○鈴木(強)委員
放送大学の設立につきましては、各委員御
指摘のように、約十年間慎重な
検討を続けてこられたのでございます。私も早くからこの問題につきましては深い関心を持ち、また意見も述べてまいったつもりでございます。今回一応の結論が出まして、この国会に
放送大学法案として御
提案になったわけでございますが、私は、この間における
関係各位の御労苦には深く感謝をいたします。
放送大学は、経済的あるいは地理的あるいはその他の理由によりまして、向学心はあっても
大学で勉強できないという勤労青年あるいは社会人に対して
大学教育の
機会を与えようというのであります。同町に、単位を取れば
大学卒の資格を与えるというのでありますから、私どもはこの
趣旨、意義には賛成なんです。
そういう立場で私たちは見守ってまいったのでありますが、今度
提案された法案の
内容を見ますと、いまも御
指摘のように、
教育制度の基本問題にもかかわるような学園の自由、学問の研究の自由というものと
放送コードとの
関係が抵触しないのかどうか、あるいは
大学の自治の保障というもものが実際にあるのかどうか、人材の確保がこれで十分できるのかという点に疑問を感ずる。また、
機会均等という第一条の精神に基づいて
放送が始まるのですけれども、いまも御
指摘のように
関東地区のわずかのエリアしか
最初はできない。しかも、この
計画がいつ何どきどうなっていくかという展望すら示されておちない。また、勤労
学生にとりましては、
大学で勉強する場合には当然自分の休暇だけでは足りないでしょう。したがって、そういうことについても深い配慮をして、この法案が
成立を見て動き出した場合に本当に
全国民の期待にこたえるようなものでなければならぬと私は思うのです。
文教委員会においても大変御苦労をいただいて、
放送大学に関する小委員会までつくっていただいたようです。そして
一つの
報告を私も聞いておりますが、非常に重要なところがやはり
指摘されていると思います。同時に、多くの学者、有識者の方もこの
内容ではという疑問を持っておられると思うのであります。私は、そういう立場に立ちまして、よりよい
放送大学学園をつくり、画期的な
放送大学というものをりっぱなものにしたいという熱意を込めての質問でございます。ですから、時間も少ないので多くをお伺いすることもできないと思いますが、大体三つくらいに分けてお尋ねしてみたいと思います。
その第一は、いまも問題になりました
放送法上の問題と
教育制度上の問題でございますが、私たち
逓信委員会の者どもにとりましては
電波、
放送法の
改正は長い間の懸案でありまして、この解決をまだ見ないうちに
日本の
放送体系の基本にかかわるものが——従来の
NHK公共放送、
民間放送に加えて、形は特殊法人になっておりますが、国営
放送と言っていいと思うのでありますが、そういった系統の
放送系列がここに誕生するわけでありますが、そういった基本的な問題をこの法案の
附則にくっつけてお茶を濁そうなどという態度に対して私たちは心から不満を持っておるわけであります。
そこで、
教育放送とは一体何なのか。いままで
放送法上いろいろ問題がございまして、私たちも意見を述べてきました。さっきも
指摘されたように、
昭和三十九年の
放送関係法制調査会の御答申の中にもこの点については触れられておりますが、わが国における
放送体制は、御
承知のように、第一は
日本放送協会がいわば独占的に
放送業務を行っていたわけでありますが、戦後民放がこれに加わりました。武部委員の御
指摘のように、
昭和二十五年に
放送法がつくられまして以来今日まで、
日本におきましては
公共放送と民放の二本立てという体制で
放送が行われておりました。これはなぜ国に免許を与えなかったかというと、思想統制を排除するために国営
放送は認められないという基本方針があったからでありますね。このことについてもいろいろ論議がありましたが、臨時
放送関係法制調査会の結論はやはり二本立てがいいのだということをはっきりと認め、この制度を将来に向かって維持していけという結論が
一つあるわけですね。
ところが、そういうものが今回文部、郵政のどこで決められたか知りませんがぶん曲げられまして、三本立ての制度が取り入れられた。これは重複するようでございますが、そうなっていますね。特に
放送につきましては、テレビを
教育のために
利用することの重要性はいよいよ高まっている、しかし、現行
放送法上の性格は、ラジオについては全くの任意的
事業であり、テレビにあっては免許の条件となっているにすぎない、そこで
教育放送を
NHKの本来的業務とするよう勧告すると、実はこういう答申が出ています。
また、
民間放送につきましては、御
承知のとおり、科学財団の十二チャンネル、それから十チャンネルの、この二つの
教育専門局がございましたが、いずれも経営上行き詰まりまして、いまは総合
放送的な性格に変わっております。しかし、今日、民放では四、六、八チャンネルは
教育放送一〇%、教養
放送二〇%、それから十と十二チャンネルは
教育二〇、教養三〇と、こういう番組の中における教養、
教育番組の条件が免許のときにつけられているわけですね。
NHKは、総合は
教育一〇、教養一〇で、二〇ですね。
教育の方は
教育放送が七五%、教養が一五%と、九〇%が全体の
放送番組の中に占める割合でなければならぬということが免許を与えるときの条件になっているのですね。そういった問題が
一つ放送法上あるわけであります。
今回
放送大学ができた場合、さっき
郵政省は民放や
NHKには余り影響がないというようにおっしゃっておりますが、それじゃ私はここではっきり確認をしておきたいのですが、いまの
教育放送、教養
放送の基準というものは
法律で定められているわけではないのです。免許のときの
郵政省の条件だけでございますからどうでも変更できるのでありますが、少なくとも、
NHKを含めまして現在の
教育放送、教養
放送の番組全体における比率は今後も絶対に変わらないということを明確に言えますか。