○木島則夫君 電監
局長、恐れ入りますが、
質問事項として提出しておかなかったことをいま私お尋ねをいたしましたので、その辺はひとつ自在にお答えをいただいて結構でございますので。
さて、現在までのわが国の放送は、全国あまねく放送を行うことを法制度的に義務づけられているNHKと、何人もその発意によって放送局の免許を得ることによって行うことのできる民間放送の制度のもとに、放送に従事する者の自覚と
努力によって発展をしてきた、こういうふうに私は言っていいと思います。ことに私は、この自覚と
努力ということころに力点を置きたい。
これは私流の表現かもしれないけれど、この自覚というものはどういうものかというと、マスコミの影響力の大きさというものを心の底から自覚をすること、そのことから起きる恐ろしさというものを自覚をすること、そしてマスコミというものが、一度
電波を介在してメディアとして走り出すと、なかなかとまるものではない魔力を、まことに不可思議な力を秘めているということを認識をすること、そして、そこからくる——であるから、この
電波というものを本当に
国民の皆さんのために公平に、限られた資源としてうまく使わなければならないという、謙虚さを持つそういう自覚のもとで運用をされなければ、今日の二本立て放送制度というものの発展は私はなかったというふうに申し上げたい。
そこで、特にNHKは、この二本立ての放送体制のもとにありまして、テレビジョン教育放送とか、あるいはラジオ第二放送によって各種の教育番組を編成してきたわけでございますが、将来全国にわたって第三の放送事業者としての放送大学学園の放送が実施される場合は、このNHKの放送番組に影響を与えることは当然のこととして予想をされる。
また、現在NHKと民放の
経営財源については、一方には広告放送を禁止をしていますね。禁止をするとともに、
国民の直接負担による受信料制度によることとして、他方は広告料を主たる収入源とすることとしているわけです。これに加えまして、今後国費を主な財源とする放送大学学園の放送ができた場合には、究極的には
国民負担の増大を招く結果になると思うわけでございますし、NHKの自主的な
経営財源である受信料制度というものに将来いろんな影響を与えることも、これは十分に郵政当局はもう腹の底からこういうことはおわかりになっているはずでございます。
しかも、
放送大学学園法案では、これに関連をした放送法改正を附則で片づけてしまう、
言葉が悪ければ附則で処理をしようとされた。私は切り離して抜本改正をすべきだという論者なんです。
また大学は、正規の手続、入学手続をとらなければ無料で受講できますね。これは後で資格そのほかの問題に影響しますけれど。こういう形で正規の手続をとらなければ、
電波を受けてこれは無料で受講できるということで、片やNHKは受信料をいただいて教育、教養番組を放送をしているという両者の間に不公平さも生じないではないということです。
さらに財務、人事面において
政府と密接な関連を有し、かつ教授に任期制が導入されることなどから、放送大学の教育の自由、学問の自由の確保について危惧する指摘も多いわけでございますけれど、私がさっきから申し上げているように、一体
日本の放送制度、いわゆる放送法の根本の
趣旨というものは、政治権力から放送というものの安全性を図るために距離を置き、幾重にもここに歯どめがしてあるということが、私は根本のやっぱり原理になっているはずだと思うわけでございます。
したがって、文部
大臣の権限が非常に強化をされている。そのこと自体、イコール
電波に乗るということになりますと、文部省の方に伺うと、これは十分の歯どめがしてございます、十分な処置はしてございますとおっしゃるけれど、私は必ずしもそういうふうな楽観的な見方はしていない。
どうでしょうか、きょうはひとつ率直に聞かしていただきたい。あなた方も放送サイドに立って、これだけ文部
大臣の権限が強化をされている、ある程度理事の任命、そういうものにも文部
大臣の好ききらい、恣意が働くことだってあり得る。そして、こういうことを話されては困るというような教授を任命することも、あるいは文部
大臣の恣意によって、お
考えによってこれを拒否することもできるというようなそういう学園が即メディアとつながるそのことの危険性と申しますか、これは私は放送というものに携わっているあなた方でなければ、私
どもでなければ、なかなかこれは実感としてわからないんだろうというふうに自負をするものであります。あなた方も自負をしていただいていると思う。
郵政大臣、いかがですか。私ね、率直に伺いたい。
実は先ごろこの
委員会でも問題になりました、
郵政省を窓口としまして進学ローンというものをおつくりになった。何か最初は
趣旨としてはこれはいいんだなというようなことで、論議に入ったらば、担当
大臣の服部
郵政大臣が、御自分から大したものじゃないんですよというような
趣旨のことをおっしゃって物議を醸した例がここにある。
一度賛成してしまったから、一度こういういきさつになってしまったから、もう後には戻れないんだということでのごちゅうちょよりも、私はやっぱりこれを論議すれば論議するだけいろんな問題点が出てきて、しかも放送サイド、根本に
日本の放送、たとえば二本立て制度、NHKの受信料に対する影響力、放送の自由、自律、こういうものに直接かかわり合いのある内容を持った放送大学、それと即メディアというものが直結をしたときの私
どもの心配というものは単なる危惧でしょうか、
大臣。私はきょうは率直にこの点をお伺いをしたい。それがこの
逓信委員会における放送サイドからの主体制、
郵政省が主体制を持った私はお答えになるはずだというふうに思っているわけでございます。
大臣、いかがでございましょうか。