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米沢委員 私は、先般、例のこの
疑惑解明に資するための派米
調査団の一員として参加をしてまいりました。
あちらに行ってみて非常に強く感じましたのは、
アメリカと
日本のこの問題に対する
関心に余りにも大きな違いがあるという感じが第一印象でございました。衆議院、参議院、両院一致して
国会決議をやるなんというのは、
アメリカでは一世紀に一回だ、あるいは大挙して
おいでいただいたというのは、大変大きな皮肉に私は聞こえたわけであります。同時にまた、
アメリカの新聞なんかには、この種の記事はほとんど載らない。大使館の方もア
ポイントをとるのに大変苦労をされたという話を漏らしておられました。今度までですから何とか頼みますという感じでア
ポイントをとったという例もあるそうでございまして、そういう意味で、
アメリカと
日本のこの問題に対する
関心が余りにも違うというふうに非常に印象づけられたわけでございます。
そこで、なぜだろう、こう思いました。一つは
国民性の問題もありましょうし、一つには、私には関係ないという個人主義的な発想もありましょうし、もうウオーターゲート事件で疲れたという発想もありましょうし、もらう方と配る方との国の違いかもしれません、いろいろと
理由はありますけれ
ども、なぜだろうというのが非常に私の頭に焼きついたわけでございます。そこで、冷静にこの問題を考えましたときに、
日本がこの事件に異常な
関心を示し、新聞等もしょっちゅうトップでこの記事を掲載をする、なぜこういう反応をしなければならぬのか、そこに私は何か
国民の悲劇みたいなものを感じます。
結論的に申しますならば、
日本の政治史というのは、戦前戦後を通じまして、権力を握っておる者がその権力を利用していろいろとやってきたという汚職、疑獄事件の連続、こう言っても私は過言ではないと思うのであります。
そして、その事件が結末に至りましたときには、ほとんどの例で、ただのネズミはつかまります、同時にまた、その中に入って悩んだ者の中からは多くの自殺者が出てくる、その背景にある黒い大ネズミはほとんどつかまらない。
日本の警察、検察庁ともに世界的にも優秀であると伝えられ、どろぼう捕りには確かに効果を上げておりますけれ
ども、大物づかまえという意味においては、過去の事件においてそう効果を上げてない、そういう印象を
国民が非常に強く持っておられるのではなかろうかという感じがするのです。
なるほど汚職事件、特に贈収賄罪なんというのは、金銭の授受、請託、職務
権限、この三つの構成要素が必要だと言いますけれ
ども、これは立証するのに非常にむずかしい。事実
日本においては、今度の事件でもちらほら名前が出ておるたとえば岸先生なんというのは、すべて実力者として元
総理だとか
政府長老、こういうフィクサーが絡むことはあっても、現実にその職務
権限を持っておる人が直接にはやらないという構造を持っておるわけでありまして、だから摘発しにくい、そういう意味では法の
改正というものも必要ではないかという感じがするのであります。
そういうことを考えていきますと、
国民というのは法の
執行に非常に疑問、不信を持っておる。えらいやつは何をしてもつかまらない、そういうものが異常な
関心を示す動機の一つになっておるのではないかという感じが私はいたしました。
同時に、こういう事件が繰り返されながらも、政界、財界、官界の癒着あるいは構造汚職と言われるような土壌が改善されていくような実感が
国民には感じられない。少なくとも
アメリカでは、ウォーターゲート事件等の発生によって現職の大統領が現に追放されるということはある。しかし、
日本においては構造汚職の構図が余りにも根深く、そしてどっしりと腰を据えてしまっておるというこの政治不信、そういう政治体質、言葉をかえますならば、権力を握る者の体質に強い不信感を持っておる。いわゆる法の
執行に対する不信、それから構造汚職等が一向に改善されていかないという政治に対する不信、こういうものが
日本における異常な
関心になっていくのではないかという感じがします。
そこで
総理にお尋ねをしたいのでありますが、法の
執行に対するこの不信を解いていくためには、確かに法の整備されてない
部分がありますからむずかしいものはありますけれ
ども、少なくとも灰色高官の発表をあなた自身の言葉でいま約束をされる、出たら必ず発表すると約束をされることだと私は思います。
同時に、この構造汚職の体質を追放していくためには、政党サイドあるいは行政サイドにおいて、少なくとも防止策を当面の重要な課題にする、そして積極的に
検討するという、この二つのお約束をしていただくことが必要なのではないかと思うのでありますけれ
ども、御感想かたがた今後の具体的な対応策についてお尋ねを申し上げたいと思います。