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政府委員(
磯邊律男君) まず
最初に、二百三十八万ドルの
資金の
流れの点でございますが、去る
予算委員会におきまして私も御
答弁を申し上げた
記憶がございます。そのときに私が
資金の
流れをつかんでいると申しましたのは、とことんまでつかんでいるという
意味ではございませんで、改めて御
説明さしていただきます。
まず第一に、この二百三十八万ドルの件につきましては、御
承知のように昨年の七月、8
Kレポートなるものが出まして、
国税当局といたしましても、その8
Kレポートの脚注に書かれておる種種の
項目につきまして疑問を抱きまして、
日商岩井につきましてこの
コミッションあるいは
事務所経費なるものについての
調査を始めたわけであります。そのときに
先方の担当の課長から
確認書を徴しまして、その
確認書によりましてこの二百三十八万ドルなるものの
趣旨、それから
経理処理、そういったことをこちらの方で
調査いたしたわけでありますけれ
ども、これは当時
日商岩井側といたしましては、対
防衛庁との
取引でもあり、
コミッション以外に
MD社から
収入を得ているということは明示したくないという意図があった。したがって、この四十八年九月二十九日付で
収入金となっておりました二十一万九千五百六十ドル七十九セントというのは別といたしまして、それ以後の
入金は、
事務所経費とはしないで
ブリティッシュ・カレドニアン航空から受領した
航空機の
販売あっせん手数料という
名目にして
収益を計上し、それを
本邦法人である
日商岩井とそれが小会社の間に案分したと、こういう
説明でありました。事実その
先方の
帳簿の方を
——帳簿といいますか、
先方の申し立てをこちらで整理いたしますと、二百三十八万ドルにつきまして、
契約書による配分というのは、
日本日商分といたしまして百十八万八千ドル、それから
アメリカ日商分といたしまして百十九万九千ドル、
端数はございますけれ
ども、そういった
金額になっております。実際に計上いたしましたのは、四十八年九月期から五十三年九月期までの間にそれぞれの年度に分けて計上されておりまして、まず、その
MD社の社員が
東京に来た場合の
経費として、立てかえ払いとして出しましたのが十二万六千ドルであります。これは先ほど申しました中に入っておるわけでありますが、そのほか、その後の
入金といたしまして
日商岩井に対して百六万二千ドル、それから
アメリカ日商に対しまして百十九万八千ドル計上されておるということでございまして、それから未
入金といたしまして
日本日商に対しまして十万ドルございます。それから
アメリカ日商におきましては二十一万一千ドルあると、こういった仕分けまでは
確認できたわけでありますけれ
ども、私らとしましては、しかし、これは実際の
帳簿において
確認しなければならないと、それからさらに、そういった
名目でその
収益を計上していると言っているけれ
ども、果たしてそれが本当であるかどうかということをさらに実地において詳しく
調査いたしたいと思っておりましたところ、御
承知のように、
東京地検の方の
捜査が始まったというところで、わが方としてはこういうふうな二百三十八万ドルの
資金がどういうふうにして入ってき、それがどういうふうに分配されているかということまでつかみましたけれ
ども、それ以降の出というものに対してはつかんでないというのが事実であります。
で、もちろん、これは
検察庁の
捜査も終わりましたので、今後の私たちの独自の
調査も可能と思われますので、今後この問題についてはさらに
調査をいたしまして、それが正当に
経理されておるのかどうか、どのような勘定科目で
経理されておるかということについて詳しく
調査いたしました上で適切な税務
処理をいたしたいと、かように考えております。
それからなお、
松野氏に係る五億円の件でございますけれ
ども、これは時期的にも、先ほど
刑事局長御
答弁いたしましたように、
昭和四十二年から四十六年にかかるかなり古いものでございます、しかも、私も昨日の航特委の証人喚問をずっとテレビで見さしていただいたわけでありますけれ
ども、証人の方の
証言では、大
部分がキャッシュにしてふろしきに包んで持ってこられたと、しかも
先方は、これは表面に出さないでくれというふうな
依頼があったというふうなことを
証言しておられたように私
記憶しておりますが、こういったことから考えますと、恐らく
日商岩井から出ましたこの五億円の
資金というものは簿外で何らかの形で
捻出された
資金であろうということは容易に想像できるわけであります。で、こういった
資金の課税につきましては、われわれの方で追及いたしましたら、これは行き先は言えないということで、これがいつも問題になっておりますいわゆる使途不明金であります。それから同時に、会社の方から、初めから追及されては困るといったような場合には、初めから
経費として
支出しておきながら自分で
経費性を否認して所得に加算して、いわゆる自己加算という形で税金を納めてしまうというふうなことがございまして、税務の
調査といたしましてはやはり
調査そのものに対する限界がございますので、一応、その使途が判明しない、しかしその
経費性については疑いがあるといったような問題、それからさらにまた、
経費そのものを当初の申告において自己加算してきたといったような場合には、やはり法人税だけで済ませるというのがわれわれの税務の
処理でございますので、恐らく、その当時におきましては、
日商岩井に対する課税
処理というのは、使途不明金による否認もしくは自己加算による自主的な納税というふうな形で納税がされておるんではないかというふうに考えるわけでございます。