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1979-07-12 第87回国会 衆議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年七月十二日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 佐藤  隆君    理事 今井  勇君 理事 羽田  孜君    理事 堀之内久男君 理事 山崎平八郎君    理事 島田 琢郎君 理事 馬場  昇君    理事 古川 雅司君 理事 稲富 稜人君       愛野興一郎君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    玉沢徳一郎君       津島 雄二君    中村喜四郎君       平泉  渉君    福島 譲二君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       日野 市朗君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  渡辺美智雄君  委員外出席者         農林水産政務次         官       片岡 清一君         農林水産大臣官         房長      松本 作衛君         農林水産大臣官         房技術審議官  松山 良三君         農林水産大臣官         房審議官    小島 和義君         農林水産大臣官         房企画室長   鴻巣 健治君         農林水産省経済         局長      今村 宣夫君         農林水産省経済         局統計情報部長 柳井 昭司君         農林水産省構造         改善局長    大場 敏彦君         農林水産省食品         流通局長    犬伏 孝治君         食糧庁次長   小野 重和君         水産庁長官   森  整治君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       加藤 昭六君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(昭和五十四年産  米穀政府買価格等)      ————◇—————
  2. 佐藤隆

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十四年産米穀政府買い入れ価格についての諮問について、政府から説明を聴取いたします。小野食糧庁次長
  3. 小野重和

    小野説明員 お手元にございます資料に基づきまして御説明申し上げたいと存じます。  まず、「諮問」でございますが、「昭和五十四年産米穀政府買価格について、米穀需給均衡を図ろための対策が行われている需給事情に即応して、生産費及び所得を考慮し、新たに品質格差を設けて決定することにつき、米価審議会の意見を求める。」というものでございます。  その「諮問についての説明」がございますが、朗読させていただきます。「米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式により行ってきたところであります。  米穀政府買価格は、昭和五十三年産米穀につきましては、最近における米穀需給事情を考慮して、その水準を据え置いたところであります。しかしながら、それまでの間における米価水準相当上昇により、稲作収益性相対的有利性はなお変らず、他の諸要因とも相まって、稲作志向には根強いものがあり、他方、米の需要は、その減退傾向が引き続いております。このため、昨年度から米需給均衡化対策が実施されておりますものの、昨年は天候にも恵まれ、生産が計画を大幅に上回ったこともあり、米の過剰はなお一層深刻なものとなってきており、米需給の不均衡を早急に是正することが当面の農政における緊要の課題となっております。  また、近年における消費者需要は、良質米への選好を強めながら多様化する傾向にありますが、このような事情に即応して、米穀政府買価格についても、品質に応じて格差を設け、需要動向に対応しうる生産流通へ誘導していくことに配慮する必要があります。  本年産米穀政府買価格につきましては、以上申し述べました現下の米の需給事情に即応し、生産費及び所得補償方式により算定し、新たに品質格差を設けて決定することとしてはどうかということであります。」  以上が諮問についての説明でございます。  次に、価格それ自体の試算でございます。「昭和五十四年産米穀政府買価格試算」につきまして御説明申し上げます。  最初算式でございますが、この算式分数がございます。この分数分子の方は、十アール当たり評価替え生産費でございます。分母反収でございます。そして、それぞれ価格決定年の前三年、ことしの場合で申し上げますと、昭和五十一年、昭和五十二年、昭和五十三年、それの平均ということになります。つまり、十アール当たり評価替え生産費収量で割るわけでございますので、それに六十を掛けますと、六十キログラム当たり評価替え生産費として求める価格が得られるわけでございます。  その下のところは例年と同じでございますので省略いたしまして、具体的な数字につきまして申し上げたいと思います。  二ページでございます。まず、「求める価格」というふうに書いてございますが、この分数分子にございます十四万五千百四十九円、これが先ほど申し上げました十アール当たり評価替え生産費の過去三年の平均でございます。それから、分母の五百十八キロ、これが三カ年の平均反収でございます。これに六十キロ掛けまして一万六千八百十三円、これが米全体の農家庭先裸価格ということになります。前年を御参考に申し上げますと、この価格が一万六千百二十二円ということになっております。  次に、「基準価格」でございますが、これはいわば政府が買い入れる場所に農家が持ってくるまでの運搬費を加えたものでございます。これが一万七千五円ということになります。昨年は一万七千十九円ということにいたしております。これは、昨年は実は一定方式で、必要量生産費方式計算いたしますと、これより低い数字が出まして、七百十一円という補整額を加えまして一万七千十九円ということにいたしたわけでございますが、一万七千十九円というのは一昨年の基準価格でございますが、その水準並みとしたということでございますが、ことしは昨年と同様の方式計算いたしますと一万七千五円ということになるわけでございます。本年については、この段階では補整はいたしておりません。次の段階補整いたしておるわけでございます。  次が、「うるち軟質類一等裸価格」でございます。これは、ここで耳新しい三類という言葉が出てまいりますが、これは、後ほど説明いたします品質格差加算、減算する中心となる、われわれ、へそと申しておるものでございますが、その価格でございます。これを出すわけでございますが、基準価格に一〜三等の一〜五類平均、これは全部の平均でございますが、それと三類との格差二十円、これを引きます。それから一〜三等と一等との格差、これを足します。そして歩どまり加算、これはいわゆる硬質米の四十円の歩どまり加算でございますが、これの平均軟質類一等との差が十九円でございますので、これを引きます。そして、最後に三十四円という補整額を加えて、一万七千百七十六円という数字を出しておるわけでございます。  これはどういう意味かと申しますと、御説明は前後するかと思いますが、右の方の一覧表をごらんいただきたいと思います。五十三年産米の欄がございますが、一等は一万七千百七十六円、それから二等、三等とございます。これは去年の米価でございますが、これをことしは、五十四年産米のところの三類、まあ中心となるものでございますが、これを一万七千百七十六円とする、つまり、これが五十三年産米同額になるようにする、こういう趣旨でございます。そういうことで、これはもし普通に計算いたしますと、三十四円低く出ますので、これはやはり農家手取りのことを考えまして、そこまで引き上げて調整すろ、こういうことでございます。そういう意味で、この三十四円の補整をいたしておるわけでございます。  それから、四が「うるち一〜五類、一〜二等平均、」云々と書いてございますが、これがいわゆる基本米価でございます。普通の農家が普通の米をつくる、その米の米価、こういうことでございますが、一万七千二百七十九円でございます。これは前年が一万七千二百五十一円でございます。二十八円のアップ、〇・二%に相当いたしますが、そういうことになっております。  以上が結果の数字でございます。  次に、四ページ以降、算定要領が書いてございますので、若干御説明いたしますが、この算定要領は、従来の、昨年の場合と同様の算定要領でございます。最初に十アール当たり平均生産費算定をいたすわけでございますが、先ほど申し上げましたように、過去三カ年の年産の十アール当たり平均生産費につきまして、一定評価替えをいたしまして、これを平均するわけでございますが、この場合、米販売農家につきまして、米生産費調査の各年産の米の販売農家を六十キログラム当たり生産費高低順に並べまして、生産費の低いものからの累積販売量が、各年産につきまして、五十一年産については九七%、五十二年産については八九%、五十三年産にあっては九四%、これがいわゆる必要量比率、こういうことでございますが、昨年の場合と同じ考え方必要量比率をはじいているということでございます。昨年は若干激変緩和ということで切り上げしたわけでございますが、ことしはその出た数字をそのまま使っている、こういうことでございます。  あと、家族労働費につきましては、従来と同様の考え方でございます。ここに男女込みで千三十三円十二銭とございますが、これが前年は九百八十一円五十三銭、五・三%のアップ、それから男子の場合は、昨年が千百八十八円三十六銭、五二%アップ、こういうことになっております。  ア以下は、さらにそれをはじきまして、その内訳でございまして、従来と同様に五人以上千人未満の賃金をとる、あるいは現物給与相当額を加える、通勤手当相当額を控除するというふうにそれぞれ方式は去年と同じでございます。  それから、その次のページに参りまして、物財雇用労働費でございますが、これも従来の物価修正と同じ方式でございます。  それから副産物価額につきましても同様の方法でございます。  それから資本利子でございますが、これは去年よりも金利が最近上がっておりまして、昨年よりも〇・七五%上がっておりますので、最近の金利を採用いたしております。  それから(5)の物件税、公課諸負担も従来と同様の方式でございます。  地代につきましても昨年と同様の方式でございます。  それから九ページに参りまして、各年産平均収量を出しております。  それから運搬費でございます。  そういうことで、最初に申し上げました数字がはじかれておるということでございます。  その算出基礎につきましてさらに総括したものが十ページにございます。  以上、簡単でございますが、算定の御説明をいたしたわけでございます。  最後に、品質格差についてでございますが、お手元に五十四年産米穀政府買い入れ価格試算における品質格差がございます。  一ページにありますのは、これは総括的なものでございまして、銘柄区分につきましては、一類から五類に区分する。そしてその格差につきましては、一類は、従来の指定銘柄奨励金との連続性考えまして四百円プラス。二類は、特例銘柄との連続性考えまして二百五十円。四類は、従来の売り渡し価格との関係考えまして二百円マイナス。五類は同様に六百円のマイナス。こういうことで品質格差を設けたいということでございます。  それから、二ページ以下に指定基準を掲げてございますが、一類から五類まで掲げてございますが、一類について申し上げますと、五つの要件がございます。これのすべてを満たす一、二等の産地品種ということで、過去三カ年産自主流通価格限界価格水準——限界価格水準と非常にむずかしい言葉を使っておりますが、注にございますが、自主流通生産者手取り額政府買い入れ価格同額となるような自主流通価格水準、つまり農家段階で見た場合に、政府米として売るよりも自主流通米の方がメリットがございますので、そのメリットの額をはじく場合の政府米水準ということでございます。このメリットが三百円以上ある、こういう要件。それから、一類の(2)でございますが、自主流通の全体の出回り数量に対する比率が三〇%以上4それから、自主流通数量平均数量として三千トン以上。それから、県の奨励品種である、あるいは品種の鑑定が可能である、こういうようなことでございます。  それから二類でございますが、これは一類に準じておりますが、先ほど申し上げました自主流通価格のいわばメリットと申しますか、これが百円以上あるということがまず第一でございます。それから自主流通比率が一〇%以上、自主流通数量が千トン以上、それから(4)といたしまして、一類の(4)、(5)の要件を満たしているということでございます。  三類は、一、二、四、五以外のものということでございます。  四類でございますが、これは、一、二類に該当するものは別でございますが、該当しない米の中で、いわゆる減額1という区分相当する青森県のここに書いてあります市町村以外のもの、こういうものと、それから、いわゆる西南暖地早期栽培米を四類といたすわけでございます。ただし、米の流通実態等から見て四類よりはむしろ三類に格づけしても適当ではないかというケースも個別的にあり得るかと思いますので、それはただし書きで四類から三類に上がる道も開いておるわけでございます。それから(2)でございますが、これは話は前後しますが、五類から四類へ上がり得る道も開いている、こういう趣旨のものでございます。  それから五類でございますが、これは、一、二類、四類に該当しない米穀であって北海道全市町村生産されたもの、いわゆる上位ランクに格づけされるもの以外の一般的ないわゆる減額でございます。ただし、農林水産大臣が、米の流通実態等から見て五類とすることが適当でない、さらに格上げすべきだというものがもしあれば、そういうものは指定する道も開いておきたい、こういうことでございます。  そのほか、関係資料もお配りしているかと思いますが、説明は省略させていただきます。  以上をもちまして、諮問算定等につきまして御説明申し上げた次第でございます。     —————————————
  4. 佐藤隆

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 農林大臣冒頭お尋ねをしたいと思うのでありますが、きょう政府試算米価米価審議会に提案をされました。  渡辺農林大臣は、所信表明演説の中で、国民生活安全保障にとって最も基礎的な食糧安定供給という使命を農業は持っておる、農政によって夢と希望農民に与えると述べられております。  この提出されました政府試算米価に対して、農家は本当に夢と希望を持った米価であり、農政の推進であるというふうに判断をしておるだろうか、大きな疑問があり、失望と怒りに狂っておるというのが現状であろうと思うのでありますが、農林大臣農民がどのように判断をしておるかという、そういう点の考え方をまず冒頭にお聞きしたい、こう思います。
  6. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私が施政方針演説の中で申し上げたことは、これは将来の展望について申し上げたわけでございます。それは、日本農業というのが、一億一千万という巨大な市場を持ち、購買力のある人口を抱えておるから、世界じゅうから日本は優良な市場である、こう見られておる。したがって、その中に一番至近距離に住んでおる生産者がやってやれないことはないということを申し上げたのであります。  したがって、今回の米価につきましても、過剰生産という中でございますので、今回は過剰生産というそういうような背景も考え米価水準は据え置かれることになったわけでありまして、しかしながら、その中でやはり消費者に好まれる品質のいいものと消費者が好まないものとの間に格差をつけるというようなことによって、その体質改善を図り、そうして消費者に好まれ歓迎される農業体質改善を図ろうというものでございますから、少しも矛盾はないと考えております。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 きのう農林省の統計情報部長説明しております中に、五十三年産の水稲の十アール当たり平均生産費は前年に比べて九・八%の上昇をしておる、生産費が約一〇%上昇しておるということを報告しております。これを六十キログラム当たりに直しますと五・五%の上昇であるということは、大臣もその席におって聞かれたとおりであります。  そういう生産費上界の中で米価据え置きということが決定されたことは、あなたは将来の展望とかいろいろ言われておりますが、牛乳の問題にしても、豚肉価格にしても、あるいは過剰であるとし、あるいは値下げをし、そして労働者の月給にも値する生産者米価据え置きをされる、そして生産費は急上昇を告げ、今日、秋にはさらに石油等事情によってもっと経済情勢は変わってくるという情勢の中で、米価据え置き農民にとってはきわめて遺憾である、こういうふうに私は考えておると思います。自民党の中でも最低といえども農協が要求する一万九千三百八十二円はどうしてもという声があることは、あなたはよく知っていらっしゃると思います。  農林水産省生産者のための農政も行い、渡辺農林大臣消費者嗜好ということを強調されておるのでありますけれども、こういう実態の中でいまの据え置きというものについて農民はどのように考えておるだろうかという点についてはどうお考えですか、あなたの考えはさっきわかりましたが。
  8. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私は私の考え方を述べるだけでございます、私は他人ではありませんから。要するに、今回の生産費上昇というものは今回の米価にすべて織り込まれておるわけであります。御承知のとおり、米価算定というものは一年で決まるものではありません。過去三年間の平均をする、そういうふうなルールになっておりますから、したがって、その一年分については、昨年の生産費の上がった分は上がったように、賃金も七%ぐらい上がったものは上がったように織り込んであるわけであります。しかしながら、収量がふえたりあるいは時間数が減ったりいたしますというと、その面は相殺をされるわけでございまして、それはルールに従ってきちんと計算をされておるわけでございます。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、事務当局お尋ねをしますが、四十四年から三年間米価据え置きになった時点があります。これについて、四十二年の政府試算米価は大体どの程度であったのかということと、今度の試算米価算定要領を見ますと、必要量生産費方式をとっていらっしゃるわけであります。  あわせて、平均生産費方式をとりました五十二年産米ですね、それで試算しますとどの程度になりますか。
  10. 小野重和

    小野説明員 四十二年方式及び五十二年方式で本年の諸資料を使って算定すればどのような数字になるか、こういうお尋ねかと思いますが、四十二年という年はむしろ増産を非常にしなければならぬというときでございましたが、いずれにしましても、数字を申し上げますと、四十二年方式算定いたしますと、基準価格ベースでございますが、六十キログラム当たり二万五千百三円ということになります。  それから、五十二年方式算定いたしますと、基準価格ベースで一万七千九百五十四円、こういう数字に相なります。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 大臣お尋ねをしますが、この米価算定に当たっては、いま大臣は、いろいろと勘案をして過去三年間の平均を出して、すべて入るものは入れてやる、一定方式があるということを言われておったわけであります。そういたしますと、いままで平均反収とかバルクラインとかいろいろありましたが、一定方式というものはその都度変わっておるわけですね。四十二年の方式計算をすれば、いまの一万七千円の米価は二万五千円だということをはっきり言っておるわけです。その都度変えて諮問をしておるというのが実態ですね。去年から必要量生産費をやる。それまでは平均生産費方式だった。いつも据え置きにならせるための答えというものを先に出して式が立てられておる、こう言っても過言ではありません。だから、三年間の平均はいままで変わらざる方式というものを決める必要があるんじゃなかろうかと思うのです。毎年毎年変えないでやる。そういうことは農林大臣はどうお考えですか。
  12. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 そういうような考え方もございます。たとえば、麦の場合はパリティ計算でやるというように法律に書いてあります。しかしながら、御承知のとおり、経済事情あるいは需給事情、こういうものを勘案をして値段というものは決めらるべきものでございまして、過剰になっているときに値上げをして、それでどんどんつくることを奨励するようなことはできないのであります。一方においては、過剰生産をやめさせるためにいろいろな施策とお金を投じておるわけでございますから、それぞれの需給事情というものがやはり価格には当然に反映しなければ、ますます過剰状態になってしまって食管そのものが崩壊する。それでもいいんだというなら話は別でございますが、われわれは、食管制度は崩壊させては困ると皆さんがおっしゃるものですし、政府もそう思っておりますから、やはり食管制度を崩壊させないためにはこれ以上の過剰生産というものをやらないようにしなければなりません。したがって、確かにあなたのおっしゃるように、増産時代方式と、過剰で抑制時代方式とでは差があることは御承知のとおりでございます。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 大臣食糧管理法を堅持するということですが、そのとおりですね。
  14. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私は、食管法の根幹は守るということを言っております。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 いま、経済事情なり需給事情というものを考えてやらなければならぬ、だからその都度その都度政府に都合のいいように決めるんだ、こういうお話がありました。しかし、この骨幹は、いわゆる生産費及びその他の問題を参酌して米穀の再生産を確保することを旨としてやるということが明確にされておるわけです。これが骨幹なんです。そういう骨幹から考えると、今度の試算米価は非常に問題があるということを大臣に指摘をしておきたいと思うのでありますが、今度採用されておる必要量生産費方式、この必要量というのは一体何トンなんですか。
  16. 小野重和

    小野説明員 現在の本年度の予約限度数量八百三十万トンでございます。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 当時、減反減産の際に百七十万トン、三十九万一千ヘクタールの面積を減反減産をするという方式が出た。その中で政府が示された必要量というのは千百七十万トンだ、こういうふうにあなたのところの書類でわれわれは見ております。いいですか、大臣。八百三十万トンというのは政府が買い入れる数量です。必要量というのは、農家皆さんも食するわけでありますから、これで三百四十万トンプラスをして千百七十万トンだというのが常識だ。農家の方は保有米だからそれは計算に入れぬといっても、必要量としては千百七十万トンということを明確にしておろわけじゃないですか。この点は、消費者だけが必要量であって、農家皆さんは適当にみんなが保有しておるんだから必要量でないということは問題だと思うのですね。必要量の問題で確かに私は問題だと思う。その点は大臣ぱどうお考えですか。
  18. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 政府としては、この食管法では配給をするということに書いてあるわけでありまして、要するに全体の、政府需給操作ができる必要な量というようにわれわれは考えておって、しかも、それが確保されるため農家の方で消費する米もこの値段で十分に再生産が可能である、こう考えております。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 そういたしますと、農家皆さんは、今度試算をされました米価の一万七千円で売って、そして一万五千円程度で買うということになれば、必要量というものは千百七十万トンになる、こういうことになりますか。
  20. 小野重和

    小野説明員 出回り数量を私どもいつも頭に置くわけでございますが、確かに農家消費はございます。農家消費はございますが、これは一般に売られるものではございませんので、政府買い入れ価格生産者米価を決める場合に問題になるのは、やはり出回るものでございますから、出回りの数量を基準とせざるを得ないということでございます。出回り数量の必要出回り数量というのがすなわち予約限度数量でございます。それを必要量といたしまして、各氏の実際の出回り数量分母にいたしまして必要量比率を出している、こういうことでございます。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 それは問題があるところですから、さらに議論を後で深めていきたいと思うのですが、時間がありませんから、次の点だけを確認をしておきたいと思うのです。  この前の五十三年度の必要量生産費では、五十年を九〇、五十二年を九〇で、五十一年を一〇〇にした。今度は、五十一年産については九七%、五十二年産にあっては八九、今度の五十三年は九四%、こういうふうに低いところがら並べてとっておる、こういうことですね。だから、昨年の計算では、五十一年の家族労働時間等は七十六三時間でちゃんと諮問してきた。そうですね。ところが今度は、七十三・八時間に価格決定年における評価替えで変えておる。五十二年にしても、全体の農家収量というのは十アール当たり四百七十八キロ、そして調査をした分は五百十二キロ、今度のやつでは五百二十四キロで計算をしておるわけですね。いいですか。しかも、時間は六十五・六時間を六十五・三時間に直しておる。実質、今度の情報部長の労働時間でやると七十一時間、こういうことになっておるわけです。みんな低いところがら並べていっている。そうするとカバー率というものは非常に減ってくるということになりますね。推定みたいなものです、下から上げるから。このカバー率はどのぐらいになっておるのですか。
  22. 小野重和

    小野説明員 去年の必要量比率のはじき方は、先ほど申し上げましたように、過去三年のそれぞれの出回り数量分の限度数量という考え方は同じでございますが、ただ、必要量方式を去年——これはかって、四十六年以来数カ年取り入れたものでございますが、その後、ごく最近ではなかったものでございますが、それを去年新たにまた再び取り入れたということもございまして、必要量比率をそのままの数字でいくのか、それともどうするのか、こういう議論が実はあったわけでございますが、急激な変化を避けるという意味でラウンドで切り上げた、こういう経緯がございます。しかしながら、本年の場合には、需給事情が去年よりさらに厳しい、こういう事態でございますので、去年のような切り上げラウンド方式ではなくて、必要量比率そのままを四捨五入方式でとった、こういうことでございます。  それからカバー率の問題でございますが、これは厳密に申し上げますと、ことしの五十四年産米価が五十四年の生産費のどれだけをカバーするかということになるかと思いますが、五十四年産生産費がまだ出ておりませんので、これをはじくというわけにはいかない、こういうことでございます。過去の数字であればございますが、五十四年産ということになりますと、ちょっとむずかしかろうかと思います。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 過去のものでカバー率は算定をして報告をしてもらいたい。ということは、私は十二時からまた質問をしますから、その際に報告を願いたい。  時間がありませんから、大臣に質問をしますが、品質格差の導入は昨日議論があったところでありますが、銘柄奨励金は廃止するということになりましたね。政府が買い入れる指定銘柄特例銘柄米は四百円なり二百五十円というものが第一分類、第二分類で拾えるわけですね。政府に世話にならない自主流通米がある。これについての四百円なり二百五十円というものは取り去られるわけですね。いままで良質米は千五百円つけられておるわけだ。四百円なり二百五十円取り去られたものはそれだけ減額になるということになる。それならば、荷主と交渉して高く上げろというのか、あるいは千五百円を千九百円に持っていくというのか、この辺は一体どうなんだ、その点はどうかということが一点。  それから、五分類にして二百円と六百円引く、第三分類というものをいわゆる基準価格として引くということになっておりますね。そうすると、その数量は八十三億円である、そうですね。そして四百円と二百五十円を一分類と二分類でプラスして、これが大体百三億、これだけはちゃんと政府は予算として見ておった。ちょうどいいことには、この一分類と二分類は千五百円と、八百五十円をプラスして消費者には売っておる。この合計が二十億。ちょうどプラスマイナスゼロのようにちゃんと計算をされておる。そういうことになりますね。そしてその分だけは一体どこにやるかというと、これが自民党の政治加算米価の財源になる。去年もこういうことになっておるわけです。これはことしもそうなるのか。そうじゃないですか。一体どういうふうにこの余った金はやろうとお考えなんですか。二点お聞きしたい。
  24. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 前半について私からお答えをいたします。  銘柄奨励金は私は廃止するということを言っておるわけでございます。それは政府買い入れ米についてであります。自主流通米についている良質米奨励金と銘柄奨励金はどうするかということでございますが、良質米奨励金はもちろん存置いたします。銘柄奨励金についてはどうするか、十分に検討さしていただきたい、かように思います。
  25. 小野重和

    小野説明員 一類、二類の加算分、トータル約百億でございますが、一方、四類、五類がラウンドで申し上げまして約八十億、その差は二十億ございます。これはどうしたかということなんでございますが、非常にややこしい問題になりますけれども、先ほど私算定のところで御説明申し上げましたが、去年方式ではじいたものよりも補整額として三十四円補整したと申し上げましたが、分類しますと、そのうちの十四円というのは去年水準に持っていくためのものでございます。そのほかの二十円、一俵二十円というのは実は二十億に相当しますが、これは去年方式ですと全体としてそれだけ下がるわけでございます。それは逆に申しますと、百億と八十億の差の二十億を、前年水準としますとその分それぞれの価格が下がらざるを得ないということがございますので、その二十円をさらに補整としてアップしたということでございまして、その百億と二十億の差は新たな財政負担をしている、こういうことになるわけでございます。
  26. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がありませんが、次長ですか、御説明がありましたが、いままではマイナス二百円、マイナス六百円というのはなかったのですよ。そして四百円と二百五十円というものはあったわけです、銘柄奨励金としてあったわけです。これが百三億なんです。みんなで百五十六億、ここに予算が出ておるわけです。今度新たにつけたということは、それだけ財政が浮くということだ。政府がふところに入れるということですよ。八十億というものが、政府で言うとよけい取ることになる、予算は百億あったのですから。そうすると、この八十億と百億——四百円と二百五十円の支出があると言いますが、いままで銘柄奨励金で全体で包んでおったのです。だから、それだけは得になって、その余った金は一体どうなるのかということを聞いておるのだ。余った金、これが政治加算米価だ。  それから農林大臣、千五百円というものは、良質米は残すわけですよ。それはわかっています。今度政府が買い入れる四百円と二百五十円の指定銘柄特例銘柄というのはちゃんと入るわけだ。自主流通米政府の世話にならないものは廃止になるということになると片手落ちになる。だから、千五百円を千九百円にするのだろうと私は言っておるわけです。検討すると言うが、米価審議会が終わった後、向こう側に座っておられる自民党の皆さんと相談をしてその持ち分をどこかにつける、こういうことをねらっておることが明確に——五十三年度の一俵当たり百円、一反当たり三千五百円ずつ返すというのは、補整で出したのはこういうところの財源をやっておるのではないかということを私は指摘をしておるわけです。  これ以上質問することはできませんが、そういう点について、これだけ物価が上がって、資材費が上がり地代が上がり生産費が暴騰しておるという現実を見ないで、きのうも自民党の玉沢君が言っておるように、仮の米価にしなければならぬということまで言っておる。あなたの方の党ですよ。われわれは据え置きということについては断じて了解ができない。その点を指摘をして、いま私が指摘した点について答弁があればしていただきたい。
  27. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 御承知のとおり、良質米奨励金等は米価決定後に決めるわけでございまして、政府は別にここで、財政は非常に苦しくともその分をちょん切って予算を浮かそうなどという考えは実は持っておらないのです。したがって、これらについては米審の意見も十分聞いて、その結果いかにするか決定したいと思っております。(野坂委員「値下げにならないようにされますか」と呼ぶ)いかにするか米審の意見を聞いて決定をしたいと思っております。
  28. 野坂浩賢

    野坂委員 これで私は一応終わります。
  29. 佐藤隆

    佐藤委員長 芳賀貢君。
  30. 芳賀貢

    ○芳賀委員 質問に入る前に委員長に申しますが、委員会審議に当たっての要求した資料政府側から忠実に提出されない点があるのです。これは昨日、本日の質問に備えて政府側に質問の要旨——これは毎回そうですから、われわれとしては質疑の能率を上げるために、予定した質問の要旨というのはできるだけ親切に伝えてあるわけですが、審議に当たって必要な資料を事前に要求するのは当然です。そこで、いまだに提出されない資料としては、ことしの米価決定の算定方式と比較するために、第一には、いわゆる昭和四十二年方式というのがあるわけですが、これについては、私は毎年審議の際に事前に政府から提出を求めておるわけです。ことしも昨日、資料を提出する際に、昭和四十二年方式試算した場合のことし昭和五十四年産米試算価格というのは一体どうなるかというのが一点。それから、昨年から政府必要量生産費方式を採用したわけでございますが、それ以前の昭和五十二年に米価の、生産費算定したその算式を用いた場合に、今年の試算米価がどうなるか、これも詳しく、従来こういう試算をして資料が出されておるので、質疑に入る前にそれは正確に提出するようにと言ってあるのに、いまだに出ていないのですね。質疑に入る前ですからいま持ってきても間に合うのですが、こういうことがときどきあるわけです。まずこれを提出してもらってから所定の質問時間内で質問します。
  31. 佐藤隆

    佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  32. 佐藤隆

    佐藤委員長 速記を起こしてください。  芳賀君。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀委員 同時に、農林大臣に申しますが、昨日、農林大臣に対する私初め各同僚委員の質疑を通じまして、五十四年の生産者米価を決定する場合には、まず第一には、昨年のような必要量生産費方式というような不当とみなされる算式は使うべきでない。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕 第二点は、以前から買い入れ価格の中に五段階に分けたいわゆる品質格差なるものを導入するという政府の意図があるが、これを食管法に基づいて決定する政府の買い入れ米価の中に算入するということは、食管制度から見ても厳密にいえば疑点がある。さらにまた、これは地域格差というものを導入するということにもなるので、食管法の基本方針である一物一価の原則に照らしても、これは大きな過ちを犯したことになるので、この品質格差の導入というものは米審に諮問すべきではないということを、大臣も理解できるように質疑をしたわけでございますが、それが全く裏切られたような形で、ことしも必要量生産費方式、そしてついに米価審議会に対して品質格差の導入なるものを具体的に諮問を発したわけです。これは委員会としてはまことに遺憾至極のことでございますので、この点について昨日に続いて農林大臣の責任ある方針というものを明らかにしてもらいたいと思います。  そこで、第一は、必要量生産費方式の必要性ですね。どこに根拠を置いて必要量生産費方式米価を不当に据え置きないし下げなければならぬかという点であります。特に、昨年から政府はいわゆるペナルティーつき、制裁条件をつけてまでも米の過剰傾向に対する歯どめ措置を米の生産調整十カ年計画の中で実行しておるわけです。しかも、第一年目の昨年は、政府目標といたしまして、転作面積については水田三十九万一千ヘクタール、数量については百七十万トン、これを生産調整すればあとの作付並びに生産量が国民に対する必要量であるということを明らかにして、この方針は三カ年間、昭和五十三年、五十四年、五十五年必ず固定しますということを、当委員会においても、予算委員会等においても、かたく言明しておるわけです。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、それでは政府が目標として策定した必要量なるものが現実において昨年もことしも破られておるかどうかという点が一つあるわけですね。まず第一に、必要量というものの基本的な算定の根拠は、やはり必要生産を満たす以外の水田面積については、たとえば三十九万一千ヘクタールというものを水田耕作の用に供しないで転作に活用する。では、この三十九万一千ヘクタールが昨年どういう結果になっておるか。もうことしも作付を終わったわけでありますが、これがどうなっておるか。昨年もことしも政府の期待を上回る生産者の協力があらわれておることはいうまでもないわけですね。つまり、政府目標に対して五十三年度の実績は、面積において四十三万七千ヘクタール、目標より四万六千ヘクタール転作がふえておる。三%余分に転作に協力をしているというのが去年の実績です。ことしはどうなっておるかというと、農林省の調査に基づいても四十六万六千二百ヘクタール転作を行っておるわけです。これは政府目標に対しますと七万五千ヘクタール、生産者が現在の米事情を理解して自発的、自主的に協力をしておる結果であって、目標より一九%増加ということになったわけです。  これに難くせをつけて、この面積実施にけちをつけて、必要量生産費方式でなければならぬというようなことは、これは全然理由にならぬじゃないですか。この点が一点です。  もう一つは、一体この政府の米の需給計画を立てるための必要量計算というものは、現在の日本全国における米の生産性というものを実績の面からも的確に把握をして、一千百七十万トンというものは必要であるという計算ができておるのかどうかという点ですね。去年は異常な幸いの豊作年でございますから、全国の平均反収は四百九十九キロと、こういうような大変認むべき成果を上げておるわけです。この分が政府試算に対して、政府の方では四百五十六キロ、これを基礎単価にして、面積は二百五十四万四千ヘクタール、十アール収量が四百五十六キロ、こういうことで千百七十万トンの必要量というものを計算しておるわけです。したがって、多いというのは、この過小に低い生産水準というものを基礎にして計算をして、去年は実収が四百九十九キロ、もちろんこれは十アール四十三キロ予想収量を上回っていることは事実です。何も農民のせいじゃないじゃないですか。しかも、米価計算上六十キロ当たり価格を出す場合には、分母になる十アール当たり平均収量というものは多ければ多いほど、多くすれば多くするほど、六十キロの生産費、六十キロの生産者価格というものは当然これは低下することはもちろんであります。だから、何もこの上にさらに上積みをしてまでも二重に米価水準を下げなければならぬということは、これは正当な措置であるということは言えないわけです。こういうことになるから、昨年来、米過剰米過剰と騒いで宣伝をして、生産を刺激しないためには据え置きとか値下げをしなければならぬということで、手段を選ばず何でもかんでも、どんなやり方でも据え置きになるような算式、引き下げになるような算式を使えばいいというような、そういう権力的なやり方というものはとるべきでないと思うのですよ。  そういう意味において、私は、再度必要量生産費方式算定をしてそれを米審に諮問したということについては、これは絶対了承することはできません。だから、正当な計算をした場合は、少なくても最近時の五十二年の米価算定のときは、これはいわゆる政府に言わせれば平均生産費方式、少なくともこれでやった場合にはどうなるかということを、先ほど言ったように資料の提出を求めておるわけです。四十二年方式とは言いませんが、五十二年方式でやった場合と今回の計画的に据え置き試算をした価格との間にどういうような開きがあるか、それからまた、われわれが適正と認めた昭和四十二年方式によることしの試算米価と比べた場合に六十キロ当たりどれだけの格差があるかということを、これは小野次長からでもいいですけれども明快にしてもらいたいと思います。
  34. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 まあいろいろ御議論はあると思いますが、食管法というのは御承知のとおり米不足時代にできた法律であります。基本的には統制経済の法律であります。したがって、統制をするためには、ともかく米が過剰になるような状態の中で米価水準を維持していくというためにはそれしかないのですよ。(芳賀委員「そういう回りくどいことを言わないで簡単に答弁をしてください」と呼ぶ)簡単に答弁しますが、したがって、権力的なやり方で抑えているというけれども、権力的なやり方をしているから米が下がらないわけです。これは、これだけ大豊作で過剰米が六百五十万トンも余っちゃって、権力的なやり方をしなかったら大暴落ですよ。ですけれども、われわれは権力的なやり方をやって何とかこれを買い支えておる。しかし、それには財源の問題等もありますから無制限につくったりということはできない。そこで、われわれは、転作をやっている以上やはりここで刺激的な米価を決めることはできない、したがって、それらについては経済事情をしんしゃくをしておりますから必要量生産費方式を取り入れております、そういうのが結論でございます。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣、いまの未熟な答弁を聞いておると、われわれ議場においてはあなたの能力限度というのはわかっておるから別に何とも思いませんが、これを国民が聞いたらどう思いますか。昭和十七年にできた食糧管理法というのは、ただ米不足時代にできた法律である、それに対応する法律だなんて言ったら、これは大臣だって、食管法を見ないででたらめなことを言うわけにいかぬでしょう。いいですか。まず、国民食糧を確保するために、米麦等の主要食糧については、これを自由放任するわけにはいかぬので国家管理する、国民食糧を確保するためにこれは食糧の管理制度ということになっておるわけだから、そのくらいのことを、イロハですよ、頭に入れてやってもらわぬと、論議したってかみ合わぬじゃないですか。  それで、小野次長から、これはどうなっておるのですか。
  36. 小野重和

    小野説明員 五十二年方式ではじけばどういう数字になるか、こういうお尋ねでございますが、基準価格ベースではじきますと、六十キログラム当たり一万七千九百、五十四円ということになります。(芳賀委員「四十二年は」と呼ぶ)四十二年方式ではじきますと、これも基準価格ベースでございますが、二万五千百三円という数字になります。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、先ほどの計算の内容を聞きますと、昨年はそれでも良心的に六十キロ当たり七百十一円補整額を上積みをして、そうして基準価格というものを決定したわけです。ことしはこれはやってません。同じ必要量生産費方式政府がやった。去年は補整額を入れて、ことしは補整額が入っていません。これはどういう意味ですか。米審が終わって、また政府決定をする場合、政府と自民党が、まあ内部的でありますが決定の段階で協議しましょう。その場合に、これを取っときにして、この分だけをその段階で合算をして、九月解散説も濃厚であります、農村における自民党の得票が減らぬようにするためには、もう最初からの例のサル芝居を仕組んで、この補整額というものは自民党のために選挙用に取っておく、そういう事前配慮をやって、今度の計算では全然補整ゼロとなっておる。これは方針ですから農林大臣……。
  38. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 実は、そういうふうなことをやれるほど実際は余裕がなくなっちゃったんです。だから、自民党とうまくやって取っておいて、後からどかんと乗っけるというようなことを選挙間際だからやるんじゃないかと思われておりますが、その余裕さえももうなくなっちゃったということを申し上げます。
  39. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いいですか、大臣、これは七月十四日中に政府が決定して農林大臣名で告示するわけだから、そのときにこれはわかることですから、そうやるんじゃないかということを予見して、これは指摘しておきます。  それから次に、今度は五段階一類から五類までの格差の設定を、正式に基準米価を基礎にしてこれに算入をしておるわけですね。きのうはこれは決して、都道府県を単位にした地域指定をまずやって、北海道は五類とか減額−地域であるというようなそういうことをやるのではない。あくまでも一類、二類、三類、四類、五類に適合をする品種、銘柄というものを基礎にして格づけをして、買い入れ以前にこれを明らかにする、そういうことを言ったでしょう。特に北海道については、農林当局として、これからこれこれの新品種を作付する場合においてはこれは少なくとも三類以上の銘柄になると思いますということを、これは専門家から説明があったわけです。ところが、この政府の格間ですね、一類から五類までの諮問の内容を見ると、この「五類」のところに「一類、二類及び四類に該当しない米穀であって北海道全市町村生産されたもの。」こういうことになっておるでしょう。一類、二類、三類でもない、四類でもない、しかも日本国の北海道の全部の市町村において生産された五十四年の米についてはこれは全部五類である。これじゃ最初にもう北海道は五類——前の減額−ということで北海道地域を指定して、しかもこれを奨励金勘案等というやり方じゃなくて、食管法に基づいた正式な米の買い入れ価格の中の条件として検査等級以外にこういうことをやるということは、これはきのうまでの説明や答弁からいっても背信行為じゃないですか。ぎりぎりまで引き延ばしていいかげんな答弁をしておいて、いよいよというときに今度はすっかり衣を脱いで、いや北海道の米をなくしろ。きのうもだれか言いましたね、北海道の米は全滅させるように実はしたいけれども、そういうわけにはいかぬ。こういうやり方がこの食管法に基づいた行政責任者のやることですか。  あわせて申しますが、こういう制度を導入するということは、明らかにこれは地域的な差別制の導入ですからね。これを大臣が告示する場合には、当然これは現在の食糧管理法の条文あるいはそれの本文で委任された政令事項とかそれを受けた省令、根拠規定というものを明らかにして実施しなければならぬということになるわけですね。私が現在の食管法を検討しても、第一の根拠は、これは法第三条の米穀の強制買い上げ並びに買い入れ価格、第三条の第二項に「政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所二依リ」、この点があるわけですね。これを受けて、食管法の施行令の第二条の米穀の買い入れ、売り渡し価格、「食糧管理法第三条第二項の買入の価格及び同法第四条第二項の売渡の価格は、毎年これを定める。」「前項の規定により定める買入又は売渡の価格は、経済事情の変動が著しい場合においては、これを改定することができる。」この規定しかないのですよ。そうしてさらにこれを受けて、たとえばことしの場合には、「昭和五十四年産米穀政府の買入れの価格を定める件」、これは省令による農林省の告示事項ということになっておるのですね。どう考えても、今回の一類から五類までの五段階の導入というものは、これは当てはまらぬですよ。これは絶対に適合をしないですよ。適合をしないということになれば、食管法を改正するのか、あるいは政令の規定を改正するか、何らかの根拠になる規定というものを改定しなければ、勝手に、これは法律なんかはどうでも構わぬ、農林大臣の権限で何でもやれる、こういう無法時代に入るようなことは絶対許されませんからね。そういう点については、忠実に法律に照らした場合に一体行政当局としてはどう考えているのですか。
  40. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私は農林水産大臣でございますから、法律を無視したことはできません、すぐ首になってしまいますから。私は、法律に従って農林大臣の告示によって米価を決定します。
  41. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点だけを厳重に指摘して、あとはまた午後の質問に譲ります。
  42. 佐藤隆

    佐藤委員長 武田一夫君。
  43. 武田一夫

    ○武田委員 時間が二十分ですので、二、三の点お尋ねいたします。  きょうあす米審が行われまして、いま日本農家皆さん方はその成り行きを注目しているわけでございますが、私は、農業というのは常に、大臣も御承知のとおり、日本農業だけでございませんが、各国とも国の基盤産業として大事な部門であるということ、これは古今東西間違いない事実であると思います。農業が衰えて国が滅んだ、そういう歴史は多々あるわけでございまして、そういうことを考えますと、私は、この米価の問題一つとりましても、農業の興亡にかかった大きな問題である、こういうことを考えるときに、ひとつ真剣に農家皆さん方の生活が、そして農業というものが未来に輝くものにしなければならないという考えでいつも進んでいるわけであります。  いろいろと話の過程の中で、ことしの農民皆さん方の要求米価である一万九千三百八十二円というものは、これは応ずることができない、そういうニュアンスでございますが、昨年も据え置き、ことしも据え置き、一部には、もしこのままいくと値段が下がる、いわゆる農業経営というのは相当深刻なそういう危機に当面するのじゃなかろうか、しかも物価上昇、さらに諸条件が農業界を取り巻いて大変な状況でございますが、私は、大臣が、こうした諸条件の中で農家皆さん方が危機に陥っている、その危機を救おうとして本当に勇断を持って事に処さなければならないと思うわけであります。このいままでの成り行きから見ておるような状況でいった場合、果たして農家皆さんが今後農業を続けて、農業経営の中で生活を続けていくためには、それじゃわれわれは一体具体的にはどうしたらいいのかということを恐らく聞きたいのではなかろうかと思います。恐らく農家皆さん方はいろいろ努力してきました。生産調整もたくさんやってきた。私は宮城県、米どころであります。日本一うまい米をつくりながら、なおかっ涙をのんで生産調整は一〇〇%以上の協力もしてきた。こういう米どころの県は特に大変な思いではなかろうかと思うときに、一生懸命努力してこれ以上の努力のしょうがないというときに、米の値段が上がらない、物価上昇する、そしていまや石油の問題によって今後またいろいろ生産資材等の値上がりがある、こういうときに、どうして農業経営を安定して、若い者が本当に農業に一生懸命いそしむことができるのか。もし大臣が具体的にこうすればいいのだということを持っているならば、話してあげるのが、私は大臣として当局として当然のことだと思うのですが、まずその点についてひとつお聞きしたいと思うのでございます。
  44. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 農業は国の基でございまして、非常に重要であることは重々承知をしておるわけであります。したがって、われわれは国民の必要な食糧を確保するためにいろいろな施策を講じております。しかしながら、足りないものはつくるようにしなければならぬ。余っているものは、さらに余った上にまた余るというような政策はとることはできません。したがいまして、米の問題については、過剰生産にありますからこれは生産を調整をして、不足をしておる小麦とかあるいは飼料作物とか大豆とか、こういうようなものをつくってくださる方には、それ相応の転作の奨励金を出して、やっておるところでございます。
  45. 武田一夫

    ○武田委員 私たち公明党の農林水産委員の金貝が、六月の上旬、岩手県そして山形県、宮城県の米どころで丹念に、農家皆さん方あるいは農協あるいは関係者の皆さん方と三日間、十分なるいろいろな調査の中で話し合いをして、いろいろ要望なり困っている問題をお聞きしてまいりました。その際特に専業農家の若い一生懸命米をつくっている皆さん方の中で、先ほどの議論の中にありました米価決定のその算定方式の相違点というものに非常に不信を持っているという事実をわれわれは聞き、特にその中でいま必要量生産費の問題が出てまいりましたけれども、われわれの労働賃金に対する評価というのが非常に軽いのではないか、われわれの働きというのを正当に評価してくれていない、そういう不満が若い専業の農家皆さんの口から飛び出してまいりました。私はこの問題についてひとつお聞きしたいと思うわけでございます。  いま資料をいただきました。この資料を見まして、これによって米価の中の算定要素等を加えるわけでございましょうが、農業というのは御承知のとおり二人ないし三人の家族労働によって行われている。機械化が進みまして、合理化、省力化が進んだ、こうしますと時間数が減っていく、これは当然のことでありますが、それが結局は労働時間が減るということでいくならば、それなりの評価というもの、努力、苦労というものを労働の中に組み込んで考えていかなければならない、私はこう思います。農業の立場というものは、先ほど申し上げましたように、生命の安全、国の安全保障というものを担う重要な部門である。そういう部門に携わる方々の使命、責任というのは重い。  たとえば、私は教育界の教員の問題を一つ例を挙げますと、一般の公務員の皆さん方と比べますと、教育が次代の青少年の育成、国家の人材の育成のために重要な機関として、教員を人材確保法案等によって優遇しながら、高い給料を差し上げて保護しながら、りっぱな人間をつくれ、こういうことで、先生方の責任、使命の重さというものを、その賃金の中で評価しているのではなかろうかと思うわけであります。いま、たとえば小学校、中学校に勤められた方が、大学を卒業しまして十年間勤務する、そうしますと三十三歳ぐらいです。そのような方々が、一般の公務員の皆さん方と比べてどのぐらい給料のレベルの違いがあるかというと、基本給だけで八%は高い給料をいただいている。諸経費、手当等を入れますと実に一九%にもなるわけでありますが、私は、教育と同様に、それ以上の農業というものの重要性、その産業に占める立場というものを考えたときに、農業に従事する皆さん方の労働力というのは、これ以上に大事な評価をしてしかるべきではないか、こういうふうに思っているわけでありますが、大臣はどうお考えになりましょうか。
  46. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私も農業は非常に重視をいたしております。農業は米だけではございません。野菜をつくる農家もあるし、酪農の農家もあるし、養豚もあるし、果実もございます。みんなひっくるめて農業ということを言っているわけでありまして、今回の米価算定当たりましては、一定ルールがございますから、そのルールの中で賃金を一時間幾らという計算をいたしますが、男子一万円、正確に言えば九千九百九十九円、男女込み八千二百六十五円の賃金で今回の米価計算をされておるわけでございます。したがって、賃金の面で非常に不当な賃金の体系になっておるというようには考えておりません。
  47. 武田一夫

    ○武田委員 最近、昭和四十七年ぐらいから、ようやく一般の勤労者の平均より一〇%ぐらい上回る状態の、そういうデータは出ておるわけであります。しかしながら、これとても兼業の、特に二種兼業の方々の農外所得というものが多くなってきて、そして現実には専業あるいは一種兼業の方々は、全国の勤労者の所得平均を一〇〇としますと、九三ぐらいのレベルしか保っていない、こういうような実態です。ですから、農業所得がたとえば四十年から五十二年までの間に三・二倍ふえたのに対して、農外所得がその倍以上の七・一倍、こういうような伸びで、これが平均すると全体として確かに一〇%は勤労者よりもいいというようなデータがあるが、しかしながら、肝心のそうした専業、そして第一種の皆さん方というのは、全国の勤労者平均よりも下である。しかも約四百七十八万戸、これは五十三年一月の農家ですが、その中で五十九歳以下の働き盛りの男子、いわゆる農業に専念している農家が約二三%の百十万戸ある。こういう一般にいわゆる中核的農家と言われる皆さん方の五十二年度における一戸当たりの年間農業所得というのはわずか二百九十三万円、大体その所得分布を見ますと、二百万未満というのが四割弱もある。二百万から三百万が二四%、三百万から四百万というのが一七%、五百万以上というのがわずかに二%しかない。大体この二百九十三万円というのは、公務員給与のベースで見ると、高校卒で勤続年数が十五、六年ぐらいではなかろうか、年齢三十三、四歳ぐらい、子供二人、これは時間外手当を除いておりますけれども、そういう水準ではないか。ですから、こういうようなことを考えますと、これは一人のかせぎでそういう状況だ。農家は、先ほど申し上げましたように、二人ないし三人の家族で支えられた所得の結果が、こうしたまことに低い労働力の評価というものが米の中に出てくるということは、これは大いなる今後の改正の中で政府が真剣に取り組んでいかなければいけない。しかも、この農業所得を働いた日数で割って一日当たりの金額を出してみますと、従業員三十人未満の零細企業で働いているいわゆる常用労働者賃金の八三%の水準にしか当たらないというような報告が出ておるわけです。  こういうことを見たときに、若い人がやはりもう二種兼業となって——私は、特に今回の調査で専業の皆さんの中に、もしこういう低米価据え置き等が続くとするならば、専業から離れてわれわれはかせぎに行くしがなかろう、そして兼業が日本の中にぴまんしたときに、恐らく日本農業というのは、大臣の足腰の強い農業といういつもの持論がまことに、足腰だけでなく心臓まで弱い農業になってしまうのではないかという懸念を抱いている、そういう声を考えたときに、この問題については、やはりいままでそういうルールがあったとするならば、そのルールの中にこういう問題をひとつ組み入れた中での、農業経営を安定させるための米価としての一要素に十分なる配慮を加えるべきじゃないかと私は思うのですが、その点についてのお考えをお聞きしたいと思うのでであります。
  48. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 米価が非常に低いということをおっしゃいますが、これは労働時間数とかそういうようなものを見て考えなければならないのでございまして、米価が低くてつくりたくないというならば、それは黙っておっても他の作物に転換をして生産調整はスムーズに進むわけでございます。しかし、他作物と比較をして米価が比較的優位な状態にあるから、なかなか他作物に回らないというのも現実の姿でございます。私どもは、米価は夏から秋にかけてつくられるわけでありますが、小さな面積で、大きく持っている人は別としても、冬の間何にもしないでおって、ともかくそれだけで生活が全体的になかなか豊かになるということは非常にむずかしい。したがって、いま機械化というようなものも行われて、それで労働力が浮きますから、その浮いた労働力でその他の農業をやるなりあるいは別な仕事に加わるなりということが一般的に行われておって、すでに農家の八七%が兼業農家になっておるというのが現実の姿でございます。これは日本の土地条件によるところが多いのでございまして、これを直すためには、やはり専業農家がもっと規模拡大ができるためには、これは農地法の改正を初めもろもろのことを並行的に今後やっていかなければならぬということを、私はかねてから申し上げておる次第でございます。
  49. 武田一夫

    ○武田委員  時間が問もなく来ますので、時間厳守の意味でその問題は午後からまた……。  もう一つ、最後に、品質格差の導入について、これはうまい米をつくっている宮城県も反対なんでございます。今回こうしたものが導入されると、良質米奨励金とか銘柄奨励金の存続、結局格差をつけてももともとである。それだけでなく、結局はこうした問題が、地域間の農民の連帯を傷つけるし、農協間にも同じ地域でもそういう問題に相当深刻な亀裂が生じる、こういう問題、相当深刻であります。先日の参考人の皆さん方の意見もお聞きいたしましたが、いずれも反対の表明をしている。こういうことを考えましたときに、この問題については慎重に取り組まなくてはいけないのではないか、こういうように私は思うわけでありますが、この問題についてはるる先ほど議論の中でいろいろお話がありました。  私は、一つお聞きしますが、先ほども議論の中にありました自主流通米のいわゆる四百円の問題、これはもしなくなるとすると、宮城県の例を挙げますと二十四億、そういうお金が農家手取りからなくなっちゃう。この問題はどういうわけなんだ。これは恐らくいままでの千五百円に四百円を挙げて千九百円にしてカバーしてくれるのであろうというささやかな期待というか、表面はささやかですが、心の中では相当大きな期待を持っている。じゃなければ、いままで一生懸命苦労してリスク、危険を覚悟の上でつくってきて、そのうまい米がうまいということで隣の県にも広がり、中には適さない地域でも無理してササニシキ等という名前でつくっているようなときに、本家本元の宮城県というところにこういう一番の被害がくる。山形もそうでございます。新潟もそうでございましょう。北陸などのそういう地域でも、恐らく農家皆さん方は、この四百円という問題については、何らかの形で公式な場で発言をしていただかなければならない。これがいままでのように駆け引きによってどうこうなったということは、もう農家皆さん方は期待もしないし、そういうような甘い考えではいないということを私は思っているわけでありますが、この問題についての大臣の見解と、これは間違いなく別な形で考えているんだという、そのことで良質米をつくる、そしてうまいものをどんどん食べていただく、そういう農家の意欲的な生産に励めるような、そういう答えを私は期待して、質問を終わりたいと思うのでございます。
  50. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 非常に消費者に喜ばれる米とそうでない米との問に格差をつけるということは、私は当然である。したがって、そういうようなことで今回諮問を出したわけでございます。したがいまして、良質米をつくられる方が不利になるようなことはないだろう、こう考えております。
  51. 武田一夫

    ○武田委員 それではその大臣言葉を期待して、質問を終わります。
  52. 佐藤隆

    佐藤委員長 神田君。
  53. 神田厚

    ○神田委員 本日、ことしの米価政府の格間案の提示がありました。これはすでに御案内のように、米価は昨年並みの据え置き、それから五段階にわたる品質格差の導入、そして銘柄米奨励金は廃止、こういうことが基本になっているわけであります。  その中で、まず米価の問題を見ますと、ことしで三年間米価が据え置かれているわけであります。私どもは、現在の経済状況の中で、特にことしの米価据え置きというのは、これから先のインフレの傾向が非常に強い中で、三年間にわたって米価据え置きされるということは非常に問題があるだろう、こういうことを考えておりまして、据え置き米価の撤回を求めるものであります。  そして、第二には、生産費上昇がすでに明らかになっておりますけれども、これがいわゆる算式の都合でことしの米価には反映をされない。こういう状況を考えてきますと、非常に米価算定方式に問題がある。  もう一つは、昨年度が七百幾らありましたこの補整額が、ことしは三十四円しか計上をされていない。こういうところで非常に意図的な米価がつくられたという感じを持つわけでありますけれども、農林水産大臣は、現在のこの厳しい経済状況の中で、三年間にわたる米価据え置き諮問をしたその真意をお聞かせいただきたいのであります。
  54. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 それは御承知のとおり、米が非常に過剰な状態になっておるわけであります。したがって、これ以上過剰累積ということはできない。また、われわれといたしましては、ルールに従って必要量生産費方式をとった結果、結果的に米価水準が据え置かれるということになったわけであります。また、皆さん方言うように、大幅に米価を上げろ——算式を直せば上げる計算は幾らでもできますが、大幅に生産者米価を上げれば、それ以上に消費者米価も上げていただかなければならない。そうでなくてさえも現在すでに一兆六千億円の過剰在庫を抱えておって、これは所得税五十三年度総額八兆円の約二〇%に該当するわけでありますから、所得税納税者一人で割り算すると一人で五万円の支出をするという計算も成り立つわけであって、そういう状態の中でさらに生産者米価を引き上げ、消費者米価をそれ以上に上げていくということは、食管制度そのものに対する非難がかなり出てくるということも覚悟しなければなりません。したがって、食管制度の維持ということのために、現在、普通ならば、自由経済になっておるならば、これだけ過剰状態ならば暴落するというものをわれわれはやっと支えておるというようなこともひとつ考え合わせていただきたいわけでございます。
  55. 神田厚

    ○神田委員 この据え置きの一番の基本は米の過剰だということであります。ちょうど昨年の米価の時期にも、農林大臣の答弁は、米の過剰傾向が続く限り米価の引き上げはない、こういうようなことが言われていたわけであります。しかしながら、依然として過剰傾向が残念ながら続いている状況の中で、ことしも米価が据え置かれる諮問が出された。それでは、こういう傾向が続くとこの米価の問題というのはあとどのくらいいまのような状況をたどらなければならないのか、その辺の見通しについてはいかがお考えでございますか。
  56. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 食管制度を維持しろということを優先するとすれば、現実の問題として、過剰の状態が続く限り米価の引き上げということはなかなかむずかしい状態にございます。しかし、物価の狂乱その他経済事情の変動等は加味しなければならない事態もあるいはあるかもわかりません。
  57. 神田厚

    ○神田委員 石油問題やその他で、物価のこれから先の見通しというものは大変厳しいというように私は考えております。そうした場合に、この米価の問題というのは、これから先の見通しとしてはこのまま据え置かれたのでは大変問題があるのではないか、こういうように考えておりますが、年末、物価の状況を見てもう一度それらの問題について見直すようなお考えがありますかどうか、いかがでございますか。
  58. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 年の途中で見直す考えはございません。
  59. 神田厚

    ○神田委員 それでは、第二の問題は、品質格差の導入の問題であります。  私は、ことしの米価の問題の中にこれほど大きく品質格差の問題が唐突に導入されてくるとは思いませんでした。と申しますのは、品質格差の問題が表面に出ましたのは、ことし三月一日の衆議院の予算委員会分科会で、私どもの民社党の山本悌二郎議員の質問に答えて、食糧庁長官がその考え方を控え目に明らかにしたのであります。その三月一日の段階ということは、農家におきましてはすでにいろいろな準備を整えてしまっているわけでありまして、そういう中で、何らの行政の指導もなくしてここに五段階にわたる品質格差の導入をしたということは、大変問題があると私は思うのでございますが、その辺についてはどのようにお考えでありますか。
  60. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 米価の決定はいつでもいまごろやるわけであります。これが二〇%とかあるいは一五%とかというような大きな問題ならば、あなたのおっしゃるのも私はわかると思います。しかし、少ないところでは一・何%、多くても四、五%というような範囲の中でございますから、年の途中で行われても、いままでの米価決定のいきさつから見てもやむを得ないものと私は考えます。三十数%米価を上げたことがありますから、そんなに上げるのならあらかじめ言ってくれれば私はつくったのにという人もあったかもしれない。しかしながら、そういうときでも中途で米価の引き上げを行ったこともございます。
  61. 神田厚

    ○神田委員 上げる方の問題はいまのところ余り議論になっていないわけでありますが、ともかくそういう形で品質格差の導入を唐突にやったということは非常に問題があるのではないか。この問題につきましても、これらの品質格差の導入については考え方を変えていただきたい、こんなふうに考えるわけであります。  その内容としまして、五段階のランクづけを現在行っているわけでありますが、こういう形でこの問題を今後ずっとやっていくのかどうか、さらにこの品質格差の導入の問題というのはどういう考え方、思想、精神から発表されたものなのか、この二点をお聞かせいただきたいのであります。
  62. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これも私はかねて何回も申しておりますから簡潔に申し上げますが、要するに、過剰状態という中で、消費者に喜ばれる売れ行きのいい米と、同じ値段では消費者が喜ばないという米とを同じ値段で生産をさせるということになれば、ややもすれば、喜ばれない品種の方が多収穫でありますから、優良な米をつくる方はむしろ損をしているというような結果にもなるわけであって、現在過剰在庫が六百五十万トンあるといいますけれども、現実には千百万トンの米が消費されているわけです。残るものが残るべくして残っておるわけでありますから、そのために全体がどろをかぶっていると言っても差し支えないのであります。したがって、私としては、これらのことも考えますと、当然、消費者に喜ばれるつくり方のむずかしい米とそうでない米との間には格差があってしかるべきものである、かように考えております。
  63. 神田厚

    ○神田委員 時間がありませんので、この品質格差の五段階の方向というのは今後もとっていくのかどうかという問題が一つ。  それから、生産調整をしている反面、過剰問題について備蓄の考え方が全然出されてこない。この備蓄の問題をもう少し考えの中に入れて、生産調整もしながら、しかしながら備蓄の方向も模索していく、こういう形をとっていかなければならないのではないかと思いますが、その二点について、最後にお伺いいたします。
  64. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 この品質格差はこれからもとっていくつもりであります。  それから備蓄の問題につきましては、皆さんはよく備蓄をしろと言うのですが、出来秋になると新米を食わせろと言うのです。新米を食わせなさいというのと備蓄をしろというのとは、これは正反対のことを一緒に言っているわけです。古い米から順々に食え、新米は当分一年ぐらいは食わせないで古い米から腐らないようにどんどん食わしていくのですよというのが備蓄ですからね。しかし、これはそう言っても、労働組合の方や何かにも、ことしの新米は当分たな上げで、古い米をみんなして食いましょうという決議をみんながしてくれれば私もやってもいいのだけれども、それと反対の決議ばかり多いものですからね。備蓄は大体二百万トン程度が限界ではないか、こう思っております。
  65. 神田厚

    ○神田委員 まだいろいろ議論が残っておりますが、とにかく時間がありませんので、この米価の問題については据え置きは絶対撤回をしていただきたいことを最後に要望しまして、終わります。
  66. 佐藤隆

    佐藤委員長 津川武一君。
  67. 津川武一

    ○津川委員 きょう諮問案を拝見してみましたが、まことに遺憾でございます。実はきのう、農協の青年組織協議会、全国農協の婦人組織協議会、消費者団体連絡協議会、消費者の団体をも含めて民間米審を開いておりますが、そういう消費者の意向にも反しております。  そこで、今度の生産者米価を引き上げないということと品質格差を導入するという二つの点を撤回して、せめて農協が要求しておる米価に少しでも近づけていくという方針をとるべきだと思いますが、大臣の所見を伺います。
  68. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 生産者米価を引き上げろということは消費者米価ももっと上げろということですから、そういうようなことがまかり通るかどうか、これは常識の問題でございます。したがって、私といたしましては、品質格差も、先ほど言ったように消費者の好むお米とそうでないお米との間にはすでに政府売り渡し価格の中でも差がついておることであって、それを買い入れ価格に反映することも、私は遅きに失したとむしろ考えております。
  69. 津川武一

    ○津川委員 生産者米価を上げると消費者米価を上げろということだという大臣食管法の認識は強く国民から反発されるだろうということを指摘して、もう一つ質問を進めていきます。  そこで、品質格差の中で、四類の中で、「ただし、農林水産大臣が、米の流通実態等からみて四類とすることが適当でないと認めて指定したものを除く。」四類から三類に上げるという意味だろうと思いますが、これはいつどんな手続でどなたと協議などして行われるのか、明らかにしていただきます。
  70. 小野重和

    小野説明員 四類相当、つまりいままで減額1に相当する米相当の問題でございますが、この分類の基準のところに、一類、二類に該当しない米穀、つまり(1)と書いてありますが、一、二類に該当すればそちらの方に行くわけでございます。  問題は、その一、二類に該当する米であっても、この基準には該当する場合でも、やはりその売り渡し価格との関係で、お米屋さんというかあるいはひいては消費者がその値段では引き取れるか引き取れないか非常に問題がある場合もあります。それからまた、一、二類に該当しない場合でも、そのお米、品種の売れ行きから見てやはりもう少し格づけしてもいいじゃないかということがございますので、この辺は個別認定ということでございまして、いま具体的にどういう品質ということはちょっと申し上げられる段階にはないのじゃないかというふうに考えております。
  71. 津川武一

    ○津川委員 いつごろ決定します。
  72. 小野重和

    小野説明員 具体的などういう産地品種をどうするかということにつきましては、これは米審の答申を得まして全体の米価を決めますときに、あるいはもっと具体的に言いますと、これは価格を告示いたしますけれども、そういう際にそのいまの分類も決めるということになると思います。
  73. 津川武一

    ○津川委員 北海道や青森県の知事や農業団体とも協議してやった方がいいと思いますが、そのお考えを持っていますか。
  74. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 意見は聞きたいと思っておりますが、やはり相談されたって、立場がいろいろございますから、余り強く相談する考えはありません。
  75. 津川武一

    ○津川委員 その次に、お米の余っていることに対して、私たちもこのような条件ではいけないと思っております。お米に生産が集中するのは、ほかのものをやってもだめだからなんです。  そこで、ほかの転作作物をつくってもお米並みの収入が入るように、生産基盤などが整備されるように、販売されるように流通ルートが確立されるように、共済を適用するなど、いろいろなことがございます。こういう態度でやらないと日本のお米も大変になりますので、水田利用再編対策に対してこういうお気持ちでやっていると思いますが、答弁していただきます。
  76. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 それはそのような気持ちでやっております。
  77. 津川武一

    ○津川委員 そこで、若干具体的な問題を出してみますが、青森県は昭和四十九年から、政府の方針や指導もあり永年転作作物をつくった。この中でクリ、クルミが七百ヘクタール。去年、五十三年度で五年間やってみましたが、ほとんど物になっておりません。特に、中里町というところで七百ヘクタールのうち百二十ヘクタールやったが、五年やってクルミを一つもとっておりません。どうしてこんなふうになったかというと、そこはゼロメートル地帯で、私も行ってみましたが、植えて最初の年は少し根が生えるが、根が少し深く入っていくと水面になる、ゼロメートル地帯だから。それでみんな死んでしまっているわけです。それでも、五年という期限がありましたので、五十三年度まで農民はあきらめながら泣きの涙でやってきて、五十四年からその期限が切れちゃった。御飯食べられなくなった。この間、政府の指導方針を見ると、農業改良普及所などでクルミの栽培の指導をすることになっているが、だれもクルミをどうすればいいか覚えている人もいない。そこで、ことし仕方なくそこにお米を植えたわけです。どのくらい植えたかというと、百二十ヘクタールのうちで六十二ヘクタール、このうちで、農家のうち所有田一〇〇%をクリ、クルミの転作に充てた戸数が三五%、半分を充てたのが二五%、合わせて六〇%。今度奨励金が来ない、どうしてもおまんま食べるために必要なので六十二ヘクタールにお米を植えた、こういう状態なんです。ところが、県はこれに対してまかりならぬ、青刈りで刈れ、来年は米にするならばペナルティーを加える、こういうことで大変なわけです。  私は、あの異常国会の最後のときにこれを質問すると言ったら、青森県の農林部長は困るから質問しないでくれと言う。現地では質問してくれということなんですが、青森県ではこれに対して——実は、開田するために三万円から六万円かかっているのです。これに対して、ことしは青刈りでやって、えさとして売りなさい、七万円上げますと。十俵上がって十七万円の収量になるところに七万円なんだ。来年どうするかと言ったら、桑を植えなさい、三年あれば物になりますと言いますが、ここでは桑などというのは、ゼロメートル地帯なんだ、経験も何もないのです。三年で物になるはずもない。そこで農民は、当てにならない、こういうことで出ている。来年米を植えなければならぬ、ことしもとらなければならぬと言っている。地元の町役場も、このゼロメートル地帯には米以外には植えられないだろうと言っている。  そこで、われわれも農民が安心して自分から転作できるような条件整備をすべきだと思いますが、この状態に対して農林省はどんなふうに考えて、どんなふうに検討して、将来の転作の水田利用再編対策の指針として考えているかどうか、これが一つ。二つ目には、具体的にこの農民たちをどのようにして助けていくのか、この二点、答えていただきます。
  78. 小島和義

    ○小島説明員 永年性作物の転作につきましては、一般的には定着性が非常に高い、加えて、成功した暁におきましては相当な収益が伴うということから、一定の期間を限りまして転作奨励金を交付するということで、四十六年以来そういう扱いにいたしております。その反面におきまして、期間を区切っていることもございますので、転作奨励金は一般作物よりは高い水準のものを交付する、こういう仕組みの中で転作をしていただいておるわけでございます。現にそういう仕組みの中で永年性作物を栽培いたしまして成功している事例というものも数々あるわけでございます。  御指摘の青森のケースにつきましては、当初休耕という形で発足をいたしまして、三年間たちまして休耕を終わった段階で永年性作物にかわったというわけでありますが、そのときの背景というのが、やはり比較的少ない労働力で栽培ができる、奨励金水準も高いというふうなことから、きわめて安直に取り込んだという背景があるようでございます。  今日の時点におきましてその事態を深く分析いたしてみますと、もともとその適地の選定でありますとか、あるいは基盤整備が十分でない、あるいは栽培技術が非常に粗放であったというふうな数々の問題点が浮かんでくるわけでございまして、その他の地域におきます今後の永年性作物の転作の一つの重要な反省材料として、慎重に今後永年性作物の転作は扱っていきたいと思っております。  具体的な本件につきましては、五年間たちまして、奨励金交付期間が切れておるわけでございますから、引き続きこれをカムバックさせるということは不可能でございます。青森県が指導しておりますように、引き続き他の作物へ転作ということに進んでいただきたいというのが願いでございます。また、どうしてもその場所についてはほかに方法がないという場合には、代替地転作というふうな形もございますものですから、その点もあわせて青森県と相談をいたしたいと思っております。
  79. 津川武一

    ○津川委員 大臣、これに養蚕をやらせる、桑を植えるというのです。ところで奨励金も来ない。大変な状態になってくるわけです。そうすると、その間の生活と生産資金をどこから出させるかというと、自創資金だそうです。これは借金なんです。利子がついているのです。これはやはり農林省にも指導の責任があると思うし、実際現地に私も行ってみましたが、クリ、クルミを指導する体制もない。とすれば、政府も何らかの形でこれに援助すべきだと私は思うのです。県と市町村にだけ犠牲を負わせないで、国も何らか温かい配慮があるべきだと思いますが、この点はいかがでございます。
  80. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 それは、ところどころ、そのようなケースがないわけではありません。どうしてクルミを植えたのか、私はケース・バイ・ケースのことはわかりませんが、あるいは手数がかからないで一番いいと思って植えたのかもわからない、補助金が数年間もらえますから。ですから、事業の最終的なものは、何を植えなければならぬ、何を植えろといって強制しているわけではないのでございまして、それは事業をやる人の責任において補助金をもらって植えるわけですから、最初から桑を植えた人もあるだろうし、カキの木を植えた人もあるだろうし、あるいは牧草をまいた人もあるだろうし、いろいろございますので、クルミではその地域はだめだというようなことも言う必要もないのじゃないか。そういう問題があろうかと思いますが、それはやはりそれぞれの責任においてやったことでございますから、われわれとしては自創資金その他の融資において考えますが、混乱をいたしますから、この根本原則を変える考えはございません。
  81. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、やはり国にも責任があるので、特別な指導、援助を要請して、私の質問を終わります。
  82. 佐藤隆

    佐藤委員長 野坂浩賢君。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  83. 野坂浩賢

    野坂委員 片岡政務次官にお尋ねをするわけでありますが、大臣米価審議会の方に行かれるわけでありますから、あなたの発言は大臣にかわったものとして考えていかなければならぬと思っておるわけです。  まず最初に、あなたのところの大臣、渡辺大臣は、米の生産調整を昨年から百七十万トン、三十九万一千ヘクタール、三年間動かさないという政府公約で実施をされました。そうですね。本件については鈴木農林大臣、中川農林大臣等に引き継がれて、農民の反対に遭いながら、ペナルティーをちらっかせて、食管法を守るという美辞麗句を並べて強行したということは御案内のとおりです。農家皆さんは不安と不満の中で一一二%の達成率を上げた。協力したのです。そして、ことしは農協指導による自主生産調整がプラス六%行われた。約一〇%行われておるわけです。こういう状況で、農家は不満でありながら協力しておるにかかわらず、大臣は十日の閣議で、来年度の生産調整は厳しくやらなければならぬ、三年間の固定の方針を再検討するというような意向を示しておる。あなたにも相談があったと思うのですが、これは政府公約ですから、三年間動かさぬということになっておる、これを再検討するようなことは私はないと思うのですが、あなたはなかなかいい人ですから、どうお考えになり、この政府公約を動かすものではないということを明確に答弁してください。
  84. 片岡清一

    ○片岡説明員 三年間第一期として転作目標は維持するということは最初にお約束をし、その原則は守るつもりでおります。ただ、大臣が閣議で言われましたことは、私も一部聞いておりますが、これは転作目標を変えるということを言うたのではございませんで、どこまでも必要によってはそういうことになるかもしれぬというようなことの考え方を述べただけでございます。われわれといたしましてはできるだけ原則を守ります。と同時に、農協あるいは市町村が自主的にやっていただくことについては心から敬意を表し、またお願いをしながら進んでいきたいと考えております。
  85. 野坂浩賢

    野坂委員 長々と答弁しないで、きわめて簡潔に答弁していただきたいと思うのです。  三年間動かさないか、こういう質問に対して、動かさない、こう言ってもらえばいいのです。できるだけとか、いや大臣はそういう意向を示したとか、こういうことですから、やはりきちんとしてもらわなければならぬですよ。できるだけとかなんとか余分なことは言わないで、三年間は動かしませんという政府公約であります、これは絶対なんですから、それについては動かしません、余分なことは言わないで、動かすのか動かさないのか、その点を政府としてはっきりしてもらいたい。
  86. 片岡清一

    ○片岡説明員 最初に決めた閣議の了解は原則として動かさないということできておるのでございまして、現在の需給状況が非常に逼迫しておるといいますか、困難な情勢において、そういうこともあり得るというふうに申したわけでございます。
  87. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたは中川農相の時代には農林水産委員会理事だったですよ。予算委員会の分科会や予算委員会でも十分問題になりまして、絶対動かしません、こう言っておるのですよ。議事録を見てごらんなさい。原則は閣議であったかもしらぬけれども、公式の委員会の場でそう述べておるわけです。その点はどうですか。うそを言っては困りますよ。
  88. 片岡清一

    ○片岡説明員 われわれは米の需給情勢が非常に好転することを望みながら努力をしてきたわけでございますが、実態はなかなか大変困難な情勢にあるということで、その点においては、過剰状態がだんだん大きくなっていくという状態においてはそういうことも考えざるを得ないようなこともあり得る、こういうふうに考えておるわけでございます。
  89. 野坂浩賢

    野坂委員 全く遺憾ですね。それは全くいいかげんな答弁です。農家皆さんは何を信頼していいかわからぬじゃないですか。決めておっても情勢の変化では途中で変更する、こんなことだったら何も決めぬ方がいい。鈴木農相も動かさないということを何回も言っておるのですよ。鈴木農相などはちゃんと農協にまで言っておるじゃないですか。そういうことは了承できない。議事録を読んで明確に答弁を求めます。  それから、必要量生産費というのをやりましたね。あなたはよく知っておられるでしょう。米価審議会の米の問題はよく知っておられますね。そうすると、ことしは、生産費の低いものから累積販売量を各年産米の総販売員の姿で並べておる。ことしは九四%です。五十一年は九七、五十二年は八九となっておるわけですから、こういうふうに並べますと、生産費の低いものからずっと並べて、一〇〇ではなしに九四なり八九で切っておる。そこの必要量の限界地で米価計算するのが筋ですね。私はそう思います。この間、農協の諸君や農民団体の皆さんが参考人で述べられた中ではそういう意見が非常に強い。それでなければこの米価決定でプラスになる農家の人が非常に少なくなるわけですから、限界地で計算するのが当然だと私は思いますが、政務次官はどうですか。
  90. 片岡清一

    ○片岡説明員 昨年から必要量生産費をとっておるわけでございます。昨年と今年は一層事情が、過剰米が六百万トンを予想せられるという事態になっておるわけでございまして、さような需給状況において、去年とったそのものを変えるという段階ではないと考えておる次第でございます。
  91. 野坂浩賢

    野坂委員 私の質問しておることをよく聞いてください。いまあなたのペースで物を言っておるのです。いいですか、必要量生産費という方式でやるのですから、生産費の低いところがらずっと並べるのです。八九%なり九四%で切りますと、その九四%で切った限界地で必要量生産費計算するのが筋ではないのですかと聞いているのです。どうですか。
  92. 片岡清一

    ○片岡説明員 三年間の生産費を……(野坂委員「限界地かどうかと聞いているのです」と呼ぶ)ことしは九四というところで見ておるわけですが、それを三年間の値を計算をして評価替え生産費として計算の基礎にしておるわけでございます。
  93. 野坂浩賢

    野坂委員 それは了解しておるのです。了解はしませんが、計算方式としてそうなっておるのはわかりますが、九四%の限界地で必要量生産費方式計算すべきですねと言っておるのです。わからぬのですか。よくそんなことであなたは試算米価を出しましたね。
  94. 片岡清一

    ○片岡説明員 需給事情勘案しながら、必要量の高いところといいますか、限界点をとっておるわけでございます。
  95. 野坂浩賢

    野坂委員 だから、そこで計算すべきでしょうと言っている。
  96. 小野重和

    小野説明員 従来から、限界生産費をとるか平均生産費をとるかというのは農業団体と政府との一つの争点だったわけでございます。いろいろな議論がございますけれども、限界生産費をとることになりますと、たとえば地代のとり方も変えなければいかぬじゃないか、労賃のとり方はどうするのだということで、全体の問題としても非常に大きな問題がございます。また、需給事情という問題もございます。  そういうことで、従来から私どもは平均生産方式をとっておるわけでございますが、去年からそれに必要量生産費方式というものを加えて考えておるわけでございますが、国民が必要とする量を確保するという観点でございますから、その場合に平均生産費をとることによっても十分に必要量の再生産は確保し得る、私どもはこう培えておるわけでございます。
  97. 野坂浩賢

    野坂委員 そうしますと、低い生産費から並べて、計算は一〇〇ではなしに九四なり八九で切って、その八九の中の生産費ですから、カバー率は非常に低くなってきますね。そうすると、約六〇%の農家皆さんはこの試算米価に対してはプラスにならない。生産費所得補償方式のいいところは受けられない。いわゆる不採算になるという結果になりますね。そういうことになるわけです。  そういうことでこの試算米価は、過剰傾向、過剰傾向といって農民を切り捨てる。これなんです、政務次官。だから、これについては、農民の立場に立つ農林省ではないということなんです。政務次官、これは撤回したらどうですか、もう一遍やり直して。——撤回するかどうかは、次長、あなたにそういう権限はないでしょう、政務次官くらいでないと。
  98. 片岡清一

    ○片岡説明員 この問題は、現下の米をめぐる情勢が非常に重要な段階に来ております。そして、農協の側においてもへいままでのような一本調子といいますか、考え方によらないで、中長期の日本農業のあり方、そういうものの立場から、食管制度をぜひしっかり守ってほしいということが基本になった立場からこの問題を考えていこうという考ふ方に変わっておると申しますか、そういうふうにわれわれは理解しておるのでありまして、私は、そういう立場から将来の日本農業考えながらこの需給問題をどうするかということに対処していくことが農民を守るゆえんであろう、かように考えておる次第でございます。
  99. 野坂浩賢

    野坂委員 あなた方の意見は、突き詰めると、食管制度を守るということじゃないですよ。直接統制をやめて間接統制、五分類に分けて農民の分断を図ってやるということ。間接統制をさらに進める。残っているのは二重米価だけですよ。売買逆ざやをやって、末端逆ざやを解消して、今度コストの逆ざやを解消することになったら、食管法は何もない。  食管法の根幹というのは第三・条と四条なんです。あなた方の意見は、食管会計の赤字を解消することだけが根幹だということに間違えておるのですよ。三条、四条というのが根幹である。再生産を保障する。農民のあすからの生産意欲を向上させることが食管法の根幹なんです、生産者には。消費者の場合は、家庭経済に大きな影響を与えないように、そのために二重米価ができておるのです。これが食管制度の根幹ですよ。そう思いませんか。どうですか、政務次官。私が言ったとおりでしょう、うんと言いなさい。
  100. 片岡清一

    ○片岡説明員 食管制度の根幹といいますのは、国民に対して十分な食糧の供給ができ、そしてまたそのために、生産者に対してもそのつくった米に対して一定の基準を保障するといいますか、そういうふうに需給の安定度を高めていく、そのことが食管制度の根幹である。国民の主食の需給を安定化していくことが食管の大事な点であろうかと私は存じておりまして、今日の米の異常な過剰状態は、このままいったのでは食管の根幹を揺るがすような問題が起こってくる。こういう点で、ここでしっかりと将来の食管を考えながらいくということになりますと、やはり必要な措置をとっていくことが食管を生かしていくゆえんであろうと考えておる次第です。
  101. 野坂浩賢

    野坂委員 もっと勉強してほしいですね。需給関係を言っておられますが、あなた方は一生懸命に消費拡大をやった。しかし、年々消費の傾向は下がっておるのですよ。昭和五十年度は八十八・一キロ、五十一年は八十六・二キロ、五十二年は八十三・四キロ。米の消費量というのは、米の消費の拡大等をやるといいながら、一つも上昇していない。だから、生産者のところだけ押さえつけていく、こういう結果が出ておるということです。  もう時間がないものですから、質問を並べて申し上げますが、たとえば外国に輸出をする場合、当初二十万トン考えておった。インドネシアから二十万トン、バングラデシュから十五万トン、韓国から二十五万トン、玄米で換算すると六十二万トン要望がある。それは値引きしておるからだ、こういう議論があるでしょう。しかし、そういう事情でこれだけあるなら、もっと値引きの点についてはこれから考えたらいいだろうということが一点。  それから、これだけ生産調整をするのですから、モチ米はいまどういう状況かというと、生産よりも消費の方が上回っておるのですね。御承知ですか。時間がありませんから内容も申し上げますが、ずっと上回っておるのです。だから、いわゆる減反の中に入れていいじゃないかと思いますね。生産調整の品目の中に入れてもいいじゃないかということが二点。  三点目は、今度の生産調整は、七項目の基準によって減反率というものを決めたんですね。あなた御承知のとおりです。ところが、府県や市町村間にいくと、一律にいく可能性が非常に強い。湿田等で、最近の日本の農地というのは無機質になっておりますから、有機質にするためにもあるいは地力存確保するためにも、緑肥作物というものを考え生産調整の中に入れて、切り込めば肥料になるということについてもいわゆる新生産調整の対象品目の中に入れていいだろう、こういうふうに思いますが、御検討いただきたい、こう思います。  それから、農業用燃料ですね。石油事情がこういう状況であります。四月から六月までは六千五百万トン入っておりますが、これを四半期ごとに計算をしますと大体二億六千万トンになりますね。農業用燃料は大体七百万トン程度使われております。だから、農業用燃料については確保する、こういうことをこの委員会で明確にしてもらいたい、こういうふうに思っておるわけです。エネルギー庁からもおいでになっておりますが、これについての見解もそれぞれ述べていただきたい、こう思います。  最後の問題として、先ほど次長にお尋ねをいたしましたいわゆる五分類の問題でありますね。いままでは銘柄米ですね、指定銘柄特例銘柄、四百円と二百五十円で、大体百三億の予算がついておったわけです。ところが、今度は四類、五類というのがつくられて、先ほど言われたように、二百円と六百円が引かれるわけですね。これを総合しますと八十三億になりますね。そうですね。そうすると、八十三億というものは政府のふところの中に入るわけですから、差し引き二十億というものだけがいままでの予算から支出をされて、八十三億は、政府がそれだけ収入が増になります。その上に、この一類、二類が売られておったのは千五百円ないし八百五十円、いわゆる特例銘柄は高く売っておった。この合計がちょうど二十億だ。そうすると、いままでは一万七千二百五十一円で生産者から買い入れをして、今度一万七千幾らですが、消費者米価は一万五千三百九十一円で、千八百六十円程度の売買逆ざやがありますね。そうすると、普通ならば生産者の分が高くて、売る分が安いわけですが、この銘柄米については高く売るわけですから、もうかっておるわけですね。それが二十億入ってくるというと、バランスシートでやりますと、百三億と百三億が並んでちょうどゼロになる。それだけ、百三億というものは、言うなればこの米の特別会計の中から支出をしなくてもいいという結果になりますね。その百三億というものは、一体どのように処理されるつもりなのかということをお聞きしておきたい、こう思うんです。  ちょうど時間ですから、以上で私の質問は終わります。
  102. 小野重和

    小野説明員 輸出の問題でございますが、現在、過剰米の輸出は、確かに予想以上に好調でございます。ただし、だからといって、輸出を目的とする米を国内で生産するということは、いまの価格からしてトン三十万、大変な財政負担がかかりますので、それはいかがなものであろうかというふうに思っておるわけでございます。  それから、モチ米の問題でございますが、確かに最近モチ米の生産が非常に不振だったということもありまして、輸入していたこともありますが、最近ではむしろ需要に合わせた計画生産を進めておりまして、需給均衡する、あるいは最近ではむしろ若干余りぎみというような状況になっております。  それから、あと五分類の問題でございますが、いろいろ数字のことは私くどくど申し上げませんが、確かに従来の銘柄米奨励金百三億、これをどうするかという問題はございますが、私どもといたしましては、これは五十一年に良質米奨励金を新たに設けましたときに、銘柄米奨励金は廃止するという前提で設けたという経緯があるわけでございます。それ以来この問題はたびたび問題になっておりましたが、昨年は、銘柄米奨励金は廃止するかわりにといいますか、同時に品質格差を導入するということでございまして、銘柄米奨励金は廃止する、こういう方針で行きたいというふうに思っております。
  103. 小島和義

    ○小島説明員 緑肥作物の問題と石油の問題を私からお答え申し上げます。  ただいま進めております水田利用再編対策は、単に米減らしということではございませんで、農業上の土地利用を再編成する、こういう観点から進めておりますものですから、収穫効用を伴わない農業上の土地利用ということにつきましては、水田預託あるいは通年施行というような形態を除きまして、これは認めないという方針でおるわけでございます。したがいまして、単なる地方維持ということで緑肥作物を植えるということになりますと、ただいまのところ、転作には該当しない、こういう扱いでございます。ただ、同じ緑肥作物でございましても、たとえば採種用あるいはみつ源利用のレンゲというのもございます。さらに、一部の地域におきましては、飼料用として栽培するというものにつきましては、これは収穫効用を伴うものでございますから、転作扱いをすることになっております。飼料用の場合には、一般的には飼料用として使われておるわけではございませんから、知事と地方農政局長との協議によって認める、こういう扱いでございます。  なおまた、例外的な措置でありますが、市街化区域内の水田につきましては、市街化区域に対する目標の傾斜配分ということとも開運いたしまして、都市の緑化あるいは緑地の維持というふうな観点から、いわゆる収穫効用を伴わないものでありましても、市町村長が知事と協議して特に認めた場合には、これも一極の環境美化用の作物という扱いで認めることにいたしております。実際のケースはきわめて少量でございます。  それから、石油の問題でございますが、私どもも重大な関心を持っておりまして、通産省の方とも常時連絡をとっておるわけでございますが、この九月までの見通しといたしましては、輸入の数量及びその備蓄数量も、前年に比べまして特に減っておるというふうな事実はないわけでございます。ただ、場所によりまして、あるいはその元売りの系統によりまして一部特定の油種が不足する、こういう事態が農業側にもいろいろ起こってきておりまして、具体的なケースに応じまして、通産省とよく連絡をとりまして、これまでも供給確保に努めておりますし、今後ますます石油の需給が厳しくなるといたしますれば、農業の側においても省エネルギーということを進めるとともに、必要な石油につきましては農業、漁業とも最優先で確保する、こういう心前で対処いたしたいと思っております。
  104. 加藤昭六

    ○加藤説明員 石油情勢はイラン問題を契機にいたしまして緊迫化しております。しかし、わが国の原油の輸入状況は、先ほど御説明がありましたように、五十四年の四−六月期におきましては六千五百万キロリットルが入着の見通し、これはまだ六月分が明確な数字が入っておりませんが、六千五百万キロリットルの入手が一応確保できる見通しというふうなことで申し上げますが、この数字は前年の同期に比べましてやや上回っております。しかし、一昨年の同期に比べるとやや下回っておるというふうな状況でございます。  それからまた、今後の状況はどうかということでございますが、七−九月におきましては、一応いまの見通しでは六千四百万キロリットル入手できるのではないかというふうに私どもは見ております。これは昨年の同期をやや下回っておるという状況ではございますが、一昨年の同期をやや上回っておるというふうな状況で、こんな状況でございます。  それで、個々に最近の石油製品の状況でございますが、輸入原油が非常に重質化しておりますが、一方、製品の方が軽い製品、灯油、軽油、重油といった軽い製品の需要が非常にふえてきておりまして、非常に逆相関というふうなかっこうになっております。農林漁業用の燃料油といたしましてはこうした軽い部分の石油製品の需要が主体を占めておりまして、こういった部分の需要が堅調であるというふうなことでございます。特にA重油が非常に多いというふうなのが農林漁業の特徴ではないかと思っております。  それで、五十三年度で見ますと、A重油全体の需要が二千二百万キロリットルでございましたが、このうち約二七、八%が農林漁業用というふうに見られております。最近はA重油の需要期に入りましたので非常に需要が堅調であるというのが実態でございます。したがって、現在、農林水産省とも十分連携をとりながら、できるだけ実需に対応した供給が行われるように、一方で節約をお願いしながらも努力を続けているというのが現伏でございます。  しかし、地域別に、やはりこういう逼迫した状況でございますので、かなり問題を生ずるところも出てまいっておりますので、こうした場合におきましては、農林水産省あるいは都道府県、地方通産局などと十分連携をとりながら実情を十分に聴取いたしまして、きめ細かく対応しているところでございまして、今後ともそうした努力を一層続けていきたいというふうに考えております。
  105. 野坂浩賢

    野坂委員 私はこれで質問を終わらなければならぬわけでありますが、いまエネルギー庁からお話があったとおりに、昨年と大体同じような推移をしておる、総計をしますと二億六千万キロリットルぐらいだということになるわけですから、そのうちの二五%ないし二七%でありますから、十分対応して、農業に支障のないように措置をしてもらいたいということを農林省の各位に要望しておきますし、モチ米なりあるいは緑肥作物の問題等、これほど厳しく生産調整をやられておる農家の実情と実態を十分把握をされまして検討していただき、善処をしていただくように政務次官にお願いをしておきたいと思いますし、さらに、これだけ厳しく生産調整をやり自主生産をやるわけですから、余り米というものについても対応でき得るような措置を政府として検討していただきますように、善処していただきますように要望して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。いいですね、片岡さん。
  106. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 芳賀貢君。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま委員長席に着いておる山崎理事に申しますが、自民党の席をちょっと見てください。今井理事を除いて一人もいないでしょう。自民党の議席は十九人あるんですよ。いま野党の理事はみんな別室の理事会の方へ行っていますから理事諸公はいない。だから、今井さんが理事会へ行ってしまったら与党は一人もいないということになるのです。だから、いたずらに委員長席を占めておって、委員会が成立して審議が進められるように努力するというのが、委員長代理であっても委員長の役目だと思うのです。速やかにその出席を督促して、恥ずかしくないような委員会が運営できるように努めてもらいたいと思います。  そこで、委員会冒頭政府から五十四年度の政府米価の試算内容の説明がございましたが、この内容の点について若干事務的な質問をいたします。  まず第一に、必要量生産費方式の一つの特徴でありますが、十アール当たり平均生産費算定の基礎をなす三年間の平均収量のとり方ですね。この中で奇異に考えられるのは、昨年の場合は、昭和五十一年産については一〇〇%ということになっておったわけです。それは五十一年というのは、御承知のとおり、全国的な冷害の年でございまして、五十一年の生産米だけでは単年度の需給も十分でないというような状態でありましたので、この必要量算定から見るとこれは対象にしないということで、統計情報部の生産費調査収量をそのまま採用して一〇〇ということになっておるわけです。それから、五十二年の場合は、昨年は生産費調査収量に比べると九〇という指数を使っておったわけです。それがことしは八九%ということになっておるわけです。五十三年の場合には、これは対照する数字がありませんから九四%ということになっております。昨年の場合には当該年の必要量というものは一〇〇である、同じ五十一年に対して今回は九七である、こういう毎年毎年御都合主義で変化を与える、この指数が下がれば下がるほど上位の生産費の階層というのは除外されるわけですから、指数が低いほどいい、低い指数の範囲内でそれを総平均するいわゆる生産費ということになるのです。こういう点は、厳正でなければならぬ数字というものに対して簡単に手を加えるということは問題があるわけです。  それからもう一つは、午前中にも言いましたが、平均収量を出す場合、これは同じ農林省の生産費調査数量によるのは当然でしょう。これをさらに実在しない数字に、十キロとか七キロとか上乗せをして架空な収量を設定してそれを分母にして、十アール当たり平均生産費というものを分子にして計算をするわけだから、この手法でいけばやはり六十キロの価格というものは下がる。もちろん一方においては十アール当たり生産費の総平均についても必要量生産費方式でやっておるが、この生産費の方でも上位の生産費というものは除外されておると思うのですよ。元来生産費がどれだけかかったということが一番基礎になるわけですね。それに対して正確な収量分母にしなければならぬが、いまの政府のやり方は、平均生産費の額についても手かげんをする、それから収量の点についても手かげんをする。これは昨年も指摘をしたわけですが、元来われわれとしてはかかる生産費方式というものを認めていないわけですから詳しい議論をする必要はありませんが、この政府の行う計算の中に毎年毎年変化がある、操作があるということは断じて許されることではありませんので、この点を次長からでいいですけれども事務的な答弁をしてもらいたいと思います。
  108. 小野重和

    小野説明員 御指摘のように、去年の生産者米価算定の際に五十一年につきましては必要量比率を一〇〇%、それから五十二年は九〇%をとっておったわけでございます。その点につきまして、ことしは五十一年は九七、五十二年は八九を使っております。  いわゆる必要量比率というのは、その年産の出回り数量分母にいたしましてその年の限度数量分子にする、こういう方式でございますが、それをそのままはじきますと、五十一年は九七、五十二年は八九という数字になります。  去年なぜそういうふうに上の方にラウンドで切り上げたかということでございますが、これはかっては使ったことはありますが、その前年、前々年もそうだったと思いますが、使っておりません、その方式を去年再び導入いたしましたもので、急激な変化を緩和する、こういう意味で切り上げをやったわけでございます。しかしながら、最近の需給情勢は去年以上に非常に厳しい。たとえば、消費量もいまの限度数量をさらに下回るというのが実想でございます。そういう点を考えましてそのままの数字を使った、こういうことでございます。  それから、そういうことで必要量方式をとりますので、平均収量あるいは十アール当たり生産費、これにつきまして必要量比率の範囲内の農家生産費の結果を使いますので、確かに全体の生産費調査数字よりも収量において高くなり、生産費において若干安くなる、こういうことに相なっておるわけでございます。
  109. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その中で、昨年の場合には、五十一年の平均収量生産費調査と同じように四百八十六キロになっていた。これは一〇〇だからそのままだけれども、ことしはこれをことさらに三キロふやして四百八十九キロということにしてあるわけです。  それから、各年の生産費収量と今回の試算を比較すると、いずれも相当の差があるわけです。五十二年の場合には、生産費必要量比率では十二キロ、十アール収量をふやしてある。それから、五十三年の場合は、生産費必要量比率では七キロの収量の水増しということになっておる。  この結果、収量をふやしたということで、六十キロ当たり一体幾ら影響を与えているわけですか。
  110. 小野重和

    小野説明員 反収の方に生産費調査のそのままの数字を使った場合との差額は、いま私ども計算いたしておりません。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 おかしいじゃないですか。全くふざけた答弁じゃないですか、計算していませんと。計算しないでどうして答えが出るんです。頭で決めてかかっておるのか。差はあるでしょう。
  112. 小野重和

    小野説明員 私どもの方は必要量比率の範囲内の農家数字を使いまして、その反収を求め、そして、それを分母にしてストレートにはじいておりますので、その反収だけの違いということにつきまして計算いたしておらないということでございます。  ただし、分子の十アール当たり生産費も同様の問題がございます。そこで、その点、生産費調査の結果をそのまま使うということになりますと、これはいわば五十二年方式に近いものになるかと思いますが、これについては先ほど数字を申し上げたわけでございます。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その収量を水増しした分だけについて、水増ししないのと比べて六十キロ当たりで何百円違うのかということを聞いておるのです。
  114. 小野重和

    小野説明員 いま計算いたしたわけでございますが、反収だけの違いで計算いたしますと、基準価格ベースで二百六十円、約一・六%の違いでございます。
  115. 芳賀貢

    ○芳賀委員 二百六十円が一つの値下げ要素ということになるわけですね。  それから、十アールの三年間の通常の生産費、いわゆる農林省の生産費調査による生産費に対して、三年間各年どれだけ必要量比率生産費を下げておるのですか。分子になる生産費ですね。
  116. 小野重和

    小野説明員 若干細かいことになりますが、原生産費そのものを使いまして必要量比率は使わないという場合に、かつてはそういう場合には五俵以上農家を対象としておりましたが、その数字はちょっとございませんで、一俵以上農家ということにいたします……
  117. 芳賀貢

    ○芳賀委員 八ページの(7)の算定値があるでしょう。これが三年間の各年のいわゆる平均生産費ですね。これは必要率を使ったものであるので、使わないのがどうなっておるか。
  118. 小野重和

    小野説明員  一俵以上販売農家必要量比率を使わないということになりますと千五円、五・九%に相当する額になります。
  119. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それから、去年と同じ算定方式によると、六十キロについて六百九十一円上がるわけですね、四・五%、それはどうですか。
  120. 小野重和

    小野説明員 私先ほど冒頭に御説明いたしましたが、求める価格ベースでございますが、去年一万六千百二十二円であったのがことしは一万六千八百十三円というふうに申し上げたわけでございます。この数字を比較しますと六百九十一円のアップということになります。約四・三%になると思います。
  121. 芳賀貢

    ○芳賀委員 きのう説明を受けた五十三年の生産費調査は、六十キロ当たりにすると五・五%上がっているのですよ。これは五十三年単年度ですがね。しかし、今回の場合には、五十四年に過去三年間を物価修正しているわけだね、だから古いのがまじっているから違うんだということにはならぬわけですよ。そうなると、結局生産費調査の方は五・五%、それから今回の試算は昨年の基準価格に対して六百九十一円、こういうことになっているわけだから、これがやはり十分に反映されるようにしないと、上がっても下がっても同じだというわけにはいかぬと思う。大体値下げの価格では、生産費を下げて収量を上げることによって低米価をつくったということはわかるわけです。  それで、従来からの問題ですが、地代のとり方というものが、毎年毎年議論しているわけですが、ことしも同様に統制小作料を基礎にした自作地代ですね、こういう計算をやっておるが、これは非常に正当性がないわけですよ。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、米価算定の場合に使う地代と、たとえば農地の制度として取り上げる場合の地代と、さらにまた生産費調査を行う場合に採用しておる地代というものは同じ農林省の中で全く不統一になっておるわけです。ですから、農林省としての統一的な地代というものは、あるべき姿というものはどういうものであるか。単に小作地の小作料だけを地代と言う、そういう概念では正しい答えが出てこないですからね。これは小野次長でなくても、大場さんもそこに座っておるが、農林省として権威のある統一見解の説明ができる人物にぜひこの際明らかにしてもらいたい。
  122. 大場敏彦

    ○大場説明員 地代の概念はいろいろな説があると思いますけれども、もちろんいま御指摘になりましたように小作料よりは広い概念だというふうに理解しております。農業経営をやって経営余剰が発生する、そういう場合に経営余剰の中で土地に帰属すべき部分である、こういうふうに観念しておりますが、問題は、先生の御指摘になったのは、自作地の地代をどういうふうに見るか、こういった御質問だろうと思うわけでありますが、自作地地代につきましては概念的には自己資本利子とかあるいは自家労働とか、そういったものと並んで経営余剰トータルとしての農家の取り分というものを構成する一部分であろう、概念規定としてはこういうふうにするということが最大公約数的な考え方ではないだろうか。具体的に貸し借りする小作地の地代は、もちろん農地の用益の対価というかっこうで支払われるわけでありまして、これは経営的にはコストというかっこうでつかまえられている、そういうことだろうと私ども思っております。  したがいまして、農地政策の立場からの実際の小作料というのは、いまも私が申し上げましたようなことだろうというふうに思っておりますが、問題は価格政策上いわゆる小作地地代をどう使うか、これについては争いはない。実際は実際の支払った小作料を価格政策、価格原価要素として算入しているわけでありますけれども、自作地地代をどう評価するかということにつきましては、これは一極の擬制計算ということになるわけでありまして、他の要素、つまり自家労賃をどう評価するか、あるいは自己資本利子をどう評価するかといったことと並んでバランスをとった形で、あるいはその農産物の需給事情というもの等を勘案した形で決められる、そういうようなことではないかというふうに考えております。
  123. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林省の代表選手としては大体六十点ですね。いまの大場局長説明からいうと、それでは農林省が生産費調査を行って、全調査農家の自作地、小作地を問わず地代として計上してあるのは、これが十アール二万六千五十七円ですからね。これも明確な根拠がなければ、自作地についても共通に二万六千五十七円を適用しているわけですからね。大場発言のようなことになると、農林省の内部にも全くの不統一や混乱が生ずるのじゃないですか。  しかも、食糧庁のやっている統制小作料ですね。小作地も水田面積の約八%ぐらいありますけれども、二十四万ヘクタールの小作地の中で統制小作料を現在適用しているのは二方ヘクタールしかないわけですからね。どうしてそう少ないかというと、四十五年の農地法の改正の際、統制小作料から今度は標準小作料に小作料制度を改める、これは四十五年ですからね。しかし、現在、長期契約あるいは永小作権に基づいた統制小作料の契約というものは非常に長期にわたっておるわけですよ。それを一遍に既成の権限というものを剥奪するわけにはいかぬということで、統制小作料の締結された分についてはなお十年間の存続期間というものを認めるということになっておるわけです。その存続期間の終わりが来年、五十五年の九月ということになっておるわけでしょう。一方においては全国の都道府県あるいは市町村農業委員会において標準小作料というものを農林省の指導のもとに設定して、それを中心にして小作契約というものを締結して実行させておるということになっておるわけですよ。だから、もうあと一年しか残存期間が残っていない。実際に適用面積というものは少ない、そういうことがわかりながらこの自作についてこれを適用するというのは全く問題なんですよ。  それから、大場局長も担当局長ですが、統制小作料を設定する最終的な料率、料額というものは、これは御承知のとおり、現在は五級地の場合で五千六百六十四円ですね。これだけではないのですよ。これは農業経営の場合の粗収入から経営上の経費というものを差し引いて純収益というものができるわけですね。この計算の場合には一万百五十五円というのが純収益ですが、これを地代として全部小作料の場合には地主に付与するということになりますね。そうなると、耕作者に対して全然利潤部分の配分ができないじゃないかということで、総利益に対して四%はまずそれを利潤と名づけて、これは耕作者ですね、つまり小作地の場合には小作の立場に立つ耕作者にそれは帰属させる。この概念というのは、農業生産手段である土地に帰属させるというのも一つの説として成り立つと思いますが、四%引いた残りが五千六百六十四円しか残らぬものだから、これを統制小作料としてまだ実行しておるということになる。これを使おうということになれば、四千四百九十一円の利潤部分というのは、じゃどこへこれを帰属させるかという問題は米価計算の上からも当然出てくるわけですからね。  そういうことを無知でわからないのなら、全然勉強もしておらぬし、そういうことを知らないというのならまだ許すべき点もあるが、大体わかっておるという場合に、これを抹殺して、単に五千六百六十四円だけで自作地なんかいいじゃないか、極端な役人は、自作地に地代なんかつけるのはおかしいなんという変な者も近ごろ農林省の中にも出てきているのじゃないですか。だから、私は、これは単に米価を上げるか下げるかという問題でなくて、やはり真剣に農林省内部において地代のあり方というものは統一してしかるべきだと思うのです。  これを生産費調査と比べると非常に大きな差が出るでしょう。六十キロについて二千円違うのですからね、地代のとり方によって。片岡さん、いいですか、こういう問題があるのですよ。六十キロで二千円違うのですよ。地代を適正に採用する場合と、極端な、五千円台でやるなんという場合と二千円ですから大きいのですよ。これを一つだけ解決しても、たとえ必要量生産費であっても、これにさらに二千円上積みになるわけですからね。こういう点は、米価決定のためにはできるだけ低米価でおさまるようにすればいいというような良心を失ったようなやり方というのは厳重に慎んでもらいたいと思うのですよ。そういうことをやる役人がいかにも能吏である、うまくやった、二年連続据え置きをやったのは大したものだとか、論功行賞で今度の異動のときに上げてやるなんといったことになると大変なことになると思うのですよね。いいですか。  最後に、もう一点申しますが、これは大臣に聞くべきでございましたが、三年間固定すると約束をしたいわゆる水田転作、これを現在の渡辺大臣はあらゆる機会に、三年間は持ちこたえるわけにはいかぬ、三年間約束をしたとしても、来年はどうしても生産調整の目標というものを大幅にふやさなければならぬということを閣議においてもあるいは記者会見においても力説しておるわけです。現在まだ米価決定の直前ですが、恐らく七月十四日に米価が決定されれば、その後はすぐ来年の予算編成とあわせて生産調整を大幅にふやす、こういう作業に入ると思うのですよ。私の承知しておる範囲では、最近の千百七十万トンの総必要量に対して生産相当、去年は七十九万トンふえているわけです。それから、消費の減退等を見ると、どうしても単年度で考えても四十三万トンぐらいまだ過剰傾向になるということになれば、これに見合う転作の増加として最低で数量五十万トンから百万トンの範囲で、それに見合う面積の転作を政府として来年は打ち出すというふうに私たちは大体判断をしておるわけです。五十万トンということになれば、現在の百七十万トンに対して三割増しということになりますから、西横にしても最低の場合でも十万ヘクタールぐらいは目標をふやす。こういうことを全く伏せておいて、そして米過剰だから政府の買い入れ米の価格というものを今回の試算のように極端に改定をする。これは一連のつながりがあるわけですから、もし来年生産調整の大幅な増加を図ろうとする考えがあれば、今回のこの米価試算米価問題の取り扱いの中でこの問題も同時に提示をして、米問題の重大な関連の中でこれは国民の前に、あるいは生産者である農民の前に明確にすべきだと思うのですよ。もうこれは隠しておく段階ではないですからね。大臣一人が言っているわけじゃないと思うのですよ。  ですから、この際、来年の転作問題について一体どういうふうに農林省の内部においては考えておるのか、それからさらに数点指摘しました点については、これは小野次長から答弁をしてもらいたいと思います。
  124. 小野重和

    小野説明員 自作地地代の問題でございますが、これは御指摘のように、非常に重要な論点だと思います。私どもは、先ほど大場局長が申し上げましたように、いわゆる経営余剰といいますか、所得といいますか、それを構成する自家労働、自己資本、それから自作地、これの中の特に自家労働をどう評価するかということと自作地地代をどう評価するかということとは非常に密接な開運があるというふうに思っております。私どもは、現在の統制小作料は、自家労働の評価を製造業労賃をとっておりますので、同じような考え方である米価との関係考えまして統制小作料を採用しておるということでございます。  来年以降どうするかということは、これからのまた検討事項だと考えております。
  125. 片岡清一

    ○片岡説明員 来年度からの生産調整の問題につきましてただいま芳賀委員からお話がございましたが、私の承知しておる範囲あるいはまた農林大臣が昨日のこの委員会で答弁をしておられる範囲では、これは必ずそれを改定をして実施するという、そういう言明をしておるのではございませんで、今後の需給情勢をさらによく検討する、そしてその状況によってはあるいはそういう改定をしなければならぬような情勢になるかもしれぬということを申しておるというふうに私は承っておるのでございます。われわれもやはりできるだけ、前に閣議で原則として三年間変えないということで理解をせられておるものにつきましては、そういうふうにしていきたいとは存じますが、やはりことしがどういうふうに、ことしの作柄その他米の消費状況等々、これからの状況がさらにどういうふうになっていくかということによりましては、一周厳しい情勢になる場合には、やはりそういうことを考えなければならぬようになるかもしれない、こういうふうに思っておるのでございまして、われわれとしてはその点十分今後の成り行きを注目していきたいと考えておる次第でございます。
  126. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私はもう質問を終わるつもりでおったが、いまの片岡政務次官の答弁というのはどういうのですか。あなたは正直な人だとわれわれ信用しておったが、いまの答弁はうそを言っておるのか、全然問題に関与することができない立場に置かれていて全然わからないのか、どうなんですか。米価が終わると、もうすぐ予算編成に入るわけでしょう。転作面積をふやすとか条件を変えるということになれば、これは予算に関係があるわけだから、もうすぐ作業に入らなければならぬでしょう。それを全然わかっておらぬ。心配しますじゃ答弁にも何にもならぬじゃないですか。一体政務次官というのは重要問題に関与していないのですか、関与させられていないのですか。  それから、先ほど言い落としましたが、小作料の中で標準小作料、これは農地法に基づくものですが、五十三年改定によると、これは十アール一万九千六百六十六円ということになっておるのです。そしてなお、生産費調査の場合には二万六千五十七円、統制小作料の場合は田の五級地で五千六百六十四円、この点を特に指摘をしておいて質問を終わりたいと思います。
  127. 佐藤隆

    佐藤委員長 武田一夫君。
  128. 武田一夫

    ○武田委員 午前中に続いて、政務次官にいろいろお尋ねいたします。  まず最初に、農林水産省が六月十八日の発表、五十四年度の農業経営の動向を予測した農業観測、こういうものが最近新聞に出ておりました。それによりますと、農業経済というのは、五十四年度は農産物価格の低迷、資材価格上昇などから農業所得は総体的に低下する、農外所得も雇用情勢から見ると大きな伸びは期待できないというように、非常に厳しい状況であることをこの観測の中で言っております。これは政務次官もお読みになったと思うのですが、読んでないとすれば、そういう状況のことをきちっと農林水産省で出しているわけです。こういう農業経営の大変な状況のときに、さらに最近またOPECの原油の大幅引き上げで、これは午前中もお話ししたのですが、農業生産資材等への影響はもう避けられない、まして最近農薬等は、物によっては業界ですでに値上げをしたいというような要求の動きすらある。  こういうときに、そういう環境がまことに悪いときに、米価は上がらない、しかも生産調整にもっと協力をしなければならない、農家はことしも昨年に上回る努力をしております。どこの県でも昨年以上のことはやろうと努力している。こうなっちゃったら、農家の人はどうやって生活したらいいのか。けさも言った。そうしたら大臣が、そういう人のために転作をして、足らないものをつくるようにするのだというようなことを言った。それから、余った労働力を農外収入を獲得するために仕事を見つける方向に行くんだとか言っても、こういうような現実厳しい見通しの中で果たしてそれが可能なのかどうか、政務次官としてどう思いますか。
  129. 片岡清一

    ○片岡説明員 武田委員がいまおっしゃいましたように、現在の日本農業というものはまことに内外ともに大きな困難にぶつかっておるということは事実でございまして、それについてわれわれも何とかこの苦難のときを乗り越えて明るい見通しのもとに日本農業の発展を期していきたいということでいま苦慮をいたしておる次第でございます。  それで、結局武田委員のお考えでは、こういう大変困難な事態にさらに米価の問題で渋いやり方をすれば、農村の人たちはますます困るじゃないかという御意見かと存じます。われわれもそのことに対して非常に苦慮いたしておる次第でございますが、今日米が非常な過剰基調にあり、すでに六百万トン以上の過剰米をどう処理するかということで、すでに四百八十万トンについては五年間にわたってこれを処理していくという案を立てまして、これに対する財政負担一兆六千億を七年間にわたって一般会計から繰り入れてこの処置に当たっていきたいということで処置をいたしておる次第でございますが、この前七百万トンの過剰米のために二兆円の国費を使った。今回また一兆六千億という大変な負担でございます。これからさらにそういうことが重ねられるということになりますと、日本の財政の状態から言うてこれはなかなかむずかしい問題、重大な問題になって、それが食管制度というものに響くおそれがある、こういうことを非常に心配しております次第でございまして、そういう大所高所からの立場から、忍びがたきを忍んで今日のような米審に対する諮問をいたしておる次第でございます。その点、十分御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  130. 武田一夫

    ○武田委員 忍びがたきを忍ぶのもいいのですが、農家の方々には忍びがたきを忍ぶ努力ももうなくなったのです。それで、こういう肥料、農薬等、あるいは農機具もそうでしょう、恐らくこれから値上がりしていけば、もう間違いなく農家の収入は明らかに去年、ことしと減です。入ってくる金が入ってこない。かえって減る。それじゃせめて、そういう生産資材等が今後値上げをするような傾向があっても、農家の方々には一切心配のないように国がきちっと手を打ってあげるというような考えもないのか。機械は上がる、農薬は上がる、石油は上がっても、しかもそれは後で質問もしますけれども、それさえ確保できないというような状況であるならば、明るい希望を持って取り組めと言って、取り組める努力をしていると言うけれども、現在の時点に、何らかのこういうふうにしてあげますよ、こういう努力をしますよというのがなかったら、それは言葉は明るいかもしれないけれども、全然実鰻は暗い。真っ暗やみです。この世の中は農家の人にとっては真っ暗やみですよ。それで果たして、忍びがたきを忍んでやっているんだから農家皆さんは忍びなさいというような、これは政治というのは温かい配慮が必要である。一生懸命努力しておる。誠意を持って、もう本当に涙ぐましい努力をしているのに誠意を持ってこたえるという政府の姿勢というのが私は欠けていると思うのです。ですから、私は、こうした生産資材等の値上げは未然に防止するようにちゃんとしてあげますよ、さらにもし万々が一そういうことが不可能となった場合は、改めて生産費上昇分については生産者米価の追加払いを考えますよと、このくらいのことをここで明言してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  131. 片岡清一

    ○片岡説明員 農業の問題一つを取り上げて考えますと、いま武田委員のおっしゃるような点から非常にいろいろの問題があり、また農民の御要望というものがあると思います。ただ、しかしながら、いままで食管会計に守られて、そして相当の大きな国民の税金の負担を農民が支払われてきておるということは考えていかなければなりませんし、いまその後日本の高度成長から低成長に移った今日においては、農業以外の他産業においても中小企業の方々が失業をし、あるいはまた倒産をするという非常な憂き目に辿っておられる。こういう事情考えますと、農業だけが食管の陰に隠れてといいますか、食管に守られて、そして国費の大きな犠牲を国民に強いるということについては相当考えていかなければならぬ問題がある、こういうようなことをわれわれは考えておるのでございまして、それらの国民全体の整合性といいますか、調整の立場からも余り甘えの態度でなしに、厳しい段階においてこれからまた低成長時代に即応した新しい農業の確立ということに邁進していくことが今後の農業を生かすゆえんであろう、かように存じておる次第であります。
  132. 武田一夫

    ○武田委員 時間が余りないものですから、そのお話はそのぐらいにしますが、せめて米価の決定に当たりましては、特に専業農家皆さん方の所得水準が第二種兼業農家皆さんよりも低いんだなんというようなことにならないような配慮は十二分にして、本当に農家というものの存在価値を高めるような方向での善処を望みまして、私は次に二番目に質問を移ります。  転作の問題なんですが、転作をすればいいと大臣は言っておりますが、われわれ東北地方三県を回ったときに、また問題がぞろぞろ出てきたのがこの転作に対する不平不満、もう大変なものでございました。七項目ほどありますが、その七項目申し上げますから、簡単に、いかに対処するか、ひとつ対策を聞かしていただきたいと思うのです。  一つは、米にかわるものをつくればいいんだ、だから不足しているものをつくれということで、小麦とか大豆とかつくって一生懸命努力しているわけです。岩手県に行ったときなんか大変な努力をして大豆をつくっておりまして、町全体で町長みずから指導に当たりまして懸命な努力をしている町村がございました。しかしながら、その皆さん方の共通した悩みは、一つは、そういうものをつくっても価格保証というのが十分になされてない、これは心配の限りである。また、坂路が十分に確保されてない。流通面の運用改善というのがなされなければこれはどうしようもないじゃないか。さらに、そうした中に、われわれがこれからたくさんつくろうという意欲を持ってやるとしても、外国からの輸入というのは相変わらず続いている。われわれが増産すれば、それに対してどれくらいそういうものの規制をするのかということもはっきりしてない。いわゆる需給見通しがはっきりしてない。ことしはどのくらい、そして中長期というものの需給見通しというのもはっきりしてないとするならば、行き当たりばったりにやらせて、その結果米と同じような、あるいはその他の作物が、ミカン等のような状況になりかねないのではないか。つくって果たしてわれわれが安心できるか、定着化というのができるか、こういう心配。さらにまた、もう一つは、技術面の開発が果たして十分になされていっているのか。これから増産するとなれば、やはり豆にせよ、小麦にせよ、収量の多く、いいものをつくるという研究も必要である、そういう指導の体制はどうなのか。さらに、転作に必要な土地の条件整備、これに対して余りにもまだまだ十分なる対策がなされていない。特に湿田地帯が多い東北でございますから、そういう悩みが続出したわけであります。  こういう問題について、もし本格的に定着化を図るとするならば、明確なる政府の姿勢というものを打ち出さなければ、どうして安心して今後の転作に協力ができるか、こういうような悩み、心配の毎日でございます。こういう心配、悩みを解消することも政府として大事な責任だと思うわけでございまして、一つ一つ簡潔にまず答えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  133. 片岡清一

    ○片岡説明員 ただいまおっしゃいました転作に関する政府のやるべきこと、これは全くおっしゃるとおりでございまして、せっかく転作をしていただいてもそれが十分な成果が上がらぬ。かえってまたいろいろ迷惑をかけるというようなことにならないように、事前の十分な準備と保証をしていかなければならぬということは当然のことでございます。われわれもそういう点につきましては十分対策を講じて、先ほどお話しの価格の保証の問題についても、転作をしていただいたものについては米作のときと同様の収入が得られるような保証措置を講じなければならぬのでございまして、その点は今後とも十分考えて支障のないようにしていきたいと思います。  また、土地の構造改善の条件につきましても、いろいろの作物に適応するような構造改善のやり方に改善をしていくことについてもいま予算をとっておりますので、この予算を活用してその心配のないようにしていってもらいたいと思っております。また、技術面についても支障のないように、それぞれの立場において努力をいたしておる最中でございます。  さようなことによりまして、ひとつ転作によって新しい水田の再編対策が十分成果を上げて、農民の方々に明るい希望を持っていただけるように今後とも努力をしていきたいと考えております。
  134. 武田一夫

    ○武田委員 次に、午前中も質問しましたが、品質格差の導入について、大臣はおいしい米をつくっている皆さん方にはマイナスにならないように、要するに安心してつくっていただけるような米価にしますと午前中お約束いただきまして、恐らく全国の本当に自信を持ってうまい米をつくっている農家皆さん方には再びこの上ないと思うわけでありますけれども、今後この生産の増加によりましておいしい米が、それが計画的な、要するに需給をよく考え増産するという方向を考えないと、今度は良質米、うまい米が余ってくるのじゃないかという心配はしている。ですから、ササニシキなどを見てみましても、いわゆる産地として本当に木場のササニシキでないところのササニシキというのも出てくるわけでありますけれども、そういうような心配をかけないようにして、その生産の目安、需給計画というものはやはり必要じゃなかろうかと私は思うのでございますが、要するに、これは今後の課題になってくるんじゃないか、そうしませんと、これがどんどんできて、それによって消費量が進むことを私は期待します、進むと思いますが、万が一だぶつきが来る。そのうちにうまい米だけで形成されている中にうまくない米がまじっちゃって、いつの問にかこれが本当のササニシキかという声が出てくるような、そういうことも生産者皆さん方は懸念しているわけであります。そういうことのないように政府としては万全の手を打っていただきたい。この点についての見解を聞かしていただきたいと思います。
  135. 片岡清一

    ○片岡説明員 大臣良質米についてそういう事態の起こらないように善処していくということを言っておりますが、このお話のように、実は先般この良質米が三十八万トンばかり余ったという状況が起きてまいりまして、これはいろいろの理由があったと思いますが、急激にふえたというところに若干のそごがあったと思いますが、今後はさようなことのないように十分対策を講じていきたいと思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  136. 武田一夫

    ○武田委員 最後に、二つ質問します。  一つは、農業用の燃料確保は万全を期していただきたい。私たちはアメリカに参りまして非常に感心したのは、アメリカは石油の問題で非常に大変でございましたが、農業川の石油をすでに確保しているんだ、もう農家皆さん方が心配のないように万全を期しているんだ、こういうふうに答えておりまして悠々としておりました。農家の人も、おまえたちどうなんだと言ったら、いや心肥してない、こういうことは農家皆さん方にとっては期待している、優先確保の問題を政府としても万全を期していただきたい。  それからもう一つ、転作作物の件で一つ追加質問したいのですが、定職化までやるのはいろいろ試行錯誤しなければならないわけです。ですから、十分な収積も行われない。こういう過税の中で、農家皆さん方としてはこれが一つ定着しまして、そうして、これから安定作物としてつくれるようになるまで所得税の面で多少の税金の緩和をしてもらえないものかという強い要望もあったわけでありますが、こういう問題についての御配慮というのはどうお考えであろうか。  この二点、簡単にお聞きしまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
  137. 小島和義

    ○小島説明員 先ほども申し上げましたように、農林水産関係につきましては、場所によりましてあるいは販売の系統別によりましては多少石油が窮屈になってきているという事例を幾つか承知いたしております。その都度通産省に連絡をいたしまして具体的な手当てをお願いしているわけでございますが、これからますます全体の需給が窮屈になるというような観測もございますので、成り行きを一風監視いたしましてその都度適切な対処をいたす所存でございます。
  138. 片岡清一

    ○片岡説明員 転作の問題について、定着するまで所得税の面で何とか考慮をしてほしいという御意見でございます。これは農林水産省だけでは何ともなりません。いまそういう点もわれわれは十分考慮して大蔵省と相談をして前向きに検討したいと存じます。
  139. 武田一夫

    ○武田委員 どうもありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  140. 佐藤隆

  141. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、穀物検査規格の問題一点についてお尋ねいたします。  私は、昨日の本委員会におきまして、現在の穀物検査規格を改正する必要はないかということをお尋ねいたしました。ところが、これに対しまして食糧庁長官は、検討して改正する必要がある、低い方に統一したい、こういうような答弁がありました。もしもそういうことになりますと、米価に及ぼす影響というものは非常に大きいものがございます。なぜならば、御承知のとおり、今日の検査規格の中の水分は、東北地方におきましては一六%、北陸は一五・五%、九州は五%ということになっております。これを一五%にするということになりますと、東北地方のいま一六%のものは非常に値下がりすることになるのでございます。すなわち、ます乾燥費が要ります。さらに労力が要ります。さらに目方が非常に軽くなるということになる。そうしますと、その損失は非常に大きいことになるわけでございます。こういう点から私たちは、この規格を統一することによって農民のこうむる損失は非常に大きい。今回のこの品質格差の問題について、特に北海道のごときはすでに品質格差において六百円下げる、それにいま申しますように規格が改正されまして一五%、こういうことになりますと、その損失というのはさらにこれをオーバーすることになって、これは十分大きな問題であります。そうなりますと、特に米の味が悪くなります。規格を改正することによってさらにますい米を食わせることになってくるわけでございます。これは重大な問題でございますので、この問題を念を押しまして政府考え方をただしたい、かように考えるわけでございます。
  142. 小野重和

    小野説明員 水分規格の問題でございますが、現状はいまも御案内のとおりでございます。  そこで、最近でございますが、むしろ一五%を一六%に引き上げろ、こういう御議論があったわけでございますが、そういう御議論に対しまして、いまは一五%が原則でありまして、それに水分加算ということで、いまおっしゃいましたように、東北なり北陸には〇・五%ないし一%水分が多くてもよろしいということにしているわけでございます。したがいまして、その場合に、一五を一六に上げるということはおよそ考えられないということを恐らく長官は申し上げたんだろうと思います。  一六%の地域、つまり水分加算地域について今後どう扱うのかということでございますが、少なくとも今年産どうこういうことは全く考えておりません。これは今後の問題でございますが、今後火力乾燥がどの程度進むのか、東北あたりは全国に比べますと現在でも自然乾燥が多いわけでございますが、そういう実情も考えなければいけませんし、そういう点も今後の問題ということでございまして、ことしどうこうするということはおよそ考えておりません。
  143. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは一五%を一六%に改正することはいいと思うのです。それはなぜかというと、たとえば一五%になっておりますと、どうしても検査に合格したいためには、実は一五%じゃ危ないと思いますと、一四%から一四・五%ぐらいに減らすことになるわけです。それがために農家のこうむる損害というものは非常に大きいわけです。しかも、米の質は悪くなります。それで、一五%を一六%に引き上げるということは米をよくすること、うまくすることであるし、これは農民側といたしましては損失をこうむらないことになるわけなんです。一六%を一五%に下げるといいますと、非常な損失をこうむることになる。仮に一六%を一五%に下げるということになりますと、恐らく六十キロにおいては三百円以上の損失になるだろう。燃料費が要ります。労力賀が要ります。さらに、非常に重さが軽くなりますので、六十キロにはたくさん量がふえるということになります。私たちは三百円ぐらいの価格差ができろんじゃないかと思いますが、仮にそうなるといたしましたらどのくらいの損失ができるものであるか、あなたの方で御調査があったなら承りたいと思います。
  144. 小野重和

    小野説明員 米価について申し上げますと、これは一%相当分ということになりますから、現在の米価の一%影響するということになると思います。ただ、それ以外のコスト要因、石油代とかその他の点につきましては、しかとした数字を私ども持っておりません。  さらにつけ加えて申し上げますと、一五%を一六%にしたらどうかという御意見でございますが、これは貯蔵性その他を考えますと、一五%というのは一般的な基準だと思います。これは世界的にも穀物の水分というのは一五%というのが通例でございます。わが国におきましても一五を一律に一六にするのはいかがかというふうに私どもは考えております。
  145. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、一五%を一六%に上げることが困難だとおっしゃるなら、ここで申し上げたいが、それは貯蔵にはいいでありましょう、硬質米でありますから。それで、これに対しては歩どまり加算が従来なされておる。この歩どまり加算額に対する考え方はどういうような考え方でいらっしゃるか、承りたい。
  146. 小野重和

    小野説明員 現在、硬質米軟質米との歩どまりの格差は四十円ということにいたしておりますが、これは相当長い問四十円という形にしております。これは最近やはり硬質、軟質の歩どまりの差がそれほどなくなって、逐次縮小しております。一方米価水準は上がっておるわけでございますから、その辺のところを総体的に考慮しまして、本年産の場合も歩どまりの点を、最近の歩どまりの違い、これを計算いたしまして、結果としては、現在、去年までの四十円で適正なものであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  147. 稲富稜人

    ○稲富委員 この歩どまり加算額というものは、御承知だと思いますが、昭和二十八年かに決められた。その前は、御承知のとおり、早場米奨励金というのがあった。早場米奨励金というのが非常に非合理的だということで時期別格差ということに直した。時期別格差ということに直したときに、なぜ時期別格差という制度を設けたか。政府は、端境期に米を供出するから政府がもうかるから、もうかる分に対して時期別格差をつけた、こういう話でありましたので、それならば、硬質米は歩どまりが多いから、その歩どまりの多い分に対しては高く買うことが当然じゃないかというわけで歩どまり加算額というものを決めた。そのときが一俵十円だったのです。平川食糧庁長官でございました。平川食糧庁長官は、ことしはともかくも一俵十円の歩どまり加算額をいたします、しかし将来これはまだ高くしてもらいたいという希望食糧庁長官から言われておりました。それが二十八年ですよ。その後米価相当高くなっております。それにもかかわらず今日まで四十円。すなわち、二十八、九年に十円だったのがようやく四十円に上がっておる。これなんかも非常に矛盾があるじゃないか、こういうように考えます。  そういう点から見て、硬質米のこの規格制度というものを一六%に上げないとするならば、当然歩どまり加算額というものは時期に沿うたような、また米価価格等から勘案いたしまして四十円はもっと上げるべきである、かように考えますが、政府はそういう考えをお持ちにならないかどうか。
  148. 小野重和

    小野説明員 確かに最初十円でございまして、その後逐次上げておりまして、現在の四十円になっておりますのは昭和三十六年からでございます。もう二十年近くになっておりますが、私ども、ただ据え置きと言っておるわけではございませんで、過去三年の歩どまりの試験をやっております。その結果をもとにしてはじいたのが四十円ということでございますので、御了解いただきたいと思います。
  149. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうも政府は何でも検査をされる、調査をされる。安くするように持っていくような調査をされるのです。それで、歩どまり加算額をするならば、どこから基準をとられるかわからぬが、上げないような調査をされて結果を出され」る。それで、二十八年に四十円にしたのが今日まで四十円であるということ自体、これは何ら配慮がなされていないということも言われると思うのでございます。  それで、私もう時間がありませんからこれで結論に入りますが、ここで重ねて申し上げたいと思うことは、いわゆる硬質米に対する歩どまり加算額というものは、当然四十円以上の利益は政府はとっているものだ、得ているものだとわれわれは解釈するので、再検討されて、時期に沿うたような歩どまり加算額にしていただきたいということが一つ。  さらに、先刻申し上げました検査規格の問題については、いまも申しましたように、かりそめにも、一五%を一六%に上げることはいいけれども、一六%の現状を一五%に下げるようなことは絶対やるべきではない。そうすれば、たださえも今回は品質格差において事実上の米価が下がったことになるのが、この規格改正によってさらに米価が下がったということになる。きのう食糧庁長官は、これは統一しなければいけない、それは最低のものに統一するということをはっきり言われましたので、そういうことになれば、これは米価に及ぼす影響が非常に大きいと思いますので、もしもそれが事実であるとするならば、食糧庁長官もひとつ考え方を直していただきたい。そうして、一六%のものを一五%に下げるようなことは絶対やらない、こういう方針を打ち出すことが必要である、こういうことを私は特に強く要望いたしまして、それにひとつお答えを願いたい。そういう気持ちでやっていただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。
  150. 小野重和

    小野説明員 四十円の再検討問題でございますが、搗精歩どまりというのは、私どもも試験いたしておりますが、現実にお米屋さんが搗精するわけでございますから、そういう実態と乖離することは、米屋さんに米を売る立場としてはとてもできないわけでございます。そういう意味で私どもは毎年、いまお言葉ではございますが、私どもとしては適正な調査をいたしておるつもりでございます。今後とも硬軟のバランスを十分考えて、今後の歩どまり格差を決めてまいりたいと思います。  それから、検査規格でございますが、私どもも当面一六を一五に下げる、水分加算をやめるということは考えておりません。ただ、これもやはり一つの日本全体のバランス問題でございまして、乾燥の方法が今後地域ごとにどういうふうになるのかということをよく実態を見きわめながら、この辺のあり方を考えていきたいというふうに考えております。
  151. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後に申しますが、いまの一五%という水分規格、これも実は実際は一四%から一四・五%ぐらいやっているのですよ。検査に通らなければ困るからというわけで、一五%と規定されておるところは一四%から一四・五%ぐらいで検査を受けている。それがためには、いま申しましたように、もうことに油も規制されようとするときに、非常に乾燥費が要る、手間が要る、こういうような損害をこうむっている。損害をこうむりながらそれをやっている。そういう点があるので、この点は十分検討していただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  152. 佐藤隆

    佐藤委員長 津川武一君。
  153. 津川武一

    ○津川委員 きょうは、漁船のA重油が不足して漁業に支障を来しておるので、そのことについて若干の質問をしてみます。  今月に入ってから、私も小泊村のイカ釣り船に一晩乗って実情を調査してみました。最近四十日足らずの間に七千三百円のドラムかんが八千七百円に値上がりしております。これが一つ。値上がりしても十分出漁していける分の重油があるかというと、それにも事欠いております。したがって、出漁も少なくしております。これが二つ。三つ目は、青森県の太平洋側の東海岸の大畑などから日本海に出てイカ釣りをやっている漁船は、ほかの漁港でこれを補給してくれないので油を船に積んで補給しております。これが三つ目の状況。イカは今度は北の方に上るので、今月の二十日ごろから日本海沿岸の漁港から稚内に移って、そこから基地にして出漁しなければならぬ。このとき稚内で重油が補給されるという見通しがございません。これが現状です。  これに対して、どうしてこうなっているのか。この漁業ができるように重油の補給をどうしてさせるのか、まず水産庁から答弁いただきます。
  154. 森整治

    ○森説明員 御指摘のように、五月以降一部の地域で供給が円滑にいかないという支障を来している例が生じておりまして、われわれといたしましては、その都度具体的な事案につきまして資源エネルギー庁の指導を通じましてその解決に努めておるわけでございます。値上がりは、今年度年度当初と比べますと約五割程度引き上げになっておりますが、いずれにいたしましても、OPECの価格がまだ末端まで実現をしてないという問題が一つ大きくありまして、そういう問題からいろいろなむずかしい問題が出ているものというふうに判断をいたしておるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、イカ釣りが北上をしてまいるわけでございますから、今後のイカ釣りの需要をよく把握いたしまして、いま御指摘のような、たとえて言えば稚内で必要どする油につきましては、今後実態把握をいたしまして資源エネルギー庁と連絡をして対処をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。北海道近海では八月から十一月がその時期というふうに思っております。大体海況は昨年と同じというふうに判断いたしておりますから、そういうことでイカ釣りの操業に支障を来さないよう重油の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
  155. 津川武一

    ○津川委員 いま答弁をもらった。いいところもあるが抽象的なところもある。  そこで、具体的に二つのことを。東海岸大畑あたりから日本海に出漁している漁船が日本海側で給油してもらえるのかどうか、これは水産庁とエネルギー庁から。これから北に移るイカ釣り船が七月の下句から八月、九月、十月にかけ出漁できる、操業できる重油が大丈夫だということを保証してくれるのか、ここで言明。この二つを水産庁とエネルギー庁に重ねてお尋ねします。
  156. 森整治

    ○森説明員 抽象的なことでなしに、事前にここでこれだけの需要がありますということをお申し出いただいて、われわれもその実態把握に努めますが、そういうことで必要なものにつきましては、われわれといたしましては資源エネルギー庁に十分連絡をとってその確保に努力してまいりたいというふうにも思っております。
  157. 加藤昭六

    ○加藤説明員 個別の具体的問題につきましては、従来もそうでございますが、実情を十分に聴取いたしまして、実需に見合った対応をすべく努力をしております。  先ほどの回航船につきましても、このように需給が逼迫した状況であれば、恐らく突然そうした他地区での供給で大量の要望があればなかなかお困りのところもあろうかと思いますが、こうした場合は事前にその地区ごとによく連携をとりながら融通し合っていくことが必要かと思いますし、私どももそういうような方向で水産庁とも十分連絡をとりながら努めてまいりたいと思っております。
  158. 津川武一

    ○津川委員 イカ釣り船、心配なく操業してよろしい、稚内の方に七月の下旬から八月に出ていってよろしい、こういうふうに水産庁とエネルギー庁が言っていると、こう漁民の皆さんに答えていいですか。イエスかノーだけ、水産庁とエネルギー庁、答えていただきます。
  159. 森整治

    ○森説明員 操業の実態につきまして事前に十分御連絡をいただく必要はあると思います。その上で、私ども、実態そのとおりであるということであれば、その重油については、私ども当然確保したいと思っております。
  160. 加藤昭六

    ○加藤説明員 先ほど申し上げましたように、実需に見合ったものにつきましては、できるだけそれに沿うような方向で努力をしていきたいと思っております。
  161. 津川武一

    ○津川委員 水産庁もエネルギー庁もそう言っているからと漁民に答えておきますから。  その次、これは七月十日の閣議ですが、大平総理が、灯油、軽油、重油の売り惜しみ、買いだめの傾向が見られるので、厳重に調査し、具体的事例には厳正に対処せよと閣議で各大臣にやっております。そこで、各省庁は実態が明らかになれば、その段階で買いだめ売り惜しみ防止法の発動も考えなければならない、こう言っております。  小坂経済企画庁長官が十一日、灯油、軽油など燃料別の生産、出荷、在庫状況について報告。生産が前年同月比で〇・六%の増、出荷は六四%の増、生産、出荷は順調に行われているが、末端に品薄ができているようだ、元売りと小売の中間に問題があると指摘している。この点、水産庁は漁船の重油についてどう見ておるのか、エネルギー庁は灯油や軽油についてどう見ておるのか、答えていただきます。
  162. 森整治

    ○森説明員 私ども、全体としまして需給のバランスが崩れたというふうには見ておりません。一部の地域におきまして、先ほど申しましたように、五月以降いろいろな地域からそういう足りないという問題が出てまいりました。その都度、それは全部私どもは解決してきておるつもりでございます。全体として私どもが把握しているのはそういうことでございます。
  163. 加藤昭六

    ○加藤説明員 ただいま水産庁長官が答弁されたと全く同様でございまして、私どもも全体としては需給に一応バランスがとれているというふうに考えておりますが、このように全体的に品薄というふうな状況でございますから、地域的に逼迫したところも出るかとは思います。そうしたところにつきましては、先ほど申し上げましたような対応をしていく所存でございます。
  164. 津川武一

    ○津川委員 いま灯油でもA重油でも少しのところがそうなっておるので、わずかの法的な発動があれば、私はかなり問題が解決されると思っているわけなんです。したがって、総理も言うているように、買いだめ売り惜しみ防止法の発動ということをこの場合ちょっとやると、私は心理的にも鎮静してかなり大きな効果を生むと思います。  もう一つには、九十日石油備蓄、基準備蓄量等の維持を図るための措置として「通商産業大臣は、災害その他やむを得ない事由により基準備蓄量に相当する石油を保有することが困難となった石油精製業者等の申出があったときは、その基準備蓄量を減少できる。」いま備蓄されているものの若干の放出があると、日本の緊張した状況が解けてきて非常に具体的な効果を生むと思いますが、売り惜しみ買い占め防止法の発動、こういう備蓄の何日か分の放出、この点でエネルギー庁はどんなふうに考えておりますか。
  165. 加藤昭六

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、需給につきましては全体としてはバランスがとれているのが現状ではないかと思っております。地域的に問題が個々に生じてはいるのが実情ではございます。したがって、そうしたところにおいては全体の中を見て融通していくというふうな方針で現在進めております。
  166. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、エネルギー庁、その問題の地域、そこいらに売り惜しみ買い占め防止法を発動する必要があるかと思うのですが、いかがでございますか。たとえば、青森県の十和田市、灯油が千四百円、市役所は見ておれなくなって対策本部を設けております。  この状態をちょっと手入れすれば解決できるので、この言われる局地的な問題に対して法を適用する状況になっていると思いますが、いかがでございますか。
  167. 加藤昭六

    ○加藤説明員 現在のところは、法を適用せずに対応をしていく所存でございます。
  168. 津川武一

    ○津川委員 終わります。     —————————————
  169. 佐藤隆

    佐藤委員長 この際、馬場昇君外四名から、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る昭和五十四年産生産者米価決定等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  動議の案文は、お手元に配付いたしてあります。  本動議の取り扱いを理事会において協議するため、休憩いたします。     午後二時三十三分休憩      ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕