○
岡垣最高
裁判所長官代理者 それではお答え申し上げます。
私
どもで承知しておりますのは、この二月九日り午後一時三十五分過ぎごろ、これは判決言い渡し期日でございまナが、そこで、
先ほどお話がありました
ように、「資本の犬」というふうな発言をした傍聴人がございまして、そこで二月九日、その当日、監置七日という制裁
裁判がございました。それに対して、抗告の申し立てが二月九日、同日ございまして、抗告審で二月十五日に抗告を棄却するという決定がございました。
それで、その抗告審の決定によりますと、この制裁
裁判に対する抗告というのは、本来は違法というほどの問題でできるのであって、事実問題は直接には問題にはならないわけでございますけれ
ども、しかし、この抗告審の
裁判所は、抗告の申し立て人、抗告人の方で言っている、審理を尽くさない違法がある、要するに、十分な証拠もないのに間違った人を認定したのではないかという、その点につきまして、抗告
裁判所で次の
ように言っております。
しかし、本件記録中分昭和五四年二月九日付東京地方
裁判所事務局警務課事務官法廷警備員高杉典利作成の「報告書」及び当審における右の高杉典利に対する審問の結果によると、高杉法廷警備員は東京地方
裁判所刑事第五〇三号法廷の傍聴席の最前列の右側傍ら
これは
裁判官席からながめて右側でございますが、
傍らの椅子席に座り傍聴人の方を向いて注視していたところ、判決言い渡しが終了し、
裁判長は陪席
裁判官と共に在席したまま、傍聴人及び傍聴席後方左側にいた報道記者らに退廷する
ように促したこと、
後方の左側に報道記者がいた
ようでありますが、
ところが傍聴席最前列右側の数名の傍聴人がこもごも「こんな
理由があるか。」「資本の犬」と発言し、これと同時ごろに最前列右側から四番目の席に座つていた本件申立入が、うつむき加減に「資本の犬」といつたこと、すると
裁判長は、すかさず「いま発言したのは誰か。」といったので、高杉法廷警備員は、その位置していた椅子席から立ち上り、そこから約一メートル余はなれた傍聴席に座つている申立人を指示したこと、次に
裁判長は「拘束」と命じたので、高杉ほか二名の法廷警備員は申立人席にかけつけたが、申立人は席から容易に立ち上ろうとせず、また自分はその
ような発言をしていないとの抗議はしなかつたこと、高杉ら法廷警備員は申立人を
裁判官・
被告人専用通路に連れて行き、他の法廷警備員に引渡したが、申立人はこの警備員二名に対してはじめて「自分は発言していない。」と述べたことを肯認することができる。
以上の事実によれば申立人が原決定の摘示したと同一の発言をしたことを十分に断定できるといわねばならない。
こういうことになっております。
これがさらに、この高等
裁判所の抗告審決定に対しましては、五十四年二月十五目に特別抗告の申し立てに従って、現在最高
裁判所に係属中でございます。