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1979-02-22 第87回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月二十二日(木曜日)委員長の指名 で、次のとおり分科員及び主査を選任した。  第一分科会皇室費国会、裁判所、会計検査  院、内閣総理府経済企画庁国土庁を除く)  及び法務省所管並びに他の分科会所管以外の  事項)    主査 藤波 孝生君       愛野興一郎君   稻村佐四郎君       竹下  登君    浜田 幸一君       安宅 常彦君    稲葉 誠一君       大出  俊君    近江巳記夫君       坂口  力者  第二分科会外務省大蔵省及び文部省所管)    主査 正示啓次郎君       海部 俊樹君    砂田 重民君       谷川 寛三君    坊  秀男君       石橋 政嗣君    川崎 寛治君       坂井 弘一君    不破 哲三君       大原 一三君  第三分科会厚生省、労働省及び自治省所管)    主査 野呂 恭一君       伊東 正義君    大坪健一郎君       塩川正十郎君    玉沢徳一郎君       岡田 利春君    川俣健二郎君       藤田 高敏君    広沢 直樹君       河村  勝君  第四分科会経済企画庁農林水産省及び通商  産業省所管)    主査 笹山茂太郎君       倉成  正君    櫻内 義雄君       田中 龍夫君    森   清君       兒玉 末男君    平林  剛君       二見 伸明君    大内 啓伍君       寺前  巌君  第五分科会国土庁運輸省、郵政省及び建設  省所管)    主査 藤田 義光君       青木 正久君   小此木彦三郎君       奥野 誠亮君    毛利 松平君       井上 普方君    安井 吉典君       岡本 富夫君    小平  忠君       山口 敏夫君     ───────────── 昭和五十四年二月二十二日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員   委員長 竹下  登君    理事 伊東 正義君 理事小此木彦三郎君    理事 塩川正十郎君 理事 浜田 幸一君    理事 毛利 松平君 理事 大出  俊君    理事 藤田 高敏君 理事 近江巳記夫君    理事 河村  勝君       大坪健一郎君    越智 伊平君       海部 俊樹君    倉成  正君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       正示啓次郎君    砂田 重民君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田村  元君    谷川 寛三君       玉沢徳一郎君    中川 一郎君       根本龍太郎君    野呂 恭一君       羽田  孜君    藤田 義光君       藤波 孝生君    坊  秀男君       松澤 雄藏君    三塚  博君       森   清君    森  美秀君       安宅 常彦君    井上 普方君       石橋 政嗣君    稲葉 誠一君       岡田 利春君    川崎 寛治君       川俣健二郎君    兒玉 末男君       平林  剛君    安井 吉典君       沖本 泰幸君    坂井 弘一君       中川 嘉美君    広沢 直樹君       二見 伸明君    大内 啓伍君       渡辺  朗君    寺前  巖君       三谷 秀治君    大原 一三君       中川 秀直君    山口 敏夫君       依田  実君  出席国務大臣         法 務 大 臣 古井 喜實君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 金子 一平君         文 部 大 臣 内藤誉三郎君         厚 生 大 臣 橋本龍太郎君         農林水産大臣  渡辺美智雄君         通商産業大臣  江崎 真澄君         運 輸 大 臣 森山 欽司君         郵 政 大 臣 白浜 仁吉君         建 設 大 臣 渡海元三郎君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       澁谷 直藏君         国 務 大 臣         (内閣官房長官田中 六助君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      三原 朝雄君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      金井 元彦君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山下 元利君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上村千一郎君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  清水  汪君         国防会議事務局         長       伊藤 圭一君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 伊従  寛君         公正取引委員会         事務局審査部長 妹尾  明君         警察庁刑事局長 小林  朴君         警察庁刑事局保         安部長     塩飽 得郎君         警察庁交通局長 杉原  正君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁人事教育         局長      夏目 晴雄君         防衛庁装備局長 倉部 行雄君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         法務省民事局長 香川 保一君         法務省刑事局長 伊藤 榮樹君         外務大臣官房長 山崎 敏夫君         外務大臣官房審         議官      矢田部厚彦君         外務省アジア局         長       柳谷 謙介君         外務省アメリカ         局長         兼外務省条約局         長       中島敏次郎君         外務省欧亜局長 宮澤  泰君         外務省経済局長 手島れい志君         外務省経済協力         局長      武藤 利昭君         外務省国際連合         局長      賀陽 治憲君         外務省情報文化         局長      加賀美秀夫君         大蔵大臣官房審         議官      海原 公輝君         大蔵省主計局長 長岡  實君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         文部省学術国際         局長      篠澤 公平君         文化庁長官   犬丸  直君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 国川 建二君         農林水産省畜産         局長      杉山 克己君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁長官   森  整治君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省通商         政策局長    宮本 四郎君         通商産業省基礎         産業局長    大永 勇作君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         中小企業庁長官 左近友三郎君         運輸省海運局長 真島  健君         運輸省自動車局         長       梶原  清君         運輸省航空局長 松本  操君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         建設省計画局長 丸山 良仁君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治省行政局長 柳沢 長治君         自治省財政局長 森岡  敞君  委員外出席者         会計検査院長  知野 虎雄君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ───────────── 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任  稻村佐四郎君     谷川 寛三君   奥野 誠亮君     森   清君   海部 俊樹君     玉沢徳一郎君   正示啓次郎君     羽田  孜君   砂田 重民君     越智 伊平君   田中 正巳君     青木 正久君   中川 一郎君     三塚  博君   藤波 孝生君     森  美秀君   松澤 雄藏君     愛野興一郎君   正木 良明君     沖本 泰幸君   矢野 絢也君     中川 嘉美君   神田  厚君     渡辺  朗君   津川 武一君     三谷 秀治君   大原 一三君     中川 秀直君   山口 敏夫君     依田  実君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     砂田 重民君   田村  元君    稻村佐四郎君   根本龍太郎君     奥野 誠亮君   羽田  孜君     正示啓次郎君   三塚  博君     海部 俊樹君   森  美秀君     藤波 孝生君   沖本 泰幸君     坂口  力君   中川 嘉美君     岡本 富夫君   渡辺  朗君     小平  忠君   三谷 秀治君     不破 哲三君   中川 秀直君     大原 一三君   依田  実君     山口 敏夫君     ───────────── 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算      ────◇─────
  2. 竹下登

    竹下委員長 これより会議を開きます。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、一般質疑を行います。平林剛君。
  3. 平林剛

    平林委員 最初に私、取り上げたい問題は、いわゆるサラ金の問題でございます。  サラ金問題が深刻な社会問題として、その規制や犯罪の防止あるいはその問題の背景にある金利、その他全般対策が強い関心を集めておると思うのでありますが、どうもサラ金対策が牛の歩みのようになかなか進展をしない、悲劇はいまも起きておるのですよ、こう指摘をされておるのでございますけれども、最近の実態はどうなっているでしょうか。昨年、法務省高金利事犯実態についての調査を公表せられましたけれども、その後六カ月経過をいたしまして、最近の実態はどうなんだろうか。時間の関係もありますから、高金利事犯実態を中心にしてお話をしていただけないか、法務大臣の方からお願いいたします。
  4. 古井喜實

    古井国務大臣 ただいまの点は、詳しく調べております事務当局からお答え申し上げます。
  5. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 簡単にお答えいたしますが、出資法五条違反のいわゆる高金利事犯につきましては、全国の検察庁からの報告に基づきまして私ども法務省刑事局で集計したところによりますと、過去五年間におきます受理人員は、昭和四十九年四百三十九名、五十年七百九十名、五十一年千百二十八名、五十二年千十七名、五十三年千八十九名となっておりまして、昭和五十年から五十一年にかけて以降の急増が顕著でございます。  なお、昨年東京地検におきまして、昭和五十年から五十三年までの三年間で扱いました高金利事犯実態調査したところによりますと、特徴としては、貸付期間については二週間以下のものが約六割、貸付金額につきましては十万円以下のものが約五割、貸付利率につきましては一日当たり〇・五%を超えるものが約八割、また借り受け側から見ますと、男女別では男性が八割、年齢別では三、四十代の方が約七割、職業別では自営業タクシー運転手会社経営者、サラリーマン、主婦、こういう順になっておるようでございます。  一応簡単に実態を申し上げますと、以上のとおりでございます。
  6. 平林剛

    平林委員 貸金業者の数ですが、これは大蔵省銀行局の年報などを見ますと、最近の貸金業届け出受理状況によりますと、個人が十三万二千三百六十、それから法人が三万五千百九十五、合わせまして十六万七千五百五十五という膨大な数に上っておるわけでございます。特に昭和五十二年の届け出貸金業者の増加は一万七千九十八でございまして、過去最高の記録をつくっておるわけでございます。法務大臣、私は、貸金業者が十六万もいるというようなことは、わが国の国民経済全般から見まして異常な高さだと思うのですね。そして、ただいま御報告がありましたように、高金利事犯その他を通じていろいろな法に触れるような事態が発生をして、いまもその後を絶たない。問題は、こんなに貸金業者が多いということは一体何を意味するのだろうか。そういう現代の世相の中からこの貸金業実態というものを見てどういうふうにとらえたらいいのか、問題のとらえ方でございますね、そのことにつきましてお考えがございましたならば、ひとつ法務大臣の高い見地からの御判断を率直に伺いたいと思うのであります。
  7. 古井喜實

    古井国務大臣 こういう状況になっておりますのは、よきにせよ、あしきにせよ、時代がこういうことを要求しているからこうなっていると思うんです。ですから、これをだめにしてしまうということでは、またまずい面も起こるかもしらぬから、まあ正常化していく。正常化していって、つまり、だめにしてつぶしてしまわないということが基本ではないかと私は思うんです。  それで、どっちにも問題はあると思います。業者の方には無論ありますし、借りる方にも少々問題はあると思うんですね。けれども、社会的な立場から言えば、やはりこれは業者の方に正常化の重点を置かなければならぬのじゃないか、そういうふうに私は思うんです。いま関係省庁で、これをどうしたらよいか相談をしておるところでありますので、そういういまの段階でございます。
  8. 平林剛

    平林委員 ただいま法務大臣の御感想といいますか、これに対する見方の一端をお話しになったのでありますが、私はこう考えておるわけであります。  これだけの異常な数に貸金業者がふえつつある、急増しておるというその背景には、やはり高金利によるところの営業が高い収益を生む、これが第一に指摘をされなければならぬことだと思います。いろいろな職業をお持ちの方が国民の中にはありますけれども、私は、貸金業者急増はこうした高金利によるところの営業が高い収益を生む、したがって、小金があればその仕事につく、こういう傾向一つ背景だと見ておるわけであります。  それから二つ目には、出資法関係ですね。いわゆる出資法年間一〇九・五%の利息ということで契約をいたしましても、あるいはその利息を受け取りましても刑事罰が科せられない。事実上一〇九・五%に近い高金利営業するという傾向がございまして、一方に利息制限法という法律があって、二〇%とか一五%という規定があっても、あるいは最高裁の判決があっても、何かこの出資法の高い金利が容認をされているような行政が続いておるのですね。私はそれが第二の問題点であると思うのです。  それから第三に指摘をしておきたいことは、国が適切な対策を立てない。銀行などの市中金融機関におきましても、たとえば大企業をお客とするような仕事には手を出す。最近の傾向は、公共事業についてもその範囲を広げてまいりましたことはうかがえるわけでございますけれども、どちらかというと庶民の方はほうりつ放しであった。そこでサラ金業者がこういう現象に目をつけて、そして法務大臣お話しになったような、借り手側のニーズもありますから、昔は質屋があったけれどももう質屋がなくなった、サラ金業者はこれを広げていく、こういうことで手続の簡便さ、即決してくれる、こういうようなことからこれが広がっていった。  第四には、国の行政民事上は無効の行為ですね。利息制限法から言うと無効なんですね。ところがそういう業者がたくさんある。ほとんどでしょう。ところが、この利息制限法というものはあるかないかのごとき状態に置かれまして、政府の方が適切な監督や指導をほうりっ放しにしておいた、こういうところから十六万を超える貸金業者が生まれてきたと思うのであります。そこで問わるべきことは、行政それから政府のこれに対応する対策の欠陥、これが私はあるのじゃないか。何か借り手の人に責任を負わせたりするようなことではなくて、いま私が指摘いたしましたようなところに問題があって、私は、問われているのは行政であり、あるいはこれに対応すべき政府責任だと思うのですね。  そこで官房長官、いかがでしょうか。今日まで貸金業問題の関係省庁連絡会議がかなり進められてきたのでございますけれども、こういう推移の中からどういう結論が生み出されたか。私、端的に伺いますけれども、この通常国会貸金業規制に関する法律案名称はどっちでもいいと思います、いろいろな議論がありまして、日弁連の方からもいろいろな小口融資に関する法律案などの提示などもございますし、各党におきましてもそういう議論をしておりますから、名称は問いませんけれども、この通常国会政府は必要な対策としての法律案、これを提案をする考えがあるかどうか、このことにつきましてお伺いをいたしたいと思います。
  9. 田中六助

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  貸金業者が非常に不当な圧迫を一般庶民に加えておる、一般国民が非常に迷惑をしておるということは平林議員指摘のとおりで、私どもも心を痛めておるところでございます。したがって、政府といたしましても何とかこれを打開するために、政府案とするか議員立法とするかは別といたしまして、今国会にこの規制する法律をぜひとも出したいというふうに考えております。
  10. 平林剛

    平林委員 私はこの問題は議員立法にするよりも、ただいま指摘をいたしましたようなことから考えて、政府提案をすべきだと考えますが、いかがですか。
  11. 田中六助

    田中国務大臣 御承知のように、各党ともこれの規制についてのそれぞれの案を持っておりますし、いま調整中の様子でございます。しかし、政府としてはただいま申し上げましたように強く責任を感じておりますので、これを政府提出とするか議員立法とするかは別といたしまして、政府責任を持ってこの法案の提出ということはもちろん前提にして考えております。
  12. 平林剛

    平林委員 私は、今日までの経緯が示すとおり、政府が積極的な対応策を示さない限り、今日の傾向を是正をしていく道はないと思いますし、これに取り組む政府積極的姿勢政府提案、こういうふうになることを希望しておきたいと思います。  法務大臣、私はいま、サラ金問題が超高金利であるという例でいわゆる出資法のことを申し上げました。正確に言えば出資の受入、預り金及び金利等取締等に関する法律でございますが、これによりますと、第五条に、金銭の貸し付けを行う者が、年一〇九・五%、日歩で言えば三十銭ですね、これを超える割合による利息で契約したり利息を受領したときは、三年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金を科するとありまして、それを超えなければよいというふうに読み取れるわけであります。したがって、今日貸金業者がこれだけふえてきた背景には、超高金利を容認するような印象を与える出資法がある。  そこで、これはどう見ましても現在の国民経済における金利水準から見て高過ぎますし、市民の生活感覚から見ましても明らかに超高金利であると思うのであります。外国の実態などについてもいろいろ資料を検討いたしたりしてみますと、どこの国におきましてもこんな高い金利を容認しておる国はございません。そこで私どもとしては、少なくとも金利日歩十五銭以内、年利にして五四・七五%以内に抑えるべきである、そういうふうに改正をすべきであるという考えを持っておるわけでございます。一つ考え方におきましては、昔の質屋さんじゃございませんけれども、もっと低くてもいいのだ。それから、こうした問題について深い研究をなさっておる弁護士会の方のグループの方々でも、大体日歩十銭にしたって結構商売をやっていけるというようなアンケート調査の結果もあるのでございます。三六%くらいでも結構やっていける、そういう人が七〇%も占めるというような状態なんでございまして、私はこの意味から考えますと、この出資法改正サラ金問題の解決の大前提として必要である。官房長官政府を代表して先ほどのようなお話がございましたが、あわせて出資法改正考える必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
  13. 古井喜實

    古井国務大臣 出資法のことを私の方から申し上げていいかどうか知りませんけれども、いまの出資法の、特に金利の点に問題があるということはよくわかっております。  そこで、またこれも現在高いじゃないか、もっと下げるべきじゃないか、これもお話はわかるのでありますが、しかし形の上では下げて実行できぬということになってもこれはどうにもならぬ。形だけになってしまう。ただ、もぐったというか、違反する人間を製造するだけになってもどうにもならぬ、そこらもありますので、問題点ですから。しかし、お話のような方向が正しいことはもうわかり切っておりますし、知恵をしぼって検討していこう、こういうことでおるわけであります。
  14. 平林剛

    平林委員 法務大臣お話でございますけれども、私は、法改正しても実行されなければ何にもならぬということは、現在を是認されるという考えでなければ出てこない答えだと思うのですね。大体年間一〇九%というような高い金利が現実的なのか。それは、いまお話しのように、こういう問題があるということはわかっていながらやらないというところにむしろ行政政府責任があるのではないかと思うのですね。ひとつ、もう一回あなたのようなきれいな目で判断をして結論を出していただきたいと思うのです。
  15. 古井喜實

    古井国務大臣 そこをきちんと行政が指導したり監督したり、行政責任で励行できるようにすべきではないかという筋になるのですね、話は。これもごもっとも千万だと思うのです。ただ、一つには反面、やたらに役所が民間の経済活動に出しゃばってくちばしを入れ過ぎるようになっても、これも度を越しても考えものでありますし、そこらもまたこれありますもので、なかなかむずかしいところがあることは御承知だと思います。だけれども、方向としては考えるべき方向だと思いますので、やるべきことをどこまでやるか、こういうことで検討してみたいものだと思っております。
  16. 平林剛

    平林委員 先ほど法務大臣お聞きのとおり、貸金業規制に関する法律案はこの国会政府としても出す考えがあるわけでございますね。あわせてやらなければ私は意味がないと思うのです。ですから、これは緊急の課題なんです。どうでしょうか、この国会にこの問題についての結論をまとめて、あわせて考えるという態度を示していただきたいのですが。
  17. 古井喜實

    古井国務大臣 実は私どもはこの問題については大いに関係もあり、関心も持っておるわけであります。サラ金規制問題は役割りから言えばわき役でありまして、だから官房長官がひっくるめて申し上げておるようなわけです。これは大蔵省が非常に重要な立場におられるし、こっちはわき役ですから、よく心得ておいて、できるだけ前向きにと思っております。
  18. 平林剛

    平林委員 では、主役の大蔵大臣から承りたいと思います。
  19. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 平林さんの御指摘のとおり、サラ金問題は今日非常に大きな社会問題になっておるわけでございまするから、私どもとしても一刻も早くこの問題にけりをつけたいということで、関係六省庁と鋭意内容について詰めておる次第でございます。登録制にしたらいいじゃないかとか、こういう規制をもっと強めたらいいじゃないかということは、問題ないわけでございますが、一番厄介な問題は、平林さんがおっしゃるように、金利の問題をどう片づけるかということでございます。この間の調整についていませっかく詰めをやっておる段階であることを申し上げておきたいと思います。  それで、私どもといたしましては、先ほど官房長官から答弁いたしましたように、できるだけ早く、できればこの国会でも片づけたいと思うのですが、この間野党各党からもいろいろな御提案がございますし、こういった案との調整をさらに精力的にやってまいりたい、世間の御期待にこたえられるように持っていきたいと考えておる次第でございます。
  20. 平林剛

    平林委員 大蔵大臣、もう一つ金利の問題でございますから、この問題を進めるに当たりまして、利息制限法の問題が、上限金利は一五ないし二〇%になっておるわけでありますけれども、ことしの初めにこれを五〇%に引き上げたらどうかというような情報が伝えられておるわけですね。つまり、さっき法務大臣が言いましたように、出資法改正しても実行されなければ意味がないじゃないか。それからもう一つは、出資法利息制限法との間に開きがございますね。こういうことから、その乖離を少なくしょうという意味で、利息制限法の制限をむしろ上げたらどうか、五〇%ぐらいに上げたらどうだなんという議論が検討されておるやに聞いております。私はこれは間違いだと思うのです。もし一五ないし二〇%でも、私はそんなに安い金利じゃないと思うのです。多くの国民がいま体験しておりますことは、たとえば住宅金融公庫からお金を借りたり金融機関から住宅ローンを受けたりいたしますと、とても高いですね。一回の返済金のうち半分は利息に取られるというような実態でございまして、たとえば毎月七、八万円返すとすればその四万円が利息だというような状態で、十年賦くらいの返済をしておるわけですね。この金利が幾らかというと、まあ大体七%か八%くらいでございます。それでも金利というものが非常に重いという感じを受けているのが庶民の感じじゃないかと思うのです。だから、利息制限法が上限を一五ないし二〇%に制限をしているというのは、常識的なことだ。それを五〇%に上げて、乖離をなくして実効を期そうという考え方は、主客転倒の考えでございまして、私はこれはとらないところだと思うのですけれども、大蔵大臣の御見解を承っておきます。
  21. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 そこが実は一番むずかしい問題でございまして、その間の調整をどう持っていくか、これは各党の御提案にもいろいろ御意見がございますし、与党自民党でもいろいろ詰めておる段階でございますので、もうしばらく時間をかしていただきたい。できれば今度の国会にでも、形はどういうことになるかわかりませんが、官房長官の言っておりまするように、政府提案になるかあるいは議員立法でお願いするかわかりませんが、いま担当の省とそこの問題を詰めておる作業の最中であるということを申し上げておきます。
  22. 平林剛

    平林委員 サラ金問題に対する適正な規制を検討するに当たりまして、一番大事なことは何か。私は、貸金業者実態、全貌をつかむことである、それなくいたしまして金利の問題もあるいは規制の問題も結論は立てがたいという感じを持っております。  そこで、サラ金の問題に関しての実態につきましていろいろ伺いたいのでございますが、借り入れ目的ですね。さっき貸す方も悪いが借りる方にも問題があるとおっしゃいましたけれども、いままではそういうとらえ方がかなりあったと私は思います。しかし、借りる方が悪いのかあるいは貸金業者の方が悪いのかということに関して、昨年九月法務省実態調査を行いまして、どういう目的で借りておるかというような調査をなさいました。それから大蔵省も去年の十月同じような実態調査を行いました。これに関して、どういうような結論になっておるか、御理解なさっておるでしょうか。
  23. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘の昨年行いました実態調査の結果によりますと、借り入れ目的といたしましては、レジャー関連資金が三五%、生活関連資金が四七%、ショッピング関連資金が三%、このような比率になっております。
  24. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 私どもの方の調査は、出資法違反の高金利に関する調査でございますが、一応の結果を過去三年間のトータルで見てみますと、一番多いのが営業資金四五・六%、それから生活費等のたぐいが二二・一%、レジャー費が一七・一%、ギャンブルが九・三%、その他が五・九%となっておりますが、最近の傾向ではギャンブル、レジャー資金入手のためのものが次第に増加する傾向があるようでございます。
  25. 平林剛

    平林委員 いまお話しのとおりに、昨年の九月に法務省調査をいたしましたサラ金の利用者の借り入れ目的につきましては、営業目的が四六%、それからレジャーというのは旅行とかスポーツとか飲食とか交際費すべて含まれておりますけれども、それが一七%、ギャンブルが九%です。学費だとか生活費が二二%、こうなっておるわけでございまして、ギャンブルは九%の比率を占めております。いまお答えの中には、これは漸次またふえつつあるというのでございますが、正確な数字はお話しになりませんでした。発表されておるのはこの数字であります。  大蔵省の方はいまお答えがありましたけれども、生活関連資金が四六・八で、レジャー関連資金が三五・一%であります。これから見まして、大蔵省調査ではレジャー関連資金の内訳がはっきりしておりません。  実は、民間のサラリーマン金融の実態調査をいたしました白書が出ておるわけでございます。その白書を読んでみますと、これによりますと、レジャー関連資金は大蔵省の三五・一%に対し三四・九%になっておりまして、ほぼ匹敵するわけであります。この分類が白書には明らかになっておりまして、娯楽、旅行、スポーツに一九%、飲食費などの交際費に一〇・三%、ギャンブルに五・六%という分類であります。  こういう調査に応ずる人が、おれはギャンブルに借りているんだと堂々と言う人はそんなに多くはないかもしれません。ですから、あらわれている数字の五・六とか法務省の九%よりはあるいは高いかもしれない。しかし、このごろの借り手の世代を見ますと、若い層がかなり多うございますから、ギャンブルがなぜ悪いんだと言って堂々と借りる人だってないわけじゃありません。ですから私は、多少増減はあったとしてもおおよその見当はこれらの調査でついておると思う。何かサラ金の問題というと、ギャンブルに使うんだ、そんなもの助ける必要ないという議論が横行いたしまして、政府対策のおくれを招いていることも否めないと思うのです。私はそんなことを考えますと、この中に示された調査結果の中からやはりレジャー関連の借り入れ目的が多いというのは、最近の余暇時間をうまく利用しようという世相があらわれてきておる。それから交際費、飲食費にかなりお金を借りているのは、勤め帰りに一杯やろう、課長にでもなり、係長にでもなれば部下の者にちょっとはおごらなければいかぬとか、仲間の中でもつき合いの上でおごろうというお金が案外必要になっておるという現代のサラリーマン気質を示しておる。教育関連費もかなり多くなっておりますのは、最近の入学金だとか寄付金や学費や塾やけいこなどにお金がかかるということなどから、婦人がこうしたものに手を出すという傾向にもなっておる。私は、一つ調査の中にもいろいろな世相というものをうかがうことができるわけでございます。でありますから、こうした意味では、私は、サラ金問題というものをただ借りる方が悪いのだ、問題があるのだということだけで判断をしないで、この中にあらわれている世相の動きというものに適確に対応するような政治というものを求めてやまないのでございます。これは私の意見だけにいたします。  そこで、実態につきましてさらに大蔵省に対して伺いますが、貸金業者の融資残高は一体どの程度になっているだろうか、こういうことについての御調査がございますか。
  26. 徳田博美

    ○徳田政府委員 昨年行いました実態調査の結果の推計によりますと、貸金業者の貸出金の総額は約二兆円でございます。そのうちのサラ金業者の部分が大体八千億円、このように推定されます。
  27. 平林剛

    平林委員 これはどういうところから調査をなさいまして得た結論でございましょうか。
  28. 徳田博美

    ○徳田政府委員 昨年行いました実態調査は、貸金業者の約一割を任意抽出いたしまして、それに対して調査を行ったわけでございます。その調査の中には当該調査対象の貸金業者の貸出金残高というのがあるわけでございまして、その集計によりまして、そこから推定した数字でございます。
  29. 平林剛

    平林委員 私は、今日までこうした貸金業者の融資量の残高あるいはサラ金業者の動かしておるお金について的確な数字を把握できない欠陥がどこにあるのか、つまり実態が把握できないために手の打ち方がおくれている、その原因はどこかということをいろいろ考えてみたのでございます。ところが、出資法の第八条によりますと、「大蔵大臣は、貸金業実態調査のため必要があるときは、貸金業を行う者からその業務に関し報告を徴し、又は当該職員をして貸金業を行う者の営業所又は事務所に立ち入り、その業務に関し調査をさせることができる。」こうあるのですね。これまでのいろいろな調査につきまして対策がおくれている原因は、この法律に基づいて必要な実態調査をしない、こういうところにあるのじゃないかと思うのですけれども、大蔵大臣いかがでしょうか。
  30. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先ほど申し上げました昨年行いました実態調査は、先生御指摘出資法の第八条に基づく調査を行ったわけでございます。なお、各都道府県においても随時調査をしているわけでございますが、その時点、方法等については必ずしも画一的でないわけでございまして、いままではこのような統一的な調査は行っていなかったわけでございます。
  31. 平林剛

    平林委員 だから私は、こうした法律がありながらそれが実行に移されなかったという点に問題があるのです。先ほどの調査結果でも、あるいは昨年十月の調査でも、いわばアンケート方式でやっているのですね。私は、もっと権限をふるってよろしいというふうに法律で規定してあるのですから、それをなぜおやりにならなかったかということを聞いておるのです。
  32. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  この実態調査を行うに当たりましては、関係六省庁といろいろ技術的な問題を含めてどのような方法がいいかについて協議したわけでございますが、先ほど先生も御指摘のように、何分十六万にわたる業者でございますので、これを実施する都道府県の事務能力等の関連から見て、昨年行ったような方法が一番効率的である、こういうことで実施したわけでございます。
  33. 平林剛

    平林委員 では法律はどうなんですか。
  34. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御指摘のとおり、法律によりますと立入調査までできることになっておりますけれども、十六万の業者に対して全部立入調査をするだけの事務的あるいは人員的な余裕が都道府県にないということで、このような方式で調査をしたわけでございます。
  35. 平林剛

    平林委員 貸金業者が十六万あったといたしましても、そのうち大手というのは四社しかないのですよ。四社の業者が大体貸金業の融資枠の半分程度を握っておるのですから、この四社を大体把握してお調べになれば大体の傾向というのはつかめる。それをおやりにならないのです。あなたは六省庁でやった結論が一番ベターだと言うが、法律は、大蔵大臣が必要なときはそれをやれと書いてあるのに、なぜやらぬのですか。
  36. 徳田博美

    ○徳田政府委員 今回の調査は、社会的に見ていろいろ問題を起こしている業者を中心に、どのような対策をするかということで、全国的な調査を行うということを考えたわけでございますので、四社だけの調査ということは行っておりません。
  37. 平林剛

    平林委員 私は、貸金業実態というものをやる場合には、この間やられたアンケート方式では不備だと思います。どうしても中核をなす人たちの意見、協力を求めて貸金業実態を調べる。「サラリーローン白書」というこんなりっぱな本までできているんですよ。ところが政府は何一つ持たぬのですよ。去年の十月アンケート調査をやった、それだけが大蔵省の唯一の資料ですよ。民間ではこれだけの本もできているんだ。やらない、そこに問題があると思うのですね。どうです、大、蔵大臣。せめて四社だけでも協力を得てやってみたらどうですか。
  38. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 過去そういう調査をやらなかったら、これは怠慢と言われてもいたし方ございませんが、昨年の暮れに関係六省庁の一応のアンケート調査で、大体実態とか貸金業の動きがつかめたわけでございますので、鋭意いまその計数に基づいて対策を講じておる次第でございますが、今後も平林さんの御指摘のようなピックアップ調査等につきましては、ひとつ抜かりのないようにしっかりやってまいるつもりでございます。
  39. 平林剛

    平林委員 私の指摘したとおりやると言うから一応あれしますが、実態があれで大体つかめたなんというのは、まだそんなこと言うことはできませんよ。私、これから指摘することもあるから、それに答えてから、もう一回いまのが合っているかどうか言ってもらいたい。  特に自治省、あなたの方は、この出資法に関するところの調査権限ですね、第八条、これから委任を受けまして、そして「この法律の規定に基く権限の全部又は一部を都道府県知事に委任することができる。」という法律条項になっておるのですが、任された方はどんなふうな調査をやっておられたんですか。
  40. 澁谷直藏

    ○澁谷国務大臣 御指摘のように、都道府県知事の調査権限は、主務大臣である大蔵大臣から法令によって委任をされておるわけでございます。したがって、その指揮監督は、これはすべて主務大臣である大蔵大臣。大蔵大臣の指示によって都道府県知事は調査もするし、必要な仕事をする、こういうことになっておるわけであります。
  41. 平林剛

    平林委員 なっているというんじゃなくて、何かおやりになりましたかということを聞いているんです。
  42. 澁谷直藏

    ○澁谷国務大臣 残念ながら、先ほど来から御指摘がありましたような悉皆調査のようなものはやっておりません。
  43. 平林剛

    平林委員 それで済まないのですね。やっておりませんでは済まないんですよ。  それで、私、いろいろ考えてみたんだけれども、この問題については、もう関係各省庁が多くて、みんな責任逃れをして手をつけない。法律によれば、あなたの方にまた委任をされちゃっておりますが、任された方は何にもやっておらぬというわけでありますから、これじゃ手の打ちようがないんじゃないかというふうに思ったんですね。  そこで、さらに調べてみますというと、政令が出ておるんですね。貸金業の届出及び貸金業実態調査に関する権限の委任に関する政令が出ておりまして、その政令によりますと、委任をしている会社があるんですね、この間関係法律を全部調べてみましたら。どういうところに委任をしておるかというと、日本住宅金融株式会社、これは千代田区の霞が関にあります会社ですが、これが一つと、株式会社住宅ローンサービス、これも麹町の四丁目にある会社です。それから住宅総合センター、これが銀座五丁目にある会社、それから相銀住宅ローン株式会社、霞が関三丁目にある会社、東京都中央区の京橋にある第一住宅金融株式会社、ここに貸金業実態調査に関する権限の委任をやっておるわけなんですが、これは御存じですか。
  44. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘の住宅金融会社、それから短資業者につきましては、この権限を都道府県知事に委任しないで、大蔵省が直接実施しております。
  45. 平林剛

    平林委員 でも、法律や政令の今日までの規定からいきますと、大蔵大臣が調査の権限を持ち、全部または一部を自治省に任せ、自治大臣の方は今度は都道府県知事に任せる、そしてまた、それが今度は政令でただいま挙げましたような会社に調査の権限が移る、こういうかっこうになっている。  私、この間、その会社に電話をかけて聞いてみたのですよ。あなたの方は政令で任せられているんだけれども、一体政府のこういうような点でもって何か実態調査の依頼が来ておりますかと言ったら、来ておらぬと言うのです。やらぬのですかと言ったら、そんなことをやるなんというようなことは任せられておりませんと言うのです。日本住宅金融株式会社の専務さんに聞いたらそういうふうに答える。これは大将は庭山慶一郎さんが入っているのです。何もやっておらぬのですよ。それから、この政令には書いてあるから、住宅ローンサービス株式会社にかけて企画課長の鈴木さんという人に聞いてみたら、いや、私の方はそんなことをやっておりませんと言う。全部かけてみたら、どこもやってないと言うのです。こんな政令をいつまでも置いておいて、実態調査をやってないというようなことだったら、まるで何にもやってないことになるんじゃないですか。こんな政令はなくしたらどうです、こんな政令は役に立ってないんだから。これで実態調査の権限を委任するって、みんな下の方へやって、末端に聞いてみれば、私、そんなことは聞いておりません、やっておりませんじゃ、何をやっているのですか。こんな政令をなくすべきです。どうですか。
  46. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘の政令は、住宅金融会社に実態調査を委任しているのではございませんで、住宅金融会社に対する実態調査を大蔵大臣が都道府県に委任しないで、大蔵大臣みずからがやるということを規定をしている政令でございます。
  47. 平林剛

    平林委員 じゃ、この政令は一体どういうことなんですか。
  48. 徳田博美

    ○徳田政府委員 貸金業者に対する実態調査は、都道府県に委任しているわけでございますが、政令で指定いたしました対象につきましては、これは都道府県に委任しないで大蔵大臣が直接やるということになっているわけでございます。したがいまして、住宅金融会社に対しては大蔵省直轄になっているわけでございます。
  49. 平林剛

    平林委員 そんなことを聞いているんじゃないのですよ。こういう実態調査大蔵省が直轄でやっているというならば、こういう会社はやってないというから、これじゃ役に立たぬじゃありませんか、実効の上がるようなものにしなければいけないので、この政令は改めたらどうですかと、こう聞いているのです。
  50. 徳田博美

    ○徳田政府委員 住宅金融会社に対しては、大蔵省が直接実態調査をするわけでございますから、毎期、営業実態につきましては呼び出していろいろ調査して、実情を常にフォローしております。
  51. 平林剛

    平林委員 大臣、ちっともわからない。何を言っているんだかわからないんだ。大蔵大臣。
  52. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 平林さんの御指摘の、いまの政令で委任しておるという幾つかの会社につきましては、これは住宅ローン専門の会社でございますから、直接大蔵省が資料をとって調査を毎月なり隔週なりやっておる、だからその実態は把握しておりますということを銀行局長も申し上げておるわけでございますが、問題は住宅ローンじゃなくて、庶民金融と申しますか、その方が実は抜かっておった、私が先ほど申し上げましたのはその点でございます。そういった方面につきましては、去年の暮れの実態調査で大体間に合っておるのじゃなかろうか。一日も早くそれに基づいての結論を出したいということで、いま進めておるということでございます。
  53. 平林剛

    平林委員 時間がありませんから、私の指摘をひとつ検討してほしい。  もう一つ聞きますが、貸金業者に対する金融機関の融資、これが私、問題だと思うのです。貸金業者に対する金融機関の融資の実態は御存じでしょうか。どういうふうになっておりましょうか。
  54. 徳田博美

    ○徳田政府委員 五十三年九月末現在で、都銀、信託銀行、長期信用銀行、地銀、相銀、信金について全部調査をいたしました結果は、これらの金融機関から貸金業業者向けの貸し出しが千六百八十七億円でございまして、うちサラ金業者向けの貸し付けは四百二十四億円でございます。
  55. 平林剛

    平林委員 いま専業者が千六百八十七億円とお話がございましたけれども、専業者でなく、いろいろな貸金業を兼業しているところがありますが、そういう方面も含めたらどうなりますか。
  56. 徳田博美

    ○徳田政府委員 貸金業者の中には、先生御指摘のとおり、いろいろな業務を兼業している業者があるわけでございますが、この場合には、実際に貸金業のための貸し出しであるかどうかについては非常に把握が困難でございますので、今回の調査からは除外したわけでございます。
  57. 平林剛

    平林委員 さっきのお話があった住宅ローンの会社も、もしこれを区分するならば貸金業になるのじゃありませんか。
  58. 徳田博美

    ○徳田政府委員 これは貸金業者の中に入ります。
  59. 平林剛

    平林委員 この七社の合計で枠がおおよそ二兆円なんですからね。銀行から借りて、それを今度は住宅ローンで八・八五%で貸す、そのさやだけがこの会社の利益になるという仕組みですよ。これも広い意味では貸金業者です。ですから、いま千六百八十七億円、多いなと思うかもしれませんが、本当はもっと多いのです。広い意味の貸金業となりましたならば、これはもっと大きいのです。でありますから、私は、政府調査が非常にずさんである、極力こういうものを隠している、調べようとしない。こういうところに問題があるわけでございまして、さっき言いました中核となるところの協力を得て実態を調べるというようなこと、こういうようなことについて、大蔵省全般的な責任を持ってこういう情勢について把握するように努めるということ、これはもう一度大蔵大臣からはっきりしてもらいたいと思います。
  60. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 いままでいろいろな面で十分の調査というわけにもいかない点もあったようであります。平林さんの御指摘の点は十分注意いたしまして調査を進めてまいりたいと思います。
  61. 平林剛

    平林委員 次に、私は、国債の消化と金利問題について質問をいたしたいと思います。  五十四年度は国債は十五兆二千七百億円発行するということに方針が決まっておりますけれども、引受割合というものは決まったのでしょうか。――引き受けの割合、国債を引き受けるシェアです。シンジケートに対する割り当ては決まりましたか。
  62. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 引き受けの割合は、シンジケート団が一兆円増しの十一兆、それから資金運用部資金が一兆五千億、それから公募入札が二兆七千億、大体そういうことで考えておる次第でございます。
  63. 平林剛

    平林委員 私のお聞きしたいのは、都銀とか、長期信用銀行であるとか、地銀だとか、そういう割り当て区分が決まりましたかと……。
  64. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 それは五十四年度四月以降のことでございますので、まだ、どこに、どういうふうに割り当てるかというところまでの話は進んでいないわけでございます。これからの問題と心得ております。
  65. 平林剛

    平林委員 国債の発行が、消化不良を起こすといいますか、なかなか困難な問題がございまして、大蔵省も、国債発行量は決めたものの、どういうふうにしたらいいかというので腐心をなさっておる実情はよく承知いたしております。二月における国債の発行は、したがって、そういうことから見て、一千億円程度にとどめて、あと三月、残ったのは一兆円かあるいはそれをちょっと超えるくらいございますけれども、この三月はもうじきに迫っておるわけですね。この引き受けについてのシェアにつきましては、どうなっていますか。
  66. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 最近少し流通利回りと発行利回りの乖離が目立ってきましたので、その原因が那辺にあるか、いろいろな見方がございます。国債の大量発行による心理的な要素が大きく働いておるという見方もございますし、あるいはまた金利底打ち感、これが浸透して、やはり長期のものは余り望まない傾向が出ておるというような、いろいろな見方がございまするけれども、ほかの長期のものは実は余り動いてないのです。六分一厘債だけが下がっておる。そこら辺の原因をもう少し究明したいということで、実は三月債につきましては、どういうふうな割り当てにするか、目下検討中でございます。
  67. 平林剛

    平林委員 いま確かに発行価格とそれから流通利回りと乖離が出てきて、そのためにどうも新しく発行する国債は割りが悪いというようなことで、大蔵省と金融機関、証券会社とのやりとりが行われておるわけでございますけれども、私はこれはどうも合点がいかない点が多いのであります。  たとえば六・一八の利回りであっても、現在の金融情勢から見たらそんなに割りが悪いような金利かなあというような感じがする。最近の新聞を見ましても、実勢金利は昨年の公定歩合の関係からかなり低くなっておるわけでございまして、そんなに大騒ぎするほど国債金利は割りが悪いものだとも考えられないのが、どうしてこういうような乖離が出てきておるのか。  私は、その最大の原因は、国債の発行の量が多過ぎるということにあると思うのでありますけれども、何か最近の国債の発行とその引き受ける側との間のやりとりを見ておりますと、国債を引き受けるかわりにその代償をよこせというような考え方の動きが見られておるのですね。それは専門家だから上品な言葉を使っていますよ。国債の金利を実勢に近づけろなんというようなことを言うと、何か真実に近づけるようなふうな印象を受けて、もっともらしく聞こえるし、市場の実勢に応じて国債の発行条件を改定せよなんと言うと、なるほど理屈の合ったことを言うわいなんて言って感心する人もあるかもしれませんけれども、腹を割ってみるというと、これは結局利害関係なんですね。だから一般国民にはさっぱりわからぬのですよ、こういうことをやりとりされるのは。  最近は日銀の総裁までが、この国会においでになりまして、国債の発行に歯どめをかけるために、金利はもう少し改定したらいいのじゃないかとか、あるいは財政インフレを防ぐために、日銀引き受けになっちゃ困るから、評判の悪いものは少しはいいようにしておいて引き受けてもらえるようにせいなんということで、まるで財政インフレを防ぐためにはあるいは公債の発行を抑えるためにはこの方がいいんだよなんというニュアンスの発言をなさるので、それを聞いていて私は非常に不思議に思うのです。大量の国債を発行したというのは、ある意味では景気の回復ということに集中をしてその政策をとられたのが政府でしょう。もしこの金利を上げるというようなことになりましたならば、足を引っ張るというようなことになりまして、政策的矛盾が出てくるわけなんですね。それでありますから、私は、この間も大蔵省がこの三月に国債の応募者利回りを引き上げるなんて報道があったときにショックを覚えたんですよ、ずいぶん矛盾したことを言っておるなと。これはどうなんですか。
  68. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 二月債は数量を圧縮して発行したことは御承知のとおりであります。今後どう持っていくかということにつきましては、先生にも御指摘いただきましたとおり、六分一厘債だけが少し安くなっておるというその原因が正直言ってまだ的確につかめない、そこで一体市場の実勢をどうつかんだらいいか、その実勢の把握に大変苦労をしておる段階であるということでございます。
  69. 平林剛

    平林委員 その原因もわからない、市場の実勢がつかみ切れない。だけれども、公社債市場のシェアなんというのは四%か五%なんですよ。唯一の市場ですから、それはばかにはできませんよ。しかし、どうなんでしょうか。この原因がつかめないと苦労なさっておるその背景には、国債の十年ものの乖離が一番大きいわけですから、こういうふうな乖離が最近急激に起こってきているところから見て、どうも証券会社の方でつくり出した管理価格じゃないかというような説もあるわけでありますが、その原因がわからない、市場の実相がつかめないという中には、こういう疑いもお持ちになっておるのかどうか。
  70. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 いろいろな見方がございます。事業債も少し下がっておるのでございますが、やはり市場としては、長期なものに対する離れと申しますか、中期ものに対する指向の方が強くなってきているというふうにも考えられます。しかし同時に、六分六厘債は余り下がってないのですから、一体そこはどうなのか、そこら辺の原因をいましっかり究明するように大蔵省挙げて努力をいたしており、あちこちの専門家の意見も徴しておる、こういう段階でございます。
  71. 平林剛

    平林委員 国債の金利だとかなんとかが霧の中に包まれておりまして、これはむずかしい問題であろうと思いますけれども、何か一般国民の手の届かない密室の議論が続いておるという印象を受けるのです。私らは国債発行については大変批判を持ってきましたけれども、こういう事態になったならば、それをどう消化させるかということは、われわれも一般国民も共通の懸案事項ですよ、政府が悪いと言っただけじゃおさまらないのですから。そういう意味から見れば、密室で利害関係者がやりとりしているのでなくて、もっと公開で、国民の理解と協力を得るというような態度をとると言っておるのですから、そうした問題について、いま質疑でもおわかりのとおり、霧の中にあって何が何だかわからないようなあいまいな議論では、私は、国民はよけいわからぬのじゃないかと思うのですよ。  もし、こうした問題について利害を伴う者がこそくな手段をやるなら、やるようにして、それについては徹底的に追及するという姿勢がなくちゃならぬ、理屈に合わないことは応じないという態度がなくちゃならぬ、こういうふうに思うのでありまして、新聞でちょっと読んだのですけれども、このやりとりの中から、証券会社の引受割合を、ここのところ大体二〇%、二二%まで五十一年、五十二年は来ていますね、何か今度は一七%くらいになるのだという記事が出ているのですよ。私らはこういう記事は逃さず目をつけているのでありますけれども、ちらちらとそういうものが出てきている。ことしの証券会社の引受シェアは、いままで大体二二%ちょっとあったが一五%にする、大蔵省の意向だということで記事が出ていたのですよ。それでさっき私は、もう引受割合が決まったのですかという質問をしたのですよ。そうしたら、まだ決まっておらぬというのですよ。そうすると、この記事はどういうふうに流れてきたのかなといろいろ考えざるを得ませんね。眠れなくなっちゃうのです。これはどうなんでしょうか。価格操作をやっているというような疑いで、このやろう、ペナルティーを課してやろうというので引受割合を減らしたのでしょうか。それとも、市場というものは狭いけれども、しかし、その中でもって操作ができるようなことになりつつある、なられたら困るから、少しシェアを減らそうというふうに考えられたのでしょうか。どういうわけでこういうような記事が流れたりするのでしょうか。これはひとつもう少し考え方を明らかにしてもらいたい。
  72. 田中敬

    田中(敬)政府委員 証券会社の引き受けるシェア問題でございますが、国債の引き受けにつきましては、国債引受シンジケート団が組織されまして、国債引受シンジケート団の中で、今月発行分については、その月の金融情勢あるいは公社債市場の情勢によりまして、証券会社が幾ら販売をするというのを月々決めるようにいたしております。その意味におきましては、たとえば一兆円国債を発行しました際に、証券会社が二千億円自分の方で販売力がある、だから二千億円売らせてくれということでシ団内で相談をし、シ団内で話がまとまりますと、証券会社が二千億、それから残りの金融機関が全部で八千億、その八千億につきましては、都銀が何%、地銀が何%というシェアがシ団の中で決められております。新聞に報ぜられております証券会社のシェアを低くするというような話は、正式な話としてシ団の中で出ておるわけでもございませんし、証券会社の引受割合というのは、あらかじめ一定の限度を決めておりません。ただ、昭和四十一年に国債を発行しました当時に、個人消化というものを促進すべきであるということで、証券会社が販売しますものは、国債の発行額の一〇%程度を目途にやりたいという政策意図もございました。そういう意味で、証券会社に一〇%は最低売ってほしいということでずっと続けてまいりまして、過去の経緯でそれが五%にしかいかない年あるいは一〇%そこそこの年、最近におきましては二〇%を超した年というのもございます。  先ほど来から市況の状況が出ておりますが、現在六・一%国債が非常に値崩れをしておりますというのは、一つには、昨年の金利下降期におきまして国債が大変よく売れまして、証券会社が引受額、当月発行分の三割を持っていって売ったということもございます。しかし、その売られた先がどこであるかということになりますと、純粋の個人でございますと、これは安定消化層と言えます。ところが、そのときは民間企業にも手元流動性がございましたので、事業法人でございますとかあるいは外人というようなものの需要に応じてどんどん売りまくった。それが最近の金利底打ち感から、そういう事業法人が余資をこういう長いもので、六・一%というクーポンのもので運用するのはもう損だ、短いものに乗りかえた方がいいということで、それが市場に売り戻されております。いわゆるはね返り玉が出てきた。本来なら証券会社は自分の販売実力に応じて売ったわけですから、それを自分で引き受けて責任を持つということが望ましいわけでございますが、余りにも売り過ぎて、それがいま責任が持てないような状況になって、自分で買い支え得ない、これが六・一%国債が極端な値崩れを起こしておる原因だろうと思います。  そういう意味におきましては、証券会社に対しまして、安定保有層である個人あるいは機関投資家というものに確実に売れる金額で抑えてほしい。そういたしますと、去年のような二〇%や二五%というのは、実績から見て、いま反省材料が出ているわけでございますから、証券会社がただ売れるときは売るという態度を改めていただいて、安定保有者にはめる。ただ安定保有者にはまる額が一〇%であるか一五%であるかわかりませんけれども、従来のように、でたらめに――でたらめにと言うと語弊がございますが、やたらに売りまくるという態度を改めてほしい。これで証券会社のシェアが少し下がってもいいのではないか、これはむしろ私ども発行当局で申したことでございます。
  73. 平林剛

    平林委員 国債の金利の問題はもう少し様子を見てからだ、こう言われますが、私の希望するのは、国会議論をされたときに、公開の場で政府考えを明らかにするというやり方を踏襲してほしいという意味合いがあって質問しておるのですけれども、仮に伝えられるように、多少上げなければならぬというような事情になった場合、余り評判のよくない十年ものですが、一%も上げたならば大体どのくらいの国債費の増加になるのか、〇・五ならどのくらいになるのかということはどうなのでしょう。
  74. 田中敬

    田中(敬)政府委員 金額のお答えをする前に前提がございます。国債は年二回利息を払うことになっております。そういたしまして、支払い月が年四回でございまして、二月、五月、八月、十一月、一年間に四回発行した国債についての利息を払っております。年二回の利払いでございますので、来年十五兆国債を発行いたすといたしましても、利払期が到達するものは来年の上半期に発行されただけということになってまいります。そういたしますと、十五兆のうち上下半々で発行したということになりますと、利率を上げたことの影響を受けるのは、前半出すと予想される七兆五千億が影響を受けてまいります。簡単に申しますと、〇・一%国債のクーポンを上げますと、おおむね四十数億の利払い費の増になろうと思います。そういうことでございます。
  75. 平林剛

    平林委員 そうすると、ことしの予算書を見ますと、国債費というのは四兆七百八十三億くらいになっていますが、仮にそういうことになっても、この予算に占める国債費で修正をしなくてもよい、その中にはそういうことも予定をしている、こういうふうに理解すべきでしょうか。
  76. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  いまの国債費予算で今後の金利の上昇を予定しておるかという御質問に対しましては、予定はいたしておりません。これはいままでも予算案をつくります段階での金利で一応計算をいたしております。ただ、先ほど理財局長が申し上げましたように、大体上期にどのくらい発行するかという点につきましては、予算の面では、御審議をいただいております五十四年度予算は、過去四年間の上期の平均発行率で計算をいたしております。これはまだ完全に年度間が終わっておりませんけれども、五十三年度の実績が六割をちょっと下回っておりますから、その辺が若干予算のやりくりの余地はあるということは言えると思います。
  77. 平林剛

    平林委員 国債の大量発行に関する問題は、インフレの温床とか懸念だとか、財政危機、財政再建とか、いろいろな角度から議論をされておりますけれども、国債の発行条件をめぐる政府と金融界、証券界の動きにつきましては、私は、先ほど指摘したような傾向にあり、それに対する批判を持っておりますので、専門家の議論だけに終わらない形においてひとつ御検討いただきたいということを要望いたします。そういう意味から、いままで引き受け先と発行元との中でずいぶん大蔵省は譲っておるところがあるのですね。それはいろいろなやり方をして何とか消化しやすいように工夫されておる。  もう時間がありませんから、具体的例を言いませんけれども、私が最後に取り上げたいのは、そういうことの一環としてCDの発行というものがございます。譲渡可能の定期預金証書ですね。これについては、最近金融界の方からの要望もございますし、受け入れ体制の準備も進められておるようでございますけれども、これについてはどういうお考えであるのか。  もう一つ、このCDの発行を認めるという形にいたしましても、金額がたしか三億とか五億とかいうものになるのじゃないかと予想されておるわけでございますが、そういうことについてはどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  78. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 CDの発行につきましては、去年の暮れに金融制度調査会で了承されましたので、目下その導入についての事務的な手続を準備中でございます。これが導入されますと、平林さんも御承知のとおり、短期金融市場の整備がさらに大きく推進されることになりますので、しかも国際的にも、各国が出しておりますものが日本でも出るということで、これは高く評価されることになろうかと思います。それで、金額は、いま平林さんから御指摘ございましたように最低額が三億か五億かというようなことで具体案をこしらえておると伺っております。
  79. 平林剛

    平林委員 私は、これは金融機関にとっては新しい預金の吸収策でもあり、また場合によっては、法人預金をしておるところにとっては一種のサービスになると思いますね。  問題は、私が言いたいことは、そういうCDの実現をするというような場合におきましては、ひとつ個人の預金者に対しましても何らかの措置を考えたらどうか。そうでないと、どうも金融機関は自分のことを考え、法人預金は自分の方だけ先取りするというようなかっこうになりまして、庶民の方の立場はどうも後回しにされるという印象を免れることができない。かってインフレ傾向のときに、預金者はインフレで実質的な金利を奪われたわけでございますから、それに十分な措置がない、こういう段階におきましては、個人預金者に対しましても何か複利預金のような制度をあわせて認めるべきではないか、私はこう思いますが、大蔵省の見解はいかがですか。
  80. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 いま平林さんのお挙げになりました複利預金につきましては、これは別の観点でございますが、貯蓄性資金を獲得しようということで複利預金の制度を導入するかどうか、いま真剣に検討をしていただいております。これは結論が出れば、私どもとしても前向きにひとつ進めてまいりたいと思うのです。  ただ、これを実行するに当たっては、郵便貯金の定額貯金がございますね、これとかち合うとか、信託銀行の預金とかち合うとか、いろいろな問題があるものですから、そこら辺をどうするか、もう少し詰めさせていただきたい、こういうことでございます。
  81. 平林剛

    平林委員 時間も迫ってまいりましたから、通告をしておりましたもう一つの問題、貿易不均衡と電電公社の政府調達問題につきまして伺いたいと思います。  このところ、ガット東京ラウンドが最終段階を迎えまして、電電公社の資材調達問題が大きな政治問題になりつつあります。これに関する報道は、連日新聞の紙面をトップで飾っておるような状態であることは御承知のとおりでございます。この問題の背景につきましては、日本とアメリカとの貿易の不均衡、とりわけ貿易収支の対米黒字にあることは言うまでもありませんから、この問題の根本的な解決のない限り、こうした問題は後を追って起きてくるのではないかと私ども懸念をいたしておるわけでございます。  本来は、この根本問題について実は質疑をいたしたいわけでございますけれども、私に次いで安井委員が触れると思いますから……。二月十九日、この予算委員会でわが党の井上議員がこういう質問をしました。電電公社の資材購入の問題で、あした、つまり二月二十日に関係閣僚会議でこの問題を決めるのじゃないか、こういう質問をしたのに対しまして、答弁に立ったのは通産大臣でございます。あした決めるとは聞いておりません、外務大臣に、隣にいるから、ないわなと聞いたらうなずいていたからあしたの会議じゃありません、これは御了承願いたい、会議録を読んでみるとそういうふうに書いてあるのです。ところが、翌日の新聞を見ると、各新聞のトップに「電電公社の門戸開放」「電電公社物資調達を門戸開放」といってずっと伝えられているわけですね。細かく読んでみると、郵政大臣は難色を示したけれども、あとの閣僚はみんな大体しようがないじゃないか、やむを得ないというような報道が出ておりますけれども井上委員が質問したときはあしたはそんなことはないと言っておいて、翌朝新聞を見るとこういうふうにでかく飾られる。これでは、国会の質疑にはまともに答えないでおいて、そして関係閣僚会議結論は記者会見を通じて、政府の方針はこう決まったと大々的に報ずる。国会審議というのは一体何だということになるのですね。政治、経済、外交全般の問題の質疑をしておるこの予算委員会の質疑あるいはそれに関する答弁がおざなりで形骸化しておる、そしてまた軽視しておる、こういうことを意味するのじゃないか。こういうことを考えますと、私は通産大臣に本当は聞きたかったのでありますが、所用があって、了解を求めて欠席しておりますし、隣で、ないわなと言ったらうんとうなずいた外務大臣もいないわけでありますから、だれが答弁をしてくれるかわかりませんけれども責任者は、国会を軽視、形骸化するものではないかという立場から言えば、官房長官、お答えをいただきたいと思います。
  82. 田中六助

    田中国務大臣 二十日の経済閣僚会合でございますが、前の日に私の方から関係閣僚に通告をしたわけでございます。それは、牛場代表と安川代表に日米間の現在の交渉というものについて報告を聞くということでお集まりを願ったわけでございます。
  83. 平林剛

    平林委員 これはこれから安井委員が主として質問をされますし、ただいまの答弁は私が尋ねたことに対して答えていませんし、私は納得できないですよ。これに対する政府の態度は、今後の経過を見なければ釈然としないものがあります。でありますから、私はこれについては保留をしておきたいと思います。まだ質問時間が若干ありますけれども、後の安井さんの質問にすべて譲ることにいたします。この問題だけは態度を保留さしていただいておきまして、安井委員の質問に譲りたいと思います。
  84. 竹下登

    竹下委員長 これにて平林君の質疑は終了いたしました。  次に、安井吉典君。
  85. 安井吉典

    安井委員 私のきょうの主題は、いま平林委員が取り上げられました電電公社に対する入札公開の問題でございますが、通産大臣の御出席がちょっとおくれるそうでございますので、その前に農林水産大臣にちょっと……。  三月はいよいよ畜産物価格のシーズンになるわけで、その問題の政府としての処理の方向についてちょっと伺っておきたいと思います。  きのう質問通告をいたしておりましたら、もう早速きょうの答弁材料ですか、新聞に「畜産物価格、初の引き下げへ」こういう、価格を初めて引き下げるという記事がけさ出ておりました。農産物及び畜産物の価格全体のスタートが三月の末の畜産物の価格の決定にある。それから後、米価だとかその他いろいろな農畜産物全体の問題にわたっていくわけです。私たちはそれだけにスタートが非常に大切だというふうな理解をしているわけでありますが、一昨日岡田利春委員の質問で、牛乳の生産と需要、製品輸入の情勢だとか畜産振興事業団の状況等が明らかにされました。  そこで私は、加工原料乳の保証価格や、豚肉、牛肉の安定価格等について農林水産省はどういう方針で今度は臨むつもりなのか、率直にずばりその点を伺いたいと思います。
  86. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 ずばり申し上げまして、私の方は、畜産物価格を引き下げるということを言ったこともありませんし、引き上げるということも言ったことはありません。これは所定の方式が決まっておりますから、生産費とか経済事情、需給事情、こういうものを勘案して従来の方式で決めたい。したがって、いまいろいろ資料、材料を集め中でございます。
  87. 安井吉典

    安井委員 けさの新聞の「初の引き下げへ」という方向は、これは農林省の方針じゃないですか。
  88. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 少なくとも私はそういうことは申し上げません。
  89. 安井吉典

    安井委員 これは毎年の例なんですけれども、三月の末に畜産物の価格が決まって、それから春闘が始まって春闘の相場が決まって、それから米価というふうに順々にいく、そのスタートラインでこれが全部に響いてくるような、そういう印象を受けるだけに、私たちは関心を持たざるを得ないということは先ほど申し上げたとおりでありますが、なるほど下げ要因もかなりあるように思いますね。たとえば、えさが下がったとか、あるいは金利のダウンもあるかと思います。しかしながら、生産費と所得を都市の労働者並みに補償するという立場を明確にすればかなり引き上げなければならないようなことになるのではないか。それについてはどういうお考えですか。
  90. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 御承知のとおり、畜産物につきましては原則として自由価格であります。しかし、ある一定の生産を確保しなければならぬというような観点から、物によっては不足払いとかその他政府が需給操作をして価格を維持するとかというような間接的な方法で、再生産の確保というものを図るに必要にして十分な措置を講じておるわけです。したがって、所得補償方式ということは考えておりません。
  91. 安井吉典

    安井委員 都市に住もうと農村に住もうと一定の所得が保障できるような、そういう仕組みを私たちは実現をしていくということが目標でなければならぬと思います。それだけに、これは毎年の問題ですが、所得補償のための労賃評価がまたことしも問題になってくるのではないかと思うわけでありますが、それについての考え方はどうですか。
  92. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 たとえば加工原料乳の問題でございますが、これは米と違いまして、いままでも自由な取引ということを中心にしてやっておって、ことに大部分の市乳、つまり生乳、これは完全な自由価格でやっておるわけですから。しかし、加工原料乳である程度だぶついて市乳がだぶつくというような状態の場合に、一つの保護政策として不足払い方式というものをとっておるわけで、大体加工原料乳が大ざっぱに三分の一ぐらいありますか、そういうものが保護されておる、大部分のものは自由市場において需給関係によって価格がつくられておる、こういうことであります。
  93. 安井吉典

    安井委員 それはもうわかっていますよ。ただ、いつも保証価格あるいは安定価格の決定の段階に労賃をどう見るかということが常に最大の焦点になって、最後まで残るんですよ。ですから、その問題の基本的な考え方について私は伺っているわけです。
  94. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これもいろいろ議論のあることであって、たとえば所得補償方式にいたしましても、五百人未満の規模の従業員の平均賃金をとるか、全国規模でとるか。このことは、早い話が、全国規模をとるということになれば、東京、大阪に近い賃金をとる。ところが、実は農村地帯では生活条件等が東京と違いますから、必ずしも東京と同じ賃金にすることが適当かどうかというところに問題があるわけです。同じ公務員でもやはり東京あたりの人は、調整手当ですか、七%ないし八%ぐらいの差もある。同じ公務員であってもそういうようなことになっておるわけですから、やはり農村地域の問題については、たとえば北海道なら北海道ということになりますと、北海道の要するに札幌も含めた、札幌といっても百万都市ですから、そういうものも含めたところの平均賃金ということなので、何も札幌を飛び越えて東京、大阪と同じくしなければならぬというようにはわれわれは考えていないので、その地域の中小企業とか勤労者と大体バランスのとれた賃金でいいのじゃないかというように考えておるのが実情であります。
  95. 安井吉典

    安井委員 話が細かくなりますから、きょうはその論争はやめますけれども、やはり、町に住んでいても農村に住んでいても同じような所得が渡たるような、それをたてまえとして考えるべきではないかという私の考え方をひとつしっかり申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つ大事な問題は、五十三年度の加工原料乳の生産はかなり、限度数量百八十三万トンを上回るというような状況にあるようですね。超過の見込みはどの程度になるのか。私は、これは政府の初めの生産見込みの見込み違いに原因があるのでこういう超過分をつくったのではないかと思う。したがって、その超過分をも補給金と乳質改善奨励金の交付の対象にすべきではないかと思います。どうですか。
  96. 杉山克己

    ○杉山政府委員 加工原料乳の限度数量は百八十三万トンということで定めておりますが、今日までの原料乳の発生状況を見ますと、三月末にはこれをかなりオーバーして出てくるのではないか、大体数量的には十七万トンから十九万トン程度の増加になるのじゃないかというふうに見られております。  これはどうして生じたかということになりますと、先生は見込み違いということを言われましたが、生産が予想を上回って大きく伸びているということ、一方、需要が停滞しているということ、ほかの農産物に比べて乳製品あるいは牛乳は、需要は伸びてはおるのでございますが、生産の伸びがそれを上回ったというようなことの結果生じてまいっているわけでございます。  限度数量の扱いにつきましては、これはその性格が本来適正な生産の指標を示す、あるいは財政負担の限界を示すという性格を持っているものでございまして、その範囲内で処理するというのが原則でございます。昨年、一昨年、やはり限度数量をオーバーした事態が生じまして、これにつきましては、一時的な現象かということもありまして正規の不足払いの対象とはいたしませんでしたが、事業団の助成事業によりましてこれに対する措置をいたしたところでございます。ただ、本年どうするかということになりますと、こう二年、三年続いて限度数量をオーバーするという事態が出てまいりますと、これは構造的な供給過剰になるのではないかという懸念も生じてまいります。そういう意味で、これを安直にそのまま何らかの財政負担による措置の対象とするということには問題があると私ども考えております。
  97. 安井吉典

    安井委員 見込みよりもよけいとれたのであって、見込み違いではありませんと。私たちは、見込みよりよけいとれたのを見込み違いと、これは普通の日本語では言うわけですよ。ですからその辺、まさにそういうことで国会を通り抜けようということは、これはやはり大きな見込み違いだと、そのことをはっきり申し上げて、とにかくこの問題は非常に重大な問題になる可能性がありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。そういう要求にこたえるような方向でやっていただきたいと思いますが、最後に、農林水産大臣は外交日程がおありだそうですから、このことだけもう一つ確かめて、それからおいでいただきたいわけですが、きょうの新聞の「畜産物価格、初の引き下げへ 農水省、方針固める」、こういう見出しになっているわけです。中身もそうなのです。これは間違いですね。
  98. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 方針は固まっておりません。ただ、恐らく推測記事だろうと思いますが、えさがどんどん下がっておるというような状態で、畜産物の場合はえさに左右されますから、まだ材料を集めておるのだけれども、材料がまだそろっていない、そこを見越してそういうことを書いたのではないだろうか。したがって、引き下げの方針とか引き上げの方針とかいうことは決めてございません。
  99. 安井吉典

    安井委員 それじゃ農林水産大臣、結構です。  法務省国家公安委員会、警察庁の方からおいでいただいております。その問題点は、まず法務省から、二月十六日だったと思いますが、SECの資料が到着をして、検察当局では翻訳や分析が行われているように思います。その状況はどうなっているのか、今後どれぐらいかかるのか、その他、一般から非常に関心を持たれておりますので、ここでお話を願える範囲内でひとつお話し願いたいと思います。
  100. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 御指摘のように、グラマン社関係の非公開資料が十六日の夜検察当局の手に入りまして、以後、日曜日を返上して関係検事が読み取り、翻訳、検討をやっておるわけでございますが、ただいま現在その検討作業を終わったという報告はまだ受けておりませんが、大変急いでおりますから、やがてこの分の検討が終わるものと思われます。なお、月末からあるいは日本へ到着をするのが来月にかかるかもしれませんが、ダグラスの非公開資料の入手も間近いことでございますので、それらも総合いたしまして、従来の捜査計画とあわせて今後の捜査方針を立てていくものであろう、こういうふうに思っております。
  101. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、いまはグラマン関係の資料について分析が行われているわけで、それだけで直ちにいろいろな行動が始まるというのじゃなしに、後で来るダグラスの分も突き合わせて、それにより全貌を確かめる中で具体的な行動に入る、そういうことに理解してよろしいですね。
  102. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 俗な言葉で捜査は水ものと言いますから、どういうことになるかは予断はできませんけれども、おおむね私としてはいま御指摘のような手順でいくのではないかと思っております。
  103. 安井吉典

    安井委員 検察と警察の間の任務分担のようなことに一つの計画がおありなのかどうか、それを伺います。
  104. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 現在の捜査の段階におきましてはまだ検察当局の手だけで十分足りておる状況でございますが、将来あるいは警察のお力をおかりしなければならぬ事態が来るかもしれません。その点は何ともまだ申し上げられません。
  105. 安井吉典

    安井委員 これは朝日新聞の記事だったのですけれども、ロッキード事件捜査の際に、警視庁が有森國雄氏を呼んで参考人として事情聴取をしたことがあるという報道がございましたが、これは警察庁の方、どうですか。
  106. 小林朴

    小林(朴)政府委員 一般に、捜査当局が特定の人物から事情を聴取したかどうかということにつきましては、捜査の内容にわたることでありますので、明らかにすることは差し控えたいわけでございますけれども、お尋ねの件につきましては、さきに本人が証人喚問に当たりまして陳述しているところでございます。本件に限りまして申し上げますと、先ほどお話がございましたように、警視庁におきましてロッキード事件に関連をする情報を得るために、有森氏から事情を聞いたということでございます。
  107. 安井吉典

    安井委員 その情報聴取の中で、有森氏は日商岩井を退職してから約半年間ロッキード社のコンサルタントをしており、その際長文の報告書を書いており、これをロッキード事件のとき警視庁が発見をして事情聴取になったのだというような報道になっておりますが、そういうことでしょうか。
  108. 小林朴

    小林(朴)政府委員 ロッキード事件に関連する情報収集には間違いはないわけでございますけれども、どのようないきさつで事情聴取に至ったか、あるいは事情聴取によりまして判明をいたしました事実関係が何かということにつきましては、実はここでお答えをすることを差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
  109. 安井吉典

    安井委員 これは微妙な問題ですが、ただ、有森さんという方はこの委員会の証人喚問で証言拒否をなさった。したがって、この委員会としてももう一度おいでをいただいてお話を聞かなければいけないかとか、そういう対象にもなっている方であります。それだけにもう少し中身をお聞きしたいということで伺っているわけでありますけれども、御本人は外為法違反とかなんとかというようなことを当時おっしゃっていたわけでございますが、そういうことも絡んでの事情聴取であったのか、その点はどうですか。
  110. 小林朴

    小林(朴)政府委員 私が聞きました限りでは、そのような事実はないように思います。
  111. 安井吉典

    安井委員 いわゆる海部メモというのは、その事情聴取の中で本物であるとかないとかという確認がなされたという話も伝わっておりますが、どうでしょうか。
  112. 小林朴

    小林(朴)政府委員 その点につきましても私ども報告を受けておりません。
  113. 安井吉典

    安井委員 ロッキード事件と違って、この事件の場合、私ども国会審議の際に、前の場合はピーナッツ領収証とか何かいろいろなものがあったわけでありますが、物証らしい唯一のものだということもあるものですから、最初に大出委員が取り上げて以来、私どもも非常に関心を持っているわけでありますが、この前の私のこの場の質問において、筆跡鑑定等について検察側も独自に行うことがあってもよいではないかという提言もいたしておきました。それはどうでしょうか。
  114. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 いわゆる海部メモと言われておりますものは、その内容あるいは推定される作成日時等からしまして、当面直ちに検察捜査の対象にはならないというふうに考えて、検察当局としてはそういう態度で御審議等を見守っておるわけでございますが、前回お尋ねがありましたときに、事態の進展によってはこれについて検察が関心を払わざるを得ないことになるかもしれない、こういうふうにお答えをしたその趣旨は、あるいは証言拒否とかいうような問題に関連いたしまして、事柄が検察当局の場に移るということがございますれば、当然の責務として重大な関心を払わざるを得ない、こういうことを申し上げたわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  115. 安井吉典

    安井委員 この海部メモの問題について検察側がもう少し、本物かにせものかという問題をも含めて調査をしようとすれば、海部氏自身は否定をしておりますけれども、あのメモの中に、あて名の川崎重工の砂野社長だとか当時の経理部長だとか、そういうのが書いてあるわけですよ。あるいは外国の銀行の口座名も書いてあります。ですから、あのことが現在のE2Cにストレートに関係があるかないかは別として、一つの有力な手がかりということになればそういう具体的な問題ヘアプローチしていく、そういうような調査にも進んでいくということがあってもいいように思うのですが、その点はどうですか。
  116. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 確かに、一般的な考え方としては、疑惑の存する点を究明すべきであるという御指摘についてはそのとおりであろうと思いますが、何分検察当局といたしましては、特定の犯罪の嫌疑をめぐりましてその証拠を固める、犯人を発見する、こういう手続でございますので、具体的な犯罪の嫌疑から遠く離れております問題については検察権を行使することができかねる、こういう事情にあるわけでございます。
  117. 安井吉典

    安井委員 それじゃこの問題は一応打ち切ります。  この前からこの委員会におきまして、日米経済調整についてのいろいろな問題が取り上げられた中で、電電公社の入札公開というような問題がアメリカとの関係において非常に大きく浮かび上がってきているわけです。いわゆる東京ラウンドは、これだけが片づけば全部片づくなんというようなものではないと私は思うのですけれども、何かいつの間にかそういうふうな扱いになってきているような感じを受けます。  そこで、先ほど平林委員のお尋ねもあったわけでありますが、いわゆるガット東京ラウンドの決着は、時期はいつになるのか、政府はこれに対してどういうスケジュールを持って臨もうとしているのか、まずこれから伺います。
  118. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 東京ラウンド交渉は昨年かなりの進展を見ましたけれども、日本とEC間、アメリカとEC間でまだ妥結を見るに至っておりません。また、開発途上国との交渉が個々に残っておるような状況でございます。そこで見通しにつきましては確定的なことを申し上げる段階ではございませんけれども、わが国としては、保護主義の台頭を抑えるためにも、四月中にはぜひ交渉を終結させるように目下鋭意努力をしている最中でございます。
  119. 安井吉典

    安井委員 政府の態度決めはいつごろに予定しておられるわけですか。
  120. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 ことしの一月四日にアメリカは議会に対して東京ラウンド交渉締結の意図を通告して、四月上旬には正式調印に持ち込みたいと言っております。それからECも現在のところ四月に調印する意向を有しておると見ておるのでございますが、時期については、四月にはぜひ署名したいという段取りでいま鋭意交渉を進めておるということでございます。
  121. 安井吉典

    安井委員 それはもう四月中というのはわかるのですけれども、それに臨む政府の態度はいつごろまでにお決めになるおつもりなのかということです。
  122. 手島れい志

    ○手島政府委員 お答え申し上げます。  東京ラウンドは、関税の引き下げそのほかのいろいろな非関税障壁につきまして非常に広い範囲の交渉をやっておるわけでございます。そのうちのかなりの部分については、すでに関係国の間で実質的な合意が成立をしておるわけでございまして、その残っている部分が若干ございますけれども、それにつきましても実質的には、できれば今月の末から来月の初めごろにかけて可能な限りの合意の達成に努めたいというふうに考えております。
  123. 安井吉典

    安井委員 今月末から来月の初めということですね。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕  そこで、二十日の朝、関係閣僚会議が開かれたそうでありますが、その前日にもこの問題がこの委員会でも取り上げられ、それからまたその日も取り上げられております。その場合のちぐはぐさとでもいいますか、そういうようなものを先ほど平林委員が質問をしているわけでありますが、私が伺いたいのは、新聞の報道によりますと、この日の閣僚会議の結末というのは、アメリカに対する日本側の最終提案は、電電公社の一部調達資材に指名入札制を導入することにより外国製品の輸入拡大を図るものになることは確実というような伝え方があります。あるいは、これは牛場さんの発言として、この問題について前向きでアメリカと交渉をすることに合意できたという発表が行われたと伝えています。これはそのとおりですか。
  124. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私からお答えをいたします。  先ほどインドネシアの外務大臣が渉外事項で通産省を訪問されましたために、平林議員からあらかじめ質問要旨を承っておったわけでありまするが、お答えのチャンスを逸したわけでございます。  まず第一に、平林さんが御質問になりました点を安井さん受け継いでおられるそうでございまするが、要するに、あのときに井上議員が、明日政府調達コードの問題をめぐって電電公社問題を取り上げるのかどうかという質問がありましたね。私、まあ正確に記憶はしておりませんが、それに対して、いま外務大臣とも話し合いをしましたが、明日はそういうことはないようであります、こういうお答えをしたわけであります。ところが現実に会議を開いてみますと――それは外務大臣とここで話したわけですが、要するに経済全般、特にアメリカのこの東京ラウンドの問題すべてをひっくるめて、いまの六%実質成長率を下方修正したとか、そういったようなことで、私も、ははあ、それは大きないろいろな問題できっと議論があるんだろうなという理解でそのようにお答えをしたわけであります。したがって、いよいよ八時から当日閣僚会議が開かれて、牛場代表それから安川代表、この両者からはやはり全般にわたるアメリカの感触、手ざわり、そういった問題の報告を聞いたわけであります。特にそのときに両代表から――両特派大使といいまするか、この両特派大使から、とにかくこの政府調達コードを決めていくことを非常に強く迫られている、まあ幾ら遅くとも三月半ばぐらいまでには大体決着をつけていかないと、四月にその結論を出すとか、そういうことを考えるにしてもなかなかむずかしいという情勢判断をしながら、困難な事情の説明があったわけです。そこで各閣僚は意見を求められ、官房長官が主宰者ですから、したがってそれに対して懇談をしたということであって、結論はそのときにまだ決まったわけではございません。表に新聞等々が何かいま御質問になったように書いた点は私どもも見ておりまするが、内情については、ここにも関係者そろって出席しておるわけですが、結論めいたことにはしなかったということでございます。
  125. 安井吉典

    安井委員 とにかく新聞の記事は、かなり問題が煮詰まって、もう電電公社の問題は解決寸前までいっている、もうそのとおり最終的に決まっちゃうのだという印象を与える書き方になっているのですよ。ですから私は、少なくもそんなような状況なり雰囲気があったのではないか、そういうふうな感じがするわけでありますが、それによりますと、オープンにすることを郵政大臣が一人反対して、あとはもうみんな賛成だった、そういうことなんです。  きょう御出席の閣僚がずらりお並びなんですけれども、うっかりして官房長官はお引きとめすることを失念してしまったものですから、いまおられないのですが、きょうおられる大臣お一人お一人に、電電公社の問題についてのお考えをやはりこの際伺っておきたいと思います。どちらからでもいいです、郵政大臣から伺いますか。
  126. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 お答えします。  二十日の会合についての御質問でございますが、いま通産大臣からお答えいたしましたとおり、私どもこの朝の新聞を拝見しまして、どうも穏やかでない書き方でございますから、私は担当大臣として非常に心配しながら出席をいたしました。そこで牛場、安川両代表から経過の説明などがありました後で、本日いろいろな電電公社の問題をお決めになるのですか、もうすでにこのように決まったのですかということを私は冒頭に発言をしてお尋ねしましたら、ここにおられる方々や官房長官も、決まったものではないというようなことで、いろいろ論議が交わされたというのが実態でございまして、私もそのように理解して会議が終わったところであります。
  127. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 その席上、牛場、安川両特派大使から非常に困ったという話の陳述がありました。これは先日もここでどなたかの御質問に答えておいたのですが、そのとき安川代表の、アメリカは民営であるにもかかわらず、二〇%程度は自由競争入札というものを取り入れているという話があったわけであります。そこで、君はどう言ったかとおっしゃるならば、私は、なるほどアメリカが二〇%程度自由競争にゆだねておるというのであるならば、日本も、本体に手を入れるなどということはとうてい考えられない。(「本体とは何だ」と呼ぶ者あり)だから、二〇%というのは一体本体なのか、それともどういう付属物なのか、どういうものなのか、そういうあたりを検討してみる必要はあるのではないか。  それからもう一つは、牛肉であるとかオレンジのときには、アメリカなどに議員が出かけるとかあるいは業界の代表が出かけるとか、これは特にジョーンズ報告以来いろいろ議会筋で問題になっているという経緯もあるのだから、こういう報告をめぐって問題が惹起された以上は、やはりアメリカ側にだれかれ事情のよくわかる者が行くことが望ましい。たとえば安川さんにしても牛場さんにしても、細かい電子機器の内容に触れて議論をするということになれば、必ずしも得意じゃありますまい。そこで、そういう専門家が行って、いかにも困るなら困るという事情などについてよく話し合いをするということが必要ではなかろうか、こういう意見を私は述べたわけであります。
  128. 園田直

    ○園田国務大臣 いまの問題、最後の責任は私の所管になるわけでありますので……。  御承知のごとく東京サミット、その前に東京ラウンドに終末をつけなければならない。こういう点で、御承知のとおり、この問題だけでありませんけれども、黒字の圧縮問題を背景として、関税の問題と政府調達の問題が最後に煮詰まってきているわけであります。まさに苦労しているところでありまして、いまのままでは何とも形がつかないので、何とか解決のめどを話し合ってみたい。しかしながら、時間は切迫をしておりますけれども、もう一遍、いま通産大臣が言ったように、関係者及び技術者が向こうへ行って話し合うということをやるべきであって、いま解決するのはやや早いのじゃないかということで、せっかく苦労しながら努力をしているところでございます。
  129. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 牛場、安川両代表から現地の模様を聞きました。しかし、私からは、現在アメリカが一体何を要求しているのか、われわれの得た情報に基づいて、第一点は、日米両国の間の貿易の日本側の黒字というものは構造的な問題であるということは、先方は認識をしてきている、しかし、現実の問題としてやはり相当大幅な黒字になるということに関連して、議会筋では、第一点は輸入を輸出よりもふやせ、つまり日本の黒字の解消を積極的にやれ、そのためにはできる限り大幅な経済成長をやったらどうだということ。第二点としては、それがもし達成できないならば、日本の市場をもっと大幅に自由化して開放しろということ。また、そのいずれもができない場合には、議会の一部でありますが、課徴金などをかけることを考えている。それがアメリカ側の、現状に対する基本的な態度ではないかということをわれわれは認識しております。しかし現状は、十月以降、日本の貿易収支の対米関係は顕著に黒字均衡化へ進んでおるわけでありますから、それらの具体的な数字についても資料を配付して、日本の努力をもっと十分に評価してもらうということを言ったわけであります。  問題は、結局安川、牛場両大使の報告だと、政府調達という問題の一点にしぼられてきておるというような話になってきたわけでありまして、私は、そうした問題に対しては、たまたま電電の話が中心であるとするならば、やはり政府としましても、最大の努力を傾けるが、同時に、電電並びに電電を取り巻く業者のグループがございますので、こうしたところの代表をアメリカに送って、その事実、そしてどういう成り行きになっているかということを十分に説明をして、そしてできるならばこの新しいミッションを送って、その中での解決を図るのが一番穏当ではないかということを言ったわけでありまして、郵政大臣もその方向がいいだろうということで現実に発動をしておるというふうに考えます。
  130. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 三大臣のお話と全く同じでございまして、黒字解消という問題が当面の急務でございます。市場閉鎖とばかりは言っておられない時代でございまするけれども、電電公社のお立場もありますからね。しかも専門的な、技術的な問題が多いですから、向こうへ行ってやはり事情をよく説明することが大事でございましょうし、また、電電公社としてはどこまで開放できるのか、そこら辺の詰めも全然いってないわけですから、そういう点についての御検討をお願いした次第でございます。
  131. 安井吉典

    安井委員 そうすると各閣僚は、電電公社のやつはどうしてもオープンにしろということで、一致した意見でその会議で要求をしたわけでもないし、いまもそんなつもりはないのだということなんですか。まず江崎大臣から……。
  132. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり何らかの対応はしなければなるまい。もう一歩も譲らないという形では、これはもう決裂ということになれば関税障壁などなどの問題が出てきて、それこそ重大な事態に立ち至る。私どもの方にもまだちょっと簡単には折れられないようないろいろな品目を抱えておりますが、特にこの政府調達コードをめぐって難航するという報告ですから、そこでさっき提案したような、いまアメリカへ行って、とにかく技術的な説明や理解を求めたらどうだとか、あるいは日本からも円ベースで八十八億円の輸出をアメリカの電信電話会社に出しておるということで、二〇%は公開入札だというから、そうするとそういう実態はどういうふうなのか、これも現実に即して調べてみたらよかろう、こういうことでありますから、やはり問題解決のためにそういう努力を払われたいというわけで、大体そういうことになってくればどう対応するかということはそこの段階で出てくるというふうに思います。
  133. 安井吉典

    安井委員 非常に回りくどい言い方で、何だかわけがわからないような、そういうことなんですが、では、その公社のものについてはいわゆる門戸開放というのはやむを得ぬ、そのためのいろいろな道筋なり問題点を解明していくべきだ、方向としてはもうあくまでしようがないのだ、こういうことですね。
  134. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いま私関連ですからお答えいたしますが、全然譲らないということでは決裂という場面ですね。したがって、どの程度譲歩するかということについては一々われわれが言う話じゃございません。これはやはり電電公社が自主的に判断される話ですね。しかし方向としては、アメリカも二〇%を公開入札にしておるというなら、日本は二〇%いけるのか、いやそんなにいけないのか、これは検討してみる必要がありますね。よかろうということになれば、これはやはりやってもらわなくてはならないだろうと思います。  それからどうしてもということでは、両代表は、これはもう決裂です、後の影響の方が大変なことになって、この経済交渉の本体を失うことになると言っておるのですから、やはり何らかの対応はしていただかなければならぬと思いますが、その判断はこれからの問題だというふうに考えます。
  135. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 電電公社に関連してアメリカ側が一体どんな要求をしておるのか、われわれは余りよくつかんでおらなかったわけでありますから、私が牛場代表等から細かく事前に聞いて理解し得たところを申し上げておきますと、その電気通信関係の、電電関係の本体についてそれを直ちに自由化しろという要求ではないということが第一点です。あと多少考えてもらいたいというのが、第一は事務用品、二番目が将来にわたってアメリカで新しく開発したような、より高度の技術製品ができた場合にはそれができた時点で電電でそれを導入するというような、将来に対する一つの技術開発の、技術の取得という名目での門戸の開放ということが一つある。三番目には電話機とかあるいは電線とかいうようなものについてどの程度技術的に可能なのかというような、大体四つのポイントであるということがわかったわけであります。  したがってわれわれの対応も、全部を直ちに自由化という要求ではないということが理解されたわけでありますから、先ほど申し上げたように、そうしたあとの三つの点について、専門的な知識を持ち、また実際にそれをつくっている業界の代表が行って、それについての話をし、さらにできれば議会筋その他にも、これらの方々が自分の切実な要求としてのお話をしてもらうことが一番いいのではないか。ただ、非常に心配なことは時間がないということでありまして、こうしたことは往々にしてよくあることでございますが、しかしそれくらいの努力を払う必要もあるのではないかというふうに考えております。
  136. 安井吉典

    安井委員 それはもういろいろな言葉の言い回しはありますけれども、しかし、現実にコードにある政府機関の範囲の中に電電公社を入れるのか入れないのかというところからまずスタートするわけですよ。全部オープンにするとか、そんなことはもう余りにもむちゃ過ぎるし、一部にしたって、後で触れるわけでありますけれども、大きな問題がたくさんあるわけであります。したがって、そのコードの中に電電公社を入れるか入れないかということが、まずそこで一つの大きなけじめになるわけですよ。その点はどうなんですか。これは郵政大臣ははっきりその点を入れられちゃったらもうおしまいだというお気持ちで主張されているのだろうと思うが、何か新聞の記事によれば、郵政大臣は資料を振り回してこうだと言うのだけれども、だれもいま見てもくれないで、そして一方の主張ばかり繰り返された。これは私も見てきたわけじゃないし、新聞も見たわけじゃないのでしょうけれども、そういうふうな感じを受ける二十日の会議であったというふうに聞くものでありますから、私は、そのコードの中にどうするのか、その点を伺います。
  137. 園田直

    ○園田国務大臣 外務大臣としての考え方を申し上げますが、いまや日米の経済問題の関係はだんだん切迫しておりまして、すでに政府調達コードの中に電電公社が入って、向こうは国営ではありませんが独占企業に至る企業、こちらは電電公社、そこでいまのままではこれはとうてい解決はできない。したがって、どの程度日本の電気技術を守り、電機産業を守りながらどういうかっこうをつけるかという段階であって、電電公社がこの中に入るということはもうやむを得ざることだと外務大臣は考えております。
  138. 安井吉典

    安井委員 そこなんですよ、大事な問題は。そこが一番の大事な問題だと私は言いたいわけであります。  そこで、運輸大臣もおいでをいただいているのですが、その日の後の閣議の中で、航空協定や原子力協定等も交渉の枠外とせず取り上げるべきだ、公社問題に埋没しては困る、それからアメリカ主導型の交渉では困るという御発言を閣議でされた、こういうふうに伝えられておりますが、森山大臣、どうですか。
  139. 森山欽司

    森山国務大臣 きょうは私がどういうお答えをしたらいいか、まあありのままの話だけ御報告をいたしておきます。これは閣議の発言でございますが、ここに率直に物を申し上げてもそう差し支えないことをしゃべったと私は思っているのです。  それはちょうど二十日の日に閣議がございまして、閣議の始まる前に日米経済関係の閣僚会議が行われました。これは前にも日米経済関係閣僚会議というのはあったのですが、その二十日の日のは、当面の日米経済関係閣僚の会合とかいうので、少し表現が違っておるわけでありまして、日米経済関係だけでございますれば、当面のインバランス、東京ラウンドの問題以外にも範囲があるわけであります。恐らくインバランス問題とか東京ラウンドの締めくくり、当面電電公社の問題等が論議になっているわけでございましょう。したがって私には連絡がございませんでした。で、閣議がまさに終わらんとする段階で、官房長官が閉会を宣しようとした段階で、格別その経過については閣議には報告がなかったのでありますけれども、私から申し上げましたことは、当面日米経済関係については、貿易インバランスの問題、東京ラウンドの締めくくりの問題というような重要な問題があるに違いない、それと並んで日米航空交渉の問題、日米航空界に低運賃政策の問題、いろいろいま問題があるわけでございますから、そういう日米航空交渉の問題、あるいは日米原子力協定の問題が当面の問題に埋没されずにあるということを念頭に置いて御処理願いたい。承るところによれば、正式に決まったわけではないでしょうけれども、総理、外務大臣がアメリカの方にも四、五月行かれるといううわさも聞いておるので、そういう際に当面の問題の御処理もさることながら、そういう問題もあるということを念頭に置いてお出かけ願いたいということを念のために、御如才なきことながら申し添える、こういう意味で申し上げたわけでございます。  それと、もう一つは、アメリカがかなり強気で当面の問題を迫っておることは事実のようでございますので、こちら側からも言い分がないだろうか。先般、竹村健一さんという評論家の方が、アラスカの石油をもっと日本に入れることができるのではないかというようなことをテレビで私ども聞いたものですから、通産大臣にアラスカから油を入れるようなことになれば、これは貿易のインバランスの解消には相当役に立つのではないか。しかし、私は専門家でもありませんから、通産大臣にそのことを御検討を願いたいという発言をしたわけで、新聞には何かえらい強い表現でありますが、向こうから言われるだけじゃなくて、こちら側もそういう点で要求できる点があったら要求したらどうでしょうということを、私の主務事項ではございませんから、一国務大臣の立場で感想として申し上げたわけであります。そのことは、私も十分検討しての発言ではございませんが、そういう問題もあるということを念のために申し上げた、そういうことでございます。
  140. 安井吉典

    安井委員 私も森山さんと意見の大分違うこともあるのですけれども、しかし、アメリカ主導型の交渉では困るというのは、これは私も気に入って握手したいところだと思います。やはり閣議の中でも関係閣僚会議でも、私はその基本的な精神というものをバックボーンにきっちり持ってやっていただかなければならぬところではないかと思います。  そこで、運輸大臣のおいでの機会にちょっと一つだけお尋ねをしておきたいのは、暮れの十二月の十三日の、これは北海道新聞の投書欄に、太平洋沿海フェリーの船で身体障害者の人が苫小牧から仙台まで行ったわけでありますが、そのときに車いす、これは自転車と同じ扱いだというので、行きが千五百円、帰り千五百円、合わせて三千円の料金を取られた。車いすというのは身体障害者の足と同じものではないかという抗議の投書であります。私もこの投書を見て、すぐに衆議院の調査室を通して運輸省の方に対策をお聞きしていたわけでありますが、ところがその後また投書があって、これは十二月二十七日の日の投書でありますけれども、フェリー会社が車いすの料金は今後取らないことに改めて、二十五日、さかのぼって、そう決めましたので、土井さんという人でありますけれども、三千円の料金をお返しします、そういうことで、めでたしめでたし、こうなったわけです。  ただ問題は、運輸省が船に、全体に対してお決めになっている標準運送約款の中にその点が明記されていないわけです。だから、身体障害者の車いすからお金を取ってもこれは別に違法とはならないような、そういうあいまいな書き方でしかないものですから、やはりこの標準約款そのものを改定しなければいけないのじゃないかということなんです。その点についてもお話を進めておりましたら、どんどんその約款の改定への話が進んでいるということを聞くのですが、やはり大事な問題だと思います。一つ一つのそういう問題を解決することが大事な問題だと思いますので、この点、この際明確にしていただきたいと思います。
  141. 森山欽司

    森山国務大臣 閣議における私の発言は先ほど申し述べたとおりでございまして、今日行われている日米交渉がアメリカ主導型で日本政府が追いまくられているということを私は指摘したわけではございませんから、(「そのとおりだよ」と呼ぶ者あり)いや、そういうことを私から申し上げたわけではございませんから、その点は念のために私からこの際明らかにしておきます。  それから、ただいまお話しありました車いすの件につきましては、海運局長の方からお答えいたさせます。
  142. 真島健

    ○真島政府委員 お答えいたします。  ただいま先生からお話のございました点、まさにおっしゃるとおりでございまして、私どもも標準運送約款の改正作業、これを早急に進めまして、大体今月中には身体障害者の方が車いすを使って乗船をされる場合、その車いすについては無料とするという規定をはっきり置くことにいたしまして、二月中にはこれを改正いたしまして各事業者を指導してまいりたいと思います。
  143. 安井吉典

    安井委員 これはもう長い間ずっと取られていた人がずいぶんいるわけでしょうね。しかし、きちっとしてもらったのはいいことだと思います。運輸大臣はもう結構です。  そこで、いよいよ大事な問題点に入っていこうと思うのですが、江崎通産大臣に伺いますけれども、いま世界の先進国の中で電気通信の事業について外国に公開入札をやっているところの国はどことどこですか。――局長じゃなしに、大臣の認識をいま伺っているわけです。おわかりにならなければ、ならないでいいです。
  144. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ほとんどの国が民営に移管されておるというふうに聞いておりまするが、国営などでやっておるところも、もちろん統制国家にはありましょう。しかし、いまは特にアメリカとの対応ですから、さっき申し上げたように八十八億わが方も売っているのですからね。ですから、わが方は売る、向こうが買ってくれと言うときには全然買いません、これじゃ相対的な話になりませんな。(安井委員「経営形態を聞いている」と呼ぶ)だから、政府委員会から答えさせます。
  145. 安井吉典

    安井委員 いや、結構です。  それでは、経済企画庁長官、ヨーロッパの主な国は大体国営あるいは公社営的なものが多いわけでありますが、それらにおいても競争入札を採用していますか、どうですか。
  146. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 一、二割は開放していると思います。
  147. 安井吉典

    安井委員 外務大臣、どうでしょう。外国に公開入札をしている国は、どことどこでしょう、もう一度伺います。
  148. 園田直

    ○園田国務大臣 残念ながら存じておりません。
  149. 安井吉典

    安井委員 大蔵大臣どうですか。
  150. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 存じません。
  151. 安井吉典

    安井委員 だから、私がここで申し上げたいのは、いままで政府の中でいろいろ議論されているのは、アメリカとの貿易均衡の観点からだけなんですよ。だから、いわゆる電電事業についての本質論にわたって少しの議論も行われてないで、閣僚会議というのは大臣が御出席でディスカッションされるわけでしょうから、その大臣がみんな御存じないわけですよ。恐らく、郵政大臣の肩を持つわけじゃないが、何か説明されたかったのだが、余り聞いてくれないものだから、わかったわかったと――この間の江崎さんの答弁を調べてみますと、もういろいろな問題があるのは「百も承知の上で、」と、こう言われております。しかし、お聞きしてみたら、その経営形態の問題等について何にも御存じなくて、単なる貿易の問題の中から、貿易収支の均衡、これは重大な問題です、それは間違いありませんけれども、その観点だけで問題を処理しようとするところに大きな問題があるのではないか、私はこう思うわけであります。  世界の国々の、これはどっちがいいのですか、郵政大臣か、公社の総裁の方がいいかと思いますが、郵政大臣、いまいわゆる競争入札というのをとらないで随意契約をやっている国、その状況をひとつこの際お話しください。
  152. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 私も今日までの経過でいろいろ調べたところを承っておったわけでございますが、これは間違っては大変でございますので資料で御説明申し上げますと、フランスがやはり逓信省でやっておりまして、業者の指定方式をとっておりますし、西独連邦の方でも逓信省で随意契約でやっております。スイスは、これは随意契約、指名競争契約というふうな方途をとっておりますし、英国は電信公社というのでしょうか、電話公社かしれませんけれども、随意契約をやっている。スウェーデンにおきましては、これは随意契約あるいは見積もり単価契約方式、そうしたことをとっておるわけでありまして、アメリカのATTについてはいろいろと話題になっておりますし、私どももいろいろ承りますと、これは大半の、独占的とも言われるぐらいに大きな会社であることは、私よりも皆様方が御承知でございましょうが、一〇〇%子会社の会社から、八五%ぐらい買い入れているというふうなことで、日本からも電話機その他が行っておると申しましても、アメリカの方で必要とするものを日本に注文してきて買い入れているという方式をとっておるようでありまして、私ども、そういうふうな経過から見ましても、今度の問題は慎重に対処していただきたいということで去る二十日の会合にもお願いをして、関係閣僚の御理解を得て、そうして何度でもひとつ検討してみようではないかということに相なったことでございますから、御理解をいただきたいと思います。どうもありがとうございました。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 安井吉典

    安井委員 まだお礼を言っていただくのは早いのですが、ジョーンズ報告などを見ても、それからまたあなた方、安川代表なり牛場代表なりの交渉がいろいろ行われている、その状況から見ても、電電公社というものの本質論なしに、ただ随契をやめろやめろ、オープンにしろ、そういう側面だけが強調されて、それに対して向こうから言うんだからしようがないと、そこだけで太刀打ちしているわけですよ。  私は、電気通信事業というもののそういう特殊な性格があるということをもっともっとアメリカに反論しなければいけないと思う。アメリカは、それじゃどうして英国に対して、フランスに対して、ドイツに対して、公社への入札をオープンにしろという要求をしないのです。日本にだけしているわけですよ。それが日本の最大の貿易不均衡の悪だと言わんばかりの言い方をこのジョーンズ報告の中でやっておりますね。私も読んでみてびっくりした。ですから、その辺を明確に反論できるようなことでなければ、これは交渉にも何にもならぬのじゃないか。  ヨーロッパの方じゃ、情報通信産業というのは軍事的な意味合いもあるわけですから、それだけに外国は入れない、そういう仕組みでどこもここもやっているわけです。ECの中でも国産が主体であって、それでもし足りなくても域内の産業に依存をしていく、そういう仕組みだということも私は聞いています。そういうことを労働組合ときちっと約束をしているところもあるのです。それは雇用の問題にひっかかってくるわけですから、そういう実態を明確にする中から、この問題への取り組みというものが始まっていかなければならない。これがスタートなんですよ。このスタートを忘れて、いや、黒字だからあれだから、それじゃとにかく電通をやってしまえ、こういうようなあり方に根本的な疑問を感ずるわけです。そのことを御存じない大臣が話し合いをしたって、うまくいく道理はないのじゃないか、私はそう思うわけです。  ですから、貿易の均衡を図るということも非常に大切なんですが、しかし電気通信事業の本質をしっかり守るということも大切なんですよ。そのどちらが大切かというウエートの関係になると、貿易の均衡は来年になったらどうなるかわかりませんよ。さっき小坂さんがおっしゃいましたように、これは十月ごろから様子が変わってきているという短期的な問題なんです。その短期的な問題で電気通信産業という国家百年の大計まで覆してしまうようなそういう考え方は、私は、根本的に考え直す必要があるのではないか、そう思うわけです。どうでしょう、外務大臣。
  154. 園田直

    ○園田国務大臣 ヨーロッパの国々のほとんどが国営企業でありますが、その中にもオファーをしている国はスウェーデンその他一、二カ国あるわけであります。  いま相手にしているECの問題でありますが、ECがやらぬのに日本だけやるのはおかしいじゃないかという話もありますけれども、国営と企業の関係、それからECとアメリカの関係は資本その他の関係で日本と大分違っております。ECでは現地で小さい企業その他から品物を納入しております。日本の方では、いまおっしゃった黒字の問題もありますけれども、〇・五%しか買っていない。日本の方は向こうへ売っているわけであります。そういうことで、ヨーロッパと日本とそのまま適用するわけにはまいらぬ、こういうことでございます。
  155. 安井吉典

    安井委員 私は貿易の量の問題だけを言っているわけじゃないのですよ。電気通信という事業の中に外国の企業がどんどん勝手に入るような、いわゆる門戸開放だなどという仕組みをやっている国はないわけですから、そこに問題がある、その本質を忘れた交渉はだめだ、そう言いたいわけです。  そういう中で、またさっきの平林委員の言われていたこの間の質疑が問題になってくると私は思うのですが、とにかく国会の答弁は何とかかんとか、そこだけすり抜けていけばいいのだというふうなことで、当たりさわりのないようなことを言っている。しかし翌日の会議に行ったら、まるでもうそれとはあべこべのような発言や行動をなさる。そういうような事態そのものが、われわれがここで、国会で幾らこんなことを議論したって何にもならぬのじゃないかという感じを私は受けてしまうわけです。それはこの前の速記録を見ましても、通産大臣は「われわれは百も承知の上で、この苦しい状況を排除しながら交渉しておる。これはもう十分努力をしておるわけです。なお今後とも努力を継続したいと思います。」そうおっしゃりながら、もうコードの中には電電公社を入れているのじゃないの。そういうような態度を私は許すわけにはいかぬと思うのです。どうですか。
  156. 園田直

    ○園田国務大臣 この前の江崎答弁については私に責任がございますから、一応経緯だけを聞いていただきたいと存じます。  江崎通産大臣から私に、あすの経済閣僚会議では電電公社の問題、政府調達の問題やるのか、こういう話があったから、そういうことをやってはならぬ、向こうとの折衝の面から言っても、早くそういうことを議論して政府の態度を打ち出すということは賢明じゃない、だから、あしたはなるべくそういうことはやらぬように、あしたは出すまい、こういうことを言いましたので江崎発言となったのでありまして、私はそういう面から江崎さんにそういうことを言ったわけでありますので、その責任は私にございます。(「だれが議題に出したのか」と呼び、その他発言する者あり)内閣の方で出したわけでありますが、私は、そういう問題は早目にやっちゃいかぬ、なるべくかせいだ方がいいと、まあ、そういうことで江崎さんに、そういうことはありません、こう言ったわけでありますから、江崎さんの発言されたことは私に責任があるわけでありますから、お許しを願いたいと思います。
  157. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 外務大臣からお話がありましたような経緯で、心ならずもでして、井上さんには個人的には了解を求めたわけですが、こういう公式の場ですから、先ほどから、これはまさに間違いでありましたということを御了解願っておるわけであります。  要するに、あの場面としては、にわかにその問題に二人の特派大使が集中して、このままでは困ったというところからこの話題に入っていったというのが、私自然な表現ではないかというふうに思います。
  158. 安井吉典

    安井委員 それはおかしいですね。私どもは納得できませんね。  それともう一人、行管庁長官も先ほどお待ちいただいておりますので、ちょっと伺っておきますが、最近この電電公社に、時でもないときだが、とにかく繰り上げて監査に入るということをお決めになったという報道がありましたが、どうですか。
  159. 金井元彦

    金井国務大臣 明年度の監査の計画を立てております、その中に入っております。特に繰り上げてどうこうということはございません。
  160. 安井吉典

    安井委員 それならいいのですが、ただ新聞の報道の中に、いま繰り上げてやるような意味の報道があったものですから、私はちょっと回して考えたのかもしれませんが、随意契約というのにいろいろ欠陥が伴うのは、私は当然だと思います。そういう問題は、やはり電電ファミリーだとかなんとか言われて何かあるのではないかという、そういう国民の疑惑がもしあるとすれば、それは行管で、あるいはその他の手できちっとしていかなければいけない。これはふだんからやっていかなければいかぬことですよ。  ただ、いま公社の入札を公開にするのか、いまの随契でいいのかどうかという議論をしているときに、行管で入りますという、そういうことを示すことで――これも閣僚会議でだれか発言してそうなったのかどうかこれはわかりません、私はわかりませんけれども、そういうことの中でいまの随契をやめなければならぬということで、内からあいくちを突きつけて、だから公社はだめなんじゃないかという、こういう言い方をしようというような意図があるのではないか、私はその点を恐れるわけであります。そういうようなやり方は困りますよ。どうですか。
  161. 金井元彦

    金井国務大臣 私も新聞記事で両者をくっつけたような記事を見たのでございますけれども、これはもう前から計画があることでありますし、御承知のように、電電公社につきましては以前に一度監査をいたしました。これは電話料の問題、それから人員の問題等についていたしました。引き続き、今度は資材についてやろう、こういうことでございまして、この問題に結びつけてどうこうということは、われわれの方で考えているわけではございません。
  162. 安井吉典

    安井委員 これは通産大臣に伺いますが、アメリカがこんなに電電公社の問題にばかりかかずらわって、ほかの国には要求もしないことを日本の電気通信事業にばかり強力に刺さり込もうとしているのには、何か底意があるのではないかというふうに私は思うのですが、どういうふうにとらえていますか。
  163. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ジョーンズ報告や両特派大使の報告でわれわれは判断するよりしようがないわけですが、電電のこの問題を日本の市場閉鎖の代表的なものであるというわけで、非常に悪感情で議論しておることだけはよくわかるわけであります。そういうことが、さっき申しましたように、オレンジや牛肉の場合もあったように、もうちょっと議員諸君に実情を説明しに行ってもらったらどうだということにもなったわけでございます。  それから一番大きな根本の原因は、私どもの方では通関ベースで百十億ドルと言っておりますが、アメリカ側の百十六億ドルの日米の貿易インバランスの問題が大きな背景になっておるという認識をしております。
  164. 安井吉典

    安井委員 私は、ただそれだけではなしに、とにかくジョーンズ報告などを読んでみますと、まさにアメリカの航空機の売り込みをやっているときと同じようながめつさが、そういう商法が裏に見え見えだと思います。  今度の場合も貿易の均衡ということが主要な目標に据えられて、そのことによって、本来どこの国もやっていないような電電公社の中に風穴をあけようという、そういう動きをやっている。これはP3C、だとかE2Cだとか、それと同じようで、あれもやはり貿易均衡論ですよ。貿易均衡論で飛行機を買えというので、ありとあらゆる権謀術数を繰り返した中で、とうとう日本は買わされてしまった。そのことによって数々の疑惑が生まれてきているのは御承知のとおり。ですから、そういうふうな権謀術数の中でおろおろしていては、私は交渉なんかになるわけがないと思う。やはり腹を据えて、向こうの方はめちゃくちゃやるのだから、それに対して闘うという姿勢がなければ、これは私はだめだと思う。もう航空機汚職のような、もちろん政府高官が裏に介在しているなんというようなことはないと思いますが、つまり、これもやはり例の白紙還元ですよ。国産でいっているやつを変えろというのですから白紙還元だから、よく似てくるわけでありますが、そんなばかなことは私はあるとは信じませんけれども、しかし、貿易の均衡論というものを振りかざしながら、一番大事な電気通信のエレクトロニクスのそういう産業を大変な目に追い込んでしまおうという、その本質をきちっととらえて対応してもらわなければいかぬと思います。  そういうような意味合いにおいて、二十日の日、前日の審議の中でそういう重大な議題があったのを、国会の中でいいかげんな表現をしながら、適当に言いながら、翌日はもうすばっと切りかえて方向をきちっと出す、そういう方向に行ったということは、これは私は納得できません。ですから、その二十日の会議においていろいろ方向づけで、この電電公社のやつは前向きにやるとか、あるいは公開入札の方向で行くとか、そういう方向づけでもおやりになったのだとすれば、私はこれは白紙に還元していただきたいと思います。その二十日の日の方針だけは明確に変えていただきたい。そのことをここで強く要求して、その御答弁をいただきたいと思います。
  165. 園田直

    ○園田国務大臣 二十日の閣僚会議では、そのような決定はいたしておりません。先ほど外務大臣が言ったのは、外務大臣の立場から考え方を言っただけであります。  なおまた、この問題をめぐって航空機等のような不正な事件が起きないように十分注意します。そういう話があったら直ちに会議をして、恐ろしいから皆さん方に報告をすることにいたします。
  166. 安井吉典

    安井委員 それなら、やはりそのときの会議録もお出しいただきたいと思います。そして、そういう中で、あの日の方向というのは、われわれが伝えられているようなものをここで資料として出していただきたいし、そのことを白紙に還元するということがない限り、私はさらにこれ以上審議を続けるということについてはできないと思います。  それからなお、郵政大臣がお配りになった資料もわれわれにもお見せください。
  167. 園田直

    ○園田国務大臣 会議の議事録については、私の所管ではございませんから、ここでお約束はできません。私が覚えておりますことでは、間違いありませんけれども、劈頭に郵政大臣が、本日の会議は方針を決定するものではないなと念を押され、さらに終わる直前にも郵政大臣がその点は念を押しておりますから、方針を決定したものじゃないことは明瞭でございます。
  168. 大出俊

    大出委員 これは議事進行に絡みますから、私が発言しますが、私も井上君の質問を聞いていましたが、江崎さんが園田さんに耳打ちをされた。園田さんがお答えになった。その上でさっきの話になったのですね。  先ほどの話を議事録に見る限りは、翌日の閣僚合同か閣僚会同か、どういう名をおつけになったか知らぬけれども、そこの中身とは違う。だから、これはその意味では食言だと私ども考えている、相談もしましたが。だから、その会議の主宰者がだれかわかりませんが、聞くところによると官房長官だという。それなら、きょう御出席を先ほど追加をしましたが、間に合わぬそうでありますから、御出席の皆さんで官房長官を含めて御相談をいただいて、会議の中身は一体どうだったのか、これは食言と絡むんだから、予算委員会なんだから、お出しをいただきたい。あわせて、郵政大臣がお配りになったという資料も出していただきたい。そうでなければ審議はできませんから、その回答をいただいて、あとの審議は保留します。
  169. 園田直

    ○園田国務大臣 いまの御発言の中に、江崎通産大臣の食言という言葉がありましたが、食言の責任があるならば、その責任は外務大臣に御追及を願いたいと思います。私の責任であります。
  170. 竹下登

    竹下委員長 江崎通産大臣。
  171. 大出俊

    大出委員 いや、江崎さんいいですよ。それじゃお二人の責任だ。それは両食言だ。だから、中身をきちっと出してください。それを見せていただかなければ、どう食い違っているのかわからぬでしょう。そんなことは一切議題にしないとおっしゃったんだから。いいですか。
  172. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 事情はもうさっきのとおりですから繰り返しませんが、これはあすあるかないか、主管者が一応外務大臣ですからお尋ねしたというわけです。そこで、さっき釈明があったわけです。それで私、実情を率直に申し上げたわけですが、二人の特派大使が全く困ったということでその事情を言えば、そこでやはり議題にならざるを得なかったというのが、会議の自然の成り行きでありまして、決して軽視して、たくらんで物を言ったわけじゃありませんので、まあ食言などとおっしゃらないで、ひとつこれは御了解を願いたいと思います。
  173. 大出俊

    大出委員 たまたま悪意がないとしても、議事録に残っているんだから、そういうわけにまいりません。したがって、資料をお出しください。中身の議事録をお出しください。
  174. 竹下登

    竹下委員長 ただいまの会議録ないし資料提出の要求につきましては、後刻理事会で協議をいたすことにいたします。  これにて安井君の質疑は、保留分を除き一応終了いたしました。  午後一時四十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ────◇─────     午後一時四十二分開議
  175. 竹下登

    竹下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。三谷秀治君。
  176. 三谷秀治

    三谷委員 私は、五十二年三月の当委員会で、公社、公団、特殊法人の運営の実態と、ここへの天下り官僚の不当な処遇についてお尋ねをしました。これに対して政府は、ほぼ認識を等しくするという態度を表明されまして、改善を約束されております。しかし、それ以後二年たちましたが、今日この約束はほとんど履行されておりません。これは国民を欺瞞するもはなはだしいと、私は非常な憤激を覚えておるものでありますが、これに対する担当大臣の所見をまずお伺いしたいと思う。
  177. 田中六助

    田中国務大臣 天下り、つまり特殊法人の人事の件についてのお尋ねでございますが、政府は、御承知のように前内閣昭和五十二年十二月二十三日に閣議決定をいたしまして、趣旨としてはそれを実行しておるつもりでございます。と申しますのは、特殊法人は、御承知のようにもともと国が行うべきある事務を代行して行っておるという関係上、国の行政機関にタッチしておった人々の経験それから識見、そういうものを必要とする場合が特殊法人には当然あるわけでございまして、したがって、そういう国の行政機関にタッチしておる人々が特殊法人に天下るという表現ではなくて、そういう経験を生かすということで従事する場合がございます。しかし、そういうことばかりを言っておりましても、あなたの御指摘の点も十分批判を受けるところがございますので、私ども政府としては、その点も考えながらやっておる次第でございます。
  178. 三谷秀治

    三谷委員 五十二年の十二月二十三日に「行政改革の推進について」の閣議決定が行われております。この閣議決定事項といいますのは、実質的には、その前の閣議口頭了解事項というのがあります。これは四十年でありますが、何ほどの前進もしてはおりません。しかも、この閣議決定事項が実行されたかといいますと、そうではない。当委員会における大臣の答弁は記録に明らかでありまして、ただいま資料を差し上げましたが、この二ページに抽出しております。福田総理大臣は、公務員の定年が延長された形であって、そういう形が公社、公団の人事で出ておる、つまり公務員の定年延長という形になっておるからこれは好ましいものではない、こういうことをおっしゃっておる。それから坊大蔵大臣も、福田内閣のもとで真剣に検討するとおっしゃっておる。園田官房長官は、「国家業務を代行すべき同じ系統の公団、公社等で、退職して退職金もらって次の特殊法人に就職するなどという例もございます」と、好ましくない例がございます、「この待遇問題は、所管大臣に認可を受ける」ことになっており、「認可をする際には大蔵大臣に協議することになっております。したがいまして、ただいま総理大臣が言われましたので、各大臣と御相談の上、十分」「御趣旨が徹底するようにしたい」こういう御答弁でありました。これがどのように徹底をし、改善されたのか、まことに不可解と言わざるを得ません。ただ、退職金につきまして若干の低率化がなされました。しかし、これとても一般公務員と比較しますと大変な格差があるのであります。こういう状態で、この委員会の大臣答弁等を見ました場合に、果たして公約が実現されたのかまことに疑問でありますが、いかがでしょうか。
  179. 田中六助

    田中国務大臣 お答えいたします。  福田前総理、それから坊前大蔵大臣、園田前官房長官が、いま三谷委員がお読みのようなことをこの委員会で御答弁しておりまして、私どもも、その趣旨はそのまま受け継ぎまして現在やっておるわけで、ただいまの五十二年十二月二十三日の閣議決定の中にも、三谷委員御承知のように、できるだけ民間から幅広く採用するとか、あるいはそれは新人を幅広くとるということでございましょう、それから年齢の制限、そういうようなことを含めまして閣議決定しているわけでございます。その趣旨にのっとって、私どももあくまでこの原則は守っていくという方針でございます。
  180. 三谷秀治

    三谷委員 閣議決定は私も拝見しておりますが、これが具体に実践されていないというところに問題があるということを申し上げておるのであります。たとえば、大平さんは安上がりの政府ということをおっしゃっております。そして、不当な歳出を見直して斧鉞を加える、こういうことをおっしゃっております。そういうことを言いながら、特殊法人については不合理がそのまま放置されております。  その一つは権衡を失した俸給であります。このことを指摘しました当時、つまり五十二年におきましては、大規模特殊法人の総裁、理事長の給与は九十四万円でありましたが、これは当時の官僚機構の最高と見られます各省事務次官の俸給七十一万八千円と比べましてはるかに高額なものであります。これが今日どのように変化したかと申しますと、この九十四万円の大規模特殊法人の総裁、理事長の給与は百万五千円に上がっております、昇給しております。そうして事務次官の七十八万八千円あるいは東大、京大学長の八十一万円をはるかに凌駕するものになっておるのであります。この閣議決定事項によりますと、特殊法人の役員の給与というものは抑制ぎみにする、これも大変あいまいでありますけれども、抑制ぎみにするとなっております。この閣議決定というものが具体の姿におきましては少しも実践されていない、むしろ逆になってきておる。このことは一体どういうことなのでしょうか。閣議決定といまの実際の処置との関係を御説明願いたいのです。
  181. 田中六助

    田中国務大臣 具体的な数、それから俸給、そういうものについては事務当局に答えさせていただきます。
  182. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  特殊法人の役員の給与につきましては、その法人の規模その他によって幾つかのランクがございます。ただいま御指摘の、B級の公団の総裁九十四万円という例をお挙げになられましたけれども、全体といたしまして私どもは抑制ぎみに考えておりまして、改定前と現行とを見ますと、たとえばC級の理事長は八十一万円から八十七万円になっておりますが、八十一万円のときには東京を除く高裁長官と並んでおりましたのを、現在ごくわずかでございますがそれよりは下げておる、それからB級の理事長七十四万円、これが七十九万五千円になっておりますが、これも七十四万円のときには東大、京大の学長と並んでおりましたけれども、現在わずかではございますがそれよりも下げておるということで、特殊法人の役員の給与につきましては、広く公務部内のバランスと、それからまた、独立組織体として仕事をいたしております関係もございますので、民間の給与の実態とその両方をにらみ合わせて、でき得る限り適正な水準に落ちつけるように努力をいたしているつもりでございます。
  183. 三谷秀治

    三谷委員 私はいま大規模法人の例で申し上げましたけれども、中規模法人、小規模法人といいますものは、この役員というものは、役員に転出しましたときの役職があるわけでありますから、それぞれに若干の差があることは間違いがありませんが、それにしましてもいかほどの差があるのかという点であります。  これは差し上げました資料の三ページをごらんになっていただくとわかりますけれども、三ページの下段の五十年度から五十一年度にかける上昇率、それから五十一年度から五十二年度にわたる際の上昇率、これを下にあります公務員と比べてみますと一体どうなっておるのか。国家公務員一般職の上昇率というものは昭和五十一年度、五十二年度にかけましては六・九二%でありましたが、その点から見ますと、確かに副総裁、副理事長は若干下がってきている。これは六・六七%でありますから若干低くなっておるわけであります。これは突っ込みにした統計であります。低くなっておりますが、しかし、これもそれだけであって、あとの理事とか監事とかいうのは、これはすべて公務員の平均上昇率を上回っております。公社、公団役員の給与といいますものは平均しまして七・五%の上昇率になっている。しかし、公務員の場合ですと六・九二%でありますから、全体として見ますと、依然として抑制ぎみではない、依然として上昇をたどっておる、こういう状況になっておるのであります。こういう状態に給与が置かれております。  それから、退職金は確かに若干の率の切り下げが行われました。これは従来と比べますと、従来一年に対して四・八でありましたか、それが一年に対して三・六になったと思いますから、幾らか切り下げになりましたけれども、しかし、これは公務員と比べますと全然比較になりはしません。たとえば一般公務員の退職金といいますものは、勤続一年について一カ月が基準になっている。長期勤続者で一・二カ月であります。ところが、公社、公団、特殊法人の場合ですと、閣議決定で若干下げたとはいえ、勤続一年につき四・三カ月分であります。これが基準になっている。しかも、これは一般公務員の退職金を受領した後の処遇であります。つまり、一般公務員と比べまして五倍以上の退職金が支給される、そういう状況になっておるのであります。  これは、差し上げました資料の五ページを見てください。五ページの下段に「退職金月数の比較」というのがあります。在職一年の場合ですと四・三二倍の差がある。在職五年の場合ですと五・二二倍の差が出てきておる。在職十五年になりますと五・七三倍の差が出ております。つまり、一般公務員と比べまして特殊法人の役員というのは五倍から六倍の退職金を受領する、こういう制度になっておるのであります。  一体退職金とは何か。これが通説で言われますように老後の生活保障説をとりますならば、公務員として退職して退職金を取って、つまり老後の保障を受けて、そして特殊法人に移りまして、公務員当時と比べまして五倍から六倍、実際には給与が違いますからもっと差がついております、実際には八倍から九倍の差がつくわけでありますが、そういう退職金を出すとなりますと、要するに老後の生活保障を二重に受ける、こういう計算にもなってくるのであります。おまけにこの方たちは百五十万円から百八十万円の年金をおもらいになっておる。高額停止はありますけれども、そういう制度になっておる。そうしますと、一体老後の保障を何重にするわけなんですか。こういう不合理がいまだに続いておるのであります。この点につきまして一体どうお考えなんでしょうか。
  184. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、公社、公団等の特殊法人につきましては、その役員の待遇については、公務部内のバランス、それからその仕事の性格、内容から申しまして民間の企業とのバランス、その両方をにらみながら適正な水準を求めておるわけでございます。  ただいま御指摘の退職金につきましては、人事院に依頼をいたしまして、民間企業役員の退職金の実態調査を行っていただきまして、その調査等に基づきまして五十三年度に、先ほど御指摘がございましたような従来の支給率を二〇%カットする、こういうことで引き下げを行った次第でございます。
  185. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、特殊法人の役員の退職金というのは、企業会社の重役の退職慰労金を基準にして決めた、こうおっしゃるわけなのですか。
  186. 長岡實

    ○長岡政府委員 民間の企業の役員の退職金を一つの参考にいたしまして決定をいたしております。
  187. 三谷秀治

    三谷委員 それは一つの参考とすること自体に問題があるのであって、これは総理大臣もおっしゃっておりますように政府事業の延長でありますから、そこに退職金だけ民間企業ベースを持ち込んでくる、民間企業ベースといいましても、民間の一般労働者じゃないのだ、民間の重役なのだが、その重役の給与や重役の退職金のベースを持ち込んでくるという発想は一体どこから出てくるのですか。この特殊法人といいますものは、政府事業というものを代行するものであって、そして政府機関と等しいものである、それに類するものであるということをしばしば福田前総理もおっしゃっておるわけでありまして、そういう点から申しますと、ここで民間企業と申しましても恐らく中小企業じゃありますまい。大企業の重役ベースの退職金だとか給与を持ち込んでくるという根拠はどこにあるのか、まことにこれはけげんに思えるわけでありますが、承りたい。
  188. 長岡實

    ○長岡政府委員 特殊法人の行っております業務の内容は、もちろん公共性等の強い仕事でございますけれども、国家が直接やっておるいわゆる国家業務とは若干性格を異にいたしております。その公共性、特殊性の強い業務を特に機能的に実施するために、特殊法人が設けられたものと理解をいたしております。  したがいまして、その法人の役員たるものは、結局ある特定された任期内においてその法人の経営に対して重要な責任を持たされるわけでございます。また、それに必要な知識、経験の豊かな人材を求めなければならない。ある一定の任期の間その法人の経営に対して責任を持つという点におきましては、やはり民間企業の役員と共通するものもあろうかと存じまして、そういうものを参考にして決めておる次第でございます。
  189. 三谷秀治

    三谷委員 民間企業の重役の待遇を基準にするとおっしゃっておりますけれども、これは純粋な民間企業じゃないでしょう。資本を出し、そして経営権を持って独自に事業をやっていくという性質のものじゃないでしょう。これは膨大な財政投融資というものに依存をして、そして国家事業の代行をするという性質のものでありまして、これは民間企業よりも、むしろ政府事業という方に近いものであることは言うまでもない。そうしますと、一体一般公務員の待遇はどのように参酌されましたか。一般公務員の給与や退職金というものは、この中にはどのように参考とされて採択されておりますものか。いま、恐らく大企業の重役のベースだけを参考としておられるようでありますけれども、そこはどうなのでしょうか。
  190. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  先ほど私がお答え申し上げました民間企業の退職金の実態調査というのを人事院にお願いを申し上げましたその対象は、大企業だけではなくて中小企業等も入っております。  それから、国家公務員とのバランスの問題でございますが、給与の水準の決定等につきましては、先ほど来御指摘がございましたように、特殊法人の役員が事務次官の給与よりも高いといったような点もございましたけれども、やはり公務部内においてのバランスを見ますときに、規模の大小はございますけれども一つの独立した企業体の責任者であるという点に着目し、他の公務部内の給与の水準をにらみながらバランスをとって決めておるものと考えております。
  191. 三谷秀治

    三谷委員 そういう考え方は、国民は絶対納得しませんよ。なるほど特殊法人というものが政府そのものではないことは確かです。御承知のように、高度経済成長の過程におきまして、行政事務を政府事業の形態で執行をする形が強まってきた。そこで一般会計の仕事が特別会計の事業に移される、特別会計の事業が公社、公庫に移される、公社、公庫の事業が公団、事業団その他の特殊法人に移管される、そういう経過の中で政府事業というものが分離していろいろな形で執行されておりますけれども、しかし、基本は政府事業でありまして、これは民間の普通の企業体ではないわけであって、それを普通の企業体の重役の給与やあるいは退職金ベースをここに導入してくるという考え方自体が問題なんだ。そうして福田前総理も、公務員の定年の延長の形で好ましくないとおっしゃっている。つまり公務員の定年を延長して民間会社の重役にしてしまう、そういう処遇というものは国民は絶対に納得するものではありません。少なくとも公務員の水準程度のところでありますならばまだしも納得がいくでしょうけれども、退職して退職金をもらって、そして特殊法人に移りましたら、今度は大変俸給も上がれば退職金も数倍になるというふうな処置というものが、一体今日国民が納得できる処置なのでしょうか。そうしなければ人材が確保できないという根拠はどこにありますか。
  192. 長岡實

    ○長岡政府委員 若干推測が入りますのでお答え申し上げるのはいかがかとも存じますが、特殊法人が生まれてまいりました歴史を振り返りますと、役員には広く民間からの人材を活用する、したがって、民間の給与に比準ずるといったような考え方が基本的にあったのではないかと思います。ただ御指摘のように、常日ごろ天下りの御指摘を受けますように、現実の姿は公務員のOBが大半を占めておる、そういったようなことから数回国会で御指摘を受けまして、次第にそういう点の訂正を行いながら、先ほど来申し上げましたように、民間の役員の給与なり退職金だけを基準にはいたしておりませんで、公務部内とのバランスをとりながら今日に至っておるというのが実態であろうかと存じます。
  193. 三谷秀治

    三谷委員 公務部内のバランスが全くとれていないから問題になっている。とれておればいいのだ。とれていないということを先ほどから計数を示してお尋ねしているわけであって、公務員をやめた途端に待遇がすっかり変わってしまうという状況がまことに面妖なのだ、そういうことをお尋ねしているわけであります。そうしてあなたのおっしゃいますことを聞いておりますと、前回の予算委員会で福田内閣が答えました答弁に、公務員の延長の形で好ましくない、あるいは同じ系統の公社、公団を退職して、そして退職金をもらって次の特殊法人に就職するというふうな例もあって好ましくない、こうおっしゃっている。この前回の予算委員会の政府答弁とあなたの説明は全然違っているじゃないですか。前回そんなことを言っていない。全般としてはよくない、是正しなくちゃいけない、これが答弁でありました。あなたはいま盛んに強弁をして、この不合理な給与や退職金というものに何らかの合理性があるかのようにおっしゃっておりますが、そうではないというのが前回の予算委員会の答弁でありました。そうして福田前総理がおっしゃいましたのは、公務員の定年の延長は好ましくない、しかし、これは単なる延長ではなく、延長に加えて特殊な経済的な処遇が加算をされておる。そうして閣議決定を見ますと、清新な気風を反映させるために高齢者の起用は努めて避ける、こういうふうになっている。たらい回し的な異動は原則としてやらない、そうされております。しかし、具体の基準としては、総裁、理事長、副総裁、副理事長は公務員退職後八年間、七十歳までは構わない、こういうのだ。それから理事、監事でも公務員退職後六年間、六十五歳までを認める、こう言っている。これは総理が妥当でないと言った定年の延長を追認する結果になりはしませんか。その上六十五歳、七十歳までの居座りを制度化するのでありますならば、高齢者の概念は一体どこでどのように決めていらっしゃるのか。高齢者が就職することを努めて避ける、こうおっしゃっている。ところが七十歳までは構わない、六十五歳までは構わない、六年は結構、八年は結構、こうなっている。これは一体この閣議決定とどういう関連を持つわけですか。
  194. 田中六助

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  閣議決定はあくまで原則論を決めておりまして、私どもも閣議決定のとおりにやっていくという決意ではありますし、また方針であります。ただ、運用面でいろいろな問題がある場合がございますし、先ほどから事務当局からも申し上げておりますように、幅広く人材を求め、新しい人を求め、高齢者を排除すると申しましても、やはり適材適所ということもあるし、経験あるいは知識、そういうもので人材が欲しい、人材を登用するというようなことから、その原則論を多少外れる場合もあろうかと思います。運用面でいろいろ考えていく場合に、どうしても原則から現実が外れる場合がありますし、その点は私どもも非常に考えてはやっておりますけれども、現実にそういう点が多々あってくると思います。
  195. 三谷秀治

    三谷委員 人材論を盛んにおっしゃいますが、これがあなた方の一つの遁辞になっている。人材論ということが盛んに言われておりますが、老齢に達しました方の能力が減退するのは、これはもう生理的な現象であって、だれが考えても、一定の年に達しますならばいろいろな能力が衰えていくということは争う余地がないのであります。  そこで、あなたは人材論を盛んにおっしゃいますけれども、それでしたら、一体この特殊法人の運営が人材と言われる諸君によって完全に執行されておるのかという問題でありますが、たとえば、会計検査院が昨年十二月に発表しました五十二年度決算検査報告によりますと、会計処理の不適切、つまり浪費というふうなことですね。指摘されました事例が、特記事項を含めまして全体で二千五百七十三億三千万に達しております。これは実地検査施行率が八・四%でありますが、このうち特殊法人に関するものが二千四十五億円という、全体の八割を占めている。えろう人材を選んで特殊法人の運営を委任されておりますのに、会計検査院の検査の結果を見ますと、これは大変よくない結果が出ておるのであります。しかもこれは、実地検査の施行率を引き上げまして、さらに検査範囲を広げますならば、特殊法人の国費の不当浪費というものは一兆を超すだろうという見込みがつくのであります。これは国民としては黙過できないことでありますが、こういう状態の運営が現実になされておりますのに、あなた方は、人材をここに充てるために天下りが必要であり、かつ給与も必要であり、退職金も高いものが必要である、こうおっしゃっておる。この実態を一体どのように御説明ができますのか、お尋ねしたい。
  196. 田中六助

    田中国務大臣 先ほどから申し上げますように、原則はあくまで昭和五十二年十二月二十三日に決めました閣議決定事項で進んでいく方針でございます。しかし現実問題といたしまして、やはり天下りとかあるいはたらい回しとかいうような御批判があちらこちらであるわけでございますが、経験あるいはいままでの知識と申しますか、そういうものを利用するというようなことで、非常に言葉は悪うございますが、そういうことで運用面で原則から外れる場合もあろうかと存じております。
  197. 三谷秀治

    三谷委員 それはいまの質問の答えにはなっておりません。あなた盛んに人材の必要性を強調されて、そのためには天下りが必要であるとおっしゃっておりますが、その天下りしました特殊法人におきまして、会計検査の結果というものがはなはだしく芳しくない、そういう結果になっている。ですから、あなたがおっしゃいます人材論というものが物事を糊塗するための便法にすぎないということが非常に鮮明に示されてくるわけなんです。  それから、大平内閣は一月の十六日、行政改革計画を閣議了解されましたが、これは一昨年十二月二十三日の福田内閣行政改革計画に続く第二次行政改革計画と言われております。私は、いまこの全貌に触れる時間はありませんが、関連事項についてだけ触れますと、大平内閣行政改革計画によりますと、退職勧奨制度について、そのあり方について再検討して高齢職員対策を推進する、職員の年齢構成の適正化に努めるとして、定年制が導入されるまで退職勧告の運用を強めると言っております。そして人事院も、退職勧奨制度の補完処置として、五十八歳以上の高齢職員の昇給延伸処置をとる、こういう方針を示されております。  こうして、一方におきましては公務員に対しては退職勧奨を強くやっていくとかあるいは高齢者の昇給延伸処置をとるとか、そういうことをやりながら、一方におきましては特定の退職者だけはこういう特別な処遇をして、しかも七十歳までその在職期間を延長するというふうなことが行われておるわけでありますが、これは一体どのようにこの関係というものが調整されておるのでしょうか。  それから、続いてお尋ねしておきますけれども、給与、退職金、勤続年数、いずれをとりましても公務員との格差が極端であります。これは一般公務員としてもがまんできないことでありましょうし、国民としても首肯できるものではありません。ですから、これは福田内閣が答えましたように、もっと積極的に取り組む姿勢が必要なのだ。あなたはこの事態というものをいかにごまかすか、そういう態度でお答えになっているのが非常にはっきりとしておるのであります。  そして、もう一つお尋ねしますけれども、五十二年の十二月二十三日の閣議決定では、たらい回し、いわゆる渡り鳥というものは原則として行わない、こうなっている。この渡り鳥は依然として存在しております。渡り鳥は一掃されましたのでしょうか。  たとえば、この資料を見てもらったらわかりますけれども、この資料の中にも若干の指摘をしております。六ページの上段でありますが、日本住宅公団の総裁、そして公営企業金融公庫の総裁、今度の公営企業金融公庫の総裁、これなどは渡り鳥も渡り鳥、一つや二つの渡りじゃない。公務員の渡りはけしからぬとおっしゃるけれども、この渡りは一体どうなっていくのですか。こういうことが公然と行われておる。これも一体この原則とどういう関係に立つものでしょうか。そうしてこれほど同一人物を使わなくてはならないほど人材がないわけなんでしょうか。
  198. 田中六助

    田中国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、一応原則はあくまで守っていく方針でございますが、人材と言うとまたしかられますけれども、そういう経験や知識、そういうものでやはり適材適所ということもございますし、原則を外れた、特殊ということもあろうかと思いますし、これからはそういう運用面に御批判のないようなことでいきたいというふうに考えます。また、あとのいろいろなその間の事情は、一応事務当局に答えさしていただきます。
  199. 三谷秀治

    三谷委員 これは、事情は聞かなくてもよろしい。事情を聞いて納得できるものじゃない。渡り鳥にしても、これは五十二年の十二月に渡り鳥は原則としてしないと決めたんだ。閣議決定だ。それ以後、五十三年の一月、五十四年の二月におきまして渡り鳥が認められている。しかも、これは私が調べましたごくわずかの範囲のことでありまして、実際にはもっともっとあるのでしょう。あるのでしょうが、私ども調査力の範囲がありまして、この程度しかわかりませんからここに列記したわけでありますが、こういうことが行われておる。したがって、原則としてやるとおっしゃいますが、原則としておやりになっていない。ここが問題なんだ。しかも、いま大平内閣は、不要な歳出に斧鉞を加える、見直しをするとおっしゃっている。国民に聞いて、何が一番不要かと言えば、これなどは最も不要な歳出なんだ。斧鉞を加えるべきものなんだ。それが依然としてうやむやにされてきておりますが、これはそもそも企業ベースの退職金、企業ベースといいましても重役ですよ、民間企業の重役の退職金だとか重役の給与というもの、恐らく重役といいましても、一体どの範囲を調べればいいのですか。私どもが知っております中小企業で、七十万も八十万も百万も月給をもらっているような中小企業はない。だから、お調べになった範囲がわかりませんが、これは一体どういうところの重役のベースをお調べになったのでしょうか。これをちょっとお尋ねしたい。
  200. 田中六助

    田中国務大臣 私は、具体的に調べたことではございませんので、事務当局がどの程度三谷委員の要望にこたえられる答えができるかどうか疑問でございますが、直接当たった事務当局から答えさしていただきます。
  201. 長岡實

    ○長岡政府委員 人事院にお調べいただきましたので、私からお答え申し上げるのが妥当かどうかはいかがかと存じますけれども、人事院の御調査によれば、先ほど来申し上げておりますように、中小企業まで含めまして、民間企業の役員の給与を調べた結果、社長クラスで申しますと、大体平均が百二十万から百三十万の間ぐらいということになっております。
  202. 三谷秀治

    三谷委員 それも根拠のないお答えでありますから、数字を聞くだけであって、その必然性が全くわかりません。根拠もわかりません。しかし、いま倒産に瀕しております中小企業などがそういう状態にないことは、これはもう説明をするまでもないのです。これは国民の常識であります。それがいまだにこういう状態で続いている。  大蔵大臣、どうもこれはいま主計局長が盛んに答弁しますから、大蔵省の方にもよほど責任があるようでありますが、大蔵大臣はこれを真に改善する意図をお持ちかどうか。坊大臣は、お越しになっておりますかな、お答えになったのだが、あなたはどのようにお考えでしょうか。
  203. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 いま御指摘の点につきましては、五十三年度におきましても給与は据え置きにするとか、退職金は従来の二割カットにするとか、これは五十三年度のことでございますが、鋭意努力を重ねておることは事実でございます。しかし、御指摘のような批判が強いことも、また同時にわれわれとしては見逃すわけにはまいりませんので、これからも人事院とよく連絡をとりながら努力してまいりたい、かように考えます。
  204. 三谷秀治

    三谷委員 まだこの閣議決定そのものが非常に不十分でありますのに、それも満足に履行されないという状態が問題なのです。そして、表現の矛盾でしょうかね、清新な気風をつくるためには高齢者をできるだけ避けるとおっしゃっておりますのに、一方におきましては六十五歳、七十歳、こうおっしゃっている。これも公務員に対するいまの退職勧奨制度などと比べますと、余りにも矛盾がひど過ぎる。矛盾のかたまりみたいなものですよ。これはひとつ全力を挙げて是正するように御努力願いたいと思いますが、どうでしょうか。
  205. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 これは政府としてでございますが、全力を挙げて改善に努力をいたします。
  206. 三谷秀治

    三谷委員 国家公務員法の百三条は「私企業からの隔離」を規定しておりまして、公務員退職後の私企業への就職を制約しており、もし就職を認めた場合は、遅滞なく国会及び内閣報告するとされております。  一方、自衛隊法六十二条でも「私企業からの隔離」の項目が設けられております。ところが、これは自衛隊離職者就職審査会で審査しておりますが、毎年、その三〇%が防衛産業登録会社に就職していらっしゃる。これは全くの冷却期間なしに就職していらっしゃるわけです。こういう状態ですと、六十二条の二項の規定が空文化してしまう。つまり「私企業からの隔離」という条項が全く空文になってしまうのであります。  この自衛隊の関係で申し上げますと、資料の十ページに示しておりますが、これで見ますと、防衛兵器の受注第一位、これは三菱重工業でありますが、ここには十名を超す、これは将軍ですね、将軍が天下りされております、顧問という名目もありますけれども。いや、二十名であります。それから第二位の石川島播磨重工が十名であります。第三位の川崎重工が十四名であります。第四位の三菱電機でも十名を数えておるのであります。これを見ておりますと、まるで戦前の軍事参議官室がこういう防衛企業に移入されておるという感じを免れがたいわけでありますが、こういうことで私企業からの隔離、つまり産軍癒着という関係ですね、これが防遏できるものかどうかお尋ねしたいと思う。これは国家公務員と同じように当然チェックをすべきものである、そういう処置をとるべきではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  207. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 御指摘のように、退職自衛官の再就職につきましては、自衛隊法六十二条によってある一定の制限を課しておって、その範囲では禁止されていることは一般公務員と同様でございます。ただ、私ども、自衛官は御承知のように若年定年制をとっておりますので、第二の就職というものを当然考えなければならないということから、御指摘のような会社に行っている方々もありますけれども、これらはいずれも役員ということでなくて、顧問あるいは参与という形で参っておりまして、決して産軍癒着であるとか機種選定に問題があるというふうな、影響力を及ぼすことはないと私どもは確信しております。
  208. 三谷秀治

    三谷委員 このようにしまして、軍需企業に対して陸海軍の将軍が、多いところは二十名も顧問として就任する、あるいは役員として就任するという状態になっておりますが、こういう状況の中から、大企業の利益追求と、それに従属した防衛契約というものが生まれてくるのではないかという懸念を国民が持つのは当然のことなのです。中には日商岩井にも、これは六名ですか、住友商事にも取締役等に就任されております。しかも、航空機汚職におきましては自衛隊の幹部の自殺事件、あるいは他殺か知りませんが、こういうことまで起きている。そういうときにおきまして、若年定年制といいますか、よしんばそういう状態でありましても、退職すぐ、こういう防衛企業に就職するというようなことが許されていいだろうかという疑問はだれしも持つわけでありますが、これはせめて国家公務員並みに国会報告をするとかあるいは内閣報告するとか、そういう義務をとるべきだと思いますが、いかがでしょう。
  209. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先ほど御答弁申し上げたとおり、私どもの自衛官の再就職につきましては、いま言われたような民間私企業の役員に転出したというケースがいままでございません。そういった関係から、私どもの方で人事院が行っているような報告に該当するような事案がなかったわけでございます。当然そういうものが出れば必要に応じて考えられるというふうに思います。
  210. 三谷秀治

    三谷委員 具体の名前を挙げてみなくてはいけませんが、たとえば村井という空将は、航空宇宙工業会ですか、関連業界団体でありますが、ここの常務理事などになっていらっしゃいます。それから、岩井産業の、日商岩井エアロスペース調査役というのですか、これはどういうものかわかりませんが、役員のようでありますし、同じエアロスペースの顧問ですか、これも就任になっておるようであります。これは桑原空将であります。もう一人は松本一空佐でありますが、こういう事例もあるのであります。いずれにしましても、顧問というものがどの範囲の権限のものか知りませんけれども、何にしてもこれは顧問としてそこで養われていくわけでありますから、その企業におきまして手当をもらい、いわばそこで就職をするというふうになるわけでありますから、名目のいかんにかかわらず一定の重要な役割りを果たすと見るのが至当でありましょう。そうしますならば、当然国家公務員と同じような扱いをするのがあたりまえであって、自衛隊だけ全然それがフリーになっておるということは合点がいきません。これはそのような処置をお考えになっていただきたい。
  211. 山下元利

    ○山下国務大臣 政府委員からも御答弁申し上げておりますとおりに、退職自衛官の再就職につきまして、私企業の顧問とか嘱託とかいう地位になりましても、それはその職務権限等におきまして、いわゆる役員ではないのが通例でございまして、役員でない顧問、嘱託等につきましては、先ほど政府委員から申し上げたとおりでございますので、御理解賜りたいと思う次第でございます。
  212. 三谷秀治

    三谷委員 それはさっきから申しておりますように国民は納得しません。産軍癒着の疑惑というものは決して解消するものではありません。しかし、これはここでやりとりしましても時間がたつばかりでありますから、国民が批判をするという性質のものになっていくでありましょう。  それからもう一つは、国家公務員の就職チェックについても、関係営利企業と政府関係の特殊法人については一応行われておりますが、関係業界団体ですね、公益法人については規制がありませんが、これはどうお考えなんでしょうか。
  213. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お答えいたします。  例の天下り禁止規定の問題の運用でございますが、これに関連をいたしまして、営利企業自体でなくても、営利企業のそれらの関係連合団体というようなものも実質的に機能から言って同じではないか、したがってこれについてもやはり同じような規制を加えるべきであると思うがどうであろうかというような御趣旨であろうかと思います。  御趣旨のねらいというものは、それは私自身としてもわからないではございません。ただ、公務員法百三条の規定の趣旨でございますが、これはあくまで公務員がその職務を利用して関係の企業と密接な関係をとって何か癒着をする、それによって将来コネをつくってその企業に天下っていくというようなことは、服務上の厳正を確保する意味からもおもしろくない、これは厳正に取り締まるべきであるということから制約が生まれてきておるのでございます。しかし、そういうことから、やはり服務の厳正を確保することとそれからその規制の範囲をどうするかということは、おのずからそこに限界の問題として大変重要なことになってまいりまして、この規定ができます際にもいろいろ御論議があったところでございます。  またその後、三谷委員もよく御承知でありますように、一時、法の改正がございまして、従来これは退職前二カ年間に在職をしておった官職、それと密接のある企業については、退職後二年間は就職ができないのだということになっておりましたのを、さらに規制を強化する意味で、離職前五カ年間の職務と関係のあるということにこの規制を拡大したという経緯もございます。  おのずからそこに、服務の規制を厳正にするということと、やはり公務員についてもございます職業選択の自由と申しますか、そういう問題との絡み合いの点がございまして、いまの規定ができておることであろうと思います。  そういう意味から言いまして、いまの御指摘のございました業者団体でございますが、これは営利を目的とするものではない、業者全体についての共通的な調査をしたり、あるいは連絡をとったり、しかるべき調整をしたりすることが職務であるということから、従来から営利企業としては規定されておりません。そういうようなことから、現在のところでは、他の公益法人その他の問題と並びまして、この規制の対象外とされておる次第でございまして、それなりの意味があるというふうに考えております。  ただし、この辺につきましても、われわれとしてはこの規定自体やはり自分の所管でございますから、真剣に各方面からいろいろ検討を加えております。  したがいまして、いまの問題等につきましても、その運用の実態その他から見て、いろいろ問題が出てくるというようなことでございますれば、これはやはり検討の対象としていかなければならぬ時期が来るかもしれません。そういうような点では、全般にわたってその運用の実態というものをこれからも注意深く見守ってまいる、そういう努力は続けてまいる所存でございます。
  214. 三谷秀治

    三谷委員 確かにこれは営利企業ではありません。しかし、政府の監督対象になる業者の団体でありますから、政府との関係におきましていろいろな面で、これは企業における企業利益という面だけでなしに、業界のいろいろな政府に対する動きだとかあるいはその他の働きだとか、これがこういうものを媒介にして行われていくという点からしますと、これはやはり公正性を失する可能性もあるという点からしますと、この点については検討する必要のあるものだと私は考えておりますが、今後における検討を要望しておきます。  時間がございませんので、次に移りますが、私は昨年の予算委員会でごみの問題についてお尋ねしました。これは廃棄物処理法の一部が改正されまして、一昨年三月十五日から、市町村は廃棄物処理業者に対して処理の方法や処理の場所を指定しなければいけない、こうなったのです。ところが、大都市圏の市町村は最終処分場を持っていないか、あるいは持っておりましてもこれは狭小で役に立たない。それですから、結局、業者に指定をしようにも指定ができない、こういう矛盾が出てまいりました。そこで、そういう処理場をつくろうにも場所がない、住民が反対をするというような状況によりまして処理に困ってしまって、今日は大都市周辺の市町村では、業者委託によりましていずこともなくやみからやみに葬ってしまう、こういう事態が強まっておるのであります。そこで、これは一体ほっといていいのかということをお尋ねしましたが、これに対して環境庁、厚生省は、関係省庁と協議されて国としても手を打つ必要があるというので、フェニックス計画といいますか、東京、大阪に国が最終処理場をつくろうということが決定になりましたが、この計画はいまどういう状況になっておりますか、これをまずお尋ねしたいのです。
  215. 国川建二

    ○国川政府委員 お答えいたします。  ただしま先生御指摘のように、特に大都市圏域におきましては老廃物の問題がございまして、最終処分場の確保が緊急的に必要であるということで、私どもといたしましては、数府県にまたがる相当広域な範囲で共同で廃棄物の最終処分場を確保したい、そういう必要があるのではないかという観点から、五十三年度におきましてその構想の内容を詰めるべく予算措置いたしまして、五十三年度、予算的には私どもの方で五千万円、運輸省の方で五千万円それぞれ計上されまして、現在その構想の詰めに入っておるところでございます。引き続きまして、五十四年度におきましてもさらにその内容を詳しくするために、明年度私どもの方の予算といたしましては調査費として二億円計上いたしまして基本計画の固めに入りたい、そういう段階で鋭意努めているところでございます。
  216. 三谷秀治

    三谷委員 そのフェニックス計画が実現をするとしましてもなお三年や五年はかかると思いますが、その間、一体このごみの処分をどうするかという問題がいま市町村の重要な課題になっている。ですから、大阪などでは、これは京都や兵庫や岡山県の山間部に持っていって違法投棄している、委託業者がやっておる。大体これは月間にしまして五十四万トンと言われておりますが、そういう状態になってきておる。それから東京都も、例の羽村の処理場が裁判によりまして使用禁止になりましたから、三多摩方面のごみは長野県から埼玉県、千葉県方面に持ち込んで投棄をする、こういう状況になっておるのであります。  大平内閣は、大変高い文化というものを評価されておりますが、一体このごみの不法投棄による公共水域や地下水の汚染や国土の荒廃をどうするのかということ。そしてフェニックス計画ができるまで市町村はどうすればよろしいのか。ごみの捨て場がない。つくろうにも場所がない。スペースがない。吹田やあるいは寝屋川のように場所を探してきましたけれども、地元の住民がこれを認めない。そうしますと、このごみというものはどこかに投棄せざるを得ない。それはフェニックス計画によりましてある程度解決するかわかりませんが、それまでの期間どうするかという問題、これを一つ私はお尋ねしたいのです。  それで、時間がありませんから続けてお尋ねしますが、これと同じ状況にありますのが屎尿の問題です。肥の問題であります。この肥の問題というのは、厚生省の計画では昭和五十年度におきましては屎尿の陸上処理が完全に実現をする、こういう計画でした。第三次下水道計画によりますと、昭和五十年度におきましては全部陸上処理ができる、こうなっておった。ところが五十三年になりましても、屎尿の海洋投棄は依然として続いております。四百七、八十万トンを下らない屎尿が投棄されておるわけであります。この原因につきましてお尋ねするとともに、これも一体どうすればいいのか。屎尿処理場をつくろうにも都市周辺の市町村におきましては土地がない。そして住民がこれを認めない。しかも肥の分量はふえてくる。ふえてくると申しますのは、浄化槽がふえましたから浄化槽の汚泥がどんどんふえてきておる。そしてこれが下水処理場の機能をオーバーしてしまっている。こういう状態に対して一体どうすればいいのか、私は政府の御所見をお伺いしてみたいと思う。
  217. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 確かに御指摘のように、大都市圏域を中心として廃棄物の最終処理空間の確保が大変困難な状態になっておることは事実でありまして、私どもフェニックス計画を急いでおるのもその対応策としてであります。ただ、その間、単独で処分地を確保することが困難な場合もあると思います。しかし、これは関係市町村がやはり連携して共同処理を行うなど、地域の実情に応じた対策を立てていただくということを私どもは期待し、国はこれに対してできる限りの技術的な、また財政的な援助を行ってまいるつもりであります。一部事務組合等ぜひ活用をしていただきたい。また、廃棄物処理施設、確かに御指摘のように、地元の反対によって年度内に着工できないケースが五十二年度においても約十件ございました。しかし、五十三年度に入りましてから一件だけを除いて、あとの九件については地元の同意が得られ、順調に事業が進展をいたしておるところでございます。  また、屎尿の海洋投棄の問題は御提起のとおりでありまして、現在一都二府二十五県、年間約四百五十七万キロリットルの海洋投棄が行われておるわけであります。この原因としては、一つは、くみ取り便所の使用人口というものが計画どおり減少しない、あるいは地域的な人口急増が非常に大きな規模で行われることのために、実際の屎尿の処理量が計画処理量を超えてしまう場合、また施設の建設について住民の同意が得られないために着工できない場合、こうしたような条件のために、施設整備が必要処理量に追いつかないという事態が主な原因であると私どもは思います。これまでも海洋投棄県の市町村における屎尿処理施設の整備を国は最優先に国庫補助事業として進めてまいったわけでありますが、今後もこれらの地域の施設整備の一層の推進を図ると同時に、やはり地域住民とのトラブル等については円満に解決するようにできるだけ指導助言をしてまいりたいと考えております。  第四次計画の絡みでありますけれども、五十五年度におけるごみの焼却処理率は六八%、屎尿については九五%と考えておりますこと、御指摘のとおりでございます。五十二年度の実績からいきまして、ごみについては計画の達成は可能であると考えております。また、屎尿につきましても、処理施設の整備は順調に進んで、計画に示された処理能力を達成することは確実にできると考えておりますけれども、くみ取りに依存する人口がなかなか計画どおり減少しないため厳しい状況でございまして、今後できるだけの努力をしてまいりたいと思いますが、私どもは本質的には下水道の完備が一つの大きな課題であると考えております。
  218. 三谷秀治

    三谷委員 昨年の五月の読売の社説でありましたか、わが国の社会資本は住宅、公園、下水道など、どれ一つをとってみても欧米諸国の水準と比べて立ちおくれておる、欧米では下水道のないところは都市ではないと言われているが、わが国の普及率はまだ二四%程度だ、このため欧州共同体諸国などから貿易拡大をめぐりまして、下水道も満足にない国ととてもまともな競争は無理だという批判が出る始末である、こういう社説がありましたが、生活基盤整備の立ちおくれを指摘しております。  そこで、下水道の問題でありますが、下水道は一体いつになれば完成するのか。大体都市計画法によりますと、十年間で下水道が完成するという計画でありましたが、しかし、大阪にしましてもあるいは埼玉にしましても、横浜にしても尼崎にしても、なお今後十年もかからなければできないという実態にあるわけであります。いま下水処理場の建設の状態について説明がありましたが、下水道ができるまでは処理場はつくらないという方針をとっている市があります。たとえば大牟田市などがそうなっている。そういうものがありますから、実際には海洋投棄を依然として続けて、下水道ができるまで待とうという市町村も少なからず残されておるのであります。  そこで、厚生省にお伺いします。  埼玉県の大宮市が昨年から海洋投棄を始めました。海洋投棄を始めましたのは、屎尿がふえまして施設がオーバーワークになり、生屎尿を河川投棄しておった、この不法処置が発生しまして、緊急回避のために海洋投棄に踏み切ったわけであります。この大宮市のように、施設の整備が屎尿の増加に追いつきません自治体が特に大都市圏におきましては非常にふえております。  その原因といたしましては、家庭の浄化槽の汚泥の増加があるわけであります。厚生省の統計を見ましても、水洗人口のうち屎尿浄化槽人口が四十六年度で四六%でありましたが、五十一年度では四八%になっております。上昇しております。このままでは下水道人口を上回るものと見られておるわけでありますが、これは国民の生活水準の向上に下水道整備が追いついていけないことを示しておるわけであります。下水道整備のおくれによりまして浄化槽の汚泥が増加して、これが屎尿処理場をオーバーワークにしておる、こういう結果になっておるのであります。  そこで、下水道の整備ができますまで生屎尿が河川に流出する、排出されるという状況が大都市圏におきましてはかなり強まってきておりますけれども、これに対しては一体どのような処置をお考えになっておりますのか、お尋ねしたい。
  219. 国川建二

    ○国川政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、生屎尿を屎尿処理場から河川等に排出しているという例はないと私、確信しております。
  220. 三谷秀治

    三谷委員 生屎尿といいますのは、そのままという意味ではありません。資料にも示しておりますけれども、非常に基準をオーバーしましたものが流されております。たとえばBODの基準で申しますと、三〇から六〇が基準でありますが、四〇〇から五〇〇というのが排出されておる。これは千葉県でも発見されておりますし、大阪府でも発見されておるという状況になっておるわけでありますが、こういう意味でございます。
  221. 国川建二

    ○国川政府委員 失礼いたしました。  屎尿処理場におきまして、先ほども大臣から御説明申し上げましたが、急激な人口の増加の場合、現有の屎尿処理施設の能力をオーバーするというようなケースが遺憾ながら間々見られるわけでございます。そういうことから、その屎尿処理場から浄化不十分な状態で、常時というわけではございませんけれども、ある時期、水質の排出基準を超えて排出される、そういうような例が一部見られます。私どもといたしましては、廃棄物処理法あるいは水質汚濁防止法の観点から、そういうことは好ましいことではないのは当然でございますので、その状況に応じまして必要な改善の措置あるいは指導、勧告、そういうものを行って、できるだけ正常な状態に維持する、同時に長期的な見通しを持ちまして、それぞれの市町村や事業体におきまして正常な能力を発揮できるように施設整備を進めるというのを私どもの一番の目標といたしまして、施設整備を行っているわけでございます。
  222. 三谷秀治

    三谷委員 お手元に差し上げました資料の一番最後のページに私どもの調べました状況を記録してありますが、たとえば埼玉県では水質汚濁防止法によります立入検査の結果、BODの基準違反が六割以上の施設において発見されております。そしていろいろ改善勧告などが行われておるのであります。それから千葉県では、これも立入検査で十三施設が排出基準違反として指摘されております。二四%であります。それから大阪府下でも二十八施設中BODの排出基準オーバーが五十二年度で十施設、五十三年度で現在までで三施設になっております。これは約三六%であります。つまり、三府県平均でありますが、いまの市町村の屎尿処理施設の三八%は基準をオーバーした屎尿を流しておるということが明らかになっておるのであります。しかも、これらの排出基準の違反の中には、いま申しましたように、埼玉では最高二九八、千葉では最高五八五という異常数値が検出されております。ですから、自治体の処理施設が環境汚染の原因になっておる、こういう残念な事態が大都市圏におきましては一般化しつつあります。こういう状態でありますと、河川が肥つぼになってしまう。大阪の大和川などはその典型でありますが、こういう状態になってくる。これに対して政府としては一体どういう対策をお持ちでしょうか。単に指導指導とおっしゃいましても、指導だけで解決がつくものじゃありません。物理的な問題が絡んでおるのであります。この原因といいますのは、何と言いましても浄化槽の汚泥が最高の原因になっております。これに対して国が全く無策である。建設省は浄化槽の普及状況につきまして正確に把握していらっしゃいますでしょうか。いまの二点をお尋ねしたい。
  223. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 全国的な正確な統計はございませんが、私ども昭和五十二年度末の設置基数が約四百万基というように考えております。
  224. 三谷秀治

    三谷委員 厚生省、どうですか。
  225. 国川建二

    ○国川政府委員 いまの、当面直ちにできますことは、屎尿処理施設の維持管理と、それを充実させるための施設の改善とかいうことしかないわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、そういうことにならないようにするためには、やはり必要な処理能力を保有させるということが私どもの立場から可能なわけでございまして、したがいまして、予算的にも五十四年度等におきましても必要な処理能力を充足するに必要な予算を計上いたしまして、施設整備を急ぐというのが第一前提でございますが、あわせまして特に屎尿処理施設の放流水の水質をさらにより高度にしなければならないという意味で、改造事業としまして高度処理設備の設置につきましても今年度新規に予算的に計上をいたしておるわけでございまして、そういうことを続けていきたい、このように考えております。
  226. 三谷秀治

    三谷委員 建設省が浄化槽の普及状況をどの程度把握していらっしゃるかという点でありますが、五十一年度の場合ですと、公的に把握されました浄化槽が一万五千六百三十九基という数字をちょうだいしておりますが、これを埼玉県で見てみますと、建築基準法で確認できたのが八七%、あとの二二%は廃棄物処理法による届け出によりまして初めてつかめるという状態であります。これでは屎尿処理に対する正確な対応はできないと思いますが、どうでしょうか。  それから、時間の関係がありますから一括してお尋ねしますけれども、自治体がこういう状態に追い込まれておりますが、しかもこの水質汚濁防止法によります特定事業者の立入検査をしますのが、これが政令委任市になっておる。二十五万以上の市が政府から委任を受けまして処理場の立入検査をする。その立入検査をします市がもう肥の始末ができなくて困っているわけだ。屎尿処理能力を持たない自治体みずからがみずからの屎尿処理場の立入検査をする、基準の調査をする、こういう状態になっておる。ですから、たとえば大宮市の場合では、五十一年度の検査の結果では基準に適合しておったのです。ところが検査のずさんさが事件発覚後証明されたわけであります。つまり、政令委任市の場合はみずからの施設に対して行う検査に大いに疑問があるわけなんです。それをまともにしておりましたのでは、これは肥が屎尿処理場に持っていけなくなってしまう。どこかに肥を投棄しなくちゃならなくなってしまう。そういうことですから、ある程度甘い検査をしなければならないという状態に市町村が追い込まれておる。こういう状態に対して、一体どのようにお考えでしょうか。ちょうどいまごみを山間に投棄しなくちゃ仕方がないと同じように、肥も検査をまともにすればこれは処理能力が及びませんから、肥の処理に困ってしまう、そういう矛盾に打ち当たっておる。この矛盾は小さい市町村で片がつくものではありません。こういう事業を市町村の固有事務といって国が単に補助をするという態度をおとりになっておりますが、いまはそれではこの問題は解決しない、そういう状況にありますが、これについてはいかがお考えでしょうか。こういう状態でありますと、もはやこれは排せつを停止する以外に方法がない、そういう状況に置かれておるのであります。  それからもう一つでありますが、そこでなぜごみ処理場ができないかという問題であります。あるいは肥の処理場ができないかという問題でありますが、これは都市化のために用地がひとつありせん。あるいは用地を手に入れましても住民が受け入れません。迷惑施設と言うのであります。中には施設の建設の中止を求めて訴訟を起こしたケースもあるのであります。そういう状況になっております。ですから、厚生省は、自治体で計画中の屎尿処理場が住民の反対でなかなか進行しない、あるいは住民の反対を見越して吹田や寝屋川のああいう前例などを参考にしましてそういう施設をつくろうとしない、そういう状況があることを御承知になっておりますかどうか、お尋ねしたいのであります。  そして、このごみや屎尿処理場にかかります財政需要は、厚生省や建設省がペーパーの上でお出しになります数字ではとてもじゃありませんが、つかめるものではありません。これはまず公害のない施設が必要であります。そういうことですから、住民から受け入れられるものをつくっていかなくちゃいけませんから、非常な経費がかかる。そしてその施設そのものとは別に、地元住民に対するいわゆる迷惑料というものが必要になってきておる。つまり公共施設をつくって地元に寄付をするということが、これはもう常套手段になっておるのであります。  たとえば、東京都のごみ戦争の一つであります杉並区の清掃工場のケースを見ましても、杉並清掃工場は着工されたばかりで総工事費はまだ確定されておりませんけれども、住民の要求を入れまして、工場全体を十メートルばかり地下に沈める。そして公害対策をとる。そのために約二百五十億円から二百六十億円の工事費がかかるわけであります。しかし、この工場の処理能力は日量九百トンでありますから、仮に五十四年度の補助基本額で計算をしますと約百億円しか国の補助金がないわけであります。そうしますと百五十億から百六十億が都の持ち出しになってしまう。厚生省の補助対象外になっていくのであります。そしてそれにさらに用地費がかかります。用地費が六十億円でありますが、これは補助対象になっておりませんから、これは一〇〇%持ち出しになってしまう。ですから、あの杉並区の処理場をつくりますのに都の持ち出しが二百十億から二百二十億の負担になってきている、こういう状態であります。しかも住民のための利便施設としまして、敷地内に住民との和解条件として記念施設の建設をしなくちゃいけません。約九千平米の施設に温水プールや老人福祉センター等を盛り込みまして、工場の完成と同時に区に移管をしてそして運営される。この建設費が平米当たり仮に二十万としましても十八億円かかるわけであります。こういう負担がかかってくる。こういう負担は全然国の計算には入ってこないのであります。大阪の寝屋川市でも同様でありまして、こちらの方はごみでありますけれども、これを二倍に相当する施設に拡張しますために、ここには公民館六千五百万円、道路舗装で六千万円、道路新設で三億八千万円、こういう特別な事業をやって了解を求めておる、こういう状態になっておるのであります。こういう迷惑料の負担によりまして辛うじて建設が進むという状態にあることを建設省や厚生省は御承知なんでしょうか。それを御承知でありますならば、これに対する補助金、補助制度というものをもっと強化しなければ、肥の問題もごみの問題も解決するものではありません。それをおやりになる意思があるかどうか、お願いをしたいのであります。しかもそういう迷惑料というものは単にいま申しました二、三の例でありません。一昨年の九月十六日の日経新聞では豊富な事例が紹介されておるわけでありまして、これが処理場の建設が進まぬ大きな根拠になっておりますが、これに対する政府の抜本的な方針を私はお聞きしたいと思うのであります。
  227. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 非常に広範な御質問でありますので、最終の部分だけ私からお答えをし、あとは事務当局から補足をさせたいと思います。  いま市町村等の行う廃棄物処理施設の整備については、公害防止対策また用地補償等、直接施設整備にかかるものは国庫補助対象といたしております。御承知のとおりであります。五十四年度予算におきましても、実勢単価に見合った国庫補助単価の引き上げを図ると同時に、環境規制に対応するための高度処理施設に対する国庫補助対象範囲の拡大等の改善措置を加え、周辺地域の環境保全対策に考慮を払ってまいりました。  しかし、いま御指摘になりましたような周辺環境整備の中で、たとえば公園緑地の問題でありますとか老人ホーム等の場合に、地元の御要望がある施設につきまして他の補助制度を活用できるものもあるわけでありますし、関連諸制度との調和を図りながら、自治体の自主的な判断によって総合的に対応していくように私どもとしては指導いたしておるところでありますし、またそういう体制を続けたいと考えております。
  228. 国川建二

    ○国川政府委員 市町村におきまして屎尿処理計画を持たないといいますか、持つ気がないようなところがあるのではないかというようなお話でございましたけれども、現在、屎尿処理で海洋投入している事業体は約二百カ所程度ございます。そのうち市町村がみずから屎尿処理施設を現在持っていないというところは約半数程度あるわけでございます。  それからまた、先生が御指摘になりましたように、施設計画を持っておるけれども、たとえば下水道計画待ちというようなところがあるのではないかということでございますが、私どもも個々の市町村の個別の事情を掌握しておりません。しかし、全体を見てまいりますと、昭和四十年ごろは海洋投入という処理をしておりましたのは全体の屎尿量の約二〇%程度でございまして、今日一一、二%になっているわけであります。少しずつ漸減を図っております。他方、人口の増加等もございます傍らで施設整備に鋭意努めているわけでございまして、それぞれの市町村に対しましてできるだけ衛生的な陸上処理を行うよう、私どもとしては指導方針を持っておりますので、鋭意指導してまいりたいと思います。
  229. 三谷秀治

    三谷委員 時間でありますから終わりますが、用地費の算入などはいまの補助単価の中の四・七%ぐらい入れておって、大都市圏におきましてそれで用地費ができるものじゃありません。時間の関係で質問が不十分で終わりましたが、農林省や自治省に対してもお尋ねをする予定のところができませんでした。これは後で分科会等におきましてお尋ねをさせていただくことにして、これで終わらせていただきます。
  230. 竹下登

    竹下委員長 これにて三谷君の質疑は終了いたしました。  次に、中川嘉美君。
  231. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 私は、経済と外交問題の二点にしぼりまして、きょうは質問を行いたいと思います。  まず経済問題に関してでありますが、経済環境の変化に最も素早く反応すると言われている市況商品について伺ってみたいと思います。  ただいま申し上げたとおり、この市況商品というのは経済環境の変化とは切っても切れない関係にありまして、その意味で最近の各種資材の高騰というものはインフレの前ぶれではないか、このように懸念をされているわけでございます。市況の変化に特に敏感な十七の品目で構成するところの日経主要商品指数で見てみますと、昭和四十五年を一〇〇として、五十三年九月二十六日の数字が一三九・六七二、五十四年二月七日の数字を見てみますと一五七・五九五、このわずか四カ月半で一三%も急騰している。石油ショック後の四十九年五月の水準、すなわち一五八・四四〇、この数字ともうほとんど同水準にまで高騰しているのが実情でございます。この一三%という数字、これはもうまれに見る異例な数字であるわけで、消費者物価にはね返ることは間違いないと私は思いますけれども、この点に対する政府の見解はどんなものか、まず経済企画庁長官にお尋ねをしたいと思います。
  232. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま委員が御指摘になりました各商品の市況が相当強含みになっているということ、これはわれわれも非常に重大なことと考えて、これが次の騰貴につながらないようにあらゆる面での抑制措置をとる考えで注意深く監視をいたしております。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
  233. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 御答弁をいただいたわけでありますが、きょうはこういったことを前提にいたしまして商品高騰の内容、これをいまここで簡単に分析をしてみますと、大体次のように分けられるのではないかと思います。第一番目には、海外市況高でもって価格が上昇している商品、非鉄金属とか木材等ですが、これが第一点として挙げられるかと思います。第二番目に、需給の改善等で価格が上昇している商品というのは鋼材とか骨材、繊維等ですね。次に、価格の上昇そのものは見られないけれども今後注視すべきもの、これは石油とか銅製品が挙げられるのではないかと思います。そして第四番目に独禁法による不況カルテル、あるいはまた中小企業団体法に基づくところの安定事業対象商品ですね。現在のところ、独禁法に基づく不況カルテルというのは六業種あります。中小企業団体法に基づく安定事業というのは十九業種、これだけあるわけですけれども、ただいま申し上げた四つのパターンに分けて考えることができるのじゃないだろうか。きょうは、時間の都合もありますので石油関係、これはかなりの時間を要しますので、改めて質問の機会を得たいと思いますが、それ以外の代表的な商品について順次伺ってまいりたいと思います。  まず第一点として挙げました、海外市況でもって価格が上昇している商品として非鉄金属とか木材を挙げたわけですけれども、これらの商品は海外市況によって国内市況が左右されるということ、いわゆる輸入依存度が非常に高いということ、高い以上はある程度やむを得ないのじゃないかと思いますが、外材の値上がりを理由として合板の価格が昨年九月以降非常に急騰しておる。この一月までに五割以上も上がっているということは、私は非常に問題があろうかと思います。この合板を見てみますと、五十三年の九月は八百五十六円、それが五十四年の一月には千三百二十三円、これでいきますと、五割どころか六割近い値上がりになっている。仮に物がないと言ったとしても、これはどこかで物隠しが行われているのじゃないかという疑念を抱かざるを得ないわけです。特にこの合板というのは中小企業団体法による安定事業、さらには安定命令の対象品目であるということはもう御承知のとおりで、今後二月以降、いまこれは一月末まではそういうことですが、二月以降の設備廃棄、こういったこともやることになっているわけですけれども、このことは大いに問題があるのじゃないかと私は考えます。この点につきまして農林水産省の方からお答えをいただきたい。
  234. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、木材につきましては、外材の値上がりということで一月にかけまして価格の上昇がございました。特に合板につきましては、その原材料がほとんど東南アジアのラワン材ということでございまして、ラワン材の丸太の値上がりを見ますと、五十三年の第一・四半期を一〇〇といたしますと、五十四年の一月には一七五というような値上がりをいたしております。そういう関係がございまして、合板の値上がりは確かにございました。これは価格で見ますと、昨年の十月、いま先生がおっしゃいました八百円台でございますが、これを一〇〇といたしますと、一月には一五三%くらいのたしか値上がりになっております。しかしながら、一月の後半からずっと価格が下がりまして、二月に入りまして、二月八日ごろの価格でございますが、千八十円ということで、一月の高いときに比べますと三割近いダウンをいたしております。そういう関係で、木材を含めまして合板等については、これから需要がそう大きな拡大をする見込みはわれわれとしてもないだろうということ。それからこの値上がりの原因にいたしましても、いま先生おっしゃいましたように、外材の値上がりと合わせまして在庫の積み増しという問題があったのだろうと思いますが、それも一応一段落いたしております。そういう関係で私どもこれからはそう大きな値上がりはないというふうに考えておりますし、また一月末には備蓄をいたしておりましたものを二十四万枚備蓄の放出をいたしました。そういう観点で今後そう大きな値上がりはないというふうに見ておりますけれども、さらに今後この価格の推移については十分見きわめてまいりたいというように考えております。
  235. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 設備の廃棄問題についても御質問したわけですけれども、むしろ増産をさせて物をふやさなければならないのじゃないか、このように私は思うわけで、どうも一月までの合板価格の高騰の裏に何かあるのじゃないだろうか。たとえて言えば、外材の値上がりを理由にした高値の申し合わせ、談合、こういったやみカルテルのようなものが合板価格の高騰の裏にないかどうか、公正取引委員会の見解をここで伺ってまいりたいと思います。
  236. 橋口收

    ○橋口政府委員 十二月から一月にかけましての合板価格の急騰の問題につきましては、林野庁の方からお答えがあったとおりでございまして、幸いにして最近落ちつきを取り戻しておるわけでございます。お話の中にもございましたように、設備の廃棄を含む安定調整事業をやっておりますので、いまの生産能力と需要とのバランスがとれているかどうか、長期的な問題もあろうかと思います。  急騰いたしました背景に何らかの共同行為があったのではないかという御指摘でございますが、現在までのところ、そういう情報に接してはおりません。ただ御指摘のような問題もございますから、今後とも注意深く慎重に監視をしてまいりたいというふうに考えております。
  237. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 お答えいただいたわけで、このような値上がりの要因、これについて公取としてぜひ調査をして、その実態というものを国民の前に明らかにしていただきたい。特に林野庁の資料によりますと、商社のシェアですけれどもこれが五六%、こんな数字になっているわけで、こういうところから当然物隠しの疑いも出てくると私は思うわけですけれども、この点はどうか、お答えをいただきたいと思います。
  238. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 私ども、先ほど申し上げましたように、価格がそういうふうにまた大きく下がっていま安定しておるということ、こういう観点から見ましても、いま先生が御指摘になったようなことはないのではなかろうかと考えておりますし、また御存じのとおり、合板につきましては非常に零細な企業が多いという観点から、そういうような行動もなかなかとり得るような団体ではないというふうに考えております。  それから、さっきお答えを忘れまして恐縮いたしましたけれども、設備廃棄をいまやろうということを確かに組合は考えておりますが、御存じのように昨年の二月に永大の倒産というようなこともございまして、非常に構造的な問題を抱えております。ただいま合板関係の生産能力を見ますと、大体二十四億平方メートルぐらいの生産能力を持っておりまして、過去におきまして合板が一番需要がありました、住宅が百九十万戸以上つくられたときにも二十一億平方メートルぐらいの需要でございます。そういう観点から見まして、私ども今後、合板の需要はやはり木材、住宅関係が中心でございますし、住宅の着工がそれほど大きく伸びるというような見通しもございませんので、大体一二%ぐらいの設備調整をするという予定にいたしておりまして、その点で考えれば十分将来の需要にも対応できるというように判断いたしております。
  239. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いずれにしても価格が不当につり上げられて非常に困るのは国民であり消費者である、言うまでもないことであります。このように消費者が困るおそれのあるいわゆる価格協定、これは独禁法で禁じられていることはもう言うまでもない。したがって公取として厳重にこれを調査して、ひとつ資料を提出いただけるかどうか、この点、もう一点だけ伺っておきたいと思います。
  240. 橋口收

    ○橋口政府委員 いま林野庁からお答えがございましたように、合板業者は零細な業者がたくさんおるわけでございますし、また設備の新設もきわめて容易な業種でございますので、業界の体質で申しますと、共同行為等はやりにくい性質の業界であろうと思います。しかしながら、いまおっしゃいましたような問題もございますから、さらによく検討いたしてみたいと思いますし、さらに従来以上に監視の体制を強化してまいりたいというふうに考えております。
  241. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そのような疑いそのものを晴らす意味においても、ぜひその資料の御提出をこの際お願いをしたいと思います。  次に、第二点目の分類として申し上げた商品で鋼材、骨材、繊維、これらについて、まず鋼材の方から伺ってみたいと思います。  鋼材では、たとえば小形棒鋼について言いますと、五十年の九月から五十一年の四月までに五回にわたって独禁法による不況カルテルをやったわけですけれども、アウトサイダーそのものは規制できなくてうまくいかなかった、こういういきさつがございます。そこで全国小形棒鋼工業組合を組織させまして、中小企業団体法を適用して安定事業あるいは安定命令に切りかえて、五十三年十二月末までカルテルを続けた、こういういきさつがあります。その結果、公共事業の恩恵もありまして、昨年二月ごろから価格が急騰をしてきた。本年の二月十日にはトン当たり五万九千二百五十円、こういう新高値になっているわけです。  通産省に伺いますが、こういった現象そのものが起きてきたのは、やはりこのカルテルそのものが長過ぎたのじゃないかと言われておりますが、この点どうでしょうか。通産省からお答えをいただきたいと思います。
  242. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 必ずしも私どもそういう見方にはくみしておりません。それは、御承知のようにまあどうにかペイすることにはなりましたものの、まだ過去の累積赤字というものは一向に解消されていない現況であります。結局これは一月には御指摘のようなトン当たり六万二千円というような高値を記録したわけでありまするが、これは十二月一日から始まりましたいわゆる過積み規制の強化、これは特に小棒などには率直に響きました。それからアメリカのスクラップ価格の上昇、カルテルも何ぼかは影響したかもしれませんが、むしろそうでない他の要因によって内外両面からコストアップをもたらしたものというふうに考えております。二月に入りましてからやや価格に落ちつきを見せまして、現在は六万一千円程度で推移しておるというふうに承知しております。
  243. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いま大臣がおっしゃった六万二千円というのは、小棒というよりも異形棒鋼ですね。デフォームドバーの方ですね。これが六万二千円。私が伺ったのは小棒の方で五万九千二百五十円、若干その辺が――御答弁は小棒でなくて異形棒鋼ですね。これを対象としてお答えになったような気がするのです、最近六万一千円になったのは。まあわかりました。  いずれにしても、関連して伺いますが、現在小形棒鋼の採算価格というものは幾らくらいですか。今度は小形棒鋼の方ですよ。大体五万二千円くらいが採算ベースじゃないかと思います。この点はいかがでしょうか。
  244. 大永勇作

    ○大永政府委員 小形棒鋼のコストにつきましては通常――先生、小形棒鋼の丸棒の方を御指摘になりましたが、われわれの方では代表的なものとしまして異形棒鋼をつかまえておりますので、これで申し上げますと、大体原価が六万二千円程度ということに相なっております。ただ、これはメーカーによりましても非常に違いまするし、それからそのときのスクラップ価格がどうかということで違いますので、一概には申し上げかねるわけでございますが、大体そんなところであろうかというように考えております。
  245. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、五十四年一月三十日の値段、これは六万二千円ですね。いままでにない高値である。これが採算ベースであるといういま御答弁に受け取れるわけですが、本年の二月十九日、日経紙の報道によりますと、「小棒工業組合では「生産能力は依然として需要を上回っており、カルテル打ち切りが決まったら、供給過剰となり、市況が反落するのは火をみるより明らか」としており、表向きはカルテル延長を要請していく姿勢は変えていない。しかしカルテル以後の体制づくりも急いでおり、三月中にも結論を出す方針。対策の基本は、各メーカーが増産に走るのを防ぐこと。カルテルがなくなれば話し合いで数量調整するのは不可能だが、小棒工業組合が示す小棒需要見通しを基準に、各メーカーが自主的に生産を増減させることは可能とみている。また「商社が販売可能な量をメーカーに示し、メーカーは示された量しか生産しない代わり、商社は生産した小棒をすべて引き取るようにすればいい」」これは安田安次郎さんという普通鋼電炉工業会会長さんがこういうことを述べておられる。これは一種のカルテルではないかと私は思うわけで、こういうことは認められないのではないか、こう思うわけで、公取はどうでしょうか。これに対してどのような見解を持っていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  246. 橋口收

    ○橋口政府委員 いま安田会長の御発言をお読みになったわけでございますが、確認して私承知をいたしておりませんので、伺った限りでのお答えということで御了承いただきたいと思います。  将来の需給の見通しについて団体として協議をするという場合に、比較的長期の展望であります場合には弊害が少ないのでございますが、短期間、つまり短期の将来についての需給の見通し等について相談をして、それをもとにして各事業者が生産をするという場合には、御指摘のように独占禁止法違反の疑いのある行為というふうに従来から考えております。ただ、需給の見通し等につきまして資料を集めて、その資料を提供するという程度であればどうか、その提供された資料に基づいて相談行為がある場合はどうか、なかなかデリケートな問題がございますので、いま直ちにこれが独禁法違反類似行為であるというふうに断定して申し上げることは御遠慮させていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、事業者団体の行動としては十分注意をしてまいりたいというふうに思います。
  247. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 公取の役割りといいますか、こういうことにこそひとつ厳正に対処してもらいたいし、私はこのことをいま強く要望しておきたいと思います。  いまお尋ねしたのは棒鋼の価格でありますが、そのほかの鋼材も全部値上がりをしている。鉄鉱石の輸入価格が十二月で前年同月比で一九・一%のこれは値下がりなのですが、こういった値下がりをしているにもかかわらず、このような値上がり傾向にあること自体非常に私は理解に苦しむわけです。むしろ公共事業の発注の増加に対してメーカーが減産のやり過ぎをしたのじゃないか、このように考えますけれども、通産省からお答えをいただきたいと思います。
  248. 大永勇作

    ○大永政府委員 先生御承知のように、いまの小形棒鋼以外の一般の鋼材につきましては、市中に出回りまして、いわゆる特約店同士の仲間相場で決まります市中相場と、それからメーカーひもつきと申しまして、いわゆる建て値で販売しているものと両方ございます。大体八割くらいはひもつきといいますか、メーカーが建て値で大口需要者に直接販売しているものでございますが、これにつきましては、五十二年六月以降全然値段は上がっておらないわけでございます、動いておらないわけでございます。ただ、市中価格につきましては、これはそのときの海外市況等々によりまして若干変動するわけでございまして、五十二年ごろにはむしろ市中価格の方が建て値より下回っていたわけでございます。現在は市中価格の方が建て値よりおおむね一万円ぐらい上であるということでございまして、この市中価格につきましては仲間間の相場で決まる問題でございますから、これはなかなか役所としてコントロールはむずかしいわけでございますが、このベースになります大口の取引価格そのものは変動してないということをひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。
  249. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 再度伺いますが、鋼材全般にわたるこのような値上がり、これを放置するつもりなのかどうか。私は値上がりの原因というものは、メーカーの減産に対して公共事業そのものがふえたものと見ざるを得ないわけです。この際もっと増産をさせるべきじゃないかと私は考えるのですが、通産省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  250. 大永勇作

    ○大永政府委員 これは先生御指摘のように、輸出の方は逐年むしろ減少しておりますが、内需の方は公共事業の追加その他でかなりふえておりますもので、生産もふえていく傾向にございます。この一-三月につきましては、当初二千六百五十万程度と見込んでおりましたが、恐らく二千七百万程度になると思いまするし、それから四-六月には、これにさらに若干の増産ということが必要になるのじゃないかと思うわけでございまして、われわれといたしましても、もちろんそのときの市況、需給状況を十分把握いたしまして、不足のないような生産に努めてまいる所存でございます。
  251. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 ぜひそのような方向に指導をしていただきたい、このように要望しておきます。  次に骨材、砂利の値上がりですけれども、これまだ大変なもので、これはいわゆる過積み規制の影響というものが非常に大きいことは間違いないわけであります。東京地区の採石の例を見ますと、規制強化前は一立方メートル運ぶのに三千円、十トン車に二十トンぐらい積んで、したがって十二・五立方メートル、一回の運搬で三万七千五百円かせいだわけですね。ところが規制強化後はどうかといいますと、一平方メートル運ぶのに四千円、これは約三三%アップしたわけですが、十トン車に十トン、六・二五立方メートルですから、一回の運搬で二万五千円しかもうからない。先ほどは三万七千五百円と申しました。したがって、業者は一回について一万二千五百円の減収になった。このような例に見るとおりに、過積みの規制強化というものは、あらゆる物資の価格に影響が出てきておる。車不足で滞貨が出たという話も多々聞いているわけです。運賃値上げによる影響のほか、品薄による値上がりも非常にこわいものがあると私は思います。そこで、物価対策上、この過積み規制の問題を各省庁はどのように考えておられるのか、どう対処されようとするか、運輸省、通産省、農林水産省、建設省あるいは警察庁、こういう関係省庁の皆さんの、簡単で結構でございますから、要点だけお答えをいただきたいと思います。運輸省からお願いします。
  252. 梶原清

    ○梶原政府委員 先生御指摘のとおり、昨年十二月から改正道交法が施行されまして、過積み規制に対する自粛効果が非常にあらわれておるわけでございます。その結果、先生も御指摘がございましたように、特に年末におきまして車両不足の影響があらわれましたが、さらに荷主サイド、トラック業者面におきましてコスト増の現象があらわれておるわけでございます。トラック事業者は、御案内のとおり中小企業者が大半を占めておりまして、荷主に対する経済的な弱者の立場に立っておるわけでございます。したがいまして、従来からも運賃ダンピングの傾向があらわれておったわけでございますが、御指摘のような過積載の自粛に伴いまして非常に影響を受けておるわけでございます。今後におきましては、何といいましても過積載は事故につながるわけでございますので、過積載の防止、運賃の適正収受、それから共同配車、帰り荷のあっせん等々効率的な輸送体系を確立するように努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  253. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答え申し上げます。  いま先生お話がありましたように、昨年の十二月一日からの道路交通法の改正によりまして過積み規制が強化された。これに伴いまして、特に十二月の段階では若干いろいろありましたが、現在までのところ、業界としては車の回転率を高めましたり、あるいは増車、代替輸送の利用というようなことで、資材の供給体制に混乱を生じないよう対処しておるというふうに私ども聞いております。  ただ今後、地域的、時期的に工事が集中するという場合、供給にいろいろ支障が生ずるということも可能性として考えられますので、関係省庁あるいは地方公共団体とも連絡をとりながら対処していきたいというふうに思っております。  もう一つ、価格の問題につきまして、いま御指摘ありましたように、今回の措置によりまして輸送コストが上昇する、品目によっては価格が若干上昇するという傾向が見られておるわけでございますが、私どもとしましては、販売価格への適正な転嫁というのはやむを得ないとしても、いやしくもいわゆる便乗値上げにならないように、必要に応じまして関係業界を指導するということでまいりたいと思います。  それで、当省としましては、公共事業の円滑な推進を図るという目的で、従来省内に公共事業関連物資需給対策本部というのを設けております。ここでいろいろ情報を集めまして建設資材の需給、価格動向の調査、監視ということを行っておるわけでございますが、今後とも、この組織を通じまして、建設資材が適正な価格で安定的に供給されますように十分指導をすると同時に、関係各省とも緊密に連絡をとっていきたいというように考えております。
  254. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 農林水産省では、特に問題になるのは木材かと思いますけれども、木材につきましても先生御指摘のように、先ほどの価格上昇の因子として過積みの問題が一時あったようにわれわれも考えてはおります。しかしながら最近、御存じのとおり、価格も鎮静化の方にございますし、そういう点で過積みの問題も一段落はしているのではなかろうかというふうに考えておりますけれども、林野庁はただいま都道府県あるいは関係団体を通じまして詳しくその調査をいたしております。その結果によりまして、林野庁としてとり得る対策は十分とってまいりたい、なお関係省庁とも十分連絡をとってまいりたいというように考えております。
  255. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 骨材の問題につきましては、昨年末に一部の業者との間にトラブルがございましたが、現在はそれもおさまりまして、公共事業に支障が出ているというような事態はございません。  また、輸送方式の転換、たとえば船積みにするとかあるいは貨車積みにするとかいうような方法も講じておるわけでございまして、現在の値上がり状態は大体六・一%程度ということでございますから、本来の過積みの値上がり分が全部それに当たっているというようなことにはなっておりません。  それから、なお建設省といたしましては、各地方建設局ごとに、通産省とか農林省、運輸省にも入っていただきまして、公共事業施行対策地方協議会というものを設けておりますが、ここで十分相談をいたしまして、今後とも円滑な執行ができるようにしたいと考えております。  なお、値上がり分につきましては速やかに調査をいたしまして、現在すでに発注単価には反映させております。
  256. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  過積載の問題でございますが、昨年の十二月から五月に成立をいたしました改正道交法が施行になっている、これは過積載の取り締まりが厳しくなったということでは全くございませんで、実は昨年の五月の法改正では、過積載というのはかなり構造的な違反でございまして、運転者に事業者あるいは荷主が過積載を下命したり容認したりという事案が絶えない、これを何とか防ぐということで、そういう事案を繰り返しますと車の使用禁止になるという法制になったわけでございます。  そこで、取り締まりによってではなくて、業界が自粛をされるようになりまして、十二月以降とそれまでとは、過積載をとめて調べますと、違反率が三分の一に減っておるというふうなことで、しかも過積をしましても、過積の度合いが非常に少なくなったということでございます。したがいましてその結果、事故の面で申し上げますと、十一月までは月平均十六・五件くらいの死亡事故が過積によって行われておりましたものが、十二月、一月を見ますと、それが十二件になっているというふうなことで大変効果を上げておる。  ただ、いずれにしてもこの過積載の自粛が定着するためには、警察の取り締まりということではなくて、関係行政機関の幅広い総合対策が必要でございますので、総理府を中心に、現在、過積載の防止対策会議を中心に仕事を進めていただいておるという状況でございます。
  257. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 政府としても総理府が中心になって運輸、通産、労働、建設、企画、警察など、関係八省庁による過積み問題連絡会議対応策を検討することになったという報道もあるわけで、いまのところ、皆さんのこの御答弁は一応聞きおいておきますが、適確な対処をしていかなければならない。痛しかゆしとよく言われますけれども、この問題についてやはり物価対策という点からも慎重に考えていかなければならない非常に重要な問題であろうかと思います。各省庁によっては、それぞれの立場が違いますので、この点を踏まえながら今後また本件については詰めてまいりたい、このように思います。  次に繊維の値上がりですけれども、これも独禁法による不況カルテルの影響が非常に大きいように思うわけで、短繊維紡績糸の場合は五十二年四月から五十三年六月まで一年三カ月、梳毛糸の場合は五十二年四月から五十四年一月まで一年十カ月、合成繊維の場合は五十三年四月から五十四年三月まで一年間、こういう形で不況カルテルをやってきたわけです。  この繊維業界は、二年前は構造不況業種と言われていたわけですが、現在では減量による構造改善が進んだということ、綿紡績などについては原綿安と需要の回復で完全に黒字転換した、このように聞いているわけです。しかしながら綿糸やその製品の市況というものは大変な高水準で、そのために増産をさせようとしたけれども人減らしが進んでいるために思うようにいかない、増産もできない、このように聞いているわけです。  そこで、公正取引委員会及び通産省にお尋ねしますが、こういったこともカルテルそのものが長過ぎたのではないかという考え方があるわけで、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  258. 橋口收

    ○橋口政府委員 綿糸につきましては、お話がございましたように、昨年の六月末で約一年三カ月弱のカルテルを打ち切ったわけでございます。最近におきましては、御指摘のように綿糸の価格は上昇いたしておりますが、カルテルを打ち切りました後は価格がむしろ低落をいたしまして、七月以降は価格の大幅な低落があったわけでございまして、カルテルを実施しておりました六月の水準に回復しましたのが昨年の十一月でございますので、もちろん長期的に見まして市況の下支えの作用をしたことはございますけれども、カルテルの打ち切りの時期の判断において誤りがあったということは言えないのではないかというふうに考えております。  ただ、一般的に申しまして、一たびカルテルが結成されますと、とかく長期化するという傾向がございまして、私どもの認可の期間としましては原則三月ということをいたしておりまして、三月ごとに見直しをするという体制をとっておるわけでございます。ただ三月間経過をいたしましても、依然としてカルテル要件があるという場合には、厳重な審査をいたしますが、審査の上これを認可するということで、更新に次ぐ更新ということで、比較的長い期間のカルテルが現存していることも事実でございます。そういう点につきましては、法律の要件に該当いたしております場合には、これを認可するということも必要ではないかというふうに考えておりますが、できるだけ短い期間で早く卒業生になっていただくということを常に希望いたしておるところでございます。
  259. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 やはり業界として更改の要望が非常に強いと聞いていますし、それにしても、このような高水準の価格のままで果たしていいのかどうかという問題も出ている。何か対策がないだろうか、もう少し具体的に何かそういった措置がないだろうか。いまの御答弁わからないわけではないわけですが、値上がりと黒字転換ですね、このもとにあって、もっと消費者の立場に立って、何らかの具体的な措置というものを考えるべきじゃないかと思いますので、この点も含めてぜひひとつ御検討をいただきたいと思うわけです。  先ほども述べたとおり、合繊の方は現在不況カルテルが続いておりまして、三月で切れるわけですけれども、業界はすでに、不況の回復と円高による原料安、これによって五十三年度の決算は黒字が見込まれるということになっておる。にもかかわらず、業界としては不況カルテルの更改というものを求める要望が非常に強いと聞いているわけですが、こういった不況カルテルの更改はやはり認めるべきではないのではないかと思いますが、この点はどうか。現に昨日の日経紙によりますと、すでに合繊業界はカルテルの更改を求めることを決定した、このように出ておりますけれども、公取はこれを認めるのかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。
  260. 橋口收

    ○橋口政府委員 合成繊維も、通産省による行政指導の期間を加えますと、ことしの三月でちょうど一年半になるわけでございまして、決して短い期間のカルテルではないと思います。  現況でございますが、三月末に切れるということで、三月に入りましてから本格的な審査をするというのがたてまえでございますが、最近の市況の状況、採算の改善等の事態もございますので、現在で入手可能なデータに基づきまして検討いたしておるところでございまして、検討の方角といたしましては、できれば卒業生になってほしいという心情で検討いたしておりますが、御承知のように、これは合成繊維の糸ごとに共同行為をいたしておりますので、糸によって採算状態のいいもの、中くらいのもの、悪いものといろいろございます。したがいまして、個別の品目ごとの検討ということも必要になりますし、また採算ラインに乗っておるかどうかということの判定は原価の事情についての分析も必要になりますので、こういう点につきまして可能な限りの資料を集めて検討いたしておるところでございまして、いずれにしましても、どういうふうにするか、最終的な決断は通産御当局とも相談する必要がございますし、三月のかなり深くなってからの結論で差し支えないというふうに考えておるところでございます。
  261. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 平電炉とか合繊、アルミ製錬などは、昨年成立したところの特定不況産業安定臨時措置法、すなわち構造不況法、これによって、その対象業種に指定されているわけですが、これから先安定基本計画を策定して設備処理をするということですけれども、これは物価対策上やはり問題が出てきたのじゃないか、このように思うわけです。通産省は構造不況業種を優先させるのか、物価対策を優先と見るのか、この点についてどちらかお答えをいただきたいと思います。
  262. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる特定不況産業安定臨時措置法でございますが、これによりまして現在過剰設備の処理等を推進しておるものでございますが、いわゆるこの特定不況産業というものにつきましての状況は、現在特定不況産業の指定を行っておるものが、やや細かくなりますが、十三業種ございます。それから安定基本計画を策定したものが、そのうちで十一業種ございます。つまり、十三業種のうちで、まだ綿紡績業と梳毛の紡績業の二つは計画が策定されておりませんが、梳毛につきましては近く安定基本計画を策定する予定になっております。こういうのが現状でございます。  いまのお話でございますが、私ども、不況業種の実態につきまして、最近の状況はさまざまでございますが、概して申しますれば、なお不況による市況の落ち込みから回復しつつある過程であるというふうに考えております。したがいまして、そういうもので問題の残っておるものにつきましては、必要な不況対策を講じなければならないというふうに考えております。  一方、設備処理の問題は、産業構造の面から中長期的に見た場合、いわゆる需給ギャップが存在する、それをこういう法律によって措置を講ずるという性格のものでございますので、そういった構造的に需給ギャップが存在しておる不況業種というものにつきまして、いま措置を進めているわけでございますから、こういうものにつきまして、今後とも過剰設備の処理は進めておく必要があるというふうに考えております。ただ、法律の実際の運用に当たりまして、その業種の市況の推移、需給の動向等々、業種の実態というものを十分注視しながら運用をしていきたいというふうに考えております。
  263. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 法律の制定時といまとで、これらの業績そのものは回復してさま変わりをしているんじゃないか、このように思いますが、この点はどうでしょうか。法律の制定時といまの時点の違いなんですがね。
  264. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答え申し上げます。  確かに、この法律が制定されました当時の不況の深刻な状況というものと今日の状況では、これはもちろん業種によっていろいろ差がございます。たとえば造船業のように、なおいろいろ深刻な事態にあるものもございます。一概には申せませんが、概して言えば、相当市況はよくなってきておるということは言えるかと思います。ただ、それで現在それぞれの業種が抱えている構造的な問題というのが解消したかどうかという点になると、問題は別ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  265. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 第四点目に挙げたいわゆる独禁法による不況カルテルとか、あるいは中小企業団体法に基づく安定事業対象商品、これを行おうと思いましたが、ちょっと時間の関係がありますので、これをやりますとかなり時間がとられると思います。  これは別途機会を改めて関係委員会で発言するといたしまして、この問題の最後のところで、私は思うのですが、自民党の河本政調会長でさえ、不況カルテルによる減産が一因となって市況が高騰し、大幅なインフレにつながった四十七、八年のような事態になったら困る、このように言っておられるわけですし、また同氏が、本当の構造不況業種と言えるものは二、三しかない、こういった発言もあります。この一月に不況カルテル期間が満了した梳毛糸の場合は、一年十カ月もの長い間七回も繰り返してやったわけで、これは非常に問題があるのじゃないかと私は思います。もっと短い期間に思い切ったこと、すなわち操業短縮であるとか、こういった形をとらせるべきじゃないか。それから、本当に構造的な不況業種と単なる景気循環的な不況業種を十把一からげに見るべきではない、このようにも思います。  独禁法のねらいが、公正自由な競争を通じて価格が形成をされて、これを通じて消費者の利益が確保されるということからすれば、企業の活動というものは本来自然の成り行きに任すべきではないだろうか。したがって、不況カルテルや安定事業の適用は厳正でなければならないと考えますが、経済問題の御質問の最後の点で、公正取引委員会と通産省からそれぞれ御見解を伺いたい、このように思います。
  266. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点は全く重要な問題だと思います。したがって、今後の扱いは、やはり現状に即しながら、しさいに検討していく必要がありますね。独禁法適用カルテルというものが原則的に本当に需給がアンバランスなのかどうなのか、値崩れが不当なのかどうなのか、そのあたりを細心注意しながら、現実に即して対策したいというふうに考えます。
  267. 橋口收

    ○橋口政府委員 通産大臣からお答えがあったとおりでございます。全く同意見でございます。  申すまでもございませんが、競争的体質の強い経済ほど産業社会の活力を持っておるわけでございますから、基本は市場経済であり、また自由経済でなければならぬ、こういうことで独禁法の運用を従来からやっておりますが、御注意もございましたから、なお一層注意してやっていきたいと思います。
  268. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは、外務大臣お見えになりましたので、外交問題について若干御質問をしたいと思います。  外務省は、E2Cの導入問題について、ハワイ会談の際の非公式の席で、グリーン元国務次官補が当時の鶴見審議官に話したことを米側の資料で認められたわけですけれども、きょうの夕刊の報道によりますと「E2C導入要請 ハワイ会談の一年前から」グリーン氏訪米議員団に表明、こう出ておるのです。大臣、ごらんになったと思うのですが、これは向こうへいま超党派で議員の方で行っておられるわけですけれども、きょうの、これは二十一日の会談でもって明らかになってきた。「グリーン氏は、ハワイ会談で鶴見外務審議官(当時。すでに死亡)にE2C導入を持ちかけたことを公式に認めるとともに、ハワイ会談の一年ぐらい前から日本側にE2C導入を働きかけていたとの新事実を明らかにした。」「グリーン氏は①E2Cの日本への売り込みは米側の〃公式の関心〃だった②このためハワイ会談の一年ぐらい前から日本側に導入を持ちかけた③ハワイ会談は、日本側の回答を求める場だった」ずっときまして、途中をちょっと略しますが、「日本へのE2C機導入を依頼されたことを明らかにし、田中、ニクソン首脳会談二日目に「非公式の場」で、鶴見審議官に「どうです。決まりましたか」と問いかけ、日本側の意思が決定したのかどうかただした。しかし鶴見審議官が「考慮中」というだけだったので、グリーン氏は「がっかりした」とも述べた。」云々と書いてあります。きょうの報道です。  これは私もいま、ちょっと前に手にした紙面ですが、これは大変な新事実と言わなければならない。一年前からということですから、外務省が果たしてどのようにこれに対して考えられるのか、このような事実があるのかどうか、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  269. 園田直

    ○園田国務大臣 大体大筋として、当時の状況考えますと、黒字減らし、貿易不均衡是正の問題から、兵器の購入問題それから航空機というふうにやってきたのではなかろうかという推察はされるわけでありますが、いまのグリーン氏の発言については、具体的に直ちに検討するように、私も夕刊を見て命じたばかりであります。いまのグリーン氏の発言のしまいの方の、鶴見審議官に最後の決断を求めたということは、向こうの正式の回答によるといささか違うような気がいたします。
  270. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 この問題は実は私ちょっと一、二問ということで、いま飛び込ましたわけで、率直なところそういうことなんですが、このグリーン氏の発言ですね、もし一年前から導入というものを持ちかけたとするなら、この間の外務省の発言、ごく最近知ったような発言ですね、これと非常に事実が大きく食い違ってくる、こう言わざるを得ないわけで、これはもう雑談程度の話などという発言がありますが、そんな政府の見解とは大きく食い違うわけですから、これはもう重大問題と言わなければならないし、また疑惑を一層浮き彫りにしたのではないか、このように私は思います。したがって本件につきましては、大臣言われたとおりの、これからの調査もありましょうし、以後、関係委員会において解明をしていかなければならない当面の重要課題ではないかと思います。  以上、この点についてぜひとも再度調査をした上で、ひとつしかるべくわれわれのこの調査に対してもこたえていただきたい。このことについて疑惑解明をされる意思があるかどうか、本件について大臣のお答えをいただきたいと思います。
  271. 園田直

    ○園田国務大臣 ハワイ会談及び会談が終わってから後のグリーン氏から鶴見審議官に対する発言は、いまの発言のようなものではないということは向こうから明確に来ておりますし、われわれはそのように了解しております。それ以前のことについては、御発言のとおり、国会の決議でもございますから、外務省は十分真相を検討することに努力をいたします。
  272. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは次に、これまた若干でございますが、今日の中越問題、伝えられるところによりますと、本日の朝刊等では、ベトナムの正規軍が続々と中越国境に向かって移動しているということが報ぜられているわけですけれども、今回の中越紛争はどうも限定とは考えられない様相を呈してきているのではないだろうか。政府によれば、このたびの中越武力紛争が長期化するようなことはない、こういう観測をしておられるようですけれども、その見通しでいいのかどうか。もし長期化するとした場合、けさの報道でも防衛庁あたりの見方は長期化するだろうと言っているわけですから、こういう長期化するケースを考えた場合に、最も関心を持つのはやはり米ソですね、この両大国がどう出てくるのだろうかということではないかと私は思います。最近ソ連の軍艦とか航空機が、たとえば軍艦でいえば対馬海峡を通って台湾海峡の方へ南下していく、こういう姿が伝えられているわけですけれども、そういった点からソ連軍の動きは一体本件に対してどうなんだろうか。  そこで、こういった問題に関する現状と見通しについて、政府はどういうふうに見ておられるかを大臣からお答えをいただきたいと思います。
  273. 園田直

    ○園田国務大臣 私が申し上げておったのは、北部山間地帯に中国軍は大体展開をしておる。ベトナム軍は南部のハノイ周辺に展開をしておる。したがって両国の真面目なる大規模の戦争というのはいまのところ展開されてない。そのままであると、中国は限定作戦、話し合いとは言っておりますけれども、ベトナムの方は話し合いに応じない、まず中国の撤退が先だと、こう言っておるわけであります。そうなってくると、撤退する時期がいつになるのか、どういう行程で撤退をするのか、なかなか長期化する心配がある。長期化すれば不測の事態が出てくる。こういう点を懸念しておるわけでありますが、二、三日前からベトナムの正規軍が北へ上るという話がありましたが、当時は不確認情報でありましたが、どうも、主力とは存じませんけれども、一部のベトナム軍が北上しているということは確実なことではないか。  一方、中国は限定作戦だ、撤退するということを言いながらも、その事実については明言を避けておるところでございます。  一方、ソ連は、ベトナムとの条約を言って、これに対する義務は履行するという警告を発しておるところであります。いまのところは輸送機、航空機または船舶による物資その他の援助の程度であって、ここ当分武力介入をするということにはよほど慎重のようでありますし、また、米国もそういうことにならぬようにいろいろソ連にも話をし、いろいろな努力をしているようでありますが、いずれにいたしましても、戦闘というのは異常な心理状態でありますから、これが長引きますと不測の事態が起きてきて、そして大規模の戦争になり、ひいては中ソの対決になり、ひいてはこれが世界の平和を危うくすることになってくるという非常な懸念はしておるところでありますが、ここしばらくの間は、いまのところは戦闘は山間地帯で限定的なところで停止をしたり継続されたりしておる状況でございます。
  274. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 日本政府としては、このたびのこの中越紛争の平和的解決について、場合によっては仲介あるいは調停というものをする用意があるのかどうか。わが国は、中越両国に関してはいわゆる中立的な友好関係にあるということから、こういう外交的行動をとるのに最も適切な立場に置かれているのではないだろうか。すなわち、われわれにとっては、アジアにおける平和外交の真価を見せる絶好のチャンスではないだろうかとも思うわけですけれども、単なる申し入れというようなことでなくて、もっと実効性のある外交行動をとってはどうか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  275. 園田直

    ○園田国務大臣 御発言の趣旨はよく了解をし、貴重な御意見として拝承し、深く考えているところであります。  わが国は、当事者の関係国及びこれに関係のある国々、特にASEANの国々とも密接に協力し、一方、国連の舞台においても、できるだけこれを平和的な解決にしたいと、ありとあらゆる努力をいたしております。ベトナム、中国に対しても、さらに訓令を出し、ASEANの意向というものを無視しないようにという申し入れ等もやっております。が、いずれにいたしましても、いかなる方法を講じてもこれを大規模の戦争にしてはならぬということはたった一つの念願であります。そういうわけで、いろいろおしかりを受けながらも、中国とも接触をし、また一方ベトナムに対しても経済援助を断ち切らないで話し合いを持続していることは、両方に話し合いのできる数少ない日本の国であります。かつまた、ASEANの国々と日本はまさに意見は合っておって、同一歩調をとっておるわけであります。そういう機会が来ればいかなる努力を惜しむものでもございませんけれども、こういうものの調停はやはり情勢の推移をよく見てまいりませんと、中に入ってかえって邪魔になることもあります。そういうことも考慮しつつ、推移を見守りつつ、いまおっしゃったようなこと等も考慮に入れながら配慮しているところでございます。
  276. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、たとえば両国の会議の会場を日本国内で提供をするとか、必要であるならば、先ほど若干御答弁にあったように、両国間の連絡も日本政府が労をとるといった用意があるということを、したがって、中越両国に対して表明してもいいのじゃないかと私も思うわけですが、外務大臣、この点いかがですか。紛争の平和的な解決、それから平和の回復のためにも、この際、くどいようでありますけれども、決意のほどをお聞かせをいただきたい。これはいつまでも待っているわけにいかない重要な問題ですから。
  277. 園田直

    ○園田国務大臣 両国から日本に協力方の要請があることを期待して待っておりまするし、そういう場面が来れば、たとえ冒険でありましょうとも、いかようなる努力もする用意と決意を持っているところであります。  いまのところは、ベトナムの方は、話し合いに応ずる、そのかわり早く中国軍が撤退するように日本の方は力を添えろ、こういうことでありますし、中国の方は、限定作戦であって話し合う用意がある。両方の言い分が近寄ってきたようではありますが、まだ依然として両方は自分の立場を固執しつつやっておるわけでありますから、いましばらく模様を見たいと考えております。
  278. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そういうような両方から要請があればということになりますと、非常に受け身的な感じを受けざるを得ないわけですけれども、いずれにしてもぜひとも仲介もしくは調停、しかも会議場そのものをわが国の国内で提供するとか、あるいは両国間の連絡の労をとるとか、こういった実効性のある外交行動を一日も早くとられんことを、この点に関しては強く要望をしておきたいと思います。  次に私は、南極問題について取り上げてみたいと思うわけですが、南極問題に関しては、最近国際的にも非常に関心が高まっているし、特に領有問題、資源問題等で各国の関心が非常に高まっております。つい最近もNHK等のテレビを通じて南極問題はお茶の間の話題といいますか、こんなふうにも発展をしてきておる。したがって、この問題について若干政府の見解をただしておきたいと思います。  すでに今日において南極大陸というのは世界で最後に残された鉱物資源の宝庫である、このように言われておりますが、私が憂慮するのは、もし無制限に資源調査の競争というものが各国間で放任されるとするならば、やがてこれが各国の利権の主張となって、ついには南極大陸の分割競争の時代というふうになるおそれがあるのじゃないか、こういう点であります。もっとも南極条約そのものは、条約第四条で活動の結果というものが領有権主張の根拠とならないことを決めておりますけれども、もし有用な地下資源が見込まれることになると、これは事態というものは大きく変化をしてきて、やがては地下資源に対する所有権の主張となり、領土権の主張となるのじゃないか、このようにも考えるわけです。まずこのことについての政府の御見解を伺っておきたいと思います。
  279. 園田直

    ○園田国務大臣 南極条約は、御指摘のとおりに、条約によって領土権の主張を凍結をしております。しかしこの凍結が解除されれば各国の領土権の主張を束縛するものではない、こういうことになっております。しかしこの南極条約というものはここ当分の間に解除されるべきものではなくて、相当長期にわたってなされるべきものであるという考え方で各国とも対処いたしておりますから、いま解除された場合のことを云々することは軽率かもわかりませんけれども、わが国としては、やはり南極というものは各国が領土権を主張し、分割をし、争いをすべきものではないという立場からこれに対処していきたいと考えております。
  280. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 南極大陸において各国は地下資源の開発が認められておるかどうか、この点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  281. 矢田部厚彦

    ○矢田部政府委員 南極条約におきましては、南極条約対象地域における資源の開発を許容もいたしておりませんし、禁止もいたしておらないということでございます。
  282. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そういうあいまいな立場といいますか御答弁であると、いまや時代的にもそれが許されないのじゃないかなと思うわけです。もしある国が実際に開発に着手したとするならば一体どうなるのだろうか、よその国はこれを傍観する以外に有効な規制はできないということなのかどうかという問題、日本は一体どういう立場をとるのだという問題、これらの問題に対して、ちょっといまの御答弁では時代に合わない、非常にあいまいに感じるわけですけれども、もう少しはっきりこの地下資源開発問題についてのお答えをいただきたいと思います。
  283. 矢田部厚彦

    ○矢田部政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、南極条約の法律的解釈としてそういうことであるということをお答え申し上げたわけでございます。それとは離れまして、南極におきます資源の問題というものに対して、各国が注目をし始めておるということは事実でございまして、したがいまして、南極における鉱物資源の探査、開発の問題につきましては、南極条約協議会議におきましても討議の対象となっておりまして、本年の第十回の協議会議では特にこの問題については集中的な討議が行われるという予定となっております。
  284. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 この南極条約は領土問題について大要次の二つのことを決めているわけです。  その第一点は、従来領土権を主張していた国が南極条約に加盟しても、これまで主張してきた南極における領土に対する請求権を放棄することにならないが、またこれらの請求権を承認するものでもない。その第二点は、南極条約が発効した後に各国が行った行為または活動は領土に対する請求権の基礎とはならない、こういった二点があるわけです。  私が問題とするのは、将来南極条約が期限切れあるいはその他の理由で失効した場合一体どうなるのだろうか、一体どういう状態が出現するのだろうか、こういうことなので、もしこういう事態が出現した場合に、南極は無主地ですから、無主地先占の法理というものが南極大陸分割の有力な根拠となるのじゃないか、このように思いますが、政府の見解を伺っておきたいと思います。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
  285. 矢田部厚彦

    ○矢田部政府委員 南極条約は、もともと南極地域が国際的な紛争の種となってはならない、国際的紛争の場となってはならない、恒久的に平和的な目的のためにのみ使用される地域として保存することとしたいという発想からできた条約でございます。このことは条約の前文にもはっきりうたわれているとおりでございます。もちろん、仮定の問題といたしましては、条約が三十年のレビュー、再検討の時期に参りましたときに解消するということはあり得ることではございますが、先ほど申しましたような条約そのものの目的から申しまして、条約協議国が南極を資源確保のための各国の紛争の場とするような解決を招くようなことにはならないであろう、またそうあってはならないというふうに私ども考えております。
  286. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 どうも伺っている点と御答弁はちょっと食い違っているように思うわけですが、それでは、南極大陸が世界で最後に残された無主地ということを言いましたけれども、豊富な資源を持った大陸に対する領有意欲というものは熾烈なものがあるのじゃないか、このように思います。南極条約は発効後三十年をめどとしておって、その期限は一九八九年に迫っている。特に、いままで領有を主張していないアメリカ、ソ連、中国、こういった国々が将来どう出てくるかということも無視できないものがあるのじゃないだろうか。私は、南極条約の有効期間が来るまでに、一刻も早くこの領有問題及び資源開発問題、これを解決する必要があるのじゃないかと思いますが、このことに対する政府の見通しはどんなものなのか。外務大臣にこの一点だけ伺いますが、こういう事態を考慮して、政府が南極問題について、国連、あるいは南極に関心のあるすべての国を網羅した特別の国際会議提案することを考慮すべきじゃないかなと私は思いますが、この点、大臣いかがですか、国際会議についてお答えを願います。
  287. 園田直

    ○園田国務大臣 きわめて貴重な、適切な御意見でありますから、それに基づいて十分検討してみたいと考えます。
  288. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 これはわが国の将来南極に対しての非常に重要な問題でもありますので、検討という言葉が答弁の中にたびたび出てくるわけですけれども、この点だけはひとつ日本の将来にとって重要な問題と受けとめて、真剣に対処していただきたいし、特別な国際会議的なものをぜひとも提案をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。  時間がございませんので、あと二、三問でございますが、サンフランシスコ平和条約の第二条(e)項ですが、この(e)項で日本が放棄した南極に対するすべての請求権、これは一体どういうものなのか。すなわち、明治四十五年ですか、白瀬中尉が南極を探検して、これを大和雪原と名づけたわけですけれども、この探検と発見に基づく請求権を一応は指すのだと私は思いますが、平和条約第二条(e)項でわが国が放棄した南極に対する権利、権原とは、平和条約が発効した時点におけるものであると解しますけれども、この点はいかがでしょうか。このところは非常に大事な、お聞きしたいところなんですが、発効した時点におけるものである、このように解したいわけですが、いかがでしょうか。
  289. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 平和条約第二条でわが国が放棄いたしましたところの南極に関する権利、権原、請求権は、まさに先生御指摘のとおり平和条約の発効までに至る間のものでございます。
  290. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 平和条約そのものは、同条約発効後の日本の南極に対するいかなる規定もないし、規制もされていないと私も実は思うわけで、したがって平和条約締結後は、わが国は他のすべての国と同一のスタートラインに立っていると解すべきだと思います。すなわち、将来南極大陸を分割するような場合、あるいは資源開発を行うような場合には、わが国も他の諸外国と対等の立場でこれに参加し、主張することができるのだ、このように理解するわけですが、再び御答弁をいただきたいと思います。
  291. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 南極条約が発効いたしましてから後におきますところのわが国の活動から生ずる何らかの権原は、まさにおっしゃられるように、同じ南極条約に加盟しております他の当事国と同様な地位にあるということになるわけでございます。
  292. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、平和条約から、将来に向かってわが国の立場を放棄したとは考えられないというふうにここで受けとめてまいりたいし、さらに最後にもう一点だけ聞いてまいりますが、平和条約との関連で南極問題に触れた学者の学説というものはきわめて少ないわけで、これに触れたものの多くは、平和条約第二条(e)項の解釈論であって、日本は南極に対する一切の領土的な発言権を放棄したという点にとどまっているわけで、非常に解釈論だけでいままで学者の説が終わってきた。しかしながら、昭和二十七年に発行された「対日平和条約」という書物がございますが、この中で「いずれにせよ、日本は、今回の権利放棄によって現在直接失われるものはないが、将来南極地域に対する主権設定の問題が国際的に論議されるような場合には、いっさい発言権をもつことができなくなるわけである。」このように、それ以降のことについても書いてあるわけです。これに私は非常に注目をするわけで、このような所論は、いままでの政府との質疑応答によって明らかに誤りであるということが判明するわけなんで、ただいまの御答弁では、将来に向かってそういうような主張がし得るのだと言われると、これと全く相対立しているわけですから、この誤りというものがここで発見されたのじゃないだろうか。私はこの南極の問題が将来必ず重要な国際問題になることを想定しますので、ぜひともここで確認しておかなければならないと思うわけです。すなわち、南極に対する権利の主張、領土主権の主張、分割の場合の主張、あるいは資源開発の場合のこういった主張に対して、わが国はいかなるハンディも負わされないものであって、完全に各国とも平等の立場にあるのだということを再度確認をしておきたいわけでありますが、御見解を承りたいと思います。
  293. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、わが国はサンフランシスコの平和条約第二条で請求権を放棄いたしておりますので、平和条約の発効に至るまでの間のわが国の請求権に関する限りは、これはすでに放棄せられておるという点が一点。その意味におきまして、よその国々と全く同一の立場にはない。よその国の場合には、そのような過去の請求権を、平和条約発効までの請求権を放棄したというような事実はないということになります。他方、平和条約発効においてわが国が持つことあるべき請求権は、現在は南極条約のもとにおいて他の国々が持っている請求権と同じような立場にありますし、将来につきましても、もし南極条約がなくなるというような事態があるといたしましても、その場合における平和条約発効後のわが国の持っておる請求権は、他の国が持っておる請求権と全く同一の立場に立つ、こういうことであると思います。
  294. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 ただいまの御答弁、政府の見解として納得するものでありますが、なお南極の領有権及び資源開発に対するわが国の立場、これは大臣に一言だけ伺いたいのですが、この立場を明確にしておく必要があるのじゃないだろうか。学者の説はそうだった、しかし、政府のいまの見解というものは、将来に向かってその可能性があると当然主張していくべきであるし、そういったものは留保されているのだということですね。この立場を明確にする必要があると私は思うので、政府の統一見解といいますか、これに対するはっきりとした見解を文書にして当委員会に提出するといったような、私としてはやはりぜひこの御要請をしたい、こう思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  295. 園田直

    ○園田国務大臣 ただいまの御発言、大事なことであると思いますので、そのように考慮し、準備をいたします。
  296. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 ありがとうございました。  私の質問は以上ですが、私の持ち時間の中で残された時間について、同僚委員に質問の機会を譲ってまいりたいと思います。大変ありがとうございました。
  297. 竹下登

    竹下委員長 この際、関連質疑の申し出がありますので、中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。沖本泰幸君。
  298. 沖本泰幸

    沖本委員 私は、短い時間でございますが、三原総務長官に同和問題につきましてお伺いしたいと思います。  昨年の十月十八日衆議院本会議、並びに十月二十日参議院本会議において、三年間延長と法の総合的改正を含む三項目の附帯決議が付されて可決されたわけでございます。これは御存じだと思います。当時総務長官は国対委員長でもあらせられたわけで、この経緯については十分御認識だと思います。  当時の稻村総務長官は、十月十九日の参議院の内閣委員会で、特別措置法は「きのう衆議院を通過をいたしました。そのときに附帯決議が付されております。そういう意味で、このたびの三年間の延長というのは、これをもって打ち切るという、こういう意味合いのものではありません。そういう意味で、この三年間の中で今後同和対策事業をどう進めていくか。たとえば基本的な問題あるいはまた人権的な問題、教育問題等、こういったことがこの三年の中でいろいろ研究をしていただいたり、あるいはまた現地の実地をいろいろ調べていただいたりして、そしてこの三年間の中でこれから同和対策事業というものをどう進めるかと、こういうことで今度の三年の延長は意義があると思っております。」また衆議院の内閣委員会では、当時の加藤自治大臣は、同和対策は国の責任ですべて国庫補助事業として推進されるべきである。地方公共団体が相当の負担を強いられている。また法務省の鬼塚人権擁護局長は、遺憾ながら差別事件は決して減ってはいない。増加の傾向にある。また文部省の社会教育課長は、実際問題として社会啓発を推進していくのに相当の年月がかかるだろう。年限で解決できるという簡単な問題ではない。こう述べておられるわけでございます。  そこで、この附帯決議というのは重要な内容を含んでおって、単なる形式的な附帯決議、こういう面でお受け取りいただいては非常に困るわけでございまして、これは、具体的な完全な実施というものがこのことによって図られていくということでなければ困りますし、また、しばしば実態調査という内容のものが、政府から各市町村に話がおろされて、市町村で形式的な調査がされて、それがまた政府の方へ上がっていく、それをまとめられていく、そういうことになると、実際の自治体の方の具体的な内容あるいはその他の団体でお調べになった実態、こういうものと大変な食い違いが起こってきたりというような内容が以前にもあったわけで、そのためにいろいろと食違いが起こって問題を起こしておるわけです。  そういう点もあるわけですから、この三年かかって実態調査という点も、今度は具体的な内容まで掘り下げていただいて十分な実態調査をしていただかなければなりませんし、それからまた、本年三月三十一日で以前の、十年の時限立法が切れるわけで、それを三年延長された、こういうことになるわけでございますけれども、この法律ができた当時とは土地の単価も違いますし、事業の内容もいろいろ違っておるわけですから、おのずから内容がずいぶん狂ってきておるという事態もあるわけです。それからどの程度事業が実施されて、どの程度の効果があったかという点も具体的に出てこなければならない、こういう点があるわけでございますから、この実態調査という点に非常に重要な意味合いがかかっておると考えておるわけでございますが、その点について、新しく御就任なさって、これから具体的にお進めになる長官の手元で、いまどういうふうにこれが実施に移されつつあるか、まだ手元の中で問題はそのままであるのか、具体的にどういう方向に向かっておるのか、また、今後どういうふうにこの問題をお進めになっていくのか、その点をお伺いしたいと思います。
  299. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたします。  まず、稻村前長官から、三年間延長等についての同和対策事業についての事務の引き継ぎ等を受けたかという、具体的にはそういうことであろうと思いまするが、十分稻村前長官から同和対策の重要性また現状、将来に向かっての問題点等につきましては引き継ぎを受けておるわけでございます。  そこで、私とも三年間という――私もその延長の際には参加をさせていただいて、御決定になります際には協力させていただいた立場でもあるわけでございます。そこで私どもといたしましては、この三年延長をいたさなければならないという当時の話し合いの中身等も承知をいたしておるわけでございまするが、問題はやはり、一応二つに分けて考えることができると思います。  一つには心的な、国民全体の理解と協力が必要である。この問題は三年で終わるものと私は思いません。将来に向かってそういう差別的なことのないように啓発活動は展開をしていかねばならぬと思います。  次には、生活環境その他の施設面でございますとか、あるいは事業面の教育その他一般の生計のための事業をやられることについての援助等があるわけでございまするが、そういう点につきましては、今日まで鋭意努力を関係省庁の協力を得てやってきたことは御承知のとおりでございます。  しかし顧みて、現状を見てまいりますれば、あと三年ぐらいはどうしてもそうした施設面においても、これはかかるぞという事業量が出てまいっております。事業量の調査あるいは受けとめ方にしましても、いろいろ問題のあることも承知をいたしております。たとえば、五十年に大々的な調査をいたしました。その面から出ます一つの事業、それには、その間におきまする追加されてまいりました事業もあることも承知をいたしております。なお市長会におきまする資料が出てまいり、あるいは同和の組合体制の中からも要望が出てまいっておることも承知をいたしておるわけでございまするが、そういうものを踏まえて整理をしてまいらねばならぬと思うわけでございます。そういう意味で残事業というようなものを見ておるわけでございまするが、目下そういう点の調査、整理をいたしております。そういう点についての実態調査をもちろんやらねばならぬと思うのです。きのうの御質問の中にも、関係大臣ばかりでなく、各大臣もひとつこの問題ついて現地を見るぐらいの誠意を示せという御要請もあったぐらいでございますし、担当主管大臣としてはもちろん重要な地点については私も現地に参りたいとも思っておるわけでございます。  そういう点で、実態把握につきましては、きのうもお答えをいたしましたように、まずは所管の各官庁が実際に現地調査をするということも一つございましょう。それから、なお市町村あるいは県あたりから出てまいりますいろいろな要請がございますので、そういう点についてひとつ検討、整理をさせていただく、そういうことで実態的な把握に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、本事業が三年で終わるものではないぞという御見解を示されましたが、私も先ほどから申しますように、啓蒙的な活動で全国民の理解と協力を得るためには相当な時間を要すると思うわけでございます。そういう点につきましては、私も相当長期にわたるなと思いますけれども、しかし、事業面におきましては一応三年と一つのお決めを願った、その間にできるだけは果たしてまいるということを考えてまいりたいと思います。今後どうするかという問題については、その時点に立って広く関係省庁とも相談をして最終的な結論を出してまいらねばならぬ、そう考えておるところでございます。
  300. 沖本泰幸

    沖本委員 この延長問題につきましては、当時二年延長するか、五年延長するか、野党側の方は五年という要求のところでいろいろ議論があったわけで、ただ残事業をはかって、残事業に対して何年という物の考え方は間違いだという話が十分あるわけで、もっともそのとおりでございまして、そういう点も考えていただいてもう一度洗い直していただき、そこから問題点をえぐり出してやっていただく、物と心の両面から進めていかなければならない問題で、とうてい三年で片づくような内容のものでもないわけでございますから、十分その点が完全に実施されて完全解決を見ていくような方向でこれから図っていただきたい。こういうことを要求しておきたいわけでございます。  あと、時間が余りありませんので、今後そういう点についてどういうふうにお考えになっておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  301. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えいたします。  いまの御意見のように、残事業につきましては、私はこれが実現に最大の努力を三年間してまいりたい。  それから、全国民の理解と協力を得るための啓蒙運動につきましては、私はこれは相当長期にわたって努力をせなければならぬと考えておるわけでございます。  三年後のことにつきましては、その時点に立って、私はこの問題がきわめて国民的な重要な課題でございますので、そういう立場でその際にひとつ結論を出してまいりたい、そう考えておるところでございます。
  302. 沖本泰幸

    沖本委員 時間がなくなりましたので、ほかは他の委員会でやりたいと思います。どうもありがとうございました。
  303. 竹下登

    竹下委員長 これにて中川君、沖本君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺朗君。
  304. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 本日は、私は南北問題に限りましていろいろお尋ねをしたいと思っております。  その前にいささか幾つかの点で気になることがございますので、まず外務大臣に中越紛争の現状につきましてお尋ねをしたいと思います。  いま外務大臣は、この紛争を大きくしてはならぬという悲願をおっしゃいました。これは同様に日本国民の悲願であろうと思います。私も、拡大をする一つの端緒はソ連が介入するかどうか、そういうことにあるのではないかということで、二十日の外務委員会におきまして、その危険性についてお尋ねをしましたし、それを何とか回避しなければならぬ、そのための御努力を要請したような次第でございます。  本日モフタル・インドネシア外相が日本に来ておられます。新聞によりますと、インドネシア外相と園田外相との会見の中で、ソ連の介入を懸念しているというようなことがあったやに報道されております。この点いかがだったでございましょうか。特にこのモフタル外相は、こちらに来られる前にASEAN諸国をずっと回ってきておられる。そして閣僚会議の議長をしておられる。そういう立場での発言であるとするならば、ASEAN諸国においては共通にそのような懸念を持っているのではあるまいか。こういうことに対しまして、日本政府としてのお答えはどのようなものであったのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  305. 園田直

    ○園田国務大臣 インドネシアの外務大臣とは本日二時間余り、第一回の会談を終了いたしました。同外相は、ASEAN諸国を歴訪し、特にインドシナ半島情勢について意見を交換をして、最後に日本に来られたものであります。会談の内容をつまびらかにするわけにまいりませんし、なおまた、外務大臣の御意向によって内容を詳細に話さないでほしいということもございましたが、大体御承知のとおりに、外務大臣はASEANの常任委員会の議長という立場でございまして、その議長の立場でASEANの国々の意見を交換した後、御承知のとおり声明を出しておるわけでございます。  大体その声明の趣旨に従って、東南アジア地域の状況の悪化を、重大な関心と憂慮を持って受けとめているということが第一。第二番目には、東南アジア地域における平和と安定がこれ以上損なわれないよう、紛争当事者に対しすべての敵対行為をとめるよう要請をする。三番目には、すべての外国軍隊がインドシナ紛争地域から撤退することを求める。最後に、域外の諸国に対し紛争拡大を慎むよう自重を求める。この最後の項で、インドシナ半島に関係のある大国の自重と、拡大せざるよう協力を求める、こういうことを言われたわけでございます。
  306. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 実はこの一両日のソ連側の発表を見ておりますと、西欧に対してあるいは米国に対して、日本に対して、今日の時点で対中協力を非難する、こういうような論調が強まってきているように思います。これは事前警告的な性格のものではあるまいか。しかもあすにも国連の安保理事会の緊急の理事会が開かれる、こういう情勢もあるやに聞いております。これをソ連側の事前警告的な性格を持った論調というふうに見るのは正しいのかどうなのか。先般も鄧小平副総理が日本に来られたときにいろいろな発言がありました。あのときにはやはり事前警告的なものであったことが後ほどになってわかったわけであります。その点においていかがでございましょう。
  307. 園田直

    ○園田国務大臣 訪米の帰途日本に来た際に、中国の副主席がベトナムに対する行動を示唆されたことは御承知のとおりであります。その後ソ連が、時日の経過とともに、われわれはベトナムと条約を結んでおる、したがってその義務を果たすのだという警告を中国に発したことは御承知のとおりであります。米国に対することは、他国のことでございまするから存じませんけれども、日本に対して対中協力をやっておるというようなのは、私はこれは受けとめ得ざるところでございます。
  308. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 ともあれ外務大臣、最大の御努力をいただいて拡大を抑えていただきたい。そしてまた緊急安保理事会が招集された場合には当然行かれると思いますけれども――外務大臣、行かれるわけでございますね。
  309. 園田直

    ○園田国務大臣 ただいまの御趣旨に基づいて、国連の方にはすでに訓令を発したところでございますが、国会の審議の都合がありますので、私が参ることばなかなか困難かもわかりません。
  310. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 外務大臣、そこなのです。やはり慎重に情勢を見ていらっしゃる、その慎重な態度はよくわかりますけれども、やはり国民の中には一体これどうなるだろうかという不安感がある。ASEAN諸国においても重大な憂慮が払われている。そのときに、日本の外務大臣はすぐにでも飛んでいく、むしろネジを巻いて緊急安保理事会を開催するというような行動をとられることが大事なのではあるまいか、やはりそれがアジア諸国の信頼をもつなぐ道になるのではあるまいか、そういうふうに思うのです。特に私、率直に言いまして、いま大事な予算委員会も開かれている、国会の最中だということではあるけれども、中越の紛争が起こった、本来なら大臣みずからASEAN諸国を歴訪されても日本国民は許したと思います。むしろそれを期待していたと思います。ところがインドネシアの外務大臣がASEANを回って日本にやってこられた。待つという姿勢は大事かもわからぬけれども、それでは本当のASEAN外交というようなものはできないのじゃあるまいか。やはりそこでアジア外交を重視するという立場に立つならば、その意味での血の通った活動をお願いしたいと私は思います。その点につきましての御見解はいかがでございましょう。
  311. 園田直

    ○園田国務大臣 ありがたい意見を拝聴いたしまして、できるだけそうしたいと考えます。
  312. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私、通産大臣にひとつお尋ねをしたいと思います。  南北問題のいろいろな問題がございますけれども、資源外交ということもその一つであります。イランの石油輸出中断、こういう問題が起こってまいりました。そして石油の節約問題もいまクローズアップしております。その中で、三月一日、二日のパリにおけるIEA、国際エネルギー機関理事会、そこでアメリカ側は主ないしは五%の節約を提案する見通しであるというようなことが伝わっております。こういった問題について政府はいまどのように受け取っておられるのか、お尋ねをしたいと思うのです。これは、もしそういう節約をしなければならぬということ、そしてまたこれが採択される可能性が非常に強いと私は思いますけれども、そういうことになりますと、いままでどっちかというと楽観的な立場、これが発表されておりましたけれども、深刻な石油需給関係の予測というものに基づいているのではないかと思いますが、その点いかがでございましょう。
  313. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて重大だと思います。私ども決して楽観的なことは申したつもりはございません。というのは、ただ景気の動向にも非常に大きな影響を与えます。物価にも影響を与えます。ひいては重要な課題である雇用の安定ということにも響くというわけで、細心に対処をしながら一応大胆に物を言うというようなことで、大口規制はしない。それももう繰り返し申し上げませんが、昨年同期並みの入荷が一応見込まれるという時点でそのことを言明したわけでございます。しかし、現在すでに一月二十二日の省エネルギー・省資源対策推進会議、これは総理府が主管しておりまするが、これにおいて相当な節約を国民に呼びかけております。それからまた、今月はエネルギー節約月間でありますので、折に触れ時に触れて国民的協力を求めておるわけでありまするが、大口規制ということはしないまでも、節約については、今後実情に応じて次の警告を発したり協力を求めるということは当然やらなければならぬと思います。  それから御質問の、果たして三%ないし五%の節約ができるかどうか、これは数字に基づきましてエネルギー庁長官からお答えをさせます。
  314. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 一月二十二日に官公庁、政府関係機関、それから自家用自動車等につきましては、一般国民の皆様に対しまして節約の呼びかけをいたしたわけでございますけれども、この呼びかけがもし完全に実施されるというふうに想定をいたしますと、石油換算いたしまして、大体八百万キロリットルくらいの節約が行われるものというふうに考えております。そのうち一番大きいものは暖房温度の二度引き下げということでございまして、もしこれも確実に各方面で履行していただけますならば、おおむね四百万キロリットルくらいの節約になるものというふうに考えております。
  315. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 近ごろ世の中、なかなか見通しが狂います。イランの問題につきましても、通産大臣がおっしゃった直後に、むしろイランの新政権の方から否定するような発表があるということで、本当に楽観ということはできない。いまの節約の問題も、これはもうそうあってほしいけれども、なかなかこれは本当にできるのかなというような懸念がございます。  そこで、企画庁長官にお尋ねをしますが、先般長官は、物価は警戒水域に入っているということをおっしゃった。そしてまた、いま通産省の方で試算をしているようでありますけれども、五%の石油節約、これは需給関係における節約が行われた場合に、わが国の経済成長率が一%以上低下するのじゃなかろうか、こういうふうに何か試算があるようでございます。そうしますと、長官、五十四年度の経済成長率六・三%達成ということに本当に自信がございますか。これは狂ってくるのじゃないでしょうか。手直しを加えることも必要なのだと私は思うのですけれども、いかがでございましょう。
  316. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  いま世界じゅうに起こっておりまする石油、特にイランの問題、あるいはまたアジアに起こっております紛乱の状態、これはやや予測されたこととは言いながら、すでにそれが現実の問題になっておりますが、私はこうした事態の中におきましても、いまさしあたりのところこれが、われわれが計画いたしておりまする六・三%程度の経済成長というものに、もちろん多くの影響をもたらすと思いますが、それを突破してやっていけるであろうというふうに考えております。と申しますのは、今日までの石油の消費量と経済成長の関係は余り相関はないのでございます。というのは、非常な節約が行われたりあるいはまた他のエネルギー源に転換していくといういろいろなことがありますので、これを定量的に把握することはむずかしいのでございますが、一例を申し上げますと、五十三年の実質経済成長の予測は大体六%とわれわれは見込んでおりますが、この間の石油の消費量の増加は一・五%程度でございます。また、五十二年度の場合、これは実績でございますが、五・六%の成長に対して石油の消費量の増加は一・四%程度、また五十一年度も五・九%の経済成長に対して、これは非常に多くなっておりますが六・四%というような状態、五十年度の非常に悪い時期におきまして、三・二%の成長に対してマイナス三・二%、これは減少ということになっておりまして、そのような実績を踏まえ、われわれといたしましては、この四月に五十四年度の石油消費量等に対する計算を確立してまいりたいと思っておりますが、現状においては、通産省当局の非常な努力、民間の努力によりまして、一――三月は大体平年並みの取得をいたしております。四――六、七――九がどうなっていくか、私はいまそのために非常な努力を払っているところでございますので、御了承を賜りたいと思います。
  317. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 六・三%の経済成長、自信があるようなないようなお話を聞いたのですけれども、やはり物価の上昇というものの傾向、さらにはそれが需要に及ぼす影響、私は需要も落ち込んでいくと思いますし、もろもろ勘案しますと六・三%の経済成長率はなかなかむずかしくなりはせぬかという懸念を持っております。しかし、最大限の努力をしていただくことを期待いたしまして、その問題は深追いをしないで他に移らせていただきます。  通産大臣にもう一つお伺いしたいのですが、いまのように産油国の状況がいろいろ変化をしてくる、特に途上国に産油国が多いわけでございますで、政情の不安定、これは最近はインドネシアにおいても経済情勢はなかなか深刻のようでございます。いろいろな問題が起こってくる、その中で特にエネルギー資源の供給源の多角化を進めるということは急務だと思います。その点について、進捗状況、概況だけでも教えていただきたいと思います。
  318. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、わが国のエネルギー供給、特に石油供給のソースが中東に偏り過ぎているということは非常に大きな問題点としてわれわれも非常に心配をしておるところでございます。したがいまして、この偏り過ぎた供給源をいろいろなソースに多角化するということはきわめて必要なことであるというふうに考えております。  まず、石油供給源の多角化につきましては、原油の自主開発ということを重要な政策といたしておりまして、鋭意それに努力いたしております。五十二年度の実績では、自主開発原油は二千三百六十七万キロリットルでございますが、六十五年度目標といたしましては、百万バレル・パー・デーを追加いたしまして、全体の二〇%程度にすることを目標にいたしております。  供給ルートの多角化につきましては、五十二年度実績でアジア地域が二一%程度でございますが、六十五年度目標といたしましては、アジア地域を三割程度に大きくしたいというふうに考えております。特に中国における石油開発、これは中国政府も非常に熱心でございますし、わが方としても中国政府の石油開発に積極的に協力をいたしていきたい。それからまた、環太平洋地域におきましては、メキシコがきわめて有望な石油供給源として脚光を浴びてきておりますので、このメキシコ石油についても大いに注目をしていきたいと考えております。  その他、石油以外のエネルギー源の開発につきましても、たとえば原子力、石炭、LNG等の開発についても、政府としても大いにこれを助成していきたいと考えております。
  319. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 その自主開発の一つ、そしてアジアからの石油の一つである中国大陸棚、この日中共同の石油開発計画について、第三次交渉のため来日していた中国交渉団が、どのような理由か知りませんけれども、今月の十七日に突然帰国されたということであります。一体、交渉中断の理由は何だったのでしょうか。また、再開の見通しはどうでしょうか。この開発計画がこのような交渉中断によって、何か後退するようなことになりはしないのでしょうか。そこら辺はいかがでございましょうか。
  320. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 今回の日中間の交渉は非常に友好的にしかも順調に行われた、具体的にもう数字を挙げて詰めるところにまでいっておったという報告を受けております。  それで、中国側がこの段階でにわかに交渉を中断して帰国する、まさに御質問になるようにちょっと奇異の感がいたしますが、国内事情であるということを関係者に言いながら、わが方でいうと石油公団にですね、言いながら戻っていかれたという経緯がございます。したがって、この開発問題は中国側からの連絡を待ちまして速やかに交渉を再開しょうというわけです。  繰り返し申し上げますが、交渉が決裂したとか、交渉過程において何か両者が衝突をするような意見があったとか、本国に訓令を求めなければならぬとかいうような問題ではなかったという報告を受けておる次第でございます。
  321. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それではもう一つ関連して。  昭和五十二年に承認された日韓大陸棚共同開発協定がございます。それによると、効力発生後の三カ月以内に各小区域についての開発権者を認可するということになっております。両国の鉱業権者の認可手続は終わっているのですか。また、操業管理者は決定しているのでしょうか。試掘に着手した鉱区というのはどういうところなのか。聞くところによりますと、試掘着手にはかなり手間取っているようでございます。日韓両国間に何か共同開発についての食い違いやら対立、そういうものがございますのでしょうか、そこら辺を明らかにしていただきたいと思います。
  322. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 お答え申し上げます。  昨年の九月二十日に日本側の二つの企業、すなわち日本石油開発及び帝国石油に対しまして探査権の設定を許可いたした次第であります。事業の実施に当たりましては、日韓双方の開発権者間で共同開発事業契約を締結いたしまして、これに対して日韓両国政府が認可を与える、こういう手続になっております。  この事業契約を締結するに当たりましては、各鉱区ごとに日韓いずれかの開発権者が操業管理者に指定されるということが必要でございます。この操業管理者を一体どの企業にするかということにつきまして、現在日韓双方の開発権者間で話し合いを行っているところでございますし、また、日本と韓国との両政府間でも協議を行っているわけでございますけれども、現在までのところでは結論に到達しておりません。  いずれにいたしましても、特別措置法によりますと、事業契約の認可申請の期限が本年の三月十九日ということになっておりますので、この期限に間に合うように民間レベル及び政府レベルでさらに協議を進めていきたいというふうに考えております。  この決定が行われますと、今度は共同開発事業契約の認可申請が出てくるわけでございますが、この認可申請につきましては、二カ月以内に認可または不認可の処分をしなければならないということになっておりますので、共同開発事業契約の認可不認可の決定は遅くとも五月の下旬までには行われることになるであろうというふうに考えます。  それから協定の規定によりますと、両国の開発権者は探査権の設定の日から六カ月以内に操業に着手しなければいけない。五月下旬から数えて六カ月以内に操業に着手しなければならないということになっておりますので、遅くとも今年末ぐらいまでには物理探査、試掘までいかないと思いますが、物理探査の作業が開始されるというような運びになるというふうに考えております。
  323. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 もう一つ、アジアにおける産油国、インドネシア、そこにおける経済情勢の問題が最近なかなか苦しいようでございます。昨年の暮れには、通貨、インドネシア・ルピア、これの五〇%切り下げも行われた。その結果、日系企業なんかも大きな打撃を受けているようであります。インドネシアというところには日本の企業だけでも二百社も出ている。民間投資も二十数億ドルもある。わが国の対外投資の中でも非常に大きな対象になっている国だ、こういうことでありますから、この国の経済情勢というものに対しては当然日本政府としては非常に心配もし、対策も講じていらっしゃると思いますが、このよう現在の事態におきまして、日本企業、これの救済もさることながら、インドネシアの現在の苦境、これに対して何らかのやはりアドバイスなり、何かサゼスチョンなり協力なり、こういったことをするべきではないか、こういうふうに思います。これば通産大臣にお聞きすべきか、外務大臣にお聞きすべきかわかりませんが、これについての日本政府側の見解をお尋ねしたいと思います。
  324. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘のように、十一月にルピアの切り下げという事態が惹起しました。これはやはり現地企業には相当な影響を与えております。したがって通産省としてはしさいに情報をキャッチしながら実情に応じて協力体制をしこうということで、目下情報を刻々キャッチしておるという実情であります。  救済措置につきましては、現在現地の民間企業からインドネシアの政府に対してその影響の軽減についての陳情が積極的になされておるというふうに聞いております。したがって通産省としても、外務省側と十分連絡をとりながら日本企業の実情の説明、特に被害の説明、これをどういうふうにするのかというようなことで、側面から積極的に実情を先方の政府に訴えながら、対策等についても手を差し伸べていくような努力をしたいというふうに考えます。
  325. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 南北問題ということで私ここに一つの数字を持ってまいりました。これは一九七七年につくられた統計の資料でございます。  日本の子供たちは欧米先進国のことは非常によく知っているのですけれども、開発途上国の実情やら、そしてまた日本と開発途上国との関係というものは大変に驚くほどに疎いわけであります。たとえばここにあります、これは中学生を対象にした数字でございまして、南北問題とは何のことだと思うか、こういう問いに対しまして、先進国と開発途上国の問題だと答えたのは三二・一%、大変ありがたいと思うのです、これだけでもあったということは。これは南北朝鮮のことだというのが二九・八%、よくわからないというのが二六・八%、アメリカの南北戦争だというのが六・〇%。この数字というのは、国際協力事業団の青年海外協力隊の事務局で調べられたものだそうでありますが、ここら辺にやはり問題がある。政府やあるいは専門家の方々は、今回もサミットを前にいたしまして南北問題の重要性を声高に叫んでいらっしゃる、訴えていただいている。しかし、国民の心はとらえていない。その実態というものがこの数字にもあらわれているのじゃあるまいか。子供の心すらつかまえていない。これではやはり国際協力というものが本物として進んでいかないのじゃあるまいか。また日本の立場というものも国際的に理解をされていかない、こういう問題点になってくるのではあるまいかと思います。それを踏まえまして質問を幾つかさせていただきたいと思いますので、だれにもわかるような形でひとつお答えを関係の閣僚の方々からお願いをいたしたいと思います。  第一番目には、現在の南北問題といわれる、特に南の状態の現状認識でございます。これは詳しく言ったら本当に切りばないと思いますけれども、昨年の八月でございますが、世界銀行の援助報告がございますけれども、そのほかに世界開発報告というのを出している。その中で見てみますと、西暦二〇〇〇年までの人口予測、これを立てた上で、開発途上国の問題をいろいろ書いております。結論的には、今後十年間、途上国は過去二十五年間に何とか向上をしようとしてやってきたけれども、そのような成長というのは微々たる成長であったかもわからないが、しかしそれも困難になってくるだろう。特に先進国側の輸入制限だとか保護主義の台頭だとか、こういうことによって失望、挫折の十年になるかもわからない、こういうことを言っております。御存じのように、世界では人口の半分はもう途上国でございます。それがまた貧しい状態に置かれている。これからの途上国の将来というものを、世界銀行報告が出しているように、挫折、あるいは成長の見通しのない十年というふうにつかんでいいものなのかどうなのか。ここら辺、これはどなたにお聞きすべきでしょう。外務大臣にひとつ見解をお聞きしたいと思います。どういう見通しのもとに南北問題をいまとらえようとしておられるのか。
  326. 園田直

    ○園田国務大臣 南北問題は広く国際社会の問題であって、現在国連では、先進国及び開発途上国が共同して本問題解決のために、第三次国連開発のための、十年における新国際開発戦略策定のための準備が進められていることは御承知のとおりであります。同戦略は、大体八〇年代において途上国の発展を図るために、国際社会が果たすべき協力関係及び努力目標を示すものであって、わが国としても本件の策定作業に積極的に参加しておるところでございます。かつまた、今年度は特に東京サミットに先立ってUNCTADその他の会議があるわけであります。今度のサミットの議題等もいろいろいま準備されておるところでありますけれども、初めてアジア地域で開催されるサミットでありますから、南北問題が大きく取り上げられるべきであると考えております。  なおまた、その南北問題は単にいままでのような取り上げ方ではなくて、77グループの提案であるとか、あるいは新しい国際経済の秩序であるとか、あるいは共通基金、一次産品の問題、所得安定の問題等、いままでのように単に先進国が開発途上国に対して援助を差し伸べるというわけではなくて、開発途上国みずからがお互いに手を握ってみずからの運命開拓のための努力をし、いろいろな研究をし、案を出しているわけであります。こういうものをよく分析をし、マニラでのUNCTAD、その他の会議等もその建設的な意見を受け、サミットに反映させていくべきであると考えております。
  327. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いま大臣が御指摘になりましたUNCTAD総会、これは五月に開かれるわけであります。それを前にいたしましてついせんだってグループ77、これのアルーシャ宣言、これが採択されております。そしてUNCTAD総会に臨む77グループの態度というものを整えたということが言われております。  その点に限って御質問させていただきたいと思うのですが、まず中心的な課題として七十七カ国グループが取り上げているものは一体何なのか。特にUNCTADに向けてぶつけようとしている問題は何なのかということについて外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
  328. 園田直

    ○園田国務大臣 まず事務当局から事実を報告させまして、その後、私のUNCTADに臨む態度その他は私から御報告をいたします。
  329. 賀陽治憲

    ○賀陽政府委員 アルーシャ宣言の交渉枠組みの文書は、実は厚さが六センチくらいございます英文がようやくまいりましたので、鋭意検討いたしておるところでございますが、きわめて簡略に、その中身で先生御指摘のUNCTADで何が問題になるかということでございますが、一つは先進国の保護主義の問題、それから現在進行中のMTNと申しますか、東京ラウンド交渉の問題に対して開発途上国の利益をいかに反映するかという問題でございます。さらに一次産品につきましては、御指摘のございました共通基金の問題、これをぜひUNCTADにおいて合意を見たいということでございます。さらに通貨、金融の問題といたしましては、ODAの一層の増大の要求ということで、巨大なるリソースの、何と申しますか、トランスファーという言葉を使っておりますが、開発途上国への移転ということを求めるいろいろな諸制度を考えていくべきである、その他技術移転コードの法的拘束力のあるものをつくれとか、いろいろな問題が出ておりまして、これは多かれ少なかれ予期したところでございますけれども一つの立場として今回出てまいったわけでございまして、私どもといたしましては、もう少し内容をしさいに検討いたしまして、UNCTADに向かってその対策を急ぎたい、かように考えております。
  330. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いま御説明いただきました幾つかの問題点の中でコモンファンド、共通基金についてお尋ねをしたいと思います。  これはやはり四年越しの大きな問題でございまして、そして先進国側の方は、自由通商、これに介入すべきじゃない、こういうふうな立場から基金の創設ということに対して余り好意を示さなかった。しかしながら先進諸国としてもいまもう何らかの手を打たねばならない時点に来ている、その決着が恐らくはUNCTADの時期ではあるまいか、こういうふうに思います。その点、先に通産大臣として、この共通基金の問題についてどのようにお考えになっておられるのか。
  331. 園田直

    ○園田国務大臣 私が直接関係した経緯がございますから、簡単に申し上げます。  昨年タイのバンコクで行われたASEANの外相会議で、いまの問題が一番最初に出たわけであります。共通基金の問題等についても、日本は大国の立場に立って、われわれASEANの立場に立って主張したことはないじゃないかという要旨の発言がありまして、私は、ここで過去を反省するとともに、将来は必ず、いろいろな会談等ではASEANの意向を体して、ASEANの側に立って主張するということを誓約いたしました。  その後ボンのサミットではこれを主張し、御承知のごとく、大国の中にはこれから脱退しようという空気もありましたけれども、共通基金はきわめて大事であるということ、アメリカも理解と同意を示しまして、そして共同宣言の中にもこれを取り上げたわけであります。  しかしその後、話は進んでおりますものの、いまなお先進国と開発途上国の間にはまだ相当食い違いがございます。それで私は、先進国の足並みをそろえて開発途上国の要望に沿うよう努力するから、開発途上国も現実の問題としてはなるべく建設的に、ひとつ妥協するところは妥協してもらいたい、こう言っていることで、共通基金についてはASEANの諸国からは相当日本の努力を評価されているところでありますけれども、御発言のとおり、今度のUNCTADでこれがまだ必ずしもまとまるという見通しはないわけでありまして、懸念と努力をしながら、何とか建設的にまとめていきたいと考えておるところでございます。
  332. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 コモンファンドについてはいまの外務大臣の答弁で尽きるわけでありますが、いまお話にもありましたように、わが国はASEAN諸国から特に一次産品を輸入しておる国であります。したがって、ASEAN諸国の利害ということを十分踏まえて、今後ともこれが充実発展に資したいというふうに思います。
  333. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 共通基金というのは、いまもお話があったように一次産品の価格の乱高下を防止する、これを目的とした緩衝在庫の必要経費を融資する、こういうものを目的にした点であろうと思います。そうしますと、当然日本としてもかなり思い切った財政上の支出もしなければならぬ。大蔵大臣、もちろんこの点については賛成でございましょうね。
  334. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 まだ具体的に交渉がまとまるかどうか微妙な段階でございますけれども、これは大変大事な問題でございますので、日本としては積極的にこの調整を図ろうとしておりますし、そういう際の必要な財源についてはできるだけのことはするつもりでおります。
  335. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 関連いたしまして、アジア諸国の安定ということのためには一次産品の問題を十分考えていかなければならない。本年三月に予定されていると言われるジュネーブの共通基金交渉、ここではかねてから懸案になっていた天然ゴムの商品協定について、何らかの協議が行われるのではないかと思われますけれども、あるいは天然ゴムの商品協定というのは別の会議でやるものなのか、この点について日本政府は、今日まで商品協定の創設についてかなり努力をしてきていたと伝えられておりますけれども、これはどなたが担当していらっしゃいますか、この経緯をお知らせいただきたいと思います。
  336. 手島れい志

    ○手島政府委員 天然ゴムの新しい協定の作成交渉につきましては、生産国側と消費国側との間でかなりのところまで交渉が進みましたが、最後の主として価格をめぐる問題についての合意がいまだできていないことは御承知のとおりでございます。この点につきましては、さらに再度交渉会議を開催してこれを進めたいという合意ができております。
  337. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いまの商品ということで関連いたしますが、STABEXという制度の問題があります。これは輸出所得の安定化の制度でございます。開発途上国との協力関係でいま途上国が一番求めているのは、やはり一次産品の輸出確保、こういうことであろうと思います。これの前進なしには南北問題の解決はあり得ないと、そこまで言えるのではあるまいか。ちなみに、福田前総理は七七年の八月にASEANの首脳会議に出席されました。そのときにASEAN諸国から強い要望のあったこのSTABEX、輸出所得安定化制度、これについてASEAN側と共同の討議をやるということが公約されております。その後の経緯は一体どうなっているであろうか。特にSTABEXの創設について、わが国の基本的な姿勢というものをお尋ねしたいと思います。  それで、時間もありませんから、具体的に通産大臣、大蔵大臣に聞いていきたいと思うのですけれども、ASEAN側からはすでに具体案が出されている。そして、わが方も通産省の試案が作成されているというふうに聞いております。ところが、このSTABEXの骨組みと資金的な裏づけがどうなっているかがどうも私ども明白ではない。他方、大蔵省の方では、財政負担、これが大きくなるからということで、STABEXの創設にはどうも反対のようだという動きが伝わってきております。まず通産大臣から率直なところを聞かせていただきたいと思います。
  338. 賀陽治憲

    ○賀陽政府委員 STABEXにつきましては、輸出所得の安定化を図る制度としてきわめて有益であるという判断が前からあるわけでございます。特に輸出所得の補償でございますので、価格の安定操作に直接に介入いたしませんで、輸出所得が不足を来した場合に一定基準を下回る、その場合にこれを埋め合わせるということでございますから、相対的に自由市場経済になじむものであるということで積極論があるわけでございます。御指摘のわが国とASEANとのSTABEXについての交渉は、たしか昨年九月の末でございましたと思いますが、ジャカルタで第一回の会合がございましたわけでございますが、やはりSTABEXシステムをつくります場合には、まずその対象品目を決めなければならない。その対象品目について関心のない国、少ない国、多い国というようないろいろなばらつきもございまして、対象品目についての合意が得られておりませんということがまず第一の問題点でございまして、財政支出については、これは将来の問題としてもちろん大事な点でございますが、その第一の点をまずどうするかということについてさらに協議をしなければならない。ただ、わが方の立場としては、積極的にこの問題に対して第二回以降取り組んでまいりたいというのが基本的立場だと考えております。
  339. 宮本四郎

    ○宮本(四)政府委員 ただいま先生の方から、通産省の試案があるそうだという御指摘がございましたので、お答え申し上げます。  通産省の方といたしましては、昨年九月にただいま国連局長申しましたような共同の研究会がジャカルタでございました。そのための準備に備えて、内部の資料といたしまして各項目についていろいろ検討いたしまして、その結果、質問条項を政府といたしまして決定をして、先方で活用したものはございます。
  340. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そこで大蔵大臣、そういう財政難の時代においてこれはむずかしいと、なかなか首を縦に振られないようだというようなうわさも流れております。これについてはいかがでございますか。
  341. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 昨年の九月に第一回の会議がございまして、専門家の間で技術的な問題をいま詰めておるわけでございまするが、制度の内容自体がまだ固まってないので、財政負担が一体どうなるか見当がつかないわけでございます。具体的な内容の詰めを見て結論を出したい、こう考えております。
  342. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 大蔵大臣、もう一遍お聞きしますけれども、ただ基本的な構想としてはこれは賛成であるしということでございますね。
  343. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 これは共同基金の問題も別途ございますね。同じ第一次産品の価格の安定の問題でございます。南北問題の解決についてこういう構想を進めることはこれから大変大事なことだと私ども考えておる次第でございます。
  344. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 大蔵大臣、やはり南北問題というのは財政上の問題が常に伴うものでございまして、それなくしてはこれは空語になってしまいます。そういう意味でも前向きな御検討をぜひぜひお願いをいたしたいと思います。  さて、次に累積債務の問題に入っていきたいと思います。  世銀の統計によりますと、これは七六年の末でございましたけれども、その時点におきまして九十六の発展途上国の対外的な公的債務の残高、これは大変な金額になっておる。二千二百七十四億ドル。その前年度に比べますと二二%も増加してきている、こういうような傾向が非常に顕著でございます。これに一体どういうふうに日本政府としては対処していこうとしておられるのか。途上国の悩み、これは累積債務の問題でございます。これについての基本的な対策、対応を教えていただきたいと思います。
  345. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 累積債務の問題、ただいま御指摘のとおり南北問題の非常に重要な一つをなすものでございますが、先生御高承のとおり、昨年三月にUNCTADの理事会におきまして、この累積債務の問題につきましては、過去の債務の条件を現在の条件に再調整するという趣旨の決議が採択されたわけでございまして、わが国はこの決議に沿いました債務救済措置をとるという方針を定め、これをできるだけ早く実施するという見地から、すでに五十三年度の補正予算から所要の予算をお認めいただいているわけでございます。五十四年度の予算におきましても同様の措置を実施するための予算をお願いいたしておりまして、これによりまして今後このUNCTADの決議に沿う債務救済措置を引き続きとってまいりたいと考えているところでございます。
  346. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 時間の点で、この問題も詳しくお聞きしたいと思うのですけれども、入れないのが残念であります。ただ、次のような点には私ぜひ触れておきたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。  経済協力、いろいろなプロジェクトがある。これに対して何かずいぶん時間がかかってしまう、こういうことが日本に対しての苦情の一つでございます。たとえば福田前総理のお約束された十億ドルにいたしましても、ことしぐらいには実現するそうでありますけれども、三年かかっている。理由を聞けばいろいろ理由があると思います。たとえばプロジェクト、こういうものをやはりいろいろ調べないといけない。向こうの方も、受け取る側の方でもプロジェクトを策定してもらわないと困るし、それが可能性、実現性があるのかどうかもこちらもまた研究しなければならぬ。いろいろなことがあると思います。しかしながら、余りにも遅いということがタイミングを外してマイナスの効果をつくってしまう。政府の方では援助計画の執行率を高めていくということを言っておられますけれども、どのようにしてこれから高めていこうとされるのか、具体的な案をお持ちでございましたらぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  347. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 ASEANプロジェクト十億ドルの件につきましては、ただいま御指摘のとおりでございまして、いろいろプロジェクトの中身を固める。それから、これはASEAN共同のプロジェクトでございまして、ASEAN諸国の間でまたそのプロジェクトの仕組みについて相談をするというような過程が残っておりますために若干おくれているということでございますが、日本政府といたしましては、ASEAN側の体制が整い次第、できるだけ敏速にこれに対応するよう心構えをしているというのが現状でございます。  それから、一般的に経済協力の執行率を高めるための措置でございますが、もちろんこの問題につきましては、先生御承知のとおり、日本の国内の問題、それから相手国の問題、両方あるわけでございますけれども、日本の国内の問題につきましては、これは一言で申しますと、できるだけ早く相手国の要請を国内的に検討を進めまして、関係省庁の間の協議もできるだけ早く済ませまして返事をしていくということが大事なわけでございまして、そのため、かねてとってまいりました措置といたしましては、たとえば無償援助につきましては、すべては予算の御承認をいただいてからのことにはなるわけでございますけれども、ある程度予算の御承認をいただくということを見越しまして、政府部内では内々翌年度の無償協力のプロジェクトをどうしようかというようなことについて相談を始めるとか、それからまた、使い残しができます原因の一つには、たとえば技術協力の機材供与の例でございますけれども、いろいろな国に計画を立てましたものが、相手国の都合で実際にそれが実施されないために使い残りができるというようなことが過去にございましたので、計画をつくる段階では、たとえば三〇%ぐらい多目に計画をつくっておいて、途中でそういうこぼれができても予備のプロジェクトでそれを穴埋めをするというようなことだとか、いろいろ工夫をしております。今後ともできるだけそういうような工夫を重ねまして、執行を早めるために努力を重ねたいと考えております。
  348. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 援助の量と質、これを高めていくということのために、私は幾つか重要なことがあろうと思うのです。これについて、大臣の方からひとつぜひお答えをいただきたいと思います。  早い話が、国連に対する分担金なんかを見ますと非常に世界でも高いうちに入っている。八・六四%でございますか、そういうふうに高い。だけれども、自主的な拠出金になるとこれはうんと低いのですね。ところが、執行率というようなものを見ますると、これはやはり自主的な拠出金なんかの方はすぐ消化されていく。こういうような点を考えますと、バイラテラルな形、二国間ベースの関係よりも多国間ベースでもっとプロジェクトを組んでいくようなこと、これはやはり考えないといけないだろうと思います。どういうふうな比率にしていくのか。二国間ベースと多数国間ベースの比率のあり方というのは、これは問題あろうと思いますけれども、たとえば外務大臣として、もっともっと積極的にそういうものをふやすのだという方向がないと、いま事務的な、何とか努力いたしますみたいな話だけではこれはだめだ。また、同じように官庁の中でも、これは冗談にもよく言われるのですけれども、開発問題、協力問題を担当するところは一府十二省三庁二百八十八課なんというようなことが言われている。どこでどう調整していかれるのか、担当者の御苦労は察するに余りがあるわけでありますけれども、といって、わが党の佐々木委員長が施政方針演説に対しての質問の中で申し上げた、開発省をつくるなんということは、これはちょっと、なかなか時間もかかることでございましょう。時期尚早かもわからぬ。しかし、そういう方向も受けて体制を何とかせぬといかぬ。そうでなければ執行率というものは高まらない。量と質を高めるということもできない。タイミングを逃す。こういうことが出てくるのじゃあるまいか。そこら辺を含めまして外務大臣、ひとつ抱負のほどを述べていただきたいと思います。
  349. 園田直

    ○園田国務大臣 量につきましては、五年間倍増を三年間倍増に切りかえたわけでありますが、今度御審議を願う予算で、大体三年間倍増を達成されることにかっこうはなるわけであります。ところが、国際協力の平均目標は〇・七でありまして、三年間倍増を達成したときのGNPの比率は〇・三一か二でございます。これはGNP比国際協力の基準から言えばまだはるかに低いわけでありますから、早速、さらに三年倍増が終わったところで、GNP比〇・七に目標を受けて計画をつくらなければならぬと考えております。  なお、経済協力のあり方について、ここで非常に考えなければならぬ問題がいっぱい出てきたような気がいたします。大臣でございますから、非常に大ざっぱな話をいたしますが、第一には、先ほどおっしゃったように、話があってから期間が長過ぎる。事務当局から言えば、各省と連絡し、よく調査をして、間違いのないように、しかも、それが適切に途上国の繁栄になるというふうに考えてやっているところでありますが、開発途上国自体が以前と違いまして、すでに他国からいろいろな計画を教わったり、あるいは意見を聞いたりするという時代ではなくなって、みずからが77グループの提案を行ったり、新国際経済の秩序を出したり、みずから自国の開発に青写真を持つという段階に来たわけでありますから、以前のような金もない、知識もない、技術もない国を援助するのだという考え方は少しここで変えて、手続等も、各省の連絡は前々から緊密にやらなければなりませんけれども、しかし高利貸しみたいに使う先まで余りやかましく言わぬで、不正事件が起こらないような決め方はきつく締めなければならぬが、あとは大体援助を受ける国の主体性というか自由というものにもう少し大幅に任したらいいのじゃないかと大臣は考えておるところであります。  次には援助の種類でありますが、いままではとかく大型プロジェクトが主でありまして、そこで日本の経済協力は企業の手先になっている、こういう批判を受ける。しかも、そのプロジェクトができ上がってみますと、そこに従業する人と他の地域住民との収入の格差が大きい。しかも、大型プロジェクトが必ずしも貿易だけではなくて、その地域から利潤を取るのではないかというようなことから、タイ初め、大型プロジェクトができたところでは排日運動の原因にもなっているところであります。したがいまして、大型プロジェクト、基幹産業も大事でありますけれども、もっと個々の地域住民に直接響くような、直接日本の国民の気持ちがわかるような協力の仕方、すなわち農村、灌漑、道路あるいは福祉施設、こういうものにもう少し重点を移していくべきではなかろうか。これについてはまた基本的な姿勢が、金があるから貧乏な国を助けるという考え方ではなくて、やはり世界じゅうの国々の国民の生活の格差をなくすることが平和追求の重大な手段であるということを考え国民の合意を先ほど言われましたが、合意と理解を得て、苦しい中でも日本は開発途上国に協力をする、こういうふうな点を考えながら、ここでもう一遍考え直すべきときが来たというように考えております。
  350. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 考え直すべきときが来た、本当にそうだと思うのです。通産大臣にも、また後で大蔵大臣にもお尋ねしたいと思うのですけれども、わが国が資金協力を途上国にやっている、借款を与えているというような場合、条件なんか見ますと、よその先進国と比べて大変劣悪なんですね。劣悪というか、ちょっとひど過ぎるなと思われるようなものがくっついている。早い話が、ここに数字がございますけれども、これは金利それから期限におきまして、たとえば借款の場合ですが、これは日本と西ドイツを比べたら雲泥の開きがあります。これはどなたか一番最近の数字をお持ちであったら、お役所の方からひとつ知らせていただきたい。一番最近の数字、借款を比べてみていただいて、西ドイツと日本、期限、金利、据え置き期間、お願いしたいと思います。
  351. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 最近、私ども持っております資料では、ドイツの分はまだ暫定の数字になっておりますが、これに基づきまして比較をいたしますと、利率につきましては、平均が、日本が三・四%、ドイツが二・一%、それから返済期間は、日本が二十六・五年、ドイツが三十三・五年、借款だけのグラントエレメントを計算いたしますと、日本が五二・一%、ドイツが六五%というような数字になっております。
  352. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 まず通産大臣、そういうところからやはり変えないといかぬと思いますけれども、いかがでございましょう。
  353. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これはやはり徐々に改めていくことは必要だと思います。
  354. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 徐々じゃやはりいかぬのですね。もう先ほどもそれでお聞きしたのです。途上国の現状どうなっているのかという認識みたいなところから始まったのは、今日まで何とか徐々に徐々にということで、ぐずぐず、ぐずぐず、いままで来ている、こういうことが二十年、三十年続いてきている。その中で日本がいま注目され、責められ、ある意味では日本の将来というものに対しても大きな影響がいま出ようとしている。それが南北問題だ。大蔵大臣、大蔵大臣のひとつ御所見をいただきたいと思います。
  355. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 前に比べると最近着々と改善してまいっておりまするけれども、それでも、先ほど御指摘のありましたような先進国と比べると、相当の見劣りがするということでございまするが、今後の日本の立場を考えたならば、やはり相当思い切った改善をやっていかなければいくまい、かように考えております。(「なぜ一遍にできないのか」と呼ぶ者あり)
  356. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いま向こうの方から、なぜ一遍にできないのだという声がありますけれども、本当にこれは援助問題に関与しておられる方々みんな同じ思いであろうと思います。それからまた、レシーパントの方、受け取っている方も同じ気持ちで、日本とそれからよその国と先進国を比べている。その違いをほったらかしたままで先進国首脳会議をいま開かれようとしている。これはやはり最初から、舞台に上がる前からハンディがつけられてしまっている、こういうことにもなる。こういうような首脳会議があるというようなことを、これは一つのチャンスとして、いまから変えるのだ、やはり方向を打ち出していただくことが大事であろうと思うのです。まず通産大臣、もう一遍そこら辺。
  357. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 わが国としても、たとえば援助額を五年倍増を三年倍増にしたというように、前進はしておるわけですね。そういう意味で私は徐徐と申したのですが、思い切って改めていくことはいま先進国として必要だと思いますが、やはり大蔵大臣の立場になれば財政事情もありましょう。ありましょうが、よくひとつ私どもも協調をしながら御期待にこたえたい、これはもう思いは同じでございます。
  358. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いま通産大臣おっしゃいましたけれども、私は、前に通産大臣が政務調査会長をしておられたときに大変敬服しておりました。ときどき大胆なことをおっしゃる。たとえば韓国との問題にしても、共同体として新しいこれからの将来をつくっていくのだ。私どもは別に日韓一緒に協力するということが悪いことだなんて、そんなことはちっとも思っておりません。大いにやるべきだ。非常に大胆なアジア版ECなんというようなこともお考えになったようです。たとえばそういう発想がいま大切なんです。ところが、大臣におなりになったら、トーンダウンをしておられるので、ここら辺は外務大臣、もう一遍、大蔵省にハッパかける意味で、ひとつ御所見をいただきたいと思います。
  359. 園田直

    ○園田国務大臣 ありがたい発言でございます。財務当局は、今年度の予算では、御承知のとおり、財源は苦しい中にも、経済協力は相当な努力をしていただいてやっていることは事実でありますけれども、もともとが差があるわけでありますから、特に外務大臣がよそへ参りましてつらいのは、ASEANの国々でありまして、親しくなればなるほど遠慮なしに向こうは物を言うようになる。そして西ドイツと日本の協力の比率、他の国との比率、遠い関係の薄い国の援助よりも日本が少ないのはどうだ、こう言われると、非常につらい立場でございます。なおまた、今後経済協力というのは、さらに金融、それから所得の安定、こういうふうに進んでくるわけでありますが、これについても手続や金利の問題をすぐ出されるわけでありますから、この上とも一層の努力をお願いしたいところでございます。
  360. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そこなんですね。たとえばいまのような日本の国の不況が深刻化しているという状況になりますと、こんなにおれたちの方が困っているのだ、私たちが困っているのだ、外国に援助するなら自分たちの方が先じゃないか、こういう声が国民の中から当然出てくる。不況の中の中小企業者あるいは勤労者からそういう声が出てくる。しかし、それに対して、にもかかわらずこれは日本の将来のために、生きるために、日本全体が、やらぬといけない国際的な協力なんだという発想でもって、国民を説得する。財政難であることはわかっております。わかっているけれども、それが日本の五年後、十年後、二十年後を切り開く、そういう立場でまず大蔵省から始めていただきたいと思うのです。これは要望をすることにとどめまして、後ほどまた見解を聞かせていただくといたします。  さて、時間もだんだんなくなってまいりましたので、先を急がせてもらいますが、私大変ショックを受けたことがあります。それは、国連の安保理事会非常任理事国の選挙の際に、バングラデシュと争って敗れた、私はその問題は結果がどうであったということを責めたり文句を言ったりということは言うつもりはございません。問題は、総理大臣がこの選挙に敗れた結果についておっしゃった言葉であります。回教国あるいは非同盟国、その組織票を見誤った、こういう言葉が先般の施政方針演説の後の質問戦の中で使われておりました。果たしてそういう見方でいいのだろうか。これは地方選挙の票読みとは違うのです。基本的に途上国の動き、うねりのような、大きくいま世界じゅうで動いている南北問題、それに立ちおくれたという結果なのだという発想を持ってもらわないと、あのことが教訓として生きてこない、私はそう思うのです。私は、また、それを踏まえないと、今回のUNCTADに臨む日本の政府の姿勢であるとかあるいは首脳会議を六月に開かれる、その意味が出てこないと思うのです。これから、首脳会議の後、九月にはハバナで非同盟諸国の首脳会議もあると言います。一九八〇年には国連の経済特別総会があると言います。いわゆる八〇年代目がけての日本の戦略、戦略という言葉が語弊があるならば私は日本の生きる基本的な方向づけ、こういったものをいま策定しなければならぬ、これが首脳会議の前に行われていないといけないということを強調したいと思います。  そこで、開発戦略という言葉を使いましたけれども、どういうふうなことをいま政府考えておられるのか。いままで私の耳に残っているのでは、心と心という言葉をお使いになった前総理のそういうような発想もございました。これからの南北問題に取り組むに当たりまして、新内閣は日本の国民に、どういう方向で行こうということをお訴えになるのか、ここら辺をお尋ねしたいと思います。これはどなたに聞いたらいいでしょうか、外務大臣ですね。
  361. 園田直

    ○園田国務大臣 いろいろやるべきことはたくさんあると存じますが、第一には開発援助、経済協力に対する基本的な姿勢、考え方、これから明確にしなければならぬと存じます。すでに開発途上国の情勢も変わり、国際情勢の開発援助に対する世論が変わってきているわけであります。したがいまして、いままでのように余分をもって貧乏な国を助けるという考え方ではどのような協力をしても全然効果はございません。そうではなくて、お互いに助け合って、お互いの繁栄、平和に協力をするということで、相手国の国民の生活水準、こういうものを世界各国の水準に引き上げる、そのために自分たちは骨身を削って協力する、こういうように相手の立場に立ってやるという基本姿勢をまずここで明確にする必要があると存じます。  その後、また、ボンのサミットで私は意見を出しましたが、そのときには相手にされませんでしたということは、先ほど渡辺委員の言葉の中に二国間、多国間という話が出てまいりましたが、本当に相手の繁栄を考えるならば、やはり日本の国も骨身を削ってやるが、それだけで足らぬ場合にはお互いに相談して他国の応援も受けるという、多国間でその地域の発展を図る、こういうようなことが大事だと私は思いますけれども、正直に言うとだれが助けたかわからぬような援助はいやだという意見等も出ました。しかし、その後、逐次方向はそういうことで、二国間、三国間で一つのプロジェクトをやる場合にもやろうじゃないかという機運が出てきたことは、私は将来の見通しだと存じます。  それから、先ほど申し上げましたとおりに、単に基幹産業、政府の要求する大型プロジェクト重点ではなくて、地域住民の繁栄ということ、しかもその開発援助を行った後はその開発援助をやったために出てくる産品の所得の安定、こういうことについてもお互いに配慮し援助する必要がある時代になってきたような気がいたしました。これはきわめて大事であると考えます。  もう一つは、これは議論のあるところでありましょうけれども、日本の政府部内においても懸念をする場所もありますけれども、ASEANの国国と相談をして貿易の拡大、こういうことを言います。日本は努力をすると言いますけれども、ASEANの一次産品というのは農産物が主でありますから、この量を拡大することのみによって貿易の均衡というのはなかなか是正はできないと存じます。私はこういう国々の方に、あなたの国でとった一次産品をそのまま売らずに、その地域において軽微な加工をしたら、値段は二倍、三倍になる、そういうことも考えられたらどうか、こういうことに対する技術や経済の協力も必要ではなかろうか、こういうことを考えておるわけであります。
  362. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 その点は関係する諸大臣にいろいろとお尋ねしたい問題でございますが、時間の点で先に進ませていただきたいと思います。  ただ、これはよその国の例を出しますけれども一つの参考というか、あるいは学ぶものがあるならばという意味でございます。西ドイツでは一九七五年に政府が閣議決定をいたしまして、開発のための二十五のテーゼ、こういうようなものを決めております。先般、来ておられます西ドイツの議長さんにその点でお尋ねをしてみましたら、来週ぐらいにこれをもう一遍手直しをする、こういうことを言っておられました。より具体的なものにしていくのだ。そして国民にそういう二十五のテーゼ、こういう形で開発問題を訴えていく。中身は、大変興味がありまして、私はいろいろ読んでみたのですけれども、たとえば自分たちの援助は、これは石油ショックで一番被害を受けたところに集中していくのだ、これを三十三カ国に集中するのだとか、あるいはまた先ほどの金利の問題、期限の問題、そういうようなことで、資金援助をする場合にもそういうところには徹底的に有利な条件を与えるのだとか、そういうような物の考え方が打ち出されている。私はそういうような戦略、あるいは日本でテーゼという言葉じゃ熟しませんけれども国民に訴える意味、対外的に訴える意味でも、日本の基本方針というものを早急に決めていただきたい、これをひとつ要望いたしておきます。  時間の関係で、一番最後に、私は文部大臣を中心に幾つかお願いやら聞いてみたいことがございます。お答えの方は時間の点で、結論的にこうするというようなことだけをおっしゃっていただければありがたいことだと思います。  大臣、実は私、この間結婚式へ行ったのです。あるホテルへ行きました。そうしたら、そこで人が黒山になっておるのです。これはロビーでございまして、人が黒山になっている。私もそれをのぞき込みました。ちょうどその日は日がよかったのか、振りそで姿なんかの若い娘さんがたくさんいた。そして、のぞき込んでみんなでくすくす笑っている。中に何があったとお思いですか。そこで白い服を着たアラブ人がメッカに向かってひれ状して礼拝しているのです。それを日本人が取り囲んで、きれいな着物を着て、そしてみんなくすくす笑っている。あの人は頭おかしいのじゃないかしら、気が変なのよなんというようなことを言っている。私ども、あるいは大臣はおわかりでございましょう。これはやはりまじめなアラブ人である。それはまじめであればこそ、どこにいても決まった時間にはメッカを指して礼拝をされるその姿なんですね。それをくすくす笑いながらみんなが見ている姿の方がおかしいのです。ここら辺に南北問題の根本があるように思われてならないのです。それは一着の服は百万円するか五百万円するか、振りそで姿というのは高いでしょう。だけれども、くすくす笑って、アジアの貧しさなり、アフリカの、中近東の、あるいはまたラテンアメリカのわれわれと違った習慣、風俗、そういうものを無視したり、そしてそういうものを軽べつしたりするような風潮があっては、これは南北問題ということが生きてこない。そういう意味で、私はまず学校教育。  それから第二番目に、時間の点で一遍にお願いを申し上げておきますけれども、総理大臣が積極的に外国からの留学生やら何かをうんと招くのだ、そして技術研修生なんかを大いに招きたい、同時に日本においても国際社会に備えての人材養成をやるのだということをおっしゃいました。これは具体的にどう進めるのでしょうか。早い話、留学生の数を見てください。これは政府の方で招いた数だけを比べてみましても、DACの統計で、西ドイツ二万八千六百九十名、英国一万五千二百八十二名、日本六千八百六十二名、ベルギーすらと言ったらおかしいけれども、ベルギーのような国においてすら八千名を招いている。そういうところに、人材養成と言い、あるいはまた教育と言うけれども、これを具体的に進めていかなかったら空文になってしまう、空語になってしまう。言葉だけの総理大臣にしてはならぬ。日本の総理大臣は有言実行であってほしいと思いますので、実際に執行される文部大臣、ひとつ所信と決意のほどを、またもし時間がありましたら、具体的にどういうふうなことをするつもりだという点でお答えいただきたいと思います。
  363. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 お説のとおり日本人は資源がないのです。あるのは人間だけですから、国際的に信頼と尊敬をかち得る日本人をつくることが私は教育の基本だと思うのです。そういう意味で今度の指導要領の改定でも、自国のことはもとより、他国についても理解と協力を求めるように十分指導しております。特に社会科においては外国の事情をよくわかるように指導しております。  留学生につきましては、いまちょっと六千とおっしゃいましたが、私の記憶では五千八百、全国でいま日本に来ておるのは五千八百、そのうち東南アジアが約八割なんですね。ですから、せっかく来ている東南アジアの人たちに対して、本年度、五十四年度予算では大幅に国費留学生をふやしていただきました。  それから、もう一つ大事なことは寄宿舎でございますが、やはり日本に来て宿舎がよくて感じがよくなければいかぬということで、かえって反日になったら何のためにやったかわからぬと思うので、おっしゃるように国際交流について、特に南北問題は大事なときですから、私どもも積極的に指導して誤りないようにいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  364. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 あと二、三分あるようでございますので、お許しいただいて。  南北問題というのは、国民の方が進んで積極的にこれを支援していく体制をつくることです。また国民の中の声というものを受けとめる、そういうものがわが国の南北問題に対する積極的な姿勢を進めるのだと私は信じております。民間にもボランティアのさまざまないい組織があります、研究機関もあります。こういったものをもっともっと大いに助成をして南北問題に取り組んでいただく。労働運動があります。たとえば同盟という組織がございますけれども、そこではみんな組合員の働いておる人が拠出いたしまして連帯基金というのをつくっている。そしてアジア、アフリカの方のそういう活動のための資金にしている。カナダの政府においては政府の資金を民間団体に何十%かは渡す。同じ金額をその渡された方の民間団体が募金してきて集めて、そしてこれを自分たちで対外協力のために使っている。だからこそ国内において南北問題に対する理解も広がり、そしてカナダの地位を高めていくという結果にも結びついている。そういう点をぜひ関係閣僚の皆様方に推し進めていただくことが、私は、今回南北問題に取り組む、そしてまた首脳会議をやる、そういうことの大きな意義であろうと思います。その点を要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  365. 竹下登

    竹下委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。  次に、中川秀直君。
  366. 中川秀直

    中川(秀)委員 皆さん大変お疲れだと存じますが、わが党で最後でございますので、よろしくお願いいたします。  私は、きょうは安全保障の問題を中心に幾つかのお尋ねをさせていただきます。私どもは、これまでの日本の狭義の防衛政策を総合的な安全保障政策に統合し転化させるために、国防会議の再編やあるいはエネルギー、石油、食糧等の備蓄や、あるいは基盤的防衛力構想の見直しや、その他装備についてもいろいろな提言をしてきたわけでありますけれども、まず防衛庁長官にお伺いをしたいと思いますが、法律的にもあるいは行政機関の名前の上でも、国防という名前が使われたり防衛という名前が使われましたり、あるいはまだいささかそういう点ではなじんでおりませんけれども、与党自民党も含めまして、各政党はこぞって安全保障というお言葉を使った政策をおつくりになっている。  いままでのいろいろな防衛問題についての議論国会図書館でも調べてみましたが、この防衛という言葉、たとえば役所で言えば防衛庁となっていますね。ところが一方で、国防会議、こうなっている。法律でも自衛隊法では「わが国を防衛することを主たる任務」という言葉を使い、国防会議の方は「国防の基本方針」、「防衛計画の大綱」と、こうなっている。いろいろ用語の定義について、定義はまだ確定はしてないかもしれませんが、いままで余りそういう議論がなかったような気がするのです。防衛庁長官のお考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  367. 山下元利

    ○山下国務大臣 広い意味における安全保障についての御所見に基づく御質疑かと思いますが、私は、国の防衛ということは、民主主義の上に立ちますところの国の安全と自由と独立を守っていくことである、このように考えている次第でございます。
  368. 中川秀直

    中川(秀)委員 国防はどうでございますか。
  369. 山下元利

    ○山下国務大臣 国を防衛し、国民の安全と自由を守っていくことであると考えておる次第でございます。
  370. 中川秀直

    中川(秀)委員 意味は大体似ておるわけで、ほぼ同じというふうにお伺いしたわけでありますが、国防と安全保障というものは違いましょうか、定義は。いかがでございましょう。
  371. 山下元利

    ○山下国務大臣 私もこの国防の問題の重要性は深く認識しておりますけれども、まだ目下勉強中でございます。  ただ、安全保障と防衛ということについて申しますならば、総合的な安全保障政策が大事なことはもう言うまでもないことでございまして、また私どもの主として責任を持っておりますところの防衛政策というものもございます。この防衛政策も、総合的な安全保障政策の中に位置づけされて初めて成り立つと思いますし、また防衛政策のきちんとしない総合的安全保障政策もないと思うわけでございます。両々相まっておると思いますが、しかし、総合的な安全保障というのは私はまことに重要なことであると思いますけれども、これはやはり防衛庁のみならず、広い意味においてこれらの点については論議が進められるものであると考える次第でございます。
  372. 中川秀直

    中川(秀)委員 国防会議の事務局長、お越しだと思いますが、ただいまの大臣の御見解、私は了とするものでありますけれども、もう少し詰めた議論をしたことがありませんか。
  373. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この安全保障、国防あるいは防衛という言葉の定義につきまして、事務局の中で事務的にいろいろ研究したことはございます。したがいまして、安全保障というのが一番広い概念だろうと思います。これは軍事的な面あるいは非軍事的な面で国家のセキュリティーというものを考えていく考え方であろう。それから非常に狭い意味から言いますと防衛という形で、これは主として日本に対する軍事力を使った攻撃に対してどう対処していくかというような点が中心になろうかと思います。それの少し広いのが国防だと思いますけれども、実は国防会議の諮問事項の中に「国防の基本方針」というのがございますが、この内容を見ますと、かなり広くなっております。外交問題あるいは民生問題、そういうものも含まれておりますから、国防会議というものをつくった当初においてはかなり広い、むしろ安全保障に近いような考え方で国防という言葉を使っていたのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  374. 中川秀直

    中川(秀)委員 私もそう思うわけであります。私どもは、もしそれをあえて議論をするならば、国防と安全保障の違いは、国防の場合は軍事的手段による直接間接の侵略というものが対象でしょうし、安全保障になりますと、その軍事的手段を背景にした非軍事的手段というものも当然対象になる。そして同時に、単なる国の安全と独立あるいは国の独立と平和というものにとどまらず、国民生活の安定といいますか保全といいますか、そういうものも図ることを当然目的とするであろう、こう思っているわけです。学者によってもいろいろな議論がありますけれども、何を守るかという哲学というものはこうした問題を考えるときにはどうしても必要なことであって、その場合に単なる領土、領域、国民の生存の確保だけというものに限定をするのであるならば、私は非武装中立でも可能だと思うのです。しかし、さらに加えて文化、伝統あるいは自由な生活、政治体制といいますか、そのようなものまで広げて、あるいは現在程度の繁栄というものまで広げますと、いろいろなまた努力をしなければならぬ、それがまさに総合的な安全保障ということになっていくのではないか、こう思うわけであります。  そしてまた、いま事務局長おっしゃったとおり、国防会議の設立当初の主たる目的というものは、国防の基本方針を拝見をいたしましても、おっしゃるとおり外交があり民生がある。非常に広い意味でのものを考えて、いろいろな古い古い答弁資料を読みましても、大所高所から慎重に審議するために設置するのだとか、軍事的方針を外交、財政関係あるいは国民生活の面から判断をして、間違いのないように委曲を尽くすなどという答弁も出ている。当時の国防会議の趣旨というのはそういうものであったと思うのです。ところが現在は、もうおっしゃるまでもなく、いわば防衛庁の案の下請機関みたいになっておりまして、装備計画だとかあるいは防衛力の整備の問題だとか、それがあらかたを占めておる。私は、こういう点はいつまでもこのままでいいということはない。これについてはいろいろな議論もまた交わされてきたところであります。  そこで、時間を大切にする意味で単刀直入にお伺いいたしますが、昨年十月二十四日、国防会議で参事官会議をやりましたね。そのときに国防会議の改組についての案を出されたと思いますが、それをちょっと御説明をいただきたいと思います。
  375. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 御承知のように、国防会議の下部機構といたしまして、幹事会それから参事官会議というのがあるわけでございますが、この参事官会議というのは比較的頻繁に開いておりまして、国防に関する問題等、各省間の連絡あるいは情報の交換等を行っているわけでございますが、その際に当時の事務局長の久保局長が、それまで勉強された内容について、いわゆる国防会議の参事官に対して、こういう考え方はどうだろうかというような考え方を示して議論をしたということは、引き継ぎのときに話を聞いたわけでございます。
  376. 中川秀直

    中川(秀)委員 これはそのときの現物で、御確認いただけますか。
  377. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私が引き継ぎを受けましたのは、いまの第一ページに書いてあることで引き継ぎを受けたわけでございますが、その後事務局におります参事官等から、当時の議論された資料というものはそのものであったというふうに報告を受けております。
  378. 中川秀直

    中川(秀)委員 一部もう内容は報ぜられているところでありますから、あえて詳しく申し上げませんが、要するに、そのときの議論の中身、それをまとめたものというのは、いまの国防会議の審議対象について、より時代の趨勢に合わせたものにしていこう、そのために名称を国防会議から国家安全保障会議に変えよう。第二に、内閣総理大臣の諮問、付議事項がいまの現行法では先に来ているわけでありますけれども、後から重要な問題については意見具申ができる、こういう内容になっておりますけれども、これを後先逆にして、意見具申機関、そういう機能を強化していこう。またそのために通産大臣や国家公安委員会委員長、科学技術庁長官内閣官房長官を正規の議員として加えよう。それからまた議長たる総理は、内閣官房長官にその職務を補佐させることができる。まあ調整ということになるとぎらつくというので、そういう形で、いわゆる内閣としての調整機能も多少生かしていこう。その内閣官房長官をまた国防会議の事務局長、いま伊藤さんがおやりになっている方が補佐する、そういうような方向でいまの国防会議に関する法的根拠というものを一本化して、単独法で国家安全保障会議設置法に一本化しよう、こういうことで条文もでき上がっておるわけですね。  私は、これは先ほどお話ししたような意味の安全保障に対する時代の要請、国民の期待というものから考えますと、なかなかいい案だと思う。ところが、これはいつの間にかどこかへ行ってしまった。この案はこれからどうお取り扱いになるのですか。ちょっと、事務局長よりも、国防会議の正規のメンバーであって、国防会議の主管大臣ではないけれども、国防会議の重要ファクターをお占めになる防衛の主管大臣である防衛庁長官に、これをどうこれからお進めになろうとしているか、お伺いいたします。
  379. 山下元利

    ○山下国務大臣 ただいま国防会議事務局長にお示しになりましたその試案につきましての意見をということでございますが、これは国防会議事務局を中心として種々検討が行われておる次第でございます。私は、国防会議は国防に関する重要事項を審議する機関であり、しかもこれはやはり文民統制の大きな役割りを果たすものでございますので、この文民統制の原則のもとにおいて重要な機能を果たすことでございますが、ただ御指摘のように、その運営方法の改善等を中心として今後検討されねばならないと思うわけでありますが、ただ総合的な安全保障政策と狭い意味における防衛政策とのかかわり合いの問題について申しますならば、その総合的安全保障政策というのは、非常に広い意味において論議されるべきであるが、同時にまた、防衛政策につきまして現在の置かれております国防会議のこの機能は、文民統制上重要なものであると思うわけでございますので、今後はその運営方法の改善を中心にして、国防会議事務局を中心として検討せらるべきであると思うわけでございますが、私どもも、その御趣旨の存するところを十分考えさしていただきたいと思う次第でございます。
  380. 中川秀直

    中川(秀)委員 長官、前任者の金丸長官は、昨年のもう六月ごろから、国防会議の改組は必ず実現したいと大臣として御発言になっている。いまの現大臣の御発言は、どうも現行国防会議の姿のままで運用の改善をという御趣旨に聞こえる。大分違ってしまったような気がするのですが、いかがでございますか。
  381. 山下元利

    ○山下国務大臣 国の防衛と申しますことは、長官がかわりましたからといって、そう変わるものではございません。前長官も、国の防衛に関します重要な機能を持つところの国防会議の運営の改善については御熱心でありまして、私も……(中川(秀)委員「改組」と呼ぶ)それも含めましてのことでございますが、改組と申しますと、いま仰せの試案にございますところの構成員をふやすというふうな問題もあろうかと思いますが、これはまあずいぶん多年にわたりまして検討されておったようにも思うわけでございますが、その組織の改編となりますと、やはり慎重に検討を要するものがあると思います。そしてまた、総合的な安全保障政策となりますと、非常に広くなるのでございますけれども、この防衛政策について申しますならば、事柄の性質上、構成員はどの程度がいいかかという問題につきましては、私ども慎重に検討せねばならぬと思うわけでございまして、決して私は、改組も含む運営方法の改善に消極的ではございません。あくまでも文民統制のもとにおきますところの機能を果たせるように検討してまいらねばならぬと思うわけでございますが、ただ、これについては相当慎重に考えねばならぬと私は思うわけでございます。
  382. 中川秀直

    中川(秀)委員 どうも久保さんの時代にこういう案をおつくりになって、法文までおつくりになって、現行法との対照表までおつくりになって、現国会には何とか出そうということで、時の総理、官房長官まで一応その文章を、いま作業中とおっしゃっておられるけれども、お見せになった。そして参事官会議にも、一応検討用資料というおっしゃり方をいまなさっておられるけれども、お出しになった。ところが、会議を開いてみたら、たとえば安全保障の基本方針をもしっくるとなれば安保条約も対象になるのか、それではちょっと外務省がわが権限を侵食される。また予算編成権を持つ大蔵省からは、安全保障について、後ほど私も一議論いたしますが、予算編成等の問題が生じたときには、予算編成権が新たな改組された安全保障会議でいろいろ議論をされ、そこで決定したことに従わざるを得ない。それはやはり現在の権利侵害になる。通産省はまた産業政策の点から難色を示す。もう各省みんなそういう理由で難色を示された。結果的にとても合意に至らずということで、これは引き続き勉強をしようということになった。  これはもういろいろ報ぜられているところでもあり、同時にまた、事細かに私もその当時の様子を御担当の方々から伺った。どうもその辺の議論は、時代の要請あるいは、一般国民の期待というものからすると、いささか次元の低いところでこれはどこかに行ってしまったという気がしてならない。いわば縦割り行政の厚い壁にぶつかって見送りになった、ただそれだけの理由にしかすぎないということになる。なぜこれが悪かったのかという理由が私にはわからない。あくまで役所のそういうなわ張り根性で、これはどこかに行ってしまったということに受け取られかねない経緯になってしまったという気がするのです。これは大変残念なことだと私は思う。  いまの大臣の御発言は、改組を含む運営の改善を、慎重にというお言葉がつくけれども、またそういうことでやっていくのだということだから、私はそれに期待をしたいと思うけれども、単なるそういうことだけでやってほしくはないのです。これについてもし御反論があれば、事務局長どうぞ。
  383. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まず先生の御質問の最初の前提でございますけれども、各省に提示したというふうに引き継ぎを受けたわけではございません。  そこで、まず国防会議の果たすべき機能の中で、いま確かに先生がおっしゃいましたように、広い意味の安全保障政策というものを考えなければならないと思います。しかし、この場合、広い意味の安全保障政策といいますと、まさに内閣の政策決定と非常に似ているところがあるわけでございます。そうなってまいりますと、国防会議の議員の構成そのものが内閣の構成になるのじゃないか、どこに線を引いたらいいのだというような問題も、今後いろいろ議論しなければならぬ点だと思います。  それから、国防会議の議員の増員の問題でございますけれども、いまたまたま先生から御指摘ございましたように、いままでの国防会議は物の調達、防衛力整備しかやっていないのじゃないか、まさにそうだった傾向は確かにあったと思います。しかし、この国防会議の果たすべき任務の中に、自衛隊の基本的なあり方に対するシビリアンコントロールというものを確保しなければならないと思うわけです。そうなってまいりますと、単に防衛力整備あるいは物の調達だけではなくて、運用あるいは日米協力体制、そういったものについてどういうふうに自衛隊をコントロールしていくかというような問題になりますと、これはいま候補に上がっております議員の方だけでいいのかどうか、あるいはもっと広い意味の、運用面を含めた議員の方々も入っていただく必要があるのじゃないかというような感じがするわけです。  同時にまた、国防会議のもう一つの重要な任務といたしましては、これはなかなか日本人にはなじみにくいのですけれども、危機管理の問題があると思います。危機管理の問題ということになりますと、多くの議員の方々が集まっていろいろ議論するというよりは、非常に多くの情報量を持っておられる閣僚の方々が集まって、意思を決定して閣議に諮るというようなことも必要かと思いますが、そうなってまいりますと、余りに議員の方方の幅を広くする方がいいのか悪いのか、そういった問題なんかもあろうかと思うわけでございます。  したがいまして、久保局長の時代に事務局の中で検討いたしました案というものにつきましては、先ほど先生の御指摘がありましたように、法律に書いてある順序を変えたということによって何かできるかというようなこともあるわけでございますけれども、それは現在決めてあることについて運営によってどの程度カバーできるか、そういったことも勉強しながら今後の方針を決めていくのがいいのではないかというふうに私は考えて、参事官会議あたりでも話し合っているところでございます。
  384. 中川秀直

    中川(秀)委員 議論をしていれば長くなりますから適当にいたしますけれども、ともかくやろうということでスタートをして、せっかく一つの方向が出かかったら、先ほど申し上げたような理由で一とんざしてしまって、どこかへ行ってしまうということでは、最初御議論した安全保障の時代の要請というものにこたえ得ないのであって、ひとつ大いに前向きにおやりをいただきたいとお願いをしたいと思うのです。  現在の当面の運営の改善だって、やらなければならないことは実はずいぶんあるのじゃないかと思うのですよ。たとえば今度の航空機の疑惑問題で、いつも内定、白紙還元、決定、これはどうするのですか。国防会議というのはいつも疑惑の舞台になる。国民一般の方は、国防会議というのは何かそういうことで問題になるようなことをする会議なのかというイメージを持っている方だっていらっしゃるかもしれない。この辺の今後の対策だって考えなければいけないはずです。  それから、装備について国産、輸入あるいは防衛産業の位置づけ、これについての基本方針だって当然国防会議議論すべきだ。あるいは、第三項の付議事項に「産業等の調整計画の大綱」というのがありますけれども、こんなもの完全に機能しない条文で、やったことなんか全然ない。あるいは「防衛出動の可否」だって、これを法律的に議論したらずいぶんありますよ。治安出動はやらなくていいのかという議論だってあるでしょう。あるいは、防衛出動が終わる、収束する段階の議論はどこでやるのか、国防会議の条文には載ってない。収束の議論はしなくていいのか、こういうことだってある。  挙げ立てれば非常にたくさんあって、いま局長がおっしゃった日米の防衛協力のためのガイドラインにしたって、最近の例ですが、福田内閣が最後の閣議をおやりになった日に、形式的にただかけただけじゃありませんか、議論なんか全然してないじゃないですか。何分間やられたのですか、本当にやってない。こういう大事なことはこれからやらなければいけないということですけれども、全くそのとおりで、このままでは本当に有名無実の国防会議になってしまいますよ。これはひとつ真剣に検討してもらいたい。  そこで御提案ですが、いまこの国防会議の改組案を検討しながら運用の改善を図るとするならば、たちまちしなければいけないのは、たとえばいまの国防会議会議そのものの下に、政治に関する部会とかあるいは経済に関する部会とか小委員会とか、あるいは治安、いま危機管理ということをおっしゃいましたが、そういう問題、あるいは資源・エネルギーその他、こういうような小委員会みたいなものを設けて、いま兼任の参事官がいる省は六つくらいですけれども、各省にそれぞれ参事官を置いてもらって、そういう人と集まって随時そういう検討、議論をしていく、こういうこともいまの中だってやれる。その努力もしていないで、改組案がいけないとかなんとか、そんなことはもう役所のエゴイズムです。はっきり言ってエゴイズムです。兼任参事官を各省に置くということ、国防会議の下にそういう小委員会を設けてあれするということ。それから大臣、議員だってカンボジア問題だ、中越の紛争だ、国後基地だという問題は、適時こういうものを議論をする会議を開いて、安全保障の問題に関する議員の認識を深めたり、意思統一を図ったりする、そういうための国防会議だった、設置目的は。そういう運用の改善だってすべきだと思う。  最初の、私がいささか決めつけた議論については、大いに検討してもらうという程度でいいですから、最後の提案のことについて、時間がありませんから御答弁を願いたい。
  385. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは、私が防衛庁にいるときから感じたことでございますけれども、いま先生がおっしゃいましたように、国防会議におきまして議論が活発にならないではないかというのは、やはりそれなりに、国防の問題に対する情報量というのが国防会議の議員に平等に行き渡っていないという点があろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、国防会議の下部機構にございます幹事会あるいは参事官会議等を通じまして、そういった情報を議員の方々に差し上げる。そして、それによって、いわゆる閣僚の立場で議論していただけるような国防会議にしていかなければならないというのが最初に私が感じたことであり、これから努力したいと思っていることでございます。
  386. 山下元利

    ○山下国務大臣 国防会議が有名無実になってはならないという御指摘はまさに御指摘のとおりでございます。私どもも努力してまいります。また、国防会議が文民統制の重要な役割りを果たしておるというようなことも、私どもは大事な点であると思うわけでございますが、御指摘の点につきましては、十分努力をさせていただきたいと思います。
  387. 中川秀直

    中川(秀)委員 単なる議論のための議論ではないので、大臣、私の提案がパーフェクトなんて言っているつもりはありませんが、まじめに言っているつもりでございますので、先ほどお話ししたような運用の改善、たちまちできることも真剣に取り組んでいただきたい、こう思うのであります。  これは、総理とも一度いろいろ御議論を願いたい。いまいろいろ問題が起きているのに何も議論をしないで、ただ国会で、各省がそれぞれの立場でああだこうだと言っているというようなことでは、何のために国防会議があるのかということになる。その辺も、総理と一度真剣に話をしていただきたい、心からお願いをいたします。  時間がありませんから先へ参ります。  私は、総合安全保障というものについては、経済的な裏づけがなければやはり何もできないと思うのです。これは、ある民間研究機関の調査、提言を私は申し上げるわけでありますけれども、わが国の総合安全保障コストというもの、これをひとつ、きちっと位置づけて、予算編成等にも生かしていけ、こういう議論があるわけであります。たとえば、その総合安全保障コストの中には、石油、原材料、食糧の備蓄、これは一九七五年の統計を見ると、GNP対比で〇・三四%、五千億円ですね。それから、資源開発、これは六百億円、GNP対比は一々申し上げませんが、通産省の大型、準大型、工業技術院の資源関連、あるいはサンシャイン計画とか原子力とか、こういう大型プロジェクト、これが二千百億円、それから防衛費、いまずいぶん上がっております、ふえておりますが、五十年の統計では一兆三千二百七十三億、ODA、政府開発援助三千四百四十三億円、文化交流百二十二億円、いま申し上げた備蓄、資源開発、大型プロジェクト、防衛、ODA、政府全保障コストと呼んで、ある程度整合性を持たせて、それをふやしていこうではないか。民間のその提言によれば、いまわが国はGNPの大体一・六%ぐらいである。アメリカはこれに対して六・七%ぐらい、西ドイツが四・九七%ぐらい、これをどうしても日本の場合三・五%くらいにふやしていけ、こういう提言があるわけでありますが、これはわが国にとりましては、一九七〇年代に経済大国と言われるようになって、やらなければならない努力を、先ほど同僚議員がいろいろ御質疑になっておりましたけれども、大分パスしてサボタージュしてきているわけですから、一九八五年までというタームをとって、これはGNP対比で五%くらいにしたらどうか、こう思うのです。そのための財源をどうするかといったら、これは孫子の代まで行く超長期国債を発行してもいいと思う。あるいはそれを半分財源に充てるとするならば、残る半分は利子補給による民間資金の活用が考えられてもいいと思う。そんな気持ちを強くするわけでありますけれども大蔵省、このような発想というか、物差しを予算編成に当たって持つべきではないかと思うのです。また五%に一九八五年に向けて引き上げていく、その財源としてはそういう特別の工夫をする、こういうことについてどのような見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
  388. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  安全保障の範囲は国防よりも広い、経済問題その他も含めまして、総合的な安全保障の充実を図るべきである、また、そのために財政もその一つの安全保障のコストといったような考え方を導入して、予算を重点的に配分すべきであるという御指摘であったと思います。基本的な考え方といたしましては、私どもそれは非常に重要な考え方だと思います。  ただ、一言申し上げますと、各国の財政の比較をいたしますのは、各国ともにいろいろ制度が違いますので、危険を伴う点もあろうかと存じますけれども国民経済計算方式で世界の主要国の財政の比較をいたしますと、GNPに占める財政の割合から申しますと、わが国は欧米主要国に比べてまだきわめて小さい。GNP比率で防衛は何%を計算いたしますと、わが国は経済大国でございますからGNPは大きい。したがって、それではじき出すパーセントが出てくるコストは高い。しかし、それを賄うパブリックセクターの財政は必ずしも大きくない。ここにわが国の財政の一つの悩みがあるのであろうと思います。それを解消するために、ただいま中川委員から、超長期の国債のようなもので賄ってはどうかという御提案がございましたけれども、私どもそこが財政当局の頭のかたさかも存じませんけれども、やはり国民経済の中に占める財政の規模を適正規模まで大きくしていく、どの辺が適正規模であるかということも一つ議論の対象になろうかと存じますけれども、それはやはり国民全体の理解を得て、租税負担を高めながら財政規模をある程度のところまで持っていくという道を選ぶべきではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  389. 中川秀直

    中川(秀)委員 おっしゃることはわかりますよ。おっしゃることはわかるけれども、私の尋ねていることとはちょっとすれ違い、いささか我田引水の御答弁のような気がいたします。いずれにしても、そういうコストというものを位置づけて、超長期に、先ほど申し上げたような国民生活の発展というようなもの、非軍事的な手段によって混乱というものも避けようかという意味でも、総合安全保障をどうやって確保するかという考え方は議論になるかもしれませんが、非常に大切な考え方だ、これをひとつ大蔵省も真剣に研究してもらいたい、私はこう思います。
  390. 長岡實

    ○長岡政府委員 基本的なお考え方については、私どももその重要性を十分理解をいたしておるつもりでございます。今後とも予算編成の際にはそういうような面からの配慮も十分加味いたしまして、関係省庁とも議論を詰めてまいりたい、かように考えております。
  391. 中川秀直

    中川(秀)委員 大変恐縮ですが、質問通告をしたところで文化交流のことがあります。これについて申し上げたいことがずいぶんあるのでありますけれども、たとえば文化庁の統計を見ると、文化、そういうものの輸出、輸入という統計を比較をいたしますと、一例を挙げれば、フランスヘの雑誌の輸出、これは年間十二、三万、フランスからこっちが買う輸入、これはもう五億四千万、大変な開きがあるというような問題についていろいろお尋ねをしたがったのですが、大事な問題が後に残っておるので、これは省かせていただきたい。お越しをいただいて大変恐縮でありますけれども、お許しをいただきたいと思います。  外務省にお尋ねをさしていただきますが、対外広報の問題でありますけれども、日本の対外広報費は二十億一千万円、これは今年度ですか、ちょっと正確な数字を申し上げましょうか、来年度は二十三億二千万円、こういうことになっていますね。ソニー、これが外国で製品を売るために幾ら広告費を使っておるか、これは六十一億円。松下電器は幾ら使っておるか、七十億円。日本が日本の国の広報を、もちろんこれは外務省だけでやろうというものではないかもしれませんが、いろいろしようという経費が、一私企業の製品の広告費の数分の一であるという事態、これは私は大変情けないことである、こう思うのであります。これについて外務省大蔵省、どう思われますか。
  392. 加賀美秀夫

    ○加賀美政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、外務省の海外広報予算は、御指摘の企業等に比べて少ないわけでございます。海外広報、これはもちろん予算が多ければそれだけよいわけでございまして、私どもといたしましても、まず第一に、与えられた予算をできるだけ効率的に使用するという工夫を重ねます一方、関係各方面の御理解を得つつ、予算の増額には努力をいたしておるわけでございます。海外広報は、非常に広い方面にわたるものでございまして、予算につきましては政府予算全体の問題もございますので、一挙に大変な増額ということはできませんけれども、明年度の海外広報予算原案は二十三億三千七百万円ということで、円高等を勘案いたしますと、前年度に比べまして約一一・三%の伸びということになっているわけでございます。
  393. 中川秀直

    中川(秀)委員 フィリピンが、これはアメリカ対フィリピンの関係で、対外広報費をどのぐらい使っているかというと、大体三年計画で年百五十万ドルずつ使っている。貿易量からすれば日本はフィリピンの十七倍、そういう計算でいきますと、対アメリカのPR費だけだって五十一億円ぐらい使っても不思議ではない、フィリピンがいま使っているものからいくと。一例ですよ。  大蔵省、いろいろ日米経済問題もむずかしいのですけれども、後で一つの御提案を最後にしたいと思うのですが、こんな程度ではとても対日理解というのは深まらぬと思いますね。しかも、対外広報費の中身を全部調べてみたって、やれパンフレットをつくるために一億二千万円かけました、こんなもの多少パンフレットを配ったぐらいでどうなるものでもない。あるいは、世論調査を、アメリカの対日世論について調べてみましたといったって、一年間、毎年調べる予算が百十万円ですよ。一億四千万強の人口がいるアメリカで、一般国民の日本のイメージを調べてみようというのに、サンプル数、千五百です。あるいは有識者のフーズフーぐらいに出ているりっぱな人たちをセレクトして、それで深層調査をやろう、これも百四十万円ぐらいの予算で、ギャラップ社が定期的にやっている調査に相乗りするかっこうでやっておる。私は、そんなことで出てきたデータを信用して、対外、特に日米経済関係についての米世論というものはこうであるなどという議論をすること自体が危険だと思う。そういう意味では、ここは本当に十分力を入れていかなければいけないと思うのであります。二十億円ぐらいの予算が二十三億円にふえたなどと言ってのんびりしていられる事態ではない。この点についてちょっと大蔵省の御見解を聞かしてください。
  394. 長岡實

    ○長岡政府委員 ただいま御審議をいただいております五十四年度の政府の予算案は、全体の増加割合が一二・六%、経常部門は一〇・九%、そのうち国債費を除きますと八・六%でございます。その中で経済協力あるいはエネルギー対策といったようなものには相当程度の重点配分をいたしております。したがいまして、その他の経費につきましては、私どもといたしましては、各省が各省の中で施策の優先性を十分に御議論いただきまして、各省のお気持ちを私どもは十分に尊重をして予算の原案をつくったつもりでございます。そういう意味で、外務省が対外広報活動費を決して軽視しておるということを申し上げるつもりはございませんけれども、予算の配分としては、為替相場の円高の影響等もありまして、昨年よりは、わずかではございますが充実ができたというふうに考えております。これで不十分であるという御指摘はよくわかりますけれども、限られた予算の範囲内でございますので、御容赦をいただきたいと存じます。
  395. 中川秀直

    中川(秀)委員 一財政の立場とかいうことでない物の見方から財政を考えていかなければいけない。日本国家全体の損得はどちらにありやという観点から、翻って財政もどうあるべきかということを考えなければいけないという意味で言うと、はっきり申し上げて、いまの御答弁には私は大変不満足であります。  しかし、議論していると時間がありませんから先へ進ませていただきます。在米の日本大使館で、米国のPR会社や法律事務所や弁護士やロビイスト、こういう人たちにいろいろな仕事を発注いたしておりますね。大体、米国人あるいは米国企業が外国政府仕事をするときは、アメリカの外国代理人登録法という法律があって、届け出をしなければならないことになっている。その一九七七年の司法省の届け出というものの原文がここにありますけれども、これを拝見して、いささか私は驚いたのであります。  調べてみますと、十七団体に九十万ドル、二億円ぐらい払っている。アメリカに大使館を開設をしている百二十カ国で、日本が最高であります。また同時に、その外国代理人、ワシントンの代理人の中では、日本の依頼事項が一番多い。しかも、数は多くても、質よりも量ばかりのような、細かい数字を読むと年間千ドルお手当を払いましたとか、そんな内容になっている。一番大きいのは、米日貿易協会というのですか、そこにその九十万ドルのうちのあらかた半分である五十二万ドルというお金が行っております。しかし、その五十二万ドルの内訳をさらに拝見をいたしますと、たとえば日米経済全体にわたる法律問題について助言をしてもらうために、年契約で一万二千ドルを払いました、あるいは議会の動向を探ってもらうために八千ドル払いました、農業ロビイストとして協力をしてもらうために二万ドル払いました、全国紙、地方紙にニュースリリースを発行してもらって配ってもらうために一万九千ドルを払いました、これまた中身を見ると同じような形態になっておる。あるいは大使館の現地雇員みたいな方もそのリストの中には載っていらっしゃる。ロビイストというのですか、あるいはそういう者を含む現地いろいろな書記官への協力要請、こういう体制についても改善を研究すべきではないかと私は思うのです。とりわけ重要な問題については、これは外国代理人登録法という法律によると、この代理人は必ずどういう依頼を受け、それに対してどういう報酬をもらったかを一々司法省に半年に一遍届けなければならないことになっておる。そうすると、大事な議会の動向調査とかあるいは在韓米軍の撤退問題とか日米貿易の問題だとかということについて、こういうことを調べてくれということになれば当然、日本政府がどんなところに関心があって、どういう情報を欲しがっておるのか、そういうことも全部また司法省には届け出られていくわけであります。これは大いに改善を研究すべきだと思いますが、外務省いかがですか。
  396. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 先生御指摘のとおり、わが在米大使館におきましては、アメリカの事情の調査活動を行うに際しまして、みずからの調査活動のほかに、いま御指摘のような法律事務所とかコンサルタントとか、そういうような現地の人間なり団体なりを使って、これと契約を結んで、いろいろ法律問題の援助とか、それから情報の収集とかPR活動というものの補助的な仕事をやらしているわけでございます。数が多いではないかという御指摘一つございまして、私どももできる限りこういうようなものは整理をしながら進めていきたいとは思っておりますけれども、何分にも、御承知のように日米関係自体が非常に多岐にわたっておりますし、ことに近来アメリカの行政府のみならず、アメリカにおきますところの議会を初めとする労働組合その他もろもろの団体との接触が非常に必要であるというようなことで、日米関係そのものが非常に広範多岐にわたっているということの結果として、どうしてもそのような補助的な任務を行わしめる現地人の知識というものは、非常に広範にわたらざるを得ないというようなことがありまして、いまお話しのようなことになっているわけでございます。私ども今後の問題といたしましても、できる限りその辺はいろいろ整理をしながら、一番効率的な現地人の使い方ということをいろいろ考えていきたいというふうに考えております。
  397. 中川秀直

    中川(秀)委員 イギリス、フランス、西ドイツといったような西欧先進国の大使館が、こういうロビイストやこういう団体に仕事を依頼しているというところが全くない、一件もない、あるいは司法省の届け出を見る限り、そういうところへのレポートには顔をそういう国は出していないということ等考え合わせましても、いまの御答弁で結構でございますが、ひとつ大いに御努力を願って、改善を考えていただきたい、このように思います。御希望を申し上げておきます。  時間がありませんので、この問題について最後の私のちょっと提案をしたいと思うのです。私は、対外広報というものは、政府要人間の折衝や説得というものも大切だろうとは思いますが、もう大衆デモクラシーの時代なんですから、政府要人は議会に動かされ、議会はまた市民、国民によって動いていくわけでありますから、一握りの要人や知日家が納得しただけで問題は解決するとはとても思えない。説得の対象を最大多数の一般大衆まで広げる、これはひとつ考えなければいけないと思うのです。そのためにはテレビという媒体を使うしかありませんよ。本当にそうです。外務省の対外広報を見たってテレビの関係というのはいよいよ少ない。わずか一部のパンフレットをこうやってつくりましたとか、そんなものどこへ行っているかわからないです。それよりも、ニューヨークでも十三チャンネルなどという、一般の寄付でコマーシャルなしでやっているテレビのチャンネルがありますが、そういう番組に、日本というものがこういう国なんだという非常に単純な話から、日本の女性のはだはどうしてきれいなのかという問題から始まってもいいです。非常に単純な話がしょっちゅう茶の間に、日本というものが話題になるような、顔を出しているような、そういうことが非常に大切なのじゃないか。たとえば失業率一つとったって、向こうは六%、七%あるいは八%という数字になる。日本は二%、では日本はアメリカに対して失業だけを押しつけて、日本は失業率は低いじゃないかと言ったって、よく考えてみれば、企業内失業を入れたら日本はアメリカ以上かもしれない。こういうレイオフを日本がなぜしないか、その文化的な伝統はどうなのか、そんなことまで説明をしなければ対日理解というものは深まるものではない。ある現地の方方、日本から行っている人たちが嘆いておられたけれども、日本がテレビに登場するのはニューギニア、ボルネオ以下だ、こう言うのですよ。日本の総理大臣が行ったってアメリカのテレビに登場しない。アメリカに来た総理大臣あるいは元首、首相というものは、必ずどこの国でもテレビに出るが、日本の総理大臣は出たことがない、こう言って嘆いていましたよ。  私はそういうことを考えましても、これは提案ですが、外務省大蔵省両省間で検討して、対外広報のための、海外広報活動のみを目的とした非課税法人ぐらいつくって、民間のお金を活用して、そういうテレビの番組、媒体を使って対外広報を徹底的にやる、対日理解を深めるためにそういうことをやる、これは本当に急務のことだと思う。これをひとつ提案したいと思う。それぞれ御答弁をいただいたら忙しくなるから、外務省だけで結構ですからひとつこの提案、生かしていただけませんか。
  398. 加賀美秀夫

    ○加賀美政府委員 ただいま御指摘のとおり、一般大衆の政策に対する影響力、発言力というものが非常にふえておるという点は、全く御指摘のとおりであろうと存じます。外務省の広報におきましても、各分野におきます広報のほか、テレビの利用ということにつきましてはきわめて広報効果の高い媒体でございますので、広報活動につきましてはテレビの利用を重要視いたしております。具体的に申しますと、外国のテレビチームを招待いたしましたり、あるいはテレビ放映用のフィルムの作成、配付、それからテレビ番組の作成の援助、日本人有識者によりますテレビ出演等を通じまして、テレビの利用には努めております。今後ともテレビの利用につきましては大いにこれを充実させてまいりたいと思っております。費用対効果の点から申しますと、時間帯買い上げというようなことはかなり費用がかさみますので、むしろテレビ番組の交流でございますとか、テレビチームの派遣、招待等の効果、費用の点も考えまして、今後さらにテレビの利用につきましては大いに努力をいたしたいと思っております。
  399. 中川秀直

    中川(秀)委員 私の提案について。
  400. 加賀美秀夫

    ○加賀美政府委員 テレビの利用につきましては、先生の御提案、十分利用させていただきたいと思っております。
  401. 中川秀直

    中川(秀)委員 結構です。  いよいよ時間がなくなってしまいましたが、依田議員の質問もございますので、私はちょっと大事な問題が最後に残ってしまったのでお許しを得たいと思いますが、あと数問させていただきます。  航空機の導入に対する疑惑の問題でありますが、捜査当局として事件解明の今後の見通しをこういう場で言えというのはとても無理な話であります。私がてんで勝手に一人でちょっとしゃべります。それが大人の、いささか玄人の推測としては評価できるかどうか、ちょっとお伺いをしたい。  資料がアメリカから届きました、この分析に約一カ月かかる、こういうことであります。法務大臣が、捜査の山は五月の中旬ぐらいに迎えるのではないか、こういうことをおっしゃっていますが、資料が届いて、そしてある一つの段階が過ぎる、それからいろいろな国内裏づけ捜査をやって、四月の初めぐらいに次の段階が過ぎる、そして連休後ぐらいにまたいよいよ大きな山場を迎える、これが大体何となくいろいろな専門家から聞いておる大人の推理、推測でありますけれども、いかがでございますか。法務省。――私はちゃんと出席要求を後からしたのですが、それじゃ結構です。  それでは防衛庁長官、手数料のことについてちょっと。長官は、E2Cの補用部品もできるだけFMS方式、ノーコミッションでやっていこう、こういうことを記者会見で表明なさいました。先般も、証人喚問のときに日商側にちょっとお尋ねをしたことでありますが、グラマン社側は、機体本体や導入後二カ年ぐらいの初度部品、訓練機材、技術マニュアル、書類ですね、こういうものがFMSだ、これはノーコミッションだ、しかし地上支援のテスト用機材と三年以降の部品は、これは商社契約で日商と契約をしておるのだと、こう明確に言っておるのであります。それで計算をいたしますと、日商側のE2Cに関する手数料というのは、私どもの計算では、いろいろ防衛庁が言っておられることも確めまして正確に計算をしたところでは、大体二十九億円ぐらいになりますね。E2Cをこれから九機買うと計算をいたしますと。地上支援機材が五%。その支援機材五%は商社マージンが五%ある、全体の総額の五%の金額に相当する地上支援機材について五%のマージンがある。それから三年以降の部品について損耗率を計算したり、まあ全部が取りかえなければいけないというものではありませんから、大体五〇%ぐらいが取りかえ対象になる。こういうことをいろいろ計算しますと二十九億円ぐらいになる。これもFMSでおやりになろうという意味を含めてのこの記者会見でございますか。ちょっとはっきりさせておいていただきたい。
  402. 山下元利

    ○山下国務大臣 お答え申し上げます。  正確な数字につきましては、いろいろと御計算につきましては伺わねばいけませんけれども、大要して申すならば、それも含めてできるだけFMS方式でいきたい、このようなことでございます。もちろん補用部品につきましては、国産の部品で賄えるものもございます。また輸入しなければならないものもございます。その輸入のものにつきましては、できるだけFMS方式でやるということでございますが、これは率直に申しまして、幸いにいたしましてこのたびの予算でお認めいただきましても、飛行機が入ってくるのは五十七年でございますので、それから先のことでございますが、適切な時期までにはその購入方式を決めたいと思っておりますが、早急に進めてまいりますが、FMS方式でできるだけやれると私どもは見通しを持っております。
  403. 中川秀直

    中川(秀)委員 大いに御努力を願いたいと思います。  最後の質問、これは一括してお伺いをいたします。  E2CにしてもあるいはF15にしても、それからRF4Eにしても、たとえば数十億するのだという価格を聞かされても国民には意味がよくわからない。どうしてそんなに高いのだ。それで、当然国会の場でそういう議論もしょうということで防衛庁側に資料を求めますと、たった一行、米海軍提案価格及び海外調査資料を基礎として行っているという答えが出てくるだけであります。これは毎回そうであります。説明は、これはアメリカ側で公表しないのだからということになっている。ところが、アメリカへ行って調べてみますと、そうじゃない。そういう価格については、海軍省がグラマン社から、たとえばE2Cを買うときのスタンダード価格、エアフレームなどの区別もつけまして、あるいは開発分担金等の外国による場合はこうだというものも含めまして、ちゃんとそういう価格が、年度ごとに米議会のヒヤリングの議事録としてかなり詳しく出ている。この資料を送りましょうといって、私はきょうの質疑に間に合うように首を長くしていたのですが、大雪のせいでちょっとおくれているようでありますが、日本でも手に入れることはできるのです。どうも防衛庁のみがそういう資料に基づいて行っていると言って、その資料を言わない。これはやはり国民に理解を求めるという意味から言うならば、そういう米側の資料がどの程度まで出ているかは議会へ行って調べればわかるのですから、調べて、明らかにできるところは国会の前にも明らかにすべきだと思うのです。これが第一点。  第二点として、四十七年に導入したRF4E十四機については、ダグラス社が防衛庁に、その手数料は四十三万一千ドルでございました、これを日商に渡しました、これは報告をいたしました。ところが、当時RF4Eについては、FMSでもなければ、政府間取引でもなければ、こんな事件が起きたわけでもありませんから、解約条項もありません。不正支払いをした場合は解約するようなどということもありません。そこで、今度の一連の疑惑の中でダグラス社が払った百八十万ドルに及ぶ日本へのコミッション、このうちの四十三万ドルがRF4E分でしたという報告が寄せられた。これが、言うところの不正支払いに絶対につながってはいないかどうか。防衛庁として当然確認書をとるべきだと思う。これはまだとっていないのじゃないですか。私はとるべきだと思いますが、それについての御見解が第二点。  最後に、F15につきましては、五十三年度で契約をいたしましたのがFMS分で八機、これはノーマージンだとされています。しかし、あとライセンス生産で十五機これから契約をする、三月中におやりになるという御方針があるようでありますけれども、これについても、業界のいろいろな情報ではいささか物騒なことが出ているのです。これはひとつ大いに御調査を願いたい。ライセンス生産の場合は当然商社マージンなどはあり得るはずがありません。防衛庁対メーカーの契約であります。ところが業界に流れている情報では、そのメーカーがその航空機の導入に関して、代理店になったところに対して相当高率の眠り口銭を払っておる、それは相当高率だぞ、こういう御議論があるのです。この前の証人喚問でもいろいろ問題になった海部さんのメモでもそういうことに触れた内容になっているでしょう、これはずいぶん昔のことでありますが。この真偽はともかくといたしまして、ライセンス生産をする会社社長あてに、これこれ、これこれのシェアでライセンス生産をしますよということが決まりました、日商がそういうことを報告している。それに対して眠り口銭があるという話がずいぶん頻繁にあります。これはかなり重大な問題です。契約の前に厳に御調査を願いたい。これが第三点であります。  以上三点、一括して御答弁を伺って、私の質疑は終わりにしたいと思います。
  404. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 お答えいたします。  第一点でございますが、私どももアメリカの議会の議事録等を見まして、公表されている航空機の価格につきましては承知しておるつもりでございますが、先ほど先生かなり詳しいというふうにおっしゃったわけでございますが、その辺につきまして、必ずしも私どもの承知しておりますのは詳しくないものでございますので、この辺はさらに調査いたしまして先生に御報告申し上げたい、こういうふうに考えております。  それから第二点の、RF4Eにかかわる手数料の関係でございますが、ダグラス社がSECに提出しました報告書、いわゆるフォーム8Kにおきましては、御承知のように、百八十万ドルのコミッションが支払われたという記述があるわけでございますが、この点に関しまして私どもダグラス社に問い合わせをいたしましたところ、RF4E本機に関しまして、一機当たり三万ドル、つまり十四機で四十二万ドルというものが含まれておる。それから、初度部品に関しましては、約一万一千ドルがコミッションとして含まれておるということでございまして、そういう支払いがあったという報告を受けております。  また、誓約書の問題でございますが、御承知のように、ロッキード事件以後、私どもは、そういった問題の経緯にかんがみまして、P3CあるいはF15以降につきまして誓約書をとってきたわけでございますが、RF4Eの調達当時におきましては、誓約書は先生申されましたようにとっておらないわけでございます。しかしながら、ダグラス社から報告を求めましたところ、F4、F15に関し不法不正な支払いを行っていないという報告を私どもにいたしております。また、SECの報告の中にも、この支払いは全く適切なものであるという表現がございまして、私どもとしては、そうではないかというふうに思っているわけでございますが、なお関係当局の調査等を見守っていきたいというふうに思っております。  それから第三点でございますが、F15に関連しまして御指摘があったわけでございます。私どもはそういったことは承知しておらないわけでございますが、先ほど申しましたように、いずれにしましても、ロッキード事件以来、こういった大型のプロジェクトにつきましては、不正支払いをしないというふうな趣旨の誓約書をとりますとか、あるいは原価調査につきましては十分厳重にやるとかというようなことで不正の防止に努めておるわけでございますが、御指摘の点を踏まえまして一層努力し、あるいはまた、私どものできる範囲内におきまして調査等をいたしたい、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  405. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  406. 竹下登

    竹下委員長 この際、関連質疑の申し出がありますので、中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。依田実君。
  407. 依田実

    依田委員 同僚の中川議員から、防衛また国防、そういう意味での安全保障の問題の御質問があったわけであります。そこで、同じ安全保障でも、油の方の、こちらの面からいろいろ通産大臣にお尋ねをしたい、こう思うわけであります。  きのうの新聞を見ますと、通産大臣が率いられるミッションがイランを訪問される、こういうニュースが出ておるわけであります。アイデアとしてはなかなかいいのじゃないかと思うのでありますけれども、やはりそこにはもう少し慎重に検討すべき問題も幾つかあるのじゃないか、こう思うわけであります。  一つは、これはもう新聞にも出ておりましたように、二月十四日に新政権のバザルガン首相が日本の和田大使を呼びまして、日本にも将来ちゃんと油は出す、しかししばらく待ってくれないだろうか、こういうふうに伝えたと聞いておるわけであります。新しい政権の安定度、そしてまた、それを取り巻く中近東のいろいろの情勢変化、そういうものをもう少し見きわめてから出発する、こういうこともいいのじゃないかと思うのであります。もちろん大臣は、四月あるいは五月の連休、いろいろその辺のめどを想定されておるのでございましょうけれども、しかし、それまでに、それじゃいま言ったような条件が整ってくるのか、つまり、政権の安定度とかあるいは油の生産の再開とか、そういうものについてどういうめどを持たれてこのミッションの計画をお立てになったのか、その辺を伺わせていただきたい、こう思うわけであります。
  408. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御質問でありまするが、いま質問で想定されたようなことを私自身が実際思っておるわけです。  それは、かねて、いまお示しにあったように、和田大使に対してバザルガン首相が、経済復興についても国土の再建についても適確な日本の技術協力を願いたいということであり、また油の供給再開にしても、日本及び他の輸出国というわけで、日本に対しては非常な親近感と信頼を寄せておってくださる、これは私、大いに評価していいことだと思います。  そこで、かねてから外務大臣との間に、政局が安定しないときに、油に困ったからといって特使が行くとかいろいろなことがささやかれるけれども、それはいかがであろうか、やはり和田大使に向かって経済再建等々についての協力を頼むと言われたならば、それについて協力するということが望ましい、そして、その場面でまた油の安定供給などについてもお願いをするということではなかろうかという話し合いをしておったことは事実であります。しかし、何さま政局の安定が先決ですし、まだ全閣僚の任命も終わっていないという状況、それから治安が回復していない。したがって、そういう構想は持つにしても、やはり政局の安定がまず第一であります。それからもう一つは、先方からも改めて、こういう安定状況になったから日本の経済的協力、再建協力を積極的に求めたい、こういう要請のあった時点で正式に決めるべきであろう、それまではごく内々、内輪の心準備としてあらかじめ用意はしておきましょう、こういうことであったわけであります。たまたま外務大臣が、きのう新聞各社との懇談で、朝ああいう話をしたもののようであります。したがって、私自身も通産省の記者クラブにはまだそういうことを表明しておりませんでしたので、一体真相いかんということで、正午前後のところでわあっとこう取り巻かれたというわけであります。しかし、もとよりイランが政局が安定し、本当に再建のために、資金的な意味を含めて日本の技術を期待され、また協力を期待されるということであれば、これは私は前向きに検討してしかるべき問題だというふうに考えておりまするし、またそういう機会があれば進んでひとつイランを訪問する。ついでながら、新聞記事等にもあらわれておりましたが、いまイランの減産分をサウジアラビアあるいはイラクその他の国々が増産をして協力をしておられます。そういう国々にお礼の意味を含めてごあいさつをするなどということも必要であろうかというふうに考えます。
  409. 依田実

    依田委員 和田大使に向こうが話した中に、待ってくれ、その前に一つ形容詞がついて、しんぼう強く待ってくれぬか、こういうことを伝えた、こういうふうになっておるわけでありまして、このしんぼう強く、この辺をこれからの訪問のプランの中で御検討をいただきたい、向こうが言っておる意味をひとつ御検討いただきたい、こう思うわけであります。  それから、いま大臣お答えのように、サウジそのほかもこの際回るのだ、これは確かに大事だろうと思うのであります。サウジなどが一生懸命イランの分をも増産をしておる、そのときに日本だけがイランへ飛び込むということが、そういう近隣諸国に与える影響、それを考えられてそういう諸国も訪問ということになったのだろうと思うのでありますが、その点は結構であります。しかし、一番われわれが心配いたしますのは、まだいろんな世界のこの問題に対するコンセンサス、これからの協議、そういうものが十分行われてないうちに、日本だけ何か石油を欲しがってイランへ行くという、そういうことに対するいろんな国際的な反応というものも多少心配があるのじゃないか、こう思うのでありますが、この点は大臣いかがでしょう。
  410. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 当然、外交の問題ですから、そういう点にも配慮を加えなければならぬと思います。
  411. 依田実

    依田委員 時間の関係で、ちょっと二番目の需給の見通しにつきましては、これまでいろいろ各委員からお話が出ておりますものですから、それを少し飛ばさせていただきます。  政府は備蓄の取り崩しをお考えになっておるようであります。しかし、いま御承知のように日本は九十二日分備蓄をしておる、こういうことでありますけれども、いろいろ計算方法があって、IEA、国際エネルギー機関の計算によると、それから一割ダウンをした八十三日分が一応日本の備蓄の日数になっておるわけでありまして、いま世界各国の備蓄状況を見ますと日本というのは非常に少ない、そういうところに位置しているのじゃないか、こう思うのであります。いま世界の備蓄の量というのは大体どの程度になっているのか、お話しをいただきたいと思います。
  412. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 日本が九十二日分、三日分と言う場合もありますが、一月一日現在ですと九十日分。それからアメリカが百四十一日分、カナダが五百九十日分、イギリスが百四十七日分、西ドイツが百二日分、イタリアが八十九日分、IEA加盟国の全十九カ国の平均が百二十一日分、こういうことであります。
  413. 依田実

    依田委員 いま大臣がお答えになりましたように、平均が百二十一日分、こういう状況であります。それに比べますと、日本というのはこのIEA加盟の国の中では低い、イタリアとどっこいどっこい、こういうところにあるわけでありまして、そういう日本が、皆さん、通産省のお考えは、いわゆる経済成長、つまり日本の経済成長率を維持するためには各国が了解してくれるだろう、こういう想定でおやりになっていらっしゃると思うのでありますけれども、この点についていままでIEAに多少なりとも了解工作をおやりになったのでしょうか。
  414. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 三月一日、二日には資源エネルギー庁長官の天谷君を出席させる、そして当然、この場面でいろいろ了解を求めるということはあると思います。  それから、日にち分では少のうございますが、それはイタリアの八十九日分と日本の九十二日分とでは比較にならない。こちらの絶対量、消費量が非常に多いわけですから、消費量で比しては世界的に相当高い水準にある、これは言えると思います。
  415. 依田実

    依田委員 三月一日、二日、パリで理事会が開かれるわけでありますけれども、その了解事項として日本が言うのは、いわゆる経済成長率を維持するためにこれを認めてくれ、こういう理由でしょうか。
  416. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 やはり火急の場合に備えての備蓄でありまするから、これはすでにもう一月三十日のIEAの事務レベルの非公式会談においても、それぞれ冷静に対応しよう、余りあわてることによって消費者に与える影響が大きい、前の石油ショックにかんがみて、あのときもうけたのはやはりメジャー及び石油関連業者じゃなかったか、こういう反省が各国ともにあるというのですね。そこで冷静に対応しよう、備蓄の度合いが前の石油ショックと今度とでは大きく違っておる、したがって、備蓄というものはやむを得ざる場合は取り崩すという前提の備蓄でありまするから、その点は了解がつくもの、各国とも同じようなことが言える、今後の積み増しがスローダウンしてうまくいかなければ、というふうに考えております。
  417. 依田実

    依田委員 備蓄の問題については、来年度から世界の協議で日本も九十日以上やらなくてはならぬ。備蓄の取り崩しをしますと、またいつか積み増しをしていかなくてはならぬわけでありまして、そういう意味で、来年度果たして九十日というラインが守れるかどうか、こういうことにも注意しなければならぬだろう、こう思うわけであります。  それと同時に、備蓄を取り崩すについては、省エネルギー、節約をしなければならぬ。ところが通産省のお出しになっておる第一次の案は、先ほども御説明がありましたけれども、公用車の運行状況とか、あるいは官庁内の暖房とか、エレベーターの節約とかいろいろあるわけでありますけれども、それでは十分ではない、こういうことで、第二次案をお考えになっておるようであります。  第二次案は週休二日制であるとか、サマータイム、こういうことをお考えになっておるようでありますけれども、しかしこれをやるにはまだまだいろいろな官庁と打ち合わせをしなければならぬ、あるいは週休二日制をとって、今度は景気の方への影響がどうなるか、いろいろむずかしい点が多々あるのではないか、こう思うのであります。プランは立てたけれども実際可能性があるのかどうかという疑問があるわけでございまして、そういう意味では省エネルギー、節約案について少しテンポがおくれておるのではないか、こういうふうに思うのですが、その点いかがですか。
  418. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 週休二日にしましてもサマータイムにしましても、いよいよ実行するということになりますと、エネルギー節約というだけでは話がつきません。やはり広く国民的な合意を求めなければならない大きな政治問題というふうに考えます。しかし、先ほども他の委員にお答えしておりましたように、本当に今度の節約というものが実行に移されれば、三%ないし五%の節約の線には沿うことはできる、現在でもそういうことは言える。この間もアラスカの州知事が参りまして、何かアラスカへ戻ったようだと私の大臣室で語っておりました。そういうことが全国に徹底して、本当に消費が節約されれば相当な成果は期待できるのではないかというふうに思います。なお、今後継続して節約を求めていきたいと思います。
  419. 依田実

    依田委員 どんどん進行させていただきますけれども、通産省の中で、緊急時に備えて、灯油であるとかあるいはガソリン、こういうものの配給切符制を考えておる、こういう話が出ておるわけであります。しかし、これもなかなか実際に実行するとなると、実務の上で大変な問題点がたくさんあるのじゃないか。ガソリンの切符を配るといっても、それでは車を持っている人だけに配るのか、あるいはレンタカーをときどき運転する人にはガソリン券がいかないのか、そういうこともあるでしょうし、あるいは灯油といっても、世帯の人数によって二人世帯と五人世帯ではいろいろ違う、あるいはまたそういう切符を緊急時にすぐ国民の皆さんに渡せるように、いわゆる町会の事務所くらいまで、末端におろしておくのかどうか、こういうふうなことについてどの程度いま通産省はお考えになっておるのか、どの程度のテンポでこれをお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  420. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 緊急時の配給切符制に関しましては、すでに前回の石油危機時に制定されました石油需給適正化法の第十二条におきまして、そういう必要性を考えて法文の規定があるわけでございます。すでにいわば有事立法はできておるわけでございますけれども、ところがその配給切符の現物がないという状態が続いてまいったわけでございます。ところで二年くらい前に緊急時対策委員会という委員会をつくりまして、そこに学識経験者であるとか、消費者、産業界の代表等に入っていただきまして、緊急時にどういうやり方がいいかということでいろいろ御検討いただきました結果、やはり切符制というのは必要であるという御結論をいただきましたので、五十四年度予算におきましては、切符の印刷代関係で六億九千万、それから調査関係で三千万円をお願い申し上げている次第でございます。したがいまして、予算案が成立いたしましたならば、われわれとしてはこの切符を印刷いたしまして、その切符をどういうふうに使うかということも具体的に検討していきたいというふうに考えております。ただ現段階におきまして、いま先生が御指摘になりましたような細部の点につきましては、まだ正式な案は決まっておりません。今後鋭意検討したいと思っております。  ただ、私どもは、この配給切符を現実に使用するような事態は、近い将来においてほとんどないのではないかというふうに考えております。
  421. 依田実

    依田委員 これは少し違う質問でありますけれども、ことしは例のガソリン税の増税が見込まれておるわけであります。それも非常に大幅な増税になっておるわけであります。しかし、今度のような石油危機になってまいりますと、ただでさえ価格が上昇する、それにまた税金分だけ上乗せしてくる、こういうことになりますから、物価の高騰にも非常に影響してくる。そういう意味でガソリン税というものを、石油危機が新しく生まれてきたこの状況の中で再検討するお考えがあるかどうかお聞きをしたい。  そして同時に、増税するならば、ひとつこの際、道路財源だけでなくて、もちろんいまでもほかにも使われておりますけれども、そのほかの、たとえば石油開発あるいは重質油分解の開発費というものにガソリン税をたくさん回す、こういうお考えがあるかどうかひとつお伺いしたいのであります。
  422. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 これから石油製品の価格がどうなるかは見通しはちょっと困難でありますけれども、いまお話しのようなガソリン税の見直しをやるつもりはございません。現在の状況でいくと卸売価格、消費者価格に対する値上げの影響は〇・一%ぐらいと見ておりますが、これがどんなふうになるのか、これはこれからの推移で動いてくると思いますけれども、とりあえずは現行のままやるつもりでおります。
  423. 依田実

    依田委員 最後に、基本的エネルギー政策の中で、幾つかあるわけでありますけれども、供給先の分散、そういう意味で先ほどもどなたか委員の方から御質問がございましたけれども、中国、メキシコあるいはアラスカといろいろ分散先があると思うのであります。メキシコなどは、向こうの大統領も盛んに日本へ売り込みに来られておるようであります。ただ、いま石油を出すのがイーストコーストでありますから、それを西の方、ウエストコーストに持ってくるについては日本側が港湾設備などいろいろの援助をしなければならぬ。そういうものを含めてもっと供給先を分散することについて真剣にお取り組みをいただきたいと思うのでありますけれども、その点いかがでしょうか。
  424. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは全く当然なことですね。メキシコはいま値段が高いということが言われておりますが、これは高くとも安くとも、石油の値段は絶えず市場で動きますから、将来いよいよ具体的に入れてくるときには、アラビアンライトと言われるような非常に良質な油が豊富に産出することになりましたので、このあたりにも注目しますし、それから中国を含むアジア地域で少なくとも三〇%強の輸入を図っていくという計画であることは、ここで何度も申し上げたとおりでございます。
  425. 依田実

    依田委員 石油への依存度を低める、これも大事な戦略でありますけれども、統計を見てみますと、エネルギーの中の石油の依存度、五十年が七三・一%であったのが五十二年には逆に七五%になった。つまり、前のオイルショックが教訓として生かされてないのじゃないか。一難去って後はまた次の機会までのんべんだらり、こういうような感じに見受けられるのでありますが、その辺について通産省としていろいろ真剣にお取り組みをいただきたい。あるいはまた節約なども幾つかの案が出ておりますけれども、深夜テレビであるとか、あるいはまたネオンサイン、そういうものについてももっと積極的にどんどん実施されればよろしいのじゃないか、こう思うのであります。そういう意味で、ひとつこれからの通産省の御努力をわれわれは期待している、こういうことであります。  以上、時間が参りましたので、終わらせていただきます。
  426. 竹下登

    竹下委員長 これにて中川君、依田君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、一般質疑は終了いたしました。     ─────────────
  427. 竹下登

    竹下委員長 この際、分科会の件についてお諮りいたします。  昭和五十四年度総予算審査のため、五個の分科会を設置することとし、分科会の区分は  第一分科会は、皇室費国会、裁判所、会計検査院、内閣総理府(ただし経済企画庁及び国土庁を除く)及び法務省所管並びに他の分科会所管以外の事項  第二分科会は、外務省大蔵省及び文部省所管  第三分科会は、厚生省、労働省及び自治省所管  第四分科会は、経済企画庁農林水産省及び通商産業省所管  第五分科会は、国土庁運輸省、郵政省及び建設省所管 以上のとおりにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  428. 竹下登

    竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、分科会分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員補欠選任並びに主査辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  429. 竹下登

    竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、分科員の配置につきましては、公報をもってお知らせすることとし、各分科会主査は        第一分科会主査 藤波 孝生君        第二分科会主査 正示啓次郎君        第三分科会主査 野呂 恭一君        第四分科会主査 笹山茂太郎君        第五分科会主査 藤田 義光君を指名いたします。  次いで、お諮りいたします。  分科会審査の際、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  430. 竹下登

    竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十六分散会