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工藤(晃)
分科員(新自)
大臣が先ほどおっしゃったように、
日本の
経済は好転しつつある。一言で言えば将来については明るいということですけれども、国際競争力を失った
構造不況業種と言われているような
業種の
業種転換を行うということは、大変困難な事業であると私は思うのです。そう簡単に、スムーズに雇用が創出され、そういう産業が転換をしていくというふうには考えられないと私はとらえているわけでございます。たとえば、
昭和四十年ごろに起きました構造
不況の中で、
石炭産業などはいまだに後の整理が完全にできていない。炭鉱離職者が生活保護法へ転落をして、それが福岡なんかの場合には非常に生活保護世帯が高い率を示しているということがそういうことで裏づけられているわけでございますから、そういう
意味においては、
昭和四十年のころの場合には景気回復へうまく波に乗れたのだが、今度の場合にはそう簡単に回復基調へ乗っていけるとは私は思えない。そうなると、そういう
業種転換をいかにスムーズに転換させるかということは国の大きな責任であると同時に、国民の大きな不安の要因であろうと思うのです。にもかかわらず、一方においては、先ほどから言われているように完全雇用を実施していかなければならない。また、高齢化社会に対応するために、人が長生きするようになった、あと十五年たつと平均寿命が八十歳まで伸びる。そういう時代にいままでのような社会の一つの尺度といいますか、人生五十年のときにつくられました定年制五十五歳あるいは終身雇用制、こういう一つのシステムが大きな音を立てて崩壊をしようとしているわけですね。そういう中で、雇用の創出を図っていくと一言で言っても、もちろん
日本の産業の景気が回復されなければ根治的な雇用の創出はむずかしい。労働省なんかは雇用の創出と言いながら、失業
対策にきゅうきゅうとしておる、こういう状況でございます。
その中で、先ほどから
大臣も言われておりますように、労働人口がどのような形をとるかと言えば、第二次産業から第三次産業へと移転をしていく。ところが、サービス業その他第三次産業の方の受けざらが、
対策が果たして十分なされているのかどうかということになると、はなはだ私は疑問に思うわけでございます。もちろん、
大臣おっしゃったような公共的なサービス部門である医療とか教育とか、あるいは文化とかというふうな面の
需要は今後ともに
拡大されていくでございましょうけれども、そういう部門は非
生産性の部門でございますから、やはり収益率を一方で上げていかないと、そういうところへの創出はなかなかむずかしいのではないか、こういうことが考えられますので、そう簡単に、そういうサービス部門への雇用の移転が円滑に行われるかと言えば、前途ははなはだ暗いのではないか、こう考えているわけでございます。
その中で、特に第三次産業と雇用の創出という問題、あるいは
中小企業対策、あるいはまた、その中で特に第三次産業、サービス部門、私がきょう申し上げたい環境衛生
関係のこういう業界に対する通産行政がどのような対応をされようとしておるかについて、私は質問を申し上げたかったわけでございます。要するにいまの対応は、治療で言えばカンフル剤を打っているというだけであって、根治療法には何ら手がつけられていないという状態でございます。それはもう明らかに
昭和四十年のときを見てもおわかりのように、そう簡単には
業種転換はできていかないだろう。また、新しい知識集約産業とかあるいはまた省
エネルギー産業とか、あるいは国際分業論とかいろいろなことを言われておりますが、これは各委
員会で私は同じことを申し上げているのだが、そういうことに対する各省の対応が同じ方向に行っていただかないとなかなかむずかしい問題だから、あえてお尋ねをしているわけでございます。
そういうわけで、大変厳しい状況の中に置かれていることは国民のすべてが
認識しておりますし、その証拠に貯蓄性向が
日本は非常に高い。所得の二五%を貯蓄に回している。しかし、それは好んでしているわけじゃなくて、そういう不安を裏づけている一つの証左ではなかろうかというふうに思います。それからまた、一方において第三次産業の環衛業というような
業種は、
大臣にここで特別お聞き及びを願っておかなければならないのは非常な零細企業の集まりでございます。同時に、過当競争の、常に供給過剰の状態に置かれていることでございます。それから、そういうところは、一方においてはどんどん新しい人たちがそこへ流れ込んでいく。常にそういう
立場で、競争力のない人たちが過当競争の中であえいでいるというこういう集団でございまして、その人口も一千万に近い人たちがその
業種の中で生活をしておられる。そこへ、こういういわば一つの社会の平衡のバランスを崩すような産業転換が行われますと、そういう業界には特に強く影響が出てくるのじゃないか、こういうふうに考えるわけで、吸収力を持っておる
業種あるいはパイであれば、それはそれなりのショックアブソーバー的
役割りを果たすでございましょうけれども、そういうことがなくて、やっと生活のかてをそこに見出そうとしているような
業種の中へ、産業構造の転換からそういうものが第二次産業から第三次産業へという形で流れ込んでいく。特に今後はそういうことがなくても高齢化社会という、その対応として、定年五十五歳の後、何か第二の人生を開くべく開拓する分野は、比較的安い資本で簡単にできる料理飲食とかあるいは喫茶とかというふうな、そういう中へどうしても退職金を持って安易に開業しやすい。ところが、素人がなけなしの金をはたいてやった商売が過当競争の波にさらわれて失業という形になりますと、今度は第二次産業から第三次産業へというふうな転換ができにくい、ついに落ちていくところは生活保護法の適用、そういうところへ陥りやすいような部門であるということをまず御
認識いただいて、そういうことに対して通産行政というものが特に手厚い対処をお考えいただかなければならない時代にいまは来ているのじゃないか、そう考えるわけでございます。そういうことについて
大臣の御所見を承りたい。