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1979-07-10 第87回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年七月十日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 藏内 修治君   理事 唐沢俊二郎君 理事 小宮山重四郎君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 新井 彬之君 理事 吉田 之久君       逢沢 英雄君    塚原 俊平君       福田  一君    藤尾 正行君       松永  光君    水平 豊彦君       渡部 恒三君    八百板 正君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      三原 朝雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山下 元利君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         任用局長    長橋  進君         人事院事務総局         給与局長    角野幸三郎君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         内閣総理大臣官         房管理室長   小野佐千夫君         内閣総理大臣官         房総務審議官  和田 善一君         内閣総理大臣官         房参事官    櫻井  溥君         総理府人事局長 菅野 弘夫君         行政管理庁行政         管理局長    加地 夏雄君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  佐々 淳行君         防衛庁長官官房         長       塩田  章君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁人事教育         局長      夏目 晴雄君         防衛施設庁総務         部施設調査官  千秋  健君         防衛施設庁施設         部長      多田 欣二君         防衛施設庁労務         部長      菊池  久君         沖繩開発庁振興         局振興第一課長 山田 哲朗君         外務省アメリカ         局安全保障課長 丹波  実君         文部省初等中等         教育局審議官  西崎 清久君         文部省初等中等         教育局財務課長 倉地 克次君         厚生省医務局管         理課長     田中 健次君         厚生省援護局長 松田  正君         厚生省援護局業         務第一課長   森山喜久雄君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     小田切博文君         自治省行政局公         務員部公務員第         二課長     秋田  周君         自治省行政局公         務員部給与課長 石山  努君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十日  辞任         補欠選任   稲垣 実男君     松永  光君   越智 通雄君     水平 豊彦君   中馬 辰猪君     渡部 恒三君 同日  辞任         補欠選任   松永  光君     稲垣 実男君   水平 豊彦君     越智 通雄君   渡部 恒三君     中馬 辰猪君     ――――――――――――― 六月十四日  一、行政機構並びにその運営に関する件  二、恩給及び法制一般に関する件  三、国の防衛に関する件  四、公務員制度及び給与に関する件  五、栄典に関する作 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件      ――――◇―――――
  2. 藏内修治

    ○藏内委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最初に総務長官にと思ったのですが、閣議関係でおくれておられるようでございますから、人事院の方から質問に入ってまいりたいと思います。  人事院勧告のための作業を精力的にお進めいただいている人事院の諸君に敬意を表しながら、今日までの作業の状況をこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
  4. 角野幸三郎

    角野説明員 現在までの本年の作業経緯を申し上げます。  本年も例年どおり五月の連休明け、大体春闘が終わりを告げる、終結したころでございますが、そのころから調査を開始いたしまして、それで例年どおり六月の中ごろで調査を完了しております。一般に、昨年来不況という空気が相変わらず流れておりますが、私ども調査に当たっての感じを申し上げますと、非常に調査としては順調に運んでおりまして、民間企業の方々に大変忙しいときに協力いただきましたことを大変感謝いたしております。  六月中ごろまでで実地調査を終わりまして、これは都道府県を含めて全国的に大がかりな調査でございますので、その調査票を全部私どものところに集結いたしておりまして、それが六月いっぱいで終わっております。七月に入りまして、点検を終わりまして統計局に持ち込んでおりまして、現在、統計局の方でテストいたしましたり、パンチを打ったり、これから機械に入れる準備中、そういう段階でございまして、全体を通じまして、作業は順調に行っておるということを申し上げたいと思います。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そういう順調に行っておる作業の延長線上で、勧告というのは例年のとおり八月の七日前後に行われるものと理解をしてよろしゅうございますか。
  6. 藤井貞夫

    藤井説明員 ただいま給与局長から申し上げましたように、作業自体は大体例年どおり順調に経過をいたしておりまして、私たちも連日これに精力的に取り組んで作業を進めておるという段階でございます。  いろいろな検討事項がございますし、その結論を取りまとめての勧告ということに相なるわけでございますので、正確にいまの時点でいつということを申し上げる段階にはまだ至っておりませんが、いまお話しになりましたように大体例年どおり、すなわち八月上旬前後ということには間違いがないというふうに考えておりますし、またそういうめどでわれわれといたしましても目標を置いて作業を進めてまいりたい、かように考えております。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 幾日と言うわけにはいかぬと思いますが、閣議との関連もございますので、七日とかその辺のところで恐らく検討されているのではないかという感じを持って七日前後というふうに申し上げたわけでございますが、そういうこととして理解をさせていただきたいと思います。  これは原則論でございますが、昨年もやりとりをいたしましたが、官民給与較差が五%未満であっても、昨年同様に勧告は行われるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  8. 藤井貞夫

    藤井説明員 昨年もわれわれもいろいろ考えましたし、また当委員会でも各方面から御議論をいただいたわけでございますが、五%以下という数字が去年は出たわけでございますけれども諸般事情を総合的に勘案いたしました結果、三・八四%ということで御勧告を申し上げたということでございます。これはいままでいわば実例のない、そういう意味からは画期的な措置であったというふうに考えられるわけでありますが、これでもって一つの軌道が敷かれたというふうに考えております。  したがいまして、今度の数字がどのように出るか、無論いま予断の限りではございませんけれども、五%以下という数字が出ました場合においても、去年同様の立場に立って処置をいたしたいと考えます。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ことしの予算では、給与改善の原資というのは二・五%先組みをされております。昨年の経過から言うと、いろいろ問題を私どもも提起をしてきたわけでございますけれども、結果的にそうなっています。この先組み予算勧告が左右されることは当然あり得ないというふうに思いますが、これは念のために総裁からお答えを煩わしたいと思います。
  10. 藤井貞夫

    藤井説明員 給与改善費先組みをどうするかということは、いわば純然たる財政上の措置の問題ということが重点であることは申すまでもございません。高度成長で相当の伸びがありました時代におきましても、財政運営上必要性から、五%ということが長い間前例になっておったわけでございますけれども、その年々の勧告というものは、この五%に全然とらわれておらない、また事実、勧告が出ましたならばそれの実施ができますように、後刻財政上のあるいは予算上の措置が講ぜられてまいったのであります。  本年度の予算におきましては、これも諸般財政上の必要性予算編成上の必要性から二・五%ということに相なったわけでありますが、それについては、人事院といたしましてはとやかくのことは申し上げません。ただ、あくまで人事院といたしましては、勧告を出した限りは全面的にこれを尊重していただくということが念願でございます。またそうでなければならない。事実、そういうことで累年の一つ前例ができ上がっておるわけであります。この線は私は崩してもらっては困るし、また崩れるべきものでもないというふうに考えております。したがいまして、二・五%という数字には、人事院といたしましては全然こだわらないという態度で進んでまいります。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 民間給与との比較調査に当たって、現行の調査対象についてこれを変更して、たとえば中小企業とか零細企業対象とすべきだなどという意見がございます。これは総裁もいろいろなところでお書きになっておられるわけですが、人事院第三者機関としての地位及び労働関係基本にかかわる問題でありまして、そのような意見にくみする立場にないということを、いま指摘をした人事院総裁のお言葉の中でも承っているわけでありますが、この際公式に見解を承っておきたいと思います。
  12. 藤井貞夫

    藤井説明員 官民較差を出しまする際の、民間調査をする際に民間企業規模をどのようにするかということは、事実大変むずかしい問題であることは間違いがございません。ただ、人事院といたしましては、官民給与較差を出す場合に、民間企業規模をどういうふうにするかという場合に最も重要と考えますのは、民間企業従事者の占める全体としてのパーセントが少なくとも半数以上になるということが、やはり一つの国民に対する納得性からいっても必要なことではないかというふうに考えております。  なお、御承知のとおり、公共企業体等労働委員会あたりにおきましても、官民比較をするということを考えまする場合に、そのめどとして考えておりますのは、いまお話しになりましたような企業規模百人、事業所規模五十人以上ということで来ております。これをもとにいたしまして、われわれとしては作業をずっと続けてまいっておりまして、これはすでに十数年たって定着をいたしておるわけであります。  一部には、一部と申しますか、組合側といいますか、そういうところからは、国家組織なんというものは、民間の大企業のいかなる大組織にも匹敵するものだ、あるいはそれ以上のものであるからして、むしろ規模というものは百人というのは少な過ぎる、やはり少なくとも千人以上くらいにしぼるべきではないかという御熱心な主張も以前からございます。それなり考え方というものは、私もないことはないというふうには考えておりますが、事柄は、やはり労働条件と申しますか勤務条件というものは、そう突発的にいろいろ改変を加えて、そのときの事情事情で前に行ったり後ろに行ったりというようにすべきものではない。労働条件勤務条件というものは一種の、労使の話し合いの上でだんだんと積み重なってきておるものでございまして、そのやり方というものはやはりあくまで尊重をしていかなければならぬという基本的な考え方に立っております。この点は、特に労使というものの団交のない公務員についての代償機関としての人事院が、その役割りを演じておりますものでございますからして、そういう意味合いにおきましても、一種労働慣行労働条件の積み重ねというものはあくまでこれは堅持をし、尊重をしていくという立場をとるべきものであろうというふうに考えております。  したがいまして、ことしの場合におきましても、従来どおり企業規模百人、事業所規模五十人という、民間企業選定基準というものは堅持をいたしております。これを変えるつもりはございません。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それに関連をいたしまして、官民較差月給だけではなしに、たとえば退職金とか退職年金などを総合した生涯給与などでとれといった見解も出されていることも実は御存じのとおりでございます。この点についても、人事院総裁の公式の見解をこの際、これは念のためで大変恐縮でございますけれども承っておきたいと思います。
  14. 藤井貞夫

    藤井説明員 いわゆる生涯給与制度と申しますか、生涯給問題というものが取り上げられまして、かなりの年月を経過してきておるのであります。なお今日でも、その問題というものは時あるごとに論議対象になっておることは、われわれも重々承知をいたしておるところでございます。  ただ問題は、われわれが官民給与比較をいたしまするという場合におきましては、あくまで民間において春闘というものが一つ給与決定あるいはベースアップの相当定着したパターンになって今日まで来ておるという実態、それが大変数多いところに普遍的に行われておるという実態がございます。しかもここで取り上げられますものは、毎月決まって支給されるいわゆる月給、これが日々の生活というものをあがなってまいります基本になるわけでございますので、何といってもこの月給中心とならざるを得ないというところから、春闘でも何でもこれが一番の中心課題に据えられて論議をされて、またいろいろいきさつがあって決定をされるということに相なっております。そういう意味では、公務員につきましてもやはり俸給月額というものがそれとの対比において一番重要な問題であり、公務員給与と言います場合は、何といたしましてもこれが基本的なものであることは申すまでもないところであります。  したがいまして、われわれも毎年の勧告でもって取り上げておりますのは、この月例給与月給というものを対象にしてやってきておるのでありまして、それはそれで正しい措置ではないかというふうに考えております。  ただ、退職年金なり退職手当という事柄がございます。そのほかにも福祉の問題その他がございますが、なかんずく退職年金あるいは退職手当の問題ということになりまして、その観点からいろいろな論議がなされておるということは事実でございます。この点につきましては、私たちもそれは人事院所管外だからそういうことは知りませんというような態度はとっておりません。非常に重大な関心を持って、これについてもいろいろな調査検討は進めてきておるところでございます。  ただ、問題の立て方といたしまして、退職年金退職手当というものはやはり基本月給を置いて、それに対してどのような積算の仕方をするかということが退職年金なり退職手当問題点でございます。したがいまして、それらの点について民間とのそう大変な不均衡があっていいものでもございません。ただ、従来の慣例だけでそれが当然だというような割り切り方をするつもりもございませんが、しかし、これはあくまで年金なら年金退職手当なら退職手当ということに視点を据えて、それの均衡問題としてこれを論議をしていかなければならぬ。おのおの制度には従来の成り立ちもございます。長年の経過もございます。そういうものも踏まえながら、なお民間との均衡問題というものを検討していくということは必要だろうと思いますけれども、それらがこうだから毎月の月給等についても配慮をすべきだというのは、やり方としては本末転倒であって、そういう逆算の仕方は恐らく一般理解を得るような仕方ではできまいと私は思います。  そういうような観点から、あくまでわれわれ月例給与あるいは月給というものを主体としつつ、官民較差というものをまず第一義的に考えておるわけでございまして、それはそれといたしまして、それを基礎にする退職年金なり退職手当の問題の取り扱いというものはそれぞれの所管がございまして、おのおの検討を加えておられることと思いますけれども、われわれ自身といたしましてもこれは無関心ではございません。それなり関心は持って、なお今後とも研究は進めてまいりますけれども、あくまでそれとこれとは別個であるという観点に立ちたいと思っております。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 給与について承りたいと思います。  ことしの春闘賃上げ集約というのは、春闘共闘委員会集計によりますと、千六百十九社の単純平均で一万八百六十七円、率にして六・八%となっておりまして、昨年を若干上回っていることは御存じのとおりでございます。労働省の六月十五日の発表によりますと、総平均は九千九百五十九円と五けたにはわずかに及ばなかったわけでありますが、昨年比七百四十一円と微増、率では六・〇%、これも昨年の五・九%をわずかながら上回っているわけでありますが、人事院民調集計はどうなっているのかということをお教えいただきたいと思います。
  16. 角野幸三郎

    角野説明員 ことしの春闘相場と申しますか、それにつきましてはいま先生お話しのとおりでございますが、ざっと相場的な感覚では去年とほとんど同じあるいはやや上というような感じであることは、一般に言われておることも私ども感じもそのとおりでございます。  ただ、先ほどお答え申し上げましたように、現在私ども実態調査をいたしておりますその関係民間実態につきましては、これから集計の最後の段階に入りますという関係上、その点についてはいま心配をしながら見ておるということしか申し上げられない段階ではございます。  ただ一点、一般的に言えることといたしましては、相場的な六%とか五・九%とか言いますものは、これはいわば春闘といいますか、たとえば四月時点の瞬間風速と言い切ると語弊がありますが、上げ幅でございます。私どもが調べますのは、上げ幅を調べておるのではなくて、ことしの四月なら四月のある断面における水準の高さを調べております。そういう意味で、水準の高さといいますのは、水準でありますので、過去一年間に、四月以外のいろいろな会社のそれぞれの結果がそこに集約されて出てくるという違いがございますので、結果がどうなるか、そういう意味心配しながら見ておるということでございます。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま給与局長お答えになったように、ことしの春闘というのは景気回復という背景もございまして、昨年よりも若干上回って妥結しているわけであります。特にその後の物価の動向などということも考えてみますと、ことしの勧告は当然昨年を上回ると考えてよろしいかどうか。この際、ハードウエアは入っておるわけでございますから、民調の結果に裏づけられた数字をお示しいただきたいと思います。
  18. 角野幸三郎

    角野説明員 重ねての御質問でございますが、私ども勧告数字といいますのは官民給与較差でございます。といいますのは相対関係でありまして、公務員が一年間にどのくらいローテーションあるいは昇給昇格等で伸びたというような家庭事情も織り込んでの水準変化がございます。民間も同じように昇給その他がありまして、それぞれ一年間にあらゆる会社変化を織り込んだ上で水準が出るわけでございまして、そういう企業内の家庭事情も織り込んだ上で水準ができます。それの官と民という相対を比べるわけでございますので、不確定要因が非常に入っております。何回もそこに織り込まれておるその結果が、官民給与較差という水準相対較差ということで出てくるわけでございます。  それからもう一点、本当に釈迦に説法でございますが、私ども調査は、四月の断面だけの分別ではございませんで、たとえば去年の場合で言いますと、おととしの勧告の終わった後、おととしの暮れを通りまして去年まで、要するに過去一年間、ことしの勧告で言いますと、去年の調査以後ことしの調査までという経緯が入っておりまして、その経緯がどうなるかということも大変心配の種であるということが一つございます。  一方、いま実質賃金がどうなるかというような配分上にも私ども心配の種がもう一つございますので、できればそういうことで実質を十分賄えるようなそういういい結果が出てくれればいいという気持ちは、私どもも同じでございます。しかし、そういう関係がございますので、いま集結いたしておりますその結果の発表待ちということで、非常に神経質に気になっておるということでございます。  昨年の勧告に比べて高さ自体がどうなるか、大変微妙な問題でございますので、調査の結果待ちということで心配をしておるというところでございます。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 昨年は三・八四%、それを下回るということは常識的に考えられないというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  20. 角野幸三郎

    角野説明員 常識と申しますか、一般相場感覚で申しますと、去年並みというような感じ一つあることは事実だろうと思います。  先ほど来申しておりますように、水準比較ということでございますので、いろいろな要因の絡みの結果出てくるその要因がそれぞれどう動くかということをいま一生懸命分析して、取り越し苦労かもしれませんけれども検討している最中でございますので、昨年と比べてどうかということは、数字の問題でございますし、しかも較差が十数%というような形では出っこないわけでございますので、そういう点から言いますと、〇・一であろうが〇・五であろうが、一%未満であっても大変重要な意味を持っておりますので、そういうことでいまはわからない、そういうお答えを申し上げる次第でございます。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう毎年やっておられて、コンピューターにハードウエアが入っておるわけですから、大体の見当はついておると私は思うのでございます。ただ数字を何%と言えと言っても、それは無理であろうと思いますが、いまお答えをいただいたように、昨年を下回らないということは、大体常識的な数字だというふうに私も理解をさせていただきます。  特別給、つまりボーナスについて、昨年は〇・一カ月削減をされました。二年連続でカットされることは何とも耐えられない心境でございます。昨年の夏あるいは冬の民間実績が確かに厳しかったということは私も理解をいたしますが、この実績の評価の仕方あるいは見方を検討すると、それをそのままカットに結びつけるというのは妥当ではないと私は思うわけでございます。むしろ復元をすべきだという要求も一方にあるわけであります。しかも、ことしの夏期一時金の大勢が六月いっぱいでおおむね決まったというふうに言ってもいいと思うのですが、それを調べてみますと、鉄鋼などで昨年対比六万円のアップ、そのほか民間の多くの企業を調べてみますと、特定の不況業種を除けば軒並みに昨年よりも増額しているというのが実態でございます。これはもうお調べのとおりでございます。これは組合によって、この年間臨給のとり方が夏、冬型と、それから冬、夏型、電機なんかはその部分に属するわけですが、あるいは冬と夏と別々という要求の仕方、闘い方があるわけでございますけれども、そういうばらばらな状態ではあっても、一般的に昨年よりもかなりいい。それは景気回復というものを見通して、ベースアップ部分が不十分であったので、少なくとも一時金などで調節をしていくというふうなことを、私どもこれは余り賛成をしないやり方でありますが、現実にとっている民間の多くの企業がございます。  こうなってみますと、ことしもまた特別給支給月数を減らすなどということは、もう私、国会の職員でも顔を見るたびにそれを言われるのですが、全くそうだろうと思うのです。そういう意味では、さっきの局長の言葉をかりて言えば、言葉をそのままお返しをして申しわけないが、余り心配することは取り越し苦労だよというふうに私は申していいのでしょうか。その辺の見当をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  22. 角野幸三郎

    角野説明員 特別給関係でございますが、現在私どもが調べております民間実態は一年前のものでございます。これは月給の場合よりも、特に特別給関係は過去一年間の締めくくりを次の年に勧告するというような形になっておりますものですから、そこで去年一年間のその関係はどうなのかということで、いま先生ちょっとお触れになりましたけれども、現在外にすでにありますデータとして一番わかりやすいデータは、労働省さんがおやりになっております毎月勤労統計の特別に支払われた給与関係でございます。それについて月別に開いてみますと、特に気になりますのが去年の夏、これはその一年前に比べまして〇・〇四月分ぐらい下がっております。それから今度は冬、冬は一般にはそんなに悪くないと言われたわけでありますけれども、毎月勤労統計の同じ数字を見ますと、やはりもう一年前の冬に比べまして〇・〇四ぐらいマイナスになっております。これを面積で一年間見ますとすれば、四に四を足しますと〇・〇八で〇・一に大変近づくということで、私もその数字が出ました途端には、心配で眠られなかったとは申しませんが大変心配になりまして、いま先生おっしゃいますように、二年連続でマイナス〇・一ということは大変なことだと思って、いろいろ分析してみたことは事実でございます。  しかし、調査はそれぞれ対象も違いますし、やり方が違いますし、要素も違っておりますので、一概には言えませんのでそう厳密な分解はできませんが、暮れの分につきましては、この労働省のデータの中にはベースアップの差額一時金が入っておるということがわかりまして、私どももよく勉強しなかったわけで、それが入っておるということをいまごろ気がついたわけであります。そういうことで、事ベースアップということになりますと、もう一年前のおととし、それから去年、こういう関係ベースアップの高さがずいぶん違います。そこで去年は低い、おととしは高いという関係で、その低いさやといいますか、そのさや分がマイナスの〇・〇四の中に大分含まれておるということがわかりまして、そんなに思い詰めることはないなとは思っております。しかし、冬の分が逆にプラスにならぬことには夏のマイナスをカバーできないわけでございます。プラスになりましても、夏分のマイナス〇・〇四、これをどのくらいカバーするか。一生懸命カバーできたとして、ゼロにいくのは非常にむずかしいなというような、素人考えでございますけれどもそんな感じも一方にありますという意味で、大変危惧の念といいますか、心配が残されてございます。  私ども調査で申しますと、月給の方の集計はわりかたボーナスに比べて早く出てまいります。これが早く出てきませんと俸給表の配分ができません。そういう意味から言いますと、全体の調査のスケジュールの中でボーナスの結果は一番最後に出てくるわけでございます。もう本当に勧告の直前、八月に入りましてからボーナスの関係の私ども調査のふたがあくということになりますので、それまでは非常に心配して見ておるということでございます。  先生がお話しのように、ことしの民間の景況をやや反映しておると言えると思いますが、ボーナスは去年に比べてよくなっているということは事実のようでございます。しかし、さらにことしの暮れ、これはまだ未知数でございますけれども、ことしの暮れとそれから現在の夏を含めまして来年どうなるかという問題でございまして、だからどうと直ちに言い切れないのが大変つらいところでございますが、二年連続マイナスになるようなことがないようにと願っておる次第でございます。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ここのところは、去年もそうだったのですけれども、前と比べれば〇・三引かれていまして、今度また引かれるといったら〇・四になるわけでございまして、これは大変なことでございます。これは公務員の諸君にとってみても大変深刻な問題でもございます。数字はごまかすわけにはいきませんけれども、先ほど給与局長言われたように、昨年の暮れの実績というもの、そういう事情をしさいに検討なさって、そう毎年ボーナスを削っていくなどということがないように、これは特に要請しておきたいものだと思います。  次に、配分について移らせていただきたいと思います。  昨年の勧告で高齢層職員の給与のあり方及び俸給の調整額についてそれぞれ適切な措置を講ずる必要を指摘しておられますが、この問題はことしの勧告ではどのように位置づけるおつもりなのか。これは数字の問題以前の問題でもございますので、御答弁を煩わしたいと思います。
  24. 角野幸三郎

    角野説明員 この高齢層職員の問題とそれから俸給の調整額問題、毛色は非常に両方とも違うわけでありますけれども、両方とも給与配分の基本にかかわる問題でございまして、片や高齢層職員の給与といいますのは、公務員の中の年齢別給与配分の基本形の問題でございます。それから調整額問題というのは、これは公務の特殊性といいますか、職務による配分、職務格差をつける方法のその形の整合化の問題でございます。いずれも現在のように給与水準が安定しまして、ベースアップの厚みも少ないというような安定的な時代に入りますと、配分問題の方が重要になる。一人一人のふところに入るものが問題であって、平均ベースがどうだということは問題として影が薄くなるというのは、これはもう当然でございます。そういう意味で、ここ数年来のそういう給与上の受けとめ方、これは民間でもそうでございますが、それを私どもも慎重に考えまして、配分の整合化ということで、昨年の勧告の際にこのことを持ち出したわけでございます。  昨年は、これは一応予告ではございませんが、人事院みずからが宿題として持ち出しまして、直ちにそこでやるということもあったわけでありますけれども、事配分問題といいますのは、特に給与の場合には白地にかくわけではございませんで、現在何らかの形で配分が行われている、それを再配分するというのは非常に困難な問題でございますので、ほかのベースアップの配分と違いまして、すでにある形を変形するという関係にございますものですから、慎重にそこのところで宿題にいたしまして、ちょうどいまで一年たっておりますが、その間、労使といいますか、各省の方それから組合の諸君、両方にそれぞれ説明をいたし、かつ意見を聞き、私どもも勉強しということで一年間経過してきた段階でございます。いずれにしても、そういうことを踏まえまして最終段階に立ち至っていることは事実でございます。あと一カ月まだ勧告まで時間的には余裕がございますが、配分問題は、先ほど申しましたように白地にかくものではないというむずかしさを十分承知いたしておりますが、それを踏まえた上で、意見を反映した上で私ども考え方を最終的にまとめたい、それで反映したい、そういうふうに考えております。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 俸給の調整額や高齢者の昇給問題というのは、該当者にしてみれば大変生活にかかわる重大な問題でございます。しかも高齢層の人たちというのは、いままで中だるみ是正というようなことで、どちらかと言えば人事院勧告の枠の外で始末を、始末と言っては言葉が悪いのですが、されてきたという経過がございます。その意味ではかなり長期的に対応していかなければならない問題点ではないかということはいま局長からも御答弁をいただいたわけですが、民間との比較の基準のとり方などを含めて、これはぜひ慎重に対処していただきたいものだ、そうばさっ、ばさっとおやりになることについては非常に多くの混乱を起こす、そういうふうに指摘をしながら、一方的な強行をなさらないように、できるだけ合意を得るように御努力を願いたい、このことを申し添えておきたいと思います。よろしゅうございますね、その点は。  昨年は調整手当、寒冷地手当というものが見送られたわけでございますが、この問題に対する対応をどうなさろうとしておられるかお聞きしたいのですが、昭和四十九年、五十年の国会の附帯決議も承知しております。それとは別に、たとえば所沢の航空管制センターを、来年の春どうお扱いになるおつもりなのかということに関連して、これは成田も筑波も、それからこの間この国会で、この委員会で議論をしましたリハビリテーションセンターなども関連が出てまいりますものですから、お伺いをしておきたいと思います。
  26. 角野幸三郎

    角野説明員 調整手当といいますか地域給問題でございますが、これは金額の高さの問題と、いわば地域といいますか地図の問題と二つに大きく分けられると思います。いま問題は、地域の問題でございますが、調整手当の地域問題というのは、非常に歴史的経過が大切だとわれわれ思っております。  ちょっと古い話でございますが、昔の勤務地手当が昭和三十二年に、いわば凍結して段階を圧縮するという趣旨のもとに暫定手当に切り変わったときがございます。それで、このときには地域については原則として将来これは動かさないというような国会で御決議をいただいているという経緯がございます。それからちょうど十年たちまして昭和四十二年でございますが、人事院が当時都市手当の勧告をいたしまして、これは暫定手当を都市を持ち上げる形の修正勧告をしたわけでございますが、このときにこれが国会で御決定いただきまして、いまの調整手当ということになったわけでございます。そのときにやはり国会で御決議をいただきまして、地域については原則として動かさないという十年前と同じような御決議をまたいただいております。  したがいまして、事調整手当につきましては、この地域区分につきましては行政区画主義をとっておりますが、この行政区画主義についてはほとんどそのままで、合併市町村の新しい市町村の行政区画によるというようなことは若干ございましたけれども、原則として行政区画主義は動かしておらないというのが現状でございます。したがいまして、その後、四十年代の高度成長期をもう渡り切っております関係上、大都市周辺の問題があることは事実でございまして、それに対処してこの地図をどうするかというのは、当面の問題としてここ数年非常に問題になってきておる。これもまた当然のことだろうと思っております。  いま先生御指摘の所沢の問題もその一点でございまして、これにつきましては、現在の給与法上の制度の中に行政区画で規定しております支給地域以外に、それに近接するあるいは類似の条件のところに限りという条件つきではございますけれども、官署指定方式というのが併用されておりますということも、現行そうなっております。この官署指定のやり方を活用することによって、いまそういう大都市周辺の特段の問題に対処できるかどうか、そういうことができるかどうかということが、なし得る限度におけるこの手当の問題だろうと思っておりますが、所沢の場合は、特に官署が移転するというもう一つの条件がそれに加わっておりますものですから、したがってその点については、先ほど問題になりましたリハビリテーションセンターの場合もほとんど同様でございますが、そういう点で管制センターとあわせてそういう処理の仕方ができないものかと思っていま検討しておるということは事実でございます。  しかし、これは官署指定と言いましても、大都市周辺、いわば県境といいますか、その境から近接、しかも条件の類似というような限定がございます。これをどういうふうにルールを置くかというその辺の検討をしませんと、個別問題として鉛筆をなめるという式の作業ではございません。そこがそうなるならば、全国同じようなものはどうなるかという一般的な秩序の中の話でございますので、そういうことで来年、五十五年の春というような三年間の異動保障の限界が迫っておりますけれども、当面の問題としてそのことを検討していきたい、こういうふうに思っております。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは勧告とは恐らく別になるだろうと思うのですけれども、しかしそういう配慮、つまり大都市圏が広がっているわけですから、住宅事情にしてもあるいはその他の条件、物価の問題にしてもいままでのエリアからかなり広がっていることは事実なんです、その同じような条件が。その点は十分御配慮いただかなければならぬだろう、こういうように思っております。  それから寒冷地手当は、聞くところによると、六月一日現在で石炭やら灯油などの実行価格の集計を行っているというふうに承っていますが、そのとおりかどうか。もしそうだとすると、最近の石油事情、なかんずく灯油の値上げなどのことを考えてみると、六月一日ではちょっと実態に合わないのじゃないだろうかというふうに思いますが、この辺はどのように御配慮なさるおつもりか、お答えをいただきたいと思います。
  28. 角野幸三郎

    角野説明員 寒冷地手当の関係でございますが、いまお尋ねは、寒冷地手当の中の基準額と加算額と二つに分かれておりますが、その加算額の問題でございます。これは灯油価格だけではございません。石炭も一緒に調査をいたしておりますが、毎年これは必ずしも六月というように、過去の例を見ますと一定はいたしておりませんが、大体六月、あるいは八月に調べたこともございます。これはその調査をした結果をどう反映させるかという、そのときなりのその事情によりまして若干調査時期に変動がございますが、大体寒冷地手当は八月の三十一日が年一回支給する時期になっておりますので、そういうことを踏まえた上でのややそれより手前の調査ということでそういうころになっておるわけでございます。それで、本年もそういうことで六月一日、たまたまそういう時点調査をしておるということは、先生いまお話しのとおりでございます。  そこで、後から気がつくということではございませんが、その六月一日から灯油価格が、石炭に次いでちょうど上がるスタートの時期と一致しているような感じであることは、新聞等で言うておるとおりだと思いますが、それ以後石油については、価格だけでなくてさらに需給の全体の構造変化が非常に起こっておりますので、そういう点で、これにつきましては、六月に調べました価格だけでは、ここから先のことはわかりません。どんな変化を遂げるかとは思いますけれども、状況を見て、再調査しなくちゃならぬという事態もないことはないなと思っております。しかし、調べました六月のものがまだ集結できておりません。それをまず見たいと思っておりますが、それから今後の石油をめぐる客観情勢の中の価格の問題も見ていきたいと思います。それからことしの冬、大変寒いとか暖冬であるとか、いろいろなこともあろうかと思いますが、そういう客観情勢も踏まえながら調査もあるいはしてみたい、こういうように考えております。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この点は六月一日じゃ本当に物差しに合わぬと思いますので、ぜひ再調査を求めたいと思います。どっちにしても、年末にかけて大変石油価格の値上がり、OPECの問題を引き出すまでもなく深刻でございます。これに対応できるようにしていただきたいものだと考えています。  それから、本俸部分についてちょっとお伺いしますが、ことしの配分の重点というのはどこに置かれるのか。この点は中だるみ是正という議論が長い間ございまして、公務員共闘がポイント賃金の要求を出しております。これらについてどのように対応なさろうとしておられますか。昨年もそういう形で対応なさっているわけでございますけれども、ことしもそういう延長線上でお考えになっていらっしゃるのかどうか、御答弁を煩わしたいと思います。
  30. 角野幸三郎

    角野説明員 調査の結果が出てまいりませんと厚みがちょっとわかりませんが、厚みではなくて配分の話でございますので、大体傾向である程度は考え得ると思います。  そこで、昨年のことを考えますと、大体世帯年齢、結婚いたします年齢層、それから子供が一人でき二人でき、三十歳代中ごろ、四十の手前あるいは四十の若いところまで入るかもしれませんが、要するに、世帯持ちの年齢層のところに重点的に行くような配分をするというようなことで私ども俸給表の本俸の配分をいたしました。これは公務員組合の諸君のいわばポイント賃金という形でここずっと要求を持ってきておりますが、それを完全に反映したという形の結果に昨年はなっておりますが、ことしにつきましても、いわば組合の諸君のポイント要求がちょうどそういうつぼに同じようにはまっておりますので、私どもも当節の実質賃金の配分としてはやはりそういう形がいいということで、ことしもそういう方向で行きたいとは思っております。  ただ、昨年と若干違うかなと思いますのは、ことしの場合には、去年に比べて若年層が、若年層といいますか、初任給でございますが、初任給が少しは目が覚めてきたというような関係にあることは事実でございますので、私がいま申しておりますのは、昨年の結果で申しておりますので、ことしその辺の配分状況もふたをあけてみないとよくわかりませんので、決して厳密な話としては申し上げられませんが、そういうポイント要求の線に大体マッチできるような配分ができるのじゃないかということは考えておる次第でございます。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 細かいことに次から次に入って恐縮でございますが、扶養手当の改定が昨年行われましたけれども、これはライフサイクルという考え方、いま局長が言われた世帯持ちという観点も含めて重視していくという考え方は大変妥当だと思いますけれども、扶養手当の改定をことし行うおつもりがあるのかどうか。  それから、十八歳で打ち切りというのは、高校在学中に打ち切られるという形にもなるわけでございまして、大学の進学率が高くなっているという昨今の状況のもとでは、改善すべきであるという意見も非常に強く出されていることも御理解のとおりでございます。この点について御答弁をいただきたいと思います。
  32. 角野幸三郎

    角野説明員 手当の関係でございますが、ここ数年の傾向で申し上げましても、手当の中では扶養手当は最優先で、手当としては最もウエートを持って配分してきておるというのが事実でございます。しかし、これは部内配分がそうではありますが、手当につきましては、ほかの手当も民間と共通する手当はすべてそうでございますけれども民間で手当がどういうふうに去年一年間に改定されてどういう厚みになったか、私どもはそういうことを民間給与調査のときにあわせて調査をいたしておりまして、その状況を踏まえての結果でございますので、私が最重点に直しますということは言い過ぎでございます。  しかし、大体最近の趨勢を考えてみますと、扶養手当はそういう生活給的な、いわば実質的な世帯的な賃金に非常になじむということで、民間においてもこれが取り上げられている結果そうなるというような申し方が正しいのではないかと思いますが、そういうことでことしも調査をいたしております。でき得ればそういう形で行きたいと思っております。  そこで二番目の話でございますが、十八歳という年齢で子供に対する支給を制限いたしておりますが、これについてのお尋ねでございます。  これも、ここ数年来そういう要望をあちらこちらからいただいておりまして、それで研究問題でございます。非常に進学率が高まってまいりました関係上、昔の義務教育に対比して、いまの学歴あるいは年齢層のどういう対応が昔のそれなのかというような勉強はしてみなくちゃならないと思っておりますが、何せこれにつきましても民間を含む、それから進学率といまの実態公務員の中のそういうものを含む全体の検討をしてみたい、こういうふうに思っております。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 扶養手当はことし引き上げるという方向で考えている、十八歳問題は研究課題、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  34. 角野幸三郎

    角野説明員 先ほど申しましたように、まず扶養手当の民間の一年間の引き上げがどうなっておるかということから入るわけでございますので、そういう前提を置きました上で、それが許されるならばこれは優先的にやりたい、こういうふうに思っておる状況でございます。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 通勤手当、これは交通用具使用者のそれを含む手当でございますが、五月の二十日ですか、国鉄運賃も上がりましたし、さっき申し上げたようにガソリンの値上げも行われているわけですが、これらは当然考慮の対象に入っているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  36. 角野幸三郎

    角野説明員 通勤手当につきましても民間の最近の状況を調査いたしておりまして、その結果待ちという大前提の中の話でございます。しかしながら、初めにちょっと申し上げましたように、全体の風袋がまず大枠としてございまして、較差と申しますか、それから配分で、配分が二の次でございまして、較差がまだわかりません。したがいまして、配分の重点をどこに置く、一番目、二番目、三番目というようなそういうことではお答えできるかもしれませんが、どれがはみ出すか、どこまででお金が終わりになるかという関係も同時にございますので、ちょっとそこのところまでは申し上げられませんが、現に民間の通勤手当の実態について調査しておるということは事実でございます。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 給与局長、きょうという日は、大体人事院勧告が八月の初め、大体一カ月で集計が終わって委員会でやりとりができるという日程で、本日が委員会の日として決まったわけでございます。したがって、調査の最中でございましてという形だけで対応されると、どうも委員会の設定が誤ったのではないかというふうに私ども考えざるを得ないのでございますが、しかし私は、やはりいまのやりとりを通しておおむね皆さんの方の腹づもりというものは伺うことができたというふうに理解をしたいと思います。特に、給与の改善などについては昨年を下回らないという筋道は常識だというふうに私は思いますし、それから同時に、〇・一の問題もいま局長が親切丁寧にお答えをいただいたような意味を私なりに読み取れば、そう心配することはないだろう、まだ御安心くださいというところまでは言えないまでも、そういうところに来ているというふうに考えます。  それから、いまやりとりをして考えることは、実質賃金の確保ということなどを考えてみますと、やはり初任給問題もございますけれども、中だるみ是正、ポイント賃金の思想というもの、私どもこれはライフサイクル論で言うわけでございますが、そういう点を十分に生かして、労働条件のレベルダウンにならないような御努力をいただきたい、この点を申し添えておきたいと思います。  引き続いて週休二日制について質問をいたします。すでに二回にわたって試行が行われてまいりました。この機会にその結果を公表いただきたいと思います。
  38. 金井八郎

    ○金井説明員 職員の週休二日制の再度の試行の結果につきましては、これを取りまとめ、内容の検討が済み次第明らかにしたいと考えておりまして、これは近日中にお示しできることになると思いますが、お尋ねがございますので、現在、取りまとめの経緯で私なりに承知しているところを簡単に述べさせていただきます。  試行に参加しました省庁は、総理府を初めとして全省庁、四十三省庁であります。前回試行に参加しなかった法務省、公安調査庁及び防衛施設庁も新たに試行に参加しております。  次に、試行に参加しました職員は約四十二万七千五百人でございまして、これは試行の開始された昨年四月における一般職の職員、五現業職員を除いての現員の八三・六%に当たります。第一回目の試行に比べますと八%増加しております。  それから次に、多くの省庁におきましては、試行が二回目ということもございまして、試行に入るに際しましては事務処理体制の合理化あるいは業務の特殊性等から、人事院の承認を得まして試行日の振りかえを行うなどの事前の対応策を図っておりますし、試行の実施中に事務多忙等の原因によりましていろいろ生じた問題等への対応の仕方につきましても、それぞれ工夫努力の跡が見受けられるというふうに考えております。  全体といたしましては、試行の実行率、これは勤務免除を予定していた者が実際にそのとおりに実行できたかどうかという率を実行率と申しておりますが、その実行率につきましても前回におけるそれと大体同程度ではなかろうかというふうに考えております。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その試行をなさった結論を、いまやった経過だけ伺ったわけでございますけれども、どうなさろうとしているかということについて伺わなければなりません。これは時の問題でございますからお答えをいただきたいと思うのですが、総裁も三回の試行はあり得ないということを国会で答弁なさってこられました。いまの試行の結果を踏まえてどう勧告をなさろうとしておられるか、基本的な立場をこの際お示しをいただきたいと思います。
  40. 藤井貞夫

    藤井説明員 週休二日制のテストは二回にわたって実施をいたしました。第二回の実施の結果のあらましはいま職員局長から申し上げたとおりでありますが、これはいま鋭意正式の文書として取りまとめ中でございまして、日ならずしてお示しができるのではないかというふうに思っております。  いまお話がございましたように、三回のテストというものはあり得ないとまでは私は申し上げておらないように思うのですが、少なくとも三回のテストというものは常識的ではないだろうというふうには私は申し上げたことははっきりと記憶をいたしております。また現在でもそのとおりであるというふうに考えております。  そういうような一つの見通しのもとにいままで二回のテストをやってまいったのでありますけれども、無論多種多様の公務員の職場でございますので、いろいろな問題があることは事実でございます。しかし、それなり問題点を把握しながら各省庁はいろいろな面の努力でこれに対して対応の措置を講じてきておりまして、参加した職員の範囲あるいはその実行率というものもまずまず満足すべきといいますか、まずほどほどの結果を示しているのではないかというふうに思っております。ただ、局部的には、交代制勤務の関係でありますとか少数の官庁でございますとか、なかんずく病院というようなところにおきましては大変な問題がありまして、実際上テストもできないといったところが現存いたしておることも事実でございます。  しかし、私たち基本的な姿勢といたしましては、民間の週休二日制の普及状況というものも大変伸びてきておりまして、しかも石油ショック以来、その趨勢は鈍化をいたしておりますけれども、わずかではあるけれどもなお普及の範囲は広がりつつある。まず大体におきましてわれわれの調査対象企業といたしましては七割程度が実施をいたしておりますし、民間企業の従業員という面から見れば、数としては八割以上に達しておる、これはもう事実でございます。そういうような点もあり、世界の大勢もございます。そういうような面からわれわれは積極的にこの問題を取り上げるべきであるというような姿勢を前提といたしましてテストに取り組んだということもございます。  二回の試行の結果が出てまいっておりますので、それらの諸般の情勢を見きわめながら、私といたしましては、この際やはり一歩前進の措置を講ずべき時期に来ているのではないか。これを受け取られる各省その他の点においてもいろいろ御論議はあろうかと思いますけれども、大勢としては私は一歩前進の措置を踏み切るべき時期に来ているのではないかという気持ちを深めつつあるということは事実でございます。その点について具体的にどういうような形でどういうような内容のものにいたすかということは、まだ今日の段階で申し上げるわけにはいきませんが、気持ちとしてはそういう気持ちで作業を進めたいということでございます。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 総裁のその一歩前進という意味の中には、当然勧告ということが含まれていると理解してよろしゅうございますか。
  42. 藤井貞夫

    藤井説明員 勧告ということも、当然措置一つの方法としては考えの中にあるということは申し上げられると思います。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 聞くところによると、四週五休というふうな議論があるようでございます。これは民間の普及状況などを含めて考えてみると、せめて隔週という要求も非常に強いわけでございますが、その点も十分御理解を願いたいものだと思っております。  そこで、衆議院では大蔵委員会でございますが、金融機関の週休二日制に対する決議もすでに行われていることも御承知のとおりでございます。銀行とか官庁とかというのがやられなければという事情もございますけれども、最近はもうほとんど民間が先行をしている事情にございます。  特に私ここで強調したいのは、銀行、銀行と言うものですから銀行の状況を調べてみますと、実は銀行は事実上やっているのですね。ローテーションをそのようにして処置しているわけでございます。役所だけが実はそれに対応してないという面がございますものですから、その点は恐らく実態をつかんでおられると思いますけれども、ぜひ御配慮願った上で、時の問題であるだけでなしに、サミットをめぐって、たとえば労働省は労働時間の面で、あるいは通産省はエネルギーなどの面で、夏休み問題も含めて週休二日制問題というのは日本の今日の置かれた条件のもとで避けて通ることのできない、いや先進国として同じ条件というものを国際的にも確保していかなければならぬ、労働基準の公平化というものを考えていくためにもどうしても実行しなければならぬと思いますので、総裁の強い決意を、この際、ちょっとくどいようで恐縮ですが、もう一遍承っておきたいと思います。
  44. 藤井貞夫

    藤井説明員 週休二日制は、それ自体週休二日ということで公務員についても検討の余地のある問題であるというふうに深刻に受けとめて、今日まで対処してきているつもりでございます。ただ、われわれ人事院といたしまして、この問題を中心に据えます場合には、やはりいま御指摘になりました公務員勤務条件の改善という観点からこれを把握すべきものであるというふうに理解をいたしております。そういう意味で、一歩、数歩の前進は図っていかなければならない、それが一般の情勢適応の原則に合致するものではないか、そういう時期に来ておるのではないかという基本的な認識に立っておりますので、その線に沿っての具体的な措置を現在検討を加えておるという段階でございます。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この際ですから厚生省、自治省、文部省、まだあるわけでございますけれども、いろいろ意見が出されている問題点がございますので、その順序で、勧告が出された場合に、厚生省も自治省も文部省も当然それにこたえて対応を迫られるわけでございますから、現状とそれからそれに対する対応というものについての所信を承っておきたいと思います。最初に厚生省からお願いをいたします。
  46. 田中健次

    ○田中説明員 国立病院及び療養所におきます週休二日制の試行につきましては、去る五十二年の  一月から三月にかけて行いました。病院が十施設、療養所が十四施設の計二十四施設について実施をいたしまして、その結果、たとえば医者が休むということで救急患者に対する対応にいろいろ困難があった、あるいはまた患者の診療待ち時間がふえた、あるいは薬局の窓口におきまして患者の待ち時間がふえた等々の問題が見られております。  厚生省といたしましては、人事院勧告がこれからどのような形で出されるのか、現時点では具体案が示されておりませんので、意見は差し控えたいと思いますけれども、当初の試行によりまして、ただいま申し上げましたような問題が生じたということは事実でございます。また、国立病院あるいは国立療養所の医療従事者の現状を見てみますと、ほかの医療機関に比べて人手不足であるということは現実でございまして、週休二日制を実施するに当たっては何らかの形で手当てが必要ではないかというふうに考えておりますけれども勧告が出た段階でその内容をよく検討いたしまして、必要に応じまして、関係各省庁と協議を行っていろいろ解決に当たっていきたい、かように考えております。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 では次に自治省。後でまた再質問するかもしれませんが、とりあえず全体を聞いてから。
  48. 秋田周

    ○秋田説明員 まず、地方公共団体におきます試行の状況でございますけれども、都道府県につきましては三十七団体、指定都市は全部ですが九団体、それから指定都市を除きます市区町村、これが五百三団体、これが試行実施を完了しあるいは実施中でございます。  それから、週休二日制に対する地方公務員の対応の問題でございますが、これにつきましては、人事院の方で何らかの言及が予定されておるようでございますが、その結果としましては、まず、国家公務員につきまして政府としての方針の決定というものが当然されるだろうと思います。地方公務員につきましては、その状況というふうなものを見ながら並行しまして検討をしてまいりたい、そのように考えております。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 警察や消防などの問題で特段の困難というものがあるというふうに理解しないでよろしゅうございますね。
  50. 秋田周

    ○秋田説明員 試行に関しましての自治省の基本方針でありました点があるわけですが、これは国家公務員につきましての試行についてもほぼ同じであったと言っていいと思いますけれども、私どもとしましては、地方公共団体に対します指導の方針としまして、基本的に三つの原則、すなわち定員、予算増の招来を招かないこと、それから行政サービスを低下させないこと、それからなお、これも国家公務員についても同様であろうと思いますが、特に地方公共団体の場合に、地域のコンセンサスあるいは住民のコンセンサスを得ること、これを基本として試行の指導を進めてまいっておるわけでございます。  その観点から申し上げますと、先ほど人事院の方からお話もあったわけですが、小規模部署であるとかあるいは交代制勤務部署であるとか、さらには、特に地方公共団体の場合には、国に比べますといわゆる現場的あるいは現業的な事務が非常に多い。たとえば福祉施設であるとか窓口であるとかそういう問題があるわけでございますが、これらにつきましては、実は試行の実施率につきましてかなり問題がないでもない点、これがあるわけでございます。いま先生御指摘がありましたように、警察あたりにつきましては試行の実施率が七割を切っております。そういう状況がありますし、消防につきましても、これは勤務の態様によりましていろいろ判断すべき余地が残っておると思いますが、特に二交代制勤務の場合にはかなりの問題が残っておるということではなかろうかと思っております。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 では続いて文部省。
  52. 西崎清久

    ○西崎説明員 文部省関係でございますが、まず公立の小中高等学校関係でございます。人事院のお考え、政府の方針に基づきまして週休二日制を公立小中学校等につきましても実施するようにということで、五十二年の三月に局長通知を出しまして、五十二年の四月から五十三年の三月まで一年間で実施をするようにということを指導したわけでございますが、種々教育課程あるいは学校運営上の困難等がございまして、実施したケースがなかったわけでございます。  そこで、さらに昨年の三月に、一年間ということでなくてもいいから、特定の期間でもいい、一学期とか二学期というふうなところでもいいからという含みを持たせまして、再度五十三年の四月からことしの三月までの試行を促したわけでございます。これも局長通知を出してやったわけでございますが、やはりいろいろな事情から試行を実施するに至っていないというのが現状でございます。国立の付属学校につきましては五十二年の四月から一年間、十八の学校についての試行を促し、実施してまいったわけでございますが、いろいろな事情で、実施率がさほど高くはないという結果に終わっております。  先生御案内のとおり、教育について、学校教育は非常にむずかしい点があるわけでございまして、私どもは、各都道府県に週休二日制に係る研究協議会を設けて、実施についてのいろいろな問題点等を研究するようにということを昨年通知で入れておりますが、大体三十三くらいの府県でいま研究協議会をつくってくれております。しかし、事柄自体のむずかしさという点では、各都道府県ともなかなか苦慮しておるというのが実情でございます。  先生お示しの、人事院勧告あるいは報告等の出た暁の取り扱いでございますが、私どもも、こういう現状ではございますけれども人事院のお考えなりそれに基づく政府の取り扱い等を踏まえて、この点についての対処についてはまた十分検討してまいりたいというように考えております。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま厚生省、自治省、文部省、それぞれ困難な事情というものの御報告がございました。率直に言ってその点を理解をしないわけではございません。ただ、だからといってその困難というものがいつまでも放置されておったのでは、全体として日本の労働条件の改善ということ、それから国際的な世論の動向ということなどを含めて、もうくどくどと言いませんけれども、今日の日本の置かれている条件にそぐわないことになってしまうのではないだろうか、このように考えます。先ほど人事院総裁が決意を披瀝されました。私は時宜を得ているというふうに考えます。細かくは言いません。その中身について私はいまここで改めて聞こうとは思いませんが、少なくとも一歩前進をすべき時期だということだけは事実でございます。  そこで、行政管理庁がおられますけれども、サービスを低下させることは私も反対です。しかし、だからといってサービスを低下させるな、予算はふやすな、そして定数はふやすなということで締めつけたら、はみ出すあんこはそのままになって、結果的に全体が時間短縮、週休二日というのは困難になるということにならざるを得ません。この点は行政管理庁にお尋ねするのも少し酷かもしれませんけれども、あなたのところでこれらの動きを見て、予算、定員、サービス低下をもたらしてはいけないという三条件でこれからずっと締めつけていったらえらいことになってしまうと思うのですが、週休二日制の試行が終わった今日の段階で、勧告が出された場合にどのように対応なさるおつもりか、すでに御検討をいただいておると思いますので、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  54. 加地夏雄

    ○加地説明員 先ほど人事院の方から御答弁がございましたように、再試行の結果の取りまとめを現在やっていただいておりまして、これは近く御発表いただけるようでございますし、さらに勧告問題についての御発言がございましたが、現在の時点では、私ども政府側としましては、そういった人事院の御意向表明を待って慎重に検討していくべき問題であろう、こういうふうに考えております。  ただ御質問の、仮にそういった週休二日制が実施に移る場合の問題といたしまして、いわゆる定員の問題についてどういうふうに考えているかという問題でございます。私どもは、週休二日制の問題につきましては、一般的な基本的な考え方といたしまして、今日の非常に厳しい、御承知のとおりの状況でございますが、この厳しい状況の中で週休二日制を公務員に実施することの問題も一つございますが、仮に実施する場合におきまして、それがさらにはね返って定員の増を伴うというふうなことは、国民の世論全体から見ましてどうであろうか、こういう気がするわけでございます。現在の既存の組織なり制度なりあるいは運用といった問題を十分再検討と申しますか見直しをやっていただきまして、合理化、効率化というものを図っていただいた上でそういう問題に対処していくべきではなかろうか、実はこういうふうに考えておるわけでございます。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 加地さん、それ以上のことは言えないと思いますけれども、それで済むはずはないと私は思うのです。あなた自身もそう思っていらっしゃると思うのですが、それはそれ以上言いません。  ただ、いま病院なりあるいは学校現場なり警察、消防という問題がございます。郵政もございましょう。そういう問題を検討していきますと、定数をがんじがらめにして週休二日制ですよと言ってみても、それは絵にかいたもちに終わってしまうわけであります。国民に理解を求めるという問題もございましょう。しかし、今日の条件のもとで理解を得るための努力こそが求められているのではないだろうか、私はこんなふうに思います。その点で再度の質問はいたしませんが、そういう御努力を賜りたいと思うのです。  総務長官、先ほどから少し退屈のようですからお尋ねをいたしますが、人事院勧告制度が持っている意義に照らして、歴代の内閣は勧告の完全実施を公約し、そして実行されてこられました。ことしも勧告の時期が迫っておりますけれども、このような歴代の内閣と同じようにその完全な実施をお約束いただけるかどうか、長い経験がある総務長官ですから、これは明確な御答弁をいただきたいと思います。
  56. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたしますが、御指摘のとおり、人事院勧告につきましては、政府といたしましては誠意を持ってこの実現を果たしてまいりましたし、今後もそういう姿勢で取り組んでまいる所存でございます。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 実は民間は四月に賃金が上がるのですね。公労協も決まります。公務員勧告は八月。そして臨時国会があればいいが、通常国会ということになりますと年末。地方公務員は、ところによっては来年回しということになるわけでありまして、同じ公務員の中でも、あるいは同じ労働者という条件から言っても、公務員給与を支給されるのがかなりおくれるわけですね。強い言葉で言えば、いわば差別されているわけです。これをできるだけ早める、早期支給ということを何か考えようではないかということで、たしか三年ぐらい前の総理府総務長官と公務員共闘の間に早期支給について努力することという合意があるわけでございますが、その後総理府は何か御検討なさっておられますか。何かいい知恵をお探しになっていらっしゃるかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
  58. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 お答えを申し上げます。  公務員共闘との合意というお話がございましたけれども春闘段階におきましてそういうふうな文書を交わしたことは事実でございますが、その中身は、人事院勧告をいただいた後できるだけ早くこれを処理いたしまして国会に御提出申し上げるということを含めました文書でございます。そこで、そういうことにつきましては、この両三年間人事院勧告の時期はそう違いませんけれども、それを政府の方針として決め、国会にお出しする時期は年々早まっておりまして、そういう点で努力を続けているところでございます。  そのほか、いま御質問のもう一つの点といたしましては、制度的な面でもう少しうまい知恵がないものだろうかということがございますけれども、これは種々議論をし、あるいはわれわれの中でも研究をいたしておるところでございますけれども、やはり公務員給与の場合には給与法定主義という大前提がございまして、そういうものとの問題等々ございます。たとえば人事院勧告を予備勧告あるいは本勧告という二回に分けるとか、あるいは人事院にもっと予算の前に勧告していただくとか、あるいは人事院勧告が出ました後に、それをある部分について政令に御委任を賜るというような個々の具体的な考え方検討いたしておりますけれども、それは先ほど申しましたような給与法定主義その他の、人事院の御性格なりあるいはいま言いましたような問題点がたくさんございますので、これならばというところには到達いたしておりません。むしろいま言ったようなそれぞれの案は非常にむずかしいというのが現在までの感じでございます。  そういうことで、せっかく研究はいたしておりますが、さらにこれからも研究はいたしたいと思いますけれども、いま言いましたような問題点がございますので、これで行こうというところまでには至っておりません。先ほど申しましたように、そういうことを踏まえまして、両三年、人事院勧告が出ました後できるだけ早い時期に政府の方針を決定し、できるだけ早い時期に国会の御審議を賜るということで前進を見ているのが現状でございます。
  59. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 総務長官、少し生臭い話を聞きます。  早期支給ということになってまいりますと、これは臨時国会の問題が議論になるわけですが、総務長官は秋の国会解散について大義名分があるとお考えでございますか。非常にユニークなお立場の閣僚でございますから、この際、失礼でなかったらお答えをいただきたいと思うのです。
  60. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたしますが、大変むずかしい御質問でございます。  閣僚の二、三が解散について触れたことが一つの問題を提起いたしておることが報道されておる時期でもございます。したがいまして、理由なくして解散をすべきではないと思うが、あるとすれば秋の解散はそうした正当な理由があると思うかという大変むずかしい御質問でございます。したがいまして、私は、ここで解散について発言することは慎まねばならぬと思うわけでございます。とりあえずは、当面いたしますサミット後におきます国政の大変厳しい状態の中にございます。また、来年の概算要求をそうした厳しい中で確立してまいらねばならぬ八月末の時点も迎えておるわけでございます。国際情勢もきわめて厳しい状態でございますので、当面といたしましては、私自身は、解散というようなことは余り念頭に置かずに、そうした基本的な内政、外交について全力を傾倒してまいりたい、そういう姿勢でただいま所管業務の運営をいたしておるということを申し上げて、お許しを賜りたいと思うのでございます。
  61. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大平さんは、その困難な条件を乗り越えるために政局の転換が必要だとおっしゃっておられるわけでありまして、前の方で言うか後の方で言うか、その言い方の問題が若干ニュアンスとして違いがあるように承りますが、それはそれ以上申し上げても失礼だと思いますから触れません。  次に、定年制を少し簡単に伺っておきたいと思うのです。  昨年二月に、稻村総理府総務長官が藤井人事院総裁に書簡を送って、定年制導入についての検討を要請しましたけれども人事院はこの書簡に対していつごろ、どう御回答なさるおつもりなのかということをお示しいただきたいと思います。
  62. 藤井貞夫

    藤井説明員 定年制につきましては、一昨年の暮れに閣議におきまして、国家公務員についても定年制を導入するものとするという基本的方針が決定をされたのであります。これに基づきまして、いまお話しになりましたように、昨年の初頭に総務長官から私あてに、定年制というものが公務員についての身分に関する重要な問題であるので、これについての人事院見解を承りたいという旨の書簡をいただいたのであります。  人事院といたしましては、定年制自体というものは、何と言っても退職管理に関する重要な手段でございます。民間においても、つとにこれは普及徹底して、長年にわたっておるものでございますし、また世界にもその例が多いわけでございます。そういうようなことも踏まえまして、人事院人事院といたしまして、その立場から、定年制をめぐる諸問題について、いろいろな点で検討を加えてきておりましたことは事実でございます。  ただ、その段階で、人事院が率先して定年制について物を申すという段階に来ておるとは判断をいたしておりませんでした。しかし、去年の初頭になりまして、総務長官の方から正式に書簡が参りましたので、これを受けて本格的に検討する段階に入ったのでございます。  その後、詳しいことは差し控えますが、いろいろな点からこの問題について広範にわたって、しかも相当深く問題を掘り下げて検討を続けてまいりました。その輪郭というものがほぼ浮かび上がってきておるという段階に来ております。したがいまして、私のいまの考え方といたしましては、大体この夏の勧告の時期に合わせて人事院見解を明らかにいたしたいという考え方を持っております。  その方式をどうするかということにつきましては、従来もいろいろ検討を加えてまいりました。法令に関する意見の申し出とか、そういうようなこともあり得るし、そういう形式についてもいろいろ検討いたしましたが、しかし、総務長官から人事院総裁にあてた書簡が出ておるという現実の姿がございます。したがいまして、第一義的にはこれを真正面に受けまして書簡に対して返事を出す、お答えをするということが一番の筋ではないかという考え方にほぼまとまりつつあるというのが現状でございまして、この大体の構想を盛り込んだお返事を公式に夏の給与勧告と前後いたしまして、大体その時期にお示しをいたしたい、かように考えております。
  63. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま総裁がかなり言葉を慎重に御答弁をいただいたわけですが、拝啓が来たわけですから拝復ですね。したがって、勧告ではないわけであります。勧告とは別のものだというふうに私は理解をいたします。正直なところ、いままでの経過はあったようでございますが、政府が要請をしたから人事院があわただしくこれをやるというのは、第三者機関としての機能の上からもいかがかという考え方が実はあるわけであります。私もその点を指摘をしたいわけでございます。  それから、人事院民間や外国の実情をお調べいただいたと思うのですけれども、ほとんどがやはり労使の問題、つまり使用者と労働組合という関係のいわば協約事項になっているところがほとんどだろうと私は思うのであります。そういう点から考えてみても、法律で一律というのはいささか問題があるのではないだろうか。特に労働基本権が制限なり制約ないしは剥奪をされているという条件のもとで、公務員労働条件、なかんずく身分に関する重要な問題は法定主義になっているわけであります。だから、労働基本権の問題をこっちへ置いておいて、身分の問題にかかわっていろいろやっていくというふうなことは、どうも物事の筋道から見ても問題があるように私は思います。労働基本権の議論をここでもう一度私から申し上げるつもりはございません。  最近、地方自治体などの状況を見ましても、神奈川県などでは、退職勧奨がいいか悪いかは別としても、退職勧奨などで一〇〇%に近い形で消化をされている。全国的に見ても、恐らくそれに近い状況が生まれてきていると私は思うのであります。そういう点からも法律になじまない、こういうふうに私は思うのでございまして、この点については、当該の公務員の労働組合の諸君とも十分話し合いを重ねていただきたい、そこで合意を得るように御努力を願いたい、このように一言だけお願いをしておきますが、御答弁をいただきたいと思います。
  64. 藤井貞夫

    藤井説明員 諸外国の方式等についてもいろいろ御言及がございました。われわれもこの点についての調査をいたしたわけでございますが、それぞれの国にはそれぞれの方式というものがございます。また、その背景になる公務員労働関係あるいは勤務条件決定方式というようなものもそれぞれございますので一概には申し上げかねますが、しかし、やはり公務員というものの置かれた地位あるいはその性格、任務からいたしまして、定年制につきましても結局は法令の形式で決められておる、その前提としていろいろ手続があるというところがあることは否定をいたしませんけれども労使関係でもって協約を結んでというところはむしろわずかでございまして、大体は法令の規定に従ってやっておるというところが多いようでございます。  わが国の場合には、給与等でもそうでありますように、公務員の身分に関する問題でございますので、当然法令の規定に従って措置をしなければならぬ性格のものであろうというふうに考えておるわけでございます。  定年制については、言いわけではございませんですが、先刻も申し上げましたように、閣議で方針が決定され、これを受けて総理府の方からわれわれの方に意見を求めてこられたという経緯がございます。われわれも政府の一機関であることは事実でございます。特殊の性格を持っておるということの限界は十分わきまえておりますけれども、そういう点がございますので、これは黙っておるわけにはまいりません。したがって、拝啓ということで、お話しのように拝復ということで措置をいたさなければならぬ段階に来ておるのではないかということでございます。場当たりではございませんで、それまでもいろいろ検討は加えてまいりましたし、また書簡がございましてから非常に精力的に鋭意各般にわたって検討を加えて、段々慎重に考慮をいたしました結果、結論に近づきつつあるというのが現状でございます。  しかし、事柄お話しのように身分に関する事柄ということで大変重要なことでございます。しかも、いままで一般公務員については明治以来なかったことについてやるかどうかということになるわけでございますので、ひとしお深刻にこの問題についての認識は持っておるつもりでございます。  勧奨退職の問題については、大体においては御指摘のとおりでございまして、これは戦前からの非常にいい慣習ということでもございましたでしょうか、戦後においても大体のところではスムーズに勧奨退職の制度が作用してきたことは事実でございます。現在においてもおおむねその点は言い得ると思います。ただ、その後高年齢者社会上申しますか、公務員についても高年齢者がだんだんとふえてくるというような実情がございまして、各省庁におきましても文字どおり勧奨退職で事柄が円満にいくところのみとは限らない、だんだんぎくしゃくした面が出てきておるということも事実のようでございます。  そういう点と、定年制の持つ本質的なねらい、計画的な人事管理という点から考えまして、この問題についてやはり導入すべきという政府の閣議決定が行われたということではないかと思っておりますが、事柄がきわめて重要でございますので、御注意のございましたように、関係の諸団体等については密接に連携を保ちまして大体のお話も申し上げ、また御意見も聞き、そういうことは随時連絡をとって、意思の疎通を図っておるということで、事柄事柄でございますので、余り一方的にこれを押しつけていくというようなやり方はとるべきではない、その点はやはり立場立場がございますので、賛成だという線はなかなか出にくいかと思いますけれども、できる限りその範囲内において意思の疎通、まあまあというような気持ちが出てくることが望ましいことでございます。その線に沿って今後ともさらに精力的に折衝を続けてまいる所存でございます。
  65. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最近の物価の状況がとても心配なんです。年率換算で卸売物価の上昇が二〇%などという状況は、消費者物価の大幅な上昇というものが、三カ月とか六カ月とかいろいろな見方がございますけれども、想定ができるわけであります。だから、組合によっては第二春闘という発想を持たざるを得ない、そういう立場を実はすでに主張し始めているところもございます。  民間は、ことしの利益などを見てみても、社内留保などで応急の措置をとることができるとしても、公務員はそうはならぬわけでありまして、こういう政策的に物価を抑えていく努力がほとんどない条件のもとで、そうしたインフレーションの進行に合わせた応急の対策を人事院に御検討を煩わしたい、私の要望でございますが、ぜひその点についても御考慮願っておきたいと思いますが、この点はいかがですか。
  66. 角野幸三郎

    角野説明員 物価の問題でございますが、もしこれが賃金に反映いたしまして、民間賃金がそういう変動した状態を示すといたしますれば、それは現在の国家公務員法二十八条の情勢適応のたてまえから申しまして、社会一般の情勢を踏まえてという意味の、その調査と均衡回復のための手段という道がございます。しかし現在、この物価問題につきましては、せっかく政府の方におきましても、これに対する対策を含めて大変慎重な検討をなさっておる最中でございますので、私どももその点について心配をしながら慎重に見守りたい、こういうふうに考えております。
  67. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 先ほど総務長官にちょっとお尋ねして、人事局長から御答弁があったのですが、公務員民間なり公労協と賃金決着の時期が非常にずれるという状況のもとで、早期決着、早期支給ということを要求しているわけでございますが、人事院勧告というのはやはり八月しかしようがないのですか。これをもうちょっと早めるための段取りというものはお考えになったことございますか。
  68. 藤井貞夫

    藤井説明員 その点は考えなかったことはございません。いろいろの点を掘り下げて検討し、また研究はずっと続けてきておるわけでございます。  ただ、この勧告時期の問題は、四月時点というもののとり方、それがまず第一でございます。これをとったのは、釈迦に説法でございますけれども民間では春闘というものが定着をしておる。それが四月中心に集中するということでございますから、それに焦点を合わせてその実態を把握して、これを官民較差に反映させることが、やはり一番現実的ではないかという点がございます。といたしますと、やはり調査の期間というものがございまして、しかもそれを分析し、集計しなければならぬといういわば技術的な時間というものがございます。われわれその点は、私の口から申すのもいかがかと思いますが、この勧告の時期になりますと、給与局を初め大変な努力をして、それこそ夜も寝ない人もたくさんあるというくらいに詰めてやっております。しかも、これはわれわれの方の給与局だけではなくて、御承知のように統計局にも大変な御苦労なことをお願いをして、それこそ突貫作業みたいなことでお願いをいたしております。そのせいぜい努力をいたしましたのが、ずっとこの数年、一つのしきたりになって、そういうような結果になってあらわれてきておるわけでございまして、前提があり、そういう作業の技術的な限界がございまする限りは、やはりいまの線で精いっぱいなところではないかと思います。
  69. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 人事院への最後の質問ですが、これは先ほども総裁からお答えをいただきましたから蛇足ではございますけれども公務員共闘を初め公務員の労働者が人事院との交渉を非常に重視して、精力的な交渉を希望しています。この点について、これまでも御努力を願っていると思いますけれども、今後も公務員労働者の要求と期待にこたえるような誠意を持って、ひとつ勧告までの間にも交渉をいただくように、この際お願いしておきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
  70. 藤井貞夫

    藤井説明員 この点は、過去におきましてもその線に沿って大変な努力をいたしておるつもりでございます。年間における組合の方々との折衝の回数その他をごらんになっていただきましても、大体御納得がいくのではないかというふうに考えております。私自身も、重要な問題になりますと、特にこの勧告の時期等になりますれば、それこそ数回にわたって直接にお会いをしていろいろお話を進めておるということでございます。いわんやそのほかの部局につきましてはほとんど連日、いろいろな方面からいらっしゃる方に、それこそ時間の許す限り誠意を持って対処をし、また交渉に当たっておるということでございますので、その基本姿勢は今後とも貫いてまいる所存であります。
  71. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 人事院の精力的な御努力に敬意を表しながら、勧告問題についての質問をこれで終わります。  続いて、これは総務長官にお尋ねをしたいのですが、過ぐる国会で、本委員会あるいは本会議で元陸海軍従軍看護婦の年金問題に関連をしまして、決議が採択をされました。恩給の支給に関連をして、本委員会、そして本会議での請願の採択があったわけでございますが、その後も、実は連絡を受けますと、長崎の扇町というところに住んでおられた高木綾子さんという方、中支で四年七カ月部隊付衛生調査部に勤務をなさっておられた方が六月の九日にお亡くなりになりました。ことしになってから会員で三名死亡をされておられるようでございます。入会者だけでも明治生まれが三十六人、若いと言っても五十四歳だそうでございまして、戦後三十有余年の歴史の中で、会員の中には二十八年、三十三年にやっと引き揚げてきたという方々もたくさんおられるそうでございます。帰りたくても帰れないという事情のもとで、無一文で、体一つで、住む家もなくて、そして同時に結婚もできないで、現在も住み込みで看護の職を生かして働いておられる方々が多いわけでございます。  これは、余り長い間検討とか調査とか言っている余裕はないだろうと私は思うわけでございまして、これは私が社会党の岩垂寿喜男ということでなしに、本委員会全体の、自由民主党はもちろん、公明党も民社党も共産党も新自由クラブも、そして社会党も、全党の立場で、私実はお伺いをしたいと理事会で御理解をいただいたわけでございますが、その問題について、いまどのような対応をなさろうとしていらっしゃるか、この点を総務長官に、あらかじめ連絡を申し上げておきましたので御答弁を煩わしたいと思います。
  72. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたしますが、ただいま陸海軍の従軍看護婦の方々に対する処遇の点についてお尋ねでございます。  日赤看護婦については、御承知のとおり、日赤の処置によって一つの処遇が果たされたわけでございます。その問題とも関連を持ちながら、陸海軍従軍看護婦の方々について、国会の場におきましても、何とか対処する必要があろう、ただいまは、年齢的に見ましても、終戦後三十四年の日時が経過をいたしておりまするし、高齢にわたられるような状態の中にあるということも十分承知できるわけでございます。政府におきましても、この問題はきわめて重要な課題として考えておるわけでございます。  そこで、その経過的なことでございますが、厚生省において資料の整理をやっていただいておるわけでございます。この資料の整備等ができてまいりますれば、きわめて困難な問題ではございまするけれども、誠意を持ってひとつ検討を進めてまいりたい、現在、そういう方針で進めておるわけでございます。
  73. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 誠意の中身を承りたいのですけれども、該当者の把握について、この看護婦の会の皆さんが看護協会の機関紙で照会をした結果、五月二十八日以降現在までに三百人の名簿が判明したと言われています。ですから、資料が整理できないというふうなことではないわけであります。テレビやあるいは機関紙あるいは政府のいろいろな広報の手段を使えば、本当に、たちどころにとは申しませんけれども、掘り起こせると私は思うのでございます。  しかも、日赤と違って母体がないというふうにおっしゃるわけですが、厚生省には資料が保管されています。総務長官、率直に申し上げます。ですから、厚生省から取り寄せていただいて、総理府が窓口になって、そして実態を掘り起こしていただけば、それほど多い人数の対象者ではございませんので、速やかな措置を願いたいと思うのです。来年度予算の概算要求の中で、来年度から実施できるように御指導願えませんでしょうか。総理府の要求として、サマーレビューの中で御検討を願えないでしょうか。この点をもう一遍御答弁を煩わしたいと思います。
  74. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたしますが、ただいま御指摘のように、主管庁をどこにするかというような、いろいろな問題もございました。しかし、これはやはり総理府で最終的には主管せざるを得まいなというようなただいまは大体の詰めに参っておると思うわけでございます。  そこで、資料につきましては、厚生省にあるわけでございますが、その厚生省にある資料の整理、それから一般的に、いま御指摘がございましたように、それに漏れておられるような方がありはしないか、そういうような問題の整理、詰めというようなものもお願いをいたしておるわけでございますが、そういうような情勢の推移で、私どもも誠意を持って先ほど申しましたようにこの問題と取り組まねばならぬということでおるわけでございますので、いま御希望がございましたように、できるだけそういうような御意見を踏まえながら対処、検討をしてまいるということになろうかと思うわけでございます。そういう点で努力をいたしたいと思っておるところでございます。
  75. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 くどいようですが、総理府が窓口になっていただくということで、それは感謝をいたします。そうしていただきたいと思います。  同時に、わかっている人たち、この人たちから支給を来年度から開始する、そしてわからない人たちに対しては調査費を組んで調査を継続をしていく、こういう形で予算要求をいただくわけにはいきませんか。  これは、なぜ私がそういうことを言うかといいますと、その後、たとえばここに認識証書とそれから従軍並びに召集解除、除隊帰郷証明書というようなものが届けられました。まさに召集ですよ。そして召集解除があるわけであります。これは、こういう国の政策によって動員をされて、文字どおり命を投げ出して今日までやってきたわけですから、差別のない扱いというものを私はお願いをしたいと思うのです。  同時に、先ほど申し上げましたように、もう大変高齢な方々がおられまして、ことしに入ってから六カ月の間にお三方もお亡くなりになってしまったという事情がございますので、私がいま申し上げた、お願いをしたことに、総務長官から誠意を持って努力をするとおっしゃったわけですから、もう一言御答弁を煩わしたいと思います。
  76. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたしますが、非常に切実な、衷情を披瀝しての御意見でございます。自由民主党の内閣部会におきましても強い要請をしてまいっておりまするし、各党からもそうした御指摘を受けておるわけでございますので、それなりに、いまのような貴重な御意見を踏まえて――いまここで私が概算要求いたしますというようなことを言いますにつきましては、やはり大蔵とも十分な折衝をしていかねばならぬと思いまするし、私は、そうした貴重な御意見を踏まえながら、誠意を持って努力をいたします、検討いたしますということでお許しを願いたいと思うのでございます。
  77. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 総務長官、それではそこで私も理解をしますが、元陸海軍従軍看護婦の会の金子会長さん初め皆さんお越しです。ですから、いまの総務長官のお気持ちがわかりましたので、自民党の内閣部会もそのようにお決めいただいたそうですから、私のいま申し上げたように意思統一をなさったそうですから、これはやる気になっていただければ、与党でございますし、野党が全部バックアップをするわけでございますから、実現する筋道が開けるわけであります。  そこで、近日中に、このやりとりでなくて結構ですから、皆さんとぜひお目にかかっていただいて、総務長官自身が皆さんの窮状、今日の状態をお伺いをして、その皆さんにどうか誠意のある回答をお示しいただきたいと思いますが、八月の初めにはお目にかかっていただけますでしょうか。
  78. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えいたします。  陸海軍従軍看護婦会のお世話をしてくださる方方、私も一、二回お目にかかっておりますけれども、なお概算要求等の事前になりますし、そういう事前にもう一遍ひとつひざを交えて貴重な御意見を承るということはこちらからお願いしても結構だと思っておるぐらいでございますので、ぜひお目にかからしていただいて、御意見を拝聴いたしたいと思っております。
  79. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この問題は、私が言ったから社会党というのじゃなしに、党派を超えて内閣委員会の中では議論をされてきたことでございますので、その点を十分御配慮願いたい、その重みをぜひひとつお受けとめいただきたい、このようにお願いをしておきたいと思います。  続いて、防衛庁長官がお越しですからお尋ねをしたいと思います。  けさの読売新聞をごらんになりましたか。第一にお尋ねしますが、こういう文書はあるのですか。
  80. 山下元利

    ○山下国務大臣 御指摘の報道は見ました。いまのお尋ねでございますが、これは、四十九年度の防衛計画を作成するにつきましていろいろと勉強いたすわけでございますが、その幕僚の作業の資料として四十八年につくられた研究資料というふうに承知しておりますが、それに似ておるというふうに承知いたしております。
  81. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは当委員会にお示しいただけますか。
  82. 山下元利

    ○山下国務大臣 実は四十九年の計画のために四十八年に作成したもので、すでに破棄いたしておりまして、われわれとしては確認する手だてはないわけでございます。報道せられたものも、そういう本当の研究資料に似ておるということを承知いたしておりますが、いま現在は破棄されておるわけでございます。
  83. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それならば、この新聞に書いてある「防衛庁筋は、現在も陸上自衛隊の防衛行動の基礎になっていることを認めた。」ということは事実と違いますか。
  84. 原徹

    ○原説明員 いろいろ当時も研究をし、現在も研究をいたしておるわけでございますが、基調というのがどういう意味なのかによりますが、いろいろ補充はしなきゃならないという面であれば、私ども現在でも、有事において損耗が起こればそれは補充しなきゃいけない、そういうふうに考えております。そういう意味ではそうでございますけれども、全体がそうであるというふうには必ずしも考えません。
  85. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それならば、補充のために準徴兵制のような、つまり自衛隊の経験者やあるいは予備自衛官を動員をしていくというようなことなども検討対象になっているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  86. 原徹

    ○原説明員 新聞に出ております準徴兵制というのがどういう意味なのか、必ずしもよくわからないのでございますが、予備自衛官を招集するという問題は、現在防衛出動が下令になってから招集が行われます。これに対して出頭がされない場合には現行法で罰則が適用になるようになっております。予備自衛官になるかならないかは全く本人の自由でございます。でございますので、どこのところが準徴兵制なのか、実はよくわからないのでございますが、いずれにいたしましても、私どもは徴兵制に類するような考えを持っているわけではございません。
  87. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 よく似ているという言葉で実はごまかされているわけですけれども、ないから合わせようがないという議論が前提になりますと、似ているということも事実と違っているからというふうに言えるかもしれません。これは事実あったのでしょう、この文書は。もう一遍長官に聞きますけれども、ないものなんですか、これは。
  88. 山下元利

    ○山下国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、すでに破棄されておりますので確認するよすがはございませんけれども、要するに、四十八年に作成されました幕僚の研究資料に似ておるということはどうもそのようでございます。そしてまた、いま直接のお尋ねに対してのことではございませんが、いま政府委員が申し上げましたとおりに、私どもといたしましては準徴兵制とか徴兵制、そのようなことは毛頭考えておりません。申し上げておきます。
  89. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それでは、自衛隊は現在「北海道侵攻一か月の抗戦想定」というふうなことはやっておられますか、おられませんか。
  90. 原徹

    ○原説明員 自衛隊では毎年度、年度の防衛計画というものはつくっておりまして、いろいろの様相を考えていろいろ考えておるということでございます。
  91. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いろいろ考えているのじゃなくて、これを考えているかいないかと聞いているのです。
  92. 原徹

    ○原説明員 そのいろいろ考えているものの中には北海道ということも一つの考えとしてあるわけでございます。
  93. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 防衛庁、長官はこの種の想定とかあるいはそういう計画みたいなものは目を通すことはないのですか。御着任になってからこういうものを目を通す機会があるのですか、ないのですか。
  94. 山下元利

    ○山下国務大臣 防衛のためにいろいろ研究をしてくれておりますが、具体的にそのような資料を目を通すようなことはございません。
  95. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それでは、ここに書いてある文章というのは、たとえば予備自衛官の招集というのはさっき防衛局長が言った範囲だけであって、それ以外のことは考えていないというふうに理解していいですね。
  96. 山下元利

    ○山下国務大臣 予備自衛官につきましては、先ほど政府委員から御説明申したとおりに現行法制は決められておるわけでございまして、それに従いまして防衛出動の際には義務づけられておるわけでございますけれども、われわれとしてはそれ以上のことをいま法制化するようなことは考えておりません。
  97. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それならば、はみ出ている研究はどうなるのですか。こういうものは防衛庁長官はコントロールできないわけですね。
  98. 山下元利

    ○山下国務大臣 報道でございますから、私その一々につきまして申し上げにくい点もございますけれども、先ほども申しておるように、はみ出ているかはみ出ていないか、要するに、そういう四十八年に作成されました研究資料に似ておるという点でございますが、いずれにいたしましても、いま御答弁申し上げましたとおりに、この予備自衛官の問題につきましては現行法制に定められておるわけでございまして、私どもとしては、このことにつきましていまそれを超えるような法制化を考えておることはございません。
  99. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 法制化を考える必要はなくても、研究の中で現行の日本国憲法やあるいは防衛二法に関係をするものからはみ出ている、そういう研究がこういう形でぼろぼろ出てくる、これはシビリアンコントロールじゃないのです。こんなことがばんばんと行われていったら、既成事実の方がどんどん進行してしまいますよ。だから、防衛庁長官がいまこれを読売新聞で見て、どうも似ているぞという程度の認識で対応なさるということについては逃げの答弁でしかない、その場をごまかそうという答弁でしかないと言わざるを得ないのです、そんなこと言いたくないのだけれども。この点についてどう思いますか。
  100. 山下元利

    ○山下国務大臣 いまお話がございましたが、私どもはシビリアンコントロールはきちんといたしておると思います。また、このように御質疑をいただきましてお答え申し上げていることも、すべてシビリアンコントロールでございます。したがいまして、いま申し上げましたとおりに、いろいろ研究はいたしておりますけれども、その研究については私どもも具体的には十分承知いたしておりませんけれども、私が御答弁申し上げますことは、さようなことをあくまで計画としてきちんとするのには、私どもがきちんとオーソライズしないことにはならないものでございまして、そのことだけははっきり申し上げておきます次第でございます。
  101. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最近、内閣委員会を開くチャンスがなかなかなかったし、防衛論議をするチャンスもなかったのですけれども防衛庁内部ではこういう形で、実は有事法制研究などの中にもこういう問題が十分加味されて議論されていると私は思うのですよ。そういう事実はないですか。そういう議論がだんだん積み重ねられていって既成事実が生まれてくる、このことが問題だと私は言っているのです。ですから、この問題の扱いについて、読売にすっぱ抜かれたからそれでどうしましょうという議論ではないけれども、どうなさるおつもりですか。
  102. 山下元利

    ○山下国務大臣 有事法制は、繰り返し御答弁申し上げておるとおり、不断に研究いたしておる次第でございます。
  103. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いや、この報道に関連してあなたはどうお考えになっていらっしゃるかということを聞いているのですよ。
  104. 山下元利

    ○山下国務大臣 有事法制全般については考えておりますが、予備自衛官の問題につきまして、その報道のようなことについていま検討しておることはございません。
  105. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間が来ましたからやめますけれども防衛庁が最近の国会の追及というような問題を避けて、実際問題としていろいろなことが研究されている。それは三矢研究もそうだったわけですけれども、そういう問題を防衛庁長官がシビリアンコントロールとして、こういうことがいいか悪いか、事実行われているとすればこんなことは悪いに決まっているのです。あなた似ているとおっしゃった。恐らくあなたの似ているという言葉は同じということですよ。破棄してしまって何にもないということはありっこないのですよ。原本か何か残っているはずですよ。何にもないからわかりませんという答弁では済まないわけです。そういうはみ出した部分について防衛庁長官がコントロールをしていく。これは間違っている、おれはそんなことを研究しろと指示した覚えはない、それこそ歯切れよく答えたらいかがなんですか。これは間違っている、こういうことをやることは間違っていると言えませんか。
  106. 山下元利

    ○山下国務大臣 お答え申し上げます。  報道せられておりますことは、申し上げておりますとおり、昭和四十八年のことでございまして、時日はただいままで経過しているわけでございますが、私どもといたしましては、有事法制につきましては不断に研究はいたしておりますけれども、先ほど来御答弁申し上げておりますとおりに、こうした予備自衛官の問題等につきまして、御指摘のような徴兵制に準ずるようなことを有事法制で考えていることは絶対にございません。
  107. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 お願いをしておきますが、有事法制の研究の経過について、国会がいつ開かれるかわかりませんが、最寄りの機会に中間報告をいただけるというふうに理解してよろしゅうございますか。これは私、前回から申しておりますので、その点についての長官の答弁を煩わしたいと思います。
  108. 山下元利

    ○山下国務大臣 機会が与えられますならば、その段階におきまして申し上げられることは御報告させていただきます。
  109. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 以上で終わります。ちょっと時間をオーバーして済みませんでした。
  110. 藏内修治

    ○藏内委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十一分開議
  111. 藏内修治

    ○藏内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公務員給与に関する件について質疑を続行いたします。新井彬之君。
  112. 新井彬之

    ○新井委員 昨年も当委員会におきまして若干質問したわけでございますが、昨年は五%以下でありましても勧告は行われたわけであります。  そのおやりになった理由の一つは、勧告を見送った場合来年度以降に影響があるということ。二つには、全体の基礎俸給その他の給与がかなりの額になっているので、一%であっても無視できない状況にあること。三つには、民間準拠、すなわち官民均衡の立場からということ。四つには、一般公務員と類似している三公社五現業との関係の均衡の立場からと、大体以上の理由によったわけでありますが、ことしの春闘の状況等を見ましても、本年も五%以下の数字はほぼ確実と見なければなりませんが、五%以下の場合でありましても、いま申し上げましたような理由等によりまして、諸般の情勢上適当と私は判断いたしまして、恐らくことしも人事院勧告はお出しになるであろう、このように判断をいたしておりますが、この点、人事院の方ではどのように判断をなさっているのか、初めにお伺いをいたします。
  113. 藤井貞夫

    藤井説明員 昨年は、いまお述べになりましたいろいろな理由を挙げまして、五%以下ということであってもこれは勧告をすべきであるという結論に達しまして、その措置を講じた次第でございます。  本年の場合、朝来申し上げておりますような状況で、現在民間調査を終わりまして、これの分析と集計を鋭意やっておるという段階でございます。したがいまして、数字がどのようなことになりますか、ただいまのところでは申し上げる段階には至っておりません。しかし、いずれにいたしましても、民間の景況その他を総合的に勘案をいたします場合におきまして、そう民間と大きな差が出るとか、思いがけない結果が出るということは、従来の経験から申しましてもございません。  そういうような状況から見まして、昨年と同じような理由を踏まえて措置をとるということが現実的な姿として浮かび上がってくるのではなかろうかというふうに予想をいたしております。
  114. 新井彬之

    ○新井委員 三公社五現業の賃金は、人事院勧告とは直接の関連はないわけでありますが、五現業職員は国家公務員でもあるわけであります。したがって、これらの職員のベースアップが行われた場合には、人事院勧告対象となる非現業の国家公務員給与を据え置くというふうにはいきにくいと思うわけであります。さらにそれに加えて、これら両者間のベースアップの幅に均衡を欠くという問題も発生することから考えれば、三公社五現業のベースアップ人事院勧告とは密接な関係があると考えるわけであります。  そこで、公労協の定昇抜きのベースアップ人事院勧告とを比較した場合には、昭和四十五年に〇・一八%、四十六年〇・〇六%、四十七年〇・〇八%、四十八年〇・六五%、四十九年二・九四%、五十年がプラスの〇・九五%、五十一年が〇・四五%、五十二年が〇・〇八%、五十三年が〇・七一%、こういうぐあいになっているわけであります。このように、昭和五十年に〇・九五%人事院勧告が低くなっているのみで、ほとんどは勧告の方が高くなっております。この昭和五十年のときも、その前年の四十九年に二・九四%も公労協の方が低かったため配慮されたもので、異例の措置であったというぐあいに考えております。  昨年の仲裁裁定と勧告との差は〇・七一%であったわけでありますが、こうして見てまいりますと、一般的に、本年の春闘によるベースアップは昨年に比べて若干高くなっております。すなわち、昨年は鉄鋼回答七千円で四・二四%、私鉄妥結は八千八百円で五・五二%、臨時給与〇・一五カ月分、公労委は八千六日七十四円で五・四〇%、民間春闘では九千二日十八円で五・九%でありましたものが、本年は鉄鋼回答八千六百円、五・〇二%で、昨年よりも〇・七八%高いわけであります。私鉄の妥結は九千七百円、五・六三%で昨年より〇・一%高く、公労委も定期昇給込みで九千六群四十一円、五・六三%で、〇・二三%高くなっております。また昨年と同程度の公労協との較差がつくとするならば、本年の人事院勧告は四%台、あるいは少なくとも四%に近い数字になると推測するわけでございますが、人事院ではどのように見ておるのか、お伺いをいたします。
  115. 角野幸三郎

    角野説明員 お答え申し上げます。  公労委の仲裁裁定と人事院勧告との関係についての御質問でございますけれども、同じく両方とも第三者機関といいますか仲裁機関といいますか、同じような役割りを果たしているわけでございますが、公労委の方は、どちらかと言いますと団体交渉という前提がございまして、それで裁定と、こういうことになるわけでございます。私どもは非常に厳密な意味民間準拠ということで、団体交渉を前提といたしておりません。いわば民間調査をいたしまして、データそのもので、すなわち、証明書を発行しながらそれでおさめる、こういうたてまえになっております点で、非常に厳密な数字を用いております。  それからまた、公労委の関係で申しますと、組合員に平均でどうという言い方でありますとか、給与構成が基本的な給与だけについて言っておられるとか、配分については一言も申しておられないとか、そういう点で私ども勧告とは大変やり方が違うという点もございます。  ただ、いま先生お話しの各数字は、一般相場感覚というようなことでお話しだと思いますが、私ども関係で申しますと、これは厳密な水準比較でございまして、しかも昨今のように上げ幅が非常に少ない時代に入りますと、〇・何というようなものでも非常に厳密を要する、数字の扱いがそうなってまいりますので、先生いま御質問のような四%どうというようなことはなかなか言いにくいわけでございます。組合の諸君がそういう四%台の要求を出しておられるということは事実でございますけれども、私どもは、ことしの民間の四月時点実態を踏まえまして、公務員家庭事情による現在水準を踏まえて、両方の幅がどのくらいあるかということでございますので、そういう方向で従来の決まった方式でいきたい、そういうふうに思っておりますが、結果的に申しまして、ただ一般には、昨年の春闘とことしの春闘ということで言いますれば、相場的には大変よく似ているということは一方で事実ではございますが、それ以外に、私ども調査の前提になっておりますいろいろなやり方の違いがあることと、それから水準比較であるということと、過去の時点のすべての引き上げ率の累積がそこのところで出てくるという点などを含めまして微妙な問題でございますので、数字はまだふたをあけないとわかりませんが、必ずしもどうということは言いにくいと思っております。
  116. 新井彬之

    ○新井委員 確かに、きょうの段階で四%にするとかあるいはそれ以下であるとかということについては、いま一生懸命データを調査いたしておるわけでございますからむずかしいと思いますが、人事院勧告というのはそんなに変わった調査をされておるとは考えられませんし、大体前年、それからずっと過去の例を見まして、われわれとすれば、当然こういう線が妥当な線ではなかろうかということで、少しデータを挙げて説明したわけでございまして、今後そういう調査をよくしていただいて結論を出していただくわけでございますが、これ以上答弁を求めることもあれでございますけれども、こっちの方とすれば、大体それが妥当な線ではないかというぐあいに考えているわけでございます。  そこで、昭和五十四年度の予算では、公務員給与改善費として二・五%、一般会計ベースで一千四百十六億円が計上されておるわけでございますが、仮に四%の大台またはそれに近い数字勧告された場合においては、不足分については不用額及び予備費等で賄われるものと思われますが、人事院勧告が出た場合、総務長官としては、政府としてこれを速やかに完全実施をする意思があるかどうか、それをお伺いしておきたいと思います。
  117. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 先ほど岩垂委員にもお答えをいたしたところでございますが、人事院勧告がございますれば、これを受けまして誠意を持って完全実施をいたしたい、それに向かって誠意を持った努力をいたしますということを申し上げました。諸般の、いろいろな情勢等の検討はいたしますけれども、やはり従来の方針どおり完全実施に向かって誠意を持った努力をいたしたいという考えでおるわけでございます。
  118. 新井彬之

    ○新井委員 人事院勧告が四%に乗るかどうか、いま明確な答弁をされる時期ではございませんが、最近における公務員給与について世間では強い批判がある現状から、仮に四%台に乗せたとした場合、特別給を引き下げたり、あるいは特別給は現状どおりとしながらも、三・九%にとどめるというようなことも考えられるわけでありますが、最近の人事院勧告の傾向からすれば、科学的というよりは、むしろそういう世間の風を気にして政治的に決められるのではないかという見方も一部にあるようでございますが、この辺についてはどのように考えておられるか、お伺いいたします。
  119. 藤井貞夫

    藤井説明員 人事院は、公務員が労働基本権を制約されております見返りとしての代償的機能を果たすということが大変重要な役割りに相なっておるのであります。特に給与の取り扱いについては、その点を非常に大きな柱として対処をしてまいっておることは御承知のとおりでございます。  いまお話がございましたが、月例の普通の給与、俸給というものと特別給とは、これはたてまえが別でございます。あくまで月例給与給与として民間実態調査をして、これとの比較検討の土で、較差があればその較差を埋めるということにいたしております。また特別給につきましても、先刻もお話が出ておったかと思いますが、過去一年間の実態を、実績調査いたしまして、その積み上げのものと公務員特別給の比率というものを比較をいたしまして、その結果、出過ぎておるものがあればこれは遠慮をしなければなりませんし、また下回っておるという場合には、世間並みにこれを引き上げるという措置を従来とも講じてまいったところでございます。  すなわち、いわゆる月の給与というものと特別給は、それぞれの実態を踏まえて調査をいたしました厳格な数字の上にどうするかということが決まってまいるのでございまして、一般給与の取り扱いがこうだから特別給をこうするといった配慮が動く余地はございません。この点は、人事院の性格からいたしましても、事柄の性質上、そのときの社会情勢、経済情勢を反映いたしまして世間に種々の批判があるということも十分承知をいたしております。耳を傾けるべき点は十分傾けてまいっておる所存でございますし、今後ともそういう姿勢は貫いていくことでございますが、しかし、筋の通ったことで従来やってきたこと、それを踏まえての結論というものは毅然とした態度でもって措置をしてまいるという方針には変わりはございません。
  120. 新井彬之

    ○新井委員 人事院は、過去において本俸配分重点主義を述べてきておるわけであります。今日までそういうことで来たわけでございますし、昨年においても勧告率の八〇%が本俸の改善に充てられておるわけでありますが、ことしも仮に四%とすれば、三・二%は本俸重点だ、このように推定されるわけでございますが、そういうぐあいに見ていいのかどうか、お伺いをいたします。
  121. 角野幸三郎

    角野説明員 勧告の配分問題でございます。大体これは俸給それから手当関係、何に重点的に配分するかということも含めて民間準拠でございます。これが大前提でございまして、まず手当の関係でも、たとえば扶養手当でありますとか、通勤手当でありますとか、住居手当でありますとか、それぞれについて民間の現状の調査をやっております。その民間変化を見きわめました上で、それに配分をするかしないかという点がございまして、それで、いわばその残りと申しましては語弊がありますが、本俸に配分するというようなことで作業としてはやってきておるというわけでございます。したがって、手当につきましても、民間の動向に大体見合った状態でここのところを配分しておるという結果に相なっております。  そこで、八〇%というお話でございます。これは本俸比率といいますか、民間でもこういう考え方がございますが、大体ここのところは、民間においてもそういう実質的な生活給的な面を補うための手当に重点が移りつつあるという状況を反映いたしまして、一昨年、昨年の実績で申しますと、大体八十数%というような関係で、本俸と手当の割合が結果的にはそういう状況になっておるということでございます。
  122. 新井彬之

    ○新井委員 申すまでもなく、本俸は退職金年金へとはね返るために、民間ではそれらにはね返らないいわば第二基本給的な概念を導入しているのに比べると、公務員の本俸重点主義が、民間準拠と言いながら現実はそうなっていないという批判が従来から起こっておりますが、本年はこの点どのようにされるのか、お伺いをいたします。
  123. 角野幸三郎

    角野説明員 ただいま申し上げましたように、配分も大体民間の傾向を反映して重点的に手当、本俸ということに相なっておりますが、結果的な数字で申し上げますと、どちらかと言いますと、公務員の場合には、昔と言いましても十年くらい前でございますけれども、本俸に重点が大分偏っておった時代がございます。最近は、そういう意味で、実質賃金ということで、民間関係もございますが、本俸比率が大分下がってまいりまして、現在八五、六%くらいの関係にございます。  ところで、民間給与構成比はどうであるかと言いますと、これは昔もいまも余り変わっておりませんが、大体八四%くらいのところでコンスタントにずっと推移しております。したがいまして、高度成長期の初めごろは本俸比率に大変開きがございましたけれども、現在の状況で申し上げますと、両方の間にはほとんど――さや寄せして公務員給与構成が民間に非常に近づいているという実態にございます。  それで、これは先生いまお尋ねのとおり、退職手当あるいは年金基本になる部分がどのくらいのウエートを占めているかということは、もちろん大変重要な話でございますけれども、退手あるいは年金それぞれにつきましては、基本になります本俸のウエートだけの問題ではございませんで、算出いたします計算の計数自体の問題もございます。これは民間企業でさまざまでございますので、単に基本になる給与だけでなくて、それ掛ける幾らの、プラス幾らのという、そういうことの総体として支給額が決まるわけでございまして、それが千差万別でございますので、結局は、そういう本俸部分ということよりも、そういう退職手当等の関係におきましては支給額そのものについて見るということが、一番実質的な比較なり均衡を図ることになると思います。  そういう意味で、それはそれとして検討すべき問題はあるということは別途あろうかと思いますが、本俸比率につきましては、現在非常に接近してきているということで、ことしも調査が出てみないとわかりませんが、大体そんな関係で推移するのじゃなかろうかと思っております。
  124. 新井彬之

    ○新井委員 これはいろいろな方々の御意見、特に民間の方の御意見では、退職金等の比較をした場合に、やはりわりかた違いが出てきているのではないかとかいろいろなことがございますし、人事院としては、そういう非常に複雑な計算の中で明確におやりになっておられるわけでございますからあれですけれども、そういう問題もこういうことで明確にしておるのだということをやはりきちっとしておかないと、これからも非常に批判が強まってくるのではないか、こういうぐあいに考えたわけでございます。  それから、昨年初任給については最小限度の引き上げにとどめられ、世帯形成時に対応するいわゆる行政職俸給表(一)では、七等級号俸以上の職員の給与引き上げを中心として、中位等級、行政(一)では三から六等級の改善に配慮され、上薄下厚でも上厚下薄でもないずんどう型の配分がなされたわけでありますが、昨年より本年にかけて経済情勢、特に労働需給関係の著しい変化は見られないわけでございますが、ことしはどういう配分のやり方をされるつもりか、お伺いをいたします。
  125. 角野幸三郎

    角野説明員 ことしの配分の話でございますけれども、配分はまずその前提として較差によって制約されることはもちろんでございますが、配分の傾向だけについてどうなのかというお尋ねということでお答えいたしますれば、初任給は、いま先生の御質問の中にございますように、最近の不況を反映いたしましてほとんどお休みといいますか、昔から見ますと考えられないような静かな状態に相なっております。ことしもその延長という方がいいのじゃないかと思っておりますが、私どものデータはまだ出ておりませんが、外部の資料を見ます限りにおいては、若干動きがあるようでございますけれども、全体的に見れば大差がないと見た方がいいのじゃないかと思います。  したがいまして、配分の入り口が初任給でございまして、ここのところが大変上がりますと全部それに引っ張られるわけでありますけれども、その辺がまあ去年と大差がないということでありますれば、その胴体の方も、いまずんどうと先生お話しでございますが、大体そういう世帯形成年齢的なところに配分が行く、そういう実質的な配分にならざるを得ないのじゃないかと思いますが、そういうことでありますと大体六等級、中心が四等級、五等級、結婚しまして子供が一人、二人できて三人世帯、四人世帯のあたりというようなことが、昨年の例もそうでございますが、そういう配分にならざるを得ないのじゃないかなと、まだ調査の結果を待ちませんとわかりませんが、傾向としてはそういうことに相なるのじゃないかと思っております。
  126. 新井彬之

    ○新井委員 高齢職員の給与については、四十六年に昇給延伸を制度化されて現在まで来ているわけでありますが、昨年の勧告では、その効果が必ずしも上がっていないところから、年齢階層別給与配分の適正化のため、昇給停止を含め強化措置検討することになっていましたが、その取り扱いについてことしはどのようにされるか、お伺いいたします。
  127. 角野幸三郎

    角野説明員 高齢職員の給与の配分問題でございますが、これは官民給与比較いたしますときに、全体の平均でもって較差幾ら、こうやっておりますが、年齢別に分解いたしますと、高齢者の方は逆較差になっている部分が大変あって、それは結局、逆の部分は全体からどこか供出しているわけでございますので、いわば中堅以下の若年層のところが割りを食っているというような状況でありますために、これは全体の平均で合わせるということ以外に、年齢別にもやはり整合的に均衡をとっていかなくてはならないという問題提起を、勧告をめぐります報告の末尾のところでしたのが去年のことでございます。  それで、ことしもその点についての民間調査及び官民比較のデータについて、やはり年齢別にそういう分析をし、ごらんいただくということになるかと思いますが、昨年問題提起をいたしまして、一年間それについていろいろな意見を拝聴し、私ども検討してまいりまして、いよいよ大詰めに近づいた関係でございます。官民給与の年齢別のばらつきの関係は、去年以後ことしに至るまでそう変化はないと思っておりますし、また、これについて民間一般の昨年来の風潮が、高齢者の給与の配分問題について大変意識が動いてきているという時期でもございます。私どもは、昨年の宿題のいわば解決として最終的な詰めをいま急いでいる段階である、そういうふうに申し上げたいと思います。
  128. 新井彬之

    ○新井委員 「官民の年齢階層別給与較差」という表がありますけれども、四十歳未満は九・二%、四十歳以上五十歳未満三%、五十歳以上六十歳未満が、較差がありましてマイナス三・三、それから五十歳以上五十六歳未満がマイナス〇・七、五十六歳以上五十八歳未満がマイナス九・五、五十八歳以上六十歳未満がマイナス一九・一、六十歳以上がマイナス二六ということですね。そういうわけで、ある程度高齢になると非常な開きになるというようなデータになっておりますね。こういうようなこともひっくるめて検討されておると思いますが、その件についてもいまいろいろ御検討だというので、その検討の結果を待ちたいと思います。  それから、特別給についてお伺いをしたいのですが、昨年十二月の民間のボーナスの状況の把握はどうなっているか。それに関連してことしの勧告はどのような扱いになるか、お伺いをしておきたいと思います。
  129. 角野幸三郎

    角野説明員 公務員のボーナスの関係でございますが、これは月給の場合とは違いまして、いわばざっと申しまして去年一年間の面積計算をして、官民比べましてことしどう、一年おくれて勧告に取り上げる、あるいは報告する、こういう関係になっております。  それで、昨年の夏と暮れという関係でございますが、これは現在調査しておりますその中にあらわれてくるわけですが、この調査は私ども集計の中の一番最後でございまして、大変心配な材料を含んでおりまして、最後まで心配だ、そういうような関係になっております。なぜかと申しますと、昨年の夏の民間のボーナスが一昨年に比べて大変落ち込んでおったというところからスタートするわけでございます。昨年の暮れはそれほどではないのかなと思っておりましたが、見かけは大変悪いということがもう一つそれに重なっておりまして、非常に不確定要因がそこのところにございます。総合いたしまして、これで年間ということに相なるわけですけれども、この点で全部を足しましたところどうなるのかということで、調査の結果を待っておる状況でございます。ただ、外部のデータといいましても、私ども調査対象規模等も違っておりますし、職種等も違っておりますので一概には申せませんので、〇・一とか〇・〇幾らというような大変厳密な数字でございますので、全く予断を許さない、心配して見ておるという状況でございます。
  130. 新井彬之

    ○新井委員 諸手当についてお伺いしますが、扶養手当についてはことしも重点配分をされますか。
  131. 角野幸三郎

    角野説明員 扶養手当につきましても、民間調査の結果を踏まえて改正するというルールでございまして、昨年一年間に民間でどのぐらい扶養手当に重点的な改善があって、その結果扶養手当のたとえば家族構成別の支給額がどのぐらい上がったかということを踏まえて、これを勧告の中に入れるか入れないかという段取りに相なるわけでございます。  ただ、従来、ここ数年の民間の傾向を見ますと、扶養手当には実質的な配分としての非常に効果的な側面を持っております関係上、民間給与においてもこのウエートが増してきておりますので、本年もしそういう考え方なり意識の延長でありますとすれば、ことしも扶養手当について、公務員の場合にも改善をするということになるのではないかと思っております。
  132. 新井彬之

    ○新井委員 国鉄運賃の引き上げに伴い、五月二十日より通勤定期代が一五・七%の値上がりになっておりますが、通勤手当についての取り扱いはどのようにされますか。
  133. 角野幸三郎

    角野説明員 通勤手当につきましても、考え方は全くいま申し上げました扶養手当と同じでございまして、これもことしの民間給与調査の中に取り入れて調査をいたしております。その結果を見まして、交通機関を利用している人がどうなのか、それから自転車、自動車等を利用している人がどうなのかということは、その結果を見て決めたいと思っております。要は、全体が民間準拠でございますのと同時に、全体の原資といいますか、官民較差の風袋の大きさによるわけでございまして、両方の総合の中で取り入れられるかどうかということが決定されると思いますが、これも結果待ちでございます。
  134. 新井彬之

    ○新井委員 俸給の調整額については、昭和四十七年以来、表現には若干の相違はあるものの、検討課題として毎年述べられてきているところでありますが、昨年は報告の中で「この際、その定額化を含め、具体的な措置、方法について早急に検討を進めることとする。」こういうぐあいに述べておるわけでございますが、ことしはこれをどのようにされますか。
  135. 角野幸三郎

    角野説明員 調整額問題でございますが、これは先ほど御質問いただきました高齢者問題とともに昨年の勧告の際に人事院みずから問題提起をした問題の一つでございます。これは民間でどうというそういう関係でないというところが違っておりまして、公務部内の職種別の配分問題でございます。  それからもう一点は、公務員の本俸、俸給の上下配分の傾向が高度成長時代に初任給が大変上がりますとともに昇給率が落ちて、カーブが大変寝てきたということと、この調整額は率で維持しているという、そういう制度的な大変技術的な乖離から起こる問題として、これ以上ほっておきますと非常にいまのような較差の狭い、配分の安定した時代には目につくという問題であるということで宿題にいたしたわけでございます。  ちょうどこれで一年ぐらい検討しておりまして、その間に組合の諸君、それから当局の皆様、各省の方々等々、この調整額に最も関係のある、現在調整額を受けておる関係の省庁の方、それから組合の諸君等によく説明をし、御意見を聞きということでここまで来ておる次第でございます。  こういう配分問題は、一概に申しますと、新しく白地にかくような作業でございませんで、現在もらっておる人がすでにあるわけでございますので、その再配分のむずかしさは十分わかっておりまして、そういう意味で、作業といたしましては、最終の詰めの段階にございますが、大変慎重に進めておるという段階でございます。
  136. 新井彬之

    ○新井委員 寒冷地手当については、石油情勢の悪化が懸念されるが、今後秋にかけて心配されるところでありますが、昨年の報告では「引き続き検討」となっておりますが、勧告を出すのかどうか、お伺いしたいと思います。
  137. 角野幸三郎

    角野説明員 寒冷地手当については、問題が大変多面的でございまして、まず地域の問題がございますし、基本になります基準額と称しておりますが、基準額の中の定率、定額の分別がどうなるかという問題もございますし、それから家族構成等の変動した職員に対する追給、返戻のそういう調整の問題もございますし、それからいま先生御質問の中で申しておられます加算額の中の、いわば灯油等の値上がりに対する加算額問題と、四つばかり問題を抱えております。これは国会で過去一度ならず御決議をいただいておりまして、宿題ということでここまで経過しておる、そういう経緯がございます。  それで、現在当面の問題として一番焦点になりますのは、やはり最近の石油問題に絡む灯油価格の問題が非常にウエートがあるのじゃなかろうかと思っておりますが、私どもも年に一回大体夏に支給するこの手当の前提として、六月あるいは大体そのころに灯油の実勢価格の調査をやっております。現在その調査を進めておりますが、ちょっとその時期が悪かったのかなあということもございますけれども、いずれにしてもそういう調査をいまやっております。  それから、そういう灯油の関係の加算額問題以外の地域問題でありますとか基準額、要するに定率、定額配分の問題でありますとか等につきましては、昨年の勧告の場合に引き続いて検討と書いた経緯がございますが、大体経緯的に申しますと、そこで作業がつきそうな段階までいったことは事実でございますけれども、ちょっと最後の詰めができませんで、それも取り残されたかっこうで宿題になっております。両方合わせまして、灯油の調査を含めまして、今後検討課題にいたしたいと思っております。
  138. 新井彬之

    ○新井委員 住居手当については昨年は改定をしなかったわけでありますが、公務員宿舎が今春五月一日より平均一二・七%値上げされましたが、公務員の住居手当はことしの勧告ではどのようにするのか、お伺いいたしておきます。
  139. 角野幸三郎

    角野説明員 住居手当につきましても、先ほど来申し上げております扶養手当、通勤手当等と同じでございまして、生活給的な手当の一環でございます。そういうことで、例年そうですけれども民間調査の中にこの住居手当も入っておりまして、これもその調査の結果を見てという前提を踏まえての話が一つございます。  それから、いま御質問にございましたように、公務員宿舎の入居費の値上げは、四月と五月ということで時期がずれておりますので、その点、若干の調整、考え方の整理をしなければいけないとは思いますが、その問題がございます。公務員住宅に入っております、要するに家賃を払っている公務員病舎入居者の平均家賃に見合う分は、公務員の住居手当の支給額の算定基礎から除いている関係がございまして、これが引き上がりますと、その点で変化が起きるという要因一つございます。  それからもう一つは、民間の住宅手当の支給の実態を踏まえて、先ほど来申しております通勤手当等と同じ意味調査の結果を見ていきたいと思っております。
  140. 新井彬之

    ○新井委員 基本的には民間準拠ということでございますから、あらゆる面にわたって民間調査基本的にしなければならないわけでございます。民間の中でも非常にいいところと悪いところがございますし、これはいまのオイルの問題等も含めまして、これからの経済動向がどうなるかということが基本的に考えられるわけでございますけれども、そういうところの分析もよくしていただきまして、基本的には、公務員といえども、物価高に対するあるいは必要な経費というものは生活権として当然必要になるわけでございます。極端な話が、民間がみんな倒産したら公務員給与はゼロになるのか、たてまえからいけば当然そういうことも考えられるわけでございますけれども、国自体そういうことであってはなりませんが、やはりそういうことも踏まえてよく検討していただきたい、このように思うわけでございます。  それから週休二日制、これもいままで、昭和五十一年十月から五十二年九月までの一年間、四十省庁において問題点を把握するために必要な対策の検討に資することを目的としてやってまいったわけでございます。なおまた、問題点を掘り下げるということで、四十三の全省庁を対象にして五十三年四月より本年三月まで再試行が実施されてきたわけでありますが、この結果どういう問題点が出てきたのか、まだまとまっていないかもわかりませんけれども、もしもそういうことで報告できることがあれば報告を願いたいと思います。
  141. 金井八郎

    ○金井説明員 再試行の結果につきましては、いま御指摘がございましたように、取りまとめが終わり次第内容の検討を済まして明らかにすることにいたしておりますけれども、これも近日中にお示しすることができると思います。  取りまとめの経緯におきまして承知したところを申し上げれば、前回の試行の結果と同様な傾向がございます。すなわち、各省庁共通の問題点といたしましては、職員の代替に支障があると思われる少人数官署、職種の職員、専門業務担当職員あるいは緊急事態が発生したときに当該業務に従事している職員、または国会ないしは予算関係担当職員、こういうものの試行について支障があったという指摘が各省からございます。これに対しましては、応援体制の強化とか協力体制の確立あるいは事務の合理化、一部職員につきましては勤務時間体制の変更ということによってそれに対処しているというふうに承知しております。
  142. 新井彬之

    ○新井委員 これはことしの人事院勧告の中に含めて発表されるものと思いますが、そういう形になりますか。
  143. 金井八郎

    ○金井説明員 試行の結果につきましては近く明らかにするわけでございますが、その後の施策におきましても、前後二回にわたります試行の結果というものを十分に勘案いたしまして、結論を出すようにいたしたいと思っております。
  144. 新井彬之

    ○新井委員 結論がまだ出ていないから勧告の中に入れるかどうかわからないということはあるかもわかりませんが、勧告でない場合は意見を申し出るとか、あるいはまた書簡による発表をするとか、いろいろ考えられますけれども、どういう形で出すかということについてはまだ決まっておりませんか。
  145. 藤井貞夫

    藤井説明員 その点も含めて現在最終的に検討を詰めておる段階でございますが、いまの私の考え方では、やはり制度制度であり、制度の持つ意味が非常に重要なことでもございます。そういう点で、はっきりとした形でもってこれを実施に移すという措置を講ずべきであるという考え方に立っておりますので、恐らくは勧告という形になるのではないか、かように考えております。
  146. 新井彬之

    ○新井委員 大平総理が四月の日米欧委員会のレセプションでわざわざ週休二日制推進を明らかにしているわけでございます。週休二日制はもはや世界の趨勢でありますし、同時に、日本人の働き過ぎに対し世界各国から批判の目が向けられております。省エネルギーに重点を置くならば、各省が一斉に休む閉庁方式でなければならないし、雇用機会の創出にねらいを定めるならば、人事院でいま検討されているような四週五休という過渡的なものではなくて、完全な一週二休でなくてはならないという意見も聞かれるわけでございますけれども、まだ最終的な決定はされておりませんが、そういうことについてはいかがお考えになっておりますか。
  147. 藤井貞夫

    藤井説明員 週休二日制と一言で申しますが、その形態にはいろいろございます。民間においても種々さまざまな形態が週休二日制の名のもとに採用されておることは御承知のとおりであります。現在のところでは、民間におきましても、完全週休二日制というものが全体の大勢を占めるという段階にまではまだもう一歩というところでございますが、週休二日制の内容というものは、高度なもの、内容の濃密なものに、漸次ではございますが移りつつある傾向が明確に看取されます。  そういうような点も十分踏まえて種々検討いたしておりますし、また、いまお話しになっておりますような公務員の場合におきましても、やる限りは少なくとも隔週という線を打ち出さなければ意味がないのではないかというような御意見もいろいろなところからわれわれの耳に入っております。われわれもその点は十分承知をいたしておるのでございますが、何分にも週休二日制というのは、先刻も話が出ておりましたように、たてまえといたしましてはやはり能率を落とさない、また予算定員には増加を来さない、一般の国民のコンセンサスをできるだけ得られるようにするという大きな枠がございます。私たちも無論、週休二日制は公務員勤務条件の向上という視点、こういう観点を一番重要視いたしておりますけれども、何分にもわが国の公務員制度上初めての事柄でもございますので、いろいろ申し上げているそういう背景、前提というものを無視するわけにはまいりません。そういう意味から、余りにもドラスチックで国民生活に影響がくるようなことでは困りますので、人事院といえどもその点はやはり配慮しなければなりません。そういうことから、まず、四週五休という形でやった場合にどうなるだろうかということで、二回にわたってテストを実施してきたわけでございます。  その結論は大体われわれも得まして、次のステップを踏み出す方向というものを現在最終的に詰めを行っておるところでございますけれども、それらの場合におきまして、やはりいろいろな条件、前提というものを踏まえつつ制度的に一歩を踏み出すということが、まず第一に重要な事柄ではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。これをやることによりまして国民生活に影響を広く与えたり、また能率に大変な影響を及ぼしたりすることがあってはなりませんので、そういう点を配慮いたしますと、まずやはり入ってまいりまする入り方というものは、テストということを前提としてやりましたそういうことが一つの重要な参考になってまいるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  148. 新井彬之

    ○新井委員 世界の趨勢から見まして、週休二日制というのは当然やらなければいかぬ。ただし日本の場合は、そういうことをいま民間におきましてもなかなかやれないような企業も多々あるように聞いておるわけでございまするし、先ほどもお話がありましたように、ドラスチックに急にばっとやるということもできない。だけれども人事院総裁としては、これは当然世界の趨勢の中で日本も速やかに、できる限り早い機会に週休二日制というものに持っていくべきであるということはお考えになっておられますね。
  149. 藤井貞夫

    藤井説明員 基本的な姿勢としてはそのとおりでございます。
  150. 新井彬之

    ○新井委員 あと定年制の問題もありますが、あと持ち時間が非常に少ないわけでございますので、先ほど岩垂先生から、六党を代表して陸海軍の従軍看護婦さんの問題についてお話があったと思うわけでございますが、私もその件について若干質問をしておきたいと思います。  総務長官は、そういう陸海軍の従軍看護婦さんの戦地での活躍、前には日赤の看護婦さんの問題もいろいろ取り上げられたわけでございますが、日赤の看護婦さんと陸海軍の従軍看護婦さんとが一緒になってそれこそ国のために、女性でありながら全力を挙げて戦われた姿、こういうことをよく御存じだということをお伺いしているわけでございます。それで、それこそ全党一致の努力によって、日赤の看護婦さんにつきましてはある程度のおこたえをすることができた、こういうことであるわけでございますが、陸海軍の従軍看護婦さんにつきましては、現在どの党も反対はありません。これは何とかしてあげるのが当然であるというような意見でありながら、なかなか、現実となりますと調査費すらつかないというような現状であるというわけでございます。  そこで、まずその取り扱いといたしましては、厚生省が扱うのかあるいは総理府が扱うのかということになるわけでございますが、この問題について、まず総理府はどのようにお考えになっているのか、お伺いしておきたいと思います。
  151. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えいたします。  陸海軍の従軍看護婦さんの処遇について主管の省庁はどうなったかというお尋ねでございますが、今日まで所管省庁をどこにするかという論議もございました。いろいろなたてまえ論等が述べられてきたのでございますけれども、しかし、この時点に立ちますれば、総理府としてこの問題を主管して、関係省庁とひとつ連絡をしながら対処することが、最終的な方針として受けとめられることが必要ではないか、そういう考え方に立ってまいっておるところでございます。
  152. 新井彬之

    ○新井委員 いま総理府の方で当然責任を持ってやっていただけるというようなお話がございましたので、非常にありがたいと思うわけでございますが、やはり少なくとも速やかに調査費をつけて、現実がどうなっていたのかということの調査をして、そしてもう進めなければならない時期に来ておると思います。会員の中で、五十四年度におきましてももう何名かの方がお亡くなりになっておりますし、八十一歳という高齢者もおられますし、明治生まれの会に所属している方だけでも三十六名、こういうような現状であるわけでございますから、現在わかっている会員だけでも、実態調査を含めて五十五年度の概算要求組み入れていただきたい、こういう要望でございます。  それから、厚生省の方にいろいろ調査をお願いしておるらしいのですけれども、何しろ非常に昔のことでございますから、なかなか調査がはかどらない、こういうことでございますが、その該当者の把握については公報を使って呼びかければ、知っている人が順番に芋づる式に掘り起こせるということで、何とか公報を使ってお願いをしたい、こういうようなことで長官の方にもたびたびお願いに伺っておると思いますけれども、その長官が、戦地におられて活躍をされておったときのことから考えまして、やはり当然いま言ったようなことを早急にやってあげる必要があると私は思いますけれども、いかがお考えになっておられるか、お聞きしておきたいと思います。
  153. 小野佐千夫

    ○小野説明員 お答えいたします。  旧陸海軍の看護婦の方々の処遇問題を検討するに際しましては、本年度から実施いたしております旧日赤救護看護婦の方々への処遇の経緯に照らしまして、旧陸海軍従軍看護婦の方々のお一人お一人の従軍歴等の実態がどうしても明らかにされる必要があろうかと思います。それで、その従軍歴の実態が明らかになりますためには、現在どのような資料が保管されているか、また、新たにどのような調査が必要となるかというようなことにつきまして、厚生省とも十分に協議をしているところでございます。
  154. 新井彬之

    ○新井委員 この問題は、また恩給法等のときにまだいろいろ具体的に聞いていかなければいけない問題がありますけれども、きょうは時間の関係でその程度にしておきます。  それから山下防衛庁長官にわざわざ来ていただきましたので、若干の質問をしたいと思います。  本日の新聞によりますと、有事防衛行動に極秘計画なるものが存在するということが報道されておりますけれども、そういうものが存在しているのか、それともした事実があるのか、まずお伺いしたいと思います。
  155. 山下元利

    ○山下国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまのは本日の一部報道についてお触れのことであると思いますが、いろいろ、報道によります見出しというようなこと等ございますけれども、私どもは、あのことにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、ちょうど四十九年度の年度の防衛計画を作成するにつきましては、いろいろ幕僚の作業資料というものがございまして、そうしてそのために四十八年に作成せられました研究資料のようなものに似ておる、どういうふうになったか、そのいきさつはわかりませんけれども、そういうようなものでございまして、決していまお触れのような言葉から受けるようなものではございませんで、あくまで四十九年度の計画作成についての研究資料に似たものであるというようなことでございます。
  156. 新井彬之

    ○新井委員 これは新聞によると、防衛庁筋では「現在も陸上自衛隊の防衛行動の基礎になっている」こういうぐあいに言われておりますが、それはいかがですか、やはり基礎になっておりますか。
  157. 原徹

    ○原説明員 私ども毎年度の防衛計画というものを年防と称しておりますが、これは長官の決裁をもらってつくるわけでございますか、その際、もちろん損耗があればこれを補充するというような面は考えなければならない。そういうことで考えなければならないという面におきましては、当時も考えたのでございましょうが、いまでも考えておるという、そういう意味で、まあ同じようなことを考えているという意味では、同じようなことを考えているというわけでございます。
  158. 新井彬之

    ○新井委員 極秘計画というのですけれども、五年前に作成されたと、それは一体だれが指示をしてだれがつくったわけですか。そういうものがあったことはあったわけですか。
  159. 原徹

    ○原説明員 毎年度の防衛計画でございますから、これは長官の指示に基づいて、長官の承認を得てつくるものでございます。それをつくるためにはいろいろの作業が必要なわけでございますが、その作業の中の一つの研究のものにきょうの新聞のものが似ているということでございます。
  160. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、そのものではないけれども、大体これとよく似たものは存在しておったということですか。
  161. 原徹

    ○原説明員 当時のものがないのでそれを確認できませんが、すべて現行法に基づいてやるということでございます。現在ももちろん現行法に基づいていろいろの研究はいたしておりますが、年度の防衛計画というものはそういうものでございますから、当時のものもそうであったろうと推定をするわけでございまして、したがって、新聞の見出しをとやかく言うのも変なんでございますけれども、「“準徴兵制”」というような見出しになっておるわけでございますが、そういうことは考えておらないわけでございます。
  162. 新井彬之

    ○新井委員 これについての資料か何かございますか。
  163. 原徹

    ○原説明員 年度の防衛計画の資料は、四十九年のもののようでございますが、一年で破棄されることになっておりますので、現在は残っておらないわけでございます。
  164. 新井彬之

    ○新井委員 私は、いろいろのことをやるについて計画を立てる、当然それは必要だと思いますね。しかしながら、こういうようなこと自体が、シビリアンコントロールというたてまえの中で、その当時の防衛庁長官あるいはそういう方々が、これはこうだということをよく知ってやっているかどうか、そこが非常に大きな問題じゃないかと思うのですね。  と言いますのは、何か一たん有事のときがあった場合に、防衛庁長官は全然わからないわけですね。それで、現実には有事に対してはこうなんだということの計画が練られた場合は、当然やはりそういう形で動いていくのではないか。したがって、有事であれ有事でなかれ、そのときそのときの作戦行動はこうあるべきだということは当然練られなければいけない。そのときはこうするのだということが国防会議決定をされて、少なくとも防衛庁長官がそのときそのときの防衛計画というものを明確にしておかなければ、一たん事があるときには全然長官のわからないところで現実的な行動が行われてしまう可能性があるのではないか、こういうことで非常に危惧をするわけでございます。  私は、これは初めてのことでございますから、こういうことがあったかどうかということについては、資料も破棄をされている、あるいはまた、よく似たようなものだというようなことしかありませんけれども、そういう件については、防衛庁長官はいつもシビリアンコントロールで、そうして、そういう内容を何でもかんでも大っぴらに論議することがいいことかどうかわかりませんが、少なくとも防衛庁長官に聞けば、当内閣委員会とかそういうところにおいては何でもわかるという形が、これは当然シビリアンコントロールとしての機能であると心得ておるわけでございますので、そういう問題について、長官どのようにお考えになっているか、答弁を求めて質問を終わりたいと思います。
  165. 山下元利

    ○山下国務大臣 国会の御審議におきますところのシビリアンコントロールについての御所見は、まことに仰せのとおりと思います。  各年度の防衛計画は、あくまで、当時でございますれば当時の防衛庁長官が指示されまして、そしてそれが、防衛庁長官がオーソライズされてああいうような計画になるわけでございまして、その点におきましてはシビリアンコントロールの原則は貫かれております。ただ、これはどの役所におきましても、いろいろの計画をつくりますにつきましては、それぞれ分担者におきますところのいろいろの研究資料とか作業資料があるわけでございまして、そのようなものはその政策の計画作成の過程におきますところの一資料でございまして、年度が済みますれば、それはもう破棄されてしまうわけでございます。そういう性格のものでございますので、その点を御了承賜りたいと思いますが、いかにいたしましても、国会でお尋ねがございますならば、防衛に関しましては私が御答弁申し上げることができるということにいたしたいと思っております。
  166. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  167. 藏内修治

    ○藏内委員長 上原康助君。
  168. 上原康助

    ○上原委員 きょうは、来月前半にも予定をされております公務員給与勧告関連する質疑になっておるわけですが、私、実はきょうの委員会には特に出席をするつもりじゃなかったのですが、どうしてもきょうお尋ねしておかなければいけない幾つかの問題がありまして、急遽予定を変更して参ったところです。そこで、余り突っ込んだ議論にはならないかもしれませんが、わずかの時間ですから、その範囲でお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、まず給与関係についてお尋ねをしてみたいのですが、けさ来、すでに同僚委員の方からいろいろ各般にわたってのお尋ね、また政府の御答弁もあったようですので、若干重複する面もあろうかと思うのですが、今年度の民間給与関係調査をして、現段階人事院としてはどういう御判断をしておられるのか、お答えできる範囲で聞かせていただきたいし、それと、作業の進みぐあいは一体どうなっておるのかということと、実際に人事院が政府並びに国会に勧告をする時期はおおよそどこいらをめどにしておられるのか、そういう面からまずお答えをいただきたいと思います。
  169. 藤井貞夫

    藤井説明員 民間給与実態調査は大体例年並みの速度で進んでおります。ことしのいろいろ景況等のこともございましたので、民間の御協力というような事柄についても若干危惧の念がなかったわけではございませんが、案外と申しては失礼でありますが、大変調査に御協力をいただきまして、円滑に調査集計が現在進んでおる段階でございます。大体例年のペースで現在集計をやり、分析をやり、また統計局に送付をいたしまして、全体の結果を次々に出してまいっておるという段階でございます。連日人事院でも院議を開きまして、慎重に諸般の点について並行して審議を進めておるということでございます。進みぐあいは大体例年どおりと申し上げられるかと思います。  したがいまして、この結果をまとめて国会並びに内閣に対して勧告をするかしないか、あるいはその内容をどうするかということが決まりますのは来月の初旬ということになりまして、大体十日前後というめどを置いて作業も進めておりますし、大体その時期には勧告が出せるのではないか、かように考えております。
  170. 上原康助

    ○上原委員 昨年の勧告が出る前あるいは勧告が出てからもいろいろ議論はあったわけですが、本来給与法あるいは人事院規則では五%の較差が生じた場合に勧告をするんだ。しかし、昨年はそうではなくして三・八四%でしたかの勧告が出たわけですが、五%以下であっても勧告をするという姿勢、人事院としてはそういう一定の方針を持っているというふうに理解をしていいのかどうか。  さらに、平年並みの作業の進みぐあいという、平年並みがどう進んでいるか私はよくわからないのですが、これまでの調査において、昨年と民間の賃金水準というのはどういうふうな動向であったのか。そこは公にしても別に差し支えないと思いますので、もう少し内容についても御説明を賜りたいと思います。
  171. 角野幸三郎

    角野説明員 作業の進みぐあいと民間の状況ということでございますので、私からお答え申し上げます。  五月の連休明けから調査を始めるというのは例年どおりでございます。それから約四十日間調査をいたしまして、それで六月の中ごろ、具体的には十七日でございましたが、調査は完全に仕上がっております。それから六月の月末までに全国調査員から、都道府県の関係調査に従事いたしておりますが、全部調査票を集結いたしておりまして、これについて点検を終わり、いま統計局に持ち込んでおります。統計局では再点検をいたしまして、テストをやったりパンチを打ったりという段階でございまして、これは例年に比べまして少なくとも遅くはないというペースで完全に進行しておるというのが調査の実情でございまして、それはやはり民間の事業所の私ども調査に対する対応が、非常に気持ちよく受けとめていただいたことによるものと感謝いたしております。それが一つでございます。  それから、民間の景況といいますか民間給与の状況という関係で申しますと、春闘の結果が何カ所かから発表されております。労働省あるいは日経連、それから総評の関係からも出ておりますが、ざっと申しまして、大体去年の延長あるいは若干上回るかなというのが全体を見渡した相場感覚といいますか、そんな感じだろうと思っております。  ただ、私ども調査いたしておりますのは、四月の伸びということだけではございませんで、四月の公務員水準ということでございますので、民間の方の伸びではありませんで現在時点水準ということでありますので、水準と伸びの関係というのは必ずしも一致しないという点がありますものですから、そこのところで一概には言えないのではないかというような関係にございます。
  172. 上原康助

    ○上原委員 五%以下の点は……。
  173. 角野幸三郎

    角野説明員 失礼いたしました。  昨年五%を割っておりましたが勧告いたしました基本的な考え方でございますが、まず人事院基本的な立場は、労働基本権の代償という立場にございまして、それが第一点でございます。それは昨年の場合で申しますと、まずそのほかに現業関係でございますが、三公社五現業に対していわば有額の決定がございました。そういう点は均衡という点で、しかも一般職の国家公務員である五現業ということを考えますれば、これは放置できないという均衡関係があることは事実でございます。  それから、五%ということになりましても、金額といたしますれば、現在の給与ベースからして大変な額になっておるということも事実でございますので、五%を割りましても、一%といえども大変な額でございますので、その点があるということとあわせて、そういう物価、生計費、家計の関係から申しますれば、やはり実質的な水準は維持する必要があるということになりますれば、生計の面から見てほっておけないというようなことで、昨年は三・八四%でありましたけれども勧告をいたしましたという基本型ができております。本年ふたをあけなければ厚みはわかりませんが、考え方は同じだと思っております。
  174. 上原康助

    ○上原委員 大体のお考え、姿勢はある程度つかめるような気がしますが、もう一つ大事なことは、厚みについていまここでお答えすることはできてもおやりにならないと思うのですが、最近の物価の動向を見ました場合に、卸売物価、消費者物価を含めて上昇機運になっていますわね。たしかきょうの日銀かの発表においても卸売物価が相当急速な上昇を示している。関連して消費者物価も上がることは必至でしょう、エネルギー問題、石油問題とのかかわりにおいてですね。そうしますと、先ほどお答えがありましたように人事院勧告が出るのが八月の上旬、おくれて一日、二日ずれるとしても、ちょうどそのころは物価が非常に上昇気流に乗った段階勧告になりかねないと思うのです。もちろん、このことは、民間企業で働いておられる労働者の方々あるいは国民全体にとって大変重要な課題になってくるわけですが、物価が再び著しく上昇をするということになりますと、人事院勧告の厚みや内容、その勧告ということについてはそれ相応の配慮をする必要がないのかどうか。私はあると思うのです。そこらの点については総裁はどういうふうに御認識しておられるのか、御見解を聞かせておいていただきたいと思います。
  175. 藤井貞夫

    藤井説明員 御承知のように、人事院勧告の前提となります民間企業給与というものは、やはりある時点をとらまえる必要がございます。その時点をいつにすべきかという点については、従来からいろいろ経験則上積み重ねて今日の結論が出ておるわけでありますが、その経験則の上からして、やはり春闘が行われる四月時点というものが一番適当であろうということの結論に達しまして、この方式を従前長い間やってきておるわけでございます。  そこで、その時点においては民間給与というものは団体交渉で行われることが多いわけでありまして、その団体交渉は、結局いろいろな要素、物価とか他産業との配慮とかあるいは生計費とか、あらゆる点がいろいろ溶け込んでそこに決定が行われるという一つの特徴を持っております。そういうことで、それを踏まえて官民較差を出す前提としての民間給与実態調査ということを実施をいたしておるわけでございます。  四月時点ということで時点を限りませんと、はっきりとした資料がつかめないということがございますし、その後のいろいろの景況の変化というものは、それなりにまた来年度の調査時点においてそれが反映をしていくという順番の繰り返しをやっておるわけでございます。それを、途中で何かあったからやはりそれについても配慮ということに相なりますと、その配慮自体についてまたもう一つ正確な調査をやってまいりませんと一般の了解を得ることもできません。われわれも自信を持って勧告その他の措置を講ずることもできません。また、これには技術的、時間的な制約もあるというような点から、従来から四月時点中心にして水準調査をするということをやってきておるわけでございまして、いろいろなこれからの年間の変動要因というものは、また来年の四月時点においてこれが調査対象になるということで処理をしていくという従来からの態勢、従来からのやり方というものは踏襲をしていかざるを得ないのではないか、かように考えております。
  176. 上原康助

    ○上原委員 たてまえといいますか理屈を言うと、いま総裁お答えのとおりになろうかと思うのです、何カ年かそういう慣行的なものでやってきたわけですから。ただ、私が指摘をしておきたいことは、物価の上昇機運、上昇ぎみであるということを抜きにしては、給与問題というものを考えるわけにはいかないことが起こり得るのじゃなかろうか。そういう懸念がある中で、人事院がどういう勧告をするかということは、これは公務員の皆さんだけでなくして国民も関心を持ちます。そのことは篤と御配慮いただきたいということを指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、いろいろお尋ねしたいこともありますが、防衛庁長官もせっかく来ていただきましたので、あとしばらく待っていただきたいと思うのです。  急ぎますが、昨年の人勧が出た段階で私も若干議論をしたのですが、特別給の問題。これはたしか昨年も〇・一カ月分カットされた、減額になった。このことは民間特別給との比較の問題があるのじゃないかということを私は指摘しました。実際には九五・一%でしたかにしか該当しないのに、基準内賃金のとり方によって問題が出て、結局民間特別給より若干上回っているということで〇・一カ月分減額になった。このことについてはいろいろ問題もあるので検討をしてみたいという御答弁を、給与局長人事院総裁もなされておられます。「問題があるということは認めておりますので、いろいろな角度から可能性も含めて検討をいたしております」と。まさか今度はカットするようなことはないと思うのですが、むしろ復活すべきだと私は思いますが、この特別給の取り扱いについてはどういう御認識、どういう御見解で今回やられるのか、このことについて改めて御答弁をいただきたいと思います。
  177. 角野幸三郎

    角野説明員 公務員特別給関係でございますが、いま先生お話しのとおり、昨年来算定方式については宿題として検討をさらに進めておる段階でございます。本年の民間給与調査におきましても、そのやり方の問題でございますが、月給とそれからボーナスと、この相関で月数を出すというやり方以外に、その月数の計算の算定方式に問題があるとすれば、民間のボーナスはボーナスで額としてとらえるということであればストレートにいくわけでありますので、そういう点の方法によるやり方が可能であるかということで去年調べまして、去年は調べ方になお検討の余地があるということで、さらに検討の結果、ことしさらに引き続いてその先を検討いたしております。したがって、それはそれとして、調査の結果を待ってもう一度分別をつけたいと思っております。  それから、本年の勧告対象になります時期は去年の一年間でございますが、その去年の一年間の民間のボーナスの関係につきましては余りよくないというのが一般数字としては外に出ております。ただ、私どもが調べますのと調査対象とか内容がやや違いますし、中身にも幅がございますので厳密には言えませんが、心配をしておるということは事実でございます。  それでただ、昨年は〇・一マイナスになりましたが、マイナスというと〇・一でございますが、さらにその〇・〇幾らというようなことが積み上がって〇・一になるかならないかというような、数字としては非常に細かいところが問題になる段階でございますので、いまその辺については、やはり調査の結果が出てみないと、外部データの幅のある中身を踏まえての憶測ではとてもできないということで、私ども調査による結果が出るのを待っておるという段階でございますが、けさほど来もちょっと申し上げましたように、月給調査に比べましてこれは大変な大調査でございまして、一番最後にしか出てこないという関係がありますので、その点が待たれると同時に心配しておるということは事実でございます。
  178. 上原康助

    ○上原委員 心配しておるというと、また何か今年もこの特別給についてはカットをする勧告になるかもしらぬという暗示みたいなもので、そんなものはけしからぬですよ。きょうは労働省なり春闘全体の賃金の改定になったもの、あるいはいまの特別給数字的に取り上げる余裕はありませんが、しかし、その前年も〇・二カ月分カットされたわけでしょう。そういうことでは、実際に単なる給与だけではなくして、民間関係の場合の現物給与という問題、いろいろ含めた場合に、私は、やはり人事院調査とか調査の結果に基づく勧告というものに若干疑問を持たざるを得ないわけですね、例年カットするという方向が出るとすると。したがって、この点についてはわれわれとしては去年も強く指摘をしましたように、算定方式そのものに問題があるということはあなた方もお認めになっているわけですよ。そのことをもっと明らかにして直すべきであって、数字はいじくればいじくる方で幾らでも調整できるわけだから、そういうことのないように、この点、総裁はどうですか、簡単に御見解を聞かしてください。
  179. 藤井貞夫

    藤井説明員 引き続いて、〇・二それから去年は〇・一というものをカットいたしたわけでございますが、これは民間実態調査の結果出てきたところで、実はやむを得ずというところであったわけでありますが、私自身は、やはり公務員立場に立ちましてもこれは大変お気の毒なことであり、遺憾なことであって、でき得れば避けたい措置であったということは、いまからでもそういう心境であったということは申し上げておきたいと思います。  したがいまして、歴然と出てくる数字自体、これを曲げるわけには無論参りませんですが、しかし、私の気持ちには、過去二回にわたってそういう削減をあえてせざるを得なかった、そういう事態がございます。それについては、大変心中穏やかならずと申しますか、自分としても大変割り切れないというような気持ちがそこにありながらやむを得ずやったというような事実があったことは事実でございまして、そういう基本的な姿勢というものは内に蔵しながら、この問題については対処していきたい、かように考えております。
  180. 上原康助

    ○上原委員 ある程度のお考えはわかりましたので次に進みますが、そういう事態の起こらないように改めて要望しておきたいと思います。  それと、これと関連するわけですが、寒冷地手当の問題についても、これは別途勧告になるわけですね。灯油の値上がりあるいは量の確保の問題、せんだって北海道へ行って行管あたりからいろいろ意見も聞いてみたのですが、人事院の方からも御意見がありました。大変御心配をしておられる。そういう面では、寒冷地手当の問題というのは、よくわかりませんが、従来のような調査なりあるいは改定方式で果たしていいのかどうかという問題が出てこないかという心配をしております。これに対してはどのようなお考えでやっていこうとしておられるのか。別途勧告になると、その勧告の時期はいつなのか、これを含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  181. 角野幸三郎

    角野説明員 寒冷地手当の勧告についてのお尋ねでございますが、寒冷地手当は、従来いろいろな側面の附帯御決議等による人事院としての検討課題が残されております。それについては昨年の勧告時点に大分焦点を詰めまして、大体まとまる寸前まで非常に精力的に作業をした経緯を持っております。その段階でございますが、ちょっと私どもを含めまして、あるいはその詰めをやっておりますお互いの間に最後の詰めができませんで、宿題になっておるものを持ち越しております。現在それをなお詰めておるという段階でありますが、それ以外に、最近の石油問題を契機といたしましての灯油問題が出てまいりましたものですから、新たな宿題が一つ加わったという関係で私どもも考えております。  ただ、毎年そうでありますが、寒冷地手当の加算額の内容の実質をはかりますために灯油及び石炭の実行価格の調査を毎年やっておりますが、本年は六月一日現在でやりました。現在その集計中でございますので、それがどんな姿で出てくるかということを見てからということでなければその先は言えませんが、大体、全体のことしの石油問題に対する今後の動きというものも予断を許さないだろうと思っておりますが、私どもはいま調べております結果を見、かつ今後のその辺の灯油の価格の変動もあわせて注意して見ていかなければならないというふうに思っております。  その結果と、昨年来宿題になっておりますものと両方合わせて、それで夏の勧告ということではございませんが、別建ての法律でございますのでまた別途ということに相なろうかと思いますが、検討を進めていきたいと思っております。
  182. 上原康助

    ○上原委員 この点はまだ若干時間があるようですから、そういう作業の進みぐあい、あるいはいろいろな昨年来の宿題の内容等をわれわれも検討しながら、人勧が出た段階においてさらに議論を進めていきたいと思うのです。  それと、これとうらはらの問題になるわけですが、私は従来から、寒冷地手当があれば暑い方の手当も創設をすべきだということをかねがね主張してまいりました。相当長いことになるのですが、人間寒いと死ぬのだが暑くて死んだ人は日本にはいないなんというえらいことを言った方もおって、作業がなかなか進んでいないのですが、最近のエネルギー節約という面からしても、いろいろな面で酷暑手当といいますか、そういったものに類する何らかの措置を講じてもらいたいということで、人事院としてもその検討は進めていく、またできれば勧告をする段階で何らかのコメントといいますか、意見をつけ加えたいというようなことをこれまでもお述べになってきたわけですが、実際問題としてどういうふうにお考えなのか、また、今度の勧告にそういうことも触れられるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  183. 角野幸三郎

    角野説明員 酷暑手当と申しますか、寒冷地手当とうらはらの関係の御要求があって、前々からそれについては承っておりまして、私どももそれについての検討をずいぶんいたしましたことは事実でございます。これは高温多湿という沖繩の地域における気象条件の特殊性ということで、ちょうどそれとうらはらになりますが、寒冷地手当の冬の寒冷増高という考え方との対応において、そういう生計費増高を補てんするというような考え方を用いてみれば酷暑の生計費というのはどうなるかというようなことで、検討を進めたことは事実でございます。それで、そういう高温多湿ということからきます生計費の支出増がどういうふうに結びつくかということで、計数的にも、それからデータ的にも、できるだけいろいろ探しまして、また提供を求めまして検討を重ねておりますけれども、現在のところ、その支出増に結びつくものとしては明確にできる資料がまだ十分でないというのが実情でございます。  それからまた、もう一点でございますけれども、それならば、そういう着目の手当を民間企業で現にやっておるところがどのくらいあるのかというのがもう一つの接点でございます。そういうことで、民間調査をいたしましたときに、民間事業所におけるそういう着目の手当があるかないか、そういうお取り扱いをなさっておるかどうかについて本年も調査をいたしております。まだこれは締めたところはわかりませんが、いままでの調査の結果によりますと、酷暑でありますとかあるいは隔遠等を理由として給与上特別の措置を行っている事業所は、絶無とは申しませんけれども余り見当たらないというような関係にあることも事実でございます。  それで、この問題については、従来より大変真剣にといいますか、もちろんでありますけれども検討を続けておりますが、今後なお諸条件の動向に注意しながら、引き続き検討を進めさせてまいりたいというふうに思っております。  なお、若干別の観点ではございますけれども、離島でございます与那国、西表の関係につきまして、隔遠でありますとかそういう特殊な事情、交通の事情等から見て、これは隔遠的な特地勤務手当の級地の格づけの関係の再評価ということが適当であると考えましたので、本年の四月一日の特地勤務手当の規則改正のときに、これらの島に所在しております官署について、級地の格上げはすでに実施いたしておりますことを申し添えさせていただきます。
  184. 上原康助

    ○上原委員 確かに、新しい制度を創設するというのはなかなか容易でないと思います。また、経済状況がこういう環境でありますから、民間企業においても、関係労働者から要求が出てもなかなか出し渋るといいますか、実施したがらない傾向があると思うのですが、私はやはりその必要性は十分あると思うのですね。まあ否定はしておりませんので、継続して早急に何らかの措置がとられるように御配慮いただきたいということと、もう一つ、辺地の問題との関連で格づけの是正がなされたということですが、私はせんだって伊平屋あるいは南大東などちょっと足を運んでみたのですが、やはり深刻ですね。改定されたとはいっても、物価とか交通費あるいは何か緊急の場合の交通費、そういった生活費からしてとてもいまの特別辺地手当だけではどうにもならぬ、再検討してもらいたいという強い要求もありましたので、そういうことを含めて、もっと御検討をいただきたいということをつけ加えておきたいと思います。  それと関連しますが、先ほどもちょっとお尋ねがありましたが、週休二日制の問題と定年制の問題等についても、今回の給与勧告と同時点といいますか、あるいは相前後して、人事院の御見解を政府、国会などに勧告といいますか、何かの意思表示をなさる作業も進んでいるのかどうか、この点も明確にしておいていただきたいと思います。
  185. 藤井貞夫

    藤井説明員 作業は並行して進めておる段階でございまして、結論を得ましてその考え方を明らかにしたいというふうに考えております。その時期は、いまお話が出ましたように、八月の給与勧告の前後ということに相なろうかと思います。  週休二日制の関係では、恐らくいまの段階では勧告という形をとるだろうと思います。また、定年制につきましては、先般といいますか、昨年二月に総務長官の方から私あてに書簡でもって意見を述べてもらいたいということが来ておりますので、いろいろ思案をいたしました結果、現在の段階におきましては、総務長官に対する書簡についてのお返事という形で見解を明らかにいたしたい、かように考えております。
  186. 上原康助

    ○上原委員 そこで、総務長官に一言お尋ねしておきたいのですが、いま週休二日制については勧告で、定年制については総務長官からの書簡に対する御返事を申し上げるということですから、お答えは恐らくそれを見てということになると、これは質疑応答にならないわけですが、政府としてはどういうふうなお考えで対応していかれようとしておられるのですか、週休二日制の問題、定年制の問題、これはいろいろ関連してくる面もあると思いますので、総理府なり政府全体としてはどういう立場でそれを具体化といいますか、やっていこうとするのか、あるいはただ聞きおく程度にとめるのか。もちろん、私はこれをただ無条件でいいというわけではありませんよ、それは含んだ上のお尋ねですから。
  187. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたします。  週休二日制につきましては、先ほど来人事院総裁初め各局長からもお話がございましたように、積極的な姿勢で取り組んでいただいておるわけでございます。給与勧告と軌を一にして、いまの御予定では勧告をいたしたいという考え方の御発表がございました。政府におきましては、人事院勧告、いま詰めが行われておるわけでございますが、その時点に政府の考え方を申し上げることもどうかと思いますけれども、週休二日制につきましては、先ほど来も御意見がございましたように、総理自身も積極的にこれと取り組みたいという姿勢でおるわけでございます。政府といたしましても、勧告が出てまいりますれば、これを受けて慎重にひとつ検討を進めてまいりたいということで、勧告の出るのをお待ちをいたしておるということでございます。  定年制の問題につきましては、一昨年の暮れから閣議決定あるいは閣議了解等のいろいろな手続をいたしておるわけでございますが、これは公務員の身分に関する基本的な問題でもございますので、いま人事院の御検討を願っておるわけでございます。それの意思表明と申しますか、書簡でそういうことがなされた場合には、これを受けて、今日までの詰めをしていただきましたそうした各省庁の御意向、それから先ほど来もるる意見がございましたように、前提となりますいろいろな事項等も十分検討いたしまして慎重な処置をいたしてまいりたい、対処してまいりたいということでおるところでございます。
  188. 上原康助

    ○上原委員 週休二日制問題は、ようやく政府としても腰を上げたというような感じを受けるわけです。私は、以前からこの問題については積極的にやるべきだという主張をやってきたわけですね。大平さんもアメリカに行かれて、小さい口元を大きくあけたという報道もあったのですが、いままでこれをやらないということ自体に問題があると思うのですね。国会も週休二日制にしたらどうですかね、深夜審議はやめるとか、くだらぬ元号法案を長々と夜の夜中までやるということをやらないで。ぜひひとつ、いろいろ抵抗もあると思いますが、しかし、改革をするためには若干のロスもあるでしょうし、また迷いもあるでしょうが、雇用問題との関連においても、週休二日制の実施については政府も相当の決意でやっていただきたい。もちろん、関係者なり国民の声についても耳を傾けることは当然であります。  また、定年制の問題についても、私は個人的には、基本的には賛成なのです。しかしかといって、これは無条件ではないですね。公務員関係者の身分の問題、老後の保障の問題とか給与法とのかかわりがありますから、そういうことを十分入れた形でこの問題についても対処していかないと、ただ意見が出た、あるいはそういう要求があるからというだけでごり押しすべき問題でないということを指摘しておきたいと思います。  そこで、時間の都合もありますから次に移りますが、実はさっき冒頭申し上げましたように、きょうは沖繩北方対策特別委員会が沖繩の行政視察に行っているわけで、私も現地参加をする予定でおったのですが、防衛庁、防衛施設庁がいつもわれわれの意見や主張、立場を逆なでするようなことを次から次やるものですから、高い飛行機賃を使って日帰りできょうこの質問のために上がってきたようなものです。そこで、少し誠意を持ってお答えいただきたいと思うのですね。  駐留軍の解雇問題ですが、昨年来非常に深刻な政治問題に発展してきたことは御承知のとおりなのです。そこで、前金丸防衛庁長官なり防衛施設庁の前亘理長官などもいろいろ御苦労をいただいたといいますか、努力なさった面もあったわけですが、例の陸軍関係施設の縮減というか、空軍、マリーンへの再編に伴って八百五十一名の解雇者というのが出た。これはもう御承知のとおりですね。その過程でいろいろな議論があって、三百九十九名がさみだれ的な解雇をされる、百二名が空軍に移管される、七十六人でしたかマリーンに移管されるという処置がなされたわけなのですが、今回、また七月三日に新たな解雇というものが発表されましたね。その内容等、なぜ今回この解雇が出たのか、その理由をまず政府の立場で明らかにしていただきたいと思うのです。
  189. 菊池久

    ○菊池説明員 沖繩における今回の人員整理でございますが、米空軍の嘉手納基地、牧港補給基地及び奥間レストセンターにおける従業員を対象とするものでございまして、去る七月三日に通報が参りました。その通報の結果としまして、九月三十日付で解雇するということであります。合計しました数が八十九名でございます。  理由でございますが、本年に入ってからの業務量の詳細な米側によります調査によりまして判明しました一九八〇米会計年度の業務量減という新たな事態に直面して、やむを得ず雇用人員の削減、調整をせざるを得なくなったのであるというふうな説明を受けている次第でございます。  それから、御指摘がございましたように、昨年陸軍の方から配置転換を受けました者が大部分でございまして、八十九名のうち八十二名が陸軍から配転された者でございまして、他の七名は従来から空軍に勤務していた従業員ということになっております。
  190. 上原康助

    ○上原委員 今回米側が発表したのは人員過剰ですね。予算措置とかそういうことには触れていませんね。
  191. 菊池久

    ○菊池説明員 ただいまちょっと御説明申し上げたのですが、今年に入りましてから米軍の方で業務量の調査を行いまして判明しました業務量減という新たな事態でございます。したがいまして、当初私どもが考えましたように、空軍に移りました百二名につきましては、継続雇用が図られたというふうに認識しておったわけでございますけれども、現地からつとに業務がないのだというふうな従業員の声がございまして、大変危惧しておった次第でございますが、今回、米側の通報をつぶさに追及いたしますと、新たな業務量の削減ということでございまして、今回の調整にならざるを得なかったということでございます。
  192. 上原康助

    ○上原委員 施設庁が新たな解雇があるということを知ったのはいつの時点ですか。
  193. 菊池久

    ○菊池説明員 ことしの二月に沖繩県の当局の方から連絡がございまして、その後米軍との交渉を開始したわけでございます。米軍の方としましては、途中におきましては、いまだに予算措置がついていない、それから現場的には業務が大変不確定な要素があるということでなかなか結論を見なかったわけでございますが、追及しました結果、最近に至りまして新たな業務量の削減ということでございます。
  194. 上原康助

    ○上原委員 それはおかしいですよ。二月の時点で新たな八十九名の解雇があるということを知っておったわけですか。
  195. 菊池久

    ○菊池説明員 二月の時点で情報がありましたのは、沖繩県御当局からの現地におきます従業員の不安がある、空軍に移りました従業員が仕事がなくて大変に不安を持っておるというふうな情報でございます。したがいまして、正規な米軍からの情報ではございません。それを得まして、米軍等との折衝を開始したということでございます。
  196. 上原康助

    ○上原委員 問題は、まさにいまあなたが答弁なさるように、これは昨年の移管当時から不安があったのですよ。日米間のまさに政治的な駆け引きで、ごまかしなんだ。だから、私は今日までそのことを指摘してきたでしょう。不安があり、現に特に空軍に移管された百二名の皆さんについては職務も十分に与えられていない、雑役をさせられているという情報を私もたびたび受けた。それで念を押したではありませんか。じゃこの百二名なりマリーンに移行した人々については最初から何らかの条件がついておったのですか。どうなんです。そこいらを明確にしてもらわぬと、全くこんないいかげんなことをしては困りますよ。  しかも、日米の防衛首脳の会談においてこの問題の措置がなされたのだ。いきさつは私が多くを言うまでもない。二月の段階でもし皆さんが知っておったとするならば、そんなやり方はまさにペテンじゃないですか。そうであるなら、なぜこれを解雇させないための措置をやらないのか。もっと真相を明らかにしなければいけなかったはずなんだ。当初から何かの条件がついておったのですか。
  197. 菊池久

    ○菊池説明員 先般、玉木長官から御答弁申し上げたところでございますが、米軍との、昨年の陸軍の再編成に絡む問題としまして、百七十八名の救済問題につきましては、特にそういう条件等は伴っておりません。したがいまして、私どもとしましては、百七十八名は継続雇用がなされたというふうに実は想定しておったわけでございます。それが先ほど申し上げましたように、二月の時点におきまして沖繩県の御当局の方々から、従業員の皆さんが仕事がなくて大変不安に思っておるというふうな情報がございまして、それを受けまして対米交渉を重ねました結果、ことしに入りましてからの米軍の業務量の調査によりまして、業務量の減少があるということで今回のような調整をやりたいということでございます。
  198. 上原康助

    ○上原委員 そこで問題は、私が今年四月二十六日の本委員会でこの問題を取り上げました。きょう玉木長官がいらっしゃればよかったのですが、恐らく問題が煩わしいから用件をつくっておいでいただけないのかとも思うのです、そうでなければいいと私は思うのだが。  ここではっきり言っているのですよ。この四月二十六日の本委員会会議録五ページの上段の後段。「それから二つ目のお尋ねに、百七十八人についてのお尋ねがございましたが、海兵隊と空軍に配置がえになりました百七十八人につきましては、われわれとしましては格別の条件がついての配置がえとは承知しておりません。できるだけ努力するという米側の言葉どおりに受け取ってきて、これを通常の配置転換というふうに考えて推移しておるところでございます。」条件づきでないとはっきり言い切っているのですよ。条件づきでなければ、なぜいまごろこういう問題が起きるのですか。  さらにその六ページ。これも上段の方。玉木長官「今後の解雇がどういうふうに進められるかというお尋ねでございますが、現段階におきましては、先ほど来述べております三百九十九人の問題を決着をつけることが私どもの当面の主眼でございまして、それが完了した後でどうなるかということにつきましては、ほとんど情報を得ておりません。」ほとんど情報も得ていないのに――四月二十六日ですから、五、六、きょうは七月十日でしょう。まだわずか七十日しかたっておらないじゃないですか。国会で責任ある方々がこういう答弁をしておきながら、その場限りでごまかして、しかも、日米の防衛庁長官と国防長官が話し合ったことがこう簡単にほごにされていいのかどうか。これは全くもって納得できません。これに対する具体的な見解をまず聞いておきましょう。政府はどうお考えなのか。
  199. 菊池久

    ○菊池説明員 先ほど来申し上げておるのですが、実は玉木長官が御答弁申し上げました時点におきましては、今度の解雇の予告はまだなかったわけでございます。今度の予告がございましたのは七月三日でございまして、その間地元の従業員の皆さん方から大変雇用の不安があるという声がございましたので、私ども担当といたしましては米軍との交渉を重ねまして、雇用の継続を図りたいということでいろいろと折衝を重ねてきたわけでございます。ただ、まことに残念ながら七月三日になりまして、先ほど申し上げましたような内容の解雇予告があったということでございます。  ただ、われわれとしますと、玉木長官が申し上げましたように、当初から解雇の予定のあるトランスファーではなかったわけでございますので、対米交渉を鋭意続けておる最中でございます。正規に労務基本契約に定めました予告の日、つまり四十五日前程度までには極力この数を減員させるように最大限の努力をしたいというふうに思っておる次第でございます。
  200. 上原康助

    ○上原委員 これはそういう努力をするということだけで済まされる問題ではありませんよ、皆さん本当に。余りいいかげんなことをしたら困る。  五十三年度から五十四年度の駐留軍の労務関係についての政府予算はどれだけになっていますか、日本政府が支出をする分。
  201. 菊池久

    ○菊池説明員 お答えいたします。  五十三年度労務対策経費は六十四億一千百万円でございます。それから五十四年度、本年度は百三十七億七千四百万、そういう数字でございます。
  202. 上原康助

    ○上原委員 それ以外にもあるでしょう。
  203. 菊池久

    ○菊池説明員 私ただいま御答弁申し上げましたのは、当庁、防衛施設庁の予算でございまして、このほかに離対の予算関係労働省に計上されております。
  204. 上原康助

    ○上原委員 いま本雇用員の大体の平均賃金と平均勤務年数は幾らですか。
  205. 菊池久

    ○菊池説明員 平均給与でございますが、基準内給与でございますけれども十八万七千五百四十円でございます。これは基本給、時間調整給、格差給、語学手当、調整手当、扶養手当等が入ります。  それから、平均経験年数は二十年ちょうどでございます。
  206. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、年間の一人の給与予算額は幾らになるのですか。
  207. 菊池久

    ○菊池説明員 ただいま資料を持っていないのですが、概しまして三百万前後でございます。
  208. 上原康助

    ○上原委員 私がなぜこの問題を言うかといいますと、いま御答弁があったように、五十三年度に六十四億余を日本政府は新たな支出をしたわけです。これはさっきありましたように特別給付金、そうした労働省予算は抜いて。五十四年度は何と百三十七億円新たな労務費負担をやる。これも地位協定との関連においていろいろ議論の分かれるところ。しかし、雇用主である日本政府という立場もあり、最近の日米間の経済状況その他これありということで、いろいろ議論の過程でこの問題は政治的に決着ついたはずです、皆さんの立場から言う政治的決着。われわれは、また雇用員の既得権の擁護というもの、あるいは雇用の安定保障という立場からやむを得ざる処置であろうというような考え方もなきにしもあらずという立場をとった。そういう過程でこの百二名の移行措置がなされたはずなんですよ、長官。であるならば、単純平均で一人約三百万円としますと、一千名で三十億ですか。百三十七億では年間としても一体何名の雇用になるのですか。アメリカに対してはじゃかすか金をやって、国民の税金をどんどん上げておって、日米間で合意したものについてもわずか一年そこいらでほごにされるという、こんな交渉があっていいでしょうか、防衛庁長官。これはどうしても納得いかぬ、合点できませんよ、こういう措置は。  したがって、これは無条件白紙撤回をさせるべきなんです。日米間でもう一遍――日米の防衛首脳で話し合ってこういう結論を出した以上、アメリカが一方的にこの解雇措置をとったとするならば、政府は毅然たる態度をとっていいのじゃないですか。このくらいのことをやらぬでおって、こういう肩がわりの措置をやるべきではない、国民の税金を使うべきではない。われわれ承服できない、この問題は。五十四年度予算が通ったからということで、こうやすやすと食い逃げ的なことをされては困る。どうお考えですか、どういう措置をなさいますか、防衛庁長官
  209. 山下元利

    ○山下国務大臣 政府といたしましては、御指摘の問題につきましては重要な問題という認識のもとに、解雇者を最小限にとどめるよう防衛施設庁を中心として対米折衝に当たらせたいというふうに考えております。
  210. 上原康助

    ○上原委員 そんな木で鼻をくくったような御答弁では納得できませんよ。では具体的に、最小限の措置って、どれくらい減らすのですか。私は、それよりも、九十日の措置を労務契約上やらなければいけないということですが、九月三十日でしょう。まだ二カ月以上ある。通告は通告としても、これは白紙撤回をさせて、日米の防衛首脳会談なり相当のレベルでこれはもう一遍話し合うべき課題じゃないですか。それを、ただ防衛施設庁にやりなさいと言ったってできっこないですよ、ある程度はできるかもしれませんが。  あなた御自身がそれをやる御意思はないのですか。これは前任者の金丸前防衛庁長官と、そこにおられる三原長官も、その前の防衛庁長官で少しかんでいる。あの時点からおかしくなっている。お二人でこの問題を解決するということでないと、こっちはきょうはもう一日座っているよ。
  211. 菊池久

    ○菊池説明員 先生の御指摘の点でございますが、私どもとしましては、在日米軍の方との折衝といたしまして連日交渉をやっておりまして、米軍の方も、実は業務量が減退しております職種につきましては解雇せざるを得ないという実情にございますけれども、業務量のある職種のポスト等についてさらに検討を重ねたいというふうなことでございますので、われわれ、事務的な折衝によりまして相当数の解雇数の減少が可能であるというふうに見通しを立てているわけでありますので、鋭意努力をして米軍折衝に力を入れてみたいと思っているわけでございます。
  212. 上原康助

    ○上原委員 防衛庁長官に尋ねて何であなたが答えるの、私は防衛庁長官に聞いている。これは日米防衛首脳会談において決着をつけた中身なんですよ、一労務部長のレベルの問題ではないのだ。  今度アメリカへ行かれるのですか。この間、何か八月に行くというお話で、私が国会で聞いたらまだ決まってないと言って、長崎かどこかへ行ったら、あなたは早速発表しているのです。防衛庁長官というのは最近はみんなうそつくのだ。これは全くうそですよ。こんなごまかしはいけませんよ。  皆さん、政治の世界でも、国会で答弁した以上は責任を持ってもらわないと、責任を持たない政治をやるから国民は政治不信になる。曲がったことをしている人はのうのうとしておって、汗水流している国民は犠牲にされるという道理はない。冗談じゃないですよ、こんなやり方は。改めて日米の防衛首脳会談でこういうことをやらないといかぬ。あなた方はこの予算を取り消しなさいよ。これをおやりになりますか。  外務省も来ておるでしょう。外務省も防衛庁だけに任すのではなくして、やはりこれは日米の重要な外交課題ですよ。アメリカに対してこういうことをやってもらったら困る、そのぐらいのことは私はやるに値する問題だと思うのですが、改めて御見解をお聞かせください。
  213. 山下元利

    ○山下国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおりに、重要な問題と深く認識いたしておるわけでございますので、先ほど来政府委員からも御答弁申し上げましたが、解雇者をできるだけ最小限にするように、防衛施設庁を中心として誠心誠意折衝させる所存でございますので、お見守り願いたいと思う次第でございます。
  214. 上原康助

    ○上原委員 あなたは、防衛庁長官は何もしないわけですか。私がお尋ねをしているのは、一つはアメリカに行くのですかと、行くときには当然この問題ももう一遍話すに値する問題じゃないですかということを聞いているのですよ。労務部長なんかが誠心誠意やってできない場合はどうするのですか。うやむやのまたその場限りですか。そんなのはいけませんよ、防衛庁長官。皆さんは権力を握っているからといって、野党に対する答弁にはもう少し責任を持ちなさい。冗談じゃない。こういうことをされて、国民は負担すべきでない金まで出しているのだ、実際問題としては。地位協定もこれはいろいろ問題あるのだ。こういう通った段階においてはぬくぬくと食い逃げをするというようなことは、あってしかるべきでない。しかるべきでないというより、あってはいけない。どうしてもこれは責任ある人々がもう一遍交渉をしてみて、無条件撤回の前提に立って解決すべき問題だと思う。そうでないと、私たちは重大な決意をやらなければいけない、こういうことに対しては。どうしても納得いかない。防衛庁長官の責任でどのようにやるのか、はっきりお答えください。あなたは何もやらないのか、やるのか。
  215. 山下元利

    ○山下国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、誠心誠意施設庁を中心として解雇者を最小限にとどめるように努力いたしたいと思っておる次第でございます。
  216. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、防衛庁長官という立場ではこの問題は取り上げないということですか。これは前長官がブラウン国防長官との会談によって決定されたことなんですよ、この労務費負担の問題とか再配置の問題は。責任継承の原則をあなたは無視なさるのですか。それでは国民に理解される自衛隊とか防衛とかなんとかいうことはできないのじゃないですか。国民に理解をされる、協力を求めるというなら、こういう問題についてこそ協力をできるような措置を講じなければいけないのじゃないですか。いまの御答弁では納得できない。
  217. 山下元利

    ○山下国務大臣 私ども重要な問題であるということは十分認識いたしておりますが、ともあれ、現在防衛施設庁を中心といたしまして、解雇者を最小限にとどめるように折衝いたさせますのでお見守り願いたいと思いますし、私も折衝を十分見守ってまいりたいと思っておる次第でございますが、誠心誠意解雇者を最小限にするように努力したいと思います。
  218. 上原康助

    ○上原委員 あなた、国会はきょう一日あるだけじゃないですよ。ぼくはいまの答弁では引き下がるわけにまいりませんよ。人のいい山下さんだからそんなに悪人ではないと思うのだが、誠心誠意うそをつく人もいる。誠心誠意同じことだけ言って、時間が来たらもうあなたの質問は終わり、これはそんなことで逃げられる問題じゃない。  そういたしますと、あなたのいまの御答弁は、とりあえず防衛施設庁を中心にさせてみて、どの範囲で交渉が煮詰まるか、それを見守った段階であなたが引き取ってさらにやるということですか。あなたは防衛庁長官だからといってでんと座って何もやらないということですか。そういうことじゃないでしょう。一応は施設庁の段階でやるけれども、それでもなおかつ解雇者の撤回なり削減というものができないという段階では、防衛庁長官みずから乗り出しますね。私が言っているのは、そういうことよりも、あなたがいま乗り出した方がもっと問題解決にはつながると、私はそういう判断をしている。手法はいろいろあるでしょうから、どちらですか。
  219. 山下元利

    ○山下国務大臣 防衛施設庁を中心として誠心誠意対米折衝に当たらせますから、いましばらく折衝経過をごらん願いたいと思います。
  220. 上原康助

    ○上原委員 防衛施設庁が誠心誠意やってしばらく様子を見る、その後は、できない場合はどうなさるのですか、あなたは。何でそんなにその問題についてこだわるのですか。何かやはりあったわけだね、これは。これ以上やってもむだとか、そういう判断ですか。そうでなければ、なぜ前防衛庁長官がやったことに対してアメリカ側と話し合うということができないのですか。それとも、これまで話し合ってこられたのですか。いまの答弁では納得できませんよ、それは。
  221. 菊池久

    ○菊池説明員 私からちょっとお答えいたします。  いままでの米軍交渉の過程で、米軍の方も、ちょっと先ほど申し上げましたように、現在、業務量のございます職種等につきましてさらに検討を重ねてみたい、そこでわれわれとの交渉に応じたいというふうな姿勢でございます。したがいまして、事務的な折衝におきまして相当計画的な削減ができるのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、もしわれわれの折衝過程におきまして大変困難な事態が生じた場合、この場合には大臣にお願いいたしまして、諸般措置を講じていただくというふうに思っておるわけでございます。
  222. 上原康助

    ○上原委員 どうもこれは話が本末転倒だよね。大臣がやると言ってから労務部長がこうすると言うのが筋であって、防衛庁長官が誠心誠意させますと言って、そういうことでどうなんですか、本当に長官。事務レベルの段階でも相当数削減ができる見通しがある、それでもなおかつ困難な場合は、いま労務部長防衛庁上長官に御苦労いただきたい、大臣に折衝してもらいたいと言うのですが、あなたはそれをやるのですね。あなたの自主的な判断を聞かしてくださいよ。なぜそれにこだわるのですか。なぜそんなにこの問題はできないと言うのですか、アメリカと交渉することが。天下の防衛庁長官が、国務大臣が。この種の問題についてあなたと無関係でないのですよ、防衛施設庁はあなたの権限下にあるのですよ。だから私はきつく申し上げているのだ。  改めてお尋ねしますが、施設庁労務部長段階あるいは施設庁長官段階で削減するように努力をして、なおかつ困難な場合はあなたが政治折衝なさいますね。
  223. 山下元利

    ○山下国務大臣 この問題につきましては、いろいろ御見解もございますが、私は、防衛施設庁の所管大臣としての最終的な責任は持っておるわけでございますが、この問題はまことに重要な問題でございますけれども、対米折衝でございますから防衛施設庁を中心として折衝させるわけでございますけれども、また御見解につきましていろいろの問題があると思うわけでございまして、私どもはそうしたものを踏まえて折衝の経過を見守りつつ対処いたしたい、このように思う次第でございます。
  224. 上原康助

    ○上原委員 防衛庁長官、いまのような御答弁をしておってはこの問題は解決しませんね。あなたの人間的なずるさというものを私はきょう見たような感じがするのです。大変失礼ですが、いままでもう少し誠意ある方だと私は思ったのですが、残念ながらあなたにはそういう姿勢はないですね。むしろ前金丸長官の方が、思いやり論は、中身はともかくとして、まだやる意思はあった。そこに最近の防衛庁の姿勢がありありと見られると思うね、私は。それではいけませんよ。それは納得できませんよ、そういう態度では。そういうことでは国民の協力も何も得られなくなりますよ、ますます。それだけ強く言っておきたい。  そこで、この問題は、百二名の移行問題、ほかにマリーンに移行されたのもおりますね、七十六人。これにも波及していくのですか。
  225. 菊池久

    ○菊池説明員 現在のところ、マリーンに移行しました七十六名につきましては正当なる職務についておりまして、何ら不安がないようでございます。それから、現地におきます従業員並びに直接管理しております県当局からも、そういう情報はございません。したがいまして、現在われわれが対処しますのは、空軍に移行しました百二名のうちの今回の八十九名ということになろうかと思います。
  226. 上原康助

    ○上原委員 さっき私がお尋ねしたが、防衛庁長官、アメリカに行くのですか。国防関係者との会談は予定されているのですか。
  227. 山下元利

    ○山下国務大臣 八月の中旬に訪米いたしまして、アメリカの国防長官とお会いすることになっております。
  228. 上原康助

    ○上原委員 では、あなたは八月の中旬に行かれるということが確定しておって、九月三十日という日米間の重要な政治課題、こういう問題が起きたにもかかわらず、なおかつその話し合う議題としてこの労務問題はやらないというお立場に立っているのですか。そこまであなたは基地労務の問題については軽視をなさるのですか。私はさっきからそれを聞いているのです。これは施設庁労務部長段階の問題じゃないのじゃないですか。八月の中旬に行かれるなら、当然この労務問題についても正式なテーマとして挙げて、アメリカ側と話されるべきじゃないですか。どうなんです。
  229. 山下元利

    ○山下国務大臣 お言葉ではございますけれども、私は基地の労務問題を軽視いたしておりません。先ほどから申しておるとおり、きわめて重要な問題であると認識いたしておる次第でございます。  ただ、アメリカの国防長官との話につきましては、具体的な内容等はまだ決まっておりません。お会いすることだけは決まっておるわけでございますが、先ほど来御指摘の問題につきましては、繰り返し御答弁申し上げるようでございますけれども、私の所管であるところの防衛施設庁を中心として対米折衝に当たらせたい、このように思っておるわけでございまして、その折衝の経過を見守り願いたいと思いますし、私も折衝の経過に応じまして対処いたしたいと思っておる次第でございます。
  230. 上原康助

    ○上原委員 しょせん、防衛関係者の首脳の会談といったって、日米ガイドラインをどうするのか、あるいは安保条約をどう安定的に運用していくのかということしか中心議題にならないと思います。しかし長官、はっきり申し上げておきますが、確かにいろいろ意見もあるでしょうが、この種の問題を、いま私が申し上げたようなことを単なる事務レベルに任して、軽視をするような態度では、今後いろいろな問題でも絶対にうまくいきませんね。これだけは篤と頭に入れておいていただきたいと思います。  次に、これとの関連もあるわけですが、ちょっと駐留軍の年次休暇の問題についてお尋ねしておきたいのですが、駐留軍従業員の年次休暇問題は、国家公務員と同様に一月一日の在籍者であれば年二十日の休暇が与えられるというか保障されることになっているわけですが、しかし、これもアメリカ側の一方的な裁量というか判断によって、年度途中で解雇されるとかやめるとかいう人には二十日間の年休を保障していませんね。これは当然二十日間保障させるべきではないですか。防衛施設庁、これをどうお考えですか。どういう対処策を今後講じようとしておられるか、この件についてもアメリカ側と具体的にお話し合いをする用意がありますか。
  231. 菊池久

    ○菊池説明員 先生の御指摘の休暇の件でございますが、これは基本労務契約第七章に定めてございます休暇制度でございます。これをちょっと申し上げますと、「一暦年中に常用従業員として採用された従業員は、常用従業員として採用された月及びその暦年の残りの各月につき、十二分の二十の割合で休暇を与えられるものとする。」という規定がございまして、これとうらはらの関係で、途中で解雇された従業員等につきましては、勤続されたその月の割合の休暇を与えるという趣旨で米軍が措置をとっているわけでございます。この関連で現在最高裁に上告案件となっていますのが二件ございまして、現在裁判所に係属中の事案がございます。したがいまして、この基本労務契約に書かれました条文の改正等の問題につきましては、現在の裁判の進行状態を待ちまして、その結果を待って対処したいというふうに考えております。
  232. 上原康助

    ○上原委員 これは、下級審では年休保障の方が勝訴しているじゃないか。裁判論争をここでやりたくないですがね。そういう裁判の結果を待って、係属中ということになると、だんだん月日がたっていくのじゃないか。そういうこそくな手段を防衛施設庁はやめなさいよ。もちろん、それはそれなりのルートがあるから使えばいいということであるかもしれませんが、基本労務契約の解釈の問題はいろいろあるかもしれませんけれども、労働基準法や国内法の適用からすると、当然年度中途であっても二十日間の保障をやるべきだという解釈が成り立つわけでしょう。あえてそれをやらないところにアメリカのずるさがあるのですよ。首はちょん切る、年休はカットする、既得権は剥奪する、これじゃたまったものじゃないですよ、本当に。  しかも、さっきありましたように、勤務年数は二十年以上になっているのですよ。中には三十年という人もいる。なぜあなた方は、国内法を遵守させる義務もありながら、むしろアメリカのこういった不当なやり方を政府が正当化するような措置をとろうとするのですか。そんな労務政策はやめなさいと言うのですよ。これは裁判が係属中だからそれを見てということになると、何カ年かかるか。そうじゃなくして、やはり年間二十日間の保障については考えるべきだということを、雇用主という立場で使用者のアメリカ側と協議をすべきじゃないですか。そのことを私はお尋ねしているのです。
  233. 菊池久

    ○菊池説明員 先ほど申し上げましたように、最高裁に上告中の事件が二件ございまして、現在進行中でございますので、その審理を待ちまして、やはりMLCの改定をする必要があるかどうか等の判断基準を求めまして、対米交渉を必要とするならば対米交渉を行うというような措置をとりたいというふうに思っておる次第でございます。
  234. 上原康助

    ○上原委員 押し問答はこの問題ではしたくないですが、それは一つの理屈でしょう、あなたがおっしゃるのも。しかし、それではずいぶん時間がたつわけでしょう。その間にも不利益を受ける人人はどんどん出てくるわけですよ、さっきの解雇の問題等もあるし。これは速やかに善処をするように、日米間で話し合うように改めて強く要求をしておきたいと思います。そんなこともやらなければ、日本側の負担は一切やるな、皆さんは安易に。何が安保ただ乗り論ですか。アメリカ側はもう基地まる抱えどころか、まる乗りじゃないですか、予算を含めて。  次に、軍事演習問題について若干お尋ねしておきたいのですが、これはまとめて言いますから簡潔に要点だけを、要らぬところは要りません、ごまかし答弁は要りませんから。  一つは、東村の高江部落の近くに新しくハリアパット、ハリア訓練場ができているのですが、私はきのう、かなり遠いのですが現場まで実際行ってみました。全くひどいですね。県道のすぐそばに百五十メーターの滑走路をつくっていて、もう七割くらいでき上がっている。無神経もはなはだしい。幅が三十メーターから四十メーター近くありますね。恐らくハリア機三機くらい同時着陸できるでしょう、垂直で。これはあなた方知っておったのですか。アメリカと協議してこういうのをつくらしたのですか。これが一つ。これをどうするのか。  それと、POLタンクの天願移転の問題で、具志川市の意向を無視してどんどん工事を進めているということなんですが、これは進めていくのかどうか。これもけしからぬですね、関係市町村の意向も無視をして権力でごり押しするということは。これが防衛施設庁の本性なんだ。実体だ。  それと、せんだって私がずっと取り上げてきた嘉手納基地の騒音問題。私はいま国会もひけているのでずっと自宅にいるのですが、施設部長、私が強く言いましたら、あなたは一生懸命やっていますと言った。何もやっていない。結果は出ていないじゃないですか。いまでも深夜、エンジンテストも離着陸もほとんど同じようにやっていますよ。外務省も答弁してもらいたい。一体、地位協定や五・一五メモにしても、夜の夜中、一時であろうが三時であろうが、爆音をがなり立てていいという取り決めまであなた方やっているのですか。なぜそういうことさえも日米間で話し合って解決できないのですか。それをどうするのか。だから、こっちの頭もだんだんおかしくなる。声もでかくなるのはあたりまえだ。聞こえないですよ、日常会話も。そんな、一家庭一部屋ぐらいの防音装置やるからといって、いまのこんなに暑い中で、年じゅう晩に至るまで三十度を超すような暑さの中で、そんな防音施設とかクーラー入れたってだめですよ。やはり自然環境の中で人間は生活しているのが健康的にも一番いいのですよ。そういうことを何回言ってもあなた方はやらないのじゃないですか。アメリカ側とそれを具体的に話し合ったことがあるのかどうか。今後どうするのか。特に深夜の騒音問題。  この間北海道へ行って自衛隊の基地も見さしてもらったのだが、十時以降はさすがの自衛隊も遠慮していると言いましたね。これだけは私も耳に残っている。あとは余り要らないことだった。そうだのに、なぜアメリカには勝手気ままにさせるのですか。何が国内法遵守なのか。なぜそういうことを防衛施設庁、外務省できないのですか、本当に。向こうに住んでいる住民の立場に立ってあなた方考えてごらんなさいよ。朝起きてから、夜寝ても爆音爆音、一体こんな生活環境ってありますか。  それから久徳の黙認耕作地のサトウキビの継続栽培の問題、どうなったのかということ。  もう一つ、復帰後日本政府の予算で新たにフェンス、金網を張りめぐらした距離はどのくらいあるのか。私はどうしても納得しがたいのは、旧一号線、砂辺地域から嘉手納に来る、あのPOLタンクを含めて、約二・五キロくらい、二キロくらいですかね、全部新しく政府が金網を張っていますよね。これは、アメリカは戦後三十三年金網を張らなかった。自由に出入りできよった。そこには黙認耕作地もある。何であんなところに分厚い金網を新しく張らなければいけないのですか。まさに基地強化じゃないの。そういうことを日本政府の予算でどんどんやっておきながら、労務者はどんどん首を切る。こんな勝手なことはやってはいけないです。それが最近の沖繩基地の強化の本質なんですよ。  長官、この四点についてお答えください、簡潔に。
  235. 多田欣二

    ○多田説明員 お答えをいたします。  第一点の北部訓練場におけるハリアパットの問題でございますが、先生、政府間で話し合ったのかというお話でございますが、そういう事実はございません。この問題につきましては、先生おっしゃいますように、県道にも非常に近いという問題がございますので、現在現地の局から米軍に対して移設を申し入れているという状況でございます。  次に、具志川市における石油タンクの問題でございますが、これは御承知のように那覇港湾にございます石油タンクを具志川市等に移設をする、それが実現することによって那覇港湾のタンク地区あるいは宜野湾市から南の大部分のパイプラインが返ってくる、こういうことで工事を急いでおるわけでございますが、この問題につきましては、昨年の九月以来地元の市長さんといろいろ話し合いをしているわけでございます。また、石油タンクそのものにつきましては、消防法によりまして指定の手続が必要でございます。これは現在まだ話し合いもついておりませんし、消防法の審査もいただいていないという状況でございます。現在工事にかかっておりますのはそれ以外の、何ら許可を必要としない防災工事等の一部をやっておるというところでございまして、消防法による承認その他につきましては、今後とも具志川の市長さんを初め関係の方と鋭意折衝をしていきたい、そのように存じております。  それから嘉手納飛行場の夜間騒音の問題でございます。これは最近特にうるさいというお話もございますし、先生からもいろいろお話がございました。この問題につきましては六月十二日口頭でとりあえず玉木施設庁長官が在日米軍参謀長のマッケンジーという人に申し入れをいたしました。さらに後を追いまして、六月十五日付で文書をもちまして夜間騒音を極力減らすように現地の米軍を指導してくれという意味の要請をいたしております。これに対しましては、マッケンジー少将から七月五日付で返事が参っておりまして、日本政府の要請を体してよく現地米軍を指導するという返事が来ております。騒音対策につきましては、私ども常日ごろ機会を見て、できるだけ住民の皆様に御被害を与えないように音源対策その他について米軍と折衝もいたしておりますし、また、周辺対策事業その他についても鋭意進めているところでございまして、今後とも機会を見て米軍ともそういう話し合いを反復続けていきたい、このように考えております。  次に、嘉手納の久徳地区の黙認耕作の問題でございますが、これは、実のところ最近全く動いておりません。先生御承知のように、米側から規制につきまして話がございまして、一部の地区につきましては耕作をやめていただく、大部分の地域については作目を転換をしていただくということで、現地的に話し合いが行われていたわけでございますが、この問題につきましても、嘉手納の夜間騒音の問題と同じように、六月十二日あるいは六月十五日、文書によりまして、玉木長官からマッケンジー少将の方に申し入れをいたしております。七月五日のマッケンジー少将の返事によりますと、日本政府の要請を受けまして、住民の経済問題、住民の福祉及び安全について十分に配慮をするようにという現地軍への指導もやったということのようでございますが、その後現地的にはまだ動いてきておりません。近く実は嘉手納の基地司令官、嘉手納弾薬庫の司令官と根本局長との間で、今週の後半くらいになると思いますが、話し合いが行われるように聞いておりますが、その際、現地米軍の何らかの反応があるのではないかと考えております。  次に、保安さくの問題でございますが、復帰後、基地の管理上の問題等から施設庁の予算で米軍基地の保安さくをつくったという事例はございます。ただし、突然のことでございましたので、どこの基地でどれくらいというデータを実はここに持ち合わせてございません。早速帰りまして整理をいたしまして、改めて先生に御報告いたしたいと思います。  以上でございます。
  236. 上原康助

    ○上原委員 そこで、時間ももう予定を少しオーバーしましたが、ハリアパットの件については、ではアメリカ側はつくろうとしたところは移転することに応じたのかどうか。私はそんなものはつくるべきではないということを言いたいわけですが、それを確かめておきたい。  天願のタンク問題は、市なり地元の意向を無視してはやらないですね。  あと、嘉手納の騒音問題、マッケンジー米軍参謀長に出したという文書、それから返書は資料として提出してください。  それと、保安さくの件については、復帰後どれだけ新しく金網を張ったのか、その長さ、基地ごとに、それから予算、全部資料として明確に出してもらいたい。あなた方のやっているのはひど過ぎますよ。こんな不景気だというのに、日本政府はそんなにお金が余っているのですか。  いまの点はいいですね。
  237. 多田欣二

    ○多田説明員 ハリアパットの件につきましては、現在局から申し入れているということでございまして、まだ話し合いはついていないというふうに聞いております。今後とも鋭意話し合いを続けるということでございます。  それから、具志川市の工事の件でございますが、これは当然消防法等による手続も必要でございまして、これらの点につきましては、さらに具志川市長さんと話し合いを続けていきたい。何とか御納得がいただけるのではないかとわれわれは期待をいたしております。ただし、現在始めておりますのは、許可その他の必要のない防災工事等でございまして、これらの工事につきましては御理解をいただきたいと存じます。  それから、復帰後の保安さくの問題でございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、資料を整備いたしまして提出をいたします。  それから、玉木長官とマッケンジー在日米軍参謀長との往復書簡でございますが、これは一種の外交文書的なものでございますので、原文生のままは御勘弁いただきまして、その要旨を整理して提出いたします。
  238. 上原康助

    ○上原委員 あと一、二点で終えますが、東村の場合は、私が指摘するまでもないわけですが、こういう決議が村議会でなされているということだけつけ加えておきます。   北部訓練場内のハリヤー機訓練施設を村当局と事前の調整もなく設置しようとしたことは、甚だ遺憾である。   当該地域は、学校及び集落から至近距離にあり、農地からも近く、又県道沿いで通行人にも危険であり、騒音公害と人命尊重立場から容認できない。   よって、訓練場建設地をすみやかに変更するよう強く要求する。   以上決議する。     一九七九年七月四日 東村議会でなされていますからね。基地を容認する立場にある市町村議会でさえこういう決議がなされているということを含んでおいていただきたいと思うのです。私はきのう行って現場を見てきた。  天願も、あなたはそうおっしゃいますが、自然環境を全く考えないでやっているのじゃないですか。そのことについては、いまの答弁を受けて、後日POL問題を含めてお尋ねさせていただきたいと思います。  次に、防衛庁長官おいでですから伺いますが、きょうから日米合同訓練をやっていますね。自衛隊の第八三航空隊のF104と米空軍の第一八戦術戦闘航空団所属のF4Dファントムを使用しての演習、これは日米合同演習であることは間違いないわけですが、ガイドラインに基づくものだとわれわれは見ているわけです。その演習の目的は一体何なのか、そして今後どのくらいの頻度でやるのか。こういうことは即刻やめるべきですね。ただでさえ爆音やいろいろなことをがなり立てておきながら日米間でこういうことまでやるとなると、ますます沖繩の空域や周辺は危なくなってしまう。これについての防衛庁長官見解をまず聞いておきましょう。
  239. 山下元利

    ○山下国務大臣 航空自衛隊の実施する日米共同訓練については、いま御指摘のとおりでございます。日米安保条約を円滑に運用するため、自衛隊と米軍との間で機会を見て共同訓練を実施いたしますことは、ガイドラインの有無にかかわらず必要なことであると考えておる次第でございまして、これは共同訓練の目的に沿っていたすものでございます。
  240. 佐々淳行

    ○佐々説明員 若干補足して説明させていただきます。  この訓練の目的でございますが、これは、本来の防衛庁の任務でございますところの「所掌事務の遂行に必要な教育訓練」に関すること、こういう防衛庁設置法の五条二十一号に基づきまして、同一の訓練項目につきまして日米双方が戦術技量の向上のために行っておるものでございまして、ガイドラインとは直接関係なく従来からも実施しておるところでございます。
  241. 上原康助

    ○上原委員 それともう一つ確かめておきたいのは、航空自衛隊は、今回の合同訓練といいますか空中訓練とは別に、米空軍のB52戦略爆撃機を対象とした攻撃訓練も計画しておる。これはやるのですか。やるとするといつごろからやるのか。B52を対象に訓練をするということは、私はいろいろな面から問題が出てくると思うのです。きょうはそこまで議論はできませんが、これはまさに核戦略爆撃機なのです。それはどういうことなのか、御見解を聞かせてください。
  242. 佐々淳行

    ○佐々説明員 先生お尋ねのB52との訓練と申しますのは、六月二日でございますか、朝日新聞の記事に出た航空幕僚長の談話であろうかと存じます。空幕におきましては、先ほど申し上げました精神によりまして、戦術技量向上のための訓練を適時実施しておりますけれども、現時点におきましては、B52との訓練ということは具体的に計画はございません。
  243. 上原康助

    ○上原委員 今後もやりませんね。
  244. 佐々淳行

    ○佐々説明員 ちょっと説明を申し落としましたが、空幕長の談話の趣旨は、異機種間の戦闘訓練、いろいろな種類の航空機との訓練をやりたいという趣旨で、その中に希望的な観測としてそういう意見が入ったものと思われます。将来そういう異機種間の訓練の中にB52を含めるか含めないかは、今後の訓練所要あるいは諸般の情勢によりまして慎重に検討いたしたい、かように考えております。いずれにせよ、シビリアンコントロールの原則に従いまして、日米間の共同訓練につきましては長官決裁事項でございますので、その点は十分慎重に考慮いたしたいと考えております。
  245. 上原康助

    ○上原委員 あと一点。そうしますと、今度航空自衛隊が在日米空軍と空中作戦というか合同訓練をやる。これはまさに実戦訓練ですね。また、いまの参事官の御答弁からすると、B52を対象にした訓練もいずれかの時期に早晩実施されるような御発言でしょう。これは全くけしからぬですね。かつて陸上自衛隊の陸幕長の永野さんでしたが、遠からず陸上自衛隊も米海兵隊との合同訓練を沖繩でやるということを言ったことがあるのですが、まさかそこまではやらないと思うのですけれども、これはどうなんですか。航空自衛隊がやった、次は陸、やるのですか。
  246. 佐々淳行

    ○佐々説明員 お尋ねの件は六月一日付の毎日新聞に出ました陸幕長の談話であろうかと存じます。これも、私ども承知しております限りでは、陸幕長の希望表明という形で行われたわけでございますが、現時点におきまして、御承知のように日本の在日米軍にはアメリカの陸軍がおりません。したがいまして、具体的な訓練の計画としてはまだ決定はされておらない。その過程において、海兵隊がいるではないか、海兵隊との訓練はどうかという質問があったのに対して、海兵隊との問題については検討をしたいという希望表明があったと聞いておりますが、これも先ほど申し上げましたように、現時点においては具体的な計画段階ではございません。これも、いずれもシビリアンコントロールの原則に基づく長官決裁事項でございますので、慎重に考えてまいりたいと思っております。
  247. 上原康助

    ○上原委員 これで終えますが、シビリアンコントロールと盛んに言うけれども、いま山下防衛庁長官によけいなことを言われても困るので、やぶをつついてヘビが出ても困るし、どうも鋭い眼鏡の奥底から、私がかつて言ったように、山下元利転じて山下奉文以上の軍国主義者にあなたはなりかねない。大変残念だよ。イエスかノーかだけを答えればいいのに、要らぬことを答えている。私は冗談で言っているのじゃないですよ。いまのいろいろな現状に本当に危機感を持っているのですよ。  そこで、最後に防衛庁長官にお尋ねしておきたいのですが、あなたは労務問題についてはきわめて頑強に、やりたくないような姿勢をとったのだけれども、そうならないですね。これからの問題の推移によっては、これは必ずあなたに出ていただかなければならない問題になると私は思う。  そこで、日米の合同訓練の問題とかあるいは基地騒音、基地公害の問題とか、沖繩における米軍の軍事演習の若干についていま触れましたが、この種の問題は、日米安保条約があり、あるいは地位協定でそういうことが容認されているからという立場に立って見過ごすわけにはいかないのですね。沖繩には百十万の県民が住んでいるのですよ。日本国民が住んでいるのですよ。あなた、私が指摘してきたこういう問題について、防衛の最高責任者あるいは基地問題の最高責任者として、どう本当に県民の要求にこたえていこうとするのですか。私は単なる上原康助ではないのですよ。私の考え方を支持している人も沖繩にはたくさんいるのですよ。個人じゃないですよ。これらの問題について真剣に、本当に誠心誠意やると言うのなら、あなた、アメリカ側とも実際の問題点について具体的に、資料もしかるべき省庁に集めさせて対策を講じないといけないのじゃないですか、外務省も含めて。最後にあなたのこれからの所信を聞いて、質問を終わりたいと思うのです。
  248. 山下元利

    ○山下国務大臣 御趣旨のほどは十分に拝承いたしました。私も、大臣といたしまして、私の責任においてその所掌事務を果たしてまいりたいと思う次第でございます。
  249. 藏内修治

    ○藏内委員長 柴田睦夫君。
  250. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 防衛庁長官がお見えになっておりますので、きょうの読売新聞に出ました「陸上自衛隊能力見積もり=人事」この資料について先ほど同僚議員から質問がありましたが、二、三伺っておきたいと思います。  まず、この資料が実際にあったということは認められているようでありますけれども、いつどこの部署が作成した文書なのか、そして大臣や局長に報告はあったのかどうか、そこからお伺いします。
  251. 原徹

    ○原説明員 本日の新聞に出ておりました資料は、四十九年度に――毎年、年度の防衛計画をつくりますもとになる資料としていろいろな研究資料をつくるわけでございますが、その研究資料の一つに似ているという感じがするわけでございます。その防衛計画は陸上の防衛計画でございますから、もしつくったとするならば、その資料があるとするならば、当然陸上幕僚監部のものであろうと存じます。
  252. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 似ているということを言われますけれども、それは見たのですか。
  253. 原徹

    ○原説明員 新聞を見てみますと、戦闘損耗その他を含めて補充をする仕方が書いてあるわけでございまして、そういう補充の仕方につきましては、私どももいま年度の防衛計画をつくるとなれば当然考えなければならないわけでございますから、補充計画というものを考えると、そういう意味で似ているというふうに考えたわけでございます。
  254. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 こういう重大な問題について、内局の方は似ているというような答弁しかできないということはゆゆしい問題だと思うのです。新聞の方から見ますと、制服組がすでに四十九年度からこういう有事の詳細な計画を勝手につくったということになりかねないわけです。一昨年から昨年にかけて、国会での有事立法論議の中でも、三矢研究は大臣や局長も知らない間に勝手に制服組が研究をやったのがいけないのだと何回も答弁されておりますが、内容も重大であります。今回の資料も、昭和四十九年度に合わせて四十八年につくったということですが、いま行っております防衛研究、有事立法研究以前に、すでに制服組の方が先行してやった内容の計画だと考えられるわけです。しかも新聞で報道されますと、きょうは、廃棄してしまってわからないという答弁が返ってきておりますけれども、これでは国民が何も知らないうちに、国会議員も何も知らないうちにこういう危険な内容の研究をやっている、こういうことは大変な事態であると考えるわけです。  読売新聞によると、九日に入手したと書いてあるわけです。ですから、これがないと防衛庁が言うこと自体、私はこれを非常に疑っているわけです。読売新聞が九日に入手したくらいですから調べればあるはずですから、ちゃんと調べて出してもらいたいと考えます。
  255. 原徹

    ○原説明員 年度の防衛計画というものは毎年つくっておるものでございまして、四十九年度もつくったのは当然なことでございます。そのつくる際に、いろいろ研究を幕の方でするということも別に不思議なことではないのでございます。  加えて、新聞の記事に書かれているものの中で、たとえば「準徴兵制」というような表現が使われておりますが、そういう研究があったかなかったかそれはわかりませんが、四十九年度にできました防衛計画なるものは、私の推測ではこれは現行法の枠内で計画というものができるわけでございます。幕僚監部でいろいろ研究いたしたものでございましても、最終的に長官の決裁をいただく場合に内局の審査を受けますから、仮にそういう研究があったといたしましても、それは現行法の枠内の計画になるわけでございまして、その点、別に何も問題はないのではないかと私は考えているわけでございます。
  256. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ともかく、新聞に出ているような重大な事態を明らかにしないで、それがないという前提でこの場を逃げ切る、そういう態度は非常に危険だと感じるわけです。全般的に見ましても、自衛官の強制出頭の法制化が必要だというようにあるわけですけれども、最近自民党の国防問題研究会が防衛庁に提出した防衛二法改正の提言、これでもやはり予備自衛官の迅速な動員を可能とするように自衛隊法の改正を行うべきだ、こう言っているわけです。     〔委員長退席、岩垂委員長代理着席〕 こういう事実を考えますと、新聞に出ているこの計画は単なる研究ではなくて、実際にこのような内容を実行に移す準備が進められている、そういうように私たちは感ぜざるを得ないわけです。有事立法の研究も絶えずやっているということであるわけです。  そういう点から考えまして、「陸上自衛隊能力見積もり=人事」の資料、こうしたものについても資料として出していただいて、きょうはこの問題が本題でありませんから深い質問もできませんけれども、そういうことをやって、そして本格的に防衛問題に関する論議をやらなければならないと考えるわけです。  そこで、最後に長官に伺いたいのですが、自民党国防問題研究会の防備二法改正の提言について、防衛庁としてどう考えているのか、これをお伺いします。
  257. 山下元利

    ○山下国務大臣 いま御指摘の自民党の有志がおつくりになった防衛二法改正試案というのは伺っておりますけれども、この試案の作成には防衛庁は何ら関与いたしておらないのでございます。  なお、先ほどお話がございましたが、これはもう繰り返し御答弁申し上げておりますし、また政府委員から御答弁申し上げましたように、あくまで防衛計画作成のための一研究資料にすぎないものでございまして、あくまでそれは現行法規の中において行われているものでございますし、また、それが正式に防衛計画として決定いたしますのは、防衛庁長官がオーソライズして初めて有効になるわけのものでございます。したがいまして、そういう性格の資料でございますので、そういうものとして御理解賜りたいと思うわけでございます。  重ねて申し上げますけれども、私どもといたしましては、徴兵制とか徴兵制に準ずるようなものを考えていることはございません。
  258. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それから、きょうの朝日新聞に出ていることなのですけれども、先月の十八日、米空母ミッドウエーの艦載機F4ファントムとA6イントルーダーが、ミサイルを積載したまま人口密集地にある厚木基地に飛来したということであって、写真でも明らかになっているわけです。厚木基地周辺は人口密集地で、一昨年の九月には横浜市でRF4Bファントム機の墜落事故があって、とうとい人命の犠牲を出したということも当然思い出されるわけです。このような地域、米軍機の飛行中止を求めているような地域に、ミサイルを積載したまま米軍機が飛んでくるというのはかつてないことで、初めてのことのように思うのですが、こういう危険な事態を黙って見ているわけにはいかないと思うわけです。もし米軍機がミサイルを積んだまま墜落したらどういうことになるのか。一昨年の事故でもあのような悲惨な結果になりました。まして、ミサイルを積載した米軍機が事故を起こしたら、これは想像もつかないようなことになるのじゃないか。そういうおそれや不安、そういうものを通り越して怒りがわいてくるくらいです。防衛庁はこの六月十八日に米軍機がミサイルを積載したまま人口密集地を飛んだ事実はつかんでおられるのかどうか、お伺いします。
  259. 多田欣二

    ○多田説明員 六月十八日に飛来したかどうかということは把握いたしておりません。私も実は、先ほど上原先生の質問時間中にこの新聞記事を急にいただきましたので詳細はよく存じませんが、私も専門家でございませんので、この写真のものがミサイルかどうかということはよくわかりませんけれども、新聞記者の照会に基づいて施設庁の広報調査室の者が、本来外務省でお答えいただくべき筋のものだと思いますが、ごく一般論として見解を申し上げたということだと承知いたしております。  特に厚木にということで、先般大変悲惨な事故がございまして、それとの関連でございますけれども、事故の防止ということにつきましては、連絡体制の整備その他鋭意努力をしているところでございます。だからといって、原子兵器以外の一般的な通常兵器も一切合財持ち込んではいけないということは、日本政府としては恐らく言えないのではないかと施設庁は理解をしております。詳細につきましては、外務省の解釈によるところでございますけれども、そのようなことを一般論として広報調査室の者が新聞にお答えしたというのが実情のようでございます。
  260. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 その答弁を聞くと、いつも怒ったことのない私もいよいよ怒りたくなるわけです。人口密集地をミサイルを積んだ飛行機が飛んで、それをいま知らないと言う。そして広報室を通じて「「日米の地位協定では通常兵器の場合、基地への持ち込みはだめだとは言えず、良い悪いの明記はない。」「一般論でいえば通常兵器の場合、問題はないはずだ」」こう言う。そしてまた、いまの答弁もそれと同じような趣旨になっているのですけれども、こういうことを言うということは、まさに厚木基地周辺のあの人口密集地の住民を全く無視する態度だと考えるわけです。  まだ事実もつかんでいないということですから、調査をして明確にしてもらいたいということ、そしてそんな危険なことが起きないようにするということ、このことを約束していただきたいと思いますが、長官、いかがですか。
  261. 多田欣二

    ○多田説明員 六月十八日に飛来したかどうかということについては、一応米軍に照会をしてみたいと思います。今後の措置につきましては、外務省とも十分相談をしてみたいと考えております。
  262. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それでは、旧陸海軍従軍看護婦の処遇の問題ですが、この点につきましては、先ほど岩垂委員の方から全野党を代表するというような立場も兼ねて御発言がありましたが、なお補足的に私からも若干申し上げておきたいと思います。  というのは、この旧陸海軍従軍看護婦の救済について、本院でも請願が採択され、三原総務長官も、総理府が窓口になって検討を進めると答弁されているわけですけれども、これを何とか来年度予算で具体的な措置を行っていただけないか、これがいまの関係者の方々の切実な声であるように思うわけです。ことしは恩給法が審議もされず廃案になってしまったため、旧陸海軍看護婦の救済問題は具体的にどう措置すべきであるか、本委員会でも十分な議論が行われませんでした。しかし、八月末には各省概算要求を出されますし、ここで具体的に予算措置を行っていただかないと、仮に実施が決まっても一年あるいは二年おくれになってしまう。先ほどもお話がありましたように、この会の人たちがどんどん亡くなっていかれるという中で、一年おくれるというのは、これはもう黙って待っておれるような状況ではないというのが関係者の方々の声であるわけです。  そこで、具体的にお聞きしたいのですが、一年おくれで実施しようとしても、来年度の概算要求締め切り、つまり八月末日までにどの省がどういう内容で要求するか、これを具体的に決めておかなければならないわけですが、窓口になって検討を進めると言われた総務長官、いないわけですね、それじゃ総理府の方でこの点についてはどういう考えでいるか、お答え願いたいと思います。
  263. 小野佐千夫

    ○小野説明員 お答えいたします。  旧陸海軍看護婦の方々の処遇問題を検討するに際しましては、本年度から実施いたしております旧日赤の看護婦の処遇の経緯に照らしまして、旧陸海軍従軍看護婦お一人お一人の方々の従軍歴等の実態が明らかにされる必要があろうと考えております。その実態が明らかになるためには、現在どのような資料が保管されているか、また新たにどのような調査を必要とするかというようなこと等々につきまして、総理府といたしましては厚生省とも十分に協議を進めているところでございます。
  264. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 では厚生省に伺いますが、この陸海軍看護婦の実態がつかめていないということを、私たち厚生省に聞くといつも言われるのですが、そしてまた、これが一つの実施できない理由とされているようです。すでに厚生省では一定の調査は行っていらっしゃるというように聞いているのですが、仮に旧日赤看護婦と同様の処遇を行うとして、現時点調査ではどういう点が不十分なのか、今後どういった調査を行う必要があるのか。そして今後調査が必要だとすると、それを行うための調査費のような予算を計上する必要があるのかどうか、お伺いします。
  265. 松田正

    ○松田説明員 ただいま総理府の方からお話がございましたように、この問題につきましては、一つ対象になる方々がどの程度おられるか、またそれぞれの個人につきまして在職年数あるいは勤務の地域あるいは勤務病院等、それぞれの個別についてのデータが必要でございまして、その資料が詳細に得られるかどうかということが問題でございます。  ただいまのところ、旧陸海軍の看護婦につきましては、兵籍簿のような一貫した履歴をもとにした資料がございません。また、戦争中に作成されましたいろいろな資料につきましても、戦後の混乱あるいは引き揚げの混乱、こういうことで、非常に資料が散逸をいたしておるのが現状でございます。ただ、私どもで現在保管をいたしております資料といたしましては、昭和二十年の一月一日の留守名簿、あるいは海軍につきましては帰還者の名簿等がございますが、それらにつきましても十分な資料が得られるかどうか、現在のところいろいろと検討いたしておるところでございます。  今後も、これらの実情につきましては、こういった資料の整理あるいはさらに調査を進めまして、その結果を見ながら、関係省庁とも十分に御相談をしながら対処をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  266. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 その調査をする上において、調査費は必要ないのですか。
  267. 松田正

    ○松田説明員 調査の中身、方法、その他検討すべき点がたくさんございます。その辺の問題につきましても、関係省庁と十分に相談をして対処いたしてまいりたいと考えております。
  268. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ただ、八月末までという問題がありますから、その実態調査費というようなものを総理府、厚生省、どちらの省で概算要求していくことになるのか、この点はもう余り時間もないわけですから、はっきりしておいていただかなければならぬと思うわけです。この場でどちらでやるのだとはっきり答弁いただけないとすれば、直ちに総理府と厚生省とで話し合って決定していただきたい、そういうふうに思うのですが、総務長官いかがですか。
  269. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 担当者がいろいろお答えを申し上げたと思うのでありますが、総理府長官といたしましては、前国会でも、自民党を初め各党から、陸海軍の従軍看護婦の方々に対する処遇の問題については、積極的な合意のもとに意見があったわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、日赤看護婦の方々に対して処遇をいたしましたこの処遇の経過等も踏まえまして、これはやはり陸海軍の従軍看護婦についてもひとつ積極的に取り組まざるを得まい、そういう姿勢には相なっておるわけでございます。したがって、そうした姿勢のもとに、いまお答えをいたしましたように、陸海軍の従軍看護婦の方々の資料について、これは早急にひとつ集めてまいらねばなるまいという考え方に立っておることも御答弁申し上げたとおりでございます。したがって、そうしたことについては、本日もお見えでございますが、従軍看護婦の方の御協力も得ねばならぬと思うのでございます。  それからなおまた、いま御指摘がございました問題で、厚生省が主としてやるのか総理府がやるのか、いろいろな御意見経過の中にはあったことは御承知のとおりでございます。しかし、日赤看護婦について、最終的には総理府が庶務的な推進役になったこともございますので、総理府とその他の関係省庁と一体になってやらなければならぬわけでございますけれども、そうした取りまとめ役はひとつ総理府でやらざるを得まいという姿勢になっておるということも、先ほど来申し上げたとおりでございます。     〔岩垂委員長代理退席、委員長着席〕 主管庁がどうだこうだ、そういうような原則論で云々すべきではなかろうということで、私ども、繁雑な業務ではございますけれども、総理府としてそういう姿勢で行かざるを得まいという考え方に立ちながら、厚生省とも十分連絡して今日まで参っておるわけでございます。したがって、厚生省におかれましては、自分の方で資料を持っておるものは内部を十分精査をしてみるし、なお足らざるものについては、本日も見えておりますような方々の御協力も仰ごうということで、ただいま調査の様式でございますとか、現在あります資料でございますとかというようなものを、日赤看護婦の際に取りまとめてまいりましたようなことについて鋭意検討、整理を願っておるという段階でございます。  そこで、いま申されましたように、八月の概算要求を目の前にして、しからば調査費問題をどうするかというようなことでございますが、私は、いま申し上げましたような方針が政府または国会等の意思で一体になって決定をいたしますれば、概算要求の際にそれをどう処置していくかどうかというものもおのずから方針は出てくるだろうと思うわけでございます。したがって、いま調査費をどうするかという問題ではなくて、そういう一つの見通しをはっきり立てて方針決定を願うというようなところに重点を指向して御相談を進めておるという段階でございます。したがいまして、その点につきまして、具体的に概算要求の中に調査費を入れるかどうかというような問題は、次に来る一つの問題であると思うわけでございます。  まず大体の資料がつかめますと、また御協力も得て、そういうような準備ができますというような見通しを、厚生省を中心にして、総理府もこれに協力しながら出すことにいま焦点を当てて努力をいたしておる点でございまするので、この点につきましては、先ほども岩垂委員に誠意を持って対処してまいりたいということで御答弁を申し上げたところでございます。
  270. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 仮に調査費が計上されても、来年度の予算が成立してから実態調査を行うということになって、そこに一定の期間がかかりますし、そしてその実態調査が終了してから、ようやくどういう措置を講ずるか検討を開始するということでは、これはやはり早くても二年おくれになってしまうということになるわけです。  そこで、このようにならないために、調査費の計上を今年度の補正予算で計上して調査を進めつつ、すでにはっきりと履歴がわかっている者については来年度からでも実施に入れるように来年度予算措置を講ずるなどの方法も考えられるのですが、このように来年度実施に向けてでき得る限りの努力をしていただきたい、これがみんなの考えでありますし、私もこのことを強くお願いしたいと思うわけです。  それから、政府と与党とまた国会の意思はもう一致しているわけですけれども予算という問題になる場合に、いろいろの問題はあるでありましょうけれども、どういう日程で結論が出せるのかということ、いまこれから話を進めていって実現の方向に誠心誠意努力するとおっしゃいましたけれども、そのめどというものについて長官の御決意を伺いたいと思います。
  271. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 御指摘のように、戦後三十四年の経過を経ておるわけでございます。しかも、日赤看護婦さんに対しまする処遇をいたしたというような現時点でございます。したがって、陸海軍看護婦さんの方々の御心境なり、それから実際に三十四年もたって老齢化され、あるいは御病気のために亡くなられるというような事態のあることも承知をいたしておるわけでございますので、各党の意向もわかりますし、概算要求というのが八月の末にあるわけでございますが、そういう点で、与党の自由民主党の内閣部会におきましても十分いま検討をしていただいておる段階でございます。  そういうことでございまするので、いま言われましたようなそうした問題点等を踏まえながら、私は誠意を持って厚生省と連絡をしながら対処してまいりたいと思っておるわけでございますが、残念ながら、大蔵その他とのまだ十分なこともできておりません段階でございますし、いまここで概算要求にはっきり予算を計上いたしますというようなことの御回答ができないことはまことに残念と思いますけれども、先ほどもお答えしましたように、誠意を持って対処してまいりたいということでおるわけでございます。
  272. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それでは、本論の給与関係ですけれども給与問題に入る前に、最初に定年制導入問題についてちょっとお尋ねしたいと思います。  人事院は、去る五月十八日、任用局長名で国公労連に対して、定年年齢については原則として六十歳とし、各省庁の人事管理等の実態により、人事院規則でプラス・マイナスする職種等を検討しているということだとか、施行については、各省の退職勧奨年齢との兼ね合いもあり、法律が成立した後主ないし五年の準備期間を設けることを検討しているとか、こういった八項目の内容を提示してこられたわけですが、国公労働者にとってはこれは大変な問題であるわけです。そしていま政府、財界などによってこの定年制導入というような問題でキャンペーンが全般的に張られている、こういう中で人事院がこういう定年制導入という方向を打ち出すと、人事院は一体政府の代弁機関ではないのか、それとも本来の公務員の利益を擁護する機関であるのか、ここにさかのぼって議論が生じてこざるを得ないのですけれども、その根本的な考え方を最初にお伺いいたします。
  273. 藤井貞夫

    藤井説明員 定年制につきましては、朝来もういろいろ申し上げてまいっておりますように、一昨年の暮れにいろいろな議論がございました結果、国家公務員についても定年制を導入するという方針が閣議決定を見ておるのであります。この決定に基づきまして、昨年の初頭に、総理府総務長官から人事院に対しまして、事は公務員の身分に関する重要な事項であるのでひとつ人事院意見を聞かしてもらいたいという書簡が参りました。それ以来ずっと検討を続けてまいっておりましたのは、その書簡を受けての一連の動きであるというのが正式のところでございますが、実は定年制というものは、これは民間でも大変普及している制度でございまするし、公務員段階でも特別職の関係、その他につきましては、定年制というものが一部には導入をされているというものでございます。それと、一般的に言って、退職管理の方法といたしましてはきわめて有意義な制度であるということは、これは間違いのないところでございますので、それなり観点に立って、人事院といたしましても種々の角度から検討をずっと続けてまいっておったところでございます。たまたま、いま申し上げましたような経緯がございまして、正式に人事院見解を聞きたいという御要請がありましたので、これに対してお答えをしなければならないということで、それ以来精力的に作業を進めてきたところでございます。  ところで、定年制というものは退職管理の一つの有効な方法であると申し上げましたが、それと同時に、身分にかかわる重要な事項でございますので、これは人事院としても大変な関心を持たざるを得ない事項でございます。ただ、この点は、定年制反対ということ、定年制に批判的であるということが人事院としての当然のたてまえであるかどうかということは、大変これは疑問のあるところでございます。有効な退職管理の一方法である、計画的な人事管理というものができる、それからまた、職場の活力の維持と申しますか、新陳代謝を図って行政の能率的な執行を確保するということも、これは人事院に与えられた一種の間接的な使命であります。そのために、有効な人事管理を展開しなければならぬ、そういう職責が担わされておるわけだというふうに解釈をいたしておるのであります。  そういう点から申しますと、最近における一般社会の高齢化現象というもののあおりをと申しますか、それとの関連というものが公務員の場合においては全く隔絶をするというわけにもまいりません。事実、高齢化というものが着実に進んでまいっております。そういう場合に、やはり計画的な人事管理というものを導入をしてまいりますることが、職場の能率的な運営というものを保証するということにもなりまするし、ひいては、やはり人事の計画的な運営の軌道が敷かれるということから申しまして、公務員自身にも一つの目標、自分の計画的な人生設計というものができる、そういういわば利点というものも、これは覆いがたいものがあろうかと考えられるのであります。そういう観点から、われわれといたしましてはいろいろな角度から問題を掘り下げて検討をしてまいりました。また、その間において各省の事情なり組合員の諸君のお考えなりというものも、いろいろの角度からつぶさにお聞きをしてまいったようなことでございます。  そういうものを踏まえながら、これに対してどう対処すべきか、内容としてどういうものが人事院としては現在の段階では望ましいものと考えるかということについて、取りまとめを現在行っておる次第でございまして、その段階におきまして大体の構想的なもの、これはまだ院議で決定したものではございませんけれども、構想といったものにつきまして各段階にお示しをするということも、一応の納得をいただく、意見を集約するという意味からも有効適切な措置ではないかということで、いまお話しになりましたような作業もあわせ行っておるというのが現実の姿でございます。
  274. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 全般的な話を、相当時間をかけて総裁なさいましたから、これから先は一言で答えていただきたいと思います。  公務員労働者も、憲法二十八条という観点から考えてみまして、労働条件労使対等の団体交渉で決定されるべきものであるわけです。とりわけ、退職条項のような重要な問題で、しかも雇用契約の重要な変更については、当然のことながら労使の交渉事項として扱わるべきでありますし、政府の一方的な決定によって押しつけるということは許されない性質のものであるというように考えます。国際的に見てみましても、ILO百二十二号雇用政策に関する条約の第一条には「仕事につくことができ、かつ、仕事を求めているすべての者に仕事を与えること。」こういう規定があるわけです。また、アメリカでは、昨年の四月に年齢による雇用差別禁止法改正法が成立して、同年の十月から連邦政府職員の定年制、七十歳であったものが廃止されるというふうになっております。さらに、本年六月に開かれたILO第六十五回総会では、年齢による雇用差別の撤廃を内容とする高齢労働者労働及び引退、これが議題として討議されているわけです。  定年制導入強行ということになりますと、これは憲法で保障された公務員労働者の労働基本権に真っ向から挑戦することになりますし、世界の趨勢にも逆行するものであって、絶対に認めるわけにはいかないと考えますが、そうした全般的な情勢に対して定年制を持ってくるということが、逆行する傾向であるということはお認めになるかどうか、お伺いします。
  275. 藤井貞夫

    藤井説明員 私たちは、必ずしもこれが世界の大勢に逆行する措置であるというふうには考えておりません。いままでのところ、わが国には公務員について一般的な定年制というものはなかったわけであります。民間には、それが大変な領域で普及をしておったというのも事実でございます。勧奨退職その他の実際上の措置がございましたけれども、それにも限界があるという場合におきましては、ある一定年齢に達したことによってその職を退くというような、そういう定年制の持つ退職管理の実績あるいは有効性というものは十分に尊重していいのではないかと思います。  ただ、その際に、いまお話しになりましたような世界的な諸情勢その他の問題については十分にこちらも注意をして、監視は怠っておりません。研究も十分いたしております。したがって、具体的な措置を出します場合に、年齢の基準であるとかその他の移行措置、また、実際にこれをやっていく際の暫定的な経過措置その他の面においては、十分公務員実態に即した弾力的な配慮を並行して講じなければならぬということは、十分にわきまえて考えてまいりたいと思っております。
  276. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 憲法の十五条で公務員が全体の奉仕者であるということを明言しておりますし、公務員が国民に奉仕する任務を持った労働者であるということもここから出てまいります。その上で、第七十三条では、内閣の職権として「法律の定める基準に從ひ、官吏に閲する事務を掌理すること。」こう規定して、その労働条件については法定主義であることを明らかにしているわけです。  公務の民主、中立、安定性を保障するために、公務員が安んじて公務に従事できるよう、身分の保障と安定が求められることは、国民主権を明確にした現行憲法の理念からいっても当然のことであります。だからこそ、国家公務員法第七十八条では、心身の故障のため職務の遂行に支障がある場合など、四項目以外の理由で本人の意に反して免職することを厳重に禁止しているわけです。公務の民主、中立、安定性、そして公務員の身分保障と安定性の必要を定めた国家公務員法の精神及び諸規定は、そもそも定年制とはこれは相入れない内容であるわけです。ですから、定年制を導入するというのは、私は現行の国家公務員法の制度の重大な改悪であるというように考えますし、導入の強行ということは絶対に認めることができないと思うわけです。  定年制などという重大な問題については、職員団体と徹底した交渉の上に立って、その合意を得て措置すべきことであって、一方的に導入を強行すべきではない。職員団体と徹底した交渉をして決めるべきものであるというように考えますが、そういうお考えを総裁は持っていらっしゃるかどうか、お伺いします。
  277. 藤井貞夫

    藤井説明員 基本的には、そういう考え方が正しいというふうに思っております。それでありますからして、いままで人事院段階においてこれから何らかの措置をするという、すでにその経過の過程におきまして、職員団体その他についても十分に接触を保って、その意見を十分に聞いておるつもりでございます。なお今後、その時点にまでもう少し時間もございますし、なおわれわれは労を惜しまずしてそのことの努力はしていきたいと思っております。  しかし、この問題につきましては、いまお話にも出ましたように、最終的には公務員の身分に関する重要な事項でございますので、これはやはり法律でもって御審議をいただかなければならぬ問題でございます。その過程においていろいろな角度からの御論議がなされるということは、当然の仕儀ではないかというふうに考えておりまして、その間においていろいろ労働基本権との関係、あるいはこれが制約を受けているがための人事院役割り人事院立場その他の点が総合的に論議対象になってしかるべきであるというふうに考えております。
  278. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 人事院は、定年制は強制退職の制度化ではあるが、それは、一面ではまた雇用保障にもつながるというような説明をされますけれども、それは制度的な裏づけもなく、定年制への幻想を与える不当な説明だと私は考えております。  なぜなら、政府はもちろんのこと、人事院ですら、定年制を導入した場合に、現在各省庁が実施しております退職勧奨制度、これをやめるということは一言も言っておりませんし、それどころか行政改革の具体化、とりわけ定員抑制政策によってそれを一層強化されているのが現実であり、強化されていくのがまた必至だというように考えられるわけです。また、今年度の人事管理運営方針の中でも、高齢者対策の強力な推進、退職勧奨の見直し等、年齢構成の適正化、これが重点実施事項として掲げられて、各省人事担当課長会議の中でも、人事院行政に関する関心事項として中高年の退職促進が強調されていることからも明らかです。  強制退職、首切りの制度化としての定年制の導入は、雇用保障という問題とは本来的には次元の違う問題であって、あえて雇用保障のためということを言うならば、むしろ定年制ではなくて、年齢による雇用差別の禁止、このことを制度化しなければいけないのだ、こう思うのですが、総裁見解を伺います。
  279. 藤井貞夫

    藤井説明員 雇用保障とは次元の違う問題であるという見方もあり得ると思います。直接にこの定年制自体が雇用保障を第一義的に目的とするというような考え方は私にもございません。しかし、他面においては、やはり定年制が軌道に乗った場合におきましては、その年齢の決め方にもよりますけれども、そういう雇用保障的な側面あるいは効用を発揮するということも、これは紛れもない事実であろうかというふうに私たちは認識をしておるつもりでございます。
  280. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に、週休二日制の問題ですが、この週休二日制の実施に当たっては、職場によっては増員しなければ正常な業務運営ができない。通常の業務運営をやろうとすれば、労働強化になったり、年休がとれなくなるというところも少なくないわけです。人事院は時短、週休二日の勧告に際し、こうした職場における増員問題についても言及するつもりであるか。それともその点は内閣にげたを預けて、後は内閣が考えることだという対処の仕方をするつもりかという問題です。  ことに病院施設などでは、増員しない限り週休二日制は実施できない。やろうとすれば至るところで無理が出てくる。インスタント食品を患者に与えるというような手抜きが出てこざるを得ない、こういうことがあるわけです。全医労が第一回目の試行の苦い経験から、増員なしの再試行絶対反対の声明を発表し、病院施設で再試行しなかったことは御存じのとおりであるわけですけれども、こうした職場については当然増員についても言及すべきであると考えますが、いかがですか。
  281. 藤井貞夫

    藤井説明員 この週休二日制というのは、私たちといたしましては、公務員労働条件勤務条件の向上、改善ということを第一義的なものとして受けとめておるつもりでございます。この点は二十八条関係になるわけでございまして、やはり勤務条件というものは社会情勢の一般に適応するようにこれは変更されなければならぬ。またそれに従って必要な勧告等も行われなければならぬというたてまえになっているものと考えるのであります。  そういう観点から言いますと、週休二日制の実施というものは、形はどのようなものであれ、機は熟した、やはり天下の大勢であると見ていいのではないかという観点に立ちまして、しかし、事柄はきわめて重大であり、そのために公務能率が低下をしたり、その他の国民に迷惑がかかるようなことがあってはなりませんので、そこは創意工夫を持ってひとつ利口なやり方で努力してやってもらわなければならぬというたてまえに立ちましてテストに踏み切って、そのテストを二年にわたってやったわけでございます。第二回のテストの結果につきましてもいま鋭意最後の仕上げをやっておりまして、いずれ日ならずしてお示しをすることができると思うのでありますが、この結果は、第一回よりもさらにその対象省庁もふえまして、大方のところでは、大体この程度のことであれば何とか処置ができるという答えが出ておるものと私自身も承知をいたしております。  ただ、いま柴田委員も御指摘になりましたように、問題のあるところはございます。特に全医労の関係いたしておりまする病院、診療所関係等は一番問題の多いところでございまして、それらのいろいろな事情というものも十分承知をいたしておるつもりでございます。ただ、制度の踏み切りをやります場合に、それらの問題を一切解決した上でないとすべてのことがやれないというのでも私は困るという考え方基本的に持っております。これは恐らく諸先生方もその点については御異論のない面も多かろうと思うのでありまして、そこはやはり何らかの踏み切りをつけなければならぬ。しかし、その踏み切りをつけるためには、そういう困難なところについては何らかの処置で、それらはこちらは知らぬぞ、人事院は知りませんよという冷淡なことをやるつもりはむろん毛頭持っておりません。  したがいまして、週休二日制をやるといたしましても、その採用形態、施行形態というものにつきましては弾力性を持って、要するに土曜日を週休二日に充てる、そういう一律的なことではなくて、振りかえその他のいろいろな手段を駆使いたしまして工夫を重ねていただいて、できる限り全体としての週休二日制の実効が上がるようなそういう措置について工夫を求めてまいりたい、そういう点についてはわれわれとしても十分な言及はしてまいりたい、かように考えております。  ただ、定員、予算等の問題は、これは試行をやりまする際の前提条件といたしまして、他の国民に対して迷惑をかけない、行政サービスの低下を来さないというような項目とともども予算、定員の増加は来さないようにするのだということを前提として掲げて発足をいたしておりますたてまえから申しまして、週休二日制で公務員が休むから、その分はまた増員で補てんをしていくのだというたてまえを前面に押し出すことは、これはなかなか困難な事柄でございます。しかし、そこは弾力的な運用、工夫によってできる限り全体としての週休二日制の実施段階に入れるようにわれわれとしては念願をいたしておる次第でございます。
  282. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 弾力的運用ということをおっしゃいましたけれども、現実に人手が足りなくなるというような場合においては、週休二日制の意見を出すような場合においては、その面についてもやはり意見を述べなければならないというように考えます。  第一回目の試行結果について、全医労はアンケート調査を実施いたしました。それによりますと、たとえば試行と業務との関係について支障を来したと回答した人が、病院で八三・二%、療養所で七三・三%、全体では七六・八%、多くの人が支障を来したと回答しているわけです。日常的な人手不足の中で、増員なしの二日制試行はかなりの範囲にわたって業務に支障を来したことを物語っておりまして、特に病院においてはその傾向が著しいわけです。こういう見解なのですが、いろいろな工夫をしてやったけれども、ほかの職員でカバーするとか、超勤手当もつかないのに超勤をしなければならなくなった、年休がとれなくなった、こういうこともあり、また仕事もおくれるということがこのアンケートの結果からわかるのです。そこで、試行結果と、再試行をやらなかった理由について厚生省から説明願いたいと思います。
  283. 田中健次

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  最初の試行は、御承知のとおり五十二年の一月から三月にかけて実施したわけでございまして、実は再試行を五十三年度において実施する予定でございましたけれども、最初の試行で、当初先生が申されましたようないろいろの問題が出てまいりまして、各施設では、そうした問題があるので再試行は非常に困難である、実施は困難であるという意見が強く、そうした点を踏まえまして再試行が実施できなかったという経緯でございます。
  284. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 病院施設というのは、患者や障害者など、人と人との触れ合いを大切にすべき部門であって、機械化になじまない分野であり、職員のチームワークによって運営が支えられているということは御存じのとおりであるわけです。そうしますと、病院施設については、当然勧告の中で増員問題に言及すべきであるというように考えます。内閣、特に行管としては、言及のあるなしにかかわらず、時短、週休二日制実施の勧告があった場合、こうした職場については定員の面で十分配慮しなければならないというように考えるのですが、この点につきまして、行管と総務長官見解をお伺いします。
  285. 加地夏雄

    ○加地説明員 週休二日制の問題につきましては、先ほど来お話がございますように、再試行の結果の取りまとめが現在行われておりまして、近くその結果が私どもに提出をしていただけるという状況でございまして、また一方、週休二日制の導入の問題につきましても、人事院の方でいろいろ御検討をいただいておるようでありまして、そういう段階で私の方から週休二日制についての具体的な問題を御答弁申し上げるのは差し控えたいと考えます。  ただ、御指摘の点は、仮に週休二日制を実施する場合に、病院、療養所等の現業機関について定員上の措置をどうするのだという仮定の御質問としてお答え申し上げたいと思いますが、私どもは、実はこの公務員の週休二日制の問題につきましては、一般的な考え方と申しますか、基本的には、今日の非常に厳しい情勢の中で週休二日制をやっていく場合に、そのために予算とか定員が必要である、ふやすということは、国民世論全体から見ましてもなかなか御納得がいただきにくい問題があるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。もちろん、国民に対するサービスの低下を来すことのないような、あるいは予算、定員の増加のないような形で行われることが望ましいわけでございますし、そのためには、現在の制度なり組織なり、あるいは運営全般につきましてそれぞれ見直しをしていただきまして、いわゆる合理化、効率化というものを図っていただくことによって実施をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  病院、療養所のような現場の問題につきましては、一般のデスクワークと違いまして特殊な事情はあろうかと思いますが、やはりそこにおきましてもいろいろな工夫なり、そういった努力をしていただくべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  286. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたします。  週休二日制につきましては、ただいま人事院総裁なり、行管の担当局長からも御回答があったわけでございますが、政府におきましても、大平総理自身、積極的にこの問題は対処してまいりたいという方針を述べておることも御承知のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、週休二日制の問題は、いままで試行、再試行とやってまいりましたその結果等を踏まえながら、先ほども論議中心でございました予算なり定員はふやさずにやっていきたい。これは社会経済状態、あるいは国民の世論等も踏まえてまいりますれば、そういう点にどう対処するかというような点、なおまた、行政サービスを落とさないように対処してまいりたい。これも人事院総裁から細かく御答弁があり、そういう点についていろいろ問題点のあることは私ども承知をいたしておりますが、そういう点を掘り下げて検討を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、人事院勧告が出てまいりまして、これに慎重に対処してまいりたいという考え方なり姿勢でおるわけでございます。
  287. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 その点は現実の問題でありますから、今後の政府の動き、やり方について、今後ともいろいろ注文をつけるということになろうかと思います。  時間が押し詰まってまいりましたが、ここで主題の給与問題でありますけれども、賃金水準について国公労連、国公労協など全国公は、平均四・五%、八千円程度の引き上げを最低限ぎりぎりの要求として掲げております。勧告水準については、民調結果が出ないと確たることは言えない事情はよくわかるのですけれども民間の七九年春闘相場、公労委が測定した、四月下旬時点で判断した民間賃上げ水準は五・六八%であって、昨年を〇・二八%上回るものとみなしております。こうした七九年春闘の賃上げ妥結状況から見て、公務員給与についても、昨年勧告の純賃上げ三・八四%を下回るようなことはあってはならない、多少ともこれを上回るものでなければ、官民較差の縮小を目指す給与勧告とは言えないというように考えますが、この点についての見通しをどのように持っておられるのか、お伺いします。
  288. 角野幸三郎

    角野説明員 お答え申し上げます。  現在、調査の真っ最中でございまして、全体の水準が非常に小さな枠組みになってまいりました当節におきまして、〇・一といえどもそこのところは非常に重要だという意味で、大変お答えのしにくいといいますか、どういうふうに思うかというようなことではとてもお答えのできないたぐいのものであろうと思います。  それからもう一点は、私ども調査水準を調べておりますので、本年度の瞬間の上がりだけではそういう細かい点についてはとても自信が持てないということもございまして、お答えしにくい問題でございます。ただ、大観して申せますことは、基本的には、先ほど来御質疑の中にもございましたし、お答えの中にも入っておりますが、五%を割るということは、去年のそういう例がございますが、それの延長であろうと思います。  そこで、水準比較から出てくる較差の問題につきましては、一昨年から昨年の推移が昨年の勧告になっております。それから、昨年からことしという持続の結果としての水準がことしの勧告になります。したがって、ことしの断面でありますとか昨年の断面でありますとか、そういう断面比較だけではとてもそこのところは想像できないわけでございますが、ただ私どもは、一昨年の状態が昨年の勧告の中に若干流れ込んでおるということの昨年であったということから、ことしはどうかなという心配が一部にあることは事実でございます。先生いま御質問の中にございましたように、去年に比べてことしの相場としては同じかやや上かというような面もございますが、そういう逆の面もあるということで、ふたをあけるまではわからないということでございます。
  289. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 官民較差をなくしていくという本来の基本原則を尊重してもらいたいというふうに考えます。  俸給表改善に関連しまして、公立幼稚園教員の俸給表の問題についてですが、これは昨年の十月十三日のこの委員会で、千葉県にある二十四カ所の公立幼稚園教員の例を挙げて、多くの地方自治体で、教員であるにもかかわらず教員の給料表が適用されないで、それよりも低いベースの一般行政職の給料表が適用されている実態についてお尋ねしたわけです。そのときに諸澤文部省初中教育局長は、好ましい事態ではないので改善に努力をすると答えられました。また、石山自治省給与課長も、市町村の事情で、教員給料表の適用は一部となっているが、適正に支給されるよう指導するということを答弁されました。  その後どのような改善努力がなされたのか、適正化のためにどのような指導をしたのか、改善指導の効果は上がっているのか、そうした問題についてひとつ両方から簡単にお答え願いたいと思います。
  290. 倉地克次

    ○倉地説明員 お尋ねの件でございますけれども、私どもといたしましては、先生の御質問がありました直後でございますが、昨年の十月二十六日に局長名をもちまして、公立の幼稚園の教員の給料表につきましては、国立の幼稚園の教員に準じて取り扱うようにという通知も出している次第でございまして、私どもとしては十分指導をしている次第でございます。  その後の推移につきましては、五十四年度の実態についての調査がまだまとまっておりませんので、何とも申し上げられない段階でございますが、私どもといたしましては、今後とも十分指導を徹底してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  291. 石山努

    ○石山説明員 公立幼稚園の教員に適用される給料表につきましては、さきにもお尋ねがございまして、そのときにも申し上げたわけでございますが、御指摘のとおり、公立幼稚園の教員につきまして、一般行政職と同一の給料表が適用されている市町村がまだかなりあることは御指摘のとおりでございます。  この問題につきましては、制度上どうあるべきかという問題があることはそのとおりでございますが、その実態を見ますと、小規模の市町村が多いわけでございまして、私どもが把握をしております地方団体の給料表の種類の実態を見ましても、企業職員でありますとか、あるいは技能労務職員等を除いたその他の一般の職員――一般の職員といいますか、その他の職員について単一の給料表しかないという市町村が相当数ございます。これは、五十四年の実態はまだ現在調査中でございますが、五十三年の実態で見ますと、そういうように企業職員等の職員を除きますと、単一の給料表が適用されている。したがって、消防職員でありますとかあるいは医師でありますとか、その他いろいろな職務を担当している職員がいるわけでございますが、そういうものを含めて単一の給料表が適用されている団体が二千市町村ほどございます。  したがって、この問題は、制度上の問題もございますけれども、そういう市町村の実態といいますか、そういう市町村は職員数から言いますと五、六十人から百人とかいったような市町村が多いわけでございまして、そういう市町村においてどういうような給料表を設定すべきかというのは、従来からの問題としてあるわけでございます。  この幼稚園教員についての給料表の問題というのは、教育職給料表ができましてからもうすでに二十数年になる、そういう意味においては非常に長い問題でございまして、さきにもお答えしましたように、そういう各市町村の給与実態等を十分に見きわめながら指導をしていくということが必要であろうと思います。そういうことでこれまで指導してきたわけでございますが、今後ともそういうような実態も十分見ながら指導を進めてまいりたいというように考えております。
  292. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 要するに、こうした事態は正常ではないわけです。このことは文部省も自治省も認めていらっしゃるわけですが、問題は財源措置ということになるかと思いますが、財源措置が必要というのであれば、来年度予算に計上するよう概算要求に盛り込んで、有能な人材を確保し、幼稚園教育を充実させるためにも速やかに適正化しなければならないと考えます。いま両省からお話を聞きましたが、それぞれ改善の努力をされるということ、そのための指導をされるということ、そういう考えであるというように承って、文部省、自治省に対する質問は終わります。  次に、賃金体系についてですが、まず原資配分の基本的な考え方についてです。  全国公などは、体系改善の基本線として、すべての賃金の基本となっている本俸部分の改善を最重視する、それから二番目に、具体的に本俸一律引き上げを最低に、青年層、世帯形成時、中堅層、標準世帯形成層、これを中心に若干の上積みを図る、三番目に、諸手当改善は扶養手当を重点に改善を図るということを統一要求として掲げているわけですが、賃上げ水準が低い中での配分の考え方としては最も妥当なものであると思うのですが、この点について人事院としてはどのように考えておられるのか、お伺いします。
  293. 角野幸三郎

    角野説明員 配分問題でございますが、勧告の配分につきましては、従来そうでございますけれども、その当年における民間の上下配分の傾向、それから手当としては、民間が過去一年間にどれが一番動いてどれが重点になるか、すべて民間調査の中に盛り込んでございます。  結果的に申しますと、昨年の場合は、いま先生が御質問の中でおっしゃいましたような、ちょうどそういう方向の配分になってございます。本年も、これから調査の結果を見ませんと正確なことはもちろんわかりませんが、大体民間一般給与制度の動きを考えましてもそう変化はあるまいと思いますので、大体昨年に似たような傾向で、本年も結果的には調査の結果が出るのではなかろうかと思っております。
  294. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 賃金決定基準について、とりわけ、標準職務表を改善して頭打ちを解消するという長年の懸案事項についてでありますが、一体いつまでに結論を出すのか、今後の具体的なスケジュール、段取りをもうそろそろ明確にしていい時期ではないかというように思うのですが、できれば、きょうここではっきりと、今後のスケジュールと段取りを明らかにしてもらいたいと思います。
  295. 角野幸三郎

    角野説明員 俸給表の等級格づけの基本になります標準職務表の取り扱いの問題でございますが、これは官職の分類なり評価の基礎が変わらない限りは動かせるものではない。これは俸給表よりももっと骨になるものでございます。俸給表の金額は毎年水準のいかんによって直しております実績がございますが、その基本構造の骨になりますもの自体は、これはなかなか動かないものだという考え方基本でございます。  それから、官民給与比較いたしておりますが、公務員民間という職務の責任の対応罪常にむずかしいもののその対応のメジャーになるのが、またこの標準職務のメジャーそのものでございます。したがいまして、これを動かすということは、いろいろな影響とか結果を考えますと、そう簡単にはできないものでございまして、私どもも、職務の分化とか職員の分布とか処遇上の観点も含めて総合的にいままで検討しているということは事実でございます。たとえば勧告段階において、現在公務員の分布がどうなっておって職務の分化がどうである、民間がそれに対してどうであるというのが一番わかる状態が現在でございます。したがいまして、こういう時期に総ざらい的にどうなのかという検討をするというようなことで組合の諸君にも言って、ここまで来ておるというのが事実でございますが、検討につきましては、そういう基本問題でございますので、また影響の非常にある問題でございますので、ここでそれをいつということは明言できないのは残念でございますが、いずれにしても、そういう検討を詰めておるということは事実でございます。
  296. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 まだたくさん尋ねたいこともあるのですけれども、時間が大分オーバーしましたので最後に一つ。  調整手当の問題ですが、この調整手当につきましては、現行の支給地区分は昭和二十七年当時のままで、その後の社会経済情勢の変化によって現行の区分は矛盾だらけであります。特に千葉県など大都市周辺では民間賃金や物価、生計費が大幅に高騰しているにもかかわらず非支給地のままになっているということなど、さまざまな不合理があります。支給地区分の不合理性については、既得権を侵害しないことを前提にして見直す必要があると考えます。特に千葉県など大都市周辺については、支給地区分是正に至るまでの暫定措置として官署指定を行うということ、それから現行の官署指定基準は現状にそぐわないので是正するということ、こういったことを要求してまいりました。  これは去年の八月十五日の当委員会ですが、これに対して藤井総裁は、特に千葉の場合、調整手当制度実質上凍結して以来非常に顕著な経済社会の変動があるので、慎重な配慮のもとに検討していきたいと答弁されました。人事院給与局長も、そういう点でよく検討したいという答弁をなさいました。その後どのような検討をされたのか、今後どうするのか、この点についてお伺いして終わりたいと思います。
  297. 角野幸三郎

    角野説明員 調整手当問題は、昨年の民間調査の中で取り入れて調査をいたしておりまして、三年に一回くらい高さの調査をいたしております。本年は取り上げておりません。調査の中へ入れておりませんので、その観点において、そういう点は昨年それでよろしいということで、恐らくことしの勧告の中では触れないということになろうかと思っておりますが、地域問題の中で、特に行政区画は原則として動かさないという国会の御決議がありますし、それで残されておりますのは、ただ微修正としての、その境界に近接しておる、すなわち限られたところのかつ同種のような条件にあるところに限っての問題がやや残っておるということでございます。  いま先生から昨年の経緯について御質問の中でお話がございましたが、大都市周辺問題として千葉でありますとか埼玉でありますとか、その辺に問題があることは十分承知をいたしております。官署指定と言いますと線でなくて点でとらえるという関係になりますが、それについても個別にということではありませんで、やはりそういう基本のルールを置いて、それに合格するということで点を入れるということにせざるを得ないと思いますので、そういう点について昨年来、大都市周辺について特に官署指定になじむような、しかも官署移転のような非常に気の毒な場合にはどうなのかということの上で検討しておるということでございます。
  298. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 全般的な不合理が出ているわけですから、これも積極的によくなる方向で検討してもらいたいと強く要望しておきます。
  299. 藏内修治

    ○藏内委員長 中川秀直君。
  300. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 総裁初め皆さん、長い審議になりまして本当に御苦労でございます。  私、簡単にお伺いいたしますので簡潔に御答弁を願いたいと思うのですが、午前中来質疑が行われた中に、今度の人事院勧告とほぼ時期を同じくして週休二日制並びに定年制導入の問題について人事院見解というか考え方をまとめて、総理府総務長官に拝復で回答するということ、あるいはその見解発表するということが御答弁にも出ているわけでございますけれども、この問題二つだけにしぼってお尋ねをさせていただきます。  私たちは何回も当委員会でも申し上げているわけでありますけれども、簡素で効率のよい政府を目指す、また目指さなければいけない、こういう基本的な立場を持っておるわけです。週休二日制、定年制導入、いずれも働き過ぎと言われる日本人のそういう海外からの非難にこたえるためにも、あるいは労働福祉といいますか、公務員の生活の質を高めるという観点からも、あるいは雇用確保という観点もあるかもしれませんが、当然実現されてしかるべきものだと思っているわけであります。  しかし同時にまた、そのことと、たとえば週休二日制でサービスが低下をする、あるいは公務員が大幅に増員をされるということとストレートに結びついてしまうことには私どもは反対であります。また定年制導入が、そうはならないと思いますけれども、総額として人件費の増額につながっていくとか、行政能率の低下につながっていくとかいうのであるならば、このつながり方も私どもは反対をしたい。  そうではなくて、そういう福祉面の週休二日制、定年制導入の持つ意味合いと、それから最初に申し上げた予算効率といいましょうか、まさに簡素で効率のよい政府を国民の期待にこたえてつくっていくというこの絡み、この両立、大変むずかしい問題だとは思いますけれども、ぎりぎりの両立を図ってもらわなければいけない、こう思っているわけでございます。これについて総裁の御見解がございましたら、まずお伺いをしたいと思っております。
  301. 藤井貞夫

    藤井説明員 御指摘になりましたように、効率的な政府、効率的な政治の実現というものは、民主政治のあるいは民主行政の国民的な要請であります。政府といたしましても、基本的に、その実現には第一義的に取り組んでいかなければならぬ永遠の課題であろうと思っております。したがいまして、人事院といたしましても、その基本線というものはあくまで堅持をするという態度でもってすべての事柄に対処していかなければならぬというふうに考えております。  それと、いま問題になっておりまする定年制なり週休二日制の問題というのは、いろいろ世間一般の動向というものもございますし、また世界的な動向というもの、あるいは批判というもの、そういういろいろな絡み合いがございますけれども、私たちといたしましては、特に週休二日制ということについては、公務員勤務条件の改善、向上ということの目的達成ということを大きな柱として把握していきたいという態度事柄に当たっておるつもりでございます。  ところで、そうは申しますけれども、いま御指摘になりましたように、効率的な運営ということと、いま申し上げたこととを絡み合わせて、同時にその目的を十分に達成するということはそれほど容易なことではございません。これは大変むずかしいことで、それなりの真剣な努力をしませんと、言うだけのことで、きれいごとに終わってしまいます。それであってはならぬと私たちは思っておるわけであります。しかし、そうかと言いまして、いまこの段階で週休二日制をやるけれども、そのためにはみんな目をつぶって、従来のサービスなり何なりというものを持続するためにはどうしても予算がふえる、定員が増加するということで、これはしんぼうしてもらわなければならぬということではとても通らないと私は思うのです。その点は、大きく言って行政的な、政府の効率的運営ということにも真正面に矛盾をしていくというか、障害が生じてくるという問題にかかわってくると思います。  したがいまして、その両者の調整を図るという意味からも、たとえば週休二日制についても、先刻来申し上げておりますように、国民に対するサービスは落とさない、効率は下げない、同時に定員あるいは予算はできる限りの内部的な努力、工夫を講ずることによってそういうことはやらないで事柄を達成していくということが大目的でなければならぬということで、このテストを行う際にもそれを基本原則にいたしております。したがって、その点はこれを改めるつもりはございませんで、次のステップを踏みます場合におきましても、基本線はあくまでも貫いてまいりたい、それをたてまえにいたしたいというふうに思っております。  ただ、いろいろ先刻来もお話が出ておりますように、部門部門では大変むずかしい局面に遭遇しなければならぬ部局があろうかと思います。それも、なお私たちといたしましては物申す際に申し上げたいと思いますが、一律的なことでなくて、弾力的な運用その他の工夫を加味することによって、できる限りそういうことが達成できるようにひとつやっていただきたいということをお示しをいたしたいという覚悟でございます。
  302. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 了解いたしました。その考え方での御見解が示されることを大いに期待したい、このように思います。  そこで、ひとつ具体的に、いままでの試行の中から週休二日制の場合にどのような問題があったのか、あるいはどのような問題が生じそうなのか、ちょっとお伺いをしてみたいと思います。たとえば完全週休二日と言ってもすぐはなかなかむずかしい面がたくさんあるでしょう。言うところのいわゆる四週五休制というものがとりあえずの案になるかもしれません。私はそれはわかりませんが、この四週五休制の場合に、いままでの試行段階ではサービスの低下があったのかどうか、あるいは増員をしなければならないということになったのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  303. 金井八郎

    ○金井説明員 三月に終わりました試行の結果につきましては、近く結果を明らかにいたしますけれども、第一回目と二回目の試行を通じましての検討の過程におきまして気がつきました点から、お尋ねの点について申し上げますと、まず少人数の官署だとか職種、あるいは専門業務担当の職員、緊急事態が生じたときの担当職員、そういうような職員につきましてなかなか試行上支障があった、こういうことがございます。ただし、それに対しましての対応策というものも一応それぞれ各省庁で工夫、努力をなされておるわけでございまして、その結果が、集約いたしますと、いわゆる実行率と申しまして、実際に予定どおりに職務専念義務が免除された比率が出るわけでございますけれども、第一回目の試行におきましては、平均いたしますと全体で約九五%、今回につきましても、細かい数字はまだはっきりは出ておりませんけれども、大体その程度ということになります。  そういうことから見ますると、サービスの低下が全くないとは言えないかもしれません。というのは、一〇〇%あればこれはなかったということに見てもいいかと思いますけれども、九〇%台でありましても若干それは支障があった、しかし、それはサービスの低下という形であらわさないで、結局実行率の形から言いますと、試行をしなかったという形であらわれているわけです。これは御承知のように、第一回目の試行では、試行期間が官署ごとに申しますと約三カ月、今回も大体四カ月を限度としております。したがいまして、その期間の中でいろいろ運用したわけでございますので、たとえば先ほど申しましたように、緊急事態が発生したということになりますと、サービスを低下させないために試行は取りやめ、こういうことにしたわけでございます。  これは、先ほど総裁が申しましたように、われわれの検討といたしまして、弾力的な運用ということを図る場合に、これを三カ月、四カ月という期間ではなしに、たとえば年間というふうにとりますれば、官庁の業務の中ではおのずから忙しいとき、若干忙しくないときということもございますので、そういう点をいろいろ弾力的に運用するという趣旨でございまして、そういうことを図って今後行政サービスの急激な変化というものはまずないようにしていきたい、こういうふうに考えております。
  304. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 いまの御答弁に関連をいたしますが、人事局長いらっしゃるのでちょっとお伺いをしたいのです。  週休二日制については総理府人事局としてもいろいろ御研究、御検討なさっているはずでございますけれども、増員をする必要が生じるかどうかというところあたりについて、何らかの御見解をお持ちなんですか。
  305. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 ちょっと最後のところよく聞こえなかったのですけれども、試行それから再試行の段階におきましては、先ほどから御答弁等がありますように、行政サービスの低下を来さない、それからもう一つの柱として予算、定員の増加をしないという大方針のもとにやってまいったわけでございますが、人事院勧告等がありまして本格実施を検討する場合におきましても、基本的にこの二つの命題というものは当然に掲げなければならないというふうに私は思っております。したがいまして、いま増員のお話でございましたけれども、これは業務の運営の工夫等によりまして、そういうことなしに本格実施に移るべきものだ。まだ人事院勧告が出ない前でございますので、また政府の方針が決まっているわけでございませんので、そこまで申し上げるわけにいきませんけれども、方向としてはそういう精神でやらなければならないというふうに思っております。
  306. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 先ほど来当委員会でもいろいろ御指摘があったようですけれども、現業部門といいますか、現業部門というのは正確じゃないかもしれませんが、医療あるいは公安、治安の関係の仕事、あるいは法務省関係の仕事、こういうようなところで定員をふやさなければ四週五休もむずかしいのではないかという反論といいますか、御意見があるというようなことが指摘をされているわけですけれども、その点についての御見解を私先ほど聞き漏らしましたので、どういうふうな御見解でいらっしゃるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  307. 金井八郎

    ○金井説明員 試行におきましていろいろ工夫をいたしましたのは、実は試行の前提として予算、定員の増ということをしないで、現状の形で工夫をしようということでスタートしたわけでございます。この精神はずっとそういうことで来ておりますので、私どもも、各省庁の中には、今回の試行の終わりに際しまして、若干何らかの措置をしてもらわないとなかなかできにくいという言い方をされているような省庁があるように承知しております。  しかしこれは、今後とるべき施策の内容といたしまして、どの程度の厚みのものをやるかということとの兼ね合いもございます。先ほど来お話に出ておりました、公務員につきましてもとにかく何らかの形で早期に週休二日制を実現すべきだという立場に立ちました場合には、そう中身の厚い形ということはできないと思います。そうしますると、四週五休ということに仮定いたしますれば、四週間の間に一土曜日でございますから四時間でございます。ということは、年間にしますると全部合計いたしましても六日間でございます。そういうことでございますと、現在の官庁の中の業務でいろいろ事務の合理化なり簡素化とか手続の改善とか、そういうことを試行を通じ、あるいは今後も工夫していただくということになりますれば、すぐこれが増員に結びつくということにはならないのではないか。  特に問題があるとしている省庁の中には、私ども承知しているところでは、週休二日制のために増員ということなのか、もともと固有業務として定員状況がきついというのか、そういうものもあると思うのです。ですから、その辺のところも今後十分に詰めまして、そういう省庁についてはそれなりに運用の段階で弾力的な手法その他をこれからさらに研究、工夫いたしまして、サービスの急激な変化ということがなしに、しかも大幅な増員なんということは考えないという形でやっていきたいというふうに考えております。
  308. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 私もいまの御見解を強く支持したいと思います。まだこれから示されるわけですから、それを拝見してからまたいろいろお尋ねをいたしますけれども、そのような方向で、これは行政の簡素化ということとあわせて、行管あたりともいろいろ御協議をされて、当初の目的、福祉の面でもあるいは行政簡素化という面でも両立をさせていく、その中で位置づけるということをあくまで最後までお貫きを願いたい、このように思うわけであります。  その際、もう一つだけお伺いしておきますが、週休二日制を本格的に導入するということになると、公務員の職務時間の根拠となっている給与法、これを日曜日以外の平日でも休めるように改正をする必要が出てくると思います。将来そのような給与法改正というものに踏み切るのか、あるいはそれ以外の人事院規則の改正といいますか、そういうもので暫定的な措置をおとりになるのか、その辺については結論がだんだん固まってきたのでしょうか、いかがでしょうか。
  309. 藤井貞夫

    藤井説明員 まだ確定的なところにまでは至っておりませんが、現在における私の考え方といたしましては、やはり制度を本格的にと申しましても内容は非常に薄いものでございますけれども、そこに移行するという際には、やはりこそくなかっこうではやるべきではないではないかという基本線に立っておりまして、そういう意味から言って、法律の改正、真正面の本則の改正か附則の改正になるかというそういう形式論はございますけれども、いまいみじくも御指摘になりましたように、恐らく給与法の改正というような線で御勧告を申すというような線が出てくるのではないかと思います。
  310. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 わかりました。  それでは、長い審議でお疲れでございましょうから、次の問題に早速移らせていただきますが、定年制の問題に移る前に、昨年の人事院勧告でも出ましたいわゆる高齢層職員の給与の問題。  いわゆる民間との比較を見ましても、五十五歳以上の公務員は、公務員の方が給与ベースが高い。六十歳を超すと二六%も公務員の方が高い、そのいう官民の年齢階層別給与較差というものが出たわけであります。そして昨年の人事院勧告では、これに関連をして「昇給の停止を含め、」「早急に適切な措置を講ずる必要がある」こういう勧告の表現であったと思うわけでありますが、その際、昨年の当委員会総裁は「高齢者に対する昇給停止あるいは昇給延伸の強化等の措置と、それから俸給の調整額についての改善の措置というものは、それぞれ具体的な目標を若干例示をいたしまして「早急に」ということにいたしております。その含みは、「早急に」というのは、普通の役所で使う文言と同じようには私は考えておりませんで、次のステップはできるだけ早く実現に移すという含みをそこにあらわしたつもりでございます。そのことは、必ず来年」――来年というのはことしでございます。「来年の勧告までには、勧告時に合わせてということまでここで具体的に申し上げることは少し行き過ぎでありますから、その点は若干ぼかして申し上げますが、気持ちとしては、じんぜんとして待つつもりはない、それははっきりと申し上げておきたい」こういうことをおっしゃったわけでございます。このことは、いま私が触れているこの問題は、今度の人事院勧告に向けてどのようなお取り扱いになるのでございましょうか。
  311. 藤井貞夫

    藤井説明員 いま、昨年の私の答弁として申し上げましたことをお読み上げになりましたのですが、その姿勢、基本的な態度はそのとおりでございまして、今度の勧告時において何らかの結論を出したいと考えまして、いま鋭意その面についても詰めをやっておる段階でございます。
  312. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 ここで総裁は「昇給停止あるいは昇給延伸の強化等の措置」「俸給の調整額についての改善の措置」こう比較的具体的におっしゃっておる。また、昨年の人事院勧告でも「昇給の停止を含め、」「適切な措置」こうおっしゃっている。  二年ほど前になりますか、当委員会で当時の西村行政管理庁長官と私質疑応答をいたしまして、地方自治体等でもたしか十五都府県あたりでもうすでに採用している、いわゆる六十歳を過ぎたら定期昇給をストップするとか、あるいは退職金の割り増しをやめるとかというような、実質的な意味の定年制を国家公務員についても考えたらどうかということを申し上げたわけでございます。それに対して、当時の西村行政管理庁長官が、できるだけ早くやりたい、五十四年度には法制化をしたい、そういう御答弁がございました。このことと、人事院勧告で、先ほどお話しした、昨年の御答弁のような方針で何らかの適切な措置を、今度は次のステップとして示すのだというこの高齢層職員の給与問題と、私は相当深い関連がある問題だと思っているのです。  私としては、前のそういういきさつもございますので、できるならばある年限を切って、六十歳なら六十歳という年限を切って定期昇給のストップとか、あるいはさらに踏み込んで退職金の割り増しの停止とかというのまでいっていただいたならば、これはある意味で、定年制の議論に入る前に、すでに地方自治体がやっている実質定年制に近い、そのものに近づいていくような気がするのです。これは私の私見をいま申し上げたのですが、この点について総裁はどのような御見解をお持ちですか。
  313. 藤井貞夫

    藤井説明員 高年齢職員の給与についての昇給停止あるいは昇給延伸の措置あるいは調整額の取り扱いということは、昨年の勧告に際しての報告での人事院の実は約束事項でございます。検討するのだ、早急に結論を出すのだ、そのつもりであるということを明確に述べておる、述べたつもりであるというふうに私たちも解釈をしておるのであります。その線に沿って過去一年にわたって、大変これはしかしむずかしい問題ではございますけれども、それだけにいろいろ手数を踏んでいく必要もあるというようなこと、また別の意味では既得権的なそういう考え方もなきにしもあらずであります。そういうことで長年やってきたという事実もございますので、そういう点を十分配慮をして事柄を慎重にやっていかなければならぬということで、一年かけていままで努力をしてまいったつもりでございます。  そこで、いまここの段階で、勧告の前に具体的な内容を申し上げることには至りませんが、また差し支えがございますので申し上げませんが、その点はやはり答えを出したいというふうに思っております。したがいまして、われわれとしては、高年齢層の給与対策というのは、公務部内の給与配分ではございますけれども民間との一種較差というものの是正といいますか、民間対応を実現するという、そういうことにも絡み合います給与の問題、プロパーの問題でもあるわけです。そういうような点を踏まえまして、それが出れば、実質的にある程度いわゆる定年制をしいたと同じような効果が部分的には達成できる面が出るかもしれません。  しかし、それはそれとして、関連は十分ございますけれども一応別個の取り扱いとして、去年いわばお約束をした事柄をことし具体化するということ、その線でいま鋭意進めておるということを申し上げておきたいと思います。
  314. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 その際、お立場はよくわかりますから、一般論としての御議論をお伺いしたいのですが、退職金割り増し制度というのが現在ございますけれども、六十歳になると適用除外をするというようなことは、これは人事院の範囲ではなくて総理府人事局、あわせて同じようなことをお考えになるという御方針はないでしょうか、お考えはないでしょうか。
  315. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 退職金の問題はいろいろございますけれども官民のレベルの比較というのが基本的にあるわけでございまして、その点につきましては、昭和四十八年でございましたか、その改正のときにもそういう調査をした上で法律改正をお願いしたわけでございます。その後数年たちましたので、現在人事院の方にこれも御依頼を申し上げまして、民間退職手当調査をしていただいております。その結果はまだ参っておりませんけれども、それを見まして、そういうレベルの検討は当然しなければならないと思っております。  その際、いろいろな制度的な問題で、割り増しその他の点につきましても、これは制度の中身の一つの問題としてこれからも常時検討していかなければならないと思いますけれども、いま高年齢のお話が出ましたので、たとえば人事院給与勧告等におきまして高齢者の給与についての御指摘がございますと、それは必然的に退職手当にも反映するわけでございます。現在、公務員退職手当の場合には、在職年が三十五年という制限がございますので、それ以上は三十六年になろうが三十七年になろうが、要するに、年齢が高くなりましても、それは頭打ちになっております。もう一つの要素としての俸給月額でございますが、その俸給月額について手当てが加えられるとすればおのずから退職手当についても問題が波及してくるということでございます。いずれにいたしましても、そういう問題を含めまして、これからも勉強してまいりたいと思います。
  316. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 ちょっとこの問題、もう一度後で長くなりませんが触れさせていただきますけれども、定年制導入についての人事院総務長官に拝復と言って出される御見解、その内容をいろいろ推定をするわけでありますが、その一つの骨子は、たとえば国家公務員一般職の定年を六十歳を原則とする、これが一つの柱で、二番目は、ただし職種によっては実務の特殊性や現状を考慮して延期することができるようにする、その辺で柔軟性を持たせる、一応導入の時期は五年後をめどにやろうではないか、こんなことが恐らく人事院がお示しになる御見解ではなかろうかと推定をする人がいる。これは大人の推定なのか、当たっているのか当たってないのか、この推定自身については、総裁どんな御感想をお持ちになりますか。
  317. 藤井貞夫

    藤井説明員 いまの段階でございますので、大変手がたいようなことでございますけれども、この席上でいまの段階で内容にわたって申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いまお述べになりましたことは、全体をながめた場合に、方向として大人の推測であるということだけは申し上げておきます。
  318. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 当然のこととして、六十歳の定年制ということになれば、その実施の段取り、方法はまあ時間もかかる、一定の経過期間がなければなかなかそうすぐ実施というのはむずかしい。それから省庁や職場によってやはりいろいろ事情もある。そういうことからいまのような推定が出てくるし、それなりにそれはかなりそうだなという感じがするのでお伺いをしたわけでございます。  そこで、先ほどの問題に返るわけでありますが、もし六十歳定年制というものが実施された場合に、勧奨退職という制度は廃止をされるべきなのか、それはそれとして残しておくべきなのかという議論が当然出てくると思うのです。昭和三十九年の臨時行政調査会の答申では、六十歳を基準として定年制を実施すべきだ、第二点として、その実施とともに勧奨退職の制度は廃止すべきだと、こう出ておるわけです。この答申については、総裁どのような御見解をお持ちですか。
  319. 藤井貞夫

    藤井説明員 その答申自体はむろん私も読んでおりますし、いろいろな有識者が各方面から深く掘り下げて検討された結果でございますので、整合性のある答申といたしましてそれなりに評価はいたしております。それともう一つ、この勧奨退職というのは、これは所管のことをまた申し上げるとおしかりを受けるかもしれませんが、勧奨退職ということになりますと、これは実は私の方の所管でない、総理府の所管ということに相なります。  ただ、感想として求められてどうであろうかというふうなことで気軽に申し上げさせていただくことが許されるならば、これは決定的なことではございません、感想としてということであれば、私はこういうふうに思います。  たとえば、いまお述べになりましたように、仮に一般的な定年年齢というものが六十歳、これは政府が一般の労働界にも呼びかけていることですから、そう信憑性のないことではないわけです。そういうような意味で、仮に六十歳ということになりました場合においても、それが六十歳になれば、制度ができてしまえば、後は全部黙っていても六十歳までいってしまう。そこまで放置して、それでいいのだということにいくだろうかどうだろうかということが出てくると思います。現在でも、これは十分先生御承知のように、課長さんその他ではもっと若くても、それからそうでない方方でも、場合によっては六十歳とかなんとかいかないで、それ以前でおやめになっておる。またそのときの都合で、こういう職場があるがどうかというようなことで、勧奨ということが事実行われております。そのことが職場の刷新なり何なりに非常に貢献があることは事実でございましょう。そういう面もございますので、私自身といたしましては、仮に定年制というものが打ち出されましたとしても、形はいまのままでいいとかなんとかということではございませんが、しかし勧奨という制度、これは定年ができたのだから一切後はお手上げというか、そういうものは一切廃止だという割り切り方はいかがなものであろうかという感想を持っております。
  320. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 人事局長、この点いかがですか。
  321. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 勧奨退職は別に総理府の所管ではないわけでございまして、各省の任命権者がそれぞれの実情に応じて行う自律的な行為でございます。勧奨退職というのは、そういう組織実態において必要に応じて任命権者が行うことでございますので、定年制というものが仮にしかれました後においても、勧奨ということは当然残るだろうというふうに私は思います。
  322. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 よくわかりました。私も同じような感想を持っておるものであります。  そこで、先ほどの問題に、また同じようなことになりますが返るわけですけれども、人事局長、私ちょっと先ほど申し上げましたが、現在ございます五割増しというような退職金の割り増し制度の適用除外、たとえば完全定年制というもの、六十歳定年制が施行される前に、いずれにしても、これは推測が当たっているかどうかわかりませんが、ある一定の五年なら五年という経過期間があるわけですね、その経過期間のうちから、たとえば人事院がこの夏の人事院勧告で高齢職員の、特にたとえば六十歳以上の高齢層職員の昇給停止というような勧告を出すのにあわせて、退職金割り増し制度の適用除外ということもおやりになったら、実質的な定年制というのはより実のあるものになる。そういう経過期間があって、今度は定年制がこういうことですよ、しかし、定年制があっても、退職勧奨はまたそのまま残る、これが一番スムーズないい案のような気が私はするのです。これについて人事局長、どのようにお考えになるか、御見解を承りたいと思うのです。
  323. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 いまの勧奨退職あるいは勧奨の割り増しのお話でございますけれども、これは定年制ができた後の話、あるいは定年制の勧告が出て、あるいは五年後、三年後の準備までの話、いろいろ微妙な問題がございまして、どういう形になるのが一番あるべき姿なのかということにつきましては、いろいろ中でも議論をいたしております。いまの段階におきましてはまだそういう勧告も出ない前の段階でございますので、内部でいろいろ研究はしておりますけれども、これといった方向を見出すまでには至っておりません。引き続いて検討したいと思います。
  324. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 またうんと前の答弁に返って恐縮ですが、五十二年十一月十七日当委員会で、先ほどお話ししたように、西村国務大臣は、私がいま申し上げている実質的な定年制、いわゆる退職金の割り増しを六十歳からやめる、定期昇給は一切行わない、このことについて五十三年度に実施をして、五十四年度には何らかのかっこうで法制化をしたい、こう御答弁をなさった。それに対して人事局長、当時秋富さんでしたが、その方向でよろしゅうございますかと聞きましたら、人事局また総理府として、この問題についてはすでに五十二年三月から取り組んでおるわけでございますが、行政管理庁長官からのお答え、そのとおりでございまして、さらに行政改革の一環としましても十分積極的に検討を進めていきたいと考えております、こういう御答弁が出ておるわけであります。そういう答弁もかつてあったのだ、これをおなかに十分入れていただきまして、内部で検討はしておるというだけにとどまらず、前の局長は方向を出しておられるわけですから、さらにひとつ方向を出して御検討を賜りたい、このようにお願いをしたいと思うわけであります。  最後になりますが、任用制度の改革についての御議論も昨今あるようであります。いわゆる事実上上級職試験の合格者しか参加できなかった幹部職への登用に初級、中級職合格者も平等に参加できるチャンスを与えようという、こういうような改革のねらいであると伺っておるわけでありますが、これは人事院としてあるいは総理府としてどのようなお取り扱い、お取り組みになっているのか、その現状をお伺いしたいと思います。
  325. 長橋進

    ○長橋説明員 お答えいたします。  最近の高齢化あるいは高学歴化の現象というものは、任用の採用試験におきましてもいろいろと影響を及ぼしてきております。ことにこれからの任用管理、在職管理の中の任用管理というものを考えますと、職員の士気の高揚を図らなければならないということもございますけれども、何と申しましても、やはり能力のある人間を選抜してその職につけるということ、結局はそれに尽きるわけでございます。ただいまのところは、従来からのいろいろな慣行もございまして、何か採用試験のときに受けてきた試験種目によって将来の安定を保障されておるようなかっこうになっておりますけれども、やはりこれではいけません話でございまして、機会を均等に与えて、つまり職員の研修、これは養成でございますが、研修教育でございますね、それから潜在的な、自己の持っておる能力を顕在的なものにする場所というものでございますけれども、やはりこういった機会というものを均等に与えていかなければならないというふうに考えております。  現在、入り口のところでございますけれども、採用試験は人事院が全面的な責任を持ってやっておりますが、昇進管理になりますと、現在のところ各省庁の任命権者にゆだねておるという状況でございます。もちろん、その中で課長以上につきましては、これは大体行政職約四千ございます、人事院の審査対象になっておりますのは四千で、大体審査をしておりますけれども、挙げて任命権者の選考にゆだねておる。もちろん、任命権者の方々はそれぞれの能力に基づいて昇任を図っておられると思いますけれども、先ほど申し上げましたような見地から、昇任制度も含めまして任用制度につきまして、やはり前進した形の公平なルールづくりをしなければならぬじゃないかということでございまして、任用局の中で、部内でございますけれども委員会などを設けましていろいろ検討をしておるというような状況でございます。
  326. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 先ほど定年制のところでちょっと間違えまして、勧告と申しましたけれども、先ほど来の人事院の御答弁で、それは訂正させていただきます。  それから、いまの問題でございますけれども、任用制度自体所管人事院でございますので、特別申し上げるあれはありませんけれども、各省の具体的な人事管理の総合調整的なことに携わっております人事局といたしましては、やはり本来の能力主義あるいはメリットシステムというものが生かされるような昇進制度、昇進の実際の具体的な中身であるべきだというふうに思っております。
  327. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 その方向で御努力していただきますようお願いをして、私の質問は終わります。ありがとうございました。
  328. 藏内修治

    ○藏内委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十分散会