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芳賀委員 この三二一%基準というのは、これは戦後の
昭和二十六年から農林省の
牛乳生産費
調査が開始されたわけですね。その当時から三・二%を基準にするということになってきたことは私も経過を知っていますが、ただ、いまからおよそ三十年前の
生乳の中に占めるいわゆる乳脂率と現在の乳脂率というものは、非常に乳脂率が高まってきておるわけですね。大体〇・二%ぐらい当時の乳脂率よりも
実績が高まっておるわけです。三・二%で
数量を水増しするというところに問題があるわけですね。取引が実乳量で出荷され、また
メーカーに搬入されておるにもかかわらず、一割の水増し
数量で百キロないし一キロの
保証価格を
算定するわけですから、結局水増しされた
数量というものは販売の用に供されないままに、
価格だけダウンされるということで、
生産者が従来ずっと大きな損失をこうむっておるのですよ。去年の場合に一キロにして十円八十銭水増しによって損害を受けておるわけですね。これは最近における統計情報部の
牛乳生産費の公表の
内容というものが、畜産局に悪用されるような記載になっておるわけです。何も統計情報部は低乳価の片棒をかつぐためにやっているのじゃないですよ。やっているのじゃないが、二十五日に発表されると思いますが、速報の掲載、特に昨年のものを例にとっても、いかにも三・二%の
生産費だけを
調査しているようになってしまっているわけですね。
内容をよく調べるとそうじゃないのですよ。これは
局長も無知のために全然知らないでおるわけじゃないでしょうが、
生産費
調査というのはこういう順序になっておるのですよ。
まず
調査対象の
全国の搾乳牛の一頭当たりの
生産費が、昨年の場合には四十三万七千七百五十三円ですね。一頭の第二次
生産費です。これに対して、一頭の年間搾乳量、農産物で言えば
生乳の
生産量ですが、一頭当たり五千四十四キロですね。これの平均乳脂率は三・五九%ということになっておるのですね。そうなると、
生乳の中に占める乳脂肪の
生産量は百八十一キロということになるわけです。それでは、三・五九%で五千四十四キロの
生乳の百キロ当たりの第二次
生産費は幾らかというのは、これが
生産費の目的と結果ですね。それは百キロにすれば八千八百三十三円、一キロにすれば八十八円三十三銭、これが統計情報部の行った五十二年の北海道における
生産費ということになるわけですね。これが本物なんですよ。これを三・二%に換算するという。学問的に言えば、三・二%の擬制計算でやるという場合には参考
生産費と言うのです。それはどういうふうにやっているかというと、まず前段で述べた一頭当たりの乳脂肪の
生産量の百八十一キロを基礎にして、これを三・二%に換算するためには、百八十一キロを三・二で割ればいいわけで、その答えは五千六百六七キロということになるわけです。乳脂肪
生産量を三・二%の乳脂率で換算して、そして三・二%換算の水増し乳量と言われる五千六百六十キロというものがここで生まれるわけです。
数量がふえれば、これが分母になるわけですから、百キロないし一キロの
生産費というのは当然その分だけ低くなるのは言うまでもないわけです。しかし、脂肪量というものは依然として百八十一キロに変わりはない。どういう換算をしても一頭当たりの
生産費は四十三万七千七百五十三円でなければならぬということになるわけですね。そういたしますと、実乳量に対して三・二%の水増し分というのが六百十六キロになるわけですから、これを合算いたしますと三・二の換算乳量は五千六百六十キロということになるわけです。それをそれぞれのキロ当たりの
生産費で計算いたしますと、実乳量の
生産費は八十八円三十三銭、それから水増しによった
生産費は七十七円三十五銭ということになるわけですから、この第二次
生産費段階においてさえも、計算の相違によって一キロ当たり九円九十八銭、約十円の差が生ずるわけです。
統計情報部長も出席しておられるが、
調査の目的と結果というものは、いいですか、部長、まずはっきり公表ないし速報にだれが見てもわかるようにしておかなければいけないと思うのです、せっかく一年間かけて
調査した結果が、それが去年の五十二年の
牛乳生産費の速報を見ても、この表紙、第一ページに、ただ
生乳の百キロ当たり
生産費が八千五百八十円と書いてあるだけでしょう。実乳量のものだか三・二%換算のものだか、それもわからぬ。一番基礎になる一頭当たりの
生産費が一体どれだけかかったかということもこの表紙には出ておらぬでしょう。この
調査結果としての乳脂率が三・五九%であったということもはっきりしておらぬ。それによる乳脂肪が百八十一キロであることも何もわからぬじゃないですか。克明に各ページを聞いてみればあっちこっちに分散しておるわけですよ。だから、関心のある者とか専門的な知識を持っている人は、そういうものを寄せ集めればなるほどこうだなということがわかる。この
生産費
調査の結果を一般の国民あるいは
需要者に対して忠実にわかりやすく発表するというのは、義務があるわけでしょう。こういう点については、まだ発表までに何日か期日があるので、この際、誤解を生じないように、せっかくまじめにやった
牛乳の
生産費
調査、そのほかもそうですけれども、それを明らかにしておいて、それを参考
生産費で三・二%に換算しようといろいろな参考
生産費を記載することは差し支えないとしても、そうでないと、畜産局の保証乳価
算定、低乳価にいつも悪用されてしまうのですよ。そうして、いや統計情報部の
調査がこうなっているからこれでやればこうなりますということでは、これは何のために農林省が統計をやっているかわからなくなってしまうわけですね。この際統計情報部長から——あなたはだれにも拘束されないでしょう。
大臣の命令があっても、これは簡単にそのとおりにやるわけにいかぬのだから、ことしはどういう形式で公表するか、この
内容の記載の改善をするかということをここで明らかにしてもらいたいと思います。