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1979-05-24 第87回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月二十四日(木曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     川村 清一君  五月十一日     辞任         補欠選任      川村 清一君     青木 薪次君  五月二十四日     辞任         補欠選任      石破 二朗君     降矢 敬義君      井上 吉夫君     中村 啓一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長                 三木 忠雄君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 青木 薪次君                 太田 淳夫君     委 員                 伊江 朝雄君                 江藤  智君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                 中村 啓一君                 降矢 敬義君                 山本 富雄君                 穐山  篤君                 瀬谷 英行君                 広田 幸一君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    国務大臣        運 輸 大 臣  森山 欽司君    政府委員        運輸大臣官房長  中村 四郎君        運輸省海運局長  真島  健君        運輸省海運局次        長        妹尾 弘人君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省船員局長  向井  清君        海上保安庁長官  高橋 壽夫君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        大蔵省主計局主        計官       小粥 正巳君        通商産業省貿易        局輸出課長    松田 岩夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、本委員会理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事青木薪次君を指名いたします。     —————————————
  4. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 本法案につきましてまず大臣に御質問申し上げたいと思うのでありますが、わが日本海運にとりまして、国際競争力のある日本船舶をいかに維持し確保していくかが企業存続のためにも雇用安定のためにも最大の課題であるという意見が外航海運界の定説となっているわけでありますが、この法案利子補給によりまして、船主実質負担金利が開銀においては二・五五%ときわめて有利になるわけであります。こういう措置を講ずるに至った背景について、大臣のまず御所見をお伺いいたしたいと思います。
  6. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 御承知のとおり、外国用船が現段階において半ばを超えておるというような現状でございますが、わが国四海海に囲まれて、海外から物資を運んでこなければならぬわけでありまして、そういう使命を持っておるわが国海運という場合に、やはり日本船のシェアを大きくしていくということが私どもは必要であるというふうに考えているわけであります。それがためには、最近の海運界不況等によって造船意欲低下をしておりますから、この造船意欲を向上をさせるということが一つの目的であります。いま一つは、わが国造船界現状からいたしまして、少しでも造船量をふやしていくという観点もあることは否定はできないと思います。  さらに、基本的には、やはり国際競争力ある日本商船隊という考え方からいたしますと、わが国船価はおおむね諸外国先進諸国と肩を並べるぐらいにいっておるわけでございますが、少しでも船価低減を図って、率直に言って船員費はそれらの国に比べて高いわけでございますから、したがって、この船員費の高い分の若干をやはりこの船価低下によってこれを図る、要するに運航コスト低下というものによりまして国際競争力を強化していこうと、こういう趣旨でございます。
  7. 青木薪次

    青木薪次君 大臣、端的に言えば、低運賃にたえ得る企業体質をひとつつくっていこうと、それから低コスト競争にたえることのできる日本海運への転換ということでないかと私は思うんです、いろいろ言ってもですね。  で、五十三年六月に海造審運輸大臣諮問機関といたしまして、その部会小委員会の中で今後の外航海運長期政策諮問に答えて報告書をまとめているんです。日本船拡大するというこれまでの外航海運政策転換して、今後は必要最低限日本船維持するという政策をとるべきである。その規模昭和五十五年において五十二年規模の六千万重量トン程度とするということでありますけれども、これはもっと規模拡大ということはできないものなのかどうなのか、この点海運局長にお伺いしたい。
  8. 真島健

    政府委員真島健君) この小委員会報告でおっしゃるとおり、大体六千万重量トン程度とするのが適当であるということを書いてあるわけでございまして、この小委員会報告の基本的な考え方は、五十五年度までは、何と申しますか、日本海運企業全体の体力増強と、それから日本船最低規模維持という意味での調整期間と、こういうことを考えておるわけでございまして、現在の状況の中で世界貿易の全体の伸びその他も決して五十五年度までに従来より飛躍的に伸びるというようなこともないのではないだろうか、というようなことが前提となっておるわけでございまして、そういう背景世界貿易伸び、あるいは日本経済の全体の伸びというようなことが飛躍的に伸びるという見方は、やはり私どもといたしましても、現在がもうすでに昭和五十四年でございまして、五十五年というのはもう来年度でございます。そういう観点からいたしますと、やはり基本的には五十五年度と申しますか、五十年代前半、これはりというと言葉がおかしいのでございますけれども、現在の体制の中でできるだけ日本船が減っていくことを歯どめをかけながら企業体力を養っていくと、そこで日本経済あるいは世界経済伸び状況を見ながら必要とあらば増強に転じていくと、こういうことではないかと存じます。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 日本経済は四十八年、四十九年以降において相当沈滞をしたわけでありますが、この四年有半危機に見舞われたというようなことが言われているわけでありますが、その原因については端的に言って四十八年のオイルショック、そのことが一番大きいことで、構造不況というような問題でいろいろ表明されているわけでありますが、昭和三十年代、四十年代と高度成長下におけるものすごい過剰投資が行われたわけですよね。海運業界等においては特にその点が言えると思うんです。これはいま日本経済の問題がいろいろ云々されて、それに追いつく輸送体制海上輸送体制を整えるんだというお話があったわけでありますが、大体この危機に見舞われた原因というものについては、過剰生産による需給ギャップにあるんだというように私は見ているわけでありますけれども、この点いかがですか。
  10. 真島健

    政府委員真島健君) 確かに現在の深刻な海運長期不況、これは直接的には石油ショック以来の世界貿易量伸びというものと比較いたしまして、世界船腹量相当伸びを二、三年の間、示したという状況があるわけでございます。  先生承知のとおり、外航海運の場合は日本経済だけを見ていてはなかなか全体の動きがわからないわけでございまして、世界的な動きの中で活動をするということでございますが、世界貿易量伸びは、御承知のとおり、石油ショック以降非常に伸び悩んでおりまして、五十三年度にわずかに伸びを示しておるというような形でございますが、片方、世界船腹量、特にタンカーにつきましては四十九年以降も相当伸びを示しておる。これはすでに発注をされました大型タンカーその他がなかなかキャンセルということもできずに建造かそのまま進んでしまったということで、船腹量過剰状況ということが非常に顕在化をしてまいった。特に石油ショック以来の全体の石油輸送量世界伸びというものは、従来考えておりましたような伸びとはさま変わりをいたしまして、非常に伸びない。そういう状況が追い打ちをかけまして、特にタンカー部門において非常に深刻な不況を呈しておると、これは事実であると思います。そういう意味日本だけではございませんで、世界全体の海運界の見通しというものが、その点で結果的には正しくはなかった、こういうことが原因になっておるかと思います。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 日本海運も先ほど申し上げたように、三十年代後半から四十年代にかけまして、日本経済高度成長を支える海上輸送部門として運航船腹拡大の一途をたどった。お話のとおりであります。一般産業生産力拡大とは違った特質を実は持っているものに、私はその中で外国用船というものがあると思うんでありますが、この点どう理解しておりますか。
  12. 真島健

    政府委員真島健君) 三十年代後半から四十年代、特に石油ショック前まで、この時代に御指摘のような形で計画造船、これが非常に大きな比重を占めて、日本海運増強整備に役立ったことは事実でございます。ただ、この計画造船自体、これは御承知のとおり、日本船がつくられてまいっておるわけでございます。しかし、その計画造船による相当量日本船増強、実ばこれを上回りまして日本経済自体成長をいたしたわけでございます。全体の世界貿易量伸び、これがさらに何と申しますか、相当大きかった。こういうことがございまして、相当計画造船日本船をつくったにもかかわらず、やはり外国用船というもの、これはどうしても日本全体を取り巻く市場、これは世界貿易量の約二割を占めておるわけでございますけれども、この二割の部分というものがとても日本船だけでは賄い切れない。また海運企業の経営のやり方といたしましてある程度外国用船というものはこれは絶対に必要なものでございます。  そういう意味で、先生承知のとおり、四十五年当時、外国用船日本商船隊の中で二五、六%という比重を占めておったわけでございまして、当時の外国用船の姿というものが果たして妥当であったかどうか、これはまたいろいろ議論があるかと思いますけれども、問題はその後におきまして四十五年以降四十六年、スミソニアンショック、さらに石油ショックという状況を通じまして外国用船比率が非常に高まってきた、これが非常に大きな問題であろうかと思います。  そこで、海造審の小委員会報告でも外国用船の五十二年度の状況をながめながらこれ以上外国用船比率がどんどん高まっていくということは問題であるという指摘をしておると存じております。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 とりわけ低廉な発展途上国船員配乗の便宜置籍用船の急増という問題があると思うんです。一般産業が少なくとも日本人労働者の職業、職域として設備拡大を図ってきたのに対しまして、海運の場合においては日本人労働者職域縮小と、もちろん当初は需要増の中で相対的なものであったわけでありますけれども、こういうものに伴う拡大であったというところに問題があると思うんです。すでにリベリアとかパナマ等のこういう船籍を持った二つの大きな便宜置籍国の問題が取り上げられております。これは外国用船中の六〇%を占めております。その後も着実にその比重を増しながら、五十二年は代表的な便宜置籍国として七〇%ないし八〇%を占めている、こういう問題を持っているわけでありますが、この現実を海運局長、どう理解しておりますか。
  14. 真島健

    政府委員真島健君) 便宜置籍船増加、特に日本海運その他におきましてそういう便宜置籍船外国用船として使っていく、しかもその比率が年々高まってきておる、こういう状況をどう見るかという御質問かと存じます。  この便宜置籍船問題を考えます場合に、私が先ほど申し上げました外国用船最低限度必要性、これは便宜置籍船といいますか、その他外国の船を雇うということで賄わざるを得ないわけでございますが、最低日本海運におきます外国用船増加の中には、単純な便宜置籍船外国用船という形とは若干違いまして、いわゆる支配外国用船という形——日本海運船社資金手当その他は日本船社としていたしまして、日本造船所で船をつくる、そこまでは日本船と同じような形をとるわけでございますけれども、でき上がります船は外国法人を設立いたしまして、その法人所有とする。したがいまして、船籍としては外国籍になる。しかし、資金的あるいは外国法人との資本的な系列、そういう関係から単純な外国用船よりは非常に日本船社支配力が強い外国用船、こういう形、これがふえてきておること、これが非常にやはり問題点であると私は存じています。  何ゆえにそういう支配外国用船というものが四十五、六年以降にふえてまいったか、これは海造審の小委員会報告でも指摘しておりますように、日本船国際競争力の弱化と申しますか、弱くなった、その原因の非常に大きな一つの問題といたしまして、船員費の問題があるということが指摘されておりますけれども、まさにこの理由によりまして本来でございますと日本船としてつくってしかるべき船舶相当部分が、船員費高騰を何とか免れるということのために支配外国用船に形が移っていっておる。このこと自体私は決して望ましい傾向だと思ってはおりません。  ただ、海運企業の側の立場から見ますると、やはり船をつくるあるいは用船をするということは、荷主がその船を使ってくれるかくれないか、これが基本的なポイントでございまして、どうしてもコストの高い船につきましては荷主が使ってくれないわけでございます。そういう意味ではなりふり構わず何とかコストを下げて競争力のある船を用船しあるいは建造していくということにならざるを得ないということがたまたま現在のような状況を巻き起こしておる、このように考えておりますが、私どもしかし、それは海運企業ビヘービアとしては背に腹はかえられないということかもしれない、しかし、海造審報告にも示されておりますように、今後の日本船維持確保ということは、やはり日本海運全体が日本経済に対して持つ役割りその他を果たすために必要であろう、こういう報告指摘でもございます。そこで、どうしたら仕組み船という支配外国用船という形での建造から日本船建造へと日本海運の行動が変わっていくか、これを考えたわけでございます。その一つの方法が利子補給という形によりまして思い切って金利低減する、それとともに労使双方ができるだけ船員費全体の低減を力を合わせて図っていく、この二本立てによりまして、今後日本船が必要な場合に、支配外国用船でなくて日本船がつくられていくだろう、こういうことを考えまして、今回、いま御審議をいただいておりますような利子補給制度復活をいたしまして、日本海運の中での日本船低落傾向にとりあえず緊急整備計画として歯どめをかけていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 海運局資料によりますと、昭和四十二年に日本船外航船主団体の配乗隻数九百三十一隻、これが六十八社です。このときに外国用船は六カ月以内の短期用船を含みまして二百五隻ということに実はなっているわけであります。この中でリベリア籍のものとパナマ籍のものとギリシャ籍のもの、これが合計して四十一隻という形になっております。これが五十二年になりますと日本船が何と九百三十一隻から七百七十六隻に減りました。それから、六十八社から七十五社にこれまた外航船主団体会社がふえているんです。このときに外国用船隻数は千百七十六社にまさに五倍以上に実はふえているんですね。そして、この中でリベリア籍のもの、パナマのもの、ギリシャのもの、これがリベリアが五百六十七、パナマが三百十五、ギリシャが八十五、合計九百六十七も実はあるわけであります。日本船の七百七十六に対してたったこの三つの国だけでも九百六十七まであるなんという状態は、これはきわめて異常な事態だと考えなければいかぬ。単なるこれはコストダウンにつながるからとかなんとかという問題だけで済まされないんじゃないかというように私は考えております。  そこで、海外への売船というような問題については、便宜置籍国を中心にいたしまして、四十四年から四十五年にかけて飛躍的にふえております。そして、これがいわゆるチャーターバック船主形態に結びついているんです。今日問題となっている仕組み船建造される素地としてペーパーカンパニーと言われるものを含みまして、海外にまた子会社の設立というものが表面に立ってきたのも、これまた四十四年から四十五年です。海造審海外におけるいわゆる海運資本海外進出という問題について、これを認知して答申にうたっておるんでありまするけれども海外への売船と無政府的とも言えるこの措置に私はもう取り返しのつかない行き過ぎがあったんだと、こういうふうに考えているわけでありますけれども海運局長いかに考えますか。
  16. 真島健

    政府委員真島健君) いまお示しの資料、私、海運局資料とおっしゃいましたが、恐らく外航船主団体からの資料かと存じます。詳しく実は見ておりませんで申しわけございませんが、御指摘のように隻数観点から申しますと、非常に外国用船がふえてまいっておることは御指摘のとおりかと思います。これは私ども考えますのに、この海造審の小委員会報告指摘されておりますような船員費の問題、これが外国用船に走らせる一つの大きな原因だということ、これはまた事実かと思います。そういたしますと、御承知のように、船型の大きな船、数万トンの船、あるいはVLCCといったような十五、六万トンの船、こういう船につきましては、実は資本費比重というものが相当大きいわけでございます。したがいまして、船員費相当高騰というものの響き方小型船ほど、資本費の小さい船ほど響きやすい、こういうことがあったと存じます。したがいまして、まず小型の一万トン前後、あるいはそれよりちょっと上といったようなそういう小型外航船から外国用船へとまず逃げていくと申しますか、切りかわっていくと申しますか、そういう形が必然的に出てきておるということかと存じます。いずれにいたしましても、そういう意味隻数の問題が非常にトン数の問題よりも大きく出てきておるということはおっしゃるとおりでございまして、私ども決してこういう状況が望ましいというふうに考えておるわけではないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、いままでの世界経済その他の中での国際的な競争場裏において海運企業がいろいろ苦心をしながらやってきた結果がそうなっておると、それでは私どもはやはり決して望ましい方向ではない、これをとにかくこの際転換をしていかなければならない、そういう意味を込めての利子補給制度復活ということで、いま御審議をお願いしておるわけでございます。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 まだ海運局長、歯に衣を着せて、私の質問に対して本質的な答弁をしてないというように思うんでありますから、もう一つ申し上げますけれども日本海運仕組み船規模体質は異常な規模に発展しているんですね。これは大臣もぜひ御認識をいただきたいと思うんでありますが、日本船会社ペーパーカンパニーを含めて、海外子会社に一船一社というのが多いんです。四十七年から四十八年ごろよりこれは急増いたしました。計画造船時代です。昭和五十三年三月末現在で中核六社の海外子会社は、連結、非連結決算子会社計で百七十社を実は数えているんです。中核体以外の外航海運企業海外子会社あるいは海外子会社子会社、いわゆる孫会社ですね、こういうものを含めますと膨大なものになって計算できないということが実は言われているわけでありますが、この実情を海運局長どういうように把握しておられますか。
  18. 真島健

    政府委員真島健君) 私ども実はその子会社状況、これは余り確実に把握をしておらないわけでありますけれども、いわゆる仕組み船と称せられる船舶、それから仕組み船とほとんど同じ形になるわけでございますけれどもチャーターバックという形で用船されておる船舶、これらの全体が約六百隻程度あるということは大体把握をしておるわけでございます。この六百隻のうちでいわゆる支配外国用船仕組み船というものがどのぐらいあるのかということでございますけれども、この仕組み船あるいは支配外国用船というものの定義によりまして非常にいろいろ変わってまいるわけでございますけれども船社支配力が非常に強い——これは海外にいわゆるペーパーカンパニーというようなものをつくりまして、資金的な問題その他すべて日本船社が賄いながらつくられて、そのペーパーカンパニー所有になった支配外国用船、これが最も、いわばほとんど日本船に近いような支配力が及んでおる支配外国用船になるわけでございます。そのほかに外国法人との合弁という形で外国法人に船をつくらせる。もう一つは、外国法人自体日本船社とある程度いろいろなネゴをしながら、日本船社影響力はそれほどではないけれども相当密接な関係を持って船がつくられていく。私どもいわゆるそういうものを支配力の強い順に完全仕組み合弁仕組みあるいは単純仕組みというふうに考えておるわけでございますが、これも私どももなかなか実態の把握がむずかしいのでございますけれども、六百隻のうちで二百隻程度というものはこの完全仕組みという形の相当支配力の強い船ではないだろうかと、このように考えております。こういうものは逃げ道という形かもしれませんけれども、できてまいる。仕組み船自体も数量的に現在のような大量な形でなければ、あるいは日本船の補完という形での機能を果たす意味で認めていっていいのかと思いますけれども、現在のような大量な姿、これは私どもやはり非常に問題がある。  今後そういう形が出てこないようにするにはどうしたらいいんだろうということでございますが、いずれにいたしましても、その場合には、完全仕組みのような日本船をつくりたいけれども、やはり国際競争力観点から船員費の圧迫に耐えかねるという形を何らかの形で解消してやらなければならぬ。その意味では利子補給という形をとり、ある程度金利補給をすることによりまして船社ビヘービアは変わってくる、私はそういう考え方を持っております。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 大臣にちょっと教えてもらいたいんですけれども、このごろですね、昭和五十四年度予算外航船舶建造融資利子補給に関する予算が組まれてから今日、興味深く株式面の大体銘柄をいろいろ見てるんです。そうするとですね、中にはこんなに不況海運業界が倍になったところもあるんですよ。この異常な状態というものについてはどういうように理解されておられますか。不況不況だと言っているんです。
  20. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 青木委員からのせっかくのお尋ねでございますが、私は株のことば余りわかりません。非常に投機的色彩もいろいろございますから、どういうふうに判断していいのかわかりませんが、しかしわが国海運業はこれはやはり自由経済のもとで国際海運市場で商売をしておるわけでございますから、成り立つようにやっていかなきゃならない。そういう意味で、昭和四十五年日本船七五%、外国船二五%、その比率がいまや半々になりましたですね。これが非常に大きな問題点であろうと、こういうふうに思うわけでありますが、商売で成り立っていくようにということであり、また赤字が出たからといって国がダイレクトに穴埋めをするというわけにはまいりませんですから、したがって、そういう自由経済のたてまえを尊重しつつこういう行き方というものが行き過ぎた場合に、それに対してこれを好ましい方向に誘導していくということであろうかと思います。  先ほど来海運局長が累次にわたってお話をしておりますように、このままの傾向でいけば外国用船の方が日本船を凌駕するというような傾向になることを防ぐために、国際競争力のある日本船舶建造計画造船百万トン、その中で七十万トン程度に対して利子補給をして国際競争力を持たせる、すなわち、運航コストの中における船価低下によって、そしてそれがその低下した部分について船員費高騰部分を補い、また船員費高騰部分についてこの船員の数の配置等について、これを合理化して国際競争力をつけていこうということで、当面の海運政策のめどといたしておるわけでございますから、そういう方向でこれを実施に移していくということは、今日の段階において十分かどうか知りませんけれども一つの方向を踏み出したものと、こういうふうに私は考えております。  それが海運会社の株価の方にどういう関係があるかということは私も定かに——株のことはなかなかこれは国会で議論しましても、株というのは非常に投機がありますからね。そして投機資金がどれぐらいあるかということによって決まるわけでございますから、どうも的確な御返事をその点について申し上げることは遺憾ながら私の力の外の問題である、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 いまこういう問題が、何といいますか、株式取引の中における七不思議だと、こういうふうに実は言われているわけであります。確かに五月から〇・五%公定歩合が上がったわけですね。その中においていわゆる過剰流動性というものをどういうように捕促していくのか、規制をしていくかといったような問題等も実は加わっていると思うんですが、私は、いま大臣のおっしゃたように、日本船国際競争力低下したから利子補給をするんだということで建造意欲を増進させようということだと思うんでありますが、競争力低下原因というものがいわゆる円高という問題に相当ウエートが置かれたことは、これは事実だと思うんです。そうすると、海運局長もうなづいていらっしゃいますように、この円高という問題は何も外航海運だけがその被害をこうむったわけじゃないんです。特に最近、円高傾向というものが相当出てきているわけですよ。だからその意味では、私は、利子補給をする根本的理由というもの、特に外航船舶等の建造について二・五五%なんという破格的な利子補給をする根拠というものについて、海運局長、もう一度ひとつおっしゃってください。
  22. 真島健

    政府委員真島健君) おっしゃるとおり、船員費が高くなって国際競争力が落ちたということの中に、円高という問題、これは相当比重を占めておるということは、これは海運だけでなくて他の産業、これも全部同じ状況下にあったと、このように考えます。しかしながら、外航海運の収入、これはドル建てでございます。ところがコストは円建てであるという意味で、非常に大きな影響を受けたわけでございます。その意味では国内産業全般とは多少その辺のニュアンスは違っておるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもこの円高の問題、これを海運企業の責任に帰しまして、それでどうこうと言うつもりはございません。ただ、円高について海運産業以外の各企業も含めましていろいろな努力をいたしてまいっておるわけでございます。私どもはそういう企業自身が従業員とともども努力をするということは、これは海運企業としても当然やるべき問題でございます。そういう意味では、海造審報告にもございますように、船員費の問題について、中心的な課題としては労使が一生懸命やりなさいということでございまして、その部分について私どもがいろいろ何か言うということは差し控えるべきだと思っております。しかしながら、全体の競争力低下の中で、この部分が円高で打撃を受けた部分であろう、この部分がその他の影響であろうかというふうに区別することもなかなかむずかしいわけでございます。そういう意味では、全体としての今回お願いをいたしております利子補給の率が、非常に海運について他の産業よりも手厚いんではないかというふうには考えておらないわけでございます。  私どもは、今度の利子補給をやりましても、なかなか日本海運全体の立て直しというのは簡単なことではない。これには海造審の小委員会報告にありますような、労使の非常な前向きの努力というものが一緒にならなければ、全体としての将来の立て直しというのは非常にむずかしいんではないだろうか。そういう意味で、今後の労使の努力、利子補給、この二本立てで初めて日本海運というものが、日本船をつくりながら何とか現在規模維持していくということが可能になってくるんではないだろうか、このように考えております。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、日本船国際競争力低下についてちょっと質問したいと思うんでありますが、資料によりますと、船種別、船型別に日本船を一〇〇とした場合の外国船との比較が示されているわけでありますが、海造審に提出された運輸省海運局及び船主協会の国際競争力比較資料は、おおむね発展途上国の資料だと思うんでありますが、先進海運国との比較も行うべきだとこう思いますけれども、いかがですか。
  24. 真島健

    政府委員真島健君) 先ほど先生から便宜置籍船リベリア関係その他非常に大量なものになっておる、世界的に見てもリベリア船舶保有量は世界一であります。したがいまして、私ども国際競争力というものを考えます場合に、やはり一番、一番と申しますか、競争力相当強い外国船、これを目標にして物を考えるべきではないだろうかということで、この資料につきましては、いま御指摘のような韓国の船員を乗せたような船舶との競争力の比較というものをやっておるわけでございます。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 大臣やっぱり東京サミットも行われることでありますし、この間、園田外務大臣がイギリスの女性総理に話をしたところが、日本は経済のことばかり考えちゃだめだというようなことを言われたそうです。で、もう少しヨーロッパのことも考えてくれと、それからある主要国は、日本の人たちはうさぎ小屋に住んで気違いのように働いているということを言っているわけでありますが、何も韓国や台湾やパナマやいわゆる東南アジアの開発途上国の船員のことばかり参考にしなくてもいいじゃないか、こういうように思うんですけれども大臣いかがですか。
  26. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 世界的に見た国際競争力ということでありますから、先進国の方も考えてやらなきゃいかぬということはたしかだと思います。しかし、実際動いている船は先進国籍の船だけではなくて、先ほど来お話ありましたような国々の船も相当動いておりまして、それが国際的に競争して商売にならなきゃ実際問題として困るわけでありますからね。したがって、どうしても商売になるようなやり方でしなきゃならぬということで、昭和四十五年に七五%が日本船であったものがいまや半分ぐらいに落ちてしまったということであろう、こういうふうに思うんです。  そういうふうに、本来ならもう少し日本船の割合が多くあるべきだということと、現実に商売の上で日本船比率低下してきたという現実と両方考えて、その現実をいまの自由経済あるいは国際経済の中でどこまで生かしていけるかということでありますから、私は、半分をまさに少し切ったのかもしれません。外国用船が切っているのではないかと思いますから、この機会に国際競争力のある日本船をつくってこれに対処していくということでなければならない、こういうふうに思っております。  で、船価の問題もさることでありますが、やはり船員費の問題がその際非常に大きいことは事実でございまして、数字的には後ほど事務方から御報告いたしますが、昭和五十三年度の国際運輸労連が国際的な一つの目安として公表している基本給の比較によりますと、職員については日本の場合を一〇〇といたしますと全世界的には一二〇、それから極東関係では八六、それから部員の場合には、わが国の場合を一〇〇といたしますと全世界的には八五、極東関係では六一ということでありまして非常に割り高になっておりますから、船員費というものがわが国の場合これだけ割り高になっておりますと、国際競争力の上で大きな影響があるということは、こういう数値を見ても考えられるわけでございます。しかし、それは現実でありますから、これが職員にいたしましても部員にいたしましても、船員費がもう少し高くなっていくことを抑えることができればいいわけでありますが、これは御承知のような事情でそういうことは不可能であります。したがって、その現実は現実として認めて国際競争力をつけていくということになれば、一つ船価低下であります。できるだけ安く船をつくるということであり、そのつくった船に乗り込む人の数をいままでよりはこれを合理化して船員費低下を図る、両面相まって国際競争力維持していくということになろうかと思うのであります。  で、その際の国際競争力の相手はだれだと、もう少し先進諸国を相手ということかもしれませんが、その先進諸国自体がもういまや非常に困っておるという状況でありますし、世界海運界は先ほどお話になっておりますような実情でございますから、その実情に合った対策を講じていかなければならない、しかも日本海運業界は私企業でございまして、やっぱりそろばんが合う、商売になるということでなければならないわけでございまして、遺憾ながら、そういう言葉を使うことは適当でありませんが、親方日の丸で後は何とかなるというふうな仕組みになっておりませんものですから、やはりこの段階において従来の趨勢必ずしもこれ好ましくないわけで、外国用船比率日本船比率を凌駕しようとしている今日の情勢は好ましいものでございませんから、先ほど海運局長が申しましたように、これに歯どめをかけるべく今回の利子補給制度によって、はたまたその利子補給制度の運用によって国際競争力ある日本商船隊維持していこう、こういうことでございます。  それで十分かと言えば、私は必ずしも十分じゃないと思います。たとえば、利子補給の二・五ないし三・五という比率にいたしましても、当初はもう少し低い比率を考えて実現しようとしたわけでありますが、これでも日本のこの種の比率としては一番低い比率になっておるということで今回は二・五ないし三・五ということになったわけでありまして、これによって船価低下を図り、あるいはできてくる船をできるだけ合理化することによって日本商船隊が縮小することを防ぎ、日本商船の船員の職場を確保していきたいということで今度の法案に相なったわけでありますから、どうかひとつ、おっしゃられる意味もわからぬことはない、また、あるべき姿というのはいろいろお話があると思いますが、現実にわが国海運界が直面している事態というものを考えますと、やはりこういう行き方で当面対処していくことが一つの方向である、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 私は、これ少し詰めてまいりたいと実は思っておったんですが、時間がなくて、賛成法案ですから、余りやっちゃうと反対しなければならなくなってしまうのでこの程度にしておきたいと思うんでありますが、海上保安庁長官がお見えになっておりますけれども日本海運は、貿易物資の安定輸送に緊急事態が発生した場合の経済的安全保障の確保云々と、こういうように海造審は答申いたしているわけでありますが、この緊急事態というものについて、海上保安庁も東南アジアとかヨーロッパまで行きますと、やれ日本の海上保安庁は帝国主義勢力かなんということになってもいけませんから、そういうことを私は別に言っているわけじゃございませんけれども、緊急事態というものについての解釈がシージャックを含むのか、戦争は含まれるのか、あるいはまた台風等による航行安全のための指示あるいはまた警備、保安といったようなものが含まれるのかどうか、これひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。
  28. 高橋壽夫

    政府委員(高橋壽夫君) 海造審の答申の中に書かれております緊急事態の中身といたしましては、私は、これやはりわが国の産業あるいは国民生活を支えている重要な物資はほとんど海外に依存しているわけでございますけれども、そういった海外に依存している物資を輸送するいわゆる海上交通路、この海上交通路というものが常に安定して維持されていなきゃならないという要請がわが国としては当然あるわけでありますが、何らかの国際的緊張によりましてこの海上交通路の安定が脅かされるという事態のことを海造審では言われたんだろうと思います。こういった事態に対応する仕方としては、やはり国として、最小限度どのぐらいの一体海外依存物資を運ぶべきなのかという計算がまずあるべきであり、そしてそれを輸送するための日本輸送船団はどのぐらいの規模であるべきかということがあり、その上でこれを護衛するためのいわゆる護衛船団といいますか、護衛方式等の検討があるべきだと思います。  こういうことになりますと、これは必要であれば、政府といたしまして、全体の責任で検討すべきことであると思います。特にこの船団護衛の問題は、第一義的には防衛庁、海上自衛隊が任務を持っておるわけであります。私ども海上保安庁の任務は、通常の状態におけるわが国の周辺海域の警備あるいは犯罪の予防、鎮圧、海難救助等々の業務でございまして、国際的緊張等の事態におきましては防衛庁が先頭に立つ、そして海上保安庁は必要があれば防衛庁長官の指揮を受ける、そういう仕組みになっております。したがいまして、この問題は大変大事な問題でございますが、政府全体の枠組みの中で海上保安庁としては当然その担うこととなるべき任務を果たすと、こういうことになるんじゃないかと思います。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 それから、海洋汚染の発生確認件数、これは運輸省のものなんです。この中に、五十一年度なんですが、九百四十七件、その中の内訳が日本船舶が六百四十二、外国船舶からのものが三百五ということでだんだん減ってまいりまして、昭和五十三年度には七百十七件あるんです。日本船舶からのものが五百二十五、外国船舶からのものが百九十二となっているんでありますけれども、これは日本の莫大な船舶が運航しているという中における五百二十五の位置づけ、それから外国船舶が来て油をたれ流したり、ごみをうっちゃったり、ビルジを落としたりする関係等については、これは海洋汚染の関係がありますからそこで議論するといたしましても、この船員の素質向上のための国際会議が今日開かれているのでありますけれども、まことに漁船へ乗っておって、これ、おまえは金が高いから日本船へ乗れよとか、あるいはチャーターバックに乗れよとか、仕組み船に乗れよとかというようなことで乗せられるという中において、それこそ機械の操作もできない、魚をとったり網を引っ張ったりすることはできるけれども、とても外航船舶なんか乗せられないというような人が実は乗っているそうです。こういう問題を考えないで、日本船員の技量優秀という人を乗せないできたところにも、こういった問題がその面からも実はうかがえると思うんであります。  外国船舶は、二十総トン以上に対する船舶による海洋汚染の発生確認件数の場合におきますと、これはきわめて莫大なものがあるわけであります。時間がありませんから、これは申し上げることができませんけれども、そういった関係で私はやっぱり日本船員の切り捨て政策というものが今日まで非常に誤っておった。いま私は海上保安庁長官質問いたしましたのは、日本の船がいつか、どういうような事態でか、日本のためにいろいろとこれから寄与する率というものはきわめて高い。もう外国の場合においては、まあ下手なことを申し上げますけれども、たとえばどっかでシージャックがあったら、一緒に組んでどっかへ行っちまう。ギリシャパナマリベリア等が海賊船とは言いませんけれども、中にはオナシスなんていうのもいるんですからね。だから、こういうことを考えたときに私は今回の措置というものは正しいと実は思っているんです。思っているんですけれども、ただ乗り組み定員だけを減らして、そうしていままで二十八人も三十人も乗っておったのを、これを十八人とかなんとかに減らしてしまおうとすれば、そこに予備員の定数というものが五〇%から七〇%になってきている。それが今度は一〇〇%になってしまうんじゃないかというようなことを実は恐れるんです。そういう問題についてそんなことは関係ないんだ、もうければいいんだということになってしまうと、これはやっぱり問題が大きいと思いますので、そういう点については十分ひとつ大臣も指揮監督を——きわめてあなたは労働問題については、私どもがはらはらするようなことをだいぶやられますけれども、しかし、労働問題は非常によく知っておられるんですから、そういうことについてやっぱり正邪黒白というものについてははっきりさしてもらわなきゃいかぬ、こういうように実は思うんであります。  そこで、大蔵省主計局の小粥主計官お見えになっておりますけれども必要最低限の商船隊を確実に保持していくというミニマムラインというものについて、昭和五十五年度において六千万重量トンと実はしているわけです。各船主ともLNG船並みに一〇〇%融資できないかどうか、この点はいかがでしょうか。
  30. 小粥正巳

    説明員(小粥正巳君) ただいまの先生のお尋ねは開発銀行の融資割合の問題でございます。実は大変恐縮でございますが、この問題、省内では主計局以外の部局の問題ではございますけれども、お尋ねでございますので……。  これは先ほど来大臣初め、運輸省側からの御答弁にございますように、財政といたしましては利子補給という形での財政資金の効果的な投入、これとあわせまして、ただいま御指摘の政府機関でございます開発銀行の融資につきましても従来より融資比率を上げることによりまして、いわばこの緊急的な措置を一層効果あらしめる、こういうことで財政当局も対応したわけでございます。先生指摘のとおり、たとえばこの中の特に中核的な対象でございますLNG船につきまして比率の引き上げが図られているけれども、さらにそれを一層引き上げて一〇〇%財政資金による融資を考えてはどうか、これは確かにより効果的な措置にはなるわけでございますけれども、これは恐縮でございますが、やはり他の財政資金の投入対象も多々あることでございます。その他の制度とのバランスも考えまして、運輸当局と御相談の上で、この際精いっぱいの財政助成を利子補給とあわせまして融資の面でも考えたということでございまして、この辺はやはり海運、造船に対します財政資金の効率的な投入のあり方としまして、現在の財政の状況では精いっぱいの措置ということで御理解を賜ればと思っております。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 銀行局に聞くべき話かもしれませんけれども、あなたは大蔵省のエキスパートですから、将来大蔵省のやはり事務次官になるでしょうから、ひとつこの際お聞きいたしておきますけれども、自己資金のない中小船社なんかについては、自社船の売却で自己資金をつくるほかないんですね。これではスクラップ・アンド・ビルドにはならないですよ。特にタンカーなどについては船がつくられないということになるんですね。こういう点についてはどんなふうにお考えになっておりますか。
  32. 小粥正巳

    説明員(小粥正巳君) 確かに先生指摘のように、船主の中にもいろいろ規模の大小は当然ございます。財務内容もいろいろな段階があろうかと存じます。したがいまして、せっかく今回の、先ほど申し上げましたように、財政当局といたしましては、思い切った助成措置を講じたつもりでございますけれども船主の中にはなおこれによって、必ずしも造船意欲だけございまして、資金的な面でこの制度を十分に利用できない船主があるいはあろうかと思います。この辺はしかし、先ほど大臣からもお答えのございましたように、わが国海運業はやはり自由競争市場で営業している企業でございます。したがいまして、財政の助成措置のあり方といたしましても、やはりどういたしましてもある一定の基準を設けての助成ということでございまして、各企業のそれぞれの営業状況に余りに立ち入り過ぎた助成というのはやはりなかなかむずかしいと考えております。各企業の内容に応じての指導、あるいはこのような助成措置を使っての誘導行政、これは運輸省の海運政策の問題でございまして、いま鋭意運輸省内において御検討されているように伺っておりますので、きめの細かい行政指導ということを私どもは期待しているわけでございます。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 船舶局長にちょっとお伺いいたしたいと思うんでありますが、いま造船関係の各会社と組合の中に不当労働行為が数限りなく行われているという現実について了知願っておりますか。
  34. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 直接全部を承知しているわけではございませんで、労働省ともども問題になっているものについては企業及び組合から事情を聞いておるところもございます。所管が私ども直接ではございませんので、全部は承知しておりません。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 団結権妨害禁止の仮処分命令を受けたり、あるいはまた健康保険組合についても、私は全造船の方から実は相当陳情や要請や説明を受けているのでありますけれども、健康保険組合の選挙にあれを入れるなというようなことで、組織的、計画的に行われたり、それから全造船の組合に入ったらあれと口をきくなとか、家のつき合いをしてはならないとか、そういうようなことがもう間断なく行われているんですね。だからそういうようなことについては、私は非常にいけないことだと思うのですけれども、いかがですか。
  36. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 不当労働行為ということで地労委あるいは中労委に認定されれば、まさにいけないことだと思っております。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 そういう造船所には今回二・五五%の融資なんというものについては、私は適用すべきじゃないと思うんですけれども、法を侵しておるんですから、いかがですか。
  38. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) まあ不当労働行為そのものは別の法律で別の処理のやり方がございますので、私としては、その点で、組合の皆さんにもどんどん不当労働行為であると思われるものについては提訴をし、争っていただいて非常に結構ですと、こう言っておりますので、この問題と計画造船建造造船所、これは船主造船所の契約でございますので、私ども直接そこに介入をするというわけにはまいらぬのではないかと、こう考えております。
  39. 青木薪次

    青木薪次君 船舶局長ともなれば、私はやっぱり公序良俗に反したようなことをどんどんやっているところに、国家資金、税金を利子補給として莫大な額を投入するということについては、これは係が違うからいいんだということだけで政府機関として済まされる問題だと思いますか。
  40. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 各造船所におきます不当労働行為、時々聞くことがございますが、これは先ほど御答弁申し上げておりますように、それぞれの法律によってそれぞれの措置をすべきだと考えておりますし、私は、計画造船方式というのは、これは直接船主造船所が契約するということでございますので、その面とそれから不当労働行為による処分との点は切り離してもよろしいのではないかと、こう考えております。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 今日、昭和四十九年から利益を上げている会社相当数に上っているんですね。で特に助成対象の外航海運会社四十一社中、一割配当を行った会社三社を含めて二十九社が配当を行っているんですね。また利子補給法に基づく利益の国庫納付が、四十九年九月期の一社から五十年三月期においては五社に上ったことなどもあって、利子補給は五十年度以降ストップされるぐらいにまでなった。そのときには開銀はたしか六・〇五%だったと思うんです。これを今回、利益が上がっている、それから造船所等についても利益を上げている、海運会社も利益を上げているという中において——先ほど私が大臣にも質問いたしましたように、株価も倍ぐらいになったところも実はあるわけですよ、そういうような中において、利子補給を国家資金を使ってやるというようなことについては、私はやっぱりスムーズな労使関係はもとより、今後において日本海運のいわゆる国際競争力を伸ばしていくという点に立つならば——これは当然日本造船所において船をとんどんつくっていく、そうしてそのこと自体について私たちは大歓迎を実はいたしておるわけです。ところがその中で、恩恵をこうむっていながら不当労働行為がぼんぼんぼんぼん行われて、改善命令やその他がどんどんされているというようなことについて、われわれ国会議員としては、そういうような会社に対して、いかに大企業といえどもこれの問題についてクレームをつけざるを得ない。こういうことについてあなたは担当が違うというようにおっしゃるかもしれないけれども、それは私は政府機関における全く重要な立場におられる船舶局長として、これはとるべき考え方ではないと思うんですけれども、この点いかがですか。
  42. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) ほかの機会に労働大臣と御一緒に、労働大臣も御答弁申し上げ、私も答弁したことがございますが、不当労働行為ということで認定されますれば、私どもはそれはそれなりに企業も対応すべきだと考えておりますし、それから基本的に円滑な労使関係があって初めて企業も成立つわけでございますので、そういう不当労働行為等認定されるようなことが今後は減るということを希望し、また期待をし、今後とも個別の案件が出てまいったときは、所管外でございますが、指導が必要であれば私どもそれをするつもりでございます。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 私は減るであろうという予測と、それからそういう改善命令等がなされた場合においては注意をするということだけでは、これはやっぱり私は納得することはできないわけです。少なくとも円満な労使関係というものをつくっていくということについては、私はやっぱり労使のたゆまざる努力というものがこれに結合して行われなきゃならぬと実は思うんです。ところが、片方からは政府の手厚い援護を受けながら、片方においてはこれは不当労働行為をぼんぼんやって、その面からもいわゆるやってはならないことをやってコスト低減を図るなんていうやり方は、私はそういういわゆる第三者機関等から改善命令を受けたりするような、注意されたりするようなところについて——なお改善命令に従わないところさえある、そういうようなところについては、私は、基本的に、やるべきでないという立場をとっているんです。これは党派の問題じゃないと思うんです。その点私はまだ局長の答弁は歯にきぬを着せたような答弁だと思うんですけれども、この点いかがですか。
  44. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 今後とも各企業におきまして円満な労使関係が育ちますように努力をして、私の所管の範囲内でできることについては努力をしてまいりたいと、こう考えております。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 時間がないから、私は生々しいことをここで発表しないんですよ。大臣も見えておりますから、ひとつどうだ、ひとつどうだ、これはどうなんだ、これはどうなんだということを言っていったら、そんなひどいことをやっているかというようなことが実は挙げられてくると思うんです。で、私どもは賛成法案ですから、このことについては、これは全く趣旨というものについては正しいことなんでありますから、それはそれで納得いたしますけれども、私のいま申し上げたような点について、ひとつ船舶局長から厳しく注意をしていただきたい。それから、余りにも言っても聞かないようなところについては融資をこれをお断りする、利子補給をお断りするというぐらいの強い指導を私は要請いたしたいと思うんでありますが、その点いかがですか。
  46. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 企業におきます円満な労使関係の確立ということについて、今後とも努力をしてまいりますし、まあ直接的には労働省が所管をしておりますが、個別的に必要があれば労使から事情を聴取する等によりまして、そういうものが極力減りますように努力をしてまいりたいというように思います。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 では変わった立場で、今回の国際競争力をふやすという中には、資本費を引き続き低く抑えることということがあると思うんです。で、労使間で船員費を極力低減するための措置を具体化することという海造審の小委員会答申があるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、二十七人から三十人ぐらい乗っておった人が、これを十六人から十八人ぐらいに減らそうということで、それを運航することが可能な船舶にだけ金を貸すんだよ、利子補給するんだよということでありますけれども、合理化努力の結果利子補給するんだよということになりますと、労使の関係の中に政府が入ってくるんじゃないかという心配をする人が実はあるんです。船舶局長、この点いかがですか。
  48. 真島健

    政府委員真島健君) 先生の御心配のようなことが私どもはないように考えております。と申しますのは、今度利子補給の対象になります船舶、これは極力省力化設備その他を備えまして、設備の面で非常に人数を少なくしても運航がなし得るであろう、こういう船舶について利子補給の対象にいたそうということでございまして、現実にそういう設備その他が備わりましても、現実にそこに一体何人の船員を張りつけなければならないかという問題は、これは労使がその船をよく見まして、場合によっては実験航海というようなこともいたしまして、この程度の人数ならばこの船が運航できるということを労使が話し合いの上決めて実際の乗り組み定員を決めていくということについて、私どもは別に、それはいかぬというようなことは考えておりません。要するに設備的にできるだけ少人数で運航のし得る船、これは現在はどうかわかりませんけれども、将来に向かってますます船員費の問題が重きをなしていく場合に、そういうような船に向かって労使ができるだけそういう船でも運航できるような実際の労働環境なり訓練なり、そういうことをやっていっていただくということで、これは船というものは、今回つくりましても、十何年ともつものでございますので、そういう将来も見越しまして、合理化された設備を備えた船、これを今回の利子補給の対象としようと、こう考えておるわけでございます。
  49. 青木薪次

    青木薪次君 船員局長にお伺いしたいと思うんでありますが、昭和四十八年に四二・八%の予備員が実はあったんですね。昭和五十二年になりますと七三・四%になりました。予備員増にさらに拍車がかけられまして、今回の措置によってさらに残存社船のコスト高になるんじゃないかということを非常に心配しているんです。この点は船員局の立場から見てどうお考えですか。
  50. 向井清

    政府委員(向井清君) 御指摘のような情勢があるわけでございまして、船員行政といたしましても、雇用問題と申しますのは、やはり非常に大きな行政の対象になっておるわけでございまして、離職者対策を初めいろいろな緊急対策を講じておる。さしあたっての、この海運政策の新しい展開に伴いまして、雇用問題にまた大きなしわ寄せがくるということは、これは決して好ましいことではございません。絶対避けなきゃならぬことでございますので、この点に関しましては、いま海運局長からもお答え申しましたように、一船ごとの乗組員の体制というような協議もございますし、われわれとしても行政的に雇用の安定が図れるような手段というものをいろいろ考えてまいりたいと実は考えている次第でございます。  いまお話にございました予備員率の問題と申しますのは、非常に根の深い、かつ複雑な問題でございまして、かなり長い目でこれを見ていかなきゃならぬ。その場合にわれわれといたしましてはやはり船員雇用問題を含めました船員対策全体の長期展望というものを考えて、その中でいまのような御質問の問題の解決というのを図っていかなきゃならぬというふうに認識をいたしておる次第でございまして、その場合に、やはり世界的な趨勢といたしまして、近代化船に対する対応あるいは船員の資質の向上ということに関する世界的に非常に大きな動きがございます。この中におきまして、先ほどお話もございましたが、素質としては優秀なものを持っておる日本船員が、さらに雇用の確保を図り、雇用の場の拡大が図れるような、そういう客観情勢というものも出てくる素地がございますので、このような情勢を極力活用いたしまして、長い目で見ての雇用の安定が図れるようにいろいろ考えてまいりたい。その中で、いまお話出ましたような予備員率の問題等も漸次消化をいたしていきたい、このように考えている次第でございます。
  51. 青木薪次

    青木薪次君 通産省の輸出課長見えていますね。  外国用船、特に仕組み船日本船を補完するものとして位置づけるんだというお話がありました。私は、日本船日本海運をつくるということがこの法律の主たるものでなきゃならぬということでありますので、順次この仕組み船を買い戻していくべきだと、またそういう会社があると聞くんだけれども、このことの実情をひとつ簡単に説明してもらいたいことが一つ。  それから、積み荷保証の点で問題が非常に不明確だと思うんですね。この法案の趣旨からいって船主サイドが外航船建造努力をしても、荷主サイドがこのことについて協力しないということになってしまうと船の建造意欲というものは減退してくると思うんです。そこで、契約更新については、保護貿易というふうにとられてはいけないと思うんでありますが、日本船利用の義務づけというものが実は通産省のサイドからも必要じゃないのか。安い荷物の輸送だけを要求されては利子補給のメリットというものについては荷主の方に行ってしまう可能性というものが出てくるんですね。その点通産省としてはどう考えられますか。
  52. 真島健

    政府委員真島健君) 最初の仕組み船の買い戻しと申しますか、その問題については、私どもの方で事務的なことをやっておりますので、私の方からお答えをいたします。  仕組み船につきましては、五十三年度緊急ドル減らしということで経済対策閣僚会議において決められました。これによりまして、実績といたしまして三十六隻の仕組み船が買い戻されたという実績があるわけでございます。今後の仕組み船の買い戻しの問題につきましては、ドル減らし対策というものが五十四年度に一体どういうふうに展開するかということに関連して、ドル減らしの面からの仕組み船の買い戻しというのは間もなく結論が出てまいるかと思いますけれども、現在、船主の一部におきましてそういうような意欲がある船社もあるように聞いております。ただ、やはりこれは、仕組み船と申しますのは、なるほど日本船社資金手当てをいたすわけでございますけれども資金手当てをする先が外国の銀行でございます。そういう意味では、外国銀行との折衝の問題その他非常にむずかしい問題がございまして、五十三年度にも非常に多くの買い戻しが行われるのではないかというふうな説もございましたけれども、やはり現実には、先ほど申し上げました隻数のうちで、ごくわずかな三十六隻という程度にとどまっておるわけでございまして、なかなか今後買い戻すといたしましても、制度の問題もございますけれども、そう多くの買い戻しというものは期待がむずかしいんじゃないかと、このように考えております。
  53. 松田岩夫

    説明員(松田岩夫君) 先生質問の第二の点でございますが、正直申しましてなかなかむずかしい問題でございます。御案内のように、日本の輸出産業も、先ほど来お話の出ておりました急速な円高の中で、実は大変御苦労されておられます。そういった状況の中で、実は輸出業者の方々も、できるだけ低運賃で良質なサービスの得られる船を求められるというのもある意味で必然でございまして、またそういったことがわが国の貿易を支えておるわけでございます。貿易と海運はまさに車の両輪でございます。両々相まってそれぞれが健全に発達できるものだと思います。しかし、考えてみまするに、荷主の方に、正直申しまして、高くてもひとつ日本の船を使うようにということはなかなか申しにくいことでございまして、要すれば日本海運が本当に競争場裏におきましても十分に力のある、競争力のある海運業になっていただくと、そういう状況でございますれば、当然のことながら何も日本荷主さんは決して外国船を使いたいというわけじゃございませんので、おのずから日本海運に戻ってくると思うわけでございます。したがいまして、なかなか先生が直接御質問なさいましたように、私どもとして行政指導をいたしますことは、正直申しまして輸出業者にとりましても問題でございましょうし、またいろんな面で実はそういった方向での政策というのは今日きわめてむずかしいと申しますか、かつて国産品愛用というようなことで、船に限りませず、国産品を愛用する運動もございましたが、今日ではこういったことはむしろ国際的には許されないと申しますか、それどころかさらに一層門戸を海外に開けというのが現在の日本の経済の置かれた立場でございますし、さらにこれは海運の方の政策にわたるわけでございますが、日本でそういう政策をとることば、恐らくいま発展途上国でそういった政策をとりたく思っておられる国が非常にふえておるように散見されるわけでありまするが、そういった方向というのは、多角的な貿易関係と申しますか、開かれた自由な貿易制度を維持する上では、正直申しまして、逆行と言うと言葉が強いのでございますが、そういう考え方にむしろなる可能性もございます。そういった意味で、要すれば、健全な低運賃でかつ良質のサービスをしていただける日本船による日本商船隊というものをひとつ一日も早くつくっていただきたいというのが私どもからの強い要望でございます。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 運輸省と大蔵省でいろいろ相談をして、せっかくこういう温情あふれる措置をとったわけだから、これはやはり海運業界、そしてまた造船業界を初め日本の産業界に寄与するところが大きいじゃないか。また雇用問題等についても非常に寄与するところが大きいと、こういう立場に立って実は賛成をしておるわけです。ところが、いまなかなかむずかしいという輸出課長の話があるわけでありますが、それは非常に困るのでありまして、せっかくそうなったのを商人にとられちゃったんではこれは元も子もなくなってしまうんで、そのメリットをいわゆる輸出業者にとられないような方法というものは、これはやっぱり通産省、特に輸出課長はその点をひとつよく指導してもらいたいというように考えます。これはひとつまた一年後あたりに、いろいろと私たちはデータを取り寄せてみたいと思います。あなたが輸出課長をやっておるかどうか知りませんけれども、そういうように考えておりますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。  それから最後に船舶局長に、今度の利子補給で百万トン、すなわち七十万トンの外航、それから外航船舶中の近海船、これが三十万トンですね。これが新船建造の促進によって、未曾有の不況にあると言われている——このころいいわけですけれども、造船業の安定に寄与することについては非常にいいことなんですけれども、この中で室内装飾とか、タービンとか、内燃機関とかあるいはまたその他の装備を担当する舶用部門について、仕事が流れることになるわけです。これをこの直接利子補給で潤えるかどうかという点については舶用部門の皆さんも非常に注目を実はいたしているわけであります。この点は非常に忘れられがちなんであります。ある意味ではこれはやっぱりいわゆる下請部門的な立場に立っておりますので、ここに働く人たちの雇用問題を考えあるいは舶用関係の皆さんの仕事のことも考えて、その辺の指導についてはひとつ強力に指導していただきたいというように思うんでありますけれども、この点いかがでしょう。
  55. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 海造審の見通しで、五十四年度ほうっておきますと貨物船換算トン数で約二百七十万トンと言われております。それに従来の計画造船三十万トンぐらいのペースで進んでまいりましたので、百万トンといいますと七十万トンプラスになるわけでございます。それやこれやを入れまして、さきに通りました整備公団の拡充強化等も合わせますと約四百万トン貨物船換算トン数ぐらいの量になってまいります。そういたしますと、造船業者はもちろんでございますが、これの中に入ります機械関係、これは約五割ぐらいだと思いますが、それは全部関連事業者に仕事として流れていくわけでございます。そういう意味におきまして関連事業者、関連工業者の現在の操業度低下に歯どめをかけ、かつそれをふやすという上においてはきわめて有効だと思っておりますので、スムーズに流れるように考えていきたいと思います。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 最後に、簡単に要望だけして私の質問を終わりますがね、チャーターベースで日本船の五七%を占めるというように言われる近海船部門でありますけれども、このいわゆる外国関係との対比ですね、非常にこのコストが高過ぎるというように近海船は言われているんでありますが、これは船舶整備公団法等でいろいろ考えてもいいような領域に入ると思うんでありますけれども、そのことはいずれにいたしましても、今後において近海船対策等については別の部門でいろいろこの対策を講じてもらいたいということを要請いたしまして、私の質問を終わります。
  57. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは続いて質問をさせていただきますが、この提案理由から見ますと、「最近における日本船国際競争力の著しい低下に伴い、海運企業日本船建造する意欲は乏しくなっており、運航コストの低廉な外国用船へ依存する度合を年々高めつつあるのが実情であります。このまま推移した場合、外航海運がこれまでその中核としてきた日本船維持確保はますます困難となり、貿易物資の安定輸送を確保する上で、憂慮すべき事態に直面することが予想される」と、こういうことがございますが、これは一つの結果であると思います。原因はいろいろあると思うんですけれども計画造船政策を続行してこられました政府のその需要の見誤り、あるいは見通しを間違えたということじゃないかと考えるわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  58. 真島健

    政府委員真島健君) 確かに石油ショックあるいは四十六年の最初のドルショックのその時点におきまして、その後四十九年以降現在までのような状況というものについて、私どもこのようなことになるということを確実に把握をしておらなかったという意味では、見通しができなかったということかと思います。ただ、計画造船制度そのものは、現在と申しますか、五十三年度までずっとやっておりますが、四十九年度に利子補給制度は一応のストップをしておるということでございます。そういう意味では当時の、四十九年というのが海運界はこれはわが国自体は非常に低迷したわけでございますけれども世界的には海運の運賃というものが、四十八年以降どういう原因に基づきますか、私どもも分析しかねる点もございますけれども、非常に高くなりまして、四十九年度は海運各社が相当好決算を出し得るんじゃないかというようなことで、利子補給はこの際廃止をしたらどうかというようなことになったわけでございます。しかしもうちょっと、さっき五十年、五十一年というものをもっと確実に見通してまいっておりますれば、計画造船量あるいは利子補給の姿というものももう少し検討して、今年度よりも早い時期に出し得たかという感じがいたします。そういう意味では、今回と申しますか、五十四年度まで政策的にきめの細かい手を打てなかったという点は私どもは反省をしておるわけでございますけれども、これもやや弁解じみるわけでございますけれども、そういうような状況をながめまして、五十一年に海運造船合理化審議会に今後の外航海運の姿と政策の基本的な方向というものについて御諮問を申し上げまして、非常に長い期間、一年半ばかりの期間をかけて衆知を集めまして議論をしていただきまして、やっと昨年の六月に小委員会報告という形で、本答申ではございませんけれども基本的な考え方その他が報告をされたわけでございます。私どもこういうものを踏まえまして、それから一年かかりまして、現在御審議をいただいておりますような利子補給制度復活というようなことをお願いをするという事態になっておるわけでございます。
  59. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この提案理由の中にもありますけれども、「貿易物資の安定輸送を確保する」、これはわが国の一億の国民の生活を守る安全保障の上からもこれは重要な課題であると思います。したがって、このような事態を回避するのは当然でありますけども、この利子補給制度復活、拡充で国際競争力のある日本船建造体制を改善、強化しよう、こういう今回の法案の趣旨でありますけども、先ほど国際競争力の目標については同僚議員から質問がありましたんでありますけども、本当にこの利子補給制度復活、拡充によって国際競争力のある日本船建造体制、これが確保できるのかどうか、本当に競争に勝っていけるのかどうか、その点について質問したいと思うんです。  今回のこの利子補給の対象船舶建造量というのは、三年間で二百十万総トンになりますね。五十年半ばの日本船船舶量というのは三千三百七十万総トン、これから見ますと、今後日本国際競争力を回復していかなきゃならないわが国外航海運にどれだけ貢献できるのか、疑問がその点出るわけですが、この利子補給復活日本船建造にどの程度の効果があるのか、その見通しをお聞きしたいと思います。
  60. 真島健

    政府委員真島健君) 利子補給をいま御審議いただいておるわけでございますけれども、こういう形で利子補給をいたすということで国際競争力のある日本船が、私どもは今後少なくとも計画されました数量、これは出てまいるというふうに現在のところは考えておるわけでございますが、利子補給だけで一体いいのかという問題につきましては、これはもう一つの大きな問題といたしましては、海造審報告にもございますような労使の間での今後の検討事項、これがある程度宿題のように出ております。こういうものを今後においてどういうふうにこなしていくか、このこなれ方は労使問題でございますので私どもがどうこうと申し上げる筋合いのことではございませんけれども、今回の春闘その他を通じまして労使がこれからいろいろと協議をしていかれることと思います。  そういう協議の状況を見まして、踏まえながら、私どもは、もし今回の緊急の措置ということだけで不十分な穴が出てくるということでありますれば、またその時点においていろいろと検討をしてまいりたいと思っておりますけれども現状では、私どもこの二百十万トン、これは大体日本船として建造がされてまいる、このように考えております。
  61. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま海運局長からお話ありましたが、今後国際競争力低下の問題につきましては、業界自体にもそれぞれ責任があると思います。その改善のために積極的な合理化への努力は期待されなければなりませんが、せんだって、一応組合との間に協定が成ったように聞いておりますが、その点どのように掌握されておりましょうか。
  62. 向井清

    政府委員(向井清君) 先般、五十四年度の労働協約の締結があったわけでございまして、まあ外航関係で申し上げますと、ベースアップ、定昇込みで三・四八%ということ、それから休暇の買い上げ等につきましての労働条件の若干の変更というようなことがあったわけでございます。ただ、まあそういう表面上にあらわれましたほかに、やはり労使双方が非常に腹を割って話をされたそうでございまして、今後の新しい情勢に対する対応、まあいろいろ国際情勢もございますが、そういうものに対する対応については大いに前向きに取り組んでいこうということで、かなり具体的な問題についていろいろ話し合われたと、その辺が非常に今後の問題としてはお互いにプラスであったというふうに私ども伺っております。
  63. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、この利子補給一つの環境づくりとして立案されていると思いますけれども、一応この期間を三年間と区切ってありますね。この三年間というのは何かそういう見通しがあってのことなんでしょうか。
  64. 真島健

    政府委員真島健君) 正直申し上げまして、三年間というのに非常にきちっとした理屈があるわけではございません。御承知のとおり、私どもとりあえず日本船の減少に歯どめをかけていくという目標、それと、その背景にございました造船需要の創出、この二つの絡みがございます。で、造船需要の創出の方につきましては、やはりこれまでいろいろ船舶局長からも御説明申し上げましたと思いますけれども、やはりこの二、三年、これが非常に苦しい時期ではないだろうかということがございます。そういう意味で、私どもも恒久的な海運対策というよりはやはり緊急の整備計画という形で、造船事情とのうらはらの観点からとりあえず三ヵ年について物を考えてみた、こういうことでございます。
  65. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 まあ緊急な整備計画だということでございますが、この利子補給の対象船舶は高度合理化船及びLNG船と、こういうふうになっておりますけれども、このうち、高度合理化船は、一定の省力化設備を有することによって従来より少人数の乗組員で運航することが可能な船舶と、こういうふうに定義づけられております。  そこで、まあ利子補給をして競争力をアップする試算の前提として、乗組員の人数というものが算定されると思うんですが、これは法律で許されたぎりぎりの点で計算されているんでしょうか、どうでしょうか。
  66. 真島健

    政府委員真島健君) 私どもが高度合理化船ということで、まあ従来よりもできるだけ少人数の乗組員で運航できる船舶ということにいたしました。その試算の前提といたしまして十八人というふうな人数を一応試算の根拠にしたわけでございます。これは、私どもといたしましては、現行の法制その他から見ましてぎりぎりのところではないだろうか、こういう感じで十八人を一応試算の目安といたしたわけでございます。
  67. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、運輸省が五十二年度から官労使及び学識経験者とで船員制度近代化調査委員会を設けてこの制度の検討を進めているようですけれども、まあ最近提出された報告書の内容はどういうものでしょうか。
  68. 向井清

    政府委員(向井清君) ただいま先生からお話ございましたように、昭和五十二年度から二年間にわたりまして船員制度近代化調査委員会におきまして、まあ役所も加わったというかっこうでございますが、調査が進められてまいりまして、この調査と申しますのは、やはり基礎資料の収集からかかったということでございまして、外国調査も含めましてかなり膨大な資料の収集を行ったわけでございます。で、報告書の提出があったわけでございますが、その内容と申しますのは、いま申したようなことで、基礎資料の収集を踏まえての話でございますので、具体的事実の記述と申しますか、それの整理ということがほとんどでございまして、問題点の整理とかあるいは今後の問題をどう解決つけていくかという方向づけとか、こういうことに関しましてはまだそこに至っておらないということで、まあ御承知と思いますが、この近代化調査委員会が最近近代化委員会という形に変わりまして、役所側と協力いたしまして実験船の運航ということをいよいよ開始したわけでございます。やはり船舶内の就労体制と申しますのは、実際に当たって詳しく見ませんと、抽象論ではどうにもなりませんので、いろんな方法での実験を行いまして、新しい乗り組み体制のモデルというものをまず発見していこう、これはかなり時間をかけて体系的に、段階的に積み上げてまいりますので、基礎実験からいま始めておるという段階でございます。
  69. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、LNG船についてお尋ねしますが、これは報道によりますと、このLNG船の発注というのはイランの国情不安のために困難と言われておりますけれども、今年度のLNG船の発注見通し、あるいは今年度の予算についてはどのようになっておりましょうか。
  70. 真島健

    政府委員真島健君) LNG船の計画につきましては、無公害エネルギーというようなことから、できるだけ日本船によって将来必要なLNGを運んでくることが必要であろうということで、今回の予算におきましては一隻分を、一応LNG船の分ということでLNG船一隻について予算的には考えております。  ただ、御指摘のように、予算要求の当初考えておりましたイランのカリンガスプロジェクト、これに基づきますLNGの輸入プロジェクトは、政情不安その他相当のイラン国内における混乱ということによりまして、非常に今年度中に具体的にプロジェクトが固まるという状況にはどうもなさそうな状況でございまして、そういう意味では、イランを対象にいたしますLNG船の建造について、五十四年度じゅうに着手をするということは現在非常にむずかしい状況にあると思っております。
  71. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではちょっと問題あれですが、海造審の小委員会報告に関連してちょっとお伺いしますけれども、「我が国の海運のおかれている厳しい環境とは別に、近年における日本経済の国際化、その規模拡大と基盤の強化、国際収支の好転などにより、日本船が我が国経済社会に果たしてきた役割にも自ずから変化があると考えるのが適当である。」と、こういう小委員会報告がございますが、政府としてはこれをどのように受け取ってみえるか。あるいは質的な変化があるとしますと、政策的にはどう変わってくるのか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  72. 真島健

    政府委員真島健君) 従来、戦後の海運政策は一貫して日本船の拡充、整備強化という方向が非常に大きな姿だったと思います。特に所得倍増計画というようなものが発表をせられまして、それに必要な貿易物資の輸出入、これに必要な日本船の拡充強化、こういう命題が高度成長時代日本海運の、あるいは日本船の拡充強化の非常に大きな目標であったかと思います。しかしながら、石油ショック以来、安定成長時代世界全体がそういうような経済事情の中に組み込まれてくる、こういう状況の中では、やはり日本船をとにかく拡充強化一本やりということよりも、むしろ現在持っておる日本船維持をとりあえず図る方策、これは外国用船の非常に大きな伸びというようなこととの関連で出てまいった政策でございますが、そういう意味では、私ども、いわゆるふくらんでいくという形よりも、当面少なくとも五十五年あるいはその後一、二年の間、守りの海運政策と申しますか、日本船維持確保の、そっちの方に重点を置いた海運政策、これに徹しなければならないのではないだろうか。ということは、世界経済全体もその時点におきましてはそれほど爆発的な伸びというものは、当然期待はできない。そういう意味からは現在あるものを守り抜く。しかも、その中で中核となる日本船を確実に維持、確保したい、こういう形での政策にある意味では切り変わっていくべきではないだろうか、このように考えておるわけでございます。
  73. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま日本船隊の規模については、現在のものを確実に維持、確保していきたいというお話ですが、国際経済に役割りを果たしてきました日本商船隊、この規模ですね、とりわけ必要最小限度、日本船隊の規模についてはどの程度とお考えになってみえるのか。小委員会報告でも五十五年においても五十二年の規模と同程度と、このように発表されておりますけれども、これでは低過ぎるように思うんですが、その点はどうでしょうか。
  74. 真島健

    政府委員真島健君) これは非常に実はむずかしい問題だと思います。いずれにいたしましても、現在——昭和五十五年というのはもう来年度でございますけれども、見通した場合にどの程度日本の商船隊規模が必要かということは、当然日本経済全体の伸びあるいは世界的な経済の状況、こういうものを相当確実に把握しないと一〇〇%自信を持った量というものは申し上げられない状況だと思います。そういう意味で、しかしながら大勢的にそう大きな伸びというものがこの二、三年に期待はできないんじゃないだろうかということが一つございます。さらに、私ども現在のまま放置した場合に、日本船がつくられないという状況がますます進むんではないだろうか。とりあえずはこれを歯どめをする、そういう形でいわば調整段階、その二、三年の間に労使の努力なり、企業のそのほかのいろんな工夫というようなことによって体力増強その他を図っていく、そういう時期ではないだろうか、そういうふうに考えますと、現在非常に大きく日本商船隊規模をふくらますという時期ではどうもないように考えております。
  75. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 せんだって、参考人にいろいろと事情聴取した際に、海員組合の村上さんからもお話がありましたが、運輸省の海造審では、その小委員会の中間報告で、外国用船の大半を占める仕組み船日本船に準ずるものと、こういうふうに公認をされているわけです。この仕組み船に対して何らの歯どめ措置がとられませんと、かえって日本船の新造はほとんど行われない、あるいは船員雇用が縮小し、多年にわたる自国海運育成ですね、こういった政策はまさに崩壊するんじゃないかと、そういう点で非常にまあ憂慮にたえないというお話がありました。しかし、今回のこの法案の改正によりまして、一連の海運政策が進められることについては賛成の意思を表示されたわけでございますが、特に先ほども同僚議員から仕組み船の問題については詳しく御質問がありました。しかし、いま海運局長お話があったように、日本商船隊規模を拡張する状況ではないと、こういうお話ですけれども日本船とその外国用船との比率というものが五〇対五〇に近い状況です。大臣もやがてはこの比率を七対三ぐらいに持っていきたい、こういうお話もされているわけですが、いつごろまでにこの比率を七対三ぐらいに持っていかれるような計画にみえるのか、あるいは外国用船の過大を防止するためにどういう歯どめを考えてみえるのか、その点を質問したいと思います。
  76. 真島健

    政府委員真島健君) 先ほど大臣が申し上げましたのは、四十五年当時外国用船比率が二五%というふうな数字を申し上げたかと思います。この外国用船日本船比率が一体どの程度が妥当であるか、これはやはり非常にむずかしい問題でございます。しかし、私どもは少なくとも半分以下ということではやはり困るんではないか、そういう感じを現在持っております。  さらに中核という意味日本船日本商船隊中核という意味から言いますと、もう少し日本船比率が高まるべきではないだろうかと、このように考えております。したがいまして、定量的に七対三がいいのか六対四がいいのか、これはそのときどきの情勢によりまして、なかなか定量的には決めがたい問題でございます。  ただ、繰り返しになりますけれども現状よりは私ども日本船比率というものを高めていく必要があるだろうということでございます。現在の状況のままでは日本船がなかなかできない。これは逆に言うと外国用船比率が高まっていく可能性が非常に強いということで、私どもこの利子補給をやることによりまして、少なくとも今後船社仕組み船をつくりたいという場合に、この利子補給制度に乗ることによって日本船ができてくる、こういう効果を期待をしておるわけでございまして、そういう空気は現在船社の中にも相当浸透をしてまいっておるというふうに私は見ておりまして、ただ先ほども緊急計画でとりあえず歯どめをかける、こういうことを申し上げました。そういう意味ではこの三カ年間の二百十万トンあるいはその他の計画造船を含めまして三百万トンという数字、これが日本船比率を非常に高めるかどうかということは、必ずしもそう高まるというふうには考えておりません。しかし、この三カ年間にそういう状況の中で海運企業自体が今後の方向というものを認めながら、労使協調しあるいは工夫をこらしまして体力をつくっていくということによりまして、六十年時点その他を見通した場合に、日本船比率がさらに高まり、日本船がもっとたくさんできてくるというような状況を現出をいたしたい、このように考えております。
  77. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは世界経済とも関連したいろんな問題だと思いますが、しかし、世界のそういった景気の問題というのは、やはりこれは循環的な問題がそこにあるんじゃないかと思うんです。ですから、いつまでもこの不況は続くものとは考えられません。そのために今回の利子補給があるんじゃないかと思いますが、これによって会社が体力をつけて、景気が回復したときに当然日本海運業界そのものも乗りおくれないようにしていこうという御配慮があってのことだと思うんですが、やはりそういう問題がやはり日本船をふやし、あるいは日本人の船員の雇用の拡大につながってこなければこれは問題ではないかと私思います。  それでお聞きしますが、海運の市況というものについて現在どのような見通しを持ってみえるかということですね。タンカーあるいは定期船、不定期船といろいろありますが、どのようにとらえておみえになりましょうか。
  78. 真島健

    政府委員真島健君) 海運市況の今後の見通しでございますけれども、五十三年に比較いたしまして五十四年に入りましてやや持ち直しておるんではないだろうかというふうな感じがいたしております。タンカーにつきましても、世界的な係船量というものが最近では二千万重量トン程度になってきたというふうなこともございます。ただ、全体といたしまして、やはりまだそれだけの係船があるというようなこと、それから穀物、鉄鋼、自動車、その他の運賃市況につきましても昨年よりはやや持ち直しておるところが多い。特に航路によってはある程度の堅調が見られるということでございます。これは御指摘のように、世界経済の全体の動きが今後どうなるかということによって今後の二、三年またどうなるかということになるわけでございまして、なかなかいま少し堅調になってきておるから、今後ぐっと伸びてくるというふうにはなかなか考えられないわけでございまして、そういう意味ではここ二、三年というものは、やはりそれほど爆発的に運賃市況が高騰するというようなことは、ごく限られた貨物航路についてはあるかもしれませんけれども、全体マクロといたしましては緩徐な回復というふうに見ていくのがいいんじゃないかと考えております。
  79. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしましても、合理化船をつくることによって組合員を減少していく、まずそうしなくては合理化船つくった意味がないということになってくるんじゃないかと思うんですが、そうなりますと、現在でも予備員率というのは七三%、これがさらに高まってくるんじゃないかという心配をするわけですが、それに対する対策はどのように考えていますか。
  80. 真島健

    政府委員真島健君) 合理化船をつくっていく、それは現在の船よりも乗り組み定員ができるだけ少ないようになっていく、そういうことでは現在の船員対策として見る場合に、予備員がふえる一方ではないか、こういう御指摘かと思います。  それはそういう形でとらえれば、まさにある程度そういうことが出てくるかもしれません。私どもは、今回の利子補給ということをしなかった場合には、これは日本船そのものが大体なかなかできてこない。御承知のように、利子補給なしの五十三年度の計画造船による日本船建造というものは、三十万トン程度でございます。したがいまして、利子補給をやらなかった場合に、やはり五十四年度におきましても、せいぜいその程度日本船ができるかできないかということである。これは船員雇用対策上も非常に大きな問題でございます。私ども船員雇用対策の面だけをにらんで利子補給を考えたわけではございませんけれども、少なくとも利子補給をやることによって、私ども普通に放置した場合の三十万トン、それから利子補給による七十万トン、少なくともこの七十万トン分というものは日本船員が乗り得る、そういう意味では、船員の職場を放置しておいた場合よりは拡大になるという観点で物を考えておるわけでございます。  しかし、そういうことで七十万トンをつくっても、現在の予備員その他の方々の職場というものがそれほどふえないのではないだろうかという問題につきましては、これは船員の雇用対策全体の中で、労使が知恵をしぼって解決をしていく事柄でありますし、それにつきまして、政府として必要な措置をとらなければならないという場合には、当然そういう問題について手を伸ばしていく、こういうことになるかと存じます。
  81. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 海員組合の組合長さんのお話の中に、商船大学、高専あるいは海員学校とありますが、この学校では、海運不況を反映して、志望者は激減しているという状況にあるということでした。また、そういう各種学校の学卒者の就職状況を見てみますと、ほとんど半分以上は海上でなくて陸上に就職していると、こういう状況ですね。これは船員養成の基本的なあり方が問われているということだと思うんですけれども、今後の船員の方々の養成の基本的なあり方、方向について検討が必要であろうと思いますが、その点どうでしょうか。
  82. 向井清

    政府委員(向井清君) ただいま先生から御指摘のように、現在の船員教育機関の現状と申しますものはいろいろ問題が多うございまして、入学者の状況あるいは就職の状況それぞれに深刻な様相を呈していることは事実でございます。このような情勢を踏まえまして、今後どのように対策を講じていくかということは、私どもも大いに腐心しているところでございまして、すでに関係審議会の審議もお願いして、鋭意検討を開始しているというところでございますが、その際、やはり一番大きな問題点となりますのは、教育というのは長い目で見なきゃならぬ問題でございますので、長い目で見た場合、船員の需給に最も大きな影響のあるものは何かと申しますと、やはり船員社会と申しますのは、すぐれて国際的な性格を持っておるものでございますから、世界的に船員制度の問題がどのように変わるであろうかというところから検討をしなきゃならぬわけでございまして、その観点からいたしますと、現在世界的に非常に大きな流れが起こっております。  一つは、先ほど来お話がいろいろございましたような、海運業の経営も絡みましての近代化船の建造というものが世界的に非常に大幅に起こっておる、これへの対応というのが一点でございます。  もう一点は、ここ十数年来問題になっておるところでございますが、大タンカーの非常に大きな事故というものが世界的に続発いたしまして、その原因というのはやはり発展途上国の船員さん方が乗っておられるような船が多いというところに着目いたしますというと、やはり船員の資質がどうも余り高くないのではないか。この船員の資質の向上を図りませんというと、世界の海の安全なり公害の防止が図れないということがはっきり認識されまして、実は昨年、IMCOという国連の機関でございますが、そこの会議におきまして非常に大きな国際条約が締結をされました。船員の資質の問題、資格の問題あるいは訓練の問題あるいは船内におきますところの当直業務に関する問題というようなことを含みました膨大な条約の採択があったわけでございます。これが今後国内体制の整備と絡んでくるわけでございますが、そのような大きな流れがあるということを踏まえまして、やはり今後の教育と申しますのはそういう新しい、一口で申せば船員制度の近代化に対応する体制というものをとってまいりたい。これはやはり教育内容の根幹にかかわる問題でございますので、先ほど申したような審議会での審議ということも含めましてひとつじっくり取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。このようなことをうまく検討をいたしまして、実際の施策に乗せていくということができますというと、先ほど御指摘のありましたような就職率の非常な低下あるいは入学者の減少というような問題も徐々に解決がつくのではないか。やはり客観的に言いますというと、いま申し上げたような世界的な趨勢もございますし、また世界的に見ましてやはり若年の高級船員というのが不足しておるという実情がございます。この傾向はかなり顕著に出ておるという話がいろいろございますので、この辺も十分検討いたしてみたい。  それからもう一つは、日本海運企業におきましても、年齢構成が非常にひずんでおりまして、若年層は非常に少ないという問題が現実にございます。これはやはり企業の存続を図りますためにはこのままでいけるはずはございませんので、遠からずやはりこの年齢構成の是正ということが図られるだろう。そのような客観情勢をあわせ考えまして、海運企業の立て直しとともに船員政策をうまく持ってまいりますれば、先生指摘のような学校の問題そこにあらわれております深刻な就職なり入学の状況というものも漸次解決していくというような見通しを持っておる次第でございます。
  83. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私たちは、この法案については賛成なんです。この提案理由の中にも最初に取り上げてありましたように、わが国外航海運というのは、わが国の経済にとってきわめて重要な役割りを担っております。これは私たちも十分理解しておりますが、この日本海運業は業界でもそれぞれ労使で努力を重ねられてきていると思いますし、また国でも一そういう助成をしていこうといまされております。長い不況でございましたので、これに耐えていくのは大変であったと思います。またこれからも耐えなきゃならない部分があると思うんです。しかし、やがては景気の循環による市況の回復が当然訪れてくる。そのときに日本海運業界がその恩恵に浴することができるだろうかというと、なかなかこれはむずかしい問題がある。それで今回の利子補給になった。三年間推移を見たいということですが、その理由の一つはやはりいろいろと論議されておりますが、国内的なコスト要因によって競争力低下していることが第一である。今回の利子補給復活によってその要因をどれだけこれは除去できるだろうか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  84. 真島健

    政府委員真島健君) 私ども予算をいろいろと財政当局と議論いたしますときに、先ほども若干触れたと思いますけれども、高度合理化船という言い方で十八人というふうな一つの目安を持った乗組員、それからいわゆる理論予備員率と言われております五〇%ないしもうちょっとぐらいの予備員がいる、そういうような構想の船が今回の利子補給というあれだけの差し水をもらいますと、大体外国船と——外国船と申しましても、先ほどもちょっと出ましたような韓国人船員の乗ったような船を一応想定したわけでございますけれども、そういう船と大体競争できる、こういう計算をして組み立ててあるわけでございます。したがいまして、私どもは今後この利子補給が御審議をいただいて法案が成立いたしますと、恐らく現状におきまして大体外国船との競争力で拮抗できる日本船ができるものと考えております。
  85. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、日本海運業界を取り巻く悪条件、環境条件の二つ目は、これは発展途上国の自国貸自国船主義、これに基づく国旗差別政策の強化、こういうことであろうと思うんですが、その点に対してはどうでしょうか。
  86. 真島健

    政府委員真島健君) 発展途上国が、国旗差別政策で、自国貨物の自国船への留保というような動きをこの数年あるいは十年ぐらい前からだんだんと顕著に出してきておることは、御承知のとおりでございます。私どもこの国旗差別政策につきましては、これは私企業の問題では解決のできないベースの問題であるという観点で、五十一年の国会におきまして国旗差別政策に対する伝家の宝刀としての措置というものを盛り込みました法案を御審議いただきまして、これを通していただいたわけでございます。したがいまして、そういうような国旗差別政策というようなものが、さらに顕著に、日本海運にとって容易ならざるような事態にまで発展途上国においてとられる場合には、その法律の規定を運用いたしまして対抗をしてまいりたい、このように考えております。
  87. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その対抗法によって今後効果が期待されると思うんですけれども、その理由の第三は、やはりソ連海運の攻撃的な定期船運賃の切り下げによる三国間航路への進出という国際競争環境において容易に克服できない不利な立場というのがあると思うんです。この点についてはどうでしょうか。
  88. 真島健

    政府委員真島健君) 御指摘の問題は、これは特に定期船航路につきまして、現在、非常にOECDの先進国全体が悩んでおる問題でございます。特にソ連船が中心でございますけれども、東欧圏諸国、これが国旗差別ということではないわけでありますけれども、定期船航路に参入をしてまいる。御承知のとおりの経済体制でございますので、商業的な公正な競争という観点からはなかなか太刀打ちのできないような運賃体系なり運賃水準というものを駆使いたしまして、蚕食を図ってくるという状況でございます。  わが国の場合について考えてみますと、特に重要な航路でございます日米の定期航路、ここにつきましてソ連船がすでに相当の進出をしております。シェアといたしましては現在七%程度でございますけれども、ソ連その他の外貨獲得というような国内的な命題に基づいての商船隊の増強ということは今後も続くというふうに思われますので、私どもは定期船航路、これについてのそういうようないわば非商業的なベースによる参入というものについて何らかの措置を考えていく必要がある、このように考えておるわけでございますが、その一つの手がかりとなりますのが現在マニラのUNCTADで議論がされております定期船同盟行動憲章条約でございます。  こういう国際的なルール、これが採択という形あるいは批准という形で世界的に確立するということになりますると、そのルールにのっとりまして、各国はそれぞれ必要な対策を相当鮮明に出していけるのではないだろうか。残念ながらまだ、採択はされまして、わが国も採択当時賛成はしたわけでございますけれども、発効はしておりません。今回のマニラの会議で相当批准、加入の動向が多く出てきておるようでございますので、私どもも、これは外務省との関係が非常に重要でございますけれども、外務省とも御相談をしながら、できるだけ早い機会にこの条約の批准ということをいたしまして、その附帯決議等で非商業的なベースの競争というものはやめるべきであるというふうな趣旨の附帯決議もついておりますので、そういうようなものも足がかりにしながら今後の盟外船対策と申しますか。少なくとも不公正な——不公正というか、非常にベースの違った形での競争について何らかの措置を考えていくということにいたしたいと存じております。
  89. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 では最後に大臣にこの問題で御見解を賜りたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、日本海運業界にとりましては海運不況はこれは過渡的なものだという説もありますが、国内的なコスト要因、そして発展途上国の問題あるいはソ連海運の攻撃的な運賃切り下げの問題、この三つの要因は海運業界にとって構造的なこれは性格を持っているものじゃないかと思うんです。特に後の二つの理由につきましては、これは国家的な圧力でもあり、外国でありますので、当然これは外交及び立法措置を通して政府が積極的な解決を図るべき分野ではないかと考えるわけです。その点、英国を初め立法化を進めている国があるようでございますが、わが国として一層の努力をすべきじゃないかと思いますが、その点、大臣に所見をお伺いして終わりたいと思います。
  90. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 定期船同盟条約の問題につきましては、先般ECからパーク委員が参りまして、ECの考え方と私ども考え方に、基本的な問題は別にいたしまして、若干ずれ等もあるわけでありますが、これらの問題を国際的に調整いたしまして、いまお話ありましたような線で今後進めていきたいと思います。
  91. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 午後一時三十分まで休憩いたします。   午後零時二十九分休憩      —————・—————   午後一時三十二分開会
  92. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  93. 内藤功

    ○内藤功君 運輸省は、四月の四日に五十四年度以降三年間の計画造船建造要領を作成をして、船主協会など関係先にこれを通達しました。この中でも明らかにされておりますが、今回の法改正によって進められるであろう計画造船の対象になる船舶は、「国際競争力のある船舶」、「合理化の促進」について「十分な配慮をしているもの」というふうに規定をしておりますが、これは具体的にどのような合理化を考えているのか。まずその点からお伺いをいたします。
  94. 真島健

    政府委員真島健君) 四月中に出しました計画造船建造要領でございますが、これは利子補給法案自体、現在まだ御審議を受けておる状況でございまして、予算で成立いたしました開銀融資枠に基づく計画造船のつくり方と申しますか、対象になる船舶について要領を発表したものでございます。  私どもが合理化された船舶ということを特に要望いたしますのは、御承知のとおり、この法案が成立をいたしまして、利子補給契約が可能になるという時点以降に初めて具体的にそういうものが出てまいるはずでございます。しかし、いずれにいたしましても、利子補給を受けない場合でありましても、今後の日本船ができるだけ合理化された、国際競争力を持った船であることは非常に望ましいことでございます。建造要領とは離れるかもしれませんけれども、現在御審議をいただいております法案が成立をいたしまして、利子補給契約を結ぶことができるようになりました場合に、少なくともその利子補給契約を受けてつくられてまいります船舶につきましては、LNG船はちょっと別でございますけれども、その他の船舶につきましては、できる限り主機の遠隔装置その他省力化を合理的にできるような設備を備えた船舶ということにいたしたいと思っております。
  95. 内藤功

    ○内藤功君 この建造要領の第二項、「対象事業者」のところで、「激しい国際競争に対処することができる者とする。」、これは具体的に何を意味するのか、御説明願いたいと思います。
  96. 真島健

    政府委員真島健君) 具体的にはやはり現在の許されます造船技術の範囲内におきまして、できるだけ、何と申しますか、運航コストの安くなるような船舶ということでございます。
  97. 内藤功

    ○内藤功君 いま私の聞いたのにまともなまだお答えになっていませんが、「激しい国際競争に対処することができる者とする。」、これはどういうことを意味するのですか、第二項です。
  98. 真島健

    政府委員真島健君) 国際競争に対処するということは、要するに当該の船舶をつくった場合に、日本と限りませず、対象となる荷主、これが使ってくれるということで、結果的に競争力があるというふうに証明をされるわけでございまして、荷主側の要請する一番基本的な事項は、運航コストの安い船ということに最も大きな重点が置かれると思います。そういう意味で、具体的には運航コストの安い船、こういうことになるかと思います。
  99. 内藤功

    ○内藤功君 これは「対象事業者」というのは、「者」という字を書いてありますが、これは船と読むのですか。その「者」というのを聞いているんです。
  100. 真島健

    政府委員真島健君) この「者」は船をつくる船社、つまり外航海運業者でございます。
  101. 内藤功

    ○内藤功君 それは結局のところ、船員合理化計画とか、それから国際競争力強化計画というような、合理化の三カ年計画の提示を海運会社に義務づけるということに結果的にはなるんじゃないんですか。
  102. 真島健

    政府委員真島健君) 私どもはこの計画造船だけで、利子補給を受けない、受ける意思のない船社は別でございますけれども利子補給を受けて船舶建造していこうという企業に対しましては、今後の合理化について、船員費を含めまして企業全体がどういうふうに今後国際競争力を高めていくのか、この辺を報告を出させまして、それに基づきましてさらに今後の海運政策の参考に資してまいりたいと思っております。
  103. 内藤功

    ○内藤功君 それは結局、こういうふうに計画をしていくという計画の提示を義務づけるということになりませんか、とお聞きしている。
  104. 真島健

    政府委員真島健君) これは結果といたしましては義務づける形になると思います。
  105. 内藤功

    ○内藤功君 船主協会の会長の永井氏は、参考人で出てこられて、こういうふうに述べておるんですね。今後、超合理化船を開発してやっていかなければならないので、予備員がふえてもこの超合理化船の建造は必要であろう。予備員がふえても必要である。すなわち、今回の計画造船による超合理化船の建造で予備員率が一層高くなると、このことを隠さずに述べております。  そこで、お伺いしますが、このような計画造船に金額で総額幾らの利子補給をすることになりますか。
  106. 真島健

    政府委員真島健君) 今回の七十万総トンの利子補給対象船舶でございますが、これにつきまして建造後しっぽがずっとつくわけでございますけれども、全体といたしまして、今度の七十万トンにつきまして、国庫債務負担行為として二百三十億四千万円でございます。
  107. 内藤功

    ○内藤功君 ちょっともう一回言ってください。
  108. 真島健

    政府委員真島健君) 七十万トンのトータル、つまり、今後八年なり十年なりの間に出てまいります国のお金、これを二百三十億四千万円。
  109. 内藤功

    ○内藤功君 三年間にすると約七百億円弱という金額になりますが、こういう利子補給がなされるわけであります。それでどういう結果になるかというと、結局のところは、先ほど永井会長の意見を引用しましたが、雇用不安にいまもひどく悩んでおる日本船員職域を一層狭めるということになるわけであります。  そこで伺いますが、昨年の計画建造船であるいわゆる第三十四次船と比較をしまして、本年度のこの利子補給の対象船、三十五次の計画建造船、先ほどのお話では省力化をした、そういう設備をした船になるであろうというようなお話もありましたが、もう少し具体的に、これはどのような設備、装置を備えたものになるのか、具体的にお考えになっているところを御説明願いたい。
  110. 真島健

    政府委員真島健君) 私ども一番主に考えておりますのはメーンエンジン、これをリモートコントロールと申しますか、甲板上において安全確実に操作ができるというような主機の遠隔操縦装置と申しますか、そういうようなもの、その他細かい技術的な装置の名前、私はいま具体的にたくさん申し上げられないわけでございますけれども、現在造船技術の範囲内におきまして、荷役関係その他につきましても省力化をできるだけ安全確実に図れるような装置を備えてもらいたいと、このように考えております。
  111. 内藤功

    ○内藤功君 もう少し具体的に御説明できませんか。
  112. 真島健

    政府委員真島健君) 具体的という御指摘でございますが、装置の名前その他はちょっと私もここで宙で言えるほど知識はございません。感じといたしましては、やはり現在、在来船と申しますか、そういうような船につきましては、新しい船も古い船もございますが、平均してやはり船員が二十六人程度は乗っておるんではないだろうか、この方々がより少ない人数で運航ができるような省力化装置というようなものをできるだけ備えていく、こういうことを希望しておるわけでございます。
  113. 内藤功

    ○内藤功君 私の要求した具体的にというところまで言っていない。はなはだ抽象的な感じであります。これは答えられないだろうと思うんですね。つまり、そういう設備面の改良をやるというのではなくて、人の面——人の数、人の配置、仕事というむしろ人的な面からの合理化に今度のねらいがあると私は見ているんです。私だけが言うんじゃなくて、ここに郵船の社内報五月号を私持ってまいりましたが、これに郵船の常務の三原さんが広報室の司会で対談をやっておるんです。一番新しい雑誌だろうと思うんですが、一九七九年の五月号、これに三十五次新造船建造の条件が定員十八人程度の合理化船である、その新造船で乗組員十八人の実験を行おうと計画していると、こういうように言っております。それからまた別の文書によりますと、やはりこういうふうに言っているんです。二年間にわたって検討してきた超合理化船建造計画委員会の結論として、「新しい計器や機械をやたらととりつけてもこれ以上合理化はできない。ソフトの面の解決をするよりしょうがないという結論になった。」、これは経営側の人が言っているんですよ。「ソフトというのは、いわゆる就労体制、乗組員内部の問題で、ハードというのは設備のことである。ハードの面で特に変わったのは、エンジンのコントロールルームを船橋に持ってきたことだ」、もうそれだけなんだというふうに説明をしているんですね。ですから、今朝来の議論で、いかにも全く抜群な、奇抜なユニークな新しい船ができるような印象を、運輸省側は何か発言から得られるんですけれども、実際はもう郵船の常務自体がこういうふうに言っておる。先ほどの運輸省の答弁とは矛盾するのかどうか、その点もう一遍あなたの——この郵船の常務の言っていることはどうなのか、運輸省の言っているのと違うのか、同じことを言っているのかという点、伺いたいと思います。
  114. 真島健

    政府委員真島健君) 確かに現在の造船技術、これは相当進んでおるわけでございまして、いわゆるMゼロ船というような形での相当省力化設備も備えた船も出てきておることは事実でございます。私どもはそういうような船が今後もできていくべきでありましょうし、問題は、国際競争力云々という場合に問題になりますのは、船員費の問題である。今後つくっていく船が国際競争力を持つということのためには、現状の中で少なくとも外国船と太刀打ちできる程度の、一船ごとに考えた場合の船員費というものを節減をしなければならない。そういう意味では機械設備の進歩、先生のおっしゃいましたソフト面の追いつき方と申しますか、やはり機械ができても私はちょっと不安であるというふうな問題、それをまたさらに設備その他の問題で解決する、あるいは実験的に実際に動かしてみてその不安を解消する、そういうような努力が今後早急に進められる必要があると思っておるわけでございまして、その郵船の方がソフト面について相当の重点を置いて話しておられることは、確かに私もそのとおりであると思っております。
  115. 内藤功

    ○内藤功君 局長ね、もっとずばりと言いますと、設備増強ということについてはもう見るべきものは見当たらないんですよ。結局、今度の高度合理化船というのは、就労体制の変更、つまり乗り組み定員の削減に唯一最大の眼目があると、かように言い切っていいんじゃないですか。そういうこととして見ておられるんじゃないですか、どうですか。
  116. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 技術的な問題もありますので、私からお答えをしますと、省力化といいますか、経済性の向上ということで、まあポイントは二つほどあろうかと思います。一つは省力化の問題と、もう一つはエネルギー効率の向上と、こういう問題があるわけですが、省力化の議論としましては、昭和三十七年からずっとやっておりまして、当初三十七年から三十九年までの計画及び研究では、目標人員を十四名から二十名ぐらいまで下げるということで技術的な検討を終わっております。さらにその後、西独等におきまして、かなり思い切った、実験船的な要素でございますが、目標人数を十名前後というところまでしぼった船が実際にできるかどうかと、こういうことに対応しまして、四十三年度から四十六年度でございますが、これはタンカーでございますが、九名というようなことで、船内労働の軽減、安全性の向上、それから運航経済性の向上ということで、技術的な詰めをやっております。  最近はこれに加えまして、いわゆるメンテナンスフリーといいますか、要するに補修、修理を楽にするということで、それから故障の未然防止のための異常診断装置とか、こういったものを取り入れまして、現在これの技術的な仕上げをやっております。したがいまして、郵船の超合理化船建造委員会の内容は、私、知りませんが、恐らく、こういった技術的な内容については、郵船も全部承知しておりますし、郵船のメンバーも入った研究でございますので、その意味で、いわゆる技術的な機器の問題については終わっているが、あとはいわゆるソフト面の問題であるということで、まあ九名とか十四名とか、こういった議論からの出発ではないか、こういうふうに考えております。
  117. 内藤功

    ○内藤功君 大体わかりました。  そこで、ここで余り時間を食う必要もないから先へ行きますが、そういうことだとすると、次に伺いたいのは、船員制度近代化委員会ですか、が四月の十二日に発足している。これまでの船員の就労体制の見直しを目的に実船で実験を行うことを決めて、聞くところによると、五月の十九日に郵船の「氷川丸」、それから商船三井の「もんぶらん丸」で実験船がスタートをしたと、こう聞いておりますが、この際各社の実験船につきまして資料要求したところ、この六つの会社の船名と船の種類、それから期間、航路については、けさ私のところに資料が届いたので、時間の関係でこの質問は省略するが、実験項目ですね、それから実験の内容、それから実験の対象者というものについて、どういうような実験をやるのかという内容がやっぱり知りたいわけですよ。そうしないと、この合理化船のイメージというのはわかないから。この法案審議について大事なことだと思うんですけどね、おわかりになるところを説明していただきたいと思うんです。
  118. 向井清

    政府委員(向井清君) お答え申し上げます。  いま具体的に船の名前もお挙げになりまして、いわゆる実験船というものの実験が開始されておるという御指摘があったことは、そのとおりでございます。ただ、この実験と申しますのは、さしあたりの問題のためのというよりは、非常に根の深いと申しますか、長期展望に立ったものでございまして、実は五十二年度当初から調査委員会が設けられて、いわば官労使一体となりましての資料収集を主体とする調査活動があり、その上に立ちまして、今度はいよいよ実際それを現場でいろいろ研究してみなきゃいかぬということで、実験船と申しておりますが、まあ部分的実験から開始しようということになっておるわけでございます。いわば段階的、体系的にかなり長期にわたって積み上げていこう。その間には当然労使の協力、役所の協力ということで、できるだけ能率の上がるような持っていき方をしようということでございますが、その実験の主目的といたしますところは、何か具体的な目標があって、それに近づけるように検証していくというようなことでは実はございませんで、先ほど申したように、まあ根の深い、息の長い問題をこなしていく一つの重要なステップということでございますので、一口に申し上げれば、将来の船員制度のモデルを探るということが主目的でございます。  それで、内容は、これは私どもも具体的な船内のことについて詳細に知悉しているわけでございませんが、大ざっぱに申し上げますというと、いわば連係動作というものについていろいろなやり方をしてみる。たとえば、抽象的な言い方でございますが、縦の連係、それから横の連係、これは船内各部制の職種に分かれておりますので、その関係とか上下関係を言っているわけでございますが、縦と横の連係関係について実験を行うということでございまして、それも実験の方法といたしましては、もちろんその船舶航行の安全ということが前提でございますから、ここにも十分配慮し、また、決して無理はしない、それから労使間の合意のもとにやるということが前提でございますから、まあ一言で申し上げれば、本来の担当者以外の者が見習い作業として行う、あるいは十分と思われる能力を持っている者について実際テストしてみるというような実務作業が中心でございます。それによってより一層具体的な資料の収集ができる、そういうことを考えているわけでございまして、こういうことを部分的に仕上げ、最後は総合的ないわば実験を行いまして、かなりの長期間かけましてまあモデルというものの一つの、一つと申しますか、幾つかのモデルについての方向づけというものが出ますれば、それをもとにまた制度的な問題に取り組んでいくということでございまして、背景を申し上げれば、何回か申し上げておりますけれども、国際的に近代化船への対応というのが大きな流れとしてあるということ、それから船員の資格の向上という問題が大きな流れとしてもう一つある、このような流れを踏まえて、そうぐずぐずしてはおられませんけれども、かなり時間をかけてじっくり取り組んでいく、その一環としての実験である、このように御理解願いたいと思います。
  119. 内藤功

    ○内藤功君 いろいろ言われましたけどね、話は具体的にしないと質疑回答にならぬですよ。  そこでね、実験項目、それから実験内容、実験の対象者というものについての資料を私に出していただけませんか。持っているでしょう。持っているんですか、持っていないんですか。
  120. 向井清

    政府委員(向井清君) いま手元にございますのは、たとえばという程度のことが二、三ございますが、先生指摘のように、その対象者について具体的にどうこうという程度資料までは手持ちでございません。
  121. 内藤功

    ○内藤功君 実験項目と実験内容についてはどうなんですか。  それから、この法案理事会の決めによればきょう議了するという前提での質問ですからね、あしたとかあさってとかじゃ困るんです。これ、非常に大事なんです。大体そういう項目とか内応とか実験対象者を局長は承知しているんでしょう。承知しているなら答えてください。承知していないというなら、いずれにしてもこれは怠慢ですからね。
  122. 向井清

    政府委員(向井清君) まず、実験の仕組みの問題にかかわると思うんでございますが、先ほど申しましたように、官労使一体となっての調査、基礎調査を踏まえまして実験にとりかかる、これはかなり大規模なものでございますので、役所の方でも予算を組みまして、それなりの調査活動をするわけでございます。当然民間ベースでの協力体制というものもありまして、それが相かんでやっていくわけでございますので、そのところ、役所側であらゆることについて知悉しておるというふうに申し上げるとちょっと言い過ぎになるかと思うのでございますが、先ほど申し上げましたように、いま手持ちの資料といたしましては、一つ、二つの例というのがございます。これについてちょっと申し上げてみたいと思いますけれども、たとえば横の連係にかかわる実験とさっき抽象的に申し上げました。これはたとえば……
  123. 内藤功

    ○内藤功君 ちょっと途中で失礼ですが、説明はいいんです。資料の提出を私は求めているんですよ。資料を出してもらえませんかというんです。資料というのは文書ですよ。そういう調査、実験の項目、内容、実験の対象者、そういう文書あるでしょう。恐らくなきゃならぬと思うんですね。きょうぼくが要求してぼくのところに午前中お出し願ったのは、いいですか、ここにありますけれども船主、船名、トン数、船種、航海概要で第一回、第二回、第三回のおのおのについて航路と実験期間を書いた表はいただきましたよ。ですからぼくはこれを聞こうとするんじゃない。これだけあれば、その次に実験項目は何か、実験内容は何か、それから実験の対象者はだれ、どういう職種の船員さんなのかというのがあるはずでしょう。出せないなら出せないという理由を言ってもらわぬと困るんです。ないとは言わせませんよ、あるんでしょう。
  124. 向井清

    政府委員(向井清君) 先ほど冒頭に申し上げましたように、この実験の仕組みといたしましては、民間ベースの実験というものが、いわば先行しているような形にもなっておりますし、いま先生が御指摘のような、各船ごとの詳しい実験内容の資料というのは、いま私、現在ここに手持ちではございませんが、話としては聞いております。
  125. 内藤功

    ○内藤功君 役所にはあるんですか。
  126. 向井清

    政府委員(向井清君) 委員会の配付資料としてはありましたので、役所側で入手していることは入手していると思います。
  127. 内藤功

    ○内藤功君 それを出してくださいよ。
  128. 向井清

    政府委員(向井清君) 内容的に若干御説明申し上げたいと思いますけれども……。
  129. 内藤功

    ○内藤功君 それじゃ先に。
  130. 向井清

    政府委員(向井清君) 先ほどの続きでございますが、例として申し上げますというと、まず横の連係にかかわる実験としましては、たとえば機関士、通信士という職種がございますが、これが航海士の作業を行うということがございます。これは先生承知のように、通信士といえども船舶職員といたしまして、海技従事者の試験を受かっておりますので、航海に関します一般常識的なことは心得ておる、いわば基礎的な航海に関します知識というものは持っておりますけれども、航海士業務に関する教育そのものを受けておる者ではございませんので、航海士の指導のもとに航海士業務というものをやらせてみる。もちろん航海士がそれに立ち会って、本来の業務をやっているわけでございます。いわばそういうようなことをいたしまして、そこで何が見出されるかと申しますと、まあ仮定の問題でございますが、将来どのような教育をすればこのような他の職種の者が違った職種の作業に従事できるようになるか、というようなことをひとつ探ってみようというようなことが一つございます。また、もう一つ横の連係の一つでございますか、甲板部員、機関部員——部員と申しますのは、士官ではございません、一般職員でございますけれども、甲板部員、機関部員がそれぞれの機関部員、甲板部員の作業を行うのでありますけれども、これは相互に甲板部が機関部、機関部が甲板部の仕事をするということを仮定いたしました場合に、実は海技大学校等でそういう両用の機能を持ち得るような講習というのをやっております。かなり前からやっておりますので、そのような所定の教育を受けた者につきましては、いま申し上げたような双方の機能を持ち得る、能力があるということでございますので、ただ実務についたことがない、その点につきましていわば実際上のテストを行う、こういうようなことを考えているわけでございます。この場合には、やはり先ほどの教育の方向を探るというより一歩進んでの実験というようなことになるかとは思います。  それから縦の実験にかかわります問題といたしましては、部員が職員の作業をいわば広い意味で助けるというような実験というものが考えられておりまして、この場合でも単なる部員ではなしに、やはり下級ではございますが、船舶職員たる資格としての海技従事者の免状はある程度持っておる者、そういう高度の能力を持った部員が見習いをしてみる、そういうことによってどういう補充教育が必要であろうか、将来の資格体係はどのように考えたらよかろうかというようなことを探ってみよう、大ざっぱに申せば以上のようなことでございまして、それを各船別に割り振りましていろいろその日程表を組んであるというものであろうと私どもは了解しております。
  131. 内藤功

    ○内藤功君 まだ抽象的だと思うんですね。たとえばさっき私が引用した「ゆうせん」の五月号もう一遍見ますと、いろいろ書いてあるんですけれども、三原常務はさらにこう言っているんです。  「第一次実験では在来Mゼロ船で縦・横・斜め」、もう一つ斜めというのがあるんです。そうでしょう、あなた一つ省略していますね。「たとえば部員を航海当直に立てる、」それから「GPC」——ゼネラル・パーパス・クルーズ、「GPCの活用、三航士がエンジンルームへ、三機士が甲板作業へ」こういう「実験を行うことが検討される」。「次に第二次実験は、新造船を使ってあらかじめ想定された定員だけを乗船させて実験する」、わが社、つまり郵船の場合は、「過去二年間にわたって鋭意検討して結論を得たSRCのシステムを箱崎丸の代替船に取り入れて乗組員十八人の実験を行おうと計画しています。以上の実験結果に基づいて船員制度の近代化が検討され、必要な法改正等が行われることになりましょう。」、「とにかく国際競争力のある超合理化船を運航していきたいと考えています。」、非常にはっきり言っているんです。まああなたの答弁よりはっきりしている。法改正まで言われていますよ、これ、どうですか。大体これはこのことは間違いないでしょうね。
  132. 向井清

    政府委員(向井清君) 三原常務のその対談というのは、私、まだ拝見しておらないわけでございますけれども、各社の中におきましては、かねてより技術的な検討というのが非常に進んでおるやに承っておりますので、そういうものの延長としてそのような御発言があったのではないかと考えておる次第でございますが、私どもといたしまし  ては、さっき斜めの話がちょっとございましたので申し上げておきますけれども、斜めと申しますのはいわば船舶職員が他の職種の部員の仕事ができないかというようなちょっと変則と申しますか、例外的なケースをたしか言っていたと思いますので、先ほどの例の中からは実は省略したわけでございますけれど、変則的な上下関係と横の関係とのミックスしたものであるというふうな理解をいたしておるわけでございます。  そういうようなことで、とにかくいまやっておりますさしあたりの六杯から順次始めるわけでございますが、これにつきましては、そういうケース、ケースの部分実験というものを積み上げていこうということでございまして、その間にいろいろな問題が出てくるだろう、それをまた役所は役所なりに考え、民間の方の知恵もかりながら一つ一つ解決していって実験を積み重ねていく、その上で、先ほどもお話があったかと思うのでございますが、総合実験と申しておりますけれども、一船全部についていろいろな問題を総合的に実験してみるという段階がいずれかくると、そう遠い将来でないと思いますが、ただその前提といたしましては、先ほどから申しておりますような縦、横、斜めの部分実験というものをきめ細かく積み上げていこうという段階でございまして、その法改正の問題も言っておられるようでございますけれど、われわれとしてはいまの段階ではその辺のスケジュールと申しますか、確たる段階的見通しというものを明確にしているわけではないということでございます。
  133. 内藤功

    ○内藤功君 そこで各船のいま二つの船が始めた実験というのは、実船によるもの、これは私は素人ですから確かめておきますが、実際にたとえばコンテナ船は荷物を積んで航海をする、それからタンカーは油を載っけて航海する、こういう船には実験をさせる、こういうことですね、そうですね。
  134. 向井清

    政府委員(向井清君) おっしゃるとおりでございまして、実験船というものを何か新造いたしまして、実験オンリーに使えれば一番いいのかもしれませんが、そういうようなことは大変な経費もかかりますし、暇もないということで、現在ある商業ベースの船を活用しようということで、その点については海運会社側あるいはそれに乗り組んでおります船員の方々の非常な御協力を得ておるわけでございますが、結局そういう実際使っている船でございますので、特にその航行の安全面等につきましては十分配慮するということが大前提になっている次第でございます。
  135. 内藤功

    ○内藤功君 船のそれぞれについての基礎実験の項目と内容と対象者、これは近代化委員会資料が役所にあるということをさっき認められましたが、私ここに、各船基礎実験実験項目一覧表というのを持っているんです。秘密でも何でもないんです。これ、ちょっと局長ここへ来て見てください。こういうものを出してもらえば議論簡単に進むんです。これはこちらの手で全部書き写したものですから、近代化委員会、こういうようなもの。(資料を示す)  いまあなたにお示しした一覧表を運輸省では持っておられるでしょう。
  136. 向井清

    政府委員(向井清君) あるかと思います。
  137. 内藤功

    ○内藤功君 そういうものを出さなくちゃいけませんよ。私ははっきり政府委員に対して、もう三日ぐらい前からそういうこともあるんじゃないかと思って、実験項目、実験内容、実験対象者を含んでそれで資料を出せと言ったのに、そこを出さないで、前のどこを通って何日間というところだけ出している。  大臣、伺いますが、こういうことでは困ると思うんですね。資料を出させるように大臣にお願いするしかありませんよ。法案審議に必要な資料は出させるようにひとつ大臣の方も、これは国政調査ですからね、御協力願いたいと思うんですが、いかがですか。
  138. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) お話承っておりまして、そういう資料につきまして御要求があったのかと思いますが、局長のところはちょっと行き違いになっておったようでありますから……
  139. 内藤功

    ○内藤功君 要求していたんですよ。至急に出さしてください。
  140. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) それじゃいずれにしましても局長、至急提出してください。
  141. 内藤功

    ○内藤功君 そこで私はよけいな時間をかけざるを得ないんですが、まことに遺憾なことなんですね。この時間だけずいぶん省けるのですが。  そこで、なお私はいまの表のほかに各社の出した近代化委員会の実験計画書もここに持っているんです。秘密でも何でもない。秘密の表示も何もない。これによると、たとえば郵船からいきますと郵船の「氷川丸」の第一次実験期間、実験項目八というのがあるんです。船橋当直作業、沿岸狭水道、出入港スタンバイ時。次に実験内容は、甲板部員作業。それから実験対象者は機関部員Z、Zというのは、ABCDEFが甲板部員でWXYZが機関部員、その一番後任者ですね。WXYZ、四人部員がいる中の一番後任者、まあ経験年数の若い人でしょうね。この人にやらしている。狭い水道を通らせる。期間は三回、いつやるかというと、東京出港時、シアトル入港時、神戸入港時、当直甲板手と二名で操舵と、こう書いてあります。たとえばこういう項目、全部挙げたらこれはもう物すごい項目ですから。郵船から商船三井から昭和海運からジャパンラインから全部入っています。私見て、非常にこれは危険なように思うんです。これは重大な問題だと思うんですね。たとえば狭い水道というのは、私は素人ですが、船長が自分で出てきて見張らにゃいかぬと、そういう規定が船員法にあると思いますね。それから東京湾とか伊勢湾とかいうのは海上交通安全法で危険水域に指定されているところですね。そういうところでは、私素人考えですけれども、見張りをふやして、船長も自分で出てきて、手あきの総員がやっぱり出てきて見張りを手伝うぐらいなことが必要なんじゃないかと思うんですよ、私は素人ですけれどもね。しかしこれは、逆に今度は経験の十分と思われない機関部員のZをそこに出してきてやると、こんな点はやはりどうですか。法律の抵触の点はどうか。仮に法律に抵触しなくてもほめられたことじゃないんで、こういう法の趣旨、国際条約の趣旨、それから安全という運輸省の指導方針というものから見て好ましいかどうか、好ましいかどうかですよ、好ましいならその根拠、好ましくないならこういうものを事前にチェックすべきなんですね。これはどうしてチェックしなかったのか、あるいはチェックしたのか、そこらあたりの事情をまずね、この点でちょっと例を引いてお伺いしたいんです。どうですか。
  142. 向井清

    政府委員(向井清君) いま非常に具体的な御指摘があったわけでございますが、先ほど、やや抽象的でございますけれどもお答え申し上げた範囲に実は入っているかと思うわけでございまして、その場合Zというのがどういう個人であるか、それは私どもわからないところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、やはり他の部の職務を行う場合にはそれなりの教育を受けている、所定の教育を受けているという前提があるはずでございます。それからその場合でも、本来の職務を行う者がちゃんとそこにおるという前提があるわけでございまして、いわば先ほどの言葉を使いますというと、見習いかテストということで、その場合いわば本物の職員なり部員なりはちゃんとそこにおるということで、プラスアルファでそこにそういう者がついて実務上の見習いなりテストを行うという趣旨であることは、これは私どもとしても確認をいたしているところでございます。  それから先ほどもちょっと申し上げましたが、単なる実験船ではなしに、やはり商業航海に従事している船でございますから、万一のことがあったら非常に問題でございますし、また御指摘のように狭水道における航行の安全というのは非常に大事な問題でございますので、この辺の安全マニュアルというものは船長の責任においてきちっとつくるということは、強くこちらも指示をいたしております。  それから先ほどおっしゃいましたような、そういう細かい職員の配置等につきましては、大ざっぱに申しまして、法定の問題ではなしに、やはり船長の権限においてそれを決める。やはり船長責任というのは船においては非常に大きなものでございまして、船長の責任においてその場所におきますところの水路の状況、気象、海象等の状況、その他行き会い状況というものを見て決めるというのが実態でございまして、それはやはり最終的には、船長の責任において信頼して行っていくしかないというふうに理解しております。
  143. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、具体的にこの実験計画書が出てきたときに、局長の方としてはどういうふうな指示、注意あるいはチェックをしたのか、あるいは計画書のうち、ここがこう削られたあろいはこうつけ加えさしたというところはどこですか。
  144. 向井清

    政府委員(向井清君) まさしくいま御指摘の点が、われわれとしても非常に意を使っているところでございまして、事安全に関すること、その他実験の目的から言ってそぐわないようなことをやられてしまっては何にもなりませんので、そこのところはもうきめ細かく押さえていこうということでございますが、役所だけの立場でこれを見ますと、法律上の立場が主になるわけでございますが、そうきめ細かく実態を知悉しているわけではございませんし、その辺の指示におろそかなところがあってはいかぬということでございますので、先ほど来申しておりますように官労使一体でもってなるべくうまい組織づくりをし、うまく機能を分担いたしまして、実験をやっていくという苦心がそこにあるわけでございまして、あらゆる知識経験者の御意見というものが入り得るように、先生冒頭に御指摘がありました近代化委員会というような組織も活用しながらやっておるということで、ただその安全面につきましては包括的ではございますが、厳しく指示をしているというようなことで、まず万全が期せられるのではなかろうかと考えている次第でございます。
  145. 内藤功

    ○内藤功君 ちょっと局長、ここへ来てこれを見てください。確認だけしておきたいんですが。(資料を示す)  このほかにも機関室の入出港スタンバイ作業、これに甲板部員Fですね、甲板部員A、B、C、D、E、Fの最後の六人目のFを担当させるとか、機関室、航海当直作業、機関部員作業に甲板部員Fをさらに使うとか、それからさっきお話出た第二次の実験では船橋当直作業の航海士作業に通信士を使用すると、こういうように、指摘すればたくさんあるわけですね。私は、こういう点について運輸省がチェックをしたと言われるけれども資料もまだ提出をされていないし、非常に大きな問題が、きょうの短時間の質問ではやり切れない大きな問題が私はあると思うんですね。  それで、運輸省に、仮に当該労使が一定のオーケーをしたかどうかにかかわらず、独自のやはり行政の立場で法の適正な運用を図らなければならぬ、これは認めるでしょうね、どうですか。
  146. 向井清

    政府委員(向井清君) 先ほど来申し上げておりますように、御指摘の点につきましてはもちろんでございまして、まあ現場の実務面については、なかなか役所がそれを知悉し、ことごとく指導するということに欠ける点があるかもしれませんが、法制上の問題につきましては、これはもう当然私どもの方で問題になるところはきちんと指摘をして、そのようなことのないように十分指導するという立場でございます。
  147. 内藤功

    ○内藤功君 船員法の六条によると、労働基準法の一条から十一条までは船員の労働関係にもこれを適用するものとすると、たしかそういう条文があって、この一条二項では、労働条件の基準で決められたものは、法で決められたものはこれを守らなくちゃいかぬし、その法の基準を理由に切り下げちゃならぬ——これは次に、船員雇用法のときに、私、詳しく質問するつもりですが、切り下げちゃいかぬ、こういう条文もちゃんとありますね。つまり、船員法というのは、これはもうあなたには釈迦に説法でありますけれども船員の労働条件の最低基準法であって、憲法の二十七条二項で委任を受けて、それで最低基準は法律で定めるということでできている法律ですな。まあ、うなずいておられるからもうそのとおりだと思うんですね、そういう法律なんです。だから、この厳守というのは非常に大事だと思う。で、私は、いやしくもいいかげんな審査というものがあっては絶対ならぬ、もう言うまでもないことですけれども、これを特に強調しておきたいのであります。  最後に、ことし出された文書で私は非常に関心を持った文書が一つあるんです。これは本年一月に開催されたIMCOのSTW小委員会に提案されたITF——国際自由労連の覚書というのは御存じですか。
  148. 向井清

    政府委員(向井清君) 手持ちございませんし、私も詳しい話は存じないのでございますが、恐らく定員関係の問題ではないかと思います。
  149. 内藤功

    ○内藤功君 これはあなたの方で調べていただきたいんですが、この中に、国際的にはむしろそういう船舶定員を減らすという方向ではなくて、むしろこういう覚書の八項にはこう書いてあるんですね。「最低定員要件は、我慢できる最も少い数という意味ではなく、むしろ船舶、乗組員と乗客、財産ならびに環境の安全のために常に十分な最低の数を意味する。」と、船舶、乗組員と乗客、財産、環境の安全と、常に十分な最低の数をということを非常にこの中で強調しているのが、私はいまのこの定数を減らすといういろんな議論の中で大事だと思うんですね。  それから、特に定員というのは、船が遭難しているのに会った場合には救助に行く能力というか、余裕を持たなければいかぬ、これに十分なものでなければならない。もっと具体的に言うと、各船船内には、「その船自身の救命艇を安全かつ有効な方法で扱うのに十分な人員がいなければならない。」というようなことを非常に具体的に出しているわけですよ。まあこのITFのいろんな立場についてはいろんな意見があり得ると思うけれども、これはひとつのやはり海上労働者の立場からして当然の私は要求だろうと思うんですね。また、運輸行政の上でもこれは中心的な命題にならなくちゃいかぬと思うんです。この点を私は特に指摘をしておきたい。  今回の実験船については、私はきょう資料の提示が全部あると思って質問を組んだものですから、十分な質問がなし得ない。資料の提出をお約束いただきましたから、いただきました上で、次の船員雇用促進法についても関連がありますから、そのときに残った問題は留保して、さらに大臣、局長にお出ましを願ってお聞きしたいと思うのです。  最後に、私は本法案は、やはり、これを突破口にして超合理化船の導入で雇用不安にあえぐ日本船員の一層の削減、労働強化の押しつけが必ず到来する危険を持っているということで、この法案についてはそういう立場であるということを表明をして、私の質問はなお留保点がありますが、以上で終わりたいと思います。
  150. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) いま内藤さんのお話で、冒頭に日本船主協会の会長さんか何かが予備員率がふえるということを認めているようであります。それは短期的には小人数でやれるわけでありますから、はみ出るかもしれませんけれども、こういうことをやりたいというのは、国際競争力をつけるために今度の利子補給というものをやって、国際競争力のある船をつくるというところにあるわけでありますから、長期的に——昭和四十五年に七五%ありました国内船が現在は五割ぐらいしかない。ほうっておけば国内船の使用が減って、外国用船が多くなる。それに歯どめをかけようということは、すなわち、日本の海員に就業の機会をより多く与えたいということでありまして、そういう長期的な努力、長期的な目標というものについて十分ひとつ御理解を願いたい、こう思うんですよ。一つ一つの船がいままで多人数のものを小人数になったから、それで予備員率がふえるというような、そういう目先の解釈をすべき問題ではないというふうに私は考えております。  それから郵船等の近代化の努力、近代化という名のもとでできるだけ人手が少なくてやろうという努力も、そういう意味で私は一概にその努力を否定すべきじゃない。先ほども申し上げましたように、昭和四十五年に七五%使用しておった日本船がいま五〇%を割って、さらに低くなろうということになってまいりますれば、もう大体極端な場合には日本船員の雇用の場というものはなくなるかもしれない。そういうことがなくならないようにということで近代化の努力をしておるわけでございますから、その辺のところは十分ひとつ御理解を願う必要があると思うんです。  それで船員法や労働基準法の法律を御引用になりました。その中には、動かすべからざる大原則もあろうかと思いますが、時代とともに変えていかなければならない面もあるわけでございますから、したがって、そういう点について検討をすることは私は当然のことではないかと、こういうふうに思っております。そういう日本船舶界、これは労使を含めての世界的な風潮の中で、これは景気の面におきましても、あるいは日本の場合の、日本海運界の現実から考えて、血のにじみ出るような努力をしているということについて、そういう御評価の上に立っての御批判というものを私はぜひお願いしたい。現行の船員法や労働基準法というものを墨守して法律が残ったって、職場がなくなっては何にもならないと私は思うんです。そういう意味で、今回の立法というものはそういう方向に向かってわれわれが——それは十全の成果とは言えないかもしれません、必ずしも十分ではないかもしれません、しかし、そういう方向に向かって努力しているということについては、賢明なる内藤委員においてひとつ御理解をお願いしたい。あるいは言わずもがなのことを申し上げているのかもしれませんけれども、どうも、先ほど来の論調を伺っておりますと、そういう基本的姿勢について、ひとつ、いま一度再検討願いたい、そういうふうに思います。
  151. 内藤功

    ○内藤功君 法律に基づく行政ということが大事だということで私は言っているわけです。だから、いまの法律がある以上は、法律の原則はもとより、法律の規定を守ってやるのが行政なんです。海運行政だって運輸行政だってみんなそうなんです。そのことは局長も認めているんです。それはわかるでしょう。  そうすると、質問ですが、この実験船の結果、これは船員法、船舶職員法の改正はもう当然だと、大臣がこれをやるつもりでいるのかどうか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  152. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 法律を守ることは当然です。しかし、時代とともに、やはり法律というものもこれは変えることがある、解釈も変わることがある。これはあなたも法律の専門家ですからよくおわかりになることと思います。したがって、そういうことをやる場合に、頭の中だけでそういう法律の改正を考える場合もあれば、実際、そういうことをやってみてやれるということでまた変える場合もある。したがって、現行法を守らなきゃなりませんけれども、しかもなお、現行法律においてさらにこれを是正する機会があるならば、またそういうための実験というんですか、試みをやるということは、法律に反することはには私はならないと思う。そうしたら、あなたのおっしゃるようなことをやっておったら、とにかく頭の中で変えること以外は実際にやってみるということは不可能になると私は思いますね。  で、当該問題の場合に、私は、これを変えるということをいま直ちに考えておるわけではございませんけれども、その、いままでやってみた結果の中でここまでやれるということになれば、そういうことはあり得るでしょう。私は、この問題自体については十分な成り行きを一から十まで知っておるわけではございませんけれども、しかし、法律というものは結局そういうものではないか、そう思うんですが、内藤先生、いかがですか。
  153. 内藤功

    ○内藤功君 私の質問に端的に答えてください。  そうすると、今度の第一次、第二次の実験船の結果、法律改正、これはもう当然だ、法律改正をするための実験だと、こういうお考えですか。そういうお考えで言っているようにとれるんです。
  154. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 当該問題につきましては、船員局長から答弁させます。
  155. 内藤功

    ○内藤功君 いやいや、当該の問題じゃない、大臣の考えです。いま局長に対する質問は要らないんだ。あなたの考え方を聞きたい。いや、大臣考え方ですよ。あなたがそこまで言うならば、これはもう実験船の結果、法律の改正が必要だと、こう言ってくださいよ。言うならここのところははっきり言ってください。そこまで言われちゃ、こっちも引けないですよ。そういう改正が必要だと考えているんでしょう。火だけあなたつけておいて、後でもって逃げるというのはひきょうだよ。
  156. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) いやいや、逃げませんよ。だから、こちらから先に聞いてくださいと、こう言っているんです。
  157. 向井清

    政府委員(向井清君) お答え申し上げます。  多少、問題が食い違っているかと思うのでございますが、現在やっている実験の過程において、端的に違法行為があるということは、これはあり得べからざることなので、これは当然是正させなきゃいかぬことでございますが、実験と申しますのは、やはり先ほど申したような、世界的の大きな流れのございます船員制度の問題というものに対応しての実験でございますので、やはり将来をにらんでおるということでありますから、その中には当然、立法論というものも含まれてくる。ただ、その場合に、実験即何か法改正というような短絡したような感じではございませんで、先ほど申しましたように、実験そのものにつきまして、もうすでに二年間という基礎調査の蓄積の上に立っておる。しかも実験もかなり長期間積み上げて体系的にやっていく。それを踏まえまして、さらに、関係審議会、委員会等で非常に詰めた議論をしていただいて、また、それをさらに法律的にたたいてみるということを何回か繰り返しました結果、どのような形になるかということでございますが、見通しとして申し上げますと、先ほどから申しております世界的な趨勢の中で、最も大きいのは、先生もさっきちょっと申されましたIMCOのSTW小委員会で、昨年討議をいたしまして、七月にIMCOとして採択いたしましたSTCW条約というのがございます。これは非常に大きな船員の資格訓練、当直維持の基準に関する内容を含んでおりまして、船舶職員法の改正というのは、これは当然出てくる。それから船員法につきましても、部員資格等の問題がございますから、これも当然検討の対象になるということで、もうすでに関係審議会ではそういう意味審議が始まっておる。でございますから、つづめて申し上げますと、実験船から法改正ということではなしに、やはりその基盤としての船員制度の見直し、それの大きな変革という流れが客観的にございまして、それを受けての審議態勢というものがすでに大きな動きとして動いておる、その中の一環としての実験であるということで、やはり見通しとしては、その法改正の問題というのはいずれば出てこざるを得ないというふうにわれわれとしては考えておる次第でございます。
  158. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) ただいまお話しいたしましたとおり、そういう実験を行うことが必ずしも法改正に短絡するものではない、それを結論にいたしたいと思います。  それから、なお、いまもお話が出ました内藤委員お話、さきに青木委員からもお話がございましたけれども船員の技能、資質というものの向上という問題でございますが、これは船員を、何といいますか、そういう質的な向上ということを図るべきことは当然のことでございます。青木委員も最後に強調されましたが、その点は私どもも同じように考えており、現にIMCOの国際条約の課題にもなっておる、こういうことでございますから、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  159. 内藤功

    ○内藤功君 一言だけ……。  質的な向上じゃないんだよね。甲板部と機関部をごっちゃにしちゃうんですからね、これは質的向上の問題ではないんですよ。
  160. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 この法律の一番のねらいは日本海運の再建ということにあると思うんです。ですから、そういう点で若干基本的な点に触れてお聞きをしてまいりたいと思うんです。  この利子補給法の参考資料として出されている二ページ目にもあるんですが、昨年の六月の海運対策部会小委員会報告をしております、いわゆる日本海運は貿易物資の安定輸送、緊急事態が発生した場合の経済的安全保障の確保、伝統ある技量優秀な日本船員の雇用安定等の面で重要な意義を持っており、かかる意義を果たすのに必要な最低限度の商船隊は確実に保持していくべきである。そして、それは昭和五十二年程度の六千万重量トン、三千四百万グロストンであると、こう言っているわけなんですが、私がお聞きしたいのは、この中で言っている「経済的安全保障」の確保ということをどういうふうに受けとめて、どういう理解をなさっているのかという点なんです。
  161. 真島健

    政府委員真島健君) 「経済的安全保障」という言葉が小委員会報告に出ております。これも小委員会報告の中で若干触れられている部分かと思いますけれども、重ねて申し上げますと、やはり、いわゆる国際的な紛争状態、あるいは国際的な紛争状態にまで至りませんでも、たとえば、何年か前にスエズ運河が通れなくなったというような問題そういうような問題が勃発いたしましたときに、やはり外国用船に余り頼り過ぎておるということは、その紛争状態なり、経済的な混乱状態なりの中で、非常に、外国用船のことでございますからなかなか日本船社の思うように動かないということになりかねないわけでございまして、そういう場合に、やはり日本船が必要最小限度あるということによって——わが国の経済的な安全を何とか保つために必要な日本船の量というものをどうしても保有しなければならないんではないか、こういうようなことで経済的な安全保障という問題を考えたわけでございます。
  162. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そうすると、経済的な安全保障の確保という意味昭和五十二年当時の三千四百万グロストンを確保したいんだという答申の言葉があるんですけれども、その数字もお認めになるのかどうなのか。  それから、先ほどから言っているように、その数字というものは、外国用船が約半分、日本商船が半分なわけなんです。そうすると、五〇対五〇というそれもお認めの上でそういうことを言われるのか、そういう受けとめ方をしているのか。
  163. 真島健

    政府委員真島健君) これは実際問題としては、定量的に、これだけでいいという数量の確定というのは非常にむずかしい問題でございます。経済的安全保障ということを考えた場合にも、この小委員会報告にもちょっとございますけれども、非常にシビアと申しますか、国民が何とか最低限度の生活をやっていくためにぎりぎり必要な物資を運ぶために必要な日本船の量というような観点から考えますと、これもどの程度最低限度の生活必需物資であるかという問題にいろんな前提があるわけでございますけれども、小委員会報告にもこれは書いてございますが、一応昭和四十一年から四十二年ごろの国民の生活水準程度ということを想定して、そのために必要な船腹量、これをはじいた場合に、約二千二百万総トン、こういう数字が出ておるわけでございまして、これはしかしながら、本当に国民が、まあいまの生活から考えれば、非常に切り詰めた非常に苦しい生活をやっとできる、こういうふうな前提で計算をした場合の二千二百万総トンという数字でございまして、安全保障というものをその程度のことで日本船最低限度要るんだという考え方をとりますと、三千三百万総トンというのは、さらにそれより一千万総トン多い量でございます。  しかし、この最低限度維持するというのを、もう少し高い生活水準、四十一年や四十二年でなくて、では現在程度の生活についてどう計算するか、これも計算の仕方でいろんな数字が出てくるわけでございます。私ども、この経済的安全保障のために定量的にどれだけ要るかというのは、やっぱりなかなか非常に定量的には確定しにくいということを考えながら、小委員会の議論の場におきましては、ぎりぎりの生活水準維持のために必要な日本船の量、さらにそのほかに船員の雇用の問題、さらには長期的に見た国際収支の中でのわが国海運が大体どの程度の収支状況であればいいだろうか、さらには最近いろいろ問題になっております、当委員会でも御議論が出ましたような、船舶の安全の問題その他から考えた場合の日本船の優秀性なりなんなりというような面、そういうものも含めて考えた場合に、とりあえず五十五年度程度を見通した場合に、この程度日本船というものが必要ではないだろうか、ということで小委員会報告が出ておるわけでございます。
  164. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 言葉ばかり長くしゃべらぬでいいですから、何を言わんとしているのか、基本的なところをきちんとしていただきたいんです。  私が知りたいのは、その部会の小委員会で、「外国用船に対してとるべき方策」というのもこういうことを言っているわけなんです。特に日本海運が実質的に支配している外国用船日本船を補完するものとしての意義を認める、しかしこれを保持するための具体的方策は、基本的には海運企業自身がみずから判断して実施していくべきものである、国は、海運企業がとる方策が円滑に進むよう、必要があれば所要の措置を検討するとともに過度の外国用船が行われたり、資質の低下した外国用船が導入されたりすることのないよう指導を強化するということ、これは十年前にも使える言葉だし、これから十年たったってこの文章を言ってそれはちっとも私はおかしくないと思うんですよ。また別なところでは、もちろんやはりコストダウンさせなくちゃいかぬから外国用船と適当にミックスをして、その一船当たりのコストを下げろとほかで言って、それはおわかりのとおりだと思う。ただ問題は、抽象的にこう言っているんだけれども、このことを運輸省としてはどういうふうに受けとめて、それでそれを皆さん方がどう解釈して、おれたちはこういうふうな受けとめ方をして、これでよろしいと思っているのか、こういう判断でということで進んでいくならばこれは危ない、何らかのチェックをし、ストップをかけにゃいけないと判断しているか、そこを知りたいんですよ。  問題は別なところでも小委員会のあれを出している。さっきも言ったように、コスト下げにゃいけないと言っているわけでしょう、国際競争力をと言って。そのために日本船外国船をミックスすると言っているんだけれども、これからますます発展途上国からの追い上げが激しいと思うんですよ。そうすると、その経済性のこと、コストのことばかり追求をしておったら外国用船を減らすという材料はこれはどこからも出てこないんです。日本の乗組員、船員の賃金を下げるわけにはいかないんですよ。それだからこそ先ほどからああ言って人を減らせと言っているんだ。これもいまもう一回改めて私も聞きたいと思っているんだけれども、まず、もう少し基本的な物の考え方を言っていただけませんか。
  165. 真島健

    政府委員真島健君) 私どもはいわゆる外国用船の最近の状況、まあ小委員会報告支配外国用船についていろいろ触れております。しかし私どもは、現状の中でこういう傾向が今後進んでいくことについては、否定的と申しますか、そういう方向に行くべきではない、そのように考えておるわけでございます。そのために利子補給法案等を現在御審議をいただいておるわけでございます。その場合に、国際競争力の強化という場合に、やはり一つの非常に大きな問題でございますのは、船員費の問題でございます。これは発展途上国その他の攻勢の中で何とかこれの合理化を図っていく、この方向が打ち出していけない限り、これは容易ならざる事態に陥るのではないだろうか……
  166. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、そこでいいです、そこで。余りあれこれ言わないで……。  そうすると、その外国用船がふえることについては、海運局長、否定的だという御答弁があったんだけれども、いまの五〇%は多いということをおっしゃっている。それで、先ほど大臣の方は外国用船二五%、二五%と言っているけれども昭和四十四年、十年前は大臣外国用船は一六%なんですよ、国内船八四%持っていたわけだから。そうすると、この十年前のその辺が本来なら妥当なところだという見方をしているのか、ともかくいまの五〇%は多過ぎるというのはわかったんだけれども、その辺はどの辺をめどに置いているんですか。
  167. 真島健

    政府委員真島健君) 四十四年の状況あるいは四十五年の状況、非常に日本船が多かったということは御指摘のとおりでございますが、今後さらに、今度は十年ぐらい見通した場合に、日本船がどの程度比重になるべきであろうかという問題は、これも私どもいま現在の外国用船五〇%が非常に多過ぎるという感覚でこれからの施策をやりていきたいわけでございますけれども、しからば四十五年当時の七五がいいのか、四十四年の八〇を超えるような姿がいいのか、これにつきましては確たる定量的な目標は現在のところ持っておりません。
  168. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ぴったり数字を言えなんと言ってもそれは無理なこと、しかし、運輸省なら運輸省としてこの程度に、たとえば三分の二なら三分の二でもいいですよ。三分の一ぐらいは外国用船を使わなきゃとても国際競争をやっていかれない、しかし三分の二は日本船でもって確保して、それでそれをミックスして、いかにして国際競争力を保持するかという、そういう考え方がもうちょっと、それは方向ぐらいお持ちになってくださいよ。それを言って、また言質をとらえて私はとやかく言うつもりはない。しかし、そういう関係からもうちょっと今度はお聞きをすると、きょうの午前の御答弁の中で、海運局長は、いまの海運のあれは手厚い保護にはなりませんという答弁をされておった。しかし、この前の——あれ幾日ですか、あのときはどなたかのなにの中で、海運は大変手厚い保護を受けていますという答弁をなさって、私もぎょっとして聞いておった。  それで、きょうここで私が聞きたいのは、利子補給やるわけだけれども、イギリスの場合には、もうこれは私が言わなくたってそちらがよくわかっているんだけれども、マキシマムで三〇%の船価補助をしているわけですよ。船価の三〇%。それから、西ドイツは一七・五%、造船の補助で出している。三・五%の利子補給だとか二・五%をどうするとかというけたが違うわけなんですね。そうしてくると、いま一生懸命になって日本海運を再建をして、国際競争力を持たにゃいけないと言っているんだけれども、北欧なりヨーロッパの主要な海運国がやっていることと、いまここでもって日本政府が、これも一つの国家助成に入るんだけれど、おやりになっているこのことは妥当だと思って皆さん方お考えになっているんですか。それとも、とてもじゃないけれどもヨーロッパのあれらの国がやっていることとはもう太刀打ちはできない、といってそうむやみやたらに海運にばかり金をつぎ込むわけにいかないから、まあまあこの辺でもって海運産業もがんばっていただいて、それこそ先ほど大臣のお言葉じゃないけれども、血のにじむような努力をやっぱり海運もやってもらって、国際競争力を持つようにするんだと考えているんですか。その辺のところを明確に答えてくれませんか。
  169. 真島健

    政府委員真島健君) ただいまの御指摘の英国あるいは西独、さらには北欧の政府助成、今回の利子補給によるわが国の助成というものがどういうバランスにあるのかという御質問かと思います。  確かに、イギリスその他の船価助成、これは相当手厚いものがあるかと思いますけれども、私もややまた聞きになるわけでございますけれども、これはむしろ英国なり西独なり、その国におきます造船所船価の問題と絡みまして、むしろ対外的にこの程度の助成をしなければ、その国の造船所がうまくいかないという観点からの助成であるように考えておりまして、そういう意味では日本造船所は技術的にも非常に優秀なものを持っておりまして、船価的にある程度そういう造船所補助という形で国からのものがいかなくても、造船補助、船価補助を受けて何とかやっていく諸外国造船所相当競争力がある、そういうふうに考えております。そういう意味では、ベースが違いますので、パーセンテージだけでなかなか比較はできないかと思いますけれども、私どもはそういう諸外国の例もいろいろとお聞きをいたしながら、今回の利子補給制度、これは船価補助に直しますと一四、五%程度の率になるかと思いますけれども、これで諸外国の船と十分拮抗できる国際競争力のある船ができてまいるというふうに考えております。
  170. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣よく聞いておいてくださいよ。いまの海運局長の答弁というのは、一生懸命働いてやっているところというものはそんなに援助しなくてもいいからそうやれるんで、言うなら、ずっこけていて、怠けてばかりいるところはしようがないから、その国が補助しなくちゃいけないんだという、そういう考え方に通じちゃうんで、私はそういうことは何も事海運には限りません。そういうことで国の助成というものを考えられたり、扱われたりしていいのかどうかという気がするんです。それはまた最後に大臣の方からお答えといいますか、聞きますので、そのことだけいまの御答弁につけ加えておきます。  それから海運局長、先ほどからこれは出ておりますからもう私簡単にしますが、いわゆる高度合理化船、定員を十八名にするとか、あるいは局長はどこかでもって、何ですか、もっと減らせることもできるんだ、将来は十人ぐらいなんて発言しているのも何かで私は見たんだけれども、問題は、いまここでもって、きょうも大分いろいろ前にもあったんだからこれは蒸し返しません。ただ、一つだけ答えていただきたいことは、これは政府としてはとやかく言うものじゃなくて、労使が自主的に決めなさいと、そういう考え方であるのかないのか、そこのところだけはっきり言ってくれませんか。
  171. 真島健

    政府委員真島健君) 先生のおっしゃるとおりでございます。私どもが十八人云々というようなことで予算上いろいろ計算をしたということは、労使のいろいろな話し合いの中である程度の前進ができるというような場合に、入れ物である船にそのための諸設備がないのでは、これはどうしようもないということで、ある意味での環境づくりはこれはしておく必要がある、実際にそこにどういう船員の方が何人乗られるか、これは労使の十分な納得のいく話し合いの中で定員というものは決まってくる、このように考えております。
  172. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 まだあるんだけれども、別な問題に移りまして、ソ連の商船隊の問題、これはもう世界じゅう荒らし回っているということは皆さん方もおわかりだと思うんです。海軍の軍人まで乗せて至るところへ行って荷物をかっさらって、それから運賃なんかも全然けた違いの四割引きとか五割引きとかというかっこうでやっているんですが、ソ連の商船隊がいま世界じゅう暴れ回っているのをどういうふうに受けとめているのか。もっとはっきり言えば、日本海運としてどの程度の被害を受けているというふうに見ているのか、その対応としては何をやろうとなさっているのか。これは国際競争力の問題じゃないんですね。けさの新聞でも、何ですか、ソ連も東独も定期船同盟行動憲章条約に入ると、そういう表明をしたといっているんですけれども、まだまだそうは言ったって、かなり先のことになると思うんですけれども、これば容易ならないことなんです。先ほどから言って、国際競争力が云々で乗組員を何人にしなくちゃいけないとかなんとかとは、もう、けたが違う性格を持っているんですから、そういう点から言ってこの対応策はどう考えているかということをお聞きしたい。
  173. 真島健

    政府委員真島健君) ソ連船の活躍につきましては——活躍と申していいかどうかあれでございますが、非常に最近数年間活発なものがございます。わが国に対するソ連船の被害と申しますか、ソ連船によって侵食されてまいっておる航路、これは日米関係、これはわが国の定期船航路のうちでも非常に大きな比重を持つ航路でございますが、ここにおいて、現在、ソ連が全体の七%程度の積み取りをすでにやっておるわけでございます。そういう意味では中核六社がそれぞれやっておるわけでございますけれども中核六社の一社がほとんど匹敵する程度の積み取り率を示しておるということでございまして、私ども日本は日米航路以外についてそれほどのあれはございませんけれども、OECD諸国、アフリカ航路、その他西独からアフリカとかそういうような航路については非常に大きな被害——被害と申しますか、侵食状況が出ておるというふうに聞いております。そういう意味で、先進諸国全体といたしましても、何らかの対策をとらなければならない。国旗差別の問題につきましては、先ほどもお答えしましたような代行立法という形で一応の法制的な整備はしておるわけでございますけれども、こういういわば非商業的なベースでの競争をしてまいります盟外船というものについては、実は現在のところ法制的には手が打たれておらないわけでございます。この問題につきましては、先生がいまお触れになりましたように、現在UNCTADでいろいろ議論をされております定期船同盟行動憲章条約、これに私ども批准をいたしまして、一日も早くこの条約が発効するという形を期待いたしまして、その大きな世界的なルールの中で許される各国の対応措置といたしましての国内的なやり方というものをできるだけ早く実施をいたしたい、このように考えております。
  174. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それも一つの方法で、それからソ連の政府そのものに対して抗議ですか、何かそういうことを外務省を通じてなさったのかどうか。それから、あなたは先ほどソ連が盛んに活発と言うけれども、私は活発だとは思わないんであって、あれは違法なことなんだよな。ましてや海軍軍人を乗せて民間商船を走り回して、まあ民間と言ってもあちらは国営になるからあれだけれども、そういう言うならば国際的な海運秩序というかルールを踏み破って、それはもちろん運賃同盟も入ってないから幾らで運ぼうがどうということないんだけれども、そういう無法者のようなことをやって世界の海の中を荒らし回っていることなんですから、活発でも何でもなくて、世界的に、日本だけではなくて世界じゅうがこれではもう海運が破壊されてしまうんでけしからぬじゃないか、慎めと言って、当然私はそういう抗議があってしかるべきだと思うんですけれども、そのことはどうなんですか。
  175. 真島健

    政府委員真島健君) 私が昨年海運局に参りまして以降、特に外務省を通じて抗議したということはいたしておりません。ただ、向こうの海運関係の役人が参りまして、私どものところへ事務的な打ち合わせに参ります際には、その問題は相当声を大きくして相手方の注意を喚起するというようなことはしておりますが、相手方はやはりああいう国の代表として出てまいっておるだけに、いや、われわれの船以外の自由諸国の盟外船も相当運賃は低くしておって、われわれより低いぐらいじゃないかというような糊塗的な答弁をして帰っておるということで、私どももこの問題は何とか一つ世界的なルールの中できちっとしたことができるような情勢をまずつくる、こういうことを第一にやりたいと思っております。     —————————————
  176. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 委員異動について御報告いたします。  本日、石破二朗君及び井上吉夫君が委員辞任され、その補欠として降矢敬義君及び中村啓一君が選任されました。     —————————————
  177. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大変いいことだと思うんだけれども、そこで世界的なルールをつくるということの見通しはどういうふうにお持ちになっているのか。それで、どんな転がし方をしてやっていくのか。  それからもう一つ、先ほどソ連からおいでになったときに言われたと言うんだけれども、それは口頭だけですか、それとも覚書なり文書なり何かにしてお渡しになったのか、その点。
  178. 真島健

    政府委員真島健君) 世界的なルールと申します意味は、先ほども議論に出ましたように、現在UNCTADで審議をされております定期船同盟行動憲章条約を発効させ、私ども日本もこれに加入をしていくということによりまして一つ世界的ルールができるという意味でございまして、現在わが国は批准について基本的にその方向を確認をいたしておりますけれども、若干の法律的な問題その他につきまして外務省等との話し合いが一〇〇%ついておりません。そういう意味で、私どもそういう点をできるだけ早く詰めていく。情報によりますと、大分今回のUNCTADでは批准の意思表明をする国がふえてきておるようでございまして、発効も間もないことのように考えられますので、できるだけ早い機会に私どもはこの条約の批准に向かって政府が踏み切れるような努力を外務省ともどもやってまいりたいと思っております。  それから、先ほど申し上げました抗議と申しますか、注意喚起は、口頭でございます。
  179. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 定期船同盟の憲章条約、さらに突っ込んでお聞きするんだけれども、いま行かれているのには、ちゃんと日本は批准をしますという結論は持って行っているんですか。去年のIMCOの場合もそうなんだけれども、私の記憶する範囲では、十九人か何か行ったんだから、恐らく世界日本ほど大量の代表団を送ったところはないと思うんです。あれだけの、世界一とでも言うべき大代表団を送りながら、日本の政府は態度を持たせないでやったわけでしょう。今度の場合は、その点はちゃんとお持ちになって行ったのかどうか。  それから、国内的に批准がいくまでにまだ外務省との関係で、多少その辺で調整が残っているというふうなことなんですけれども、むずかしい点はどういう点があるんですか。
  180. 真島健

    政府委員真島健君) 今回のUNCTADの総会におきまして、私ども海運関係の代表がどういう態度で臨んでおるかということでございます。これは従来もそうでございましたけれども日本の全体の基本的な態度は賛成である、こういうことははっきりと表明をいたしておると思います。ただ、批准の時期その他につきましては、これは若干の調整時間が要るので、いついつということまでは、何と申しますか、コメントしないという形で今回の総会には臨んでおります。  それから、何が一つ調整の中でむずかしい点かというお話でございます。これは非常に事務的な話にもなってまいりますけれども日本はOECD加盟国でございまして、自由化コード、これに加盟と申しますか、参加をしておるわけでございます。この自由化コードと今度の定期船同盟条約との絡み合い、これを四、四、二というふうなカーゴーシェアリングというものを、ある程度ガイドラインとしてではあるけれども決めていくということと、純粋に商業ベースでやらなければならないというOECD自由化コードとの調整の問題が、なかなか私どもも細かい法律論はわかりませんけれども、議論をいたしますといろいろ問題が出てまいるようでございまして、この辺が一つの問題になっております。
  181. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 わかりました。  それから、あとLNG船、結局イランのカリンガス計画は当分見込みが立たないと思うのです。ただ、そういう点で恐らくインドネシアの方の、ふやす国の方へその肩がわりをやるようにいろいろと計画を進めているんじゃないかと思うのです。そうでないとせっかくの予算意味がなくなっちゃうんで、その肩がわりの方向でいきそうなのかどうなのか。そこで、予算上どおりでもって本年度中の契約発注という方向にいけるのかどうなのか、その結論だけで結構です。
  182. 真島健

    政府委員真島健君) インドネシアのプロジェクト、これは相当固まりつつあると聞いておりますので、こちらの方へ向けていくということで考えるべきだと思いますが、五十四年度中にLNG船に何らかの形で手をつけるということになるかどうかはやはり非常にむずかしいかと存じます。
  183. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最後に大臣の方にお聞きをしてまいりますが、いままでいろいろここでもってやりとりしたことをお聞きになっていて、特に海運産業というのは、私は、国際単一マーケットの中で生きている産業なんですから、そういう点では普通の国内の産業で、それ不況になったとか、なんだというのと置かれる条件が違うと思うんです。そういう国際的な単一マーケットの中で生存しておるだけに、なかなかこういう不況状態になっても回復はむずかしい。しかも、相手は先進国もおれば、開発途上国がどんどん押し上げてくるところもおるという中で競争をしていかなきゃならないんですから、そういうことも含めまして、これからの海運産業についてどういうふうなことをいろいろの政策の上で強調して、実現のためにやっていこうとお考えになっているか、余り長期といっても何ですけれども、この見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
  184. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 大変むずかしい問題でございますが、当面の海運日本海運のことについての私の考え方を申し述べたいと思います。  わが国外航海運が貿易物資の安定輸送を使命としておることはもう申すまでもありませんが、貿易物資の輸出入に多く依存しているわが国の経済にとりまして、外航海運はきわめて重要な役割りを持っている、その認識が第一であります。そしてこういう使命を果たすためにわが国外航海運企業は、これまで外航船舶の整備に努めてきたのでありますが、最近における日本船国際競争力の著しい弱化という事実があります。昭和四十五年、いまから約十年前外国用船比率は二五%であったわけです。日本船は七五%であった。先ほど柳澤委員お話によると、その前の十年間にわが国の……
  185. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、四十四年、一年前、一年前で一六%です。
  186. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) ああそうですか、そうすると、これは計算の方法の差ですかね、四十五年は二五%というふうに私どもは聞いておるが——一年前ですか。それでこの国際力の低下というと、これはどこにあるかと申しますれば、いろいろ原因があると思いますが、最近は五〇%というところまで落ちてきたわけでございます。何といってもこの運航コストが非常に高いということであろうと、こういうふうに思うのであります。運航コストは大きく分ければ資本費、すなわち船価の方と船員費と大きく二つに分けますれば、船価の方は、これは世界有数の造船国であるわが国において、労使の非常な努力によって今日ヨーロッパ——ヨーロッパといっても東ヨーロッパを除きますが、アメリカの助成した後の船価と助成しない日本船価とほぼタイぐらいのところに現在いっておるわけであります。それに対してこのたびの利子補給によって船価低減を図る。利子補給比率が二・五ないし三・五という、これによりまして船価に対しては一二からまあ一四ぐらい、一四%ぐらいかもしれません。それによって資本費低減を図ってこの船員費高騰部分を少しでも減らしていこうと、船員費は先ほど午前中に内藤委員の御質疑にお答えしましたが、それは基本給の場合だけでありまして、これに手当がつきますし、雇用形態は終身雇用制とそういう終身雇用制をとらない国との差というものもあるわけでございますし、そういう予備員率と申しますかね、そういう点をやりますと日本船員費というのはその倍ぐらい以上の差になるんじゃないでしょうか。そういう船員費船価を低めることによって穴埋めをひとつ一方においてしながら、できるだけ船員費を低くするための、先ほど来いろいろ御論議があったようなやり方でこの船員費低下を図って、そして国際競争力をつけていこう。もしそういうことをやらなければ、この自由経済を主とするわが国海運企業は、日本船でやっておったら国際競争から脱落するわけでありますから、したがってどうしても外国用船に依存する。したがって外国用船の依存度が高くなって、日本船員の職場がますます狭められるという結果になってまいるわけでありますから、そういう点を考えまして、しかも、そういうことでありますから、日本船をつくる意欲というのが非常に乏しくなっておると、そういう実情を考えまして、そのまま推移した場合は、わが国外航海運はこれまで中核としてきた日本船維持確保は困難となって、貿易物資の安定を確保する上で憂慮すべき事態に当面すると。  まあ、どれぐらい日本船が占めたらいいかということでありますが、日本企業の使う商船隊のやはり五割ぐらいは常識的に、少なくも半分は日本船でやりたいというふうに現状をわれわれは考える。日本海運企業が使うところの船が大部分外国用船というようなことでは、どうも日本海運というもののまあその名前から申しましても、しかも先ほど来申しました貿易物資の輸送の重要性から考えましても、これはそういういままでのような趨勢でほうっておくわけにいかないということで、一時中断しておりました利子補給をこの際復活さして、そして二・五ないし三・五という利子補給比率は、当初率直に申しますと二%程度利子補給比率で、それはわが国のこの種政策では前例のないような利子補給比率になるわけでありますけれども、その程度のことで日本海運を力づけてやっていこうと当初考えておりましたが、いろいろ財政事情等もありまして、二・五ないし三・五、これでも他の産業部門においてこれだけの利子補給をやっておるところはほとんどないと言ってもいいようなわけでありますから、そういう点でこのたびの利子補給の法律を提案いたしまして、皆様の御賛同を得て日本海運の真の振興を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、国際競争力がある日本船建造体制を改善強化するというのが今回の法律の目的でございまして、先ほど来お話しの、これに加えて低開発国の船とか、あるいはソ連初め東ヨーロッパの船の問題等もございまして、これに対してIMCOの定期船同盟条約を批准し、これをいかにしてまた国内法体系をつくるかという問題もございますから、先ほど来御論議の点につきましては、この新しい条約をわが国が取り入れてまいります際の懸案事項の一つといたしまして対策を講じてまいりたいと。  当面は、とにかくこのままほうっておいたら、日本商船隊と口では言いますけども、いま五割をちょっと割って四九%ぐらいになっているんじゃないかと思いますが、外国用船比率がますます増加してくると、そういうことのないようにという歯どめで今回の法律を出したわけです。しかし三千三百万トンのわが国日本商船隊の中で三年間に三百万トンの計画造船、その中で二百十万トンの利子補給というようなことで果たして足りるかどうかということはいろいろ問題があろうかと思います。私どもといたしましては、いろんなむずかしい条件はありますが、少なくもこれらの計画は消化して、さらに従来の惰性をこの辺で食いとめるように歯どめをかけるべく努力をしたいと、そういうところが現状精いっぱいのところであります。しかし、これだけで解決するわけではございませんので、やはりこれが本当の成果を上げてまいりますためには、海運企業自身が非常にむずかしい状態にあるということを十分考えて、しかもこれは単に経営者の立場ばかりでなく、労働者の側においても労使一体となってこの危機を乗り切るため、まさに耐えがたきを忍んでこの危機を乗り切る、その気構えというものがなければ、なかなか日本海運業というものの将来は容易ならざるものであるというふうに率直に考えておるわけであります。  まあそういうつもりでやっておりますれば、多少の好材料はありますからね。まあ円も、やや円安の方向に向かっておるようでありますし、景気もやや持ち直しつつあるようでもありますし、そうなると、これ何といいますか……
  187. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 簡単に願います。
  188. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 人任せになってもいかぬと思いますから、どうかひとつそういうことで、今度の問題に取り組んでおりますことを御了解願います。
  189. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。内藤君。
  191. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法案に対し、反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、本法案による利子補給復活によって国際競争力の強化を旗印に、超合理化船の建造など、本法案をてこに、日本船員の雇用不安、労働強化を一層促進させることになるからであります。乗り組み定員の削減や、五年間に四百万総トンという大規模なスクラップ政策で、日本船員の雇用不安は一層深刻になることは必至と言わなければなりません。  今日の外航海運における雇用不安の最大要因は、中核六社を中心とする大量の海外売船仕組み船チャーターバック船等の利用による脱日本船員政策にあることは、いまや明白であります。これら海運企業海外進出によって、政府資料でも三万五千人に上る発展途上国船員中核六社を中心とする日本海運企業の実質支配下に置かれており、これら仕組み船チャーターバック船、マルシップの規制こそ日本船員の職場確保にとって急務であります。政府は、このような雇用不安の根本原因にメスを入れることなく、失業船員やいわゆる過剰船員といわれる人々の雇用不安は増大しているのであります。  反対の第二の理由は、本来、外航船舶に対する利子補給制度は、開銀融資など財政資金の投入、租税の減免などと一体となった、大企業擁護の国家助成そのものであります。今回、新たに進めようとしている利子補給によって、総額約七百億円という莫大な血税が投入されることになり、これまでの高度成長政策の一層のてこ入れにほかなりません。国家財政の破綻を口実に、一方では社会保障費など福祉の切り下げ、公共料金の引き上げ、増税など、相次いで国民生活へのしわ寄せが押しつけられているいま、断じて容認できないところであります。以上が本法案に反対する理由であります。  最後に、日本船員の雇用と権利を維持、向上させ、日本海運が健全に発達できるよう、便宜置籍船等に対し規制の政策を加えることを重ねて要求し、私の反対討論を終わります。
  192. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  194. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  青木君から発言を求められておりますので、これを許します。青木君。
  195. 青木薪次

    青木薪次君 私は、ただいま可決されました外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党及び民社党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一    部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国外航海運の重要性にかんがみ、政府は  次の事項につき、適切な措置を講ずべきである。  一、日本船中核とする外航海運政策を長期的   展望に立って早急に確立するとともに、日本   人船員の雇用の安定、拡大に努めること。  二、最近の国際環境の変化に対応して国際海運   秩序の維持のため必要な諸施策を早急に樹立   し、推進すること。  三、造船需要創出に一層努力するとともに、   中小造船業の仕事量確保に十分配慮するこ   と。   右決議する。  以上でございます。
  196. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ただいま青木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採択を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  197. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 全会一致と認めます。よって、青木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、森山運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山運輸大臣
  198. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、慎重御審議の結果、御可決いただき、まことにありがとうございました。  なお、ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配慮をしてまいりたいと存じます。
  199. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  201. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。森山運輸大臣
  202. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) ただいま議題となりました船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。  船員の雇用の促進に関する特別措置法は、海上企業をめぐる経済事情及び国際環境の変化等により離職を余儀なくされる船員の数が増大していること等の状況にかんがみ、船員の雇用の促進に関して必要な措置を講ずることにより、船員の職業及び生活の安定を図るため、昭和五十二年十二月に制定されたものであります。  現在、この法律の附則第二項の規定に基づいて、事業規模の縮小等に伴い相当数の離職者が発生している近海海運業、内航海運業、はしけ運送業、船舶製造・修理業の四業種に係る離職船員の再就職を促進するため、昭和五十五年一月一日までに離職する者に対し、就職促進給付金を支給する特別措置を講じております。  しかし、これら近海海運業等は、石油危機後の世界的な輸送需要の停滞、日本船国際競争力低下等の事情に加え、国内産業の一部の業種の構造的な不況の影響も受け、今後も引き続き事業規模の縮小等がなされ、これに伴って離職船員相当数発生することが予想される状況にあります。したがいまして、この就職促進給付金の支給に関する特別措置の対象となる者の離職日に関する期限を特定不況産業安定臨時措置法等の他の不況対策立法の期限に合わせ昭和五十八年六月三十日まで延長する必要があります。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  203. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 本案に対する質疑は、後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会      —————・—————