○酒井
国立国会図書館副
館長 別館の
完成時を目指しまして当館といたしましてはあらゆる業務につきまして再検討し、別館
完成時の機構、
機能を現在真剣に検討中でございます。その中に当然ただいま
先生御指摘のような視覚障害者を中心とした身体障害者に対するサービスの
改善というものが含まれておるわけでございます。現在具体的にわれわれが
考えております基本的な姿勢といたしまして、全国を対象とした奉仕に徹する、これは国立中央図書館として当然の態度でございます。それから、各地にございますところの点字図書館等の業務の活動に積極的に援助をする。それから、一般の点字図書館でカバーし切れない分野について、いわゆる学術文献でございますけれ
ども、これについて拡充を図っていくというのが根本的な姿勢でございます。
具体的に申し上げますと、現在行っておりますところの学術文献の量的増産と申しますか、もう少し幅広く、数多くやりたい、このように
考えております。そのためには当然、現在六室ございます録音室の増設というものも
考えなければならぬと思っております。
次いで、これは非常にむずかしい問題を内包しておるのでございますけれ
ども、日本全国の各地にございます点字図書館等が所蔵しておるところの点字図書だとか録音テープの総合目録というようなものをつくることを真剣に
考えておるわけでございます。非常にむずかしい問題がございますけれ
ども、これは視覚障害者の方で勉強したいという方には文献情報を提供しなければなりませんから、そのための非常にいいよすがとなりますし、また点訳奉仕者の活動のためにも、奉仕のためにも非常に役に立つことと
考えておる次第でございます。これは非常にむずかしい問題を内包しているということを前提にして
お話を申し上げました。
それから、当館に来館されるところの研究者のためには、必要な施設、機器及び
体制というものを
整備しなければならぬと思っております。弱視者の方々のために拡大読書機だとか、それからいろいろ複写サービスをやっておりますけれ
ども、特に大きく複写ができるところの拡大複写機の設置、それから洋書を直接利用なさる障害者の方々のためにオプタコンという機械の設置も当然
考えなければならぬと思っております。それからまた、助手を帯同して来館される研究者の方々に対しましては、特別な部屋というようなものもつくらなければならないと思っております。また、
アメリカの議会図書館だとか世界の国立の中央図書館なんかと連携をいたしまして、それらの国々が持っておりますところの点字の目録というものを入手して、備えつけることも
考えておるわけでございます。
それから、
国立国会図書館法の二十一条に適切な方法で日本国内の図書館を援助するという
規定がございます。したがいまして、この
規定によりまして各地の公共図書館、点字図書館等がよりよい奉仕ができるように積極的な援助の方策を
考えていく、その方策はどのようなものがあるかというようなことを含めまして現在検討を進めておるわけでございます。
以上のような業務を管理し、また視覚障害者のためにいろいろな文献情報を提供し、また文献レファレンスサービスを実施する、つまり相談に応ずるための特別のユニットというものも設置の必要というものが当然起こってくるであろうと思っております。現在、
先生が御指摘になりましたように、この特別のユニットというものがございませんで、参考書誌部の経済社会課が担当しておるものでございますから、来館された方にはちょっと戸惑うというような事態があるわけでございますけれ
ども、将来におきましてはそれらの業務を全部管理するところのユニットというものを
考えなければならない、このように
考えております。
しかし、これらの構想を実現するというのにも、いろいろな
経費だとか人員というものが必要でございますから、関係方面の御理解と御認識をいただきまして、これが実現できるように十分に
努力してまいりたい、このように
考えておる次第でございます。