運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1979-05-30 第87回国会 参議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月三十日(水曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  五月三十日     辞任         補欠選任      竹内  潔君     岩動 道行君      山本 富雄君     藤川 一秋君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 梶木 又三君                 藤田 正明君                 和田 静夫君                 矢追 秀彦君                 中村 利次君     委 員                 浅野  拡君                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 嶋崎  均君                 藤井 裕久君                 細川 護煕君                 真鍋 賢二君                 勝又 武一君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 渡辺  武君                 市川 房枝君    政府委員        大蔵政務次官   中村 太郎君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        名本 公洲君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    参考人        専売事業審議会        委員長      舟山 正吉君        慶応義塾大学教        授        大熊 一郎君        日本生活協同組        合連合会常務理        事        勝部 欣一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本専売公社法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから、大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、竹内潔君及び山本富雄君が委員を辞任され、その補欠として岩動道行君及び藤川一秋君が選任されました。
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 日本専売公社法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、専売事業審議会委員長舟山正吉君、慶応義塾大学教授大熊一郎君及び日本生活協同組合連合会常務理事勝部欣一君の三名の方々参考人として御出席をいただいております。  この際、参考人方々一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査参考にいたしたいと存じております。  これより参考人方々に順次御意見をお述べ願うのでございますが、議事の進行上、お一人十五分程度でお述べを願い、参考人方々の御意見陳述が全部終わりました後に、委員の質疑にお答えしていただくという方法で進めてまいりたいと存じますので、御協力をお願いいたします。  それでは、まず舟山参考人からお願いいたします。
  4. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) ただいま御紹介にあずかりました舟山でございます。  私は、専売事業審議会委員長という立場で、当委員会で御審議中の日本専売公社法等の一部を改正する法律案について、私の意見を述べさせていただきます。  専売事業、とりわけたばこ事業が置かれている現状を見ますと、幾つかの大きな問題を抱えております。  第一に、専売制度公社制度の問題であります。  御承知のとおり、昨年六月、公共企業体等基本問題会議におきまして、たばこ事業経営形態民営化が適当であるとの意見が取りまとめられております。また、この意見書におきましては、同時に専売納付金制度改善等の問題も取り上げられております。  このような背景のもとに、昨年九月、大蔵大臣から専売事業審議会に対し、公共企業体等基本問題会議意見書にかんがみ、日本専売公社の業務に関し改善すべき事項について諮問がなされ、審議会は、まず専売納付金制度改善及び定価法定制緩和化二つの問題を取り上げ、昨年十二月答申を行ったのであります。  審議会においてまずこの二つの問題を取り上げましたゆえんは、第一に、現行専売納付金制度につきましては、たばこ定価の中にどの程度税相当分が含まれているかが明確でないため、定価を決める場合の価格決定方式が外部の者には大変わかりにくいという点がこれまでも各方面から指摘され、前回定価改定の際には国会においても合理的な価格形成方式を確立するよう附帯決議がなされているのであります。  第二には、前回定価改定以降三年余の経過のうちで、公社公社なりの合理化努力をいたしておるのでありましょうけれども物価上昇などのためにコスト上昇し、専売納付金収入が伸び悩み、財政専売としての役割りが十分に果たせられなくなるおそれが出てきております。そのため、さしあたって適当の価格改定を行いますとともに、将来適時適切価格改定ができますような仕組みを考える必要が出てきておるのであります。  次に、具体的な法律案内容に入りたいと思います。  まず第一に、専売納付金制度改善について申し上げます。  現行納付金制度は、毎年度の総収益から総損失を控除した額から若干の公社内部留保を差し引き、残りの全額を国庫に納付することになっております。そのため、予算上納付金額は予定されておるものの、それは単に見積りにすぎず、決算によって初めて専売納付金の額が確定する仕組みになっております。  このように、現在の制度では、たばこ価格税相当分がわかりにくいばかりでなく、コスト上昇影響をまともに受けて納付金が減り、財政収入を不安定なものとし、同時に公社経営責任をもあいまいなものにしております。  専売納付金は、消費者から見れば実質的には税に相当するものであることを考えますと、納付金率法定化して消費者税負担割合を明らかにするとともに、財政収入安定的確保を図り、一方公社経営責任を明確化することが必要であります。専売事業審議会もこのような考え方に基づき納付金率法定化答申いたしましたが、この問題は公社経営改善のための長年の懸案であったもので、ぜひ今回実現することを念願いたしております。  ただその際、税相当部分をどの程度にすべきかについては、種々御意見があるとは思いますが、今回法律案で予定している納付金率水準は、過去の負担水準、さらには諸外国たばこに関する税負担水準から見ましても妥当なものと考えます。  第二には、いわゆる定価法定制緩和化でございます。  現在たばこ価格は、種類別等級別最高価格法律で定め、この最高価格を変更するためには、その都度法律改正を要することになっております。そこで改正案のように、一応の枠を法律で決めていただき、その範囲内で、コスト上昇等やむを得ない事情があるときは、法律改正によらず適時適切定価改正ができるようにすることが公社経営弾力性を与え、その効率化に資するため必要と思います。  特に納付金率法定化により、定価中の企業利潤部分が制約を受けることになりますので、やむを得ないコスト上昇等による公社経営赤字転落を円滑に防止するため、これはぜひとも必要な措置であると申さねばなりません。  しかし、たばこ事業独占事業であること、及びたばこ価格財政法第三条の専売価格に当たることをあわせ考えれば、憲法に定める財政民主主義の精神を踏まえ、定価引き上げが恣意にわたらないように十分の歯どめがなければならないのは当然であります。その点では、今回の法律案内容消費者利益擁護等配慮したきわめて厳格な条件を付することによって、財政法第三条の趣旨を十分尊重したものとなっており、審議会答申趣旨にも合致し、かつ客観的妥当性を有する適切な案であると考えます。  第三には、輸入製造たばこに対する関税の賦課であります。  この問題については、審議会答申は触れていませんが、従来の仕組みでは、関税相当部分納付金の中に含まれているという考え方から関税を免税としているため、国産たばこ競争力が著しく低下し、国内たばこ産業打撃を受けることになります。したがって、納付金率設定とあわせ、適正な関税率設定賦課することにしたのは国際ルールに沿うことであって当然の措置であると思います。また、このことは同時に、諸外国からの輸入製造たばこ定価決定方式明確化要請にこたえることにもなります。  最後に、今回の定価改定につき申し上げます。  定価法定制のもとにおきましては、コスト上昇があった場合には税相当分割合が低下し、いわゆる意図せざる実質的減税という現象が起こります。  このため、いずれかの時点でコスト上昇分定価に織り込むこと、すなわち、定価改定によって消費者税負担をあるべき姿に戻す必要があります。  このような負担適正化の必要及び最近の財政事情を考慮いたしますと、この際平均約二一%という今回の値上げ案はおおむね妥当なものではないかと考えます。  以上が今回の法律案に対する私の意見でございますが、最後に、たばこ事業を取り巻く内外の厳しい情勢にかんがみ、政府並びに公社に対して一言申し上げておきたいと存じます。  まず、定価引き上げは理由のいかんを問わず、明らかに消費者負担増を招くものでありますから、今後一層の経営努力を行って消費者負担増加の抑制に努めていただきたいのであります。  特に、定価法定制が一部緩和されたとしても、決して安易な値上げに走ることなく、慎重に制度を運用されることを望みます。  また、定価引き上げの問題を別にいたしましても、納付金率法定は、経営責任を明確にすることになり、公社に対して厳しい試練を課するものであります。公社当局経営基盤の変化したことを強く認識し、経営責任の遂行に努力していただきたいと思います。  以上で、私の意見陳述を終わります。
  5. 坂野重信

    委員長坂野重信君) どうもありがとうございました。  次に、大熊参考人にお願いいたします。
  6. 大熊一郎

    参考人大熊一郎君) 今回の専売公社法等の一部を改正する法律でございますが、主要な点は、一つは、たばこ定価値上げという問題でございます。  それからもう一つは、この納付金率法定化し、関税設定し、定価法定制を俗に緩和するという問題であろうかと思います。  まず前者、この定価改定はさておきまして、納付金率法定化の問題と関税設定定価法定制緩和という、この三つの主要改正点というものは、これは相互関連性を持っているわけでありまして、それぞれ独立に考えらるべきものではないと考えられます。  つまり、納付金率法定化いたします、これは税収確保に役立つでありましょうが、納付金率法定化することによりまして、一つ海外からの製造たばこに対しまして当然関税が課されなくてはならない。また、従来のあいまいな関係がここではっきりと明示された関税率によって明らかにされるということになるわけであります。  それからもう一つは、納付金率法定化する一方で、コストが確かに漸増いたしますと、これが専売公社経営を圧迫するおそれなしとしないわけで、その点から、この定価法定制というものをいささか緩和をするということになるのではなかろうかと、こういうように存じ、この主要な改正点が、まず相互関連のあるものだということを指摘しておきたいと存じます。  さて、その評価でありますが、この課税部分とそれから専売公社にかかわるコスト部分とがこれによって明確になりますれば、まず第一に、従来のようにコスト増加することによって専売納付金、いわば間接税に相当する部分が相対的に減少することを、これをカバーすることができるということであります。  それから第二に、この専売公社にかかわるコストを明確にすることによって、公社の一層の経営努力を図るのに便利であろうかと、こういうように考えますと、やはりこうした納付金率法定化にかかわる、関連する主要改正点というものは、以上の二点にかんがみて、これは評価に値するものではないかというふうに考えられます。  それからもう一つは、いわゆる製造たばこ値上げの問題でございますが、これについては財政的な面からの評価というものがぜひ必要であろうかと存じます。つまり、その財政的評価と申しますのは、いわゆる税収をこれによって確保するという問題であります。総合納付金率は四十年来の五八%程度から次第に低下する傾向がございます。また、たばこ消費税に対して専売納付金の額というものも相対的に低下をしつつあるというような状態のもとで、やはりこの値上げをし、納付金率法定化することによって税収確保するということは、財政的な一定の評価を得られるものと考えられます。  御承知のように、国の財政現状はきわめて憂うべき赤字財政であります。そうして、しかもこの不況等によりまして直接税が伸び悩んでいるというような現状では、たとえ三%強の納付金でありましても、できるだけこれを確保して、少しでも国の赤字減らしに貢献をするということが必要ではないか。さらに税率を見ましても、平均五五・六%という総合納付金率でありますが、これは、たとえばいろいろな諸税を込みでありますが、アメリカの五〇%、フランスの七二%、イギリスの七三%に比べて、決して高いとは言い切れない率ではなかろうかと存じます。したがいまして、このような税率のもとで税収を少しでも確保するということは、これはやはり当面やむを得ないことであるというふうに考えられます。  ただし、このような専売公社コストと、それから税の部分とをはっきりさせるということは、当初申し上げましたように、この経営努力の観点というものが、これが人々の注目するところになり、またそれが明確化されるわけであります。したがいまして、専売公社経営というものに一段と努力が必要ではありますが、しかし、問題点は非常に困難な点を含んでいるわけであります。  その第一は、たばこに対する需要が最近頭打ち傾向になってきている。ここで値上げをいたしますと、全体として確かに売り上げはふえるでしょうが、収入増加がそれほど大きくはないというようなことにもなろうかと存じます。このような需要頭打ち傾向というたばこ需要状況の中では、経営努力というものはきわめてむずかしくなるわけであります。統計を見ましても、年々数%ずつのコストアップが続いているような状況と見受けられるのでありますが、そういう状況の中で、果たしてどれだけ今後合理化によってコストアップを吸収できるか。しかも需要頭打ちということになりますと、公社経営努力というものはきわめて困難である。一層の努力が必要ではないかと存ずる次第でございます。  最後に、しばしばたばこ製造民営問題というものが議論をされ、公共企業体等基本問題会議でもその方向での御意見が出たと承っております。  これは長期的、基本的には確かにそうした好ましい報告かと存じますが、現状から考えまして、そのような民営問題を論ずるには、そこへ行きつくためのプロセスというものを十分考慮する、つまり具体的にどうするのかを明白にすることが決定的に必要ではないか。  つまり、たばこというものは、葉たばこの栽培からたばこ製造まで一貫性を持った独占産業であります。こうした独占産業が明治以降今日まで綿々と続けられてきたわけでありますから、これを一挙にプロセスを考えずにこの経営形態を変えるということはきわめて困難かと存じ、またそれには慎重な配慮が必要ではなかろうか。つまりどのような形、またどのような範囲で現在のたばこ産業形態を維持するかということが、これが問題でありまして、とりわけ海外との競争関係にさらされている現状におきましては、たとえ民営という問題にまでいかなくとも、今日のたばこ独占産業におけるあり方というものは十分検討すべきであり、これは一公社経営の問題のみではなかろうかと存じます。  一言その点をつけ加えまして、私は今回のたばこ値上げに賛成を表したいと存じます。  以上です。
  7. 坂野重信

    委員長坂野重信君) どうもありがとうございました。  次に、勝部参考人にお願いいたします。
  8. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) 私は、日本生活協同組合連合会勝部でございます。  消費者を組織しております立場から、今回の改正法案に対しましての意見を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、大変公共料金値上げがメジロ押しになっておりまして、いま私どもの方でその公共料金に対しましての、たとえば一人の平均的な世帯にどのような影響をもたらすのかというようなことを試算をした資料がございますが、平均の月収が月二十八万円ぐらいのサラリーマンで大体四十の終わりに近いという、そういうような人のことで、セブンスターを一個毎日のむというような、そういうありふれたサラリーマン家計試算をしてみたのでございますが、消費者米価がすでに二月から上がっておりますが、それにたばこ私鉄、それからガソリン税——これは車を持っている人ですが、これはたまに乗る車でございますが、そういうような人、ガソリン税あるいは自動車税それから健保の問題、そういうような関係をずっと試算をしてまいりますと、一年間で十二万五千二百九十円という、そうゆう負担増があるわけでございます。そういうことは大体いまの情勢ですと、私どもいろいろ反対運動やりましてもそのぐらいの負担が響くという、そういうことが公共料金だけで試算がされるわけでございます。セブンスター一個の——世帯主しかたばこを吸っていないという場合でも、年間にしますと、今度の改定策でございますと、約一万八百円ほど年間でプラスされるわけでございます。家計に響くわけでございます。そういうようなところで全体に大変公共料金主導型の家計圧迫というものにつきましては、非常な消費者としまして強い反対気持ちを持っておるということでございます。  なお、これも御承知のとおり、石油関連ということを初めといたしまして、ナフサ製品値上がり、それからきのうきょう問題になっております灯油価格の一キロ当たり四千円前後の値上げというような問題、そしてそれが狂乱物価をちょっと思わせるような、特に卸売物価の二二%上昇というような問題で、特に石油製品関連以外のものも全く予想もつかないような、たとえば段ボールだとか箱だとか、そんなような、あるいは例の悪名高いティッシュペーパーの問題とか紙ロールでございますね、ああいうようなもの、そういうようなもの自身も最近値上がりを非常にしてきております。  そういうような問題点をいろいろと考えまして、私どもとしまして、全体には生活の見直しをいま考えなきゃならないようなぐあいに消費者団体としては思っておりますが、非常に全体に厳しく暮らしがなっていくという中で、特に公共料金の点はぜひとも据え置きという方向の中で、やむを得ない場合でもとにかく率を減らして、一般の物価上昇、いままで何とか四%台まででいるわけでございますが、まあ公共料金が主導しないためにもやはり一けた以内の、どうしてもというような場合でも、そういうようなことでもって考える、そのぐらいの配慮が当然あってしかるべきじゃないかと、こういうような立場で今回の改定案につきまして、特に二一%という平均改定案でございますが、これには強く反対をしたいという気持ちでございます。  個別にとりましても、個々たばこ値上げ率もどうも原案で拝見いたしますと一級品の方の値上げ率は二〇%ぐらいになっていますが、いわゆる二級品、三級品という大衆たばこ大衆が日常吸うたばこの点は二五%から三〇%弱というような、そういうような率になっている。これは実は全く配慮のない値上げのやり方ではないだろうかという点も個々部分とってまいりますと、そういう点もまたあるわけでございます。そういう点で大変この案の立て方自身——基本的には値上げ反対でございますが、案の立て方自身もそういう点で大衆日常生活セブンスター一個を吸って、辛うじてそれでもって自分の楽しみにしているといったような人に対する打撃の方に多くなっているということは非常によくないんではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。  特にまた、たばこは他の公共料金と違いまして、先ほど大熊先生言われましたが、専売品でございまして、ほかに競合がないわけでございます。他の公共料金の場合にはいろいろ競合がありまして、国鉄私鉄競合とか、いろいろありますわけでございますが、これだけは全く専売制でございますので、外国たばこを含めて専売制でございますから、そういう点では政府がやはり主導できる、きちんとできる、そういうもので、しかも基本的には赤字だという体質ではございません。国鉄のようなものではございません。そういうような問題でもこの点はいろいろ財政上の負担の、財政上カバーをするための専売益金の使途という、そういう目的は一つあるわけでございますけれども、その辺は全体に政府責任でもって調整できる性格のものだというぐあいに考えておりますので、そういう意味でもこの公共料金主導型値上げという全体の中におきまして、せめて専売公社専売たばこにつきましては、やはり非常に配慮ある、そういう考え方が当然出てくるべきではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。そういうところをひとつ、一点特に申し上げておきたいと思います。  それから第二点といたしましては、この原案で三〇%、今度は改定されるものからさらに三〇%の値上げのときには国会審議というようなことであるわけでございますが、私ども具体的にいろいろ資料を拝見さしていただいたり、まあ過去の状態を拝見しておりますと、今度の改定の仕方自身非常にやはり問題だと、いままでもたばこ改定というのは、やはりそうたびたびあるというんじゃなくて、歴史的にも四十三年の値上げ、五十年の値上げということで、今度は五十四年ということでございますが、相当インターバルが長いことでされているわけでございます。そういうようなことで、しかも先ほど申し上げましたような専売制度という、そういう制度の中身からいたしますと、やはりゆっくりと審議ができる内容であるというぐあいに考えますので、そういう点でも値上げの際は国会できちんと審議し決定するという、その従来のルールをやはり守るべきじゃないだろうかと、このように考える次第でございます。  そういう点で、物価変動という問題ももちろんこれから非常なインフレーション予想等もあるわけでございますけれども、全体にインフレーションはそうあってはならないんでありまして、それを抑える努力を全体にしなきゃならないと思っておりますが、大蔵大臣で決めるということでなくて、やはり従来どおり相当インターバルを置きまして、国会でお決めいただくということが妥当なものではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。そのことを第二点目として申し上げます。  それから最後に第三点目といたしまして、専売経営あり方の問題につきまして若干意見を申し上げたいと思いますが、特に専売の運営につきましては、先ほど申しましたように、国によりまする独占事業であるだけに、いわゆる全国民的なものだというぐあいに考えるわけでございます。もとよりたばこを吸わない人も相当たくさんおられるわけでございますけれども、やはり何としても非常に、四千万ぐらいと思いますが、そのぐらいの——もう少し少ないですか、そのぐらいの方が吸っているということでございまして、当然その内容につきましてはもっと民主的な運営というものが図られてしかるべきだと。  この点は、これはもう御承知のとおり、総理が議長をしております消費者保護会議というのが消費者保護基本法制定以来毎年持たれておりますが、そこの毎年の決定で各種審議会には消費者代表をふやすようにと、そういうことが常に決められているわけでございます。そういう点でも、やはり現在の専売事業審議会につきましては非常に消費者代表ということ、あるいは組織されました消費者団体——これは経済企画庁等ではっきりと組織された消費者団体が確認されているわけでございますが、そういうところからきちんと出ているという、そういうような代表はどうも余り見当たらないわけでございます。少ないと言った方が妥当かと思いますが、そういう点で、他の審議会でも、私が所属しておりますたとえば郵政審議会等でも最近は新しく消費者代表の方をふやされましたし、その他の審議会ではみんなそういうことを最近進めておるわけでございます。そういう点は組織的な意見というものがやはり聞けるようなそういう代表をもっとふやすべきじゃないか、そういう消費者の代表をふやすべきじゃないだろうかと、このように考えるわけでございます。  特に消費者意見というものにつきまして、これはつかまえどころないじゃないかといういろんなお話ございますけれども、しかし専売事業であるということだけに、他に競争するものがないわけでございますから、それだけにきめ細かい愛煙家の意見というものを、これをやはり審議会だけでございませんで、その他あらゆる方法、手段というもので愛煙家の意見を、それはたばこの販売組織を通じましてもとるとか——これはもう地域的には非常にたくさんの販売業者がおるわけでございますから、そういうところを通じましても十分に日常的に把握できる、これはシステムの問題だと思っています。そういうようなシステムをつくって、ちゃんとそういうことでたばこを買うこと、あるいは日常的に非常に多くたばこを買うような人、そういうところからこういうたばこをつくってはどうかといったような意見を聞く、あるいはたばこについてのさまざまな問題があればそれについて聞く、あるいは苦情を聞くというような制度が当然もっときちんとあってしかるべきではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。そういうところをぜひともお考えをいただきたいというぐあいに思っています。  もとより健康上の問題ということで大変な大きな問題が国際的にも出ているわけでございますが、この問題につきましても、私も愛煙家でございまして、心配はいたしますけれども、これは一つの嗜好でございますのでなかなか離せないものでございますが、やはりたばこの害の問題につきましても、相当大きな益金があるわけでございますから、その中で本当に正しく、本当のものは何なのかということを大いに調査研究を深めて正しいデータを出すべきだというぐあいに思います。  さらに、発がん性のより少ない、これは害が絶対にないということはないと思いますけれども、発がん性とかそういう害のより少ないものを出す努力というものを一層御尽力いただくということが非常に大事じゃないだろうかと思っております。  また、全体に吸い過ぎに注意ということがありますが、吸い散らかしに注意というようなものはさまざまなテレビコマーシャル等で専売公社はずいぶん努力はされておりますが、もう少しそこら辺なんかのエチケットの問題だとか、いろんなそういったような問題もあわせまして、社会的に本当にひとつのたばこのちゃんとした位置づけができることを心から望むものでございます。そういう点もひとつサービス上の改善、この点もぜひそういう点をお考えいただきたいと思います。  また、外国ではもちろん民営でございますけれどもたばこの量による割り引きというものもあるわけでございますが、それが専売であるというゆえか、別にたくさん量を買ったからといって割り引きはないわけでございますが、実はたばこをたくさん買いますと小売店の方でマッチなんかを、要らないものをよけいにくれると、こういうようなことがありまして、これなんかは実際上むだなことになっているわけで、そういうことができるならば、量的割り引き制度というものを考えるべきじゃないだろうかというぐあいに実は考えるわけでございます。  そういうことも最後に付言いたしまして、全体につきましてこの法案に対しましては、この内容ですと私とすれば反対をせざるを得ないということを申し上げまして陳述を終わりたいと思います。
  9. 坂野重信

    委員長坂野重信君) どうもありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見陳述は終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 浅野拡

    ○浅野拡君 私は、勝部参考人にお聞きをいたしたいと思います。  一体社会生活におけるたばこの必要性及び喫煙の意義というものをどうお考えになっているか。そしてまた、最近禁煙運動なんかありますね。こういうものを絡ませてどういうふうにお考えになっているか、まずお聞きしたいと思います。
  11. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) 私自身がヘビースモーカーでございますので、たばこにつきましては個人的なあれで申し上げますと、非常にやはりこう気分的には休みになるというぐあいに思います。そういうことを思う人と、そうでなくて休みがとれる人とあるわけでございますから、これはいわゆる選択ができる、選択性のあるものだと、社会的にはそういうぐあいに思っております。しかし嗜好というだけに考えるという点ではないんじゃないかと。やはり多数の人が日常の生活、これは恐らく四百年ぐらいの人類の中におきまする歴史があるわけでございますが、先ほど申しましたように三千万から四千万ぐらいの人に愛されているという、そういうものでございますから、当然社会的な位置づけはしておくべき商品じゃないだろうかと思います。  ただ大衆的なものというのは、これも酒と同じように、やはり安いものにつきまして、日常的にのむものにつきましては、できるだけよりよいものがより安くできる方向を考えていくべきじゃないか。非常な高級なものですね、これはいわば嗜好性も非常に強いし、ふところのぐあいとの関係でのむわけでございますから、そこのところは若干高くてもこれはいいんじゃないだろうかというように考えております。
  12. 浅野拡

    ○浅野拡君 それでは勝部さん、昭和五十年の定価改定以来、原材料費の値上がりが原価の三〇%ぐらい上昇しているというふうに考えられております。このような原価の上昇により今回の定価改定が提案されていると考えられますが、この定価改定の必要性についてどのように、まあいまあなた反対のような御意見でございますが、どういうふうに——原材料が三〇%上がってきたんですから、そこの中でそういう必要性というものはどう考えられるか、お聞きしたいと思います。
  13. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) 原材料費が上がってきているということは、先生御指摘のとおりだと思います。ただ原材料費が最終消費者価格に占める比率でございますね。これは私、専門家でございませんから一遍にわかりませんけれども、恐らく原材料費だけの最終価格に占める比率というものはそんなに大きなものじゃないのじゃないか。さまざまな他の流通コスト、それからたばこを実際に刻み、製造するコスト、それはあんまり変わらないというぐあいに思いますので、それから専売益金は変わらない。そういう点では最終消費者コストへそう大きく転嫁されるものではないんじゃないかというぐあいに実は考えるわけでございます。これはまあ私、素人でございますから、その点は詳しくは何%ということは申し上げられませんけれども、さまざまな原価計算をする場合の常識としてそのように考えるわけでございます。そういう点で二〇%というのは、いかになんでも多過ぎるのじゃないかということを先ほど来申し上げているわけでございます。
  14. 浅野拡

    ○浅野拡君 それじゃ、今回の専売納付金制度を改正し、たばこ定価に占める消費者から見たいわゆる税相当額、たとえば専売納付金及び地方たばこ消費税、そういうものを含めたものですね、こういうものを明らかにすることによって、消費者立場から見ると、これは一歩前進したように考えるわけなんです。  納付金制度つくったということは、いままでわからなかった、けれども消費者立場から見るとそういうものが一歩前進したように評価するわけですが、この改正についてどういうふうに評価していらっしゃるか、これをお尋ねしたいと思います。
  15. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) 先ほどこれは大熊参考人が述べられた点で、ひとつはっきりするということはいいんじゃないかというぐあいに述べられておるわけでございますけれども、私もその負担額がどれだけであるかということが国民の前に明らかになるということ自身決して悪いことだというぐあいに考えておりません。そういうこと自身は悪いことじゃないと思っています。ただその負担率が、負担率といいますか、その中に占める、今度は五六%でございますね、そういうようなことが果たして妥当なのかどうか。これはそれを固定化するということ自身がやはり問題ではないのだろうかというぐあいに実は考えております。  これはもう年々の財政構造その他の問題との関係、変化の中で、あるいはさまざまな原価の変動とか、そういうようなものが専売事業の中におきまして経営の中にあると思いますので、やはりそういうようなものを総合的に勘案しながら、国民の前にこれが幾ら国庫に入り、地方の消費税として入るというようなことが明らかになること自身は非常に結構だと思いますが、やはりもう少しこの点は、ただ単純に一つの過去の計数からいってこうだという点でぱしっと決めてしまうのはどうだろうか、このようにも考えます。
  16. 浅野拡

    ○浅野拡君 納付金率法定すると、今後の原価の上昇により公社たばこ事業というものは赤字が発生する等の事態が予想されます。公社も公共企業体である以上、定価法定制緩和等、企業性をある程度発揮し得る制度とすることは公社経営の観点からも、また耕作者、小売人等のたばこ関連産業の人々が経営安定のためにも必要であると私は考えるんです。公共企業体の企業性を高めるということについてどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  17. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) 大変申しわけございませんが、経営、運営の中身につきまして、私どもとしていろいろいままで触れる機会がそう余りたくさんございませんでございました。先ほど申しましたように、私どもの方の組織からも詳しくその運営内容に触れて審議会に参加するとかそういう機会がございませんのでよくわかりませんけれども専売事業であるという以上、相当また全体に、いま日本じゅうのやはり事業体、企業が非常に経営を厳しく、経費節約その他やっているわけでございまして、そういう点での合理的な運営というものを相当厳しくやるべきだろうというふうに考えております。
  18. 浅野拡

    ○浅野拡君 最後に、私先ほど勝部参考人ひょっとしたら触れられるかと思っておったんですが、たばこ専売事業あり方について民営論等がいろいろ言われておるわけなんですね。先ほど審議会なんかに消費者の人たちをもっと代行させるべきだというところでお話があったような気がいたしますけれども、一体勝部参考人民営論にすべきか、公社あり方、こういうことについて最後にあなたの考え方をひとつお聞きしてまいりたいと思います。
  19. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) 私の考えといたしましては、この専売制度というのは非常に長く日本において続いてきた制度でございまして、これは安易に民営にすべきでないんではないかというぐあいに考えております。まあその点で私は、特に運営内容をより国民が参加できるような中身にしていくということによって、もし弊害があるとするならば、そのことをカバーするということが妥当であろうと思っております。
  20. 勝又武一

    ○勝又武一君 私は御意見をいただきました三人の皆さん、それぞれ順次御発言をいただきました順序にお伺いをしてまいりたいと思います。大変御苦労さまでございます。  最初に、舟山参考人にお伺いをいたしますが、この納付金制度改善、つまり納付金率法定化したということは、税相当部分、これをどの程度にすべきか、そしてまたその納付金率水準はどうあったらいいのかという点での審議経過の御報告がございました。  お聞きをいたしておりますと、過去の負担水準と諸外国たばこに関する税負担水準、この二つが決定的な要因だというお話だったように承りました。私も過去の負担水準というのを、一つ専売納付金、地方たばこ消費税の額、そういうことだと思います。  そこで、少し前のここの大蔵委員会でも、専売公社からも、そしてまた大蔵大臣からも、納付金率法定化したということは実質的な消費税と同じなんですよという御説明もありました。  そうしますと——ここから特にお伺いしたいんですが、消費者税負担分、つまり消費税ということで法定化したということになりますと、他の商品といいましょうか、たとえばぜいたく品とか奢侈品とか大衆愛好品とか生活必需物資、用品、そういうものに対する消費税、物品税、こういうものがいろいろあるだろうと思います。戦前、戦中、戦後、いろいろ税率の変更、改変もあったと思います。私、五六%以上の消費税、物品税というのを寡聞にして余り知らないのでありますが、そういう消費税なり物品税ということで今度の法定化に基づいて決まったとすれば、そういうものとの比較なりバランス、そういう論議というものはどのように審議会の中でもあったんでしょうか。まさに五六%が妥当だという、そういう意味でのいろいろの議論がありましたら御紹介をいただきたい。  たとえば地方たばこ消費税ども、たしか昭和二十九年発足だと思いますが、その当時はたしか一三%ぐらいだというように記憶をいたしますが、現在の二八・四とかそういうことだけでなくて、そういうことを含めまして先ほども御論議ありましたが、この五六%をめぐる、特に消費税、物品税、他の物品との比較について御論議がありましたら承りたいと思いますし、もし余りないようでございましたら、舟山参考人自身の御見解もいただきたいと思います。
  21. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) 専売納付金は、実質上消費者負担になるものでありまして、実質消費税と変わりないものでございます。  現在、たばこについては地方消費税がかかっております。その上に国の財政負担をしておるのでありまして、両者合わして、つい最近の事例までは、両者合わして五五%から六〇%ぐらいの負担をしておったわけでございます。それが製造コスト上昇等によりまして最近は納付金が減っておりますので、その率は下がっておるかと思いますが、そこで納付金率法定いたしまして、今後長く続く制度とするということにつきましては、いろいろ比較検討するというような道もあるかと思いますけれども、さしあたって最近の事例に戻って、そこをスタートとして今後必要あれば改正していくということが最も現実的な対応ではないかと考えるので、当局におかれましても、つまり財政当局におかれましても、そういうようなことを考慮して決められたものと考えております。それで結構だと思うのでございます。  それから、消費税率を他の物品と比べるということにつきましては、消費税というものは従来の例にもございますように消費者負担能力の多いもの、多い物品、それからそういう階層についてはこれは高くしてもよろしい。その品の必要性とか、あるいはそれを使用する消費者負担能力というものを考えまして、場合によってはそれを低くするというようなことで決められるべき性質を持っておるのでございますが、たばこについてどう考えるか、これを従来は一部の人には生活必需品であるという考えもあったわけでございますけれども、しかしこれは嗜好品であるから多少高価なものであってもやむを得ないんじゃないかという考え方もございます。かたがた、たばこ専売財政専売、つまり財政収入を上げることを大きな目標としておるものでございますから、多少その点は消費者負担が多くてもあるいはやむを得ない、そういう理屈が通る問題ではないかというふうに考えております。
  22. 勝又武一

    ○勝又武一君 やや重ねて恐縮でありますが、財政専売という観点での御論議があったということは承知をいたしております。ただ負担能力という点になりますと、同じ奢侈品でもたとえばお酒の場合の比較とか、あるいは自動車とかテレビとか冷蔵庫とか、そういう同じ生活必需品といいましても非常に高額になるものもございますでしょうし、そういう比較をいろいろ考えておりますと、そういう点についてのこの五六%議論というのは余り立ち入ってなかったのでしょうか。
  23. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) ただいま申し上げましたように、全体としての平均を最近の事例の水準にまで持っていくということが新しいスタートのポイントじゃないかというふうに考えておるのでございますが、その納付金率につきましては、法律の別表にございますように、やや高級品には高くする、低級品にはやや低くするといったような配慮が加えられておるので、これは妥当なことではないかと思います。
  24. 勝又武一

    ○勝又武一君 引き続いて舟山参考人にお願いをいたしますが、この納付金率法定化いたしまして、それが定価法定制緩和につながっていく、こういうことだろうというように御報告を承っておって感ずるわけです。  そうしますと、このいわゆる税相当部分五六%をまず法定化する。残りの四四%の枠内——大変大ざっぱな言い方でありますが、総原価——コストが三〇%、小売店販売手数料一〇%、公社内部留保四%、こういうことだろうと思うのです。そして四四%の枠内ですべてを賄えという、こういうことになりますと、当然コスト上昇分があれば適時適切定価改定、こういうことに——公社経営面の合理化努力なり、そういうこともあるでしょうけれども、どうしてもそちらの方に当然の帰結としてなっていくんだろう、こういうように報告を聞いておって感ずるわけです。  しかし、率直に言いまして今度の国鉄の一年に四回の値上げだとか、通学定期の割引率の二七・九%の値上げとか、路線によっては国鉄私鉄の二倍近いとか、こういうように非常に国民から不評判だというように私は国鉄の場合に感ずるわけです。そしてまあ国会審議権を否定している、こういう議論もございます。  そうしますと、何といってもそういうことまで言われます法定緩和というこのことが、三割以内ならそこまでは上げていいんだよという、いままでの国会で決めていたことをやっていいというそれを生み出しました最大のポイントというのは、やっぱり五六%という納付金率をまずもって法定化してしまう、こういうことが最大のポイントになるのだろうというように私なりに判断するわけであります。  これがなければ、特にたばこの場合には専売制度でありますし、競争相手もない独占事業ですから、率直に言って論議というのは大きく変わるんじゃないか、こういうようにも思うわけでありますが、そういう点をめぐりましての審議会での論議経過がございましたらお聞かせをいただきたい。
  25. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) 納付金率法定化のために必然的に価格——定価改定緩和化という結論に導き出されたということでは必ずしもございませんので、これは両者別個の問題で、定価法定制緩和化は別途の公社経営効率化するために必要なものでありますが、この納付金率法定化をやると、どうしてもそこにまた大きな定価決定の緩和化の必要も生じてくると、こういうふうに私は了解しておるのでございまして、この定価法定制緩和の方は、やはり公社適時適切価格を上げていくことが公社経営上非常に有益である、こういうふうに考えるのでありまして、早い話が、コストが上がりまして定価を上げなければならない情勢にあるにかかわらず、価格を一個一個法律化しなきゃならぬというようなことになりますと、弾力性を欠きましていろいろの弊害が出てくる、こういうことであります。  そこで、納付金法定化ということは、別途消費者税負担を明確にするというところから出発しておるのでありますが、その結果、このコスト上昇の場合には赤字等を生ずるおそれもありまして、公社経営が危殆に瀕するということがあますので、その際には特に価格法定制の緩和化というものが必要である、有効であると、こういうふうな仕組みになっておると思います。
  26. 勝又武一

    ○勝又武一君 舟山参考人最後にいまの最後の御意見のところに関連して、いわゆる公社経営展望につきましてお伺いをしたいと思います。  これも消費の伸び率の見通しでありますが、たしか四十四年度から四十九年度ごろまでは年平均六%ぐらい伸びておったと思うんです。昨年は三・二八%の増を見込んでおりましたのが〇・一%の増にとどまっておる。東京、大阪、愛知、兵庫、福岡、静岡、この六都府県は前年を下回っている。大消費地での売れ行き不振が目立っているというように報道をされておりまして、そこへもってきて、いま四四%の枠内で経営をしろと、こういうことで、ややくどくなりますが、先ほどのようなことをお伺いしたわけでございまして、年三%とか五%売り上げ増が見込まれる場合にはまあまあいいでしょうけれど、たとえば伸び率はゼロだという場合、あるいは私は一番心配いたしますのは、恐らく年率五%ぐらいマイナス、こういう状況も考えられると思います。公社経営努力、このコスト引き下げ、合理化のこういう限界もあろうと思います。そういう意味で、むしろこの際公社の使命というのは、先ほど財政専売というお話がありましたが、確かに専売収益を最高率に持っていきたいという気持ちもわかりまずけれど、もうこういう時期になってきているわけでありますから、むしろ健康に害のないたばこの開発とか、公共性を維持する観点あるいは大衆の愛好品であるたばこをより安く提供していく、こういうような国民へのサービス、こういうように公社の使命というものが今後転換していくべきじゃないか、こういうような議論も一面あるわけでありますが、この辺について、審議会での議論経過がありましたり、あるいはまた舟山参考人個人の御意見でもお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) たばこの売れ行きが近年伸び悩んでおるということは事実でございまして、これにはいろいろの理由もある。特に世間でたばこ有害説というものが流布されまして、これの影響も大きなものがあると思います。  そこで、公社は数年前からできるだけ害の少ない軽いたばこということの製造を志しておりまして、これが世間で人気を得ていることもまた事実でございます。  それにもかかわらず、いろいろの事情によりまして売れ行きが伸び悩んでおるのでありますが、したがって、公社の利潤部分というものが圧縮されまして、うっかりすると赤字転落にもなるという危険を持っておるほどでございます。いま申しましたように、よく売れるたばこをつくるということ、これも一つ努力目標でありますが、また内部の経営合理化しまして赤字を起こさせないようにするということも大きな経営努力であります。  ともすれば、公共企業体における経営というものは、民間におけるシビアな試練を受けませんために合理化努力が緩慢になるということがあることは否定できないと思います。それでありますから、それは公社に対してこれを要求いたすわけでございますが、しかし、それにもかかわらず売れ行きの減少あるいはコストの増大によって赤字が生ずるおそれがありますときには、これはやはりたばこ定価値上げ、つまり消費者負担していただきまして、公社赤字というのは結局国の負担になるわけでありますから、これを防止するということが必要であろうと思う、そういうたてまえで現在の経営が考えられておる次第でございます。
  28. 勝又武一

    ○勝又武一君 それでは大熊参考人にお願いいたします。  先生、先ほど納付金率法定化法定緩和というのは非常に相互関連がある、こういう御意見だというふうに拝聴いたしました。私もそこのところは全く先生と同じ意見でありまして、先ほどその点を舟山参考人にお伺いしたんでありますが、そういう意味でやはり五六%を決める、あとの四四%の中でやる、それは大変だから三割以内の値上げができるように仕組もうと、こういう筋だろうというふうに、平たく言えばなっていると思うのですね。  そこで、いまの最後舟山参考人にお聞きをした点と関連するんですが、やはり消費減退が私は起きてくるというように思います。そうしますと、そういう消費の減退について先生はどのように見通しといいましょうか、その辺をお考えになっていらっしゃるのか、あるいは値上げした場合にはこの影響がどういうようにあらわれてくるというようにお考えになるのかという点が一つです。  もう一つは、そういう意味で、先ほど納付金率法定化法定緩和とは相互関連している、そこまではあれなんですけれど、ただ国鉄についても国民は大変先ほど言ったように不評判ですね。ところが、国鉄以上にたばこの場合は相手の私鉄がございませんし、どこかと比べて二倍だなんていう、そういうことはないわけでして、まさに独占事業でございます。そういう意味で、私は財政法の第三条の法解釈というのは厳密にすべきだ、拡大解釈というのはやっぱり許されない、こういうようにさえ思うのでありますが、そういう意味で、競争相手がない専売、特にたばこの場合にはこの点十分な配慮というものをしておかないといけない。あの四条件の規定ではとても歯どめにならないというぐらいに私は考えるんですけれど、先生の御意見をお聞かせください。
  29. 大熊一郎

    参考人大熊一郎君) お答え申し上げます。  先ほど納付金率法定化定価法定制緩和相互関連性があるというふうに申し上げましたが、これはやはり一方でたばこ定価法定されている以上、当然そういう結果が出てくるんだろうと、こういうように考えられます。  さて、そのもとでこの納付金率法定化でございますが、やはり私は——まあ私、専門が財政学だからではございませんが、現在の日本の財政事情からいたしますと、やはり相対的に低下しつつある総合納付金率、あるいはたばこ消費税に対する専売納付金の相対的な額というようなものの低下については配慮をして、少しでも税収確保に努める必要があるであろう、こういうように考えております。  ただ、もちろん最近のたばこ事業関連から申し上げまして、値上げがどういう影響需要に及ぼすかということは、これは値上げによって全く影響を受けないとは申せないと存じますが、問題はもう一つ、やはりたばこ値上げによって需要が減少するかもしれない。  同時に、やはりそうしたたばこ値上げたばこの間の、いろんな銘柄のたばこがございますが、総体価格を変えていくわけでございますから、それで一体恐らく外国からの輸入たばこにどの程度押されるかということが一つ問題として出てくるだろうと、こういうように存じております。
  30. 勝又武一

    ○勝又武一君 現在日本の場合に男性が約七〇%、喫煙率ですね、女性が一六から一七%というように言われているようでありまして、男子は頭打ち、そして減少、むしろ減っていくんじゃないか、女性が増加をしていくんじゃないかというようにも言われております。たしかアメリカが男性の場合に四〇%、イギリスで四六%、非常に女性の喫煙率が急上昇しているというような指摘もございます。  そうしますと非常に心配になりますのは、言われております女性の場合の、特に妊産婦の場合の喫煙の害、たしかに出産前になってやめても一定の喫煙をしていますと、やめたって妊娠した後、障害が残るというような指摘もございます。未成年者の喫煙の問題とか女子学生の問題とか若い女性の喫煙の増加傾向、いま大学で教鞭をとられていらっしゃる参考人でございますので、別に大学教育という狭い範疇ではなくて、何か喫煙と健康、そういうような問題について幅広い意味での教育という観点で結構だと思いますが、そういう観点から先生のこの問題に対する御意見をお聞かせください。
  31. 大熊一郎

    参考人大熊一郎君) お答え申し上げます。  私、喫煙と健康の問題というのは全く素人でございまして、たびたびじっこんにしております公衆衛生院の前田さんからお話を承ったり、講演を拝聴したりしている程度でございますが、またお医者さんから、たばこを一本吸うとすると一分十五秒命が縮むというようなことも承っておるわけでございます。  ただ私自身大変喫煙が好きなものでございますから、なかなかその点の判断はしかねるのでありますが、ただやはりできるだけたばこは害があるということをもう少し宣伝をしてもいいのではないか。その宣伝の結果、確かにたばこ需要が落ちるかもしれないが、しかしそのもとでわれわれはこのたばこあるいは税の問題を考えるべきでありまして、やはり悪い影響があるんでしたら、それをもうちょっとはっきりさした方がいい。  それから特に、これも素人意見で申しわけございませんが、余り女性が大変かっこうのいい形でたばこを吸っているようなポスターはおやめになった方がよかろうと、こういうように考えております。  ただ、大学の学園の中を見ておりますと、私の知っている限りそう女子学生が吸っているとは思えないのでございまして、また大学のキャンパスの中には原則としてたばこを売っておりません。そういう点だけちょっと感想を申し上げておきます。
  32. 勝又武一

    ○勝又武一君 勝部参考人にお願いをいたします。  参考人日本生活協同組合連合会の常務理事をなさっていらっしゃるとお聞きをしておりまして、日本生協はたしか全国組織でございますし、四十七都道府県の各県の生協組織あるいは購買生協とか消費生協、共済生協、そういう大変経営的にも多角的な面の連合会というように感ずるわけですが、しかもそして常務理事として専従なさっていらっしゃる、そういう大衆立場のこともよく御理解ができている、しかも組織運営の御苦労をされている、そういう経験をお持ちの立場から、ひとつ専売公社あり方について、先ほどございましたが、御意見をお聞かせいただきたいと思うんです。  たしかいま専売公社国鉄や電電と比較をいたしまして、総裁の独任制というような言葉がございましたり、あるいは総裁の独裁的な裁量行為というのが非常に強過ぎる、むしろ国鉄の場合には監査委員会があり、電電公社の場合には経営委員会がある、こういう非常にチェック機能を持っていらっしゃる。専売の場合には非常にない。そこへ持ってきてさっきの法定緩和なり、納付金率の五六%決定、こういうことでありますので、この辺について何かやはり専売公社についても他の国鉄や電電等と比較をいたしまして、もっと民主的な経営改善があっていいんじゃないか。先ほど審議会への消費者代表という、この点も御意見十分拝聴いたしましたが、公社自体に対する経営改善、こんな点で御意見ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  33. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) 専売公社が、いま先生御指摘されましたように、総裁の独任制ということで、あと運営におきまして、全体の専売制度の問題等は専売事業審議会で議されるというぐあいに伺っていますが、やはり運営上の問題につきましては、もう少しくさまざまな工夫があってしかるべきだというぐあいに考えます。  たとえば私存じておる範囲で、これは国鉄、電電等のことでございませんが、たとえばNHKというようなところの組織で申し上げますと、あそこでは経営委員会というものが会長の上にあるわけでございまして、そういうようなところで会長の専行はできないと、そういうような仕かけになっているようでございます。また大きな経営問題がありますると、今回も設けられまして、私も参加しておりますが、基本問題調査会というものを相当幅広く各方面の代表者によって構成しまして、それで相当年月をかけまして、運営から経営から、あるべき姿というふうな問題を総合的に論議をして、その意見はやはり相当重視してやっているようでございます。そういうようなことは全国民的なものに影響する組織、これはNHKはちょっと公共企業体と違いますけれども、そういうところにおいては最近は非常に多くとられる制度でございまして、それだけじゃなくて、たとえばNHKは非常に各地方におきまするさまざまな視聴者の代表を、視聴者の会議を各地方において持っているというようなこともしているようでございます。そういうようなところであらゆる意見をとにかく聞いて運営を決めていくという、そういうことについてそれぞれみんな努力をされているというように思います。  国鉄も、私どもは強い反対値上げ問題に対してはしておったわけでございますが、サービスの改善というような問題につきましては、同時に非常に強くいろいろな点を実際の利用者から多く集める努力というふうなことを、私どもの組織でも各地方の消費者団体の連絡会の組織と一緒になりましてしておるわけでございますが、それにつきましては細かいサービス上のことにつきましても相当耳を傾けるということが多いわけでございます。そういうような点を、特に毎日多数の人が喫煙をする、こういう制度につきましてはやはり多く取り入れるべきじゃないかと、この点はただ単に審議会消費者代表よけい加えたらいいとか、そういうことじゃございませんで、私先ほども申し上げましたように、具体的にはたばこ販売人を通ずれば相当きめの細かい消費者意見というのは反映できると思っております。そういうようなことを含めまして、それをシステム化して国民の前に明らかにするということが非常に大事じゃないだろうかと考えております。
  34. 勝又武一

    ○勝又武一君 先ほど舟山参考人にお伺いした五六%問題と同じでありますが、先ほどからありましたように、ほとんど専売収益、これが非常に強かったというように戦前、戦中、戦後の経過を見て私は思います。地方たばこ消費税も一例挙げましたように、初めから二八・四でなくて一三だったというような、そういうように非常に政策的な意図の強いもの。ですから、そういう専売制度という要素を一切抜きまして、まさにたばこは消費税だけだという観点に立った場合に、消費生活協同組合でたくさんのそういうぜいたく品あるいは奢侈品、生活必需品とか多くの商品をお取り扱いになっていらっしゃる参考人の場合に、他のそういう物品と比べましてたばこの五六%が、専売という概念を仮に抜き去りまして、消費税だけだというふうに見たら、その妥当性というようなものはどうなんでしょうか、その辺の御意見をお聞かせください。
  35. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) いささか他の間接税内容は異にしているというぐあいに全体として把握はしておりますけれども、先生が言われましたように、そういうことを捨象しまして考えた場合には非常に高い。いわばこれは税金として見ました場合には非常に高い間接税であるというぐあいに思います。  ただ、この中には関税がたしか入っているんじゃないかと思いますので、その辺は詳しいパーセンテージはわかりませんから詳しく申しませんが、いずれにしましても非常に高い税率にはなると思います。この点、酒等を私ども税率表示を明確に、私どもの開発した商品につきましては酒あるいはウイスキー等の税率を明らかにするというようなことをやっておりますが、これなんかは、まだ税率はこれに比べると半分ぐらいでございまして、非常に少ないわけでございまして、そういうところから比べますと、非常に高いというぐあいに考えております。  ただ、私どもとして非常に今度の問題で気になりますのは、いわゆる間接税の一番大きいといわれています一般消費税がこれによってどうも促進されるんじゃないだろうかということを実は非常に危惧をしておるわけでございまして、日本のような流通が非常に複雑な中におきまして一般消費税が導入されますと、大変各級段階に、膨大に幾可級数的に税金がかかってくると、こういうようなことで私ども反対しておりまして、税収入それ自身の問題をもっとふやすべきだということにつきまして、これはいまの財政の問題から言いまして、そういう点の必要性はある程度あろうかと思っております。  しかし、それは専売収入というもののようなところで非常にふやすということじゃなくて、やはりその点で若干プラス面があってもそれはよろしゅうございますけれども、基本的にはいわゆる税制の不公正さを是正するという、やはり所得税、法人税、そういうようなところの問題の公正さというようなものにおいて解決すべき性格のものじゃないだろうかと、このように考えておりますので、そういうところの観点でいきますと、この固定化の問題並びにこの率そのものが非常にやはり大きいというぐあいに考えるわけでございます。
  36. 勝又武一

    ○勝又武一君 最後一つだけお伺いいたしますが、先ほどの御意見の中でも勝部参考人は、法定緩和については国鉄の例などもお引きになりまして、非常に問題があるという意味の御意見でございました。  私はやはり、一つはいま卸売物価の年率二二%の急上昇、こういう問題もございますし、非常にそれが政府が言っております消費者物価、本年度四・九%の見通しについて、責任を持ってがんばるという意味の答弁もしているわけでありますけれども、なかなか現状のインフレの動向なり相次ぐ公共料金引き上げ物価上昇の心配は非常にあるんじゃないか。  そういう点につきまして、やはり消費生協、現場で非常に専門的に取り組まれていらっしゃるわけでありますので、そういう意味での年率四・九%のいまの消費者物価の見通しの問題、あるいはこういうことに絡みまして、先ほど一般消費税の導入について大変問題があるという意味の御指摘がございましたが、たばこの場合にも、諸外国が七割だから日本も五六で高くないのだという意味の指摘が、例として、理由として挙げられておりますが、これらも間接税中心の外国の税制度と直接税中心の日本の場合と、何かダイレクトに、そこの都合のいい部分だけ持ってくるという説明のきらいがあるような感じが私には——先ほどから聞いているのですが、これらの点につきまして、特に参考人消費者運動の立場で、これからの物価上昇の見通しなり、そういうような点についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  37. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) この点は先ほど述べましたように、大変インフレ懸念というものが、私ども日常、いろいろメーカー等と私どもの共同仕入れの商品につきましての折衝をしておりますと、大変このところ目立って卸売価格改定を迫ってきているということがあるわけでございます。それは最終的には消費者価格に転嫁せざるを得ないという、そういうことがやはり多かろうと思っております。  そういう点で、しかも率が、やはりみんな二けたのことを言ってきているわけであります。まあ卸売物価が、全体がすでに上がっていることも事実ですが、これは小売り段階ではまた同時に相当、若干めちゃめちゃなと言ってもよろしいのですが、競争がビッグストアを中心にして行われておりまして、私ども自身も相当価格問題におきましては努力しておりますけれども、ビッグストアの場合なんか相当な、津田沼で最近ありましたような砂糖をただで売るとか、そんなようなことまでやっているような形で、大変小売商がめちゃくちゃな迷惑をしているというようなことなんかも片一方でありますけれども、そういうようなことはこれから先——いま申し上げたこと自身は非常に問題でございますが、これから先そういうようなことがなかなかできなくなるんじゃないかということを、現実にいろいろ折衝しておりますと、それを強く感ずるわけでございます。  私どもとして、それが適切な値上げだというぐあいに必ずしも思わないのでございますけれども、もう少し政府の、あるいは国会等で、たとえば原油が一〇%上がったという場合の、それの末端消費者価格影響というのは、これはコンピューターではじけばすぐ出るわけでございます。そういうような関連指数もあるやに聞いております。そういうようなものをやはり適切に公表していくということがあれば、いまの卸売物価に対しまする影響、そういうようなものももっと少なくて済むのじゃないか。そういうようなことについて、これだけの計算機能がある国でございますから、当然そういうようなことをもっと適切にやってしかるべきだというぐあいに考えております。  これはきわめて一般的なことで恐縮でございますが、そういうようなことが実はできてなくて、今度の灯油の問題の場合でも、要するに需要を抑えるために値上げをするのだという、非常に石油全体に公益性が増してきておって、国自身の備蓄に対しまする費用の支出等もちゃんとありながら、非常にそういう需給バランスに任せるという、そういうようなことが行われておるわけでございまして、こういうこと自身は大変よくないことだと。やはりもっと重要な商品につきましては政府が関与すべきであるというぐあいに考えております。  そういうような意味をもちまして、今度のたばこ値上げ問題、これなんかは政府専売でございますから、最も関与といいますか、それ自身決められるわけでございますから、そういう点で、冒頭に申し上げましたように、やはりインフレーションを本当に抑えていくということ、これが政府の本当の決意であるということであるならば、その決意に従って、公共料金につきましては、特に専売たばこにつきましては、これが政府の考える価格上昇なんだというところへ座ったまま抑えていくという、そういうところで初めて本当に国民との関係がきちんとできるんじゃないだろうかと思っております。  経済七カ年計画等の審議にも参加させていただいておりますけれども、そこなんかの冒頭では、政府の案では、やはり物価上昇はもう絶対抑えるんだという宣言をするんだということを実は強く出しているような案が出ているわけでございますが、その決意がどうも具体的なこういう執行の案につきましてあらわれてないんじゃないかというように実は考えるわけでございます。  そういうところはいま非常に国民全体が不安に感じておりまして、狂乱物価がまた再来するんでないだろうかという不安を非常にみんなが言っておりますので、明日もまた灯油をめぐりましての緊急全国集会がありますが、これからはひとつぜひ、これはこの機会でお願いでございますけれども国会におかれましてもぜひよろしく物価関係の抑えにつきましてお願いし、同時にこのたばこの問題につきましてはぜひ抑えていただくようにお願いしたいと思います。
  38. 多田省吾

    ○多田省吾君 参考人の皆様には御多忙中御出席をくださいまして本当にありがとうございます。  私は、初めに舟山参考人に二、三お伺いしたいと思います。  昨年の十二月十二日に答申を出されたわけでございますが、専売制度八十年の歴史において、答申としてはかなり大きな答申だったと思います。  私は、先ほど舟山参考人がおっしゃったように、納付金率法定化定価法定制緩和化というものは別個の問題だとおっしゃいましたが、少しは関連あるでしょうけれども、私も必然的なものではないと思うわけでございますが、この定価法定制緩和化ということは、私も非常に抵抗を覚えるわけでございます。  詳しくは申しませんが、やはり憲法八十四条の租税法定主義、またその精神にのっとった財政法の第三条ということから考えましても、やはり国鉄運賃の法定緩和化も私は反対でございますが、それよりも、このたびの製造たばこ定価法定制緩和化というものは、たばこの値段というものがやはり租税に近い性格を持ち、またほとんど税金と同じような姿があるわけでございまして、それがこのように緩和化される。国会審議を経ないで値上げが許されるというようなことになりますと、今度は郵便もそうなるんじゃないかとか、電信電話にも波及するんじゃないかとか、そういうおそれが十分にあるわけでございます。  財政法第三条の特例に関する法律にも、真っ先にこの国内産の製造たばこ定価というものは除かれておりまして、やはりこれは法律なりまた国会審議なりが大いに必要だというふうになっているわけでございますから、これが今回緩和化されたというのは非常に私は残念だと思うのです。  それで、答申を出されるまでの審議会の議論の内容でございますが、この定価法定制緩和化につきましては全員一致の御意見であったのか、また、それに反対するような少数の御意見があったのかどうか、それをお尋ねしたいと思うんです。  で、この前から私は、大蔵省並びに専売公社に対しまして、この定価法定制緩和化関連いたしましたいろいろな質問をしたわけでございます。今回の値上げ公社内部留保は一千億円だと、もし昭和五十四年度におきまして二一%の定価改定が行われるならば、法定緩和を発動するのは次は五十八年か五十九年だろうと、事によると六十年だということでございまして、この四、五年先に緩和制度というものが発動されるというのであれば、何もこの法定制の緩和化というものは必要ないのではないか、やはりそのときになって国会審議にいままでどおり任せればいいんじゃないか。ですから、何も暫定最高価格なんというのは設けないで、基準最高価格改定というものを国会審議すればよろしいんじゃないかと、このように思うわけです。それで十分憲法の精神または財政法第三条の条項が守られるわけでございます。  ですから私は、審議会におきまして、この定価法定制緩和化ということにつきましてそういった御議論がなされなかったかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  39. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) 審議会におきましての審議の模様でございますけれども定価法定制緩和ということにつきましては、まず、法制上の議論に入るまでに、公社経営をいかに効率化するかということについて、従来、一回の定価改定ごとに一々法律にかけるということの短所と申しますか、そういうことが論議せられまして、公社経営効率化するためには、適時適切に、ある場合には小刻みに、ある場合には外部の情勢に応じて価格改定するということが望ましいということは、またそれが企業としてあるべき望ましい形であるということが議論されたわけであります。  そこで次には、憲法の精神なりあるいは財政法三条との関係が問題になるわけでありますけれども財政法専売価格法律または国会の議決によらなきゃならぬという考え方も、場合によりあるいは物によって、相当弾力性をもって考えられるんじゃないか。一つ一つの具体的な価格について法律なり国会の議決によらなきゃならぬものでも、そう解釈しないでもよろしいんじゃないかという意見が一般的でございまして、今回の改正案に盛られております考え方も、決して国会の権能を弱くするものではなくて、最高価格を一応基準最高価格の一・三倍、そこまでを限度といたしまして、その範囲では小刻みに価格改定し得る余地をつくったと。しかもその際には、運用が乱に流れませんように、場合を限りまして、これは公社経営が健全性を阻害する場合に限るというふうにいたしまして、かつ、価格の上げ幅も、たとえば物価、賃金の指数の上げ幅の範囲内にとどめるとか、あるいは審議会意見を聞いて定めるとか、こういうようないろいろな、あるいは厳格とも厳密過ぎるとも思われる程度の制約をつけまして定価法定制緩和化ということをうたっておる、実現していきたいと考えておる次第でございまして、この方が、たとえば価格改定を一回ごと法律で規定するというようなことになりますと、ついにその値上げの時期を失するとか、値上げをするに当たりましては勢い大福になるとかいうことが生じまして、かえって物価情勢等についても悪影響を与える場合が出てくるんじゃないかと、こういうような考えで、現在の改正案に盛られておりますやり方というものは、決して憲法なり財政法の精神に反するものではないと、消費者の利益擁護は十分に考えられておると、こういうふうに考えておる次第で、審議会におきましても、全会一致で異論なく承認された事項でございます。
  40. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあもう少しその点もお尋ねしたいのでありますが、時間の関係もございますので、もう一つご質問をしたいと思います。  もし今度の法案が通りますと、定価法定緩和化の一環といたしまして、やはり今度は専売事業審議会に、一・三倍までのいわゆる基準最高価格から暫定最高価格に移行する段階で審議をお願いするようになるわけでございます。  その場合に、去年の十二月の答申では、「公正な審議機関の審議を経る等定価の客観的公正さを確保するための手段を講ずること。」と、このように答申の中におっしゃっておりますけれども、これは専売事業審議会を想定されてこのようにおっしゃったのか、また、ほかの機関を何か考えておられたのか、この点が一点ですね。  それから第二点は、専売事業審議会はいま九名の方がいらっしゃるわけですが、委員会審議におきましては、もっと審議会のメンバーを増加した方がいいんじゃないか。特に、今度は国会にかわってこの定価改定審議する等のお仕事がふえるわけでございますから、もう少し消費者代表とかあるいは国民的代表を加えた方がよろしいんじゃないかというような意見もあったわけです。  これに対して、衆議院の大蔵委員会の最終段階、あるいはこの参議院の大蔵委員会等におきましては、委員の要望に答えて大蔵大臣からは、委員をふやすのは審議会法を改正しなければなりませんので大変だと、まあ特別委員なら労働者代表三名、あるいは消費者代表三名、合わせて六名ぐらい特別委員をふやしましょうと、そのように答弁していらっしゃるわけですよね。そうしますと、暫定最高価格の決定に際しましては、まあ九名プラス六名で、十五名の方で審議なさるということになるわけでございますが、その点はどうお考えになっておられるのか、その二点をお伺いしておきます。
  41. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) 価格改定の際、付議する審議会を、何を使い、どう構成するかということにつきましては、政府の方では現在あります専売事業審議会を使われるように考えておられるようであります。私ども審議会に属する者といたしましては、これは政府の御決定によることでございまして、特に意見はございません。  また、そのメンバーを、委員をふやすかどうかという問題につきましても、審議を公正ならしめるために必要人員はふやすということについては、やはり政府のお考えによることでありまして、審議会に属する者としては別にその趣旨には反対はございません。
  42. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、大熊参考人にお伺いしたいと思いますが、わが国にとって大変な試練というのは、やはり開放経済体制と申しますか、自由化政策という問題だと思います。各業界が涙ぐましい努力をこれまで続けてきたわけでございます。  先生も御承知のとおり、たばこ産業は二兆円産業とも言われ、労働人口といいますか、たばこ産業に携わる方々も四十万人になっております。そして、今後アメリカを初め、いわゆる輸入たばこ増加せよという、こういう自由化問題がますます厳しい問題として浮かび上がっております。まあ現在一%のシェアにすぎませんが、アメリカ側等は一〇%程度を要求しているとも聞いております。しかしこのたばこ産業は、御存じのようにコストの六割を占めると言われる葉たばこの値段、葉たばこ耕作者も十二万名わが国におられますけれども、農業−第一次産業でございますし、大変厳しい情勢に立たされておりまして、価格も二・五倍ほど他国と比べて高いとか、品質も余りよくないとかいろいろ言われて、大変な努力を続けているわけでございます。  で、先生は他業界の自由化対策等も研究なさっておられると思いますけれども、このような厳しい中におけるたばこ業界の今後の見通しについてどのようにお考えになっておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  43. 大熊一郎

    参考人大熊一郎君) お答え申し上げます。  確かに、先ほど冒頭に申し上げましたように、このたばこの問題といいますのは、単に専売公社経営のみならず、葉たばこの栽培から製造たばこまでの一貫した一つ独占産業である、この問題を抱えているということを申し上げたわけでありますが、それが御指摘のように、今日あるいは今後近い将来、自由化の波に非常に大きく揺れ動くということは当然予想されることだと存じます。これはたばこのみならず、他の農産物の幾つかについても同じようなことが言われておりますが、これを一体どういうふうに持っていくかということにつきましては、それぞれの農産物の特性等々がございますでしょうが、やはりこの自由化の中で、国内の生産をたとえば合理化をする、あるいは品質の向上を図るというような努力も必要かと存じますが、しかし、長期的に見ましてそれにも恐らく限界があるであろうというときには、やはりこれは政策的に何らかの手段をもって救済する時期が来るのではないかというような感じがいたしております。  しかし、これはまあ感じでございまして、アメリカがどの程度の要求をするか、また、為替レートの変動によって葉たばこ価格がアメリカとその他とどういうふうに変わるかということの予想も判断の材料にしなければならないと存じております。
  44. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、勝部参考人に二点お尋ねしたいと思います。  一点は、定価法定制緩和化というものは私たち大変残念でございますけれども、衆議院の委員会におきましても、もしこの法案が通るようなことになれば、これは歯どめが三つほど考えられておりますけれども、まあなきに等しいようなものでございまして、大変でございます。  それでまあ、せめてこの専売事業審議会委員増加するなり、また、国民的代表、消費者代表等を多く含めて、中身を変えるべきだというような意見が強かったわけでございます。ただ政府の方は、審議会法を変えて委員増加させるということは大変なので、特別委員ならということで労働者代表三名、あるいは消費者代表三名、合わせて六名の特別委員増加させることはできるというように大蔵大臣も答弁をされているわけでございますが、その辺の歯どめをどのように考えておられるのか、法定制の緩和化の問題と含めてひとつ御答弁を賜りたいと思います。  それからもう一点は、勝部参考人だけにお聞きするのはちょっとあれなんでございますが、時間もありませんので、いわゆる喫煙と健康という問題で、WHOの専門委員会の勧告にも、紙巻たばこのタールとニコチン量及び紙巻たばこの喫煙に伴う健康障害についての警告を、放送と広告に記載することを義務づける立法化措置が行われるべきことというような勧告があったわけでございますが、アメリカ等では、あなたの健康に有害であるとか、カナダ等でも喫煙量が増すほど健康への危険が増大する、煙を吸い込まぬことというような表示をされているわけでございますが、日本では「健康のため吸いすぎに注意しましょう」程度の表示でございまして、少し弱いんじゃないかというような声もあるわけでございますが、その辺をどのようにお考えになっているのか、この二点をお伺いしたいと思います。
  45. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) お答え申し上げます。  法定制の緩和は先ほども述べましたような理由で、やはり専売制というそういう制度の上から言いましても、また、国なり地方の財政と非常に強く関係をする。それから消費者の、しかも相当国民の多数の人の日常的に愛用するものであるというその点から言いましても、従来どおりの線でやはり国会で区切り区切りにきちんと議論をして決められるのが妥当ではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。  特に嗜好品と奢侈品の違いというところが、やはり私は先ほども申し上げました中では、高級たばこというのは奢侈品に入るんじゃないかと、そういうような意味でございますが、大衆的に多くの人がのむものは嗜好品でありましても、やはり大衆的な日常愛用するということであれば、これはやはり厳重に原価計算を明らかにし、またそれの国家財政、地方財政への負担を明確にして、それは年々のやはり財政との関係において決められるべきものではないだろうかと、そのように考えております。  それから、委員をふやすこと自身法律で急にできないという場合に、特別委員というようなことで出せばどうかというような御意見でございますが、私の経験では石油審議会が、やはり石油審議会法律がすぐ変わらないので、専門委員として二名追加をいたしました。その一名は実は私でございますけれども、そういうことで、そのときに発言は同じ資格でやるんだということを特に通産大臣からきちっと委員会の席上で話がありまして、そして表決するということ自身が余りございませんのですが、同じ発言資格で発言をして意見を述べております。そういうようなことで、やむを得ない場合はそういうこともできるわけでございますけれども、できるならばやはり法律できちんとされた方がいいんではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。  それから第二点目の御質問につきまして、先ほども申し上げましたが、私も愛煙家の方でございますので、非常に害の問題についてはそれ自身はやはり気になるわけでございますが、これも大熊参考人から言われましたように、やはりはっきりとするものははっきりさせたらいいんではないかというぐあいに思います。そういう、世の中には害のものもずいぶんたくさんあるわけでございますから、そういうようなところも害だけれどもしかしまあ嗜好ということでのむ、もちろん健康に害であるという問題のその範囲につきましては、もう少し科学的に追求をされるべきだろうというぐあいに考えています。  それから表示の問題も、私も先月アメリカ、カナダへ行ってまいりましたけれども、確かに表示は相当はっきりと、いま先生言われたようにされておるわけでございまして、私の自身の経験から申しますと、やっぱり深く吸い込むということがなければまあ自分自身の健康にとりましても害じゃないんじゃないか、余り害が多くないんじゃないかというぐあいに思います。ですから、そういうようなところなんかはやはりアメリカの表示の方が実際上も中身の問題としてはいいんではないかというぐあいに思っております。  ただまあ、もう一つ、日本的な風土で、これだけ人口密度の多いところで申しますと吸い散らかしのところの方も問題があるんじゃないか。たとえばフィルターなんかもこれは何かずいぶん落ちていることについて、専売公社ではコマーシャルかけましてずいぶんいい、あれは印象に残るコマーシャルでございますけれども、でもなかなかまだ社会的な倫理といいますか、その点でやはり吸い散らかしというようなことがまだまだ相当多いわけでございまして、特に人口密度が多いところ、あるいは駅等での投げ捨てというような問題について、こういうような問題こそ、いわば文化国家としてもう少しきちんとするような、そういう注意書きとかそういったもの、吸い過ぎだけでなくて何といいますか、吸い散らかしに注意するということも表示上はあっていいんではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。  以上、お答えさせていただきます。
  46. 渡辺武

    ○渡辺武君 初めに舟山参考人に伺いたいと思いますが、先ほど公共企業体等基本問題会議専売事業民営移管の問題が論議になったというお話がございましたが、専売事業審議会でこの問題はどのように審議があったのか、また今後どういう見通しを持たれておられるのか、また舟山参考人自身の御見解はどうなのか、それをまず伺いたいと思います。
  47. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) たばこ専売事業民営化の問題はずいぶん古くからある問題でございまして、世上いろいろの意見がございます。最近はお話しのとおり公共企業体等基本問題会議で、民営に踏み切ったらどうかという意見書を出されておるわけでございます。それを受けて、私ども審議会大蔵大臣の諮問を受けたんでありますが、それには、そういう意見もあるけれども、現在の日本専売公社の運営について改善すべき事項いかんと、こういう御諮問であったわけであります。  それから、まあ審議会の性格から申しますと、現在現行法によりますと、審議会公社の業務の運営について審議するということになっておりまして、公社範囲を超えた、公社をどうするか、専売事業をどう持っていくかということについては審議するたてまえになっておりませんので、これまでのところ、現在の公社の組織なり体系なりを基礎として業務をどう改善するかということを審議をしてきたわけでございます。しかし、世間でいろいろ民営化意見も出てまいりますので、審議会といたしましても、今後公式にあるいは非公式にたばこ事業というものの運営形態についてどうあるべきかを話し合っていきたいということを申し合わせて、その論議に入ろうとしております。  そういうことですから、審議会としてはまだ意見がまとまっておりませんが、なお、私個人の意見はどうかということをお尋ねでございますが、私は、先ほどもお話が出たかと思いますけれども民営にしたから利益ばっかりで弊害はないのだというふうに割り切ることもできません。問題は公共企業体の経営効率化ということであって、公共企業体では経営が安易に流れて合理化なり効率化が徹底しないじゃないかと。そうであるから民営にして、あるいは複数の会社をこしらえて競争さしたらもっと企業として能率が上がるのではないかという論拠に立って民営化が主張されるのでありますけれども考え方といたしましてはそれだけでいいのかと。財政専売もこれも民営にして法人税を重課すれば専売にかわる財政的寄与もなし得るんじゃないかというような論拠が、民営化の論者の一つの論点であります。  しかし考えてみますと、たばこという特殊な商品を複数の民営化によって、ただいたずらに販売を競争さすといったようなことでいいのかどうかというような問題もあわせて考えなければならないと思います。そこでまた、そういう大きな変革はいたずらに過渡期において混乱を招くだけだといったような考え方もあわせ考えますと、現在の公社制度のもとでできるだけ経営の効率を上げるということをどういう方法をとったらいいかということを十分検討して、それを実行してみることが先決問題じゃないか。その点はこれまでの納付金制度関係なんかも影響していると思いますけれども公社経営が十分に効率的であったかどうか批判もございますので、今回の改正というものも一歩進めることになりますが、私はそういう意味で現在のところ、現在の公社を体系とする経営形態で結構じゃないかという個人的意見を持っております。
  48. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまおっしゃった経営効率化という点について伺いたいと思うんですが、これは勝部参考人にもぜひ同じ問いで御意見を伺いたいと思うんですが、今回の措置で企業責任が非常に明確になってくると、一層の企業努力が必要になってくるということが言われているわけですね。もちろん今回の措置消費者にも定価値上げその他を通じて、非常に否定的な影響を及ぼすということはもとよりですけれども経営効率化ということで特に葉たばこ耕作農民、それから公社で働いている労働者ですね。これにしわがずっと寄っていくんじゃないか。特に私、その見地で専売公社の労働者の実情を調べてみたんです。非常に深刻な状態です。業務上としか考えられないようないろんな疾病、これが公社によって業務外だというふうに認定されていろんな迫害を受けているという実態が明らかになってまいりました。それで、労働者に対するこうした深刻な影響、今後ますます激しくなるだろうというふうに思われますが、これを阻止することをぜひ検討していただきたいと思うんですが、その点が一点。  それからもう一点は、よく調べてみますと三公社五現業全部ですが、労働基準法の適用除外になっているんですね。つまり労働者保護の基本法、これの適用除外になっている。そして結局突き詰めていきますと、労使の労働協約で労働者保護ができるかできないかというところにいっているんです。だから業務上の疾病かどうかということの認定の、その認定権者も加害者である公社の総裁が持っているというような形になっているんですね。このために基準法が適用されている民間企業以上にひどい状態に置かれていると。労働基準局も直接的にはここにはタッチできないというような実情になっているんですね。  私は民営移管には反対です。いまの専売公社というのはそれはそれとしてその制度で置くべきだというふうに考えておりますけれども、しかしこの労働基準法適用除外、そして労働災害かどうかの認定権を加害者である公社が握っているというこの実情は改めないと大変なことになるんじゃないかというふうに思います。そういう点、改善するべきだと思いますが、その点どう考えていらっしゃるか。
  49. 舟山正吉

    参考人舟山正吉君) 民間の民営の会社はいろいろございまして、中には公社よりも労働者保護の点できわめて厚いところもありますし、また公社ほどにいってないところも多々あると思います。まあ幸いと申しますか、公社ではそういうことを社会的水準にのっとって十分に考え得る立場にある。営利追求一点張りでないで済む面がありますので、その意味でも公社形態はむしろ労働者保護のためには利益でないかと考えております。  そこで具体的の現在の施設、政策等につきまして足らざる点があれば、これは公社において改善していく必要がある、また義務もあると思いますので、個別問題としてそういうものは保護していくべきではないかというふうに考えております。
  50. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) 先ほど経営合理化自身はやるべきだというぐあいに申し上げたんですが、それは人権上の問題とかあるいは労働基準法、それを破ってまでというようなことは私ども全然考えございませんので、やはりもし先生の言われたことが事実とすれば、当然正しい労働環境のもとで適正な賃金ということで運営さるべきだろうと。ただし、いろんな私は経費上の問題で、かつていろいろ伝えられたことなんかがございますので、そういうような問題点こそやはりちゃんとすべきだという点を申し上げたいと思うわけでございます。  また、葉たばこの耕作農民に対する影響、これも重大かと思っておりますが、この点につきまして、日本の農業それ自身の問題はそれ自身として、もう少し複合的にやる農業という問題をもっと真剣に考えるべき時期に来ているんじゃないだろうかと。そのところが専売たばこというだけで果たしてペイできるのかどうかという問題は、私はそこまで詳しく存じませんけれども、農業全体のコストというものは、アメリカ、カナダに比較すればこれはもう論外でございますけれども、EC諸国に比較しましても非常に高いという、そういういわば石油づけ農業といいますか、そういうぐあいになっている問題点こそもっと考えるべき点があるのじゃないか、そういう面の合理化は必要だろう。合理化といいますか、もう少し農業それ自身の体質といいますか、それ自身を考えなければならない時期には来てるんじゃないかと、これは他の農業関係につきましても言えるわけでございまして、そういう点でないと大変物価関係の中でも食糧費が高いという問題、その原因というものを本当に農民と一緒になって考えるべき時期に来ているというのが私どもの判断でございますので、そのことだけは申し上げておきます。
  51. 渡辺武

    ○渡辺武君 大熊参考人に、二点ほど伺いたいと思うんです。  先ほど、今回の措置財政赤字の大きな実情のもとで税収確保のためにやむを得ないと考えるというふうにおっしゃったんですが、これは、言ってみれば、値上げをして、それで消費者、一般国民に財政危機の責任をいわば転嫁するという措置になっていくんじゃないかというふうに私は考えざるを得ないんです。財政赤字の解決ということであれば、これはまた先ほど勝部参考人も言われましたけれども、不公平税制の徹底的な是正だとか、あるいは軍事費など国民にとってはそう必要でない費用ですね、これらを徹底的に削るという方向で根本的には解決すべきものであって、赤字だから税収をふやさなけりゃならぬ、税収をふやすためにこの専売納付金法定制にして、値上げもいわば自由にするというようなことであってはならないんじゃないかと思いますが、その点どう考えていらっしゃるのか。  それからもう一点、外国たばこの輸入が今後急増するだろうというふうに考えられるわけですが、それに加えてどんどん値上げをするということによって、いま事実上たばこの売れ行きは非常に悪くなっていますね。こういうような要因がいわば複合しまして、これに嫌煙運動などもありますが、ますますこの公社経営というのは困難になっていくんじゃないかと。今回の措置はそれこれ考え合わせてみますと、まさに公社としては自殺行為じゃないかというふうに思われますが、その点どうお考えなのか。  それから、時間がないのでついでに、申しわけないんですが、勝部参考人に一点だけ伺いたいと思います。  今回の値上げで、国民生活の実態から売れ行きがどんどん低下するだろうというふうに、あるいはまた、低下しないまでも横ばいで過ぎると、非常に困難になるという実情が考えられるわけですが、定価の半分以上が税金です。ですから値段を据え置いて、そしてむしろ税金の方をもう少し抑えるという措置の方が望ましいんじゃないかというようには考えますが、その点どうお考えか。
  52. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 大変恐縮でございますが、時間を経過しております。簡便にひとつお願いいたします。
  53. 大熊一郎

    参考人大熊一郎君) 第一点でございますが、税収確保と申しましたのは、今日のような国の赤字財政のもとでは、総合納付金率が四十年代に比べて漸減傾向にあるのをできるだけこれをともかく阻止して、少なくとも、専売納付金の相対的な低下を阻止することによって税収確保するということの意味でございます。もちろん、租税全体の体系の中でどう考えるかということは必要でありますし、また、財政危機と言われる問題が、俗に言われる不公平税制の問題を避けて通ることは当然できないことでありまして、そのもとで考えられるべきことと存じます。  それから、外国たばこの輸入が恐らくふえるだろう、現にふえつつあると存じますが、それがさらに、たばこに対する嫌煙権と申しますか、たばこの消費が全体として伸び悩んでいる中で外国たばこの輸入の圧力もあるであろうということは当然考えられますので、そのもとで一層の経営努力が必要であるということを先ほど述べましたのでありますが、と同時に、今後の公社経営がきわめて苦しいであろうということも先ほど申し添えたとおりでございます。
  54. 勝部欣一

    参考人勝部欣一君) この点は先生が指摘されましたように、私どもとしては嫌煙権の問題等含めまして全体に売り上げが下がり、あるいは横ばいという状況の中では、この際値上げをしないで、納付金のところの点だけをきちんとした方がいいのではないかというぐあいに思います。
  55. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 参考人方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。     —————————————
  56. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  日本専売公社法等の一部を改正する法律案について、地方行政委員会、農林水産委員会及び物価等対策特別委員会からそれぞれ連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  次回は明三十一日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十六分散会