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1979-06-01 第87回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年六月一日(金曜日)    午後一時五十三分開会     ―――――――――――――    委員異動  二月十六日     辞任         補欠選任      秦   豊君     江田 五月君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 伊江 朝雄君                 志村 愛子君                 丸谷 金保君                 相沢 武彦君     委 員                 稲嶺 一郎君                 大鷹 淑子君                 堀江 正夫君                 増岡 康治君                 勝又 武一君                 二宮 文造君                 立木  洋君                 渡辺  武君                 喜屋武眞榮君                 江田 五月君    国務大臣        国 務 大 臣        (沖繩開発庁長        官)       三原 朝雄君    政府委員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       三島  孟君        防衛施設庁総務        部長       奥山 正也君        防衛施設庁施設        部長       多田 欣二君        沖繩開発政務次        官        坂元 親男君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 礼次君        沖繩開発庁振興        局長       美野輪俊三君    事務当局        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        防衛庁長官官房        環境保全課長   平   晃君        防衛施設庁総務        部施設調査官   千秋  健君        防衛施設庁施設        部施設対策第二        課長       吉住 慎吾君        沖繩開発庁総務        局企画課長    金子  清君        外務省アメリカ        局外務参事官   北村  汎君        文部省初等中等        教育局高等学校        教育課長     菱村 幸彦君        農林水産大臣官        房審議官     小島 和義君        資源エネルギー        庁石油部精製課        長        加藤 昭六君        運輸省航空局監        理部長      松井 和治君        建設省道路局市        町村道室長    金子  晃君        自治省財政局調        整室長      井上 孝男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (読谷村の旧軍買収地に関する件)  (尖閣諸島調査に関する件)  (沖繩のさとうきび振興対策に関する件)  (パイン等沖繩農産物振興対策に関する  件)  (沖繩におけるつぶれ地に関する件)  (沖繩の道路交通問題に関する件)  (沖繩の離島における航空運賃割引に関する  件)  (沖繩石油備蓄基地に関する件)  (沖繩米空軍基地周辺騒音対策に関する  件)  (沖繩米軍の演習に関する件)  (沖繩砲弾破片落下に関する件)     ―――――――――――――
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二月十六日、秦豊君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査中、沖繩問題に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 丸谷金保

    丸谷金保君 最初長官にお尋ねいたしますが、先般の当委員会におきまして読谷飛行場問題の処理に関して御質問申し上げましたが、そのとき、できるだけ前向きに解決のために努力をするという長官言葉をいただいて、地元人たちも大変実は感激しておりました。  その後の経緯等について御説明願いたいと思います。
  5. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 読谷の旧軍買収国有地のその後の問題でございますが、実は、所有権の問題で問題がまだ解決をしておりません。これは大蔵省と所有者との話し合いがなかなかつかないという状態で、係争というか、そういうことになるわけでございますが、私は、そうした問題を何とか話し合いによって解決ができないものであろうかというふうな立場に立って、所有権云々を私が決めるということはできないわけでございますけれども、いまのような状態で今日まで長い間大事な土地が使用されずにおるという現状は、開発庁長官といたしましては、何とかしなきゃならぬということでございます。  そこで、これもきわめて一方的な解釈になると思いますけれども、その点につきましては何か現行法規解決をする道はないかということで検討してみますと、沖繩振興開発特別措置法で、ひとつそこを利用することによってこの問題と取り組むことはできないか。その場合は、土地所有権というようなものが国有地であるというようなことが一つ条件になるわけでございますけれども、そうした点で、しかし、それをその法によって、これの運用を拡大することによって処理できますればということになれば、県なり市町村というようなところで開発計画と申しますか事業計画等を明確に出していただくことができますれば、その方の運用によって処理をさしていただく。そういたしますれば、開発庁におきましても、政令をつくりまして、その利用される内容の拡大をしなきゃなりませんので、これは学校施設とかというようなものに規制されておりますけれども、それをその他の施設等で、できるだけ地元の御意見を聞きながら、そういう方法で政令を新しく出しまして、これと取り組むことができるかなと、全くのそれは私案的なものでございますけれども、そういうことで地元知事さんなどにも何とかそういうようなことでごあっせんを地元でやっていただきますれば、中央の開発庁といたしましては、そういうような措置をすることができれば、大蔵ともこれは責任を持って折衝をいたしますというようなことで考えて、いま話を進めておるところでございます。  いずれにいたしましても、いまのような係争と申しますか、話し合いがつかない状態が長く続くことにつきましては、私としては、何とか早くそういう点で土地利用ができまして、沖繩開発振興、県民の利益になるような措置をいたさねばならぬ、そういう責任を感じておるところでございます。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題も、まだ戦後処理が終わっていないことの一つに当たるんじゃないかと思います。  しかし、いずれにしても地元と国との間で双方の主張に相当な隔たりがある。しかも、一番最初に上陸された地点でもありますので、全く書証になるようなものが残っていない。あるのはそれぞれの主張状況証拠というふうなもので水かけ論になる点が非常に多いんじゃないか。  しかし、それにしても、現地を私ども委員会として見せていただいても、あの場所であれだけの土地係争中のために何ら利用されないということは、これは国家的にも大きな損失だと思います。したがって、ただいま長官の御答弁にございましたように、できるだけ早い機会に、こういう問題というのは十分な話し合いの中で、県なり市町村というふうなものが、公共的な立場も踏まえて、国の財産をいかに活用していくか、そういう方向でできるだけ早く円満解決ができるように、特に開発庁長官というのは沖繩県民立場に立って発言していただける唯一の機関でございますので、その点を踏まえて国の機関の内における相互調整を十分果たしていただきたいと重ねてお願いを申し上げて、もう一言ひとつ長官からお言葉をちょうだいしたいと思います。
  7. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 非常にありがたい御意見をちょうだいいたしましたし、ただいまの御趣旨に十分沿うためにも私は努力をさしていただいて、皆さん方の御意見の達成をいたしたい、そういうことで努めてまいりたいと思います。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 次に、いま新聞で問題になっております尖閣列島調査の件についてお伺いしたいと思います。  外交的な問題も入る非常に微妙な問題でございますので、その点私たちも心得ながら質問いたしたい、かように存ずる次第ですが、それにしても、当委員会としては、やはりこの仕事沖繩開発庁調査するということでございますので、概要をまず御説明いただきたいと思うのです。
  9. 亀谷礼次

    政府委員亀谷礼次君) 大臣から主要な点につきましては御答弁があると思いますが、事務当局から調査概要につきまして御説明申し上げたいと思います。  すでに新聞その他紙上に出ておる内容でございますが、沖繩尖閣諸島につきましては、政府の本格的な調査がこれまで行われておらないところでございまして、かねて諸般状況も、これらの調査をする必要があるという意見がございまして、昭和五十四年度の予算概算要求に、御承知のように、三千万円の調査費を計上したところでございます。  内容につきましては、尖閣諸島におきます自然的地理的条件を把握するということでございまして、主要三島の島の地質あるいは地形、あるいは生物、植生等、いわゆる地上の調査及び周辺海域の海流あるいは風向、風速、こういったものを一年間にわたりまして継続して一部調査をするとともに、いま申し上げましたような主要の調査を、上陸いたしまして、大学の先生方お願いをいたしまして、学術調査というテーマで行うことにいたしたわけでございます。  具体的な内容につきましては、いま申し上げたような調査でございますので、期間といたしましては、現在いま行われておるところでございますが、約十日前後の期間で、現在すでに同島の調査に入っておるところでございます。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 事務的な御質問になりますけれども、あの尖閣列島というのは沖繩県行政区域としてはどこの市町村に属しておるのでございますか。
  11. 亀谷礼次

    政府委員亀谷礼次君) 沖繩県の中で申しますと、市は石垣市でございまして、字で申しますと登野城という字名になっております。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 当然、基準財政需要額種地の中には入っておる地域でございますね。
  13. 亀谷礼次

    政府委員亀谷礼次君) 当然入っておるところでございます。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 今回のような調査をする場合には、市町村に対する事前協議とか連絡というふうなのはどのように行っておったのでございましょうか。
  15. 亀谷礼次

    政府委員亀谷礼次君) 今回の調査につきましては、具体的に石垣市とは直接協議を行っておりませんが、何と申しましても、沖繩県区域について沖繩振興開発のたてまえと目的をもって調査をするわけでございますから、当然、沖繩県につきましては事前十分相談をいたしまして、また県からも、知事名をもって開発庁長官に対し、早急に現在政府が行っておりますような諸調査を進めてもらいたいという要望も承っておるところでございます。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 県にやっとけば事務的な手続上遺漏があるということにはならないわけですね。しかし、県から市の方にいっているかどうか、ちょっとそこのところが私疑問に思うのは、通常、この種の調査といいますか、に入るときに、当然市を通して市にも一応、国の機関であれば、あいさつをして入るのがしかるべきだと思うのですが、そういうことが、何か今回の流れを見ておりますと、行われていなかったような感じがするのですが、いかがなんですか。
  17. 亀谷礼次

    政府委員亀谷礼次君) 私ども開発庁から直接石垣市に具体的に協議を進めた上で調査をいたしたということには相なっておりませんが、冒頭申し上げましたように、沖繩県とは連絡をとって調査をした経緯もございますので、私どもとしては、沖繩県に御連絡申し上げたことによって石垣市につきましてはしかるべくコンタクトがとれるというふうに考えておるわけでございます。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでいいわけなんでしょうけれども、どうも普通の、何といいますか、省庁ですと、それはそのとおりだと思うのです。ただ、沖繩開発庁というのは、私そこら辺にひとつ沖繩開発庁としての問題があると思うのですが、やはり県だけでなくて、市町村とももっと密接なコンタクトをとりながら事を進めていく、そういうことが必要でないかということを実はこの問題を通じてもちょっと感じたのですが、そこいら辺に対して今後ひとつ十分御配意をしていただきたい。  たとえば、ただいまの読谷村の問題その他ございますが、総合調整機関としての開発庁としては、やっぱりもっと地元の下の方へまで入り込んでいっての相談に乗る、そういう中から総合調整を図っていくということが必要じゃないか。先般、視察に行きましたときにも、そういうことを感じましたので、念のために申し上げたのですが、よろしゅうございますか。
  19. 亀谷礼次

    政府委員亀谷礼次君) 御案内のように、今回の調査につきましては、諸種の情勢もいろいろ重なっておりまして、できるだけ外部に、いま先生も御案内のようにいろいろと情勢上ございまして、無用の刺激を避けるのも調査目的に沿った賢明な措置であろうという配慮もございまして、いま申し上げましたように、県等には十分御連絡を申し上げたのでございますが、市につきましても、本来であれば、直接私どもから具体的に詳細に前広に絶えず御連絡を申し上げるのが筋かもわかりませんが、そういった諸般情勢もございまして濃密には御連絡が行き届かなかった、こういうことで御了解いただきたいと思います。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 長官、これは一般論として言うのですが、そういう点で、事情によってはなかなかそういかない問題もありましょうけれども、できるだけ市町村とも十分に連絡をとりながら仕事の進められるように御配意を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  21. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お説ごもっともだと思っております。私の方は現地に総合的な事務所も設置いたしておりまして相当な陣容でおるわけでございますから、ある程度のことは各市町村とは緊密な連絡で処置をいたして県とともにやっておるわけでございますけれども、問題は、いま局長が申しました今回のことが、ごくひとつ静かに鎮静しながらということが、つい大きくはでに出て、何かそうした、全く純国内的な行政上の仕事をやっておりますのが、そういうものが有効的な支配を誇示するようなかっこうに、どうも結果的には受け取られるような結果になったことを、そういうことの起こらないようにという配慮を私どもがいたしたのがかえってどうもそういう結果になって、連絡不十分というおしかりも受けねばならぬということになるわけでございます。将来は十分現地との連絡をとりながら対処してまいりたいと思います。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 次に、沖繩農業の問題について御質問を申し上げますが、過般、沖繩甘味資源を守る全国共闘会議ということで、これは北海道のビート糖から沖繩のケーンシュガーまで入るんですが、特に、その中で、沖繩方たちから沖繩状況というものをつぶさに陳情を受ける機会がございました。それから、先年、石垣島に参りましたときも、製糖工場農民の間に非常に激しい当時トラブルがあったというふうなことも現地でも見てまいった次第でございます。最近は、ややその点で振興計画も進み、反収も上がってきたというふうなことで、特に去年、ことしは大変いいということを聞いております。  しかし、こう長い目で見ますと、一体、沖繩サトウキビ栽培農業基幹作物として位置づけていくことがいいんだろうかという気もいたすわけです。これらについて開発庁としての御見解をひとつお願いいたしたいと思います。
  23. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 沖繩におけるサトウキビ栽培の問題でございますが、これは先生承知のとおり、農業の総生産額で見ますと、現在、三五%を占めており、これは畜産も含めての数字でございますが、また、耕作面積で見てまいりますと、サトウキビ栽培面積が約三分の二、六七%に達しておるということでございまして、基幹作物として振興開発上も位置づけておりますし、私どもといたしましては、今後とも、サトウキビ作生産性の向上を図り、キビ作農家経営の安定に努めなければならないというふうに考えてきておるわけでございます。  先生指摘のように、確かに沖繩農業は、まだ技術的にも、あるいは基盤整備、そういった面におきましてもかなりの立ちおくれがございまして、反収等を見ましても非常にその生産量もまちまちな状況が現在ございます。ただ、幸いなことに、基盤整備等を行いましたところではかなりの増収になってございまして、今後も基盤整備を進めることによってそれらが期待できるというふうに考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、やはり振興開発計画の基本的な方針にのっとりまして、今後とも、農業基盤整備を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  もちろん、経営の安定のためには、基盤整備等のほかに、また機械化省力化その他の諸措置も必要でございますし、そういった面につきましては、農林水産省等関係省とも十分協議をしながら進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 現地の方では、国立糖業試験場を設置してほしいということで、知事さんのところには行っているようでございますが、開発庁にもそういう要望県等から参っておりますか。
  25. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 私ども沖繩関係の問題を全般的に扱っておるという関係もございまして、地元の方からそういう要望があり、要請が出されておるということは承知をいたしております。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 見通しはどうなんですか。
  27. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) これは直接的に私どもの方で所管しておりませんものでございますので、私の方からお答えするのが適当かどうかというふうに考えますが、私どもとしては、地元要請等がございますれば、できるだけ沖繩振興開発を担当しておるというような立場も踏まえまして、関係省とも協議をするということにいたしてございます。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと私の質問が悪かったんですが、開発庁としては、糖業試験場というふうなものを設置した方がいいとお考えですかと、してほしいという考えがあるかどうか。
  29. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 糖業試験場の問題につきましては、これは国立糖業試験場ということになりますと、直接的には農林水産省所管あるいは農林水産省機関として設置されるべきものというふうに考えられます。これを私どもの方から具体的に云々するということは避けたいと思いますけれども、一般的な問題といたしまして、糖業あるいはサトウキビ作等につきまして研究が進むということについては、沖繩振興開発上も非常にいいことではないかというふうに考えております。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 沖繩開発庁設置法趣旨から言いますと、長官にこれはお伺いいたしますが、この種の問題ですね、沖繩県に限っては、他の都道府県と違って、全体の予算開発計画というものを、各省庁のものを一遍庁にまとめて、総体の予算としてながめるという作業が予算編成の段階でもあるはずだと思います。ですから、そういう点で開発庁自身考えがどうなんだというものが決まりませんと、主管官庁である農林省の方がそのことに腰が入ってくるということにならないんじゃないでしょうか。ただそれぞれの各省庁が私のところは沖繩でこういうことをと、ああそうですか、それじゃ予算にのっけましょうとのっけて、沖繩開発予算てしてつくりましょうと、こういうことでなしに、総合調整機関としての官庁なんですから、いろいろなそういうものをまとめた中で、独自の主張というふうなものが沖繩振興開発という形の中では沖繩開発庁から私出てこなきゃならぬと思うが、どうもその点が何か弱い気がするのですが、長官、いかがでございましょうか。
  31. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 御指摘の点は、私もうなずける点がございます。したがいまして大蔵等に関しますようなことは、私の方が一緒に担当を直接しておるというようなものもあるわけでございます。農林省においては直接縦の系列でいかれるということでございますけれども、いま御指摘のように、沖繩開発庁という一つ性格、また存在の使命というようなものから見ると、たとえば概算要求時点あたりにおいて、沖繩全体のことを総合的に判断をせなければならない開発庁性格がございます、使命がございますので、そういう点で、各関係省庁話し合いながら、また、こちらも沖繩県自体が持ちます意見等も把握を事前にいたしておって、将来に対する社会経済発展等について関係省庁話し合いをしながら予算編成等に当たっていく、そして将来の沖繩開発に資するというようないまの御意見でございますが、そういうことは一応はやってまいっておるわけでございます。  沖繩県関係予算概算要求などする場合も、あるいは予算折衝する場合も、横の連絡はいたしておりまするけれども、いま御指摘のように、初めからそういうものを基礎としながら十分な連絡協議をするというようなところに多少欠けておるかなあという御判断をなさるように、私自身も、いまの貴重な御意見を踏まえながら、もう一遍見直してみるというような姿勢が必要ではないかと思っておるところでございます。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまサトウキビをつくっておる農民の間で大変不安に思っておることの一つに、糖価安定法時限立法で、来年、切れるということがある。それについては、それぞれ農林省の方では切れるまでには何とかしょうという、いろんな考え方があろうかと思います。しかし、これは私はやはり沖繩県民立場に立つと、こういう問題について、開発庁自身も、これは一体どうなるんだという対応の仕方があっていいんじゃないかと思うんですが、どうなんですか、そういうことについての開発庁側として、いままで対応の仕方というのは。
  33. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) サトウキビの問題に限りませんで、沖繩地元の方からは、各省の所管事項等につきましても、私どもの方に要請等がしばしばというよりも、通常、私どもの方にも同時に要請等が参っております。私どもといたしましては、それが相当と思われるものにつきましては、関係省協議等をいたしながら、できるだけその実現に努力をするというような立場でこれまでもまいってきておるわけでございます。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 具体的はサトウキビ振興対策についてお伺いいたしますが、農林省にお伺いいたしますけれど、サトウキビ沖繩で作付されるようになったのは、大体、いつごろからのことなんでございましょうか、北限地帯というふうに言われますけれども
  35. 小島和義

    説明員小島和義君) 私どももあんまり古い歴史的な起源は存じませんが、少なくとも明治以来ぐらいというふうに承知をいたしております。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 非常に品種的にも長いこと同じものをつくっておると、どうしても退化するという植物の一般的な通弊があります。サトウキビといえども同じだと思うんですが、それらの品種改良をどのように進めるかということについて、農林省としての考え方をひとつ。
  37. 小島和義

    説明員小島和義君) 後ほど詳しいことは御必要がございましたら技術会議の方からお答え申し上げますが、御指摘ございましたように、今日沖繩でつくられておりますサトウキビはNCO三一〇というのが圧倒的に多いわけでございまして、ただいま、現在、これに匹敵するような品種というものを開発するべく努力をいたしておるわけでございますが、それぞれ新品種には一長一短がございまして、総合的な得点ということで見ますと、NCO三一〇にまさるものというのがなかなか出てこない、こういう状況でございます。  国といたしましても、沖繩県農業試験場あるいはそのほか鹿児島大学等の民間でも一部いたしておりますが、そういうものに対する各種の援助というものを通じまして、日本自体で新しい品種を開発するという努力とあわせて、先ほどお話がありましたように、沖繩というのは必ずしも気象的に見ますとサトウキビの開花、交配に適したところではございませんものですから、一部は外国に交配を依頼するという形で、その中からすぐれた品種を選抜していく、こういうふうな努力と並行しながら進めておるところでございます。  さらに必要がございましたら、具体的にお答え申し上げます。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 沖繩農業と言っても非常に経営規模の違いが離島その他との間でずいぶんございますから、主として本島ということで考えた場合、経営規模の小さい本島の農村地帯、これの振興策というものは大変むずかしいことだと思います。こういうところで換金作物としてキビをつくらせることがいいのかどうか、もっとやはり密度の高い集約化した農業に転換をさせていかなければならないのじゃないかという気もしますが、そういう点について農林省側のお考えはいかがなものでしょうか。
  39. 小島和義

    説明員小島和義君) 先ほど沖繩開発庁の方からもお答え申し上げましたように、ただいま現在においては、サトウキビ沖繩農業に占める割合というのは、これはとうてい無視できないものでございまして、基幹作物としての位置というのは当分揺るがないものと考えております。  ただ、サトウキビのモノカルチュアと申しますか、サトウキビだけで沖繩農業経営を安定的に持っていけるかということになりますと、御指摘のようにいろいろ問題がございます。そこで、現在でもそういう方向に向かっておるわけでございますが、一部の園芸作物のような沖繩の気象を生かした適作物、あるいは畜産でございますとかパイナップルでありますとか、さらに一部の地域では養蚕なども最近入ってきておりますが、そういう多種な作物を組み合わせまして、年間を通じての労働配分の問題でございますとか、あるいは地力循環の問題でありますとか、そういうことに配慮しながら、全体的に体質の強い農業を育てていく、こういうことが沖繩農業振興の一つの筋道であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 当面、体質を切りかえるということを急にやることは無理かと思いますけれども、離島関係と本島と画一的に農業基幹作物はキビだというふうなことでやっていくということには、どうも多少無理があるんではないかという気がいたします。しかし、そうは言っても、現在はそれよりないのですから、やっていかなければならないという段階で、砂糖というのは国際的な作物でございますから、どうしても外圧を受けます。  それに対する保護政策としては、いまのところ価格政策と基盤整備基盤整備の方は大分よく進んでいるようですが、価格政策の面と、それから特産品としてどのように、いわゆる一般の市況の砂糖とは違うものとして何か考えていかないと、これは開発庁の方で考えることだと思いますけれども、特産品としての沖繩のキビの有効利用、もう一ひねり何かしていただかなきゃならぬじゃないかなあという気もいたしますが、そういう研究はどうなんでしょう。
  41. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) あるいは先生の御質問に若干理解不十分かとも思いますが、サトウキビにつきましては、これはやはり全国的な消費の中で国内産糖の占めるシェアを高めるということで努力をしているわけでございまして、これをそういう全国的な大きい市場の中で消化させていくということが今後振興する上においても必要なことでございます。そういったことで、現在の努力といたしましては、そういうことの方向に向いておる。特にいま問題がございますのが含みつ糖でございますが、含みつ糖につきましては、それの使用が限定されておる、消費が限定されておるというようなところ、消費との関係で見ますと、生産が過剰化しておるというようなところから一つの問題が生じてきております。むしろ、そういったことを、全国的には大きな需要があるわけでございますので、そういった方向に私どもとしては努力を傾注していきたい、このように考えておるところでございます。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 含みつ糖の問題へ入りますと、またこれいろんなむずかしい問題も出てまいりますので、きょうは、長官、いまのところ沖繩農業基幹作物としてのサトウキビ、これは揺るがないものですし、それなりに基礎的な振興計画は進めておると思います。しかし、非常に反別の少ない、特に本島の中南部、これらの農業に対しては、もっと反当収入の多い換金作物ということをいまから考えておかないと、行き詰まりがもう現に来ておるというふうな状態でございますので、これらサトウキビの価格、研究、そういうことを進めながら、その次に来るものについて開発庁として御検討を願うように要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  43. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 私は、沖繩のパイナップル産業の育成、発展をどうした方策によってやるかということを中心として御質問したいと思っているんです。  長官、パイナップルというのはサトウキビと全然違ったところにできるわけですね。それでパイナップルは酸性土壌、したがって開墾地に非常に適する。しかも沖繩の気温に非常に適した産業で、パイナップルの生産の北限地になるわけですね。それで先ほど丸谷委員からの話もございましたけれども、砂糖と並びまして、いまや沖繩での確固たる基幹産業としての地位を持っていると思うんです。ところが、どうもよく見ていますと、いろいろな面においてそれがしっかりとした支えができていないということがあるわけなんです。そういった事情をこれから農林水産省にいろいろと御質問申し上げて、育成、発展策についてのいろんな御援助をいただきたい、こう思っておりますので、長官の方もひとつじっくりその質問、答えをお聞きいただきまして、育成策についての御努力を願いたいと思っております。  農林省審議官ですか、果樹農業振興特別措置法というのがありますね。これはどういう法律なんですか、かいつまんで言って。
  44. 小島和義

    説明員小島和義君) この法律は、できました当初におきましては、近代的な果樹園の形成に対して資金的な援助をするという目的でつくった法律でございますが、その後、果樹農業振興基本方針あるいは振興計画というふうな条文が追加されまして、ただいまでは果樹農業につきまして、長期的な見通しを立て、需要の動向にマッチした植栽を進めていく、そういうことを内容とした法律という形で運用をされております。そのほか法文の内容に若干幾つかの字句はございますが、主な法律の性格はそういうことでございます。
  45. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その果樹農業特別措置法で政令で果樹指定していますね。十二品目あるそうですね、時間がないからこちらで言いますが。その十二品目というものに対する特別な保護措置というものはどういうのがあるんですか。
  46. 小島和義

    説明員小島和義君) かつては、先ほどもお答え申し上げましたように、この法律は、指定果樹につきまして果樹園経営改善計画をつくらせまして、その認定を受けたものについて特別な公庫融資をつける、そういう法制であったわけでございます。当然、三十年代のことでございますので、その主な対象となります果樹がミカンであったという歴史的な経緯がございますが、その後、果樹園面積を全体として横に広げていくというよりはむしろ内容のすぐれた果樹園をつくっていくというふうなことに、いわば量的拡大から質的改善へと内容的にも変わってきておりますものですから、資金需要の方も低下してまいりまして、今日では、そういう資金貸し付けの前提としての計画認定というものをやっておらないわけでございます。したがって法律の性格とすれば需要の長期動向に即応した生産の誘導をやる、こういうふうな一種の計画立法と申しますか、そういう内容になってきておるということでございます。
  47. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そこで、具体的に一つ一つ簡単にお答え願いたいと思うんですがね、特産果樹生産出荷合理化対策事業、簡単にその内容を言ってください。
  48. 小島和義

    説明員小島和義君) これはミカンとかあるいはリンゴなどのように比較的全国広範に存在いたします果物もございますけれども、サクランボでございますとか、あるいはパイナップルでございますとか、非常に限られました地域における果樹というものもあるわけでございます。おのずからそういう果樹の種類によりまして助成の中身と仕組みというものも変わってまいりますので、そういう果物類を対象といたしました助成事業、こういうことでございます。
  49. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いま限られた地域とおっしゃったけれども、いまこの対策事業で保護されている品種はどういう品種なんですか、現在ただいまで。
  50. 小島和義

    説明員小島和義君) パイナップル、桜桃、それからタンカン、ポンカン、そういったものが含まれております。
  51. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうしますと、パイナップルが入ったのはいつから保護のもとに入ったんですか。いままで私が聞いていたのは、知ってて質問するようなかっこうになるけれども、リンゴとミカンということに限定されていたように聞いておった。そうすると、いまパイナップルとおっしゃった、桜桃とおっしゃった、この品目はいつから入ったんですか。
  52. 小島和義

    説明員小島和義君) 先ほどお答え申し上げましたように、ミカン関係とかリンゴ関係というのは比較的早い時期からそれぞれの助成対象となる事業を持っておったわけでございますが、いま申し上げましたように、一部の地域の特産的な果物については、一般的な助成事業というのはございませんでしたわけであります。その後、それぞれの作物についての特別な理由によりましてパイナップルとか桜桃というのが別4に出てまいりまして、今日、そういったものを全部ひっくくりまして特産果樹生産出荷合理化対策という一つの名前の予算の中にまとめて計上しておる、こういう経過でございます。
  53. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 具体的にいくと生産者保護の中身になるわけですね、この事業は。そうすると生産者に対する補助金といいますか、価格差に対する補償が入った事業になるんですか。出荷の問題だから生産者の問題と直接関連しますわね、その辺のところをちょっと聞かしてください。
  54. 小島和義

    説明員小島和義君) これは価格対策を内容とするものではございませんで、予算の名前にもございますように、特産果樹の生産出荷合理化対策ということでございまして、もちろんその効果は直接的には生産者のためになるわけでございますが、生産出荷を合理化することによってパイン産業全体の体質を強化し、あわせて製品でありますところの、たとえばパインかん詰めといったもののコスト低減ということもねらっておるわけでございます。
  55. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 わかりました。じゃ生産者に間接には関係するけれども、直接の生産者に対する補助その他の事業ではない、こういうことですね。  それなら、今度は、果樹生産出荷安定基金制度というのがありますが、これは先ほどちょっと私間違えてパインとミカンと言って、この制度の中に含まれる問題だと思うんですが、これの中身についてちょっと御説明いただきたい。
  56. 小島和義

    説明員小島和義君) あるいは予算の名前を少々聞き違えておるかもしれませんが、恐らくは、加工用の果実につきまして現在価格安定基金を各県に設けさしておりまして、非常に値下がりいたしました場合の価格補てんという仕事をやっておりますので、それのことであろうかと存じます。  ただいまでは、温州ミカンの果汁、それからかん詰め、それからリンゴの果汁、その三種類の製品につきまして価格安定基金の制度が設けられております。基本的には、これは原料でございますから、その年の豊凶変動あるいは製品の価格変動というものによりまして原料価格も影響を受けてまいるわけでございますが、極端に原料価格が下がりました場合に、生産者の方としては相当大きな負担になってまいります。同時に、値段が非常に高くなりまして、原料がほとんど生食用に出荷されまして、工場に原料が集まらないということになりますと、工場としては操業の維持に苦しむということになるわけでございますので、双方の観点から、一定の数量を毎年出荷するという契約をさせまして、その契約数量の中におきまして価格が下がった場合に一定の幅で補てんをする、こういう仕組みでございまして、主要果実であるミカン、リンゴが現在対象になっております。
  57. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 これはパイン産業、パイナップルにはなじまぬ性質のものでしょうか、御意見を賜りたい。
  58. 小島和義

    説明員小島和義君) 全くなじまないということも実は考えておらないのでございますが、この制度の一つの前提といたしまして、相当な規模にわたる生産がございまして、しかも、それが年によってかなり変動がある、ミカンの場合で言いますと裏年、表年というふうなこともございまして、年による原料の量の変動が免れない、こういったものの方がよりなじむのではないかというふうに考えておるわけでございますが、パインが絶対に対象にならないということを申し上げるつもりもございません。
  59. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 よくわかりました。したがいまして沖繩のパイナップルの生産に対しては、砂糖と違いまして、いろんな助成金やらあるいは奨励金というふうな裏づけがないんですよ、御承知のとおり。したがって、いま、後からずっと申し上げますけれども、こういう制度というのは輸入の変動あるいは季節変動による、そういったものの不安定要素に対する一応育成事業であり補助である、こういうふうに見られるわけですね、この制度は。一部はですよ、全部じゃないにしても。  そうなると、やはりパインの問題でも輸出、輸入の国際情勢の変化によっていろいろと変動してくる要素が出てくる、それに対してどうこたえるかという農政の問題がここにあるわけなんですね。そういったことを私はこれから質問していきたいわけなんです。ですから、いまおっしゃったように生産出荷の安定基金というものは決して限定的に物を考えているんじゃないんだというお答えをいただきましたから、これは引き続き沖繩のパインの保護の問題についてなじまない、なじむの問題はいた一応超越して、お答えもあったように御検討願いたい。これは要望しておきます。  そこで、いろいろとその問題に関連して、パイナップル――かん詰めということにしておきましょう。パイナップルかん詰というのは国内における消費量というのはどのぐらいに見ておられるんですか、国内消費量、いわゆる需要量と申し上げてもいい。
  60. 小島和義

    説明員小島和義君) これは年によりましてかなりな変動がございまして、必ずしも傾向的にどれぐらいと申し上げにくいのでございますが、近年の数字の推移を見ておりますと、大体二百七、八十万ケースというぐらいの量に見ております。
  61. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その中の輸入依存度はどのぐらいありますか。
  62. 小島和義

    説明員小島和義君) 輸入の依存度は大体三分の二前後、近年ではそういう数字になっております。
  63. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その三分の二が輸入依存度ですね。そうすると、あと三分の一が、これはどこからも生産するところがないんだから、沖繩物と見ていいわけですね、それでよろしいですな。
  64. 小島和義

    説明員小島和義君) 大体、そういうふうに見ておるわけでございますが、近年では、パイかんの形で輸入されるもののほかに、冷凍パインの形で輸入されたものが国内でかん詰めに変わる、こういうものがございますので、それもあわせて考える必要があろうと思います。
  65. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 しかし、いまの三分の二が輸入というのは、いわゆるグローバル、パイかんになったやっと冷凍物を含めての話じゃないんですか、どうですか。
  66. 小島和義

    説明員小島和義君) 大体、そうお考えいただいて結構でございます。
  67. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうしますとね、冷凍パインは昭和四十七年に自由化になっているわけですね。ところが、グローバルと言われるかん詰めについては依然としてIQなんですね。IQにして、片一方の冷凍パインは輸入の枠をとってしまった。IQのかん詰めばそのまま残したという事情はどういうふうにお考えになっておるんですか。
  68. 小島和義

    説明員小島和義君) これはパイナップルの中でも、たとえば生食用の生果実、これも自由化されておるわけでございます。それから冷凍のパインというのも通常は生食用の果実の加工品、こういう理解のもとに、これが果汁原料に回るということを深く意識しないままに自由化されたものというふうに理解をいたしております。ただ、その後、内外の価格差が非常に広がってまいりましたものですから、本来であれば、一時的な加工いたしましたものから改めてかん詰めをつくるというのは非常に割り高なことでありまして、採算に乗らないはずのものでございますが、内外価格差拡大とともに、そういうものからかん詰めをつくってもなおかつ引き合う、こういう状態になってまいりまして、今日ではかなりかん詰め原料に使われておる、こういう情勢でございます。
  69. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 実は、そこが問題なんですよ。したがいまして、片一方は、沖繩製品というものは生の果実で本土内には移出してないんですね、ほとんどが。それでかん詰めの形で出る。ところが、一方、かん詰めの形で入ってくる輸入品は制限をして割り当てしておいて、それでかん詰めの製品になるであろうところの冷凍パインそのものは全然自由化して、もう野放し。したがって冷凍パインで入ってくるものがどんどんかん詰め化されますと、それこそ需要オーバーなんですよ。規制の措置がないんだから。そこが沖繩が困っている問題なんです。  しかし、これはいま国際環境あるいは貿易上いろんなガットの問題もあるし、いきなり規制を外れたAA制度の冷凍パインをもとのIQに戻せということはこれは不可能でしょう。不可能ですけれども、やはり輸入すべきそれだけの需要があり、それだけの消費量が二百七、八十万ケースとある国内市場であるならば、やはり輸入品のかん詰めとそれから沖繩品のかん詰めというものが市中に相当のシェアを持ってしかるべきじゃないだろうか。ですから、季節によってこれは時期が違うんでしょうけれども、冷凍パインがわあっと輸入されてかん詰めになる、沖繩製品は締め出しになるという過去の苦い経験があるわけです。そのはね返ってくるのは生産者なんです、それと同時にパッカーなんですね、つぶれてしまうんです。  さっき冒頭に、長官にももちろん御認識いただいているんですけれども、やはりサトウキビは植えられない、普通の野菜はできない、そういった開墾地の酸性土壌のところにつくって、いわゆるほったらかしてしまってもよろしいような土地の開墾にこれが当たり、生産を上げているというこの事情はやっぱり何とか保護しなきゃならない。保護するためにはその措置ができていない。その措置はどうやってやっていただけるんだろうかということを私は質問しているわけです、この流れとして。したがって冷凍パインの輸入を制限しなさいとはもちろん言わない、しかも国際信義の問題もあるから言えない、なるべくなら枠を持ってもらいたいけれども、これはできない。そうならば国内市場に占める沖繩産のかん詰めの割合というものはどの程度であろうか。したがって果樹振興法によるところの作付面積も農林省は御認可にならなきゃならぬから、その立場で御指導にならなきゃならぬ、そのためには保護政策をしてもらわなきやならない、こういうことになるだろうと思うんですよ。したがって輸入の変動によって影響をこうむるであろうところの果樹、特に政令十二品目の果樹はそういう保護をしなきゃならぬというのが先ほどから伺ったものの中の一部の制度としてあるわけですね。  そこでお聞きしたいのは、そういった輸入の変動によって絶えず不安な状況にあるところの果樹で保護しなきゃならない制度として果樹特別調整基金造成事業というのがあるはずなんです。この中身はどういうのか、ちょっと御説明願いたい。
  70. 小島和義

    説明員小島和義君) ただいまお話しの事業名は五十四年度予算において初めて計上いたしたものでございまして、その趣旨は、昨年来交渉を継続してまいりました東京ラウンド、これがいよいよ実施段階に入ってまいるわけでございますが、私どもが今回妥結しました取り決めの内容は、国産の果実に重大な影響を与えるものではないというふうに確信はいたしておりますが、こういうなまものでございますから、いろいろ不測の事態が出てこないということもまた断言できないわけでございます。そういう予期せざる影響が国内産の果実に出てまいりました場合に、それに対する対策を機動的にとれるようにということで中央果実基金の中に十五億円の基金を造成いたしまして、必要に応じまして取り崩し、支出ができる、こういう体制をとったものでございます。
  71. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、この基金はまだ熟してないというか、実行されたことはないお話ですが、仮に沖繩産のパインの問題についてそういう事情が出た場合には、当然、この基金から、助成金か補助金か知りませんけれども、出せる余地がある、その範囲に含まれるんだと、こう見てよろしいですか。
  72. 小島和義

    説明員小島和義君) これはおっしゃるとおり、まだ具体的に何にどう使うかということを決めておるわけではございませんが、輸入との関係において問題が出てきておるということであれば、事業の内容が国の助成に適するものであれば支出できる、こういうふうに理解をいたしております。
  73. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 くどいようですけれども、冷凍パインがわあっと入ってきて、そしてその輸入の量によってシェアが失われたと、ところが生産は、御承知のとおり、あれは三年目にしか摘果できないわけだから、どんどん進んでいる、そういった場合にパンチを受けますわね。だから、そのときになってみなきゃわからないけれども、要するに、そういう対象に入り得るんだと、沖繩パインの保護のためにこの基金の制度を発動ができるような事態があるならば発動するんだ、こういうふうに理解していいですね、簡単にお答えいただきます。
  74. 小島和義

    説明員小島和義君) 冷凍パイン問題は、それ自体としてできるだけ輸入の自粛ということについて行政指導をするつもりでございますし現にいたしておりますが、おっしゃるように輸入果実の関連において重大な問題が出てきたということであれば対応できるものというふうに理解しております。
  75. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いま沖繩現地で、県当局、それからパイナップルの生産者、それからパッカー、それから総合事務局――まあパインの生産、加工は一つとしましょうか、三者でこの沖繩産バイン育成のための、そういった先ほどから申し上げているいろんな制度をミックスした基金をつくってほしいという要望があるんです。それは単なる業界だけの要望じゃなくて、やはり一次産業の中の第二の基幹産業として位置づけをするために地盤強化をしなきゃならない、そのためにその基金を使おうじゃないか。どういう基金制度にするかということをいま詰めているんですよ、そのお話聞いておられますか。
  76. 小島和義

    説明員小島和義君) そういうお話が持ち上がっているということは承知いたしておりますが、具体的な中身はまだ全然承知いたしておりません。
  77. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 この制度ができれば、それはもちろんパイナップル産業の育成、発展につながると私は思うんですが、具体的にそれが上がったときに十分にひとつ御検討いただきたい。聞くところによると、輸入パインの関税の額が年に四十五億ある。そのほかにこういった調整基金が十五億あるということならば――それはパインに限りませんよ。ほかの産業の問題もありますけれども、そういった基金のいわゆる財源的な問題については専門家の皆さん方が御検討になればおのずから結論が出るんだろうと思うんです。で、これは要望しておきますけれども、出てきたら、こういうふうにやらないで、前向きにひとつ検討願いたい、その点はどうですか。
  78. 小島和義

    説明員小島和義君) いま申し上げましたような経緯で一応予算措置をいただいておりますから、金がないということを申し上げるつもりはないわけでございますが、内容が国の助成に適するものであるかどうかということを十分検討さしていただきまして、前向きに対処いたしたいと存じます。
  79. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いつも金がないで逃げられるんで、金はありますよ、内容によりますと、またまたひとつ逃げ道をつくったんだけれども、あなた方は。まあそれはひやかしですが、とにかくそういうことで前向きに検討していただくことを私は最後に要望しておきます。  次に、開発庁に伺いたいんですが、総務局長はちょっと席を外されたんで、つぶれ地の問題から先に聞きたいと思うんです。  現在、しょっちゅう沖繩からつぶれ地の問題で今日までいろいろと経過をたどってお手当てをしていただいていることについては感謝をいたしますが、まず改めて現状認識をしてみたいと思うんです。  その前に、このつぶれ地の補償というものはどういうふうな方針で進まれるかということを改めてもう一遍ちょっと簡単にお聞かせいただきたい。
  80. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 沖繩におきますいわゆる一般の市町村のつぶれ地の問題についてお尋ねと存じますが、この問題につきましては、つぶれ地の発生の系統にかんがみまして、幹線市町村道のつぶれ地買収につきましては、沖繩振興開発特別措置法によりまして市町村道の改築の場合につきまして補助率の特例が設けられておりますが、その補助率十分の八により補助することといたしました。  この場合、現行の市町村道の見直しを行いまして、できるだけ県道あるいは幹線市町村道への格上げを行いまして、これによりまして県道となりますと補助率が自動的に十分の十となる。また、その他から幹線市町村道への格上げが行われますと、これが補助対象となるという関係がございますので、この見直しを行う一方、補助裏につきましても地元市町村に過重な負担とならないように地方債などの措置をとっていただくよう関係省協議をいたしてきたところでございます。  なお、さらに、これらの具体的な措置に関しまして、今後とも関係省十分協議をしてまいりたいと思っておる段階でございます。
  81. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 一、二級道路を県道に格上げする、それからその他道路と言われているものを一、二級道路に格上げしていく、こういうふうななし崩しですか、それも方針として結構だと思う。  そこで、建設省にお伺いしたいんだけれども、一、二級道路というのは一体どういうふうに認識したらいいんですか。どういうふうな基準でもってやっておられるのか、それの御説明をお聞きして、御質問したいと思うのです。
  82. 金子晃

    説明員金子晃君) いま先生のお話しございました一、二級市町村道、私どもは総称いたしまして幹線市町村道と呼んでおりますが、この幹線市町村道は、市町村道の中から、一般国道あるいは都道府県道とともに、地域の幹線を形成するというものでございまして、主な集落あるいは広域公共施設あるいは幹線道路等を相互に連絡するというものを選定いたしております。
  83. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 聞くところによりますと、建設省では全国的に幹線市町村道というのを、基準の見直しをやっておられるというお話を聞くんですが、その辺どうですか。
  84. 金子晃

    説明員金子晃君) お話しございましたように、現在の幹線市町村道は、全国的には四十七年、沖繩県につきましては四十八年に選定したものでございます。したがいまして、その後六、七年経過もしておりますし、土地の利用状況等も大分変わってまいりましたので、今回、これらに対処できるように見直しをしておるところでございます。
  85. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、その見直しの中から県道へ格上げするものは、その見直しの結果、相当出てくると思うのだけれど、その辺どうですか。
  86. 金子晃

    説明員金子晃君) ただいま沖繩県あるいは沖繩開発庁さんと一緒にいろいろ検討を進めておるところでございまして、まだ現時点では計数を申し上げるようなところに至っておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  87. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いま調査中であるでしょうから、計数としては言えないだろうけれども、少なくともいまの財政負担の状況でわあわあ言っているのはできるだけ県道の方へ持っていっていただいて、これは戦後処理一つなんですから、国の負担にお願い申し上げたいという要望が強いから、一、二級を県道へ上げてほしい、こういうことですね。したがって、これは要望しておきますけれども、見直しをせっかくいま――四十八年時点から六年近くたって相当変わっていますよ。ですから、それを相当大幅に格上げしていただくように努力を願いたいと私は思うのです。  そうしますと、今度残るのは、その他道路というやつが残るわけですね。その他道路からいかに一、二級に格上げしていくかという問題になるわけです。その他道路も四十八年時点から今日まで六年もたっているから、相当一、二級に格上げできる道路になっていると思うのですね、調べてみなきゃわからぬけれど。私の勘では、失礼だけれど、少なくともその他道路から五〇%以上は上がるんじゃないかと思っているんですけれども、どうですか。
  88. 金子晃

    説明員金子晃君) 県道の方で申し上げましたように、作業中でございまして、まだ計数を申し上げるような段階になっておりません。しかし、ただいままでいろいろ検討したところでは、かなり格上げできるんじゃないかというふうに思っております。
  89. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 しつこいようですけれどもかなりというのはどの程度なんですか。六〇%と言っちゃ失礼だけれどもかなりというのは過半数をかなりと言うのですよ、そうぼくは理解します、答えは要りません。そういうふうに理解していいならば、ちょっとうなずいてみてくださいよ。(笑声)  そこで、自治省おいでですか。――いま先ほどからの質問をお聞きのとおり、一、二級から県道へ上げてほしいというのは、やはり国でめんどうを見ていただきたい。一、二級というのは、これは十分の八で裏負担は十分の二だと、こういうことになるわけですね。この十分の二の裏負担の問題について、過日、沖繩県出身の議員に対する質問書のお答えで、財政状況を見て考えたいという前向きの発言をなさっているんだけれども、その発言というのは、国でめんどうを見てみる、ただし、それは地方財政状況によるというお答えなんですが、根本的な腹の中では政府としては国でめんどうを見よう、こういうことなんですね。
  90. 井上孝男

    説明員(井上孝男君) つぶれ地の問題につきまして、自治省側の基本的な考え方を説明させていただきますと、私どもは、やはりこのつぶれ地が生じました経緯からいたしまして、極力、国庫負担により措置されるべきものであるというふうに考えておりまして、その旨、関係省庁にいろいろお願いをしておるところでございます。しかしながら、現時点におきます実際の措置といたしましては、御承知のとおり、位置境界不明地域内における市町村道につきましては特別法あるいはその施行令によりまして十分の八の国庫補助あるいは十分の二の交付金交付というふうな措置がとられておるわけでございます。したがいまして現行市町村道の見直しによりまして、極力、十分の十という措置のある県道あるいは幹線市町村道への格上げが行われまして、補助金及び交付金による交付対象とされるように期待をいたしておるわけでございます。  また、位置境界不明地域外におきます市町村道につきましては、幹線市町村道に対します交付金による措置はないわけでございますけれども、やはり極力県道あるいは幹線市町村道への格上げによりまして補助対象化されることを強く期待しておるところでございます。  なお、この措置によりまして生じます幹線市町村道の補助裏負担につきましては、その金額がたとえば単年度に多額となるような事態に該当いたしますときには、必要に応じまして地方債をもって措置をいたしたいというふうに考えておる次第でございますし、さらに、その地方債の償還費が特に財政運営の圧迫要因となるような市町村につきましては、当該市町村の全般的な財政状況、こういうものを考慮をいたしつつ地方交付税によりまして所要の措置をするというふうに考えておるところでございます。しかしながら、その具体的な内容につきましては、今後、各市町村におきます補助翼負担の状況が明確になりました段階で検討することにいたしたいというふうに考えております。
  91. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 地方財政の状況によってというのは当然なことだと思うんですが、私は五十二年度の市町村の財政分析、それをいただいているんですよ。  その中で見ますと、沖繩の現時点における市町村財政というのは現時点においてもそれは大変なことなんですね。よく皆さんがおっしゃる経常収支比率、これで見た場合に、もう時間がありませんから私が御説明しますが、沖繩市町村平均で八五・六なんですよ、経常収支が。全国平均はもっと少ないんですね、市町村平均で、これは幾らになるんですか、七九・八。そうしますと沖繩は今日でさえ非常に財政事情が市町村は悪い。で皆さん方が望ましい基準というのは大体七五ぐらいでしょう。そうしますと、いまでも沖繩市町村の財政は非常に苦しいわけですよ。だからもう予見されるわけなんです、これは。ですから政府のお立場としては、それは財政事情の推移を見ておっしゃるけれども、受け取るわれわれの方では、やはり十分の十はめんどうを見ていただきたいということをこれは要望しておきますし、また、そういう構えでおられることは承知しておりますから、そういうことでひとつ取り組んでいただきたい。  それから最後に建設省にお伺いするのは、その他道路でいろいろ半分以上とにかく格上げしてもらって、残る半分は基準の見直しということをおっしゃったけれども、そこに公共建物あるいは住宅あるいは社会福祉施設が建つというふうなことであるならば、当然、これは一、二級に格上げできる、こういう理解でよろしいですか。
  92. 金子晃

    説明員金子晃君) 現在行われております幹線市町村道につきましては、将来に整備される予定の、先生いまおっしゃいましたような広域公共施設、そういうものを十分考慮に入れまして選定するように指導していきたいと思います。
  93. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 自治省、この市町村道が県道に格上げされる、あるいはその他道路と称するものが、一、二級に格上げされるということになると、地方交付税の測定単位が違ってくるということの心配があるわけですよ。この辺はもちろん財政の推移状況を見て考慮されるという大きな枠の中で考えていただけますね。
  94. 井上孝男

    説明員(井上孝男君) いまおっしゃいましたのは、たとえば幹線市町村道が県道になりますと、これは県が管理するわけでございますので、当該県道にかかります財政需要は県の方に算入されるということになるわけでございます。したがいまして市町村道に対して配分されておりました財政需要が県の方に移るということは当然ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。交付税額そのものは、そのために、その限りにおきまして、これは減額になるのは当然だと思う次第でございます。  と申しますのは……
  95. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 わかりました、いいです。  それは当然な話なんだけれども、念を押して私が先ほど御質問したのは、そういう事情が出るんでよけいに市町村の財政負担というのは交付金の算定単位から落とされていくんで心配の点がありますよということをだめ押しをしようと思って、その辺の事情をよく考えてくださいと、こういうことです。  そこで、開発庁、このつぶれ地補償を処理するまでの期間は相当時間がかかると思う。大体、何年ぐらいかかると思うんですか、おおよそ。
  96. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) このつぶれ地の処理の計画期間はどうなのかと、こういうお尋ねでございますが、これは国道、県道につきましてはすでに四十八年からつぶれ地の買収に入っておるわけでございますが、なかなかに地権者の確定とか、その他厄介な問題がございまして、かなりのおくれを見ておるということは先生案内のとおりでございます。私どもといたしましては、できるだけ早期にということで考えていきたいというふうに思っております。ただ、そういったいわゆる用地買収に伴ういろいろ厄介な問題、それからまた市町村における執行の問題、要員の確保の問題等もあろうかと思います。いずれにいたしましても県、市町村とも十分打ち合わせをしながら、協議をしながら、できるだけ早い時期にこれを処理するという考え方で臨んでいきたい、このように考えております。
  97. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 多分そういうお答えになるだろうと思っていたのですよ。  そこで、特別措置法に基づいて十分の八だとか十分の十だというのが出てくるわけですね。特別措置法はあと三年しか残っていない、やっぱり延ばさざるを得ない、そういう認識でいきますから。話がちょっと外れるけれども、そういうことでひとつ取っ組んでいただきたいと思うのです。国道、県道についてはもうできるだけ早く、そうすればそのまま下から吸い上がってくる余地があるわけですから、ぜひその努力を願いたいと思うんです。  総務局長に御質問したいのですけれども、実は、返還軍用地の跡地利用という問題があるのですね。その返還軍用地の跡地の実態を簡単に、あと時間がないものですから、地籍の明確になったもので跡地の利用ができてないものと、それから地籍明確の作業中であるものというのを大体面積ぐらいでおっしゃっていただきたい。
  98. 金子清

    説明員金子清君) 返還軍用地の跡地利用がどのくらい行われているかという数字につきましては、県の方で発表されました数字と私ども調査をしました数字とかなり隔たりがあるのでございますが、私ども調査いたしました、復帰後返還されました軍用地二千二百四十七ヘクタールにつきまして跡地利用の状況調査しましたところ、利用が可能と思われる土地で未利用である土地というものはおおむね五〇%程度というふうに見ております。
  99. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 これは地籍の明確化された姿の返還跡地で未利用が五〇%、こういう理解ですか。
  100. 金子清

    説明員金子清君) 地籍の明確化されてないものも含まれておりますが、その辺は詳細に調べてはおりません。
  101. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そこでひとつ、とっぴな提言みたいなことになるんですけれども、検討していただきたいのは、地籍の明確化作業そのものすら非常に時間がかかる。幸いに地籍の明確化になっているものもあるけれども、跡地の利用ができていない、こういう実態だと思うんですね。そこで、私は、地籍の明確化されてあろうとなかろうと、地主の持ち分としての平米ははっきりしているわけですね。そうなら、その地主さんたちに、これはもちろん合意が前提なんだけれども、現物出資の法人をつくってもらって、その場所によってそれを大規模農業用地にするか、あるいは特定の工業団地にするか、向こうの特産品の工業団地にするか、そういった方法もあるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  102. 金子清

    説明員金子清君) 返還軍用地の跡地の利用促進ということは、沖繩開発庁といたしましても非常に関心を持っておるところでございますが、やはり返還跡地を工業団地なり、あるいは住宅地として利用するかどうかということにつきましては、地元におきます跡地利用計画というものがまず根本ではなかろうかというふうに考えております。そういうことで十分地元地元の地権者が話し合いをされまして地元の跡地利用計画が定められるようになりますれば、その利用計画の策定の過程で、いま先生がおっしゃいましたような形で、その利用を促進するということも一つの方法かと思っております。したがいまして地元でそういうような動きがありますれば、私どもといたしましても、側面的に所要の協力はいたしたいというふうに考えております。
  103. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そういったことは可能なんですね、要するに。したがいまして、大臣、企業が来ることを待っている投資環境じゃないんですね、沖繩の場合は。したがいまして地場産業の浮揚ということを先にまず考える、跡地の問題で。したがって、それを大農業団地に育成していくような指導、あるいは地場産業の工業団地、また地場産業に限りませんけれども、中小企業近代化促進法によるところの団地形成化の事業というものを前向きに御指導いただきたい、こういうふうに思うんです。これは御答弁要りません。  いま沖繩の特別措置法で四市町村の工業開発指定地域というのがある。それには県の条例によりまして不動産の取得税も要らないし、あるいは固定資産税も免除するし、あるいは事業税も免除する、こういう誘導地域、さらに工業再配置促進法によるところの誘導地域にもなっておるということなら、これはまた一県知事が県外交でもって本土にやってきていろいろとあっちこっちの企業に当たってやるだけじゃなくて、沖繩開発庁としても積極的に誘致の政策についての御検討というか努力を願いたいということも、これは要望として、お答え要りませんけれども考えていただきたい。  その際に、せっかく特別措置法に自由貿易地域というのがあるわけですよ。これは沖繩県においても検討されておることだし、また開発庁においても検討しておることであるんでしょうが、その自由貿易地域の設定についてはどういうふうにお考えになるのかお聞かせ願いたいと思います。
  104. 金子清

    説明員金子清君) 御案内のとおり、現在の自由貿易地域制度は、沖繩の復帰の際に、沖繩におきます企業立地を促進いたしますとともに貿易の振興に資するということで沖繩振興開発特別措置法によりまして設けられたものでございます。  復帰後、今日までの沖繩におきます工業開発の現状を見ておりますと、石油ショック時に端を発しました大型不況と民間設備投資意欲の減退というものの影響を受けまして、沖繩におきます工業開発は期待したように進んでいないということでございます。こういうような情勢のもとでございますと、自由貿易地域制度がその効果を発揮するということはいまだ困難な状況にあるというふうに考えられまして、このため、現在、こういう制度はございますが、自由貿易地域制度の具体化を見ていないというふうに考えておるところでございます。  今後の工業開発につきましては、全国的な設備投資の停滞が予想される中で、さらに沖繩におきますいろんな立地条件のデメリットということがございます。そういうことでかなり困難なことであろうというふうに予測するわけでございますが、国といたしましても、産業基盤整備を進めますとともに、各種の優遇措置を活用しまして、企業の立地の促進に努めたいというふうに考えておるところでございます。そこで自由貿易地域の制度の具体化につきましては、以上のような努力を払う中で、経済情勢の推移も見ながら、沖繩振興開発審議会等の意見も聞きまして、今後、慎重に検討していきたいというふうに考えております。
  105. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その際に、輸出加工型あるいは輸入加工型、どっちでもいいんですが、その問題のほかに、要するに観光戻し税が現在あるようなショッピング型の自由貿易地域、これについても開発庁は審議会もお持ちだし、十分に検討していただきたい、そういうことで要望しておきます。  それで、あと二分しかないんで、防衛施設庁の方へお伺いしますが、これはもうお答えの時間がないんで、しゃべるだけでいっぱいになっちゃうから、要望だけ私申し上げておきますからね。  最近、どうも演習の砲弾の破裂によるところの被害が、幸いにして人命に対する被害はないんですけれども、施設その他に対して被害が頻発するというふうな状況であるわけですね。そうしますと、これは私が言うまでもなく、地元は非常に不安なんです。ですから、その不安をやっぱり除去しなければ、物理的に基地を動かしてくれと、どっかへ持っていけと言うわけにいかない。また安保条約の日本政府立場としてこれは守っていかなきゃならないわけだから、物理的に基地を移動するわけにいかない。しかし、基地を移動するわけにいかぬけれども、演習地の中で、たとえば方向を変えるとか、最近非常に密集した住居がふえてきたというふうな事情変化に応じての措置は積極的に、事が起こる前に、米軍の方へ申し入れる。同時にまた、日本側としても、フェンスが必要ならばフェンスをつくらなきゃならぬという日本側の前向きの姿勢も必要だと、そういった配慮をこれはぜひ積極的にやっていただきたい。そうしないと住民は安心できない。そういうふうな配慮をこれはぜひ積極的に今年度から取っ組んでいただきたい、こういうふうに要望しておきます。  それからもう一つは、騒音地域の問題がありまして、一種、二種、三種という地域指定があるんでしょうけれども、とても耐えられない地域があるわけです。具体的に言うと嘉手納のある砂辺地区は、もうとても耐えられない。そういったのは積極的に防音装置を、一部屋に限らないで一戸全体に防音装置をするとか、あるいはまた少し地元の納得のいくような移転補償をして移転していただく、こういうこともどんどん進めないと、待ちの構えだけじゃいまやもはや済まされない、県民感情も容認するところは容認するけれども、もう限界に来るようなことになったら、これはもうおしまいなんです。そういうことのないように十分に配慮していただきたいことを要望して、質問を終わります。
  106. 二宮文造

    ○二宮文造君 前回、当委員会がセットされたのが五月十六日でございました。御承知のように沖繩が本土に復帰をいたしまして八年目に入るその日でございます。委員長が特に配慮して、そういう劇的な日に当委員会を開催したい、こういうふうなお気持ちだっただろうと思うんですが、御存じのような国会の事情で本日に持ち越しました。したがいまして、私は、きょうは八年目というつもりでお話を伺いたいと思うわけです。  まず、大臣沖繩が本土に復帰して八年目に入りました。しかし、先ほど来丸谷理事あるいは伊江理事が指摘されましたように、さまざまな問題がまだ残っております。したがいまして、所信表明も拝見はいたしましたが、八年目に入ったこの沖繩の現在抱える問題について、いろいろありましょうが、大臣の率直な感想を伺って、あと問題を限ってお伺いしたいと思うんですが、総括的に大臣の所信をもう一度お伺いしたい。
  107. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 率直な気持ちを申し上げますが、私、三年有余前、防衛庁長官もし、沖繩の例の基地法案について大変な御心労を煩わしておったわけでございますが、そこでその際にも私は申し上げましたが、沖繩開発庁と申しますか、沖繩県に対する政治の姿勢というようなものをまずやはりはっきりさせることが必要だと思うわけでございます。  いま、諸先生からの御指摘がございましたが、諸般の問題も、やはりすべてが戦争によります被害である、県民自身がつくったものではないという基本的な、そういう見方をすべきであるということが大事でございましょうし、それとともに、御指摘がございましたように、そういう歴史的にも日本の国のための大きな過重負担なり犠牲から生まれたものであるということで、やはり私どもはそうしたことを県民の立場でどう受けとめるかという姿勢がまず必要であろう。そういうことで、実は沖繩開発庁長官として、私は、まず基本的な二つの姿勢を持って取り組むべきであると思いまするし、そうした上で沖繩開発振興計画の十年というものを一応策定を願って、これと取り組んでまいっておるわけでございますが、残された期間はあと三年でございます。そういうことを考えてまいりますると、とにかくそうした計画、それは県民に対する約束でもあるわけでございます、これをひとつ何としても完全に果たしていくという最終的な努力が必要であろう、行政事業面におきましては、そういう立場で取り組んでまいりたい。  特に、あと三年を控える現時点でございますので、一応、そういう事業の今日までの経過というようなものを見直してみる。旧軍用地等の問題もそうでございます、あるいは地籍整理の問題にいたしましても、ここでひとつはっきり見直して、積極的に残された三年間をどうするかというようなことを考えるべきであろうと思うのでございます。  その後の問題につきましては、私は、最終的には、そういうものに積極的に取り組んでまいったが、なおかつ沖繩の全体の状態は、約束したことも行われないし、それから目標が県民の福祉の増進であり生活の向上でございます、そうした点において、社会的にも経済的にも前進を――他の都道府県よりおくれておるというような事態にならしてはなりませんけれども努力いたしておりまするが、全般にそこまでいっておりません。そういうような点については、その時点において再度先ほど申しましたような姿勢で取り組んでまいらねばならぬかなと、そういうことを考えておるところでございます。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣がいまおっしゃった戦争という悲劇的な結末、それによる沖繩の県民の皆さんが現在受けているいろいろな環境あるいは苦痛、そういうものに取っ組んでいかなきゃならぬことは当然ですが、もう一つ、私は、沖繩県全体が抱えている一つの大きな理由というのは、離島というこれまた宿命的な環境がございます。  そこで、きょうは、全体で四十分という短い時間でございますので、問題を限らしていただきまして、交通の問題、これを一つ、それとCTSの基地の問題がいま沖繩県でいろいろと取りざたされておりますので、この二つの問題に限って見解をお伺いしたいと思うんです。  まず、沖繩本島の特に中部、いわゆる那覇、浦添、宜野湾、沖繩、この地域の交通渋滞の状況は、一体、本土に比べたらどこに匹敵するものだろうか、どれほどの交通渋滞を起こしているだろうか、いわゆる混雑時ですね、この御認識は開発庁はどういう認識を持っておられますか。
  109. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 道路の条件等が異なりまして、本土との比較というのは非常にむずかしい問題でございますが、特に私ども、これは率直に言っての感想でございますが、沖繩におきます特に中南部の道路につきましては、そのほとんどが二車線で設けられておるといったようなところから、そういった道路の混雑がかなりひどいんではなかろうか。むしろ四車線、六車線等で整備されております大きな道路につきましては、道路交通容量等も大きくなりますので、本土の多少混雑したところと同程度には流れているんじゃなかろうか、こんな感じでございます。ちょっとなかなか具体的に数的に比較するのがむずかしい問題でもございますので。
  110. 二宮文造

    ○二宮文造君 四十分間ですから、四時三分までしか時間がないんです。答弁はひとつ圧縮していただきたいんです。  認識としては、東京、大阪に続くものだと、こう認識して私はよろしいんじゃないかと思うんです。しかし、考えてみますと、人口は那覇市は三十万、その周辺を加えてもいわゆる中都市ですね。中都市における交通渋滞が東京、大阪に続くものであるという認識をまず持っていただきたい、こう思うんですが、どうですか。
  111. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先ほど申し上げましたとおり、なかなかにむずかしい問題でございますが、やはり特に細かい街路等における混雑はかなりひどいものという認識を私どもも持っております。
  112. 二宮文造

    ○二宮文造君 実は、警察庁の方に来ていただく予定だったんです。ですけれども、たった一問だけでお忙しい時間に来ていただくのは恐縮なんで御遠慮申し上げたんですが、警察庁でいろいろ意見を聞いてみますと、やはりそういう認識で結構ですということです。  おっしゃるその意味は、道路網の整備がおくれている、あるいは大量の輸送機関がない、こういうことですが、さりとていまそういう交通渋滞の中で市民、県民の皆さんは非常に困惑をされているわけですね。これをどう打開しようとしているのか、その辺の考え方をちょっとお伺いしたい。
  113. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 那覇市等におきます道路の整備につきましては、私ども、復帰後、相当進めてきておるというふうに考えておりますが、御指摘のように大変まだ街路網等の整備は必ずしも十分ではございません。そういったことでいろいろな交通渋滞が発生しておるわけでございますが、これに対しまして、私ども、当面のまず対策としましては、主要交差点の立体化あるいはバス路線の渋滞に対応するための改良工事、こういったものを当面の対策として力を注いでいきたい。それから、さらに長期的なこれに対する対策といたしましては、現在、沖繩本島中南部の総合交通体系調査、これはかなり詳細なパーソントリップ調査を実施いたしております。この結果の解析をいま行っておるところでございますが、この結果を待ちまして慎重に検討する必要があるのではないか。  ただ、いずれにしましても那覇市内の幹線道路から生活道路としての細かい街路、そういった大きい道路から小さい道路まで全体的には道路網未整備であるという認識に立っておりまして、こういった各道路を一貫した網体系の見直しを行い、その上で、その他の交通機関等との関連も考慮しながら重点的な整備を行っていく必要があるのではなかろうか、長期的にはそのような考え方で臨んでおります。
  114. 二宮文造

    ○二宮文造君 その後段の説明の、長期的な交通体系の見方という中に、いわゆる道路網の整備のほかに、その他の交通体系というふうにお話しされましたが、それはいまいろいろ現地で話になっております空港から那覇市内に及ぶモノレール、あるいはまたいろいろ御意見はあるようですが、国鉄をひとつ整備をしたいというふうないろいろな意見がありますが、これらのいわば私は大量の輸送機関だろうと思うんですが、こういうものについての取り組み方は、調査費等はついておりますけれども開発庁としてはどんな考えを持っておられますか。
  115. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) ただいま御指摘の鉄軌道あるいはモノレール等、新しい交通システムをどうするかというさらに大きな問題につきましては、私どもとしては、沖繩の本島におきます全体の交通体系の整備、これを考えていかなきゃいかぬのじゃなかろうか。特に沖繩本島におきましては、先生先ほどから御指摘のように、中南部地域における交通渋滞の緩和を重点の課題として道路網の整備を積極的に私ども行っておるところでございまして、さらに全体的総体的にはバス路線網の再編整備とか、あるいはバス専用レーンの拡張強化等の措置も必要であり、また、それによりまして現在あります公共輸送機関の運行速度の向上と定時性の確保に努める必要がある、こう考えております。また、昨年来問題となっておりました沖繩の自動車道の南部延伸、これも決定を見たところでございまして、本年三月には道路公団に対しまして工事施行命令が出されたところでございます。  御指摘の、鉄軌道の導入あるいはモノレールの建設などの構想につきましては、現在、地元を中心に各種の調査が行われておりますが、私どもといたしましては、これらの調査の結論を待って慎重に検討を進めたいと考えております。ただ、いずれにしましても、これらの大規模プロジェクトの施行はいずれも多大の投資を必要とするものでございまして、やはりその所得効果、雇用効果、これらは沖繩経済にとって大変大きなウエートを持つという期待を地元においてする向きもございますけれども、この施行につきましては、基本的にはその利用度、経済開発効果、採算性あるいは管理運営方式の妥当性等の面を総合的に勘案した上で決定していく必要があるのではないか、このように考えております。
  116. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしたすと、お話を聞いておりますとね、これはもう長年の懸案の問題なんです、ですからゴーサインなのか、足踏みしたまま期待するんだとか検討するんだとかということになっているのか、いわゆる歩き出しているのかとまっているのか、こういう表現で答弁願いたいんですがね。
  117. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先ほど来、お答え申し上げましたとおり、なかなかこれらの種々の問題をなお抱えております。先生のお言葉をかりれば、歩きながら考えておるということで御理解をいただけたらというふうに思います。
  118. 二宮文造

    ○二宮文造君 奇妙な答弁が返ってきましたが、私は、目標に向かって歩き出しているのか、あるいはとまっているのかって聞いたんですが、あなたはどっち向いて歩き出しているかわからないような答弁なんで判断に苦しみますが、要するに幾ら道路網を整備しましても、基幹になる一つの新しい交通システムというものがなければイタチごっこになってしまいます。  したがいまして、やはり採算性の問題もありましょう、それから後の運営の問題もありましょう、しかし、モノレールなり国鉄――まあそういう意見も   〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕 あるようですか、空港から那覇市内に向けて――要するに中部から北部にかけては自動車道路ができましょう、それが延長になりましょう、これは具体的な計画の中に入っておりますから、一応、輸送という面については現在でもさほど問題はありませんし、むしろ自動車道路は利用率が低いぐらいで恐らく採算割れしているだろうと思うんですが、しかし、沖繩はやはり観光というのが住民のいわゆる生活に寄与するウエートというのは非常に大きいわけですから、幸い多大の国費を投じて復帰記念事業としての海洋博をやりまして、その跡地の利用の問題もありますし、ひとつ重要な観光資源にもなろうかと思いますので、それを含めて、毎日の日常生活の中でいま中南部の方々が非常に御苦労されている。これはやはりモノレールなり新交通システムを採用して、そしてその負担を軽減するということは国の重要な施策の一つだろう。  ですから、採算性の問題もありますけれども、やはり必要なんだという立場に立って具体的に計画に入っていただきたい、また検討に入っていただきたい、こういう考えなんですが、政治性を含めて、大臣、いわゆる新交通システムの問題については、どういうふうに県民の方が将来を展望したらいいのか、少し頼りがいのある御答弁を伺ってみたいと思うんです。
  119. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) これは回答が余談になりますけれども、実は、私、北九州のモノレール関係についてこの推進をせにゃならぬ立場にあるわけでございます。こういうことで建設関係協議を進めてまいります際に、北九州もそうでございましょうが、あなたの管轄の沖繩の新交通システムについてモノレールをひとつ考えていただいてはどうかという、積極的な建設省からも私に対する意見具申がございました。  確かに、いま御指摘のように、中南部における沖繩の本島の交通関係のきわめてふくそうしていることも承知をいたしております。そこで、関係局長に対して、こういうことのお話があったが、積極的にひとつ新しい交通システムについて考えて一歩を進めてくれということを先般指示をしたところでございまして、何らか沖繩のふくそうする交通の状態、特に観光を一つの大きな沖繩開発の柱といたしております関係上、あそこにそういうことを企図しながらモノレールを考えるということは一つの観光資源にもなるではないかというような立場で、再検討を積極的に、先ほどお話もございましたように、前向きで検討をしてほしいということを指示をいたしておるところでございます。いろいろ御意見がございますように、財政投資の問題なり経営の問題、将来の見通し等で非常に至難なものもございます。それを乗り越えていくだけのことはできないかというようなことで、目下、積極的に検討さしておるということでございますので御了承願いたいと思います。
  120. 二宮文造

    ○二宮文造君 ぜひそういう御方針でひとつこの問題に取り組んでいただきたいと思うんです。  それから細かい問題になりますが、私はやはり離島という関係で南西航空の運賃の問題これはもうずっと前から、たとえば航空運賃が値上げになるたびに離島の方、あるいは沖繩本島の方も含めて、もはや飛行機というのが県民の方々の足になっている。   〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕 本土では国鉄がある、代替の輸送機関がある。しかし、沖繩は現に飛行機というのがもう足みたいなことになっている。したがってこの南西航空の運賃の値上げというのは県民の毎日の生活に非常な打撃を与える。したがって地域的な環境というものをよく配慮して運賃問題に取っ組んでもらいたいというのがかねがね私の意見でございますが、そういう意味で本島を除きました離島ですね、いろいろございますが、たとえば南大東、北大東、与那国それから多良間ですか、波照間、粟国と、こういう特に離島です、それと沖繩本島あるいは石垣、宮古、そういうものを結ぶ離島の離島線ですね、これについては特別の割引運賃制度がありますね、ちょっとその中身をおっしゃっていただきたい。
  121. 松井和治

    説明員(松井和治君) ただいま御指摘のように、沖繩の本島以外の離島から本島に往復をする、要するに離島に居住する利用者の方の便宜を図るために、特別往復割引運賃として三割引きの運賃を設定いたしております。
  122. 二宮文造

    ○二宮文造君 ただ、いま申し上げた路線はSTOL機ですね、ですから定員十九人ですか、まことに何といいますか、飛行場の関係もあるんでしょうけれども、島民の方にとっては座席を確保することもむずかしいとか、あるいは回数が少ないとかで、何とかもう少し大型化してもらえないかというふうな意見もあるようです。  さて、もう一つ、細かくなって大変恐縮なんですが、これらの離島から――離島には高校がありません。したがって、それぞれ本島とか宮古とか石垣とか、そういうところの高校にそれらの適齢の方が入学をしております。この方々がふるさとへ帰るときに、どういうふうな取り扱いを受けるんでしょうか。
  123. 松井和治

    説明員(松井和治君) ただいま御指摘の離島の学生の方が本島に寄宿をされまして、離島の実家に帰られる。これは先ほどの離島から本島に出向く方のいわば裏返しに当たるわけでございますけれども、残念ながら、いまの段階では、そういう方に対しての特別の割引措置はとっておりません。
  124. 二宮文造

    ○二宮文造君 文部省の方、いま申し上げたそれぞれの離島から高校にいわゆる入学をしている人数は大体何人ぐらいおりましょうか。
  125. 菱村幸彦

    説明員(菱村幸彦君) 沖繩県の教育委員会からの報告によりますと、ただいま先生が挙げられました南大東島以下の島々から高校に来ておりますのは七百三十六人と聞いております。
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、ちょっと運輸省の方に聞きたいんですが、たとえば南大東からそれらの高校に入学している方が百六人だそうです。それぞれ下宿をし、あるいは知人宅に身を寄せて通学をしているわけですが、先ほどの特別住復運賃割引制度というのは、たとえば南大東を出発点にして、そして沖繩本島へ行って、六十日ですか、六十日間にまた南大東へ帰る場合は通常運賃の三割引きですね。ところが、南大東の子供がたとえば沖繩本島の高校にいる、夏休みになった、わが家へ帰りたい、このときには割引はないんですか。
  127. 松井和治

    説明員(松井和治君) 残念ながら、現段階では、そういう割引制度は設けておりません。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは、しかし、何とか方法はあるんじゃないでしょうか。
  129. 松井和治

    説明員(松井和治君) 確かに、私も先ほど裏返しという妙な表現を使いましたが、御指摘のような本島に寄宿しておられて帰省されるという方は、離島から本島に出向かれる方と、いわば、方向は逆でありますけれども、同じ立場にあるという点におきまして、先生の御趣旨は私どもも十分わかったつもりでございます。  ただ、私ども、これからもう少し検討さしていただきたいと思っておるんですが、幾つかの問題点があるような気がいたします。  一つは、まず、いま御指摘の割引制度の対象者を高校生という者に限っていいかどうか、たとえば勤労青少年なんかの扱いをどうするかというような問題が一つあろうかと思います。それから帰省というやや漠然とした概念でとらえるということで、それをどうやってチェックするかというようなこと、これはやや細かい話になりますが、そういう問題点もあろうかと思います。それからさらには沖繩県以外の離島の場合をどうするかというような問題もございます。そういう幾つかの問題がございますので、私ども決してないがしろにするつもりはございませんで、検討させていただきたいと思っておりますが、ただ、その場合に帰省割引制度がいいか悪いかというような単純な検討ではなくて、たとえば現行制度の団体割引運賃制度でありますとか、その他の割引運賃制度をうまく工夫できないだろうかというような現行制度の工夫というようなものも含めて、検討させていただきたい、かように考えております。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 私が質問したのは、いわゆる高校生の帰省ということを取り上げたんですが、いみじくもまた答弁が出たんですが、勤労青少年の場合も認めていいではありませんか、また、そうすべきじゃないでしょうか。だってあれでしょう、大東の人が本島へ行って帰るときは三割引きでしょう。現に親はそこに住んでいるわけですから、あるいは勤労青少年がふるさとへ帰る、その場合だってやはり認めるのは善政になりませんか。何もちゅうちょすることはないと思うんですが、いかがでしょう。
  131. 松井和治

    説明員(松井和治君) 先ほど私の答弁申し上げましたことが余り前向きにおとりにならなかったのだといたしましたら、私の言葉が足りなかったわけでございます。  私、先ほど申しましたように、決してないがしろにするつもりはございませんで、ただ、いろいろな他への波及等の問題もございますので、現行制度との絡みも踏まえまして、この制度をストレートに設けることがいいのか、それともほかの制度とのかみ合わせというようなことも考えられるんではないかというような、少し広い意味で検討させていただきたい、かように申し上げたつもりでございます。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 実際、これはもう御存じのことだと思うんですが、その三割引きというのは非常に大きいわけです。父兄にしますと、自分の子供たちがそういう高校に通っていることに毎月の出費が非常に大きいわけですね。で夏休み等に帰省をするというときは、御存じだろうと思うんですが、便法をやっているわけです。地元で買って息子のところへ送って住復を逆にして六十日以内に処理するみたいな、そういうふうなことをやっているわけです。  現実に、そういうことがまかり通っているとすれば、裏通りみたいなことではなくて、正式に認めてあげた方がこれはもうその趣旨にかなうんではないかということで、実情は三割引きが使われているようです。しかし、これをもうきちっと南西航空等にも指導をして、はっきりした制度化をする。少なくとも前途のある青少年におれは逆のことをやっているんだというような気持ちで飛行機に乗させるということは政治の手落ちだと思いますから、現状はそうなっているわけですから、明らかにそれは制度化して表通りにすべきではないか、ぜひそうしていただきたい。これはもう実力大臣の御助成をお願いしたいと思うんですが、現実はそういうかっこうになっているようです。しかし、これはやはり動労青少年とか、どれほどの数でもないわけですから、ひとつ表通りに制度化できるように御努力お願いしたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  133. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 温かい御意見をちょうだいいたしておりますが、いま部長からも前向きで検討するという御意見でございますし、私も運輸大臣にも御相談をして、ぜひそういうことの実現に御協力申し上げたいと思います。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 あと八分程になりまして、はしょりはしょりになりますが、もう一つ、これは新聞記事なんですが、南西航空が一部ジェット化しましたね。ところが、いまのエネルギー事情から燃料の割り当てが南西航空が必要とするものだけがカットされてくるというふうな新聞の報道を見受けたんですが、これはもう先ほど来言っておりますように、離島の問題、それからまた沖繩のいまの観光という沖繩県自体に大きなウエートを占めた収入源、そういうものから比べて、日本全体のエネルギー事情の枠の中から南西航空のジェット化によるその増量の問題というのは微々たるものであろう、しかし、それがまた沖繩に与える影響は非常に大きいものですから、新聞報道ではカットされる等の報道がありましたが、この点については、通産省の方から指導をし、そのようなことのないようにお願いしたいと思いますが、この点いかがでしょう。
  135. 加藤昭六

    説明員(加藤昭六君) イラン政変を契機としまして国際石油状況が非常に緊迫しております。こうした状況を反映しまして、わが国も含めまして石油輸入国は原油供給が必ずしも潤沢ではございません。わが国にとってみましてもいろいろ今後問題を生ずるわけでございますが、地域的に個別的に問題が生じたような場合は、十分に話し合って円滑に対処するようにというふうに元売り等を指導しております。  御指摘の、南西航空と石油会社のジェット燃料の件でございますが、交渉の過程で若干食い違いを生じたというふうに伺っております。その後、当方も指示をいたしましたし、また運輸省サイドからの指導がありまして、双方話し合いが進んだと聞いております。したがって現在は解決もすでに行われておるというふうに伺っております。
  136. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ予定どおり、運航計画のまま南西航空としては運航できる、支障がないような話し合いがついたと、こう理解してよろしいですか。
  137. 加藤昭六

    説明員(加藤昭六君) その実態は、石油会社から必要供給量の確保に努力する、かつ、南西航空の方はこうした状況を反映して節約にも努力するということで、双方が歩み寄ったという結果であろうと存じております。
  138. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、最後に、CTS基地の問題でございますが、最近、沖繩県民の間で、沖繩が中東方面からの原油の運搬の中継地に当たるということで、あちらでもこちらでも離島でCTS基地の建設の問題が取り上げられ、新聞に報道され、また西銘知事も、屋良さんあるいは平良知事以来、いわゆる原油の五百万キロですか、備蓄というこの枠を取っ外して基地化に積極的な方針を示されたと、こういうふうなことで、県民は海洋汚染とか等々の問題で非常に神経質になっておりますが、この沖繩方面のCTS基地の増設といいますかあるいは拡大、こういうものについて開発庁はどういう見解をお持ちでございますか。
  139. 亀谷礼次

    政府委員亀谷礼次君) 最近、新聞の報道によりますと、沖繩におきましても、与那国島等、沖繩の離島におきまして石油備蓄基地の話があるやに仄聞いたしておりますが、事実関係につきましては必ずしも明確ではございませんし、県からも具体的な問題としては正式な連絡を受けておらないのが現状でございます。  もともと石油備蓄の問題につきましては、国家的な石油の備蓄政策の一環として行われるものでございますので、当開発庁といたしましても国策という観点においては協力すべきものは協力すべきであろう、こういうふうに考えておりますが、先生も御案内のとおり、沖繩におきましても、いわゆる生活環境あるいは環境衛生保全の観点から、十二分に住民のそういった観点の保全と申しますか、対策が講ぜられた上でこれらの問題が進められる場合には、当開発庁としても協力すべきであろう、こういうふうに考えるわけでございます。
  140. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは新聞報道ですから、私もほかに資料を持っておりませんから、その後の状況はよくわかりませんが、報道によりますと、五十二年で国家の備蓄目標九十日分、このうち五・七九五ですか、いわゆる備蓄量で六・四%を沖繩が担いでいる、これは五十四年だと、こういうふうに報道されておりますが、日本の国全体で備蓄するものをなぜ沖繩にこれほどたくさんに、また、それから拡大されるわけですから、なぜそれだけのものを担がなきゃならないのか。ただでさえ米軍基地の問題で、性質は違いますけれども沖繩の立地条件を、国に犠牲を強いられる、そういうふうに立地条件をとらえられては困るというのが県民の率直な意向ですね。備蓄目標は備蓄目標でわかります。しかし、なぜそれを沖繩に集中しなきゃならないかというのは県民感情としてはどうしても許せない。  ですから、いまのお話しのように、必要があればと、その必要は、一体、沖繩県民の犠牲において必要を強いるのか、あるいは県民のそういう立場を考慮し、それを重点に置くのか、これはウエートのかけ方が大分違ってきます。この辺、もう一遍御答弁いただきたい、大変なことになりますので。
  141. 亀谷礼次

    政府委員亀谷礼次君) 先生もよく御案内のところであろうかと思いますが、現在進められておりますいわゆる東海岸、勝連半島地先を中心とした石油備蓄基地でございますが、復帰前、当時の琉球政府におきまして、琉球政府の外資審議会において積極的に石油の精製並びに関連した備蓄を誘導したということは事実でございます。聞くところによりますと、当時、外資審議会の決定の条件と申しますか、五百万キロリッターということが言われたわけでございますが、現在、知事の意向と申しますか、この五百万キロリットル以上の備蓄についても、国策ということもありますかどうか私ども直接伺ってはおりませんが、さらにその上の増量も含めて、先生の御指摘のような生活環境と十分調和する場合には、これを受け入れるというふうな現知事の御意向もあるやに伺っておるところでございますが、いずれにしましても、開発庁の姿勢としては、冒頭お答えした姿勢でまいる所存でございます。
  142. 二宮文造

    ○二宮文造君 時間が来ましたので、これで終わりますが、どうかひとつ大変な問題で県民は神経をとがらしております。ですから、この問題の取り組みについては十分住民の皆さんの立場というものに耳をそばだてて問題の取り扱いをやっていただきたい。  私どもは、与那国のCTS基地は、案外、通産省や開発庁は知らぬ顔の半兵衛を決めているうちにどんどん進んでいくんじゃないかというふうな気がしてなりませんので、注意を呼び起こしていただきたい、これを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  143. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま嘉手納基地周辺の民家の人たちが物すごい騒音で日夜大変苦しんでいるわけです。  それで、四月の二十四日の日に、沖繩県議会の特別委員会調査団が北谷村の砂辺地区を調査に行きましたときに、そこの民生委員の方ですが、こういうことを言っておられるんですね。砂辺地区は飛行コースの真下になっており、防音装置など何の役にも立たない。去年は、砂辺地区で爆音禍でノイローゼになった二人が自殺し、少年一人が投身自殺を図っている。豚が死産した例や鶏が卵を産まなくなった例も多い、こういうことを言っているんですね。それから、北谷高校の先生はこういうことを言われているですね。毎時間、各授業とも五分から十分の授業中断を余儀なくされている。生徒たちも、余りに爆音が激しいため、なかなか教室外に出ようとしない。学習意欲の減退と集中力の欠如が生徒間に出てきている。生徒も、とにかく化学の実験時間など、先生の説明が十分に聞けず、事故を起こさないか心配だということも言っておられるわけです。  それで施設庁としては法に基づいて民家防音工事などをやっておられると思いますが、いまどういう範囲でどの程度まで進んでいるのか、それを最初に伺いたい。
  144. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) お答えいたします。  沖繩基地周辺のまず騒音対策一般として申し上げますけれども……
  145. 渡辺武

    ○渡辺武君 嘉手納基地周辺だけでいいです。
  146. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) 嘉手納基地周辺対策としましては、防衛施設庁、防衛庁としまして、防衛施設周辺生活環境整備法に基づきまして、学校、公民館及び住宅等の防音工事の助成、それから家屋等の移転補償等を行っておりますほか、テレビ放送受信料の減免だとか、それから騒音防止用の電話の設置などの施策を講じておりまして、周辺住民の生活環境の整備等に腐心しております。今後とも、一生懸命進めたいと思っております。
  147. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう少し具体的に説明いただきたいんですがね、環境基準があるわけでしょう、環境基準が。
  148. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) 環境基準がございます。
  149. 渡辺武

    ○渡辺武君 そして、あれは何だかむずかしいけれども、うるささ度と言いますがね、それとの関連だとか防音工事の程度だとか、その辺もうちょっと具体的に。
  150. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) 環境基準の関係をまず説明いたします。  自衛隊の一般の飛行場の関係を先に申しますと――嘉手納でよろしゅうございますか。
  151. 渡辺武

    ○渡辺武君 嘉手納で聞いているんだから、嘉手納でいいですよ。
  152. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) 嘉手納飛行場の住宅防音に関しましては、五十三年度までに千五百四十九世帯、約二十八億四千二百万円で実施しております。環境基準の目標の関係は約三二%でございます。今年度は、従来の戸数以上の住宅防音を実施したいというふうに考えております。  それから、いま先生が言われました家屋の移転等の問題でございますけれども、これにつきましては、対象戸数は砂辺地区に限定しますと約二百七十世帯の第一種区域に該当するものがございまして、そのうち移転等の対象戸数は二百十五世帯ありますけれども、その外でいままでの実績としましては十六世帯で、現在二百十五世帯が残っております、移転対象戸数としまして。これにつきましては、私どもとしましては非常に騒音が騒がしい関係がございますので、極力、移転あるいは住宅防音を実施するように村の当局を初めとしまして、機会があるごとに地元の方と接触しておるわけでございますけれども、特に移転につきましては地元の事情等もございまして、非常に進んでいないというのが現状でございます。
  153. 渡辺武

    ○渡辺武君 防衛施設庁の工事の場合、航空機の騒音に対するWECPNL、これが八五のところが一世帯で二室ですか、防音工事を施すということになっていると思うが、そうですか。その工事は対象戸数の何%ぐらいいまやられているのか、その辺を聞きたいんです。
  154. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) 嘉手納基地に限定しまして、八五W以上のいわゆる第一種地域につきましては、約四千九百世帯ございます。五十三年度までの実績としまして移転それから住宅防音を含めまして千五百六十五世帯を実施しております。以上でございます。
  155. 渡辺武

    ○渡辺武君 それで八五のところで二室という、それがいまの数字ですか。
  156. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) 住宅防音は一室ないし二室やっております。というのは、二室は世帯の人員が五人以上の家族の方につきまして二室をやりまして、五人未満の家庭につきましては一室でやっております。
  157. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでちょっと伺いたいのですが、本土の民間空港の場合、この防音工事はいまどんな進捗状況になっておるわけですか。
  158. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) 把握しておりません。
  159. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま聞きますと、八五――これは何と読むんですかな、WECPNLというのは。
  160. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) そのとおりでございます。
  161. 渡辺武

    ○渡辺武君 大体、一家屋で二室もしくは一室防音装置をやる。それで対象世帯が四千九百のところを千五百六十世帯しかまだやってないということでございましたね。私、運輸省の方から伺いましたところが、本土の民間空港の周辺住宅の場合、これは公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、これによって八五地域は大体ほぼいま言ったような基準は終わって、今年度からは全室防音というのを目指して工事を進めている。さらに八〇WECPNL地域にまでこれを拡大しようということで、非常に進んでいるんですよ。ところが、嘉手納の場合はとてもそこまでいってない。これは重大なことだと思うんですね。  念のために伺いますけれども、民間空港の場合とそれからああいう軍事基地の場合と、騒音の程度というのは一体どっちがひどいですか。
  162. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) これはケース・バイ・ケースで飛行機の種類だとか、あるいは飛行場の状態等によりまして変わりますので、一概に言えないと思います。
  163. 渡辺武

    ○渡辺武君 そういう逃げ口上を言ってもしようがないと思うんだ。一般的にも、これは財団法人日本環境協会が出したパンフレットですけれども、騒音の発生源という点から言えば、民間飛行機の方がはるかに軍用の飛行場と比べてみて発生源対策もやりやすいんだと。軍用の飛行機の場合は、演習の頻度や何かもあるし、それからまた騒音の程度から言ってもはるかに激しいという趣旨のことを書いている。私はそれが真実だろうと思う。  それで沖繩県が昨年の四月から一年間ずうっと嘉手納飛行場の周辺の住宅の騒音を調査した資料があります。あなた方もごらんになったと思いますが、「嘉手納飛行場周辺航空機騒音調査報告書」というのがあります。これによりましても、たとえば砂辺地区のWECPNL八五を超えた日が一年間に二百九十八日だと。九〇を超えた日数は実に二百二十五日というすさまじい状態になっているというのが、定点観測の結果、はっきりと語られているわけです。  それで長官に伺いたいんですが、つまり本土の民間空港ですね、ここではもう防音工事が非常に進んでいる。八五のところはもう全室防音にしよう、さらに八〇のところまで広げようというところまで進んでいるわけですよ。ところが、嘉手納の場合は八五の対象家屋四千九百家屋のうち、どうやら工事が進んだのが千五百六十くらいだというような程度ですね、これでは沖繩県民はとてもたまらぬだろうと思いますよ。もっと工事を集中的に急速にやってほしいと思うんです。その点どうですか。
  164. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) 嘉手納の問題につきまして五十三年度の実績はいまさっき申しました数でございますけれども、嘉手納飛行場の住宅防音の今後の傾向でございますけれども、私どもとしましては、今年度及び五十五年度までに中間目標を達成する計画で処理しております。嘉手納飛行場に関しまして。
  165. 渡辺武

    ○渡辺武君 その中間目標というのは何ですか。
  166. 吉住慎吾

    説明員(吉住慎吾君) さっき申しました八五WECPNLの四千九百世帯の完了は、今年度並びに来年度で完了するような予定にしております。
  167. 渡辺武

    ○渡辺武君 それにしたっておくれているですね。この航空機騒音については現地人たちが大変に苦しんで県議会でも特別委員会でわざわざ調査に行って、沖繩県でも一年前から耐え切れないから定点観測をやっているんですよ、乏しい予算を割いて。余りおくれ過ぎますよ。ことしと来年でどうやら完成と。さっきも言いましたように、本土の民間飛行場でさえも、もう八五の地域はほとんど完了した。ことしからは今度は全室防音を目指す、さらに八〇のところにまで広げていこう。  長官、どうですか、これはもっと中間計画なるものを繰り上げて、もっと早くやってほしいと思うんですね。少なくとも本土の民間飛行場ぐらいのところにはことしじゅうぐらいには到達してほしいと思いますが、どうですか。
  168. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 所管事項が防衛庁でございますが、しかし、私は、県民サイドに立って快適な県民の生活を守るという立場におきましては私のまた所管でもあるわけでございますので、いま御要請のありました点等、今日までも施設庁が積極的に取り組んではおりますけれども、他の都道府県における民間基地等とも比較をいたしましても非常におくれておるという事実も御指摘でございます。よく防衛庁と連絡をいたしまして、御期待の線に沿うように努力をいたしたいと思います。
  169. 渡辺武

    ○渡辺武君 頼みます。  それから防衛庁からおいでいただいていると思いますので伺いたいのですが、自衛隊が航空機の訓練を行う際、騒音対策としていろいろ考慮しているところがあると思いますが、おっしゃっていただきたい。
  170. 平晃

    説明員(平晃君) 自衛隊が使用する飛行場におきまして、航空機騒音を防止する見地から、各飛行場ごとに、夜間、早朝、または地方公共団体の特別な行事等が行われる場合の飛行の時間帯規制、学校や病院、住宅密集地域等の上空における飛行経路、高度の規制、あるいは地上におけるエンジン試運転の時間帯規制等、各種の規制措置を講じて、周辺環境の保全に留意している次第でございます。
  171. 渡辺武

    ○渡辺武君 自衛隊はそういう考慮を払っている。ところが、一体、沖繩の嘉手納の米軍はどうなんだと。  県の調査によりますと、ひどいもんですよ。夜の十時から早朝七時までの間に平均して十二回も激しい騒音が起こる。ひどいときには夜の十時から十二時までの間に六十三回、午前零時から七時までの間に五十五回、そんな状態で住民は騒音で苦しめられている。  外務省からおいでいただいていると思いますが、アメリカに対して、公式に米軍の夜間演習の禁止だとか、あるいは日曜、祭日、その他周辺地域住民にとって重要な日などの演習の中止について申し入れられたことがございますか。
  172. 北村汎

    説明員(北村汎君) ただいま御指摘の飛行場における騒音の問題につきましては、政府といたしましても、日米合同委員会の下部機構にございます航空機騒音対策分科委員会という場がございますが、その場を通じたり、あるいは施設庁を通じて、現地におきまして米軍の協力を要請してきておることは再三でございます。これに対して、アメリカの方も、エンジンテストとかあるいは調整時間の規制であるとか、あるいは飛行パターンの調整であるとか、あるいは夜間飛行の制限とか、可能な範囲内で騒音の軽減の措置を講じてきておるというふうに言っております。私どもも、この問題が周辺の住民に大変な迷惑をかけておるということは米軍に対して再三申しておりますので、アメリカの方もできるだけのことはやっておると思います。  たとえば嘉手納の飛行場におきましては、午後の十時から翌朝の七時までの間の飛行は緊急やむを得ない場合以外は行わない、こういうこともやっておると思います。また、過日も、現地からの要請もございまして、外務省からアメリカ側に対して騒音の軽減に努力するように申し入れを行った次第でもございます。
  173. 渡辺武

    ○渡辺武君 私どもは、とにかく、あんな基地は取っ払わなければだめだと思いますよ。そうでなければ、少なくともこうした演習はもう即時に全面的にとめなきゃ沖繩人たちの苦しみというのは解決できないと思っている。  しかし、少なくとも、たとえば沖繩県議会が五月十九日に決議をして要請している、住民地域での飛行訓練を中止すること、深夜早朝のエンジン調整をやめること、このくらいのことは厳格に私は実施させなければならぬと思いますし、本土で自衛隊がやっている程度の考慮ぐらいは日本政府責任としてもアメリカに実施させなければならぬじゃないですか、もう少し強腰で徹底的にその措置要請してほしいと思う。どうですか。
  174. 北村汎

    説明員(北村汎君) この問題につきましては、関係省庁とも今後ともいろいろ相談をいたしまして、現地要請も十分考慮して適宜な処置をとりたいと考えております。  先ほども申しましたように、一方において演習という安保条約に基づく米軍の練度の向上という問題があり、他方において周辺住民の生活の安定とそれから迷惑をかけないという、この二つの要請をいかに調和さしていくかということが私ども政府責任であろうと思っております。そういう観点から私ども極力努力いたしておる次第でございます。
  175. 渡辺武

    ○渡辺武君 長官、これは外務省の所管事項なんですけれども、同時にまた、沖繩の県民が非常に苦しんでいるという点では長官にも十分のやはり配慮を払っていただかなければならぬ問題だと思うんです。現実の問題が大事なんでね、現実に苦しんでいるということが。ですから、長官の方からも、ひとつ外務省を通じて強くアメリカ軍に抗議をし、申し入れをしてほしいというふうに思いますが、どうですか。
  176. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 数日前も、超党派的な議会の御要請を受けました。そこで外務省、防衛庁に対しても、沖繩県民立場からする切なる要請にぜひひとつこたえていただきたいというお願いを申し上げておるわけでございます。また、きょうは渡辺委員からの御要請でございます。十分ひとつ協力をしてまいりたいと思うのでございます。
  177. 渡辺武

    ○渡辺武君 それからアメリカ軍の事故の問題でございますが、最近、砲弾の破片の落下だとか、その他事故が相次いでおりますが、特に、私、まず最初に問題にしたいのは、米軍が施設外で、特に公道に完全武装をして演習に出ているという問題について伺いたいと思うんです。  きのうの衆議院の内閣委員会で、園田外務大臣が、この問題について、米軍が地位協定をどのように解釈しているのかについて調査するというふうに述べておられます。また、地位協定の枠内で行われたとするなら、それについてきちんとしなければならない、枠外の行為なら厳重に抗議するとも述べておられます。端的に聞きますけれども、私、この外務大臣の御答弁は、米軍の国道を武装して行軍しているというのが地位協定の枠を超えた行為だというように判断しているようでもあるし、また、そうでもないように、どうもよくはっきりしないですね。一体、政府としてはどういう判断をしておられるのか。
  178. 北村汎

    説明員(北村汎君) ただいまの問題につきましては、きのう外務大臣からも御答弁申し上げましたように、ただいま米軍の行軍の実態とか目的とか、その態様について調査をいたしておりまして、直接またアメリカの方に照会をしておるところでございますが、アメリカの回答がまだ参っておりません。しかし、私どもといたしましては、そういう米軍の行動の目的、態様等、具体的な事実をよく調査した上で、それが地位協定の枠の中で許されるべきものであるのか、あるいはそうでないのかという点を検討いたしまして、そうでない場合には、合同委員会などにおいて適切な処置をとるという考えでおります。
  179. 渡辺武

    ○渡辺武君 地位協定の五条第二項、ここでは施設、区域に出入りし、これらの間を移動することは許されていると思うんですね。しかし、いま行われている事態が移動でないことはこれは明らかだと思うんです。  ロビンソン在沖米海兵隊司令官が沖繩県の比嘉副知事との会見で、若い隊長が歩行訓練とエネルギー節約のためにやったと言明している。訓練ですね、わが国の国道を使ってですよ、米軍が訓練をやっている。ですからね、基地への出入りだとか移動だとか、そういう範疇のものではないことは私は明らかだと思うんですね。その点どうですか。
  180. 北村汎

    説明員(北村汎君) その点が問題なのでございまして、それでその行軍の実態、目的、その態様でございますね、それをよく調査しまして、それが先生いま御指摘になりましたように、五条二項の出入あるいは移動、そういうものの範囲内であるのかどうか、そういうものを検討いたした上で、さっき申し上げましたように適切な措置をとりたいと考えております。
  181. 渡辺武

    ○渡辺武君 くどいようだがね、重大問題だから重ねて言いますよ。  五月十八日の夜に、名護市で完全武装した兵隊約五、六百名ですね、これが深夜名護市の辺野古のキャンプ・シュワブ基地から出発して、国道三百二十九号、県道百八号、それから国道五十八号、これを通って、そして許田部落の野原緑化園、ここまでずっと訓練しながら行って、そうして折り返した。  施設と施設の間の移動じゃないんですよ。訓練しながらずっと約四十キロメートルばかり、深夜です、行動して、そうして折り返してきている。これはいま述べた地位協定に明白に違反していると私は思うんですね。もしこういう私がいま述べたこの実態が事実だとするならば、地位協定五条二項に違反しているというふうに見て差し支えないんですか、どうですか。
  182. 北村汎

    説明員(北村汎君) ただいま先生五月十八日の深夜の行軍について、その実態としてある地点で引き返したと、これはある基地からある基地への移動ではないと思われるという御意見をおっしゃいました。で、私どもも、その点がいろいろ問題がある点であろうと思います。なぜそこで引き返したかというところのその目的、動機あるいは事情とか、そういうものを米軍にただしましてそして向こうの回答を得た上で、それがきわめてやむを得ないような事情があったのかどうか、そういう点はまだわかりません、ですけれども、そういうところをいま調査しておるということでございます。
  183. 渡辺武

    ○渡辺武君 どうも対応が余りに遅いと思うですね、私は。しかも、こんなことはいままで本土では起こったことないですね、沖繩だけですよ。しかも復帰後八年目でしょう、もう。いまだにこういうことが起こるというのは私は無視できないと思う。  沖繩返還協定、これによると、施政権の返還が基地の態様に影響を与えないということが原則になっておりますね、そうでしょう。そうしてこれをいわば実務的に保障しているいわゆる五・一五メモ、基地使用協定、これの存在は外務省も認めておられる。しかし、その中身をわれわれには教えてくれない、国会に報告していない。ですから、この基地の態様を変えないということであれば、占領当時のアメリカの基地の使用の態様、つまり言ってみれば沖繩全土基地方式ですよ。どこを行軍しようと、これはアメリカの自由だと、当時はアメリカが権力を握っていたですからね。それをそっくりそのまま五・一五メモで事実上認めているんじゃないか、だからアメリカは平気な顔をしてこういうことをやるし、日本政府対応もはなはだはまぬるい、こういう状態が起こるんじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  184. 北村汎

    説明員(北村汎君) ただいま先生五・一五メモについて政府は公表していない、国民に知らしていないということをおっしゃいましたんですが、それはそうではございませんので、五・一五メモの中で、国民、いわゆる周辺住民に非常に関係の深い基地、どういう目的にこの基地は使われ、どういうたとえば実弾射撃が行われるのか行われないのかというような詳しいことにつきましては、これは全部それぞれの基地について公表をいたしております。去年のたしか五月ごろでございますが、まとめて相当詳しい資料を公表して国会にも提出しております。
  185. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは五・一五メモの内容の全部ですか、それぞれの基地についての。
  186. 北村汎

    説明員(北村汎君) 五・一五メモそのものは、これは合同委員会によってつくられましたいわゆる外交文書でございまして、これを全部、全文公表するということは、外交文書でございます以上、それはできないわけでございますが、その中で、いわゆる基地の使用によって周辺の住民に非常に影響のあるいわゆる基地の使用体系というものにつきましては、これは全部公表してございます。
  187. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、だからね、発表はあっても、それが全部でないと、それぞれの基地についても。だから、恐らく、米軍が地位協定の五条二項、ここにうたわれている以外の行動ですね、公道を公然と武装して演習をやっている、そういうことができるんだということをアメリカ軍は恐らく考えてやっていると思うんですよ、その疑いが非常に濃厚です。これはもっと全文を公表してほしいと思うんです。同じ外交文書であなた方は部分的には公表しているわけだ。いままで公表しなかった部分です、これについても公表すべきだと思う。どうですか。
  188. 北村汎

    説明員(北村汎君) いま、私、手元に資料を持っておりませんので、その公表していない部分というものは、これは基地の使用とか、あるいはその周辺の住民に影響があるというような部分では全然なくて、いわゆる外交文書としての形式であるとか内容であるとかということであって、それはこういういま先生が問題としておられるような問題とは関係のない部分でございまして、関係のある部分は全部公表しております。で、いま御指摘がございましたように、たとえば実弾射撃というものがある基地で行われるという場合、その基地において実弾射撃ができるのかどうかということはそのメモの中に書いてあって、それは公表してございます。  で、いまの行軍の問題は、これは基地の外で行われておる問題で、ですから五条二項の移動に当たるかどうかという先生の御指摘に対して、私ども、いまアメリカの方の意向をよく調査して、それに対してある判定を下した上で、しかるべき措置をとりたい、こう考えておるわけでございます。
  189. 渡辺武

    ○渡辺武君 この問題は、また改めてやりたいと思います。  次に移りますが、五月二日の日に起きた金武村伊芸区に落ちた八インチ砲弾の破片の落下事件ですけれども、きのう防衛施設庁が「沖繩高速道路伊芸サービスエリアにおける砲弾破片の落下について」という文書を発表いたしました。時間がないので端的に聞きますけれども、この施設庁の調査によりますと、この砲弾の破片、これは米軍の八インチ砲弾のものだということは明らかになったわけですか。
  190. 千秋健

    説明員(千秋健君) お答えいたします。  私ども調査でも、これは米軍の八インチ砲弾の破片であるということは確認しております。
  191. 渡辺武

    ○渡辺武君 この発表文の中に補足説明がありますね。この補足説明の中の(三)ですね、「痕跡調査」という項目がありますが、ここを読んでみますと「破片の落下痕跡は、東北東方向から西南西方向に約二十一メートルのほぼ直線上に這ったことをうかがわせる二十二個の痕跡であって、その間隔、形状等からみて破片は低い入射角で落下したものであり、かつ、それから飛来方向が推定されるような痕跡であることが認められた。」というふうに述べていますね。  私ども、あの事件が起こった直後に、アメリカ大使館に抗議に行ったんですよ。そうしたら、アメリカ大使館では、これが八インチ砲の破片だということは認めながらも、いやあそこには言ってみればくず鉄屋さんなどがいて、砲弾の破片なんかも幾らでも持ち出すというようなことも言っていました。いまあなた方の補足説明の中にあるこの説明ですね、これによりますと、くず鉄屋さんが破片を持ち出して、そうしておっことしていったというふうに理解できますか、どうですか。
  192. 千秋健

    説明員(千秋健君) 私ども調査では、これはまず別な面から米軍の演習による破片の落下というふうに結びつけるには相当無理があるという判断をしておりますが、いまのこの痕跡調査の面から見ますと、そこにやはり何らかの方法でこの破片が飛来してきた、それでこういう痕跡を残しておるということは認められますので、たまたまそこの場所で物を落としたといいますか車でその場で落としたというような形のものではないということは言えるかと思います。
  193. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、とにかくアメリカ軍しか使わないんですね、アメリカ軍の砲弾の破片。しかも低い入射角で入ってきて、おっこちて、そうして二十二メートルも痕跡を残している。どっかに破弾がおっこって、そうしてそのはね返りでその破片が低い入射角できて、そしてその勢いでずうっと二十二メートルも道路に痕跡を残した。われわれ素人がこれを率直に読んでも、そうとしか考えられない。  原因はどこにあったんですか。砲弾がおっこちた、その破片が飛んだ。あなた方の補足説明では、その破片が低い入射角で入ってきている。それで廃品回収業者が捨てたものじゃない、そうとは理解できないという答弁なんです。原因はどこにあるんですか、なぜこんなことが起こったか。
  194. 千秋健

    説明員(千秋健君) 私ども調査は、まさしく先生がいまおっしゃいましたような観点、つまり砲弾が落下して、そこで破裂しまして破片を飛ばしたんじゃないかという観点から調査したわけでございます。  ところが、これは私どもの防衛庁の技術研究本部にあります弾道計算、そういう計算の専門家、こういう者から見まして、破片の飛散する最大飛距離というものが物理的に出てまいります。その最大飛距離を半径とした範囲内にそういう砲弾が破裂した跡がない。そうしますと、やはりこれは砲弾が当日射撃され、着弾して破裂して破片をここに飛ばしたということと判断するのは無理であるということを私どもは述べておるわけでございます。それ以上、これがどういう方法で、ここにその破片が飛来したかということまでの調査は私どもはやっておりません。
  195. 渡辺武

    ○渡辺武君 まことに摩詞不思議な答弁だね。そうでしょう、どっかで砲弾が爆発して、低い入射角で飛んできたとしか考えられないような事実がわかったわけだ。ところが、その原因がわからないと。しかもね、そのわからないという根拠は何かといったら、理論的に計算したらそうだと。そんなばかなことで県民は納得しますか。幽霊でも出たわけじゃない。あなた方が現に現地へ行って調べて、低い入射角で飛んできて、二十二メートルも道路に痕跡を残して、大きな破片があったわけでしょう。何が原因でそういうことになったのか、そこを調べるのがあなた方の目的じゃないですか。そうしてその原因を取り除く適切な策を講じること、これがあなた方の任務だと思うんですよ。  それを何ですか、原因もわからないのに、あなた方のこの調査報告ですと、現在までのところでは、米軍の当日の砲撃による砲弾破片の飛来と推測するには相当の無理があることが明らかになった、まだ原因もわからないのに、何でこんな結論が出るんですか。軽率な結論もはなはだしいじゃないですか、どうですか。
  196. 千秋健

    説明員(千秋健君) まず、ただいまの先生の御指摘でございますが、この落下痕跡から見て、低い入射角で破片が飛んできた、しかし、その前提として、これが砲弾の破裂で低い入射角で飛んできたかということは私どもは申しておりません。それで、むしろ、この昨日の報告書の中にもありますが、破弾が破裂して、ある程度その破片が飛散する場合、その落下角はこの痕跡と残されております入射角と整合しないということをこの調査では述べております。  それで、私どもは、まず、この調査でございますが、これは基本的には、米軍が当初五月九日でございますか、これは米軍のあれじゃないという回答を出したわけでございますが、それについて十分周辺住民を納得させるような回答でないという観点から、われわれもやはり調べてみなきゃいかぬということで調べた結果でございまして、犯人捜しといいますか、そういう面でやったわけじゃございませんので、米軍が発表した回答、それに対して米軍の行為じゃないかということを疑った上で、われわれはいろいろやってみたわけでございます。その結果、これはやっぱり米軍の演習によるものというふうに結びつけるには非常に無理があるということがわかったということを発表したわけでございます。
  197. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一問。
  198. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 時間が過ぎています。
  199. 渡辺武

    ○渡辺武君 当時、この砲弾の破片の落ちたところの近所の人たちは、鈍い爆発音を聞いたということも言っているわけですよ、これは恐らく事実だろうと思う。ですからね、何らかの原因があって、低い人射角で米軍の八インチ砲の破片が飛んできた。その原因が何かということを明らかにしなければ、対策も講じられないでしょう。その原因も明らかになっていないのに、米軍の当日の砲撃による砲弾破片の飛来と推測するのは無理だ、そんな結論を出して、うやむやにしようというのは県民の納得するところでないですよ。こんなばかなことを国がよくも責任を持って発表したなと思います、私は。  もう一回調べてほしい。そうでなければね、県民の安全を保障することはできないですよ。いまあんた照明弾なんか燃えながら住宅地域の近くにもおっこって電信柱まで燃やしている、そんな状態が相次いで起こっているでしょう。この問題について、もう一回原因をしっかりと調査して、そして二度と再びこういうことが起こらないように保証してほしい。少なくとも、この原因が明らかになるまで、アメリカ軍に、こういう長距離砲の演習などは一切やらないように申し入れるべきだと思うが、どうですか。
  200. 千秋健

    説明員(千秋健君) 私どもとしましては、そういう観点からこの調査をやりまして、現在われわれとして考えられる調査をすべて実施した結果、米軍の演習による被害と推測するには無理があるということを出したわけでございまして、現在まだ地元、県当局並びに警察の方でも御調査されているようでございますから、私どもとしましては、現段階の調査としてこういうことを申し上げておりますので、また、いずれその方の調査結果等も聞きまして、検討いたしたいと思います。
  201. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま沖繩に起こっておる問題について、また夫解決の問題について、多くの方々から質疑が交わされたわけですが、私は、沖繩の現状は言うなれば極楽と地獄の抱き合わせだと、こう言うのであります。それで時間もわずかでありますので、特に地獄の沖繩という面から時間の範囲内で率直にお尋ねいたします。  それで、私は沖繩出身でありますから、くどくどおっしゃる必要はないと思いますので、できるだけ簡明に答えてください。そしてなお理解がいかなければ私が再質問をいたしますから、そのようにひとつ時間を有効に利用さしていただきたいことを初めに要望しておきます。  まず、沖繩においていままで起こったもろもろの地獄のさたに値する事件に対する政府対応の仕方がおそい、こういうことについては防衛施設庁はどのように考えておられますか。
  202. 千秋健

    説明員(千秋健君) ただいまの先生の御指摘は非常に抽象的でございますが、私ども、施設庁としましては、事故につきましては、これは絶対あってはならないものと思っておりますし、不幸にして事故が起きた場合には、直ちにそれに対して措置をやっておるつもりでございます。
  203. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 事、生命、財産、人権にかかわるもろもろの問題が多くありますことは御存じだと思います。それに対して一生懸命にやっておる、こうおっしゃるけれども、私たち沖繩の者の立場からしますというと、まことになまぬるい、おそい、手ぬるい、こう思います。  それで、開発庁長官も含めて、いま沖繩の問題が起こると日米協議委員会で一応持ち出される。これも月二回ですか、ところが、それでは追っつかないから、政府米軍現地の被害者代表の三者の協議会を早急に持とう、こういう動きがありますが、それに対して、長官、防衛施設庁はいかがお考えでしょうか。
  204. 多田欣二

    政府委員(多田欣二君) 私は知事さんからそういう御意見を聞きまして、現地で現に那覇の防衛施設局長、県知事米軍の司会官、三者間でどういう協議会をつくろうかという協議を現在やっております。ごく近いうちに第一回が開かれるのではないかということでございます。  私ども承知しております限りでは、この協議会では、三者が腹蔵のない意見を交換し合って、現地レベルで解決できるような問題はてきぱきと現地解決をしていこう、現地解決できない問題等についてはまた意見を上部に上げるというようなことで発足をするようでございます。このような協議会が現地にできまして、腹蔵のない意見が交換されるということになりますと、私どもの見る限り、現地レベルで解決できる問題もたくさんございますので、事故の防止その他一般の問題につきまして、大変結構な措置であろうというふうに思っております。
  205. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その三者協議会を持つことによって事件がさらに時間的には早く解決されていく、方向づけられていく、こう思うのですが、開発庁長官、その方向に促進していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  206. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま御指摘の中身というものが、日米安全保障に関する問題、中身としてはそういうものであろうかと思いますけれども、われわれ沖繩県民立場から、私ども開発庁が取り組んでおるそうした行政立場からも、そうしたことが実現いたしますことはまことにありがたいことだと思いますので、ぜひひとつそういう点で側面的な協力をさしていただこう、そういう考えであります。
  207. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 早目に御協力をお願いいたします。  次に、沖繩高速道路伊芸サービスエリアにおける砲弾破片の落下について、いまさっきも質問がありましたが、この報告を受けまして、私もまことに意外に思っておるわけでありますが、多くを申し上げません、納得がいかないということがまず一点。  それで、この調査をこれで打ち切られるつもりか、それともなお継続されるのであるか、それをまず聞きたい。
  208. 千秋健

    説明員(千秋健君) 私どもとしましては、現在考え得る調査をすべてやったつもりでおります。しかし、先ほども申しましたが、まだ県、警察の方も調査をされておりますので、いましばらくそちらの方の推移を見守りたいと思っております。
  209. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 なぜ私がそれをお尋ねするかと言いますと、この問題につきましては、百万県民を代表する県議会は臨時議会を開いて、しかも、いままで余り多くなかった全会一致の歩調をそろえて、しかも抗議するという、抗議という決議をされておることは、代表団が二、三日前来ましたから、了承しておられると思います。抗議するという形でやった例というのは余りないんですよ。  そうしてその抗議内容は、  一 事故の原因を徹底的に究明し、その責任の所在を明らかにすること。  二 砲座の全面点検を行い、住民地域に被害を与えるおそれのある砲座を撤去し、それが実現するまで一切の実弾射撃演習を中止すること。  三 演習等により生ずる被害については完全に補償すること。 これら三は当然のことであります。  全文は省きますが、このような怒りを込めて、しかも全会一致をして、しかも抗議という、こういう形で日本政府に迫ったことは恐らく初めてであると思いますよ。そのような県民のこの怒りに対して、なまぬるい。そしてこの回答からしましても、これではどうしても納得いきません。それで、このことについては、もう重々申し上げる必要もないと思いますが、そのつもりでひとつ日本政府も、また直接の担当庁も、腹を据えて県民の生命、財産を守ってもらわなければ大変なことになりますよ。その点いかがですか。
  210. 多田欣二

    政府委員(多田欣二君) 米軍は演習をするのが当然でございますけれども、ただいま先生がおっしゃいましたように、事故というものは絶対にあってはいけないというのが私ども立場でございます。事故がありますたびに米軍にはいろいろの措置を申し入れ、措置をしてまいりましたけれども、なかなか事故が絶無にならない。私どもにとりましても大変遺憾でございますが、今後とも、私ども、できるだけ米軍とも連絡をとりまして、事故の絶滅を期して努力をしていきたいというふうに存じております。
  211. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 砲座を撤去せよとか、その演習を中止せよということは、全会一致などいままでなかったというその背景は何かといいますと、あの伊芸部落に、今日まで、一、二回ならばあるいは操作を誤ったとか流れ弾だとか言えますけれども、私、直接行って、向こうの責任者に会って調べたこの表によりますと――この前、長官にも決算委員会で上げました、開発庁亀谷さんにもお上げしましたが、二十四回繰り返されていますよ。この事実は、二度と再び過ちを起こさないとか、そういう言葉で片づけられるものじゃないんです。この事実からしても、その根っこはそのままにしておいて、ただ、二度と起こさないとか、遺憾であったとかいうことでは、これは問題解決になりません。  だから、結局、このような過ちは起こるべくして起こったものでありますから、狭い沖繩で、しかもあの狭い地域では抜本的には基地を撤去、縮小することが大前提でありますが、次善の策としても、その砲座を適当な位置に撤去するというこのことについて申し入れてもらわなければいかぬと思いますが、いかがですか。
  212. 千秋健

    説明員(千秋健君) 私どもとしましても、その伊芸の部落におきまして過去のそういう事故の例、また伊芸区民が受けた不安、こういうことに基づきまして、米軍の砲撃演習による破片の飛散とすれば、これは重大な問題であると、だからこそ、われわれとしましても、これについていろいろ調査を実施したわけでございます。しかし、その結果、昨日発表しましたとおり、これが米軍の演習によるものとするには相当の無理があるという結論に現在なっております。しかし、この発表の最後にも書いてありますが、現実に伊芸区民が受けた不安は大きいものがありますので、米軍に対しては、演習に際して周辺住民の安全を今後とも強く配慮するよう申し入れるという次第であります。
  213. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 とにかく政府とされても、もっときちんと言うべきことは言い、米軍に対して少なくとも規定を守らせるというこの点は、強く、しかも速戦即決ということがありますとおり、やってもらわなければいけない。  あの県議団の代表団が皆さんに陳情に来ておる間に、また五月三十日「民家から百五十メートル一歩間違えば惨事に」「演習事故激増につのる怒り」と、照明弾が落下して電柱を燃やし尽くしておりますよ、あの代表団が沖繩から来たとき。だから、いつどこで何が起こるかわからぬというこの不安な異常な状態が地獄という沖繩の一面でありますよ。これも調査されましたでしょうか、どうですか。
  214. 千秋健

    説明員(千秋健君) 三十日の午前八時半から九時ごろの間に、確かに宜野座対漢那という、ハンセンの演習場の近くで、信号弾のからが発見され、またその近くで電信柱が二メートルほど燃えていたということは事実でございます。それでわれわれとしましては、これを連絡を受けまして、即刻米軍に対してこの事実調査を申し入れておりますが、また警察におきましても、この調査を現在実施しております。ただ、ここで発見されましたのは、煙を出す信号弾でございます。これで電信柱に果たして火がつくかという点を、現在、非常に警察の方でも疑問視しているというふうに聞いております。
  215. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 申し入れにもいろいろの態度やあるいは内容もあると思いますが、いずれにしてもきちんと守らせる、このことが目的でありますから、ぜひひとつそのつもりて――もう申し入れましたからという、こういう形で終わってもらっては、その被害はなくなりませんよ。その点を強く申し入れておきます。  次に、先ほど基地の内と外の問題も話がありましたが、その外枠でも、いわゆる県民地域の中でも、どんどんいろいろな形での演習が激増しておる。読谷高等学校の校庭に落下傘が、校庭にですよ、落ちてきたということを御存じですか。そうしてそれに対してどのような処置をとられたか。
  216. 多田欣二

    政府委員(多田欣二君) スカイダイビングクラブの会員が読谷の補助飛行場で降下訓練をしていました際に、操作を誤りまして読谷高校の校庭に降下をしたという事実が五月の二十六日にあったということはよく承知をいたしております。幸い被害等はなかったようでございますけれども、一歩誤れば重大な問題になるということもございますので、今後、このような事故を起こさないように、厳重に米軍に抗議をした次第でございます。
  217. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしてこの事件の後に、またこれもおとといのことですが、キギ畑に今度は落下して、そうしてそのサトウキビの根を惜しげもなく踏み荒らしておるということも農民の怒りを買っておるわけですが、このような行動は正規の手続をとってやっておる、このように認めておられますか、あるいはそういうことを抜きにして勝手にやっておる、こういうことですか、どうですか。
  218. 多田欣二

    政府委員(多田欣二君) 読谷補助飛行場と申しますのは、人員降下及び物資投下をするための訓練場として使用されておるわけでございます。で、その訓練場の中で米軍がその管理権に基づきまして農民の耕作を認めておる。  耕作を認める条件は、これは、復帰前、米軍がいわゆるライセンスというのを発行いたしまして、これは米軍の基地である、しかし支障のない範囲で耕作を認める。ただし米軍が必要な場合にはいつでも出ていく。出ていくについて一切補償は要求をしない。それから米軍の行為によっていろいろな損害を生じた場合にもその損害については一切請求をしない。こういう約束のもとに米軍が耕作を許可した。それが、復帰後、いわゆる米軍の三条の管理権の範囲内で続いておる、こういう実態でございまして、もともとは、そこは物資を投下する訓練場でございます。関係農民の方は、それを承知で、一切補償等は請求しませんという条件のもとに耕作をされている。したがって耕作料その他は一切米軍としても取っていないわけでございまして、そういう条件のもとに米軍は演習をしておる、こういうふうに私ども承知をしております。
  219. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 村当局の話によりますと、いわゆる通告の仕方にも問題がある、通告の仕方にもですね。何月何日にどういう演習をするということは事前にちゃんと通告をして了解を得るべきだと、これは当然でありましょう。ところが、村当局の話によりますと、一週間単位で継続的に通告を出されておる。だから、いつやるのか、それが予想できないわけなんですね、それだけ危険を伴うわけなんです。だから、そのことを事前通告をやるならば、何月何日何時から何時までと、これをきちんと通告を出すように、ぜひひとつ強く申し入れてもらいたいと思うが、いかがですか。
  220. 多田欣二

    政府委員(多田欣二君) ただいまおっしゃいますように、演習通告というのは、従来は確かにそういう形で行われております。その他のたとえばキャンプ・ハンセン、シュワブ等でも、従来は同様でございます。しかし、最近、施設局と米軍との間で話し合いまして、若干の改善がたとえばキャンプ・ハンセン等では行われておるようでございます。先ほどお話が出ました現地協議会等が発足をいたしますれば、それらの問題も一つのテーマになるんではないかというふうに考えております。
  221. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これはぜひひとつ守らしてください。これは危険予防という面からも、不安の解消という面からも、非常に大事なことなんです。  さらに、キビの根を踏み荒すということも、これは道義的にも、キビはつくらして実らしておいて、それを自分たちが演習するから踏みつぶしても構わぬというような、こういうことは道義的にも私は許されるべきことじゃないと思うんですけれども、このこともぜひひとつ問題に取り上げてもらいたい。そういうことのないように徹底さしてもらいたいと思うが、いかがですか。
  222. 多田欣二

    政府委員(多田欣二君) 読谷の補助飛行場は物資の投下訓練場でございます。本来ならば、その施設の中にはそういう耕作地のようなものがない方が望ましいわけでございます。そうすればそういう問題はないわけでございますが、復帰前のことでございますが、米軍としては沖繩県民の生活をできるだけ援助をしたいという気持ちから、支障のない範囲で耕作を認めるという措置をとったようでございます。ただし、投下訓練場でございますから、当然、そこに落下傘が落ちてくるというようなことはあり得る、そういうこを承知の上でひとつやってください、補償はいたしませんよと、そういう条件で許可をしたというふうに承知をしておりますので、その問題を抜本的に解消しようということになりますと、逆に、たとえば耕作をやめてもらいたいというような問題に発展しかねない問題でございますので、ここらのところは大変むずかしい問題で、私どもとしても、現在どうあるべきかということについて、ぼちぼち検討を始めているところではございますけれども、現段階では名案がないという実情でございます。
  223. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 むつかしい、むつかしいとおっしゃらんで、県民の立場に立って、要望すべきことはきちんと要望してもらいたいということを私は強く訴えたいわけなんです。  次に、騒音の問題に関連しまして、私は、去る予算委員会で、いわゆる嘉手納基地の防音装置と成田の防音装置と同じ条件、同じ状態ですかと聞いたら、そうだというお答えだったと思いますが、間違いありませんか。
  224. 多田欣二

    政府委員(多田欣二君) 成田の飛行場では、いわゆる全室防音という措置がとられております。全室防音と通称言っておりますが、一軒の家に対して最高五室だと思いましたが、それを防音装置するということで措置をされているというように承知しております。私どもが、嘉手納のみならず、全国で実施をしております住宅の防音装置と申しますのは、家族の人数にもよりますが、一世帯当たり一室あるいは二室ということで処置をしておりまして、そういう面では差異がございます。
  225. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこですよ、成田と沖繩の防音装置のやり方が違う。それをパーセントで比較されたんじゃこれはいけませんよ。四人以下は一室防音装置、五人以上は二室と。そうすると一室に閉じ込めるようなものでね。これは一つの軟禁するための措置としか言えない。ハウス全体が家族の住まう場所でありまして、なぜそのような差をつけるんですか、理由は何ですか。
  226. 多田欣二

    政府委員(多田欣二君) 運輸省におきましても全室防音をいままで実施をしておりましたのは、五十三年度以前では、実施しておりましたのは成田だけでございます。その他の民間空港については、運輸省さんも五十三年度までは私どもと同じように一室ないし二室ということでやってまいりました。しかし、運輸省さんは、その他の民間空港につきましても、昭和五十四年度からいわゆる成田方式、全室でやっていこう、こういう姿勢でございます。  私どもも、望むらくはそうありたいわけでございますが、実は、私どもの飛行場は軍用飛行場でございますが、軍用飛行場は、民間の空港と違いまして、いわゆる音源規制という措置が大変むずかしゆうございます。たとえば大型機にして便数を減らすとか、離陸着陸の方法を変えるとか、民間飛行場ではいろいろな音源対策というものができまして、それでどんどんいわゆる騒音環境基準の達成ということで成果を上げておられるわけです。ところが、軍用飛行場の場合には、そういう便数を減らすだとか大型化するというような、いわゆる音源対策をできるだけやっておりますけれども、大変むずかしゆうございます。その関係もございまして、私ども関係の住宅防音対象戸数というのは全国的に見ますと大変膨大なものになります。そういう関係もございまして、私どもといたしましては、将来的には何とか運輸省と同じように全室防音ということを図っていきたいわけでございますが、やはり乏しきを憂えず、等しからざるを憂うと申しますか、要するに全国にたくさんあります対象の家庭を全室防音という形でやってまいりますと、大変時間がかかります。したがいまして、とりあえず一室、二室、できるだけ早く範囲を広げまして、いわば数をこなすと申しますか、とりあえず一室、二室だけでも防音装置をして、その見通しがついた時点で全室化を順次図っていく、こういう方向で現在考えておりまして、昭和五十四年度には全室化の試験工事ということで若干の予算もとりましたので、嘉手納を含めまして全国の飛行場では何カ所か試験工事をいたします。その成果を見ました上で、今後、適切に処置をしていきたい、このように考えております。
  227. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 やるべきその施設が多い、ところが予算は少ない、そういう場合に重点的にやっていくこと、これは常識であるはずです。それを全国にばらまくということは、これは言い方によっては悪平等にしかすぎない。その質において、沖繩のあの基地周辺の爆音の質、政府調査されたでしょう、県も一カ年の年間の統計が出ていますよ。これから見ましても、人間が正常に生活する環境でないということはおわかりでしょう。だからそういうところを優先してやる。あの砂辺の部落の方なんかも、字ぐるみもう移動する以外にないのかということで、このごろ悲鳴を上げておりますよ。それを理解してもらわなければいけない。で時間もありませんので、ひとつぜひこれを早急に解決して、被害度の強いものから優先的に解決してもらう、これが本当の政治ですよ。悪平等では困りますよ。返事は要りません。  最後に、尖閣列島の問題について、まとめてお尋ねします。  五月二十八日から調査団が行って調査を始めておりますが、問題を幾つか挙げますから、一つ一つだと時間が来たようでありますので、まず第一、その調査目的は何か。第二、調査内容はどういうものか。第三、調査の結果は公表されるのかされないのか。四番、いつまでにどのような方法で公表されるのか。五番、今後、どのような措置をとられるのか、たとえばヘリポートを常置するのか、あるいは避難港としてのいま問題もあるわけなんですが、今後、どのような施設をつくるのであるか、このことについてひとつ簡明に答えていただきたい、いいですか。
  228. 亀谷礼次

    政府委員亀谷礼次君) 今回の尖閣諸島調査につきましては、先ほどもお答えをしたところでございますが、尖閣諸島自然的地理的条件を把握するとともに、同諸島の利用開発の可能性を探ることを目的として実施したものでございまして、具体的内容としましては、気象観測のための自動気象計を設置し、地質調査、生物・植物調査、地下水調査、地形図の作成、同周辺海域の水深と海流調査等を行っておるわけでございます。  また、この調査の結果につきましては、中の部分的なたとえば自動気象計による観測等は年間を通じて行う等の問題もございまして、今回の調査をできるだけ合理的に行っておりますけれども、この結果のまとまりにつきましては、中間の段階でできるだけ早く取りまとめたいと思っておりますので、その中間の段階において取りまとめができました段階では、必要な内容につきまして公表することも考えておるところでございます。  なお、これらの調査の結果に基づきまして、この調査があくまで沖繩におきますこの諸島周辺の開発可能性の調査でございますから、これらの調査の結果を踏まえまして、沖繩振興開発に資するよう、その段階で改めて検討を進めてまいる所存でございます。  それから、現在の施設を取り壊すかどうかというお尋ねでございますが、調査目的で設置しておるわけでございますので、これらの調査目的を達した段階においては、いずれもこれらのものを撤去する予定でございます。
  229. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後に一言、長官にお尋ねします。  私は、この問題をめぐってかつて国際紛争の火種にならなければいいがと、こう心配したこともございまして、それを述べたこともございます。日中平和友好条約の鄧小平・園田外務大臣話し合いの中でも、何かそれに触れたくないような、避けたいような、子孫に任せるとか、こういった含みがあって、特に沖繩県民としては非常にすっきりしない面があったわけなんです。このたびも、何か政府内に意見の一致が事前にとられてないんじゃないか、こういう感触も受けるわけでありますが、そのようなことについて、長官、どのようにお考えですか。そうして今後尖閣列島問題に対してはどういう態度をおとりになるおつもりなのですか、以上お聞きしまして終わります。
  230. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) まず、第一点について申し上げますが、昨年の概算要求のときから始まったことでございます。したがって関係省庁との連絡というのは、私は顧みて、きわめて緊密な連絡のもとに、先ほど局長がお答えいたしましたように、実施を進めてまいったということでございます。いままた調査を進めておるということでございます。  次には、このことについてどう持っていこうとしておるかということでございますが、先ほど申し上げましたように、予定の調査が終わりますれば、速やかにこの調査の結果を検討いたしまして地域開発に資したい、そういう考えでおるわけでございます。特に外交的に一つの問題として取り上げられたことは、これ自身、私ども日中の平和友好についてはあくまでもその努力を払わなければならぬことでございまするので、適宜な処置を外務省におかれてもなしていただけるものだと、そう考えておるところでございます。
  231. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 本件に対する質疑は、本日は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会