○
嶋崎委員 ですから、たとえば私の
専門の領域でいきますと、政治をとってみましょうか。ここで掲げているのは「政治思想」「現代政治の理論」「現代の政治生活」「比較政治論」「国際政治論」と、こんなものが科目としてあります。「日本の政治」というのは教養的なものでしょうね。こういう科目、つまり
専門科目を設定するのは、吉村正さんが入っていますけれ
ども、これはきっと吉村正さんでしょうな。
専門ですからね。
ところが、こういう科目の設定の仕方は、各
大学のこういう科目に関連する学習センターの
先生方でどういう人がどう対応するか、ぼくには全然イメージがわきませんね。そしてはっきり言って、これに対応できる
専門のプロフェッサーはおりませんわ。時期も大体五十年の初めにこの見本ができているんでしょう。そしてこれはことしの二月にできたんですね。その間に準備室というものが——この間も
質問しましたように、
放送教育センターにはまだ、教授一人と数人の客員の教授か何か、アシスタントがいるだけですね。
そうしますと、一番重要な学習センターは今後各
大学の協力を得なければならないし、しかもこれは再来年からの入学で、そして大分先で
大学が動き出すわけでしょう。学習センターというものをつくることがこの
放送大学を成功させるかどうかの基本的なかぎですからね。そうするとこういう科目の設定のプロセスで議論されているスタッフが
放送教育センターのスタッフではどうもならぬし、いま準備室はおやめになっているのですから、そこで議論されたものは実に限られた人間での問題の立て方ですね。
ですから、こういうものを各
大学の教官が見て、ではこの科目に自分たちが学習センターとして協力するというときにだれが出てくるかということについて、恐らく事前の打診もなければ、少なくとも国公私立
大学の機関を通じてアンケートをやっているわけでもないし、そういう形だから、こういう問題、こういう科目で、しかもこれはことごとくいままでの既設
大学のアカデミーの講座にはほとんどない科目ばかりで、学際を含めた教養的科目みたいなものばかりです。そうしますと、学習指導センターというものに協力する
大学の体制は、つまりこういう開設予定科目を
前提にして協力を要請した場合に、その要請にこたえられない限界がありはしないかというふうに思うのです。ですから、今後これを固定していくのか。
今度
大学ができますね。
大学ができますと、そこで今度はまた教授会の中にいろいろなコースチームができますね。それに応じてまた科目の検討をしなければならぬでしょう。ところが、これにはもう「開設予定授業科目一覧」ですからね。こんなふうに固定化して
立法府に出てきて、さて開いてみたらこれと違うものだったということであったり、その辺の学習指導センターの組織化過程といいますか、上から指導し、各国公私立
大学が協力しつつ学習指導センターというものをつくるにしては、こういう科目設定の発想そのものが上から押しつけているのであって、
大学側の協力を得られない可能性を含んでいはしないかという問題が
一つあるとぼくは思うのです。これはかなり基本問題だと思うのです。
湯山先生がこの間から
質問をなさったように、
放送大学は
大学なんだから、
専門科目を基礎に持っている人が幾つか横につながって学際の問題についてアプローチできるのであって、こういうテーマのプロフェッサーはいないし、そういう科目をそれ自体
大学教育レベルのものとして出すプロフェッサーはいないと思うのです。だから、コースチームの中で討論してみて、大体あなたがこれに近い、そして全体的な問題を出すのに適しているであろうという
程度で放映されるだろうと予想されますね。そういう
意味で、学習センターをつくるということがこの
放送大学の成功のかぎだとすると、いままでの
専門委員の方々で出してきたものと実際にこれから動き出すものとの間に論理的な
つながりがなかったり歴史的な継続性がないというのも大変だし、同時に、また、コースチームをつくってみて全部がらりと変わってしまうということだったら、これはまた何のためにこういう素材を出してもらってわれわれが議論するのかわからなくなってしまう。そういう
意味で、出ている学習センターの組織をどうつくり、どう協力させていくかという観点がこの
大学に関しても今後
一つ問題はある。
きょうはもう時間がありませんから議論をする余裕はありませんけれ
ども、そういう
意味で、たとえば
大学の管理運営に関連して、こういうテーマの問題をやっていくのはまず評議会のメンバーが選ばれるわけでしょう。
大学をつくっていくときには評議会を選ぶわけですね。その評議会の教授たちはこういう問題に直接入れるような教授たちとは限りませんね。そうしますと、今度はこういう問題を議論できる教授会と、その教授会にいろいろなコースチームが必要になってくる。そこの
関係がどうなるのか。つまり評議会ができて基礎をこしらえてみたって、そのときにたとえば
放送大学の教授会並びに
大学の研究
教育というものを運営していく組織を決めるときには、もうすでにこれは全部問題になるわけです。
ですから、上の方からたとえば学長が決まって評議会が決まっても、こういうものに入っていくのには、その評議会のメンバーがまたそのコースチームをどうするかというようなことについての基本的な
専門家集団に頼らなければ、いろいろな
大学内部の研究組織は恐らくできないと思う。そういう
意味でも、
大学の中の組織づくりでも、こういう問題を
前提にして評議会のメンバーが選ばれて、それからさてこれに合わせたコースチームなんというような話で構成メンバー、スタッフが選ばれるのか、その辺もぼくはちょっとわからないわけです。それで、また、教授会構成メンバーがその際に客員教授とどうなるのか、それからまたその教授会とコースチームの
関係はどうあり、それと評議会とはどうあるのか、それの人事の問題とかいう一連の問題がまだ解けない。どうしてもイメージが出てこない問題が幾つかあります。それは
大学をつくってから走り出すのでしょうけれ
ども、少なくともこういう討議の材料が出ていて、基本
計画が出ていますと、こういう問題についても、これから先にもう一遍こういうものを推進していくための学者集団の準備
委員会みたいなものが一方にできていないと、学長を選んで
理事長を選んで評議会のメンバーを選んでというようなことで、先々の
大学の組織や運営がうまく保障されていくのか、いまのところ私はわかりません。
局長はどう
考えておるか知りませんが、私はわかりません。
だから、ここで出た
計画がなぜこういう授業科目に変わり、そしてこの授業科目に合わせて
大学の管理運営、
教育研究という観点から見てどういう組織立てがどんな手順で行われるのかなどについても、
文部省が決めることではありませんが、一定の、われわれが議論したりイメージを持てるような素材だけはもう少し提供していただきたいという要望をして——これは資料要求みたいなものだけれ
ども、これについてはどういうふうにお
考えか、きょうすぐでなくてもいいが、われわれが議論するのに必要な材料を一定
程度出していただきたいと思います。