○
金子(み)
委員 大臣はお逃げになっていらっしゃるのですけれ
ども、まあ個人的な
見解を伺うといってもそれは無理かと思います。それはこれから審議をなさるということでございますので、それでは
考え方についての御意見を聞かせていただくということにいたします。
いまの問題でございますけれ
ども、深夜労働なんというのは女子だけの問題ではなくて、男子にも同じ問題があるわけでございますから、今度の報告書が深夜労働あるいは時間外労働というものを無制限にするなどということが、働く
人たちの身体的あるいは
精神的、社会的生活に非常に大きな支障を来しているということがあるという現実に目をつぶっていらっしゃるというのは非常に問題だと私は思うわけです。
なぜかと申しますと、この報告書の中に、それによってどういう結果が生じているかという大変に芳しくない
資料がすでに出ているわけですね。時間がございませんので細かくは申し上げませんけれ
ども、深夜業をいたします職種と昼間業務だけしかいたしません職種と比較いたしますと、女子の場合ですと流産や早産や死産や異常分娩がはるかに多いという
数字が報告書の中に載っていますから、報告書をつくられた方は
御存じのはずなんです。そうだとすれば、大変矛盾した意見をお出しになっているなと私は思うのでございまして、その辺は篤とお
考えになっていただきたい。
それで、平等平等というふうに申しておられますけれ
ども、平等というのはレベルダウンの平等ではないのでして、レベルをアップされた形の平等、言葉をかえれば、よりよい条件での平等でなければならないというふうに私は
考えますが、今度の報告書はレベルダウンでの平等になっているというところが非常に大きな問題だと思うわけです。その辺を御審議なさる場合に、そのことについては
大臣も私の
考えが間違っているとはお思いにならないだろうと思うのですが、これは一般論で、決してこの報告書の中身ということでなくて、平等にするということはレベルアップの平等だということは間違いないというふうにお
考えいただけるのじゃないでしょうか。——お聞きおきください。時間が迫ってまいりましたから次にまいります。
〔伊東
委員長代理退席、
委員長着席〕
報告書はたった
一つ大変においしいあめをしゃぶらせてくれています。そのあめをいまから
お話しするわけですが、この辺からは厚生
大臣にも聞いておいていただきたい問題でございます。言葉をかえて申しますと、母性機能に関する部分だけは丁重に扱うと申しますか重要視して大変に手厚くする、こういう
考え方を出してきていらっしゃるのですね。どんな手厚さを出してくださったかしらんと思って見てみましたら、母性というのを妊娠と出産期だけに限定しているのです。大変狭義の解釈をしています。
時間がございませんから質問いたしませんが、かつて母子保健法の問題を社会労働
委員会で議論いたしましたときに、母性という言葉が
法律の中にいっぱい出てくるわけです。ところが、その母性とは何だという定義がどこにもないのです。それで厚生省にお尋ねしたことがあります。いまの
大臣ではなくて前の前の方でございますけれ
ども、そのときに厚生省の御
答弁は、母性機能を持つ女性はすべて母性であると解釈するというふうにおっしゃった。公衆衛生
局長の御
答弁でしたが、私はそれは正しいと思っているのです。ですから言葉をかえて申しますれば、女性イコール母性だと解釈していいと思う。決して妊娠や分娩だけが母性ではない。これはもう明らかにわかっていただきたいのです。ですから、これから御審議なさる場合にそういう間違いが起こらないように、基本的な問題として労働省はしっかりとこの点をわきまえていただきたいと思うわけでございます。
そこで、女性の心理的あるいは社会的あるいは身体的状態というのはそのまま母性機能に影響するのです。直接のものでなくても非常に影響があるということが証明されておりますので、この点で
一つ例を挙げますと、今度の報告書が、撤廃する方が正しい、合理的な合法的な
理由がないから撤廃するべきであるということで問題を醸し出しておりますのが例の生理休暇の問題でございます。私はここで生理休暇の問題を論ずるつもりはございませんけれ
ども、労働
大臣にわかっておいていただきたいと思いますこと、あるいは厚生
大臣にも同じ問題になりますけれ
ども、報告書の中で、なぜ撤廃する方が正しいかという
理由について、よその国ではないとか、
日本と韓国とインドネシアしかないとか、
日本は大変に後進国だみたいな言い方をされているとか、あるいはこれは産婦人科医の意見としても医学的に全く根拠がない、こういうふうに報告書を出していらっしゃいますけれ
ども、実はそうではないという
資料も片っ方にはあるわけなんですよ。
たとえば私の手元にある
資料は、大阪大学の医学部の公衆衛生学教室の研究でございます。生理休暇をしたかしなかったかということが、その人が後に妊娠したときにどういう影響が来るかということに対する研究です。さらにまた、大阪の佐道正彦さんという
先生の御意見もあります。それから京都の大塚いづみ
先生という
先生の御意見もございます。
その
先生方の御意見を集約いたしますと、「生理時就業の影響とともに、生理時にも休めないような職場や労働条件の影響も
考えなければならない」「現在の労働のあり方は健康と母性に有害であり、改めなければならない。しかし、この状態がつづくかぎり、働く婦人にとって生理休暇は必要であると
考える。」産婦人科の
先生です。ですから、私が労働
大臣に申し上げたいことは、少し私の言葉が過ぎるかもしれませんけれ
ども、お医者さん
たちの意見というのは一人ずつ違うのですよ。御承知のようになかなかまとまってなんかいない。ですから、いろんな意見があるということを
御存じでなければならないと思うのです。政府にとって都合のいいような意見をお吐きになる方だけで
委員を構成なさったりしないで、もっと幅広くいろんなところから専門家をお集めになって、そしてもっと総合的な
立場で公平な意見が出るような形でまとめていただきたいのです。もうすでに報告書は出ましたから、この報告書はこれで仕方がないでしょうけれ
ども、これから労働省が中身を詰めていらっしゃるわけですから、そのときに再度それはぜひやっていただきたいということを強く要望しておきます。
そこで、いま
一つ、問題のあめの問題になりますが、報告書は、産前産後の休暇がいま六週間ずつございます、それを産後八週間にしたんですね。産前をそのまま据え置いて産後だけ八週間にしたわけです。その
理由はなぜかということをこの報告書は書いております。
その
理由は、産前は平均三十六・四日休んでいる。産後は平均四十八・七日休んでいる。だから平均四十二日よりも産後の方が長いじゃないか。だから産後の方が長くしておく必要があるのだろう、こういうふうになっているわけです。それはそれでも間違いじゃないと思いますが、私が申し上げたいのは、いまの報告はなぜ産後に長くみんなが休んで産前が短くなっているかということです。それはなぜかということは、申し上げておきますと、全体で合わせて十二週しかないのです。ですから、働いている
人たちは無理してでも産後のつらい時間を休みとして長くとりたいのです。産前の分を産後へ回しちゃうんですよ。ですから、産前は五週ないし四週間しか休んでおりません。ということになりますと、ここで厚生省の問題にかかってくるわけなんですけれ
ども、産前が大変短いということは大変問題です。
厚生
大臣、お尋ねしますよ。厚生省は五十四年度の予算で総合母子保健センターの整備に六億円とっていらっしゃる。何でこの金を準備なさったかということなんです。何をするためにこれをおとりになったのかということを一言おっしゃってください。