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1979-05-29 第87回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月二十九日(火曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      伊江 朝雄君     寺下 岩蔵君      田原 武雄君     増岡 康治君      宮之原貞光君     松本 英一君  五月二十四日     辞任         補欠選任      降矢 敬義君     石破 二朗君  五月二十五日     辞任         補欠選任      石破 二朗君     降矢 敬義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         浜本 万三君     理 事                 土屋 義彦君                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                茜ケ久保重光君     委 員                 植木 光教君                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 降矢 敬義君                 内田 善利君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君    国務大臣        建 設 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  中野 四郎君    政府委員        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房  四柳  修君        審議官        国土庁計画・調  福島 量一君        整局長        国土庁土地局長  山岡 一男君        国土庁大都市圏  堺  徳吾君        整備局長        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  丸山 良仁君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  稲田  裕君        建設省道路局長  山根  孟君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        公正取引委員会        取引部景品表示        指導課長     土原 陽美君        防衛施設庁施設        部施設取得第一        課長       作原信一郎君        法務省民事局参        事官       青山 正明君        資源エネルギー        庁石炭部鉱害課        長        関   收君    参考人        住宅金融公庫総        裁        大津留 温君        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君        日本住宅公団理        事        澤田 光英君        日本住宅公団理        事        有賀虎之進君        日本住宅公団理        事        今野  博君        日本道路公団総        裁        高橋国一郎君        地域振興整備公        団理事      黒田 四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (住宅金融公庫貸付金利に関する件)  (日本住宅公団家賃値上げ問題に関する件)  (住宅建設居住水準の引上げに関する件)  (産炭地域の再開発等地域振興対策に関する  件)  (高速自動車道の通行料金値上げ問題に関する  件)  (東京の神田川、石神井川等増水被害対策に  関する件)  (ミニ開発都市整備に関する件)  (地価対策に関する件)     —————————————
  2. 浜本万三

    委員長浜本万三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十三日、伊江朝雄君及び宮之原貞光君が委員辞任され、その補欠として寺下岩蔵君及び松本英一君が選任されました。     —————————————
  3. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  増岡康治君の委員異動に伴い、理事に一名の欠員を生じましたので、この際、その補欠選任を行いたいと思います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事増岡康治君を指名いたします。     —————————————
  5. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本住宅公団日本道路公団地域振興整備公団及び住宅金融公庫の各役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まず簡潔に質問しますので、答弁の方もひとつ要を得た簡潔な答弁をお願いいたします。省エネルギーもですが、省時間の関係でよろしくお願いいたします。  最初に、住宅金融公庫個人貸し出し利率問題についてお尋ねをいたします。  これは改めて私からいろいろ申し上げるまでもなく、昨年五・五%から五・〇五%に下げられました。非常に結構でございましたが、また諸般の事情でさらにそれがもとへ戻ると申しますか、利率引き上げが取りざたされております。せっかく下がったんでありますから、そう早急に上げないで、利用者側からすれば、なるたけ長い間低利率で借りていたいというのが人情でございます。といって、金融公庫総裁のいわゆるこれに対する当事者能力もそう簡単にいかないようでありますから、やっぱり大蔵省なり建設省等のいろんな関係もありましょうけれども、とにかく端的に言えば、ぜひ現状のままで置いてもらいたいというのがいま言った国民感情であります。  巷間伝えられるところによりますと、利率を下げるときに、大蔵建設省自民党政調の間に念書なるものがあったと、こういうことが言われております。そういう念書があったのかどうか、これが一点。もしあったとすればその内容。いわゆる利率をお下げになったときの際における大蔵建設自民政調の間に念書があったかどうか。あったとすればその内容をひとつお示しを願いたいと思います。  それから、いま申しましたように、大体これは公庫総裁一存ではまいらぬでありましょうけれども、何としても利率上げるという立場をとっておられるのかどうか。いま申しましたように、大蔵省やその他の関係者とのいろんな問題もありましょうから、公庫総裁一存ではいかぬと思いますが、公庫総裁としてはやはり利率をお上げになる意思があるのかどうか、これが二点。  次に、国民住宅取得能力は、最近賃上げが非常に少ない、ほとんど物価の値上げにやっと追いつくような現状であります。ところが、地価はかなり高騰しつつある。こういった中で、いま言ったように、もし利率をお上げになるとすれば何か矛盾を感じざるを得ないのであります。そういった点について総裁はどのように御理解をされているか、どういうような所信であるか、この三点について御答弁いただきたいと思います。
  9. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 総裁がお答えになり……o
  10. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ぼくの質問総裁にしているんだ。この間言ったろう。政府委員は指名しないのに答弁しちゃいかぬよ。もし、総裁答弁して、補足ならしていい。委員の指名した答弁者以外に……。そんなことはいかんよ。
  11. 大津留温

    参考人大津留温君) 住宅金融公庫貸し出し金利法律で定めておるものもございますが、法律である程度の限度を決めまして、その範囲内では政令で定めるというたてまえをとっております。したがいまして、金利をどうするかというのは内閣の御決定によるわけでございまして、先生示しのとおり、住定金融公庫自体としてはこれを上げる、下げるという権能はございませんわけで、私どもとしてはなるべく低いことを希望いたしますけれども、これは政策決定の事項でございますので政府で御決定いただく、こういうたてまえをとっております。
  12. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) まず第一点の念書があったかどうかということでございますが、これは自民党政調会との間には念書的なものは一切ございません。ただ、昨年四月、大蔵省金利を下げるに際しまして、いわゆる念書ではございませんで、一応私ども役所では覚書と言っておりますが、これは今回財投金利の引き下げに伴って下げるけれども、次に上げるときにはまた元へ戸すという、いわゆる覚書なるものは交換されております。これは一応役所の慣例として、何かいろいろなことを行います場合に、当然そういった覚書の交換というのはしょっちゅうやられているわけでございまして、そういうものはございます。  それから第二点で、金利はできるだけ上げない方がいいんではないかというお話でございます。私ども住宅政策だけから考えますと、確かにそういう面がございますが、ただこの金利問題というのは、郵便貯金預金金利引き上げ等に伴いまして財投金利引き上げられ、それに伴って一連の全体の金利体系が変更されるということでございます。したがいまして、全般的に六月一日から施行されるというような方針については、ある程度やむを得ないのではないかというように考えております。  ただし、現在大蔵省と話しておりますのは、それでもやはり住宅について何らかの特例的な経過的な措置をしてほしいということを要望いたしまして、現在大蔵との間で、現在五月一日から募集しております一般個人建設資金貸し付け、あるいはマンション購入貸し付け建て売り住宅購入貸し付け等がございますが、それにつきましては、一応募集期間が五月三十一日いっぱいでございましたが、これを六月いっぱいまで期限を延長して、その間申し込まれた方につきましては旧金利を適用するというような特例措置をとることに合意しております。それとともに、災害関連金利につきましては、これは今回引き上げないで旧金利のまま据え置くということ。それから宅地供給問題が非常に重要でございますので、公的な宅造の金利についても据え置くというようなことで合意しているところでございます。  それから第三点で、地価等が上がって国民の所得が余りふえない状況で、こういった金利上げることはどうかというようなお話でございますが、住宅政策のみから考えますと確かにそういった点がございます。したがって私どもも精いっぱいのいろいろなことを考えているわけでございますが、やはり金利問題は全体の金利体系の問題でございますので、ある程度やむを得ない面があるのではないかというように判断しているわけでございます。
  13. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 局長、その念書でなく覚書ですか、元へ戻すということね。これは五・五%から五・〇五に下げたが、やっぱりいきなりどうしても元の五・五に戻さにゃならぬのか。経過措置として五・二とか、五・三とか、こういうことだってあり得るわけだな。機械的にいきなり、いま局長答弁聞くと、覚書では元に戻すんだから五・五%だな。そうでなくて、いま言ったいわゆる経過措置的な五・二とか、三とかいうことは全然考えてないの。もういきなり上げる以上は元へ戻すと、これきりないの、その点どう。
  14. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 従来の経過を申し上げますと、従来昭和三十年代から財投金利というものは六・五%にほとんど固定されておりました。ところが、これがいわゆる石油ショックの前後から六・五より上がったことがございますが、六・五を切りましたのが、昭和四十九年に初めて六・五%を財投金利が切ったわけでございます。そのときに初めて住宅金融公庫金利も、六・五を財投金利が切りましたので、五・五%からもう少し下げてもいいではないかというふうな議論が出まして、そして法律改正していただきまして、従来住宅金融公庫金利が五・五%に固定されておりましたのを、これを「五・五パーセント以内で政令で定める率」というように修正していただきました。そうしてそこで初めて、当時は五・二%でございましたが、下げたわけでございます。で、財投金利が六・五%になりましたので、したがって一年で住宅金融公庫金利も五・五%の法定の限度引き上げたという経緯がございました。今回の場合には、昨年御承知のとおり財投金利が六・五%から六・〇五%、〇・四五%下げられました。したがいまして、〇・四五%住宅金融公庫金利も下げまして五・〇五%といたしたわけでございますが、今回財投金利の方を〇・六%上げて六・六五%とするということで、従来の過去の六・五%よりも上回るというような状態になってきております。したがいまして、先生指摘のとおり、私どももそういった中間案がないかということも検討したわけでございますが、従来の経緯からかんがみて、住宅金融公庫金利が五・五%というのはやむを得ないのではないかというように考えている次第でございます。
  15. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣ね、これはなかなか簡単にいかぬと思うけれども、ほかの関係のものは別としても、零細な自己資金なり、あるいは借金をして家をつくる努力をしている人たち状態というものは御存じのとおりですね。したがいまして、私は、ほかの関係のいろいろな金融機関利率上げるから、したがって住宅金融公庫利率上げなくちゃならぬと、機械的に考えればそうでしょうし、いわゆる官庁的な立場からもそうなりましょうけれども、やっぱり行き届いた、何というか、温かい政治というか、住宅に非常に困っている、しかも金になお困っているという人に対して思いやりのある施策とすれば、なるたけこういう利率上げないで済ませたいという気持ち——これは大臣に言っても、大臣のそうしますという答弁は私も期待しない。期待しないけれども大臣としてなるべくそういう気持ちを踏まえながら住宅行政を遂行する。こういうことは、一般国民気持ちに、具体的に利率が上がったとしても、責任者である建設大臣大臣としてのそういう気持ちは、そういう人たちが何か自分の家を持とうとする気持ちに対して潤いを与えるという面はあると思うのですよね。そういった意味で、渡海大臣から、この利率問題について、一般利用者に対してあなたの真情のあふるるお気持ちをここでひとつお示しいただきたいと思うのです。
  16. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 御指摘の点ごもっともで、私たちもこれは単に建設省だけの体系でなくして、農林省農林省で、また厚生省厚生省で、それぞれの貸付金とかなんとかでそういったものを持っておりまして、一応の全体的な体系が整っておりましたものですから、非常に困難であるという姿でございますが、まだいまだに調整がついてないというところもございましたが、いま茜ケ久保委員指摘のとおりでございまして、何としても、金利が上がったのだから元に戻して上げろ、しかもそれは六月一日からやないかという点については承服しかねるということで、戸数も問わず、とにかく六月いっぱいで受け付けたものは、全部もとの五・〇五%で措置するという合意を、相当粘りましてとらしていただいたような状態でございまして、いま御指摘でございました五・五に戻さずに中間的な五・二五というふうな措置もしてもよいじゃないかという御意見でございましたが、いままでの金利水準で、他省との関係上、その点が非常に困難だったものでございますから、やむなくそういうふうな措置で、とにもかくにも戸数を問わずに、いままでは年三回とか四回とか割りまして、そこへ来ましたら全部締め切りと言うてやっておりましたのを、後になったら金利が上がるんだから、もう全部枠は取っ払って、一個月出してくれという措置をしました。しかし、この措置に対しましてはPRすることが非常に必要でないかと思いますので、これのPRをいたしまして、できるだけ皆様方住宅需要に沿えるように、このせっかく延ばした分を利用していただきたいと、そのためのPRその他につきまして万全を期していきたいと、いま考えておるような次第でございます。
  17. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 総裁ね、あれですか、おたくで貸しているその貸付金ね、これを焦げつきとかね、回収はなかなかできないというものもかなりありますか。その回収は非常に順調ですか、また、これは大体の、大ざっぱで結構ですからね。
  18. 大津留温

    参考人大津留温君) おかげさまで私ども貸し付けしました融資回収は大変順調でございます。ただし、ここ数年を比較してみますと、数年前に比べますと、ここ一、二年は多少悪くなっております。これはやはり景気とか失業とか、そういうことの反映かと思いますが、全般としては大変成績はよろしゅうございます。
  19. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まあ大臣ね、いま言ったように、そうすると、これはあなた一人でやることでなくて、それでもやっぱりいま言った気持ちが私伝わることが大事だと思うんですよ。ぜひひとつ骨折ってください。それは大臣でできるんだから、あなたにね。次に、地価高騰——地価の非常に値上がりしていることについて簡単な御質問をいたします。  国土建設両省は、地価鎮静という判断をなかなか宣伝していらっしゃるが、昨年の土地税制中、適正利益率を撤廃し、本年度さらに土地税制緩和を実施された。昨年からことしにかけての地価上昇は、はっきりと高騰の勢いを示しているとともに、四十七年から四十八年にかけての住宅購入ブームに続くブームの再来が来ていると言われております。そこで、地価上昇実態を、国土建設は引き続き安定していると思っておられるか、高騰という認識をされておるか。現段階における地価状態ですが、上昇高騰と見られるか、あるいは安定と見られるか、これが一点。  さらに、私ども社会党地価規制を強めるとともに、公有地拡大に努め、地価の安定と宅地供給を行うべきであることをその基本の方針としております。政府需要供給関係から、供給刺激策、すなわち税制緩和による供給意欲増大策宅地供給地価安定への第一の道としておられる。もちろんその政策も行っております。税制緩和効果はどうなっているか。緩和をしなければ地価はいま以上に上昇すると判断しておられるのか、いわゆる税制対策ね。税制緩和をしなければ、地価はいま以上に上昇するとお考えかどうか、この点。  三点目として、地価高騰国民住宅取得公共住宅建設の最大の障害となっていることは、これはもうだれも承知のとおりであります。これに対する政府施策は、現在の再高騰状況を考えれば、しょせん経済動向経済の揺れに対し有効であるとは言えないのであります。そういう点で、国土庁公示価格市場価格とかけ離れていることは、これは明らかであります。市場価格上昇公示価格引き上げ市場主導地価動向と言えます。わが国は資本主義経済体制でありますから、現状では多くの国民がそれを支持しているが、事土地問題となりますと、財界からも公的規制強化の必要が言われ、地価については大多数の国民規制を望んでいるのであります。この際公示価格によって土地取得を行い、公示価格評価法も改める必要があると考えるがどうか。これはなかなか大変なことですが、これに対するひとつ明快な御答弁をお願いしたいと思います。  最後に、もう一つは、ミニ開発の問題が指摘され、住宅地最小面積の制限を大都市で実施するという動きがあるように聞いておりますが、これはどうなのか。私どももあちこち回りまして、いまのミニ開発が、これはまあ家を建てる側から言うと、たとえどんなに狭くとも、自分土地を持ち、その自分土地に持ち家を建てることは、これはまあ非常に希望であります、また一つの願いであります。しかしまた反面考えると、これは非常な今後の防災対策ないしは健康問題、いろいろなことを考えると、なかなか容易でないものを内蔵していると思うのであります。このミニ開発に対する基本的な考え方をお伺いしたい。  以上、ひとつ三点についての御答弁をお願いいたします。
  20. 中野四郎

    国務大臣中野四郎君) 地価上昇実態についてどう見ておるかというまず御質問にお答えしたいと思います。  五十四年度のこの地価公示は、御承知のとおり、全体としましては五・二%の上昇となっておりますけれども、いろいろ地目別にあるいは地域別に相当な差がありまして、工業地商業地、これらはまあ余り急激な上昇はしておりませんけれども住宅地等、特に三大圏住宅地は八・一%という上昇となっておりまして、強含みとなっておると私も見ます。しかしながら、その上昇の原因は効用増大、あるいは需要に対して供給が不足しておる、こういうものが主因と見られておられますので、昭和四十七、八年当時のようないわゆる過剰流動性を背景に投機的な土地取引が行われておったと。あるいは、全地域、全地目にわたって二〇ないし三〇%を超すような急騰があったときとは情勢が基本的に変わっておると存じます。たとえば、国土法の制定、税制をきわめて重く措置してあること、あるいは融資の点、こういうような状況下から、かつてのような土地投機は起こらないものと考えております。  なお、お尋ねの三大圏住宅地強含み傾向につきましては、今後とも十分に監視を行いまして、国土利用計画法の適正な運用あるいは融資規制、こういう方向に適切な対策を講じてまいりたいと、かように考えております。  それから、第二、第三のいま公示価格のあり方、あるいは規制点等につきましては、当局から御説明をさしていただきたいと思います。
  21. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) いま先生お話のございました、税制緩和の問題が第二番目の問題であったと思いますが、いま大臣の御説明いたしましたとおり、最近の地価動向を見ますと、問題となりますのは大都市地域住宅地価格強含み傾向ということでございます。この住宅地価格上昇主因も、ただいま大臣からお話がございましたとおり、私ども住環境向上等によります効用増によるものと、それから住宅地の需給のギャップによるものというふうに考えております。したがいまして、そういうようなものの対策といたしましては、優良な住宅地供給を促進するということが何よりも大事であるというふうに思っております。今回の税制改正に当たりましては、そういう見地から、他のいろんな宅地供給施策にあわせまして、優良な住宅地供給に資するものだけにつきまして、従来の投機的な取引抑制のための税制に穴をあけたということでございませんで、具体的に申しますと、千平方メートル以上の優良住宅地もしくは三十戸以上の中高層建築物等の敷地としてなるもの、それから公共用地公有地拡大等の際の対象となるもの等につきまして道をあけたということでございまして、従来の一般取引につきましては、四分の三総合課税をそのまま残しておるということでございます。したがいまして、今回の税制改正効果を、いま始まったばかりでございますので、量的に直ちに御説明するのはきわめて困難でございますけれども、そういうふうな措置によりまして、今後公的機関が開発する場合にも、公有地拡大の場合も、それから民間の方々がそういう良好な住宅地をつくられる場合も、従来よりは相当な減税が行われるということでございますので、土地が買いやすくなろうかと思います。そういう意味で、優良住宅地供給に相当資する税制であると考えておりますので、地価の安定のためにも相当な効果があるものと考えるわけでございます。  第三点が公示価格の問題でございました。地価公示の場合には、価格だけではなくて、先生御案内のとおり、標準地の利用の現況、それから周辺の土地利用の状況、前面道路の状況、ガス、下水道もしくは水道等の設置の状況地域、地区の指定の状況、それから容積率等につきまして、全部公示をいたしておるものでございまして、そういうものを参考にしながら、他の土地の適正な地価算定の際の物差しとして活用されるという性格のものでございます。現に地価公示につきましては、土地取引に当たりまして公共用地の買収、それから国土法によります届け出制の際の価格規制の運用等に当たりまして、そういうものを十分活用して、基準といたしまして使っております。さらに一般土地取引につきましても指標とするように法で示めされているところでございまして、御指摘のように、ミニ開発ですとか、一部のものにおきまして守られていないような面がある点はそのとおりでございますけれども、今後一層活用を図るというふうに指導してまいりたいと思っております。大部分につきましては現に活用されておるというふうに確信を待っております。  なお、公示価格の評価方法も改めたらどうかというお話ございましたけれども、これも公示価格始まりましてから、その後土地鑑定委員会に十分な検討をしていただきまして、土地鑑定委員会の建議が行われております。現在では、原価から求めます造成原価法、それから取引事例から求めます取引事例比較法、それから収益から求めます収益還元法、それにさらに時点修正、事情修正等を加えまして、実情に即した鑑定を行うというふうなことが基礎になっております。したがいまして、そういう方法を十分現地に即して活用してまいるということが要点かと思います。  さらに現在、地価公示につきまして、地方の行いますいわゆる地価調査とあわせまして、全国で四万三千地点ということでございます。さらにさらに内容を充実して、地点数をふやすということが今後必要であろうかというふうに考えておる次第でございます。
  22. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 長官ね、国会の質問答弁、ずいぶんあるわけですが、答弁はなかなか御丁寧な答弁があるのですが、具体的にとなると、なかなかそううまくいってないですね。そこがやっぱり私は先ほど指摘した、相手方に対する思いやりというものがどうも欠けているのじゃないかと思う。これは国土庁だけではなくて、全般的なものですよ。したがって、えてして官庁仕事は規則とか法律とか、何かそういったことにこだわりがちですからね。もちろんこれは大事です、規則なり法律は。だけれども、さらにそれを超えた、いわゆる官庁側の思いやりというか、温情と言っては、これは相手に失礼ですが、そういった温かさのあるものが伝わらなければならない。それをぜひいま御答弁なすったことを実際にやられる場合に、ぜひひとつ腹に据えてやっていただきたい。これは要望です。中野長官ならこれはできるはずですから、ひとついわゆる何といいますか、お互いに非常に苦労してきた政治家の一つの責任だと思うのです。これは答弁要りませんが、ぜひひとつお願いしたいと思います。  続いて住宅公団総裁、家賃問題で少し……。きょうは実はたくさん見えているが、公団の関係の方なんです。私の質問で呼んだわけではありませんから、自主的に見えられた。これらの方は非常に関心があるのですね。したがって、一方では訴訟もされているし、あれですが、重ねて家賃が値上げされるということもあるようでありますから、ひとつこれもいま言ったように、余りしゃちこばらずに澤田総裁のひとつ人間味のあるところでぜひ答弁してもらいたい。見えている方々も聞いていらっしゃるから、やっぱりジーンとくるような答弁をしていただきたい。それで、わかり切ったことでありますが、参議院建設委員会が七項目の要望をしましたね。この要望が具体的にどのようにいま実施をされているか。参議院の建設委員会における七項目の要望事項が具体的にどういうふうに実施をされているか、この点を最初にお示し願いたいと思います。
  23. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 家賃改定問題が参議院におかれましてもお取り上げになって、いろいろ御審議をいただいたのでありますが、その際に委員長から御要望がございました、建設大臣に対します公団からの承認申請について、建設大臣が承認されるに当たりまして、いま御指摘のような要望事項を踏まえまして承認されたのでございますが、その承認に当たりまして条件をつけられた点と、それから配意事項、こういう点に配意せよというお示しがあった点、両方ございます。私どもは具体的に指示があったものと受けとめました。公団としても承認条件に沿って内容上の変更を行いますとともに、配意事項についても十分留意していろんな措置をいたしたのでありますが、第一に承認条件、これは二つございます。改定時期に関するものと敷金の問題について。改定の時期は二カ月延期せよと、昨年の七月実施が目標でございましたが、その条件に従いまして私どもは実施を九月一日に、二カ月延期いたしました。  それから、敷金の、これは家賃が上がりますと、普通でありますと当然上がった家賃で敷金をいただくということになるわけでありますが、今回の一斉改定につきましては敷金の増額はとりやめるようにという条件でございました。公団としてもそのとおりに実施いたしたのでございます。  それから、配意事項が幾つかございます。一つは、老人、母子、心身障害者世帯のうちで生活に困窮する世帯に対しましては生活保護世帯に対する措置に準じて減額措置を考えよと、こういうことで、その趣旨によって公団は減額措置を講じたのであります。これは昨年の八月一日から居住者に周知する活動をいたしました。それで九月一日から申請を受け付けまして、適用件数は百九十四件になっております。平均減額いたしました額は約三千三百円でございます。  それからもう一つは、昭和五十四年度以降、新たに管理開始する住宅の家賃抑制にこの五十三年度の増収額は充当しないよう配慮しろ、こういうことでございました。私どもはその趣旨によっていま努力をいたしておるところでございます。  それから、入居者に対して引き続き家賃改定の趣旨の周知に努めよ、こういうことでございました。これは実施前に引き続き、実施後もそうでございますが、引き続きパンフレットあるいは掲示、あるいは改定対象住宅の居住者あてのはがき、それから自治会等に対します説明会、各支社に設けました説明窓口による応対というような方法によりまして、極力この家賃改定の趣旨の徹底、御理解を深めることに努力を続けたのであります。  それからもう一つは、未入居住宅等、それから長期未利用地の問題、こういう問題については家賃改定とは別途解決をすべき問題であり、解決に努力せよと、こういう趣旨でございました。この問題は家賃改定があろうとなかろうと公団としては重要問題でございますから、解決に全力を挙げるべき問題でございますから、公団内部に設置いたしました経営改善推進本部を中心にいたしまして全社を挙げてその解決に努めておるところでございまして、未入居住宅につきましても質の改善、あるいは家賃、分譲代金支払い方法の改善、あるいはいろんな広報活動その他各般の努力をいたしまして、いわゆる未入居住宅と申す数が五十一年、二年とふえてきておりますが、五十二年度末の四万五百戸、これがピークでございます。この五十四年の三月−五十三年度末におきましてはこれが三万四千戸ほどに減少いたしました。ようやく山を越えて少しずつ努力が実ってきておる状況でございます。入居契約数で見ましても五十一年度が二万二千戸、五十二年度が二万七千戸、五十三年度が三万六千戸というふうに増加いたしておるのであります。これについてはなお引き続き公団としては全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。  それから長期保有土地問題、これは御承知のように、会計検査院から指摘された長期にわたって利用のできない土地の改善をしろということでございます。  公団住宅問題対策委員会というのがありますが、そこから示された諸対策を踏まえまして関係機関、特に地方公共団体等と協議を重ねました結果、指摘されました二十二地区のうち二地区はもうすでに処分が決定いたしました。八地区につきましてもいろんな障害が除かれつつあります。たとえば調整区域が市街化区域に編入される。いろんな公共施設について道が開けたということで大体八地区について着手し、あるいは着手のめどがついてきた。こういう状況になって一歩改善に踏み出したということでありますが、なお十地区以上今後問題を解決すべきものが残っております。これは引き続き努力を重ねる所存でございます。  以上、申し上げましたように、国会におきまして建設大臣の承認に対して委員長からお出しになられました要望事項、公団は全力を挙げてこれの趣旨に沿って努力をいたしておる次第でございます。
  24. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 全面的に評価すべき面と、努力の跡だけは一応評価できるものとあると思います。なおひとつ努力してもらいたいと思います。  次に、先般のいわゆる自治協と大分練られた問題は、一応実質的にはもう家賃がみんな入ってきたわけですね、上げた分だけの。問題の家賃は全部入っているんでしょう、一応ね。それからさらに、入ったが訴訟を起こしているということですね。あなたの方が訴訟を起こしているんでしょう。去年でしたか、おととしでしたか、値上げした分の未払いに対する家賃の問題。これはいわゆる値上げ分もすでに全部もう支払いが終わっているのか、また、支払いがどんどん進んでいるのか、いかがですか。値上げされた家賃は今日もうどんどん値上がりの分も入ってきているのか、依然として値上げ分が残っているのか、これはどうなのか。これはもう大ざっぱでいい。
  25. 澤田悌

    参考人澤田悌君) これは家賃と申しますのはその性質上なかなかやっかいなものでございます。約三十六万戸の対象につきまして一斉値上げをお願いしたわけでございます。それは昨年の九月一日実施のときには半分以上元の家賃で納めてもらったということで、新しい家賃でお納めになる方々は半分に達しなかったというようなことでスタートしたのでありますが、その後、逐月皆さん御理解を深めていただきまして、新しい家賃で納める方が増加いたしまして、ごく最近ですが、この四月末では現家賃で納める方の比率は〇・九%——一%を割りまして、たしか三千五百戸程度に減少いたしたというのが現状でございます。
  26. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それで、まだあなたの方では訴訟をやっているの。いわゆるあなたの訴訟はね、いわゆる値上げ分を納めないから訴訟したんでしょう。だんだん、しかし、値上げ分も納めてきたならば、公団側の訴訟はもう要らないでしょう。それはどうなんですか。まだ係属してるの、訴訟は。
  27. 澤田悌

    参考人澤田悌君) おっしゃるとおりでございます。ただ、公団の提訴は、現在までに三回いたしておりますけれども、三月、四月と。その段階においては、まだ何万戸か未払いの方がございまして、そういう方々に、団地を全国で選びまして、第一回が五団地、第二回も五団地、第三回も五団地を選びまして、その中で未払いの方々に新しい家賃でお納め願いたい、こういう実は催告をいたしたわけでございます。それぞれ、何百人かの方々に催告をいたしました。そうすると、その催告で、さらに御理解が深まったと思いますが、その催告の段階でお納めになる方が非常に増加いたしました。それで、実際にその催告の結果、なお意見が一致しないので提訴されたというのは、各団地とも数十件でございます。それで、提訴されますと、またどんどん納める方が増加いたしまして、現在は非常に、第一回の五団地につきましては、たしか三、四名の方が係属中で残っております。第二回、第三回とも一名ないし二、三名、——第三回はまだちょっと、百名近く残っておりますが、そういうことで、決して納めた方々に催告をしたり提訴するわけではございません。残っておられる方に、最後の決着方法として、法令の定めるところによって、裁判の御判断を仰ぐための手続をとっておる、こういう次第でございます。
  28. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そこで、総裁ね、それは非常に少ない数ですが、この辺でやっぱりどうです、大きなところを見せて訴訟を取り下げたら。残った方は話し合いでやってもらうと。ぼくはひとつそこらがやっぱり大事なことだと思うんですがね。まあこれは強制しません。しかし、私ならそれやるなあ、取り下げて話し合いをするということ。これはあなた答弁されぬでもいい。ただ、やっぱり検討する価値があると思う、これは大臣もね。それは、何万戸と残ってりゃ別ですよ。あなた、三十五万戸の対象に対していま二千戸ぐらいでしょう、残ってるのはね。それはもう訴訟じゃなくて、話し合いをつけてやるという、そのことは私は今後の行政訴訟に大きな影響を与えると思うんです。答弁はこれは要求しません。  そこでね、またことし上げる予定がありますな。何か私の聞くところによりますというと、五団地か、まあこれはわりあい少ないようですが、ことしの値上げ計画と意図をひとつお聞きしたいと思います。
  29. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 今年度という御指摘は、五十四年度家賃改定のことかと存じますが、これは、昨年一斉改定いたしましたのの一部、それに含まれる一環としての措置というふうに考えております。と申しますのは、昨年実施しましたのは、昭和四十七年度までに管理開始をいたしました賃貸家屋でございまして、四十八年度及び四十九年度は、当然それとの同じ関連において改定をしなければならないのでありますけれども、それはずらしてあったわけでございます。五十年度になりますとむしろ少し高かったので、五十年度、五十一年度はむしろ下げなきゃならぬということで昨年減額措置を講じたというようなことでございます。それで、五十四年度、今年度に実施いたしますのは、主として四十八年度に管理開始された住宅につきまして実施いたすのでございまして、この趣旨、やり方等は全く昨年実施いたしました四十七年度までの管理開始の住宅についてと同様でございます。  概要を簡単に申しますと、数は四十四団地で、約三万戸が対象になります。それから改定家賃の算定方法は、五十三年に実施いたしました方法と同様でございまして、いわゆる公営住宅に関します公営限度額方式によりまして、それで算定いたしましたものの二分の一——半分を基準にして、最高は七千円で頭切りするということでございます。その結果、平均引き上げ額は約四千二百円。これは、昨年は大体五千二百円ぐらいでありまして、それよりは低くなっております、四千二百円。平均引き上げ率は約一八%となっておるのでございまして、実施の時期は本年の九月一日とする予定でございます。そのほか、生活保護世帯並びに老人、母子及び心身障害者世帯のうちに生活に困窮すると認められる世帯に対しましての措置は五十三年度と同様でございます。それから敷金の増収はいたさない点も同じでございまして、それから家賃改定によります増収額については、五十三年度とほぼ同様の割合で維持管理経費と家賃の抑制に充てる。こういう内容で、昨年の一斉改定の一環として、同様の趣旨で実行するということでございます。
  30. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは担当者でいいんだが、傾斜家賃というのあるな。あれはやっぱり傾斜家賃というのは、ちゃんと先を見越してつくってある家賃だろう。傾斜家賃というのは、途中で特別の値上げをしなくとも済むようにつくった家賃じゃないのか、あの家賃は。ひとつ、傾斜家賃の内容とあれを説明して。
  31. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) お尋ねの傾斜家賃は、一応原価ではじきまして、それではなかなか高過ぎるということで、当初の入居をしやすくするために初めの方を下げまして、そして順次、年を追いまして上げていって、しかるべき家賃の水準に持っていくということでもってつくられた制度でございまして、現在は大体まあ五年ぐらいを年度といたしましてやっております。したがって、いま申し上げたように、当初から約三年間の間は順次上がっておりますので、その間はその家賃できておるわけでございます。  私ども、家賃の値上げをしている住宅につきましては、この傾斜家賃が終了後さらに一年ないし二年経過したものにつきましてやっているわけでございまして、傾斜家賃の途中でもって家賃の値上げをしていくというふうなことはやっておらないわけでございます。
  32. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 やっぱり家賃を払う方はね、まあ傾斜家賃で毎年上がってきた、そういうやっぱり意識あるわけね。それがいきなり今度はね、たとえば、いままで何百円とか上がってきた家賃が、いきなり五千円とか四千円と今度上げられる。となると、やっぱりこれは非常に打撃も大きいし、いろいろと不信感も出るわけだ。ぼくも、詳しい内容は知らぬけれども、端的に聞いてぼく自身もやっぱり不信を感じるし、おかしいと思うんだな。したがって、やはり当事者はなおさらそう思うと思うんですね。ことしのまあ、いま総裁答弁された四十四団地ですか、三万戸の家賃の対象がかなり傾斜家賃のものでしょう。  そこでね、私が特に言いたいのは、昨年のやつはこれ三十五万戸ですか、二千戸ですね。これは一々自治協の方々にあなたはその説明をしておるとおっしゃったが、これは当然だと思う。三十万戸相手になかなかできぬ。しかしできぬことはないんだ、本当にやろうと思えば。三十三万戸はしなくとも、やはり地点を選んでそこへ出向いていろいろな話ができるわけなんです。それをされなかった、できないということで。今度は四十四団地、三万戸、これは全部とすればなかなか容易じゃない。そこで総裁に、私の一つの提案だが、あなたのところいま何人いるの職員は、総裁以下何人、職員は。
  33. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 職員は五千百人ぐらいになりますでしょうか。
  34. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そこで、私はここで提案しておくのは、今度は大事ですよ。これは昔のやつ、たな子と大家さんとが、熊さん八つつあんというわけにいかぬ。数十万戸のたな子だからとてもそういかぬが、しかし何もそう昔みたいに大家さんはおやじとかいうことは言わないけれども、少なくともやっぱり借りている方と貸している方は違うよ、立場は。そこで私が言いたいのは、五千何百人いる職員の中に幾人か、そうたくさんじゃない、幾人か良識あり、人情味もあり、人間的にも、先ほどから私が言う私の好きな言葉、温か味のある人がいるわけだから、たくさんの中に。そういう人たちを何人か選んで、いわゆる団地の皆さんと常時話し合いをする、一つの機関というほどじゃなくていい、そういういい人を何人か置いたらいいと思うんだ。常に居住者の意見なり要望を聞き取る。聞いたことはすぐ実施できなくとも公団がそういった問題を解決するために努力しているという姿でも私は違うと思うのです。  私のことを言って恐縮ですが、私は社会党の議員ですね。私の群馬県における支持者は、社会党の票は二十万しかありません。私の票は三、四十万あります。その十何万というのは自民党系の諸君です、支持者は。自民党の諸君だと決めつけてしまったらしようがありません。私はどこへでも飛び込んでいく、それで握手する。最初は断られたんでありますが、二回、三回行くと喜んで迎えにくる。お茶も出します。  これはちょっとおもしろい話ですが、群馬県の自民党の県連会長は長谷川四郎君ですが、前の建設大臣した。彼が私に言うた、茜おまえ選挙やめろと、何ですか、おまえが出ると自民党がみんなおまえのところへ行ってしまう、困るじゃないか。こういう冗談言うのですが、これはやはり一つの人間性ですよ。彼は自民党だといってほっときゃいつまでもこっちに来ない。しかし、何遍か行っている間に人間の関係というものが生まれちゃう。握手もする、お茶も出る。こうなると、党じゃなくなって、いわゆる票になってくる。これは自慢話じゃない。公団も、私は、あいつはうるさいとか、自治協に入っているからとかじゃなくて、いま言ったような人を何人か置いて、常に住宅の諸君に会って話し合いをする、そういうことがあれば、私はいわゆる家賃の値上げに当たっても話ができるんですよ。いまの状態じゃ公団が来ても、恐らく住宅の値上げだと、こう突っぱねる態度があると思う。それはやっぱりまた来たかと、また家賃値上げだという気持ちがあるから。公団の方も、やっぱり何かこうやつら金を持っているおやじがいじめるという先入観がある。それじゃいつまでたっても改善しません。  そこで総裁、これはすぐにはできぬかもしれぬけれども住宅のいわゆるたな子さんだ、たな子さんのところへ行って何でも話せる、奥さんとお茶を飲みながら世間話もできるような職員を私はぜひつくってもらいたいと思う。これは大事なことですよ。そして何もその人は事務をとらぬでもいいじゃないですか。あちらこちら、それも公団職員だという意識よりも、自分が公団の住宅を借りているたな子の気持ちで、皆さんと話し合える職員が何人かあったならば、全部とは言わぬ、総裁がいらっしゃいとは言わぬ、私は非常になめらかにいくとこう思うんです、これは私の体験から。一遍ではできませんよ。断られても断られても何遍か行っている間にはお茶も飲めるし、話もできる。ここにいらっしゃる奥さん方、鬼じゃないんです。あなたのたな子さんなんです。きょうもやっぱりいらっしゃったのは、恐らく公団の皆さん方はどんなお話をされるか、自分のやっぱり現在身につまされて見えていると思うんだ、私は。何も私のこのわけのわからぬような質問を聞こうと思っていらっしゃっているんじゃない。あなた方の態度なり今後のやっぱり方針を聞いてと思っている。これは大臣大臣もそうだが、いま言ったふうに職員を何人か、これは人数はわからぬよ。そういうようなことを考えてみる一つのいい案じゃないかと思うの、だが、これに対する総裁大臣のお気持ちをひとつ聞かしていただきたい。
  35. 澤田悌

    参考人澤田悌君) どうも先生のじいんとくるようなお話——気持ち全く同感でございます。私、公団お預かりしてもう一年半以上過ぎておるのでありますが、その間いろいろ感じますことの一つに、もう少し公団とそれから入居者の方々、事務的でない面がもう少し出てきてもいいのじゃなかろうか。先生たな子とおっしゃいましたが、大家とたな子という言葉、私、余り好きじゃないので、これは皆さん大事なお客さんでございます。入居者の方々であるお客さんあっての公団でありますから、その間に日常温かい気持ちの通じる関係、これは私非常にできてきつつあると思います。公団の職員も非常に努力をいたしておりまして、ぎすぎすばかりしているわけではないのであります。だんだん進歩、前進いたしておるのでありますが、そういういまおっしゃるような意味合いでのあり方、これはもっと前進してもいい。公団は六十万戸の貸し家を抱えておるわけでありまして、今後のこれはもう切っても切れない長く続く関係であります。各団地がなごやかにしっとりと落ちついた団地生活を皆さんに営んでいただくためにも、これはやはりそういう気持ちの通う関係を一層進めていくというのは非常に大事なことでございます。各支社がありまして、団地にはそれぞれ管理事務所というのがありますが、これはいろいろそこで日常いろいろな御相談をしたり御意見を伺ったりしておるわけでございます。そういう点をもう少し充実させましてやっていきたいと公団でも考えておるところでございまして、そのお気持ちは非常によくわかるのでありまして、御趣旨に沿って努力してまいりたいと思います。
  36. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいまの御要望、私はそれと同じことをつい最近も公団総裁来てもらいましたときに、いまの管理体制を各団地ごとに事務所を持っておりますけれども、血の通うためには一つのむねごとに、その中で絶えず話し合うと言われるような体制を取り入れても、これは公団の職員で無理であったならば、いま入っておられます方の中から委嘱してやるとか、いろいろな方法を一遍考えていただきたいということを公団総裁に私からも要望を述べたような姿でございまして、今後ともこういったことが起きないように、ただ単に値上げのときだけでなく修理の問題にしても今後の公団自体の運営の問題にしても、身近に話し合えるような管理体制というものをぜひ考えていかなければならないと。そのためには努力していただきたいということをお願いしておるのでございまして、今後ともに御要望に沿うように努力をさしていただきたいと、このように考えております。
  37. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 公団職員のみんなが全部そうであればいいんだけれども、なかなかいきませんからね。やっぱり忙しい人もありましょうし、現場を持っている人もありましょうし、仕事によってはなかなかそういうこともできない方もありますから、公団職員のみんなが全部そういう気持ちになってもらえれば、これはもう一番いいんですね。それはしかし望むだけでね。これはあしたかあさってじゃなくて、それはひとつぜひお気持ちで運用をお願いしたいと思う。  そこで総裁、今度のことしお上げになろうとする四十四団地、三万戸について事前に何かこうこれ全部の団地はとてもできないとしても、幾つかの団地を選んで値上げに対するいろんな説明会とか、あるいはこれに対する居住者の御意見をお聞きになるとかいう、そういうことは全然いまお考えになっていませんか。いわゆる入居者、家賃値上げの該当の入居者の皆さんと全部じゃありませんよ、全部じゃありませんが、幾つかの団地で何人かの方々と公団とで家賃値上げを前にして説明会とかあるいは話し合いとか、そういったことをされる計画はありませんか。
  38. 澤田悌

    参考人澤田悌君) こういう大勢の方々を対象といたしましていろんなことを行います場合に、やり方はいろいろあると思います。昨年実施いたしました場合に、公団としてはこの家賃改定というのは個々の特殊な事情で行うものではございません。不均衡是正、社会的な不公正の改革というような共通の目的のもとに大体同じような方法で実施いたすものでございます。したがって、これを正確、迅速に、また公平に周知徹底し、御理解を求めるという、方法としてはいろんな形の文書による接触が一番妥当であろうというふうに考えて、そのとおり実施したのでありまして、ただ接触しないというわけではございませんで、自治協の方々あるいは各自治会の方々おいでになれば、いつでも私も何遍も会いましたし、その都度説明を徹底してやったのでありまして、そういう接触も百数十回行われておりますし、各支社の窓口には特別にそういう担当者を置きまして、電話もふやし、御面接やら電話の応接等には努力をいたしたわけでございまして、そういうことで最初この家賃問題に対する反対が非常に強かったときに、団地ごとに協議しろというような御要求がいろいろあったことは事実でございます。しかし、そういう性格のものではないんだとこれは。集団交渉をして協議決定するというような形のものではないので、いま申したような趣旨での周知活動をよく御理解の上受け入れていただきたいという趣旨でやってまいったわけでございます。今度も数は少ないとは申しながら、やはり同様の趣旨で一層御理解を深める手段を尽くすのがいいのではないかということで現在考えておるところでございまして、今度、今年度実施いたします方々に対してもすでにいろんなパンフレットで趣旨をお知らせいたしまして、御理解を深める努力を続けておるところでございます。
  39. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは全戸に対しては文書を配るのはこれは当然でしょう。それはおたくの窓口に来て話すのも結構。だけど先ほど言っているようにそれも結構だが、公団の何も総裁がお出にならないでも結構。責任者が出ていって、団地で、団体交渉じゃないんですよ私が言っているのは。団体交渉じゃなくって、やはりその趣旨なりをいろいろと説明して、納得をしてもらう努力をしたらどうかと言っている。私もこう言う以上、もし何だったらこの近くの団地なら私も立ち会いますよ、本当に。立ち会って公団の言い分、居住者の言い分をお聞きしてもいいと思う、実際問題。いわゆる公団側が、そのたな子と言うのはいやだとおっしゃる、それならたな子と言いませんけれども、借り手のお客さんのところへ行って、お客さんのところへ出向いていろいろな話をするというさくい気持ちというのかな、フランクな気持ちというか、そういう気持ちで対することができぬかとぼくは言っているんだ。総裁にあなたいらっしゃいとは言わぬよ。有能な人がそこにいるんだから、そういう人が行って先ほどそう言ったじゃないか。飛び込んで行けばちっともこわくないんだ。胸も開けるんだ。開く努力はひとつの私はそれだと思う。私はできたら今度の機会に一カ所か二カ所そういうことをやったら公団も見直されるし、いわゆる居住者の信頼感も非常に前進するんですね。自治協の役員の皆さんは年じゅう公団の職員と接触されるが、一般の居住者はほとんど接する機会がないんだ。したがってこれは誤解の生まれる点もありましょう。そういうものもありますから、いま言ったように飛び込んでいけばだんだん開いてくる。ほかにたくさんの質問もあるのにすっかり家賃問題で時間とっちゃって困るんだが、しかしせっかくのことですからね。だからひとついまの大臣も非常に温かい気持ちで御答弁いただいたんだが、それが具体的になり、具現するようなことへぜひ努力してもらいたい。いま言ったようになかなか容易でなければ東京近郊の今度の該当団地で私もひとつ出席しますから、どなたか何人か行ってひとつ奥さん方の御主人と会って、ひざ突き合わせて話をすることができませんか。私もひとつ行きますよ、これだけ言った以上は責任を感じます、私は言いっ放しはいかぬと思う。やってみてだめならだめでしょうがない。しかし、やってみたら非常によかったとなればこれを全国に広げることはできるわけだ。ひとつ清水の舞台から飛びおりる気持ちでひとつ澤田さん、あなた行かんでもいいから、だれかひとつ優秀なメンバーをそろえて、どっか団地選んで、ひとつ話し合いをする機会をつくったらどうかと思うんだが、どうです、これは、やってみませんか。
  40. 澤田悌

    参考人澤田悌君) お気持ちはよく理解できるわけでございます。私も、公団へおいでになった方々、主婦の方々もおいでになったことがありますし、お目にかかってもう胸襟を開いていろいろお話をしたことが何回もあるのであります。そういう意味での話し合いというようなことについて私一遍も拒否したというようなことはないのでございます。御趣旨はよくわかるのでありますが、現在、先ほども申しましたような経過をたどって訴訟中でございます。同じような問題について私どもは自治協から訴えられておる状況にあるわけであります。そういうことも念頭に置いてひとつできるかどうか工夫は考えてみたいと思います。
  41. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 総裁ね、それはあなた被告人になっているな、いまのところ。そんなことはどうでもいいんだ。そんなことはやっぱりそれは自治協だってそれはあなた方が訴えたから、理由は、値上げは不当だからという理由だが、いろいろあると思うんですよ、それはそれでいいじゃないですか、何も別にそうこだわらないと思うんだ。まあしかし、これはこのことをいま言っても始まらないからもうこの辺で終わりますが、とにかく要望としては、ぜひひとつ入居者の方々が、決してこれは団体交渉してでなくって、話し合いをしながらいわゆる納得のできるような努力はぜひ必要だと思うんです。これはまた委員会の外でも話はできますから、この委員会における質問はこれで終わりますが、決して、またここではあなたからそうしましょうという答弁が出るともなかなか考えられません、それはわかります。しかし、このことは私の要望なり、私の意思はこれはもう撤回する意思もありませんが、また別な機会に話し合いをしながら、要は入居者の皆さん方が気持ちよく、いわゆる幾ら上がるか知らぬけれども、上がる家賃も払っていただけるような状態をつくることが望ましいんですから。と同時に常時、公団の住宅に住んでよかったというお気持ちで生活してもらうことが大事だと思うんですよ。せっかく公的な金を使って、莫大な公的な金を使ってつくった住宅ですから、その住宅にいらっしゃる方々が不満や不平や、常に何かいらだたしい気持ちであってはならぬと思うんです。やはり住みよく、本当にいま言ったように、よかったというむしろ感謝の気持ちすら生まれるような状態にすることが大事なんです。これはひとつぜひ総裁以下念頭に置いてもらわなければ困ると思う。あなた方は何万人の家主というだけじゃないと思う。あなた方のポケットマネーでつくったというならいざ知らず、公的な金を使ってつくっている住宅であります。責任もあるが、そういったやはり魅力のある運営をしてもらわなくちゃ困ると思う。ひとつそういうことをぜひ念頭に置いて今度の問題もスムーズな運営を心から強く要望して一応私のこの問題に対する質問、終わります。  続いて一般的な住宅問題について質問したい。  先日来大きく報道されていますEC委員会の「対日経済戦略基本文書」、これは秘密報告書のようでありますが、こういうのが出回っております。その中で「日本人はウサギ小屋のような家に住む仕事中毒者の国」、こういうことが言われている。これもいまや日本では知らない人はいません。皮肉というのか、あるいは無知というのか、さまざまな反響を呼んでいるのでありますが、日本の住宅をウサギ小屋と呼ぶ欧州人のこの見解に対し大臣はどういうふうに受けとめていらっしゃるか。現在の住宅事情が憲法が国民に保障している「健康で文化的な最低限度の生活を営む」にふさわしい状況にあるというのか。日本の住宅現状を十分認識された建設大臣、ひとつ率直なお気持ちをお聞かせ願いたい。
  42. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) わが国の住宅の水準につきましては、必ずしも現在の水準は満足すべきものでないということのためにただいま行っております第三期の住宅建設五カ年計画の達成時におきましては、現状がようやく量的には世帯数に対して二百七十万戸超過したというところまで来たものでございますから、今度は質的に充実さすということを重点に置きまして今回の五カ年計画を鋭意努めておるというところでございます。  一番最初にございましたウサギ小屋云々の問題、私もあれが新聞に出ましたときに非常に何と申しますか、侮べつされたというふうな感じを受けたんですが、これは批判でございますが、あのECの中におきましてあの表現はいけないというふうな反省も行われておるということを聞きましたので、実際そのときに私は統計を調べましたのでございますが、逐年の努力によりまして、歴史的背景が違いますから、いろいろの面もあろうと思いますけれども、現在、欧米の状態とほとんど近づきつつある。たとえば各家庭が持っております部屋数、あるいはその部屋に対して住んでおります居住者という姿を統計にとりましても、欧米の水準にまでほぼ近づいておる、むしろものによっては超えておる部面がある。ただ、わが国は住宅に対するストックがなかったものでございますから、このストックによって水準を上げていかなければならない。このためには、欧米諸国と比べまして毎年毎年予算面におきましても一番たくさんの予算をわが国は充てております。また、国民総所得に対する割合から見ましても、住宅に対する投資というものを最大限に、欧米と比べまして倍近い投資をやりましてその充実に努めております。その結果が今日の姿になったんだと思っております。しかしながら、まだ本当に国民皆様方の期待にこたえる住宅事情でないことはいま前段で申し上げたとおりでございますので、五カ年計画で今後ともに質の向上に努力すべく、いませっかく努力をいたしておりますので、この努力を続け、今回の五カ年計画にまさるような結果に終わる程度にまで努力をしたいと、このように考えておる次第でございます。
  43. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 住宅事情を知る上で、あるいは住宅に対する国民の意識を知る上で最も重要な調査と言われておる総理府が行っている住宅統計調査建設省が行っている住宅事情実態調査が昨年の十月一日と十二月一日にそれぞれ調査を実施され、先ごろ速報と概要が報告されましたが、これについて二、三お聞きしたいと思うんであります。  まず、住宅統計調査についてですが、全国四百五十万世帯を対象にして調査され、住宅事情を知る上で、住宅に関する国勢調査とも言われる住宅の客観的状況を知ることができるものであります。今回は速報だけで、具体的中身の分析は後にまたなければならぬのですが、住宅数、総戸数で三千五百七十一万戸、これは四十八年と比べて四百六十五万戸増加しております。昭和三十三年の調査開始以来、伸び率は三十八年が一七・六%、四十三年が二一・三%、四十八年が二〇・四%、今回が一五%と、四十三年をピークとして鈍化の傾向がはっきり出ております。このことは、一世帯当たりの住宅数が四十三年に一・〇一戸と、初めて住宅数が世帯数を上回ってから、四十八年には一・〇五戸、今回は一・〇八戸と確実に住宅の方が多くなっているのであります。しかし、単に住宅戸数と世帯数とのうらはらの関係なのか、その他の要因があるのか、この辺を政府はどのように分析されているのでありますか。  また、空き家戸数も三十八年五十二万戸、四十三年百三万戸、四十八年には百七十二万戸、しかも今回は二百七十万戸と大量に発生をしております。これにより、戸数拡大主義は完全に終わったと断言されるのか。この点をあわせて伺いたいと思うのであります。
  44. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) まず、前段の御質問でございますが、確かに、住宅の増加率は五十三年には落ちてきております。それにかかわらず、戸数と世帯数のギャップがふえている、空き家がふえているという状態になっております。これは基本的に、マクロに見ますと、住宅の数というものは世帯の数とこれは非常に密接な関係がございます。世帯の数の増加の傾向を見てみますと、高度成長時期には大体一年間に九十万戸ぐらい、多い年には百万戸を超した年がございましたが、その程度、一年間に世帯の増加がございました。これは、御承知のとおり、大都市への急激な人口の移動、あるいはいわゆる核家族化ということが非常に盛んだったためでございます。石油ショック後の低成長の状態に入りましてこの世帯増の傾向というのが急激に落ち込んでおりまして、今回の調査の数字でございますと約六十万戸年率でふえているというような状態で落ち込んでおります。ここ一、二年の自治省の調査によりますと、世帯数の増加が五十万戸を割っているというようなデータも出ておりまして、高度成長時期のいわゆる世帯数の増加とは非常な変化を来しております。それを反映いたしまして、住宅の方も、建設住宅数の伸びというものがとまっておりますといいますか、低くなっているというような結果になっているものというように考えております。  それから後段の御質問でございますが、御指摘のように、空き家の数が七・六%ということになっておりますが、これは、空き家というものは、決して余っているんじゃなくて、人口移動やあるいは住みかえというために必ず空き家が必要でございます。これは、むしろ諸外国の空き家の割合を見てみますと、欧米諸国で大体現在の日本の状態と同じくらいの空き家の率になっております。したがいまして、私どもはやっとそういった住宅事情、数の上での住宅事情は欧米の空き家の水準までようやく来たんだということでございます。  しかしながら、先生指摘のように、こういった状態になりますと、あとは結局質の問題でございます。これは、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、やはり、今後の住宅政策の中心というものは当然のことながら質の問題ということに重点を置くことになろうかと思います。しかしながら、住宅建設はもう要らないんだということではございません。先ほど申し上げましたように、新規世帯が今後とも五十万世帯ぐらいは、これは増加いたします。そのほかに、既存の住宅のストックの建てかえの需要もございます。あるいはもっといい住宅に住みかえたいという、そういった住みかえの需要もございます。そういったためにまだまだ相当数の住宅建設の必要はございますが、住宅のストック全体をいままでみたいにどんどんどんどんふやしていくという政策は終わったんだというように私たちは判断している次第でございます。
  45. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 住宅数の増加率を都道府県別に見ますと、最高は千葉県で二四・六%、全国平均を一〇%近く上回っております。あとは埼玉県の二四・一%、奈良県の二一・七%、京都府の二〇・八%と続き、東京、大阪など巨大都市のベッドタウンとなっておるのであります。住宅密度も、一平方キロ当たりを見ますと、東京都の千九百九十八戸、大阪府の千五百三十四戸と全国平均の九十五戸を大幅に上回っております。さらに札幌、京浜、中京、京阪神または北九州・福岡の五大都市圏を合わせますと千九百二十九万戸というふうになっております。全国の住宅の約五四%をこの中で占めているわけです。この数字からも明らかなように、巨大都市住宅問題を抜きにしては日本の住宅は語れないほどになっておるのでありますが、大都市宅地不足、地価高による百平方メートル以下のミニ住宅が非常に多くなっております。それに伴う過密な住宅建設、居住条件の改善をうたいながら、片や居住環境の劣悪な住宅を生んでいるという大都市なるがゆえの悪循環でありましょう。  さらに、住宅の大きさを、持ち家、借家別に五十二年度新築住宅について見ますと、全国平均で持ち家一戸当たりの広さが百十平方メートルであるのに対して、借家では五十二・七平方メートルと持ち家の半分に至っておりません。住宅困窮の割合も、持ち家居住者の困窮率が三一%であるのに対し、借家居住者では五五%と高くなっております。また、年収百五十万円から二百万円の低所得階層の困窮率が四四・八%、きわめて高いものであります。  このように地域的には大都市に集中して、地方都市と比べて見劣り、持つ者と持たざる者との格差がますます増大しております。所得の低い階層にしわ寄せがきているのは現状住宅事情であろうかと思うのであります。大臣は、この住宅大都市集中、居住環境の悪化、住宅問題における社会的な不公平、不公正をどのように理解をされるか、また住宅政策に反映させるべき緊急課題だと思うのでありますが、こは点はどのようにお考えになっておるか伺いたいと思います。
  46. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 大都市地域における住宅の不足、もう一つは持ち家でなくして借家居住者のための借家の確保、あるいはさらには低所得者層についての住宅困窮者、これが現在の住宅政策の中で最も重要な問題であり、茜ケ久保委員指摘のとおりに緊急に処置せなければならない問題であると私たちも考えております。このため現行の第三期五カ年計画におきましては、先ほども申しましたが、昭和六十年を目標として、すべての国民居住水準を家族に応じ高めることができますよう努力いたしますが、同時に自力で当該水準を確保できない層に対しましては、公的援助を行うことによりましてその達成を図ってまいりたいと、このように努めておるところでございます。政府といたしましては、このような施策の推進によりまして居住水準の改善を図っていかなければならないと、こう考えております。それぞれの公的援助につきましては、詳細、局長から述べさしていただきたい、このように考えます。
  47. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 先生指摘のように、大臣お答えいたしましたが、やはり住宅問題は大都市の問題、それから借家にお住みになっておられる方の問題、それから低所得の方々の問題、これに集中されるんではないかというように私どもも判断しております。したがいまして、やはりそれらの方々に対してどういう公的援助を集中していくかということがこれからの住宅政策の課題だろうというように考えております。  低所得者の方々には、いわゆる公営住宅ということで二分の一、あるいは三分の二の国庫補助の住宅供給しておりますし、あるいは大都市の中堅の勤労者の方々には公団賃貸住宅、これも国の利子補給をいたしまして、そして家賃を下げていくというような政策をとっております。  そういったことで、私どもとしましては、やはり住宅水準の全体がとにかく上がるような施策を今後とも進めてまいりたいというように考えている次第でございます。
  48. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まだたくさん質問の要綱つくってるんですが、時間も大分過ぎましたから、きょうはこの辺で打ち切りますが、次回に譲ります。  ただ、先ほど来申しますように、ぜひ居住者の気持ちになって、また金融公庫総裁は金を借りている者の気持ちになって、ぜひひとつ行き届いた温かい具体的な行政の運営に御努力されることを衷心から期待をし、要望して私の質問を終わりたいと思います。
  49. 内田善利

    ○内田善利君 ただいま住宅問題について質問があったわけですが、私も五十四年の三月、ことしの三月に行政管理庁の方で勧告が出ておりますので、この勧告について建設省はどのように対応していかれるのかということについて質問していきたいと思います。  その前に、法務省見えていますか。——法務省にお聞きしたいことは、建物の区分所有等に関する法律についてお聞きしたいと思うんですが、まず最初に立法の趣旨を簡単に説明願いたいと思います。
  50. 青山正明

    説明員(青山正明君) 建物の区分所有等に関する法律が制定されたのは、昭和三十七年でございますが、それ以前は御承知のように、民法の中にきわめて簡単な一カ条が設けられていたにすぎなかったのでございます。戦前からございます、いわゆるむね割り長屋式の区分所有につきましては、そのような簡単な規定のもとでも格別問題は生じなかったのでございますけれども、戦後次第に中高層の建物があらわれまして、区分所有者間のいろいろな権利義務関係が複雑になってまいりまして、そのような簡単な規定だけで処理するには適しないようになってまいったのでございます。そこで、そのような新しい事態に対処して区分所有者間の権利義務関係を合理的に規制することができるようにするためにこの法律が設けられたということでございます。
  51. 内田善利

    ○内田善利君 もうすでに十八年たっておるわけですね。私はこの法律現状にはちょっと合ってないんじゃないかと思うんですね。手直しする必要があるんじゃないかと思うんですが、この点についてお伺いしたいと思います。たとえば共用部分の管理なんですけれども、これも私的自治に任せるという立法の趣旨だと思いますが、現実には分譲マンションは入居者の職業あるいは年齢あるいは家族構成、そういったものが非常に多様であります。それから、入居者の転居等によって部分的賃貸住宅化していると、こういうこともあります。それから、管理組合がない場合が非常に多い。それから、駐車場が共用部分になってないというところが多い。また、規約内容が非常に多様になっている。特に非組合式の場合には適切でない部分が多いと、こういったことなどを見まして、現在もうそぐわなくなっているんじゃないかと、こう思うんですが、部分的賃貸住宅化等についても実態をお聞きしましたところ、つかまれてないようですけれども、非常に多いわけですね。こういったことで、どのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  52. 青山正明

    説明員(青山正明君) 御指摘のように、この法律が制定されましてから十七年余りが経過しております。その間に、立法当時には予測しなかったような新しい事態も生じているようでございます。この法律について学者、実務家のみならず、区分所有建物を所有したり、居住したりしている人たちからもいろいろな問題提起がされております。先生が御指摘になった問題もまさにそのような問題の一部かと思うわけでございます。そのようなわけで、この際建物の区分所有等に関する法律を見直しまして、現状に適合したものに改めることを検討すべき時期にきているのではないかと私どもも考えております。ただ、そのような問題は多岐にわたっておるのでございますが、それはすべてが法律改正によってすべてうまく解決がつくかどうか、これは検討してみないとなかなか簡単にそういくかどうかわからないわけでございますが、とにもかくにも検討すべき時期にきていると考えておりまして、私どもも現に検討を始めているところでございます。
  53. 内田善利

    ○内田善利君 検討を始めておられるということでございますが、この法律では特に十七条で「集会の決議によって、」マンションの管理は云々と、こうあるわけですけれども、さきに述べましたように、そうした集会が事実上不可能だと、そういう状態にあるということですね。それから、この法律には老朽化した場合の建て直し、修繕、改築、こういったことについて触れられていないわけですね。こういった点についてもやはり触れていく必要があるんじゃないかと、このように思うんですが、せっかく検討中ということでございますから、現状に即してひとつ検討していっていただきたいと、このように思います。  以上で終わります。何かありましたら……。
  54. 青山正明

    説明員(青山正明君) 先ほども申しましたように、私どもこの法律改正について検討すべき時期が到来していると思いまして、法制審議会の方にお願いいたしまして、現在どのような点について問題があるのか、そのような問題について改善するとすればどのようなことが考えられるかということの検討を始めているところでございます。ただいま御指摘ありました点につきましても、その審議の中で御検討いただきまして、できるだけ早く結論を得て、立法すべき点があれば立法をしたいというふうに考えております。
  55. 内田善利

    ○内田善利君 それでは三月の行管の勧告について、まず行管の勧告について建設省としては——大臣にお伺いしたいと思いますが、基本的な対応の姿勢ですね、こういう勧告が出た場合にどのように対応していかれるのか、この点について基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
  56. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 三月に出されました勧告の民間分譲マンションの実態を相当実態調査をやられまして、その結果に基づいて勧告を出されたと、このように聞いております。この勧告で指摘されました事項につきましては、建設省におきましても従来からその対策に努力しているところでございますが、この勧告の指摘のあった事項につきましては免許制度の見直しというふうな点、直ちにこれを対応するということが困難なものもございますが、この勧告を契機に、勧告の趣旨に沿うて業界に対する行政指導をまず強化するとともに、私たちも消費者保護の充実ということの観点から現在進めております宅地建物取引業法の改正というもので十分この勧告の趣旨を実現に移したいと、このように考えております。
  57. 内田善利

    ○内田善利君 何か六月三十日に公文書でこれの対応をまとめるということですが、そのようになっておりますか。
  58. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) いま先生のおっしゃいましたように、分譲マンションに関する行政管理庁の勧告は三月の三十日に出されまして、六月の三十日までに回答するようにと、こういうことになっております。したがいまして、現在建設省におきましてはこの勧告事項につきまして、鋭意検討を進めているところでございます。  その主なる内容は「施工管理等の徹底」「取引の公正確保」「管理の適正化」「宅地建物取引業免許制度の見直し」、この四つの内容について勧告を受けているわけでございますが、この中には、先ほど大臣が申されましたように免許制度の見直しというような問題につきましては、この勧告ではたとえば現在の宅地建物取引業者を三区分をいたしまして、いわゆるデベロッパー、次はホームビルダー、それから仲介業者というような三区分にしたらどうかというような基本的な意見を出ているわけでございますが、これらの点につきましては、やはり六月までに結論を出すということはなかなか困難でございまして、と申しますのは、小さな業者でありましてもりっぱにマンションを建てている方もおられるわけでございますから、業界の、大小をもって免許制度を区分するというようなことはなかなか困難でございまして、これらの問題につきましては実態調査をした上で慎重に対処してまいりたいというように考えているわけでございますが、大部分の問題につきましては現在もいろいろと行政指導その他を行っているわけでございますし、先ほど大臣からお話のございましたように、現在住宅宅地審議会に宅建業法の改正案を諮問いたしておりまして、秋までに御答申あいただいた上で次期通常国会に法案を提案いたしたいと考えまして、現在準備を進めているような段階でございますから、そういうような趣旨に伴いまして六月三十日までに行政管理庁の方に回答をいたしたい。このように考えております。
  59. 内田善利

    ○内田善利君 それじゃ、その内容について具状的にお聞きしたいと思いますが、第一番目は「施工管理等の徹底」ですね、これにつきましては行管の調査にによりますと、上下階の物音、床のきしみあるいは数多くの居住性能、こういった点について不満が見られる。これに対して行管の勧告は建設業者の施工管理の徹底並びに宅建業者の優良物権の供給努力を促すようということになっておりますが、これは具体的に建設省としてはどのように推進されるつもりですか。
  60. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 本件につきましては、すでに行管の報告書の中にもございますように、昭和五十一年の十二月に「宅地建物に係る取引条件の明確化、工事施工の適正化、建築物の設計及び工事監理の適正化等について」という計画局長住宅局長の共同通達を出しまして指導に当たっているところでございます。この通達に基づきまして、あるいは先生承知かとも存じますが、業界八団体におきまして実施要領というものをつくりまして、欠陥マンションの出ないようにいろいろと配慮をしているわけでございますが、残念ながらまだそういう事態が見受けられるわけでございまして、この点につきましては今後とも一層監督を強化してまいりたい、あるいは業界の指導に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  61. 内田善利

    ○内田善利君 局長通達がまだ徹底していない、だからそれをさらに推進するということなんですね。具体的にどう推進するかということなんですが、非常に抽象的な文章で勧告がなされておりますから、具体的にはどう対応していくかということなんですね。いいでしょうか。  そして、次には「取引の公正確保」についてお伺いしたいんですが、これは質問の時間の都合で——公取見えてますか——先にお聞きしておきたいと思いますが、この公正競争規約に定めている必要記載事項について、何らかの記載漏れがあるものが一七・一%、これは行管のアンケート調査によって一七・一%あるということなんですが、この公正競争規約の励行について公取はどのようにしていかれるおつもりか。
  62. 土原陽美

    説明員(土原陽美君) 公正取引委員会は、従来から宅地建物の不当表示に一番方を入れてまいったところでございまして、業界の公正競争規約も三十八年から実施されておりまして、私どもその規約の遵守につきまして指導してきたところでございますが、今回行政管理庁の方からまだ不十分であるという御指摘を受けたわけでございますので、さらに規約の励行あるいはそのアウトサイダーを規約に参加させていくということで協議会を指導していきたいと思っております。現在、公正競争規約の改正を検討しておりまして、特にマンションのウエートが高くなっているわけでございますので、その関係の表示事項をふやしていくというようなことでいま私ども指導しているわけでございます。このマンションの表示の問題というのに積極的にこれから取り組んでいきたいと思っております。
  63. 内田善利

    ○内田善利君 それじゃ建設省の方、分譲マンションの宣伝広告の中に内容が事実と違うもの、相違するものが一八・四%あったということなんですが、行管のアンケート調査で、この点について建設省としてはどのように指導、対策を講じていらっしゃるか、具体的に教えていただきたい。
  64. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 宣伝広告の適正化につきましては、従来から絶えず指導しているところでございますけれども、なかなか悪い業者がいて、必ずしも守られていないという事態がございますことはまことに残念でございます。したがいまして、建設省といたしましては公正取引委員会等とも十分連絡をとりまして、その是正に努めているわけでございますが、特に今回の法律改正におきましても重要事項の説明事項を強化いたしまして、業者がマンションを売る場合にはどういう事項を必ず説明しろ、あるいはここは将来は道路が通って非常に便利になるよというような、そういうあいまいな表現はしてはならないというようなところまで明確に規定いたしましてその指導に当たってまいりたい、このように考えているわけでございます。
  65. 内田善利

    ○内田善利君 次に、瑕疵担保責任期間についてですが、宅建業法第四十条第一項、これは二年以上となっているわけですね、ところが、もうほとんど最低の二年の特約になっているわけですが、行管の監督官の説明では、大体入居して二年以上五年未満の人に苦情が多い、これが大体八〇%以上だということなんですね。逆に入居二年以内に欠陥がわかったというケースは非常に少ないということなんです。コンクリート建築では欠陥が表面化してくる時間が長い、こういうことなんですが、現行法は実情にそぐわないのではないかと思うんですが、その点はどのようにお考えですか。
  66. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) いま先生のお説のとおりでございまして、瑕疵担保期間の二年という点には問題があると存じます。したがいまして、現在住宅宅地審議会におきましてもこの点を御審議いただいているわけでございますが、問題は宅建業者だけの問題でないわけでございまして、建設業者の瑕疵担保期間をどうするかというところに問題の基本があるわけでございます。ところが、この建設業界の瑕疵担保期間は、これは民間の約款におきましても公的約款におきましても二年が原則ということになっておりまして、これを直すということになりますと、いろいろと値段の問題にはね返るとかいうような問題がございまして、現在のところ非常に苦慮している段階でございます。しかしながら、われわれといたしましては何とかこの問題を長くなるようにしてまいりたいということで、審議会で御検討をいただいている次第でございます。  なお、瑕疵担保期間は二年ということになっておりますが、われわれの指導しております先ほど申しました業界の実施要領によりますと、雨漏り等がする場合につきましてはアフターサービスという形で、業界八団体におきましては五年間アフターサービスをするというような措置は講じているわけでございます。
  67. 内田善利

    ○内田善利君 それから、あちこちつまみながらお聞きしていきますが、苦情の受付窓口が整備されてない、勧告ではこれを遵守励行させるということのようですが、現実にはほとんどが行政の窓口に苦情が持ち込まれている。東京都では昨年一年間で約八千件苦情が持ち込まれたわけですが、これではとても行政の窓口では処理ができないと、このように思うんですけれども、これに対して建設省としては、これは当然管理会社に行くべきなんですけれども、住民としては、入居者としてはどうしても行政の窓口に行くことになっているわけですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  68. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) この点も大変むずかしい問題でございまして、苦情の窓口は八団体それぞれ設けているわけでございます。しかしながら、これが十分に活用されないというのが実態でございまして、業界に行かないで役所に来るという形になっているわけでございます。どうして業界に行かないかと申しますと、やはり消費者の方々が業界を信用していない。同じ仲間に苦情を持ち込んでもなかなか解決しない。したがいまして、役所に持ち込みまして、役所が中に入って解決してもらいたい。こういうことで先ほど先生がお述べになりましたように、東京都のごときは八千件からの苦情があるわけでございますし、三大都市圏だけで年間一万二千件ぐらいの苦情が参っているわけでございます。また建設省にも数百件の苦情が年間には参るわけでございますが、そういうことでこの苦情処理機関をどうするかということは大問題でございまして、これにつきましても現在住宅宅地審議会で御審議賜っているわけでございますが、御承知のように、国、公共団体を含めまして非常に財政難でございまして、三万件からの苦情処理に当たるための人員の増加ということは大変むずかしい問題でございまして、なかなか消費者の要望に応じかねるということで苦慮しているわけでございますが、これらの問題につきましては審議会の御意見を十分承るなり、あるいは業界と相談いたしまして、場合によりましては中立機関的なものもつくって、ここで審査してもらったらどうか、あるいはあっせん、調停してもらったらどうかというようなことも考えていろわけでございますが、中立機関をつくった場合に果たしてペイするかどうかというような問題もございまして、それらの点も含めまして今後十分に検討してまいりたいと考えているわけでございます。
  69. 内田善利

    ○内田善利君 そういった点で管理の適正化ということが出てくると思うんですけれども、行管の勧告にもあるとおり、管理組合の設立が望ましいわけですが、この実態はどうなっておりますか。建設省としての実態調査はなされておるかどうかお聞きしたいと思うのです。
  70. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 管理組合をつくることは建設省といたしましては指導しているわけでございますが、最近の調査によりますと、管理組合を入居当時に結成しているというものは六二・五%、大体三分の二ができておるわけでございまして、その後年を追ってつくっているということで、全然できていないというようなものは七・六%ぐらいでございますが、いずれにいたしましても管理組合があるところとないところを比較いたしますと、管理組合のある方が管理も適正に行われており、あるいは苦情の処理その他もうまくいっているというような段階にあるわけでございまして、現在建設省といたしましては、この管理業者というのは大体、全部ではございませんが、ある程度の大きさのものを拾いますと百六十ぐらいあるわけでございますが、この百六十の関連業者に財団法人なり社団法人的なものをつくらせまして、そこでいろいろと管理問題も建設省もお手伝いして検討させるというようなことで、高層住宅協会にその音頭をとってもらいまして現在いろいろと検討しているところでございます。
  71. 内田善利

    ○内田善利君 その実態は把握しておられますか。
  72. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 管理組合の実態という御質問でございますれば、先ほど申しましたように大体百六十社ぐらいがございまして、平均の管理戸数は三千六百九十八戸、平均資本金が大体七千万円ぐらい、それから平均従業員が二百五十人程度というようなのが標準的な管理組合と申しますか、管理会社になっております。
  73. 内田善利

    ○内田善利君 日本高層住宅協会が何か五月中には報告を提出するということですが、これはつかんでおられますか。
  74. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) これは五十三年度に予算をいただきまして、管理組合あるいは管理会社の実態を高層住宅協会に委託をいたしまして調査をしてもらっているわけでございまして、近日中に調査の結果は参ると思いますが、まだ現在のところは私は見ておりません。
  75. 内田善利

    ○内田善利君 まだ結果が出ていないようですが、国立公衆衛生院のアンケート調査によりますと、管理組合なしが四四・三%、この調査は五十二年六月から十一月の調査のようですが、住宅局長の「分譲共同住宅の安全の確保等について」という通達が五十一年十二月十一日に出ているわけですね。これが出ているにもかかわらず、組合なしが四四・三%、管理の強化は進んでいないわけですね。局長の通達にもかかわらず進んでいないという、こういうことについてどのようにお考えでしょうか。
  76. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 現在は、先ほど申しましたように、三分の二ぐらいの管理組合ができているわけでございますが、いままでつくられたマンションについて管理組合ができていないものはどのくらいあるかと申しますと、先ほど先生が申された数字になるわけでございます。
  77. 内田善利

    ○内田善利君 ですから、そういう数字になっているわけですね。局長通達があるにもかかわらず、この点についてどういうふうにお考えになっていますか。
  78. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) これはわれわれといたしましては絶えず管理組合をつくるように指導しているわけでございますが、何分にも高層住宅協会その他の会員でないマンションもあるわけでございますから、趣旨の徹底が図られていないといううらみもあるわけでございまして、今後ともわれわれといたしましては、こういう高生協その他に入っていない方々に対しましても指導の徹底を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  79. 内田善利

    ○内田善利君 指導徹底がなされないために管理組合もできない、そういったことで苦情も行くところがわからない、そういうことで困るのは消費者であり入居者であるわけですね。こういったことについて勧告が出されているのじゃないかとこう思うんですが、この点ひとつ強力に対応していただきたいと、このように思います。  それから同調査によりますと、先ほど申しました建物の区分所有者に関する法律の第十七条一項で、区分所有者の集会がなされるようになっているわけですけれども、非組合方式ですね、管理組合のない非組合方式では六四・六%が全く十七条一項に沿った集会がなされていない。こういうことなんですが、これでは全く管理については会社仕せ、業者仕せと、こういうことになっていくわけですけれども、この実態をどのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。
  80. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 確かに先生のおっしゃいますように、マンションというものができましてから相当の期間がたっているわけでございますが、マンションが非常に多くなりましたのはこの数年間の話でございまして、そういう管理組合の問題等管理問題が非常に立ちおくれているということは事実であると、行管の指摘のとおりだと思っているわけでございまして、われわれも今後ともこういう問題に特に力を入れまして、これからは、先ほどからお話の出ておりますように、戸数をふやすよりはできたものをどのように管理するか、あるいは住みよくするかというような点に特に重点を置いてまいりたいと考えているわけでございまして、それらの問題につきましては現在も建設省内に研究会をつくりましていろいろと検討しているところでございます。
  81. 内田善利

    ○内田善利君 中高層化してまいりまして分譲住宅ができてまいりますと、どうしても入居者の皆さんがしわ寄せになって苦情の言うところもないと、こういうことですから、ぜひこの点については早急に対策を講じていただきたいと、このように思います。先ほどウサギ小屋の話がありましたが、私はこのままいったら、本当にウサギ小屋になりかねないと、このように思うわけです。ですから、この分譲住宅の管理、経営については十分ひとつ対策を講じていただきたいと、このように思います。  それから管理規約及び管理委託契約の内容が居住者側に非常に不利になっていると、こういうことで将来また紛争が次々に起こってくるのじゃないかということがおそれられるわけですが、勧告にもこのように言っております。まさに勧告どおりだと、このように思います。それで建設省としては規約あるいは契約の標準案をつくるおつもりがあるかどうか、またその内容はどのように考えておられるかお聞きしたいと思うんです。
  82. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 勧告にもありますように、管理規約につきまして標準案をつくったらどうかと、こういうことでございますが、建設省といたしましては現在その原案を検討中でございまして、原案ができましたならば、住宅宅地審議会等の御意見も承った上で標準案として各業界に流してこれを遵守させるようにいたしたい、このように考えているわけでございまして、まだ検討中の段階でございまして、ここでお答えできるほど内容が詰まっておりませんことをお許しいただきたいと存じます。
  83. 内田善利

    ○内田善利君 勧告で標準案をつくるように勧告しているわけですから、ぜひひとつそういう標準案をつくって推進していったらいいんじゃないかと、このように思います。今後の問題もありますが、管理委託業者もだんだんふえてくると思いますね。そうしますと、昨年の八月のある業者の倒産劇に見られるように、そういった事態がまた発生しないとも限らないわけですね。今後こうした業者を育成指導するというお考えが当然なければならないと思いますが、ああいう悲惨な倒産劇などが起こらないように十分育成指導の必要があると思います。この委託業者の実態はいまどうなっておりますか。
  84. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 委託業者につきましては、先ほどもお答え申しましたように、マンション管理会社というのは大体われわれの把握しているところでは百六十社ぐらいあるわけでございまして、その平均従業員は二百五十人ぐらい。それほど弱体な業者だとは考えていないわけでございますが、一部には途中で倒産してしまうというような事態があるわけでございますから、そういうことのないように先ほども申しましたが、このマンション業者の社団法人的な団体をつくりまして、これが中心になってそれぞれの会員のマンション管理会社の育成に当たるとか、あるいはお互いに情報を交換し、あるいは研修を行って、消費者のためになるようなことをしていくというような形で指導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  85. 内田善利

    ○内田善利君 あの場合は管理委託業者が倒産したわけですけれども、分譲会社は責任はないと思いますが、まああの記事を読みながら分譲会社には責任はないのかなという気はしたわけですが、この点についてはどのようにお考えですか。
  86. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 法律的に申しますと分譲業者には責任はないと存じますけれども、あの場合におきましては、分譲業者を呼びましていろいろと行政指導をいたしまして、入居者に余り迷惑のかからないような措置を講じております。
  87. 内田善利

    ○内田善利君 最後に、民間の分譲中高層住宅のことについて勧告に基づいて建設省の対応を聞いてきたわけですが、分譲マンションの住宅総数に対する伸び率、これはどのようになっているのかお聞きしたいと思います。
  88. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 分譲マンションにつきまして経年的に見ますと、昭和四十八年に約九万四千戸の建設が行われております。その後、石油ショックで五十年にはこれが五万戸に落ちました。ところがその後、大都市でのいわゆる宅地事情あるいは職住近接の要望といったようなことで逐年増加してまいりました。五十二年には八万戸、五十三年には九万六千戸というような建設が行われております。これは、長期的に見ますと、やはり大都市での住宅の住まい方、持ち方というものが、どうしてもやっぱり土地事情からしまして中高層化したマンション形式にならざるを得ないだろうというように私どもは考えております。またそうせざるを得ないわけでございますので、これはもっとふえるだろうというように考えております。ただ、短期的には土地の入手難等から細かい変動はあろうかと思いますが、私どもはやはり、そういったマンションがふえるということも期待しているわけでございます。
  89. 内田善利

    ○内田善利君 いまお話しのように、分譲マンションは逐年増加しつつありますので、まだもっともっと伸びるだろうというお話ですが、この行管の勧告を受けて、今後居住者の立場に立った、消費者の立場に立った施策をやっていかないと、不安ももちろん大きくなるし問題も大きくなってくると思いますので、早急にその対策を講じていただきたいと、そのように思います。管理費が二DKで月一万五千円取っているところもありますし、それから駐車場が一台で五万円も取っているところがありますしね。そういう実態を見ていきますと、今後非常に大きな問題を含んでおると思いますので、対策を早急に講じていただきたいと、このように思いますが、大臣いかがでしょう。
  90. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 今後ともに、東京都あるいは中部圏の名古屋を中心といたしました地区におきましては、一戸建ての住宅じゃなくしてマンションというものがふえてくることはいま住宅局長から答弁したとおりでございますので、その管理体制につきましては万全の措置を講じていかなければならない。このために、ただいま私の方でも審議会で審議をしていただいておりますので、来年の通常国会ではこの問題を含めてひとつ成案を得たいと、このように考えております。
  91. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 本件に対する午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後二時四分開会
  92. 浜本万三

    委員長浜本万三君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  93. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、産炭地域の再開発につきましてまず最初にいろいろと論議を進めていきたいと思います。  直接の担当ではないかもしれませんが、地域開発ということにつきましては国土庁長官は所管でございますので、まずその面から基本的な考え方をお尋ねをしておきたいと思います。  大臣も御存じと思いますが、筑豊産炭地あるいは九州の産炭地域、こういった地域をながめてみますと、いまだに一般的な国土ではなくて大変な鉱害地域で悩んでいるわけであります。まず第一に、ボタ山等が林立をしておりますが、これらの取り除き作業はいまだに遅々として進んでいないわけでございます。しかもまた、鉱害でございますが、下で石炭を採掘しているために地盤が沈下をし、深いところでは一般の田畑が二メーター五十の深さまで落ち込んでいるというような地域がたくさんあるわけでございます。そういったことにかんがみまして、まあこれは通産省あたりではございますが、筑豊地域昭和四十五年度未利用調査について地域振興整備公団が通産省から昭和四十五年に委託を受け、その後調査の結果、昭和四十八年の十二月二十六日通産大臣が認下をした小竹町の工業団地の造成という問題があるわけでございますが、この小竹町を一見してみますと、危険なボタ山がそのままに散在をしておりますし、しかも、そのほかに五百ヘクタールに及ぶ重鉱害地域がまだほとんどがそのままの状態に差しおかれているわけであります。どんなに道路をつくりましてもこういうふうに田畑が鉱害に侵される。あるいはボタ山が林立している。またボタ山がいつ壊れるかわからないというような危険な状態に置かれる。こういった中で国土の再開発、地域の再開発といっても私はとんでもないことではないか、こういうふうに思うわけであります。その一つの試みとして、先ほど申し上げましたように、直方市、飯塚市その両方にはさまれました小竹町に団地の造成ということが計画をされたわけであります。ところが、先ほど申し上げましたように、四十六年度にそういう構想ができ上がり、そして四十八年の十二月二十六日の日にほぼ通産大臣がこれを認可をしたわけでございますが、その後たびたびの変更がございまして、いまだに遅々として進まないという状況に置かれているわけであります。これは小竹団地という一つの事例を挙げて私は申し上げているわけでございますが、筑豊全体をながめたときには、あるいは産炭地全体をながめたときにはそういうような状況下に置かれているということであります。  いまから先のいわゆる都市の分散化ということを考えた場合には、こういうような荒廃した土地もとに戻し、そうして、そこに従来はたくさんの人々が住んでいらっしゃったわけでございますから、そういった町づくりを進めていくことが最もベターな物の考え方ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についての大臣の御所見をまず冒頭にお聞きをして論議を進めていきたいと思います。
  94. 中野四郎

    国務大臣中野四郎君) 小竹団地につきましては、炭鉱の閉山に伴いまして、産炭地域の振興、それから重鉱害地の鉱害復旧等を図りまして、国土の有効利用を目指して地域振興整備公団が事業を鋭意推進いたしておるところでございます。  国土庁といたしましては、国土の均衡ある発展を図るために、産炭地域を豊かな経済社会の場として再生させることが必要であると考えております。その考え方に立って、今後も関係省庁との密接な協力のもとに、地元の意向をしんしゃくしつつ小竹団地造成計画の推進に配慮をいたしてまいりたい、このように考えております。
  95. 桑名義治

    ○桑名義治君 そういった国土庁長官としてのお考えはあるようでございますし、またそういったお考えで今後産炭地の振興なりに努力を続けていただきたいと思うわけでございます。  そこで、この小竹団地の問題にしぼって少し質疑を続けていきたいと思いますが、昭和四十八年十二月二十六日付で通産大臣が小竹団地の認可を、許可をしているわけでございますが、その後何度も何度も設計変更がなされているわけでございます。これ何の設計変更がなされ、どういう理由でこういうふうに遅々としてこの団地の造成が進まないのか、まずこの一点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  96. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 小竹団地の造成計画の問題につきましては、これまで計画が四十八年の十二月二十六日に大臣承認がありましてから今日まで用地買収というそういう段階にとどまっているわけでございますけれども、その間におきまして石油のオイルショックというそういった経済環境の変化がございまして、そういった関係から計画が遅々として進んでおりませんですけれども、私たちの方といたしましては今後工業団地の造成に小竹町及び小竹町の関係者皆様方と協力しながら全力を挙げてやっていきたいと思います。
  97. 桑名義治

    ○桑名義治君 必ず過去のこういう大きな計画になってきますと言われる言葉は、四十八年のオイルショックが必ず引き合いに出されるわけです。だけれども、そのオイルショックという問題を表に立てて、こういった大型なプロジェクトが非常におくれてくるということは、地域にとってはまたこれ非常に重大な問題であるわけです。なぜかと申しますと、大きく分けてこれは産炭地域は非常に疲弊をしておりますので、町としても財政的に非常に困窮をしているということが一つ。この間、町としては財政を投政をして、お金を投入しているわけであります。それと同時に、冒頭に申し上げましたように、非常な鉱害地域であるために鉱害復旧への計画が立たないということ、こういった大きなマイナスの面が表に出てくるわけであります。そういった立場から、まず財政面から申し上げますと、この小竹団地の問題について五十二年、五十三年、五十四年度、この三年間の町の一般会計と町のこの問題に対する債務負担行為というものを比較してみますと、五十二年度の一般会計が十九億三千九十七万八千円、そして債務負担行為が八億、それから五十三年度が三十二億四千八百八十七万一千円、債務負担行為が十一億、それから昭和五十四年度が三十五億二千八百八十三万一千円の中で債務負担行為が十一億、その他に農用地の買収凍結資金としまして五十四年の四月三十日現在五億六千二百八十六万円というようなお金が投入をされておるわけであります。地方行政等においても常に問題になっているのは、こういう産炭地が大変に疲弊しているために町の財政が非常に困窮をしている。したがって、これは何とかしなければならないということで特別措置をしてこの問題を救済をしているというような姿にあるわけでございます。これはもう自治大臣をなされておられました渡海建設大臣もよく御存じのはずでございますが、そういった地域がこういうふうな債務負担行為を強いられているということについては、この計画が推進をされないところに大きな問題があるわけでございまして、こういう債務負担行為に対してあるいは通産省並びに公団等はどのようにお考えになっておられるのか、その所見を伺っておきたいと思います。
  98. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 小竹団地の買収につきましては、地元小竹町の土地開発公社さんの方にその買収につきましてお願いをしておるところでございますが、先ほども指摘のごとく、小竹町におかれましては債務負担行為を起こされるとか、あるいは農振法によります農用地の支払いにつきまして私たちの方が留保さしていただいておる関係からいたしまして御心配をおかけしておるところかと思います。これらの点に関連をいたしまして、私たちの方といたしましては農用地以外の農地に対する支払いは行わさしていただいておりますし、金利の支払いとか、あるいはまた事務費の支払い等、そういったことにつきまして大いに努力をさしていただいておる次第でございますが、何といいましても先ほど先生も御指摘になりましたように、この小竹団地の予定地の用地の買収を完了するということが先決問題でございますので、私たちといたしましては小竹町御当局と協力をいたしましてその用地買収に全力を挙げたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  99. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまの御答弁のように、事務費もしくは利子等については一応負担をしていると、だから問題ないんだというようなお考えにもし仮に立つとするならば、これは大きな間違いだろうと思います。先ほどのように、いわゆる農用地の買収凍結資金の問題や、あるいは債務負担行為等の問題について、このままお金がやっぱり凍結されているわけですから、したがって町としてはほかに事業が本来ならばできる問題がこういうふうに延び延びになっておる。しかも、全体計画というものが延び延びになってまいりますと、こういったお金が死に金になると言っても決して過言ではないわけでございまして、一日も早くこういった行為を中断するためには、そしてさらに地域の再開発を図っていくためには計画を速やかに決定をしていかなければいけないと、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、大体いつごろをめどにして最終的な図面ができ上がるのかということが一番大きな問題になるわけでございますが、大体いつをめどにして図面の最終的な枠ができ上がるのか、まずこれをお尋ねをしておきたいと思います。
  100. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) その点につきましては、私たちの方は先ほど申し上げましたように、用地の買収につきましては小竹町の土地開発公社にお願いしておるわけでありますけれども、それを一年間延長さしていただきまして、五十四年の十二月末日までに用地取得を完了すると、こういうことでございまして、先ほどの御指摘の点につきましては、そういうことで小竹町及び土地開発公社の皆様方と密接な連絡をとりながら全力を挙げていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  101. 桑名義治

    ○桑名義治君 十二月末日までに農地の買い上げを完了したい、この計画は一応いいと思うのですがね、問題は全体計画がわからないで農地だけどうして先に取得するんですか。全体にどういう図面を書いて、これが最終的ないわゆる小竹の工業団地であるという、そういう最終決定がなされた中で、本来ならばどことどこの土地を買収しなければならないという問題が出てくるんじゃないでしょうか。なぜ農地だけを先に考えるのですか。全体のまず枠組みが決まらないうちに買収はできないはずでしょう。たとえば道路をつくるときに、どこに道路が通るかわからないで先に買収しておくというそういうものはないはずなんです。全体計画ができた上で、どことどことどこを買収をする、どことどこが公用地であると、こういうことが決定されて事業というものは進むんじゃないでしょうか。その枠組みが決まらないために一切合財の事業が全部おくれぎみになっているというのが現実の姿であるわけです。したがって、農地の買収云々の問題を私お聞きしているわけではない。その問題について私も現地に行って調べておりますから、十二月末日までということは存じておるわけです。ただ、全体の計画がいつになったら固まるのか、この問題をお聞きしているわけです。
  102. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 農地ということではございませんで、私たちとしましては農地をひっくるめた用地の買収につきまして、十二月末日を目途にして全力を挙げたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  103. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこがわからぬわけですよ。農地であろうと一般土地であろうと、全体の枠組みができないのにどうして買収ができますか、という話をしているわけですよ、私は。話が逆じゃないですか。だから、全体の枠組み、全体の図面がいつになったらでき上がるんですか、と言うんだ。現実に、この資料をもらってきてますがね、この資料を見てみますと、一番当初計画から見ますと、だんだん縮小したり拡大したり、いろいろしているわけですよ。この変更した図面がこれで五枚あるんですよ。したがって、いわゆる鉱害復旧にしましても、田畑の鉱害復旧にしましても河川の改修事業にしましても、この団地の姿が明快にならない以上は修復できないと、こう言っているわけですよ。だから、全体のそういう枠組みがいつになったらできるんですかということをお聞きしているわけです。これ、通産省の方も見えてらっしゃるでしょう。
  104. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 私は先ほど用地買収のことについて申し上げたわけでありますけれども、私たちの方といたしましては、全体の計画といたしましては二百三十三ヘクタールの考え方で現在やらさしていただいております。
  105. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃあいつの時点に完全な図面ができ上がるかとぼくは言っているんですよ。そういう話を聞いておるわけじゃない。広さは知ってますよ、これを見たらわかるんだから。どのぐらいの用地買収が進んでるかということもこういう一般の資料を全部持ってますから知ってるんですよ。だから、全体計画がいつになったらその図面ができ上がるかと、このことを聞いているんです。ごまかさないでくださいよ。
  106. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) いまの点でございますけれども、私たちの方としましては全体計画としましては二百三十三ヘクタールということで、それに基づきまして用地買収についていま努力をさしていただいておるところでございます。
  107. 桑名義治

    ○桑名義治君 あなたがそこまで何回も何回も固執されますならば、こういうように観点を変えましょう。  たとえば、現在の段階ではこれが最終の姿であろうと思われる図面がここにあります。いいですか。——その中にいわゆる古河鉱業株式会社の所有用地があるわけです。この所有用地の買収について、これは非常におくれているわけですね。これは公団側として責任を持って買収しましょうという町とのお話し合いになっている。これは全体の広さとしましては、現在の段階では予定されているのは五十八万三千五百七十三平方メートル、これだけの土地がいわゆる買収予定になっている。ところが、坪単価が、おたくの方で示しているのが三千二百円、古河鉱業が言っているのが六千三百円、こういう段階になっている。このことで昨日私はあなたにお聞きした。どうしてこの買収がおくれているんですかといえば、全体の枠組みが決まらないので——その中にはボタ山もあるし、そのボタ山の土地を幾ら持っていけばいいのか確定しないのでここの買収はおくれてるんです、という御返答、御返事だったはずなんです。だったら、全体計画が決まらなければ、たとえば古河鉱業のこの土地を買うか買わないかについても決定できないんじゃないですか。だから、全体の枠組みがどういう図面になるのかということが最終的にまず決まらないことには全体の買収についても手がつかないのはあたりまえの話じゃないですか。じゃあ古河鉱業の問題は、これは何で進まないんですか。御答弁願いたい。
  108. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 古河鉱業さんはこの団地予定地の一部としまして所有地を持っていらっしゃるわけでありますけれども、私たちは、そのボタを利用いたしまして、そして低地部の陥没田に埋め戻す、こういうことをさしていただいておるわけであります。そこで、そのねらいといたしますところは、ボタ山の処理とかあるいはその鉱害田の復旧とか、あるいは工業団地造成による地域振興、こういうことをねらいとしておるわけでありますが、そういった観点からいたしまして、用地買収に当たりましては鉱害田の買収ということを先行して取り進めさしていただいておる次第でございます。  そこで、古河鉱業の所有地の問題につきましては、同社から土地造成につきましては基本的に協力するとも言っていただいておるわけでありますので、いままでは非公式にさしていただいておりましたですけれども、今後は具体的な折衝を行いたいと、こういうふうに思っておる次等でございます。
  109. 桑名義治

    ○桑名義治君 だから、どのくらいのどろが要るのかはっきりしないでしょう、図面がはっきりしないことには。だから、全体の図面がいつでき上がるのかと、これ何回もお聞きしているのに、その御答弁がないんですがね。この図面の最終決定というのはまだわからぬということですか。いわゆる買収に応じて、ことしいっぱいでどれだけ買収できるか、買収できた分だけで工場をつくろうという無計画計画なのですか、どうなんですか。それとも、最初に図面を引いて、そしてその図面どおりの買収に入ろうとなさっているのか、どうなんですか。そこら辺をはっきりしてくださいよ。あなたの御答弁の中ではそこら辺がどうもはっきりしない。無計画の中の計画のような気がしてしようがない。
  110. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 現在ございますところの計画に即しまして具体的に用地買収を現在努力しておるところでありますけれども、この方向で大いに努力をしたい、こういうふうに思っております。
  111. 桑名義治

    ○桑名義治君 だから言っているでしょう。二転三転、ここに変更図面が五枚あるんですよ。それで、いまでも町に行っていろいろお話を聞いてみますと、いまのこの図面も最終決定ではないとおっしゃるわけですよ。だから、この赤が載っているのがこの工業団地のいまの図面だと、こうおっしゃるけれども、じゃこの図面が最終というふうに考えていいわけですか。
  112. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 私たちの方としましては二百三十三ヘクタールの計画というものが最終的なものだと、このように考えておる次第であります。
  113. 桑名義治

    ○桑名義治君 二百三十三ヘクタールが最終案、こういうふうに考えているわけですね。
  114. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) はい。
  115. 桑名義治

    ○桑名義治君 二百三十三ならば最終案の一つ手前なんです、町が考えている。これはやっぱりそういうことになれば、町とこれはきちっと話し合いしておかなければなりませんよ。おたくの方でこれが最終案と考えている、町としては百九十ヘクタールの方をこれを最終案と考えているわけですから、だからそこら辺にも大きな食い違いがあるわけですよ。そういうふうなずさんな計画じゃ私はいけないと思う。これはあなた、何回も何回も話し合いを進めているわけです。実際、経過報告もこれ、ずっとずいぶん細かく書いてあります。そうすると、おたくの方とはずいぶん話し合いしているわけですよ。それにもかかわらず意思の疎通が全然なされていない。どれが最終案なのか地元ではさっぱりわからない。そういうことではならない。  そうすると、最終案というのは二百三十三ヘクタールと、これがいわゆる最終案であると、こういうふうにもう一遍念を押しておきますが、間違いありませんか。
  116. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 二百三十三ヘクタールということで考えておりまして、町当局とも十分に話し合いをしていきたいと、こういうふうに考えております。
  117. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃ、これ後から二番目の図面が最終案だということで一応私は了解しておきましょう。  そこで、先ほどからもちょっと申し上げましたが、この小竹のいわゆる重鉱害地域、これはたんぼがもとの高さから見ますと 二メートル五十全体がずっと落ち込んでいるわけですが、そういったことから河川も同じように落ち込むわけですね、同時に。したがって、ここに通っている南良津川といういわゆる基幹排水河川があるわけでございますが、この排水河川も鉱害のために少し雨が降るとすぐに溢水をしてしまうということで、これがどうしてもこの河川をそこはかさ上げしなければならぬということで計画が立っているわけでございますが、実は全体の図面ができ上がらないために、計画が確定をしないために鉱害復旧ができませんと、こういうふうに現地では非常に困っているわけです。住民も非常に不満が多いわけです。それと同時に、その図面ができ上がらないためにたんぼのいわゆる鉱害復旧もあわせてできないというような事柄が言われておるわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  118. 関收

    説明員(関收君) 最初に、先生お尋ねの南良津川の関係について御説明させていただきたいと思いますが、南良津川につきましては鉱害認定、これはすでに昭和四十六年に実施しております。具体的に申しますと、貝島炭礦の関係が四千四百メートル、古河鉱業の関係が三百メートル、合計四千七百メートルでございます。これにつきまして、昭和五十三年度に水利調査等を町にお願いして実施をいたしました。これに基づきまして五十四年三月三十日に鉱害復旧の基本計画を通産大臣として認可したところでございます。調査の次に本来ならば復旧のための設計を行うわけでございます。設計が終わってから工事という段取りになるわけでございますが、いま先生指摘のとおり、調査を終わりその次の設計段階に入るにつきましては、工法上いわゆる小竹団地の工法とも調整を図りませんと復旧工事ができませんという関係で、実は現在のところ足踏みをしておる段階でございます。しかしながら、小竹団地の関係が明確になりますれば今年度にも設計に入るべく予算上の手当ては内々しておる段階でございます。  なお、これに関連いたしまして、周辺の農地の関係でございますが、小竹町にはこの小竹団地を取り巻きます農地、家屋等で鉱害を受けたものが私どもの試算によりますと、農地で約九十三ヘクタール、家屋で約六百戸あるわけでございます。このうち私どもとしては、小竹団地に関連いたしますものは、先ほど来申し上げているとおり工法上の調整が必要でございますので、南良津川同様まだ設計に入るという段階にはなっておりません。調査は終わっておりますが、設計に入る段階にはなっておりませんが、それ以外の農地、家屋等につきましては、その工法の調整を必要としない、それだけで復旧ができるものにつきましてはすでに工事を一部実施しておりまして、農地関係、これは主として古河関係のところが多いわけでございますが、農地で七・五ヘクタール、それから家屋で四百二戸すでに復旧済みでございます。それから五十四年度につきましてもまだ具体的な計画を策定中でございますが、農地で三・五ヘクタール、家屋で約三十九戸の予定を立てております。残りますいわゆる小竹団地との要調整部分につきましては、私どもとしてはこの団地計画の具体化が一日も早くできまして、それと工法上の調整をした上で、次のステップであります設計段階に入り工事段階に入るということで進めてまいりたいと、かように考えております。
  119. 桑名義治

    ○桑名義治君 鉱害復旧の問題については、いまの御答弁がございましたように小竹団地の全体計画が確定をしないために南良津川の改修工事もできない。しかし、この確定がなされた場合には即座にこの問題については手をつけたいと、こういう意味の答弁なんですね。どうですか。公団側のお話とはずいぶん違うわけです。あなたはいわゆる二百三十ヘクタールで大体計画はもう確定しているんだという意味のお話をなさっているわけでございますけれども、通産省の方としてはそうではないんだと。実際にはその計画がまだ確定的ではないために南良津川の改修もできないでおると、こういうふうな御答弁なんですが、あなた御答弁違いますよ。
  120. 関收

    説明員(関收君) いまの点についてちょっと御説明さしていただきますと、私ども調整を必要とすると申し上げておりますのは、その団地をつくります場合のかさ上げ高を幾らにするかというようなことがこの河川の復旧をいたします場合に響いてまいると、こういう意味で申し上げたわけでございまして、その二百三十四ヘクタールにつきましては、私どももそれを前提として二百三十四ヘクタールにつきましてはみなし復旧ということで工場団地造成をお願いする。それからそれ以外の部分については、いわば私どもの担当でございます鉱害復旧をすべき地域とかように仕分けをして考えておるわけでございます。
  121. 桑名義治

    ○桑名義治君 だから、結局現在の鉱害復旧というものはあくまでもみなし工事としてでなければ工事ができないわけでしょう。だから完全に、河川というのは一部が切れたってこれ工事になってないんですよ。だから要するに最終決定がなされてないということには間違いがないわけだ。ただ面積だけ二百三十ヘクタールなんていっても実際の全体の図面ができないと河川がどう横切るのか、そういうものが全然わかりませんから、この鉱害復旧も同時に、同じように同一歩調でおくれてくるという、そして住民の皆さん方に大変な御迷惑をかけるということになるわけですよ。  もう一遍公団側にこの問題でお尋ねしますが、これ二百三十ヘクタールのこの図面、これで最終というふうに考えてよろしいんですね。
  122. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 私たちの方といたしましてはそういうふうに考えて、現在用地買収等を進めさしていただいておる次第でございます。
  123. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃ通産省の方も鉱害復旧の方もよく打ち合わせをして早く手をつけてくださいよ、これが最終とこうおっしゃるんだから。
  124. 関收

    説明員(関收君) 先ほど御答弁いたしましたとおり、私どもとしては工法にいわば調整を必要としないものは、可及的速やかに復旧をいたします。これは私どもの予算配分等でできるわけでございますから、これは極力進めて住民の方の不安を一日も早くなくするように努力したいと思っております。  それから工場団地の造成とのいわば工法上の調整を要するもの、これにつきましては今後地域整備公団とも十分連絡調整さしていただきまして、私ども立場でも一日も早く復旧工事に着手できるように努力してまいりたいと、かように考えております。
  125. 桑名義治

    ○桑名義治君 この、やっぱり工業団地がおくれた最大の原因というものは、各省にまたがってなかなか調整がとれなかった。それと町の問題もございましょう。そういうことからこうやっておくれてきたわけでございます。その最大の要因は先ほどからお話があっておりますように、昭和四十八年度のいわゆるオイルショックが最大の原因であるというふうに言われておりますけれども、しかし最大のネックは縦割り行政の欠陥がここに如実にあらわれてきているのではないかと、こういうふうに見ざるを得ないわけでございます。なぜかといいますと、いわゆるこれは団地だけの問題ではない、その周辺の鉱害復旧の問題が絡み合っているということを私は念頭に置いていただきたいと思うんですよ。したがって、団地ができないことによってどれだけ住民の方々に迷惑がかかっておるか、ここに着目をしていただかないと、これ真剣に取り組む姿勢というものは私は前進をしないと、こういうふうに思うわけでございます。  そこでもう一点、今度は鉱害の問題についてお尋ねをしておきたいわけでございますが、ここの現在のところ大半の鉱害は貝島炭礦の閉山にあるわけです。貝島炭礦はごく最近までは有資力でございまして、無資力になれば何とかなるだろうというふうに考えておったわけですが、いよいよ目島炭礦も倒産をしまして無資力になったわけでございます。これは先ほどから申し上げておりますように約五百ヘクタールのいわゆる鉱害地域を抱えておるわけでございますが、これは地元としてはいわゆる臨鉱法が五十七年の七月三十一日まででこれは廃止になるわけでございます、一応、いまの段階では。それまでに何とかしてもらいたいというのが、いわゆる地元の強い要望でございますけれども、この問題についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  126. 関收

    説明員(関收君) 先生指摘のとおり貝島炭礦の閉山は他の炭鉱に比べておくれておりまして、五十一年八月に閉山をしております。自後公共関係の一部は別にいたしまして、いわゆる無資力鉱害復旧という形でやっておるわけでございます。その閉山以来私どもとしてはこの地域が非常に広範な鉱害を残しており、なおしかも先生の御指摘のとおり非常な重鉱害地であるということで一日も早く着手をいたさないと、臨鉱法の期限内に復旧が完了しないのではないかということで、それ以後鋭意私どもとしては予算上の配分につきましては努力をしてまいったつもりでございます。たとえばこれは小竹以外も含めておりますけれども、貝島炭礦関係の復旧規模でございますが、たとえば昭和五十二年度トータルで十億、それから五十三年度では十八億、五十四年度では二十七億、これ予定でございますが、二十七億の規模で復旧事業を進めるということで、他の地域に比べてはかなり重点的な予算配分をしてやっておるつもりでございます。しかしながら、いま御指摘のような種々の問題もございまして、私どもとして期限内に復旧は完了するかどうかについて非常に厳しい情勢にあるということを率直に認識しなくちゃいかぬのではないかと、かように考えておるわけでございます。  貝島関係以外も含めまして、現段階の鉱害復旧の進捗状況でございますが、実は昭和四十七年に臨時石炭鉱害復旧法が延長いたしました際に、鉱害復旧の要復旧量といいますか、長期計画を策定したわけでございます。その段階で日本全国で約千七百億、四十七年度価格で千七百億、具体的には農地で約七千二百ヘクタール、家屋で約二万六千戸、公共事業では約二百七十億という規模の復旧計画を立てたわけでございます。これに基づきまして毎年の復旧事業を進めてまいったわけでございます。五十三年度までの七年間で総計二千百二十一億の復旧事業をやってまいりました。しかしながら、またおしかりをいただくわけでございますが、オイルショック等で単価アップがございまして二千百億、要するに千七百億を上回る復旧事業をしたにもかかわらず、五十三年度段階での進捗率は、私どもの試算では、先ほどの四十七年に策定いたしました計画に対して五割程度の水準ということでございます。それから五十四年度も、五百四十億の事業規模で復旧を進めるということにしておりますが、これがまるまるできたといたしましても、私どもの試算では六割程度の進捗率ということでございまして、あと残る五十五年、五十六年の二カ年間でどれだけ復旧できるかということにつきましてはきわめて厳しい情勢、それは先ほどの貝島という個別の地域について申し上げたと同じような意味で、全体としてもきわめて厳しい情勢にあるわけでございます。  それで、私どもとしては鉱害は残されたままで法律期限切れということでは非常に問題があるということで、現在鉱害行政全体の見直しをしておりまして、その結果によりまして、どうしても期限内に復旧は不可能ということになりますれば、また国会の方に臨鉱法の延長その他につきましてお願いに上がるというような段取りになろうかと思っております。  しかしながら、私どもとしては、五十七年七月三十一日の、現在の臨鉱法の期限内にやれるだけはとにかくやっておきたい。それでなおかつ不十分なものにつきましては、また国会の方に法律の延長等についてお願いすべく準備をしておるという段階でございます。
  127. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題はもう一問で終わりにしたいと思いますが、公団の方にお聞きをもう一度しておきますが、現在の段階では全体のいわゆる土地の買収計画というものが、全体から見ると三二・四%というふうに資料が町としては出ているわけでございます。三二・四%というふうに出ているわけでございますが、最終的には町と公団との間で、話し合いの中で、ことしいっぱいでいわゆる買収は一切合財終わってしまう。こういう話し合いをしているというお話でございます。町でもそういうふうに話しておりました。そこで、この買収が終わりますと、最終的な図面引きが始まると思うのですが、いよいよ最後のいわゆる計画図面が引かれると思いますが、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  128. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) そういうことでございます。そのように考えております。
  129. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣、いろいろと小竹の問題を——産炭地全体をここでお話し申し上げるのはなかなか時間的に余裕ございませんので、小竹団地の問題についていま論議を交したわけでございますが、こういうふうに地域の開発は部分的には大変ないわゆる投資を必要とする部面もあるわけです。しかしながらこういったところを有効利用していくという、それと同時に地域の住民の福祉という立場から考えた場合には、これは当然等閑視するわけにはいかない、こういうふうに思うわけでございます。確かにこの問題については大臣の直接の所管ではないかもしれません。だけれども、公団関係について、あるいは国土全体の利用という立場から考えた場合には、これは大臣としても、おれのところの所管ではないというふうに逃げるわけにはいかないと思います。そういった立場からひとつ鋭意推進方をお願いをしておきたいと思います。その点についての御答弁をお願いをして、この問題はとりあえずこれで終わりたいと思います。
  130. 中野四郎

    国務大臣中野四郎君) お話をだんだんとお伺いをいたしまして、よく理解することができます。今後とも関係各省庁との間に密接な協力のもとに、地元の意向を十分しんしゃくいたしまして、小竹団地造成計画の推進に最善の努力を図る決意でございます。
  131. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、高速自動車道の料金値上げ問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  高速自動車道の料金問題は——現在全体として日本の抱えている経済問題と申しますと、インフレが再燃するのではないか、こういうふうに大きく懸念をされているわけであります。この問題については、経企庁長官としても、あるいは通産大臣にしましても、あるいは大蔵大臣にしましても、大変に頭を痛めておられる問題だろうと思います。こういったときに高速自動車道路の値上げ問題がまた上がってきておるわけでございますが、これは非常に物価の問題に大きな影響を与えると、こう言っても過言ではないと思うのです。  皆さん方の方の試算では、たとえ上がったとしても、物価に影響する部分は本当にわずかなものである、こういうふうに〇・〇幾らということで試算をなさっているようでございますけれども、しかしよく考えてみますと、最近の一つの物価の動向としては、石油が上がったということは、これは当然なことでしょう。それから為替レートが上下しているという問題、これが大きな影響を与えていることもまた一つの原因でしょう。それから公共料金、国鉄の料金の値上げの問題が最近はあったわけですが、そういうように全体として公共料金の値上げというものが軒並みにずらりと並んでいることも、これまた事実だろうと思います。それと同時に、個別に小さなそれぞれの中小企業の方々とお話し合いをしてみますと、トラックにいままでは過重量で載っけておったわけですが、非常に重量がやかましくなってきた。そのために本来ならば一回で運搬ができたものが二回行かなければならぬ。二回目はトラックに半分積んででも行かなければならなくなってしまった。そういうことでトラック料金、運送料金が約二倍になっている。こういった要因があるんだというお話をよく聞くわけです。それにまたこういうふうに高速自動車道路の料金が上がるとするならば、これは相乗的な効果を生み出してむしろ物価を押し上げていくのではないかというおそれさえあるわけでございます。  そういったことで、この問題は、皆さん方が〇・〇幾らしか物価に対する影響力はないのだ。こういうふうに言われましても、私たちは納得しがたい面があるわけでございます。道路公団は二九・七%の値上げ申請を行い、これは建設省としては目下検討中であると、こういうふうに言われているわけですが、また建設省としても、このままの状態では、経企庁からもそういう三〇%の値上げというものはけしからぬ、物価に悪い影響を与えるからということで差し控えるように要請があって、これを三カ月延ばして、あるいは五%落としたとかいうお話があるわけでございますが、この間の経過なりあるいは値上げ内容についてまず御答弁を願いたいと思います。
  132. 山根孟

    政府委員(山根孟君) お答え申し上げます。  高速自動車国道の料金につきましては、昭和下十年四月に前回の料金改定をいたしたところでございます。これは御案内のとおりでございます。その後物価の上昇、人件費の増大に伴いまして、維持管理費、建設費など、こういった費用が増大をいたしてきたこと、それから長期にわたります不況によりまして、経済計画等の見直しを行いました結果、自動車交通需要の伸びの停滞、こういったことの事情、それから昨年国土開発幹線自動車道建設法に示されました七千六百キロの法定路線があるわけでございますが、その中で昨年までに、現在日本道路公団建設管理をいたしております四千八百キロ余に対して、新たに五百九十九キロメートルの整備計画を追加をいたした、こういった大きく申し上げまして三つの理由から償還の見通しが悪化をしてまいりました。こういったことから、法律に基づきまして、料金の額の決定の原則でございます償還主義、公正妥当主義、こういったことを前提にいたしまして見直しました結果、先ほど先生の方からお話のございました約三〇%の改定の問題が起こってまいりまして、日本道路公団から四月十七日に料金改定の申請が参ったわけでございます。これに対して、私ども現在の考え方といたしましては、やはり高速自動車国道の維持管理、建設を適正に行ってまいりますためには、ある程度の料金改定はやむを得ないと考えておるところでございまして、運輸省、経済企画庁との協議を行っておる段階でございます。先ほど御指摘のありましたように、物価の観点、それから輸送と申しますか、とりわけトラック輸送、大変国民の生活に密着をいたしておりますだけに、どういう考え方のもとでこの料金改定の申請に対して対処すべきか。こういう問題につきまして運輸省、経済企画庁、詳細にわたりまして現在検討を行っておる段階であるわけでございます。
  133. 桑名義治

    ○桑名義治君 いま御答弁がありましたように、新たに五百九十九キロの追加があって、物価等の値上がりによってどうしても料金改定をしなきゃいけないと、こういうふうに言われているわけでございます。それと同時に、高速道路が占めるいわゆる地位というものは、社会的な地位というものは非常に高まってきたことは私は事実だろうと思います。しかし、今回の「高速自動車国道の料金制度についての意見書」、この意見書の一番最初の「まえがき」の中に、「高速道路が鉄道と並ぶ公共輸送施設としてますます重要性を帯びてきている反面、鉄道、航空、海運との競合などの問題も生じており、このため、総合交通体系上の見地から、高速道路のあり方が電要な課題となってきている。」というふうに、この「まえがき」の中にうたわれているわけであります。  一般庶民的な感覚から申し上げますと、たとえば、私は北九州の小倉に住んでおるんですが、博多まで汽車で行く場合には運賃六百円です。ところが、高速道路に乗りますと、九百円かかるんですね、一般乗用車で。道路を使用するだけで九百円。片っ方は、汽車に乗って体をそのまま運んでもらって六百円、ずいぶん違うと思うんですよ。それから、北九州から大阪に来る場合に、フェリーを使った場合には約六千円——六千六百円。それから高速道路等を使えば、これ高速道路の料金とガソリン代入れると一万二千円ぐらいかかっちゃう。こういうふうに考えますと、これはどうも道路公団の料金というものは高過ぎるんじゃないか。これ以上どんどんどんどん高くしていきますと、経費がかかるからということで高くしていきますと、一般利用者はなくなってしまいます。もちろん高速道路を使うことによって短期間に輸送ができるということと、いままでの一般国道その他の混雑が防げるということが主目的にあるはずなんです。ただ、経済効果だけをねらっているんではなくて、そういうような道路交通の混雑を防ぐというところにも大きな私は問題があるんじゃないかと思う。ところが、余りどんどんどんどん高くしていきますと、みんなばからしいからと言って、たとえば小倉から博多に行く場合には、有料道路を通る人はもう本当にわずかしかいない。結局混雑を防ぐためにつくったはずなんです、最初は、目的は。それが、その所期の目的に沿わないで、むしろ下の混雑するところを走っていると、車が、多く走っていると。こういうような悪循環が逆に、また逆の面の悪循環が出てくるおそれが私はあるんじゃないかと思う。  そういうことをここでは、この「まえがき」の中には、「鉄道、航空、海運との競合などの問題も生じ」と、こういうことを私はうたっているんであろうというふうに思います。そうやって考えますと、果たしてこの道路公団の料金問題は今後どういう形に持っていかなければならないのかと、これは大きな問題だと思いますが、この問題についてどういうふうにお考えになっておられますか。まず、道路局長でも公団の総裁でも結構ですから、お話を願いたいと思います。
  134. 山根孟

    政府委員(山根孟君) お答え申し上げます。  高速自動車国道の料金の設定の仕方の根幹にかかわる問題であろうと考えております。  料金設定の考え方は、現在、先ほど申し上げましたように、償還主義のもとで設定をいたしておりまして、この全体から、さらに申し上げますと、総合原価主義と申しますか、そういう考え方で設定をいたしておるところでございます。つまり料金のプール制をしいておるわけでございます。このプール制そのものに基づきます料金設定の考え方が、今後の料金の額にどういうぐあいに響いてくるか、こういうことに相なろうかと思います。この場合に、当然ながらこの利用者負担のあり方の問題も起こってくるわけであります。また私ども高速自動車国道の建設管理をいたします場合に、やはり幾つかのプール制をしがなければいけない、プール制のもとで事業を進めていくということに関しての検討を、過去におきまして、昭和四十二年から四十七年まで、道路審議会におきましていろいろな観点から検討をしていただきました結果、答申されました料金制度に基づいて所要の法改正をし、現在この線に沿って進んでおるところであります。  若干時間をとって恐縮でございますが、この料金が一貫性、一体性を持って設定をされることといった点、それから建設費の違いに起因をいたします——この用地費なり工事費なりの単価の違いによって料金の差が出る、あるいは事業の採択の時間的な順序の違いによって料金の差ができる。これはやはり不公平ではないか。それからさらにはこの高速自動車国道は財投等を主体といたしました借入金を用いまして、それを主体にして建設をいたしておりますが、この償還を円滑に行ってまいる。こういったことからプール制がしかれておるわけであります。今回の公団の方から申請のありました料金の申請、これにつきましては、昭和五十年の時期からの所得水準の上昇あるいは他の公共料金との関係等から判断をし、さらに先ほど先生から御指摘ありましたが、物価等への影響を配慮いたしますと、まず現段階ではこの程度の御負担はいただけるのではなかろうか、こう考えておるのでありますが、将来この高速自動車国道をどう建設してまいるかということになりますと、ただいま先生指摘のように、大変多くの問題があるわけでありますが、やはり基本的にはこのプール制というものを踏まえてやってまいらなければならないのではないか。ただこのプール制のいろいろな適用、前提条件その他については若干のこれからの検討は必要であろうかと思いますが、現段階におきまして、五千四百キロを前提といたしますならば、現行制度によってやってまいる必要があるのではないか、かように考えておるところでございます。
  135. 桑名義治

    ○桑名義治君 国鉄の料金の値上げの問題を考えてみますと、料金の値上げをすることによってある程度の赤字をカバーしていこうとする。ところが他の交通機関との競合の中で乗客がだんだん減っていく。したがって今後の値上げの問題については地域格差というものを考えなければならないのじゃないかと、こういう国鉄も検討の段階に入っているわけですね。そういった立場から考えますと、いまから先のこういう有料道路というものは、いわゆる縦の線から横の線ですか、そういう道路が非常に多くなってくる。そうすると、大体山間僻地をずうっと道路が通っていくということになってくると、せっかく道路はできたけれども、なお一層の累積赤字を蓄えなければならないような状況に追い込まれることは事実であろうと思うんです。そういうふうに考えますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、小倉から博多まで行く場合には、汽車では六百円だけれども、その有料道路を通れば道路料金だけで九百円かかる。そうすると、それにプラスガソリン代ということになれば、ずいぶん格差ができてくるわけですね。そういうことがだんだん認識されてきますと、有料道路せっかくつくったけれども使わないというような状況が起きてくるおそれだって十分あるわけですね。そういったことを考えますと、やはり有料道路の今後の値上げの問題にしましても、やはり一応地域格差というものを考えなきゃならないのじゃないかというふうに考えるわけです。このいわゆる答申の中の「まえがき」にも載ってますね。「地域の実情に即した料金体系の検討が必要となる」というふうにこの答申の中にも載っているわけでございますが、そこらあたりも現在は検討なさっているのかどうか。  それからもう一点は、こういうような、いまあなたがおっしゃるようなことで、道路公団の財政事情というものが非常にむずかしくなってきた場合には、これはとめどもなく赤字がふえてくるというようなことから、新聞によりますと、「渡海建設相は道路債にほとんど依存している現行の資金調達方式だと通行料金へのはね返りが大きな問題になるとして、このほど事務当局に資金調達の在り方について検討するよう指示した。」、こういうふうに報道されているわけでございますが、この中身はどういうふうな中身なのか、まずお伝えを願いたい。この二点についてお伝え願いたいと思います。
  136. 山根孟

    政府委員(山根孟君) まず第一点の、地域的に料金体系に交通需要を調整をすると申しますか、利用しやすいような形は考えられないか、こういう御指摘であります。建設時期の違い等もありまして、むしろこれまでの考え方からいきますと、今後建設される高速自動車国道の、単独で料金設定を仮にいたすといたしますと、高額になるという傾向にあるわけであります。したがいまして、その意味からは、やはりプール制を今後とも維持をしてまいらねばならぬ、こういうことに相なるわけでございますが、この点が第二の御指摘にかかってくるのではなかろうかと思います。つまり全体の料金レベルをどう下げるかということでございまして、これは先ほど先生指摘にありましたように、建設大臣からも指示をいただいておりまして、どういう方法でやっていけば今後におきます料金改定をある限度に抑えながら、負担の限界内で高速自動車国道の建設をどう進めていくか、このためにはいろいろな考え方もあろうかと思います。こういった点は、現在検討を進めた段階でございまして、今後道路審議会にもお諮りをするような形で、前回の料金制度についていろいろ御検討いただいた結果、その後の情勢の変化を踏まえて、再度御検討をいただきつつ答えを出していかなければならぬかな。かように実は考えておるところでございます。
  137. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私が指示いたしましたのは、いままでのような償還のあり方で高速道路の使用料金を決めるということは、もう限界に来ておると、これからやりますところは建設費が高くつきます。しかも利用車両は少ない。しかし法律にも決められておりますとおり、いま七千六百キロ法定されまして、決まっておるんです。これだけはわが国の輸送を担っております一環といたしまして、どうでも進めていかなければならない。なお、これを一万キロに伸ばせというふうな要望も各地から起こっております。そんな状態でございますので、この機会に、いままでのような償還計画で使用料を計算するというあり方を根本的に変えなくてはいけない。そのためには出資金をもっと持ってもらう。あるいは金利補給もしてもらう。あるいはいま二五%ぐらい用地費だと、こう建設しますときに言われておりますけれども、これは国有財産なんですから、それは建設費から抜いたらどうだと、いろいろな方策があるんですが、根本的にはそういった意味で、抜本的にいままでの料金あり方のための償還方針を変えていくと、こういう姿で、ぜひとも八月の予算要求の際に、その根本に触れたものを検討して出すようにということを事務当局に指示した。それが新聞に出たんでございますが、私はいままでのやり方では限界であると、このように考えますので、そういった方向で何とか努力いたしたいと、このように考えております。
  138. 桑名義治

    ○桑名義治君 この料金の設定についての償還主義あるいは公正妥当主義、これも全面的に私否定する意味ではございませんが、いみじくもいま大臣からお話がありましたように、道路公団が道路をつくるために道路用地を取得した、これは国有財産になるわけですね。その国有財産になっているその費用までもどうして国民が払わなければいかぬのですか。どうもそこら辺が納得いかないわけですよ。だからそこら辺が明快に国の方ではっきりしていただくと、この料金の問題については、まだまだダウンさせることができるのじゃないかというふうに私は思うわけです。確かに償還主義も結構ですけれども、しかしどう考えてみても、これは国有財産になるわけですから、その用地の買収費までも国民に償還をさせるというのは、これはちょっと酷のような気がするわけですよ。そういう全体の中からもう一遍、道路建設については、やっぱり大々的な見直しが私は必要になっているんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  また、ちなみに、ちまたでは、このままの状態でいけば、道路公団は第二の国鉄みたいになるんじゃないかなんて言われているようでがございますが、そのことについて建設月報では、総裁は、いや、絶対そういうことにならないと、そういうふうに言われているわけでございますが、それならばどういう方向をお考えになっていらっしゃるのか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  139. 高橋国一郎

    参考人高橋国一郎君) 御指摘のとおり、今度の料金値上げを契機にいたしまして、第二の国鉄になるんではないかという新聞記者諸君からの御質問を再三受けております。私は、なることはありませんと明確に答えております。  それは、まず第一に、道路は無料公開の原則というのがございまして、これは単に日本だけではございませんで、世界各国すべて道路は無料でつくるのを大原則にしております。たとえ最もハイクラスな高速自動車国道であっても無料でつくるのが世界の原則になっております。したがいまして、例を挙げるまでもなく、イギリスとかドイツを初め各国はほとんど高速道路を無料でつくっております。アメリカでも若干の有料がございますが、九九・九%まで無料で高速道路をつくっております。ただイタリアとフランスそれに日本の三カ国がかなりの有料道路を取り入れております。特に日本がオール有料道路で発足しておりまして、ということは世界にたった一例日本だけでございます。(「けしからぬね」と呼ぶ者あり)これはもちろん理由はございます。御承知のように日本は、有史以来道路に対しては、特に江戸時代においてはかごが唯一の輸送機関でございまして、諸外国のように馬車馬という時代を経ておりません。したがって道路の幅員も非常に狭うございます。それから、明治に入りましてからは鉄道に全力を挙げておりまして、道路の投資は非常に乏しゅうございます。戦後二十年代を過ぎまして初めてモータリゼーションに遭いまして、各地で車がふえたと同時に道路の混雑が激しくなりましたので、政府といたしましては、まず国道、県道、最近は市町村道まで及んでおりますが、まず一般道路の整備に全力を挙げることになったわけでございます。同時に、諸外国と同じように高速自動車道路の建設も必要になったわけでございまして、いわゆる両面作戦をするというかっこうになったために、高速自動車国道については有料制度をとったのがオール有料制度の始まりだと思います。イタリアについてもフランスについても道路財源が乏しいゆえに一部有料道路に切りかえております。したがいまして、すべて財源上の理由でございます。  そういう前提ちょっと長くなりましたが、そういうことから感じまして、私はわれわれの道路公団の道路につきましては国から命令を受けて建設しております。しかも法律に基づいたものでございますので、いずれ国が中心になって検討すべきことだと思いますが、私の希望的観測でございますが、先ほどもございましたように、今回の料金値上げを機にいたしまして、今後値上げすることは非常にむずかしくなっております。その場合には、先生指摘のように、たとえば用地費に相当する分、これを国費で置きかえるとか、あるいは現在の高速道路建設の資金と申しますか資金コストは六・三%になっております。つい昨年までは六・四%でございましたが、かつては六%でやっておりました。そういうふうに資金コストを下げるという方法もあろうかと思います。それで、なおかつそれでもペイしない場合には、これは高速自動車国道は法律に基づきまして国みずからつくるのが原則でございます。有料道路であるがゆえに道路公団に命令が出ておりますから、もしペイしなかったら国みずからつくるべきであると、そうしますから、私は国鉄になることはないと、こう申し上げておるわけであります。
  140. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃ、もう時間来ましたので、もう一問要望だけしまして。  いまの総裁の話は私はもっともだろうと思うんです。そういう話はもう私も知っているわけでございますけれども、道路というのはあくまでも無料公開原則、この原則にいま日本は戻っていかなきゃならぬ、そういう時期にまた料金を上げるということは、これは私は不当と、こういうふうに断ぜざるを得ないわけでございます。そういった立場から再びこの有料道路の問題については再考を願うということを要望しまして、時間が来ましたので終わりたいと思います。
  141. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は公団家賃問題、それから都市河川の水害問題、それから米軍ホテル問題などについて質問したいと思います。時間があんまりありませんので、私も簡潔に質問しますので、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。  それらの問題に入る前に、去年の四月十一日の建設委員会で、私ミニ開発問題をお聞きしました。きょうも問題になったウサギ小屋とも関係ありますので、ミニ開発問題非常に重要になっておりますけれども、その際私は法的根拠を整えて具体的にきめ細かい規制をということを提案しましたけれども、最近の新聞、たとえば四月二十五日の読売、五月二日の朝日、さらに五月二十六日の日経では非常に大きな記事が出まして、政府も検討を進めていると、ミニ開発規制について、そういう報道がありました。政府はどういう検討、研究をしているのか、また新聞が報道しておりますこの一定面積以下の住宅建設を禁止できるような建築基準法の手直しあるいは市町村が住宅配置計画まで決めるような新しい法律の制定というようなことが報道されておりますけれども、そういうことの検討準備がどこまで進んでいるか、これをお伺いしたいと思います。
  142. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) ミニ開発の問題は非常にむずかしい問題がございます。一つはやはり地価とそれから住宅取得能力とのギャップ、これが基本的な問題でございます。したがいまして、これを一律的な規制でできるかどうかという問題、非常に大きな問題がございます。特に東京区部あるいは大阪だけに限りませんが、特にそういったところでは既存の住宅宅地そのものが半分以上が百平米以下のいわゆるミニ開発的な市街地が形成されているというような問題がございます。したがいまして、いま先生指摘のこれこれ以下の敷地については家は建ててはいけないとかいうような一律的な規制がうまくいくかどうか、これはもちろん全部というわけではなくて、場所を限ってのことだと思いますが、そういったいわゆる線引きがうまくできるのかどうかというような問題もございます。それから詳細計画といっておりますが、ある程度都市計画的な見地から建物の配置それから敷地の規模、災害路の配置というようなところまであらかじめもう決めてしまって、そしてそこに家をお建てになる方はそれに従って建てていただく、これは西ドイツを初めヨーロッパの一部の国において行っておりますが、そういったことも検討しております。しかし、これもわが国の伝統的な、いわゆる町づくりと申しますか、家をつくるということでそういったことがわが国の実情になじむかというような問題もございます。そういったものを踏まえまして、現在建設省といたしましては、都市計画中央審議会あるいは建築審議会、両方に諮問をしておりまして、両方で現在いろいろ検討をお願いしているというところでございます。まあしかしながら、私ども実際問題としてどういう効果的なことができるかどうかということにつきましては、結論を待ちたいと思いますが、なかなかこれはそう一筋なわで解決できる問題ではないというような認識を持っております。
  143. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうしますと、どうですか、そういう建築基準法改正や新法を国会に——準備が進んで国会に提案できる時期、これはどのくらいという展望をお持ちでしょうか。
  144. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 私どもは両審議会の結局答申をお待ちしているわけでございますが、そういった答申がまとまり次第、来国会にでも必要なものにつきましては提出したいというように考えております。
  145. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 次に、公団家賃問題に移ります。  もう皆さん御存じのように、自治協側は現行払い方針、これは裁判でやろうと、暫定払いをする態度を、良識ある態度を決めたと思うんですが、ところが公団側はにわかに取り立て訴訟をやっているわけですね。これは全国的にも裁判権の乱用じゃないかという声まで起きているんですけれども、いままで何人を相手に起こしたのか、いま何人残っているのか、それから、これから、どのぐらいの裁判をやる予定なのか、これをまずお答えください。
  146. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 家賃の一斉改定が昨年九月実施されました。すでに半年以上もたちましたので、非常に多くの方が新家賃で納めておられることとの関連もあって、いつまでもそのままにしておくことが不適当であるのは明瞭であると私ども考えまして、法律の定めるところによって裁判によって判定をしてもらう。こういうことで提訴いたしたのは当然のことと考えておるわけでありますが、御質問の提起した件数は三月、第一次、五団地六十一名の方々に対してでございます。それから、四月、第二次、五団地五十七名の方々、それから五月、第三次、五団地百一名の方々でありまして、第四次は目下準備中でございます。  それから、現在の係属件数でございますが、提起の際より大幅に減少をいたしまして、五月二十八日現在で第一次は二団地四名、第二次は一団地一名の方が係属中でございまして、第三次は五月二十六日提訴したばかりでございますので、現在八十九名となっておるわけでございます。現在〇・九%、四月で約三千名ぐらいの方がなお現家賃で納めておられるわけでありますが、逐次これに対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  147. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 一次、二次の場合、もうほとんど取り下げになっているわけですね。皆さん払ったからだと思うんですけれども、大体裁判になじまないものをもうにわかに問答無用という形で裁判にかけているという感じがします。私はこういうことをやめて、やっぱり個々に話し合いをすればこれほとんど解決できるだろうと思うんですけれども、どうもそういう話し合いがおきらいのようだけれども、よく事情も聞き、話し合いをするお気持ちがないのかどうか、この点望みたいと思います。
  148. 澤田悌

    参考人澤田悌君) こういう家主と入居者の方々の関係、いわば私どものお客さんですから、裁判によって問題の解決を図るというようなことは私ども望ましいと思わないことはもう当然でございます。しかし、ああいう激しい反対運動の中で長期間未払いが残っていることが適当でないこともまた当然であります。私どもは決して問答無用ということで裁判に持ち込んだわけではございません。いろいろ手を尽くし、あらゆる機会にお話も伺って、御理解を深めるために非常な努力をいたしたのでありますが、先ほども申しましたような半年以上もたちましたので、三月からまず催告を申し上げて、それで残った方々にはやむを得ず提訴をするという手続をとったのであります。たとえば第一次の場合の催告を発しました数は五百二十六件でございます。それが、いま申しましたように、提訴に該当したものは六十一件でございます。それが結局どんどんお払いくださって、四件について係属したいと、こういうことになってきました。今後といえどもどもは裁判というふうなことにだけ頼るつもりはございません。手を尽くして皆さんの御理解を得て解決してまいりたいと考えておる次第でございます。
  149. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ぜひ冷たいやり方でなくて、話し合いを進めていただきたいと思います。  公団自治協は五月十八日に値上げ分の債務不存在確認請求という民事訴訟を百二十四団地二百五十九人の代表が原告となって提訴をしました。私もこの訴状を読みましたけれども、今度の家賃の値上げの当否だけでなくて、今度の家賃値上げの底にある公団住宅の家賃のシステム、それから住宅公団の経営のあり方あるいはさらに国の住宅政策そのものにも触れた訴状で、こういうものが裁判にかかるというのは、この前も私指摘しましたけれども、初めてのことで、そういう意味では非常に重要な意味を持つものだと思うんです。それで、公団も当然この訴状について検討を加えていると思いますけれども、どういう態度で臨まれるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  150. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 毎々申しておりますように公団といたしましては、今回の家賃改定は各方面の御審議もいただいて、その御要望にも沿い法令の定めるところに従いまして建設大臣の承認を得て実施したものでありまして、まず適正妥当なものと考えております。約三十四万戸の改定住居の方々のうち、すでにこの四月から九九%新しい家賃でお納めいただいたところで、これは大変ありがたいことと思っておりますが、一部の居住者の方々からいま御指摘のような訴えがありましても、公団の従来からの方針は何ら変わりはないと申し上げる次第でございます。この相手方からの訴えに対しましては、これは訴状が一部到達いたしたところでございますので、弁護士とも十分協議して訴状を詳細に検討した上対処する考えでございます。
  151. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは総裁、いまのお話で認識がやっぱりまずい点があるんですね。一部の方々が、確かに人数は二百五十九人ですけれども、代表ですからね。一部の方々が、みんな納めたのに一部がまだがんばって裁判をしているという認識だとだめなんですよ。これは総裁御存じのはずですけれども、きょうも自治協の方々も傍聴に来られているけれども、あれだけの討議を尽くして、個々の自治会でも討議を尽くしてその上でその代表が裁判しているわけですね。だから家賃の現行払い運動というのは、あそこで一応打ち切るけれども、それに対する不満というのは非常に大きいわけです、要求も依然として強い。それであれだけ総裁の方も予想以上の数の長期にわたる非常に強い運動が起きたわけですから、そういうものをはっきり見た上で、しかしその要求の問題を、じゃあ裁判という形で政策的問題として国の住宅政策にもさかのぼってきちんとした結論を出そうということで行われているんですから、ほとんどもう解決したのに一部のがんこな人々がやっているという認識で立ち向かわれますと、幾ら弁護士に訴状を検討させてもやはり正しい対処にならぬだろうと思うんですね。だから皆さん方の代表をやっぱり世論を代表してあの裁判が提訴されているんだということで、正面から正々堂々と受けていただきたいと思うんですね。あなた方がまじめに受けられることが、どっちが勝った敗けたということよりも、やっぱり日本の住宅政策のあり方を国民が考え直す、さらに新しい方向を打ち出していくやっぱりよい機会になるんだろうと。そういう意味ではこの裁判をやっぱり国民的な意義のあるものにするために、居住者側の方もまた公団側もまた建設省も努力しなきゃならぬと、そういうふうに思うんです。ですから、一部の人と思わないで、おまえら裁判やってるんだからもう協議、話し合いに応じないぞというような態度でなしに、裁判にも正々堂々と応じられるし、意義あるものにするために公団側も努力されるし、また自治協との話し合いですね、これにもやっぱり正々堂々と温かく受けていただきたいと、そういうふうに願いますけれども、いかがでしょうか。
  152. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 一部と申し上げた点にこだわりがおありのようでございますが、そこは別に言葉のあやでございますので、私どもはこちらから提訴したものあるいは相手方から提訴されたもの、いずれも裁判でありますからおっしゃるように正面から真剣に取り組むことは当然のことでございます。よく内容を検討して対処したいと思っております。  それから、全国自治協などとの話し合いということでございますが、公団は、かねがね申し上げておりますように、いままでいろんなお話し合いの申し出に一度も拒否したことはないのでありまして、喜んでお会いし、それから、こちらからも家賃改定等に御理解を得るために、あらゆる手を尽くして理解を深める努力をいたしておるのでありまして、そういう努力の一環として、全国自治協とも定期または随時お話し合いをしてきたのでございます。ところが、家賃改定につきまして、全国自治協の統一方針によるというふうな訴訟が提起されました、いま御指摘のようなことでございます。そのパンフレット等によりますと、いまもお話がございましたように、その考え方は、住宅政策全般や公団の住宅管理等について広く論議の対象とし、訴訟の場をそのように使っていくという方針のようでございます。公団は簡単明瞭でありまして、新家賃の確認、不足額及びこの期間に応ずる一〇%の利息、これの支払いを請求する裁判でございますが、自治協の裁判は大変内容が広範なようでございます。若干そういうことがこの裁判になじむのかどうか、私素人でありましてよくわかりませんが、若干理解に苦しむ点もあるのでありますが、いずれにいたしましても、公団といたしましては、対策上、そういうものであるとすれば懇談の内容等も訴訟の場に持ち出されることになると考えざるを得ないのでありまして、懇談の内容等がおのずと制約されざるを得ないのではないかという気がいたすのであります。したがいまして、その限りにおきましては、今後訴訟が係属いたしております間は、全国自治協との懇談会というのもかなり制約されざるを得ない、場合によっては中止を含んで、そういう制約を受けざるを得ないのではないかというふうに憂えておるわけでございます。
  153. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 恵庭裁判なんかでも、それこそ安保条約から自衛隊のあり方までいくんですよね。だから、やっぱり裁判、今度の訴状にそういう広範な問題があるからといって、なじまないものじゃなくて、その一つの家賃値上げという問題にそういう深い問題が映されているわけだから、なるわけですね。だから、恐らくだれでも考えるように、長期にかなりわたるものになるかもしれぬという観測もあるわけですね。そうだからといって、そういう大きな裁判に対して、だからといって懇談もちょっと中止も考えるというようなことでは、余りにぼくは気が小さ過ぎると思います。  総裁のいままでの発言に、自治協との話し合いの制度を確立するとか、私的諮問機関の設置ということも話し合いの中で出てきたわけですね。その点については、具体化する決意は変わりませんか。
  154. 澤田悌

    参考人澤田悌君) いろいろお話し合いの、自治協とも何回かお話し合いをしたのでありますが、その際に、こういう問題が解決すれば、今後のいろんな懇談の場を、いままでの不定期の懇談というようなのを定期的にも考えられようし、いろいろそういう方法を考えたい。特に一つの試みとして、問題を家賃とかなんとか限るわけじゃありませんけれども、私の過去の経験等からかんがみまして、責任者の私的な諮問機関というようなものも設けて、いろいろ広範な意見を聞いて公団運営に資したいということを申しました。その考えはいまでも変わっておりません。ただ、いかにも裁判係属中で、問題がなかなかすかっと解決したとも言えませんので、いっそういうことを具体的に実現したらよいかということを目下考慮中でございます。
  155. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まあぜひ、裁判も意義のあることですし、話し合いも非常に意義のあることなので、両方前向きに検討していただきたいと思います。  仮に裁判でまあ敗訴をして減額というようなことが出た場合、その影響はすでに支払い済みの他の居住者の値上げ分にも影響するわけですけれども、その場合どういう措置をとるおつもりですか。
  156. 澤田悌

    参考人澤田悌君) これは私どもの信念でございますが、今回の家賃改定に当たりましては、その引き上げ額をいわゆる公営限度額方式によりまして算出し、その二分の一というように抑えまして、かつ七千円で頭打ちをするなど、いわゆる激変緩和に十分配慮したものでありまして、改定家賃額そのものには十分客観的妥当性があると。したがいまして、おっしゃるような公団の通知した改定家賃額を下回るような判決があるとは毛頭考えておらないのでありますが、万々一おっしゃるようなことがあったといたしました場合には、基本的にはほかの居住者との均衡をも考慮しなければならないと思いますけれども、具体的にどのような判決内容なのか、その内容を見ないと、いまにわかに判断ができない問題ではなかろうかと考えております。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
  157. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 基本的にはバランスをとらなきゃならぬと言われました。基本的バランスだけじゃなくて、たとえばここに、五十三年十二月の南多摩営業所の「営業所だより」があります。これは、万一裁判で減額になった場合どうなりますかというのに対して、「その時は、既にお支払いいただいた金額との差額をお返しします。公的機関である公団としては、いかなる場合においても不公平となるような取扱いは絶対にいたしません。」ということを、もうすでに印刷して配布されてるわけですね。この事実、御存じですね。
  158. 澤田悌

    参考人澤田悌君) それは知っております。
  159. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、まあ絶対負けないという信念のようですけれども、それぞれ信念を持ってやっているわけなので、結論が出た場合には、いまのこのパンフレットのとおり、それから先ほど基本的にと言われたとおりやっぱり実行するのが当然だと思います。監督の建設省もいまの御答弁をよく御確認いただいて、適切な指導をお願いしたいと思います。  さて次は、高島平を初めとする約三万戸の新しい値上げ問題。三月二十六日に共産党の瀬崎議員がこの問題で反対を申し入れたときに、これはもう——救仁郷さんですね、救仁郷さんは、もう一連の値上げだ、国会審議でもこれは済んでるんだ、だからワンパッケージで、今度だけじゃなくて、昭和五十七年度まで毎年値上げを行う、というように答弁されたんですけども、これは少しおかしいと思うんですね。これは建設委員会でも衆参両院で審議しましたけれども、この、五十七年度までワンパッケージでだれも審議した覚えが全くないんですけれども、これは少し言い過ぎではありませんか。——少しじゃない、全くの言い過ぎじゃありませんか。
  160. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 昨年の国会で私申し上げましたのは、四十九年度管理開始の分までは逐次やらしていただきたいということは、去年のこの当委員会でお答え申し上げてるところでございます。五十七年までと申し上げましたのは、いわゆる傾斜家賃制度がございます。傾斜家賃の最中にそれを上げるというのはいかにもこれはおかしいではないかというようなことがございまして、傾斜家賃終了後一年ないし二年たってから上げるというような方針をとったわけでございまして、したがいまして、四十九年度分につきましては、一部ではございますが、最終的には五十七年までかかる分が若干残るということでございます。したがいまして、どんどんどんどん——去年四十九年度までと私が申し上げましたことをもっと、五十年、五十一年というようにどんどんどんどん広げていくんだということではございません。
  161. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いずれにせよ毎年毎年の値上げは絶対に国会で審議もしておりませんし、われわれはあくまで反対の立場を表明しましたし、だから、国会で審議が済んでいるかのような言い方は一切今後やめていただきたいと思うんです。  それで今度の四十八年度管理開始とですね、四十七年度までに管理開始された住宅の場合とは家賃値上げの理由の矛盾が一層鋭く激しく明らかになります。今度の公団の書類によりますと、いままでと同じですけれども、例の家賃の不均衡是正、社会的不公正是正ということが理由に挙がっているわけです。その後に「良好な居住環境の維持」とつけたりになっているわけですけれども、今度上がるところはみんな高いわけですよ。ここに資料がございますが、一番高いところは深大寺で三万六千七百円の家賃が四万三千百円になる。いいですか大臣、四万円を超す家賃に上がるんです。みんなこのぐらいになるんですね。だから、三万円、四万円で公団に住んでいて高い高いと思っている比較的新しい団地に住んでいる方ですね、もうずっとインフレの後ですから、その人のところで平均四千二百円、引き上げ率一八%という値上げをするんですからね。だから、バランスをとるどころか、もっともっと高くなってしまう。だから、古い団地の方々との家賃のバランスがとれるどころか、もっと高くなることになる。「社会的不公正」というふうに書いてありますけれども、社会的にも公共住宅の家賃を四万円に引き上げると、これはおかしいという批判が当然出てきます。それからこういうふうに住宅公団でさえ四万円超すんだからというので、民間の家賃もまた上がってしまうということになりますしね。だから、全く不均衡是正とか社会的不公正是正ということがまるで成り立たぬ、そういうものにやはりなっていると思うんですね。この点どうでしょうか。
  162. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 昨年も上田先生の御質問にお答えいたしましたが、最近住宅公団が建てております賃貸住宅、これは土地を含めまして少なくとも千二、三百万はかかります。そういたしますと、住宅公団は国民郵便貯金等のいわゆる財投資金をお借りしているわけでございまして、この金利がいままでは六・〇五%でございます。今回これが六・六五%に上がると聞いておりますが、仮に六・〇五%といたしましても、住宅公団がそれで家賃計算しますと非常に高くなります。したがいまして、約一・五%程度の利子補給を国民の税金でしているわけでございます。そういたしますと、千二、三百万の住宅でございますと、一・五%の利子補給をいたしますと、一年間に約二十万円の利子補給をしていることになります。それにいたしましても、四・五六%の金利でございますから、千二、三百万でございますと年にしますと五十万円、金利だけで五十万円、したがいまして、月にしますと四万円という計算になるわけでございます。したがいまして、そういったことを勘案いたしまして、それは家賃は安いにこしたことはございませんが、やはり全体の家賃の水準なりあるいは建築費の水準等を勘案してやはり決めなければならないのじゃないかというような気がしているわけでございます。したがいまして、私どもは現在のところ四万円という家賃は決して不当ではないし、やむを得ないのじゃないかというように考えている次第でございます。
  163. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの答弁は、結局ここに書いてある理由とは違うということですよ。いまのようだったら、国の住宅政策の失敗と公団経営のずさんのため、金利も負担が高いので上げざるを得ない、そう書けばいいんですよ。そうじゃないですか。だから、家賃の不均衡是正、社会的不公平是正というのは実は違うと、別に理由があるということをあなたはいま答弁されたと私は理解せざるを得ない。良好な居住環境の維持とか言って、修理問題で言えば、この修理問題も今度の団地の場合には全くインチキだということがわかりますね。高島平は、いままで調査もしたはずですけれども、積み立ててきた修理修繕費ほとんど使っていないんですから。いままで大規模な修繕を高島平は一回もやっていないんですよ、細かなこと以外はね。だから、どんどんどんどん積み立てて、いつか栗林さんがここで質問しましたけれどもね、修繕費がもうプール制でやってるじゃないかということが問題になったけれども、ほかでもう使っちゃってるわけだ。だから、修繕費のためにということは、今度の三万戸の値上げについては全くいままで以上に成り立たない、そういうことなんですね。だから、そういう成り立たない理由を挙げて今回値上げをし、しかも四月十日に建設大臣は平然と認可をしたということなんですね。これはまことに重大問題で、しかしそれ以上これ追及してもまた水かけ論になります。しかし、あなた方が言われている論拠は、いまの住宅局長答弁によっても一層破綻が明らかだということを指摘しておきたいと思うんです。  それからこの文書には、家賃改定に当たっての特別措置問題で激変緩和には十分配慮したと書かれております。去年の分もそうでしたが、今度の分についても激変緩和は十分配慮した配慮したと言われておりますけれども、私ども幾ら調べても、この激変緩和をちゃんとやっていらっしゃるとは思えないんです。この激変緩和措置というのは、これまで公団側がやってきたのは住宅扶助限度額を上回る場合に生活保護基準に準ずる家庭に対して行うという方針でやってこられたわけですね。ところが、今度は家賃がそもそも高いので、値上げ後の家賃が住宅扶助限度願を上回る戸数というのは、たとえばことしの分で言いますと五二%もある。半分以上の家が住宅扶助限度額を上回ってしまうのです。そのくらいもう家賃が高いところのわけで、ところが、今度の激変緩和措置を受けられる人というのは、生活保護基準ということになりますと、実際には非常に少ないと思うんですけれども、有賀さん、今度の三万戸の場合どのくらいの人が激変緩和措置の対象に当たりますか。
  164. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 具体的には八月になりまして、昨年と同様に申請していただくことになりますので、現在三万戸につきましてどのぐらいの程度の方々が出てくるかということはなかなか予測がむずかしい現状でございます。
  165. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きわめて少ないことは明白なんです。昨年はわずか百九十四件ですからね。あれだけの値上げをして百九十四件。これもここで一回答弁がありましたね。今度はこれより少ないことは恐らく明らかだろうと思うんですが、   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕 これも本当に激変緩和措置をちゃんとやろうと思ったら、たとえば国会の要望事項の中には「老人、母子、身障者等の困窮世帯」といって「等」がついているのですね。だから、国会の要望事項はなるべく広い範囲でやっていただきたいと考えていた。ところが、あなた方の文書はこの「等」を除いてある。老人、母子、身障者だけである。それと生活保護世帯だけだ。しかも老人、母子、身障者で文字どおり総収入が生活保護基準に合うかどうかということでおやりになるから、実際にもうこういうきわめて少ないことになってしまうわけですね。ところが、たとえばいろいろな区などがやっております就学援助費の支給など、いろいろそういう援助措置をやっていますね、こういう場合には生活保護基準の一・五倍とか一・八倍とか、少し枠を広げましてそれに合う家庭に対して就学援助補助を出すとかという温かな施策をどこでもやっているわけです。ところが、公団の場合には国会が要望した「等」というのまで取ってしまう。それから総収入に対して給与所得の控除後を基準にするというようなこともしない。そして厳密に生活保護基準でやってしまう。そのためにほとんどあってなきがごとき状態になっていると思うのですね。こういう点総裁に聞いても、これは建設省の指導でと言うと思いますので、これはやっぱり政治問題ですので、大臣どうですか、もう少し温かな施策を今度また昨年、ことしの値上げで苦しんでいる人々のために、また国会の要望に応じてやっていただくよう検討していただきたいと思うんですが、答弁を求めます。
  166. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私も就任以来話し合いで進めていただきたいということで、極力その方向で進めてまいったんでございますが、それも限界がございまして、やむを得ず最後の手段をとらざるを得ないという姿でまいる問題、先ほどおっしゃられたような姿で法廷で争われるという姿になりました。もちろん三権分立でございますから、私たちも堂々と司法の場においてお決め願いたいと、こう考えております。今度の分は四月十日の日にすでにこういうようなことも知らずに許可したということでございますが、いま住宅局長が答えましたとおり、上田さんは承認してないと、こうおっしゃいますが、私はあの当時から、五十年以降の管理の分とその前の分とは家賃体系も違っておるので、四十九年までは逐次上げていくんだということもかねがね聞いておりましたものですから、これを私の認可を与えたという姿でございますが、実施時期は九月一日からでございますので、その間十分PRもいたしまして御理解を願えるように努力をしたいと、このように考えております。
  167. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 激変緩和措置をもう少し温かくということいかがでしょう。
  168. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 私どもやはり生活保護世帯あるいは生活保護世帯に準ずるハンディキャップを負った世帯に関しては、これは当然そういった激変緩和措置をとるべきだというように考えております。これは住宅公団もこれは地方公共団体と違いまして一つの企業体でございます。したがいまして、住宅公団自身が社会福祉政策をとるというわけにはなかなかまいりません。そういった意味でやはり激変緩和を、まあ心情的にはしたいということはこれはやまやまでございますが、やはりおのずから限界があろうということでございます。まあ昨年もこういうことでやらしていただいたわけでございますので、本年もそれに準じてやらしていただきたいというように考えている次第でございます。
  169. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さらに一層の検討を望みたいと思います。  次に、五月十五日に東京で神田川、石神井川などの一級河川ですね、それと二級河川の目黒川などが物すごい水害に襲われまして、よく御存じと思いますけれども、この問題を少しお聞きしたいと思います。床上浸水六百二十九戸、床下浸水千百三十六戸という被害です。この被害状況を調べてみますと、まあこれが首都東京のど真ん中で起きたことかとやっぱり思いますね。たとえば高田馬場の三丁目の方々の話ですと、午前二時十五分警報のサイレンが鳴った。十五分であっという間に床上一メートル二十まで水が来たと、だから畳も上げられないで何もできなかったということですね。そういう状況です。御存じと思いますけれども、改めて言っておきますと、この地域昭和四十一年から床上浸水七十センチから一・五メートルまで七回あったというんですね。昭和四十九年から一メートルの浸水が三回あったというんです。ここにちょっと写真がございます。これは高田馬場の三丁目ですけれどもね、ちょっと見ておいていただきたいんですが、この数年間に三回あった線がこのブロックべいの上に三つあるんです。これが今度の線ですね。去年はもっと上までいっていたということです。それで今度の水害ではこれまでなかったところにもまた出ているというところもあるわけであります。それで個人の被害がまた大変でして、私どもの調べた方、たとえば染織工芸家の方は二度と手に入れることのできない書籍など一千冊が水につかってしまったと、いままで七回の被災のうち、被害額は最古里千万円、少ないときで百万円という状況。それからクリーニング屋さんはモーター八十台使って仕事をしていると。今度の被害は四千万円から五千万円になるだろうというんですね。機械が水につかってしまって修理不可能だと。一つの機械で二千万円もする機械があるという状況で、ほとんど全くこれに対する補償がないわけです。区からは単身者世帯に三万円、複数世帯に五万円見舞いが来たそうですけども国からはないということなんですが、まあこういういつでも個人の補償の問題というのはずうっと問題にし続けてきたけれどもまだ解決がされておりません。それでお伺いしたいのは、河川審議会の五十二年六月十日の中間答申がありますね。総合的な治水対策について、これ最後のところに個人救済について検討するということが書かれていたわけですが、その検討の結果どう積極的な構想が出ているのかお答えいただきたいと思います。
  170. 稲田裕

    政府委員(稲田裕君) 個人の水害の救済の問題でございますが、私ども、五十二年、三年と実はいろんな救済の方法があろうかと思いますけれども建設省といたしましては、水害保険というのが一つの課題として取り上げられるんじゃなかろうかということで、これの可能性につきまして検討をいたしてまいっておるわけでございます。私の方で先生方にお願いしまして委員会をつくりまして、水害保険に関連いたします諸外国のデータとか、あるいはこれを仮に実施するとすればどういう問題があるかという問題点の煮詰めということを現在までやっております。五十三年までに委員会の方である程度御検討いただきまして、ただいまそれらの問題点の取りまとめの作業をいたしております。これらを踏まえましてその可能性につきまして今後なお一層検討を進めてまいりたいというふうな現状でございます。
  171. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今度のような被害が都心のど真ん中で起きて、十数年間に七回もと、しかもそういう地域が今度は広がっているわけですね。これまでなかったのに床上浸水になったという地域も今度出ているわけですね。東京の真ん中で、まあ東京以外でももちろん大きな問題ですけども、こういうことがそのままになっているというのは一体どうするおつもりなのか。これは前にもここでも問題にしましたが、やっぱり今度の雨が三十ミリなんですね。三十ミリであんなになっちゃった。五十ミリ改修をやればというお答えいつもいただいているんですね。データ見ますと、神田川三二%、石神井川四〇%、目黒川二%しか進んでないと、五十ミリ改修が。完成するのに十年以上かかるというんですね。そうすると、三十ミリ程度の雨というのはやっぱり一年に当然一、二回降るでしょう。そうすると、十年完成するまでこの人たちはこういう被害を、いまのお話では水害保険もまあなかなか問題点があるというお話なんですがね、一軒当たり高いところは何千万という被害を受けるまま放置しておくのかと。この十年間もかかるというのを何とか国としてももう少し重点的に投資をして進めるという計画を立てるべきだと思う。東京の場合に調べてみますと、この改修事業で補助事業八十二億五千万で二八・五%しかない、あとは単独事業でやっているわけです。そうすると国の資金は二割以下しか入ってないんですね。それで、もちろん用地買収などにも金がかかるという点あるでしょうけども、今度のような事態の中でこの十年という、十年完成というのを何とか見直してもう少し早くするということを建設省としても積極的に検討すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  172. 稲田裕

    政府委員(稲田裕君) 御指摘の都市の河川でございますが、五カ年計画等におきましても都市河川につきましては特に重点的に事業の促進を図ってまいっておるわけでございます。現在問題になっております神田川、石神井川、目黒川等につきましては、今回の雨では大体四十ミリ前後の雨が降っております。多いところで四十五ミリ程度ということで、現況確かに御指摘のとおり、三十ミリ程度の疎通能力というのが現状のこれらの河川でございます。それで、これらの河川につきましても、特に今回浸水しているようなところにつきましては、重点的に事業の実施を図っております。  それで、神田川の、いま問題になっておりまする高田馬場付近につきましては、河道部分等につきましてはこれを五十六年度で竣工する、それから放水路にかかわる部分が高田馬場の上流並びに下流にあるわけでございますが、これは五十七年度を目途に一応完成するということで、鋭意事業の促進を図っております。  石神井川につきましては、今回のはんらんしている地区につきましては、現在東武東上線の旧橋の橋脚撤去というのをやっておるわけでございますが、これが六月じゅうに完成する予定でございます。これが完成いたしますと、五十ミリまでとはいきませんけれども、現在よりは疎通能力が増大するという予定でございます。  それから目黒川につきましては、現在皀樹橋の上下流——上目黒の、駅の周辺でございますけれども、下流になるわけでございますけれども、この部分の改修につきまして地元の協力を得ながら、現在用地の折衝を進めております。それで、今年度におきまして、用地の買収を行いまして、五十七年度には完成したいということを目途に改修の促進を図ってまいっております。  以上のようなことで、現在東京で問題になっておりますこの河川につきましては、特に今回浸水しました三カ所につきましては、特に緊急な個所として五十七年度等を目途に、これにつきましては一応のめどをつけたいというふうに考えております。  全国的な都市河川の改修でございますけれども、五カ年計画を組みましたときの五十一年度の時点では、都市の河川を、ただいま目標といたしております五十ミリの、時間雨量五十ミリでございますが、五十ミリ対応に対しまして全国平均で申し上げますと、二六%程度の進捗率になっております。これを五カ年の目標といたしましては、災害関連事業等も含めまして、四四%程度まで全国平均としては持ち上げたいということで対応しておるわけでございますけれども先生指摘のように、これらを五十ミリ対応に全般的に対応するためには、やはり十年程度の年月が必要であろうかというふうに現在考えておるわけでございます。
  173. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、今回の被害地域については、神田川、石神井川、目黒川とも、昭和五十七年度で大体めどがつくと、そういうお約束が答弁されたと思いますが、ぜひ積極的にそれが延びないようにお願いしたいと思います。今度新聞見ますと、ゼロベース予算でサマーレビューなどと言いましてね、前年度以上に伸ばさないというような報道もありますけれども、そういうことがあったから五十七年度が五十八年度、九年度に延びちゃったということのないように、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。  いまのお話で、あと一問、用地買収の話されましたね。この用地買収で個人の土地の譲渡所得課税の特別控除、これが現行三千万円なんですね。これを五千万円以上にぜひ引き上げてほしいという要望が、その買収される個人からも、また東京都など自治体からも非常に強いんですね。これは全国的にも関係がありますし、代替地の取得についてもまた特別控除についても、現行三千万円を五千万円以上に引き上げるという措置をもう検討する時期に来ているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  174. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 先生おっしゃいますように、本年度から五千万円にしたいということで、建設省税制の要望を出したわけでございますが、御承知のような国の財政状況で認められたかったと、こういうことになっております。引き続きましてこの点については努力する考えでございますが、ただ本年度からは、いままでは、三千万円を超える部分につきまして、二千万円までは二〇%の分離課税であったものを、四千万円までは二〇%と、こういうことにいたしました。それからその上、したがいまして七千万円を超える部分につきましては、従来は五千万円でございますが、五千万円を超える部分につきましては四分の三の総合課税ということになっておりましたが、これを、七千万円を超える部分につきまして二分の一の総合課税という改善を図っておりますが、今後ともこの面については努力をしてまいりたいと考えております。
  175. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題はわれわれも応援いたしますので、ぜひ積極的に大蔵省に要求してください。  時間が大分なくなりましたが、最後に港区の南麻布の米軍ホテル問題ですね、この問題についてお伺いしたいと思います。これは住宅地のど真ん中に建つ問題で、都市づくりの問題とも関連が上りますので、ここで取り上げさしていただきたいと思います。——防衛施設庁の方おいでになっておられますね。  経過は、これは山王ホテルが裁判で和解になって、来年の十二月までに移転しなきゃならぬということになり、この米軍の山王ホテルですね、いまの、これを港区の南麻布の安立電気の跡地、ここに建てさせようという計画が進んでいるわけです。これに対して南麻布で大きな住民運動が、町会の方々、あるいは幼稚園、保育園の方々で進みまして、これまで三千五百名の署名も集まる。それから去年の十二月一日に区議会で満場一致で反対請願も可決されると、これは自民党から共産党まで全部賛成の、満場一致で請願が可決されるということになって、住民の珍しいデモもこれまでに二回も行われる。二回目は雨の中でまで行われるということになっているんですね。この二十五日には三者協議会といって、防衛施設庁と安立電気とそれから住民——反対同盟の側と、三者の協議も行われるというところまで来ていて、なかなか重大な問題になっている。この五月八日に衆議院の内閣委員会でこの問題が取り上げられました。ここで私、読んでちょっとおかしいと思うのは、防衛施設庁が何でもかんでも、安立電気、安立電気と言っているわけですよ。安立電気がホテル建てるんだそうですな。その建てたのを防衛施設庁が借りて、それで米軍に提供するというんです。だから、住民とは、全部安立電気だと。——ちょっと読みますと、安立電気が周辺住民に対して十二分に説明することによりましてとか、それから、防衛施設庁としては直接住民と折衝する立場にございませんがとか、それから「安立電気がさらに十二分に住民に対して誠意を披瀝されまして、」なんというふうな答弁を国会でされているんです。私はここに大問題がまずあると思うんですね。だって、安保条約第六条に基づく地位協定で提供する建物でしょう。米軍に提供するんです。それを安立電気という電機屋さん、あの黄電話機ですか、そういうものを、電話機をつくっているところにホテルを建てさして、だから、住民の折衝も何も全部やらしている。記録読みますと、安立電気は住民とのいろいろ折衝の中で、これが安保条約と関係あるのを初めて知りましたというようなことを言っているんですよ。全く、表に立っている安立電気は何にも知らないで、防衛施設庁がやっているのは明白なんですね。何で表に立たないで、安立電気、安立電気って言わしているのか。まあ二十五日には、三者協議会というのでようやく出てきたそうですけれども、防衛施設庁が。建てさせるのは安立電気だとしても、これだけの大問題、防衛施設庁が責任を持っているということを明確にしていただきたいとまず思うんですが、いかがでしょうか。
  176. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) ただいまの先生指摘になりましたように、まず第一に、建物は安立電気が建物を建築いたしまして、建物が建てられた場合に、それを借りて提供するというふうに考えているわけでございます。したがいまして現在、建物の建築についての問題でございますので、一時的に建物を建てる安立電気が進めているわけでございます。しかし、それにつきましてわれわれといたしましても、建物の建設につきましては強い関心を持っておりますし、これができませんと、山王ホテルの士官宿舎にかかわる和解条項を履行できないわけでございますので、これらの建設については強い関心を持っているわけでございますが、建築そのものは安立電気株式会社がなされるわけでございます。したがいまして、用地の選定その他、われわれのかかわりのある問題につきましては、もちろんわれわれの問題として地元の方にもよく御説明する立場にはあろうかと思いますが、建設自体につきましては安立電気が現在進めておると私どもは理解しておるわけでございます。
  177. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ここに設計図がずっとありますよね、この設計図は防衛庁関係ないんですか。米軍が使うもんですよ。米軍からの要望を防衛庁が調べて、防衛庁が基本設計をして、そして安立電気にやらせているというものじゃないんですか。安立電気が勝手にホテルを建てて、それを防衛庁に貸すというものなんですか。
  178. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 新しい代替施設につきましては、現在の山王ホテル士官宿舎と同じ機能を充足するように建てるように米軍からの注文がございます。したがいまして、新しい建物につきましてはそれらの機能を充足させるような米側からの調整を私どもがやっております。しかし基本的に細部の設計を行いますのは安立電気でございまして、安立電気が進めておるわけでございます。したがって、無関係ではございませんけれども、設計自体は安立電気でやっておるわけでございます。
  179. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 細部はやるでしょうね。ここに裁判記録がある、これは判決ですけれどもね。判決の中に引用されておりますけれども、国の答弁ですよ、国の言い分、これはどういうものかというと、この建物はアメリカ「軍人が一時(長くて一、二週間程度)宿泊する施設として、あるいは」アメリカの「三軍(陸・海・空)の個別的、合同的会議とか、駐留軍と被告」、被告というのは国ですよ、米軍と国との「各種の会議の会場として使用している」と、こういう建物。その次に「本件建物は前記の使用目的に照し、機密保持、軍の移動連絡の機動性、米国大使館との連絡その他」こうこうこういうことが必要だと言っているんですね、機密保持まで要るんですよ。安立電気が基本設計できるわけがない。いま言われたように、米軍の要望を防衛施設庁がまとめて基本設計はあなた方がして、細部はそれは安立電気が設計者に頼んでやるんでしょうけれども、あなた方がやっている仕事なんですね、これは。明白なんですよ、そんなことは。それを安保条約のことも何にも知らぬ安立電気を住民と立てて何とかかんとか、それで安立電気は最初のうちは従業員も私どもがやりますなんと言って、最近は。変えたらしいですけれどもね、そういう無責任なことをやって住民が怒らないはずがないんです。それでどんどんどんどん運動が燃え広がる。住民の方々の心配は無理もないんです。ここに地図を持ってきましたが、これは現にある山王ホテルの周りで、見えないでしょうけれども、赤いのは飲食店その他そういうものですよ、半径五百メートルの中で八〇%を、いまの山王ホテルは周りがこういう飲食店だとかレストランだとか、そういうものがある。ところが今度行く南麻布はこの半径五百メートルの中にラーメン屋が一軒と焼肉屋が一軒——二軒しかない、ほとんど住宅地です。あと中学校とか学校とか病院とか、全くの住宅地なんですよ。その住宅地のところへ米軍宿舎、これは日本へ移動するときに米軍が来るわけですよ。みんな山王ホテルに泊まると、夜九時以後は食堂がストップするので六本木やなんかに飲みに行くわけですよ。コールガールも入ってくる。そういうのをこんな南麻布のところへ持ってきたらみんな地下鉄や自動車で麻布や六本木へどんどん遊びに行く、夜遅く帰ってくるというので交通事故の心配もある、風紀問題も当然起きる。いままで山王ホテルの周りにはさまざまな犯罪が起きたわけですね。恐らくここに半永久的に米軍ホテルやこんなものができましたらね、こういう本当の住宅地のところにいろんな建物ができますよ、飲食店やらバーやら何やらが。地域指定もいろいろそういう問題があるかもしれぬけれども、そういう危険がある。だから住民の方々が党派を越えて、町会の方々が一生懸命になって自分たちの環境、地域を守るためにというので反対運動をやるのは当然だと思うんですね。コールガールの出入りというのはいろいろ詰めていきますと、これはわからないというんです、そんなことは。だれも私がコールガールだと名乗る人いないわけですから、日本人は泊まれないということになっているそうですけれども、そういうことは全部規制できないというんですね。だから交通問題、かっぱらいの問題、風紀の問題等々、夜中に自動車で帰ってくる米軍がどういう犯罪を起こすかということさえみんな心配しているわけです。だから、この地域の環境を守るためにというので超党派で立ち上がって区議会も満場一致で決議しているというところまできている。それでどうなりますか、来年十二月までに防衛施設庁はこれあくまでつくりたいと、ほかには何の候補地もないという返事なんですね。候補地はここしかないんだということだそうです。最初は数件あったけれども、いまはここ一つだ。どうされますか。住民の反対運動、区議会の反対決議、そういう住民の反対運動に対して安立電気の方は強行しないという約束を住民の側に対して一度された。その後社長は少し言葉を濁し始めているようですけれども、後ろにいるこの問題の責任者である防衛施設庁はそういう住民の反対を押し切って米軍のためのこういうホテル建設を、ヘリポートまでつくられるそうですけれども、押し切るつもりですか。強行しないという約束をぜひしていただきたいと思いますが。
  180. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 当庁といたしましては、他に建設用地の当てがございません。したがいまして、またこの施設はいま先生が御指摘になったり、地元の皆さんが懸念しておられるような環境悪化をもたらすような施設ではないとわれわれは考えております。その点についての御理解が得られるものと信じておりますので、安立電気株式会社が建物を建設することを強く期待しております。
  181. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは住民の側の記録です。あなた方が確認しているかどうかわかりませんけれども、二月の九日、防衛施設庁との話し合いで、施設庁施設部取得一課長外三名、この中で住民側が「事前に南麻布がどのような環境なのか調べたか」という問いに対して、答え、「私共の地理的条件を満たしている。」と、住民のための環境どうなるかなんて何も調べない、「私共の」、つまり米軍のための「地理的条件を満たしている。」という答えですよ。問い、「住民は建物について反対してはいない。使用目的が問題だ」「戦時にいろいろ経験している住民の感情をどう思うか」、答え、「環境が悪化するとは客観的に考えられない。」、こういう態度で防衛施設庁は住民に対している。ああいうものを建てて周りがどうなるか調べたかと言われて、「私共の地理的条件を満たしている。」、つまり都心に近くて便利で、ヘリポートにも近くて、そういうことです。住民のための環境悪化は客観的に考えられない、客観的に考えられるわけです。だから私は地図を見せた。飲食店、レストラン、山王ホテルの周り五百メートル以内に八〇%あるんですよ。ここは二軒しかない。そういうような住宅地域の真ん中に、とにかく環境悪化は考えられないと言って安立電気があくまで建てることを望みますと、強行することを期待するという意味ですか。
  182. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 安立電気が地元の方の御理解を得られるように誠意を持って進められ、かつ建物が建設されることを期待しておるわけでございます。
  183. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの答弁は、じゃ住民の理解を得られない限り強行しないということに受け取ってよろしいですね。
  184. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 住民の御理解を得、かつ建設されることを強く期待しておるわけでございます。
  185. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もうあなたからはそういう答弁しか出そうもありませんので、もう時間も過ぎましたので、最後に建設大臣、この問題取り上げましたのは、やはり建設委員会としてもこういう住宅地にこういう建物ができる、住民、自治体の区議会も満場一致で反対している。そして東京の町づくりにも深い関係があります。ぜひ私は、これは防衛施設庁の課長さんでしたね、課長さんのレベルでは幾ら詰めてもいまのような答弁しか出てこないだろうと思うんですね。ぜひ元自治大臣でもあられましたし、現建設大臣として防衛庁長官にこの問題を、都市づくりの問題、住宅環境を守るという問題、ぜひ再検討していただきたいという問題について話し合いをしていただきたい、そういうことを建設大臣にお願いしたいと思います。
  186. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 大臣からお答えをいたします前に、私先生からのあれで昨日からいろいろ調べてみました。現場は明治通りに面しておりまして、路線商業地域、それから当該敷地は住居地域でございます。その後ろは第二種住居専用地域というような土地柄になっているようでございます。したがいまして、私ども、都市計画あるいは建築基準法というような立場からは、そういったホテルではないと思いますが、ホテル的なものも建設可能な場所というように理解しております。  また、施設庁の方から現在の計画案的なものを見せていただいておりますが、これにつきましては、南側の商業地域に高くしまして、後ろの日照問題とか何とかは、まあ私、さっと見た感じでございますが、いわゆる先般お決め願いました日影規制等以上に配慮はされているように考えます。したがいまして、私どもさらに、先生指摘のように、いろんな問題があろうかと思いますが、私ども、やはり町づくりあるいは環境問題という立場から、専門的な立場から防衛施設庁からいろいろな御相談があれば十分に御相談に乗りたいというように考えております。
  187. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私、いまこの委員会において聞きましたのが初めてでもございましたので、御要望の線に沿いまして、防衛庁長官とよく引き続き検討させていただきたいと、このように考えております。
  188. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 住宅局長言われたように、私どもも路線商業地域であり、ホテル、いわゆる建設上の観点から、日照問題その他違反しているというふうには考えておりません。われわれも調べました。ただ、私述べましたように、そういう問題からは法律違反は犯しておりませんけれども、私がきょうるる申し上げましたような経過があり、影響があり、住家の心配もやっぱり根拠があると思われますので、ぜひ御検討いただきたい。大臣がこの問題をさらに検討いただいて、防衛庁長官と話し合うという御答弁いただきましたので、ぜひそれを進めていただきたいということをお願いして質問を終わります。
  189. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 最初に、大臣お尋ねをしたいと思いますが、都市の住宅問題について若干お尋ねをしたいんですけれども、その前に、基本的な点について御所見を承っておきたいと思います。  これまでの政府住宅政策というのは、どちらかといいますと、持ち家にはなはだしく偏っていたと思うんですが、それでよかったんだろうか、悪かったんだろうか。その点の御見解はいかがでしょう。
  190. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) これは国民の世論調査で見ましても、日本人は非常に、持ち家を八〇%までは望んでおるというふうな点もございますので、それにこたえてきたんでありますが、しかしながら、一方、人口が大都市に集中した。少なくとも地域的に、東京とかあるいは名古屋とか大阪とか、そういったところでは、いわゆる持ち家そのものは無理じゃないかという観点で、今度、予算の中で、金額は五十億でございますが、モデル地区をつくりましてそれらを合わせて市街地再開発、こういう姿で検討を進めさせていただいておりますが、私は、地域的には今後は一戸建ての持ち家対策ということは少し無理でないかというか、少なくとも、あれは何という名前かわかりませんけれども、西洋式長屋といいますか、そういったものによって多摩ニュータウンでやっていますけれども国民の要望と、しかも土地を有効に利用するという意味ですけれども、これも多摩ニュータウン等で限界で、少なくとも東京二十三区内にはいまの御指摘の持ち家対策を進めていくということは困難ではないかということで、事務当局にもその点検討を指示しまして鋭意努力をさしていただいておるという姿でございまして、たまたま新聞等でそれがときどきあらわれてきますのも、いまおっしゃいましたような点で事務当局で建設省挙げて検討研究をさせていただいておるという姿でございます。
  191. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 東京二十三区内では特にとおっしゃいましたけれども、二十三区の外でも実は首都圏ということで考えますと同じ問題をはらんでいるんだろうと思います。別に、そこで意見が違おうとは思いませんけれども、私も、持ち家というのは一つ自分の物になるわけですから、所有ということが持っている安心感、これが社会的安定度にとっても無視できない要素になる。したがって重要であるということと、特に庭つきの家の場合にはかきねのある暮らしができるわけですね。かきねは外に対する防柵であって、かきねの中では、御案内のように、大変開放的な暮らしをやっているわけですから、日本の大変湿気に富んだ風土にも合った住宅様式ですから、庭つきの家がほしいというのは国民の十人が十人と言ってもいい願望だろうと思うんです。それは、政治がひとつ大切にしていかなければいけないことだという意味で、従来の持ち家政策が持ち家に偏っていたことを私は非難するよりも、ある面では賛同する気持ちの方が大きい。ところが、一つ問題なのは、持ち家政策というのはめいめいが個人的に住宅問題を解決するという仕組みでありますから、片一方で大変自由でいいようだけれども一つはっきりしているのは、一人一人がめいめい勝手に集まったのでは都市はでき上がらないという一点であります。したがって、持ち家政策の基本はやはり大切にしていかれるだろうと思いますけれども、それをめいめい勝手というわけにはいかないので、持ち家を認めるからには、今度はより大きなところで方向づけをしていかなければいけない。それは、私は国の責任だろうと思います。いろいろな規制立法があるわけですけれども、片方でミニ開発問題を考えながら、その方向づけが現在十全なのか、十分なのかという点については、どういうお感じをお持ちですか。
  192. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいま御指摘のような、何といいますか、根本的なものに触れての、規制まで含めての方針というものをやっていなかったということは、私も、これは認めなくちゃいけないと、こう思っております。ただ、いままでは、とにかく何でも構わぬ、量だというので邁進してきたもんでございますから、現在やっと量的には解決いたしましたので、質の面において考えますときには、少なくとも大都市圏においてはいま御指摘のような規制も含めての方向づけを考えなければならないと、こう考えまして、事務当局で事務次官を長といたしまして目下鋭意研究を進めておるというのが実情でございまして、また、この問題、われわれだけでそういうふうに考えるだけでなしに、私たちが持っております審議会等に対しましても、そういった問題で御研究賜りたいということで諮問もしておるというふうな状況でございます。
  193. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまの御答弁の中でちょっとはっきりしないんですけれども、量的にはまあ大体いいところにきたという御判断なんですが、もう少しこれ立ち入って伺いたいのは、先ほど貸し家の率がふえてきたという御説明局長からございました。片方では、住宅は三全総ですと六十年まで千七百万戸、したがいまして、五十五年以降五十六年から始まる五カ年計画でも八百四十万戸、相当な数をつくろうというデスクプランになっておるわけですけれども、それもこれも含めて見直す必要があるということを裏に置いての御発言でございましょうか。
  194. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 住宅局長が午前中の質問に答えまして言いましたように、世帯数と住宅数と比較しましての二百七十万の超過は、これで十分ということでは決してなく、むしろあるのが当然であるという見方でございまして、ただ質的転換をするという点で、それと、その際に私たち考えていかなければならないのは、欧米諸国等は非常に従来からのストックを持っておると、われわれはないというところでございますので、それらもあわせて考えましたなれば、住宅に対する投資というものは、私は欧米諸国並みに持っていきますためには、比較しての統計面ではある程度近づいておりますけれども、まだまだ環境その他の姿におきまして今後ともに欧米諸国の投資量に、私たちは十分に、倍、三倍もの投資を続けていかなければなるまいと、このように考えております。
  195. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 一応局長さんに教えていただきたいんですが、都会地と田舎と分けて議論しますと、全国的には五%なりあるいは見方によっては一割といろいろな数字が出るんですけれども、三大都市圏に限って言いますと、需給関係は依然として逼迫していると考えて間違いはないでしょうか。あとの質問の都合がありますので聞くだけです。
  196. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 私ども最近のいわゆる人口の動き、世帯の動きを見ておりますと、人口の動きは御承知のとおり東京を中心とします南関東だけはまだ若干ふえておりますが、三大都市圏トータルいたしますとむしろ減少というか、流出になっております。それからまた、いわゆる世帯数の伸びを見てみましても、何といいますか、大都市圏では核家族化が早く始まってもうそろそろ頭打ちに近くなってきている。これから地方圏ではむしろまだおくれて核家族化が少し進んでいるというような見方でございます。したがいまして、今後世帯がふえる割合というのは、私どもの見方では大都市圏といわゆる地方圏ではそう変わらないだろうという、割合は変わらないだろうというような見方をしております。ただ問題は、大都市圏の住宅事情が地方圏に比べますとこれはもうはるかに悪いということは事実でございます。したがいまして、そういった意味から、生活水準を向上しようという要求から、大都市圏においてまだまだ住宅需要が強くなるだろうというような感じは持っております。
  197. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 お尋ねしたかった一点というのは、実は都市は恐らく二十一世紀のとば口にかけてふくらんでいくだろうと私は思うんですが、そのときに、先ほどもあった水害問題を初めとする川の消化能力を例にとりましても、河川管理者の気持ちからすると開発をやめてもらいたいというのが率直な実感だと思うんです。片方では開発をしなきゃいかぬ。この辺の感じをどう調整していこうとしているのか。省内では総合治水対策ということでいろいろ御議論だろうと思いますけれども、そこでも出た御意見でしょうが、結局川なら川ということを考えますと、従来田畑であったものが宅地化しますと、水がもう下にたまらないものですから一挙に流れてくる。そこに生活排水が加わってくる。従来の川ではとうてい消化できない。したがって、河川改修はするんですけれども、それとてもなかなか遅々として進まないのが現状でありますから、そうすると、河川の容量に見合ってむしろこれを一つの尺度にしながらこちらの方の都市開発は進めていかなければいけない。ここにどうという指示は別だけれども、せめてヘクタール当たり何名ぐらい住みなさいというぐらいの規制をかけていかないと、都市と川のバランスがとれないんじゃないか。この辺については現在はバランスはとってないんです。将来どんなぐあいにしてそれをおとりになるのか。それが先ほどお伺いした、個々にはミニ開発も含めて家をつくるんだけれども、全体として方向づけをしていかないと、めいめいが集まっただけじゃ都市にならない、それをどういうぐあいに御研究になり整理をしていかれるのかお尋ねしたいと思います。
  198. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 先生指摘のとおりでございます。私どももそれが非常に大難問であるわけでございます。と申しますのは、一応都市計画で将来の町の姿、人口容量等も決めておりますが、ただ現実にはそういった、現在私どもはそれを計画的に、たとえばここは一年間にこれぐらい、ここでは一年間にこれぐらいというような、そういったことをコントロールする力を持っておりません。確かに先生のおっしゃるように、それをコントロールすることが本当の町づくりだということになろうかと思います。しかし、残念ながら私どももそういったコントロールの手段を持っておりませんし、またそういったコントロールの手段というのが法律的に果たして日本の社会でできるのかどうか、私ども単なる計画屋から考えますと、ぜひそういうことをしたいと考えるわけでございますが、これは法制度等も勘案いたしまして、本当にそういうことができるんだろうかというような懸念は持っております。
  199. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 実はそれは端的な例がミニ開発だと思うんですね。この地方選挙でも私、応援で回りまして、へりを回りますともう目を覆いたくなるような乱開発でございまして、何とかしてこれはとめなければいかぬとつくづく思って帰ってきたんですけれども、そこでミニ開発問題はいま御研究中で、何らか来国会目指して成案をということですけれども、これは審議会に任せてという仕事ではないんだろうと思うんです。片方私権制限に係る仕事にどうしてもなる。それを審議会に任せてということはいささか無責任のそしりを免れないんじゃないか。むしろ建設省内で結構ですから、どういう方法があるのか、いまも局長がどういう手段があるのかとおっしゃいましたけれども、とにかく建蔽率と容積率ぐらいしかないわけですから、要するに手段を持ってないんです。道具なしにやれと言ってもできない。ということは、真剣に省内で御検討いただいて、しかも内閣の問題として持ち上げていただかないとこれはなかなかだと思うんです。後でお尋ねしますけれども地価がここまで高くなりますと、ミニ開発規制しろったって今度は買えなくなっちゃうんですから、そのときにいいかと言われると退いちゃう。じゃ、あの開発が進んでいいかというと、いいわけは毛頭ない。そこで、後段の部分は後でお尋ねしますけれども、前段のこれから御検討になる内容につきまして、言えなければ結構ですが、言える範囲内で検討過程を聞かせていただきたいと思います。
  200. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、先生の御指摘のように、私どもも審議会にお任せというようなことではございません。大臣先ほど申し上げましたが、次官を長といたします都市・住宅の検討委員会建設省内に各局を網羅してつくっておりまして、そこでもちろん審議会と並行しながら検討を進めているところでございます。現在もいろんな考え方がございますが、代表的なのは、先ほどもちょっと出ましたが、一つはそういった建物の、住宅の最小の敷地面積を規制できないかという問題がございました。これも先ほどお答えいたしましたように、既存の、すでに、特に大都市では百平米未満の宅地というのが半分以上ございます。したがいまして、それを含めて一体どうするんだということもあわせて考えなければそう簡単にいかない。あるいは、それじゃ新しいところだけそうやればいいじゃないかと言っても、既存のそういったいわゆる市街地との均衡をどう考えるんだというような問題がございます。そういった問題がございますが、そういった問題どうするかということで検討していることは事実でございます。  それから、第二の問題は、いわゆる詳細計画と申しまして、あらかじめ今後家が建ちそうなところには、各街路あるいは敷地の規模、あるいは家の配置、そういったものをあらかじめ決めておいて、そしてそのとおり建ててもらうような仕組みができないかというような問題がございまして、これもヨーロッパの特に北欧系では西ドイツを中心といたしまして、そういった都市計画制度をとっているわけでございますから、日本でそれが導入できるかどうか。これは従来、歴史的に日本では建築は自由に建てられるんだという、これは江戸時代、もっと前かもしれませんが、そういった伝統的な仕組みがございます。そういった風土の中で日本に果たして導入が可能かどうか、そういったコンセンサスが得られるのかどうかというようなことを現在検討している。そのほかいろんなことございますが、代表的なものを挙げますとそういうことでございます。
  201. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 聞いた話でありますけれども、いま言われた西ドイツの都市計画のやり方とアウトバーンの活用、ヒットラーが残したたった二つのいいこと。だから、あれだけの独裁的な権力でもなければ都市問題というのはなかなか解決ができないという真理をうがっているんだろうと思うんです。といって、われわれは民主制度の中でそれを解決しようというわけですからよほどむずかしい仕事だと、まず腹をくくらなければいかぬと思います。  そこで、さっき川の問題申し上げたんですけれども、片一方では道路の話があるんですね。ミニ開発がずっとつながりますと、道路というのは、歪曲した狭い道路がどこまでも続きまして、やがてその人がどうやって交通するのかといったら、もう面のようにべたっと広がっているんですから、自動車しかない。ということは、バスであります。バスが通る道には一般の乗用車も通る。対向二車線の道がなかったらバスは動かないんです。この道がそれではあのミニ開発の中でとれるかといったら不可能です。せめてこれからつくるところだけでもまずとりあえず、さっきおっしゃったのは詳細計画ですけれども、とりあえず往復二車線の幹線道路、これだけはもう目をつぶってでもつくっちまえということをせざるを得ないんです。ここまでは大体賛成いただけると思うんです。問題は財源であります。それを国が持つのか地方が持つのかということを含めてぜひ真剣な御検討をお願いしておきたいと思うんです。その点については、現状はどんなかっこうになっておりますか。
  202. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) ただいまのお話は、都市計画決定それから都市計画の事業認可、この二つの問題に関連する事柄であろうと思います。  都市の周辺部におきまして、御指摘のようなスプロール化の現象が出てきまして、これに対するさまざまな批判があらわれて久しいわけでありますが、依然としてそういう状況が後を絶っているとはまだ言いがたい。これは第一にやはり街路の問題としまして、都市計画決定を行う大部分の地域におきましては、都市計画区域である街路におきましては、都市計画街路の決定はなされておるわけでありますが、これはそれぞれの地域の実情によりまして、審議会の議を経まして幹線道路につきましてはもちろん二車線あるいは四車線あるいはもっと大きなもの、さまざまの段階に応じまして組み立てられた計画決定がなされておるわけであります。ただ、これもいま御指摘のように、この整備は主としてはガソリン税に頼ってやっておるわけでございます。これは幹線につきましては国が補助をいたしまして自治体が整備をするというシステムでございます。しかし、この街路の整備は非常に金がかかります。私どもも一生懸命に重点的な予算配分を行って整備を進めてもらっておりますけれども、なかなか百年河清を待つというふうな御批判もいただいておるわけです。  そこで、スプロール化しておるものは、実は都市計画決定された街路はあるわけですが、ただし、これは一切その計画線の中では建ててはいかぬということはなかなかいろいろ問題がございます。そこで、一定の条件以内のものはよろしいと、二階建て以下とかやわらかいものとか、こういうふうなことにはしております。そういうふうな状況で、ある程度ひどいじゃないかというふうな光景も見られるということはあろうかと思います。これはあくまで過渡的な話であります。  それから、事業認可をいたしますと、これは当該敷地につきまして買い取り請求権が発生するわけです。本来、財源が豊富でありますならばどんどん事業認可をいたしまして、買い取り請求権にどんどん応じて用地を確保しておく。また、追っかけて整備をしていくということも可能なわけでございますが、実情はなかなかそこには追いつきません。やはりしっかりした都市計画をつくる。これは大部分できておるわけです。あとは重点配分という考え方で逐次都市計画事業決定をいたしまして金を突っ込んで整備をしていくという以外にはない。はなはだ迂遠なようでございますけれども、町づくりには時間がかかるものでございますから、ある程度長い目で見ていただかなければならぬという点もあろうかと思います。
  203. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 一つだけ関連してお尋ねしたいんですけれども、都市は至って深刻な状況にあるわけで、地方がどうでもいいということではありませんけれども、いまガソリン税でとおっしゃったけれども、その地方で上がっている——東京、大阪も地方と見て、そこで上がっているガソリン税収がそこに落ちているかと言うと、そうではございませんですね。非常に大きく地方に傾斜配分しているわけだけれども、しかし、いまの町の状況を考えると、地方も大切かもしれないけれども、地方の子供が都会に来ているのですから、あの傾斜配分も来国会の見直しとあわせて私は見直すべきじゃないか。むしろ都会に傾斜配分しても十分合うんじゃないか、そう思うんですけれどもいかがですか。
  204. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) この御指摘のような御意見もときには私どもも耳にしておるわけでございます。しかし、この問題はなかなかむずかしい点があると思います。地方の中小都市、これも大都市の十年前と同じような交通状況になっておるわけでありまして、大都市に重点配分を行って、地方は後でもいいというわけにもいかないわけです。  それから、一番ガソリン税を納める、これは大都市が多いと思いますが、そこにもっと還元したらどうか、地方の山間部の幹線道路等はもっと控え目にしたらどうか、こういうふうな御意見もあるわけです。ただ、この辺になりますと、都市の本質論みたいなことになりますが、やはり都市ですと、たとえば都市に生活している人のためにさまざまの生鮮食料品その他を運んでくるという問題を一つ取り上げてみましても、やはりこれは地方から都市につながるところの幹線道路の整備というふうなものとは切っても切り離せない。これはかって数年前に、年末に国鉄のストライキがありましたときに、実は全く東京都民が食糧問題について何らの不便を感じなかったというふうなことを思い出していただけば十分ではなかろうかと思うわけでありまして、その辺は街路に対する予算の配分を道路特会の中で逐次比重を高めてきておるわけでございまして、だんだんとおっしゃるような方向に向かっていきつつある、きわめてスローテンポではございますが、そういう状況であるということは申し上げられると思います。
  205. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 国鉄のストでも困らなかったくらいに現在までに整備をされたんですから、もうそろそろ見直してもいいんじゃないかと申し上げたわけです。これは来年度の話として並行してぜひ考えていただきたい。ちょっとここまで来ると私は行き過ぎではないかという気がします。  それで、話が戻りますけれどもミニ開発ですが、一定の敷地面積を規制しようかということも考えているというお話もございました。そこで地価との兼ね合いが問題になるんだろうと思うんです。  二つ分けてお尋ねするんですけれども一つは昨今のマンションブームなんです。マンションを建てるときには建蔽率、容積率を掛けて、よければどうぞということに基本的になるんですけれども、あの容積率というのはマンションがずっとつながって建つことを想定して決まっているんでしょうか。おのずから町の姿というのが事前に想定されていて、マンションの隣にオープンスペースがあって、またその向こうでということを考えての容積率ではないかと思うんですが、昨今はマンション自体が場所によってはつながって櫛比している。もしあれが、土地の値段が高いからしようがないから高層化するんだという理屈から来るとすると、むしろその現実を認めるんだったら容積率の見直しが必要ではないかと思うんですが、その点いかがですか。
  206. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 容積率の指定の考え方、それは都市計画の問題でございますが、これは、たとえば東京におきましても、容積率の指定をいたします場合にこういった人口を想定する。そこには住宅が大体どれぐらいのボリュームが必要だと、事務所はどれぐらいのボリュームが必要だと、それから、ほかの公共的な施設あるいは商業施設はこれぐらいのボリュームが必要だという想定のもとに容積率のマクロな設定をいたします。ところが、実際にはそういうような設定をいたしましても現実には一〇〇%それがそういうふうに利用できるという保障がございません。むしろ、たとえば丸ビル街的なところ、こういうところは恐らく一〇〇%に近い利用がされるだろうというような想定がされます。したがいまして、そういう想定のもとに容積率をつくります。ただ、住宅地になりますと本当に、そういったマンション的なものはこれは当然一〇〇%利用されると思いますが、自分で家をお建てになる、あるいは自分の商店をお建てになるという方々は必ずしも一〇〇%利用なさらないという形がございます。したがいまして、それをある程度歩どまりを見て容積を決めていくという状態でございます。したがいまして、先生指摘のとおりでございまして、本当にその容積のとおり住宅、マンションが並んだときに一体どうなるのかという問題に関しましては、確かにそういった観点から見ますと、現在の容積率というのは高いと言わざるを得ないというように考えられます。ただ、それをそれじゃ現実に下げられるかといいますと、下げれば確かに環境はよくなると思いますが、それだけ都市に必要なボリュームが建設できなくなるおそれはないかというようなことまでやはり考えて対処しなければならないんじゃないかというふうな感じがいたします。
  207. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それは、都市のボリュームという面よりも一層切実なのは、土地の値段の高さを何階で解消するかという問題がここにあって低層化できないんですね。ミニ開発が幾らいけないと言われても、あれだけの土地の値段で、しかもある程度魅力のある値段で分けようということになると、狭いところでごちゃごちゃとつくらざるを得ない。よってもって、諸悪の根源は地価にあるわけですけれども、ただこれ見直しをしなきゃいかぬといまおっしゃいますし、私もそう思うんです。そのときに地価がこのままでいいんだろうか。土地の値段というのは下がらないんだという信仰があります。いままでかつて、パニックの場合は別ですけれども、下がったためしがない。しかし、いま問題になっているのは土地の値段を下げなければいけない。  いまどういう人がミニ開発とかあるいはマンションを買っているかといいますと、大体戦後のベビーブーム人たちが三十前後にいまなっている。ちょうど、借家住まいをして子供ができた、これからは自分の家をどっかに求めよう、庭つきだったらミニ開発、高層でよかったらマンション、こういう仕組みで二十代、三十代が半分近くをいま入手しているわけです。その背景にあるのは例の戦後プレハブ校舎でずっとやってきたあの子供たちなわけです。あの人たちが買える水準で結論としては提供しなきゃならない。そのときにいまの地価で提供できるだろうか。真剣になって地価を下げることを考えないといかぬのじゃないか。あれだって、自分が好きこのんでベビーブームになったんじゃないですよ。戦争の遺物ですね。あれがずっとだんごのままいまここに来て住宅がないと騒いでいる。それだからこの層の入手可能な水準に地価を下げなければいけないと思うんですが、そうしますか。
  208. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 確かにミニ開発の問題は地価問題であることはこれは事実でございます。ただ、私ども住宅を預かっておりまして感ずることでございますが、東京都の区部とかあるいは大阪市というところは、これはそういった大都市圏のいわゆる人口の収容というようなことを考えました場合に、これは一戸建て的な町ではどうしても収容できない。これはもう物理的な限界がございます。したがいまして、私どもは、そういったところでは、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、どうしても中高層の住宅にならざるを得ないし、そしてまたそうなるような形に誘導をしなければならないというふうに考えております。  問題は、そのちょっと周辺部あたりのミニ開発的なものをどうするかというようなことでございまして、これは当然地価を下げることも必要でございますが、この地価というのは非常にこれはまたむずかしい問題がございます。私どもは、先ほど大臣もちょっと触れましたが、そういったところで百平米未満のいまのミニ開発を求めておられる階層というのが、やはりどうしても庭が持ちたいという、あるいはもうほかの人たちと隔絶されて自分一軒だけで勝手な生活がしたい。そういったやはり日本的なあれがあることは事実でございます。したがいまして、私どもも試算してみますと、同じ面積を使うんならミニ開発よりもタウンハウス的な使い方をしますともっと環境のいい町ができます。ただ、そういったことは、日本の一般人たちにそれがいいんだということにはまだなかなか定着には時間がかかろうかと思いますが、できるだけそういったことを進めながら環境のいい町づくりということを考えてまいりたいというように考えております。
  209. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 地価の問題で一つ例を挙げてお尋ねしたいんですけれども、これはもう御存じのことで、埼玉県の伊奈町ですか、例の新交通システムができたんで大騒ぎをした。土地を分譲したら殺到してえらいことになった。私はそのことをお尋ねするんではないんです。従来よりも地価が倍近くでさばけた。これは新交通システムができるからということですね。そのとき地価を倍近くに高めた原因は、ほかの人たちの負担でつくっている、それをここの地主が、あれができるんだからって倍で手にしていいのか。これは従来からあった問題なんです。むずかしくって実は野放しにしてきた。実は新幹線だろと道路だろうと、本当は開発利益を吸収すれば財源は取れるんですよ。どのぐらいの範囲でかけたらいいのか、規制をどうしたらいいのか、これがつかないものだから非常にこそくな税の取り立て方をして細々とやってきた。しかしこれからは宅地供給もなかなかでありますし、しかも、欲しいと言っている層はさっきの戦後ベビーブーム子を含めて非常に多いし、しかも質的充実ということになると住みかえも入るわけです。要するに住宅の所有に対する欲求は相当高くなる。しかも地価が諸悪の根源ですよ。これからまた道路をつくる、あるいは新幹線もつくるかもしれない。新交通システムは当然できるでしょう。そのときに、もうこれからはいままでみたいではなくて、この伊奈町の愚かな例は最後にして、あらかじめ網をかけてしまうということを考えるおつもりはありませんか。
  210. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先生お話のとおり、土地の値上がり要因の中に私ども宅地の需給ギャップ、投機的土地取引のほかに効用の増によるものがあると考えております。現在、ことしの地価公示におきましても地価の値上がりしたところは効用の増のところは相当値上がりしたわけでございます。伊奈町のように、やはり将来の期待可能性を見て値上がりをするというのもございますけれども、現に効用増になって値上がりしたというところについても、いわゆる開発利益の社会還元の問題はあるわけでございます。今後十分検討を要する問題であろうかと思いますが、われわれは現在のところでは都市計画税、それから固定資産税、それから長期譲渡所得税、短期譲渡所得税、その他いろんな税制がございますが、それらの税制の中で十分保有税としても譲渡税としても吸収されておるのではないかと実は考えておる次第でございます。  それから、そういうふうな地域につきましてあらかじめ規制をしたらどうかということでございますが、これにつきましては国会におきまして、御提案、そして御決定いただきました国土利用計画法の中の規制区域の活用の問題であろうかと思います。規制区域の活用につきましては、法施行以来機動的にかつ効果的に適時、適切に行うべきであるという指導をしてまいっておりますけれども、現在事前の詳細調査というのをやっております。そういうような伊奈町等につきましても格段に細かくいたしまして、実は通常のものよりも八地点から十地点ばかり地点数をふやしまして、現在では一件一件の土地の所有権まで調べまして詳細調査を現在やっておるわけでございますが、法の定めております要件でございます仮需要による取引もしくは著しい急騰というのは地域的には見られないというふうなことでございまして、まだ指定になっておらないわけでございますけれども、そういうふうな規制区域の指定のための調査に当たりましては、通達等におきまして、特にいま先生がおっしゃいましたような、そういう価値が上がるようなプロジェクト、そういうものが行われるところには重点的に事前調査をやれというふうに指示をいたしまして、現に実行しておるわけでございます。十分監視に努めながら必要があればそういうふうなことにして、遅滞なく行うようなスタイルでまいりたいと考えております。
  211. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 宅地並み農地課税の問題でも、地方に参りますと全部しり抜けになっちゃって、条例でもとのもくあみになっているのが現実の姿ですから、なかなかおっしゃるような話ではなくて、ただ規制をかけるということは私権制限をすると腹をくくるということだと思うんでありまして、その覚悟をきっとした上で臨むなら現行制度でも運用の仕方がありますけれども、その一点でまだ腰がすわってない、率直に申し上げて。したがって、これもまた来年度の課題になりましょうけれども、真剣に御検討いただきたいと思います。  最後に一点、ミニ開発を中心にしながら地価をどうやって下げるかということで私、思いますのは、結局大規模開発の分譲価格との相対関係になるわけですね。だから、ミニ開発を下げようと思ったら大規模開発の宅地の値段を下げることが一番手っ取り早いと思います。あの値段が何かというと、用地取得額は三分の一ぐらいですね。原価構成見ますと。あとは造成費用、これは仕方がない、あと残り三分の一が金利ですから。そこまでひっくるめて、要するに長い間寝かしてきた金利分まで持ってくれと、持たなきゃ向こうはつぶれるでしょうけれども、といってそれまで持たなきゃいかぬのかという気持ちは率直にあるわけです。かてて加えて、例の宅開要綱の規制が入っている。どうやってこれ大規模分譲土地価格を下げるかというと、一番手っ取り早いのは、私は公共公益施設費の扱いだと思うんです。それで昨年度が三百五十億、ことしはまた増額をして予算が組まれているわけですけれども、やっぱり地方を回ってみますと、あれじゃもう全然だめだという。あっちにもこっちにもつけてもらいたいものだと、それはあっちにもこっちにもというのは地方の自治体のいわば自主的な判断です。判断でやってもらっていることは間違いないんです。むしろああやって三百五十億なり六百億なりつけていくのも手ですけれども、かねて民社党が言っておりますように、どうせお金を使うんなら、しかも初期投資ですからね、これはもう金借りてやるしかないんですよ。となったら、債券発行するなり地方債出すなりして利子は見てやろう、これだけで三割は間違いなく下がる、下げなかったらまた規制かければいいんです。原価計算からいって下がるんですよ。それがいまのミニ開発土地をこれまた確実に下げる。しかし、それはいまの経済原則に沿っているわけです。したがって、むしろあの予算の金額を利子補給に回して地方債を発行してよろしいということにすべきだと思いますが、いかがでしょう。
  212. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) かねてからの民社党の御説は傾聴に値する大変重要なお考えだと考えております。しかし、われわれが事務的に検討いたします場合には、やはり大規模宅地開発と申しましても、その場合に環境状況を見ますと、すでに道路があるところもあり、河川改修の必要のないところもあり、必要のあるところもあるわけでございますし、その他の公共施設等についても同様な問題があるわけでございまして、やはりわれわれといたしましてはいま直ちに利子補給の制度を取り入れるよりは、現在の関連公共事業の別枠を積極的に伸ばしていく方がベターではないか、このように考えているわけでございますし、また、この別枠のほかに建設省といたしましては、たとえば本年度につきましては昨年度の三六%増しの国費で約二千億円の金を宅地開発関連につぎ込んでいるというようなことをいたしまして、少しでも宅地開発が安く良好なものが出るように努めているところでございますので、そのような方向を今後も推し進めてまいりたいと考えております。
  213. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間ですからもうやめますけれども、いまのお話も大規模の開発ということになりますと、実際にしてもらいたいところが落ちちゃうんです。それもこれも地価形成の一翼であることは間違いないんでありまして、むしろ地価を下げるためという観点からあの制度を使うとしたらどうしたらいいかという角度での工夫をぜひしていただけたらと思います。  まあいずれにしても来年はなかなかの年だと思います。本当に腹をくくって取り組んでいきませんと、これ省エネルギーが本当になったらまたつくり直さなきゃいかぬことになって、じゃ、その資材をどこから持ってくるかなどという話も含めて、従来の続きということでは私はこれからはいかないんじゃないか。なかなか腰を据えての御検討をお願いして質問を終わります。
  214. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会      —————・—————