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1979-03-16 第87回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月十六日(金曜日)    午後一時十分開会     —————————————    委員異動  三月七日     辞任         補欠選任      三善 信二君     長田 裕二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         戸叶  武君     理 事                 秦野  章君                 森下  泰君                 坂倉 藤吾君                 馬場  富君     委 員                 古賀雷四郎君                 佐々木 満君                 田代由紀男君                 原 文兵衛君                 赤桐  操君                茜ケ久保重光君                 中野  明君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上村千一郎君    政府委員        環境庁長官官房        長        正田 泰央君        環境庁長官官房        審議官      石渡 鷹雄君        環境庁長官官房        会計課長     神戸 芳郎君        環境庁企画調整        局長       上村  一君        環境庁企画調整        局環境保健部長  本田  正君        環境庁自然保護        局長       金子 太郎君        環境庁大気保全        局長       山本 宜正君        環境庁水質保全        局長       馬場 道夫君        通商産業大臣官        房審議官     原田  稔君        資源エネルギー        庁公益事業部長  豊島  格君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        国土庁長官官房        参事官      北川  正君        国土庁水資源局        水資源政策課長  市川 博昭君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    山村 勝美君        農林水産省構造        改善局計画部事        業計画課長    中川  稔君        水産庁研究部漁        場保全課長   伊賀原弥一郎君        資源エネルギー        庁公益事業部火        力課長      木内 貞夫君        建設省都市局下        水道部流域下水        道課長      玉木  勉君        建設省河川局治        水課長      川本 正知君        自治省行政局行        政課長      中村 瑞夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (公害対策及び環境保全基本施策に関する  件)  (昭和五十四年度環境庁関係予算に関する件)  (昭和五十四年度各省庁の環境保全関係予算に  関する件)     —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして一言申し上げます。  皆様すでに御承知のとおり、本委員会委員でありました三善信二君は、去る七日、病気のため逝去されました。まことに哀悼痛惜にたえません。  ここに、委員各位とともに謹んで黙祷をささげ、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。  御起立をお願いいたします。黙祷を願います。   〔総員起立黙祷
  3. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 黙祷を終わります。御着席を願います。     —————————————
  4. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 次に、委員異動について御報告いたします。  ただいま申し上げましたとおり、三善信二君が逝去されましたのに伴い、委員一名が欠員となっておりましたが、去る七日、その補欠として長田裕二君が選任されました。     —————————————
  5. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、前回の委員会において聴取いたしました上村環境庁長官所信並びに昭和五十四年度環境庁関係予算について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 秦野章

    秦野章君 それでは、きょうはちょっと基本的な問題について時間も短いですから少しお尋ねをしたいと思うんですが、長官所信表明ですね。この中で「環境問題は私たち国民の健康と生活に密着した重要な問題であり、」、これは当然のことで「この問題を取り扱う環境行政は、国民の健康と生活を侵す公害防止するとともに、一たび破壊されると容易に回復できないかけがえのない自然環境保護し、さらにより快適な生活環境創造するという重大な使命を持って」いると。  この最後の「生活環境創造するという重大な使命を持って」いるという言葉が使われているんですけれども、環境庁歴史的な過去の経過の中で、公害対策基本法のときに経済との調和という問題がございました。これが削除された。しかしこれまた調和という概念が登場したことは歴史の事実ですね。その次には環境庁設置法調整ということになったわけです。それから環境庁設置法によれば保護という、あるいは保全という、それから創造という、こういう法律ないし行政用語としてかつて今日までの間に登場してきた言うならば用語調和調整保護保全創造と、こうなってきたわけですよ。これはどういうふうに違いがあるのか。これ基本的な姿勢というよりも法律行政用語の定義づけの問題だと思うんでございますので、まずこの点を最初にお伺いをしたいと思います。
  7. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いま秦野委員の御指摘用語の事例ということにつきまして、これは私からお答えするのが適切であるかどうかはわかりませんが、この「創造」という言葉所信表明の中へ使ったことは私でございますので、この問題につきまして考えたことにつきまして申し上げて御理解を得たいと、こう思っております。  法律用語としましては、いま秦野委員がおっしゃったようないろいろなことがある。創造という言葉はこの環境庁関係のものについてはないと思います、創造という言葉は。思いますが、私が所信表明の中に使いましたのは、これは法律用語というよりも私が環境行政に対する私なりの理念、そういうものを訴えたかったということで使わしていただいた用語になっております。  なぜそういうことを考えたかと申しますというと、秦野さんも御承知のように、公害対策基本法というものと、それから自然の環境保護するという法律、この二つの大きな柱が環境行政というものの大きな柱になっておることは御承知のとおりです。ちょうど私この公害対策基本法をつくる当時役所側でございましたが、副長官としましてずっと各省庁との間の調整その他に当たったことがございまして、その点でいま御指摘生活環境に対する経済行為との調整条項、これが大きな話題に当時なりました。けれどもが、とにかくそういう条項を入れて公害対策基本法か発足をしました。それが昭和四十五年に例の公害国会というものが開かれました。そしてこの点につきましての調和条項は削除されたことは御承知のとおりです。私はその当時党側立場でございまして、多少そのいきさつ承知をいたしておるわけです。  で、環境庁の重要な任務ということは、これは御承知のように設置法に書いてあるわけです。そして御承知のように「公害防止自然環境保護及び整備その他環境保全を図」って、そして「国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、」、これは多分憲法第二十五条にこういう言葉がございます。「寄与するため、環境保全に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」という規定になっております。  それで、環境庁が発足したといういきさつは、これは先生もよく御承知のとおり国民の声と申しましょうか、大きな国民的な要請に基づいて発足したというのは、あのいわゆる高度経済成長の時期におきまして国内におきましても公害たれ流しじゃないかという大きな批判が生じ、国際的にも日本公害輸出国というふうじゃないかというような批判相当起きておりまして、そして七公害防止するというような直接な点でこれが発足していったことは御承知のとおりだと思います。その後もちろん国民なり人間というものの生存というものを全うするというためには自然環境という、自然というものがそういう生命というものをはぐくんでいくというような観点のもとに自然環境保全ということが入り、そしてその後におきましては御承知のようにOECDのレポートなどにも取り上げられておりますけれどもが、よりよい快適な環境づくりというアメニティーの考え方というものが相当指摘をされてきた、こういうふうな動きになっていると思うわけです。また公害対策につきましても、いろいろと公害対策基本法をつくったときよりも情勢公害発生源その他におきましても変化しておることはそのとおりであります。  こういう全体の流れを考えてまいりまして、私はこの環境問題というものにつきましてはよりよい環境を常につくっていく、そして環境の質の向上を常に努力して図っていく、これがわれわれ人類に課せられた大きな使命ではないだろうかという感じを強く抱いておりました。それとともに国民の健康で文化的な生活というものにつきましては、常にこれは人間が英知と努力をもってつくり出していかなけりゃならぬ、これが環境行政理念ではなかろうかという感じを持っておりましたので、実は一つ環境行政理念というようなもの、目的——目的といいますか、私か常に環境というものについてこうあるべきじゃなかろうかというような一つ理念というものを、はっきりしたものじゃございませんけれどもそんな感じを持っておりましたので、よりよい快適な生活環境をクリエートしていく、こういうようなことを付加していただいたわけでございます。
  8. 秦野章

    秦野章君 いまのお話は大変政治論として私もわかるんです。政治論というか、政治演説としてはわかるんですけれども、法律——私かさっきから言っているのは法律用語というか、行政用語というか、環境庁設置法では明らかに調整ということが設置法の中の環境庁使命ということになっていますわな。  それで、長官国務大臣として政治演説をされることはそれは別として、環境庁長官として、行政の長として、環境庁がどういう使命感を持ってあるいはまた機能を持っているかということになると、設置法からいきますと、これはどう考えても調整ということなんですよね。私はそう思う。創造ということになると、これはつくり出すんですから、環境を。下水道をつくったり、全部これ環境庁でやらにゃならなくなっちゃう。イギリスの環境省みたいに、いろいろ住宅をつくるとか、土地開発やったり道路開発までやるような環境省だとまさに環境創造するということにぴったりするわけですよ。そういう巨大省をつくったわけではなくて、産業政策各省がやっているものに対して調整をしていこう、環境立場から。これが私は環境庁設置法の趣旨だと思うんです。調整という観点にはどんなに情熱を傾けてもいいけれども、創造ということには環境庁設置法機能と権限から出てこないんですよ。  だから、私はそこのところは政治論行政組織論というか、そういうものはやっぱりびしっと区別すべきだ、特に環境庁長官所信表明ですから、長官所信表明というものは、私は環境庁という役所がどういうことをやるのかということが説明だろうと。私は揚げ足を取るようなつもりで言っているんじゃなくて、やっぱり行政組織というものは役所、これは政府閣議を構成したその下に各省がありまして、そして内閣ができその首班総理大臣、こういうふうになっているわけですね。そういう意味において私はお尋ねしているということが一点。  それからいま一つは、各省大臣というのは閣議を構成して総理大臣指揮監督に服する。環境庁総理府に属する。総理府に属しますと、それは総理大臣指揮監督を受ける各省と違って、総理大臣が、言うならばシャッポ、長になるわけですね。そこに私はやっぱり調整機能総理府に置いている、環境庁総理府に置いているという行政組織組織論としての位置づけがあるだろう、いいか悪いかは別ですよ。現在はそうなっているではないか。これは経済企画庁も同じことですね。  私は、その位置づけの中でどういう機能とどういう責任を果たさなきゃならぬか、また国務大臣として内閣の一員でおられることは当然だけれども、役所というか行政組織としてはそういうことになっているから、総理大臣環境庁の場合には環境庁長官に対して、普通の内閣各省総理内閣首班として指揮監督するということだけじゃなくて、やっぱり環境庁については総理大臣が一番の長なんだ、こういうふうに行政組織ではなっているんではなかろうかと。ある意味では、だから環境庁総理府にあって小さい役所かといったら、やり方によっちゃ総理大臣を使って——使ってというのはおかしいけれども、動かせる、動かしやすい、そういう役所でもあるというふうに、組織論としてはそう理解するのが正しいと私は思っているんですが、いかがですか。
  9. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いま秦野委員がおっしゃったように、一つ行政官庁としてそのおのおのの役割りというものが決まっておる、だから設置法がありいろいろしておると思うのです。けれどもが、この環境庁任務の中にも、施策を立案し、そして企画をし、これを推進をするということがございます。それで、御承知のように、一つのことを立案し、一つのことを企画し、一つのことを推進するということには、それに先行する理念というものが働くと思うのです、要はこれは。  ですから、いま秦野委員がおっしゃったように、行き過ぎてはいかぬと思うのです。けれどもが、そういう意味におきまして慎重な態度をもって、そしてすべて各省総理大臣を長とする。ですから総理府の外局になるわけです。ですから、そういうことを踏んまえながらしっかりやってくれというお言葉だと思って、私はありがたいお言葉だと思いますが、実際上、物の政策を立案し、企画し、推進をするという状態においては、観念的には物の考え方理念、そういうものが先行するだろうと思うんですよ。ですから、いま言ったように、それをつくっていくという際にはどこを考えておるかということが必要であろう、こういう意味一つ理念として使わしていただいておる、こういうことです。  そして、なおこの調整ということ、先ほど秦野委員がおっしゃったように、調整になったり、それから保全ということに入ってきます、保全という言葉に、自然環境保全。ということですから調整チェック機能だけでなくて、実際問題としては実施官庁と違いますから、調整官庁という大きな枠組みに入っておりますが、細かい問題におきましては実際上つくり出していく部面も環境庁は持っております。ですからいまの大きい行政組織というものを踏んまえて慎重にやってくれということは本当に私はそのとおりだと思います。けれどもが、実際やっていく場合には一つ理念考え方というものを持っていかなければ、私は本当に国民の期待に沿う行政というものはできないし、また総理を真に補佐するということにもならぬ、こんなような考え方で使わせていただいたわけでございます。
  10. 秦野章

    秦野章君 大平総理が今度田園都市論というものを展開したわけですけれども、この田園都市論というのは一つの三全総の理念といいますか、その理想像を表示したというふうに言われている。それはそれで定住圏構想その他を田園都市論という一つのある種の哲学的表示をした。そういっても大都市なんかの場合に、一体、東京なんかが田園都市というにはいささか距離感を持つことも事実ですけれども、しかしそれにもかかわらず大都市もなお田園都市にしなければならぬ。それにはどういう問題があるか。環境問題なんかかなりずいぶん大きいと思うのですけれども、それで三全総の上に田園都市という理念をおっかぶせるというけれども、これは理念でいいですよ、これは政治ですからね。  ところが、保全とか、保護とか、調整ということは、まさしくこれは法律用語なんですよ。これは法律用語なんです。しかし法律用語だけれども、長官がおっしゃるように、創造ということを理念にする、こうおっしゃいますけれども、保全保護調整の中から創造という理念をおっかぶせることはちょっとふさわしくない。これはまさに「快適な生活環境創造する」ということは日本政治あるいは日本政府理念だ、これは各省をひっくるめての。これはわかりますよ。快適な生活環境をつくるんだといったら、これは通産でも、建設省でも、どこでも、産業政策の本当の理念だということならわかるけれども、環境庁理念はちょっとずれていると私は思う。  これは見解の違いですから答弁はもう要りませんけれども、山田長官のころからこの言葉が使われてきたようだけれども、やはり役所組織というものは理念をお使いになってもそれにふさわしい理念でなければならぬが、私はどうもそこらにちょっと疑問を持つわけですよ。その辺にしておいて、時間がなくなっちゃうから。  この時間というものは無為に過ぎなくて、いろいろ情勢変化、特に社会的条件等はきわめて変化するし、特に戦後高度成長というものを日本はやって、年率一〇%以上の人類始まって以来の高度成長というものを達成したことはプラス面があったと同時に、やっぱりここにいろんな特に公害問題なんかが大きく脚光を浴びるようなことになって、そのしりふきを懸命にやらなきゃならなかったということはこれは当然のことでございます。  そこで、この時間の経過、今日の十年はかつての三十年、五十年にも値すると言われるくらい情勢が非常に変化するわけですけれども、「日本環境政策」という環境庁から出している文書の中の九ページに「ともすれば経済優先であると誤解されがちであったので、あえてこの調和条項が削除されたという特異な歴史的背景をもったものである。」、こういうことが調和条項を削除した説明になっておるわけです。確かにそうだと私も思うわけですが、「特異な歴史的背景」、つまり経済優先であると誤解されているそういう特異な歴史的背景というものはこの当時といまと同じように続いているのか、あるいはそこらにちょっとはそういった歴史的な経過の中で変化があったのか。この辺について環境庁はどう思われますか。私はこの時間の経過とともにずいぶん様子も変わってきたということを具体的にちょっと認識をしてみたい、こう思うんでございます。
  11. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 時代によって大きな変化は来しておると思いますが、理念的にこの調和条項というものを、生活環境保全につきましての調和条項を削除した、取ったというのは、決して経済行為を軽視するとか開発行為を軽視するという意味で私は取ったとは思わないんです。  それは要するに一つの健康問題なり環境問題よりもより優位に経済行為開発行為があるんだというような考え方があるという主張が出てきたから、そういう誤解になるようだったらやめておいた方がよかろう、けれどもが、しかし経済行為なり開発行為というものは、これは人間が豊かな生活をし向上をするためには必要であるということであります。それから世界の人間環境会議におきましてもはっきりそのことを指摘しております。ですから、そういう意味で私は調和条項を削除したとは思わないんでございます。しかしその物の考え方は現在の安定成長時代になっても同じことだと思います。要するに環境問題、そういうものよりも経済行為というものが優位の立場に立つというようなものではないと思います。  けれどもが、現実の問題としまして、私この前東京湾の視察をいたしました、水質関係で。その際に、従来公害基本法が発足した当時、いろんな当時は産業公害というものがほとんどの公害原因になっておったのです。ところが、最近は産業公害とそれから生活公害が半々になってきております。そういう意味でいわゆる産業公害と言われておる人方が非常に熱心にその公害防止に当たってきておる。今度は一面生活関係につきまして、普通の自分のささいなことが環境全体にどう影響するかというようなことを余り考えずにやった、その集積というものが生活公害となって、そして非常に水質を汚濁しておる。こういうようなことになりますというと非常な社会的な変化を来しておる、こういうことは率直に公害問題としましても環境庁として国民に知らしていくという必要がある、こういうふうに思っております。
  12. 秦野章

    秦野章君 ちょっとよくわかりにくいんだけれども、調和条項が削除されたことは当然結構だと、私は別にそれは問題にしないんですよ。その歴史的背景ね。それはまさに産業優先がもたらした公害というものが出たから、調和なんか言っていられぬよということで削られたんだろうと思うんですよ。  それは全くそれでいいんですよ。いいんだが、そのときの歴史的背景というもの、自来環境も非常にいろいろやってきた、歴史的背景が同じだということはないんじゃないですか。いまも同じだとおっしゃったけれども、同じじゃなくて、すでに産業優先なんかでいまそう公害を無視してなんか産業政策を進めるなどということかできるわけがないような状況が出てきたということは、環境庁がハッスルした効果としてちゃんと認められるわけですよ、これは。だから歴史的背景というものはもう変わってきたということは、だれの目にも明らかだと思うんですよ。しかし、それにもかかわらずなおまだまだしりをふいていかなきゃならぬ問題がいっぱいあるということは私も認める。ただ歴史的背景が同じかどうかということを聞いているわけですよ。  同じじゃないんじゃないか。これは時間とともにまた政府もそれだけの努力をしたのではないか。努力なくして変化もないし進歩もないんだけれども、この環境問題だけは大変なまあ住民パワーもずいぶん起きてきた、いろんな要素があった、デモをやったのも効果があったですな、これは。要するにしりをたたかれて相当歴史的背景がやっぱり私は変わってきたということを、歴史的背景が同じだということになると私も疑義があるんですね。同じではない、変わってきた。どう変わってきたということを数字的にある程度説明はつくんだろうと思うんですけれども、できたら局長でもいいですよ、背景変化というものをお尋ねしているわけです。
  13. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 先ほど私は背景変化しておるというようなことを言ったつもりで言ったわけです。変わっておるということを言ったわけです。  実はこれは最初公害対策基本法をつくるときには、公々然と公害というものは一定の当然の社会悪と言うべきもので、これは認容されるべき性質のものだ、ある一定のものは。ということが大っぴらに言われたときもあったんです。けれども現在はそういうことを言う人は一人もないです。そういう意味におきまして私は大きく情勢変化していると、こういうふうに思い、先ほど秦野委員もおっしゃったとおり、情勢変化しておる、こういうことで申し上げたつもりでございます。
  14. 秦野章

    秦野章君 ある程度一つ歴史流れの中で行政も動き、世の中も動き、経済界も動き、いろいろ変化をした、その背景が変わってきたということをいま少し数字的な問題とかなんかで説明がつかぬですかね。これはなかなかそういう集積した数字というのはむずかしいかもしれませんけれども、できたら後でもいいですから私はそういう経過というものを見たい。  それから、基本的には、長官、デモクラシー、自由体制の経済なり政治というものは、どっちかというと後追いになる、先手がなかなか打てないという歯がゆさがあるわけですよね。これはやむを得ぬと言えばある程度はやむを得ぬ。何となれば、社会主義独裁体制のような全体主義とか、そういう体制だとぽんぽんと先手を打っていける。自由主義とかこういうわれわれのような体制だと、何かが起きたらそれを悪いものは取り除く、そこから反省を生んでまた次へ行くといったような基本的な差があるんですよね。  公害問題ではちょっとひどかったではないかというふうに私どもも思うわけですけれども、ただ考えていかなきゃならぬのは、考えるべきは、私はデモクラシー体制というものは大体しりふき政治なんだ、何かが出てきちゃ後から追っかけてそれを片づける、先手先手と打っていくというのはこれは全体主義国家のやり方だ、しかしそれはいい面と悪い面があって、へたをすれば国を滅ぼしてしまうような先手を打たれるという可能性もある意味において私どもはデモクラシーを擁護していかなきゃならぬ、こういう原則論があると思うんですよね。しかし公害問題につきましてはそのしりふきの部分が延々とやっぱり続いていくということも認めなきゃならぬ。なかなか未然にこれを防ぎ切れぬという、そういう面があることも事実です。  それは科学の進歩なり技術の進歩なりというものが、進歩した進歩したと言うても、フラスコ振ってぱっと出てくるほどにこう何か物事が急速に進歩しませんからね。進歩は進歩しているけれども、まだまだいろいろ未知の世界もたくさんあるわけですから、そういう意味においては科学技術の進歩を公害を予防するための科学技術の進歩という方向に相当進んでいかなきゃならぬ。進んでいくことによって公害関係一つの産業分野みたいなものが育ったことも事実ですね。  いずれにしましても、そういうような基本的には日本のような世の中ではいつまでもこれ残っていくという問題もありますから、環境行政というものは非常に私も大事だと思うんですけれども、時間の経過とともにかなりの変化があるというふうに思うんです。  そこで、もう時間がなくなっちゃったからこの次にしますが、いま申し上げたような時間の経過とともにやるべきことは依然として残りつつも、なおかつ変化が、歴史的背景が、行政しりふきではありながらやっぱり努力をして変化をしてきているというそのことは間違いないでしょう。
  15. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) そのとおりだと思います。
  16. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いま秦野先生から基本的な考え方が幾つか触れられたようです。大変私どもも参考にさしてもらいました。ありがとうございました。  そこで、先ほど触れられておりますから関連をしていくことになろうと思いますが、長官所信表明を私はお聞きをしまして、その中で骨組みからいきますと、まずこの環境行政使命の問題について、明確に「国民の健康と生活を侵す公害防止をする」こと、それから二つ目には、一たん壊されてしまいますと回復がむずかしいというこの「自然環境保護」するということ、さらにまたその上に立って「快適な環境創造する」、こう三本の柱になっていると思うんです。そこで、それらを進めるに当たって十分に国民の声に耳を傾けていって、そして長期的な展望を持ちながら進めていくんだ、こうなっているわけでありますから、まさにそういう意味合いでは私はきわめて同意をし賛成をし、大いにその立場で進めてもらいたいというふうに考えておる一人であります。全く同感です。  ただ、私は進めていく前提なんですが、ここに少し認識の相違があるように思います。これはいまの秦野先生とのやりとりをお聞きをしておりましても若干気にかかるわけでありますが、確かに公害基本法が制定をされまして以来、顕著なもの、特にその当時の一番罪悪視をしたいわゆる公害源について相当の規制が加わって変化をしていることは事実であります。しかし、じゃ、社会全体をとらえてみたときに、そういう公害に関する条件というものが少なくなっていったんだろうかどうだろうかというふうに判断をしていきますと、私は、質的な変化はあったにしても依然として人の健康と生命に危険を及ぼす状況、あるいは自然環境の問題にいたしましてもそのことをやかましく言いながらなおかつそれが取り返しのつかないようないわゆる侵され方、こうしたものは続いているというふうに思います。したがって、そういう意味合いで今日までの環境行政というものを考えてみたときに、将来展望を長く持てば持つほどにその現実の認識というものはお互いに一致をさせながら進めていかなければならぬというふうに思うんです。  そこで、私ども社会党としては、予算編成の時期に党で論議をしました結論で上村長官に実は要請をしたことがございます。そのときにも、最近の環境行政というものは言うならば目に余るものがある、それは何かと言えば後退の姿勢だ、いわゆる環境庁が設置をされまして以来とってきた一つの方向というものがこれが少し緩やかにむしろカーブを描いて後退してきておるんではないだろうか、果たして国民の負託にこたえる環境行政というものが展開されているかどうかという意味から見るときわめて遺憾な点が多い、こういうことを指摘を申し上げてきたわけでありますが、そうしたことを踏まえましていわゆる危機的状況を一応脱出をしたという認識の問題につきまして果たしてそうお考えなのかどうなのか。私はいまそうでないという立場で申し上げたのですが、その辺の見解を長官として明確にひとつしてもらいたいと思います。
  17. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) この前にいろいろとお目にかかったときにそのとおりなお話もありましたし、またそういう御返事をした記憶がございます。  で、私は、昭和三十五年から昭和四十五年にかけましてのいわゆる高度経済成長のずっと最盛期に入っていった、その後に生じた——環境庁昭和四十六年に発足をしておりますか——そういうあのときの公害というもの、特に七公害を中心としたころの公害というものに対する危機的状態は、私はそれよりもずっと改善されたという認識に立っております。これは後から局長からその他数値、達成度、そういうことを説明さしていただければと思います。  しかしながら、それだからと言いまして、その環境公害という問題については、いろいろと私が環境庁のお世話するに至りました際にも、いろいろと最近の環境行政というものは後退したんじゃなかろうかといういろいろな御意見もございました。けれどもが、私はいま危機的な状態その他というものから改善されておるというような点から言えば後退したとは思いませんけれどもが、しかしわれわれが気のつかぬ新しい公害というものが発生しておるかわからぬ、複合的に。そういうことは非常に謙虚に考えていかなくちゃならぬと思います。それから生活向上その他が行われてまいりまして、またいろいろと国民のニードというものが多様化し、また価値観も多様化してきますというと、いまの環境庁が一生懸念にやっておりますけれどもが、その国民の御要望にまだ沿い切れないという点をも反省しなければなるまい。だから後退というような御意見などが出てくるということは謙虚に環境庁として反省しなければならない。  ですから、その危機的な状態、その当時のいわゆる公害対策基本法が対象としたような危機的な状態というものは相当改善されておるけれども、新しいいろいろな複合汚染とかいうようなもの、そういうようなことについては、これは謙虚にこれから考えていかにゃいかぬというわけで、五十四年度に対しましてもこの総合的な対策ということの予算措置を計上していただいたというかっこうになっております。
  18. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そこで、長期を見直しましたいわゆる総合環境政策ですね、いま長官が最後に言われました。この形は、言われている精神的なといいますか、気持ちの面では、これは冒頭申し上げましたように私としても了とするんです。しかし、じゃ具体的にどういうふうな形のものを長官として描いておられるのか、この辺になりますとさっぱりわかりません。これは大平総理田園都市構想をこれからつくり上げていくんだという立場ですから、いま示せと言ったって具体的なものが出ないのと同じような立場ですが、ただ何となしにわかったようなわからぬような話になっておるんですね。  そこで、長官がもし今日段階としてある程度の形づくりのものを持っておられるとするならば、それはどのようなものなんだろうか、お話がいただければ私はそれをぜひお聞きをしたいと思っております。まさにこれは夢の問題でもありませんし、ただ単なる願望ではなかろう、具体的にそれを進めていく、そういう一つ一つのかたいものが積み重なっていかなければならぬわけでありますから、その辺を少しお話しをいただきたいと思います。
  19. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 私の頭に漠然と、実に漠然として申しわけないんですが、憲法第二十五条には国民は健康にして文化的な最低限度の生活を保障されておるわけです。このことはわかり切ったようなことでなかなかわからない。先ほど秦野委員も御指摘されましたけれどもが、これは時代変化、いろいろな変化によりまして永遠の課題になっていくものだろうと私は思うんです。  というのは、人類が本当に掲げておる崇高な理想でございまするから、いまそこで直ちに具体的なということは言えませんけれどもか、言われておることは確かに私はそうあるべきだと思っておるわけです。これを達成していくためにはマイナスの部面というやつをどんどんなくしていけばそれに近づくんじゃないかという考え方があるんです。これが結局秦野委員も御指摘されましたように調整とか規制とかいうもので、これは大きなぼくは一つの前進だと思うんです、要は。それが公害対策基本法によって規制されておる環境とか、こういう問題が起きてくる。  けれどもが、要は文化的でしかも健康な社会づくり、環境づくりというものは、これは消極的な小部面のチェックだけでは達成されない部分を持っておるわけです。それかといって一つの、具体的にどうとは言えませんけれどもが、なるほどそういうものが頭に浮かんでくる、こういうふうだと思います。これがアメニティーの最近の要請になったり、いろいろしてくる積極部面になっておる、こう思うんです。  ですから、いま坂倉委員から御指摘をされておりますが、具体的にこれこれというようなことになりますというと、調整、規制というものが当面進められ、そして現実に国民が希望しておるというものを謙虚に吸収をする、しかもそのやり方というものにつきましてはきわめて各地域地域の考え方というものが非常に優先していく、環境問題はそういうふうになっておるんじゃないか、こういうふうな感じを持ちまして、そして地域の状態なりあるいは社会の変化なりあるいは世界全体の要請なりというようなものも考えていくべきだと、こう思います。いま坂倉委員のお話に対しましてそういうふうな感じを持っておるわけです。
  20. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 やはり今日段階でやりとりをして詰め切れる問題ではないと思いますから、私もそれ以上追及をしませんが、「長期的総合的展開」の項の所信の中で言われておりますのは、望ましい環境像の把握のための調査と検討、これは調査と検討という具体的行為があるわけです。それから田園都市構想に対応する環境づくり、これは具体的なものは何にもありませんね。ただ理想的なものしか挙げられていない。それからもう一つは、環境問題の国際的協力の強化あるいは積極的な取り組み、こうなるわけでございますね。この三つが「長期的総合的展開」の項の私は柱だと思う、所信の分析からいきますと。  そうしますと、今日この環境行政が最も批判を受けているいわゆる国民の負託にこたえてないとする問題点、この辺は一体どういうふうに長官として現状認識されておるんでしょうか。  私は昨年一年間ながめてみましても、たとえばNO2の基準緩和、さらには公害被害者が環境庁に現状を訴えに来る、こうした者に対して環境庁が門を閉ざす、あるいは現地の人々と話し合うということについて約束をしながらそれが実行できない。幾つかの事柄がありまして、言うならば国民立場からいわゆる生命、健康、生活を守っていくにふさわしい役所だと思っているのにそうでなかったという、逆に見ますと裏切られたという感覚、これが一番今日段階として私は強いと思っております。  そこで、さきの質問で私申し上げましたように、十分に国民の声に耳を傾けて行政を運営するんだ、こういうふうに言われていることについて、私はそこに大きな今日までのいわゆる反省というものがあって初めていわゆる長官所信というものが生きてくるんではないだろうかと、こう考えるわけですが、したがって現状認識とその辺の考え方を再度お聞きをいたしたいと思います。
  21. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) おっしゃるとおり、いろいろと環境庁へ参りまして各方面の御意見なりいろいろ聞いてみまして、いま坂倉委員のおっしゃるように、最近後退しておるんじゃないかというような空気が強いこともある。そういう点はいま言ったように私後退したとは思わないけれどもが、しかし行き届かない点もあるだろうから謙虚にこれは声を聞いてやるべきだろう、こういうことで五十四年度も環境政策の長期展望についての調査としまして予算を計上しまして、そしてこの意味におきましても積極的にこの問題に取り組んでいこうという体制をとったわけです。  ただ非常に国民の方々の御要望というものがいろいろと多岐にわたってくるようになる。というのは、社会も複雑になり価値観も複雑になりますというと、なかなか個々むずかしい問題が非常にたくさん出てくる。けれどもが、それはいかにあるにしましても環境庁としましては謙虚にこれを受け入れ、そして先ほど秦野委員もおっしゃったように、民主主義の立場からまいりますれば比較的後追いみたいなことになりやすいけれどもが、何とかそういうふうな非難のないように前向きにやっていこうと思っておるわけです。
  22. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 次の問題に移りますが、一九七三年の三月三日、ワシントンで採択をされましたいわゆるワシントン条約というのがございますね。これは野性動植物絶滅のおそれのある種の国際取引に関する条約ですね。これは今日まで日本も参画をしながら協議をしてきて、そして条約ができている。しかし参画はしてきたけれども六年間わが国は批准ができないでいる。  この問題ですが、近く第二回の加盟国会議が行われますね、この三月十九日から三十日まで。この加盟国会議の中では、きわめて厳しい日本の態度のあいまいさについての批判が行われるであろう、しかもこれはただ単なる条約批准の関係だけではなくて、日本のいわゆる対外政策に大きくかかわってくるんじゃないのかという心配等も行われておるわけですね。  一部新聞報道によれば、これは通産省が待ったをかけておるとか、あるいは外務省に対しまして業者の意を受けた国政に携わる方々も待ったをかけに走っておるとか、幾つか話があるわけでありますが、すでに六年間も猶予期間というのが現実にあったわけでありまして、この辺は環境庁としては、日本としてはいつごろ批准をされることになるんだろうか、あるいは長官としてはこの問題いかにお考えなのか、この辺ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  23. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いま調整を進めておるわけでございますから、それに当たっておりまする政府委員から説明さしていただきます。
  24. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 官房長でございますが、御答弁するのに適当かどうかわかりませんが、今度の国際会議に当たりましてのわが国としての対処の方針、これにつきましては現在外務省を中心に協議中でございまして、なるべく早く結論が出るようにやっているわけでございますが、基本的な方向としましては、いま長官が申し上げましたように、速やかに批准するという方向でいきたい、ただ先生が御指摘になったような調整問題についてはまだ残っている、こういう状況でございます。
  25. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 まだこれ時期が来て結論が出るわけでありますから深く突っ込むのはそのときにしたいと思いますが、現実にいま通産が問題にしているのは、いわゆるタイマイですね、べっこうの原材料という形でありますが、特にこのタイマイの問題について、自然環境保護したり、そしてこういう動植物を大切にしなきゃならぬというそれぞれの団体からも環境庁に対しても、あるいは外務省にも通産省にもそれぞれやはり大きな意見というのが私は公式の立場を通じて上がってきているというふうに思いますね。  これはまあ環境庁がリードをすべきなのかどうなのか、これは官庁の仕組みの中で幾つか問題もあろうと思います、国際的なことですから。しかし少なくともこれは環境庁が、先ほどの秦野先生の御質問じゃありませんが、各官庁の調整を図って国際的に恥をかかないようにぜひとも私は速やかな批准をしてもらうように要望しておきたい、こういうふうに思います。いいですか。
  26. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いまおっしゃったとおり環境庁としましては環境庁使命もございます。早期に批准ができるようにというような姿勢で、これは窓口が外務省でございますから外務省がやっておりますが、そういう意見を述べておる次第であります。
  27. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 次に、水質の総量規制ですが、何かこれも新聞報道によれば原案が固まったと。これは閣議にはまだかかっていないわけですね。固まったというふうに聞いておるわけですが、環境庁の案としましては、いままで当委員会でも質疑をしてまいりましたときに、琵琶湖も含むように一時答弁があったり、質問がないとそれで消えたり、いろいろしているんですけれども、瀬戸内、伊勢湾、東京湾、あわせて琵琶湖も含めてこの水質総量規制が原案として固められておるのかどうか。この辺はひとつ今日の状況と、その原案なるものは六月の時期までにきちっと固まる見通しに環境庁としてはきちっと立ったのかどうか、この辺のひとつ御判断を賜りたいと思います。
  28. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 六月に実施するということは私ども守らなくちゃならぬ立場にございます。それで着々と行政日程をこなしておるわけです。いまのところ三月中には中公審から答申が出るというふうに期待をいたしております。そして四月中に関係の政令あるいは総理府令を公布いたしたい、そして六月に総量削減基本方針の策定をいたしたい、こういうような心づもりでいま進めておるわけです。大体そういう状態で進行する、こういうふうに思っております。
  29. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 琵琶湖は。
  30. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 琵琶湖は、実はこの前私滋賀県へ参りましたときに強い御要請がございましたが、この六月では地域の指定あるいは水域の指定をやるわけですけれども、東京湾、伊勢湾、それから瀬戸内海、これを予定しておる、こういうふうに記者会見でも申し上げたような次第であります。
  31. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私もこの水質の法案審議の際に琵琶湖も含めて指摘をしているわけでありまして、なぜ琵琶湖が外れていったのか、府県の協力が得られないために外されたのか、あるいは環境庁考え方変化をしたのか、その辺少し明らかにしてもらいたいと思います。
  32. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 実はとりあえず三つの先ほど申し上げました東京湾、伊勢湾、瀬戸内海とやって、そして非常に御要望もきつくございますので、琵琶湖の方、それに対処をしていかなければなりませんが、ただいまのところ三つの閉鎖性水域を対象にして進めております。こういう状態でございます。  あと具体的な問題につきましては、政府委員から説明させていただきます。
  33. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 琵琶湖の問題でございますが、ただいま長官から御答弁申し上げたとおりでございますが、琵琶湖につきましては現在琵琶湖の総合開発の計画が進行中でございます。またその計画につきまして若干地元では見直してほしいという御要望もあるようでございます。そういう点も私ども考慮いたし、また滋賀県あるいは京都、大阪、兵庫等の上水道の水源になっているわけでございますので、いずれにいたしましてもそういう関係県の御意見等も十分拝聴しながら今後の課題として検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、私どもも問題意識は十分持っているわけでございます。
  34. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 問題意識はかねがねこちらからも指摘をしているわけでして、いま問題意識は持っていますの答弁じゃ私は納得できません。したがって少なくともこれは六月の期限があることですから、いまからでも私は琵琶湖を含めるべきだと。  それほど私はむずかしいことではない、規制値をどういうふうにそれぞれの対象のところに割り当てていくんだろうか、その辺の問題の整理がついていけば、あとはその合意が得られるかどうかの問題ですね。そこで初めて私は環境庁としての大きな任務というのが始まるんだというふうに思いますので、自然にでき上がってくるのを待っておるようではこれはお話になりませんから、ぜひ次の機会までに、一つの約束でもありますから琵琶湖を入れますという話の明確にできるようにしておいてください。  さらにもう一問だけ聞いてひとまず質問を打ち切りたいと思いますが、所信の中に公害病患者の関係のところで、特に国立水俣病の研究センターの充実強化を表明されていますね。これは所信の中です。具体的には水俣の問題を論議をいたしました際に、いわゆる治療研究、そして当初の計画がこの研究センターの場合には変更されてしまって、そして治療の問題というのは後退をしてしまったんじゃないのか、リハビリその他。しかも場所的に山の上に上げられましてね。これでは役に立たないんではないかということを御指摘をしたはずであります。  そういう立場から見て、今回水俣病研究センターのいわゆる充実強化というのは、どこの面を充実をしどれを強化をしようとしておるのか、ここら辺がよくわからぬわけです。したがって今日まで指摘をした問題というのが具体的に解決をされる何らかの方向というものが指し示されながら充実強化というものが表明をされておるのかどうか、ここの点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  35. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 具体的な問題につきましては政府委員から説明をいたさせますが、水俣病の研究センターの充実につきましては、この前所長さんが見えましていろいろと意見を交換し、充実をするようにという国会の方の御意見もあるからというわけで申し上げて、非常に所長さんも熱意を持っておられます。  具体的にはこの五十四年度に人員を十名増加をするということです。それから器具の関係の充実も図るというわけで、いわば物的条件というようなことでいま当面充実を図っておりますが、内容におきましてもひとつ充実させていこうと。それから疫学研究部を新設をしたということも御案内のとおりだと思います。  何とかこれは御期待に沿うようにやっていくべきだというわけで、この前も所長さんともお話をしたようなわけでございますが、具体的につきましては政府委員から答弁をさせていただきます。
  36. 本田正

    政府委員(本田正君) 国立の水俣病研究センターにつきましては、どういったものを一体どういう内容でつくったらいいかということを長官もちょっと触れられましたけれども、つとに建設準備検討会というものを学者の先生等交えましてつくっていただきまして、それが五十年十二月に最終報告を受けたわけであります。それに基づきまして、その後二年かかりまして土地を決め、それからまた建物を建て、昨年の十月一日にオープンしたわけでございます。  その組織はどうなっているかと申し上げてみますと、これも長官触れられましたけれども、臨床部というのが一つございます。それから疫学研究部、それから基礎研究部、これが主流でございます。御指摘の臨床につきまして、ベッドを持つべきかどうかというようなことも、るるこの検討委員会で検討されたみたいのでございますけれども、やはり水俣病の治療というものは国立の水俣病研究センターはあくまでもこれは治療研究ということをその一環として行うということであるべきであって、収容施設を持つのはいかがであろうかということであったと聞いております。  そこで、じゃ全く治療研究を行う部局がありながら治療は全然行わないか、そういうことでございませんで、入院施設を持たない、つまりベッドを持たないということでございまして、治療は地元の水俣の市立病院を中心に開業医の先生方もございます。そういったところで主治医の方々が治療なさっているわけでございまして、その紹介を受けまして、実は一日通所をもちましてリハビリを中心にいたしました治療研究を実施する、こういう体制に実は相なっているわけでございます。
  37. 中野明

    ○中野明君 最初に、環境庁長官所信表明の中で、環境影響評価の制度というところで、これは懸案の「法制度化を図るべく鋭意努力いたしておるところであり」ますと、こうおっしゃっておるのですが、いまだに国会に提案された形跡がないのでございますが、どうなっておりますか。
  38. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 環境影響評価法案いわゆる環境アセスメントの法案の問題でございますが、実はこの環境汚染を未然に防止するということは、これは非常に大切なことである、開発事業の実施に当たりまして環境保全面の配慮をあらかじめしておくという意味におきまして、環境影響評価制度をぜひ確立させなくちゃならぬというのは、これは国民の間にもコンセンサスができておると私は判断をしておるわけです。  これを法制化するという問題につきましては、私は法制化を進めていった方がよろしいという判断に立っておるものでございまして、昨年の暮れに環境庁へ参りました際に、この問題の経過について聴取したわけですが、昨年の五月十八日に与党の方の政調会の結論が出ておりました。そしてこの環境アセスメント法案について、いま法制化は時期尚早である、また客観的な科学的指針というものかまだ確立していない、こういう御判断に立っておるわけです。が、しかしながらこの環境アセスメント制度を確立するということは、これは既定の方針ではある、だからひとつ党と政府が一体をなして、そしてこの環境アセスメントの制度の検討のために、それは日本の風土に合う実効性のある制度を精力的に検討すべきである、こういういわば党議決定がされておるわけでございます。  それでございますが、私はこの環境影響評価法案というものは非常に重要なものであるという認識のもとに与党の政調会長にお目にかかりまして、そしてとにかくこの時期尚早という意味各省庁間あるいは各団体、そういう方々との調整が不十分であるというふうな意味であろうと思う、そういうような意味で、党の方としましてもこの制度について精力的に党と政府は一体をなして検討をすべきであるという結論になっておりますから、ひとつ精力的に検討をさせていただきます。調整をさせていただきますと、こういうことの御了解を得たわけです。それはよかろうということになり、そして、しかしながら各省間のいろいろな調整、そういうことはよくやってくださいよ、各団体との間のいろいろな調整ということはよく話し合いはやってくださいよという話でした。それはもうもちろんそういう態度で臨んできました。こういうことで進んできたわけです。  そういうわけでございますが、これを踏んまえまして、与党の方の部会とせられましては非常に御熱心にこの検討がいま進められておる最中であります。それから、この環境アセスメントの問題につきましてどういうふうに取り扱っていくかという考え方につきまして、昭和五十年でございましたか、中公審に諮問をしておるわけです。その諮問の答申が大体今月中には出てくると思うのです。こういう点を踏んまえながら、党の御熱心な御討議、そういうことも考え、そして答申なども踏んまえながら何とか早期に法制化をという考えを持っておるわけです。  そういう意味で、この三月十六日に大体予算関連法案以外の法案の提出予定の期限というものを閣議などで説明されておるわけでございますので、三月十六日ごろまでにこの態度がはっきりするといいと思いまして、環境庁としましては指摘されておりまするところの客観的科学的指針というものを党の部会の方へお示しをしたということです。それから、環境庁が考えておりまするところの法案というものも部会の方、党の方へお示しをし、それを精力的に党の方で御検討をされておられる、こういう状態になっておりますが、三月十六日はもうきょうでございますから、それまでにまだ党の方の御方針なり決が出ておりません。また答申の方もまだ来ておりませんので、これを延期してもらいまして、三月十六日の提出期間を延期してもらう、こういう状態でございます。
  39. 中野明

    ○中野明君 この国会でお出しになるんですか、ならないんですか。
  40. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いまとにかく昨年の五月十八日のそういうふうな党の方の御決定もございますので、とにかく私どもは鋭意御検討の資料なり環境庁の考えておる考え方などを申し上げて、そうしてできるだけ早期に御検討を賜るという方針で臨んでおるわけでございます。
  41. 中野明

    ○中野明君 どうもお答えか無責任なお答えなんですが、これはもう毎年のように環境庁長官がかわられるものですから私どもも非常に遺憾に思っているわけですが、毎年のように環境庁長官所信表明の中で、ことしは出します、ことしはやりますと言ってもう四年になります。しかもいま長官のお話では国民の間にコンセンサスはできている、このように現状を認識もなさっておるようですし、この所信の中にも「だれもが認めるところ」だと、このようにおっしゃっております。  そうしますと、こういうふうに国民の全体の中にコンセンサスができ、もうだれもが認めているこの法制度化が法案を提出することかできない、これはどこにコンセンサスが得られぬところがあるんですか。その理由をもう一度説明していただきたいと思います。
  42. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 実はアセスメントの制度をつくるということにつきまして、また現実に閣議などでは四十七年には閣議了解できておりまして、そして政府関係がやるとか、あるいは政府の補助金とかそういうものを出しておる地方公共団体の事業その他につきましては、アセスメントをやるということの了解事項はできておるし、各省庁におきましてもアセスメントを個々にやっておられる状態なんです。ですから、この環境アセスメントの制度そのものについては、そういう意味で私はこのコンセンサスができておると判断しておるわけです。けれども、これをどういうふうに法制化するか、こういう内容、あり方、そういう問題につきましては御議論が相当あるわけです。  それで、政府部内にもこれはまだ意見がぴしっといってないという状態でございまして、いま言ったように、その法案の内容なり法制度化のあり方なりいろいろな問題につきましてまだコンセンサスができていない、こういうことです。けれどもが、環境庁としてみましては、指摘されておりまするところの科学的指針などもこういうふうに考えておりますとか、それから法案としましてはこういうふうなものですというものを党の方、あるいは関係省庁の方へもお示ししまして、そうして調整が一日も早くできるようにというわけで努力をいたしておるというのが現在の実情でございます。
  43. 中野明

    ○中野明君 先ほどの御答弁にありましたように、三月十六日というのが一応の政府のお約束された法案の提出期限、それに間に合わぬということで、各紙ではこの国会ではもう出さぬのだ、法案を見送るんだということが大々的に報道されている。私どもも非常に遺憾にも思いますし、一体環境庁という役所は何をするところなのか、そういう横の調整を精力的にやるために環境庁という役所ができているんではないだろうか、そういうように思うわけです。  ところが、いまの長官の答弁を聞いておりましても、非常に弱気というんですか、この法制度化ということをどうしても環境庁の一大事業としてやり抜くんだという決意が欠けているような気がしてならぬわけです。これは政府与党一体でございますので、やはり環境庁が本気にならないと、他の役所はこのアセスメントのことについて積極的に発言をする人はおらないと思います。  だから環境庁長官が本気でその気になって調整をとらなければできっこない法案だと私も思いますが、その点について再度お尋ねしますが、いまの環境庁長官の見通しですか感触、これはこの国会で成案として法案を出せるだけの確信をお持ちになっているかどうか、もう一度御返事いただきたいと思います。
  44. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 再三申し上げておるわけですが、私は、環境制度確立、要するに環境アセスメントの制度の確立のためには相当大きく前進しておると思うんです、要は。  というのは、いままで指摘されておりまするところの客観的科学的指針というものを環境庁としましてもこれを出しておるわけです。それから法案としましても出してきておるということは、これはもちろん一つの資料と申しましょうか、説明資料、党側なりあるいは各省に対する説明資料になっておるわけでございますけれども、それは過去になかった大きな前進なんです。そしてこれが公表されてまいっておりますから、各自治団体にしましても、関係としましても大きな環境庁が何を考え、どういうことをしておるかということの一つの目安に私はなると思います。  何とならば、従来各自治団体におきまする条例その他をつくる際に環境庁の方へいろいろと御相談があるわけです。ですからそういうものに対しましても私ども相談をする一つの基準というものをお示ししてまいるということは私は非常な前進になっておる、こういうふうに思っております。そして大切な環境アセスメントのことですから一歩でも二歩でも前進させようという心組みでおるわけです。  ただ、法案の関係につきましては、とにかく昨年来のいきさつがあるわけでございます。でございまするので、こういういきさつというものは過去になかったいきさつなんです。けれどもが、もう委員も御承知のとおり、政府としまして法案を提出するにしましてもプロセスというものがあるわけです。そういうものにつきましていま環境庁としましてやるべきことを一生懸命になってやっておる、そして党の方も御熱心にいま討議をされておる、各省庁に対しましても環境庁としては熱心にやっておるわけでございまするので、ひとつその点は御理解をしていただきたい、こう思います。
  45. 中野明

    ○中野明君 与党の中で、高度成長期であったから必要な制度であっていまはもうこういう制度は要らぬのだというような意見があったり、時期尚早ということ、時期尚早論、これはもう公然と伝えられておるわけなんですが、その点について長官としてはどういう認識をお持ちになっていますか。
  46. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) その時期尚早というのは、いま言ったように各省庁間あるいはいろいろな団体、そういうものとの間に、そういう方々との間にまだ調整が十分できていない、こういう意味と受け取りまして、そしてこれを精力的に御理解なりをしていただくようにいま鋭意折衝をいたしておる、こういうわけでございます。
  47. 中野明

    ○中野明君 そういうとり方では、これは大変な違いがあるんじゃないかと思いますが、結局いま私がちょっと申し上げましたように、高度成長期には必要であったけれどもこういう低成長の時代になったら必要でない制度なんだと、こういうことから出てきておる時期尚早論ではないかというのが一般の受け取り方であり、また公然と伝えられておるところであります。  いまの長官のおっしゃっているのは、その調整ができてないからちょっと時期が早いんじゃないか、そのうちに調整ができればというような状況と全然認識が違うんじゃないかというような気がするわけですが、その辺いま長官が受け取っておられる考え方、私はどうも納得できないんですが、もう一度この時期尚早論ということ、これを明確にしておいていただきたいと思います。
  48. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いま中野委員がおっしゃる心持ちはよくわかるんです、いろいろなそういうようなことも耳へ入ってこぬじゃございませんから。ですが、私の認識としましては、それじゃ安定成長になったからこういう環境アセスのようなものは必要はないんだというようなことは私はないと思うんです、これは。それはいろいろな方々の中の心持ちにはいろいろなニュアンスはあるかもわかりませんが、しかしそういうふうじゃない。ただ環境アセスメントにつきましてのその法制化について、どういう内容、どういう形にするか、あるいはその時期、そういうような御議論がまだ調整がついていないというふうに認識をしておるわけです。  まあ高度成長のときには必要だったけれどもがこういう状態になったらこんなアセスメントは必要がないんじゃないかというようなふうな、それはまあいろいろな大ぜいのことですから、どういうお考えを持つ方があるかわかりませんが、これはコンセンサスの中に入っていないだろうというふうに私は受けとめておるわけです。
  49. 中野明

    ○中野明君 非常にこれは大切な私どもも環境庁に最も期待をしておる仕事の一つでございますが、先ほどからのやりとりで非常に私も残念に思います。この国会で見送られてしまうということになると、もう環境保全ということに対する政府の姿勢というんですか、これに対して住民の不満と不信というものがますます大きくなって、かえって、どう申したらよろしいですか、当然進むべき開発も不信というものが先に立ってくると進まなくなる、こういう心配すら出てくるわけです。どうか長官、その点これ以上押し問答をしてもいたし方ございませんが、ぜひとも、長官に就任をなさったわけでございますので、このアセスメント法につきましては精力的に取り組んでいただいて、一日も早く成案を得られることを強く私は要望いたします。  そして、技術指針というものをつくって、上からお示しになるというような話も聞いておるわけですが、そういう場合にもやはり最近はこの法案見送りということによりまして、各地方自治体では独自にアセスメント制度をつくっていこうという動きが活発になってきております。そのために技術指針を上から示されても、それを無理やりに押しつけるんではなくして、公害基本法でも言われておりますように、上乗せということは地域の実情に応じてある程度認められておりますので、その辺は含みを持ってお考えになるべきだと、このように私思いますが、この点いかがでしょうか。
  50. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 要するに自治団体が制定する条例についてどういう態度、見解を持つかというような御質問と受け取ります。  で、条例を制定するというのは、これは地方自治団体の権限であります。これが適法であり、適正な条例というものができると思います。これは当然尊重すべきものである、こういう考え方であります。
  51. 中野明

    ○中野明君 いずれこれは各党からも質問が出ると思いますので、時間の関係で私次の問題に移りたいと思いますが、第五点目としては、長官所信の中でお述べになっているように「水質保全の問題が現下の重要課題」になってきておると、こうおっしゃっておりますが、先日御提示をいただきました環境庁の五十四年度の予算書を見てみますと、水質汚濁防止対策費が五千八百五十九万前年より減になっておりますが、これは重要課題にしてはなぜ五千八百万も予算を減らされたのか。内訳について担当者から説明をしていただきたいんです。
  52. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) ただいま御指摘のございました「環境庁予算主要事項調」の中に、確かにおっしゃるような水質汚濁防止対策費五千八百万何がしかの減という表示があるわけでございますが、これは五十三年度におきまして負荷量の監視モデル事業といいますか、テレメーターのモデル事業がこの中に計上されておったわけでございますが、五十四年度におきましてはこれが本格実施ということになりまして、別の事項の方に移りまして、その分だけ減額になっております。したがいまして、それは別の事項の方でそれがそれ以上の増額になっておるということでございまして、予算上の形式上の減額でございます。  そこで、水質汚濁防止関係の五十四年度の予算、お願いしております予算額は、前年度予算に対しまして六%増の十三億三百万円というようなことで、前年よりは増になっておるわけでございます。
  53. 中野明

    ○中野明君 非常に、私資料をいただいてこの予算書を見せていただいたんですが、まことに不親切な予算書の書き方じゃないかなという感じがしてなりません。そういう点、長官所信の中にも「重要課題」と、こうしておられるんですから、やはり説明書の中にでもそういうことをつけ加えて、重要、重点事項のことはこうこうこうだと、このようにやはり親切にわかるようにしておいていただきたい、こういう気がいたします。  それで、同じくこの水質汚濁の関係で、ことしもまた赤潮発生ということが非常に心配されております。毎年毎年のように、おととしもそうでした。昨年もまさかと思っておったのか赤潮の大量発生で大変な漁民に被害が出ておりますが、この赤潮の発生機構の解明ということがもう当面の急務になっておりまして、ことしの予算書を見せていただきますと「赤潮発生機構総合解析」ということが、初めてこういう言葉が出てきたんではないかと思うんですが、赤潮の対策費として一体国の方でどれぐらい予算を計上してお使いになっているものか、環境庁、それにきょう水産庁も来ていただいているんですが、環境庁で大体全体としてどれぐらいをおつかみになっているか、おわかりになる範囲で教えていただきたいんです。
  54. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 水質保全の中で赤潮関係でございますが、赤潮対策につきましては従来から水産庁、環境庁でいろいろ対策を講じているところでございますが、環境庁といたしましては、水産庁と共同いたしまして全国の学識経験者から成ります赤潮研究会等も開催いたしまして、赤潮の発生機構の解明等の研究を行っているところでございます。  五十四年度の赤潮対策費、国全体でございますが、この中には大きく分類をいたしますと、赤潮の発生機構の解明、二番目に赤潮の発生防止なり防止対策の問題、三番目に赤潮被害の救済対策等の赤潮関連予算でございますが、これが全体で十三億二千万円でございます。それから赤潮に非常に深いかかわり合いを持っております富栄養化の対策、これを含めますと全体で約二十四億というようなことでございます。
  55. 中野明

    ○中野明君 水産庁としてはどれぐらい使っていますか。
  56. 伊賀原弥一郎

    説明員伊賀原弥一郎君) 水産庁といたしましては五十四年度の赤潮対策の予算といたしまして五億九千万を要求いたしております。前年度は三億六千万円でございましたので、対前年比をとりますと一六三%ということになっております。  予算の中味といたしましては幾つかございますけれども、いわゆる赤潮の発生に非常に関係が深いと言われておりますいわゆるヘドロ関係の堆積状況を調べる調査、この名称を漁場改良復旧基礎調査と言っておりますけれども、その関係の費用、それから赤潮の発生を事前に予察をしたり観測をしたりする費用といたしまして赤潮情報交換事業、赤潮予察調査事業、こういう事業がございます。こういう事業を実施しております。それから赤潮の対策といたしまして技術開発をするという種類の試験の費用がございます。それからそのほか赤潮が発生したときに漁業者の被害を少しでも軽減するということで、ハマチ等を生けすに収容したり、あるいはハマチの斃死を防ぐために酸素の補給をしたり、そういう費用の補助の費用がございます。  以上でございます。
  57. 中野明

    ○中野明君 この赤潮の問題についてはたびたび私も指摘をしておるわけですが、各省庁それぞれの立場でやはり予算をとって赤潮の解明なり防止対策に努力をしておられることは承知をしておるわけですが、地元にも強い要望がありますように、やはりこれは横の連携というのがなかなかうまくいかないということで、どうしても総合的に一貫的な解明、そして発生機構の解明なり調査の研究ということをやってもらわないと国費のむだ遣いにも通じるんではないか、こういう意見も非常に強いわけです。  で、今回初めて「赤潮発生機構総合解析調査」というような名目で予算を出してきておられるわけですが、これは私がいま申し上げておりましたような方向に向かうべく考えておられることかどうか、その点関係者から御返事をいただきたい。
  58. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 赤潮の発生機構につきましては各研究機関等でいろいろ調査をやっておるわけでございますが、先生御指摘のように、横の連絡は従来必ずしも十分でなかったという面はあるわけでございますが、そこで、そういう面を是正改善するために、先ほど若干触れましたけれども、赤潮研究会ということで、これは国立公害研究所あるいは水産庁の水産研究所あるいはその他の試験研究機関、大学等の研究者にお集まりをいただいて、横の連絡をとりながら効果的に効率的に赤潮研究を進めていこうという趣旨で開催をいたしておるものでございます。  そこで、ただいま御指摘の赤潮発生機構の総合解析調査、これは五十四年度新規にお願いしているものでございますが、これは従来いろいろ調査研究等でデータがかなり集積をいたしております。これは環境庁調査だけではございませんで、水産庁その他の調査等におきましていろいろ調査のデータがございますので、そういうものをいろいろ時系列的なりいろんな面で組み合わせいたしまして電算処理等行いまして、そこで赤潮発生のメカニズムにつきまして解明をしてまいりたいということで、年次計画をもって実施をしたいというものでございます。そういう意味では従来の調査研究のデータをここでもう一遍見直しをいたしまして、総合的に解析をしようというようなことでございます。
  59. 中野明

    ○中野明君 私が先ほど申し上げましたように、赤潮研究会も確かにつくられておるんですが、どうもそれがなかなか発生の機構というのが非常に微妙で解明ができないというのが現在までの現状でございますが、いま先ほどからおっしゃっているように、多額の国費を使って発生機構の解明に鋭意努力をなさっておるんですから、それを効果あらしめるためには、やはり一カ所で総合的に専門的に各省からそこへ出てきていただいてでも絶えず横の連携をとって分析をし、そして解明をするという、そういうシステムをつくらないと、これはもういつまでたっても、ただわかりませんわかりません、むずかしい問題ですということで時を経るんではないか、こういう心配をいたしますので、その点も含めて長官ひとつ、この問題については精力的に取り組んでいただくように努力をしていただきたい、このように思うわけであります。  きょうは時間がございませんので、以上二点だけ質問さしていただいて終わりますが、環境アセスメントの問題にしましても、あるいは赤潮の問題にしましても、どうも何か対策が後手後手になっているような気がしてなりません。どうか今後ともの取り組みを期待いたしまして、私の質問終わりたいと思います。
  60. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 赤潮の対策につきましては中野委員のおっしゃるとおりでございまして、私国立公害研究所へ視察に赴きましてそのことも申し上げ、この五十四年度予算につきましては相当大幅な予算づけがされておるわけです、国立公害研究所に。そしてまた赤潮みたいなこういう問題につきましても、ばらばらでなくて、中心になってそして解明に入る、こういうことでないとなかなか所期の目的を達しないからということも申し上げました。研究所のスタッフもそういう考えで取っ組んでいくと思います。御趣旨を体しまして検討していきたいと思います。
  61. 馬場富

    馬場富君 先ほど中野委員からも質問ございましたが、長官にお尋ねいたしますが、このアセスメント法案の提出は先ほどのお話で実質上今国会においても見送りになったと、もうこう理解すべきですが、結局ここで四回見送りになるということです。  先ほどもいろんなその理由を長官は御説明になっておりますが、四度目ですからね。そういう点で本当にこの点の長官所信表明とあわせまして、私どもはこの四回目の見送りはやはり国民が納得できないものがあるわけです。ここの点について、非常にくどいようですが、その見送りの理由を御説明願いたいと思います。
  62. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) まだ見送ったというわけではございませんが、先ほど中野委員に御説明をいたしたような経過になっております。  で、いま環境庁としましては、一歩でもこの大切な環境アセスメントの制度確立のために努力をしなけりゃならぬというわけで進めておるわけでございます。ですから、私はこの取り組み方、そういうものにつきましては大きく前進をしておるもんだというふうに認識をいたしております。そしてこの努力はより一層真剣に進めていきたい、こういうふうな考え方です。
  63. 馬場富

    馬場富君 それでは、延期とは期限があるわけですね。それじゃ延期したからには今国会中に提出の見通しの可能性があるのかどうかという点ですよ。
  64. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 実は先ほども中野委員にも申し上げたわけでございまするが、環境庁としましては従来指摘されておりまするところの客観的科学的指針もお示しをし、そして法案の内容その他につきましてもお示しをいたしておるわけです。けれどもが、いろいろと各省庁間におきましてまだ完全に調整が済んだという段階ではなし、またいろいろと与党の方としましても真剣にいま御検討を進めておられる過程でございます。  そういうわけでございますので、この三月十六日という一応のめどというものにつきましては、それには間に合わないから少し延ばしておっていただきたい、こういうふうにいたしておるわけでございます。
  65. 馬場富

    馬場富君 だめなら早くかぶとを脱いでくださいと思いますか、それでは、じゃ長官はやはりこの法案の主務大臣として、どうです、今国会中にその成立の可能性が、提案の可能性があるかどうかはっきりさせておいてください。
  66. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) これは馬場委員よく御承知だと思いますが、政府が法案を提出するにしましてもプロセスが皆あるわけなんです。そのプロセスに対しまして、その御審議をされておる方へいま一生懸命になって御説明を申し上げて進んでおるわけです。そういうわけでございますので、こちらが決めたらすっとできるというような状態であるならばこれはいいんですけれども、そうでないプロセスがあるわけでございます。その点はひとつ御理解をしていただきたい、こう思います。
  67. 馬場富

    馬場富君 それでは、長官所信表明どおりこのアセスメント法案については積極的にやはり提案する方向で努力しておる、だが客観情勢からいくと無理だというふうに理解していいですかどうですか。
  68. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いま鋭意検討されておられるわけでございますので、いまのいろいろなハードルがたくさんあるという状態でございます。
  69. 馬場富

    馬場富君 もう一点は、先ほど長官おっしゃいましたが、提案はおくれておるけれども前進しておるとおっしゃいましたが、いかなる方向で前進の方向性が出ておるか。それをひとつ御説明願いたいと思います。
  70. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) それは実はいままで環境庁としまして客観的科学的指針というものはもう統一的にお示しをしたということはございませんでした。今回これをまとめて提出しておるということは大きな前進であろうと、こう思います。  なお、この法案そのものにつきましての内容その他につきましてお示しをする段階に至っておるということも私は大きな前進だと思いますのは、各自治団体その他につきましてもあるいは知事会あるいは市長会、各県の議長会の方々などにおきましても早期の法制化を要望されてまいっております。またこの前NHKの世論調査その他におきましても、四県の方が大体時期尚早というような御意見、その他につきましては大多数が早期の法制化を希望されておるということを報道されております。  こういう意味におきまして、私どもは精力的に進めておるということは、科学的指針が公表され、それから法案の骨子というものも出てくるということになりますれば、いろいろとアセスメントの条例その他を策定される意味におきましても常に御相談というものがあるわけですから、一つの目安というものが客観的にできてくるという意味におきましても環境アセスメントの制度の確立に大きく前進をしておるもんだと、私はこういう認識を持っておるんです。けれどもが、これを法制化するという段階にしますれば、これはより一層確立をするわけで、そういう意味でいま鋭意努力をしておる、こういう段階でございます。
  71. 馬場富

    馬場富君 それでは、先日中公審の環境部会の方でやはり法案にかわるべき準則の打ち出しがなされておりますけれども、この点についてどのような見解を持ってみえるか、御説明願いたいと思います。
  72. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) それは中公審の方の答申のことだと思いますが、まだ答申出ておりませんです、中公審の方は、要は。諮問はもうされておるわけです、大分前に。けれどもが、答申は出ておりませんが、近いうちに答申をお受けするような状態になっておるように判断をしておる、こういうわけですから、現実にはまだ答申は出ておらないわけです。
  73. 馬場富

    馬場富君 準則の内容とこの見解をひとつ説明していただきたい。
  74. 上村一

    政府委員上村一君) いま大臣からお答えいたしましたとおり、五十年十二月に中央公害対策審議会に諮問をいたしまして、答申をいま審議会で検討中でございまして、いま御質問にございましたような準則とか何とかというものにつきましてはまだないものでございます。
  75. 馬場富

    馬場富君 だから法案とはどういう関係があるのですか。まずそれを説明してもらいたい。
  76. 上村一

    政府委員上村一君) 御質問の中で準則の意味するものが何であるかにつきまして私自身必ずしも明確でないわけでございますが、私どもとしては法案をぜひつくりたいというふうな気持ちは先ほど来大臣からもお答えしたとおりでございます。そしてこの法案というのは、中央公害対策審議会に環境影響評価制度のあり方について諮問をしておりますので、その諮問の内容に即しながら固めてまいるというのが筋合いではなかろうかというふうに思っておるわけでございまして、法案と準則というのは、もともと準則というものはいまの段階で考えておりませんで、結びつきがないというふうにお考えいただきたいと思います。
  77. 馬場富

    馬場富君 それではもう一つ、十三日に発表されました技術指針については、これのひとつ見解をお願いします。
  78. 上村一

    政府委員上村一君) この環境影響評価の技術的事項というものを取りまとめまして、先ほど来お話し申し上げておりますように世の中にお示しをしたわけでございますが、この資料と申しますのは、環境庁がこれまで調査研究をいたしました成果と、それから個別事案について環境影響審査をしてまいりました実績を踏まえまして、環境影響評価の調査なり予測なり評価の基本的な考え方なり手法というものを技術面から整理したものでございます。  したがいまして、これは現時点で整理したものでございますから、今後さらに調査研究がされてまいりますと、その進展に応じまして必要な見直しを行うものであるという点が第一点と、それからもう一つは、これは既存の知見を幅広く集めるのを目的としたものでございますから、個別的な事業の計画を対象にいたしました調査なり予測なり評価をされます場合には、それに応じて取捨選択あるいは省略なり補強が行われるべき筋合いのものであるというふうに考えておるものでございます。
  79. 馬場富

    馬場富君 報道等では、このやはり準則と合わせた指針等が一つは法案にかわる、法案のやはり提案のむずかしかった場合のかわるべき方法としてのことが報道されておりますけれども、長官、その点についての見解をお願いします。
  80. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 環境庁がいま準則をどうのあれがどうのというようなことは別段申し上げたわけではございませんが、馬場委員がおっしゃるように、そういうような記事がこうあるべきじゃないかと、要は。要するに法制化の時期というものについてはそういまこだわるというよりも、一歩でも準則なり指針なりというものを示していくことによって前進を図る、そしてアセスメント制度というものについて確立をしていくという方が大きな前進ではないかというような趣旨の新聞記事などを拝見をいたしたことはございます。ありますが、環境庁が準則をいま示しておくとかどうとかいうようなことはまだ申していないわけであります。
  81. 馬場富

    馬場富君 実質、長官環境庁以外の建設省や通産省にも関係あることですけれども、やはり法制化がむずかしい場合の一つの地方自治体や各関係官庁とのそういう一つの指針や規範というか、そういう形からもやはりこの二つはそういう場合必要性があると考えられるということは、私はそういうふうに受けるわけですけれども、その点どうでしょうか。
  82. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 貴重な御意見であるというふうに思っております。
  83. 馬場富

    馬場富君 それじゃ、次は地盤沈下についての先般環境庁から概況が発表されましたが、その現状について担当者から御説明願いたいと思います。
  84. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 地盤沈下の状況でございますが、私どもの方で水準測量をやっておるわけでございますが、そういうものの結果等から見まして、地盤沈下の認められております地域は全国で三十四都府県、約五十八地域でございます。  全般的に見ますと、かなり沈下は一時に比べますと鈍化の傾向を示しております。特にかつて沈下量の非常に大きかった東京湾沿岸部であるとか、あるいは大阪市とか青森市等におきましては各種の対策によりまして地盤沈下が停止をした、あるいは著しく鈍化をしたというような地域も見られるわけでございます。ただ一方、埼玉県の所沢市を中心といたします地域であるとか、あるいは濃尾平野の愛知、三重県のような地域とか、あるいは山形盆地、佐賀県の白石平野等の農業地帯等で、これも鈍化傾向にはあるわけでございますが、なお沈下が続いておるというような状況でございます。
  85. 馬場富

    馬場富君 地盤沈下のいままで調査や検討もされてきましたし、また学術的にも相当検討もされておりますが、その原因と対策について御説明願いたいと思います。
  86. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 地盤沈下の原因でございますが、その中でやはり最大の原因は地下水の過剰なくみ上げにあるものと考えております。そこで、地盤沈下の対策といたしましては、したがいまして地下水採取の規制あるいは代替水の供給事業、地下水利用の合理化というような施策を総合的に講じているところでございます。  地盤沈下を防止するための制度といたしましては工業用水法、それから建築物用地下水の採取の規制に関する法律、いわゆるビル用水法でございますが、その二つがあるわけでございますが、それによりまして地下水の採取の規制を行ってきておるわけでございますが、このほかに地方公共団体におきましては、地盤沈下がきわめて地域的特性の強い性格を持っておりますので、近年積極的に条例等に基づきまして地下水採取の規制あるいは合理化等の指導を進めておりまして、その効果を上げておるところでございます。  また、五十四年度の予算で新たにお願いしておるものといたしまして、環境庁では広域的な地盤沈下地域におきまして総合的な対策を行うために広域対策調査を実施をするということを予定をいたしておりますし、また農林水産省におきましては養魚用水の合理化のパイロット事業を行うというようなことを考えておるわけでございます。  また、地盤沈下対策につきまして、かねてからいろいろ総合的な法制化につきましての検討を行っておるわけでございますが、現在関係各省といろいろ調整を行っている段階でございます。
  87. 馬場富

    馬場富君 その説明にもありますように、地下水の採取というのがやはり一つの根本原因であるということは地盤沈下の原因の中でもやはり学術的にも実験的にももう確定した問題だと、こう思うわけです。  そういう点で、いま先ほどお述べになったように、国ではそういう工業用水法あるいは建築物用地下水採取規制と二つございますけれども、いまそれだけでは実情間に合わないというような状況からして、各地方団体での規制が強化されておりますが、その実情はどうですか。
  88. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 各地方、地盤沈下の起こっております地域につきましては、それぞれ地方公共団体におきまして条例等におきまして規制をしているのが実態でございまして、新規採取の禁止であるとかあるいは用途を限って規制をするとか、そういうような規制の態様はさまざまでございますが、それぞれ地方公共団体がその地域の実態に即しまして対応いたしているという状況でございます。
  89. 馬場富

    馬場富君 それは何団体ぐらい現在はその規制をされていますか。
  90. 馬場道夫

    政府委員馬場道夫君) 条例でやっておりますのが、全国で百三十の地方公共団体で条例等に基づく規制をやっております。
  91. 馬場富

    馬場富君 いま全国的な地盤沈下の被害の中でも述べられましたが、被害の非常に大きい地域の中に愛知県の濃尾平野の地盤沈下というのがございますが、これは御存じのように広範囲なゼロ地帯とあわせまして、地盤沈下の面積とそれから沈下度についてはやはり最高の規模を持つものであると私もそういうふうに実態を見て思うわけですが、この点について実情と対策を御説明願いたいと思います。
  92. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 馬場委員も御指摘でございますし、私も愛知ですから、よく濃尾平野の問題、特に愛知県では海部郡付近の地盤沈下、非常に地域の人も心配しておりますし、それから自治団体もこの対策につきまして大きく苦慮し、そしてこれだけの大きなものになりますというと、国の方でも積極的にこれを考えてほしいという御要望はよく承知しております。馬場委員もきっとよく承知されておると思います。またお隣りの三重県その他におきましても地盤沈下の問題がございます。  この問題は御承知のように公害対策基本法の七公害一つでございまして、どうしても積極的に取り組まなくちゃならぬという問題でございますが、何しろいま言ったように工業用水法あるいはいわゆるビル用水法その他で地下水のいろんな管理、くみ上げの制限、そういうようなものが図られておりますが、どうも十分でない。何らかこれを処置しなきゃならない諸問題がありますが、これに対する関係各省庁間におきまして、環境庁が主になりましていまいろいろと折衝、検討をしておる段階でございます。前向きにひとつ取り組んでいきたい、こう思っております。
  93. 馬場富

    馬場富君 長官も地元で御存じのように、十七号台風のときの被害というのは、やはり濃尾平野の被害というのは地盤沈下から起こった被害がほとんどである、こういう状況からしまして地元愛知県でも相当憂慮されておる問題です。  そういう点について、ひとつこれについて総合的な立場から国土庁で、一つは法案の制定がいま考えられておるというふうに聞いておりますが、その点について御説明願いたいと思います。
  94. 市川博昭

    説明員(市川博昭君) 先生御承知のように、私ども昨年の三月に国土庁の試案を出しまして、いわばたたき台でございますが、各省と協議をしてまいったわけでございます。  その間におきまして、この地下水採取に伴う地盤沈下、特に地下水そのものが生活の飲み水であったり、また産業の生産手段というようなこともございまして、やはり対策面の強化と申しますか、代替水を確保する、このためにはかなりのやはり事業をやらなきやならない、これが地方公共団体だけではなかなかいかないということもございます。また現在使っておる地下水というものをやはり節水すると申しますか、また合理化する、こういうこともかなり工業用水では行われておりますが、農業用水におきましても、また上水道におきましても、やはりそうした合理化をやっていく必要がある。そうした対策面につきましてかなりやはり技術的にもこれから詰めなきゃならないし、また昨年御承知のようにいろいろ渇水がございまして、渇水の際におきまして地下水というものをやはり水資源としてこれは有効に適切に使う必要があるという見地もいろいろ入ってまいりまして、そういたしますと、やはり地域地域によりまして適正な地下水の採取量、永続的に地下水を使っていく、地盤沈下を起こさないように使っていこうということもやはり配慮しなきゃならないというようなことがございまして、現在各省とそうした問題点について御討議をいただいているところでございます。
  95. 馬場富

    馬場富君 最後に関係各省に簡単に御答弁願いたいと思いますが、国土庁についての検討の法案がいま示されましたけれども、その具体的な内容はどのような点かという点と、それからその見通しですね。それからもう一つは、厚生省来ていただいておると思いますが、濃尾地域の地盤沈下については、その対策の中で工業用水も一つはありますけれども、生活用水の中の八〇%がいわゆる地下水によって行われておるという点についての転換が一つは大きいネックになっておるわけです。この点について、実はそういう市町村の上水に対する補助体制というのが全然現在ないわけです。そういう点で、これは規制がやかましく言われても転換の方法がない、こういう形になっておるわけです。この点について、この水源対策の事業に対して、厚生省の方でこの補助率の増加という点についてはひとつどのように考えてみえるかという点。  それからもう一つは、建設省は、先ほどもお話ししましたが、十七号台風の目比川の決壊というのは、私も現場をあの当時調査いたしましたが、一メーターも沈下したために、雨の量が多かったという点もありますけれども、決壊の原因になっておる。そういう点で、あの地域の実は治水事業の推進につきまして、非常にいま地元愛知県についてはこれを抱えてこう対策を立てれば十分やれるということがあったとしても、予算面について行き詰まりを来たしておる。現状は十分の四の補助がなされておりますが、これに対する増率等についてどのように建設省は考えてみえるかという点。  最後は、農林水産省につきまして、やはり尾張西部総合排水対策というのが考えられておりまして、いわゆるゼロメートル以下ですから、その点について雨とか増水のたびに、やはりこの用水について非常に問題になってくるわけです。排水についても問題になってきます。この点について、当然もう県事業では抜きさしならぬという現状にございます。そういう点で国営化の推進を県は強く要望して、五十四年度については調査費がついたと言われておりますけれども、この事業の見通し、その点について。  それとあわせまして、各省が答弁していただきますので、環境庁も含めまして、いま国土庁で考えられております地盤沈下対策法案に対する各省の見解を一つはお聞きかせ願いたいと思います。  以上です。
  96. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 上水道の代替水の供給事業につきましては、一つにはダムによって水を確保するということと、それを浄化して各市町村に分配するという、用水供給事業といいますか、そういうものから成り立つと思いますけれども、これらの事業につきましては従来から補助制度がございまして、その促進を図ってきております。  たとえば尾張地域につきましては、愛知県営水道の尾張用水供給事業という形で、三十九年には水資源公団によるダム及び四十四年には用水供給事業に着手いたしまして、四十八年にはもうすでにその一部を給水しておりますが、現時点では大体関連市町村には水がもうすでに到着しておるという状況にございます。  補助の内容の改善でございますが、従来補助率四分の一ということでございましたが、予算の関係等で実質補助率はかなりそれを下回っておったというのが実情でございますが、五十四年度の予算案におきましては、すでにその実質四分の一は確保されるような改善の要求を出しておりますし、また四百ミリ以下のパイプは認めないといった事業についてもこれを撤廃するというような改善を行ってきているところでございます。
  97. 馬場富

    馬場富君 厚生省、県水については補助があるんですよ。ところが末端の市町村の上水がいわゆる地下水をくみ上げておるから、その水源の転換が必要なんだと。これに対してはやはり市町村に対する一つの補助体制ということが県とあわせて考えられなければこれが前進しないというのが現地の実情なんですね。それに対する補助の点ですよ。
  98. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 関連事業として見ますと、県営水道が約四百三十億ばかり、それから受け入れ体制が二、三十億というオーダーかと承知しておりますけれども、御案内のとおり一般に上水道事業に対する補助というのは公営企業として実施していくというたてまえでございまして、現在一般の上水道に対しては一切補助金が出ておりません。したがいまして、現在までの補助制度は、先ほど申し上げましたようなダムでありますとか、長距離導水路でありますとか、広域水道でありますとか、特に準公営企業的に行われておりまする簡易水道とか、本当に財政的に苦しいといいますか補助を要するものに重点を置いて補助してきておるところでございまして、上水道に対してはいまのところ補助制度はないという実情でございます。  この件に関しては新しい課題であり御提案でございますので、先生の御趣旨も体しながら、また上水道の補助の考え方、基本に触れる問題でもございますので、慎重に検討さしていただきたいと思います。
  99. 川本正知

    説明員(川本正知君) 先生から地盤沈下対策事業の補助率のかさ上げというような御質問でございますが、名古屋を中心といたします濃尾平野の低湿地におきましては、大変地盤沈下という問題が河川の方からいいましても大きな問題になってございます。  この濃尾平野を貫流いたします大河川といたしましては、まず何といっても木曽川があるわけでございますが、それと庄内川、これが昭和四十四年から直轄事業で入っておりますけれども、こういったものに対しまして、あるいは中小河川といたしましては日光川あるいは天白川、そういったものを初めとする多くの河川がございます。こういったものの対策といたしましては、直轄河川におきましては高潮堤の補強とかかさ上げとか、そういったものを合わせまして、河川改修におきまして一般の河川改修事業といたしましても護岸の補強あるいは堤防の補強、そういったものをやっておるわけでございます。  また日光川の例に見られますように、激特事業といたしまして昨年百トンの排水機場、非常に大きな排水機場を完成させましたけれども、こういった激特事業をも合わせまして、その内水地帯、地盤沈下地帯に対する内水排除対策としてのポンプ建設事業、そういったものもあわせてやっておるわけでございます。  御指摘の地盤沈下対策事業につきましては、愛知県におきましては新川、鍋田川、福田川、この三河川について実施しておりますが、これが現在補助率十分の四という補助率でやっております。何せ昭和五十二年度の事業費がこの三河川につきまして一億でございましたが、五十三年度は二億五千万ということで促進を図っておるところでございますが、全国の規模で申し上げましてもこの地盤沈下対策事業というものが五十三年度で四十億足らずといった程度でございます。でございますし、また一方これに対する対策というものも要請も強うございますし、また必要度も高いということで、私どもも現時点では補助率のかさ上げといったことよりはまだ十分でない事業費の確保、増大、そういったものに重点を置いていきたい、そういうふうに思っておるわけでございます。
  100. 中川稔

    説明員(中川稔君) 先生御指摘の尾張西部地区でございますが、昭和五十年度より昭和五十三年度に至る四カ年間、一億一千万の調査費をかけまして、農林水産省において直轄調査をいたしまして、そして津島市ほか五市十二町四カ村にわたる一万六千四百ヘクタールの地域の耕地の排水改良の事業計画を立てております。  そしてこれの主な計画といたしましては日光川の河口に百五十トンのポンプ場をつくるとともに、地区内の排水路の改修を行いたいというような計画になっております。五十四年度におきましては、この事業について全体実施設計費を予定しておりまして、約五千万円を予定しましてこの全体実施設計期間約二カ年ないし三カ年を経まして事業に着工いたしたい。そういうように考えております。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、私は大臣所信に関連をいたしまして、三月五日に大分地裁から判決が出ました大分新産都第二期計画の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。短かい時間でございますので端的にお伺いをしていきたいと思います。  まず、大分新産都第一期計画の一号地から四号地までの進出企業が操業を開始した昭和四十年代の中ごろから一号地、二号地の後背地であります三佐地区、それから家島地区の環境破壊が急テンポに進行いたしました。三月五日の大分地裁の判決は、第一期計画の結果発生した公害のひどい状態について明確な事実認定を行っているわけでございます。  そのポイントを時間がありませんから簡単に申し上げますと、お読みいただいていると思いますが、三点にしぼられると思うのです。その第一点は一期計画による公害の実情、しかもその公害の実情のうち三つに分けて海の汚染と漁業被害、それから三佐地区住民の公害被害、それから三佐地区住民の集団移転問題それが一つの問題点ですね。二つ目の問題点というのは、行政当局における公害防止対策の著しいおくれ、それから三つ目の指摘は、大企業の都合ばっかり考えて公害に苦しむ住民の声に真摯に耳を傾けなかった県当局の姿勢、これに関連する行政側と地元住民との間の対立の激しさということが指摘をされているわけでございます。  一つずつ申し上げたらいいわけですけれども、時間の都合がありますから、たとえば第一期計画における公害の実情というものについて判決の理由書ではこういうふうに端的に言われているのですね。  これは理由書の一の二四二ですが、これによりますと「大分県の臨海部の工業開発に伴って同三八年代から公害の方も目立ち始め、同四一年一月には大在海岸に黒い油が流れてのりに被害が生じたのを初め、同四五年九月には大分市沖合で大量のハマチが死亡するなどの漁業被害が、又同四四年一一月には昭和電工の電気系統の故障で悪臭が流れ、同四五年七月には家島地区で小夏、大豆等が黒く枯死するなどの農作物被害等が発生するに至ったこと。特に佐賀関町とは大野川をへだてて隣りあっている三佐家島地区は一期計画の一号地埋立地の背後地に当っている関係上周囲を住友化学工業大分製造所、鶴崎パルプ九州石油大分製油所、九電大分発電所、昭電コンビナートに取り囲まれ悪臭ばい煙の被害を受けて、住民らは気管支炎等で苦しむ者が多く公害の吹きだまりの観を呈する状態となっていた」。  それから一の二四四のところでは「この間県も住民の反対運動に動かされて三佐地区の全員五〇〇〇余人につき健康調査に着手し、同調査結果は昭和四八年五月九日医師会から正式に発表されたが、同結果を四〇歳以上の者を被調査者とした場合に修正して同地区の慢性気管支炎有症率を算出すると大阪、神戸、徳山を超え四日市に次いで、約九パーセントに及んでいることが判明した」。  またこれは一の二四八です。ここでは「前記三佐地区は二号埋立地の昭電グループの背後に当り地区内には臨海産業道路と昭電直通の県道が東西南北に走り地区は四つに分断され、この道路建設で地区内を一巡する排水路はしゃ断され雨期には毎年水害を受けると言った開発と環境整備とが跛行状態をきたしている有様で、しかも気管支炎等の発生状況は前記のとおりであるところから、昭和四九年九月二八日、同地区の三一八世帯一、三七〇人が鶴崎の別保地区に集団移転することを決意し、県、市と交渉の結果、住民において昭和五三年度末までに宅地一五万六、〇〇〇平方メートルと農地とを手放し、交換に別保地区の宅地一一万五、〇〇〇平方メートルを取得する旨の協議が成立したこと、しかし現在に至るも右移転は実現しておらず依然公害に苦しんでいること。」というふうに書かれておるわけでございます。  そこで、この大分地裁判決の事実認定というのは、大分新産都第一期計画に対する強い批判になっておると思うわけです。この判決の指摘を受けてまずお聞きをしたいのは、環境庁長官、国土庁、通産省はそれぞれどのように今度の大分の新産都判決を受けとめておいでになるか、まず最初にそのことをお聞きしたい。
  102. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 実は大分地裁の大分新産都市関係の訴訟の判決文は私十分拝見しておりません。内容はよく存じておりませんが、新聞で報道された部分につきましては承知をいたしております。  いま沓脱委員からいろいろお話しになりましたが、それが原告が述べておる事実なのか、あるいはその事実は裁判所が認定した事実なのか、これはちょっと私もわかりませんが……
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 認定事実です。
  104. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 認定事実ですか——読んでおりませんのではっきりしません。  ただ、環境庁としましては、環境関係に関する裁判所の判決というものにつきましてはよく参考にしていかなければならぬという基本的な考え方を持っております。というますのは、日本環境行政なりあるいは環境問題に対しまするところの裁判所の見解、判断というものが相当日本におきましては影響を強くいたしておるという事実を踏んまえまして、よく参考にしていきたいという態度でございます。
  105. 原田稔

    政府委員(原田稔君) 通産省も同様でございまして、よく参考にいたしまして今後のこの地域における開発を進めてまいりたい、かように思っております。
  106. 北川正

    説明員(北川正君) お答え申し上げます。  ただいま環境庁長官から御答弁がありましたとおり、国土庁といたしましても今回の訴訟経過等を踏まえまして、開発を進める際には行政当局に環境保全について強い責任が課されているということを考えて、環境保全の諸施策を総合的に計画的に進めるという方向でまいりたいと思っております。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、先ほど申し上げましたように、私先ほど読み上げましたのは、大臣、判決の理由という裁判所の認定です。で、判決の事実認定がいま述べておりますように第一期の計画の結果発生した公害問題というのは裁判所でも認定をされているわけですが、この公害問題の解決というのが第二期計画を進めていく上では先決問題であると思うわけです。まず何よりも一期計画の公害問題を解決するということでなければやはり二期計画について住民との信頼関係というのはできないわけですから、この点がきわめて大事だと思いますが、この点で基本姿勢ですね。一期計画による公害対策についての基本姿勢、これは環境庁長官にぜひお伺いをしておきたいと思うんです。
  108. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 日本公害対策経過をずうっと見ておりますというと、水俣病に対する対策にしましてもその他の対策にしましても結局は後追いになっておるわけです。で、この前の水俣病認定の促進関係につきましてこの不作為責任を裁判所で問われまして、そして地方自治団体で敗訴したという事例もあるわけですが、で、これは行政当局として何も故意的にやったわけでもないけれどもが、結果的には私は後追いになっておるということを反省するという姿勢でございます。  ですから、大分地裁が今回出された判決というものにつきましてもよくひとつ私ども勉強させていただいて、そしてこれをまともに受けてやっていきたいという姿勢であります。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと通産省の態度はどうですか。環境庁長官と同様ですか。その点だけはっきりしておいてください。
  110. 原田稔

    政府委員(原田稔君) 先ほど私御答弁申し上げましたとおり判決の内容等も十分参考にしながら今後の開発を進めてまいる必要がある、かように考えております。
  111. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、時間がありませんから詳しく申し上げておれないので、問題の次の第二期計画の実施ですね。これについてお聞きをしたいんですが、第二期計画のうち、佐賀関町臨海部の八号地埋め立て計画二百九十八・五ヘクタールですね。これは地元神崎地区の住民の非常に強い反対や、佐賀関町の漁協内部の流血事件まで起こした反対運動などがあって、昭和四十八年五月二十五日に県知事声明で、二期計画からはこの八号地計画というのは分離、中断されたといういきさつがあるわけですね。で、県知事声明では、この八号地計画というのはいわゆる中断三条件と言われるこの三点が満たされない限り中断の解除はいたしませんというように言われてきたものであります。  で、中断三条件というのは一体何なのか。その一つは、環境基準が公害規制面で充足されること、つまり環境アセスメントの実施だということなんですね。二つ目は、地元の同意を得ること。三つ目は、佐賀関町漁協の正常化。この三つをいわゆる中断三条件ということで県知事はお示しになった。で、この三条件がことごとく満たされてないわけですね、現状では。ところが、県知事はこの間の判決直後に記者会見で、今年度中に中断を解除する方針であると言い出しているわけです。  で、私はここで特に重大だと思いますのは、県知事がそういうことで住民と合意をされたわけですね。中断三条件というものを示して、これが実現をしない限りは解除しないと言っておりながら、何一つ実現をしていないというままでことし解除する方針だなどと言われるというようなことは、住民との合意じゃなしに住民との間に不信をつのらせるというふうなやり方だと思うわけですが、こういう県知事のような態度、これはきわめて環境問題を扱う上では重大だと思うんですが、環境庁長官、これはどう考えますか。
  112. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 基本的な姿勢は先ほど申し上げたとおりでございますが、具体的な問題その他に入っておるようでございますので、担当の局長から説明をさしていただきます。
  113. 上村一

    政府委員上村一君) 私どもは、大分県の知事さんが判決がありました後そういうふうなことをお話しになったということについては承知しておらないわけでございます。
  114. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 記者会見。
  115. 上村一

    政府委員上村一君) この問題御指摘になりましたように長い歴史がある、長い歴史の中でいまお話しになりましたような中断解除の三条件等があったわけでございまして、それから後、大分県はいろんな事前調査をやってきておりまして、去年の八月には開発計画に係る環境影響評価の実施について環境庁の方にも指導を求めてまいられたわけでございます。そういう点から私どもとしましては慎重に検討してこの問題に対処するようにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  116. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、時間がありませんので、ちょっと御答弁了解しがたいんですけれども、しにくい点があるんですが、ちょっともう少し具体的に言いますと、裁判を起こしました原告住民が住んでおる神崎地区というのは、これは判決理由の中でも特に明記されておりますが、特別に公害に弱い地形だということをはっきりと書いてあります。  これは判決理由の一の二四二から二四三に書いてあるんですか「特に神崎地区の地形が佐賀関半島のつけ根の部分に位置し、その北側には海がひかえ、南側には丘陵と高さ四〇〇メートルから五〇〇メートル程の山が連らなってその間の幅約三〇〇メートルから三〇〇メートルの狭い生活空間としかなっていない上、冬には北西風が、夏には海風と陸風とが交互に吹くと言った気象状態で、若し北側の海が埋立られ工場群が立ち並んだ場合には悪臭有毒ガスが神崎地区に吹きつけ蓄留されてその公害被害は甚大であろうと考えられたこと、」というふうに公害に弱い地形だということを判決理由ははっきり認めておるわけですが、この第一期第二期計画分とあわせて七号地Cと八号地の埋め立て工事と、その上に工場群を立地操業させた場合、この公害に弱い地形である神崎地区というのはどういう影響が出るかというのは、まあ大体常識でもわかるわけですが、どういう影響が出るかを科学的に調査、予測、評価する、そうして地元の住民の合意を取りつけるということがこういう状況であるからゆえに特に大前提だと思うわけでございます。  で、環境庁、国土庁にお聞きをしておきたいと思いますが、そういう状況にあるということを前提といたしまして、県知事が約束をした中断三条件の満足、とりわけそのうちの第一点の環境アセスメントの実施、それに基づく地元住民の合意を得ずに八号地の計画の中断を解除するというふうなことというのは、これは私ども見ましてもあってはならないことだと思うわけでございますが、こういうことが絶対にないように、これは少なくとも環境庁、国土庁は県に対して厳しく監督、指導をする必要があるのではないかと思いますが、その点どうですか。
  117. 上村一

    政府委員上村一君) どうもいまの御質問、非常にお答えにくいんでございますが、と申しますのは、この判決自身が原告らが取り消しを求めておる新産都の基本計画というのは、いわゆる青写真にすぎない段階だということで原告敗訴になった判決であるわけでございます。  そこで、本題はいま御指摘になりました環境影響調査の問題になるわけでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、現在大分県ではこれまでの経緯にかんがみまして、この大分地域の将来における開発計画にかかわる環境影響評価というものを実施すべくやっておるわけでございまして、私どもが聞いておりますのは昭和五十四年の暮れまでに一連の環境影響評価の手続が終わるというふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、私どもの判断というのはそういうものを聞きました上で行うということにならざるを得ないのじゃないかなというふうに思うわけでございます。
  118. 北川正

    説明員(北川正君) 国土庁の立場でございますが、まず環境庁の担当局長から御答弁ありましたように、私どもも県知事がどういうふうにおっしゃったのか全然承知しておりません。  ただ、御案内のとおり現在の改定後の大分地区新産都建設基本計画では環境保全等という項目を特に設けまして、産業の開発に当たっては地域住民の健康の保護と快適な生活環境保全に徹する必要があるということを記述した上で、もうすでに準備をされているとただいま環境庁局長から御答弁かありましたように、この環境影響評価を実施して、その結果に応じて所要の措置を講ずるというふうに基本計画にきちんと記述されております。したがって、県当局としてはその内容を十分わきまえて今後の開発のあり方を考えていかれると確信しておりますし、当庁としても必要に応じて環境保全対策に関して関係省庁と連絡をとりつつ指導を行ってまいるということでございます。
  119. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この判決というのは原告負けているんですね。負けている理由というのは、これはまだ青写真で差しとめするという何ものもないということで却下をされているんですが、しかしこの判決で非常に大事だと思うのは、冒頭に申し上げたように第一期計画によって起こっている公害被害についても行政が十分対応していない、そのために住民との間の信頼関係というのはできていない、不信が非常に大きくつのっているということが具体的に指摘されている。  そこがきわめて重要だから、私は特に二期計画の実施については、そういった判決理由の中で明記をされている内容については、これは長官が明確におっしゃったように十分判決文を検討して、踏まえてとおっしゃっているんですから、そういう立場でお考えをいただくならば、これは当然環境影響評価をやって住民の合意を得なければこれは実施させられない、できないもんだということは、これは理の当然なんですが、しかし一地方のところのやることですから、いろいろ前のことがあるわけですから、一期計画での実績があるわけですから、何とか二期計画については再度トラブルが起こらないように十分指導監督をやるべきではないかという点で私お尋ねをしたわけです。  特に急がにゃならぬということもありませんので、県知事はことしじゅうに凍結解除、中断解除と言っておられるようですけれども、これも判決理由に非常にはっきり述べているんですが、そんなに埋め立てを急ぐ必要は客観的にないということも、これ判決理由に書いてありますよ。  それによりますと、六号地造成は進出予定の九州石油か石油ショック以来業績が低迷しているので、新規設備投資の経済余力がないから、五十四年度以降の埋め立て工事を中断し、完成時期をもっと先に延ばしてほしいと県に要望しているという事実。それから七号地Bは昭和五十二年二月にはすべて完成し、進出企業を待つばかりとなっている。ところが判決文でも指摘しているように、こう書いてありますね。「昭和四八年までの高度経済成長の終焉に伴い今のところ進出希望の企業は全くないと言った状態」だ、これも事実です。地元では七号地Bは売れない土地だと呼ばれている。大分県当局は大阪や東京にまで出てきて企業を集めて、大分にいい土地があるから来ないかという誘致に必死になっていると言われている。したがって、すでに出てきている六号地、七号地がこういう状態なんですから、八号地計画、係争になりました八号地計画というのは急ぐ必要はないと思うわけです。  そういう点で少なくとも今年度中に中断を解除して、急いで埋め立てなきゃならぬということはないわけですから、県知事がことしじゅうに解除するという方針をお持ちになるならこれは中止をさせて、第二期計画からいわゆる非常に歴史的にいきさつのある八号地計画を分離するように指導を進めるべきではないかというふうに思うわけですが、これも環境庁と国土庁の御見解を伺いたい。
  120. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 実はこの判決の内容につきまして、私先ほど申し上げましたようによく読んではおりませんけれどもが、県当局もこの判決につきましては重要な関心を持っておられるわけだと思います。ですから判決の趣旨をよく踏んまえて処理されるものだと、こう思っております。
  121. 北川正

    説明員(北川正君) お答えいたします。  新産業都市建設基本計画では、これは開発の大綱を定めるマスタープランでございまして、企業の立地動向なり人口の増減、就業の動向、そういった経済的諸条件等を勘案して弾力的に運用するという方向、そういうことが前文にもうたわれております。したがって、私どもは、基本計画には記載されておりますか、今後どういうケースで行うかということについてはそれぞれ個別の事業の実施の必要性、妥当性等について県当局で十分検討されるというふうに思っております。
  122. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、私はこの問題、その具体的事例自体もきわめて大事だけれども、特にこういう問題が起こったという背景ですね。これは非常に大事だと思っているわけです。  こういう公害環境破壊を未然に防止する目的を持って公害予防裁判というような訴訟が起こされてきているというのは、これは一体何か。これは環境アセスメント制度が制定されていない、そこに一番大きな原因があると思うわけです。住民参加の制度がない以上、しかも県当局と話をしていっても、この住民の声を無視するような態度を露骨にとられるということになれば、法的な制度がないんだから住民は仕方なく訴訟に訴えざるを得ない。こういうことになってきていると思うわけです。それが一番非常に大きな問題点だと思っております。  幾つかすでに出てきておる事例では、昭和四十七年の四日市裁判の判決でも、コンビナートの建設など工場立地に当たっては事前に排出物質の性質と量、排出施設と居住地域の位置、距離関係、風向、風速等を総合的に調査研究をし、付近住民の生命、身体に危害の及ぶことのないように立地すべき注意義務があるということで、環境アセスメントの実施を立地上の注意義務ということで判決では明らかにしてきておりますし、その後五十年の二月には熊本地裁の牛深市の屎尿処理場事件、この判決でも環境アセスメントの事前実施とそれに基づく地元住民の同意が処理場建設の前提条件であるということを判決は示しています。  このように、判例でもアセスメントの実施、それに基づく住民の合意というのが開発行為や工場立地などの前提であるということは、これはもう国民的な合意になりつつあるわけです。共通の認識になりつつある。したがって、これは所信表明の中でも各党からも問題になりましたように、環境アセスメント法の制定というものが国民的な合意であり課題になってきているという段階で、どうしてもこれは制定をしなければならないというところへ来ていると思うんですね。  ところが、衆議院の公環特別委員会でも論議をされてきましたように、また先ほどからの論議を聞いておりましても、今国会アセスメント法案の提出っていうのはできそうもなさそうにしか聞こえない。片や国民は法制定がないために裁判にまで訴えるしか方法がないという状態であるのに、片や法制定が進まない。四回にわたって流産をするということになりそうであります。  しかも、その背景には、公害の加害企業の団体である経団連が反対の意見を出してきたり、電気事業連合会から反対だという意見を出してきたり、また通産省では数回にわたってそういった御意見が出されているという文書なども出ておるというふうなことになっております。そういうことを受けて与党の自民党の環境部会とか政調部会あるいは商工部会等では、見送り論だとか時期尚早論だとかいうことになって、長官がもし熱意があってもできないという事態が来ているということがいまや世論化されてきている。きわめて重大な問題であります。  そういうことで、これは環境庁、四度目流産をしますと、これはもう一遍ということにならなくて、いよいよ断念に追いやられるのではないかということを私は心配しております。一方ではいわゆる準則だとか技術指針だとかいうものが出てくる。そういうことになると、四回目が流産をしたらこれでもう中断せざるを得ないというところに追い込まれるんではないか、こういうきわめて重大な段階に来ていると思うわけでございますが、そこまで来ますと環境庁の存在価値っていうのが問われるというところだと思うわけですが、そういう点では積極的にやはり国民的な負託にこたえて推進をするべきだと思うわけですが、その点御見解をお伺いしたいと思うわけです。
  123. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いろいろと各委員からの御質問に対しまして、率直に経過をお話し申し上げておるわけです。私は、この環境アセスメントの制度というものにつきましてはこれは実態的に前進しておると思うんです、いろいろと。が、しかし国民の御要望にまだ沿ってないというからいろいろな御批判を受けておる。これはまず謙虚に私どもは受けとめておるわけです。  なぜ前進をしておるかという点につきましては、この環境アセスメントの制度それ自身につきましては、私は国民的な合意ができておるというふうに判断しております。けれどもが、しかしその内容、またそれのあり方、いろいろな問題につきましてはまだ議論が出ている。あるわけです。ですから、それも私どもの方は謙虚に受けとめておって、そして何としましても環境アセスメントの制度というものが前進し充実するということを心がけております。  で、もう近いうちに中公審の答申も出てくるわけです、この問題で。これも私どもよく検討し、それから与党の方も非常に真剣にいま討議をされておるわけです。ですからこの環境アセスメント制度そのものというようなものにつきましてはみんな合意をするんですが、その内容、あり方、そのやり方という問題につきましてまだ調整がついていない、こういう段階でございますので、私は実質的に大きくこれは進展をしておるものだ、こういうふうに受けとめております。
  124. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 前回の二月十四日の環境庁長官所信表明について幾つかの点で御質問してまいります。細かいことは抜きまして大筋の点でもって考え方というか、そういうことをお聞きしてまいりたいと思います。  で、長官、まず第一にお聞きしたいことは、この内閣としての環境保全予算というのは一兆一千二百五十三億計上しているわけであります。ところが、環境庁の予算だけ見れば四百二十四億九千七百四十三万円、内閣環境保全予算の全体から見てわずかに三・七%しかないんです。言うならば、環境庁長官として使えるお金がたったの三・七%、それでいろいろの環境行政をおやりになろうということになるんだけれども、そういうことでもって長官として実際にそのお仕事ができるのかどうか。その辺からまずお聞きをしたいと思います。
  125. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 五十四年度予算中の環境保全の経費がいま御指摘のように一兆一千二百五十三億円である、が環境庁の予算は四百二十四億九千七百四十三万円ということである、結局長官として使える金はわずかに三・七%にすぎないじゃないか、これでやっていかれるのかという御趣旨の御指摘かと思います。  御承知のように、この環境保全の事業というものにつきましては、実際上国民に対しまして実施されていく予算、事業の関係になりますが、環境庁は御承知のように総合調整機能を主たる機能といたしております。ですから、私ども閣議におきましても、たとえば下水道の整備だとか、あるいはどうとかいうふうに、環境保全に直に関係するような予算につきましては、それが他の省庁に属する予算におきましても、十分こいつは配慮してほしいということを発言をしておるわけです。ですから、環境庁の現実に使える予算というものが少ないからといって環境保全関係というものが十分いかないかということにはちょっと役所の機構上いっていないということをひとつ御理解を願いたいと思います。  が、しかし何にしても少ないじゃないか、どっちへ転んでもということになるわけでございまして、で、私環境庁の方をお預かりするようになりまして、そしてなるほどこれは少ない、だから少し伸ばしてもらわなくちゃということで、一般の伸び率よりもこの関係につきましては伸び率を増加していただきまして、五十三年度は三百八十六億七千六百四十一万円でございましたが、五十四年度は四百二十四億九千七百四十三万円、こういうやつは実施事業予算とは違っております。経費でございます。それにしては伸び率は他と比べまして伸びておりまして、九・九%、約一割の伸びだと、こういうようなわけでございます。
  126. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 長官、九・九%伸びたからといって予算の全体の伸びと比べて考えてくださいよ。伸びたうちに入るんですか。  で、問題は、先ほどから私が申し上げているように、北海道開発庁だとか、あるいは運輸省だとか、みんな持っている予算をいかに環境庁長官がこれは環境保全の経費だからといってもあなたの命令でお使いになることはできないわけでありましょう。だから私がもっと言いたいことは、いまの——いまのって、これはいまに始まったことじゃないのだけれども、内閣の中における環境庁位置づけというか、このウエートが、環境庁というお役所はちゃんとつくったんだけれども、その実、実際問題として軽視をされているんじゃないんだろうか、もう少し環境庁の重要性を全部が考えるならば、むしろこれも、じゃ環境庁にやるから環境庁がこの金を使って、そうしてそういうことをやれと言って内閣の中で予算をお決めになるときに行われてよかったはずじゃないだろうか。その辺がさっぱり去年ともおととしとも比べても変わりがないんで、そういうことで長官よろしいのですかと聞きたいんです。
  127. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 御指摘のことはよくわかります。が、伸び率から言いましてもこれ事業関係の伸び率と違いまして経費の関係でございますから、他の関係と比べますればパーセントは環境庁は伸びておる方でございますから、何しろ基礎が少ないんですから大したことがないというふうな御指摘はよくわかります。  それで、私は環境行政というものは非常に重要なものである、しかも憲法二十五条におきましては健康にして文化的な生活を保障する、こういうことになる。しかもそれが環境庁の大きな任務一つということになりますれば、これは従来役所関係ですから積み重ねあるいはいろんなものがあるんでしょうけれどもが、ひとつここに新しい理念というものを導入することによりまして私は国民の期待に沿いたい、こういうことで所信表明の中にもあのよりよい環境創造という言葉を使わさしていただいておる、こういうわけであります。  けれどもが、実は予算というのは金のことでございまして、なかなかいろいろな事情がございまして、意に満たぬ点が多いわけでございますが、私は御指摘のような意味におきましてより一層努力をしていきたい、こう思っておるわけです。
  128. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それと関連をして、気にさわったら申しわけないのだけれども、環境庁ができてやっといま八年目ですか。だからそういう歴史の浅いという関係もあるのだけれども、いろいろ他の省庁からお役人さんが来ているんですね。私たちが見ておって、よその省庁から来ているお役人さんというのはいつも自分の出身地の方ばっかり顔を向けているんです。だから、そういうことでいま長官ももうこの前の所信表明でも、いまも言っているように、環境行政というものがいかに大事かということを言っておられるわけです。しかし口でいかに大事かと言ったって長官の下で動いているそういう方々がそういう気持ちになって環境行政をおやりになろうとしているんかどうかと言うならば、残念ですけれども私たちの目にはそう映らないんです。  その辺のところを長官どうお考えになりますか。その出身のそちらの方と縁を切ってみんなもう環境庁長官の支配下のそういう人たちにして、それで一生懸命一〇〇%環境庁の仕事をしてくれというふうに、そういうふうに切りかえることをおやりになろうと思いませんか。
  129. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) こういう調整機能を主とした任務としましてやっておる官庁、そうして比較的新しい官庁ということになりますというと、もう生え抜きのプロパー環境庁というような職員構成をということはなかなかできないですね。これは日を追って、そうして歴史を積み重ねていかなければ完全なものはできない、こう私は思っております。  それで、四十六年のときに発足当時の環境庁のプロパーと、それからいわば出向をお願いした、何というのか、お在所のある方々、こういうような比率というものと、それから現在の比率というものは非常に変わってきております。そうして四十六年の七月一日現在では出向職員は二百十一人、それからプロパーの職員が二百二十人、計四百三十一名でございますが、この比率は四九%対五一%という状態です。五十四年度は出向職員は二百四十八人、それからプロパーは五百六十八人ということになっておりまして、この比率は三一%対六九%というふうで非常に大きく変わってきたわけでございます。でございますので、これが日をたっていきますれば、私はいわばいま御指摘のようなことが言われなくて済むという実態になると思います。  いまのところ、こういうふうに職員の比率というものは非常にいまのようなことになっておりますが、何といいましてもプロパーの人は入ってから年限が短くございますから、幹部職員ということになかなかなりにくいというわけですから、現在の環境庁の幹部の職員というものは出向職員によって占められておる、こういう実情でございますけれどもが、しかし実質的にこの仕事を動かしてまいりまするところの幹部の課長級の方々はプロパーの職員によって構成をされてきているという状態でございます。でございますので、私はいまのようないろんな御批判とか御指摘ということは遠からずなくなっていくであろう。その間におきまして、たとえば事務次官の方もそこでちゃんと一生懸命最高首脳部はプロパー職員と同じ気持ちでやっていくでしょうし、それからなかなかみんな熱心にいまの環境問題に取っ組んでおりますので、弊害のないように全努力を挙げていきたい、こう思っております。
  130. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それは長官としてそう言わざるを私は得ないと思うんですよ。だけれども、そういうことの質問の出てくるというところはやはり長官もお受けとめになって、恐らくお気持ちの上では私が聞いているようなことについてもお感じになっていると思う。  それは八年たてば四九%対五一%のが幾らですか、三一%対六九%になることはあたりまえのことであって、ただ、いみじくもいまも長官環境庁調整機能の庁だということを御発言になったんです。この前回の委員会でもって所信表明なされた。私も聞いておって非常にどちらかというならば感銘を受ける。恐らく歴代の環境庁長官の中でこれだけ明確にいろいろ環境行政に触れた長官は私はいないと思うんです。  あの所信表明の中で、いま言われたように環境庁というのが調整機能の庁なんだという片りんというものはないんですよ。むしろ今度は長官は積極的に環境庁が主体になって、いろいろのところと関係がある、その関係のあるところにむしろこちらから持っていって、君らこうしてもらっては困るんだという、そういう意味での指導性、リーダーシップを発揮した上での環境行政をおやりになろうとしての所信表明だなと思って聞いておったんですけれども、たまたまいまお聞きしている中で、また調整機能の庁だと言う。私は調整機能の庁になったんじゃ困るんですね。そうではなくて、環境庁として進んで環境行政かくあるべし、そのためにはこれだけの金も使うんですと言って、そういうものを持って、それで各省庁について説得をして、それに沿って動くようにしていただきたいと思うんですけれども、その辺のお気持ちはどうですか。
  131. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 私は御指摘のような心持ちで、何とか崇高な使命を持っておりまする環境庁ですから、もっていきたいと思うんです。ただ行政の問題でございますし、それからいろんな積み上げの問題もございますので、その点は十分いま御指摘のようなことを頭に入れながらやっていきたい。  私が昭和四十一年と四十二年に総理府の副長官をいたしておりましたときにこういうふうに同じ総合調整機能を持っておりました庁でした。けれども、あそこの方は非常にあの当時沖繩返還問題を手がけたわけでございますが、一つの大きな目標を掲げることによりまして一つ使命感というものを役所は持つわけです。それから人事の面につきましても、あそこは古くございましたので生え抜きの人を一挙に人事局長にしたというようなかっこうなこともございますが、まだそれまでに歴史その他が古く環境庁ございませんので、いまのようないろいろな積み重ねをしながら御指摘のようなところへもっていくべきものだと、こう思っております。
  132. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 長官の御答弁、私もそのまま受けとめたいと思います。  それで、次にお聞きしたいのは、このいま日本のいろいろの環境の基準ができ上がっていると思うのです。だから、そういうものが国際的に見ますとまだかなり日本はおくれているというものもあると思うのです。それから、また逆に何だかんだ言っても、みんなで努力をしてもういまの国際的なレベルの中では日本の方が進んでしまっているというのもあると思うのです。どういう分野の人がまだおくれておってどういう分野ではもう日本のやり方の方が進んでいるかという、そのひとつバランスシートを出していただきたいのです。
  133. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) これは柳澤委員承知かと思いますが、OECDレポートがございますが、それがOECDの環境委員会日本に対する環境政策につきましてレポートを出しております。これを出すに際しまして日本の中のエキスパートが参画いたしまして意見を述べておりますから、ほぼ日本の方々も相当御意見を述べたレポートだと、こう思っております。  これによく書いてあります。たとえば公害対策基本法発足によりまして、公害の対象の物質と言いますか、そういうものの規制対象になっておる物質、あるいは供給源、要するに汚染源というようなもの、そういうものにつきまするところの対策というものは非常に前進をしておる、要は。という指摘があります。が、しかしながら快適な環境をつくっていくのだ、アメニティーの問題、そういう問題についてはまだ十分でないというような趣旨のことが詳細に述べられております。それから新しい要するに公害、この個別的な公害対象物質につきまする対策というものは相当いっておるけれども、それ以外の総合的ないろいろな問題というものも起きてくるだろうし、こういうような問題につきましては今後私どもは積極的に取り組んでいきませんというとなかなか国民の期待に沿い得ないという問題がある。  ですから、公害対策基本法の対象物質その他の問題につきまする政策というものは相当成功しておるというふうに指摘もされておりますし、私どももそう思っております。けれどもが、新しい環境づくりというものにつきましては、これはまだ十分でないというふうに思っております。
  134. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私が聞きたいのは、公害対策基本法なんという抽象的な問題のものではなくて、具体的にたとえば瀬戸内のような閉鎖性水域、そういうようなものがどこにもあるかどうかは、これは別問題ですからあれですけれども、そういうような中の水質というものから比べていったらば日本はどの辺にあるのだろうか、それから川の流れのそういうものから言ったらどうだとか、あるいは大気汚染とか、何かいろいろそういう具体的なものを、たとえば自動車の排気ガスもそうですけれども、いまの国際的な各国が取り組んでいるそういうもののレベルと比較したときにどうなるか、そういう点で挙げていただければと思います。
  135. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) よくわかりました。その問題は具体的になりますので、政府委員から詳細に答弁をさせます。
  136. 山本宜正

    政府委員(山本宜正君) 大気汚染関係環境基準の問題につきまして申し上げますと、大変時間をとるようなことに相なるかと思いますが、代表的なものを例示して御理解に資したいと思います。  たとえば、二酸化硫黄という、かつて非常に問題になりました硫黄酸化物のうちの二酸化硫黄につきましての環境基準の値というものを国際的に見てまいります。ただ環境基準に対してその国が行政的にどのような性格づけをしているかという点につきましては、必ずしも各国ともその行政の体系等から一致しておりませんが、日本の場合、単純に数値を比較するというような作業をしてみましても、硫黄酸化物、二酸化硫黄につきまして見ましたところ、わが国の環境基準値というのはかなり厳しいものになっているということが言えると思います。個々の数値を挙げてまいりますと、アメリカ合衆国につきましては年平均値、日平均値というような決め方をしております。日本の場合には日平均値、一時間値というぐあいにそれぞれ決め方が違っておりますけれども、比較のできるものを見ましても、アメリカの日平均値、これは日本の数値よりも三倍以上高くなっているというようなことが言えるかと思います。  ここに私手元に持っておりますのは、日本、アメリカ合衆国、西ドイツ、カナダという国につきまして、二酸化窒素、二酸化硫黄、浮遊粒子状物質についてのそれぞれの数値がございます。これは一々申し上げますと大変時間が長くなりますので、例示をいたしました。  そのほか、大気汚染以外に環境庁大気保全局におきましては騒音の環境基準というようなものを決めております。騒音につきましては、諸外国では環境基準的なものをまだ決めていないところかほとんどでございます。  そういったようなことからいたしましても、わが国の場合には基準値を定めて、それを一つ行政目標として進んでいこうという点につきましては、一般的に言って諸外国よりもすぐれている、かように思っておるわけでございます。  もう一つは、環境基準値もさることながら、大気汚染の状況がどの程度公害対策によって改善されているかということがもう一つの大事な視点かと思います。この点につきましても個々に申し上げますと時間がございませんが、一般的に言いましてすぐれているということが言えると思います。中には諸外国程度というものもございますけれども、硫黄酸化物あるいは一酸化炭素というようなものにつきましては諸外国よりもすぐれているというようなことです。よくなっている、こういうことが言えるかと思います。
  137. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そう言えばあんたはよくなっているよくなっていると言って——時間ないですから、それ資料を出してください、お持ちなのを。  長官、次に、もうこれが最後です。長官が任期中にこれだけはぜひやっていきたいという御決意のお持ちのものは何かということをお聞きしたい。
  138. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いろいろとこの所信表明の中に列記しておきましたので、その点は御理解賜った上で要点だけを申し上げさしていただきます。  私は……
  139. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ちょっと。  所信表明はこの前も聞きましたし、きょうも持ってきているんです。そしてどう考えても、環境庁長官これから十年おやりになるのかなんか知りませんけれども、これだけのことはなんてことはできることじゃないんです。だからそういう中でもって、こんなにたくさんいろいろ当面は窓口広げてなにしているけれども、そうは言ってもその中でこれだけはおれはやった、後へ残していきたいという、それを聞きたいと言うのです。
  140. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) はい、承知しました。  公害対策というものに対しましては、私は科学的な判断というものが非常に重視されなくちゃならぬ、こういう考えです。それは公害対策基本法第九条第三項にもはっきりそのことが載っているわけです。そしてその努力さえすればその環境基準というものは変わっていくということはあり得るわけです。それは公害対策基本法第九条にはっきり書いてある。そうして常にこの公害問題というもののしかも安全性とか、そういう問題につきましては科学的な判断というものを重視している。ところが、そういうふうに書いてありまするものの、それを判断する機関なり機能なりというものが十分でない。それで国立公害研究所を充実するということを一つ大きな柱にしておりまして、そして今度の五十四年度の予算編成につきましては非常に大きな柱に、大臣折衝の最後にもその問題で予算を増額してもらったということです。  それから、当面の問題としましては、この公害対策につきましてある程度の環境基準を達していっておる、要するにいま言ったように前進して成功しておるという部面もあります。けれどもが、しかし総合的な汚染とか、総合対策という、そういうものにつきまして、これはどうもいまのままでは不安心である、非常に心配な点があるという意味で予算を計上しまして、これの対策、総合的な対策を樹立しようということです。  それから環境行政というものについて社会的な変化というもの、あるいは国民の価値観、そういうものの変化というものがある。しかしきわめて主観的な問題にはなるけれどもが、よりよい環境というものについて関心を持って、そしてこの線に沿うような対策というものを総合的に立てていきたい、こういうようなことを頭に入れて進んでおります。
  141. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 長官、私途中から言葉をはさんで失礼だったのですけれども、私がお聞きしているのはそういうことじゃないんです。たとえばさっきも沓脱委員の中でも出ておったんだけれども環境アセスメント。環境アセスメントは私がおる間に必ずこれはつくって、ちゃんと国会に出しますという、その点一つなら一つだけでも明確にその点のお答えを聞かしていただきたいんです。
  142. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 私は、環境破壊というものが一度行われますというとなかなかもとへ戻るわけにいかぬ、不可能な場合も起きてくる、ですから環境アセスメントの制度というものは何としましても確立しなければならぬ、こういう考えです。  それで、特に大平内閣田園都市構想というものを打ち出しておりまして、田園都市構想というものの中身というものは、先ほど他の委員からも御指摘がございましたが、これは一つ理念という状態に入っております。で、具体的な政策では三全総の定住圏構想とか、あるいは自治省が従来述べておりました広域市町村圏の構想だとか、あるいは建設省だったら地方生活圏の構想とか、そういういろいろな構想がある、それを御破算にして田園都市構想を出したというわけじゃない、一つ理念、指針、そういう方向づけだ、こういうふうに言っております。しかしそれが方向づけであろうが理念であろうが、環境庁として自然環境保全していくというようなことが大きく前進しておるものだと思いまして、私昨年環境庁へ参るとともにプロジェクトチームを環境庁の中へつくりまして、そして田園都市構想と環境問題について作業をさせました。これは総論はできておりまして、各論まではなかなか、いま言ったように田園都市構想それ自身が具体的な政策の上に立っておりませんので、それは出てくることによって対応していくというところで、総論だけはつくって総理大臣の方へも提出をいたしておる、こういうわけです。  で、こういう基本的な考え方から言いますれば、環境アセスメントの制度を確立するという方向は、これはぜひなし遂げなければならぬ。しかしながら、法案をいつまでにやるか、いま提出法案として一生懸命になってやっておるんですけれどもが、実際問題としてはいま言ったようなものが出ておるわけです。ですからそのことについても一生懸命にやっていきますけれどもが、できなかったらどうだと、こういうふうだけに結論を早めるわけにいかない。ですから、こちらの熱意としては、もし法案の場合がおくれてまいりましても、実質的に環境アセスメント制度というものが充実し、一歩でも前進する意味において努力をしていくというわけで、従来のできておりません科学的指針なりその他法案、そういうものを御提示しながら進めておる、こういうわけでございまして、その内容はあくまでも私は前進をさして御期待に沿うようにさせなくちゃならぬ。  法案がいつできるかどうかということは、いま一生懸命やっておるということでありますが、先ほども言ったようないろんなプロセスがございますので、その点は御理解を賜りたい、こう思います。
  143. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間が来ましたので、もう私やめますし、私は長官にそんな無理を言うつもりで言っているんじゃないんです。しかしながら、聞いたことにはまともに受けとめて答えていただきたいと思うんです。先ほどからいろいろあなたが言っているけれども、私が聞きたいことには何にも答えていないんです。  私が長官ならば、長官、この前あなたが言われた「一たび破壊されると容易に回復できないかけがえのない自然環境保護し、さらにより快適な生活環境創造するという重大な使命を持っております。」、これだけの言葉長官として言われるということは私は大変な勇気があることだと思う。私が長官だったって、現在の日本経済情勢のこういうものを考えたときに、ここまで言ったかと思うと、私はよう言わないと思うんです。それほどむずかしい問題を含んでいるのが私はこの環境の問題だと思うんです。  これが明治、大正からずっとやられてきたことならば、その歴史の中から一つのものが積み上がってくるわけなんです。つい最近になって、こういうかけがえのない地球がとか、いろいろなことが言われていま世界がみんな取り組んでいるわけなんです。いろいろやっちゃぶつかりやっちゃぶつかり、それでもやらなければいけないと言ってみんなが努力している問題だと思うんですよ。これだけのことが簡単にそんな私言えるような周囲の情勢にないと思うんです。  だから、環境庁長官になっても大変なことだし、何にも責めようとは思いませんから、こういう中で七つも八つもこの前こう挙げて言われているんですから、そんなものできるはずはないんだから、せめて自分とするならば、環境庁長官の間にこれだけのことはしたいんだということの本当のあなたの心の声を聞きたくて聞いたことなんですから、もう答弁は要りません。せめて私の意のあるところだけはおくみ取りをいただいてこれからの環境行政をおやりいただきたいと希望だけ申し上げておきます。  終わります。
  144. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 引き続いて、残されました時間、質問をいたしたいと思いますが、あとは地盤沈下の関係、それから各委員から出ましたアセスの関係、さらに電源立地の問題、大体大きな柱としてはこの三つにわたって質問をいたしたいと思います。  まず地盤沈下対策の関係でありますが、先ほど馬場委員の方からも地盤沈下対策の問題について触れられましたが、昨年十一月に発表されております水質保全局の資料によりますと、今日間接被害という立場で挙げられておるわけでありますが、全国の三十七カ所、七千七百八十五キロ平方、そのうちゼロメートル地帯というのが一千七十三平方キロあるわけでありますが、このうち個所的にいきまして、洪水、高潮の危険性がきわめて大きいもの、これが十四のうち一カ所だけ対策済み、こういう現状ですね。さらにまた排水不良のものが十八ありまして、そのうち一カ所だけ対策済みになっておる。さらには地下水の塩水化が二十五のうち、これまた一カ所だけ対策済みであります。この三つのそれぞれの部門で挙げました対策済みの一カ所というのは、これは千葉県のいわゆる関東平野南部だけなんですね。あとは、これは全然対策が、それぞれの都府県で努力はされているものの対策らしい対策がない。ましてや洪水、高潮が発生をした場合にきわめて危険な状況のままに放置されておる。こういうような現状がこの十一月発表の資料の内容であろうと思うのですね。  ところが、私はいろいろ接触をしてまいりましたし、なおかつ地盤沈下に悩んでおる地方行政の担当の方々とも話をしてまいりましても、残念ながらこの地盤沈下対策というのは年々前進をしているんではなくて後退をしている。私はけしからぬことだと、こう思うんです、一言で言いましてね。  昨年の本委員会の中でも私はこの地盤沈下問題を取り上げました。特にこれは自然環境の中でも地盤が沈下したものは、たとえば代替水を注入をする等の手法もあるようでありますけれども、それにしても沈下を食いとめるというのが精いっぱいでありまして、復元するという可能性のない重大な性格の問題。ところがこれに対して担当の直接の庁というのは私は国土庁だと、こう思うんですが、国土庁にしましても環境庁にしましても、先ほど関連しての答弁を聞いていますと、何か予算もつけて調査もしているんだ、こういう話はありましたが、調査自体は関東周辺でありまして、地盤沈下の激しいところ等についてはその調査対象にはなってない。  けしからぬことだと思うんですが、その辺は、特に長官の地元周辺は、私の出身地周辺は大変なところなんですが、一体どういうふうなお考えなのか。これは環境庁長官のお考えと同時に、国土庁のきちっとした答弁をいただきたい。
  145. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 坂倉委員がおっしゃったとおり私も受けとめておりまして、私の方のところでもございますし、地域の者が非常に心配もし、また県の方、愛知県それから三重県、非常に県当局も心配している。けれどもとても県の仕事では負えない、ですからどうしても国でこれを対処してほしいということを、私ども環境庁長官としての立場でなくて、地元の国会議員としましてよく陳情を受けておりまして、それでこれは何とかしなければいかぬ、高潮や何かいろいろ来た場合でもこれは被害が生ずるわけだし、地域住民が非常に心配しておるんですからと、こういうわけです。  それで、環境庁に参りまして、これはどういうふうになっておるのか、非常に心配しておることだがと言ったところが、先ほど担当局長も答弁をしておりまするように、関係の国土庁、建設省、農林省また厚生省とかいろいろ関係をしておりますが、いろいろ調整をしておるんだと。というのは、いまの現行法としまして工業用水法あるいはいわゆるビル用水法その他によって相当その施工その他についてやっておるからすべて地盤沈下については横ばいにはなっておる、こういう話だが、横ばいだけじゃとても問題にならないということですが、これの水の実は代替と申しましょうか、かわりの水を持っていかなければならぬという立場もあるし、いろいろな問題があるとかいって各省庁間でなかなか話が煮詰まっていないんです。で、先ほども私御答弁を申し上げましたのですけれどもが、これは何としましても七公害一つにもなっておりますし、環境庁としましてもひとつ腰を入れて真剣にやっていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  あとの点につきましては、関係政府委員から答弁をさせます。
  146. 市川博昭

    説明員(市川博昭君) 現在、先生御承知のように、工業用水法、それからビル用水法によりまして工業用水並びにビル用水は新規のものについてはほとんど新設を認めない、既存のものについては合理化をするということで地下水の採取量自身は減っておりますし、それに伴いまして地盤沈下も鎮静化してくるという傾向には環境庁の方の御報告であるとおりでございます。ただ既存の地盤沈下のすでに起きておるところに対しましてどういう事業をやってきているかと。これは工業用水道、また河川事業、それから海岸事業、それから農地保全事業とそれぞれの実施官庁におきまして地盤沈下対策事業をやってきております。  ただ、先生おっしゃいますように、それぞれやっておりますけれども、やはり私どもそうした地盤沈下対策というものもひとつ計画的にやりたいということで、実は現在各省と御相談をしておりますたたき台でございます地下水の保全及び地盤沈下の防止に関する法律案、これにつきましてはそうした地盤沈下の対策事業というものをひとつ計画としてまとめて、そしてそれを促進していこうではないかという話をしております。ただ現に私ども先般各課長にお集まりいただきまして、そうした地盤沈下の対策事業の予算のつきぐあいと申しますか、進捗状況をお聞きしましたところが、かなり予算もついて進捗は進んでおるというお話は承っております。
  147. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 先ほども言いましたように、確かに全体をながめ回したときに一時ほどの沈下速度はなくなった、これは事実でしょう。しかし鈍化をしてきたのが完全にとまっていく部分が仮にあったとしましても、一部でも進行しているということになれば私はそれを食いとめるために全力を挙げるというのはあたりまえの話でして、たとえば十カ所なら十カ所沈下のところがあって、八カ所まではとまったけれどもあと二カ所が沈んでいくというのなら、この二カ所にやはり全力を挙げるという姿勢を明確にすべきじゃないのか、そのことが行われていかないと私は将来取り戻しのできないことになっちゃうのではないんだろうか。  これも先ほどからアセスで大変論議をされておりますが、地盤沈下防止法の制定の問題につきましても、昨年もまた今年もこれは準備をされているという話は聞こえてくるわけですね。しかし提出予定法案にまで挙がらないで、しかも最近の動きをながめておりますとむしろ消えていくような方向にある。果たしてそれでいいのかどうか。ここが私は大変な問題だと思うんです。  しかも、今日そういう状況になってきた一つの原因が、それぞれの担当の省の方で、おれのところの縄張りだとか、いわゆる縄張り争いが出てまいりまして調整がつかない。せっかく準備をしたものは、おれのところのやつも出したい、いやいやおれのところが準備してきたんだからこれやりたいというような調整がなかなかつかないで今日まで来ているという現状があるわけでありますから、きょうはこの問題について余り多くを触れません。しかし少なくとも環境庁長官、これは環境庁のいわゆる設置をされました趣旨からいきましても、秦野先生の指摘をされました調整からいきましても、調整の労をとって明確にこれは防止法を制定をしながら抜本的な対策をぜひ早く確立をしてもらいたい、このお約束をいただきたいというふうに思いますが、どうでしょう。
  148. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 私もその心組みでおるわけでございます。
  149. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 じゃ、きょうは国土庁また改めて問題を具体的にやりますから。  次に、アセスの関係でありますが、先ほど来各委員が全部口をそろえてアセスの問題を早く出さないのか、今国会に出すのかどうなのか、こういうことで迫ってまいりました。今日の国会の国民世論を反映をしての議席の数からいきましても、これは各野党がこぞって、そして早く出せというふうに迫っているというこの立場は、私はそこに国民の声の、しかもこれは与党の側の先生方にしましても早く物にしなければだめだぞと、こういうことについては一致をしているわけですね。  これはたびたび長官が言われておるわけでありますから、あとどこに問題点があるのだろうか、この究明をもう少し私はきっちりすべきじゃないんだろうか、こういうふうに考えるんですが、とりわけ私の手元にある資料からいきますと、長官の方は「法制度化の必要性」の問題はすべて総論において一致をしているんだ、こういうふうに言われておりますけれども、少なくともその必要性の問題について「環境影響評価に係る技術手法の問題」、これが一つ、さらには政治的な社会的な今日の日本的風土における住民参加のあり方の問題、それから与党の部会の動き、この三つがまだ調整されていませんね。  私はここで問題にいたしたいのは、特に通産省が、私はこれけしからぬ話だと思うんですが「現段階では事実の問題として秩序ある意見交換の場とならない恐れがあり、これを現時点で法的に義務づけることは、事業の進行、手続を徒らに遅延させることとなる場合が少なくない」と、こういうふうに考えられるので、いわゆるこの住民参加の手法を取り入れることについて意見調整ができない。これは私は今日的であるがゆえに、むしろこの住民参加の手続を明確にすることが問題を整理をしていくことだというふうに考えるんですが、全く相反する意見が通産省として提起をされている。これは一体どういうことなんでしょうか。その辺についての長官考え方、通産省の考え方、あわせてお聞きをしておきたい。
  150. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) いろいろな御意見が活発に起きておりますし、それから世論もいろんな動きがあるということは承知をしておりますが、要約しますというと、いま坂倉委員が御指摘されたようなところへ要約されるんじゃなかろうかというようなふうにも私は思います。  住民参加の問題につきまして、基本的には私は住民参加という問題はこのアセスの大きな柱であろうという認識に立っておるわけでございます。ただいろんな長い間のいきさつとかいろんなことがあるせいか、御意見がいろいろ出ておる始末でございます。
  151. 原田稔

    政府委員(原田稔君) 環境影響評価法案につきましてはその取り扱い等につきまして目下環境庁と協議中でございまして、今後とも慎重に検討してまいりたいと思います。
  152. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 答えにならないよ、それは。答えにはならない。再答弁だ、再答弁。
  153. 原田稔

    政府委員(原田稔君) 先生が御指摘になりました技術評価の問題、技術的な問題、そういった点も含めまして、現在環境庁と協議中でございます。
  154. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 その点を含めてということは、いままで主張していた考え方というものはもう一遍見直す考え方を持っておるのかどうか、明確にしてください。
  155. 原田稔

    政府委員(原田稔君) この問題は従来から議論されているところでございまして、そういった従来の議論も踏まえて現在通産省の中でも検討中でございますし、環境庁とも協議中である、こういうことでございます。
  156. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 先ほど私が読み上げたこのことがあなた方の通産省の態度だとしますと、ここから今日問題が発生をしている。反対を言っておるものについてはこれは事業が促進をしていかないことになるから、それは力でもって押し切ろう、こういう形のあらわれなんですよ、これは。したがって、説明会に機動隊か入り込んだり、住民との話の中に県の職員や事業所の職員の方が座席を占めて住民が入れないようなかっこうになったり、あるいは座長、司会の方で発言者の発言を封じるような話になって抑えてくる、こういうことになるんじゃありませんか。  そこを抜本的に再度お尋ねをしますが、今日まで行われてまいりましたこれらの大型公共事業のそれに伴う事前評価をめぐってのトラブルについて、あなた方が今日まで判断をされてみて、そうして私がいま指摘をするような形、言うならば力でもって押し切るというような形にならないような立場の検討というものを行われますかどうですか。
  157. 原田稔

    政府委員(原田稔君) 恐らく先生の御指摘の事例と申しますのは、通産省の関係でいきますと電力の立地の関係ではないかと思います。  電力につきましては、御案内のとおり、従来から環境影響評価調査というものを実施しておるわけでございますが、一昨年省議決定をいたしまして、その内容につきましてある程度系統立てたやり方をしておるわけでございます。その中には、当然のことながら住民の方々に対して説明会をし関係住民の方々の御協力を得る、こういう手続も入っておるわけでございまして、まあ力で押し切るとか、そういうことは事実上もできないわけでございます。そういった意味でのこの環境影響評価の実施という点につきましては通産省としても従来から努力をしておりますし、今後も努力をしていきたい、かように思っております。
  158. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 それじゃ、電源立地の関係で後ほどまた関連をして具体的にお聞きをしますから。  ところで長官、三月十四日の読売新聞であります。これは新聞ですから事実が報道されておるというふうに思いますが、予測部分ですからこれは推測が入っていると思いますが、この読売新聞を見ていきますと、四度目のアセスの流産に関しまして「環境庁は、「関係省庁、自民党内で、法案の中身と環境を予測、評価する技術指針が検討され、昨年より一歩前進した」(上村長官)」、したがって上村長官がこういう発言をして四度目流産のいわゆる断念宣言をやる、こう書いているわけですね。  これはどういうことなんですか。先ほどのそれぞれの答弁からいきますと法案提出の期限が十六日、いずれにしても十六日には間に合わないから、だから提出の期限を延長してもらっておるんだ、したがってまだ可能性があるらしき話なんですが、各新聞社、これは先ほど読売は私が指摘をしました。毎日、十二日、十四日、各社全部出しているんですね、同じ立場で。これは相当長官に近いところ、長官のお口でなければその付近から新聞社に流れていることだと私は思うんですが、うそを書くはずがない、各社そろって。その辺は真実は一体どういうことなんですか。
  159. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 私ここでずっと御答弁を申し上げた以外間違いありません。何ももう記者会見であろうが個人的な会見であろうが、それから総理に対して御説明したことであろうが、党に対して言ったことも全部ここで申し上げておることと少しも違ったことを申し上げたことはございません。ですから、それは断念したとかそんなことを私が言ったようなことはいままでもございません。
  160. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 まだそう言うであろうという想定ですから、そう言ってないことは事実なんでしょうが、表現か変わりましてもこういうことにならないように長官約束してくれますね。
  161. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 先ほど申し上げたようなことでございまして、坂倉委員も御承知のように、ずっとこの法案提出その他というものにつきましては一つのプロセスがございます。そのプロセスに対しまして私どもは鋭意努力をしておるという実情でございますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  162. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そこで、念のためにただしておきたいんですが、技術指針が先ほどの御答弁の中でも大変評価をされています。ある意味では一つの基準になるものが今日までの実績を踏まえて流されている。それが大体この物差しの尺度になるわけですから、私もその意味ではそれを否定するものではありません。  しかし、少なくとも技術指針がこれがきちっとした公の場の論議なしに環境庁で決められていくわけですね。そして指導の柱になるわけです。したがって、それぞれの全国の各地域の事情、そうしたものの中で当然その上乗せの問題等が出てくると思いますね。したがって、私はそういう指針が出された場合に、各地方自治体で上乗せ条例が行われることについてどういう考え方があるんだろうか、ここが一つの問題点としてあると思います。  また東京都を初めといたしまして、すでに国のアセスが待ち切れないから、法案が待ち切れないから、だからこれはもう地方で出発をさせなきゃならぬということで出発をさせました。前長官はそれぞれの地方自治体でやられるとばらつきが出てくるから、だからそんなものは望ましいことではないんだ、こういうふうに各地方自治体が行うアセスメント条例について否定をする立場の発言があって、これまで委員会でも問題にいたしました。  そういう経緯からながめていって、いわゆるこの技術指針というものの取り扱いは一体どういうことになるんだろうか。この辺を少し明確にしておいてもらいたいと思います。
  163. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) あと詳しい御答弁は担当の局長に答弁をさせますが、物の考え方につきまして私から答弁をさしていただきます。  この技術指針というものでございますが、これはいわば一つのガイドラインという性格をなすわけでございます。また環境基準というものも守られることが望ましい、維持することが望ましい基準という意味でございます。で、これが行政処分であるかどうかという問題は大きな問題でございましょうが、裁判所の見解としましては、先ほど大分地裁から言いましても行政処分行為でないということでああいう判決になった。でございますので、一つの指針でございますから、一つのガイドラインであるということなんです。  それから、各自治団体の条例との関係、かつていろいろ御論議があり国会でも御論議のあったことはよく承知しております。私は先ほども他の委員の方に御答弁申し上げたんでございますが、各条例というものにつきましてはおのおの自治団体の権限行為である、ですからそれが適法で適正であるということになりますれば、それは尊重さることは私は当然だと思うんです。  なお、環境問題というものは地域性というもの、特殊性というものが非常に大きく加味されておるものだと思います。特に景観や何かというものにつきまする一つの受けとめ方という問題、あらゆる環境問題につきまして地域の特殊性というものは大きく関係を持つものでありまして、これは日本だけでなくて世界的にもそういうような感覚を持っておるものだと私は受けとめております。ですから結局その条例というものにつきましては、これは当然法理的においても尊重すべきだという考えです。  ただここで問題になりますのは、できるだけ手続的なもの、こういうプロセスの問題とかあるいは健康関係というような科学的なものというようなものにつきましては、一つの統一的なものを出しておいた方がみんな混乱がなくていいんじゃないかという考え方なんです。ですからそれが上乗せをされておるとかいろいろな問題も、これは適応適正でありますれば当然私は尊重していくべきだ、こういう考え方でございます。  あと詳しいことは担当局長から答弁をさせます。
  164. 上村一

    政府委員上村一君) 私どもか考えております環境影響評価の制度の中で二つの面があるわけでございます。一つは手続の面で、これは自治体なり先ほど話題になりました住民の関与をどうしていくかという手続の面、もう一つ調査し予測し評価する技術の問題、この二つがあるわけでございます。  いまお話になりましたのはこの技術の点でございますが、これにつきましてはこれによりまして各自治体を拘束するとかしないとかという筋合いのものではございません。先ほどもお答えいたしましたように、これまでの研究成果なり審査の実績を踏まえまして整理をしたものでございます。したがいまして、個別的な事業につきましてはこれを参考にしながら決められるべき筋合いのものになるわけでございます。したがいまして、この技術的な事項と条例云々というのは直接のつながりはない問題であるというふうに考えるわけでございます。
  165. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 余り時間とれないんですか。  大体わかりましたが、ただ環境庁の今日までアセスをめぐる対立の中で条例との関係ですね。これはアセスがきちっとでき上がっての提起の問題ですから、いま論議していることと必ずしもぴしゃっとはいきませんから、そのつもりで私は質問しているんですが、この条例との関係について上乗せは認めないという考え方がちらっと出てますね、環境庁の方から。そうしますと、これは技術とはかかわりがない、今度の指針とはかかわりがない、上乗せを禁止をするという項は。こういうふうに受けとめていいんでしょうね。  それで、手続の問題等についてこれとのかかわりかなとも判断ができるんですが、これはまた私法案が提出をされたらやらなきゃならぬ課題だと思いますが、意見を出せる住民の範囲を限定するという考え方環境庁の中にありますね。したがって、そういう意味で手続的にこのアセスができ上がったときに上乗せはだめだ、こういう発想ならある程度わからぬではないんです。ただしこれには私は大いに意見があるんです。意見があるんですが、そういう流れならわからぬではない。しかし一つの基準の問題が場合によってはよく言い方としてあるんですが、ナショナルミニマムだと、こういう考え方に立つとするならば、これは当然それぞれの立場で上乗せがあって当然だと、こういうふうにとれるものですから、その辺を少し明確にしておいてもらいたいと思います。
  166. 上村一

    政府委員上村一君) 環境影響法案そのものがまだ協議中の段階でございますので、条例との関係について非常に申し上げにくいわけでございますが、今回のその技術の取りまとめといいますものと、それからその法律ができ上がりました場合の調査、予測、評価の指針というのはぴしゃっと重ならない。  今回まとめましたものは、先ほど申し上げましたように、一般的なものとしてまとめましたものでございまして、鉄道は鉄道なりに、あるいは道路は道路なりに、発電所は発電所なりにそれぞれの事業に即した指針というものが決められなければ具体的な環境影響評価というのは実効のあるものにならないわけでございますから、したがいまして、先ほどもお答えいたしましたように、今回の技術上の取りまとめのものと、それから上乗せとかあるいは横出しとかというものとは直接のつながりは出てこないというふうに考えるわけでございます。
  167. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 建設省。  それから、これまた長官、地元の例をとりますが、これも本委員会の中で問題を提起をしましたんですが、流域下水道があります。これもアセスの対象としてはきわめて重要な課題なんですね、規模が大きいだけに。しかも終末処理場における処理をめぐりまして、長官の地元ですと刈谷の境川流域下水道、こういう関係があるんですが、あの住民とのトラブルをどういうふうに長官としては解決をしようとされるのか、この辺の方針を少し伺っておきたいと思うのですが、これは後でお聞きをいたします電源立地に関する問題も同じようなことなものですから、ただ環境庁の所管と一般の公害規定が除外をされて独立の立場にあります電源立地の問題と相違をするだけでして、住民の側から見ればいずれも同じ立場になるわけでありまして、その辺少し明確にしてもらいたいこと。  それから建設省の方は、前回提起をいたしまして、問題点というのは提起をしてあるわけですが、その後この流域下水道問題について新たな検討というものが建設省内で行われておるんだろうか、この辺が私はきわめて疑問なものですからお聞きをしておきたいんです。
  168. 上村千一郎

    国務大臣上村千一郎君) 境川のところの流域下水道のトラブルは私は余りよく知りませんが、私の選挙区のところは豊川の流域下水道です。これは地元と円満につきましてスムーズに全部流域下水道がついております。これもぼくはよく話し合っていけばついていくものだ、こういうふうに思っております。  それから下水道の関係につきましては、いろいろな水質の汚濁防止というような観点から言いまして、下水道というものが完備していくことはきわめて望ましいという姿勢を環境庁はとっておるわけでございます。
  169. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 流域下水道の反対につきましては、先生御指摘のように一部反対があるわけでございますが、反対に共通しております理由でございますが、終末処理場の設置によって悪臭や大気汚染等の公害が生ずるおそれがあるではないかというような心配でございまして、特に流域下水道の終末処理場につきましては、他の市町村の汚水が流入するということに対する地元住民の反発が非常に強いわけでございます。それからもう一つ、先生もこの間御指摘になりましたように、終末処理場に悪質な下水が流入することによって水処理が阻害されて、放流水の水質が悪化し放流先の公共用水域が汚濁するんではないか、そのために下流の利水に支障があるのではないか、さらに汚泥の焼却の際に重金属等が大気中に放出されて、大気汚染の原因になるのではないかというようなことが反対の主な理由でございますが、これらの問題に対しましては、下水道は本来公共用水域の水質保全あるいは都市環境の改善のために必要不可欠な施設でございまして、流域下水道につきましては地形上の観点あるいは水域全体の水質保全という事業効果観点等から考えまして適正な計画であるということを十分住民に説明して、理解を得るようにしておりますが、一方、この終末処理場の周辺の環境問題につきましても、いろんな悪臭防止施設とか、あるいは大気汚染防止施設、あるいは周辺環境の処理場の緑化対策等を実施いたしまして、十分住民の理解を得るように努めていく必要がございます。そういうことで、こういった施設を国の補助の対象として実施する等積極的な対策をとっておるわけでございます。  また、工場排水の問題でございますが、工場排水の受け入れの問題は流域下水道に限らず公共下水道でも同様でございますが、これにつきましては下水道法の規定が強化されておりまして、いわゆる直罰制度が導入されておりまして、水質汚濁防止法と同様の規制、監視の強化を図っているところでございます。したがいまして、建設省といたしましてはこういった方針に沿いまして、なお一層公共団体が住民に対して十分話し合いをして理解をしてもらうという方向で進めているわけでございます。しかし残念ながら、先生おっしゃいましたように、まだ一部のところで理解が得られないという状況でございます。
  170. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまのままで住民の理解を得ようとする方が問題があるという観点でこの前は幾つか提起をしているわけですから、それを再検討してもらわないとだめになりますよ。それだけ申し上げておきます。また改めてこの問題はいずれ論議をしなければなりません。  次に、電源立地に関する問題の方に移っていきたいと思いますが、電源開発調整審議会、いわゆる電調審ですね。ここで決めた電源開発目標、それからその達成状況、これは発足をしました四十七年以降、こういうことになりますが、これはいまここで答弁いただいておると時間ばかり食ってしまいますから、後で資料で提供いただけませんでしょうかね。
  171. 豊島格

    政府委員(豊島格君) いま御要望のありました資料につきましては早速提出さしていただきたいと思います。
  172. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 あわせまして、本日、本会議の中でわが党の吉田正雄議員が質問をしましたのに通産大臣が答弁をされていますね。本日、閣議決定をされたいわゆる五%削減の問題ですね。この方針を固めたという答弁でありますから、もしその方針が固まったのならこの電調審のいわゆる需要供給に関してどう影響するんだろうかというところも気になるわけでございまして、これもあわせてその影響がどういうふうにデータ的に出てくるのか、もし求められればそれをあわせてつけていただきたいというふうに思います。
  173. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 本日、本会議で吉田先生の質問に大臣がお答えした五%の問題でございますが、この点につきましてどのような具体的電源開発に対する影響があるかというところまではまだ検討しておりませんので、その検討の結果につきましては、もしまとまりましたればもちろん先生に御報告申し上げたいと思っています。
  174. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 これは当然五%削減ですから見通しについて変化が出てくると私は理解をしておるわけですから、その辺の検討をいただいた結論で結構ですからお出しをいただきたいと思います。  次に、環境審査顧問会というのが四十八年十月一日、第一回の会合を開いて発足していますね。それでこの環境審査顧問会というのは電源開発の上できわめて重要な役割りを今日まで果たしておる、私はそう理解をするんです。  そこで、この顧問会の設置の法的根拠、これはあるんだろうか、どうもその法的根拠について私はよう見出しません。同時にその審査顧問会というのは、いわゆるその構成と権限というのは一体どうなっておるんだろうか、どこまで顧問委嘱の範囲の中へ入っているんだろうかというところが気になるので、柱で結構ですから、つけたりは要りませんから説明してください。
  175. 木内貞夫

    説明員(木内貞夫君) 先生の御質問のございました環境審査顧問会につきましての発足でございますが、この発足につきましては昭和四十九年に発足いたしてございます。この電源立地の環境保全の重要性にかんがみまして、十分な学識経験者の意見を聞くという立場から資源エネルギー長官の私的顧問ということでお願いしているわけでございます。  なお、こめ構成等につきましては、大学の先生、研究所の学識経験者等でございます。
  176. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 これ、私の手元の資料でいきますと、第一回会合は四十八年十月一日なんですがね。四十九年に間違いないんですか。  それから、どうもその名前を言いたくなさそうですが、電力中央研究所、あるいは日本気象協会、あるいは動力炉・核燃料開発事業団、こういうかかわりの方々が委嘱をされておるんじゃありませんか。これはちゃんと刷り物で名簿まで出ているんですから。私はそのやりとりは余りしたくありません、中身のないことですから。しかし少なくともこの顧問会がどういう構成で、どういうメンバーの方々が入っておるのか、これは明らかにしたっていいことじゃありませんか。これも明確にしていただくために資料要求をいたしたいと思いますが、協力していただけますか。
  177. 木内貞夫

    説明員(木内貞夫君) 先ほど私が第一回の環境審査顧問会の発足は四十九年と申し上げましたが、先生の御指摘のとおり、四十八年に第一回の環境審査顧問会を発足してございます。  それから第二の問題といたしまして、顧問の先生方の構成等につきまして、委嘱する際に氏名等の公表をしないということでお願いしてございますし、また先生方の意見というものを自由に述べていただく、そして審査の結果につきましては資源エネルギー庁が持つということで考えてございますので、その点何とぞ御了承を願いたいと、こう考えてございます。
  178. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 これはひとつ了承できないんです。きわめて大きな影響を持つそういう顧問会が、名前を発表をすることによって影響されること自体の方が私は問題だと思うんですよ。私は堂々とその顧問に委嘱をしたんなら委嘱をする、受けた人は受けた人で、その立場で純粋に私はやっぱり顧問の役を全うすべきではないのかと思う。したがって、これは極秘事項でも何でもありません、そういう立場からいけば。だからそういう前提条件を置いて顧問委嘱すること自体が私は今日の不透明な政治構造をつくっている。それだけにいろいろと現地でトラブルを起こす要因になっている。こういうふうに指摘をせざるを得ません。  したがって、これは委員長にお願いをしますが、答弁これ以上求めたってだめなような感じがいたしますんで——責任者かおりませんからね。だからそういう意味でだめでしょうから、ひとつ委員会の決定としてこれは理事会でも御相談をさしていただいて資料として提出を求めていきたいというふうに思います。
  179. 豊島格

    政府委員(豊島格君) ただいま先生御指摘の御意見、またわれわれもそういう見方をすればそういうことも言えるのではないかと思うんですが、そもそも発足のときにおきますいきさつから、顧問につきましては非常に適任者を選んだわけでございますが、委嘱したわけでございますが、当時の事情としましてはそういう名前を出すのでは自由な意見が出せないというようなこともありまして、その顧問につきましては通産省の責任でお願いし、顧問の方々にはそれを発表しない、そのかわり自由に意見を言っていただく、こういうことであったわけでございます。  ただ、先生御指摘のように、今後ともそういうことでいいかどうかということにつきましては、われわれとしてもいろいろと従来のいきさつがございますので顧問の先生とも御相談しなくちゃいけないと思いますが、先生のおっしゃる意味につきましては、御趣旨につきましてはよくわれわれも理解できるものもございますので、そういう顧問の先生方とも御相談して、今後の取り計らいを検討してみたい、その上で先生にどういうふうにするかということを御報告したいと思います。
  180. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 それじゃ、それ以上はきょうの段階では求めませんが、ただ顧問のメンバーに参加をされておる所属のところ、先ほども申し上げましたが、電力中央研究所、日本気象協会、動力炉核燃料開発事業団、日本水産資源保護協会、産業公害防止協会、海洋生物環境研究所、以上申し述べたものは社団法人、財団法人ですから、それぞれの設立趣意書、それからそこの役員名簿、これはひとつそちらの方でまとめていただけませんかね。
  181. 豊島格

    政府委員(豊島格君) いま御要請のありました点につきまして、その役員名簿その他につきましては公表されておるものだと思いますので御提出できるのではないかと思います。
  182. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 余り時間がなくなってきたんですが、自治省はお見えになりますか。  三月二日の衆議院の公環特で島本先生が和歌山県の御坊発電所の立地に関しまして質問をいたしておるわけですが、そのときに関西電力が御坊市に約三億円の協力金の約束をしまして、それを市側が予算の中に盛り込んだ、したがってそのこと自体がいわゆる地方自治法あるいは地財法の違反になるんではないかという指摘をされておるわけですね。これに対する自治省の答弁というのは、どうも読んでみましてもすっきりしないんですが、もう一度私からもその問題のわかりやすい見解を求めたいと思います。
  183. 中村瑞夫

    説明員(中村瑞夫君) ただいまのお尋ねの件でございますが、御指摘の中にもございましたように、和歌山県を通じて事情を聞いたところによりますと、御坊市の五十三年度の予算の中に、当初予算におきまして二億八千六百三十八万一千円、その後六月の補正予算で追加がございまして、現計は二億九千三百八十八万一千円計上されておるわけでございます。  この予算額の財源といたしましては、寄付金という名目で上がっておるわけでございまして、これにつきまして島本先生からお尋ねがあったわけでございますが、和歌山県を通じて事情を聞きましたところによりますと、これは関西電力の御坊の発電所の立地の問題と関連をいたしまして、地元に対する協力的な意味での寄付金であるということでございまして、その金額につきましては、市の方で関西電力と折衝を重ね、特に項目別に金額を積み上げて、話し合って一応のその了解に達したものである、こういう説明でございます。  したがいまして、そういった折衝の結果を基礎にいたしまして、市におきましてこれを当初予算に計上するということにつきましては、実際に果たして収入されるかどうかということはまだ年度途中でもございますし、今後の問題であろうかと思いますが、現段階におきまして特に地方自治法の予算の扱いといたしまして問題はなかろうというふうに存じておるわけでございます。
  184. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 厳密な意味での法律違反ではないけれども、その辺はどうですか、自治省として地方自治体がそういう取り扱いをすることを好ましいとお思いでしょうか。
  185. 中村瑞夫

    説明員(中村瑞夫君) ただいまも御説明申し上げましたように、これは関西電力と折衝いたしまして一応の話がついたので、これも県を通じての調査でございますけれども、市の責任者である市長におきましては、再三議会におきまして確実に収入されるものと確信をしておるということでございますので、その判断につきまして私どもといたしましてここでとやかく申し上げる立場ではございません。  ただ、この種の立地に関連をいたしまして、いわゆる企業側の地域社会なりあるいは地域住民、地元市町村に対します寄付協力ということが行われるわけでございますけれども、これらにつきましてはとかくの論議を呼ぶことにもなりがちでございますので、地方公共団体の立場から申しまして格別心して対処する必要がございましょうし、また予算に正式に計上する場合におきまして、将来の見通し等につきましても最も適切な時期を選ぶ必要がある、その辺につきましていろいろ論議の余地はあろうかというふうに私どもといたしましても存じますけれども、市長がそのような確信のもとに計上したということでございますので、それはそれとして了承されるべきものではないだろうかというふうに存ずるわけでございます。
  186. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 まあ心して対処すべきだという観点一つの中心であったと思いますから、それはそれとして、御坊については一つの例ですから終わりますが、他のところ、たとえば私のところの紀勢町にしましても、そのことで汚職問題が起きましてね。町長辞任で町長選まで行われなきゃならぬという事態、あるいは前町長がそのことによって裁判になる、こういう事態が発生をしているわけですね。私としてはもう少し歯切れよく、本来きちっと決まったものならこれはまた別でしょうが、少なくとも住民の中に賛成反対種々ある中で市が協力を求めること自体、あるいは項目について打ち合わせをしているなんというようなこと自体は大変問題があろう、こういうふうに考えるわけでして、見解の違いなら見解の違いで結構ですが、ただこれは御坊がたまたまそういう形で明確になっただけで、これから指摘をいたしますたとえば安芸三火力がございますが、この辺でも同じような取り扱いが行われておるんじゃないでしょうか。自治省としてはそういうところは調査はされておりませんか。
  187. 中村瑞夫

    説明員(中村瑞夫君) ただいまの件につきましては、私どもといたしましては承知をいたしておりません。
  188. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 本来この電源の立地の手続ということになりますと、今日まず事業者がこれが環境評価を手がけますね。そしてそれがそれぞれの行政に持ち込まれていって審査を受けて、そして結果的に住民の意見を聞き、手直しをすべきは手直しをして、そして工事進行と、こうなっていくわけですね。間違いないでしょうか。これは通産省の方がよく知っているな。
  189. 豊島格

    政府委員(豊島格君) ただいま先生がおっしゃいましたように、本来事業者が自分の責任で環境評価を行いまして、やや手続的に申しますと、私どもの方で指導いたしまして、それを地元に対する周知徹底を図るためにその調査書を公開縦覧し、あるいは説明会等でその意見を求める、こういうことをいたしておりまして、その後地元の意見を踏まえて、環境審査というのを通産省といたしましてこれを各省、十二省庁ございますが、そこで諮った上、地元の県知事の同意を得て電調審にかける、こういう段取りになっております。
  190. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私の手元にある資料によりますと、地元説明会が——この安芸三火力ですが、竹原、それから竜島、大崎ですが、この中で十八日でしたか、説明会が紛糾をして機動隊が導入をされる。その後二十三日に話し合いをという立場が出たんですが、これは県の方から話し合いをしてもだめだということで結果的に開かれない。その後事業者主体で説明会が開かれて、反対の側の人たちもそれに参加をしておったが、その説明会はトラブルなしに終了した。そのことによって地元のいわゆる合意といいますか、調整は終わったという通産省の見解のように手元の資料では拝見をするんですが、そのとおりでしょうか。
  191. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 地元の説明会につきましてはいろいろございまして、事業者が行うものと、それから大気関係調査につきましては県が全体を見てやりますので行ったものと、いろいろありますが、十八日は県が自分の大気汚染のシミュレーションについてやったものの説明会でございまして、これは一応終わったということでございます。それからなお地元説明会につきましては竜島の一部の地区につきましてまだ終わってないのがありますが、その他については一応終わった、こういうふうに了解しております。
  192. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 一部が残っているが大方は終わった、こういうことですね。  そこでお聞きをしますが、たとえば竜島では大体世帯数四百ですか。このうちの有権者三百八十八名が反対署名をして、いまだに問題ありと、こうしている。たとえば大崎では約一万名の有権者のうち八千名が反対署名をしていますね。しかもこれは先祖伝来の自分たちの生計をしてきた地域というのがこれはもう大変なことになるんだ、こういう問題が提起をされておるはずであります。あと余り時間がないんで、もう少し詳しく聞いていきたいんですがそういう状況がある。  それからさらには、昨年の瀬戸内法を審議をする際に、自然海浜が瀬戸内海から消えていってその比率が大変大きくなってきている、それが瀬戸内海の水を汚しておるんではないだろうか、言うならモ場等もだんだん少なくなってくる、こういう形でこれ以上公有水面の埋め立ては中止をしろ、私もその主張をした一人でありますが、こういう立場で論議が行われてきて、そしてこれからの公有水面の埋め立ては特にチェックを厳しくしていくんだというのがその当時の論議の結論として出ていることです。こういう状況の中で竜島はこれは今日公有水面の埋め立てを含めた一つの計画になっている。  そうしますと、この辺は、いわゆる政府機関として今日水濁法のかかわりにおいて総量規制を行わなきゃならぬという状況の中で、さらに公有水面の埋め立てを伴う、しかもこの三火力合計をしていきますと、将来展望を含めて四百万キロワット、大変大きな形になっていく、こういうものが果たして適切であるのかどうだろうか。それから手続的に見ましても、たとえば説明会だとかあるいは資料公開に伴うところの住民側の文書による意見だとか、こういう立場でいろいろ注文がついておるんですが、その注文に対しての解明あるいは適切な処理というのは一体どうなっておるんだろうか。この辺今日段階としてもきわめてあいまいなんですが、この三月、近いうちに電調審にこの三火力がかけられるというふうに聞いておるんですが、そういう状況のままで通産省あるいはエネルギー庁としてはこの電調審にあえてかけなきゃならぬのかどうか、ここの見解を明確にしてください。
  193. 豊島格

    政府委員(豊島格君) ただいまいろいろ御指摘ございまして、いわゆる地元の反対の問題ということが一つ、それからもう一つは、瀬戸内環境保全法の関係で埋め立てをこれ以上進めるのか、あるいは第三の、四百万近い大体三百七十万でございますが、その辺のところで、総量規制の中で本当にうまくやっていけるのかと、こういう御質問で、その結果電調審にかけるのかということでございますが、私どもとしては地元の問題につきましては、なお特に赤崎地区竜島につきましてはまだ反対も多いわけでございまして、位置に、その中心となるところに相当問題がございますので、これにつきましてはなお一層の努力が必要ではないか、いまのままの状態ではやや問題があるというふうにもちろん了解しております。  それから、瀬戸内の環境保全関係につきましては、この三火力とも若干の大小の差はありますが埋め立てが必要でございまして、この点に関しましては保全法、特別措置法あるいはその基本方針の趣旨に沿ってやっていくということが必要であることは当然でございまして、この点建設省環境庁とも十分意見の調整をしてまいりたいと思っております。  なお、総量規制につきましては、先生すでに御承知かと思いますが、現在あります火力のNOx、SOxにつきましては、出しておるもの以下の基準ということで、仮にこの発電所ができましても現状よりはむしろよくなる、こういうことで進んでおるわけでございます。  以上総合いたしまして、やや竜島地区につきましては問題残っておるわけでございますが、現在の電源の情勢、すなわちこのままでいきますと中国地方につきましては五十四年の後半には非常に窮屈になる、むしろ予備率がマイナスになる、こういう状態でございまして、一刻を争う問題でございますので、地元に対する了解ないしは説得ということは基本でございまして、これを前提とした県知事の同意がなければ進めないことはもちろんでございますが、いろんな点につきまして十分理解をいただくよう努力した上で、でき得れば何とか電調審にお願いしたい、こういうことで鋭意検討しておるところでございます。
  194. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 最後にいたしますが、環境庁、いま私が申し上げましたような幾つかの問題を含め、しかも県が行いましたシミュレーションにいたしましても、私の調査によりますと平地を想定してのシミュレーションでして、現地はもっと起伏に富んでいるわけですね。そうした関係等についてもそのシミュレーション自体に大変問題がある。こういう形と同時に、住民との話し合いについて未完部分の方がむしろ多い。こういうふうに指摘をせざるを得ませんが、そういう状況の中で、たとえば電調審にかけられてあるいはエネルギー庁の方から環境庁に合意を求められたときに、それの審査に環境庁としては取りかかるんでしょうか。あるいはそれらの状況をもう少し見据えてからでないと審査対象にしないということなんでしょうか。私は審査対象にすべきでない、こういうふうに申し上げておきますが、そのとおりでいいのかどうか明確な御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  195. 上村一

    政府委員上村一君) いま話題になっております発電所につきましては、この月の初めに経企庁を経由いたしまして通産省から相談を受けておるところでございます。今週になりまして具体的な話を伺っておる最中でございまして、私どもといたしましてはさらに十分な説明を受け、広島県に対しましても説明を求めた上で慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  196. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四十三分散会