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阿部憲一君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま御
説明のありました
地方税法等の一部を
改正する
法律案につきまして、
総理並びに
関係各
大臣に
質問をいたします。
申すまでもなく、今日の
地方財政は、
地方自治制度が発足して以来最大の危機に陥っております。
昭和五十
年度以降この四年間にわたる
財源不足は、ついに十兆円を超えるという非常事態に立ち至ったのであります。
しかるに、この間
政府がとってきた
地方財政対策たるや、何であったでしょうか。
〔
議長退席、副
議長着席〕
それは、
法律に明記されているところの
地方行
財政制度の
改正や
交付税率の
引き上げという抜本的な解決策はなおざりにして、ただ、
交付税の先食いとも言うべき
交付税会計の借り入れとか、
交付税を
地方債に振りかえるだけといった、単に一時しのぎの糊塗策を重ねたにすぎなかったのであります。
この結果、
地方財政は、五十二
年度決算概況を見ましても、
都道府県、
市町村ともに、
地方債や
交付税会計における借入金などの実質債務
負担額が著しく増大し、特に
市町村の
地方債依存度たるや戦後最高の一三%にも上るなど、全くの借金依存の
財政体質を余儀なくされてしまったのであります。今後の日本
経済の動向を考えたとき、現在
政府がとっている借金依存の
財政政策をなお将来も
地方自治体に押しつけるならば、
地方自治の崩壊は明らかであります。
今日、民主主義の基盤となる
地方自治の健全な発展と
住民福祉の向上を期するために最も望まれることは、
財源不足額をただ単に量的に確保するということだけではなく、
地方自治の本旨にのっとった
地方財政の自主性と健全性に資する対策がとられなければならないということであります。すなわち、
地方財政再建のためには、国と
地方を通ずる税
財源配分の
適正化を初め、
地方財政の構造それ自体の抜本的な
改革こそが必須の要件であると考えるものでありますが、残念ながら、私は、この点について
政府は明らかに努力を怠っていると判断せざるを得ないのであります。
総理のお考えはいかがですか。もし今後抜本的
改正を行うというのであれば、具体的にどのような対策を講じようとなされるのか、お伺いをいたします。
さらに、一昨日出された
地方財政収支試算におきましても、五十五
年度以降毎
年度四兆六千億円から六十
年度には七兆五千億円にも上る
財源不足が見込まれる現在、どのように
地方財政の健全化を図ろうとなされるのか、ただ増税のみによってこれを乗り切ろうとするのか、基本的な考え方と方策を明確にお示し願いたいと思うのであります。
以下、具体的にお伺いいたします。
まず、税源の再
配分と税体系の見直しについてであります。
今日の
地方財政の大幅な
財源不足の原因は、租
税負担水準の問題もさることながら、むしろ、風と
地方の
税源配分の不均衡、さらには、不況の
影響を受けやすい税構造の基盤の脆弱さを挙げなければなりません。
地方財源は可能な限り自主税源で賄うべきであるという
地方自治の本旨からすれば、現在の国と
地方の
税源配分の不均衡は、まさに実態に即しているとは申せません。少なくとも
地方の歳入に占める
税収入の割合が五〇%以上になるように税源の再
配分を断行し、その不均衡を是正すべきであると思いますが、御見解を求めます。
第二に、
事業税の
外形標準課税の
導入についてお伺いいたします。
わが党は、かねてより、
地方財政安定化のために、このことを強く主張してまいりました。これについては、全国知事会も繰り返し制度
改正を提言しており、また、
地方制度調査会の
答申におきましても同様にその実現を推進しておりますが、
政府はいつどのようなときに実施されるのか、明確に示していただきたいのであります。
第三は、
住民税の
減税についてであります。
今回の
改正案では、三年ぶりにようやく
課税最低限を約八万円ほど
引き上げて百四十九万円としたのでありまするが、この額は、一般標準家庭の生計費や生活保護費に比べますとなお隔たりがあり、最低生活費には
課税しないという
原則に反するものでもあります。重税感にあえぐ
国民の
税負担の軽減のためにも、少なくとも標準家庭で百五十八万円までは
課税最低限を
引き上げるべきであると思いまするが、どのようにお考えでありましょうか、お伺いいたします。
第四に、源泉分離
課税が選択された利子配当所得等については現在
住民税が
課税されないことに対し、その
地方税課税相当分として臨時
地方特例交付金が
交付されておりますが、その
配分額が明確ではありません。
昭和五十四
年度の臨時
地方特例交付金千八百億円のうち幾らに該当するのか、お示し願いたいのであります。また、利子配当所得の総合
課税化を早急に進めるとともに、
地方税につきましても
課税すべきであると考えますが、御所見を伺います。
次に、
自動車税についてであります。
今回の
改正案によれば、自家用自動車のオーナーには、排気量千ccクラスで年額二千円、千八百ccクラスになりますると三千円の増税となっております。その反面、ハイヤー、タクシー会社などの
営業用普通自動車には増税はなし、クラスによっては年額二千円も逆に安くなるというおかしな結果になっております。
法
改正によって
税負担の増加を余儀なくされる者がいる反面、反対に、同じ環境にありながら安くなる者もいるというこの不公平をどのように
説明すればよいのか、マイカーを所有する
国民に納得のいく
説明をする必要があろうと思いますが、いかがでしょうか。
最後に、
総理が提唱された
田園都市構想と
地方自治についてお伺いいたします。
自治省が過去十年近くも続けてきた全国三百余の広域
市町村圏構想と、国土庁の三全総による
地方定住圏構想、この両計画は双方が譲らないまま今日に至っております。道路建設関連の
地方生活圏さえもまだ調整がついていないところへ、突如として降ってわいたように
田園都市構想があらわれ、
地方も何が何だかわからないというのが実情であります。よしんば、
総理の
田園都市構想が、
国民に受け入れられたとしても、
国民が真に要請する
地域整備を進めるためには、同時に真の
地方自治権と
地方財政が確立されることが不可欠であることは言うまでもありません。中央に集中している
行政権限の大幅な
地方への移譲や、
地方自治体が独自に活動し得るような
地方財源の確保が図られなければ、魅力ある
地域づくりは、旧態依然、壁にぶつかることは必至であります。
総理は、
田園都市構想の中において基本的条件とも言える真の
地方自治の確立ということについて一体どのような見解をお持ちなのか、明快な御
答弁を期待いたしまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣大平正芳君
登壇、
拍手〕