○武部委員 確かに
公正取引委員会というのは異動が何回かに分かれて行われておったことは私も
承知しております。それを一挙に同じ時期に――私は百四十二名、あなたは百四十三名ということで一名違っておるわけだけれ
ども、大体合っているわけですが、そういうものが特定な取引部あるいは特定な経済部の調整課、そういうところに集中しておる。また、四名しか動いていないとおっしゃるけれ
ども、内部でかわろうと外へ出ようと同じことでございます。しかも地方を強化するということは、何もいまに始まったことではなくて、これは前々から地方を強化すべきだといういろんな発言が当
委員会でもあって、私はずっと前から地方はどんどん強化されてきておったというふうに理解をしておりますし、現実に地方の出先の方方は、りっぱな業績を上げておられるわけですから、いまさらそのことが理由になるということは、私は納得できない。
いろいろとお述べになりましたが、後でもっと具体的なことをお伺いしますから、そこでまたお答えいただきたいと思います。
少なくとも
公正取引委員会の設置というものは、独禁法第八章によって定められておるわけであります。その第二十七条二項で「
公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。」この「内閣総理大臣の所轄に属する。」ということは身分上のことである、このように私は理解をいたします。公取の職権というものは第二十八条によって、独立して行う、このようにされておるわけであります。この独立性というものは、経済基本法としての独禁法の目的を実現するためには、他の
一般行政庁、またはそのときの政権、そういうものの思惑によって左右されてはならない、こういう立場があって、この立法者の意思によってはっきりと独立して行う、このように定められておる、このように理解するのが至当だと思います。しかし、現実に現在の
公正取引委員会の実態を見ると、いま私は人事のことを言いましたけれ
ども、その前にすでに法制上の独立性というものが実質的に空洞化をしているではないか、このことを申し上げたいのであります。
たとえば
公正取引委員会の
委員会の構成を見ても、
委員長はこのところ代々大蔵省出身、これがずっと続いております。四人の委員は大蔵省、
通産省、法務省、そして公取のプロパーはわずか一名であります。法第二十九条第二項の規定するところでは、「
法律又は経済に関する学識経験のある者」こういうふうになっております。この「
法律又は経済に関する学識経験のある者」とは、常識的に見るならば、これは学者であり、弁護士であり、あるいは裁判官、そういうものを大体われわれとしては予想するわけであります。しかし、いま申し上げたように、大蔵省-
委員長、公取の委員の構成四名のうち大蔵、通産、法務、こういう高級官僚が天下りで委員をやっておる。こういう点を見るときに、一体これはどういうわけだろうか、このような点について疑問を持たざるを得ないのであります。
しかもその上に大蔵省は、このほかに事務
局長、さらに企画
課長、こういう枢要部の人事も占めておるのであります。今度の人事におきましても、事務
局長の適格者は公取内部にある。私
どもは当
委員会を通じて長くいろんなことをやっておりますから、大体のことは
承知しておりますが、公取内部に事務
局長の適任者はある、このように聞いておったし、同時にわれわれも見ておる。こういう中で、前任者に引き続いて再び大蔵省からこの事務
局長が入ってきた。これは明らかに、
公正取引委員会に対する大蔵省の支配を裏づけておるのではないだろうか、このようにも思えるのであります。したがって、いま
委員長からいろいろと弁明がございましたけれ
ども、私は今後、
公正取引委員会の独立職権というものが、
政府や大蔵省の意向によって左右される危険がますます強くなってきた、そういうおそれが出てきたということを言わざるを得ないのです。これはまさしく先ほど申し上げましたように、独禁法というものの立法者の意思を踏みにじって、
公正取引委員会の
一般職員の士気を損ない、さらには
国民大衆の期待を裏切るものだというふうに断ぜざるを得ないのであります。
また、
委員長は五年間は独禁法においてその地位を保障されているわけであります。これはいわゆる
公正取引委員会の独立性を保障するためであります。それが、大蔵省の天下り人事のこういう経過をずっとたどってきましてから、早ければ半年、長くても二年半で他に転出しておる。あたかも大蔵官僚、天下り官僚が渡り木にとまるような、そういう
委員長のポストになってきたのではないか、そのように扱われておりはしないか、この点を私は大変残念に思うのであります。これは、少なくとも独立官庁であるところの
公正取引委員会の権威を無視して、認証官であるところの
委員長、いわゆるこの職位の尊厳を汚すものである、こう言っても言い過ぎではない、このように思います。私は、
公正取引委員会というものは独立官庁であって、
公正取引委員会の人事そのものは
公正取引委員会自身の権威や判断で行うべきものだ、このように思っております。大蔵省の人事政策によって左右されるようなことが断じてあってはならぬ、このように思うのであります。
公正取引委員会は、国家行政組織法上は総理府の外局であります。大蔵省の外局ではないのです。この点、一体、この所管であるところの
総理府総務長官は、どのように私の述べたことについてお
考えだろうか、これをちょっとお伺いいたしたいのであります。