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1979-04-26 第87回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月二十六日(木曜日)    午後一時二十六分開会     —————————————    委員の異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      大木 正吾君     上田  哲君  四月二十四日     辞任         補欠選任      上田  哲君     大木 正吾君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         赤桐  操君     理 事                 小澤 太郎君                 成相 善十君                 案納  勝君     委 員                 長田 裕二君                 郡  祐一君                 新谷寅三郎君                 高橋 圭三君                 西村 尚治君                 前田 勲男君                 大木 正吾君                 小谷  守君                 中野  明君                 矢原 秀男君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  白浜 仁吉君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       田中 六助君    政府委員        外務省経済局長  手島れい志君        郵政大臣官房長  林  乙也君        郵政大臣官房電        気通信監理官   寺島 角夫君        郵政大臣官房電        気通信監理官   神保 健二君        郵政省人事局長  守住 有信君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        通商産業省通商        政策局国際経済        部国際経済課長  守屋 一彦君        日本電信電話公        社総裁      秋草 篤二君        日本電信電話公        社技術局長    前田 光治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査日本電信電話公社機材調達問題  に関する件)     —————————————
  2. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 大木正吾

    大木正吾君 私は、アメリカとの関係で大変問題になっております電電調達物品問題を中心としまして、官房長官に特に伺いたいわけでございますが、けさ新聞を拝見しますと、きのうの閣議では、関係閣僚の話ですが、これ以上譲歩できないという話があるわけですが、去年の暮れ以来の経過をずうっと見ていますと、政府の態度が大変対米従属といいましょうか、アメリカに対して弱腰と、こういう感じがするんですが、官房長官、その辺どうでしょうか。
  4. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 私どもは、日米間の互譲精神、しかも、日米間の両国の関係がまずくなってはいけないという基本的な考えがございまして、その点を十分考えた上での対処でございまして、従属的とか、そういうような考えはさらさら持っておりません。
  5. 大木正吾

    大木正吾君 これは三月の二十一日の新聞記事でございますけれどもアメリカ政府の方から、日本経済構造について内需拡大計画を提示しろ、こういうことを言ってきた事実がありますか。
  6. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) アメリカ側の一般的な希望といたしましては、日本経済成長内需中心にして行われることを希望をしておることは承知しております。
  7. 大木正吾

    大木正吾君 その程度の答えでは不満なんです。この新聞ですと、米国政府わが国に対して、経済収支を均衡させるために今後五年間の内需拡大計画を示せと、こうなってるね。これは新聞記事だからいいです、答えはそれで結構ですが。  ところで、こういうことなどに関しまして、日本政府といたしまして、たとえば自動車が六十五億ドルも出ていって、日本に入ってくるアメリカ自動車は一億ドル弱であるということですね。そういう貿易の不均衡に対して、今度は航空機は完全にアメリカがつくっている、エネルギーは完全に押さえようとしているわけですね。そうして八〇年代の六百五十億ドルになんなんとする、今度は電気通信関係の機器についても現在の三七%のアメリカシェアをもっと広げようとしているわけでしょう。そういったことについて、日本政府としては一定の展望を持って対応したんですか、無策で対応したんですか、その辺聞かしてください。
  8. 田中六助

    国務大臣田中六助君) いま大木委員承知のように、わが国経済体制といたしましては、どうしても輸出を主眼に考えなければならない経済体制でございまして、それには自由経済相手方市場開放、そういう前提がなければわが国経済基盤というものが確立できないわけでございます。したがって、そういう観点に立ちますと、どうしてもわが国自体市場開放門戸開放、そういうことが迫られますし、わが国関税障壁、そういうものも必然的に相手方に求める以上、わが国の方も相互主義、あるいは互譲精神というような観点から対処せざるを得ないというふうに考えております。
  9. 大木正吾

    大木正吾君 そういった基本原則について私も否定するものじゃありませんけれども、ただ最近の世界的なインフレーション状態資源問題等考えたときに、日本経済なり産業というものを展望したときに、とにかく貿易を拡大していく、あるいは黒字を伸ばしていくというだけの考え方でいいのかどうなのか、私は疑問なんですよ。  たとえば、田中官房長官自身は非常に御健康のようですけれども、自分の体が健康なのにあえてわざわざ体の一部を切り離して別の物を入れ込むこともないでしょうし、同時にまた、木に竹を接ぐような話をしても困るわけですが、一例として、これは御本人いるから言いにくいんだけれども秋草電電総裁辞任をするということを言われたわけですが、新聞記事を読みますと、これは政府に対する抵抗とかそういったことではないとは言っておられますが、電電仕事中身を知っている方々、この逓信委員会の中に相当おられるわけですけれども、とにかく三十二万人前後の関係者仕事をする意欲をなくする。  そして、通信というものを戦後二十数年間ノーハウの開発をしながら苦労をしてきた電電民間関係者ですね、同時に研究に従事してきた技術陣、そして、今度はもっと広げていきますと、コストの上昇なり台風や震災、地震等に対して国民へのサービスの保証が自信持てない問題も起きるかもしれない。そういったことを承知の上でもって、一般論でもって、官房長官、片づけようというふうにお考えであったんでしょうか。  私はやっぱり譲れるものと譲れぬものがおのずからあろうと思うのですね。とにかく現在五体健全なものを無理に壊すことはないわけですよ。ですから、そういったことの深い中身を少し関係者相談した上でもってこの問題については交渉に当たったかどうか、官房長官外務省のこれは関係者答えをいただきたい、こう考えています。
  10. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 日米経済関係が円滑に行われますことは、日本自身にとっても非常に重要なことであると思いますし、またそれが世界の中における日本の責務を果たすことにも貢献するのであろうと思います。他方、先生の御指摘のように、物事には限度もあり、国内にもいろいろな問題もあることは、これもまた当然でございまして、したがって、そのような両方のいろいろなファクターに考慮を払いながら交渉を進めてまいってきた次第でございます。
  11. 大木正吾

    大木正吾君 余り上品な一般論じゃ、こっちでちょっと困るんですけれども、とにかく私がいま幾つかの例を挙げたけれども日本の大体電信電話関係機材なり仕事は、システム的に、いまの経済局長のお宅から官房長官なりのお宅にかけるときとか、あなたの田舎にかけるときの場合には、市内だけでも大体百数十の接続関係がありますよね。同時に公社計画をつくって、そしてその関係工事を発注するのに、ずいぶん研究から製造、全部つながっているものでしょう。これ、日本だけじゃないですわね。アメリカECも、ほとんどの国がそうなっているでしょう。だから、造船が不況だから建設業界へ進出しようとか、オレンジや牛肉の例とはわけが違うと思うんですよ。  そこのところを、私は譲れるものと譲れぬものがあるでしょうという話を申し上げたわけなんで、極端に言ったら、台風が室戸に来たときに四国——中野さんに怒られるけれども四国の一部でもって、もしもその一部落が全滅したといったときに、まず必要なものはやっぱり通信被害状況調査でしょう。あなた、それについて責任持てますか。そういったものと、繊維とか造船とか肉とかオレンジわけが違うはずなんだから、その辺のことはどういうふうに外務省経済局把握されたかということを聞きたいんですよ。
  12. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 交渉に当たりましては常に国内関係方々郵政省及び電電公社方々に十分御相談もし、御教示を仰ぎながら進めてきております。
  13. 大木正吾

    大木正吾君 あなた、御教示をいただいたとおっしゃるけども新聞記事でぼくらは散見する限りは、最終的に大平総裁、こう言っているでしょう。これは電電公社郵政大臣責任じゃない。——いいですか、政府政治責任でやった、こういうふうに言っているのじゃありませんか。だから、御教示を仰ぐとかじゃなくて、外務省立場でもって、私は園田外務大臣とも外務委員会でやりましたけれども外務省立場としてしようがなかった、こういうふうに言っているわけだから、電電公社から教えてもらったとか、助けてもらったとか、話逆なんじゃないですか。その辺の真相を言ってください。  要するに、あなた方がつくったプランで外務大臣が動き、牛場さんが動いてストラウスに振り回されて電電公社に押しつけた、こういうことじゃないの。それで電電公社として責任が持てないということは、私も電電総裁ならぶん投げるですよ。仕事に、国民責任持てないんだからね。だから、余り上手に言わないで、正直に言ってもらいたいんですよ。
  14. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) どうも、私どももできるだけ技術的な勉強もさせていただいたつもりでございますし、またさらに技術面におきましては、十分電電公社技術陣方々の御意見も伺いました上で、対処方針を決定をしてまいりました。
  15. 大木正吾

    大木正吾君 それじゃ、秋草総裁辞表はなぜ出された、まあ本人前にして——本当はきょういない方がいいと思ったのに来ているから聞きますけれども総裁、何で辞表出したんですか。私は、もし経済局長言うことが本当だったら、総裁がちゃんと承知でもってやったとしますれば、辞表を出すことはなかったと考えます、常識的には。国民通信をあなた、全部預かっている人間責任者ですからね、秋草総裁以下全技術陣幹部です。私たち関係者含めて従業員労働意欲、もう完全にありませんし、技術陣研究意欲も全くなくなっちゃうんだから、だから総裁辞表出したと、こういうふうに考えわけですが、あなたの答弁というのは全くうらはらになっているんですよ。そこのところを総裁、非常に答弁しにくいかもしれませんが、お答えいただけますか。
  16. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 私は、先般感ずるところがありまして、郵政大臣辞意を表明した立場でございますので、こうした権威がある逓信委員会で、いろいろ御説明なり御答弁をする資格があるかどうか、ちょっと考えておるところでございますが、昨日も大臣からそういう必要はないから、そのとおり答弁なり説明に当たれというお言葉もございますので、これが私の心境でございます。これを前もってお断りしておきたいと思います。  私の辞意は、あれだけ公社幹部が連日連夜熱意を持って私を助けて作業をしてくれた。今日いま考えても、いままで国会で何回か答弁したことも少しも間違ってはいなかったということを確信を持っております。またその際、与野党を問わず各委員会でも私を激励されるような御質問なり御叱咤がございました。ことに与党の諸先生は、わざわざ渡米までされて各方面の説得、陳情に当たられたので、私の立場は、長い伝統のあるこの電電公社、この電気通信事業を今日までつくり上げた先輩あるいは従業員、それにまた関連の業界といえども、全部私どもの製品というものはビス一本も電電公社でつくっているわけではありません。全部業界の供給の成果でありまして、こうした方々に対しても大変な大きな打撃を与えるということも感じまして、思い詰めて郵政大臣にあの当時辞意を表明した次第であります。
  17. 大木正吾

    大木正吾君 その話は別におきまして、ちょっと具体的に伺いますけれども、この東京ラウンドが仮調印されましたわけですが、この中で政府調達物品につきましても入札——どういう、指名か完全な自由か、それはわかりませんけれども入札ということになっているはずですが、付属資料が手元にありませんのでよくわかりませんけれども、これはECとかアメリカなどについても当然適合されるものでしょうから、アメリカとかECはやっぱり電信電話関係企業体がどっちへ転ぼうとも、民間であろうと公社であろうと、政府系であろうとも、全部開放する見通しを外務省お持ちですか。
  18. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 御高承のとおり、アメリカは民営でございますし、ヨーロッパの大部分の国は、形は違いましても……
  19. 大木正吾

    大木正吾君 それはわかっているんですよ。それはいいんですよ。問題は開放するかどうかということ。
  20. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 現在、いまのところヨーロッパECの国は、電電関係企業政府調達のコードの対象としては提出しておりません。
  21. 大木正吾

    大木正吾君 そこで、官房長官に伺いたいんですが、これはサミットとも関係すると思いますけれども、いまお答えあったように、東京ラウンドでの仮調印の中身を私たちが全部詳細にまだ手に入れておりませんけれども、ほぼ想定できますことは、電電関係調達物品の、俗に言う電話機から電話機にいく本体と称するものですけれども、これについてアメリカ民間の会社の経営ですけれども、ウエスタン、ATT等がやっておりまして、ほとんど開放という姿勢は示しましても実際にはそうならないと私は判断をする。ECはもつと強固にアメリカからの開放が一応表向きは開放されましてもそういうことにならないと見るわけですね。  そうすると、日本アメリカ貿易収支、ここでもって問題が起きるわけですけれども、江戸のかたきを長崎というのか、あるいは木に竹というのか、自動車がどんどんどんどん、けさ新聞ですが、またこれサミットが済んだらアメリカに洪水みたいに出ていくだろうという記事が出ておりまして、自動車の方を戦略産業的に考えるか、あるいはコンピューター中心電気通信関係——電電公社じゃないんですねこれは、電気通信関係の六百五十億ドルもの需要が出てくるという見込みの持たれているものを考えるかということになってくるんですが、自動車電気通信関係というもの、これについて官房長官どうですかね、これ、ラウンドとの関係じゃなしに、日米貿易摩擦関係の整理というふうに切り離して受けとめた方がいいんじゃないですか。
  22. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 御承知のように、対米経常収支黒字黒字幅の大きさはいつもついて回ることで、これがバックグラウンドに大きくあるわけでございまして、アメリカとしては、対米経常収支黒字という原因はどこから来ているかというと、日本関税障壁と、こういう政府調達関係市場閉鎖性、そういうものを指摘しているわけでございます。したがって、そういう部分開放すれば、大木委員指摘のように五百何十億ドルというようなものがある、それをやはり目をつけているわけでございまして、それが結局今回の日米経済交渉の中の電電問題であるわけでございまして、アメリカといたしましてはこの点を突いてくるわけでしょうし、今回これがうまくいかなかったといいましても、この問題はずっと尾を引くんじゃないかというふうに考えます。  しからば、一番輸出の多い自動車のことと、この問題をてんびんにかけていろいろ勘案したらという御提案でございますが、あくまで自由主義経済、あるいは多少のチェックはできるといたしましても、いまのところそういう考えは浮かびましても、これをしからばどのように具体化するかということにつきましては、早急な結論、早急なお答えというのができない現状ではないかというふうに考えます。
  23. 大木正吾

    大木正吾君 私は、じっとここ三カ月ぐらいの動きを見ておりまして非常に不満に思いますことは、イギリスなりEC関係からも出ている意見の一部には、もうちょっと日本自主規制をしたらどうかという話もちらほら新聞等で拝見いたしますし、同時に経常収支問題で、もっと途上国に対する援助をやったらどうかという話もあるし、UNCTAD関係でも、東京ラウンド本調印されてもそれに従うかどうかという問題が残りますよね。  そういったことを広範に調整をしながらやらないと、これは単に電電公社という名前はよくないんだけれども、やっぱり戦略産業というのを全部首根っこ押さえられちまったんじゃおしまいですから、もうちょっと広範に、たとえば七%成長のときにあなた、福田総理は外国にまるっきりその数字まで、日本経済計画ですら誘導目標と言っているでしょう、企画庁の方はね。政府内部でも小坂長官と西ドイツの何とかという経済大臣が話し合っているのは、アメリカ、フランス、イギリスはけしからぬ、こういう話が両大臣の中でもってあった記事がおとついです、ありましたね。  ですから、こういう問題に入る前に、もうちょっと広範にやっぱり政府内部は検討すべきであるし、アメリカストラウスさんは、今度日本関係からまたこれかわって中近東へ行くらしいけれども、大体田中さんとか園田さんをやっつけて、もうしめたと思ってかわったかもしれませんけれどもね。だから、そういうことで、どうもやっぱり政府内部意見がはっきりナショナルインタレストということでぼくは余り強く言いたくないけれどもね、日本国民なり民族のためにどうなっているかという話が薄いという感じがするんですよ。その辺、長官はどうですか。  これは本当に三十億ドルもの品物をアメリカへ渡したら、アメリカの八〇年代の世界戦略での電気通信機関係シェアというものは四〇%を地球上支配してしまうんですよ。途上国ならいざ知らず、先進国でそういうことの譲歩をしている国がどこにありますか。そういった点でもって、もう一遍この辺については広範な、政府内部、横の話をして、そして、サミットでもって片がつくかどうかということはありましょうけれども、その後も話は残るんですからね。もうちょっと国益に沿った、日本民族の先行きについて一定産業経済成長ということを考えられる交渉に引き戻す考え方はないですか。
  24. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 国益という観点から私どもも立っているわけで、大木委員ももちろんそれを主張しているわけでございますが、私どもは、私が冒頭に申し上げましたように、何を自由化するか、何を市場開放するかということにつきましては非常に問題でございまして、過去も幾多産業幾多企業市場開放という名目のもとに非常に苦しい、しかも、取り返しのつかないようなダメージを受けた産業企業がいままでの過程に多いと思います。  いま御指摘電電公社関係の問題は初めて市場開放を迫られておるわけで、非常にホットな新しい問題であるということは、即いままでそういう問題に逢着しなかったということにもなるかと思います。したがって、ここまで電電がくるまでには、非常にわが国のことであるのにちょっと恐縮でございますが、幾多企業幾多産業市場開放、あるいは自由主義経済日本貿易輸出、そういうような名目のもとに大きな犠牲を背負ってきたと思うんです。  電電は初めてそういう矢面に立つような羽目になっておるわけでございまして、本当企業本当自由主義経済というものから見ますと、電電がいままで対外的に開放していなかったということ自体が、考えようによっては不思議な問題かもわかりません。したがって逆を言えば、非常にウォームな、温かい環境の中に電電は育ったとも言えるんじゃないかと思います。  いま嵐の中に立つかもしれない、そういうことでいろんな問題があると同時に、大木委員指摘されるように、国益と申しますか、かなり高度な技術開放ということが国家のためになるのかどうかという御指摘だと思いますが、日本が過去、多くの国々に追いつき追い越せという至上命題の中で今日まで百年近く来た、そういうことが今度はアメリカ権威と申しますか、アメリカ自身の大きな基盤が揺らいで、それを今度はそのままわが国に迫ってきておるのかもわかりませんし、電電技術開放が国のためにならぬというお考えも成り立つかもわかりません。  しかし、これを開放することによって、過去、日本幾多産業を振興してきたと同様に、私どもが恐れている企業の秘密とかその他、まあこれははっきりわかりませんが、そういうものが他国にわかるというおそれもあるかもしれませんが、開放することによって企業そのもの健全性、あるいはより以上の発展、そういうものもあるかもわかりませんし、いずれにしても、日米関係というものが壊れることと、その電電市場開放、閉鎖的なものが開放されるということ、そういうものとの価値判断がなかなか私はむずかしいんじゃないかという気持ちがしております。  しかし、現実の問題としてこれを開放することによって多くの雇用、失業者の発生、いろんなリアクションがあると思います。これらにつきましては、十分考えなければならないというふうに思っておると同時に、電電開放をそのまま私どもが全部を開放しておるというわけではございませんで、先ほど経済局長指摘しておりますように、電電公社技術的な面の御相談、各省とのあるいは協議、そういうものを積み重ねて、結局ここがぎりぎりだという線を今回は出しておるわけでございまして、いまのところそれ以上のことを私どもが相手に披瀝をするとか、それからそれをどうするというような考えはございませんので、大木委員指摘国益というような面につきましては、大木委員は十分でないとおっしゃるかもしれませんが、私どもはその点は考えておるつもりでございます。
  25. 大木正吾

    大木正吾君 これは外務省経済局長に伺いたいんですが、局長電話局の中にお入りになったことはございますか。
  26. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) ございません。
  27. 大木正吾

    大木正吾君 多分、だと思いますがね。ことしエネルギー節約で、官房長官もノーネクタイで国会やる気持ちかもしれませんけれども、一遍これは、外務省などがただデスクをはさんでのお話し合いじゃなく、入ってみてもらいたいですよ。夏入っていきますと、上着なしじゃおられないんですよ。冬入っていきますと、女性の方はスリップに上着をひっかけましているんですね。とにかくそれはもう人間の体よりも機械を大事にするぐらいにしておりませんと、安全な通話というものは保てないのですよ。  それから同時に、これは電電公社が去年逓信委員会の方に配った図面ですけれども、あなたのお宅と外務省課長さんのお宅の電話をつなぐときには、地下ケーブルへ入ったらわかりますけれども、非常に目で——たち老眼でも見えないくらい細いあれがたくさんございまして、接続市内通話だけでもって大体百四、五十くらいの接続になっているんですよね。ですから長官の福岡の方にやる場合ですと、東京市外から大阪市外、そうして福岡市外に行きますから、これは恐らく一千ぐらいの接続個所を通じまして行くんですね。  ですから、物すごいシステム化という状態の中にございまして、私は単に電電公社を守れ、守らぬ、そんなけちくさい気持ちでもって物を言うつもりはないのですがね。でき上がったものを壊してまで買うことが必要かどうかということです。これはコストの問題と、公共サービスの問題ですよ。  それからつい最近、松前先輩がやりました何かセミナーがあったときに、自民党の通信部会の伊藤宗一郎さんも出ておられるのですけれどもアメリカがつくった電話機の中を調べたら、香港製の部品とか、それからあれですよ、南米のアルゼンチンとか、ブラジルとか、そういったものがどんどん出てきて、アメリカがつくったものは上のカバーだけであった、こういう話もつい最近の話としてあるわけですよ。  さらに見ていきますと、日本という国は湿気が多いでしょう。だから園田外務大臣に申し上げたんだけれども、西武ライオンズが、ライオンがバッファローという牛に負けるということは、野球の試合だけど、やっぱりアメリカのフロリダへ行きましてわりあいに湿気の少ないところで練習してきたら、みんなホームランが飛ぶんですよね。日本では途端に飛ばなくなってしまうんですよ。  電電公社の機械というのは、さっき申し上げたように、非常に精密度を要求されますから、私が思うに、もしアメリカのものを持ってきた場合には故障が——いまでもそうでしょう、大体日本の製品というものは、平均して十四年に一回ぐらいしか故障は起きない。アメリカは三年か四年に一遍ずつ起こしているでしょう。そういったことを知った上でもって、公共サービスが低下し、コストが上がって国民に迷惑をかけてもやむを得ぬという気持ちでもって外務省は、電電調達物品閉鎖性の象徴ということのアメリカの言い分を認めたわけなんですか。そこのところを聞かしてください。
  28. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 政府調達コードの対象とすることは、必ずしもそれがそのままその物品の買いつけにつながるということではございませんで、各調達のときに必要な仕様書その他の条件を定めまして、その条件に合致したものの中から調達をするということになるわけでございます。したがいまして、先生がいま御指摘のような、いろいろな故障が多いとか何とかという問題点につきましても、やはりこの入札のときの条件のいかんを厳しくすることによって問題は解決されるのではないかというふうに考えております。
  29. 大木正吾

    大木正吾君 自動車の輸入が一億ドルに満たないという問題は、いま局長おっしゃったことにも似ているんですね、これ。非常に検査がやかましいわけですね。そして最近は、EC関係のベンツとか、フォルクスワーゲンなどを見てみますと、右ハンドルがふえていますよね。ECは大分気を使って日本向きにつくっている。日本のトヨタ、日産等は逆に左ハンドルにして、そして対外市場に出していますよね。アメリカにはそういう神経がないんですよね。アメリカから入ってくる車というものは、日本の横浜の税関とか、関係自動車検査のところでひっかかりまして、二月、三月ほっぽっておかれたり、直させられたりさせられて、そのことも入ってくる量が少ない原因と、こういう新聞指摘もございますね。  いまの話を突き詰めて申し上げますとこういうことですか。局長、伺いますが、検査を厳しくやれ、そして、検査をしたときだめだったら、それはもうそれで切り捨てて結構だ、指名入札会社でも結構だ、こういうことで確認してよろしゅうございますね。
  30. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 入札のときの条件のことをお話し申し上げたことでございます。
  31. 大木正吾

    大木正吾君 私もずいぶん、前の仕事仕事でしたから、スイスへ行ったり、フランスへ行ったり、四十何回か外国旅行をしていますけれども、やっぱり日本にいる場合と違って、スイスなどは非常に乾燥していまして気分がよかったり、フロリダへ行ったときなんかでもわりあいに気分がよく、快適な気候の中で生活もできるんですがね。私、思うんですが、もしアメリカのウエスタンが日本入札に合おうとするならば、日本の日電とか富士通とか、そういうところと合弁会社をつくって日本に資本輸出をしてこなければ、電電公社の検査は通りませんよ。そこまで読んで、あなた、この話については外務省は議論された経過がございますか。
  32. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 日本に進出してきて合弁でなければだめだというようなところまでは議論をしたことはないのではないかと思います。
  33. 大木正吾

    大木正吾君 ないのではないかという日本語はむずかし過ぎて、私はちょっとわからないんですが、ないわけですね。結局、そういうことは議論しないですね。  そうしますと、私が恐れますことは、長官にこれは聞いてほしいんですが、外務大臣ともちょっと議論してみたんですが、長官園田さんは軽くこう言うんですよね。もし検査に合わなかったら、それはもう保護輸入じゃないんだから落として結構だし、量が向こうの注文どおりいかなくてもいいんです、こう簡単におっしゃるわけですが、そうすると、日米貿易摩擦なり、日本貿易黒字の大きい問題については、これは計算上この中に品目を出しまして、大体二十何億ドルとかという話になりましても、それが半分ぐらいになってしまってもかまわない、こういう腹構えで政府はお考えでございますか。
  34. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 私は、初めて電電問題で日米間に立ったわけでございますが、最初は数量の問題、質の問題、両方あるような気がいたしまして、それでも経常収支の黒字幅の縮小ということが至上命題である限り、正直に申しまして量の方にウエートを最初は置きました。それで何とか数字合わせをして——別にこまかすつもりはなかったんですが、数字合わせをすればいいというような方にウエートを置いて、電電公社だけではなく、国鉄、その他あさりまして、数字を一応合わしたんですが、いま思いますと、向こうはむしろ数字よりも質の面、つまり具体的に申しますと、電電公社の重大なボデーのことを最後は言っておるというような気がいたしまして、ほかの問題は別でございますが、今回のアメリカ指摘しているのは、質と量と最初はあったでしょうが、現実には質に非常にウエートがかかっているような気がいたします。
  35. 大木正吾

    大木正吾君 だから長官、ちょっと問題を感じますことは、やっぱり新聞記事で、品目を外務省は持っていってアメリカとは詰めているようですが、私たちには教えてくれないんですね。それでどんどんどんどん押さえ込まれているんですが、ここに一つの新聞記事がございますが、四月二十一日の朝日新聞に「「電電開放」で急進展」という記事で約三千億円という大ざっぱな数字ですが、この中に品目がずっと出ているわけですが、これは長官よりもむしろ外務省関係者の方がいいと思うのですが、アメリカと話し合っている中身は、この新聞記事とほぼ——ほぼですね、大体ほぼ見合っていると考えてよろしゅうございますか。
  36. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) その新聞記事についてのコメントは、恐縮でございますが差し控えさしていただきたいと思います。
  37. 大木正吾

    大木正吾君 ちょっとあなたの答弁というのは、非常に不親切というか、なめたというか、ちょっと納得できないんです。大臣——大臣というのは外務大臣ですよ。外務大臣は、私が外務委員会でやったときには、これをだれかがお見せしたら、こうおっしゃったんです。記録に残っていますからね。ほぼそういうものです、こういう答えがあったので、ここのところを大臣電話をかけて確認してください。これは非常に大事な委員会ですから。そうしませんと、こっちも外交問題だから全然中身ははっきりさせませんと言っている間にどんどんどんどん退却してきて、最後の頭脳部分の一部だけを何とか、こういう話になっているわけですから、この記事について外務大臣は肯定された、はっきり申し上げますと。それを局長のあなたが否定するとは何ですか。はっきりしてください。
  38. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) そのときの模様で、私はただいまその新聞記事を否定したつもりはございません。  それから、そのときに大臣答弁は、そう詳しい表現は覚えておりませんけれども、見当をつけているか、ついているかという、そういうことで、特にその後、それ自体が正確であるというふうな、積極的に肯定をされたものだとは聞いておりません。
  39. 大木正吾

    大木正吾君 言葉のあやでやりとりしても仕方がありません。いまあなたが言っているような否定ではないですよ、これは、明らかに。ほぼこういうものに見合っていますかと聞いたんですよ。本当ならばあなた方が持っていっている品目別のものを全部委員に渡すべきなんですよ。そうでしょう。外務省交渉しているから、いい方向へ行っているなら私は任せますよ。どんどんどんどん一皮上着脱がされて、その次ネクタイ取らされて、ワイシャツは脱がされてね、素っ裸にされて、あと残ったパンツ一枚になったときになってまだこれを隠している。そんなばかな外交交渉ありますか。  こっちは、あんた、しゃにむに新聞記事切り抜いて毎日見てて、それで大臣が、聞いたときに、ほぼそういうものです、こうおっしゃったんです、答えたんですよ。記録に残っていますからね。そのことを、あなたが言ったように、積極的に云々とかということでもってかわされたら、これはたまりませんからね。記録調べて、理事会でもって、あんた相談して答え方を正確にしてくださいよ。きょう間に合ったら、きょうやってもらいたいしね。  時間もあれですから、あんまりこの問題についてこれ以上ただしませんが、次の問題ですが、官房長官に、これはお願いも含めてなんですが、いずれにしても一、二年先の問題でございますけど、ただ七十億ドルという話になりますと、電電以外の、これは逓信委員会の話題じゃないかもしれませんが、関係いたしますので伺いますけれども、三十五億ドルという中央官庁の調達物品問題が交渉話題に上っているはずでございますけども、このことについては長官、御承知でございますね。
  40. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 電電を含めましてその程度の数字じゃないかというふうに思っております。
  41. 大木正吾

    大木正吾君 それで、これいろんな委員会でも伺って、予算委員会で江崎さんにもちょっと聞いたんですけど、ほぼ中央官庁です、要するに大蔵省とか文部省とかそういうところですが、電電外で三十五億ドルという話は新聞にも出ているし、ほぼ各委員会で質問している限り肯定されていた問題なんですがね、これは精密機械ではございませんので、品物ではどんどんどんどんことしの秋口から入ってくるかもしれませんが、これは通産省の関係者がいたら伺いたいのですが、官公需に関する中小企業受注確保に関する法律が昭和四十一年制定で四十八年改正のものがございます。このことについては御承知でしょうか。
  42. 守屋一彦

    説明員(守屋一彦君) 承知いたしております。
  43. 大木正吾

    大木正吾君 承知しておるとしますれば、三十五億ドルの中央官庁調達分の品目なり業界に与える影響については、中小企業庁等では検討し始めておられますか。
  44. 守屋一彦

    説明員(守屋一彦君) 私どもといたしましては、いま先生御質問ございましたように、今回の政府調達コードを考えていく場合に、中小企業へ与える影響というのを私どもの一番大事なテーマというふうに考えてやってまいったわけでございます。  そこで、ややコードの中身に入ることになりますが、今回のコードにつきましては、できるだけその内容を透明にし、無差別にやっていくということでございますが、個々の細かなものについてまでそういうことをやるのは大変だということで、下限額というものをつくっておるわけでございまして、一定額以下のものについてはこの規則の適用をやらないということになっておるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、この下限額をできるだけ高い方向に持っていって、中小企業からの購入といったようなものに対する影響はできるだけ少なくするようにしたいということで努力してまいりました次第でございまして、現在のところ一件約四千万円という線を引いているわけでございまして、これ以下のものにつきましては今回のコードの対象外にするということでございまして、私どもといたしましては、これでおおむね中小企業ないし、あるいは組合からの発注といったようなものについては、これでかなりの範囲が対処し得るのではないかというふうに考えております。
  45. 大木正吾

    大木正吾君 これは別にこの委員会とは申し上げませんが、通産でもよろしゅうございます、社労でもいいんですけれども、できましたら中小企業庁、その資料を、現在検討中でも結構ですから、私どもの野党側の委員の方に、関係の理事でも結構ですから、お示しいただければ検討の材料にさしてもらいますから。  そこで、長官に伺いますけども、とにかく七十億ドルという額でいくというふうに一般に報道されておりまして、二百二十円レートにいたしましても、二百十八円から九円で——二百二十円という計算でもいいでしょうが、一応一兆と大体五千億前後のものが、政府関係の調達から今度はアメリカから入ってくる、こういうふうに算術計算ではなるわけですね。そうしますと、これ、ある程度中小企業関係の業種に絡んでの倒産とか、あるいは労働者が仕事を失うという問題が起きることは避けられぬと見ているわけですね。  ですから、電電調達関係ですと六十五万から七十五万といういろんな線がありますが、通信機器関係を製造している関係労働者七十五万ぐらいまでの数字が出ているんですが、このうちの半分のシェアを仮にアメリカから輸入という形になりますと、二、三年後には、私の算術計算ですけども、十一、二万人の方が仕事を失う、こういうような計算が出てくるわけでございまして、いまの中央官庁分等を含めた場合には、造船不況とか繊維問題とかに匹敵するぐらいの倒産と雇用問題が悪化するというふうに私は見ているんですが、それに対して長官新聞記事等では何らかの応援しようとか、支援しようとかという記事がちらちら出ているんですが、官房長官といたしまして、これについてはどういう対応のされ方をしようとお考えですか。
  46. 田中六助

    国務大臣田中六助君) いま御指摘の数字による、市場開放によって、それがそのまま大木委員の算術計算による雇用のつまり失業者、それから倒産とかいうようなことになるかどうかは、私どももそれは慎重に調べてみたいとは思います。これは調査しなければならない立場でございますが、もしそういうような雇用面における失業、あるいは倒産ということにまずならないように、いろんな政府の努力はしますが、そうなった場合でも、可能な限りの、それに対する埋め合わせは一つの責任としてもしなければならないというふうに考えます。
  47. 大木正吾

    大木正吾君 ただ、さっき申し上げていますけども産業のシステム化ということは、長官にこれは釈迦に説法になるかもしれませんが、電電公社がどういうような仕事の拡充なり発展をするということが一つ基本にありまして、同時に新しい技術をどういうふうにして開発するかということが頭にありまして、それに見合って民間の会社は工場を拡張したり、新しい設備を入れかえたり、全部これ製造過程がシステム化されていきますから、ですから、ここのところは頭の切りかえが私はほしいんですけれども造船が不況だから公共事業の発注の方の土木や建設関係関係会社の方々が転出していくというようになかなか簡単にはいかないんじゃないんですか、これは。  要するに元がありまして、そうして大体五年計画でもってどの程度の、結局電電仕事を、どういう物を要求している、必要としている、それに見合って今度は新しい技術がどういうふうに開発されるんだと、それとの関連でもって、結局本体が全部これはもうシステム化されていますからね、製造メーカーも全部システムの中になければおかしいというか、不経済なんですよね。だから、アメリカ民間会社だけれども政府調達物品ではないでしょう、アメリカはこれは民間ですから。ないけれども、九九%までが関係会社がやっているわけでしょう、アメリカの場合には。  だから、そういうことを考えていきますと、いま倒産とか失業とか起こしたくないとおっしゃるけれども、やっぱりこれはそういうふうにならざるを得ないし、造船や繊維とは少し質が違ってきているものになりかねないということ、産業の転換、技術の訓練、非常にむずかしいものが起きてくる、こういうような感触を私は持つんですが、その辺は従来と長官は同じようなお考え対処されるというところにとどまっておりますか。それともそういったシステム化された産業に対する対応というのは、これは初めてのたしか経験のはずなんですけれども、新しい見方を持たれますか、どうですか。
  48. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 私は技術者ではございませんので、ちょっと技術面でははっきりしたお答えはできないわけでございますが、確かにスタートする電電公社から下請業者、孫請業者、そういうものにずっと関連いたしまして、やはりこれは高度な技術が必要、あるいは熟練工、そういうようなものは他の産業とは違うという認識は立ちます。したがって、そういうことから考えますと、この失業問題というのは、また違った面だとは思いますが、したがって新しい観点からこれはアプローチしなければならないという考えは当然考えられますが、ただ日米間、あるいはバイラテラルな問題だけではなく、多国的な問題として考えましても、貿易という関係、特に日米関係では、昨年度を見ますと三百七十四億ドルぐらい往復、太平洋をはさんで両国にあるわけです。  したがって、そういうことは日本にも大きなダメージを与えている部面もあるでしょうが、アメリカに対しても、アメリカ企業の中で日本から品物が行くために大きなダメージを得ている企業があるに違いないというふうに考えますと、そこに当然考えられるのは、経済的に産業調整という問題が起こると思うんです。したがって、その産業調整という観点から両国がそれぞれ考えなければいけない立場に、いまは多少逃れたといたしましても、将来こういう貿易がある程度維持されるならば、お互いに産業調整ということを国内のそれぞれで考えなくちゃいかぬとなりますと、日本の場合もそういう観点からそろそろいろいろ考えていかなくちゃいかぬ面が出てくるし、そうなれば電電公社のこういう問題が一番先に私どもが真剣に失業、あるいは倒産も含めて産業調整そのものを考えなくちゃいかぬのじゃないかという気持ちがします。
  49. 大木正吾

    大木正吾君 具体的に長官にこれはお答えしておいていただきたいわけで、ことし直ちに秋口から電電関係失業者なり製造メーカーの失業者が出てくるわけじゃないと思うんですけれども、今回のずっと三、四カ月の経過を私なりに見ておりまして、外務省が窓口は、これは当然だと思いますけれども、やっぱり窓口と、大平総理は胸をたたいて、それは秋草君、君の責任じゃないよと、政治責任だとおっしゃいましても、実際にはそれはもう入ってきて、機械受けまして検査して、そしてセットして、設備しまして、やっていくときには、検査するときにやっぱり電電関係だし、それがもし検査でもって落札できなければ、アメリカからその理由説明を受けるでしょう。同時に、国民から電話がどうも最近は混線すると、官房長官がお話しする話がどこか漏れて——漏れているということはありませんけれども、混線するとか、どうも湿気が多くて音量が小さくなるとか、そういった責任はこれやっぱり秋草総裁以下の電電関係方々が受ける立場なんですよね。  私がお願いしたいことはこういうことなんです。要するに郵政省電電公社外務省等を中心としながら、通産ですね、同時に外務省も当然窓口でございますから外務省、労働省ですか、その辺の諸官庁の関係者中心としまして、ときには業界代表の意見も聞いても結構でしょうし、労働界の代表の意見も聞いていただきたいし、横断的にこれに対する対策会議というものをつくってもらいたい、政府として。そして、いまのうちに、やっぱりサミットが済んだら早々と顔をそろえるなりしてもらって、そしてどうなっていくのかということについて定例的にやっぱり月に一回ぐらい会合を持って対処していって、摩擦現象を避けていく。長官、そのことについて、実は外務大臣にもお願いしておいたんですが、ぜひ政府としてそういったことについて具体的に——まあ関係業界に対する御心配の言葉は抽象的に伺っているんですけれども、具体的にそういったことを考えておいていただけますか。
  50. 田中六助

    国務大臣田中六助君) これはアメリカだけじゃないと思いますけれどもアメリカを例にしますと、アメリカは経常収支の黒字幅を縮小しろという一つの課題、それから個別品目に対していろいろねらってきておる。今後も、電電はいま象徴されておりますが、次にどういう品目がどういうふうになるかということはわかりませんけれども、大体個別品目をねらいとしてくる場面と二通りあると思うんです。したがって、私どもはやはり大木委員指摘するように、来た品物、個別品目が来るたびに、その場でいろんなアプローチをしてそれに対応するというようなことは、もうこれはナンセンスだと思うんです。したがって、いつでも、どの品目に来ようが、何か全体的にプールといったら何でございますが、大木委員指摘されるようにあらゆる労使、そういう者が考え、経営者も、それからそれの使用される人々も、一つの場に臨んで、これに対処できるものをやはり早目につくっておかなければいけないという気持ちははっきりいたします。
  51. 大木正吾

    大木正吾君 ぼちぼち終わりますが、要するに入札のときの検査の結果不合格になっても、過保護というか、保護的な輸入はしないということは、外務省経済局長の御発言で大体そういうふうに受けとめますし、同時にいまの長官の早目に横断的な対策を練っていくべく、名前はどうでもいいですけれども、横断的な関係官庁間の調整の対策委員会的なものをつくってほしい。  最後に、これはお願いです。長官よく御存じのようですけれども、私UNCTADなり、あるいは途上国との摩擦の結果、ゴムは、生ゴムは要らないけれども石油で間に合うという話で、そういうことでもってマレーシアなんかずいぶん不満持ったり、紅茶をもっと買えとか、たくさんありますけれども、私は、もしむだな物を買うというときに、南北問題のときには先進工業国はどういうふうに対応するか、これはあってもいいと思いますよ。  しかし、いま起きているのは先進工業国間の問題で金を絶対に出さない、金塊は出さない、ダイヤモンドは出さない、石油資源を押さえていくという。ペーパードルはどんどん赤字だけれども、品物は放さないという国とのけんかですからね、貿易戦争ですからね、そのことを根性に置いてもらわぬと、どんなにあなたドルが黒字になったって、ペーパーであることは間違いないんだから、金塊とかえてくれないですからね。そういった中でもって外交なり、経済外交の姿勢というものについて、途上国との関係先進国との関係についてはもう少しやっぱり外務省も、政府にしても、腰を据えて考えてもらいたいんですよ。アメリカは何百億ドル赤字だといったって絶対金は放さないんだから、石油資源、エネルギー放さないんですからね。  そういった中でもって日本のこれから八〇年代生きていくためには、こういった通信機器の中心で八七年ごろは六百五十億ドルの需要が起きる、世界市場でもって、この通信機器関係ね、ロンドン・エコノミスト書いていますよね。そういったものまで見てしっかり国際経済対応していきませんと、アメリカがこわいから云々という印象で外交政策やっておったら失敗しますからね、そういったこと重々ないように、特段に希望いたしまして、これは答え要りません。とにかく私の発言を終わります。  以上です。
  52. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 官房長官に伺いますけれども政府調達門戸開放について新聞紙上、衆参の委員会でいろいろ質疑が交わされておりますけれども日米の事務当局の間でどの程度の合意が図られているのか、改めて伺いたいと思います。
  53. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 日米間で今回の問題を具体的に、最終的に取り上げたのはついせんだってでございまして、向こう時間で二十五日までに三回会議をやっておりまして、現在の段階では継続審議にしようということでいま終わっております。  その内容につきましては、関税の問題と電電公社政府調達開放問題に分かれると思いますが、関税関係につきましては、最後の詰めは残っておりますが、まあまあという線で終わっておりまして、電電公社関係については向こうが指摘しておる、しかも反面、日本側にとっては重要な部分——つまり本体というような言葉を使っておりますが、その部分についての合意が日本側の主張を向こうが受け入れませんので、それではまたいずれ十分考えてほしいということでこの三回の会談は終わっておるというのが現状でございます。
  54. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 総理は、昨日の衆議院の逓信委員会で、今回の訪米のねらい、これは国際収支の解決を図るためではなく、日米首脳の間断なき対話を保つものであると、こういう答弁をされたと聞いております。日米経済摩擦が訪米で決着できなくてもよいという意向も述べられたようでございますけれども、逆に米側の考え方、それはきょう現在ではどういうふうに分析をされていらっしゃるのか、向こうの姿勢を説明していただきたいと思います。
  55. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 首脳会談におきましては、日米双方とも高い次元から今後の日米関係なり、あるいは世界全般の問題についての意見を交換するということで合意をしております。したがって、具体的な問題については双方とも深入りをする意図は持っておりません。
  56. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 総理は、一つは外交姿勢の甘さというものを反省されておられるようです。この件については外務省、そうして官房長官は、本当は総理大臣来ていただければいいわけですが、お見えでございませんので、総理大臣が言っている今回のこの外交姿勢の甘さ、どういう点を反省されているのか、その点を具体的に伺いたいと思います。
  57. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 総理が昨日の答弁でそのような趣旨のことを申されたのは私ども承知いたしております。私どもといたしましては、総理がそのような考えをお持ちになったということについては残念に思っております。恐らく総理が言われたいと思われたことは、この政府調達の問題に関連して、なかなかアメリカ側本当の突き詰めた腹のうちがわからなかったことを意味しておられるのではないかというふうに考えております。
  58. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先ほどからの質疑を伺っておりますと、数字よりも質の問題にアメリカがウエートを置いていた、量より質ですね。で、総理の見解をあなたがいまお話しされているのは、アメリカの腹のうちというものがわからなかったと、こういうことだと思うんですけれども、これだけの公社として、公社一つだけを考えてみましても、中小経済を抱えたそういう系列関係の会社、そうして従業員、まあこういうふうな形、また精密な機械のこういういろんな観点、そういうふうな問題点から考えておられまして、日本アメリカ交渉ではまず外務省が表に立たれたと思うわけですね。その間、いつからこの話が始まって外務省というのか、政府というのか、日本側としての対応がどういう手を打ちながら米国との折衝を開始されたのか、その点はいかがでございますか。
  59. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 東京ラウンドの枠内で政府調達のコードの討議が始められましたのは七六年の秋からでございます。
  60. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 具体的にお話ししてください。
  61. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) いま申しましたように、政府調達のコードの内容につきまして話し合いが具体的に始まりましたのは七六年の秋でございますが、今度はその対象となる政府ないしその関係機関の話に移りましたのは七八年の夏でございます。
  62. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 これはまず外務省に苦言を呈したいと思うんですけれども、七六年の秋から話が出て、そして、それから対策等が考えられるわけですけれども、七六年の秋からそういう話が出て、今日までアメリカ日本案を拒否して、電電に対して一〇〇%の門戸開放というものが日程的には急激な詰めの段階で出ているわけです。  しかし、外交交渉にしても、国内で物から物が売り買われるにしても、重要なる案件になればなるほど、やはりそこには窓口、責任者、そうして具体的な案に対する対応、そういう中で真剣なるやりとりというものがあるわけですけれども、最近の当局に伺っても、いきなり急激にばばっと物事が、結果がよくなかったわけですけれども、急激にいっている。私たちは特にこれが日米外交という立場の中でこういう外務省のやり方でいいのかどうか、これは官房長官に後で伺いますけれども、この前、外務大臣アメリカに行ってどんな交渉をされたのか。そういうことも含めてもう一回伺います。
  63. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 政府調達の問題につきまして昨年の夏にその調達対象の機関についての話し合いが始まったと申し上げましたけれども、正確には六月でございますので、まず訂正させていただきます。  外務省はそれに先立つ二、三カ月前から関係の各省との間で情報を提供し、かつその対策について協議をして会議に臨んできたわけでございます。  ただいまもう一つの御質問は、園田外相が先ほど訪米されましたときに、どのような交渉をしてきたかとの御質問でございますけれども外務大臣は、訪米されましたときには個々の案件については交渉はしておいでになりません。
  64. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この問題は、私も分科会で話をしておりますので重複は避けますけれども、こういう問題がありながら、外務大臣もこの話は全然されてないんですか、いまあなたはしてないと言われましたが。
  65. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 交渉はされませんでしたけれども、当然先方との会談におきましては、政府調達問題の重要性にかんがみこの話は出まして、そのときに先方の考え方を探るということで対処をされた次第でございます。
  66. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、こういう外交姿勢が屈辱的な外交姿勢ではないですか。話は出さないけれどもアメリカの姿勢を探ろうとした。なぜ堂々とやらないんですか。こういうところに日本政府アメリカに対しての  対等に話をすべきであって、むずかしい問題はみずから提議をして議論の場にのせるべきです。そうでなかったら外務大臣責任をとらにゃいかぬです、これ。これだけ世上にぎわしている大問題を、外務大臣がわざわざアメリカまで行きながら、この話を出さずに、出さないけれどもアメリカの姿勢の感触を探ろうとした、これが外務大臣の姿勢でいいのかどうか。世界で有数の経済国である日本の国の大臣として、それは外務省の方がいろいろアドバイスされたのか知りませんけれども、こういうことで結果がうまくいくはずがありません。これは外務大臣責任とってもらわにゃいかぬと思いますね、こういういまあなたが言われたようなことであれば。  私は分科会でもお話をしましたけれども、こういう公社にも、やはり問題点を持っている、言い分を。政府も持っている、アメリカも持っている。こういうふうな観点の中で、期日を限定を逆算する中で話を進めていこうとするのには、必ず問題点が取り残されたままで、そうして不十分なものになってくることはもうはっきりしているんです。なぜそういうふうなことをアメリカ政府に言えないのか。外務省ではだれとだれが——いま七八年の六月からの訂正がございましたけれども、真剣にこれは大問題であるというふうにして、月に何回ずつ煮詰めをされながらやってきたのか。新聞報道を見ても、政府にただしても、この問題点がここまでクローズアップされている具体的な問題は最近です。楽観視して、情勢分析を厳しくした中で、まず窓口になる外務省なら外務省がなぜ対応できないのか。  さて、こういうふうな大問題になっておりながら、外務大臣すらも向こうに行きながら正式な話をしてない。なぜそんなにアメリカに対して弱腰にならなくちゃいけないのですか。問題点は率直にテーブルの上にのせていいんじゃないんですか。私は、日本アメリカは対等の中で正々堂々と議論を交わして、日米友好のいろんな問題は、経済でも文化でも何でも、私は対等に率直にすべきだと思います。それがないんです、われわれがアメリカに行っていろいろ話をしておりましても、そういう率直な意見を平気で言って問題点を浮き彫りにしてやっていく努力。なぜ外務大臣は、事ここに至って、向こうに行っているのに正面切って問題点の話を出されなかったのですか。
  67. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 外務大臣は、訪米されました目的は、日米の間の経済関係のみならず、むしろそれよりも世界の政治、アジア、中近東、あるいは日米間の問題について話されることが目的でおいでになったわけでございます。そうしてこの会談を通じて、決していま先生のおっしゃいましたように、対等でない応対をされるというようなことはございませんでした。  いまの政府調達についての問題をなぜ取り上げなかったのかという御指摘でございますけれども、この問題は外務大臣が訪米されました直前に牛場政府代表が参りまして、先方のストラウス交渉をいたしました直後でございまして、外務大臣がこの問題を避けて通ろうとされたのではなく、むしろアメリカ側考え方をさらに深く探るために先方の代表でありますストラウス代表ともわざわざ会談をされてこの問題を討議をされたわけでございます。先ほどちょっと言葉足らずでございましたので補足さしていただきます。
  68. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、アメリカの構成される国会、そうして当局、こういう立場が、分科会でも話をしましたけれども日本と少し違うわけですから、私はその対応というものを政府が真剣に考えなくちゃいけない。いま牛場さんの話が出ましたけれども、じゃ責任牛場さんがとるんですか。いまこれをずっときょうまでの過程を見ていると、だれが窓口になってだれが責任をとるのか。うまくいってなかったら、やっぱり責任とらにゃいかぬです、現時点では。そういう責任を持ってやはりきちっきちっとして対応されないといけないと思うわけです。  官房長官ね、時間ございませんけれども、結論的にいま話をしているわけですけれども、時間の関係で……。牛場さんの話が出たり、外務大臣の話とかいろいろ出ますけれども、私はきょうの段階では日本の案が拒否をされている。ここまでならなくてはならないそういう責任は、政府の中でだれにあるのか。この日本外交のやり方は、私は少々の間違いがあったのではないか。もし間違いがなければ、この問題を軽視して、おざなりに取り組んだのではないかというふうな気持ちがするわけです。  こういうことを含めて責任のある——官房長官も、あなたもその一員でございますけれども、実際にこの経過を通して見て、だれが責任をとってやらなくちゃいけないのか。これは私、政府アメリカを相手にする外交姿勢に大きな問題点がある、こういう観点から話をしているわけですけれども、その点、いかがでございますか。
  69. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 矢原委員が御指摘のごとく、私どもは実はこの問題がアメリカに拒否された、したがって決裂だというふうな考えは持っていないのです。これは国会で言えば継続審議みたいな形であって、これから合意した部分につきましては穴埋めをしていってそれを整理する。合意しなかった部分については短期間の交渉——これは長期的にはまさしく一九七六年からだということになっておりますが、政府調達、つまり電電の問題について具体的に大きくクローズアップしたのは今回でございまして、しかも、それは政府調達という電電公社関係は問題になっておりましたが、具体的な品目を挙げてきたのは——先ほど委員指摘のように、牛場さんや外務大臣が行ったときさえ、具体的な品目の挙げ方は、電電公社内部の本体についての細かい品目の指摘はしてなかったわけでございます。  したがって、それはその後三回の、しかも後半にそういう品目の挙げ方をしておるわけでございまして、それについては電電公社幹部方々とも御相談して、この部分はいい、この部分はいけないということで向こうに返事をしたわけで、今度は向こうからまたさらに言ってきた品目については、むしろこちら側が拒否したような形で、向こうの拒否のまま終わっているわけじゃなくて、向こうがまた指摘したのをこちらが、少なくとも三回目の会合では、もうこれ以上アメリカが、ストラウス指摘してもそれはできないというふうなことになっておって、それではこれから先二国間で話し合いを進めていこうということになっております。  したがって、私どもの反省は、日本国内情勢とか、いろいろなことのPRの仕方が足りなかったんじゃあるまいか。したがいまして、そういう面、あらゆる日本の事情をもう少しアメリカに主張して、あるいは説いていけばわかる点も出てくるんじゃないかということで、この問題を含めましてこれからの事務当局の折衝事項にしていこうというふうに考えておるわけでございます。
  70. 中野明

    中野明君 時間がありませんので、私関連して一、二点お尋ねして終わりたいと思いますが、せっかく官房長官おいでになっておりますので、最初にこの政府の調達額七十億ドルと、このように算定をされた根拠、何を根拠にこの七十億ドルと裁定されたか、それを最初に。
  71. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) もともと政府調達につきましては、政府調達のコードに対するオファーにつきましては、特に各国別に目標を当初から決めたということはございません。それぞれ各国が自分の中央省庁及びその政府の関連の機関のうち政府調達コードの対象として出し得るものを出して、その調達をしている額の比較が交渉の途中において行われたわけでございます。そのときに、これはいろいろ比較の基準はあるわけでございますけれども、たとえば各国のGNPに比較いたしまして、ある国は出し方が足りないとか、うちは十分出しているとか、そういったような議論が行われまして、その議論の一環として仰せのような数字が出てきたわけでございます。
  72. 中野明

    中野明君 時間がありませんので続けてお尋ねいたしますが、電電公社総裁が、わが国通信事業の混乱を招いてはいかぬということで、ずっと国会その他を通して筋を通して答弁をなさってきたわけですが、これほど心配されていることにつきまして、総理も、私は素人で技術屋でないからよくわからぬ、なるたけ公社の事業その他、日本の電気通信に支障のないように解決するために苦慮しておるというような答弁をなさっておるようですけれども官房長官が最終的に四月二十日に秋草総裁を呼ばれてお話をなさったとき、これは政府の命令として総裁にお伝えになったのですか、その間の事情をここで説明をしていただきたい。
  73. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 私が秋草総裁に官邸に来ていただいてお話し申し上げたのは、あくまで命令とか指示というような形ではなく、相談をするというようなことでございまして、その結果秋草総裁も、事務当局の話を持ってまいりまして、こういうここまでというような線もございましたし、私どもも、まあ交渉事でございますが、向こうに出す出さぬは別にいたしましても、やはり腹づもりというものがありますので、ぎりぎりの線どういうところまでということをお聞きしたまででございまして、秋草総裁が非常に思い詰められて、その後、私は正直に言って気がつかなかったわけでございますが、辞表を出されたことにつきましては、私も私の言い方、あるいは私は相談のつもりであったのだが、やはり相当ひどいことであったのだということを後から知りまして、私自身も非常に後悔しておりますし、できるだけこれからそういう点は気をつけて、あくまで日本の、わが国のことでございますので、いろいろ御相談という形でもう少し丁寧に相談を続けていきたいというふうに考えております。
  74. 中野明

    中野明君 結局官房長官、いまそのような言い方をされますけれども、専門家の日本の公衆電気通信責任を持っている総裁辞意を表明されるということは、これはただごとじゃないと思います。それだけ日本電気通信事業に影響があるということとしか受け取れないのですが、そこまで総裁が腹を決めて出された、そういうこちらの案がいとも簡単にアメリカの方で一蹴されるという、そういう情勢判断の甘さ、裏を返せば、結局今回のこのアメリカの真意というものがより鮮明になってきたわけですけれども、巷間伝えられているように、アメリカ企業の野心と、そして意図というものが明快になったと思うんです。  だから、この際こういう大切な国益に関するような問題は、国内の理解と納得というものが先決問題でして、話を詰める時間もかなりまだ時間的に余裕があるようですから、じっくりと白紙に戻して、一遍最初からやり直されたらどうだろうか。そして諸外国の例に見るように、もう通信機器については一切応じないと、そんな例は先進国にはないわけですから。それぐらいの毅然とした態度で対米折衝をされないと、これは足元を見透かされて、もうこれほどなめられた話はないんじゃないかと私ども本当に心外にたえません。  その点、官房長官の今後の決意、きょうは総理のかわりにおいでになっておりますので、長官自身技術的なことはそんなに専門家じゃないからお知りにならないと思います。このままでいったらもう公社の関連企業二千三百社ですか、もう大変な混乱と影響を与えることも必至でしょうし、そういう点を含めて今後のいま私が申し上げましたことについて、官房長官の決意をお聞きして終わりたいと思います。
  75. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 今後は、いままでもそうでございましたが、今後とも十分この問題については気をつけて、委員指摘のような態度でまいりたいと思います。
  76. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 きょうは、総理が訪米前に国民の声をちゃんと聞いて訪米をしてもらいたいということで本委員会が開かれたわけですけれども、残念なことに総理の御出席が得られない。   〔委員長退席、理事案納勝君着席〕 きわめて遺憾だと思っております。  最初に、官房長官にお聞きをしたいんですけれども東京ラウンドをめぐって、特に本委員会で問題になっております電電公社の全面開放の問題というのが大問題になっておるわけですが、まずお聞きしておきたいと思いますのは、日本の国の、日本外交の姿勢ですね。日本外交の姿勢として、当然対等、平等、自主性というものを確立するということ。それから、経済主権の確立ということが不可欠だと思うのですけれども、まず、内閣のそういった点での基本姿勢についての御見解を最初にお聞きをしたいと思います。
  77. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 私どもの大平内閣の姿勢は、御承知のように信頼と合意というキャッチフレーズに象徴されていると思いますし、わが国の外交姿勢そのものとも合致するんじゃないかと思いますし、国際社会の信用を得て、そしてわが国国益とそれがマッチするというようなことで考えていきたいというふうに考えます。
  78. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、信頼と合意ということだけであって、わが国経済主権の確立、あるいは外交の自主性というふうなものについてはお考えになっていないんですか。
  79. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 独立国家である以上、外交の自主性というのは当然のことだと思います。
  80. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 当然のことだから、基本姿勢としてお聞きをしているわけです。  そこで、ちょっとお聞きをしたいんですが、昨晩の夕刊によりますと、アメリカ日本案を全面拒否と、   〔理事案納勝君退席、委員長着席〕 電電公社の門戸は一〇〇%の開放を要求するというふうに報ぜられております。けさの報道によりますと、政府関係筋では、通信機器の本体の一部を含む七十億ドルを最終案としてこれ以上譲歩しない。こういうふうに報道されております。これは堅持する方針ですか、内閣としては。どうですか。
  81. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 堅持する方針です。
  82. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 念のためにお聞きをしたいんですが、総理が訪米をされて一〇〇%押しつけられてくるというふうなことは絶対にないでしょうね。その辺はどうですか。
  83. 田中六助

    国務大臣田中六助君) カーター大統領と大平総理の間、つまり両国の首脳会議の中にはこの問題は取り上げられない方針です。
  84. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 取り上げられないということは、絶対に押しつけられてくるということはあり得ないと、ないということに受け取ってよろしゅうございますか。
  85. 田中六助

    国務大臣田中六助君) したがって、仰せのとおりになると思います。
  86. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、総裁にちょっとお聞きをしたいんですが、そのいわゆる、これ以上譲歩をしないと政府がお決めになったと言われております七十億ドルの中身ですね、それの電電公社に関する内容については了解済みでございますか、電電公社は。その点、どうですか。
  87. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 了解済みというのは、だれと了解、私と了解だったらば、官房長官の説得に応じたわけでございますが、私は辞意を表明しておりまして、大変な中身をはらんでおります。大変な重要な……
  88. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 総裁、もうちょっと声を大きくしていただきたい。
  89. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 官房長官の説得に私が応じたわけでございます。その内容は、もう私たちがとうていのめないような品物が入っておるという意味で、いわゆる辞意を表明したことでございます。ですから、いま出してある案も大変な案であるということだけは申し上げておきます。私たちから見れば。
  90. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、政府がこれ以上譲歩しないと言っているいまの七十億ドルというのは、総裁立場で言うたら了解をさせられたと。しかし、中身は大変なものが含まれていて大変なんだと。率直に申し上げたらそういうことですか。
  91. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) はい、そのとおりでございます。
  92. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、電電公社が公開に対して非常に強い反対をしておられたというのは、過去の経緯も私どもそれなりに存じ上げているわけです。  で、総裁辞表まで提出をされるというほどの大問題だというふうに受け取っているわけですが、ちょっと端的にお聞きをしたいんですが、短時間ですので簡潔にお伺いしたいと思うんですが、公開によるデメリットですね、電電公社としてやれないというふうにいままで言ってこられたその背景というのは、やったらこういうデメリットが起こると。これは大変だということで強い反対をしていらっしゃったと思うんですが、公開によるデメリットというのはどういうものがあるか。主なものだけで結構ですから、ちょっと簡潔に。
  93. 前田光治

    説明員前田光治君) この委員会でも前にるる御説明を申し上げましたが、ごく簡単に申し上げますと、種々の機械が混在をいたしまして、公社の大きな仕事であります保守、建設、設計といった作業の能率が著しく低下をするという問題、したがいまして、それが間接的にサービスのコストを上昇させるであろう。  それから、これを無理に統一しようといたしますと、購入時の仕様書の公開を通じて、現在までに蓄積してまいりましたノーハウが、日本の製造業者の競争相手にただで流れていってしまうという問題。  それから、特注品であります電気通信設備、このようなものを競争入札で購入いたしますと、発注がきわめて一つの製造業者にとりまして不安定になりますので、結果的にコストが上昇するという問題。  それから、非常に多数の件数に及びます購買の手続というものを、非常に複雑な公開の国際競争入札ということをとりますと、それに対する人員、経費、それから所要期間が非常に長くなりまして物品の円滑な調達ができがたくなるということ、したがいまして、それによって現在のような円滑な建設工事の実施が困難になりまして、国民の要望に弾力的に適応していく電話の需給関係の維持ということが困難になってまいるということ。  それから最後には、先ほどから何人かの先生から御指摘ありましたように、中小企業を初めとする製造業界、こういうところに大きな影響があるであろう、そういった点でございます。
  94. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、そういうデメリットというのは、コストの面、あるいはサービス低下の面、中小企業はもちろんのこと、中小企業あるいはそこに働く労働者の問題を含めまして、国民に対して非常に大きな負担増になるというふうに思うんですが、結果的にはそうなりますね。
  95. 前田光治

    説明員前田光治君) この辺の今後の影響等につきましては、最終的な妥結点がどういうことになりますか現在不明でございますので、具体的に的確に申し上げるわけにはまいりませんが、われわれも国民に対して、今後かかる御迷惑がなるべく最小限で済みますように、あるいは関連の製造業界に対する影響もなるべく少なくて済みますように、それからこれの実施には今後まだ時日がございます、それから八一年一月から全部を一斉にやらなければならないということはございませんで、ある期間を当然かけて徐々にやっていくといったようなことから、その間に知恵をしぼりまして、それから関連の方々の御指導、御協力も得まして、国民に対する影響並びに業界等に対する影響が最小になるような方策を今後講じてまいりたいというふうに考えております。
  96. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは答弁としてはそう言うのは当然だろうけれども、いまおっしゃったように、保守、建設、設計等の問題、それから複雑な多種類の問題の発注による人件費の増、あるいはコスト高、技術の流出というような、いまの下請関連の中小企業並びに労働者を除きまして、電気通信事業に関する部分だけを見ましても、これはどこからも補償されるわけではないので、当然利用者に転嫁をされていくということ以外に道はなかろうと思うんですが、これはその過程で、ある程度の合理化等によって軽減を図るという問題はあろうと思いますけれども、現状よりも軽減されるのか、あるいは現状よりも負担増になるのかというふうに見ればどっちになりますか。
  97. 前田光治

    説明員前田光治君) 現在のままのやり方で移行いたしますれば、当然現状よりは悪化をするということに相なるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、われわれもいろいろの知恵を現在考えつつありますし、今後期間のあることでありますので、知恵をしぼりまして、その影響が最小限でとどまるようにいたしたいというふうに考えております。
  98. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと聞き方が悪かったんですかな。  オファーしたら現状よりは悪化するということはもう明確ですね、負担増になるということは明確。その負担増をどれだけ緩和するかということが今後の努力だと、こういうふうにおっしゃっておるというふうに受け取ってよろしいですか。ちょっと話がわかりにくい。
  99. 前田光治

    説明員前田光治君) これは、現在はわれわれは国際的な競争入札という手続を経て物品を買っておりません。それでございますので、現在の仕事のやり方、体制等のままで新しい事態を受け入れていくということになりますと、当然のことながらそこには能率の低下、あるいはコストの上昇といったような問題を生じてまいります。したがいまして、そういう新しい事態に適応し、そういう事態の影響を最小限にとどめるような方策、対処策というものをこれから鋭意考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  100. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ結局、いろいろとおっしゃっておられて、国民に負担増やサービス低下というふうなものが起こる可能性を考えておられて、それをどう緩和していくかということなんだけれども、そのデメリットの総和というのは、結果的には利用者である国民に負担増なりサービス低下という犠牲を強いるという結果になることはもう明らかだというふうなことなんですね。違うんですか。あんたの説明もっと端的にしてくださいよ、違うんなら違う、そうならそうだと。
  101. 前田光治

    説明員前田光治君) 国際競争入札のもとで電気通信設備を買って運営をしたという経験のある先進国は、世界じゅうにまだございませんので、われわれもこの影響がどの程度になるかということをこれから真剣に推定をしておるわけでございますけれども世界じゅうに類例のないことでございますので、今後まだ時間もございますので、その影響を最小限にするのが公社の義務であるというふうに考えております。現在の段階では最終妥協点もまだ明確でございませんので、その影響がどの程度になるかということの推定は残念ながらまだわれわれにはできない点でございます。
  102. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 電電公社のサイドであいまいな物の言い方をしていたら、この大事な論議をしているときにあかんのですわ、実際。そうなんですよ。国際入札を、国際的にオファーしてやった経験が世界じゅうどこにもないんだから、いまよりは有利になりますか不利になりますかと、国民の負担とかサービス問題で。どっちになるんやということを聞いている。有利になるんやったら、こない目に角を立ててやる必要ないんですがな。総裁何で辞表を出したんですか。何を言うとるねん、あんた。いいかげんにしなさいよ。はっきりしてください。
  103. 前田光治

    説明員前田光治君) どうも今後の事態は、そのようにまるきり世界じゅうで先進国が経験をしたことがございませんので、はっきりさせろとおっしゃられてもはっきりはいたしませんけれども、われわれはいままでの経験から推定しておりますところでは、何らの対処策なくこれに移行すれば当然能率の低下、コストの上昇等は来すものというふうに思っております。
  104. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでね、白浜郵政大臣にちょっと一言聞いておきたい思っておるんですよ。いま大概言いにくい言い回し方をしてこられたけれども、やはりコストの上昇、それからサービスの低下というものが起こるということはもう内部では明らかなんです。そういう国民に犠牲を押しつけるというふうなことになっておるというこのデメリットを、大臣としては御承知の上で公開に踏み切られたんですか。新聞等の情報では、大臣踏み切られたという情報が出ていましたね、ある段階で。その辺はどうですか。
  105. 白浜仁吉

    国務大臣(白浜仁吉君) どこまでの点を御指摘されたかわかりませんけれども、いろいろ電電公社の諸君と連絡をしながら私どもも作業を続けておったわけですが、先ほどからいろいろ問題になっておりますちょうど二十日の場合には、私、逓信記念日で外で仕事をしておって、あいにく官房長官から総裁が呼ばれました際に、私、急な場合で連絡がつきませんで、後刻になって総裁から御報告を受けまして、私も前々から急ぎの場合には責任を持って処理をしてもらいたいということを総裁にも申しておりましたので、そのことを事後承諾をいたしたということでございます。  したがいまして、いま御指摘の点については、私どももあらゆる場合を考えてみますと、国民に対するサービスの低下、あるいはまた、したがいまして料金などの問題もコスト高になるだろうというようなことは、るる電電公社の方から説明を承って、そのように理解をしておるところでございます。
  106. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 先ほどの沓脱先生の大変きわどい御質問に対して、私、もし誤解があってはいけませんので補足させていただきます。  この回答案は一回、二回とありまして、一番先には牛場さんがお出かけになるときに、これは公表してもうはっきりしておりますから、千二百億——六億ドルのかばんを持って行かれたが、すぐ談判をされて帰ってこられた。その間、いろいろと各方面とも合議しまして、大臣とはもちろん、関係の皆さんと大変な気持ちで練りまして、これぐらいが限度だということで政府にお見せして、これならいけるだろうと政府の方もかなり評価してくださったんですが、やはりこれでも足らないと。  そのときの話は、官房長官と私、急場に会いまして、官房長官の声が大きいとか、われわれをもう非常に脅迫するとか、そういうことじゃなくて、まあ一つのわれわれが譲るべからざるものを譲らざるを得ないという気持ちは、一面もっと高い視野の、外交上の国家的な大きな問題もあろうという、しかし、これは私としては電電公社だけを責任を持っておる者でございますから、とても譲られないものであると、その窮地に立ちまして、私は御返事は申し上げましたけれども、単独でこういうことをせざるを得ないということは大変申しわけないということで、帰って大臣におわび方々御報告すると同時に辞意を表明したという次第でございます。ただ単に、説得はうまかったかと、声が大きかったかと、そういうようなことで私が譲るべからざるものを譲ったのではないということだけを御承知願いたいと思います。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いま総裁の補足説明ありましたけれども大臣、そうすると、電電公社からはデメリットについてはるる説明を聞いてよう知っておったと、しかし、公開には踏み切ったということですか。非常に大事なんですよ。アメリカにはべったりするけれども国民の方は知らぬ顔という態度をとられたら、大臣、因るから聞いている。はっきりしておいてくださいよ。
  108. 白浜仁吉

    国務大臣(白浜仁吉君) 私は、内容につきましては残念ながら詳しいことを知りませんけれども、前々からの秋草総裁との話し合いもありましたので、最後の場合には、私は事後承諾の形でこれを承ったということでございます。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんからね。  それで、諸外国の実情から見て、世界じゅうで初めてやるというようなやり方をせぬならぬわけでしょう。国民に重大な犠牲と負担を強いる結果になるということはいま明らかになったんですが、そういうことが明らかになりながら、アメリカから押されっぱなしで譲歩に譲歩を続けるというかっこうは、国民立場から見ますと、これはもう経済主権の確立などをやっている、あるいは外交姿勢に自主性はあたりまえのことだと官房長官言われたね、そういうものがあるという、確立されているというふうには国民から見たら見えないですよ、実際。だから、そういう点については、いろんな報道でいろんなことが言われているんですが、これは四月の二十四日号のエコノミストの「展望」のところにも、その点、実に端的に述べられています。  ちょっと紹介しますと、「政府は、もっぱら日本輸出立国型の閉鎖的市場構造を、どの程度、開放したら米国側のホコ先を和らげることができるかと、一時しのぎの対応策に血眼になっているようにしかみえない。」、これは国民の見るところと全くそのものずばりの御意見ですよ。「その上、首相訪米前に、経済上の懸案を片づけるという、まるで、せっかくの交渉力を自分で台なしにするような方針をとり、ご丁寧にも、この首脳会談とそれにつづく六月の先進国首脳会議の下打ち合わせに、外相を訪米させたため、何のことはない、外相はもみ手をして勝手口に現れる御用ききのような役柄をワシントンで果たしてしまった。」と、ここまで言われているんですね。国民の目というのは非常に厳しく政府の対応については見ておりますよ。  そういう点で官房長官、ちょっと聞きたいんですが、冒頭、独立国であればあたりまえだと言われた点が、きわめて国民の目から見ると大変な状況になっておる。その点でよほど内閣の背骨を立てていただかないと、さっきみたいに、さっきどなたかの質問で言っておられたけれども電電公社関係は温室育ちだから、よその業界は一ぱいその被害を受けていたけれども、今度初めてだから大騒ぎしているんでやむを得ないみたいな話、そんなことを言ったら、もう日本の独立国たるのゆえんなくなりますよ。  その点で、先ほどから何遍も話に出てきますように、日米間の経済摩擦の問題というのが原因は何なのかという点をもうすでに解明済みなんですよね。世論化していますわ、この点については。私が特別に言わなくても、そうでしょう。明らかにアメリカ経済の危機というのは、外国籍企業等の海外資本の投資、それから非常に広範な軍事援助、それから国内インフレによるドル安、そういう状況というのはアメリカ自身が直面している経済危機でしょう。  で、日本側はどうかと言うたら、それに拍車をかけるように自動車、電機等の集中豪雨的輸出、これはもう従来から大問題になっている。この集中豪雨的輸出をやるために労働者や中小企業、下請等に対して盛んにいじめ倒して、そしてどんどん集中豪雨的に輸出をしている。こういうことが問題になってきているし、原因として明らかなんですね。  で、私は、そういう点で、少なくとも日米間の経済摩擦に終止符を打つという立場を確立していくための内閣の姿勢というのはきわめて大事だと思っております。その場逃れで押してきたけれども、ここまででやっと食いとめました、いや、これはあかなんで、もう一遍押し返されまして泣きましたというような、こんなことを何年続けているんですか。これはもう歯どめをかけなきゃならぬ。それは内閣の姿勢をどうするかと、背骨をどう立てるかというところにきわめて大事な点があるし、そこへ来ていると思うんですね。少なくともアメリカ経済の危機を進行させたアメリカ自身に、自分たち責任は自分たちにちゃんと解決きせるように責任をとらせるべきですよ。その点を明らかにしていくということが経済主権の確立であり、外交の自主性の確立だと思うわけですよ。  それからもう一つは、国内的に従来からわが党がずうっと主張しておりますように、大企業に対する民主的規制、それから大資本本位の金融財政の民主的転換、これをやって日本経済日本国民本位に転換をさせる、これをやるということでなければ、こういう方向にやはり背骨をお立てになるのでなければ、日米経済の摩擦に終止符を打って、対外経済関係の対等、平等、経済主権の確立というのはできないと思うんですね。  だから、そういう点で長官にお聞きをしたいんですけれども日米経済摩擦に終止符を打つために、こういう少なくとも背骨を立てていくかどうか、そういう点が一つと、当面している問題については見直しを当然はかるべきだ。その背骨を立てていくための出発点としてでも重大な問題なんだから、これは見直しを図るべきだというふうに思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  110. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 経済主権の確立とか大資本の民主的転換、あるいは背骨を立てるというようなお言葉が出ておりましたが、私は具体的にはどういうことかわからない点もございます。しかし、私どもはこの交渉を始めるに当たりましては、国益というものを第一に考えてやっておりますし、電電公社開放の品目自体につきましても、ぎりぎりの線を総裁に直接聞きまして、それ以上は譲ってはいけないという線で私ども交渉してまいりましたし、私ども交渉の母体、根幹は国益一本、それを考えてやっております。
  111. 木島則夫

    ○木島則夫君 時間に大変制約がございますので、ひとつ端的にお答えをいただきたいと思います。  まず確認をさしていただきたい。官房長官、これ以上の譲歩はできないというその枠、額、内容、これ簡潔におっしゃっていただきたいと思います。
  112. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 電電公社の調達の問題だと思いますが、その点はただいまも申し上げましたように、電電公社責任のある人々とお会いいたしまして、これ以上はどうにもならないというぎりぎりの線で交渉しましたし、それ以上のことをアメリカに譲るというような考えはないということで交渉に当たりました。
  113. 木島則夫

    ○木島則夫君 しかし、アメリカ側が受けつけないというか、拒否をした。しかし、政府は先ほどのお答えで、これで終わったのではなく、継続審議のようなものであると、こうおっしゃっております。そうしますと、継続審議をする条件というものは、これ以上譲歩はできないというぎりぎりの線を持って当たるのか、あるいはこれからの継続審議の中で事態が明るく展開をしていくのか、平行線をたどったまま先行き全く見通しがつかないのかどうなのか、やっぱりこの辺は大変大事ですから、ひとつ政府の見通しをきちっとしていただきたい。
  114. 田中六助

    国務大臣田中六助君) この問題は、私が継続審議と申し上げましたのは、非常に短時間の間の交渉事でございましたので、私どもの見解、日本の国情、そういうものにつきましてPRが足りない、あるいはその理解の深め方、あるいは説得力、そういう面でまだまだ精力的にやらなければならないという悔いが残っております。したがって、そういうものを含めましてこの問題を長期的、あるいは短期と申しましても、ある程度時間をかけてやらねばならないというふうに考えてこれを継続審議というふうな表現をやったわけでございます。
  115. 木島則夫

    ○木島則夫君 短期間の交渉事であるからこれから時間をかけてというお話のようでありますけれど、政府がつまりこれ以上は譲れないというそのこれ以上、政府は事の重要性というものをどう認識されているか。先ほど秋草総裁とのお話で対比をしてみますと、現場にいらっしゃる方々は、大変なこれは容易ならぬ事態だという受け取り方をされている。この間に私は大きな格差とずれがあるように思うわけですね。どうですか。  秋草総裁にお伺いをいたします。こういう際でございますから端的に私伺わさしていただくわけでございますけれど、どうでしょうか、政府関係者秋草総裁とこの問題についてひざを交えて何回ぐらい、いつの時点からお話をされて、それは先ほど命令ではないとおっしゃっていたけれど、全く白紙の状態から電電の御意向をくみ取るような形で行われたものであるかどうか。これは非常に大事でございますから、一応私伺いたいと思います。
  116. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) まず、政府関係者と申しますと、郵政大臣でございますね。それから、牛場さんには大臣時代から私はもう七、八回は会っております。
  117. 木島則夫

    ○木島則夫君 七、八回……。
  118. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) はい、七、八回は会っております。それから外務次官、経済局長は表敬程度、こういう部屋でしょっちゅう会っておりますけれども、この話を議論したことはございませんけれども、私以外の担当の者は外務省の方だとかしょっちゅうレクチャーをしたり、極端には現場にも一、二回御案内申し上げまして、外務省の方でございますから、通信事業というものはこういうものだということで初歩の説明から始めたという努力もしております。これはもう昨年の夏、秋ごろでございますけれども、大変外務省の方にはそういう勉強をしてもらったこともございます。  政府関係者と申しますと、総理にはもちろん一回、二時間ぐらいゆっくり私が、これは大分前になりますけれども、二月かどうか定かではありませんけれども、大分前でありますが、ゆっくり聞いていただいた。通産大臣にも三十分ぐらい私が説明、陳情を申し上げました。
  119. 木島則夫

    ○木島則夫君 あなたの意向は聞かれたのかどうかということです。
  120. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) もちろん、当時はここまで追い詰められておりませんから、申し入ればよくわかったと、非常に大事なことだと言って、非常によくわかったということで反対の意向などは毛頭ございません。そのほか政府関係者ですね……。
  121. 木島則夫

    ○木島則夫君 もうそれで結構ですよ。  よくわかったというその言葉で、いま秋草総裁のお言葉でございますけれど、つまり政府がお決めになった対米交渉アメリカとの交渉の枠というものは現場段階で考えると、とてもとてもいまの秋草総裁のよくわかったというお言葉からは私はほど遠い格差をいま感じて、ずっとここで大変なことだなあというふうに自問自答をしながらいま伺っていたわけです。  そして、秋草総裁にもう一度伺いますけれど、外務省の話ですと、門戸の開放がそのまま製品の購入につながることではないんだと、つまりそこでは国際入札という厳しい条件のもとで検査も行われるから、門戸の開放が即製品の購入にはつながらないということをおっしゃった。しかし、私はこれはちょっと甘いと思いますよ、はっきり言って。どうですか、こういうことが実際できますか。
  122. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 理論的にはそういうことはあり得ると思います。それは日本産業界が非常に製品がりっぱで、しかも安くて規格に合っている。結局競争でございますから、条件が全く同じだとするならば価格ということが勝負だと思います。それはもう最高に日本産業がすぐれているということならば理論的にはそういうことはあり得ると思います。しかし、実際はいろいろ脱落も出てくればアメリカから買わなくちゃならぬものも出てくるかもしれません。その辺はわかりません。国際競争契約というのは私はそういうものだと思っております。
  123. 木島則夫

    ○木島則夫君 それは確かに理論上は外務省の方のおっしゃるとおりだとぼくは思いますね。しかし、実際的にはそんななまやさしいものではこれはないと思う。  そこで郵政大臣に伺いたい。先ほどから同僚委員の質問で、どうしてもサービスの低下とか、負担増を強いることになりはしないだろうか、そういう危惧がこれから当然起こってくることもこれは予想しなきゃならない、これは私も当然だろうと思います。  そこで、この委員会でもたびたび論議をしてきた、いわゆる電電公社が五十二年で積滞を解消しましたね。これからは国民の多様なニーズにこたえて、安定した経営のもとにきめ細かなサービスをしなきゃならないということが、これから先の電電公社の経営方針であるということも、私は秋草総裁からも、郵政大臣からもきちっと確認をとっています。そうすると、これからは国民の多様なニーズに応じて、安定したきめ細かなサービスをしなきゃならないというこのことと、これから起こり得る事態の中で、私はやはりそごを来す、そういうことができない可能性も十分あるということは、郵政大臣としても当然お考えになっているんじゃないだろうか、いかがですか。事態をどの程度の御認識を持って受け取っていらっしゃるか。
  124. 白浜仁吉

    国務大臣(白浜仁吉君) 私は、ある席でも申し上げたかとも思いますけれども日本人の何といいますか、気短な要望と申しますか、そういうものを考えました際に、われわれが欧米人を黙って見ておりまして、規格が一つここにそろわないということによりまして、先ほどから故障の補修と申しますか、そういうようなことをする際にも、いままでは一時間でできておったものが十時間もかかった、二日もかかったというふうな事態が私は多分起こるだろうというふうなことを想定をするわけです。これは私の素人考え、素人見かもしれませんが、どの程度にそれが及ぶだろうかということをお尋ねされても、私としてはなかなか答えることがむずかしいということでございますが、非常にそういうような点でのサービスの低下はこれはやむを得ないんじゃないか、起こる可能性があるのではないかというふうに心配をいたしております。
  125. 木島則夫

    ○木島則夫君 しかし、郵政大臣としては大局的な、つまり国際的な、あるいは政治的な観点から、そういうふうな問題が起こっても、ある程度冷たい風に電電公社をさらすことで、さらにさらに体質が強くなることの方が優先されなければならないという御方針でございますか。
  126. 白浜仁吉

    国務大臣(白浜仁吉君) 私は甘い、辛いとかという問題を離れて、電電公社の公衆電気通信という大きな使命というものを考えますと、やはり独立国家として国防上から見ましても持っていなければならない何といいますか、独立権というものを考えますと、これはなかなか簡単に外にさらすだけが能ではないという考えをいまだに持っております。しかし、御指摘のとおり外交の問題でございますから、私どももこれはどういうふうに耐えていくかということが最高首脳部で考えられますというと、私どもはその結果を見ながら対処していかなきゃならぬということを先ほどから電電公社技術局長も申しておるようなわけでありますが、なるだけ被害が少ないように、被害という言葉が適当かどうか知りませんけれども、そういうようなことがないように努めてもらいたい、外交折衝をしてもらいたい、ひたすらにそれを念願をいたしておるところであります。
  127. 木島則夫

    ○木島則夫君 官房長官はどういうふうにお受けとめでございますか。要するに一般論としましては、それは筋論としては門戸開放、これはもう結構ですし、これはもう当然だろうと思いますよ。しかし、いわゆる通信機器、つまり一国の中枢神経に当たるようなそういう公衆電気施設、こういうものを、肉とかオレンジと同一視をするような形で経済的、あるいは政治的に決着がつけられて果たしていいものだろうかということが先刻以来ずっと、これから起こり得る深刻な問題も含めてここで議論をされているわけですね。  官房長官ね、現場段階でお考えになっているつまり事の重要性と、あなた方がいわゆる国益と称して御判断になる御判断の間には、やはり大きな私は格差があるということをここの席でいまはっきりとくみ取ったわけです。これをどう埋めていこうか。まあ郵政大臣、いま評論家的なお立場でお話をされたような感じを私は受けたんだけれど、ひたすら願うというんじゃなくて、あなた自身がやっぱりこれはやってもらわなきゃ困るわけですから、官房長官どういうふうにお考えですか。  つまり、現場段階で受けとめる事の重要性と、あなた方が経済的、国際的、政治的に判断をしたその結果というものの間に大きなずれが生じているというのがここでの一貫した議論です。それをどういうふうに埋めていくか、これはいろんなこれから問題が出てくるだろうと思いますけれど、そのことの認識を初めから官房長官はお持ちでこの問題に取っかかっていただいたのかどうか、この辺ひとつ伺っておきたいと思う。
  128. 田中六助

    国務大臣田中六助君) もちろん、あなたの指摘のような考えを持って折衝に当たっております。したがって、技術者を含めまして総裁、副総裁の御意見を聞いたわけで、譲れるぎりぎりの線はどこまでだと、譲れないのはこれこれだということをはっきりお聞きして、譲れる線までアメリカに提示したわけで、アメリカがこれを拒否した、何とかならぬかということをまた言ってきたことに対しまして、それ以上は譲れないと、拒否という言葉を使うならば、私どもが最終的な態度を向こうに提示したわけでございますので、むしろこちら側の方が拒否したと言えるというふうに私は思っておりますし、ちゃんと技術者を含めました電電公社の見解を聞いておりますので、それは非常にシリアスな問題だということはわかっておりますが、技術的にもあるいは政治的にも、そういう方向でアメリカと折衝したということは言えると思います。
  129. 木島則夫

    ○木島則夫君 いまお話を伺いまして、つまりそのことの認識の上に立っておやりになったと。そして、日本はもうこれ以上譲れないんだという、そのこと自体は精いっぱいの御努力ではあろうと思いますよ。あろうと思うけれど、現場段階に立つと、これ以上譲れないんだという御努力そのものが、死ぬか生きるかというくらい大きな問題に、つまり現場にはのしかかってくるんだという、この辺の私は認識を本当に踏まえて外交交渉をなさったのかどうかということをやっぱり厳しく御指摘を申し上げたい。そして、これから継続審議がもし続けられるとするならば、今後の折衝の中で、どうでしょうか、アメリカ本当に説得をして、これ以上は譲れないというこれ以上から、もっともっと枠を狭めるような交渉という可能性ございますか、官房長官
  130. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 狭めるという意味は向こうが狭めるんですか、こちらが狭める……
  131. 木島則夫

    ○木島則夫君 こちらが狭める。
  132. 田中六助

    国務大臣田中六助君) それ以上のことは私どもアメリカの要求をのむ考えはございませんので、逆にこれ以上広げるというようなことはないと思います。
  133. 木島則夫

    ○木島則夫君 政府はこれまでの日米経済交渉におきましても、最初は繊維製品、次に家電、鉄鋼、そして今度は農産物、そして今回の政府調達物資と、アメリカ側に個別品目を各個撃破されてきたような形で着実に点をとられるというとおかしいですけれど、点をとられてきた。こういう個別品目を各個撃破されるようなことは、私はもうこれをもって終わらしていただきたいと思うわけですけれど、確かな見通しをやっぱり持たないといけないと思いますね。どんな個別品目を出してきても、それに対応できるような対応策がこれからは必要なんだと、さっき官房長官もきちっとおっしゃった。  今回の首相の訪米に際しまして、日米経済関係の新しい総合的調整プランというものを用意して交渉に当たって、こういった何か一見私どもから見るとばらばらで、政府部内でも意思の確認ができていないような、こういうことで塁を確実に一塁、二塁を明け渡していくようなことのないように私はお願いを申し上げたいと思います。それは要望として申し上げておきたい。  そして、秋草総裁に、あなたはあれですか、門戸を開放して、もし現在のお立場にとどまっているとしたら、関連事業あるいはその倒産、雇用問題など、とてもとても自分の手に負えないんだと、とどまってそんなことはとてもできやしないと、何をそこの面だけ私に押しつけるんだというお気持ちにいま変わりはないのか。そして、いや、そうじゃないんだと、これ以上説得をして、政府にもっともっと、いわゆる電電公社立場を申し上げるんだという、この席であなたはいま勇気づけられたり、それから事の重大性というものにお悩みとまでは私申し上げないけれど、お心の動揺みたいなものがもしあったとしたら、今後どの道を選択をなさるか、決意のほどをひとつ聞かしていただきたい。
  134. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 先ほどから木島先生電電公社総裁のような気持ちで、私が経済評論家のような……。私自身はもう四十数年こんなような商売をやっておりまして、かつて資材を担当したこともございます。もう本当に思い半ばに過ぎるぐらい電電公社の資材というものはなかなか説明しにくいということは何回も申し上げております。それだけに世論の支持をなかなか得がたかった。しかし、ようやくことしになってからかなりおわかりいただいて、国会でも随意契約というものはときどき論議の種になりますが、私はその競争契約というものはメリットはあると思います。したがって、まだ競争契約の方がいいというものは、うちでも六%ぐらいのものは競争契約のものをやっております。  しかし、この電気通信の資材というものは、何らかの意味でどうしても競争契約になじまないということは、るる細かい説明をすれば切りがありませんけれども、体験的にもうできておるわけです。その証拠に、世界どこの国でも、先進国でこの通信機材を競争に出している国というのはないんです。なぜ電電公社だけが世界開放する、閉鎖的だと言われるのか。  ドイツなどは日本以上に閉鎖的で、これは閉鎖的という、悪く言えば。それは閉鎖的ということは、やはりそれが正しいんであるというために国がそういうふうにやらしておるんでありまして、英国もそうです。英国は一遍はこれは労働党内閣で競争契約にしたらどうかというんで、一九六八年でしたか、二、三年競争契約に打ち出しましたけれども、やっぱしこれは失敗でございまして、機械のばらつきが出る、工程がおくれる、積滞がだんだんふえちゃうということで、また改めて現在の随意契約に直している。  本当に、この点の思い半ばに過ぎるぐらい、この随意契約をやめて競争契約にした場合の手続から後に起こる自後処理、木島先生は端的に現場でこれを体験した場合にいろんなトラブルというものを想像できるかとおっしゃいましたが、その点は本当に、仮に品物が入ってきてもなかなかわれわれが見れば——普通の素人が見れば全く同じような機械であっても、電電の仕様でございますから、外国製品買うんじゃないんです、電電の仕様でつくらせるんでございますから、一応ちゃんとできておるように見えますけれども、電気通信のようにデリケートな、非常にミクロの世界を追っていくような、先ほど大木先生がおっしゃったように、市外通話などは何百接点というものを通っていくわけですから、そういう点に一分の故障があってもすぐ大きなトラブルが出てくる。そういうことを考えると、世界各国が協定したわけでも何でもないけれども、皆アメリカを初め全部が随意契約でやっているということで、これだけでも非常にわかりいいと思うんです。  そういう意味で、私は大変な——今度の問題は初めから終始一貫、この問題を説いて訴えてまいりましたけれども、しかし、一応外交の問題がございますから全部開放しないというわけにはいきません。毎日数字を足して、これがもう最後だと。これをみんなやればデメリットはございますよ、多少のデメリットはある。しかし、それは大きな外交上の問題だからひとつ忍ぶだけ忍ぶ。最後に私が官房長官に呼ばれましたときは、それでもまだ足らないというので、もう少し中身のいいものを欲しいということで言われましたので、これは一大事だなと。  しかし、私と政府との立場考えますと、これは何かやはり問題をはらんで、まあいろんな問題を私は考えました。大きな国家上の危機でもあるということも考えましたけれども、今日までの電電公社のこれだけの成果と歴史と、また従業員に対する気持ちと、あるいは関係業者の方々、あるいは今日までこの数カ月いろいろな努力をしてくださった皆さんに対して大変申しわけないという気持ちが積もってああいう決意をせざるを得なかったということでございます。そういうことでございます。
  135. 木島則夫

    ○木島則夫君 結構でございます。どうもありがとうございました。大変立ち入って恐縮でございました。
  136. 青島幸男

    ○青島幸男君 続いて御質問申し上げますけども、お話の中に通信機器の本体の一部を開放というような言葉が再々出てまいるんでございますけれども電電では、本体というのは大体どういう部分を指しているのかというのが、私大変明確に把握できないんで、その点御説明いただきたいと思います。
  137. 前田光治

    説明員前田光治君) 今般この問題がアメリカといろいろ問題になるに至りまして、本体というような言葉が出てまいったわけですが、それ以前、これはアメリカ及び日本におきましても、われわれ電気通信関係の専門家の間で、本体とか本体でないものという議論はございませんでした。アメリカの言うところを見ておりますと、要するに電気通信設備、端的に言いましたら、電話サービスをやるのに必要な品物というふうに解釈されますので、そういう意味で申し上げますと、われわれ電電公社といたしましては、加入者のお宅にある電話機から伝送設備を通り交換設備を通って、それからまた相手のお宅の電話機に至るというこの一連のものがございませんと、電話はどこが欠けてもできませんので、その全体が本体であろうというふうに考えております。
  138. 青島幸男

    ○青島幸男君 つまり末端から、リレーから、ワイヤーから全部包含して本体と、こういうことなんですね。
  139. 前田光治

    説明員前田光治君) 加入者のお宅にある電話機から電話局等を経て加入者のお宅にある電話機に至るまで、その間に接続されておりますすべてのものを本体というふうに考えております。
  140. 青島幸男

    ○青島幸男君 それじゃ、全部ですね。
  141. 前田光治

    説明員前田光治君) 電電公社の購入しております品物には各種のものがございまして、いま私、本体と申し上げましたのは、その電話機から相手の電話機に至るまでに電気的に接続されておりますものでございますが、それ以外にもいろいろ多くの種類の物品を電電公社は購入をいたしております。
  142. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、その通信機本体以外のものだったら、多少違ったメーカーの製品が入っても事業に支障を来さないというようなことも考えられるわけですか。
  143. 前田光治

    説明員前田光治君) 所定の仕様書規格を満たしてさえおれば、メーカーが違うとか、あるいは外国製品であるとかということがあっても、実質上支障を生じないという種類の物品はもちろんございます。
  144. 青島幸男

    ○青島幸男君 そういうものを総合して、多少本体の機器の部分に、本体の部分に入っても、このぐらいだったらもうしようがない、ぎりぎりだというのが、総裁が先ほどおっしゃられた六億ドルぐらいがもう目いっぱいの限度だろうというようなことだったと私受け取っておるんですけどね。新聞報道によりますと、二十億ドルかそれ以上であがないをつけていかなきゃならないということになりますと、何をどれだけ買うかというのは私もわかりませんし、いま電電にそれを明らかにしろと言っても無理でしょうけども、二十億ドルというようなことになりますと、それを即座に調達して組み込んだら電電の機器の何%ぐらいに当たりますか。
  145. 前田光治

    説明員前田光治君) いま全く仮定の数字として二十億ドルという数字をおっしゃいましたけれども、現在すでに電電公社に既設の設備が非常に大量にございます。それから、今後この政府調達規約が適用され発効いたしますのが八一年一月というふうに聞いております。しかも、当然これらのものを一挙にやるということは、これは実質上、実務上できない、不可能なことでございますので、徐々にその率を上げていくという形になりますので、当初はさほど大きな比率にはならないと思いますが、最終的には年間、その一年度をとってみますと、その一年度内に買うもののうちに占める、たとえば仮定の数字として二十億ドルというのは相当大きな数字でございます。
  146. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうなりますと、これもことし限りで終わるとかという話じゃございませんで、こういう黒字が続く限りは年々こういうことで押しつけられてくるケースも出るわけですから、これにとどまらずに、これが習慣といいますか、経常的に押しつけられてくるということになりますと、その影響ははかり知れないものになるんじゃないかという気がして、その辺が総裁も頭を痛めていらっしゃるところだとも思うんですけども、この門戸開放をいたしますと、わが国通信事業体系そのものにかなり、郵政大臣これ、変革といいますか、基本的な影響力が出てくることは避けられないと思うんですけどね、そうなった時点でどういうふうに対処していったらいいんだろうかという青写真みたいなものをもうつくっておく必要があると思いますね、これ拒否できないことだったら。そういう御用意がおありになるんでしょうか。
  147. 白浜仁吉

    国務大臣(白浜仁吉君) いまの段階で青写真をつくっているかと言われましても、いま折衝中でございますし、先ほどから官房長官も繰り返しお答えしておりますとおり、いま折衝してどの程度でここへおさまるかという見当もつかないところでございますから、これは非常に青写真をつくっているかつくっていないかということを言われましても、私からとても申し上げる段階ではないし、また電電公社の方もそのことはお答えできないかと思います。御了承願いたいと思います。
  148. 青島幸男

    ○青島幸男君 結構でございます。そうだろうと思います。膨大な影響が出てくるので、電電それ自体もまだ額もはっきりわからないうちから私こういう質問するのも、私の方が無謀なのかもしれませんけども、ただ先を憂うる余りこういうことを申し上げるので、その点御了承いただきたいと思うんですけども。  事ほどさように大変大きな影響を持ってわれわれのといいますか、通信業界に影響を及ぼしてくるわけですけども通信業務に。しかし、政府調達のもともとは、政府調達物資の開戸開放というのは東京ラウンドという多角的な貿易交渉のテーブルに乗ったテーマでありまして、日米間の別個の、個別の問題ではなかったはずなんですけども、いつの間にか日米問題にすりかわってきているというふうに経過的に私はのみ込んでいるんですけども官房長官、これはどういうことでそういう経過になってきたんでしょうか。
  149. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 青島議員御指摘のとおりに、東京ラウンドの中の問題でございますが、日米間の問題でもあるのは、御承知のように経常収支の黒字幅の増大、それを解消しなければならないということが大きな問題になっておりまして、それがひいては個別品目との折衝ということになっておって、東京ラウンドと切り離すということじゃなくて、この問題が解決していないために、日米両国とも、これらの問題を含めまして一応東京ラウンドの中でもペンディングになっておるというような現実でございます。
  150. 青島幸男

    ○青島幸男君 新聞紙上などの世論では、これがやっぱり外交上の不手際だったんではなかったかと、この問題を首相訪米の手みやげみたいなものにして考えていくのは間違いなんじゃないかという批判がありますけども、こういう批判に対してはどのようにお考えになっていますか。
  151. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 世間一般を責めるわけではございませんが、問題がこんがらかってしまって、さも総理が訪米する時期が非常に近づいた段階でこういうことになっておりますので、御承知のように東京ラウンド、すでにもうジュネーブの方には仮調印というようなことにしておりまして、部分的に日米関係の問題が解決していないだけでございます。したがって、一日も早くこれを解決しようという意図があったわけで、総理の訪米が、五月二日がカーターさんと会うことになっておりますが、この問題自体はずっと何年か前から続いておりまして、だんだん煮詰まってきているのが現状で、カーター大統領と会いますから、これをおみやげとしてどうするんだ、こうするんだということでは最初からなかったわけでございまして、その点の仕分けを私どもも実はもう少しPRしてはっきりしておけばよかったわけでございますが、その点の混雑がかなりあるんじゃないかという気持ちでおります。
  152. 青島幸男

    ○青島幸男君 だんだん交渉しているうちにだんだんと不利に不利に回されてしまっているというようなふうにしかわれわれ受け取れないんですけども、この問題を取り上げて責め立てても仕方がないんですが、もう一つだけお尋ねしておきたいんですが、米側は日本政府調達門戸開放額として大体七十億ドルというようなことを予想しておるということですが、このうち二十億ドルを電電にということの根拠というのはどういうことなんでしょうね。
  153. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) まだ本件は交渉中でございますので、中の具体的な数字についての御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  154. 青島幸男

    ○青島幸男君 ここでそういうお答えでは……。ちなみに五十二年度は一億ドル入っているんですね。二十倍ですからね。で、確かに新聞報道でして、政府の公式の見解として発表されたものじゃないですから、ここで正式な御答弁というわけにもいかないんでしょうけども、いままで皆さん方のお答え一つ一つ伺っていますと、非常に手詰まりになっていてどうしようもないから、この辺のところで勘弁してもらおうじゃないかというようなことで、電電にいやおうなくおっつけているという印象が一般の方々にも与えられているんじゃないかという気がしますし、そういうもし本意でないということだったら本意でないような手だてもとらなきやならなかったはずですし、いま官房長官はPRが不足だったとおっしゃられていましたけども、PRが不足なんではなくて、むしろ隠して隠していたのがじわじわあらわれてこうなってしまったというような見解を持たざるを得ないんですが、これ以上御質問申し上げても同じような答えが返るだけですし、残余の問題は重複いたしますので結構でございます。  ありがとうございました。
  155. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時六分散会      —————・—————