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1979-02-19 第87回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月十九日(月曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長竹下  登君    理事 伊東 正義君 理事小此木彦三郎君    理事 塩川正十郎君 理事 浜田 幸一君    理事 毛利 松平君 理事 大出  俊君    理事 藤田 高敏君 理事 近江巳記夫君    理事 河村  勝君       大坪健一郎君    奥野 誠亮君       海部 俊樹君    笹山茂太郎君       島村 宜伸君    正示啓次郎君       砂田 重民君    田中 龍夫君       田中 正巳君    谷川 寛三君       玉沢徳一郎君    中村 弘海君       中村  靖君    根本龍太郎君       藤田 義光君    坊  秀男君       松澤 雄藏君    安宅 常彦君       井上 普方君    石橋 政嗣君       岡田 利春君    川崎 寛治君       川俣健二郎君    兒玉 末男君       平林  剛君    安井 吉典君       坂井 弘一君    広沢 直樹君       二見 伸明君    吉浦 忠治君       大内 啓伍君    宮田 早苗君       柴田 睦夫君    寺前  巖君       東中 光雄君    大原 一三君       山口 敏夫君  出席国務大臣         法 務 大 臣 古井 喜實君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 金子 一平君         文 部 大 臣 内藤誉三郎君         厚 生 大 臣 橋本龍太郎君         農林水産大臣  渡辺美智雄君         通商産業大臣  江崎 真澄君         運 輸 大 臣 森山 欽司君         郵 政 大 臣 白浜 仁吉君         労 働 大 臣 栗原 祐幸君         建 設 大 臣 渡海元三郎君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       澁谷 直藏君         国 務 大 臣         (内閣宜房長官田中 六助君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      三原 朝雄君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      金井 元彦君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 中野 四郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 真田 秀夫君         人事院事務総局         任用局長    長橋  進君         総理府人事局長 菅野 弘夫君         青少年対策本部         次長      松浦泰次郎君         警察庁長官   山本 鎮彦君         警察庁刑事局保         安部長     塩飽 得郎君         警察庁警備局長 鈴木 貞敏君         行政管理庁長官         官房審議官   中  庄二君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         経済企画庁調査         局長      佐々木孝男君         環境庁自然保護         局長      金子 太郎君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁地方振興         局長      佐藤 順一君         法務省入国管理         局長      小杉 照夫君         外務大臣官房領         事移住部長   塚本 政雄君         外務省アジア局         長       柳谷 謙介君         外務省アメリカ         局長         兼外務省条約局         長       中島敏次郎君         外務省欧亜局長 宮澤  泰君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         外務省経済局長 手島 れい志君         外務省経済協力         局長      武藤 利昭君         外務省国際連合         局長      賀陽 治憲君         大蔵省主計局長 長岡  實君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局長      宮崎 知雄君         国税庁長官   磯邊 律男君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省学術国際         局長      篠澤 公平君         文部省社会教育         局長      望月哲太郎君         文部省管理局長 三角 哲生君         厚生省年金局長 木暮 保成君         社会保険庁医療         保険部長    此村 友一君         社会保険庁年金         保険部長    持永 和見君         農林水産大臣官         房長      松本 作衛君         農林水産省経済         局長      今村 宣夫君         農林水産省構造         改善局長    大場 敏彦君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省食品         流通局長    犬伏 孝治君         農林水産技術会         議事務局長   堀川 春彦君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁長官   森  整治君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省通商         政策局長    宮本 四郎君         通商産業省産業         政策局長    矢野俊比古君        通商産業省立地        公害局長    伊勢谷三樹郎君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         資源エネルギー         庁公益事業部長 豊島  格君         中小企業庁長官 左近友三郎君         運輸大臣官房長 中村 四郎君         運輸大臣官房観         光部長     山元伊佐久君         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君         運輸省鉄道監督         局長      山上 孝史君         運輸省航空局長 松本  操君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 江上 貞利君         郵政省人事局長 守住 有信君         郵政省経理局長 河野  弘君         労働省労政局長 桑原 敬一君         労働省労働基準         局長      岩崎 隆造君         労働省職業安定         局長      細野  正君         労働省職業訓練         局長      石井 甲二君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 丸山 良仁君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治省財政局長 森岡  敞君         自治省税務局長 土屋 佳照君  委員外出席者         会計検査院長  知野 虎雄君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ───────────── 委員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任  稻村佐四郎君     谷川 寛三君   海部 俊樹君     玉沢徳一郎君   倉成  正君     中村  靖君   櫻内 義雄君     島村 宜伸君   中川 一郎君     中村 弘海君   羽田野忠文君     大坪健一郎君   矢野 絢也君     吉浦 忠治君   米沢  隆君     宮田 早苗君   東中 光雄君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   島村 宜伸君     櫻内 義雄君   谷川 寛三君    稻村佐四郎君   玉沢徳一郎君     海部 俊樹君   中村 弘海君     中川 一郎君   中村  靖君     倉成  正君   吉浦 忠治君     矢野 絢也君   柴田 睦夫君     東中 光雄君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算      ────◇─────
  2. 竹下登

    竹下委員長 これより会議を開きます。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、一般質疑を行います。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)委員 外務大臣にお伺いいたします。  一昨日、中国ベトナムに対しまして侵攻を開始したという突然のニュースにわれわれは接しまして、日本国民のみならず、東南アジアに及ぼした影響は多大なものがあるのではなかろうかと私は思うのでございます。したがいまして、この問題につきまして、数日前、鄧小平首相日本へ来られて、そのときには制裁を加えなければならないというようなことをおっしゃっておって、その後にベトナムヘの侵攻が行われた。日本政府はこの事柄に対してどのようにお考えになっており、どのように対処されるか、お伺いいたしたいのでございます。
  4. 園田直

    園田国務大臣 まず、お答えをする前に、簡単に現在の紛争について御報告を申し上げます。  中越国境では昨年十二月以来小規模武力衝突が頻発しておったことは御承知のとおりでありますが、中国側国境沿い兵力増強を図って、両国間の緊張が高まっておりました。二月十七日未明、中国は多数の師団をもって国境全域にわたってベトナム内に侵攻し、戦闘が継続しております。  中国軍ベトナム侵攻については、中国側はべトナムの侵犯に対する反撃であるとし、ベトナム側ベトナムに対する明白な侵略であるとしております。  政府としては、中国ベトナム双方に対し、累次にわたって紛争平和的解決要望し、武力紛争に発展しないように自重方申し入れてきましたが、今般このような事態になったことはまことに遺憾でありまして、政府としては、中国ベトナム双方が平和的に事態を収拾するとともに、インドシナ全域において平和が回復されることを強く希望いたしておりまして、中国並びベトナムの両大使を通じて、訓令を発し、両方に対し即時停戦他国内から軍の撤退等要望し、アジアの平和と世界の平和を撹乱されざるよう強く要望しているところであります。  なおまた、本朝、ソ連の方に、この事態に対し、この両国衝突が大規模戦争にならないように即時中国軍停戦をして撤退をされる、またベトナムに対してはカンボジアから撤退をしろという申し入れをわざわざ行っておるが、ソ連としても、この戦争が大規模にならないよう、かつまた、これがアジアそれから世界の平和の安定に役立つように行動されることを要望するという申し入れをいたしまして、ソ連側からは、ソ連はいかなる場合も戦争反対戦争拡大反対であるという一貫した方針でやるという、こういう趣旨の返答でございます。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 鄧小平首相が先日アメリカ訪問をやり、その後日本へ来られた。そして、大平総理並びに外務大臣お話しになって、まだ旬日もたたないのであります。したがって、あるいは他国から見ますと、米日中、この三国の同盟、いわゆるソ連側が言っておる三国中軸ができておるのではないだろうかという懸念も私はあると思うのであります。  中国に対しましては、鄧小平首相が来られたときには一体どういう話し合いをなされたのか、ここらあたりを明確にお話を承りたい。制裁を加えるということに対して、それは困るぐらいでは困るでしょう。日本政府とすれば、少なくとも日中平和友好条約の中に反覇権条項を入れておる以上、中国に対しても自重を常に求めなければならないと思うのであります。  十二月の末以来、ベトナム国境には中国軍が配置されておった、いまも御報告がありましたが、そのような事態のときに日本政府としてはとるべき態度があったはずであります。どういうような処置をとられてきたのか、日中平和友好条約関係においてひとつお話し願いたいと思います。
  6. 園田直

    園田国務大臣 このベトナムに対する日本政府対応の仕方というものは、これが米中あるいは日中の一つ包囲網あるいは共同行動でないということを明白に物語る証拠であると考えております。中国に対しては、ベトナムに対する態度はわれわれはあなた方とは違う。あなた方はベトナムを敵と呼ぶ、われわれは敵とは考えてない。ただ、カンボジアに対して力をもって紛争を解決しようということは反対である。やっていることは反対であるが、ベトナム自体を敵とは考えてない。したがって、中国もこれに対していろいろやっておるようだが、これはひいては中ソの対立米ソ対立というように、アジアの平和、世界の平和というものに非常に響いてくる、したがって、十分自重されるよう要望するということを、いま御発言のとおり再三再四申し送ってきたところでありまして、今度の事件が起きてからも、直ちにこれに対して申し入れているところでありますから、決して日米中の三者の共同作戦ではないことは明白であります。  米国のことは、他国のことでありますから、私から言うべきことではありませんが、情報等で御承知のとおり、米国中国に対しては強く要望し、強く抗議をしている模様であります。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 この問題は、わが国外交にとってはこのたびの対応は将来に大きな影響を私は残すと思います。したがいまして、見通しとしては、かつての中国インド国境紛争のごとく、  一ヵ月以内で撤退するというようなことをあるいは中国考えておられるかもしらぬ、ここらあたり見通しについてはどうお考えになっておられるか。
  8. 園田直

    園田国務大臣 他国紛争のことでありますから、現職の大臣の私がとかく見通しをつけることは穏当ではないかも存じませんけれども、大体私のただいまの判断では、御承知のとおり北部山間地帯は非常な険阻な山であって、道路というものは隘路になっております。しかも、これは霧が多くて、ほとんど飛行機の偵察あるいは写真等は撮れないような状態で、現在の状況はなかなか的確にはとることはできませんけれども、大体わかっているところは、中国正規軍山岳地帯に停止をしておる、一方ベトナム正規軍ハノイ周辺展開をしておりまして、いまのところは山岳地帯に出る傾向は余りありません。したがって、いままでの戦闘中国正規軍ベトナムの民兵との間に主として行われた戦闘ではないかと考えるわけであります。  一方、中国考え方は、以前中国インド紛争がありましたときに、中国がまずインドの方へ軍を進めていって、ある点でとどまって話し合いを呼びかけた、インドが聞かなかった、そこでさらに限定した前進目標をつくってそこまで攻めていって、そこで話し合いを詰めた、こういうことがおぼろげながら考えの中にあるのではなかろうかとは思いますけれども、果たしてその中国計画計画どおりにいくのかどうか。雨季、四月になったらあの付近はほとんど部隊の行動は困難であります。しかも、中国が山をおりるかあるいはベトナム正規軍がさらに進んで山岳地帯に入るか、こういうことになってくると状況は急変転すると思いますが、いまのままならば、なかなか中国考えるように短期話し合いをつけてそれで中国撤退するというきっかけがうまくいくかどうかなあということで、これが長期のあれになるのかあるいは短期で済むのか、いずれにしてもわが国はこれが大規模両国間の戦争にならないように、昨晩から関係諸国は徹夜でいろいろな懸念を表明して来、日本政府に対して努力要望してきております。こういう国々と力を合わせてそういう努力をしたいと考えております。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 外務大臣のいまのお話を承っておると、中国は奥地の方に正規軍展開しておるし、またベトナムハノイ周辺展開しておる。えらい新聞にも書いてないことを御存じなんですな。その情報はどこから入れられたのですか。
  10. 園田直

    園田国務大臣 わが国にとっては情報は一番大事でありますが、なかなかその情報はいろいろな関係で不十分でありますけれども、各種の情報を総合してやっておるわけであります。この情報がどこから入ったということは申し上げると今後の情報入手に困難を来しますので、お許しを願いたいと存じます。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 日本外務省、この前も日本には情報費がない、機密費がないなんていって、日本情報は非常に少ないんだ、外務省は困っておるんだと言われたが、いまえらい軍隊の展開までもお知りになっている。これは、アメリカ日本とは密接なるある情報交換をやられて対応考えられておるのじゃないか、あるいはこういうことを言われるから、日米中との関係を言われるのじゃなかろうかと私は思う。  先ほども申しましたように、日中友好条約覇権条項との関係においてこの問題を日本はどう対処するか、どういうふうに解釈するか、御説明願いたいと思うのであります。
  12. 園田直

    園田国務大臣 関係国と緊密に連絡することは当然であると思いますけれども、特に中国アメリカからこちらが相談を受けたりあるいは要望を受けたりして行動したと言われることは、今後きわめて大事であり、日本外交としてはここが一つのけじめの見せどころでありますから、申し入れその他についても、中国米国要望あるいは希望を聞いた上でやっているということは全然ございません。私独自の立場で、特にASEAN国国関係諸国と連絡をしてやっておるところであります。今後ともこの点については十分注意をしてやるつもりでございます。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 このたびの問題に対するわが国態度というものは、これは日本外交の将来を決めるのみならず、かつまた東南アジアASEAN諸国に対しましても重大なる影響があると私は思うのでございます。したがいまして、日本平和憲法にのっとって、そしてあくまでも独自の外交を進められんことを強く要求いたしておきたいと存ずるのであります。この問題につきましてはこの程度にしておきます。  続いて、外務大臣非常にお忙しいようでございますので、私は次の問題に移りたいと思います。  アメリカ経済攻勢はひどいものがあると思います。一昨年来円高ドル安現象が起こってまいりましたが、この円高ドル安現象につきましても、これはアメリカ政策アメリカの多国籍企業が歩調をとりながら、日本の円に対して攻撃を加えたというのはもう通説になっておる事柄であります。特に、もうすでに皆さんも御承知のように、七三年二月にはドルを一〇%切り下げ、三月には世界的な変動相場制をもたらした通貨危機の元凶は、これはアメリカの多国籍企業がその背後にあったということはもう世界通説になっておるのであります。その後、御承知のように七三年十月には石油シヨックが起こった。しかし、石油ショックが起こったけれども一体不足は生じたのかといいましたならば、石油不足は全然わが国にはなかったことは御承知のとおりであります。これはアメリカ石油メジャーOPEC諸国と組んで石油値上げのための一つの芝居じゃなかったかと言われておるのが通説になっております。その後、皆さんも御承知のように、石油メジャーの力は石油不況によって伸びが少なくなってまいりました。世界的な不況のもとにおいて石油の需要ば伸びが低くなったので、石油メジャーの力というのはどんどん落ち込んでおります。一例を申しますと、アメリカフォーチュン誌が出しております大企業ランクを見てみますと、いままでエクソンがトップでおったのがGMに第一位がかわっておるじゃございませんか。こういうように石油メジャーの力というものは落ちてきました。  そこへ出てきたのがカーター政権であります。カーター政権というのは、ジョージア州の田舎の知事から出てきて、そして大統領になった。大統領になったけれども、カーターとは何者なんだ、カーターズ・フーという言葉がアメリカにびまんいたしております。現在でもそのとおり。一体カーターというのは約束したことを何守っておるんだ。一例を挙げると、兵器輸出というのは悪いことだ、やめなければいかぬということを公約にもしますし、また大統領就任演説のときにも申しました。しかし、二年たった現在どうです。どんどんと海外へ兵器輸出をやっておる。これがカーター政権の姿であります。公約と片方また、エネルギー法案を出すのだといって国会には出したけれども、エネルギー法案は通るのに何カ月かかりましたか。骨抜きにせられていま通されておるというのが現状じゃございませんか。  そして、カーター政権の主要な閣僚というのはほとんど大企業代弁者であります。これほどカーター政権重要閣僚企業代表によって占められておるのはグラント大統領以来だと言われておる。それほどまでもたくさん出ておる。多国籍銀行代表、続いては電子産業機器代表、あるいはまた宇宙航空産業代表、これらがカーター政権の重要な閣僚の地位を占めておるのが現状じゃございませんか。そして日本の円に対して圧力を加えてきた。言いかえますと、ここで多国籍銀行というものが企業にかわって浮上してきておるのがアメリカの実情じゃないかと私は考えるのであります。そして、多国籍銀行の連中が何をやっておるかと申しますならば、アメリカ財務長官あるいはまた商務長官カーター自身でさえも、日本貿易黒字が多いがためにもう少し円高になってもいいんだと言わんばかりのことを申しておりました。これをオープン・マウス・ポリシーと言っておるのだそうでございますが、政府閣僚関係者がこういうようなことをやれば、市場の心理としては円が高くなってくるのは当然であります。このように円のねらい撃ちをアメリカ政府と多国籍銀行とがやってきた。しかも、多国籍銀行というのはどういう形になっておるかと申しますならば、オイルダラーは非常に憶病なようであります。その黒字の大体半分ぐらいがアメリカの財務証券を買い、かつまたアメリカの大銀行への短期預金でしておるのが実態であります。これは数字を挙げろと言えば申しますけれども。ですから、いまアメリカの多国籍銀行にはたっぷりと金がある。そのたっぷりとある金で日本円高を意図的に、政府はオープン・マウス・ポリシーを片方でやりながら、片方は多国籍銀行において円高をつり上げていったのが実情じゃないかと私は考えるのであります。  この点について外務大臣、通産大臣はいかにお考えになっておられるか、お答えを願いたいと思うのであります。
  14. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いま段々のお話はよく承りました。ただ、わが国としては、アメリカの貿易バランスが余りにも大き過ぎる、これは通関ベースでわが方は百十億ドルと言っていますが、向こうは百十六億ドル、それだけのインバランスがあるわけですね、日米貿易だけに関して。これはアメリカの国際収支の赤字の約半額というわけであります。したがいまして、そういうことは世界的に保護主義がだんだん貿易の面に出てくることの一つめ大きな理由として、日米関係のインバランスがやはり問題になる、アメリカの議会でも非常に大きな声になっておるということで、われわれも適切な対応をし、日米親善関係を続けたいという努力をしておるわけであります。井上さんの御意見、見解等につきましてはよく承っておきます。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 あなた、通産大臣日本が対米貿易において黒字になったのは一体いつからですか。戦前からずっと赤字であった、ようやく黒字になった。黒字になるには日本の国民が営々として努力をいたしました。これは企業を問わず、労働者を問わずやったことです。アメリカは何です。ベトナム戦争というような汚いことをやって自分の力を下げていったのじゃありませんか。そして、そのツケをわれわれに回してこようとするこの態度、私らは納得できないのであります。  一面、日米友好関係を親密にしなければいかぬということは私は思います。しかしながら、アメリカの非なるところは断固として攻撃する態度がなければならないと私は思う。いままでの自民党の対米経済外交を見ると、唯々諾々として聞いてきたのが実情じゃありませんか。私は大きな不満を持つものであります。現に一昨年の六月当時の円の値段は一ドル二百十円ぐらいになりました。ところが、ドルが安くなったのでありましたならば、当然マルクも上がらなければならない、その当時の円の引き上げ高は二六・五%に及んでおる。マルクはわずか二・数%であります。日本の円のねらい撃ちをアメリカ政府と多国籍銀行はやったとしか思えない。しかし、それが八月になって日本の円が余りにも高くなったので欧州の通貨に影響を及ぼしてきたので、アメリカはあわててドル安に対する対策を講じたのじゃございませんか。それはもちろん前内閣において成長率を六・八%あるいは七%というような外交公約をすること、これ自体が不見識であったことはもちろんのことであります。しかし、アメリカだってどうです。アメリカだってカーターが約束した成長率ははるかに減っておる。インフレ率は公約よりはどんどん上がっておる。こういう点をわれわれは強く国民に認識さすと同時に、アメリカに対しても反省を求める態度がなければならないと私は思う。  そこで、時間もたちますので私はお伺いするのでありますが、このたびの日米経済交渉に、電電公社の物品購入に対しまして国際入札をしろ、あるいはアメリカの会社を入札に加えろ、こう申しておるようであります。まことにもって私は不届きだと思う。先日も通産大臣は、「困った。」というこの広告を出されてわれわれは困ったんだと言う。何をあなたが困るのです。日本国民の声というものを代表したんだといって取り上げたらいいじゃありませんか。しかも、アメリカ重要閣僚の中には、御承知のようにIBMの前重役が三人入っている。一人は国務長官のサイラス・バンス、これはIBMの取締役であった方であります。国防長官のハロルド・ブラウン、これもそうであります。住宅都市開発長官のパトリシア・ハリス、これもIBMの重役であります。現在では社外重役であります。これらの連中が、ともかく日本の電電公社にねらいをつけていまやってきておるのであります。私はこの広告、これを困ったものだという通産大臣の見識を疑うのであります。聞くところによれば、明日この電電公社の入札について何か連絡閣僚会議をするというお話でありますが、断固として拒絶すべきであると私は思う。しかも後ろにはカーター政権重要閣僚が三人もおること、このことを世界の各国に知らして、こんな汚いことをアメリカはやっているんだということをひとつ宣伝してほしいと私は思う。いかがです。
  16. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 日本黒字に転じたのはまだ最近のことではないか、おっしゃるとおりだと思います。しかも無資源のわが国としては、これを加工して輸出にゆだね、そうして資源を輸入する金をかせがなければならぬ、それは全くそのとおりだと思います。ただ数次のサミットにおいてお話し合いをしてまいりましたのは、わが方も貿易の国際収支については黒字幅を縮小しましょう、市場はできるだけ開放いたしましょう、さるかわりIMFの基軸通貨であるドルの価値というものは十分アメリカにおいても責任を持たれたい、インフレの促進などはもう絶対困る、特に基軸通貨を擁しておられるアメリカとしてのインフレはあくまで防遇してもらわなければならぬ、これが御承知のようにストラウス代表とわが牛場代表あるいは福田前首相といってもよろしゅうございます、この約束でした。その線に沿っていまわれわれも努力しておる。  それから後段の御質問でありまするが、現在この政府調達に関する外国品への門戸開放につきましては、いわゆるガット東京ラウンドの場で政府調達コードというものを両国の間でいま折衝をしておる最中であります。そこで困ったというのは、私が申し上げた意味は、あのときも申し上げたのですが、この広告は、まあたとえば牛肉、オレンジの場合、それから今度の電電の電子機器の問題、ほかにはたとえば皮革の問題がありますね。金のある業界というものはそうやって何億もかけて国民世論に訴えることができるかもしれませんが、政府も全責任でやっておるときに、それだけの金を使われるというならば、たとえば牛肉、オレンジに見るように、議員が向こうの議員に関係をつけて事情を話すとか、もっとやり方があるように思える。日米親善という行き方から言うならば、何だか、日本国民に訴えるその気持ちはわからぬわけでもありませんが、アメリカが無理難題を押しつけていかにも困るというようなことで対立的に持ち込まれることは困った、こう私はこの間御答弁をしたつもりであります。したがって、金があるに任せてではないかもしれません、あるいはそれは窮余の策かもしれませんが、そんな金の使い方をするというのならばもう少しやり方もあろうという方法論について私の見解を率直に述べたわけであります。したがって、現在この電子機器については、中央政府の調達のみならず、電電公社等の調達についてもこれをコードの対象にしてほしい、こういうことでアメリカ側が強く迫っておるわけですね。われわれの方としても、さてこれにどう対応するかというので目下鋭意調整中、こういうわけであります。  それから、明朝の経済閣僚が集まって安川代表の意見等々を聞くということであって、いまの電電の問題を明朝決めるというふうには私聞いておりません。いま外務大臣にどうかと言って確かめたら、そういうことは君ないわねと言ってうなずいておりますから、明朝の議論ではない、これは御了承願います。
  17. 井上普方

    井上(普)委員 どうもそういう金があればほかに使えという話をおっしゃった。それが困ったのだとおっしゃいますけれども、私は何もこれによって政府は困ることはないと思う。堂々と国民世論に、このような理不尽なことをアメリカがいま要求してきているのだ、日本の将来の通信網のためにはこれは断固としてはねのけてほしいというのが言外に含まれておるのじゃありませんか。私はこれを見て、なるほど日本の通信を守るためにはアメリカが国際入札に加わることは排除しなければならぬと考えておるのであります。私はこれによって初めて知った。  電電公社の総裁来られていますか。――ここでひとつお伺いをする。  国際入札によって調達せられた場合には、製造会社によって構成・構造・設計思想の異なる多種類の機器が混在することとなって、保守作業を初め設計・建設などあらゆる業務の能率を著しく低下させるのだ。納期の長期化、品質の低下という問題が起こって、電気通信システムが荒廃して国民の期待するサービスが維持できないばかりか、最終的にはサービスコストを上昇させる結果になる。これは電電公社が宣伝せられたわけではないのですけれども、こういうことが言われておるのでありますが、御見解を承りたい。
  18. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。  このガット東京ラウンドの終結に当たりまして、政府調達、非関税障壁の項目の一つとして電電公社が焦点に掲げられております。この問題は、私ども一にも二にも外務大臣あるいは郵政大臣と連絡をとりまして、今日まで外交場裏で牛場代表以下七、八名の関係者のお力にすがって交渉をお願いしておるわけでございまして、外務省外交官につきましても非常に専門的なわかりにくい問題でございますので、いろいろ説明してはお願いし、また現場など御見学賜って理解を深めて交渉場裏に当たっていただきますが、今日までわれわれの方針を体しまして交渉を続けられております。本当に外務省の方々に対しましては非常に私は申しわけなく、御努力に対して深く感謝するところでございます。しかし、もう大詰めに来ましたのでいろいろと問題も出てきましたが、なぜこういうものを、いま焦点はどういう点にあるかというと、私どもの一番困ったということは、国際入札あるいは国内入札にしましても、随意契約ということではなくて、自由競争契約にしろということがガットの規約に一つあります。政府調達に入ることはもう当然でございますが、私どもが逓信省以来電通省、公社発足以来、全部通信器材につきましてはほとんど大部分の器材を随意契約でやる。これは何にゆえんするかというと、電電公社の仕事は全国をネットワークとする大きなシステムでございます。ここに異種の製品がどかどかと安いから入ってくるというようなことは、先ほど新聞広告を井上先生がお読みになったように、そういう理由でなかなかこれは確実な安定性、信頼性の高いサービスをとても維持することはできない。通信事業の使命としましてはやはり信頼性が第一、その次には安いコスト、この両方の面から見ましても随意契約というものは一番正しいものであるということを私は言っております。そういう意味で今日まで外務省にもお願いしましてやってきたところでございまして、一番わかりやすく言えば、私どもの品物というものは市場性が電電公社しかないのでございまして、ここで競争契約をやって、ことしは入った、来年は入らないというようなことは、ボリュームの非常に大きなものでございますから、どこにも売りようがない。これは必ずコストは高くなります。そういう相手と値段を取引するということは、必ずこれは商人としては値段が原価計算上高くなる。機械設備の償却も早くしなくちゃならぬということになりまして、やはり自然の成り行きとして電電公社は随意契約を堅持しております。また他国におきましても、欧州、アメリカ、先進国の通信をやっておる国々は、欧州は大体独占事業でございますが、皆電電公社と同じふうに随意契約を指定して、この国際ガットのコードから除外していただいておるようでございます。まだ条約は結んでおりませんが、そういう成り行きになっていっておるようであります。アメリカはどうかといいますと、これは民営でございまして、ガットの協約には入りませんけれども、ATTは大体電電公社と同じふうに牛場さんの話では八〇%、私たちの話では九〇%ぐらいは随意契約でやる、こういうふうになっておりまして、これは世界の大勢だと存じております。
  19. 井上普方

    井上(普)委員 通産大臣よくおわかりだったろうと思う。外務大臣もよくおわかりだっただろうと思う。日本の通信システムの将来を考えアメリカの要求を断固として拒絶していただきたいと思います。  先日の新聞記者会見において電電公社の総裁は、この電電に対する攻撃の後ろにはIBMがあるということを暗に認められたような新聞記事報道もあるのであります。向こうは政治的な圧力をもってやってくるでありましょう。重要閣僚の三人がIBM出身者であります。ふんどしを締めてひとつやっていただきたい。もしこれが入ってくるならば、ここに日本の通信機器に働く労働者の失業問題も起こってくるのであります。ここらを考えますと、どういう態度をもって臨まれるか、方針をお伺いしたい。
  20. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いま段々のお話を私ももうすでに秋草総裁からよく聞いております。したがって、本件に関しては、政府調達コードの目的、交渉全体の仕上がり、日米経済関係の中でその持つ意味、こういったものを評価しながら結論づけるということだと思うのです。だから秋草総裁も言うように、そういうことに外務省も一生懸命矢面に立って努力をしておる、われわれもまたそれに協力をしておるというときに、何億というような広告費をかけて何らか対立に持ち込むようなことは、かえって事を複雑にするという意味を私は含めて物を言うたわけです。ですから、そういう苦しい状況についてはわれわれもわかっておる。したがってまた、そのためには議員外交などを展開するとかいうこと、それからまた、そんな大きな金があるなら、ちとあなたの言われる雇用の関係にボーナスでも余分にやる方へ使うということだって考えられますよ。ですからそういうことはわれわれは百も承知の上で、この苦しい状況を排除しながら交渉しておる。これはもう十分努力をしておるわけです。なお今後とも努力を継続したいと思います。
  21. 井上普方

    井上(普)委員 私はこれを見て、あれ、こんな問題が起こったのか、起こっておるのだなという認識を私自身が持ったくらいであります。まして国民は、一体電電公社の国際入札とはどんなことなのかわかりゃせぬじゃありませんか。やはり国民の世論を背景にして外交交渉に当たらなければ、どこに力がありますか。いままで日本外交を見てごらんなさい。アメリカの唯々諾々になっているじゃありませんか。そこを私は言っておる。  外務大臣ももう時間がないようでありますので、もう一つお伺いしておきます。  先ほど、カーター政権を支えるのは、一つには電子産業並びに宇宙航空産業、さらに最大のバックにあるのは多国籍銀行だということを申しました。とうとうそれがあらわれてきたじゃありませんか。外国銀行の規制に対する解除をいま要求してきているでしょう。大蔵大臣どうです。
  22. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  最近先生御指摘のように、アメリカにおきまして日本における外国銀行の処遇についていろいろ批判が出ているわけでございます。最近のものでは、一月三十一日に発表されました下院の歳入委員会の中の貿易小委員会の報告、いわゆるジョーンズ報告でございます。ただ、しかしながらこの内容を見ますと、事実認識が必ずしも正確でないことに基づいている面が非常に多いと思います。たとえば日本における外国銀行が東京手形交換所及び全銀データ通信システムから排除されているというような指摘がございますけれども、これにつきましては、一定の事務水準があり、かつしかるべき負担をするならば加入することは一般に認められているわけでございまして、これは在日外銀と国内銀行とを問わず同じ処遇でございます。それから、たとえば日本において在日外銀が債券が発行できない、あるいはCDが発行できないというようなことを言っておりますけれども、日本の場合に金融債が発行されておりますのは長期信用銀行三行と為専一行だけでございまして、日本の普通銀行は全部金融債の発行が認められていないわけでございます。この点は外国銀行と日本の銀行と同じ取り扱いでございます。またCDにつきましては、最近これを認める方向でいま事務が進んでいるわけでございます。そのほか、日本において外国の銀行が進出が一カ店しか認められないというようなことが書いてございますが、これも全く事実に反しておりまして、現在六十一行の外国銀行が進出しておりますが、そのうち十三行は二行以上あるわけでございます。  このように事実に正確な認識を欠いておりますので、今後につきましてはその点の啓蒙について努力をしてまいりたい、このように考えております。
  23. 井上普方

    井上(普)委員 アメリカの対日要求は、日本の実情を知らずに向こうの利益だけでごり押ししてきておることが非常に多いのです。これは農林水産大臣も御存じのとおり、ミカンについても、オレンジをたくさん入れろ、あるいは日本の畜産事業の実態を知らずに牛肉を大量に入れろ、自由化しろというように、日本の国情というものを十分知らずにやっておることが非常に多いのです。これから銀行がねらわれるのですよ。もうすでにその徴候は出てきているのです。日本外交は、アメリカに対して日本の実情を十分知らすと同時に、申すべきところは断固として申さなければならない、拒絶するところは断固として拒絶しなければならない、もう戦後三十年たっているんですから。ここらあたり外務大臣の御所見を承りたい。
  24. 園田直

    園田国務大臣 御発言の要旨は十分理解をいたしました。米国では、政府調達の問題、買い入れの問題その他につきましても、政府間同士というものはわりに話が進むわけでありますが、御承知のとおり、米国の現在の政府と国会の力関係というのは非常なものでありまして、いま井上さんがおっしゃいましたように、米国の議会では議会で、アメリカ産業を守るために断固として突き破れという非常に強い意見があって、緊迫すべき状態にございます。しかしながら、またわれわれとしては日本産業、特に世界に誇る電機関係の産業技術を守ることはきわめて大事でありますから、そういうことも踏まえつつ、一方には東京ラウンドの収束その他を考えながら、電機産業に至大な影響がないように十分腹に入れながら言うべきことは言い、主張すべきは主張して努力をしたいと考えております。
  25. 井上普方

    井上(普)委員 いままでが言うべきことを言い、行うところを行っておらないからわれわれは言うんです。アメリカの議会がそういう空気であるならば、われわれだって国会においてそういう空気をつくろうじゃありませんか。そのために私は、こういうような質問が余りなされておらないので、あえてカーター政権の性格、それまでに言及したのであります。アメリカカーター政権はビジネスマフィアと言われるぐらいになっているんですよ。そしてその入っておる閣僚企業代表としてどんどんと要求する、それがまた議会におけるロビーの活躍と相マッチして日本に攻勢を加えておるのが現状じゃありますまいか。ここらあたりをひとつ十分腹に入れられて日本の将来のために御奮闘あらんことを強く要求しておきます。  続いて土地政策についてお伺いいたします。  官房長官、あなたがひとつ大平総理の番頭さんとして聞いていただきたい。このたびの総理の施政方針演説を承りまして、この施政方針の中には土地対策というものが全然ない、地価対策というものが全然ないのであります。また経企庁長官、この五十四年度の経済指標の中には物価の問題等等がたくさん書かれておりますけれども、これは入っていないのです。七カ年計画の中には、物価対策上地価安定が必要だということは書いてある。ここらの御認識は一体どう思っておられるのか、お伺いいたしたいのです。
  26. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 われわれも土地のいまの趨勢につきまして、実は十二月以来やや危惧の念を持ち始めたわけでございます。しかし、それまでの過去二、三年来は非常に安定的な動きをしておりますし、われわれがやや危険だと思うような事態でも、全国的に見ますと五・一%程度の上昇であったわけですが、私はその数字を見ながらも、特に東京、大阪等の三大都市における住宅地の値上がり幅が前年比に対して八%程度に達してきたということを、われわれは非常に懸念をいたしたわけであります。したがいまして、それに対応する応急的な注意喚起ということをスタートしておりますが、しかし国全体の中に一種のインフレマインドみたいなものが広がりましたときに、最も注意すべきは地価の問題だという認識は決して捨てておるわけではございません。また同時に、その七カ年の計画の中におきましても大体安定的な動向の中で注意することを前提にしておりますから、それがやや不安定な状態になった場合には、われわれといたしましてもできるだけの措置をとり、政策を出し、そしてまた国民の御理解を得て安定化の方向に努力をいたしたいというふうに考えております。
  27. 井上普方

    井上(普)委員 大平総理大臣の施政方針演説にも一項目も入っていない。あなたの「五十四年度の経済見通し」という報告についても、小坂さんの報告にも全然一項目も入っていない。ただ入っておるのは、この七カ年計画の基本構想の中で、物価安定のために地価を抑えなくてはならない、こうあります。それで、土地問題についてあなたはどういうふうにお考えになっておるのか、その御認識を承りたい。  それじゃひとつ話を別にしましょう。変えましょう。  先日、埼玉県の深谷で小判ザクザクという記事が出ていましたね。小判が四百枚も見つかったという新聞記事をお読みになりましたか。――お読みになりましたか、国土庁長官どうです。――このお二人お読みになったそうですからあの記事をお読みになって経済企画庁長官として、あるいは国土庁長官として御感想をひとつ述べていただきたい。
  28. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 別に、これといった余り感想はなかったものですから……。
  29. 中野四郎

    ○中野国務大臣 どうも唐突な御質問で、どういう――土地と地価と小判の出たということに対する感想を述べる力がございませんので……。
  30. 井上普方

    井上(普)委員 そこで、私は地価問題に対するお考え方がおかしいと思うのです。といいますのは、私は各社新聞のあの新聞記事は全部見ました。そうすると、もとの所有者斎藤さんという人から現在の所有者に移るまでに、去年の四月に初めて売ったのです、斎藤さんという人は。そして小判を掘り出した人は、三回売られた後、ことしの一月にあの土地を手に入れてブルドーザーを入れて小判が出てきたんです。去年の四月にもとの所有者が売り出して、その間に同一の土地で三回売買が行われておる。これを私は聞きたい。どの新聞にも全部書いてあるのだから、当然土地に御関心のある人であったならば、何とこれは土地転がしが起こっておるじゃないかとお気づきでなければならないと思う。私は唐突な質問をいたしましたけれども、これを見るのこそ国土庁の長官であり企画庁長官でなければならぬと私は思うのです。この間、国土庁の長官は、地価は需給の関係によって決まる、こうおっしゃった。もうそうじゃないのですよ。土地の投機となって仮需要が起こっておるのであります。もうすでにそれが起こっておる。だから私は、地価問題について大平内閣が施政方針にも出さないというのを裏側から見るというと、これは大変なことになりはせぬかと私は思っておるのであります。私のこれからの推論が間違っておれば幸いであります。  大平内閣が土地問題に対して非常に冷淡であることについて、私は非常な危惧を持っておる。私は昭和四十二年からこの国会に籍を置いておりますが、どの国会においても総理の施政方針演説の中には地価問題が入っておった。毎年入っておった。それが入っていないのであります。これはなぜだろう。これが私の邪推でなければ幸せなんでありますが、大平さんというのは池田内閣の官房長官、番頭さんであったのです。池田内閣と言えば、所得倍増計画を発表して高度成長政策を推し進めてきた内閣である。しかしこの高度成長政策というのは、一体どういうのが基礎になってやられたか。これはもうすでに昭和三十四年、三十五年に、朝日の笠信太郎さんが「花見酒の経済」というのを出されて警鐘を打ち鳴らしておった。そのとおりになった。「花見酒の経済」は小坂さんもお読みだろうと思う。それで私もずっと調べてみますと、名目GNPの伸びと市街地の価格指数ば、四十九年までは同一のカーブをとってくるのであります。いいですか、同一のカーブをとってくる。これがそうです。これが卸売物価、消費者物価です。大体同じカーブを描きながらここまで来るのです。昭和三十年を一〇〇としますと二七〇〇という指数を市街地の価格は示しております。消費者物価と言ったらせいぜい四〇〇でございます。言いかえますと、地価の上昇によって銀行担保というものが増大する。その銀行担保が増大したことによって設備投資が行われ、拡張が行われてきた。そしてまた他産業が土地を買いあさり合った。だから土地が値上がりする。持っておる担保能力がさらに上がってくる。こういう土地との循環において、高度成長政策は大きな支えとなって進んでまいったと私は思う。この笠信太郎さんの指摘は私は正しいと思う。この数字を見て、このカーブを見ても私は明らかだろうと思うのであります。そこで、このカーブを、さらに工業用地あるいは商業用地あるいは住宅用地というものを見てみますと、工業用地の値上がりというのは住宅地よりも昭和四十六年までは先行しておったのです。商業用地というのは、これは三十七年から四十二年までは先行した、途中で工業用地よりもオーバーしてきたけれども、先行してきたのであります。そこで四十九年で一億総不動産、こういうような実情にある。でございますが、昭和四十九年に国土利用計画法をつくり、あるいは土地税制をつくり、あるいは金融措置を行ったがために、一応この地価のカーブというのは横ばいになってまいりましたが、最近になってまたぐっと上がりつつある。私は、大平内閣は地価問題に対して、土地政策に対して冷淡である、池田所得倍増計画の焼き直しをやろうじゃないかという意図を持っておるのではなかろうかと思うのであります。どうでございます。
  31. 中野四郎

    ○中野国務大臣 最近の地価の実態を、これはもうベテランでいらっしゃるあなたに一々説明するの要はないと思いますけれども、住宅地が相当高くなってまいりました。しかも、その住宅地も三大都市圏の都心寄りに特に多くなってきた。したがって、大平内閣といえども非常に土地の問題については重大な関心を払っております。この需要供給のバランスをとるように供給の道を何とかして開きたい、こういうような見地に立ちまして、ただいませっかく努力をいたしておるのでございます。  特にこの主因に対しましてどういう方法をとるかといえば、宅地の供給の不均衡にあるのですから、いろいろと施策もとっておるのです。たとえば、これに対しては税制による方法も一つの方法であいましょうし、あるいは宅地供給の促進のために、いろいろと金融上の問題とか市街地の再開発事業のための財政上の措置をとるとか、せっかく一生懸命で努力はしております。御理解をいただけるものと思いますのですが……。
  32. 井上普方

    井上(普)委員 努力の跡が見当たらないのであります。だから私は聞いておる。  それじゃお伺いいたしましょう。今度の税制改正によって、改悪によって一体どれくらいの土地が出てき、どれくらいの値段が下がるとお考えになっておられるか。
  33. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 お答えいたします。  税制改正によってどれだけの土地が出てくるかという御質問は大変むずかしい御質問でございますけれども、過去昭和四十九年と五十年には、先生御承知のように二〇%の分離比例課税でございました。それから五十一年と五十二年は、四分の三の総合課税でございました。この二年間、四十九年と五十年の長期譲渡所得金額は両方合わせまして四兆四千億でございます。これに対しまして、五十一年と五十二年の二カ年分は三兆でございます。  ただ、先ほども申しましたように、経済情勢とか金融情勢その他によりましていろいろと影響を受けますから、これをもって直ちに今回の改正でこれだけ出てくるということは申しかねるわけでございますが、税制を緩和することによりまして相当の効果がある、このように考えておるわけでございます。
  34. 井上普方

    井上(普)委員 相当な効果があるだろうと期待しておるだけの話。期待も、それも水のあわになるはずだ。大体税制をいじったら地価が上がってくる、土地制度をゆがめたら必ず土地がそのときには急カーブに一段と拍車をかける、これはいままでの過去の歴史でもう知っておるはずなんだ。現にこの土地税制の改正、改悪が行われると申しますというと、地価は上がってきたじゃありませんか。ことしの地価変動率という国土庁がお出しになったこれを見ましても、去年の一月から四半期に分けるというと、どんどん地価の上昇は加速度的に伸びつつある。これは不動産屋が盛んに運動して、保有税であるとかあるいは重課、これを落としてくれと言う。もうできる、もうできるといってやったがために、こういうように上がってきたんじゃありませんか。そしていまお話しの、私が先ほど申しました深谷の小判ざくざくにおいても見られますように、もうすでに何といいますか投機が行われているのです。土地転がしが起こっておるのです。これに対して一体適切なる処置をとっておるのかどうか。もう土地の値上がりがインフレの引き金になるということは、過去の歴史においてもよくわかっておるのです。どうなんです。もう少し強力な土地政策をやらなければいかぬでしょうが。
  35. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの土地転がしの現状というものは、われわれも多少認識を欠いた点があったかもしれませんが、すでに閣議におきましても、こうした投機的な土地融資に対しては大蔵省、日銀を通じまして十分その融資について検討するように合意をいたしまして、すでにそうしたことを大蔵省を通じて各銀行に対しての警告を出しております。  なお、こうした警告がなされましたけれども、その後の状態がどのように動いておるか、十分調べまして、さらにその事態がおさまらないような場合には、第二段の措置を考えていくべきであろうというふうに考えます。
  36. 井上普方

    井上(普)委員 小坂長官、この金融措置に対する規制、窓口規制をやっておられる、こう言われます。やっておられるように一応なってはおるのでございますが、私も、大蔵省から全国の銀行貸し出し、不動産業者向けの貸し出し及び住宅ローン残高の推移というのをもらった。そうすると、住宅ローンの残高は伸びておりますが、不動産業者向けのも伸びております。これは恐ろしいことです。しかし、そうじゃないのです。この間皆さんも恐らくテレビで御存じだろうと思うが、日商岩井がマンションを一番たくさんつくっているんですよ。あれは不動産業者の中に入らないのです。しかも、このごろの傾向といたしますと、マンション用地があるといいましたならば、銀行はどういうようにするかといいますと、銀行は金がだぶついていますから、大蔵大臣聞いていただきたい、上物、建物、建築物も一緒に買ってくれというので、土地の手当てができたんだから全部それを貸し付けるのです。したがって、たっぷり入っておる不動産業者は、ともかく土地代は少しぐらい高くしてもいいわというんで不当な値段で土地を買い上げておるのであります。だから、ここに出てきておる、銀行局が出しておる資料では、一体土地に対する融資はどれだけ行われておるかというのは全然わからぬようになってきた。ここらあたりの規制をもう少し厳格にやる必要があると思うのですが、どうでございます。
  37. 中野四郎

    ○中野国務大臣 ただいま企画庁の長官から金融上の抑制をして投機の対象とならないように、投機によって土地が上がらないように、これはもう当然の処置でありまして、すでに先ほど先生がお話しになりました四十七年、四十八年という当時のような抑制の方法がとられていない時分と違いまして、四十九年、国会において国土利用計画法が通って、そうして投機に対する規制は厳しいものがございます。  ただ、今回の場合は、都心周辺にとにかく住宅地を求める意欲が強いために、その供給にいささかでも役に立てば、ぜひ役に立てたいという考え方に基づきまして特例の措置をとったのでありますけれども、融資の抑制を一方においてすると同時に、投機によって土地の上がらないような措置をとる、こういうことで税制に対するところの抑制がいろいろあります。もうこれはあなたに申し上げなくても御承知のとおりでありまするが、個人の短期譲渡課税あるいは法人譲渡課税に対しては重課税がつくというような方法をとって、投機的に四十七、八年のような土地ブームがいますぐに起こってくるというような気持ちは私はございません。もしそういうような場合においては、直ちにそれぞれの規制措置をとる必要も大いにあるか、かように存じております。
  38. 井上普方

    井上(普)委員 しかし、先ほど小判ざくざくでお話ししましたように、もう投機が深谷においても行われているんですよ。ここなんだ、問題は。もう投機が実際に起こっておる。需給の関係で地価が決まるんだなんというのんびりしたことじゃだめなんです。これは瀬戸山建設大臣ですか、昭和三十七、八年ごろの建設大臣が土地は商品にあらずという名言をされた。しかも、土地利用計画法においては、土地というものは国民共有の資源であるという規定を各党一致でなしたところなんであります。  大平総理大臣はおられぬけれども一言言うておかなければいかぬ。大平総理大臣が総裁選挙に出る前の四十六年の演説を見てみますというと、土地については私権の制限も含めて厳しい処置をやらなければならぬということを言われている。総理大臣になったとたんにふにゃふにゃとなってしまって、もう何だかわけのわからぬような総理になってしまったけれども、ともかくそこまでおっしゃっておられたんで期待をしておったのに、全然出てこない。こういうことをやかましく言っておりますと切りがございませんが、この公示価格というものを実勢価格といまもう大いに違っているのです。  私が調べたところによりますと、こういう実情なんです。これは文京区の千石三丁目、坪数四十坪で去年、五十三年六月には六十八万であったが、ことしの一月には八十五万に上がっているのです。練馬区田柄町では五十万であったのが八十万になっているのです。一年足らずですよ。十カ月でそれぐらい上がっているのです。世田谷の奥沢では七十万が九十五万になっているのです。もう七六%、六〇%という値上がりをしておるのが実態なんです。九%や一二、三%じゃないのですよ。土地の値上がりというのはもう見えているのです。ただ東京圏だけだ、三大都市圏だけだというようなのんびりしたことは言っておれません。私らのくににおきましても、地価は去年から一カ年の間に三〇%上がったというのが通例になっているのです。しかも大平内閣には土地政策がない。言えば、税金を緩めただけじゃありませんか。しっかりしていただきたいと思う。  本当に小坂長官、土地が値上がりすることはインフレの前兆というよりも前駆症状じゃありませんか。いま金はたっぷりあります。銀行はたくさん金を持っている。過剰流動性というものが現にあるのですよ。現にその金は株に行っているでしょう。これが土地に来ないという保証はない。あるいは諸物価に来ないという保証はない。いまこそ政府としては毅然たる態度をとるべきであると思うのですが、企画庁長官いかがでございますか。
  39. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 先ごろ来、本委員会において私も警戒水域ということを申しておりますが、これはいま御指摘のような土地の動向、私もこれは非常に重大な関心を持っております。そうしたようなことで、御指摘のように手ぬるいという御批判もあると思いますが、二月七日には大蔵省を通じまして具体的な指示をいたしました。それの中には土地及び建設関係というふうになっておりますので、それをさらに拡大して、土地全般についての投機的な動向に対しては、さらに大蔵当局並びに日銀を通じまして厳重に今後事態の推移を見守っていきたいと思っております。
  40. 井上普方

    井上(普)委員 私はここでわが党の対案をお示ししながら質問しようと思ったのですが、もう時間がございませんので、それは別の機会に譲らしていただきまして、続いて住宅問題に移らしていただきたいと思います。  去年、おととしからの福田内閣、続いて大平内閣には住宅政策というものはないんじゃないかと私は思うのであります。といいますのは、住宅建設は進めるけれども、その他の政策というものはない。現に第三期五カ年計画が策定されています。その第三期五カ年計画というものはアンバランスになってきた。公的住宅がふえたと言いますが、それは景気回復のためだという旗印のもとに金融公庫がじゃんじゃんと金を出す。ために、見てごらんなさい。もうすでに民間の銀行ローンというのは貸出残高が減ってきて、そして金融公庫の貸し出しは二〇%もふえている。銀行のものは全部金融公庫が食ってしまっておる。そして百六十万戸の戸数達成ができたんだといって腹たたいて喜んでいる。しかし、五カ年計画というのは、公的住宅は一体どうするんだ、公的賃貸住宅はこれだけ建てるんだ、民間自力住宅はどれだけするんだ、金融公庫の方は幾らするんだというバランスをとったのが五カ年計画じゃなかったのですか。いまこのバランスは完全に崩れ去っておるのであります。  もう一つ言うと、金融公庫には、これは竹下委員長が建設大臣のときつくった法律でありますが、金融公庫の個人向けの貸し出しの場合には、当時六・五%の金利でやりましょう、現在は六・〇五%の金利の金を一〇%つくりたいということでつくったのでありますが、この金利は、いまは金融公庫の貸出金利は五・〇五%ですが、この一割に当たる六・〇五%の貸し出しというのは満杯してないでしょう。笛や太鼓で銀行に対してこの六・五%の金を貸し出ししろといって勧めておるけれども、これは借りる人がほとんどないんじゃないですか。建設大臣、どうです。もうまさに日本政府がつくったこの五カ年計画というものは完全に姿を変えておる。何のための五カ年計画なんだと言いたいのですが、どうです。
  41. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 先生御指摘のように住宅金融公庫の融資はふえておりまして、五十四年度の計画を入れましても第三期五カ年計画計画をオーバーするというような状態になっております。これはいろいろな背景があるわけでございますが、私ども基本的には、住宅需要が低成長に入ってまいりまして、いろいろな変化を起こしているということが基本的な背景にあるのじゃないかというようにも考えております。また、直接公的住宅の建設がいろいろな面で隘路を抱えておりまして伸び悩んでおる。私どももこれに対してはいろいろな手当てを尽くして推進してまいりたいというように考えております。
  42. 井上普方

    井上(普)委員 これは私の言ったことを全部お認めになったことになるのだろうと思うのです。住宅建設はもうアンバランスになった。特に私は公的住宅につきましては、四十三年に保利建設大臣が今後の住宅の基本方針というので諮問を出しておるのでありますが、これを見ましても、都市勤労者に対する公的住宅の画期的拡充をやらなければならないということを第一項目に書いてあるのです。ところが、これが出されて第二期五カ年計画からは、公的賃貸住宅というものががた落ちに落ちてきておる。これは住宅局長も御存じのとおり。第三期になったら、その能力に従ってひとつやるのだ。非常にベースは落としたのだけれども、それでもまだこの四カ年をけみした今日、恐らく七〇%まではいかないのじゃないかと私は思うのです。ところが、片一方、公的住宅と称する公庫住宅の方は一二〇%も、恐らくことしでございましたならば一四〇%ぐらいいくのじゃございませんでしょうか。こういうように非常にアンバランスになった。これほど五カ年計画で狂いの生じた計画というのはちょっと少ないのじゃないかと思うのですが、どうでございます、建設大臣
  43. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 金融公庫による公的な貸付投資が住宅のために大きく伸びている。民間投資が計画よりも減ってきた。また、公的住宅の中で賃貸住宅というものが減って、主に賃貸住宅は公営住宅としてやっていただいておるのですが、各市町村の公営が非常に伸び悩んでおりますために、公団の方でやっております賃貸住宅を伸ばさなければいけない。しかしながら、公団の方も土地がないのと、もう一つは、公団でやりました場合、ある程度家賃単価等も公営住宅の補助政策を取り入れたものと比べまして上がるものでございますから賃貸住宅が少ないという姿で、井上委員御指摘のような姿になっておるということは、これは認めざるを得ないところでございます。住宅宅地関連対策事業の枠内の制度をことしつくらしていただきましたが、それらの制度によりましてよき住宅地をつくり上げますことによって公営住宅の賃貸分をふやしていただきたい、このような姿で努力してまいりたいと思っております。
  44. 井上普方

    井上(普)委員 建設大臣、もう五カ年計画は根底から崩れているのですよ。これほど五カ年計画が狂った計画というのもちょっと少ないのじゃないか。景気回復のためだというので何でも民間の金を使えばいいのだという政策をとってきたために、計画的な住宅建設というのが行われなかった。しかも、それによって、ミニ開発というのがどんどんと起こってきている。ミニ開発で思い出したのだが、これは去年の国会におきまして福田総理及び櫻内建設大臣のときに、ミニ開発は都市計画上も、防災上も非常に好ましくない、しかも土地の値上がりをさすのだから、ひとつこれに規制を加える、規制をこれから考えますとおっしゃいましたが、いまの法律でやりますとおっしゃるから、そんなもの建築基準法でできますかと言ったら、うん困ったということになって、これから考えますとおっしゃったのです。どんなに考えられているのですか。何か具体的な方法があるのですか。
  45. 小林幸雄

    ○小林(幸)政府委員 御承知のとおり、俗にミニ開発といいますのは百平米以下のものでございますけれども、都市計画法あるいは建築基準法等で執行体制の問題もこれあり、十分対応できるかどうかという点については若干問題がないわけではございません。  そこで、西ドイツにおけるいわゆるべープラン、詳細地区計画のような制度をわが国においても取り入れまして、個々の建築物に対しまして最小敷地面積あるいは建物の建蔽率、容積率その他につきまして規制をしていくことはできないかどうかということで、昨年の秋から都市計画中央審議会に諮問いたしまして、分科会で前向きの姿勢で法制化の検討を始めておるところでございます。
  46. 井上普方

    井上(普)委員 一年たってこのとおおりんなんです。その間に土地はどんどん上がっていっているのです。  私は、この事項ばかり質問するようになるのですけれども、経済七カ年計画をお立てになって、その中で民間住宅建設というのに非常に重きを置かれておるのですね。これができるかというと、私は大きな疑問を持たざるを得ないのです。疑問といいますよりは、私はもうこれは不可能に近いのだな、こういう気がいたしておるのであります。  といいますのは、このごろの土地の金融公庫に対する申し込みを見てみますと、貯蓄によるところの五分階区分というのがございますが、それによりますと、これは五十年には第一分位の方、一番収入の低い階層の方は四・八%だったのだが、五十三年の中間では一八%近くになっているのです。一番金の多いところの方は第五分位、すなわち年間四百九十万円ですから、持っておられる方方のこれを見てみますと、一八%から一四%まで下がっているのです。これから見ますと、もうすでに金がある程度余裕のある方々はほとんど自分の家をお持ちになっている。若い収入の少ない方方がいま無理してつくっておるというのが現状であります。  さらには、この様子を見てみますと、持ち家の建てかえというのが四十五年は二〇%だったのが三三%になってきている。そして民間借家におった人がどんどんと申し込みが少なくなってきているのです。公務員あるいはまた会社の社宅におる方の申し込みが少なくなってきておる。こういうような実態から見るならば、国民の住宅建設のできる階層というものは、もう第一分位あるいは第二分位にまで下がってきてしまった。しかも建設資材はどんどんと上がる。土地は上がっておる。この実態からするならば、この七カ年計画の民間住宅投資、これは私は無理じゃなかろうかと思う。どうでございます。
  47. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いま委員の御指摘のような、いわゆる自分の家を持つ程度が相当に今日まで進んだ、これはもう国民には非常な御無理を願ったことだと思うのであります。でありますが、われわれといたしましては、この七カ年計画で大体六%強の住宅の拡大ということを最終年度の目標にいたしておりますが、やはりこれは何も毎年毎年同じようなテンポで進むわけでございませんし、その間あるいは四%台になるかもしれない、あるいは五%になるかもしれない、最終的な形として六%、これがいわゆる日本の社会の新しい充実した家庭をつくっていくことにつなげたいという目安でございますが、これができる時点、できない時点あるいはその内容をよく検討する時点、いろいろございまして、その間は緩急よろしきを得て運営してまいりたいと思っております。
  48. 井上普方

    井上(普)委員 これはちょっとむずかしいのじゃないか。これから住宅政策の重点に置くのは公営賃貸住宅、すなわち公社、公団、ここらの住宅に重点を置くべきであると強く要求いたしておきたいと思うのであります。  そこで、主計局長に聞くのですが、ことしの予算事業規模はどのくらいになるのですか。――住宅局長、いつ主計局長になったのだ。
  49. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 建設省の住宅局が所管いたしております住宅対策の五十四年度の事業規模は、四兆九千二百五十億余りということになっております。
  50. 井上普方

    井上(普)委員 真田さん、予算の事業規模という法律用語はあるのですか。
  51. 真田秀夫

    ○真田政府委員 予算の作成手続、技術のことにつきましては私の方では全く関与しておりませんので、そういう項目があるかどうか、ちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
  52. 井上普方

    井上(普)委員 補正予算のとき、去年の十月には、本年度の補正事業は予算規模二兆五千億でございます、こういうことを言ったのです。ことしの予算の説明には、予算規模は一体幾らかいなと思って幾ら探しても書いてないのです。補正予算と比べようと思っても、比べる単位が違うのだな。鯨差しとメートル差しではかるようなものなんだよ。こういうことをして国民をごまかしながら、いままで大蔵省はともかく予算の処置をやってきたのであります。真田長官、法律的に予算事業規模というのがありますか、法律的な用語として。
  53. 真田秀夫

    ○真田政府委員 法律用語といたしまして、予算規模あるいは事業規模というような言葉はないと思います。
  54. 井上普方

    井上(普)委員 そういうことを言いながら実はやってきて、ごまかしながら、あるいは経済は心理的な要因があるということを言っておられたのかもしらぬ。しかし、ともかく国民に素直に実態を知らすような方法をおとりになることを強く要求いたしまして、質問を終わります。
  55. 竹下登

    竹下委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  次に、吉浦忠治君。
  56. 吉浦忠治

    吉浦委員 最初に、外務大臣にお尋ねをいたします。  今回の中国の武力攻撃はまことに遺憾であると考えるわけであります。政府はこの攻撃に対してどのような認識を持っていらっしゃるかを、まず最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  57. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。  政府は一貫して、アジアの平和、世界の平和を追求しているところでございます。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 したがいまして、カンボジアベトナム紛争が起きましたときにも、ベトナムに対して強い申し入れ要望をしたことは御承知のとおりでございますが、その後、ベトナム中国も国境附近において緊張した状態が出てまいりましたので、本年正月中旬、ベトナム中国に対して、特に中国に対しては自重をされるよう、特にアジアの平和やASEAN懸念を引き起こすような行動はなさらないように強く要望し、かつまた、訪米の帰途鄧小平首相が訪日した際、大平総理からは鄧小平副主席に、さらに同様の趣旨を私から外務大臣にも強く要望したところであります。  二月十七日未明、国境を越えて中国が軍をベトナムの領内に入れましたことは、事の経緯、理由いかんにかかわらず、われわれはまことに遺憾とするところでありまして、中国に対しては、紛争を力をもって解決すべきではない、停戦、軍の撤退、こういうことを強く要望しているところでありますが、これは今後とも引き続き要望するつもりであります。  なお、ちなみに、本日ソ連の方に対しましても、アジアの平和、世界の平和、こういうものを念頭に置かれて行動してもらいたいという申し入れをいたしております。ソ連はこれに対して、わがソ連世界の平和、アジアの平和は一貫して念願するところである、こういう趣旨の返答でございます。
  58. 吉浦忠治

    吉浦委員 新華社の声明によりますと、中国は、ベトナム侵略者にしかるべき反撃を与えた後は中国軍中国側国境の防衛に当たるというふうに述べておりますが、政府は限定作戦と見ておられるのか。どんな戦争でも当初は限定作戦でありますけれども、後で誤算が生じて長期化するものでありますが、政府はどのように見通しを持っていらっしゃるかをお尋ねしたい。
  59. 園田直

    園田国務大臣 現在の段階で他国紛争見通しをつけることははなはだ困難で、あるいは軽率かもしれませんけれども、ただいまの情勢から見ますると、中国正規軍が進出している地点は御承知のとおり北部山間地帯であり、一方ベトナム正規軍ハノイ周辺展開をしておりまして、山岳地帯の方に進出する気配はいまのところございません。中国ベトナム紛争は、中国正規軍と主としてベトナム民兵との争いになっておるようでございます。したがいまして、中国軍が山をおりるか、あるいはベトナム軍がさらに進んで山間地帯に進めるとなりますれば、中国正規軍ベトナム正規軍の真面目なる戦争展開するわけであります。しかし、雨季を控え、ベトナム状況等を判断すると、中国考えるように、山間地帯まで進出をして、ここで話し合いをつけ引き揚げる、あるいはさらに若干進んで話をつけるということが中国計画どおりいくかどうか、第三国として冷静に考えるとなかなかむずかしい問題がありまして、これが長期になるかあるいは短期間で中国考えるようになるか、これは一にベトナム軍の動きにかかると思いますが、いずれにいたしましても、日本としては関係諸国及びソ連邦、米国等とも緊密に連絡をして最大限の努力を払いつつ、この戦争が大きな戦争にならないように、特にこれがアジアの平和、世界の平和を撹乱するような動乱のあれにならぬように、今後とも引き続いて努力をする所存でございます。
  60. 吉浦忠治

    吉浦委員 ソ連の話も先ほどございましたが、十八日のタス通信を通して、ソ越条約の義務を守るということを明らかにいたしておるわけです。政府は、ソ連の出方をどういうふうに見ておられるか、その点をお尋ねしたい。
  61. 園田直

    園田国務大臣 ソ越条約を結んでおるソ連としては、中国の軍隊がベトナムに侵入、侵攻したわけでありますから、これは当然だと思います。しかしながら、私が会った限りから言いますと、きわめて慎重であって、ソ越条約の義務というのは、これは武力をもって直接介入するということも義務でありましょうし、あるいは援助物資の輸送、こういうことも義務でありましょう。しかし、ソ連がソ越条約を取り出して言うことは、これはソ連としては当然のことではあるが、これが、それによって大きな紛争の促進剤にならないように要望し、われわれも期待をしているところでございます。ソ連もまたそういう武力介入のところまではいまのところは考えていないのではないかと希望し、期待しているところでございます。
  62. 吉浦忠治

    吉浦委員 最後に、十六日の予算委員会におきまして、園田外務大臣にわが党の二見委員が、中越関係が重大事態に立ち至った場合の政府対応についての質問をいたしたわけでございますが、そのときに、中立を守り、あらゆる平和的手段で紛争を解決するというふうにお答えになりましたけれども、この態度は変わらないわけでございますか。
  63. 園田直

    園田国務大臣 先ほど井上さんの質問にもお答えしましたとおり、インドシナ半島に対する日本対応ぶりというのは日本外交の基本を示すものでありますから、その点は終始一貫して変わりなく努力したいと考えております。
  64. 吉浦忠治

    吉浦委員 以上で外務大臣への質問を終わりまして、次に、成田問題で質問をいたしたいと思うわけでございます。  成田問題につきましては、いろいろ航空機問題等がいま審議の中心でございますけれども、何といいましてもこの二期工事というものがこれからどういうふうに展開するかということが大きな問題になるわけでございます。私は、地元の要望等も含め、またいろいろな騒音問題あるいはパイプラインの問題、民家防音の問題、アクセスの問題、また飛行コースその他の問題等も含めて、時間の許す限り、成田にしぼりまして、個人的な集中になるかもしれませんが、お答えを願いたいと思うわけでございます。  最初にお尋ねをいたしたいのは、開港直前でありますか、反対運動の燃えさかっていたころに、岩山の団結小屋と木の根団結とりでの二カ所が成田新法の適用をいたされましたが、このたび三番目の適用として横堀要塞が今月の八日に適用されたわけであります。この適用に際しまして、開港後ようやく平和を取り戻し、また、寝た者を起こすような新法の適用かというふうにも言われているわけでありますけれども、この適用の真意はどこにおありなのかをまずお尋ねをいたしたいと思います。
  65. 森山欽司

    ○森山国務大臣 いわゆる横堀要塞、昨年二回にわたって大問題が起きたわけであります。あの上に航空法に違反する長い鉄塔を立てて、その鉄塔の撤去、それをめぐって二回にわたって大騒動があったわけでございますが、それを、警察が押さえたものをこのたび返還されることになったということであります。返還されてから後どうするかということでありますが、これは、成田の情勢がもうそういう前のような事態が二度と起きないような状態にあれば私ども心配いたしませんが、まだ依然として過激派の活動が残っておるということだけは否定できないと思います。したがって、そういう心配が残っておる限りは、そのときになってからでは困るわけでありますから、やはり、せっかくできた法律でありますから、そういう心配のある限りは法律を適用したい。すでに昨年適用された二カ所もございますが、そういう心配がなくなれば、この横堀要塞だけではなくて、すでに適用のある二カ所も含めていつでも解除してもいい、私どもはそういう気持ちでございますが、いまのところはそこまでは安心はできない、こういうふうに考えております。  それから、地元との対話路線というのは従来どおり引き続きやっていかなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、そういう、地元とよく相談をしてやるということは今度のこととはもう全く関係がない、従来どおりその方針で進めていきたい、そういう考えであります。
  66. 吉浦忠治

    吉浦委員 大臣、二期工事の進展からにらみまして、やはり二期工事の再開というのがこれは注目の的でございますが、危険な要塞は反対派の手から遠ざけていた方が得策だというふうなことから適用なさったのか、または、放置しておきますといろいろな問題も起こってくるでしょうし、二期工事そのものが不要論が出てくるような状態でもあろうかと思います。大臣は就任なさって日も浅いわけでございますが、大変お忙しい中ではございますけれども、二十三日ごろですか、地元に行かれたようでございますね、二時間半ぐらいの早回りの視察を行われたのでございます。何か儀礼的な、表敬的な面が多かったのじゃないかと思いますが、私は、誠意ある大臣の地元との対話が必要ではないかというふうに考えておるわけです。あの二期工事というものをどういう形で着手なさろうとなさっておられるのか。大臣は就任のお祝いのときに、何としてもこの成田の二期工事はやりたいというふうなことをごあいさつの中にお述べになったようでございますが、それとこの新法適用とは関係はないと私は思いますけれども、どういう時期を考えていらっしゃるのか、その点をお尋ねをしておきます。
  67. 森山欽司

    ○森山国務大臣 いま御説のとおり、今度のいわゆる横堀要塞に成田新法を適用するということと二期工事とは直接関係はございません。しかし、成田新空港が二期工事を必要とすることは、私はもう当然だと思っております。と申しますことは、四千メートルの滑走路、これに付帯する設備をもって一日百七十便ぐらい飛行機が離着陸をいたしておりまして、ようやく軌道に乗りつつありますが、しかし、国際的な空港としましてはこの四千メートルの主滑走路だけでは足りないわけでございまして、今後、平行滑走路、横風用滑走路、これに付帯する施設というようなものもやってまいりませんと、増大する航空需要にこたえていくことはできない。現にすでに三十三カ国ぐらいから日本に乗り入れたいという要望がありましても、日本でそれに対して答えをすることができないような現状でございますから、国際空港という限り、主滑走路一本なんというのは日本の成田空港以外にはございませんから、早く平行滑走路、横風用滑走路、これに対する付帯施設を備えて、真に日本代表するような空港をつくっていかなければならぬ、そう考えておるわけでありまして、そのためには、これを建設するための二期工事はどうしてもやらなければならないと思っております。しかし、いますぐ手をかけるというわけではございません。成田の現地では御承知のようにいろいろな問題がございますから、したがって、そういういままでのいろいろな問題について、地元とのお話し合い、地元に対する施策というものを進めて、そしてこの二期工事に手をつけてまいりたいと思います。でございますから、私も、運輸大臣に就任直後、十二月に就任いたしましたが、一月に入りましてから現地に参りました。そして千葉県知事、千葉市長、あるいは成田におきましては成田市長、芝山町長の方々にお会いいたしまして、いろいろ現地の御要望等も承って、基本的には、従来御相談をしてまいりましたところについて最善の努力を尽くしていきたいという方針を申し上げてきたわけでございます。要するに、地元と十分意思疎通を図り、十分対話の実を上げてまいりたいという従来の方針で今後とも進めたい、そういう考えでございます。
  68. 吉浦忠治

    吉浦委員 運輸大臣はそういう前向きの成田に対するお考えをお持ちのようでございますけれども、至上命令でありました福里前総理大臣はただの一回も成田をお使いになっていらっしゃらない。全部特別機で羽田を御使用なさって、世界で最も安全な空港というふうな評価をしていただきたいのに成田をお使いにならない。今度先進国首脳会議等がございまして、たくさんの世界の首脳の方々がお見えになるわけです。また新聞記者の方々も三千名というふうな話も聞いておるわけでございますが、何といたしましても、いまのような状態でどういうふうに手を打たれるかということが最大の関心ではないかと私は思っておるわけです。  森山運輸大臣はそういうことはなさらないでしょうけれども、やはり期日が迫ってからまたやむを得ず強制代執行ということになろうかと思いますけれども、そういうふうな形でお進めなさるのか。第二期工事の中に反対派十七戸がございます。こういう方々に対してどういう話を進めておられるのか。私は、全部が全部強硬な反対派ではなかろうと思うのです。条件的な方もいらっしゃるでしょうが、最終的には何戸かは応じられない方もあるかもしれません。こういう場合に私が心配をいたしておりますのは、いわゆる過激派と言われる、極左暴力集団というふうに呼ばれておりますが、反対派と呼んでいたのを、あの管制塔乱入事件以来は極左暴力集団というふうに言われておる。成田における極左暴力集団の人数も明快にお述べのようでございますが、反対派に対する説得と極左暴力集団との結びつきというものをどのように考えていらっしゃるのか、その点をまずお尋ねをいたしたい。
  69. 森山欽司

    ○森山国務大臣 吉浦委員は地元でその間の事情は非常にお詳しいと思います。私は、この十七戸の農家の方々は、今日の政府の立場というものについて基本的な理解はあると思っています。しかし、従来の経過がございますから、そう一朝一夕にこの問題が解消するとは、そう簡単には考えておりませんが、御理解をいただけるように、この十七戸を含めての対話路線で今後事を進めてまいりたい、そういう気持ちでございます。
  70. 吉浦忠治

    吉浦委員 警察庁、お見えでございますか。――国家公安委員長にお尋ねいたしますが、極左暴力集団の現有勢力といいますか、成田に駐在をしております百二十名とも百三十名ともいうふうに言われておりますが、この成田闘争というものをどういうふうに彼らは位置づけておりますか。また、成田を拠点とするその位置づけによっては、もちろん第二期工事に関して十分な関心を持たないと、地元は大変な迷惑をこうむるわけでございまして、そういう点から、まず成田の位置づけからお尋ねをいたしたいと思います。
  71. 澁谷直藏

    ○澁谷国務大臣 お答えいたします。  成田に常駐しておる極左暴力集団の数はおおむね百五十人程度ではないか、かように考えております。  位置づけでございますが、御承知のように、極左暴力集団は日本の革命を企図しておるわけでございます。しかし当面は成田の空港廃止、第二期工事の絶対阻止、こういうのを一つのキャッチフレーズ、目標として彼らの行動を継続しておるわけでございます。したがって、位置づけという点から申し上げますと、究極の目標は日本の革命、しかし当面は成田空港をめぐるこれの反対闘争というものに焦点を置いている、かように考えております。
  72. 吉浦忠治

    吉浦委員 百三十名とも百五十名とも言われている極左暴力集団、この人たちは昭和四十二、三年ごろから常駐している、いわゆる住みついて、私に言わせれば高齢化するような、十年たって、そのとき二十の人は三十になります、二十五歳の人は三十五歳になるような、新しい加入者はなくて、前々からの、十年前からの方のようにお聞きしているわけですが、百五十名とも言われているというふうな答弁では私はちょっと納得しかねるわけでございます。日本は法治国家でございますので、そこに常駐しているとなれば当然生活権も確立しているだろうし、十年もたてばあるいは家庭的にもお子さんもお持ちだろうし、学校にも入らなければならないということにもなりましょうし、そういう面の生活というものはどうなっているのか。また、闘争になりますと、食糧とかあるいは装備というものはどこからどういうふうに運ばれてきているのか。法治国家であれば当然私は大臣は御存じでなければならぬというふうに考えております。そういう面で、彼らの実際の姿というものをもう少し明快に、御存じなければ対策というのはとれないのじゃないかというふうに考えるわけですが、この点についてお答えをお願いいたします。
  73. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 お答えいたします。  成田に常駐しているのは約百五十名の極左暴力集団でございますが、このセクトは中核派、革労協あるいはプロ青同、いま過激暴力集団は五流二十二派、こういうふうにも言われておりますが、その各セクトがそれぞれ常駐しております。多いところでは数十人、小さいセクトで数人というふうなものもございまして、それが約三十五カ所のいわゆる団結小屋を拠点にしてやっておるということでございます。しかしこれは、われわれで言う物日といいますか、今回三月二十五日に全国動員で現地でまた大反対集会闘争を行う、こういうことで呼号しておるわけでございますが、こういった際は約六千人くらいの過激暴力集団が全国から集まるということでございまして、そういう際には、全国から集まりました極左暴力集団がこういった団結小屋に泊まり込む、こういうことでも利用されておるわけでございますが、通常約百五十名が利用しておる生活態様といいますか、そういう状況は、そこを拠点にして生活すると同時に、そこで各種のパンフ等の宣伝素材資料、こういったものを印刷をしたり、あるいはそこを拠点としていろいろ働きに出るということでございまして、百五十人と一概に言いますが、非常に流動が激しいということでございまして、この実態というのは、名前がだれだれ、どういう者が住んでおるというのは非常に把握しにくいという状況でございますけれども、御承知のとおり、いままで何千名、何百名、昨年一年間でも相当、四百名近くの極左暴力集団を検挙しておりますが、そういった検挙等を通じての取り調べというものから見ますると、やはりあそこで住民登録をすでに終わって、あそこを本拠にしておるというふうな者もいるようでありますけれども、これもいろいろ移動をしておるというふうなことで、なかなか実態はつかみにくいということでございます。  いずれにしましても、四十一年七月の成田市三里塚空港決定以来十余年の長い闘争の過程でございまして、そういう中で、相当数の者があそこを出入りし拠点にしておるということでございまして、具体的な個々のことについては非常にわかりにくいというふうな現状でございます。
  74. 吉浦忠治

    吉浦委員 わかりにくいところを、自治大臣、住民である以上は、やはり住民登録もしなければならないわけです。まじめな人だけが税金を納め――何もそういう人たちだけを言っているわけじゃないのですけれども、つかめるだけのものをつかむということよりも、私は、民主主義の原理というのは、一人一人がそういう面における自覚を持つような社会風潮というものが、やはり大事だろうというふうに思うわけです。したがって、人間的な行為といたしまして、あらゆる面で協調をしていかなければならない面もありますし、地域の方々の協力がなければこれはできないわけですから、そういう面における何らかの打つ手はないものかどうか。そこだけを締め上げていくようにずっと締め上げて、だんだん彼らを孤立させるような行き方も一つの手でしょうけれども、そういうことよりも、もっともっと地域でそういう方方への別な面の働きかけが必要ではないかというふうに私は考えて、この問題を提案をしているわけです。どういうようにお考えか。
  75. 澁谷直藏

    ○澁谷国務大臣 警察としましては、御指摘のように、非常に危険な集団であるわけでございますから、その生活の実態といったものをできるだけ正確につかまなければならぬ、これは警察の当然の立場でございます。したがって、そういった努力をやっておるわけでございますが、ただいま警備局長からお答えいたしましたように、実態は非常につかみにくいということも事実でございます。しかし、御指摘の点は貴重な提案で、私も考え方としては全く同感でございますので、今後ともそういった努力を継続してまいりたい、かように考えます。
  76. 吉浦忠治

    吉浦委員 次に、パイプライン問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、現在、燃料輸送は暫定的な輸送になっておりまして、これをどうしても五十六年の三月までにパイプラインを敷かなければならぬという状況でございます。現在の見通しからいたしまして、ぎりぎりまで延ばしていて、ごり押しということがいままでの成田に適用された行き方でございますが、運輸大臣は大変物わかりのいい方でございますから、そういうことはおやりにならないだろうというふうに思いましてお尋ねをいたしておるわけですが、いつ着工しなければ五十六年の三月までに完成をしないのか、ぎりぎり待ってどの時点ならば完成の見通しが立っていらっしゃるのか、その点をまずもってお尋ねをいたしたい。
  77. 森山欽司

    ○森山国務大臣 成田空港のネックの一つは、燃料問題があるわけであります。いまこれは貨車輸送をしております。これでは長い将来考えると困るわけでありますので、パイプラインをつくらなければいかぬ。その点につきましては、いまお話がありましたように、一つのめどがありまして、それについていま鋭意努力をしておるところでございますが、その状況につきましてはちょっと航空局長の方から報告をいたさせます。
  78. 松本操

    松本(操)政府委員 具体的にお答え申し上げます。  本格パイプラインにつきましては、昭和五十年八月の閣議決定によりまして、暫定輸送開始後三年以内に完了する、暫定輸送そのものは三年でやめる、こういうことになっております。したがって、このことは当然暫定輸送開始後三年以内に本格パイプラインを建設するということと裏表だと理解をしておるわけでございますが、パイプラインそのものにつきましては、当初先生御案内のように、ルートの設定及びそのルートにかかわります周辺関係住民を含めた関係市との話し合い等において多少まずい点はございました。それが先ほど大臣がお答え申し上げましたように、現在暫定輸送に切りかえざるを得なくなった大きな理由でございますが、昭和五十年八月、このことが閣議決定されまして以降、関係の市町村と鋭意その問題を詰めてまいりまして、昨年開港の前に関係の市につきましてもおおむねの了解をとりました。さらに、昨年開港後、問題となっておりました千葉市につきましても相当具体的な点についてお話し合いを進めまして、公団の方も督励いたしまして、関係地域住民に対する説明会等も開かせたわけでございます。  現在のところ、国の手続といたしましては、これはパイプライン事業法にのっとる作業でございますので、パイプライン事業法にのっとります国の手続は、昨年十月三十一日をもって全部終了いたしました。その後公団におきまして、公団が工事を行うに際して必要な、たとえば用地の一時使用の許可の手続でございますとか、あるいは一時新聞に報じられたこともございますけれども、沿線の一部に遺跡が埋没しているのではないかというふうな問題がございました。こういう点は、公団と千葉県の関係の向きとの間のお話し合いを進めております。私の承知しておるところでは、これらの手続につきましても、多少のおくれを見せましたものの、大体先月いっぱいぐらいでおおよその目鼻をつけまして、今月早々には花見川という一番工事のむずかしいところがございますが、ここについてのボーリングを開始したというふうに承知をいたしております。したがって、これのボーリングのデータ等をもとにいたしまして、全面的に工区を幾つかに分けまして、同時並行的な工事が開始されるというふうに私ども承知をしておりますが、具体的にどのような形で工事を進めるのかという点は、もっぱら公団を督励いたしまして、先生御指摘のような、最後になってどたばたすることのないように、いまからではすでにゆとりのある期間とは申せないのが実情でございますので、最大の努力を集中して本格パイプラインの工事を進めるようにということで、公団を指導しておる状態でございます。
  79. 吉浦忠治

    吉浦委員 そうしますと、市や県の方はある程度認可がとれて、その連絡がとれておるようでございますけれども、地域住民の八十七団体、しかも四つの自治会は真っ向からこれに反対をいたしております。特に真砂自治会という自治会等については、説明さえ受けようとしておるわけじゃございません。公団も承知だと思いますが、この自治会の方は対話集会をぜひ開いてくれというふうに提案をいたしておりますが、公団側は対話集会はまずい、これはやりたくないというふうなことでおありのようでございます。こういう地域住民との話し合いが全然進まなくて、地方自治体だから県なり市の方が了解すればいいじゃないかというふうな進め方では、問題が大きいのじゃないかというふうに思っておりますが、この点についてどのようにお考えを持っておられましょうか。
  80. 大塚茂

    ○大塚参考人 公団の工事を実施いたします場合に、県や市だけの了承を得ておれば、もう地元の全部の了承を得たというふうには私どもも考えておりません。法律的、公式的に申しますと、地元の代表というのは自治体だと私どもは思っておりますが、しかし、事実上の問題といたしましては、やはり地元住民の方々の御理解を得るということが必要であるというふうに考えております。  そういう意味で、昨年の一月二十日に新しいルートを発表いたしましてから、公団としましては沿線の地元住民を対象にいたしまして、回数にして四十回を超える説明会を開催いたしております。その中には、いま問題になっております真砂地区の四つの自治会でございますが、これに対しても四月と五月、二回説明会を実施をいたしております。その後、さらに説明会を開きたいということを私の方からも提案をいたしまして、それに対しまして、地元の自治会からは対話集会という形でやってほしいというようなことで多少いきさつがございまして、一時その説明会が予定されたのが流れたというような事実もございます。  しかし、公団としましては、やり方についてこういうやり方で円滑にやりたいという提案をしたことはございますが、それにあくまでこだわって、それが入れられなければ説明会をやらぬというほどのものでもございませんし、最近いろいろまた自治会の代表に対しまして、説明会をやりたいからという意向を伝えております。それに対して自治会の方では、ルートの変更というものをやるという前提でなければ説明を聞いても意味がないというようなことも言われておりまして、なかなか開けない状態でございますが、とにかく沿線八十幾つある自治会のうちで八十一については理解を得たわけでございますので、大方の地元民の了解は得たということは言って差し支えないのじゃないかというふうに私は考えております。しかし、なお残された真砂町の四自治会について鋭意説明その他の理解を求める努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  81. 吉浦忠治

    吉浦委員 その努力はわかるわけですけれども、対話集会には応じないというふうな公団総裁のお考えのようでございますので、そういうかたくなな姿勢でなくて、物事を進める場合にはあくまでも地域住民のコンセンサスが大事でございますから、そういう点を特にお願いいたしておきたいと私は思います。  聞くことがたくさんございますので、次に進めさせていただきますが、次は騒音問題でございます。  おとといの新聞にもその騒音の目標値というものが出ておりまして、成田はその点でもまだ不満でございますが、私どももいろいろ、飛行機が飛んでから、飛ぶ前も調査をいたしましたけれども、もちろん飛んでからでなければこれは正確な調査でございませんので、騒音問題について党といたしましても調査をいたしました。去年の五月で飛行機が飛んだ直後でございますけれども、調査の事項等につきまして運輸省にも差し上げましたし、公団の方にも提出をいたしておきましたが、一番大事な点は、何といたしましてもその騒音による影響をどのように受けているかということが問題でございますから、特に健康な人よりも赤ちゃんとか幼児に対する騒音の点を私どもは注目してこの調査をいたしたわけでございます。また、飛行時間における騒音の状況、日常会話における騒音の影響、騒音による電話障害とその回数、あるいはテレビにおける電波障害の影響、それからテレビ電波障害の対策、防音家屋の実際の効果がどのように上がっているのか、今後の空港対策に対する住民の要望というふうな具体的な面を調査をいたしたわけでございます。公団の方にも出しておきましたけれども、この騒音が一番の問題でございまして、特にお年寄りの方々や乳幼児のその対策というものは、やはり最重点にしてこの対策を行わなければならないというふうに私は考えているわけです。私がお会いした心臓病のお年寄りの方で、どうしても病院からうちへ出てこなければ家計がやっていけないというのですが、飛行機の騒音を聞くたびに動悸が激しくなって、どうしても家計のことよりも体のことですよということで、また再入院をなさったように、病人の受ける影響というのは非常に大きいわけでございます。こういう点については、具体的な事例に基づいて国はその対策を講じなければいかぬというふうに私は考えているわけです。  どちらにいたしましても、広範囲な中における施策でございましょうが、この騒音問題に対してどういうふうに取り組もうとなさっていらっしゃるのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  82. 大塚茂

    ○大塚参考人 開港いたしましてからの成田空港の一番差し迫っての大きな問題というのは騒音問題であるというふうに私どもも認識をいたしております。  これにつきましては、御承知のとおり、開港後全室防音ということ並びに騒音区域の範囲をさしあたって八十WECPNLまで広げるという方針を政府として御決定をいただいて、その線で成田空港につきましてはすでに着手をいたしております。その実施をいたしていく段階におきまして病人あるいは老人、乳幼児という方々が騒音に非常に感じやすいという点はおっしゃるとおりでございますので、こうした方々から防音工事の申し込み等があります場合には、優先してこれを取り扱うようにということで、窓口をやっていただいております市町村にもお願いをいたしておりますし、窓口で受け付けた後、公団に回ってきました場合の設計あるいは施工についても、公団としても当然優先してやるようにということでやっておる次第でございます。
  83. 吉浦忠治

    吉浦委員 この騒音をあらわすのに、いま総裁言われましたが、WECPNLというこの符号でございます。私も当初この符号を見ましたときに、何の符号だろうと思いましたが、これは日本語に訳すとうるささ指数というのだそうでございます。恐らくたくさんの方々はこういう数値を申し上げてもおわかりにならないんじゃないか。ですから、この符号に対して要望しているわけではございません。もっとも、これは国際的な用語でございますから、大事な点ではございますけれども。われわれ自動車の騒音とか工場の騒音といいますと、通常ホンというので呼んでおります。百ホンあればガード下でもって、とても生活はやっていけない、こう言っておりますが、成田へ行きますと、WECPNLというので換算すると、これは全然数値が出てこない、こう言うのでございます。何だか知らないのですけれども、私はようやく勉強してわかりましたけれども、そういうことを言われると、これはだまされたみたいに一どういうような国際的な基準に合わせて、いまの地元の方々にわかるような話をなさったのか。急に、航空学者をつくったわけではございませんから、音が出れば、うるさいじゃないかと単純に言いますが、それはこれに直すと全然その数値も出てこない、評価する段階にもならない、こういうふうに言われるわけであります。この関係についてもう少し地元の方にわかるような方法はないものかどうか。むずかしい質問でございますけれども、どのようにお答えなさるか、お聞かせ願いたい。
  84. 松本操

    松本(操)政府委員 先生おっしゃいますように、このWECPNLという舌をかみそうな単位は、私どもも実は正直言って最初のうちよくわからなかったのは事実でございます。ただ、先生もいまおっしゃられましたように、国際的な一つのユニットでございますので、こういうふうなものをやはり単位としていかざるを得ないだろうし、また環境庁の基準もこれで決めてございますので、これは成田だけではございませんので、全国の飛行場につきまして、十五の特定飛行場についてはこれをもっていろいろな施策の根拠にしておるわけでございます。  そこで、非常にわかりにくい点は、一回音がいたしますと、騒音計を持っていってはかればよくわかるわけでございますけれども、このW何とかというのは、それだけではございませんで、それが昼間飛んだか、夕方飛んだか、夜飛んだかという問題がまず入ってまいります。それから何回飛んだかというのが入ってまいります。そこで、これは地元の皆さん方と、成田のみならず私どもの直接管轄いたします一種、二種空港においても非常に問題があるわけでございますが、ある日非常に高い音で飛行機が飛んだ、おれのところは非常にうるさいぞ、こうおっしゃる。ところが、このうるささ指数と申しますものは、いま申し上げましたように、個々の音の大きさだけではございませんで、それがどの時点で何回起こったかということで出てくるものですから、換算ができないのではないのでございまして、換算をする式があるわけでございますから、その式を使えば出るのでございます。大体四百回以上五百回程度飛行機が飛んでおりますと、先生おっしゃいましたホンとこのWとは同じ数字になるわけでございますが、こんなにたくさん飛行機が飛んでおるというところは現在のところ日本にはございません。成田が百七十でございますから、片方だけ見ると八十とか九十足らずの数字になります。したがって、Wではかりました数字に何がしか足しますと一回こっきりのホンの音が出てくる。こういうふうなことは、実は説明資料のようなものをつくりまして、私どもも広く関係の一種、二種空港の周辺の方の御説明に使っておるわけでございますが、これをもとに、また成田の場合には、特にもともとが静かな農村地帯であったわけでもございますので、そういう点をよりわかりやすくするような資料をつくって、公団をして説明させるようにしておるわけでございますが、しかし、十分にまだ御納得、御理解をいただいて感覚的に御承知願っているかどうかということになりますと、物が物だけにむずかしい点はございます。今後ともそういう点に努力をしながら、先ほど先生の方から御指摘のございました防音工事をした場合にこのように静かになるということ、その静かになりさかげんも、たとえばWではかるとこうなりますとか、具体的なことを一々御説明しながら、感覚的にも御納得いただけるような努力を今後ともするようにしてまいりたい、このように考えております。
  85. 吉浦忠治

    吉浦委員 次に移りまして、民家防音の点についてお尋ねをいたしたいと思いますが、政府の方から最高補助限度額が示されまして、四人以上の家族で五百九十五万円という最高限度額の民家防音の補助が示されたわけでございます。一人の場合には三百十五万円というふうにございますが、何といたしましても都会と違いまして農家のことでございますから、母屋があり、納屋があり、またその構造たるや雑多でございます。それを画一的に規格品で、サッシとか音をさえぎる板とかそういうものが、もう申し込めば国の方から規格品が行って、そしてそれを取りつけるということになって、地元のそれぞれの構造が違うものに対して画一的なものしか準備がなされない、それがいまの補助の限度額のようでございます。  いろいろ問題があろうと思いまして調べてみましたらば、なるほど申し込みが大変少ないわけでございます。国からこれほどの手を施していながら申し込みが少ないというところは、農村のことでもありますから、これは様子を見て、まずほかの人がやったものをまねて自分も申し込もうとか、また条件がよくなればそういう形でやった方がいいとか、いろいろあろうと思うのです。けれども、そういう面で申し込みがないというところは、つくっただけじゃなくて、その後の空調施設等に費用がかかる。よけいな費用だ。何も飛行機が飛ばなければそういう設備もしていただかなくてもいいし、よけいな金が、まあ冷やしたり暖めたりするお金でございましょうが、それが月々三万円そこらは平均してもかかるじゃないか、こういうことで、そういうことよりも迷惑料をいただいた方がいいのじゃないかという声もあるようでございます。これは立場が違いますけれども……。そういう面について、その補助はつけられましたけれども、申し込みがごく少ないという点についてはどのようにお考えなさっているのか、まずお尋ねをいたします。
  86. 大塚茂

    ○大塚参考人 民家防音工事の対象が八百十七戸あるわけでございますが、現在までにその中で申し込まれたのが三百五十戸余りということでございます。その内容を見てみますと、芝山町等については相当多数申し込んでおりますが、人家の多い成田市がわりあいに少ないという状況になっております。それには、いま先生が仰せられたような、いろいろの点を考えてためらっておられるということもございますが、説明会の段階で芝山町を先にしたわけでございますが、成田市の説明会が必ずしもスムーズにいかなかったというような点もありまして、理解がまだ必ずしも十分でないという点もあろうかと思いますので、われわれとしては、今後個別にいろいろ御説明をする等努力をいたしまして、御理解を得て早く申し込んでいただくようにしたいというふうに考えております。
  87. 吉浦忠治

    吉浦委員 次は、アクセスの問題を運輸大臣にちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、成田新幹線構想というものが発表になりまして、これは工事線として採用されたわけでございますからゴーサイン待ちのままでございますが、そのまま何だかお流れになったのじゃないかというふうに私ども心配をいたしております。経過についてまず御説明をしていただきたいと思います。
  88. 森山欽司

    ○森山国務大臣 鉄監局長から経過報告いたします。
  89. 山上孝史

    ○山上政府委員 御指摘の成田新幹線につきましては、先生も御承知のとおり、四十六年に整備計画が決定されまして、工事の実施計画は四十七年に認可をしております。現在、成田線の交差部と空港駅との間の工事、それから用地買収を行っております。その他の区間につきましては、公害問題等から地元住民の強い反対運動が引き続き行われておりまして、その事業は進捗しておりません。一方千葉県の方からは、新東京国際空港へのアクセス対策と、千葉ニュータウン等からの都心への通勤対策を共用する新線の建設等の要望が強く行われております。このような状況から、御指摘の成田新幹線の工事につきましては、新線構想等の関連で手戻りの生じない範囲内で工事を実施するように、工事の実施主体であります鉄道建設公団を指導しているところでございます。
  90. 吉浦忠治

    吉浦委員 いま説明がありましたように、成田空港の地下にはもうすでに新幹線の駅ができているが、一キロくらいの区間しかできておりませんで、恐らく私はそれから先はむずかしいのではないか、こういうふうに思っておる。予算は昨年度百億つけられております。本年度予算の計上は七十億と聞いております。こういう予算は、莫大な赤字を抱えておる国鉄にとって、新幹線が実現不可能なような形のところにどうなさるのか。もしもこれができないならば、それにかわるものを発表して、それを進めるようになさったらどうなのか。国鉄の成田線の延長でありますとか京成電鉄とか、お考えもあろうかと思いますが、あるいは最近の夢の超特急みたいな、HSSTみたいなものの導入はどういうふうにお考えなのか、新幹線ができなければかわるべきものをどのようにお考えなのか、お聞かせを願いたい。
  91. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生御指摘の成田新幹線のまず工事についてでございますが、先ほども申し上げましたとおり、手戻りにならないような範囲内で工事を進めるということでやっておるわけでございます。御指摘のほかのアクセスを考えたらどうかということでございますが、これも先生御承知だと思いますが、五十二年末に成田新高速鉄道構想というものも出たわけでございます。こういうものにつきましては、昨年来鉄道建設公団、国鉄、帝都交通営団、東京都、地元の千葉県それから空港公団等、九つの関係者から成る協議会をつくっていただきまして、ここにおきまして輸送需要、採算性、運営や建設の主体、具体的な計画路線等についてずっと検討を行っていただいております。  それからまた、HSSTなりその他のアクセスの構想もございます。これらにつきましては、目下のところは空港からの輸送需要に対しまして、現在ありますたとえば京成電鉄等を含めましてのアクセスの輸送力で十分に、むしろ十二分に量としては対応できますので、ある程度時間はございます。ございますが、千葉県側の御要望も非常に強いものでございますので、そのような幾つかのアクセスの構想につきまして、特にいま申し上げました成田新高速鉄道構想につきましては、協議会を中心にその具体的な検討を進めている最中でございます。
  92. 吉浦忠治

    吉浦委員 次は、Cラインの件についてお尋ねをいたしたいと思います。  B滑走路とC滑走路とがある。B滑走路がサブ滑走路で二千五百メーター、C滑走路が横風用で三千二百メーターの滑走路をおつくりになる予定のようでありますが、この横風用がないから欠陥空港というふうには言われてないと思いますけれども、成田の実際の離着陸の状態を見れば、国際線就航のジェット機でございますから、横風、風速十メーターぐらいの風にも強いわけでございます。成田は、十メーターの横風が吹くのを統計で見ますと、大体〇・一%ということになると、三百六十五日の一%であれば三日か四日ということになる。三日か四日の横風のためにC滑走路をつくらなければならないのか、こういう点で、どうしても国際空港として完全なものが必要ではございましょうけれども、いろいろ問題があるのに横風用にということであれば、その付近の確約をなさらないと地元の方々も不安な点があるわけでございます。気象データなどで勘案しただけで、確約されていないために不安がございます。それが第一点。  それから、その横風用滑走路のCラインにおけるアプローチエリアのところにおいては、先ほどうるささ指数の話をいたしましたが、それが適用にならない。ですから、一年のうちに三、四日しか飛ばないようなところにその数値が出てこない、出てこないからそこは何も対策をする必要がたいのだということになろうと思うのです。したがいまして、こうなりますと、うるささ指数には入らないけれども、実際のその騒音対策というものは必要じゃないかという点、その二点をお尋ねいたしたいと思うのです。なるべく簡単に答えてくれませんか。
  93. 大塚茂

    ○大塚参考人 横風用滑走路の使用頻度ということになりますと、滑走路が乾燥いたしております場合には、ジェット機でございますと、おっしゃられるように大体十メートルぐらいまでは着陸が可能であるということになりますが、いつも乾燥しておるとは限りませんので、ぬれておるときとか、ことにある程度水がたまるような大雨のときというようなことになりますと、その制限はもっと厳しくしなければいかぬというようなことになりまして、私どもとしては一応風速十二ノット、六メートル程度以上の場合にのみ使うというふうなことを考えて、目下その使う場合のデータを集めております。おっしゃられますように風速十メートル以上ですと、年によって非常にばらつきがあるようでございますが、平均しますと〇・一%程度ということになりますが、風速十三ノット以上、六メートル以上ということになりますと、まだデータを全部集めてはっきりした結論まで出しておりませんが、一・数%程度の使用ということに大体なりそうでございます。その程度ならばC滑走路をつくらぬでもいいじゃないかという御説もございますが、やはり何といっても東京といいますか、成田は世界の主要航空路の重要なポイントでありますので、たとえ一・数%であっても、定期航空の定時性とか安全性という点を考え、それを確保するためにはC滑走路、横風用滑走路がぜひ必要でありまして、これをつくらなければいけないというふうに私どもは考えております。
  94. 吉浦忠治

    吉浦委員 運輸大臣にお尋ねいたしますが、羽田空港で、ここ十年間に乗降客の数が三・六倍にふえております。国内線は四・一倍、国際線の貨物の取り扱いが六・一倍というふうに著しい伸びを示しているわけでありますが、成田空港の五年後、十年後のその状態はどのようになるというふうにお考えなのか、まずその点をお尋ねいたしたい。
  95. 松本操

    松本(操)政府委員 数字的なことでございますので、かわってお答え申し上げますが、羽田空港におきましての伸びは、先生おっしゃるとおりかと思います。ただそれは、御案内のように便数を極度に制限いたしました関係から機材が大型化いたしまして、特に国内線の場合にはいわゆるジャンボと申しますか、ああいった大型機の導入が激しゅうございましたので、便数のわりに取扱旅客数が伸びた。それから貨物の方は、これは近年の趨勢でございますけれども、貨物専用機が入ってくるようになってまいりまして、これによって非常な貨物の伸びを示した。  そこで、成田についてどうかということでございますが、成田の場合、現在のところ大型化率というものは五十数%になっております。ここ数年、先生おっしゃった五年ぐらいの間に急速にこれが伸びて八〇、九〇になろうかということは、あるいはないかもしれません。しかし、趨勢としては大型化が進むと思いますので、それからまた便数もいずれは伸びていくことであろうかと思いますので、成田の空港の能力といたしましては、滑走路が全部でき上がりました場合に年間二十六一万回の離発着の能力がある。羽田が十七万五千同一でございますから、これに比べると相当の能力を持っているということになります。  問題は、取り扱う旅客の数でございまして、旅客の数につきましては、いま申し上げましたように国際線に就航いたします機材の将来予測というものをよく見きわめませんと、便数から直ちに人数が出てこないわけでございまして、申しわけないのですが、私、いま手元に試算した数字を持っておりませんので、何百万人という数字については申し上げかねますけれども、昭和六十年ごろにはやはり一千万に近い数字まで伸びていくのではないだろうかというのが一つの目安でございます。そうなりますと、やはりターミナルの施設というふうなものは、いまのままではとてももたなくなってくるのではないか。  それから貨物の点については、これはまだ一年もたっておりませんので、よくわからぬ点もございますけれども、羽田に比べますと、やはり非常に取り扱いの面積が広くなっておりますので、そういう点もあろうかと思いますけれども、昨年約十カ月ばかりの成田の状態をおととしの羽田の十カ月の状態に比べますと、三割以上の国際線の貨物の伸びを示しておりますので、これはもしそういうことであるとするならば、空港における貨物の取り扱い施設というものにはまだまだゆとりがございます。むしろそれを地方にさばいていきます、現在の施設で申しますと、原木のそういったような施設がございますが、こういうものと一体にして全体的に国際線の航空貨物がどのように伸び、またどのように対応していくかということを詰めなければならないと思います。  いずれにしても、伸びるだろうということについては先生おっしゃるように間違いのない推定だろうと思いますが、数字はさっき申し上げましたように、ちょっといま私手元に持っておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
  96. 吉浦忠治

    吉浦委員 先ほど大臣も、三十三カ国がそれぞれ就航ラインの希望をしている、新規申し込みをしているという現状でありますが、成田空港ができてから申し込みを受け付けましょうというふうなことで応じられない形を現在もとってきてそのままであります。いまの局長の話のように、これは世界的な増加の趨勢でありますから、そうなりますと第二、第三の成田空港をつくらなければならぬということになろうかと思います。こういう点になりますと、現在の成田空港ですら、私は時間がないので挙げてまいりましたが、これほど問題がたくさんあるわけでございます。そういう面で、やはり政府の一貫した姿勢が、どこまでも話し合い路線というものは口ではおっしゃるけれども、そういう面が欠けている点を、十分地元の要望をくみ取っていただきたい。もっともっとやりたいのでございますけれども、また時間があれば次にして、次の問題に入らしていただきたいと思っております。  次は、農林水産大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  何と申しましても、現在は不確実性の時代というふうな言葉がもてはやされておりますように変化が激しい時代でもありますし、見通しの立てにくい時代でもありますが、当初の予測が当てにならないというふうな時代であるとも言われます。そういうむずかしい時代ではありますけれども、農産物を主体にしました農政が、いかに見通しが立てにくかろうとも、私たち日本人が生きていく最も基本的な、基礎的条件整備というものをしなければいけないと思います。そういう点で、中長期的な視点に立って、場当たり的なものでなく万全の措置を講じて、確固たる方針で農政に臨まなければならないというふうに考えておりますが、大臣の見解をお聞かせ願いたい。
  97. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 おおよそそういう方針であります。
  98. 吉浦忠治

    吉浦委員 確固たる国の方針がなければならないと思いますが、現在は経済第一主義と申しますか、至上主義のあおりを農政が食っていることは、これは大臣、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  99. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 先ほどの答弁に少しつけ足しますと、要するにあなたのおっしゃるとおり、何と言っても日本には一億一千万の消費人口があって、これを賄っていかなければならぬ。したがって国民食糧の安定的な確保を図っていく、極力国内でできるものは国内でつくる。また農村は民族の苗代だ、そういうような基本方針でやっていくつもりであります。  経済至上主義のあおりと申しますが、やはり農業というものも国全体からすれば一つの産業でございますから、経済の枠外に出るということは事実上できない。日本の経済は市場メカニズムをてことして動いておる経済でございます。したがいまして、農産物というようなものも当然消費者の嗜好、それからいろいろな経済の動き、こういうようなものによって取捨選択をされるということは避けられないわけであります。したがって私は、やはり農産物も消費者があっての農産物でありますから、消費者の意向に即して時とともに移り変わりには対応していく、むしろ先取りをして対応していくということの方が必要なのではないだろうか、かように考えます。
  100. 吉浦忠治

    吉浦委員 食糧の安全保障というきわめて重大な課題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、大臣、米が余っているということで、すべてが余っているような感覚に私どもなってきておるように思う。いわゆる農産物は過剰であるといったきわめて楽観的な風潮が起こりつつあります。わが国の農業の状態を見ますと、内外から邪魔者扱いにされるようなきらいがあるのではないかというふうに思います。政府は、食糧の安定確保という点から、政策目標の焦点がこの三、四年前から見るとどうもぼけてきたのじゃないかと思うわけです。こういう点で、どのように政府はこういう点をお感じなさっているのか、まずお聞かせを願いたい。
  101. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 食糧は足らなくては困るわけであります。したがって、米については過剰基調にあることは御承知のとおりでありますが、不足をしておるものもあるわけですから。ことに小麦とか、えさとか大麦とか、そういうようなものは足りなくて外国からたくさん買っておる。こういうような状態なので、そういうようなものは極力国内で生産を高めていく、こういう姿勢で現在水田利用再編対策というものをやっておるわけであります。
  102. 吉浦忠治

    吉浦委員 お尋ねをいたしたいのは、お米が余っているということで、確かにこれは私も認めますし、どなたもそのとおりでございますけれども、表面的には過剰基調ということでありますが、畜産などについては、その原料となる濃厚飼料の八五%は輸入をしておる。パン等については、その原料の小麦はほとんど輸入、わが国は米への依存を強めざるを得なくなっておりますけれども、もしもこのように考えてまいりますと、わが国の食糧の過剰傾向というのは、大量の米以外の輸入の上に立った過剰、いわゆる虚構の上に乗った食糧事情ではないかというふうに私は思っている。政府はもっと緊張して重大な決意のもとにわが国の食糧政策、農業政策に取り組むべきであるというふうに考えておるわけです。こういう点については、大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  103. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 われわれは、食糧が足らないということは大変なことですから、米が余っておると言いましても、そのうち二百万トンは備蓄としていつでもこれは持っていなければならぬ。あるいは小麦についても二・六カ月分の九十二万トンぐらいの備蓄は実は常に用意をしておるわけです。大豆についても食料用の、商品用の大豆のほぼ一カ月分程度は備蓄をしておる。こういうようなことで、常にそれらの不足物資についても、それは備蓄までしていつも安全的な確保というものに心がけておるというわけであります。ことに米が余ってほかのものが足らないという一番の原因というものは、食生活の変化、これは大きなことであります。豚肉とか鳥肉というようなものの一人当たりの消費量というものは、昭和六十年で見通したものを昭和五十二年ではもうその消費量を突破してしまった。やはり胃袋は一つなものですから、何かはかのものを食べれば別なものは食べられないということで、結局、動物たん白に対する需要が非常にふえてきた、このことが加速度的にえさ、穀類を必要とするようになった、これが一番の原因なんです。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 牛肉一キロを生産するのにはトウモロコシが二十キロだ、豚肉一キロでトウモロコシが六・五キロだ、鶏肉、鶏の場合は四・四キロだというようなことが統計上出ておるわけであって、したがって、牛肉の二百グラムとか三百グラムとかいうものはだれでも食べられるわけです。そうすると、バケツで一杯と私はいつも言うのですが、バケツで一杯えさを一遍に食べた、そのトウモロコシなり小麦なりをバケツで一杯食うのには、一週間も十日もかかるわけですね。それを一食で食べられるということになるので、加速度的にそのえさがふえてきた、こういうことなので、これ以上牛肉とか豚肉は食べるのじゃないよということになれば、それは国内で生産をしても自給率は見る見る高まっていくということになるのですが、まあ食生活の向上という問題は国民全体の願望でもありますし、それを抑えるということはできない。したがって、極力国内では生産をするが、それでもどうしても追いつけないというようなものは、これは安定、多角的な輸入に頼るということも当然である、こう思います。
  104. 吉浦忠治

    吉浦委員 大臣、過剰基調と不足基調というものが併存しているのがいまの農政だと思うのです。これをどのように是正し、バランスをとっていくかということが生産体制の大事な点だろうというふうに思うのです。こういう点で、重大なこういうふうな二重構造の責任を感じられるのは政府だろうと私は思う。それは国際分業論もあるわけですけれども、このところ政治は、表面的には麦とか大豆とか飼料作物のように自給率の低い作物の自給率向上を進められております。要するに、「農産物の総合的な自給力の強化と米需給均衡化対策について」という閣議決定もされたわけでありますから、こういう点で、政府が現実にこうした農業生産の再編に本腰を入れて取り組んでいるかどうかということを、国民は実感としてそれをお感じになっていらっしゃるかどうか。わかるような、そういう方法はないものかどうか。もう少し国民にわかっていただけるような方法でなくちゃならぬというふうに思うのですが、この点どうですか。
  105. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 確かに、物によって過剰なものと足らないものがある、それは先ほど言ったように、国民の嗜好が変わったということが一番の原因でありますから、したがいまして、私どもといたしましては、米から小麦なり大豆なりえさなりをつくるように奨励をして、多額の補助金も出し、生産者の方にも御理解をいただいて、一緒になってやっておるわけです。したがいまして、たとえば小麦の問題を見ましても、五十二年は三千ヘクタールしかなかったものを五十三年では四万二千ヘクタール小麦がつくられるというようなことになっておりますし、大豆にいたしましても、五十二年では一万二千ヘクタールの転作実績だったものが、去年、五十三年、まあ五十三年度と言えばことしもいままで入るのですが、これは七万ヘクタールにふえておる。この結果は、当然自給率にも影響が出てくるので、五十二年度の小麦の自給率は四%だった、それがやっと六%まで立ち直ってきた、あるいは大麦、裸麦というものは九%だったものが一二ないし一三%くらいになっている、大豆は三%だったものもやっと四%のところまで立ち直ってきつつあるということでございます。さらに、われわれといたしましては、水田は湿地帯が多い、湿地帯にはそういうものはできないわけですから、そのためにことしも二百三十億というような排水対策の特別事業というようなものもやることにいたしまして、早急に乾田化をする、つまり畑になるように土地改良をする、そういうようなことでこの不足の品物を国内で強力につくらせるためにいまやっておりますし、盛んにPRもいたしておりますので、ひとつ一緒に御宣伝をいただきたい、かように存じます。
  106. 吉浦忠治

    吉浦委員 農業問題の最後に、わが党が政策の中で提案をいたしております点を提案して御批判をいただきたい。  農業政策の中で、現在の米過剰対策の基本の一つといたしまして、農家が安心して他の農作物を生産し得る条件づくりを積極的に推進すべきである、こういうわけで、水田利用については水稲作偏重を改めて、水稲を畑作物、牧草等と輪作として組み合わせる田畑輪換の水田利用方式でございます。この方式によれば、水稲は二、三年に一作というふうにもなろうかと思いますが、農家によって自主的にこれを導入されるようその条件づくりを推進したい、そのためにも十分な排水管理を可能にする基盤整備、畑作物等の価格保障、田畑輪換農法に関する一切の技術研究とその普及等を強力に推進するということをわが党で主張しておりますが、これは単なる田畑輪換の基盤整備を進め、米が過剰だからこそ畑作物をつくらせようといった単純なものではございませんで、基盤整備をやった農地においても水稲を盛り込んだ合理的な輪作体系を地域の実情に合わせて確立させていきたいという新しい農法であります。農林水産省の内部においてもこのような考えを若干示していらっしゃるようでありますが、具体的な施策としてまだ明確じゃございませんし、その位置づけも弱いのじゃないかというふうに思います。私は、この田畑輪換農法の定着化のための条件整備をわが国の八〇年代の農業政策の大きな柱として位置づけて、政府は本格的に取り組んでいくべきであるというふうに考えておりますが、政府のお考えはどのようにお持ちか、お尋ねをいたします。
  107. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 時間があれば事務当局から詳しく答弁をさせてもいいのですが、時間の都合もあるようですから、かいつまんで申し上げます。  大変結構な考え方でございまして、農林省としても、そのために転換畑を主体とする高度畑作技術の確立に関する総合的な開発研究、こういうようなテーマでいろいろな研究をやらせておるわけであります。いろいろ技術的な問題はたくさんありますから、ただ単に圃場整備をして乾田化すれば転換がすぐできるのだ、しかも輪作でできるということにばかりにもいかない面もありますので、きめ細かいそれらの研究はやらせておるところでございます。
  108. 吉浦忠治

    吉浦委員 漁業問題について二、三点お尋ねをいたします。  最初に、日ソ漁業交渉に際しまして、イシコフ漁業相が解任されました。うわさにはございましたけれども、七十三歳の高齢ということが表面的なあれのようでございますが、最も日本をよく知っておられた方でもありますし、後任にカメンツェフという第一漁業次官が昇格されたわけですが、日ソ漁業委員会は、要するに日ソ交渉でございますけれども、三月早々にも開催されるというふうに思いますが、この新しい漁業相はこういう問題等にも明るかったのかどうか。このイシコフさんが解任されたことについて、農林水産省はどのようにお考えなのか、その点をまず最初にお伺いいたします。
  109. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 イシコフ漁業相は非常にわが国の国内の事情もよく知っておりますし、いろいろなことで私は日本にとって大変大事な人だったと思います。  解任の理由というのは、これは想像でございますが、やはり高齢だ、それから御病気にもかかっておられたというようなことだろうと私は思います。その結果は、第一次官の、いまお話のあったカメンツェフという方が就任をされたようでございますが、この大臣は、この方も非常に長く漁業次官をやっておって、昭和四十年の十月にソ連邦の漁業省第一次官になられた方で、現在までずっと十何年やっておりますから、当然日ソ漁業の内容については悉知をされておる方と存じます。したがいまして、一緒になりまして今後とも、日ソ協定に基づいていろいろ取り決められていることもありますから、それらの精神で友好裏に交渉を進めてまいりたい、こう考えておるわけであります。
  110. 吉浦忠治

    吉浦委員 細かな点は農林水産委員会で、お尋ねすることにいたしまして、一点だけ、日ソ漁業協定は単年度の暫定協定でございますね。一年ごとに結んでいくというやり方でございますから、北海道の漁民の方々は、漁獲量の問題でありますとか、漁獲区域の問題でありますとか、あるいは出漁時期の問題でありますとか、交渉が妥結するまでぎりぎりまで待って、しかも減量になれば減船ということになるわけです。他の条約等の関連もありましょうが、中期的、三年ないしは五年ぐらいの協定は結べないものかどうか、そういう点について大臣はどういうふうにお考えか。
  111. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 非常にわれわれも同じ気持ちを持っておるわけです。それで長年交渉をしてきておるわけですが、なかなか実現を見ない。今後とも中長期の協定を結ぶように努力をしていきたい、かように考えております。
  112. 吉浦忠治

    吉浦委員 時間になってしまいましたけれども、教育問題について一点だけ。大臣にいつまでも座っていていただきながら質問をしないのはどうも申しわけないと思いますので、一点だけ。養護教育の問題をるるやりたいというふうに思っておりましたが、一つだけ、共通一次試験の問題を先にちょっとお尋ねしたいのですが、大臣が就任されまして早々に、一次共通試験、二次試験について、これはどうもよろしくないような、改善しなければならぬというふうに、文部省を挙げて進めてきたものを、大臣が就任なさったらすぐ改善しなければならぬというふうにお述べになったその真意はどこにおありなのかどうか、その点だけをちょっと……。
  113. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 長年国立大学協会で検討してまいりましたし、私も入試問題の自民党の委員長もしておりましたから、やっぱり入試問題はぜひ解決したいというのが私の願いなんで、いま子供たちが試験地獄に悩まされておりますから、これを解決したい。そこで、今度の第一次の共通テストの結果を見てみますと、おおむね妥当であるというので、大変ないい評価を得ておりますから、これは問題ない。ただ、二次テストについてはいろいろまだ問題がございますし、今後二次テストの結果を見て改善いたしたいと思っております。
  114. 吉浦忠治

    吉浦委員 教育問題で数多くお尋ねをいたしたいと思いましたが、時間になりましたので、これで終わらせていただきますけれども、東京湾横断道路の点で建設大臣にお尋ねをしたいと思っていたわけでございます。それから、子供の自殺が大変多いということで、総理府からの通達もございますし、大変結構な通達が出ておりますので、この実現のためにぜひ御配慮願いたいということで質問を考えていたわけでございますけれども、時間になってしまいましたので、分科会等に譲りまして、終わらせていただきたいと思います。
  115. 竹下登

    竹下委員長 これにて吉浦君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時五分休憩      ────◇─────     午後二時一分開議
  116. 竹下登

    竹下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮田早苗君。
  117. 宮田早苗

    宮田委員 まず最初に、中越の問題について若干質問をさせていただきます。外務省の方、お見えですね。  今回の中国ベトナム侵攻は、飛行機、戦車、長距離砲などを用いているだけでなしに、その兵力の規模並びに広範な地域にわたる侵攻状況からいいましても、本格的な侵攻ではないか、こう思います。しかし、われわれの理解では、その侵攻は一応の節度を持った限定的なものになるであろうと考えられるわけですが、政府もそのような理解を持っているようですけれども、その点、まずどのような分析をなさっておりますか、明らかにしていただきます。
  118. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 けさほど外務大臣も御説明いたしましたように、中越の国境の情勢は、昨年の早いころからいろいろ若干のごたごたがあったわけでございまして、中越関係はよろしくなかったわけですけれども、特に昨年の末以来、国境付近における小規模の事件が発生しておりまして、この場合、中国中国なりに相手が侵犯した、ベトナム側中国側が侵犯したというような意見の違いがありながら、小規模衝突が繰り返され、その後、特に本年の一月中旬ごろから兵力の増強が見られる、特に、中国側中越国境に兵力を増派しているという情報があったことは御承知のとおりでございます。そのような背景のもとに緊張が高まっていたわけでございますけれども、一昨日、十七日の未明に中国軍がかなり広い範囲において侵攻を開始したということが伝えられたわけでございます。  侵攻開始後今日までの軍事情勢につきましては、軍事情勢の性格もあろうかと思いますけれども、必ずしも正確な情報は得られておりませんけれども、現在、私ども各方面から聞いて承知している限りにおきましては、中国側は国境から十キロとかその程度の侵攻を行い、きのうの夕方あたりからは一時侵攻を停止しているらしいという報道が入っております。  他方、ベトナム側の方は、カンボジアの方に兵力を送っているということもありましょうか、それほどの部隊を国境には出すに至っておりませんで、むしろハノイ周辺に二個師団程度が配備されている、そのさらに前方は、どちらかというと武装民兵というような形で配備されていると伝えられておりまして、今日までのところでは、大規模な両方の正規軍の正面衝突というところまでは至ってないのではないか、このように見ております。  そこで、今後の状況がなおいわゆる限定的な、きわめて限られた、かつ一時的なものでうまく平和的な収拾に向かうのか否かというところが、御指摘のとおり最大の問題点でございます。中国側は、新華社を通じての声明等によりましては、あくまで国境における紛争について必要な対応をするのであって、限定的であり、かつ一時的であり、また、いつでも平和的な話し合いに応ずる、領土は寸土たりとも求めるのではない、かねがね申しておりましたところの限定戦争という感じを非常に強く出しているようでございます。ベトナム側はこれに対して、これは中国の明らかな、かつ相当広い規模の侵略であるということで、世界にこれを訴えるという状況になっておりますので、現在の時点で限定的なものに終わるという、どちらかというと中国の思惑と見えるようなふうに収拾されていくのか、必ずしもその思惑どおりにいかずに、さらにこれが長期化するのか、ちょっと見きわめにくいというのが私どものとりあえずの判断でございます。
  119. 宮田早苗

    宮田委員 今回の中国侵攻は、単に中国ベトナムの争いにとどまらない、中国侵攻がさらに継続、激化する場合には、中ソの衝突にまで発展する可能性を秘めておるだけに、事態がきわめて重大でございます。中ソ、ベトナムそれぞれに国交を持っておりますわが国といたしましては、これ以上戦火を拡大せずに、平和的解決の方向を目指すために、可能な限り外交的な努力を尽くす必要があろうかと思います。  わが国としては、こうした事態の中で、中国ベトナムソ連の各国に対しまして具体的にどのような要請をする方針か、当面の日本としての外交努力の具体策をお持ちでございましたならば、説明をお願いいたします。
  120. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 御指摘のとおり、この情勢がいつまでも続き、さらに悪化することが、東南アジアアジア、さらに世界の平和に重要な脅威である、日本にとっても重要な脅威になる問題であるという認識はもとよりでございまして、そのための外交努力というものは、いままでもいろいろ行ってきたわけでございます。特に、先ほど申しましたように、中国軍の集結が非常に大であるという段階におきましては、高いレベルの外交ルートで中国あるいはベトナムに対しての申し入れを行ったほかに、鄧小平副総理が来られましたときには、大平総理からじきじきの自重方要請をされたわけでございます。  それにもかかわらず、今般こういう事態が起こったことは大変遺憾でございますけれども、一昨日の夜の事件の発生後、事態を詳細検討いたしまして、昨日の午前、外務大臣談話を発表するのと前後いたしまして、在中国と在ベトナムの大使に対して、できる限り高いレベルで、かつできる限り早く、わが方の自重方要請、平和的解決を求めるわが方の希望を強く申し入れる、話の発展によりましては、軍隊の撤退とか話し合いによる平和解決ということも申し入れるということを指示した次第でございまして、現在はその訓令の執行の結果を待っている状況でございます。  ソ連につきましては、たまたま本日朝、在京ソ連大使が総理大臣及び外務大臣と会見されることがありましたので、両大臣からわが方の同じ希望を強く求めまして、アジアの平和と安定を念頭に置いて、ソ連も慎重に行動してほしいという趣旨の申し入れを行った次第でございます。
  121. 宮田早苗

    宮田委員 われわれは、ソ連中国との間に直接軍事行動を起こすおそれ、可能性といいますか、いまいろいろ説明をされましたように、やはり少ないんじゃないかとは思いますが、しかし、それだけにソ連ベトナムとの条約履行を世界に示さなければならない事態に追い込まれておるのじゃないか、こう思うのです。
  122. 竹下登

    竹下委員長 宮田君、ちょっと発言を停止してください。     ─────────────
  123. 竹下登

    竹下委員長 この際、議事の途中でございますが、カール・カールステンス・ドイツ連邦議会議長御一行が本委員会の傍聴にお見えになりました。御紹介いたします。     〔拍手〕     ─────────────
  124. 竹下登

    竹下委員長 宮田君、発言を続けてください。
  125. 宮田早苗

    宮田委員 続けます。  ソビエトはベトナムとの条約履行を世界に示さなければならない事態に追い込まれているのじゃないか、こう思うのです。すでにソ連は同条約を守ることを宣言をしておるということ、そうして中国を牽制をしておるように聞いておるわけですが、わが国としては、ソ連がこの紛争に全面的に介入する事態を回避するためにあらゆる努力を尽くさなければならぬと思います。この点について、まずどのような措置を当面とられておられますか、それも明らかにしていただきます。
  126. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 昨日夜伝えられましたソ連政府声明、これはタス通信が発表したものでございますけれども、これはただいま御指摘がありましたように、かなり強い言葉で中国を非難し、ベトナムを支援することを述べ、かつソ越友好協力条約の義務を果たすであろうという表現もあるわけでございます。また、モスコーにおきましては、グロムイコ外相とベトナムの大使が会見されたという報道もございますが、これがソ越条約自体に基づく協議であったのかどうかという点は、目下のところ不明でございます。  いずれにしても、ソ連はこれまでの立場から、ベトナムに対する支援の姿勢を強く示しておりますけれども、私どもの現在の分析では、ソ連自身はきわめて慎重な態度をとる、きょう、大平総理それから園田外務大臣に対するソ連大使の言明でも、ソ連はあらゆる戦争反対である、平和的なことを望んでいるのだということをつけ加えていたようでございます。先ほど申しましたように、たまたまの機会でございましたが、きょう総理大臣外務大臣から在京ソ連大使にわが方の関心、ソ連への自重方要望というものを伝達いたしましたので、これは非常に高いレベルの時宜を得た申し入れということで、当面はこの措置をとったということでございます。  今後の状況については、必要に応じてさらに必要な措置を考える必要があろうかと思いますし、また日本だけでございませんで、これは世界の多くの国が関心を持っている事項であり、ソ連と諸国との間のいろいろな接触も行われているやに思われますので、その辺のところの各国との連携を密にするという必要も他方にあるかと考えております。
  127. 宮田早苗

    宮田委員 もう一つお伺いします。  当事者でございます中国ベトナムが国連の場で動いておるように聞いておるわけですが、わが国といたしまして、国連の場において何らかの行動を起こす考えはないかどうか、この点お聞きします。
  128. 賀陽治憲

    ○賀陽政府委員 ただいま国連におきましては、カンボジアのポル・ポト政権側の代表から、カンボジア問題の安保理再審議の要請が出ております。それから、ベトナム外務大臣から、本件について安保理が適当な措置をとるようにとの要請が出ておりまして、二つ要請が出ておりますので、この状態を踏まえまして、安保理の議長が現在、安保理を開催するかどうかということを打診中でございますが、御高承のように、この両問題ともソ連中国という安保理の常任理事国の重要メンバーが関与しておりますので、その動向も見きわめませんと実りある審議ができないということは事実でございますので、私どもの得ております情報では、今夜の、日本時間の夜の十二時ぐらいから安保理議長が再び主要国と相談をして、開催にこぎつけ得るかどうかということを相談中ということでございます。  わが方といたしましては、国連代表部を通じまして、これらの諸国と緊密に連絡をとって、動静をしばらく見守って、できることはいろいろな貢献をしてまいりたい、かように考えておる状況でございます。
  129. 宮田早苗

    宮田委員 中越問題はひとまずこれでおくとしまして、最後に要望しておきますが、アジアの重要な一員であるわが国として、この問題に対処する考え方というものが、ASEAN諸国を初め相当関心を持たれておるのではないかと思いますので、平和外交ということを中心にした措置、この点を特に要望いたしまして、一応この問題は終わらせていただきます。  以下、私は雇用問題について、きょうは三時半ごろまでと思いますが質問をいたします。いま日本国民が直面しております最も重要な課題でございますのは雇用問題、したがいまして、これにしぼって質問いたします。  さて、政府は経済企画庁を中心にしまして新経済社会計画、いわゆる七カ年計画の策定に当たっているわけでありますが、これまでに示されました基本構想を拝見しますと、いろいろな問題点がございます。「ゆとりと生きがいのある社会を求めて」という副題がついておるわけであります。これこそ国民勤労大衆が求めてやまない、政治が国民に指標を示す義務とも言えるフレーズでございます。  基本構想の文言をとらえて批判するのにはちょっと問題があるかもしれませんが、産業構造、就業構造の変化の必要性や趨勢を描きながら、百三十万人、率にして二・一%という失業の現状をどう打開していくのかという政策手法となりますと、やはり欠落しておる部分が多数あるわけでございます。  具体的な提案等はおいおいするといたしまして、基本構想にあります昭和六十年度の完全失業率一・七%以下、この以下というのが問題なんですが、極端に言って政策目標としては明らかに後退した姿勢だと言わざるを得ないわけであります。  現在の経済計画、五十年代前期経済計画の目標値一・三%を五十五年度に達成することは、ただいま現在の経済動向からしてむずかしいであろうとは思いますけれども、私ども民社党は雇用、中でも中高年層の働きたいという願望を満たす意味からも、中期経済計画を独自に作成をして、六十年の失業率を一・三%に抑えるべきだと提言をしておるわけであります。いろいろな制約条件のある中での政策立案におのずと限界のあることは理解できるわけでありますが、失業率一・七%とした、政策目標として後退せざるを得なかったのはなぜかということ、まず経済企画庁長官からお伺いをいたします。
  130. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 一・七%程度あるいはその以下をねらっているわけでございますが、くだくだしいことを申し上げるよりも、昭和六十年における労働力人口が大体五千八百三十万人というふうに考えておりまして、これは昭和四十八年から五十年、五十一年くらいまでは五千三百万人程度でございますが、これがだんだんとふえまして、五十四年度の目標見通しでは五千六百二十万人、それが六十年には五千八百三十万人程度とわれわれは推計いたしております。  それで、その間の就業者数でございますが、六十年においては五千七百三十万人程度を就業者としてわれわれは社会に維持したいということでございまして、その差が大体百万人程度、これをなるべく圧縮したいという努力をいたしますが、こういうような見通しを立てておるわけでございます。もちろん、この完全失業率を下げるということは、社会の安定のためにも絶対必要なことでございますが、そのためには何といたしましても経済成長を相当高目に持っていかなければならぬ。しかし、現状のわれわれの推測だと、経済成長率を六%以上七%程度まで持ち上げることは、いわゆるエネルギーの面から見ましても全く不可能な数値になると予測されます。  そうしたことで、われわれのこの計画においては、六%弱の成長で、しかも大体民社党でおっしゃっていらっしゃる程度の、いわゆる有効求人倍率が一倍程度というところを、われわれとしましても、不満足であっても、いうところの完全雇用と申しましょうか、そのあたりを踏まえたわけでございまして、もちろん現状の百三十万人程度からさらに三十万人を減らしていくという努力を続けながら一・七%前後というところをねらってまいっておるわけでございます。     ─────────────
  131. 竹下登

    竹下委員長 宮田君しばらくお待ちください。  議事の途中でございますが、ただいまドイツ連邦議会議員団御一行が御退席応なります。     〔拍手〕     ─────────────
  132. 竹下登

  133. 宮田早苗

    宮田委員 経済企画庁の作業に労働省の意見が織り込み済みであることは当然でございますが、昨年十一月中旬に労働省の一・三%を断念をして一・七%前後の数字が新聞紙上に出ていたわけであります。これは前の藤井労働大臣時代のことでございまして、年を越して三月期決算の予測も出ているのでございますが、いわゆる一部の構造不況業種を除けば、減収とはいえ、減量経営方針の効果とも言える増益基調となってきたわけでございます。  栗原新大臣、こうした数字を見て、六十年までにはまだ六年間もあるわけでございますが、失業率の数字は国民に失望を与えない意味からも修正の余地があるのじゃないかと思いますが、この点のお考えはどうですか。
  134. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 失業率を修正をする余地がないのかと言われるのでございますが、失業率を低くできるように、そういう政策努力はこれからも続けなければならぬと思いますが、ただ、ただいま経済企画庁長官が申し上げましたとおり、私どもでは一・七%というのは、いわゆる完全雇用という観点からすると、まあまあじゃないかという考え方を持っておるのです。  と申し上げますのは、何が完全雇用かというのは一概に定義しにくいわけでございます。相対的に申し上げまして、労働の需要と供給とが総量として均衡をしておる、需要不足に基づくところの失業者が大体解消する、そういうのを完全雇用状態と見ていいのじゃないか。  そういう観点からいたしますと、宮田さんも御案内のとおり、新規の労働力が非常にふえている、その中で女子労働、特に家庭の主婦を中心とした労働力がふえておる、そのわりに就業率がふえていない。新規の労働力がふえているわりあいに就業がふえていない。それから、一たん家庭の主婦等がリタイアいたしまして、企業の方からリタイアいたしましても、労働市場としてはリタイアしない。絶えず復職を願っておる、そういう事情もございます。また、若年の労働者の方々が求人過剰にはなっておるのでありますけれども、なかなか選好度が強くなりまして、若い人たちの失業が比較的多い。こういうこともございますし、構造不況業種からの方の離職もあるというので、言うなれば失業というものが顕在化しておる、そういう状態でございますので、一・七%、それから求人倍率が大体一倍というところは完全雇用じゃないかということで、ただいまのところ経済企画庁の案に同調しておるわけでございます。
  135. 宮田早苗

    宮田委員 長官の御答弁、大臣の御答弁を聞いておりますと、現在、種々の問題、特に数字というものを操作をして、その延長線上でこういうふうになりますということに聞こえるわけでございますが、日本人の英知を結集して、六十年にはこういう姿に持っていくという夢というものがちょりと少ないのじゃないかと思うのです。要は雇用の場をいかに開発していくか、あるいは拡大していくか、社会保障といかにうまく調和をさせていくか、ここらを議論していかなくてはならないと思いますが、その前段として、現在の失業の実態を正確に分析しておく必要がさらにあると思うのです。この失業者の実態を的確に把握することによって、これからの労働行政を再スタートさせなければならぬ。  こういう観点から伺いますのは、労働省は現在の百三十万人という統計にあらわれている完全失業者をどう分析されておりますか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  136. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 細かい数字は政府委員から御答弁させたいと思いますが、大体失業者の中で一番大きな問題になりますのは、中高年齢者をどうするか、それから特定の地域、特定な業種、これをどうするかという問題だろうと思います。そのために、中高年齢者等につきましては、私どもは、今度御審議をいただいておりますように、十万人の雇用創出ということをやっておるわけでございます。  詳細につきましては、政府委員からお答えをさせます。
  137. 細野正

    ○細野政府委員 失業者の状況につきましては、先生も御案内のように、労働力調査の特別調査で毎年三月にかなり詳しい分析がございまして、その中身を私ども相当詳しく勉強させていただいておるわけでございます。  概括して申し上げますと、いま労働大臣からお答え申しましたように、全般的には若年の人の失業というのが思ったよりかなり多いという特徴がございます。しかし、一方におきまして中高年齢者の失業の状態も、高度成長期に比べれば悪くなっているということも、これまた否定のできない事実でございます。それから、失業率等をとってみますと、意外と世帯主の失業率が低くて、配偶者以外の家族の失業率が高いとか、あるいは単身世帯の失業率が高いとか、どちらかといいますと生活をしょってない人のところの失業率が高いというような、先ほど労働大臣から、若い人の選好度問題等のお話がございましたけれども、それとも絡むような事実も出ているわけでございます。  それから、失業の期間別に見ましても、一年以上失業しているという人の数は意外に少なくて、特に四十五歳以上をとってみますと、五十三年三月で、全体百四十一万の失業者の中で、四十五歳以上で一年以上失業しているという人は七万というふうな数字でございまして、そういう意味で、この数字自体は確かにふえているのでございますけれども、百四十一万に比べるとかなりウェートの低い、したがいまして相当数の人というものは、やはり長い間滞留しているのではなくて、この百四十一万というのはかなり交代されてこの数が積み上がりているということでございまして、そういうことをいろいろ勘案しますと、やはり中高年齢者に重点を置き、かつ不況地域に重点を置いた対策が必要なのじゃなかろうかというふうな考え方で、対策等についても私ども配慮をしているという状況でございます。
  138. 宮田早苗

    宮田委員 端的にお伺いいたしますけれども、本当に職を求めております人は、大体どの程度おると思いますか。
  139. 細野正

    ○細野政府委員 先ほど申しましたように、年齢から見る角度あるいは収入の有無別の角度あるいは期間の角度、いろいろな点から見る角度がございますが、たとえば、さっき申しましたように、一年以上失業しておられる方で四十五歳以上の方が七万人であるというふうな数字なんかは、私どもが対策上非常に緊急を要する対象と考えるべきじゃなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  140. 宮田早苗

    宮田委員 私が失業者の実態をお尋ねいたしましたのは、現実の問題として、定年退職後、本当は働く意思がないのに雇用保険を受給する、これは当然再就職の意思がありとしなければなりませんけれども、この受給しておる人、それから四十歳前後で解雇されて退職金ももらえない、そして離職してその翌日から生計に事欠く失業者もおる。あるいはまた雇用保険のある間は、言葉は悪いですけれども、のんびり暮らして、保険給付の切れる段階で本格的な求職活動をする、こういう人、千差万別であるという予測をしたからでございます。政治がどの層に光を当てるべきなのかは言うまでもございません。  そこで私は考えるわけですが、雇用条件とか選択の余地を残した定年延長問題は後ほど触れるといたしましても、五十五歳前の失業者については、雇用保険給付期間中は、技術を習得する義務、それに対応した制度もあるでしょうから、義務を課する。さらにはそのための体制整備も必要なのですけれども、のんべんだらりと雇用保険を受給するというのはどんなものかということなんです。西ドイツあたりの失業保険というのはそのような発想に立っておるわけですが、いま求められている生きがい論からしても、社会保障の面と区分けした失業対策を考えなければならないのではないか、こう思うのですが、その点労働大臣どうお考えですか。
  141. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 宮田さんの御意見は貴重な御意見だと承ります。
  142. 宮田早苗

    宮田委員 貴重な意見というふうに評価をしていただいたわけですけれども、そういうことであるならば実行に踏み切っていただきたいと特に思うわけでございます。  さらに質問いたしますのは、雇用の拡大あるいは創出を考えるに当たっては、過去とか現在の政策が雇用の面でどう機能したのか、しているのかを考察してみる必要があるのじゃないか、こう思うのです。民間設備投資の落ち込み、個人消費の沈滞を背景に景気回復策を公共投資に求めてきたわけですけれども、さてこの大型の公共投資が雇用の面にどう波及効果をもたらしておるのか、各省庁にひとつお伺いをするわけであります。労働省や総理府の各種統計を見れば建設労働者の推移等ございますけれども、各省が雇用の問題とどれだけ真剣に取り組んでいるかを知る上からもぜひひとつお聞かせ願いたいと思うのです。まず建設省からお伺いしたいと思います。
  143. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 お答えいたします。  先般も大蔵省の方から御答弁のありましたように、去年の四月から十二月までの間に建設就業者数は二十四万人ふえております。その中には民間の分もございますが、先生御承知のように、公共投資と民間投資の伸び率は、公共投資の方がいまはるかに高いわけでございます。したがいまして、この相当部分が公共投資による伸びだとわれわれは判断いたしております。この場合、去年申し上げましたのは、公共投資で十七万人の増がある、そのうち建設省が担当しておる仕事によりましてふえる部分が五万人、このように申し上げたわけでございますが、いまの数字から判断いたしますと、おおむね当初の目的を達しておるとわれわれは判断している次第でございます。
  144. 宮田早苗

    宮田委員 運輸省、どうですか。
  145. 中村四郎

    中村(四)政府委員 運輸省関係の公共事業等によりますものは港湾、海岸、空港、国鉄等でございます。これらにつきまして実態調査等による数値等を使いまして直接的な需要を想定してみますと、五十四年度見込みで十九万一千人が需要量として見込まれるわけでありまして、五十三年度実績見込みの想定に対しまして約四千人弱の増加になるという予想をいたしております。
  146. 宮田早苗

    宮田委員 農林水産省、どうですか。
  147. 松本作衛

    松本(作)政府委員 農林省関係の公共事業によりまして考えられます就業者の総延べ実数の増加は、五十三年度に比べまして五十四年度は四百九十七万人目でございまして、これを一応人数の換算にいたしますと、二年間続けてでございますが、約一万八千人程度の増加になっておるというふうに考えております。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 なお、農林水産業関係の公共事業費は、用地の補償費等に比べまして労働者の雇用の割合が比較的高くなっておりますので、それなりに雇用効果は持っておるというふうに考えております。
  148. 宮田早苗

    宮田委員 もう一つ続けてお伺いをしますのは、これは民間部門のことでございますが、通産省に関係をしております、実は、電力産業です。昨年は膨大な前倒しの設備投資が行われたわけでありますが、この効果についてはどうなっておるのですか。
  149. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは相当な効果を発揮するわけでありまして、発電所の建設は土木、建築工事に大変な労働力を要します。それから機械設備の発注に伴いまして受注企業、そのまた下請を含む関連企業、こういったところにおいてかなり雇用効果が期待されるというふうに私どもは見ておりまして、五十四年度におきましても、いま御指摘の五十三年度前倒しと同じような協力を実は仰いで、何とか景気を持続させたいというふうに考えております。そこで、発電所の建設のピーク時の現場作業人員について言うならば、最近の例をとりますると、百万キロワット級の原子力発電所の場合、約二千八百人程度ということになっております。もし詳しい数字が必要であれば事務局からまた御答弁させます。
  150. 宮田早苗

    宮田委員 個々に伺ってみますと、公共投資に対する数については案外というふうにも聞こえるわけでございますけれども、質の問題については後ほどお伺いするといたしまして、やはりいろいろ問題のあるところと私は推測をしておるところでございます。特に地方自治体の方が失業者の救済により工夫をしておるのじゃないかというふうに私どもは見受けるわけでございます。たとえば北九州市のことを言ってもどうかと思いますけれども、行政、雇用主、労働団体で構成いたします雇用問題連絡委員会が中心になって、公共事業部門で失業者を吸収すべく目標を掲げてがんばっておるところであります。これによりますと、五十三年度は十二月までに延べ十万人の雇用の実績を上げておるわけでありまして、国の行政も、私は二、三の官庁しか取り上げませんでしたけれども、投資を成長寄与率だけで見るのではなくて、雇用の拡大ということに視点を置くようにしていただきたいものだ、こう思うわけでございますが、この点について、労働大臣、どういうお考えを持っておられるのですか。
  151. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 雇用の増大ということを大きな目標としていろいろの政策をやっていただくということは当然のことでございまして、各省庁につきましても私ども密接な連絡をとりまして、いろいろお願いをして、五十四年度は皆さん相当一生懸命やっていただいておるというふうに認識しております。  なお、いまの御指摘の中で地方自治体を中心とする雇用創出の話がございましたけれども、これは大変結構なことでございまして、私ども、地方におきまして具体的にどういったことをやるか、どうしたら雇用創出ができるか、それについて工夫をさらに尽くしていただきたい、そういうものについてはわれわれとしてもできるだけの御支援を申し上げたい、こういう気持ちでございます。
  152. 宮田早苗

    宮田委員 各省庁の方々に特に希望しておきますのは、公共投資に対しましては、予算と金融面については案外掌握しやすいわけですけれども、雇用という問題については案外に労働省任せ、こういう傾向もなきにしもあらずじゃないかと思いますので、この点については、これから特に雇用問題が重要視されるわけでございますから、ひとつよく吟味をしていただいて掌握されるように希望を申し上げる次第であります。  さて、先日の当委員会で、大蔵省の答弁でございますが、公共事業に伴います五十四年度の雇用需要増は二十万人という答弁がございました。これとて建設土木会社やプラント会社等の常用雇用者としての増加じゃない、こう思います。こう言い切っていいんじゃないかと思うのです。工事量が増加すれば現業員が増加をする、いわば無技能者ですね、無技能者の雇用機会が短期間に増加する、こういうことじゃないかと思うわけなんです。これも大変重要な分野ですけれども、ここ数年のような公共投資の伸びはいつまでも続けられるわけではないわけですから、やはりより安定的な雇用の場を創出しなければならないわけでございまして、私ども民社党は、同盟を中心とする労働団体とともに、特に中高年齢者の雇用確保という見地から、政、労、使及び学識経験者の積極的な協力によって、地域における雇用機会の増大に通ずる事業の創造等、その企業化、それに雇用された中高年労働者への賃金補助など、新たな発想に基づく雇用創出機構を設けることを提案しているわけでございまして、すでに本会議あるいは当委員会でも若干取り上げられたわけですが、労働大臣は、参考になるので検討しながら趣旨を生かしたい、こういう御答弁でございました。新設する雇用問題政策会議で事足れりとしておられるようですけれども、これは二月初めの時点での話でございます。その後、同盟等でかなり具体的な詰めをしてまいっておるのでございますが、大臣、あのときと今日のお考え、変わっておいでになるのじゃないかと思いますが、その点どうですか。
  153. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私がたびたび申し上げておりますとおり、雇用創出ということは、労働省だけでできるものじゃない、政府全体として取り組まなくてはならない、政府だけでもいけない、関係各方面の衆知を集めて雇用創出をしなくてはならない。そういう意味におきまして、同盟が提案されました雇用創出機構、その趣旨につきましては全く同感であります。ただ、具体的にどういうことをするのか、またそれをどういう仕組みでやるのかということになりますと、まだまだ同盟さん自体も詰めていくという段階のように聞いておりますし、私どもも、そういう意味合いにおきまして、いま鋭意趣旨を生かすためにはどうしたらいいかということで検討をしております。ただ、前前から申し上げますとおり、そういう趣旨にのっとりまして、われわれは雇用問題政策会議というものを総理大臣を中心としてやっていこう、屋上屋を重ねるようなかっこうのことは、これはやはり慎まなければならぬじゃないかというのが私どもの基本的な考え方でございます。
  154. 宮田早苗

    宮田委員 お役所としては、何をやるための機構か、あるいはどういう効果が期待できるのか、これが明確にならなければ改革の一歩を踏み出せない、そのように受け取れる、私はそう思うのですが、どのような分野があるであろうかを実際問題考えるところからスタートしなければならぬのじゃないかと思います。確実に訪れます高齢化社会に、そうしないと対応できないわけです。中高年層対策を民間企業に任せ切りでいいのか。働きたい人あるいはまた働ける人に雇用の場を確保して、これに公的補助を与えていく、これが創出機構のねらいということなんです。鶏が先か卵が先かの議論をしている場合ではもはやないのではないかと思っておりますが、もう一度大臣、この考え方について……。
  155. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 御趣旨はよくわかるのです。ただ私どもといたしましても、いままでいろいろの機構といいますか、審議会とか委員会があるのですね、地方にも中央にも。それからわれわれの役所側でもいろいろのことをやっておりますけれども、もう一回、同盟さんで検討していただくと同時に、われわれの方もそういう既存の制度、機構について洗い直しをする、そういうことも必要じゃないかということでいま検討をしておる最中でございます。
  156. 宮田早苗

    宮田委員 それでは、政府が提案しておられます雇用問題政策会議の予算を見てまいりますと、わずかに三百万円です。この予算でどのような運営をされるのか、いうところの十万人の雇用創出の具体的手法というものがこの中で出されるものかどうかということについて、もう一度お伺いいたします。
  157. 細野正

    ○細野政府委員 先生御指摘のように雇用創出の問題は非常に重要な問題でございますが、私ども、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、政策会議だけでやろうという趣旨ではございませんで、たとえば私どもの方でもいろいろな、今後の職種的に伸びていくものはどういうところで、そういうところの労働条件とか就業の実態がどうなっているか、そういうふうなことを研究するためにいろいろな調査の予算、それからそのための学者の先生方にお願いしている委員会等々もございまして、それから御存じの中高年齢者の雇用を具体的に進めるための開発給付金というような制度を大幅に拡充するというような、そういういろいろなやり方を総合いたしまして、先ほど来お話しのような中高年齢者の雇用の促進、雇用の拡大というものに対処してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  158. 宮田早苗

    宮田委員 ちょっと違った角度から質問を進めさせていただきますが、労働大臣、地方の雇用問題の窓口は職業安定所、そうですね。この安定所が地方の実情に最も明るいはずなんです。安定所が雇用の場の発掘だとかあっせんにどの程度機能しておると思いますか、この点ひとつお伺いをいたします。
  159. 細野正

    ○細野政府委員 現在の雇用、失業情勢を打開するためには、求人を確保するということが非常に重要なことでございますので、そこで各安定所とも非常にいろいろな工夫をいたしまして、たとえば人数におのずから限度がございますから、シラミつぶしに各事業所を歩くというわけにはまいりませんので、たとえば業界の団体等から人をとりそうなところについての情報を集めるとか、あるいははがきによりまして求人の予定のある事業所をまず確かめておいてから、そこへたとえば安定所の幹部職員が集中的に出向いていって直接お願いするとか、いろいろな工夫をこらして特別な求人開拓をやっているわけでございます。そのほか求人開拓班というようなものを設けまして、いま申し上げましたような重点的な業種あるいは個別企業等につきまして、その専門の開拓班が他の部下の救援も得ながら、直接的に求人を確保するというふうなやり方でかなり成果を上げておりまして、幸いにいま求人がやや全体的に増加の傾向に入ってきておりますので、そのことと相まちまして、いま申し上げましたような特別の求人開拓活動の成果が徐々に上がりつつあるというふうに私ども考えているわけでございます。
  160. 宮田早苗

    宮田委員 私どもとともに政策課題と取り組んでおります、御存じと思いますが、政策推進労組会議というのがございます。この会議が先般離職者の追跡調査をいたしました。大臣も目を通されたと思いますが、労働行政のあり方、問題点を指摘したところが随所に見られるわけであります。その一つに、再就職に当たって職安を通してというのが実に少ないのです。会社や労働組合のあっせんとか、同僚、知人のあっせん、紹介というのが大半でございまして、職安窓口でじっと求人の申し込みを待っていても来ないわけでございまして、そんな時代になっているのに対応できないわけです。求人倍率は低いにもかかわらず、新聞の広告欄には求人広告がはんらんしておるわけでございまして、雇用保険業務という、金融機関の窓口化という実態を改める方策はないものかどうか。この機構の再編を含めて、お考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  161. 細野正

    ○細野政府委員 ただいま御指摘がございました政策推進労組会議の調査につきましては、これは調査の担当者自身もおっしゃっておりますように、大企業の離職者にやや偏っている面がございます。したがいまして、一般的に出てきております求人と労働条件的な面でなかなかかみ合わないというような側面もございまして、あれで一般的に推しはかるのはちょっと問題があります。しかし、あそこで指摘されております点はいろいろ私どもも参考になるわけでございまして、一方、私どもの安定所がよりょく活用されまして、その効果が上がるためにいろいろな形で安定所のあり方についての調査研究をやり、その結果いいと思うものは実行に移すということで、現在、再編整備のためのいろいろな活動をやっているわけでございますが、先ほどのいろいろな労使からの御指摘等につきましても、取り入れられるものは極力取り入れてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  162. 宮田早苗

    宮田委員 私どもが提唱しております創出機構は中央だけじゃないのです。地方にも組織をつくるようにしておるわけですが、新しいものもさることながら、既存の企業についての雇用拡大に関する情報を収集しなければならぬということ。現在機能していない職安のような仕事だってあるわけでございますから、この機構に関連をしてもう一つ例を挙げて申し上げますが、私どもの選挙区の北九州市で、若手経営者が共同出資をしてアスレチックという会社を昨年設立をしてオープンしたのです。従業員は市内の五十五歳定年者でございます。ところが、野外の事業でございますから、天候とか季節に左右されまして採算がなかなかとりにくい。そこで、屋内の温水プールや体力を養ういろいろな施設ということになるのでございますけれども、問題は資金がないわけです。大都会であれば採算がとれる事業でも地方都市ではとれないという、このアスレチックなどその例でございますけれども、その場合、地方自治体とタイアップして市民のための施設づくりをする、こういったアイデアというのはいろいろあるんじゃないか、こう思うのです。一つ一つの雇用量は少なくても、これからの雇用政策というのはそれらを積み上げていかなければ、高度成長期のようなぐあいにはまいらぬのじゃないか。その点、重ねて大臣の所見をお伺いいたします。
  163. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 おっしゃるとおり、大きくは経済成長というような問題から、細かくといいますか具体的な問題ですね、そういうものを掘り下げて積み重ねていくという努力が必要だと思います。私が先ほど申しましたとおり、そういう努力に対しましてはわれわれとしてできるだけの御協力をする、そういう姿勢でいきたい、こう考えております。
  164. 宮田早苗

    宮田委員 雇用創出の努力をする一方で考えなければなりませんのは、もはや時代の要請となりつつございます定年延長の問題であります。各種のこの統計材料もあるわけですけれども、ここでは取り上げるつもりはございません。六十歳定年実施の企業が増加していない、こういう状態にいまあると思う。企業内の過剰労働力を新規採用を抑えることで辛うじて強制的な人員整理を避けておると思います。この減量経営方式をとらざるを得ない業種、企業がまだまだあるわけでございまして、私はこの雇用調整を一概に否定する立場はとりませんけれども、何度も申し上げておりますように、中長期的に高齢者社会の対応は、新しい職場を創造することも大切ではございますが、少なくとも六十歳までは働ける雇用延長制度に踏み切る時代に来ていると思うわけでございまして、民社党も労働者の年齢のみを理由とした、使用者が採用とか解雇、職業紹介、訓練等で差別的に取り扱うことは禁止する、年齢による雇用差別禁止法というようなものを考えておるわけでございます。また、二、三日前のことでございますが、関西の民間労組と財界で構成しております関西産業労使会議がこのほど六十歳定年延長を決議しておりますが、これは労働組合が延長後の賃金とか退職金について弾力的に対応したことや、政府の定年延長奨励金が経営側に評価された結果だと思うわけであります。経営の内容、年齢構成、従業員の男女比率等々個々の企業の条件はまちまちですので、実施については個別企業の労使問題としてとらえるべきですけれども、民間労使間の合意の芽、これを大事にする意味からも、これを誘導する政府の責任、これはますます重くなったと思うわけでございますが、この点、労働省だけでなしに、通産大臣の方にも関係がおありと思いますが、どちらからでもよろしゅうございますが、お考えがありましたら御答弁願いたいと思います。
  165. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 定年延長といいますか、これは私どもたびたび申し上げてきたとおり、六十歳をめどに定年を延長する、そしてそれが年金の方に結びつく、そういうことが好ましい、そのための努力をいままでもしておるわけでございます。ただ、御指摘のとおり、これはいわゆる年功序列の賃金慣行というものがある、そこら辺が一つのネックでございますけれども、しかし、世の中は好むと好まざるにかかわらず高年齢社会を迎えるわけでございます。ただ単に労働政策というよりも、国民の生きがいの問題として高年齢者の問題を考えなければならない。そういう観点から、それこそ政府といたしましても、また労使の方々におきましても、その社会的な責任を考えていただきまして、何とかスムーズに定年が延長されるように努力していきたいと考えておりますが、きょう通産大臣に御同席いただきまして経済四団体とも話をいたしまして、私どももこの点を強調したわけでございます。私どもの受けた感じでは、経済団体におきましてもいま申し上げましたいろいろの賃金慣行等、そこら辺が問題であるということを指摘をしておりますけれども、早晩そういう方向へいかざるを得ないのではないか、そういう点についてはわれわれと同じ考え方であります。ただ、おっしゃるとおり企業別あるいは業種別にそれぞれ事情がございますので、これらの問題については労使でさらに話を詰めていくという方向のように見えますが、幸い関西方面では、労働者の方々と使用者の方々とが定年延長についてある一定の合意ができたようでございまして、むしろこういう例をこれからの行政指導で全国的に広げていきたいというのが私どもの考え方でございます。
  166. 宮田早苗

    宮田委員 今日は時間の関係もございますので、自治省、人事院側の出席を依頼しておりませんが、民間の五十五歳から六十歳への定年延長を進めるに当たって考えておかなければならない重要な問題がございますのは、国家、地方公務員の定年や待遇条件との絡みでございます。ひとしく労働者の生活向上のために民間と切り離すべきではないかもしれませんが、民間の苦しい状況のもとでの、しかも労働条件低下をも受け入れている労働組合の立場からいたしますならば、行政機構改革の中でいつも指摘されております公務員の定年制、給与体系、高級官僚の公社公団天下りといいますか、こういう問題等々を早急に是正しなければ民間労使が納得しないのじゃないか、こう思いますが、この点、労働大臣、どのようなお考えをお持ちですか。
  167. 細野正

    ○細野政府委員 国家公務員の定年の問題は、私ども労働省の直接の所管ではございませんが、いま御指摘のように、民間との絡みで非常に関心を持っているところでございます。ただ、たとえば国家公務員に例をとりますと、現在高齢者の在籍者の割合が一〇%近いというような状況でございまして、そういう意味では私ども高年齢者の雇用率を、民間については六%まで高めたいということで、いろいろ施策をやっておるわけでございますが、逆のその問題が一つございまして、そういう意味で民間の場合と公務員の場合とは定年制の持つ意味なり機能というものが、ややといいますか、大分違う機能があるというところにつきましても、ひとつ御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
  168. 宮田早苗

    宮田委員 雇用市場として、また今後の産業就業構造の議論の中で、第三次産業のウエートがますます高まる傾向にございます。新七カ年計画基本構想でもこのテーマが取り上げられているわけでございますが、将来の第三次産業の姿となりますと、漠たる印象を免れ得ないのです。何より現状分析ができているのだろうかという疑問もあります。各省庁にまたがっている第三次産業政策の整合性が図られているだろうかという疑問もまたあるわけであります。  一例を挙げますと、外食産業が花盛りでありますが、食品加工、調理の衛生問題は厚生省、それから各種統計は労働省、統計は総理府も入っておりますね。流通サービス業ということで通産省が絡むわけです。あるいは食肉の輸入となれば農林水産省なんです。このように多岐にわたっておるわけですが、ところがここで働く労働者の労働条件がどうなっているのか、物価面での問題点はないのかということ、労働省は賃金や労働時間等で問題があれば労基法で対処しますということになるわけでありますが、経企庁は物価管掌をやっております、こういうことのお答えになると思います。が、数字合わせの専門家ということでなしに、経企庁が七カ年計画に第三次産業論を織り込むには相当の勉強が必要だと思うのですよ。実体経済にお詳しい経企庁の長官、この点どういうお考えをお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
  169. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ようやくわれわれも、これからの雇用問題を考えるときに、いわゆる第三次産業部門というものについて、それが行政的にはいろいろ多岐に分かれておりますけれども、実際そこに働いている方々を対象に考え、またその能率向上を考えていくということが日本の経済にとっては非常に重要であるし、一方社会の安定にも役に立つというようなことで、先般来、所掌がどこの省にあろうが、いわゆる中小企業であり、かつ零細企業であり、また第三次産業と考えられる部門等々について調査を少し始めたところでございます。したがいまして、はっきり申し上げますと、これは非常に未熟な調査でございます。とても委員の御了解をいただくほど詰めた調査でございませんが、われわれいまそれを手がかりにいたしまして、これから七カ年後の日本の雇用を少なくとも一・七%以下の失業率に食いとめるということのためには、もうここら辺から本格的に第三次産業に対する総合的、総括的な調査をやり、またそれをそれぞれの部局を通じて行政として発動していくという方向をとらなければならないというふうに考えております。そうした考え方で第三次産業対策を進めてまいる所存でございますので、もうしばらくお時間を賜りたいと思っております。
  170. 宮田早苗

    宮田委員 経企庁長官と通産大臣、何か御用事があるようですが、もう一問、両大臣に御質問いたします。  いまの御答弁に関係があるわけでございますが、第三次産業を重視する余り、第二次産業、特に製造工業の果たす役割りが軽視される、こういうことになるのじゃないかという懸念もまたあるわけでありまして、今日をつくりました最大の原動力は御存じの第二次産業、そこに働いておる方方、経営も含めてでございますが、鉄鋼業等の減量経営について簡単に批判する意見が一部にございますけれども、現役の労働組合幹部だって定年延長を放棄しているわけじゃないのです。やはり今日の基礎を築いた先輩たちの労苦に十分思いをいたしながら、現状の雇用をどう守るか、強制解雇の事態を招きたくない、こういう心情から、そういうふうに思っておるわけでございます。相当に変化をする産業構造の中で、一次産業、二次産業がおろそかにされないように、もちろん通産大臣に対しましては、エネルギー問題が非常に大きな問題になっておりますので、自然二次産業に対しましても相当大きな影響があるのじゃないかとは思いますものの、この二次産業を余り軽視――軽視されると言うのではありませんけれども、そういう関係について、両大臣の所見をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  171. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 わが国の鉄鋼業は非常に大きな役割りを果たしております。それは粗鋼生産能力で一億四千万トン体制を重ね重ねの合理化で一億トン体制にし、五十三年度は約一億五百万トンですか、五十四年度はもうちょっと伸びるであろう、こう言われておりますね。しかもその粗鋼は世界に冠たるといいますか、世界一の良質のものをつくり出される。この石油ショック後の苦しい場面でよくぞそこまで合理化と体質改善をされたものだ、私は深く敬意を払っております。そのことはひいては、政府が財政事情がきわめて悪いにもかかわらず何とかして景気を持続させ、特にこの鉄の使用量というものを何とかしてつなぎたいということで、徐々に徐々にその効果があらわれてきておるということだと思うのです。したがって、これはやはり国の基幹産業として今後とも十分大切にしなければならぬ企業であることは言うまでもありませんし、また、中国を初め諸外国に対するプラントの輸出等々においても非常に旺盛な実績を示して、国策の線に協力しておってもらいますね、これなども称揚してしかるべきことだと思います。一方、平電炉メーカーが思うような伸びを示しませんが、これも過去の累積赤字を取り崩すというところまではまいりませんが、御承知のようにだんだん明るい方向が出ておる、これなどについても、公共事業中心に景気浮揚を図ってきた一つの効果、これなどはやはり鉄鋼業全般に対して政府としても深く意を用い、こういう産業がふるうことによって経済全体の好況感をもたらそうということで積極的に力を入れておるわけであることは御理解いただけると思います。
  172. 宮田早苗

    宮田委員 経企庁長官にもう一つお伺いいたしますのは、いろいろ多岐にわたった状態の中で、何とか整合するとかあるいは連携を密にするとかいうことで、省をつくるというのはどうかと思いますけれども、経済企画庁の中に局でも新設をして、その局がそういう問題について掌握する、そして掌握すると同時に雇用問題について正確にそれを分析してその上で雇用創出を考える、こういうようなお考えはないですか。
  173. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 委員の第三次産業としての日本の雇用情勢の改革ということについてあるいは増強についての御熱意は私も非常に理解できます。しかし、いま経済企画庁の内部にそうした局のようなものを置くということは、逆に現在の行政機構から見ると屋上屋になると私は思いますし、また労働省も、近年栗原労働大臣を中心に、そういった面について非常に活力のある活動を開始していただいておりますので、われわれは、省を離れまして政府全体としてこの第三次産業に対する対策を決め、それぞれの部局を通じて、現行の部局を通じて実施していくのが一番効率的ではないかというふうに考えるわけでございます。  それからもう一つは、先ほどちょっと申し忘れましたが、第三次産業こそが私は民間活力が最も明らかに活動できる部面ではないかと思います。それは結局、われわれがいいデータを国民に提供する、あるいはまた、民社党の計画もございますから、委員の方にもお知らせをするということで、要するに、第三次産業に関連したことは挙げてできるだけ民間活力を大きく伸ばすことの中で、実際的な効果を期待したいというふうに私は現在考えておりますので、それについてもまた、局その他をつくるということはむしろマイナスではなかろうかというふうに現在考えております。
  174. 宮田早苗

    宮田委員 経企庁の長官、結構でございます。  文部大臣、大変遅くなりましたが、きょうお見えいただきましたのは、雇用の中で若年層対策もまた将来の日本ということから考えれば大変重要な問題と思うわけでありまして、そのために大臣の御出席をお願いしたわけでございます。  ちょっと古い統計でございますが、石油ショック以後の高校生の就職先を見ますと、やはり、製造業部門が落ち込み、第三次産業部門が伸びるという経済の実勢を反映しておるわけでございます。ちなみに、工業高校を出て技能工、生産工程作業者という分類に四十八年が十万人おりましたところが、五十一年には七万五千人に減少しておるわけです。何もこの分野だけが工業高校卒業生の就職先ではありませんけれども、自分の就職したい場所に行けなくなっていることは確かだ、こう思うのです。職業教育も時代の変化とともに学科構成等に工夫はしておられましょうけれども、急激な構造変化をしている産業界の実態を見ますときに、職業教育のあり方、この点について検討しなくてはならぬと思いますが、大臣はその点どういうお考えをお持ちか、お聞きいたします。
  175. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 いま御質問の点でございますが、非常に職業高校が変わりまして、終戦直後は圧倒的に職業高校が多かったのですよ。ところが、大学進学の方が激しくなってから、昭和四十年の統計を見ますと、普通高校が六〇%、それから職業高校が四〇%ですね。それから、五十二年の統計を見ますと、これがさらに、普通高校が六五、職業高校が三五と、こう職業高校が落ちたのですよ。しかも、都会地は圧倒的に普通高校が多くなっている。私は、職業高校が大変気の毒だと思って、これを何とかしなくてはならぬというので、実はこのたび教育課程の改正を行ったわけであります。そこで、基礎的、基本的なものに内容を精選して、そうして実験、実習等体験的、経験的な教科を十分できるように、地域や学校の実情に合うように弾力的にこれをやったのが今度の改正でございますので、やはりできるだけ地域の実情に合うように中身の改善をしたらいいと思います。そこで、普通高校と職業高校の課程をどうするか、あるいは職業高校の中でいまおっしゃるように第三次産業に入れるか工業にするかというようなことは、これは地域や学校あるいは景気の変動等を考慮しながら都道府県教育委員会で決めることにいたしておりますので、御趣旨の点に沿うように努力いたします。
  176. 宮田早苗

    宮田委員 労働大臣、最近は特に高卒者の採用について採用即労働力、戦力ということにはなかなかなり得ないのです。どうしてもそれに適した職業訓練といいますか、その点を企業自体が学校にかわって十分に配慮しなければ、まあ言い方は悪いけれども、けがをするとかあるいはまた使えないとか、こういうことになるわけでございまして、その教育費自体も非常に大きいわけでございます。教育費のことについては申し上げませんけれども。この就職再教育、その教育も十日、二十日程度の教育じゃないわけでございますから、短くて一ヵ月あるいは半年というような状態がございますにつきまして、労働省としてこの学校教育についてどういうお考えをお持ちかということをまずお聞かせ願いたいと思います。
  177. 石井甲二

    ○石井政府委員 お答えいたします。  いわゆる学校卒業生の職業訓練といいますか、企業に採用された実績といいますか、これをたどってまいりますと、従来は中学卒がほとんど大部分でございました。現在は高校卒が圧倒的に多くなったという実態でございます。  労働省としましては、職業訓練におきましては企業内の養成訓練につきまして補助をいたしております。先生御存じのように、日本における企業の職業訓練の体制というものが二つに分かれておりまして、一つは、大企業におきましてはいわゆる終身雇用、年功序列型という慣行がございまして、それが同時に企業独自の養成をする体系が裏返しにございます。それからもう一つは、中小企業でありますが、これはかなり流動をいたしておりますけれども、大企業と違った体系を持っております。労働省としましては、特に中小企業の行う養成訓練につきまして、その費用の補助をいたしております。国が三分の一、都道府県が三分の一、つまり三分の一、三分の一の補助をいたしておるわけでございます。さらに、高校生が養成訓練が終わった後のいわばレベルアップ訓練といいますか、あるいは再訓練といいますか、向上訓練と一般に言われておりますが、これにつきましても、同じように成人訓練ということで運営費の補助を行っている、こういう状態でございます。
  178. 宮田早苗

    宮田委員 せっかく学校で技術を身につけておりましても、ときどきの経済情勢で働く場所がないということ、まことに不幸な学生もいるわけでございますが、製造業分野で若年労働力の吸収力は、飛躍的に解決するということはもはやあり得ないのじゃないか、こう思うのです。  そこで注目したいのが、発展途上国等に対しまする製造業の技術援助協力要員として、国なりがさらに高度の教育をし、企業の場をかりながらでもよろしいですが養成をする、このような方法を考えたらどうかと思いますが、その点、労働大臣、どうですか。
  179. 石井甲二

    ○石井政府委員 お答えいたします。  特に発展途上国に対する技術援助につきましては、労働省が職業訓練を通じましてかなり長い歴史を持ってこれを続けております。  その方法といたしましては、一つはJICAといいますか、国際協力事業団を通じての協力がございます。これは特にアジア地域あるいは南米等におきまして、アフリカもそうでありますが、職業訓練センターをつくる場合に、その企画あるいは具体的な人員の派遣、そういうものをやっておるのが一つのケースでございます。  もう一つは、民間のルートを通じての協力がございまして、これは特にASEAN地域が多いわけでありますけれども、日本が進出している企業に対しまして、そこに働く労働者が中心でございますが、現地の企業の労働者を日本に呼びましてこれを教育をいたしまして、それでまた現地に帰って働いていただく、こういう一つの民間ルートのシステムもございます。そういう意味で、先生御指摘のようにその民間教育を通じての場合におきましては各事業場にお願いをいたしまして、事業場でそこの養成機関を通じまして訓練をしていただく、こういうことが一つございます。  それからもう一つは、製造業主体でございますが、特に外国にそういうセンターが設置された場合の指導員等につきましては、場合によっては、相当ケースがございますが、事業場に現に働いている方々を一定の期間派遣していただくというようなことを現実にやっているということでございます。
  180. 宮田早苗

    宮田委員 これからの方向として対外的な協力関係、具体的には通産省あたりが中心に考えております。プラント輸出、同時に技術という問題がそれに絡んでまいるわけでございますが、文部大臣、この問題について文部省として何か、角度は違うかもしれませんが、考えておいでになることはあるのですか。
  181. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 いまお話しの点は大変大事なことであるし、文部省としてもいろいろな面で積極的に協力をしたいと思っております。
  182. 宮田早苗

    宮田委員 最後に労働大臣、ひとつ決断を持って答弁をしていただきたいということですが、一時間半程度の質問の中でまだまだという感はございますけれども、例の雇用創出機構の問題についてもう一遍大臣の確たる御答弁をいただきたいということなのです。  今日のわが国がございます非常に大きな原動力というのは、やはり日本の雇用形態ということ、これは世界各国が十分認識しておると思います。さらにもう少し言いますならば、労働組合の組織の実態、御存じのようにアメリカとは違うのですから、ヨーロッパとは違うのですから、もう少し端的に言いますならば、企業内組合といいますか、これが非常に大きな貢献をしたわけでございまして、世界が目をみはるほどの今日をなしてまいりました。しかし、これから新しい方向を見つけるためにもまた、今日をつくりましたところの働く人々、勤労者に求めるところが大じゃないか。その人々が御存じのように非常に不安におののいておるといいますか、不安に駆られておるわけでございますから、この不安を除去して、働く意欲持っております人が思い切って働かれる、またその人々が持っております技術をフルに使うことができる、そういう意味からいたしますと、この際、思い切って私どもが提唱しております機構をつくって、雇用創出というものをいまやっておかないと、取り返しのつかないということになりそうな気もするわけでございますから、こういう問題について、最後ですけれども、ひとつ労働大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  183. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 たびたび申し上げますとおり、私どもは、労働省だけでできるものじゃない、政府一体とならなければいかぬ、政府だけでできるものではない、民間の方々のお知恵をかりなければいけない、そういうことにおきましては、同盟の御趣旨と全く同感なんです。私はとらわれてないのです。よく検討をして、その中で機構をつくるだけではない、それがフルに動かなければならない。動くためには詰めておかなければならない。いま詰めの段階でございまして、そういう意味合いで、屋上屋を重ねるような機構についてはこれはやるべきでない。むしろその点についてはしっかり考えていかなければならぬ。熱意におきましては人後に落ちないつもりです。こだわっておりません。いいものは取り入れていきたい、こう考えておりますが、いまの段階ではそういう心境であることを御了知いただきたいと思います。
  184. 宮田早苗

    宮田委員 最後に要望を申しますが、労働大臣おっしゃいましたように、労働組合側は政府にこの問題についてはより以上に協力をしようという姿勢を持っておるということ、それから民社党といたしましても、この問題については政府に全面的な御支援を申し上げるということでございますから、その点は十分に踏まえて前向きに検討していただきますようにお願いをしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  185. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 これにて宮田君の質疑は終了いたしました。  次に、安宅常彦君。
  186. 安宅常彦

    ○安宅委員 二月八日、法務省の入国管理局の不祥事件について私は質問したんですが、いろいろ調べれば調べるほどおかしいことがたくさんあるので、きょうは時間が、そのためにというつもりじゃなかったものですから、若干の点で確認だけはしておきたいということについて申し上げます。したがって確認ですから、イエスかノーか、まあそういう言葉がいいかどうかは別として、そのとおりですとか違いますとか、そういう答弁をしていただきたいと思います。  旅券の発行について不正を防止するためのチェック機構というのは実はないんです、こういう答弁が外務省から出たんですね。しかも在外公館で発行する場合など、三人ぐらいしか、たとえば韓国大使館では現地採用の女性の人と、それから外務省から行っているパスポートつまり旅券の係と、査証、ビザを出す法務省から行っている一等書記官と三人しかいないんだそうですね。ですからその現地採用の人が受け付けてしまえば、書類さえ整っておればそのままになってしまうというのが現実だとはっきり言っているんです。そのままこれを見過ごすわけにはいかないんですね。いま国際的な犯罪なんというのは非常に問題がある、こういうときですから、何らかのチェック機構というものを法務省と外務省が協議してつくる意思があるかどうか。これはあると思うんです。いろんなことをいままでの経験の中でやらなければならないと思うんです。法務省ではせっかく、何か誘惑が多い職場だからということまで書いた通達を出しておるのですから、特に必要じゃないでしょうか。法務大臣外務大臣、そういう協議をしながらやるということについて、やりますということをはっきり言いますか。
  187. 園田直

    園田国務大臣 御発言の趣旨も踏まえて、必要な場合にはよく相談をしてやります。
  188. 古井喜實

    ○古井国務大臣 いま外務大臣がお答えをされましたけれども、同じ考えでありまして、なかなかいろんなことがあるようだし、よく研究して、必要ならば考えることは考えるということにしたいと思っております。
  189. 安宅常彦

    ○安宅委員 法務大臣、めんどうくさいことは大概にしてくれやという話ですから省略しますけれども、私の質問の中で、以前にソウルの日本大使館で現地採用の職員をしておった人の中で日本に渡ったメンバーのことについて質問しています。その中で一番おかしいのは、詳細不明だというのが一人あるんですね。これは李丙允というんですか、こういう者は全然どこへ行ったかわからないというんですね。これは外務省の資料によってですけれども、こんなことがあっていいでしょうかね。何かいろいろ在日居留民団本部の――あれは本部と限らないんですが、何か顧問をしているとか、いろんなうわさが私らの情報に入ってくるんですけれども、こういうものについて不詳で済まされないと思いますが、済ましても構わないと思っておられるかどうか。
  190. 塚本政雄

    ○塚本政府委員 お答え申し上げます。  鋭意韓国大使館その他を通じまして調査いたしたのでございますが、年齢、性別それから一九七四年八月まで大使館に勤務していたという事実はつかみましたけれども、その後の経緯についてはわかりません。
  191. 安宅常彦

    ○安宅委員 それはわかっているさ、あなたの方で使ったんだもの。だから、日本に来たんですよ。そこははっきりあなたの記録に載っているんですよ。後どうなったかわからないという手はないでしょうと言っているのです。ただそれを、事情を何だかんだ聞くんじゃなくて、そのままにしていいんですかと言ったら、よろしゅうございますとはさすがに言えないでしょう。そのままにしておけるものじゃございません、調査を法務省はやりますということを言うのが当然じゃないでしょうか。そういう答弁してくださいとさっき断ってある。
  192. 小杉照夫

    ○小杉政府委員 お答え申し上げます。  私どもの方で外人登録を通じまして……
  193. 安宅常彦

    ○安宅委員 ちょっと待ってください。そのままにしておけないということだけ言ってもらえばいいとさっきから言っていますから、どうかひとつ。
  194. 小杉照夫

    ○小杉政府委員 それでは私の御答弁は必要ないということでございますか。
  195. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう反論されては困るのですよ。じゃ言ってください、どんなことだか。
  196. 小杉照夫

    ○小杉政府委員 それでは申し上げます。  私どもの調査によりますると、一九七四年九月一日、在日、要するに民団の大阪本部に就職のために入国いたしておりまして、現在も在留中でございます。現在は民団大阪本部の民生関係の嘱託兼民団大阪府高槻支部事務部長の職におられるようでございます。
  197. 安宅常彦

    ○安宅委員 資料要求したときに、つまびらかでない、わからないと言ったのはどういう意味ですか。その後調査したのですか。
  198. 小杉照夫

    ○小杉政府委員 お説のとおりでございます。
  199. 安宅常彦

    ○安宅委員 資料で要求したときにはただわからない、わからないで押し通して、正式に委員会で要求してからあわてて調査するという態度だけは今後法務大臣、やめさしてください。
  200. 古井喜實

    ○古井国務大臣 はい。ごもっとも千万です。
  201. 安宅常彦

    ○安宅委員 それから徐晶珍という、この間の質問の中で出た女性のことですけれども、このことで外務省で出した資料と法務省で出した資料と、入国目的が皆違うんですね。初めはこれもつまびらかでない部分があったのです。今度つまびらかでない部分ややなくなってきたんですけれども、外務省で出したのは、全部皆観光査証ですね。たった一回だけ商用、つまり商業だ、それで来たんだということになっていますが、法務省では、勉学のため一回、これは私要求していませんでしたから言いますが、まあ言うならば――詰問しませんが、言うならば勉学で一回、研修で一回、また勉学で来て、それから家族訪問で来て、それから観光ビザで一回来て、それで商用で一回来ているんですね。それから、いわゆるこの間あなたの方で処分をされた方との関係で勉学でまた入ってきた、こうなっているんです。その人と仲よくなったときから入ってきたみたいにいままで徹底的に私に報告していましたが、違うんですよ。しかも目的が皆違う。法務省と外務省、違う。こんな調査は後で統一して出していただけるように要請をしておきます。  この人がつまり何回も何回も別な目的で入ってくるんですね、その都度。しかもこの間言ったように、ほとんど定期的にというか、原則少し違うところがありますけれども、正月は大体ソウルへ帰っている。夏休みも帰っている。あとは日本にいる。こういうやり方で、何かある組織あるいは国家機関あるいは会社などに勤めている人の出入国の状況ですよね。それがまるっきり違った目的で入ってきている。こういうことに私非常に疑問を持っています、過去十七、八年の間往来しているのですから。それで不思議さを聞くために、どうでしょう、小杉さんですか、前に私、当時昭和四十年代くらいの韓国政府の方針としては、外貨事情の逼迫の関係もあって、日本に行く場合には、日本の側で招待をするとか生活費、滞在費などは持ってくれるとか、こういうものでなければドル関係でなかなか出さない、一般の人には。こういう状態だったんじゃないですかと質問したら、この人は金持ちの娘さんです、こういう意味の答弁ですよ。すりかえられちゃったんです、私、耳少し聞こえないところもありまして。金を韓国の中で持っているかどうかは別なんですよ。国として外貨が減るのを非常に極端にきらってそういう制度をつくったのですから、それと答弁とは関係ないんですね。だからこういうことについてあなたの方でぜひ反省してもらいたい。  それから、この徐晶珍という人は名前まで変えて先ほどのような入国を繰り返しているわけで、これはどうしても私おかしい、このことだけはこのたびもはっきり言っておきたいと思っております。  それから、続いて今度は具体的に質問に入りますが、最後の段階で前の駐韓大使の金山さんが身元保証人になっています。ところが、この事件が発見される少し前に帰っておるのですね。もう一人の女性の場合には強制送還になっているのですが、この人はどうしてならなかったのですかと言ったら、正常に帰ったような話をしておりました。そうじゃないですね。法務省の別な人は、私に、これは逃げてしまったんですね、先生。うっかりして逃がしてしまったなと言っているのですね。それで調べようがなかったと言うのです、どうも気がついたらしくて。それで申し上げるのですけれども、金山さんが身元引受人というのはここで非常に重要な意味を持ってくるのです。金山さんが言っていることで私どうしても腑に落ちないのは、この人を知らないと言うのですよ。知らないけれども、大都君から身元引受人くらいやってくれと言われたからやったんだ、こう言っています。これはそのとおりですね。そして続き柄の欄に上司と書いてありますね。研究院に上司なんてことありません。しかも金山さん自身がおっしゃっているように、自分が使うんじゃないんだ、これは東京韓国研究院の崔書勉が使うのを私は頼まれただけであって、関係ないんだと、こう言っているのです。入国目的が違う、保証人の書き方も違う、ここが一つ問題です。  それから一、二回しか来ないので崔書勉も怒っておった、こう言っていますね。保証人が、ああそうか、どこへ行ったかわからないのか。一般の人だったらそれでもいいでしょう。しかし、駐韓大使をやったくらいの人ですから、出入国の関係はよくわかっているわけですから、法律も。こればおかしいぞというので、外務省なり法務省に直ちに連絡する立場にあるのが金山さんではないでしょうか。いま私が言ったことについて違う点があったら違うとおっしゃってください、違わなかったらそのとおりだと言ってください。
  202. 塚本政雄

    ○塚本政府委員 お答え申し上げます。  そのとおりであります。しかし、私の方で調べました点を念のために御説明申し上げます。金山元大使が理事として協力しておりました韓国研究院、これは先生御案内のとおり崔書勉という方が院長でございますが、その院に十六万冊の蔵書がありまして、そこの図書費を必要としておりました。そこで、同研究院には、先般来問題になっておりました大都元一等書記官がときどき顔を出して、上司である金山大使に、ぜひ身元保証人になってほしい、こういう要請がございましたので、金山大使といたしましては面識はなかったけれども、せっかくのそういう話でございましたので、身元保証人になって同人が来たということになっております。
  203. 安宅常彦

    ○安宅委員 後の方は私知っているのです。それからさらに、知らない金山さんが、逃げるときと言ったら語弊があるかもしらぬけれども、この人が帰るときに旅券なくしておったんですね。なくした旅券がどういうふうに使われるか、これは一つ問題です。それから、なくした後再発行するための保証人にまたなっているのですね。これは韓国政府が出す旅券でしょうか、日本が出す旅券でしょうかは別として、どっちにしても知らないとがんばった人がそういうことまでやっているというのはますますおかしいと思いませんか、大臣どうです。
  204. 園田直

    園田国務大臣 私の聞いたところによりますと、金山君に問い合わせたところ、その経緯が説明があって、今後は十分慎重に注意をしますと反省しているようですが、その当時は知人の館長から頼まれてやった、こういうことでございます。
  205. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうもおかしいですね。外務省の最高の地位まで行った人がそういうことではいけないと思います。このことについては後で、ただ注意をしておいただけでは済まないという意味のことをこの前言ったはずですから、その措置等について大臣から後で伺っておきたいと思います。  次に、国税庁長官、私の質問の中でありますが、三千万円以上の小切手並びに現金を持って金浦空港でつかまった、これは脱税や何かいろいろな問題があるのではないかという意味で私質問したつもりですが、それだけではなくて、韓国政府から一九七六年、一九七七年、去年はどうなっているかまだちょっと私調べておりませんが、相当の金が入っているわけですね。一九七六年が四万五千ドル、それから七七年が三十万ドルこの研究院に補助が来ている。この意味で言うならば相当の使途不明金があるというので国税庁は調査をして、その処置をしたはずであります。その処置の内容について簡単に報告してもらいたい。
  206. 磯邊律男

    磯邊政府委員 いま安宅先生御指摘のように、韓国の政府の方から補助金といいますか、そういった資金が流れてきて、それが最終的には図書センターの方に入ったわけでありますけれども、それにつきましては、そういったもろもろの情報を総合いたしまして所轄の税務署の方で調査をいたしまして、それを課税に反映させたわけであります。  それからいま御指摘の四千万円の使途不明金の問題でありますけれども、これもその調査の段階で私どもとしましてはいろいろと使途等を追及したわけでありますが、最終的に当該法人の方から使途不明金として申告において自己否認をいたしました。そしてそれを経費性を自分で否認をいたしまして所得に算入した、そういうことで課税処理は終わっております。
  207. 安宅常彦

    ○安宅委員 悪く言いますと、悪いことをして金を返したからいいじゃないか、税金を少し払っておけばいいじゃないかという、ただそれだけの話。ある警察の相当の幹部の人が、こういう脱税事件というのは国税庁が握っている間はなかなかそういうことについて私ら手が出ないのです、だから、悪いことをしたら返せばいいんだろう、こういう寸法でしょう。返せばいいんだろう、返せば、こういうのと同じことじゃないでしょうかね。こういう悪いことをしている人をなぜ、法務省あたりで強制退去なりそういうものをやるべきじゃないかと思うのですが、どうですか大臣。脱税の分、金払ったからいいじゃないか、そんなことは違う。
  208. 古井喜實

    ○古井国務大臣 置いておけない、在留を認めることのできないいろいろな事由が法令にも書いてあるようですし、それに該当するという場合は、おっしゃるとおりでありますから、該当しているならば、もう退去を命ずるしかないわけであります。そう思います。
  209. 安宅常彦

    ○安宅委員 もう一つ確認がございまして、これは金大中氏の事件ですが、官房長官、きょう総理がおられないので忙しいところをおいで願ったわけです。  私、ちょっとあのときにも時間が足りなくなって演説みたいになってしまったのですけれども、大平総理が、疑いはないわけではない、国家主権を侵されたことについて、広く深く疑惑がある、こう申されたのですね。きょう資料を配ってあるはずです。これはあのときも言いましたが、「金大中事件真相」という本、この中で、百五十五ページから「「殺すな」と米CIAが指示した」という表題がありまして、後藤田官房副長官だとかいろいろな人の日記やら口述があるのですが、重要なのは当時の法務大臣です。田中伊三次先生ですね。きょうは時間がありませんからあと読んでもらって、重要なところだけ言いますけれども、「こんなことは国家の機関がバックになかったら絶対にできない。これは捜査の掌を知るものなら誰でもわかる。これはもう韓国のKCIAだ。」こう断言しているんですね。「これにはね、大変な大国がこの情報のキャッチには関係がある。そこここの国じゃない、世界一の大国ね。その国の情報が八日の夕方には入っておったから、私のいうことには自信があるわね。」こういうことを言っているのですね。百五十九ページの下段の方の前の方をちょっと見てくださいよ。「金大中氏の身体は戻って来るものとの見通しをたてたからだ。私は間違うておったが、こんなへっぴり腰の政府とは思うておらなんだから、当時、私は。」こう言い切っているんですね。「閣僚会議ストップ、それから経済援助ストップ、主権の回復をしてくれるまでは事実上の国交は断絶、こうこなけりゃあ。私が外務大臣なら解決しとるよ」、こう言いっているのですね。事件当時の現職の法務大臣が事件後取材に応じてこういう話をしているということは重要だと思いませんか。法務大臣どうですか。
  210. 古井喜實

    ○古井国務大臣 資料を拝見するとずいぶんはっきり言っておられるようでありますが、当時の関係の方でもあるし、その上に学識豊かな方ですから、言っておられることをどうこうと言うわけにはいかぬと、それは思います。ただし、それと問題の処理とは別問題だと思いますけれども、あれは、非常にあの本による限りは大変はっきりしたことを言っておられると思います。
  211. 安宅常彦

    ○安宅委員 法務大臣が、金大中事件の解決はどうも疑義がある、政治家としての見方はそうなんだと最後まで貫かれておるよりも、もっとこの人ははっきりしたことを言っています。えらいと思いますよ。それでは外務大臣と官房長官に聞いてもらいたいのですが、おれが外務大臣だったら解決しておるよ、こう言っておるのですね、へっぴり腰だと思わなかったとまで、自分が法務大臣という政府の閣員の一員だったはずなのに。そこまで言われたら、現在の外務大臣、本人からよく事情を聞いてみなければならないと思うのが私は本当じゃないかなと思うし、広く深く疑惑があるんだと言う大平さんは、この一事だけでも、そのほかに指紋があるんですから、指紋のことは警察庁から聞きますけれども、はっきりしなければならないのじゃないかということを頭に置いておいてください。あと警察の質問が終わったらあわせて答弁を願いたいと思います。  警察庁長官、おいでになっておりますか。あの議事録、あのころからずっとこんなにありますね。私、全部見ました。その中に、ちぐはぐなところがあるのですね。江崎国家公安委員長だったでしょうか、そのころ一時期は。KCIAなんていうのを全部調べまして、そしてきちっと解決しなければなりませんと一生懸命同じ委員会で大臣が答弁している。その中で現在の長官が、東京におけるKCIAの組織はわかりません、そういうものは警察はタッチしておりません。まるで、片一方では大臣が徹底的に調査してやるというのに、あなたがわかりませんで一発木で鼻をくくったような答弁をしているのですね。そういう部分がうんと出てくるのですよ。  それはきょうは言わないことにして、前の高橋警察庁長官が高野山で五十一年八月、近畿警察友の会主催の夏季教養講座でいろいろなことを話しておられます。これは議事録を見れば明らかなことであります。この問題で言うならば、私はどうしても納得いかないことがたくさんあるのです。河上民雄委員の質問に答えているのですけれども、こういうことを言っているのですね。これは三井さんなんです。それはおかしいじゃないかという質問です。高橋さんの発言は全くの寝言だと言うのかという質問ですよ。非常におとなしい人ですが、きつい質問をしたものだと私は思っています。その中で、機関紙に載っていることは「内容が大変おかしいので取るに足らないということで、私たちはこれを無視いたしました。」これが第一点なんです。前の警察庁長官が話したことを、内容がおかしいから無視したなどということは、何か前の長官を年寄りかもうろくじじいみたいな扱いにしているようにしか私らには思えない。これは重要なことではないかと思うのです。それから、高橋さんに聞いてみたら「言った覚えがない、こうおっしゃいました。」というのですね。それで速記が残っているじゃないかと言ったら、大変意外だ、この内容は別として、その事実を思い出されて、「あのときに講演をしたけれども、あれは記録に残さないというようなことであったし、」これが一番目。二番目は、「また印刷するというようなことについて別に了解も求められなかったし、」三番目、「自分としては、ああいう形で出ておるということは大変心外である、」こういういきさつでございますというのですね。これは捜査をやる側に立ったら、こんな答弁でああそうですかとあなた方は言わないでしょう。言いわけにすぎないということになるのじゃないでしょうか。それから何か「警察の功績といいますか警察の努力を大いに称揚する意味でややオーバーなことを言ったのではなかろうか、自分ではそう思う、こういうような話でございました。」こんな逃げ口上、まさか日商岩井の海部さんじゃあるまいし、捜査当局が長官でない別な人に尋問したときにこんなことでああそうですかと言うわけにいかないでしょう。だから、私たちが見ますと、あの内容は幾つも事実と違うところがございます。これは捜査当局の独断じゃないかと思います。「したがって、私たちとしては、現職を離れた方の一私人として、」すぐこれを言うのですね。金炯旭も一私人として、もうやめた人だから、前のアメリカの韓国部長も、それはいまやめてから言っているのでございますから、どんな場合でもそれで逃げるのですが、こういうことはおかしいのではないでしょうか。推測して言われたのだと思うとか、こういうことは非常にまずいんじゃないかと思うんです。あなた方、それで済むと考えておられるのでしょうか。捜査当局としては「金大中が入ってきた、これは危ないと思ったことはございません。したがって、警察庁の長官が思うはずはない」。三段論法ですよ、長官ともあろう者が思うはずがないと言うのは。はずがないと言ったって、人の心の中はわからないでしょう。それで「長官が金東雲一等書記官を知っておるはずがないと私たちは思っておりましたが、御本人に確かめましたところ、金東雲は全く面識がない、知らない、こういうことでございます。」面識があったか知らないかは別として、こういうことを国会で述べて、そして警察当局、少なくとも警察庁長官が堂々と講演したことの内容について批判を加えられたときの答弁として通用するとお思いでしょうか。長いこと要りません。通用すると思うか思わないか。
  212. 澁谷直藏

    ○澁谷国務大臣 この件は何回り御指摘があったことでございますが、私からお答えをいたします。  高橋元長官のその御指摘の点は本人に確かめたわけでございますが、本人は長官をやめて私人になった、そういう気安さもあって、それから自分の憶測も加えてそういう話をした、確実な証拠に基づいて発言したのではない、こう言っておられるわけでございまして、私どももそのように考えておるわけであります。
  213. 安宅常彦

    ○安宅委員 警察庁長官、そういういまの言いわけみたいなことで答弁、その答弁通ると思っているかという私の質問ですが、いかがでしょう。
  214. 澁谷直藏

    ○澁谷国務大臣 私どもの考え方は、ただいま申し上げたとおりでございます。
  215. 安宅常彦

    ○安宅委員 長官に私質問しています。
  216. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣からお話がありましたとおり、高橋さんのお気持ちはそういうことであった、そのようにわれわれは了解をいたしております。
  217. 安宅常彦

    ○安宅委員 気持ちはそうだったけれども、そのとおり、国会で指摘されたとおりのことは言ったことは言ったのですな、講習会で。
  218. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 高橋さんに伺ったところ、詳しくはっきりは覚えていないけれども、まあ金大中事件についていろいろと苦労している警察の立場というものを、長官時代に感じた点を述べた、こういうふうにおっしゃっております。
  219. 安宅常彦

    ○安宅委員 非常に微妙な答弁です。これは田中伊三次さんが、八日のうちに某大国の方から金大中の処置についての情報が入ってきた。はっきり後のぺ-ジにも書いてありますとおり、アメリカのCIAからKCIAに対する指示だとはっきり言っています。だから警察庁はそのことは当然、田中さんがそうおっしゃっているのですから、日本政府のどのセクションに入ってきたかは別として、外務省を含めて、そういうことを知っておったはずだと私は思います。このことについていかがか。いままでずっと議事録を読んだ。いろいろな方が質問しているけれども、のらりくらりどうにもならない。したがって、前の高橋警察庁長官田中さんを証人として喚問していただくようにお願いしたい。これは非常に重要なことですから、国家主権の問題に関係することですから、喚問という言葉は非常に何か罪を犯したみたいな形の人になりますから、そういうのではなくて、お呼びしていただきたい。ぜひ委員長の方で理事会に諮るなり適当な措置をしていただくようにお願いいたします。いかがでしょう。
  220. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 後ほど理事会で協議します。
  221. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。  以上で、この問題を終わります。  ああ、そうだ。労働大臣に質問するのを忘れていましたが、先ほど出入国管理の問題で、旅券がでたらめに発行されたりして、ビザをもらうときにもいろいろな便宜が計らわれたりして、韓国からたくさんの人々が日本でいろいろな仕事をしています。その中には、これは東南アジアあたりにも相当おるのですけれども、いかがわしい御商売をやったり、それからキャバレーやバーや、そういうところで非常に、中には暴力団が介入して、契約金からちょっとサボったらほとんど罰金として取られてしまうような過酷な労働条件で、そして監視つきのそういう仕事までさせられているという、今度は権力の側ではない別な側の、庶民の側の立場というのでしょうかね、こういう実態が日本の中にたくさんあるのです。労働省はそれをつかんでいるのでしょうか。もしこういう監視労働、強制労働、ピンはねと言うのでしょうか。賃金のピンはね、そういうものがあったとするならばゆゆしいことで、日本の信用にかかわることだと思いますが、労働大臣は、あってはならないことだというふうにあなたはお答え願えると私は確信しておりますが、いかがでしょう。
  222. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 御指摘のように外国の女性を使用いたしまして、暴力団関係の飲食店、そういうものに対しては事犯の性質上、労働省としてこれを把握することはなかなか困難な場合がございます。がしかし、労働者の方の申告あるいは関係の行政機関、それと密接な連絡をとりまして、通報等を得ましたらば、これが労働基準法違反になるというようなものにつきましては厳重に注意もし、それなりの処置をとりたい、こう考えております。
  223. 安宅常彦

    ○安宅委員 ちょっと大臣、そういう意味で質問したのではございません。そういうことは日本の国家としてあるまじきことであって、あったとするならば、これは労働大臣としては重大な決意をしなければならない、こういう性質のものではないかと聞いているのであります。そのとおりではないでしょうか。
  224. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 それはそのとおりでございます。もしあるとすれば、それは大変重要だと思います。
  225. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう監視労働、秒単位で作業を後ろから監視しているとか、いろんなことが日常行われている職場が日本にあるのですよ。相手は日本人だがな。それはどこでしょう。それも国家機関である郵政省にある。これは重大なことですね。いま労使紛争がまだ続いておるようですが、そのような不当労働行為をやめろという要求から紛争がどろ沼化したみたいなかっこうになっているのですが、そういうことは大臣、事実あるということは認められますか、いかがでしょう。郵政大臣
  226. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 お答えいたします。  不当労働行為がどういうふうなところで行われたかという、そういうふうなことにつきましては事務当局からお答えさせますので、そういうようなことは万々私はあるまいというふうに考えておるわけであります。
  227. 安宅常彦

    ○安宅委員 仮にあるとするならば、労働大臣と同じ立場で処置をするということは郵政大臣も当然答弁できると思いますが、いかがでしょう。
  228. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 ありとすれば、おっしゃるとおり当然措置しなければならないというふうに考えます。
  229. 安宅常彦

    ○安宅委員 昭和四十五、六年ごろだと思いますが、きょううっかりして資料を置いてきて日にちを忘れましたが、四十五年の二月でしたか四十六年の二月でしたか、当時の井出官房長官がこう言っていますね。親の心子知らず、そのようなことをやっているとするならば、大臣を含め省側が責任をとらなければならない、こういうものに関してそういう答弁をしているのです。同じことがまた繰り返されている。このことについて私実例をどんどんこれから言います。大臣、まあなりたてでこの間は少しサービスしましたけれども、いつまでも新入社員みたいな扱いはできない、今度は厳しくやらなければならない、こう思っています。  あなた、こういうことを知っていますか。ほかの官庁や公社、電電公社や国鉄など、特に電電公社あたり同じ仲ですからわかっているわけですね。郵政省の労務政策は特別だからな、特にあの転び屋というのは傑作だな、だれが発明したのだろうね、しかも部内の教育訓練機関で教えているというのだから、もうそこまでいくと気違いに近いななどと公然と言っている。こういうことを知っておりますかね、あなた。そういううわさを聞いたことがないですか。転び屋と言ってもわからないと思いますから、転び屋というのは、自動車が来たときわざとぶつかって補償金をもらう人がおりますな、あれと同じで、何か管理者といろいろな議論が沸騰した。そのときに、ちょっとでも肩が触れたら痛い痛いと言って労務担当職がいきなり自分でだあんと転んで、そしてあっとかなんとか言って、形勢が悪くなったときにやるのですけれども、安宅だったら安宅をマーク、処分しようと思うときに使う手なんですよ。ほかの官庁でそれを転び屋と言っているのですよ。当たり屋じゃなくて転び屋、そういうことについて部内の訓練機関でも教えているのだから、いやあれは余りひどいじゃないかということを言っていることを知っているかと、こういう意味です。
  230. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 お答えします。  私は存じ上げません。
  231. 安宅常彦

    ○安宅委員 官房長官、失礼しました。とんでもない時期になりましたが、先ほど外務大臣にも聞いていただいた、それから金大中氏事件のことについてあなたにも事前にお話ししておいた警察庁長官の問題と、それから田中伊三次元法務大臣のことについてよく私の発言を話されて、総理大臣に一きょう時間がありませんから、あなたの見解を聞くつもりはございません。よく話をして、そういう提案を安宅がしているという事実は伝えていただけないでしょうか、いかがですか。
  232. 田中六助

    ○田中国大臣 安宅委員のそういう発言を総理大臣にお伝えいたします。
  233. 安宅常彦

    ○安宅委員 それで、あとこういうことがあるのですよ、大臣知らないのなら……。これは松江の郵便局の職場の実態から言ってきたのですが、ある従業員が仕事をしている人の後ろ、または区分をしている班のところに河内課長が両腕を組み、時計を見ながらにらみつけるような目つきで立っている。それから今度、君の便所は長過ぎると言ってきた。それから日曜の出勤者に対して、速達屋外作業を課長、副課長が私物のバイクでずっとついて回り、監視労働をしている。一度帰宅してから再度出局して、そして区分状況その他を検査している。午後八時半ごろまた再出局するというのですね。大変勤勉と言えば勤勉ですけれども、そんなことまでしなければならないのでしょうか。それから、小包のことを教えに二階から一階におりて、ついでに便所へ行ったら、課長がおりてきて、いるかいないか調べて歩いていたのにぶつかった。それから区分をしている後ろで河内課長がじっと立ってにらみつけていることがしばしばあるので、手の動きも悪くなり、私は奴隷みたいな気持ちになる、こう書いてある。これは監視労働ですね、いかがですか。
  234. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 そこの一言一言をとりますと、そういうふうな感じを受けないわけではありませんけれども、私が承っておるところによると、一つの郵便局を百人としますと、局長以下大体五人か七人程度の管理者でございますから、いろんな行為を一つ一つチェックするということはなかなかむずかしいことだと私は思います。したがいまして、その場合に繰り返し同じような行為がどうも行われるということになりますと、やはり何かの形で監視的なことをせざるを得ない、同じような人が何回も何回も同じ時間にトイレに行くとしますならば、ある程度それはチェックせざるを得ないというのが人情ではないか、私はそういうふうな気がいたすわけでありまして、そういうような点については先生の方がよく職場のことを御存じじゃないかというふうに考えますので、御理解を願いたいと思います。
  235. 安宅常彦

    ○安宅委員 御理解できません。これは監視労働ではないかと言っておるのです。労働基準法はもちろん、憲法に反することではないかと言っているのです。この男が悪いことしたからおれも憲法に違反した、あるいは労働基準法に違反したことをやっても一いいということにはならないでしょう。大臣どうなんです。郵政省はそういう方針ですか。
  236. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 いまの問題につきましては、政府委員の方からお答えさせます。
  237. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は政治論を聞いているのであって、政府委員の答弁は要らない、この場合は。  それでは、これは資料を渡しておきましたけれども、「秒単位の賃金カット」と書いて、私は資料を出しておる。これを読んでくださいよ。どういう人が――名前がいろいろ出てきますから、わからないところがたくさんあると思います。しかしながら、重要なことはどういうことかということを――もうみんな重要でごさいますけれども、たとえば一番最初の五月六日、きょうは十秒ぐらいおくれているのが十名ぐらいいる、働く意思がない、三六協定は中央は結ばれているけれども、この局は結ばれていない、というような事務打ち合わせをやっておる。十秒ぐらい遅れておるのが十名ぐらいいるなんて、何も十秒までけちつけるのはおかしいと思いませんか。局長はそんなことを言っておる。しかもよく事情を聞いてみますと、これはずっと何回か秒を足していっておる。一回だけじゃないのです。いま言ったように何回か足していって二分三十秒になった、切り上げるのか切り上げないのか、ちょうどいいところでやるのか。その都度、分に直して一分賃金カット、二分賃金カット、秒を積み重ねていって処分する。こういうことをやっている。この局だけじゃないですよ。東北郵政局なんかほとんどだと言われている。こういうことがあっていいのかということですね。「秒単位の賃金カット」というのはそういう意味です。  それからここの資料の一番最後を大臣見てくださいよ。「郵便外務室にて」局長が労担――労務担当ですな。労担に「今日はどうであったか」と聞いていた。労担は「三十秒すぎぐらいまでに全員押印したようです」、これは出勤簿のことなんです。そういうふうに答えたら、局長から「一秒でもすぎればだめだ」と労担が怒られておった。組合が見ておるのですよ。ばかみたいだねと私は思うのです。これは常識どころかよほど日本人離れした人じゃないかなと思っておるのです。  それからその前の五月十二日を見てください。「村上、清水に対する態様」郵便物の取りそろえ並びに――これは「結果」と書いてありますが、「結束」です。結束が終わって、出発しようとしたとき、代理が村上、それから清水に「出発してはならない」と配達に出ようとしたのをとめる。清水は「お客様がまっているので配達に行きます」と言って出ようとすると、菊池代理が出口に立ちふさがって通さない。清水が「何の用事ですか」と聞くと、「処分をするからだ」「業務命令だから待っていなさい」「出発すれば処分する」と言うのです。そんなばかなことがあっていいものでしょうか。帰ってきてからだっていいじゃないでしょうか。  時間がありませんから、もう言いませんが、仙台郵政局始まって以来のことだけれども、きょうは君ら言うこと聞かないから窓口閉めろと言うのです。そこへお客さんがちょうど来ておった。そうしたら、これは一枚目の右の方の中段くらいに書いてありますが、「九時十分頃貯金窓口に居たお客さん七~八名に対し、「朝からそうぞうしくてすみません。局内でちょっとごたごたがありまして……。」」なんと言っておるというのです。これは、どういうことでもめておるかというと、出勤するでしょう、作業衣に着がえるのですよ。その時間はちゃんとやった上で作業につけるようになってから判こつけというのです。着がえないでそのまま判こつくとだめだと言うのです。それで体操やるのですな。その後行ってみると隠してしまって出勤簿がないというのです。そんなことまでやったら、いま国会議事堂前あたりの駅からぞろぞろと、総理府やどこか、各社、各官庁に勤めている人がたくさんおります。そんな仕打ちを受けておる人は一人もいないと思います。こんなことがあっていいでしょうか。大臣、どうです。あの人たちはみんな三十分なり一時間の賃金カットですよ。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
  238. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 お答えいたします。  いろいろな具体的な問題が提起されましたけれども、私どもそうした問題については十分調査をして、ルールに従って今後対応することにしていきたいと思います。これらの問題はそれぞれ労使の方で考え方の相違、行き違いというふうなこともあると思いますし、特別な背景などもあると思いますから、そういうような問題についても今度十分注意して検討していきたいと思います。
  239. 安宅常彦

    ○安宅委員 働こうとして出発すると処分すると言うのですよ。行くなと言うのだ。ここにいろいろ書いてありますよ。出勤簿の判こを時間までに一「ルール」とあなた言いました。いいですか、局に出勤する、どこの局でも大概、いままで私らもそうでしたが、郵便局におったからわかりますが、タイムレコーダーなんか据えつけている会社なんかそうでしょう、入り口にばんと押すところがあるでしょうが。あなたのところは、その局によってか何か一貫した指示だと思うけれども、ちゃんと行って、作業衣をちゃんと着て、そしてそれから出勤簿を押せというのだ。「更衣し」と書いてありますが、作業衣に着がえるだけなんだ。何秒もかからないですね。それから出勤簿を押さないとだめだ、着ないうちに出勤簿を押したやつは無効だと言うのです。そんなばかなことがあっていいのかと聞いているのです。いいですか、どうですか。――耳打ちしてけしからぬ、だめだ。あっていいかどうかと聞いているのですよ。それがルールなんですか、どうですか。
  240. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 いまのことをお聞きすると、余りよろしくないというふうな気がいたします。  しかし、人事局長からまたお答えさせます。
  241. 安宅常彦

    ○安宅委員 いやいや、そんなことは言ってない。あくまでも大臣に聞きますが、そういうのがルールだったら、そのルールを改正しなければならないと思いませんか。
  242. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 ここのところは聞いてください。
  243. 守住有信

    守住政府委員 お答えいたします。  いろいろの点の御指摘がございまして、特にその中で御承知の出勤時間の問題、これがポイントの一つとしてお尋ねがございましたのですが、私ども、出勤時刻というのはそこから正規の勤務、労務が提供できるというとらえ方をいたしておりますので……
  244. 安宅常彦

    ○安宅委員 ちょっと待ってください。私は、あっていいのかどうか、そういうルールなら改正しなければならないじゃないかと聞いているのです。事情の説明は聞いてません、時間がありませんから。そういう答弁をしてください。
  245. 守住有信

    守住政府委員 私どもとしては、そこから労務が提供できるというやり方、考え方で勤務管理をいたしておるところでございます。
  246. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうならば、その後何をやるかといったら体操をやるのですね。出勤簿に判こを押してから仕事をやるなら別だけれども、体操をやるのだ。これはどういうことです。体操なんか前にやればいいのだ。
  247. 守住有信

    守住政府委員 特に郵便関係につきましては腰痛関係等ございますので、郵便体操というものに力を入れておる、こういうことでございます。
  248. 安宅常彦

    ○安宅委員 それは役務ですか。
  249. 守住有信

    守住政府委員 特に郵便関係の職員に対して、郵務、私どもの両方で力を入れておるところでございます。
  250. 安宅常彦

    ○安宅委員 役務かどうかと聞いておるのであります。
  251. 守住有信

    守住政府委員 主として休憩時間でやるという原則にいたしておりますが、一部の職場では職場と密接な関係がございますので、郵便体操もやっておるということでございます。
  252. 安宅常彦

    ○安宅委員 やらなければ事業に差し支えますか。そして、そういう非常識な例外的なルールはやめたらどうですかと私は言っているのです。やめるのが当然ではないでしょうかと言っているのです。組合とごちゃごちゃやっていることはない。へぼ将棋というのは、大臣も言ったように第三者から見た方がよくわかるくらいですから、それで聞いているのです。一般常識のことを聞いているのです。大臣、どうです。
  253. 守住有信

    守住政府委員 労使間でも一般的な問題については話し合っておりますし、議論をしておるところでございます。
  254. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は、そういうばかみたいなルール、一つの理由を言って、あなた方、こまいことでけんかして紛争が何カ月もたって、それで国民に迷惑をかける必要はないでしょうと言っている。そういうルールのちょっと一分の違い、そんなことにつめ立ててやるような、そして今度は、役務を八時三十分から提供できるはずだと思っていると言う。八時三十分から何をやるかというと体操をやっているのですよ。出勤簿に判こを押させればいいのでしょう。だから二十九分にぞろぞろ来たら、押しているうちに二、三分たつじゃないですか、みんな交代交代押したら。どうなるのですか。同じに入っても出勤簿を押すときに列をつくってしまったら、後の人は八時三十五分か六分になるじゃないですか。そんなこまいことまで言っているから紛争が起きるのじゃないですか。そういうルールはおやめになったらどうですかと聞いているのであります。どうです。(「十分ぐらい前に来ればいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  255. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 どうもおっしゃられるような、そういうような常識で考えられないようなことが行われるというふうに私は思いませんけれども、なお人事局長から答弁させます。
  256. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう非常識なことは行われてないと思うけれども、「なお」というのは、いまのことはやはり非常識だということを大臣はお考えだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますな。そうでしょう。
  257. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 現場の事情に一番通暁している人事局長からお答えさせます。
  258. 守住有信

    守住政府委員 この印刷物についてはきょう初めて拝見したわけでございますが、よく始業時刻をめぐりましてその職場でいろいろごたごたがある。この場合も、大部分の職員はその時間までに来ておるけれども、なかなかそれが守られない。そしてまた、一たん局へ出て……(安宅委員「そういう言いわけはいいのですよ。こういうものはルールを改正してみたらどうですかと聞いているのですから」と呼ぶ)そのルールにつきましては、なお労使間で問題提起があれば十分話し合って、全逓本部等との間に認識を深めるようにやっていきたい、このように考えております。
  259. 安宅常彦

    ○安宅委員 私が前におった局は、こういう時間というのは、一分、二分おくれたって何も文句言わなかったですよ、どこの局だと言ったら気仙沼局だ、「気仙沼に電話しろ」と言ったなどと書いてあります。ひどいですね。だから、みんなそうやっているのですよ。予算委員会だって十時から始まると、さっき十時十分前に来いなんて玉沢さんからか不規則発言があったけれども、だれだって十分前になんか来てないじゃないか。だからそういうのは常識だと私は言っているのです。ほかの官庁ではそんなことやってない。役務を提供できると思う、じゃ体操は役務かと言ったら答えない。どうですか、一般論でごまかされては困る。
  260. 守住有信

    守住政府委員 先生おっしゃいますように、一般の職場では常識的なものが行われておると思います。また職場闘争その他いろいろなそういう事態になりました場合にいろいろな態様が出てきて、そこでいろいろな見解の対立が露呈するということでございます。
  261. 安宅常彦

    ○安宅委員 体操は役務かと聞いているのであります。
  262. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 勤務時間の中で行われる場合は、当然役務として行われるということでございます。
  263. 安宅常彦

    ○安宅委員 法律的な根拠を言ってください。
  264. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 御承知のように、郵便の労働はいろいろと郵袋を持ち上げましたり、あるいは立ったりしゃがんだり、腰を使う場合もかなり多うございまして、腰痛というものがかなり多いということも、そういう……(安宅委員「法律的な根拠を聞いているのであります」と呼ぶ)多いわけでございます。したがいまして……(安宅委員「法律的な根拠を聞いている」と呼ぶ)
  265. 竹下登

    竹下委員長 答弁を続けてください。
  266. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 したがいまして、そのような健康状態の職員を治していくということは、やはり私どもといたしまして健康管理上当然しなければならないことでございます。
  267. 安宅常彦

    ○安宅委員 それをやらないと業務命令違反になりますか。法的に答えてください。
  268. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 事体操でございますので、それをやることが業務命令違反であるとかないとかという、非常に先鋭化した扱いをお互いがするということは、これは職員の健康の問題でございますので、もっとそれ以上の話し合いの問題があろうかと思います。
  269. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は、法律的に役務であるという証拠を言ってくださいと言っているのであります。言えないのですか。言えないのだったら審議はできない。
  270. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 ただいま先生御指摘のように健康管理の問題でございますので、場合によれば命令を出してやらなければならないようなたぐいの健康管理のものもございますが、中には予備的に、起こらないようにかねて体操をしておくということもございますので、そのような場合であれば、特に法的に権限があるとかないとかという以前の問題もあろうかと思います。
  271. 安宅常彦

    ○安宅委員 そんなことは聞いておりません。  これは郵政省なり政府の、労働大臣を含めて、そういう場合の統一見解を出してください。いいですか。こういう制度についてやっていることが現実にあるんですから。郵政大臣もおかしいと思っておられた。これは国家公務員ですから労働大臣に権限ないとおっしゃられるかもしらぬけれども、普通の官庁では――人事院の方、どなたか来ておられますか。あなたはわかりますか、こういうことについて一般的にどうなっているか。
  272. 長橋進

    ○長橋政府委員 恐縮でございますが、所管でございませんので……。
  273. 安宅常彦

    ○安宅委員 ほかの官庁でやっているかということを聞いているのですが、任用局長だから所管でないという意味だと理解します。わかりました。  役務であるということがはっきり議事録に残っているのですから、役務であるということの政府の統一見解を出してください。よろしゅうございますか、郵政大、臣、労働大臣。――郵政大臣だけでいい。
  274. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 健康管理上必要に基づいて下す限りにおいては、やはり勤務管理時間内の問題でございますので、当然職員はそのような指示に従っていただきたいと思います。
  275. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。大体本質がわかりました、郵政省というところはそういうところだということが。  健康管理のためにレクリエーションだとかいろいろなことをやっていますね。それは組合と話し合って、労働協約の問題、勤務時間の問題があるから、勤務時間でやらなければならぬときには、労働条件としてこれは当然団体交渉事項になる。みんなどこだってそうなっています、公労協の組合は。しかも、なるべくだったらそういうことは時間外にやろう、休憩時間を割いてやろうじゃないかという話し合いになっていますね。あなたの方では役務であるということを承った。異なことを承った。私は六十近いのですが、初めて伺いました。これは重要なことです。そういう結論だそうですから、後でこの問題は問題にします。  それでは、こういう手紙があるのです。  これは北海道の音更の佐藤司郎さんという人の手紙ですけれども、「私は五〇年四月に、松戸北勤務を命じられて、」五十一年の一月までおりました。いろんなことありますが、組合に加入してなかったというのですね。そうしたら「鈴木千代司主任が中心になって、未加入だけで、」つまり全逓はだめだよ、ほかの組合だったらいいという意味でしょう、「かくれるようにこそこそとレクリエーションなどをやっていた。」そういう人だけでレクリエーションをやっていたというのですね。それで未加入者を今度集めて局長以下が「松戸市小金原の「都」という寿司屋にあつまり、反全逓の話をきかされ寿司、酒を食いほうだい、のみほうだいで、課長らからも、一人一人にストはだめだとか、全逓はぼう力組合だとかいう、新人と未加入の人たちに、反全逓をおしつけていた。斗争がなくても、その未加入でいた約一年の間に」闘争の時期でなくても未加入でいた一年間に「五~六回ありました。その中で一回課長が未加入三人に、二万円をくれて「これで、おまえら飲んでこい」と、金もくれたこともあった。その一年間で五~六回寿司屋で飲み食いしたけど一回も金ははらっていない、みんな、課長らがはらっていたが、あれは局の金を使っていたのだろう。」なかなか度胸いい課長がおりますな。大変な金だと思います。  これはこの間茨城県の下館郵便局ですか、の問題で会計検査院が手をかけております。  このことについて、こういう実態というのは非常に一般的に行われているのじゃないかという事例として出しましたが、二つのことについて見解を聞きたい。
  276. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から二つの御指摘がございました。最初、北海道の問題でございますが、これにつきましては、私ども実はその内容につきまして、なおいま現在のところ聞いておりません。下館の問題でございます。この問題につきましては先ごろ新聞にも載ったわけでございます。新聞報道によりますと、五十三年十一月に年末始対策などと称しまして、架空の宴会、贈り物等を名目に不当にお金を支出したということになっているわでございます。また、このほかにも昭和五十三年の二月、三月、去年の二月、三月でございますが、同様の事例があるということの疑いが持たれているということでございます。  私どもといたしましては、五十三年一月から十二月までにつきまして、各種会議等に使用いたしました経費を調査いたしましたところ、いまおっしゃいましたように、全体の経費百二十万会議費としてありますけれども、この会議費の中で架空の支出によりまして十五件、六十万円ばかりの現金化したものがございました。この新聞の報道はほぼ事実でございます。しかしながら、これを精査いたしましたところ、確かに現金化した面につきましては不適切な処理が行われていたこと、これはまことに申しわけないところでございます。ただ、現金化をしたものをいかに使うかという点につきましては、これはやはり正当に使われておった。ただ、手段といたしましては法規に定める手続、会計法あるいはまた予算執行職員等の責任に関する法律がございますが、この法律に照らしまして抵触するような手続を行って処理したということでございます。まことに申しわけないものと、遺憾に存じているところでございます。
  277. 安宅常彦

    ○安宅委員 現金化する方法はどういうふうにしてしたか、あなたは調べましたか。
  278. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 現金化の方法でございますが、各種会議をやったことにいたしまして、そして食堂等に現金を払ったという形をとっておるわけでございます。
  279. 安宅常彦

    ○安宅委員 そしてその金はどこかにプールをして、だれかが保管して、どういう保管の仕方をしておって、使う手段としてはどういうふうに使うかというところまで、あなたの方では調査いたしましたか。
  280. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 一応五十三年中全部につきまして、五十三年一月から十二月までの分につきましては調査いたしまして、その行き先も全部調べております。
  281. 安宅常彦

    ○安宅委員 実際使っていない金を使ってない飲み屋さんにつけたことにして、だれかが保管して、そしてその経理はだれがやっておってなどということは、すべて違法ではないのでしょうか。いかがですか。
  282. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 不当な処理であるということは先生のおっしゃるとおりでございます。
  283. 安宅常彦

    ○安宅委員 まあわかりました。  それから郵政省、今度こそ人事局長に聞きますが、あなたが係でなかったら別な人でも結構です。  リーダー制度とかありますね、それから前にブラザー制度とかありましたね。昔だったら千円以内だったら受領書は要らない、千円以上かかったときは、ブラザーの弟分の諸君に飲ませた、食わせた、そういうときには受領書を持ってこい、こういうふうにやっておった時代がありましたね。それはどういう処理の仕方をしたものでしょうか。いまのリーダー制度でもそういうことをやっておられると思います。そういう一端がいまあらわれたことだと思いますが、空出張をつくったり、ありもしない飲み屋の名前を書いたり、会計検査院は書類審査ですから。それから、あっても実際に行ったこともないのに名前を勝手に借りて、三文判か何かでやったのでしょう。下館の局の場合は担当者の奥さんが飲み屋さんを経営しているのですね。そこで飲んだことにもしておるようですね。一般的にそういうことをやっているのではないでしょうか。どうですか。
  284. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  ブラザー制度は以前にいろいろ御批判、御指摘がございまして、現在やめておるところでございます。
  285. 安宅常彦

    ○安宅委員 あのときはどうしておったかと言っているのですよ、やり方、からくりは。
  286. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  リーダー制度につきましては、過去におきまして四十五年ごろからあったわけでございますが、五十二年に至りまして、この制度につきましてはいろいろありました。(安宅委員「処理の仕方はどうしておったかと聞いておるのです、時間がないから」と呼ぶ)これは立てかえ払いというような形ではございませんで……(発言する者あり)ちょっと恐れ入ります。現在のところ、経理につきましては、リーダーによりますマン・ツー・マン、それからグループ活動に伴う経費の助成をしないということで、現在はしておりません。  過去につきましてはいまちょっと手元にございませんけれども、それぞれ最初は千円程度の金額につきまして、その必要に応じて若い職員を指導していくという立場から、喫茶店等の支払いとかということであったことは事実でございます。
  287. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから、千円以下だったら受領書は要らないという指導だった、千円を超えたら受領書を持ってこいと言ったのでしょう、需品費から出すのですね。そしてどんな処理をしておったかというのです、私は。答えられなかったらいい。ろくなことしていないのだから。もういいです。時間がありません。答弁要りません、後で調べます。そんなことわかることだ。  会計検査院長、せっかくお呼びですから。そういうことに答えられないような状態であります。したがって、いま申し上げた音更の佐藤君という人の手紙、一年間に五、六回あった、そのほかにも。何ぼ飲んでも私は金を払ったことがないと言うのです。こういうことがある、下館の郵便局の例がある。あなたは鋭敏な方ですから、なるほどとこう思われたような気がしてなりません、いかがでしょうか。プールをしておるということについて。
  288. 知野虎雄

    ○知野会計検査院長 下館郵便局の架空経理の問題、私もこれは新聞で拝見いたしましたが、こういう架空経理が会計法上許されないものであることは明瞭でございます。
  289. 安宅常彦

    ○安宅委員 こういう郵政省の、さっきのような例たくさんあります。病人が寝ていた。そこにわざわざどんな状態か聞きに来て、郵政省は九〇%が人件費だ、一人休まれると偉大な損失だ、よくなったら何とかして出てくれないかと、病人のところに来たという例もあるのです。京都の例。言い出したら山ほど、これは切りないのであと言いません、あきれかえっちゃって。  だから、そういう不当労働行為というものがある。いまのは何で飲んだかまでは言わなかったでしょう。すべて全逓に入るなよということなんです。それを言うために飲ませておるのです。これは完全な、そういう場合には公労法上も何もない、労働法上の不当労働行為だということについて、労働大臣は確認できるでしょうね、あったとするならば。どうでしょう。
  290. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 特定の組合に入らなければいけないということが、即他の労働組合に入ってはいけないという意味であれば、これは不当労働行為になると思いますけれども、しかし、具体的に不当労働行為であるかどうかということを判断するのは、これは公労委でございますので、私が具体的な問題についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  291. 安宅常彦

    ○安宅委員 その場合に、わかるようにしてこれは救済申し立てを出していますから言いませんが、一杯飲ませて金は向こう払いにして、しかも経費をごまかして下館のようにプールしておいたのですね。六十万円だか使わないのがあったのですか、あれ。だれがプールしておったのです。だからそれを聞きたいのだ。あなた方言わないのだから。そういうことまでしてやったことは不当労働行為でしょう。そうですね、大臣。そういうふうにプールしておったいきさつを私聞いているのに、あなた言わなかった。
  292. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  プールいたしておりましたのは庶務会計課長あるいは庶務会計の主事がプールをいたしておったことは事実でございます。
  293. 安宅常彦

    ○安宅委員 これは賃金カットでは済まないのですよ。これは職権を利用して公文書を偽造して、言うならば詐欺行為みたいなものを含めて当然厳重な処分があって、行政処分ではいけない、そういうことを明らかにする問題になると私は思う。  きょう、警察庁の方呼ばないから来てなかったですか。警察は来ていますか。そういう関係の方は来ていませんか、帰りましたか。――そういうことは、警察のどの担当でも結構ですから、常識ですね。そういうことは刑事犯になりますね。どうです。
  294. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 警備局長でございます。  金大中その他のあれでいまおるわけでございますが、いまお伺いしておるあれについては責任を持つ御答弁はできかねますので、よろしく御了承願いたいと思います。
  295. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは、山形の例ですけれども、ある課長が思想調査をしているのですよ。そうしてかわっちゃったのです。私、山形郵便局へ行って聞いてきたのですから間違いないことですが、そうしたら、その中にはこれはマル共、共産党さんもいるのですが、皆書いてあるのです。それからこれは成田――成田あたりに応援に行く男だという意味でしょうかね。成田なんて書いてあるのです。ただし警備から聞いたと書いてあるのですよ。警備局長、そういう思想調査をするときに郵便局と連絡をとって、警備から聞いたというのですから、聞く方も聞く方、教える方も教える方じゃないでしょうか、いかがなものでしょう。そういうことは警察の警備としてやるべき筋合いのものじゃないと思いますが、いかがでしょう。
  296. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 私はそういう事実を聞いておりません。
  297. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう事例があったならば、これは悪いことじゃないですかと聞いているのです。どうです、一般論を聞いているのですがね。
  298. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 具体的に警察のいろいろの資料を、他官庁につきまして、いろいろ通報といいますか、そういうあれは一般的にはやっておらないというのが現実でございます。
  299. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたは責任とられるかというとそうじゃない、そんなこと私は聞いているのじゃない。やっておらないということは、悪いことだから、出すべきことではないからやっておらない、こういうふうに理解していいですな。そうでしょう。いいですか。そういう意味ですか。確認しておきます。
  300. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 善悪の問題じゃございませんで、仕事の筋として、そういうことはやっておらないということであります。
  301. 安宅常彦

    ○安宅委員 郵政大臣、どうです。そういうことはたくさん起きています。あなたは、大臣になったらやはり職場を回らなければいけません。わからないで、大臣になってからもう二カ月、三カ月になるのですから、それは人事局長はそんなこと知らないと言っているけれども、うそです。これは不当労働行為の申し立ての関係や何かあって、あなたの方は見ているに違いはないのです。そんなうそ言ったって許さない。だから、あなたは私の話を聞いていておかしいと思いませんか。どうです。
  302. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 いま御指摘の問題については、私ども十分検討してまいりたいと思いますが、不当労働行為その他についてはいろいろ提訴されている件もありますので、これは十分公労委などの判断をまって私ども措置したいと思います。
  303. 安宅常彦

    ○安宅委員 その答弁は非常に重要な答弁ですから、確認をしておきます。  それでは、私、いっぱい材料をいろいろ調べたり聞いたりしたのがあるのですけれども、もう時間がありません。変な話はこれくらいにしておきますが、私だってもう言いたくないのですよ。私も郵政省におったのですから言いたくないのです。が、余りひどいじゃないですか。  昨年の十二月三十一日に、調布局の仮庁舎の二階がどんと落ちて、アルバイト学生約百五十名がみんな下に落っこって、二十七名ぐらいの重軽傷者を出したという事件がありました。そのことについて私いろいろ聞きたいのですが、私にはこういう報告がございます。  これは男子休憩室なんですね。これは四十七平米ぐらいですよ。そこに百五十名のアルバイトの学生を二階に集めて、小島という課長代理が作業の指示をしているのです。四十七平方メートルといったら、文部大臣わかるでしょう、百五十人入りますか。そうしたら、そのときにアルバイト学生の方から、もう床が揺れて落ちそうだ、危ないぞと言ったら、小島さん何と言ったか。もうすぐ終わるから待て、そんなこと言っているうちに、どかんと落ちたというのですよ。これはアルバイトの学生が言うのだから間違いないです。別な場所でやってくださいということを前から何回も言っていたそうです。それから、別な主事さんは、あそこは危ないんだ、だからおれのときは一階でやるよと言って、その人は一階でやっていたそうです。そういうばかみたいなことがあって、そのときにまた、そういう事件が起きた直後に、法師人昇さんという集配の代理が、けがをして困っているアルバイト学生に就労命令を出したというのですよ。就労命令。何を言っているんだよというので、学生がかんかんになって怒ったという一幕があったというのですね。それで小島さんという人は、あわてふためいて局長室に吹っ飛んで行って、救急車の手配なんかしたのでしょうが、後もう出てこないんだというのだな。だから、しょうがないから、そこにいる職員がみんなして、救急車以外の人は、全逓の組合員がみんなで助け出したというのですよ。そういうことを聞いて、これはどうなんですかね。また郵政省に聞くと滑った転んだ言うから、文部大臣に聞きます。  こういう危険なところに学生アルバイトを出すということについて、一考を要するという気分になりませんか。
  304. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 子供のアルバイトでございますから、私は、平穏な状態で、労使双方が、やはりこれは教育でございますから、親切に指導していただきたいと思います。
  305. 安宅常彦

    ○安宅委員 それはわかる。大臣、それだけじゃないのですよ。私こう思うのです。私は国会議員という立場を離れて言いますと、これは重大な、何というのでしょうか、あなた中国となかなか交際があるようですけれども、反面教師という言葉がありましたな、大臣。反面教師。いいところだからやってもらいたいくらいです、紛争中に。たった一分で賃カツ。賃金カットのことを管理者は何と言うか。賃カッと言うのですよ。トンカツじゃあるまいし、賃カツ、賃カッと言うんだって。賃カッなんておかしな、これはえらいことになる。そういう略語を使ってやるような雰囲気、何を言っているんだよと今度怒り出す。そういう現場を見せたときに、将来人間形成に重要な段階にある学生をわざわざ特殊な繁忙期、普通の仕事じゃないとき、しかも紛争があるのをわかっておって、そして親切にしてもらいたいとか大事に扱ってもらいたいなどと言うのではなくて、そういう局面について、私だったらいいじゃないかと思うぐらいだけれども、大臣、これは教育者から見たらそうじゃないと思うのです。やはり出すべきじゃないと思う、こういう答弁をなさるのが文部大臣の言葉ではないでしょうか。たとえば、現に長野県教育委員会以下若干のところでは、そういう紛争中の職場には学生アルバイトは出さないという方針を決めているところがあるのです。政府の経済援助だってそうでしょう。紛争中の国には出さないね。そういうものですよ。どうです、大臣
  306. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 文部省は、アルバイトについては、子供たちの健康、それから学業に対する影響力等を勘案して、各学校に適切な判断をお任せしておるわけですから、紛争を含めて、それがいいか悪いかということは、各学校で適切な指導をしていただきたいと私は思うのです。
  307. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は非常に豪雪地帯に住んでおりますが、私どものところでは、教育委員会も市町村も学校も、学校の校舎の雪おろしは危険だから絶対に高校生にやらせてはならない。ところがこのごろ、地方自治体は金がなくなっちゃったものですから、ないしょで使っているのですよ。これは大変な問題になったことがある。それほど子供の問題というのは、教育者はきちっとしなければならないのですよ。あなたは抽象的な答弁ではいけません。勝手にやってくださいなどということではいけません。それは好ましくないことだとは思いませんか。それだけは答えてください。こういうことをやるのは好ましいことではないでしょう。
  308. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 いまお話しの点で、私は事実を存じませんけれども、子供たちがそういう危険な場所に入ることは好ましくないと思います。
  309. 安宅常彦

    ○安宅委員 紛争中の職場も危険なところだというふうに考えますか。
  310. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 紛争中が全部危険だと私は思いません。
  311. 安宅常彦

    ○安宅委員 長野県教育委員会がやっておる措置は正しいと思いますか、行き過ぎだと思いますか。
  312. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 それは各県に判断をお任せしているから……。
  313. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたの判断を聞いています。
  314. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 いや、私事実を知りませんから申し上げられませんが、長野県がいいと思われたから、長野県はおやりになったと思います。
  315. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなた、そういうのが国会答弁で、技術的に逃れればいいなどという教育者は、教育者じゃありません。そういう紛争中の職場で、どうしても人間形成に重要な影響があるなというところについては好ましくない、一つの例はこういう例がある、こうしろということはあなたにできないとするならば、各県教育委員会に指導といいますか、こういう例があるということくらいの通達は流せるような、そういうことは考えておりませんか。
  316. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 これを一概にいいとか悪いとかというのは私はむずかしいと思うのです。やはり現場の人が一番よく知っているのですから、教育委員会なり学校長が、これは危ない、よくないと思ったらやめたらいいのです。この程度ならいいという判断だったら、私はやらしたらいいと思うのです。
  317. 安宅常彦

    ○安宅委員 何も、学校長の見解を聞いているのじゃない、あなたの判断を聞いているのでありまして、知らないからとは言わせない、こういう実例をたくさん言っているのです。紛争が起きていることも知っておるでしょうが。あなたは大臣として、そういう答弁しかできないのですか。
  318. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 いまお話しの点で、非常に危険なものはよくないと思います。
  319. 安宅常彦

    ○安宅委員 危険なということでこの人はごまかしてしまった。紛争中の職場は危険じゃないと言っているのでしょう。それでは何の答弁をしているのですか――まあ、いいです。  それから、非常識なことでもう一つぐらい言いましょう。  日本橋の郵便局で、局長が齋出忠さんというのですが、この人は元旦に従業員の親御さんに皆年賀状を出しています。その中に今度は、第三郵便課長の金田舜伯という人が添え書きをしているのです。何と添え書きしているかというと、局長は親御さんに対して、日ごろ子供さんは一生懸命やっているから感謝します、ますます御多幸を祈りますという年賀状ですが、その中に、御子息は九月から、とにかくワッペンなんかつけて心配です、転勤希望もあるし、率直さが欲しいなどと書いているのです、元気に働いていますという年賀状に。これは個人が書いたのじゃなくて、局長の年賀郵便ですから、郵政省はどういう経費の中から家族に出したのか。特定の家族なのか、それとも全部に出したのか。特定の家族に出したとするならば、郵便局の局長がそういう予算を使っていいのかどうか。  もうきょうは時間がありませんから、後で私のところに報告に来てください。常識を逸しています。こんなことを書いてある年賀状は。まるで年賀状と悔やみ状を一緒に出したようなものじゃないですか。  そうしたら怒ったのが親御さんですよ。何言っているんだ、かんかんに怒っているといううわさを聞いたものだから、この金田さんが御丁寧にも今度はわび状を出しているんだ、言いわけを書いて。「大変御立腹の由まことに申しわけありませんでした。早速ごあいさつをと思っておりましたが、年末年始業務の後始末等も山積しており、本日までおくれてしまい、重ねておわび申し上げます。今回の件は、私が不用意に思いつくままに現状をお知らせしようとして書き添えたもので、本来は、秀夫君と私の間のコミュニケーションが完全であれば、お父様に御心配をおかけする筋のものでありませんでした。全く私の不徳のいたすところであり、深くおわび申し上げます」何ですか、これは。昔の女工哀史みたいな戦法をまだ郵政省は使っているのです。おまえの子供は、ワッペンつけるなというのだけれどもつけている、だから心配だ、素直さが欲しい、転勤を希望しているようだから気をつけられたいなどというようなことが書いてある。これこそ明らかな不当労働行為だ、そう思いませんか。どうです。この不当労働行為であるかないかだけ答えてください。前のことは後で報告してください。よけいなことは要らない。
  320. 守住有信

    守住政府委員 不当労働行為の点は法的には公労委その他で確定されるというものでございますので、そういう角度では差し控えたいと思いますけれども、私どもとしては不当労働行為でないというふうに一応考えておるわけでございます。
  321. 安宅常彦

    ○安宅委員 大臣、後で言うつもりでしたが、そういう考え方ですからね。不当労働行為というのは最終的には公労委です、公労委が決断するまで、国民に何億通の手紙が届こうと届かないと、そんなことは関係なしに、それまで紛争が終わらなくてもいいという考え方でしょう、いまのは。経営者としてそれでいいのでしょうか。大臣、どうです。あなたがその社長なんですよ。株主から大騒ぎになるのがあたりまえじゃないですか。生産が落ちてどうにもならないじゃないか、会社がつぶれるぞというのが民間の会社のことじゃないでしょうか。不当労働行為のやつは公労委の結論が出るまでだめだ――不当労働行為の問題で紛争が起きているのですよ。それで手紙がめちゃくちゃになっているのですよ。そういう考え方でいいでしょうか。
  322. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 不当労働行為の問題は、いま人事局長からお話しのとおりでありまして、いずれ公労委から判断が出ると思いますから、それによって私どもも対処していきたいと思っておりますが、いままで長い間なかなか今日の問題が解決しないということでいろいろ国民の皆様方に御心配をおかけしていることは深くおわび申し上げます。
  323. 安宅常彦

    ○安宅委員 不当労働行為だと明らかなものは明らかなこととしてわびたらどうですか。何もメンツにこだわる必要はないじゃないですか。おまえの方が悪いからこうなったんだ、じゃ、こっちが悪いことをしたから、おれだってどろぼうすると同じ理屈でしょう。そんなことで、郵政省というのは商売をやっているのですよ。現業なんだから。相手は直接国民なんですよ。手紙がおくれようがおくれまいが、公労委の結論が出るまで断固として最後まで突っ張るという意思ですか。大臣、どうです。
  324. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 最後におっしゃったような、そういうようなつもりではありません。なるたけ早く私どもも正常なことに立ち返ることを念願をいたしておりますが、ただ機関として公労委があります以上、私どももその判断にまちたい、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  325. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは実質的に公労委の結論の出るまでの間はなるほどなと、国会で指摘されたけれども、それは不当労働行為ではないと事務官僚は言う。それに従ってあんたの方は、その結論が出るまでは断固として闘い抜く、負けるなと激励する人もいるのだから。そういう方針なんですね、どうなんです。何回も聞きます。
  326. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 勝つ、負けるという問題ではないわけでありますから、私どもはそれぞれお互いが反省するところは反省し合って、そうして話し合いをしていきたいということを考えておるわけであります。
  327. 安宅常彦

    ○安宅委員 賃金闘争や何かだったら、どこかで妥協点というのがあるのですよ。ほかの問題だったら、お互いに反省する、ルール違反だとか何かだったら。不当労働行為というものは、ゼロか百なんです。やったか、やらないかなんです。だから、やったと言う者がいる、おまえさんもこういうことをやっているじゃないか、だからおれもやったんだ、こんな餓鬼のけんかみたいなことはできないでしょう。郵政大臣、いいですか。だから、これはまずいなと思ったところは、引くところは引かなければおさまらないものなんですよ。だから、公労委から出て、今度公労委の命令に不服だったら裁判所に持っていくでしょう。最高裁判所までいってしまったらいつまで続ける気になるのですか。その間に話し合いをしたいと言ったって、話し合いをしたいということと矛盾することをあなたは答弁しているのです。話し合いができないのでしょう。公労委の結論が出るまで仕方がありませんという答弁と、なるべく早くというので話し合いをしたいと思う、お互いに反省し、じゃないのです。不当労働行為があるかないかの問題のときは、あるかないかだけの結論しか出ないのです。賃金一万円要求した。五千円でどうだ。それじゃ六千円ぐらいにしよう、大臣。ああそうか、それじゃそれにするか。中をとって五千五百円なんという妥協点がある。これはない。このことをあなたは知ってもらわなければなりません。  たった一言最後にちょっとだけ言います。文部大臣、もう一回聞いてください、今度は別な案件ですから。年末繁忙期に主として東京管内あたりで――立正大学と大東文化大学に郵政課程というのがあるのです、二つともこの大学に。それで郵政課程に入る人は郵政会員に入らなければならない。原則としてこれは特定郵便局長の子弟並びに姻戚ということになっている、これははっきりしているのです、ちゃんと文書で。いろいろな雑誌にも出ています。そう言っています。そうして、立正大学でやった人、これを発案した人が自慢げに言っています。その後立正大学から大東文化大学にその教授さんが移ったのです。そこでもつくったのです。だからこの二つの大学に郵政課程というのがありまして、この人たちが郵政省の年末繁忙のためにアルバイトで来ているんですね。これは後で詳しく言いますから頭にちょっと入れておいてください。  郵政省に聞きますが、この人たちには賃金を払っておりますか。
  328. 守住有信

    守住政府委員 年末年始におきますアルバイトと同じように賃金を払っております。
  329. 安宅常彦

    ○安宅委員 雇用契約はどうなっておりますか。
  330. 守住有信

    守住政府委員 一般の非常勤の雇用契約と全く同じでございます。
  331. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたの方の、たとえば国際郵便局の例によれば、郵政局の派遣の役人と一緒になって、そして国際郵便局の男子休憩室、そこにちょっとした間仕切りをして、労働衛生も労働安全もない、コンロはむき出し、いろいろなそういう欠格条件の部屋の中にたむろしているんですよ。労働大臣、よく聞いてください。そして、ここではどこの局に何名、どこの局に何名、ここに派遣の役人と相談しながら学生が今度自主的に行く先を配分をしているそうですね。ですから雇用契約の写しを資料として出してください。いいですか、出しますな。
  332. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 後で提出させていただきます。
  333. 安宅常彦

    ○安宅委員 いつまでに出しますか。
  334. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 両三日、時間をちょうだいしたいと思います。
  335. 安宅常彦

    ○安宅委員 この人たちは宿泊設備を提供されています。ふとんや何か、先ほど言ったように、ごちゃごちゃやっていますね。なぜ一般のアルバイトの人と違って、この人たちだけには宿泊設備まで提供しなければならないのでしょうか。理髪なんか、聞くところによると、ただだそうです。組合が金を出してやるのだそうですが、ただだそうですな。そういうことを全般的に書いた資料を私に至急出してください、そういうことを詳しく書いて。その出し方については、後で打ち合わせをしても結構です。時間がありませんから、そういうことを申し上げておきます。確認してもらいたい、いいですか。
  336. 竹下登

    竹下委員長 郵政省に申し上げます。  いま安宅委員の資料要求の点につきましては、内容を後で打ち合わせをして、それに沿うような資料が出るように努力していただきたいと思います。――うなずかれましたから結構だと思います。
  337. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは、今度は文部大臣に入ります。  そういうことをやっているんですね。あなたの方の管轄下にある、管轄というか、学問の自由ですから管轄という言葉はいやでしょうが、これは大学教育局あたりは注意しなければなりませんね。これはアルバイトではないのです。郵政課程の実技なんです。実技講習なんです。一年間に二十日、必ず実技をやれということになっているんです。年末のときだけ、このごろ出すようになったのです。いいですか。だから本来実技の講習であれば、賃金は要らないはずなんです。賃金をもらいながら実技をするなんということはどうなんですか。それが一つある。  それから、ここの大学の入学案内があるのです。これによりますと、就職のときにこういうことをやった人はいろいろな考慮を払われることになっていると書いてある。これはあなたにあげておきます。いいですか。時間がありません。ですから、本当に篤と読んでください。実際、構成は、郵政会に入らなければならないことになっていますから、郵政会の人は六割が特定郵便局長の子弟、それから姻戚が二〇%、その他二〇%という構成なようであります。ところが、大学設置法なんかから言ったら、おかしいことではないでしょうか。このことを、後で終わるときにこれをあげますから、ぜひ研究して、このことについて担当の局長から私どもに、時間がありませんから資料を出して説明のために来ていただけないでしょうか、いかがですか。
  338. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 承知いたしました。  ただ、立正大学、大東文化学園と違う点は、立正大学の方は、おっしゃるように、教育活動の一部になっているんですね。ところが、大東文化学園の方は、これは自主的活動でございますから、全然違いますからね。詳しいことは、担当局長から御説明させますから、どうぞよろしく。
  339. 安宅常彦

    ○安宅委員 それで重要なことは、聞きに行くと、立正大学はほら吹いているんだよ。大東文化大学もあるのだけれども、あれは後でつくって、大したことはないんだ、学術研究グループみたいなもので、郵政省公認でないと堂々と言うんですよ。いろいろな便宜というのはどういうことかということを詳しく聞いていただけないでしょうか。  郵政省に最後にお伺いいたしますが、これらの学校について講師を派遣しておられる。講師を派遣するのは結構ですけれども――結構じゃないな、事実ですけれども、その大学を卒業した人々は、郵政省の採用試験に合格をする場合に、つまり大学の、国家公務員の上級試験に合格したと同じような処遇をするのでしょうか。どういう基準で、処遇で採用なさっているのでしょうか、これだけ聞きます。
  340. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  立正大学の郵政課程であれどこのあれであれ、御承知のとおり私ども、国家公務員法下の、人事院規則下の公開競争試験ということでございますので、何のあれも全然ないわけでございます。  そうしまして、仮に採用になって配属になったという場合の条件でございますが、たとえば高校卒で入られましてその後大学を出られるという方もございますし、大学卒で入られるという方もございますが、いずれにいたしましても、どの大学であれ高校卒であれ同じでございます。
  341. 安宅常彦

    ○安宅委員 それはごまかしなんですよ。人事院に聞きますが、郵政省に委託している分は、外勤職員のだけは郵政省の試験に任せているはずであります。そうですね。今度は大学卒ですから、この人たちは最近、外勤もおるようですよ。けれども、そういう場合には、郵政省が勝手に採るのはおかしい話であります。そういう任せられていないことをやっていることが一つ。  それから、ほかの官庁では、将来のことをいろいろ考えて、人事間のあつれきなどを考えて、大学を卒業なさった方で、そして高校卒の資格で結構でございますという採り方は一般的にしていない。郵政省、そういうことについてどうお思いになっておりますか。大東文化大学と立正大学の分は相当採用なさっていますね。だから、どういう資格で採用なさっているのかということを聞いているのです。おかしいではないでしょうか。
  342. 守住有信

    守住政府委員 私の方の試験制度につきましては、内務職員につきましては御承知の人事院による初級職試験、それからあと郵政省が人事院の承認を受けて行っておりますところの甲と乙、御承知のように乙が外勤でございますが、その中で最低資格としては高校卒ということでやっております。現実には大卒の方もお入りになる。しかし資格の最低は高卒程度、こういうことになっているわけでございます。
  343. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから聞いているんですよ。これは非常に重要なことです。こういう採用のあり方は、人事院の方では規制するべきであります。それから、何らの関係がないというのだったら、講師派遣をやめるべきであります。そうでなければ、大学では、これは過大広告だな、薬じゃないけれども。こういう案内を出していることについて厳重な抗議を申し込むべきであります。やりますか。
  344. 守住有信

    守住政府委員 その入学案内の御指摘の点については、これは非常におかしいと思いますので、これを直させるように申し入れます。
  345. 安宅常彦

    ○安宅委員 申し入れした文書その他については、後で資料その他を提供していただけますか。
  346. 守住有信

    守住政府委員 提供いたしたいと思います。
  347. 安宅常彦

    ○安宅委員 最後に申し上げます。  大臣、いま郵政省というのは、世の中がどんどん変わるに従って、電電公社も同じですが、電報など出す人はいなくなった。郵便局で言うならば、国家が社会保障制度の前面に立ち始めたので、郵便年金なんという制度はいつの間にか消えてなくなった。そういう教訓というものを考えて、新しいコンピューターの時代、そういう時代に一体いま若者、ラブレターなんか出しませんよね。電話でいいんだもの、はっきりしていて。また手紙は証拠残りますしね。そういう時代になってきた。そして、いま国立国会図書館なんかは、明治の元勲などの書簡なんというのは非常に歴史的に残ります、民族的な庶民の手紙もいろいろ残りました。いまは残らないです、電話で打ち合わせたりしますからね。ですから、有名な政治に影響がある政治家あるいは学者や文化人やそういう人々の録音を必死になってとっている時代です。それは知っているでしょう。そういうように時代というものが大きく変わりつつあるときに、百年一日のごとく昔の状態を固執して、そして労務政策そのものもがんことしてほかの官庁から笑われるようなことをしておって、そんなことでいいでしょうか。そうではなくて、いま労働組合と話しすることはないか、こういう時代のときに本当に経営というのはつらいものだ、こういうようにしたらどうだろうか、労働組合から提案してみたらどうだろうかという、労使のそういう共同の話し合いなんというものは非常に尊重されるべきだと思います。だんだんと物数が減ってくる、あるいはそういう制度がなくなる。貯金だって貯金しろと言うだけでしょう、原則として。このごろ貸し出し、少し貸していますが、そういう意味では金融機関でしょう。保険の積立金がある、財投あるいはその他の関係もいろいろあって、資金運用部のこともあるでしょう。しかし、いま郵政省が仕事というものを確保するためにどうしたらいいかなどということについて、労働組合と共同のそういう作業をするようなことがあなたに課せられた任務ではないでしょうか。出勤時間が一秒足りなかったとか、早く来たんだけれども脱いでいるうちに一秒足りなくなったとか、そんなささいなことで不当労働行為であるとか、やらないとかやったとか、そんなけんかをしている時代ではないんじゃないでしょうか。私はあなたに反省を求めたいと思う。それが正しいと思いませんか。最後にこれだけ答弁をいただいて終わります。
  348. 白浜仁吉

    ○白浜国務大臣 時代が大きな速度で変わっているというそうした御意見は十分私どもも尊重しながら、また私ども自体もそうした考えで時代に即応するように努力をしていこうという気構えで進んでおりますし、組合との話し合いは、当然パートナーとしてたびたび話し合いを進めていきたいということで私は呼びかけておる最中であります。御理解をいただきます。
  349. 竹下登

    竹下委員長 これにて安宅君の質疑は終了いたしました。  次に川俣健二郎君。
  350. 川俣健二郎

    ○川俣委員 順序を変えて外務大臣に、かなり忙しいきのうきょうでしょうが、これは農業問題の絡みで後でゆっくり拝聴しようと思ったのですが、先に二、三問伺って、それで結構ですから。  結局こういう質疑がこの委員会で行われたわけです。食糧にちなんで古米の処理の問題で、いま日本の国が古米を抱えておることによる生産調整の圧迫、生産調整したらかえって古米がふえたわけですから漫画みたいなものなんです。それから財政的にはいまの五百万トンの古米を一年間持ちこたえるための保管料が現金で一千億、農協倉庫なり営業倉庫なり銀行の利子に支払われるわけであります。さらに三つ目は、一昨年までは東京都の配給米は約三割の古米が入っておるので、いよいよ米離れの促進をしておるということで、やっと二割二、三分の古米と新米の比率、二割二、三分の方は古米ですが、こういったようなことでいろいろと古米処理をめぐる論議をここでやりました。農林省も会計検査院の指摘もあり、ここで論議もあっただけに、古米処理というのにようやくおみこしを上げてきたわけであります。  ところが、大量に抱える古米のうち、この予算案で審議しておる来年度四月一日からの予算の中に六十万トンだけ処理しましょう、こういうことであります。六十万トンしか一年度に処理しなければ、また古米がふえるな。何年でやるかと言ったら、五年でやるという計画を担当農林省は御検討されておるわけです。  さて、その中でいろいろとあるんだが、ひとつ援助米というか輸出で二十万トンこなそう、こういうことになっておるわけです。ところが一方、せんだっての質問で国際児童年の問題に絡んで、終戦後に日本がいろいろと物資の援助を受けた、特に子供のミルクなどはかなり援助を受けた、ひとつこういう機会にこそ――餓死して、むしろ買う力もない、持っていったって倉庫に入れるその倉庫がないというのが大体インドシナ半島から東南アジア、中近東にかけての様相だということは私もこの目で見てまいったわけです。  そこで、そういったところを前提にして、一体外務大臣が――これはいろいろとありました。いままで国民全体がそんなに古米が余っているのなら海外に譲ったらいいじゃないか、あるいは高い米でつくる酒米に回した方がいいんじゃないか。それからもう一つ、いまおかき、あられなどが半製品の形で日本の国に入ってくるわけです。したがって古米が全然対外調整をやってくれないものですから、どうにもならないという状態であります。その中の一つの理由に、東南アジアはインディカ米は食うが日本のようなジャポニカ米、いわゆるねばねば米は食わない。ぼそぼそ米しか食わないのだということで突っ張った時代があった。ところが、これはうそなんだ。腹減っているんだからどんな物でも食うというのは常識なんだ。もう一つは、いま日本の国で抱えておるのは、損金で処理したものもあるが、一万七千何がしで農民から買った金が途中の経費なり保管料を入れると、六十キロが二万四、五千円になっておるはずです。ところが、二万四、五千円で買う能力があるはずはない。東南アジアへ行けば五分の一で、六十キロ約五千円なんです。  こういうようなことを背景に、さて外務大臣がこれの一端を担うということになるわけですが、もう一つの障害は、たとえばこの間岩手の農協からベトナムにお米を送った。しばらく滞貨した。その後どうなっているのだろうか。やはり全方位外交とは言うものの、いろいろと外務大臣には外交上の問題があってそういったものを処理するだろうと思います。そこで私は、そういう問題を背景にして、いま予算に上げておるくらいなら、いろいろな問題の難関を処理して、外務大臣に課せられた古米処理の分をまず大方処理できる、こういう見通しなのか、その辺の一節をお聞かせ願いたいと思います。
  351. 園田直

    園田国務大臣 私の所管しまする関係で、古米を経済援助または貸与等に振り向けて処理をするということについて障害のあることは、もうすでに専門家の川俣委員はよく御承知のとおりでありまして、価格の問題、それからもう一つは、ASEANの国々の米の輸出をやっている国々に影響を与える、二つの点があります。ありますけれども、だから困難であると言わずに、国内的な価格の問題あるいは振り向ける相手の国等を考慮して、この古米を処理することはきわめて適正であると考えておりまするから、関係各省と連絡をして、いろいろな問題を克服して経済援助貸与の方向に古米を振り向けていくよう検討するようにすでに申しつけてございます。したがいまして、割り当てられた以上の金額でもっとふやせ、こういうことでやっておるわけでございます。
  352. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間がありませんから、それについては私も前向きに、これは国民的なもう総意の要求というか、期待だと思います。ただ、その場合にややもすると、統計によると、自給率はこういう状態だという統計がよくあります。たとえばインドの場合は、六億五千万人いますから一年間に一億トン食うわけです。ところが、現地に行ってどのぐらい足りないですかというと、二千万トン足りないわけです。日本の国が飲まず食わずで出しても足りないぐらい足りないわけです。ただ、それではその自給率が一億分の八千万トンかというとそうではない。それはなぜかというと、買う力がない、倉庫を建てる力がない。一方、これはいろいろな報道でわかるように、餓死者が三百五十万人平均いるわけです。そこで、機械的に、もうこの国はいっぱいだ、こういうような表面的な統計の自給率ではなくて、やはりそこはきめの細かい、各国に大使館があるわけですから、そういったところをぜひ強く要求しておきたいと思います。  それからもう一つ、せっかくですから伺いますけれども、いま大臣の手元にこういう記事を差し上げておると思いますけれども、いま大臣は南の方にいろいろと頭も目も向いていると思うのだが、問題の北方領土の問題の中でこういう声もある。北方領土の問題というのは、歴史的にいろいろな因果関係があるのだろうと思います。そういうときに、これは私の町なんですが、一八五七年ですから、非常にわかりやすいです、西暦で言うと。百二十年前の地図が出てきたわけです。いわゆる松前絵図というものです。これが出てまいりまして、地元では、こういったような史料がいまのお国で、お上で何かの資料にならないだろうかという話題があるわけです。こういったような問題について外務省は、もちろん最後は政治的にいろいろな力であの問題は解決されると思いますけれども、こういったような史料の検討もやっているものでしょうか。その辺と、この記事を見て外務大臣はどうお考えでしょうか。
  353. 園田直

    園田国務大臣 川俣委員の地元で発見されたただいまの史料というのは、わが政府が北方四島、固有のものの裏づけになる、安政元年――自民党でありますから安政で申し上げますが、安政元年に日魯通好条約ができた直後にできた地図で、これはきわめて貴重な史料でございます。したがいまして、このような貴重な、精度の高い資料というものはわれわれの主張の裏づけになるものでありますから、ただいまの御発言並びに出てまいりました史料は、この交渉の貴重な裏づけとして機会があったらこれを参考にし、あるいはこれを裏づけにして進めていきたいと考えております。ありがとうございました。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
  354. 川俣健二郎

    ○川俣委員 外務大臣、結構です。  この前、国際児童年に絡んで江川問題が話題になったのですけれども、各省庁の国際児童年の関係予算を集めて総務長官のもとでつくってもらいました。要は、国際児童年というのはかなり深い意味があります。たとえば、この前話をしたように日本の児童手当なんというのは、一番の上が十八歳で一番下にだけやる。ところが、いまの日本の国の子供は夫婦で一・九人だ、こういうまことに奇妙な、国際的にはない児童手当であるわけです。そういったようなことを考えたり、それから国際児童年というのは、どうせ日本の国の将来をしょって立つ人方でしょうが、その問題に対して余り知らない。国際児童年というのは、ボーイスカウトのように海外の子供が来て、富士山ろくでファイアストームでもやって騒ぐ行事でもするのかという程度の認識なのです。その辺、総務長官、よほど腰を落ちつけて、各省庁でこれだけの予算を組んでいるのですから、予算を余すなんということはないかもしれませんが、その辺、しかとやってもらうことを要求するのですが、その辺の見解はどうですか。
  355. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えいたします。  先生から再三、国際児童年の推進についてありがたい御意見をちょうだいいたしまして、私ども感謝を申し上げておるわけでございます。御承知のように青少年指導については、国としても、あるいは関係省庁としてもそれ相当の組織を持ち、制度的に運用をいたしておりまするが、この国際児童年につきましても、御承知のように国際児童年担当者が関係省庁におりまして、担当者連絡会議等を持ってこの事業の推進を図っておるところでございますし、なお、国際児童年推進会議というのを国におきましても設置をいたしまして、全国的な視野に立って、また国際的な視野にも立ちまして、計画を立案し、これが推進をいたしておるわけでございます。  そこで、いま先生御指摘のように、私どもその三本の柱の中のまず第一、国民の理解と協力が必要である。この事業は、国の将来あるいは現在の社会経済情勢等を見てまいりましても、きわめて大事な事業であるという立場から、まず柱の第一は、国民の理解、啓蒙をするための宣伝活動をいたしておるわけでございます。特に新聞、テレビ、また雑誌、ポスター、先般からそうした媒体を利用して政府が働きかけをいたしており、また各媒体も御協力を願っておる。NHKさんのごときは毎日、児童年についての啓蒙活動をやっていただいておるわけでございますが、そういうことで、担当の各省庁はもちろんのこと、地方公共団体あるいは民間団体にも呼びかけて、積極的に理解、協力を願う運動を展開いたしてまいっておるところでございます。
  356. 川俣健二郎

    ○川俣委員 農業問題に入る前に、この前の積み残しをこうやって拾って伺っていきますが、ただ時間が、先ほど同僚の安宅議員の質問が非常に重大で、名質問でありましたので大分お譲り申し上げたので、はしょって結論だけ拾っていきます。  厚生大臣もせっかくおられるのでお伺いしますが、林野庁の問題で白ろう病、もしもチェーンソーを使わせなかったらならなかったであろうものを、使わせることによってこれだけの大量の白ろう病を出した。これは無過失責任もいいところじゃないかと言うのだが、職業病というものは大体そういうものなんだが、問題は、林野庁の施策を見ていると、いまはかなりリモコン方式でしびれの少ないものを使っていると言うのだが、これは大変全国的なのです。そこで、自分たちの仕事で病気にした、一生涯病気にした、もうひどい病気になった、それを林野庁が責任を持って治せないという、治してあげられないという、施設を持っていないという無責任――無責任というか、それは国立病院があるし、いろいろあるではないかというのだが、しかしこの白ろう病というのは、皆さん御案内のように、洞爺丸の台風で北海道の山林が全部倒れた海外から輸入したチェーンソーでやったことから始まったので、いまは大量にこれが入っておるわけですから、私は後を絶たないと思う。  そこで、それじゃ日本の医学は、この振動病に対する医学的な解明と手だてがないのかといったら、一部の先生方が非常に真剣にやっておるのですよ。ところが、国の手当てがないものですから、なかなか開業医じゃどうにもならない。やはり公的医療機関等でやらなければならないと思うので、私の自説ですけれども、農林省ぐらいにこの専門の病院を建てて、責任を持って治してやるという、私はいま時間がないからあれなんですけれども、白ろう病と認定された場合、そしてそれを治せなかった場合の一生涯の補償をずっと金額を追っていってみたら、これはかなりなものなんですよ。ただ大蔵省との予算の関係で年度年度に切ってはもらっていますけれども、もしその人が白ろう病にならないように処置されたり、あるいはなっても、早いところ温泉治療等々やればこの程度の治療費でよかったのが、ほっておいているために、一人に対してかなりの国の金をかけなければならない。治してみたところで、やはり致命的な脊髄のところがやられるものですからどうにもならない。こういうところを考えると、これはどうしても林野庁がやる気がないなら、厚生大臣なり労働省なりがそういう視点でこの専門病院というものを考えなければならぬ。たとえば、昔、結核というのが日本の国の死亡率のトップのころの結核病院というのは全国的にかなり残っているわけです。まず風雨にさらされている結核病院、国立病院といったら大体そうです。だけれども、皆さんがそれぞれ、これは与党とか野党じゃなくて、国政と結びつけて国立病院の整備に当たっているというのはほとんどこうなんです。こういったところを、どこでもいいですから、専門病院として、白ろう病の専門病院だ、こういうように――たとえばあの鬼怒川のよろけ、けい肺病院、あれは鉱山の訴えからずっとこれだけ確立したわけですから、したがって、厚生大臣に伺う前に、せっかく林野庁の長官がお見えになっているものですから、とても私の方では、建てようともしないし、お願いするといったって大蔵省はうんと言わないだろうし、でなくたって、局を外せ、営林署をなくせなんて言われて、一般会計から八十億ぐらいしかもらわない林野庁としては容易でないと思うが、しかし、もう一遍、私の叫びは、自分たちが病気にした、その白ろう病を責任を持って治してお帰しするという気持ちがあるかどうか、聞かせてもらいたいのです。
  357. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま御指摘になりました振動病の認定患者、国有林におきまして約三千名出ております。これにつきましては、五十一年に厚生省、労働省の関係局長と私と三者で協議会を設けまして、その中で、どうやって振動障害病の問題を、治療対策をするかあるいは予防対策をするか、協議会を設けまして検討を進めました。  その結果、各県に振動病対策の協議会を設け、その中で各県地域単位に一つのグループをつくって、そういう形の中で病気の治療に当たるのがよかろうということで、ネットワークをそれぞれ形成するように各県の協議会の中で御検討いただくという形をとっております。したがいまして、その中には、国有林に二つほど病院がございます。そういう営林病院と労災病院、国立病院等々、御協力をいただいて、その中でそれぞれ対応していこうということで協議をまとめまして、ただいまそういう形で都道府県を指導している最中でございます。
  358. 川俣健二郎

    ○川俣委員 営林病院ございますなんて言ったって、あれは営林病院じゃないですよ。診療所で、とてもじゃないが、こういう専門的な振動病に対処する設備と機能はあれにはない、これはもう実際だ。  そこで、時間がないので、観点を変えて、厚生大臣、これはどうでしょうか、やはり国として前向きに白ろう病に対処できる専門病院という、ちょうどけい肺のまあ日本の国はどうせ鉱山で繁栄した資本主義ですから、それに対処する鬼怒川の労災病院がございます。ああいったような施設を、労働省とか厚生省の管轄とか別として、労働大臣、きょうお呼びしてなかったものですから、前向きに検討できる見通しがあるものだろうかということをちょっとお聞かせ願いたいのですが……。
  359. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 いま林野庁の方から御答弁があったわけでありますけれども、確かに川俣委員御指摘のように、非常に患者が多発した時代のこと、私も存じております。その後防振ゴムの採用その他で、使用時間の制限というようなことで、ある程度状態が改善されてきておることも存じておりますが、その間に出てきている、すでに患者となっておられる方の問題があることも私も承知をいたしております。  ただ、いま私の立場から申し上げますと、林野庁の御要請により労働省また厚生省、協議会を設けて進めてきた一つの対策が緒についたばかりでありまして、この対策を見守りたいという気持ちがあることは事実でございます。ただ、従来から林野庁の方から御要請があれば、積極的に厚生省としても医学的見地からのお手伝いをしてまいったわけでありますから、そうした意味での努力を、もし御依頼あれば私どもは今後ともに続けてまいりたい、そのように考えております。
  360. 川俣健二郎

    ○川俣委員 これは内閣全体の姿勢に関係すると思う。またそういう関連のものなんです。この日本の国で白ろう病に対処する専門病院を建てるのは、それほど急激にこのチェーンソーというものが入ってきたものですから、なかなか、あっちに持っていくととてもお医者さんがいない、こっちに持っていくと予算がないというのが現実なわけです。人事院の公平局としては、いろいろと認定作業をしてみたら、ああなるほど振動病だという認定になっちゃうので、ぜひこれは個別の問題として要求しておきたいと思います。  それから、厚生大臣がおられる間に、年金問題の基本的な問題でちょっと御高説を伺いたいのだが、これはまあ制度審議会なり社保審なりで審議されて厚生大臣の手元に答申されるわけですが、ただ基本的な問題は一つ、二つどうしてもこの予算委員会でやって、担当の社労委員会で中身を検討したいと思うのは、日本の国で物価スライド制を皆さんと入れたわけです。さてその物価というのは一体どのぐらい上がれば年金を手直すかという法律基準は五%なわけです。五%上がれば五%に準じて上げるし、五%以上物価が下がれば手直しする。ただし、上の五%と下の五%の物価の上げ下げの幅の一〇%の間は年金を手直さないというのが一応法律事項なのです。その問題をめぐって私はこう思うのです。物価と年金という問題は、片づける場所としては、目安の基準には非常に手っ取り早いのだが、たとえば物価の指数というのは何だ、上昇率というのは何だということをこの間公述人にいろいろと聞いてみたのです。これは、経済企画庁の長官を呼んでないけれども、公聴会には政務次官の皆さん方がぱあっと並んでお勉強されておった。ところが、日興リサーチの宍戸さんという方が、これは自民党推薦のなかなか意見の豊富な人で、私も耳に入れた。そこで、物価の問題で各党推薦の皆さん方に聞きました。これは理事皆さんも知っています。社会党や総評は七%以上というはじき方を私は知っております。ところが、政府は来年度の見通しを四・九%とはじいておるところがどうも理解できない。おやつと思った。これは自民党の推薦にしてはずいぶん……。そこで、どのくらいだろうかということで突っ込んだら、六%が最低の見通しと見なければならぬということであった。     〔毛利委員長代理退席、伊東委員長代理     着席〕  そこで、物価の論議はこれとして、問題は、年金というのは生活保障ですから、たとえば物価が上がらなくても社会保険税が上がる、所得税が上がる、地方税が上がるということになると、生活を圧迫することは物価の上昇率に出ないものがあるということ、ちょっとした書物しか読んでないので余り造詣が深くないのだが、したがって、恐らく今度は物価は四%ぐらいでしょう。そうすると、法律から言うと、そのスライドの問題についてだけは年金を手直さなくたっていいということになる。これではせっかくの年金という生活保障をする社会保障の金が理屈に合うアップじゃないということになるような気がするので、私は、この辺は再検討する段階に入ったのじゃないかな、こういうように思うのであります。  さてそこで、政府が、五%上がらなくて四%ぐらいでしょうから、本当は直さなくたっていいのだが、今回は特例で上げようかという予算に意思表示した。ところが、社会保障制度審議会はそれに対して、上げるのなら基準を直せ、法律を直してから上げろ、それから保険審議会はたとえ五%以上でなくても、私の先ほど言ったような理屈だったのかどうか知らぬが、ぜひ上げろという要求が答申されて、厚生大臣の手元で、今回の予算では特例として上がるようになった。しかし私は、これは根本的に物価スライドと、生活の圧迫というか、保障というものとが必ずしも結びつかないという論理構成からいって、再検討する余地があるのじゃないかな、こういうようなのが一つなので、ちょっとお伺いしたいと思います。
  361. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 川俣委員よく御承知のように、四十八年改正の際に五%という基準が生まれました原因は、確かに物価スライドを年金制度の中に導入いたすまでの数年間、大体消費者物価上昇率が五%程度であったことを反映して、非常に審議会で長い御議論をいただいて五%という基準が設定されたわけであります。確かに政府の現在の経済見通しの上で、私ども本年度の消費者物価上昇率は五%を下回る四%程度と見込んでおるわけでありまして、現行の法制下で言えば、物価自動スライドの必要はなかったわけであります。ただ社会保険審議会の厚生年金保険部会から、そういう特例を考えるべきではないかという意見書をちょうだいいたしましたし、また、年金の受給者を取り巻く全体の環境の中で、たとえば福祉年金等を改正していきながら、拠出制の国民年金、また意見書をいただいた厚生年金について物価スライドを行わないこともいかがと思いまして、本年は本当の特例措置としてこういう考え方をとったわけであります。確かに川俣委員の御意見、私は一つの見識としてそのとおりに承りたいと思います。  ただ、四十八年改正を行います前後の状況をもう一度思い出してみましても、やはり物価スライド措置の基準の取り扱いというもの、これは確かに制度の根幹にかかわる問題の一つとして重要な問題でありますし、今後の経済情勢あるいは社会情勢の推移でありますとか、関係審議会の御意見等を十分踏まえた上で、年金制度の一つの基本的な課題として今後考えてまいりたい、いまの時点で私はそのように考えております。
  362. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それから基本的な問題で、日本には遺族年金制度というのがございます。これも内容に入らないで考え方だけ伺いたいのですが、遺族年金、じいちゃんとばあちゃんと暮らしておったらじいちゃんが亡くなった、したがってばあちゃんの遺族年金は二分の一でよろしい、この考え方もぽつぽつ変えていかないと、ではおふろをたくといったって二人いるときの温度の半分でいいのかということになるわけです。これは極端な例ですけれども、二分の一という基本理念はベテラン厚生大臣の時代に、日本の国の年金制度を変える観念を入れる時代に入ってきたのじゃないかと思うのですが、その辺。  それからもう一つ、これは大蔵大臣の方に入るか、六十歳年金開始というのを私たち中期経済政策にも入れております。これはぜひ御高覧に供したいと思うのでございますが、ただ、その場合、年金と労働のあれが連動しない限りは変なことになるのであって、公務員には定年制がない、こう言うかもしれないけれども、それじゃ六十歳まで勤めるようになっているか、勧奨というか肩をたたかれないかというとそうでもないので、その辺を考えての上の提案だろうか、こういうところが非常に疑問視されるのでその一点を伺いたいと思います。
  363. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 遺族年金の水準につきまして、現に予算委員であります田中正巳委員が厚生大臣の当時、この率の改定について本委員会で大変な御議論があり、また政府部内においてもいろいろな検討が加えられた経緯は私もよく存じております。そして基本的にそうした認識を私も今日持っております。それを前提にしてお聞きをいただきたいのでありますが、これは実は厚生年金、拠出制の国民年金だけの問題ではなくて、公的年金制度全体を通じる基本的な問題として、むしろ制度の横断的な見直しの中で検討していかなければならない課題だ、私はそのように考えております。  本年も寡婦加算の引き上げということでこうした問題にささやかではあっても対処したつもりでありますけれども、むしろ現在近く答申がいただけるであろうと思っております年金制度基本構想懇談会において、専門的な見地から非常に厳しい検討の加えられておる課題の一つでもありますので、そうしたものを受け取りました中で年金制度見直しの一環として基本的に考えてまいりたい、そのように考えております。
  364. 金子一平

    金子(一)国務大臣 川俣さんからいまお話のございました年金支給年齢の引き上げと定年制の関連の問題でございまするけれども、これは共済年金は、御承知のとおりもう大変財政事情が今後悪化しそうでございます。そういうことと、例の公務員の年齢がだんだんと高齢化してまいりましたものですから、六十歳に足並みをそろえようということで今度御提案を申し上げることにしておりますけれども、年金の支給は所得稼得能力ということに重点を置いて決めておるわけでございまして、必ずしも定年と結びつけて考えておるわけではございません。この定年制の導入についてどういう見解を出すかということは、これは数年前の閣議決定でございまして、ただいま人事院で鋭意検討中でございますので、人事院の結論を待ってそれによって措置したいと考えておる次第でございます。  ただ、共済年金も一遍に六十歳にならないとばっさり打ち切るということではございませんので、ここ数年間経過的措置を講じて無理のないようにやってまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  365. 川俣健二郎

    ○川俣委員 経過措置なり特例措置が必ず付随しなければ、この問題はまことに国民的なコンセンサスを得るどころか、大変なことになる気がいたします。せっかく合意と信頼の大平内閣ですから、やがて予算の終末になるとその辺も十分与党、野党――その辺の中心になるのは何といったって大蔵大臣ですから、私たちも六十歳開始という中期経済政策は打ち立てていますけれども、その辺の絡みが、定年制という論議になると時間がかかるので、定年制という制度化よりも、仕事がなくなった、年金は遠く行ってしまったというのでは、これはとてもじゃないけれども、何のために年金が社会保障に入っているかということが合わないので、ぜひひとつ要求しておきます。  そこで、きょう通産大臣が対外的な問題だというので事務当局に来てもらっていますが、代替エネルギーを非常に今回の方針というか予算に挙げているようです。ところが問題は、予算だから中身だ。本当に代替エネルギーというのはお題目だけ挙げているのだろうか。これも私たちの中期政策に思い切って入れておりますが、イランの政情がこういうことになるとこの石油――昔の議事録で、先輩方の予算委員会の大論議の中に、これからは水力発電か火力発電かということで大論争をやっているのがわが家に出てきたわけです。     〔伊東委員長代理退席、毛利委員長代理     着席〕 ところが、油は簡単に買ってこれる、こういうことで、もういまは八七%くらいが火力で水力というのはほとんどない。そういうのを一つ考えると、一体代替エネルギーにどのぐらいの予算で、取り組む気持ちが本当にあるのだろうかというのが一つ。  それからもう一つは、その中に地熱発電の開発というのがあります。風力、波力その他いろいろありますが、エネルギーの開発というのは大なり小なり環境保全との競合が必ずつきます。特に地熱というのは国立公園などに伴うものなんです。  そこで伺いたいのは、通産省がいま国立公園の中に全国六カ所の地熱発電の開発を許可しておるわけです。ところが、これ以上はまかりならぬというのを環境庁は一札出しておるわけです。これでは政府の代替エネルギーのお題目の発電力のパワー、キロワットがとうてい出ません。果たしてこの辺との調整がうまくいっているのだろうかということを、前向きの質問なんですが、聞きたいのです。
  366. 豊島格

    ○豊島政府委員 ただいま川俣先生からいろいろ御質問ございましたが、第一のエネルギーの多角化問題につきましては、原子力を初めとしまして石炭、小水力、地熱等につきまして真剣に取り組んでおりまして、それぞれの項目において予算の充実を図っておるところでございます。  それから第二に、一体、地熱については自然環境の問題がいろいろあるけれどもどうなっているかという点でございますが、われわれとしましては、六十年度に大体百万キロワット、六十五年度に三百万キロワットという目標を立てて進めておるわけでございますが、その百万キロの中で、すでに先ほど先生の御指摘のありました六ヵ地点で大体十六万キロワットでございますか、残り、これは一応の計画で、別に環境庁の御了解を得ておるわけでもないのですが、従来の調査結果から見ますと、大体百万のうち半分くらいは国立公園等でやるということでないとできないのじゃないかという一応の計画があるわけです。  それでそれをどう解決していくかということでございますが、いずれにいたしましても、自然の保護との調整というのは非常に重要な問題でございますので、この点につきましてはいろいろな環境に及ぼす影響がどうなのか、あるいは及ぼさないようにするにはどうしたらいいのか、あるいは景観を損なわないようにするにはどのような開発の方法があるかということをかねてから検討しておりますし、今後も五十四年度予算、いま御審議中の予算の中でも盛り込んでやっていくことといたしておりますので、そういう結果を十分踏まえ、十分環境庁にも御理解を得つつ協力を得て進めていく、こういう考え方でおります。
  367. 金子太郎

    金子政府委員 エネルギー問題の重要性は私どももよく理解しているつもりでございますが、御承知のとおり地熱発電は自然景観の保全の立場と調和させるのは非常にむずかしいという問題がございますし、また、くみ上げた熱水の中に砒素が含まれているということから、その処理をどうするかというような問題などいろいろむずかしい問題がございますので、今後も試験調査あるいはテストを続けまして、その結果を十分に分析しながら慎重に対処してまいりたいと考えております。
  368. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間があれだから、局長さん、いまの砒素の処理をめぐる問題は、六カ所認可するときにもう出ている問題です。そんなのは理屈にならない。六カ所の方だけは承認しておいて、これ以上は認可しないよというのは、どうしても理解されないよ。いまのは答弁になっていないので、また時期を改めますから……。  それから通産省、審議官がせっかく来ているからあれですが、サラ金の問題でずうっと追ってきて、とうとう制度化までなったわけですが、いまゴールドメタル、金の相場に伴って悪徳業者が家庭の主婦に入って、投資行為がかなり出てきたわけであります。ところが、これをどう防ぐか。相手は金です。しかも自由相場になったから、これはほっておいたらかなり一つの誘い水にはなる話です。したがって、いまのうちに手を打っておかないと、サラ金問題以上の大ごとになると私は思う。なぜかというと、大体、投資する相手を見ると素人というか、家庭の主婦に多いものですから。  そこで、果たして事務当局はその件をどのように考えておるか。唐突な質問なのか、あるいはそれにちなんで、今度は取り締まる法律はないんだろうが、警察庁当局はこれに対してどのように、体をかわすんじゃなくて、いまは法律ないのですから取り締まる方法はないんだが、その辺も通産当局と打ち合わせなどをしているものだろうかどうか、ちょっと両方に伺っておきたいのですが。
  369. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答え申し上げます。  この金の取引をめぐる被害というのが最近いろいろ話題になっておるわけでございますが、私どもといたしましては、これまでいわゆる金のブラックマーケットと申しますか、いろいろ問題が生じております金の取引に伴う被害を防止するために、まず実態をできるだけ把握するということに努めますと同時に、一番力を入れておりますのは、一般消費者に対する注意の喚起と申しますか、啓蒙活動でございます。たとえば、いままで私ども当省で発行しております「消費者ニュース」というのがございますが、それで消費者に対しまして繰り返し何回も注意を喚起するようなPRを行っておりますし、また、商品取引所の関係者に対しまして、いわゆる金取引というのが商品取引法に基づく取引ではないという点につきまして、消費者に周知徹底を図るようにして、誤解を防ぐように指導したわけでございます。その結果、昨年の秋でございますが、全国紙に関係者の方から意見広告を出しております。また、金の加工業者の団体に対しまして、やはり一般消費者が金を安全に買えるような正しい情報を提供するように努めてほしいという要請をいたしております。この業界もPR誌をつくりまして、啓蒙に努めておるわけでございます。  いままでいろいろこういうことをやっておりますが、本年に入りまして一月には警察庁、経済企画庁、公正取引委員会等も交えました連絡会議を持ちまして、この広報資料の作成その他、今後とも啓蒙活動を強化して被害を未然に防ぎたいということで、いま鋭意努力をしているところでございます。
  370. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 金の取引をめぐる事件の捜査についてでございますが、特に投機的な取引についての詐欺罪の捜査となりますと非常に困難な次第でございますが、詐欺罪など法令に違反するものがあれば、適切に捜査を進めてまいる所存でございます。また、それ以前の問題としまして、主管省庁などと緊密な連絡をとりながら、この種の取引に一般の人が巻き込まれないように、啓蒙指導に協力してまいりたいと考えております。
  371. 川俣健二郎

    ○川俣委員 これから本論の農業なんだけれども、これだけの、かつての国会の議事録、審議要録が出てきたんだが、これは二冊とも農業基本法の策定をめぐるものを一冊にまとめたわけであります。昭和三十五年の三十八回通常国会において、明くる三十六年二月二十三日に、総理以下十二名の関係大臣が出て、このあれを提案された。それから、片や社会党の方から、その対案を出されております。  そこで委員会が実に十回、中央公聴会が二回、それから地方公聴会が、札幌、仙台、福岡、大阪、こうやって、本会議でついに記名投票という、清瀬一郎の議長時代ですが、これをずっと読んでみると、これさえやればバラ色の農村、農家ができるというふれ込みの提案と、これやったらもう何にもならない、金をかけて終わっちゃう、こういう野党との対決法案であるだけに、これだけ審議を深めたんだろうが、これから伺いたいのは、一体農業基本法というのは何だったんだろうか、休耕、減反、転作に何ぼ金をかけたんだろうか。それから、成功したとは、とてもじゃないが、お世辞になっちゃうんで言われないんだが、さらにこれから十年間、私のあれでは金利を入れると四兆円くらい、生産調整、減反、いわゆる米でないものを植えてくれればという奨励金が田にまかれるわけです。大蔵大臣、その成果は、いままでの十年は、まず一兆五千億くらい入れた。しかし、全然効果はなかった。効果あるどころか、米がますます余ってしまう。  そこで昨年、農林大臣とここで論議したのは、面積さえ減ったんだから、減反の協力率が一一四%も出てきたんだから、米が減るだろう、こういう強気のお答えをした。しかし私は、面積が減ったって米は減らないよと。私はまことに理屈に合わない反論をしたかもしらぬけれども、面積が減るんだから米が減るのはあたりまえでしょうと言うから、いや、秋まで待とうと言ったら、秋になったら出るわ出るわ、いままでにない豊作になった。それは農民は、十枚のうちの一枚の悪いたんぼは、管理転作に何ぼでも提供する、しかし九枚で十枚分をとろうという意欲があることを知らないで、この一連の奨励金をくれて、奨励金をえさにしての減反は、私はもう見直さなくてはならないんじゃないかというような気がするんですが、まずその辺、農林大臣、どうですか。
  372. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 確かに部分的には、いまおっしゃったような生産者の心理というものが働くことは、これは否めないと私は思います。しかし、これだけ大幅に水田利用再編対策というものを進めていくということになれば、やっぱり全体としては私は効果はある、こう見ております。
  373. 川俣健二郎

    ○川俣委員 大蔵大臣、どうですか、企業効果、投資効果というのはどういうようにはじいていますか、主計局としては。
  374. 金子一平

    金子(一)国務大臣 四十六年から五十二年までに支出いたしました転作奨励金は一兆一千六百五十億。いろいろ見方はございましょうけれども、私はやはりそれなりに、これは転換期でございまするから、十分の効果は必ずしも上げられなかったかもしれませんけれども、米の需給調整のためにはそれなりの効果は上げたというふうに考えております。
  375. 川俣健二郎

    ○川俣委員 こういうことだったんだよ。中核農家をつくろうというアドバルーンだったんだ。ところが、農林省からもらった資料によると、中核農家なんていうのはふえないんだ。みんな兼業農家になった。ネコの額のような土地だって放さない。土地さえ持っていればまずまんまは食える。そのほかに農民がなわとか、俵とか、わらじとかいうのはみんな消費経済で冬場の労働力が要らないのです。その冬場の労働力が公共事業のところへ、八割は農民の出かせぎになっている。こういったところを考えると、中核農家、これを農民に何で知らせないのだろうか。たとえば三ヘクタールなり五ヘクタールの農家にしたい、こういうふうになぜ政府は言わないのだろうか。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 そのためには十軒のうちに八軒ぐらいの農家の五反歩百姓は要らないということになるわけですから。それは一切言わないで奨励金、奨励金で米を植えるたんぼを減らそうという努力が、私は論争する時間はないけれども、だんだんに企業効果が出ると大蔵大臣はしゃあしゃあと言いますけれども、私はとてもじゃないけれどもこれは出ないと思いますよ。なぜかというと、統計で面積が減って、農家数が減っていないもの。あえて減っているとすれば、二男、三男が東京に働きに来る、その次は長男まで働きに来る、その次は父ちゃんまで働きに来る、こういう現象だったけれども、一軒の農家は相変わらずたんぼを持っているということなんです。ところで、管理転作をやりなさい、所有権は移さぬでいいからほかのものをつくる人に預けていくなり農協に預けっ放しなり、それから大規模農業をしたいから集めるといったってこれは無理です。この数字が言っている。  そこで一方、生産調整をやるというのは、いわゆる千百七十万トンの米を確保すればいい、したがって百七十万トンぐらいは多過ぎるから五十三年度三千億投資したわけです。この五十三年に三千億政府が出したものを、百七十万トン減らしてもらいたいために三千億かけたんだから六十キロで割ると一万円になる。一俵減らしてもらうために一万円投資した。これは投資効果は出ないです。計算してごらんなさい、出ないです。それから、なぜ逆のことをやるのだろうかと思うのは、たとえば消費者米価を上げます、どういう現象が起きたと思いますか。東京ではまだ即座に反映しないだろうけれども、農民から買う仕入れ原価、いわゆる買い入れ価格よりも消費者米価の方が高くなったものだから、食う方の奥さん方は米穀通帳で政府の配給所から米を買うよりも、農民の方から直接買った方が古米も入っていないし安いし、こういう現象になったわけですよ。だから農民の方は、どうせ政府が買ってくれる数量は確保された、限度数量という、まあ食管法に穴があいただろうが、千百七十万トンの、保有米を除いて買ってもらえる。あとは近くの消費者が買いたがるから、これは農協は買わないかもしれないけれども、業者という組合があるものですから、それに何ぼでも買ってもらえるものだから、それつくれという状態になっているということなのです。したがって私は、生産調整を進める方にしては、まあ最後の段階で農林大臣もいろいろとあったと思います。農林大臣に一番期待したのだから、厚生大臣のときも国民が期待したと同じように、この農林大臣なら体を張ってやるだろうなと言ったら、最後の段階にぱっと四・二%上げることに同意した、これでああ生産調整はだめになったと思います。生産調整はだめですよ。農民はだんだんにマンションの方に売りに来ますよ。売りに来ます。それはなぜかというと、古米も入ってない、しかも皆さんは、配給所で、米穀通帳なんというのはあるかないかわからないけれども買うよりも、こちらの方がはるかにうまくて安いという現象をここに打ち出した。それともこの夏に生産者米価をうんと上げるんだということなら別なんだ。食管法というのは、米というのは政府の米を配給所から買うありがたさがなければ食管法は守れないのだなとぼくは思うのだが、そこはどうです。ありがたさがなくなっちゃったのよ。これはどうです。
  376. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは大議論のあるところなんです。これはおっしゃるとおり非常な議論の出るところでございます。でございますが、生産地においては確かに一俵で百何十円かの末端逆ざやよりも生産者の米の方が安いというような現象がございます。ございますが、それはもともと生産地においては余り米等をこしらえておっても政府が買わないわけですから、値段はうんともともと安いわけです。ですから、そういうようなことを考えると、うんとつくってやみで売るのだという人にとっては余り影響はない、私はこういうように思っておるわけであります。しかも、いい米をつくればそれは自主流通米として高く売れるわけですから、自主流通米は自主流通米制度というものがあってやっておる。しかし国全体から見れば、やはりこの際、十一円八十銭の一食当たりの補助金を出しておくと、そのために非常に財政圧迫をして前向きの農業政策がだんだん苦しくなるという財政事情が一方あるわけです。そこでこの補助金は徐々に整理をしたいと私は思っているのです。思っておりますが、物価との関係もございますので、ことしはとりあえず一食当たりで一円二銭の補助金を減らしてもらった。そのかわり確かに八百六十億円という財政収入になることも事実であって、これが今回の予算の中で非常に前向きの金として、たとえばたんぼを畑にするために二百三十億も特別事業をやるとか、いろいろそういうふうな相当思い切った施策ができるようになった。これを総合的に考えると、私はやはり農業諸団体が高く評価をしてくれておることが本当ではないのかなという気がしておるわけであります。これは政策判断の問題でございます。
  377. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間がないからあれですけれども、過保護ではないかという言葉が非常に耳に入ってきております。この過保護というのは、一億の人方が食べ切れないほど農産物をつくって海外に行ってもうけてくる農民に予算を出すのなら、これは過保護なんです。そうじゃないのだ。過保護というのはなぜ過保護と言われるかというと、農業政策に財界も口を出すようになった、労働組合の一部も口を出すようになった、過保護じゃないかと。こういうように言わせているというのは、私は効果がないからだと思います。なるほど、ついに行管までが構造改善事業に口を出すのは、おかしいじゃないかと言い出してきたところを見ると、農林省の手だてをしたのが十年たったらどういうふうになったかということがない。午前中に大豆がいままで三%の自給率だったが四%の自給率、一%上がった、こうおっしゃった。これは自給率は上がってないのです。自給率というのは、消費者の胃袋に入らなければ自給率は上がっていないのだ。ただ生産量は確かに転作物として出た、だけれども、対外調整がないものだから、負ければ、それは当然もう自給率にはならないのだから。  そこで最後ですが、食管法のあれでよく農林大臣も発言する。食管法の根幹を守るためにその運用を少し変更をするというせりふがよくある。わからないのだな。根幹を守るために運用をやる。いまの食管法というのはもちろん統制経済の十七年と違って中身は変わってきたと思います。変えなければならないという観念になるかもしれない。だけれども、先ほど申し上げましたように、政府を通す米にすがりつくのが一番得なんだというところを国民に見せない限りは、もうこれはだめですよ。  それからもう一つは、農林省に設置されたいわゆる阪田チームの作業をちょっとのぞきたいのだけれども、どの程度進んだのか知らないけれども、それは局長でも大臣でもいいですが、たとえば限度数量、昭和十七年の食管法はみんな政府に納めなければならないという法律だ。今度、三十六年の政令で買うだけしか買わないからそれしか買わないよ、こういう穴抜きになった。こうやって次々にやって、食管法の根幹を守るためにと、こういうことを言わせているのか、農林大臣が後ろから行って農協に言わせるのか、自分たちが言っているのか、その辺がわからないのだな、私は。この枝を切ったらだめになっちゃうのよ。食管法というのは、根幹を守るために枝を切るんだなんというのはどういう意味かわからないので、これだけはぜひ聞かしてもらって終わります。
  378. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 御承知のとおり、食糧管理法は昭和十七年戦時立法として、その一環としてできたものでございます。したがいまして米不足時代でございますから、国民の食糧を確保する、そういうようなことで農家には割り当てをして米の強制供出、こういうようなことをやらしてきたことは、それは事実であります。したがいまして、食管法というものは米が余っちゃっておるときにうまく機能しない部分がございます。食管法も改正をして、小麦のように無制限買い入れなんというふうに改正をすれば別ですが、いま米の事情はそういう状態ではない。しかしながら、食管法というものは一つの安心する法律であることは間違いない。狂乱物価のときに、非常にみんなが買い占めをすると言っても、食管法がありますから政府は大きく抑えがきいた。それであのとき暴騰しないのは米だけですから、たくさん持っていたということももちろんございますが、そういうようなメリットも消費者にとってはある。また生産者の方にとってはやはり価格が維持されておるというところに非常な安心感を持っておるわけです。したがって、われわれは国民に必要な主食の米を必要な量だけ確保するということと同時に、やはり生産者農家がある程度安心もできなければいかぬ。こういうような点でやはりその根幹は必要だ、こういうふうに思っておるわけです。しかしながら、実情にうんと合わないような部分もかなり出てきておる。こういうような点については運用の改善を図っていく。一口に言えば、そういうことが言われておるわけでございます。
  379. 川俣健二郎

    ○川俣委員 終わります。
  380. 竹下登

    竹下委員長 これにて川俣君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十四分散会