○安田隆明君 私は、自由民主党・自由
国民会議を代表いたしまして、
昭和五十四
年度予算案の内容を踏まえつつ、
政府に対し若干の質問を行いたいと思います。
まずもって、わが党内のこととは申しますものの、開かれた近代的総裁公選の道程の中から、今日大平新
総理の誕生を迎えるに至りました。
〔
議長退席、副
議長着席〕
大平総理に寄せる
国民の期待はまことに大きなものがございますし、
国民もまた、
総理の壮大な
政治理念に大きな共感を呼び、
内閣の支持率も、
国民世論調査によりますれば、きわめて高率であることに限りない喜びを覚えているものであります。
国民の期待にこたえる
総理の
責任は、
総理みずからがかみしめておられることでありましょう。
総理は、先日の施政方針
演説において、
大平政治の方向を鮮明に述べられました。その意味するところは、経済
中心の
時代から
文化重視の
時代への移行ということであります。
物質文明自体が限界に来ており、これまで忘れ去られておりました心の安らぎ、人間の内面なるものを見直そうという御所信でございます。また、
総理は常日ごろ、甘い幻想を
国民に与える
政治ではなくして、
政府も
国民とともに苦楽を分かち合う
政治と申されておりますが、こうした「
信頼と
合意」の
政治にこそ、むしろ
国民は共感を覚えるものであります。さらにまた、活力ある
日本型福祉社会の建設の中にも、
文化の重視、人間性の回復を基本理念として、
家庭基盤の
充実と
田園都市構想の推進に高い識見と情熱を燃やされております。
国民は、
総理のこの所信に大きく刮目して、その実現を待望しております。
以上、
総理の
政治姿勢につき、一、二を申し上げたわけでありますが、この
政策の展開に当たりましては、容易なことではなく、
国民の理解ある協力を求めなくてはならないのは当然でございます。さて、このことに取り組まれます
総理の御
決意のほどを承りたいのであります。
次に、内政の柱とも言うべき
田園都市構想と
地方行財政についてお尋ねいたします。
総理は、
田園都市構想の中で、都市の持つ高い生産性と豊かな田園の自然を高次に結合させて、健康でゆとりのある
田園都市をつくり、この
田園都市を中核とする
地方生活圏を
全国的に展開することによって国土の均衡ある発展を図ると、こうおっしゃっておられますが、まさに特性を生かした地域づくりと都市基盤の再構築に合致した理想的な構想であると思います。最近の大都市集中から
地方分散型への人口移動や、都市での新しいコミュニティーづくりの試みなどを見るにつけ、
昭和四十六年以降、一貫して主張されてこられました
総理の先見性を高く評価をいたすとともに、この
田園都市構想の実現に勇断をもって取り組んでいただきたいのであります。
そこで、
総理にお伺いいたしたいのでありますが、さきに決定されました三全総のいわゆる定住構想と
田園都市構想とはどのような
関係になるかということであります。人口二十万人から三十万人の
田園都市を中核とする
地方生活圏の展開をお
考えのようですが、新全総で新広域市町村圏をつくり、三全総で定住圏を提唱し、いままた新たな
地方生活圏をつくろうという、こういうことは、その取り組み方に対し、いかに
対応するかが問題であります。
地方制度
調査会におきましても論議されたところでございます。私は、すでに十年を経て、
地方に定着している広域市町村圏構想、これを基礎にして、
全国的な基盤整備を進め、あわせて拠点となる
地方都市を
重点的に整備する、これで
田園都市構想の実現を図っていくこと、これがより現実的な取り組み方である、こういうふうに思っておるのであります。いかがなものでしょうか。
また、この構想は、単なるハードな国土づくりではなくして、地域的特性を生かした教育、
文化、さらには、各種制度の改革も含んだ新しい
社会づくりのものと理解しております。ハードなものではない。御所見をお聞きいたしたいのであります。
また、
総理は、構想の中で、税財源、教育
文化機能、福祉等の行政機能を大幅に
地方に移譲すると申されておりますが、従来どおりの縦割り行政、
予算の増分主義、
補助金政策では、十分その意図するところをくみ取れないと私は思いますが、いまこそ
地方自治体の創意とイニシアチブに期待して、個性のある
地方づくりをするためにも、
地方公共団体への権限移譲がその大
前提とならなくてはなりません。
総理の御所見を承りたいのであります。
大学
一つとりましても、三大都市圏の三百二校中五十九校が、移転の計画ないし希望を持っております。他方、二百五十の市町村が大学誘致の
意思を明らかにいたしております。機は熟しておりますので、隗より始めよということわざのごとく、
総理の強力なリーダーシップを望むものであります。
国家財政は、
昭和五十四
年度一般会計
予算で見ましても明らかなように、三九・六%の公債依存率であります。また一方、
地方の財源不足額は四兆一千億にも上っているのであります。このような厳しさの中で、この
田園都市構想を実現させるためには、財政の仕組みをも
考えなければなりません。私は、
地方独自の税財源の
充実強化や、このまま避けて通ることのできない
地方交付税率等も、この際こそ見直し、検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
これからは
地方の
時代であると言われております。それは、単に中央に対する
地方という図式であらわされるようなものではなくして、もっと人間性に根差した
地方行財政の発想でなくてはなりません。
田園都市構想は、その思想において十分
国民の期待にこたえるものと信じております。重ねて、これが実現に向けての
総理の御所見を承りたいのであります。
次に、外交問題についてお伺いいたします。
ベトナム戦争の余韻もまださめやらぬインドシナ半島で、再び
ベトナム・
カンボジア間に紛争が起こって、緊張が高まっております。まことにこれは不幸なことであります。そこで、
わが国の
東南アジア政策が、ASEANとの協調連帯とともに、インドシナ諸国との平和共存
関係を促進するという
外交姿勢にあるとするならば、
わが国として、この
カンボジア問題を含むインドシナ半島の
情勢にどう対処されるのか、過去にいろいろと経緯を持っております
ベトナムへの
経済援助問題と、今日非常に心配しておる難民問題及び先日のタイ国首相の訪日に伴う同国への大幅な
経済援助増額にも関連いたしまして、
政府の御
見解を承りたいと思います。
また、本年は、元日をもって
米中国交回復という世界史の上でも特筆すべき新局面を迎え、一方また、六月には
アジア初めての
先進国首脳会議が
東京で開催されようとしております。米中正常化が
アジアの緊張緩和に寄与するよう期待いたしますとともに、
わが国外交が日米
関係を基軸にしていく限りにおいて、中ソ両国との
関係には最大の配慮が必要であり、米中ソ三極の狭間にあって独自の平和外交に徹する
姿勢をさらに訴えていかなくてはなりません。この間に処します
総理の御所見をお伺いいたします。
また、
東京サミットを実り多きものにするためにも、まずもって
東京ラウンド交渉の早期決着、経常収支の黒字幅縮小、積極的な経済協力など、なすべきことが非常に多いと思いますが、五月に開催予定のマニラでの国連貿易開発
会議に向かって、その
対応等を含めまして、
政府の
姿勢をお伺いいたします。
また、ボン・サミットでの
わが国経済成長率目標をめぐっていろいろ論議を呼んでおりますが、
東京サミットに向けて、招請国としての立場から、いかなる抱負と方針を持って臨まれるのか、
総理にお伺いいたします。
一方、中東に目を転じますとき、私は、
わが国のエネルギー
政策から見ましても、
イラン情勢の動向は、ひとり主要産油国の石油供給の減少のみならず、周辺産油国に与える影響ははかり知れないものがあろうと思います。
わが国の最大の石油輸入国であるサウジアラビアの石油増産が将来とも安定して行われるという保証を得られない今日、
政府は、この中東の政情不安の中で
わが国の一次エネルギーの七〇%を占めている輸入石油の安定的確保にどう取り組むのか、その見通しと
対策についても
総理にお尋ねいたします。
戦後、国際紛争と緊張の中で、ひとり
わが国は、一切の紛争、混乱に巻き込まれることなく、平和と繁栄を維持して今日までまいりました。これは、秩序正しい民主
政治、活力ある
経済運営を背景に、自衛力の整備と日米安全
保障条約を堅持してきたからにほかなりませんが、今日、
世論調査で八〇%以上の
国民が自衛隊を理解しているという事実
一つとりましても、現行安全
保障体制がいまや
国民の
合意となったという
総理の御
認識は正鵠を射ているものと言えましょうし、われわれの先輩が選択しました防衛
政策に誤りがないものと確信いたしておるわけであります。
総理の述べられているとおり、
日本の平和と安全を確保することは
政治の最大の責務であり、真の安全
保障は、防衛力のみならず、世界の現実に対する冷厳な
認識に立って、
内外全般の秩序正しい、活力ある展開を図る一方、平和な
国際環境をつくり上げるための積極的な外交
努力が不可欠であることは申し上げるまでもないことであります。
しかしながら、米中正常化など、
わが国を取り巻く国際
情勢の中で、単に従来の
考え方だけでは国際
関係の変化に
対応していけるかどうかということであります。本日の各紙が報道するところによりまするというと、
わが国の固有領土である国後、択捉、ここに
ソ連が本格的な地上部隊を配置する、そして国際軍事
情勢は重大な変化をしておる。このような
ソ連の軍事力の増強、
アメリカの
アジア離れ、そして少なくとも
わが国が経済的には主要国に仲間入りしたことで、みずからの相当分の国際的
責任は回避できないものと
考えているのであります。
また昨今、有事体制の問題が論議を醸しておりますが、防衛
政策の確立というのは
国家民族存亡の根幹であります。防衛力につきましても、常に国際
情勢に
対応し得るような戦略的な観点から、もっと堂々と
国民の前に開かれた論議が必要なのではないでしょうか。現に
国民にも、それを受け入れるだけの土壌はすでにできていると私は理解するものであります。
わが国の防衛力整備について、その基本的
姿勢を
総理にお伺いいたしたいのであります。
次に、今後の経済財政運営についてお尋ねいたします。
現在、
わが国の経済は、長期の不況からようやく立ち直って、本格的な回復の足がかりをつかもうとしております。しかし、先行きは決して楽観を許さないものの、ここ数年に及ぶ
政府の積極的な財政金融
政策の展開によって、民間投資の動きを初めとして、内需も盛り上がりつつあります。これをさらに確実なものとして、安定成長への軟着陸を図る、
景気対策の総仕上げをする、これこそ五十四
年度経済の基本目標であり、課題でなければなりません。このような観点から、
大平内閣が六・三%
程度という
成長率を経済
政策の目標に設定されましたが、世上、新
内閣が
成長率に
余りこだわらない、こういうふうに申されておりますことから、低目の経済
政策運営を意図するかのごとき論調がないわけでもありません。
今日、
わが国の経済は、安定成長を基本として、
国民のニーズにこたえる活力ある
日本型の福祉
社会を目指すため、なお当面、ある
程度高目の成長を確保していくことも必要でありましょう。その際注意すべきは、民間経済の実態を十分に把握されまして、目標達成だけのために財政や金融に極端な犠牲を強いることのないように、バランスのとれた
政策運営が肝要であります。申し上げるまでもないところであります。民間の
調査機関によれば、六・三%の達成を困難視する向きがありますけれ
ども、
経済成長率は国の重要な経済
政策の尺度であるだけに、これの大きな偏差は許されません。
総理は、この目標達成のためにどのような経済環境と条件を整えられるのか、そのお
考え方と
決意を明らかに願いたいのであります。
次に、
景気対策と
昭和五十四
年度予算の
関係であります。
苦しい財政事情の中から、
政府は、
公共事業費二〇%、
雇用対策費一四・四%、
社会保障関係費一二・五%などなどと、
景気対策、
雇用、福祉に力を入れた反面、経常経費については一けた台の伸びにとどめるなど、その内容にはしっかりしたアクセントを置いた、私は「量から質への
充実」と、こういうふうにふさわしい性格の
予算に転換したものと評価するわけでありますけれ
ども、全体的な
規模としてはやや不足、こういう声もないわけでもありません。今後の
景気動向は非常に厳しい、万一、
景気回復が芳しくない、こういう場合も想定されます。そのときには速やかに
昭和五十四
年度の
予算案に組み込まれているところの
公共事業予備費あるいは財投の弾力的な運用をすることは、これは当然でありますけれ
ども、要は、いままでは、後追いになる、こういう声を皆様方耳にしているわけであります、財政の機動的な運営を図るということでなくてはならないわけであります。
大蔵大臣の
見解をお伺いいたします。
安定成長軌道への定着とともに今日重要な課題は、財政の再建であります。
政府は、ここ数年来、赤字国債を含めて歳入の三割以上を公債に依存するという
政策運営を行ってまいりました。これは、石油ショックに始まる長期不況の克服と、世界
景気回復のための牽引車としての
日本の役割りを果たすため、さらにはまた、
社会保障を
中心とする
国民の強い福祉
充実の意向を反映したもので、これはもうやむを得ない
対応策、こういうふうに私は理解いたしております。しかし、この結果招来した高い公債依存度のもとでの財政というものは、まさにこれは危機的状況と言えましょう。この際、歳入構造の抜本的見直しをすることが当然求められるところでありますが、いろいろ苦心の跡を私も理解しております。しかし、新たな税目を起こす、これは容易なことではございません。いろいろ先ほど来お話がございました、
国民の
合意に基づくためには、十分な準備、慎重の上にも慎重な検討を必要とすることは論をまたないところであります。これにつきましては十分な配慮を強く要望いたすものであります。
資源小国の
わが国にとって、世界経済の中で世界第二の経済大国として生き得る道があるとするならば、何よりも国際経済との調和を図っていかなければなりません。しかし、近年、対米、対ECなどの間に経済
政策や国際貿易等をめぐって、ともすれば緊張がないとは言えないのであります。時あたかも、本年六月に
東京で第五回のサミットが開催されることはさきに申したとおりであり、何としてもこのサミットを成功に導くことが
大平内閣の最大の懸案と言わなければなりません。
従来、
日本は、先進国の中で最も高目の成長を図るなど、それ相応の評価がなされてしかるべきと思いますが、反面、諸外国が望む
国際収支の黒字縮小については、遺憾ながら実績が常に
政府見通しを大幅に上回っておるのであります。貿易自由化もさることながら、当面、資本収支面において徹底的な
改善を行い、黒字縮小に
努力しなくてはなりません。これがために、私は、資本取引の自由化、ODA等対外援助や対外投融資を飛躍的に拡大させるなど、あらゆる方途を講ずべきであると思います。これに対する御所見も
大蔵大臣からお伺いいたします。
次に、先ほど来いろいろお話がございました
雇用対策についてであります。
総理は、
雇用の機会の確保と
国民生活の安定は最も重要な
政策の課題であると申されました。最近、
わが国経済は緩やかながら回復基調を見せておりますけれ
ども、
雇用情勢は、昨年十二月の段階で、
完全失業者は実に百十六万人、有効求人倍率〇・六三と、依然厳しい状況が続いておるのであります。しかも、
雇用、就業の伸びが労働力人口の伸びに追いつけない、さらには造船業等構造
不況業種から多数の離職者の発生が懸念される中で、必然的に
失業者の
増大傾向は避けられない様相であるわけであります。
政府は、これまでいろいろの施策を講ぜられ、その
対応に苦しんで
努力してまいりましたが、遺憾ながら経済
政策の後追い的な面がなしとは言えないのであります。今後の
雇用政策というものは、経済
政策との密接な連携のもとで、
産業構造の変化に
対応した将来への展望に立ったものでなくちゃならない、こう私は思うのでありますけれ
ども、労働大臣に御所見を伺います。
次に重要な点は、中高年齢者の
雇用対策、これでございます。昨年十月の職業安定業務統計によりまするというと、十九歳以下の有効求人倍率が二・二四倍、これに対しまして、高年齢者に至りましては何と〇・一三倍、五人に一人しか就職ができないと、こういう状況でございます。中高年齢者の
雇用は、経済的の理由、それだけではなく、肉体的にも精神的にも健康の保持、いわゆる生きがいの場、これを提供するという意味からも、これは真剣に検討されなくてはなりません。今後は、一家の柱である中高年齢者の優先的な
雇用を図るということも含めて、強力な施策が要求されております。
高齢化社会への移行に当たって中高年齢者
対策をどう推進されるのか、定年制延長問題も含めて、その
具体的内容をお伺いしたいのであります。
次に、
雇用の創出でございます。
失業の防止と相まって、
雇用の創出はきわめて重要でありますが、
産業構造の転換や生産性の向上によりまして、
雇用環境の変化をもたらしております。今後、
雇用吸収力を期待すると、こうなりますれば、いろいろ先ほど来話がございました、第一にはエネルギー資源の開発、先端的技術の研究開発プロジェクトの推進、そしてこれの企業化、ここに
雇用の
増大を認めることができないであろうか。第二には、第三次
産業、とりわけ医療、福祉、教育、
情報、これも、先ほどお話がございました消費者ニーズに
対応した各分野の一層の開拓が必要と思われます。周到な誘導
政策を今日求められていると私は思いますが、
政府は、これら
産業構造の変化に
対応した新しい
雇用創出についていかなる
政策をお
考えでありましょうか。
就労の機会を得ることは、人間生存の原点であります。五人に一人しか働けない中高年齢者の
雇用状況は、これは一刻の猶予も許しません。労働大臣は、
政府、
地方公共団体、企業、
労働組合、各方面の協力体制をつくると申されておりますが、どのような構想をお持ちであるのか、この際お示し願いたいと思います。
次に、
農業問題でございます。
今日、
わが国を取り巻くところの
農業環境は、きわめて厳しい多難な
情勢にあることは申すまでもありません。
農業は国の大本であり、総合食糧の自給確保を基本とするところの農政の確立は、これは
国家的重大な課題でもございます。しかし、私は、いま山積する諸問題の中で当面の課題の
一つは、米の供給過剰に基づく減反
政策がその
一つでありましょう。その
一つは、自由化の中での外圧攻勢にいかに
対応するかということであります。
水田利用再編
対策の根幹をなすものは、何と申しましても、土地基盤整備事業の拡充強化でなくてはなりません。私は、かねがねこういうふうに
考えております。本当にこの利用再編
対策というものを実りあらしめるためには、土地基盤整備事業というものを幹として、それに今度価格
政策あるいは制度金融、こういうものを枝葉とした、こういう姿が真にこれは望ましい姿、理想の姿、これはもうおわかりのとおりであります。そこで、私は今日、土地基盤整備について、その運営について、いささか疑問を持っているものであります。その内容について、
補助金について、金利について、果たしてこのままでいいだろうかどうか、本当にわれわれが命題として掲げております再編
対策が真に
農村に定着するためには、この際見直すべきではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
また、
国際収支の黒字解消をめぐって矢面に立っておるのが柑橘類を初めとする農産物の輸入自由化の問題でありますが、
政府の国際的外圧に対する
努力は、その労を私は多とし、農民もまた、その
努力に深い理解と大きな期待を寄せております。この点につきましては、強く
わが国の立場を訴えまして、そして輸入拡大品目に対するやはり心の通った手厚い手当てを、
対応をわれわれは期待するものであります。農林水産大臣の御
見解を承りたいと思います。
われわれ民族のふるさととしての
農村を豊かに築く、次代を担うところの若者たちが土地を愛し、誇りを持って生産活動に励めるためにも、いまこそ総合的展望に立った農政の展開を求めております。こういう立場から、私は、かねがね議論されておりますところの基本法の見直し、これを真剣にこの際検討されてしかるべきだと、こう思っております。
政府の御所見をお願いいたします。
なお、先般
総理は、世界的な二百海里
時代の本格的な到来のために、漁業外交の積極的展開・沿岸・沖合い漁業の振興にさらに力を注ぐとともに、国土の保全と林業の発展のため十分なる林
産業対策に配慮をすると申されました。強力な施策の推進をあわせて要望いたします。
次に、中小企業問題であります。
わが国の中小企業は、人口構成の三分の一を占め、
わが国の
産業の基盤であることは重々御承知のとおりであります。そして、五十四
年度の
予算を見まするというと、これはわずか〇・六%、私はここに悲しみを覚える者の一人であります。しかし、問題は――よくよくきめ細かくやっておられます、
政府も。ここで私
一つだけ申しますが、今
日本当に中小企業が、なかんずく零細企業が何を求めているであろうか。真に求めているものは、心の通った温かい、きめの細かい、思いやりのある指導体制ではないか、私はそう思っておるわけであります。そのためにも、中小企業団体中央会、商工会、商工
会議所等の指導体制をさらに強化するよう、私は一層の
努力を望んでおきます。
次に、教育問題について二、三お尋ねいたします。
いま、親たちが一番頭を痛めている問題は、子供の教育であります。国の将来、民族の将来を
考えるとき、教育は何をおいても優先されなければなりません。
政府は、ゆとりのある個性豊かな
充実した教育を基本方針に掲げまして、その一環として、従来より進めてまいりましたところの学級の定員削減も、四十人に向けて一歩前進しつつあるようにも承っております。しかし、盛りだくさんなこの学習内容を理解するだけでも精いっぱい、あるいはそれすらできない、いわゆる落ちこぼれの出ている現状を見るにつけましても、次代を背負う若者たちに創造の世界を期待することが果たして可能かどうか。
学校教育が理解と創造をもとに
日本人の心をはぐくみつつ国際性豊かな人間性をつくるには――そういうこととするならば、いまこそ、教える者、学ぶ者、両方に立って、
学校教育法等の再検討をしてしかるべきと思う。具体的にどう取り組まれるか、文部大臣に御所見を承りたいのであります。
また、先日は国公立大学の共通一次試験が行われました。受験地獄を解消するためには、まず、その頂点に立つところの大学入試制度の
改善が急務ということで注目を浴びた制度でもありましたが、果たして高校教育の正常化、大学間の格差の解消、是正、その当初掲げた目標に向かっているかどうか、どうお
考えなんでしょうか。
結果は、共通一次試験の評価に、足切り問題を含めて各大学の
対応に大きな相違が見られます。これでは、現在の入学試験制度が単に
複雑化しただけであり、さらには共通試験特有の受験技術が要求される、こういう異常な方向にあるような気がいたします。私は、この共通一次試験を私立大学を含めて大学入学資格試験に位置づける、これが必要であろう、こういうことを
考え、求めているものであります。これにつきましては、文部大臣も就任早々意見を発表されておられるようでありますが、この際、その御見識を御披露願いたいのであります。
次に、国際バカロレアについてお伺いいたします。
近年、国際
交流が活発になってまいりました。
わが国でも帰国子女の教育についていろいろ問題が起こっております。早急に国際バカロレアに参加する必要があろうと思いますけれ
ども、いかがなものでしょうか。
また、
昭和五十四
年度の
予算案で放送大学がいよいよ実ってまいりました。
国民の高等教育に対する要望、期待を担うものとして高く評価いたしております。しかし、
総理府の五十二
年度調査によりますると、勤労者の八三%が知識、技能を高めたい、これを望んでいるという、
国民の生涯教育への強い希望があることを
考えるならば、放送大学とともに、
政府は、いま一度、
社会へ出た者を再度受け入れる再教育システム、この
導入について私は考慮すべきと
考えておりますが、文部大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、運輸行政の中できわめて大きな問題となっております新幹線問題について、いささかお伺いいたします。
本問題の経緯につきましては、
総理は十分御承知と思いますけれ
ども、建設促進につきましての地元の要望は長年にわたってきわめて強く、ことに
景気の回復と内需の喚起が重要な国策として取り上げられるに至り、その声はますます強くなってまいりました。これら五線は、三全総の骨格をなし、後進地域との格差を是正する上にも欠くことのできない
国家的事業であります。つきましては、速やかに所要の財源措置を決定して工事に着手せられることが緊急かつ適切なものであると
考えますが、
総理の御
決意のほどをお伺いいたします。
婦人問題につきましてお尋ねいたします。
国民の半数以上を占める婦人の地位高揚と
政策参加の必要性は、かねてからよくよく指摘されているところであります。
総理は、婦人問題企画推進本部長を兼任され、本問題に取り組んでおられますようですが、明年デンマークで開催されますところの「国連婦人の十年、一九八〇年世界
会議」に
わが国としてどう対処されるのでしょうか。
また、
政府機関の審議会、あるいは婦人の公務員の採用、こういうところにも積極的な
姿勢を示していただきたい、これに十分配慮すべきだと思いますけれ
ども、いかがなものでしょうか。
最後に、元号
法制化について一言申し上げます。
由来
わが国は、悠久の歴史の中で
国家民族が生々発展してまいりました。ふるさとにはふるさとの歴史があるし、家庭には伝統ある家風の中で、
国家社会というものが落ちつきを
形成してまいりました。元号もまた、古来
わが国の歴史の中で伝承され、暮らしに定着したとうとい
文化的遺産であり、かえがたい歴史的遺産でもあるわけであります。いまや、四十六都道府県が、そしてまた一千有余の市町村が、立法化促進の
決議をなされている現況を見ましても、これに法的根拠を与える、これを後世に守り伝えることは、これはわれわれの世代に課せられた重大な
責任であろうかと思います。今国会の提出に当たり、早期成立を切に願うものであります。
以上をもちまして、私の代表質問を終わります。
総理及び
関係大臣の親切な御
答弁を期待いたします。(
拍手)
〔
国務大臣大平正芳君登壇、
拍手〕