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1979-02-14 第87回国会 衆議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月十四日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 竹下  登君   理事 伊東 正義君 理事 小此木彦三郎君    理事 塩川正十郎君 理事 浜田 幸一君    理事 毛利 松平君 理事 大出  俊君    理事 藤田 高敏君 理事 近江巳記夫君    理事 河村  勝君      稻村左近四郎君    奥野 誠亮君       海部 俊樹君    倉成  正君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       正示啓次郎君    砂田 重民君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田村  元君    谷川 寛三君       野呂 恭一君    羽田野忠文君       藤田 義光君    藤波 孝生君       坊  秀男君    松澤 雄藏君       村上 茂利君    安宅 常彦君       井上 普方君    稲葉 誠一君       川崎 寛治君    川俣健二郎君       兒玉 末男君    坂本 恭一君       島本 虎三君    平林  剛君       安井 吉典君    池田 克也君       坂井 弘一君    長谷雄幸久君       林  孝矩君    大内 啓伍君       米沢  隆君    寺前  巖君       東中 光雄君    正森 成二君       伊藤 公介君    大原 一三君       加地  和君    中川 秀直君  委員外出席者         証     人 植田 三男君         証     人 海部 八郎君         証     人 有森 國雄君         植田証人随伴者 石井 成一君         海部証人随伴者 井本 臺吉君         有森証人随伴者 竹内 康二君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   根本龍太郎君     村上 茂利君   野呂 恭一君     谷川 寛三君   石橋 政嗣君     坂本 恭一君   岡田 利春君     島本 虎三君   広沢 直樹君     鈴切 康雄君   二見 伸明君     林  孝矩君   正木 良明君     長谷雄幸久君   矢野 絢也君     池田 克也君   藤原ひろ子君     東中 光雄君   山口 敏夫君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   谷川 寛三君     野呂 恭一君   村上 茂利君     根本龍太郎君   坂本 恭一君     石橋 政嗣君   島本 虎三君     岡田 利春君   東中 光雄君     正森 成二君   加地  和君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     山口 敏夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 竹下登

    竹下委員長 これより会議を開きます。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算に関し、外国航空機購入予算問題について、植田三男君より証言を求めることにいたします。  証言を求める前に証人に一言申し上げておきます。  昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によって、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことになっております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、まず、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときであります。また、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、助産婦、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときにも証言を拒むことができることになっております。  しかして、証人が正当な理由なくして宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  一応このことを篤と御承知おき願いたいと存じます。  なお、今回の証人喚問についての理事会申し合わせ事項については、証人にはすでに文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点について申し上げておきます。  その第一点目は、証人随伴者助言を求めることが許される場合についてであります。  すなわち、証言は、証人がみずから知り得た事実を証人自身の記憶により申し述べるのが原則でありますが、証言を求められている事柄が議院証言法証言を拒否することが認められている事項に該当するかどうか確認しようとするとき、その他委員長がこれを中心として判断し、許可を与えるのを相当としたものについては、証人随伴者助言を求めることができます。  これらの助言は、いずれもその都度証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであります。  その第二点目は、資料についてであります。  証人は、証言を行うに際し、資料を用いることは差し支えありませんが、委員長許可が必要であります。また、これらの資料は、いずれも当委員会提出していただくことになっております。  その第三点目として、証人は、メモをとることは認められておりません。  その第四点目は、随伴者についてであります。  随伴者は、発言することはできませんが、メモをとることは許されます。  また、随伴者は、証人委員長許可を得て助言を求めた場合は助言をすることができますが、自分の方から証人に対し助言することはできないことになっております。  以上の点を十分御承知おきください。  それでは、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めることといたします。全員御起立を願います。     〔総員起立
  3. 竹下登

    竹下委員長 それでは、植田三男君、宣誓書を朗読してください。
  4. 植田三男

    植田証人      宣誓書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、  又、何事もつけ加えないことを誓います   昭和五十四年二月十四日                 植田 三男
  5. 竹下登

    竹下委員長 宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 竹下登

    竹下委員長 御着席ください。  これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また、御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。  なお、こちらから質問をしているときは着席のままで結構でございますが、お答えの際は起立して発言をしてください。  なお、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で国政に係る重要な問題について証言を求めるのでありますから、不規則発言等、議事の進行を妨げるような言動のないように特に御協力をお願いいたします。     ―――――――――――――
  7. 竹下登

    竹下委員長 これより証人に対して証言を求めます。  まず、委員長より所要の事項についてお尋ねをして、その後、委員各位の御発言を願うことといたします。  あなたは植田三男君ですね。
  8. 植田三男

    植田証人 はい、植田三男でございます。
  9. 竹下登

    竹下委員長 生年月日住所職業を述べてください。
  10. 植田三男

    植田証人 生年月日、大正二年三月十七日。住所、東京都世田谷区成城七丁目二十九番地の三十九。職業日商岩井株式会社取締役社長でございます。
  11. 竹下登

    竹下委員長 社長に就任されたのはいつですか。
  12. 植田三男

    植田証人 昭和五十二年六月二十九日に社長に就任いたしました。
  13. 竹下登

    竹下委員長 日商岩井がE2Cの販売に関してグラマン社販売代理店になったのはいつですか。  それ以前はどこが販売代理店でありましたか。
  14. 植田三男

    植田証人 日商岩井グラマン社のE2Cの販売代理店になったのは、昭和――一九六九年でございまして、八月の十五日でございます。
  15. 竹下登

    竹下委員長 それ以前。
  16. 植田三男

    植田証人 それ以前の代理店住友商事と聞いております。
  17. 竹下登

    竹下委員長 住友商事から日商岩井変更になった経緯について述べてください。
  18. 植田三男

    植田証人 担当の者よりの報告によりますと、ハリーカーン氏が日商岩井に参りまして、グラマン社のE2Cの販売代理店をやらないかという話が持ち込まれてきたわけでございます。日商岩井としましては、当時代理店があったことだと思うので、それはどうなっているかということを聞きました。ところが、カーン氏からは、現在グラマン社の方で新規に代理店の選考を詰めておるので、日商岩井代理店を引き受ける希望があれば推薦したいと思うという話が持ち込まれたわけでございます。まあ日商岩井とすれば、新しい商取引を持つことになりますので、グラマン社の方で選考されつつある企業の中に入れていただいて検討をしてもらうように推薦をわれわれはお願いしたわけでございまして、その後グラマン社の方ではいろいろ検討なさったとわれわれは想像いたしますが、われわれの方の業務活動のアクティビティーというものにつきまして評価していただいたように推測いたしますが、グラマン社の方から正式に代理店になるようにという申し入れがございまして、引き受けたわけでございます。  以上でございます。
  19. 竹下登

    竹下委員長 昨年十一月にグラマン社販売代理店改定契約を結んだそうですが、この契約書を、もし必要があるならばグラマン社了解を得た上、本委員会提出する御意思はありませんか。
  20. 植田三男

    植田証人 契約書提出につきましては、相手先関係先の御了解を得る必要がございます。したがって、でき得ますならば提出を御勘弁願いたいと存じますが、委員会でどうしてもという御意向でございましたら、関係先相手先に御了解をとりまして、追って提出するようなことを検討したいと存じます。  終わり。
  21. 竹下登

    竹下委員長 ただいま米国人ハリーカーン氏のことが出ましたが、ハリーカーン氏と日商岩井との関係について述べてください。
  22. 植田三男

    植田証人 お答えいたします。  ハリーカーン氏と日商岩井関係につきましては、中東地域の一般的な取引とか情報につきましてのコンサルタントの契約がございまして、そういう関係ハリーカーン氏とのおつき合いが出ました。今般のE2Cの件につきましては、先ほど申し述べたように、ハリーカーン氏からグラマン代理店を引き受けるようにという申し入れがございまして、そういう関係からハリーカーン氏との関係もできたわけでございます。私の聞いている範囲内においては、その二点においてハリーカーン氏と関係があると承知しております。
  23. 竹下登

    竹下委員長 次に、発言の申し出がありますので、順次これを許します。羽田野忠文君。
  24. 羽田野忠文

    羽田野委員 証人にお伺いしますが、アメリカ証券取引委員会が本年の一月四日付の報告書で、一人の日本政府関係者の示唆によってグラマン社日本販売代理店変更したというふうな趣旨の指摘がございますが、この点について証人が承知しておられることを述べていただきたい。
  25. 植田三男

    植田証人 ただいまの御質問の点につきましては、私は全然承知しておりません。私の聞いているところによりますと、日商岩井グラマン社販売代理店になったのは、グラマン社の自主的な判断に基づいて決められたというふうに聞かされておるわけでございます。
  26. 羽田野忠文

    羽田野委員 一九六九年、代理店変更があった当時あなたは社長さんでなかったという事情はありますが、少なくともアメリカ証券取引委員会からこういう指摘があったことについて、社長であるあなたが副社長海部さん、あるいは当時常務で、亡くなられた島田さん、こういう方々について、この指摘のような事実があったかどうかということについて調査をなさるはずであるし、必ずなさったと思いますが、このことについてこういう方々から調査した結果はいかがでございましたか。
  27. 植田三男

    植田証人 私が、海部社長並びに島田常務に、新聞報道にある記事をベースにしまして事情を聞きました。ところが、二人ともこういう事実はないというふうに回答をしてまいりました。私もそのように存じておる次第でございます。
  28. 羽田野忠文

    羽田野委員 先ほどおっしゃられた昭和四十四年八月十三日、日商岩井グラマン社との間で締結されたE2Cに関する販売代理店契約、この内容、特に代理店手数料はどういうふうに定められておるか、御説明いただきたい。
  29. 植田三男

    植田証人 グラマンとの販売代理店契約内容につきまして、御質問の点をお答えいたします。  機体につきましては、FMS契約になった場合には代理店口銭はない。部品に関しましても代理店口銭はない。しかし、部品契約コマーシャルベースになった場合五%の口銭を分与するというふうに聞いております。  以上でございます。
  30. 羽田野忠文

    羽田野委員 いまのあなたのお答えは、当初の契約か更改された契約か、どちらかはっきりしませんが、それじゃ次に聞きますが、この四十四年の八月の契約がその後改定をされておるということですが、その改定された年月日並びに改定された代理人手数料が、当初の契約改定後はどういうふうに変わっておるか、それからこういうふうに改定したのはどういう理由改定をしたのか、この点述べていただきたい。
  31. 植田三男

    植田証人 代理店契約改定は、私が聞いたところによりますと、第二回目、七四年に改定されておるようでございます。それから第三回目、七八年の十一月に改定されておると聞いております。  当初からの内容につきまして、私勉強不足でございまして、どういうふうに変わったか存じませんが、昨年に改定されたいきさつにつきましては、FMS方式になった場合、日商岩井口銭は払わないという条項が付与されました。また、米国武器輸出に対する規制強化というものが出まして、それに基づきまして倫理条項が中に挿入された、その二点が変わったように聞いております。  以上でございます。
  32. 羽田野忠文

    羽田野委員 E2Cの販売に関して、日商岩井先ほど証言に出ましたハリーカーン氏との間に契約があったということを現在知っておりますか。
  33. 植田三男

    植田証人 お答えします。  現時点におきまして、ハリーカーン氏と日商岩井の間に成功報酬に関する覚書があったことは承知しております。
  34. 羽田野忠文

    羽田野委員 その覚書存在を知ったのはいつであるか、そして知った結果について、あなたが知っていることを述べていただきたいのは、その覚書が作成されたのはいつか、また、覚書内容はどういうふうになっておるのか。
  35. 植田三男

    植田証人 この覚書存在を知りましたのは一月の二十五日でございます。これは島田常務から私に対しまして、ハリーカーン日商岩井の間に一時期覚書を取り交わしたことがあるという報告が初めてなされましたわけでございます。したがって、現在はその覚書存在しておりません。そのときに、どういう内容であるかという質問に対しまして、島田常務より、これは四十四年のグラマンとの販売代理店契約できた後で、ハリーカーン氏との覚書を作成しまして、このE2Cの販売が成功した場合には、日商岩井が受け取るであろうと推測される手数料の四〇%をハリーカーン氏に上げましょうというふうな内容のようでございました。これはハリーカーン氏が日商岩井グラマン社に推薦してくれたという謝礼の意味を込めての取り決めであったように聞いております。
  36. 羽田野忠文

    羽田野委員 社長であるあなたが、本年の一月二十五日までこれほど重要な契約を知らなかったということは、大企業として全く考えられないこと、しかも実にむちゃくちゃなことだと思いますが、これほどの、あなたの方で受け取る手数料の四〇%をハリーカーン氏に支払うというような大変な義務負担行為を含んだ覚書取締役会にもかけてないわけでございますか。  もう一つ。この契約は現在も効力を有しておるのか、あるいは現在は解消されておるのか。解消されておるとするならば、いついかなる事情で解消されたか、この点を御説明いただきたい。
  37. 植田三男

    植田証人 ただいま御指摘の、この覚書重要性があるにかかわらず取締役会にかけていないという点でございますが、当社の内部的な権限規定によりますと、当時の本部長である海部氏の権限内でこのメモランダムを作成する権限が付与されておるわけでございまして、その点におきましては社内規則に違反をしていないということでございます。  また、――もう一点、失礼でございますが、何でございますか。
  38. 羽田野忠文

    羽田野委員 契約はまだ存続しておるのか、解消したとすれば、いつどういう理由で解消したのか。
  39. 植田三男

    植田証人 この契約覚書そのものは七五年の末にハリーカーンとの間で口頭でもって解約をしておりまして、その翌年の四月には文書でもってこれを確認した通知を出しております。
  40. 羽田野忠文

  41. 植田三男

    植田証人 解約理由につきましては、四十四年から長期間にわたってE2Cの販売の成果が上がらないという点、また、その間に日商岩井航空組の人材の投入につきまして多額の経費を要しているということから、この契約そのもの日商岩井にとって次第にメリットのないものになりつつあるというふうな考えのもとに、七四年からハリーカーン氏に対してこれをキャンセルしてもらうように交渉を続けてまいりました。結果、七五年の末に口頭解約の約束ができた次第でございます。
  42. 羽田野忠文

    羽田野委員 七六年に解約通知文書で出したということでございますが、この文書は現在も存在しておりますか。存在しておるとするならば、当委員会提出する御意思はありますか。
  43. 植田三男

    植田証人 この通知書につきまして、私は存在しておるものと存じますが、再度調査いたすことにいたしたいと思います。
  44. 羽田野忠文

    羽田野委員 この契約の結果についてちょっと聞きますが、このE2Cの販売代理店契約を締結した後、日商岩井は、グラマン社から現在までに代理店手数料その他これに関して金銭支払いを受けた事実がありますか。
  45. 植田三男

    植田証人 その点につきまして、航空機部報告によれば、そういう金銭の授受はあったことは聞いておりません。
  46. 羽田野忠文

    羽田野委員 同じく関連契約でございます日商岩井ハリーカーン氏に関する契約に基づいて、ハリーカーン氏に対して手数料とかあるいは成功した場合の謝礼的な意味金銭支払いというようなものについて、これを支払った事実があるかどうか。
  47. 植田三男

    植田証人 ハリーカ-ン氏に対する金銭支払いは、E2C、グラマン社関係においては一銭もございません。
  48. 羽田野忠文

    羽田野委員 そうすると、今回のE2Cの機体購入、いわゆる今度予算を求めておるものですが、これは日本政府アメリカ政府との間の直接契約によって行ういわゆるFMS方式、こういうものによって行われる。それから昨日の防衛庁長官記者会見によると、機体だけでなくして、この機体を購入した場合、将来これに関して買い入れなければならない維持部品の調達についても、機体と同じようにFMS方式によってこれを調達したいということを述べておりますし、また、この機体アメリカ政府グラマン社から買い受ける際に、代理店手数料をその価格に上乗せしてはならない、算入しないようにというような要望が出ておる。こういうようなことは知っておりますか。
  49. 植田三男

    植田証人 お答えします。  この機体FMS方式によって契約される場合は、代理店口銭支払いがないということは契約文言に入っております。  部品に関しまして今後どういう方式であるかということにつきましては、私は正式には聞いておりませんが、新聞報道ではこれもFMS方式になるんじゃないかという報道がなされておりますので、そういうことになるんじゃないかという推測はしております。  したがって、両方の契約方式がそうなりましたら、日商岩井としてのエージェントに基づく口銭収入は一銭も入ることはあり得ないというふうに存じております。
  50. 羽田野忠文

    羽田野委員 せっかくグラマン社とあなたの方が代理店契約を締結して全く利益がない、メリットがないというようなことについて、会社はそれで文句ないのですか、了承しているのですか。
  51. 植田三男

    植田証人 これは政府政府のお仕事でございまして、そういうふうに決定した以上、日商岩井としてはやむを得ないというふうに存じます。
  52. 羽田野忠文

    羽田野委員 これは余り触れたくないことなんですが、おたくの会社島田常務が亡くなられました。この亡くなられる直前に、いわゆる死に直面して書き残したメモが発表されておりますが、これを見ますと非常に心打たれるものがあります。  ちょっとその一部を読んでみますと「今日まで、気の張りつめでした。」「家族をギセイにし、家をギセイにして、そして、でも、日本一の航空機部を作りました。」「私は飛行機に生命かけて来ました。生命かけて来たものが、採用されて何にが悪いんでせう。他に何にがあるんですか。私は確信しているのです。」「私は本当に、コレだと思ふ事、国防の事を考へて、真面目にやって来たんです、国防のために。何にが何んだか解りますか。唯金だ、政治家だと言ふ事で、国会は大さわぎ、本当に日本を考へている人は誰でせうか。」  こういう、死に直面した人が本当に血で書きつづったような言葉をメモに書いております。私は、この人が命をかけて国防のために選んだE2C、一日も早く日本の守りにつけることがこの人に対する最大の弔いだと思います。それには、このE2Cの疑惑を早く解き明かさなければならないのです。先ほど委員長から、グラマン社との改定契約提出について、相手方のあることだからまあ勘弁してもらいたい、しかし、どうしても必要なら、了解を受けて提出をしたいということを言っておりましたが、むしろあなたの方から積極的に事案の解明協力をする、書類はあるものはどんどん出す、事実でわかっていることははっきり述べる、こういう態度をとることこそ、あなたの会社にとっても、いま覆うておる疑惑の雲を払いのける一番大事なことだと思いますし、また、国民の皆さん政治に対する信頼というものを取り戻すためにも、早く的確な解明をすることが必要だと思いますし、亡くなられた島田さんの、本当に一生懸命やってきた、そして真剣に選んできたこのとうとい気持ちにも報いる道だと思いますが、日商岩井最高責任者として、いまあなたのお考えを承りたい。
  53. 植田三男

    植田証人 ただいまお話しのあった点につきましては、非常に私も反省させられるわけでございますが、この疑惑を世間に与えたことにつきましては、非常な迷惑を皆さんにしたことにつきまして申しわけないことと存じております。  この疑惑解明するためにあらゆる努力をせよという御指示でございます。私どもの方におきましては、島田常務が数回にわたりまして検察当局の方に事情聴取に赴き、捜査に協力をいたしてきました。また、われわれの社内においても、この件につきましてあらゆる努力をいたしまして調査を進めてきております。その結果の報告を私が聴取いたしました。その範囲内において、現在委員会の皆様に御説明しておるわけでございます。さらに今後とも、国会の御指示に基づいてあらゆる努力を払って、この疑惑解明のために努力いたす所存でございます。よろしくお願いします。
  54. 羽田野忠文

    羽田野委員 終わります。
  55. 竹下登

    竹下委員長 これにて羽田野君の発言は終了いたしました。  安井吉典君。
  56. 安井吉典

    安井委員 社会党の安井です。後で坂本委員の方から事実関係についてお尋ねをすることになっていますが、私は、経営のトップとしてのいろいろなお考えについて伺いたいと思います。  島田常務の自殺はまさに痛ましい限りでありまして、友人への遺書にも、自分の命をかけて会社を守りますとあった由で、これはまさに悲痛な会社への忠誠心の発露だ、こう思います。しかし、このことは裏返しをすれば、会社の大変重大な秘密を私が死んで守ります、こう受けとめられないこともないわけであります。特に、一月の九日にあなたが一番初めに記者会見で、やましいことは会社にはない、こうおっしゃった。ところが、SECやチータム証言がどんどん出る中で、一つ一つうそがばれてきて、最後は例のカーン密約もございましたと頭をお下げになった。どうでしょうか、そういうことでいまここまで来ているわけですが、もうあと頭を下げなくていいのですか、もううそはないのでしょうか。島田さんが自分の死をかけて守ろうとしたのは、私の推測が過ぎるのかもしれませんが、日商岩井政治家のかかわり合いではないかと思います。どうですか。
  57. 植田三男

    植田証人 カーン氏との覚書をめぐって種々疑惑存在を取りざたされておるようでございますが、私があらゆる努力をもちまして調査し、また担当者からの報告を聴取した範囲内におきましては、現時点において、いままで日商岩井が発表した以外何もございません。  また、島田常務が自殺をする直前に書かれたメモ、いま内容につきましてお話がございましたが、この自殺の、なぜしたかという原因につきまして、何かそこにあったのじゃないかというふうな御指摘でございますが、これは私の推察の域にすぎないのでございますが、島田君は当時報道陣の攻勢に追っかけ回され、また……
  58. 安井吉典

    安井委員 いや、私は政治家が介在していないかどうかということをお聞きしているわけです。委員長、ちょっと時間の関係がありますから……。
  59. 竹下登

    竹下委員長 安井君の御質問お答えくださいますよう。
  60. 植田三男

    植田証人 どういう点のあれですか。代理店の選定の場合ですか。
  61. 安井吉典

    安井委員 そうです。
  62. 植田三男

    植田証人 代理店の選定に際しましては、先ほど私が御答弁したように、グラマン社の自主的な判断に基づいて、日商岩井代理店にしたというふうに聞いておりまして、政治家が介在したようなことはないと私は確信しております。
  63. 安井吉典

    安井委員 先ほど羽田野さんが遺書の一部をお読みになりましたけれども、あのお読みになった直後には、政治家は便乗してくる、しかし役に立たない、こういう言葉もあるわけですね。あるいはロッキード裁判の中でも、航空機の売り込みには、商社からの政治家へのあいさつというのは一般的な慣習だというようなことが現に法廷でも述べられているわけです。ですから、私はやはりその辺が一番の問題だと思うのです。  そこで、政治家への献金だとかあるいは会費だとか、そういうようなものは会社の役員会でお決めになるのですか。会社の機構の問題をひとつお聞きしておきたいと思います。各本部がありますね。それがそれぞれの責任でお決めになるのですか、あるいは会社全体で、社長の責任でお決めになるのですか。
  64. 植田三男

    植田証人 政治家皆さんに対する献金につきましては、現在政治資金規正法にのっとりまして、当社の場合は秘書室において原案をつくります。その原案に基づきまして、最終的には社長が決裁することにしております。
  65. 安井吉典

    安井委員 各本部長だとか、それぞれのセクションだけで処理するということはありませんね。
  66. 植田三男

    植田証人 当社の場合は、政治献金は社長決裁でございます。
  67. 安井吉典

    安井委員 先ほどのお話を承っておりますと、社長が全体を常に統括しているというのじゃなしに、各部門部門がそれぞれ仕事をどんどん進めていく、たとえばさっきのカーン密約だって、海部さんの部門だけで決めちゃったとおっしゃったでしょう。社長は全然ごらんにもならないし、中身を御存じないわけですね。会社の機構はそういうふうに勝手に処理できるような仕組みになっているのですか。それとも最終的には社長がお決めになるのですか。それによっては、さっきのいわゆる密約と言われているものの処理の仕方があれでいいんですか、どうですかということになると思うのですね。会社の機構の問題……。
  68. 植田三男

    植田証人 われわれの会社におきましては、各事業本部制がございまして、各事業本部が権限を分権しておりまして、その権限規定範囲内においては各本部が自主的に営業行為を実施することになっております。もちろん、社長の決裁すべき事項につきましては経営会議を経由しまして社長が決裁いたしますが、何分非常に広範囲業務活動をしておりますので、逐一全部社長が見るということは不可能でございますので、そういう仕組みにおいて各本部に分権をさせておるわけでございまして、本件につきましては、この権限規定範囲内で実施したものでございます。
  69. 安井吉典

    安井委員 私は、先ほどの処理の仕方をお聞きしてどうしても腑に落ちないのは、社長が後になってお聞きになったということですよ。しかも口銭の四〇%も上げるという約束ですよ。これは会社として重大な問題じゃないでしょうか。それまでが航空本部長なり副社長の手だけで結ばれて、しかも破棄された、こういうふうなお話だから、これはどうしても納得がいかないわけです。その契約を結んだのも破棄したのもこれは会社の責任だ、こう受け取めていいわけですか。
  70. 植田三男

    植田証人 先ほど申し上げましたように、この覚書の締結の権限本部長が持っておるわけでございまして、社長許可は必要としないということになっております。もちろん解約においても本部長権限内で解約ができる仕組みになっておるわけでございます。
  71. 安井吉典

    安井委員 会社の受取手数料の四〇%もカーンさんに上げるというそういう約束は普通じゃおかしいのじゃないですか、どうですか。
  72. 植田三男

    植田証人 この点につきまして海部社長なり島田常務事情を聞いたわけでございますが、いろいろ口銭の分配の取り決めの問題に関しましては、そのときの商品の性質とか、あるいはまた金額とか、あるいはそのときの相手方の貢献度とかいうものがいろいろ重なり合って決められるわけでございまして、本件のE2Cに関しまして、いわばたなぼた式にエージェントが日商岩井に舞い込んだというような感じから、カーン氏のある程度の言い分というものを聞いたのじゃないか、こういうふうに想像できるわけでございます。
  73. 安井吉典

    安井委員 そういう御説明でありますだけに、私はこれは礼金の意味で、代理店を変えてもらった礼金の意味だ、こうおっしゃるわけですね。それを解約した、そういうことになれば、カーンさんの方も抵抗するのはあたりまえですよ、おれがずいぶん世話してやったのに何もくれない。  それでは、そのときに一時金、手切れ金のようなものをお渡しになったのですか。
  74. 植田三男

    植田証人 一時金的なものは支払ったようには聞いておりません。約一年間カーン氏と解約の交渉をした結果、解約にこぎつけたわけでございます。
  75. 安井吉典

    安井委員 それなら、ずいぶんお世話になった礼金の意味も含まれている、こうおっしゃったでしょう。それを渋るのはあたりまえでしょう。それを黙って打ち切ったのですか。必ず私はそのかわりの見返りを会社の方が提供されたに違いないと思うが、どうですか。
  76. 植田三男

    植田証人 代理店を推薦してくれた、その礼金の意味覚書を交わしたわけでございますが、その覚書内容としまして、E2Cが成約できた場合というふうになっておりまして、それが成約の見込みが、長期間あって、ないということ、われわれとしましても、この成功報酬的なことは打ち切った方がいいというふうな考えのもとにカーン氏との交渉で決まったわけでございます。
  77. 安井吉典

    安井委員 私はその見返りに、いまの中東地域のコンサルタント契約をあなたがお結びになったのではないか、そういう推理をしています。そういうふうに考えている人はずいぶんいるわけですよ。つまり、これだけの大きなものの礼金の意味も含めた打ち切りというのですから、それにかわる見返りとしてそれをやったんじゃないか。同じ一九七六年ですよ、さっきのお話は。昭和五十一年です。同じ年にそれが結ばれたというのは見返りじゃないのですか。密約打ち切りの見返りじゃないですか、どうですか。時間がないからイエスかノーかだけでおっしゃってください。
  78. 植田三男

    植田証人 私の調査した結果は、中東地区のコンサルタント契約につきまして、E2Cの覚書とは全然無関係のように聞いております。
  79. 安井吉典

    安井委員 あなた、そのとおり信じていますか。
  80. 植田三男

    植田証人 私はそういうふうに部下からの報告によって信じております。
  81. 安井吉典

    安井委員 それは最後まで重大な問題として残ります。  あと坂本委員にやっていただきますけれども、私どもの調べでは、日商岩井海部社長と塚田代議士との関係だとか、あるいはボーイングSRの例の使途不明金五十五万ドルの問題だとか、それからまたさらに暴露された、国税庁で四十八年から五十二年までの五カ年間に八回にわたって計六十四億六千三百万円もの修正申告を税金でしている。ずいぶん税金をごまかしている。ですから、そういうようなものがいわゆる使途不明金で政界に流れたのではないか、そういうことを思わざるを得ないわけです。しかも、日商岩井の交際費が非常に大きくて、社長だけでも一年間に一億円以上お使いになるということを聞いておるのですが、その点はどうですか。
  82. 植田三男

    植田証人 交際費につきまして実は私、詳細をちょっと調べておりませんので意見を申し上げにくいわけでございますけれども、交際費の使用につきましては、昨年来私が社長に就任して以後厳しくチェックをいたしまして、経費の節減という意味から減らすようにという指示をしております。
  83. 安井吉典

    安井委員 それじゃ、私どもは、その日商岩井の商法というか、そういうようなものにいささか疑問なきを得ないわけでありますが、いずれにいたしましても、今度できたこの事件の処理の問題でありますけれども、何か三専務がいいかげんな扱いをして処理をする、それはごまかしをいかに隠滅をするかということをやっているようにしか外では見えないわけですよ。やはりアメリカでやるように、社外重役をそのための委員として任命してそれでやるとか、公認会計士を入れるとか弁護士をどうするとか、外部からそういうものを入れる形で問題を解明する、そういうことでなければ私は本当の世間の納得するようなことにはならぬと思う。大商社の、大きな六位のランクを持っている総合商社のモラルがいま疑われているわけですから、そういう点をはっきりしていただかなければいかぬと思うが、それについて最後に伺います。
  84. 植田三男

    植田証人 現在、この問題についての調査は、いまお話がございましたように、三専務を中心として、それぞれの専務の担当する職能を通じまして調査をいたしておるわけでございますが、外部の人たちによる調査をするようにというお話でございますが、その段階まで現在まだ立ち入っておりません。現在、内部の者の調査によって全貌を明瞭にする方針でございます。
  85. 竹下登

    竹下委員長 これにて安井君の発言は終了いたしました。  坂本恭一君。
  86. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 引き続いてお尋ねをいたします。  いま安井委員質問の中でお答えがあったのですが、いわゆる中東地区一般についてのコンサルタント契約存在をしている、それはいつ締結をされたのでしょうか。
  87. 植田三男

    植田証人 中東地区といいましても、中東のアラブ地区全般とかサウジアラビアを中心とした地区というふうにございますが、中東諸国全般に対するコンサルタントの契約につきましては、一九六九年に第一回が結ばれまして、毎年更改しているというふうに聞いております。サウジアラビアのコンサルタント契約につきましては、一九七八年からやっているというふうに私、報告を受けておるわけでございます。
  88. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 アラブ地区については一九六九年といえば、いまから十年前ですね、十年前から毎年更新をしているということに聞こえたわけですが、さらにサウジ地区については一九七八年、昨年からということですか。
  89. 植田三男

    植田証人 私が聞いたのは、昨年からでございます。
  90. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 概括的なことしか社長お聞きになっていないと思うのですが、いまのお答えからいくと、それでは一九七八年サウジについてコンサルタント契約を結んだその内容について御説明ください。
  91. 植田三男

    植田証人 お答えします。  このサウジアラビア並びに中東諸国に対するコンサルタントの契約につきましては、その地区における一般的な商いに対する情報提供をするという約束のもとに契約をしておるわけでございます。
  92. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 お答えになっていないのです。そのいまの中身をほとんど御存じないのだろうと思うので御発言がないと思うのですが、その辺の中身について、これも相手のあることだからということになろうと思いますが、先ほど委員長から御指示があったような形で御報告が願えますでしょうか。
  93. 植田三男

    植田証人 私、その内容詳細存じておりませんので、内容につきましては御要望がございましたら、また追って御報告いたします。
  94. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 では別の問題に入ります。  先ほど来、いわゆる密約の問題がかなり中心的に議論をされてきたようですが、別の観点からちょっとお尋ねをしたいと思うのです。  いわゆるグラマン社との代理店契約それ自身はいま会社存在をしますか、契約書自体。
  95. 植田三男

    植田証人 グラマン社とのE2Cについての代理店契約は現在存在しております。
  96. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 していますか。
  97. 植田三男

    植田証人 はい。
  98. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 それといわゆるカーン氏とのこの密約について解約をしたその文書存在をしますか。
  99. 植田三男

    植田証人 先ほどもお答えいたしましたが、その文書存在しておるものと思います。
  100. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 契約書、それに解約のいわゆる文書、両方とも存在をしているという御証言ですが、たしか二月九日の集中審議の中で、公正取引委員会からの答弁によりますと、もうすでに廃棄をしたという説明書が公取に上がってきている、そういう答弁がなされていますが、間違いなく存在をしていますか、いま二つの書面について。
  101. 植田三男

    植田証人 いま御質問の点は少し理解できないわけですけれども、カーン氏と日商岩井覚書そのもの存在しておりません。それを解約した確認書は存在しておるものと存じます。私、まだその文書を見ておりませんのでそういうふうに……(発言する者あり)
  102. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 そうすると、要するにカーン氏との間の当初の覚書はいま存在していない、したがって、公正取引委員会にそういう返答をしたということですね。そうすると、解約をした文書存在をする、これについてはもし求めがあれば提出をいただけますか。
  103. 植田三男

    植田証人 その文書につきまして調査の上、御返事いたします。
  104. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 ところで、カーン氏との当初のいわゆる密約、密約というのは余りいい言葉ではないのですが、密約という言葉が使われていますから密約というのを使いますが、その密約文書、これが破棄をされた、しかし、もともとこの文書については、本来ならいわゆる独禁法の六条で届け出をする義務があるはずなんでありますけれども、それは届け出はしていないのですか。
  105. 植田三男

    植田証人 おっしゃるとおり、国際契約については公正取引委員会の方に届け出をする義務があるわけでございますが、そのカーン氏の覚書につきましては、届け出を失念しておりました。担当者の非常な、ミスでございまして、申しわけないことだと思います。
  106. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 これを詰めていると、時間だけ経過しますから先に進みますけれども、届け出義務に違反すると、かなり厳しい罰則規定があるということは当然御存じだろうと思います。  それといわゆる商業帳簿といいますか商法上義務づけられている中で、商業帳簿の保存期間というのがあります。これはいわゆる会計帳簿だけではなくて、営業に関する重要書類というものも十年間の保存期間があります。それをまだ、たしか一九六九年ですから十年未満ですね、私どもは重要な営業書類だと理解をしているのですが、それを廃棄するということはいささか根拠がないんじゃないかと思うのですが、社長の御見解を。
  107. 植田三男

    植田証人 お答えします。  このような覚書に関しましては、社内規定におきまして規定はされております。それによりますと、廃棄後五年間保存するように決められておるわけでございます。いや、解約後五年間保存するように決められておるわけでございますが、商活動の中でいろいろなケースがございます。一部重要でないものは幾らか流動的にこの規定を運用しているわけでございますが、いずれにしましても、この内部規定に反しているということは事実でございまして、担当者に対して私も非常な叱責をしたわけでございます。
  108. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 先ほど私がお尋ねを申し上げたいわゆる中東関係のコンサルタント契約、そういうものについては国際契約として届け出をすでに済ませておりますか。
  109. 植田三男

    植田証人 先ほどのカーン日商岩井覚書、これの届け出を怠ったと同時に、その他のカーンとの中東諸国のコンサルタント契約につきましても届け出を怠ったことになっておりますので、私は、一月二十五日にカーンとの覚書存在を知らしめられたわけでございまして、そのときに直ちに公正取引委員会の方の届けばあったかということを詰問しまして、それもなかったわけでございましたので、二月二日に全部の届け出をしたわけでございますけれども、カーン氏との覚書につきましては、もうすでに解約済みのものでございますので、その説明書を添付しまして届けた次第でございます。
  110. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 時間がありませんので簡潔にお答えをいただきたいのですが、海部氏の個人資産としていろいろ新聞等でも取りざたをされております。一例を挙げますが、それについて簡単にお答えを願いたいと思います。  一つは、青山コーポラスの六〇四号室、六〇六号室というのがあります。これは借り主はサモア・シッピング・カンパニー、パナマの会社ですね。しかし住人は、いわゆる警察のあれは簿冊と言うのですか、交番でよく住民案内、あれによりますと海部氏がそこの住人になっておる、六〇四号室ですね。六〇六号は何か海部氏の知人の画家の方がお使いになっておる、住人になっておるということが新聞等でも書かれています。また、さらに日商岩井音羽マンション、これは日商岩井が建てられたものだと思いますが、マリーゴールドカンパニア・S・Aというのが借り主になっている、この九〇七号室。これも海部氏がお使いになっているようだということが言われています。しかし、いろいろ聞いてみますと、いわゆるそこの音羽マンションの方の管理費は、日商岩井の建設部の建設課がお支払いになっているというようなことが言われています。その点についてはいかがですか。
  111. 植田三男

    植田証人 海部社長がマンションを持っておるという新聞報道に関しましては、私は、個人的な問題でございますので、現時点においては、まだそういう点については事実の解明はいたしておりませんが、現在聞いた範囲においては、それがために社会通念を逸脱したというふうなことでもないように思いますし、また社内のルールに違反したようなこともないというふうに聞いております。ただ、そういうふうな点に海部社長に対する不審の点がございますということでございましたら、さらに私、追ってこれにつきまして詳しく事情を聞くことにしたいと存じております。  それから管理費の点につきましては、建設部の方に調査いたしまして、会社の方で払ったかどうか、その確認をとるつもりでございます。
  112. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 その辺は、調査した結果はぜひ委員会報告書提出していただきたいと思います。  では最後にもう一つだけ、そのほかにもいろいろ取りざたされている問題が個人資産の関係でもございます。しかしながら、残念ながら時間がありませんから、千歳空港の問題等もまた次の機会にやらせていただきたいと思いますが、当初申し上げたいわゆる密約の関係で、いわゆる十年間本来なら保存をする、あるいは内規がどうなっている、いろいろ内規の問題が先ほど来ありますね、答弁があるんですけれども、そのいわゆる内規というのがどういうものか、この際私は公表していただきたい。公表というのはオーバーかもしれませんが、この委員会にぜひ内規を提出していただきたいと思いますが、その点についてのお考えを聞いて終わりにしたいと思います。
  113. 植田三男

    植田証人 本件に対する内規の点につきましては、委員会の御要求がございましたら御報告することにいたします。
  114. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 終わります。
  115. 竹下登

    竹下委員長 これにて坂本君の発言は終了いたしました。  池田克也君。
  116. 池田克也

    池田(克)委員 公明党の池田克也でございます。事実関係について若干お尋ねをしたいと思います。  昭和五十二年の五月六日、一年八カ月ほど前でありますが、午後四時二十分、ホテルオークラで辻前社長植田社長との社長交代の記者会見が行われました。御記憶でしょうか。
  117. 植田三男

    植田証人 はい、記憶しております。
  118. 池田克也

    池田(克)委員 この社長交代劇は、いろいろな報道によれば、当時辻前社長は任期を一年残しておかわりになった、また、あなたは当時アメリカ日商の社長をしていらっしゃったそうでありますが、急遽日本に呼び戻されて、そして社長就任ということになった、こういういきさつがあったそうでありますが、おおむねそのようでありましょうか。
  119. 植田三男

    植田証人 当時社長の交代のいきさつにつきましては、私、アメリカに駐在しておりまして詳しく聞いておりませんが、辻前社長はもうすでに前から交代をしたいという希望を社内で一部の方等には漏らされておったようでございまして、辻前社長がちょうど私の……(池田(克)委員「簡潔にひとつ短く」と呼ぶ)アメリカ駐在でもうぼちぼち私も帰任するというふうな時期にありましたので、辻前社長が私に交代をするという決意をされたというふうに私は存じております。
  120. 池田克也

    池田(克)委員 その記者会見の席上で、あなたは辻前社長と並んでお座りになっていらっしゃったわけでありますね。ここでこういう写真も出て、お二人が並んでお座りになっているわけです。この記者会見の席で記者団から、航空機輸入で政界との関係にまつわる疑惑をどう思っているかという質問が出されました。これに対して、あなたのお隣に座っていらっしゃった辻前社長は、この疑惑について私みずから調べましたが、疑惑を招くような事実はありません、ないと確信しますというふうに社内調査の結果を報告しているんです。こういう辻社長の記者団に対するお答えをそばで聞いていらしたわけですが、御記憶ありますか。
  121. 植田三男

    植田証人 さよう記憶しております。
  122. 池田克也

    池田(克)委員 辻社長が御自分で調べられた。大きな企業において社長さんが社内疑惑を自分で調べる。いまでも今回の件で植田社長はお調べになっているようでありますが、辻社長がお調べになった、これは仮に辻調査と名をつけてみましょう。どんなことをどんな規模でお調べになったんでしょうか。
  123. 植田三男

    植田証人 そのときにおける前社長の辻が申し上げた調査内容につきましては、私は聞いておりませんので、いまお答えすることはできません。
  124. 池田克也

    池田(克)委員 辻社長のお調べになった、疑惑はないと確信すると答弁された、しかし、これは大事なことだと思うのです。あなたから辻社長に、辻社長がお調べになった内容はどんなことだったのかというのをお尋ねになっていて当然だったんじゃないかと私は思うのです。それまでも日商さんについてはいろいろな疑惑がマスコミに流れました。あなたが新しく会社社長になって指揮をとるわけですね。そうすると、片腕になって働くべき副社長さんの疑惑について、仮に結論としてシロになったとしても、どういうことがあってどう調査してそれがシロだったのか、どれとどれを調べてどういうふうだったのか、今後はこういう点について社内運営については社長として注意せねばならない、こういう気持ちになるのは当然だと思うのです。ですから、あなたが辻社長に、どういう規模のどういう調査でだれとだれをお聞きになってどういうことだったのかというのは、当然聞いていてしかるべきだと私は思うのです。何にも知らなかったのですか。
  125. 植田三男

    植田証人 この問題につきましては、私は、辻前社長調査した結果、疑惑はないという説明に対して全幅の信頼を置いておったわけでございまして、具体的にどういうこと、どういうことを調査されましたかというところまでは私は聞いておりませんが、大体の、海部社長に対しこの問題について聞いたところが、そういう疑惑はないというようなこと程度ぐらいしか私は存じませんわけでございます。
  126. 池田克也

    池田(克)委員 海部社長について調べたけれども、何にもなかったと辻さんから言われたといういまのお話でしたね。当時あなたはアメリカ日商の社長でニューヨークにおいでになったはずですが、辻社長社内を調べたという状況の中で、ニューヨークにいらっしゃるあなたに辻社長から、あるいはかわりの方から何かの海部さんにまつわる調査の連絡がありませんでしたか。
  127. 植田三男

    植田証人 私、駐在中の期間においては、そういう調査についての連絡事項はございませんでした。
  128. 池田克也

    池田(克)委員 そうなりますと、辻社長のお調べになったということは、ずいぶんいいかげんな調べ方をした、社内調査をしたんじゃないかと私は思うのです。いろんな疑惑の中に、五十二年の五月時点以前の問題、五十一年の二月にロッキード事件が発覚しましたが、その直後に海部社長がマスコミから姿を消した。いろんな記者団が海部さんに取材しようと思って行ったんだけれども、海部さんがいなくなっちゃった、こういう話があるわけですね。恐らくあなたは、ニューヨークにいて日商岩井の責任者ですから、これは大変だ、丸紅さんでああいう事件が起きた、飛行機を輸入する会社としてやはり同じようなパターンというものはある、あなたはそのときに、海部さんに連絡をとって、こういうことが起きた、あるいは海部さんから連絡があって、どう処理するか、こういうアクションというものがありましたか。
  129. 植田三男

    植田証人 いまお尋ねの件でございますけれども、私も日商岩井の副社長でございました。しかし、当時はアメリカ現地法人の社長を専任しておりまして………
  130. 池田克也

    池田(克)委員 結論だけ言ってください。連絡があったかどうか。
  131. 植田三男

    植田証人 海部社長から連絡はございません。
  132. 池田克也

    池田(克)委員 あなたからは連絡しましたか。
  133. 植田三男

    植田証人 私からも連絡いたしておりません。
  134. 池田克也

    池田(克)委員 おかしいと思うのです。日商岩井アメリカ最高責任者が、アメリカのチャーチ委員会で問題になっている、こういう話があった。丸紅では、大久保専務が当時真っ先に飛んでいって、そうしてチャーチ委員会に乗り込んで、どういうことかというのをつかんできていますね。私は、敏感な情報を集める商社としてはあたりまえの仕事だと思うのですね。あなたから海部さんに連絡もしない。あるいは海部さんから連絡も来ない。となれば、このロッキード事件というものを、ああ対岸の火事だというふうに日商岩井さんとしては見ていたのか、非常に私は不思議でならないですね。  そこで、先ほどちょっと触れましたが、海部さんがそのころどこにどうしていたのかあなたは御存じでしたか。ロッキード事件の発覚直後の話です。
  135. 植田三男

    植田証人 一々海部社長存在あるいは出先については、ニューヨークまでは通知はございませんので、存じておりません。
  136. 池田克也

    池田(克)委員 テレックスも発達し、商社活動というのは二十四時間だというふうに聞いております。一々副社長の動きを知らない。私は、疑惑が起きて、飛行機の最高責任者で、大変な商売熱心な方だというふうに海部さんのことを聞いておりますが、どこにいるか御存じない、連絡もとれない、そんなことはあり得ないと思うのですね。当時斉藤さんとおっしゃる広報課長さんが、海部さんはオーストラリアへ行って十日ぐらいで帰ってきたというふうに記者団に発表しておるのです。こういう事実はありましたか。
  137. 植田三男

    植田証人 そういう点につきましては、詳細ニューヨークの現地法人まで連絡するようなしきたりはございませんので、私も聞いておりません。
  138. 池田克也

    池田(克)委員 海部さんがオーストラリアヘのんびり行っているような状況じゃなかったと思うのですね。やはり、先ほど来申し上げておるように、いち早くこの問題はあなたと海部さんとで対応策を立てるような状況だったのじゃないかと思うのです。  一方、この一月の三十日に日商岩井さんが記者会見をされまして、海部八郎さんの釈明文というのが発表されております。これによりますと「一九七六年の初め、私どもからカーン氏あてに、前述の取り決めを解約する旨、書面により通知を行いました。」つまり、この海部八郎氏の釈明文によれば、全面的解約の交渉を強硬に進めていた、一九七四年ごろからカーン氏との契約を解消すべく話し合いに入り、七五年末ごろには解約の話し合いが行われ、七六年初めカーン氏あてに書面を送った。つまり、問題の昭和五十一年のロッキード事件の起きた前後は、おたくとしてはカーン氏との契約を解消したくてしたくてしょうがない非常に大事な時期だったのですね。そのときに海部さんがのんびりとオーストラリアへ行くというのは、私たちにはどうもわからない。このなぞの十日間、海部さんが重大な時期にどこかへ行っちゃたというのは、ぜひこれは明らかにされなければこの問題の解決はできない。私は、本件を調べていまして、オーストラリアでカーン氏に会ったのかなという気もした。だれかカーン氏をつかまえて、いや、この事件は大したことない、やがてちゃんとなるから契約は解除しないで大丈夫だということだったのか。いずれにしても、この海部氏の十日間、ロッキード事件前後の動きは非常になぞなんですね。私のこういう疑問に対して何か回答を与えてくださるそうした状況を御存じでしょうか。
  139. 植田三男

    植田証人 先ほども申し上げましたように、当時私、米国に駐在しておったので、そういった点につきまして一切存じませんし、また聞かされていなかったので、それが当時の環境として不適当であるかどうかということについてもお答えが非常にむずかしいかと存じます。
  140. 池田克也

    池田(克)委員 ロッキード事件の後に、発覚後、東京地検は海部さんに事情聴取を希望したというふうに私は聞いております。当然でしょう、一番詳しいのですから。しかし、結果は島田さんが東京地検に出ているようです。また、裁判の法廷にも、検察側証人として島田さんが出ているわけですね。どうして一番詳しいはずの、一番猛烈商社マンとして活躍をした海部さんがそういう調べに出ないで、一切島田さんが出ていたのか。また、海部さんが――あなた副社長でしたね。そこで、副社長も知らないようにしてどこか海外へ出ていっている。どうも私はこの辺が納得できないのですね。先ほど来から、権限規定というのがおたくの会社にあるそうです。ぜひこれを本委員会に出していただいて、海部さんが勝手な海外出張だとかそういうことができるような仕組みになっているのか。私はここにおたくの会社のいろいろな規則を持っておりますが、権限規定がないのです。ここには経営会議の規定がありまして、経営会議の中には、役員の海外出張は経営会議常務会ですね、これに付するということになっているのですけれども、その権限規定をお出しいただきたい。また、この十日間の海部氏の行動について、ぜひ御自分で解明して御報告を願いたい。いかがでしょうか。
  141. 植田三男

    植田証人 本件につきまして当委員会から要求ございましたら、また追って調査しまして御報告いたします。
  142. 池田克也

    池田(克)委員 その点お計らいを願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  143. 竹下登

    竹下委員長 後刻理事会で協議をいたします。
  144. 池田克也

    池田(克)委員 次に、若干問題を変えます。  先般新聞紙上に、日商岩井さんが五年間に六十四億の脱税をしたということが報じられています。植田社長は就任の記者会見でも、法秩序を守っていきたいと述べておるわけですね。脱税はこの法秩序を守っていきたいという社長の決意、就任時の決意を虚妄にするものじゃないかと思うのですね。私は、この脱税の内訳、機械本部でどれだけあったか、できれば航空機部で幾ら、東京航空機で幾ら、あるいは船舶で幾ら、あるいは建設で幾らというような各本部ごとの、特に機械本部だけは部ごとのこの脱税の内訳というのを発表していただきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  145. 植田三男

    植田証人 いま御質問の脱税の報道が新聞に出ました件でございますが、これにつきまして御説明申し上げますと、四十八年から五十二年の間に修正申告を自主的に行った結果、そういう金額になっておるわけでございまして、その内容としましては、四十八年の三月期におきまして外貨の長期、短期の債権債務、これの為替の換算方法につきまして税務当局との見解の相違がございまして、それが……
  146. 池田克也

    池田(克)委員 それを聞いているのじゃないのです。内訳を出していただけるかということを聞いているのです。各本部ごとに、会社全体として六十四億ですが、どの本部で幾ら、どの本部で幾らというのがあるはずです、当然その仕事上の帳簿をいろいろ調査されて。そこのところなのですね。内訳を出していただけませんか。
  147. 植田三男

    植田証人 それはよく調査せぬと私わかりませんので、調査した上で、委員会の御要求がございましたら検討させていただきたいと思います。ただ、脱税につきましての説明はそういうことでございまして、為替の換算方法による解釈の相違というものがその中に含まれておるということを申し上げたわけでございます。
  148. 池田克也

    池田(克)委員 日商岩井は、一番新しい有価証券報告書によれば三百万平米、つまり百万坪の土地を現在所有している、このように記載されておりますが、事実でしょうか。
  149. 植田三男

    植田証人 その数字につきまして私ちょっと不勉強でございまして、いまお答えしにくいわけでございます。
  150. 池田克也

    池田(克)委員 ここに、これは新しい五十三年三月期のでありますが、三百六十二万二千四百五十二平米、こういう土地があると有価証券報告書にうたわれております。日商岩井は非常に熱心にマンションをお建てになっておりまして、この数年間、マンション建設戸数では日本一だというふうに言われておりますが、事実でしょうか。
  151. 植田三男

    植田証人 マンションがどういうことで、もう一度恐れ入りますが……。
  152. 池田克也

    池田(克)委員 非常に熱心にマンションを建てていらっしゃって、その建設戸数は日本で一番多い、最高位を昭和四十九年、五十年ととっている、こういうふうに言われておりますが、事実でしょうか。
  153. 植田三男

    植田証人 その戸数が一番多いということにつきましては、私、一番多いような報告も受けておりますけれども、数字的にどういうふうになっているかということは、私わかりません。
  154. 池田克也

    池田(克)委員 一番多いということを御承認されておりますが、そういたしますと、非常に熱心にいろいろな土地の売り込みというのがやってくると思うのですね。そこで、このマンションを建設する担当の一番えらい重役さんはどなたでしょうか。
  155. 植田三男

    植田証人 マンションの建設に関しましては管掌役員が海部社長でございまして、本部長が亡くなった島田でございます。
  156. 池田克也

    池田(克)委員 いまのお答えでは、マンション建設をする建設部というのは海部さんと島田さんでやってきた。飛行機と船を扱う機械本部ですね。どうしてそこにマンションがくっついてくるのでしょう。私はどうもおかしいと思いますよ。マンション用地というのを売り込みに来た場合に、だれの決裁で土地が買えるのでしょうか。最高責任者海部さんだと言われましたが、海部さんの決裁で土地は買えるのでしょうか。
  157. 植田三男

    植田証人 建設部の業務に関しましては、管掌役員並びに本部長の決裁で行うことができることになっております。
  158. 池田克也

    池田(克)委員 そういたしますと、社長は、北海道千歳の新千歳空港の拡張用地として、非常に奇妙な形をした土地を海部さんとそれから某高官の御縁の方であるという方が二人で買っている。しかもそれが一千万で買って六千万で売って、五千万もうかった。税金もかからないことが国会でも取り上げられている。この事実を御存じでしょうか。
  159. 植田三男

    植田証人 この事実につきましては、最近、新聞報道によりまして私は知ったわけでございます。
  160. 池田克也

    池田(克)委員 この件について海部さんに何か説明を求められ、何か説明を受けていますか。
  161. 植田三男

    植田証人 海部社長から事情を聞いたところによりますと、塚田さんとの個人的なお知り合いの中で塚田さんからお話がございましたので、御一緒に買わしてもらった、こういうようなことでございまして、その点につきましては、私としてはやましい点がなかったと信じております。
  162. 池田克也

    池田(克)委員 塚田さんからお話があったというのですか。これは大変新しい、重大なことだと思うのですね。  時間がありませんから、この問題また別の機会にしますが、日商岩井では過去に飛行場の土地をお売りになったことがありますか。
  163. 植田三男

    植田証人 私、その点につきましては不勉強で、存じておりません。
  164. 池田克也

    池田(克)委員 不勉強とおっしゃいますが、飛行場の土地の問題は集中審議でここで取り上げているのです。当然それまでに会社でお調べになったりして、準備があってしかるべきじゃないかと私は思うのですね。私の調べでは、昭和四十八年、竜ケ崎の飛行場の土地をお売りになりまして、二億五千五百万の利益を上げていらっしゃるのです。飛行機をお扱いになる会社が非常に飛行場に関心を持っていらっしゃる。これは私も本委員会指摘をしたところなのですけれども、なぜ海部さんが飛行機、船、そしてマンション、どうもつながりにくい。私は不思議でならないのです。会社の中で、海部さんが建設をやっていることにちょっと疑問をはさんでいるのがあるのですね。これはおたくの会社で出している文書の中にあるのですが、「他の建設関連部門、たとえば鉄鋼、木材、物資などとの横のチームワークに欠ける」、本来ならそうですね。鉄鋼や木材や物資というのが本来は建設と関連しているのです。どうも飛行機や船とつながっているというのはおかしいというのがおたくの会社の中の文書指摘されている。こういう不自然な状態というのを御存じでしょうか。
  165. 植田三男

    植田証人 他の部門との関係がどうなっているということをおっしゃっているのですか。
  166. 池田克也

    池田(克)委員 他の部門ですね。本来ならば、鉄鋼、木材、物資などと住宅建築がかんでいるのならばいいのだけれども、船や飛行機と住宅があるので、チームワークに欠けるというように指摘されているのですね。そういう議論があったことは御存じないですか。
  167. 植田三男

    植田証人 建設部の仕事につきましては、関連の部門との連絡は十分行っておる状況でございまして、そういう無関係ということはあり得ないと思います。
  168. 池田克也

    池田(克)委員 それは社内ですから関連があると思うのですが、海部さんが御自分の権限で土地をお買いになれる状態にある。それから船、飛行機、マンション、大変これはもうかっていらっしゃるという話も聞いておりますし、裏金づくりに使われたのじゃないかという話もあちこちにある。これはこれからずっと詰めていかなければならないと思うのですが、やはり会社として、もっともっとその問題を詰めて、調査をしていただかなければいけない。先ほど来の辻調査というのもどうも余り本格的なものじゃなかったようだし、私としては、植田社長に、人格を疑うわけじゃありませんが、この件について本式な調査をして、疑惑解明をし、本委員会にその結果を報告していただきたい。このことを要望いたしまして、質問を終わらしていただきます。
  169. 竹下登

    竹下委員長 これにて池田君の発言は終了いたしました。  米沢隆君。
  170. 米沢隆

    ○米沢委員 きょうは御苦労さまです。時間もありませんので、早速質問をさしていただきたいと思います。  今回、この疑惑の焦点になっておりますE2Cに関しまして、日商岩井は懸命な売り込みの努力をされた。それもカーンさんと密約まで結んで努力をされた結果、いまその売り込みが成功寸前にあるわけです。成功はしたけれども、実際、政府が言うておりますように、その取引政府取引FMS方式でやる。そうなりますと、口銭は全然入らない。先ほどの御答弁で、それはやむを得ない、こうおっしゃっておりますけれども、そういうのは商慣習としておかしいのじゃありませんか。
  171. 植田三男

    植田証人 当初エージェントを締結したときには、FMS方式になるということは予想はしておりません。したがって、機体販売されたときには口銭がもらえるというふうな所存でございましたが、昨年の契約改定におきまして、FMS方式になった場合には口銭を払わないということにつきまして、やむを得ないということにグラマンとわれわれの方では合意ができておりますので、そういったことになりましても、口銭をいただけないことについてはやむを得ないと存じておる次第でございます。
  172. 米沢隆

    ○米沢委員 しかし、いままでの売り込みに関しまして大変な費用を使っておられるはずですね。こういう事件になりましたから、いまおっしゃったように手数料的なものはもらえないということになったのかもしれませんが、実際はグラマン社の方から、少なくともいままでの売り込みに関してお金が要った、その分は日商岩井にとってはまる損ですね、その分はやはり補完するという約束はあるのじゃありませんか。
  173. 植田三男

    植田証人 さような約束はないと存じます。
  174. 米沢隆

    ○米沢委員 こういう場合、たとえば商慣習として、FMSになったのだから、結果的には余りもうからない、手数料が入らない。したがって、そういう場合には部品の購入等については便宜を図るというものが本当は商慣習じゃありませんか。
  175. 植田三男

    植田証人 普通の民間の取引においては、あるいはそういうところで穴埋めをするということもあるでしょうけれども、こういうふうに政府政府取引においては、そういうふうなために契約を曲げて口銭を払うというふうなことは不可能だと存じております。
  176. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、五十一年の末にカーンさんとの覚書契約が解除された。しかし、御案内のとおり、五十三年まであったという証言もある。どうも五十三年ごろまで実際は何らかの形であったのではないかという確証を私は持っておるのでありますけれども、ちょうど五十一年末と五十三年の中間においてE2Cは五十二年の五月に内定をしておりますし、五十二年の七月十九日にAEWについてはE2Cに決定というものがなされた。従来、五十一年の末までそういう契約があり、そして、その契約の解除についてはかなり難航されて、カーンさんにとってもこのいい商売については離れがたい気持ちを持っておられたはずだ。したがって、E2Cが内定した段階でカーンさんの方から何らかの形で金をくれという要求がなされて支払いをなされたことはありませんか。
  177. 植田三男

    植田証人 カーン氏から金の要求があって支払いをしたようなことは、私は聞いておりません。
  178. 米沢隆

    ○米沢委員 こうなりますと、結果的にはFMS方式になりますから、ほとんどメリットがありません。今後E2Cに関して、日商岩井としてどう取り扱われる気持ちですか。
  179. 植田三男

    植田証人 いま御質問の点は、今後E2Cのエージェントをやる かやらぬかという質問のように拝察いたしますが、この点につきましては、やはり政府当局並びにグラマン社の方針に従って決定する事項のように私考えておりまして、しかし、疑惑が招かれるようなことに対しては絶対避けるというふうに私は現在考えております。
  180. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、カーンさんとの覚書について御質問いたしたいと思いますが、先ほどの答弁では、覚書を結ぶ権限海部さんにあった。しかしながら、この権限の根拠は一体どんなものか、お示しいただきたいと思います。
  181. 植田三男

    植田証人 内規によりまして、そのような覚書本部長権限で最終決裁になっておるというふうに考えておるわけでございます。
  182. 米沢隆

    ○米沢委員 そういう規定があるわけですね。もしあったら当委員会提出いただけますか。
  183. 植田三男

    植田証人 委員会から御要望がありましたら、規定をもう一度チェックしまして御報告することにいたします。
  184. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、こういう覚書存在そのものが、いかにも商社の取引というものが本当に複雑で、裏の裏があるのだなという感じがしてならないのでございます。そういう意味から、皆さんがたとえば商取引をされる場合に、特に大きなものの取引をされる場合には、えてしてこういう覚書というのはよく締結されるのですか。
  185. 植田三男

    植田証人 お答えしますが、こういうメモランダムというのは、商行為の中ではケース・バイ・ケースにおいて取り決めが行われます。しかし、その内容は区々雑多でございまして、どういう取り決めを覚書によってなすかということにつきましては、一々私説明できないわけでございます。
  186. 米沢隆

    ○米沢委員 覚書にも種々雑多あるということでありますが、たとえば口銭の四〇%もあなたにお払いしますというような覚書は、いままで別の取引であったことがありますか。
  187. 植田三男

    植田証人 覚書の中で四〇%の口銭を払うという覚書が他にあったかどうかの御質問でございますけれども、過去そういうものがあったかどうか、私調べてみないとわかりませんでございますけれども、非常に会社の営業活動はたくさんございますので、一度調べて御報告いたします。
  188. 米沢隆

    ○米沢委員 口銭が四〇%も払われる、そういう覚書が一営業担当重役によって結ばれる、そのことを社長取締役会も知らない、こういうことになりますと、その結果、得べかりし利益というものがこの分だけ大きなマイナスになるわけですから、そういう意味では、海部さんそのものは、会社に対しては背任あるいは横領の罪になるのじゃありませんか。
  189. 植田三男

    植田証人 四〇%といいますと、非常に多額の手数料というふうに見られるわけでございますが、全体の金額はいろいろございまして、一概にそういうふうに類推解釈できるわけじゃございませんが、いずれにしましても、そういうふうな取り決めは社内ルールに照らしまして違反になっておりません。
  190. 米沢隆

    ○米沢委員 しかし、ある商取引をしてもうけるために交際費等を使って損失に落とす、そういうのはわかりますけれども、四〇%というのはちょっと異常ですね。日商岩井さんの計算でも二億ぐらいの計算になるというふうに聞いておりますけれども、SECではありませんけれども、これはやはり株主に対しても大きな損失を与えておるという理解の方が正しいのではないかと私は思います。その点については後に残します。  それから、ちょうど一月二十五日、例の契約存在をしたという御発表をなさったとき、植田社長発言として、処分を考えねばならない、あるいは処分をするのだというたぐいの発言があったやに報道されておりますけれども、しかしその後一転して、全社一丸となってこの解明に当たるというふうに変わったのでありますけれども、その真意は一体何でしょうか。
  191. 植田三男

    植田証人 新聞報道においては、一月二十五日に私から処分をするというふうな報道をされておりますが、そのいきさつは、報道関係者から、この疑惑が真実であり、不正が事実であるとすればどうするのかというお尋ねがございまして、本当にそういうことであればそれ相応の措置をせざるを得ないというふうに私はお答えしたわけでございます。というのは、それ以外のことに関しましては、短時日でございましたが、世間にこの覚書存在がないという発表をした誤った発表に対しておわびをいたしまして、その報告をした担当者に対する措置を考えなければいかぬというふうに考えておるのみでございまして、そういうわけでございます。
  192. 米沢隆

    ○米沢委員 その後社長は、社内体制としてもこの事件の調査をする、かなりの事情聴取が少なくとも社内では行われておるはずでありますが、いま社長の感覚として、この疑惑についてはシロであるというふうに断言できますか。
  193. 植田三男

    植田証人 いままで調査した結果の私に対する報告範囲内においては、不正行為はないというふうに私確信しておるわけでございます。
  194. 米沢隆

    ○米沢委員 確かにいままでの議論からして、いろいろと問題点はありますけれども、もともと社長海部さんのやる航空機商法について批判的だったという話があるのですが、本当ですか。
  195. 植田三男

    植田証人 いまの質問の点でございますが、航空機の商売そのものに対しては何の違反も私はしておりません。しかし、航空機のみならず、いかなる商取引においても、社会通念に反した行為とか遵法的な行為にもとるとかいうことについては、私は絶対排撃すべきものであるというふうに存じております。
  196. 米沢隆

    ○米沢委員 最後になりましたけれども、そういう批判的であったというそのこと自体、皆さん日商岩井の航空機商法に、やはりその目的は正しかったとしても、売り込みを促進する手段においてかなりの不正的なものがあったというふうに社長自身が認めておいでになったのではないかと、こう思います。最後の、この島田さんが亡くなられた後のメモ等におきましても、やはり恨んで死んでおられますね。「それを何故に押へるか。何にも解っていない!」これは、やはり島田さんとしては、一生懸命会社のために航空機を売ろうとしておる、そしてそれがまた国のためになると信じておられた、しかしその手段においていろいろとやったがゆえに、社長自身は余りそんなでたらめなことをするなという、ひょっとしたらそういう話があったのではないかということを感じております。  時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。
  197. 竹下登

    竹下委員長 これにて米沢君の発言は終了いたしました。  東中光雄君。
  198. 東中光雄

    東中委員 いわゆるカーン氏との密約についてお聞きしますが、いま証人メモランダムだと、こういうふうに言われたのですが、海部社長などの発言では、これはコンサルタント契約だというふうに言っておられるようであります。この契約書自体はメモランダムと書いてあるのですか。どういう内容のものなんですか。
  199. 植田三男

    植田証人 私の聞いている範囲内においては、この取り決めは覚書である、英語でメモランダムというふうに聞いております。その内容につきましては、先ほども御説明いたしましたように、E2Cの販売が成功した場合にはハリーカーン氏に、日商岩井代理店に推薦したお礼の意味を込めて、手数料として、成功報酬として四〇%をお払いいたしますと、こういうふうな内容のように聞いております。
  200. 東中光雄

    東中委員 聞いておる範囲ではというのはだれから聞いておるのかというのが一つ。それからもう一つ、この契約書というかメモランダムというか、この文書はだれがどこで保管をしていたのか。そして、廃棄されたと言われたのですが、いつ、だれが実際に廃棄をしたのか。
  201. 植田三男

    植田証人 このメモランダムの作成は、手前どもの事務所が日本橋にございましたときに、そこの場所で、事務所で作成されたように聞いております。この作成に当たりましては、島田常務が作成いたしまして、保管も島田常務がしておったと思います。そのサインにつきましては、島田常務の話によりましては、海部社長がサインしたように思うというふうに説明をしております。
  202. 東中光雄

    東中委員 だれが廃棄をしたのですか。いつですか。
  203. 植田三男

    植田証人 このメモランダムの廃棄は、私の聞いている範囲内では、七六年の解約通知をした後において、島田常務が廃棄したというふうに報告を受けております。
  204. 東中光雄

    東中委員 島田常務はどこで保管をしておったのですか。
  205. 植田三男

    植田証人 保管場所は、私は島田常務から確実なことは聞いておりませんけれども、恐らく島田常務の手元で保管しておったのじゃないかと推測しております。
  206. 東中光雄

    東中委員 日商の中の機構としての部長として、通常の保管ではなくて、島田常務が個人的に保管をしておった、手元で。普通の契約書は一々常務が自分で保管をしておるというようなことはあり得ぬわけですから。  廃棄するについては――いや、その前に、この契約があるのだということを知っておった人の範囲、あなたは知らなかった。しかし、知っておった人の範囲はどれだけになるのですか。
  207. 植田三男

    植田証人 この覚書存在しておることを知っておったのは島田常務でございまして、島田常務の話によりますと海部社長も知っておったのじゃないかということを言うております。海部社長は非常に広範な業務をやっておりまして、記憶を喪失している、そういうことはあったかどうかということについては非常にあいまいな記憶しか残ってないような報告を受けております。
  208. 東中光雄

    東中委員 あなたはうそを言ったらいかぬと思うのですが、あなた自身も立ち会われたこの契約についての認める記者会見をやられた席上には、報酬が何%であるかということについて記者から質問があって、あなたは島田常務と話をされて、島田常務が結局自分はよく記憶がはっきりしてない、間違ったらいかぬからということで言わなくて、そしてそのときに同席していた今村航空機部の次長ですか、この人の口から、私の記憶では四〇%でありますと、こう言っているのです。この人は知っておったことになるのですね。見ておったことになるわけです。そういう会社としての機構があるわけでしょう。非常に極秘にされた、そして、そういう秘密にしておったということになると思うのですが、あなたはこれに立ち会っておられるのですから、私の聞いておる範囲ではと、いつも前提にして証言をされておりますけれども、現に立ち会って経験しておられることでしょう。いかがですか。
  209. 植田三男

    植田証人 私がこの覚書存在を知ったのは一月の二十五日でございまして、そのときに内容を初めて知らされたわけでございまして、その午後において記者会見をして、島田から存在皆さんに説明を申し上げたようなわけでございます。
  210. 東中光雄

    東中委員 あなたは時間かせぎをしてはいかぬですよ。その席上で今村氏が説明をしているという事実をあなた経験しているでしょう。
  211. 植田三男

    植田証人 そのとおりでございまして、島田の回答のかわりに今村がしたことは私記憶しております。
  212. 東中光雄

    東中委員 今村氏は、私の記憶ではと言っているのです。常務の記憶じゃなくて、私の記憶では四〇%でありましたと、こう言っているのですよ。ということは、その人が前に見ておったということがあってこそ、そういうことが言えるわけです。そうでしょう、そうじゃないのですか。
  213. 植田三男

    植田証人 この覚書の作成された時点においては、今村は当時航空機部にいなかったわけでございますし、その後もどういう経過をたどっておったか私存じませんので、先ほど申し上げたように、この覚書存在島田常務、それから海部社長がおぼろげながら記憶にあったという程度しか私は理解しておりません。
  214. 東中光雄

    東中委員 これだけ問題になって、そして記者会見の席上で今村氏がそういう発言をしておるというにもかかわらず、あなたは全部島田さんに、亡くなった島田さんにかぶせてしまうという姿勢をとっておられるとしか私には理解できないわけです。  ついでにお聞きしますが、この国際契約、これは国際契約ですから、そして普通のメモランダムあるいはコンサルタント契約であれば、何にもそんなに隠す必要はないわけです。対外的にも対内的にも隠しておくということをした。そしてあなたは最後まで知らない、いまも内容を知らない、聞いたというだけでありますから。そこに何が書いてあったかということについて、あなたは自分ではっきり証言できない立場におるのですからわからないわけでしょう。そうじゃないんですか。
  215. 植田三男

    植田証人 この覚書内容につきましては、もうすでに覚書存在いたしておりませんので、私みずから内容調査することは不可能でございまして、内容につきましては島田常務から聴取した範囲内しか答えられないわけでございます。
  216. 東中光雄

    東中委員 この国際契約は届け出をしなければ犯罪になる。その届け出をしていなかった、あえてしてなかったというふうに言わざるを得ぬわけです。おたくの社内報を見ましても、国際契約の届け出の手続と、七六年四月号でずいぶん詳しくやっています。これはもうミスで届け出なかったというようなものじゃない。島田さんが個人的に隠しておった、そしてあえて届け出をしなかった、犯罪行為です。そういう異常な事態、しかも今度は文書管理規程に反して、あるいは商法の三十六条の規定からいってもはっきり違法になる廃棄処分をやってしまった。その内容については島田さんからしか聞いていないんだ。島田の言うたことだけが、ほかの者は一切責任ないんだ、こういう言い方は隠しておられるとしか言いようがないと思うのですが、こういう届け出をしなくても、あるいは廃棄処分をほしいままに規定に反してやっても、そこには何の疑惑もないというふうに、それは正しいことだというふうにあなたは思っていらっしゃるのですか。
  217. 植田三男

    植田証人 この公正取引委員会報告をしてなかったという事実につきましては、私は当時報告を受けたときに島田常務を強く叱責したわけでございますが、まことに御指摘のように官庁に対する規定というものがあるにかかわらず、していなかったことにつきましては申しわけないことと存じております。これは単なる報告義務の報告の脱漏、ミスであるというふうに私は考えておるわけでございます。
  218. 東中光雄

    東中委員 義務を負うておったそのいわゆる密約を廃棄をして、それを解除する通知だけは残っておる、そういうことは普通、文書の扱い方としてはあり得ぬわけです。明白に関連する二つの物について自分たちに有利な分だけ残しておいて、問題になっておる不利な分だけなくなっている、これは証拠隠滅としか言いようがないわけです。そういう点についてどういうふうにお考えになっているかということが一つ。  もう一つ。ボーイング関係手数料が百五万ドル入金して、利益計上が五十万ドルだけで、残りの約五十五万ドルの使途については不明であるということで課徴金を課せられたというふうに言われておるわけでありますけれども、中小企業が若干の、十万か二十万か、どこへいったかわからぬというのはあります。しかし、こういう億を超す金額の使途が不明だというふうなことになっておるのは一体どういうことなのか。この使途が言えないようなところにいっておったから、その詳細が説明できないのではないか、こういう疑惑を持たざるを得ないわけです。  それと関連しまして、大韓航空、KALが一九七三年の五月と一九七三年の七月にボーイング747二機を導入しておりますが、この取引に関連をして日商は約二百七十万ドル、八億円の領収書を一九七五年付でボーイング社に出しているということで、そのことについて国税局から調査があった。五十二年の五月下旬から十月までの間に調査があったはずなんですけれども、二百七十万ドルの趣旨、使途というものについてお伺いをしたい。
  219. 植田三男

    植田証人 ただいまの御質問内容につきましては私まだ報告を受けておりませんので、ちょっとこの場でお答えはできかねるわけでございます。
  220. 東中光雄

    東中委員 それじゃ全部知らぬわけですか。使途が不明だというような状態になって課徴金を負うているというふうなことについても、あなたとしては、社長としては、そういうのが日商のやり方なんだ、それでいいんだというふうにお考えになっているのか。もっと使途を明らかにして、そして疑惑をちゃんと晴らすという姿勢に立たれるべきではないのか。航空機の輸入に関していろいろ問題が起こっているわけですから、それで私はお聞きしているわけです。どういうふうにされるつもりなのかということです。いかがですか。
  221. 植田三男

    植田証人 ボーイングから747SRの手数料として百五万ドル入りまして、そのうち五十五万ドルの一部が使途不明ということで、税務当局から言われまして追徴金を支払ったということは私は聞いております。
  222. 東中光雄

    東中委員 時間ですから……。
  223. 竹下登

    竹下委員長 これにて東中君の発言は終了いたしました。  加地和君。
  224. 加地和

    加地委員 ただいまの五十五万ドルについてでございますが、これは税法関係では使途不明金ということで、悪質脱税としての重加算税を支払うことによって一応けりがついておるかもしれません。しかし、株主によって構成されておる公共的な機関とも言うべき会社におきまして、五十五万ドルもの金がどこへいってしまったのかわからないということで社長は済まされないと思うのです。社内的におきまして、この使途不明金についての究明ということはおやりになるのですか、それとも、こんなものだということでほっておいてよいものなのか、どうなんでございましょうか。
  225. 植田三男

    植田証人 五十五万ドルの一部が使途不明金として税務当局から指摘されたことは聞いておりまして、その使途につきましては当社の説明をいたしましたが、税務当局においては説明資料が不足であるということで追徴課税をされたわけでございまして、当社の方からは十分説明をしたつりでございますけれども、税務当局の方ではそれを拒否されたというようないきさつでございます。
  226. 加地和

    加地委員 それは私は非常に逃げ口上だと思うのです。もし会社資料、これが認められないために重加算税まで課されるということは、日本の国においては税務訴訟なり不服申し立てなり、幾らでも争う道があるわけですよ。世間から見れば、これ以上中身を明らかにすれば、ひょっとすれば賄賂あるいは政治献金その他表に出したくないことがたくさん出てくるために、この程度でほおかむりしておいたとしか思えないわけなんです。  私は、実際にはこの使途不明というようなことが、税法上もここでおさまっておくということについてはちょっと奇異に感ずるのでございます。普通なれば使途不明金というのは、こういう言葉を使いたくありませんけれども、横領罪が絡んでいるおそれがある、あるいは背任罪が絡んでいるおそれすらあるんじゃないでしょうか。社長としての、この点について明らかにするのかどうか、これ以上明らかにするのかどうかということについての考えを答えてください。
  227. 植田三男

    植田証人 税務当局からは使途不明ということで指摘されておりますが、社内的にわれわれの調査した結果、その使途につきましては中東地区の入札権の費用とかあるいはまた東南アジア方面の受注に関する費用とかいう説明が十分になされておりまして、それを信頼をしておるわけでございます。
  228. 加地和

    加地委員 私は、日本の国税庁も昔の悪奉行のようなものじゃないと思うのです。それなりの説得性のある資料があれば、これはやはり認めてくれるものだと思います。私たちはそういう信頼感のもとにおきまして日本人であることを誇りにしておるわけでございます。私は、そういう税務署にすら認めてもらえなかったような処理の仕方をしておった日商岩井の社員さん、この方はやはり、社長のおっしゃるとおりだとすれば、会社の不名誉なことをやったわけですから、責任問題にもなってくるぐらいの重大な問題だと思うのですね。ただ、押し問答になりますから次の質問に移ります。  先ほどから、カーン氏との密約を、E2Cも売れない、会社の経費もいろいろとかかってくるために解消したい、こういうことをおっしゃっていました。  ところが海部八郎氏が記者会見のときに出された釈明文には、E2Cの販売の絶好のチャンスとして、ハワイ会談の前に、日米貿易バランスを是正するという前段階の会議が箱根で行われました。その当時私どもとしては、こういった会議でE2Cがぜひ輸入の方向となることを希望しておりました、こういうぐあいに載っておるのですね。そうすると、先ほどのE2C売り込みのためにいろいろと経費もかかったということと、絶好のチャンスのこの箱根会談なりハワイ会談なりを前にして、どういう努力日商岩井は売り込みのためにおやりになったんでしょうか。相当のことをやられたようにわれわれは感ずるのですけれどもね。
  229. 植田三男

    植田証人 E2Cの販売に関する売り込み努力に関しましては、日商岩井としましては政府筋に対する方策は全然しておりません。  ただ海部がステートメントで申し上げたのは、そういう会談でE2Cというものが採用されることは当社の商売がつながることになるという期待感を持って言ったと存じます。
  230. 加地和

    加地委員 グラマン社の方は、大統領補佐官であるとか国務次官補であるとか、いろいろな人を使って、このハワイ会談でE2Cが議題になるように工作をしておるわけでございます。こういうぐあいに、代理店契約などを結んだときに、アメリカ側の方はこういう働きをしておるから、日本側の方もこういうところがポイントだからやったらどうかというような情報交換というのは全然やらないのでしょうか。
  231. 植田三男

    植田証人 いかなる商売であっても、エージェントという立場にあります場合に、その売り込みについての商品の説明とか、ある情報の交換とかというものの一部はなされておることは当然だと思いますけれども、これが政界とかというものに密着したものではなくて、本当に経済ベースにのっとった情報交換というものをするのが、やはりエージェントとしての任務だと思っております。
  232. 加地和

    加地委員 これは超能力を持っておるのかどうか、カーン氏は、このハワイ会談のすぐ後、国産白紙還元に至るまでの間に、グラマン社の方にはよい方向に動き出したというような情報提供をしておるようなんでございます。このハワイ会談の前後に、日商岩井カーン氏との売り込みのための連携工作、こういうものはなされたのでしょうか、どうでしょう。
  233. 植田三男

    植田証人 カーン氏とわれわれの関係は、先ほど来も申し上げたように、覚書によって成功報酬をやるということが一時存在したというだけでございまして、カーン氏がグラマンのそういうコンサルタント的な仕事をしておるということは、この事件の報道された後においてわれわれが知ったわけでございますので、それまでカーンとのE2Cに関する情報交換はございません。
  234. 加地和

    加地委員 証人としてあなたが国会に出てこなければならないために、いろいろと自分が知らなかったことについても社内のそういうスタッフを集めて情報収集をなさったと思うのですが、このハワイ会談前後のことについての情報を社内におきまして収集されなかったのですか。
  235. 植田三男

    植田証人 私は、いままで事情聴取した範囲内においては、そういったハワイ会談を中心としての話題は出ていなかったので存じません。
  236. 加地和

    加地委員 それから、話は変わりますが、E2Cの部品の輸入、これについても、きのうの朝日新聞の夕刊では、防衛庁の方はFMS方式でいくというようなことを発表しておられます。しかし、この部品の輸入というのは、部品の種類にして三万五千種類、数十万点にも上るという繁雑な仕事のようでございます。国鉄商法ではございませんが、私は、果たしてお役人同士で、こういうことが最も人件費、経費が安くて済むのかどうかということについて、やや疑問を持つのでございますけれども、数字等について明るい商社マンとしては、こういう部品の数十万点についてまでFMS方式でやるということが、人件費等もひっくるめて、どうでございましょうか、これはあなたの御意見を伺うということになってしまうのかもしれませんけれども、一番安くつく方法なんでしょうか。それとも、私は商社というのがすべて悪じゃなしに、悪いところに金を使うのが悪いのであって、やはり商社のいいところ、機能というものもそれなりにあると思うのですけれども、そういうことについて、社長のお考えを聞かせてください。
  237. 植田三男

    植田証人 お答えします。  商社の存在の意義ということになるわけでございますが、今度の問題に関しまして商社経由の方が安くつくかもわからぬというふうなことを想定されての御質問でございますか、私の聞いているところによりましたら、グラマン社の方では、日本の商社を通じてやる方が販売コスト的には安くつくというふうな考え方のもとにエージェントというものを設定しているというふうに聞いております。実際どうであるかということは、われわれコスト計算したことございませんのでわかりませんけれども、そういうふうにグラマン社の方では考えておったということを聞いております。
  238. 加地和

    加地委員 はしなくも社長がいまおっしゃいましたように、実際には、きのうの夕刊で防衛庁の発表があるまでは、部品の輸入については大体日商岩井が扱うという話がまとまっていたか、まとまりかけていたのじゃないですか。
  239. 植田三男

    植田証人 グラマン社との契約内容、先ほど申したとおりでございまして、本体に関しましてはFMS方式部品に関してはそういう方式でやるということもあり得るけれども、コマーシャルベースの場合は商社を使って手数料を出すというふうなことがうたわれておりますので、あるいはそういう場合もあり得るかもわからぬということは、契約当時にグラマン社の方では想定しての契約じゃないかと類推されるわけでございます。
  240. 加地和

    加地委員 日商岩井さんもいろいろな政治家とのおつき合いがあるようでございますけれども、田中六助さんの方に、報告されておるあれでは、政治献金が非常に多く行っておるようなんでございますが、田中六助さんと日商岩井さんとはどんな関係でございましょうか。また、田中六助さんが日商岩井のためにどういう役割りを果たしておられるのでしょうか。
  241. 植田三男

    植田証人 田中先生とのおつき合いにおいては、ほかの方と同じように、節度のあるつき合いで、わが社に相応した政治献金が行われてきたということは聞いております。ただ、わが社とどういう関係にあるかということは、現時点においては何のつき合いもございません。過去においても深いおつき合いのあったようなことは聞いておりません。ただ、節度あるおつき合いのもとに推移してきたというふうに聞いております。
  242. 加地和

    加地委員 時間がございませんので、これで終わります。
  243. 竹下登

    竹下委員長 これにて加地君の発言は終了いたしました。  以上をもちまして植田証人に対する尋問は一応終了いたしました。  証人植田三男君には、長時間にわたり御苦労さまでした。御退席くだすって結構でございますが、なお、本日再び証言を求める場合もあるかもしれませんので、控え室にて待機していただきたいと存じます。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  244. 竹下登

    竹下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算に関し、外国航空機購入予算問題について、海部八郎君より証言を求めることにいたします。  証言を求める前に証人に一言申し上げておきます。  昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によって、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことになっております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、まず、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときであります。また、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、助産婦、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときにも証言を拒むことができることになっております。  しかして、証人が正当な理由なくして宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  一応このことを篤と御承知おき願いたいと存じます。  なお、今回の証人喚問についての理事会申し合わせ事項については、証人にはすでに文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点について申し上げておきます。  その第一点目は、証人随伴者助言を求めることが許される場合についてであります。  すなわち、証言は、証人がみずから知り得た事実を証人自身の記憶により申し述べるのが原則でありますが、証言を求められている事柄が議院証言法証言を拒否することが認められている事項に該当するかどうか確認しようとするとき、その他委員長がこれを中心として判断し、許可を与えるのを相当としたものについては、証人随伴者助言を求めることができます。  これらの助言は、いずれもその都度証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであります。  その第二点目は、資料についてであります。  証人は、証言を行うに際し、資料を用いることは差し支えありませんが、委員長許可が必要であります。また、これらの資料は、いずれも当委員会提出していただくことになっております。  その第三点目として、証人メモをとることは認められておりません。  その第四点目は、随伴者についてであります。  随伴者は、発言することはできませんが、メモをとることは許されます。  また、随伴者は、証人委員長許可を得て助言を求めた場合は助言することができますが、自分の方から証人に対し助言することはできないことになっております。  以上の点を十分御承知おきください。  それでは、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めることといたします。全員御起立を願います。     〔総員起立
  245. 竹下登

    竹下委員長 それでは海部八郎君、宣誓書を朗読してください。
  246. 海部八郎

    海部証人      宣 誓 書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、  又、何事もつけ加えないことを誓います   昭和五十四年二月十四日                 海部 八郎
  247. 竹下登

    竹下委員長 宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  248. 竹下登

    竹下委員長 御着席を願います。  これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また、御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。  なお、こちらから質問をしているときは着席のままで結構でございますが、お答えの際は起立して発言をしてください。  なお、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で、国政に係る重要な問題について証言を求めるのでありますから、不規則発言等、議事の進行を妨げるような言動のないように特に御協力をお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  249. 竹下登

    竹下委員長 これより証人に対し証言を求めます。  まず、委員長より所要の事項についてお尋ねをして、その後、委員各位の御発言を願うことといたします。  あなたは海部八郎君ですね。
  250. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  海部八郎でございます。
  251. 竹下登

    竹下委員長 生年月日住所職業を述べてください。
  252. 海部八郎

    海部証人 大正十二年六月二十九日生まれ。住所、東京都杉並区久我山四の十一の二。職業は、会社役員、日商岩井株式会社取締役副社長でございます。
  253. 竹下登

    竹下委員長 日商岩井住友商事にかわってE2Cの販売に関するグラマン社代理店となった経緯を正確に述べてください。
  254. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  いまの委員長お尋ねの趣旨は、日商岩井株式会社住友商事株式会社よりグラマン代理店を取ったいきさつについて申し述べよ、こういうことでございますね。
  255. 竹下登

    竹下委員長 そのとおりです。
  256. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  グラマンのE2Cにつきましては、日商岩井としましては、従来、住友商事株式会社代理店をやっておったことは承知しておりました。一九六九年になりましてミスター・ハリーカーンが私どもへやってこられまして、グラマンのE2Cについて興味があるかどうかというお話がございまして、私どもは、住友商事さんが代理店をやっておられますので、その方はどういうことかと申し上げましたところ、従来の販売についてなかなかうまくいかないのでグラマンの方でその変更について検討中であるので、興味があるならば推薦してやろう、こういうお話がございました。
  257. 竹下登

    竹下委員長 ハリーカーン氏と日商岩井との契約について、締結のいきさつ、内容解約のいきさつについて述べてください。
  258. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  ただいまのお話の趣旨は、ミスター・ハリーカーン日商岩井との関係、それからメモランダムないし契約についてのいきさつ及びその解約についてのいきさつについての御質問、趣旨だと思いますが。
  259. 竹下登

    竹下委員長 そのとおりであります。
  260. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  ミスター・ハリーカーンとは、記憶が確かでございませんが、一九六八年の十二月ごろから中近東に関するいろいろなプロジェクトについての調査その他の依頼をする関係がございました。  それで、ミスター・カーンが、先ほど申し上げましたように、グラマンのE2Cに興味あるかということで、いろいろ検討いたしました結果、向こうの推薦によりまして私どもがその商売をやらしていただく、こういうことになりまして、たしか、はっきり記憶しておりませんが、一九六九年の八月十五日に契約になった、メモランダムを交換した、こういうことだったと思っております。  その内容につきましては、このE2Cの販売について協力する、それができましたときにはこの利益の四〇%を支払う、こういうような内容であったと思います。  ところが、私の記憶によりますれば、E2Cそのものが、これはもうすぐ決まる仕事ではないかと思っておりましたところ、非常に時間を要しまして、これではいつ決まるかわからぬ、そのうちに国産化の問題も起こりますし、それからまたドル減らしのハワイ会談ですね、その他いろいろ問題がございましたのですが、なかなか進まない。そのうちにこれに投入いたします人員、経費その他も相当な金額になってまいりましたので、亡くなりました島田常務がこれではなかなか採算がとれないということに気がつきまして、そのメモランダム改定ないしこれをもう廃棄する、あるいは減額する、そういうような交渉を継続して、私の了解する範囲では七四年ぐらいからそういう交渉を詰めてまいり、七五年の末には口頭で合意に達し、七五年の初めに文書でミスター・カーンの方へ通知した、そういうぐあいに了解しております。
  261. 竹下登

    竹下委員長 現在、ハリーカーン氏と日商岩井とはどのような関係にありますか。
  262. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  現在のミスター・ハリーカーンとの関係は、先ほど申し上げましたように、一九六九年から単年度でいろいろな中近東に関する調査、情報を提供いただいておりまして、現在小さい仕事でございますが、淡水化の仕事を一つやっております。
  263. 竹下登

    竹下委員長 次に、発言の申し出がありますので、順次これを許します。羽田野忠文君。
  264. 羽田野忠文

    羽田野委員 証人にお伺いいたしますが、日商岩井ハリーカーン氏の間のメモランダム、いわゆる契約につきましては、これは日商岩井側でその交渉をし、覚書にサインをしたのはだれがやったわけでございますか。
  265. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  日商岩井側として、これのメモランダムについての交渉その他、それからサインはだれがしたかという御質問でございますか。
  266. 羽田野忠文

    羽田野委員 はい。
  267. 海部八郎

    海部証人 そのアグリーメントにつきましては、ドラフトにつきましては、あるいはミスター・カーンの方から持ってきたか、私の方でつくりましたか記憶に定かでございませんのですが、多分島田常務がそのドラフトをつくったかあるいはミスター・カーンが持ってきたかどちらかと思います。それのサインにつきましては、私は、実は大分古い話なものですからすっかり忘れておりましたところが、島田常務がいろいろ私に説明がありまして、それで私がサインした、こういうぐあいに思うようになっております。
  268. 竹下登

    竹下委員長 証人に申し上げますが、質問を聞いておるときは着席のままで結構でございます。
  269. 羽田野忠文

    羽田野委員 この両者間で取り交わされたメモランダムですが、これは現在も存在しておりますか、あるいは廃棄なさっておられるか、あるいは紛失等なくなった事情があるのか、もし現在存在してないとするならば、いつどういう事情でだれがこれを廃棄したかあるいは紛失したか、そういう事情を御説明いただきたい。
  270. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  ただいまの御質問の御趣旨でございますが、このアグリーメントが現在存在しているか、あるいはもし廃棄されたのであればだれが廃棄したのか、こういう御質問でございますね。――このアグリーメントにつきましては、私の聞いておりますところでは、何遍もいろいろな状況が変わってまいりまして、このアグリーメントの存在そのものが無意味であるということで、島田常務報告によりますとそれは廃棄されたということでございます。したがって、現在それはございません。だれが廃棄をしたかにつきましては、島田君に聞きましたところでは、航空機部でそれをもう必要のない書類であるということで廃棄とした、こういうぐあいに聞いております。
  271. 羽田野忠文

    羽田野委員 いまの問題のハリーカーン氏との契約につきましては、日商岩井植田社長は午前中の証言で、本年の一月二十五日にこのグラマンの問題がアメリカ証券取引委員会指摘されたその後で聞いた、それまでは全く知らなかったということでございます。これは内容から見ましても、日商岩井がE2Cの代理店報酬として受け取るものの四〇%をハリーカーン氏に支払うという大変な義務負担を伴う契約でございます。それを最高責任者社長さんが御存じないというのは通常の会社ではちょっと考えられないことでございますし、普通そういう義務負担契約をする場合には、取締役会にかけてこれを決めるということが一般的に行われておるようでございますが、ハリーカーン氏との契約について海部社長さんあるいは亡くなられた島田常務さん、その他少数の人しかこれを知らなかったということについては何か理由があるわけでございますか。
  272. 竹下登

    竹下委員長 証人委員長から申し上げますが、質問を一々再確認をされますと時間の制約がございますので、もし質問に対する答弁の欠落とかいうものがございましたら、委員長なり質問者の方で重ねて御質問を申し上げますから、再確認をしないでそのままお答え願います。
  273. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。   いま先生からお尋ねがありました非常に重要なことについて、きょうの午前中社長はそういう話を知らなかったというのはおかしいではないかという御質問でございますが、メモランダムないしアグリーメント、これは社内権限規定の中で処理された、こういうぐあいに思っております。
  274. 羽田野忠文

    羽田野委員 日商岩井が受け取る報酬の四〇%をハリーカーン氏に支払うというのは常識で考えると非常に高額のように思うわけです。どうしてそういう高い額になったのか、あるいはハリーカーン氏は、日商岩井にE2Cの販売を紹介するについて大変経費を要するような事情があったのか、あるいはその後にそういう何か多額の金を要するような事情があったのか、そういう点についてはいかがでございましょうか。
  275. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  この四〇%が非常に高額ではないかというお話でございますが、まず第一に、E2Cというものは非常に近く決まるのではないか、それから、それほど時間と経費がかからないのじゃないかというような判断をわれわれはしておりまして、どう言ったらいいか、これは非常にいいと言うと言葉に語弊がありますが、わりあい簡単に決まる仕事じゃないか、したがってそれほど経費も要らないという観点から、まあ決めた。それから、ほかのいろいろな仕事でもございますのですが、手数料を要するに半分分けするとか、そういうのは間々ございますので、特にそれについて深い意味があるというぐあいには私は考えておりません。またそれがどこへ、高額のものがどういうふうになるかとか、そういうお話は私どもは一切伺っておりません。
  276. 羽田野忠文

    羽田野委員 アメリカ証券取引委員会が本年の一月四日、こういう指摘をしております。  「日商岩井はコミッションの一部をグラマン社のコンサルタントに支払い、さらにそのコンサルタントがその一部を一人またはそれ以上の日本政府関係者に支払うかもしれない可能性を察知した」という報告書を出しておる。この指摘は、いま証人にお伺いしました日商岩井ハリーカーン氏との覚書、そういうものからこういうものを察知したというふうに指摘したのではないかと思いますが、証人はどういうふうにお考えになりますか。
  277. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  いまの点につきましては、私の記憶、一生懸命記憶を思い出しておりますのですが、そういうような支払いとか、そういうものはなかった、こういうふうに確信しております。
  278. 羽田野忠文

    羽田野委員 ハリーカーン氏と覚書を交換される際に、いろいろな話し合いの中でハリーカーン氏の方から日本政府関係者にコミッションの一部を支払うことについて何か相談を受けたというふうなことはございませんか。
  279. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  そういう事実はございません。
  280. 羽田野忠文

    羽田野委員 やはりその話し合いの中で、あるいはハリーカーン氏の言動からして、日商岩井から支払われるコミッションの一部をハリーカーン氏が日本政府関係者に支払うかもしれないと推測されるような状況は全くありませんでしたか。
  281. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  そういう事情は私どもは全然聞いておりませんです。
  282. 羽田野忠文

    羽田野委員 この覚書に基づいて日商岩井からハリーカーン氏に対して金銭を支払ったことは全くありませんか。
  283. 海部八郎

    海部証人 この覚書に基づきましてハリーカーンさんに金銭支払いをしたことはございません。
  284. 羽田野忠文

    羽田野委員 ハリーカーン氏とのこの覚書はその後解除されておるということを先ほど委員長の御質問お答えになりましたが、この解除された日、もう一度正確に、いつ解除されたのか、そしてそれはだれとだれとの話し合いによって解除されたのか、その解除は文書による解除の確認書になっておるのか、口頭によるものか、御説明いただきたい。
  285. 海部八郎

    海部証人 このハリーカーン氏とのメモランダムがいつ解除されたかということにつきましては、先ほど申し上げましたとおりに、七四年ぐらいから島田常務が、実情に合わないということでいろいろ交渉をいたしまして、七五年の末には口頭了解に達し、それに対して七六年の初めに、文書島田常務ハリーカーン氏に通告したというぐあいに承知しております。
  286. 羽田野忠文

    羽田野委員 あなたはこの話し合い、いわゆる解除の話し合いですがね、これには全く関係しておられませんか。それとも経過的には、あなたはこの報酬を減額するかあるいは解除するということを言っていましたが、減額するというふうな話し合いも出たのか、全く出なくてぴしっと解除ということにいったのか。もう一つは、相手方のハリーカーン氏が四〇%の報酬を受け取る約束になっておるものを、無条件に解除を承認するということは、ちょっとこれまた常識的に考えられないので、その間何か話し合いがあったのではないか、この点はいかがでございますか。
  287. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  この減額ないし修正、そういう問題につきましては、私はその交渉をやっておりません。  それから解約に伴う、四〇%のものを解約する以上は何かそう簡単にのめるものではない、こういうお話でございますけれども、この事情は、私の聞いております説明では、将来ともにまたいろいろなプロジェクトもあることであろうから、これは採算にこのままではやっていけないから、途中でまた何かいろいろ規制も変わってまいった、こういうことで了承をとった、こういう報告を受けております。
  288. 羽田野忠文

    羽田野委員 日商岩井は一九六八年の十二月ぐらいからカーン氏に対して中近東に関するプロジェクトの調査を依頼をしておったということをおっしゃいましたが、この中近東に関するプロジェクトの調査というものは、その後も引き続き現在まで続いておるわけでございますか。
  289. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  はい。それは単年度契約で一年ずつ継続しております。
  290. 羽田野忠文

    羽田野委員 先ほどハリーカーン氏とE2Cに関する覚書を解除した、このときに島田さんからの御報告によると、将来いろいろのプロジェクトもあることであろうからというような話があって、ハリーカーン氏もこれを承諾したというふうにおっしゃっておられましたが、この解約したことの反対給付として、何かハリーカーン氏にいろいろなプロジェクトについてのコンサルタントを頼むとか、そういうふうな行為などはございましたか。
  291. 海部八郎

    海部証人 お答えいたします。  そういうような約束とか、そういうものはなかったと思っております。あくまでもケース・バイ・ケースである、こういうぐあいに思っております。
  292. 羽田野忠文

    羽田野委員 昭和四十四年日商岩井グラマン社との間にE2Cの代理店契約を結んだ、いわゆるそれまで住友商事代理店であったものが日商岩井にかわった、そういう時期でございますが、その当時の証人日商岩井における地位、職務、非常にたくさんの肩書きをお持ちであるようでございますが、どういうふうな地位、職務をお持ちでございましたか。
  293. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  一九六九年のそのときの地位と申しますのは、申しわけありませんが正確には記憶しておりませんが、たしか機械第二本部長をやっていたのではないかと思います。それで輸送関係、つまり鉄道車両それから船舶、まあ主として船舶でございますが、やっていたのじゃないかと思います。はっきり記憶しておりませんので、申しわけございませんが……。
  294. 羽田野忠文

    羽田野委員 航空機は入っておりませんか。
  295. 海部八郎

    海部証人 申し上げます。  航空機はその前後に私が関与するようになったのじゃないかと思います。
  296. 羽田野忠文

    羽田野委員 先ほど指摘いたしました本年一月四日公表されたアメリカ証券取引委員会報告書の中に、代理店契約住友商事から日商岩井に移った、その時期のことにつきましてこういう指摘がございます。一人の日本政府関係者の示唆により販売代理店変更した、こういうふうなことが指摘されておりますが、当時あなたの、常務取締役、機械第三本部長、原子力本部長、それから四十四年四月までなさっておられた航空機あるいは輸送機械建設本部長、こういうふうな地位からすれば、あなたがこれには一番深く関与なさったのではないかというふうに考えられますが、この指摘についてあなたは何かお気づきの点はございませんか。
  297. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  この問題につきましては、私ども、グラマンの元社長をやっておりましたチー夕ムさんがいろいろ申されておられるのと全く同意見でございまして、グラマン自体でいろいろな調査あるいは調査研究の結果、日商岩井がよかろうということで、グラマン自体の価値判断で日商岩井代理店変更した、こういうぐあいに聞いております。
  298. 羽田野忠文

    羽田野委員 先ほど何回も聞きましたハリーカーン氏ですが、ハリーカーン氏は、あなたの日商岩井とも、その報酬四〇%を受け取るというようなメモランダム、いわゆる契約を結んでおりますが、その当時ハリーカーン氏それ自体が、あなたの方の契約の相手方であるグラマン社とコンサルタント契約を結んでおったというような事実は御存じありませんでしたか。
  299. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  いまのお話のハリーカーン氏がグラマンとコンサルティングの契約を持っていた、そういうようなことはわれわれには全然知らされておりませんでした。
  300. 羽田野忠文

    羽田野委員 現在も知っておりませんか。あるいは知ったとするならば、それはいつどういう事情で御存じになったのか。
  301. 海部八郎

    海部証人 それはたしかグラマンの方からそういうようなことはないかという問い合わせがありまして、私の方はびっくりしてグラマンの方に問い合わせた結果、それらしいことがわかりましたので、これは大変なことになったということで――これは大変というのは、要するにミスター・ハリーカーンとしては、なかなか名の通った有名な方でございますので、そういうようなことはないと思っておりましたが、アグリーメントがグラマンとあったということを後に、七五、六年かはっきりしませんが、聞いて驚いた次第でございます。
  302. 羽田野忠文

    羽田野委員 終わります。
  303. 竹下登

    竹下委員長 これにて羽田野君の発言は終了いたしました。  大出俊君。
  304. 大出俊

    ○大出委員 大出俊でございますが、委員長、とりあえずちょっと海部さんに書いたものを差し上げたいのでありますが、よろしゅうございますか。
  305. 竹下登

    竹下委員長 結構です。
  306. 大出俊

    ○大出委員 それを見て海部さんどうお考えになりますか。
  307. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  私自身この種の文書につきましては間接に新聞紙あるいは週刊誌等で承知しておりますが、この内容につきましてはまことに心当りがございませんので、今日まで多少腹立たしい気持ちはございましたが、これにつきましては取り上げておりません。また、今後もこれにつきましては取り上げる気持ちはございません。
  308. 大出俊

    ○大出委員 別に取り上げてくれとかくれるなとか言っているのではないのでして、あなたがこの三十日に記者発表をなさいましたが、このときに、一言で言えば、そう書いてあるのだけれども、私は見たことも書いたこともないと言っているのですね。だから、私はそれを差し上げると、十年来海部メモ海部メモと言われ続けてきたのですから、あなたは十年間見たことも書いたこともないのですから、初めて見たわけだから、もうちょっと初めて見たような顔をなさるかと思って差し上げたのですが、どうも余り初めて見たような顔をなさらないわけであります。これが証人喚問の心証というものでございまして、どうも初めて見たとは思えないわけでございますから、ざっくばらんに申し上げたわけであります。  ところで、時間がありませんから手っ取り早くいきたいのですが、見ている皆さんがおりますから、中身を読み上げずにいってしまいますと議事録に残りませんので、ちょっと読ませていただきます。  こちらに「OLYMPIC」と上に浮き字になっておりますが、これはシアトルのオリンピック・ホテルというホテルでございます。「海部拝」と書いてあります。一九六五年七月二十四日、川崎重工の砂野社長殿あてで、「拝啓 七月二十三日午前九時より岸前総理中村秘書、マクダネル・V・P・フォーサイス」これは社長であります。「海部、他に日商社員一名を交へて次期、戦斗機につき懇談し四機輸入する件につき話をし岸前総理より、必ず輸入する旨確認があり三次防として」三次防、御注目いただきたいのですが「三次防として最低一〇〇機三年間に二〇〇機」括弧して五〇、五〇と書いてあります。これは後でシェアを示すことになりますが、「する事にしようと確認ありました。同時にマクダネルより川重五〇%シェア(三菱五〇%)異存なき旨岸さんに回答致しました。」これは岸信介元総理であります。「日商よりは岸氏にイニシエーションフィーとして二万ドル支払ひました」イニシエーションフィー、つまり着手金ということになりますね。シアトルのこのホテルには、海部さんちょいちょいおいでになったようであります。  もう一つ、これは日商の用紙でありますが、「四十一年三月十八日 経理部長殿」というので「海部八郎」ここに印が押してあります、判こが押してあります。前を消してありますが、事と次第によっては現物の写しを後から差し上げます。  どなた、どなたと二人名前が書いてあるわけでありますが、消してある「両氏に対する支払ひ岸氏より下記に支払ひ方連絡ありましたので御手配方願ひます。ドル払ひで願ひます。」①ここにコード番号、つまり口座番号が書いてありますが、ドレスナー・バンクというのが本当のようでありますけれども、ドイツの銀行であります。こっちが一千万円、②の方がユニオン・バンク、これはスイスでありますが、二百万円、こういうふうになっている二枚であります。通称海部メモと言われております。  この海部さんの――実は手筆について、私はきょうこの席で、これがあなたの書いたものであるかないか決着をつけたいと思っておるわけであります。  そこで、委員長にいま許可をいただきましたから、もう一枚ごらんになっていただきたいのです。  そこで承りたいのですが、このメモ海部良子さん、海部武志さん、海部圭史さん、かなが振ってあります。お名前の読みでございますから、よく御存じの方でなければこういうかなは振れません。原典を申し上げておきますと、ある人がある人の目の前で海部さんにお書きいただいた、あなたにお書きいただいたものでありまして、実はその御本人が、今日ただいまの段階では名前を明らかにしてほしくないということのようでございますから、きょうのところはお名前を申し上げません。ただし、その方は、はっきりあなたが私の目の前で書いた、海部さんが書いた、こういうわけであります。  これはある限りお配りをいただきたいのですが、委員部の方にひとつお願いしますが、委員長、よろしゅうございますね。
  309. 竹下登

    竹下委員長 はい、結構です。
  310. 大出俊

    ○大出委員 これは素人がながめましても――私は実はこの道のある専門家に聞いてみました。非公式に聞いたのですけれども、正規に筆跡鑑定するまでもないという非公式なお話であります。これが海部さんのものであれば、海部さんの手に間違いない、こういうわけであります。まず、このメモの方について、海部さんはこういうものをお書きになった御記憶がございますか。
  311. 海部八郎

    海部証人 御返事申し上げます。  このいわゆる海部メモにつきましては、この十年ほどの間、新聞紙、週刊誌その他で、あることを承知しておりますが、こういうものは、私としては取るに足らないと思いまして、いままでも全然相手にしておりませんでした。
  312. 大出俊

    ○大出委員 見当違いな御答弁は困るので、これはあなたの手筆。この良子さん、武志さん、圭史さんとおっしゃる方は海部さんの御家族でございましょうか。どういう御関係の方でございますか。
  313. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  これは私の家族でございます。
  314. 大出俊

    ○大出委員 これはかなが振ってありますけれども、なかなかむずかしい字を書いておられまして圭史、海部さんでなければ、御家族のこんな細かいお名前はわかりはしません。もう一遍申し上げますが、私がいただきました方は、海部さんがその方の見ている前でお書きになった。どういうところに書いたかということまで申し上げるとわかってしまいますから、いまのところは伏せておきますが。だから、これはあなたの手筆でしょうと私は申し上げているので、いかがでございますか。時間がありませんから、それだけお答えいただければいいのです。
  315. 海部八郎

    海部証人 この海部良子、武志、圭史ですか、これをお書きになりましたのが、いや、どこで入手されたかわりませんが……(大出委員「あなたの手筆かどうか聞いているのです」と呼ぶ)これは現物を見せていただかないとわかりません。
  316. 大出俊

    ○大出委員 そういうふうにおっしゃるだろうと実は思った。それしか答えようがないでしょう。これをお認めになりますと、鑑定の方は、私が非公式と申しましたが、公式にやっておられる方もあるようでございますが、お認めになると、これはあなたのものだということになっちゃいますからね。そうでしょう。だから、これは何もはぐらかさぬでいいですよ。あなたのものであるかないか聞いたのですが、あるともないともおっしゃらぬで、現物を見せてくれと、こう言う。これは現物の全くの写しですから、手筆ですから、これでわかるのですよ、鑑定というのは。もう一遍答えていただけませんか、あなたでなければないと。証言法という法律があるのですから。
  317. 海部八郎

    海部証人 現物を見せていただいて、それからどこでこういうものを書いたか、入手先その他についてお知らせ願いたいと思います。
  318. 大出俊

    ○大出委員 これはおかしなことを承るもので、天下の海部八郎副社長とも言われる方が。私の場合なんかなら、これは写しであっても、私のところに持ってきて、これは大出さん、あなたの手筆ですかと言われたら、あるとかないとか言いますよ。そうでしょう、自分の手筆というのは自分ならわかっているんだから。私、念のために二回聞いたが、おっしゃらない。あるともないとも言わない。大変これは不思議なことになったと思っておるのですが、ますますこれは御本人の書いたものであるという印象を深めざるを得ないのでありますけれども。ただ、時間の節約上、時間を余りかけたくありませんから、もう一つ。  実は、これだけ世上を騒がしている問題で、今回の件に関する、これはF4Eファントムでありまして、ちょうど防衛庁長官が松野頼三さんの時期であります。オリンピック・ホテルから、あなたがお書きになったこれですね、お送りになったわけでしょう。あるいは残されたわけでしょうが、ちょうどこの時期は、日本の国内では、新聞にも出ておりますけれども、松野頼三さんが丸の内の東京会館で開いた経団連の防衛生産委員会で「計画の継ぎ目は非効率を生むので、三次防は四十一年度からの六カ年計画にしたい」と三次防計画を一年繰り上げた発表をしたときなんですね。だから、商社は色めき立って、一年早くFX、次期戦闘機が決まるんだから、大変な騒ぎになったときです。ちょうどその時期にぴたりと符合いたします。だから私は、お答えにどうしてもならぬのならならぬで、いずれともあなたはお答えにならないで現物を見せてくれと、予想したとおりの御答弁であります。  もう一点承りましょう。一月十三日の土曜日の午後、海部さんは社長のテレビをごらんになったと思うのですが、社長のテレビの後ろにおいでになった弁護士さんが石井成一さんです。丸の内の石井成一さんの弁護士の事務所においでになりましたね。十三日の土曜日の午後、一月十三日であります。それも否定なさいますか。
  319. 海部八郎

    海部証人 はっきり記憶しておりませんが、あるいはお伺いしたかもしれません。
  320. 大出俊

    ○大出委員 どうも困りましたな、一々それでは。質問が進まぬですね。一月の十三日といいますと、いま二月でございますから、ちょうど一カ月たつかたたぬかというところですね。そうでしょう。行ったかもしれない、こういうわけですね。行ったかもしれないなら、なお申し上げますが、そのときは島田三敬さん御一緒でございましょう。
  321. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  そのときに島田三敬さんがおられたかどうか、思い出せません。
  322. 大出俊

    ○大出委員 証人尋問ですから、後ろにおいでになる弁護士さんに確認を求めるわけにはいきませんでね、これ。また、弁護士さんというのは職務上の秘密は守ることになっておりますから、むずかしいものですからね。  そうすると、石井成一さんはおたくの弁護士さんでございまして、ちょうどいま後ろにおいでになっている井本臺吉先生もおたくの弁護士さん。だから、きょうお見えになっている。この石井さんの弁護士事務所には、私が承る限りは井本先生もおいでになった。石井成一弁護士、井本弁護士、お二人おいでになった。そこへ海部社長島田ミツヒロさんとおっしゃるのですかな、サンケイさんと私いつも言って恐縮ですですけれども、呼びなれている名前でございますからそう言わしていただきますが、お二人でおいでになる。四人おいでになる。そういう場面を思い出しになりませんか、否定なさっておりませんから。
  323. 海部八郎

    海部証人 一月十三日土曜日午後と言われても、申しわけないのですが、石井弁護士のところは何遍も行っておりますので、はっきり思い出しておりません。
  324. 大出俊

    ○大出委員 つまり、否定をなさらない。大変用心深くお考えのようでありまして、否定をなさらない。  では、もう一つ念のために承りますが、そこであなたは、つまり海部メモと称するものを、これまたある人ということにいたします、見せられておいでになる。見せられておられる。ただし、こちらの文面だけであります。オリンピック・ホテルの表側の方は、もう一枚の方は見ておられません。これ一枚。念のために、いや一枚、これちょっと違うと後から言われると困るので、そのときに確認を求めたものをもう一つ差し上げておきたいのです。委員長、よろしゅうございますか。
  325. 竹下登

    竹下委員長 結構です。
  326. 大出俊

    ○大出委員 確認を求めたのはこちらの方です。改ざんをしてございます。ここまで申し上げても、なおかつ否定なさいますか。もう一遍承ります。いかがでございましょう。
  327. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  いま言われました改ざんというか、なすったようなこの文書でございますが、これは確かに拝見いたしました。それはだれが持ってこられたのか知りませんが、こういうものがあるよということを見せられました。
  328. 大出俊

    ○大出委員 そのときに海部さんは何とお答えになりましたですか。
  329. 海部八郎

    海部証人 これは、この種のものは、ここ十年ぐらい何遍も見たんだけれども、これは全く違う、こういうふうに申し上げました。
  330. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いまちょっと話しておりまして聞き取りにくかったわけでありますけれども、念のために、これ見たことがあるとおっしゃるので、ついでにもう一枚差し上げますが、これがそもそもあなたがお書きになったと私が立証し得る原本の写しであります。委員長、よろしゅうございますか。
  331. 竹下登

    竹下委員長 結構です。
  332. 大出俊

    ○大出委員 世の中じゆうに流れておりますものは以上でございます。これ以上ありません。  そこで、いまの原本の方は、さっき線を引いてあるのをお配りしたはずでありますが、ここには「松野、福田両氏」と、こうはっきり書いてある。そこで、この二百万円という右側の方は、実は福田さんに行っているわけじゃないのですね。この二百万円というのは、海部さん、あなたの隠し口座である、こう言われておる。うっかりこれをお認めになるというとちょっと危険なことになりますな。じゃ、海部さんは二百万円をどうしたんだということになる、こういう性格のものです。  もう一つ。この二つのメモを使って、海部さんのところにこういう情報を入手しましたが、お買い取りになりませんかと言っていった方がある。で、どうやら五千万円ばかり金をお払いになったようである。調べてみたら、被害届は出ていない。となると、このメモが本当のものであるとお認めになるというと、これまた背任だ横領だという問題が出てきかねないという実情に実はある。私は、だからめったなことではあなたはお認めにならぬかもしらぬと思っておりましたが、もう一遍承りますが、島田三敬さんがお亡くなりになりましたが、男は堂々と生きろなんて、海部さんとヘアでやってこられまして、そういう生きざまをお互いやっていくんだということになっているというんですが、どうでございましょうね、この辺でひとつはっきりしていただけませんか。これから先まだ私に言わせるおつもりですか。あなたはさっきから一貫して否定も肯定もなさらぬで逃げるだけ、そんなばかな生き方はないでしょう、天下の海部さんが。いかがでございますか。はっきりしてください。
  333. 海部八郎

    海部証人 この件については、私は一切関知しておりません。いま先生の言われた、五千万円を払ったとか、そういう事実は一切ございません。
  334. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ全部を否定なさる。否定なら否定で結構でございます。  時間がありませんから稲葉さんに譲りまして、あとはひとつつないでいただきます。  ただ、一点だけ最後に承りますが、有森さんという方がおられますが、この有森さんが、ロッキード事件が起こりました五十一年に共同通信社のインタビューに応じまして、八時間にわたる録音をとっておられます。実は私がここに持っておりますのは、新聞社のことでございますから録音をここへ持ってくるわけにいきませんから、中身は全部書いてあるのです。この中に重要なことが二つ、三つありますから、それだけ聞いて終わります。録音テープはいま現存しているんですがね。  「海部氏は海外生活が長かったので、事務処理が外国式で、電話で用件が済んだことでも、大切なことは必ずすぐ文書にして相手に送り、コピーを残している。」ちゃんと残っていますね。有森さんがおっしゃっているとおりでしょう。外国生活も長かったでしょう。だから、電話で話して済んでも大事なことは必ずすぐ文書にして相手に送ってコピーを残す。コピーが残っている。「私がそのコピーを持っているように言う人がいるが、仮にあるにしても大して意味はない。公表をされると非常に都合が悪いと考える人がいるかもしれない。一つ間違えば物理的に命にかかわる危険がある。仮に私がだれかの領収証を持っていて、表に出るとなれば、私を抹殺しようとするだろう。世論などは頼りになるものではない。」こう言っているのですね。ちょっと穏やかでない。私がさっき申し上げたことと一、二符合いたします。  それからもう一点、海部さんはいまの官房長官田中六助さんと大変長い。これは有森さんの言っている録音テープを翻訳している中身です。「海部氏はアメリカから帰ってきて、政治に近づかないと仕事ができないという考え方を持っていた。池田内閣全盛時代だから、秘書官グループに近づき、当時池田さんの秘書官田中六助氏と親しくなり、私も海部氏の後ろについて田中氏のところへ行ったり、一緒に酒を飲みに行ったりした。その紹介であそこへ接近したと思う。」あそことはどこだ。岸事務所。「岸事務所の中では中村長芳氏が一番他を圧している感じだった。中村氏から政治工作について指示される場合もあるし、こちらから話を持ちかけたりする場合もあったと思う。」また松野頼三さんのところ。「松野頼三氏は岸直系で並みのつながりではない。週刊誌に日商マンション一階に夫人名義でフラワーショップがあるとか、部屋があるとか出ているが、それぐらいのことは当然あり得る。その程度のことは海部氏でできるはずだ。マンションの建設部は彼が握っていたし、社長に一言ぐらい言えば済むはずだ。」穏やかならぬ関係にございますが、三点申し上げましたが、これも全部否定されますか。
  335. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  いま三点申し上げられました初めの方、それから真ん中の方、最後の方、余り記憶ははっきりしておりませんが、フラワーショップにつきましては、たしか何年前か白金でマンションをつくりましたときに一つお買い上げ願ったと、こういうぐあいに記憶しております。  それから有森発言の、田中官房長官には非常に親しくてというお話でございますが、いま大出先生に申し上げますが、ここ少なくとも六年ないし七年、お目にかかったことも電話をしたことも、また先生からかかってきたこともございません。  それから、有森君とは、たしか昭和四十一年か二年に会社をやめて独立したわけでございますけれども、それ以後一切つき合いはございませんので、そういうような生命の危険とか、そういうようなことはもう全然わかりません。
  336. 竹下登

    竹下委員長 稲葉君。
  337. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 お尋ねしますが、千歳の土地の買収関係ですね、あなたの名前で二分の一買っておられて、塚田徹代議士の名前で二分の一買っておられますね。どういう関係から塚田徹代議士とお知り合いになってこれを買われたのか。二人で買うようになったのはどういうふうなわけか。それから、会社名でなくてあなたの名前で、個人名で買われていますね、これはどういうわけか。  まだありますが、一緒にやってしまいますが、北海道の開発公社からあなたのところにこの土地を売ってくれということで何回も行きましたね。行ったところがあなたは断っておる。これはどういうわけでございましょうか。それからその三千万円の金、これはどこへ行ったのですか。
  338. 海部八郎

    海部証人 稲葉先生に御返事申し上げます。  北海道の土地につきましては、苫小牧におられました平野賢吉さんでしたか、あの土建屋兼――土建屋と言うと申しわけないのですが、建設業者でございますが、それから地主でございますが、前から知っておりまして、私事にわたって申しわけありませんが、私よく北海道ヘスキーに参りますので、北海道に、平野さんから電話がございまして、自分はこういう土地を持っているんだけれども自分は金が要るから買ってくれないかというお話がございまして、当時いろいろ土地が値上がりするとかそういうような話もありまして、それから北海道そのものも、よく行きましたものですから、それじゃ見に行こうかということで参りまして、それで見せてもらいまして、それを、じゃあ考えようということで帰ってまいりました。そこで、塚田先生は余り非常に親密なつき合いではなかったのですが、パーティーでお目にかかりまして、ちょうどだしか落選しておられたと思いますが、お目にかかって、こういうのがあるんだけれども自分一人じゃ買い切れないからあなたもどうですかと言ったら、それじゃ考えてみようということで、御一緒に買ったわけでございます。そして、売却代金につきましては銀行へ払い込みまして、それで私は個人の、銀行からのローンその他について支払いを行いました。
  339. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 時間がないので問題を並べますから、付添人の方書いていてください。結構ですよ。いまのは私の聞いている話と大分違うのです。これはだれか紹介があって塚田さんと知り合ったというふうに私は聞いておるのですがね。まあ後でいいです。  では一つお尋ねをいたしたいのは、一月九日に大阪で記者会見をされましたよね。そのときと一月三十日に東京での記者会見と、やったところで違っておりますね。というのは、例の商社の変更問題で違っていますね。大阪のときには、あなたが松野代議士と会談したかという質問に対して、代理店に決まった後で説明には行ったというふうなことを言っておるわけですね。東京の記者会見のときに、大阪の会見のときに海部さんは代理店を取った後松野さんのところへあいさつに行った、説明に行ったと言っているはずだがという記者の質問に対して、そうですが、私が、いやあれは島田常務です、こういうふうに答えているようですね。  それはそれとして、一体だれが行ったのかということが一つと、それからもう一つは、なぜ松野頼三さんのところに商社が変更になったということで説明に行かなければならなかったのですか。その理由は一体どこにあるのですか。
  340. 海部八郎

    海部証人 稲葉先生に御回答申し上げます。  いまの大阪の記者会見と東京の記者会見の食い違いということは、これは古い話だったものですからあるいは間違いがあったかもしれませんが、もし間違いがあれば御訂正願いたいと思います。  それから、松野頼三先生のところへ島田ないし私が、御説明に上がったということはないと思いますが、あのときに、各防衛庁その他皆さんにやはりごあいさつに島田君が行ったのじゃないかと思っております。
  341. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや、だから、松野頼三さんのところへ、島田さんが行ったのかあなたが行ったのか知らぬけれども、なぜ行ったのですかと聞いているのです。なぜ説明に行く必要があるのですかと聞いているのです。防衛庁長官ならそれは行かなきゃならぬという理由はあるけれども。それが一つ。  どうも時間の関係であれですが、続けて質問しちゃいますよ。そうすると、岸信介、福田赳夫、松野頼三、田中六助、これらの人の中であなたが一番最初に知り合ったのはどなたですか。  いいですか、ずっとやっちゃいますよ、時間の関係で。それからもう一つは、あの三十日の取締役会、役員会の前の日、新橋三丁目の京都料理ね。ぼくもあそこへ行ってきました、あの料理店。きれいな料理店で、名前を言うとコマーシャルになるから言わぬけれども、きれいな料理店であれでしたがね。あそこは何かカウンターから見ると奥の部屋がなかなか見えないよ。そこへ行ったのはあなたと島田さんだけですか。あとどなたか行きましたか。仮に行ったとすれば、その人は政治家ですか法律家ですか、どっちですか。三時間ぐらい話しているね。二、三時間話しているよ。あなたは二回電話かけているよ、ほかへ。ちゃんとわかりているんだから、だめよ。こっちは商売だからちゃんと知っている。――まあ、あんたちょっと待てよ、そうあわてるなよ。それが一体どういうわけかということをまずお聞きしますよね。そこで島田さんに対していろいろ話がありましたよな。あしたあなたは取締役会に出るなとか、今度あなたの方で巻き返しをやるからとかなんとかいろんな話があったんじゃないの。どうもそういう話のようだな。それが一つ。  もう一つ聞いてしまいますが、埼玉県の入間郡の毛呂山町というところにエーデルワイスというゴルフ場がありますね。知っていますね。八十町歩で十八ホール、帳簿上買ったのは三十数億で買ったようになっていますね。これは岡崎工業というのが入っているでしょう。実際は半分以下で買ったんじゃないですか。帳簿の価格、そこで金を浮かして、この金を何かに使ったんじゃないですか。まだほかに聞きたいことが一ぱいあるんだけれども。こっちは皆知っているんだから、あなた、だめよね。
  342. 海部八郎

    海部証人 稲葉先生、御回答申し上げます。  いまの三十日の夜に……。
  343. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや前の日だよ、二十九日。
  344. 海部八郎

    海部証人 いや三十日でございます。三十日の夜に――大出先生も笑っておられますから申し上げますが、場所は確かに虎ノ門の――これは名前を言ってもいいですか。虎ノ門の小さな料理屋でございます。そこへ、三十日に記者会見やりまして私も疲れまして、それで七時過ぎから亡くなった島田君ももう弱っているんじゃないかということで、一遍飯を食いに行こうということで参りました。そこでいま稲葉先生、もう一人だれかおられたのではないかと言われるのは、確かにもう一人おりました。しかしその方は私の友人でございまして、政治家でもございません。
  345. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 法律家かい。
  346. 海部八郎

    海部証人 法律家でもありません。それはもう間違いございませんから。ただし、これはプライベートなつき合いなもんですから、お名前を御勘弁願いたいと思います。そのときに話しましたことは、何か島田常務も大分まいっておったのですけれども、少しお酒を飲みまして元気になりまして、それでまあ一生懸命やってきたんだ、だけれどもこういうふうな状況になってしまってと、少しこぼしていたんですけれども、大分お酒を飲んで元気になりまして、何か本を書くとか何か盛んなことを言っておりました。それだけでございます。  それからいまの埼玉県の毛呂山の土地でございますが、これは私の方としましても、皆さんどの会社さんも、全部とは申し上げませんが、大体大きなところはいろいろ関連のゴルフ場を経営したりあるいは持っておりましたので、われわれも余裕のあるときにそれをやろうということで、毛呂山に土地を買いましたのですが、いろいろ計算してみますと、これは私がよく計算見ておりましたのですが、これは会員権がどう考えてもやっぱり最低八百万か九百万円出さないと、この建設費の金利その他もカバーできないということで、埼玉県御当局から開発の許可は得ましたのですが、現在着手せずにそのままになっております。したがって、いま稲葉先生のおっしゃった、買ったのは半値以下じゃないか、それで浮かしたんじゃないか、そういうのは一切ございませんです。
  347. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それで幾らなの。
  348. 海部八郎

    海部証人 正確に記憶しておりませんが、あれはやはり全部やりますと、たしか七十億ぐらいかかる計算じゃなかったかと思います。七十か七十五億かかると聞いておりますので、これはどうしても採算が合わないということで、しばらく休眠という状態になっております。
  349. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それから四人の政治家のうち、だれを一番早く知ったの。
  350. 海部八郎

    海部証人 そのころは一番初めにおつき合い願ったのは、(稲葉(誠)委員田中六助でしょう」と呼ぶ)あのころは政治家ではなかったと思います、まだ。
  351. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 秘書官だ。
  352. 海部八郎

    海部証人 いや、秘書官でもなかったと思います。非常にプライベートで申しわけないのですけれども、その当時たしか落選されていたときじゃないかと思うのです。
  353. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 これで時間で終わりますが、三十八年の選挙に当選して、これは三十五年ごろに田中六助さんがあなたのところに行ったのが始まりじゃないですか。それから、その人のルートで岸さんを知り、その他の方を知るようになった、こういうのが筋ではございませんか。これが第一点。  それから、塚田徹代議士を紹介したのも田中六助さんではないの。  それから、こういう聞き方は本当は悪いのだけれども、四〇%四〇%と言っておりますね。四〇%というのは、あなたの目算では幾らぐらいのつもりだったのですか。  それと、もう一つ聞かしてください。  あなたのうちにテレックスがあったでしょう。どこに行っちゃったのですか。――テレックスがあったんじゃないの、あなたのうちに。どこかに行っちゃったんじゃないですか。
  354. 海部八郎

    海部証人 田中先生が塚田徹先生を御紹介になったという事実はございません。  それから、私の家にテレックスは全然あったこともございません。
  355. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 じゃ四〇%、幾らになったの。
  356. 海部八郎

    海部証人 四〇%は、いろいろ条件がございますので申し上げられないのですが、島田君の計算では、いろいろな条件がありますが、契約の金額の、トータルの〇・九%ぐらいで、その中の四〇%ぐらいに私は報告を聞いておりました。
  357. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、幾らくらいになるの。
  358. 海部八郎

    海部証人 それが三百億であれば〇・九%のさらに四〇ということでございますから、ちょっと計算してみないとわかりませんが、そのようなオーダーと聞いております。
  359. 竹下登

    竹下委員長 これにて大出君、稲葉君の発言は終了いたしました。  坂井弘一君。
  360. 坂井弘一

    ○坂井委員 若干確認をしながらお尋ねをしたいと思いますので、よく思い出して、落ちついてお答えをいただきたいと思います。  E2Cに関しましてハリーカーン氏と日商岩井との間でメモランダム覚書の交わされた日は、一九六九年、すなわち昭和四十四年の八月十三日というように先ほどお答えになったかと思うのですけれども、間違いないでしょうか。
  361. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  一九六九年の八月十五日だと思います。
  362. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、グラマン社日商岩井代理店契約を結んだ日と同じ日ですね。
  363. 海部八郎

    海部証人 確かな記憶はございませんが、大体その前後であったという報告島田常務から聞いております。
  364. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、いずれにいたしましても、海部さん、あなたはその日にはサインをなさったわけですね。島田さんが同席をされた。相手はカーンさん。ほかにどなたかいらっしゃいましたか。
  365. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そのときにカーンさんと島田さんと私の三人と、もう一人いたかどうか、あるいは四人おったかどうか、それの明確な記憶はございませんが、あるいは日商岩井の若手の社員が一人おったかもしれません。
  366. 坂井弘一

    ○坂井委員 おったかもしれないということですね。御記憶がはっきりしないようです。  この契約内容とかいうようなことについては先ほどお答えがございましたので、それは割愛するといたしまして、この契約は無期限でございますか。
  367. 海部八郎

    海部証人 申し上げます。  この契約、と言うよりむしろメモランダムでございますが、定かな記憶はないのですが、たしか期限は切ってなかったように思います。いずれにしましてもメモランダムで、記憶は、要するに文書その他全然記憶はないのですけれども、たしか簡単なものじゃなかったかと思います。はっきりしたクローズのついた契約ではなかったように思います。
  368. 坂井弘一

    ○坂井委員 一月三十日に、あなたは記者会見で釈明をされたようであります。あのときに非常に細やかにいろいろなその後の経緯等について、これは恐らく亡くなられました島田常務からあなたがお聞きになってお答えになったようでございますけれども、あの三十日に釈明をされた内容、これは今日においても変わりはございませんか。
  369. 海部八郎

    海部証人 お尋ねしてもよろしゅうございますか。――その細かく島田常務から聞いて釈明したというあれでございますが、それは解約に至るいきさつでございますでしょうか。もしそうでしたら、あのとおりでございます。
  370. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしましたら、順次具体的にお尋ねをしたいと思いますので、要点について簡単に、かつ簡明にお答えをいただければと思います。  四〇%という大変なコミッション、これをカーンさんに渡されるということは先ほどのお答えのとおりでございますけれども、これではならぬというので、最初には減額の交渉、それから解約、解消、そういう交渉に入った、こうおっしゃったんですが、この交渉に当たったのはどなたでしょうか。
  371. 海部八郎

    海部証人 御返答申し上げます。  これは亡くなられた島田常務でございます。
  372. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、あなたが島田常務からお聞きになった限りでは、島田常務個人が、お一人だけが交渉に当たった、こういうことでしょうか。
  373. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  島田常務個人だけではなくて、もちろん航空機部には課長さんもおりますし職員もおりますから、それからあるいはニューヨークの方にも担当者がおりますから、恐らくそちらを通じて話を進めたんじゃないか、こういうぐあいに思っております。
  374. 坂井弘一

    ○坂井委員 「思っております。」ではなくて、そういうことであったのだというふうにあなたは島田さんからお聞きになったと思いますけれども……
  375. 海部八郎

    海部証人 そういうレポートを私は聞いております。
  376. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、その交渉に入りました当時、グラマン社から日商岩井に対して、この契約についてははなはだ疑義がある、日商岩井としてはカーンさんと一度よく話し合いをすべきであるというある種の疑問、ある種の注意、そういうものがなされたと思いますけれども、あなたはお聞きになってはいらっしゃいませんか。
  377. 海部八郎

    海部証人 申し上げます。  はなはだ申しわけありませんが、その間の交渉の経過については私は聞いておりませんので、御返答できないと思います。
  378. 坂井弘一

    ○坂井委員 島田さんは亡くなられる前にグラマン社と交渉した、こうおっしゃったようですけれども、そのことについても島田さんからはお聞きにはなっていらっしゃらないということでしょうか。
  379. 海部八郎

    海部証人 故島田常務から、そういう交渉をしたということはごく最近になってお聞きしたわけでございます。
  380. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのことも少しはっきりしていただきたいと思いますのは、グラマン社の方からも、私が先ほど言ったように、このカーンさんとのメモランダムについては疑義があるというような指摘があって、そこで交渉に入った、こういうようにお聞きになっていらっしゃいますか。
  381. 海部八郎

    海部証人 それについては、グラマン社の方からそういう疑義があるからそういうのを調べてみろとか、そういう話は私は聞いておりませんでした。
  382. 坂井弘一

    ○坂井委員 順次また伺いますが、同じ三十日の釈明で、一九七六年初めに、私どもよりカーン氏あてに前述の取り決めを解約する旨書面により通知を行った、これは先ほどもお答えになったとおりでございます。書面の発信人、名義人はどなたでございますか。これは島田常務だとたしかお答えになりましたですね。
  383. 海部八郎

    海部証人 御返事申し上げます。  私が聞いておる限りでは、島田常務が発信した、こういうぐあいに承知しております。
  384. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、メモランダム契約当時のサイン者はあなたで、解約ということになりましてカーンさんに書面を出したその人は故島田常務である、これはあなたの名前を使ったのじゃないですか。島田さんが自分の名前で、あなたに何の相談もなく勝手にこの解約通知をお出しになった、こういうことですか。
  385. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  島田常務が私の名前を使ってやったというようなことはないと思います。故島田君は常務取締役でございますし、航空機担当の常務でございますから、自分の権限でやったと思います。
  386. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのときの写し、控えのたぐいはございませんか。
  387. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  今回のいろいろなこういうことが起こりまして、その間のいろいろな文書を見せてほしいと申し上げたのですが、カーンさんから航空磯部の担当者にキャンセルのノーティスを受けたという手紙のコピーを私は先月読みました。したがって、カーンさんからのキャンセルの通知を受けたという、それに関する了承の手紙のコピーはあると思います。
  388. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのコピーをお出しいただくわけにはまいりませんか。
  389. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  帰りまして検討させていただきますが、なるべく御要望に沿うようにしたいと思っております。
  390. 坂井弘一

    ○坂井委員 一九七六年、つまり昭和五十一年でございますが、この後半にカーンさんが日本にやってきた。そのときに日商岩井カーンさんとの間で口頭でもってそのメモランダムは解消しましょうという話し合いがなされましたね。カーンさんと口頭メモランダムを解消しましょう、こう約束をされた日商側の人というのはやはり島田さんですか。
  391. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  七六年の後半にミスター・カーンが来られまして了承した、これは再確認だと思いますが、これは故島田常務でございます。
  392. 坂井弘一

    ○坂井委員 下りまして一九七八年、つまり昭和五十三年の初めにGI社から口頭で、カーン氏との取り決めが解約されたか否かについての問い合わせがございましたね。この口頭の問い合わせは電話でございますか、どういうことでしょうか。  それから次に、そこで、日商岩井の方ではGI社に、カーン氏より口頭解約に応ずる旨の了解を得ているけれども、書面では確認していない旨の返事をGI社に対してされましたね。この返事は、やはり書面で返事をされたのでしょうか。それから、カーン氏に対しても、書面にて解約了承を確認されたき旨の要求をされましたね。そういう三つの段階があると思うのですが、そのいずれもこれを受けられたのは全部島田常務お一人、それから航空機部ないし先ほどあなたがおっしゃったような方々が若干これに加わった、こう理解してよろしゅうございますか。
  393. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  電話でそういう問い合わせがあったか、あるいはお話をしたか、そういうことは、まことに残念ですが、私、わかりません。多分そういう交渉をやっておりましたから、故島田常務ではなかったかと想像されるだけでございます、申しわけありませんが。
  394. 坂井弘一

    ○坂井委員 質問をちょっと変えますが、カーンさんに対しては日商岩井の方は一銭も払ってないのだ、こうおっしゃいましたね。これはカーンさとのメモランダムに基づくカーン氏に対する報酬としては払っていない、しかし、一方においては、たとえばカーンさんが来日されたときのいろいろな経費、料亭の費用でありますとか、あるいはその他の接待といいますか、あるいは若干の経費、そういうたぐいのお金は日商岩井が払われたのでしょうか、それともカーンさん持ちなんでしょうか、いずれでしょうか。
  395. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  カーンさんが来日されたときのいろんな費用とかあるいは宿泊費とかあるいは接待費とか、そういうものは一切私の方では支払っておりません。
  396. 坂井弘一

    ○坂井委員 カーンさんが全部出した、あるいはカーンさん以外の人が出した、こう理解してよろしゅうございますか。
  397. 海部八郎

    海部証人 御返答申し上げます。  カーンさんは自分でやってこられて、そうして恐らく、わかりませんが、自分の費用は全部自分で払ったと思います。
  398. 坂井弘一

    ○坂井委員 また問題を変えます。  あなたの方とグラマン社との契約、これを旧契約としましょう。昨年六月の段階で切れて、そうして改定契約が昨年の十一月一日に結ばれる、この間約五カ月の空白がございますが、このことについてはきょうはお尋ねはいたしません。昨年十一月一日に改定契約が発効いたしますが、この改定契約書を防衛庁に提出をされたと思います。いつ提出なさいましたか。
  399. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  改定契約書はございまして、それをいつ防衛庁に提出しましたか、申しわけありませんが、私、記憶にございません。覚えておりません。
  400. 坂井弘一

    ○坂井委員 もう一遍もとに戻りますが、島田さんにあなたはこのメモランダムのことにつきましていろいろお聞きになった。そして、概略いまお述べになっていらっしゃるようなことをお知りになった。これは島田さんからお聞きになってわかった日はいつですか。
  401. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  実は、すっかり古いことなものでしたから、全然記憶にございませんでしたのですが、私が検査に入院する前にたしかそういう話が、海部さんそういうことはあったはずだということを一月のたしか十八日か十九日ごろに私は聞いたと思っております。
  402. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのことを植田社長にはいつお話しになりましたですか。
  403. 海部八郎

    海部証人 私が退院をしてまいりまして、たしか二十九日ごろではなかったかと思います、一月の。
  404. 坂井弘一

    ○坂井委員 湯河原の病院にあなたは入院されている最中に、島田さんから再三電話がございましたか。
  405. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  湯河原の中山クリニックの病院に入っておりましたときに、二十三日か四日に、はっきり日にちは覚えておりませんでしたが、二回電話がございました。
  406. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのときにはこの契約、いわゆる密約としましよう、そういう感じのものだというお話であったわけですか。
  407. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そういう話は全然出ませんで、ともかくいつ検査を終わるか、早く帰ってくれ、こういうお話でございました。
  408. 坂井弘一

    ○坂井委員 チータムさんが、代理店変更のころに、松野さん、島田さん、それからあなたと会った、こういうことをおっしゃっているのですが、会われたのか会われないのか。会われたとすれば代理店契約を結ばれた前なのか後なのか、その辺を簡単にお答えいただきたい。
  409. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  チータム社長、それから松野先生、それから私、あるいは島田が、この四人が会ったかどうかということにつきましては、記憶は定かでございませんが、一度会ったことがあると思います。その時期は、前であったか後であったか、それはもう全然記憶にございません、申しわけありませんが。
  410. 坂井弘一

    ○坂井委員 先ほど一月の三十日の夜の話が出ましたが、三十一日の夜、あなたは島田さんにはお会いにはならなかったですか。また、その日の夜の島田さんがどういう行動をされたかについてお知りであればお答えいただきたい。
  411. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  三十一日は、夜は故島田君にはお目にかかっておりません。私は八時まで会社におりまして、八時にうちを出まして自宅へ帰りましたものでございますから、お目にかかっておりません。
  412. 坂井弘一

    ○坂井委員 その夜は、日商岩井社内に帰られた島田さんがどなたかに会われたというお話は聞いておりませんか。
  413. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  三十一日の夜、日商岩井の本社の方へ来られたという話は秘書課から聞きましたでございます。(坂井委員「だれに会ったかは聞いていませんか」と呼ぶ)だれに会ったか、私はお目にかかっておりません。ですが、秘書課の者は島田さんが来られたということを、それから後でお聞きしましたでございます。
  414. 坂井弘一

    ○坂井委員 あなたは一日の日の夕刻、どこかへ行かれましたか。
  415. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。   一日の夜というのは、たしか故島田君が亡くなった夜で、私はたしか島田君のお宅へ行ったのじゃないかと思いますが。
  416. 坂井弘一

    ○坂井委員 東京地検には全く関係ございませんか。
  417. 海部八郎

    海部証人 まだ事情聴取は受けておりませんでございます。
  418. 坂井弘一

    ○坂井委員 ロッキード事件が起こりましたときに、約三年前です、二月以降、あなたはオーストラリアへ行かれましたか。
  419. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  海外出張は非常に多うございまして、あの時期であったかどうかは知りませんが、オーストラリアに出張したことはございます。  その用件は、あれはメルボルンだったと思いますが、ズルツァーのエンジンの、船舶用のズルツァー・エンジンの一号機がたしか完成しましたので、そのデモンストレーションを見に行き、同時にたしか造船所を見学し、それからパースかメルボルン、シドニーというぐあいに造船所を二カ所ほど見て帰った記憶がございます。
  420. 坂井弘一

    ○坂井委員 カーンさんとはお会いになっていませんね。
  421. 海部八郎

    海部証人 そのときに全然お目にかかったことはございません。
  422. 坂井弘一

    ○坂井委員 今度のE2Cの改定契約、これは報酬率はどうなっていますか。
  423. 海部八郎

    海部証人 報償率につきましては、御回答申し上げますが、FMSの場合には本体及び部品とも手数料はございません。
  424. 坂井弘一

    ○坂井委員 ちょっと正確にお答えいただきたいのですね。それなら全く契約は無意味でございましてね。そうじゃなくて、その分は、ないのでしょう。しかしそうじゃない部分については報酬率が定められていますね。
  425. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  コマーシャル、もしコマーシャル契約に、FMSではなくてコマーシャル契約になりました場合には、本体については二%、部品については五%ということになっております。しかし、契約は単年度契約でございます。
  426. 坂井弘一

    ○坂井委員 よくわかりました。非常によくわかりましたが、いまの契約書を、旧契約とそれからいまの改定契約ですね、これはぜひ国会にお出しをいただきたい。先ほど植田社長は、委員会のお決めがございましたらば検討したい、こういうお答えでございました。海部さんの方も、これは検討じゃなくて、決めれば出していただきたい。  私はなぜかといいますと、グラマン社カーンさんの間のコンサルタント契約、これは出ているのですよ。ごらんになりましたか。(海部証人「ちょっと拝見させていただけますか」と呼ぶ)まあ結構です。これは同じ契約の実は同じ書式のコピーなんです。これに対して重要な部分は、ここはカットしてございます。  いずれにしましても、グラマン社カーンさんとのコンサルタント契約をちゃんと出している。あなたの方も出していただきませんとということで、再三にわたりまして実は委員長、あのとおり集中審議等でも御要請申し上げたことでございますので、ぜひひとつこれはお出しいただきたい。そういうひとつ御確約をいただければ大変国会としてもありがたいと私は思うのですけれども、いかがでございますか。
  427. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  この契約につきましては、相手方のこともございますし、それから本朝私どもの社長が先生方に御回答申し上げた内容もございますので、いろいろ、帰りまして社長と相談いたしまして、御要望にこたえるように、できるだけこたえるように努力したいと思います。いずれにしても、いま私も社長の命令には従わなくちゃいけませんので、よく帰りまして御相談して御回答申し上げます。
  428. 坂井弘一

    ○坂井委員 本体二%、補用部品に関するもの五%ということでしょう。これは非常に重要な問題だと私は思います。  大変恐縮でございますが、一問だけ最後に。日本航空がボーイング社とこれは直接契約でボーイング747SRを入れましたね。これに対してつまり百五万ドルのコミッションというものが日商岩井に入った、うち五十五万ドルが使途不明金である、こういう指摘。ここで、これは直接契約であるにもかかわらず日商岩井に入ってくる百五万ドルのコミッションというのかはいわゆる眠り口銭、こう理解してよろしゅうございますか。
  429. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  眠り口銭という意味がどういう意味か、つまり何もしないで入る手数料、そういう意味ではないと思いますのですが、やはり747のSRの売り込みにつきましても、日本の市場調査あるいは性能の宣伝、それから資料の作成、またいろいろ会合がございましたときの通訳と申しますか、いろいろな説明会におけるいろいろな助力、そういうことがございまして、ボーイングの方から手数料をいただいております。
  430. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  431. 竹下登

    竹下委員長 これにて坂井君の発言は終了いたしました。  大内啓伍君。
  432. 大内啓伍

    ○大内委員 きょうは御苦労さまでございます。  まず最初に確認をさせていただきたいのは、日商岩井ハリーカーン氏といわゆるメモランダム、これの契約締結並びに廃棄の最高責仕者は島田常務ではなく海部社長である、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  433. 海部八郎

    海部証人 大内先生に御回答申し上げます。  締結及び調印、廃棄についての最高責任者は私ではないか、こういう御質問でございますが、これは権限規定によりまして処理されておりますので、廃棄について故島田常務が、私はそのレポートを受けたわけでございますが、差し支えなかったのじゃないか、こういうぐあいに思っております。
  434. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、先ほど植田社長が午前中の証言で、ことしの一月二十五日になって私は初めて知った、そして海部社長島田常務らによってこの契約が結ばれた、これは社内権限規定範囲であるから、こういうお話があったのですが、この権限海部社長じゃないのですか、お持ちなのは。締結についてお持ちならば廃棄についても海部社長がお持ちなんじゃないですか。
  435. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  提携、メモランダムにサインした、あのときはたしか私の権限内でやったと思います。そのころ故島田常務はたしか航空機部の次長ではなかったかと思います。したがって、サインする権限はなかったのじゃないか、こういうぐあいに思っております。
  436. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、廃棄の権限はだれがお持ちだったのですか。
  437. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  廃棄の権限は、故島田さんは常務取締役でございますので、権限は持っていたと思います。
  438. 大内啓伍

    ○大内委員 このハリーカーン氏とのメモランダムは俗に密約、こう言われていることは御存じだと思うのですが、と申しますのは、これはグラマン社に対して秘密であり、かつ社内に対して秘密である。知っている方は海部社長以下二、三人しかおられない、そういう意味で密約と言われたわけなんですが、なぜそんなに秘密にして結ばなければならなかったのですか。なぜ密約にしなければならなかったのですか。
  439. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  密約ということは、われわれは思ってなかったと思います。単なるファインダーズフィーとかあるいはブローカーレジ、そういうものを払うというメモランダムであったと思っております。したがって、これはあくまでも商業上の取り決めでございますので、われわれは密約とは思っておりませんでした。
  440. 大内啓伍

    ○大内委員 ハリーカーン氏はグラマン社に対する説明、これはいわゆる密約がばれたというので説明に入りまして、このときこういうふうに言っておられると伝えられているのですね。日商岩井から受け取る金は自分の取り分というのではない、何人かの日本政府高官に渡すことになっているのだ、こう説明会で言っているというのですね。また、チータム氏は議会証言で次のように言っているのですね。日商岩井政府高官に成功報酬の一部が流れることを知っていたはずだ。そしてこれを受けまして、アメリカ証券取引委員会すなわちSECは、カーン氏に渡る成功報酬の一部が日本政府高官に流れる可能性があった、こう報告しているわけですね。この三者の言っていることは完全に符合しているわけなんです。つまりカーン氏への報酬の一部または相当部分が政府高官に行く約束になっていたのではないか、こういうふうに見られておるわけなんですね。しかも契約時においてはいま御指摘のように、島田常務は一部長ですからサインする権限をお持ちでない。とすれば、サイン者であるあなたがその点を最もよく知り得たと思うのですが、この三者の言っていることはうそですか、いかがでしょう。
  441. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  チータムさんあるいはカーンさん、そういうことを言っておられるということはいま承ったのですが、そういうようなことは、私どもは一切聞かされておりません。
  442. 大内啓伍

    ○大内委員 先ほど海部社長わりあい重要なことをおっしゃられたのですが、E2Cの話はそんなに遅くならずにもっと早くまとまると思ったと。それは間違いございませんか。
  443. 海部八郎

    海部証人 E2Cの航空機につきましては住友さんが長いことやっておられまして、まあ決まるとか決まらないとかずいぶんいろいろな当時話も出ておりましたので、まあそんなに時間のかかるものじゃないのじゃないか、こういうぐあいに推測しておりました。
  444. 大内啓伍

    ○大内委員 何十億、何百億という取引をやる、その重要な判断がそんな簡単なものなんでしょうか。と申しますのは、いま海部証人がおっしゃられたE2Cの話がそんなに遅くならないと思ったということは非常に重要なポイントなんです。というのは、このE2C機の日本導入を決定できるのはグラマン社ではないわけなんです。もちろん住友商事でもないし、日商岩井でもないわけなんです。これを決定できる者は日本政治家、特に政府要人しかないわけなんです。ですから、もし海部社長がE2Cの話がもっと早くまとまると思ったという心証をお持ちであるとすれば、それはだれかから示唆を受けていなければそんな心証はできるはずがない。もししたとすれば、それはこれほど乱暴な話はないわけなんです。これはどなたか政治家からの示唆をいただいたわけですか。でないとおかしいですね。論理的におかしいですね。
  445. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そういうような示唆は一切受けておりません。ただし、この飛行機は国防上非常に重要であるということは防衛庁筋からも聞いておりましたし、近々買っていただけるのじゃないかと、こういうふうに思っただけでございます。
  446. 大内啓伍

    ○大内委員 たとえば、先ほど来のお話の中で、岸信介氏や松野頼三氏との親交という問題がございましたが、このお二人から示唆を受けたことはないのですか。
  447. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そういう事実はございません。
  448. 大内啓伍

    ○大内委員 これは午前中の植田社長も、そして海部社長も申されていたことなんですが、E2Cの売り込みについて昭和四十四年以来一生懸命やってきたけれども、なかなか成果が上がらない。そして人材の投入に多額の経費がかかり、メリットもないので、そこで一九七四年ごろからカーン氏とキャンセルの交渉が始まったんだ、そうですね。もしそういうふうに、つまりE2Cの売り込みというものが大変経費がかかって割りに合わないというのであれば、カーン氏との契約を廃棄する必要はないでしょう。そうでしょう。
  449. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  いま先生の言われた趣旨がちょっとわかりにくいのですが、恐れ入りますが、最後のところもう一遍おっしゃっていただけませんか。
  450. 大内啓伍

    ○大内委員 というのは、カーン氏とのいわゆるメモランダム、つまり密約というのは、E2C機が売れたらそれに対して何がしかの成功報酬、つまり日商岩井が取る四〇%を支払うというものでしょう。売れなければカーン氏に対する出費は一切起こらないわけでしょう。ですから、仮にカーン氏との契約が存続したって、日商岩井にとっては痛くもかゆくもないでしょう。それよりむしろ本論は、もし本当にE2C機の売り込みが割りに合わないとすれば、そのE2Cの売り込みを契約したグラマン社との契約を解消するというならわかりますよ。しかし、カーン氏との契約は一銭も別に払う必要ないわけですから、本論はそのままにしておいて、つまり本契約はそのままにしておいて、どっちでもいいカーン氏との契約解除を急いだ、これはどうしても常識的に理解できないのです。そこを説明していただけますか。
  451. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  いま先生のおっしゃった趣旨では、それほど妙味のない仕事であるならば、グラマン本社と日商岩井の間の契約をキャンセルすればいいじゃないか、こういうお話でございましたが、これはちょっと私どもの考えと違いまして、私どもはやはりせっかくグラマンとの関係がございますので、FMSになるかあるいはコマーシャルになるかわかりませんが、コマーシャルになりました場合には手数料の収入があるという一縷の期待を持って、そのまま継続したわけでございます。
  452. 大内啓伍

    ○大内委員 しかし、カーン氏との契約を廃棄する必要は、たとえば実害という面で、全くないでしょう。それより、E2Cの売り込みに経費がかかる、どうしてそんなに経費がかかるのですか。
  453. 海部八郎

    海部証人 申し上げます。  E2Cのみならず、プラント、船舶、いろいろなことにつきましても非常に人件費がかかります。これはもう御想像以上に人件費がかかるものでございまして、売れなければもうそれは全部ロス、こういうことになっておりまして、相当な宣伝費、それからいろいろな資料の作製費はかかるものでございます。
  454. 大内啓伍

    ○大内委員 昭和四十四年以来どのくらいの経費がかかったと算定されていますか。
  455. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  E2C売り込みについて、それでは昭和四十四年以来どれくらいかかったかという数字につきましては、まことに申しわけありませんが、この場でどれだけかかったということを、直接費、間接費につきまして申し上げることは、いま直ちにここではできませんので御勘弁願いたいと思います。
  456. 大内啓伍

    ○大内委員 それも常識的な話ではないですね。カーン氏との契約を廃棄するのに、経費がかかり過ぎるので廃棄しよう、しかし、その経費についてはまだいまの段階ではよくわからない。大体ラフ計算ではわかっているのでしょう。
  457. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  このE2Cの売り込みに常時二人かかったか三人かかったか、そういうことから計算していかなくてはなりませんので、ともかく収入は一銭もございませんので、経費ばかりかかる、その経費をいま先生が大体おまえはわかるはずだとおっしゃるのですが、ここでどれだけかかりましたか、また将来もかかるかへこれについてはいまちょっと直ちに御回答申し上げられないと思います。
  458. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは最後に質問いたします。  あなたは当初、密約を全面的に否定されておりましたね。そしてチータム元GI社長あるいはカーン氏、さらにはあなたの部下である島田常務までがこの密約の存在を暴露した段階で、一月三十日の記者会見で認められましたね。しかし、あなたのそのときの認め方が、私は島田常務と話し合っているうちに思い出した、こういう言い方なんですね。しかし、自分でサインして、しかもカーン氏に成約がまとまれば二億円も行くという重要問題をそれまで忘れていたというのは、余りにも不自然ではなかったかということが一つ。  それからもう一つは、ハワイ会談に向けてE2Cを何とか緊急輸入の中に入れてほしいというチータム氏らの働きかけが、アメリカのホワイトハウス、国務省等にやられましたね。このときに実はチータム氏は、日商岩井さらにはカーン氏も、日本において次官クラスに対して働きかけをやっているはずである、こういう談話を述べているのです。したがってハワイ会談に向けて何らかの政治家等に対する働きかけが行われたのではないかと一般的に見られているのです。しかも現実に国務省の記録の中には、E2Cの話が行われたということが記載されたんですね。この問題が二つ。  三つ目には、先ほど来出ております昭和四十八年三月期の決算でボーイング747、このコミッションとして一億六千五百万円、これは使途不明金という形で課税されて、七千八百万円の追徴課税が行われましたね。この一億六千五百万円の追徴金、使途不明ですが、これは何か政治工作資金として使われたのですか。  以上三点についてお伺いをいたします。
  459. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  第一番の、一月三十日の記者会見で、私が島田君といろいろ話し合った結果そういうように思うようになった、そのいきさつにつきましては申し上げたとおりでございまして、御承知のとおりに私の管掌は機械関係で約千人以上の人間がおります。それから海外担当もやっておりますので、御承知のとおり、私は飛行機だけやっているわけではございませんので、重機械、産業機械、船舶部それから溶材部、建設部、電機部、原子力部、それと海外もやっておりまして、古い話は、まことに申しわけないのですが、記憶に失っているもの、そういうものもございます。したがって完全に、まことに申しわけないのですが、失念したというか忘れていた、こういうことでございます。  それから第二の、ハワイ会談につきまして云々の問題でございますが、その問題は、私どもは一切お願いに行ったりそういうことはしておりません。ただ可能性は、為替が、ドルがだぶついてきた、それから円が強くなってまいりましたので、これは多少は見込みがあるのじゃないか、あるいは円高になれば輸入のものが安くなりますから、そこで可能性があるいはあるのじゃないか、こういうぐあいに思ったわけでございます。  それから第三番目の件は、ちょっと先生……(大内委員「使途不明金について」と呼ぶ)ボーイングの747のSRの七機分の手数料百五万ドルは入金しておりまして、そのうちの、五十万ドルと五十五万ドルに分かれておりますが、その五十五万ドルのうちの七万ドルはアメリカのうちの子会社の方へ出し、それから残りにつきましては、故島田常務報告によりますれば、中近東の公団の入札資格取得のために使ったということでございます。それで、その使途不明金ということで大阪国税局に対して支払いを完了した、こういうぐあいに承知しております。
  460. 大内啓伍

    ○大内委員 終わります。
  461. 竹下登

    竹下委員長 これにて大内君の発言は終了いたしました。  正森成二君。
  462. 正森成二

    ○正森委員 証人に伺いますが、日商岩井カーン氏との契約について、あなたは週刊誌で紹介料、仲介料とコンサルタント契約と合わせたようなものだ、こうおっしゃっておりますが、この――では販売協力するという内容も入っていた、こういうようになっています。そうだといたしますと、あなたはあなたの単独の決裁でできたと言われておりますが、ここに私は日商岩井の個別権限の基準表を持っております。それによると海外店管掌の役員の決裁が要るということになっているのではないですか。コンサルタント関係は全部そうなっているはずであります。ところが、それをなさらなかったのはどういうわけですか。
  463. 海部八郎

    海部証人 コンサルタント契約につきましては、この社内の稟議を通して、たとえば単年度契約の中近東のあれにつきましては七件ありまして、そのうち現在カーンさんとの間は三件だけ有効、こういうふうに承っております。  なお、週刊誌にコンサルタントとそれからあっせん料ですか、紹介料ですか、そういうことがまぜたようなものと申し上げましたのは、これは誤りでございます。
  464. 正森成二

    ○正森委員 私は、この委員会において、最初に竹下委員長質問に対して、販売協力というように書いてありますから、それならコンサルタント料の一種ではないか、こう言っているわけで、週刊誌だけで言っているわけではありません。  また、地域契約についても、海外に関係するものについては地域総括部長と相談しなければならないということになっているはずなのに、それを相談されなかったのはどういうわけですか。
  465. 海部八郎

    海部証人 それはいつの時点の――正森先生にお伺いしたいのですが、いつの時点のことか私は記憶しておりませんが、地域総括部長にこの了承を得なくちゃいけないというのは、私も実は初めて承りました。申しわけありません。
  466. 正森成二

    ○正森委員 これは現在の日商岩井の個別権限基準表であります。しかし、昭和四十四年は違うとおっしゃるのであれば、私が承知したところでは組織図は永年保管になっているはずでありますから、昭和四十四年と現在の両方の分について提出されることを求めたいと思います。
  467. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  昭和四十四年と現在のものにつきましてのあれにつきましては、差し支えない限り会社へ帰りまして調査してできるだけ御要望に沿いたいと思っております。
  468. 正森成二

    ○正森委員 あなたがこのカーン氏との契約に調印をされたそうですが、午前中の植田社長の答弁によりますと、国際契約であるにもかかわらず公取に対する提出を失念していたということであります。そうすると、契約をされたのは署名者があなたですからあなたが失念していた、こういうことになるわけですか。  同時に、植田社長カーン氏との契約について、中東の問題についても全部提出していないので二月二日に届け出をさすようにした、こうなっております。そうすると、六大商社の一つである日商岩井カーン氏との国際契約についてだけは届け出をしないということは、カーン氏については何か届け出ができないような事情がその約束の中にあるのではありませんか。
  469. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  ミスター・カーンとのメモランダムについてのそれを提出するのを失念したということは事実でございます。  それからその他のコンサルティング契約につきましては、まだ調べてみなくちゃわかりませんが、提出しているものもあるいはあったのではないか、こういうぐあいに思っております。いずれにしても、これは帰りましてよく調べてみたいと思っております。
  470. 正森成二

    ○正森委員 カーン氏との契約について、解除について交渉したのは島田氏であり、その解除についての文書を出されたのも島田氏である、こういうことですか。当初の契約はあなたであるのに、それより下の島田氏のサインで解約できるというのはおかしいと思うのですが、それについてはいかがですか。
  471. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  このメモランダムにサインした当時は私に権限があったと思います。それから解除のいろいろな交渉その他は私の知る限りでは島田常務がおやりになったと思いますが、島田さんは航空機担当の責任者でございます、したがっておやりになった、こういうぐあいに了承しております。
  472. 正森成二

    ○正森委員 先ほど同僚委員との質疑での答弁によりますと、あなた方はカーン氏との契約について廃棄をなさったそうであります。その廃棄をなさったときに廃棄する権限島田氏にあった、こういうぐあいにおっしゃいましたね。島田氏が廃棄をなさったのはいつごろですか。
  473. 海部八郎

    海部証人 故島田常務が廃棄した、それからだれに命じて廃棄したか、私はそれを聞いておりません。
  474. 正森成二

    ○正森委員 いままでのあなた方の記者会見では、実際にカーン氏との契約がなくなった、それには時期によって違いがありますが、一番遅い時期をとっても、昭和五十三年三月七日にカーン氏から文書解約を了承したということが来た、こうなっております。そうしますと破り捨てたのはその前後である、恐らくその直後であると見てよろしいか。
  475. 海部八郎

    海部証人 いつ島田常務が廃棄したか、それについては私は知識がございません。
  476. 正森成二

    ○正森委員 そういうことをおっしゃいますが、あなたは、島田氏は常務だから廃棄できる、こうおっしゃいましたね。そうすると、常務になってから以後であるということだけは確認しているわけですか。
  477. 海部八郎

    海部証人 時期については確認しておりませんし、私にもそのレポートはございませんでした。
  478. 正森成二

    ○正森委員 それでは廃棄する権限を持っておるのが常務以上であるということだけは確実ですね。いまそうおっしゃいました。
  479. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  廃棄する権限を持っているのが常務以上であるということ、そういう権限規定があるかどうか私は承知しておりませんが、島田常務が廃棄したということは事実でございます。
  480. 正森成二

    ○正森委員 先ほど証言したことと違ってきておりますが、私はここに島田氏の経歴書を持ってきております。島田氏が常務になったのは昭和五十三年の六月からであります。だから、あなたが、もし常務島田が廃棄した、常務でなければ廃棄できないのだということであれば、五十三年の六月以降だということになって、いままで言うてきておられたことと大きく食い違うことにならざるを得ない、こういうように私は思います。  そこで、私はさらに聞きたいと思うのですが、あなたがそういう問題について、内部の権限規定はともかくとして、サインをなさったということになれば、その重大なものについて、それをやめるということについては、あなたがその最高責任者であったわけですから、ある場合は専務として、ある場合は副社長として、あなたに当然のことながら相談があるはずであります。  あなたの一月三十日の釈明文がここにありますが、それを見せていただきますと、七四年ごろからいろいろと減額もしくは解約について話し合いがあった。さらに七六年に文書申し入れた。七六年の末に口頭了解があった。さらにその後グラマン社とのいろいろの関係があって、七八年にグラマン社に対して、まだ文書では残っておるとこう言ったら、それは文書ではっきりしなさい、こういうことを言われて、七八年の三月七日に正式にカーン氏から文書解約が来た、こうなっております。そうすると、七四年以降をとっただけでも、数回にわたってこの問題のやりとりがされているはずであります。しかるに、その問題についてあなたに全然報告がなかった、内容報告されなかったということは考えられません。あなたは本当はカーン氏及びヒズ・アソシエーツにお金が払われるという内容を知っていたのではありませんか。
  481. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そういう相談は一切ございませんし、それからいま先生の言われたヒズ・アソシエーツというものに払われるとか、そういうことは一切聞いておりません。  もう一言申し上げます。私は先ほども申し上げましたとおり、朝から晩まで飛行機ばかり扱っているわけではございませんので、いろいろな解約の交渉とか、そういうようなことを年がら年じゅう、故島田常務がやっていたとか、あるいはそれに対する報告は聞いていないのはおかしいと言われましても、事実私の記憶にございませんものですから申し上げただけでございます。
  482. 正森成二

    ○正森委員 あなた方のようなビッグ・シックスに入る総合商社が、国際契約については、ここに日商岩井ライフという本もありますが、きちんと関係部門によって届け出をしなさいということになっているのにやらないということについては、単なる失念ではないのではないですか。辻会長が一月の二十七日に島田を問い詰めたところが、この点については絶対に口外をしないという約束があったから、いままで黙っていたのだ、あなたのところの会長が言っているのです。ですから、単なる失念ではなしに、口外できないようなわけがあったのではないんですか。
  483. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  私どもの辻会長に対する問いに対して島田常務がそういう返答をしていることをいまお聞きしましたのですが、そういうことを外部に言えない事情があったのではないか、こういうことでございますが、私はそういう事実はないと思います。
  484. 正森成二

    ○正森委員 日商岩井グラマンとの基本契約は当委員会提出していただくことになっておりますから、いずれわかるのですが、あなた方が他のメーカーなどと結ばれた販売契約を見ますと、あなた方は自分が何をやったかということについて当該相手方に対して逐一報告する義務があるという条項が必ず入っております。それだのに、あなた方がカーン氏に、しかも有力な国際人であるカーン氏に協力を頼んでいるんだ、グラマンからもらう手数料の四〇%まで払うのだというようなことを報告していないなどというようなことは考えられないのですね。もし報告していないとすれば報告できないわけがあるのではないのですか。  さらに私は伺いたいと思います。  私の前に同僚委員が正当な質問提出しましたが、七四年以後、あなた方は、いろいろ費用がかさむから、それでカーン氏との契約が割りに合わないから減額するとか解約するとか言われました。しかし七四年以後、まさにAEWが導入されることになっていたんじゃないのですか。  ここに年表がありますから、時間がありませんが簡単に言いますと、七四年十二月二十八日、国防会議議員懇談会はAEWの国産を見送る。いよいよ輸入に決まっております。七五年三月、AEWは五十一年度に予算要求をやるということが航空情報という雑誌に載っております。七六年、いよいよあなた方が文書解約申し入れたときには、防衛庁はポスト四次防でAEW十機程度の導入要求の方針というのが出ております。同じく七六年の九月六日には例のミグ25事件が発生して、AEWの早期導入ということが必至であるということになっております。十月二十九日の国防会議では防衛計画の大綱を決定して、AEWから成る一個飛行部隊の新設を打ち出しております。七七年一月には、五十二年度予算でAEW調査費二百三十万円が計上されています。  あなた方がいよいよカーン氏との契約解約するということになった時期は、まさに一九七六年、七七年、アメリカ武器輸出管理法とFMSRという規則が改正されて、不正な金があればAEWを買ってもらえないということが明らかになった時期であります。ですからあなた方は、まさに早期警戒機がいよいよ買ってもらえる時期が来た、しかも買ってもらおうと思えばこういう不正な関係を切らなければならない、そういうことがあるから、一九七六年初め以降カーン氏との契約を切るということを交渉を始めたんじゃありませんか、そうでなければ理屈が合わないじゃないですか。
  485. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  カーンさんがグラマンとの間にコンサルティング契約があるということはわれわれは承知しておりませんでした。したがって、もしカーンさんがそれについて私どもの方から手数料を取るというようなことは、これは明らかにコンサルティングの契約に反するわけでございますから、したがって、われわれとしてもそういうものは非常に困るということでキャンセルをプロポーズしてきたわけでございます。
  486. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたが、あなたは三十日の記者会見でも、カーン氏がグラマンのコンサルタントだというのは、グラマン疑惑が起こってから初めて知ったなどと言っておられたのです。あなたの主張はくるくる、くるくる変わってくるのです。  最後に一言聞きますが、昭和四十七年のハワイ会談の前後及び十月九日の国防会議で白紙還元されるそれまでの間、あなたは早朝田中総理のお家を訪問されたことはありませんか。
  487. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  記憶に定かでございませんが、社交的儀礼のことであるいは訪問したことがあるかもしれません。しかしそういうようなお話は一切しておりません。
  488. 正森成二

    ○正森委員 最後に一問。きょう私はあなたが署名される様子を見ておりましたが、異常と思われるほどぶるぶるふるえて、署名一つするのにずいぶん長い間おかかりになりました。あなたは手がふるえるような持病がおありなんですか。
  489. 海部八郎

    海部証人 申し上げます。  私は血管の収縮――医学用語はわからないのですが、結滞というのですか、それがございます。したがって、こういうような、何と申し上げますか、えらい先生がうんとおられるところへ来ますと、よく手がふるえることがございます。それから、実際にきょうは、申しわけないのですが、たばこも吸えませんので、やはりちょっと手がふるえた。これはもう先生に指摘されるまでもなく、持病の一種でございますので、申しわけありません。
  490. 竹下登

    竹下委員長 正森君に申し上げますが、――という言葉があったように思いますので、後刻速記録を調査の上、委員会と訂正させていただきます。  これにて正森君の発言は終了いたしました。  中川秀直君。
  491. 中川秀直

    中川(秀)委員 新自由クラブの中川秀直ですが、証人には大変お疲れだと思いますけれども、時間はあと非常に短いわけでありますから、お答えはひとつ、イエス、ノーで結構でございますので、簡潔にお願いしたいと思います。  まず、日商岩井ハリーカーン氏との間のE2Cの売り込みに関する契約、密約でありますけれども、証人は、一月の二十四日の日に、午前中証人としてお立ちになった植田社長に呼ばれまして、このことについて聞かれておられますね。その際なぜ正直にあるとお答えにならなかったのか、まずその辺からお聞かせ願いたいと存じます。
  492. 竹下登

    竹下委員長 海部君、御発言の前に委員長から申し上げますが、たばこは吸っていいことになっておりますので……。
  493. 海部八郎

    海部証人 ああ、そうですか。いいえ、もうそういう大それたことはいたしません。  いま先生からの御質問は、一月二十四日でございますか、のときにそういう――ちょっと申しわけないのですが、もう一度……。
  494. 中川秀直

    中川(秀)委員 済みません。  日商でも今回の問題が社内的に問題になりまして、一月の二十四日の日に、つまり島田さんが植田社長に対して実は密約があったのだと言う前日に、一月の二十四日の日に植田社長海部さん御自身も呼ばれて、そしてそういうカーン氏との間に契約があるのか、密約があるのかと聞かれておられますね。その際なぜ正直にあるとお答えにならなかったのか、そこからまずお伺いをしたいと思います。
  495. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  二十四日というのは私はまだ入院していたのじゃないかと思いますが、なぜ島田常務が正直に回答しなかったかということについては、私が聞いておりました限りは、もう亡くなられた故人のことでございますが……(中川(秀)委員「いや、海部さん御自身がです」と呼ぶ)私は入院する前にその話を聞きまして、しかし、島田常務が、もう廃棄されて、一時はあったけれども、現時点はもうないので、そういうふうに申し上げた、こういうぐあいに私は了解しております。
  496. 竹下登

    竹下委員長 中川君、ちょっとお待ちくださいませ。  証人に申し上げますが、手帳をお出しになりますと資料という扱いになりますので、どうぞその点……。正確に申すためにと思いますけれども、それは正確でなかったら正確でなかったで結構でございますから……。
  497. 中川秀直

    中川(秀)委員 私がお尋ねいたしましたのは、すでにこれは新聞等でも報ぜられているのでありますけれども、海部さんも入院先から東京へ出てこられて、一月の二十四日の日に植田社長に呼ばれて、島田さんと二人で実はそういう密約があったのかということを社長に聞かれた。海部さんと島田さんはそのときはあったとは言わなかった。しかし海部さんがお帰りになった後、二十五日の未明でしょうか、島田さんは植田さんに対して、実はあったのだということを言ったのだ、こういうふうに新聞には出ているのであります。この点はいかがなんですか。
  498. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  確かに先生の、いま思い出しましたのですが、おっしゃられたとおり、二十四日にともかく病院から出てこいという話で、そのときにそういうのがあったということを島田常務から聞きました。
  499. 中川秀直

    中川(秀)委員 ちょっとお伺いをいたしますが、そうすると、植田社長に呼ばれた際に、島田さんは海部さんの目の前でそういう契約があったということを言われた。海部さんはそのときに、もう社長の前で島田さんがそう言われたということを御存じだったわけでありますか。そこに立ち会われていたわけですか。
  500. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  よく覚えておりませんが、確かにそういう話があったと思います。
  501. 中川秀直

    中川(秀)委員 ちょっと一般に伝えられるところと違うのでありますが、新しい事実だといまの御発言は私は思うのであります。  一月三十日の記者会見証人は、いまも海部さんおっしゃっておられましたが、入院前に島田さんから――話し合っているうちに、カーン氏との密約があることを思い出された、こういうことでございますね。入院はたしか二十一日だったと思いますが、いかがですか。
  502. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  入院は日曜日だったと思いますので、日にちは何日でございましたか、いま手帳を見るわけにいきませんので……。
  503. 中川秀直

    中川(秀)委員 それじゃ私がかわりに見させていただきますが、二十一日は日曜日でございます。  先ほどのお話だと、それでは社長が聞かれたときにもう海部さんも島田さんもお認めになった、こういまの御証言では理解をするわけでありますが、いままではそうはおっしゃっておられなかった。社長に対してもないということをおっしゃった。この点はいかがですか。
  504. 海部八郎

    海部証人 社長に十九日かたしか十八日か、そのころに島田君からその話を聞きましたのですが、そうじゃなかったかなと思うようになったのですけれども、依然として幾ら思い出そうとしても思い出せない。そして二十四日に社長に呼ばれましたときに、島田君もそうだからそれは海部君、間違いないぞということを言われまして、まだその時点では私はもう少し考えたい、こういうことを思い出したいと思ったことは事実でございます。
  505. 中川秀直

    中川(秀)委員 証人もお疲れですから、余りこのことでお話は申し上げませんが、いまのお話だと若干矛盾をするのです。証人は一月三十日の記者会見で、入院前に島田常務からお話を聞いて密約があることを思い出した、こうもおっしゃっておられる。思い出されていながら、二十四日に社長に聞かれたらまだ思い出せないから私はちょっと待ってくれ、こういうことになった。ちょっと矛盾しますね。  さらに一月三十日の記者会見では、こうもおっしゃっておられる。一月の九日に大阪で記者会見をした前後に、島田常務に対してこのカーン氏との密約をキャンセルしたことについて説明を求めた、こうおっしゃっておられる。これも記者会見で明らかに海部さんがおっしゃっているというふうに新聞には出ているわけであります。そうすると、もう一月九日の前後から密約があったということを思い出していたことになりますね。私はずいぶん御発言に若干矛盾があると思うのです。国民に対してそういった密約がないと二十五日の段階まで日商はおっしゃっておられた。社長に二十四日に聞かれても、社長にも言わなかった、島田さんがおっしゃるまで言わなかったということになるわけで、大分ちょっと御発言に矛盾があるのでありますけれども、もうお疲れでございますから、この点はあえて申し上げません。  海部さんに一つお伺いしますが、入院中の一月の二十四日午前十一時から三十分間、迎賓館に訪日中の某国の政府首脳をお訪ねになって、その国のある国際入札のお話を海部さんはなさっておられますか。事実でございますか。
  506. 海部八郎

    海部証人 そういう事実は、私の記憶のあります限りございませんです。
  507. 中川秀直

    中川(秀)委員 私どもの調査ではそのように出ているのでありますが、あえてそれでは申し上げません。入院しても海部さんはお仕事をなかなか忘れない、本当に仕事熱心の方であるという印象を私ども持っておったわけであります。その海部さんが、証人カーン氏との契約を忘れてしまうということ、特に大事なE2Cの売り込みの締めくくりに当たって忘れておるということは、ちょっと私どもには理解ができないのでありますが、時間がないので先を急ぎますので、順次、先ほどのような証人の御発言のような混乱がないように、明確にお話をいただきたいと思うのであります。  日商とカーン氏との契約に当たって、あるいはその後で、SECが指摘したカーン氏から複数の政府高官にそのお金の一部を支払う可能性があるということについて、証人カーン氏と話し合われたことがあるのではないですか。先ほどカーン氏から一切聞いていないと言われましたが、一般的に、これは政府関係者にもあいさつをしなければならないとかいうふうな発言カーン氏から何らかの形で聞かれたのではないですか。
  508. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  何分にも非常に古い話でございますし、そういう話は私は記憶に全くございませんです。
  509. 中川秀直

    中川(秀)委員 私が訪米中に調査したところでは、SEC筋やグラマン社幹部との話でも、このカーン氏から政府高官のリベート支払いの可能性についてのSECの報告書は明確な事実、確証に基づいて書かれていて、グラマン社の弁護士などが三万点の文書を九千時間もかけて調べた結果、何らかの文書を発見しあるいは発見したという確実な社内の人間の証言を得て書かれたとの重要な示唆を私は得た、これらの資料は恐らく日本に近日中にも私は到着するものと思います。  私は、証人カーン氏からこの高官への支払いについて聞かれていて、それを十分御存じであって、それをまたグラマン社にあるときお伝えになったのではないかと思うのですが、御証言はお変わりありませんか。
  510. 海部八郎

    海部証人 申し上げます。  記憶に定かではございませんが、確かに私はそれについてのそういうものはなかったと思います。
  511. 中川秀直

    中川(秀)委員 なかったというのとなかったと思うというのは若干違うのでありますが、グラマン・インターナショナル社のオラム社長は、カーン氏が政府高官にリベートを支払う意思表示をしていたことを確信したとこう言った。確信したとおっしゃっている。では、いま一度お伺いいたしますけれども、チータム元グラマン・インターナショナル社社長に一九七三年、昭和四十八年あるいは一九七四年、昭和四十九年、チータム氏が訪日した際にお会いになりましたか。
  512. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  一九七三年か七四年は、たしか新聞によりますれば、何かどこか、シンガポールかどこかからの帰りに寄られたというときのことでございますか。(中川(秀)委員「新聞の報道ではなくて、あなたがお会いになられましたか」と呼ぶ)それはチータムさんはグラマンをおやめになった後、競争会社であるボーイングですか、ボーイングの何かコンサルタントになられて、私は会ったかどうか知りませんが、やってこられて、それをつまり競争会社のものをやらないかというような話を、たしか東南アジアの帰りに東京へ寄ってそういう話をしたということを聞いておりますが、それはお断りしたということも聞いております。
  513. 中川秀直

    中川(秀)委員 証人は会われていないのですか。
  514. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  私は会ったかどうか、儀礼的に来られたかどうか、そういう点については申しわけありませんが、記憶にございません。
  515. 中川秀直

    中川(秀)委員 肯定も否定もなさらぬということになるわけですが、チータムさん自身は一九七三年か七四年、御自分の商用で、ビジネスで、いま証人がおっしゃいましたように、ボーイング社のコンサルタントを当時グラマン社をおやめになってやっていたときでありますから、そういう御用だったかもしれません。インドネシアに行く途中に日本に立ち寄って、証人島田常務に会われたとはっきり言っておられる。そしてその際に、証人島田常務から、初めて日本政府高官に対しコミッションの一部を支払うとの密約が日商とカーン氏との間にあることを聞いて大変びっくりしたと発言をしておられるのです。あなたから聞かれたとおっしゃっておられる。証人はこのときこういう話をなさったのではないですか。内容を覚えておられたらお話しください。
  516. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  インドネシアへグラマンの前チータム社長が行く途中に寄って、そういう話をしたとグラマンをやめられたチータムさんが言っておられるということでありますが、私は故島田常務もそういうような話をチータムにするとは思いませんし、私も記憶にございません。
  517. 中川秀直

    中川(秀)委員 時間がありませんので最後の一つの問題に触れさせていただきますが、現在このE2Cの問題につきましては手数料の問題が問題になっているのであります。先ほどの証人の御発言も、午前中の植田社長の御発言も、機体本体も部品もすべてFMSであり、その意味ではE2Cはノーマージシになる、ノーコミッションになる、こういうことにいたします、最初の契約はともかく、もうFMSになったのだからそうですとおっしゃっておられる。ところが、私がオラムさんから直接聞いたところでは、グラマン・インターナショナル社の社長から直接一月の八日に聞いたところでは、これまでの議論とちょっと違う。また、証人がおっしゃっておるところともちょっと違う。オラムさんがおっしゃるのは、確かに代理店契約で、新しい契約ではFMSの場合は全くコミッションを支払わないことになっている。これは契約書に明記されている。このFMSは全体の九五%の比率だ。全体の、すべての輸出、FMSで、政府間で輸出をするものの九五%の比率である。全部輸出する、日本側に渡すもの。その中身は機体本体並びにIOFP、イニシャル・アウトフィッティング・パーツ、おわかりになりますね。大体十八カ月から二十四カ月間、つまり二年間の初度部品、そしてトレーニングに関する機材、技術書類、これが全体の輸出の九五%を占めて、これはFMSでノーマージンです、ただし地上支援のテスト機材、ファクトリー・テスト・エクイプメント、これが輸出品の五%を占めていて、これはコマーシャルベースで、先般来同僚議員が質問しておりますところの日商との間に、その総額の五%を占める地上支援テスト機材の金額の総額の五%、これが日商のマージンになる、こうおっしゃっているのです。これは一月の八日、一番最新に私が伺ったところでありますけれども、実際はこうなっているのではないですか。
  518. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  実は、いまの五%とかそういう問題についていま先生から初めて私伺いまして、非常にお詳しいので、私よりも非常によく御存じなんで、初めてその五%、九五%という問題はお聞きしました。帰りましてその点についてはよく調べてみたいと思っております。
  519. 中川秀直

    中川(秀)委員 最後にいたしますが、一方の会社グラマン社社長がそこまで御存じで明確に確言をされておられるのに、一方の日商の総責任者であられる海部証人がそれをよく御存じないというのはちょっと解せないことであります。そして同時に、私どもが心配をいたしますのは、この地上支援テスト機材というものについて五%のマージンがあるということと、いま一つは二年間の初度部品はFMSでノーマージンだけれども、実はこのE2Cの耐用年数は十七年とされておりますが、残る十五年間の部品契約はFMSではない、オラムさんはそうはっきりおっしゃっておられる。そうすると、その部分は明らかに日商にマージンが入るということになる、こういうことになるのであります。一方のグラマン側はそうおっしゃっておられる。証人はそれを御存じない。これはお調べを願って明確にしていただきたい。これについて御存じないですか。最後にお伺いして終わりにいたします。
  520. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  実は、この問題はFMSの問題が起こりましてから担当者の報告を聞きましたところが、この前のたしか集中審議で、たしか六十四億、十七年間で何とかいうお話が出たように承っております。それから防衛庁の試算では二十四億というようなお話でございますが、この私の方のグラマンとの契約は単年度契約でございまして、自動延長がないのでございます。したがって、いつ代理店を切りかえられるか、それもはっきりしておりませんし、それから、私は飛行機は余り詳しくないのですが、この早期警戒機というのは、非常に高度な、電子関係ですか、機材が積まれておりまして、その電子機材のいろいろな部品その他については、従来の防衛庁の御方針によりますと国内メーカーもございますし、特にエンジンにつきましては国内メーカーもちろんございますし、それからグラマン自体が供給できるものの範囲、それから防衛庁がお買いになるその金額とか範囲とかそういうものが決まっておりませんので、しかも単年度の自動延長のないアグリーメントでございますから、これから先十七年間、われわれの方がそういう仕事ができるという保証は何もない、こういうぐあいに聞いております。しかし、先生の先ほど申し上げられた試験機材その他につきましては、帰りましてよく勉強してみたい、こういうふうに思っております。
  521. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  522. 竹下登

    竹下委員長 これにて中川君の発言は終了いたしました。  以上をもちまして海部証人に対する尋問は一応終了いたしました。  証人海部八郎君には長時間にわたり御苦労さまでした。御退席くだすって結構でございますが、なお、本日再び証言を求める場合もあるかもしれませんので、控え室にて待機していただきたいと存じます。証人海部八郎君には長時間にわたりありがとうございました。御退席くだすって結構でございます。
  523. 海部八郎

    海部証人 どうも委員長、ありがとうございました。
  524. 竹下登

    竹下委員長 それでは、委員長から御協力方をお願いいたしますが、大幅に時間が超過しておりますので、委員各位におかれましては、時間を遵守することに御協力をお願いいたします。     ―――――――――――――
  525. 竹下登

    竹下委員長 次に、有森國雄君から証言を求めることといたします。  証人有森國雄君の入室を求めます。  どうぞおかけになってください。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算に関し、外国航空機購入予算問題について、有森國雄君より証言を求めることにいたします。  証言を求める前に証人に一言申し上げておきます。  昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によって、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことになっております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、まず、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときであります。また、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、助産婦、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときにも証言を拒むことができることになっております。  しかして、証人が正当な理由なくして宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  一応このことを篤と御承知おきを願いたいと存じます。  なお、今回の証人喚問についての理事会申し合わせ事項については、証人にはすでに文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点につき申し上げておきます。  その第一点目は、証人随伴者助言を求めることが許される場合についてであります。  すなわち、証言は、証人がみずから知り得た事実を証人自身の記憶により申し述べるのが原則でありますが、証言を求められている事柄が議院証言法証言を拒否することが認められている事項に該当するかどうか確認しようとするとき、その他委員長がこれを中心として判断し、許可を与えるのを相当としたものについては、証人随伴者助言を求めることができます。  これらの助言は、いずれもその都度証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであります。  その第二点目は、資料についてであります。  証人は、証言を行うに際し、資料を用いることは差し支えありませんが、委員長許可が必要であります。また、これらの資料は、いずれも当委員会提出していただくことになっております。  その第三点目として、証人は、メモをとることは認められておりません。  その第四点目は、随伴者についてであります。  随伴者は、発言することはできませんが、メモをとることは許されます。  また、随伴者は、証人委員長許可を得て助言を求めた場合は助言することができますが、自分の方から証人に対し助言することはできないことになっております。  以上の点を十分御承知おきください。  それでは、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めることといたします。  全員御起立を願います。     〔総員起立
  526. 竹下登

    竹下委員長 それでは、有森國雄君、宣誓書を朗読してください。
  527. 有森國雄

    有森証人      宣 誓 書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、  又、何事もつけ加えないことを誓います   昭和五十四年二月十四日                 有森 國雄
  528. 竹下登

    竹下委員長 宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  529. 竹下登

    竹下委員長 御着席を願います。  これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また、御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。  なお、こちらから質問をしているときは着席のままで結構でございますが、お答えの際は起立して発言をしてください。  なお、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で国政に係る重要な問題について証言を求めるのでありますから、不規則発言等、議事の進行を妨げるような言動のないように特に御協力をお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  530. 竹下登

    竹下委員長 これより証人に対して証言を求めます。  まず、委員長より所要の事項についてお尋ねして、その後、委員各位の御発言を願うことといたします。  あなたは有森國雄君ですね。
  531. 有森國雄

    有森証人 有森國雄でございます。
  532. 竹下登

    竹下委員長 おかけください。生年月日住所職業を述べてください。
  533. 有森國雄

    有森証人 昭和七年十一月二十三日生まれ、現住所は東京都世田谷区成城二の三十一の五でございます。
  534. 竹下登

    竹下委員長 職業……。
  535. 有森國雄

    有森証人 現在、会社役員をいたしております。
  536. 竹下登

    竹下委員長 あなたの日商における略歴及び仕事の内容について述べてください。
  537. 有森國雄

    有森証人 昭和三十一年日商株式会社に入社いたしまして、昭和四十三年と記憶いたしますが、日商を退社いたす時点における私の職務は、航空機部の課長代理でございます。
  538. 竹下登

    竹下委員長 仕事の内容について簡単にお述べください。
  539. 有森國雄

    有森証人 仕事の内容、どのように申し述べていいのかよくわからないのでございますが、どういう職務を……。
  540. 竹下登

    竹下委員長 航空機部課長代理と言えばおよそのことはつかめますけれども、簡単に御説明願います。
  541. 有森國雄

    有森証人 わかりました。航空機部の営業担当といたしまして、航空機の売り込みに従事しておりました。
  542. 竹下登

    竹下委員長 現在の副社長海部八郎氏とはどういう関係にありましたか。
  543. 有森國雄

    有森証人 当時、海部現副社長はたしか航空機部長を兼務されていたはずだと思います。したがいまして、私の間接的な上司ということになります。
  544. 竹下登

    竹下委員長 日商を退職されたいきさつについてお述べください。
  545. 有森國雄

    有森証人 私はかねて、いずれの日にかは自分で独立した仕事をしたいという強い願望を持っておりました。そこへたまたま私の同じ日商時代の友人が独立いたしまして、ある会社を設立いたしまして、そちらの方にぜひ来ないかという話がかなり長い間ございまして、結論から申しますと、その求めに応じて、あるいは私自身がそのチャンスをつかまえるべく日商を退社した、こういういきさつでございます。
  546. 竹下登

    竹下委員長 あなたが日商をやめられた当時、いわゆる海部メモが市中に出回っていますが、このメモについて御存じでございますか。
  547. 有森國雄

    有森証人 先般新聞紙上に掲載されましたものを拝見しております。
  548. 竹下登

    竹下委員長 次に、発言の申し出がありますので、順次これを許します。羽田野忠文君。
  549. 羽田野忠文

    羽田野委員 証人は、きょうはよくおいでくださいました。実はきのうの早朝まで、あなたは証人としては出られないだろうというような状況でございました。あなたの出頭についてはみんな、新聞社などは非常に気をもんでおられた状況でございました。  グラマン社に対する証券取引委員会報告書が出されました先月の一月四日、その前の日にあなたは日本を立ってアメリカの方においでになった。それから途中で今月の七日にロサンゼルスで一部の記者会見をされた。その後杳としてどこにおいでるかわからないというようなことで、東京のお宅でも、当院からあなたに証人においでいただきたいという召喚状を持っていったけれども、本人の所在がわからないということで受け取りを拒否された。こういうような非常に雲に包まれたような状態だったのですが、きのうの午前中に弁護士さんを通じて本日出席されるという連絡をしてきょう出てこられたのですが、あなたの所在が、あるいは行動がはっきりしなかったというようなことについては、何か事情があったわけでございますか。
  550. 有森國雄

    有森証人 いまお尋ねの問題につきましては、大変誤解があるように私感じております。  私は、いま御指摘のございましたように、一月三日にパンアメリカンの二便でアメリカへ出発したわけでございますが、この渡米の予定は昨年の十二月二十日ぐらいに、関係先の幹部及び取引先とも十分の打ち合わせの上決定されていたことでございまして、私が渡米に使用しました航空券はたしか、いまちょっとここに持っておりませんが、十二月二十何日か付で発行されたものでございます。したがいまして、私の今回の渡米といわゆるグラマン事件と申しますか、今回私が召喚を命ぜられましたこととの間には全く何の相関関係もございませんで、それではなぜ杳として行方が知れぬとかいうようなことになったかといういきさつについてでございますが、私、御迷惑をかけるといけないというような配慮もありまして、いま特に名前を申し上げる必要もないと思いますが、一月三日にロサンゼルスへ到着いたしまして、そこでも取引先と会っておりまして、翌日ラスベガスへ参りまして、一月四日の夜にかねて打ち合わせの取引先との商談に出席いたしまして、以後たしか八日か九日までラスベガスの――これはいろいろな方にお目にかかっておりますからよく御存じでございますが、ラスベガスのホテルにおりまして、その後、エルパソ、シカゴというようなところを経由いたしましてニューヨークヘ入りましたのが、たしか一月十二日前後と思います。その間、日本の新聞等に接する機会は全くございませんで、いわゆるグラマン事件と申しますか、このことに関してそういうことが発生しているのだということを知りましたのは、ニューヨークに入ってからでございます。それで、その後大変たくさんの報道陣の方が私が主宰していると申しますか、勤務していると申しますか、会社の方にもおいでいただき、また自宅の方にも再三おいでをいただいたようなのでございます。  これにつきましては、旅行中連絡したときにそういうことがあるということは聞いておりましたけれども、私自身に直接関係のない問題と確信しておりましたので、あえて報道陣の方にお目にかかるなり、あるいはどこそこにいるというような発言はしない方がいいということが一つ、それから、私自身がきわめて不確定なスケジュールで動いておりまして、必ずしも私がどこにいるかということは家族の者も会社の方でもわかってない。これは決してつくり話を申し上げているわけでも何でもなくて、お調べいただければわかりますが、私、過去に恐らく何十回と米国、ヨーロッパへ出張しておりますが、いつもそんな調子でやっておりますので、いま御質問の点につきましては、これで十分御理解をいただけたのじゃないかと思いますが……。
  551. 羽田野忠文

    羽田野委員 よくわかりましたが、きのうの午前中、弁護士さんを通じて、きょうの証人には出るというような御連絡があったときに、なおつけ加えて、あなたの、いわゆる有森氏は身辺の危険を感じており、証人として出頭の際には安全を配慮してほしい、有森氏が現在どこにいるかは言えないというような趣旨の御連絡があったというようなことを新聞に報道されております。これは、本件のグラマンのことも非常に重要なことなんだけれども、世界じゅうで一番治安がいいと自負しておる法治国家の日本で、衆議院証人においでいただく方が身辺の危険を感ずるなどということは大変重大なことでございまして、大変な関心を持っているわけですが、差し支えございませんでしたら、その身辺の危険を感じておるというような事情を御説明いただきたいと思います。
  552. 有森國雄

    有森証人 まず第一に、私の証人として今日ここにお伺いいたしましたことが非常に突然だったのではないかという御趣旨の御質問だと思うのですが、私自身非常にこういうことに不案内でございまして、果たして証人喚問というものがどういう意味合いを持つのか、特に法律的にどういうことが関係しているのかということが全くわかりませんし、米国の旅行中でございましたので、相談すべき相手もいないという状況で、時折新聞で、証人として喚問されるかもしらぬという記事は見ておりましたのですが、私としては一体どうしたらいいのだろうというようなことで、最終的に参りますという御返事が大変おくれましたことをおわび申し上げたいと思います。  それから、身辺の危険云々という問題につきましては、これは順を追ってお話ししなければいかぬと思いますが、先ほど申し上げましたように、私がこういうグラマン事件というものが発生していることを知ったのは十二日以降のことなのでございますが、その後も継続的に何か入ってくるということではなくて、たまたま人づてに話を聞いたり、日本の新聞を読んだりという程度のことであったわけです。そこへ、一月の二十四日でございましたか、たしか朝日新聞にそういう記事が出ている、私が何か突然蒸発してしまったというような内容だったように思いますが、そういうようなことを人づてに聞きまして、いやびっくりしておりましたところへ、日商岩井島田常務が亡くなられたということを聞きまして、実は非常にびっくりいたしました。これはちょっと余人にはおわかりいただけないかと思いますが、そのことによって私が非常に大きなショックを受けたという事実がございます。  島田常務と私とは、日商入社以来私が退社をする日まで、非常に親しいおつき合いをいただいたわけでございます。その方が突然亡くなられた、それも、何と申しますか、私の目には非常に異常に映ったようなことがございまして、これが多少私の神経を異常にしたということがあると思います。  それから、身辺保護をお願いしたとかなんとかいうような問題については、これは私が特にそう大騒ぎしてお願いしたということではなくて、私の依頼した弁護士が非常に、十分配慮してくれたのではないかというふうに考えております。
  553. 羽田野忠文

    羽田野委員 あなたが日商岩井に入社なさって十二年間、この間に航空機部の課長代理というような、これは社内でも非常に敏腕な昇進の早い人だという定評があったということも聞いておりますし、あなたのお父さんは陸軍少将までなさったお方で、そういう関係もこれあり、あなたも航空工業界などにも非常に顔の広い方で、日商の方でも非常に嘱望されておった中堅の社員であられた。これが、四十三年にあなたがおやめになったことについては、まあ機会があれば外へ出たいというような御希望もあったというようなことも聞いておりますが、航空機関係最高責任者をしておられた海部八郎、現在の副社長との間に余りし  っくりいかないというような面があったことも、退社の一つの理由ではございませんか。
  554. 有森國雄

    有森証人 もし、それでは当時の私の心境は一体どうであったのかというお尋ねでありますと、何分余り古いことでございまして、正確に再現することはむずかしいと思いますが、ただ私がそういう形で、自分の自由な意思で退社したいということを申し上げましたときに、実は再三慰留をされました。私としては、いろいろなことを考えました結果、やはり自分は自分の道を行くべきであるし、この機会を逃がすべきではないという結論に達しまして、何と申しますか、強引に振り切ってやめたというような形が残りまして、そんなことで、海部さんの方は非常に不愉快な気持ちをお持ちになったかもしれません。
  555. 羽田野忠文

    羽田野委員 日商を退社なさった後、あなたはロッキード社のコンサルタントをしばらくしておられたというような報道がございますが、そういう事実もございますか。
  556. 有森國雄

    有森証人 そういう事実はございます。
  557. 羽田野忠文

    羽田野委員 どのくらいの期間、どういうお仕事をなさっておられましたか。
  558. 有森國雄

    有森証人 正確な期間と申しますか、それは全く虚偽なことを申し上げるのではなくて、記憶にはっきりしておりませんが、多分昭和四十二年から四十三年ぐらいにかけましての、もし私の記憶に誤りがなければ六カ月間程度のことではなかったかと思います。
  559. 羽田野忠文

    羽田野委員 こういうふうな事件があったことをあなたは御記憶があると思いますが、防衛庁の官房長をしておられました海原治さん、この人の追い落としのためにいろいろな怪文書が出回った。これは刑事事件にまでなった、相当世の中を騒がした事案でございますから証人も御記憶と思いますが、そのいわゆる怪文書の材料が、証人、あなたの手から出たのではないかという巷間のうわさがあることも御存じだと思いますが、この点、証人いかがでございますか。
  560. 有森國雄

    有森証人 大変むずかしい御質問で、よくわからないのでございますが、材料が私の手から出たということはどういうことを意味するのでございましょうか。
  561. 羽田野忠文

    羽田野委員 いや、御質問申し上げたとおり、海原治さんの追い落としに使われた怪文書、いわゆる日商岩井社内にいた者でなければわからないような内容の怪文書が相当出回ったようでございます。そこで、社内にいた者でなければわからない内容、これを熟知し、そしてこれを出したのは証人ではないかという巷間のうわさがあなたの耳にも入ったと思いますけれども、いかがでございますか。
  562. 有森國雄

    有森証人 ちょっとお尋ねの趣旨が依然としてよくわからないのでございますが、こういう形の御返事で御返事になりますかどうか。この事件におきまして刑事責任を問われました二名の者とは私も全く知らない中ではございません。特に一名はかなり敏腕の業界紙の記者でございまして、よく私どものところにも出入りをしておりましたので、そういう意味では交際がございました。
  563. 羽田野忠文

    羽田野委員 いずれこれは具体的なものによる御指摘があると思いますので、私の質問はこれで終わります。
  564. 竹下登

    竹下委員長 これにて羽田野君の発言は終了いたしました。  大出俊君。
  565. 大出俊

    ○大出委員 大出俊でございます。  お疲れのところだと思いますけれども、いま証人がお話しになっておられましたグラマン、ダグラスをめぐります疑惑解明を一生懸命やっている時期でございまして、そういう意味で当時の海部さんがいろいろ政界その他との関係で動いておられる時期に有森さんもおいでになったわけでありまして、きょうはその辺のところをずばりお答えをいただきたいという気持ちが私は大変強いのであります。  そこで、その前に二、三点お伺いしておきたいことがございます。それは有森さんがおやりになっておいでになる会社でありますけれども、この会社にいまおいでになる方々の御関係等について、差し支えなければ最初にちょっとお答えいただきたいのです。それは専務さんをやっておられる向後さんという方がおられますね。違いましたですか。向かうという字に後と書くのですかね。もっとも二つおありになりますから、それを申し上げなければいかぬと思いますけれども、フェニックス・インターナショナルですか、新宿の三光町でございますか、第五荒井ビルですかね。もう一つがミステックスの方をやっておられる……。代々木でしたね。もし御存じなければないで結構でございますから、挙げていきますからお答えいただきたいのですが、私の聞いております限りは、向後さんという方が一人おいでになって、もう一人葛井さんという方がおいでになりますね。最近の新聞に、この新聞ですけれども、「フェニックス・インターナショナル社代表取締役有森国雄さんが取締役に降格していることが七日わかった。新たに代表取締役になった葛井信男氏によると、昨年十一月、同社取締役会有森さんも御出席」と書いてありますが、「決定したものである。葛井氏は交代の理由について、単なる社内事情であるとし、」こうなっていますが、この辺は御存じでございますか。
  566. 有森國雄

    有森証人 ただいま御指摘のございました、御質問のございましたフェニックス・インターナショナルという会社は、四年ほど前に私が若い仲間と一緒に設立をした会社でございまして、設立以来代表取締役を私が務めておりました。今般、代表取締役を辞任いたしましたのは、御存じのような今回の問題がございまして、私の一身上にいろいろな疑惑と申しますか、いろいろなことを言われておる、こういうことは会社の業務上非常に都合が悪い。それで私としては、これはもうフェニックスという会社と全く一切何のかかわりもない私の一身上の問題でございますので、形式的には十一月三十日ということになっておりましてあれでございますが、この関係上私が退任をしたというのが事実でございます。
  567. 大出俊

    ○大出委員 まあそういうことで、ちょっといまのところはお答えいただきにくかったのだという気はするのでありますが、その点は直接有森さんの問題ではありません。きょうの証人尋問ということでございますから、御迷惑をかける点は避けて通りたいと思っております。  有森さんは、ロッキード事件が発生をいたしまして、ちょうどこの時代に四谷署に当時前後三回ばかり、事情を向こう側が聞くというようなことでおいでになったことがあるというふうに、私が調べた限りはなっておりますけれども、そういうことはございますか。
  568. 有森國雄

    有森証人 三回ということはなかったと思いますが、何かお尋ねがあったことは事実でございます。
  569. 大出俊

    ○大出委員 そのときの中身について、もし差し支えなければちょっとお話しいただけますか、大体どんなことだったかという。差し支えあれば結構ですけれども。
  570. 有森國雄

    有森証人 先ほど申し上げましたように、私が日商退社後、一時ロッキードのコンサルタントを務めたことがございますので、その事実関係はどうなのかというようなお話であったように記憶しております。
  571. 大出俊

    ○大出委員 日商においでになった時代に、つまりロッキード事件でいろんな捜査が行われまして、書類が集まるところに集まった。この中に有森さんの名前でのレポートと申しますか、そういうものが幾つか出てきたということがあって、というふうに承っておるのですが、そういうことじゃないですか。
  572. 有森國雄

    有森証人 恐縮でございますが、もう一度質問内容をはっきり言っていただけませんでしょうか。
  573. 大出俊

    ○大出委員 じゃ、もっとざっくばらんに申しますが、ロッキード事件のときに合同捜査なども行われまして、ロッキードの東京事務所その他を。このときに英文のレポートその他を含めてたくさんの資料収集が行われたわけですね。この中に海部メモと言われているようなものが、英文で向こうに送った写しが残っておりましたり、そのほか有森さんにかかわる、つまり名前の出てくるレポートの写し等が出てきている。そこらの関係で、有森さんが当時そちらの方にある種の情報を提供していたのではないか、ここが実は、私が調べた限り、いまお認めになりました何回かの警察側が調べるという調査内容であったと理解しているのですけれども、ということでございますかと、こう聞いているわけです。
  574. 有森國雄

    有森証人 警察側からの取り調べといいますか、お尋ね内容は、先ほど申し上げましたように、私とロッキード社との間にどういう関係存在したかということが主体であったように記憶しております。
  575. 大出俊

    ○大出委員 私が回りくどいことを申しておりますのは、おたくにおいでになる方の話も出しましたのは、旧住友、旧日商においでになった方もおたくの会社においでになるようでありますし、いま私が例に挙げました有森さんにかかわるロッキード事件のときに、東京事務所等からいろんな資料が入手されている、こういう点がありまして、私は、いわゆる海部メモというものについて有森さんは御存じだったんじゃないか、こう思っておりますので。ところが、どうもアメリカでのことでございますからはっきりしませんが、さわったことも見たこともないという、実はお話をなさっているので、そんなはずはないと私は思うものですから、そこを実は承りたいから申し上げているのですが、当然私はこの海部メモというものは御存じのはずだと思っておりますので、そこを承りたいのですが、いかがでございましょう。
  576. 有森國雄

    有森証人 ただいまの御質問に関しましては、この問題に関して証言することによりまして、私自身が刑事上の訴追を受ける可能性を、可能性といいますか、そういう問題を惹起する可能性があると思いますので、お答えを控えさせていただきたいと思います。
  577. 大出俊

    ○大出委員 ということになりますと、御存じがなければ刑事上の訴追は受けないわけでありますから、刑事上の訴追を受けるおそれがあるからという御答弁は、御存じであるということになる、これは私流に解釈するのでありますが。  そこで委員長、ちょっと見ていただきたいのでございますが、よろしゅうございますか。
  578. 竹下登

    竹下委員長 よろしゅうございます。
  579. 大出俊

    ○大出委員 いま差し上げましたのが通称海部メモと言われておるものでございまして、有森さんも恐らく目にされているのではないかと思うのでありますけれども、幾つか手を加えたものがございました。いま差し上げましたのはそうではなくて、一番もとになっておりますもののコピーでありまして、したがって、あて先なども書いてあります。それをごらんになりまして、何か思い当たる点はございませんか。
  580. 有森國雄

    有森証人 先ほど私が、刑事上の訴追を受けるか受けないかという問題を惹起するので証言を控えさせていただきたいということを申し上げましたが、それは、私がこれを証言することによりまして、外国為替会計法でございますか、通称外為法違反ということにつきまして、申し上げたような問題が起こる可能性があるということで、同じ理由によりまして、ただいまの御質問証言を控えさせていただきます。
  581. 大出俊

    ○大出委員 これはわけがございまして、そこが実は聞きたいから申し上げているのでありますが、この一枚の方は、金を外国に送っているわけです。一つはジュッセルドルフ、一つはスイスに送っているわけでありまして、これがやみからやみに送られておるとすると、そのときに送った人はだれなんだということになる。私の推測でありますけれども、いまお手元に差し上げましたものの、四十一年三月十八日の領収証形式になっておりますメモは、特にここに二百万円というのがございまして、これは実はそこのあて書きになっております表題の方に行っていない、海部さんの隠し口座に行っている、こういう問題がございます。これは表経理ができないとすれば、この隠し口座は何らかの形で海部さんの腹心の方が手がけざるを得ない、こういう問題もございまして、そこのところを私は非常に高い関心を実は持っているのであります。海部さんは言を左右にされて最後まではっきりしたことをおっしゃいませんでしたけれども、いま外為法という問題が出てまいりましたが、もう一歩、差し支えなければお答えいただきたいのですが、いま私がひょっと触れたような、つまり微妙な関係がこれにはある。だから、一つ間違うと、これは公の場所、しかも証言でありますから、私がいま尋問でございますから、証言法違反という問題も当然ありますし、そういうような意味で、いま私が述べましたことに関係がある、こういう感触に受け取ってよろしゅうございますか。
  582. 有森國雄

    有森証人 ちょっと考える時間をいただいていいですか。
  583. 竹下登

    竹下委員長 はい、結構です。
  584. 大出俊

    ○大出委員 結構ですから、どうぞ気をつけてお答えくださいませ。
  585. 有森國雄

    有森証人 御質問が、そういう感触であったとかなんとかいう御質問でございましたけれども、最前申し上げました理由によりまして、私としては、この件に関しましては一切の証言を御勘弁いただきたいと思います。
  586. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、このさわったことも見たこともないというのはお取り消しいただけますか。新聞に出ているのは新聞社がそう書いたのだとおっしゃるなら別でありますけれども、本当に有森さんがさわったことも見たこともないというふうに、アメリカで記者の方にお答えになっていたのだとすると、ちょっとそこのところが私は解せないので、お取り消しが願えますか。
  587. 有森國雄

    有森証人 私は、本日ここに皆さんの前に、国会の前に証人として出席いたしまして、冒頭に申し上げましたとおり、良心に従いまして証言をいたしております。
  588. 大出俊

    ○大出委員 委員長、これはなかなかお答えいただけませんで進行いたしませんので、ちょっと時間を気にしているのですけれども。では、別な角度から承ります。  有森さんは、ロッキード事件のさなかに、五十一年でありますが、共同通信の方々に東京でインタビューをお受けになったことがある。これは三回、前後約八時間、こうなっておりますが、これは事実でございますね。簡単にお答えください。
  589. 有森國雄

    有森証人 いろいろな方に当時お目にかかりましたというか、押しかけてこられまして、そういうこともあったように記憶しております。
  590. 大出俊

    ○大出委員 このときのテープが実は現存をすることを私は確認をいたしております。テープを持ち込むわけにまいりませんので、私、ここにはそのテープを訳しまして文章にしたものを持っておりますけれども、この中にいまの海部メモに触れる部分がございます。これは、あなたのおっしゃったとおりここに再現してございます。  そこで、ここであなたがおっしゃっているのは、非常に慎重だと言えば慎重なんでありますけれども、まず第一に、「海部氏は海外生活が長かったので、事務処理が外国式で、電話で用件が済んだことでも大事なことは必ずすぐ文書にして相手に送り、コピーを残している。(私がそのコピーを持っているように言う人がいるが)」、ここで御説明しておきますが、まさにこれは海部さんのコピーであります。仮に私が持っている。つまり「(私がそのコピーを持っているように言う人がいるが)仮にあるにしてもたいして意味はない。(公表されると)非常に都合が悪いと考える人がいるかもしれない。一つ間違えば物理的に命にかかわる危険がある。仮に私がだれかの領収書を持っていて表に出るとなれば、私を抹殺しようとするだろう。世論などは頼りになるものではない。」こう言っているんですね。  これはテープに残っている。テープがありますから、確認しておりますから。そうすると、ここへ出てくるのは、これはお持ちになってないと言ってないですね。否定していない。ただ、出せない、出すとこうなるということを暗にここでおっしゃっているわけです。これは五十一年でございますから大変さきのことじゃありませんで、古いことじゃないので、これはお認めになりますな。簡単にお答えください。
  591. 有森國雄

    有森証人 最前申し上げましたのと同じ理由によりまして、証言を控えさせていただきたいと思います。
  592. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ一応承ってからもとに戻らせていただきますが、「田中さんや松野氏らの関係」というところがあるのですが、これまた御発言のとおりであります。「(岸事務所とは)従来からじっ懇の関係はなく、新たに働きかけたということだ。」昔からあった関係じゃない、岸さんの事務所は。「私はメッセンジャー役で、上の話は海部氏しかわからないと思う。」海部さんが上だ、私にはわからない。「海部氏はアメリカから帰ってきて、政治に近づかないと仕事ができないという考え方を持っていた。池田内閣全盛時代だから、秘書官グループに近づき、当時池田さんの秘書官だった田中六助氏と親しくなり、私も海部氏の後ろについて田中氏のところへ行ったり、一緒に酒を飲みに行ったりした。その紹介であそこへ接近したと思う。」つまり岸事務所です。「岸事務所の中では中村長芳氏が一番他を圧している感じだった。中村氏から(政治工作について)指示される場合もあるし、こちらから話をもちかけたりする場合もあったと思う。」こう述べておられますが、これは別に刑事訴追に関係ないので、あなたのお話しになったテープの再現でございますから、お認めになりますな。
  593. 有森國雄

    有森証人 同じ理由によりまして、証言を差し控えさせていただきたいと思います。
  594. 大出俊

    ○大出委員 委員長、これはちょっと御注意願いたい。これを全部刑事訴追との関係があるからというので拒否されるのなら、これは証人として出てきていただいた意味がない。これは理由になりません。相談してください。
  595. 竹下登

    竹下委員長 証人に申し上げます。  証言を拒絶される理由を具体的にお述べいただきたいと思います。
  596. 有森國雄

    有森証人 ちょっと相談をさせていただいてよろしゅうございましょうか。
  597. 竹下登

    竹下委員長 結構でございます。
  598. 有森國雄

    有森証人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げますと、さらにいろいろな話が出てまいりまして、結果的に私の刑事訴追の問題が出てくると思いますので、そういう理由でございます。
  599. 竹下登

    竹下委員長 証人に申し上げますが、何法に抵触して――先ほどは外為法ということをおっしゃいました。何法に抵触して刑事訴追を受けるおそれがあるのかを、具体的にお述べいただきたいと思います。
  600. 有森國雄

    有森証人 先ほど申し上げましたとおり、外為法違反ということについてでございます。
  601. 大出俊

    ○大出委員 これは時間がかかりますので、本当なら委員長から聞いていただきたいのですが、外為法違反というのはこれは三年時効でございますから、ですからこの海部メモをさっきお手元に差し上げましたが、とっくの昔にその限りならば訴追を受けないことになる。これははっきりしておいていただきたいのは、あなたが、いま私が述べた田中六助さん、岸事務所、そこの中村さんとの関係というのは全く何も関係ないので、ここまで拒否されるのじゃ、これは少し委員長御相談願いたいですよ、本当に。何の関係もない。事実関係を聞いているだけです。
  602. 竹下登

    竹下委員長 大出委員に申し上げます。  各党の理事間で協議をいたしましたが、証人が理解が十分にいっていない可能性もございますので、いま一度同趣旨のことをわかりやすくお尋ねをいただきたいと思います。
  603. 大出俊

    ○大出委員 それでは、お答えにならぬのが二つ続きましたが、後の方をまず申し上げます。  田中、松野氏らの関係というところで、事務所とは「従来からじっ懇の関係はなく、」岸事務所と括弧して入っておりますが、「(岸事務所とは)従来からじっ懇の関係はなく、新たに働きかけたということだ。私はメッセンジャー役で、上の話は海部氏しかわからないと思う。海部氏はアメリカから帰ってきて、政治に近づかないと仕事ができないという考え方を持っていた。池田内閣全盛時代だから、秘書官グループに近づき、当時池田さんの秘書官だった田中六助氏と親しくなり、私も海部氏の後ろについて田中氏のところへ行ったり、一緒に酒を飲みに行ったりした。その紹介であそこへ接近したと思う。」、「あそこへ」つまり岸事務所でありますが、「岸事務所の中では中村長芳氏が一番他を圧している感じだった。中村氏から(政治工作について)指示される場合もあるし、こちらから話をもちかけたりする場合もあったと思う。」こういうふうに当時のテープを訳したこの文書には書いてありますが、この事実をお認めいただけるか、こういうふうに聞いたわけであります。
  604. 有森國雄

    有森証人 委員長に再度相談の時間を少しいただきたいと思います。
  605. 竹下登

    竹下委員長 結構でございます。
  606. 有森國雄

    有森証人 お答え申し上げます。  私自身発言内容について正確な記憶はございません。  それから、やはりこういう問題を次から次へ御質問を受けまして、それに対する御返事を申し上げておりますと、いずれ私の刑事責任が問われるという可能性があるように思いますので、その意味先ほど証言をあれさせていただきたいというふうに申し上げた次第でございます。
  607. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いまの私の質問は五十一年に、ですからわずか、そんな昔じゃないので、ロッキード事件のときですから、にもかかわらずいまの理由お答えにならない。  それから先ほどの証言を拒否されましたが、念のためもう一遍申し上げておきますけれども、刑事訴追を私が受け得るおそれがあるからお答えできません、それはどういう刑事訴追なんですかと、その中身をおっしゃっていただきたいと申し上げたら、外為法違反という刑事訴追の責任を問われることになる。こうおっしゃるから、それじゃ一体その外為法違反というのは、この海部メモというものには金の送り先がある。ジュッセルドルフに一千万円、スイスに二百万円、こうなっている。外為法と言えば金にかかわらなければ外為法は成り立ちません。  そこで、それならばたとえば二百万円の方の例を挙げればスイスなんだが、これは海部さんの隠し口座だと言われている。それを直接の部下が手がける。つまりあなたがということになるのですが、そういう意味でということかと言ったら、これまたお答えが同じ意味でできません、こういうことなんですね。  念のために申し上げておきますが、外為法違反というのは三年時効でございますから、そのことによって刑事責任を問われるはずはないと私は実は思っているわけであります。にもかかわらず、それもこれもすべてお答えにならぬということになると、これはとてもじゃないが私には尋問ができません。これ以上尋問の続けようがない。事実確認を求めている。あなたが自分でしゃべったテープを訳したものについての事実確認。これについてお答えにならぬのではどうにもなりませんから、御相談いただきます。
  608. 竹下登

    竹下委員長 証人に申し上げます。  再度お伺いいたしますが、何法に抵触して刑事訴追を受けるおそれがあるのか、具体的にいま一度お述べいただきたいと思います。
  609. 有森國雄

    有森証人 再度確認のためにちょっと相談の時間をいただきたいと思います。
  610. 竹下登

    竹下委員長 結構です。
  611. 有森國雄

    有森証人 外為法違反でございます。
  612. 竹下登

    竹下委員長 正当な理由がなく証言宣誓を拒否した場合は、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律第七条の規定及び第八条の規定により告発されることになりますので、拒否される理由を具体的に疎明されるようお願いいたします。
  613. 有森國雄

    有森証人 ちょっと相談さしていただきます。
  614. 竹下登

    竹下委員長 結構です。
  615. 有森國雄

    有森証人 お答えをいたします。  たしか二月三日付の日本経済新聞だと思いますが、伊藤刑事局長が述べられている外為法違反に関する訴追の可能性というものがございますので、これが私が訴追を受けるかもしれないという根拠でございます。
  616. 竹下登

    竹下委員長 ただいまの証人の疎明に対する措置は、後刻理事会において協議いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  617. 竹下登

    竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。
  618. 大出俊

    ○大出委員 私は納得いたしかねますが、委員長がそうしろという御裁断のようでありますから、とりあえずもう一、二点聞かしていただきます。  政治家への金というところがございまして、これも有森さんの御発言でありますが、いまの問題と多少の関連がございますから承りたいのです。政治家への金の渡し方にはいろいろなケースがある。私も――これがいいか悪いかわかりませんが、陣笠代議士のところには――これは余り読みたくないのですが、要するにこういうことなんですよ。ふろしきに金を入れて持っていって置いてくるというところなんですが、そういう前段がありまして、しかしそれはまことに例外的なことだと言うのですね。ここからが本題ですが、海外の銀行口座に振り込む方法はあり得る。スイスの銀行口座は絶対公開されないし、警察権も介入できないから、たとえ口座番号がわかっていてもそれがだれのものかわからない。日商側でも――と、ここで言っているのですよ。日商岩井を指しているのです。日商側でもその口座がだれのものかはわからない。金を渡す側はだれの口座か確認する必要もないわけだ。そういう海外の銀行口座へ振り込んでおいてくれというやりとりがあったということはあり得ると思う。が、だれの口座だったか、何カ所か、そこから先は私にはわからない。ここに問題があるのは、振り込んでおいてくれというやりとりがあったということはあり得ると思う、というところ「なんですね。こうなっている。まさにこの海部メモというのは、有森さんのテープに残っている御発言だけに、ここでは有森さんは振り込んでおいてくれと言われた人になるわけですよ、有森さんのこの御発言は。となると、この海部メモというものはうそではない。私がきょう、非公式でありますが筆跡鑑定を聞いた上であれだけ前の段階で物を申し上げましたが、ついに言を左右にされました。したがって、私は、これは大変重要な御発言で、何遍も申し上げておりますように、テープも残っておりまして、それで有森さんは冒頭に、たくさんの人に会いましたが、その中にお目にかかったという記憶がある、こういうお話もあって、このやりとりの一番の出発はお認めになっているわけですから、大変重要なんで、いまの点について、このお話しになっている事実をお認めいただければいいので、よけいなことを申し上げているのじゃないので、この点だけはきちっとお答えをいただきたい。  そして、念のために申し上げますが、外為法とおっしゃいますけれども、これは三年時効のはずでありますから、これはF4Eファントムの時期でありますけれども、時期的には古い。したがって、当然お答えいただいてしかるべきもの、こう思っておりますので、お答えをいただきたいと存じます。
  619. 有森國雄

    有森証人 外為法違反について時効ではないかという御質問がございましたが、私はまだ免訴の判決をいただいているわけではございませんので、いずれにしても訴追の可能性はあるというふうに考えております。
  620. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ、この時点で海部メモというものがございまして、私は先般からこれが海部さんのお書きになったものだという立証を何遍かいたしてきているのでありますが、これに関連して、この点お認めになりますか。海部さんのものだということをお認めになりますか。
  621. 有森國雄

    有森証人 先ほどから何回も申し上げている理由によりまして、同じ理由によりまして証言を控えさせていただきたいと思います。
  622. 大出俊

    ○大出委員 これじゃ、あなたがこれをお書きになっているわけですよ。これはあなたが言っておられるわけですよ。そのことだけをお認めをいただきたい。答えられないとおっしゃるが、あなたは振り込んでおいてくれというやりとりがあったということはあり得ると思う、こう言っているのですから、そうするとまさにこれとこれは絡んでいる、時期が一緒ですから。四十三年おやめになった、これはちょうどその時期、四十一年からですからね。ですから、それだけお認め願いたいと言うのですが、それも証言はできない、こういうことですか。
  623. 有森國雄

    有森証人 私自身、発言内容を正確に覚えておるわけではございません。  それから、先ほども申し上げました理由によりまして、やはり証言を控えさせていただきたいと思います。
  624. 竹下登

    竹下委員長 証人に申し上げますが、証人証言を拒むことができるのは、証言を求める前に申し上げておきましたように、証人やその親族等の刑事上の訴追または処罰を招くおそれがあるときとか、またはその恥辱に帰すべき事項に関するとき等に限られておるのでありまして、それを承知の上でなお証言を拒まれるのであれば、法律の定めるところによりまして本委員会としても考慮しなければならないことになりますので、さよう御了承の上で証言を願いたいと思います。
  625. 大出俊

    ○大出委員 有森さんどうですか、せっかくおいでいただいたので、真実は一つしかないのですから、真実を教えていただきたいと思って承っておるのですが、こう次から次からお認めにならぬとすれば、現在でも何か金の出入り云々に関係でもおありになるのですか。何か納得できるような、もうちょっと進んだ御答弁を何とかここでしていただけませんか。
  626. 有森國雄

    有森証人 私が申し上げることが御返事になるかどうかわかりませんが、一言申し上げさせていただきたいと思います。  私は、正確に時間を覚えておるわけではございませんが、昭和三十八、九年から昭和四十二、三年の間に、私自身良心に恥じる、いやな思い出を持っております。したがいまして、それに関する御質問については私自身、先ほどから申し上げておりますように、刑事訴追のおそれがあるのではないかと思っておりますので、御勘弁をいただきたい、かように思います。
  627. 大出俊

    ○大出委員 これじゃ、証言法という法律があるわけだから、だれが考えても、一般論として見ても、あるいは特定の個人有森さんに限って見ても、なぜ一体刑事訴追のおそれがあるか、これがはっきりしないままに証言をしないということであっては、これは続けられません。これ以上私は質問しません。
  628. 竹下登

    竹下委員長 もう一度お願いします。――委員長から申し上げます。  正当な理由がなく証言を拒否した場合は、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律第七条の規定及び八条の規定により告発されることになりますので、拒否される理由を具体的に疎明されるよう求めた次第でありますが、ただいま証人はそれなりの疎明をされましたが、その疎明に対する措置は、先ほど決定のごとく、後刻理事会において協議いたしたいと思います。  尋問をお続けください。大出君。
  629. 大出俊

    ○大出委員 大変どうも不納得きわまるわけでありますが、せっかく委員長のこれまた御発言でございますから、一問だけ質問をいたしまして、お答えをいただきます。  先ほど証人有森さんがおっしゃる理由、三日の経済新聞、こういうお話がございましたが、見ましたら、これは私の質問に対する記事でございました。私はここでこういうことを述べております。  これはF4ファントムにかかわるものである。四十一二年にF4ファントムを決めておりますが、契約は四十四年からでございますけれども、ことし十機入ってくる、来年さらに十機入ってくる、再来年二機入ってくる。要するに十機、十機、二機、まだ残っている。したがって、四十四年以来のものであるけれども、原則として包括一罪という原則がある。全部を包括して、こっちは時効になってきているけれども、続いているということで包括一罪、この原則の適用ができるかどうかと聞いたら伊藤刑事局長が、窃盗その他の事犯によりますとそういうことになります、ただ、この件に関して包括一罪が適用できるかどうかは慎重に検討させてもらいたい、こういう答弁なんですね。その前段に聞いておりますのは、確かに外為法、入っております。これをとらえての証人の御発言だとすれば、私はあるいはこの銀行口座というのは今日まだ現存するのかもしらず、あるいはまた外為法違反にかかわることが今日までなお続いているのかもしらぬということになる。  したがって、私は念のために、そこのところが理由で刑事訴追のおそれありと言って拒否をなさる、こういうことならこういうことだとこの際はっきり言っていただきたい、こういうふうに思いますので、先ほど証人指摘をなさいましたから、指摘に基づいていま新聞を見ましたが、その上で承るわけでございますので、もう一遍ここのところをお答えいただきたいのであります。
  630. 有森國雄

    有森証人 ちょっと御質問の法的な意味がよくわかりませんので、相談をさせていただきたいと思いますが……。
  631. 竹下登

    竹下委員長 結構です。
  632. 有森國雄

    有森証人 委員長、これはよろしゅうございますか、私が……。もしいけなければあれいたしますけれども……。
  633. 竹下登

    竹下委員長 理事皆さん、よろしゅうございますか。――結構です。――結構でございます。有森君。
  634. 有森國雄

    有森証人 ここに日本経済に報道されたところによりますと、ファントム等に関しまして四つの罪名が想定される、それからまた私自身につきまして関心を持っているのではないか、検察当局が関心を持っているのではないかということが述べられておりますので、私はこれに関連して訴追を受ける可能性があるのではないか、こういうふうに思っております。
  635. 大出俊

    ○大出委員 では、委員長、最後に。  刑事訴追に関係のない、五十一年の有森さんのテープに吹き込まれておる中身を私が次々質問を幾つかいたしましたが、関係ないと私が思っておりますこと三点についてまでお答えがいただけないとなると、委員長、刑事訴追云々と関係がないと思われるところを三点ばかり同じ理由でお断りになるので、拒否をされるので、それじゃこれは本当に尋問になりませんので、時間が大変おくれたことにつきまして恐縮でございますが、私だけのこれは責任でもございませんので、御寛容のほどを同僚委員皆さんにお願いをいたしまして、私はこれで打ち切ります。
  636. 竹下登

    竹下委員長 これにて大出君の発言は終了いたしました。  長谷雄幸久君。
  637. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 初めにお尋ねしますが、あなたはこれまで検察庁で事情を聞かれたことがございますか。
  638. 有森國雄

    有森証人 ちょっとお答えすべきことなのかどうなのかわかりませんので、再々恐縮でございますが……。
  639. 竹下登

    竹下委員長 はい、よろしゅうございます。
  640. 有森國雄

    有森証人 御返事申し上げます。  現在まで検察庁にお調べをいただいたことはございません。
  641. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 私がお尋ねをしているのは、このFX商戦に関してのあなたに関するいろいろな取りざたがされておりますが、そのことに関連してという意味で検察庁でお調べを受けたことがあるかどうか、それをお尋ねしているわけです。あれば回数をお答え願います。
  642. 有森國雄

    有森証人 その件に関しましても、全く事情をあるいはお調べをいただいたということはございません。
  643. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 あなたがマスコミ関係者に述べた中で、政治家に対して日商岩井から現金を渡す場合のことでありますけれども、そのことを触れております。あなたがこの政治家に対するお金を渡すことについて、知っている範囲で、政治家の名前と金額と時期についてお述べをいただきたいと思います。
  644. 有森國雄

    有森証人 そのようなことについては――もう一度ちょっと御質問を再度。
  645. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 航空機売り込みに関しまして、政治家に対して日商岩井が現金を渡したことについて、お尋ねをしているわけであります。  あなたは先ほどの証言の中で、営業担当である、航空機の売り込みをやっておられた、こういうお話をされました。そういうことでお尋ねをするわけでありますので、この売り込みに関して政治家にお金を渡したことがある、そのことを御存じであるならば、知っている範囲で、政治家の名前と金額とその渡した時期、この点についてお尋ねをしているわけであります。
  646. 有森國雄

    有森証人 先ほど大出先生に申し上げましたのと同等、同一の理由によりまして、証言を差し控えさせていただきたいと思います。
  647. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 同一の理由というのでは不明確であります。証言を拒否される理由を明確にお述べください。
  648. 有森國雄

    有森証人 最前申し上げましたとおり、私に外為法に関する刑事訴追の可能性があると思うからでございます。
  649. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 それはきわめて遺憾であります。あなた自身の刑事訴追あるいはあなたの親族等、証言法で決められた人たちであるならば別でありますけれども、あなたが知っている範囲日商岩井がお金を贈った相手、その相手の人の名前を、金額と時期について証言してほしい、こう述べているわけでありますので、刑事訴追とは全く関係ないと思います。いかがでしょうか。
  650. 有森國雄

    有森証人 私はそれが刑事訴追に関係があるというふうに思っております。
  651. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 ただいまの証言はきわめて理由にならないことでありまして、そういう態度ではこれからの尋問は続けられないと思いますが……。
  652. 竹下登

    竹下委員長 証人に申し上げますが、ただいまの点についても証言をされませんか。
  653. 有森國雄

    有森証人 最前と同じことを繰り返すようで大変恐縮でございますが、証言を差し控えさせていただきたいと思います。
  654. 竹下登

    竹下委員長 重ねて、ただいまの証言拒否について再び疎明を求めます。
  655. 有森國雄

    有森証人 同じく日本経済新聞、二月三日に掲載されました記事でございます。
  656. 竹下登

    竹下委員長 ただいまの証人の疎明に対する措置は、先ほどと同じく、後刻理事会において協議いたしますので、尋問をお続けください。
  657. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 それでは、同じくその記者に語った内容の中で、あなたが直接持参したという百万円の渡した相手の政治家の名前を述べてください。
  658. 有森國雄

    有森証人 再々同じことを申し上げて恐縮でございますが、同じ理由により証言を控えさせていただきたいと思います。
  659. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 証人証言の態度を見ておりますと、議院証言法で認められた証言拒否に当たる、そういう事項とは全く無関係のことである、そう私は考えます。したがって、こういう証言態度が続きまするならば、審議は全くできない、こう考えます。委員長において審議ができるようお取り計らいを願いたいと思います。
  660. 竹下登

    竹下委員長 ただいまの証人の疎明に対する措置は、再三申し上げるようですが、後刻理事会において協議いたしますので、尋問をお続けください。
  661. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 大変残念でありますけれども、質問を続けます。  いまは現金の話をしたのでありますけれども、現金ではなくて銀行口座に振り込んで渡す方法について伺いますが、あなたが知っている範囲で、その銀行口座振り込み方法によってお金を渡したその政治家の名前、金額、時期、これについて証言を願います。
  662. 有森國雄

    有森証人 全く同一の理由によりまして証言を差し控えさせていただきます。
  663. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 あなたのこうした証言態度を見ておりますと、証言法に違反することは明らかであります。私は、あなたのこうした態度にきわめて不満を持っておりますが、重ねてお尋ねしますが、いまの点について証言願えませんか。
  664. 有森國雄

    有森証人 再々同じ返事ばかり申し上げて恐縮でございますが、証言を差し控えさせていただきたいと思います。
  665. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 二、三同じような質問をいたします。  日商岩井から岸元首相に対して着手金として二万ドルを払ったとされておりますが、この件についてお尋ねをいたしますが、実際に二万ドルは払われたのかどうか、払われたとした場合にその支払い方法は現金であったのか振り込み方法であったのか、お尋ねします。
  666. 有森國雄

    有森証人 全く同一の理由によって証言を差し控えさせていただきます。
  667. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 海部メモによれば、同じく岸元首相から松野氏、福田氏に対し、合計千二百万円を支払うよう指示日商岩井にされたことがあるようでありますけれども、この支払いに対する方法として、支払い方法としまして、銀行振り込みの方法を指定しているようであります。一つは、西ドイツのドレスナー銀行のジュッセルドルフ支店、その銀行口座に一千万円、そしてスイスのユニオン銀行ジュネーブ支店口座に二百万円、これはだれに対する支払いであったのか、証言願います。
  668. 有森國雄

    有森証人 最前と同じ理由によりまして、証言を差し控えさせていただきます。
  669. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 たびたびのことでありますけれども、証人証言態度はきわめて国会を軽視した態度であると言わなければならぬと思います。議院証言法に違反することは明らかであります。このままでは審議は続けられないと考えます。  証人に重ねて伺いますが、外為法違反と、こういう証言をされておりますけれども、外為法違反のほかに、特に何かはかの理由はお持ちでしょうか。
  670. 有森國雄

    有森証人 ほかの理由という御質問はどういうことでございましょうか。何か私が……。ちょっと御質問の趣旨が本当によくわからないのでございますが、もう少しわかりやすく御質問いただけませんでしょうか。
  671. 竹下登

    竹下委員長 坂井君。
  672. 坂井弘一

    ○坂井委員 証人にお伺いしますけれども、先ほど来、外為違反に問われる心配がある、したがって証言は拒否をいたします、こういうことですね。外為違反に問われる心配があることとほかに、あなたは何か特別な理由があってどうしても言えない、その何かの理由がある、だから言えないのだろうとしか実は理解のしようがないわけです。したがって、外為違反に問われる心配があるということは、これはあるのだけれども、それとは別に、何かほかに特別な理由でもってどうしても証言できない何かの理由がおありならば、この際ひとつお述べいただきたいということです。
  673. 有森國雄

    有森証人 ちょっと委員長、相談をさせていただきます。――お尋ねに対してお答えをいたします。  先ほど私は、良心に恥ずべき行動、私自身がいやな思い出を持っているということを申し上げましたけれども、そういうことに関しましての一切の責任は私にあるというふうに考えております。
  674. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 良心に反するいやなと言っても、これはきわめて抽象的でございまして、これは議院証言法に言うところの疎明には当たらないのは明確であります。こういうことではどうしようもないと思います。外為法違反だけでございますと、最高が三年以下の懲役になっております。これは公訴の時効では三年ということになります。あなたが退職の前後に仮に何かのことをなさったとしても、すでにそのとき以降十年を経過しております。したがって、起訴されることは全くないと私は考えます。その意味で外為法違反を理由とする証言拒否は全く理由がない、こう考えます。  こういう証人証言態度がこのまま続くことは十分予測されますので、このままでは審議はできないと私は考えます。委員長においてしかるべく審議ができるようなお取り計らいを願いたいと思います。
  675. 竹下登

    竹下委員長 証人に申し上げます。  先刻来、証人はたびたび証言を拒否されているのでありますが、本件に関して再度疎明を求めます。同じことでありましても、疎明をお願いいたします。
  676. 有森國雄

    有森証人 日本経済新聞二月三日付に報道されました伊藤刑事局長の御発言から、私に刑事訴追の可能性があるというふうに考えております。
  677. 近江巳記夫

    ○近江委員 議事進行。このままではとうてい続けるわけにはまいりません。そこで、いま長谷雄委員と相談いたしまして、一応これで党としての質疑について打ち切りをいたしたい、このように思います。
  678. 竹下登

    竹下委員長 ただいまの証人の疎明に対する措置は、先ほど再度申し上げましたごとく、後刻理事会において協議いたすことといたしまして、これにて長谷雄君、関連の坂井君の発言は終了いたしました。  大内啓伍君。  大内君の発言の前に、私から証人に一言申し上げます。  証人は、自己の知り得た事実について述べられるわけでありますので、この点についての随伴者との協議はよく御注意をいただくようにお願いをいたします。
  679. 大内啓伍

    ○大内委員 有森証人証人態度を拝見しておりますと、一つはやはり、国民が注視しているこの国会をはなはだしく軽視しているだけではなくて、日本検察当局そのものも侮っているような感じがいたします。あなたが証人として出られた以上は、国民に対してそれなりの誠意を尽くす、それが、あなたに過去にいやな思いがあったとすればその償いではないかと思って聞いておりました。これほどまでに証言を拒否されるのは何かあるのではないかという感じが、むしろわれわれだけではなくて各方面に広がったと思います。  私は、数日前、これは日本での放映でありますが、二月八日だったと思います、ロサンゼルスにおけるあなたと日本のあるテレビ会社とのインタビューを拝見したときに、あなたは後ろ向きで顔を見せませんでした。したがって、何かあなた自身が大変恐れているものあるいはおびえているものがあるのではないかという感じが、いま証言を拒否される態度を拝見しながらも感じられるのでありますが、あなたは一体何におびえていられるのですか、何かこわいものがあるのですか。
  680. 有森國雄

    有森証人 こわいものは私自身の良心でございます。
  681. 大内啓伍

    ○大内委員 別に身の危険を感じているということはないのですか。
  682. 有森國雄

    有森証人 先ほど申し上げましたように、島田常務の、私には大変異常と思えるお亡くなりになったことがございまして、これが非常に大きなショックを私に与えまして、多少神経がまいっていたということもございます。それから、私の留守中に何やらわけのわからない電話が再三かかったりというようなことがございます。そういう点から、何か身の危険があるのじゃないかという感じは持っております。ただ、それが、相手といいますか、それは何なのだとか言われても、これは漠然としてわかりません。
  683. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、ここでおしゃべりになるとそういう危険が増すというふうにお感じになっているわけですか。
  684. 有森國雄

    有森証人 それは直接的なことではございませんで、あくまでも私自身の、先ほど申し上げました刑事訴追についてのおそれが一番大きなものでございます。
  685. 大内啓伍

    ○大内委員 ここに実はその二月三日の日本経済の記事がございますが、あなたの言っていることとちょっと違うのです。と申しますのは、伊藤刑事局長は、これは大出氏の質問に答えたところなのですが、あくまでも一般論だ、こういうふうに断りまして、もしSEC報告書にあるような政府高官への金銭支払いが事実だった場合、つまり前提があるのですよ。政府高官への金銭支払いが事実だった場合、御指摘のような多国為替管理法違反、それだけじゃありませんよ、ここに出ているのは。贈収賄罪、政治資金規正法違反などの可能性が出てくることを明らかにするとともに、仮に金銭が渡ってなくても、その約束の段階でも贈収賄罪が成立する余地があります、こう指摘しているわけなのです。  あなたは先ほどから、自分自身に外為法違反の罪がかぶってくるおそれがあるのでと言っておりますが、伊藤刑事局長はその前提として、仮に外為法違反が成立するかもしれないとしても、それは政治家金銭が渡ったかあるいは渡る約束をしておったか、いずれかの場合に外為法違反、贈収賄、政治資金規正法の違反になる、こうおっしゃっているんですよ。  そうしますと、あなたの外為法違反になるかもしれないというそのおそれというのは、政治家に対して何らかの金銭が渡ったかあるいは渡ることが約束されたかという前提に立たないとあなたのおそれは成立しないわけなんです。のみならず、それが成立する場合、つまり外為法違反が成立する場合には、贈収賄並びに政治資金規正法の違反という問題も起こってくる、あなたはそこをおそれているのですか。
  686. 有森國雄

    有森証人 一般論として申しますと、外為法違反ということといま御指摘のようなこととは必ずしも相関関係はないのではないかと思います。
  687. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、贈収賄の問題は関係ない、こういうふうにおっしゃっているわけですか。
  688. 有森國雄

    有森証人 私自身が贈収賄の罪に問われる可能性はないだろうと思っております。
  689. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、先ほど来質問の、第三者がそういうおそれがあるためにそれをかばう必要があると考えられて証言拒否をされているのですか。
  690. 有森國雄

    有森証人 再三申し上げますように、私自身の刑事訴追の可能性をおそれるものでございます。
  691. 大内啓伍

    ○大内委員 それは外為法違反だけですか。それは後ろの方と相談してそういう結論なんですか。
  692. 有森國雄

    有森証人 協議した上でのことではございませんが、何分私は法律のことには非常に疎うございますので、もしお許しをいただければ、再度相談をさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  693. 竹下登

    竹下委員長 発言者、よろしゅうございますか。
  694. 大内啓伍

    ○大内委員 どうぞ。
  695. 竹下登

    竹下委員長 では、どうぞ。
  696. 有森國雄

    有森証人 これは当然に主観の問題だと思いますが、私自身は外為法の違反ということについて訴追される危険性を一番おそれるものでございます。
  697. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、先ほど同僚委員がこの海部メモに関連いたしまして、ジュッセルドルフのドレスデン銀行に一千万円、それからスウェーデンのユニオンバンクに二百万円、これはどういうことなのかと聞いたときに証言拒否をされましたのは、あなた自身の外為法違反に触れてくる、こういう可能性からですか。
  698. 有森國雄

    有森証人 再三おしかりをいただきますが、これにつきましても同一の理由によりまして証言を控えさせていただきたいと思います。
  699. 大内啓伍

    ○大内委員 いや、確認をしているだけなんです。その内容を問うているのではないのです。先ほどの質問について拒否されたのは、あなた自身の外為法違反のおそれからですかとこう聞いているだけで、確認でございますから、新しい内容を述べてくれと言っているのではありません。
  700. 有森國雄

    有森証人 あらゆる御質問につきまして私が証言を御勘弁いただきたいということをお願いしておりますのは、すべて、すべて私の外為法違反に関する訴追の危険性に関連しております。
  701. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、いま述べました二点について、あなたに外為法違反のおそれが起こってくるということから証言を拒否されている、こう理解していいわけですね。
  702. 有森國雄

    有森証人 先ほど申し上げましたように、どれがどうだとかいうことではございませんで、外為法違反で訴追される危険性というものを私自身が認識をしておりまして、それにつきまして、それではおまえ、一体どれについてそう思うかということを証言せよとおっしゃるのは御勘弁いただきたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  703. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、この二つのメモとあなたとの間には密接な関係があると理解せざるを得ませんが、そう理解していいですな。
  704. 有森國雄

    有森証人 全く同一の理由によりまして、それに関する証言を御勘弁いただきます。
  705. 大内啓伍

    ○大内委員 これ、どうしようもありませんね。そこが聞きたいところが全部だめですからね。これ、どうしましょうかね。  では最後に一つだけ聞きましょうか。先ほど来出している共同通信の記者会見の中で、例の怪文書の問題について、あなたはこう言っているのですね。  怪文書を御存じですね。あの海原元防衛庁官房長追い落としの文書、怪文書と俗に言われていますね。これは御存じだと思います。――うなずかれておりますから。  ここであなたはこういうことを録音テープで残し、それで速記で起こされているのですね。「日商としては先行する伊藤忠をたたきつぶす、その一環として怪文書事件があったと考えてよいと思う。あれは(防衛庁を)完全に掌握したという点では大きな出来事だった。従来の秩序をぶち壊したようなものだ。」「あとでいろいろ聞いてみると、その中心人物が右の方にパイプが通っているようだから、」右というのは右翼という意味でしょうね。「やっぱり、そこが動かしたんだということしか考えられない。」これはあなたの発言なんですが、これは外為法とは関係ございませんが、大体そのように言っているというふうに理解していいですか。
  706. 有森國雄

    有森証人 正確に記憶がございませんが、何といいますか、論理的な遊戯として、たとえばこんなことはどうなんだろうかというような、いろいろな質問があったように記憶しております。したがいまして、そういうことを申し上げたことがあるかもしれません。
  707. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、この怪文書についてのあなたの認識の中で、これをやった「中心人物が右の方にパイプが通っているようだ」この中心人物というのはだれだか御記憶ありますか。それから「右の方にパイプが通っている」、その右の人とは、だれですか。児玉さんですか。
  708. 有森國雄

    有森証人 先ほど申し上げましたように、どういう形でどういうふうに私がそういうことをしゃべったのか、正確に記憶しておりませんのであれでございますが、まあいろいろな論理の遊びの中の一つとしてそんなことを話したのではないかというふうに思います。
  709. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、あなたは政治家の方と政治資金工作で深いかかわり合いを持っていた。それはどういう方ですか。これは外為法違反とは関係ありますまい。
  710. 有森國雄

    有森証人 私自身、そういうかかわり合いはございません。
  711. 大内啓伍

    ○大内委員 それじゃ重ねてお伺いいたしましょう。  先ほど大出氏から「政治家との間に「口座に振り込んでおいてくれ」というやりとりがあったというのはあり得ると思う。いずれにせよ、海部氏と社長(当時 西川政一氏)、経理担当重役は真相を知っている。」と思う、これ、海部メモについてあなたは重要なことを言っているのですよ。いずれにせよ、海部氏と当時の社長西川政一氏、経理担当重役は真相を知っていると思う、こうやって共同通信のインタビューでおっしゃっている。すると海部氏は、この海部メモ、真相を知っているということをあなたはおっしゃっている。それはどういう理由からですか。
  712. 有森國雄

    有森証人 再々申し上げておりますように、正確にどういう発言をしたのか、どういう質問があったのか記憶しておりませんが、たとえば、たとえばですね、たとえばそういうことがあるとしたらばそういうことはございますかというような質問に対して、そういうようなことをしゃべったことがあるかもしれないと思います。つまりそのこと自体を言っているのではなくて、先ほどから繰り返しておりますように論理の遊びといいますか、こういうようなことがあった場合にこうではないのかというようなことではないかと思います。
  713. 大内啓伍

    ○大内委員 これは論理の遊びなどという、そんな問題ではありません。事政治家の名誉にも関する重要な問題でありまして、あなたの証言に対しては私ども本当に遺憾に思います。もっとやはり国会というもの、あるいは法治国家というものの厳正さをあなたは認識していただいて、私どものこれからの、なお質問があると思いますので、お答えたいただくことを要望いたしまして、私、質問を終わります。  ありがとうございました。
  714. 竹下登

    竹下委員長 これにて大内君の発言は終了いたしました。正森成二君。
  715. 正森成二

    ○正森委員 ほかの方がお聞きになったことでもございますが、あなたの録音テープが残っている問題について若干重なる部分もありますが、新しいこともありますので伺いたいと思います。  あなたは怪文書事件について、昭和四十一年前後に行われたことですね、「日商としては先行する伊藤忠をたたきつぶす、その一環として怪文書事件があったと考えてよいと思う。あれは(防衛庁を)完全に掌握したという点では大きな出来事だった。従来の秩序をぶち壊したようなものだ。」こう言っておられますね。あなたは、こういうことをおっしゃるだけの客観的事実を知っておられたわけですか。
  716. 有森國雄

    有森証人 再々申し上げておりますが、どういう質問に対して、どういういきさつで、どうしてそういうことを私がしゃべっておるのか、正確な記憶がございません。ございませんのであれでございますが、いま私がしゃべったとされていることでございます、しゃべったとされていることについてあれいたしますと、何か評論家的な発言をしているように私自身感じますので、何かそういったような質問があって、これこれこういう条件があるならばこういうことがあるのかもしれないというようなことをしゃべったのかもしれないと思います。
  717. 正森成二

    ○正森委員 先ほど同僚委員もお聞きになりましたが、日本経済新聞を手刀に置きながら御答弁をなさった点があります。そこで、私もここに日本経済新聞を持っておりますが、若干ちょっと版によって違うようでございますから、それを見せていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  718. 竹下登

    竹下委員長 結構です。
  719. 正森成二

    ○正森委員 私の持っております日本経済新聞の版と明らかに違いますので、あなたのお持ちのものについて聞きますが、全部を読むと時間がかかりますが、法務当局が包括一罪という刑法上の考え方の適用で幅広くとらえることを検討していることを示唆する答弁、こういうぐあいになっております。  それから同じ中で、四つの罪名を想定ということで、外国為替管理法違反、贈収賄罪、政治資金規正法違反などが考えられるという見解を述べた、こうなっております。  そこで、それに関連して私は伺いますが、あなたは外為法違反だけを言われましたが、場合によっては贈収賄罪と政治資金規正法そのものではないにしても、それの幇助罪が自分自身の危険に加わるかもしれないということも証言拒否の理由になっておりますか。
  720. 有森國雄

    有森証人 先ほど申し上げましたように、これは主観的な受け取り方だと思います。したがいまして、いや、そういうことも絶対ないとは言えないよと言われますれば、それも一つあるかもしれませんが、私の最大の懸念するところは外為法違反でございます。
  721. 正森成二

    ○正森委員 それでは外為法違反について伺いますが、あなたが御参考になさったこの日経新聞では、法務当局が包括一罪という刑法上の考え方の適用で幅広くとらえることを検討しているというところが問題であります。  先ほど同僚委員も言われましたように、もし四十二、三年あるいははせいぜい四年のことでありますと、十年たっておりますから、完全に時効になって、刑事訴追を受けるおそれはございません。それにもかかわらず刑事訴追を受けるおそれがあるということは、包括一罪という考えに危険を感じておられるのではありませんか。
  722. 有森國雄

    有森証人 それも一つの理由でございます。
  723. 正森成二

    ○正森委員 そうだといたしますと、私はここに航空年鑑を持っておりますが、F4EJにつきましては昭和四十四年に三十四機が導入されております。これに非常に近いときに例の海部メモというものができたわけであります。ところが、その後昭和四十六年に四十八機、昭和四十八年に二十四機、昭和五十年に十二機、五十一年に十機、五十二年に十二機等々が納められております。  そこで包括一罪の考えをとれば、あなたが五十一年、五十二年ごろに外為法違反に関与する金銭の外国への送金に関与しておられたとすれば、まさに自己が刑事訴追を受けるおそれがあるというのは、正当な理由があると私は思います。あなたが刑事訴追を拒否されているのは、そういう理由があるからではありませんか。
  724. 有森國雄

    有森証人 先ほども申し上げましたように、それは、一つのそういう包括一罪というような考え方が出てきておるということは、私が外為法違反についてそういうことが惹起されるのではないかと考え理由の一つではあります。
  725. 正森成二

    ○正森委員 理由の一つということまでは言われましたが、国会における証言というのは非常に厳粛なものであります。自己が刑事訴追を受けるおそれが明白になければ、証言を拒否できません。したがって、あなたがいまおっしゃったことについてもう少し明確に疎明していただきたいと思いますので、もう一度お答え願うか、あるいは後ろの付き添いの方と相談していただいても結構です。
  726. 有森國雄

    有森証人 再度相談をさせていただきたいと思います。
  727. 竹下登

    竹下委員長 正森君、よろしゅうございますか。
  728. 正森成二

    ○正森委員 はい、よろしいです。
  729. 有森國雄

    有森証人 最前もお答えいたしましたけれども、その当時の出来事について刑事訴追の可能性があるということを明確に言っておられますので、もちろんその包括一罪というものによって惹起されることもありましょうし、あるいは非常に範囲が広がってまいりますと、私は免訴の判決は一切受けておりませんので、何によってそういうことになるか、いろいろなケースがあり得るというふうに思っております。
  730. 正森成二

    ○正森委員 それでは、私の質問に対して、最近のF4EJファントムのことについても包括一罪の可能性も考慮されて刑事訴追を受けるおそれがあり、拒否するということでございますから、これ以上聞いても私はお答え願えないと思います。それで、その扱いは理事会で論議していただくこととして、私の質問は終わらしていただきます。
  731. 竹下登

    竹下委員長 重ねて申し上げます。  ただいまの証人の疎明に対する措置は、後刻理事会において協議をいたします。  これにて正森君の発言は終了いたしました。  伊藤公介君。
  732. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 私は先ほどから有森証人の話をずっと伺っておりまして、巷間伝えられている、あなた自身がすでに新聞社等のインタビューにも答えているように、非常に身の危険を感じている、そのとおりでございまして、証人は、かつて日商の有能な社員として大きな役割りを果たしたと同時に、退社後は一転してロッキード社のコンサルタントを務めるという、言っみれば、一連のロッキード事件から今度のE2C選定に至るまでのその背景をよく認識をしているからだと思うのであります。私はストレートに一番聞きたいことを申し上げてまいります。証人、なかなかお答えにくいだろうと思いますから、十分いまのお立場で証言ができるという問題からお尋ねしてまいりたいと思います。  あなたは、F4Eファントム戦闘機について、対抗機であったロッキードCL一〇一〇、この競争に勝って、当時販売には大変成功されました。有森証人は、あなた自身が退社前、日商岩井の航空機に勤務をしていた当時、この選定に当たって具体的にどのような役割りを果たされたか、率直にお話を伺いたいと思います。
  733. 有森國雄

    有森証人 F4Eファントムというものが成約いたしましたのは、つまり防衛庁によって採用になりましたのは、私が退社した後のことでございます。  それからもう一つ、いまお尋ねの、今日に至るまでいろいろなことを知っているのではないかというお尋ねに対しまして、これは明確にお答えしたいと思いますが、私はいまを去る十年前、十年といいますか、十年ぐらい前に、航空機の業界から一切関係のない、全く関係のない仕事をやっております。これはいかようにお調べいただいても結構でございますが、したがいまして、少なくともそれ以後起こったことについては、私は関知し得る立場にもないし、関知もしておりませんし、全く無縁の存在でございます。
  734. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 有森証人海部商法を最もよく知っているという立場にあった。いまあなたは率直に海部商法あるいは海部さんの、当時、証人の上司であったわけでありますけれども、あなたの率直な御感想をまず伺いたいと思います。
  735. 有森國雄

    有森証人 御質問が、海部さんのやってこられたいろいろな仕事のやり方についてどう思うかという御質問でありましたならば、非常に力量のすぐれた方だというふうに思っております。それ以外に何を申し上げるべきか、私もちょっとよくわからないのでございますが……
  736. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 後ほどその問題にはもう一点私は触れさせていただきたいと思いますが、有森証人会社をおやめになったときに非常に突然であった。その退社の理由についていろいろな御発言がありましたけれども、もう一度、どういう理由で退社になられたのか、お尋ねをいたします。
  737. 有森國雄

    有森証人 これは最前も御返事申し上げましたけれども、当時、私のかつての同僚が新しい会社を設立いたしまして、そちらの経営陣にいずれは参加できるチャンスを与えるので、ぜひこちらで一緒に仕事をやらぬかというような話がございまして、それが直接の退社のきっかけでございます。その他、重複するようなことを申し上げてもなんでございますと思いますが、いかがいたしましょうか。  それでその際に、海部さんからは残ってやれという御慰留を受けたのを、私はそちらの新しい磁気機械の方に魅力を感じましたので退社したようないきさつがございます。  もう一つ何か御質問がございましたですね。
  738. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 退社の理由をお伺いいたしましたけれども、あなたは先ほど、同僚議員の同じ質問に対して、私が会社をやめたことに対して上司の海部氏は非常に不快に思っていた、こう御発言をされました。それはどういう意味でございますか。
  739. 有森國雄

    有森証人 それは先ほども申し上げましたけれども、海部さんというのはそういう非常にすばらしく有能な方でございますし、力もお持ちになっておる、そういう方に対して、その部下が、慰留をしたのになぜやめていくんだということについては不愉快に思われたのではないかと、これは私の一方的な推測でございますが、そういうことを申し上げました。――それで御返事になっていると思いますが……。
  740. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 あなたは退社の理由に、かつては、円満退社をされた、こう御発言をされておりますけれども、どうもやめたときのいきさつは、社内意思の疎通が十分できていて円満退社だというふうにはとても受けとめられないのであります。そのことは、私は、いろいろ次の問題に関連をするから実はお聞きをしてきたわけでありますが、あなたは、きょうこの同じ場所で海部社長証言があったわけでありますけれども、お近くでテレビか何かごらんになっておられましたですか。
  741. 有森國雄

    有森証人 私は先ほど――先ほどと申しますか、本日お昼ごろ成田にアメリカから帰ってまいりまして、国会出席のために帰ってまいりまして、真っすぐこちらに直行いたしまして控え室に入っておりました。したがって、一切それを見ておりません。
  742. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 一言で、すでにずいぶんお話しになられましたけれども、いわゆる海部メモですね、これについてもう一度あなたの御意見を伺いたいと思います。
  743. 有森國雄

    有森証人 御意見と申されるのは、どういうふうに理解したらよろしゅうございますか。
  744. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 海部メモについては有森証人御存じだと思いますけれども、あなたはこの海部メモについてどのようにいまお考えになっているかということを率直にお答えをいただきたいと思います。
  745. 有森國雄

    有森証人 この問題に関しましては、先ほどから再三再四申し上げましたように、同じ理由によりまして、証言として申し上げることは御勘弁をいただきたいと思います。
  746. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 そうしますと、この海部メモは実は一連の問題の大変重要な問題、言ってみれば、これが問題解決のかぎを握っているわけでございますので、ぜひ重ねてお尋ねをしたいわけでございますけれども、あなたはなぜ、このいわゆる海部メモに関してあなた自身がいろいろな問題を書き立てられていながら、こうした国民に向かってもマスコミに向かっても問題が明らかにできる絶好の機会に明言ができないのですか。
  747. 有森國雄

    有森証人 先ほど申し上げましたように、私自身に刑事訴追の可能性があると考えておりますので、この件に関しては一切証言を御勘弁いただきたいということを再三お願いしている次第でございます。
  748. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 実は、この海部メモのスイス銀行に振り込まれたあるいはユニオンバンクに振り込みをされた、こういう一連の事実――実は十年前、私はジュッセルの隣の町に住んでおりました。四年ほど私もそこの近くに住んでおりました。そうした私のヨーロッパの生活の中で、いま十年前を振り返ってみますと、今度の証人喚問に川部証人が現在のところまだ応じないということで、一番私の、実はヨーロッパにおける商行為を聞きたかったところでございますけれども、当時からそうした問題があった。私もヨーロッパに住んでいるときに、一連のいま起きている問題を実は聞いていたのであります。十年後、いま、よもやこんな形でこうした問題に私たちが乗り出すということもつゆ考えなかったわけでございますけれども、十年間続いてきたこうした疑惑を晴らす非常に重要なかぎをこれは握っているわけでございますので、証人がこの海部メモに対して明らかにできないということは、先ほどからすでに重ねて同僚議員も聞いてきたところでございますけれども、実は外為法の違反なのか。それに対して一番配慮しているというお話がありましたけれども、それでは、そのほかの増収賄あるいは政治資金規正法という問題はいま証人としてはいささかの問題もない、こうお考えになっていらっしゃるのですか、どうですか。
  749. 有森國雄

    有森証人 これも先ほど御返事申し上げたとおりでございますが、私自身は、外為法違反という問題が一番シリアスに考えております。ただ、その他の問題についても心配は全くないのかということを言われますと、私自身はそういうことはないと思っておりますけれども、したがって、私自身としては、あくまでも外為法の違反ということについて非常に懸念をしている次第でございます。
  750. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 時間が参りましたので私はこれ以上御質問はできないわけでありますけれども、最後に、委員長に対してお願いをしたいわけであります。  有森氏の発言をテープをとってある。実は私も持っているのであります、あなた自身がふろしきでお金を政治家のところへ持って行った云々のですね。こうしたテープについて聞きたいわけでありますけれども、先ほどからのいきさつを伺っておりますと、恐らく同じ理由で御答弁にならないと思いますので、ぜひ理事会において御判断をお願い申し上げたいということを委員長に強くお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  751. 竹下登

    竹下委員長 ただいまの御提案に対する措置は、後刻理事会において協議をいたします。  以上をもちまして伊藤君の発言は終了いたしました。  以上をもちまして有森証人に対する尋問は終了いたしました。  証人有森國雄君には長時間にわたり御苦労さまでした。御退席くだすって結構でございます。  これにて本日の証人に関する議事は終了いたしました。  次回は、明十五日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十九分散会