運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1979-02-28 第87回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月二十八日(水曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 藤田 義光君       青木 正久君   小此木彦三郎君       毛利 松平君    井上 普方君       木原  実君    土井たか子君       安井 吉典君    石田幸四郎君       岡本 富夫君    沖本 泰幸君       鍛冶  清君   平石磨作太郎君       中井  洽君    西田 八郎君       大成 正雄君    菊池福治郎君       小林 正巳君    山口 敏夫君    兼務 井上  泉君 兼務 井上 一成君    兼務 小川 省吾君 兼務 岡田 利春君    兼務 中村 重光君 兼務 伏屋 修治君    兼務 浦井  洋君 兼務 山原健二郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 森山 欽司君         建 設 大 臣 渡海元三郎君  出席政府委員         防衛庁長官官房         防衛審議官   上野 隆史君         運輸大臣官房長 中村 四郎君         運輸大臣官房会         計課長     熊代  健君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君         運輸省鉄道監督         局長      山上 孝史君         運輸省自動車局         長       梶原  清君         運輸省航空局長 松本  操君         海上保安庁長官 高橋 壽夫君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設大臣官房会         計課長     永田 良雄君         建設省計画局長 丸山 良仁君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 稲田  裕君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   矢部 昭治君         国土庁水資源局         水源地域対策課         長       松原 良夫君         大蔵省主計局主         計官      小粥 正巳君         大蔵省主計局主         計官      塚越 則男君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       竹内 征司君         自治省財政局指         導課長     土田 栄作君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         日本国有鉄道副         総裁      天坂 昌司君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     櫟原 利嗣君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    田中 和夫君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   藤田 雅弘君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     土井たか子君   岡本 富夫君    平石磨作太郎君   小平  忠君     竹本 孫一君   山口 敏夫君     大成 正雄君 同日  辞任         補欠選任   土井たか子君     木原  実君  平石磨作太郎君     鍛冶  清君   竹本 孫一君     中野 寛成君   大成 正雄君     菊池福治郎君 同日  辞任         補欠選任   木原  実君     新村 勝雄君   鍛冶  清君     草野  威君   中野 寛成君     中井  洽君   菊池福治郎君     小林 正巳君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     中西 積介君   草野  威君     鳥居 一雄君   中井  洽君     神田  厚君   小林 正巳君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   中西 積介君     安井 吉典君   鳥居 一雄君     沖本 泰幸君   神田  厚君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   沖本 泰幸君     新井 彬之君   西田 八郎君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   新井 彬之君     権藤 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   権藤 恒夫君     石田幸四郎君 同日  辞任         補欠選任   石田幸四郎君     岡本 富夫君 同日  第一分科員井上泉君、井上一成君、伏屋修治  君、第二分科員山原健二郎君、第三分科員岡田  利春君、第四分科員小川省吾君、中村重光君及  び浦井洋君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算  (運輸省及び建設省所管)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算運輸省所管について説明を聴取いたします。運輸大臣森山欽司君。
  3. 森山欽司

    森山国務大臣 昭和五十四年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、二十二億一千七十六万円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百九十五億一千二百三万八千円を含め一兆四千三百八十七億二千六百万一千円でありまして、これを前年度予算額比較いたしますと、比率で一五・五%の増加になっております。  次に、特別会計について申し上げます。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆三千八百九十四億五百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千百六十五億七千二百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額二百九十三億一千七百万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千九億三千七百万円余をそれぞれ計上いたしております。  また、昭和五十四年度財政投融資計画中には、当省関係の公社、公団等分として一兆六千五百二億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、まず第一に、日本国有鉄道再建を推進することといたしております。  国鉄再建につきましては、昭和五十二年十二月二十九日に閣議了解された「日本国有鉄道再建基本方針」に従って引き続き各般の施策を推進していくことといたしておりますが、昭和五十四年度におきましては、国鉄自身のなお一層の経営努力前提とし、諸般の事情を考慮して所要運賃等改定を予定するとともに、国鉄経営上の負担を軽減するため、地方交通線対策等重点を置き、総額六千百八十一億円の助成を行うことといたしております。  第二に、海運造船対策といたしまして、日本海運国際競争力の回復を図り、あわせて造船業需要を確保するため、外航船舶のうち高度合理化船及びLNG船建造融資について新たに利子補給を行う等の措置を講ずるとともに、造船業過剰施設の処理を円滑に推進するほか、船舶解撤に対する助成を拡充することといたしております。  また、船員雇用対策も積極的に推進していくことといたしております。  第三に、新海洋秩序に対応し、領海警備漁業水域監視取り締まり等海上保安体制充実を図るため、巡視船艇及び航空機整備を引き続き推進することといたしております。  第四に、交通基盤施設整備を推進するため、港湾、海岸及び空港整備につきまして、それぞれの五カ年計画を推進するための予算を大幅に増額いたしております。  また、東北、上越新幹線を初めとする鉄道整備を引き続き推進するとともに、整備新幹線につきましては環境影響評価等の調査を実施し、財源措置等についての方策の具体化に努めるとともに、これが具体化した場合には所要の手続を経て建設工事に着手できるよう措置しているところであります。  第五に、安全防災及び環境保全対策といたしましては、空港周辺対策地震火山対策交通安全対策交通被害者救済対策等充実強化を図ることといたしております。  第六に、経営改善努力している地方バス中小民鉄離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民の日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十四年度運輸省予算説明及び昭和五十四年度日本国有鉄道予算説明によりまして、御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和五十四年度の運輸省関係予算について説明を終わりました。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 藤田義光

    藤田主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 藤田義光

    藤田主査 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  6. 岡田利春

    岡田(利)分科員 予算委員会に引き続いて、若干国内航空関係についての質問を申し上げたいと思います。  初めに、昨年来円高で、航空会社ジェット燃料等円高差益というものは当然生まれたものと考えられるわけです。もちろん、昭和五十四年度は二五%の空港整備のいわば財源として税金上げる、こういう問題もございますけれども、今日、航空三社の経営状況というものは一体どういう状態にあるのか、この機会に承っておきたいと思います。
  7. 森山欽司

    森山国務大臣 国内定期航空三社の収支状況は一応順調に推移しておるようであります。
  8. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今日、日本航空では、スチュワーデスを中心にして合理化問題で労使が話し合いをしておると承っておるわけです。特にスチュワーデスの減員、そして退職をしたスチュワーデスをいわば必要な場合には臨時に雇用する、こういう具体的な提案を今日労働組合に行っているようであります。いま大臣は、航空三社の経営状況はきわめて好調に推移をしている、こういうお話でございますけれども、この点はどういう関連があるのか、日本航空の今日の会社提案合理化考え方について御説明願いたいと思うわけです。
  9. 松本操

    松本(操)政府委員 大臣先ほどお答え申し上げましたように、一般的に申しまして、航空三社の経営状態は順調と申すべきかと思いますが、御指摘日本航空につきまして見ますと、これは国際線を運営いたしております。先生も御承知のように、国際線につきましては特にアメリカ主導型の形をとってはおりますけれども、一般的に言って、低運賃政策というふうなものの広範な導入というふうなことも叫ばれておるわけでございますので、これに対応していきますためには、日本航空といたしましてもさらに体質強化改善していく、そしてこれらの国際的な競争に打ちかっていけるだけの力を持っていく必要があるのではないか。これは私どももそう考えておりますし、会社自身もそのように考えておるようでございます。  そこで、五十年のオイルショック後に、日本航空としましては社内に特別の委員会をつくって体質強化というふうなことに努力をし、その結果としてどうやら復配にこぎつけ、全般的な需要伸びということもあって、先ほど大臣お答え申し上げたような現状に来ておるわけでございますけれども、しかし、前段に私が申し上げたようなことを考えますと、これからさらに一層それを強化する必要があるだろうということで、昨年の八月に従来の社内体制を発展的に強化するという形で真剣に取り組んできておるようですが、その中の一環としまして、いま先生がおっしゃいましたように、スチュワーデスの問題が出てきておる。これは、職種間の生産性というものが長い間のしきたり等もありましてある程度アンバランスになってきている、ここら辺の均衡を保った発展を見るようにしていきたいということが主たるねらいと聞いております。私どもが報告を受けているところによりますと、三年間で大体六十七億程度経費の節減ができるのではないか、それに対しまして、一人一年で一人年と勘定しますと、九百人年程度スチュワーデスの増員を抑えることができる、それによりまして、職種間のアンバランススチュワーデスだけとは私必ずしも思いませんけれども、そういうふうな面を含めまして体質強化の一助にしていこう、そのための話し合いに入ったというふうに聞いておる次第でございます。
  10. 岡田利春

    岡田(利)分科員 そうしますと、日本航空の場合には、国内関係においては収益状況もきわめてよろしい。しかし国際線は、御承知のように今日、料金の引き下げ、こういう措置もとられているわけですから、そういう面でもちろん総合性関連があると思いますけれども、一応路線別、内外で認識をすれば、国内路線については経営状況はきわめて順調である、こういう理解でよろしいですか。
  11. 松本操

    松本(操)政府委員 国内におきましては、これも先生承知のように、日本航空幹線に就航、こういうことになっております。最近の航空旅客伸びを見てみますと、幹線伸びはむしろ頭を打ったような形でございます。亜幹線と申しましょうか、東京大阪等から重要な地方都市あるいはさらにローカル、純粋のローカル重要地方都市間の路線、こういうところの伸びが大きくなってきておる。したがって国内においても、日本航空経営のありようというものを他の三社と比較してながめました場合に、まあまあの形ではございますけれども先生おっしゃるほど国内については安定した状態であるというふうに言い切るのは多少問題があるのではないかというのが私どもの見方でございます。
  12. 岡田利春

    岡田(利)分科員 そうしますと、いま国内幹線ローカル線比較でありますけれども、今日、旅客数で言えばどういう水準にあるのでしょうか。
  13. 松本操

    松本(操)政府委員 五十一年上期、五十二年上期、五十三年上期と、上期だけでちょっとこの手元数字で申し上げますと、幹線労働ファクターが五十一年の上期に五八、五十二年の上期に六七、五十三年の上期に七二という程度伸びでございます。伸びておることも事実でございますが、一方、亜幹線等を含めましたローカルにおきましては、五十一年上期が六八、五十二年上期が七五、五十三年上期が七七、こういうふうに、常に幹線労働ファクターを上回る絶対値であって、かつ伸びもそのままの形で伸びておるという状態でございますので、数字その他、時間の関係で省略させていただきますが、いま私が申し上げたような傾向はこれからも見ていただけるのではないかと思います。
  14. 岡田利春

    岡田(利)分科員 五十一年から五十二年を比較しましても、JALの場合には前年に対して一一七、全日空の場合には一一五、それから東亜国内航空に関しては一一九、こういう数字になっておるわけです。この数字を見る限りにおいては全日空よりもJAL関係の方が伸びておるということは、数字が示しておるのでありますから、いま一つの数字もいただきましたけれども、まあまあ幹線においても順調な伸びを示しておる、こう理解するのが当然ではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
  15. 松本操

    松本(操)政府委員 旅客伸びだけについて総合的な数字で申し上げますと、五十一年から五十二年にかけての数字は、いま先生がおっしゃったように、日航が一一七、全日空が一一五、東亜国内が一二〇、丸めてそういう数字でございますので、旅客伸びだけから見ますと、先生おっしゃるようなことが言えるかと思います。
  16. 岡田利春

    岡田(利)分科員 五十一年度の三社の経常利益の内容を見ますと、東亜国内航空が三十一億二千二百万の経常利益全日空は七十八億四千万の利益JAL日本航空は六十一億三千百万、こういう経常利益が計上決算されておるわけです。したがって、こういう傾向はもう当然続いておる、こういう理解でよろしいですか。
  17. 松本操

    松本(操)政府委員 私、いま手元に五十二年度の数字と五十二年上期、五十三年上期というふうな数字を持っておりますので、それについてちょっと数字的に申し上げますと、日本航空の場合に営業収入伸びが、五十二年上期、五十三年上期、上期同士比較で七・五%、全日空の場合は一〇・四%、東亜国内の場合が一九・七%、これが上期同士の五十二、五十三の収入比率でございますが、営業費用の方もやはり伸びておりまして、日本航空が八・二%、全日空が一二・六%、東亜国内が二四・五%、こういうふうに支出の方もまた伸びておるわけでございます。経常損益で見ますと、大体日本航空で上期同士比較で一〇%、全日空一〇%、東亜国内がやや落ちておりまして、五十三年の上期が五十二年の上期に比べますと一九%減、このような形になっております。
  18. 岡田利春

    岡田(利)分科員 国内航空三社は、まだ国内航空運賃値上げ申請はしていないと思うのですが、いままでの運賃値上げ経過を見ますと、それぞれ通行税関係とかジェット料金関係あるいはまた特別着陸料新設、こういうものを上積みされた経過がずっとあるわけです。今回二五%のジェット燃料税金を引き上げるという面を含めて、しかし、いままでの動向から判断して、今年一年間は運賃値上げ申請はないと理解してよろしゅうございますか、いかがですか。
  19. 松本操

    松本(操)政府委員 ジェット燃料と申しますか航空燃料税上げは一〇〇%、倍でございまして、したがいましてこれによるコストプッシュが五%程度であろう、このように考えております。ただ、これだけの影響というふうにしぼって考えますと、五%程度コストプッシュでございますれば、それを取り上げ運賃値上げ問題を云々するということはないのではないかというのが私ども理解でございますが、たとえばOPEC関係の原油の値上げとかといった外的な要因もないわけではございません。にわかにここで、年内はないとかあるとか私が言うのは差し控えさせていただきたいと思いますが、慎重に見守っていくべきであろうかと思っております。
  20. 岡田利春

    岡田(利)分科員 過去三回の値上げの時期を見ますと、四十七年は七月、四十九年は九月、五十年は特別着陸料新設で九月、大体そういうあれが出ておるものですから、いま五十三年度末で、運輸大臣公共料金をできるだけ抑制するという立場で慎重な構えをとっておると私も理解をしておるわけですが、しかし、全体的な趨勢から言えば今年一年間見送る、そういう姿勢で航空三社にも努力をさせなければならぬのではないか、こう思うのですが、大臣の見解を承っておきたいと思います。
  21. 森山欽司

    森山国務大臣 いまのお話のとおりでございまして、私も当面、航空三社の航空運賃値上げについては考えておりません。
  22. 岡田利春

    岡田(利)分科員 昭和四十九年度の値上げ、このときには二九・三%、これが審議会の答申になって決まっておると理解しておるわけですが、この場合の二九・三%の航空運賃値上げというのは、それぞれの路線の旧料金に大体一律に二九・三%掛けて料金上げを設定した、もちろん同一路線については同一運賃だということを前提にして、そういう手法値上げを公示したものと思いますが、いかがですか。
  23. 松本操

    松本(操)政府委員 四十九年九月に行われました国内運賃改定の場合の考え方と算出の方法は、先生のおっしゃいましたのと多少違いまして、四十九年度を平年度といたしました場合の必要経費というものを、これは会社別にはじいております。企業別にその経費をはじきましてそれに適正利潤を乗せる、それだけの収入が必要だという仮定数字が出てまいります。一方、運賃値上げをしないままに放置した場合にどのようになるかということを、また仮定計算をいたしますと数字が出てまいります。それの比率を一応基本的な値上げ率というふうに設定をいたしました。ただ、それを路線別に全部掛けたわけではございませんで、路線路線ごとに一応の路線別計算もしておき、あるいは当該路線の固有の事情というふうなものも十分に比較考量いたしました。基準の値上げ率というものを一応持っておきながらも、個々の路線ごと状況を勘案して、適宜それを伸ばしたり縮めたりした形で適用していったというやり方をいたしております。
  24. 岡田利春

    岡田(利)分科員 きのう政府委員資料上げておきましたけれども、こっちの方の資料ジェット料金を含めて計算した資料です。こっちの方はジェット料金を除いて計算した資料であります。そこで、これは全日空東京から高松国内航空東京から徳島、当然徳島の方が五百五十八キロで、高松が六百三十五キロでありますから、非常に短いわけであります。どちらもYSが飛んでいるわけです。したがって、キロ当たり料金計算をすると、高松は二十二円二十銭、徳島は二十五円二十七銭なのです。そして路線別収入は、昭和五十一年度の実績でありますけれども高松は四億一百万、徳島路線は四億八千一百万、こういう路線収入があるわけですね。同じYSが飛んでいるわけです。したがって、収人的に見ても国内航空徳島の方が高いわけです。にもかかわらず、高松徳島比較すると、高い徳島が二十五円二十七銭で、実に三円七銭のキロ当たり運賃の差がある。これはどういうぐあいにごらんになっておるでしょうか。
  25. 松本操

    松本(操)政府委員 高松徳島のようなYS路線で五、六百キロというところは、YS路線としてはどちらかといえばいい方でございます。いい方ではございますけれども先生承知のように、YSという航空機採算性は非常に低うございますので、そういう意味において、いまお示しになりましたような数字は、まあそんなことではないか、その程度数字になってくるのではないかというふうに思います。  そこで、賃率が何で三円違ってくるかということを考えますと、徳島の場合の近いことというのは、実は飛行機の運航につきましてはかなりきつい面が出てまいります。同じYSでございましても、距離が延びてまいりますと採算性はわりあい上がってくる、近ければ近いほど採算性が悪くなってくる、これは一般的に言えるわけでございます。もっとも、この高松徳島は、路線を開設した時期等も違いますし、過去のいきさつ等もあって、多少の違いが根っこにあったのだろうと思います。それに、先ほど私が申しましたような手法で率を掛けていきました場合に、何がしかの配慮はしたと思いますけれども、そう大幅な修正はしないでそのまま掛けてまいります。大体似たような形で掛けてまいりますと、賃率もまさにいま先生指摘のような形で、多少のでこぼこが残ったまま来てしまうというふうなこともあったのではないかと思います。
  26. 岡田利春

    岡田(利)分科員 局長に言わせれば多少と、いとも簡単に述べられるのです。三円というものを六百に掛けると千八百円、往復で三千六百円違うということなのですよ。だから、キロ当たりにすると三円なんという数字になりますけれども、多少のでこぼこというのは私はどうかと思うのです。  二便飛んでいるのを比較しますと、それ以外に米子、これは七百十三キロありますが、路線収入が四億二千三百万円。南紀の白浜が五百四十八キロで二億八千一百万円。ここは二十二円八銭ですから、これは赤字であっても料金は安いわけです。東京から花巻が四百八十三キロ、そして収入は四億八千七百万円。徳島路線と大体同じですね。これが二十四円一銭。  航空運賃の立て方をずっと見ますと、総合原価主義、路線原価主義、それを全体の運営を考えながら、そういうことを基礎にしながら、いろいろな歴史的な経過とかそういうものを考えて決める、こういうことですが、最近の料金の決め方は、大体一律の値上げ率を掛けて料金を算定する。したがって、そのときそのときにある程度内容が検討されて修正されておれば、私はこうならなかったのだと思うのです。そこに問題があるのじゃないのか。徳島高松の場合には、全日空国内航空の違いがもちろんあります。しかし、先ほども示されておるようにローカル線も順調に伸びておりますし、空港整備に従って機材の整備あるいは飛行機のジェット化、こういうことも進んでおりますし、そういう関係から言えば、いまこの是正を図っていく、できるだけバランスをとる、全路線的にバランスをとっていく、こういうことがどうしても必要ではないか、調べれば調べるほどそういう感じがするのです。予算委員会で承ったのですけれども、もう一度見解を承っておきたいと思います。
  27. 松本操

    松本(操)政府委員 予算委員会のときにもあるいは御説明申し上げたかと思いますが、航空運賃の場合には、国鉄のように賃率というものが先にあってそれに距離を掛けていくという形を、従来必ずしもとってこなかったという面はございます。そこで、どちらをとるのがいいのか、あるいは総合原価主義と路線原価主義とをどのように絡ませていけばいいのか、これは先生の御指摘もございましたように、非常にむずかしい問題であろうかと思います。ですから、現在のやり方が非常に適切であるとも私、必ずしも申し上げる気はございませんので、そういったような矛盾が起こっているところ、過去に歴史的な経緯はありながらも現在は話が変わっているというふうなところ、そういうところは当然積極的な改正を考えていくべきであろうかと思います。  ただ、航空輸送の場合に非常に問題になりますのは、その路線需要というものがある程度見込まれること、そこを飛んでおります機材によりまして機材の収益性というものにかなり差があるということ、それから、これは私どもも直接絡んでくる問題でございますけれども空港整備状況というものがどちらかといいますと需要伸びの後追いの形になるものでございますから、必ずしも適切な機材をその路線に投入できないというふうなジレンマもございます。ですから、そういう点は十分に踏まえながらも、先生おっしゃいましたような、旅客の側から見て極端に不公平感が出てくる運賃設定の仕方というのは是正さるべきであろうかと思いますが、いずれにしましても、御趣旨をよく踏まえながら、そういう方向で慎重な研究をしてまいりたい、こう存じます。
  28. 岡田利春

    岡田(利)分科員 東京−名古屋路線というのはボーイングB2が飛んでおるわけですけれども、これは一便ですね。運賃収入は、私の手元資料では二億一千六百万円です。全日空です。これが一番安いわけです。キロ当たり十三円四十五銭なのです。もちろん一番高いのはキロ当たり五十四円二十九銭、これは奄美大島ですか、三十五キロですから、こういうところが高くなることはわかるのですけれども、十三円と五十四円という差があるわけです。名古屋の路線が一体なぜ十三円四十五銭なのかというのは、理解に苦しむわけです。こういう点なんか極端なアンバランスの象徴として私は申し上げたわけなんです。しかも収人的に見ましても、B2が飛んで二億一千六百万円。先ほどYSが二機飛んで、距離の関係もありますけれども、そういう比較論から言っても、これが採算路線であるということになれば、まだまだ是正しなければならぬ面がある象徴的な路線ではなかろうか、こう思うのですが、いかがですか。
  29. 松本操

    松本(操)政府委員 まず最初に例示されました東京−名古屋というのは、これは非常に特殊な路線と御理解いただきたいのでございまして、実は新幹線が走るようになりました時点で、在来東京−名古屋にございました路線というのは一たんとまってしまったわけでございます。しかし、そうは言いながらも、地元の方の強い要望等もあって復活してきた、こういう経緯がございますので、新幹線運賃との格差と申しますか対比をどの程度に抑えるかという問題も考慮せざるを得なかったという経緯がございます。それから奄美の五十四円という賃率、これはローカル採算性が悪いから上がっておるのだという見方も、もちろんあるわけでございます。しかし、そういったようなところであるからこそ島民の利便性を考慮してもっと下げるべきではないかという議論もございましょう。ここら辺のところは十分に研究すべきかと思うのでありますが、全般的には、距離が短い方が高くて遠い方が賃率が下がるという、わりあいきれいなカーブになっておりますけれども、ただ、カーブの幅が非常に広いものですから、上と下とをとりますと、先生指摘のようないろいろなでこぼこが出てくるということは否めません。その点については、先ほど来お答え申し上げているように、今後の研究課題にしたいと思います。
  30. 岡田利春

    岡田(利)分科員 いまの答弁のとおり私も、短いところと千キロ以上もあるところでは当然違ってくることは常識的に理解できます。ただ、短距離、三百キロ前後、六、七百キロ前後それから千キロ前後と大体四つぐらいに、ブロック的に路線を見ますと分かれるのじゃないか。そういう一つのグループ的なものを理解しながら、そして料金を国民がわかりやすいように是正していくという手法をとれば、大体原価主義の原則にのっとっても相当程度是正できるだろう、こう思いますので、これはいますぐやるというわけにはいかぬでしょうから、運賃改定の時期、そのときにはぜひお忘れなく、審議会でも鋭意汗を流してもらいたいということを強く申し上げておきます。  同時にもう一つは、どうも路線の話をするといろいろなあれがあって、政治的なあれもあるんでしょう。しかし私は、いまの路線の認可の仕方というものについて一つの疑義があるわけです。それぞれ各社の経理状況によって運賃等が決められていくということになりますと、赤字路線を無理して認可する必要はないじゃないか。たとえば釧路にはすでに全日空を一便認可したわけですね。あれはドル箱路線だから入りたいということで入ってきたのでしょうけれども、一方、国内航空の方は長崎なら長崎に入る。幹線にも一便ずつDC9が飛んで赤字である。こういう点を考えますと、運賃競争になるならば私いいと思うのですよ、運賃競争がない。サービスが違うではないかと言ったって、航空会社のサービスですから、サービスも余り競争があるとは言えないと思うのですね。あと飛行機が違うだけですね。飛行機は大体、型は飛行場の滑走路の距離によって決まるというものですから、ほとんど競争がない世界だ、こういうぐあいに受け取っていいのではないか。そうしますと、いままでの延長線上で路線の認可をやって、四便も五便も飛んでいるところにわざわざ一便を入れさせる、こうなっていくと、そこは必ずマイナスの面が出てくると思うのですよ。だから、三社体制というものを堅持するとするならば堅持するなりに、一つの原則を打ち立てる必要があるのではないか。あるいはまた、進んでちょっと中期的に考えるならば、三社体制がいいのか、国内の場合には二社の体制がいいのか、そういう問題まで、ずんずんずんずん旅客数は多くなっていくわけですから、空港整備されていくわけですから、そういう問題を私は避けて通ることはできない状態が必ず来る、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  31. 松本操

    松本(操)政府委員 四十五年の閣議了解というものが、いま私ども航空行政を行います場合の一つの指針になっているわけでございますが、その中には先生御案内のように、原則として同一路線を二社で運営するという競争の原理の導入ということが入っております。ただ、いかに競争の原理といいましても、一社一社、一便一便入っているというようなのが妥当かどうかという議論がございます。そこで、ある程度の便数があって、さらに同一会社をもってその便数の増加を図っていく場合に、そこに独占の弊害が起こらないかどうか。さらにもう一社を入れることによってそこに競争の原理が導入できるのであればダブルトラックに踏み切るという形を従来もとってきたつもりでございますが、入れる場合にはやはり、いま例示的にもおっしゃいましたけれども、五便のところに一便とか、三便のところに一便とかいう形で当初は入らざるを得ない面もございます。  ただ、一つ、私どもこういうことを考えておりますのは、その路線だけでの収支云々ということだけにこだわりませんで、新しくそういう幹線なり亜幹線なりに競争関係で入ってくるということを前提に、その両端末から自社が持っておりますネットワークへのつなぎを積極的に図り、全体の旅客サービスの向上を図っていく。従来は異なった会社間の乗り継ぎであったものを同一会社の乗り継ぎ便に切りかえることが可能になる、その点サービスが向上するとかいうふうな面も含めての全体的な努力というものを私どもは期待したいと思っております。現在までのところ、ダブルトラックが全部成功しているかどうか、こうおっしゃいますと、全部成功しておりますとは必ずしも言えないかもしれませんが、しかし、先生例示なさいましたのとは逆に、後から突っ込んだ割りには非常に伸びておる、ロードファクターも七十幾つという高い数字になっておるという路線もございますので、今後御指摘の点をよく考えながら、そういう点も指導してまいりたいと思います。
  32. 岡田利春

    岡田(利)分科員 現在の国内航空網の状況から言えば、JALから全日空に引き継ぎ乗っていくとか、これは可能なわけですね。もう少しこれも研究する余地があるのではないか、国際線的に研究する方がいいだろうと私は思う面があります。ですから、そういう面から考えますと、これからのわが国の日本列島における航空網の一つの幹線ビジョンというものを前提に置きながら、描きながら空港を建設し、そして地域のニーズにも即応していくという努力をなされていくんだと思うわけです。たまたまロッキード事件とかグラマンとか、飛行機にまつわると何かきな臭い感じが非常にし、国内路線の場合にもどうもそういう過当な、行き過ぎた競争といいますか、路線の突っ込み、こういう懸念もわれわれ、しばしば耳にいたしておるわけです。きょうは時間がありませんので、ひとつ明朗な国内航空体制を築いていく。日本列島という宿命からいって、この航空機というのは国民の足なんだ。ですから、そういう意味で、わかりやすい運賃、そしてまた便利なネットワークをつくる。単に自社だけのエゴで線を結ぶという考え方はむしろ悔いを残すのではないか、私はこう思いますので、せっかくの御検討を願い、大臣の答弁を聞いて終わりたいと思います。
  33. 森山欽司

    森山国務大臣 当面、航空三社の経営収支状況は好調のようでございますから、私どもは、いろいろ問題はありますけれども運賃改定は当面考えておりません。しかし、いま現行運賃に、ただいま御指摘になりましたようないろいろな問題がございますから、そういう点につきましては、ひとつ今後の問題として十分検討させていただきたいと思います。
  34. 岡田利春

    岡田(利)分科員 では終わります。どうもありがとうございました。
  35. 藤田義光

    藤田主査 以上で岡田君の質疑は終了いたしました。  次は、土井たか子君。
  36. 土井たか子

    ○土井分科員 私は、大阪国際空港航空機公害に関する問題について、きょうはその一端をお尋ねしたいと思うのです。  先日、運輸大臣もご承知のとおりに、航空局の方から、国際空港における「航空機騒音に係る環境基準の五年改善目標の達成状況について」という内容が発表されました。これについては環境庁から環境基準値というのが示されて、これについて中間目標値を達成するという時期が昨年の十二月であったはずであります。本来ならば昨年の十二月にこの内容というのは出されるべきところが二月に出されているわけでありますが、これはどういうわけで延びたのでございますか。地域の住民の人には昨年の十二月に出しますという予告を、また約束と申し上げてもいいかもしれませんが、されていたようでありますが、どういうわけで延びたのですか。
  37. 松本操

    松本(操)政府委員 先生指摘のように、昨年の十二月二十七日をもって中間目標の達成の日が来たわけでございますが、全国的な評価を私どもの手でまずやるべきではないか、そのやり方等について、当時すでに準備の段階にはございましたけれども、やはりより正確を期したいというふうなこともございまして、多少時間がかかった、それが、十二月の日にちが来ました直後にできませんで二月にならざるを得なかった唯一の理由でございます。  地元の方に早々にもう発表するよというふうなことを私どもとしてはお約束したということではなくて、実は九月に、地元の御協力を得て数十地点で騒音の実測をいたしました。その実測値の説明を実は十二月の二十六日に地元の方にしたわけでございます。そのときに、こういうようなことも念頭に置いて評価をしますということはお話をしたはずでございますが、特に一部の報道陣の方からいつやるんだというふうな御質問がございまして、できれば来年の一月いっぱいぐらいにはしたいというふうなことを当時担当者が答えた事実はございます。したがって、多少延びましたけれども、一応私どもとしてはいまの時点でできるだけの努力は尽くしたというふうに考えておりますが、今後ともそういう点抜かりのないようにしたいと思います。
  38. 土井たか子

    ○土井分科員 そういう御事情、できたら、従前住民の方との話し合いの中で話題になったわけですから、住民の方に対する説明なり、これに対しての内容のいろいろ理解を求めるための努力というのをやっていただく必要がやはりどうもあるようです。従来、大阪空港周辺の激甚地域では、運輸省航空局との間でいろいろと話し合いというのが進められてきたといういきさつもありますから、こういうことについて今後ともその御努力を、この場を通じてもう一度再要請したいと思うのですが、これはよろしゅうございますね。
  39. 松本操

    松本(操)政府委員 この資料につきましては、たとえば十一市協でございますとか、特に関係の深い市当局でございますとかいうところには御説明をいたしましたけれども、いわゆる調停団とかそういうふうなところまでは実は行き渡らなかったかもしれません。先生指摘の点については、今後とも十分に参考にさせていただきます。
  40. 土井たか子

    ○土井分科員 それではまず、この内容に入ってちょっとお尋ねしたいのですが、一つは改善目標の達成状況の点検方法、あと一つは対策の問題でございます。  先にこの点検方法の方からお尋ねを進めますが、文面によりますと、表題は「航空機騒音に係る環境基準の五年改善目標の達成状況について」という方の文面も、大阪国際空港について同様のことを内容としている文面も、これは同じことなんでありますが、「従来の騒音コンター計算プログラムを改良した新プログラム」と書いてありますが、この新プログラムというのはどんなものなんですか。
  41. 松本操

    松本(操)政府委員 従来のプログラムは、わりあいに飛行機の飛び方を単純なラインでとらえて勘定するようにいたしておりました。それから飛行機の機数等につきましても、これは先生十分御案内のように、環境基準は平均的なということになりますので、それをどのように入れていくかという問題もございます。それで新プログラムと申しますのは、飛行機の飛び方について従来の知見をもとにいたしまして、かなり複雑な、たとえばカットバックをするとかそういうふうなものも十分コンピューターの中で処理できるように改善をいたしますとともに、扱います機数についても、平均的な機数というものがより端的に扱えるような形に組み直しておるというものでございます。
  42. 土井たか子

    ○土井分科員 聞いていてわかるようなわからぬような中身なんでありますが、なかなかむずかしいです。ただしかし、今回のこの達成状況の点検をなさるに先立って、先ほども御答弁の中で少し触れられましたけれども、実測をなすっていらっしゃるわけですね。実測はいつなすったんですか。
  43. 松本操

    松本(操)政府委員 昨年の九月六日から九月十三日までの八日間でございますが、実質測定を実施いたしました日は六日間でございます。
  44. 土井たか子

    ○土井分科員 実際に測定をなすった日数は六日というただいまの御答弁ですが、その調査結果の概要というのが、十二月二十六日付で航空局から文書として出されております。これを拝見しますと、「六十地点で測定を実施したが、各測定地点ごとに原測定データーからWECPNL値並びに、dB(A)の最大値及びパワー平均値を取りまとめた結果は、別紙のとおりである。」云々と書いてあるわけですね。これは従来、この環境基準を定めるに当たって環境庁の方から「航空機騒音に係る環境基準設定の基礎となる指針の根拠等について」という文書で、測定方法というのが明示されております。この測定方法のところを読むと、「航空機騒音の飛行スケジュールは、現状ではほぼ一週間単位で編成されていることを考慮し、原則として連続七日間の測定を行なうものとする。」「上記測定により得られたピークレベルおよび時間帯ごとの機数から、一日毎のWECPNLを算出し、各日の値の全てをパワー平均して求められる値によって測定結果を評価するものとする。」こう書いてあるのです。私がいただきました十二月二十六日付の調査結果の概要の中でお書きになっていらっしゃるこの測定方法と環境庁が指示している測定方法はちょっと違うのですが、どういうわけでございますか。
  45. 松本操

    松本(操)政府委員 環境庁の推奨しておりますというか、基準にしております測定方法はいま先生読み上げられたとおりで、私どもが昨年の九月に行いましたのはそれと合っておりません。御指摘のとおりでございますが、実は八日間という期間を設定した間でなぜ六日しかできなかったか、あるいはなぜ一カ所連続少なくとも六日できなかったかという点について、多少弁解がましくおとりになるかもしれませんけれども、地元の市と協力をしてやろうということで、測定点についてまず市の方の指定を承りました。それから、市の職員に立ち会っていただくということが前提の条件になりました。そういうことでやっていく過程において、たとえば土曜、日曜は市の方の御都合が悪くて困るというふうなことで測定ができなかったとか、あるいは地元の方から測定について、同じようなことばかり何回も何回もやっていてどうも気に入らぬ、こういう大変おしかりを受けまして、一日測定しただけで終わりになっているというのが実際ございます。これはうそ偽りのない正直のところを申し上げているわけであります。ですから厳密には、おっしゃるように七日間連続ということになりますが、しかし、これは非常にむずかしいので、大阪は、これも先生十分御承知のように、いわゆる逆発進と呼ばれているものもあるわけでございます。こういうものも含めて平均的な飛ばれ方のする七日間を連続してということになりますと、これは非常にむずかしいので、たとえば、連続してはかる七日の間に逆発進が入らないこともあるわけでございます。したがって、私どものやったやり方が十分なものであるとは決して申しませんけれども、ただ、環境庁の言っておりますようなやり方を実際に大阪空港に当てはめようとすると、実務的には非常にむずかしいという点も御理解いただきたいと思います。
  46. 土井たか子

    ○土井分科員 いまの御説明からすると、環境庁が指示している測定方法からしたらこれは満足していない測定方法によって測定した結果だということを認めざるを得ませんね。そして、この九月六日から十三日までの間の測定をおやりになった時点では逆発進の日は一日もなかった、これも確認をせざるを得ませんね。そういうことで九月段階では実測値をおやりになったんですが、この九月段階と、今回この達成状況の点検方法としてコンターの計算条件として述べていらっしゃる五十三年十二月ダイヤにおける機種、便数によってはかっていらっしゃる、この文章ではそう書いてあるのですが、五十三年十二月ダイヤとこの九月段階のダイヤは同じでありますか。便数とか機種ですよ。同じですかどうですか。
  47. 松本操

    松本(操)政府委員 申しわけございません。ちょっといま正確なあれがわかりませんが、トータルの便数ではほぼ変わっていないと思いますが、エアバスが九月で平均九十二、それが十二月の段階で九十九でございますので、九十九・——端数がつきますが、その程度、七便か八便ぐらいの違いがございます。
  48. 土井たか子

    ○土井分科員 これもまた不正確なんじゃないでしょうかね。このダイヤにおける機種、便数というのは同一でないと、この実測値というものを基本に置いてコンターをつくるということは、本来はおかしい状況ですよ。住民の方々は、今回発表された内容を見て、これ、何だと言われたんです。そう言われても私は不思議でないと思うのです。九月のあの実測値をおやりになった段階と今回出されたこのコンターを作成するに当たって使われた資料というのとが違うのですから、いまの御答弁のとおりに、十二月段階のダイヤにおける機種、便数、違うわけでしょう、九月のあの一週間おはかりになったときと。違うものを持ってきていろいろコンターをつくられるというのは、実際問題として、そこに住んでいらっしゃる住民の方々からしたら納得できるコンターの内容にならない、これはそうじゃないですか。これは大臣、お聞きになっていてどうお思いになりますか。
  49. 松本操

    松本(操)政府委員 先生の御指摘もごもっともではございますが、十二月の二十七日に中間目標の達成の時点がある。そこで、十二月のダイヤでその時点でどうなっているか、これはあくまで中間目標でございまして、最後のねらいは五十八年にまた七十五がございますし、その先もまだあるわけでございますので、その十二月二十七日という時点でとらえた場合にどうなっているかということです、ということはいろいろ申し上げたつもりでございます。
  50. 土井たか子

    ○土井分科員 ですから、そうすると、その時点で実測値も合ってしかるべきだと思いますね。九月にはかったものを持ってきて、十二月のダイヤの違う、便数も違うものに当てはめてやるというのはちょっと納得がいかない。だから、いろいろ空港周辺での測定についての御苦労わかりますよ。そして、条件から言うとやりづらいという条件もあることも、私は承知します。でも、これについては、どう言われても、ちょっとちぐはぐな今回の点検方法ではなかったか、これは私としてははっきり言えるように思うのです。  それで、さらに対策の方に先に行きますが、大阪国際空港の対策のところを見ますと、「低騒音機の導入、発着便数削減、発着時間規制等の対策の実施に伴い、WECPNL八十五以上の範囲はかなり縮小し」云々とずっと書いてあるのですが、この文面を見てまいりまして、この点はどうも大変ひっかかるのです。それは「現状WECPNL八十五以上の地域内世帯を対象にみると対策済み世帯は約八千八百世帯であり、これに屋外値で達成した世帯数を加えると五年改善目標の達成状況は約八四%となる。但し、居住者を対象としたアンケート調査結果等を勘案すると、移転、民家防音のいずれも希望しない者もかなりあることが予測されるため、希望者に対する措置率としてはさらに高まるものと推定される。」こう書いてあるのです。あたかも、この移転や防音に対して希望しない人は被害者の中から除外して考えると言わんばかりの物の書きようと読み取れます。  運輸大臣、ごらんになっていらっしゃるのだったら四ページの中ほどであります。大阪国際空港の方の文面からいたしますと、やはりこれも四ページの中ほどに書いてあります。  それで、まるで被害者から、この移転、民家防音を希望しない人は除外して考えられるがごとくここには書いてあるわけでありますが、これはちょっと不穏当じゃないでしょうかね。いかがですか。
  51. 松本操

    松本(操)政府委員 文言は先生のおっしゃるとおりでございますが、しかし、私どもの気持ちをおくみ取りいただきたいのでありまして、それにしても、遺憾ながら六千七百余の未措置が残されたとその後にすぐ続けて書いてございますのは、私ども自身、うまくできていないんです、やはりまずいんですということを認めた上で書いているというその心情は御理解いただきたいと思います。
  52. 土井たか子

    ○土井分科員 それならこんな要らないことは書かない方がいいです、「希望者に対する措置率としてはさらに高まるものと推定される。」なんというふうなことは。希望していない人たちは、私はここに入っていないのですねということになりますよ。  そして、なぜ希望なさらないかという点については、さらに文面を見てまいりますと、「移転補償については移転者の希望に沿う移転先の確保が困難であること」、それはそのとおりなんです。現に大阪空港周辺整備機構の方で御用意なさる代替地、移転先の用地なんというのは山の奥であって、そんなところに行ったら、交通の便利も悪い、通勤するのも大変だ。子供の学校もまたかわらなければならない。大変な経費の損失とそれから交通の不便、いろいろな不便がそれに対してつきまとうわけです。また、そこに移転するのについても、御承知のとおり借財を抱えての移転というかっこうになるということは言うまでもないことです。  その次に書いてある文面、「借家のウエイトが高く、移転補償、民家防音工事を通じて関係者の調整が困難であったこと等の事情により、このような結果となったのである。」こう書いてあるだけなんですが、この「関係者の調整が困難であった」と書いてある部分ですね、これは内容をどういうふうに把握なすっていらっしゃるのですか。どういう事情があるのか、ちょっとここでお知らせいただきたいと思います。
  53. 松本操

    松本(操)政府委員 大阪空港周辺には借家人の方が非常に多いことは事実でございまして、それで借家人の場合も、一軒の家に一世帯ということではございませんで、一つの文化住宅というふうな形で、一つのむねの中に数世帯が入っているという場合がございます。その場合には、全世帯、全借家人の方が移転を希望なさいますと、それによって建物の除却までいくことができる、あるいは全世帯が希望なさればその世帯を一つとして、一つの建物としての防音工事ができるというふうな点で、私どもはそういう点にずいぶん努力をしたつもりでございますけれども、必ずしもその四人なら四人おいでの借家人の方の完全な意見の一致が得られないとか、あるいは借家人の方と家主との間に十分な意思の疎通が得られないとかいうことで、なかなかその点が私どもの思うに任せなかったというのを、短い言葉で書いたものですから、あるいは非常に誤解を招いたかもしれませんけれども、内容的にはそういうことを言ったつもりでございます。
  54. 土井たか子

    ○土井分科員 これはいまお答えになった限りでも、私はまだそのお答えの中から聞くことができなかったのですが、実際問題、現地の方では、防音工事を受けない理由というのをいろいろ調べますと、まずは、一世帯に一室ということでは余り効果がない。五人家族でやっと二室ということが最近問題になりましたね。一世帯で一室というのでは、これは実際問題、効果がないというのが一つであると同時に、もう一つは、防音工事をやった後、これは冷暖房の設備がどうしても必要になるのです。防音装置の中での生活というのは、夏は暑いですし冬はやはり暖房が必要でございますから、冷暖房の経費が非常にかかるのです。働き手がその一家にいらっしゃる間はまだそれでも無理をしながらというかっこうもありますが、大体あの周辺に行ってみますと、お年寄り世帯というのが案外多いのです。若い、働き盛りの若夫婦ばかりというふうな家庭よりも、お年寄りがやはり多いという現象でございますから、それからすると、この冷暖房の経費は大変に負担になるのですね。こういうことから、民家防音のいろいろな指定にはなっているけれども、受けることに対してちゅうちょするといういきさつがあるという現状を、一つはしっかり知っておいていただきたいのです。  それから考えますと、この文面、いかがですか。もう一度言いますよ。「移転、民家防音のいずれも希望しない者もかなりあることが予測されるため、希望者に対する措置率としてはさらに高まるものと推定される。」というのは、そういう人たちを全部除外して考えて、希望者だけをわれわれは相手にしているのだと言わんばかりの文面に聞こえやしませんか。これはやはり何といったて不穏当だと思います。いかがですか。
  55. 松本操

    松本(操)政府委員 前段の点につきましては私どもも十分に認識をしておるつもりでございまして、特に力説のございました生活保護世帯のようなものについては何とかしたいということで努力をしたわけでございますけれども、五十四年度の予算の時点では、私どもはまだ成功したと申し上げるに至っておりません。ただ、燃料税の譲与税もふえてまいりますので、よく市の方とも一話をしながら、そういう点の運用上の手段によって問題を解決するということに今後とも努力をしていきたいと思っております。  それから、後段の方の表現につきましては、あるいはそういうふうにとられるといたしますと大変に私ども申しわけないと思うわけでございますけれども、希望のある方に対して助成をするというのが法律のたてまえでもございますものですから、そういうふうな点からこのような表現をとるような仕儀に相なったわけでございまして、私ども、決して一室、二室で十分とは毛頭思っておりませんので、五十四年度以降はいわゆる全室民防と申しますか、最高五室までというふうな人数に応じた対応もできるようにしておるわけでございます。
  56. 土井たか子

    ○土井分科員 そこで、そういう御答弁でありますから、いろいろ言いわけがましい御答弁でもありますけれども、冷暖房の経費に対しては、少なくとも生活保護世帯に対しては国からの助成ということをこの節考えつつその防音に対してのいろいろな対策を講じていただくということであってほしいと思いますが、この点の御配慮、どうですか。     〔主査退席、青木主査代理着席〕
  57. 松本操

    松本(操)政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、生活保護世帯を対象とするという点については、五十四年度の予算折衝の過程において私どもとしてはせっかく努力をしたつもりでございますが、残念ながら成果があったと御報告できない状態でございます。したがって、燃料譲与税の増額ということもこれあり、そういったような点で地元の市の方と、あるいは地方空港は町村でございますが、そういう方とのお話し合いを今後さらに続けてまいりたい、このようにも思っております。
  58. 土井たか子

    ○土井分科員 それから、今回の実測調査結果を見てまいりますと、八十でコンターが線引きされましたらぎりぎりのところになると思うのですが、伊丹市の中に荒牧という場所がございまして、従来これは、そこに居住をされている方々は一種地域に指定をされて当然だという主張をされ続けてきたわけであります。現地に私も何回か足を運びますけれども、なるほどこれは、まことに騒音の厳しい、激甚地域の中に入れて考えなければならない地域だと考えておりますが、いままでそれは外されていたわけなんですね。今回、この五年目標値達成というふうなことから、さらに向こう五年できる限り努力をされるわけでありますから、その中でこの荒牧の問題をやはり騒音指定区域の中に入れて考えていただくという措置ができないものか、これはいかがでございますか。
  59. 松本操

    松本(操)政府委員 せんだっての実測、いろいろ御指摘もございましたが、数字的に見て、八十にきわめて近い実測値が出ております。当面私どもは、八十Wを目標として次の線引きをしていきたい、こう思っておりますので、さらに、その時点においては関係府県知事の意見を聞くことに法律上もなっておりますので、そういう中で十分に地元の方の御要望にこたえられるように前向きな努力をしていきたいと思っております。
  60. 土井たか子

    ○土井分科員 これは少し蛇足ながら申し上げますと、特に逆発進のときにはあの地域というのは、〇・三から〇・五ぐらい騒音というのがプラスして考えられなければならない地域であるというのは御承知のとおりですから、その辺も加味していただいて、ひとつ御努力のほどをここでお願い申し上げたいと思うのです。  それで、先ほど来いろいろ今回の航空局からお出しになった「五年改善目標の達成状況について」という文面について申し上げてまいりましたけれども、これは要するに環境庁の方から出された環境基準に従っての達成状況が問題になるわけでしょう。したがって、環境庁が指示されている測定方法に従ってない測定結果をもってこの達成状況についていろいろ取り上げられるということ自身は一体いかがかと思うのです。これは環境庁との間でいろいろとお互いの連絡、折衝というのがおありになったのですかいかがですか。
  61. 松本操

    松本(操)政府委員 まず、前段の方のお答えを申し上げますと、逆発進の問題は、冒頭でもお答えしたように、なかなか実測がしにくい面もございますけれども、今度私どもがつくりましたいわゆる新プログラムでは、逆発進は十分に中に入れて計算できるようになっております。したがって、そういう点が十分に配慮されると思いますので、荒牧地区については、先ほどお答え申したようなことで処理できると思います。  それから、環境庁の指定している測定方法と今回の計算コンターによる評価のありようとの差異について環境庁とどのような話し合いがあり、あるいはどのように運輸省として理解しているかという御指摘でございますが、現実に実際に測定をいたしまして、これをもって年間の平均的な最も妥当な測定であるというふうに位置づけること自身が実務上きわめてむずかしい、そういうこともございますので、頻繁な実測値というものと、それから、それをなるべく忠実に再現できるようなプログラムの開発によって置きかえてまいりたいというのが私どもの当面の考え方でございます。したがって、環境庁との間でこの問題についてもいろいろ御相談はいたしております。ただ、環境庁としては、ああいう文書も出ていることでもあるし、こうおっしゃるわけでございますが、しからばどうすればそれが実行できるのですかということで細かく詰めてまいりますと、非常にむずかしい問題がある、お互いにむずかしいですねということはわかっているのですけれども、具体的な解決方法という点になりますと、残念ながら、こういうやり方でいけば環境庁の書いてあるのが文字どおり実務上の処置としてできるではないかという、両者で完全に意見の一致したところまでなかなか来ておりません。その穴を埋めるという意味において、いま私どもの方は、プログラムの方をなるべく実測値に合わしていくようなきめの細かな、飛行機の運航に対して計算機がフォローできるような形で対応をしていく、それをさらに適宜行う実測値によって修正をしていくというふうな形をとっていきたい、このように考えております。
  62. 土井たか子

    ○土井分科員 これはどうも聞けば聞くほどいろいろ言いわけがましい御答弁になってくるので、他日、またこの問題はお伺いする機会が十分に私自身あろうかと思います。  さて、話が全然違うのですが、最後に一問だけちょっと御配慮いただきたい、工夫の方法が何かないものかと私が思っている問題の一つに、国鉄幹線の線路の修理、一斉点検のための運休というのが大臣、御承知のとおりございます。これは大抵水曜日が充てられているようでありますけれども、第何水曜日というふうにきちんと決まっているわけでもなさそうであります。ときどきこの運休の事実を知らないで駅まで出かけて大変支障を来す、予定が全部崩れてしまうというふうな非常に困った状況に遭遇する方々もあっちこっち聞いてみるとあるようであります。つまり新幹線側の来る何月何日の午前中は運休しますよとか、あしたは運休しますよというたぐいのPRが不十分なんじゃないか、そのように思います。かく言う私も、そこつ者ではありますが、この運休を知らないで駅まで出かけたということがあったりいたしますので、ひとつその辺の御配慮というのをどのようにこれから払っていただけるかお伺いしたいと思います。
  63. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生指摘の新幹線の半日運休につきましては、これは新幹線の保安のためにぜひ必要でございますが、現在そのPRにつきましては、四つの方法で徹底をしているつもりでございます。  国鉄は、まず第一に全国の主要駅でポスターを掲示いたします。ちょっとそこに持ってきておりますが、わりと大きなものでございます。二番目に車内広告でポスターをつります。これは各車両ごとにやっております。三番目にマスコミ関係の御協力を得まして報道をしていただくという方法、それから四番目には特に、時刻表というのがございますね、これですが、この中に、三ページですが、一年以上前に運休日、たとえば今度の場合には五十四年度の運休日というのをあらかじめ掲載いたしまして、極力利用者の方々の利便に支障を来さないように配慮をしている、このように国鉄はいろいろ考えていることを承知しております。しかし先生指摘のように、なおこういう方法でも徹底を欠くという御批判もあろうかと思いますので、さらにいろいろな知恵を出して国鉄を指導してまいりたい、かように存じております。
  64. 土井たか子

    ○土井分科員 もうこれで終えますが、最後に、運輸大臣から一言もいただいていないということもありますから、きょう私が問題として取り上げました五年改善目標の環境基準の達成状況の問題について、航空局の方が努力はされたのですけれども努力のほどはお認めしますけれども、しかし文面から見ますと、どうもやはり関係者、何といっても激甚地域で連日被害を受けている住民の方々からすると、この辺は神経を逆なでされるような文面もあったりいたしますので、この点の整備というのはさらに必要ではないかと私自身思うのですが、いかがお考えになりますか。
  65. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほど来の御質問を承っておりまして、私もまだ十分のみ込んでいない面もございますから、ひとつ勉強いたしまして、お話の、ここでごもっともと聞いておった面につきましては、できるだけ改善するようにいたしたいと思います。
  66. 土井たか子

    ○土井分科員 終えます。ありがとうございました。
  67. 青木正久

    ○青木主査代理 次に、平石磨作太郎君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本鉄道建設公団総裁篠原武司君及び同公団理事藤田雅弘君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  この際、申し上げます。  日本国有鉄道総裁高木文雄君は、本日病気のために出席できませんので、あらかじめ御了承ください。  平石磨作太郎君。
  68. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 私は、地元高知県の阿佐線の問題についてお伺いしたいと思います。  御案内のとおり、四国には循環線がございません。そして高知県の東部におきましては、全く最低限の交通輸送の足すらないというような、鉄道交通で言いますといわば欠陥地域である。このようなことで、高知県民は阿佐線の貫通、これに悲願とも言うべき考え方でいままで対処してまいりました。このように阿佐線とかあるいは宿毛線というものが遅々として進まない、工事の進捗がまことに緩慢であるということから、県民としては焦りと怒りを持っているやさき、今回の国鉄の地方交通線問題小委員会の報告が出された、これでさらに県民は大変なショックを受けたわけです。それと、さらに追い打ちをかけるように現在運行中の中村線それから予土線、これについてももう廃止路線にするというような新聞報道がなされて、まさに大きな怒りに変わったという現状でございますが、このように中村線、予土線を廃止するという案が当局にあるのかどうか、国鉄にお伺いしたい。
  69. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生も御指摘のように、国鉄の地方交通線問題につきまして、去る一月二十四日に運輸政策審議会の小委員会から報告が出されたことは事実でございます。現在、その報告の趣旨に沿いまして、それをどのように具体化するかということについて、目下慎重に検討中でございます。したがいまして、どこどこの何線区が今度の報告のどれに該当し、また、それを行政上どのように具体化するということについては、現在のところ全く白紙でございまして、この報告の趣旨に沿って検討中ということでございます。
  70. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 この小委員会の報告はいわば運輸大臣になされたわけですが、この報告を見てみますと、国鉄延長が四万一千四百六十キロ、そのうちで九千キロ、約二一・七%の路線を対象路線として国鉄から合理化ないしは運行を廃止していく、このようないわば公共輸送の一つの革命とも言うべきものが出されたわけですが、これを大臣はどのように受けとめておりますか、大臣にお伺いしたい。
  71. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほど鉄監局長から話がありましたように、答申がありましたので、その中身はいろいろ重大な問題を含んでおりますから、したがって、その線に沿って検討してみよう、よく審議会の答申等が出ますと、これを尊重してすぐにでも実施に移すというようなことを言いがちでありますが、われわれはその意味ではもっと慎重な態度をとって、目下検討中、こういうことでございます。
  72. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 慎重に検討中……。  それから、これは新聞報道ですけれども大臣はこれを受け取ったときに、大変そっけなかったというようなことを一部新聞で見ました。だから、いまの大臣の答弁と合わせまして、少なくとも構造的な欠損路線である五千キロというものを廃止ないしは第三セクターに移す、これはもう大変なことで、当然、地元の理解も得なければできないことであるし、これを実施しようとすれば、大変なことになろうと思うので、大臣は慎重に受けとめて、私は、このことについては突き返すくらいの勇断を持っていただきたいというように思うわけです。時間がございませんので、きわめて簡単に御返事をいただきたいと思います。  それでは具体的な阿佐線、宿毛線の問題に入らせていただきますが、この工事中の阿佐線、宿毛線というものに今回のこの答申がどのように悪影響を及ぼしてくるのか、このことについて大臣にお伺いしたい。
  73. 山上孝史

    ○山上政府委員 いまの先生の御指摘、ちょっと私、正確に理解できない点がございますが、今回の一月二十四日の運輸政策審議会の小委員会の報告と阿佐線とどういう関係になるかというような御指摘だといたしますと、報告書をどのように具体化するかというのは検討中でございますが、その出されました報告書そのものに書いてございますのは、目下工事中の線区につきましても、現在営業中のいわゆる地方ローカル線に対しての対策に準じて措置すべきである、このように書いてあります。
  74. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 その報告書の、そのように準じて処置するということについて、現在工事進行中のものに即ストップがかかるのかどうか、もうやめたというところになるのかどうかをお伺いしているのです。
  75. 山上孝史

    ○山上政府委員 報告書は、まず現在国鉄が営業中のいわゆる赤字ローカル線につきまして、先生も御承知のような分類で措置をすべきである、このように言っております。さらに現在工事中のローカル線、いわゆる鉄建公団がやっておりますAB線につきましても、その扱い方に準じて措置するように、このように報告書に書いてあるわけでございます。
  76. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 答弁が出てきませんけれども影響はないと一応理解をし、そしてこの答申を受けて実施の段階に入るということになれば法改正も必要でなかろうか、こう思うのですが、大臣はこの法改正はどのように考えておりますか。
  77. 山上孝史

    ○山上政府委員 再三繰り返し同様になって恐縮でございますが、この報告書の趣旨に沿って具体策について目下検討中でございますが、その検討の結果、この中で、バス輸送の方が適切であるという路線につきまして、たとえば第三セクターが国鉄鉄道を引き受けてやりたいというようなことになった場合に、国鉄関係の営業線を無償で譲渡したりするというような道を開くべきであると報告書に書いてありますが、仮にその事項を具体化するという場合には、現在の日本国有鉄道法ではできませんので、日本国有鉄道法の改正等が必要になるかと思います。
  78. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 それは今国会に出す予定ですか。
  79. 山上孝史

    ○山上政府委員 目下報告書の趣旨に沿って具体的対策について検討中でございますので、その結果いかんによって今回会にお願いするかあるいはそうでないか、すべてその結果によるということでございます。
  80. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 それでは、この阿佐線についてちょっと実情を申し上げてみましょう。  阿佐線は、御案内のように大正十一年に予定線に編入をしております。大正十一年と言いましたら、いまから五十六年前、まさに半世紀以上の時間がたっておるわけでありますが、その間戦争という経験もありました。そして昭和三十六年に循環線ということから徳島県側、高知県側ともに起工式がなされて、四十年から同時着工という形で今日へ至っております。そのように同時着工が行われてから以来、もうすでに十四年たっておるわけです。その間、高知県側に唯一の私鉄でありました土佐電鉄が土讃線の後免駅から安芸市に至る間運行されておりましたが、鉄道用地としての買収ということで四十九年の十一月に買収され、施設は廃止になった、こういうことで全く足が失われたという経過があるわけです。そしてその間の工事進捗率を見てまいりますと、総延長が百二十キロ、徳島県の牟岐から高知県の後免に至る間百二十キロの間で路盤竣工がなされたものが後免−安芸間において一・三キロ、それから安芸から田野間において十四・七キロ、それから海部から野根に至る間四・三キロ、合計二十・三キロが路盤が竣工した、こういう状態でございまして、この百二十キロの中でわずかに一六・九%が路盤竣工がなされたという結果になっております。そして現在施工中の路盤工事が後免−安芸間で二・三キロ、それから海部−野根間で二・二キロ、合計四・五キロが現在施工中ということで、パーセントで見ましても、この十四年間にわずか一六・九%ぐらいしか進捗してない、このような状態がそのまま続くとするならば、少なくとも四十年ないし五十年かかっていく、まさに幻の線だと県民は言っております。そして二十一世紀にならないとこれができないのじゃないかというような非常な不安と怒りを持っておるわけですが、県民の言葉をかりれば、これはもう阿佐線でなくて日暮れ線だというようなことまで言われておるというようないまの状況なのです。  こういうような情勢では、今回の小委員会のこの答申、これで見ましたら、採算性のあるところのみを国鉄が担当する、そしてもう欠損地域については切り捨てていこうというような、まさに公共輸送の立場から考えましたときに、そういった地方の国民に対してはまことに切り捨て政策と言ってもいい報告がなされておるわけで、それを当局は、現在趣旨を尊重して検討中だ、こういう答弁がいまなされたわけですが、このような悲願を持っておる阿佐線について、先ほどもお伺いをいたしましたが、予算的な面、工事進捗の面でやはり検討中とおっしゃるが、今後進めていくのか、もっと促進をするのか、県民の悲願でありますが、どうなるか、その辺、もう一回簡単にお答えいただきたい。
  81. 山上孝史

    ○山上政府委員 再三繰り返して恐縮でございますが、この小委員会の報告の中身といたしましては、先生もおっしゃるように国鉄再建、この再建問題は大きな問題でございますが、これだけのいわゆる国鉄再建エゴということではなくて、それも大事でございますが、同時に、その当該地域における効率的な公共輸送サービス、これの確保ということにも十分配慮しながら、それで総合的に結論を出していくべきである、こういう基本的な態度を前提としております。  なお、この阿佐線問題につきましても、これが工事中のいわゆるAB線でございますので、この小委員会の報告書の趣旨に沿って具体策について検討した結果によって、今後これをどう措置していくかということについて具体的に結論を出したい、かように存じております。
  82. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 鉄道建設公団の総裁にお伺いしますが、総裁は昨年の九月二十日、高知県に工事視察にお見えになっております。その中で、いま私が申し上げたことは十分に陳情も受けられ、住民との対話もせられ、そして工事の進捗につきましても、つぶさに御自身が歩かれて十分把握しておられると思うのです。その中で、これは新聞報道でありますが、総裁はこれらの質問に対してこのようにおっしゃっておられる。まことに県民としては非常に喜んだわけですが、篠原総裁は「国鉄は赤字というが、その大半は東海道線など幹線によるもので、ローカル線の赤字は問題にならない。国は田舎に対しても交通の便を図るのは当然だ。阿佐線沿線には人口も多い。一日も早く地域住民の足となるよう努力したい。阿佐線は他のローカル線の建設が片づいていることでもあり、今後の予算増は望めるだろう。工事の遅れで住民の不安感や不信感を強めることはまずいので、全力を挙げて推進さすつもりだ。」このように談話をなされておりますが、この談話のごとく、鉄建総裁は、いままで私と論議をした当局との間で十分にこの趣旨に沿って話し合いを持って努力をしてもらいたいがどうですか。
  83. 篠原武司

    ○篠原参考人 ただいま御質問の点でございますが、昨年九月に建設中の工事線を視察のために阿佐線を訪れまして、そのときに新聞記者にいろいろ質問をされてお話ししたことを、いま御指摘になったのでございますが、この阿佐線は、私どもとしましても、非常に大事な線だと思って、一生懸命やってきたわけなのですが、何しろ百二十五キロもの非常に長いところでございますので、これを一遍に開業するということはなかなか大変なので、とりあえずは奈半利−後免間ぐらいを早く開業したいということで、安芸−奈半利間については精力的に工事を進めてまいりまして、それから土佐電鉄については四十九年三月廃止になったものですから、これは御承知のとおりに地元の通勤通学、その他の大事な路線として高知の市内に乗り入れて非常に便利だった線でございますから、これが廃止になったら大変だということですけれども、工事をやるということを前提に置かれましてこれが廃止を運輸省で認めていただいたという形だと私は聞いておりますが、そういうような関係もあり、これは精力的に早く完成したいということでやっておりまして、その後安芸と奈半利の間は相当に工事が進んでおりますが、安芸と後免の間、土電のあった区間については少し工事がおくれておりましたが、これはあと百八十億ぐらいの工事をやれば済むのではないかということで、三十億ぐらいずつ入れれば六年ぐらいでできるのではないかというような胸算用はしております。しかしこれを、私どもとしましては、運輸省の御指示に従ってやるのがたてまえでございますから、そういう形で、いま特別会計の問題も継続審議になりましたし、運輸政策審議会の小委員会の報告もその後出たというようなことで客観情勢が変わってきておる面もございますが、しかし、これは先ほど運輸省からも御答弁のありましたように、いろいろ今後慎重に御検討をいただけるものだと思っております。私どもとしては、運輸省からの御指示を受けながら、こういう問題を処理していきたいというふうに考えております。
  84. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 いま御答弁いただきましたが、運輸省の御指示をいただきながらというような消極姿勢では私は困ると思うのです。いまおっしゃったように、部分開業、これはちなみに申し上げてみますと、高知市を中心にしまして西の方は須崎、それから東は安芸、大体四十キロのところですが、これの間にどのように影響が出て格差があるかということを申し上げてみますと、須崎の方には鉄道があります。そういう関係で須崎へ行こうとしたら鉄道を利用しますと三百四十円です。ところが、安芸の方は鉄道がありませんので、これはやはりバスに乗らないと行けない。これは七百五十円、約二・二倍かかるということですね。それから定期代、学生の定期等を見てみますと、須崎は九千二百六十円、それから安芸はバスで三万三千七百五十円とまさにもう三・六五倍という負担がかかっておる。土電がある当時は通勤圏であり、通学圏でありました安芸市の者は、現在通学についてはもう通勤圏でなくなったということから、高知市内へ子供さんを下宿させて通学さすというようなことで、私、聞いてみますと、一カ月で七万円ぐらい負担がかかる。ところが、須崎の子供さんはもうずっと通学圏ですから通っておられる。このように東部と西部とで非常な格差が出ておるというような事例等も挙がっております。  このようなことから考えましても、この部分開業ということについて、いま総裁からお話がありましたが、早期に部分開業していただきたい。大体開業のめどとしてどの程度を考えておられますか。
  85. 篠原武司

    ○篠原参考人 ただいま御質問のありましためどとしまして、部分開業しますにもあと五、六年はかかるのじゃないか、そういうことでせっかくいままで百五十億くらい投資しておりますから、早急にこの問題も処理したいと私は思っております。
  86. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 いま御答弁にありましたように、積極的にひとつやっていただきたい。運輸省の御指示によって工事担当だけという消極姿勢でなしに、予算獲得については運輸省とともに全力を挙げていただきたい、これは要望しておきます。  それから、今回の予算につきましての配分ですが、予算の配分については、鉄建公団の中でやっておられると思うのですが、どのような配分をしておられるのか、このことをもあわせお伺いしておきたい。
  87. 山上孝史

    ○山上政府委員 恐縮でございますが、いま先生指摘予算の配分ということにつきまして、正確にちょっと理解できなかったわけでありますが、五十四年度の鉄建公団の予算、たとえばAB線に幾ら、CD線に幾ら、青函連絡トンネルに幾ら、新幹線に幾らというような配分につきましては、すでにいま御審議願っております予算案の中あるいは参考資料でお示ししてございますが、そういう意味でございましょうか。
  88. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 私は、そういうことは大体わかっています。わかっておりますが、緊急度あるいはいまずっと御説明申し上げたように、大正十一年以来このようになっておるということを踏まえ、予算配分を、ただ並列的に並べるのじゃなしに、あるいはAにはこう、Bにはこう、第一グループはどう、第二グループはこうという格差をつけずに、少なくとも県民の足のない、交通ミニマムから考えても欠陥地域になっている——国鉄から過日資料をいただきましたが、これによって見ましても、高知県は全国四十七都道府県の中で最下位です。そういうようないわば交通ミニマムすらないというような状態にあるわけです。やはり予算配分というものはそこへ十分にしていただかなければなりませんが、大蔵もお見えになっていますか。——今回四百億が鉄建公団に行っており、そのうちの二十三億円は管理費だという説明をいただいておりますが、この予算はいままで出資金であった。ところが補助金という形にいま変わった。補助金ということになりますと、私、非常に心配が出てきたわけですが、全部の一つ一つの路線について事業量を査定し、それへ補助するというのか、鉄建公団が全体で工事を進めておるものへ一括して補助として出す、全体を一括した事業量として補助金を出すのかどうかお伺いしたい。
  89. 小粥正巳

    ○小粥説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお尋ねでございますが、五十四年度の予算案におきましては、鉄建公団のAB線建設費に対する助成方式を変更しております。御指摘のとおりでございますが、変更の理由といたしましては、簡単に申し上げますと、大変苦しい財政状況でございましたので、従来建設費に対する出資のほかに減価償却費相当分を事業費補助の形で支出をしておりましたが、その余裕が端的に申し上げてございませんでした。これをカットせざるを得ませんでした。もう一つ、予算編成上大変強い補助金の合理化、整理という要請がございまして、これにこたえざるを得なかったということ、最後に、出資の形式をとっておりましたが、これは無償で国鉄に貸し付けますので収益性がございません。そういう意味でも出資よりむしろ補助金の形の方が適当であろうという見直しもございました。  以上のような理由で、もちろん運輸省、公団とも十分御相談の上で助成方式を変更したわけでございますが、理由は以上申し上げたところに尽きますので、予算執行の面は、補助事業者が運輸省から十分監督をされております公団でございます。  それから補助事業の内容、これは従来と特にAB線の建設という事業の性格が変わるものでもございません。したがいまして、別の理由で助成方式を変更いたしましたけれども、事業の実施につきましては、従来と実体的に特段変わることは私ども特に予想しておりません。  いずれにしましても、予算の執行につきましては、認可予算の問題でもございますし、十分運輸省、公団と御相談をしてやってまいりたい、かように考えております。
  90. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 いまのお言葉で従来と余り変わらないということを言われましたので、そのようにお願いをしたいと思います。一つ一つ路線について、ここは工事が進捗しないから返納しなさい、この方は配分しただけ使いなさいというようなことをせられると大変困るということです。  最後に、大臣にお伺いしたいのですが、この小委員会の報告、これは私たち県民の立場から言いますと、二一・七%のローカル、これを国鉄がやって、そして大都市間の旅客輸送を第三セクターへ回すというのが本当じゃないか。だから、地方線についてはあくまでも公共性の立場から国が行うのだ、そしてミニマム的にも国は県民あるいは国民に対して足を確保してやるという立場でまさに逆にすべきじゃないかと思うが、大臣のこれからの対応について私も十分見守ってまいりたいし、大臣の最後の決断、所見をお伺いして終わりたいと思います。
  91. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほど来いろいろ御所見を伺いました。なかなかむずかしい問題でございまして、こういう席からはいかがかと思いますが、私なども地元に同じような問題を抱えております。こういう問題をどうしたらいいか、また改めてあなたとも個人的にも御相談を申し上げたい。いろいろむずかしい問題がありますから慎重に検討したい、こういうように考えます。
  92. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 終わります。
  93. 青木正久

    ○青木主査代理 次に、小川省吾君。
  94. 小川省吾

    小川(省)分科員 私は、昭和四十八年の予算分科会でこの問題を取り上げました。当時慎重に対処したいという御答弁であったわけでございますが、いままたこの問題を再び取り上げなければならない状態に至っておるわけでありますので、お願いいたしたいと思うのであります。  まず、これから私が御質問を申し上げる問題について国としてどのような認識をお持ちであるのか、最初にお伺いをいたしたいと思うのでございます。
  95. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生指摘の問題は、多分東武鉄道の妻沼−大泉線の問題だと思います。その問題といたしましては、私どもも地元の御要望、よく承知しておりますが、同時に、民営企業としての採算制の問題、これとの兼ね合いで非常にむずかしい問題をはらんだ事柄である、かように承知しております。特にこういう問題につきましては、地域住民の利害に関係する問題でございますので、当該地方公共団体、たとえば県あたりに積極的にそのような場合の対処の具体的な方策をまずお考え願うということが大切ではないか、かように存じております。
  96. 小川省吾

    小川(省)分科員 お答えいただいたとおりでありますが、まず問題のこの鉄道に関する経過を若干振り返ってみたいと思うのであります。  群馬県の東部地域には、高崎線の熊谷と両毛線の桐生とを短絡線でつないでほしいというのが年来の強い要望であったわけであります。戦時中からこの線の敷設権を持っておった東武鉄道株式会社に対して強い要請を県や地元の市町村も行ってきたところであります。昭和四十五年、四十六年当時は、東武側といたしましても、国鉄や地元市町村の協力を得て鉄道を敷いてもよいという考え方であったわけであります。ところが、四十七年に至って、東武側は建設案を断念して第三セクターによる構想を打ち出してまいりました。群馬県当局では専門機関に委嘱調査を行った結果、企業経営による鉄道経営はかなり困難という結論を出してまいったわけであります。そして昭和四十九年、東武鉄道運輸大臣に対して敷設権の継続を断念して廃止の申請を出したわけであります。昭和五十一年、東武は西小泉から利根川の川岸に至るまでにあった線路を撤去いたしたわけであります。地元の大泉町では、この線路敷を将来の敷設に備えてサイクリング道等をつくって、緑道として残しているわけであります。昭和五十三年二月に至って、埼玉県側に現在走っている妻沼から熊谷までの線路でありますけれども経営上の問題があるということ、赤字であるということで、東武側から熊谷市と妻沼町に対して廃止したいという申し入れがありまして、現在、熊谷市と妻沼町では町を挙げて廃止反対で東武側に対して申し入れを行っておるわけであります。  以上のような経過をたどっているこの路線の問題でありますけれども、これは一私企業である東武に任せていい問題ではないと思うのでございます。国側が乗り出して、国鉄が乗り出して両毛線の桐生から高崎線の熊谷に至るまでの短絡線として踏み切っていく以外にはない問題であるというふうに思っておるわけであります。この沿線となるであろう太田市内には、米軍が接収をしておって返還された飛行場の跡地があるわけであります。貨物ヤードとしても実は最適な場所であります。付近には東京三洋電機であるとかあるいは自動車工業の富士重工業の群馬工場等がありまして、貨物積載の需要は非常に強いところであります。この際、国鉄側が乗り出して桐生から熊谷までの路線を建設していただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  97. 山上孝史

    ○山上政府委員 ただいま先生から、妻沼−大泉線の新設問題につきまして、昭和四十七年ごろのこと、それから四十九年のことにつきまして御指摘がございましたが、それにつきましては私ども承知しております。現在、妻沼−大泉線の新設につきましては、群馬県にも東武鉄道からいろいろ相談をしたようでございますが、第三セクター等をつくって県として積極的に御協力願えるということでなかったために、現在のところ問題の区間の免許につきましては、廃止の許可を行っているわけでございます。  さらに、その次の問題の熊谷線でございますが、これの廃止問題につきましては、御指摘がございましたが、東武鉄道が地元の市町村に何らかの接触を行ったということは、実は仄聞程度には聞いておりますが、私ども運輸省といたしましては、現在の段階ではその廃止の意向について何も公式に承知はいたしておりません。今後、東武鉄道の方からその旨の意思表示があったという場合には、当該路線の輸送量、これは非常に少ないのは事実でございますが、それから収支状況、これも相当に悪化しておりますが、それから代替輸送機関の状況、地元公共団体の考え方等を十分に配慮しながら慎重に対処してまいりたいと存じます。  もう一点つけ加えさしていただきますと、先ほど御指摘の区間について国鉄ローカル線として建設したらどうかという御提案でございますが、現在、国鉄につきましては、もう先生も御承知のとおり、五十二年度の決算で八千三百億以上の赤字を出し、しかも、それは損益勘定に一般の税金からの助成金二千三百億を入れた後の姿でございますので、簡単に言えば一兆円ほどの赤字が五十二年度単年度にすでに発生しておる、一日で三十億という赤字でございます。したがいまして、国鉄再建が一番大きな問題でございますが、そのためにはむしろ現在国鉄が営業中の赤字ローカル線についてどうすべきかという問題があることでございますので、予定線にもこれはなっていないかと存じますし、新たにこれにつきまして国鉄が建設をし、その運営をするということは、国鉄の現状から言いますと、とうてい困難なことではないかと存じます。
  98. 小川省吾

    小川(省)分科員 東武鉄道ではレール等を初めとして現有の施設を国側に提供してもよいと言っているわけでありますから、ぜひひとつ国側と東武側で話し合いをしていただけないかどうかという問題であります。現在予定線にも入っていない、非常に困難な問題であるということはわかります。しかし実際問題として、先ほどもお話がありましたように、地元の熱意にもよるというふうなお話でございますから、地元の市町村としては非常に強い要望を持っておるわけでありますから、ぜひひとつ国側と東武側で話し合いをしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  99. 山上孝史

    ○山上政府委員 お話の中の熊谷−妻沼間の廃止問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、具体的にそういう話があった場合には、やはり地元の方々の利便ということを十分念頭に置いて、関係地方公共団体等の意向もよくお聞きして、どういう知恵が出るか、そこら辺で検討してまいりたいと思います。
  100. 小川省吾

    小川(省)分科員 いま妻沼線の話があったわけでありますが、東武側に事実廃止したいという動きがあるわけであります。多くの通勤通学の人たちが利用している路線であって困るわけなんですね。それで会社側としては、実は並行の陸路のバス路線を持っておるわけなんでありますから、そういう点でそういう主張をするわけなんです。国がまかり出なければ私は解決しない問題であろうというふうに思っております。ぜひこの廃止したいという東武側の意図を断念させて継続をするような話し合いを持ってもらいたい、このように思っておるわけです。まあ会社側は、太田から熊谷までの陸路のバス路線を持っておりますから廃止するということを主張するわけですが、これはバスの方が高いわけでありますから、そういう意味で何としてもぜひひとつ存続をしてほしいと思うのですが、いかがですか。
  101. 山上孝史

    ○山上政府委員 ただいま御指摘の熊谷線の廃止の問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、東武鉄道の方から具体的に公式に何ら聞いておりませんので、そのような申し入れがあった場合には、地元の意向なり関係地方公共団体の意向もよく確かめて、慎重に対処してまいりたいと思っております。  なお、この熊谷線につきましては、鉄道の実績がございます。五十二年度で一日キロ当たり千三百八十五人という輸送密度でございます。これは鉄道で一般的に申し上げますと、一日キロ当たり八千人というのが能率的な経営前提といたしまして鉄道事業として採算がとれるぎりぎりの限界でございますが、それに対しまして非常に輸送密度が低いということは事実でございますので、そこら辺も念頭に置いて、そういうお話があった場合には、慎重に検討いたしたいと思います。
  102. 小川省吾

    小川(省)分科員 国鉄によってこの線を継承していただいて、利根川を越えて大泉から太田、桐生という路線をぜひ国鉄でつくるような方向で予定線の中に入れてもらいたい、こう思っておるわけですが、太田−桐生間は現に東武が走っておるわけですから、国鉄が継承すればよい問題なのでありますので、ぜひ国側がこの件について乗り出していただきたいと思うのであります。  そういう意味で、予定線にも入っていないということでありますけれども、非常に強い要望が地元の県や市町村にもあるわけでありますから、ぜひひとつ検討をしてみていただきたいと思いますが、いかがですか。
  103. 山上孝史

    ○山上政府委員 ただいまの先生の御提案でございますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、国鉄自体再建問題に直面しておりまして、経営状況は極端に悪く、深刻な財政危機に直面しているという実情がまずございます。  それからもう一つは、これは手続の問題でございますが、これも御承知のように、そういうようなことを仮に実現する場合には、鉄道敷設法の別表を改正しまして、予定線として追加をする必要がございます。そのためには鉄道建設審議会の建議なり答申を得まして、鉄道敷設法の別表の法改正という手続がございます。  いずれにいたしましても、現在の財政危機に直面している国鉄といたしまして、そのようなことを考えるということはきわめて困難ではないか、残念ながらそう思う次第でございます。
  104. 小川省吾

    小川(省)分科員 いま局長が答えたように、きわめて困難であるという情勢については私もよくわかります。鉄道敷設法の別表の改正の問題なんですけれども、これの審議を最近なさったことがあるのですか、あるいはまた別表の予定線について最近検討したことがございますか。
  105. 山上孝史

    ○山上政府委員 鉄道敷設法の別表の予定線を追加することを検討するような鉄道建設審議会の御審議は、ここしばらくなかったと思います。  それから、予定線から工事線へ格上げするということにつきましては、昨年の十月に鉄道建設審議会が開催されまして、御答申をいただいたことはございます。
  106. 小川省吾

    小川(省)分科員 そこで、大臣に強い要請を申し上げたいと思うのですが、これは群馬県側では、地元市町村、群馬県東部全体にわたる問題として署名運動まで動き出そうというような状態にあるわけでございますので、ぜひひとつ別表の予定線の審議の中に加えていただきたい、このように思いますが、いかがでございますか。御決意のほどをお聞きしたい。
  107. 森山欽司

    森山国務大臣 小川先生が地元の問題として御熱意を込めて心配をされ、また地元の御意向を代弁される気持ちはわかり過ぎるほどわかります。  しかし、御承知のとおり、現在あります国鉄路線さえも、ローカル線ということで問題になっておるときであり、また先ほど来論議があります、すでに工事に着工しているいわゆるAB線の問題もいろいろ問題になっているときに、そうじゃない路線を、しかも先ほど来いろいろ問題がある路線をその中に入れるようにしろ、検討しろと言われましても、これはちょっと無理じゃないでしょうか。ですから、本当なら私は、こういう席でこういう御返事はしたくないのです。だから、もし許されるならば速記録から削っていただいてもいいとさえ思っている。同僚議員として気持ちはわかり過ぎるほどわかるのでありますけれども、遺憾ながら今日の実情は、それが全く許されないような状況であると思います。でき得るならばあなたのお気持ちに沿った御返事をしたいのでありますが、遺憾ながらそれと全く逆の御返事をしなければならない私の立場につきましても、どうか御理解をお願いいたしたいと思います。
  108. 小川省吾

    小川(省)分科員 きわめて困難といいますか、ほとんど絶望的に困難だという情勢については一応理解ができます。ただしかし、ぜひひとつ御認識をいただきたいのは、群馬県の東部というのは、太田市を中心にして桐生市、館林市等があるわけでありますが、現在、自動車工業を中心にした車両産業が非常に盛んな地域で、群馬県内では唯一の人口急増地帯であります。工場等も非常に多いわけでありまして、そういう意味では、仮に敷設をした場合には、他のローカル線とは全然異なる様相を呈すると私は思うのであります。ぜひひとつそういう認識を新たにしていただいて、検討をしていただくことを重ねて強く要請して、一応質問を終わります。ありがとうございました。
  109. 青木正久

    ○青木主査代理 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  110. 青木正久

    ○青木主査代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。木原実君。
  111. 木原実

    木原分科員 遅参をいたしまして、おわびを申し上げます。  きょうは時間の制約もございますので、成田のパイプラインの問題を中心にしぼりまして、御質問申し上げたいと思うのです。  私は、これまでパイプラインの問題につきましては、数次にわたりまして質問主意書その他の形で、政府の見解をただしてまいりました。恐らく百項目を超える疑念をただしてまいったわけですけれども、残念ながら、今日でもこういう事態への公団の姿勢、行政当局の対応はずさんと申しましょうか、あるいは怠慢と申しましょうか、当初の事業計画から始まって、工事の着工と言われる今日の段階まで、いろいろな変転があったわけですけれども、どうもでたらめに過ぎるという印象をぬぐえないわけです。  運輸大臣にお伺いをしたいわけですけれども、パイプラインの大方の問題は、もう解決をしたとお考えになっていらっしゃるのかどうか、その辺の御見解をお尋ねしたいと思います。
  112. 森山欽司

    森山国務大臣 パイプラインは、非常に問題が多いというふうに承知をいたしております。
  113. 木原実

    木原分科員 運輸大臣にお尋ねしたいのですけれども、今日の段階でも、私たちは、果たして万全の手だてを尽くして、ベストとまでは言わないけれども、ベターの選択をしたのかどうか、そういう疑念がぬぐい切れないわけなんです。いろいろ事件に追われたり、曲折をたどりまして新しいルートを選定をし、着工をするんだ、こういうことなんですけれども、手だての余地は果たしてなかったのか、こういう思いを新たにするわけです。なかんずく、いまだに一番肝心な、パイプライン敷設の沿線住民諸君の大方の合意を得られていない。当局としましては、千葉県と千葉市等との合意が得られた、こういう形で事態が進んでいるわけですけれども、肝心の、パイプラインに一番近いところに住まいをいたしている住民の、大方の合意を得られていない、こういう実情があるわけなんであります。しかも、これらの住民の人たちは、ある意味では無事の民ですから、特別のことで反対をしているわけではない。願わくば静安な生活がしたい、穏やかな環境の中で生活をしたい、それだけのことなんですね。ところが、いままで公団当局やあるいは行政当局の対応の中で、ある意味ではいまだに決定的な行政不信、重ねてパイプラインの敷設に対する不安というものがぬぐわれていない。それだから、私どもが繰り返しパイプラインの問題について、きょうもこうやって質問をする、こういう形になっているわけなんです。大臣の御見解を聞きたいわけですが、もっと手だてを尽くして、でき得べくんばひとつ住民の全面的な合意を得るような努力を、これからも続けてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  114. 松本操

    松本(操)政府委員 先生指摘のように、このパイプライン問題につきましては、過去において、公団の側あるいは行政の側を含めてとまで申してよろしいかと思いますけれども、御指摘のような不手際と申しましょうか、至らない点と申しましょうか、そういう点があったことを否定できないと思います。そういうことがございましたのが、現在暫定輸送によって、燃料輸送をするという状態に立ち至った、大きな理由でもあったわけでございますので、そういう点に深く思いをいたしまして、昨年の一月、新しいパイプラインのルートというものを、皆様にお示ししました以降におきましては、千葉市内だけでございますけれども、沿線の八十の自治会に対しまして、四十回を超える説明会を行いまして、その御了承を得た。もちろん中に幾つか、私は四つぐらいと聞いておりますけれども、まだ完全な御納得を得ていないというところがあるようでございますけれども、大方の御理解は得て、さらに行政当局である千葉市なり千葉県の了解、納得も得て、手続を終わった。しかし、手続が終わったから、それですべてが終わったということではございません。なお、さらに今後工事に当たっての説明会も、当然のことながら必要でございましょうし、まだ完全には納得しない、こう主張しておいでの四つの自治会に対する根気のいい説明及び了承を得るための話し合いというふうなことをしていくように、私ども公団には強く求めておる次第でございます。
  115. 木原実

    木原分科員 局長、いまの点をしかと公団にも、それから運輸省、まあ運輸省にも責任なしとしないわけですから、ここの御答弁ではなくて、いまおっしゃったことを、工事の主体を担う人たちに厳しく伝達をしてもらいたいと思うのです。  住民と話し合いをやったとおっしゃるわけなんですが、実質がないわけなんです。確かに市の機関や、幾つかの自治体とやりましたけれども、その話し合いの中身というものがほとんどない。あるいはまた、余り関係のない自治体、つまり沿線から離れたところの自治体の人たちとの話し合いは、よけいなことかもしれませんけれども、何かパイプラインとは全然関係のない施設をつくる。千葉市当局も、私どもは非常に不満なんですけれども、パイプラインの問題をてこにして、言葉は悪いのですが、新聞の表現をかりますと、たかりのようなことをやって、国からいろいろ予算を引き出した。そういうことで手続も終わり、パイプラインが進むことになったと言われても、一番不安を感じている沿線の人たちについては、どういうわけか、あの連中反対しているから、やっても話がややこしくなるからというようなことも含めて、敬遠をしがちな面がある。それでは一番肝心なところの住民の皆さんの納得が得られない。これでは将来にわたって禍根を残す。成田の本体の問題がそうであったわけです。私も頭がはげ上がって、十年も成田問題に取り組んできまして、本当にいまでも腹が立つのです。これはよけいな話でございますけれども、せっかくの機会ですから申しますが、成田の問題にしましても、一番肝心な百姓の問題がまだ解決していない。私たちが主張いたしておりますのは、成田の問題について言えば、二期工事の問題もあるでしょうが、農民諸君の問題をどうするかということなんです。あとのことは二次的な問題です。パイプラインの問題でも、一番不安を感じておる沿線住民の人たちとのコンセンサスを得られるかどうかということにしぼって、いま局長のおっしゃった、困難を排しての話し合いと、納得が得られる努力を重ねてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  116. 松本操

    松本(操)政府委員 先生おっしゃいますように、関係のない方にお話をするというようなことをしても、意味のないことでございまして、私の御説明は、多少省略いたしましたが、ちょうど千葉市内の花見川をさかのぼっていきます沿線の両側、片側一キロずつの範囲内の自治会八十ということでございますので、果たして一キロのところまで及ぶかどうかは別といたしまして、少なくともそれだけの努力は公団をしてなさしめたわけでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、現在四つの自治会において、まだ完全に納得ができないというふうにおっしゃっておる方があることも事実でございますので、こういう方々に対する積極的な説明及び納得を得るための努力、これについては、先生おっしゃいますように、私どもとしても公団の担当者をして、責任をもってさらに最大の努力を続けていくように、十分に指導をいたしてまいりたい、このように考えます。
  117. 木原実

    木原分科員 ところで、もう時間がなくなりましたので、きょうは端的に聞きたいことがあるのです。空港公団の成田パイプラインの工事費は、総額が一千六百七十一億円ぐらいになると聞いておるのですが、これは間違いございませんか。
  118. 松本操

    松本(操)政府委員 総額は一千六百七十一億でございますが、そのうちから管理費とかあるいは資金繰りの借入金とか、こういうものをとりますと、純粋の工事費として私どもが見積もっておりますのは、一千百五億円でございます。
  119. 木原実

    木原分科員 別途、予算の中身については検討する機会を持ちたいと思うのですが、私がここで申し上げたいのは、昭和四十七年に、石油パイプライン事業法をわれわれは審議をいたしました。これは通産省が主管でございますけれども、この当時、パイプラインの安全性、安定性、あわせて経済性ということが非常に強調されたわけです。当時、審議資料ともなりました政府の資料の中に、「昭和四十三年度石油流通合理化調査報告書石油パイプラインについて」、こういう資料があります。それによりますと、十年前の資料でございますけれども、大体現行の成田のパイプラインと同規模のものの建設費は、約五億三千万円だ、成田規模の約八倍の規模を有するパイプラインで、建設費は約三十八億円である、こういう詳細な計算式に基づく記述があるわけです。したがって、当時の政府委員の答弁の中には、貨車輸送に比べれば、償却中でも、少なくとも半分ぐらいのコストで上がるはずだ、こういうような説明がなされ、われわれ審議に参加した者も、パイプラインのそういう意味での合理性、経済性といったようなものを、大いにPRされたわけなんです。  ところが、それに比べて、いまも局長お話がございましたが、かなり膨大な、管理費を差し引きましても一千億円を超える工事費になった。これは一体どういうことなのか。十年前ですから、その間の物価の変動や計数の変化というものは、当然考慮に入れなければならないでしょうが、当時通産省が計算をした成田規模が五億三千万円程度。これが十倍というなら、私の方はまあそうかと思うのです。二十倍というなら、そうかと思うのです。しかし、これは二百倍ですよ。そうしますと、十年前通産省がわれわれの前に示した報告書なるもののデータの中で、架空の数字を使っていたのかと、改めてさかのぼって検討しなければならぬ、こういう疑念も生ずるわけです。  そこで、資源エネルギー庁に聞きたいのですが、十年前のものは、少なくとも計算式は、現在でも通用する可能性のある計算式かどうか、その点をひとつおっしゃってください。
  120. 竹内征司

    ○竹内説明員 ただいま先生指摘のとおり、四十三年当時におきまして、私ども、いろいろ専門家を交えまして検討いたしまして、三十八億というふうな数字をはじいたことがございます。ただ、これは非常にモデル的な計算をやったわけでございまして、特定の、具体的なことを頭に置いてやったというわけではございません。  先生の御指摘のとおり、四十三年以降、約十年の時間を経過いたしまして、その間におきましていろいろな経済の変動、社会的な事情の変更、保安に対する考え方、いろいろ変化がございます。特に、四十八年からの石油ショックの当時から、経済におきまして大きな変動があった、こういう要因もいろいろあるわけでございまして、四十三年当時描いた計算式、まあ計算式そのものは、基本的には私どもも再検討しなければいけないかと思いますが、計数そのものにつきまして、それをいま具体的に判断するというのは、ちょっと私どもといたしましても、再検討しなければいかぬと思っておるところでございます。
  121. 木原実

    木原分科員 私が聞いたのは、計算式は、コスト計算をするとすれば、今日でも通用するかどうかということを聞いたわけでございます。それはそんなに変化はないという御返答ですね。確かに当時でも、いまあなたがおっしゃったようなことは述べているのです。これはモデル的なあれだから、実際になると少し割り高になるだろう、あるいは製品パイプラインということになると、外国の例に徴しても一〇%ないし三〇%ぐらいは高くなるだろう、そういう保証はつけているのです。しかしそれにしてもと、こう言いたいわけなんです。  この機会に、私、運輸省と、それからエネルギー庁に二つのお願いがあるのです。  一つは、空港公団のパイプライン計画と比べる意味で、北海道電力の伊達火力発電所が、最近パイプラインを敷設をしたわけです。このそれぞれについて数字を出してもらいたいと思う。七項目ばかりありますが、これはきょうは用意をしていないだろうと思いますので、別途提出をしてもらいたいというお願いですけれども、一つは設備建設費用の総額、二番目は設備費に対する年間平均金利、三番目は設備償却費、四番目は税、保険、補修費等の諸経費、五番目は運転動力費、六番目は流体輸送の年間総費用、七番目は輸送原価といったようなことについて、私は何か重要な問題をはらんでいると思いますので、めんどうでもその数字をお出しいただけますかどうか、御返事を承りたいのです。
  122. 松本操

    松本(操)政府委員 エネルギー庁の方がどういう御見解か、ちょっと私わかりませんけれども、いまおっしゃったのは非常に細かい数字で、かなり仮定のものを入れませんと、出てこないのではないかと思いますので、大至急検討をいたしてみます。
  123. 木原実

    木原分科員 私は、これはまだ予算の執行に当たって問題が残るような感じがいたしますので、ごめんどうでもぜひ数字をそろえて、御教示をいただきたいと思います。  それじゃ、もう少しわかりやすいあれで、千六百七十一億円の金を投じてつくる本格パイプラインができましたときに、償却期間中の輸送コストはどれぐらいになるのか、現在行われている貨車輸送のコストに比べて、どういう比較になるのか、その辺の数字はおわかりでしょうか。
  124. 松本操

    松本(操)政府委員 これは、比較の要点が多少違いますので、直接的なお答えはむずかしいのですけれども、貨車輸送の場合には、既存の国鉄路線の上を走っておるという問題がございます。しかも運賃を別に公団が払うわけではないという形になります。こちらのパイプラインの場合には、公団がみずからの事業として輸送する、こういうことになりますので、立場が全く違います。これもいまここで即座にお答えできないのが遺憾でございますけれども、どんなようなことになるのか、それぞれの前提を置いて、御要求の点を少し勉強させていただきたいと思います。
  125. 木原実

    木原分科員 パイプラインを審議しましたときに、通産省の莊政府委員が、「パイプラインの輸送費だけを取り上げますと、国鉄による輸送を一とした場合に大体その半分近いもの、」こういう御答弁を得ているわけなんです。それは、パイプラインにすれば、安全性や安定性のほかに、経済性はうんとメリットがあるんだ、こういうことで、成田の場合も適用されておるわけですけれども、パイプライン事業法が成立をしたといういきさつがあるわけです。しかし、実際に成田にパイプラインを引いてみると、とてものことにはそのコストじゃ話にならぬということになりますと、いままでのいきさつは別にしまして、私は新しい問題が出てくるのではないか、こういう感じがするわけです。  時間がありませんので、さらにお尋ねをしておきたいわけですけれども、現に昭和四十六年に公表されました当初の計画がございます。これによりますと、これは運輸大臣の認可を受けた業務方法書に従って工事を行って、御存じのように、七割近くまでパイプの埋設を終わった工事なんです。このときの当初の見込みは四十四億円だったはずですね。初めの計画は四十四億円で、その後いきさつがあったのは私も承知いたしておりますけれども、それを踏まえても、四十四億円が何年かたったら、管理費を除きましても一千億円を超える費用になっている。これは納得のいくまで御説明をいただきませんと、納税者、特に予算委員会としては、これでよろしいのかという感じがするわけですが、いかがですか。
  126. 松本操

    松本(操)政府委員 四十六年当時の四十四億という数字は、ちょっと私、手元数字と合わないので恐縮でございますが、私の承知しております数字では、百七億という数字が当時出ておったかと思います。この時点後におきましてパイプライン事業法が成立をし、さらにこれに関します非常に詳細な技術基準ができたことは、先生承知のとおりでございます。この技術基準というものも、安全性という点にとりわけ重点を置きまして、非常に高度の技術を要求するという形になっております。その結果として、先ほど、四十三年の通産省の試算の例をお示しいただきましたけれども、この場合には大体一メートル前後の土かぶりということで、直埋、それに対して現在のパイプラインは、一メートルから二メートルの土かぶりで、しかもその中には二重管、さや管が入り、部分的には十メートルという深いところにトンネルを掘って、その中にパイプラインを入れるというふうに、安全のためには格段の工法上の配慮というものをしておるわけでございますので、それに伴って、経費が非常にふえておるという点については、抽象的で恐縮ではございますけれども考え方としては御理解がいただけるのではないか、このように考えております。
  127. 木原実

    木原分科員 変化があったという事態は私も認めないわけではありません。しかし、それにいたしましても金額のふえ方が異常だという思いがするわけなんです。そうなりますと、当然ここで最後の問題になりますけれども、現在着工しようとしておられる花見川ルート、この選定に至るまで、果たして万全の手だてがあったのかどうか。確かに安全性が強調されました。それから工事方法等も変わったでしょう。しかし、それならば選択の余地は他になかったのか、どれだけの選択の幅を持ったのか、その経過もしくはコスト面を含めた選択の中身についてお伺いをいたしたい。でき得べくんば、そういう側面についても、私はもっと住民諸君に話をして、納得をしてもらう必要があるのではないかと思うのですね。いかがでしょうか。
  128. 松本操

    松本(操)政府委員 花見川ルートの選定に至りますまでの公団の考え方といたしましては、まず安全性の確保ということを第一に置く、それから環境の破壊を最低限に抑えるようにするということ、これを次のレベルで押さえる、したがって、多少のコストアップという点については、選定要件の中に、無視するというと言い過ぎではございますけれども、多少コストがふえても、安全性、環境破壊をしないという点に重点を置いて、選定をしていったわけでございますので、結果、地形、地盤等の条件でございますとか、あるいは人家の密集地から可能な限り離れたコースでございますとか、あるいは将来、道路下を仮に通しました場合、従前の例がそうでございますが、いまはすいた道路であっても、将来相当交通量がふえてくるという場合に、保守点検が非常に困難になるのではないかというふうな点を逐一配慮いたしまして、現在のルートに至ったわけでございますので、この経緯については、いままでもずいぶんと関係の方々には御説明を重ねてきたと私は思っておりますが、さらにそういう点に抜かりがあるとすれば、一層公団をして説明努力をさせるようにしたいと思います。
  129. 木原実

    木原分科員 安全性を第一義に考えて、多少コスト面がふえてもやむを得ないだろう、こういうことで、確かにわれわれも何回かそういう話をこういう席で聞きました。しかし、ふたをあけてみますと、私どもは当初の工事費が四十四億と承っていたわけですが、仮に百億にいたしましても、十倍を超える費用にふくれ上がったということになると、別の問題が出るのではないか、私はこういう指摘をいたしているわけです。  時間が参りましたので、残念ですがこれでやめますけれども、いずれにいたしましても異常な工事費の膨張である。果たしてこれで納税者のというときざですけれども理解を得られるかどうだろうか。果たして、それならば手だてを尽くしたルートの選定をやったのかどうかという疑問が、コスト面からまた残ると思うのです。それらの点につきまして、どうぞひとつ、これからも機会あるごとに納得のいく御説明をいただきたい。あるいはまた、先ほども申し上げましたように、なかんずく住民諸君の合意を得るために、努力を重ねてもらいたいと思いますが、大臣、最後に。
  130. 森山欽司

    森山国務大臣 ただいま示唆に富む御質疑がございました。特に経費の問題で、非常な大きな差があるという問題等を、十分検討をいたしたいと思います。そしていまお話がありましたような点について、十分検討いたしまして、また改めて御相談いたします。
  131. 木原実

    木原分科員 終わります。
  132. 青木正久

    ○青木主査代理 次に、鍛冶清君。
  133. 鍛冶清

    鍛冶分科員 鍛冶でございます。  きょうは限られた時間の中で、私の地元でございます北九州空港の問題と、港湾整備に絡みます残存機雷の処理等の問題、この二点についてお伺いをいたしますので、ひとつぜひ前向きの御答弁をいただけるよう、お願いをいたしておきます。  最近、航空技術が非常に進歩してまいりまして、航空機は大型化、高速化が非常に進んでまいりまして、航空輸送の主力が現在ジェット機、こういうふうになってきておることは、もう御承知のとおりでございますが、その中で、最近、航空機の利用客というものが大変ふえてきておるという事実があると思います。これに伴って、特に国内航空輸送の、ネットワークの整備が必要になってくると考えられるわけでございますが、まず、この整備方針について、お尋ねをいたしたいと思います。
  134. 松本操

    松本(操)政府委員 先生おっしゃいますように、航空輸送は、各種輸送手段に比べまして、時間短縮の効果が非常に大きいというふうなこともございます。したがいまして、その特性というものを十二分に発揮するように、ネットワークというものを組んでいかなければならない。一方、国全体の考え方といたしまして、経済社会の進展に伴う、たとえば第三次の全国総合開発計画でございますとか、あるいは現在策定をいたしております新経済社会七カ年計画とか、こういうふうなものがあるわけでございますので、これとの整合性というものを、また十分に配意しなければなりませんけれども、それは考えながらも、航空輸送の持っております特性が、最大限に生かされるというふうな方向で、もちろん航空輸送のデメリットもございます。そういう点は解消しつつ、特性が最大限に発揮されるようにという方向で、おっしゃるようなネットワークの構成というものに、今後取り組んでいくべきではないか、こう考えております。
  135. 鍛冶清

    鍛冶分科員 ただいまの御答弁の中でも、第三次空港整備五カ年計画ということが出てまいりました。この五カ年計画は現在進行中でございますが、その進捗状況は大体どのようになっておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  136. 松本操

    松本(操)政府委員 五十三年度末までの進捗状況で申し上げますと、全体は、御案内のように九千二百億でございますが、その中に、予備費とか調整項目とかいうものがございます。これらを取ってしまって、ネットのところで予算と対比いたしますと、四八%で、やや低いようでございますが、いま御審議をお願いしております五十四年度の予算を、中に追加して勘定いたしますと、七二・五%でございますので、ほぼ四分の三近いところまで到達しているのではないか、このように考えております。
  137. 鍛冶清

    鍛冶分科員 いろいろと御答弁いただいておりますが、この第三次計画に引き続いて、いろいろと航空利用客の増加、その他いろいろな点から勘案いたしまして、早急に第四次の空港整備五カ年計画を、お立てになる必要があると思うのでございますが、この点についてのお考えを承りたいと思います。
  138. 松本操

    松本(操)政府委員 先生の最初の御指摘にもございましたけれども、五十一年度で二千八百万程度でございました航空旅客が、五十二年度には三千三百万に近い数字になっております。私どもの試算によりましても、現行の第三次五カ年計画での試算でございますが、昭和六十年には六千五百万人に達するのではないだろうか。しかもその中で、先ほどちょっと私も触れました空港のデメリット、つまり環境問題、こういうふうなものも、積極的な打開というものを、一方で進めていかなければならないというふうなこともございますので、三次五計そのものは、先ほど御答弁申し上げましたように、四年目を終わる時点において、ほぼ四分の三程度の達成率にはなるわけでございますが、微細な点、具体的な点で、現計画との乖離が出始めているというふうな認識を私ども持っております。  そこで、昨年、運輸大臣の諮問機関でございます航空審議会にも諮問をいたしまして、今後の長期計画のあり方いかんということで、目下鋭意御検討願っているわけでございます。その審議状況も踏まえまして、おっしゃるような、次の長期計画というものを組んでいくべき時期が、そろそろ来ているのではないか、こう考えております。
  139. 鍛冶清

    鍛冶分科員 昨年の新聞報道によりますと、第四次計画の素案というものを示しながら、航空審議会審議に入ったというふうなこと、いま御答弁にありましたようなことは報道されておりました。その中で、全国空港のジェット化の比率を、現在二五%程度であるものを、五〇%まで引き上げようという内容を含めて、いろいろと基本的な素案がたたき台として提出されておるようでございますが、そういった内容等について、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  140. 松本操

    松本(操)政府委員 当初、私ども五十四年度から六十年度までを考えまして、三兆を超えるような額が要るのではないかというふうな試算も、内部的にはしておったわけでございますが、御案内のように、ことしの予算の終わりました後で、昭和六十年までの七カ年計画につきましての、二百四十兆という総公共投資額を、それぞれの部門別にどういうふうに割り振るかという中間答申が、審議会からございました。これは、私どもの方の所管でなくて、経済企画庁でございますが、この中で、二兆七千五百億という数字が示されておるわけでございます。そこで、先ほど御答弁申し上げました、次の長期計画というものを私どもが組んでいく場合に、この二兆七千五百億という数字も、一つの外枠としての目安になってまいります。そこらを十分に踏まえながら、次には個々具体的な空港及び冒頭先生の御質問にございました、ネットワークをどう組んでいくかというふうなことを割り振りつつ、さらにいま非常に大きな、重要な問題になっております環境問題とか、あるいは航空安全のための今後の発展をどのように進めていくかというふうな点に配意しつつ、全体の額の中で割り振りをしていくということになろうかと思いますので、いまの時点で空港計画に幾らとか、あるいは環境対策に幾らとかという数字にまでは、まだ成案を得るに至っていない実情でございます。
  141. 鍛冶清

    鍛冶分科員 いま私申し上げましたように、新聞発表でございますが、それによれば、ジェット化については二五%を五〇%にまで引き上げるということで、報道されておりましたが、これはそういう方向でお考えになっておられるのでありましょうか。
  142. 松本操

    松本(操)政府委員 これからの航空機のありようを考えますと、やはりYSのようなプロペラ機というものは、いずれ寿命と申しますか、飛行機の寿命というよりは、経済的な寿命が来るわけでございます。これにかわるべき次の機材として、再びプロペラ機が出てくるという予測も実はなかなか持てないわけでございます。  そこで、今後のありようといたしましては、やはりローカル空港であっても、相当の需要を発生するようなところにつきましては、ジェット化対応の整備をしていくべきではなかろうか。最終的に、五〇%といまおっしゃいました数字に落ちつくかどうかは別といたしまして、少なくともそういった考え方で、現在具体的な作業を審議会の方にお願いし、私どもも具体的な案を練っておる、こういう状態でございます。
  143. 鍛冶清

    鍛冶分科員 冒頭申し上げましたように、私の地元には北九州空港がございます。二種空港の指定を受けているわけでございますが、いまお話にもありましたように、YS11型機というのが生産中止になっておりまして、近い将来に、これはもう早い機会にYS11も飛ばなくなるのではないか、こういう予測の中で、地元では代替空港といいますか、これを早期に建設したいという空気が、大変盛り上がっておるわけでございますが、これに関連いたしまして、この北九州空港についての航空需要というものの動向、これは、おわかりでございましたら、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  144. 松本操

    松本(操)政府委員 現在の北九州空港は、いまお話ございましたように、YSが二便程度就航しておる状態の、二種空港でございますので、その現状だけから将来を予測するということは、非常に危険があろうかと思います。私どもが第三次の五カ年計画の議論をいたしましたときに、実は個個の空港についても、一応のめどといたしまして、将来の輸送需要というふうなものを計算はしてございます。もちろんこれにはいろいろと前提がございまして、現在の北九州は、すでに百万都市になっておることとか、そうは言いながらも、福岡というまたこれ百万都市が近傍にあるということとか、あるいは新幹線がすでにそのころには——いまでも動いているわけでございますが、そのころにはさらに先の方まで延びていくという計画があるということとかというふうなことを踏まえまして、いろいろ仮定はございますけれども、一応はじきました数字が三百万足らず、二百七、八十万と申し上げておきましょうか、その程度数字をはじいたことはございます。
  145. 鍛冶清

    鍛冶分科員 いまお話しのように、大変に航空需要というものは多く予測されると思います。確かに私どもも、実は航空機を利用して東京、大阪にも行くことが多いわけですが、地元の方とお話をいたしましても、北九州から直接に、早く東京にジェット機の便をつくることが大切だ、やはりどうしても必要な場合には、私ども、新幹線や汽車を利用して一度福岡まで出まして、それから東京へというふうな形でせざるを得ません。それだけに、時間のロスと費用のロスというものが大変あるわけでございまして、北九州の、いまおっしゃったような二、三百万に及ぶ、相当な航空需要があると予測される中で、そういう点が北九州のいろいろな問題に、大変デメリットとして響いていることは事実である、こういうふうに思うわけです。  そういう中で、これは、空港をジェット化して、ジェット機発着を一日も早くしてほしいという強い要望でございますが、この北九州空港のジェット化についての御意見を、お聞かせを願いたいと思います。
  146. 松本操

    松本(操)政府委員 先ほど私お答えしますときに、いろいろ仮定がございますがと申し上げたわけでして、現在、福岡空港が六百万ちょっとの数字でございます。ですから、昭和六十年という時点でそれがどうなるか、八百四、五十万ではなかろうか、今度は北九州と福岡空港分を足しまして、つまり福岡県ということで地域間流動をはじきますと、まあ千百万ぐらいかな、それをどう割り振るかという問題が出てきます。  そこで、いまおっしゃいましたように、北九州空港をジェット化するのかしないのかというところが、これに大きくきいてくるわけでございます。全体的な流れとしては、これも先ほどお答えしましたように、ジェット化という方向へ進むのが趨勢であろうかと思いますが、ただ、現在の空港ということで考えますと、地形上の問題、特に騒音対策の問題あるいは滑走路を延長するとすれば、恐らく海の方にしか延長できないであろうというふうな問題、それから、わりあいに両側が丘陵、山で迫られておりますので、空域的にも非常に狭苦しいというふうなことを考えますと、現在の空港でジェット化するというのは、かなりむずかしいのではないだろうかというふうに思います。
  147. 鍛冶清

    鍛冶分科員 そこで、地元では、いま御答弁の中にありましたような問題、これはもう現空港を拡張、整備ということは、地勢的にもちょっと問題がございますし、特に騒音等の公害で、解決が非常にむずかしいというような予測もございますので、代替空港として、新北九州空港というものを海上に、余りまた沖合いでもまずいと思いますが、海上に代替空港としてぜひつくりたい、こういう意向があるわけですが、それについての運輸省の御意見を承りたいと思います。
  148. 松本操

    松本(操)政府委員 国といたしましても、北九州空港の将来のありようをどうすべきかという点に重点を置きまして、何がしかの調査費を投入して、基本的な検討はしておるわけでございますけれども、何せ先ほど申し上げたように、現空港は、地形的にも空域的にも非常にむずかしい。確かに地元に、周防灘に出したらどうだ、こういう御意見のあることも、十分承知はいたしておりますが、この周防灘というところも、また近傍に幾つかの空港がございます。したがって、騒音その他の問題は、海上空港としてもし建設可能なら、その点はよろしいかと思うわけでございますが、周辺の空港との間において、空域の処理をどうするかというふうな点、これまたかなりむずかしい問題があろうかと思います。  さらに、現在北九州市の駅と、それから福岡の駅との間は、新幹線で行けば三十分であります。そういうふうなことを考えた場合に、隣接空港との間の地上輸送というものの能力が、将来どう動くのかというふうなことも十分に踏まえてからいかないと、なかなか簡単に答えを出すということはむずかしかろうと思いますが、地元の方でも、そういったような動きがあるやに聞いておりますので、私どものやっております検討と、地元のそういった研究というふうなものも突きまぜながら、諸般の情勢、つまり、客観的な条件というものを十分に踏まえまして、そして今後結論を得る方向で、努力をしていきたいと思っておりますが、現在のところでは、まだいずれにも結論を出すに至っていないのが実情でございます。
  149. 鍛冶清

    鍛冶分科員 新空港を代替空港としてやるについても、やはり地元の意見の集約、コンセンサスと、それからその盛り上がりが必要であろうということは、われわれも十分承知いたしておりまして、御承知のように、新北九州空港建設促進期成会というものが、昨年の七月三日に誕生いたしました。これは一県、福岡県と五市、それから十二町二村という行政の方々、それから議会関係、そのほか商工会議所やら、いろいろと各界の代表が集まりまして、ぜひともこれはつくっていかなければならないというようなことで、いま発足をいたして、活発に活動も実はいたしております。私どももその顧問として入りながら、ぜひこの建設を達成したいということで、進んでおるわけでございまして、さらには漁民の皆さん方の同意とか、海上につくるということになれば、いろいろ出てくると思いますが、そういった地元でできることは、スムーズに空港が建設できますように、イギリスでも例がありましたように、ロンドンですか、空港話し合いの中で、事故もなく、争いもなく、建設されたということも聞いておりますが、そういった例にならいながら、かっちりしたものを早くつくりたいということで、最大限努力しておるわけでございますが、それに伴って、そういう意向というものを、ひとつここで改めて御認識をいただきたい。私たちより以上におわかりいただいておると思っておりますが、ぜひ御認識をいただきたいということと、やはりその位置の決定とかいうこと等になりますと、いま御答弁の中にございましたように、各飛行場との空域の調整の問題というようなことが出てまいるかと思いますが、そういったことについては、地元では、当然そういった点の調整をやるということは不可能でございまして、これは運輸省航空局の方々ともよく御相談しながら、決めていかなければならないし、新空港建設をしなければならぬだろう、こういうふうな考え方に立っているわけでございまして、そういう地元の熱意というものも踏まえた上で、ひとつ早急に位置の決定をして、その御相談には応じていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょう。
  150. 松本操

    松本(操)政府委員 先生おっしゃいますように、これから新たに空港をつくろうというふうな場合には、当然、地元と申しましても、かなり広い範囲にわたっての地元の方々のコンセンサスというものがなければ、過去の経験に徴しましても、これはうまくいくはずのものでもございません。したがって、新北九州空港につきまして、地元に広範な促進のための動きがあるということは、私ども十分に承知をいたしております。ただ、先ほど私がお答えいたしましたのは、それは承知しながらも、かなり難点も多い。難点というか、むずかしい問題点の多い飛行場であるということも、また私ども何となく気になるものですから、十分な基礎的な調査、十分な地域の方々のコンセンサスというふうなものを踏まえた上で、しかし、方向としては前向きに取り組んでいくということで、今後ともこの問題に対処していきたいと考えております。
  151. 鍛冶清

    鍛冶分科員 前向きにということで、私どもも大変ある意味での安心が出てきたわけでございますが、いま難点が幾つかあるというふうにおっしゃいました。この点について、もしここで内容的にお聞かせ願って、地元で対処できるものがあれば、われわれはそういう解決とか、難点をなくす方向でいろいろ努力もしていきたい、こういうふうに思うわけですが、その点について、もしお聞かせ願えるのでしたらお答えを願いたいと思います。
  152. 松本操

    松本(操)政府委員 こういった場で、公式的な見解として申し上げるほど、煮詰まった問題ではないと思いますけれども、やや抽象的なことでお許しをいただけるならば、空域的な問題というのは、先生もおっしゃいましたように、地元でどうこうということはなかなか困難だろう、これは、私どもが対応していかなければならない問題だと思いますが、自然条件的な問題、つまり周防灘という海の中の、大体どの辺かという場所もまだはっきりしないわけでございますので、漁業関係が一体どういうことになるのか。これは滑走路を海の方へ延ばすということだけで、漁業権者との話し合いというものが非常に難渋した例を、私ども幾つも承知をしております。ましてや、周防灘の中につくろうという案のように伺っておりますので、そういう点については、相当の配慮が要るのではないだろうか。  それから、陸岸部とどうかしてつなげなければならないわけですが、どこからつなげていくのかということも、これは、実は海上空港としてはわが国唯一の、長崎空港の場合には、だれが見ても、間違いなくあそこにつなげるよりしょうがないというところにつながっておりますので、問題はなかったかと思いますけれども、この場合にも、具体的にそれがどういうことであるのかということは、相当詰めなければなりませんし、また、どんな形のものにしていくのか、これなどにつきましても、漁業権との関連性が、またいろいろと出てこようかと思います。  そういうふうな点を一つ一つ詰めてまいりますと、まだ私どもの調査が行き届かない問題もあるかもしれませんし、そういう意味で、難点という言葉が妥当であったかどうかは別といたしまして、いろいろむずかしい問題点を含んでいるということは、十分に御承知おきいただければと思います。
  153. 鍛冶清

    鍛冶分科員 そういった、お答えいただいた分も含めて、私どもも地元の方で話し合いながら、前向きにやりたいと思いますが、特に五十四年度から、いまお話がございました気象観測等含めて、具体的なそういう問題の調査に、ぜひ着手をしていただきたいということが一つございます。  それからもう一つは、第四次空港整備五か年計画の中にぜひとも組み入れていただいて、その中でも重点的に早く建設をお願いしたい、こういう考え方があるわけでございますが、最後に、この点をお答えを願いたいと思います。
  154. 松本操

    松本(操)政府委員 いまおっしゃいましたような点については、個々具体的な問題でございます、気象観測云々というのは。こういう点は、今後の調査のありようとして、また地元と御相談をしながら、何が重点的にまずとり行われるべきかということをよく御相談しながら、進めていきたいと思います。  それから、次の長期計画の中に、どういう形で取り込んでまいるかという点につきましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、航空審議会の方で、いま総枠の段階からだんだんと詰めをしている状態でございますので、そこら辺の状況等をよくにらみました上で、先ほどお答え申し上げましたラインに沿って、その答えを求めるようにしていきたい、このように考えます。
  155. 鍛冶清

    鍛冶分科員 空港問題につきましてはこれで終わりますが、ひとつ前向きとおっしゃったその姿勢で、地元の方からも、よくいろいろと御相談にやってまいると思いますので、ぜひひとつ御相談に乗っていただきながら、早期建設という方向で、お進め方をお願いしたいと思います。  では、あと五分ぐらいしか時間がございませんが、残り時間の中で、港湾整備並びに残存機雷の問題について若干お尋ねをして、質問を終わりたいと思います。  まず、北九州港、それから関門港、全体を含めましてでございますが、西日本における最大の貿易拠点でございますし、出入りの港湾船舶というものも、御承知のように非常にたくさんございます。その中で、やはり船舶の航行の安全、港湾の安全というものを確保する必要というのが、ずいぶんございますが、過去、御承知のように、何回か機雷等の爆破等によって、事故がございました。こういったことを含めて、昭和四十九年四月一日に、「残存機雷等に対する港湾工事等の安全確保について」という港湾局長通達が出されておりまして、この通達に基づいて、安全確保についての、港湾整備事業の工事の進め方というものがいろいろと考えられて、現在まで安全確保のために手を尽くしながら、工事がやられてきておるようでございますが、こういうやり方等について、具体的に、簡単で結構でございますから、お答えを願いたいわけです。
  156. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 簡単に御説明申し上げます。  機雷等が残存すると推定される海底におきまして、しゅんせつ工事その他、港湾工事を行います場合に、これに対する安全対策として、まず工事に先駆けて、海底を探査するということをいたしております。  その方法は、最初に磁気探査を行う。そこで異常点を検出した場合に、当該地点を潜水夫によりまして再び探査をする、そして異常物を発見しました場合、これを除去するわけでございます。そして、これが終わりました後、さらにもう一度、確認のための磁気探査をいたします。なお、異常物が機雷等の場合には、防衛庁に御連絡をして、これを除去するというようなやり方をとっているわけでございます。
  157. 鍛冶清

    鍛冶分科員 いま御答弁にありましたように、大変な手数を経て、港湾整備というものが行われているのを、事実私どもよく存じておりますが、これに伴って、御承知のように、磁気探査、機雷探査等に要する日数、それから経費、それが非常にふくれて、地方財政を非常に圧迫しておるという事実が実はございます。この費用について、時間がございませんので、要約して、結論的なお話で御質問申し上げますが、これはひとつぜひとも全額国庫負担で、特に機雷等に関する危ないものの探査並びに除去は、防衛庁の方のようでございますけれども予算というものは全額国庫で負担をしていただいて、除去していくのが筋ではないだろうか。これは地方とは関係のない、戦争という中で起こってきた問題でございますので、地方に負担をかけて、そしてその財政を圧迫するということは、筋としては方向が逆ではないか、こういうふうに私ども思っておりますが、そういう、全額国庫負担という形でぜひおやりいただきたいということで、これはできるかどうか。それから補助金の引き上げ等について、これはぜひおやりいただきたいのですが、その点のお考えを伺いたいと思います。
  158. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 ただいまの点につきましては、地元の市等から、毎年のように御要望が上がってきているわけでございます。しかし、先生承知のように、そのお考えのもとは、いわば終戦処理的なものであるというようなお考えもございまして、そういう面から私の方で、どうこうお答えできる筋合いのものではないと思います。しかしながら港湾工事につきましては、そういうことから、先ほど申し上げましたような港湾工事に伴いまして必要となる探査、これの費用は少なくともその工事費の中で、したがって、その工事の区分によるわけでございますけれども、通常の補助あるいは国庫負担という割合で工事費の中で補助対象にしていく、これが私どものやっておることでございまして、そういう立場でございますので御了承いただきたいと思うわけでございます。
  159. 鍛冶清

    鍛冶分科員 もう時間が参りましたので、要望として申し上げて終わりたいと思います。特に防衛庁からもおいでいただいて、御答弁まで時間が至りませんでしたのはおわびをいたしますが、御要望として申し上げておきます。いま申し上げたように運輸省の方では、この磁気探査等に関して、地方財政を圧迫しないように負担を軽減する、国の負担をふやすという方向で、ぜひ御努力をお願いいたしたい。それから防衛庁関係では、こういう残存機雷というものが全国的にずいぶん残っておると聞いておりますし、特に私ども地元の関門港含めて約二千個ぐらいまだ残っているというふうに聞いております。そういう意味で大変危険な海域でもございますし、防衛庁サイドでも、危険な機雷をいつまでも放置しておくということは大変な問題でございますので、国の責任で速やかに除去する、こういう方向で、ぜひともお考えを願いたい。これを御要望申し上げまして、私の質問を終らせていただきます。大変ありがとうございました。
  160. 青木正久

    ○青木主査代理 次に、中井洽君。
  161. 中井洽

    中井分科員 私は主に国鉄再建問題と幾つかの問題について、大臣あるいは国鉄当局にお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、大臣にお尋ねをいたしますが、現在の国鉄の財政状態は大変な状態にあるということは、もうこれは、だれしもが知っていることでございます。この再建に対して、国の財政援助あるいは運賃改定あるいは国鉄自身経営努力、こういったことを柱とするいろいろな再建案が過去打ち出されてまいりました。国鉄自身も御努力をいただいたと思うわけでありますが、しかし国の財政援助自体、現在の大変な財政難の中で限界がある。あるいは運賃改定自体も、改定をするたびに国鉄離れというものを引き起こしていく。こういった状況の中で残された道というのは、国鉄自身の思い切った経営努力、こういったものに頼っていく以外にないと私自身は考えておりますし、国会自体も過去数年、国鉄自身経営努力をしやすいような形での法改正を進めてきた、このように考えるわけであります。  こういう状態にあるときに大臣としては、現在の国鉄経営努力、労使の経営努力というものを率直にどういうふうに見ておられるか、お聞かせをいただきたいと思うのでございます。過日、新聞を見ますと、何か国鉄理事者のボーナス半分遠慮せい、こういう御指導を国鉄に対してしたという話でございます。これなんかも、それぐらいやらなければ再建はむずかしいぞ、こういった意味での御指導であろうかと思うのでありますが、そういったことも含めて、どのように御判断をなすっておるか、お尋ねをいたします。
  162. 森山欽司

    森山国務大臣 御承知のとおり国鉄の赤字というのは実質一兆二千億円程度になろうと思います。したがって、この立て直しをどうしてもやらなければならない。その基本的な考え方は、一昨年の暮れの国鉄再建基本方針というものが閣議了解でできているわけでございます。この閣議了解は、運輸委員会における与野党の基本的な認識のもとに立っての閣議了解でありまして、昭和五十年代に収支相償うということをめどに昭和五十五年度から本格的に手をつけよう、五十四年度にはそのやり方のめどをつけなければならぬ、こういうことでありますから、ここ数カ月間が非常に重要な時期になっておる、こういうふうに心得ております。  それはもちろん国鉄再建基本方針に従って、これから進んでいくということでありますが、一つには国鉄だけの努力では、なかなかできないような問題があるということでありまして、私はまあそのやり方が一番いいやり方かどうかは存じませんけれども、構造的欠損の問題という問題があることは私は否定しない。でありますから、国鉄努力をもってしても、いかんともしがたい問題があるというならば、それを検討するにやぶさかではありませんが、国鉄当局の努力でもって打開し得る、またしなければならない問題を論議する前提条件として、そういう国鉄努力をもってしても、いかんともしがたい問題を議論するということの意味があるのであって、何が国鉄努力をもってしても、いかんともしがたい問題であるかというようなことばかり議論して本題に入らぬということは、私ははなはだ問題ではないか。どうも従来の論議にはそういう問題があったように思われてならないのであります。  そして国鉄の責任において、経営責任において——経営責任というのは経営者もありますし、それから今日の時勢でございますから国鉄職員あるいは職員が結成している労働組合というものの名前において、やっぱり大きな責任を分担してやっていかなければならないというふうに私は考えます。  そういう点から見ますと、経営者の方も単なる勤め人でやられては困る、こういうふうに私は考えております。国鉄理事というのが十七名ですか、おるのでありますが、おおむね社会に出て自分の一生を国鉄とともに骨を埋めるつもりで、この道に入ったわけでありますから、時勢のしからしむるところもあるし、また従来のやり方が悪かった、その悪かったのが国鉄の内部だけではなくて、いろんな各方面、従来の国鉄をめぐる政治のやり方もいろいろ問題があったかもしれませんね。いろいろ問題があったでしょう。しかし、ともかく当面、国鉄経営に責任を負う理事者は、単なる勤め人根性を離れて経営者としての意識を持って、国鉄理事者として、あるいは理事者の立場にあって経営者としての仕事を果たす期間というのは一生でそんなに長い期間じゃありませんから、その期間ぐらいは死にもの狂いでやってもらいたい。  国鉄はもう民間で申せば大きな赤字会社でありまして、民間ならとっくの昔、破産しているあれでありますから、そういうところに勤めておって、それで企業計算方式が違うからとはいえ、本来ならもらうべからざる、企業経営者に利益計算の中から出すべき重役賞与に該当すべきものを、そのまま、ここで大破産会社、大赤字会社であって、ぬけぬけとボーナスをもらって、いささかも怪しまない気風というものは、これはほっておくわけにまいりませんからね。ですから、毎月の給料の何がしかを削減して、それで済むというような問題よりは、やはり経営者の立場として本来利益計算から出すべきボーナスは受け取るべきではないというふうに私は考えています。しかし、そうはいえ、年間五カ月程度もらっておるボーナスを全部カットするのもどうかと思いますし、公共企業体というのは半分親方日の丸ということでありますから、まあこれは余り理由にはなりませんけれども予算上、半分だけボーナスをがまんしてもらわなければいかぬ、したがって削るということにいたしたのであります。  私は当然なことだと思っておるのでありますが、それは額はわずかでありましても国鉄経営者が経営者精神に徹してもらう、単なる勤め人じゃないのであるということでございます。と同時に、先ほども申し上げましたように、特に国鉄関係労働組合の諸君も、このままの行き方で果たしていいのかというふうに私は考えておるのであります。  私も昨年の三月に国会議員二十五年の表彰を受けました。ですから、ことしで二十六年やっているのですが、労働基本権の問題とかストライキ権の問題というのは私の政治家としての一つのテーマであった。長年のテーマであった。それは現在でも政界における大きな問題点でありますけれども、今度運輸大臣として着任しまして、国鉄の現状というものを見まして、一体ストライキなんということを国鉄関係の組合が言うべき状況なのかどうか、私ははなはだ疑問だと思っております。これは法律上認められないというような、そういう法理論を私は言っているんじゃないのです。こういう国鉄企業体の現状というものは、そんなことが許されない現状であるにかかわらず、もしそういうことに何らの疑うところなくストライキということを言うとするならば、これはもう無責任の極致であると私は思っています。したがって、労使ともに目を覚ましてもらわなければ困ると私は思っております。  しかし、ただただやれというのもいけませんから、私としては、しかるべきときに私なりの見解を明確に表明をいたしたい。きょうは、まだその時期じゃありませんけれども、適当なる時期に、こういう状況でいいのであろうかということを特に組合の諸君には申し上げたい、こういうふうに思っています。
  163. 中井洽

    中井分科員 ただいまいただきました大臣の御見解、本当に大変すばらしい御見解だというふうに私自身は思います。どうぞ、国鉄は大変な時期でございます、御指導をお願い申し上げます。  ただ、大臣のそういうお話でありますが、ひとつ国鉄当局の方々にぜひ知っていただきたいのは、たとえば、いまお話がございましたボーナス半分カットの問題でも、新聞に出たら世間は、まだもらっておったのか、ばかにしておるじゃないか、こういう受け取り方をするほど、国鉄というのは世間から、経営自体ずさんである、だらしがないというふうに思われている。あるいはまた、つい最近、国労の方針として何か乗客にサービスをするんだ、こういう運動の提唱があった、このように載っております。これなんかも本当に二十年、三十年前に言うならともかく、いまごろになって何だと逆に、こういう国民の国鉄離れを促すような形になる、私は地方におって、こういうふうに思うわけでございます。  こういういまの状態、あるいは、ただいまの大臣お話、こういったものを受けて国鉄当局自体どういう形で経営努力というものをやっていくのか、御方針を承りたいと思います。
  164. 天坂昌司

    ○天坂説明員 御説明申し上げます。  国鉄が大変厳しい状況下に置かれていることにつきましては先ほどからのお話のとおりでございます。こういう状態の中で国鉄といたしまして何よりも考えなければなりませんのは、職員のまず再建意欲を高揚してまいりたいということでございます。それによりまして徹底的な合理化をいたしまして経費を節減すると同時に、輸送サービスの質的な向上にも努めてまいらなければなりませんし、また収入の面では、料金の弾力的な適用等をいたしまして、積極的に増収、増送を図りまして、鉄道としての特性が発揮できるというような分野へも広げて努力を進めてまいりたいというふうに考えております。  極力私どもとしましては現下の事情を認識した上で経営努力をいたしてまいるつもりでございますが、先ほどからも出ておりました構造的な欠損につきましては、これは国鉄財政という……(中井分科員「あなたの経営努力のことだけ聞いている」と呼ぶ)それでは、以上でございます。
  165. 中井洽

    中井分科員 もう一つお尋ねをいたしますが、そういう形で労働者にも毅然たる態度で国鉄再建を求めていく、こういうことでありますが、そういうお返事とともに先ほどの大臣のストに対する御見解、違法スト云々という議論よりも、現在の国鉄でストライキができる状態であるのかどうか、こういうことを率直に職員の人に問いかけたいという御見解に対して国鉄当局はどう考えているのか。  たとえば、ことしの一月、郵政で非常に年賀状がたまるという不幸なことがございました。このときに私どもは、全郵政の諸君が年賀状を配っているわけでありますが、がんばれという形で応援に行く。あるいは各局の理事者に毅然たる態度で処分をきちっとしなさいという形で話しに行く。いずれにしろ出てくる話は、第二の国鉄には絶対なりたくありません、こういう返事でございます。ストライキをおやりになるなら、おやりになるで、それは犠牲を覚悟でおやりになっておるのだと私自身は考えております。この犠牲を覚悟でやっておられるストライキというものを処分することなしに、あるいは損害賠償ということをきちっと求めるというような理事者側としての責任を過去、放棄してきたことに、私は、国鉄の労使間あるいは労働組合国鉄経営について無責任な状態になってきた大きな要素があると思うわけであります。そういった経営陣といいますか理事者側、国鉄当局側の、ストライキあるいは労働運動に対する毅然たる態度というものを望んでいきたいと思うわけでございます。特に去年の九月からだけでも違法なストライキというものが四回行われている。これらの処分の問題、あるいは損害賠償を求めるということは絶対考えないのかどうか、こういったことについてもお答えをいただきたいと思います。
  166. 天坂昌司

    ○天坂説明員 ストに対しましての基本的な構えについてお尋ねがあったわけでございますが、私どもといたしましては、ストは違法でございますし、これを認めたことはいままでございません。また、時によって多少の消長はございましたけれども、ストに対しましては、しかるべき懲戒をいたしておりますし、また、適当な関係の法律によりまして処分をいたしてまいっております。  基本的にはそういうことでございますが、事実上しからばストが減ってきておるかということになりますと、なかなか意に任せない点がございます。数字的に見ますと最近は少しずつ少なくはなってきておりますけれども、だからといって満足すべき状態であると思っておりません。きわめて長い期間の沿革的な推移をたどってまいっておりまして、私どもも、この点に関しましては毅然とした態度は崩してはいけないというふうに考えておりますし、今後もそういうことでまいりたいというふうに考えております。
  167. 中井洽

    中井分科員 私は前にも運輸の委員会でそういったお尋ねをしたときに、国鉄当局から同じような御答弁をいただいた。御答弁は御答弁で結構でございますが、各地域現場現場へ行きますと、出先の中間の、たとえば駅長さんであるとか、そういった人たちの苦労、嘆きというものは大変なものでございます。局あるいは管理局というものが毅然たる態度でやってくれないから、私らではもう手に負えない、このような言葉がどこへ行っても聞かれます。あるいはまた、国鉄へ入るのはいいけれども、助役、駅長には絶対なりたくないという言葉もたくさん聞かれます。私は昔のよい意味での国鉄一家というものを本当に築き上げてきた人たちをたくさん知っております。私はこれは日本の宝であろうというふうにも思います。新しい意味での、よい意味での国鉄一家というものが一刻も早くできるように、労使ともに御努力をいただくことを重ねてお願いを申し上げます。  もう一つ簡単に。国鉄の問題で地方線対策の問題がいろいろと話題になっております。私どもも、いま検討中という形で出ました答申の資料等をいただいているわけでございます。ある意味で先ほどの構造的な欠陥、私ども国鉄ばかりにおぶわせているわけにはいきません。思い切って賛成するところは賛成してまいりたい、このように考えますが、これらの地方線対策の実施をする状況あるいは、いまどんな準備をしておるか、こういったことについて簡単にお聞かせをいただければありがたいと思います。
  168. 山上孝史

    ○山上政府委員 ただいま御指摘国鉄の地方交通線問題につきましては、御承知のとおり運輸政策審議会の小委員会の報告の趣旨に沿いまして、目下、具体的な方策につきまして検討中でございます。  その中身といたしまして、先生も御承知のとおり現在、国鉄経営しております地方交通線につきましては三つに分けまして対応するということでありまして、すべて、これはバス輸送とのコスト比較によるわけでございますが、まず鉄道輸送の方が経済的な路線それからバスへの転換が困難な路線それからバス輸送の方が適切な路線、この三つに区分いたしまして、それぞれ具体的に対応するということでございます。  特に、その中で三番目のバス輸送の方が適切な路線につきましては、これは地元で地方協議会というものを設けていただきまして、国鉄再建のためだけでなく、同時に、その地域における公共輸送がどうあるべきであるかということを考えて適切な結論をいただくというようなことを骨子にしております。  それからさらに、現在、鉄道建設公団で建設中のAB線につきましても同じような、それに準ずるような扱い方をすべきであるという内容でございますが、いずれにいたしましても、その報告の趣旨に沿いまして目下検討中でございます。
  169. 中井洽

    中井分科員 時間がございませんので要望だけさせていただきます。  思い切った案をおつくりをいただく、私どもも、これに思い切っておこたえをしていくつもりでございます。ただ、たとえば、この地方線の審議会のメンバーの方々を見させていただきますと、地方線に乗ったことのない人ばかりで、大都会に住んで非常に交通も発達したところの方々ばかりでございます。初めの方に幾つかございました、いまは消えておったようでありますが、たとえば地方の方々に頼んで経営に加わっていただくなんという案が出ておりますが、こんなものは、国鉄のいまの働かない人たちを引き受けて民営でやろうなんて人は、だれもおりません。そういったことを率直に現状を反映した意見じゃないとなかなか受け入れられない、私はこのように思うわけでございます。  もう一つは、こういった一定の線で切った赤字路線地方線、これの対策、これはこれで結構でございます。しかし、これに入らない赤字のいろいろな線というものがあろうかと思います。これを一つ一つ黒字に転化をしていく努力国鉄はお続けをいただきたい。特に、この線についてどうだ、本当に利用客は何で不便で乗れないのだ、こういうことを、その地域の人たちと現実に検討をしていただく、そういった柔軟な姿勢でおやりをいただきたい、このことをお願いを申し上げておきます。  最後に中央新幹線の問題についてお尋ねをいたします。  中央新幹線が基本計画という形でおのせをいただいて御努力をいただいているわけでございます。私どもも早期に実現をしていただきたいとお願いをしているわけでございますが、これの見通しがどういうものであるか。あるいは巷間、世間では、整備路線の七つの新幹線が終われば、この中央新幹線からはリニアモーターカーでやっていただけるのじゃないか、こういった話が出ているわけでございます。そういった点も含めて見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  170. 山上孝史

    ○山上政府委員 中央新幹線につきましては、先生もいま御指摘のとおり四十八年に基本計画が決定されたわけでございます。現在、その中で調査に長期間を要する甲府市付近から名古屋市付近の間の山岳部に関しまして、調査を国鉄に行ってもらっているということでございます。また現在、御審議をいただいております五十四年度の予算案につきましても二億円を計上して、引き続き、その調査を続行するということになっております。  いずれにいたしましても、中央新幹線につきましては国土開発それから東海道新幹線の輸送力との関係等に十分配慮しながら今後対処してまいりたいと考えます。  リニアモーターカーにつきましては現在、国鉄におきまして宮崎で試験線区におきまして実験を行っている段階でございます。実用化までには、まだ解決すべき問題がいろいろございまして、なお相当の実験を必要とすると考えております。したがいまして、このようなものが中央新幹線に向くかどうかにつきましては、さらに検討する必要があるかと存じます。
  171. 中井洽

    中井分科員 ことしは雪がありませんから、東海道新幹線がとまったりおくれたりということはございませんが、雪に弱い新幹線というのはもう定評でございます。中央新幹線をおつくりをいただければ、雪でとまる、日本の動脈がとまるということはございません。そういった点でもお急ぎをいただきたい。あるいはまた、いま整備計画でおやりをいただいている七つの路線のうち大半が赤字路線である、このように私どもは伺っております。この東海道の第二新幹線、中央新幹線というのは、おつくりをいただいたら黒字路線であろうと私どもはこれまた聞いているわけでございます。国鉄経営が苦しい折から、黒字という路線を優先をしていただく、そういったお考えもおくみ取りをいただければありがたいと思います。  大臣に最後に、大変勝手なお願いなんでありますが、実は愛知県を中心に三重県あるいは静岡、岐阜、こういったところで八八年オリンピックを誘致しよう、こういうことで、いま大変盛り上がった運動をしているわけでございます。八八年に誘致ができるかどうかわかりませんが、八八年あるいはその次に、もし誘致ができたら、それに間に合わすように、この第二新幹線というものを考える、こういった方向で御検討いただく、こういったことについて御意見を承りたいと思います。
  172. 森山欽司

    森山国務大臣 八八年にオリンピックという話は初めて伺いますものですから……。その際、中央新幹線をと、こういうお話でございますか。
  173. 中井洽

    中井分科員 そうです。
  174. 森山欽司

    森山国務大臣 いま初めて伺いますので、よく検討してみましょう。
  175. 中井洽

    中井分科員 ありがとうございました。
  176. 青木正久

    ○青木主査代理 次に、井上一成君。
  177. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、まず大阪圏の交通体系について少し質問をいたしたいと思います。  大阪の城東貨物線を複線にし電化をして客車運行をするという、いわゆる国鉄大阪外環状線ですね、このことについては、昨年のたしか十一月九日だったと思いますが、高木国鉄総裁は、五十四年度早々に工事認可を申請し、年度内に着工したいというお話で、地元住民また関係自治体はもとより、このことをいち早く推進してまいりましたわが社会党の関係議員とも、非常にそのことに対しては高く評価をし、また一日も早い実現を期待しているわけであります。ここで改めて確認をする必要はないのですが、ひとつ総裁の意は十分われわれは理解をいたしておりますので、いつごろをめどに申請をし、そしていわゆる大阪圏における交通体系の整備に力を入れる決意のほどを承っておきたいと思うのです。
  178. 高橋浩二

    高橋説明員 いわゆる大阪外環状線につきましては、いま先生もおっしゃいましたように、たびたび、この席でも私ども総裁から、できるだけ早く協議をまとめて実施したいというふうにお答えを申し上げております。私どももその心づもりで、ただいま関係府並びに市と設計の細部につきまして、いろいろ御協議を申し上げているところでございます。したがいまして、これらの協議がまとまりますれば、私どもはぜひ早急にでも、かかってまいりたいということで、ただいま作業を進めておるところでございます。
  179. 井上一成

    井上(一)分科員 もし、よろしかったら大体いつごろをめどに、その作業を進めていらっしゃるのか、年度半ばとか、年度後半とか、そういう形でも結構ですが、いかがでしょうか。
  180. 高橋浩二

    高橋説明員 いま予定しております外環状全体につきましては、いろいろ問題がございますが、それを一期、二期という二つに一応、分けて私の方は進めたらよろしいのじゃないかというふうに考えておりまして、そのうちの一期と申しますのは、新大阪から加美付近まで約二十キロほどございます。それをまずよく協議をまとめて進めたいということで、いま、それの関係の方々と御協議を申し上げております。  ところが、この御協議の中には、駅をどうするかという問題もございますが、むしろ、どこの区間を高架化するか。あるいは、ただいまある貨物線自体は大部分が盛り土でございます。それらも同時に高架にしてはどうかというような御意見も、地方の方々から非常に強く寄せられておりまして、それらの協議をまとめることがまず先でございまして、ただいままで関係の自治体と二回ほど技術的な検討会が行われ、この三月にも第三回目の技術的な協議会を開いて、そこで、どういう設計にするかということを決めていきたいと思っておりますけれども、なかなかこれには費用の負担の問題等が出てまいりまして、利用者の意見が相合って協議がまとまれば、私どもは進めたいということで、いつからということについては、ただいま、きょう現在では、ちょっと申し上げかねますけれども、私どもはできるだけ早く、これはまとめたいというふうに考えております。
  181. 井上一成

    井上(一)分科員 ちょっとお尋ねをしますが、協議がまとまって後に申請を出されるのですか。協議がまとまらなければ、それは年度内めどということは不可能になるのですか。
  182. 高橋浩二

    高橋説明員 運輸大臣に認可申請いたしますのに、設計の基本と、それから予算は幾らかということを決めませんと大臣の認可申請はいたしかねるというふうに考えておりますので、できるだけその協議をまとめて、ただ細かいところまでは詰まらなくてもよろしいと思いますが、あらかたのところは決めて認可申請をいたさなければならないというふうに考えております。
  183. 井上一成

    井上(一)分科員 あらかたの国鉄の原案に近いものは、すでにある程度固められているのじゃないですか。全くの白紙という状態で地元関係市町村あるいは関係者に話をおろしているのですか。
  184. 高橋浩二

    高橋説明員 駅の位置等については一応、私の方の腹案は持っております。ただ問題は、どこの区間を高架にするかということになりますと、これは私の方よりも、むしろ地元の方々の御負担が大部分でございますので、その辺が決まってまいりませんと設計ができないというようなことでございます。
  185. 井上一成

    井上(一)分科員 具体的な実施設計を待たなければ申請ができないというのでは私は少しおかしいと思うのです。だから駅の原案もほぼ国鉄なりにまとまり、路線もいま言われるように一期工事としては新大阪から加美までだということであれば、当然国鉄総裁として——きょう私は総裁にお越しをいただくという予定だったのですが、かわってお答えをいただいているので、総裁は大阪で明確に五十四年度内に、早々にという表現ですけれども、そのめどをつけたいと言っているのですから、私はやはりその線に沿って努力をしていただきたい。そういう御決意をここでもう一度、常務から確認をしておきたいと思います。
  186. 高橋浩二

    高橋説明員 私どもは、やはりできるだけ早く着工をすべきだというふうに考えております。いま申し上げた協議の問題については、市、府と御協議申し上げなければなりませんので、決意としてはいま申し上げたとおりでございます。
  187. 井上一成

    井上(一)分科員 そこで、続いて費用負担という話が出てくるわけです。私自身は一応、原則的なものとして、ここで質問をいたしますので、お答えをいただきたいと思います。  外環状線の新駅設置はすでに腹案があるということです。私は、その腹案をいまここで尋ねようとはいたしません。いわゆるその駅舎をつくる場合に、その費用をすべて地方自治体に求めてはいけない、こういうことであります。むしろ、国鉄が新駅を設置する、そういう当然ここに駅をつくらなければいけないという計画の中で求められる駅舎の建設あるいはそれにかかる費用は、原則として私は国鉄がその負担をすべきである、こういうふうに考えているのです。この私の考え方に対して、そのとおりなのか違うのか、ひとつ簡単で結構ですから、お答えをいただきたいと思います。
  188. 高橋浩二

    高橋説明員 いま原則としてと申されるので、その点については私の方も、それをさように考えておりますが、ただ、原則として、つくるべき駅はどこであるかという、その議論については、ちょっと問題があろうかと思います。したがって、私どもの方で輸送の需要の問題、お客さんの問題あるいは地域開発の問題、いろいろケースがございまして、ただいまでも、たとえば地域開発だけの建設線等については、これは国の費用で駅の新設をいたしております。それから、いまある線について、たとえば中間に新駅を設けるという場合には、ただいまのところは全額、地元負担ということでお願いしております。したがって城東貨物線は、城東貨物線自体を今度、旅客運転する場合には、いま言った二つのケースのちょうど中間に位する線であるというふうに考えております。  私どもは営業サイド並びに地域の方々の需要の観点から、たとえば、この城東貨物線がいろいろ私鉄等と交わる点あるいは国鉄線自体と交わる点等については、これは当然駅ができるものというふうに考えておりますが、それ以外について、どこの付近に駅ができるかということについては、いろいろ議論もあろうかというふうに考えておりますが、先生が先ほど申された原則的ということについては、そういうふうに考えております。
  189. 井上一成

    井上(一)分科員 もう長い答弁は要らないんですよ。要は路線をつくる、既存の路線を変更する、貨物を客車にするんだ、そこには当然何カ所かの駅は必要になるわけです。それは十カ所であろうが五カ所であろうが、国鉄がここにはこれだけの規模の駅が必要だというものについては、これは当然国鉄がすべてを負担するんでしょう、こういうことなんです。
  190. 高橋浩二

    高橋説明員 さように考えております。
  191. 井上一成

    井上(一)分科員 それで私はいいと思うのです。当然そうあるべきだと思うのです。  そこで問題になるのは、いわゆる駅舎改築について、駅舎建造についての地域に寄せる利便さというものも加味されなければいけないわけですけれども、いろいろな事情がそこに重なり合って、いままでに余りにも地元負担というものが多過ぎる傾向がある。私自身、地方自治体がいま現在、非常に財政的に困っている、あるいは窮迫した中で、余分な負担を負わされておるという具体的事例、後で申し上げますが、そういうことがあるので、ひとつ今度は自治省に、国鉄関係者のいらっしゃる前でお答え願いたいのは、国鉄が一般的に新駅を設置するという中で、その費用の一部を地元自治体に負担させているのは、地方財政再建促進特別措置法というのがあるわけですね、その二十四条の趣旨に少し反するのではないだろうか。あえて表現を端的に申し上げますならば、実質的に脱法行為とみなされる部分があるのではないだろうか、私はこういうふうに考えるわけです。ひとつ自治省の見解をお聞きしたいと思います。
  192. 土田栄作

    ○土田説明員 いま御指摘がございましたように地方財政再建促進特別措置法二十四条は、国と地方との財政秩序を維持いたしまして地方財政の健全性を確保するという見地から、一般的に地方団体が国に対しまして寄付をするということを禁止いたしております。  ただ例外がございまして、主として「地方公共団体を利することとなる施設で公社等の当該施設に係る一般的な設置基準を超えるものを当該公社等が設置しようとする場合」における地方公共団体の負担で自治大臣の承認を得たもの、こういうふうな条件に該当するものについては適法であるということになっております。
  193. 井上一成

    井上(一)分科員 例外を除いては、すべて私が申し上げたように脱法行為に類すると理解してよろしいですね。
  194. 土田栄作

    ○土田説明員 国鉄本来の営業目的に従って設置しなければいけない施設については当然、国鉄が御負担いただくべきものであるというふうに考えております。
  195. 井上一成

    井上(一)分科員 そこで具体的に、どの駅ということがまだ最終的に決められてない中で、このことについて論議をするのはどうかと思うのですが、一般的に人口の密集地域あるいは通勤通学あらゆる形の中で国鉄がその機能を十分に発揮でき得るというような状態のところに駅舎というものが当然建設されるわけですね。建設をされていく、私はそう思うわけです。そういうことから考えれば、これは都市交通上当然の形の中に駅舎というものがつくられていく、こういうことです。そういうことを十分加味して、いま指摘をした外環状線については、当然必要である駅舎については地元負担を、いわゆる市町村の自治体に負担をさせることは、いま申し上げた法の趣旨から考えても原則的に禁止をしていかなければいけないし、誤った方便をとってはいけないということを申し上げておきたいと思うのです。この点は国鉄当局が十分配慮していくべきである、こう思うのですが、私の考え、意見を尊重していただけるかどうか、ひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。
  196. 高橋浩二

    高橋説明員 先ほども申し上げましたように、輸送の必要性から起こるケースはいろいろございます。原則的に最初お答えしたとおりでございます。
  197. 井上一成

    井上(一)分科員 そこで、これは大変具体的な例を出して申しわけないのですが、いままでにいろいろと地元の自治体に対して利用債を引き受けさせておるわけなんです。あらゆるケースがあります。個々のケースについては先ほどから何回も申し上げるように、いろいろな条件によって変わっていくであろう。しかし、そういうことが地方自治体に非常に財政負担を強いておるということです。具体的には大阪の片町線という路線がありますね。四条畷と長尾間の複線工事について見ると総工費が百九十二億円かかっているわけです。そのうちの七二・四%が、具体的に言えば百三十九億円が利用債による資金であるわけであります。これは大阪府及び関係七市では、これを処理するために債券の発行価格と市場価格との差を負担しているというのが実情であります。名目は調整金という名目をつけておりますが、私はこういうことは本来好ましくないことであると思うのです。この額が本年まで、五十三年の分と五十四年度分も含めて利差補給約九億円になろうとしているわけなんです。こういうことを国鉄は御承知なのかどうか、あるいはこれを自治省は承知しているのかどうか。まず、御存じなのかどうか、先にお聞きします。
  198. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 国鉄といたしましては、片町線に関する利用債をお引き受けを願っております団体は片町線複線化促進期成同盟でございまして、そことの間におきます利用債引き受け契約でございます。実情は、いま先生がおっしゃいましたようなことがあるということは伺っておりますけれども国鉄としては直接知り得る立場ではないということでございます。
  199. 土田栄作

    ○土田説明員 本日、府の地方課の方へ確かめましたところ、いままでわかりました金額で五億ぐらい。それからそのほかに先生が御指摘ぐらいの金額がふえているだろうというお話がございました。ただ、これはいまお答えがありましたように、期成同盟がキャピタルロスとして負担している、それについて市町村が補給しておるというふうに聞いております。
  200. 井上一成

    井上(一)分科員 自治省に重ねてお聞きしますが、こういう国鉄の利用債の利差補給を地方自治体が行っている、こういうことは地方財政のそういう法の趣旨から見て私自身は妥当でない、こう思っているのですよ。自治省はどういうふうにお考えなのか。やむを得ないのか、あるいは私に近い考えを持っていらっしゃるのか。国鉄の財政的な事情というものは十分私も理解しているつもりだが、そういうことを理由にということは私はおかしいと思うのです。本来の地方自治の中で、地方財政というもののとらえ方からして、このことについて自治省は好ましくない、妥当ではないという考えを持っていらっしゃるかどうか、ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  201. 土田栄作

    ○土田説明員 国と地方の財政秩序を維持するという再建法の趣旨から見て好ましくないものというふうに考えております。
  202. 井上一成

    井上(一)分科員 そこで運輸大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、地方自治を守るというか地方自治の確立を図るために、国も、それなりの努力をなさっていらっしゃるわけです。こういう実情を十分認識をされると、今後、国鉄に対して、地方自治体の財政を圧迫する、あるいは、いま言う法の趣旨から逸脱するような利用債の引き受けについては十分配慮してもらうように指導すべきではないだろうか、私はこう思うのです。大臣、いかがですか。
  203. 山上孝史

    ○山上政府委員 御指摘のような問題につきまして、地元の御要望が非常に強いこと、それから当事者である国鉄側が、先生承知のとおり現在、危機的な財政事情にあるということ、それから、いまいろいろ問題にされております地方財政再建特別措置法、これの枠内で処理すべき御要請、このような観点から総合的に、一番地元の御要望にも沿い、適切な輸送力をつけられるような方向で具体化すべきだ、また、そのような方向で指導いたしたいと思います。
  204. 井上一成

    井上(一)分科員 私は大臣にお答えをいただきたかったのですけれども大臣も同じ考えだというふうに理解をしておきます。大臣、よろしゅうございますね。——いま大臣が、その考えだとうなずかれたわけです。国鉄側としても、決して地方自治体に余分な財政圧迫を及ぼさないように、この計画については特段の配慮をお願いしたいわけです。よろしゅうございますか。
  205. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 よく地元の方々と御相談をしながら進めてまいりたいと思います。
  206. 井上一成

    井上(一)分科員 地元関係者あるいは関係自治体とも十分協議をして、その実現を一日も早く見られるように特段の努力を、重ねてお願いしておきます。  それから、これは国鉄に少し聞いておきたいのですけれども、いま指摘した外環状線が新大阪駅に乗り継いでいく、そして、それに関連して新大阪駅を西日本最大の国際ターミナルに拡張する構想を持っていらっしゃるように受けとめているのです。これは、国鉄も入って組織している大阪外環状線技術委員会の中で、そういうことが明らかになっているわけです。それで、この構想について、まあ構想の段階ですから十分な計画というか、そこまでいかないにしても、そういう構想を持っているということですから、その内容を後刻お示しいただきたいと思います。  いわば関西新国際空港関連した中で、これは二期工事になりますね、加美から向こうは。そういうことと関連した中で、出国もあえてこの新大阪駅の拡張工事の中で可能であるというようなことも伝え聞き及ぶわけです。そういうことで一点だけ、大阪税関と国鉄とが話し合いをされたことがあるのかどうか。なければないで結構です。そして、そういう構想を、時間がありませんから後で結構ですから、ぜひ示していただきたい、こういうふうに思うのです。
  207. 高橋浩二

    高橋説明員 いま大阪税関とということにつきましては、私まだ了知いたしておりません。  それから構想と言われますが、どうしたらいいだろうかということで現地として勉強しているということは聞いております。したがいまして、勉強した資料がございましたら、後刻御連絡申し上げたいと思います。
  208. 井上一成

    井上(一)分科員 さらに私は既存の路線、いわゆる新幹線の問題について一点触れておきたいと思います。  新幹線の大阪鳥飼基地に国鉄の貨物駅を設置する、これは具体的に部分的な工事が着工されているわけです。私は、ここで鉄道の高速性あるいは大量性と自動車の機動性とを結合した協同一貫輸送の典型である、いわゆる物流近代化の大きな柱でもあるコンテナ輸送、そういう基地として、この鳥飼基地が設定されていく、こういうふうに理解しているわけなんです。当然、鉄道関係整備は図らなければいけない。しかし、それと並行して、その基地の周辺の整備というものを十分に満たしていかなければ本来の機能がより効率的に実っていかない、こういうことです。そういう意味で国鉄は、この問題についてどういうふうに考えていらっしゃるのか。ただ、国鉄の管理運営をしていく基地あるいは路線、基地内の施設、それだけで十分だと考えていらっしゃるのか。あるいは、そうではなくして、いま言う周辺の関連整備も必要であると考えていらっしゃるのか。まず国鉄側に聞きたいと思います。
  209. 高橋浩二

    高橋説明員 いまの先生の御質問に二つの御趣旨があるかと思いますが、一つは輸送機関として何か関連を考えないかという意味のことと、もう一つは線路の周辺のいわゆる環境整備という意味において何か考えないか、どうも二つの意味があるのではないか、こういうふうに伺ったのですが、輸送機関といたしましては、私の方は、これは貨物輸送を考えました路線でもございまして、距離も五キロ程度の非常に短いものでございますので、自動車あるいは、いわゆる新交通システムのような他の輸送機関との関連において旅客関係は考えるべきじゃないかということで、ただいまのところは貨物輸送以外は考えておりません。それから線路の周辺につきましては、長期間にわたりまして地元といろいろ御協議申し上げて、なお市長さんからも御要望が出ておることも承知しておりまして、それらの御要望にできるだけ沿うように周辺整備については努力してまいりたいと考えております。
  210. 井上一成

    井上(一)分科員 最後に、これは少し自治省にかかわる問題かもわかりませんけれども、いわゆる国、いま具体的にこの場では日本国有鉄道の所有する固定資産に対して納付金制度があるわけですね。このことについて、いわゆる法で一定の定めがあるわけでありますけれども、未利用地、それも長期間にわたる未利用地については、私自身はいまのような状態の納付金の枠の中で処理していくということはよくないと思うのです。これはひとつ国鉄側もお答えをいただきたいし、そして自治省もこの納付金の問題については、その辺についてはひとつ十分な検討を加えていただくべきである。時間が参りましたのでお答えを聞いて、さらにこの問題については自治省管轄で質問を続けるかもわかりませんが、まずとりあえず納付金についての現行の状態ではよくないということを指摘し、考えをただして私の質問を終えたいと思います。
  211. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 現在の鳥飼貨物ターミナルの場所の納付金につきましては、実は五十一年のお支払い分から、いままでのいわゆる軌道延長配分による市町村納付金の支払いを改めまして、所在分としての考え方で納付金をお払いするというふうに変えてお支払いをいたしております。
  212. 渡辺功

    ○渡辺説明員 ただいまの御質問は、ある建設計画があって、取得した土地であっても長期間放置されておる場合は固定資産税の方へいくのではないかという御趣旨かと思います。私どもも基本的にはそう考えております。ただ、計画がございまして、地元との話し合い等で工事がおくれるというような状態もありますものですから、単に時間的な経過が長いから全部固定資産税の方にいくということはちょっと違うのではないか。したがいまして、やはりこの辺は、国鉄側からその土地についての建設計画、それからどんな努力をしていまやっているかということもよく聞きながら検討していく、こういうことではないか、こう考えております。
  213. 井上一成

    井上(一)分科員 いま自治省の基本的にという見解、私はまさにそのとおりだと思うのです。このことについてはさらにいずれかの機会に質問を続けたいと思います。  以上で私の質問を終えます。
  214. 青木正久

    ○青木主査代理 次に、井上泉君。
  215. 井上泉

    井上(泉)分科員 まず、私は最初にローカルの問題で日章、高知空港がいま県もたくさんのスタッフを投入して、これの拡張に協力をして取り組んでおるような様子であります。そこで、日章の空港が拡張されて、運航開始の年月日をいつに目標を置いておるのか。そして、あわせて開港時における騒音区域と称するのは一体どの範囲を騒音区域として指定をするのか。その点ひとつ航空局長の方から御答弁願いたいと思います。
  216. 松本操

    松本(操)政府委員 高知空港、いまのYS空港からジェット空港の拡張と申しますか、改良工事をやっておりまして、五十三年度の予算あたりから用地の買収に入っておる状態でございます。ただ、用地買収を進めてまいりますと土工量がかなりの量になろうというふうなこともございますし、一部遺跡関連の事案もあるようでございますので、現在のところ、いつ開港かということを、何年何月ごろということを正確にお答えできる段階に立ち至っておりませんが、おおむね数年というぐらいのところがめどになるのではないか、このように考えております。
  217. 井上泉

    井上(泉)分科員 それは、地元の方としても騒音対策とかいろいろなことで賛成、反対の意見のある中で、いまや賛成派が多数を占めておるような状態の中にあるわけですが、およそいつごろ開港されるか。それは何月何日とかというような、開港式をいつするとかいうようなことはわからなくとも、少なくとも昭和六十年なら六十年、あるいは五十八年なら八年というのをひとつ——工事をするのにめどを持ってやらないのですか。これはめどなしですか。その点どうですか。
  218. 松本操

    松本(操)政府委員 おっしゃるとおり、めどなしの仕事というのはないわけでございますが、先ほど申し上げましたようなむずかしい問題もございますので、まあ五十年代の終わり、それが五十七年前後に来るのか八年前後に来るのかというぐらいのめどを現在立てておる。六十年までかかるとは思っておりませんけれども、五十年代の終わりごろというふうな感じでございます。
  219. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこで、そのときの騒音区域といいますか、飛行場を中心にして大体どれくらいの範囲が騒音区域ということになるのですか。
  220. 松本操

    松本(操)政府委員 現在はYSだけが飛んでいる空港でございますので、ジェット化した後でどういう路線にどういう機材が入るかというのを詰めないと厳密なお答えがしにくい。ただ、大体のめどといたしましては、現在の騒音対象は五十戸足らずでございますけれども、まあ十倍ではきかないだろう、二十倍まではいかないのじゃないか、だからまあ七、八百世帯と申しますか、ぐらいの範囲がいわゆる民家防音の対象になってくるのではないか。と申しますのは、この空港は五十三年の暮れで目標達成というカテゴリーに入る空港でございますので、それ以後は七十五Wを維持していかなければなりません。そういう状態でジェットが何便入るかというのを厳密にはまだ地元とのお話し合いが詰まり切っておりませんけれども、大体七、八百世帯ぐらいに広がっていくのではなかろうかというのがおおよそのめどでございます。
  221. 井上泉

    井上(泉)分科員 その場合における騒音対策というものが、大阪空港とかあるいはその他の空港の地域と同じような扱い方で十分講ぜられる計画にはあるのですか。
  222. 松本操

    松本(操)政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、五十三年十二月で目標達成の空港ということになっておりますので、したがって完成が五十年代後半ということになりまして、現実にジェットが飛ぶ時点においてその七十五Wが確保されていなければならない、こういうことになるわけでございますので、空港の完成の度合いに合わせまして民家の防音工事なりあるいは移転交渉なり所要の作業を行って、空港が運用開始いたします時点においては、その時点におけるジェットの便数に対応した範囲内において十分七十五W以下に確保できるという措置を講じていく、こういう考え方でおります。
  223. 井上泉

    井上(泉)分科員 航空局に対する質問は以上で終わります。  続いて、私は船舶局にお尋ねをいたしますが、造船界がいまかつてない不況の中で、いまや残存しておる造船企業というものもまさに悪戦苦闘の状態にあるわけでありますが、この悪戦苦闘の業界に希望があるのかどうか。また、希望を与えるような行政施策というものを推進していくのかどうか、これをひとつ大臣、非常に大きな問題でありますし、大臣としての抱負を承りたいと思います。
  224. 森山欽司

    森山国務大臣 御承知のとおり、わが国造船業は現在深刻な不況に直面しておるわけであります。これに対しまして、特定不況産業安定臨時措置法に基づいて現有造船能力の三五%に当たる過剰設備の処理を推進しております。また、需給の不均衡を解消するという目的のために、昨年の十二月に主要企業四十社に対して大臣勧告を行って、操業調整を実施しております。これは本来ならば公正取引委員会の不況カルテルという形でやるべきでありますが、なかなか足並みもそろいませんから、大臣命令によって操業短縮をやっていく。ことしの夏ごろには必ず不況カルテルに移行したりするようにしたいというような、後ほどもう少し詳細に事務方からお話がありますように、現段階においてなし得る限りの施策を講じておるわけでございますが、しかし、この施策が成るか成らないかは、結局会社の経営者の方々とそれから会社で働いておる従業員の方々、労使がこの深刻なる事態にいかにして対応するかというところにかかってくると思います。非常に苦しいときでありますから、血のにじみ出るような努力をしてこれをくぐり抜けるということであれば、わが国の造船業の将来は私はないとは思いません。しかし、昔どおりのやり方で難局をくぐり抜けられるということはない。その点ははっきりしておるわけでありますから、希望があるかないかは、国として今日の段階においてなし得る限りのことはやっておる、後はこれを受けて立つ労使がこの事態にいかに対処するかということにかかっておる、こういうふうに考えております。そういう意味で、心構え、やり方いかんによっては希望あり、いままでのようなやり方では希望なし、そういうふうに考えております。
  225. 井上泉

    井上(泉)分科員 そういう御見解だと、結局希望をもたらすのはおまえたちだ、こういうことに結論的にはなるわけでございますね。やはり一定の造船のカットもするとかいろいろなことでやって、そしてまた企業努力もやっておるという中で、私は船舶需要というものも考えなければいかぬ問題だと思うわけです。  そういう点からこれは直接事務当局の方にお伺いするわけですが、船舶需要というものと、それからいま運輸省が考えている船台をカットすることによって造船の隻数、船舶数が減るわけですが、造船界は、大臣の言われる企業努力は言われなくても一生懸命やっているのですから、そういうのをプラスしていけば三〇%のカット後の造船界は何とか生き延びていくことができるか、生き延びていけるような要素があるのかどうか、その点ひとつ事務当局の方で御見解を聞かせてください。
  226. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣の答弁にもありましたように、基本的には九百八十万トンの設備能力、これは貨物船換算トン数でございますが、それを三五%カットしまして、六百四十万トンに設備的に落ちつける、これを五十五年の三月までに実施するというのが安定基本計画の骨子でございます。ただそれだけでは、状況を見ておりましてなお過当競争の起こる余地がございますので、ほっておきますと、強弱相はんで非常に深刻な問題も場合によっては出てくるということで、主要四十社に対してさらに最盛期の三九%までの操業調整を行う。これが大体四百十万トン前後のラインでございます。これに対しまして、今年度の予算案でお願いをしております外航船の建造の促進あるいは内航船の建造の促進あるいは官公庁船の建造等を加えますと、ほぼ操業調整ラインに近づいてくるということは言えるかと思います。  それから、一般的にいいまして、受注動向を見ておりますと、昨年の九月ぐらいまでは円高の問題もありましてどこまで落ち込むのかということでめどがつかなかったのですが、昨年の十月以降円レートがやや落ちついておりますので、したがいまして、落ち込み方が前年同期に比しましてかなり回復をしてきているということは言えると思います。したがいまして、政府のいわゆる過当競争防止のための設備削減、建造量の調整と相まって新規需要の増勢を加えて最近の情勢を判断いたしますと、この二、三年は非常に厳しい状態でございまして、関係者が努力をしてこれを切り抜けるということでようやく非常に極端な過当競争は何らかの形でおさまりつつあるというふうに見ております。
  227. 井上泉

    井上(泉)分科員 造船界の現状というものはまだまだ相当厳しいものがあるわけですが、その中で幾つかの造船会社が一度倒産して更生会社に指定をされていま再建の途上にある。更生会社の造船会社になればなおさら、大臣指摘するまでもなく大変な企業努力を積み重ねておるわけですが、そういう企業努力の中で、たとえば船舶整備公団等の発注の船とかというような場合にも、更生会社であるから受注の機会を与えることができないとかいうようなことのないような扱いというものは当然とっておるだろう、こう思うわけですけれども、その点については心配はないでしょうか。
  228. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 五十二年の春からごく最近までかなりの数の更生会社申請とかあるいは和議法による和議の申請とかいうことで出てきております。これらの企業の再建というのはこういう状況でございますからきわめてむずかしいわけでござまして、管財人あるいは和議の場合には経営者と関係者が中心になりまして、労使とかあるいは主要な債権者が一致協力して初めて再建ができるというような状況でございます。この中で仕事量の確保というのが企業の更生計画にとってきわめて重要なことは申すまでもないわけです。ただ受注生産でありますので、一度会社更生手続あるいは和議申請をいたしますと、かなり信用の問題が出てきております。もちろん仕事量の確保について管財人等を初め努力をしておられるわけでございまして、この際に仕事をとるということは、一般的に船主が新造船を発注します場合に、基本的に契約によってその船が納期どおりあるいは要求性能どおりに引き渡してもらえるだろうか、こういう点でむずかしい問題があるわけでございますが、造船所の事情をそういう形で見るわけでございますので、更生会社にありましてもあるいは更生手続中の会社でありましても、これらの条件が整えば新造船の受注の可能性があるということでございます。先生指摘の公団におきましても、そういう意味におきまして新造船が納期どおりあるいは要求性能どおりに十分満たしてつくり得るという条件が満足されますれば、更生手続中あるいは更生会社といえども受注の対象造船所にはなり得るというように公団からも聞いておりますし、その点におきましては船主と十分お話し合いの上で共有船主であります公団に申請をしていただきたい、こう考えております。
  229. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは船舶局の関係は以上でなにしまして、次に、私は自動車局長にお尋ねをするわけですが、いま自動車の過積載が非常にやかましい問題、社会的な問題にもなっておるわけです。たとえば、いままで自動車を売るのに、八トンの重量車でもおれのところの車は二十トン積めるんだ、あるいは十トンの車でも二十五トン積めるんだというのがここ十年くらい前の販売の一つのテクニックとして言われておったわけです。ところが、今日この過積載の問題が交通安全対策上非常に問題となってきたわけで、それについての一般的な認識というものが非常に不十分ではないか。そこで、たとえば四十キロの速度で走っておるものが一つの障害物を、子供なら子供、幼児が道路上で遊んでいるのを見たとかあるいは危険物を見た場合に、それでブレーキを踏んだ場合に、積載制限、つまり八トンなら八トン車が四十キロでいた場合と、その八トン車が仮に二割、三割の積載オーバーでいた場合と、その危険度といいますか、ブレーキを踏んで停止する線というものはどれくらいメーターの違いが出るものなのか。
  230. 梶原清

    ○梶原政府委員 過積載をいたしておりますと当然ブレーキ距離が延びるわけでございますが、御指摘の八トン積み車に十トン積みをいたしましてブレーキをかけますときの速度、これを制動初速度時速と申しておりますが、これが四十キロからブレーキをかけました場合に、約一三%制動距離が延びるわけでございます。
  231. 井上泉

    井上(泉)分科員 そういうことからやはり制動距離が延びるということによって、現在過積載の制限をしておるのは交通安全対策上からも当然な制限積載量である、こういうふうに理解しておってよろしいでしょうか。
  232. 梶原清

    ○梶原政府委員 過般、道路交通法が改正されまして、十二月一日から御案内のとおり実施されておるわけでございます。それの目的としましては、交通の安全、とりわけ過積載によりまして種種の事故が起きておるわけでございますが、先ほど御指摘の、ブレーキ距離の増長とか走行安定性の悪化、それから車体の疲労蓄積による強度低下等を原因とする事故があらわれるわけでございますので、私どもとしましては、過積載の自粛、定量積載の厳守ということを遵守してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  233. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこで、私は警察庁にお伺いするわけですが、最近、過積みによって物価の値上がりが問題にされたというようなことで、これは新聞紙上の報道でございますけれども、警察庁に対しては過積み取り締まりの緩和とかいうようなことが言われて、これは表現をきつくすれば、圧力をかけておる、こういうふうなことを言われておるわけでありますが、こうした動きに対してやはり過積載の違反の取り締まりというものは今後も厳重に強化をしていくのかどうか、その辺のことについて警察庁の説明を受けたいと思います。
  234. 矢部昭治

    ○矢部説明員 過積載の取り締まりにつきましては、従前から悪質なものまたは危険性の高いもの、こういうものに重点を指向しまして取り締まりを続けてまいったわけでございますが、これは法改正されましても改正前と何ら変わらないわけで、従前の取り締まり方針で持続してまいりたいと思っております。  なお、従来いわゆる運転者だけではなくて、車両使用者とかあるいは荷主等、そういったものを含めての構造的な違反というものの取り締まりをいたしておりましたが、こういった面についても今後さらに重点を置いてやってまいりたい、かように考えております。
  235. 井上泉

    井上(泉)分科員 そのことは、過積み緩和のいろいろな動きに対しても警察庁としては何ら顧慮することなく、取り締まりは厳重にやっていく、こういうことですね。
  236. 矢部昭治

    ○矢部説明員 従前どおりの取り締まり方針でやってまいりたい、かように考えます。
  237. 井上泉

    井上(泉)分科員 トラック等による事故というものがあるわけですから、ぜひひとつよろしく取り締まりを強化していただきたいと思います。  そこで、ひとつこれは大臣にお伺いするわけですが、私も大臣に高知県選出の国会議員として大鳴門橋の併用橋の陳情をしたわけでありますが、それまで非常に頭のかたかった運輸省が、大臣の決断によって大鳴門橋も併用橋、こういうことになって地元としても非常に喜んでおるという状態です。そこで私は、その場合に、大鳴門橋が併用橋であるということは勢い本四の架橋の中で、淡路、明石の関係なり紀淡海峡なりの併用橋が考えられておるではないか、こう思うわけですが、一体この明石鳴門のルートはいつを完成目標としておるのか。この大鳴門橋を併用橋にするに当たって、明石鳴門の橋はいつからかけるようなことになるというように検討されたのかどうか。全然その問題は不問にして、大鳴門橋だけ、とりあえず陳情が多いから、従前の行きがかりもあるからということで併用橋にされたのか、その点ひとつ大臣から。
  238. 森山欽司

    森山国務大臣 私がお話しする前に、全体の話をちょっと事務局方からさせまして、それから私からお話しいたします。
  239. 山上孝史

    ○山上政府委員 大鳴門橋につきましては、先生いま御指摘のとおり、従来、四十八年に基本計画で決まっておりましたように、併用橋ということで鉄道側の分担比率を変更することによって対処するということになったわけでございます。  それから明石につきましては、これは現在基本計画上は併用橋でございますが、しかし鉄道を別途つくった方がいいのか、そこら辺につきまして目下具体的に検討中でございます。
  240. 井上泉

    井上(泉)分科員 その具体的に検討中ということは、併用橋でやるのか単独橋でやるのか、そういうふうなものについてもやはり行政としてもめどもあろうかと思うわけですが、大鳴門橋が併用橋になって、それを莫大な投資によってやるわけですから、およそめどというものは持っておるのじゃないかと思いますが、局長の方はどうですか。
  241. 山上孝史

    ○山上政府委員 大鳴門橋につきましては先生も御承知のように、五十七年度完成を目途ということになっているわけでございます。  明石の方につきましては、先ほど申し上げましたように現在の基本計画のとおりに併用橋でいくのか、あるいは鉄道につきましては別途つくるか、そこら辺につきまして目下具体的に検討中でございますので、その検討結果によってその完成の目途というのが定まってくるということでございますので、現在のところその目途についてまだここで明確に申し上げる段階ではございません。
  242. 井上泉

    井上(泉)分科員 その検討の期間というものは、それば明確に申し上げることはできないということは、これはちょっとなんじゃないですか。併用橋で莫大な国家投資をするのだから、いわばそこへ併用橋でつくったものを、何ぼ国家百年の計だといっても、いつまでも遊ばしておくということは常識的に考えられぬのだから、そのめどをいつつけるかということぐらいは——あれだけすったもんだやったあげくの併用橋ということになって、実は運輸省あなたの方では併用橋ということについては非常に消極的であったわけですから、それが併用橋になったということは、やはり明石鳴門という本四の架橋ルートというものをかなり重点的に考えた結果だと思うわけですけれども、そのめどもないとはおかしくないですか。
  243. 森山欽司

    森山国務大臣 井上委員も御承知のとおり、なかなかむずかしい問題でございました。一時は新幹線併用橋ではなくて単独橋に切りかえるというような動きもあったわけでありますけれども、せっかくいままで計画をし、事実工事にかかってきたことでございますから、将来への新幹線の可能性を残して、すなわち四国地区における新幹線への可能性を残すという意味で併用橋という形で今回決着をつけたわけであります。したがって、単独橋にするということはこれはもう新幹線の望みを断つということでありますから、そういう望みを断たないで、とにかくとりあえず残したというところに今回の意味があるわけでありまして、これがいつ新幹線に移るかということについては、現在の段階においてそういうことが言い得る段階にないことはおわかりだと思います。  現に東海道新幹線それから山陽新幹線、これはもうすでにできておりますね。工事新幹線で東北新幹線上越新幹線をつくっておるということでありますが、さらに整備五線というのが問題になっておることは御案内のとおり。そして、それは現在の財政状態においては非常に困難な問題があるということで、地元の非常に熾烈な要望にもかかわらず、それに対してまたいろいろ批判的な意見もありまして、財源の問題、特別会計等の問題で現段階においては非常に難渋をしております。しかし、率直に申しまして、新幹線の問題を整備五線から考えましても、たとえば青函トンネルができた場合にそこに通す鉄道は在来線でいいのかということになれば、これはやはり新幹線の問題が話題になってくることは私は当然の日程だというふうにその段階においては思いますし、そうなれば整備五線のうち二つというのは手をつけざるを得なくなるのではないかというふうに私は考えるのですね。それからまた、いままでのように借金で新幹線をつくっておったとすればこれはなかなか採算に合いません。けれども、たとえば北陸等を回る新幹線については、これは国費でもってやれば採算上成り立たぬということはないという見方もあるわけでございます。そうなれば整備五線のうち残るところは九州二線ということになります。将来九州を一体ほっておけるか、そして九州がほっておけないと同様に四国がほっておけるかということでありまして、将来を考えますれば、やはり新幹線への望みを断つような施策は陸上交通政策として私はとるべきではないということから、いろいろ意見はありましたけれども、鳴門大橋の場合について新幹線併用橋としての将来を残した決断を今回したわけであります。したがって、将来の可能性ができたから直ちに、一体いつごろ明石の方の新幹線の問題が決着がつくのかというお話でございますが、その方をお話しをするには私はまだ時期が早い、こう思います。  したがって、願わくは、四国関係の御出身の国会議員とされましては、新幹線への望み、希望というものの象徴として鳴門大橋の問題が今回のような決着を見たというふうに当面お考えを願わなければ、せっかくこちらとしては万難を乗り越えての決断であったわけでありますから、そうすればすぐ、私から言えば、そういう言葉を言うと大変恐縮ですけれども、おんぶすればだっこするというような形でないように、ぜひ私どもの、なかなか容易でない立場を乗り越えて一息ついているところでございますから、どうかそれ以上の御質疑は、事務方として恐らく答えられないと思いますから、ひとつこの程度で現段階は御了承を願いたい、そう思います。
  244. 井上泉

    井上(泉)分科員 確かに私は、それは大臣の政治的な決断をとっていただいたことに、これを陳情した地元の国会議員としては感謝申し上げなければいかぬわけであります。お礼を言わねばならないわけでありますが、そうなりますと、やはり人間欲が出ますから、それをやったらそれならいつやるんだろうということで聞きたいのは当然の人情であるので、その点をひとつ頭に置いて政策を進めていただきたいと思うわけです。  そこで、それとは関係ないのですけれども国鉄ローカル線問題が小委員会から答申が出されているのですが、小委員会のメンバーを見ましても、地域に生活をしておる住民側の代表というような者もほとんど出てないので、大資本の関係にある者だけでこの問題を論議するからローカル線の問題もこういう答申になると思うのですが、こういう答申について運輸省としてはどう考えておるのか、その点承りまして私の質問を終わりたいと思います。
  245. 森山欽司

    森山国務大臣 井上委員が地元議員として新幹線への熱望を持っておられるということについてはよく私はわかります。が、どうかひとつ、私にも現在の段階の立場において先般の決断が最大限の努力の限度であった、したがって、私が先ほど申し上げておりました件につきましてもどうか御了解をお願いいたしたいと思います。  それから、ローカル線の問題につきましては、ここ二、三年、五十一年からかかって出た結論でございますが、私も率直に言って、その内容はなかなか容易ならざる内容を持っておると思いますから、したがって、直ちにもってこの種の答申が出ました際に、答申を尊重して実行に移しますというようなことを簡単に申し上げられるような内容ではない、こういうふうには考えております。したがって、率直に言えば、事務方から、答申を尊重し云々という型の決まった大臣談話の案が出たわけでありますが、私は、答申の線に沿ってこれを検討しようというふうに文言を切りかえて対処しているというのが率直な心境でございますから、いま少し私どもの方でこれを検討さしていただきたい、こういうように思います。
  246. 井上泉

    井上(泉)分科員 どうもありがとうございました。
  247. 青木正久

    ○青木主査代理 次に、山原健二郎君。
  248. 山原健二郎

    ○山原分科員 次々四国勢が立っておりますが、ただいま井上議員から質問のありました大鳴門橋併用橋の問題について、いま将来のことについてお伺いしておられたわけですが、将来はかなり茫漠としておるという状態ですね。私は現実の問題としまして今回の、いわゆる当初の新幹線複線載荷完全併用橋方式、それから今回の道路鉄道併用橋単線載荷道路優先支出方式といいます、これの負担金の問題について、道路分の負担がずいぶん大きく変化をしております。五九%から八九%ということで、各県に対してこれが見解を求められておりまして、各県の方からは、これは私の高知県の場合ですが、今回の決着にかかる問題としてはやむを得ないものとして了解するが、基本的な問題として地方団体の負担の軽減について国は善処されたいことというのが大体各県から出ておりまして、大臣もよく御承知のことと思います。  そこで、実はこの負担がどの程度になるのかということで私もいろいろお聞きしたわけですが、たとえば高知県の場合はこういう経過をたどっております。いままで明石鳴門並びに坂出ルートを含めまして出資金が高知県で十二億円、それから縁故債が百三十六億円、合計しまして百四十八億円であったわけです。これが昭和四十七年度の単価で、年々負担が行われてまいりました。     〔青木主査代理退席、主査着席〕 ところが、現在どういう変化になっておるかといいますと、十年前、Aルートが二千五百億円という建設費であったのが、そのときは三橋で六千億ないし七千億と言われておりましたが、現在では三橋で二兆円を超すという状態でございまして、Aルートだけでも一兆一千五百億円、こういう計算になってまいります。そうしますと、いままで高知県が負担しておりました十二億円に対して三倍強、四倍近くになっていますけれども、それを掛けまして、さらに道路負担増を掛けてまいりますと、高知県で数十億円の負担となるわけでございます。これは地方自治体にとりては全く耐えられない負担増になるわけでございますし、同時に縁故債の問題を絡めまして銀行も限度がある、こういう状態を考えますと、いま関係六県が出しておりますところの負担の軽減の要求というのは全く切実な要求であると思います。たとえば金利を安くするなどの措置を講ずるとかいうことが切に要望されておるわけでございますが、この点について運輸大臣としまして、この事態の中で建設省とも相談をしていただきましてこの負担軽減を図る、あるいはそれを検討する必要があるのではないかと思いますが、この点どうお考えになっておるか、最初に伺いたいのであります。
  249. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生の御指摘のように、大鳴門橋が併用橋になることに伴いまして、道路側の負担の割合、逆に言いますと鉄道側の負担の割合が相当に軽減をされてまいりました。御指摘のとおり、今回の結論で、道路側が八九%、鉄道側が一一%という建設費における負担割合でございます。したがいまして、それに伴って御指摘のような関係の府県の出資金あるいは先生おっしゃるような縁故債につきましての金額の移動があることは避けられないわけでございます。しかし先ほども話題になりましたように、この大鳴門橋の併用橋問題につきましては、四十八年に基本計画上併用橋ということは定まっておりましたけれども、新幹線鉄道についてのめどがなかなか立たないというようなことから、この際鉄道側の負担を軽減するためにどうしたらよろしいかということと、今度は逆に、地元におきましてぜひ併用橋でという強い御要望があったということ等を総合的に勘案いたしまして、御承知のような決着を見たわけでございます。したがいまして、これは地元の強い御要請に応じてこのような決着になったということでございますので、それに伴ってある程度の道路側にはね返っての負担の増ということは避けられないことだ、かように存じております。  なお、先生指摘のような道路側の問題につきましての利子の軽減の問題等につきましては、これは直接建設省の所管でございますが、先生のそのような御要望、私どもといたしましても事務的に承りましたので、建設省の方にも御連絡を申し上げたい、かように存じます。
  250. 山原健二郎

    ○山原分科員 大臣、その点、軽減の問題ですね。きょう建設省は呼ばなかったのです。というのは、建設省はまだ被害意識もありましてなかなかここへ出てきにくいという問題もあるわけですが、これは森山大臣、私の計算でいきますと大変な負担になるわけです。現在も借金もつれの地方自治体で、とてもじゃないがこれは負担できないという問題が出てきます。だから、いままで強く要請をしてきてそれに対してこういう決着を出されたということについては、それは一定の負担は、県知事とも話をしましたけれども、覚悟はしておるわけです。しかし、いま言いましたような膨大なものになってくると、これは当然建設、運輸の間におきまして負担の問題について何らかの措置を講ずるくらいのことはやはり将来にわたって検討する必要があると思いますが、大臣の御決意を伺っておきたいのです。
  251. 森山欽司

    森山国務大臣 山原委員もその点おわかりのとおり、きょうは建設省の方は呼ばなかった、いろいろ無理してもらいましたからね、そういう意味では私も全く同感なんです。しかし、実際は地元の負担が若干ふえました。それは地方財政の苦しい折、どうだろうとおっしゃれば、私はそういう点が一つの問題としてこれから残るでしょう、そのことは否定いたしません。もし将来それによって打開の道があるならばそのことも考えていかなければならぬと思いますが、現に二百五、六十億、運輸省の方も借金をしており、それに対する利子として毎年二十億ずつ払っておるということになっておるわけであります。ですから、新幹線に着手できればそれは必要がなくなるわけでありますけれども、とにかくわれわれの方もその点はいままでの出資もあり、利子負担もやって泣いておるという点もありますので、とにかくとりあえず当面の処理がついたところでございますから、しかしそういう問題点ありということで山原委員が指摘されますならばまさにそのとおりと思いますが、ひとつこれは現在の問題点ということで処理していくべきじゃないかと思います。いま直ちにどうというのはちょっとなかなか、あの負担割合を、一%にしてもらってとにかく建設省の方に八九%の負担をやって併用橋を維持したということ、そしてその分が各県の負担増となっておる、またわれわれの方もいままでやった二百五、六十億の資金並びに毎年の利子負担という形でこの負担を負っておるわけでございますが、当面こういう形で決着がついたわけでございますから、そこに問題がありということは事実でございますが、まあしかしいろいろな問題があってやっと打開した現状でございますから、その辺のところは山原委員のおっしゃるとおりの問題があることは私はよく頭に置いて今後の成り行きを見てまいりたい、そのように考えます。
  252. 山原健二郎

    ○山原分科員 毎年一般会計利子補給二十億ということになってまいりますと、これはいつまで続くかという問題になってきますね。その辺は全く見通しなしに二十億の利子補給をやっていく、こういうことですか。
  253. 森山欽司

    森山国務大臣 これは関係各省で覚書をつくりまして、それでやるという体制はとりました。したがって、運輸省側としてはそれなりの一つの決着はつけてあるわけであります。(発言する者あり)
  254. 山原健二郎

    ○山原分科員 だから、その点は、こちらでおっしゃっているようにいわば全く予算のむだ遣いということになりかねない情勢があるわけですが、そのことはきょうはおきまして、いまの負担の増大の問題については、関係六県ですか、神戸市あるいは大阪市を含めまして六自治体が何とか軽減をしてもらいたいという要請を強く出しておることは認識していただいておきたいと思います。  次に、四国循環の阿佐線の問題でございますが、これは全線早期開通ということを当然要求しているわけでございますが、いまのままの予算区分でいきますとこれはいつまでかかるかわからないという状態。それから一方、徳島県の方は高知県の県境まで大体完成する時期を迎えまして、これがいつ運行されるかという問題が残っているわけですが、この点が一つと、もう一つは高知県側ですが、御承知のように高知県の南国市後免駅から安芸駅まではかつて電車が走っておったところであります。これを買収しまして、いま電車の線路もなくなってしまいました。そこで、この全線開通という要求も大変強いわけですけれども、同時に、少なくとも電車の走っておった区間は早く通すべきじゃないか、運行すべきじゃないかという意見が非常に強いわけです。これは医療の問題、通学通勤の問題を含めまして、あらゆる面で住民が被害を受けておるという事態が出ておりまして、しかも、これを通せばせっかく鉄道建設が目に見えるわけですね。目に物を見せる、ここまで来たのだということが励みにもなりますし、そういう意味で当然ここは早くやるべきだというふうに私は考えておりますが、この点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  255. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生指摘の区間につきましては、御承知のとおり、牟岐−海部間につきましてはもうすでに四十八年に開業しております。残る区間についてでございますが、後免−室戸間、いま先生指摘の土佐電鉄の軌道の撤去区間に相当するわけでございますが、それと海部−野根間、これにつきましては目下用地の買収と路盤工事を施工中でございます。なお、室戸−野根間につきましても、測量、設計中でございます。  今後の建設の問題でございますが、これにつきましては、もう御承知のように国鉄の地方交通線をどうするかという大きな問題を御審議していただきました運輸政策審議会の小委員会で、一月二十四日に報告書がまとまったわけでございます。目下その趣旨に沿いまして具体策について検討中でございますが、その報告書の中で現在国鉄が営業中のいわゆる赤字ローカル線について具体的な提案のほかに、現在建設中のいわゆるAB線につきましても、これに準じて措置すべきであるという御提案になっているわけでございます。  ただ、この問題につきましては、再三申し上げておりますが、地域の住民の方々に対しましてもいろいろ影響の大きい問題でもございますし、と申しましても国鉄再建問題というのも国にとってさらに大きな課題でございます。そのようなことを勘案しながら、目下報告書の趣旨に沿って具体策について検討中でございますので、その検討結果によりまして、それを勘案して今後このような路線の具体的な扱い方について結論を得たい、そう考えております。
  256. 山原健二郎

    ○山原分科員 いや、そのことはよくわかっておるんです。だから赤字ローカル線の問題等、私あえて触れないで、とにかく早期にやるということの要求をひとつ出して、同時に、せっかくあった路線を——私もかつてこれは通った道なんです。電車に乗ってずっと行けておったのですね。それを買収しまして電車の線路がもうなくなって、それでいま大変な不便を感じておるところですからね。だからこれは後免というところから安芸市までは少なくとも利用率も非常に高いと思います。そういう点から、この点については実際に目に見せるということですね、これは非常に大きな力になるわけでして、その点では考えられないか。特に私が言っているのは、電車の走っておった路線を買収して何年にもなって依然として何ともならないということはおかしいじゃないか、これは特別に考えていいんじゃないかということでございますが、それは検討の余地もないというふうなことでしょうか。
  257. 山上孝史

    ○山上政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、目下具体的にいろいろなことを考えていろいろな角度から検討中でございます。特に、この区間につきまして、先生指摘のように、かつて土佐電鉄の路線があったということをも念頭に置いて、しかも一般的な扱い方としてAB線をどうするかということの一環といたしまして具体的に検討させていただきたいと思います。
  258. 山原健二郎

    ○山原分科員 次に、海上保安庁長官もお見えくださっておりますので、海洋汚染の問題についてお伺いしたいのですが、かつて土佐沖におきましてアルサビア号の油流出事故があったわけですね。そして西南海域の海がだんだん油で汚染をされ始めまして、廃油ボール等も流れ着くという事態が起こっております。この点について私も何回か質問をしてきたわけでございますけれども、当時なかなかうまい解決法もなかったわけですが、現在では国際的に見ましてもこれが重要な問題としまして、たとえば政府間の機関におきましても、また国連の海洋法会議においても、規制を強めるとかあるいは防止対策の充実等について協議が進められておると思うのです。  そういう意味で、この問題がどういうふうに発展しようとしているか、簡単に御説明をいただきたいと思いますし、同時に、アルサビア号の経験からしましても、なかなか機敏に初動態勢をとることができなかった、あるいは監視体制や回収体制というようなものも非常に不備であったと思っておりますが、これについての改善策というものをお持ちになっているかどうか伺います。
  259. 高橋壽夫

    高橋(壽)政府委員 第一点の国際条約等の関係でございますが、御指摘のように一九五四年に油濁防止条約ができまして、それを国内法で油濁防止法として制定いたしまして以来、逐次国際条約が強化されております。当面は一九七二年に海洋投棄規制条約、海の中にいろいろな物をぶん投げちゃいかぬという、こういう条約が採択されまして、すでに発効いたしております。わが国は未加入でございますけれども、今度の国会でこの批准措置をとる、あわせまして現行の海洋汚染災害防止法の改正をいたしまして、この規定を盛り込むということにいたしております。それによりまして法的体制強化されることになると思います。  それから、この公害あるいは防災関係の監視あるいは防除体制でございますが、海上保安庁の目下の任務といたしまして、外は新海洋秩序、内では汚染防止と防災、二大眼目でございます。きょうも主要な港の港長を集めまして会議をいたしておりますけれども、私も毎日のように口を酸っぱくしてこの防災問題あるいは海洋汚染問題について督励しておるところでございますが、まず監視体制、これにつきましては五十四年度予算でも盛り込まれておりますけれども、ここ数年来航空機の増備を図っております。具体的には、羽田の基地のYS航空機の増強あるいはことしの秋になりますと鹿児島基地に新しい飛行機が入ります。こういうふうなことで、これらの航空機を使いまして高知県沖合い海面の監視体制強化することが可能であると思います。  それから防除体制でございますが、これにつきましては主として船艇によるわけでございますが、まず沖合いで起こりました場合には大型船艇が必要であります。現在高知保安部にございます船艇を大型化いたしまして千トン型にするということを、これはもうすでに補正予算で決まっておりますので、着々といま建造中でございます。なお、沿岸海域につきましては小型の巡視艇の強化が必要でございますが、これにつきましても、前回のアルサビア号の教訓に基づきまして巡視艇の配備に十分心を配る、あるいはオイルフェンス、防除資機材等の適正な配置、さらには、高知だけに全部集められなくても近隣のところからすぐに運べるような体制強化するということで、毎日この問題を検討いたしております。  なお、大事なことでございますので、今後とも引き続き強化、検討するつもりでございますので、よろしくお願いいたします。
  260. 山原健二郎

    ○山原分科員 大変明快な御答弁をいただきまして、アルサビアの教訓を含めまして、また国際的な沿岸汚染の排除の規制強化、それから沿岸二百海里経済水域の漁業の振興といいますか、そういう面で、実際に、御承知のようにこの海洋汚染の確認件数は五十二年度で千七百五十件に達しておりまして、そのうち油が千三百三十九件となっております。それから発生原因に故意、不注意というのが七百六十件で四三%を占めておる、こういう状態でございますから、かなり人為的なものがあるわけですね。そうしますと、これは防ごうと思えば防ぐことができるわけでございまして、あのような悲惨な事態が起こらないように、特にまた油漏れを回収する場合、回収船が来てもそれが役に立たなくて結局漁民が幾日も出て手びしゃくで油をすくっていくというような事態は、これは何といっても原始的過ぎます。だから今日の国際的な動向から見まして、海上保安庁としましても、ぜひいまお答えになりました点で強化していただくように御要請を申し上げたいと思います。  次に、最後の問題としまして造船不況の問題でございますが、私の県ではかなり堅実な中堅クラスの今井造船、新山本造船、そしてこのたび県造船とばたばたと倒産をする事態が発生をしまして、たくさんの従業員がちまたにほうり出されます。そして下請企業が全く悲惨な状態に陥っておるのでございますが、このことにつきまして、これら企業が、いろいろ業態は違います、また再建の意欲も違いますけれども、何とか再建をしなければならぬといって努力をしておるわけでございますが、これについて一つは雇用の問題です。きょうは労働省をお呼びしておりませんから、雇用の問題は、特に解雇しました本工を先に工場へ戻すということが原則であろうと思いますし、そういう指導をぜひ運輸省としてもしていただきたいと思うのです。  同時に、仕事の問題でございますが、これは私が調べましたところ、日本海事新聞、これは「全国造船所新造船工程表」というのが一月末の現在で出ておりますが、一万トン未満の造船件数を調べてみますと、三菱重工、日立造船、三井造船、石川島播磨重工、日本鋼管、川崎重工というようないわゆる大手造船のところに一万トンクラスの船がずっと集中しているのです。これは調べてみますと、四十九年一月末の調査では、一万トン以下の造船はこれらの造船企業はほとんどやっておりません。ところが、五十一年の一月末の調査によりますと、日本鋼管が一隻と川崎重工が二隻になっています。ところが、五十四年一月、本年の一月の末の数字によりますと、一万トン以下の船を三菱重工が何と八隻、日立造船が五隻、三井造船が十二隻、石川島播磨重工が八隻、日本鋼管が八隻、川崎重工が一隻で、四十二隻と、こうふえてくるのです。私が言いました今井造船、新山本、県造船というのは大体二万トン、三万トンの船をつくる能力を持っておりまして、いままでは一万トン級の船をつくっておったわけですね。ところが、この表を見ますと、それらの中小造船企業がやっておりました仕事をだんだんと大企業が吸収していく、こういうことですね。このことによって中小の造船がばたばた倒産する。倒産だけでなくて、そういう状態の中で造船意欲を失うという結果が出ておると思います。  これは運輸行政として当然、一万トン級の船については中小に回していくという指導をすべきだと私は思うのです。その点で、この数字を見まして、これは中小の造船企業がつぶれるはずだなという感じを抱いたのでありますが、これはまさに造船に対する行政指導の面だと思います。この点についてどういうふうに把握をされておるか、伺います。
  261. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 まず第一点の、非常に困難な情勢にあります造船業の離職者の問題でございますが、この点につきましては、五十二年の半ばから特定不況業種離職者臨時措置法に先駆けまして、いわゆる雇用保険法によります失業保険が切れた後でも手当を給付できるような制度を導入しまして、その後、臨時国会で特定不況業種離職者臨時措置法ができまして、それに指定する。それからさらに、雇用保険法及び先ほど申しました臨時措置法の運用の弾力化、制度の改善強化というような点で、私どもとしては極力造船会社の設備縮小あるいは操業の縮小から来る離職者につきましてできるだけの手当てをしているつもりでございます。  もちろん、問題は失業を出さないというのが第一前提でございます。したがいまして、その意味では、昨年の補正予算及びこのたびお願いしております予算におきましても、需要の創出ということで、それぞれ補正予算においても成立しておりますし、今年度予算案につきましても、内航船、近海船あるいは計画造船あるいは官公庁船等によってある程度需要ができ得るもの、こう考えております。  今後は、五十四年度におきましては、まさに造船にとりまして、設備の削減、操業調整等で過当競争を防止しながらこれからの体制をつくります礎となるべき年でございますので、かなり苦しい状況が続くかと思います。ただ、この点につきましては、出向なりあるいは雇用調整給付金等によります社内の訓練等によります職業の転換とかそういったものをできるだけ活用するように指導するつもりでございます。  二番目の、造船業におけるいわゆる受注の大きさによる調整といいますか、そういう問題かと存じます。この点は、今回の造船不況が決して日本だけに起こった問題でもなく、また船の型によって起こっている問題でなくて、基本的には過剰船腹がタンカーにも貨物船にもあります。したがいまして、現在国際的に出てきている船は、大きくて数万トンのタンカー以下が中心でございます。そういう意味におきまして、かつての大型造船所がこういった船をつくっている問題につきましては、私どももこの点については基本的にラインを引いておるわけです。それは、一つは、設備削減におきましてこういった大手総合重工メーカーに対しては設備の削減率を強化する、あるいは操業調整におきましても強化するという形で受注の枠の限度といいますか、そういうものを決めまして、ほっておきますともっと過度に集中するかと思いますが、それの集中を避けているというのが実情かと思います。したがいまして、先生の御指摘の点が見受けられますが、全体の大手七社のシェアというのは逐年落ちております。その点を御理解いただきたいと思います。  それからまた、特に官公庁船なりあるいは地方公共団体の船あるいは整備公団の船などにおきまして、中手以下でつくれるものにつきましてはできるだけ中手以下の造船業に優先的に発注されるように関係方面に協力をお願いすると同時に、私どもなりに工夫をして、技術的にある程度むずかしいものでも、大手と中手の組み合わせをつくって中手で建造できるような措置もお願いをして実施されつつあるところでございますので、御理解をいただきたいと、こう考えております。
  262. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間が参りましたので、終わります。
  263. 藤田義光

    藤田主査 以上で山原君の質疑は終了いたしました。  沖本泰幸君。
  264. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、大阪の外環状線について御質問したいと思います。  大阪では、これは運輸大臣もお耳をかしていただきたいのですけれども、地元では外環状線と言いますけれども国鉄の方では城東貨物線になっているはずなんですがね。格づけが大分違うわけなんです。城東貨物線ということになりますと、これは戦前にできた土盛りの単線の貨物線であって、広がった大阪市内をこの貨物線が横切って、利用価値はない。これが土盛りになっておって交通遮断をし、市街の発展それから住宅あるいは経済の発展に対して大きな支障を来しておるということは事実なんです。そこで、万博に向かって急遽これを間に合わしてということで、国鉄の第三次長期計画の中にこれを含めた計画が出たわけですけれども、その辺から国鉄の赤字が問題になり出してきて、第三次長期計画が御破算になったというところから、この城東貨物線が幻の外環状線という形になっていったわけです。それで、いずれにいたしましても実現するということで、沿線の各市は国鉄債をずいぶん買わされて、十何年間綿綿としていまに至るまで期待をかげながらじっと待っているというのが事実なんです。  それで、関東圏の総武線はずいぶん計画が遅かったわけですけれども、城東貨物線、外環状線を差しおいてどんどんやり出したわけです。当時、磯崎総裁にこの点やかましく言いますと、磯崎総裁は、それを余り言うと大阪の方はだめになりますよとおどかされたわけです。それでだめになると困るので、やかましく言わないで黙っていれば早く実現するんだろう、こう思っていたところが、そのうち磯崎総裁がやめられてしまって、これまた宙に浮いてしまった。  当時の計画としては、新大阪とそれから阪和線の杉本町を結ぶ、吹田、高井田を経て八尾を通って杉本町に回る、こういうことであり、それから南港に大阪市のコンテナの埠頭があるわけですけれども、これを国鉄のオンラインの中に入れていくので、いわゆるコンテナ埠頭からレールを引いてコンテナをそのまま杉本町に持ってきて、そこから木津の方へ貨物線、新しい路線をつなぐ、そういう計画が実現するとかしないとか。あるいは堺の臨海工業地帯の貨物を鳳を経由するなり何なりしながら杉本町へ運んできて、ここから外環状線に結んでいくというような、いろんな計画がこの中であったわけです。そして大阪市と折衝したりそれぞれのところと折衝したり、いろいろな青写真が言われたりしていきながら来たわけですけれども、実際の面から言うと、東住吉区の加美までは用地の面で大体心配はない。そこから杉本町を結ぶ場合には用地買収が必要でもあるし、相当難問が起こってくるんじゃないだろうかということだったわけです。  そうこうしている間に総裁が次々と交代されていった。おまけに縮小の意味ということになるのか、再建計画の中に入っているのか、関西支社も外されてしまった。関西支社の方はどういうわけで外したんですかと聞くと、それは本社の方でちゃんと見るから、関西支社の方はなくても十分やっていける、担当の者もちゃんとおるからと、こういうことだったんですけれども、やっぱり思っていたような形に変わってきてしまっているということで、一生懸命見ていて何とかしなければと思っていたような人たちはみんなはぐらかされているという状態なんですね。そして大阪市を中心にしてドーナツ現象を起こしてどんどん人口は外へ広がっていって、むしろ大阪市内の人口が落ち込んでいくということになりますから、この城東貨物線を高架にしていき、電化していき、客車を入れていく、内環状線に対し外環状線、東京の山手線のような形に変えてくれさえすれば、利用価値は十分出てくる。おまけに大阪の各私鉄は大阪の中心部へ乗り込んできて、ほとんど地下鉄を利用してそれぞれの目的地へ向かっていくということになりますから、いわゆる電車を使うお客さんというのは大阪市内でふくれ上がっていく。そういうことに伴って北とか南だとかのターミナルの人口はふえていくという面もないことはないわけです。  メリットも経済の面からないことはないわけですけれども、交通整理という点から考えるとずいぶんむだなことになっていくし、そういうお客さんを杉本町からそれぞれのところへ、新大阪の方へ運びかえていくようにすれば、和歌山とか奈良とか、あるいは京都から和歌山へ行くとか、それぞれのところのお客さんの利用価値というものはずいぶん変わってきますし、時間の点も短縮されていくというメリットも十分出てくるわけで、あながち赤字だけを対象にどうこうするといういまのローカル線的な考え方を無理強いにお願いしてつくってもらうというのではなしに、メリットの点からでも十分検討に値するだけの価値はあるんだ、こう関西の連中は考えているわけです。だから国鉄債も抱え込んでじっと黙って、何とか何とかということで現在まで来ているわけですけれども、しかし沿線の住民にしてみますと、いつどういう形でどうなっていくのかさっぱり見当がつかないし、これは生活にも関係してきますし、いろんな問題点が出てきておるわけですから困ってきているわけですね。戸惑いも起きている。こういう事態が起こっているわけです。  ただ目下のところ国鉄再建問題が非常に大きな問題としてクローズアップされているわけですけれども、むしろ黒字を生み出すメリットを考えていただくというような面からも検討を広げていただくことの方が大切じゃないか、こう私は考えるわけですけれども、そういう面からももう一度見直していただくとか、あるいはこのことがどうなっているのか。聞くところによると、どうやら加美で紙になってしまった、あと向こうへ続かないで打ち切りらしいという話も地元でしておりますし、そうするとそのほかのところはどうなるんだろうか、未来図というものはどういうふうなかき方をしたらいいんだろうかというようなことで、地元の方でいろんな想像をしていきながらうろうろしておるということが実態なんです。  これについては、私は衆議院へ当選して以来現在まで言い続けているんです、ずっと毎年。大体無理なことを言ったらそれは無理は通らぬでしょうけれども、大体もっともです、筋は通った話だということで、十年も同じことを言い続けたら大体実現しそうだ、実現するのが本当だと考えるわけですけれども、はね返ってくるお話というのは毎年同じ返事が返ってくるわけなんで、この辺でそろそろ、将来に向かってだめなのか、おやりになるのか、それもお聞かせいただきたいし、なぜ中間で高井田から蛇草までちょろっと高架にしてそのままほってあるのかという点も、やる気があるように見せながらあと全くやる気がないというようなかっこうをとっていらっしゃるという点が、どうしても地元の人たちに納得がいかないということになるわけですけれども、その辺をお答えいただきたいと思うのです。
  265. 高橋浩二

    高橋説明員 大阪外環状線、いま先生城東貨物線とおっしゃいましたが、私の方はいま外環状線ということで名称を考えておりますけれども、たびたび先生からこの場でも御指摘を受けておりまして、二年ほど前にまたこの分科会等でも御指摘がございました。そのときに総裁からもはっきりとお答え申し上げたと思いますけれども、この線は大阪における一つには通勤線としての使命を持ち、一つには大阪と和歌山とを結ぶ線ともなるという二つの面から、この線を複線にいたしまして、そして旅客扱いをするということについては、ほぼ東京近辺の通勤対策も進んでまいりましたので、真剣に取り組んでいきたいというふうにお答えを申し上げたと思います。  私どもはその後正式に現地の担当工事局から関係の市にいろいろな意見照会をいたしました。これはその内容が複雑でございますので単なる意見照会ではなかなか意が尽くせないということで、昨年の九月に大阪市長に音頭をとっていただきまして関係府市の連絡協議会を持ちました。ただいままで二回の協議会で、いろいろ技術的な検討及びどこに駅をつくったらどういうふうなことになるだろうかということを検討いたしております。この三月にも第三回の打ち合わせをいたすことを予定いたしております。私の方は、これはぜひ推進していきたいということで検討を進めているところでございます。  もう一つ、いま先生、加美付近であとどうなるんだというお話がございましたけれども、私の方は、加美から南側につきましては大阪圏の審議会等でいろいろな御提案がございますので、その辺については大阪圏全体の問題も考えていろいろ検討していかなくちゃならないということで、とりあえず新大阪から加美付近までの旅客運転ということで検討したらどうだろうかということで、そこについていま技術的な検討を連絡会の中でさしていただいているという状況でございます。
  266. 沖本泰幸

    沖本分科員 いま高橋務理事お話で、総裁の二年前のお答えだと、和歌山から入ってくる人あるいは通勤する人たちの利便を考えて実現可能な方法でやっていくというお答えだったのだというのですけれども、加美で打ち切ったら和歌山の人はもう関係なくなるわけです。これはもう大変なんです。天王寺で乗りかえて、それで今度は環状線に乗ってまた乗りかえなければならない。二度乗りかえるということが起こってくるわけです。それか、もう地下鉄に乗って天王寺から地下鉄でずっと新大阪まで出るか、そういうふくそうしたことがいろいろ重なるから言っているわけです。ただ、まあ地元の市議会なり、いろいろな地域的な要望もあることですし、その点は両方連絡協議会で御検討いただいて結構ですし、地元の要望をしんしゃくしていただいて一日も早く実現の方向に向かってやっていただければいいわけなんですけれども、やはりお話しになったことは活字になって残るわけですから、東京周辺もぼちぼち片づいたのでというお答えは取り消していただかないとまずいと思うのです。じゃ大阪はいつも冷や飯を食わされるのかということになりますからね。両方考えていろいろ検討しているんだというふうな言い方をしていただきませんと……。だからさっき触れたように、関西支社を外したのもそういうことなんですか、なぜ総武線をおやりになるのですかということになる。この話の方が万博目がけて先に計画があったはずなんです。それがいまだに残されているというのは、関西の人たちにとってみればふんまんやる方ない問題なんです。おまけにいつも見させられるわけですよ、戦前の土手を、単線で全然列車が走らないのに。そのために住宅も建たないし交通も途絶えてしまっている、そういうことなんです。それで、これは大臣もよく御存じなんですけれども、いわゆる交通渋滞に対する五カ年計画で鳥取の駅も上げたし、各私鉄のところでも、交通渋滞をなくするために国から金が出て高架にしたり、いろいろなあれがあるわけです。ですから、言ってみれば城東貨物線が大阪の交通渋滞を起こしているのと同じということが言えるわけです。  そういう面で、高井田のお答えがなかったのですけれども、高井田と蛇草との間はとりあえずあそこの交通を考えてあそこだけを上げたということになるわけですけれども、それもあそこだけ上げてほったらかしておくのもまずいということにもなるわけなんですね。そういう点を十分お考えになっていただきませんとまずいと思います。  そういうことについてある程度地元の人たちにわかるような方法で御発表になるなり何なりしていただかないとまずいと思うのですけれども、連絡協議会だけで話を済ましているということよりも、国鉄の方から、いついつこういうことをやるためにいま計画していますよというようなことを言ってもらっておいた方が、やることに決めているなら、むしろ地域の理解がもっと出てくると思いますけれどもね。その辺いかがですか。
  267. 高橋浩二

    高橋説明員 この区間はただいま単線でございまして、いま高井田とおっしゃいましたところについては、もともと土で盛っていたものを高架に直しましたのがもう数年前に完成いたしております。今回は、複線にしませんと輸送力が持てないということでございますので、複線にいたすわけでございます。したがって、従来ありました高井田の高架橋とは全く性質の違うことで、新たに大臣の認可を得なければできないということでございます。  いま協議会でやっておりますのは、これを横断いたします河川、道路、またいまの盛り土を高架にしたいという御要望が地元から非常にございまして、それらをきちんと詰めなくちゃならないということで、その連絡技術協議会を持ちまして、そこでおのおのの意見がほぼ合意されれば、私の方はそれをもとにした設計で認可申請をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  268. 沖本泰幸

    沖本分科員 大体合意点に達しているのでしょうか。  高井田のところを上げたというのは、もともと上げるときに複線にするということが発表されて上げておるわけです。それは地元や各市ともよく了解しているわけです。だから話はつながっていくんだと腹の中ではみんな思っているわけなんですけれども、いま常務理事がおっしゃったお話というのは、大臣の認可をとらなければならないというような事務的な問題もあると思いますけれども、大体連絡協議会等の話というものは、そういう点では互いに前を向いて進んでいるのでしょうか。どうなんでしょうか。
  269. 高橋浩二

    高橋説明員 前回、二回目の委員会で、駅をどうするか、また道路との交差をどうするか、河川との交差をどうするか、それからいま申し上げた盛土高架をどうやってスラブ化するか、それから不法占拠等ございますのでこれをどうするか、この問題につきましては私の方から具体的に御提案を申し上げております。今度は第三回の委員会で、それについての自治体等の御意見並びに御回答をその委員会でやるという手はずになっております。その辺で費用の負担その他も全部一応問題点が洗いざらいにされまして、設計が決まっていくのではないかというふうに考えております。
  270. 沖本泰幸

    沖本分科員 連絡協議会というのは、大阪市長を先頭に各沿線の関係ある市長さん方でできているものですね。  じゃ大臣、最後に、いま常務理事にどうだとおっしゃっておられたのですが、先ほどのお話のように大臣の認可を得る問題も多々出てくるということなんです。そういう実情で、大臣よく御存じだとは思いますけれども、大阪の発展のために、問題が出てくれば前向きに検討して推進していただけますでしょうか、どうでしょうか。
  271. 森山欽司

    森山国務大臣 私は余りしゃべらない方が本当はいいのですが、国鉄のこういう路線は場所によりましては長い間の懸案でして、それで、できそうなうまいことを言われてやはり何年もたつのです。私も経験があります。ですから、あなたの話を聞いておって、あなたもその被害者か、こう思って先ほど来承っておったのです。ところが、常務理事の方が調子のいい返事をしているものですから、これはよかったな、こういうふうに思ったのです。しかし、私の隣の局長に聞くと千五百億ほどかかる、いま国鉄の財政で千五百億なんて金があるのかと聞いたが、何とか工面をするのでしょう。だから私は、常務理事からここでかなり先行き明るい話があったことは、これは沖本委員のために非常によかったな、こういうふうに思っておるのであります。  沖本委員も地元にはいろいろ懸案があるのだなということを感じましたことと、そういうことで長年実現したいという御努力をされたことと、きょうは恐らくいままでの返事の中では一番前進した方じゃないかと思いますので、成り行きによって今後もできるだけ御努力を申し上げたい。長年のおつき合いですから、それは進んでくるときはできるだけのお力添えをいたします。
  272. 沖本泰幸

    沖本分科員 これは私の選挙区とは関係ないわけでして、大阪の各選挙区全部につながっているわけです。だから、これはほかのやいやい言わない議員さん方の方がおかしいと私は思っているわけですけれども、うちの党は私一本にしぼって、毎年年中行事的に私が一人で受け持ってやっているわけで、また地元の各地域の御説明も私が行って説明しているわけです。(森山国務大臣「全然関係ないの」と呼ぶ)ええ、杉本町まで来れば出てくるのです。ということで、杉本町まで出てくれば五区の方の木野先生とかあそこらが関係になってきますけれども、選挙に絡んだそういう問題は別問題にしまして、いま大阪の経済の地盤沈下がやかましく言われているときでもありますから、ぜひともそういう点の発展のために、人口もドーナツ現象で減ってきておりますし、できるだけそういう点もお考えいただいて、またコンピューターも進んでいるわけですから十分採算度の方もお調べいただいておると思いますから、その点よろしくお願いいたします。  きょうはこれ一点で御質問したわけで、時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  273. 藤田義光

    藤田主査 以上で沖本君の質疑は終了いたしました。  大成正雄君。
  274. 大成正雄

    大成分科員 限られた時間で質問が多岐にわたりますので、簡潔に御質問を申し上げてまいりたいと存じます。  まず第一に、「国鉄再建基本方針」と大臣の所信等についてお尋ねしたいと思います。  政府は去る昭和五十年の閣議了解によりましてこの「再建基本方針」を出されました。同時にまた、これが五十二年一月二十日の閣議了解として修正をされたわけでございます。その柱としては、収支均衡の回復、運賃決定方式の弾力化、経営改善のための措置、国の財政上の措置、こういった柱を立てて、言うならば、これを整理しますと、国鉄自身経営努力運賃改定、国の財政助成、こういった三本の柱によって再建をしようということを期しておられるわけであります。  そこで、今日の状態を見ますと、この閣議了解事項からいたしますと、経営改善策を昭和五十二年度内に確立する、こういうことであったわけであります。五十年十二月三十一日の了解では五十一、五十二両年度でということでありましたが、これがさらに後退をしたわけであります。  森山大臣、何代目の大臣になられるかわかりませんが、大変な赤字会社の社長さんにおなりになったようなもので、本当に御苦労だと思うのでございますが、いやしくも大臣として就任をされた以上は、おれはこれまでやろう、こういう決意をしておられるだろうと思うのでございます。大臣御自身、在任中この既定の再建方針の中でこれだけはやりたい、こういうものがありましたら、心に期しておられるものがありましたらひとつ承りたいと思います。
  275. 森山欽司

    森山国務大臣 社長というお話でしたけれども、高木総裁が赤字会社の社長でしょう。私の方は社長の上の監督官庁みたいなものでありますが、とにかく本気になってやってもらわなければいけませんからね。私が社長ならもう少しこれはやりますよ。なかなかそれが……。  だから、赤字会社の社長さん以下が本気でやってもらうようにこれからしむけなければならないということでありまして、そのために鋭意努力をいたしております。それでボーナスを半分にしましたのも、単なるサラリーマンじゃなくて経営者だという気持ちを持ってもらいたいという一つの刺激材料でしたわけで、そんな大したことじゃないのですけれども、単なるサラリーマンじゃないぞ、こういうわけであります。それは社長さん以下重役さんたちにがんばってもらう。私はその社長さん以下重役さんたちにがんばらせるような立場ですね、そういう立場でございますから、社長さんは高木さんでございますから、どうかひとつ……。  それで、やはりそうなれば従業員の人たちも本気になってもらわなければなりませんですから、そのために国鉄経営努力という一言の中に入る問題は、重役さんたちが経営者として本気になること。また従業員が、これは組合が五つほどありますから、この五つの組合の皆様方が、いろいろな考え方の組合ではあるけれどもとにかく現在一兆二千億円くらい実質赤字でございますから、国民一人頭一万円の税金を払っているようなものでございますから、そういう状態にある国鉄の現状からしまして、労使休戦してストなんかはやるべきではない、そういうような姿勢でがんばっていただかなければならぬ。そのためにどういうふうにしたらいいかというのが、これは社長さんではありませんけれども、社長さんや従業員の人たちを本気にする体制をつくるのが私の仕事である、こういうふうにいま思っております。  それで、これは一昨年の十二月にできた再建要綱でございますから、その「再建基本方針」に沿って、やはり五十年代に収支の相つり合うように持ってくるという目標で、そして五十五年度から本格的な体制をつくる。そのためには五十四年度に計画をまとめなければなりませんから、その計画はここ数カ月のうちに、少なくとも来年度予算案をまとめるという過程ででっち上げていかなければならぬ。これはもういやでもおうでもやらざるを得ないということでありまして、これだけはやりたいというよりも、各党がこれでは困るではないかということのお考えで、そしてそれをもとにして閣議了解をした「国鉄再建基本方針」というものを着実に実行していくのが私に与えられた使命でありますから、その使命の遂行のためには万難を排した努力をこれからいたす、こういうつもりであります。社長や従業員の人たちが本気になってやれるような体制を段取りをつけるのが私の仕事、こういうふうに心得ております。
  276. 大成正雄

    大成分科員 まさにそのとおりではございますが、これは大臣国鉄に対する期待と願望だけではどうにもならないし、いまいみじくも大臣がおっしゃったようないわゆる措置をさせる、これが問題だと思うのでございまして、ともかく容易ならざる状態でございますので、ぜひひとつこの画期的な御成果を期待いたしておる次第でございます。  そこで、さきに当事者能力としての運賃の弾力性はお持ちになったわけでありますから、あとの柱といいますと、経営努力と財政助成、この問題であります。国鉄の今年度予算の編成では五十三、四年度中にこの方針を明確化させて、五十五年度以降この健全経営を目指す、こういうことなのですが、五十五年度以降と言ってもずっと未来永遠に続くわけではないので、大体いまの見通しからしますと、この五十五年度以降いつごろまでにいまのような財政が健全性を取り戻すことができるのか。ともかく閣議了解事項がずれずれにずれておりますし、今年度でも六千百八十一億の財政補助もしております。また、今年度の国鉄予算からしましても、一般純損失が八千百五十二億、予定損失で八千九百九十八億、こういった数字を計上しておるわけでありまして、言うならば経営努力と財政助成のそのバランスをどうしていくかということの問題と、もう一つは、いまのような国全体の、国債問題を含めて、財政の制約からするならば、無制限に財政援助をするというわけにはいかぬだろうと思うのですね。その辺のところをひとつ簡単で結構ですからもう一回。
  277. 山上孝史

    ○山上政府委員 大臣がお答え申し上げましたように、再建基本方針におきまして三本柱、これを実現していくということでございまして、結論を先に申し上げますと、「再建基本方針」では収支均衡回復の目標といたしまして、国鉄財政の収支均衡の回復は昭和五十年代に達成することを目標とするということで、これを目標として何とか歯を食いしばり、知恵のあるだけ出してその実現を期したい。  その三本柱のまず第一の国鉄自身経営改善につきましては、大臣も申し上げましたとおり、現在経営改善計画を持っておりますが、これにつきまして来年の予算に間に合うようにできるだけ早い機会に国鉄におきまして経営改善計画の全面的な見直しをしていただくということをまず考えております。  それから、二番目の柱といたしまして、徹底した合理化前提といたしまして、毎年の経費増高分につきましては利用者の方に運賃改定でもって負担していただくということで、五十四年度の予算におきましては、五月二十日からの値上げを予定いたしまして、五十四年度におきまして千六百五十億増収を図るということを計画しております。  それから第三の柱といたしまして、政府からの行財政上の支援の問題でございます。これにつきましては、先生もいま御指摘のように、財政上六千百八十一億という対前年で一四・四%増の助成を、現在御審議をいただいておる予算案に計上しておるわけでございます。  そのような三本柱、これを具体化いたしまして、五十四年度におきまして「再建基本方針」の線にのっとって運営していく。さらに、五十三年度、五十四年度の両年度におきまして、先ほど大臣も申し上げましたように、さらに構造的欠損なり抜本策につきまして具体的な措置を講じ、五十五年度から再建の軌道に乗せていきたい。冒頭申し上げましたように、五十年代中には収支均衡を期したい、こういうことでございます。
  278. 大成正雄

    大成分科員 ぜひその方向でがんばっていただきたいと思います。  さて、この財政の赤字の構造的な大きな要因として、地方交通線があります。五十二年一月二十日の閣議了解の中の、いわゆる経営改善措置としての貨物、赤字ローカル線、自動車、船舶、手小荷物、こういった中で、この赤字ローカル線に関しては経営改善策を昭和五十二年度内に確立する、こういうことでありまして、国鉄地方交通線問題小委員会の五十二年一月中間報告によってこれらのビジョンが打ち出されておるわけでありますが、最終的に地方交通線に対する構造的な赤字解決策はいつ打ち出されるか。内容はいいです、いつ打ち出されるか、それだけお聞きします。
  279. 山上孝史

    ○山上政府委員 御指摘の地方交通線問題につきましては、「再建基本方針」にもあります構造的欠損の代表的な事柄だと思います。これにつきまして、一月二十四日に、五十一年来御審議願いました運輸政策審議会の小委員会の報告も出ましたので、その報告の趣旨に沿いまして目下その具体策を検討中でございます。これを至急まとめましてできるだけ早い機会に結論を出したい、こういうことでございます。
  280. 大成正雄

    大成分科員 その至急、早い機会というのはいつごろかというふうにお聞きしているのです。
  281. 山上孝史

    ○山上政府委員 再建基本方針では、五十三年度、五十四年度の二カ年において国鉄再建のための抜本策を講ずる必要があるということでございますので、五十五年度の予算に間に合うような時期に、さらに、仮に法律の改正を要するというような結論になりました場合には、一番早いこの国会に出すということをもあわせましてできるだけ早い機会に結論を得たい、かように考えております。
  282. 大成正雄

    大成分科員 次に定員削減の問題について承りますが、今年度の予算で、工事勘定も含めて四十二万四千人ということでありますし、閣議了解においては昭和五十五年までに五万人の合理化ということを打ち出しておられます。大臣は五千人の縮減では不十分じゃないかといった感触をお持ちのようでございますが、今予算に織り込まれておるこの五千人の削減は必要十分なものであると考えるのか、あるいは不十分だと考えるのか、また昭和五十五年までには定員をどこまで持っていきたいのかということと、もう一つは、新規採用との差し引きにおいて、今日、人件費二兆一千五百六十億、損益勘定の三兆四千八百八十四億のうちの六二%を人件費が占めておる、こういう状態でございますから、これは赤字要因としてはきわめて重大な問題だと思うのですが、その点、大臣にもちょっとその考え方を承っておきたいと思います。
  283. 森山欽司

    森山国務大臣 五十四年度の予算では、前年度に比べて五千人ほど定員削減という計算になっておるようであります。しかし、国鉄は、いまの職員構成からいたしまして退職する人が相当多いわけであります。そうして相当数の人を募集しまして穴埋めをしている、こういう形であって、人員整理と申しましても、生首を切っての人員整理ではございません。後補充をどの程度するかというのがこの人員整理ということでありますから、その辺のところは一般に考えられる問題とは内容が違います。  そういう観点からいきますと、これはいろいろな角度からいろいろな見方はございますけれども、やはり私鉄の経営能率等から見ますと、国鉄には過剰人員を抱えていると考えられる点はございますので、そういう意味で今後の職員の補充というものを考えていかなければいかぬ。しかし、いままでのやり方というのがありまして、いろいろな職場における労使協約のようなものがあって、それを打破していくということについてなかなか勇気も要るし、努力も要るしということであろうと思うのです。それを国鉄経営者あるいは従業員の立場の方、具体的には労働組合の人たちがこれからどうやってこなしていくか、こういうことだと私は思うのであります。何と言ってもいままで以上に働かなければならぬことだけははっきりしておりますが、当面の事態から考えましても、数をどのくらいにするというところまではまだ言い切れないと思います。しかし、一応のめどというのは、事務当局にあれば事務当局の方で話してもらおうと思っておりますが、これは先ほど申した「基本方針」のこれからこなしていく過程で具体的に出てくる、こういうふうに考えております。
  284. 大成正雄

    大成分科員 数字的なものはまたいずれ機会を見て検討させていただきましょう。  時間がありませんから、整備新幹線についてはちょっと後回しにさせていただいて、東北・上越新幹線関係で若干承らせていただきます。今年度の東北・上越両新幹線に対する予算配分の中で、大宮以南の建設投資の規模と内容はどんな内容になっておられるでしょうか。  それから、御承知のとおり予算委員会の総括でもお尋ねしたわけですが、反対区間に対していま具体的にいつ、どのような手が打たれているのか、この点を承りたいと存じます。  それからもう一つは、営業開始時期を実際的にはいつと判断して全体計画がいま調整されているのか、この三つを一緒にして承らせていただきたいと思います。
  285. 高橋浩二

    高橋説明員 東北新幹線東京から盛岡まで約五百キロでございます。いま一番問題になっておりますのは、東京から大宮の約三十キロでございます。この三十キロにつきましては先生も御承知のような状態で、なかなか地元との協議がまとまりませんが、その中の比較的長期間の工期を要するというようなものについては、たとえば上野の駅のようなものについてはすでに着工いたしております。全体的には、五十三年度が終わりますと東北新幹線の全工事量に対してちょうど三分の二が完了するということになってまいります。大宮から先については順調に進んでおりますので、大宮−東京間の狭い区間がいま残っております。その問題の個所がだんだん狭まってまいりました。私の方はあと二年余りの間に全力を挙げて、予定どおり五十五年度いっぱいに完成させたいということで、ただいま鋭意努力をいたしておるところでございます。
  286. 大成正雄

    大成分科員 要するに、今年度の予算では、大宮以南に対する投資配分というものは、上野駅以外にはないのでございますか。
  287. 高橋浩二

    高橋説明員 来年度は、いま手持ちに金額を持っておりませんが、これは進捗に伴って用地買収にかかる予算を計上いたしております。
  288. 大成正雄

    大成分科員 ということは、二番目にお尋ねした反対区間に対しても、五十四年度ではその用地買収その他の予算措置してある。
  289. 高橋浩二

    高橋説明員 そのとおりでございます。
  290. 大成正雄

    大成分科員 営業開始時期は五十五年ということでありますが、実際問題として可能と判断しておられましょうか。立場上ここで言えないこともあるでしょうけれども、どうでしょう、感触としては。
  291. 高橋浩二

    高橋説明員 先ほどもちょっと申し上げましたが、だんだんこの問題の個所が非常に狭まってまいりました。しかも東京から大宮の間は、いま問題の上野付近は地下構造でございますが、それ以外は高架橋構造で計画をいたしておりまして、高架橋でございますと、範囲が狭くなりますと、私の方は工期的にはまだできるというふうな確信を持って、いま地元の説得その他お話し合いを進めておるというところでございます。
  292. 大成正雄

    大成分科員 いまその一環として大宮新幹線駅の着工に入ったわけでありますが、五十四年度、この大宮新駅に対してのどの程度の投資がなされるのか、また全体計画としての総投資額は幾らなのかを承りたいと思います。
  293. 高橋浩二

    高橋説明員 その大宮駅には在来線との連絡関係の跨線橋及び大宮駅自体の新幹線の構造物、それらを含めますと約百六十億円ぐらいを予定いたしております。これは年度別よりも、私の方はいま申し上げたようにこれも五十五年度までにきちんと完成しなくちゃならないので、完成すべく予算を計上いたしております。
  294. 大成正雄

    大成分科員 すでに現場で発表したこの構想内容からしますと、その中に関連施設というものが含まれております。この関連施設にはいろいろあろうと思うのですが、その中にはいわゆるテナントを導入した駅ビル的な、いわゆる小売商業床的なものは含まれているのかどうかを承りたい。
  295. 高橋浩二

    高橋説明員 含まれてございません。
  296. 大成正雄

    大成分科員 含まれていないという常務理事のきわめて明快な御答弁で安心しましたが、一部そういったうわさが地元に流れておりまして、いわゆる商業調整の問題とも絡み、新幹線駅が地元商店街を圧迫するといった声になりまして、それでは新幹線には協力できないじゃないかというそういうムードも出ておりますので、注意をしていただきたいということだけ申し上げておきます。
  297. 高橋浩二

    高橋説明員 いま申し上げた百六十億の中にはそういうものは含んでおらないということを申し上げます。  将来の計画としては、連絡跨線橋及び高架下等の空間が残りますので、その残った区間には関連事業、これは国鉄ではなくて、いわゆる第三セクター等が関連事業をするということは考えております。
  298. 大成正雄

    大成分科員 考えておられるということではございますが、この地元商店街との関係もありますし、国鉄法第六条の投資の内容もあるでしょうが、ともかく慎重にひとつお取り扱いだけはいただきたい。問題が非常に重大な問題に発展するような気配もありますので、ひとつ御検討をいただきたいと思います。  次に、大宮と伊奈の間のガイドウエーバスの建設の問題でありますが、この埼玉県との協定書に、これは監督局長もお立ち合いになられたかと思うのですけれども国鉄の出資、これは国鉄法第六条による出資と見られるわけでありますが、この六条の第何項あるいは政令のどの部分を根拠としてこの新交通システムのガイドウエーバスに国鉄が出資されるのか、その全体計画とあるいは国鉄出資予定額、またこういった第三セクターに対する国鉄の権限、利便供与の内容、こういったことについてまとめてひとつ承りたいと同時に、このガイドウエーバスのターミナルは大宮新幹線駅の中に持ち込まれるのかどうか、これを承りたいと思います。
  299. 高橋浩二

    高橋説明員 最初に全体の計画を申し上げます。  大宮から伊奈町まで約十三キロの区間、東北新幹線及び上越新幹線に沿いまして新しい交通機関をつくるという計画を考えております。全体は約二百六十億円ほどかかるのではないかというふうに予定いたしておりますが、これはまだシステムそのものが決まっておりませんので、概算でございます。そのうち、国鉄及び自治体等の出資によって第三セクターをつくりましてその運営をするということで、第三セクターが必要とする工事金額は約四十億円程度ではないか。それからなお、運輸省国鉄と地元との間で合意した線では、駅等については地元が負担というものをその中に含んだ金額でございます。
  300. 大成正雄

    大成分科員 国鉄の出資額は幾らになりますか。
  301. 山上孝史

    ○山上政府委員 国鉄の出資の根拠について御説明申し上げます。  国鉄法第六条第一項の規定によりまして、日本国有鉄道法施行令の第一条の十号に該当すると思います。すなわち、第三セクターの行う事業は、国鉄の所有する新幹線高架橋に設けられる張り出し部分等の施設を使用した新交通システムを運営する事業でございますので、この事業は、いま申し上げました国鉄法第六条第一項の国鉄の所有する施設の高度利用に資する事業、これが施行令の第一条の十号に書いてあるわけでございまして、国鉄の所有する施設に設けられた施設の運営を行う事業であって、当該国鉄の所有する施設を通常の利用の程度以上に利用すると認められるもの、これに該当すると考えております。
  302. 大成正雄

    大成分科員 国鉄自体の出資額はまだ決定しているわけじゃないのですか。
  303. 高橋浩二

    高橋説明員 まだシステム自体が確定いたしておりませんし、それからただいま収支計算がどうなるかということをいろいろ勉強いたしております。通例ですと、全体の工事費の、たとえば駅ビル等では資本金が総額の約一割というのがいろいろケースとしては多いわけでございますが、これは本当に新しい輸送機関でございますので、その点も十分検討した上で資本金等については今後地元と協議をしたい。その場合の出資額比率については一応フィフティー・フィフティーということでお話し合いを進めることになるのではないかというふうに考えております。
  304. 大成正雄

    大成分科員 いずれにしても、この出資額は予算に定めるということになっていますが、一応いまの見通しとしては、何年度の予算にこれを予算化する予定でございますか。
  305. 高橋浩二

    高橋説明員 私の方は一件ごとでなくて出資額総額で、五十四年度予算には二十五億計上されております。そのうちの一部を使用するということになろうかというふうに考えております。
  306. 大成正雄

    大成分科員 そうすると、新年度の予算二十五億の中の一部が五十四年度においてこの新交通システムに出資される、投資される、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  307. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいまのところはそういう予定にいたしております。
  308. 大成正雄

    大成分科員 昭和五十四年度、いま審議されておる予算の中で、この高崎線は経営指数から言いますと全国で上位にランクされている黒字線の一つでありますが、高崎線の通勤緩和策として何か具体的にこの予算の中に織り込まれているかどうかを承りたいと思います。
  309. 高橋浩二

    高橋説明員 昨年運輸大臣の御認可をいただきまして、赤羽−大宮間と俗に言っておりますが、その間の通勤新線を新しくつくるということの御認可をいただいております。これができますと、ただいま高崎線と東北線両方から来たものが一本になっているのが別々の路線で運行できますので、輸送量は飛躍的にふえるということで、これも新幹線とあわせて計画を進めております。
  310. 大成正雄

    大成分科員 それは通勤新線が完成した時点の話でありまして、私が承っているのは、五十四年度に、いま審議しているこの予算の中で、高崎線に対する通勤緩和策が何か措置されているかということを聞いております。
  311. 高橋浩二

    高橋説明員 昨年、車両等の増備等をいたしましたけれども、五十四年度、具体的には計上いたしておりません。
  312. 大成正雄

    大成分科員 時間が来ましたので最後に一つだけ。同線の鴻巣−吹上間に新駅の設置というものの可能性があるのかどうか。もしあるとすればいつ設置されるのかを承っておきたいと思います。
  313. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいま高橋務理事の方からいろいろ御説明しましたように、現在高崎線につきましては、東北新幹線計画がありますように非常に輸送密度が大でありまして、ダイヤ構成も非常にむずかしいというような実態がございますので、いま直ちに駅をつくりましてそこに列車をとめるというのは、ダイヤ上もさまざまな困難な事情がございます。それで、幾つかの個所からそういった新駅の御要望が来ておりますけれども、やはりこれは地域の開発とか新幹線の開業とかいろいろな条件を見回しまして、少なくとも現状では困難であるけれども、新幹線の開業等々と絡み合わせて今後検討していきたい、かように考えております。
  314. 大成正雄

    大成分科員 終わります。ありがとうございました。
  315. 藤田義光

    藤田主査 以上で大成君の質疑は終了いたしました。  次に、中村重光君。
  316. 中村重光

    中村(重)分科員 質問をする予定で通告をしていなかった点を、もう大臣がよくわかっていらっしゃることですから、大臣に先にお尋ねします。  長崎空港の国際空港化ということです。これは知事も非常に積極的なんですが、この可能性ということですが、大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。知事も中国に定期便を飛ばしたいとか、えらい熱心にやっております。コンコルドの考えもあるようですが、あれはいただけないのですが、国際空港化というのは非常にいいことだと思っているのです。考え方とあわせて可能性を。  それから、新幹線は五線一緒にやる、こういうことですが、いろいろ条件がついたようですけれども、条件が整ったところから随時やっていく、こういうことだと同時着工ということにはならないのでしょうが、そのとおりなのかどうかという点をまずお答えいただいてから、予定の質問に入ります。
  317. 森山欽司

    森山国務大臣 これは通告のない御質問でありますが、国際空港は、日中航空交渉というものをいまやっておるのです。それで、また春が過ぎたらやることになっておりまして、その際、長崎を経由して上海の方へ行く路線が一つ計画されておりますけれども、これが実現をいたしますれば、長崎空港が国際空港として、外国の飛行機、定期航空が入ってくるわけでありますから、そういうふうになっていくと私どもは考えておるわけです。これは方々でねらっておりまして、けれども、おたくの知事さんも前々からがんばっておりますから。中村さんも反対じゃないんでしょう。だから、そういう方向で私は進もうと思っております。ほかの県の人がいるとぐあいが悪いのですよ。そういう方向で御支援申し上げるというつもりでおります。  それから、新幹線がまたえらい御熱心で、私も気持ちとしては非常によくわかるのです。すでにもう東海道新幹線それから山陽新幹線が走っておりますし、それから東北新幹線上越新幹線は工事中で間もなくできるでしょう。国土の均衡ある発展という点から考え、地域格差の是正という点から見れば、新幹線整備五線の問題が出てくるということは私はよくわかります。ただ、事務的に言えば財源問題等でいろいろ問題があるわけでありますけれども、何とかひとつ財源を見つけて実現をする方向に持っていきたいということで私は取り組んでおるわけであります。それで、財源のめどがつけば昭和五十四年度中にも実施をしたい。それだけのやりくりをつける財源もその意味では用意しているというのでありますが、本格的財源のめどというのはいまのところまだついてない、続いて探そうという態勢になっておるわけです。だから、そうなった際にどうするかということですが、これはいろいろの環境影響の調査、アセスメントをした結果あるいは地元の協力状況等等、いろいろ条件がありまして、全国一斉にやるということにはなってないわけでございますし、また、いずれにいたしましても、一斉にやることは事実上むずかしいのじゃないでしょうか。ただ、かっこうだけ着手したような顔をしていつまでもほうっておくということもいかがかというふうにも思いますから、その辺のところは緩急順序というものはつくのではないか。ただ、一度に着工するということで余り過大な期待を持っていただくと、なかなか容易ではないと思います。ただ、これは地元の長崎新幹線のことを念頭に置いての御質疑だと思いますけれども、その点につきましては、整備五線の現状については御承知のとおりでございますから、少し広い視野からひとつ長い目で見ていただきたいというようにお願いいたしておきます。
  318. 中村重光

    中村(重)分科員 私も、新幹線そのものに反対ではないのです。しかし、狭い日本、何でそんなに急いで走る、という自動車事故防止の標語もあるくらいであります。まあ国策を推進していく上でも順序というものもあるし、また、赤字であるということがはっきりしながら無理にこれをやるということになると、いわゆる政治新幹線というそしりも免れないから、十分慎重におやりになる必要があるということだけは申し上げておきたいと思います。
  319. 森山欽司

    森山国務大臣 ちょっと中村さん、あなたは余り賛成じゃないですか。
  320. 中村重光

    中村(重)分科員 私は、新幹線そのものには反対ではないけれども、今日の低成長時代、いわゆる大型プロジェクトにこだわり過ぎるということには抵抗を持っているのです。今日の日本の経済、財政の状態等からして、いわゆる国民生活関連の公共事業にまず重点が置かれる、物に順序がある、そういうことで申し上げるわけなのです。頭から反対であるという否定的なものではないのです。
  321. 森山欽司

    森山国務大臣 そういう意味では、中村さんとは長いおつきあいだがら私の考えも申し上げておきますが、確かに国の財政の現状から言えば容易なことではありません。私はそういう意味ではきわめて事務的に、むずかしいからできないよと言ってしまえば一番簡単だと思っているのです。だけれども、そういうわけにはいかないだろう。たとえば昭和五十八年ごろでしたか、青函トンネルができましょう。そうすると、あそこに通す鉄道は通常の鉄道でいいかどうか。やはり新幹線が欲しいということになってくるだろうし、それはまたおかしくない、新しくつくるのですから。そうでしょう。そうすると、整備五線のうち二つ手をつけざるを得ないことになりましょう。私どもの役所の方の鉄監局も国鉄もおりませんけれども、私はそう思うのです。五線のうち二つは手がつく。これは、借金でやった鉄道では利子を払わなければならない、返さなければならないというのでなかなか採算に合いませんけれども、国費で出せば採算に合わぬことはないだろう。だって裏日本の方なんか、信越方面とかはそういう見方があるのですよ。そうなってくると残りは九州だ。九州二線だけほっといていいというわけにはいかないのじゃないですか、先行き。九州がよかったら四国だけ置いてきぼりできますか。こういうことです。  だから、国土の均衡ある発展とか地域格差の是正とか、先ほども申しましたように広い視野から少し長い目でこの問題を取り扱わなければいかぬのではなかろうかというのはそういう意味です。これを否定するのは政治理論として間違いだと私は思いますよ。私の考えとあなたの考えに違いはない、私はこういうふうに理解いたしておきたいと思います。
  322. 中村重光

    中村(重)分科員 いいです、それで。  それでは、駆け足で予定の質問を、一応本会議のような形でまとめてお尋ねをして、お答えをいただきます。  まず、福祉タクシーの問題をお尋ねするのですが、これは車いすだけになっておる。これは連絡しておきましたから担当の方お見えだろうと思う。これは視力とか聴力とか内部疾患というようなものを対象とするということが必要じゃないのか。現在、二十四都道府県が実施している。あとは実施してない。したがって、申し上げた内容の充実とあわせて、まだ実施してない県に対してこの制度の確立を要求する必要があるということです。  それからいま一つは、身体障害者の国鉄運賃の割引。これは事務当局でなくて大臣がお答えいただけると思う。昔と全然変わらないのだ。心身障害者基本法というのを私ども積極的に推進してつくった。役所の重いしりを押し上げるという目的で、議員立法で各党共同提案であれはやった。ところが、これが働いていないとは私は否定しないけれども、身体障害者の運賃割引に関する限り、特急とか新幹線は割引の対象になっていないのです、大臣。体の不自由な人ほど、長く汽車に乗りたくない、早く目的地に着きたい、これが願いだろうと思うのです。にもかかわらず、これの割引が実施されていない。精薄者に至っては全く割引の対象になっていない。こういう不合理、不平等、愛情のない行政であってはならぬ、こう思いますから、大臣国鉄を指導していただいて、また運輸省自身が乗り出してやる必要がある。  それから、ハイタクを運輸産業の中で公的輸送機関ということに位置づける必要があるのじゃないか、この点もお答えいただきたい。  それから、個人タクシーの免許の方針……
  323. 森山欽司

    森山国務大臣 ちょっと中村さん、その話は聞いていないのですよ。聞いていないけれども、答えますよ。答えますけれども、余りたくさん一度に言ったのじゃぼくは忘れてしまうから、一つ一つ……。
  324. 中村重光

    中村(重)分科員 時間がないのだ。——それじゃ、以上の点で一応お答えいただきましょう。
  325. 森山欽司

    森山国務大臣 福祉タクシーは、あなたのお話で二十何県すでにやっているというのならば、それは検討しましょう、ほかの県でやっているのなら。
  326. 中村重光

    中村(重)分科員 いや、国の方針なのだ。これを実施してない。
  327. 森山欽司

    森山国務大臣 だから、私よく話を聞いておりませんから、よく研究させてください。いまここで約束してしまいますと、やはり事務方がいないと、大臣勝手な約束をしたと言われたらいけませんから。あなたのおっしゃるような意味で、二十何県すでにやっておるというならば、私はそういう方向で検討してみましょう。
  328. 中村重光

    中村(重)分科員 大体、連絡してあるのに、何で事務当局はやってこないのか。
  329. 森山欽司

    森山国務大臣 それから、その次は何でしょうか。
  330. 中村重光

    中村(重)分科員 個人タクシーの免許の方針。これは新免をふやしていこうとする考え方なのかどうか、あるいはやめたものを補充するという考え方の上に立っているのかという点です。
  331. 森山欽司

    森山国務大臣 いや、二つ目に身体障害者の何か言われたでしょう。
  332. 中村重光

    中村(重)分科員 いや、それは第一番に言った。視力とか聴力まで福祉タクシーの対象に加える必要がある。いま車いすだけが対象になっている。いま福祉タクシーという制度があって、国の方針で……
  333. 森山欽司

    森山国務大臣 それは第一番でしょう。第二番目は……
  334. 藤田義光

    藤田主査 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  335. 藤田義光

    藤田主査 速記を始めて。  中村君。
  336. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣に申し上げておくのだけれども国鉄運賃の割引、特急とか新幹線は割引の対象になっていない。それから、普通列車とか急行も百キロ以上の割引というのは、ずいぶん古くからそれが一つも改善されない。体の不自由な人こそ早く目的地に着きたい、ゆっくりしたい、こういう気持ちになるのは人情でしょう。だから、新幹線とか特急も割引の対象にするように努力すること、これを実行すること、心身障害者基本法の中にもはっきりそれは書いてある。これをやらない。同時に精薄児者、これは割引の対象に全くなっていない。こういう不平等なことがいつまでも放置されてはいけない。だから、これは速やかに割引を実施されること、それから改善されることを申し上げるわけであります。
  337. 森山欽司

    森山国務大臣 それは、私はいま初めて伺うことではあるが、国鉄の割引については問題が非常にいろいろありまして、すでにこれは社会党の方方もよく言われるのですが、たとえば学生割引は文部省の方で金を用意しろとか、それから、厚生関係のは厚生省の方で金を出せ、いろいろそういうことがございますから、いまのようなお話は、国鉄の政策というよりは厚生省の方の政策として割引の措置を講ずるということにしていかないと、国鉄限りでこれを簡単に実行できるような段階には今日の段階はありません。先ほど来お聞きのように、国鉄再建をしなければならないこういう段階でございますから、そういう御要望につきましては、中村委員からお話があったということは十分銘記いたしまして、厚生省、福祉行政の方とよく相談をして検討をさしていただきたいと思います。
  338. 中村重光

    中村(重)分科員 私も、もちろん厚生省にもこのことは物申すのです。ところが、心身障害者基本法の条文を大臣はお読みになってお答えにならなければいかぬ。国鉄等はということがはっきり書いてある。この割引の問題は国鉄にその任務、義務がある。厚生省とかなんとかというのも、そういうことを当然責任を持ってやらなければいけないが、国鉄自身がはっきりと法律の中に義務づけられているのだから、その法律の趣旨に沿っておやりになる必要がありますよ、こう言っている。だから、今度は厚生省に行けば大臣、あなたと逆な答弁が来るのだ。これは当然国鉄がやってもらわなければ困るのです、こう言う。あなたに言えば向こうがやれと言う、向こうに言えば逆にあなたがやれと言う。そんなことでは気の毒な人が救われない。
  339. 森山欽司

    森山国務大臣 中村さん、それは違うのだ。いま国鉄再建という問題が各党を通じての大きな題目になっておりまして、そのために国鉄再建基本方針というのが、各党の論議の結果、閣議了解ででき上がっておるのです。そして、そういうことのうちの一つとしまして、たとえば従来ある国鉄運賃の割引制度等についても、たとえば学生割引のような場合については文部省の方で金を出してくれぬかということがいまや議題になっている。法律に何を書いてあるというよりは、すでにそういうことが議題になっておるときですから、あなたのおっしゃるようなことは、もし必要であるならば、また、そういうことができることが望ましいことでありますから、そうなればやはり厚生省の方で予算要求をして、国鉄の方にその割引の穴埋めをしてやるという形でなければ、今日の段階では不可能なんです。ですから私は、あなたがおっしゃる御趣旨のことはそういう角度から推進しましょうということを申し上げておるので、頭から否定しておるわけではございませんから、どうかひとつ、法律はどう書いてあるか、私も読んで勉強しなければいけませんから勉強はさせていただきますけれども、ここの運輸関係分科会においては、もう今朝来何回も何回も国鉄再建問題が論議されて、その再建問題の一つとしてたとえばいまのようなことも議題になっておりますものですから、それで私が、いま事務局はおりませんけれども、そういう形でこの問題を処理いたしましょうということを申し上げておる。恐らく事務局に聞いたって同じことを言うに決まっていますから、そういう意味で私が御返事申し上げるのです。
  340. 中村重光

    中村(重)分科員 だから、行政運営として、大臣がいまお答えになるようなことをおやりになることは結構です。そうなければいけない。これは総合的におやりになる必要がある。しかし、法律に国鉄の義務がはっきり明記してあるのだから、だから場違いの質問はしてないということだけははっきり申し上げる。それはこだわりじゃないけれども、あなたが、いかにも場違いの質問をしておるかのようにとれることをおっしゃったから、法律をお読みなさい、こう申し上げたわけです。  次に、造船不況対策についてお伺いするのです。その設備廃棄ですが、これに対して中小造船所というのは非常に反発をするのではないか。ということは、設備の過剰というのも大手なんですね。それから受注の減退というのも、タンカーその他によってこれは大手である。にもかかわらず、設備廃棄というのは、それは大手と中小というのは若干差はつけたけれども、平均して三五%というような設備廃棄をすることになる。それが中小の大きな不満ということになるであろうし、また行政運営のあり方としても一考を要する問題ではないかという点が一点。     〔主査退席、井上(普)主査代理着席〕 それから、大手は今度は、不況であるということで中小の分野にどんどん進出をする。それで結局、中小というものはダブルパンチだということになる。だからこの際、分野調整をやる御意思というものはお持ちになっていらっしゃらないのかという点であります。  それから、長崎で林兼造船所が閉鎖する、あるいは山口を閉鎖するかそのいずれかということで、いま深刻な問題となってきておる。一本化することは、管理費の節減ということによってそれなりに経営者にとっては考えるべきことであろう。ところが特定不況産業安定臨時措置法、これに対して私どもは、御承知のとおり法律案の修正をいたしました。そして附帯決議もつけました。造船業というものは地域経済に密着している。これが縮小されたりあるいは閉鎖されるということになってくると、地域に大変な影響を与える。だからして知事の意見であるとか、あるいは下請の意見であるとか、あるいは労使協議をするということに修正をしているわけですが、そういったことは十分周知徹底をしているのかどうか。それらの点に対しては十分合意された中で林兼造船所のような、いずれかを廃止して一本化するというようなことになっているのか。法律の運用、これに対する行政指導、それから見通しの問題等を含めて、お答えをいただきたい。——若干延びますけれども、先ほど大臣との間のやりとりでがたがたした関係があって時間が延びましたから、あしからず御了承いただきたいと思います。
  341. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 まず第一点の設備の処理につきまして、大手が過剰であって、したがって中小についてはむしろ設備処理についての不満をどういう形で考えるかという第一の御質問だと思います。  これは先生承知のとおりだと思いますが、基本的に全般、大手、中手を問わず五千トン以上の建造能力を有する造船所がすべて不況の中に入っているということで、先国会の特安法のときも、五千トン以上の能力を有する造船業をすべて特安法対象の業種にするということで指定いたしたわけでございます。その際に、大手の設備処理をやれば中手は逆に設備処理をしなくて果たしてうまくいくであろうか、こういう問題があるわけでございます。確かに私どもは、今回の不況に入りますときに、五十二年度から操業調整をやりまして、そういった意味で大手、中手の中で差をつけて操業調整をやってきたわけですが、ややもしますと、中手のところで操業調整の率が比較的緩やかであったために、それで船が受注できるのではなかろうかということで調整が少しおくれた気味がございます。そういうことを考えまして、それは大手、中手ともに共同して設備処理をすべきだというコンセンサスができまして、海運造船合理化審議会の答申もそういうことになったわけでございます。そこであとは、大手の場合には他の総合重工業部門がございますので、それについての配慮をして差をつけたということでございまして、この点、大手、中手とも基本的にはコンセンサスが得られておる、こういうふうに考えております。  それから第二の点の、いわゆる分野調整をする気はないかということでございますが、これは私どもとしては、できるだけ中手以下にも仕事が回り得るようにということで、基本的に、過剰な自由競争にほっておきますと大手、中手入り乱れて大混乱が起こるということでございますので、まず設備処理で大手に差をつけながら処理を来年度いっぱいかかって実施する、さらにその途中の中期的な措置として、大臣勧告による操業調整からできれば不況カルテルへの移行も考えておりますが、こういったことで過当競争を防止するという趣旨でやっておるわけでございます。  いま現状は、世界的に見ましても、大型タンカーということでなくて中型タンカー以下の需要しかないわけでございまして、これを日本の将来の国際競争力も考えながらどう維持していくかということになりますと、やはり操業調整で差をつけて、それで、中手以下の方々も今後のこの危機を乗り切ってある程度曙光が見えた後においても競争力が残るという意味で、いまのところ差をつけながらも全体として縮小をすべきではないかという考え方でございます。もちろん、中手以下の仕事の配分について、たとえば官公庁船でございますとかあるいは整備公団の船でございますとか地方公共団体の船につきましては、技術的にできるものの形に直してまでも出していくという方針でやっておるわけでございます。  それから三番目の、林兼造船の船台処理の問題でございますが、先生先ほど御指摘のように、特安法審議の際に雇用の安定についての修正が行われまして、地域経済と雇用についての配慮規定が入ったわけでございます。そこで、私どもとしては特安法に基づきまして安定基本計画をつくりましたが、この中におきましても、事業者に、一つは地域の問題それから雇用の問題、それから関連中小企業等の問題に対する配慮の問題等を規定しております。したがいまして、これから約一年ほどかかって、来年の三月までに設備処理をしていくわけでございますが、その点で林兼造船所、これは中手のAクラスでございますから三〇%処理をするわけでございます。このやり方につきましては、当然企業がそれぞれの地域なりあるいは労使、労働組合それから関連中小企業等も含めて十分納得した形で設備処理が行われるということを期待しておりますし、私どもとしても今後その成り行きを十分見守りながら、関係者が納得の上での設備処理が行われることを期待しておるわけでございます。
  342. 中村重光

    中村(重)分科員 ともかく、いまあなたがおっしゃることは、それはまあそのとおりだと思う。ただ、私企業だから、向こうさん任せということであってはいけないのであって、やはり法律は、特に修正したという事実、附帯決議がついているという事実、これが生かされなければならぬということ。でなければ、ただ会社が一本にどこかに集約することの方が管理費が節減されて会社として非常に得だからということだけでは、附帯決議の趣旨も生かされないし、修正の趣旨も生かされないということ。それを十分留意して、やはり積極的な行政指導をおやりになる必要があるということを申し上げるわけです。その点は異存がないところだろうと思う。  それから、あなたと何回かお話し申し上げたことがあるのですが、例の確認団体の問題ですね。中小造船所等が一緒になって集まって協同組合なんかつくっているでしょう。それに対して、建造能力ありということで、通産省は確認団体としてそのお墨つきを与えているんですよね。ところが、それを持って海上保安庁に行ってみたり、まあ防衛庁までは行かないだろうけれども、その他の諸機関の方に、発注できる機関の中に行くわけです。そんなものは知りませんと、こういうことで、いわゆる実績主義によってどうしても大手によるとか、いままで実績のあったものだけが指名入札という形になる。それでは、国の方針に従ってそうした集約化をした人たちは救われぬじゃないか、私はこう言っている。同時に、通産省がそういうものを、中小企業庁が確認団体のお墨つきを渡すのだったら、あなたのところと十分話し合いをして、そうしてお互い合意する中でそういうお墨つきを出さないと、これはどこからもらったにしても、協同組合あるいは業界はもう非常にありがたがる。これによって自分たちの生きる道は開かれる、こう考えるのは私は当然だろうと思う。ところが、肝心の発注機関の方へ行くと、そんなものは知りませんよということで、すげなく断られるということであってはいけないじゃありませんか。だから、中小企業庁の方にもやかましく、そんな不見識なことじゃだめだと言っていますから、あなたの方も中小企業庁とも話し合いをして、そういう政府が出すものはそれだけの価値のあるものであるということ、そういうことでないと、私は政治、行政に対する不信感が非常に高まると思う。この点に対する考え方をひとつ伺って、終わります。
  343. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 造船の下請事業をやっております協同組合あるいは下請の中小企業が積極的に公共事業その他の事業転換をするということで、いろいろ訓練をした上で事業転換をしたいということになっておりますが、それを私ども、また推進をしております。先生指摘の中小企業庁のいわゆる資格認定といいますか、そういうものを出しているということも承知をしておりますが、中小企業庁の資格認定は、一般的にこういう能力ありということで、それぞれの機関の、いわゆる発注機関の入札資格と必ずしも適合してないということを、先生からもたびたび御指摘を受けているところでございます。  そこで、これは私の承知している限りでは地方の通産局が出しておられますので、これは私ども、各地方海運局が地方通産局と十分連絡をとりながら行政指導を進めておるつもりでございますので、今後とも先生の御趣旨を体しまして、中小企業庁それから地方海運局と地方通産局ということで、事業転換が容易になるような方向で御趣旨を体して話を進めてまいりたい、こう考えております。
  344. 中村重光

    中村(重)分科員 それではこれで終わりますが、先ほど私が福祉タクシーの問題を質問したとき事務当局はお見えにならなかったけれども、実はレンタカーを質問する予定だったけれどもこれは取り消したのです。福祉タクシーもそこで質問がないものと判断されたのだろうと思いますが、それはそれなりに理解をするのですが、もしお答えがあれば……。
  345. 梶原清

    ○梶原政府委員 身障者用のいわゆる福祉タクシーが全国的に普及しつつあるわけでございまして、まことに好ましい傾向だと思うわけでございます。ただ、これにつきましては、運賃割引ということにつきましては慎重な態度で臨むべきではないか。もともと福祉行政の一環として考えるべきであって、運賃の面でこれを対応するということは非常に困難がある、かように私どもとしては考えておるわけでございます。  しかし、冒頭に申し上げましたように、身障者専用のタクシー車両を開発使用しつつある地域が大分ふえておるわけでございますので、そのことは非常に好ましい傾向だと思っておるわけでございます。
  346. 山上孝史

    ○山上政府委員 身障者への割引の問題でございますが、先ほど、私がこちらへ到着する前に大臣がお答えしたようでございますが、国鉄の現在の経営の危機的な状況にかんがみまして、およそ公共割引というものに対しまして、おととし十二月の国鉄再建基本方針に基づきまして全面的な見直しをいましております。その中におきまして、各種の割引制度、それぞれいろいろな経緯なり理由があるわけでございますが、たとえば社会福祉政策あるいは文教政策、そのような公共的見地から必要な割引につきましては、七十八国会で衆参両院の附帯決議をいただいております。それによりまして、このような公共割引が必要な場合には政策官庁から予算を獲得して、そして国鉄に対しまして割引相当分を負担する、このような仕組みで実現すべきであるという附帯決議をいただいております。したがいまして、現在、このような附帯決議の趣旨にかんがみまして、また国鉄再建基本方針にのっとりまして関係各省と協議して、いまある公共割引につきましてもその軽減を図るように努力しているところでございます。したがいまして、御指摘の身体障害者の割引問題につきましては、先生承知のように、すでに運賃につきましては五割割り引きまして国鉄が負担しております。それから急行料金につきましても五割割り引いて国鉄が負担しております。ということで、現在国鉄の負担が身障者割引で約二十六億円以上ございます。というようなことでございますので、いま申し上げました全面的な見直しの一環として考えてまいりたいということでございます。  なお、先ほど大臣がお答えしたときに、先生から心身障害者対策基本法等の関係について御指摘があったようでございます。それにつきましては、先生承知のとおり同法の二十三条に、国鉄は「特に必要があると認めるときは、心身障害者及びその介護者の運賃等の軽減について配慮するよう努めなければならない。」こういう規定があることは確かでございます。そこで、それに従いまして、従来国鉄は、みずからの負担で運賃と急行料金につきまして五割の割引をしておったということでございますので、割引の新設につきましては、いま申し上げました附帯決議の趣旨にのっとって具体的に検討して、それが国鉄の負担にならないような方策を考えながら検討してまいりたい、かように存じます。
  347. 中村重光

    中村(重)分科員 私もその附帯決議の趣旨が当然だと思う。大臣の先ほどの答弁も抵抗は感じないのですよ。大体、公費でやるべきであって、国鉄会計の中で割引をするということは正しくない、私もこう思っている。ところが、厚生省に言うと、基本法を盾にとって、国鉄がやるのがあたりまえです、こう逃げるのです。そういうことじゃだめだから、そういう責任転嫁ではなくて、政府として責任を持って附帯決議の線に沿って処理しなさい、これを申し上げるわけです。  それと自動車局長に、タクシーの件も車いすだけではなくて、視力とか聴力、これも対象になっていないから、内容を充実する、実施してない県が非常に多いから、そういうところに周知徹底させる、そういう点を十分配慮してほしいということを申し上げて、終わります。
  348. 井上普方

    井上(普)主査代理 これにて中村重光君の質疑は終わりました。  なお、運輸省所管に関する質疑は明三月一日引き続き行います。     —————————————
  349. 井上普方

    井上(普)主査代理 次に、昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算建設省所管について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  まず、伏屋修治君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として水資源開発公団理事田中和夫君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することにいたします。  なお、一言申し上げます。政府当局の答弁は要を得て、簡潔にお願いいたします。  伏屋修治君。
  350. 伏屋修治

    伏屋分科員 私は、日本で最大と言われ、また今後ないだろうと言われておりますところの大規模な、岐阜県に予定されております徳山ダムの建設について質問を進めてまいりたいと思います。  現在、生活補償、生活再建の基準を示す昨年の基準に対しまして、住民の方が納得がいかないという形でそれを返上されたまま、その交渉はとんざしておるのが現実でございます。そういう面からも、建設省あるいは公団でも結構ですが、いままでの経緯、問題点等について説明をしていただきたいと思います。
  351. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 徳山ダムというのは、先生すでに御存じのように、揖斐川の洪水調整、下流の既得用水の補給あるいは新たな都市用水の補給並びに発電ということで計画されたものでございまして、昭和五十一年四月に事業実施方針を指示いたしまして、同九月に事業実施計画を認可し、五十二年度より国道、県道等の改良工事に着手しており、おおむね六十年度の完成を目途として事業を進めておるところでございます。  徳山ダムの建設に伴います補償につきましては、徳山ダム建設差止請求訴訟原告関係者三名を除きまして大部分の調査を完了しましたので、昭和五十三年九月に一般補償基準を提示したというふうな経過になっております。
  352. 伏屋修治

    伏屋分科員 そこで、十月に補償基準の一括返上をされました。そしてその後、いわゆる生活補償基準というものの提示がなければ話し合いには応じないという形で、徳山村ダム対策特別委員会が態度を硬化しておりますね。そして五十四年一月十日に、徳山ダムが五十四年着工ということからも、何としても話し合いの再開をということで申し入れておるわけでございます。補償基準にとんざした一つの要因があるということを考えられながら、再度話し合いを申し入れておられるその腹案があれば、御説明願いたいと思います。
  353. 田中和夫

    ○田中参考人 いま河川局長から御答弁がございましたように、昨年の九月に補償基準を提示したわけでございます。この徳山ダムは、徳山村に所在いたします家屋、農地のほぼ全部が水没するというようなことで、その方々が下流の平野部に移転しなければならないというような実態も考慮いたしまして、生活の再建を図ることができますように十分に配慮したつもりでございます。しかし、それを返されたわけでございますけれども、それにつきましては私ども努力が不十分であった点もあると思いますが、十分な説明の機会が与えられなかった。一通りの説明はいたしたわけでございますが、十分な説明ができなかった。したがって十分な御理解を得られなかったというところに一つの問題があろうかと考えておりまして、現在県とも協議しながら何とか早く内容のお話をもう一遍させてほしいということで努力いたしております。村の対策委員会の交渉委員の改選等がございまして少し時間的には延びておりますけれども、何とか努力をしてまいりたい、こう考えております。
  354. 伏屋修治

    伏屋分科員 いま公団の理事の方のお答えですと、一応補償基準の内容にはさわらないで、いわゆる補償基準の細かい部分までの説明をさせてもらいたい、そういう腹案を持って話し合いを申し入れたというふうに解釈できるわけでございますが、現在の住民の皆さんが反対しておるのは、補償基準に照らして生活再建を考えたときに、生活再建がおぼつかない、そういうところに問題点があるがゆえに補償基準の返上という形になってあらわれてきた。しかも補償基準の内容は一つもさわらないでそのまま話し合いをするということは、この硬化した状態のまま推移すると考えられるわけです。その辺はどういうふうにお考えですか。
  355. 田中和夫

    ○田中参考人 ただいま申し上げましたように、ああいう特殊なダムでございますので、その辺のところを十分配慮したつもりでございます。たとえば移転先地を先行取得いたしますとか、あるいは、要綱の枠内のことではございますけれども、この補償要綱の枠の中でできる限りの配慮をいたしまして、下流地域で必要最小限度の宅地なりあるいはその確保ができる、あるいは家屋が建設できるという内容、そういうことに結果するような内容のものを十分考えたつもりでございますが、その辺のところが、こういう特別な配慮がしてあるのだという点について、私どもの方の説明がまだ不十分でございました。そういう説明を十分聞いていただければ、私どもの誠意のあるところ、真意もある程度はわかっていただけるんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう努力を今後重ねていきたい、こういう考えでいまもおります。
  356. 伏屋修治

    伏屋分科員 そういう努力を今後積み重ねていきたいということでございますけれども、一たん座礁しました交渉を軟化させるためには何かの突破口がなければならぬと思うのです。内容が全然変わらないで、ただ話し合いをやってくれ、やってくれでは、これは硬化したまま推移してしまう。つぶさに内容を説明すれば、住民の皆様には、なるほど、これでは生活再建が前よりも一歩前進だと解釈されるかもわかりません。しかし、その話し合いに入る突破口というものをつくらないと、いまのままで申し入れをしておっても村民の皆さんとの話し合いは不可能だ、このように私は考えるわけです。それは対策委員の入れかえもあるでしょうし、また二十四日の岐阜県の新聞におきましては、対策委員長を兼ねておるところの村長が辞表を提出した、こういう段階に来ておるわけです。ですから、そういうふうに非常に複雑にとんざしておるという様相を転換するためには、何か中身のある突破口を住民の方に提示する、それを提示することをきっかけにして内容をさらに丁寧に説明していく、そして生活再建に不安のあるところを払拭していく、そういう努力が必要ではないか、こういうふうに考えるわけですが、どうですか。
  357. 田中和夫

    ○田中参考人 いまこれからの持って行き方は、これは岐阜県としても非常に重要なダムでございますので、岐阜県当局とも十分打ち合わせをしながら、どういうふうにこの事態を運んでいったらいいだろうか、どうやって話し合いのきっかけをつかんだらいいだろうかというようなことでいろいろと話し合いを続けておりまして、そういう中で必ずそういう時期が近い将来に来ると私どもは考えておりまして、その上でいろいろ話し合って、その中で、私どもの方の調査不十分というようなことの結果、考慮すべき点がある、この前示しました補償基準の中にも、どうも私どもの方の調査が不十分で、考慮しなければならぬ点もあるというふうなことがございますれば、その時点で十分検討したい、こう考えております。いまはとにかく岐阜県と一緒になりまして、早く説明をもう一回させていただきたいということで一生懸命やっているわけでございます。県も大変熱意を持っておりますので、県ともども努力すればきっとそういう時期が来るのではないか、こう考えております。先生の御心配のほどはよくわかりますけれども……。
  358. 伏屋修治

    伏屋分科員 私は、公団をとっちめようとか建設省をとっちめようという考えはさらさらございません。私は岐阜県選出でございますので、いわゆる国が大きく建設を予定しておるこの多目的ダム、これの進捗状況が一段と進んでいく、そして国のいろいろ水資源のために有効に利用される、またそういう形で住民の方も生活再建ができる、そういうふうにして円満に両方が解決してもらいたい、こういう立場から私は物を申しておるわけでございまして、そのうちに住民の方と公団との話し合いは進んでいくでしょうという楽観的な見通しを持っておられるようですが、このままでいけば、村長も辞任した、対策委員長もおらない、対策委員も、だれが窓口になってその話し合いをするかという人もおらないのに、どうして今後そういう話し合いがうまく進められ、説明が十分できるような場を与えていただけるというその保証がどこにあるのですか。
  359. 田中和夫

    ○田中参考人 県と一緒になりましてやっていきます中で、村の中にもだんだんと、やはり説明を聞くべきだ、検討すべきだというような声も出てくるというふうにも考えておりまして、また、多少そういう動きも若干あるようにも聞いておりまして、誠意をもって当たるならば近い将来そういうことになるのではないか、こう考えております。
  360. 伏屋修治

    伏屋分科員 この話をやり合っておっても平行線でございますので……。  その補償基準の内容ですね、生活不安を払拭する補償基準というものを考えました、こういうことを公団の方はおっしゃっておられるわけですけれども、その意識のずれがかなり大きいわけですね。そういう面で、これからも少しずつその補償の内容について私はお尋ねしてまいりますけれども、その前に、村民の中で非常に強硬派で、いわゆる工事差しとめ訴訟を起こした、そういう方もみえます。そのグループの方々もいろいろ御意見を持ってみえます。その方々の意見の中で、ダム対策委員会いわゆる村と公団とが、ダムの工事を進捗させるためにいわゆる協定書を結んだ、その協定書というものに対して、差しとめ訴訟を起こした方々は非常に大きな疑問を持っておられるわけですね。その協定書というのは、公団としてはどういう意図を持って結ばれたのか、そこら辺もう一回説明ください。
  361. 田中和夫

    ○田中参考人 ああいうダム問題を抱えております村としては、いろんな行政需要がそれに伴ってくるわけでございます。そういう村が、国、公団の行いますダムのために負担いたします行政需要に対して、それを公団として将来にわたって見ようという内容の協定でございます。
  362. 伏屋修治

    伏屋分科員 そのことを主張しておられる方々は、いわゆる対策委員会を設けたその条例にも反しておる、そういうような根拠を持っておられるようでございますし、そして事務費とかいろんな形でそれを公団の方から、起業者が支払うというような協定だそうですが、そうなってくると、その費用自体が、公共補償をしなければならない金額の中からそういう行政費の方へ回されていくということにおいては納得ができない、こういうような御意見が根拠になっておるようでございますね。その辺は明快にどうなんでしょうか。
  363. 田中和夫

    ○田中参考人 これは補償費とは全然別でございまして、こういう仕事を進めます上で市町村に御負担をかけます、そういう行政需要に対して補てんをするという性質のものでございます。
  364. 伏屋修治

    伏屋分科員 そのいわゆる公共補償、一般補償の中に食い込まないということですね。  これも新聞の記事でございますが、その中にも、ダムの建設所の御意見は、公共補償基準要綱に沿ったもので、交付金は裏金ではない、建設を有利に進めようという意図もない、そういうことを言っておるわけですけれども、そのお金を、交付金を出すための大義名分であるとも言っているわけですね。補償基準要綱のどれにそれは当てはまるのですか。
  365. 田中和夫

    ○田中参考人 どういう趣旨で書いてあるかよくわかりませんが、補償とは全く別のものでございます。それは方々のダムをつくります場合に市町村にお世話になるものですから、その作業、事務経費と申しますか、そういうものに対して、話が進みます間負担をするという性質のものでございまして、公共補償といったようなものではございません。
  366. 伏屋修治

    伏屋分科員 そこでいまぼくがお尋ねしたのは、公団の徳山ダム建設所がその協定書の意義について意見を発表しておるわけです。その中を見ますと、公共補償基準要綱に沿ったものであるということですね。だから、その公共補償基準要綱というのはここにございますが、そのうちのどれに当てはまるかと私はお尋ねしているわけです。
  367. 田中和夫

    ○田中参考人 その要綱の中にも行政需要の増に対して見るというような規定がありますが、それに該当すると思います。
  368. 伏屋修治

    伏屋分科員 時間がございませんので先へ進んでまいりますが、この補償基準要綱という三十七年の閣議決定、これが一つの大きな下敷きになりまして、そして公団が補償基準を示されたわけでございますが、この補償基準というものも非常に抽象的ですね。しかも徳山のように、公団の理事がおっしゃったように全村水没という特殊、しかも大型、こういう事業に対しては非常になじまない点があるのじゃないか。三十七年というのですから非常に古い。建設大臣どうですか、こういう閣議決定をもう一度見直し、そして新しいものをつくるという御意思ありますか。
  369. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 よく検討さしていただきたいと存じます。
  370. 伏屋修治

    伏屋分科員 いつも政府答弁は検討ということで締めくくってしまうわけですけれども、いま徳山においてもこれが下敷きになっております。また今後、水需要が非常に急激に伸びてくるときに、相変わらず三十七年のこれでやっていくということ自体非常に時代ずれがしているのじゃないか。そういう面でもう少し新しいものに書きかえてもらいたい。今後のいろいろな住民との間の話し合いを円満にするためにも、これからまず手がけていかなければならぬのではないか、こういうように思いますので、検討するのはいつなのかわかりませんけれども、できるだけ早い時点で検討していただいた方が今後の国策を進めていく上においていろいろ有利ではないか、こういうように私は考えます。
  371. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 御指摘の点、いろいろと問題があることはわかっておりまして、私どもといたしましては、来年度からは、直轄ダムだけにつきましては、公共補償基準のなお書きで生活再建対策につきましても十分配慮しろという項目がございますので、それら等も受けまして生活再建対策費なるものを計上いたしておりまして、公団が提示した段階では、公団の事業としましては、そういう項目等につきましてはまだ具体の形の規定がございませんが、自主的にはそういう意を受けて公団の方でいま運用しているというふうに考えていただきたいと思います。
  372. 伏屋修治

    伏屋分科員 これが古いわけですけれども、公団が提示しました補償基準は、さらにこれを下回っておるような場合もあるんですね。たとえば土地の取得ですが、この基準要綱の第七条に「取得する土地に対しては、正常な取引価格をもって補償するものとする。」とあるわけですね。第八条には、正常な取引価格というのは一体何かと言えば「近傍類地の取引価格を基準とし、これらの土地及び取得する土地の位置、形状、」とかいろいろ書いてあるわけです。ところが私、補償基準を公団の方に求めましたけれども、交渉途中のそういうような資料は、いままで質問される方に示したという例がございませんというので、けられましたので、私は、徳山の方へ電話いたしまして、土地の取得に関してその補償基準を聞いたわけですけれども、その土地の取得に対して公団が先行取得しておるところの姥坂、糸貫、文殊、それからこれは予定されておるかもわかりませんが、網代、とか芝原、ここら辺の土地を見ましても、補償基準で示されておる坪単価が四万六千二百八十円ですね。一平方メートル当たり一万一千円から一万四千円ですか、坪にしますと四万六千二百八十円。それが姥坂の方でダム対策委員の方で聞いてみますと、姥坂は坪当たり六万一千百五十円、糸貫が八万九千二百五十円、文殊が六万四千四百六十円、網代が六万七千七百六十円、芝原に至っては十三万五千五百三十円という坪単価であるということになりますと、補償基準は、この下敷きの要綱では正常な取引価格をもってやると言いながら、それは大方二万円もの差が出ておる。これ一つ見ても、住民の方にこれでは赤字になって家を建てるところまではいかないではないかという不安が起こってもいたし方ないわけだと思いますが、その辺はどうなんですか。
  373. 田中和夫

    ○田中参考人 いまその要綱に取得価格と書いてございますのは、徳山ダムの場合でありますと徳山ダムの宅地なり農地なりを取得する価格という意味でございまして、その徳山ダムの水没します地域におきます宅地とか農地の価格としては、要望の枠の中でできるだけの見方をいたしまして、その基準として示したわけでございます。ただいまおっしゃいました下流の地域に、たとえば揖斐川町のある地域というようなところに引っ越していかれるという場合に、その引っ越していく先が平地でございますから価格が多少高いということもございます。そこで、いろいろと要綱にもございます移転費用とか移転雑費とか土地の価格の決め方とかあるいは移転補償とかいろいろな点でできるだけの配慮をいたしまして、そういう移転される方々が必要最小限度の家を確保できる、あるいはそこに家が建てられるというような価格にはなっておると思います。そういう点も実は十分説明をしたいわけでございます。いま要綱にあります取得価格といいますのは、その場所の徳山の地点における土地の取得価格という意味でございます。
  374. 伏屋修治

    伏屋分科員 徳山の土地を売って、そして補償してもらったそのお金でもって移住先の土地を買わなければならぬわけですからね。ですから、それに二万円の差があったら当然赤字であるということはおわかりだと思うのです。その辺のところ、どうやって補償基準の中身を盛り上げていくか、あるいはこの要綱どおりに進めていくためにどう中身を改正するか。これは具体的に私が理解したって、私は徳山に住んでいませんので、私に理解させようとするのではなくて、徳山の人が本当に全村水没という特殊な中でいままでダム建設に協力してきたその振りかわりとしての補償基準が、全くの赤字で泣き寝入りをしなければならぬ、そこら辺に大きな疑問があるわけですから、住民の方に理解できるようなそういう補償基準の内容にするようもう一回検討してもらいたいと思うのです。ただ説明して、それの説明をしたら本当に納得できるのかできないのか、そこら辺もまだ私、補償基準をもらっていませんので詳しいことはわかりませんけれども、その辺をぜひ御努力願いたいと思います。  時間が足らなくなりましたので、ちょっとはしょっていきますけれども、この補償基準、私も質問通告のときに、いろいろと建設省の方と話し合っておりましたら、補償基準というのは、いわゆる公団が提示する補償基準と、それから水源地域対策特別措置法ですか、水特法とが車の両輪で生活再建の不安というものを払拭するのだ、こういうふうに言っておられるわけですが、国土庁来ておりましたら、時間がないのですが、できるだけ住民の方に理解できるような言葉で答弁願いたいと思います。
  375. 松原良夫

    ○松原説明員 徳山ダムは、水特法に基づきまして五十二年の三月にダム指定が行われたわけでございます。水没する方々の生活再建と申しますのはきわめて重要でございますが、指定ダムにおきまして、この後、水源地域の指定とさらに水源地域整備計画案というものの作成がございまして、この過程におきまして、水没関係者の生活再建の円滑な推進を図るためには、水没関係者の集団移住地、先ほど話が出ました揖斐川町の姥坂等ございますが、その地域におきます生活環境の整備とか産業基盤の整備ということが行われなければならないわけでございます。  これにつきまして、目下、岐阜県におきまして、関係町村等の協力を得まして検討作成中でございますけれども、国土庁におきましても、具体的な水源地域整備計画案が出てまいりましたならば、この実現に努力と申しますか、関係省庁と協議いたしまして、この実現に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。  さらに、水没関係者の生活再建のより一層の充実のために、昭和五十二年に木曽三川水源地域対策基金というのが、国の助成に基づきまして設立されておるわけでございますが、これの十分な活用というものも図りまして、徳山ダムの水没関係者の生活再建につきましては万全を期したいというふうに考えております。
  376. 伏屋修治

    伏屋分科員 木曽三川の水源地域の基金ですが、これはどのように移住する住民の人たちに機能するのか、その辺を説明してもらわないと、抽象的な説明では住民の方が納得できません。ですから私は、具体的に説明してくださいと言っているのです。
  377. 松原良夫

    ○松原説明員 基金の委員会でいろいろ検討されるわけでございますけれども、現在内容といたしましては、関係地方公共団体が講じます水没住民の不動産取得に関します必要な資金の貸し付けとか交付とかこのような援助の問題また関係地方公共団体が講じます水没関係住民の生活の安定に必要な処置に関します資金の貸し付け、交付の援助とか、さらに関係地方公共団体等の講じます水没関係地域の振興に必要な処置に対します資金の貸し付けと交付、さらに地域振興に必要な調査とかその委託事業とか、こういうもろもろのものを実施するという機能を持っておるわけでございます。
  378. 伏屋修治

    伏屋分科員 時間がないので先へ急いで参りますが、全村水没ということですから、水特法の九条第二項に当てはまったいわゆるかさ上げダムとして徳山は指定されているわけですね。このかさ上げダムというのは、水特法の政令で決められた別表の中のいろいろな国の補助があるわけです。ところが、徳山は現住地がなくなるわけです。全村出ていかなきゃならないということです。そこで、この別表で示された国の補助というものはどのような形で移住者に恩恵が与えられるのか、その辺はどうなんですか。
  379. 松原良夫

    ○松原説明員 水源地域自身につきましての整備計画というのは、村がどういうふうなかっこうで継承されるのかはその後の決定だと思いますが、まず水特法の五条のただし書きでございまして、いわゆる水源地区以外の別途立てなければならないところにつきましては、ただし書きにおきまして実施できるところがございますが、そのところにおきまして、道路の改修とかもろもろの水特法に盛られておりますメニューがございまして、それについてのそれぞれのかさ上げその他は、水特法と同じような、水源地域でやるのと同じようなかっこうで実施できるわけでございます。
  380. 伏屋修治

    伏屋分科員 あと一、二分しかございません。そこで、これは総括的になりますが、当初徳山ダムの総建設費というのは三百三十億というように計上されておった。そしてこの経緯を見てみますと、そのうちの五十二年度は二十六億、五十三年度は三十億、そして五十四年度がはっきりしておらないし、総工費というものが案外住民の方々にははっきりしておらないわけですね。これはやはりいろいろな補償交渉をする際のイロハのイになるのではないか。総工費も全然つかまないで補償交渉ということはできない、そういうことから、総額、総事業費がどういうふうになっているのか、やはり当初の三百三十億で進めるのか、あるいはそれが改まって事業費がもう少し高くなったのか、その辺はどうですか。それから五十四年度の予算ということで、昭和五十四年度は何十億組んでおるのか、それだけお答え願いたいと思うのです。
  381. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 当初、実施方針並びに実施計画を定めた事業費は三百億余りということになっておるわけでございます。現在までに、五十二年度までの執行額は六十六億六千万円、五十三年度予算は三十億円でございます。五十四年度につきましては、ちょっといま手持ちの資料がございませんけれども、いずれにしましても、ダムの竣工時点までに必要が生じれば計画の見直しということで、事業内容並びに事業費等の改定も行われて変更するという手続をとるわけでございます。
  382. 伏屋修治

    伏屋分科員 そうすると、現在の総事業費というのは三百三十億で変わっておらない、手直しをやらないということなんですね。——わかりました。  それから、あと残った問題をここで申し上げますので、私の方は資料で回答願いたいと思いますが、残存地域に対する補償ですね、どのような方法を考えておるか。それから残存するところの公有財産についてどういう補償を考えておるのか。それからダム建設に着工するまで公共事業は一切停止されております。水没することはわかっておりますから、県からは公共事業がストップされておりますので、住民の方々は公共事業に従事することすらできないということから、現在の生活不安を除去するためにはどういうような努力をするのか、あるいは県と公団と話し合ってどういう努力をするのか。この辺が私の質問で残った質問でございますので、その辺は検討して書類で返答願いたいと思います。  以上で終わります。
  383. 井上普方

    井上(普)主査代理 次に、浦井洋君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君、同公団理事有賀虎之進君及び同公団理事櫟原利嗣君が御出席になっています。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  浦井洋君。
  384. 浦井洋

    浦井分科員 まず、公営住宅の問題について、大臣並びに住宅局長にお聞きしたいのですが、一つは、公営住宅の中に特目住宅があるわけです。母子、身障、同和、老人世帯というようなかっこうで各自治体で活用されておるわけであります。最近、原子爆弾被爆者の方々から、被爆者を含む世帯として、ひとつぜひ公営住宅に優先入居をさしてほしいという声を各地で聞くわけであります。だから、この特定目的の中に被爆者を入れるか、あるいは特目並みに扱えないものかということについて、私は当然の願いだと思うので、建設省の意見を聞いておきたいと思います。
  385. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 公営住宅におきましては、公営住宅の入居者の選定方法は各公共団体の条例に任されております。私ども特目として、先生指摘のように挙げてございますが、これは単なる標準を示したものでございまして、各公共団体の条例あるいはその条例に基づく規則等でそういった優先的に取り扱う旨の規定があれば、そういった人たちを取り扱えるわけでございます。現に、先生指摘の原爆被爆者に対しましては、広島県、広島市、長崎県等におきまして、そういった優先入居の取り扱いをもうすでにしているところでございまして、必要があれば私どもも公共団体を指導するように配慮してまいりたいと思います。
  386. 浦井洋

    浦井分科員 指導をしていただきたいと思うのですが、何か別途通達でも出されますか。
  387. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 私ども、そういった公共団体からいろいろな話を余り聞いておりませんが、今度どうせ課長会議等を開きますので、その席でその旨を申し伝えたいというように考えております。
  388. 浦井洋

    浦井分科員 ぜひそうしていただきたいと思います。  次の問題は、私も再々取り上げたのですけれども、公営住宅の単身入居の問題です。これは公営住宅法の改正が要るわけでありますが、遅々として作業が進んでおらないようでありますので、この点について住宅局長ひとつお答えを願いたい。
  389. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 もうこれにつきましては再々お答え申しておりますが、私どもも、こういった問題につきましては、五十年八月の住宅宅地審議会の答申を踏まえまして、そういった方向で鋭意検討を進めてきております。東京都の中野区、広島市等におきましてそういった実態調査も行ってまいりました。そういった方向で検討を進めておりますが、ただ問題は、そういった供給対象住宅、それから単身の中でもどういった方にお入りいただくか、あるいはそういった場合の管理体制をどうするか、特に老人の方でございますと、病気になられたり、あるいは一人で生活できなくなられた場合の後の管理の問題をどうするのか、そういったいろいろな問題がございます。これは建設省あるいは地方公共団体の住宅担当当局だけではなくて、厚生行政等、いろいろなかかわり合いのある問題でございます。したがいまして、そういったいろいろな角度から関係行政機関、地方公共団体とも協議して検討を続けている段階でございます。
  390. 浦井洋

    浦井分科員 だから、関係省庁であるとか各自治体とよく協議をして早くこれを実現していただきたい。決して断念する、単身入居はもうやめだということにはならないようにしていただきたいのです。
  391. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 私ども、五十年八月の先ほどの答申もございますので、決して断念することなく検討を続けてまいりたいと思います。
  392. 浦井洋

    浦井分科員 次の問題で、ことしの五十四年度の建設省の施策の中に、特定住宅市街地総合整備促進事業、こういうのがあるが、これは俗称モデル事業ですか、これの簡単な説明をまずお願いしたいと思う。
  393. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 大都市におきましては、特に既成市街地において、都市機能の更新あるいは都市防災の問題あるいは居住環境の問題というようなことで、いろいろ改善を図らなければならない地区があります。それと一方で、また職住近接ということで既成市街地へ住宅を求める強い需要がございます。そういった両方の目的を達成するために、また大都市におきまして、そういった本当の意味での住宅を中心とした再開発というもののモデル的なものをつくろうということで、略称モデル事業を発足させることになったわけでありまして、私ども来年度は東京、大阪、名古屋の三都市におきまして一地区ずつ発足させたいというように考えるわけであります。
  394. 浦井洋

    浦井分科員 大臣にお願いをしたいのですが、大臣も兵庫県の出身でありますから、県都神戸のことはよく御存じだろうと思うのですが、神戸の町というのは、明治維新以来特定の産業、船であるとか、最近は、昭和年代に入ってからは船と鉄ということで非常に活気のある町を形成してきたわけでありますが、その船も鉄も両方とも特に神戸ではだめだ。いわゆる特定不況業種というようなかっこうで、どんどん減量経営、人減らしをやっておる。もう神戸全体がまさに火の消えたような状態になってきつつあるわけです。いろいろ有効求人倍率その他を見ましても、その指数が全部全国平均より下回っておるというような状況でありまして、あと残りは酒とケミカルというようなかっこうになっておる。酒ももう嗜好が変わってしまって、そう昔ほど活況を呈するというほどにはいかぬわけで、ケミカルが西神戸にあるわけなんですが、神戸市としてもあるいは地元の住民としても、やはり新長田の駅などを中心としたひとつかなり広範囲な再開発をやって、ケミカル産業をそこに一定の位置づけをやって、いろいろな施策の上でも特典を与えて、活気のある町をもう一遍つくり上げようということで、具体的には市であるとかあるいは地元の人たち学者という人々が国鉄ターミナル委員会をつくって、国鉄もオブザーバーになってぼちぼち動き出しておるわけであります。  いま住宅局長が言われたように、いままでの都市再開発法によって行われた再開発というのが、もう全国一律の駅前広場をつくって、東京や大阪の大きな店を全国にばら巻いて非常に特色のない味気のない町づくりだ。だから、そういう点で今度の、いま救仁郷さんの言われたモデル事業というのは、私は一考に値するというふうに評価をしておるわけなのですが、いまお聞きすると、自治体が計画をつくって、そしてそれを持って建設省に相談に来ればよいのだということでありますから、そういうような局面をひとつつくるように私も努力しますので、積極的に前向きに建設省としても受けとめていただいて、神戸の活気ある町づくりに力を入れていただきたい、このようにお願いをしたいのですが、大臣どうですか。
  395. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いまの産業構造の形から神戸市あるいは兵庫県に非常に不況産業が多いものでございますから、たとえば有効求人指数ですかが、全国平均で〇・六になっておるが、神戸の場合は 〇・二七、こういうふうな数字であるということは私も知っております。  そこで、そのための一つの事業としてやはり——ただ、いま言われました構想が、駅前広場を中心として交通網をということでございますので、浦井さんせっかくの御提案でありますけれども、これとなじみ得るかどうか、この点は検討させていただきたい。こう思いますのは、現在モデル地区として、いま出ました三つの地区、これはいずれもその三分の一くらいがすでに工場が出ていきまして公共団体が空き地を持っておる、あるいは法人が持っておるというふうな形で再開発ができやすい、大阪のリバーサイドあるいは他の地区にしてもというふうな姿でありますことと、もう一つは、これはあくまでも地方自治体の意思によって、地方自治体によってやっていただくのですから、一番重要なことであると思いますので、よく神戸市等に当たってみて、そういうような御意思がありましたなれば、私もできるだけ推進に当たっていきたい、このように思います。
  396. 浦井洋

    浦井分科員 いま大臣のそういう言葉でありますし、私も努力しますので、二十五ヘクタールをめどにというようなかっこうでありますから、できるだけ広い範囲で環境づくりと公共施設を新しくつくるということも加味して、神戸市の方から相談を持ちかけられた場合には前向きに検討をしていただきたい、大臣にお願いをしておきたいと思います。  それから、その次の問題でありますけれども、土地収用の問題であります。  まず最初に、和歌山県の話でありますけれども、土地収用に関しては相変わらずトラブルが絶えないわけであります。  まず、私が例として出しますのは、和歌山県の田辺市新庄町の橋本恒太郎さんほか七名の方が行った審査請求の問題であります。これは関西電力が新田辺変電所新設のために橋本さんほか七名の土地を必要としたので、昭和四十四年の三月一日に和歌山県の収用委員会の行った裁決に対して不服であるということで審査請求をされた、こういう経過だと思うわけであります。その内容はもう省略いたしますけれども、要するに土地所有者の名前も収用する土地の番地も違うというような、そういうめちゃな収用をしておるというケースであります。この審査請求は四十四年の四月十二日に行われて、建設省は四月の十五日に受理しておるわけです。だから、もうほぼ十年になる、早くやってほしいと、この橋本さんなどは要望をしておるわけでありますけれども、なぜその請求に対しての是非を決定しないのか、また、いつごろやるつもりなのか、このことをひとつお伺いしておきたい。
  397. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 いま先生お話しのような事実はそのとおりでございます。なぜおくれたかと申しますと、建設省といたしましては、当時、昭和四十四年四月十二日に受け付けいたしましてから、いろいろの手続を進めたわけでございます、たとえば弁明書を出していただくとか、反論書を出していただくとか。ところが、その間に審査請求人から、補償金の支払いの請求事件あるいは土地明渡し請求事件等、各種の裁判、六つぐらいあると思いますが、こういう裁判が提起されまして、その裁判が審理中でございますので、一時その審査請求の判断を、裁判の成り行きを見ていた、こういう段階であったわけでございます。特に昨年の九月からは、原告の方から裁判所に和解の申し出がありまして、また裁判長からも和解勧告がありまして、円満に話がつきそうだというような見通しもありましたものですから、この裁決を延ばしたわけでございますが、本年の一月に至りまして和解が不成立になった、こういう事態になりましたものですから、われわれといたしましては、速やかに手続を進めまして、裁決をいたしたい、このように考えております。
  398. 浦井洋

    浦井分科員 そういういろいろなトラブルがその間にあったと思うわけでございますが、記録を調べてみますと、そういうトラブルも大体四十四年から四十六年ぐらいの時代であります。しかも、四十六年七月には土地調整委員会からの回答も出ておるわけで、建設省がその気になって、やろうと思えばやれるわけだというふうに私は判断をいたしますので、この審査請求に対する回答を早く出してほしいというふうに要望したいのですが、もう一遍伺いたい。
  399. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先ほど申しましたような事情でございますから、速やかに審査請求の裁決をやる考えでございます。
  400. 浦井洋

    浦井分科員 次の問題は土地収用、いまのは不服なので審査請求しておるわけでありますが、今度は土地収用そのものの問題でありますけれども、兵庫県の三田市、これは大臣の選挙区の隣であります。吉川の隣が三田市でありまして、ここにある北摂ニュータウンで、最近、関係住民の意見なり考え方を無視して、住宅公団が収用法をかけてくるというようなことで、非常に険悪な空気が漂っておる、こういうことであります。公団の方は、県の収用委員会に権利取得と明け渡しについての裁決を申請をしておる、こういうことでありますけれども、三田市民関係でも四件、それから三月十三日限りで話し合いがつかなければ、収用をかけるぞというふうに言われておるのが、私の調べたところでも一件ある、こういう状態であります。  たとえば、一つの例を申し上げてみますけれども、三田市下内神七十一の神木えみ子さんという、五十二歳のひとり暮らしの御婦人が、先祖伝来の居宅と土地、それから墓地を守ってきておられるわけであります。その墳墓を含んだ墓地には、いま確認をされておるだけでも二十二体が葬られておるという、非常に古いお家であるわけです。ところが、これが新住法による北摂ニュータウンの造成で線引きをやられて、市街化区域に入ってしまった。それで、当初は公団の方は、この神木さんという御婦人が、何としてでも墓を残してほしい、そしてその中に、自分も死ねば入るのだという願いを入れておるわけですね。そして四十六年には、公団は墓地を残すという条件で、それで神木さんは、自分の持っておる農地や山林を売却をするという約束になったわけです。  ところが、五十年に入ると、公団の方は態度を一変させて、墓地の一部を売却をせよとか、あるいはしまいには墓地全部を売れというふうに神木さんに迫ってきた。そこで神木さんが、約束が違うということで、いまのところ売却に応じておらないわけであります。そうすると、去年の七月に、公団は県の収用委員会に裁決を申請をした。私も直接現場へ行って聞いてみたわけでありますけれども、公団の出先がひとり身の御婦人に対して、かなりいろいろ、強圧的といいますか、非常に非民主的な態度をとっておるように思えて仕方がないわけであります。  まず公団に聞きたいわけでありますけれども、こういう場合に、何とか墳墓を含む墓地を残しておいてあげる方法はないものなのかどうか、この辺について聞いておきたいと思います。
  401. 澤田悌

    ○澤田参考人 問題が具体的でもありますので、担当の櫟原理事からお答えを申し上げます。
  402. 櫟原利嗣

    ○櫟原参考人 お答え申し上げます。  ただいまの件につきまして、まず初めに私ども住宅公団の用地取得と、それから土地収用の状況について、ごく簡単に申し上げさせていただきたいと思います。  この北摂地区の用地取得の状況につきましては、四十五年から用地取得に着手をいたしまして、五十三年の十二月末現在におきましては、あそこは住宅地区と工業地区と二通りございますけれども、住宅地区にありましては九六%程度、それから工業地区にありましては九三%程度、用地を取得させていただいております。  それから、土地の収用関係につきましては、いま申し上げましたように、私ども公団といたしましては、四十五年から用地の取得に着手してまいったわけでございますから、それから鋭意任意交渉による用地の取得に努めてきたわけでございます。そして四十八年度末までにおきまして、この任意交渉によって用地を取得させていただいたのが、住宅地区につきましては約九二%、工業地区について八四%、そういう状況でございます。そういったことで、おっしゃるように私どもとしては鋭意当時者のお話し合いによってやっていきたい、こう思っておったわけでございますが、どうしても御理解を得られない、御協力をいただけない一部の地権者の方に対しましては、全体として九〇%前後に達している、そういった事業に協力していただいている方々との権衡を考える必要もある、それからまた、事業の早期促進を図る必要もあるといったこと等の関連を考えまして、地元の公共団体とも協議を重ねながら、四十九年以降、やむを得ず順次収用手続を開始するに至ったという状況でございます。  したがいまして、そういうことでやむを得ずいたしましたが、今後とも引き続き、できる限り誠意をもって話し合い、できるだけ双方の合意のもとに用地取得に努めてまいろう、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、いま個別に御指摘のございました神木さんの件に関連してでございます。こういった墓地についてでございますが、墓地の特殊性と申しますか、御先祖のみたまに対し、畏敬の念を払う、あるいはその他関係する当事者の方々の御心情というものについても、私どもとしては十分に配慮しながら、慎重に取り扱ってまいりたいというようには考えておるわけでございますけれども、一般的に申しまして、この墓地の取り扱いにつきましても、両事業が、片や新住宅市街地開発事業であり、片や工業団地造成事業でありまして、都市計画の手続に定められて事業が進められており、それから全面買収ということになっております。そういう関係から、たとえ墓地であり、あるいは周辺の山林でございましても、それを区域から外す、要するに買収の対象から除外をさせていただくというわけにはなかなかまいらない。どうしてもその土地については取得させていただきたいということで、長年交渉を続けさせていただいておるわけでございます。  そこで、墓地について具体的にどのように扱ってまいるかということについてでございますが、現在、その地区内に共同墓地が五カ所ございます。それから、いま御指摘の神木さんを含めまして、個人の墓地が約十カ所ございます。そういった墓地の中で、まず共同墓地につきましては、どうしても区域外に移転することが望ましくない、ふさわしくないというお気持ちが強いので、現在のところ、その区域の中で、たとえば緑地に計画するようなところであるとか、そういったような土地利用上立地がふさわしい、そういうように考えられる場所に公共墓地をつくりまして、そこに移転していただこうというように考えております。  それからまた、いまの神木さん初め個人の墓地につきましても、できればいまの考え方と同じような考え方に準じて、そのようにお移りいただきたい、そういうように考えておる次第でございます。  それから、これはいわば一般的なことでございますが、その次には、直接の神木えみ子さんの件についてでございます。ただいま先生の御指摘の件につきましては、私どもの調査したところによりますと、必ずしも私ども公団の方で、本人がそのような墓地だけは残してほしい、そういうことで、その他の土地を取得さしていただいたということではない、私どもの方の調査によると、そのようになっておりまして、いままでも四十五年以降、再々神木さんとは折衝さしていただいておりまして、そして確かに御指摘のとおり、かなりの土地についてはお譲りいただいたわけでございますが、この墓地と、その墓地に接する一部の地域については、なかなか御理解をいただけなかった、そういうことで、私どもも、何とかして御協力いただこうということで、努力をいたしておったわけでございますが、たまたまその神木さんの土地にかかる部分につきまして、従来から、地区内の住民の方々を移転させなければならぬ、その代替地をつくる、そういうことから、その神木さんの土地がちょうど先行造成工事のために必要になる、そういうことで、先ほど御指摘のような、五十四年以降どうしても早くやっていただこう、それでお話を申し上げて、やむを得ず今回の収用手続に立ち至った、こういう状況でございます。
  403. 浦井洋

    浦井分科員 長いこと説明してもらったわけですけれども、要するにいまの話を聞いていて、やはり事実が私たちの調査と違うところもあるので、収用委員会の場においても、先ほど言われたように、誠意をもって弾力的に臨みたいということを確認しておきたいのですが、一言だけ。
  404. 櫟原利嗣

    ○櫟原参考人 お答え申し上げます。  いま先生の御指摘のように、今後とも誠意をもって交渉を進める、こういうつもりでございます。
  405. 浦井洋

    浦井分科員 そのほかにも、大臣、この場所でやはり北向治郎吉さんであるとか、あるいは尾崎、袋谷、石川さんというような方が、ある人は収用をかけられておるし、ある人はこれからやるぞと言われておるのですけれども、かなり強引に交渉を打ち切られそうになったり、打ち切られたりして、憤慨をしておられるわけであります。ひとつ大臣としても公団をよく指導監督をしていただいて、住民と不必要なトラブルを起こさないような、厳重な指導をお願いしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、公団住宅の家賃に移るわけですけれども、私たちがずっと調べたところでは、公団の出先の方でいろいろな手練手管、ときにはペテンまがいのように思わざるを得ないような手段を弄しながら、収用法をちらつかせながら、土地なりあるいは墓までも買収しようとしておるわけなんです。その一方では、大臣にもこの間お会いしていただいたのですけれども、やはり公団住宅の家賃値上げというようなことを、裁判にかけてもやろうとしておられるわけなんです。だから、この間お願いしたように、大臣は、私は話し合いの場を開いたんだ、だから自治協も少し折れてくれというようなことを私に言われたように、私は記憶しておるのですけれども、自治協も、現行家賃のまま払うというやり方を一応取り下げたわけでしょう。だから、そういう点で折れてきているわけなんですから、ひとつその約束を守って、話し合いをこれからも続けていっていただきたい、そのように公団を指導していただきたいと思いますし、また、公団なり住宅局長に対して最後にお尋ねするのですけれども、四十八年入居分について、またことし家賃の値上げをするというようなことでありますけれども、そういうことは、こういういまの状況でありますから、ひとつ当分凍結をして、住民に不安と不評を与えないように、その辺をよろしくお願いしたいと思うわけですが、最後に答弁を。
  406. 井上普方

    井上(普)主査代理 答弁は簡潔にお願いします。
  407. 澤田悌

    ○澤田参考人 公団の家賃につきましては、御承知のように手続を尽くしまして、特に国会でもお取り上げに相なって、建設大臣の御承認を得て、昨年九月一日に実施いたしました。その後の経過、これもまた御承知と思いますが、事柄の性質上、かなり反対はあるだろうと私自身予想しましたが、最初は五割以上の反対があった、現在、一月末では三〇%台に落ちております。そういう状況でございますが、なおこれが実施以来半年になります。いつまでも引き延ばしておくというのは妥当でございません。そうして、どうしても新家賃でお納め願えない方には、やはり法令の定める手続によりまして、裁判によって決着をつけるということも万やむを得ない、かように考えておる次第でございます。  それで、これは一斉改定でございまして、実施以後五年たった家賃を改定したわけでございます。しかし、四十八年、四十九年のものも、今度の家賃改定の趣旨、不均衡是正、社会的不公正の改善というような趣旨によりますと、これを放置しておくことは妥当ではございません。五十年以後はむしろ引き下げたわけでございますが、四十八年、四十九年につきましては、逐次建設大臣の御承認を得て、実施していくのが公正であろう、かように考えておる次第でございます。
  408. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 いま総裁から申し上げましたとおりでございますが、昨年の国会におきましても、四十九年度までの住宅につきましては逐次引き上げ、五十年から五十二年のものについては下げるという方針で、御説明したところでございまして、そういう御説明の方針に沿って実施していきたいというように考えておりますので、御了承をお願いしたいと思います。
  409. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私、就任以来、あくまでも法的手続につくのは最後の手段である、そのために話し合っていきます、こういう方針で住宅公団、住宅局を指導してまいりました。その間、今日まで話を続けてきたのでございますが、それにもおのずから限界がございます。その限界の時期も近づいたんじゃないか、こういうふうに私はいま感じております。この上は不公平是正のためにも、最後の決断をしなければならない時期が近づいておる、このように考えております。幸い自治協の方も、こういった趣旨にのっとって、自主的にお支払いを願うというふうな姿に出られると聞いておりますので、そういうふうな姿でありたい、このように考えております。
  410. 浦井洋

    浦井分科員 最後に、建設省並びに公団のお答えは非常に不満でありますが、時間がなくなりましたから、これはまた別の機会に譲りまして終わります。
  411. 井上普方

    井上(普)主査代理 次に、西田八郎君。
  412. 西田八郎

    西田(八)分科員 私は、主として琵琶湖総合開発の問題についてお伺いしたいと思いますが、お疲れのところ、委員長初め建設大臣、大変でございましょうけれども、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  そこで、四十七年に琵琶湖総合開発特別措置法が制定されましたころ、ちょうど経済の高度成長期にありまして、京阪神地区の水需要というものは非常に多かったわけです。そこで、近畿圏の水がめ、琵琶湖の水を最大限に利用しようということで、水位を一メートル下げるということ、さらには毎秒四十トンの増量送水をやろうというような計画が立てられておったわけでございますが、四十八年のオイルショック以降、六年越しの経済不況になっておりますし、各企業もそれぞれ減速経済、減速経営というような形になってきております。そういう中で、この七年間に、いわゆる近畿圏における水需要の変化というものが起こっているのじゃないかというふうに思うわけでありますが、そういう点について、これは専門的に水資源公団ですか、どなたかお見えになっておると思いますが、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  413. 井上普方

    井上(普)主査代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  414. 井上普方

    井上(普)主査代理 速記を始めて。  河川局長
  415. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 水需要量の変化というお尋ねでございますけれども、国土庁の方で、昨年の八月に、全国の水需給の見直し等も改めてやっているわけでございます。私どもの方でもそれを受けまして、具体の内容の積み上げ等も、いろいろな作業をしたわけでございますけれども、おっしゃるように、水需要の増高のテンポというものは、若干は鈍っている面もございますけれども、全般的には当初考えておりました、琵琶湖総合開発での四十トン開発というのは、需要量から見ましても当然やらなければならないというふうに、私どもは考えておるわけでございます。
  416. 西田八郎

    西田(八)分科員 多少テンポが緩んでいるということは認めるわけですね。
  417. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 都市用水の中でも、上水道につきましてはそう変わりはございませんけれども、工業用水等につきましては、確かに若干のテンポの緩みはあろうかというふうに思います。
  418. 西田八郎

    西田(八)分科員 そういうことを前提にしまして、四十八年ごろにつくられた総合開発、これは非常に無理をしてきたということも言えると思うのです。これは下流府県の水需要にこたえるためにということで、滋賀県もかなり無理をされました。この問題につきましては、各党でもいろいろ問題がありまして、きょう委員長をしておられます井上先生にもいろいろとお世話になって、これはわれわれ四十七年につくり上げたわけでありますが、そういう時期から、多少見直ししなければならぬ時期が来ているんじゃないかというふうに思うわけであります。  そこで滋賀県も、この計画に対しては、企画部を中心にして見直し計画を立てて、国土庁の方に、審査というのですか、計画変更等についてお願いをしておるようでありますが、それらの点について、いまだに結論が出ていない。したがって、当初計画のもので進められるということになりますと、かなり無理がくるわけなんですね。したがって、その辺のところを、つまり国土庁で一体どの程度この見直し作業が進んでおるのか、お伺いしたいのです。
  419. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 国土庁の方のいまの検討過程につきましては、私、現在詳しく聞いておらないわけでございますけれども、確かに当時の琵琶湖総合開発の、水資源のフルプランにつきましては、昭和五十五年目標で現在できております。したがいまして、これにつきましては、目標年次から見ましても、近い時期に、フルプランにつきましては、当然見直しの作業に入るのじゃなかろうかというふうに思われます。琵琶湖総合開発特別措置法に基づきます総合開発計画につきましては、まだ後四十七年までの年次を残しておりますので、その間において必要な検討がなされるのじゃないかというふうに考えます。
  420. 西田八郎

    西田(八)分科員 四十七年と言われたが、五十七年の誤りですね。  そこで私も大臣にお願いしておきましょう。  とにかく県の方では、たとえば湖岸堤、これが水面から二メートル六十の高さ、そして非常に幅の広い、二十メートルか二十六メートルかの湖岸堤を、道路を兼用した堤を建設しようという計画になっておるわけです。ところが、交通事情も、バイパス等の建設が進んできておりまして、本当にそれだけのものが必要かどうかということになりますと、二十六メートル、失礼しました、十六メートル、といいますと、観光道路だと思うのです。そういうことが果たして必要なのかどうか、県としても将来の観光客に果たしてそれだけ必要があるのかどうかということから、県民の健康対策の一貫として、自転車道を併設したいというような意向もあるわけであります。私は非常にいいアイデアだと思うのです。したがって、そういう点についても、国土庁の方へ見直し計画が出されておりますから、ひとつそういう点で、ぜひ建設大臣の特別の御配慮を賜りたい。  私、先に言いたいことをみんな言います。  また、河川改修につきましても、滋賀県は御承知のとおり天井川ばかりなんです。ですから、いま野洲川だけが国営工事で河川改修工事が進んでおって、やがて仮通水が行われるわけですが、仮に野洲川一本直しても、滋賀県に流入する一級河川は二十数本ある。それらの川が全部民家の屋根より河床が高いわけです。そうすると、一気に水が出たときには、どうすることもできないというようなことがあるわけです。したがって、それらも含めて、河川改修も含めての総合計画になっておるのですが、河川改修の方が余り進んでいないというような点、特に一番大事なのは、やはりいまも言われるように、水需要計画というものが、若干テンポが緩んでいるということになると、利水というよりも、むしろ琵琶湖の自然を生かした環境保全という面の方が、きわめて重要になってくるわけです。たとえば最近赤潮が出る。琵琶湖に赤潮が出るとびっくりしたのですが、二年続いて赤潮が出ております。そういうこと等も考えてみますと、環境保全を主体にした総合開発という方面に変えていかなければならない。県の総合開発事業推進の基本も、当初は下流府県の水不足を補う意味において、利水ということを中心にし、利水を図るために治水ということを考えてきたわけなんですけれども、そうであってはいけない。そこで、われわれも法案成立のときに、多少修正を出して、そして環境保全ということを非常に強くうたったわけでありますが、いまや環境保全が中心にならなければならぬ時代に来ておるわけなんです。そういう意味で県も見直しをしておるわけでありまして、ぜひひとつ建設大臣の方でも、そういう点についての御配慮を賜りたいというふうに思うわけであります。
  421. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 ただいまいろいろ御指摘をいただいたわけでございますけれども、道路の問題につきましては、これは、現在湖岸堤と併用ということで建設しておるのは、御存じのとおりでございまして、湖岸堤につきましては、やはり琵琶湖湖岸の治水ということが重点でございまして、一メートル四十の計画局水ということをやっております。おっしゃるように、若干幅の広い計画等もございますが、特別措置法成立当時、滋賀県からの御要望、そういう面の非常に強い要望がございまして、私どもとしましても、その要望等も入れながら、現在の計画を立てた経緯がございます。おっしゃるように、現況において滋賀県の方で、どういう御要望か、また改めて御検討しておられるというふうに聞いておりますが、それらの御検討結果等も踏まえまして、この点につきましてはさらによく検討を進めたいというふうに思います。  それから河川の問題でございますが、滋賀県の河川の改修につきましては特に促進を図るべく在来とも努力をしてまいったわけでございます。中でも野洲川の改修につきましては、琵琶湖総合開発の中での目玉商品といたしまして来年度暫定通水まで相当大幅な事業の促進を図ってまいりました。  なお、おっしゃるように中小の河川につきましては、まだ進捗の悪いものがございます。この滋賀県の河川の改修につきましては、天井川の切り下げというふうな特殊な工事を必要とするものでございまして、また天井川でないまでも、これはほとんど下流部へ行きますと河道がない、田こしに水が流れるというふうな状況でございまして、これに新たな河道をつけるということでございまして、県当局も非常に努力しておられるわけでございますけれども、やはり用地問題というものが難航しておるやに聞いておりまして、この点等もありまして若干、中小の河川の改修につきましては進度は思わしくございませんけれども、これらにつきましても、さらに県当局いま御努力願っておるようでございますので促進を図ってまいりたい、かように思っておるわけでございます。  それから、利水につきましては若干の湖水等の低下というものはあったわけでございますけれども、全般的には五十五年のフルプラン見通し等も近く行われる予定になっておるというふうに思うわけでございますが、全体としましては、やはり水需要というものは減るわけではございませんので、やはり当初計画どおりの水需要に対応せざるを得ないというふうに考えておりますが、ただ治水面につきましては当初からも、やはり湖岸治水というのは一番重点的に考えておりまして、もう湖岸堤のない状況でございますと、プラス五十センチくらいになりますと、すでに三千町歩ばかり湖岸に浸水が起こるというふうな状況でございまして、これはやはり琵琶湖総合開発の基幹事業の中でも一番重点的な仕事として私ども現在でも考えておりますし、促進を図りたいというふうに考えております。なお環境問題につきましては、在来からも附帯決議等もございまして、県当局の要望等も踏まえながら、個々の事業の実施に当たりまして、ひとつまた十分な配慮を加えていきたい、かように思っております。
  422. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま具体的な問題については局長の方から話がございましたが、私は近畿圏に住む者の一人としまして、琵琶湖は単に滋賀県というよりも近畿圏が持つ水の宝でございます。そのためには、その所在地である滋賀県のお世話に全部の住民がなっておるという立場から、あくまでも総合開発の推進に努力していかなければならない、このように考えております。  それともう一つは、いま赤潮が二回も起こっておる、二年続いて起こっておると言われましたが、このことのために、水道用水なんかにも使われる琵琶湖の水でございますので、水質保全ということは大変大事じゃないかと思いますので、特別な形の下水道というものをやり、琵琶湖の中に処理場の第一期計画の工事にも着手さしていただきました。そんな姿で、今後とも滋賀県当局の意向も聞きながら開発を推進してまいりたい。いま国土庁が来ておられませんけれども、閣僚の一人といたしまして関係省庁にもよく御趣旨を伝えて善処さしていただきたいと思っております。
  423. 西田八郎

    西田(八)分科員 ぜひひとつよろしくお願いいたします。  ついでに甘えるわけではございませんが、措置法をつくりましたころは、公共下水も流域下水も補助率が百分の五ですか、よそより高かったですね。それがいつの間にか、四十九年でしたか改正されまして一率になったわけですが、何分にも、こういう大きな工事をやるわけでありますし、しかも従来なら下水道まで敷設しなくてもいいような町村にまで公共下水道をつくらせる。最近の地方財政の硬直化の中で非常に苦労をしておるわけなんです。したがいまして、もとの立法の精神に戻られまして、ぜひともひとつ補助率の引き上げについて御配慮方をお願い申し上げたいということです。  もう一つは、先ほど五十七年までだとおっしゃいましたが、もうあと、ことしを含めて四年ほどしかないわけであります。その間に、この開発計画全部はむずかしかろうというふうに考えられるし、これは先ほどの河川局長の答弁の中にも言外にそういうことが含まれておったと思うのですが、これは十年間の時限立法でございます。したがって、これの延長についても、まだ時期が早いかもわからぬけれども、ぜひともひとつお願いをいたしておきたいと思いますので、大臣の見解をお聞きいたしたい。
  424. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま、この下水道の法案ができました当時には一般の補助率と違いまして特別の補助率であった。一般が上がったものだから平等になってしまったということで、実はそのために、なお上げるということはなかなか困難を伴うことでございますが、いま御指摘のとおり特に流域下水道でも農村地区と思われるようなところまで下水道を早急に完備してもらわなければならぬ。それだけ地方自治体に御迷惑をかけている分もあるのじゃないかということで、ひとつそれらも検討の上、補助率の特別な引き上げということについて検討してくれということを事務当局には言っておきますので……。  なお、期限の延長等につきましては、関係当局とも連絡の上、着々準備を進めさせていただきたいと思います。
  425. 西田八郎

    西田(八)分科員 総合開発の問題につきましてはその程度で、次に国道の整備のことについてお伺いしたいと思うのですが、御承知のように五十四年、本年インターハイを滋賀県で開催をいたします。さらに五十六年には国体を開催するわけでありますが、何も国体を開催するからということを条件にするわけではございませんけれども、長年、問題になってきております百六十一号線西大津バイパスの三井寺さんの問題ですよ。これはいま土地収容にかけられて収用委員会で審理中だというように伺っておるわけでありますが、もうあと二年しかないのですね。果たして、それに間に合うのかどうか、地元の県民は本当にやきもきいたしておるわけであります。その辺について道路局長から、どの程度進捗しておるのか、一体見通しはどうなのか、確たる返事はもらえないかもわかりませんが、見通し等についてお聞かせいただきたいのが一つ。  それからもう一つは同じ湖西道路で、バイパスを出ましてトンネルを出てから真野を通って湖西道路、そして滋賀バイパスへとつながるわけでありますが、その道路は公団がやっておられると思うのですけれども、真野というところ、これが栗原という地点を通るわけです。地図をお持ちだろうと思うのですが、その栗原という地点を通って京都に抜ける道で昔からの途中越という道路があるわけですけれども、これから滋賀県の裏の方に入るいわゆる国道三〇三でしたか、ここにつながる道なんですね。したがってこれは非常に重要な地点であるにもかかわらずインターチェンジが計画されていないというようなことで、地元でも非常に不満というか、何とかしてもらえないかという声が上がっておるわけですが、もうすでに計画したのだからだめだと言われるのか、ある程度そういうことについての修正の見通しがあるのかどうか、その辺のところを聞かしていただきたいと思います。
  426. 山根孟

    ○山根政府委員 まず百六十一号の西大津バイパスでございますが、昭和四十四年度から用地買収に着手をいたしまして、早期完成を図るべく努力をしてまいったわけでありますが、先生指摘のように長等山園城寺、三井寺さんの境内の一部を通過することから、宗教の尊厳性が破壊されるということで三井寺さんから強い反対が出されまして、この境内に関連をいたします約二キロメートルの区間につきましては工事の実施を見合わせてきたわけでございます。  この間、関係方面から促進の強い要請もあり、また、いまお話のありました五十六年秋に予定されております滋賀国体の前に、このバイパスを供用させるということにつきまして大変強い御要望もございました。私どもといたしましては、ぜひその御要望にこたえるべく、先ほど申し上げました未着手の区間について昨年の十月事業認定を行いまして、十一月の初めから三井寺さんの境内に直接関係のない部分からトンネル工事に着手いたしますとともに、収用の手続を進めてまいっておるところでございます。すでに第一回の審理が行われたわけであります。私どもといたしましては、収用委員会の裁決が順調に行われますれば、何とか、この国体に間に合わせることができるのではないかというふうに考えておりまして、収用委員会の裁決に大変な期待をかけておるということでございます。  第二の湖西有料道路のインターチェンジの問題でございます。これにつきましては、日本道路公団の実施をいたします一般有料道路事業であるわけであります。この湖西有料道路として採算をとって償還をする、こういういわば条件があるわけでございます。こんなことから追加インターチェンジの設置に当たりましては、この設置に伴いまして収入が増加をするということは当然期待されるわけでございますが、この増収入が、やはりインターチェンジをつくることによってふえる費用、いわば増分費用に見合うような形で、なかなか採択をするということはむずかしいわけであります。  ところが、この採算がとれるかどうかということになりますと、できるだけ精度の高い交通量をもとに算定をいたさなければなかなか判断がつきにくいわけでございます。私どもといたしましては、真野インターチェンジから西大津バイパス終点間の供用状況、一部の区間が先行して供用できるかとも思いますが、そういった交通状況をもとに、ひとつ検討をさせていただけたらいかがか、かように実は考えておるところでございます。
  427. 西田八郎

    西田(八)分科員 いまの真野インターチェンジの設置については、これはもう琵琶湖大橋にもつながりますし、国道八号、一号にもつながる一番近道でもあるわけですね。したがって最近、富山、石川、福井の貨物等がほとんどここを通るわけですから、私は十分いま言われるような採算ベースに合わせられるのではないかというふうに考えますし、仮に採算点に乗らなくても、また住民の便利ということも考えてやれば、ある程度の犠牲というものは、国道であり、しかも有料である限りは考えるべきではないかというふうに思うわけでありまして、その辺のところをぜひ再考慮を願いたいということをお願いしておきたいと思います。  次に、昔から伊賀と甲賀は忍者の里でございまして、忍者が行き来しておりましたから、この辺にはこれといって道がないわけであります。国道一号線は、鈴鹿を抜けて伊勢、桑名の方へ抜けてしまうわけでありますが、伊賀と滋賀県とを結ぶ道路は、県道、産業道路と言われる道路が一本あるっきりなんですけれども、上野から滋賀へ入ってくるのに非常に不便だというようなことから、滋賀県の御承知の信楽というところには地場産業の陶器業が蝟集もいたしております。そういうような関係と伊賀と滋賀とのつながりというものも含めまして、いま関係市町村が集まって湖南青山縦貫道の建設促進運動が展開されておるわけでありますが、そういうような計画が俎上に上っておるのかどうか、お伺いしたいことと、時間がないのであわせてひとつ、ぜひ御検討をいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  428. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  私ども、いまお話のございました湖南青山道路につきましては、三重県の青山地区と滋賀県の湖南地区とを結びます幹線道路の構想でありまして、名神高速道路と名阪国道とを短絡をいたしまして京阪神圏と中京圏を直結する、同時にまた関連する地域の振興に寄与する、こういう御構想であるというぐあいに承っております。  重要性につきましては理解できるわけでございますので、昭和五十二年度から実は直轄で調査に着手をいたしたところであります。現在、将来の交通需要あるいは路線の性格、こういった点について基礎的な調査を実施してまいっておるところでございます。  本道路の事業化の問題につきましては、これら調査の成果を踏まえて、これからその結果に基づきまして、では、どういう整備考え方をとっていったらいいかということを検討してまいりたい、かように考えております。
  429. 西田八郎

    西田(八)分科員 それじゃ最後に、これは建設大臣に要望をしておきたいことが一つあります。  それは建設事業の請負関係における工賃の問題なんです。建設業は御承知のようにゼネコンがあって、そして重層請負システムとかいって何段階にも分かれて下請、下請へいくわけです。その場合にも総額計算をされますから、一割引いて下へ落とすと工賃も何もかも、みんな一割ずつ落ちていくわけです。そこで一番下の請負者が、もう今日の社会ベースでははかられないような工賃で仕事をしなければならぬというようなことになってまいりまして、しょうがないから、これはもう県道を直す工事だ、国道を直す工事だ、おまえさんのところの部落に関係があるから部落から動員をかけてくれというようなことで町長に頼み込んでまいりまして、町長がそれならしようがないというので、そこの地域から出身の町会議員とはかって男の人が出てくれれば日当三千円、それから女の人が出れば二千五百円で、かつての勤労奉仕みたいな形で工事をやっておるわけです。もしも、そこで業務上災害でも起こったらどうなるのか、これは非常に重要な問題であります。  そこで私どもは建設の雇用関係をやっておられる関係者の方々から、ぜひひとつ工賃に関しては総請負額と別に、もうゼネコンから一番下の下請にかかわるまで一本の線で通してほしいという強い要求が来ておるわけです。私は当然そうだと思うのです。これは請負という形で請け負われておるから労働基準法違反とかなんとか言いませんが、基準法には、やはり労賃の搾取というのは厳に禁じられておるところでありますから、そういう点もしも建設省で、そういうことはやっていない、工賃は別建てなんだというふうにおっしゃるのなら、そういうふうに指導を強化してもらいたい。これで下請関係者が非常に泣かされておるということ。  それから同時に、私はあした労働省にもお願いしようと思っておるのですが、これに関連するいわゆる保険料ですね、各種保険料、こうした社会保険料も別建てで計算をしたら、どうせ発注されるときには、そういうものもみんな見積もりとして取られるんでしょうから、その部分は除いて下請へ落とすように強力な指導をしていただきたい、これはひとつお願いをしたいと思うのですが。
  430. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま建設業、日本のGNPの二一%を超しました。昨年の雇用の五百万に対して三十五万ほど増加した。こういう意味におきましては日本経済を支えるところの大きな産業である。私は、土建屋という言葉を捨てて建設産業という意味で指導育成すべきである、こういうふうに考えております。その中で一番、土建屋と言われるのが、いまの労務者に対する管理の方であろうと思います。これもできるだけ近代的な雇用関係に持っていくということは急務でございますので、御要望の線、できるだけ実現しますように努力させていただきたいと思います。
  431. 西田八郎

    西田(八)分科員 では終わります。
  432. 井上普方

    井上(普)主査代理 次に、菊池福治郎君。
  433. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 大平内閣ができまして、いわゆる田園都市構想というふうなものを発表しておりますが、都会の良質な情報、高い生産力、地方における豊かな自然と優れた潤いのある人間性というものを結合させて、国土の均衡ある発展を図る。地方の発展のために、そういう構想を打ち出しておるわけでございますが、私どもは田園都市構想というのは地方を重視する、地方を重んずる政策であるということで、心から賛意を表するわけでございます。  東北におきましても、いま東北新幹線とか、あるいは東北縦貫道といったようなものが着々と進行しておるわけでございます。これは、来るべき時代に対応する地方の産業経済、住民福祉のあり方を見た場合に非常に好ましい一つのプロジェクトであるというふうに考えるわけでございますが、ただ東北縦貫道というものが仮に完成しましても、それだけで地方の道路問題とか交通情勢というものは解決するのかということになりますると、これはもちろん、そうでないわけでございます。  御承知のように地方の小都市は、交通の問題、道路の問題で大変悩んでおります。非常に極端に言えば麻痺状態になっておるという面が全国的にあろうかと思います。地方の者が東京に出てきまして、東京は混雑するとか自動車が多いということにはちっとも驚かないわけでございます。これは東京東京なりに、もちろん混雑をしておるわけでございますけれども、地方はそれと同じように、あるいは場合によって、それ以上に混雑をしておる。地方の者が東京へ出てきて交通事情あるいは道路の情勢について少しも驚かないということは、本当は大変なことであろうかと思います。たとえば宅地の問題にしましても、われわれの地方であれば、これは明らかに東京都内を比べれば十倍も二十倍もする、そういうところに住んでおる人が事、交通事情あるいは自動車の情勢というものになると、ちっとも驚かないということは、それだけ地方がそういう問題で東京以上に非常に困っておる。いわば別の表現で言えば、そういう道路の、あるいは交通の問題について建設省の投資というものが現在、地方に十分でない、そういうことの表明ではなかろうかと思うわけでございます。  それで、いま往々にして、道路の時代は終わったのだ、道路に力を入れるということはもう終わったのだというふうな見解も一部にあるわけでございますけれども、私どもは、そういう地方都市の極端な交通事情を見た場合に、道路の問題は終わったのではなくて、一部、表面的に大きなプロジェクトとかなんとかいうふうなものは一応の見通しなり、かっこうはついておるかもしれないけれども、地方の交通事情は大変な問題をいま抱えておって、これから建設省がやるべきこと、あるいは道路行政のやるべきことは、そういう麻痺状態になっておる小さい地方都市の交通事情を緩和して、それで産業経済の生き生きとした発展を図る、あるいは住民の福祉の向上を図るということをしなければ、大きなプロジェクト、縦貫道が幾ら日本の全国に発達しても、それだけで交通事情というものは解決しないんだというふうな考えを持っておるわけであります。  この点についても御意見を伺いたいと思いますが、時間もありませんから、そういう事情にあるこの際において、建設省は新たな意欲をもちまして第八次道路整備五カ年計画というものを決定しておるわけでございますが、この第八次道路整備五カ年計画の概要と申しますか、大ざっぱなことで結構でございますが、重点、概要あるいは目標とか、そういったものについて、ひとつ御説明をお願いしたいと思います。
  434. 山根孟

    ○山根政府委員 先生るる申されましたように、道路は日常生活、経済社会活動にとりまして不可欠の基礎的な施設でございます。また良好な居住環境の形成、防災、供給処理施設の収容といった公共空間としての役割りも一方で担っておるものというぐあいに考えております。したがいまして、これからの道路の整備に当たりましては、このような道路の持っております多様な機能が十分発揮できますように、次の三つのことを基本方針として行うように考えておるところでございます。  その第一は、地域社会の日常生活基盤としての市町村道から国土構造の骨格としての高速自動車国道に至る道路網を体系的に整備をする、こういうことが第一でございます。  第二が、道路の持っております交通機能とあわせまして、街区の形成、防災、採光、供給処理施設の収容、その他、道路の持っております空間機能に留意しつつ、環境の保全に配慮した適正な道路空間、道路構造をつくってまいりたい。  第三が、でき上がりました道路を、道路整備の進捗に合わせまして適正な維持管理、交通管理を行って、安全で快適な道路交通を常時確保する。  こういう基本的な考え方のもとに第八次道路整備五カ年計画は、道路交通の安全確保、国民生活基盤の整備、生活環境の改善、国土の発展基盤の整備、維持管理の拡充、こういった五つの柱のもとに長期的な構想に立って計画的に整備を進めてまいろうという考え方のもとに策定をし、本年度から発足をいたしたところでございます。
  435. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 いま、計画数字的なことはお答えがなかったわけでありますが、この五カ年計画資料によりますれば、道路交通の安全を確保するため、あるいは国民生活に必要な基盤を整備するため、あるいは生活環境の改善を図るため、あるいは国土の発展基盤を整備するため等々の大きな柱を立てて、それぞれ道路交通の安全確保のためには五兆三千七百億円ですか、それから生活基盤の整備には三兆五千百億円、生活環境の改善には三兆四千八百億円、国土の発展基盤の整備には五兆六千億円、維持、管理の充実には二兆三千億円、国の費用としては二十兆三千億円という数字説明をされておりますが、いまお答えがなかったのですけれども、いま申し上げました計画数字というものはこれで間違いはございませんでしょうか。
  436. 山根孟

    ○山根政府委員 予備費を含めまして二十八兆五千億のうち、国がみずから実施しもしくは補助する一般道路事業及び日本道路公団等の有料道路事業を合算いたしました投資規模が、先ほど先生のおっしゃいました二十兆三千億円、その内訳として各重要施策ごとの投資の配分は先生がおっしゃったとおりでございます。
  437. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 そうしますと、それぞれ四本、五本の柱というものはもちろん当然の柱でございまして、これらの問題を解決しなければ、今日の道路建設あるいは道路事情等がよくならないということはよくわかるわけでございます。  この中で感じますることは、この計画を見ますると大規模のプロジェクトというものに重点が置かれておって、生活環境の改善、後で触れようと思いますが、先ほど申し上げました地方都市の交通難を解決するようなバイパスなどの予算について、比較的に見まするならば、大きな柱の中において十分ではないのではないかというふうな感じを持つわけでございます。私どもが考えるのは、大規模なプロジェクトというものももちろん必要でありまするけれども、先ほど申し上げましたように、それだけでは今日の切実な地方のいろいろな問題に十分対応できない。これからはむしろそういった地方の生活環境をよくするということが産業、経済の活力ある発展にもつながってくる、いわばそういう面に一番のウエートを置くべきものではないかというふうに考えるわけでございます。  それでは、この中でいわゆるバイパスというものに使う予算あるいは高速自動車国道というものに使う予算あるいは本四連絡橋といったものに使う予算、バス路線、これも生活に密着しておりまして、いろいろな問題もあって地方では大変大事な問題でありますが、バス路線などに使う予算といったものに砕いて、もし御説明いただければ非常に参考になると思いますが、いかがでしょうか。
  438. 山根孟

    ○山根政府委員 まず道路整備そのものは道路網全体として機能いたすことになるわけでございます。冒頭に先生指摘になりました国土の均衡ある発展と申しますか、地域について見まするならば、特色ある都市、農山漁村等の発展基盤の整備といったような観点からいたしますと、一方では高速自動車国道、こういった事業が必要でありますし、それぞれの都市につきましてはバイパス、これに接続いたします日常の生活の場としての市町村道というような体系ができ上がっておらなければならないというぐあいに考えておるものでございます。  ただいま申し上げました二十兆三千億円、こういう中で、高速自動車国道については三兆二千億円、これに対してバイパス等も一部含まれておりますが、交通安全のための改築、これが三兆二千七百億円、バス路線整備、これは生活基盤の整備という観点からのバス路線整備でありますが、これが一兆三千四百億円、都市等のバイパスをすることによって都市環境を改善していこう、こういうことに関連いたします投資額が一兆九千三百億円、大規模事業の引き合いによく出されます本州四国連絡橋は三千九百億円といったような数字になっております。
  439. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 手元にいただきました資料によりますれば、いわゆる生活基盤の整備という問題について、バス路線整備というのが一兆三千四百億円、それから健全な市街地の形成、これはバイパスなどを指しておると思いますが、これが五千七百億円、高速自動車国道というのが三兆二千億円、本四架橋が三千九百億円というふうに、いただいた資料には載っております。  これを見ますと、いま全国各地で問題になっておる地方の交通難を解決するバイパスの予算として五カ年計画五千七百億円。高速道路国道が三兆二千億円であり、本四連絡橋が三千九百億円であるということから、今日の道路行政、建設行政の課題が何であるかということを深刻に考え、地方の住民の切なる願いというか苦悩というものを凝視した場合に、こういう五千七百億円ではほかとのバランスにおいても十分ではないのではないか。大きなプロジェクトを進めていく場合には、資材が上がるとか、集中して労力、技術者が足らぬとか、物価が上がってくるとか、あるいは土地の入手難とか、住民の反対とか、環境を壊すとかいうふうなことで、なかなか十分に遂行できない。過去の第二次、第三次、第四次とか第五次とかの計画を見ましてもこれはなかなかできないわけであります。ところがバイパスというふうな問題は地方の非常に切なる願いでございまして、後でも具体的な例で触れたいと思いますが、これには住民も協力するし、本当の必要に迫られておるものでありますから、こういうものにもつと重点を置いて、いま申し上げましたほかの計画も必要ではありますけれども、この際、限られた財源、限られた計画の中においてどれをとるかということになれば、私どもは今日の道路情勢あるいは交通事情を考えた場合に、建設行政の主題は、バイパスなどの地方の交通難を解決することが本筋ではなかろうか。そういう観点から見ると、これで果たして地方の切実な交通難を解決できるのかと思う。  たとえば本四架橋というものを二年なら二年後に三本——三ルートあって、三ルートか三年、四年でできるわけじゃありませんが、三ルートあって、それができたとします。できたら大変なことです。三ルートができて洪水のごとく四国地方に車が入ったとすれば、具体的な何々市、何々町というものは渋滞し、混乱して、これはとても——本四架橋がたとえば三つうまくいったにしても、それは橋をかけることが目的でなくて、スムーズに向こうに流れてスムーズに四国地方の産業、経済、住民福祉に役立つということが主眼ですから、それがもし一本通ずる、三本通ずるのであれば、それに対応するだけの四国地方の内部のバイパスというようなものを前もって先行させてつくっておかなければ、一方が堂々として走っていって、内部で何にも用意がなければ、中で混乱することはあたりまえです。したがって、橋の効能というふうなものも半減するか、あるいはむしろじゃまになったりする、害を及ぼすという結果にもなるわけで、いまの問題はそういう大きなプロジェクトはセーブしながら進んで、その結果になってくるというか、それの先になっていくそういう要所要所、小さいところを先に対応していくということがこれからの道路行政の主題ではなかろうかと思うわけでありますが、これは時間がありませんので……。  いま全国でバイパスというような問題は相当大きな問題になっておると思いますが、いま計画なりあるいは実際に着工しておるバイパスの数あるいは、私ども関係あるところですが、宮城県下でのバイパスの数というふうなものについて、時間がありませんからごく簡単にひとつお示しをいただきたいと思います。
  440. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  その前に一つだけちょっと御理解をいただきたい点は、先ほどバイパスの中に、健全な市街地の形成というところでバイパスというお話がございましたが、実はこの健全な市街地の形成というところは、区画整理等による秩序ある市街地の形成に要する費用ということで掲げておりまして、四車線以上のバイパスにつきましては、都市及びコミュニティー環境の改善という項目として整理をいたしておりまして、一兆九千三百億円を見込んでおるわけでございます。なおこのバイパスにはこのほか二車線程度のバイパスとして、交通安全のための改築というところと両者に分かれておることだけつけ加えをさせていただきます。  そこで、バイパスでございますが、全国でいろんなバイパスがあります。特に建設大臣が管理をいたしております国道区間のバイパスについて申し上げますと、三百三十八カ所、延長にいたしまして三千百九十キロメートルございます。このうち八十カ所が供用中でございまして、八十三カ所が鋭意事業を促進をいたしておるところで、あと残りの七十二カ所等が現在事業がやや停滞をいたしておるという個所でございます。  宮城県の中では一体どういうバイパスが考えられておるか、こういう点でございますが、四号の柴田バイパス、四十五号の気仙沼バイパス、四十八号の仙台西バイパス等九カ所でございまして、現在これらのバイパス整備のために、五十三年度当初の事業費といたしましては約五十七億円でございますが、これをもちまして鋭意事業の促進を図っておるところでございます。
  441. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 時間がありませんのではなはだ先を急いで恐縮でございますが、いま三百三十数カ所のバイパスを全国的に直轄でやっておるというお話ですが、こういった点から見ましても、これはそれぞれ百億なり百五十億かかるわけでございますけれども、こういうものに重点的な予算の配分をやることが、ほかのさまざまなプロジェクトも大事でありまするけれども、私は、日本国土の全体の均衡ある発展のために、住民の切なる願いというものはこういうところにあるんじゃないか、こういうところをもう少し見直しをして大々的な投資を行うことが日本の建設行政の今日の課題ではないかと思うわけであります。  ただいまお話のありました四十五号線の気仙沼バイパスについてでございますが、これは言うまでもなく仙台八戸間の三陸縦貫の道路でございます。四号線が東北の中心部を走れば、これは三陸沿岸を走る大動脈であって、これはやっぱり二百海里を控えた沿岸漁業、遠洋漁業の根拠地、中心地でございまして、産業道路と言ってもいいわけであります。なお国立公園、国定公園というふうなものに含まれておって、観光的にも非常に大事な道路でありますが、この三陸の中心地に気仙沼市というのがあります。これがいま非常に交通の渋滞、麻痺状態になっております。それでこの問題を解決しないと、八戸、青森、釜石等々の交通も渋滞するわけで、これは岩手県、宮城県が一体となってこのバイパスの早期開通ということに皆熱意を持っておるわけでございます。  ところが、これは用地の問題などがどこの道路にも皆あるわけでありますが、用地の問題が全くこの地区にはないわけです。地権者が皆大賛成をしまして、五、六年前にそういう合意に達しておるのに何で用地を買収しないのかということで、むしろ市役所に対して不信感を持っておるようなそういう協力的なところでございます。ところが残念ながら、この用地の買収は四十億円、事業費九十五億円という全体の予算計画でございますけれども、この中で五十年度に三十六人、一億四千二百万、五十一年に十人、一億円、五十二年に二十九人、三億七千万というふうな用地の買収で、合計して七十五人、六億一千二百万の程度しかまだ用地の買収も実現しておらない。これは計画が発表されてすでに六、七年かなるわけでしょうけれども、そういったような状態で、非常にこの地方の者は何といいますか、建設省の立場も予算もありましょうけれども、何とかこれは一日も早い実現を期していただきたいという熱望を持っておるわけでございます。  先ほど来申し上げましたように、大型プロジェクトあるいはいろんな縦貫道というふうなものはさまざまな問題を含んでおるわけでありまして、こういうバイパスの問題は住民がこぞって賛成しておる。地権者も父祖伝来の土地を買収されてもなお悔やまない、熱心な協力者になっておるということでございますので、ぜひひとつこういう問題を積極的に取り上げていただきたい。この気仙沼のバイパスの問題は単に交通渋滞だけでなくて、昨年か町の中心部に火災が起こったわけでありますが、火災が起こりますと、何時間も一切の自動車というものは通れないわけであります。そういう問題もございまして、何とか一日も早い完成が期待されるわけでございますが、これはなかなかむずかしい御返事だと思いまするけれども、できれば来年度において大幅にこれにひとつ予算をつけていただきまして、住民に対して、なるほどこれは相当建設が進むというふうな安心感を与えていただきたい、その点をひとつお伺いしたいと思います。  時間がないのでもう一つだけお伺いいたしたいと思いますが、まあ本四架橋なり大型のいろんなプロジェクトも進んでおるわけでございますが、やっぱり危険をなくす、交通の安全のための一番の改善ということになりますると、現に老朽しておる橋がございます、あるいは地震によって破損の激しい橋が私どもの地方にあります。一つは米谷大橋、登米大橋というのがございますが、これは橋の入り口に土のうを積んで、トラックは通っちゃいかぬ、最徐行してくださいというふうに書いておるわけです。最徐行してください、トラックは通っちゃいかぬともう半年以上、七、八カ月書いてあるんだけれども、別にくぎを打っているような様子もなければ、あるいはくいを打っているような様子もない。危険です、徐行してくださいと書いてあるんですけれども、通らないわけにはいかぬですから、われわれはびくびくして通るわけでございます。そういうふうな危険な橋をやはり危険だと標示してあるんです。古い橋で何トン以上は通っちゃいかぬという橋じゃないのです。地震による被害がはなはだしいから徐行してください、最徐行してくださいというふうに書いてあります。こういう橋についてはどういう理由があろうと、現に危険だというふうに認めておるわけですから、それが何かがあれば天災ではなく人災だと私は思うわけでございまして、こういう橋は標示を外すか、標示を外さなければ、これは危険なんでございますから——何か少しずつやっているけれども、まだ時間がかかるというのであれば納得いくわけでありますけれども、何にもしないで、危険だから最徐行してくださいというふうに書いておるということは、親切なあるいは本当に地方の住民を大事にする建設行政ではないんじゃないかというふうに思います。  時間がないのでさまざまなことを急いで申し上げて本当に恐縮でございましたけれども、気仙沼バイパスの来年度のあるいは今後の見通し、あるいはそういう老朽というか壊れた橋に対する対策という二点を簡単にお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  442. 井上普方

    井上(普)主査代理 答弁は簡潔に願います。
  443. 山根孟

    ○山根政府委員 気仙沼バイパスにつきましては、国道二百八十四号から田谷後九条線の間一・三キロの区間を最重点に事業を進めておりまして、五十四年度にはこの区間の用地買収を完了いたしますとともに本格的な工事に着手をいたしたい、鋭意事業の進捗を図ってまいりたい、かように考えております。  宮城県沖地震に関連をいたしまして被災をいたしました米谷大橋、登米大橋、錦桜橋——錦桜橋につきましては仮橋を架設をいたしておりますが、米谷大橋、登米大橋、錦桜橋とも、本橋につきましてはいずれも橋台、トラスないし橋げたの製作をいま工場でやっておるものですから、現地でそれがごらんいただくわけにいきませんので、大変不安を与えておる点は大変残念でございますが、米谷大橋は五十五年度まで、登米大橋につきましては五十四年度におきまして、錦桜橋につきましては五十五年度までぜひとも完成させたいということで鋭意事業の進捗を図っておるということを申し上げさしていただきたいと思います。
  444. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 ありがとうございました。終わります。
  445. 井上普方

    井上(普)主査代理 次に、石田幸四郎君。
  446. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 わずか三十分の時間でございますので、簡潔にお願いしたいと思います。  私はまず騒音問題からお伺いするわけでございますが、騒音対策、これは一つは愛知県の名古屋市の国道二十三号線その他につながる環状二号線の問題で、橋が建設されることになったわけです。港湾部分を橋で結んで、大阪方面から来た自動車を東海道の方へ持っていこうということなんですが、この港湾にかかる橋問題については、土質が大変に悪いためにいままで調査費がついていた程度になっておったわけですが、この土質問題が解決をされたから当然そういうような計画になったと思うのですけれども、そこら辺の根拠についてお伺いをいたしたい。  それから、この大橋ができますと、名古屋市の南部の自動車騒音というのはかなり緩和されるわけですが、この騒音について考えてみますと、東海道関係特に名古屋あるいは岡崎、浜松、豊橋を含めてこういう関係が、関西方面と東京を結ぶ交通量が多いために都市部を通過しているわけですが、     〔井上(普)主査代理退席、主査着席〕 そのために大変な騒音が起きておりまして、去年交通安全対策特別委員会の諸君が視察に行ったときにも大変な攻撃的な陳情を受けたという事情があるわけですけれども、こういう都市部の騒音についてはできる部分もあるができない部分ももちろんあるわけですけれども、できない部分についてはバイパスを通す以外に私はないと思いますけれども、建設省の道路にかかわる騒音対策を見ておると、どうも大変厳しい陳情、注文等を地元から受けておる場合には手をつけるけれども、非常に計画的でない、そういうことが感じられてならないわけです。環境庁あたりと十分相談の上、建設省一本でまとめることは不可能としても、それぞれの地域で騒音対策のためのそういうような問題をちゃんと順位をつけて積極的に対策を講じていくということが必要じゃないかと思うのです。そこら辺はどうも不鮮明なので、その原則論を建設省としてお立てになる必要があるんではないか。まず、この問題二点伺います。
  447. 山根孟

    ○山根政府委員 第一点は、名港西大橋の軟弱地盤の処置については技術的に自信があるのか、こういう御指摘でございます。  現在までに実施をいたしました地質調査の結果から申し上げますと、名港西大橋の基礎地盤は海底面から軟弱な粘土層と砂れき層の互層となっておりまして、三十メートルから四十メートルの深さのところに良好な厚い砂れき層が存在しておりまして、この厚い砂れき層がいわば支持層として橋梁の基礎工として十分活用できる。したがいまして、この上に橋脚を立てまして橋を建設するということにつきましては、現在のわが国の橋梁技術水準から見て十分可能であるというぐあいに判断をされます。今後具体的な詳細設計の段階でそれが具体化することになろうか、かように考えておるところでございます。  それから次に、騒音に関して建設省としてどういうぐあいに統一的な環境対策を考えているのか、こういう御質問でございます。  まず大きく申し上げまして、やはり騒音対策ということになりますと、自動車構造の改善、道路構造の改善、交通規制の強化、沿道土地利用の適正化、こういったいろいろな施策を総合して進める必要がある、こういう観点から、実は昨年の十二月でございますが、環境庁を中心にいたしまして運輸省と警察庁、建設省による道路交通公害対策関係省庁連絡会が発足をいたしました。各省庁の連絡を図りつつ、私どももそのメンバーといたしまして総合的な対策、施策の一環として進めておるという体制を整えておるということでございます。  それから、しからば道路整備に関しての観点からはどうか、先ほどお話のありましたように、道路構造として道路の敷地内におきまして解決をし得る問題、これは環境施設帯、その中に遮音壁をつくる等々のいわば道路構造の改善という観点が一つ。それともう一つは、それだけではなかなか解決ができませんので、道路の沿道とのかかわり合いにおいて解決することができないだろうか。一般道路のような場合におきましては遮音壁をむやみやたらに建てるわけにはまいりません。そういうようなことから、沿道の土地利用と調和を図るような形の整備ができないかということで、五十二年度からは緩衝建築物等を考慮した考え方の導入、そういった施策も導入してまいっておるわけでございます。  そこで、道路整備の優先順位ということからいきますと、やはり交通安全、ただいまの交通の環境、それから交通混雑。交通環境というのは混雑と実はダイレクトに結びついておるわけでございまして、こういった混雑度、現実におきます夜間の大型車の多いところというような点を指標といたしまして、バイパス等の優先順位を設定をいたしておるという事情でございます。
  448. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 それで私が申し上げておるのは、たとえばいまお聞きしました地域については、これは十何年来の懸案なんですね。さっぱり片づかない。たとえば地方自治体等ではいまむしろ車道を制限してまでも歩道をつけようとしておるわけですね。これはいろいろのところに見受けられます。したがって、夜間でも寝られないというようなケースも、これは敷地内を考えるとなかなか遮蔽物を建てられないという点もありますけれども、やはり車道を多少縮めてもできるところは積極的にやるというぐらいのことをやらないと、バイパスをつくるといったって五年やそこらかかりますから、そこら辺のところもひとつ十分考えてもらいたいということです。  それから、先ほど申し上げたように、十分環境庁と打ち合わせして優先順位について地域別に決める必要があるんじゃないか。北海道は北海道、東北は東北、東京東京というぐあいに優先順位というのをもう少し検討して進めていかなければならないのじゃないか。これを申し上げます。  それから、下水道の問題なんですが、公共下水道についての補助、これが流域下水道とは相当違う。それから大都市と一般都市においては補助率が違うわけですね。どうも私は解せないわけです。確かに高度経済成長の時代であれば大都市圏はそれぞれの地方自治体が財源もかなり持っておる。しかしながら、こういうような時代になるとかえって大都市の方が財源難というような状況にもなっておるわけでしょう。それで補助率の配分が違うというのは、これは考え直さなければならぬ、これが一つ。  それから、流域下水道は九三%の補助対象になっておるけれども、大都市等においては四五%というふうな状況がございます。これはもうそろそろ区別をつける問題ではない、区別についてもう一遍整理をし直さなければならない、そういう時代に入っている、こういうふうに私は考えざるを得ない。公共下水道に比べて流域下水道がこれほど補助率が高いというのは、これはそれなりの意味づけはしておられるでしょうけれども、しかしながら、資本投下の効果を考えてみると、やはり人口の多いところに資本投下をした方がそれだけの効果が出るわけですね。そういう観点からも考えて、そこら辺の問題をもう一遍見直しをすることができないのか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  449. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 まず、指定都市と一般都市の補助対象率の格差についてでございますが、こういう差をつけました理由は二つございまして、一つはいま御指摘の財政力の問題でございます。いま一つは普及率の問題でございます。  まず財政負担能力の問題から申しますと、確かに世帯が大きいから楽だという状況ではだんだんなくなりつつあるということは、御指摘の点もあろうかと思います。現在の四次五カ年計画に移りますときにその辺の事情も考慮いたしまして、指定都市の補助対象率につきましては四一・六%から四五%というふうに引き上げまして、一般都市よりも非常に大幅に対象率を引き上げております。  それから、いま一つ普及率の問題でございますが、これは相当の差がございまして、まあその辺のところが一つの理由でございます。ただ御指摘のような点もございますので、現在の五カ年計画改定の際には、その問題を含めましてもろもろの状況を十分検討してまいりたいというふうに考えます。  それから、公共と流域の補助対象率の差でございますけれども、これは広域性と緊急性ということに尽きると思います。御意見まことにごもっともとは存じますけれども、昨今における公共水域の水質汚濁が非常にはなはだしい。これを何とかして早く食いとめなければいかぬ。その主役をなすものは下水道でございます。そうしますと、これは個々のばらばらの小さい公共下水道でやっておりましたのではなかなかこの緊急に間に合わない。やはり一貫した計画で大きな流域でまとめてやらなければならないというふうなところから、緊急にやらなければいかぬ。その限りにおきまして、また公共水域の水質保全という面からいきまして、広域性も一段と高いというふうな観点から差をつけてあるというふうに御理解願いたいと思います。この辺の問題も、五カ年計画改定の際に、果たして現状でいいのかどうかという点はまた当然議論になると思いますので、その際にあわせて検討をさしていただきたいというふうに考えます。
  450. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 見直しをされるということですから非常に結構でございますが、流域下水道を完成するについてもやはり公共下水道がつきまとってくるわけです。そういうわけで、地方では同じものとして考えてもらいたいという要望が非常に強いということを、ぜひひとつ頭の中に入れて今後の御検討を願いたい、こういうふうに思うのです。  それから、これはもう大臣にぜひひとつお答えをいただきたいわけですが、公共事業をやりまして、元請と下請の関係ですね。これは私たち公明党が実はもう三、四年来、四年ぐらいになるでしょう、毎年この問題を取り上げております。元請は四〇%の前受け金をもらうけれども下へ渡さないのですね。これはいままでの調査でも歴然としておるわけです。それで建設省ではこういう指導要綱を出されたことを私も拝見をしました。ところがこれだけではなかなかスムーズにいかない。特に今日では公共事業は不況対策の意味も強いわけですから、元請がもらった前受け金が下に行かないということは不況対策の面からもはなはだよくない。ただ、そこには私契約という問題がありますから非常にむずかしい問題ではあるけれども、ある程度ということであれば、ある程度渡してあげなさい、やはり下請だって人件費はキャッシュで払うわけですからね。少なくとも人件費ぐらいは払ってあげなさいという明確な効果のある命令を出してもらわなければならない。それにはやはり調査と、それからそれに違反をした場合のペナルティーというものを明確にしなければ、これは進まないわけです。これは何としても考えてもらわぬと、公共事業促進という、あるいは公共事業費が不況対策の意味から組まれるという時代にあっては、税金を使うわけですから、その税金を使うという意味においても社会的な不公正というものは許されるべきではない。この観点からぜひ効果のある方法をとってもらいたいというふうに私は思うし、またそれが当然ではないか。税金を使うわけですからね。そういう意味合いで申し上げておるわけですが、どうでしょうか。
  451. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 実情を御説明いたします。(石田(幸)分科員「ちょっと待って、時間がないから簡単に。実情はわかっているから」と呼ぶ)簡単に申し上げます。  先生承知のように、去年政府の公共事業推進本部で下請の調査をしたわけでございます。この段階で、確かにおっしゃられますように元請に対しては四〇%の公共事業の前払いを払う、これが下請には六・六%しかいっていない、こういう実情でございますが、確かにわれわれはそれは適当でないということで強力に指導しておるわけでございますけれども、一つは、下請に対しましては毎月出来高払いというのを六割くらい払っておるわけでございまして、そういう点で下請の方からも一二、三%の方がぜひ前払いを欲しい、八十数%の方が前払いはそれほど欲しくない、こういう調査が出ておるわけでございます。そういう実情ではございますが、先ほどもお話のございましたように、下請指導要綱をつくりまして、元請を強力に指導している段階でございます。もしこれに違反した場合には格づけで考えるとかあるいは指名のときにいろいろと配慮するというようなこともいま考えておるわけでございまして、この点を十分元請に指導するようにいたしております。
  452. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 先ほどもお答えしたのでございますが、建設業、昔は土建屋と、こう呼ばれておったのでございますが、現在では国民総生産の二一%まで達する。ところが、その体質として、就労者に対してもちゃんと常時雇いの者を入れるというよりも臨時工を入れるとか、あるいは下請、元請に対するやり方も従来の慣習が残っておるという姿でございまして、この点建設省といたしましても、単に事業をやらすというだけじゃなくて、この業者の健全な合理化と指導育成ということに万全を期す、その一環としていまのような問題も努力してまいりたい、このように考えております。
  453. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 大変前向きのお答えでございますから結構だと思いますが、これはぜひこの機構をひとつつくってもらいたい。まあ何といいますか、いま若干のペナルティーもいろいろな形で考慮していらっしゃるということですが、しかし、そういうものも具体的に発表されてこそ私は効果があると思うのですね。この点はひとつその形式をきちんと整えていただきたい、これをお願いをいたしておきたいと思います。  それから、もう一点やはりこの下請問題で、いわゆる二次、三次、四次というふうに下がってくる場合がございますね。それで、中には非常にけしからぬのは、その元請はいわゆる監督者だけ出して、実際は下請にやらしておる。それが大体三次なんというのは普通ですね、みんな四次ぐらいまでいっていますよ。そこで、それぞれそれなりのパーセントを自分たちではねてやっておるわけでしょう。そうすると、仮に百億の工事をいたしますと、まあ話だけかもしれないけれども、実際の下請業者、実際に工事を進める最末端の業者は四〇%、いわゆる百億の契約が国と元請の間でなされているにもかかわらず四〇%の実額でやっておる、こういうことを訴える業者もおるわけですね。  これはかなり悪質だと思うのですけれども、この問題を考えても、これじゃ一体何のための公共事業なのかという意味合いも私は出てくると思いますね。しかもその三次、四次の業者が自転車操業ですから、価格をたたかれてもやむを得ず入札をする、それによってかえっていわゆる建設業者の倒産というものが促進をされてしまうという言い方はおかしいかもしれませんけれども、そういうこともあるんですね。やはりここら辺の問題は、適正利潤を取るにはそれなりの責任のある施工というものが必要なのであって、それでもなおかつ三次、四次の下請を使わねばならぬというのであれば、これはもちろん私契約ですから簡単に介入はできないにしても、やはりその三次、四次の引き受け価格を単価を報告させて、そしてそれが現実にマッチするかどうかというものを調査されて、その上で御注意があってしかるべきではないのか。これでは非常に困る。いわゆる不況時において建設業界の倒産が非常に多かった。これも私はその倒産の一つの原因になっていると思うのですよ。ここら辺の問題の監視のシステム、ペナルティーのシステムもつくっていただかないと、それはまあ業界は商売ですから、ある程度の幅というものは当然あると思いますよ。しかし、少なくとも公共事業が率先してその模範を示していくということでなければ、結果的に公平な財源の支出ということにならない。その意味で私は大変この問題は残念に思っておるわけです。  公共事業の元請に対する支払いなんか見ますと、長い工事、大きな工事になりますと、いわゆるインプレスライド分等もあるわけでしょう。そういうものにはどんどん要求が出てきているけれども、実際その下請を担当させられておる連中は、このインプレスライド分なんかもらってない、そういう業者も多いわけですよ。一体それじゃ何のためのインプレスライド分なんだ。三年なり四年なり工事がかかるとしますね、その間物価が上がっていけば、それだけ元請だけがもうかるという、こういうことは絶対にやめてもらわなければいけない。早い話が、極端なやつは当初契約金額よりも完成時においては二・一倍の金額が払われておるという状況でしょう。そうすると、当然その工事に参加したすべての企業がそういう形で公平に支払いを受けているならいいけれども、実際はそうじゃないんですね。そこら辺はやはり中小企業の問題もあずかっておるのですけれども、何としても克服してもらわねばならない問題なわけで、ぜひひとつこれに対する前向きの御方針を承りたいわけですが、いかがでしょうか。
  454. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 いま先生からお話のありましたように、一括下請の問題、重層下請の問題は重要な問題だと考えております。ただし、先ほど申し上げました調査によりますと、一次下請までいっているものは五六・九%、二次下請までが三七・四%、三次下請が五・四、四次が〇・三ということになりまして、ほとんどは二次下請で終わっているわけでございます。ただ、問題になりますのは、三次、四次、五次というのがあるということでございますから、こういうものについては、この指導要綱でもうたっておりますように、不必要な重層下請はしないようにという厳重な指導をしているわけでございます。  また、スライドその他の問題でございますが、これは契約の方法が下請と元請の間で非常にあいまいである、下請契約約款によりますと、物価が上がった場合等には契約変更ができるという規定があるわけでございますが、そういう契約を結んでないということがあるわけでございまして、その点からも当初の契約の段階にはっきりした契約を結ぶように指導いたしたい、このような形でいま指導しているところでございます。  なお、これらに違反する者につきましては、先ほども申しましたように厳正な措置をとってまいりたい、このように考えております。
  455. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 大臣いかがでしょう。
  456. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 建設業界の長い慣習の惰性があるということは事実でございますが、建設業界、一番上は鹿島ですかから下は一匹オオカミの業者まで、われわれが建設業として認可しておりますものは大体四十七万と聞いております。それを一度にやることは非常に困難であろうと思いますが、各大手も自分の系列の中でいまの中小業者を育成していくという方法で責任を持ってもらいたい。現在建設業界も各地におきましてそれぞれの立場で組合を全国的につくり、また地方的には地方的につくっておられますので、そういった会では私もそのことを強く要望しておるのでございまして、建設省といたしましても、単に事業を発注するというだけでなくして、いま御要望になりましたような業者の体質改善、健全なる育成ということが大きな任務であるという姿で建設行政をやってくれということを省内でも申し上げておりますので、御要望の線に沿ってできるだけ努力をしてまいりたい、このように考えております。
  457. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 結構だと思います。私は特に不況時においては手形の問題なんかできるだけ短くしなさいという指示を出していることはわかりますが、こういうことはだめなんですね。余り意味かない。やはり不況対策分ということに——分というのはおかしいけれども、不況対策という意味合いもあるのだから、元請さんはキャッシュでもらうわけですから、それについては最大限ここら辺までは許容できるけれどもそれ以上はいけませんぞというくらいの基準を設けて指導をしないと、実際の効果は上がらない。私は元請だけを文句を言うわけじゃないけれども、一つの法人というものが人間の善意とかあるいは悪意とかそういうものにかかわらずやはり会社の収益を上げなければならないということは、これは今日のグラマン問題を見てもそうだけれども、それが法人の生命なのです。それは野方図にしていたのではよくない。やはりそこにブレーキをかけていくのが人間性を基本とした行政のあり方ではないかと私は思うのです。それが被害をこうむるようなことでは、そこに働いている人たちに希望を与えることはできませんので、そこら辺の問題もぜひ改正をしていただきたい。  また機会があったら改めて申し上げることにしたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
  458. 藤田義光

    藤田主査 以上で石田君の質疑は終了いたしました。  次に、小林正巳君。
  459. 小林正巳

    小林(正)分科員 夜分遅くまでどうも御苦労さまでございます。私が最後ですから、できるだけ簡単に、持ち時間をなるべく残してやめたいと思っております。  昭和四十四年に都市計画法が施行されて、四十五年から六年にかけて、いわゆる市街化区域と市街化調整区域、この仕分けといいますか線引きが行われたわけでございます。全国三十八万平方キロのうち大体五万平方キロぐらいですか、いわゆる線引きが行われたわけですが、それからすでにもう七年を経過しておるわけですね。このいわゆる線引きが行われた当時から、線引きの是非についてはかなり議論があったところでございます。しかし、今日まで七年を経て、いわゆる線引きのメリット、デメリットが、バランスシートがどうなっておるかということをこの辺で見直す必要があるのではないかと思うのですね。  しかし、それを大臣にお尋ねをしても、ちょっとそのバランスシートを出すにはまだいささか時間が足りない、もう何年か見てみたい、こうおっしゃるだろうと思うのです。いや、バランスシートをここでお出しになられれば大変結構でございますが、まあそういう返事ではなかろうかと思うので、それはさておいて、この都市計画法の発想というのは、いわゆる乱開発の防止、それと良好な市街形成を計画的に行うというところにあったわけですね。  それで、当初大ざっぱに、大体十年ぐらいの目安でそういった市街化にふさわしい施設の整備をしていく。つまり街路とか公園とかいう、ミニマムなものとしてはそういうことだろうと思うのですが、当初十年ぐらいの間を目標としたわけですけれども、今日いまの時点でそろばんを締めてみたら、当初の十年のめどに対して一体何%ぐらい、何割ぐらい、結果的にこの七年たった今日見て計画が達成されておるのかということをひとつ伺いたい。  もう一つ、私は大体三割ぐらいしか目標を達成してないんじゃないかと思うのです。もし七年たって三割とすると、十年まであと三年しかないのですから、あと三年間に十割を達成するということはまず不可能であろうと思うのです。そしてまた今日までを顧みて、その十年計画にふさわしい予算の裏づけがなされてきたかどうか。実際的にはなかなかそういっていないはずでございます。となると、この当初の十年の計画目標というものの洗い直しをひとつしなくてはいかぬのではないか。改めて今後何年間ということで、洗い直しといいますか、計画の立て直しをしなくてはならぬのじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  460. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 御指摘のとおり、市街化区域はおおむね十年ぐらいをめどとしまして市街地整備を進めるということで決められた区域でございますが、オイルショックその他のさまざまの事情もございました経緯もありますが、遺憾ながら当初の計画ほどは進んでおりません。  そこで、見直しをしたらどうかという点でございますけれども、都市計画法では五年に一度ずつ調査をする、その調査結果に基づいて必要とあれば見直しをやるということになっておりまして、四十五年、六年に線引きしました区域につきまして現在見直し作業を進めておりまして、相当部分が完了しております。
  461. 小林正巳

    小林(正)分科員 ちょっと私の申し上げた意味を取り違えていらっしゃるのですが、私が申し上げた見直しというのは、いまのお答えは線引き自体の、線の引き方の見直しのことをおっしゃっておられるようですが、そうじゃないのです。十年という計画で当初スタートをした。しかしその十年間に市街地にふさわしい、たとえば街路であるとかあるいは公園であるとかそういうものの整備が、いまでまだ三割くらいしかできていないんじゃありませんか。そうすると、その一応の最低の目標に達するにしてもあと三年しかないのですから、いま七年かかって三割しかできていないものがあと三年で七割できるというわけにいかぬだろうから、改めてここであと何年ぐらいの目標でやろうではないかというその計画の見直しをする必要があるのではないか、こういうことをお尋ねしておるのです。
  462. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 十年間に施設の整備を完了するということできちんと個々の都市計画区域内でそれぞれ計画を、そういう意味のものを決めておるわけではございません。おおむねそういうふうなことでということでございます。  そこで、しかし現実には遅々として進んでおりません。しかし、十年間に何をこれだけやるというものを何も個々に決めておるわけではございませんので、あとおくれている点につきましては、個別の施設の五カ年計画等の推進に当たりまして重点的な予算の配分を行って、緊急度の高いところからやっていくというふうなことになろうかと思います。  なお、御参考までに申し上げますと、五十三年度末の見込みでございますが、市街化区域内における整備率は、街路は方キロ当たり一キロメートル、六十年度末における整備目標が方キロ当たり一・四キロメートルですから、約七割ぐらいでございます。それから公園が、同じく五十三年度末見込みにおきまして一人当たり三・五平米、これは六十年度末の整備目標が四・九平米でございますから、これも約七割ということになるわけでございます。それから下水道でございますが、これは普及率四〇%になる見込みでございます。これは実は六十年度末の整備目標は、市街化区域内だけのものはちょっと出しておりません。全国で申しまして五五%ということでございます。ただ、下水道自体が全国の現在の普及率が二八%ぐらいでございますので、市街化区域内の整備は、街路、公園、下水道、この都市施設をとってみますと、全国のレベルに比べまして相当に進んでおるということは申し上げられようかと思います。
  463. 小林正巳

    小林(正)分科員 おっしゃるように、きちっとどうするという目標があったということを私も申し上げておるわけではないので、非常にアバウトなことで申し上げておるわけでございます。  それと、いま非常に宅地供給がおくれておって、宅地を供給された者の税制上の措置とか、いろいろなことで総合的に宅地供給を円滑にしようということでやっておられますね。しかし一方、線引きの結果、調整区域に非常な制約が加えられておりますから、宅地の供給を阻害する要因にもなっておるのではないか。もちろん、一時、土地ブームを当て込んで、デベロッパーなどが調整区域内の土地を思惑買いをして、いっぱい持って困っておるというようなことも聞きますが、何もそういう企業のお先棒を担ぐ気はさらさらありませんが、しかし、現に市街化区域内の土地の流通が現実の問題として悪い、まだまだ空間地がいっぱいあるわけですね。それは絶対量が少ないわけですが、しかし一方で、調整区域内で住宅地としてひとつ提供しようというようなものもあるわけです。先ほど誤解をなさった線引きの洗い直し作業の中でだんだんにそれが進んでいるでしょうから、そういう中で弾力的に、宅地の供給についてもその線引きという作業を通じて進めた方がいいのではないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  464. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 御意見のとおりだと思っております。そういうふうな考え方で指導しております。ただし、マクロの全国的な規模におきましては、長期的な人口の増の状況、それから現状の百二十七万ヘクタールという市街化区域の面積等を考えますと、これは十分足りることになっております。しかし、三大都市地域を中心とした大都市周辺地域におきましては、いま御意見のとおりの実情でございますので、見直しに際しましては、その辺のところにつきましては、優良な宅地供給につながるものにつきまして積極的に拡大するという方針で指導しておるところでございます。
  465. 小林正巳

    小林(正)分科員 次は、兵庫県加西市を通過をしておるところの中国縦貫道路、これは大臣も私も同じ選挙区でございますから、いささか八百長めいて、聞いておられる方には恐縮でございますが、中国縦貫道路が福崎までできましたのは昭和四十九年の六月であったかと思います。そのときに、たとえば加西市なら加西市の土地の提供について、地域の大変な協力を得たわけでございます。この経緯については大臣も篤と御承知のところでございます。開通する三年前に、加西市としてもぜひ加西地内にインターチェンジをつくってほしい、こういう要望をされておりますが、結果的にはできなかった。大体、加西市内を中国縦貫が十二・一キロばかり走っております。関係二十二町を通過をしておるわけでございますが、近年、インターチェンジ設置の要望が全市的に大変高まっておるという事実でございます。  これについてはすでに大臣も、地元の陳情、要請をお受けになっておるはずでございますが、兵庫県の緑の回廊計画もございますし、すでにフラワーセンターとかいこいの森とか、その他観光資源もございます。あるいは糀屋ダムから将来水も引かれて、産業誘致の条件も次第にできているわけです、これは鶏が先か卵が先かというふうな側面もございますけれども。中国縦貫道路の走っておるところで、町は別ですが、市を通過してインターチェンジがないのは加西市だけであったと思います。大変地元の要望も強いところでございます。また、現地については大臣も篤と御存じのところでございまして、加西市の将来を考えて、あの地域にインターチェンジが必要であるという認識を当然お持ちであろうと思いますが、いかがでございますか。
  466. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま御指摘のように、お互いに地元でございます。あれができました当時、吉川にするか加西にするか、県の方にもいろいろ意見がございまして、結局吉川にするが次は加西の方に持ってくるという条件つきで私たちはあのときは引き下がった、両方できなかったものですから引き下がったというふうなことでして、それともう一つ、あの計画が成りました当時には、加西がいまのような市になっておらぬときでございましたので、どこをインターチェンジに持っていくかということも、お互いに地域的なまとまりが少なかったことも一つの原因じゃないかと思っております。先般、私、大臣に就任しましてからあそこに行きまして、突然仲田議長から、ぜひここにインターチェンジを置いてくれということを激励を兼ねて言われまして、これはもっともな話だ、前からの要望でもあるということで、帰ってくるなり早速事務当局に検討を依頼した。御承知のとおり、インターチェンジを置くというためには審議会にも諮らなければならないという問題もございますし、あの地域に対するいろいろな問題点で難点もあることも事実でございますが、いま申されましたように、市であってないというところも少ないのじゃないかと思いますので、行政的配慮でぜひとも実現したい、こう思っておりますので、ともに協力をしていただきたい、このようにお願いいたします。
  467. 小林正巳

    小林(正)分科員 これはやはり県道につなぐということでないと実現性も、あるいは利用効果の面からも少ないのではないかというふうな感じがいたしますね。また、そういう面で、まだどこにつくるかということには問題があろうかと思うのです。県ないし建設省の出先の建設局に対しても事務的に行政ベースに上がってないようでございますが、これが上がってきた段階でいずれ、建設大臣の諮問機関なのですか、総理の諮問機関なのか……
  468. 山根孟

    ○山根政府委員 国土開発幹線自動車道建設審議会でございます。
  469. 小林正巳

    小林(正)分科員 この審議会が、昭和四十六年か、あるいは次は四十八年か、十七カ所ずつぐらい追加をやっておりますね、インターを決めておる。去年の十月段階でまた七カ所新たに追加をしておりますね。大体二年に一遍くらいの勘定になっておるということでございますが、そうすると次は、仮にこの審議会にかけるとすれば、この審議会は大体いつのことになりますか。
  470. 山根孟

    ○山根政府委員 現在のところ、日程等についてはもちろん決まっておりません。過去の経緯といたしましては、四十八年に行いましたのは前々回でございます。前回が五十一年でございます。昨年五十三年というピッチでございます。石油ショックの後若干間が飛んだという事実がございます。
  471. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いまの御質問の中で、実は私はあのときの要望は聞いただけで、具体的にはどこに持っていくのだということを決めておられませんでしたので、正式に出していただきたいということで、先般場所を市として決めまして、陳情という形で建設省にも参りましたので、また御連絡させていただきますので、よろしく……。
  472. 小林正巳

    小林(正)分科員 できたらことしも審議会を開いて俎上にのせていただきたいと思いますが、二年先ということになると、大臣が果たして大臣をしておられるかどうかわかりませんが、在任しておられなくても、いま在任中にそのめどづけだけをぜひしていただきたい。これは、やはり建設大臣が公団に対して施工命令を出されるという仕組みになっておるわけでございますから、お互いこの地域の実情についてはだれよりもよく知っておることでございますから、ぜひそういう面でめどづけをしていただくように要望をいたす次第でございます。  それと最後に、ちょっと簡単ですが、これは建設省の所管だけということではありません。ほかにもかかわりますが、日本のいまのもろもろの公共事業をめぐる指名入札制度、これは日本の風土に合わせた制度がとられておるわけでございますね。入札制度の仕組み自体は、私は悪いとは申しません。ただ、実際問題として、指名が決まり入札をするに当たって本当の公正な競争入札が行われておるかというと、必ずしもそうではない。やはり業者間の談合で入札が決まるという例が大変多いわけですね。それ自体がルールに違反で云々というようなことは言いません。それはやはり弱肉強食になっても困りますし、やはり企業としての仕事の機会均等ということもございますから、言うならば生活の知恵的にやられておる部分があると思います。だから、その運用自体が絶対いかぬというふうなことは言いませんが、問題は、そういう入札、公共事業をめぐっていろいろな腐敗が露出をする。昨年一年間に日本全国四十七都道府県のうち、そういった工事、入札をめぐって逮捕者を出した市長のいない県は四県ぐらいだろうというふうな記事を見たこともございます。これは制度が悪いのじゃなくて、政治に携わる者の倫理観に帰せられるものではなかろうかと思いますけれども、しかし、実際問題として貴重な税金を使って行われる公共事業、それに政治がかかわって腐敗した金が動く、あるいは、実質的には汚職に近いけれども、政治団体に献金をしておるからろ過して一応法律的には触れないような形になるというケースも間々あるわけですね。そうしたものをともかくなくしていかなくてはいけない。なくしていかなくてはいかぬといってもなかなかむずかしいということもわかりますが、そういった地方のことについては建設省の所管のことではありませんから、それについての考え方を伺うということもいかがかと思いますが、しょせんは、やはり政治家の倫理観の問題に帰せられるわけですから、建設省あるいはそういう建設にかかわる監督官庁の長として、そうした問題についてはやはりシビアに考えていただきたい。かりそめにも政治の不信を招くようなことが起きないようにやはりルールの面でも、ただ倫理観だけに頼っておったのではなかなか実際問題としてなくならないのですから、何か大臣として、こういうふうにしたらそういった弊害も防げるのではないかというふうな所感をお持ちでございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  473. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私、大臣に就任する前、御承知のとおり主に地方自治の関係ばかりをやって、昨年、いま質問に挙げられた数字で、主に地方の自治体の市長に絡まるものでございまして、結局、地方の選挙のときに非常に多額の金を使う、それがこういった姿になるのじゃないか、厳重になにしてくれということを自治省当局にもお願いしたような次第でございます。  特に、今度建設大臣になりましてから、その点、地方団体の分に対しましては直接の指導その他の面においては言うておりますが、直轄事業に対しては、私は、もし自分の職員の方でそのようなことを起こす場合には、泣いて馬謖を切ると申しますか、厳重に処置するとともに、これに加入された業者等も指名停止その他の姿をもって綱紀の粛正を図っていかなければならない、そのように考えております。  いまのルールの面につきましては、要は入札制度そのものが悪いのではなくして、これが公正に行われるように厳に慎んでもらうことが最も必要であろう、そのためにも、絶えず指導をするということも必要でございますが、特に私一番感じますのは、入札予定価格が外部に知れないような管理体制、このことの具体的な指導をしていく必要があるのではないかということをわれわれは考え、事務当局にもお願いしている次第でございます。
  474. 小林正巳

    小林(正)分科員 入札をめぐって天の声なんというのがおりてさましたり、いろいろややこしいようなところもあるわけでございますから、大臣もそういうお気持ちでひとつ厳しく御指導をされますようにお願いをいたします。ありがとうございました。
  475. 藤田義光

    藤田主査 以上をもちまして昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算のうち建設省所管について質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日午前十時から開会し、運輸省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時五十三分散会