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1979-05-30 第87回国会 衆議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月三十日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 坂本三十次君    理事 石橋 一弥君 理事 小島 静馬君    理事 近藤 鉄雄君 理事 森  喜朗君    理事 木島喜兵衞君 理事 嶋崎  譲君    理事 石田幸四郎君 理事 中野 寛成君       久保田円次君    坂田 道太君       塩崎  潤君    菅波  茂君       塚原 俊平君    藤波 孝生君       小川 仁一君    千葉千代世君       中西 積介君    長谷川正三君       湯山  勇君    池田 克也君       鍛冶  清君    伏屋 修治君       玉置 一弥君    山原健二郎君       西岡 武夫君  出席国務大臣         文 部 大 臣 内藤誉三郎君  出席政府委員         文部大臣官房長 宮地 貫一君         文部省大学局長 佐野文一郎君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   松澤 経人君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ————————————— 五月二十八日  学級編制基準改善及び教職員の定員増に関する  請願外二件(太田一夫紹介)(第四四六五  号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第四四六六号)  私学の学費値上げ抑制等に関する請願瀬野栄  次郎君紹介)(第四四六七号)  学級編制基準改善に関する請願外一件(湯山  勇君紹介)(第四四六八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送大学学園法案内閣提出第四四号)      ————◇—————
  2. 坂本三十次

    ○坂本委員長 これより会議を開きます。  放送大学学園法案を議題といたします。  本案に対する本日の質疑は、先般来の理事会等の協議に基づいて、次の各項目別に、各位の自席から自由に質疑をすることといたします。  すなわち、第一に学校教育法放送法との関係について、第二に放送大学学園放送大学との関係について、第三に放送大学具体的構想及び放送大学拡大計画等について、第四にその他の事項、以上の各項目でございます。  なお、委員長の指名により発言をお許しいたしますので、各位の御協力をお願いいたします。  まず、第一の学校教育法放送法との関係について質疑を進めます。どうぞ。
  3. 木島喜兵衞

    木島委員 皮切りに何かやれということでありますが、いま委員長の第一に挙げたのは放送法電波法学校教育法ですが、その前に電波法放送法だけの問題が一つありますね。そういうことも含めてだと思うのですけれども、これは主に逓信委員会専門でやっていらっしゃることですが、ただ、いままでの答弁を聞いておりますと、さっきもちょっと話があったんだけれども文教委員会におけるところの局長答弁連合委員会逓信委員から質問するときの答弁では大分違う感じがするのですけれども、だんだん聞いていると違わないのですな。文教の方は説明不足逓信には大変親切丁寧に答弁しておるから、結果的に文教委員にはそんな感じがしたのかもしれません。逆に言うならば、おまえらは素人であるからこの程度でいいだろう、逓信専門であるから少し詳しく答弁したというような感じかもしれません。  たとえば文教委員会嶋崎先生質問では、三本ではない二本だという印象の強い答弁であったが、片や連合では、この間の監理局長答弁は、三本が前提で、ただ弊害が少ないという言い方なんです。三本だということを前提にしての答弁だが、これはどっちなんですか。監理局長答弁はこうでございますとあなたは責任を持って答弁できるの。
  4. 松澤経人

    松澤説明員 監理局長がただいま逓信委員会の方に出ておりますので私がかわりに出席させていただいておりますが、先生のただいまのお尋ねでございますが、私ども答弁が大変未熟な点があろうかと思いますが、今回の放送大学学園につきまして、その内容から見ますと、やはり、その学園放送が教学の一端として放送されるものでありますために、大学の自治を高度に保障する見地から、たとえば番組基準策定番組審議機関の設置ということを放送法上義務づけておりますけれども、これを排除する、あるいは広告放送の禁止をするというようなことでNHK民放とは異なる規律態様をとることが適当と考えまして放送法に新たに一章を設けたわけであります。  三本立て、二本立てという論議につきましては、その意味におきましては確かに三本だというお答え逓信委員会等でも御答弁申し上げているところかと思いますが、そういうことでございまして、ただ、私どもといたしましては、この学園法案策定の過程におきましては、既存NHKとそれから民放というこの放送秩序、これに及ぼす影響というものを最小限にとどめる必要があるものと考えまして、放送大学教育のための放送限定いたしますとともに広告放送をも禁止するということで、既設のNHK民放というものに与える影響というものを最小限にとどめるという点で配意をした、したがってNHK民放既存放送体制に及ぼす影響はないというふうに考えておるわけでございまして、そういう御答弁を従来させていただいておるつもりでございます。
  5. 木島喜兵衞

    木島委員 要するに、影響が少ないか大きいは別として、三本なんですね。
  6. 松澤経人

    松澤説明員 放送法を見ていただきますとおわかりになりますように、「総則」「日本放送協会」「一般放送事業者」「罰則」という立て方になっておりまして、そこへ「第二章の二」という形で、規律態様は異なるという意味合いにおきまして学園という章を設けたということで、私どもは、その意味におきましては三本でございますというお答えを申し上げているところでございます。
  7. 木島喜兵衞

    木島委員 そこで、二本がいいのか三本がいいのか、影響が大きいのか少ないのかということはぼくら専門じゃないからよくわかりませんが、だからこそこの間逓信との連合審査等もあったのでありますけれども、その中で聞いておると、放送法だか電波法だかに関する小委員会というのは十年も前から今日まで継続されておるという話ですね。逓信委員会におけるところの小委員会ですね。
  8. 松澤経人

    松澤説明員 会期ごとに設けたりあるいは設けなかったりということで、継続して十年この方小委員会が設置されているというふうには私は承知いたしておりません。
  9. 木島喜兵衞

    木島委員 現在あるの。
  10. 松澤経人

    松澤説明員 ございます。
  11. 木島喜兵衞

    木島委員 そこで、たびたび言いますけれども電波が解決しなければ、放送が許可されなければ放送大学はできないわけでしょう。放送なき放送大学というものはないですな。そこで、ずっと二本で来たのに今度三本だ。しかし、それを専門審議して、それは継続的だかどうかしらぬけれども、ずっと十年もそのための委員会における小委員会をつくるということは、一般じゃなく、特定意識を持ち、特定の問題に限定してやるという意識があるからこその小委員会なんですよ。委員会形式はそういうものでしょう。  そういうものをつくっておるのに、与党だけならいざ知らず、立法府のそういう専門にやっておるところ、そして小委員会をつくる意識を持っておるその逓信委員会に、郵政省はこの法案提出までにどのようなことをなさっていらっしゃったのですか。
  12. 松澤経人

    松澤説明員 放送小委員会は、特にこれをやるあれをやるという明確な目的を持って設けられておるようには思われないわけでございますが、本件放送大学につきまして、最近小委員会にこれが取り上げられて十分論議をされたということはなかったように記憶しております。
  13. 木島喜兵衞

    木島委員 ぼくの聞いているのはそんなことじゃありません。小委員会放送大学とか第三波を認めるとか認めないかということがあるかどうかは別としても、しかし、二本であるという今日までの体系を三本立てにするならば、少なくとも二本がいいのか、三本がいいのかということも含めて審議するのが本来逓信における小委員会でしょう。  それに対して、この法案提出までに立法府に対して、そういう立法府が対応している中でもって郵政省は、その小委員会に対して、あるいは逓信委員会に対してどのようなことをしていらっしゃるのですか。委員会が取り上げるか取り上げないか、委員会独自のことは別です。郵政省はどういうやり方をしていらっしゃるのですか。そのことをお聞きしているのです。
  14. 松澤経人

    松澤説明員 この放送大学問題は十年来の問題ということで、国会の場におきましても先生がおっしゃる意味での小委員会でまとめるというあれがあったかということでございますと、それはあったというふうには申し上げることはできないかもしれませんけれども、そのときそのときにおきまして、逓信委員会なら逓信委員会という場では、たとえば形態だとかいろいろそういう問題は論議はされてきておるというふうに承知をしております。
  15. 木島喜兵衞

    木島委員 委員会独自でどう審議するかは別で、この法案が提出されるに当たって、逓信委員会及び逓信委員会の小委員会等に対して郵政省はどういう働きかけなりどういう了解工作なりをなさったのですか。  それはこの文教委員会に付託をされている法律です。ですけれども、さっきから繰り返しますように、放送逓信専門の分野であってわれわれは専門ではありません。その放送がなければ放送大学は成り立たないので、率直に言って今日われわれが判断に苦しんでいる一番大きな一つの要素がそこにあるわけです。  出す限りにおいては、それはみんな賛成と言うか反対と言うかは知らぬが、三権分立だから反対だって出すということもあるでしょうが、だが、少なくともそういう対応をしている逓信委員会に対して郵政省は何をしているのかということを聞いているのです。具体的にお答えください。
  16. 松澤経人

    松澤説明員 先生のおっしゃる意味ではなかったかもしれませんが、従来の委員会等審議の場におきましてはそれなりに私ども考えをときに述べた、こういうことがあったかと思います。
  17. 木島喜兵衞

    木島委員 よくわかりません。  この法案を提出するに当たって附則に入れることに対して、このことによって法律が三体系になることに関して、具体的に逓信委員会あるいは逓信委員会の小委員会に対して郵政省はいかなることをしてきたのですか。
  18. 松澤経人

    松澤説明員 小委員会に対してという意味では、ございません。
  19. 木島喜兵衞

    木島委員 いま委員会審議をし、あるいは連合審査をしている中でもって、われわれ文教が付託されて戸惑っているのは電波の問題です。電波の問題が解決すればあとは筋道が非常に楽になってくるのです。しかし、それをわれわれは専門じゃないものですから、専門的な逓信の、同じ立法府の同じ対等の委員会専門にやってきたところの意見というものをわれわれはやはり聞かなければならない。ところが、それがなかなか出てこない。  ここでもしもこの法案がこの国会で通らなかったら、その大半は郵政省逓信委員会に対する働きかけがなかったことに起因すると言ってもいいほどだと思う。立法府におけるところのこの法案に対する逓信文教関係というものを郵政省はどう考えているのかわからない。この法案文教委員会だから文教委員会だろうなどという形式論では事の性質は済まない。なかったとするならば、今日までの審議の乱れは、苦悩は、挙げて郵政省にあるとすら言える。  以上です。
  20. 湯山勇

    湯山委員 先般連合審査のときに、放送法第二条の五号で、「「教育番組」とは、学校教育又は社会教育のための放送放送番組をいう。」ということで、放送大学認可申請があった場合には、その認可放送大学学校教育放送限定して免許を出すというような御答弁があったと思いますが、そうですか。
  21. 松澤経人

    松澤説明員 さようでございます。
  22. 湯山勇

    湯山委員 現在出ておるのがありますね。教育放送で、NHKとそれから東海大学通信教育のFMはどういうふうに限定してあるのですか。
  23. 松澤経人

    松澤説明員 NHK教育放送、特にテレビジョンの教育局につきましては、実は、私どもは、放送局置局ということにつきましては、周波数割り当て計画、いわゆる俗にチャンネルプランと言っておりますが、これをつくっておるわけでございます。  その中におきまして、この波はNHK教育放送割り当てるという形で措置してございまして、さらにこれにつきましては、NHKなりあるいは一般放送事業者でもそうでございますが、こういう教育放送をやりたいという申請審査いたしまして、それがいわゆる放送法令上言う教育放送教育番組でございますが、教育番組内容に値するかどうかということで私ども免許する、こういうことでございます。
  24. 湯山勇

  25. 松澤経人

    松澤説明員 東海大学につきましては、東海大学は、これはいわゆるFM東京がやっておるわけでございますが、FM東京のこういう事業計画、すなわちこういう教育放送をやりたいという申請によりましてこれを審査いたしまして免許を与えておる、こういう仕組みになっております。
  26. 湯山勇

    湯山委員 放送大学についてはどういう限定をする見込みですか。
  27. 松澤経人

    松澤説明員 これも先ほどNHKの場合で申し上げましたが、新しく波を割り当てる場合に、その波を放送大学用周波数ということでチャンネルプラン上規定づけまして、その上で免許法審査手続をとる、こういうことになろうかと思います。
  28. 湯山勇

    湯山委員 管理局長答弁で、限定するというのはむしろ放送大学大学教育だけというように限定するという答弁があったのですが、いまの御答弁と違いますね。いまのだとチャンネル割り当てになって、それからあと大学教育のために使うということですから、ちょっと違うでしょう。
  29. 松澤経人

    松澤説明員 いささか説明不足でございましたが、その免許審査に当たる場合にいわゆる審査基準というものがございます。これが電波法に基づきます省令でございまして、根本基準と申しておりますが、こういう省令がございまして、この中でいろいろ具体的な審査項目がございますが、その中に放送大学放送局についての放送業務と申しますか、これを限定してまいりたい、かように考えております。  したがいまして、それによって審査いたしますと、そのとおり、先日の電波局長答弁の形になるもの、こういうことでございます。
  30. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまの湯山さんの質問に関連しますが、電波法の第六条で免許申請をやりますね。その際に、第二項の「放送をする無線局免許を受けようとする者は、」云々のところに項目として挙がっている「放送事項」ですが、この放送事項は、たとえば放送法の第二条で言うところの「教育番組」とか「教養番組」とか、こういうものを届けなければならないことになりますね。そうですね。そのときに、いままでの答弁ですと大学教育というふうに言ってきたわけです。大学局長もそう答え、電波監理局長もそう答えた。ところが、この放送法の第二条で言うところの五号は「「教育番組」とは、学校教育又は社会教育のための放送放送番組をいう。」というのだから、学校教育限定されていないわけですね。広いわけです。  そうしますと、免許申請をやるときにこちら側は教育ということで出しますと、放送法二条でいけば、この放送番組教育番組中身考え免許しますね。許可しますね。ところが、こっちは中身が「学校教育又は社会教育のための放送番組」ですから、単に大学における学校教育のためのみの電波ではなくて、今度はかなり広い社会教育を含めたものとなり得るわけだ。ただ、そこでは、大学教育と言っている文部省の側で言っている教育限定された中身と、皆さんが認可するときのその教育番組の理解との間にはずれがないかという問題が起きてくると思うのですが、その点はどうですか。
  31. 松澤経人

    松澤説明員 先生法令をお持ちだと思いますのでもう少し具体的な説明をさせていただきますが、実は、電波法の第七条でございますが、「申請審査」ということで、ここにいわゆる審査項目と申しますか、これがございます。そこの一項の四号に「郵政省令で定める無線局の開設の根本的基準に合致すること。」と書いてございます。  先ほど私が申し上げました審査のときの基準、具体的な基準、ここに盛り込んで審査をすると申し上げましたのは、ここの根本基準の中に放送大学放送局についてはこういう放送教育番組でなければならぬというような書き方をいたしますれば、先生がおっしゃいます申請書放送事項に、いわゆる放送大学教育課程によったこういう放送番組をやりますというふうな申請をしてこないと合致しないことになります。そういう意味限定ができると、こう申し上げているわけでございます。
  32. 湯山勇

    湯山委員 いまの点も聞きたかった点ですが、「「教育番組」とは、学校教育又は社会教育」とはっきり区別してありますね。これは何を基準として区別するのですか。
  33. 松澤経人

    松澤説明員 これは学校教育法におきます学校教育あるいは社会教育、これを一応基準にしておるものと思います。
  34. 湯山勇

    湯山委員 それでは、きょうのNHK教育番組を見ますと、中学三年の生物とかあるいは小学校二年の何とか、ちゃんと学年まで指定した放送番組がありますね。これは学校教育ですか。社会教育ですか。
  35. 松澤経人

    松澤説明員 これは学校教育でございます。  それで、もう一つ補足させていただきますと、放送法の四十四条の第五項でございますが、ここに実はこういうことが書いてございます。「協会は、教育番組の編集及び放送に当っては、その放送対象とする者が明確で、内容がその者に有益適切であり、組織的かつ継続的であるようにするとともに、その放送計画及び内容をあらかじめ公衆が知ることができるようにしなければならない。この場合において、当該番組学校向けのものであるときは、その内容学校教育に関する法令の定める教育課程基準に準拠するようにしなければならない。」となっておりまして、これによっていわゆる中学校何年向けとか、そういう形の放送NHKは行っているもの、こういうふうに理解しております。
  36. 湯山勇

    湯山委員 実は、今度の放送大学番組というのは、「してほしい」という希望は五〇%近くある。その中で実際に単位を取って卒業するというのはその十分の一くらいしかない。そうすると、このアンケートの数だけから言えば、いまおっしゃったように本当に組織的に継続的に計画的に教育を受けるという人はこれを希望しておる人のごく少数であって、大部分はそうではないというのがいまの実態です。これが一つ前提です。  いま一つ前提は、学校教育社会教育学校教育法社会教育法によって区別して、それに対応してということですけれどもPTAというのは所管学校教育社会教育か、部長御存じですか。学校PTA社会教育所管学校教育所管か、御存じですか。
  37. 松澤経人

    松澤説明員 自信はございませんが、社会教育だと思います。
  38. 湯山勇

    湯山委員 そうですよね。  そこで、たとえば小学校二年の国語なら国語学校放送は、それは対象小学校で、その放送を使って教育をすれば学校放送です。しかし、御存じのようにPTAというのは、学校の視察に行って、そしていろいろ子供の教育のために教師と協力してやっていく。したがって、これは母親が見ればPTAの参観と同じ効果がありますよ。その分は社会教育になりますね。PTA社会教育団体であり、それに役立つためにこの放送を見るということになれば、これは社会教育でしょう。だから、「又は」じゃなくて、学校教育放送であり、かつ社会教育である。こういうことがあるのですが、いまのお話ではそれはもう法律によってとはっきり区別している。だからできないと思うんですよね。  同様に、放送大学にしても、四年間でちゃんと単位を取って教養学士になるという。これで言えば受信しておる人の約一割程度は確かに放送大学教育ですけれどもあとは公表された中から自分で勝手に選んで、しかも対象は、大部分の人は学生になっていないのです。そうでしょう。つまり、学生学校という特殊なつながり学生だけしか受信できないというならそれはよくわかりますが、しかし、放送の性格はそういうものではない。  それから、また、この大学を設ける趣旨も同様に学生だけじゃなくてその他の人にも役に立てようという大きなねらいを持っていますから、お話しのようにこれを学校放送限定するといってもそれは困難だし、社会教育と認めないと仮に言っても自然にそうなっているし、そうならざらを得ない。こういうことですから、これは放送法というものに不備があるんじゃないか。「又は」じゃなくて、こう区別はできない。  ことに、いまのNHKの本当の学習番組学校放送番組でも、同様に社会教育の非常に大きな効果を上げる資料になる。まして放送大学はいま言ったようにこれをスタートするときの世論調査においてもそういうことですから、局長が言われたようにそういうきちっと画然とした区別免許に当たってもできないのじゃないか。もしするとすれば、入学手続をとって学生になった者だけしか受信できないというような方法があれば別ですけれども、それはできないんですから、その辺、放送法自体電波というものと教育関係というものをどこか割り切り過ぎているのじゃないか。  御答弁ははっきりしておっていいんですけれども、では実際にどうなのかといったら、実際は社会教育面で利用されているものの方が受信する数だけから言えば多いという現象が起こるわけで、文部省の方の御答弁も、運営審議会委員には学校教育経験者権威者、と同時に社会教育のそういう人も入れると言っているのはその辺に意味があると思うのですが、電波監理局の方でそう言っておるような割り切り方ができるかどうか、いまのようなことをどうお考えなのか、承りたいと思うのです。
  39. 松澤経人

    松澤説明員 先生のおっしゃる意味は私もよくわかりますが、非常に法律的なことを申し上げますと、この放送法第二条の教育番組の定義でございますが、これは「学校教育又は社会教育のための放送」ということでございまして、要するに番組をつくり番組を編集する放送事業者の意思に実はかかわっておるわけでございます。  そういう意味で、先生もおっしゃいますように法律的には非常に割り切っておるのじゃないかということでございますけれども、結局そこは放送事業者の自覚、自律というところに求めるわけでございまして、放送大学学園の場合は正規大学としてその大学教育のための放送をやるんだという認識に徹していただいて番組をつくっていただく、こういうことではなかろうかと思います。
  40. 湯山勇

    湯山委員 これは大変な問題です。放送大学というのは学校教育法に言う正規大学だということなんですが、正規大学は教える方の側だけじゃ成り立たないんです。学生があって初めて教える側もあり、教育というものは成り立つわけです。そのつながりを無視して一方だけで判断をし処理するという考え方に問題があるのじゃないか。  いまおっしゃったことはわからぬことはありませんが、それじゃいかぬのじゃないか。放送大学正規大学である以上それはいけない。むしろ場から言えば社会教育面の方が大きく出てくる。あなたの考えとは逆な方向へ行く。また、そういう実態調査の結果に基づいてできた大学、そのことを無視しておるんじゃないでしょうか。
  41. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまの質問と関連して伺いますが、最初木島さんが質問された問題で、要するに三本立てを前提にしたわけでしょう。私が質問したときは非常にあいまいだったけれども形式は三つで実質はいまのままとか、最初はそういう答弁だったのが、二回目はもう三本立てを前提に割り切ってしまったわけですね。ところが、そのときに問題になったのは、NHK放送しているものと放送大学が今度流すであろう同じ教育番組とがスイッチをひねりさえすれ、はだれでも見られるという意味で、事実上はオーバーラップしてしまう。そのことがNHK影響がないですかと言ったら、そうしたら影響が少ないと答えたんですね。  少ないということは、ある程度のことはあると認めているわけですね。いかがですか。どういうことですか。少ないというのは結局あるということでしょう。
  42. 松澤経人

    松澤説明員 NHK教育放送におきまして、現在いわゆる大学レベルの教育番組を若干やっておるという意味におきましてそういうお答えを申し上げたかと思います。
  43. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いや、それは問題のすれ違いです。今度新たに放送大学が発足した場合にNHKにこれがどういう影響があるかということについて、委員会での委員質問郵政省側の答弁とはその判断が大分違っていると私は聞いていましたが、影響は少ないと言っているんでしょう。少ないか多いか、どっちなんですか。少ないんでしょう。  堀さんは、ないことが望ましい、ないであろうということが望ましいし、確信をしているという御答弁でしたね。いまの問題は具体的にどうなんですか。
  44. 松澤経人

    松澤説明員 放送大学の方の放送につきましては、まさに大学の定める教育課程に準拠した放送を行うわけでございまして、一方NHKの方は、幼稚園からそれこそ大学までと申しますか、広くそうした各層を対象とした学校教育番組及び社会教育番組ということで構成しておりますから、そこでかなり異なるわけであります。  一方はそういう限定した形でやっておりまして、NHKはそういうことでやっておるから非常にそこで異なりが、差があろうということで、影響はほとんどないといいますか少ない、こう申し上げたのではないかと思います。
  45. 嶋崎譲

    嶋崎委員 放送大学が出す番組は、大学の学士号を与える単位のための教育手段としてテレビで出されるわけです。特定学生はそう思って見るでしょう。ところが、今度はスイッチをひねって見れるユーザーの側からすれば、おれも教養でこれを見るのだといって自由に見れるのですよ。そうすると、NHKの出している教養と同じように受けとめて見れるわけです。そうした場合に、NHKが出している今日までの放送のたてまえに影響が出てきませんかという質問だったのですよ。それに対して少なくはないだったか……(松澤説明員「ほとんどない……」と呼ぶ)そんなことは言わぬ。君が今度言い初めたのだ。まあ、いいよ。ほとんどでも、少なくてでもいい。  そうすると、あなた方郵政省はそれについて影響はないと判断をされて免許をされるわけですね。ところが、この間の連合審査での逓信委員たちはみんな、これがNHK影響を与えるという判断質問されておる。NHKの側の答弁も非常にあいまいで、いまのようにほとんどないなんということは言い切らぬのですよ。あなたの方はそういうことはないと判断されて免許をされても、結果としてNHK影響を与える。その影響は仮に少ないとしましょう。しかし、少ないという具体的な中身は何があるんでしょうか。  具体的に言えば受信料の増大でしょう。みんなわかっているわけでしょう。そうするとまたNHKの経営の本質にかかわる問題が出てくるわけです。国から独立していて金をもらわないといういままでの放送法のたてまえとそこで矛盾する問題が起きてきやせぬかということが連合審査に際して逓信委員がみんなに発言したことです。それは全部郵政省と意見が違います、保留します——これは自民党の方の質問も含めてそうだったですね。それに対して郵政省は、いままで逓信委員会のメンバーに放送大学が発足するに当たって三本立てになるという考え方を明らかにしてきた過程があったかなかったかが木島さんの質問されている問題なんです。そこを詰めていないから、だから郵政省文部省との話し合いでは、文部省側は大学自治論で対応し、放送法四十四条の適用についても大学の自主的な問題として解決できるという前提に立って答弁されているから、郵政省はそれでいいと思ってこられたはずなのです。  それがいよいよ連合審査をやってみたり、この法案が提出されてきた過程では、逓信委員会は三本立てというのならば、たとえばいまの教養番組でも、湯山さんの質問でも教養番組に関連して——ここで言っている教養番組NHKが出す教養番組ではない。NHKの出す教養番組というのは国民のレベルアップなんです。教養的性格を持った教育番組です。高等学校以下はカリキュラムがあるのです。問題の学習指導要領というものもあるわけです。大学はそんなものはありません。学問の自治と大学の自由ですからね。  そうしますと、放送法第二条で言っているところの教育番組と今度放送大学が出す教育というものの番組中身は、放送法の枠を越えた新しい問題が提起されているはずだということにならざるを得ない。ただ、この二条でダブる分は何かというと、教育で出した番組を教養として聞けばこの二条は生きるわけですね。教養だと思って見るのですからね。だから、いままでの放送法第二条で言っているところの教育番組放送大学を予定していない。そしてNHK前提にして行われる一般国民のレベルアップという意味での教育番組内容だからこういう規定でよかったのです。「学校教育又は社会教育」でよかったのです。ところが、今度は大学特定学生に学士号を出すためのものを送るのだから、これは単なるいままでの放送法で言った教育とは中身の違うものが出されることにならざるを得ない。これは湯山さんの質問に関連してくるわけです。  だから、質問をもうちょっと詰めますが、第一の木島さんの質問されているNHK放送大学教育番組を出すことが影響がないという断定が可能であるか、影響があるとすればどんな影響があるのか、郵政省はどうお考えですか。
  46. 松澤経人

    松澤説明員 影響につきましては、現在のNHKのいわゆる教育番組というものの実態からいたしますと、ハイレベル、大学レベルの教育番組は非常に少のうございます。  そういう意味で、オーバーラップしないといいますか、影響はほとんどない、こういう考え方に立脚しているわけでございます。
  47. 木島喜兵衞

    木島委員 ちょっと関連して……。  そうじゃないのです。連合審査では局長影響は少ないと言ったのです。ないのじゃないのです。少ないということはあるということです。それはNHKの経営、運営上の両面、いま嶋崎先生が詰めているところの二つになりますが、NHKの堀さんは、ないことを期待するが危惧を持っておると言うのです。経営面、運営面でNHKの危惧とは一体何か。少ないと言う。少ないということはあるということです。少なくてもあるということです。  あなたはいまないと言ったが、そうじゃない。局長はあると言っている。少ないということはあるのです。少ないけれどもあるのです。少なくてもある。その少ないのは一体何か。NHKが危惧するという危惧は、経営面、運営面から一体それは何か。いまのお二人の質問はそういうことになるのです。いままでの局長答弁を中心に私は言っているのです。
  48. 松澤経人

    松澤説明員 いま、私は、番組面の競合と申しますか、そういう点で申し上げましたが、そういうことで番組面での競合がほとんどない、ならないということから、私どもは、郵政省は、受信料制度そのものにつきましては及ぼす影響はないものと考えた、こういうことなんでございます。(木島委員「では、経営は」と呼ぶ)  したがいまして、経営につきましてもこの面からするあれはない……。
  49. 木島喜兵衞

    木島委員 それでは連合審査会の局長答弁と違うじゃないか。局長は少ないと言った。少ないということはあるということです。少ないけれどもあるということです。あなたはいまないと言った。NHKは危惧を持っている。危惧ということは具体的に何かを想定しているのです。  だから、さっき聞いたでしょう。局長答弁に対してあなたは責任を持って答えられるのですかと聞いたでしょう。
  50. 松澤経人

    松澤説明員 局長答弁はちょっとつまびらかに承知しておりませんので、いわゆる番組面の競合がほとんどないという趣旨で申し上げたのではないかというふうに理解しておるわけでございますけれども……。
  51. 木島喜兵衞

    木島委員 それはそのとおりなんですが、これは形の上では違うのです。だから、出す側からすればないと思うけれども、ユーザーの側からすると現実はダブって出てくるのです。学生だけ聞くのじゃないのです。将来はひねりさえすればだれでも聞けるのですし、見れるのですからね。だから、あなた方は何も出す方の側からだけで免許するのではなくて、ユーザーの側を含めて議論をし、そしてこの放送考えているわけですからね。  だから、片っ方は学士号をやるための放送でこっちとは違うのですよと何ぼ言ってみたって現実にはそうなるから、それが放送の持つ魔性というか、特徴なんですよ。不特定多数にやるところにこの放送の持っている重要なメリットもあれば、また問題になるデメリットもあるわけ。問題点が出てくるわけ。だから、それが重なってあらわれる限りにおいて、少なくとも、法理論的にも、それから実際にNHK放送大学は三本立てだというふうにして皆さん方が現行の放送法にプラスして出てくるものだというふうに想定するなら、その影響を検討したり考慮しないで許可できないでしょう。だから、それが局長放送部長の意見が違うということになるとどうなんですかね。この問題はちょっと保留しておきましょう。  大学局長放送大学が出す放送教育放送法で言う教育番組教育とは同じですか。文部省はどう解釈しましたか。
  52. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 あるいは御質問の趣旨を取り違っているかもしれませんが、一つは、もちろん、学校教育番組というのは大学だけではなくて、その範囲が広いということは申し上げるまでもないことでございます。  放送法で規定をしている学校教育番組というのはいわば学校教育のための放送番組であり、学園放送する放送番組というのは、学園法案の二十条に規定がありますように、放送大学における教育に必要な放送というように規定されておりますから、したがっていわゆる学校向け番組と趣旨においてやや違っているところがあると考えられるのかもしれませんが、いずれにしても、放送法の側で考えればそれは教育番組の中の学校教育番組ととらえるということだろうと思います。
  53. 嶋崎譲

    嶋崎委員 だから、同じ教育でも、放送大学の出す教育番組教育放送法で言っているところの——高等学校ならば学習指導要領があって、そして一定の枠があるから、そういうところで出てくる。だから、高等学校までは可能なわけ。しかし、大学というのはNHKではできないわけですよ。大学側は利用しようとしないし、現にやってみたけれどもできなかった。だから、放送法で想定しているところの教育意味放送大学が出す教育意味は、片一方は放送大学教育ですから、そこの中身に違いがありますね。  これは学校教育というふうに抽象的に見れば同じだけれども、高等学校以下と大学とは憲法調査会の答申にもはっきりしているように、高等学校以下では学問の自由がないのだそうだからね。日本のいままでの見解によれば、ね。イギリスとはそこは違うけれども大学はアカデミックフリーダムでしょう。その上で出てくる教育という中身と、放送法で言っている高等学校以下で可能にしている教育とはおのずから教育中身が違う。憲法の要請に基づいているからね。そうしますと、そこで言う教育番組でこっちのは認可しますね。それは学校教育だといって認可した。ところが、そういうふうに認可し得るような中身として文部省はこじつけて解釈すれば可能だ。言葉の上では同じ教育だからね。ところが、実際にユーザーの側から見ると区別されないで見れるわけです。NHKと同じように教養と見てしまうわけです。その限りでは放送法二条の教育と同じようにユーザーは受け取る。送り出している方は、そうではありません、これは単なる教養的教育ではありません、学士号をやるための単位ですと言う。これは違うわけですね。  だから、ユーザーの中で不特定多数がそれを見ることによって影響がある。その影響放送大学の側は放送法前提にしてどう解釈するのか、郵政省の方は放送法前提にしてそれをどう考えるか、その教育の理解いかんによってはNHK教養番組的なものと放送大学教育番組的なものはまさにオーバーラップしてしまう。現実にはそう機能する。そうすると、放送法では二本立てできたのに三本立てになるというのだから、放送法二条でいう放送教育と言葉は同じようだが中身は違うんじゃないですか。そこには放送大学教育については特定する法律事項を起こしておかないと、その影響に歯どめをかける根拠がなくなりはしないかと思うのですよ。要するに放送法教育番組でもって片一方は免許したときに、許可したときに、果たして中身はイコールであるか。違うであろう。そうしたときには当然NHKにいくという議論がある。ぐるぐる回るわけですね。  この問題は、要するに逓信委員会連合審査をやって、文教で進んで出たってこっちの側から見ると放送法改正の問題はありはせぬかという、幾つかの問題の中の一つの問題です。それが郵政省文部省がお互いに議論をして同じ見解で法案が出てこなければおかしい。いままでの討論をする限り郵政省答弁とどうもその辺が食い違っているし、ないしは鮮明ではないということであります。
  54. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 先ほど来郵政省お答えになっておりますように、放送法二条五号の「教育番組」というのは、「学校教育又は社会教育のための放送」ということになります。だから、形式的には、学園放送局免許申請をする場合に教育番組一〇〇%ということでもちろん申請をするわけですが、その教育番組の中には社会教育も「又は」で入っているわけだから、社会教育番組放送することが免許を受けたその範囲の中にとどまりはせぬかという議論が一つあります。  それについては、法案の歯どめとしては二十条の書き方に意を用いて、放送大学教育に必要な放送——それから認可を受けて別に行う放送にしても、これは大学教育のための放送である。学園の行う大学教育のための放送というのは、いわば具体の大学教育課程に沿った大学教育のための番組という歯どめがかかっているから、法律の方の手当てとしては社会教育のための放送放送大学学園が行うということはできないことにはなっている。  しかし、そこのところをもう一つ考えれば、先ほど来御指摘のように具体の大学教育課程に沿った大学教育のための番組であっても、それは受け手の方からすればやはり大学教育として提供される内容をみずからは生涯教育というか、教養というか、そういうものとして勉強するという人たちが非常にたくさんいる。そういう点があると思うのですね。ですから、放送大学の行う放送のための放送NHKが行っておられる大学レベルの教育番組とは、先ほどの先生の御指摘のように性質が違うわけだけれども、結果的には受け手の側からすれば同じものとして受け取られるということがある。もちろん、NHKの行われるその全体の放送内容から考えれば、第三チャンネルの場合であってもそのシェアというものは非常に小さいから、放送大学の行う放送の及ぼす影響がこれまた小さいであろうということは量的には言えるにしても、事柄としてはやはり競合するところがあると私は思います。  そこのところをどう考えていくか、これはもちろんいろいろ問題はあるだろうけれども文部省としてはそこの競合というものを必ずしもマイナス、デメリットとしてだけ受けとめないでもっと積極的に考えられないか、たとえば放送大学の場合に、外国から著名な学者が来て、この人にぜひ特別講義をやってもらいたい、そしてそれをわが方の開設する授業課目と直接の関係はないけれども放送大学学生に聞かせたいというときに、その放送ができるかという問題があるわけですが、その点については、先般、私は、放送大学側は開設する授業課目の授業を実施するための放送に限るべきだ、そういうことによってNHKとの形式的な競合は放送大学の側でできるだけ自制をすべきだということを申し上げたわけです。  しかし、そういうものを学生に聞かせたいという気持ちは放送大学にあるわけなんです。そうすると、NHKとの間の両者の十分な事前の調整ということができるならば、そういう番組をむしろNHKに出していただいて、それを放送大学学生にも聞きなさいよということをいわば勧める。そういう積極的な両者の調整というものはむしろ可能ではないか。それは放送大学の側がNHK大学レベルの番組なり教養番組にできるだけ影響を及ぼさないように、みずからの行う放送内容について十分留意しなければならぬという点はあるけれども、それにとどまらないで、NHKの方が行われる大学レベルの放送なりあるいは教養番組放送大学の方の学生の勉強との間をどう調整するかということを、学園なり大学NHKとの間でむしろ積極的に話し合いをし、調整をするという努力が少なくとも文部省の側からすれば望ましいし、わが方から受信料の問題等についてはちょっとコメントのしようがありませんけれども、少なくとも教育内容については私はそういうふうに考えていくことができると思います。
  55. 湯山勇

    湯山委員 私がこれは非常に重要な問題だと思うのは、郵政省は許認可の権限を持っている。その認可の条件と受ける側の条件に食い違いがあるということは将来非常に大きな問題に発展するおそれがあります。いまの局長の御答弁も、デメリットというような言い方をなさって消極的過ぎると思うのです。そうじゃないです。放送大学というのは、いま局長がデメリットと言われた分が実はもっと強調されなければならない部分である。郵政省がおるから遠慮して言ったので、それは将来に非常に問題を残すと思うのです。  というのは、いま申し上げたように、開かれた大学という意味はそこにある。そして申し上げたように、受信を希望しておる人と大学正規の卒業というのはわずか一〇%で、あとの九〇%はとにかく自分自身の計画的な教育じゃなくてそれを受けようという、いわば社会教育、教養教育を得ようということです。したがって、電波監理局郵政省の方は出す方の意思だと簡単に割り切りますけれども、それはできないと思う。というのは、放送大学の使命はそこにあるわけですから、教科の編成も従来の専門の教科別じゃないのです。今度はどういう意味か、これはまだはっきりしないのですけれども、学際的な教科をつくっていくということなので、それは明らかにいまのように教養あるいは実生活に役に立つということを意図しておるわけですから、出す方の意思、運営審議会がそれを無視した方針を出すことがないのです。出しようがないのです。  そうすると、あなたが言われたように、単に出す方の意思が何年生の生徒向けだ、学生向けだと言ったって、それだけ厳重にやれというような運営審議会じゃないのです。そうなったらこれは放送大学の自殺行為とも本来言えば言えるのです。だから、局長は遠慮していまのようにデメリットもあるけれどもと言うが、そうじゃない。そのことこそ強調されなければならないので、きょうのお尋ねした範囲ではその辺の御理解が足りないと私思う。  このことはまた後に論議になると思いますから、こればっかりで時間をとるのも恐縮ですからこれで終わります。
  56. 嶋崎譲

    嶋崎委員 もう一言だけ。  いまの大学局長の議論でいったら、郵政省にはいままでのNHK中心にしておった運営に物すごい影響が出る。教養的な部門を非常に含めて、生涯学習的なものも放送大学が次第次第に機能化していく可能性というものを含んでいるわけだから、そういう意味NHKに逆に放送大学放送大学として積極的なメリットを——ぼくはメリットと見ていないのですが、そう考えるとこれは物すごく影響する。  そういう意味では、いまの大学局長答弁を聞いていたら、逆に郵政省の方はその影響の大きさを現行放送法制のもとでNHKに対してどう見るかということについてきちっと対応しておかないと、少ないから、それから何か漠然としたおそれがあるとかというような話で済むのかどうかという問題点があるということ、それだけ一つ……。
  57. 坂本三十次

    ○坂本委員長 この際、委員諸君に申し上げます。  社会党の皆さんは大変活発な御発言でございますが、他の皆さん方もどうぞひとつ御遠慮なく御発言を願います。
  58. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私の方からいまのお話をお聞きした上で若干御質問を申し上げたいと思いますが、確かに大学教育のカリキュラムとして電波を通じて問題が流されていくわけでございますけれども、やはり、聞く方の立場からいけばNHKが流している社会教育番組とオーバーラップする部分があることは否めないことで、むしろこれはプラスの評価として、聞く方にとってはそういう角度からプラスがあるのだというふうに考えていかなければこの放送大学意味もないと思うのですね。単に大学の四年間のカリキュラムをとって学士号を獲得するというような行き方では、放送大学の本来の趣旨ではないと私は思う。やはり生涯教育に大きな力点が置かれていることは事実です。したがって、教養番組というものがNHKとオーバーラップすることは当然だと考えざるを得ないわけでございます。  そこで、問題になるのは、いわゆる現在の電波法あるいは放送法の中でそのことが法律上問題になるのだという点が一点あるのでございますね。それから、その法律が成り立つ基本的な概念、特にいま財政上の問題が指摘をされたわけでございますけれどもNHKは言うまでもなく表現の自由を確保するために独自の財政体制というものをとっているわけですね。いわゆる受信料の問題でしょう。  郵政省の方はこれに対して一体影響があると見ているのか。影響はないと見ているのか。また、影響がないと見る理由は何なのか。財政上に影響が出てくるとすれば、どういう影響が出てくるというふうに見ているのか。ここら辺の二つの問題点についてお伺いをしておきたいと思うのです。
  59. 松澤経人

    松澤説明員 先ほど来申し上げておりますが、今回のこの学園法案策定に当たりまして、従来の経緯とそれからNHKも含めまして関係者の意見も十分踏まえまして、放送大学学園放送内容大学教育のための放送限定し、そして現行の放送体制に及ぼす影響最小限にとどめるよう措置した次第でございます。  NHK放送は御承知のように報道、教育、教養、娯楽等総合的な番組を送出するわけでございまして、そうしたNHK放送とほとんど競合することとならないため、私どもは受信料制度に及ぼす影響はないものと考えておる、こういう判断に立っておるわけでございます。
  60. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私ども考えますのに、いまのNHKの受信料問題というのがありますが、いわゆる航空機騒音等、その騒音が発生する地域においては受信料の割引という問題があり、あるいは聴視不可能というような状況があるわけでしょう。あなたが言うのは受信料にも影響を及ぼさないというふうに言われたけれども、そういういまの社会的な風潮に立った上で、そんなことが果たして言えるのですか。  片っ方においては必然的に、大学放送の方はいわゆる学生ではなくて一般の聴視者にとっては無料で流れてくるわけですね。NHKの方は受信料を取るという体制があると思うのです。それが心理的に影響しないというのは考えられないのじゃないですか。もう一度御答弁願います。
  61. 松澤経人

    松澤説明員 私どもは受信料制度に及ぼす影響はないと考えておるわけでございますが、仮に今後NHK影響を与えるような状況が生じますような場合には、やはり、それなりに政府といたしましても当然対策というものを検討してまいらなければならないとは思っております。
  62. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点伺いますが、いまのNHKの受信料の制度は、体系そのものはかなり崩れてきている。そういうような受信料の不払い運動というものが地域によってはあるわけでございますからね。しかも、そういうものがこれから縮小するというよりは拡大されるというふうに考えていかなければならぬ。それが一〇〇%なんだというふうには私は考えませんけれども、現在の制度をかなり侵食してくるというようにわれわれは考えるわけです。  そういうような立場から見ていると、やはり受信料にも響いてくるのではないかと思いますし、ですからそういう問題はNHK自身で、あるいは郵政省は何かの知恵を出して、ここら辺の基本的な問題を解決していかなければならないんじゃないかと思っているのですが、この点についてはいかがですか。
  63. 松澤経人

    松澤説明員 確かに近年NHKの財政状況は厳しいものがあるわけでございますが、これにつきまして、これは自律、独立のNHKとしてみずからの経営問題をどう考えるかという意味におきまして、NHKは受信料制度も含めまして、みずからの立場でそれなりの検討を進めておるということでございます。  われわれもやはり政府の立場において、先生がおっしゃいますような意味でのいわゆる受信料制度と申しますか、そういう問題というものは、それなりに将来におきましても、また各方面の意見を時に聞きながらも検討は進めてまいる、こういう状況でございます。
  64. 池田克也

    ○池田(克)委員 いまの問題の関連ですけれども、仄聞するところによりますと、NHKでは十日ほど前に、この大学学園法案というのはNHKの存立を揺るがす重大問題だ、断固これはつぶすべきだというような動きがあって、それに関するさまざまな逓信委員に対する働きかけがあるやに仄聞しているのですが、何か聞いておりますか。
  65. 松澤経人

    松澤説明員 私はそういうようなことは承知いたしておりません。  先ほども申し上げましたように、この法案策定に当たりましては、NHKの御意見、御要望というものを十分参酌してまいった次第でございます。
  66. 池田克也

    ○池田(克)委員 いま大変端的なお伺いをしたのですが、いま石田委員からもお話が出ましたし、先ほど大学局長からも言われましたが、大変重要な大学学園側としての期待、たとえば外国からそうした人たちが来た場合に、その話を流して教育にうまいぐあいにつなげていきたいということ、これは前回私も文教委員会でお伺いをした部分なんですけれども、こういうことが成った場合に、いわゆる法規的な意味郵政省としてはまずい、それはもう免許を与える条件としてそれをみなしていく、こういう判断をされますか。
  67. 松澤経人

    松澤説明員 私どもは、この大学がその大学の定める教育課程に準拠した教育放送を行うということで放送免許すると申しますか、そういう措置をいたすわけでございます。  あくまでもこれは大学当局におきまして、みずからの目的と申しますか、それにきっちり沿った考え方でやっていただきたいと期待もしておるところでございます。
  68. 池田克也

    ○池田(克)委員 大学側のカリキュラムに沿ってということになるわけですね。  ところが、放送大学に期待されるのは新しい技術、あるいは非常にスピーディーに移り変わっていく社会情勢を広い国民の期待にこたえて電波を使ってやっていくこと、たとえばスリーマイルの原発事故の問題が起きたというような場合に、テレビのニュース解説も当然あるし、科学技術の問題もありましょうが、ところが国民が期待するものの中には、そういうかなりビビッドな、ニュースに値するような問題を、この放送大学学園の知識、集められている教授陣というものによって、図解入りでもいいでしょうから、さまざまな突っ込んだそういう解説というものが大学の一環として行われるということを期待している。これは既存大学でも学生からそういう質問が出たり、あるいはそういう問題が大学のキャンパスの中で語られたりするということ、むしろそれが本来の大学のあり方じゃないかというふうに思うのです。  そういう点で、いま御答弁になりましたように、大学の規定したカリキュラムはどちらかというと平板なものになりかねないと思うのです。むしろここで国民が期待しているそういうような方向があってしかるべきじゃないか、それについてブレーキを踏むというようなことがあればかえって放送大学というものの意義をむしろ減殺してしまうのではないかというふうに私は思うのですけれども、これは大学局長郵政省側と両面からお伺いをしたいのですが、どうでしょうか。
  69. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 御指摘の点は確かに非常に問題のところだと思います。  放送大学の構想が検討されている段階でも、委員の間で、たとえば最近の事例で言えば、太安万侶の墓碑銘が発見されたら、そのことが直ちに放送大学の特別講義のような形で取り上げられて、それを放送大学学生に解説してやるというような対応ができるというのは、これは放送という手段を使うメリットをきわめて有効に活用する方法ではないかというような御指摘はあるわけでございます。  確かに、学園の行う放送というのは放送大学における教育に必要な放送ということになっておりますから、教育課程に沿った放送大学教育のための番組、そのほかに放送大学の入学案内であるとかあるいは学生に対する告知放送であるとか、そういったものが実施をされるわけでございます。  その内容をどのように考えていくかという点がむずかしいわけですけれども、私の方は、先ほど来お話をしておりますように、放送大学が行う放送大学教育に必要な放送内容としては放送大学教育課程に沿った大学教育のための番組というように考えるべきであると思うし、そうであるとすれば、やはり大学が開設する授業科目というものを放送を通じて授業を行っていく、それに必要な番組というふうに考えるべきだし、ということが十五週にわたって構成される一つのまとまりを持った教育内容というものが放送によって実現されていく、そのように考えるべきであろうと思います。そういう意味で、現在の段階では、いま御指摘のような特別講義のような番組をたとえば昼間のあいている再放送の時間を使ってやるというふうなことは放送大学としては控えるべきである、それは行うべきでないという考え方に立っておるわけでございます。
  70. 松澤経人

    松澤説明員 ただいまの文部省大学局長答弁と私も同様に考えております。
  71. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 先ほどの御質問に対する御答弁関係でちょっと補足してお尋ねしたいのですが、NHKにもし影響が出てくるような場合があれば、それはそれなりの対応を考えなければいけないというふうな放送部長の御答弁があったわけですが、それはあくまでも仮定の話なんですけれども、それに対して国の方から何かの対応策を考えなければならないといったって、それはどういう対応策が考えられるのか。  やはり、うかつなことをしていただいては困るわけでありまして、むしろそれは質問答弁の行きがかり上そういうお答えになったのかもしれませんけれども、どういうふうにお考えですか。
  72. 松澤経人

    松澤説明員 率直に申し上げまして、この放送大学学園法が今度できるというようなことでNHK影響があるということの、それより前と申しますか、従来から、やはりNHKのあり方について、たとえば先ほどの先生の御指摘のような最近の受信料の問題とかいろいろございまして、そういう意味でいまの受信料制度を、いまの形を基本としながらもなおもっと確実に取れるような措置があるものかないものかといった論議、検討というものは実は重ねられてきておるわけでございます。これは外部におきましても、あるいはわれわれの内部におきましてもそういったようなことは進めておる。そういうことでございます。
  73. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 受信料の取り方をもっと効率よくまた確実にするための方法といっても、しかし、それも私ども何かを想定して考えたってちょっとわかりにくいなという感じがします。  何か一つの具体的な方法というか、ヒントというか、そういう方向というものはあるのですかね。それはいまだってやってもらわなければいけないのですけれども……。
  74. 松澤経人

    松澤説明員 実は、いまの受信料制度は放送法の三十二条が根拠でございまして、「協会放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」これが実は唯一の根拠と言ってよろしいかと思いますが、これによって直ちに受信料を払わなければいかぬのかどうかという点が確かにそういう意味では明確でないというような論議も実はございます。  たとえば先ほど私はNHKにおいてもこういう問題は従来から真剣に討議されていると申しましたけれどもNHKが設置しましたそういう検討機関の中で、いまの私が読み上げました条項をもっと明確に、たとえば支払い義務という形でもっと直接的に規定づけたらどうかというような意見も実はあるわけでございます。一例を挙げますとそういうことでございます。
  75. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 たとえばその場合でもやはり法改正等が必要になってくるわけですよね。たとえば今度の放送大学学園法について、先ほど来、これからの放送体系というのは二本立てから三本立てに変わるのだというようなお話もありましたけれども、こういう基本的な問題を、たとえば放送法なり電波法なりを一般法的な位置づけにして、そしてこの学園法を特別法としての位置づけをする中で、いわゆる一般法より特別法の方が優先するという解釈論の上に立って、安易にという言い方は失礼かもしれませんけれども、一時的にその法体系をそういう形で糊塗したとするならば、これはやはり逓信委員会ならずとも問題として指摘されざるを得ないだろうという気がするわけなんです。  ですから、本当はもっと法改正について整合性を持たせるために取り組まなければいけなかったのではないのか、むしろその必要がないというように御判断になったのか、何か時間的なタイミング等を考え合わせて、とりあえずはここでということで大臣がおっしゃるところのまず出発させてくださいという答えになってきたのか、その辺が私はまだ十分にのみ込めないのです。  これは放送部長よりも大学局長にお聞きした方がいいのかもしれませんが、いかがでしょうか。
  76. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 文部省の方の考え方は、先般もお答えしましたように、放送大学の構想というのは大学の設置主体と放送局免許主体とを同一のものとすることがどうしても必要であるということ、そのためにはどういう方法があるかということから考えて、現在の放送法制との関係考えれば、特殊法人をもって設置の主体として、そのことによっていわゆる国営放送という問題を避ける以外に方法がないという結論に達し、郵政省と十分に御相談をして特殊法人をもって放送大学学園を設立するという判断をとっているわけでございます。  放送法制との関係学園放送をどのように位置づけ、規定をするかということについては、もっぱら郵政省当局の御判断を待ってわが方はそれに対応する、そういうことでございます。
  77. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それでは郵政省の方は文部省のそういう意向を受けて、放送法等の改正は、一部的な改正はありますが、あえて必要がないと判断されたのですか。
  78. 松澤経人

    松澤説明員 今回の学園構想は放送の持つ教育的機能を発揮する上において非常に有効な施策であり、かつ、大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえる上におきましても意義のある施策ではないかというふうに考えられましたために、学園の創設に伴って必要となる放送法上の所要の規定を学園法の附則として今回一部改正をしたわけでございます。  電波法放送法の全体的な改正という問題は、実は昭和四十一年に改正を御提案申し上げたわけでございますが、残念ながらこれが実らなかったという経緯がございます。その後も引き続き私ども検討を進めてまいっておるわけでございますけれども、現在におきましても、全体的な改正ということにつきましては、省内にもそうした委員会と申しますか検討機関を置きまして検討を進めておるところでございます。ただ、多重放送の問題であるとか、先ほどから出ておりますNHKの問題であるとか、衛星放送の問題であるとか、まだ未確定の面あるいは流動的な意見というものも多々ございますので、やはりその辺をもう少し見きわめなければ措置できぬだろうということでございます。しかしながら、われわれとしてはこの問題について鋭意取り組んでおるわけでございます。  なお、事は言論の自由にどうしてもかかってまいりますので、関係者の意見と申しますか、そういったものも十分踏まえた上でこれは慎重に対処していかなければならないものだというふうに考えておる次第でございます。
  79. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 これ以上話を進めようとすると最初木島質問に戻っていきますので、また後で
  80. 山原健二郎

    ○山原委員 木島さんの最初質問ですが、いまお話があったように四十一年第五十一回国会に提出しようとした放送法電波法の改正案、これはNHK会長を政府任命にするという中身を持ったものが出た経過があるわけです。  今日まで来ましてそれはそのままになっているわけですけれども、今度の放送大学との関係考えてみますと、これはもろ刃の剣で、あっさり言えば国家統制のもとで、場合によっては放送を通じて国民の動向を導いていくこともできる。これだけ重大な内容を持った法律をこの国会に提出するに当たって文部大臣は一体何をしたのか。郵政大臣は一体何をしたのか。これだけの大きな法律を通そうとすればそれだけの迫力もなければいけませんし、それだけの論議もしておかなければならぬと思うのです。  ところが、この間の逓信委員会との連合審査で全く噴き出してきたわけですが、何らの論議もされていない。しかも、いまずっと皆さん方から質問がありましたように、当初は事業者が二つ、二本立てということだったのが、最初形式は三本になります、しかし実情は変わりませんという言い方で来たわけです。大学局長の方は、大学教育に限るのだから問題はありませんということで来たのですけれども、事業者が三つになるというこの形式自体も問題なのです。それらのことについては当然郵政大臣は逓信委員会にかけて、いままでの法改正の経過から見てもやっておかなければならないにもかかわらず議題にもしていない。しかも、国会の会期末になって全くそういう手続も踏んでいないということは本当にけしからぬ話だと私は思います。  これは内藤さんに申しわけないけれども、あなたがいままで各議員の質問に対して答弁してきたのを全部私は持っていますが、何の中身もない。とにかく初めての試みですから出発をさせてください、あなたのお気持ちはよくわかります、そして出発した後については、事後の措置はやりますというのが内藤文部大臣の答弁で、それで一貫しているわけです。それ以上何もない。大学の自治の問題、学問の自由の問題、あるいは放送法電波法に関連する問題、これだけの大法案を出すに当たっては大臣の頭の中にも相当緻密なものがなければならぬと私は思う。ただ、出発させてください、その後において皆さんの御心配の点は解消していきますと言うが、ここは国会ですからね。法律をつくればこの法律が生きて動くのですから、将来のことはわかりませんが、将来のことは後でやりますということでは通りません。  その意味におきまして、いままで御質問がありましたように、いままでの事業者の二つが三つになるということは大変な問題です。それを納得させるだけの力がなければこの法案は通りませんよ。私も意地悪で言っておるのじゃないのです。本当に放送大学というものはだれも反対していないわけで、よりよいものにしようと思ってみんなが必死の努力をしておるときに、そういう一つ一つについてきちんと解釈して意思統一をして、少なくとも政府間の意思統一をしてはっきりさせて、関係委員会においてもそれらのことがある程度納得をさせられるぐらいの努力をなぜ払わなかったのか。この点をお聞きしたいのです。これは郵政大臣にお聞きしたいわけですがね。  しかも、いまおっしゃったように、この間の電波局長答弁でも、放送法電波法については抜本的な改正のために省を挙げていま検討していますということですが、それは一体何なのか、四十一年に出して国民の批判を受けて引っ込めたものを今度また出そうとしているのか、そこらのところを私は聞いておきたいと思います。どうですか。
  81. 松澤経人

    松澤説明員 電波法放送法の改正につきましては四十一年に実らなかったのでございますが、単にそれの復活とか、そういうことではございませんで、その後の状況と申しますか、新しく出現したようなものもございます。  そういうものも含めて検討してておる、こういうことでございます。
  82. 山原健二郎

    ○山原委員 文部大臣の方には後で答弁をお聞きしますけれども郵政省に伺っておきたい。  少なくともこれだけの法律案が逓信委員会において論議対象にもならぬぐらいに思っておったのでしょうか。所管委員会文教委員会ですけれども文教委員会の段階で解決できない問題も含んでいるわけです。  それについては少なくとも逓信委員会に対して、こういうような問題がある、こういう法律が出ます、一定の論議をしてくださいと言うことは当然のことじゃないですかね。そんな論議にはなりません、附則でちょっと変えればいいんですという程度でこの法案の提出に踏み切ってこられたのかどうか、伺っておきたい。
  83. 松澤経人

    松澤説明員 放送大学構想については、四十四年以来、郵政、文部両省間、あるいは設けられました懇談会あるいは調査研究会議といったところでいろいろ検討が進められてまいったわけでございます。  私ども郵政省としても、当初から、放送教育的機能を発揮する上において有効適切な施策であるとの観点から、テレビ、ラジオの周波数を全国一系統留保してまいったところでございますが、今日までの審議の中で郵政省としてもその意向を十分反映させてきたつもりでございまして、その結果、学園放送局とを一体とするとともに、その設置形態は特殊法人とすることが適当だとの結論を得たわけでございます。こうした審議を受けて今回のこの法案の提出の運びになったわけでございます。  これを放送法上どう位置づけるかといった点、その放送規律の仕方については、これは放送大学学園のあり方とまさに密接不可分な関係にございますので、今回、学園の目的、業務等が明確になりましたところから、この業務を実施するに当たり、必要な点については学園法案の附則により放送法を改正する、こういうふうにいたした次第でございます。
  84. 山原健二郎

    ○山原委員 この間の連合審査の日に文部省はおいでになったでしょう。おいでになりましたね。そこで与野党含めて疑問点が出されたのです。この法案に賛成、反対は別にして、そういう疑問が出たことは間違いないわけです。それから参考人の方たちも、この法案に賛成の方もおいでになりましたけれども、しかし、その方たちも大変な疑問を持っておられたのです。そういった点から考えますと、これはもう容易なことではないのです。  私が国会に出たときに、私の方の逓信委員をしておりました土橋さんから放送大学は大変な問題であると言われたのは十年前のことです。逓信委員の皆さんは、放送法電波法との関係放送大学の問題の重要性は前から感じておられた。だから、この法案提出に当たっては、これは当然論議対象にすべきであったと思うのです。そして、私は各党のことは知りませんけれども、各党ともたとえば文教部会の方は放送大学というものを積極的に進めようという気持ちを持っておるわけですが、逓信部会の方は、放送大学をつくることには賛成であっても、いままでの経過から考えて、放送法電波法の基本的な考え方がこれによってゆがめられるのではないか、ゆがめられる一つのてこになるのではないかというような心配をするのは当然のことなんです。そこで激論が戦わされてきているのです。新聞を見ましても、恐らく各党でもそうだと思うのです。それはあたりまえのことであって、だから、そういうことを考えますと、私は本当にもう一回政府は出直してもらいたい。そのくらいの重要な中身を持っているものですから、それだけの気持ちでやっていただかなければならぬと私は思います。  だから、木島さんが連合審査の最後に提唱されましたように、ここが法律を採決する場所ですから、逓信委員会として検討して、あるならば意見を文教委員会に出してくださいとおっしゃったのはまさにそのことを示しておるわけですよ。そういう点で、この法律を通そうとするならば、それだけの決意とそれだけの手だてをちゃんとしてこなければならぬ。私はそのことを強調しておきたいと思います。  それから、もう一つは、四十四条三項の解釈でございますけれども、いまこういう解釈なんですね。いろいろな反対意見、たとえば経済学なら経済学についての反対意見というのは出していくが、同時に学者としての研究成果を出すことを拒むものではないという解釈。大学局長、たしか現在の解釈はそこまで至っているわけですね。ところがいままでの放送法を見てみますと、政府答弁は必ずしもそうではない。だから、ここのところは変化があるならばあるとして、いままでの政府の四十四条三項の統一した見解はこうでございましたが、今度放送大学ができることによって四十四条の三項はこのように解釈します、これが政府の統一した見解でございますということくらいは少なくとも文書に書いて出してもらわなければならぬと私は思う。これが一つですが、その点はどういうふうにされるつもりか、伺っておきたいと思います。  それから、もう一つは、この解釈と同時に、二十条の二項ですか、他人の用に供与することができるというこの拡大解釈ですが、他人の用に供することができるということになるのかどうか。この点も連合審査の中で質問として出されましたが、この点の解釈は政府としてはどういう統一した解釈をしておるのか。これも聞かせていただきたいと思います。  それから、もう一つは、この法案の基本的な問題でございますけれども、これは塩野参考人もお話しになりましたけれども放送法学校教育法は二つの相反するものを一つにしようとするのだから無理がいくけれども、少なくとも自覚ある妥協が必要であるということが出されているのです。確かにその点は重要なところでございまして、少なくともこの法案の冒頭に放送法の基本的な理念と学校教育法の基本的な理念は守られなければならないということが一項入らなければならぬと思っています。そういうふうに私は考えているわけですが、これについての見解を伺いたいのであります。
  85. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 放送法四十四条三項の解釈の問題は、これは郵政省所管法律でございますから郵政省からお答えをいただくのが最も適切だと思いますが、前回の連合審査の際に電波監理局長お答えになっていることと文部省がこれまでお答えをしてきたこと、つまり、意見の対立している問題を取り上げる場合に、その論点を明らかにするために、特定の意見の提示に傾かずに、対立する見解をできるだけ公平に公正に広く提示することを四十四条三項の四号は求めておるけれども、その上で講義を担当する講師が自分の学問的見解を述べることが許されないものではない。そういう点においては一致をいたしていると考えております。  それから、二十条の二項の御指摘だと思いますけれども、これも郵政省からお答えをいただくのが適切だとは思いますが、二十条二項に書いてあることは、その施設、設備と教材をほかの大学の通信による教育その他の教育、研究のための利用に供することができるということを積極的に書いて、そして放送大学が他の大学、特に通信教育との連携を深めていく、その積極的な姿勢というものを二項で明らかにしているわけであります。  括弧の中で「(放送のための無線設備を除く。)」と書いてあるのは、放送のための無線設備は第三者に供与できないという規定が関係法律にございますので、そのことを規定をしているもので、それは第三者が使えないということであって、放送大学がみずからの放送番組として放送をする、その内容が他の大学通信教育のための放送であってならないということではないという理解をしております。この点も法案作成の段階では郵政省とは十分に詰めているところでございます。  それから、塩野参考人の御指摘になった放送法の系統、特にいわゆる放送コードと言われているものと大学の側における教授の自由との問題というのは、私も、その間の関係というものについては賢明な一つの調整がどうしても要るというように考えます。また、その調整が可能であるというのは、放送大学正規大学として設置をされる、そしてそのことが大学の問題としてみずからの自制のもとに対応できるということによって実現可能だと見ているわけであります。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 郵政省お答えございませんか。
  87. 松澤経人

    松澤説明員 ただいまの大学局長の御答弁と同様でございます。
  88. 坂本三十次

    ○坂本委員長 午後一時十五分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後一時二十分開議
  89. 坂本三十次

    ○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送大学学園法案について質疑を続行いたします。
  90. 森喜朗

    ○森(喜)委員 放送大学学園法案はこれまで国会で大変熱心に御議論をいただいて、参考人の御意見もいただいたり、連合審査をさせていただいたり、ずいぶん問題点も浮き彫りにされているわけであります。午前中この新しい円卓方式で各党の先生方の御意見も十分お聞きになったことと思われます。どの先生方も放送大学をできるだけいいものにして、そして盛り育てていこうというお気持ちで、先生方の御意見はよくわかるわけなのであります。そういう中で、政府の取り組み方に若干問題があるのではないか、あるいは郵政省文部省との間に事前のきちっとした対応の仕方がなかったのではないか、なかんずく文部省としての取り組み方にも毅然とした積極的な強い姿勢が見られないのじゃないかと、そんなことも心配されている先生方がずいぶんいらっしゃる感じがいたします。  そこで、午前中のそういった議論を踏まえて文部大臣としての所感を伺っておきたいことが第一点と、第二点としましては、これは報道のニュアンスで多少の違いがございましたけれども、文部大臣がきのうの会見で、あたかも継続になってもやむを得ないというような御発言を一部報道関係で見ました。いま一生懸命に議論を進めておる当委員会としてはこれははなはだ遺憾であります。  そこで、その辺の真意、その辺の取り組み方、文部省考え方を、一、二まとめましたけれども、文部大臣としてのお考えを伺っておきたいと思います。
  91. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 これまでの御論議を通じて、各党とも放送大学の意義を高く評価され、積極的な姿勢で審議していただいておりますことにつきまして、私は心から御礼を申し上げたいと思います。  今回提出した放送大学学園法案は、文部省において郵政省とも相携えて、関係省庁とも十分協議の上取りまとめたものであり、現時点においては最善なりと考えて提案したものであって、十分御審議の上御理解をいただくようお願いを申し上げたいと思います。  それから、いま後からお話のありました継続審議になってもやむを得ないというようなことを私は言った覚えはないのです。そういうような発言はしていないつもりです。ただ、なかなかむずかしいということは私も申し上げたのです。特に、合同審査を伺っておってなかなか御議論が多いということは言ったけれども、継続審議になってもやむを得ないなんてことは絶対に言った覚えはないので、この点は御理解いただきたいと思います。  これからの高等教育発展のためにこの放送大学がきわめて重要なプロジェクトであり、一日も早く本格的な準備に入れるよう、また入る必要がありますので、ぜひ今国会でこの法案が成立することができますように、皆様方の格段の御理解をいただきたいと思います。
  92. 森喜朗

    ○森(喜)委員 大臣あるいは文部省のかたい決意はよく理解いたしました。  午前の項目で若干木島先生の御質問もあったようでありますし、また、午後の項目でいろいろ議論がございますが、大臣は参議院の方とのかけ持ちでございますから、あと大学局長を中心に郵政省文部省の——これは大事なところでございますので、役所、政府側のきちっとした対応をぜひお願いしておきたいと思います。
  93. 坂本三十次

    ○坂本委員長 次に、第二の放送大学学園放送大学との関係について質疑を進めます。
  94. 木島喜兵衞

    木島委員 さっきの議論と一緒なんですけれども放送大学学園ないし放送大学というものは正規大学たるべきか否かということが基本的にまず議論をしなきゃならない一つの問題なんだろうと実は私は思っておるのですが、最初質問のときに私は悩みを持ちながらどうなんだろうかということを言ったわけであります。  ただし、あのときは大変制限された時間でありましたけれども、たとえば先ほどの話の中にありました経緯から言えば、最初社会教育局が担当しておった。ところが、学園紛争ごろから幾つかの問題もあって大学局になった。これを経緯だけで言えばそうでもないのかもしれませんけれども最初社会教育として考え、その後は正規大学として考えるというようになってきたのだろうかとも推定もできます。あるいは先ほど湯山さんからお話がございましたように、大学であれ九〇%は教養であるということを希望しておるというようなことから、放送法第二条との関係等も言われております。  この放送大学は、大臣の所信表明の中では生涯教育の中心としてというような言葉があったと思うのであります。一方、文部省においては、六月ごろですか、あるいは秋ごろになるのですか、何か生涯教育に対する中間報告、まとめが出るようなことを聞いております。生涯教育構想というものの全体像がわからないと、この放送大学が生涯教育の中心であるかどうかということも実はわれわれは判断しかねる。しかし、日本の百年以上にわたるところの学校教育体系あるいは社会教育体系から言うならば、この放送大学の制度というものは、日本の今後の教育制度全体に対しては大きなそして全く新しい出発であろうと思うのであります。これからは何と言っても生涯教育が世界の教育界の一つの中心テーマでもありましょうし、あるいはリカレント教育というOECDの教育政策がずっと進んだときには学校教育もまた現在の学校教育などではなくなるだろう。変化するだろう。そういう意味において、日本の今後の教育制度全体の中でこの放送大学というものをどう位置づけるか、そのことを文部大臣が生涯教育の中心としてと所信表明でおっしゃったのだろうと私は思うのであります。  しかし、一方において生涯教育というものは、先ほど申しましたとおり六月だか、ちょっとおくれているという話でありますけれども審議会ですか懇談会ですか、何かやっていらっしゃる。この辺との絡みでもって、この放送大学というものを日本の将来の教育の中においてどう位置づけるかという議論を抜きにして、正規大学であるかどうかということも実はわれわれも判断しかねる問題ではあるけれども、しかし、考えねばならない問題だと思うのであります。私たちは結論を得ているわけではありません。けれども、そういう観点に立って文部省は検討もし、そういう中でこういう位置づけなんだ、この放送大学をやることによって生涯教育はどうなんだ、リカレント教育はどうなんだ、そのことを通してたとえば今日までの大学なら大学制度そのものが一体どうなんだ、あるいはどうなさねばならないだろうかということと無関係には議論できない一番基本の問題なんではないだろうか。  実は、時間がないからこのことが委員会ではいまだ審議されておらない。ただ正規大学だということを前提として審議している。しかし、先ほどの議論にも絡むけれども、九〇%は実質的には社会教育、成人教育、言うならば生涯教育である。このあたりはきょうはとことん詰める問題ではございませんが、どういう検討がされてどういう方向なんだということを大まかにお聞かせいただきたい。  これはなかなか議論のあるところでございますから変わるとは思いませんけれども放送大学の位置づけというものを一度きちっとしておきたい、いま申し上げた中で位置づけをしておきたい、そういう点で考えておきたいと思うものですから、その点がありましたら、これは再質問とかは余りいたしませんが、お願いします。
  95. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 現在、文部省は、五十一年三月に高等教育懇談会によって示されたいわゆる「高等教育計画的な整備について」の報告に沿って、それを指針としつつ行政を進めているわけでございますが、この懇談会報告が六十一年までの高等教育計画的整備について示した方針は、ごく大きく言えば二つの柱があるわけでございます。  一つは、これまでの高度成長期における非常に著しかった大学の量的な拡大というものについて反省を加えて、少なくとも五十五年までの十八歳人口が横ばいを続ける期間においては高等教育の量的な拡大をむしろ抑制して、それよりも質的な充実に力を入れていくべきであるということが一つと、それからもう一つは、高等教育というものをこれから考えるときに、いわゆる大学、短期大学、高等専門学校という、これまでの全日制の高等教育機関だけで事柄をとらえるのではなくて、より広く大学通信教育あるいは放送大学あるいは専修学校といったものまでを含めた高等教育の場というものを考えて、それ全体を通じて国民の多様な要請に柔軟にこたえていく、そういう施策を進めていかなければならないということであったわけであります。  すでに五十一年の報告の段階でも、そういう高等教育のこれからの柔軟化、多様化と、それを通じての国民の多様な要請の受けとめということを考える場合に放送大学というプロジェクトが非常に重要な意味を持つという御指摘をいただいているわけでございます。  生涯教育ということを考えていく場合には、もちろん放送大学は御案内のような計画のものでございますから、高等学校の新卒者だけではなくて、広く家庭にある主婦であるとか、あるいは社会人に対して高等教育の機会、大学教育の機会を提供するという意味において生涯教育機関としての非常に重要な機能を持ちますけれども、そのことに加えて、これからの高等教育の構造というものをより柔軟なものにしていくということを考える場合に、放送大学正規大学として機能をする、そして放送大学と他の大学との間の学生なり教官の交流あるいは教材の適用といったことを通じて高等教育のあり方をよりソフトなものに変えていく、そういう場が放送大学を通じて生まれてくる、そのことはこれからの高等教育全体の構造を生涯教育に、あるいはリカレント教育と言われているものに対してより対応できるようなものに整えていく、そういうシステムをつくっていく上においても非常に大事なことである、と考えているわけでございます。そういう意味で、放送大学正規大学として構想することがやはり最善であるという判断をとりました。  生涯教育の問題については御指摘のとおり中央教育審議会が御審議になっておりまして、近く中間報告と申しますか、報告がまとめられると聞いておりますけれども、そこにおいても、いま申しましたような意味において、これからの大学をより社会に開かれたものにすることの必要性あるいは放送大学に対する期待といったものが恐らくは指摘をされることになるのではないかと思っております。
  96. 木島喜兵衞

    木島委員 矛盾するものだと思っておらないのです。ただ、生涯教育の中心という意味では、中間報告の全体を見ないと中心と位置づけていいのかどうかわからないという意味であります。そういう観点があった上で所信表明がなされたのかどうか。それから生涯教育というものに限定をし、生涯教育という概念規定もいろいろありますし、問題ですけれども、これを仮に学校教育区別するとしますと、ではこれは一体どうなんだろうかという問題もあるわけです。  その辺が、いつも言いますように教育学校の独占物でなくなるわけでありますから、学習社会がつくられていく中でこれからの日本の教育全体はどうあるべきか、その中においての放送大学というものはどう位置づけられるのかということで、われわれはこの放送大学だけを審議するのではなしに、新しい出発は日本のこれからの方向の一つの大きなポイントなのだろうというふうに私自身は位置づけるものでありますからそういうことを申し上げたわけであります。
  97. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまの問題に関連してお聞きしますけれども放送大学正規大学ということだが、「開設予定授業科目」というものがありますが、高等学校以下のカリキュラムでは考えられるけれども大学教育の科目としてこんな科目があるのだろうかというような点、ないしはその専門家のプロフェッサーはいるのかというようなことがこの基本科目を見ると全体的に言えるのです。  たとえば社会系で言いますと、「人間と社会」というのはどういうプロフェッサーを選ぶのですか。それは大学局長考えることでないのですが、「人間と社会」という基本科目は、いままでの大学の講義では大変な学際を含めてありますが、これはまた学説は大変多岐にわたるでしょうね。哲学から経済学から広範に考えるという科目ですね。それから「社会生活と法」というのは法律専門家でできるでしょうけれども、自然科学のところで「科学と技術」とあるが、これは基本科目ですね。そうした場合に、放送大学の科目としてこういう科目をテレビで出すわけです。そうしますと、これはまた放送法との関連で学説がかなり多岐にわたり、しかもある意味では定説そのものがない。  たとえば一つの例ですが、先ほども公明党の方から話が出ておりましたけれども、スリーマイルアイランドのような事故があるとしますね。イギリスのオープンユニバーシティーには、エネルギー問題に関連して、たとえばソフト・エナージー・パスというソフトエネルギーへの道というものを研究している教授グループがあるのですね。だから、イギリスのオープンユニバーシティーというのは、原子力推進も必要だと考える議論と、同時にそれに対してソフト・エナージー・パスというものを出すわけですね。そして単に教授の講義だけではなくて、そこでは学生との討論の模様すら報道されるわけです。イギリスのオープンユニバーシティーなんかは、そういうふうに現代的な課題であってしかも大学教育に必要な教材を提供しているわけですね。  そうすると、午前中の議論のように、大きな問題があっても、外国から有名な、いま問題にしているたとえばロビンズならロビンズが日本に来たとしますと、そのときに、本来放送大学というものはロビンズの講演を送ることを自己規制せざるを得ない。そして、それに加えてたとえば「科学と技術」というものが片方で放映されている。そこに出ているものはどういう教授が選ばれるのか私にはわかりませんけれども、そういう講義とその実際に現実に起きている問題との関連みたいなものは必ずや問題になるのですね。開かれた大学ですからね。単に普通の大学の理学部で講義をやっていたり工学部で講義をやっているのと違うのですからね。  そうすると、ここに出ている項目は、いま木島委員質問にあるように、この科目をずっと見ると、ある意味では生涯教育的観点、生涯学習的観点から見た科目ではありませんか。たとえば「人間と社会」「社会生活と法」も、これも憲法学者が出るのか民法学者が出るのか私はわかりませんけれども、現代社会で言えば、法社会学みたいなものがあって、片一方では憲法をやる。こういうものをどういうプロフェッサーがどんなふうに科目を出すのか。それについて、基礎科目というのは、既存大学専門家というのは、こういうテーマでこういう科目でやるのだったら恐らく教授はおらぬでしょうね。これが高等学校以下の教育ならば、こういう広い、「人間と社会」とか「社会生活と法」とか「科学と技術」とかというようなものは基礎科目でやれると思いますけれどもね。  さて、放送大学という大学でこういう基礎科目を放映するということと、それからいままでの既存大学でやっている専門の科目との関連を考えてみると、どうもこの力点が生涯学習的なものに置かれている。いわば、そこに放送大学の持っている特徴があるということの一つの象徴なんではないか。いまの木島さんの質問に関連して言うならば、ですね。ですから、こういう基本科目でいくのなら、個々にそれぞれについて一項目——これはだれが選んだのか、いままでの大学先生方やなんかが集まってやったんでしょうね。こういうものをどこでだれが決めたのかはぼくはよくわかりませんけれども、これならば生涯学習的な科目だというふうに言わざるを得ないと思うんですね。そうしますと、やはり木島さんの出している議論に返るので、放送大学大学であるけれども、開かれた大学として生涯学習的なもののいわば拠点になるようなものとして考える機能が大きな役割りを持っているのではないかという疑問がわくわけね。  そうしますと、いままでの議論で言う大学教育のあれに限るという、放送法で言ってきたたてまえやそういうことと放送大学との間に、これは悪い意味、デメリットとして言っているのではなくて、積極的な意味として位置づけるとすれば、この放送大学の性格というのは普通の大学とはかなり違うし、塩野教授が言っておられましたようにかなり違う次元のものがあって、抱き合わせみたいなかっこうで新しいものを試みるんだから、一つの原理で割り切ることはできないものがあるというのはそのとおりだと思いますが、しかし、こういう科目を見る限り、やはり木島さんの出されている問題を抜きに放送大学という大学の性格を位置づけられないのではないか。  ぼくはこの科目を見て、どんな教授がやるのかさっぱりわかりませんね。われわれの専門領域の社会科学で言ったらこれは生涯学習ですよ。そう思いますが、どうですか。
  98. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 御指摘の点は、放送大学教育を展開していく場合の非常に大事なポイントとしてこれまでも論議をされてきたところであると思います。  どうしても放送大学で勉強する方というのは、高等学校を出てすぐ放送大学へ入ってくる人だけではなくて、むしろそれよりも社会人や家庭におられる方が多くなることは当然考えられるわけですし、そのことを考えれば、前回にも御議論がありましたように、具体的な問題というものを取り上げてそこから入っていくという配慮をすることが適当だという判断を、これまでの創設準備の過程で放送大学の準備に当ってきた方々は考えておられるわけでございます。  もちろん、これは一人の教官がこの基本科目に掲げられているようなテーマでおやりになるということは、それはできないことなのだろうと思うのです。もちろんできる方もあるかもしれませんが、一般的には異なった学問領域、専門分野の先生方が複数参加をされて、そして御議論の上で教育内容を固めて放送を実施していくという、そういう形にならなければ実現できないのだろうと思います。  たとえば、かつて科学と技術については、これはラジオを使ってやった番組ですけれども、崎川範行先生が中心になって四十九年度に実施をしたことがございます。これもやはり一人でおやりになるのではなくて複数の方々が御議論になってやっているものでございます。ですから、放送大学の場合も、これまでもたびたびお答え申し上げているように、そういうコースチームというものをどのようにうまく組んで対応するかということが具体的には大学の非常にむずかしい課題になるだろうと思います。
  99. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ちょっとお伺いしたいのですが、まず、一つは、いまの質問に絡んでくるのですけれども、第二十条には、第二号として、「前号の大学における教育に必要な放送を行うこと。」というふうに書かれておるわけですが、文部大臣の所信表明の中にもありましたように、この放送大学、いわゆる大学教育というものと生涯教育というもの、特に生涯教育への力点というものがかなり置かれておるし、これが将来さらに拡大をされてくるのではないかというように考えられるわけです。  そういうような意味におきますと、この学園の業務というものは、「大学における教育に必要な放送」というふうに限定をされておるが、先ほども池田委員質問によってNHK等々の話が出ましたけれども、やはりこの放送という機会を通していろいろな教育を行うわけでございますから、その特徴を生かしていかなければならないし、また、当然そういうふうに機能をしてくるのではないかと思います。たとえば世界各国に出かけていって、なかなか日本に来てもらえない大学の有名な教授等のそういうものをぜひ学生に聞かせたいという、そういうような可能性も出てくると思うんですね。  それから、また、この機会の特徴を言えば、最近また多重放送というような形になっておりますから、そういった意味で外国の教授が放送したものを多重放送で流すということになれば、語学の履修というものについても非常に大きな利点が出てくるわけですね。日本人は元来語学に弱いと言われておりますけれども、その意味から言っても、一つの革命的な影響が出てくるのではないかというふうに考えられるわけですね。  そういうことにしたときに、いわゆる生涯教育に力点を置くんだという、それも一つの大きなメリットであるというふうに考える場合に、「大学における教育に必要な放送を行う」というふうに限定的にしてしまうと、そういうものの手足が完全にこの放送学園としてはなくなってしまう。そういう必要性が出てきたときにこれが逆に歯どめになってしまって、むしろ放送大学と言ったってできないのだというような方向に行くおそれはないのですか。その点はいかがですか。
  100. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 大学教育か生涯教育かというように事柄を必ずしもとらえなくてもいいのではないか。生涯教育というか、生涯学習というか、リカレント教育というか、それは別といたしまして、生涯にわたって学習をしようとすると、その場、その機会というものを放送大学が提供する。その提供する放送大学教育の機会というものはまさに大学教育として提供される。そのレベルで提供されるものであるということだと思うのです。  いま御指摘の外国のすぐれた教授の講義というものも、放送大学の授業科目としてそれを開設していくということはもちろん可能であるし、十五週にわたってビデオ撮りをしておくということは不可能なことではないわけでございますが、それは大学が対応しようとすれば大学の主体的な判断で対応できることであるし、そのことは放送大学の行う教育放送大学教育課程に従った放送であるということと決して矛盾するものではない、いまの法律案が規定をしている放送大学の授業の範囲で十分に対応できることじゃないか、と思います。
  101. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまのことに関連しますが、もしそういうふうに一つのスケジュール的なやり方を組みますと、しかし社会はどんどん流動的に動いているわけでございますから、そういうように突発的に非常に要請が強くなってきたというようなケースの場合、そういうものをあらかじめ想定しておくことができないわけですから、そういう問題をたとえば大学が主催して、そのフィルムを流していくということはこの第二十条第二号の例からいってできますか。
  102. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 その点は初めのころに山原委員からも御指摘を受けた問題点の一つでございますが、やはり、放送大学の授業科目を開設し、それに対応して印刷教材を整え、放送番組をつくっていくことのためにはかなりな事前の時間が要るわけですし、もちろん開設をしていくのは一遍に開設をするわけではなくて、当初四十科目をあけた後に逐次それを補充し、かつ更新をしていくわけでございますけれども放送大学のカリキュラムに従って放送を実施していくということがございますから、その番組の制作なりあるいはその更新についてある期間がかかるということはどうしても避けられない。ちょうど高等学校以下の教科書の改訂とやや似た事情がどうしてもあるということは否定できないと思うのです。もちろん、そのことについては、学習センターにおけるスクーリングを通じての補充であるとか対応は大学として考えられないわけではないけれども、そういう制約があることは否定できないだろうと私は思います。  そのときに、午前中にも御質問があったような特別講義みたいなものをもっと柔軟に入れていったらどうだという要請がこれまたあることも私はよくわかるのですが、ただ、午前中にもお答えをしましたように、放送大学の行う放送というのは放送大学教育に必要な放送、したがって放送大学教育課程に沿った放送、そういうものとして位置づけていくということが必要なことであるし、大学としてはやはりそういうものとして考えていくのがいいだろう、しかし、やはりそういういま御指摘のような要請がある、そういうことを含めて、たとえばNHK大学レベルの番組との間の十分な連携なり調整ということをより積極的に考えていく必要があるのではないか、そういうように現段階では思っているわけでございます。
  103. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点、それに関連して郵政省の方にお伺いをします。  これは大学でございますから、そこに結集した大学人が一応のカリキュラムに従っていろいろな教育を行うわけですけれども、そういうものに付随してある特定教養番組というものをどうしても途中に入れたいというふうになった場合に、必ずしもそれがカリキュラムに組み込めるかどうかはまた問題が出てくるし、そのカリキュラムに組み込むか組み込まないかということも、これは文部省判断ではなくして、やはり、大学の自治というたてまえから、あるいは研究の自由というたてまえからもやりたいというような意思表示をした場合に、郵政省の方ではその判断についてはどういうような解釈をされますか。
  104. 松澤経人

    松澤説明員 午前にも申し上げたかと思いますが、教育番組とは云々という定義は、これはまさに放送事業者教育番組としてこれをつくるというたてまえでございますから、したがいまして、やはり、大学がカリキュラムにのっとって、まさにこの大学の講義としての教育番組をつくるということで処していただきたい、またそういう期待を持っておる、こういうことでございます。
  105. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、基本的な問題はそれでいいと思うのですよ。しかし、そんなことを申し上げているんじゃなくて、例外的にそういうようなことをしたいと大学側が決めた場合にどうなるか、それを伺っておるのですよ。
  106. 松澤経人

    松澤説明員 放送法におきまして、番組制作、番組の編集という問題は、まさに放送事業者の責任ということでございまして、まさにその職責にすべてをかけておる、一言で言いますとこう申し上げてよろしいかと思います。  要するに、番組の編集の責任と申しますか、これをすべて放送事業者にかけておる、その職責にゆだねておるということでございますので、結局放送事業者側における自律ということが強く期待されるものである、こうお答え申し上げたいと思います。
  107. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう少しはっきり言ってもらいたいのです。  そうしますと、私がいま提起したような問題は可能であろうというふうに判断してよろしいですか。
  108. 松澤経人

    松澤説明員 番組を制作いたします場合に、放送大学のカリキュラムと申しますか、教育課程にのっとった教育番組を制作して放送するということでございまして、この放送大学学園放送局免許に当たりましてはそういう放送を行うということで免許しておりますので、したがいまして、先生がおっしゃいますように、教養番組としてつくるとか、そういうことでございますと、これは免許の方針に必ずしも合致しないという場合があろうかと思います。
  109. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまのことに関連して大学局長に伺いたいが、けさの公明党からの質問で、トピックな問題について特別講演を放送大学がテレビを通じてやるということについては、自主的な一定の規制が要るだろうとおっしゃいましたね。いまの郵政省判断でいけば、大学が自主的に判断するならいいと言っているわけですね。  つまり、たとえば「科学と技術」というテーマは非常に抽象的で大きいですから、これに前段は何を教える、後段は何を教えるといっても何もないのですから、そういうときにすぐれたあるソフトエナージーに関する外国の専門家が日本に来ていた、ちょっとこんな話は直接聞けないよといったときに、たとえばロビンズさんならロビンズさんをつかまえて、放送大学がビデオを撮っておく、そしてあるときに出す、それに対して反対の意見も出すというようなことが自由に行われなければ、何かコースチームでやってみて、大体いまはこれが常識程度というものが仮にあるとしても、現代的な課題とは結びつかないものが三年でも四年でも流れているということがあり得るでしょう。  だから、むしろそういう自由は大学、教学側にあって、そしてときには必要なものをぽんぽん打ち出していったって、大学をつくってしまえば、極端なことを言うと郵政省にはくちばしを入れさせないというぐらいのことにならないの。大学局長はできないと言ったよね。
  110. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 結局、二十条の一項二号が言っている学園が設置する「大学における教育に必要な放送」というのは何だという議論になるわけだと思うのです。  これについて文部、郵政両省は、法案作成のときに十分に協議をして、放送大学教育課程に沿った、それに従った放送というものを二号の放送として考えているわけでございます。ですから、放送大学教育課程に沿った放送というものが何だということがその次の問題になるわけでございます。もちろんこれは教育番組だけを放送する放送局でございますから、教養番組のようなものが出ていくというようなことはあり得ないことであり、どこまでもできるのは学校教育番組、しかも大学教育番組が出ていくわけでございます。  そのときに十五週にわたる授業科目の授業のために必要な放送というものの中にいろいろな工夫をして、御指摘のような外国の教授の学説を組み込むということはもちろん可能であるし、それは授業科目に沿った教育内容考え、それを番組にしていくときには当然いろいろな工夫を大学側はすると思いますけれども、十五週にわたって放送されていくその番組とは別途に特別講義のような形で、たとえば昼間の再放送に予定している時間にそれを放映、放送するというようなことができるかどうかということになります。  これも確かに考え方の問題で、大学における教育に必要な放送である、それでそれが教育番組であるという議論が必ずしも成り立たないわけではないと私は思いますけれども、しかし、そのことを安易に考えていくと、午前中にも非常に議論のありましたように、この学園放送というものが既存放送体制というものに対して及ぼす影響最小限にとどめようということで広告放送を禁止し、しかも大学教育番組に限ってきているその趣旨とやはりぶつかる面が出てくる、それはできるだけ大学側は自制をしなければいかぬのだ、そう思っているわけでございます。
  111. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 これは両面から考える必要があるのではないかという感じがしているわけです。  先ほどの最初嶋崎先生の方からの、正規大学である必要があるかどうかということが問いかけの始まりでしたが、やはり、正規大学であることがこれを見よう聞こうという意欲をますます持たせることにもつながるわけですし、多くの国民の皆さんが参加をしていただくことにもつながるわけですから、でき得る限りの条件を整えて正規大学であるべきだと思いますが、同時に、また、そのことに拘泥し過ぎて、またはNHKとの関係放送法との関係に拘泥し過ぎて、その放送内容の範囲等が狭く解釈をされるということはどうか。せっかく国民のための放送として開設されるとするならば、それは最大の活用ができる余地を残しておくというか、その可能性を持っておくということがやはり大切だろうというふうに私は思うわけです。  ですから、NHKへの影響とかというようなことをきょうは朝からやりましたけれども、その辺のことをもちろん考えなければならないでしょうけれども、しかし、この放送大学学園放送する放送中身内容、限度というものは最大限に確保するということの検討と努力がなされるということがやはりどうしても必要だというふうに考えます。むしろこれは郵政省側は何とかその辺は最小限度に抑えたいというところになるのかもしれませんけれども文部省としては最大限度にそこに調整が必要になってくるということでなければならないのじゃないかというように私は考えるわけで、そのことについてどういうふうにお考えなのか。  いまいろいろな御質問がありましたが、こういうスポット的ないろいろな問題が織り込めるようにしておくということも必要じゃないかということは、やはり同じことが言えると思います。また、私は、生涯教育に活用してはならぬということだっておかしいと思います。せっかく始めるのです。生涯教育にも大いにこの放送大学が活用される。これは放送だけではなくて、学習センターも含めてありとあらゆる施設や制度そのものが活用されるところに、新しい教育体系としての放送大学がこれから日本の国の中に定着していくし、または大きな役割りを果たしていく芽となっていくのではないか。  いま、生涯教育の中でこれはどこの位置づけになるのだという御質問がありましたけれども、私は、まさに、その中心とは言わないまでも、その一つの大きな要因として発展していく芽というものをこの中に包含しているし、それを育てていかなければいけないという気持ちがするものですから、そういう前向きの熱意を持った姿勢というものをむしろ文部省に期待をしたいし、そのことについてどうお考えになっているかをお聞きしたい。
  112. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 それはまさに御指摘のとおりで、生涯教育、生涯学習として大学教育の機会を提供する。それはもちろん既設の大学もできるだけ大学を社会に開かれたものにし、社会人を入学させ、あるいは大学院に職業人を入学させるというような積極的な配慮をしていかなければなりませんけれども、それと同時に、あるいはそれにもまして、放送大学の場合には、その放送大学の行う教育そのものがそういった社会の要請にこたえ得る内容のものにしていかなければならないし、またできるわけですから、われわれは、放送大学というものは、高等学校を卒業する者に新しい高等教育への進学の機会を与えるということだけではなくて、いま御指摘のような生涯教育、生涯学習の機会というものを大学教育というレベルで提供するという意味において、非常に大きな意義をこれからの高等教育の発展の中で果たすものであると考えておりますし、そういうふうにぜひ育てていきたいと思っているわけでございます。そのための配慮として開設を予定している授業科目も、その内容における配慮が行われているわけでございます。  先ほど来の御議論は、結局放送大学がどのような授業科目を開いていき、そしてその授業科目を十五週にわたって放送によって展開していく場合の工夫ということにかかる部分が非常に多いのだろうと思うのですが、それは大学の主体的な御判断でいろいろな工夫が可能ではないかと思っているわけでございます。
  113. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 いまのお話を一応申し上げて、それから次の問題にいたしたいと思います。  いまだんだんおっしゃったように、これは初めてやる画期的な法案ですから、この世の中で一番最初は何もなかったところから始めるときには相当いろいろ勇気が要っただろうと思います。今度の放送大学法案もそういう意味で、以前に参考人のお話がありましたが、一番大切なことは国家権力の介入とそれから行政からの影響にできるだけ距離を持って、自由というものを保持していくようにすべきだろうという意見をおっしゃっておりました。そういった意味の歯どめというものを前提に置きながら、国民の要望の多い中で、十何年来の議論の中でここまで来たわけですから、おやりになるについては、先ほどから議論の中にありましたように、できるだけ国民の要望にこたえた形で進むべきだろうと思います。  さっき一番特殊の場合のお話がありましたけれども、十五週ある中で、カリキュラムを組むについては時間がかかるのででき上がったものはすぐには変えられないという事情はあるでしょうが、一般大学ですと、われわれが学生の立場で考えますと、わかりやすく講義してもらうためには、最新のニュースやら意見が出てきたら、そういうものをニュース的というのではなくて取り上げながら基礎的なものを理解させるために用いていくのは当然であるし、それをやらなければ嶋崎先生がおっしゃったような古色蒼然たるもの、味も何もないようなもの、せっかく放送というメディアを使いながらそういう古いものになりかねない。そういう観点から言えば、先ほど同僚委員が問題提起をした内容というものは、特別番組ということではなくて、十五週の中での補完的な立場、理解をしやすくするための教材として取り上げて放送するということは当然できるであろうし、またそういうふうにどんどんやるべきであろうというふうに私たちは思うわけです。  これは非常に微妙なところがありますから、お答えは前向きの姿勢でおっしゃっているようですが、そういうことはむしろやるべきではないかというふうに意見として申し上げておきたいと思います。  それから、次ですが、学園とそれから大学との関連で、施設の問題でちょっとお尋ねしたいのですが、一応学園の方が放送、それから大学の方が教育関係という形で大まかに分けておられるわけですが、当然これは放送の施設というものが必要になってくるわけですね。そうすると放送の設備なり施設というものは、所有権といいますか、管理権といいますか、それはどちらがどういうふうになってどういう形で一これは幕張に学園をつくることにされているわけですが、ちょっと管理的な施設的な問題になりますが、管理の主体というものはどういうふうになるのか、そこらあたりをお尋ねしておきたいと思います。
  114. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 いまの御質問の点は放送大学学園関係考えていく場合の最も重要な問題点の一つだと考えております。  学園の中で大学と、仮に言えば放送局というものをどういう位置づけにするのかということは、それはまさに学園がスタートをした後において学園なり大学側が主体的に検討すべき事柄ではございますけれども、いま私ども考えている考え方は、学園の中における大学放送局との関係というものはやはり対等、並列のものにした方がいいだろうという考え方であります。  したがって理事組織においても大学の学長が職務上当然に理事になって教学を担当することと並んで、やはり放送を担当する理事というものがなければいけないと考えておりますし、それから放送局の位置づけは、大学のいわば学部の方に取り込まれた形で放送局があるというのではなくて、そこは並列に大学放送局がある、その間においてコースチームを通じた十分な連絡調整というものを番組作成を通じて考えていく、そういう位置づけにするのがいいのではないか、そう考えているわけであります。
  115. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そうすると、大学の中に放送局というものを置いて管理一切もやってしまうという形になるわけですね。
  116. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 それはそうではなくて、むしろ学長の統督をする放送大学というまとまりと申しますか、部門の中に放送局を置くのではなくて、その外に、言葉が若干不正確になりますけれども、いわば理事長の番組編集責任というもののもとにおける放送局というものがある、そういう並列の関係にした方がいいだろう、と考えているわけであります。
  117. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 施設の面ではそういうことになってしまうのかなあ。  そうすると、番組をつくる場合に、大学の中にそういう放送プロデューサーとかなんとか関係の人とそれから大学先生方というものを置いて云々ということじゃなくて、やはりその中で寄り寄り集まってしまってやるという形になるわけですね。
  118. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 具体的に番組をつくっていくのは、これも再三お答えしましたように、まず大学の方の教学のスタッフ、教授が複数集まって議論をしてその教育内容放送の素材というものを固めていく、そしてそれを今度は放送番組につくっていくための過程、放送台本をつくりあるいは映像として固定をする段階になると、そのコースチームのところにディレクターであるとかあるいはプロデューサーとかいうような放送関係のスタッフが入ってきて、そこで十分な意見の交換を行った上で番組をつくっていく、そういう形になります。  ただ、その場合に、その放送関係のスタッフというものが大学側のスタッフに絶対になれないんだというふうに決め込んで考える必要は必ずしもないだろう。基本的には放送局のサイドにそういうスタッフはもちろんいるわけですけれども、同時に、大学側の方にもそういう人のうちの何人かがいるというようなことを考え大学が工夫をして人的構成を考えるということは、それは大学判断することはできるであろうし、これは全くその人によるからここで決め込んで言うわけにはいかないけれども、プロデューサーの仕事をなさるけれども同時に大学の教授あるいは助教授というふうな、そういうステータスも持っているというような人があってもおかしいことではないだろうと私は思います。
  119. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの問題に関連しますが、今後この放送大学学園を中心にして逐次地方につくっていくわけでしょう。そうすると、いまのお話でございますと、たとえば関西なら関西にそういう放送大学をつくれば、同時にこれは新しい学園をおつくりになるのですか。そういう意味じゃないでしょう。  そうしてみると、いわゆる学園ができた、関東中心に新しい放送大学ができた、その後何年かしてたとえば大阪にできる、九州にできるという場合に、いまの大学局長がおっしゃっているような放送関係の有識者を理事に充てるというようなことになると、理事の定数の問題と、それからそれぞれの地方に置かれた放送大学に付随してもう一つそこに大きな学園の事務局が必要であるという感じにもなってくるのですけれども、そこら辺の問題はどう整理して考えたらいいのですか。
  120. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 私の御説明が非常に不的確だったので誤解を生じており、大変申しわけないと思いますが、放送大学教育網を広げていくときに、たとえば大阪に広域の送信所を建てるということは、それはそこにまた新しく放送大学をつくるのだというようには考えていないわけでございます。放送大学というのは全国にわたって一つ、それから放送大学学園というものも一つ、そういう考え方をとっているわけでございます。  ただ、もう少し突っ込んで申しますと、そのことについて議論がないわけではございません。その放送大学というものを全国一律に同じ番組が出ていくという形で構想するよりは、幾つかの放送大学連合体みたいな形で構想した方がいいのではないかという議論はもちろんなかったわけではございません。しかし、そのことについては検討をし、整理をした上で放送大学というものが一つつくられる、その放送大学教育というものが放送を通じて全国に伝達をされ、そして全国に放送大学は学習センターを持って、そして学習指導を行っていく、そういう体制をとろうということになっているわけでございます。
  121. 湯山勇

    湯山委員 簡単なことですけれども、御答弁に矛盾があるような気がしまして、これを明らかにする必要があるのではないかと思うのは、放送大学免許に当たって放送大学のカリキュラムにしぼって免許するということですね。だから、こういう放送をしたいと思っても勝手にやるわけにはいかないのだということが大要の御説明でしょう。  そうすると、他の大学に利用させるという問題は、それは他の大学放送の施設を使うのじゃなくて、この放送大学学園が他の大学のものを出してやるのだから、使わすのじゃなくて構わないのだということですね。この二つに大きな矛盾があるわけです。  ということは、さっきの話のように放送大学のカリキュラムに限って免許する。すると他の大学通信教育放送というのは放送大学じゃないわけです。他の大学ですからカリキュラムも違っています。よその大学のカリキュラムであるし、教授も違うし、科目も違う。それが入る余地があるというのですね。だから、その分だけ見れば法的に正しい。一方だけ見れば正しいけれども、二つあわせたら大変な矛盾で、そんなよその大学通信教育のそれまで割り込む余地があるのに、なぜ一体これはぜひ聞かせておきたいという人の講演を聞かすようにならないか。こういう問題に結びついてくるわけです。  もし郵政省の言うように放送大学のカリキュラムに限っての免許なら、他の大学通信教育放送大学学園放送するのだからというのは、他の条文の問題でいまのと関係ないわけだから、二つ合わせると大変矛盾が出てくると私は思うのですが、これはどうなるのですか。
  122. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 その点も御説明が足りなくて申しわけがないのですが、二十条の規定によって、いわゆる目的達成業務として主務大臣の認可を受けて他の大学のための放送を実施する場合でも、その放送内容教育番組であり、かつ大学教育番組でございます。そのことは言葉をかえて言えば、他の通信教育のための放送といえども具体の大学通信教育におけるカリキュラムに沿った番組を出していくということになると、そう理解をしております。  通信教育を実施している大学というのは非常に数が多いわけですから、したがって、それらの大学のためのものを全部実施するなどということはできない。したがって、かねて申し上げておりますように、その点は学園通信教育協会の方で十分な協議をして、幾つかの大学の共通教材になっているようなものについて放送大学放送をしていくのか、あるいは通信教育を実施している大学のうちの特定大学のものについてまずやるというような形で対応するのか、それはこれからの協議にかかるとは思いますが、いずれにしても、その番組というのは、通信教育を実施している大学の教官の参加を得て、そして放送大学が自分の番組として送り出していくという形をとる、それはやはりそれぞれの個々の具体の大学教育課程に沿って行われるものであるという、その基本は変わっていないわけでございます。
  123. 湯山勇

    湯山委員 ますますおかしくなるのではないですか。  ということは、いま郵政省の方の言われたことは放送大学のカリキュラムに限る。いま局長の言われたのはそうではなくて、他の大学通信教育ですから、特に放送する先生も違うし、もちろん放送大学と他の大学とでは教科目の立て方も違っておるわけですから——放送大学放送を他の大学が連絡して受信面で利用するということはあり得ると私は思いますけれども、他の大学のカリキュラムに従ったそういう講義を、しかも放送大学先生でない人が放送するのが割り込む余地があるなんということはいままでの御説明からは出てこない。いまの電波監理局免許説明からは出てこない。だから、いまのように、これを聞かせたいと思ってもそれはできないというのはそこから来ておるわけで、それなら他の大学通信教育が入れるなら、放送大学がこれを聞かせたらいいと思うものは入れてもいいと……。
  124. 松澤経人

    松澤説明員 ただいまの問題につきまして、私はその点に朝ほど触れたかと思いますが、若干舌足らずあるいは説明不足であったかと思います。  例の免許基準、これはもう一つきちんと申し上げますと、大学教育のための教育番組ということでいわゆる免許をするという形になるわけでございます。大学教育のための教育番組ということでございます。
  125. 湯山勇

    湯山委員 まだ私は聞きたいことがあるものですからなるたけ時間をかけないようにと思ったのですけれども、いまお聞きのとおりなんです。  放送大学のカリキュラムというのは独自なものなんです。科目も、いま嶋崎さんから御指摘のあったようにちょっとよその大学ではできないというような形のものですよね。それもおわかりでしょう。そしてあなたがずっとお答えになったのは、放送大学のカリキュラムでやるのだということで、私もそれを念を押してお聞きしたはずです。  もしいまのように緩和するのなら、どこの大学のものでもいいのですか。大学教育放送なら、それは放送大学はどこのでも出していいのですか。もう一遍聞きます。
  126. 松澤経人

    松澤説明員 ただいま申し上げたところでございますが、そこで今度はこの大学の業務はいかがかといいますと、この第二十条に規定してあるとおりということでございまして、その中で三項の「主務大臣の認可を受けて、」「第一条の目的を達成するため必要な業務を行う」という、ここで先ほどのような他大学のあれが出てくるのではないかと、こういうふうに理解しております。
  127. 湯山勇

    湯山委員 ここは大事なことをおっしゃっているのだが、部長さん、主務大臣というのはだれですか。これはだれの許可ですか。
  128. 松澤経人

    松澤説明員 これは郵政大臣及び文部大臣です。
  129. 湯山勇

    湯山委員 二人の許可を得ぬといかぬのですか。
  130. 松澤経人

    松澤説明員 さようでございます。
  131. 湯山勇

    湯山委員 これはますますおかしくなりますが、それでは大臣の許可を得れば、たとえばりっぱな音楽家が——これは教養になるからだめか。これは何がありますか。  とにかくだれが来た、これは前もって予定されるというときに、主務大臣の許可を得ればどの大学のものでもできるのなら、できるのではないですか。
  132. 松澤経人

    松澤説明員 この場合の他大学のための放送と申しますか、他大学関係するその放送も、これもこの放送大学放送と、こういうふうに位置づけるわけでございます。
  133. 湯山勇

    湯山委員 それでは放送大学のカリキュラムによる放送ですか。もう一遍聞きます。
  134. 松澤経人

    松澤説明員 これはこの大学そのもののあれにはならないと思いますね。
  135. 湯山勇

    湯山委員 そうでしょう。本来違うんですね。そこまでわかれば結構です。
  136. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 これは前からお答えをしていることでございまして、放送大学が貴重な電波を利用することについて、通信教育の側にはかねてから、放送大学だけがそれを利用するのではなくて、通信教育側での調整がつくならば通信教育にもその放送の利用の道を開いてほしいという要請が非常にあるわけでございます。  それを受けて検討をした結果、放送大学の本来の業務は、二十条の一項に書いてあるように、放送大学学園が設置する大学における教育に必要な放送を行うということが放送大学学園の業務ではございますけれども、三項に特に規定を置いて、認可を受けて、目的達成業務として他の大学、特に私大通信教育のための放送を実施することができるような措置を講じたわけでございます。もちろんこれは放送大学教育というものに支障を及ぼさないということが前提になることは言うまでもございません。
  137. 湯山勇

    湯山委員 これは簡単な問題であると思ったのですけれども、いまのはそういう希望があったので仕方なく、やりくりしてというのですか、そういうことに拡大解釈してというか、解釈をつけたような御説明です。実態はそうでしょう。  ですから、使わせてはならないものに使わすのですから、それをそういうふうに主務大臣の許可を得たらそれもできることにしようということにしたのですから、さっきもおっしゃったように放送大学のカリキュラムだけに限定するというようなことではない。それならもっと幅があっていいのではないか。  ここまでの指摘にとどめます。
  138. 山原健二郎

    ○山原委員 さっき午前中の論議NHK影響の出る場合には検討せざるを得ないという話が出てまいりまして、NHKの財政、受信料というようなものを必要があれば検討せざるを得ないということは、これは大事な問題だと私は思って聞いておったのです。四十一年の法改正の中には受信料の義務化というものがありまして、それでかような問題になってきたわけですが、いまの放送部長の御答弁によりますと、NHK影響のある場合は検討せざるを得ないということ、すなわち放送大学ができることによって現在の放送法の趣旨を変更せざるを得ないということが出てくるわけですね。これは大変なことだと思うのです。  この点を最初に確認しておきたいのですが、NHK自体は受信料についての努力を続けて、現在一〇〇%には達しておりませんが、九六%ぐらいだと思いますが、努力はしているわけですけれどもNHK影響がある場合は検討せざるを得ないということになりますと、これは新たな問題ですから確認をしておきたいのですが、そういうことでよろしいですか。
  139. 松澤経人

    松澤説明員 先ほど申し上げたことは、NHK放送とはほとんど競合することにならないから受信料制度に及ぼす影響はないものと考えて今回の法案を提出したと申し上げたわけでございます。  それで、仮にということでそういう状況が今後生ずるような場合には、政府としてはそれなりにまた考えていかなければならない、そういう必要性は出てくるであろう、こういうつもりで申し上げたわけでございます。
  140. 山原健二郎

    ○山原委員 仮に、でありましても、この委員会の御発言の中には影響が出てぐるという認識を持っておる委員の方が多いわけで、影響は出てくるでしょうね。  仮に出てきた場合には検討するということになりますと、これは四十一年の法案の趣旨がそのまま生きてきて、しかも一方では電波法放送法の抜本的な改正を省を挙げてやっているということになってきますと、これは自然に発生したものではなくて、放送大学ができるということの影響がここで出てくるわけですから、これは逓信委員会でも当然問題になると思いますが、この委員会でも問題として残しておく必要があると私は思います。それが一つです。  それから、学園大学関係ですが、放送大学大学教育を行うために放送を使うわけでしょう。そうしますと教学が主であって放送というのは従という言い方はおかしいのですけれども、そういう関係にあると思うのです。だから、あくまでも大学教育を行うということを主張されているわけですから、その点でこの法律ではそれがそうなっているかと思って調べてみると、学園理事長が権限が非常に多いわけでして、理事は総務、財務、放送、教学の四名ができるわけですが、この理事一人が学長ですから、結局学長というのは学園理事長の補佐の役割りをしている。こういう位置づけに法律上はなっていると思います。  そうすると、放送大学という教学第一義の立場ではなくて、学長の地位といいますか、そういうものはかえって学園のもとに置かれる補佐機関ということになるんじゃないか。この点、学園大学関係がどうしても私は理解しにくいのです。  私は、学長がこの大学におけるすべての権限を持つべきじゃないかという気持ちを持っておりますが、あえて補佐機関にしたのはどういうところに原因があるのでしょうか。これを伺ってみたいと思います。
  141. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 通常の私立大学の場合であってももちろん理事長が設置者である法人にはいるわけでございますし、その法人はまさに大学の設置者として機能していくわけでございます。しかし、大学という教学組織に関する限りは、その教育研究の内容等について理事者側が介入できないということは当然のことであり、この大学の場合でも、放送大学の教学の内容について理事長が介入できないということは当然のことでございます。  さらに、人事の面では、理事長は学長の任命について文部大臣に上申するということになっておりますけれども、上申は評議会の議に基づいて行うということが法律で明定してございます。また、教員の任命についても学長の申し出に基づいて行うことになっているし、その学長の申し出というのもやはり評議会の議に基づいてなされるわけでございます。そういう形で、大学の自治を具体に考える場合に最も重要な要素である大学の教官の人事、学長の人事については、教育公務員特例法の趣旨に沿った手当てがしてあるわけでございます。  放送大学学園大学との関係について、いま御指摘のような理事長が大学教育研究に介入をすることになるというようなことはおよそあり得ない。また、それに必要な手当てはしてあると私は思います。  さらに、もう一つ進んで理事長と理事関係でございますけれども、これについても確かに理事理事長の補佐機関であり、教学の関係については学長が当然に職務上理事となるという手当てをしてあるわけでございますが、かつて御質問お答えしたことがございますけれども、ここのところを理事会組織にしてはどうかというような御議論もございますけれども、われわれが理事会組織をとらなかったことの一つの理由は、理事会の合議制をもって事を執行するということになった場合に、その学園大学との関係大学学園における自主的な独自の地位が理事会組織をとることによって弱められる懸念なしとせずということで現在のような体制をとっているわけでございます。
  142. 山原健二郎

    ○山原委員 次の議題が非常に重要な議題で、これ以上質問しませんけれども、いまおっしゃることは私はまだ納得がいかないのです。  というのは、この前の局長答弁の中で、理事長は大学の教学に対して介入はできないということは確かにおっしゃられているわけですが、この大学放送という機関を使うわけですから、その放送に対して理事長が放送編成権といいますか、それに対しては意見を言うことができる、いわば介入することもできるということに考えられる面があるわけです。  それから、もう一つは、私は必ずしも合議制だけを主張しているわけではありませんけれども理事長の独任制というかっこうになっておりまして、理事長一と理事四というものの運営がどういうふうになされるのかわかりませんが、局長としてはそういう点について教学権を守るために合議制にしない方がいいんだとおっしゃる気持ちもわかります。それはわかりますが、同時に、事は、学園にある運営審議会というのはかなり強力な権限を持っておりまして、理事長に対して意見を言うこともできるということになってきますと、この運営審議会の運営の仕方によりましては、放送大学の教学に対して、あるいは重要事項に対して理事長の諮問に応じて言うだけではなくて、理事長に対して意見を述べることができる。こういう仕組みになっておりますから、この仕掛けから言いますと、運用によりましては教学に対して会の介入する可能性を残しているんじゃないかという点はもう少し突っ込んだ論議をしておく必要があると思います。  大学局長としてはその辺は相当綿密な組み立て方をしておりますけれども、やはり私としては疑問が残っておるところですから、その点は疑問を持っておるということを一応指摘して、この問題はとどめたいと思います。
  143. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまの山原さんの質問と同じように、NHKがやるときはハードとソフトを統一していて、片一方番組編成の基準もあるし、それで事前にいろいろなチェックもできるし、問題があればすぐ機関にかけて議論することができます。ところがここの場合には二元的な二つの機関というものを前提にするところに特殊法人の妙味があるわけだけれども、その妙味はあくまで教学が基本であって、そしてこっちの方はむしろサポートしていくような性格を持つものとして位置づけられていないと——たとえばさっきの話じゃないけれども、コースチームの中で与えられた単位以外にこれをやるための特別講義として、正規放送ではないが昼流しましょうと仮に決めたとします。ところが、それをやろうとしたときに、たまたま出たものについて、その内容について、今度はある意味では番組編成権を持っている理事長側の機関がそういうものは必要ないということで審議会から意見が出てくるということがあり得ると思うのですよ。  だからこそそこに自覚的妥協という言葉が——塩野教授じゃないけれども、これはうまいことを言ったが、自覚的妥協というのは言葉の上ではきれいだけれども、実際には対立しているものを含んでおるわけだから、そこで塩野教授が言っているように、学園大学との間の調和を図るための手だてを法律的に保証していく機関を——そういう場合に教学側が優先するのかどうかは別として、その対立を調和させる自覚的妥協というものを、単に運営上の精神に任せるのではなくて、一定の調和を図れるものを考慮しておく必要があるのではないかという気が私もするのです。  だから、実際に運営していく過程で理事長さんたちも含めて議論をされるだろうし、それでプロデューサーや何かもコースチームの中に参加して、番組編成を頭に置きながら、その教材というようなものをどういうふうに放送するかということについて常に協議が行われていくだろうと思いますから、たまにしかないかもしれないが、この対立というのは三年に一遍か四年に一遍か五年に一遍か知らないけれども、たまに起きるそのことが重大な意味を持ちますから、これをどういうふうに措置するのか私はわかりませんが、ただ、やはり依然として調和を図るための機関の設置みたいなものが要るのか、それともその調和を図るための手だてというものを法律事項として起こしておいた方がいいのかという点を少し今後検討する問題として留保しておきたいと思うのです。  塩野教授からも、その点は、法律事項として起こすかどうかということについてはいろいろな議論が、かなり消極的ではありましたけれどもあって、この問題は避けて通れませんよという問題提起はありますが、二元的な機関としてこの大学を運営するからにおいては、常に配慮する問題だという点を材料にして、今後ともどうするか、少し議論を進めていきたいと思います。
  144. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 御指摘のように、放送大学教育内容については、放送大学が他からの介入を排して大学で決めていくべき事柄であり、また、そうセットをしてあるわけでございます。  片や、番組編集の最終責任は理事長にございます。放送事業者としての学園、それを代表する理事長が番組の編集についての最終責任は持ちます。したがって、そこには当然御指摘のような対立というものが理論的には十分に起こり得るし、実際にもそれが起こってくる可能性はあるわけでございます。  もちろん、この放送大学の場合には、そういった対立というものを、大学と他の放送事業者というような形で問題が出てくるということでないように、一つの設置主体のもとで二つの部門の間における調整ということが可能なような工夫をまずしているわけでございますが、その両者の間の関係というものを最も賢明に処理をしていく方法としては、これもかねて申し上げているコースチームによる教育内容の決定、それを番組にしていく過程における両者の共同作業というものを通じて放送側と大学側との賢明な調整を図っていくということが最も現実的であろうと思います。  しかし、その場合であってもなお理論的には対立が残るということはあり得るので、それをどうするかということが御指摘のように課題になるわけですが、私どもは、その場合に法律上その調整の場というものを規定することは、それは必ずや大学の教学側の、いわば教授の自由というものに対する制約的なものとして働くであろう、そちらの方のおそれがむしろ多いであろう、だから、その調整の場を塩野先生が御指摘のように考える必要があるとするならば、それはまさに大学学園との間の十分な協議によって大学の内部の機関として自主的に設けていく、そういう工夫をすべきであろうと、そう考えているわけでございます。
  145. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、次の教授会と、それから教授会の中のいろいろな委員会、コースチームのつくり方というものはやはり非常に大きな問題になってくるわけです。それと評議会の関係を過程的に少し煮詰められておかないと、いまのような問題は、実際には教授会はあり評議会はあるけれどもという問題になると思うので、いまの問題に関連しながら少しずつ第三事項に移っていったらどうでしょう。
  146. 坂本三十次

    ○坂本委員長 第三の議題にそろそろ移ってよろしゅうございますか。  次に、第三の放送大学具体的構想及び放送大学拡大計画等について質疑を進めます。
  147. 西岡武夫

    ○西岡委員 先般の委員会質疑文部省の方から、この円卓方式の質疑の際に改めて今後の構想の説明があることになっていたというふうに私は記憶をいたしますので、文部省の方からまず御答弁、御方針をいただいて、その上で質問をさせていただきたいと、このように考えます。
  148. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 西岡先生放送大学の将来計画のお尋ねでございますが、将来における放送大学対象地域拡大の問題については、文部省としては、今後における高等教育計画的整備を進めるに当たって重要なプロジェクトとして対処すべきものと考えております。  したがいまして、この観点からすれば、その目途としては、現時点におきましては、現に策定中の後期高等教育計画に引き続き、それ以後十年間を計画期間とする新しい高等教育計画策定を予定することといたしまして、それに即応して昭和七十一年度までには全国各都道府県に学習センターを設置し、全国各都道府県において学生を受け入れることを目途といたしたいと考えておる次第でございます。
  149. 西岡武夫

    ○西岡委員 問題は二つございます。  一つは、この放送大学の大きな意義、設立、創立される意義というものは、高等教育機関が非常に偏在をしており、したがって、離島であるとか過疎の地域とか、高等教育機関が非常に少ない地域で学びたいと考えておられる方々がいつでもどこでもだれでも学べる高等教育機関ということに放送大学を創設する大きな意味があったわけでありまして、私が先般の委員会を通じて質問申し上げました第一の趣旨は、当初の計画の時点で高等教育機関が非常に少ない地域をまずスタートさせるべきではないか、しかし、一方においては情報の集積とか、そういう新しいことを始めるわけだから、東京であるとかあるいは大阪であるとかというような地域も並行して、むしろ二次的に並行してそれを進めていくということはあり得ても当然であろう、そういう意味で、スタートの時点で、高等教育機関の少ない地域をまず第一に発足させるべきではないかという意味のことを私は申し上げたわけです。  それと、もう一つは、二番目の問題は、いま七十一年までにという非常に気の遠くなるようなお話があったわけでございますが、もっとスピードを上げなければ、そんな悠長なことで始めて全国をカバーするということでは、この放送大学に対する国民の期待というものは全く急速に薄れてしまうのではないか。いまの大臣の御答弁には全く私は不服でございまして、そういう計画はどうも納得できない。  この二点について改めて御答弁をいただきたい。
  150. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 確かに西岡先生のおっしゃる地域、四国とかあるいは東北とか偏在した放送の機会の少ないところ、これをやるということは非常に大事だと思う。ただ、文部省としては、最初の試みでございますからまず東京タワーと、こうきたのですけれども、御指摘の点はまことにごもっともだと思っています。そういうところこそ放送が必要だと思います。  それから、確かに七十一年というのは長過ぎるとおっしゃる。七十一年でなくもっと早くやれ、これも御指摘のとおりでございますが、これは今後放送衛星等の問題もありますから、もっと早めるように私どももできるだけの努力をいたしたいと思っています。
  151. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 補足をして若干御説明を申し上げます。  前回にもお答え申し上げておりますように、現時点においては余りにも不確定な要素が多くて、これから関係省庁と十分に協議をしながら、いま御提案を申し上げている第一期計画に続く拡大計画をどう整えるかということを協議しなければならない、そういう課題である、したがって現時点において将来の計画を申し上げることが非常に困難だ、という事情については御理解をぜひ賜りたいと思うわけでございます。  先ほどの大臣のお答えを若干補足をいたしますと、私ども考えておりますのは、現在策定中で近く中間報告をする予定でございますが、五十六年から六十一年までを計画期間とする高等教育の後期の整備期間において放送大学をできるだけ早くスタートさせ、後期の高等教育の整備における重要な役割りを果たしてもらいたいということをまず念願をいたしております。  五十七年にスタートをすることが可能であれば、まず最初学生が卒業可能となるのは六十一年の四月でございます。ちょうど後期の期間とほぼ見合って進捗を見ることができるであろう、この場合の対象地域について、東京タワーということだけではなくて、さらに僻地ということを考慮に入れた対応をすべきである、という御指摘は私どもも十分にわかります。  しかし、放送大学というものを具体的にスタートさせて、そしてそこで十分な、具体的にいま御指摘になっているような問題についての対応というものを考えながら、次の拡充ということを考える、そのためにはやはり十分に慎重なステップを切る必要があるということから、いま一期で御提案をしているような対象をぜひ対象としてスタートすることをお許しをいただきたい。そしてそれに引き続く期間というのは、六十一年以降十八歳人口が再び急激な増加を見せまして、六十一年で百八十万人台の者が六十五年、六年当時になりますと二百万を超すようになります。その後また減少をいたしまして、七十年代に入ると百七十万人台でほぼ横ばいの時期が続くというような見込みでございます。  そういうことからしましても、当然、現在策定中の後期の計画に続いて、六十二年から七十一年あるいは七十二年ということを計画期間にとった次の新しい高等教育の整備計画を立てる必要がございます。この次の高等教育の整備期間において放送大学の全国的な教育網というものを完成させたいというのが文部省考え方でございます。  その場合にいどのように放送網あるいは教育網の整備を具体に進めるかという課題が次にあるわけでございますが、これもきわめて確定的に申し上げることはできないわけでございますけれども、私は、やはり、基本計画が指摘しているようなステップを踏んでいかなければならないだろうと思います。ということは、一期の計画に続く二期の計画としては、基本計画の一期の計画で提案をされている程度の規模、つまり東京のほかに名古屋、大阪の広域の送信所を整備する、さらに東日本、西日本から一ブロックずつを選んでそこに県域の送信所を整備していく、その程度の規模のものにまず第二期は入っていく、ということになろうかと思います。  その場合に東日本、西日本のどこのブロックをとるかということについては、一期計画が指摘している四国あるいは東北という点については留意をする必要がございますけれども、実際にどのブロックにするかということについては、高等教育の今後の整備ということを考えて、さらにもう一度そこは再検討する必要があると思います。しかし、いずれにしても規模はその程度のもので第二期が動くであろう、第三期に入って、残余の各県について学習センターの整備を図っていく、ということになるわけでございます。  その場合に非常にむずかしいのは放送網の整備をどうするかということで、いま第二期の計画について、基本構想で言っているように県域の送信所を整備していくということを申し上げましたけれども、それは現段階では放送衛星についての実用化の対応というものが確定をいたしませんからそういう申し上げ方をせざるを得ない。放送衛星というものを放送大学のプロジェクトの中にどのように取り込んでいくのか、それと地上の送信所とをどのように組み合わせていくのかという点については、これは今後郵政省と十分に御相談をしなければならないことでございます。  ただ、地上局と衛星とを両方使うという考え方を仮にとったといたしますと、たとえば二期の計画、三期の計画を通じて基本計画で言っている県別送信所のうちの第一次の県別送信所、これと先ほど申し上げた広域送信所というものを建てていくということにしますと、三つの広域送信所と四十五の県別の第一次の送信所によってカバーできる世帯のパーセントというのは約六五%ぐらいでございます。残余の部分については一次の県別送信所ではカバーすることはできません。もちろん二次、三次の県別送信所を設置した場合に、基本計画で言っている八〇%、八一%というカバレージが確保できるわけでございます。  ですから、そういった広域送信所、県別送信所の第一次と放送衛星というものをドッキングさせて、そして六五%以外の残余の部分については放送衛星をもってカバーするという考え方をとるのか、あるいはもっと放送衛星というもののシェアを大きくとっていく方がいいのか、これも実際に今後の衛星の計画の進捗状況によって、郵政省やあるいは財政当局と十分な協議を経ないと確定の困難な課題でございます。  なお、衛星を使うか県別送信所を使うかということ事態がこれは文部省だけでは考えられない、郵政省の方の放送行政の御方針というものに深くかかわることでございますが、一応いまの段階では、七十一年を完成年次とする新しい高等教育計画の中で全国に教育網を広げる、そういう計画で臨みたいということでお許しをいただきたいと思います。
  152. 西岡武夫

    ○西岡委員 私は、今回文部省がお考えになっておられる関東を中心とした第一段階の計画を全く否定しているわけではないわけです。しかし、私が申し上げたいのは、本来の放送大学を創設するということの大きな意味一つは、繰り返しになりますけれども、高等教育機関に恵まれない地域の学びたい人たちのために放送大学というものがまず第一義的に存在すべきである。そのところを全く抜きにして、高等教育機関が非常にふんだんに存在をしている関東だけでスタートをするという発想自体に基本的な誤りがあるのではないか。少なくともスタートの時点で、過疎の高等教育機関の少ない地域というものが第一期の計画の中に組み込まれていなければ意義が半減するのではないか。そのことをつけ加えるべきであるということを申し上げたわけです。  それから、これは技術的な問題になると思うのですけれども、たとえば関西を一期計画の中に入れれば、四国なども補助的な送信所を設ければかなりカバーできるのではないかという感じもするわけで、そういうことをなぜお考えにならないのか。いろいろな予算の問題等ももちろんあるわけでしょうけれども、まず計画ありきであって、予算の問題は次の問題ではないかと思うのですが、そこの発想がどうしても納得がいかない。これが一点です。  もう一つは、先ほどから局長の御答弁で、高等教育機関の整備計画ということが出てきているのですけれども、いままで戦後三十年余の間、計画的な高等教育機関を整備していくという体系立った計画というものはなかったと言っても過言ではないと思うのです。たしか来年の三月三十一日までの間に、高等教育機関の整備についての計画、高等教育地図とでもいいますか、初めてそういう学術地図みたいなものをつくり上げるということで、いま作業が進んでいるということであって、その中で放送大学というものをどういうふうに位置づけるかということをいま局長は御答弁になったんだと思いますけれども、これは昭和七十一年までに全国をカバーするというような発想でこの放送大学は少なくとも構想されたものではなかったと私は考えています。  第一に、放送衛星の問題にしても、この放送大学が起案された十年前の時点で、放送衛星がいつの時点で打ち上げられるかというようなめどは全くない、その時点で放送大学というものが起案されたわけであって、その放送衛星というものを前提として将来のことを考えるということは、これは途中で出てきた問題であって、もともと文部省計画をしている放送大学の構想というものは、場合によっては既存民放も含めた放送局のタワー等を活用するということも含めて検討されていたはずだと私は記憶しているわけです。  そういうことを考えますと、七十一年までに全国を整備するという計画は余りにも悠長な計画であって、少なくともせいぜい五年や六年ぐらいの間に全国をカバーするというものでなければいけないのではないかと考えるわけですが、その二点について重ねて御答弁をお願いいたします。
  153. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 放送大学計画をスタートさせるときの規模の考え方、対象地域の考え方の基本的な考え方はいま先生から御指摘のとおりであったと思います。したがって、基本計画も東京、大阪、名古屋という広域送信所に加えて、東北、四国という高等教育の整備の面において収容力の著しく低い地域を対象にするという考え方をとったわけであります。  私どもは、具体的に放送大学計画を推進するためには、できるだけ早くこのプロジェクトを主体的に進める学園大学というものをスタートさせる、そのことがこれからの放送大学の構想を前進させるために不可欠なことである、と思っております。やはり、文部省考えるということではなくて、具体に大学をつくり学園を構成していく人たちが自分の問題として事を考え、そして国公私立の大学と協議をしていく、そのステップを一日も早くとる必要がある、そうでないとこれまでに御指摘を受けているたくさんの問題について積極的に対応していくということについてはやはり限度のあることではないか、と思うわけであります。  そういう意味で、できるだけ早くスタートをさせたいし、それをさせるためには、いま先生から御指摘がありました予算の問題その他いろいろと現実の問題がございます。したがって、それを考えながら、しかも今後の拡充のために十分な資料を得ることのできる地域として、東京タワーから電波の届く範囲と、さらに一つ関東周辺における県域の送信所というものを考えたわけでございます。問題は、先生の御指摘の点は十分承知をしておりますけれども、それをあえて放送大学を早くスタートさせるためにはこういう方法をとる方がやはりベターであるという考え方をとったということを御理解をいただきたいと存じます。  それから、全国的に教育網を張っていくスピードというのは、それはもちろん御指摘のように早い方がいいし、また、そういう要請があるということは承知をいたしておりますけれども放送大学計画というものを具体的に進める場合にはどのようにして放送大学放送網を張るかということだけではなくて、どれだけ十分に学習センターというものを機能させ、全国に置いていくかということが、これはまさに表裏一体になった課題として出てまいります。学習センターというものを実際に活動させ、そして本部との間で十分な連携をとりながらスクーリングを行っていくということは、これは具体に検討すればするほどまことに容易ならざる課題だと思います。  これも放送大学を早くスタートさせて、そして具体に学習センターの活動についてそれぞれの地域における国公私立大学の理解と協力を求める、そしてこういう形で前進をさせることができるということについて、全国の大学のより一層の具体的な理解と協力を求めないと非常にむずかしい課題でございます。それは私たちが考えている過程においても、学習センターをつくるということが非常にむずかしい課題であるということによって放送大学のスタートの計画が延びてきているというような事情も確かにございましたけれども、そのことを考えてもなお非常にむずかしい課題でございます。  それを考えますと、もちろん新しい高等教育の整備計画の期間中においてもそのスピードを速める努力を極力するということは当然ではございますけれども、現在の時点では、新しい高等教育計画の期間中に全国的に放送大学教育網を張るということを目途にするのが、いわば現実的な計画としてこの段階でわれわれがお話しできる限度ではないかと考えたわけでございます。
  154. 西岡武夫

    ○西岡委員 重ねてお伺いをいたしますが、第一期の計画の時点で四国等の地域を追加するという考え文部省には全くないということですか。これはぜひ追加されるべきではないですか。
  155. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 現在の段階では、私どもは、「放送大学について」でも御説明をしておりますように、関東の東京タワーから電波の届く範囲ともう一つの県域送信所、それをもってスタートをさせたい。それにさらに地域を追加するということは考えていないわけでございます。
  156. 西岡武夫

    ○西岡委員 その御計画を改めるというお考えは全くないのですか。
  157. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 この点は先生からかねて御指摘をいただいているところでございますし、また、連合審査の際にも当初のスタートの規模というのは著しく狭過ぎるという御指摘もいただいております。  ですから、そのことは私どもは検討をもちろんしなければいけません。そういう御意見を受けとめて検討をしなければいけませんけれども、第一期の対象地域というものを現在の計画よりも拡大するということはきわめて困難な課題だと考えております。
  158. 西岡武夫

    ○西岡委員 これは技術的なことで、あるいは放送部長の方にお尋ねした方がいいのかもしれませんが、関西の、たとえば大阪なら大阪に送信所をつくった場合に、四国をカバーするということは可能かどうか。その点はいかがでしょうか。
  159. 松澤経人

    松澤説明員 私も技術の点はそう詳しくはございませんが、いまの放送局放送実態と申しますか、その辺から見まして、大阪に、いま生駒山に送信所がありますけれども、それから見まして、そこにおいてなおかつ四国をカバーするだけの放送というものは無理であるというふうに考えております。
  160. 西岡武夫

    ○西岡委員 局長の御答弁はこれ以上重ねてもなかなか具体的な御答弁をいただくわけにいかないようですけれども、重ねて文部省がそういう点について再検討をされるべきであるということを申し上げておきたいと思います。  それから、もう一点最後に伺いますが、学習センターの設置が非常に大変だ、国公立の大学の協力が得られなければこれはなかなか進められないわけであって、そのために相当の年月がかかるという御説明でございましたが、私の記憶するところでは、この放送大学が立案されてからこの十年間、まさに国公立の大学の協力がどこまで得られるかというめどが立たなければ、放送大学というものは学習センターの設置を含めて総合的に考えたときになかなかうまくいかないということがこの十年間かかった一つの大きなポイントだったと思うのです。いまになって放送法との関係が妙に蒸し返されたりしたわけですけれども、実は、放送法との関係はすでにたしか四十八年ぐらいまでに一たんけりがついていたわけで、その後の検討自体は国公立との協力関係というものの見通しがどの程度つくかということに非常に大きなウエートがかかっていた。それが放送大学がスタートするのが準備するまでに十年かかったということではなかったのだろうか。  スタートさせてからなお、今後さらに国公立の協力関係を取りつけていくのは非常に困難だということはどうも私には納得がいかないわけであって、そういうものが大体消化され、こなされ、見通しがついたということで文部省としてもこの放送大学の構想を具体的に国会に提案してきたと私は理解をしたいわけですが、そこは一体どうなっているのでしょうか。
  161. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 もちろん、先生の御指摘のように、準備の過程において国公私立の大学関係団体に準備の進展に応じて状況を説明し、放送大学というものの性質からして、既設の大学の全面的な御協力をいただかないと放送大学というものはできないということをよく御説明をして、御理解を得る努力をしてきております。それぞれの大学の団体とも、放送大学の構想について理解をし、それに協力をするということについてやぶさかでないという基本的な態度はお持ちをいただいております。  そういうことを前提として法案を提出させていただいているわけではございますが、しかし、もう少し突っ込んで、具体的にではどうするかという段階になりますと、やはり既設の大学の受けとめ方は、放送大学というのは本当にできるのだろうかという考え方がまずございます。そのことからしてなかなか突っ込んだ具体の協議ができないということが一つあります。さらに、この協議というのは文部省とそれぞれの大学とが行うというよりも、やはり、放送大学とそれぞれの大学、あるいは学園とそれぞれの大学との間における具体の協議という形でないとなかなか進展をしないということを、これまでのわれわれの準備作業の間における各大学との接触を通じてわれわれも十分に認識をしてきたわけでございます。  そういう意味で、総論として各大学が協力的であるということは言えるにしても、具体的に個々の学習センターを運営していく場合の具体の協力、たとえばどういう先生に御協力を求めることができるかという点についての突っ込んだ検討というものが今後さらに必要になるわけでございます。そこのところがなかなかむずかしい課題になる、それを各大学に納得をさせていくためには、やはり第一期の計画程度の規模によって十分な運営を重ねる、それを通じて各大学の積極的な理解を求める、その方法が最善である、と考えているわけでございます。
  162. 山原健二郎

    ○山原委員 いま初めて七十一年という、十七年先のことが出たわけですが、いままでこの問題はずいぶん質問もしてきょう初めて出てきたので、まあ、びっくりもしませんけれどもちょっとばかり驚いているわけなんです。  それで、そういう七十一年という数字を出してきた基礎というものはあるのかということ、これは夕べ考えたのか前からそういうことをお考えになっておったのか、これをはっきりさせないと、いよいよ法案審査もこういう段階に来て、これを出さなければ通らないかもしれないということで出てきたのではちょっと科学性がありませんからね。だから、はっきり基礎を出していただきたい。  いま大学、高等教育の整備充実ということと関連して出されたわけで、その点はわかるのですけれども大学教育の整備充実ということになれば相当の金も要るわけですね。いまの施設の問題にしても、それから現在の入試問題なんかも今度の共通一次テストをやって、もうあらゆる面で金が要る。その段階と関連をして七十一年ということになってきますと、ではそれはどれだけの経費が要るのかということも聞きたくなってまいりますし、この点については基礎的な数字をよほどきちっとお示しにならないと、ただ漠然と出てきたのかなとこういう感じがしますので、その点がきちっと御説明ができればしていただきたいし、できなければ文書にでも書いてその計画を示していただきたいと思います。
  163. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 これはきょう思いつきで申し上げているとか、あるいは苦し紛れに申し上げているということでは決してないのです。  それは高等教育の長期的な整備計画というものを考えていかなければならないときに、後期の計画において放送大学の構想をできるだけ早くスタートさせて、先ほどもお話を申し上げました高等教育のこれからの構造の柔軟化、弾力化、多様化というものに対する重要なプロジェクトとして放送大学を機能させたいということはすでに現在進行中の高等教育計画の中でも指摘をされていることでございますし、私たちもそのように考えているわけでございます。いま進行中の教育計画が完了した段階で、その後は計画を持たないということは考えられない。むしろ、さっき申しましたような十八歳人口の動態からいたしましても、そこにおける高等教育計画の整備というものはより重要な課題になってまいります。そのときに放送大学というものが非常に重要なプロジェクトとして機能をするし、また、させなければならないということは大学局としてはかねて考えていたことでございます。  したがって、その放送大学教育網の整備ということについて、後期に引き続く新しい教育計画期間というものを考えるというのがわが方の基本的な考え方であったことは従来からそうなんです。ただ、これも何回も申し上げておりますように、これは文部省はそうしたいと思っていることであって、そのことが現実にどのように進行するかということは、それは財政当局との関係もございますし、さらに放送網の整備ということに関しては放送衛星の問題をも含めて郵政省と十分な協議を経なければなりません。それらについて現在の段階では確定をしている条件というものがきわめて乏しいわけでございます。といって、今日の時点で基本計画のように放送衛星というものをカウントに入れないで、全く地上局による計画というものを立てるということも、これはすでに現実的ではないわけでございます。そこでこれまでもお答えをすることを差し控えてきたわけでございます。  それでは七十一年までに教育網を張るということについて具体的にどうやってやっていくのだという、その具体的な積み上げの基礎となる数字を示せと言われても、これは正直に申し上げて現在の段階でわれわれがそれを持っているわけではございません。それは放送網の整備をどうするかということ自体が不確定であるということとともに、やはり第一期の実施の状況というものを十分に見定めて、それ以降の拡充計画に対応しなければならないという基本的な状況は変わっていないからでございます。  ですから、今日の時点では、現在進行中の教育計画に続く次の新しい教育計画の期間中に放送大学は完成をさせたい、それを申し上げるのがいわばわが方としては限度であったわけでございます。
  164. 山原健二郎

    ○山原委員 したがって、予算のこともわからないということですね。
  165. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 これに対する予算額というのは、地上局でセットをしていく場合であれば、それは基本計画が算定をした八〇%カバレージの場合の数字が資本的経費についてあるわけでございますが、放送網の整備についてどういう対応をするかということによって予算額というものはかなり大きく変化をするわけでございますし、現時点では、いま申しましたような七十一年までの教育期間中に全国に放送網を張るとしてどれだけの経費がかかるかということを試算することは非常にむずかしい、困難だということでございます。
  166. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 これは全国規模に放送大学を拡充する計画にしても、いまお話しがあったように十七年というのは、西岡委員の指摘をまつまでもなく大変長過ぎるという感じが私もいたします。無医大県解消のときに文部当局は非常な熱意を示したわけでございますが、それと逆の意味で、十年計画というのは、これは全くつかみの数字でありますけれども、われわれにとっても十七年というのは非常に長い。  伝え聞くところによりますと、イギリスのオープンユニバーシティーはたしか五年かそこらでできたという話も聞いておりますし、そういうところでは内容においても非常に充実していると思いますが、しかし、文部当局においても、これをたとえば十年に短縮できるように、局長のいろいろな説明もわかりますが、御検討をお願いいたしたいと思います。  そこで、二、三お聞きしておきたいのでありますけれども、いわゆる電波の波の数ですが、これは文部当局は一つ確保してありますということなんですけれども、これは果たして今後永久にというと言葉はちょっとオーバーですが、あくまでも一つなのか、それともしかるべき時期に二つにし、三つにしということを考えていらっしゃるのか、その点を御質問します。
  167. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 これは郵政省からお答えを申し上げる方が適切だと思いますが、現在は郵政省の方でUHFの波とFMの波を全国的に一波留保をしていただいていると私たちは理解をしております。  むしろ、問題は、その波を今後どのように使って拡充をしていくかということについて、放送衛星との関係を含めて郵政省と十分に御相談をしていかなければならないということではなかろうかと思います。
  168. 松澤経人

    松澤説明員 ただいま大学局長の御答弁になりましたとおりでございまして、私どもも早いうちからテレビジョン放送用一波と、それからFMでございますがラジオ用一波と、こういう全国一系統留保ということでやってまいってきております。  いまの使用状況とあるいは今後の見通しとを申し上げますと、率直に申し上げまして、この放送用の周波数につきましては、さらにひねり出すことはなかなかむずかしいと申し上げてよろしいかと思います。
  169. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 なかなかむずかしいということはわからないではないのです。しかし、私たちが大学、いわゆるユニバーシティーとして考えますと、大学一つのキャンパスになりますと学部が相当あって、全部教室があって、同時並行的に授業が行われているわけですね。しかもそれが一年生、二年生、三年生、四年生となっているわけです。いわば立体的なマトリックスという形で授業が行われている。  ところがテレビを一つ考えますと、この放送大学は教室が一つしかない。一つの教室で相当な学科をこなし、一年生も二年生も三年生も四年生もその一つの教室で学ぶということに対して、われわれが大学というものをビジュアライズしたときに、放送大学一つチャンネルで、一つ電波でということとちょっとなじまないものがあるのです。  局長、これは改めて承りますけれども、これだけいろいろな学科を一年、三年、三年、四年と、四年生までにやる場合に、一つチャンネルで、一つの波で間に合っていくと考えられますか。
  170. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 もちろんテレビとラジオを併用するわけでございますが、それぞれ一波を使えば、基本計画で言っておりますように、二百四十の科目を開設して、教養学部としてはかなり広い範囲を教育内容として提供することは可能だと考えております。
  171. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 放送大学で勉強したい人たちを対象として考えれば、朝の六時から夜の十二時までやるでしょう。十八時間ですか。そうすると、十八時間もやっている教室なんというのは日本の大学のどこにもないので、四時間で切れば四つか五つの教室というふうに考えられるわけです。ですから、そういう意味では、いま局長のお話もありましたけれども、困難であっても不可能ではないという感じがいたします。  そこで、先ほど来、これは大学教育ということもさることながら社会教育じゃないか、もしかしたら生涯教育じゃないかという御指摘もありました。その問題でNHKとどうだこうだという議論があったわけですが、これは私の趣味も若干含めて申し上げますが、非常に厳しい教室の中で、しかも相当の金額をかけた段階で、社会教育というものをたとえばNHKと競合した形でやるだけの余裕が果たしてあるかどうかという感じもするのです。もっと言えば、ちょっともとに戻りますけれども、十八時間と仮に考えても、一貫して、朝の六時に放送したものは二度とその日に放送しないということだとしますと、これまたいろいろな問題が生ずる。場合によってはすでにNHKも再放送をやっていますが、当然そういうことも考えなければならないし、ますますもって時間数が限定されます。  したがって、社会教育と生涯教育というお話が出ましたけれども、せっかく放送大学と銘打ってスタートするわけでありますから、古色蒼然たる従来の学部、学科みたいな形でやるのではありませんで、むしろここに書いてある新しいタイトルで学科をおやりになるのは非常にいいと私は思うのであります。しかし、やはりあくまでも大学レベルの内容のもの、したがって生涯教育といってもそれは大学レベルの生涯教育であるもの、そういうふうにやっていただく必要があるのではないかと思うのです。  そこで、そういう考えについて承りたいのでありますが、いわゆる各大学の教養学部、教養課程の一年半、二年生で教えている内容とこの放送大学で教える教養学部、教養学科の内容とは同じものなのでしょうか、違うのでしょうか。局長、違うとしたらどういうふうに違うのでしょうか。
  172. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 各大栄の一般教育の段階でも、最近はたとえば総合科目というようなものを大学によって工夫をして、一つの広い領域にわたる問題を取り上げて学生にそれを提供するというようなことをいたしておりますし、そういった点では共通するところは多いとは思いますけれども、いまの一般教育のところで開いているものと放送大学教育番組とが完全にオーバーラップするというようなことではなかろう、かなり違う、と思います。  しかし、違うけれども、原則的には大学一般教育の段階で放送大学番組を利用するということは積極的にお考えをいただけるような内容をやはり持っているとは言えると思います。
  173. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 いわゆる入学試験で厳しい勉強をしてきた学生たちが大学に入って五月病にかかる。これは高等学校時代に非常に勉強したのだけれども大学の教養学部に入ってしまうと高等学校でやっていることの蒸し返しにしかすぎないというような感じで、途端に大学教育を受ける感激を失ってしまって、まさに憂うつ病になってしまう。気が抜けてしまう。場合によってはそれこそ極端な学生運動に入ると言われております。そういうことを考えると、いまの大学におけるいわゆる教養課程というものがそれこそ古色蒼然としておって、およそ若い人たちの情熱をかき立てる内容がない。それを改善する動きがある。たとえば名古屋大学なんかでは初めから専門課程を教えるようなことをやっていますが、ですから、いまの各大学の教養課程でやっていることを新しい放送大学でやる必要は全くないと私は思うのであります。しかし、各大学の教養課程の内容の改革を含めて、せっかく放送大学でやるのだったら、工法は、片や放送片や教室の違いはあっても、実態的には同じレベル、同じ内容のものをやっていただく必要があるのではないかと思うのです。それができて初めて放送大学一般大学単位の互換ということが現実的に話題になってくるわけです。こういうふうに私は思うのです。  そこで、あえて一歩踏み込んで申しますが、先ほどの局長の話の中に、いろいろ問題がありますが、一つの大きながんが学習センターである、学習センターを全国に配置して、そしてそれぞれの近隣大学の協力を受けて学習センターを整備するためには十七年くらいかかりますという話があったのですが、その学習センターをどこかに新しい建物をつくってやるのじゃなしに、たとえば、幸い日本には四十七都道府県全部に国立の大学があるわけでありますから、その国立大学のキャンパス内に学習センターを設けて、そしてその大学先生方に、まさにその放送を補完するいろいろな学習指導をやっていただく、逆に放送大学学生も、全く大学関係のないどこかのセンターに行って何かやるよりも、一週間に一遍かそこらはいわゆる大学のキャンパスに来てそこで勉強する、そういう形をすれば学習センターの設置が絶えていくし、また、そういう形で放送大学が出発することがまさに全国的な教養課程のいわばレベルアップにもつながるし、逆にまた放送大学内容が、一般大学教育と全く関係のないようなことをやるのじゃなしに、いろいろな意味においていいように私は思うのですが、局長、どうでしょうか。
  174. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 放送大学教育内容が既設の大学一般教育を中心とした教育内容、方法の改善というものに寄与するという期待は私たちは非常に強く持っているわけでございます。そういうものとなるように大学の努力が行われなければいけないし、既設の大学の側でもそういう角度で放送大学教育内容について御関心をお持ちいただくということはかねて申し上げているところでございます。  それで、学習センターを整備するときに、既設の大学なりあるいは高専なりの施設が活用できるものがあれば活用するということはもちろん望ましいことだと私たちは考えております。
  175. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 放送大学というものはそれ自体非常に意味があると私は思うのです。たとえば放送大学と他の大学単位の互換を実現することによって、たとえば大学に入った人たちがアルバイトを一年、二年とやり、そしてアルバイトをしながら放送大学で教養課程を終わらすことによって普通大学教育を完成できるなら、それも直接放送大学卒業の称号を与えなくても、放送大学においてアルバイトをしながら放送大学単位を取ることによって他の大学につなげていくということなら非常に有益だと私は思う。  ですから、これはぜひお考えいただきたいし、そういう意味で最後に一つこれは局長に聞いておきたいのですが、選抜について、試験を行わないで先着順または抽せん等で公正を期すというお話ですが、それだけのプレステージを与えるとすれば試験がなくてもいいと思うのですけれども、先着順だとかくじだとかいうのじゃなしに、希望者全部を入れてしまって、後でその試験の過程である程度スクリーニングしていくということはできないでしょうか。
  176. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 放送大学の場合には、継続的に放送を視聴し、学習センターにおけるスクーリングに継続的に出席をし、そして通信指導を受け、試験を受けて単位の認定を得るという過程をとっていくわけですから、この大学単位を取り卒業の資格を得るということは非常にむずかしいと申しますか、大変なことなんだろうと思うのです。ですから、入り口のところで選抜をするということをしなくても、そういう困難な学習の過程というものを経過して単位を取り、あるいは卒業資格を得るというそのことと、それによって得たそれぞれの学生の勉強の成果というものが社会的には十分に評価をされるであろう、またそういうものでなければならないと考えております。  そういう意味では、入り口のところではセレクトする必要はないわけですけれども、しかし、学習センターのキャパシティーの問題であるとか、あるいは各コース、専攻に応じた学生の規模であるとか、そういったものは大学を適確に運営していくためにはやはり決めなければなりません。もちろん、大学に登録をしないで自宅で学習をすることは自由でございますけれども、やはり大学に籍を置いてスクーリングを受け、通信指導を受けていくということになりますと、その数は幾らあってもいいというわけにはまいらない。  そういう意味でやはり入学の定員というものを決めて、抽せんなりあるいは先着順なり、いずれかの方法をとって公正な選抜を考えることをどうしても必要とするわけでございます。
  177. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 三点だけ伺います。  最初はいまのと関連も出てくるのですが、いまずっとお話にもあったように、この大学は入るはやすく出るはかたしというふうに言われていて、われわれもそういう認識をしているわけですが、普通、出るはかたしという場合は、学生の皆さんの学力、能力ということについて出るはかたしというふうに私たちは率直に判断をしがちなわけです。  この大学の場合はそうではなくて、要するにほかのいろいろな条件でもって出るはかたしという条件の方が大変大きくなってくるという気もするわけですが、そういう内容と、同僚委員から出たようにこれは大変ドロップするということですが、四年たって卒業時には大体どれくらい程度ほぼ卒業できるのだろうか。そういうような予測等をなさっておられればお聞きしたい。
  178. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 この計画の場合には、いわば毎年ドロップする、脱落をしていく学生の割合を一〇%と押さえているわけでございます。この一〇%という見込みは、現在の通信制の教育の場合のドロップ率に比べれば、やや甘いというか、見込みが少ないのです。  ただ、通信制の大学の場合でも、一年から二年への進学のところを見るとドロップ率というのは約一〇%で、そして通信制の大学の場合には、スクーリングの態様というのは御案内のように更なら夏にかなり長期にわたってスクーリングをするというようなことがありまして、それが相当むずかしい問題に学生の側からするとどうしてもなるということがありますが、放送大学の場合には、そういうある一定期間に集中して長期間全国の学生を一カ所に集めてというような対応をするのではなくて、学習センダーを地域に置いて毎週そこに出席をするという対応で面接スクーリングを考えておりますから、それをカウントに入れれば一〇%という見込みは必ずしも甘過ぎる見通しではなかろうということで、一〇%というものを考えているわけであります。
  179. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 先ほどお話しのイギリスの場合ですか、これは卒業のときにはたしか二〇%程度の人しか卒業しなかったのじゃないかというふうに、これは私の記憶違いだったらあれですが、そういう感じを持っているわけですが、一〇%、一〇%というと、これは単純に考えて、そうなると若干細かい計算をしなければなりませんですが、四年間たてば四〇%ですか、複利計算的ならば五〇%ですか、半分ぐらいは落ちこぼれというか、卒業できないということになると思うのですが、あるいは現実はもっと厳しいのじゃないか。  同僚議員初めいろいろといままで質問があった中で、学習時間の時間帯、それから入学されるであろう方々のいろいろな職業的な問題等を勘案してきますと、授業時間全部を自分がチャンネルを拾って確実に消化していくということはきわめて厳しいというふうな状況も考えられるわけで、そうなると予測されているようなことで済むのかどうか、これはわかりませんが、仮に予測されるような形で卒業できない方がおられると仮定いたしまして、八年間まではたしか在学はできるのでしょうが、そうすると、学生数というのは当初予定の人員は入れていくわけでしょうから、年々ふえていくという形になると思うのです。そうすると、四十五万人でしたか、その体制に仮になったときを想定してみても、下手をすると実際にはそういう留年されている方が大分おられて、場合によったら半分ぐらいはおられるのじゃないか。  そういうようなことが積み上がって、いきますと、いま言われた定員というものが新しく入学して一生懸命やりたいという方々にまで影響が出てきて、これはさっきからも議論になっている学習センターを設置するのも、技術的にもまたいろいろな問題でも制約があって厳しいというお話ですが、そういったことをいろいろ勘案してくると、これはそういう制約が出てくる可能性も十分あると思うのです。  そういう問題に対して、さらに勉強しやすくするとかいろいろお考えになる必要が具体的にあるのではないかと思いますが、そこらあたりはいかがでしょうか。
  180. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 現在の段階では、いま申しましたようなドロップ率というものを前提として入学定員、そして在学者、いわゆる在籍者を考えるという対応をしているわけでございますけれども、確かに四年で卒業をするということの方がむしろレアなケースになるほどむずかしいことでございましょうから、学生の累積というものは当然考えなければいけないことでございます。  オープンユニバーシティーの場合には、予算との関係で全体の学生数、いわば在学生数を押さえて、そしてそれとの見合いで入学させる者、新規に登録をする学生の数を決めるというような操作を実際にやっているようでございます。  一期の計画は、これはもちろん実施状況を見なければなりませんけれども、そういう状況で学習センターの運営等に非常に無理が出てくるということであれば、たとえばオープンユニバーシティーがやっているそういった方法も将来考えなければならなくなるかもしれない。それは私たちも検討課題だと考えております。
  181. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そうすると、最終的に四十六万でしたか四十五万でしたかの学生ということは、いわゆる在籍学生だというふうに受け取っていいわけですか。
  182. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 基本計画で言っている四十五万というのは在籍者の数でございます。
  183. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 とにかく、せっかく生涯教育という大切な観点からもこれを発足させたいという思いが働いているわけですから、発足する以上は働く方々が——学力、能力の差によって出るはかたしという形になるのは、これは御本人たちもある程度やむを得ない面もあるかもわかりませんが、そういう意味ではなくて、ただ、実際に勉強しスクーリングを受ける時間がとれないためにせっかく入ったけれどもだめになるという形、これは恐らく半分以上を占める可能性があると思うのですが、そういう形であってはならないだろうと思うわけで、本当の意味での出るはかたしという形の先鞭をつけるという意味でもこれは考えるべきであろうというふうな気もいたしますので、いま申し上げたような勉強しにくいという形の中で漏れていく方ができるだけ少なくなるようにする配慮というものはぜひしていただきたいし、すべきであると思うのです。  二点目は学習センターですが、これもいろいろ言われておりますが、文部省考え方の一つに、この学習センターができ上がった時点では、教育活動を通じて開かれた大学の地域の拠点としての地域の文化センターの機能というものもできれば持たせたいものだというような考えもお持ちのようですが、そうなると、いま考えているような数だけではとうていそういう形のものはできにくいのではないか。それと、学習センターがきわめてつくりにくいというようなことと相反してくる面もあるわけですから、そこらあたりになりますと、この放送大学学生だけが地域文化センターを利用するというふうな感じになってくると、われわれはそうあってほしいと思うのですが、学生以外のほかの方々も大いに利用するというふうな形も将来において考えていらっしゃるのかどうか。ここらあたりも含めてちょっとお答えをお願いします。
  184. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 学習センターについては、放送大学学生に対するスクーリングの場というとらえ方をするわけでございます。  しかし、願っているのは、その学習センターをそれぞれの地域につくっていくわけでございますから、そこにはいろいろな年齢層の方、いろいろな職業の方、そういった方々が勉強という共通の一つの目的のためにそこへ集まってくる。それが単に受け身でスクーリングを受けて帰るということではなくて、もう少し積極的に、先ほど来御指摘のあるような生涯学習の場あるいは学生の間における共同の積極的な勉学の場として、地域の文化活動というものの中に一つの地位を占めていくようなものに育っていけば大変望ましいのではないかと、そういう見方を私たちはしているわけでございます。
  185. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 それは逆に言えば、地域の学生以外の方々に開放するという意味ではなくて、学生自体がそういうものを勉強する場の中で地域に役立っていく位置づけになればということなんですね。  開放ということはお考えになっていないということですか。
  186. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 実際問題として、学習センターの場合には、もちろんウイークデーに一日休みはとらなければなりませんけれども、それ以外の日はフルに動いておりますから、また学習センターのキャパシティーからしましても、それを広く地域の学生以外の方々にも開放できるかどうか、それは物理的にかなり問題があるだろうと思います。
  187. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 最後の三点目ですが、これは先ほども質問があったことではございますが、保健体育の関係です。  それは、授業単位というものは放送によって授業を行うが、実技の修練というものは公的機関が主催する社会体育行事への参加によるということで代替したいというようなお話もありました。それから単位の取得についても、これは一単位のみにしたいというようなお考え等もありましたが、実際問題として、われわれが常識的にちょっと考えてみても、この保健体育については、実技のいわゆる修練、訓練といいますか、その時間をとるということはきわめてむずかしいようだし、それに試験を課してその単位の取得についての認定をするということもまたきわめてむずかしいというような感じがしていたわけですが、そのあたりはいかがでしょうか。
  188. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 大学基準分科会の中の大学通信教育放送大学特別委員会において、大学通信教育放送大学を通ずる基準というようなものの御検討をいただいているわけでございますけれども、そこにおけるこれまでの御審議の中で、体育実技の単位修得の問題につきましては弾力的な取り扱いを検討することが適当であるというお考えのもとに、一つは、卒業要件としての体育実技の修得単位は一単位とする、それからもう一つは、教育委員会等が主催する社会体育行事等への参加をもって体育実技の履修にかえることができるように措置をする、と、その二つを挙げておられるわけでございます。
  189. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そうすると、一単位でも単位取得するについては試験もあるし、実技も受けなければならないし、それから認定もしなければいかぬということになると、学習センターにそれ専門の教官を一人置くということの中でやるし、そういう運動をする場所もちゃんと確保して学習センターの中でやるということになろうかと思いますが、それは実際的にやれますかね。
  190. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 そこで、社会体育行事等への参加をもって体育実技の履修にかえることができるように措置をするという考え方も出てきているわけでございます。これは学生の年齢層が非常にいろいろでございますし、一般大学のような形で体育実技をセンターで行うというわけにはなかなかいかない、だろうと思うからであります。  もちろん、そのことは、放送大学に体育を担当する教官がいなくていいということではなくて、放送大学には体育担当の教官がいて、そしてそれぞれの学生が社会体育行事等への参加をされたその成果について単位として認定をするという作業もしなければならないわけでございます。
  191. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 一般大学の実情を聞いてみても、実際の授業時間に自分が十分体育をやれるかというとやれないというのが実情ですね。  それから、もう一つは、特に年齢層に非常な幅がある。そういったいろいろなことから考えて、これは一単位ということでやるようですが、単位取得というものは保健体育に限って免除するという方向で考えた方がいいのではないだろうかというふうに思うのですが、ここらあたりはどうでしょうか。
  192. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 やはり、大学の卒業要件をどのように考えるかということであり、そのことは放送大学だけの問題としてではなくて、大学通信教育全般を通ずる問題として対応しなければならないことでございます。  そういう見地で基準分科会の特別委員会が御検討になっている状況が先ほど申し上げたようなことでございますので、やはり対応としては基準分科会の御見解に従って処理をするということではなかろうかと思います。     〔委員長退席、近藤委員長代理着席〕
  193. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 最後に一つ。保健体育の問題は現実の問題として非常に厳しいと思うので、いま申し上げたような方向で再度検討なさるべきではないかと思います。  これは意見とし、要望として申し上げて、私の質問を終わります。
  194. 嶋崎譲

    嶋崎委員 項目としては議題が一から三に飛んでしまって、大学の管理運営、その他についてはきょうはまだ議論していませんので、これをどうするかということが一つ。  いまの問題に関連してお聞きしますけれども、「放送大学の基本計画に関する報告」のときの専門委員の人たちがつくったカリキュラムで今度のカリキュラムができているんですか。
  195. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 この基本計画に関する報告に添付をされているのはいわばカリキュラムの見本ということで、このときの関係の方々は、この授業科目というものをかなりかたいものとして受け取られると実際に大学が事を進めていくときに制約になってはいかぬ、しかし、放送大学がどういうことをやるのかということが一般に理解されなくても困るということで、この大学で開設する授業科目について、いわば見本というような慎重な配慮のもとにこれをお示しになったものでございます。  「放送大学について」の方に掲げてあるのは、それをさらに放送大学の創設準備室において放送大学の準備の問題として御検討になり、名古屋大学の飯島教授が準備室長としてそれを御担当になって検討したものでございます。
  196. 嶋崎譲

    嶋崎委員 これが見本なんだけれども、この見本の作成について御提案があったのは教育専門委員会でしょう。そうですね。
  197. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 はい。
  198. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしたら、今度はこっちのカリキュラムが出てきますね。これは飯島さん中心だということですね。  では、前回の専門委員会での議事の過程はどういう過程か知りたいのですが、その際に学習センターというものを想定して、たとえばこういう科目、この見本と大体変わりませんから、たとえば社会系でいきますと「近代社会の展開」というのが今度はありませんね。しかし、「人間と社会」「社会生活と法」「今日の国際関係」「日本経済と産業」と、新しいものと古いものがありますが、大体変わっていない。  そうしたときに、いまこちらからも出ているように、局長自身が午前中からも言っておりますように、学習センターのつくり方は大変むずかしいと言っているわけ。こういうカリキュラムは、ぼくに言わせれば、大学の側から言えば一方的だと思うんですが、放送大学としては送るんだからいいかもしれぬが、協力するのは各大学先生方なんですから、そのときに、学習センターのある先生が所長になったり、ないしはそこで協力する先生方が、こういうカリキュラムをこなせるようなセンターができるという前提の議論があったでしょうか。大学のそういう関係の人間との協議がされる可能性を将来に残しておいて、極端なことを言えば一方的にこれを決めているということはないですか。
  199. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 確かに、そこのところが非常にむずかしいと思います。  具体的に授業科目をどのように開設していくかということは、放送大学ができた場合のその放送大学の教授陣が議論をして決めていくことでございますから、「放送大学について」の方に掲げてある開設授業科目についても、これは完全に放送大学が発足をした場合の授業科目のあり方を事細かに拘束をするものではないだろう。それは方向としては基本計画のときから一貫をしたものがありますから、それを尊重して放送大学のカリキュラムが組まれていくことは間違いはないと思いますけれども、まずその問題が一つございます。  それから、これらの議論がされているときにはもちろん学習センターの問題が意識をされて議論はされているわけでございますけれども、具体的な授業科目についてその放送を行い、かつ学習センターの機能に相当するようなスクーリングまでどのように実施をするかということを、それぞれの授業科目についてこういうふうにやるんだというところまで詰めて議論はしていないと思います。
  200. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ですから、たとえば私の専門の領域でいきますと、政治をとってみましょうか。ここで掲げているのは「政治思想」「現代政治の理論」「現代の政治生活」「比較政治論」「国際政治論」と、こんなものが科目としてあります。「日本の政治」というのは教養的なものでしょうね。こういう科目、つまり専門科目を設定するのは、吉村正さんが入っていますけれども、これはきっと吉村正さんでしょうな。専門ですからね。  ところが、こういう科目の設定の仕方は、各大学のこういう科目に関連する学習センターの先生方でどういう人がどう対応するか、ぼくには全然イメージがわきませんね。そしてはっきり言って、これに対応できる専門のプロフェッサーはおりませんわ。時期も大体五十年の初めにこの見本ができているんでしょう。そしてこれはことしの二月にできたんですね。その間に準備室というものが——この間も質問しましたように、放送教育センターにはまだ、教授一人と数人の客員の教授か何か、アシスタントがいるだけですね。  そうしますと、一番重要な学習センターは今後各大学の協力を得なければならないし、しかもこれは再来年からの入学で、そして大分先で大学が動き出すわけでしょう。学習センターというものをつくることがこの放送大学を成功させるかどうかの基本的なかぎですからね。そうするとこういう科目の設定のプロセスで議論されているスタッフが放送教育センターのスタッフではどうもならぬし、いま準備室はおやめになっているのですから、そこで議論されたものは実に限られた人間での問題の立て方ですね。  ですから、こういうものを各大学の教官が見て、ではこの科目に自分たちが学習センターとして協力するというときにだれが出てくるかということについて、恐らく事前の打診もなければ、少なくとも国公私立大学の機関を通じてアンケートをやっているわけでもないし、そういう形だから、こういう問題、こういう科目で、しかもこれはことごとくいままでの既設大学のアカデミーの講座にはほとんどない科目ばかりで、学際を含めた教養的科目みたいなものばかりです。そうしますと、学習指導センターというものに協力する大学の体制は、つまりこういう開設予定科目を前提にして協力を要請した場合に、その要請にこたえられない限界がありはしないかというふうに思うのです。ですから、今後これを固定していくのか。  今度大学ができますね。大学ができますと、そこで今度はまた教授会の中にいろいろなコースチームができますね。それに応じてまた科目の検討をしなければならぬでしょう。ところが、これにはもう「開設予定授業科目一覧」ですからね。こんなふうに固定化して立法府に出てきて、さて開いてみたらこれと違うものだったということであったり、その辺の学習指導センターの組織化過程といいますか、上から指導し、各国公私立大学が協力しつつ学習指導センターというものをつくるにしては、こういう科目設定の発想そのものが上から押しつけているのであって、大学側の協力を得られない可能性を含んでいはしないかという問題が一つあるとぼくは思うのです。これはかなり基本問題だと思うのです。  湯山先生がこの間から質問をなさったように、放送大学大学なんだから、専門科目を基礎に持っている人が幾つか横につながって学際の問題についてアプローチできるのであって、こういうテーマのプロフェッサーはいないし、そういう科目をそれ自体大学教育レベルのものとして出すプロフェッサーはいないと思うのです。だから、コースチームの中で討論してみて、大体あなたがこれに近い、そして全体的な問題を出すのに適しているであろうという程度で放映されるだろうと予想されますね。そういう意味で、学習センターをつくるということがこの放送大学の成功のかぎだとすると、いままでの専門委員の方々で出してきたものと実際にこれから動き出すものとの間に論理的なつながりがなかったり歴史的な継続性がないというのも大変だし、同時に、また、コースチームをつくってみて全部がらりと変わってしまうということだったら、これはまた何のためにこういう素材を出してもらってわれわれが議論するのかわからなくなってしまう。そういう意味で、出ている学習センターの組織をどうつくり、どう協力させていくかという観点がこの大学に関しても今後一つ問題はある。  きょうはもう時間がありませんから議論をする余裕はありませんけれども、そういう意味で、たとえば大学の管理運営に関連して、こういうテーマの問題をやっていくのはまず評議会のメンバーが選ばれるわけでしょう。大学をつくっていくときには評議会を選ぶわけですね。その評議会の教授たちはこういう問題に直接入れるような教授たちとは限りませんね。そうしますと、今度はこういう問題を議論できる教授会と、その教授会にいろいろなコースチームが必要になってくる。そこの関係がどうなるのか。つまり評議会ができて基礎をこしらえてみたって、そのときにたとえば放送大学の教授会並びに大学の研究教育というものを運営していく組織を決めるときには、もうすでにこれは全部問題になるわけです。  ですから、上の方からたとえば学長が決まって評議会が決まっても、こういうものに入っていくのには、その評議会のメンバーがまたそのコースチームをどうするかというようなことについての基本的な専門家集団に頼らなければ、いろいろな大学内部の研究組織は恐らくできないと思う。そういう意味でも、大学の中の組織づくりでも、こういう問題を前提にして評議会のメンバーが選ばれて、それからさてこれに合わせたコースチームなんというような話で構成メンバー、スタッフが選ばれるのか、その辺もぼくはちょっとわからないわけです。それで、また、教授会構成メンバーがその際に客員教授とどうなるのか、それからまたその教授会とコースチームの関係はどうあり、それと評議会とはどうあるのか、それの人事の問題とかいう一連の問題がまだ解けない。どうしてもイメージが出てこない問題が幾つかあります。それは大学をつくってから走り出すのでしょうけれども、少なくともこういう討議の材料が出ていて、基本計画が出ていますと、こういう問題についても、これから先にもう一遍こういうものを推進していくための学者集団の準備委員会みたいなものが一方にできていないと、学長を選んで理事長を選んで評議会のメンバーを選んでというようなことで、先々の大学の組織や運営がうまく保障されていくのか、いまのところ私はわかりません。局長はどう考えておるか知りませんが、私はわかりません。  だから、ここで出た計画がなぜこういう授業科目に変わり、そしてこの授業科目に合わせて大学の管理運営、教育研究という観点から見てどういう組織立てがどんな手順で行われるのかなどについても、文部省が決めることではありませんが、一定の、われわれが議論したりイメージを持てるような素材だけはもう少し提供していただきたいという要望をして——これは資料要求みたいなものだけれども、これについてはどういうふうにお考えか、きょうすぐでなくてもいいが、われわれが議論するのに必要な材料を一定程度出していただきたいと思います。
  201. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 もちろん、「放送大学について」に掲げている開設予定授業科目を創設準備室で検討するときには、準備室の飯島室長ないしは西田教授がそれだけで考えたわけではなくて、当時放送大学教育課程の編成等に関する協力者というものを準備室はお願いをして、二十名に及ぶ国立あるいは私立大学のいろいろな専門分野の方に御参加をいただいてこの開設予定の授業科目についての検討はされたわけでございます。  そして現在は放送教育開発センターの方でたとえば実験番組というものを実施しているわけでございますけれども、そのときにどういう放送科目についてどういう方々を講師として実施をするかというようなことを検討するために、放送教育開発センターでは、やはり放送利用の高等教育における授業科目の編成等の実施協力者というような名前で、多くの国公私立大学の教員その他の学識経験者の御協力を求めております。それらの方々というのは、多少の出入りはあるにしても、ずっと放送大学の構想の検討に参画をしてきておられる方々でございますから、考え方の継続というものは行われております。  放送大学がスタートをする場合には、もちろん大学設置審議会の審査を経て認可をされていくわけですから、そのときに教授の組織、教員組織についても審査を経るということになります。ではあるけれども、当然これまでそういったカリキュラムの問題について関与されてきているような方々は、放送大学に対する今後の御協力をいただく態様はいろいろではあろうと思いますけれども、やはり、客員の教授であるとかあるいは非常勤の形であるとかいろいろございましょうけれども、御協力をいただくことはできるだろうと思いますし、御質問お答えする資料としてどういうものがいいのかはなお検討させていただきますけれども……
  202. 嶋崎譲

    嶋崎委員 一つだけ、ぼくの一番わかる専門領域のスタッフがどういうふうに協力してどうしてこの科目になったかということがわかれば、それで見当がつきます。
  203. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 たとえばその開設予定授業科目について検討したときの協力者の名簿——このときには「生活科学」の分野についても「産業・社会」の分野についてもそれぞれ小委員会が設けられておりますから、そういった小委員会のメンバー等を差し上げれば御理解いただけると思いますので……。
  204. 近藤鉄雄

    ○近藤委員長代理 なお、第四のその他の事項及び第一、第二、第三においても質問が残っておりますので、本日はここで打ち切り、次回は、来る六月一日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会