけれども、新設医大が総定員法の枠外に置かれている、ああいったようなことで特別な体系のもとで管理できないか、そういったことはよく言われるわけでございますけれども、新設医大の場合には総定員法ができる時点では全く予想もしなかった新しい大きなプロジェクトでございますし、一校、病院を合わせてつくりますときに相当多数の定員が必要で、したがって、総定員法の枠をたちまち超えてしまう、そういう非常に新しい特殊な事情があったために一応別枠で管理しているわけでございますけれども、国税庁の場合にも、税収の増加期待できるという面があるからといって、直ちに一般の公務員と別な体系で定員管理をすることが適当かどうかという点につきましては、なお慎重に検討する必要があろうかと思います。私どもいま定員管理につきましては、行政需要の減少している部門から増加している部門に定員を移しかえながら、全体として公務員の定数がふえないようにという基本方針のもとに管理しているわけでございまして、その一環として計画削減を行いつつ、毎年度増員査定を行っているわけでございますけれども、そういったやり方のもとではできるだけ管理の対象を広くしておくことが適当じゃなかろうか、そういったことで国税庁の職員の方々についても総定員法のもとで管理しているわけでございます。ただ、先ほど先生御指摘のようなそういう特殊な面がございますので、現在行っておりますような定員管理方式の中でそういう特殊性を十分考慮しながら必要な定員管理を行いたい、かように考えているわけでございます。
  66. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 ただいまの税務行政の実情でございますが、定員に関連いたしまして、最近における経済規模の拡大とか、あるいは納税者の増加、そういう面から最近非常に事務量が多くなってまいっておりまして、実調率が低下傾向を続けております。これが私は一番の問題かと考えております。最近地方を回りましたときも、各税務署長はすべてその実調率をどういうふうにして維持していくかというためにあらゆる努力をし、職場の振りかえをやり、あるいは合理化をやり、あるいはコンピューターその他についての最大の努力を払っている状況にございます。一つの問題はその問題でございます。自主申告制度の基盤をなす問題だと思いますので、御理解賜ればと考えております。  第二は、職員構成の問題から今後五年間の間に約一万弱の退職者が予想される状態にございます。そういう急激な退職者が予想される状態にございます。行政水準をただいまの水準に維持するということがきわめて困難になってまいります。税務職員は非常に専門的な仕事でございまして、そのための養成期間等もどうしても若干要るという状態でございますので、ただいまわれわれといたしましては、いままで申し上げましたような行政全般にわたる効率化、合理化のためには最大の努力を払っておりますが、できれば関係方面の御理解も得ましてできるだけ多くの増員が得られるよう努力させていただきたい、このように考えております。  以上でございます。
  67. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 終わります。
  68. 増岡博之

    増岡委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  69. 増岡博之

    増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。山田芳治君。
  70. 山田芳治

    山田(芳)委員 午前中に引き続きまして大蔵大臣に質問を申し上げますが、その前に、先ほどもお話がありましたように、大変重要な時期で、大臣も御苦労でありますが、わが国の財政経済のためにひとつ奮闘されることをまずお祈り申し上げる次第であります。     〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕  ところで、第一番目の質問でありますが、これはもう答えは決まっているかと思うのでありますが、審議会とか調査会という各界のそれぞれの地位のある人に政府のそれぞれの各省から諮問をして答申をお願いをする、こういうふうな例が多々あるわけであります。税制調査会の問題にしてもそうでありますし、また財政については財政審議会、これはどの程度尊重をされるのか。どの程度までということは、この諮問をし、答申を受けた場合に具体的に一体どこまで尊重されるのかということについてまずお伺いをしたいわけなんであります。  と申しますのは、たとえば一般消費税の場合、一般消費税特別部会が税調の中に設けられて答申をしたわけであります。答申をされたからやりますというのか、どこからかの判断でそれはやめますというのか、その答申というのはいつまでも生きているのかどうか、まずそこらあたりからちょっと伺いたいと思うのです。
  71. 竹下登

    竹下国務大臣 最初の御激励、ありがとうございました。  いまの問題、非常にむずかしい問題でございますが、これは話をそらすわけではございませんけれども、行財政整理の中で、いわゆる審議会そのものの果たす役割りにいろいろ問題があるからこれを整理すべきだ、こういうような意見も今日までずいぶん出てまいりました。しかし、一概に審議会あるいは調査会と申しましても、必ずしも法律に基づくものでなく、あるいは大臣の個人的諮問機関というような性格のものもございます。しかし、いま念頭に置いてお話しいただいたものとすれば、あるいは財政審とか税制調査会とか、一般的には非常にオーソライズされた審議会、調査会のたぐいではなかろうかと思うのであります。したがって、これらはやはり各界各層の意見を聴取するために必要な調査会であり審議会であるという前提の上に立って考えた場合に、これは最大限尊重していくという方針は貫くべきではなかろうか。ただし、その問題が従来ともきょうの問題として取り上げられるか、将来への問題として取り上げられるかということはケース・バイ・ケースによってそれぞれ違う実態ではなかろうか、このように理解をいたしております。
  72. 山田芳治

    山田(芳)委員 最大限に尊重されるという答えはもうそのとおりだと思うのでありますが、具体に、いま言われたオーソライズされた法律またはそれに基づく政令等々に基づいて置かれている調査会審議会等々に諮問をし答申を受けたものを、たとえば税調なり財政審議会に限って言うならば、大蔵省としては、大蔵省段階でそれに基づいた案を出して、たとえば自民党の政調会なりそれぞれの機関にかけるというところまでやるのか、その前にもうやめてしまうのか、どこらあたりまでを一体最大限尊重するというふうに理解をさせていただいたらいいか。  これはついでに申し上げますと、後から質問を申し上げます一般消費税の問題や、あるいは財政審議会から答申をされている今後の財政の問題、あるいはきょうおいでをいただいております経済企画庁に関係のあるところの新しい経済社会七カ年計画は数字においてもその他文章においても改定をされなければならぬということは後で申し上げるわけでありますが、そういうものを、閣議の決定なり何なりを経ているという場合、一体どういうふうに、どこまでどう扱うのかということはきわめて重要な問題であるというふうに思いますので、まずその手続問題を若干お伺いしておこう、こういうわけなんでありますので、尊重するというのは手続的にどの程度までを指すものなのであろうか。大蔵省の事務当局で法案なり予算なりをつくる、そういうところまで行くのか。いや、もうその前段で大臣が判断をして、これはだめだ、これはいいというふうに取捨選択をするものなのか、そういう点を含めてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  73. 竹下登

    竹下国務大臣 非常にむずかしい御質問でございますが、一般的にオーソライズされた審議会、調査会等に諮問を申し上げて答申を得たものは最大限にこれを尊重する、そして政策実行の上でこれを生かしていく、こういう公式的な答弁は別といたしまして、それをどう政策実行の上に、たとえば予算編成でございますとか、あるいは次国会に提出するべき予定法案の内容でございますとか、そういうことになりますと、それは短期に考えて取り上げるべきものと、中期に考えて取り上げるべきというような問題はそのときの政治判断によっておのずから選別されていくものではないか。だから、その答申にあったものは次の予算編成の際に必ず盛り込まなければならないものとか、あるいは法律改正の中身に盛り込まなければならないものと断定する性格のものではないのではなかろうかというふうに判断をいたしております。
  74. 山田芳治

    山田(芳)委員 やはり私は一般消費税の問題等については閣議で一応了解をされているというのですから、相当尊重したんであろうと思うのでありますが、後でこれはまた触れますからこれ以上申しませんが、そこらあたりでとまるというふうに言うのか。また、いいものについても取捨選択をして、われわれから見れば当然やるべきだというような、たとえばわれわれの言う不公平税制、いわゆる租税特別措置法に盛られている点等について、ばかに一般消費税の方は先行するけれども、そっちの方はさっぱり手がつけられない、立案段階でさえ必ずしも明確にならないというような取捨選択があるので、尊重するといっても、中期に、長期にというお話があるけれども、税制調査会にしても、財政審議会にしても毎年翌年度の問題について諮問をしているわけですから、それが終わればまた次の年は新しい審議会が開かれるというのが通例ですから、長期にということになると、若干これは問題があると思いますが、この程度にとどめて、次に具体的な問題に参りたいと思うのであります。  政府は、ここにあるわけですが、新しい経済社会七カ年計画、これを八月十日に閣議決定されましたですね。いまのお話のように、政府から言えばオーソライズされた経済会計画というのはこれしかないのじゃないか。整合性を一応図って公にされたものはこれだというふうに思うわけです。  そこでまず第一問。八月十日、総選挙の前に新しい経済社会七カ年計画を出される意味はよくわかりますけれども、実は六月二十六日でしたか、OPECの総会あるいはそれと同じくした東京サミットと言われる先進国首脳会議等で石油の問題が論議され、しかも本年は十二月にまたOPECの会議があって、石油の値上げが審議をされる。恐らく、一般の雑誌その他によると、現在の三本ぐらいになっている石油価格が統一され、調整されるのではないか。一バレル当たり二十五ドルないし三十ドルぐらいに決まるのではないかとさえ言われておるわけであります。  わが国における石油の経済に占める比重というのはきわめて大きい。これの価格というのはきわめて重要であるということはしばしば指摘をされている。そういう中でOPECの総会が行われ、次のOPECの総会がある、そういうきわめて不安定な時期に経済なり社会の権威ある指標をつくる作業が行われるということは、その内容に非常に不安定な流動的なものを含んでいるというふうに思うわけであります。後でも触れますけれども、内容的にいっても、わずか三カ月たってもこの計画は破綻をしているというふうに私どもは考えるわけでありますが、なぜこういうきわめて不安定な時期にきわめて重要な経済財政、社会の指標というものを閣議決定されたのかという点、もっといろいろのデータが明確になる時期において策定をし、作業をすべきではなかったか、こういうふうに思うのでありますが、その点についてお伺いしたいと思うのであります。
  75. 戸田博愛

    ○戸田説明員 先生の御質問でございますが、この計画の原案と申しますか、経済審議会から御答申をいただいたわけでございますけれども、その審議会会長から内閣総理大臣あての答申の文章の中にこういうことが書いてあるわけでございます。「内外経済情勢は、極めて流動的であり、特に最近における石油価格高騰の及ぼす影響やエネルギーの供給をめぐる情勢は厳しさを加え、かつ、不透明である。かかる時期に答申を行うことについては、審議の過程においても議論があった。しかしながら、転換期にある我が国経済はエネルギー問題をはじめ幾多の重要な中長期的課題を抱えており、それらの課題を整合的に解決していく」ということで、そういう議論はあったけれども、こういう時期だからこそそれに対する対応を急ぐための中長期的な政策の方向を明確にすることが必要なのだ、したがって、あえて答申するんだというふうに経済審議会会長からの答申文にもついておるわけでございまして、先行きの不透明さという点は十分承知をしておられながら、やはりこういう時期だからこそ中長期的な政策の方向を明示することが必要なんだ、こういう御結論だというふうに理解をいたしております。
  76. 山田芳治

    山田(芳)委員 それはその当時、ないよりある方がましだと酷評した新聞もありました。そんなことは失礼だから私は申しませんけれども、しかし、いまもお話のあったように、きわめて流動的な段階においてすることが重要だと言うけれども、私どもにとってみると、国民の側にとってみますと――これは私も勉強さしていただいているわけです。これだけの冊子をお出しになっているわけです。私どもがなるほどなという、そういう内容が盛られるような計画でなければ、私は、新しい経済社会七カ年計画としていろいろ図表入りで出されているのですけれども、これから触れますけれども、非常にこの計画自身が狂っておるというふうに思います。わずか三カ月間の短い期間に計画自身が非常に狂っているということが現実にあるのに、あえて答申かあった――先ほど私は大蔵大臣にお伺いして、経済企画庁は関係ないということになるのかもしれませんが、少なくとも審議会の中でそれぞれ長期的、短期的によって判断をしますというお話です。そのとおりだと思うのですが、あえて私は閣議決定まで行かないでおくべきであったのではなかろうか、そのように思うのですが、いかがですか。
  77. 戸田博愛

    ○戸田説明員 先ほども申し上げましたように、こういう時期こそ中長期的な政策の方向を与え、国民に対して将来に向けての展望を与えていくということが、日本の経済あるいは国民の生活、そういう上において不安感をなくする上においても必要なんだという判断のもとに閣議決定をいただいた、こういう事情でございます。
  78. 山田芳治

    山田(芳)委員 それが非常に明確に実態把握ができているという計画なら、いまおっしゃったように国民の皆さんに参考になると思うのです。しかし、非常に不安定なものだというふうに私は思うのですが、まあその点はこれから触れます。  そうは言うものの、大蔵省がお出しになっている財政収支試算、これの第一案は新経済社会七カ年計画の基本構想における指標を参考にして出されているわけですね。ですから、大蔵省予算計画というものも、基本的にはこの指標を土台にして出している。こういうことで一応収支試算――もちろん収支試算にはあとのこれによらないA、Bというものがつけ加えられておりますから、これのみによっていないのだという主張があるかもしれないけれども、少なくとも閣議で了解されている問題であれば、やはり大蔵省財政収支試算の基本にその指標を盛るということは当然のことだと思います。そうであるからこそ、この計画というものは正確なデータのもとに正確な指標をつくっていくべきだ。経済企画庁が本来的に必要とされるところの、またその指標に従って日本の財政も編成されていくところの一つの基本になるのだというふうに考えるとするならば、できるだけ確実なデータを使って計画をしていくべきだというふうに思うのですが、重ねてひとつ伺います。
  79. 戸田博愛

    ○戸田説明員 先ほど先生の御質問の中に、東京サミットがあり、同時にOPECのジュネーブでの価格の値上げ等があったという御質問がございましたけれども、六月でございますから、ちょうど計画策定の最終段階にそういう東京サミットでの石油の輸入目標等が決められたわけでございます。したがいまして、経済審議会の中にエネルギー問題の特別の検討グループをつくりまして、新しい情勢に対応した石油の輸入量でこの経済指標が貫徹できるかどうかいろいろ御審議をいただいて、そして、六百三十万バレル・パー・デーないし六百九十万バレル・パー・デーでも、節約を進めることによってこの計画の道筋は進めるという御確認をいただいた上で計画を閣議決定したわけでございまして、したがいまして、当時われわれが知り得ました最新の情報に基づいて整合性のある予測その他の予測数値をつくったというふうに考えておる次第でございます。
  80. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは、ちょっと内容について若干質問をしたいと思いますが、新しい七カ年計画は、第一に国民総生産、GNPは五十四年から六十年に年平均実質五・七%、名目で一〇・三%の伸びがある、まずこう言っておりますね。私はまずこれが狂っておると思いますが、これは後で。第二番目は、内需優先の計画で、七カ年に計二百四十兆の公共投資が行われる。これも来年度予算をわれわれ聞いておりますと、恐らくこれが達成できるかどうか、いろいろ問題があるのではないか。第三番目に、社会保障支出は年率一〇・九%で伸ばして、GNPに対する租税負担率を五十三年度の一九・九から六十年度に二六・五%に高める、こういうのが大体の骨子。そのほかにいろいろ書いてありますが、こういう骨子である。そして、財政再建というところに相当のページ数を割いております。これは一つの大きな柱だと思います。そして、一般消費税についても「五五年度中に実現できるよう、諸般の準備を進める。」こういうふうに書いてあります。これは御承知のとおり先ほどから論議のあるとおりであります。そして五十九年度に、この財政収支試算もそうなっておりますが、いわゆる赤字国債、これをゼロにするという歳入見通しを立てている、こういうかっこうになっておるわけですね。ところが大平総理大臣は、すでに十日の記者会見で、歳入ということよりもまず歳出の圧縮という方向財政再建を図るということを言っておりますね。そうだとするならば、歳出の内容あるいは内需の問題を含めて、社会保障や公共投資の規模というものが、先ほどちょっと触れましたが、内容的に圧縮をされる、少なくともふえていくという方向にはないんではないか、こういうふうに考えるわけであります。  また、先ほど触れましたように、ことしの十二月にOPECの総会があってまた石油値上げが論議をされて、二十五ドル時代がやってくる。雑誌によれば三十ドル時代が来るんだということが書いてあるのさえあるわけでありますが、これは経済成長率を低める原因になるわけであります。  そして石油の原油の価格の高騰というのは、卸売物価、これは計画では年平均上昇率三%を目標にしているわけですね。いまでさえもすでに前年度対比一四%ぐらい上がっている。恐らく年末にはこれが消費者物価にはね返ってくる、こういう状態であるわけでありますから、大変な計画が狂ってくるんではないか。国際収支においてもそうでありますけれども、非常に悪化をする。すでに四十億ドル赤字だ、こういうふうに言われておるわけであります。こういうふうに見ますと、先ほど論議がありましてはっきりしないと言いましたが、来年は少なくとも五・七%の成長などということはとうてい期待し得ないのではないか。  エコノミストという雑誌、これは十一月二十七日号でありますが、財政審議会の会長桜田さんは「五五年度はせいぜい二~三%の伸びになれば、非常に幸せだと考えます。」租税も「二一兆円が二四兆円になれば、いいところでしょう。」大体そんなところで試算をされているだろうと思うのであります。これは、財政再建というものを望む桜田さんのことですから、低目に抑えているんだというふうに考える向きもあるかもしれませんが、財政審議会の会長さんみずから二ないし三%の成長ではないか。経済企画庁の内部でも恐らくは四・五ぐらいではないかというふうに言われているということを伺っております。  そういうふうに見てみますと、五・七%の成長というものはとうてい期待し得ないのではないか。言うならば、できた初年度から目標が狂っているのではないか、このように考えるのでありますけれども、そこらあたりはいかがなんでしょうか。
  81. 戸田博愛

    ○戸田説明員 お答え申し上げます。  先ほど、先生いろいろな点で計画の内容にお触れになりましたけれども、今回の計画の一つの特徴は、閣議決定をいただきました計画の本文は、今後の長中期的な政策の方向あるいは基本的な考え方と申しますか、そういうものをかなり重視をいたしておるわけであります。同時にまた、先ほどお話ございました公共投資おおむね二百四十兆あるいは国民所得に対する租税負担率二六・五とか、それらは計画の本文に書いてある計画の本体であります。しかし、民間部門の活動を中心としますような予測の部分につきましては、必ずしも固定的に考えているわけではございません。われわれ現在のところ五・七%程度経済成長力は日本経済は持っておるというふうに考えておりますけれども、先ほどお話ございました今後における石油価格の動向あるいは石油の量の問題等々、変化が起こってまいりました場合には、この計画では予測的部分につきましては毎年フォローアップをするということになっております。現在までのところ、先生のお話ではございますけれども、民間消費あるいは民間設備投資を中心に日本経済はかなり順調な成長をいたしておりますけれども、実績と計画との乖離があるような場合には、毎年経済審議会においてフォローアップするということになっておりますし、そういう中で新しい情勢に対応して見直していく部分があるいはあるかと思いますけれども、それは今後の経済審議会においてフォローアップ作業を進めていかれるということになろうと思っております。
  82. 山田芳治

    山田(芳)委員 それではちょっと飛びますが、本文に書いてあるというお話でありますが、先ほどちょっと触れました一般消費税、これは本文に書いてありますね。四十六ページ上から二段目。これは予測ではないわけですから。「このため、一般消費税昭和五五年度中に実現できるよう、諸般の準備を進める。」こういうふうに書いてあるわけでございます。したがって、経済社会七カ年計画はその面においてももうすでに改定をしなければならないということであります。先ほど申しました五・七%の成長は期待できないんじゃないかということについてもお触れにならないわけでありますが、そういうことであるならば、こういう面を含めて経済審議会における改定というのは一体いつおやりになられるのか。なるべく早い機会にしなければならないのではないかというふうに思うのですが、その点どうでしょうか。
  83. 戸田博愛

    ○戸田説明員 先生も御指摘ございましたように、この計画では物価の安定とかあるいは雇用の確保とか等々、今後の経済政策目標の中の一つ財政の再建というものを加えておりまして、財政の再建が日本経済の健全な発展のためにも不可欠の課題であるというふうにこの計画はとらえております。先ほど先生も計画の本文で御質問ございましたように、そのためには財政支出の洗い直しによる徹底した合理化を行う、あるいは租税特別措置の徹底した見直し等によって租税負担の公平を図りながら税収の確保に努める、なおそれでも不足する財源については租税負担の引き上げの措置が必要になっていくのだというふうにしておるわけでございまして、現在そういう手順を踏んで財政再建のための検討が進められているところでございますので、われわれとしてはそういう検討の成り行きを注視していく必要があるだろうというふうに考えております。  また、計画の改定という御質問でございますけれども、現在のところわれわれは計画を改定する必要があるというふうには事務的には考えていないわけでございます。先ほど申し上げましたように、この計画は俗に言うセミローリングと申しますか、予測的な部分については年々フォローアップしていくということでございますので、近く経済審議会においてそのフォローアップの進め方等について御議論いただくことにいたしておりますので、当面フォローアップを進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  84. 山田芳治

    山田(芳)委員 その前にちょっと……。  それですと、いま書いてある本文の五十五年度中に一般消費税を導入する準備を進めるというのは少なくとも削らなければなりませんね。おっしゃるように、後ろについている付録の数字については、確かに本文にこれは非常に流動的なものであるからその都度改定をいたしますと書いてありますから、それはそれでいいでしょう。だから、恐らくこれが来年度においては改定をされるだろうし、また来年度にいかなくても、いま言った五十五年に一般消費税の導入を図る、こういう形になっているのだから、これは少なくとも早く改定しなければいかぬだろうと思うのですが、その時期をちょっと明示していただきたい。
  85. 戸田博愛

    ○戸田説明員 一般消費税につきましては、ちょっと向こうへ帰りませんでしたので本文を持っておりませんが、その後に前提条件といいますか、それを進めるための条件がついているわけでございまして、たとえば行財政の見直しを進めるとか、あるいは租税特別措置の見直しを進めるとか、あるいは物価に配慮する、景気の動向を配慮する、あるいは国民理解を得るというような四つぐらいの配慮条件がついておるわけでございます。したがいまして、そういうことで、国民理解が十分得られないということで五十五年度は導入は行われないということだというふうに承っておりますけれども、われわれとしてはもし一般消費税が導入されるというような状況になれば準備をしておかなければならぬだろうということでその本文に入っているわけで、直ちに五十五年度に導入が行われなかったから本文の改定をする必要があるというふうには考えていないわけであります。
  86. 山田芳治

    山田(芳)委員 くどいようですが、これはやはり気になるのですよ。だから、それは恐らく、いま申し上げたように五・七%の経済成長は無理だし、それからたとえば今年度の卸売物価の見通しというのは一・六%で消費者物価四・九というようなことになっているわけですね。こんなものいまでさえ崩れ去っておりますね。そういう形ですから、やはり一般消費税の場合等を含めて必要なバックデータを整理してできるだけ早く改定されるべきであるというふうに思うわけであります。ひとつこれは要望をしておきます。  それで、大臣、くどくどとこういう議論をいたしました理由は、財政収支試算の中に、七カ年計画において定められた指標をもとにして財政収支試算というものが行われているというのがあります。この中に、昭和五十五年度には税収で経常部門で二十三兆七千五百億、五十四年が十九兆八千六百億、明らかにこれは一般消費税というものを導入するということを前提にしてこの財政収支試算ができている。総体予算が四十三兆一千五百億であります。このことは私はいいと思うわけですけれども、すでに先ほどから触れていますように、税収の問題が非常に大きく狂っているということになると、この財政収支計算そのものが改定をされなければならない。私は、こういうところに影響すらあるのだから七カ年計画を早く書きかえなさいよ、こう言っているのですけれども、少なくとも五十五年という、もうすでにあと一カ月もすれば出てくる予算の見通しの内容が、一般消費税というものを取ることを前提にしてこれができているということなんですね。これはどういうふうに改定をされるのか。むしろ言うなら、私はもう一つ聞きたいのですけれども、第一ページの表は、これはもうとうてい採用できない。それならば五十五年度予算について参考ケースAと参考ケースBという二つがあります。四十二兆七千億だというようなことが言われておりますから、Bのケースの方が歳出削減依存型でAの方は特例公債依存型ですから、比較的Bの方に近いのかなという感じはするのでありますが、せっかくこの財政収支試算ができたのですから、われわれも勉強するとするならば、一ページの試算表はもうとてもわれわれとしては参考にできないのでありますが、まあBぐらいなのかなという感じはするのですが、ここらあたりの財政収支試算表をどう見るのかということについて、大臣にお伺いしなくても結構ですが、こういう問題があるということを大臣含みながらひとつ政府委員の方で御答弁いただきたいと思います。
  87. 禿河徹映

    禿河説明員 ただいまお話がございました五十四年度ベース財政収支試算は、もう先生御存じのとおり、閣議決定を経ました新経済社会七カ年計画の前でございます新経済社会七カ年計画の基本構想、本年の一月に出ましたそれをもとにいたしまして、それに出ました指標を手がかりにしてつくったものでございます。基本的な指標はほとんど変わってはございませんが、そういうふうないろいろな指標を手がかりといたしまして、なおこの「試算の前提及び要領」というところに書いてございますとおり、幾つかの仮定を置きまして昭和六十年度に至ります財政収支の状況を試算したものでございます。当然のことながらその途中年次につきましては、ここに書いておりますような要領で機械的な手法ではじき出しておるものでございます。したがいまして、そういう手法によるものでございます以上、この試算はこれからの具体的な各年度ごとの歳入歳出の予定というものを示すものではございませんで、今後経済の動向とか財政事情等々を勘案しながら毎年度適切な財政運営を行っていく上での一つの参考と申しますか手がかりというものを得ようとする性格のものでございます。したがいまして、そういう性格でございます以上、毎年財政収支試算というものを必ず変えていくべきものだとも考えられないものでございますが、五十五年度の予算ができまして、さらに財政収支試算というものをまたどうするかというふうなことにつきましては、もう少し状況を見ました上で考えてまいりたい、かように考えております。当然のことながら来年度の予算の編成に当たります現在の私どもの姿勢といたしましては、先ほどお話がございましたとおり、できるだけ歳出を抑制してまいるようなことでこれに取り組んでいく必要があるということは当然でございます。
  88. 山田芳治

    山田(芳)委員 そういうふうに言われますと、財政収支試算というものは、およそその意味というか、非常におかしなことになると思うのですね。いまお話のありましたように、私はあえて一ページを改定すべきだということを申し上げたわけですけれども、この点についても十分な御答弁いただいていないのですが、たとえば公共投資毎年平均一〇・一%ずつ伸ばしますと、こう書いてあるわけですね。恐らく来年一〇・一%も伸びるなんてだれも思っていない。横並びあるいは五%ぐらい削減するのじゃないかと巷間うわさが出ているくらいですからね。一〇・一、それにはその次の年二〇%伸ばさなければいかぬじゃないかということになる。そうしなければこの目標の二百四十兆というものが出てきません。  それから、税収についても五十五年度から五十九年度の各年度は一八・四伸びるのだ、こういうふうに書いてありますしね。弾性値一・二と書いてあります。公共事業をそれだけ圧縮して果たして一・二伸びるのか。最近は税収の弾性値が非常に低くなってきている、こういうことですから、この点もいろいろ問題がある。ここの席ですから余り細かいことは申しませんけれども、いろいろ問題がありますから、むしろこれも含めて一般消費税というものが導入されるということを前提に書かれているような感じがして仕方がない。だから、これはあっさり改定をされて、むしろ先ほど私が申しましたBの歳出削減依存型ぐらいが一ページに来るのが妥当かな、こういうように思いますけれども、これも税収の面が相当伸びているという感じがいたします。こういう点について改定をするべきではないのか。とにかく五十五年においてはその基本になる一般消費税というものが見送られた以上、財政収支試算というものがやはり根本的に変わってくるのではないか、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  89. 禿河徹映

    禿河説明員 先ほども申し上げましたとおり、この財政収支試算は六十年度に至ります途中年次の財政上の各数値というものを具体的に示したものでございませんで、機械的な計算をもとにいたしまして五十四年度の予算を六十年度の財政の姿に結びつけたものでございます。確かに今度五十五年度の予算ということで考えてみます場合に、この五十四年度予算ベースにいたしました財政収支試算の五十五年度の姿というものとはかなり違ったものになる可能性は十分あると私も思います。最近の財政事情等、私どもも先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますような姿勢で五十五年度予算を編成してまいらなければいかぬ、そういうことでいきますと、税収の方でも差が出てきますでしょうし、その他でも違ったものはあると思います。ただ、財政収支試算というのは、現在一番新しいのが五十四年度予算ベースにした試算でございます。さらに今度五十五年度予算ができました場合に、五十五年度予算ベースにしてどうするかというふうなことについては、現段階ではまだ決めかねておる。もし仮に、経済企画庁の方におかれまして経済計画のフォローアップというふうなことが行われますような場合には、これとの関連等を見ましてこの財政収支試算についてもまた見直しを行うということはあるいはあるかと思いますけれども、ちょっと現段階でこの財政収支試算というものを直ちに見直すとかいうふうなところまでお答え申し上げる段階にございません。
  90. 山田芳治

    山田(芳)委員 私が税収に触れているのは、一般消費税の問題で先ほどちょっと十分でなかったので、この数字なり計画の方から触れて言っているということなんですが、五十五年は確かに見送りました。五十六年はどうなのかということについて、これは財政収支試算が五十五年度の予算ができた段階で税収をどう見るかということによって決まってくるのですよ。だから、私はまず最初審議会や調査会の答申をどの程度尊重されるのですかということを聞いたわけですが、これは大臣は中期とか短期とかいろいろ言われているのではっきりお答えにならないのですけれども、少なくとも五十五年にはやるのだということで一致していたのが、五十五年が延びた。じゃ五十六年はやるのかやらぬのかというところがやはり一つの問題だということですね。だから、税制調査会の答申というのは、少なくともやるのならこうだということになっているのでしょうけれども、やはりこの経済社会七カ年計画なりあるいは財政収支試算の中でその点を明確にしてもらわなければいかぬ。そうでないと――本当の意味で、政府がこの一般消費税に対してどういうふうに扱うかということがここでわかるというふうに私は考えてさっきからいろいろと質問をしているわけなんです。  五十五年度予算ができる段階――これは五十四年の二月に五十三年のものを改定していますね。     〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕 だから、今度は五十五年の二月、来年度予算ができた時期には、それに基づいて収支試算表というものが改定されたのが出てくる、こう理解してよろしいかどうか、そこをひとつ。
  91. 禿河徹映

    禿河説明員 何度も繰り返しで恐縮でございますけれども、私ども、財政収支試算を来年確実に御提出申し上げるかどうか、まだ現段階ではちょっと決めかねております。
  92. 山田芳治

    山田(芳)委員 五十三年のときにも試算表が改定されて、五十三年度ベースのも二月に出された。五十四年は五十四年で出されているのですから、当然そう考えれば五十五年は出される、こういうことに理解しておいて――まだ決めかねていると言いますけれども、そういうふうにやってきておられるのですから、当然予算が編成され、予算委員会等に参考資料として出されるというふうに理解してよろしいか。決めかねているという段階ですか。
  93. 禿河徹映

    禿河説明員 繰り返しで大変恐縮でございますが、現段階でまだ確たることを申し上げるまでには至りません。
  94. 山田芳治

    山田(芳)委員 非常に慎重で、私もそこを聞きたいわけですけれども、この段階ではまだお決めにならないようですから、いずれまた改めてお伺いをしたいと思います。  次に、国税庁の方にちょっとお伺いをしたいのでありますが、「一般消費税の仕組み」というこういう冊子を出されましたね、大蔵財務協会から。いかにも、あしたから一般消費税が徴収されるような――これは大臣、ごらんになりましたか。まだどことも了解もされていないような段階でこのぐらいの冊子を出されるということは、私は行き過ぎではないかというふうに思うのです。  そこで大臣にお伺いしたいのですが、先ほども、国民理解を得て――国民理解というのは具体的に何を指されるのか。ついでに申しますと、新経済社会七カ年計画では、国民に広報をしなさい、要するに何か知らぬけれども、こういうものを出しなさい、こういうことらしいのですね。これで国民理解が得られているというふうに感ずるのか感じないのか。私はそんなことじゃないのだろうと思うのですね、大臣が言われ、また総理が、国民理解を得て新しい負担云々というのは。国民理解を得てというのはどういうことを意味されるのか、ちょっとお答えいただきたい。
  95. 竹下登

    竹下国務大臣 大変むずかしい御質問でございますが、一般消費税に関する小冊子の点につきましては、私も大蔵大臣になりましてから、車の行き来の中でちゃんと読むように一生懸命努力をいたしております。が、それも当時の、五十四年の閣議決定からいたしますと、五十五年度中に導入するための諸般の準備を進めるということになっております限りにおいて、大蔵当局として諸般の準備を進めるために国民理解と協力も得なければならないからという努力の一つではなかったかと思うのであります。  さて、一般的にわれわれが、国民に新しい負担を求めるためには理解と協力がなくてはその実現を図ることができないとこう言っておりますのは、そもそも、いかにりっぱな政策といえども、国民理解と協力なくしてはそれを実行に移すことができないと同じような物の考え方であります。ただ、理解はどこにおいて得られたかということになりますと、それぞれのテーマによって、あるいは国会の議決の中に理解という尺度もありましょうし、あるいは最終的には選挙というものにおいて国民理解と協力を得たという判断もできるでありましょうし、その理解と協力の基準ということになりますと、それを定かに竹下登に定義づけろと言われましても、それだけの能力はない、こういうことであります。
  96. 山田芳治

    山田(芳)委員 私は、やはり総選挙が国民理解、協力という形になる。したがって、この衆議院の選挙において自民党が敗れたということについては、これはやはり一般消費税というものに国民理解と協力を拒否をした、少なくとも、この衆議院の任期中は一般消費税を導入すべきでない、このように考えるのが至当だというふうに思うわけですが、国民理解と協力、国民理解というのはそういうふうに理解をするということについては、大臣どう思われますか。
  97. 竹下登

    竹下国務大臣 これは総選挙と言わず、いわゆる国民の直接投票によってその意思があらわされるということは、いわゆる理解と協力という尺度の一番大きなポイントであるというふうには私も理解をいたしております。
  98. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、時間がありませんので後へ問題を少し残しておきますけれども、いわゆるサラリーマン減税の問題について若干お尋ねをしたいと思うのですが、過般の大阪高裁におきまして、大島教授がサラリーマンにも必要経費を認めるべきだという訴訟をやっておったことは御承知のとおりであります。その中で判決が下りまして、一応原告側の敗訴ということになっておるのですが、その中に、まあちょっと税制上はいかがなものかというような内容があります。必要な経費というのは、会社のためにやる、あるいは企業のためにやるんなら、自分で立てかえておいて後でそれを請求すればよろしい、それは税で引くんじゃなしに会社へつけていけへこういうことを言っておる内容であります。また、職業費という観念を出しまして、そういうものはいわゆる基礎控除の中に含まれているんだ、こういうことで原告が敗訴しているわけでありますが、この点についてまず国税庁の評価といいますか、この判決に対する考え方はどういうふうに考えられるか、税政策を預かっておられる国税庁なりあるいは主税局長なりいかがにお考えになるか、まずそこからお伺いしたいと思います。
  99. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答えいたします。  この事件は、大島教授が昭和三十九年分の所得税に関しまして、給与所得課税に関する税制が憲法違反である、こういうふうに主張されたのに対しまして、判決が給与所得控除制度は憲法に違反しないという判断を下したものでございまして、判決におきましては従来の政府の主張が支持されたもの、このように考えております。この判決は、給与所得に関する税制の基本的な考え方につきまして裁判所が判断を下されたものでございまして、傾聴すべき内容を持っているもの、このように考えております。
  100. 山田芳治

    山田(芳)委員 必要な経費が、この中にあるように、企業なり何なりに必要なものについては企業に請求すればいいというような言い方をしておるわけでありますが、その点は一体どういうふうに考えられますか。
  101. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 その点につきましては、税務執行の問題外の問題かと考えておりますので、この席での意見を差し控えさせていただきたいと考えております。
  102. 山田芳治

    山田(芳)委員 税の関係の裁判ですから、税務に関係ないとはいいながら、やはりその納税者と企業が源泉徴収をする中での問題ですから、まるっきり突き放してそれはもう関係ございませんと言うのは余りにも冷たいのであって、税の裁判の判決の中で触れられている事項なんですから、それについての評価はどうなのか、ひとつ参考のために、細かい点は別途時間を改めてまた聞きますが、一応評価だけひとつ聞かしてください。
  103. 高橋元

    ○高橋説明員 制度の問題でございますから、私からお答えをいたします。  現在の給与所得控除は、給与収入を得るについて要した経費の概算控除という面と、それから給与所得と他の所得との権衡と申しますか、そういうものを図るという面と、そのほかいろいろな考慮からできておるわけでございますが、過般の大阪高裁の判決の中で、サラリーマンの支出には立てかえ金と職業費の二種がある、こう言っておられます。職業費は研修費とか社内の交際費ということでございましょうし、これは生計費との区分はかなりむずかしい。それからまた、支出するサラリーマンにとってその支出の分量が恣意的である、たしか恣意的であるという言葉を使っておられたと思うのですが、そういうことを言っておられます。したがって、それを分量として確定することは大変むずかしい。立てかえ金と申しますのは、判決を拝見いたしておりますと、出張費や接待費、こういうものでございまして、こういうものは使用者から弁償を受けることができ、その弁償金は所得とならないという判示のようでございます。それは現在でも、たとえば出張旅費を支給されますと、その旅費は課税所得から除外するという形をとっておりまして、判決でございますから、私どもその内容を裁判所から直接伺っておりませんが、判決文を拝見いたしました限りでは立てかえ金に当たる。立てかえ金という言葉が私どもが通常使っております税務用語とは若干違うわけでございますけれども、そういうものが実費弁償として給与所得から除外されておるというのが実態だと思います。
  104. 山田芳治

    山田(芳)委員 実費弁償であるということであるならば、それは企業に対して請求をしていくということで会社の経費として落としていくんだ、こういうふうに理解をしていいわけですね。
  105. 高橋元

    ○高橋説明員 社用のために社員に出張を命じまして、旅費規程によって旅費の支給をいたしますと、それは当然会社の経費になります。それから、社員にたとえば取引先との接待を命じまして、そのために支出をいたしましてそれを本人に補てんをいたしますと、それは当然会社の経費になります。
  106. 山田芳治

    山田(芳)委員 だから、会社ではそういう規程なり何なりに基づいて出すという方途があれば、それは立てかえ金として理解をしていく、こういうふうに国税当局としては考えてもいいというふうに理解をしてよろしいですな。
  107. 高橋元

    ○高橋説明員 判決で拝見いたしております文章に即して私は申し上げておるので、たとえば出張旅費や接待費につきまして、会社とサラリーマン本人との間の雇用契約なり任意の契約なり、そういうものでどういう弁償をいたすようになるかは個々のケースによると思います。
  108. 山田芳治

    山田(芳)委員 もう時間がありませんので、一つだけ国税当局に伺いたいのですが、いま扶養控除という制度がございますね。扶養控除というものは、ちょっと教えていただきたいのですが、積算の基礎というのはあるのでしょうか、ないのでしょうか。恐らくこれはないと思うのですけれども、積算の基礎らしきものがあるならば、ひとつ教えていただきたい。というのは、最近それぞれの世帯の生活が非常に厳しい状態の中で、基礎控除というものがもう少し理解できるようなそういう額なり、あるいは説得力のある積算の基礎というものがあるとするならば、やはりそれを示していかないとなかなか納得がいかない。なぜ二十九万なのかというような点について、教育費の問題その他いろいろあります。こういう点についても、時間がありませんから、もう質問を簡単にいたしますが、答弁もひとつ簡単にお願いしたいと思います。
  109. 高橋元

    ○高橋説明員 所得税は、御承知のとおり得られた所得について総合して累進の税率を掛けてやっていくわけでございますが、個人のその所得の中でいわゆる課税最低限と申しますか、課税最低限をなします金額というものは課税から除外するという意味で、合計いたしまして現在夫婦、子二人の給与所得者であれば二百一万五千円というものを課税最低限といたしておるわけでございます。それを日本全体の世帯の構成その他を見まして基礎控除二十九万円、配偶者控除二十九万円、扶養控除二十九万円、こういうふうに割っていくわけでございます。したがって、全体としての課税最低限を構成いたします個々の人的控除は、本人の場合と配偶者の場合とで額が違っておったこともございます。扶養控除の額が本人の基礎控除よりも低かった時代もございます。しかし、現在はすべてそれを等しくしておる、こういうことで、課税最低限を構成する人的控除の分割の問題であるというふうに考えております。中心になりますのは、二百一万五千円という課税最低限の大きさが適当であるかどうかということであろうというふうに承知しております。
  110. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、二百一万五千円の課税最低限度を構成する一つの要素であって、むしろ税政策としては二百一万五千円というものが適当かどうかという判断の中での扶養控除なり基礎控除である、したがって、それについての具体的な積算なりあるいは一定の積み上げ計算というものは考えられない、こういうふうに答弁されていると理解していいのですか。
  111. 高橋元

    ○高橋説明員 平均の世帯構成なり、それから給与所得者の生計の実態なりというものを考えまして、給与所得者につきまして二百一万五千円、夫婦、子二人の場合の課税最低限をつくっておるわけでございますが、この二百一万五千円につきましては、四十九年の税制改正の際いろいろの事情を勘案して決めたわけでございます。したがって、その内容は、いま仰せのありますように、基礎控除、配偶者控除、扶養控除に幾らずつ配当、分割するかということはわが国の世帯の平均構成というものを頭に置いてやっておるわけで、いまの御質問は恐らくつかみでやっておるんだろうということかと思いますが、全体の高さ、それから平均の家族構成その他を勘案してやっておるわけでございます。
  112. 山田芳治

    山田(芳)委員 ちょっとまだ議論をしたいところがありますけれども、時間が参りましたので、一応次の機会にまたお願いすることにして、これで終わりますが、大臣最初に触れましたように非常に財政再建は大変です。しかも、一般消費税というものは国民としてはどうしても導入は困るという形なんですから、まあ一方では増税は困る、財政再建はせいとジレンマみたいなことでありますけれども、ひとつしっかりお願いをして私の質問を終わりますので、十分御努力をされんことを重ねてお祈りを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  113. 増岡博之

    増岡委員長 これより坂口力君の質疑に入るのでありますが、参考人として日本銀行副総裁前川春雄君に御出席いただいておりますので、さよう御了承願います。坂口力君。
  114. 坂口力

    坂口委員 まず最初に、竹下大蔵大臣にお祝いを申し上げたいと思います。けさもお話がございましたが、非常に困難な時期に大蔵大臣になられたわけでございますが、けさのお話をお聞きをいたしておりますと、大臣は、できる限り自分の持ち味なるものを抑えていかねばならないというような御発言のようにも聞こえたわけでございますが、私、大蔵委員会に出させていただいてから約四名の大蔵大臣に接したわけでございます。各大臣それぞれ特徴がございましたが、中には非常に最後まで自分の色合いというものを通された方もございますし、しかし中には、初めはかなりな色合いを出しておみえになりますが、そのうちだんだんと保護色になられまして大蔵省色になっていかれるカメレオン的大蔵大臣も多かったわけでございます。どちらかというとカメレオン型が多くて、どんな環境であっても赤は赤、白は白、出目金型の大蔵大臣というものは少なかった。私はむしろ、すべて大蔵省色になっていかれることを好むものではありませんで、できるだけ出目金型でいっていただきたいと思っておりますが、まず所信からお伺いをいたします。
  115. 竹下登

    竹下国務大臣 出目金型でありますかどうかは別問題といたしまして、私の過去の政治的環境とかあるいは社会的環境というものが、きわめて端的な表現でいえば政党人とでも申しましょうか、そういう、私のみならず皆さん方の中にもございますけれども、学生からいきなり政治家に就職をしたような形で今日まで来ております。それだけに自分の身の律し方というものが、いわゆる財政とか金融とか、そういう生のものに対応するときに自分の生地が出たときに取り返しのつかない失敗をするのではないだろうかというようなある種の危惧とそして反省から、みずからをいかにして律していくかというような気持ちで大蔵大臣就任をしたわけでございます。しかし、やはり激励とも受け取れる御発言の中でございましたように、私とて人の子でございますから、いつまでも十分に身を律するかどうか、その点については必ずしも自信がございませんけれども、精いっぱい身を律していきたいというふうに思っております。
  116. 坂口力

    坂口委員 財政の問題に入ります前に、けさほどからもKDDの問題が出ましたので、この問題を一、二だけ私もお聞きをして財政金融の問題に入らせていただきたいと思います。  けさほどからも指摘がありましたように、関税法百十七条違反ということで告発に及んでいるわけでございますけれども、税関としての立場、そのことについてはけさほどからも若干の説明、それから釈明ともとれる言葉があったわけでございますが、こうしたアクシデントがこれから行われないようにするために今後どのような改革をしていこうというふうにお考えになっているのかということをひとつお聞きをして、そして、もしいまこの時点で発言をしていただけるならば、現在までの大体どれぐらいの、KDDに関する密輸関係の、何点、額、そういったことを、もしもわかればこの際にひとつ発言をしていただきたい。
  117. 米山武政

    ○米山説明員 今回のKDD職員の関税法違反の動機等につきましては現在調査中でございますが、一つ、いろいろ世上言われておりますように、通関に際しまして出迎え人の立ち入り許可等を受けた者に対して調査が甘かったのではないか、そういうものが一つの慣例みたいになって繰り返し犯則が行われたのではないかというふうなことが言われているわけでございます。  けさほどの御質問に対してもお答えいたしましたように、何人といえども私どもは必要な検査を行うという姿勢をとっておりますが、そうした誤解のないように今後立ち入り許可等に当たりましては厳正な姿勢で臨み、また検査に当たりましても必要な検査を十分行っていきたいと思っております。ただ、いかんせんジャンボ一機着きますと四百人から五百人の乗客がおりるわけでございまして、一方では迅速通関ということも考えていかなければいけないというふうなこともあります。その両者の兼ね合いをどうするかというふうな点ございますが、まず第一に、先ほどの立ち入り許可の点については厳正な態度で臨んでいきたい、こういうふうに考えております。この事件の全貌が明らかになった段階でさらに改善すべき点があれば改善していきたい、こういうふうに考えております。  それから第二の御質問でございますが、現在の進捗状況、その全貌はどうかというふうな御質問でございます。この十四日に現行犯であります三人につきましては告発いたしましたが、その三者に対するさらにその前にさかのぼった調査、それから他の職員、相当な人数になりますが、それにつきまして現在調査中でございまして、そういう段階でございますので、まだ全貌は判明しておりませんし、また進捗状況等につきましては調査中の段階でございますので、御答弁を御勘弁させていただきたい、こういうふうに考えております。
  118. 坂口力

    坂口委員 国税庁の方にお聞きをしたいと思いますけれども、けさほども佐藤議員との議論の中で、昭和五十三年の七月に皆さん方がKDDの調査をされた、特に五十一年、五十二年度のものについて調査をされたというお話があったわけでございます。私ども聞いているところによりますと、昭和五十一年は国税庁の方に申告されております交際費というのは九億二千三百万、五十二年は十三億九千九百万、そして五十三年には二十二億三千八百万と、非常に多額の申請がされているということを聞いているわけであります。そうした中で、五十三年の七月から九月とおっしゃいましたか、その期間に調査をされたということであれば、その交際費が一番華やかなりしピークのときに調査をされたということにもなろうかと思います。その調査の結果いろいろの御指摘もされたのだろうと思いますが、どんな点を御指摘になったのか、ひとつその辺をお話しいただきたいと思います。
  119. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 ただいまお話ございましたように、国税庁といたしましては昨年の七月から十月にかけまして、五十三年三月期、五十二年三月期並びに五十一年三月期の三期について税務上の調査を行っております。  その結果、多額の交際費について何か指摘を行ったかという御質問でございますが、もしその御趣旨がどのような是否認を交際費について行ったかというふうな御質問であれば、私の方は、たびたび申し上げて恐縮でございますけれども、個別にわたる事項なので、その点については答弁を差し控えさせていただきたいと考えております。  また、もしただいまの御質問の御趣旨が、過大な交際費であるというふうなことについて指摘をしたのかとか、あるいはそれを少なくするように指導したのか、こういう趣旨であれば、これは税務の調査の範囲から若干外れる問題でございまして、その点についての指導は税務上としては困難と考えておりますので、そういう事跡は当然ないものと、このように考えております。
  120. 坂口力

    坂口委員 一般論をここでお聞かせいただきましても、全然話は明確にならないわけでございます。  それじゃ私も一般論でお聞きをいたしますが、これは国税庁の範囲外かどうかわかりませんけれども、いささか境界線だという御発言がいまございましたけれども、一般論として見ましたときに、十三億あるいは二十二億というこの交際費の額というのは破格の額ではないかという気が私はいたしますが、国税庁としては一般論としてはどうお受けとめになりますか。
  121. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 ただいま言われました交際費の額につきましては、先般参議院の逓信委員会で古池会長の御発言がありました数字と承知しております。  その数字について一般的な考え方として多いか少ないか、おまえはどう考えるかと言われましたときに、統計上の数字から見ますとそれはやはり平均を上回っている、当然このように承知しております。
  122. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、皆さん方が五十三年の七月に調査をされましたその後、KDDから修正申告というものが出ているか出ていないか、これはどうですか、お答えいただけますか。
  123. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 調査後ではございません。五十一年三月期については向こうから全く自発的に期間損益の関係で修正申告が出ております。
  124. 坂口力

    坂口委員 それ以後はどうですか。
  125. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 それ以後については、修正申告は私の方では出ていないものと承知しております。
  126. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、国税庁の方で、一般論ではありますけれども、統計的平均値から見れば非常に破格の額の交際費であり、しかも賢明な皆さん方がいろいろの調査をされまして、そしてその後で修正申告は出ていないということになれば、更正申告なるものがなされたというふうな感じを私持つわけでございますけれども、この辺についてお答えをいただこうと思いましても、そうだとは恐らくまたおっしゃらないのだろうと思いますので、肯定をしていただこうとは思いません。否定していただいても結構でございますが、御意見あればどうぞ。
  127. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 更正をしたかどうかにつきまして申し上げられる状態にございませんが、更正をしなかったという事実も聞いておりません。
  128. 坂口力

    坂口委員 更正しなかったということも聞いていないということでございますので、どうもあったのではないかというふうに理解をいたします。重要なる一件でございますので、ひとつ正確なる御調査を続けていただきたいと思います。  また、ここにあわせてお聞きをしておきますが、いまから考えて、この調査を五十三年になすっているわけでございますが、現時点から考えて、もう少しこういった点をしておけばよかったとか、あるいは国税庁の職員の数等から、もう少しこういうふうな状態であればこうできたのだがというような反省点みたいなものがあればつけ加えていただきたいと思いますし、けさほど国税庁の皆さん方の職員定数の問題が出ておりましたけれども、現在置かれております法人数、そして現在のその職員数等からいたしまして、以前に比べますとかなり窮屈になっているという感じを私も持っている一人でございます。そういったことも含めてで結構でございますが、お答えいただけましたら幸いでございます。
  129. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 五十三年七月から十月まで行いました調査につきまして、ただいまいろいろ反省をすべき点はないかというお話でございますが、最近の新聞紙等のKDDの報道に関しましては、私どもは課税という面からそれをながめまして、国税当局として非常に関心を持って注目しているところでございます。  そういう趣旨で過去の一般的なお話になって恐縮でございますが、調査につきましては国税庁としては常に完璧を期したいと考えておりますが、ただいま先生にも言っていただきましたような定員等の事情もございまして、完璧を期すべくただいま努力をしておりますということで、その点についてただいま反省すべき点はあるかないかという点につきましては、ただいまのところ特にこれといって申し上げることもないというのが実情でございます。
  130. 坂口力

    坂口委員 それでは、次の問題に入らせていただきたいと思います。  きょうは、日銀の副総裁、お忙しいところどうもありがとうございました。先日、公定歩合の第三次引き上げが行われたわけでございますけれども、そのときに預金金利の方は据え置きということになっております。そのいきさつがどういうものであったのかということを私はつまびらかにいたしておりませんけれども、なぜ預金金利の方が据え置きになったのか。一般国民の側から見れば、下げるときには同じに下げておいて、上げるときにはひとり歩きをしてという、これはけしからぬじゃないかという意見も多いわけでございます。この辺なぜ同じに上げなかったかという大蔵省としての意見、簡単で結構でございますが、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  131. 米里恕

    ○米里説明員 預貯金金利と公定歩合の関係でございますが、本来この両者は必ずしも常に連動すべきものだというふうには私ども考えておりません。と申しますのは、一つは公定歩合というのは、先生よく御承知のとおり、きわめて短期的に、弾力的に実施すべき金融政策の手段であるということかと思いますが、一方預貯金金利の方は、一年定期、二年定期というようなものが大宗を占めておりますような貯蓄性のものも含まれておりまして、やや安定的な性格のものであろうかと思います。わが国の場合には、預貯金金利といいますものが非常に金利体系全体の中の根幹を占めておりまして、預貯金金利を動かしますと、これは長短含めましてすべての金利体系が動くというような仕組みになっていることは御承知のとおりでございます。  そこで、公定歩合の機動的な操作という観点から考えてみますと、必ず全金利体系が連動するということを見きわめながら実施していくということは公定歩合の操作の機動性を必ずしも保障しない場合もあろうかと思います。さらにまた、短期と長期の関係で考えまして、預貯金金利を動かしますと、どうしても長期金利も動くということに相なりますけれども、場合によっては短期は上げるけれども、長期はそのときの実勢などから見まして必ずしも常に動くとは限らないという場合もあろうかと思います。そういうことで、もちろん預貯金金利も金利水準全体についての影響と申しますか、上下というものは必要でございますけれども、常に必ず連動しなければならないというような性格のものではないというふうに思っております。  そこで、今回の公定歩合の引き上げでございますが、御承知のように、卸売物価の現状にかんがみまして、海外からのコストプッシュ要因が国内で仮需要などによって、いわゆるインフレ気構えでさらにコストプッシュ以上の分として加速されるということを予防的に防いでまいりたい、あるいはまた、ひいては為替レートに対しても資するということを期待して行いました今度の公定歩合引き上げの理由から考えまして、今回は直ちに公定歩合に預貯金金利が連動することは適当でないのではないかということで、当面預貯金金利を据え置くということにしたわけでございます。  今後につきましては、今後の金融情勢がどういうふうに推移してまいるか、資金需給の実勢がどうなるか、特に長期金利がどういう動き方をするかということの推移を見守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  132. 坂口力

    坂口委員 納得のできない点も幾つかあるわけであります。短期で見てという話でございますが、大体公定歩合の上げ下げ、それに連動いたしますところの預貯金金利も、これはほとんど短期的にやられているわけでありまして、これは下げるときにはいつも同じに下げて、上げるときについては必ずしも連動しないということであると、国民的合意を得られないと私は思うわけであります。それならこれから公定歩合を下げるときにも、それは長期的に見て同じには下げないことですぞ、こういうのならまた話はわかるわけでありますけれども、どうもいままで見ておりますと、下げるときには同じに、これは間髪を入れずにという言葉は言い過ぎかもしれませんけれども、そういう形で下がってくる。しかし、上がるときにはなかなかそうはいかない。今度のように据え置かれるというような形で必ずしも連動をしない、こういう表現になってくるわけであります。  それでは、今回公定歩合が引き上げられたその背景というものについて日銀の方はどうお考えになっておるか、ひとつお聞きをしたいと思います。
  133. 前川春雄

    ○前川参考人 日本銀行は、ことしになりましてから公定歩合を今度の十一月で三度目の引き上げをいたしております。いずれも最近の物価状況に照らしましてとられた措置でございまして、物価の上昇を極力圧縮するというのがわれわれの金融政策の一番の眼目でございます。卸売物価指数の上昇は、御承知のように、昨年の十一月から上がり続けておるわけでございまするけれども、ことしになりまして、特に夏場以降その上昇幅は非常に顕著になってまいりました。こういう卸売物価の上昇は、海外の原油価格の引き上げあるいはその他の海外から輸入する物資の価格上昇に基づくものが大部分でございまするので、その限りにおいてはその上昇をとめるわけにいかないわけでございますけれども、そういう物価上昇の傾向がさらに国内で増幅されて、物価上昇をさらに国内要因から加速するというようなことだけはぜひとも避けなければならない、そういう見地から考えまして、金融面もさらに一段の引き締めをすることがそういう海外要因以外の要因による物価加速を防ぐことができる唯一の方法であるという見地から引き上げたわけでございます。
  134. 坂口力

    坂口委員 いまお話がありましたように、物価要因というものが今回の引き上げの最大の理由であったことは論をまたないと思うわけでありますが、このことについては大蔵省の方も異論がないと私は思う。異論ございませんね。
  135. 米里恕

    ○米里説明員 私どもも日銀の副総裁がいまおっしゃいましたのと同じ考え方でございまして、コストプッシュの分が、国内の仮需要あるいはその他のインフレ機運によって一層物価の上昇に結びつくことを避けるための措置であるというふうに理解しております。
  136. 坂口力

    坂口委員 そこで、国内におきます物価の上昇というものが風雲急を告げてきていることは事実でありますが、この現状を考え、またこれからの将来を展望しましたときに、半年先、一年先、そのときにやはり物価という問題が非常に大きな、重要な課題になってくることは事実でございます。  そう考えましたときに、この預貯金金利というものが物価の影響を非常に受けているとわれわれは考えるわけでございますが、これは、そうすると大蔵省の現在の感覚では、現在の段階ではインフレ物価の影響というものを預貯金金利は余り受けていない、こういう御判断でございますか。
  137. 米里恕

    ○米里説明員 私どもは、預貯金金利が物価とどういう関係にあるかということは、両者直に結びつく問題ではないというふうに考えております。預貯金金利は、金利水準、そのときの経済情勢をバックといたしました長短の金利水準に伴って決まってくるものであって、消費者物価が上がったり下がったりするということによって直結するような性格のものではないという考え方でございます。
  138. 坂口力

    坂口委員 私がお聞きしていますのは、いま目減りしてないのかどうかということをお聞きしているのです。それに対する認識をお聞きしているのです。
  139. 米里恕

    ○米里説明員 消費者物価は、御承知のように、現在のところはまだ比較的落ちついた状態にございまして、そういう意味では、目減りという言葉がいいかどうかよくわかりませんが、定期預金金利などとの相対関係においては、定期預金の方が高水準にあるという相互の関係にあると思います。
  140. 坂口力

    坂口委員 公定歩合のことを考える場合には、物価というものの現状を評価をして、そしてどうしても上げなければならない。しかし、この預貯金の方の目減りの方は、物価は現在のところ余り影響を与えていない、過小評価をする、大蔵省考え方の中に非常にそういった大きな開きがあると私は思うのです。これはもう少し意見を統一して、そして公定歩合をこういうふうに引き上げるならば、それに対して預貯金の方もどうかという、もう少し細かな配慮があってしかるべきだと思うのです。  そこで、先ほど当面はというお言葉でございましたが、それならば、今後どういう事態になれば預貯金金利の方も引き上げになるのでしょうか。
  141. 米里恕

    ○米里説明員 先ほど当面と申し上げました際にも申し上げましたが、今後の金融情勢、資金需給の実勢、特に長期金利の動向いかんによりまして、今後預貯金金利をどうするかということを考えてまいりたいと考えております。
  142. 坂口力

    坂口委員 それは当然のことでして、そんなあいまいもことした話を私は聞こうとしているわけではございません。  それでは、もう一つ日銀の方にお聞きをしたいと思うわけでございますが、これで第三次まで引き上げられたわけでございますけれども、現在の物価の情勢によりますと、これはもう一度ぐらいやらなければならないのじゃないかというようなちまたのうわさもあるわけでございます。日銀としましては、ここでやれるとかやれないとかということを御発言になることは非常にむずかしいと思うわけでございますけれども、しかし、物価の情勢というものが、これ以上に公定歩合を上げなくても済むようにいくためには、大体どの辺のところでおさまっていなければならないというふうにお考えでございますか。
  143. 前川春雄

    ○前川参考人 私ども目下の姿勢は、ことしの初め以来とってまいりました金融引き締め政策、公定歩合の引き上げばかりではございません、いわゆる窓口規制等によって金融の引き締めを強化してまいったわけでございますが、その目的、趣旨は先ほど申し上げたとおりでございます。  現在のところは、これらの推進してまいりました諸施策の効果が一層浸透していくことを期待しておるわけでございます。もしそういう効果が十分に浸透いたしますれば、ひいては全体の物価の安定にもつながっていくということを期待しておるわけでございまして、現在のところ、その浸透状況を、今度十一月一日に引き上げたばかりでございますので、そういう諸施策の効果がどういうふうに浸透していくかということを見守ってまいりたいというふうに考えております。  これから先、どういう状態になればどういうような金融政策をとるのかという御質問だと思いますが、その点につきましては、それぞれ私どもも、いままで旨としてやってまいりましたように、そのときどきの情勢に応じた適時適切な施策をとってまいる、その必要があれば一瞬の逡巡もせずに断固として対策をとっていくという姿勢を崩さないつもりでおりますが、数量的にどういうふうな状況になればどうするかというようなところまでは実は考えておりません。
  144. 坂口力

    坂口委員 この銀行局の方の物の考え方の中に、現在の景気動向等を見て、現在のところは非常に順調に――非常にという言葉が当てはまるかどうか、まあ順調に来ているけれども、来年になって景気が後退する可能性もある、そうしたらこの公定歩合の引き下げをまたやらなければならないかもしれないから、まあそうそう預金金利を上げたり下げたりというのもぐあいが悪いので、当面はその推移を見てというような気持ちがこれはあるのでしょうか。
  145. 米里恕

    ○米里説明員 一般的に申しますと、公定歩合の弾力的操作ができるだけ機動的になし得るというような意味合いも、この際直ちに全金利体系を動かすことが適当でないと考えた中には一つ入っております。  それから、あわせまして長期金利につきましては、景気との兼ね合いもあり、預貯金金利を上げることによってほとんど自動的に長期金利が上がることになるわけでございますが、そういったことが現在の長期の貸付市場での資金需給の実勢及び政策として適当かどうかという判断も入っております。
  146. 坂口力

    坂口委員 この預貯金金利の問題は非常に国民に対する影響も大きいものでございますし、公定歩合だけがひとり歩きをして、そうして置いてきぼりを食うということはこれは大きな影響を与えることでありますし、国民もまた非常に注目をしているところでございます。したがいまして、これからの物価動向等にもこれはかかわってくると思いますけれども、私はやはりそれ相応の処置というものが早急に打たれてしかるべきだと考える一人であります。  そういった意味で、ぜひこの預貯金金利の問題についてなお検討を重ねられて、そして対処せられることをお願いをしたいと思うわけでございます。  大臣、何かございましたら一言お伺いをして、次に行きたいと思います。
  147. 竹下登

    竹下国務大臣 公定歩合の変動に伴う連動した預貯金金利の問題につきましては銀行局長から申し述べたとおりでありますが、当面事態の推移を平静に見守っておる、こういう一語に尽きると思うわけであります。
  148. 坂口力

    坂口委員 ちょっと時間が詰まってまいりましたので次に参りますが、先ほど自然増収の話が出まして、定かでないけれども四兆円から四兆五千億円ぐらいではなかろうかという話が出たわけでございます。しかし、はっきりとした根拠があってではないということでございましたけれども、それはそれとして、大体どれぐらいの成長率、どれぐらいの物価の上昇、そういったことをある程度頭に置いて出された数字であろうかと思いますが、大蔵省が四兆円から四兆五千億というふうに自然増収を見込まれたその背景には、大体成長率はどれぐらいの程度になるということを基礎にして出された数字でございますか。
  149. 福田幸弘

    ○福田説明員 五十五年度の税収についてのお尋ねでございますが、そこに至るまでには最近の動向から始まるわけでございますが、その辺からでよろしゅうございますか。
  150. 坂口力

    坂口委員 手短にひとつ……。
  151. 福田幸弘

    ○福田説明員 五十三年度のところで、昨年の十二月ぐらいから増収が始まりまして、五十三年度は七千七百億ということで、これは年度の終わりのところに出ています。これが一つの傾向の始まりでございますが、五十四年度がいま進行中でございますけれども、これは局長から御説明いたしましたように九月末の実績のところで約七兆八千億というところで、伸び率から見ましても、また進捗割合から見ても予想したより高いということが言えます。  ただ、三点ほど申し上げたいのは、前年度で戻し税があったという点。それから第二点は、前年度の税収、先ほど申しましたように五十三年後半に上がってきたということで、特に十月以降から上げカーブに入っておりますが、そういう後ろ高になっておるのが第二点でございます。したがって、後ろ高でございますから、ことしの前半の伸びをそのまま伸ばせないということが第二点であります。それと第三点は、これからの経済の先行きでございまして、これはまた五十五年度までずっとむずかしい問題がそのまま尾を引いていくと思いますが、石油の価格の問題、それから数量も絡みますが、またその影響としての原料費のアップ、それから固定費としての金利の動向、この辺が非常に流動的でございまして、また見方がいろいろ分かれております。  そういうことで、五十五年度に至りますところに、その出発点のところで、五十三から始まりまして五十四年度の好調という問題がある一方において、先行き不安要因が同時にあるという非常にむずかしい見通しの現状にあるわけです。
  152. 坂口力

    坂口委員 むずかしいのはわかったから、五十五年について……。
  153. 福田幸弘

    ○福田説明員 そういう前提で入っていきます五十五年度のところでございますが、いまの数字としまして五十四年度で、先ほど申し上げたかどうか知りませんが、一兆八千から一兆九千あるというのが出発点のところの格差でございます。ですから、これの影響が五十五年度にあらわれるということは一つ読まなければいけません。  五十五年度のお尋ねの問題に入りますけれども、この見通し、いまの時点で非常にお答えしにくい時点でありますが、税収を見ますときに、いままで申し上げましたような課税の実績というのをわれわれは踏まえるわけであります。したがいましていまのようなことを申し上げたわけでありますが、それとさらに来年度の、お尋ねのような政府経済見通しの問題が出てきます。その諸指標を用いるというのが最終の段階では必要になるわけでありますが、いまの段階では政府経済見通しはございませんので、見通しをするに際しましては、いま申し上げましたような課税の実績、各税目にわたる実績、その辺を踏まえながら感触的に各税目を押さえていくという、内部でやっています積み上げから五十五を見ざるを得ない。いま、経済見通しそのものを使った推計方法は、これは前提としてとれないわけでございます。  そこで、お尋ねのような経済見通しを来年度幾らを想定したかと申されることにつきましては、いまは政府にそれがございませんので、全体的な経済の伸びからはじくというふうなやり方はとりませんで、過去のいままでの実績とその成り行きを見て個々に積み上げながら、また、感触を各企業に当たるというようなやり方をいまやらざるを得ない。今後出てきます経済企画庁の数字をそこでチェックしながら、またそれに乗っかりながら今後詰めに入っていくという時点でございます。  そういうことでございますので、われわれの感触ということしかいま申し上げられないのは非常につらいわけでありますが、従来より少し早目に申し上げておりますのは、予算のいろいろな仕組みを早目に固める必要があるということから、先ほどのように、少なく見たら四兆円、それから四兆五千までの間に見積もられるというふうに感じておるわけでありまして、これは経済見通しを前提にいたしておりませんので、今後、それが固まっていきます際には突き合わせながら経企庁との間で調整したい、こう思っております。
  154. 坂口力

    坂口委員 二十分の残り時間五分もかけてしゃべってもらいましたけれども、中身は全然ない。本当に、大蔵省たるものがそんなぼやっとしていていいのかしらんと思うような答弁でございまして、全く情けない話でございますけれども、経企庁の方はきょうはお越しいただいて、経企庁はそんなことはないと思いますが、来年のことをちょっとお聞かせいただきたい。経企庁、お見えになりますか。大蔵省を教育できるような答弁をひとつ。
  155. 海野恒男

    ○海野説明員 来年度の経済見通しにつきましては、私どもといたしましては、七-九月期の国民所得統計速報、いわゆるQEと申しておりますが、これが出た段階で本格的な作業に入りたいと思っております。このQEが出ますのは、私どもの方の経済企画庁の研究所で推計するわけでありますが、これが今月の末に出ると聞いております。したがいまして、それの数字を見ました上で、今年度の実績見込みとそれから来年度の経済見通しの本格的な作業をするという予定にしております。  私どもは、もちろん常日ごろいろいろな指標を使いまして当面の経済情勢なりあるいは今後の見通しについて勉強いたしておりますけれども、各省とも同様にそれぞれの立場からそれぞれの関心項目につきましていろいろ御検討されていると思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもはQEの数字が出ました後で本格的な作業を開始しまして、その検討結果を踏まえて各省と相談の上最終的な決定にしていきたい、こう考えております。
  156. 坂口力

    坂口委員 大蔵省大蔵省なら、経企庁も経企庁、よく打ち合わせが行き届いているのかどうか知りませんけれども、全然わからぬことではつじつまが合っている。なぜ私がこんなことをお聞きしたかと申しますと、来年度予算に対してどういう考え方を持っていかれるかということをお聞きしたかったわけでありますが、時間が非常に詰まってきておりますので、大臣にこれはひとつ、ちょっとはしょった形での議論になりますけれども、お伺いをしておきたいと思います。  それは、きょう午前中にも議論がございましたとおり、物価景気両にらみ、まあ両にらみと言いながら、どちらかと言えば物価に軸足を置いた両にらみというような感じの答弁があったわけでありますが、景気の方も現在のところはまずまずの進行状態のように思いますけれども、昨日あたりの新聞等を見せていただきますと、来年度の後半の設備投資等については企業の側も非常に不安を表明しているというような記事も出ているわけでございまして、この辺を考慮に入れました場合に、いわゆる公共投資というもので現在の景気というものがかなり引っ張られたことは事実でございますけれども、これで公共投資を減らしても、いわゆる民間主導型の形で維持できていけるのかどうか、その判断、非常にむずかしいところだと思うわけでございます。けさほどからも、公債をできるだけ減らしてという話があったわけでございますが、しかし、私もできる限り減らした方がいいとは思いますけれども、しかし、それによって公共事業が非常に減り、それによって民間の力もまだそこまでもなくということで、まただんだんと下降線を下るようなこともまた考えなければならないことでございます。その辺のところをどのようにお考えになっているのかということをひとつお伺いをしたい。  それから、ついでで申しわけございませんが、予算編成上、もう一つの点としては、出るを制すというお話がございましたけれども、これは、私はある新聞を拝見をして、竹下大蔵大臣補助金整理ということで、法律補助というものにもメスを入れなければならない。そういった意味で、補助金整理への新しい立法化というものを考えなきゃならないと御発言になったというふうに受けとめられる記事があるわけでございますが、この点本当にそういうふうなお考えがあるのか、この二点についてひとつお聞きをしたい。
  157. 竹下登

    竹下国務大臣 まことに同じ答弁を繰り返すようでございますが、来年度の経済見通しが立たない今日、どのような形になるかということを確定的に申し上げられないことをまずおわびを申し上げておきます。  しかしながら、今日四〇%近いものが国債に依存しておるという財政のもとで、言ってみれば、景気刺激の下支えとなるだけの公共投資をやる能力そのものがなくなっておりはしないかというような認識を持っておるわけであります。したがって、本朝来議論されておりました、私どもも閣議了解をしております新経済社会七カ年計画における公共事業二百四十兆円、それを単純計算すれば一〇%以上の伸びがなければならぬではないかというようなことについては、私も今度大蔵大臣就任しながら、二百四十兆そのものをいま改定するということは考えないまでも、その緩急の度合いというものはおのずからそこにあり得るではないか。したがって、明年公共事業をもって大きないわゆる官主導型の景気政策をとるような実態には今日ない、こういう認識を持たざるを得ないというように思っております。これは、私が建設大臣経験者でありますだけに、何か公共投資に対して非常な比重をかけるのではなかろうかというような憶測もございまして、各方面から質問をいただきますが、おおむねいまのような答弁で統一したお答えをいたしておるところでございます。  それから、二番目の問題は補助金の問題でございました。補助金に対する問題は、私が記者会見等で申しましたことで多少そのバックグラウンドを申し上げますと、かつて内閣官房長官をしておりますときに、いわゆる補助金を全部一括して整理して、必要なものをもう一遍個別に浮き上がらした方がいいじゃないか、こういう議論をしたことがあったわけでございます。しかし、現実問題として、総予算の三四%を占めます補助金の中にはいわゆる社会福祉でございますとか、教育でございますとか、あるいは公共事業の地方に対する補助金でございますとかいうような問題で、精査してみてどれが切れるかといってみても、ほとんどその中身においては切り込めるものは少ないわけでございます。そうなると、次の課題としては、いわゆる各種団体補助とかいうような問題が出てくるではなかろうか。この問題につきましては、それなりに一括して整理ができるというようなものがあれば、いわゆる補助金整理法という法律のようなものも考慮の中に考えられるわけでございますけれども、いま精査してみておりますが、なかなか一括して整理していくという対象のものにはなじむものがいまのところ少ない。  そうしてもう一つは、いわゆる予算補助をしております、政策上の補助金を出しておる問題を、また全部これを法律に書きかえるということになりますと、それなりに行政の簡素化には逆行することにもなりはしないか、などなど考えて、三つのグループをどういうふうに整理していくかということをいま検討しておりますが、かつて行われた、地方交付税制度ができたときのような、地方に対する大きな権限の移譲、そういうときにとりましたところの補助金の一括整理法というようなものを今日やることは困難であるというふうに考えております。
  158. 増岡博之

    増岡委員長 前川参考人には、御多用中のところ本委員会に出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  御退席していただいて結構でございます。  坂口君。
  159. 坂口力

    坂口委員 もう一点だけお聞きをしたいと思います。  内需拡大をどうしてもこれから図っていかなければならないわけでございますが、そのためには、いま触れました公共事業等の問題もございますし、それからもう一つは、社会保障制度に絡む問題もあるわけでございます。  きょうは時間がございませんので、議論する余地がございません。私、差し控えたいと思いますけれども、老人医療の問題でございますとか、あるいはまた児童手当の問題でございますとか、どうも弱いところだけが先に切られるようなきらいがございまして、これは断じて私たち反対の立場をとっているわけでございます。  そこで、もう一つ新しい問題といたしましては、現在、金を使うということではなくて、制度上の改革をしていこうということがあわせて行われなければならないと思うわけでございますが、最近話題になっておりますものに、貯蓄年金という名前でしたでしょうか、個人年金の問題が話題になってきているわけであります。  私は、公的年金というものがもっと成熟をしなければならないというふうに考えておりますけれども、しかし、公的年金だけでいけるかということになれば、これはプラスして個人年金なるものもまた重要であるというふうに考えるわけでありまして、今回のこのキャッチフレーズが、インフレに強い個人年金ということになっておりますが、文字どおりインフレに強いのかどうか、私も定かに研究をしたわけではございませんけれども、しかし、こういった方向のものが検討されたということには、私、敬意を表する一人でございます。  しかし、考えてみれば、大蔵省がこういった問題につきましても、郵便貯金等の中でこういった問題を考えるだけではなくて、銀行とかあるいはまた生命保険等の問題を抱えております大蔵省でございますので、こちらの方でもこれを上回るような、国民のニーズに合うような、そういう新しい商品というものもどしどしと考えていかなければ、郵便局の方に多くお金を取られてしまうというような議論がまた起こってくる可能性もあるわけでございまして、大蔵省がちょっと郵政にしてやられたり、私はそういう感じを持っておりますが、大蔵省としての見解をひとつお聞きをしたい。
  160. 竹下登

    竹下国務大臣 いま、坂口委員の御指摘でございますが、郵政省から要求が出ておることは事実でございます。私自身はこれは新規な要求と思っておりましたが、制度としてはいままでもあるそうでございます。ただ、四十三年以来ほとんど睡眠をしておるということだそうでございます。  したがいまして、これに対する考え方でございますが、とにかくいま委員いみじくも御指摘になったように、民間におきまして保険会社あるいは信託等において、この種の公的年金をさらに補充する意味においての新規な事業が今日行われておりますだけに、こういうものをいまのところもっと積極的に推進していくという考え方の上に立つべきではないか。ただ、せっかく要求が出ておりますだけに、これに対しての一通りの考え方だけをざっと読み上げますならば、厳しい財政状態のもとで政策税制の拡大の余地はない、あの制度に対して、いわゆる減税をしろということの拡大はない、それから新種年金の創設が民間金融機関の資金調達にも重大な影響を及ぼすおそれはある、いま御指摘のとおりでございます。そしてまた、簡保積立金の運用対象を株式、不動産等にまで拡大するということは国家資金の適正な運用の範囲を超えるようになる問題ではないかというような問題点がございますので、これはなお、いま鋭意検討中であるというふうな段階であるとお答えいたします。
  161. 坂口力

    坂口委員 鋭意検討中、よくわかりましたが、それは大蔵省としては結構だという方向検討でございますか、あるいは、それならばおれのところももう少し内容を改めてこういう新しい商品を考えようというような検討でございますか。
  162. 竹下登

    竹下国務大臣 いまのところ、先ほど御指摘のように、民間で行っておるこの種の事業を推進していくという立場に今日まで立っておりますがゆえに、その中に政府の仕事として介入すべきかどうかも含めて検討中であるということであります。
  163. 坂口力

    坂口委員 じゃ、最後にいたしますが、現在の生命保険制度その他を考えましたときに、新しい商品も幾つか出されておりますけれども、しかし、今回発表されたような形にはなかなかいっていない、その程度までもなかなかいっていないという気がしてならないわけでございます。いろいろ検討をしていただかなければならないと思いますけれども、その出されたものをこれはだめなんだ、新しくこういうものをつくるのはだめなんだという否定的な立場に立たれるのならば、郵政省が示されたものをさらに上回る新しい商品というものをひとつ示されたいと私はお願いをしたいわけでございます。  以上、申し上げまして、終わりにいたします。
  164. 増岡博之

    増岡委員長 正森成二君。
  165. 正森成二

    ○正森委員 財政問題、与党の党内問題、ともに大変なときに大蔵大臣をお引き受けになりまして、まことに御苦労さまでございます。  この間、大臣最初の大蔵委員会でごあいさつをなさりました。その中に「この場合、歳出面においては、極力経費の節減合理化に努め、既定経費の徹底的な見直しを行うほか、新規施策については、真に緊急やむを得ないもの以外はこれを認めないこととするなど歳出規模を極力圧縮するとともに、歳入面においては、租税特別措置の整理等を通じ、税負担の公平確保をさらに推進してまいる所存であります。しかしながら、これらの努力によってもなお最小限必要な歳出増加を賄うのに財源が不足する場合は、国民の御理解を得て、負担増加を求めることも検討課題とせざるを得ないと考えております。」私のメモに誤りがなければ、そうおっしゃっておられます。これは負担増加の点について申しますと、どの税目で負担増加するとは言っておられません。  しかし、同時に、大臣が御就任になりました後、記者会見等でおっしゃったものが報道されておりますが、たとえば十日にある新聞の記者と会見なさったときに、一般消費税については、「五十五年度導入は見送られたが、完全に過去完了になったわけではない。今後じっくり検討したい」、こういうぐあいにおっしゃって、五十六年度以降に再浮上の可能性が十分あり得ることをにおわしておられます。あるいは、九日に初めての記者会見で「五十五年度の導入はやめることに決めている」とお述べになったそうでありますが、同時に五十六年度以降について「負担がどうしても必要になった場合は、やはり一般消費税を含めた間接税にウエートをかけて対応することになろう」こういうぐあいにおっしゃったと報道されております。  そこで、二つ伺いたいわけであります。  まず第一は、他の同僚委員の御質問にもお答えになりましたが、昭和五十五年度に一般消費税の導入は完全に断念されたのかどうか。  第二番目に、昭和五十六年度以降については、過去完了ではなしに、これも検討課題にしておられるのかどうか、その二点であります。
  166. 竹下登

    竹下国務大臣 政府といたしましては、これまで、昭和五十四年一月の閣議決定に従いまして、一般消費税について昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進めてまいったところでありますが、現時点において、同税についてまだ国民理解を得るに至っていないと判断されますところから、昭和五十五年度においては、一般消費税によらない財政再建の手だてを見出すべく努力するというふうにしたところが現在であります。  したがいまして、将来の問題についての御質問でございますが、その問題につきまして、私がかねて申しておりますのは、まず出るを制して、先ほどの所信表明で委員会で申しましたとおりの方針でもって予算編成をやっていって、そうして、なおかつ、どうしても国民に新しい負担をいただかなければならないという状態に達した場合には、この新しい負担に対して国民理解と協力を求めなければならない、こういうことを申しておるわけであります。  さらに、一般消費税という問題が、言ってみれば、この選挙を通じという表現が適切であるかどうかは別といたしまして、国民の側から、いわばヘジテートされたというような状態から考えてみますならば、将来、やはり新しい負担というものを国民にいただかなければならない場合、国民との問答の際に、まず直接税と間接税の比率はどうなっておるか、これは他の先進国に比較してどうなっておるのか、あるいはそれぞれ対比して申しますならば、所得税と消費税というものがどうなっておるかというような形の中で問答を繰り返しながら、理解と協力を求めていかなければならない課題である。そうして、いわゆる言われておる一般消費税というものは、間接税の中のワン・オブ・ゼムであるというような表現で今日まできておるということであります。
  167. 正森成二

    ○正森委員 いま御懇切な御答弁がございましたが、それでは、さらに違う角度からもう一度御質問したいと思います。  先ほどの御答弁で、今度の選挙での国民の意向もあり、五十五年度の導入はなさらない御意向は承りました。  そこで伺いたいのですが、昭和五十四年度予算編成方針昭和五十三年十二月二十八日閣議決定、これでは一般消費税に触れまして、「なお、一般消費税(仮称)を昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める。」こういうぐあいになっております。あるいは昭和五十四年度税制改正の要綱、昭和五十四年一月十九日閣議決定、ここでも「なお、一般消費税(仮称)については、昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める。」こうなっております。  先ほど同僚委員から、新経済社会七カ年計画の中の同様の文言について御質問がありました。私は、重複を避けるために新経済社会七カ年計画については申しませんし、ある意味では中長期の計画でございますから、これは性質がやや異なります。しかし、この税制改正の要綱やあるいは予算編成方針というものは、その年度、年度のものであります。  いま大臣は、昭和五十五年度には一般消費税を導入しないということをお述べになりましたから、私は、いやしくも閣議決定になったものについて、昭和五十五年度の予算編成方針あるいは税制改正の要綱を閣議決定なさる場合には、昭和五十四年度予算の場合と異なって、一般消費税の導入について昭和五十五年度中に導入できるように諸般の準備を進める等々の文言は入らないものと承知してよいと思いますが、そう伺ってよろしいですか。
  168. 竹下登

    竹下国務大臣 これは御指摘のとおり、昭和五十四年度予算編成方針、五十三年の十二月二十八日の閣議決定におきまして、最後のところで「なお、一般消費税昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める。」そういう方針に従いまして、その諸準備は進めてきたわけであります。きょう御指摘になりました小冊子のごときも、その諸準備の一つであろうかと思うのであります。しかし、それは国民の側から、適切な言葉かどうかわかりませんが、ヘジテートされた、だから、それによらない財政再建の方法をとろう、こういうことでございます。  したがって、私もいきなりでございますので、今度の昭和五十五年度予算編成方針というものの書き方につきましてはまだ勉強しておりませんので、どういう言葉でもって書くべきか、答えるだけの自信がございません。
  169. 正森成二

    ○正森委員 率直な御答弁でございますが、私としては、当委員会で五十五年度は導入しないという公的な発言があったわけですから、五十五年度の予算編成方針税制改正の要綱の中に導入を示唆するような文言は当然入るべきではない、これは論理上当然ではないかというように思います。それがまた国民に対して、政府・自民党が選挙結果を謙虚に受けとめておるということを示す絶好の機会でもあるというように思いますが、重ねて御答弁をお願いします。
  170. 竹下登

    竹下国務大臣 どうも私も、予算編成方針の中で税制改正等についてどのようなことを書くべきであるかということを、いま、勉強しておりませんので、明確にお答えを申し上げる自信がございませんが、一般消費税(仮称)を五十五年度中実現に努力するとは書けないだろうとは思っております。
  171. 正森成二

    ○正森委員 まことに名答弁であります。  それでは、もう一つ伺いますが、五十六年度以降について、大臣は、先ほどワン・オブ・ゼムという言葉をお使いになったのです。それで、決して揚げ足を取るわけではないのですが、ワン・オブ・ゼムのワンの方がたくさん種類があれば、一般消費税が導入される確率が少ないであろうという気もするのですね。ところが、このワン・オブ・ゼムのゼムが非常に少ない。それで、大きな犬ではありませんが、ワンという方は一般消費税の比重が非常に高いということになりますと、横文字でワン・オブ・ゼムと言うと、何となく導入はないように思っても、その確率は非常に高いということもあり得るので、ワン・オブ・ゼムとおっしゃった大臣の真意を伺いたいと思います。
  172. 竹下登

    竹下国務大臣 消費税というものがあって、それが特定された消費税といわゆる一般消費税というものに一応分類できるかなと思います。ワン・オブ・ゼムと申しましたのは、まさにワン・オブ・ゼムでございまして、そのプロバビリティーがどのようなものかということにつきましては、まさに未確定要素の中にいま私は立っておる、こういうことであろうかと思います。
  173. 正森成二

    ○正森委員 それでは、次の質問に移りたいと思いますが、先ほど同僚議員の質問に対して、繰り返し大臣は、まず出るを制するという言葉をおっしゃいました。出るを制するという眼目は、やっぱり行政の改革あるいは綱紀の粛正ということがどうしても中心的な問題になると私は了解いたします。  そこで、大平内閣は、成立直後の十一月九日に閣議決定をいたしまして、七項目の綱紀粛正方針をお決めになったやに伺っております。あるいは大臣は細かいことを御記憶ないかもしれませんから、関係の事務当局でも結構ですが、その七項目というのはどういうものでしょうか、お答え願います。
  174. 竹下登

    竹下国務大臣 官房長からお答えいたします。
  175. 松下康雄

    ○松下説明員 御指摘のございましたいわゆる七項目は、十一月九日に「綱紀粛正と行財政の刷新に関する当面の方針について」という文書によりまして、内閣から各省に示達をされたものでございます。綱紀の粛正と行財政の刷新に分かれておりますが、その前段の綱紀の粛正に七つの項目がございまして、たとえばその中には、「官庁間の接待と贈答品の授受は、厳に慎しむ。」というような具体的な例を挙げまして、綱紀粛正の方針を指示されてございます。
  176. 正森成二

    ○正森委員 官房長が簡明にお答えになりましたが、もう少し詳しく申しますと、全部について触れるわけではありませんが、こうなっております。不正経理問題や公務員の綱紀にかかわる一連の問題の事実の徹底的究明と関係者の厳正な処分。官庁間の接待と贈答品の授受、関係業者からの接待及び贈答品の受領は慎む。政治家の「励ます会」のパーティー券の購入、あっせんを自粛する。空出張その他予算の不正使用の根絶。勤務時間の厳守、超過勤務の適正な管理等々のはずであります。私がいま指摘したことは、七項目の綱紀粛正方針に載っておりますか。
  177. 松下康雄

    ○松下説明員 御指摘のとおり、七項目の中にいずれも含まれてございます。
  178. 正森成二

    ○正森委員 そこで私は、大蔵との関係で鉄建公団の問題について御指摘をしたいと思います。  大蔵では綱紀点検委員会もできておるようでありますが、鉄建公団が非常な空出張その他の不正経理を行い、初めは使途不明金が六千万円を超えるという状況でしたが、会計検査院が鋭意詰めた結果、百十八万円に減ったと称しております。その不正な経理の中から、運輸省、大蔵省の接待を行ったということが報道されました。  他の委員会での質問等の中で、この不正な経理の中から接待を受けた大蔵省関係は百二十二件、約百三十万円であり、一件は一万円をやや超えるくらいで、これに参加した人員は二、三人ということになっておるようであります。そして、長岡事務次官ら九幹部が処分されましたが、このうち実行行為、つまり接待を受けたということで処分されたのは、秋山担当主計官補佐、佐々木主計局運輸第三係のみであり、他の七名は、監督責任ということで処分をされておるというように承知しておりますが、そのとおりですか、あるいは違うならば、それを御指摘ください。
  179. 松下康雄

    ○松下説明員 ただいま御指摘のありました事実につきましては、いずれもそのとおりでございます。
  180. 正森成二

    ○正森委員 そこで、私は伺いたいと思うわけですが、これは朝日新聞がことしの十月十九日に指摘した点であります。これによりますと、高級料亭で大蔵省が接待される側になって、十回を超えて同一の料亭で一回一人当たり約四万五千円の供応を受けておるということが指摘されております。私の調査では、この指摘された赤坂の高級料亭は大野という料亭であります。  そこで、大蔵省に伺いますが、この朝日新聞指摘の大野における高級料亭での官庁間の接待、その中には日本下水道事業団あるいは日本住宅公団も含まれておりますが、これは事実なのかどうか、調査なさった会計検査院から伺いたいと思います。
  181. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 日本鉄道建設公団の経理につきまして本年検査いたしました結果、御指摘の新聞に報道されましたような内容の経理が行われておったことは事実でございます。  ただ、人員と日付は報道のとおりでございますけれども、金額の方は少々違っておりまして、五十三年二月十六日の分といたしましては、三十九万五千九百四十五円でございます。それから五十三年八月十七日の分としましては、五十五万九千六百三十六円となっております。  なお、支払いの内容でございますが、鉄道建設債券の引き受け依頼等についての懇談会の経費となっておりまして、支払い科目は款、業務外支出、項、鉄道建設債券取扱諸費、目、同じく鉄道建設債券取扱諸費となっております。  以上でございます。
  182. 正森成二

    ○正森委員 直接にはお答えになりませんでしたが、料亭が赤坂の大野であるということも当然の前提としてお答えになりました。それから日時、参加人員もそのとおりで、ただ費用が若干下回る。しかし、八月の分は一人当たりにして四万円を超えておりますね。二月の分も一人当たり約三万円、こういうことになっております。  なお、費用の支出も正規の会議費であるということで款項目等をお答えになりましたが、私の承知しておるところでは、これは大蔵省を接待したということになっておらないで、銀行を接待した、こういうように作為をして支出をしておるはずであります。いかがですか。
  183. 室屋勇

    ○室屋会計検査院説明員 表向きの経理はそのとおりになっております。
  184. 正森成二

    ○正森委員 それでは、同じく会計検査院に伺いますが、一々聞いておると十一もありますから、九月十九日、当時の厚生省の翁事務次官が主計局次長、主計官らを接待したケースについてはいかがですか。
  185. 竹尾勉

    ○竹尾会計検査院説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおりでございます。
  186. 正森成二

    ○正森委員 この場合も、大蔵省の主計局次長らを一回で大野で接待するというようにはなっておらず、予算説明会等十回にわたって会議をするということで捻出した費用をこれに充当したのではありませんか。
  187. 竹尾勉

    ○竹尾会計検査院説明員 私ども、あの新聞記事が出ましてから早速厚生省当局に説明を求めまして鋭意調査したわけでございますが、ほぼ新聞報道のような事態ではございまするが、いわゆる架空、空で会議を何回も開いたこととして資金を浮かして、これを一回の会議に使用したというふうなことは見当たりませんでございました。  以上でございます。
  188. 正森成二

    ○正森委員 見当たらなかったということは、これに見合う会議として支出が落とされておったということまで確認したということですか、よくわからぬということですか。私の方でもある程度調べているのですよ。
  189. 竹尾勉

    ○竹尾会計検査院説明員 この件につきましては、九月十九日、五十三万三千円ほどでございまするが、これの支払いは五十四年の六月十五日と二十二日、それぞれ三十万六千円、二十二万七千円と二つに分けて支払ってございます。
  190. 正森成二

    ○正森委員 私の聞いておるのは、そんなことを聞いておるのじゃないのです。大体九月に飲み食いしたのが翌年の六月に支払われるということが、何回も会議をやったということで、やっと浮かした金で払ったということを類推さしておるじゃないですか。そうでしょう。何もかばわなくてもいいから調べたとおり言いなさい。
  191. 竹尾勉

    ○竹尾会計検査院説明員 そういうことだと存じます。
  192. 正森成二

    ○正森委員 そこで、大蔵省に伺いたいわけですが、新聞などで報道されておるところでは、処分はされることはされたけれども、実際に供応を受けた、悪い言葉で言えば、実行行為者としては下級官吏二名だけで、それ以上の人たちは監督責任あるいは判断を正さなかったその責任ということになっておるようであります。しかしながら、鉄建の不正経理の部分は言わずもがな、いわゆる正規の会議費から出されておるものでも、決して文字どおり正規の会議費から出ておるのではなしに、ある場合には大蔵省を接待しておるのに銀行接待したと偽り、ある場合には十回にわたって予算説明等の会議を行ったと偽り、そして苦心した額を大蔵のキャリアである主計局次長なりあるいは理財局の幹部なり、そういう人たちを接待しておるということになれば、これが社会常識の範囲内であるということはとうてい言えないことだと思うのです。社会常識の範囲なら、堂々と厚生省にしても、あるいは鉄建公団にしても、それを書けばいい。それを書いていないということは、やはり行財政改革について云々するまでもなく問題があるということを事実において示しているというように思うのですね。  そうすると、恐らく官房長がお答えになるのでしょうが、あなたは綱紀委員会の責任者として、実行行為者は秋山、佐々木の二名のみにとどめて、それ以外の人は監督責任である、あるいは判断責任であるというようなことで、果たしてこの七項目の綱紀粛正方針に合致するのかどうか、私はとうてい合致するものではないというように言わざるを得ないと思うのですね。その第一項目には、不正なこういう問題についての事実を徹底的に明らかにして関係者を処分せよ、こう書いてある。ところが、これら供応を受けた人物は何ら処分も受けず、注意も受けていないということになれば、私は金額の大小を言っておるのではない。三十八兆を超え、本年度は四十二兆前後という予算から見れば微々たるものかもしれないけれども、骨の髄まで削れと言っておる大蔵省の姿勢として言っておる。またこういうことがあるとすれば、本来削られる立場にある者が大蔵省を接待すればお目こぼしにあずかるかという風潮になれば、これは一大事であり、よしんば大蔵省も官庁もそう思わなくても、国民がそう思うということになれば、信なければ立たずという言葉もあるけれども、絶対に政治なんというものは国民理解を得て円満に行うことはできないというように思いますが、それについての大蔵大臣ないしは事務当局の見解を伺いたいと思います。
  193. 松下康雄

    ○松下説明員 処分についてでございますが、いわゆるこの他省庁との会食等の事実につきまして個々の事例を見ますと、たとえば、人事異動がありました後の顔合わせの会食のような、いわば従来何となく慣例的に行われてきたような、そういうものであったと判断をしておるわけでございます。  ただ、全体についてこれを考えますと、内容的にもまた全体としての回数、頻度というような点から申しましても、どうも私どもといたしましても、これは従来の常識の範囲であるから、社交儀礼の範囲であるから許されるというだけでは済まされないという認識をいたしております。  そこで、ただ個々の会食に参加した人の意識はそういうことでございますので、今回の処置といたしましては、過去のいろいろな事例につきましては全体としての綱紀の粛正を図り、そういう社会常識は現在の状態のもとでは変えていかなければならぬということを指導すべき立場にあった者の監督責任を厳重に追及をいたしたわけでございます。また、あわせて今後このような事件の再発を防ぎ、いま御指摘がありましたような財政当局としてみずから姿勢を正して、国民の批判に率直におこたえするという目的をもちまして、内部の綱紀粛正に関する通達を出しまして、今後関係者からの会食等の接待は原則として受けてはならぬ、あるいは贈答品をちょうだいしてはならぬというようなことを明らかにいたしまして、今後の戒めとするという措置を講じた次第でございます。
  194. 正森成二

    ○正森委員 長岡事務次官、松下官房長といえば、大蔵省の中で最も優秀な人材であります。そのお方が国家公務員法にいう戒告処分を受けるというのは大変なことであり、それはそれなりに評価したいと思います。しかし、同時にそのことによって、これら供応を受けた高級官吏がみずからは何らの訓告処分、注意もされないということによって、私がおそれるのは、これら実行行為に参加した人が、いや、あれは慣習であり、当然のつき合いだったのだという意識が残らないか、また戒告という高級官吏にとっては非常に不名誉な処分を受けたとは言いながら、そのことによって供応を受けた多数の高級官吏の処分を防いだということで、逆に事務次官と官房長が殉教者になり、内部でもてはやされるということになるということがあっては、何のために処分を受けたかわからぬということになります。私は、そのことをやはり非常に反省し、問題とすべきであると思います。きょうは法務省の刑事課長が来ておりますが、私はこの具体的な件については申しませんが、仮に公団、役所等、公務所あるいは公務員とみなされる者が、会議の目的を変えて書き、していない会議をしたと書き、そして文書を作成していれば、これはりっぱに刑法の虚偽公文書作成、同行使罪になるのじゃありませんか。
  195. 根來泰周

    根來説明員 ただいまのお話の経過を伺っておりますと、やはり具体的案件に関しての御質問であるというふうに理解いたしますので、恐縮でございますが、答弁を差し控えたいと思います。
  196. 正森成二

    ○正森委員 私は具体的な案件として聞いているのじゃないのです。一般の刑法の問題として聞いているのです。
  197. 根來泰周

    根來説明員 事実関係いかんによるわけでございますが、成立する場合もあり得ると思います。
  198. 正森成二

    ○正森委員 結構です。  次に、私は国際電電の問題について伺いたいと思います。  国際電電の問題については他の同僚議員も御質問になりましたから、重複しないようにさせていただきたいと思いますが、十月二十九日に参議院の逓信委員会で古池会長が交際費ということで御説明になりましたしこれは坂口委員が御指摘になりましたように、五十一年度九億二千三百万円、五十二年度十三億九千九百万円、五十三年度が二十二億三千八百万円だそうであります。これが事業計画として郵政省に届けてあるものと違うというのは、国税庁に届ける方は法人税で言うところの交際費でありますから、別に違ったからどうこうということはないかと思いますが、私が税法上やはり重視したいと思うのは、新聞にも出ておりますように、交際費の中の贈答品として購入されたものが資産台帳に載っておらない。そうしますと、佐藤社長室長もある週刊誌でみずから認めておるように、その場合には税法上問題がある。知っているのですね。それからまた、報道によりますと、二年間にわたってのようでありますが、使途不明金が約五千万円ある、こういうように言われております。使途不明金というのは、使途のわからない金ではなしに、使途を説明することができない、あるいはしたくない金だというように言われておるのですね。これは普通の企業でも本来あるべきではありませんが、いわんや特殊法人ではそういうものはあるべきではない、こういうように思うのですね。  そこで、私は事件がこれほど国民的な関心を呼んでおる現在、使途不明金があるのかないのか、どれくらいあったのか、それから国際電電がみずから認めておるように、そのために今度決算書類を一たん出しておったのをまた取り返したわけですが、そういう簿外資産と言われるようなものについて税法上の措置をおとりになるのかどうか、それだけを伺いたいと思います。
  199. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答えいたします。  使途不明金があったかないか、あればどのくらいかという問題につきましては、先ほど来申し上げましたように個別問題でございますので、この席での発言は差し控えさせていただきたい、このように思います。  それから簿外資産の問題でございますが、簿外資産の問題につきましては若干むずかしい問題がいろいろございまして、これは一般論でお答えさせていただきます。  一般論として、もし交際費として会社が税務申告をし、その金で簿外資産を購入していたような場合、それが発見された場合でございますが、それは誤りを直すということでございまして、税の立場といたしましては所得計算上の誤りを直す。すなわち、交際費はなかったものとし、簿外資産につきましては会社の正規の帳簿に計上したものとして計算をいたします。  それから同じく使途不明金でございますが、使途不明金の現在の取り扱いは、御承知のとおり法人税の課税を受けることになっております。そのために、その課税がなかったことにし、同時に資産の簿外があったということで資産が計上される、こういう両様の扱いになるかと考えております。  以上でございます。
  200. 正森成二

    ○正森委員 いまの答弁、大臣お聞きになっていたと思いますが、官房長の御答弁をお聞きになって、大臣として、非常な激動の中成立した大平内閣が最初に綱紀粛正ということをおっしゃった。その立場から見て、予算について厳正になたをふるうべき大蔵省の主管大臣としてどう思っておられるか。  それから第二番目に、いま国税庁の次長が言いましたが、国際電電の問題はこれだけ国民の関心を引いております。新聞では使途不明金があるということも報道されております。そういうものまで守秘義務であると言って答弁するような大蔵、国税当局国民は果たして信頼するでありましょうか。私は何も、何のだれべえという個人について、だれが脱税何ぼしたとかそんなことを聞いているんじゃない。また、一般的に資本金何百億以上の会社について、使途不明金をどこの会社が何ぼあるか言えなんというのを言っているんじゃない。これだけ世間を騒がせた特殊法人である国際電電について使途不明金があるのかどうか、こう聞いている。それについて守秘義務だから答えないとは一体何事だ。それで国民の負託にこたえる国会の責任が果たせると思いますか。私はかつて、児玉譽士夫の資産関係についてあくまで守秘義務を主張するので、当時のロッキード委員会委員長に直接お願いをして、この限度のことは言いなさいと言って、やっと国税庁長官が答えたことがあります。私は、いま質問の範囲内のことであれば答えるのが当然である、そう思いますが、いかがですか。委員長の適切な御発言をお願いします。
  201. 増岡博之

    増岡委員長 後刻理事会で相談をいたします。
  202. 正森成二

    ○正森委員 後刻じゃ間に合わないです。
  203. 増岡博之

    増岡委員長 後刻いたします。
  204. 正森成二

    ○正森委員 それじゃ、自分で自発的に答えたらどうです。答えないんですか。
  205. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 御承知のとおり、国税のただいま法人税法あるいは所得税法上に規定してございます守秘義務につきましては、やはり行政の公益性と申しますか能率性と申しますか、あるいは国税当局民間からの信頼というものを考えて規定されたものと考えておりまして、したがいまして、御説のような、公益性の強い特殊法人であるから守秘義務を解除して、そこで話をすべきだとおっしゃられましても、やはり私はただいまの段階、これをこの席で申し上げることは適当でないと考えております。よろしくお願いいたします。
  206. 正森成二

    ○正森委員 そういう判断が妥当であるかどうかはやがて国民が判断することになるだろうということを指摘しておきたいと思うのです。そして、そういう問題について公明正大にならなければ、私は、行政当局ひいては内閣がやはり責任を問われることになるだろうということを指摘して、次へ進みたいと思います。  関税局長に伺います。あなたは先ほど佐藤という名前がちょっとあれだということでしたが、同僚委員のこと言うているんじゃなしに、佐藤社長室長以下三名が告発をされましたね。関税法によれば、これは釈迦に説法でありますが、必ずしも告発しなくてもよいので、通告処分という制度があります。その通告処分をとらないで、あえて告発をなさったのは法文上の考えから言えばどういうわけですか。
  207. 米山武政

    ○米山説明員 関税法百三十八条には、税関長が犯則事件の調査によって犯則の心証を得たときは、まず通常の場合にはこれを通告処分を行う、こう書いてありますが、ただし「情状が懲役の刑に処すべきものである」とみなされた場合には――その他幾つかありますが、みなされた場合には「直ちに検察官に告発しなければならない。」こういう規定がございまして、私どもはこの規定に該当する、こう認めて告発したわけでございます。
  208. 正森成二

    ○正森委員 いま省略されましたが、たとえば「犯則者が通告の旨を履行する資力がないとき。」なども告発することになっておりますが、国際電電関係者が資力がないとはとうてい言えないというようにも思います。ですから、あなたのいまの御答弁の重点はまさに「情状が懲役の刑に処すべきものであるとき。」つまり情状がきわめて重いというように判断したからであるというように理解してよろしいですね。
  209. 米山武政

    ○米山説明員 御指摘のとおりでございます。
  210. 正森成二

    ○正森委員 そこで伺いたいのですが、新聞の報道によりますと、保田社長室参与は、これらの密輸品を含む品物、あるいはそれ以外に日本国内で購入した絵画等もあったようですが、それらを大量に隠匿と思われる不可解な移動をさしております。そして、その移動は保田参与がみずから認めたところでは、板野前社長が指示をしたものであるということが読売新聞等で報道をされておるのですね。  そこで、そうなりますと、関税法には、情を知って密輸品を運搬あるいは保管、その他のあっせんをした者もやはり関税法違反で犯罪になり、場合によったら三年以下の懲役になる、こう書いてあります。そうしますと、この社長の指示は、これ自体刑法上の証拠隠滅になるか――他人の犯罪の場合にはそうですね。あるいは、みずからが関税法違反になる行為も該当するのじゃないかというように思いますが、どう見ておられますか。
  211. 米山武政

    ○米山説明員 私どもの現在の調査状況は、十月一日及び二日に三名の者が行った関税法違反につきまして、現行犯としてこの条件につきまして調査が固まりましたので、とりあえず告発したわけでございます。その他の者につきましては、密輸あるいはただいま委員御指摘の点につきましても、現在調査中でございます。
  212. 正森成二

    ○正森委員 法務省に伺いたいと思います。  公団や公社等が自民党の、あるいは政党はどこでもよろしいが、政治家を励ます会などのパーティー券を購入する行為、これは政治資金規正法に触れる場合があり得るのではないですか。あるいは、それが官庁からの依頼によって選挙の直前に購入されたという場合には、公選法に言う官僚の地位利用の禁止に該当する場合があるんではないですか。これは一般論です。
  213. 根來泰周

    根來説明員 一般論としてお答えするわけでございますけれども、その前提になる事実関係がもう一つはっきりいたしませんので、ここでそれが政治資金規正法に違反するおそれがあるとかないとか言うことは、多少他にも影響がございますので、答弁は差し控えたいと思います。
  214. 正森成二

    ○正森委員 それでは一般論としては答えにくいということですから、具体的な事実について注意を喚起したいと思います。  ここにサンデー毎日の十一月二十五日号があります。これを見ますと、「佐藤社長室長の全告白」ということで詳しく載っております。これを見ると、たとえばパーティー券というのは「五十枚が最高だね。ふつうは二、三十枚」とこう書いてあります。ところが、小渕総理府総務長官は、最高限度を倍超えて百枚購入してもろうておったということをみずから認めておる。後で返したそうであります。また、これを見ると、装身具についていろいろ贈答をした。その相手は郵政省の役人である、こう言っております。また、美術品について政治家に贈った。これは名前を言うのはあえて遠慮さしていただきますが、かつて郵政大臣であった人に贈った。つぼを持って行った。事件が発覚してから品物を返してきた人もある。ロッキード事件の某政府高官の行動とよく似ているわけであります。このこと自体が犯罪性を推測させるというように言うてもいいと思うわけであります。  こういうようなことが出ている中で、捜査当局としては、品物の転送あるいは隠匿が行われていると見られる事実があるということになれば、人及び物に対する、特に上層部に対する強制捜査を急ぐべきではないかというように思います。私は、捜査当局にこうせよああせよというようなことは言おうとは思いませんが、そういう問題点を理解して検察当局ないし警察当局は活動しておられるのかどうか、その感触を伺いたいと思います。
  215. 根來泰周

    根來説明員 おしかりを受けるかもわかりませんが、具体的な捜査の手順あるいは内容にわたりますので、答弁を差し控えさせていただきます。  ただ、そういう御意見については、御意見として捜査当局に伝えるつもりでございます。
  216. 正森成二

    ○正森委員 非常に慎重な答弁でありますが、国民の大部分は、報道されるKDD等の乱脈ぶりを見て、これがこのまま許されるというようなことが絶対にあってはならないというように考えているに間違いがないと思います。  関税局長に伺いますが、関税局長も、私がいま指摘したような点を考えて、検察、警察当局に協力を求められる場合には協力して徹底的に調査をする考えを持っておるかどうか、伺いたいと思います。
  217. 米山武政

    ○米山説明員 関税法違反につきまして、その疑いがあるものについては、十分な調査を行いたいと考えております。
  218. 正森成二

    ○正森委員 時間がなくなってまいりましたので、この問題と税務の関係と結びつけてお聞きしたいと思います。  国税庁に伺いますが、ソウル地下鉄事件でもそうでしたし、あるいはダグラス、グラマン事件でもそうでしたが、刑法上も非常に問題になる不明朗な事件は必ずいわゆる使途不明金の問題と重なり合っております。使途不明金の処理の問題については伊豫田次長からもお話がありましたが、ここに国税庁の調査課長の五味さんがお書きになった税務弘報七九年七月号があります。これを見ると、いろいろおもしろいことが書いてありますが、こう書いてあるのですね。「企業の維持のために必要な使途不明金の支出は、その支出に加えて法人税分をたとえ負担しても、それを償つて余りある「収益」がそうした使途不明金の支出に伴つて発生するからである。」「企業が使途不明金の支出をしてもなおペイするという状況を変えるだけの措置がない限り、こうした状況は今後とも変化しないと思われる。」こう書いてあります。そしてこの書物では、昭和四十八年度から五十二年度までの使途不明金、これは調査課所管法人について主として調査によって判明した分という限定がついておりますが、二百五十億円あるいは二百四十二億円等の数字が出ており、平均二百億円台であります。  また、ここに海野安美氏の、これは国税庁の調査課にも勤めておられた方でありますが、「使途不明金」という本があります。この方の調査によると、これは調査分であるから、調査しない全体についての使途不明金を類推しておられますが、それによると、数倍に上る膨大な額になります。そしてその中で使途の判明したものは調査の結果でも一〇%である。ほかはがんとして口を割らない。そして使途が判明した中で政治献金の占める割合は、たとえば昭和四十八年については十二億円、四十九年十億円、五十一年十二億円というように、判明しただけで約十億円という額を挙げておられます。そうなると、この問題について税務上いまの体制でいいのかどうかという問題があります。たとえば、だれか個人に渡す、隠しておけば個人に渡った場合には累進課税で七五%の税が課せられるかもしれないのに、ただ損金に認められないで法人税が課せられるだけだということになれば、これは非常に低い税率である、その方が得だということになります。  御承知のように、この本の中で挙げてあるのでは、フランスでは、フランスの租税一般法の二百三十八条あるいは二百四十条一項等で非常に重い税金がかけられることになっており、あるいは同法の九条、百九十七条を見ますと、これは黙っておるのだからというので個人に行った場合の所得税をかける。その出した額についてもまた所得税をかけるということで無限にいきますから、所得税だけでも大体出した額の一・五倍、法人税で大体五〇%。だから、使途不明金の三倍の金を用意しなければそんなものは払えない、こうなっているのですね。  そうすると、いま税収が足らぬ足らぬと言っておりますけれども、こういう不正をなくすのと税収を上げるという点から考えれば、仮に調査の判明した二百数十億だとしても、フランスのような税制をとればたちどころに六百億、七百億の収入を上げることができる。そうなれば、いまのような使途不明金についての税制体制というのは、今日のように財政再建が困難なときには考えるべきではないかと思いますが、国税庁ないし主税局長のお考えはいかがです。
  219. 高橋元

    ○高橋説明員 本年の春の予算委員会でございましたか、そういう問題の御提起がございまして、以後私どもは海外の各国で使途不明金に関する税制がどうなっておるかということの調査検討を進めてまいりました。  大きく分けて、外国の制度は四つに分類できるかと思うのでございます。  一つは、日本と同じように使途不明金の法人経費としての損金性を否認するという考え方であります。もう一つは、法人の経費としての損金性を否認して法人税の課税を行いますが、支払い先の氏名を開示しない場合には罰金を科するというタイプであります。もう一つは、いま御指摘にありましたフランス型の特別課税をする。これはフランス一国のようでございます。それからもう一つは、アメリカのように賄賂その他の不正の支出につきましては、氏名を開示しようがしまいが課税してしまうというやり方であります。  どのような制度がそれぞれの国でどのような沿革を持って発生してきたのか、また執行がどうなっておるのか、なかなかつかみ切れておりません。ただ、フランスでは、先ほどもお示しのありました現在の制度、つまり一・五倍かけるというのが余り厳格であって実効が上がらないというので、ことしの税制改正では大体個人の限界税率の二倍、一二〇%を課税するという制度に改めたと聞いております。フランスのように、たとえばすべて法人が個人に支払った場合には氏名、明細表を法人に備えつけるべしという税法上の一般規定のある国と日本のような国とではまたおのずと違うと思いますが、なお検討を進めておるところでございます。
  220. 正森成二

    ○正森委員 これで終わりますが、最後に一問だけ銀行局長に伺います。  預貯金金利の公定歩合に連動しての引き上げの問題について坂口委員から御質問がありました。重複することを避けますが、あなたの答弁を聞いておりますと、必ずしも連動すべきものではないということをまずおっしゃって、特に長期金利の動向を考えて決める、こうおっしゃいました。長期金利にもいろいろございますが、長期金利の最たるものは国債であります。  そこで、あなたのこの御意向は、結局預貯金金利を上げるということになれば資金コストが高くつく、そうすると、国債にはね返って国債の応募利回りが上がるということにならないと銀行等としては消化ができない。上げれば財政負担が重くなる、だから、預貯金金利を据え置いて国債等が金融機関等で消化しやすいようにするということが預貯金金利を今回連動させない一つの動機になっているのではありませんか。
  221. 米里恕

    ○米里説明員 先ほど長期金利との関連と言いましたのは、私どもが考えておりますのは長期貸出金利の動静でございます。  御承知のように、現在長期貸出金利の資金の需給状況は次第に詰まってはおりますけれども、現在のプライムレートをなお上回るプライムレートを設定するというような状態にはなっておりません。あわせまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、今後政策的にそれでは長期プライムレートを上げていくべきかと申しますと、ここは来年度以降の設備資金需要といったような長期的な経済の需給関係から考えましても、必ずしも適切ではないのではないかという考え方から長期金利をいますぐに上げるのは適当でない、そのために預貯金金利も据え置くということは一つの理由であるということを申し上げたわけでございます。
  222. 増岡博之

  223. 竹本孫一

    竹本委員 竹下大蔵大臣財政危機と言われる今日的な状況の中で、財政再建の大役に任ぜられて大変御苦労さまでございます。御健闘を祈ります。  本日、第一の私の質問、意見を加えながら申し上げますけれども、この間は八十九国会ですか、そうしますと、八十七、八十八の国会等における政府の姿勢を見ておりますと、法案の通過というものに対して熱意が足りない。たとえば八十八国会の際も、最後には、二日、三日というものは、いわゆる積み残しの法案を審議する時間的余裕は十分あった。しかるに、政府審議をしようとしなかった。あるいは大平さんは、解散をするのには法案を少し積み残しにしておく方がより便利であるというお考えがあったのかもしれませんけれども、党利党略というか、派利派略というか知りませんが、そういうことのために十分審議ができ、通過を期待できる法案まで流してしまった。けしからぬことだと思うのですね。スモン病その他については、その後何とかかっこうをつけたわけでございますが、要するに、たとえば大蔵委員会において見ましても、外為の改正法案、こういう法案は、国内的な視野だけではなくて国際的な立場から考えるならば、もっと早くスムーズに通しておくべきであるし、しかも、みんなが賛成している法案であります。それがいつまでたっても通らない。税理士法についても、大体議論は尽きておるのにもかかわらず、これも通らない。共済年金の方の改正の関係の問題も同じくである。そういうふうに考えてみると、法案を通すべき時間的余裕が十分あるにかかわらず、それを通さないことに努力したとまでは言いませんけれども、通そうという努力はしなかった。けしからぬことだと思いますが、そういう姿勢は改めていただきたい。要望にもなりますが、選挙をやるのには法案が積み残しになっている方が確かに便利がいい、口実ができると思いますけれども、そういう選挙第一主義でなくて、国会なり政府は、国民の切実なる生活要求にこたえる立場から、法案の通過にはもっと熱心であってほしい。  まず要望を申し上げますが、大蔵大臣の御意見もあわせて伺っておきたい。
  224. 竹下登

    竹下国務大臣 先ほど御激励と思われるお言葉、ありがとうございました。  確かに解散国会におきまして、最終的な話し合いで薬事二法等は通りましたものの、私が大蔵省へ参ってみましても、いわゆる大蔵委員会所管の法案の多くが廃案になっております。これは私ども政府側からいたしますと、提案した限りにおいては、理解と御協力をいただいてそれぞれ会期内に通過、成立せしめていただくという願望を込めて提出するわけでございますけれども、国会の都合ということになりますと、いま政府側におりますので、私からとやかくの批判を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、政府といたしまして、たとえば決定いたしました臨時国会におきましても、いまどれだけの法案を出すかということについて、私どもといたしましては、たばこ値上げの問題、税理士法の問題、あるいは共済年金法の問題等を提出して、可及的速やかに成立させていただきたいという願望には違いありませんが、いま内閣全体で、恐らく官房の方で、この国会の会期に照らしどれだけのものを提出すべきかということがセレクトされている段階にあろうかと思いますので、ただひたすら、大蔵大臣になりました今日、大蔵委員会に今日まで提出してたびたび廃案になった法案等はいち早く、可及的速やかに成立せしめていただきたいという強い願望を持っておる、そしてそれの審議に当たってはわれわれも精いっぱい御協力を申し上げなければならぬというふうに考えております。
  225. 竹本孫一

    竹本委員 大体において、先ほども申しましたが、政治というものは大きな筋を通す、そして国民の切実なる生活要求にこたえるということが根本でございますから、党派間の駆け引きといったような、極端に言えば、次元の低い政治あるいは政略判断で大きな筋を曲げたり法案をおくらせたりするようなことは慎んでもらいたいということを重ねて要望いたします。  あわせてお伺いすることになりますが、外為法案や税理士法改正法案は、大蔵大臣としてはこの臨時国会では通す熱意を持っておられるかどうか、伺っておきたい。
  226. 竹下登

    竹下国務大臣 当然のこととしてそのように考えておりますが、先ほど申し上げましたとおり、この臨時国会の会期等からして、どのような形で内閣官房の方で御指示がなされるかということをいま待っておるところでございますけれども、私どもとしては可及的速やかに通過、成立せしめていただきたいという願望の上に立って内閣官房にも折衝をいたしておる、こういう実態であります。
  227. 竹本孫一

    竹本委員 内閣官房の方にいろいろと事情のあることもわかりますが、竹下大蔵大臣は非常に政治力の持ち主でありますから、ひとつ大いに政治力を発揮していただいて、法案がりっぱに通るように御努力を願いたいと思います。  銀行局長もおいでになるから、ついでにもう一つ、あわせて要望しておきますが、私が銀行のあり方について深刻なる疑問を持って銀行法の改正を言ったのは五年前でありますが、ことしの六月ですか、調査会でも非常な御努力をいただいて結論が一通り出たようであります。かねがね大蔵大臣並びに銀行局長には、銀行法の改正はいつ出すのかということについて、この冬の国会には必ず出しますというお約束をいただいたつもりであるが、まず局長には、法案整備等の事務的な面においては遺憾なく準備が進められておるかということを伺いたいし、大臣には、その上に立って法案をこの国会で通す決意ありや伺っておきたい。
  228. 米里恕

    ○米里説明員 銀行法の改正につきましては、御指摘のように国会でもいろいろ議論がございまして、五十年五月に大蔵大臣から金融制度調査会に諮問いたしまして、金融制度調査会委員の方々に非常に御熱心に御討議いただきまして、ことしの六月に答申をいただいたところでございます。こういった経緯にかんがみまして、私どもは次期通常国会にこれを提出することを目途として現在準備を着々と進めておるということでございます。(竹本委員「いや、準備はできておるかと聞いているのだ」と呼ぶ)通常国会に間に合わせるように準備を進めております。
  229. 竹下登

    竹下国務大臣 私も就任早々でございますが、昭和二年にできたかたかなの法律について、いま銀行局長が申し上げましたような手続を終えて着着準備されておるというふうに承っておりますので、準備され次第、諸般の情勢を見ながら――諸般の情勢とは、一口に申しますならば、いろいろな意見の方が確かにございます。というのは、これは中小金融等一貫してやるべきではないかという意見もないわけではございません。そういうことを聞いたばかりでございますので、そういう諸法案との調整ということも念頭に置きながら検討していきたいというふうに思っております。
  230. 竹本孫一

    竹本委員 いま大臣のちょっと重大なる発言があったようですが、半年ならいいんだけれども、五年かかって調査して、しかも専門家を集めて調査研究をした結論が六月に出ておるのですね。そこで論議されないような新しい角度から新しい問題提起があると考えることは、大変矛盾があると思うのです。もしまた、そういう重大な新しい問題点が中小企業その他の立場からでもあるというようなことになれば、一体どんな人選をしてやったのかということにもなります。きょうは余り議論はいたしませんけれども、熱意を持って取り組んでいただきたい、こう思います。  なお、ついでに関連して一口だけ申し上げますが、この間、私のごく身近なところで、土地の公示価格でわずかに――わずかにではないが、五万円という公示価格のあるところで、銀行が支店を設けるということで乗り込んでいって十八万円で買った。そこで、一体公示価格というのはいかなる役割りをするものか、いかなる意味を持つものか。五万円の公示価格のものを二割増しか、せいぜい三割増しで買ったというなら意味がわかるけれども、金があるからということで、銀行はお構いなしに三倍以上の十八万円で買うというようなことについて、一体銀行局としては将来に向かってどういう指導をされるつもりであるか。公示価格が全く意味をなさぬと思うのですね。そういうことは過当競争の問題とも関連するでしょうけれども、銀行としては特に公的な性格も持っておるし、銀行法でその公的な使命というものも強調されようというときに、銀行が真っ先に公示価格を踏み倒して、しかも五万円のところを十八万円で買う。したがって、翌日からその地域は十九万円に上がっているそうですけれども、そういうことは厳に慎ましめるべきであると思うが、局長の御意見を一口伺っておきたい。
  231. 米里恕

    ○米里説明員 おっしゃいますように、銀行の公共性、社会性という点から見まして、銀行が土地を取得します際にも、その周辺の売買価格、実勢を十分見て、適正な価格で購入しなければならないものと考えておりますし、そういうことで常日ごろ指導しておるところでございます。具体的なケースはつまびらかにいたしませんが、今後ともに、そういうことで十分銀行の公共性に即したようなビヘービアをとってまいりたいということで指導していきたいと思います。
  232. 竹本孫一

    竹本委員 この問題は、具体的にまた後で御相談もいたしますから、きょうはそれ以上触れません。  そこで、本論に返りまして、次の問題は政府経済見通し、あるいは政治の見通しもそうかもしれませんが、おおむね楽観的であり過ぎると私は思うのです。選挙でも、二百七十名はとれる、中には二百八十名とれるといって、楽観的な、希望的な観測のもとに解散をやった。やってみればごらんのような状況になった。田中さんに言わせれば、雨が降ったので十名減った、増税を言ったので十名減った、合わせて二十名減ったのだという説明があるそうですが、それは別として、雨は全国どこでも降ったのですから。いずれにしても、政治の見通しというものもきわめて楽観的であり、希望的観測が多過ぎる、経済情勢については、特にそれがはなはだしいと私は思うのです。  そういう意味から、たとえばいま一番重大な油の問題につき、あるいはインフレ物価の問題についても、日銀を初め大蔵省も、九月ごろになれば仮需要はおさまって、大体十月ごろからは物価は安定するだろうというような希望的観測が相当強かったと思うのです。事実はそれに反しておる。さらに、石油の供給の問題についても、OPEC全体の生産量が四%ぐらいふえたとか、あるいは備蓄が相当ふえてきておるというようなことで、しかも日本の上半期には四百万キロか七百万キロ輸入がむしろふえたということもあって、いたずらに楽観的な御意見があちらこちらで言われたわけですけれども、これからの問題は、下半期あるいは来年の問題だと思うのですが、それらについてもとにかく楽観的であり過ぎる。楽観的というのはいろいろ意味があるでしょう。事実を知っておって楽観的になる場合もあるし、事実の勉強が足らないために楽観的になる場合もある。  特に私が指摘したいことは、中東の政治情勢なんというものは全く予断を許さない。私は選挙戦のときにもたびたび言ったのですけれども、ホメイニさんが来年のいまごろ大統領であるかどうか大変な疑問だ。そういう中東の刻々変転する政治情勢を前提にして、一人の大臣と約束をしたとか、一人の使節がどうしたとかいうことですべて楽観的に考えるなんということは、全く危険きわまりない考え方であると思います。そういう意味で楽観的な考え方というものはぜひひとつ改めていただきたい。  円安問題についても同様です。これは時間がありませんから、日本の円安がどこまでいくか、日本のインフレに対してどこまでの分析をするかということは、これこそ本格的に予算委員会なりあるいは大蔵委員会においても十分論議すべきであると思いますが、これもついでに大臣によく希望を申し上げておきます。  そういう意味で、たしか新自由クラブあたりでは予算を編成する、予算を論議する前には特別に国会を開いて、これからの経済情勢をどう見るかというようなことについて、それだけを中心にした本格的な論議をやるべきであるというような意見が出ておったと思いますが、そういう本格的なあるいは総論的な、全体的な見通しについての論議が日本の国会においてははなはだ不足しておると思うのですね。したがって、各論ばかりが先に急がれる、そして委員会議論も、まあ口が悪いとおしかりをいただくかもしれぬが、課長会議以下の議論が多過ぎる。もう少し本格的な高い次元の政治的な展望なり政治の基本戦略に立った論議をぼくはしてほしいと思うのです。しかし、そういうものはやる時間がない。第一、機会がないですね。それから機会があっても、大臣の御都合もあるものだから、各質問者の時間は非常に制約されて本格的な議論はできない。しかも、きょうもそうであるように、図書館の目録みたいに一般消費税からあらゆる問題を議論する。そんなことで本当の議論ができるはずがない。ですから、もう少し重点的に、そして本格的に論議を深めていくべきであるし、大臣も本委員会にもたびたび御出席を願って、そういう大きな基本的な見通しについてはひとつ本格的な議論を十分やっていただくように、これも要望ですが、お願いをしておきたいと思います。  円安問題も一口だけ申し上げますけれども、こういう問題についてもいまのインフレの問題とあわせてよほど議論をしなければならぬと私は思うのです。円高がある、円安があるということで頭が混乱する面もあったでしょうけれども、これからの円安――だれかが言いましたけれども、何しろ日本は油に弱いということで、OPECが何か会議をやると言えば、それだけで円安になる心配さえあるというような状況でございますから、この問題も先ほど申しますように深刻に受けとめていただきたい。  次に論旨を進めまして、先ほど来から大臣の答弁を聞いておりますと、私は大政治家を期待しておる竹下さんでございますが、答弁が若干官僚的になったと思うのですね。それは非常にそつがないけれども、結局何を言っているのかよくわからぬ。五十五年度の一般消費税についてもわかったようなわからぬようになっておるし、五十六年度についてもなおさらわからなくなっておる。そのほかの問題もそうですが、大臣に希望したいことでございますが、私はいまのインフレの問題を分析もしないまま、円安の問題も論議をしないままに結論になって恐縮なんですが、これからの日本経済は大変厳しくなって、恐らく想像以上に厳しいと思うのですね。そこで、日本の財政のあり方についても、ごまかし答弁やあるいは大衆迎合答弁で乗り切れるような情勢ではないと思うのですね。だから、竹下大臣最初委員会でございますから、もう少し突っ込んだ、もう少し思い切った、もう少し荒っぽい結論をむしろ委員会を通じて国民にぶっつけられると私は期待したものです。それがいま申しましたように、しっぽをつかまれないという点においては非常に名答弁でございますが、一体どういうことまで、どういうふうに考えておられるのか、以心伝心で若干わかりますけれども、少なくとも国民にはわからない。本委員会のメンバーがやっとわかる程度だと思うのですね。しかし、私はそれではだめだと思うのです。それではだめだ。たとえば、増税なんかの問題は、過去において馬場鍈一さんが増税をやられたときに、親任式のときに最初の記者会見で増税だと言いましたよ。そして、後で何かで読んだのですけれども、一番きらわれることは一番最初に言っておかなければだめだということを馬場さんが言っておる。これは政治家として心得べき一つの重大なポイントだと思うのですね。したがって、大蔵委員会の第一回の会合において、竹下大蔵大臣が、右か左かわからないような答弁ではなくて、これからは非常に厳しくなるんだ、したがって予算の編成についても、もう一部にそういう声も上がっておりますけれども、景気振興と物価抑制と両にらみでいくなんというようなのんきなことを言って、これで一体この危機が乗り切れるはずはない、したがって両にらみはやめます、この点とこの点はもう覚悟してもらわざるを得ないんだというぐらいのことを大胆率直に国民にアピールされる方がいいのではないか。いやなことは最初に言っておく、むずかしいことは最初に言っておくということでないと、大平内閣はそんなに長く続くとも思わぬが、結局、そうすると、財政再建なんというもののむずかしい仕事は、手がかり、糸口もつかまないうちに内閣は終わる心配がないかと私は思うのです。真剣な意味で私は申し上げます。大臣、いかがですか。
  233. 竹下登

    竹下国務大臣 竹本委員意見を交えての御質問でございますが、私自身のことについてまず申し上げますと、いわば思い切った、荒っぽい議論というような表現でございましたけれども、とかくそういう議論をしがちな体質にございますので、それだけにみずからを律しておるという意味で申し上げたわけでございます。  そこで、来年度の予算編成に対する心構えであります。就任当初から申しておりますように、物価景気を両にらみしながら、適時適切なる施策の推進を図ってまいります。強いて言うならば、物価というものに傾斜をかけざるを得ないというところまでにいまとどまっておりますのは、経済見通しそのものが判然としないからであります。私も、心情的には竹本委員のおっしゃった気持ちにならざるを得ないではないか、心情的にはそういう考え方でございますけれども、やはり役所の責任者ということになってみますと、経済見通しの出ない前ににわかに明確な答弁をすることができないという立場は御理解を賜りたいというふうに思うわけであります。  そうしてまた、為替相場の問題でございますが、これは、私の認識についても幾らか省内でいろいろ議論をしておるところでございますけれども、昭和四十六年にいわゆるニクソン新経済政策が出まして、固定相場が三百八円になり、それからフロートいたしましたときには、私は内閣官房長官でありました。したがって、当時の国際情勢からすれば、フロートしたものである限りにおいては、政策的介入というものは各国とも避けべきであるという環境であったと思うのであります。それの考え方が私の基本的な考え方にどうも継続的になっておるのじゃないかというので、その後世界の先進国の物の考え方も、自国の通貨の価値を維持するためには、かなり思い切った介入政策もやっておる。それが何ら国際金融市場において非難されるようなものではないような実態になっておるという認識も、ほぼ私も固まりかけたところでございます。  ただ、やはり注意しなければならないことは、いわゆる国際金融に関する財政当局の責任者としての発言は、絶えず外電によって報道され、それが投機を呼ぶという危険性があるということは、私も最近の報道を見ながら、私が言ったことが誤解されておる向きもそれぞれ外電から入ってまいりますだけに、慎重であらねばならぬという考え方には徹しておりますけれども、かつてのフロートした場合における介入というものは極力避けべきであるという考え方は、今日改めておるというつもりでございます。
  234. 竹本孫一

    竹本委員 慎重であることも結構ですが、慎重であり過ぎないようにひとつお願いをしておくし、それから為替相場に対して日銀の介入の問題等については、私も大体竹下大臣と同じ意見ですから、特に論議はいたしません。  主税局長もいらっしゃいますから、ついでに一つ伺いますが、これはいま大臣に要望した点と関連をするのですけれども、行政機構の改革、補助金の切り捨てというか、大いに整理をする。いろいろおやりいただく、またいただかなければならぬと思います。しかし、それにもかかわらず、われわれはこの際は、財政の再建ということのためには増税というか増収というか、これを考えなければならぬと思うのですね。  そこで、ひとつ主税局長に結論だけ伺いますが、一般消費税については、先ほど来からいろいろ御議論がありましたから、それがないものとして議論をする場合に、直接税で増税をやるとして、きわめて事務的にそろばんをはじいて一体どのくらいの増税期待できるか。しかも将来考えられる一般財政の欠陥といいますか、穴があいたところを考えて、それではできない、不十分だとかいうことになれば、間接税の問題が取り上げられなければならぬ。その間接税ということの中では、考えられるものはまず物品税、次は印紙税といったようなものだろうと思うが、それらで大体予想される財政の赤字をカバーするに十分であると事務的には考えておられるかどうか、その結論を伺いたい。
  235. 高橋元

    ○高橋説明員 大変むずかしい御質問でございますが、一般的に申し上げますと、現在一般会計歳出に対しまして税収は五五%を占めておるだけでございます。五五%の税収が幾ら伸びていけば歳出の中の真にやむを得ない部分を賄って――その前に歳出の不要なものを切るということは当然あるわけでございますが、賄って、しかも特例公債から脱却していくように財政体質を強くしていくことができるかということでございます。仮に一〇%成長で一・二の租税弾性値というこの前の財政収支試算のような経済を一応想定いたしてみますと、一二%ばかり税収の伸びがあるわけでございますから、一般会計の中で税収の伸びは約六ないし七%ということになります。これは図式として申し上げているわけです。  そうしますと、今朝の主計局の御説明でもありますように、国債費なり交付税なりというものの伸び、これは六、七%ことしであればあるようでございますが、そういうものを賄って、それの後のたとえば社会保障であれ文教であれ、そういうものの当然増を賄っていくだけの財源がないというのが現在の状況であろうと思います。五十三年度、五十四年度と税につきまして予算を上回る税収があるという状態が二年続きまして、それで先ほど申し上げておりましたが、ことしにつきまして一兆数千億という自然増収がある。そこで五十五年度の自然増収も大きくなってくるわけでございますが、そういうことを全部抜きにしまして、予算どおり税収が入ってくるということを考えますと、私は国民の御理解を得て、歳出についても十分な見直しを行った上で、やはり負担増というものをお願いしていくという長期の路線を考えざるを得ないというふうに思うわけであります。  今後ふえてまいります歳出というものが、安定的に伸びていくであろうところの社会保障とか文教とか、自然そういうものが中心になってまいりますでしょう。そうなりますと、歳入も安定的に伸びていく歳入というものがあった方がいいのではないかなというふうに考えております。それをどのような税目でどういうふうに持っていくかといういまの御質問でございますけれども、税制調査会の中期答申でも御指摘がありましたように、法人なら法人というものを考えてみましても、課税ベースがそんな大きなものでない。法人所得というのは十七、八兆でございますから、すでに半分は税で国ないし地方に払っておるわけでございますし、また残りは配当なり役員賞与というものになっておるわけでございますから、そんなにこれをふやしていく余地はなくて、国際的に比べてみれば、一昨年の中期答申にもありますように、二、三ポイントないし四ポイントというぐらいのことでございましょう。所得税につきましては、なかなかむずかしい問題があると思います。  それから個別消費税につきましては、これはいまは、何と申しますか従量税が多いものでございますから、毎年毎年個別の間接税のウエートというのは下がってまいります。長期的に見ますと、そういう現在の間接税体系のもとでの税収の弾性値というのは、十年平均で〇・七ぐらいでございます。そして毎年毎年〇・七ずつウエートが下がっていくわけでございます。そういうこともございますので、既存の税制の中で現在国民負担をお願いするとして、一体どれだけが可能であるかということを一概に答えは出せませんのですけれども、やはり既存の税制から出てまいる増収策というのは、これは中期答申に戻りまして申し上げますと、それほど大きなものは期待できないのではなかろうかという感じは持っております。ちょっと数量で、金額でどのくらいということはなかなか申し上げかねるわけでありますが、考え方だけ申し上げました。
  236. 竹本孫一

    竹本委員 経費、歳出の方の切り詰めがどこまでできるか。収入はいまの五五%の税、四〇%に近い公債ということで、公債の方はいささか限界に来ておるようで、値が下がったり売れなくなったりしておりますから、出そうと思っても出せなくなる、無理に出せば負担がふえるということになるのでしょう。  そこで、負担増ということを覚悟してもらわないと困るし、そのために国民理解を得たいというお考えもよくわかるのですが、何と申しましても負担増の場合の大前提は、先ほど議論がありましたけれども、公平原則を貫くということだと思います。そうなると、直接税も所得税、法人税は一応の限界だとか、あるいは引き上げられても法人税で三%ぐらいだとか、いろいろ議論のあることも承知しておりますが、私はこの際、かつて二年ほど実行いたしました会社臨時特別税といいますか、この問題をもう一遍取り上げる必要がありはしないかと思う。もちろんほかにもいろいろ問題はありますが、特に私がいまそれを言いたいのは、公平原則との関係もあるし、大企業と中小企業との関係において、先ほどの為替レートの問題も出ましたが、いま大体自動車産業でも、その他の輸出産業の主なるものは、おおむね一ドルが百九十円前後を目標にして体制を整えておると思うのですね。したがって、中小企業に対しては、百九十円ぐらいになるのだからがまんしてくれということで、中小企業にコストダウン、コストダウンで強行してきておると思うのですね。親企業と零細あるいは中小企業の協力体制という問題はまた改めて論じなければなりませんが、結論だけ申し上げますと、円が上がって百七十五円というようなところまでいくときには、その犠牲を大企業が一体どれだけ負担して、中小企業にどれだけ負担をさせたか、またアメリカの消費者にどれだけ負担をしてもらったかという問題はありますけれども、これは時間がありませんからやめまして、少なくともいまは、大体百九十円から二百円をねらいにして大企業は内部の合理化に努力をしてきた。それは大変な御苦労であったけれども、やったと思うのです。しかし、それに協力をさせられるという形において中小企業は厳しいコストダウンを仰せつかっておる。ところが、いつの間にか円は二百四十円、五十円と、さらに下がるかもしれないというところまでやってまいりました。円が上がっていくときには、もちろんこれは原料、材料のコストが下がるという面においては利益を得たわけでございますけれども、今度特に下がった場合、二百円あるいは百九十円にねらいをつけておいて、それが二百五十円あるいは二百四十何円ということになると、仮に簡単に、円が五十円安くなったとしましても、三億ドルぐらいの輸出をしておる会社は、非常に大ざっぱな議論ですけれども、円安のおかげでそれだけで百五十億円もうけが出るのですね。しかるに、日本の中小企業と親企業との関係等においては法律もはなはだ不備で、いろいろ調べてみると、企業振興などというような法律もありますけれども、一つの努力目標は書いておるが、具体的なことは何にも書いてない。そういうこともありまして、中小、零細企業、下請工場等については、円が百九十円ないし二百円が二百五十円に下がったことによる思わざる利益というものを中小企業に均てんさせるという努力はほとんど見られない。ほとんどやっていないです。あるいは全然やっていないと言っていいと思うのです。  そこで、赤字財政に苦しんでおる国家財政においては、せめて、そういうことによって得た利益、得るであろう利益というものについては、かつての臨時特別税をもう一遍復活させる。もちろん、それがいつまで永続するかというむずかしい問題も技術的にはありますが、たてまえとして公平原則を貫いて、その問題については特別な対応を考えるべきであると思うのですね。苦しむ方だけにはどんどん犠牲を強要される。しかるに、思わざる利益が上がったときは知らぬ顔で自分だけがふところに入れるというか、そういうことは許さるべきでないし、入れたとするならば、それは特別の臨時利得ですから、これに対しては当然に税をかけて取るのがあたりまえのことだ。しかも財政は赤字で困っておる。まあ、直接税だけでどれだけいけるか、これはまた改めて議論をしなければなりませんが、少なくとも直接税の中で、かつて二年間でしたかやってみてある程度経験もルートもできておるそういうものをとりあえず復活をさせて収入の増加に資するということは、最も具体的なやり方ではないかと思いますが、これについての御意見を伺っておきたい。
  237. 高橋元

    ○高橋説明員 昭和四十八年と四十九年と二年間、ただいまもお示しございましたように、会社臨時特別税を議員立法で実施をいたしました。大体一年間、四十九年に千八百十二億円、五十年度に千三百七十四億円、五十一年度、五十二年度、そのほかに三百十億円の税収がございました。  当時の状況を振り返ってみますと、卸売物価指数が非常に高騰したわけでございます。それを受けまして消費者物価指数も、四十九年には二〇%を上回る上昇であった。そういうことで、すべての企業と言ったら言い過ぎになりますが、かなり広い範囲の企業にいわばウインドフォールの物価利益というものがあった。そういう物価狂乱というものを受け、かつ総需要抑制という当時の政策的な背景があってこの会社臨時特別税は実施されたのであろうというふうに承知しております。  いま御指摘のありましたような輸出の為替差益というものが円安の場合にどのくらい起こり得るかということで、私ども会社の人にいろいろ話を聞いておるわけでございますが、過日も新聞に出ておりましたようでございますけれども、いわば売り為替のヘッジというのをやっておりますものですから、思うほどの利益にはなっておらぬということも聞きます。まあ、そういう輸出差益というものが現在どのくらいあるのか、なかなかつかみかねておるわけでございますが、それについて、現在直ちに会社臨時特別税のような、いわば超過利得税というものを課する状態にはないのではないかというのがいまの考えでございますが、御指摘もございましたので、なおよく勉強をしてみたいというふうに思います。
  238. 竹本孫一

    竹本委員 これで終わりますが、いまの問題等についての具体的な論議はまた機会を改めてやることにいたします。結論として、予想以上に厳しい内外の経済情勢でございますので、しかも、赤字財政も大変深刻な状況になっておりますので、大臣、ひとつ勇断をふるって、この財政危機を乗り切るために御健闘をいただきたい。  要望を申し上げまして、質問を終えます。
  239. 増岡博之

    増岡委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会