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1979-03-02 第87回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月二日(金曜日)    午前十時一分開議  出席分科員    主査 野呂 恭一君       伊東 正義君    羽田野忠文君       井上  泉君    岡田 利春君       佐野  進君    柴田 健治君       中村 重光君    藤田 高敏君       広沢 直樹君    河村  勝君    兼務 上原 康助君 兼務 沢田  広君    兼務 野口 幸一君 兼務 有島 重武君    兼務 北側 義一君 兼務 玉置 一弥君  出席国務大臣         自 治 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   澁谷 直藏君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     塩飽 得郎君         警察庁交通局長 杉原  正君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      関根 則之君         自治大臣官房審         議官      花岡 圭三君         自治大臣官房会         計課長     大嶋  孝君         自治省行政局長 柳沢 長治君         自治省行政局公         務員部長    砂子田 隆君         自治省行政局選         挙部長     大橋茂二郎君         自治省財政局長 森岡  敞君         自治省税務局長 土屋 佳照君         消防庁長官   近藤 隆之君         消防庁次長   鹿児島重治君  分科員外出席者         警察庁刑事局参         事官      谷口 守正君         警察庁刑事局保         安部保安課長  佐野 国臣君         国土庁長官官房         震災対策課長  城野 好樹君         大蔵省主計局主         計官      足立 和基君         大蔵省主税局税         制第一課長   水野  勝君         建設省計画局宅         地企画室長   木内 啓介君         建設省道路局市         町村道室長   金子  晃君         建設省住宅局住         宅建設課長   大田 敏彦君         自治大臣官房審         議官      久世 公堯君     ————————————— 分科員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   大坪健一郎君     羽田野忠文君   岡田 利春君     柴田 健治君   川俣健二郎君     井上  泉君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     安島 友義君   柴田 健治君     中村 重光君 同日  辞任         補欠選任   安島 友義君     佐野  進君   中村 重光君     岡田 利春君 同日  辞任         補欠選任   佐野  進君     川俣健二郎君 同日  第二分科員有島重武君、第四分科員玉置一弥  君、第五分科員上原康助君、沢田広君、野口幸  一君及び北側義一君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算  (自治省所管)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算自治省所管について説明を聴取いたします。澁谷自治大臣
  3. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 昭和五十四年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は一千二百万円、歳出は六兆一千四百八十五億一千五百万円を計上しております。  歳出予算額は、前年度の予算額五兆八千九百九十九億八千九百万円と比較し、二千四百八十五億二千六百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省六兆一千二百八十四億四千百万円、消防庁二百億七千四百万円となっております。  以下、主要な事項について、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。よろしくお願いをいたします。
  4. 野呂恭一

    野呂主査 この際、お諮りいたします。自治省所管関係予算重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野呂恭一

    野呂主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔澁谷国務大臣説明を省略した部分〕  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本・省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源繰り入れに必要な経費でありますが、昭和五十四年度は五兆二千八百八十一億六千万円を計上いたしております。  この経費は、昭和五十四年度の所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額五兆二千三百四十五億六千万円に過年度特例措置に係る昭和五十四年度の額五百二十六億円を加算した額に相当する金額交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるために必要な経費であります。  次に、臨時地方特例交付金繰り入れに必要な経費でありますが、三千七百六十六億円を計上いたしております。  この経費は、地方財政状況等を考慮し、昭和五十四年度の特例措置として交付税及び譲与税配付金特別会計を通じ地方交付税交付金として交付する財源の同特別会計への繰り入れに必要な経費であります。  次に、借入金等利子財源繰り入れに必要な経費でありますが、三千二百八十四億百万円を計上いたしております。  この経費は、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金利子支払い財源交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるために必要な経費であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百七十五億五千万円を計上いたしております。  この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、四十七億五千万円を計上いたしております。  この経費は、特定防衛施設所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、七百七億七千四百万円を計上いたしております。  この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給に必要な経費につきましては、九十六億三千九百万円を計上いたしております。  この経費は、新産業都市工業整備特別地域等建設整備の促進を図るため、建設事業債特別調整分について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、地方公営交通事業再建債利子補給に必要な経費でありますが、三十三億一千四百万円を計上いたしております。  この経費は、地方公営交通事業再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こす再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、再建地方都市バス事業車両更新費補助に必要な経費でありますが、十億八千五百万円を計上いたしております。  この経費は、再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業車両更新費補助に必要な経費であります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、百六十二億八千四百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十六年度末における公営地下高速鉄道事業債に係る支払い利子に相当するものとして発行を認める企業債利子相当額について、地方公共団体助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営病院事業助成に必要な経費として、三億五千九百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十八年度末における公営病院事業不良債務範囲内で発行を認めた公立病院特例債利子について、地方公共団体に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営企業金融公庫補給金に必要な経費でありますが、六十四億一千四百万円を計上いたしております。  この計費は、公営企業金融公庫水道事業下水道事業工業用水道事業交通事業市場事業電気事業及びガス事業に係る貸し付け利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するために必要な経費であります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費八億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、新広域市町村圏計画の策定に要する経費でありますが、二億九千百万円を計上いたしております。  この経費は、各地域社会に住みよい生活環境をつくり上げるため、新広域市町村圏計画を策定するに必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、十二億円を計上いたしております。  この経費は、選挙をきれいにするための国民運動を展開するとともに、常時、選挙人政治常識の向上を図るための啓発に要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について、御説明申し上げます。  まず、震災対策に必要な経費として、三十億六百万円を計上いたしております。  この経費は、大震災に対処して初期消火及び避難のために必要な施設整備防災知識啓発を図るとともに、住民の自主防災活動の拠点となるコミュニティー防災センター整備等推進するために必要な経費であります。  次に、消防施設等整備に必要な経費として、百五十五億三百万円を計上いたしております。  この経費は、市町村消防力の強化を図るため、地域の実情に応じて施設整備及び消防科学化近代化を促進するとともに、石油コンビナート等防災対策推進消防防災通信網整備を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計歳入歳出予定額は、十三兆五千七百七十五億一千四百万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額地方道路税収入見込み額石油ガス税収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金地方譲与税譲与金及び借入金償還財源等国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  以上、昭和五十四年度の自治省関係一般会計及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  6. 野呂恭一

    野呂主査 以上をもちまして自治省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 野呂恭一

    野呂主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  8. 井上泉

    井上(泉)分科員 委員長指示どおり質問をいたしたいと思います。  そこで、いま不況地域に対する特別交付税というのを自治省でも考える、こういうことが言われておるわけですが、これは大体総枠の中でどの程度のことを考えておるのか。一定の枠というものがあるのかないのか、その点自治省の方から……。
  9. 森岡敞

    森岡政府委員 不況地域につきましては、御承知のように、都道府県市町村不況地域振興総合対策をつくってもらいます。それの協議を受けまして、建設事業につきましては地方債をフルに活用して実施をしてもらって雇用吸収を図る。別途、中小企業金融あるいは地場産業対策雇用対策、それらにつきましては、それぞれの地域におきましてきめ細かな対策予定しておりますから、そのために必要な一般財源措置をしておる。     〔主査退席広沢主査代理着席〕  私どもが各府県市町村から聴取いたしました大体の事業計画は、百三地域、百八十一市町村対象地域におきまして、事業費で約五百億円でございます。これは建設事業は別でございますが、そのうち一般財源が百二十億程度でございます。私どもはそれを前提といたしまして、一定のルールによって現段階では百数十億円の配分をいたしてまいりたいということで、いま鋭意作業を進めておるところでございます。
  10. 井上泉

    井上(泉)分科員 不況地域は、国側から公共事業不況地域重点配分というようなことも言われておりましたけれども、それは微々たるものであって、結局それぞれの自治体単独にそういう不況対策公共事業をやる計画というものをたくさん持っておるわけですが、これについては自治省は、起債等については余り迷惑のかからぬ範囲に、相当その自治体の要望にこたえるだけの姿勢があるのかどうか、その点。
  11. 森岡敞

    森岡政府委員 単独事業雇用吸収という観点からおやりになります場合に、私どもは全面的に御協力してまいるということでいままで御相談にあずかっております。地方債充当率も、不況対策としておやりになる場合に一〇〇%充当していくということで、積極的な推進を図っておる次第でございます。
  12. 井上泉

    井上(泉)分科員 不況地域として自治体単独公共事業を起こすとかいうようなもので、いま自治省の方で起債と認めた金額がどれくらいの額になっておるのか、およそのことでおわかりになっておれば、御答弁願いたいと思います。
  13. 森岡敞

    森岡政府委員 ちょっといま、起債は御承知のように、三月三十一日まで協議を受けてやっておりますので、まだ最終的な数字を固めておりません。年度末になりまして固めまして御報告さして  いただきます。
  14. 井上泉

    井上(泉)分科員 いまちょっと聞き漏らしたのですけれども一般交付税と別に特別交付税としてめんどうを見る分が百二十億とか三十億とか言われたのですが、大体それくらいのことを一つの目安といいますか、ほぼそういう金額ですか、特別交付税として不況地域に見る分は。
  15. 森岡敞

    森岡政府委員 百八十一市町村の融資でありますとか雇用対策のようなきめ細かな対策に必要な一般財源が百二十億程度という報告を受けております。ただ、その百八十一市町村以外でも地域産業が落ち込んでおるところもあるわけでございますので、それらについてもある程度措置は講じておきたいと思います。したがって、それらを含めまして百数十億円の措置をぜひやりたい、こういうふうに思っております。
  16. 井上泉

    井上(泉)分科員 特別交付税の決定というものは、およそいつごろがめどになるのですか。
  17. 森岡敞

    森岡政府委員 三月中旬までにやりたいと思います。
  18. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは、次の問題に移りたいと思うのですが、自治大臣はきのう参議院で地方公務員定年法を次の国会、こういうふうに言われたが、次の国会というのは、次の通常国会予定しての御発言だったでしょうか。
  19. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 地方公務員定年制の導入については、私は国家公務員一緒にやりたいということが基本でございます。それで、国家公務員のその準備がどうできるかまだ具体的に固まっておりませんが、私はできれば次の通常国会に提案をしたいと考えておるわけです。
  20. 井上泉

    井上(泉)分科員 国家公務員と一体になってということですが、それは恐らく考えとしては常識だと思うのですけれども雇用の拡大ということ、あるいは中高年層雇用の場を拡大するというような面からも、いまここに地方公務員あるいは国家公務員にそれぞれ定年制をしいて人生に限界を与えるということは、これは非常に誤った考え方だと思うわけですが、公務員定年制をしこうとするその意図はどこにあるのですか。
  21. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 定年制の問題については国内各方面での議論が盛んに行われるというのはもう御承知のとおりでございまして、私は現下の雇用情勢、それからこれからの老齢化時代というものを迎えるに当たって、やはり定年制というものは実行すべき段階に来ておる、このように判断をしておるわけであります。
  22. 井上泉

    井上(泉)分科員 これは次の通常国会ということでありますので、それまでの間にもまた自治大臣にいろいろと質問を申し上げて、こういう定年法に対しましては、私どもは現状、いわゆる今日の経済情勢にそぐわない状態であるということから強く反省を求めていきたい、こう思うわけであります。  次に、これは警察庁に、きょうの質問で、全国で五十万人を上回る猟銃所持者の一斉調査をやるということを聞いておりましたので、それが現在どうなっておるのか。日本警察の力をもってすれば、五十万人といえば、たとえば高知県でいいますならば、五千人くらいの銃砲を所持しておる人を点検することぐらいは、これは私はほんの一週間もあればできる作業ではないかと、それにしても余り発表がないのでどうしたことかときょう質問をする予定であったところが、きのうそれについて、まだ調査の半分だ、こういうことで発表がなされたわけでありますが、この発表に基づいて警察庁としてはどういうことをしなければいかぬとお考えになっておるのか、警察庁の御答弁を願いたいと思います。
  23. 佐野国臣

    佐野説明員 お答え申し上げます。  銃砲所持者に対します調査につきましては、二つ方法があろうかと思います。一つは、いま御指摘がございましたいわゆる一斉検査というふうなやり方でございます。これは各府県猟銃所持者に対しまして、一斉にある特定の期間を設けまして、あらかじめ通知をいたしまして警察署なり本部に品物を持って出てきていただくというふうな形の一斉検査がございます。それとあと別に、そういった形式的な旬間とか月間を設けずに、個別にわが方で持っておる資料調査するなり、あるいは個別に呼び出しをかけて調査するという二つがございます。  いま先生御指摘のきのうの新聞という問題でございますが、きのうの新聞関係につきましては、これは各都道府県が、現在所持者がどういう違法な前歴などがあるかという調査につきまして、手持ちの資料の中から選び出したということでございます。この数字は、御承知のとおり、人数で申し上げますと約五十八万人くらいの人がおりますので、それについて全部当たることにつきましては相当時間がかかりますので、まだ半分に足らないくらいの調査しかできてございません。  もう一つ調査のいわゆる一斉検査関係でございますが、これは本年の四月一日から四月三十日にかけまして全国一斉に検査をやりたいと思っております。いずれまたそれの集計ということもその一週間なり二週間後には上がってくると思いますが、今回の一斉検査についてだけ申し上げますと、例の大阪三菱銀行事件反省教訓を踏まえまして、欠格事由者の情状といいますか、そういったものにもう一つ重点を置きたいと思っておりますし、それからあと、銃の保管状況、これがどういうふうな形で行われているかというふうなことにつきましても、資料を出させたりあるいは質問をしてみたりというふうな形で検査を進めたいと思っております。あわせて弾の調査というふうなこともその際にやってみたいということでございます。  ただ、いずれにいたしましても、例年の検査と違いまして、時節柄相当徹底した形でこの検査を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 井上泉

    井上(泉)分科員 そうすると、全部の調査が完了するのは四月三十日ということになるわけですが、これは私、いまの警察能力をもってして、いつ幾日に銃を持ってこいというようなことを通知して集めるよりも、それぞれの警察の管轄内の銃砲所持者に何月何日と何日の間に銃を持ってこいとかいうようなことで通知を出してやったら、銃を持っている者は持っていけるけれども、銃をどこかへ貸したりいろいろしておる者はこれは右往左往するわけだし、こういう点から銃の所在というものを明らかにすることができるし、何かこういう調査を、犯罪者を捜査するときのエネルギッシュな警察行動力をもってするならば、これは未然に犯罪を防止するという立場からしても、もっと積極的にやれないものだろうか、こういうふうに思うわけですが、それがいまやっておられることが限界なのか。それからさらに、猟銃でもその時期に弾を買い取った、そして終わったときには、幾ら使った、だから現在どれだけ残っておる、そういう報告というものがなされなければならないような仕組みになっておるということも聞くわけですが、そういう点からも、猟銃による犯罪の防止というものについてはこれは警察が重大な責任を持って取り組んでいかなければならないことではないか。これは大阪三菱銀行事件のときも、これはやむを得なかった、銃砲を持つことを許可したことはやむを得なかったというような、言い抜けのような見解を新聞承知をしたわけですけれども、なかなか警察というところは自分の非を認めないところですから、ひとつそういう点で、反省の上に立っての積極的な対応の仕方というものが一つと、いまやっておることが限界なのかどうか、その点もう一度承りたいと思います。
  25. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 基本的な問題でございますので私からお答えをいたしますが、過般の大阪三菱銀行北畠支店のあの凶悪な事件の発生というものは、日本全国に非常に大きな反響を巻き起こしたわけでございまして、警察当局としては、私はあの事件というものを貴重な教訓として、あらゆる角度から検討をして、今後あのような事犯が再発しないような十全な対策を講じなければならぬ、このように基本的に考えておるわけであります。反省の上に立ってという御指摘はまさしくそのとおりでございまして、私としましては、厳しい反省の上に立って今後の対策の樹立に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  26. 佐野国臣

    佐野説明員 あと事実関係につきまして二つほど御質問になりましたので、お答え申し上げたいと思います。  調査能力の問題なりについていま御指摘がございましたが、ことしは、先ほども私申しましたように、一斉検査と、それからもう一つ、五十八万人の関係資料を全部根っこから洗いなさいという形で二つの課題をしょわしてございますものですから、多少時間的には、四月末ぐらいまでが限度ではないかというふうに考えられる次第でございます。  それからあと、弾の保管の問題なども指摘がございましたが、御承知のとおり、弾の保管は、これは銃砲一緒保管してはいけないとか、あるいは管理は堅固な保管設備に、しかも施錠して行わなければならないというような法の規定にもなってございます。したがいまして、こういった保管状況につきましても、今度の四月のいわゆる一斉検査につきましては、特に事情を十分聞いて確認したいと思っております。  なお、狩猟期あたりに弾を使っても、残ったものがあるんじゃないか、それの指導はどうなっているかという問題もございます。その点につきましても、大体狩猟期直後に、私どもの方といたしましては猟友会の関係者あるいは猟友会の御協力を得まして、いわゆる残弾というものは持ってはいけないということで指導いたしております。その具体的な中身といたしましては、射撃場に行って全部射撃訓練に残った弾は使ってしまいなさいという指導をやっております。それから、さらに残った弾は買った銃砲店の方に引き取っていただきなさい、あるいは廃棄してしまいなさいというふうな指導も行っております。ちなみに申し上げてみますと、昭和五十二年の場合でございますが、その残弾の処理に関しましては、六万一千名強の人に対しまして、廃棄だとかあるいは銃砲店に弾を保管しなさいというような指導で、約二百五十八万個を残弾処理という形で指導いたしておるわけでございます。  以上でございます。
  27. 井上泉

    井上(泉)分科員 この銃砲による犯罪というのは、善良な市民を不意に殺傷する、そういう危険なものであるし、その点について大臣が、この事件が起こった直後、これに対する法の改正をやらなければならぬ、こういうことを私も新聞紙上で承知をしたわけですけれども、これはこの法改正をするまでもなく、現行法の中でも、いま調べている二百人近い前歴者にしても、猟銃の所持をする資格がないという判定を下せるものである。だから、抜本的な法の改正をして、本当に社会的に安心のできる人間が銃を持つということに、これは一日も早くしてもらわなければならぬわけですが、法の改正といってもそれまでまだ二年ぐらい、仮に大臣の意図によって次の通常国会あたりに法改正が出されるということにいたしましても、結局それは来年の暮れごろから施行ということにもなるし、そういう点でもっと早急な対応措置がとられないものかどうか。  公安委員長として澁谷大臣の法改正をやろうという意欲は私は高く評価し、一日も早く法改正を実現してもらいたいけれども、それまでの経過措置として何らかの対応策がとれないかどうか、その点ひとつ大臣の見解を伺いたい。
  28. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘の点、まことにごもっともでございまして、私はあの大阪事件が発生した翌日、全国警察に対しまして、過去に強盗、殺人というような凶悪犯の前歴を持つ者に対しては当分の間許可を与えることをストップする、この指示を直ちに出したわけです。それと同時に、すでに許可を与えた五十八万人かの人に対してその前歴を全部調べ上げて報告せい、こういうことで指示を出しましたので、その指示に基づいて、いま課長から報告しましたように、その猟銃の許可を持っておる人一人一人についてその人の前歴を全部調べ上げておるわけであります。  そういうことで多少時間がかかっておるわけでございますが、間もなくその調査の全部がまとまるわけでございますから、そういった調査の結果を見て、どういう対応をすべきか判断をしたいと考えております。
  29. 井上泉

    井上(泉)分科員 この点私は知識がないからあれですけれども猟銃を販売する店があるわけですが、猟銃を購入する場合には、公安委員会の許可とかなんとかいうことは要らない、買うことは自由に買えることになっていますか。その辺はどうなんですか、警察庁
  30. 佐野国臣

    佐野説明員 あくまで許可を得てから買うという形になってございます。
  31. 井上泉

    井上(泉)分科員 その許可というのは、公共に危害を加えるおそれのある者には許可を与えない、法のたてまえはそうなっておるのですけれども、所持する者がそういうふうな許可をもらってから買うまで、願いを出して許可を受けるまでの期間、これは余りないのですか、これはすぐですか。
  32. 佐野国臣

    佐野説明員 通常、許可申請をいたしましてから許可が出るまでの一般的な期間と申しますと、二週間から一カ月くらいの期間を要しているかと思います。ただ、許可と申しましても、先般御審議いただきまして昨年法律改正いたしたわけでございますが、昨年の法律改正では、正規に許可をする前にさらに教習や検定を受けるためにもう一遍新たな、別な許可を取りなさいという形で、私ども俗に仮許可と申しておりますが、正規に許可を与える前に一遍さらに教習やあるいは検定を受けるための許可、四カ月間の短い期間でございますが、そういう許可も与えるという形になってございますので、いわば本当の意味での許可を得る期間は、新法の制度で言えばむしろ五カ月というふうにも見れようかと思います。
  33. 井上泉

    井上(泉)分科員 昔は火薬の保管、管理その他には警察が当たっておったのですが、最近は、地方によれば工業課とか商工課とか、一般行政事務をしておるところに火薬類の取り扱いが移管されておるわけです。これなんかも火薬の使用がいわば粗雑になる、犯罪を起こす要素の方に火薬が流れていくという危険性が多分にあるじゃないか。たとえば鉱山でダイナマイトを使用する。雷管を使用する。これなんかも警察は何らこれに関与しないわけです。そうすると、鉱山とかいうようなまとまったところならあれですけれども建設工事現場でダイナマイトを使用するところはたくさんあるわけで、そういう場合の保管とかいうようなものあるいは使用の報告とかいうようなことは非常にずさんだと思うわけです。  その点について警察庁は、火薬類の取り扱いは警察は所管外だからしようがないな、こういうふうに思っておられるかどうか。
  34. 佐野国臣

    佐野説明員 猟銃用の実包、火薬でございますが、それの譲渡、譲り受け、それから所持、消費、これは火薬類取締法という基本的な法律がございます。それを受けまして、購入する場合は都道府県公安委員会からの許可を受けなさいという形になってございまして、猟銃用の実包につきましては、都道府県知事と申しますよりは都道府県公安委員会が所管いたしておるという状況でございます。
  35. 井上泉

    井上(泉)分科員 そういう状況であるけれども、普通の工事用の火薬、ダイナマイト、雷管を使うとかいうようなことの管理は私は決して万全ではないと思うのです。火薬類による事故、この点はやはり国家公安委員会としても公安委員会としても銃砲、火薬類の取り締まりは一元化して、火薬類の管理についても公安委員会の許可がなければ——たとえば私かある工事現場で岩石を爆破するのに火薬が要る、火薬とダイナマイトがこれだけ要りますからということで申請を出して、申請を出せばそれは公共事業でこうだからといってすぐ許可をもらえる。それも私が使うのではなしに、工事現場の者が、労働者が使う。そうすると、その労働者の中にはあるいは出かせぎその他の関係で入り込んだ人たちとかがいる、あるいはその管理が不十分なために火薬類の盗難というようなこともあるわけなので、そういう点について、一般行政の中で、これは通産省の所管ということになっておるようでありますけれども、やはりこれは国家公安委員会で、今度銃砲取締法を大臣が意欲を持って改正を検討されておるということですが、その中でやはり火薬類の取り扱いについても検討してもらいたい、私はそういうふうに思うわけですけれども、大臣、いかがでしょう。
  36. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 その点も含めて検討してまいりたいと考えます。
  37. 井上泉

    井上(泉)分科員 高知市でも、一昨年であったと思いますけれども、日興証券で同じく銃砲、ライフル銃か何か下げて犯罪者が人質と一緒に立てこもった、こういう事件があったし、そういうことが起こったときに早く対応しておれば、今度の問題なんかはある程度解決ができたじゃないか、こういうふうに思うわけです。やはり政治は緩やかに進んでおるというようなことではなしに、国民の生命、財産を守る措置というか、対策というものはひとつ大臣の強い決意の中で機敏に対応していただきたい、こういうことを要望しておきたいと思います。  最後に、各地方自治体の中で大変頭を抱えておる問題は、同和対策特別措置法が三年間期限延長されたわけですけれども、とても三年でいま同和地区が抱えておる諸課題を解決することは困難だと思うわけですが、そういう実情というもの——たとえばここに石見官房長がおいでですが、高知県だけを例にとりましても、同和地区の現況から見て、ここ一二年ぐらいではとても措置法に基づく部落の改善とかいうようなものはできぬじゃないか、こういうように思うわけですけれども、これは十分だとお考えになっておるのか。さらに、三年後国会決議に基づいてやはり事務当局としても措置法の延期をせざるを得ぬのではないか、こういう見解をお持ちであるのか、その点ひとつ御答弁願いたいと思います。
  38. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 この点は、三年間延長するまでのいきさつ、もう十分御承知のとおりでございまして、したがって私どもとしては、とにかく三年間延長されたわけでございますから、この三年間に全力を尽くして仕事をやって、それで三年のタイムリミットが来た段階で、延長すべきかどうかというのはその時点で判断をすべきだ。とにかく三年間延長されたこの期間内に一生懸命真剣に取り組む、こういうことでやっておるわけであります。
  39. 井上泉

    井上(泉)分科員 最後に、財政局長に、これまた特交のことですけれども、同和地区を抱えておる県、市町村というものは大変な行政行為というものが多いわけで、これに対してもいろいろ言うと、すぐ特交で見ておる、特交で見ておる、こういうように言うわけですけれども、これで見ておる特交の額というものが、第三者にもわかるような、これだけ見ておるんだということが公表できるかどうか、その点承って、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 森岡敞

    森岡政府委員 特別交付税につきましては、算定方法をできるだけルール化いたしまして、それを自治省令で明確に書くということでいままで努力してきております。したがいまして、同和対策に要します財源のための特別交付税につきましても、そういう方向できちんとわかるように明確にしてまいりたいと思います。
  41. 井上泉

    井上(泉)分科員 終わります。
  42. 広沢直樹

    広沢主査代理 これにて井上泉君の質疑は終了いたしました。  次に、野口幸一君。
  43. 野口幸一

    野口分科員 まず、警察庁の方にお尋ねをいたしますが、風俗営業等取締法第一条第七号に、「まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」とありますが、この「まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備」というこの「その他設備」というのは、具体的にどのようなものを言っておられますか。
  44. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 「その他」と申しますと、たとえば射的場でありますとか、そういった遊技場に関するようなものが「その他」に当たると思います。
  45. 野口幸一

    野口分科員 その射的場というのはわからぬことはないのですけれども、いわば学童だとか生徒だとかがやっています単なるゲーム場といったものと、それからその上に——その上にと言うとおかしいですけれども、もう少し年齢層を上に持ち上げていきますところの遊技施設と、どうも射幸心という言葉の解釈が非常に広範囲にありまして、この風俗営業という立場からの確たるものがないような気がするのですが、この点はいかがなものでしょう。
  46. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 射幸心とは一体どういうものかということにつきましては、私ども二つの点で考えております。  一つは、偶然性があるものというのが一点でございます。この点は解釈としてはかなり広く考えております。  もう一点は、財産性といいますか財物性といいますか、ゲームに関連して品物あるいは景品等、そういうものがつくかつかないか、そういった二つの面で判断をして射幸的であるかどうかということを考えております。
  47. 野口幸一

    野口分科員 そうしますと、マージャン場というようなところは、表向きは景品を出していないわけですよ。競技者自身がそれぞれある程度やっているのは、公の話じゃないですから別としまして、いま盛んになってまいりましたテレビゲームというのを御存じですか。
  48. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 直接、現物に私まだ接しておりませんが、新聞その他で大変ブームであるというふうなことは承知しております。
  49. 野口幸一

    野口分科員 私はテレビゲームというものの性格から考えまして、現実にいま遊ばれている現状を見せていただいて、単なる遊技施設というものではない、むしろパチンコやそういう類、多分に射幸心をそそるものと異ならないのではないのか、こういう見解をいま持っておるのですけれども、現実にまだ見たことがないとおっしゃっておられるので見解が分かれるかもしれませんが、どのような気持ちでいまテレビゲームというものをとらえておられますか。
  50. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 ゲームそのものとしてこれだけのブームを呼んでおりますので、一つの遊技の機械ということで考えますと、あるいはパチンコその他現在風営法の中で見ておりますものと共通する部分が多分にあろうかという気がしております。
  51. 野口幸一

    野口分科員 そうしますと、これは風俗営業等取締法の第一条「定義」の七号に抵触すると思われますか。
  52. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 ただいま御指摘の第一条の七号に該当するかどうかという問題につきましては、一つは遊技である、ゲームであるという点については言えるかもわかりません。  それから、問題は、「射幸心をそそる」云々ということになりまして、先ほど申し上げましたように、偶然性の問題、それから財物性の問題がございますから、ゲームに伴いまして財物の問題が絡んでくれば、風営法の範囲内ということになろうかと思います。
  53. 野口幸一

    野口分科員 いま、ちまたでといいますか、非常に盛んなのでありますけれども、機械によって若干違うようでありまするけれども、現実に現金が直接出てくるものがございます。これは御存じかどうか知りませんが、百円玉が飛んで出てくるのがございます。これは主にやられておりますのは、早朝の市場、海産物だとか青果物だとか、そういうものの市場だとか、そういう中の特に喫茶店等を利用しまして、そこに出てくるものは現実に現金が出てくる、これはやった者が言っているわけですが、非常におもしろい、もうかる、こう言うのであります。  もう一つは、これは一人でやるのなら私はいいと思うのですが、二人が対抗してやるというゲームになっております。そうしますと、競争をやるわけです。そのときにかけるとか、そういうことがなければそれは単なる娯楽かもわかりませんけれども、マージャンと同じでありまして、表向きはやっていないような形になっておりますけれども、内容は喫茶店等で事情聴取をされたらわかると思いますが、両側に百円玉や千円札を置きましてやっている、これが現実なんです。警察の方でも、もうとうにそのことは御存じだろうと思って私きょう質問に上がっているわけですけれども、いかがなものなんですか。
  54. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 実際にゲーム機で百円玉が出ていくということであれば、その辺は賭博罪で取り締まりの対象になると思いますし、また実際に二人でやるゲームで現金をかけてやれば、これは明らかな賭博罪です。ゲーム場に関しての賭博罪での検挙は昨年一年間でもかなりございますし、検挙はしております。ただ、そこはどこまで行き届きますかという問題はございます。
  55. 野口幸一

    野口分科員 きょうこの質問をやりますので、きのうちょっと喫茶店を五、六カ所、これは都内なんですけれども、本当のところを見たいと思いまして、現状を見てまいりました。  四谷署の管内のある喫茶店で、これは名前を言ってもしようがないのですけれども、そこでは横に札がございまして、このゲームで金銭その他をかけてはいけません、刑法に触れますという、いわば店主の方からの断り書き、非常に行き届いたといいますか、その意味では店主の良心がわかるのですけれども、してはいかぬということをゲームのそばにちゃんと札を出しているところがございました。そこは一軒だけでした。その他のところは、私はもちろんバッジもつけておりませんし、普通のかっこうをして入りましたので、盛んにやっておる。特に高校生が、大体百円か二百円程度のかけでございますから金額は安かったのですが、現実に並べてやっておったのが、私は七カ所回りましたうちで一カ所ございました。あとは、本当に遊んでいる人はありますけれども、かけは見られませんでした。しかし、現実に七カ所回りまして、時間は二時前後だと思うのですが、まだ学校のある時間でありますし、そういう時間に喫茶店でそういうゲームができる。これはゲーム場ではなくて取り締まりが非常にむずかしい場所だと私は思うのですが、このゲームを喫茶店に置かせること、これはどういう見解でおられますでしょうか。いま仮に一条七号に抵触するおそれがあるものを喫茶店等に置かせるという問題はどう思われますか。
  56. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 通常の喫茶店そのものは風営法の対象外でございますけれども、そこでどういったゲームを置かせるか、それはサービスにしておるのかどうか、その辺になりますと、ちょっと私どもの手から外れるような気がいたします。ただ、少年がたむろするたまり場になるという問題が出てまいりますと、これは少年補導という点から関心を持たざるを得ないと考えます。
  57. 野口幸一

    野口分科員 それで結構だと思うのですけれども、ただ条文の解釈から見ますと、非常にあいまいと言ってはおかしいですけれども、たとえば青少年の場合においては、十八歳未満の者ということで年少者に対して禁止行為という形で出ていますね。喫茶店の場合は——これはもちろん一応ゲームが第七号に類するものとぼくは見て話をしているわけです。というのは、ぼくは現場を見てきて非常に注意しなければならぬと思っておるものですからそういう立場で見ますが、これを一カ所に集めて営業するパチンコ屋のようなものは別ですけれども、そうじゃなくて喫茶店等でやるということになりますと、営業時間等の関係から考えますと、非常に長い時間実はそういう場所に出入りすることができる。旅館等でもこの種のゲームがございます。あるいはまたデパートでもあります。けれども、デパートとかそういうところにおいては、テレビゲームで物をかけたりすることについては、非常に他人の目もありましてむずかしい。ところが、喫茶店というのは、ある意味では他人から隠れてそういう行為をしやすい場所になっているような気がします。これは設備によって違うかもわかりません。私が回りました七カ所では、ややそういうことがしやすいような場所にも置いてありますし、余り人目にもつきません。コーヒーを飲みまして、コーヒーざらの横に金を置いているところを見ますと、喫茶店にこの種のゲームを置かせること、これはいま取り締まる方法は何にもないと思うのですけれども、このままでいいのだろうかということを私は非常に危惧するものですが、この点、御所感はいかがなものでしょう。
  58. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 ただいま喫茶店等ゲーム機を置く問題でございますけれども、従来から少年補導という立場から見ますと、喫茶店がたまり場になりやすいということはございました。そこへ今度のようにテレビゲームという新しい要素が出て、爆発的なブームだそうでございますけれども、そうなりますと従来にも増してたまり場になりやすい、拍車がかかるような感じがいたしますので、そういう面でこれからも十分注意してまいりたいと思います。  さらに、機械を使って賭博でもやっていればこれはもろに取り締まりの対象でございますし、また景品を出せば今度は風営法の七号の営業になりますので、その面からも見ていく方法もあろうと思います。十分注意して関心を持ってまいりたいと思います。
  59. 野口幸一

    野口分科員 そこで、これは先行きの話になるかもわかりませんが、少なくとも風俗営業の第一条第七号に抵触するものだという見解を実は持っておりますが、こういった形のゲーム——もちろん先ほども申し上げましたように、機械の内容にもよりますが、コインが出てくるのを御存じですか。あれは百円玉にかえても同じ作用をするのですってね。これは知らないのですけれども、聞くと、そうらしいのです。あの機械を若干いじくることによって、現金に直したりあるいはまたコインに直したりすることができると言われておりますが、そういうややこしい機械をむやみにつくらせていくことについて、何かそれをある一定のレベルのところで単なるゲームにとめさせる方法、機械そのものについて警察の方で指導するという立場はございませんか。
  60. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 この問題は、前も何か議論があったそうでございますけれども、確かに機械そのものとしては、そういうコインが出てくる構造は警察の立場から見れば余り好ましいことではないと思いますけれども、必ずしも全部賭博に使われるというものでもありませんし、そこら辺で、製造の問題あるいは場合によっては輸入の問題も出てくると思いますけれども、一概にどうということはきわめてむずかしいと思います。
  61. 野口幸一

    野口分科員 これ以上この問題について申し上げるつもりはありませんけれども、少なくとも娯楽施設のうち、幼児等を対象としたものと青少年を対象としたものはやや分離しやすいだろうと私は思うのですが、成人層向きのものと青少年層向きのものはなかなか分離がしにくいといいますか、射幸性というものの判断、それからその幅、そういうものが非常にむずかしい。ある意味では、現代のことでございまするから少しく緩めてというお気持ちもあるかないかは別にいたしまして、最近青少年の社会教育という問題があらゆる場、あらゆる方面から指摘をされている現状でございますね。これは御存じのとおりであります。そこで、そういったものの温床をなくしていくということは早目に手を打っていただいた方がいいのじゃないか。もうちまたにどうにもならなくなってしまって——何か聞くところによりますと、製造業者もこのごろ製造が間に合わないと言われているほどの大ブームだそうでございますが、そういった段階一定の規制を設けてそういったことをある程度抑えていただくことをぜひとも考えていただきたい。特に喫茶店等でこの種のゲームをやらせるのは余り感心したことではない。喫茶店という本来の営業目的から反しますし、この辺のところを少しく研究をしていただいて、今後青少年の悪の温床に育っていくことを事前に防止をしていただきたい、こういうことをまずお願いをしておきたいと思うのでございます。
  62. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私もテレビゲームというものは見たことがないのですが、先ほどからの御質疑を伺っておりまして、これはなかなか重大な問題をはらんでおるという感じがいたします。ですから、これは速やかに実態を調査しまして、その上に立って措置すべきものは措置しなければならぬ、かように考えますので、検討させていただきたいと思います。
  63. 野口幸一

    野口分科員 それでは、新しく出てまいりました問題ですので、ひとつ大臣からもこの辺の問題についてはよく御示唆をいただきまして、関係当局で十分調査をしていただきたい。そして実態をつかんだ上で対処の方向を見出していただきたい。お願いをいたしておきます。  そこで、警察庁関係はそれで終わるのですが、次は、それと関連をいたしまして、地方税の中のいわゆる娯楽施設利用税の関係について申し上げたいと思うのであります。  私がこの問題をここで御質問をしようと思いましたのは、実は娯楽施設の利用税のことから始まって、ずいぶんテレビゲーム屋さんがもうけている、ところが税金がかからぬじゃないかということの申告がございまして、それからぼくがいわばテレビゲームにちょっと関心を持ちまして、テレビゲームを見に行ったというのがそもそも始まりなんです。見に行ったら、これは単なる税金の問題じゃなくて、青少年対策とかいろいろなそういう風俗営業に関係をするのじゃないかというところに発展をしていったというのが実態なんです。  そこで、地方税の娯楽施設利用税に関係いたしまする第七十五条第六号、第七号というものの中でありまして、六号はいいのですが、七号ですね。「前各号に掲げる施設以外の娯楽施設で道府県の条例で定めるもの」、こうなっているわけであります。もちろん条例で定めればいいというわけでありまするけれども、これは後ほど実は通達が出ておりまして、課税客体の関係の中で、いわゆる「法定施設及び六号施設以外の施設であっても、道府県において娯楽施設として課税することが適当であると認められるものは条例で定める」云々。「しかしこれが課税の適否は当該施設の有する娯楽性、射こう性、奢侈性等を考慮していたずらにその範囲を拡張することのないよう留意すること。」という指導が出ておりますが、これは御存じでございますね、そういうことが出ているということは。そうしますと、先ほどから話をしておりまするように、いまのテレビゲームを専用に営業している店、これは当然私はこれに該当すると思うのですけれども、いかがな御見解をお持ちでしょうか。
  64. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほどからお話がございましたように、最近いわゆるテレビゲームというのが家庭だけでなくて外でも流行しておることは聞いておりますが、お示しのテレビゲームだけ専門に集めておる店舗につきましては、ゴルフ場とかパチンコ場等のいわゆる法定施設にはもちろん指定されておりませんし、いま通達等でお話のございました法定施設に類似する施設にも該当しない、そういうかっこうになっておるわけでございます一そこで、実態に着目した場合に、これがいまお示しの第七号施設に入るかどうかという点でございますが、本来この税は娯楽または射幸を目的とする娯楽施設の利用に対して課するということでございますから、実態を私も実は見たことないわけでございますが、るるお話を伺っておりますと、やはりそうしたいま申し上げましたような法定施設あるいは六号施設以外の娯楽施設として、道府県の条例で実態に応じて規定することによって課税ができる、対象にすることができるのではないかというふうに考えております。
  65. 野口幸一

    野口分科員 私、滋賀でございますが、県庁の税務課長を呼びましてどうなんだということを聞きましたら、この通達の第六章の第二に書かれています、いま私が読み上げました課税客体の第二項、第三項、特に第三項の(イ)、これによって実は余り広げるな、こういう通達があるので広げることにちゅうちょをいたしております、こういうことなんでおります。  したがいまして、私はひとつ質問をさせていただいて、広げても差し支えないというか、どこまでを広げてはならないのだ、その限界といいますかその主体、この持っている意味、この(イ)項の持っている意味、「奢侈性等を考慮していたずらにその範囲を拡張することのないよう留意すること。」この「いたずらに」というところはどの辺までを自治省としてはお考えになっておられるのか。娯楽施設というのは非常に広範囲なものがございます。確かに後楽園なんかに行きますと、青少年向きのいろいろなものがございまして、これは別に射幸心をそそるものでもないということはぼくもよくわかります。しかし、そこからどんどん進んでまいりまして、いろいろなゲームが中に入っていきまして、いまやっといわばテレビゲームというような成年男子がやっても決して悪くはない、おもしろいと思われるものが出てまいっておる。そこで、そういう施設について、どこからがこの範囲に入るのかということの解釈が、各都道府県はこの通達だけを見ておってちょっとわからないのですね。それで、どこの県だけが課税しておってどこの県だけが課税してないということになりますと、テレビゲームなんというものは、はっきり申し上げて全国的なものですから、少なくとも自治省一定の判断を示していただきたいというのが県庁の税務課関係の話でございました。  お願いいたしますのは、この場で結論を出してくれとは申し上げませんが、先ほど来申し上げていますように、この種のものは今後どんどんと進んでいきます。それは喫茶店でやるのがいいのか悪いのかということは別にしましても、たとえば喫茶店にそういう施設を置かせた場合には当然それも課税の対象にすべきだ、私はそう思っておるものでございます。そういった点からも、一遍テレビゲームの実態というものをよく自治省の立場からもつかんでいただいて、そしてこれがパチンコとひどく変わらないものであるということの御判断が明らかになった場合は、ぜひとも各都道府県に明らかな通達をお出しいただいて、課税の対象にするようにということをこの場でひとつお約束をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  66. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 新しい分野でございますので、いまお示しのございましたように、たとえばそのゲームだけを集めておるところとか、あるいは喫茶店で単なるサービスで置いておるところとか、いろいろ形態が違うのだろうと思っております。私どもも課税すべきものは課税した方がいいと思っておりますけれども、いたずらに範囲を拡張することのないようにという意味は、別にぎりぎり詰めたわけでもございませんが、実態に応じまして、娯楽性が少ない子供、児童等を相手にするものとか、あるいは青少年のスポーツ向きのものとか、いろいろな態様があると思います。そういった意味で、みだりに課税するという方向へ走っても困るという意味での歯どめでございまして、いまおっしゃいましたような実態があるとすれば、これは私どもとしても的確に把握しておく必要がございますので、施設とか利用状況とか普及状況とかいったものの実態を調査いたしまして、それが各府県の扱いとして統一的に指導できるかどうか、そういったこと等も含めて研究をいたします。
  67. 野口幸一

    野口分科員 それでは、別にいつまでにということは私は申し上げませんけれども、少なくとも近い将来と申し上げておきましょうか、この国会が終わりまして、次の通常国会で再び私が予算委員会でこの問題の調査結果が聞けるように、少なくともどういうことか明らかにできるように、最大限その辺まではお待ちをいたしたいと思いまするので、対策を明らかにしていただけませんでしょうか。
  68. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御趣旨に沿うように努力をいたします。
  69. 野口幸一

    野口分科員 それでは、終わります。
  70. 広沢直樹

    広沢主査代理 これにて野口幸一君の質疑は終了いたしました。  次に、北側義一君。     〔広沢主査代理退席、羽田野主査代理着席〕
  71. 北側義一

    北側分科員 私のきょうお尋ねしてまいりたい問題は、地方自治体の開発指導要綱がつくられておるわけですが、その問題についてお伺いしてまいりたい、こう考えております。  御存じのとおり、この住宅対策というのが何といいましても国民生活の重要な課題でありまして、その住宅を建てる宅地、これを供給するにはどうしても地方自治体の強力なバックアップ、これがなければ住宅は建たないわけです。しかし、現実の姿をいろいろ見てまいりますと、いろんな問題があるわけです。たとえば、ただいま申し上げました宅地開発に伴う公共公益施設整備費、また負担金、こういうものが、民間または公的を問わずいわゆるデベロッパーに過重な負担をさせている問題、こういう問題がやはり一番その中でも大きな問題であろう、こう考えております。  そこで、地方自治体といたしましても、非常に都市整備をやっていく上で財政が逼迫しておる、こういう事情は私もよくわかるわけでありますが、しかし結果的に見てまいりますと、そういう開発指導要綱のいわゆる負担金、こういうものは、建った家の分譲価格に上乗せされ、また宅地を購入した場合はその宅地の価格に上乗せされ、こういうことになって、入居者また宅地を購入する人たちに非常な過重な負担を与えておるわけなんです。この対策として、五十三年度からいわゆる住宅宅地関連公共施設整備促進事業、こういうものが行われまして、このときは三百億でした、ことしが六百億ですか、このように、私は不十分だと思うのですが、やはり一歩前進の姿であろう、こう評価しておるのです。  このように事業はやっておりましても、しかし御存じのとおり、ことしの地価公示価格、これは三大都市圏平均八・一%上がった、このように言われておるわけです。しかし、実際は東京とか大阪を見てまいりますと、これは大体平均二〇%上がっているわけです。これはもう一般常識なんです。そういう点から、大都市周辺部の状況考えてみた場合に、住宅建設を円滑に推進するためには、総合的な施策がどうしても必要ではないか、このような考えを私自身が持っておるわけなんですが、それに対する自治大臣のお答えがあればいただきたいと思うのです。
  72. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 お説のとおり、これは総合的な対策を講じなければならないと考えております。
  73. 北側義一

    北側分科員 総合的な対策、それを具体的にどのようにやられるかということを実はお聞きしたいわけなんですよ。これは私の方から一、二の例を挙げてお話ししてみたいと思うのですが、というのは、いまの総合的な施策、これがうまくいっていないのじゃないかと思うのです。  というのは、たとえば今国会に提出されました税制改正、このうち、いわゆるあめ法と言われております住宅土地税制の改正、これで宅地の供給の促進を図ろう、こういうことでああいうあめ法が、むちの方はつぶれましたが、あめ法が税制改正でなされておるわけです。  その税制緩和を受けられる適用条件というのがあるのですね。その条件が合わないとこの適用を受けられないのです。その条件というのは、たとえばこれは五十四年度の予算概要の、建設省で出ているものです。その中にこう書いてあるのです。「都市計画区域内の宅地の造成につき開発許可を要しない場合において法人又は個人が造成する面積一千平米以上の一団の住宅地造成の用に供するための土地等の譲渡」。だから、一千平米以下はぐあいが悪いというわけですね。それから、矛盾するのは次なんです。「都市計画区域内において行う五十戸以上の一団の住宅又は三十戸以上の中高層耐火共同住宅」大体枠をくくってあるのですね。ばら建ちの場合、一団の五十戸以上の団地、中高層の場合は三十戸以上、こういうぐあいに出ておるわけです。  この趣旨も私よくわかるのです。というのは、やはりできるだけ優良な宅地を供給したいという面からこういう枠がくくられたのであろう、こう考えるのです。それはそれでいいと思うのです。  しかし、ここで問題になりますのは、各地方自治体の開発指導要綱、これを見てまいりますと、ちょっとこれは非常に整合性がないと思うのです。  というのは、実はここに持っておりますのは、大阪のある市の「住宅建設に関する緊急措置要綱」がこれなんですけれども、こう書いてあるのです。○○市としますが、「○○市内において、二十戸以上の住宅の建設をしようとする事業主は、公益施設に対する協力金として一戸当り百二十万円を提供するものとする。」こうなっておるのです。二十戸以上は一戸に対して百二十万円。そうして、こっちのはこう書いてあるのです。一戸から九戸までは一戸当たり三十万円、十戸から十九戸までは一戸当たり四十万円。ということは、たくさん建てれば建てるほどその負担金が多いということです。  こっちの税制の方では五十戸以上の一団の団地、三十戸以上のいわゆる中高層、こうなっていますね。だから、この税制の改正と、地方における開発指導要綱の内容というのは、非常にアンバランスだと私は思うのです。  大蔵省、お見えですか。——私、思うのは、やはりこういう問題は、片方では、千平米とか五十戸の一団の団地とか三十戸の中高層とか、こう枠をくくっておいて、それ以下はいわゆる適用除外、税金はまけられませんよ。地方自治体の受け入れの方では、二十戸以上建てますと一戸について百二十万円いただきますよ、一戸から九戸までは三十万円、低くなれば低くなるほどその負担金が軽い。ここらは非常に矛盾しているのじゃないかと私は思うのですよ。その点どうでしょうか。
  74. 久世公堯

    ○久世説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、直接に税の方は所管いたしておりませんが、税制の方の面といたしましては、国が特に大都市圏地域におきまして、一般的に宅地あるいは住宅等の供給を促進するためにそういう税制上の措置を講じているだろうと思われますし、一方、地方団体が制定しております宅地開発指導要綱等は、その地方団体の実情によって実はかなり差異があるわけでございまして、ただいまの御指摘の都市の場合は一つの例でございますが、その地域の実情に即しまして、良好な生活環境整備するため、あるいはその地域が非常に乱開発が進んでおって乱開発をどうしても防止しなければいけない、あるいは秩序ある都市形成を図る、あるいは当該地方団体の関連公共施設整備に非常に負担がかかる、そういうような地域地域の実情に応じて、そこに即して宅地開発指導要綱をつくっているわけでございますので、そういう関係で宅地のスムーズな供給を図りたいというふうに考えている次第でございます。
  75. 北側義一

    北側分科員 地方は地方でそれはそういう考え方でやっておられると思うのですよ。しかし、矛盾せぬかと思うのです。たとえばいま言いましたとおり、一方の税制の方、あめ法の方ではそういう枠、それ以下ではだめだというのですよ。適用を受けられないというのです。片方の方では、たくさん建てると地方自治体では開発負担金が多いというのですよ。そこらはやはり調整が必要じゃないかと思うのですね。これは矛盾しないでしょうか、どうでしょうか。
  76. 久世公堯

    ○久世説明員 ただいまの戸数が多くなると負担金が多くなるというのは、その地方自治体一つの例でございますが、どうしても戸数が多くなりますと関連公共施設整備というのが非常に必要になってくるわけでございますので、おのずから戸数が多い方がどちらかといいますと負担金が高くなる、そういう要綱を制定している地方自治体が多いかと存ずる次第でございます。
  77. 北側義一

    北側分科員 別々に見るとよくわかるのです。しかし、国の政策と地方自治体の行政というのは同じようににらんでいかなければいけないのじゃないかと思うのです。だから、大蔵省がこういう適用除外の枠をつくられるときに、自治省との相談はあったのですか、どうなんですか。
  78. 水野勝

    ○水野説明員 今回の改正の趣旨は、先生からもお話のありましたように、優良な宅地の供給ということでございます。優良な宅地の供給という場合におきましては、やはり一戸一戸が優良ということとあわせまして、その地域全体として優良な都市環境、居住環境が整備されることが望ましいと思われますので、私どもとしては、やはり一定規模以上の面積なり戸数なり、一定のもの以上につきまして適用をさせていただきたい、そういうことで原案を作成したわけでございます。  その際に当たりまして、それはどの程度のものからかということにつきましては、先生御指摘のように、いろいろな基準があるわけでございますが、私どもといたしまして、都市計画法におきますところの全国的、一律的に現実に適用されております面積要件でありますとか、国土利用計画法におきますところの届け出を要する面積でございますとか、いろいろなものを勉強させていただきまして、現在千平方メートル、あるいは五十戸という数字を出しておるわけでございます。  この問題につきまして、具体的にその点について自治省と御相談をしたということはないわけでございますが、そういったいろいろなものは参酌して決めさせていただいたということでございます。
  79. 北側義一

    北側分科員 私は、余り納得できないわけです。  たとえば、千平米以上の一団の住宅地造成というのは、これは東京とか大阪では大体千平米以上の土地というのはほとんどないのです。非常に求めにくいということです。一番住宅で困っているのは東京と大阪なんです。だから、こういう全国一律で枠をくくるということ、そこに私は非常に矛盾を感じているわけです。全国一律に枠をくくる、それは地方へ行きますと宅地のうんとあるところもあります。しかし、東京や大阪で実際に千平米のそういう宅地があるかといったら、これはちょっと探すのが困難なんですよ。たとえば、この間東京都が都の財政を、すなわち赤字を何とか補てんしようというので土地を売りましたが、千平米以上の土地なんてほとんどないのですよ。だから、一律にくくっているというのに非常に問題があると私は思うのです。あなたはそう思いませんか。
  80. 水野勝

    ○水野説明員 一点は、ただいまの説明の繰り返しになるのでございますが、やはりまとまった良好な宅地というものを供給していただくという点からいたしまして、一定の規模面積をお願いしておるわけでございます。  それから、今回の措置は、土地を買われた方がそれを開発するなり住宅を建てるなりして、要件に適合した優良な宅地にされるということを見越して課税を若干軽減するということでございます。したがいまして、土地の譲渡の段階でそれを確定するということは多くの場合むずかしいわけでございますので、ある程度予測のもとで適用することにいたしておるわけでございます。したがいまして、これを毎年百数十万戸の新築の場合にすべて個別的に適用していくということにつきましては、技術的にいろいろ問題がございまして、そういう面からも一定規模以上のものにさせていただいておる。その規模条件といたしましては、一応いろいろなものを参酌させていただきまして、一律千平方メートルあるいは土地収用法の適用のあります住宅供給事業の五十戸とか、こういったものを基準にさせていただいておる、こういうことでございます。
  81. 北側義一

    北側分科員 変えろと言ってもなかなか変えられないでしょうが、いま私ずっとお話ししてまいりましたとおり、東京と大阪の住宅問題を解決しますと、日本の住宅関係というのは大体おさまるのじゃないかと思うのです。  そこで、たとえば先ほど少し申し上げましたとおり、東京と大阪という大都市周辺は実質二〇%近く地価が上昇しておるわけです。そこで、なぜそのように上昇したかといいますと、これは後で答えてもらうために説明しているわけですが、たとえば建て売りの住宅を建てる、マンション用地を業者が宅地供給が少ないので値をつり上げていく、こういう状況で需要と供給のバランスがとれていない、いわゆる需要が強くて供給が少ない、こういうことでいまの地価の上昇がある、こう言われておるわけです。  そこで、なおもう一つ考えなければいけないことは、先ほど大臣ですかどなたかが言われたとおり、なるほど各地方自治体においては宅地開発の一種の防衛的な手段、こういうことで指導要綱をつくっておられると思うのです。それはそれでいいのですが、しかし本来、これは基本的に考えてみますと、国と地方公共団体が負担しなければならない公共公益設備費、そういうものが各市町村によってばらばらなんです、指導要綱をつくっている市町村によって。だから、だんだんエスカレートしていく、そういう状況も見えるわけなんです。というのは、指導要綱をつくってできるだけたくさん取って整備しよう、それは結構なんですが、しかしそれがどこへ行くかというと全部それを購入なさる方、その人の負担になるわけです。業者の負担になるわけじゃないのです。そういう状況になっておるわけです。そこで、こういう問題というのは、公平な社会資本整備財源の負担の基準というものを何らか考えなければいけない時期が来たのじゃないか、そういう考えを私自身は持っておるわけなんです。  たとえば一つの例を挙げますと、都市計画道路などの根幹的な施設、それにすら開発者から負担金を取っておる、こういう面もあるのです。だから、たとえば施設整備範囲の水準というのをある程度決めてそうしてやっていかなければいけないのじゃないか、こう私は思うわけです。  私の調べたところによりますと、こういう費用で大体四八%から五〇%かかるのです。その分が全部家賃に上乗せされ、分譲価格に上乗せされている。これが実際の姿なんです。私はぜひともきょう自治省にお願い申し上げたいのは、そういう一つの負担の基準というものをぼつぼつ考えていただかなければいけない、そういう時期が来たのじゃないか、こういうことで私、実はこの委員会で質問さしてもらうように申し込んだわけなんです。それに対してお答えがありましたら、お答えしていただきたいと思うのです。
  82. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 この点は北側さん御指摘のように、各市でやっております指導要綱というのは自然発生的なものですね。こうやらなければもうどうにもならぬということで、市の防衛というような立場だと思うのですが、自然発生的な必要に迫られてこういった指導要綱行政というものが展開されてきた。それで、私は率直に言って、それが各市ばらばらに行われておる、それは人口急増地域における必要な公共施設整備について、国の施策が立ちおくれておったということが一番大きな原因だと私は思うのです。  そこで、委員御指摘のように、政府もおそまきながらそれに気がついて、ことしで六百億予算を計上しました。これでも恐らく足りないでしょう。したがって、これは来年度また予算をふやす必要がある。実はけさの閣議の席で、渡海建設大臣と私と二人で実はこの問題、相談をしてきたばかりなんです。来週中にでも自治省建設省の相談をして、そしてこれをどう実施していくか、御指摘のように、ばらばらでやられておるという状態は何とかこれをならして、均一的な方向に指導していく必要がある、かように考えております。
  83. 北側義一

    北側分科員 ぜひともそういうぐあいにやってもらいたいと思うのです。  大体三大都市圏を中心として、この開発指導要綱をつくっている市町村は、全国約八百八十五の市町村があるのですね。御存じのとおり、都市計画法ではそういう整備水準というものを大体明らかにしておるわけですね。問題はやはり地方自治体の、その地方地方によって特色があると私は思うのです。だから、これはなかなか一律にいかないと思うのです。しかし、先ほどから申し上げておりますとおり、この開発指導要綱の負担金とかいろいろな問題がばらばらで、まちまちなんです。これは大阪のある市の開発指導要綱なんですが、これを見てみますと、だんだんエスカレートしていっているのです。実態はそうなっておるわけです。都市計画法の基準があって、その基準以上の、基準の十倍も十五倍もの要求がなされていっておるわけなんです。私、大阪大阪市の市会議員も昔やっておりましたし、ずっと建設をやっておりまして、いままで十二年間そっちの勉強してきたわけですが、そういう実情を見ておりますと、これはもうどうしようもないなという状況まで来ているんじゃないかと思うのです。だから、そういう一つの基準というものを、先ほど大臣言われたとおり、建設省とよく相談していただいてつくらなければ、これから大阪周辺ではもうどうしようもなくなってくる。あわせて、御存じのとおり、大阪とか東京というのは所得の水準と地価が高いので、分譲価格がかけ離れてしまっておるわけですね。だから、悪い条件がずらっと全部並んでいる感じなんです。そういうことで、私はきょうはぜひとも一遍自治大臣にこの状況を聞いていただいて、何とかしてもらいたい、こういうことで参ったような次第なんです。  御存じのとおりに、いままで五省協定とかいろいろあるわけです。これはいわゆる公的な分は五省協定でやっておったわけですね。これはどうでしょうか、たしか四十二年に五省協定というのはできたと思うのですが、この五省協定を、一定の条件のもとに民間開発にも適用できるような方法をとれぬだろうかということも私は考えておるわけなんです。それがいわゆることしの公共関連の事業費の六百億なんだ、こうなればそうかもわからないのですが、その点どんなものでしょうか。
  84. 森岡敞

    森岡政府委員 いまお示しのいわゆる五省協定は、住宅公団のような公的な宅地造成、宅地開発、住宅建設についていわゆる立てかえ施行、公団自体が先行的に立てかえ施行するという仕組みで、地元の市町村の負担軽減を図る措置を講じたわけでございます。公団でありますので立てかえ施行を命ずることができるわけですが、一般のデベロッパーの場合にそれが仕組みとしてなかなかうまくはまらないということでありますので、御質疑の中にございましたように、筋としては、建設省で努力していただいております関連公共公益施設の予算を思い切って増額して、地元がそれに耐えていけるような仕組みを拡充していく、これがポイントではないかと私も考えておる次第でございます。
  85. 北側義一

    北側分科員 大臣も御存じのとおりに、三全総では昭和六十五年までに住宅にして約二千五百万戸、宅地が約十九万ヘクタール必要だと言われておるわけですね。こういう宅地の状況を見ておりますと、非常に先細りになっておるのですね。これは資料を見ていただいたらわかると思うのですけれども、特にその中でも三大都市圏が先細りになっておるわけです。  これは大臣の意見を聞きたいと思うのですけれども、選択制宅地並み課税をやれ、こう言う経済評論家がおるのですよ。どういうことかというと、市街化というのは、御存じのとおり都市計画法で市街化を促進すべき区域としてできたわけですね、線引きになったわけですよ。それで、農業をやりたい、こういう人の熱意もわかるのです。先祖伝来農業をやっておられて、営農をずっと続けていきたい、そういう気持ちもわかりますし、都市にそういう緑を残しておくことも必要じゃないかということもわかるのです。わかるのですが、法律というのは、都市計画法で決められた以上は、基本的には線引きされたわけですから農業をなさる人は農業をやっていただく、そのかわり税金はあくまでも農業の評価としての税金をかけていく。ただし、それは二十年なら二十年間ずっと農業をやらなければいけないというような、そういう何らかの形の——農民自身、自分が農業をやりたいなら農業をやって結構、それをはっきり分けて農民に選択していただいたらどうだ、こういう意見を言う人があるのですよ。これについてはどうお考えになりますか。
  86. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 現行の実施されておる農地の宅地並み課税も、そういう精神を若干取り入れて、農業をずっと継続しようとする者に対しては、御承知のように減税措置がとられておるわけですね。でありますから、この問題は御承知のように両論ありまして、政府税調においてもまた自由民主党の税調においても、両論なかなかまとまりませんで、もう少し検討しよう、こういうことになっておりますので、御意見も十分踏まえて検討してまいりたいと思います。
  87. 北側義一

    北側分科員 もう時間が来ましたのでこれで終わりますが、大臣、先ほどおっしゃっておられたように、開発指導要綱の問題については建設省とひとつよく検討してください。よろしくお願いします。  以上で終わります。
  88. 羽田野忠文

    ○羽田野主査代理 これにて北側義一君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田健治君。
  89. 柴田健治

    柴田(健)分科員 私は、消防関係予算に関連をして二、三お尋ねを申し上げたい、こう思います。  ことしの予算を見ますと、消防予算、施設整備費の補助として国は百七十五億二千三百六十五万円という、われわれの立場から申し上げるとまことに貧弱な予算だ。防災ダム、要するに多目的ダム一つこしらえるにしてもいまは四、五百億かかる。ダムの一個分も予算が組めないという物の認識というかとらえ方というものが、消防庁はもちろん、自治省、まあ自治大臣として、多いのか少ないのか、この点をひとつまず見解を聞いておきたいと思います。
  90. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、消防施設の充実ということはやはり大事な問題でございますから、私どもとしてはできるだけ予算を多く取ってその整備充実を図っていきたいということで予算の要求をしておるわけでございますが、御案内のような財政事情でございますので、なかなか私どもの期待どおりにはいかなかったわけでございますが、限られた財政事情の中でまあまあというところの予算ではないかと私ども考えております。
  91. 柴田健治

    柴田(健)分科員 これは澁谷自治大臣に期待するところは余りないようですね。  本論に早くも入りたいと思います。  まず、施設整備の中で、数多くあるわけでございますが、防火水槽の関係についてちょっとお尋ね申し上げたいのですが、防火水槽はことしは五千七百三十三。われわれは七千カ所ぐらい認めてもらえるのではないだろうかと大きな期待をしておったのですが、消防庁の努力が足りないのか大蔵省の理解がないのか、その点はよくわかりませんが、今後努力してもらいたいと思うのです。  この五千七百三十三カ所の中で、一般の方が二千二百八カ所、過疎地域分が千二百五十、離島分が二百八十五、同和分が三百六十七、沖繩分が七十五カ所、人口急増地域分が千四十八カ所、地震防災強化地域分が五百、林野関係が三十二、その他百九十二カ所というようになっておるようですが、この中で私がきょう申し上げたいのは三百六十七の同和の対象地域なんです。  この補助率は三分の二ということになっておるのですが、問題は用地買収費のことなんです。御承知のように、対象地域は密集地域、連檐地域ということで、用地の取得が非常に困難な地域であること、危険性が非常に高いこと、そういう両面のむずかしさがあって、われわれはこの密集地域重点的に防火水槽の設置を強く望んできたし、また当局にそれを要求してまいりました。ところが、予算はついたものの用地買収で難航をするわけでありまして、いろいろ問題が惹起する。結局、市町村一般財源を振り向けなければならぬ。用地買収費に膨大な資金が要る。市町村も弱いものですから、財政が苦しいながらも用地買収費に膨大な資金をかけておる。こういう弱さがございますので、この点どちらかと言うと、この防火水槽については、人口急増地域であろうとどこであろうと、用地分をぼくは見るべきではないかという気がするわけです。全体を見るべきで、特に同和地域だけというわけにはなかなかまいらないと思いますが、しかし同和地域のいろいろな特殊事情を考えて、同和地域における密集地域の防火水槽の用地買収費については、これ以上市町村財源を圧迫しないように、何らかの形で処置してやらなければいかぬのじゃないか。こういう気がするわけで、本気でやろうとすればわけはないと思うのですよ。個所別において、今年度配分するところにおいては特交で一カ所に用地買収費を五十万なら五十万見てやるとかということもできないことはない。これはやろうと思えばできると私は思うのです。やるかやらぬかの問題であるが、その点について消防庁長官はどうお考えになっておりますか。
  92. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 用地買収費につきましては、同和地区のみならずすべての地区において、あるいは防火水槽のみならずほとんどの事業において、国庫補助対象にしないという一つのルールができております。これは御承知のように、土地というのはその市町村の永久の財産になるとか、土地取得そのものは事業目的ではないとか、いろいろ理由があるわけです。したがいまして、同和地区におきまして特にこういう防火水槽の整備が必要なことは私ども重々承知しておりますけれども、用地取得費につきましては、必要があれば地方債をもって充当するということに現在しております。  ただ問題は、いま先生がちょっと御指摘になりましたように、土地が同和地区は特にないということでございます。防火水槽は、これは全国的にこれからどんどんつくっていかなければなりませんけれども、用地問題がどこでも非常に大きな問題となってその推進を阻んでおるわけでございまして、私どもは、用地取得ももちろんですけれども、それ以前にたとえば公園であるとか学校であるとか、そういうところへまずつくれぬかということで、建設省あるいは文部省の方にも強く要請しておるところでございます。
  93. 柴田健治

    柴田(健)分科員 国の考え方がぼくはちょっとおかしいと思う。公共事業の位置づけの問題にこれは関連すると思うのですがね。国民の生命、財産を守る、一番重要な福祉の基本であろうとわれわれはとらえておる。福祉の基本の施設については、公共用事業の中でも最優先的に位置づけをすべきだと私は思う。その位置づけがあいまいだからこういう方向が出ておるのだと私は思うので、自分のことは自分でやりなさいということなら、今日政治も何も要らないわけです。  だから、公共事業の中で、この防火施設というものはもう最重点公共事業だというとらえ方をしてもらいたいが、この点について自治大臣の見解を聞きたいのです。
  94. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私も、基本的にはそのように考えております。
  95. 柴田健治

    柴田(健)分科員 考えておくだけではいけないので、それを実現に向かってひとつ大いに努力してもらいたいと思います。  それから、関係当局と今後協議をしていただいて、公共事業の中で、この防災施設については公共事業でも順位を上げるんだという考え方で、またそれにあわせて財源措置も、特に当面は同和地域において用地買収困難なのは町村財政が非常に——町村の方は、同和事業でありますから、もう文句も何もない。黙ってやるわけです。ところが、消防の現場で働いておる諸君の幹部は正直言って頭の痛いところなんですね。言わないから国の方は黙っておるんだろうという気がするわけです。町村の持ち出し分は非常に高いわけでありますから、それは水道で、消火栓でやったらいいじゃないかという意見もある。ところが、地震その他の災害で水道がとまったらどうなるのか、そういうことを考えた場合に、やはり防火水槽というものは必要だ、そういうことですね。これから耐震用の防火水槽ということも踏み切っておられるようですけれども、これは都市と言わず、地震の危険個所地域はもちろんであるが、全国的に防火水槽だけは、水道がとまったらどうなるのかということを考えたときにぜひやってもらいたい。同和地域市町村へこれ以上用地買収に財源をかぶせないように、同対法ではお互いに行政機関は協力し合っていくという一つの位置づけをされておるわけですから、ぜひこれはやってもらいたい。大臣、ひとつ決意を聞いておきたいのです。
  96. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 防火水槽の必要性、特に地震の際には消火栓もとまってしまうということも予想されますので、私どもは防災体制の確立の上に今後一番推進していかなければならない事項であると思っております。  したがいまして、この五年間で、昭和五十年度は二千カ所ぐらいだったかと思いますが、現在は耐震火災分あるいは林野火災分を入れると六千カ所を超える数まで補助対象にしておるというような状況でございますが、今後どんどんその拡充に努めていきたいと思います。  また、同和地区につきましても、防火水槽が普及、整備できるように今後とも努力してまいりたいと思います。
  97. 柴田健治

    柴田(健)分科員 それで、この財源的な処置として、交付税の中で初めから入れるというのは、個所別においてその年度で違うわけですから、同和地域については特交で処置する。三百カ所か四百カ所、五百カ所、大したことはないんだから、初めから交付税の算定の中へ入れるというわけにはいかないから、該当町村というものはその年度によって違いますから、それは特別交付税で処置するというような措置を講じたらどうかと思うのですが、いかがですか、大臣。
  98. 森岡敞

    森岡政府委員 同和対策事業の必要な財、源につきましては、御承知のように人口割、地区割あるいは人口密度割というような形でいろいろ措置をいたしておりますが、それとあわせて事業費割という形で、事業費に応じて一定財源措置をすることにしております。  事業費の中にはもちろん用地の購入費も入るわけでございますので、そのような方式によって適切な措置は講じてまいりたい、かように思います。
  99. 柴田健治

    柴田(健)分科員 全国的に見て、ブロック別消防施設整備状況を見ると、北海道、東北は九九・二%で、充当率は非常に進んでいるのですね。それから、関東も九〇%、北陸も九〇%を超している。四国が八四・三%、近畿が六九・一%、中部が七一・四%、中国七五・二%、九州、沖繩が八三%ということで、各ブロック別に消防施設充当率を見ると、よくこの現象が出ているのです。西日本の方はなぜ充当率が低いかといったら、消防に理解がないのではなくして、いろいろな問題があるということを踏まえて、今度のこの防火水槽にしても、配分なりそういう指導の面でもっと処置すべきではなかろうかという気がいたしますから、参考の数字を申し上げたので、よろしく御配慮願いたいと思います。  次に、消防組織ができて明年で百年を迎えるわけですね。昔は消防組、戦争中は警防団、いまは消防団ということで、自治消防ができて戦後三十年を昨年迎えた。ところが、新しい憲法ができて消防組織が自治体消防として発足をして三十年の中で、御承知のように消防団員、非常勤の方が毎年最低十人は殉職いたしております。多いときには二十五人ぐらい、三十人という年もございますけれども、それだけ殉職をしておる。二十年の後半からとにかく三十年代は一番犠牲が多い。ところが、公務災害という立場で救済措置ができて、その救済措置ができたのが遅いというので、いまわれわれが組織の中で一番苦労しておるのが殉職者に対する遺族年金の問題で、これが各都道府県の悩みの種ですね。この公平を期していく。せめて自治消防になって三十年の間だけは——戦前には戦争中の警防団の救済措置とかいろいろありますけれども、それは切り離して、自治消防になってからだけでも公平な処置をすべきじゃないか、不均衡の処置はとるべきではなかろう、こういうようにわれわれは判断しておるわけです。  制度ができたのが四十一年ですから、おくれておりますから、それ以後は適用されておる。けれども、その以前の遺族の皆さんはただ一時金で、その時分は三十万か四十万ぽっきりもらって、それで打ち切られて何にももらっていない。四十一年以降は救済制度が拡充されて年金支給になっておりますから、だからもらえる遺族ともらえない遺族ができておる。岡山県の場合を見ると、三十六名がこの該当者です。自治消防になってから三十六名が殉職者です。いま遺族年金をもらっておるのが五人です。三十一名というものが一時金で打ち切られて何にももらっていない。そこに不公平、不満というものが出て、いろいろ物議を醸して、われわれ組織の中でも苦労しておるわけです。  この点を是正してもらいたいという気がするのですが、これは消防庁長官だけの力だけではどうにもならぬ。これは大臣が決意をして、それぞれの機関と話し合いをして処置しないとうまくいかないと思うのですが、大臣、この点についてどういう心構えで解決しようとするのか、このまま現状でいいと思われるのか、直さなければならぬというお考えに立つのか、どちらか、それを含めてお答え願いたいと思います。
  100. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 この公務災害補償、特に遺族年金の問題につきましては、先生は戦後の三十年消防人としてずっとやってこられまして、この制度の立案につきまして最も御尽力に相なった方でございますので私から申し上げるのもどうも不十分かと思いますけれども、御承知のように、各地方団体がそれまで別々にやっておりましたのがばらばらではいけないということで、三十一年に基金をつくり、一時金を交付することにし、そして四十一年から年金というふうに切りかえたわけでございます。  ここで二つの問題が出てきております。一時金ももらえなかった者、それ以前に遺族となった方々、そういう人に対して一時金あるいは年金を支給してくれないかということと、それから一時金になってから遺族になられて、その後年金になった、一時金はもらったけれども年金に切りかえてくれないかということ、この二つの要望がございまして、日本消防協会からも私どもの方へ何とかならないかというお話があるわけでございますが、こういう消防の公務災害補償のみならず、あらゆる公務災害補償は同じような形をとっておりまして、制度が発足した以降のものにつきましてはその制度に基づく措置がとられているわけでございますけれども、それ以前のものにまでさかのぼって行っておる例はございません。  こういう横並びの関係等もどう見るかという非常にむずかしい問題がございますので、私どもいろいろ検討しておりますけれども、制度として行うということは非常に無理があるのではないかという結論を得ておるわけでございます。
  101. 柴田健治

    柴田(健)分科員 これは長官だけの力ではどうにもならぬと私は思う。これは大臣が率先して解決するべく前向きで取り組んだら解決しない問題ではないと思う。問題は財源の問題と制度改正の問題だから、やろうと思えばいままでどんなこともやってきておるはずですから、この程度の問題は簡単に解決するだろうと私は思うのです。ただむずかしいむずかしいで避けて通るところに解決しない要素があるわけですから、この点ひとつ大臣の見解をお聞きしたいのですが、いかがですか。
  102. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 この種の問題は、消防だけの問題でなしに、ほかの制度についてもすべて同じような問題が起きておるわけですよ。  それで、不公平といえば確かに不公平で、したがって御指摘のように、その不公平を是正すべきではないかという御質問に対しては、できるならばこれは是正すべきである、是正したい、私はこういうふうに考えます。ただ、いま長官から答弁しましたように、これは一大臣ががんばってみても、この壁はなかなか厚いですから、簡単に崩せるとは思いませんけれども、御指摘の点は私も考え方としては同感でございますので、十分検討もしてまいりたいと思います。
  103. 柴田健治

    柴田(健)分科員 われわれが案を持っていったら、それをひとつたたき台で検討してもらえますか。
  104. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 案をぜひ見せてください。
  105. 柴田健治

    柴田(健)分科員 わかりました。  次に、表彰の問題なんですが、表彰規程にも区分があって、個人表彰もありますが、団体表彰の問題だけにしぼってお尋ねしたいのです。  われわれはいままで歴代の長官なり大臣にお尋ね申し上げて、大臣表彰制度をつくれと言うと、海上保安庁がどうだ、警察庁がどうだということでした。海上保安庁だとか警察庁がどうだとかいうのは飛躍した考えで、消防の特殊事情というものを考えるべきではなかろうかという気がするわけです。あなたらの考え方というものは、正直言ってどうも時代おくれがしておる。だから、こういう団体を守って育てていくということになれば、何としても基本は感謝をするという気持ちが国でも県でも市町村でもなければならない。感謝する気持ちでとらえて、それをどう実現していくかという、感謝する気持ちがあるかないかでこの問題は実現するかどうかが決まるとわれわれは考えておるのです。  団体表彰で、いま長官表彰旗というその上に大臣表彰制度をつくったらどうか。個人までいかなくても、団体だけでもひとつ早急にこの表彰規程の改正をすべきじゃないかという気がするのですが、大臣、いかがですか。
  106. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 御案内のように、消防組織法上は消防庁長官消防の最高職ということになっておりまして、現在御承知のような消防表彰規程ができておるわけでございます。その中には、団体につきましては竿頭綬、それから長官旗というふうになっておりまして、長官旗が現在のところ最高のものとなっております。  かねてから、先生からも再三大臣表彰を行ってはどうかという御指摘があり、私どもも内部で検討しております。いろいろ意見があるわけですけれども、現在長官旗を受けておる団体の数が、御承知かと思いますけれども全国の団のうちの一五%程度、竿頭綬を受けておるのが三〇%程度で、大臣表彰という長官旗の上にある大臣旗と申しますか、そういうものを設けるならば、それより前にもっと多くの団体に長官旗を出したらいいじゃないかというような意見もあるわけでございます。何分戦後三十年こういった制度でずっと推移してきていますので、この制度をこの際変える必要がないじゃないかという意見がその背景にあるのかと思います。  一方、消防の現状から見て、長官表彰の上に大臣表彰があった方がいいじゃないかという意見もございます。ただ、その場合、現在あるこの表彰の体系の中にどういうふうに位置づけたらいいのだろうか。その位置づけ方によりまして、これは人によりましていろいろ意見があるわけでございまして、私ども現在、日本消防協会を初め、そういう消防団の方々の意見等もいろいろ拝聴しておる段階でございまして、なお検討は続けさせていただきたいと思います。
  107. 柴田健治

    柴田(健)分科員 ひとつぜひ制度をつくってもらいたい。海上保安庁だとか警察庁だとかいうのを比較して論じてもらっては困る。ぜひ大臣の方もこれは考えてもらいたい。前の大臣もやるようなかっこうだけはして逃げてしまった。今度は澁谷大臣だけは血もあり涙もある人だと信頼しておる。渋いことは言わずに、ひとつぜひ検討してもらいたい。お願いしておきます。  次に、五十四年度の交付税の基準財政需要額の中で、消防費の中で特にわれわれが関心を持っているのは、消防団員の処遇改善です。団員報酬が、団長が四万五千円からことしは四万六千円、千円の値上げです。副団長が三万五千円が三万六千円、これも千円の値上げです。分団長が二万三千円から二万四千円、これも千円の値上げです。副分団長が、二万円が二万一千円、これも千円の値上げです。それから、部長、班長が一万三千円が一万三千五百円だから、五百円の値上げです。団員が一万二千円が二万二千五百円ですから、これは五百円の値上がりですね。  どう考えても消防に理解があるということは言えない。大臣も自分の選挙区に帰ってこうやりましたと言ったら、ああ澁谷さんも力がないなと言われると私は思うので、これは非常におかしいと思うのです。消防の位置づけは、これはもう少し大蔵省とも折衝して考えるべきだと思うのです。きょうは時間がないから大蔵省質問しませんけれども、とにかく余りにも低過ぎるという気がするのです。  それから、大臣として、これだけの上げ方は基本が低いのだからしようがないというのではなくて、基本も低い、また上げ方も低い、これでいいと思われるのか、結構だと思われるのかどうか、まず見解を聞きたい。
  108. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 率直に言って余りにも低過ぎるというのが私の受けとめ方でございます。  これはもともとボランティア活動というような性格を持っておるから低くてもいいのだということでこういう状態で来ていると思うのですが、私は、それであってはならない、その持っておる任務の重要性にかんがみてもっともっと待遇は改善すべきであるというふうに思います。
  109. 柴田健治

    柴田(健)分科員 全国、職員と団員で大体百二十万おるわけですね。十一万の消防職員というものは、給与の高い安いは別として、身分がある程度安定しておる。ところが、非常勤の方は、ただボランティア活動のようなとらえ方をしないで、百十万近くおって、一年間に平均八回以上の出動をしている。幹部になるとその三倍くらい出動しているのです。大体年八回出動しても、百万が八回出ると八百万人ですね。八百万人が年間いろいろな形で地域の住民の生命、財産を守るためにいろいろな苦労をしている。年間十人以上は殉職を出して、七千人近くはけがをしているのです。こんな団体がほかにあるか。大臣、あったらひとつ答弁してください。
  110. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 つまびらかには承知しておりませんが、恐らくないのではないかと思います。
  111. 柴田健治

    柴田(健)分科員 ほかにこういう団体が例にないのでしょう。それをいろいろなところへへ理屈をつけて例を引っ張り出して、同じような古い感覚で取り扱うこと自体がおかしい。消防庁というのは何をするところだ。近藤長官は消防には非常に理解がある、今度の長官は前の林とは違うでということで私たちは盛んに末端では宣伝をしてあげるのだけれども、この交付税、その単位費用を見ると、もう話にならぬ。こういう事態だから、消防費全体の住民一人当たりの単位費用を考えてみると、もう話にならない。  それから、日本は毎年六万四、五千件火災が発生をし、焼け死ぬ者が二千人、世界最高になってくる。これを消防庁自治省大蔵省も何とも考えない。総理大臣以下何にも考えていないのではないか。ただもうつけたりでやっておる。こういうやり方では困るので、この予算についてはいずれ地方行政委員会でまたいろいろあろうと思いますが、ひとつ十分考えてもらわなければいかぬので、大臣、最後に決意表明だけ聞いておきたい。
  112. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御趣旨に沿って十分努力をしてまいりたいと思います。
  113. 柴田健治

    柴田(健)分科員 終わります。
  114. 羽田野忠文

    ○羽田野主査代理 これにて柴田健治君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  115. 上原康助

    上原分科員 私は、沖繩の戦後処理の重要な課題の一つであります市町村道未買収用地の問題と過疎地域対策緊急措置法ですか、それと沖繩振興開発との関連で、主に自治大臣にお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  なぜこの分科会でこれを取り上げるかといいますと、これまで沖特などで、あるいは建設大臣などにもお会いをして、市町村道未買収用地、いわゆるつぶれ地の問題についていろいろ取り上げたり御要望申し上げてきたのですが、十分な解決策というものがまだ明らかにされておりませんので、自治体の財政問題あるいは自治行政と非常に深いかかわりがありますから、この際自治大臣の特段のお力添えもいただきたいということで、さらに予算問題と非常に関連をします関係上、この問題にしぼってお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、つぶれ地の処理については、実は私たちは従前から一貫して全額国庫負担による補償促進を主張してまいりました。現在もその主張に基本的に変わりはないわけです。政府は五十四年度予算を編成するに当たって、幹線市町村道については十分の八の国庫補助で処理をしていく、残りの十分の二については何らかの地方財政措置で解決する考えだと聞かされておるわけですが、この地方財政措置の中身というものは一体何なのか。たとえば特別交付税交付金等をお考えになっているのか、あるいは道路特別会計からの交付金の支出等を考えておられるのか、この際、その内容についてつまびらかにしていただきたいと思います。
  116. 森岡敞

    森岡政府委員 沖繩県の区域内におきます市町村道のつぶれ地につきましては、つぶれ地の生じた経緯と市町村の財政の状況から考えますと、いまお話しのように、私どもは全額国費でやるべきだという気持ちを同様に強く持っております。ただ、関係各省庁でいろいろ協議をいたしておりますけれども、実は全額国費ということにならない部分がどうも出てきそうだというふうに見ております。これは私どもとしては非常に不本意なことだと思うのであります。しかし、関係市町村といたしましては、若干でも負担が生じました場合に財政的にそれに対応できないというふうな事態が生ずるところも出てくる可能性もありますので、そういう市町村につきましては、個別に自治省財源措置をし得る手段、たとえばいまお示しのような交付税ども含めまして対応してまいりたいと思いますが、しかし個々の市町村の財政状況を見ながらその辺の対応は万全を期していきたい、かように思います。
  117. 上原康助

    上原分科員 いま自治省の大体のお考えがお答えがあったわけですが、建設省はこの問題についてどのように処理しようとしておられるのかということ。  つぶれ地の全体面積、詳しいことは時間の都合がありますから申し上げませんが、昨年の三月段階でしたか、たしか約四百四十五万平方メートル、これはもちろん講和前、講和後の問題も含んでおるわけで、そのうちの約六割はその他の道路というふうになっておるわけですね。最近、開発庁、建設省、自治省の三者かで協議をして、何か現在の市町村道の一、二級については県道格上げ計画もなされている、その準備も進めているということなんですが、全額国庫でやっていきたいというその基本姿勢をとらまえたにしても、問題は、その他の道路、市町村道をどうするかということが最後まで一番難点になると思うのですね。この点を含めて建設省のお考えを明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  118. 金子晃

    ○金子説明員 沖繩県の市町村道のつぶれ地の買収につきましては、講和発効前に発生しましたつぶれ地を対象に、来年度、五十四年度から改築事業との関連を考慮しながら国庫補助事業として実施してまいりたいというふうに考えております。  その内容を簡単に申し上げますと、まず、つぶれ地のうちの位置境界不明地域、これにつきましては、建設大臣が沖繩開発庁長官と協議いたしまして指定いたしました路線に対して十分の八ということになっております。ただ、不明地域という特殊な事情もございますので、その中で特別な事情がある場合には、国庫補助事業の翌年度におきまして、予算の範囲内でその必要経費を計上していく、交付金として見ていくというふうに考えております。  ただいまのは不明地域でございますけれども、その他の一般地域につきましては、ただいまお話がございましたように、幹線市町村道を対象として十分の八をやってまいりたいというふうに考えております。ただ、現在の幹線市町村道は、沖繩県につきましては四十七年に選定しております。したがいまして、その後の沿道環境の事情も大分変わってきておりますので、この際に見直しいたしまして、幹線に選定できるものは取り上げていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  119. 上原康助

    上原分科員 ちょっと抽象的でよくわからないのですが、要するに、地籍明確化法に基づいてなされる部分とそうでない一般地域がある、地籍法でやられる方は十分の八であっても、あとの十分の二についても、交付金なりその他の処置が法律上、政令上でなされると思うのですね。それはそのとおりでいいですか。
  120. 金子晃

    ○金子説明員 そのとおりでございます。
  121. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、その他の一般地域といま幹線道路に指定されない分が問題で、先ほど私が申し上げた数字は、大体全体面積はそのようにとらえていらっしゃるのですか。幹線道路とそうでない分を区分けすると、大体大まかに言って六、四ぐらいになるのじゃないかと思うのですね。六割というのはその他の分、四割が幹線道路に指定されている、そう理解していいですか。
  122. 金子晃

    ○金子説明員 ただいまの調査におきましては全体が四百六十万平方メーター、その他が二百七十万平方メーターになっております。したがいまして、その他は、先生のおっしゃるとおり六割でよろしいと思います。
  123. 上原康助

    上原分科員 自治大臣、この二百七十万余が問題なんですよ。これは御承知のように、私の手元にある資料より若干ふえていると思うのですが、全体が金額にしてたしか八百六十億ぐらいの予算総額になるのじゃないかと思うのですね。約八百七十億。そうしますと、その六割がどう取り扱われるか、いまの段階では全く不明なんですね。これは各市町村とも何とか——戦後三十年にもなって全然地料も払わないで、地籍ももちろん確定されてない分もありますし、これは二、三年でできる実態じゃないわけですね。ですから、年次計画でやっていけば予算措置もそういう対応の仕方があるわけですから、一挙に八百四、五十億も国庫を支出しなければいかないということじゃないわけだ。御承知のように、五十四年度は十二億五千万。そういうことでいま各市町村なり県なりが御心配している点は、全然幹線道路に指定されてない、認定されていない約六割を占めるその他のつぶれ地道路、未買収道路という取り扱いをどうするのか、この方向づけがなされないままに、一方、スタートはしたわけですね。したがって、この分についてはどういうふうに処理しようとしておられるのか、ぜひ方向づけを明らかにしておいていただきたいと思うのです。どのくらいが格上げされて、どのくらいがその他の道路として依然として市町村道として残るのかどうか。  これはやはり自治大臣、自治行政という立場でお考えにならなければいかない課題じゃなかろうかと私は思って、澁谷自治大臣の御尽力を特にお願いしたいということで取り上げていますので……。恐らく開発庁、建設省、自治省、いろいろ御相談をしたと思うのですが、ぜひこの際明確な方向を明らかにして、各市町村の持っておられる不安なり今日までの努力に対して明らかな方向づけをした上で、財政問題を含めての解決策を図っていただきたい。御見解をお願いしたいと思います。
  124. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 自治省としては、それは重大な関係のあることはもう当然でございますが、ただいまの問題は、まず主管庁である沖繩開発庁あるいは建設省から考え方を述べていただいて、その後に私の所見を申し上げたいと思います。
  125. 上原康助

    上原分科員 開発庁はどうお考えなんですか。建設省も含めて、いま私が申し上げたその他の分をどう取り扱うのか、沖繩開発庁、建設省、改めて御見解をお願いしたいと思います。
  126. 金子晃

    ○金子説明員 では、建設省の方を申し上げます。  先ほど申し上げましたように、一般市町村道につきましては、その後の事情も変わっておりますので、幹線の見直しをいま開発庁あるいは沖繩県と作業をしているところでございます。どの程度延びるということは、ちょっといま作業中でございますので、数字的にはお答えいたしかねます。
  127. 上原康助

    上原分科員 だから、格上げする分は、いま県側も作業を進めておるわけですから、これはわれわれもそういう作業も進めながらこの問題については対処していかなければ、全部国にお願いをするという基本的な要求だけではなかなか進展しない向きもありますよということで、ようやく昨年来そういう方向での作業というのが進んできたわけで、要はそれから落ちこぼれるものがあるわけでしょう。その分は全然関係ありませんとは言えないんじゃないですか、行政のバランスの上からも。それをどうするかを聞いているのです。建設省としてはどういうお考えを持っているのか。ちょっと自治大臣も少しずるくて逃げていらっしゃいますが、本当はこういうのは大臣がお答えすることだよ。
  128. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私は逃げる気持ちは毛頭ないわけでございまして、自治大臣としてやるべきことは当然やる。ただ、役所でございますから、私が開発庁なり建設大臣の分野まで答弁するわけにはまいりませんので、まず主管省である開発庁なり建設省から、どう対処するのか基本的な考え方を承って、その後で自治大臣としての所見を申し上げたい、こう申し上げているわけで、逃げるつもりは毛頭ありません。
  129. 上原康助

    上原分科員 その他の分についてはどのように取り扱うおつもりですか、改めて……。
  130. 金子晃

    ○金子説明員 道路事業といたしましては、一般には改築事業といいますか、用地を買収いたしまして仕事をしていくという形でございます。したがいまして、道路事業の範囲といたしましては、現在補助として採択しております幹線市町村道だけをやってまいるという所存でございます。
  131. 上原康助

    上原分科員 それでは問題解決にならぬじゃないですか。約六割はその他の分に属している。そこで、このことは建設省だけにお任せするわけにもいきませんし、きょう私は要求したつもりなんですが、沖繩開発庁が何か来ておられないということで、いずれまたしますが、これは自治大臣、なぜこういう多くの市町村道未買収用地というのが発生をしたかという経緯なり背景なりを私は申し上げませんでしたが、それは言わずもがなのことですのでね。戦後もう三十年以上たっているわけですよ。しかも、ああいう社会環境下で出てきた。いま沖繩の県を含めて、市町村道、市町村自治体にとっては最大の課題なんですよ。そういう意味からしますと、やはり自治省が、もちろん大臣のおっしゃることもわかりますし、行政ですからほかの分野まで口出しするのは御遠慮なさるというお気持ちもわかるのです。しかし、これはどこかがリーダーシップを発揮せぬと解決しないと思うのですね。  そこで、私は何回か沖特でも取り上げましたが、どうも向こうでやると自治大臣と言うし、建設大臣に行くと、これは自治体との関係だから建設省よりも自治省だと言うし、要するに交付金とか交付税、そういうことになりますと、自治省が少しリーダーシップを発揮していただかなければいかない問題だと思うのですね。私が申し上げたいのは、いろいろ方法はあるでしょう、規則も法律もあるでしょうが、問題は、その他の道路まで含めて国の助成措置によって解決を図るという方向づけだけはぜひやらねばいかない問題だと思うのですね。その便法と言うと語弊があるかもしれませんが、それをどういうふうに財政措置をするかによっては、これからおいおいいろいろな形で協議できると思うのですね。  私はいま申し上げたことについては、自治大臣も恐らく否定はなさらないであろうと思うのですが、改めて御見解をお聞かせいただきたいと思うのです。
  132. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、沖繩県におけるつぶれ地の問題は非常に大きな政治問題であるわけでございますから、これに対しては政府全体としてこれの解決に前向きに取り組んでいかなければならないのはもう当然であります。でありますから、私も自治大臣としてばかりではなしに、内閣のメンバーとして関係省庁と十分提携をして、この問題の積極的な解決に取り組んでいかなければならぬと考えております。  それで、ただいま御指摘のいわゆる幹線市町村道にならない、そういった六割を占めるという御指摘になっておりますこの問題をどう解決するか、これはひとつ皆さん方の御意見もいろいろ聞かせていただいて、どういう方法によるのが一番適切であるか、その具体的な方途というものを出していかなければならぬと思うのでありますが、ただいままでの折衝の話では、できるだけこれを県道あるいは幹線市町村道に格上げをして、格上げをすれば御承知のような国庫補助が裏づけができていくわけでありますから、まずそれを促進するということが当面一番やり得る、またやりやすい方途ではないかと考えておるわけです。ただ、私は全体としてこれを一年、二年ではできないと思いますけれども、御指摘のように、年次計画を立てるなりして政府全体としてやはりこれに積極的に取り組まなければならぬ、このように考えております。
  133. 上原康助

    上原分科員 確かにいま御答弁ありましたように、かなりの期間が必要であるということは私たちも認識をしているつもりなのです。  そこで、落ちこぼれが出るその他の分についてもぜひ財政措置をやる方向で御検討いただきたいということと、もう一点は、幹線道路として指定をされていく、十分の八は国庫補助でやる、あとの十分の二についても実質的に市町村の財政負担にならない措置は講ずるおつもりですね、これは。
  134. 森岡敞

    森岡政府委員 先ほど建設省からお話がございましたように、いわゆる位置境界不明地域内につきましては、翌年度交付金が交付されるという仕組みが法律及び政令で明らかにされておりますから、これは出ないと思います。不明地域外については十分の八の補助ということで、交付金という仕組みが設けられておりません。私どもが先ほどこの点についてお答えを申し上げたわけでございますが、個々の市町村の財政の状況を見ながら、財政を非常に圧迫するようであれば、適切な財政措置自治省の責任においてこれは措置せざるを得ないと思いますが、しかし一律にその交付金が出ないからその交付金に相当する分を特別交付税で見るということは、私ども地方公共団体の共有財源であります交付税でありますから、それはとり得ないと考えておるわけでございます。個々の市町村の財政状況を見ながら財政運営に支障のないような措置は講じてまいりたいと思っております。
  135. 上原康助

    上原分科員 だから、ここにも一つ問題があるわけですよ。確かに地方交付税と言われますと、これは全国込みの枠ですから、その枠から沖繩だけにあるいは一府県だけに特別にというと、ほかの方がぼくらの分までその方にというのは、これはなかなかむずかしいですよ。しかも、その三二%という枠もあって、これも上げなさいと言ってもなかなかおやりにならない。そのことは別にして、だから戦後処理という特定地域に生じている問題については、そういった交付税の枠外の財政措置というものを政府全体としてお考えにならないと、こういう問題を抱えている市町村は困るわけですよ。これは大蔵省の方も恐らくいらっしゃると思うが、こういう処理の仕方をぜひ聞いていただきたいです。これも議論のあるところ。ですから、ゆとりのある市町村もないわけではないはずですから、それはおっしゃることもわかりますが、基本的には、そうしますと財政が非常に圧迫をされるおそれのある市町村あるいはどうしても十分の二についても国の方で考えていかなければいけないという、そういう特定市町村については心配のないようなお考えで処理なさいますね。当面の十分の八、十分の二というこのことについては、そこはお約束できますね。
  136. 森岡敞

    森岡政府委員 最初に申し上げましたように、私どもは本来全額国費でいま御指摘のように特別の枠でやってもらうのが筋だと思っておりますが、しかしそういうふうな結論になってきておりますから、個々の市町村の財政の状況を見ながら、財政運営に支障がないような措置は私どもとして講ずるようにいたしたい、かように思っております。
  137. 上原康助

    上原分科員 ぜひこの点については、先ほど大臣のお答えがありましたように、その他の市町村道のことについても特段の御努力をお願いしておきたいと思うのです。  余り時間がありませんので次の問題に入りたいのですが、先ほどちょっと申し上げましたように、御承知のように、沖繩の場合は振興開発特別措置法でも過疎地域対策緊急措置法の概念も一応取り入れられて、過疎地域にも振興対策がなされているわけではありますが、しかし沖繩本島なり、この沖繩そのものが離島であると同時に、その周辺に離島がたくさんあるわけですね、離島の村というものが。その地域に対しては振興開発特別措置法で画一的な補助額とかいろいろな制度、そういうものがなされている関係もありまして、この過疎地域対策緊急措置法の適用は除外をされているわけですね、振興特別措置法で。本来なら両方あわせて沖繩県の離島に対してはそのことをやれば、それは本土との格差の是正が速やかになされたでありましょうが、それが除外されたものだからいろいろな矛盾が出てきている。  そういうことで、われわれの主張は、これはこの緊急措置法をも併用していくべきではないかということと、いま一つは過疎債制度というものも導入すべきだと思うのですが、この点については自治省としてはどうお考えですか。
  138. 森岡敞

    森岡政府委員 沖繩の復帰に際しまして、沖繩の振興開発のためにどういう国の手厚い財政措置を講ずるのがいいかということは、各般の条件を勘案して決められたところでございますが、結論は沖繩振興開発特別措置法によりまして全額国庫負担の道路とか港湾、その他のものにつきましても大変高率な補助事業を実施する。その方が、全体として見ましたならば沖繩の財政負担を軽減しつつ振興開発を進めていく上において望ましい、こういう結論になっていまのような措置が講ぜられておるわけでございます。私どもその後の推移を見まして、やはり県の財政、市町村の財政を見ますと、この振興開発法によります思い切った補助率のかさ上げが地元の財政負担を大幅に軽減しておって、しかもかつ振興事業の推進が円滑に行われていると思うのであります。  そういう意味合いで、過疎法を適用することを排除いたしましたことは、全体として見ますならば、いま御指摘のようなことではなくて、方向づけとしては正しかったのではないか、かように思っております。
  139. 上原康助

    上原分科員 それは全体としては確かにおっしゃるとおりなんだが、部分地域によってはむしろ過疎法の方が有利になる面もあるわけですよ。ですから、これは一応御検討をいただきたいと思います。よろしいでしょう。
  140. 森岡敞

    森岡政府委員 過疎法の所管が、ご承知のように、自治省だけでございませんで、国土庁でございますので、その辺のところも踏まえまして関係省庁と話し合いいたしたいと思いますが、ただ私はやはりここは選択の問題だったと思うのです。ですから、大幅の補助率のかさ上げと、それから地域を限って過疎法を適用するということは、どうも私どもとしては制度としてはいかがなものかという気持ちは強く持っておりますことをつけ加えておきたいと思います。
  141. 上原康助

    上原分科員 もちろん、当初の振興開発特別措置法をつくる段階でもこれは議論がなかったわけではないですね。一部になかったわけではないけれども、振興開発特別措置法の延長問題を三年後に控えているわけですが、これも恐らく状況からして私は延長せざるを得ないと思いますね。そういう段階では、もう少し離島県であるということと同時に、その離島の離島、過疎地域というものに対する考え方は、振興開発計画の中でもっと手厚くするか、あるいはこの内容を取り入れたような方向というものはいまから御検討に値する点だと思いますので、その点は強く指摘をしておきたいと思います。  そこで、あと一点ですが、防災行政の件について一点お尋ねしておきたい。  御承知のように、五十四年度から防災行政用の無線施設を設置するということで建設にかかる。その費用が、大体私がわかる範囲では二十五億円程度かかるようです。これに対してどのくらいの補助をお考えになっておるかということと、いまも申し上げましたように、沖繩県は多くの離島を抱えている。しかも、災害対策上これらの離島との情報網、無線施設の設置というのは大変長い間の懸案事項であったわけですね。そこで、聞くところによると沖繩県は八億から十億程度補助要請をなさったようですが、自治省はこれも全国並みの四億ないし五億程度しかできない。これでは沖繩の離島性、特別措置法を生かした防災行政に対する姿勢とは言いがたいんじゃないかという感じがしますので、もう少しお考えになっていただけないものか、この件についての御方針をお示しいただきたいと思います。
  142. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 沖繩県が明年度から約二十五億の予算で県と市町村とを結ぶ防災無線網を設置したいという要望があるということは聞いております。これを私どもの方の補助対象とすると仮定いたしますと、二十五億のうちで十四億程度が対象事業になるかと思いますが、私ども補助金は、本来県と市町村とを結ぶ防災無線というものは地方団体みずからやるべきであるという前提に立っておりますので、原則として四億円の定額補助ということになっております。  なお、沖繩県が特に無線網の整備のために金がかかるかと申しますと、御承知のように、無線でございますので中継局の数等によってこの金額は増減するわけでございまして、管轄範囲が狭い内地のたとえば長野県とか岩手県とかそういうような県でも、沖繩よりも五割増しくらいな事業費はかかるわけでございます。海の上でございますので中継局が少なくて済みますので、沖繩が特に経費がかかるという現象はあらわれておりません。したがいまして、沖繩について沖繩開発振興のために特に高率補助をする必要があるということでございますならば、沖繩開発庁の方で特別法を改正いただいて、別表のところで高率補助にするということになればこれは別でございますけれども、私どもの方の通常の補助対象に乗っけるということになりますと、やはり原則として四億という限度額になろうかと思います。
  143. 上原康助

    上原分科員 これもどうも特に力を入れてもらわなければいかないところが、全国で一律方式になりますと、なかなか格差の是正というのは図れません。  最後に、自治大臣、きょう県の財政状況全般についてもちょっとお尋ねしようと思ったのですが、時間がありません。沖繩県の自主財源というのは約一五%なんですね。三割自治どころか一・五割。こういう意味では国の特段の行財政措置というものをやっていかなければいかぬと思います。まだまだ格差が大きい状況ですから、このことについては、県を含めての市町村財政の強化というものに将来を含めて強い国の力添えが必要だと思いますので、改めてこういうことに対しての大臣の決意を伺って、質問を終えたいと思います。
  144. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 沖繩の持つ特殊性、それに対応して政府が全体として特別な手厚い助成措置を講じなければならぬというのは、これはもう基本的な原則でございますから、この線に沿って今後とも十分努力してまいりたいと考えます。
  145. 羽田野忠文

    ○羽田野主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  146. 広沢直樹

    広沢主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  自治省所管について質疑を続行いたします。有島重武君。
  147. 有島重武

    有島分科員 初めに、東京都の財政の問題について自治大臣にお伺いいたします。  東京都政には三つの問題が大切である。すなわち、一つには、地方税制の制度改革。二番目には、東京が首都であるという特別な行政需要がある、これに対して財政措置が必要である。三番目には、東京都自身の徹底した内部の努力が必要であろう。こういうふうに言われておるようでございますが、大臣の御所見を最初に承っておきたいと思います。
  148. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、東京都は何といってもわが国の首都でございますから、その重要性はもちろん言うをまたないと思います。したがいまして、私どもとしては、日本の首都である東京都が健全な発展ができるように、東京都自身の努力も含めて、われわれも努力していきたいと考えております。
  149. 有島重武

    有島分科員 東京都の特別区の議長会というのがございまして、ここから、交付税法第二十一条の都と区の合算制度というものを廃止してもらいたい、そして特別区の二十三区を一括して一つの市としての計算上の取り扱いをしてもらいたいという要望がかねて自治大臣のお手元にいっているかと思うのですね。これにつきまして自治大臣としてはどのような検討をしておられるのか、それを承りたい。
  150. 森岡敞

    森岡政府委員 交付税制度の合理化、改善につきましては、東京都のみならず、すべての地方公共団体を通じまして、常々検討を進めておるところでございます。  いま御指摘の、都と特別区の交付税の計算の合算を廃止してほしいという御要請でございますが、私どもかねがね、交付税制度ができましたときから、東京都と特別区及びその関係というものは、他の道府県市町村及びその関係というものと、非常に異なった関係にある、これはもう御承知のとおりでございます。消防でありますとか、あるいは下水道でありますとか、清掃というふうな事務を、通常では市町村が行っておりますが、東京都の場合は都が行っております。反面、歳入につきましては、固定資産税でありますとか、あるいは法人関係税でありますとか、そういうものは全部都が一括して徴収をする。そういうふうに一般の県、市町村及びその関係とはかなり違った関係にありますので、交付税の計算といたしましては、都分として計算したものとそれから市町村分として計算した特別区分とを合算するいまの交付税法の規定というものがやはり実態に合っているのではないかという考え方をずっと持っているわけでございます。いろいろ御意見がございますので、検討はしておりますけれども、現段階でも、なおこの仕組みというものを改めるという必要はないのではないかという気持ちでおります。
  151. 有島重武

    有島分科員 ただいまお答えいただいたようなことは、実は昭和五十年の時点で御答弁があったのと一歩も前進しておらぬというようにこちらは理解するわけです。これは当分の間いまの制度を続けていきたい、こういうことでございました。この制度もやがて変更をする時期が来るかもしらぬ。それは東京都が交付団体にでもなれば検討するというようなことがおありになったようであります。現在、東京都はまだそういった事態にはなっておりませんけれども昭和五十年の事態とは大分違っておるのではないか。ですから、昭和五十年でお答えになったのとまた別に、どういう状況になればこれを変更していくべきか。逆に言えば、変更に踏み切る一つの条件というものをここで考えるべきときにそろそろ来かかっているのではないかということであります。これは事務当局の御説明は結構ですから、大臣としての御判断、御決意を承っておきたい。
  152. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 これは改めて申し上げるまでもなく、あらゆる制度というものは人間が考えてつくった制度でございますから、その制度が現実に適合しなくなれば、当然それの改正等をやるべきだと、一般論として私は考えます。  ただ、現在問題になっておる東京都の財政の仕組みが果たして改正しなければならない状態になっておるかどうかという点については、なお十分事情を検討した上で結論を出したいと考えます。
  153. 有島重武

    有島分科員 自治大臣、この問題はすでに四年前に、特別区の議長さんたちが全部話し合って、そしてそちらに御陳情に上がったということになっております。それから、区長会においても同意されている問題でございます。大臣はお約束いただいたように、これは積極的に検討をしていただく。そしてできれば、来年度の予算を考え出すのは夏であろうかと思うのですけれども、夏ごろまでにはその中間報告なり何なり、検討しておるんだという一つの反応を示していただきたい、こう思っておるわけですけれども、いかがでございますか。
  154. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 大きな問題でございますから、軽々しい発言は差し控えたいと思いますが、十分に検討をいたします。
  155. 有島重武

    有島分科員 それでは、どんな検討をしていただくかをまた次の機会に承りたいと思います。  次に行きます。  災害対策基本法の第四十八条に「防災訓練義務」というのが規定されております。防災訓練の問題を聞いておきたいと思うのですけれども、国といたしまして毎年九月一日前後に防災訓練を実施しておられます。五十一年、五十二年、五十三年と、それぞれ大規模地震を想定いたしまして、その被害想定をまたつくって特定の訓練をしております。時間がありませんので、その訓練の被害想定につきましてはここで細かいことは省略いたしますけれども、このための予算措置というのがどの程度計上されておるのか、これは中央防災会議の事務をやっておられるのは国土庁であろうかと思いますので、国土庁から聞いておきましょう。
  156. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  中央防災会議におきましては、昭和四十六年から国の各機関が中心になりまして、主に通信連絡訓練というようなものを行ってまいりましたが、先ほど先生の方からお話がございましたように、一昨年から国、地方公共団体、各指定公共機関、住民等が一緒になりました防災訓練というものを企画、実施しておるわけでございます。  その予算というお尋ねでございますが、中央防災会議自体といたしましては、通信連絡等を主といたしますために二百万ないし三百万というような予算でございまして、あとそれぞれ実動の部隊を動かされる方々の防災訓練の予算で運用させていただいているという実情でございます。
  157. 有島重武

    有島分科員 総枠でもってどのくらいの予算規模になっておるか。計上されておりますか、おりませんか。
  158. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  総枠といたしましては、それぞれの機関が、たとえば防衛庁ならば防衛庁として、たとえば静岡で訓練を行う、仙台で訓練を行う、東京都の訓練に参加するというようなそれぞれの次元での参加がございますので、各省庁、それからいま申しました国土庁、全体としてその予算の総額の実態は正確には把握できていない状況でございます。
  159. 有島重武

    有島分科員 国家公安委員長としての澁谷さんにお願いですけれども、どのくらいの規模でもってやっておるのか、これはひとつ把握するようになさった方がよろしいのじゃないか。いま二百万−三百万というお話でございますけれども——うなずいてくださるからそれまでにいたしましょう。  今度は、消防庁の長官、来ていらっしゃいますね。  年々その成果は向上しているというふうに報告はいただいておりますし、私も現にいろいろ目で見ております。ただし、ややお祭り騒ぎ的にまだ終始しておるのではないかというような批評もあるようでございます。さらに地についた市民の防災意識、これを強めていくことが望まれておる。特に大都会では市民の防災意識が強められなければならないというふうに言われておりますけれども消防庁長官の御所見はいかがですか。
  160. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 まさに先生御指摘のとおり、災害を防ぐためには基本的には市民の防災意識の高揚が重要であろうと思っております。  それから、防災訓練の現況でございますけれども、防災に関しては消防が中心となって行う場合が多うございますので、私どもの方で把握しております関係で申しますと、五十二年一年度間で県段階で行いました回数は七十一回ということになっておりまして、いろいろな前提を置いてそれぞれの県が工夫をこらして防災訓練をやっております。  それから、これが市町村単位あるいは消防署単位ということになりますと、まさに訓練の回数は膨大な回数になっておるわけでございます。御承知のように、たとえば東京消防庁調査いたしましただけでも、五十二年単年度間で一般都民を含めて各消防署が行っております回数が九千三十二回、それに参加しておる都民を含めた参加人員の総数が百万二千人に及んでおります。  それから、これも御承知のように、ある程度の企業体におきましては自主消防隊というのを持っておりまして、それぞれ年一回以上防災訓練をやっているわけでございますが、東京消防庁管内で五十二年一年間でそれらの回数が二万四千回、四百十五万の参加人員を見ておりまして、それぞれ消防職員がこの指導を行っておるというような状況でございまして、ここ二、三年地震の問題等が大きく取り上げられるに至っておりまして、それを契機に消防訓練というものがだんだん地についたものになってきておるということは言えるのじゃないかと思っております。
  161. 有島重武

    有島分科員 そこで、いまの百万人も参加している、それは大変結構なことでございますけれども、被害想定の立て方につきまして、もう少し国民の実生活に迫ったところといいますか、実感のこもる、そういったような条件を立てるべきではないかという意見がございます。  いままで国でもって防災演習のときにお立てになっている被害想定というのは、死者、行方不明が一万五千人であるとかあるいは二万七千人であるとか、あるいは建物の倒壊が二十五万件であるとか、あるいは電気、ガス、水道、鉄道、道路等等多くの被害があり、電気、ガス、水道の供給停止、交通途絶が広範囲にわたったなどという被害想定に立っておりますけれども、こういった想定のもとにそれじゃ本当に動いているかというと、ほとんどそういうことは机上で、そのように立てただけの話であるように見受けられるわけですね。  そこで、意見として出ておりますもの、たとえば、第一番には、一日断水、一日停電を断行してはどうか。第二番、一つの都市ぐるみ数時間にわたっての交通遮断をしてはどうか。第三番目、防災に当たってさまざまな組織活動が行われる、その訓練をしているけれども、実際には組織行動に移るというのは数時間後であって、地震の第一次的な被害については個々ばらばらの動きが起こるであろう、またその次には不完全な形のままで組織行動が起こるであろう、したがって不完全組織の演習というようなことが大切なのではないか、こういった意見が寄せられているわけですね。  もう少し詳しく申しますと、一日断水、一日停電ということについては、現代の都市というものがどんなものであるか。一日断水、一日停電してみたら、市民は自分たちが住んでいる生活環境がどんなものであるかということについて非常に身にしみるであろう、防災意識もそれを契機として非常に高揚するであろう、こういうねらいでございますね。確かに、それぞれの市民が一人一人参加するとか、あるいはある町会が参加するとか、これも結構でしょうけれども、市全体が一挙に一日断水、一日停電ということになってみれば、これは一つの都市だけの力では、決断ではできませんで、やはりそこの県なりあるいは国のバックアップがなかったならばこういうことはできないわけであります。そして、企業の組織、こうしたものの協力もなければ不可能であります。わずかな試みであってもこうした訓練をもし実行いたしますためには、その準備期間は恐らく一年以上前から布告しておいてやる。再来年の九月一日にやるからということはことしの九月一日くらいに言っておかなければ騒ぎが大きいであろう。たとえば、医者にしても病院にしても、交通信号、テレビ、冷蔵庫、エレベーター、空港、あるいは事務所、昼間も電気がついております、それから映画劇場あるいは工場、工事現場、あるいは地下街、こんなことを考えただけでも、早速これは自家発電をつけなければならないであろうとか、それからいままで使っている自家発電というのは一体何時間もつのか、それから何時間もたせるためには何リットルの石油が必要なのか、それじゃこれは二十時間ももたせるためにはその石油を一般民家でもって備蓄するために消防庁としてその許可ができるのかとか、そういうようないろいろな新しい問題が、この一日停電、一日断水ということを布告した日から一年なり二年の間に非常に論議されることになるんじゃないだろうか。論議されたあげくに、ここで言っておりますのは、仮に街灯を全部消してしまうということになると、計画的な犯罪が起こるんじゃなかろうかなどということから、ついにこの演習はできないからやめようじゃないかと、前の日になってやめたとする、やめたとしても、そういったことを想定して準備したことは実際のときに非常に役に立つのではないか、そういうような意見を言っているのですけれどもね。  このことについて、国家公安委員長から、あるいは消防庁長官から、お二人からひとつ御意見をいただきたい。あるいはいま急に言ったことで御意見というわけにもいかないと思いますけれども国家公安委員長、特にこれはひとつ貴重な提言だと思いますので、御検討いただきたいと思うわけです。
  162. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 御指摘一々ごもっともでございます。ただ、私ども幸いにしてと申すとあれでございますけれども、昨年の仙台の大地震、第二次災害がほとんどございませんでしたけれども、あのケースがまさに近代都市の弱さというものを如実に物語っておるわけでございますが、停電、断水が起きたわけでございます。電力につきましては、四十一万九千戸が停電いたしまして、震災が起きました後、十二時間で七七%が復旧し、二十四時間でようやく一〇〇%復旧になりました。それから水道の方は、断水戸数がこれで五万戸を超えておるわけでございますが、震災発生後十二時間では四九%しか復旧できない、二十四時間後には六七%、全面復旧いたしますのに七日から十日かかるというような事態でございまして、こういう事態に対して仙台市民がどのように対応したかといういろいろなデータが出ておるわけでございます。現在、私ども仙台市の協力を得まして、いろいろそれを分析しておるのでございますが、そういう分析の結果が、近代都市におけるところの震災に対して、停電あるいは水道が断水した場合にどういう措置をとるかに一つの大きな教訓を与えてくれるというふうに考えております。  それからなお、先生がおっしゃいましたように、地震がぐらっと来てしばらくの間、市町村あるいは都道府県、そういった団体行動がとれるということは恐らく考えられません。したがって、地震がぐらっと来て二分か三分でとまったら、まず火を消せということ、それが第一だろうと思います。仙台の場合にはブロックべい等でいろいろけがをいたしましたので、そういうようなものに対してどう対処するかという問題も別にあろうかと思いますが、それからその後におきまして、団体活動が可能になる事態、消防署の出動というような事態になるわけでございます。震災の場合、やはり私どもどうしても必要なのは、さきの断水、停電にも絡みますけれども、やはり水を各所に配置しておくことが必要だろう。貯水槽の設置でございます。それから電源車の整備でございます。こういった点に特に力を入れたいということで、それほどの金額ではございませんけれども、五十四年度の国庫補助対象にも取り入れておるというような状況でございます。  そういったようないろいろな前提がございますけれども、私ども地震が起きた場合の防災訓練をすべきかということにつきまして、想定が当然前提にありますけれども、実態に合ったような形での防災訓練を今後関係方面に徹底していきたいと思っております。
  163. 有島重武

    有島分科員 お許しいただいて、国家公安委員長に、いま御説明したプリントがございますから、これをお渡ししたいと思うのですけれども。——国家公安委員長、いま消防庁長官からいろいろるるお話がございました。まだまだ詳しく言われれば大変いろいろな問題を抱えていらっしゃることだと思いますけれども、そういう諸施策が進んでいくか進んでいかないかということについては、これは国の方の御決断もございますし、それから市民側の緊迫感というか、そういったものも関係があるわけであります。ですから、地震があるたびにそういった仕事が進んでいくというようなことにいままではなっておるようでございますけれども、むしろ一つの問題をはっきりと構えて、そういうふうに先手を打っていくということの方が大切ではないか。確かに、仙台は一つの大変ラッキーな状況が重なりまして、規模が大きかったにもかかわらず被害は少なかったわけですけれども、それであっても、相当いろいろな諸施策が進むわけです。むしろ、ここに述べられているような一日停電、一日断水、こういったことを掲げられてはどうか、こういった提案が生まれてきたわけでございますが、国家公安委員長から一言御所見をいただきたい。
  164. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 日本は世界でも有名な地震国でもございますし、学者なんかの予知情報によると、どうも大地震が来そうだというようなことを言われておるわけですから、それに対して国会でも大規模地震特別措置法という立法もしたわけですから、やはりそういった災害の発生に備えて、あらゆる面にわたる万全の対応策をふだんから準備し、訓練し、備えておくということはきわめて重要であるわけでございます。  それで、御提言でございますが、私は非常に貴重な提案だと思うのです。何といっても、やはり実物訓練というのが一番有効であることは言うをまたないわけでございます。ただ、一日断水、一日停電ということを実際にやるとなると、御指摘のように、いろいろな面に影響があるわけでございますから、これをやるについては、相当周到な事前の準備、対策というものが必要だと思いますが、ひとつ貴重な提案として、われわれとしても一つの重要な参考資料として検討していくべきだと考えます。
  165. 有島重武

    有島分科員 ただいま国家公安委員長が仰せられましたように、これをいたしますには相当周到な準備をしなければならないということでございけれども、その周到な準備そのものが、まさに今度は大震災対策そのものになるというところにみそがあるかと思います。御検討いただけるということなんで、よろしくお願いいたします。  それでは、時間がまだちょっとございますので、簡単に聞いておきたいのは、最近、取手市におきまして、消防署員が覚せい剤を使用して逮捕されたという報道がございました。いままで覚せい剤といいますと、芸能界なんかの騒ぎがあったわけでございますけれども公務員であったこと、それから集団的なことであったこと、それからまた、これが職種に関係があるというような印象を与えておること、これが覚せい剤問題の新しいケースではないかと思いますけれども国家公安委員長としての御所見がありましたら、承っておきたい。
  166. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 実は私も新聞でけさ拝見しまして、実はびっくりしたわけです。いままで覚せい剤の問題はわが国においては非常に大きな問題になってきておるわけですが、まさか消防職員が覚せい剤を、しかも常用するような状態になっておったというこの事件の発生はきわめて重大だと受けとめております。  ただ、これがほかの消防署にもそういう状態が蔓延しているというふうには受けとめておりませんけれども、そんなようなことになりましたら、これは大変なことになるわけであります。しかし、現実に一つのそういう事例が起きたわけでありますから、二度と再びこのような事案が起こらないように、消防全体に対して、職員としての厳正なる規律の厳守を徹底していかなければならぬと考えております。
  167. 有島重武

    有島分科員 消防庁長官からも御所見がありますか。
  168. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 消防の任務は御承知のように国民の生命、財産を守る職種でございまして、その職員がこういう事態を引き起こしたということは、まことに遺憾なことであると思っております。ただ、大臣が先ほど申されたように、多くの消防署でこんなことが行われているということじゃなくて、特殊な事例であるというふうに私も信じます。  また、細かい実態につきましては、現在照会中で入手しておりませんけれども、取手市の消防の勤務体制がそれほど厳しいものであったというふうには私どもの持っておりますデータからは出ておりません。したがいまして、個人的な問題であろうとは思いますけれども、いずれにしてもまことに遺憾なことでございまして、今後こういうことがないように各方面に厳重に注意してまいりたいと思います。
  169. 有島重武

    有島分科員 まだあと三分ほどあるらしいので、もう一つ伺っておきます。  いま世上を騒がせております金融強盗事件とでも申しましょうか、三菱銀行事件を含めましてほとんど連日のように同じような事件が発生して、この性格は模倣強盗とでもいった現象ではなかろうかと思いますが、このことにつきまして国家公安委員長の御所見を承っておきたいと思います。
  170. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私は、この事態をきわめて重大に深刻に受けとめております。背景としましては、やはり長期にわたる不況と、その結果として失業者が多発しておるという状態が一つあるのではないかと考えられます。それら、金融機関がねらわれるという背景には、最近家庭に金をできるだけ置かない、金融機関に保管しておくというキャッシュレス時代というものの背景もあるのではないか、このように考えております。  そこで、警察としては、総力を挙げて全国金融機関に対する警戒を重点的に厳重に施行しておるわけでございますけれども、これは警察だけの努力では限度がございます。やはり当該金融機関の自主警備をしっかりする必要があると私は痛感をしております。  特にこの初動の対応策、そういう事件が起きたらすぐ近接の所管の警察署に連絡をすること、これが早く行われれば犯人の検挙はぐっと楽になるわけです。そういったものも含めて初動の対応策をもっとしっかりしたものにするということ。それから、検挙に当たって一番困難を来すのは、指紋というようなものもほとんど残らない例が多いわけです。それからあっという間に金をとって逃げてしまう。自動車で逃げてしまうわけですから、その犯人の人相その他もどうもはっきりしない。つまり、手がかりがほとんどないという状態で行われるものでありますから、検挙率が低い。こういうことになっておりますので、私としては、いざという場合の警察との連絡体制というものを整備することと、あわせて犯人の映像をキャッチするカメラ、これで犯人の映像さえつかまえておけば、これはもう検挙するに十分な最も有力な手がかりを残すことになるわけでありますから、そういったような設備も、全国の各種金融機関に対して、ぜひともこれは設置する方向で努力をしてまいりたい、かように考えております。
  171. 有島重武

    有島分科員 終わります。ありがとうございました。
  172. 広沢直樹

    広沢主査代理 これにて有島重武君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一弥君。     〔広沢主査代理退席、伊東主査代理着席〕
  173. 玉置一弥

    玉置分科員 民社党の玉置でございます。  今回、自治省分科会につきまして、特に人口急増地帯の自治体に関する質問をいたしたいと思います。  三全総計画における定住構想や大平総理の提唱されます田園都市構想を見るまでもなく、今後の国土開発の基本的な方向は、地域ごとの特性に根差しつつ、自然と調和したゆとりある人間性の環境をつくり出すことであると思います。その際に、具体的な計画を立案して、それを実施していく主体となるのは、言うまでもなく各地方自治体であります。また、ゆとりある生活環境をつくり出す上で最も重要な意味を持っているものは、住宅を初めとする生活関連の社会資本の充実であると思います。  しかしながら、最近の住宅建設の実態を見ると、その基盤とも言うべき宅地の供給は減少を続け、また地価は再び上がり方向にあります。特に、宅地開発にかかわる過大な公共公益負担、これは購入者にも転嫁され、宅地価格を割り高にして、開発者の開発意欲を損ねていると思われます。  こういった問題につきまして、これは建設省にちょっと先にお聞きしたいんですけれども、五十三年度から三百五十億という予算で開始されました住宅宅地関連公共施設整備促進事業の実施状況についてでございますが、一つ補助対象となった開発件数、それから公的開発と民間開発の比率、一件当たりの平均補助金額、これについてお伺いしたい。
  174. 大田敏彦

    ○大田説明員 お答えいたします。  昭和五十三年度の住宅宅地関連公共施設整備促進事業につきましては、当初予算三百億円のほか、補正予算において五十億を追加計上しまして、合計三百五十億円で実施しているところでございます。  実施に当たりましては、良好な住宅及び宅地の供給促進に効果のある事業につきまして、事業実施の緊急性とかあるいは熟度等を勘案して行い、地方公共団体から要望のありましたうち二百十団地を採択しました。  そのうち、公的開発につきましては七一%の二百五十億を、民間開発につきましては二九%の国費百億円を配分しております。  なお、五十二年度実施分についての一団地当たりの平均補助金額は一億七千万円程度でございます。
  175. 玉置一弥

    玉置分科員 私の調査しましたところでも、補助対象となった民間の平均的な開発総額は二百億程度と聞いておりますが、それに対して一億七千万という金額、この国庫補助でどの程度の価格引き下げが期待できるかということをお伺いしたいと思います。
  176. 大田敏彦

    ○大田説明員 本事業は住宅建設事業及び宅地開発事業に関連する公共施設整備が促進されることによりまして、従来着手が困難でありました事業の具体化が可能になるなど隘路が打開されまして、良好な住宅宅地供給の促進に資することを目的としたものでございます。  本事業は五十三年度が初年度でございまして、一団地について各種公共施設について数カ年にわたって補助を行うことが多うございます。したがいまして、一団地単位でとらえた場合、実績が確定するのは数年先になるため、現時点で幾ら引きき下げになったかということはまだつまびらかには申せませんが、各団地の規模、立地条件、各種補助対象施設の有無等によって一様ではございませんけれども、大まかな見込みで申しますと、こういった促進事業の実施によりまして平均五%ないし六%、多いもので一五%程度の原価引き下げが可能ではないかと予測しております。
  177. 玉置一弥

    玉置分科員 五十四年度ではさらに六百億の事業費予定しておりますけれども、これは何件くらいの開発に配分する予定ですか。  それと、五十三年度で対象となって、さらに追加して補助していくことを考えておられますか。
  178. 大田敏彦

    ○大田説明員 五十四年度の事業につきましては、現在地方公共団体からの要望を取りまとめておる最中でございまして、配分案作成までにもう少し時間がかかりますので、開発の件数についてはいまのところちょっと申し上げる段階ではございません。  それから、五十三年度に採択した団地の公共施設整備につきましては、先ほどお話ししましたように、数年を要するものが非常に多うございますので、必要な施設整備につきましては引き続き補助採択してまいるつもりでございます。
  179. 玉置一弥

    玉置分科員 このような過大な公共公益負担が生じているのは、各自治体が人口増加による財政負担や行政サービスの増加を恐れて、これを避けるために開発指導要綱を定めて宅地開発を抑制しているのが実態だと思います。  三全総計画におきましては、昭和六十五年までの間に東京圏で五百五十万人、大阪圏で二百万人の人口増加が予定されております。それに対応して東京圏三万九千ヘクタール、大阪圏一万六千ヘクタールの新規宅地供給量が必要とされておりますけれども、これらを東京圏、大阪圏のどの地域で毎年どの程度受け入れていくのかという長期計画をつくっておられるかどうか、またつくるべきかどうかをお伺いしたいと思います。
  180. 木内啓介

    ○木内説明員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃいました三全総の計画を受けた形で、大都市圏の地区ごとあるいは年次ごとの宅地供給計画という種類のものは、残念でございますけれども、現在のところございません。ただ、第三期の住宅五カ年計画、これは五十一年から五十五年の御承知計画でございますけれども、それに対応する宅地の長期の需給見通しは持っております。ただ、この需給見通しも、どちらかと申しますと必要量の算定でございまして、具体的にどの地域にどれだけと、実証的になっているものではございません。  ただ、こういうふうな言ってみれば大まかな計画と申しますか、見込みでございますと、これからの宅地需要に非常にむずかしゅうございますので対応できないということを感じておりまして、私どもとしましては、第四期の住宅五カ年計画に対応する宅地の長期の需給見通しという形で、先生の御指摘のように、大都市圏の中で、たとえば首都圏の場合には首都圏のどことどことどの辺のところで、毎年毎年できるかどうかわかりませんが、ほぼ毎年のようにどのくらいのスピードで宅地化することが必要かつ十分なのかということを、努力してできる限り詰めてまいりたいということで現在準備作業に入っているところでございます。
  181. 玉置一弥

    玉置分科員 計画を一応お持ちだという理解でよろしいですね。
  182. 木内啓介

    ○木内説明員 現時点におきましては、非常にラフなものでございますけれども、第四期につきましてはできるだけ先生のおっしゃったような形のものに持っていきたいと考えておるわけでございます。
  183. 玉置一弥

    玉置分科員 その計画段階で、各自治体は参加しておりますでしょうか。
  184. 木内啓介

    ○木内説明員 現在の計画は、住宅五カ年計画地方公共団体との関係でかなり詰めがなされておりますけれども、宅地の方はラフなものでございまして、全国的マクロな話でございまして、地方公共団体との十分な詰めばございません。ただ、宅地のための人口の移動、配分とか、そういったものは全総計画といった上位計画に基づいてやっております。  それから、住宅五カ年計画と整合しているわけでございますので、そういった意味におきましては、間接的には地方公共団体の意見は入っていると思っておりますけれども、十分だとは理解しておりません。
  185. 玉置一弥

    玉置分科員 それは府県単位ということですか、あるいは関東地方とか近畿とか中部とか、そういう単位ですか。
  186. 木内啓介

    ○木内説明員 現在のものは圏域別の大ざっぱな見通しでございまして、府県単位にもなっておりません。これから考えていくものは、せめて府県、できれば市町村くらいのところまで大まかな見通しをつけたいと考えておるわけでございます。
  187. 玉置一弥

    玉置分科員 いまお聞きしたように、いろいろな長期計画をつくられておりますが、こういった長期計画においては、今後人口が急増すると予想される地方自治体の人口配分や宅地開発の進め方について十分な審議をしていただきたいと思います。いままでの割りつけ的な構想では自治体の協力がちょっと得られないのではないかと思うわけでございます。  ここで自治省にお聞きしたいのですけれども、地方自治体が開発指導要綱をつくってこの現象に対処していかなければならないのは、基本的には財政負担にたえられないというための精いっぱいの抵抗だと思います。公益施設をふやさなければならない。しかも、住民の要求が多岐にわたってきている中で、自治体の財政は限りがあるし、国の補助は非常に限られておる。そういう中でとても応じ切れないというのが実態だと思います。  こうした事態を政府はどのようにお受けとめになっているのか、またどうして対処していこうとされているのか、お伺いしたいと思います。
  188. 森岡敞

    森岡政府委員 お示しの宅地開発指導要綱を市町村が定めております意味は二つあると思います。一つは乱開発、スプロールを排除してできるだけ良好な住宅環境を維持したいことと、いま一つは御指摘の財政負担に対してデベロッパーの何らかの負担を求めていくという、この二面があると思います。  いまのお話は後段の方だと思いますが、私ども昭和四十年代の半ばから一番問題だったのは義務教育諸学校でございます。政府としては、いままで公共施設についての用地確保というのは、建物の敷地については全然なかったのを、義務教育諸学校については用地補助を新たに創設いたしました。また、幼稚園や消防施設についての補助率アップも行う、それからまた地方債をできるだけ拡充する、ことに良質な政府資金を充当する、あるいはまた交付税におきまして、人口急増補正というのがございますが、こういうもので一般財源をできるだけ手厚く見ていくという措置を講じてきたのでありますけれども、やはりそれでもなお不十分だということから、どうしてもデベロッパーに相当の負担を求めざるを得ないという事態が続いてまいったわけでございます。  いま建設省との間でお話がございました関連公共公益施設補助の問題、これがやはりいままでのそういう個別にやってまいりましたものでは不十分だということで、政府として思い切って抱括的な立場から補助制度を設けたわけでございますから、これを思い切って拡充していくということが、人口急増地域の宅地開発に伴う地方の財政負担を緩和し、地元が政府と協力して住宅問題に対処していく基本的な道ではなかろうかというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  189. 玉置一弥

    玉置分科員 人口急増地帯に対する国の補助の特別措置として現在設けておられるのは、いま申されました義務教育施設、それから消防施設にかかわるもので、ある程度限定されていると思います。そのほかの人口急増に伴って早急に整備しなければならないという施設、すなわち道路、上下水道、それから都市公園、ごみ、屎尿処理施設などについては、特に特例として補助が設けられていないということだと思いますけれども、これらの必要経費は、最終的には地方債発行とかあるいは債務負担行為の設定によってしのいでいるのが現状だと思います。  こういうことをやっていくと、後年に地方債の負担が積み重なって非常に高額な負担となると思いますけれども、これらの各種施設整備補助の引き上げまたは地方債の貸付条件の改善あるいは利子補給、その辺の措置について講ずる考えはないかどうか、お伺いしたいと思います。
  190. 森岡敞

    森岡政府委員 自治省といたしましては、いま御指摘のような各種の公共施設補助につきまして、やはり人口急増地域については補助率アップというふうなものをもう少し抱括的に考えてもらえないかという気持ちをずっと持ち続けております。また、毎年各省庁に対してその要請をいたしております。ただ、お話しのたとえば廃棄物の処理施設に対する補助金などというふうなものを見ますと、基本の補助率が非常に低かったり、補助単価が低いものですから、なかなかその予算枠がとれないというふうなこともございまして、各省それぞれ私ども強くお願いしておりますけれども、なかなか実現を見ないというのが実態でございます。  私どもとしましては引き続き強く要請を続けてまいりたいと思いますが、同時に、先ほどからお話の出ております関連公共公益施設補助金というものがかなり充実されてまいりますと、総合的に地元の負担の軽減ということになってまいりますから、両面合わせて将来ともなお努力をしていくことが必要だと考えております。
  191. 玉置一弥

    玉置分科員 いまのお答えですと、自治省としては利子補給だとか何らかの措置を講じたいというお考えでよろしいですか。
  192. 森岡敞

    森岡政府委員 私どもとしては、国の補助負担率の引き上げが基本ではなかろうかと思っております。ただ、各省それぞれなかなかむずかしい面があるというのも事実でございます。
  193. 玉置一弥

    玉置分科員 その中に交付税の率の引き上げとか、そういうのは考えられませんか。
  194. 森岡敞

    森岡政府委員 交付税につきましては、先ほども申し上げましたが、人口急増補正という形でかなり手厚く一般財源措置を見ております。この措置につきましては今後ともさらに拡充していきたいと思います。
  195. 玉置一弥

    玉置分科員 いまの人口急増の話なのですけれども、定率である程度徐々に伸びている場合には、毎年人口急増地帯ということで補助率のアップがあるわけですが、たとえば開発計画がありまして、五年かかるうち二年間を先にやろう——五万人ふえるという都市があって最終的には五万人ふやしたい、途中段階でまず二年分やろう、だけれどもいろいろな施設につきましてはすでに五万人分やっておかないと二重投資になるという場合に、現在はでき上がった段階での補助ということしかやられていないのですけれども、先行投資的な補助というものは考えられないですか。
  196. 森岡敞

    森岡政府委員 その辺がまた一つの人口急増地域の悩みだと思います。すべての公共施設についてそういう道があるわけじゃございませんけれども、義務教育施設であります学校の建物などにつきましては、地域によりまして態様が違いますが、たとえば公社のような形で先につくりまして、後で市町村が引き継いで補助をもらうというような仕組みも認められております。  私どもとしては、そういう先行投資が必要な場合には、できるだけ各省庁が認めていっていただくような弾力的な補助のやり方というものが本当は必要だと思います。いまのところは全施設にわたってそういうことになっておりません。なお、実情に即するように各省庁にお願いしてまいりたいと思います。
  197. 玉置一弥

    玉置分科員 学校の場合にはある程度文部省関係でも補助もあるし、そういうことが可能だと思いますけれども、河川関係あるいはいまの屎尿処理とかいう部類について、たとえばもうすでに五万人分終わっている、だけれども実際五万人になったときに出したらもうすでに工事が終わっているじゃないかというような話が起きた場合に、どういうふうに対処すれば補助が出るかということなのですけれども、その辺の考え方についてお聞きしたいと思います。
  198. 森岡敞

    森岡政府委員 例に挙げられました廃棄物処理施設については、私の知っておる限りにおきましては、残念ながら、先行的にやった分を後でめんどうを見るという仕組みにはなっていないと思います。そこのところが非常に市町村としては苦しさが出てくる。どうせやらなければいけないものを先にやってしまうともう補助対象にならないという面が確かにあるわけでございます。  その補助制度の仕組みにつきまして、いま少しく弾力的な運用ができないかということを関係省庁と相談いたしますと同時に、それがむずかしければ地方債という形で措置をして、当面必要な財源手当てをするという面は私どもでぜひ努力してまいりたい、かように思います。
  199. 玉置一弥

    玉置分科員 これは実際の計画というのは調査段階から始まるわけでございますけれども、大体完了するまでに五年近くかかるわけですね。実際に補助が出るのは完成後初年度からということで、その間の地方自治体の金利負担だとかは非常に大きいわけです。  いま総額として認められているのは、金利負担でなくて事業規模ということで認められておりますけれども、それについて、今後その利子補給なりあるいは国庫補助なり、そういうことをぜひお願いしたいと思うのです。それと、先ほど申しましたもうすでに終わっている分について何らかのことを、まあ全く同じというのが一番いいと思うのですけれども、やはり二重投資を避けるという意味でぜひ考えていただきたいと思います。  それでは続きまして、いままで申し上げました人口急増地帯、これは特に一つの限られた地方自治体、たとえば市町村府県、その辺の中で問題になっておることが非常に多いわけでございますけれども、現状を見ますと、そこの府県では解決ができない問題がいっぱいあるわけであります。たとえば京都の例を見ますと、在住の多くの方が大阪へ通勤されている、あるいは工場が大阪にある、そういう場合なんですけれども、極端なことを言いますと、京都の人が働いて大阪で利益を出している。そういうふうに考えた場合に、いまの人口急増地帯と言われるところの交付税の率が妥当かどうか、あるいはもっと——非常に赤字団体が多いわけで、実際上非常に困っているわけで、いまほとんど事業を縮小してやっているわけですけれども、そういう意味で適正な率に見直しをする気があるかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  200. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 人口急増地域の抱えている問題は、御指摘のようにたくさんあるわけでございまして、現実は先に進んで、それに対する政府の対策がおくれがちであったということは認めざるを得ません。したがいまして、今後は各方面にわたって関係各省が連絡を密にして総合的な対策をさらに充実をしていかなければならぬと考えております。自治省としては、最後は地方債というような形で回ってくるわけでございますので、交付税の運用等もそういう現実に適切に対応できるように弾力的に運営してやってまいりたいと考えます。
  201. 玉置一弥

    玉置分科員 いま大臣がおっしゃいましたように、各省絡んでくるのは、いろいろな面で大部分そうだと思うのです。たとえば学校を建てる場合に、建物、用地については一応文部省の管轄、周辺道路は自治省の管轄、そこまで道路整備をするのは建設省だ——建設省になるか地方自治体になるかわかりませんけれども、そういうことが非常に多いと思います。そのいろいろな対策を具体化していくために各省の連絡会とか調整はやられていると思いますけれども、それを公的機関というようなものを考えていただきたいと思います。  それでは、この間の大平総理の言葉に田園都市構想というのがございましたけれども、これについてちょっとお伺いしたいと思います。これは先ほどありましたように、各省に非常にまたがってくる問題だと思いますけれども、これに対して期限を決めて立法措置をするとか、その辺で自治省としてはどういうふうに考えておられるのか、田園都市構想を絡めて、人口急増地域を含めて構想をお聞きしたいと思います。
  202. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 田園都市構想の具体化については、御指摘のように、関係省庁が十六ございます。したがって、この関係省庁がばらばらでそれぞれの施策を進めたのではどうにもならないわけでございますから、この関係省庁の緊密な連絡、意思統一は欠くべからざる必要な前提だと考えておりまして、そういう協議会をつくって鋭意考え方の意思疎通、思想の統一を図っておるわけでございまして、そういった各省庁の統一した足並みで漸次田園都市構想の具体化を進めてまいりたいと考えております。
  203. 玉置一弥

    玉置分科員 具体的に都市計画といいますか、大都市計画になると思いますけれども、圏内計画みたいなものは、いつごろから予定されておりますか。
  204. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 これは田園都市を日本全国につくっていこうという雄大な構想でございますから、当然長期間にわたって推し進めていかなければならない施策でございます。  それで、現在さしあたり関係省庁でまとまった点は、国土庁のいわゆる定住圏といったもののモデルを各府県でまず一カ所選定しよう、そしてその一カ所について、このいわゆる田園都市構想という理念に合致するような、これはそれぞれの土地によって皆性格や内容も違うわけですから、あくまでも地方の自治体の自主性、主体性というものを尊重して現実に具体化を進めていこう、そこまでは大体考え方がまとまってきた、こういうことです。
  205. 玉置一弥

    玉置分科員 その田園都市構想を進めるに当たりまして、各自治体の裏負担がふえると思うのですけれども、それが事業を進めるネックにならないかという気がするのですが、その辺についていかがでしょう。
  206. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 これはいろいろな施策を網羅した内容になっていくわけでございます。したがって、そういったものを実際に実行する場合に、国が全額補助でやるという仕組みにはなっておりませんから、当然地方自治体の裏負担という問題は出てまいりますが、地方財政も苦しいわけですから、地方財政の負担が重くて中央で幾ら計画しても実際は仕事にならぬというようなことでは困るわけでございますから、できるだけそういう過重な負担にならないように十分配慮して進めていかなければならぬと考えております。
  207. 玉置一弥

    玉置分科員 あと二分しかないので、簡単にしたいと思います。  私きょうの質問で、こちらからのお願いのような形なんですが、一市町村府県というものでは、人口急増地帯というのは非常にむずかしいということで、たとえば経済圏ごとに解決機関といいますか、連絡会なんかではちょっと弱いと思うので、具体的に行政指導機関というような単位でぜひ考えていただきたいと思いますが、そういうことについてちょっとお伺いしたいと思います。
  208. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 先ほど来からいろいろ御質問のございました人口急増地域対策は、先ほどお答え申しましたように、非常にいろいろな大きな重要な問題を含んでおります。しかも、それは各省に多面的につながっておることばかりでございますから、したがって関係省庁が連絡を密にして、足並みをそろえていくことが非常に大事なことでございまして、その点については今後十分連絡を密にしてやっていきたいと考えております。
  209. 玉置一弥

    玉置分科員 ありがとうございました。  時間が来ましたので、最後に人口急増都市につきまして利子補給のお願いをして、きょうの質問を終わりたいと思います。
  210. 伊東正義

    ○伊東主査代理 これにて玉置一弥君の質疑は終了いたしました。  次に、中村重光君。
  211. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、今後七年間の中期的な地方財政の姿というものを描いた地方財政収支の試算というのですか、これが衆議院に提出されたようですが、あれは一般消費税の導入を前提としているということなんですか。
  212. 森岡敞

    森岡政府委員 一昨日国会に提出いたしました地方財政収支試算は、新七カ年経済計画と、それから先般大蔵省国会に提出いたしました国の財政収支試算を踏まえまして、経済計画で示されている諸指標をもとに六十年度までの地方財政の姿を描いたわけでございます。  租税負担率につきまして、御承知のように、経済計画では六十年度において二六・五%まで租税負担の引き上げを国民にお願いせざるを得ない、こういう前提で組まれておりますので、それに合わせて国税と同様に地方税につきましても租税負担率の引き上げがあるもの、また地方交付税につきましても、国税の増収は地方交付税の増収に反映されるもの、そういう前提で組んでおります。しかし、具体の税目として一般消費税のような税をお願いすることになるのかどうかということは、これは毎年度の税制改正の御議論として国会で御審議いただく問題でございまして、収支試算自体としては一般消費税ということを明記しているわけではございません。
  213. 中村重光

    中村(重)分科員 そういった答弁しかできないのでしょうが、いずれにしても一五・七%の増税ということになってくるのでしょう。これはほかの税収というものは考えられない。やはり一般消費税ということが前提でしょう。しかも、これは五十五年から実施という想定の中でやっているように思うのです。これはそう簡単にいくものではないですね。  それと、新聞に国と地方とが折半であるというようなこととかいろいろ書かれているのです。そういう詰めをやっているようですが、心配するのは、一般消費税といまの独自の地方税と調整が行われ、国税の方がふえる、地方税の方が減るということになってくると、いわゆる三割自治性というものが、大平さんが、何というのですか、中央集権から地方分権化していかなければならないと、われわれも拍手を送りたいような構想を打ち出した。田園都市構想なんかもそうですね。当初はわりと具体的に国民生活関連の事業に重点を置くというようなものであったんだけれども、総理になられたところが非常に慎重になってきたわけなんですね。  それはそれとして、いずれにしても三割自治性というものから早く脱却しなければならぬ。もっと名実ともに地方自治の確立というものを図っていかなければならぬ。行財政の再編成は当然必要になってくると思う。それが、一般消費税は国税である、これの配分によって中央の支配権というものが強くなるということになってくると、地方分権ということではなくて、中央集権というものがさらに拡大をしてくるということになる。そこらあたりに対する考え方はどうなんですか。
  214. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 お説のように、私は、これからは地方分権という方向に国政全体を持っていかなくちゃならぬと考えているわけでございまして、そのためには何といってもやはり地方税源の充実を図るということがもう基本だと考えております。したがって、一般消費税を政府としては五十五年中に実施に移したいということで現在準備を進めておるわけでございますが、これが実施に移された場合のこの税源の国と地方との配分の問題については、御指摘のように、中央集権の方に重心が移って、地方がそれだけ軽くなるというようなことがあっては、これはもう地方分権ではなくて、逆行するわけでございますから、全く御指摘と私は同意見でございまして、そのようなことがないように、私としては、これは断じて地方分権に重心が重くなるような、そういう努力をしていく決意でございます。
  215. 中村重光

    中村(重)分科員 一般消費税の問題は議論が非常に分かれるところでしょうし、全般的な商品に税金をかけることは、逆累進性であることは否定することのできない事実だから、その前提条件というものがある。これの片をつけないと国民のコンセンサスは得られないということは間違いないと思うので、ひとつ自治大臣も、国務大臣という立場からこれを閣内においても十分議論していくということがないと大蔵省の物の考え方というものに引きずられる、そういうことのないようにその点十分配慮をしていただきたいと強く要請をしておきます。  それから、消防団の問題は、先ほど専門家の柴田委員の方から質疑がなされたということですから多くを申し上げないのですけれども、いずれにしても処遇の改善、これは消防庁も漸次やっておられることは評価するのです。また、消防団員も消防精神ということでやっておる、決して物質的なものによって動いているのじゃないのです。だから、下手に私どもが処遇の問題だけを言うと、ある意味では、消防団員が消防精神というものでやっていることにそぐわないという面もなきにしもあらず。だからといって、私は甘えてはいけないというように考えるのです。ですから、処遇の改善ということは十分留意していただきたいということが一点。  それと、退職報償金、これはひとつ思い切って上げていくのでないといけないのではないでしょうか。  それから、もう一点申し上げたいのだけれども消防演習の出場というのがあるのです。たとえば操法大会というのがある。これは当日仮にけがをしたとかいったような場合は公務災害補償金というものの対象になるのですね。しかし、それにはやっぱり訓練をしなければならぬですよ。訓練は、防災訓練なんというものもずっとあるわけです。そういった訓練の場合はこれが対象にならない。私はこれは適当ではないと思うのです。訓練も公務災害の補償金の対象にする必要があるというように考えるわけです。  それから、消防関係はまとめてお尋ねするのだけれども、火災出動の場合、消防団員は賃金カットをされるのですよ。そうすると、自由業というものに偏っていくことになる。そうなってくるとどうなるかというと、平均年齢が非常に高くなってくるのです。それで、お互いに年をとると運動神経が鈍るわけだから、活動に影響してくるということになるのですね。最近は消防団員が減っていくというのはそう強くなくなって、特に目につくという減り方ではないが、一時はずっと減少するという傾向だった。だから、消防団を魅力あるものにし、消防精神を十分発揮していくという、本当に団員の意欲にこたえるためには、企業側にもっと啓蒙をする必要がある。その点、消防庁としても熱意を持って積極的に取り組んでいく必要がある。そして、それは単なる通知ではだめだから、具体的に成果の上がるような方法をひとつ構想してやる必要があるだろう、こう思うのであります。  それからもう一点は、最近は婦人防火クラブ、地域防火クラブ、それから企業の消防隊、これが非常に熱心なんです。これは大火になるのを防いでいるということになる。ところが、制服がないのですね。企業はいいとして、特に婦人防火クラブには制服を着せる。それは最近制服になっているんだけれども、残念ながら、実はこれが特定財源という形になっていない。消防団員と同じような扱いになっていないですね。何らかの形でこれを国から助成をするという道を開いていくことは、さらにこの婦人防火クラブ等の組織を拡大していくことにつながっていくのではないかというように私は思うのだけれども、それらの点はいかがでしょう。
  216. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 自治消防でございますところの消防団員の処遇の改善を図らなければならないという点については、まさにお説のとおりでございまして、具体的な処遇を決めるのは、当然のことでございますけれども市町村がそれぞれの条例によって決めるわけでございます。その財源措置につきましては、地方交付税を通じて配分いたしておりますので、地方交付税の中の基準財政需要額の消防費の積算に当たりましては、自治省財政局と十分連携をとって、五十四年度につきましても幾つかの点で改善を見ておりますことを御了承いただきたいと思います。今後ともこの点については努力してまいりたいと思います。  それから、具体的に御指摘の第一点の、消防団員の退職報償金の件でございますが、現在では十年以上で退職した方に対して退職報償金を支給するというシステムになっておるわけでございますが、現実問題といたしまして、十年に満たなくて退職される方々が多いわけでございます。これを五年にしろという非常に強い要望がございまして、ことしの四月以降、五年にしたいと思っております。その退職金の支給額は団長七万円、副団長六万円、それから以下ずっとありまして、一般の団員で四万円ということを予定いたしておりますけれども、これは政令改正を必要といたしますので、近くその手続をとる予定にいたしております。  それから第二点の、公務災害補償の問題でございますが、訓練中、公務災害補償の対象にならないというお説でございましたけれども、訓練中の死亡に対して、賞じゅつ金は出ませんけれども、公務災害補償の対象には現在いたしております。  それから、消防団員が出動する場合に、企業等に属しておられる方々が賃金カットを受けるというようなことでございます。この点については、私ども非常に心配しておるわけでございますけれども、再三にわたりまして、各地方団体を通じ、それぞれの企業体に対して、消防団というものの使命にかんがみて、できるだけ円滑に使命が遂行できるよう配慮してくれということを申し上げておるわけでございます。  一方、私どもといたしましても、消防団員の出動手当がどうも低いというような声がございますので、明年度は相当額引き上げまして、一回当たりの出動金額約三千円に近いというところまで引き上げたいというふうに思っております。  それから、最後の点でございますが、婦人防火クラブの関係でございますが、おかげさまで婦人防火クラブの隊員も現在百万を超えるような状況になっております。そうして、その制服の件でございますけれども、これは御承知かと思いますが、私ども日本消防協会を通じまして、間接補助という形になりますけれども補助金によって制服をつくり、日本消防協会が支給するという形をとっておるわけでございます。もちろん、私どもの交付いたします補助金の総額は四千百万でございますもので、それに日本消防協会としても足しまして制服をつくり交付しておるということでございます。この前もほかの委員会で問題になりましたけれども、どうも余りスマートじゃないのでもっとスマートな制服にしろというようなおしかりをいただいたわけでございますが、今後とも、量をふやすと同時に、もっと喜んで着ていただけるような服装に変えていきたい、そのように考えております。
  217. 中村重光

    中村(重)分科員 時間の制約があるので余り詳しく聞けないのですが、訓練中のものも公務災害の補償の対象になっている、これはたしか制限があるのだろうと思うのですけれども、これは改めてお尋ねすることにいたしますから、余り制約条件をむずかしくしないようにしていく必要があるということを申し上げておきます。  それから、いま婦人防火クラブなんかの場合も、おっしゃるような制度になっているというのは私も知っているのだけれども、やはり今日の婦人防火クラブの組織の拡大、それから果たしている役割りということを考えると、間接ではなくて、直接国がそうした施策を講ずるという点も、大臣、きょうは答弁は要りませんが、配慮される必要があるだろうということを私の意見として申し上げておきたいと思います。  それから、いまの基準財政需要額ということなんですが、これは民生委員も同じようなことになっているのです。これは自治会長とかいうものも同じですけれども、民生委員というのは最近大変複雑な活動ですね。にもかかわらず、個人活動、それから地域活動、それから総務活動、そういったことに対する費用ということになってくると微微たるもので、いまそうした費用が五十三年度三万三千円ですね。五十四年度三万五千円にするようですけれども、これをひとつ思い切って引き上げていく、それと同時に、特定財源という形で交付する必要があるのじゃないかと思うのですが、これは正直言って持ち出しをしているのです。本当に気の毒な人たちのところに行くのだから、手みやげでも持っていかなければならない。三万三千円や三万五千円もらったってしようがない、常勤みたいにやっているのです。だから、大臣、これはひとつ思い切って来年度からやるようにしたらいかがですか。
  218. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 この問題も古い問題でございまして、御指摘の点は私なんかは全く同じような考え方を持っておるわけでございますが、消防の場合も同じように非常に数が多い。これを思い切ってべースを上げる、手当を上げるということになると、当然相当な財源が要る、こんなことで思うようにいかないで現在まで来ておるわけですが、考え方は私も全く同感でございまして、今後とも努力していきたいと思います。
  219. 中村重光

    中村(重)分科員 まだほかにあるのですけれども、時間があったらお尋ねをすることにいたしまして、道交法の改正の問題についてお尋ねをするのですが、道交法の改正によって違反が非常に減少してきたということ、私はそれはそれなりに評価をしたいと思います。  ただ、罰則中心主義というのはいかがなものか。ネズミ取りというのがある。あれも一つの方法だから、全面的に私はノーとは言わないのです。ところが、用足しをするのに駐車禁止のところに駐車する、五分か幾らかたつとばんと出ていって赤切符を切る。そうではなくて、まず注意を与えるといったようなこと、そういう違反を起こさない、罰則というものにならないというようなこと、そういう温かい指導というのが必要じゃないでしょうか。警察官も若いものだから、ぱっとやって、おまえ違反だというようなことで、赤い切符を出して五千円だ、そういうことでなくて、私ども車で走っているときに、パトカーが来たら運転者はずっとスピードを縮めるのです。ぐるっと回っていれば、注意するようになるからスピード違反もやらない、駐車違反もやらぬ、こうなる。ですから、罰則中心、そういうことよりも違反を起こさせないという、違反防止、そういうことでないといけないのではないかという点、ひとつ御意見を伺いたい。  それから、四十八国会で交通警察懇談会を設置せよということを全会一致でやった。これは設置しているところもあるが、設置していないところが多い。だから、積極的にひとつ県警本部長の方に指導して設置をさせる、こういうことを推進する必要があるだろうと思うのですが、この二点、いかがですか。
  220. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  先ほどの交通指導取り締まりのあり方についての問題でございますが、私も先ほど御指摘のありましたとおりだと思います。いま年間で約千二百万件近い交通違反の検挙があるわけでございます。これが事故防止にいろいろ役立っておるということは言えると思いますが、ただ交通警察活動も他の警察活動と同じように、国民、ドライバーの皆さん方の理解と共感がないところにはやはり警察活動が成り立たないという問題がございます。  昨年、ああいう形で久しぶりに道交法の改正をしました機会に、われわれの従来やってきた指導取り締まりについてもじっくり反省をしようということでいまやっております。昨年は、特に形式的な違反とかあるいは軽微な違反についてはかなりのものを指導警告に落としました。したがいまして、昨年は、戦後初めてのことですけれども、いわゆる軽微な違反の取り締まりの件数が対前年比でダウンをしておるわけでございます。これが全部指導警告に切りかわった。数が大きいのでございますけれども、約三十五万ぐらい数が減少しているということで、やはり取り締まりは悪質なもの、それから大きな事故に直結する危ない行為、こういったものに重点を置いていきたい、御指摘の方向でこれからも努力をしてまいりたいと思っております。  第二点の交通警察懇談会でございますが、実は附帯決議にもそういうことでつけられておりますように、各界の意見を一いま本当に道交法の問題というのは、国民皆免許と言われるほどのドライバーを相手にした行政でございますので、やはり各層の意見を聞く場がどうしても必要だということで、昨年の道交法の改正をする際も、警察庁に交通警察懇談会というものをつくりまして、これの意見を聞いた上で国会に出したということでございます。府県でも、私ども次長通達でぜひそういうものを設置しろ、こういうことでだんだんに設置をしておりますが、未設置のところも大分ございます。さらにこれを警察庁に準じたメンバー構成でつくるように督励をいたしている最中でございます。さらに徹底をしていきたいと思っております。
  221. 中村重光

    中村(重)分科員 自治大臣も特に関心をお持ちだろうと思うのですが、最近の子供の自殺、少年の非行化、いま私がお尋ねをしたこととの関連も出てくるのだけれども、どこが本当に積極的にいわゆる主務省となってやるのか、総理府にそういう少年係というものもあるのかどうか。私は、大変な事態である、大きな政治課題であると考えるのです。防犯の関係も、警察も防犯協会というものをつくって積極的にやっているわけです。ところが、ともすると形式に流れて、印刷、活字にしたものをばっと配る。こっちの方にウエートがかかって、本当の成果を上げることが不足している。そういう点は、根幹である国が、どこでこれをやるのだということで、がっちりした体制を整えていくことが私はまず大前提でなければならぬと思います。したがって、閣議等においては、これらの問題にひとつ厳しく積極的に対処していくという取り組みをしていただきたいと思います。  それから、大平内閣の政治姿勢としても、地方分権ということを強調しているようです。分権は非常によろしい、そうしなければならぬと思う。しかし、幾多権限を移譲しているが、予算の裏づけというものが伴わない。これは地方が迷惑なんですよ。最近、プロパンガスの爆発などというのは大変なものなんです。ところが、都道府県に行ってその担当者が何人いるのだということになると、もう一人か二人、これじゃ話にならないですよ。独禁法の関係も、不当表示というものは地方自治体に権限を移譲した。ところが、これとても、本当にこれに取り組む人がいないのじゃないか。だから、成果が上がっていない。今日物価の問題というのは大変重要な課題であるわけですから、やはり分権化を推進する、同時に予算の裏づけをやらせる、こういうことにもっと積極的な取り組みをしていただかないといけないと私は思う。  それから、大店法というのも、これから五月十五日に政省令の施行をやりまして、この改正が施行されるようになる。千五百平米以下というのは、今度都道府県知事の所管事項になります。これは大変な仕事です。だから、これに対する予算的な問題、そういう点は通産省とも十分話し合いをしているのかどうかという点が一点あると思う。  それから、いままでは三千平米以上でしたし、地方では千五百平米以上だったのです。ところが、最近の傾向として、どんどん流通産業というものにウエートがかかってきたものだから、地方都市にどんどん進出するのですよ。それで中小企業が非常に圧迫される形になる。たまりかねて熊本県などは、三百平米以上は条例でこれを規制するということになった。国がつくった法律では千五百平米以上が規制の対象である。都道府県の方では三百平米以上を規制する。しかも罰則まで考える。地方自治体が自主的におやりになることは、ノーと言うことはできない。これは、地方自治ですからそれなりに尊重しなければならぬだろう。しかし、それは明らかに矛盾であることは間違いない。やはりこれは解決をしなければならない。五百平米から千五百平米、これが都道府県知事の所管事項になった。この運営は、先ほど申し上げたように、財政的な関係もあって十分達成し得るのかどうかという点が一つの問題点でありましょうし、それから独自に条例をつくっておったその三百平米、これを今後どうするのかという問題があります。  それらの点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  222. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御説のように、いろいろな国の仕事を地方にやらせるようになってきておる。ところが、金の裏づけがないという事例は頻繁に私ども経験することでございまして、自治省としては、そういうことのないように機会あるごとに各省に対して厳重に要望をしておるわけでございますけれども、それがなかなか思うような効果を上げておらないということも事実でございます。私どもとしては、今後とも、仕事だけはやらせるが金はめんどうを見ない、こういうことのないように十分努力をしていきたいと考えます。
  223. 中村重光

    中村(重)分科員 いまの地方自治体の条例、三百平米以上の問題はどうですか。
  224. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 この問題は、とにかく国の基準と自治体の定めた基準との間に大変な開きがあるわけでございますから、これをこのまま放置しておくということは問題が残りますので、通産省とも十分協議をして対応策を見出したいと考えます。
  225. 中村重光

    中村(重)分科員 おっしゃるとおりだと思います。今度は五百平米以上を規制の対象にするわけです。そして、地方分権という形で千五百平米以下は都道府県。しかし、地方自治体の条例で三百平米を基準にしている県があるわけですから、この機会にぜひ解決をしてもらわないと、このままほっておくわけにはまいらないと私は思います。どうぞひとつ十分対処してほしい。  以上をもって私の質問を終わります。
  226. 伊東正義

    ○伊東主査代理 これにて中村重光君の質疑は終了いたしました。     〔伊東主査代理退席、主査着席〕
  227. 野呂恭一

    野呂主査 次に、沢田広君。
  228. 沢田広

    沢田分科員 関係者にきょうは部落解放の問題について……。  それぞれ各分科会関係者の方からいろいろな角度からもうすでに質問をされてきております。私はこの前自治省関係質問をいたしまして、そのときたくさんお答えをいただいたのでありますが、それが実行されているのかどうか、その点まず確認をしていきたいと思っておるのでありますが、時間がありませんから、簡潔に私の方から申し上げます。  速記録はそちらの方にもあると思うから、速記録を読んでいくのでありますが、「御案内のように、五十年に調査いたしました時点、その単価ではじきまして一兆二千億と言われたわけでございますが、」「そういったものを合わせましてもなお四千六百六十八億残るというようなことでございます。ちなみに、五十三年度の事業費の現在の予定は二千六百億というようなことでございます」、こういうふうにお答えをいただきました。続いて「十条指定は二割程度しかない。自治省としては十条指定というものをもっと拡大していく、こういう必要性はあると思っておられますか。」という質問に対しまして、「二割というのは確かに単独事業が多いということを一方では示しているわけでございまして、その意味から言うと、国費をふやす」、そういうことで答弁されておりました。この五十四年度の予算を見ますと、このことが守られてない。お答えをいただきたいと思うのであります。
  229. 森岡敞

    森岡政府委員 御質問の第一点は、いわゆる同和対策事業の残事業の数字だと思いますが、前臨時国会でも政府が申し上げましたように、政府が五十年に調査いたしましたものの残事業は、現段階で三千二百六十四億円というふうに国費ベースで見ております。  なお、同和対策事業全体の中で、いわゆる同法十条指定の事業と、それからそうでないいわゆる単独事業などとの比率でございますが、政府各省に私どもといたしましては毎年強く要請してまいりましたが、昨年の七月及び十一月にも改めて再度申し入れをいたしました。最近の傾向を見てみますと、五十年度までは同和対策事業債の中で十条指定の地方債が、いま御指摘のようにおおむね二割でございますから、五十一年度は二五%、五十二年度は二八・一%というふうに若干上がってきております。もちろん私どもはこれでもって十分とは考えておりません。さらに本延長を機会に、国庫補助負担採択の大幅な拡大を各省に要請してまいりたいと考えております。
  230. 沢田広

    沢田分科員 昭和五十三年度千三百億、昭和五十四年度千六百五十億、これは今年度予算に出ている数字ですね。これは起債として上がっている金額です。これで三年延長を実行した効果として何%前進をするとお考えになっておられるのですか。
  231. 森岡敞

    森岡政府委員 御承知のように、地方債だけで仕事をするわけでもございませんので、国の国庫補助負担金、それから地方債一般財源、総体でやるわけでございますが、私どもといたしまして、現在お示しの地方債で何%進むかというところまでは、いまのところまだ実は計算いたしておりません。
  232. 沢田広

    沢田分科員 私は例示をして申し上げたわけなんで、予算全体として把握してみないとまだわかりませんけれども、ただ三年間で、総理府が実態調査を踏まえてこれで一応完了させたいという気持ちで三年と決めたのだと思うのですね。決められてしまったという気持ちが私はいたしますが、三年で果たして可能なのかどうかということになると、このテンポでいきますと、とても三年では終了できないのじゃないか。要求はしているのはわかりますけれども、実際の日本のいまの財政事情の中から、五と二の間で三になったという経緯から見まして、三がそもそも無理だということになっているのだろうと思うのですね。ですから、その意味において自治省がこれから、地方自治団体のそれぞれの調書を集めて、本当の差別というものは各分野にわたっていますから、一つの分野だけの問題でとらえることはできません。教育にもありますし、その他の問題にもありますから、とりあえず自治省として扱える限界としてはどことどこの分野に、たとえば保育所の問題にしてもいろいろたくさんあるわけです。これは厚生省だから除くというんじゃなくて、各自治体のものを集約するのには自治省が一番適切なんじゃないか。学校の問題にしても、あるいは文部省、厚生省の問題にしても総理府がやるということになっているけれども、なまの声を集めていくのには自治省が一番集めやすい、そういう体制にあると思うのですが、いかがですか。
  233. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 そういう見方もありまするし、実態的に見てもうなづける点があるわけでございますが、とにかくこの問題はやはり政府が全体として取り組んでいこう、こういうことでやっておりますので、私としては、やはり総理府を中心として、私どもももちろん積極的に参加して、一緒になって実態を正確に把握して、そしてそれに対する対策推進してまいりたい、かように考えております。
  234. 沢田広

    沢田分科員 総理府というのは、手足がないのですよ。だから、総理府というのは見かけにはちょうど何かかぶっているようなもので、一生懸命表に顔だけは出しているように見えるけれども、足腰がない。足腰となるのは、結論は自治省なんです。だから、自治省が足腰として、三カ年計画でどの程度これが解決可能なのか、それを把握するのは、あそこの附帯決議の中にある趣旨を生かす母体というのは、雇用の問題もあるし、いろいろな問題もあるでしょう。だから、それを集約していくというのは自治省以外に結論的にはないんじゃないか。各自治体の悩んでる超過負担を含めて、とにかくいい悪いは別として、その実態を把握していく。自治大臣がその気持ちになれば、政府全体としてということは言いながらも、自治省の方の集約はこうなったよ、それで大蔵当局なり総理府なりと話を詰めていくという筋道が当然じゃないかという気がするのですが、大臣並びにその関係者がそれに沿ってやっていただけるかどうか、お答えいただきたい。
  235. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 せっかくの御提案でございますが、とにかくこの仕事は言うまでもなく厚生省、文部省あるいは労働省、非常に関係する省が多いわけでございまして、自治省は地方自治体とのつながりで全体的に関係しておるという点は御指摘のとおりでございますが、だからといって自治省が中心になってやるというのも、いままでのあり方から見てもなかなか問題があるわけでございまして、私としては、やはり関係省庁が足並みをそろえて、手を握ってやっていく、これが一番適切であると考えております。
  236. 沢田広

    沢田分科員 こだわるわけではありませんけれども、もしまとめていくのに障害があれば、どこにあるのですか。
  237. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 障害がどこにあるかと言って、ここだということはございませんけれども、これはこの仕事に限りません。関係省庁が多いそういう仕事をやる場合に、日本の官公庁のあり方としては、関係省庁が連絡を密にしてやっていくということが長い間の慣行でもございますし、これを破るということになるとかえって事がうまくいかない、私はそういうふうに見ておるわけであります。
  238. 沢田広

    沢田分科員 閣議もあると思われますから、この問題について各省の了解をもらって、自治省の方で一応調べたいと思うと——まあ都道府県単位で結構でしょう、あるいは市町村単位も含めて、そしてそれぞれで一つの素案といいますか、そういう素案を自治省でまとめていくということは不可能じゃないのじゃないか。そして、その素案をとにかくいろいろな分野にわたって——若干レベルの差もあると思うのですよ。それぞれの自治体考えているシビルミニマムといいますか、最低限度の物差しとある県の物差しとは違ってくるものがあると思うのです。これはある程度やむを得ないと思う。しかし、それの発端になってそういうものをつくっていける機構を持っているのは自治省だと思うのですね。ですから、やはり都道府県なり市町村に依頼をしてそれをまとめ上げていくという努力といいますか、その通達を出すことを閣議了解してもらうことだけは不可能じゃないんじゃないですか。ここで簡単にそれはやりますとは言えないかもしれませんが、しかしそういう方向で自治大臣が動いていけば、各省が単独で調べるよりは楽だ。じゃあ総理府でと言ったって、総理府でちょっと行ってその現場を見てくるだけでは、これではいつになったって集約できっこない。自治大臣だってそういうことでは困っちゃうでしょう。どこか一点だけ、点だけ見つけてきてそれで全体をはかるなんということはできないでしょう。ですから、やはり自治大臣が、一つの素案をつくっていく土台をあなたの方で発想してもらうということが大切なことになるのじゃないかと思う。そういうことで障害が特にないというのだったら、ぜひ閣議で自治大臣の方で、これは窓口は総理府なんだけれども調査だけはおれの方も手伝うから一緒にやりましょう、こういうことは言えるのじゃないですか、どうですか。
  239. 森岡敞

    森岡政府委員 私ども、この同和対策事業につきまして、実態把握はもちろん必要だと考えておりますけれども、ただ教育施設につきましては文部省、あるいは集会施設その他の厚生施設については厚生省、それぞれ独自の専門の経験なり知識なり技術があるわけでございます。  それで、別の例を申して恐縮でございますが、たとえば、地方公共団体の超過負担問題が常にやかましい問題でございます。知事会、市長会が出しましたのは六千億なる超過負担があるという数字、各省はそうじゃないと言っているわけです。そこのところは、私は、各省は値切り過ぎていると思いますし、六団体の出しておりますのは現実にかかったものがこれだけだ、こう出しているわけですから、答えはその真ん中にあるのだろうと思います。しかし、何が最も正しい水準であるかということは、個別各省がみずからの補助基準を持っているわけでございますから、補助基準をもとにして考えていきませんと正確な把握はできないわけです。  仮に自治省がそういうことをいたしましても、結局、いま申しました六団体のまとめた超過負担の資料のようなものでは本当は意味がないと思うのでございます。各省がそれぞれの補助基準なり施策を基礎にいたしまして、本当にどれだけのものが必要かという実態把握をやり、自治省自治省の立場でそれについての御意見を申し上げるということでありませんと、私どもだけでやりましても、それは的確なる資料にはならない。私どもといたしましては、総理府に各省庁共同で実態把握についてぜひやるように申し入れをいたしたいと思います。
  240. 沢田広

    沢田分科員 私はそれを公表しろなんということをまだ言っているわけじゃないですよ。ただ、あなた方自身がまだ把握していないのに、自治省で把握せずして、総理府だけが、労働省どうだ、通産省どうだ、こういう個別でやったからといって、これは可能にならないでしょう。残された期間は三年ですよ。いまから案ができてなければ計画が立たないです、どんなにあなたが優秀であったと仮定してみても。そうでしょう。だとすれば、総理府と自治省が協力をし合って、手足は自治省があるのだから、各都道府県には同和対策室も設置されている、ないところはないところなりに担当者を置いているのですから、そこを通じて集めることは不可能じゃない。それが若干見かけ膨張があってもいいじゃないですか。何もそれを表に公表しろなんということを言っているのじゃない。しかし、それを集めてみて、さて三年でこれから目減りをしてどのくらいになるかわからぬけれども、実際にやるとしたらどうしたらいいんだ、そこを大蔵省なり総理府と詰めて予算となって出ていかなかったら、三年の約束というものは空文になってしまうじゃないですか。あなたの言っていることを無理だと言っているのじゃない。しかし、自治省として持たなくちゃならぬでしょう。白紙のままで総理府にお任せしますでは、ちょっと無責任過ぎはしませんか。
  241. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 自治省は総理府に任せてもう拝見しておるという態度でないことは、最初から申し上げておるとおりであります。ただ、私が繰り返し申し上げたいのは、とにかく労働省は労働省、文部省は文部省で固有の所管の分野がございます。その固有の所管の分野についてはそれぞれ各省が責任を持っておるわけでございますし、また一番事情に詳しいわけでございますから、やはりそれぞれの分野について責任を持つ省が一緒になって共同でやるということでないと、全体として成果は上がりません。ですから、そういう方向で努力をしていくのが一番適切である、こう申し上げておるわけです。
  242. 沢田広

    沢田分科員 言葉じりをつかまえるようで悪いですが、それではいつまでにその努力はしてくれて、いつまでに各省と話をして、どの時期にそういうようなものを徹底させる時期を選択されますか。
  243. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 これは総理府を中心として当然関係各省相談をして、その上でいつまでにそれをやるかという結論を出すようにしたいと思います。
  244. 沢田広

    沢田分科員 そのいつまでにやるかを自治大臣としてはどういうふうに具体的なスケジュールを考えているのか、それを聞きたいわけです。各省と相談するのはいいですよ。だけど、総理府からお声がかからなければもうそのままだというのじゃないのでしょう。やはりどこかから口を出していかなければだめでしょう。また、自治省として仕事をやっていく上においてもこれはやはり必要でしょう。そうすると、大臣としても当然そのことを言い出していかなくてはならぬ立場にあるわけですね。天からかどこかからか声がかかってこないうちはおれは動かない、こういうわけじゃないでしょう。とすれば、具体的なスケジュールはどうお組みになられるのですか。
  245. 森岡敞

    森岡政府委員 私どもは、三年延長を踏まえまして実態把握が必要だという附帯決議の趣旨も十分承知いたしております。それで、総理府に対して実態把握のいろいろなやり方について申し入れをしておるわけでございます。しかし、私どもがああしろこうしろと言うのは、やはり役所間の所管として問題がございまして、何と申しましても中心になっております総理府が各省庁と相談していただいて、そのスケジュールなり何なり、やり方を決めていただくということでいくのが筋だろうというふうに思っておるわけでございますので、御理解賜りたいと思います。
  246. 沢田広

    沢田分科員 それではちっとも物事が進まない。では、現在自治省でつかんでいる部落地名総鑑、あるいは五十年度調査の地区数というのは幾つに押さえているのですか。——そういうこと自体がもうわからない。だから、やりなさい、こう言っているわけですよ。具体的なことになると何一つ答えられない。これで三十分に制限されていたんじゃ、時間待っている立ち合い待ちみたいなもので、時間がたったらもう終わりだからおまえ帰れ、こういう式でやられたんじゃかなわない。だから、いま私が前段で述べたように、自治省自身がスタートしていかなければだめなんじゃないか、こう言っているわけです。
  247. 森岡敞

    森岡政府委員 全国で、市町村数で千四十一、地区数で四千三百七十四と理解しております。
  248. 沢田広

    沢田分科員 数は若干違うようです。昭和五十年とぼくは言ったのでありますから違うようですが、それはいいとしましょう。ただ、部落地名総鑑では五千地区となっておりますし、五十年度の調査では四千八百七十三地区、補完的な報告が百二十カ所、こういうふうに出ているわけであります。こんな数字を議員が言って自治省が知らないというのは、言うならば逆さまなんですよ。いま偶然忘れたっていうんじゃないだろうと思うのですね。だから、まずその地域それ自身が不明確であって、結果的にその中身の差別をどうなくしていったらいいかという具体案が出てこない。  だから、さっき言ったように、自治省としてはどういうふうにしたらいいのか、その案をひとつつくってくださいよ。どうですか。これだけ、五千なら五千地区あるそれぞれの地区の方でいろいろな要望があるだろう。それをとにかく調査してまとめてみるということだけは、最小限度必要な要件だと思うのですが、いかがですか。
  249. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 繰り返し申し上げますが、やはり関係する各省が、総理府が中心窓口となっておるわけでございますから、総理府を中心にして足並みをそろえて取り組んでいくことが一番適切だ、かように考えます。
  250. 沢田広

    沢田分科員 結局足並みをそろえる、足並みをそろえるというようなことだけで、どこの委員会でも同じ答弁なんだ。どこの委員会へ行っても、足並みをそろえて各省と相談をしてお答えいたしますと言う。これは議員をごまかしている答弁なんだ。どこの委員会の質問の結果を見ても、みんなそうなっている。ただ積極的にやりたいと思いますとか、十分努力したいと思いますなんて、言葉はきれいに言っているけれども、最終的な最後の言葉になると、いろいろと各省にまたがっておりますので十分連絡をしてやりたいと思いますと言う。どの委員会でも、予算委員会質問についてもそうですが、分科会の回答を全部見てまいりますと、そうなっている。結果的に政府は逃げているということなんです。政府は逃げていると言われても仕方がない。  だから、それじゃ困るのであって、自治省がまず、半歩であるかもわかりませんけれども、それを進めていただくということが当然必要なんじゃないかということに感ずるんですが、いま言った各省各省というのをひとつ変更してくださいよ。自治省がほかの省と、労働省やなんかと同じようなことを言っているんじゃ話にならないと思うのですがね。
  251. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 労働省の担当する分野、文部省の担当する分野、厚生省の担当する分野、これは自治省の担当する分野と比べて、そちらが軽い、こちらが重いということはないと私は思うのでございまして、繰り返し申し上げますが、関係省庁が協議をして、そして一体となって取り組んでいく、この姿勢はやはり大事だと思います。  ただ、逃げているんじゃないかという御指摘に対しては、そういうことのないように積極的に取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  252. 沢田広

    沢田分科員 いま私が言ったとおりの答弁をしているんだ。だから、その積極的にということをどう具体化するかということを、私の方は時間をかけて聞いているわけですよ。積極的というのは何なんだろう。担当官もおられるようですが、では積極的というのは、具体的にどういうふうに内面調査でもとにかく進めていくのか、その積極的という中身をひとつ言っていただきたい。
  253. 森岡敞

    森岡政府委員 先ほど申したことと若干重複いたしますが、私どもはとにかく実態把握というものが大事だということは基本的に考えておるわけでありますし、またそのために総理府にそのための施策をしていただくように要請しております。  第二に、先ほど御指摘がありましたように、単独事業が非常に多い。これは政府としての責任上まことに問題があるということで、もっと国庫負担事業の採択を大幅にふやして国の責任を明確にしていただきたいということを強く申し入れております。私のできる範囲内では、地方債をできるだけ拡充いたしまして、環境その他の施設整備ができますように努力をいたしております。  さらにまた、交付税の算定上は毎年大幅に交付税の算定をふやしまして、関係市町村の財政上の負担が軽減され、円滑に運営されるように最大限の努力をしておるつもりでございます。
  254. 沢田広

    沢田分科員 これはほかのところでも、ほかの省でもそれよりもっといい答えをしていますよ。これは三原さんのところですか、第一分科会ですか、各都道府県にとにかく調査担当者を入れて、各県の部局から事情を聴取いたしますということを答弁している。自治省がそんな態度で、ほかの省はそういうふうに言っているのですよ。相談してじゃないですよ。各県の部局から事情を聴取して、各担当者が地区に入って、そしてやりますと、こう答えているのですよ。それに自治省が加わってやっていくという姿勢がなければ、いま言った超過負担の解消であろうと、あるいは総体の三年計画であろうと、ちっとも生まれてこないでしょう。こんなことで時間をとっているのは全く国費のむだになると私は思う。もう少しきちんとした答弁、もう少し計画性というものを立てた答弁を——われわれも事前には半日以上このレクチュアにかかっているのですよ。きょうは三つの委員会がダブっていますからあれですけれども、もう二日間レクチュアのために事務当局には言っているわけなんです。それに対してこんなナメクジみたいな、コンニャクみたいな答弁ばかりされていたのでは、これはばかにされているとしか考えられない。私は失礼だと思う。もうレクチュアには応じないからと思いたくなる。事務当局にはこういうことを聞くのだということを十分言っているのです。それ以外にもまだあるのですけれども、大臣や担当者になるとそんなナメクジみたいな答弁で、自治省よりほかの局の方がまだ積極的ですよ。  もう少し自治省も本腰を入れて、この三年計画はどうなんだ、可能なのかどうか、三年と約束したけれどもどうだろう、なかなか三年じゃ無理だ、これだけ実施するのにはこれだけのまた国庫事業が必要だ、あるいは国庫負担の割合をふやさなければいかぬというように、そういう積極的な意見というものを出していくという姿勢が必要なんじゃないですか。もう時間がなくなったのですけれども、ぜひその点御回答いただきたいと思うのです。
  255. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 総理府総務長官の、現地に出向いて実情も聴取して実態把握に努めるという答弁は、私どもと打ち合わせをしまして、関係各省一緒になってそういう実情の聴取もやろうと、こういうお互いの意思統一を図った上での答弁でございますから、三原総務長官のその答弁の中には自治省も当然入っているわけであります。
  256. 沢田広

    沢田分科員 それなら、最初から関係各省と相談してだなんて言わないで、それぞれの関係府県の部局を呼んで、自治省も加わって調査をしますとなぜ言わなかったのですか。
  257. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 そういうことで進めようということになっておるわけでございまして、その点は言葉が足らなかったということでございます。
  258. 沢田広

    沢田分科員 とにかく、われわれに与えられた三十分の時間の中で二十分はそのことだけで費やしたのですよ。それは人をばかにしているということ以外の何物でもないじゃないですか。初めからそう決まっていたのなら、なぜ初めからそのとおり言わないのですか。それなら、各部局を集めるということは、これまで時間をかけないで結論が先に出ていっているのですよ。そのことはちっとも言わないで、各省と相談してということを言っているのでは話にならないじゃないですか。  これは大臣がばかにしているのか、各部局がばかにしているのか、言うならば逃げている。できるだけ言質を与えないでこの場を済まそうという姿勢がありありと見えるじゃないですか。いま第一分科会のことを言ってから初めて、いや実はそうだったのですと言っても、人をばかにするのにもほどがあると思う。これは謝りなさい。
  259. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 その点は、言葉が足らなかった点は深くおわびをいたします。
  260. 沢田広

    沢田分科員 もう時間がなくなりましたけれども、各部局を呼んでぜひこの実態の調査をしていただく時期というものを速やかに促進をしていただきたい。もちろん年内には出るだろうと思いますけれども、いつぐらいをめどにしているのか、めどだけでもいいですから、ひとつお答えいただきたいと思う。
  261. 森岡敞

    森岡政府委員 各省それぞれ実地に、県庁その他現地で実情の把握の調査を出向いて行うということでございますので、これはまたおしかりを受けるかもしれませんが、事業の主体は何と申しましても各省なものですから、私どももそれと並行して実態を把握するための協力はもちろんしていかなければいかぬと思います。  しかし、各省全部と一緒に行けるかどうか、その辺のところはまだスケジュールとしては決めておりませんが、各省のスケジュールを見ながら私どもも十分調査をいたしたい、このように思います。
  262. 沢田広

    沢田分科員 いや、私の言うのは、自治省としてのめどをいつごろにつけたいかということです。各省が動かなければ一緒に動かないということですか。そうじゃないでしょう。だから、自治省としてはどんなにおくれてもこの程度はめどをつけたいという予想といいますか、そういう計画というものは頭の中にあるでしょう。
  263. 森岡敞

    森岡政府委員 私どもといたしましては、一つには個別の事業の実態というものをつかまえます場合に、自治省は御承知のように各省の中では非常に人数も少なくて、消防庁を入れまして五百人の役所ですから、自治省だけが全部包括的な調査をしろと言われても、それは現実問題としてなかなかできません。そこで、それぞれ事業を所管しておる各省庁の調査とあわせまして、全部が全部とはいかないと思いますが、私どももやりたい。(沢田分科員「いつごろまで」と呼ぶ)  私どもが個別に行くのがいいのか、あるいは各省がおやりになるのと共同してやるのがいいのかということになりますと、私は、各省がおやりになるのと共同してやるのがいいと思うのです。そこで、その辺のところは各省の全体のスケジュールというものを見ながらやりたい。  各省のスケジュールをまだ十分承知いたしておりませんので、いまこの段階で何月とかいうことは申し上げにくいのでございますが、できるだけ早く各省の実態調査のスケジュールを組んでいただくとか、そういうことも努力をいたしまして、私どもも精いっぱいの努力をいたしたいと思います。
  264. 沢田広

    沢田分科員 では、最後に超過負担の問題も含めて、それからもちろん国庫負担の増額というものも積極的に進められているという御答弁でありますから、従来よりもより一層それを見越して、どの程度努力すればこのことが確保できるか、三分の二事業がどれだけできるのか、四分の三事業がどれだけできるのか、そういう具体案も含めて自治省はつくられる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  265. 森岡敞

    森岡政府委員 おっしゃる意味が同和対策事業費全体の規模というお話でありますれば、現段階では、それは自治省だけに全部調べろと言われましても、最初から申し上げておりますように、的確な資料を得ますことは困難なことだと私は思います。  そこで、各省がそれぞれ実態調査をされる予定があるわけでございますから、それと合わせまして、私どももその調査を共同して行って実態の把握を詰めて、それで事業費につきましての問題点というものを明確にしていく、こういう努力をいたしたいと思います。
  266. 沢田広

    沢田分科員 では、最後に要望だけでありますが、こういうふうに渋滞している事務の進行それ自体が差別であるということを、ぜひひとつ頭の中に刻み込んでおいていただきたいと思うのです。言うならば逃げよう、言うならば避けよう、言うならば積極的にこれを進めることに対して消極的になろう、そういうこと自身が言うならば差別に類する行為であるということをぜひ頭の中に刻み込んでいただいて、これからの努力を期待して、私の質問を終わりたいと思います。
  267. 野呂恭一

    野呂主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、佐野進君。
  268. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は、都市公営交通の問題について、大臣以下局長に質問をしたいと思います。  今日の大都市を含む都市公営交通事業がおしなべて赤字再建団体という名前のもとに、それぞれ四苦八苦しながら経営をしておることは大臣もよく御承知のとおりであります。しからば、このように公営交通が赤字になることは、これは公営交通だけでなく、地方公営企業と言われるそれぞれの企業のすべてに当てはまることだと思うのでありますが、こういう状況の中に公営企業、都市公営企業が置かれておることについて、何とか現状打開の中でそれぞれの利用者の足を守るということは、それぞれ地方公共団体はもちろん、政府としても重大な関心を持ちながら対応してこられた。自治省がこれに対しても積極的に処置してこられた。こういう努力については私は多とするということを前提にしておるわけでありますが、これらの企業の実態についてのいまの状態、五十四年度予算を審議する状態の中で大臣はどのように判断をし、財政局長はどう処置されたか、この点を原則的にひとつ御説明願いたい。
  269. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 実態の内容の詳細については局長から説明いたしますが、御指摘になっているように、この公営企業、バス関係は依然として厳しい状況の中に置かれておるわけでございますから、私どもとしては、これの改善のために私どもの立場で最大限の努力をしていきたいと考えております。
  270. 森岡敞

    森岡政府委員 公営企業全体を通じまして経営が大変苦しい状態にあるということは御指摘のとおりでございますが、ことに交通、病院の二業種について問題が多いと考えております。公営企業の累積欠損金はすでに一兆円に近くなってまいりました。  ただ、交通につきましては、御承知のように、四十八年以降再建計画をつくった団体につきましてはかなり手厚い措置を講じまして再建を進めております。病院につきましては、従来の不良債務のたな上げを行いましたけれども、その後、経営努力がいい悪いと言うとやや問題があるかもしれませんが、その面がやや病院間に出てきておるように思います。かなり一生懸命やっておられるところは診療報酬単価もかなり是正されてきましたから、いい方向に向いてきている。しかし、そうでないところはどうしてもいけない。それから、過疎地の診療所などは、これは絶対の患者さんが少ないわけですからどうしても赤字から抜け切れない。そういうふうな状態でございますので、病院につきましては、一律ではなくて、その経営の状況なり立地の条件に応じたきめ細かな助成措置考えていかなければならぬだろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、五十四年度の地方財政計画でもかなりな公営企業繰出金を計上いたしまして、具体の財政措置に当たりましても、十分公営企業の運営に支障のないように努めてまいりたいと思います。
  271. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、私は、公営企業の現状の説明を受けたわけでありますが、主として大都市における公営交通事業について質問をしてみたいと思うわけであります。  大臣も御承知のとおり、大都市はまさに過密都市となり、その過密都市としての実情の中で交通渋滞は目に余るものがある。これは日々御経験をなさっておられるわけであります。結果的に今日公営交通が赤字になり、いまお話しのように、公営企業全体としては一兆円を超える、交通事業だけでも数千億を超えるという、そういう状況の中に置かれている現状は、かかって交通渋滞から来るいわゆる走行キロの減少、長時間労働の中におけるところの人件費の高騰を含む諸物件費の高騰等々、いわゆる社会的条件の中において発生した赤字というものがその非常に大きなウエートを占めておると私は思うのであります。  この現状を打開する方途、いわゆる合理化の名のもとに何回か何回か、第一次再建指定、第二次再建指定をそれぞれ経ながら今日やってきているわけでありますが、大臣は、この現状の中で交通事業を真に利用者の立場に立って再建する道をどこにお求めになることがより必要であると御判断になっておられるか。原則的な面をこの際聞いておきたいと思います。
  272. 関根則之

    ○関根政府委員 大都市の交通事業がおしなべて非常に厳しい財政状況になってきておりますが、その基本的な原因は、先生がおっしゃいますように、そもそも走って商売になる交通事業が走れなくなっておる。その一言に尽きるのじゃないかと私は思います。  しかし、交通事業は御承知のように、公営ばかりでやっているわけではございませんで、民営でもやっておりまして、民営は比較的うまくやっておるところが多いわけでございます。能率の面で見ますと、やはりどうしても公営の方が能率が悪いという数字が出てきてしまいますので、公営交通につきましての能率の面の改善、効率化ということも引き続きやっていかなければいけませんけれども、しかしそれだけですべての問題が解決するかというと、そうではない。やはり交通を取り巻く環境の改善措置というものも基本的に関係各省が協力しながらやっていかなければならない問題ではないかと考えております。
  273. 佐野進

    佐野(進)分科員 いまの審議官説明でいいのですが、その努力の限界を超えた状況があらわれつつあるとしたならば、その努力の限界を超えた状況を打破するためにどういう対策があるかということは、必然的に考えていかなければならない措置ではないかと思うのでありますが、大都市交通行政の中においての公共交通優先という考え方、いわゆる路面交通においては、バス等公共の輸送機関を政策的に優先するという措置は当然考えていかなければならぬときにもう来ているのではないかと私は判断するわけでありますが、いかがでしょうか。  なお、この場合、民営との比較の議論がなされましたけれども、私どもは、大都市交通の中における民営対公営というふうな形の中においてもし対比するならば、民営は比較的人口過密地帯以外のところを走り、大都市交通機関は主として大都市の人口過密地帯を走らざを得ない。こういうよな状況下にあるということも判断いたしますので、この点ひとつお答えいただきたい。
  274. 関根則之

    ○関根政府委員 確かに、都市交通におきましてはスピードがきわめて急速に落ちているということが大きな問題でございます。そのためにスピードを上げて走れるような方策を講じなければいかぬのですが、現在やっておりますのは、バスの優先レーンであるとかあるいは専用レーンをつくってほかの一般の自家用車を入れない、こういうやり方を進めております。実績といたしましても、昭和五十二年度末で千四百六十七キロになってきておりますから、年々ふえてはおります。しかし、都市によってはまだまだ不十分である。警察その他道路管理者の方の十分な協力が得られないと思っているところもあるようでございます。この辺のところはひとつ積極的に打開策を講じ、関係各省の協力も得ながら積極的にやっていかないとだめだと思っております。  現在、熊本市で、実は従来市電を外す予定になっておりましたけれども、これをひとつ何とか優先通行を確立することによって残していこうではないかという案が現地で出まして、私どももそれは結構なことではないかということで、これを実験線みたいなつもりでやってみたらどうだ——軌道敷内へは一般の車は入れないようになっているのですが、たとえば交差点で、右折する自家用車が交差点の中に入ってしまって、軌道の中に入っているために交差点で進めないというような事態が出てきております。こういったような問題も具体的に取り上げまして、警察なりあるいは道路管理者の方と十分協議をしながら、何らか打開策を見つけていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  275. 佐野進

    佐野(進)分科員 審議官が政策的にいろいろ考えてやっておられることは私どもも敬意を表しておるわけでありますけれども、いずれにせよ問題は、いわゆる公営交通あるいは民営にいたしましても、その交通機関そのものにおける経営はきわめて厳しい情勢にあることは否めない事実であります。したがって、そういう条件の中で政府あるいは地方公共団体がそれぞれの責任の中で対策を立てておられるわけでありますけれども、私は、五十四年度の予算の中で、そういうような判断に基づくところの財政的な措置がどのような形の中で行われたのか、この際聞いておきたいと思うのです。原則的なことで結構です。
  276. 関根則之

    ○関根政府委員 五十四年度の予算をつくります際に、当面バス事業につきましては再建団体が二十三団体ございまして、いま一生懸命再建を進めておりますが、この団体に対しましてバスの購入費の補助金というのがいままであったわけです。これが従来の経緯によりまして、今年度、五十三年度をもって終わるということになっておったものですから、それにかわるべき新しい補助制度として、地方都市バス事業車両更新費補助金を、十億八千五百万でございますが、新規に設けまして、地方団体のバスの再建のために役立てたいということで予算をとっております。  それから、交通事業全体につきましては、特に地下鉄事業の資金問題というのが大きな問題になっております。御承知のとおり、地下鉄事業につきましては、運輸省所管で例の建設補助金ができておりますが、こういったものにつきましては、昨年制度を改正しましたものに基づきまして必要な補助額というものを確保したと考えております。  また、それに見合います地方交付税において措置すべき分につきましては、先ほど局長が申し上げましたように、必要額を交付税において措置をするという考え方で臨んでおる次第でございます。  また、地下鉄の建設費につきましては、資金がちょっとでも質のいい方が、規模が大きいものですから経営に大きな影響を及ぼしますので、われわれも資金の質をよくするための努力をいたしまして、たとえば政府資金におきましては、昨年地下鉄事業建設債の全体の中の政府資金の割合が二五・一%でございましたが、それを約五・六%ほど上げまして五十四年度では三〇・七%にしておる。こういうような改善措置もとったところでございます。  今後ともこういった方向で、できるだけ公営交通事業が経営をやりやすいような方策につきまして私どもとしては努力をしてまいりたいと考えております。
  277. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは、説明が具体的な内容に入ってまいりましたので具体的な内容について……。  いままでの質問は主として大臣にやるつもりで、これから局長ないし審議官にやるつもりだったのですが、審議官がえらく張り切っちゃって全部しょっちゃったようなわけになったわけですけれども、これからは具体的な問題になりますので、後で大臣に締めくくりの質問をいたしますから聞いておってもらいたいと思いますが、いまの公営バス事業の問題と地下鉄の問題の二つに分けて質問を続けてみたいと思うのです。  公営バス事業の運営についてはそれぞれ補助ないし援助、必要な購入費その他についての援助等等があるわけでありますけれども、私は、地方自治体が行うバスの経営について、都市と地方と二つの部面に分けた場合、それぞれの差があるということは現実の問題だと思うのです。いわゆる過疎地帯におけるバス事業に対する補助金制度は、過疎によってお客が乗らない状況。大都市におけるものは、先ほど言いましたようないわゆる過密によって動くことのできない状況。結果的に過密によってお客が乗らない状態も現出するわけでありますが、こういうような場合において、それぞれの市民の足を守るという、大都市におけるバス事業に対して補助金制度というものが考えられてしかるべきではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  278. 関根則之

    ○関根政府委員 バス事業そのものの本質的な性格といいますか、それは都市も田舎のバスも基本的には変わりないと私は思います。しかし、従来は、過疎バスにつきましては、これはともかくお客が乗らない、一日に十人とか十五人しか乗らないというようなところで、しかもそれを全くやめてしまいますと老人とかそいう人たちで代替交通機関を持っていない人たちがどうにも生活が成り立たぬという、そういう要請が片方にありまして地方バス路線維持費補助金といったものができてきたわけですね。ところが、都市につきましては、曲がりなりにもいままで何とかもっておったわけです。お客もほどほどにあるという状況だったものですから、乗客数から推していきますと、まあまあ都市については必要ないという状態がずっと続いていたと思うのです。  ところが、やはり最近の状況を見てみますと、都市におきましてもおっしゃるようにスピードがダウンする。あるいは新しく団地ができるために、そこへバスを入れないといわゆる足なし団地になってしまう。しかし、これは朝晩の片荷輸送でございまして、とても採算性が悪いというところがいっぱい出てきております。こういった状況、の中で、本当に都市のバスにおいても能率的な経営をやっても採算が合わない、しかしながらどうしてもその地域の都市の住民の足を確保しなければならないためにその路線をやめてしまうことができない、維持しなければならないという路線が出てきつつあるというふうに私は考えます。それならばそれで、そういうものを本当に行政上の必要から、あるいは公益的な必要から置くのであるとすれば、本質的に能率が悪いために、採算性がないために出てくる赤字に対する何らかの財政措置を講じていかなければいかぬ。そういう必要性が出てきつつあるのじゃないかと思うのです。  したがって、そういうものを背景にしまして、現在、公営交通関係の組合の方からもあるいは管理者の方からもそういう意見が出てきておりますので、実証的に本当に能率的な経営をやっても本当に不採算なのかどうか、それから現在やっておる路線が本当に必要な路線なのかどうか、やめることができない路線なのかどうか、その辺のところをひとつ実証的に積み上げて、必要な実態も把握し、それに見合う対策というものを講じていく必要があるのではないか、こういう話を現在しておるところでございます。
  279. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、後でまとめて御答弁をもらいますから、ひとつ聞いておいてください。  そこで、いま審議官がお話しになった件で問題となっておる、いわゆる行政路線問題について若干質問してみたいと思うのでありますが、行政路線問題についてはすでに以前からたびたび議論をいたしておるわけでありまして、特に行政上の必要性から採算を度外視して路線を開拓し、旅客輸送を行っておるわけでありますから、それに対する補助を図ることは実証的な見地から検討するのだという審議官の御答弁を踏まえながら、ひとつ質問をしてみたいと思うわけであります。  まず第一は、関係者の間ではどこまで作業が進んでおるのかということをお聞きしたい。そして二番目には、いつごろまでに作業が終わるのかという見通しをお聞きしたい。三番目には、五十四年度実現を見たバス車両更新費補助については、引き続き五十五年度以降実施される見込みであるが、もしないとすれば、バス車両更新費補助と行政路線補助との関係はどうなるのか、この三点について、ひとつ質問してみたいと思います。
  280. 関根則之

    ○関根政府委員 行政路線の問題につきましては、昨年の夏ごろだったと思いますが、労働組合の方から組合としての一応の考え方が提出され、それから去年の暮れになりまして管理者サイドから同じような案が出まして、それをもとにして、私どもの方も入りまして鋭意意見交換をやっておるところでございます。  それで、これは何も組合の持ってきた案を私どもが一方的に拒否するとか、そういう話ではございませんで、お互いに意見交換をしながらいい物をまとめ上げていこうではないかということで現在やっております。  いつまでという期限は、まだ必ずしも明確な期限は申し上げられませんけれども、事の性質上そう簡単にはいかぬと思いますが、できるだけ早い機会にまとめて、何らかの成案を得ていきたいというふうに考えております。  それから、今度できました補助金の問題ですが、これはもちろん単年度で終わるというようなものではございませんで、五十五年度以降も続けていくという考え方を持っておりますが、それじゃいつまでも続けるのかということでございますが、現在更新が一巡するのがあと四年ぐらいで大体一巡するのじゃないかと思いますので、対象車両がなくなればこれを存続する意味がないということもありますので、大体ほとんど四年程度の期間で車両の更新が一とおり終わる、その辺までは続けていきたいというふうに考えております。  そういうことでございますから、直接更新費補助金と行政路線のバスに対する補助制度が仮にできるとすれば、それとはちょっと別なものでございますので、これをやめるからこっちをつくるとか、そういった関係はないというふうに考えております。
  281. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは、バス事業については一応おきまして、次に地下鉄問題について質問をしてみたいと思います。  いま福岡で地下鉄を掘っておるわけですが、これはいわゆる路上は西鉄、しかし地下は市営ということで、現実の問題として地方鉄道が、いわゆる私鉄が大都市の中で地下鉄を掘るということは、いわゆる東急が多摩川線を掘るというように、きわめて効率的な地帯であってもきわめて困難である。したがって、自治体が公営企業として地下鉄路線をつくり上げるという形にならざるを得ない。しかし、これはもう今日莫大な費用を要するようになってきておるわけでございますから、地方財政に与える影響は深刻なものがあるわけであります。結果的に深刻なものがあるとはいいながら、大都市行政の必要性から地下鉄建設は避けて通ることのできない重要な課題であるわけでありますから、結果的にそれに対する作業はどこの自治体でもいま大都市は行っておるわけであります。  ところが、この財源はほとんど起債によって賄われるわけでありまして、その起債の許可額のいかんによってその事業の進捗について大きな差が出ておるわけでありますが、こういうような現状  の中において、政府も地下鉄建設に対してはそれぞれ積極的に対応せられ、特に前年度は相当大幅なる対策を処置せられておるわけでありますが、しかしいわゆる建設費に対する利払いを初め財政上の負担は、依然として政府の援助にもかかわらず地方公共団体の大きな負担になりつつあるわけでありますが、これに対してどのような対策をとられておるか、その対策の実情について御説明をいただきたい。
  282. 関根則之

    ○関根政府委員 御承知のように、昨年いわゆる従来の六六%方式の補助から七〇%方式の補助をつくりまして、現在その実施をしているところでございます。したがって、運輸省所管の建設補助金も昭和五十四年度では四百九十四億円という大きな金額になってきておりますし、それに見合います地方の団体の負担分につきましてはそれ相当額を交付税措置をしていく、地方財政計画に掲上いたしまして、実際には交付税措置をするというような制度をとっておるわけでございます。確かに、地下鉄事業そのものというのは、それだけで採算を完全にとるということは非常にむずかしいが、しかしその施設そのものは一つの都市の基幹的な施設として必要なものであるという考え方に基づきましてこういう制度をとっておるわけでございます。  実際にこれを各都市に当てはめてみますと、大阪であるとかあるいは札幌であるとか、こういうところはほとんど大体いけるのではないかという見通しを私どもは持っております。これは一応モデル線というものを敷きまして、通常の条件を整えている地下鉄についてはこの補助制度があれば採算がとれるということを前提にして昨年できたものでございますから、昨年できたばかりで、その実効というものが必ずしもまだ数字でつかめておりませんけれども、したがってこういう制度ができたばかりでございますので、いましばらくの間はこの制度がどういう影響、どういう効果を実際の地下鉄事業の経営に及ぼしてくるのか、その辺を見守っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  283. 佐野進

    佐野(進)分科員 審議官に対する質問は最後でが、いわゆる補助の問題の中で建設補助というものは、いまあなたがお話しのように、それぞれ進められておるわけでありますけれども、資本費補助への制度の変更、こういうようなことは実際上できるのかできないのか、この点についてお聞きして、あとは大臣の方に質問いたします。
  284. 関根則之

    ○関根政府委員 これは建設補助金という名前を使っているのですから、本来ならば道路の建設補助金とか都市計画補助金と同じように、建設段階でその建設費の三分の一なりあるいは七〇%というものを補助するのが一番望ましいわけです。ところが、現実の問題としては、財政的に国庫にも金がないという問題が実際問題として一つございます。それから、建設段階では、一応現在起債の方の資金的な用意ができておりますので、厳しい財政の中で実際の運営にうまく適合させるための制度としては、私どもは非常にいい制度じゃないかというふうに実は考えております。潤沢に一般財源があるときであれば、建設段階でごそっとつぎ込むのがいいのですけれども、実際問題として、現在ではこの方法がいま与えられている条件の中ではベストな方法ではないか、しかし本質的には金さえあれば建設段階で入れるというのが望ましいことは間違いない、こう思っております。
  285. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、いま私ども質疑を通じていろいろ御認識をいただいたものだと判断をするわけですが、そこで幾つかの点について、考え方の基本的な問題だけひとつお聞かせをいただきたいと思います。  先ほど申し上げました大都市における公共交通優先制度というものは、いわゆる一般的なモータリゼーションの形の中でますます過密化しようとする路上交通の混雑の中で、都民の足、市民の足を守るという見地からするならば、当然とらなければならぬ措置であろうと思うのでありますが、国家公安委員長の立場にもある大臣がこれについてどう考えられるかが一点。  第二点としては、先ほどお話しのありましたように、いわゆる行財政における援助は自治省は積極的に行っておられるわけでありますが、なおしかし、それでも現状の状態の中においては累積赤字が、公営企業という名のもとに呼ばれれば一兆円、都市交通という名のもとに呼ばれても数千億、まあ三千数百億になると思うのでありますが、このような膨大な赤字を抱えておるという状況の中で、今後どのように処置をされていかれるかが第二点。  第三点といたしましては、先ほど言ったバスとか地下鉄とか、やはり現実にもう赤字を覚悟でその事業を行いつつある地方公営交通に対して、大臣としてはどのようなお考えをもって今後対処されようとしているのか。  以上三点をお聞きして、質問を終わります。
  286. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 公共交通優先の問題につきましては、私はもうお説のとおりだと考えております。したがって、警察当局に対してもそのような方向でさらに積極的に努力するように指示をいたしておるところでございます。  それから、財政援助の点につきましては、審議官からいろいろと御説明申し上げましたように、三番目の問題も関連している問題でございますから一括してお答えいたしますが、やはり国鉄の場合と非常によく似ておりまして、企業努力を幾らやってもどうしても手に負えない部面があるわけですね。行政路線という言葉が示しておるように、初めから採算を度外視して走らなければならない路線があるわけでございます。それが公共交通の一つの宿命であるわけでございます。したがって、企業的な努力をしっかりやってもらわなくちゃならぬのは当然のことでございますが、幾らやってもそれではカバーできない面があるということも現実でございます。そういった部面に対しては何らかの形での公的な助成がなければやっていけないわけでありますから、その点の実態の分析というものをできるだけ正確にして、公的な助成が必要なものに対しては今後とも積極的に公的助成の充実を図っていく必要がある、このように考えております。
  287. 佐野進

    佐野(進)分科員 終わります。
  288. 野呂恭一

    野呂主査 これにて佐野進君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして自治省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の審査を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後五時十三分散会