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1979-05-31 第87回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月三十一日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 石野 久男君    理事 加藤常太郎君 理事 左藤  恵君    理事 宮崎 茂一君 理事 渡辺 秀央君    理事 久保  等君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 青山  丘君       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       長谷川四郎君    廣瀬 正雄君       堀之内久男君    村上  勇君       阿部未喜男君    鈴木  強君       武部  文君    大野  潔君       田中 昭二君    竹内 勝彦君       武田 一夫君    中井  洽君       藤原ひろ子君    伊藤 公介君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 白浜 仁吉君  出席政府委員         外務省経済局長 手島れい志君         郵政大臣官房長 林  乙也君         郵政大臣官房電         気通信管理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君  委員外出席者         通商産業省通商         政策局国際経済         部国際経済課長 守屋 一彦君         自治大臣官房企         画官      吉田 弘正君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山内 正彌君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   堀 四志男君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   橋本 忠正君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     武富  明君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         総務室室長)  片岡 俊夫君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   竹内 勝彦君     武田 一夫君   小宮 武喜君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   武田 一夫君     竹内 勝彦君   中井  洽君     小宮 武喜君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和五十一年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書  逓信行政に関する件(日本電信電話公社の資材  調達問題)      ————◇—————
  2. 石野久男

    石野委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。久保等君。
  3. 久保等

    久保(等)委員 私はこの機会に、かねがね問題になっておりますガット東京ラウンドに関しまする問題で、特に電電公社通信機材調達問題が、本年に入って以来いろいろな曲折をたどりながら、近々訪日をすると言われておりますストラウスアメリカ代表との間において結末がつけられるのではないかと伝えられております。したがって、非常に重要な段階を迎えておると思うのですが、特に四月下旬、日本東郷駐米大使アメリカストラウス代表との間における会談が持たれました。それまで日本側として、われわれとしては非常に不満というよりも、その交渉経過に対して大変な不明朗さを感ずるわけでありますが、例の通信機材開放の量の問題、さらには質の問題等について日本が一方的に譲歩を続けてまいっておったわけでありますが、四月の末に至って、いま申し上げた東郷ストラウス会談において話がまとまらなかった、そういう経過になっておるわけであります。したがって、大平総理自体訪米せられたときにも決着を見ない状態で今日に至っております。  総理訪米するに当たりましても、その直前に逓信委員会に御出席を願って、私どもは、日本電気通信特殊性、それからまた、今日の電気通信事業における日本技術水準等々から考えて、アメリカの一方的な要望に対してはぜひひとつ日本が毅然たる態度で臨んでもらいたい、そういう要望をいたしておったところであります。きょうも、できればぜひ園田外務大臣に当委員会に御出席を願って、日本政府としてひとつしっかりした腹構えでもって対処してもらうように、お願いかたがた質疑をいたしたいと思っておりました。しかし、大臣の御都合できょうは御出席願えませんで、外務省経済局長に御出席を願ったわけでありますが、そういう意味合いで、経済局長にも、外務大臣の代理といいますか、ぜひひとつ外務大臣の方にも十分に本日の私の質問あるいは要望等についてお伝えをいただいて、最終段階における、日本の今後の電気通信政策の問題とも非常に重要な関連を持っております今回の通信機材開放問題でありますから、その点もぜひひとつよろしくお伝えを願いたいと思います。  それで、具体的なお尋ねに入るわけでありますが、もともと通信機材開放問題は、日米間における貿易収支の不均衡、特にアメリカ側立場から言えば、対日赤字の増大という問題をいかに解消するか、そういう立場から持ち出されたと思うのでありますが、最近における貿易収支関係等をながめてみますと、きわめて顕著に改善されつつあると思います。私も、けさほど通産省の方から資料をちょうだいいたしまして、まだ十分拝見いたしておりませんが、しかし一言で申し上げますならば、日米貿易動向を見ますると、著しく輸出入の動向も改善されつつあるわけでありまして、日本の対米貿易黒字幅は、七八年の百一億ドルに対しまして、本年に入って一月から三月までの傾向を見てみましても、この一月から三月にかけてのものを年間に引き伸ばしてみますると、恐らく本年は約七十億ドル程度に縮減する見通しになっておるようでありますが、そういう点を考えてみますると、日本の非常な努力によって逐次輸出減、それからアメリカからの輸入増、こういったようなことでの収支のバランスが図られ、その成果を上げてまいっておると思うのです。  そういう情勢の中で、今回の日米間における通信機材の問題についての扱いをどうするかということで最終段階を迎えておるわけですが、ストラウス代表がこの土曜日、と言ってももう明後日でありますが、日本に来られるようであります。本年に入ってからのいろいろな動向を見て、私どもは、実は日本の一方的な譲歩に次ぐ譲歩ということについて大変ないら立ちと非常に強い不満を持っておるわけなんですが、ぜひ決着を目指そうとする立場に立って考えますると、この際日本電気通信政策にも重要な関連を持ちますこの通信機材開放の問題については、百年の大計の上からいって、ぜひ過ちのない態度をとってもらいたいと思っております。  そこで、本年の四月末のまとまらなかった会談後、ごく最近における、ここ一カ月前後の模様について簡単に最初にひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
  4. 手島れい志

    手島政府委員 お答え申し上げます。  電電公社の問題を含みます政府調達の問題につきましては、ガット東京ラウンド交渉の枠内の非関税措置一般のうちの一環としてジュネーブにおいて交渉が続けられてきていたものでございますけれども東京ラウンド交渉の全体の実質的な内容の終結ができるだけ早く、ことしの四月ごろにも行われようということになりましたので、昨年の秋以降精力的にジュネーブにおいて交渉が進められてきたことは御承知のとおりでございます。  そのうちにおきまして、日米間で政府調達コード対象としてどのような政府関係機関を含めるかという問題につきまして交渉が進められてきた中で、特にアメリカ側から非常に強く電電公社をこの調達コード対象として出すようにという要求があったわけでございます。  この点につきましては、私どもといたしましては、いろいろむずかしい技術的な問題もございますので、アメリカが当初から要望しておりました全面的な開放ということも困難というふうな判断のもとに鋭意交渉を続けてまいりまして、三月の末には牛場政府代表が行かれて交渉され、その後四月の初めには園田外相訪米されましたときに、交渉ではございませんけれどもストラウスとも会いまして、先方の真意の把握にも努力され、その後、先生からただいま御指摘のありました東郷大使ストラウスとの交渉が四月の下旬に行われまして、この交渉において、わが方といたしましては最大限の努力をしたオファーを提出をしたつもりでございます。ただし、御承知のように先方はそれでもいまだ満足をするに至らず、結局交渉は中断ということになりまして、そのままの段階総理訪米を迎えることになったわけでございます。  その総理訪米の際は、総理カーター大統領との間では交渉ということは全く行われませんで、その機会に行きました事務当局の間で非公式な意見交換ということはございましたが、当時の総理カーター大統領の方からは、私ども事務当局に対して、残った若干の未解決な貿易問題について、これを相互に受け入れ可能な形で解決するために鋭意討議を継続するようにということで私どもの方へおりてきたわけでございます。  その後、国内でもいろいろ検討を重ねまして、実は先週外務省経済局小和田参事官をワシントンに派遣いたしまして、これは交渉ということではなく、率直にいろいろな問題点についてアイデアを出したり、また非公式な意見交換をして、どういうことで今後話を継続していくことができるだろうか、今後の交渉手順枠組みというようなものについての意見交換を行って帰ってきたわけでございます。この意見交換の結果、日米の双方の立場についてかなり理解は深まってきておりますけれども、いまだ合意ができたというような事態にはなっておりません。
  5. 久保等

    久保(等)委員 いま交渉手順枠組みについて話をされたということなのですが、新聞報道等によりますると、一応非公式ではあるけれども意見の一致が見られた、したがって、そのことについては二日に来日をするストラウス代表との間においてこれが公式に一致したというような形で認められるのではないかといったように伝えられておるのですが、その間の事情はいかかですか。
  6. 手島れい志

    手島政府委員 ストラウス代表は、先生のおっしゃいましたように、あさって土曜日に訪日する予定になっておりまして、そのときにわが方の牛場政府代表と話し合いを行うことになっております。したがって、当然その場でこの電電公社の問題も話し沿いが行われるということになると思いまして、現在関係の方々とそのときの対処ぶりについて御相談をしている段階でございます。
  7. 久保等

    久保(等)委員 その手順枠組みというのはどういうことを指すわけですか。
  8. 手島れい志

    手島政府委員 現段階におきましては、先方の希望していることと当方側考えていることとの間で最終的な合意に到達することは非常にむずかしいような状況にございます。他方、東京ラウンドでつくり上げられました政府調達コードコード自体は一九八一年の一月一日に発効をいたしますので、それまでの間に何とか両者の間で合意を見出すように努力をしたいということで、その交渉手順ないし、どういう方向で交渉をするかというようなことについて今回意見交換したいということでございます。
  9. 久保等

    久保(等)委員 そうすると、中身品目等の点について話し合うというよりも、むしろ今後の——一九八一年と言えば明年一年間あるわけですが、その間における中身の話をどう進めていくか、あるいはまた、その枠組みというのは、言いかえれば一つルールというか、そういった意味合いでの枠組みというような意味でしょうか。したがって、中身のことについては要するに合意に達するということはきわめてむずかしい、いまの局長お話でもそういうふうに理解をするのですが、だから今後の交渉の進め方についての手順なり、またルール、そういったものについて一つ合意に達したい、こういうことでしょうか。
  10. 手島れい志

    手島政府委員 仰せのとおりでございます。
  11. 久保等

    久保(等)委員 そうだとすれば、私はなおさらわれわれ日本側立場からすれば、やはりきちっとした腹構えを持ち、具体的な手順なりあるいはまた枠組みの問題についての決意をする重大な段階だと実は思います。  前々から言われておりますように、また先ほども私がちょっと触れましたように、日本のみならず、世界各国にとって電気通信というものの持つ重要性というものはもう多言を要しないと思うのですが、そういう立場から新聞等では、しかし伝えられまするところ、いろいろもう少し、手順とかそういったことではなくて、たとえば電気通信末端部分についてこれを共同開発するというようなことについてもほぼ合意に達しておるのだというようなことが伝えられておるのですが、その点はいかがですか。
  12. 手島れい志

    手島政府委員 そういう点につきましても非公式の意見交換はございましたけれども、いままでのところ、それで合意をしたという事実はございません。
  13. 久保等

    久保(等)委員 ですから、この伝えられる先端部分について日米間で共同開発をしょうじゃないかという提案があって、何かそういったことについてほぼ、非公式ではあるが意見が一致したのではないかと伝えられておるのですが、この問題も考えてみれば共同開発、当然技術共同開発ですから、ある程度の年月をかけて日米両者でもっていろいろと生産過程における相談あるいはお互い技術公開等をしながら製品にこぎつけてまいると思うのですが、これもかねてアメリカ側が主張しておった市場開放という問題からすると本質的にはきわめて矛盾した話でして、これこそまさに随意契約のシンボルだと私は思うのですが、そういう時と場合によると随意契約を持ち出し、時と場合によると競争入札を持ち出すといったようなところにもアメリカ側の主張に一貫性がない。私はしたがって、そういった点についてもぜひひとつ、日本としては少なくとも一貫した交渉態度をとっておられると思うのですが、そういう立場からするならば、日米間において技術共同開発をするのだという問題も、どういった部分について言うのか、機器末端部分先端部分というようなことを言っておるわけなのですが、先端という言葉も、これはきわめてあいまいでよくわかりませんが、そういったことについて話し合われた事実は、いまの局長お話でもあるようですが、そういったことがどういう中身なのか、もう少し詳しく御説明願えませんか。
  14. 手島れい志

    手島政府委員 ただいま検討中の内容でございますので詳細にわたって御説明することは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今回のストラウスを迎えるに当たりましては、国内の各方面の意見を十分に踏まえまして、そうして公衆電気通信事業の持つ使命と役割りが十分発揮されるように配慮をしながら検討をしていきたいというふうに考えております。
  15. 久保等

    久保(等)委員 それからまた、他面、相互主義に基づいてこの問題についての決着をつけるのだとも言われておるのですが、そういったことも言われておるのですか。
  16. 手島れい志

    手島政府委員 私どもは、単に一方のみが譲歩することによって交渉が終わるというようなことでなくて、やはりお互いの利益になるようなかっこうで交渉が最終的にまとまるということがきわめて望ましいことというふうに考えております。
  17. 久保等

    久保(等)委員 それは当然のことなんですが、ただ最近、特に新聞等で伝えられる報道では、そういった言葉がごく最近われわれ目に触れるわけです。本年というよりも昨年の秋以来の交渉過程で、相互主義などという言葉が伝えられたことは一度もございません。そしてまた事実、交渉経過を見ておると全く日本が一方的に譲歩譲歩を重ねて、金額の面においても当初は六億ドル程度日本市場開放が言われておったのが、六億ドルがあるいは十五億ドルになったりあるいは二十億ドルあるいはまたそれ以上だとも伝えられたり、金額の部面においても全く日本自体の一方的な開放が伝えられておるわけです。あるいはまた、そういった金額が倍々と増加していっても、なおかつ質的な面で不満だ。さらに質も、こちらの方が何か中枢部門の一部も開放するといったようなことが提案せられたやに伝えられまするが、これまた不満だ。質量とも不満だというのが四月末における話がまとまらなかった段階における状況だったと思うのですね。そういったような経過の中では、相互主義などというものは薬にしたくもないような印象を私どもは持っております。したがって、相互主義ということはまことにきれいな言葉です。しかし、ただ方便として使われるような程度相互主義であっては断じてならぬと私は思うのですね。したがって、相互主義言葉が示すように、あくまでも公正であり均衡のとれたもの、しかも、それは形だけではなくて名実ともに公正で均衡のとれた相互主義、そういったことについてはわれわれ自体が反論し非難をすべき筋合いのものではないと思うのですが、しかし、残念ながら今日までの経過はそういうふうになっておらないと思うのです。しかし、先ほども申し上げたように話がまとまっておるわけじゃないのですから、これから話をまとめていこう、特に中身についてはなお若干の月日をかけてやろうというのですから、その過程ではぜひひとつ実質的な相互主義に基づく市場開放といいますか、この通信機器の問題についてはひとつ対処していただきたいと思います。いかがですか。
  18. 手島れい志

    手島政府委員 御趣旨に沿うよう全力を尽くすつもりでございます。  なお、本日の先生の御発言は大臣には詳細報告をいたします。
  19. 久保等

    久保(等)委員 電気通信の問題でありますだけに、これは局長も十二分に御承知のように、一たん開放せられますると後、簡単にもとに戻すことのできない業種だと私は思います。したがって、一般の農産物その他のものと違って、貿易収支が改善をせられたからもう直ちに、じゃこの電気通信部門についての開放もとへ戻そうというふうなことはやろうとしてもやれなくなってしまうわけですし、御承知のように通信ネットワークというものは、単に国内のみならず世界、地球すべてをカバーする大変な、何といいますか、無限大可能性を持った通信ネットワークですから、そういったものの中にアメリカ製もありあるいは日本の品物も入っておるというふうなことでそのネットワークというものがうまく運営できようはずがございません。簡単な例が、たとえば自動車といったようなああいう小型のちょっとしたものでも、アメリカ部品も使っておるし日本部品も使っておるというふうなことで、どうして安全な自動車というものが一体構成できるでありましょうか。ましてやきわめて微妙な、しかも非常に高度な技術を要する通信ネットワークの中に、アメリカ製品もあるが日本製品もあるんだ。またアメリカのみならず、開放するからには単にアメリカとだけというわけにはまいらないと思います。ECあたりにしても必ずアメリカ並み交渉なりあるいはまたアメリカ並みの体制にしてもらいたい、こういう要望が出るでありましょうしざらに最近はECだけには限りません。発展途上国あたりからもこれは当然要望が出てまいると思います。そうなると、日本通信ネットワークだけは世界各国通信機器を使ったような、そういうネットワークで果たして十分な通信としての機能を発揮することができるかどうか、これは素人が考えても私はおわかりいただけると思うのですね。したがって、そういったような非常に重要な性格を持ち、また非常にむずかしい性格を持った通信機器でありますだけに、先ほどもちょっとお触れになった相互主義の問題は名実とも日米間における均衡のあるものでなければならぬし、同時にまた、仮に均衡があっても、ネットワークというものがそういう形で構成をせられますると、これは大変なサービス低下にもなりましょうし、通信の生命でありますそれこそ迅速、安全、そういったことが損なわれることももちろんですし、同時に、これが経済面から見て一体経済的なのかどうかということになれば、当然日本国内でできるものをわざわざアメリカから調達するということになれば、手続的にも時間がかかりますし、また経済的にもそれだけいろいろなロスが出てまいります。  そういうことを考えますると、日本がなぜ今日に及んで外国から、特にアメリカから通信機器を買わなければならぬのかという問題になりますると、単に日米間における貿易収支の不均衡を是正する手段としてやるというのには私も余りにも重大な問題があると思います。そういう点で、ぜひひとつ日本の単に市場開放云々の問題だけではなくて、基幹的な機能を持つ電気通信というものの本質を損なわないように、また将来の電気通信政策に重大なるマイナスが起こらないように十二分の配慮お願いをいたしたいと思います。  通信政策の問題といえば、これは直接は何といっても郵政大臣の所管です。したがって、私は郵政大臣にもかねてお尋ねをしたり、あるいはまた、日本通信政策を円滑に国民の期待にこたえる形で今後一層推進をしてまいらなければならぬ立場から強くその点要望してまいっておるところでありますが、今日いわば正念場を迎えた段階だと思うのですが、郵政大臣として、私がいま申し上げたことについてどういうふうにお考えになるか。実質的には郵政大臣が最も責任のある立場ですし、外務省は窓口でいろいろ直接折衝に当たられまするが、いま申し上げたように今後の百年の大計考えますると、郵政大臣そのものが私がいま申し上げたような立場で毅然たる取り組みを願わなければならぬと思うのですが、郵政大臣、どんなふうにお考えになりますか。
  20. 白浜仁吉

    白浜国務大臣 いま久保委員からるるお話がございました点については、私も全く同感でございまして、政府内もそうした気持ちでいま思想統一して進んでいる、私はそういうふうに理解をいたしておりますが、今後もなお御激励をお願いしたいと思います。
  21. 久保等

    久保(等)委員 なお、郵政大臣要望申し上げておきたいのは、国内における、特に電電公社との関係においては十分にひとつ国内における意見を取りまとめられて、しかも時間的に十分な連絡協議がなされなかったということのないようにお願いしたいと思うのですが、この前の四月二十日におけるあの何かきわめてせっぱ詰まったような、わずかな秒読みみたいな状態官房長官が取りまとめるといったような経緯もあったように伺うのですが、そういったような性格のものでは断じてないと私は思うのですね。十分に時間もかげながら、何といってもいま申し上げたような重大な問題でありまするだけに、国内において、特に関係のありまする公社との関係において十分にひとつ相談をせられ、意見のそご等がないようにお諮り合いを願いたいと思いまするし、同時に、話はこれから正式な会談の中で進められるわけですから、それだけにいままでの経過にとらわれるだけではなくて、むしろいままでの交渉経過について見直しをするぐらいの立場でひとつぜひ取り組んでもらいたいと思っております。この点は特に大臣要望を申し上げたいと思います。  それから、外務省経済局長には、先ほどお話がございましたが、ぜひ外務大臣に十分に本日の私どもの真意もお伝えをいただきまして、いままでの交渉経過のただ延長線上の牛場・ストラウス会談という形で、ある中間における——今度も中間の過程にまだあると私は思うのですが、中間における合意に達するにしても、いままでの交渉経過を振り返ってみて、是正すべき点はひとつぜひ是正をした、見直した形で提案をする気概を持って当たってもらいたいと思うのです。この点、経済局長、同時に郵政大臣にも一言もう一遍御答弁を願って、私のこの問題に関する質問は終わりたいと思います。
  22. 白浜仁吉

    白浜国務大臣 御指摘の点は十分心得て交渉に当たる覚悟でございますので、御了承をお願いします。
  23. 手島れい志

    手島政府委員 御趣旨は十分外務大臣に伝えます。
  24. 久保等

    久保(等)委員 それじゃ経済局長、ありがとうございました。この東京ラウンドに関する質問を以上で終わります。      ————◇—————
  25. 石野久男

    石野委員長 日本放送協会昭和五十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保等君。
  26. 久保等

    久保(等)委員 NHKの五十一年度の決算について審査を進めるわけで、若干の質問をいたしたいと存じます。  五十一年度と言えば例のNHK受信料を値上げをした年になるわけでありますが、国会の状況もいろいろありまして、受信料の値上げ徴収の実施時期が若干おくれたような経過もあります。したがって、決算面で見ましても当初の収入予定よりも下回るような結果にもなっておるようでありますが、しかし、ひとり五十一年度に限らず、その後の受信料の収入状況を見てみますると、必ずしも予算の中に組まれた金額に達していない点があるようでありますが、最初にちょっと、資料等で五十二年度までは私拝見をしておるのですが、五十三年度、これはことしの三月終わってまだ幾ばくもたっておりませんが、したがって精査された形の数字は出ておらないかもわかりませんが、五十三年度における決算金額は幾らぐらいになりますかわかりますか、NHKの方からお答え願いたいと思うのですが。
  27. 川原正人

    ○川原参考人 五十三年度受信料の収入は、ちょうど決算のあれを終わったところでございまして、最終的に二千八十五億円の収入ということになっております。
  28. 久保等

    久保(等)委員 そうすると、予算に対してはどういうことになりますか。
  29. 川原正人

    ○川原参考人 予算が二千百十二億円ということで組みましたものですから、予算に対しましては約一・三%、二十七億円の収入不足ということになっております。
  30. 久保等

    久保(等)委員 結局、受信料の収入状況というものは、五十一年度の値上げ前までは各年度とも若干予算よりも実績が上回っておりますが、この五十一年度の値上げを契機にいたしまして五十一年度以来、五十一年度ももちろんそうですが、五十二年度もやはりマイナス二十四億程度ですか減収になっておるようですし、いまお話があったように五十三年度の場合もマイナス二十七億といったような形で、とにかく年々予算を下回る結果になっておるわけでして、こういう傾向そのものはきわめて私は重大な問題だと考えます。  それで、最近第二次のNHK基本問題調査会をおつくりになって今後の財政基盤の問題あるいは経営基盤の問題等について諮問をされたというお話を聞くわけですが、このNHKの基本問題調査会が設置せられて、いま私申し上げましたように、大きくは経営のあり方それからまた財政基盤の強化の問題ということなんですが、この点について、余り詳細は結構ですけれども、若干ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  31. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先生御指摘の、NHKにとりましては財政の安定を図るというのが非常に重要なことでございますし、それから五十四年度の強化予算を御審議いただきました際の衆議院逓信委員会の附帯決議等の御趣旨にもかんがみまして、第二次基本問題調査会を御指摘のとおり設置いたしました。去る五月二十五日に第一回の会合を開催いたしまして、いろいろ長期的展望に立ったNHKの経営のあり方と、いま御指摘になりました財政基盤の確立の方策につきまして、広く調査検討お願いいたした次第でございます。  なお、長期展望等につきましての具体的な方向等につきましては、担当の山本専務の御説明をお許しいただきたいと思います。
  32. 山本博

    ○山本参考人 いま会長が申し上げましたように、とりあえず基本問題調査会が二十五日に発足をいたしました段階でございますので、現在われわれ事務部門で取りまとめておりまして、いずれ基本問題調査会にお諮りをしたいということで作業をいたしております大きな枠組みは、ベースとしては三年よりももっと長いベースで物を考えたいと思っておりますが、財政基盤そのものの問題になりますと、これはある程度時間をはっきり決めた形で考えていかなければならないと思っておりまして、とりあえず現在作業といたしましては、三年をめどにいたしまして作業を進めておりますが、いまだ政府自身の経済見通しも確定いたしておりませんで、恐らく来月以降に経済審議会の具体的な経済見通しの内容が発表されるのではないか。そういうものも基本に考えまして、また従来経営をいたしてきましたNHKのあり方、そういうものも一度根本から見直しをしながら具体的な作業を現在進めておるという状況でございます。
  33. 久保等

    久保(等)委員 財政基盤強化については三カ年ぐらいの期間をめどにしてというお話で、具体的な考え方も一応わかるわけですが、問題はもう一つの大きな課題であります経営のあり方の問題、これについて若干なおお伺いしたいと思うのです。  経営のあり方、これはもちろん長期的な展望に立って今後のNHKの経営を一体どう考えていくか、しかも当面やはり大きな問題になっておりまする例の放送大学学園法案がいま国会にかかって、これまた今会期中における一つの大詰めを迎えておる段階なんですが、私はこれもNHKにとってはきわめて重要な課題だと思います。NHKももちろん放送大学学園問題については、すでに十年来一応はこの構想が推進せられるに当たっていわば参加をしてまいっておりますから、そういった経過についてはもちろんよく御存じだと思いますし、またその時に応じていろいろ意見も述べられてまいったと思うのですけれども、しかし今日のようなああいう形で具体的に提案せられてまいりますると、これまた大変な大きな問題として考えざるを得ない、そういう立場に置かれておると思います。この問題については、郵政当局の説明では、既存の放送体系に対して影響を及ぼすことはきわめて少ないという判断をせられておると思うのです。しかし私は、実はそういう見方はいたしません。非常に大きな影響をいろんな意味において及ぼすと思うのですが、いまおつくりになった基本問題調査会でこの問題について諮問といいますか、そういったことについての調査等も期待をしておられるのかどうか、ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  34. 坂本朝一

    ○坂本参考人 NHKの基本問題の調査研究がテーマでございますから、その基本問題に触れるという点において、当然そういうことの御論議もいただけるものというふうに考えております。
  35. 久保等

    久保(等)委員 これは一体このNHK、公共放送にどう影響が出てくるか。これは基本問題調査会がたまたまつくられたわけですし、ぜひこの問題について長期的な展望に立っての——たとえば放送大学学園ができたことによって放送大学の放送が現実に実施せられることによって起こる影響、いろんな影響があると思います。たとえば、それこそ財政基盤の問題にも関係のある影響を受ける可能性が多分にあると私は思っております。それからまた、放送内容そのものがお互いに重複しあるいはまた競合する、こういった問題もございます。これは学園法審議に当たっても実は重要なポイントでもあるのですが、NHKは直接そういった問題についてのいわば影響を受ける企業体であるわけですから、こういったことについてはすでにいろいろと検討もなされておると思うのですが、影響を受けると思われる問題は、具体的に言うとどういった問題だと思いますか。私はいま一、二指摘はいたしましたが、どういう面が考えられるでしょうか。程度はいろいろこれまた見方にもよるでありましょうし、また時と場合によれば相当いろいろデータ等で調査研究をしなければ余り数字的な点でどうこう言えないかもしれませんが、しかし概念的にはどういったようなところに影響があると思われますか。
  36. 坂本朝一

    ○坂本参考人 放送大学法案が成立しまして放送大学の放送が出現するということになりますと、二十五年余にわたりましたNHKと民放という二本立てにもう一つ放送大学という第三の新しい事業体が生まれるということになりまして、この点公共放送事業を担当いたします責任者の立場から考えますれば、放送大学の放送が全国にわたって実施されるようになりました場合に、その大学の放送の態様によりましてはNHKの教育番組に当然影響が出てくるのではないだろうか、その場合に、放送大学の放送というのが大学の教育に必要な教育番組に明確な形で限定されることが望ましいのではないだろうかというふうに考えております。受信料を財源としますNHKと広告費を主財源とする民放の中に、新しく国費を主財源とする放送大学の放送が加わるということになりますと、将来その受信料制度並びにこれに基づく受信料の徴収ということに影響を与えることはないだろうか、この点NHKの経営の責任者としては配慮しておく必要があるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
  37. 久保等

    久保(等)委員 私はぜひこの調査会の中でそういった問題、これはどちらかというと非常に緊急性のある問題だとも思うのですが、そういったようなことについて、十分にひとつ審議を尽くすような形で調査会で結論を得るように取り運ばれるように希望を申し上げておきたいと思うのです。したがって、当面の財政基盤の問題の三カ年の今後の問題をどうするかというような問題、これはある程度期限を区切って答申を求めるということになるのでありましょうが、いま言ったような特に経営のあり方等の問題等については余り期限を切るといったようなことではなくて、じっくり十分にひとつ検討を加える。そうして、たとえば立法上の問題等についても私ども逆にNHKの意見も聞きたいぐらいの気持ちでいるのですが、またいずれ後日適当な機会にそういったことについても、私ども重大な関係のある公共放送——民間放送についてもそういったことを考えてまいらなければならぬと思うのですけれども、NHKに対してもそういったことを要望をしてまいる機会をぜひ持ちたいと思っております。したがって、そういうあらゆる角度から今後の公共放送としてのNHKがどうあるべきか、また現実に起こってまいる問題によってどういう影響を受けるか、そういったようなことについてぜひひとつ御検討を願いたいと思っておりますし、放送法あるいは電波法の改正問題については長い間の懸案になっておるわけでありまして、郵政省そのものは当面の責任者でありますし所管庁でありまして、われわれはかねがね大いに鞭撻をいたしておるのでありますが、どうも今日に至るも懸案になっております法改正の問題がいまだ表面化してまいらない状態でありますが、片方、放送大学学園法案といったような法案がまた出てまいるといったようなことで、その点若干ちぐはぐな状態になっておりますけれども、ともかくすべてをひっくるめた放送法なり電波法の改正問題について、国会と言わず、また特に郵政省ですが、郵政省が中心になってそういった問題についてまとめた結論を出さなければならぬ課題があると思うのですが、NHKもそういう立場で、今回つくられた基本問題調査会の中でそういった問題もひとつぜひ検討せられるように御配慮願いたいと思います。  ところで郵政大臣に、私、いまたまたま放送大学学園の問題を持ち出しましたが、ここのところ会期末を迎えて文教委員会の方でも精力的な審議が進められておりますし、またわれわれも先般連合審査を持って、初めて公式の委員会の場で審議に加わる機会があったわけです。きのうあたり文教委員会では、何か文部大臣の方から構想について、今後の長期的な計画についての話が従来よりは若干前へ進んだような計画の発表もあったようです。すなわち昭和七十一年度に何とか全国各府県の受験生といいますか、受講者と申しますかの受け入れを整えたい、初めて全国規模に七十一年度になれば持っていけるようにひとつ考えたいというような計画を発表せられたようです。私は先般来考えておるのですが、この計画そのものが非常にずさんだ、もう少し現実性のある的確なものをできるだけつくるべきじゃないかということを申しておったのですが、多少第二期計画的なものとして提示せられた七十一年度という年度がきのう説明せられたようですが、郵政省としても、かねがね私が申しておりますように、調査会等を設けて電波法、放送法の改正問題についてぜひ取り組むべきだと思うのですが、時期的に決して早くありません。非常に遅いわけですが、しかし遅いからといってほっておいて、これまたどういうことになるか。郵政省としても、かつて設けた臨時放送関係法制調査会といったようなものを設けてこの問題をひとつオープンに、しかも学識経験者等を中心にした人たちによって調査会を設けて検討する、そういうようにお考えになることがきわめて必要ではないかと思うのですが、どんなふうにお考えになりますか。
  38. 平野正雄

    ○平野政府委員 先ほどお話しございました学園の施設計画につきましては、実は昨日の会議に放送部長が出ておりまして承知をしたわけでございます。私どもといたしましては、学園の目的に照らし、また学園が大学教育のための放送を行うということから、いわゆる教育の機会均等という点からいたしましても全国的な普及を目指すべきであるし、できるだけ早くその方向で計画が立つことが望ましい、こういうふうに考えておるわけでして、そういった意味で第一期計画及びそれ以降の計画につきましては、文部省その他関係方面と今後積極的に協力をしながらひとつ方向づけをいたしてまいりたい。その際には放送衛星の参入ということは当然考えられてしかるべきではないか、そういうふうに存じておるわけでございまして、学園法関係の問題につきましてはすでに国会に御提案を申し上げておる段階でございますので、今後郵政省といたしましては具体的にひとつしかるべき協力を、従来あるいはそれ以上に継続してまいりたいというふうに存じております。  なお、先ほど御指摘ございました全般的な電波法、放送法の改正問題につきましては、ただいま先生からもお話がございましたNHKの経営問題あるいはその他の問題がまだNHKにおきまして煮詰まっておらないというように見受けられるわけでございます。いわゆる調査会が発足したばかりであるということもございますので、今後ひとつ鋭意その進捗状況を踏まえながらNHKと密接に連携を保っていきたいというふうに考えておりますし、また放送衛星等の問題につきまして国連の宇宙平和利用委員会の論議もまだまだ流動性があるというふうに思っております。  また、昨年以来始まっておりますテレビジョン放送の多重化の問題につきましても、郵政省でお願いをいたしておりました調査会の方から、十二分に検討をして先へ進めるべきであるという御答申をいただいております。  そのような状況でございますので、今後、従来置いております省内における検討を継続していく中で、もちろん郵政省といたしましても外部の先生方のお知恵を拝借しながら省内の検討を進めておるわけでございますけれども、さらに先ほど先生がおっしゃいました、将来に向けて調査会をつくって進めるべきではないかという点につきましては、十分また慎重に検討いたしまして、できるだけ先生の意にお沿いできるように努力をしてまいりたいというふうに存じております。
  39. 久保等

    久保(等)委員 いろいろと詳細な御答弁があったのですが、私のお尋ねしているのはきわめて簡単なといいますか端的に、調査会を設けて検討せられたらどうかということを申し上げておるのです。  非常に問題がいろいろ広範多岐にわたる今日の電波、放送の問題、したがってこれは私はむしろ当然つくられていなければならぬ問題ではないかと思うのです。例の改正法案が昭和四十一年に出て、継続審議にならずに廃案になってしまった、そういう経過を踏まえたその後、当然そういうものが設けられて検討せられてしかるべきだったと思うのですが、いま電波監理局長お話で、部外の学識経験者の意見もと言うが、少なくとも今日まで制度的にそういう形の調査会は設けておられないわけでありまして、結局局内において検討はいろいろ重ねられておるでありましょうけれども、しかしそういうものではなくて、広く開かれた調査会を設けて各界の権威者等を集めて取り組むに値する重要な問題ではないか。また現に十数年たってなお今日まで、少なくとも従来懸案になっておる問題についての法改正の提案はなされておらないことによってもその点は明らかです。したがって、そういったものを設けるのを慎重にとかという言葉を言っておられますが、慎重でなくてむしろ早急にこの問題について結論を出してスタートすべきだと私は思うのです。仮に学園法案がどういう経過をたどっていこうとも、懸案がすべて片づくというなら別ですけれども、懸案はそのままそっくり残っておるのですから、おつくりになって十分に審議を通じて結論を出していくということは必要ではないかと思うのですが、郵政大臣、いかにお考えになりますか。
  40. 白浜仁吉

    白浜国務大臣 せんだっての委員会でのどなたかの御意見にも、先生の御意見でございましたか、同様な御発言がございましたので、私もその際お答えしたと思いますが、おっしゃるとおり早急に私ども検討に入りたいと思っております。十分広く学識経験者の御意見を承りながら対処していきたいと考えております。
  41. 久保等

    久保(等)委員 郵政大臣のきわめて積極的なお答えで、私もぜひひとつそういう方向でお願いを申し上げることを要望しておきたいと思います。  それから、私余り時間がありませんからお尋ねすることもできないのですが、いつも問題になります受信料の滞納契約者の問題、これはNHKの財政基盤の根幹に触れる重大な問題でありますが、これの状況について御説明を願いたいと思うのです。どうもなかなかうまく受信料が徴収できない。その理由はいろいろありますが、特に不在者が多くて現実に面接をして徴収ができないという数も非常に多いようでありますが、この受信料の滞納契約者の状況なり動向について、余り詳しく御説明を願うと時間がかかると思いますから、簡単にちょっと最近の状況等を数字的にお答えを願いたいと思うのです。
  42. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 ここ二、三年来の滞納契約者の状況でございますけれども、五十年度末が約六十万ぐらいございました。五十一年度末、これは、五十一年度は御承知のように受信料の改定を行った年度でございますが、五十一年度末には約七十五万六千、約十六万ほど年間で増加をいたしました。そして五十二年度末は約八十五万四千、約九万八千、約十万ほどふえた。それから五十三年度末、この三月末でございますけれども、九十三万というふうになっておりまして、この一年間に約七万五千ほどふえたわけでございます。五十一年度の受信料改定というところが非常に多く十六万ほど年間でふえました。その後十万、それから七万五千というふうに逐次年間の増加数は減っておりますけれども、現在すでに九十三万くらいになっておる。その中で約六〇%くらいが非常に面接が困難である、何回訪問しても会えないというふうな家庭でございまして、それの面接をするようにこちら側の対策を強化するということが一つございます。  それからもう一つの問題は、私ども理解というふうな範疇に分けておりますけれども、NHKの番組を見ていない、NHKの番組が偏向している、あるいはNHKの経営の姿勢が問題であるとか、あるいは現在の放送法そのものが契約を強制しているのは憲法違反であるとか、そういう理由によって払わないという方のふえ方というのが全体のふえ方の中で多いということで、ここ五年ほどの間にそういう方のふえ方が約三倍くらいにふえておるという状況でございまして、これらの方に対する理解を求め説得をするということに努力をいたしておりますけれども、きわめて困難な状況にあるということは率直に認めざるを得ないというふうに考えております。
  43. 久保等

    久保(等)委員 ちょっと五十三年度になりますか、五十三年度のいまお聞きした受信料の滞納契約者の数をちょっと数字がわかるのでしたら各項目に分けて、航空機騒音による難視聴、受信障害等による難視聴、協会の事業に対するいま言われた無理解、常時不在者等の分類でちょっと数字をお聞かせ願いたいと思うのですが。
  44. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 五十一二年度末の全国の滞納者の数は一応集計ができたわけでございますけれども、ただいま先生がおっしゃいました航空機騒音による滞納であるとか、その内訳がまだ全部集計が終わっておりません。ただ昨年の九月末、上半期末の滞納者が全体で約九十万ございまして、その中で航空機騒音等によるのが五万四千、受信障害等によるのが四万六千、無理解と申すのは二十六万、常時不在、面接困難というのが約五十四万という内訳でございますので、この内訳はそう大きな変化はこの半年の間にはないだろうというふうに考えておりますけれども、まだ最終的な数字というのは集計中でございます。
  45. 久保等

    久保(等)委員 五十一年度に受信料の値上げをして、その後の三年間にわたる趨勢、いまちょっとお話があったように特に無理解に基づく受信料の滞納、これが非常に年ごとにふえてきておる問題、非常に重視せざるを得ないと思うのですが、受信料の値上げを行ってからこういった者に対する受信料の徴収については格段の努力をされたと思うのですが、その具体的な措置等についてひとつ御説明を願いたいと思うのです。また、そういったことによってどの程度の効果を上げてまいっておるのか、その状況について御説明願いたいと思うのです。
  46. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 NHKに対していろいろ批判、不満等をお持ちで払われないという方に対しましては、NHKの経営全体といたしまして、開かれた経営あるいはNHKの使命、そういうものを十分理解をしていただく、そういう活動をNHK全体としてやる、それから番組の内容を充実強化するということ、これはもう当然のこととしてやっておるわけでございますが、営業の活動といたしましては、そういう方に説得あるいは理解を求めるという場合に、そういう番組面あるいはNHKの経営面、NHKの性格、使命というふうなものを、個々の受信者に対して訪問をいたします外務職員であるとかそういう者に十分知識を与えて説得に当たらせる、そして訪問回数をふやす、昼間不在の方には夜間の訪問も強化をするということをいたしてまいりました。そして、こういう無理解の方とか昼間不在の方というのはどうしても大都市に多いわけでございますので、五十二年の十月から営業特別対策員というのを東京並びにその周辺の首都圏に五十名、それから近畿圏に五十名、合計百名の特別の対策員を設けまして、こういう滞納契約者に対して専門的に理解促進、説得活動に当たらせるということをいたしてまいりました。  これの効果というのはある程度上がってきたというふうに考えております。数字的に見ましても、五十二年度に比べて五十三年度が七万五千というふうにふえ方が少なかった。そして特に七万五千の中で昨年の九月以降、要するに五十三年度の下半期では三万くらいしかふえなかった。局所によりましては、前年度よりも滞納者の数が減っているという局所も若干出ております。そういうふうにある程度の効果は上がったのではないかというふうに判断をいたしておりますけれども、しかし全体として滞納者の数がふえているというのは事実でございまして、現在の法制度のもとでこの活動を続けて滞納者の増加をゼロにする、あるいはこれを減少させるということは非常にむずかしいことではないかというふうに、率直に思う次第でございます。
  47. 久保等

    久保(等)委員 この問題は古くて新しい、しかも非常にむずかしい問題であることはわれわれもよくわかります。しかし何としても、いろいろ理屈を並べて受信料を支払わないといった人たちがふえるという傾向は防止をしてまいらなければなりませんし、立法上も何とかこういった問題について考えなければならぬとかねがね考えておるのですが、最近私ちょっと耳にしたところによりますと、郵政当局あたりがこの問題について何らか立法上の問題を検討する必要があるというようなことで検討をしておるというような話も聞くのですが、電波監理局長はこの問題についてどうお考えになっておりますか。
  48. 平野正雄

    ○平野政府委員 先ほども申し上げましたように四十一年の第五十五回国会で電波法、放送法が廃案になったわけでございますが、そのときに実はこの聴視料制度について御提案をしておったわけでございます。それ以降、実は部内に委員会をつくりまして、ただいま御指摘の問題を含めまして鋭意検討してまいっているところでございます。また一方、NHKとも今後とも連携を保ちながら、しかるべき結論に到達したいと努力をしておるところでございます。
  49. 久保等

    久保(等)委員 検討しておると言うのですが、検討はいつごろぐらいまでといいますか、できるだけ早く何とか結論を出したいという状況なんですか、不断の努力検討し続けておるという程度の意味ですか。当面、できれば結論を出して対処したいという時期的な一つの目標を持っておられますか。
  50. 平野正雄

    ○平野政府委員 四十一年以降NHKは徴収のために、先ほど来御説明のありますような各種の努力をしてまいったわけでございまして、その努力の結果も伺いながら今後の対応についてできるだけ早く結論を得たい、そういうふうに考えておるところでございます。
  51. 久保等

    久保(等)委員 時間が来ましたので、終わります。
  52. 石野久男

    石野委員長 次に、宮崎茂一君。
  53. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 NHKの決算の問題でございますが、当逓信委員会だけじゃなくて参議院の方でもNHKの問題は毎回議論されておるわけでございまして、この前の予算のときに当委員会の総員の賛同を得まして出しました附帯決議がございますが、第二項、第三項、これは財政問題を扱っておるわけでございます。つまり、私どものNHKに対する考え方は、財政的に今後長期間にわたって大丈夫か、非常に心配でならないというような気持ちから出たのだろうと思います。  御存じかと思いますが、改めて読んでまいりますと「協会は、厳しい経営環境を認識し、長期的展望に立って、企業努力に徹し、財政基盤の健全化を早急に図ること。」「協会は、視聴者の理解と信頼を深め、確実な収納を図るとともに、国際放送交付金の増額、受信料減免措置の改廃など、協会の負担の軽減を図る措置を検討すること。」二つとも財政問題であります。  NHKからいただきました資料によりまして財政問題を考えてみますと、支出の方は五十年度以降十数%ずつ伸びております。平均いたしますと一三・八%。毎年の対前年の伸び率を単純平均いたしますと五十年から五十三年まで——五十三年は予算ですけれども、決算も先ほど伺いましたがそう変わっていないようですから、二・八%ずつ年々支出が伸びている、こういうことであります。収入の方は、幸い五十一年度に聴視料の値上げがございましたので、五十一年度限りで見ますと四五・七%、一九%ぐらいの単純平均になるようでございます。つまり、五十一年度の値上げ分を五十二年、五十三年で大体食いつぶしてしまったというような感じじゃないか。事業支出は、ことしの予算だけで見ましても七・七%ぐらい伸びるということです。そして収入の方は、御存じのように台数は余りふえない、いろいろな問題がありまして二%ぐらいしかふえない、こういうことですから、五十四年度予算で二百億の赤字が出る。今後を考えますと、いまのような経営だとこの赤字は相当広がっていくのではないかと思うわけでございます。したがいまして、長期的展望に立って企業努力に徹する、こういうことが必要だと言われているわけです。  去年一年間、前大臣もこの点ばかり非常に強調されておりまして、NHKはもっともっと企業努力をしろ、こういう話がございまして、また会長もそういう線に沿って一生懸命努力をしておりますと言われたわけでございますが、この企業努力という点について従来こういう点を努力してきた、今後もこういうふうにやりたいのだという会長の決意、方針をお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  54. 坂本朝一

    ○坂本参考人 御指摘のNHKの財政的基盤の安定を図るということから言えば当然のわれわれの責務だと思いますので、何といっても受信料の収納ということに万全を期していき、なおかつ支出につきましても極力冗費を省くという努力をしていかなければならないだろう。先生の御指摘の五十一、五十二、五十三という三カ年で五十一年度の剰余金を食いつぶしたというようなこともございましたけれども、それはそれなりに努力をいたしまして五十四年度の中に約百億余の繰越金を送り込みまして、五十四年度二百億の赤字を百億にとどめて受信料の改定をしなかった、そういう点につきましても御理解いただければありがたいと思う次第でございます。
  55. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 五十年度以降の給与費でございますが、職員数の総体は変わっていないようでございますが、給与費は毎年九%前後伸びております。単純平均で一一・四%年々給与費は伸びておるわけです。来年は六%伸ばす予定ですが、財政をバランスさせるためには一番大きな項目は給与費でございます。ある週刊誌によりますと、NHKは昭和三十四年、三十五年に採用した人がうんと多いので、これは窓際族としてだぶつかせて管理職にしておるのだというような、これは私はよくわかりませんけれども、つまりNHKは給与費その他でもっと改善する余地があるのじゃないかという指摘じゃないかと思いますが、そういった給与費についてはもっともっと改善できないものですか。
  56. 坂本朝一

    ○坂本参考人 給与費というのは協会に働きます諸君の社会的な水準と申しますか、そういうことも考慮しなければなりませんし、同種産業との見合いということも考慮しなければなりませんので軽々に申し上げるわけにはまいりませんけれども、全体の傾向から言わせていただきますれば、かなりそういう点についての努力もしてきたつもりでございますが、なお具体的な数字等につきましては担当からの御説明をお許しいただきたいと思います。
  57. 川原正人

    ○川原参考人 給与費につきましては、確かに先生の御指摘のとおりの一般的な傾向を示しております。これはいま会長も申しましたように、消費者物価がある程度上がってまいりますと、職員の生活を経営者としても見てやらなければいけないものでございますから、特に五十年度からの数字をごらんいただきますと、石油ショック直後のあの物価の高騰で、各企業全部そうでございますけれども、給与費の改善というのはどうしてもある程度のものをしなければなりませんでしたのでそういう傾向になっておりますけれども、最近におきましては私ども鋭意努力をいたしまして、本来の給与はこれは当然見てやらなければならないわけでございますけれども、時間外の賃金等につきましては、いろいろな意味である程度仕事を能率的にやれば減少させられるものもございますし、そういう面を含めまして、実は五十三年度もわずかでございましたけれども決算段階では少しく残すこともできましたし、五十四年度につきましても、労働組合との協議の結果でございましたけれども、ある程度のところで妥当な額で妥結し得たと思っております。
  58. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 こういった問題は部外者にはなかなかわかりにくいわけですから、ひとつ会長の方で、これからのNHKを考えますと、いままで以上に努力されることを希望いたしておきます。  なお、先ほどこれからの長期的展望の問題は経済政策がちょっと不明だからわからないというお話でしたけれども、私は、NHKは結局受信料に九十数%依存しているわけですから、過去の傾向を伸ばしていきさえすれば、経済が悪くなるよくなるにかかわらず、収入と支出という問題はおのずから経済に余り関係なしに出てくるのだろうと思います。ですから、あるいは五十七年度くらいまでこれから三カ年間の、長期展望はないというお話でございますが、これは来年度の予算にも関係してくるのではないかと思うわけでございますが、そういった見通しをすぐつくって、そして財政をどうしなければならぬ、これはおのずから——私ども先ほど申し上げましたように、収入の方は二%から一%くらいしかふえないのだ、支出の方はいま給与費は削るわけにはいかぬとおっしゃるとやはり相当ふえるわけですから、その格差はますます大きくなることは明らかでございますが、いま事務当局の試算は何もないのですか。それとも、三カ年間どれくらいの赤字になるというふうなことを一遍何かお示しになったようですが、この点について御説明していただきたいと思います。
  59. 山本博

    ○山本参考人 五十六年度までの分はこの前の予算の御審議をいただくときの資料にお出しをしてございます。なお、参考としまして五十七年度の分もその時点における試算として添えて御提出してございました。事務当局としましては、この前の予算の御審議をいただく段階で立てました数字というのはひとまず持っております。しかし、あの時点で立てましたベースになりましたいろいろな基礎資料になりますものがその後相当変わってまいっておりますし、それから、先ほど会長も申し上げましたけれども、今後の五十五年度以降の具体的な収支の財政構造をどう立てていくかということになりますと、それは受信料の問題そのものにも触れてまいりますので、これは十分国民の皆さんの御納得をいただくような具体的な計画でなければなりませんので、事務当局がことしの予算を立てましたとき、あるいはその後部分的に手直ししたりして準備は整えておりますけれども、最終的に国民の御納得をいただくというような最終案というのはもう少し時間をかしていただきたいと思います。
  60. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 いま受信料という話が出ました。いつも受信料の問題は議論になるわけで、先ほど久保委員から御指摘がございました。  受信料の滞納の問題でございますが、私がNHKからの資料で調べたところによりますと、受信契約の伸び率はこの四カ年間に平均二・三%になっております。それから滞納者の伸び率は、五十三年が実はまだ上半期だけしか出ておりませんで、五十三年度の下が出ますとわかるのですが、想定しますと大体一四%ぐらい滞納者はどんどん毎年ふえていきます。大変なことになるのだろうと思うわけです。全体の比率で言いますと、滞納者の占める比率は五十三年で三・四%ですけれども、伸び率は、滞納者はうんと伸びていく、こういうような状況であるわけでございますが、それに対しまして、これは金額にしてどのくらいになりますか、九十万世帯ですから、この滞納額が全部取れたとしますと金額はどれくらいですか。年間八千円くらいでしょう。そうすると七十五億くらいの金額になるわけですね。ですからこの問題は非常に大きな問題でございます。それから、先ほど附帯決議につきました受信料減免、これが六十四億、それから国際放送の分が二十五億、こういうことですから、これらをひとつ完全にやるようなことを収入の面でお考えになるということが当面の問題かとも思うわけです。この滞納分について先ほど具体策をお述べになりましたけれども、いままでNHKはいわゆる放送法三十二条の契約義務を課せられておって、それから先はNHKがその契約者に対して理解を求める努力をすることによってこの種料金を納めていただく、昨年のいまごろそういうふうに回答されておられましたが、今後ともやはりそういった努力は続けていかれるわけですか、それとも具体的に何か他の方法をおやりになるのですか。この滞納が非常にふえているわけですから、説得だけではどうにもならないのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  61. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 この滞納者に対する対策といたしましては、基本的にはNHKの経営姿勢なり使命なり役割りなりを理解してもらうという努力、それから番組の内容を充実するということが基本でございます。そして営業の現場のやり方といたしましては、この滞納者の実態あるいは地域事情、そういうものに応じて特別の対策を構ずる。と申しますのは、大都市等の不在者の多いあるいは無理解者の多いところには特別の対策要員を配置して、これによって活動を強化する。そして今年度も、一応五十二年十月から二年間ということで発足いたしました特別営業対策員というものは今後も継続をして拡充をしていくということを現在考えております。ある程度マンパワーの増強ということも考えておりますけれども、しかし経費効率の面からまいりますと非常に経費効率は悪い、その部分だけをとって考えますと経費効率が悪いということもございます。  それから、ただいま先生御指摘のございましたように、幾ら理解を求め説得をしてもどうしても払わないという方がおられることはこれも事実でございまして、現在の法制度のも一とでそれを超えてやる手段といたしましては訴訟に訴えるということしかございません。その点につきましても部内におきまして検討いたしております。いますぐやるということは考えておりませんけれども、今後の推移いかんによっては、そういう最後の手段にも訴えなければならないのではないかということで、その準備、検討は現在いたしております。
  62. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 その最後の手段というのは、多分法改正じゃないかと思うのですけれども、払わなくてもいいということになりますと、払っている人がばかばかしいみたいな感じがするわけですね。つまり、公平の原則というのですか、公平な立場から見まして、払わぬでもいいんだったら何も払う必要がないんじゃないか。毎年毎年十数%ずつ未納者がどんどんふえていくということになりますと、NHKの一番大きな収入財源、九十何%ですから、それは大変なことになるわけなので、いままで理解と説得によってやるのだ——それも結構です、また今後ともお進めになっていいわけですけれども、しかしながら、もう限度じゃないかと私は思うのです。NHKの努力だけで解決できるというふうには——何年も同じようなことを聞いておりますけれども、五十年から五十三年、五十四年までの実績を見ますと、とてもそれは容易にできないのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。つまり放送法第三十二条の改正ですね。契約義務制から支払い義務制ということにならざるを得ないことになるんじゃないかなと私個人的には考えておりますが、NHK、この点についてはどうですか。
  63. 坂本朝一

    ○坂本参考人 御指摘の点につきましては、例の昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会の答申書の中にも、支払い義務制に三十二条を改めるという原案につきまして、NHKとしてはぜひそうお願いしたいというふうに当時申し上げて、それが残念ながら廃案になっているという現状でございますので、いま先生の御指摘の点を踏まえまして、今後の問題としてNHKとしても部内的に検討を進め、お願いすべきところにはお願いしていかなければいけないのではないかと考えております。
  64. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 NHKの気持ちはわかりました。これは久保委員からも質疑がございましたが、郵政省の方はこの点についてはどういうふうにお考えになっているか。これはどうしても放送法全体の改正も必要だと思うのです。大学法案の審議の席上私からも申し上げましたように、根本的な改正もやらぬといかぬと思いますが、これは二、三年、相当時日がかかると思うのですね。ですから、この放送法三十二条改正というのはそれと一緒ということでいいのか。私は、もっと早急に結論を出すべきじゃないかと自分では思っておりますが、郵政省局はどのようにお考えになっているか、お知らせいただきたい。
  65. 平野正雄

    ○平野政府委員 NHKの財政上の問題につきましては、基本的には何と申しましてもNHKがみずから経営努力に努めまして、国民の理解と信頼を得ることによって解決していくことが必要でございまして、今後一層努力をしていただきたいと存じておりますけれども、一方、NHKにおきましても、基本問題調査会を発足させて、その検討項目の一つとして経営のあり方及び財政基盤の確立の方策とあわせて、広く調査検討を進めていくというふうに聞いておりますので、従来のNHKのこの問題についての努力の経緯等を十二分に踏まえながら、NHKの要望を勘案して、できるだけ早く成果が得られるように鋭意検討してまいりたいと存じております。ただ、受信料制度の問題は四十一年度当初当時の問題でもあったわけでございますけれども、何と申しましてもNHKの基本的なあり方にかかわる重要な問題でございますので、そのような点も十二分に踏まえながら鋭意検討を進めてまいりたい、できるだけ早く結論を出したい、そういうふうに考えておるところでございます。
  66. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 また財政問題の方から見てですけれども、この前放送大学法案がございましたが、あれは結局国が費用を出して教育放送をしようということで、NHKとのバランスがどうもおかしいなと私はいつも思っているのです。NHKも大学教育をやっているわけですね、五%ぐらいやっておるというのだから。これは放送法の大改正になる問題に関連をするわけですね。五%大学教育をやっているのであれば、それだけ国が出してもいいのじゃないかと素人で考えるのです。これは私がいま考えているだけで申し上げているので、正式な回答を求めるわけではございませんけれども、何かバランスがおかしいなという感じですね。大学放送の方は全部国が出して、しかも学問の自由とか表現の自由で、国は口を出さない。NHKの方も口は出さないけれども、金も出さない。その辺はちょっとバランスがおかしいのじゃないかと思います。これは問題事項としてよく御検討を願いたい重大問題だと思いますが、問題提起だけにしておきたいと思います。もし何かございますればお答え願いたい。
  67. 平野正雄

    ○平野政府委員 先生承知のように、NHKは受信料によってその維持、運営を行うということで、それの基本的な考え方といたしましては一種の言論報道機関であるということでございます。また学園について申し上げますと、学園は正規の大学として、放送を手段として大学教育を行うという特殊法人でございまして、したがいまして、言論報道機関ではないわけでございます。大学機関であると申せるかと思います。そういった意味で、NHKの教育放送に対しまして国の資金を用いますことにつきましては、先ほど申しましたNHKが受信料によってその維持、運営を行うことといたしております現行放送法のたてまえから見ますと、予定されていないということになるかと思います。したがいまして、国の資金を用いることにつきましては、国の資金が投入されることに伴う規制の態様でございますとか、国の資金が用いられる業務の範囲でございますとか、こういったことを勘案いたしますと、先ほどもちょっと申しましたが、NHKや政府からの独立性の担保という問題につきまして慎重に検討してまいる必要があるのではないかと存じておるわけでございます。
  68. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 ここで論争するつもりはございません。大変な問題ですから、これからひとつ御検討を願いたい、こういうことだけ要望をしておく次第であります。  次に、先ほど申し上げましたように、NHKの収入の面から見ましてその次に大きいのは受信料の免除の問題でございます。六十四億ぐらいあるわけでございますが、これについて現在までの努力、そしてまたこれからどういうふうにしていきたいということをひとつNHKの方からどなたかお述べ願いたいと思います。
  69. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 数年前から、協会予算を国会で御承認いただく際に、受信料免除措置についての附帯決議がつけられております。先ほど先生御指摘のように、約六十四億、その中で約十一億ぐらいは防衛施設庁の方から交付金として収入がございますので、正味の額は約五十億余りであるわけでございます。  この免除いたしておりますのは、文部省関係、厚生省関係、法務省関係、労働省関係という四省の関係があったわけでございます。その四省に対しましてかねてからこの受信料について国庫で負担をしていただきたい、そういう予算措置をお願いしたいという要望を繰り返してまいったわけでございますけれども、容易に実現はいたしておりません。そこで、昨年度五十三年度につきましては、このいままでやってまいりました受信料の免除措置について見直しをいたしまして、刑務所あるいは図書館、博物館等六項目について免除の措置を廃止いたしましたことは御案内のとおりでございます。しかし残余の免除対象につきましては、今年度以降についても国庫による補てん、あるいは財政措置というものをお願いをしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  70. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 郵政省の方は今後どういう態度をおとりになりますか。
  71. 平野正雄

    ○平野政府委員 ただいまお話しございましたように、NHKは発足以来、放送の普及、社会福祉、教育への貢献等の見地から受信料の免除を実施してまいったわけでございますが、五十三年度から御案内のようにその免除の対象の一部の廃止を実施したわけでございます。受信料免除につきましては、NHKの財政状況、国の福祉政策のあり方等から見まして、今後さらに抜本的な検討をしていく必要があろうかと考えておりますが、免除実施以来の長年の経緯もございますし、また廃止に当たりましては関係方面の理解も必要となりますので、NHKにおいても関係機関と十分に打ち合わせをするように指導してきておるわけでございます。今後ともNHKと連絡をとりながら取り進めてまいりたい。郵政省としても必要な省庁に出向きましてやってまいっておりますが、今後ともNHKと連携を保ちながら実施してまいりたいというふうに存じております。
  72. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 ひとつそういう線で強力に進めていただきたいと思います。  次に、国際放送の問題でございます。NHKにお伺いしたいのですが、放送法の第九条の二で、国際放送をNHKは行うものとする、こういうことになっているわけですね。しかし、現実的にどうなっているのか。渾然一体になっているという話で、第九条の国際放送と三十三条ですか、郵政大臣の命令放送、これとどういうふうに違うのか。実態はどうなのか。大体この分が三十三条の命令放送だとか、これは九条の二のNHKの放送だとか、こういうふうな分け方になるのか。実際のことをひとつNHKの方から説明願いたいと思います。
  73. 橋本忠正

    ○橋本参考人 国際放送を行うものとすということは、私どもNHKが国際放送を自主的にNHKの業務として行うというふうに理解しております。それ以外に先生御指摘の三十三条ですか、国がNHKに対して国際放送を命令することができるということで、言うなれば自主的な放送と命令による放送の二本立てということになっております。しかしながら、これをばらばらに行うということは大変効率も悪うございますし、一体として行って、より放送効果を上げなさいということになっております。  じゃ、具体的にどういう点があれかと申し上げますと、国際放送の国からの命令の中には、時事、国策並びに国際問題に対する政府の見解ということを入れなさい、つまりニュース、解説等を主体として入れなさいということでございます。もちろん私どもの自主的に行っている放送の部分にもニュースはございますし解説もございます。しかしながら、そのほかに、たとえばスポーツだとか演芸、娯楽、あるいは海外にいる同胞、日系人に対するいろいろな慰安、娯楽というものもやっておりますので、厳密にどこまでがどうと言われると、これは前々から議論がございまして大変むずかしいのでございますが、私どもは、命令部分を入れ、かつわれわれの自主的部分を合わせて、より放送効果を上げるということで実施してきているわけでございます。
  74. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 実際のことを言っていただければいいので、それじゃこういうふうに理解したらどうですか。NHKが自主的にどんどん国際放送をおやりになっている、その中で政府の意図も考えながらやっている、それは年度当初に八億なら八億という政府の金があれば、それを見て大体このくらい、こういうふうにおやりになっているのか、あるいはまた、政府の方で八億出しても、やることはやるんだ、残りは全部NHKが負担しておるんだ、こういうのが実情なのか、実際の問題でいいですから、大体どういうふうに受け取ったらいいのですか。
  75. 橋本忠正

    ○橋本参考人 たてまえといたしましては、もちろん命令放送に見合う交付金をわれわれいただいているわけでございますから、交付金の範囲内で国際放送の命令放送分を実施しているということになるわけでございますが、それ以外に先ほどの自主的部分もやっているわけでございますから、合わせてトータル年間幾らの国際放送の費用をわれわれは使っている、その中で交付金がどれぐらいかということでございます。
  76. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 そうすると、自主的にやっておられる分は金がなくなってくれば全部やらなくていい、命令放送の八億分だけやればいい、こういうふうにも理解できるわけでございますか。
  77. 坂本朝一

    ○坂本参考人 当然NHKの本来業務として国際放送をしなければならぬ。国際放送の本来業務としての使命の中で、これは受信料を使って実施するわけですけれども、NHKとしては、やはり社会的な責任においてどう内容を充実していくべきであろうかということは部内において検討いたしまして、そして国際放送の受信者の状況なりそういうものを勘案して年々その事業計画を策定するわけでございます。その事業計画に基づいて政府当局に、命令放送分としての金額の御負担と申しますか交付金の増額と申しますか、これだけ中身を充実し規模を拡大するというのであればそれに見合ってこれだけの交付金をいただきたいという折衝は当然するわけでございます。ただ、それぞれの立場における財政事情がございますから、なかなか当初の計画どおりの金額をいただくというわけにいかなければ、それなりのまたわれわれの経営努力によって内容を勘案するということは当然あろうかと思います。最近はかなりその点につきましても政府御当局も御努力いただきまして、現在では、年間三十億ちょっとの国際放送の実施費に人件費を含みます全体のトータルに対して、八億何がしということで二五%ぐらいの割合になろうかと思うのですけれども、今後なお一層その点については御理解いただいて増額をお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。
  78. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 そうすると、やはり大蔵省との予算折衝ということになろうかと思うのですね。五十年度以降の統計を見ますと、政府の方の金は年率二八%ずつ伸びていますね。おたくの国際放送全体からいくと年率一四用ですから、やはり相当国の方も金をつぎ込んでいるということは言えると思いますが、全部国際放送を持ってくれ、NHKは貧乏だから三十三億みんな持てということはなかなか言いにくい、こういうお話、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  79. 坂本朝一

    ○坂本参考人 そこら辺のところの割り切り方、なかなかむずかしい点があろうかと思います。全体の大体フィフティー・フィフティーなのか、あるいは六、四なのか七、三なのかというような割り切り方も考え方の一つとしてはあろうかと思いますが、しかし、なかなかそういうような割り切り方でこの事柄を処すというような客観情勢でもございませんものですから、多少毎年毎年の折衝ということになるわけでございますけれども、ある時点においては何かそういう割り切り方、考え方というようなことの検討をする必要もあるのではなかろうか、これはまことに私見でございますけれども、感ずる次第でございます。
  80. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 それから法律的なことをちょっと伺いますが、これは放送法の七条によりますと、NHKは日本全国で受信できる放送が目的ですね。国際放送は目的外の放送と理解していいわけですね。つまり第九条は、国内放送を行うこと、その次には、関連業務ができる。九条の二は、これは目的にはないけれども従来やっておったからつけ加えておこう——後で改正したようてすけれども。そういうような法的な体制で、目的外のやつだから——これはどうなんですか、NHKとしてはこれは目的外だから法律が悪いというふうに解釈するのでしょうか。
  81. 平野正雄

    ○平野政府委員 九条の二は、ただいま先生がおっしゃいました九条一項と比べますと、そのようにおとりになれなくはないわけでございますけれども、私たちといたしましては、九条の二でNHKの公共放送としての本来業務が規定されておる、そういうふうに解釈をいたしております。
  82. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 ちょっと釈然としませんけれども、目的外のことが本来の業務だということに、多分従来のいきさつからそうなったのじゃないかと思いますが、あるいはまた私ども考えなければならぬ問題だと思います。  きょう申し上げたのは、結局、いままでの制度で赤字、NHKの収支をなるべく縮めていこう、つまり内部努力をしていただいて支出を少なくしていただく、それからまた収入の方もふやしていただく、そういうようなことについて質疑をいたしたわけでございますが、いま全部が全部やったとしても百四、五十億です。その中で国際放送もそんなに、もうあと残り二十五億くれともこれは言えないような話でございますし、また受信料の減免の問題も一気に解決できない。あるいはまた滞納の問題も非常にむずかしい問題。  そうなりますと、これから十分御検討になるのだろうと思いますが、料金値上げというような問題もまた出てこざるを得ないんじゃないか。これは長期的展望の話でございますが、来年それが出てくるかどうかわかりませんけれども、そういった問題については何かお考えになっておりますか。NHKに最後にこの点をお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
  83. 坂本朝一

    ○坂本参考人 当委員会でもしばしばその点についての御質疑をいただいているわけでございますけれども、これは言うまでもなくNHKといたしましては収入源が受信料ただ一つであるという現状から、何と申しましても収支のバランスをとる、財政の安定を図るということになりますと、受信者の御理解を得た上で受信料の改定というようなことを当然一つの問題として考えさせていただかなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  84. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 終わります。
  85. 石野久男

    石野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ————◇—————     午後二時四十五分開議
  86. 石野久男

    石野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  87. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 きょうは協会の皆さん、お忙しい中を大変御苦労さんです。  実は私、記憶がちょっと薄くなったが、つい四、五日前だったかと思うのですけれども、朝日新聞の折り込みに、NHKの集金を委託をする人たちの募集の広告を見たような気がしまして、天下のNHKが人を集めるのに広告を出さなければ集まらないのだろうかと思って、ちょっと奇異な感じを受けたのですが、最近そういうことをおやりになっておりますか。
  88. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 委託の集金の方々は、やはり高齢であるとかあるいはほかに転職するとかあるいは病気であるとか、そういうことで年間に三百人から四百人ぐらい全国でやめる方がおられますので、その都度欠員を埋めていくために募集をやっておりますが、その募集の方法といたしまして、新聞に広告を出すあるいはNHKの放送を通じてやるということをやっておりますが、新聞に折り込みの広告を出すということは地方ではたまにあると思いますけれども、東京では折り込みの広告というのは私、承知はいたしておりません。
  89. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私も保存しておけばよかったのですけれども、つい捨てちゃったものですから、それで、そのときに非常に奇異な感じを持ったものですから記憶に残っておるのですが、お出しになっていないとすればそのことをとやかく言うわけではありませんけれども、私はそれを見た記憶があるわけでございます。たまたましかし現実の問題として毎日新聞の案内等に委託集金員の募集というのが出ておるようでございますが、職業安定所等の機関もあるのですけれども、こういう広告を出さなければ希望者が集まらない、そういう状況でございますか。
  90. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 ただいまも申し上げましたように放送でもやっております。それから新聞に広告を掲載する、それから職業安定所を通じてお願いするという、大体その三つの方法をやっているわけでございますけれども、放送の場合は非常に時間が短い、細かく仕事の内容であるとか、そういうことをなかなか入れる余地がございませんで、詳しくはどこそこへお問い合わせくださいというやり方でございます。新聞の場合でございますとある程度細かく内容も掲載できるということで、そういうお知らせをやった場合に、新聞を見て応募される方が数としては一番多うございます。それからその次は放送、違いと申しましてもそんなに大きな差はございませんけれども、その次が放送というふうなことになっておりますが、その中から採用できる方と申しますか、これは放送を見て来られて問い合わせがあって、それに対して仕事の内容であるとかそういう応募の要項をお渡しをして、それで応募されてくるそういう方から採用する。その率というのは放送が一番高うございます。その次が新聞というふうなことになっております。
  91. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっと奇異な感じがするのですが、今日経済の減速時代でいわゆる雇用創出を図らねばならぬというような時期に、新聞広告を出したりしなければ人が集まってこないのだろうかというような気がするのですが、それではどのくらいこういう広告を出すと集まってきて、その中から何人ぐらい採用されるのですか。何かいまのお話では欠員補充程度のように聞こえたのですが、たくさんの方を集めてその中から何人とかいうような採用になるのか、どういう割合になっておりますか。
  92. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 全国的に見ますと、五十二年度で放送を見て応募された方が約千四百名ぐらい、新聞を見て応募された方が約千七百名ぐらいでございます。各局、各営業所、そういうところで欠員ができるわけでございますので、その都度やはり募集をして空白ができるだけできないように、集金に行く方がいなくなるというふうなことができるだけないようにいたしております。これまた景気がいいときと悪いときによって違いがございます。最近はわりあい応募者が多くて、やはりいい方が採用できるというふうな状況にございます。
  93. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは第一線でないからわかりにくいのかもわかりませんが、たとえば私の記憶では東京、横浜、川崎、そういうところは何か入っておったような気がするのですけれども、最近の状況でああいう折り込みなりあるいは新聞広告、これは東京の近効のようでNHK東京営業局となっておりますが、たとえば東京営業局でこういう新聞広告を出す、そうするとこの新聞広告を出したらやはり一時に殺到されるでしょうし、その方々を何人か一緒にお集めになって選考されるのではないかという気がするのですが、一人一人ばらばらに来てその中から決めていくというのではなかろうと思うのですが、最近の状況で、こういう広告を出したときに、たとえば東京の営業局の中でどのくらいの人がお見えになって、その中から何人ぐらい採用さるるのか、そういう状況がわかっていればちょっと参考に知らせてもらいたいのです。
  94. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 これは東京の例でございますけれども、五十三年度は放送は大体月に一回ぐらい出しました。それで新聞広告もどこそこどこそこの営業所に近くにお住まいの方、要するにこの委託の集金の方は受け持っていただく地域の近くに住んでおられる方を採用するというふうにいたしておりますので、そういうことを内容の中に盛り込んで広告は出しておるわけでございますし、放送の場合もそういうやり方をやっているわけですけれども、東京の場合で五十三年度に応募者が全体で約二百六十名ございました。その中で採用いたしましたのが四十三名でございます。そのほかに、すでに委託の集金をしておられる方の紹介で採用した方もございます。これが二十三名ございまして、合計で六十六名、五十三年度に東京営業局で採用したということでございます。
  95. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私はこれをお伺いしておるのは、さっき申し上げたようにNHKの仕事をするのに新聞広告まで出して募集しなければ人が集まらないのだろうかという奇異な感じをちょっと持ったわけですが、この募集の要項によりますと、月収は大体十五万から二十万というふうになっておるようです。これは何か出来高払いの関係もあると思うのではっきりはしないのでしょうけれども、今日の経済情勢の中で高いとは言えないまでも、十五万から二十万の収入があるというような仕事があれば希望者が相当多いのではないかという気がしたわけです。それを新聞広告まで出して集めなければ人が集まらないのだろうか、そこに実は奇異な感じを持ったのですが、仮にいまおっしゃった東京の営業局管内で年間三百人なり四百人なり採用するということは、とりもなおさずその程度の委託をされておる方々がおやめになっておるということを意味するわけでございますか。
  96. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 先ほど申し上げました二百人、三百人というのは応募をされた方でございまして、採用したのは、いわゆる公募が四十三名で、紹介で採用した方が二十三名、合計六十六名ということでございます。
  97. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。いずれにしても広告を出して人を集めねばならぬというように来る人が少ない。いまNHKの普通の採用試験か何かなさるのだったら、無条件に応募をさせたら二百分の一、三百分の一というぐらいしか採用されないのではないか。これは私の想定ですが、そんな数字になるのじゃないか。ところが委託の場合には、いまのお話から、こういう広告まで出して募集をしてみても、仮に三百人の中で五、六十人となれば、採用の割合は、殺到率に対する割合は非常に高くなるということになってくるわけですが、この委託集金というのがその意味でわりあい人が集まりにくいような原因があるのでしょうか。
  98. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 原因というのは私どもも余り明確には把握いたしかねておりますが、東京等の大都市部で専業でやっておられる方の年間の収入というのは大体三百二、三十万ぐらいあるわけでございます。月にいたしまして二十万から二十五万ぐらい、これは大都市部の場合でございます。しかし、電気料金の集金であるとかあるいはガス料金の集金であるとか、そういう集金業務よりもNHKの集金の仕事というのは説得なりそういう活動も最近のこの状況の中ではしなければならない、そういう点でいわゆる単純な使用料金の集金業務に比べますとやや困難度が高いということは言えるかと思うのでございます。そういう点で、応募される方についてもいろいろ考えられる点があるのではないかというふうに考えております。
  99. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 全国的にあれしますとなかなかつかみにくいので、東京の営業局管内だけで知らしていただくといいのですが、仮に東京営業局管内でNHKの集金に携わる正規の職員はどのくらいおいでになるのか、それからいまの委託をして集金をしていただいておる方がどのくらいの数で、集金の額はどのくらいになるのか、それからいま銀行口座振込とかがあるようでございますが、これが一体どのくらいになるのか。それから、郵便局の委託があるかどうかわかりませんが、郵便局に対する委託、大きく分けてそんなものだろうと思いますが、何人くらいの職員がどのくらいの集金の割合を占めておるか、それから口座振込がどのくらいか、委託がどのくらいか、それと郵便局があれば郵便局、ちょっと東京営業局の管内で細かくなくて大まかの数字で結構ですから、どんな割合になっているのでしょうか。
  100. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 いま東京都だけの数字、ちょっと手元にございませんので、後刻お手元にお届けしたいと思っております。
  101. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 数字はわからなくとも、その集金の方法としてはいま私が申し上げたようなものが東京都内でも行われておるわけですか。たとえば東京都内は全部委託だとかいうことでなくて、私が申し上げたのは、正規のNHKの職員による集金の担当の方もおいでになる、それから委託の方もおいでになる。私が心配するのは競合するような場合があるかないか、そういうような問題もありますので、そういう集金の方法が幾つかあるはずですから、東京都内の場合に集金の方法は幾つありますか。
  102. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 東京都の場合は、外務の職員が直接集金をやっているという部分はきわめて少のうございます。俗に山谷というふうな非常に集金のしにくい地区、これは委託の方にやっていただきますと非常に困難で収入に大きく影響いたしますので、これは外務職員をもって充てるというふうな特別なケースでございまして、大部分は委託の集金の方に一般の集金はやってもらっております。  それから、東京都の中でも三多摩地区の方には、まだ郵政省に委託している地域が若干ございます。したがいまして、一般の集金と申しますか収納業務は原則として委託の方にやってもらっている、外務の職員は滞納の対策といいますか、委託の集金の方のなかなか手に負えないというふうなものについて外務の職員がやるというやり方でございます。
  103. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体概要がつかめましたが、私が考えたのは、仮に東京都内で年間に五十人なり六十人なりの人を採用するために新聞広告は出す、折り込みはないとおっしゃったが、どうも私の目にとまっておったのでは折り込みを出す、さらにその人たちを随時面接をしながら選別をして、と言うとしかられますが適格者を採用していく、大変な時間と労力を要するような気がいたします。それならば、東京都のようにテレビの受像機を備えつけておる世帯が密集しておる地域では、むしろ専属の職員を配置してその方々に集金をしてもらった方が能率も上がるし、経済的にもその方が効率的ではないかという気がするのですが、その辺はいかがなものですか。
  104. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 当初はほとんどそういう外務の職員が直接集金に当たっておったわけでございますけれども、だんだん収納状況が悪くなってまいりまして、対策業務と申しますか理解をしてもらいあるいは説得をする、そういう業務というのがだんだんふえてまいりましたので、それにもっぱら外務の職員、正規の職員をもって充てる、それで一般の集金の仕事というのは委託にやってもらう、その方がやはり全体としての収納成績を上げることができるという考えで、いまから約十年ほど前にそういう現在の体制に切りかえたわけでございます。やはり私どもといたしましては、だんだん収納困難な受信者がふえてくるという状況の中では、そういう受信者に対しては職員が当たるということの方がより全体としての成績を上げることができるのではないかというふうに考えております。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 短期的に見ればそういうことも言えると思うのですけれども、その職に生涯をささげて生活をするという意欲を持って働く場合と、まあ委託だから適当な時期にほかにいいところがあればやめてかわろうかとかそういうような状況の人が集金をされる場合と、長い目で見てどうなんだろうかという気がしますが、それは計算の上で出ることでありますからそれをとやかく言う気はありませんけれども、どうも委託集金制度というものがこんなにむずかしくなった、いわゆる受信者から受信料をいただくのが非常に困難な社会になってくればくるほど、この委託というような制度で集金が乗り切れていくのだろうかということを懸念するわけです。  いま全国的で結構ですが、集金のための職員はどのくらい、それから委託をしておる方々がどのくらいで、受け持っておる受信料口数はどうなっておるか、ちょっとわかったら……。
  106. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 これは五十三年度末の状況でございますが、全国で外務職員というのが約千百名でございます。それから一般の委託の集金の方、これが約四千名でございます。それから郵政省に委託しております郵便局の数が約三千四百局になっております。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかれば、その千百人の職員の皆さんが受け持っておる件数、それから四千人の方々の割合はどうなっておるか。
  108. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 この収納方法別の契約の数でございますが、外務の職員が受け持っております受信契約者の数は三十五万四千、それから一般の委託の方が受け持っております数が千三百四十三万、郵政省に委託をしております契約者の数が三百二十万、それからこのほかに口座がございます、これが一千四十万で、合計で約二千七百四十万ということになります。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体その様子を大まかにつかむことができましたが、こういうふうに考えてみまそこに実は奇異な感じを持ったのですが、仮にいまおっしゃった東京の営業局管内で年間三百人なり四百人なり採用するということは、とりもなおさずその程度の委託をされておる方々がおやめになっておるということを意味するわけでございますか。
  110. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 先ほど申し上げました二百人、三百人というのは応募をされた方でございまして、採用したのは、いわゆる公募が四十三名で、紹介で採用した方が二十三名、合計六十六名ということでございます。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。いずれにしても広告を出して人を集めねばならぬというように来る人が少ない。いまNHKの普通の採用試験か何かなさるのだったら、無条件に応募をさせたら二百分の一、三百分の一というぐらいしか採用されないのではないか。これは私の想定ですが、そんな数字になるのじゃないか。ところが委託の場合には、いまのお話から、こういう広告まで出して募集をしてみても、仮に三百人の中で五、六十人となれば、採用の割合は、殺到率に対する割合は非常に高くなるということになってくるわけですが、この委託集金というのがその意味でわりあい人が集まりにくいような原因があるのでしょうか。
  112. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 原因というのは私どもも余り明確には把握いたしかねておりますが、東京等の大都市部で専業でやっておられる方の年間の収入というのは大体三百二、三十万ぐらいあるわけでございます。月にいたしまして二十万から二十五万ぐらい、これは大都市部の場合でございます。しかし、電気料金の集金であるとかあるいはガス料金の集金であるとか、そういう集金業務よりもNHKの集金の仕事というのは説得なりそういう活動も最近のこの状況の中ではしなければならない、そういう点でいわゆる単純な使用料金の集金業務に比べますとやや困難度が高いということは言えるかと思うのでございます。そういう点で、応募される方についてもいろいろ考えられる点があるのではないかというふうに考えております。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 全国的にあれしますとなかなかつかみにくいので、東京の営業局管内だけで知らしていただくといいのですが、仮に東京営業局管内でNHKの集金に携わる正規の職員はどのくらいおいでになるのか、それからいまの委託をして集金をしていただいておる方がどのくらいの数で、集金の額はどのくらいになるのか、それからいま銀行口座振込とかがあるようでございますが、これが一体どのくらいになるのか。それから、郵便局の委託があるかどうかわかりませんが、郵便局に対する委託、大きく分けてそんなものだろうと思いますが、何人くらいの職員がどのくらいの集金の割合を占めておるか、それから口座振込がどのくらいか、委託がどのくらいか、それと郵便局があれば郵便局、ちょっと東京営業局の管内で細かくなくて大まかの数字で結構ですから、どんな割合になっているのでしょうか。
  114. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 いま東京都だけの数字、ちょっと手元にございませんので、後刻お手元にお届けしたいと思っております。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 数字はわからなくとも、その集金の方法としてはいま私が申し上げたようなものが東京都内でも行われておるわけですか。たとえば東京都内は全部委託だとかいうことでなくて、私が申し上げたのは、正規のNHKの職員による集金の担当の方もおいでになる、それから委託の方もおいでになる。私が心配するのは競合するような場合があるかないか、そういうような問題もありますので、そういう集金の方法が幾つかあるはずですから、東京都内の場合に集金の方法は幾つありますか。
  116. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 東京都の場合は、外務の職員が直接集金をやっているという部分はきわめて少のうございます。俗に山谷というふうな非常に集金のしにくい地区、これは委託の方にやっていただきますと非常に困難で収入に大きく影響いたしますので、これは外務職員をもって充てるというふうな特別なケースでございまして、大部分は委託の集金の方に一般の集金はやってもらっております。  それから、東京都の中でも三多摩地区の方には、まだ郵政省に委託している地域が若干ございます。したがいまして、一般の集金と申しますか収納業務は原則として委託の方にやってもらっている、外務の職員は滞納の対策といいますか、委託の集金の方のなかなか手に負えないというふうなものについて外務の職員がやるというやり方でございます。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体概要がつかめましたが、私が考えたのは、仮に東京都内で年間に五十人なり六十人なりの人を採用するために新聞広告は出す、折り込みはないとおっしゃったが、どうも私の目にとまっておったのでは折り込みを出す、さらにその人たちを随時面接をしながら選別をして、と言うとしかられますが適格者を採用していく、大変な時間と労力を要するような気がいたします。それならば、東京都のようにテレビの受像機を備えつけておる世帯が密集しておる地域では、むしろ専属の職員を配置してその方々に集金をしてもらった方が能率も上がるし、経済的にもその方が効率的ではないかという気がするのですが、その辺はいかがなものですか。
  118. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 当初はほとんどそういう外務の職員が直接集金に当たっておったわけでございますけれども、だんだん収納状況が悪くなってまいりまして、対策業務と申しますか理解をしてもらいあるいは説得をする、そういう業務というのがだんだんふえてまいりましたので、それにもっぱら外務の職員、正規の職員をもって充てる、それで一般の集金の仕事というのは委託にやってもらう、その方がやはり全体としての収納成績を上げることができるという考えで、いまから約十年ほど前にそういう現在の体制に切りかえたわけでございます。やはり私どもといたしましては、だんだん収納困難な受信者がふえてくるという状況の中では、そういう受信者に対しては職員が当たるということの方がより全体としての成績を上げることができるのではないかというふうに考えております。
  119. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 短期的に見ればそういうことも言えると思うのですけれども、その職に生涯をささげて生活をするという意欲を持って働く場合と、まあ委託だから適当な時期にほかにいいところがあればやめてかわろうかとかそういうような状況の人が集金をされる場合と、長い目で見てどうなんだろうかという気がしますが、それは計算の上で出ることでありますからそれをとやかく言う気はありませんけれども、どうも委託集金制度というものがこんなにむずかしくなった、いわゆる受信者から受信料をいただくのが非常に困難な社会になってくればくるほど、この委託というような制度で集金が乗り切れていくのだろうかということを懸念するわけです。  いま全国的で結構ですが、集金のための職員はどのくらい、それから委託をしておる方々がどのくらいで、受け持っておる受信料口数はどうなっておるか、ちょっとわかったら……。
  120. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 これは五十三年度末の状況でございますが、全国で外務職員というのが約千百名でございます。それから一般の委託の集金の方、これが約四千名でございます。それから郵政省に委託しております郵便局の数が約三千四百局になっております。
  121. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかれば、その千百人の職員の皆さんが受け持っておる件数、それから四千人の方々の割合はどうなっておるか。
  122. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 この収納方法別の契約の数でございますが、外務の職員が受け持っております受信契約者の数は三十五万四千、それから一般の委託の方が受け持っております数が千三百四十三万、郵政省に委託をしております契約者の数が三百二十万、それからこのほかに口座がございます、これが一千四十万で、合計で約二千七百四十万ということになります。
  123. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体その様子を大まかにつかむことができましたが、こういうふうに考えてみま前の放送会館を売り払った時期などというのは金が余ってどこかに寄付したいなどというような話になりまして、私はそれはちょっとNHKの将来のために持っておくべきではないかと言ったのですが、とうとうあれは放送文化基金ですか何かに寄付してしまいまして、いまさら取り返すといっても取り返しはつかぬでしょうが、そういう時期にある程度の措置を講じておくべきではなかったのか、そういう気がします。  そこで、もう少しあれしたいのですが、この逓信委員会で、先般昭和五十四年度の予算が通過をする際に、附帯決議についていろいろ先生方の御議論をいただいたところでございます。その中で、去年までついておった協会の職員の待遇改善について適正な配慮をすることという項目が今年は削除された。しかし、それは私どもの同僚の理事さんからも強く申し上げましたように、そしていままで議論してきたように、これは言わずもがなのことだから削除をするという精神であって、職員の待遇改善について適正な配慮をしてはいけないということではないと私は理解をしておるのです。これはひとつ責任者の会長から、どういう御理解になっているか承りたいのですが。
  124. 坂本朝一

    ○坂本参考人 附帯決議の尊重ということは、私としては当然すべきであろうかと思います。  ただ、附帯決議もさることながら、この質疑の中でそれぞれ先生方からいろいろと御指摘をいただき、なおかつ職員の待遇の問題についても御指摘をいただいておりますので、その点については、いま武富理事がお答えしたようにわきまえておるつもりでございます。
  125. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 内部のことに立ち入るつもりはございませんが、ことしの春闘で労使関係でいろいろ話し合いをなさった際に、附帯決議から職員の待遇の改善について適切な配慮をするというのが消されたのだから、ことしの春闘は賃上げを大幅にしてはいけないのだ、そういう議論があったやに——私、見ていませんからわかりませんよ、あったやに聞いていますが、いまの会長お話では、そういうことはないというふうなお話でございますけれども、これは担当の方でございますが、そういう議論があったのかなかったのか、承りたいのですが……。
  126. 武富明

    ○武富参考人 お答えを申し上げます。  決して附帯決議がなくなったからベアを低くていいんだという論を立て、また組合と交渉したことはございません。
  127. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、賃金問題については労使関係も妥結をして正常化されたというふうに聞いておるのですけれども、ほかの週刊誌などによりますと、何かNHKの中の労使関係で合理化の問題が非常に大きく取り上げられておるようでございます。合理化案というようなものは、協会としてどういう内容の合理化案を提示され、それが働く者の立場から受け入れられないというふうなことになって紛争になったのか、概要で結構ですが、ちょっとお知らせ願いたい。
  128. 武富明

    ○武富参考人 御説明申し上げます。  確かに、効率化問題というのが今度の春闘の労使間の非常に大きな問題でございました。協会といたしましては、今日の非常に厳しい財政状態の中で今後の事業運営を図っていき、また視聴者に一層の御理解と御支援をいただくためには、やはり一方では公共放送としてのサービスの向上ということをしっかりやっていかなければいけないのと、また、料金を払ってくださるという視聴者の立場から見れば、経営の効率化ということはやはり何よりも望まれることであろう。したがいまして、公共放送としてのサービスの向上とそれから事業運営の効率化と、この両面を一層推進していかなければいけない、こういうふうに考えているわけでございます。  そのために、今度の交渉の中で効率化につきまして組合の理解と協力を求めまして、これがいま先生お話で提示というお話がございましたけれども、われわれとしては、具体的には効率化について組合の理解を求めるのとあわせまして労使間に委員会を設置いたしまして、ここでもって効率化という問題を論議していこう、こういうことを提案をしたわけでございます。これは立場も違いますし、組合の方は、合理化というのは基本的に職員、組合員の生活とそれから権利にかかわる問題であるからと、こういうことで大変強く反対をいたしまして、ここでもって労使交渉というのは平行線をたどったわけでございます。今次の給与交渉の中では、この問題については決着を得ることができませんでした。したがいまして、給与交渉というものを切り離してここで妥結をし、それから、この効率化の問題につきましては別に労使間に委員会というものを設けて引き続いて論議をしていこう、こういうことで終わっているわけでございます。  それで、先ほど先生から具体的な提案をしたかとこういうお話でございますけれども、私どもとしては、具体的に申しましたのは、組合の理解を求めるために労使委員会をつくろう、この委員会の中で、協会としては検討の骨子といたしまして五つのことを申しました。これが新聞では提示というふうに書かれているわけでございますけれども、われわれとしては、経緯の中では、そういうことで五つの検討の骨子ということに触れたわけでございます。  骨子につきましては、申し述べましょうか。
  129. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 はい、知らしてください。
  130. 武富明

    ○武富参考人 それでは、ここで検討の骨子についてお伝えいたしますと、一つは、管理、間接部門の抜本的な見直しをしたい、こういうことでございます。それから二番目には、時代の変化に対応する業務体制の見直しというのをやりたい。それから三番目には、事業規模並びに事業運営の全般的な見直しをいたしまして、NHKが直接行うべき業務の範囲というものを検討したい、こういうことでございます。それから四番目に、全国配員状況の見直しをいたしまして、要員の重点的再配備というものをやりたい。それから、あわせて要員の有効活用というのをやりたい。これが四番目でございます。五番目は、設備の自動化による省力化の積極的推進、これがわれわれが考える効率化というものなんだ、こういうことを申し述べたわけでございます。  その結果、いまお話しいたしましたように、必ずしも受け入れるところとならず、現在、ベアは妥結をいたしましたけれども、この問題については委員会を設けまして、基本的な考え方というのは対立しているわけでございますけれども、そこで一層協議を続けていく、こういう状況になっているわけでございます。
  131. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 協会がそういういわゆる効率化、一方では合理化とこう呼んでおるようでございますけれども、効率化あるいは合理化という問題を提起するに当たって、先般のこの委員会で附帯決議を付したその第二項に、「協会は、厳しい経営環境を認識し、長期的展望に立って、企業努力に徹し、財政基盤の健全化を早急に図ること。」という附帯決議があったので、協会はそういう提示をしたということなのでしょうか。それとも、大変失礼な言い方ですが、そういうものがあろうとなかろうと当然の経営の責任としてそういう提示をされたのかどうかですね。
  132. 武富明

    ○武富参考人 お答え申し上げます。  私が前の御質問に対してお答えをいたしました公共放送としてのサービスの向上ということとそれから事業運営の効率化ということは、受信者の側から見れば絶えずNHKに求められるものであり、少なくとも契約義務制というものに基づいて協会の受信者がわれわれに料金を払ってくださる、こういう状況から考えますと、協会の経営としてはつまり内在的に効率化というものは求められているものだというふうに私は考えております。したがいまして、決して国会の附帯決議があったからということではございませんし、一方では国会の附帯決議というのは、われわれとしては事業運営の一つの指針たるべきものだというふうに考えておりますし、また特に逓信委員会の附帯決議というのは全党一致ということでつけていただいております。これこそやはり一つは世論というふうにわれわれ受けとめまして、一方ではわれわれの本来持っておる使命、それから一方ではそういう世論、こういうものを意識いたしまして、そして効率化ということをぜひやっていかなければいかぬ、こういうふうに考えたわけでございます。
  133. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は今日の労働組合は効率化というものについてそう無理解であろう道理はないと思うのです。ただその効率化のあり方について意見が分かれておるのではないか。話し合えば必ず結論が出る問題だろうというふうに思うわけです。ただ効率化のあり方、たとえば合理化という言葉一つを使ってみても、合理化と言う以上は、経営の側にとっても合理的であると同時に働く側にとっても合理的でなければ、本当の合理化ではないと私は思うのですね。ところが、いま出てくる合理化は、経営の側にとってはきわめて都合のいい合理化であっても、それが労働の側の犠牲において行われるところに合理化というものに対する反発が出てくる、そういうふうに私は思うので、せっかくそういう委員会をおつくりになっていただいておるのならば、ぜひひとつその委員会で、合理化というふうな考え方ではなく、効率化というものについて考え方を歩み寄らして、期待にこたえるような努力お願いしたいと思います。  それからもう一つ、NHKの中でこういう意見があるというように聞いたんですが、この委員会でもこれは各党の意見として附帯決議にもかねてつけてきたところですが、本来社会福祉あるいは教育等国が負担しなければならない受信料について、受信者の了解を得ながら大臣の許可を得て免除をしてきた。しかし、今日のNHKの経営状態の中でこれを受信者に負担させるという負担のさせ方と、勢い税金に肩がわりするとしても、税金の場合には能力のある者から税金を取るわけでございますから、負担の割合は変わってくる、そういう意味からするならば、国の施策で行う社会福祉の問題とか教育の問題についてNHKが受信料の免除までやって受信者の負担をふやす必要はないのではないか。むしろこの段階では、そういう国の施策として行うものは国に負担さすべきではないのかという意見をしばしば出してまいりまして、経営の側の皆さん方も大体賛同いただいて、そういう方向で努力をしておるというように今日まで聞き及んでまいりましたし、そう理解をしてきたのですが、最近仄聞するところでは、NHKの中で、そういう国から金をもらうということは間違っておるのだ、NHKの自主性を侵すものである、こういうような意見もあるやに聞いておるのですが、率直に言ってどうお考えになっているのでしょうか。
  134. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 私どもといたしましては、基本的には免除というものは逐次縮小をしていく、それ−を個々の受信者、生活困窮者あるいは身体障害者、そういう個々の受信者なりあるいは施設に負担を強制するということは避けるべきではないか、したがって、国庫負担あるいは国の財政的な措置等をやっていただきたいというふうに考えているわけでございまして、先ほど先生がおっしゃった一切国庫から負担をしてもらうのは反対であるというふうな考えは持っておりません。
  135. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、これは補助でもなければ国の負担でもない、当然国が責めを負うべき施策として、受信料をNHKが免除しておる分を個人に対し取るのが無理ならば、国の施策としてそれは処理をすべきであるということをいままで主張してきたのであって、国から補助をもらおう、そういうような考えは毛頭この委員会が持ったわけではないわけでございますので、もし協会の中でそういう意見があるとするならば、この委員会の議論で意図しておるところについて了解してもらうようにひとつお骨折りを願いたいと思っております。  率直に申し上げてNHKの経営が非常に重要な時期でありますし、公共放送を私は守っていかなければならないという立場に立っておりますから、これ以上突っ込んだ質問はしませんが、週刊誌等にも出ております以上にNHKの内容がいろいろ問題があることは私は承知をしております。どうかひとつ、こういう時期であるだけに鋭意努力をして受信者の期待にこたえていただくようにお願いをしまして私の質問を終わります。
  136. 石野久男

    石野委員長 次に、田中昭二君。
  137. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 NHKの五十一年度の決算の審議でございますが、この五十一年度というのは、受信料の改定等も含まれまして大事な年だったと思っております。そこで、受信料を見ましても翌年以降の受信料の収入がどういうふうに増加していくか、そういう中でいわゆる事業支出は一定額はふえていく、そういう収支状況であったと思うのですが、またこういう中で続けていきますと料金改定という問題が起こってくるわけでございますが、五十一年当時から見れば何年か過ぎたわけでございますし、そういう中での協会の具体的な何かお考えになったことございましたらお教え願いたいと思います。
  138. 坂本朝一

    ○坂本参考人 協会の財政の動きというのは先生御指摘のような状況でございますので、それについてできるだけ改善して、そして視聴者の御期待に沿いたいということで、先ほど来申し上げましたように第二次基本問題調査会等も設けまして、いろいろと御献策もいただき、将来にわたっての経営の万全を期するための努力をしたい、その中で財政上の問題で、どうしても受信料の収納によって協会の経営がなされているということでございますから、それらの点も含めましてわれわれとしては将来に向かって経営を開いていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  139. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこで、五十一年度の受信契約の数、それに対する当初予算で見ました契約増とか、それに匹敵します収入の増とか、そういう面でお尋ねしたいと思いますが、五十一年度は前年に比し大体実績で四十六万六千、約四十七万ですね、これだけの契約者数があったわけですが、当初予定したものよりも大分低くなっております。この理由は何だったんでしょうか。
  140. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 御承知のように、五十一年度は受信料の改定をお願いし、実施した年度でございます。要するに受信料の値上げという年でございました。したがいまして、私ども営業の活動といたしましては、値上げになった受信料を確実に収納をするということにまず重点を置いて活動をいたしました。しかし、この収納の活動も、やはり説明のための時間がかかるとか、そういうことで収納の業務というものが非常にかさんだことは事実でございます。したがいまして、新しく契約者を増加するこの取次業務に十分手を回すことができなかったということがございました。したがいまして、年間七十万の増加の計画でございましたけれども、上半期で三方の増加しか上げることができなかったということで非常に悪い状況になりました。そのために、下半期に営業部門が一斉に受信契約の増加の方に運動を展開いたしまして、下半期の取次実績というものは、前年度昭和五十年度の下半期を上回る取次実績を上げることができたわけでございますけれども、結果的には、先ほど先生が御指摘になりましたように、年間を通して七十万の目標に対して約四十七万しか増加できなかったということでございまして、やはりこれの一番の大きな原因は受信料の改定ということにあったというふうに考えております。
  141. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまお聞きしましたわけですが、翌年の五十二年を見てみますと、大体七十万に対して六十七万九千、六十八万ですから大体一〇〇%に近いわけですね。その前もずっと見てみますと、大体一〇〇%を超えたり、まあ一〇〇%に近いというのがいままでのNHKのいわゆる受信契約の増加に対する積極的な努力の結果であったろう、こういうふうに思うわけです。いま中塚さんの最後におっしゃった当初の予定が間違っておったという、結果的にはそういうことになるわけですね。当然、料金改定をしたならばそういうものが落ちるだろうということは予想されておるわけですから、それに対して七十万というのは、やはり当初の予定がちょっと見込み違いであった、こういうことであると思います。  そこで、五十三年度でございますけれども、いま何かお聞きしますと、五十一年度は下半期で四十三万もの契約増加をしたならば、五十二年度のこの七十万に対して六十八万というのもどうかなという感じがします。これはまた時間があれば議論しますが、五十三年度は大体六十万の増加を見て、その受信料の収入は当初予算では七十六億円であったのですが、これが四十八億円しかふえていないのですけれども、これは間違いございませんか。間違いがないかどうかだけで結構です。
  142. 川原正人

    ○川原参考人 お答えします。  最終的に四十八億の増にとどまったことはそのとおりでございますが、当初予算のときの受信料収入の増加見込みは五十一億五千万円でございました。それに対しまして増加分が四十八億円にとどまった、こういうことでございます。
  143. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 五十一億ということはないはずでございます。指摘しておきます。一応、最終的には四十八億になったことだけはお認めになりましたからそれでいきますが、契約者は大体六十万ぐらいいったわけですね。  そうしますと五十四年度ですけれども、予算面では受信契約の増は約五十五万、大分またトーンダウンしているわけですが、そして受信料の増加は四十八億。そうしますと五十五万でも四十八億。その間、何も改定があるわけでないし、かえってカラーの契約がふえていくわけですから、金額はふえなければならないはずですが、前の年の実績は六十万で四十八億、五十四年度は五十五万で四十八億。何かこう納得のいかぬような感じがするのですけれども、どういうことでしょうか。
  144. 川原正人

    ○川原参考人 確かにそこに問題がございます。実は受信者の増加は年間を通じまして最終的に六十万件ふやしたい、あるいはふやしたという結果でございますが、そのふえ方に私どもいつも苦労いたしまして、上半期の方でたくさんとれますと、実はその同じ一件でも最初にとれますとずっと一年間の収入になるのでございますけれども、年度末の方に偏って新たな加入がございますとそれはほんの二カ月分しかならない場合もございまして、結局ふえ方のカーブといいますか、上半期の方でたくさんとれていますと年度間の非常な増収になるのですけれども先ほど中塚からも申しましたように、年度末の方でやっと目標を達成したというような場合にはどうしても年間の増加額が予定どおりにいかないというようなことがございまして、実は五十三年度、当初もう少し平均してとって増収を図ろうとしたのですけれども、やはり年度の後半の方に偏ってしまったものですから、こういう結果になりました。五十四年度についてはいまこれからやり始めたところで、これは何とか早目に早目に増加をして、年間何とか五十五万件でも四十八億円の増収につなげたいというふうに考えているところでございます。
  145. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私はちょっと納得いきませんが、時間がございませんから次に進みます。  先ほど、五十一年度が上半期で三万しかふえなかったということですが、五十一年は当時は改定の年でしたから資料をいただいておりますが、ちょっと指摘だけしておきます。この四月は全国で三万三千ふえていたのです、四月だけで。五月は逆に三万九千、四万くらい減っているのです。この四月がおかしいのですが、六月はちょっとふえています。七月はまたさらに三万減っているのです、累計でも三万近く減っている。八月はちょっとふえていますが、九月では八千、約一万減って、これで三万。二万八千が正確な数字。ですから結局五十一年度は四十六万、仮に四十七万にしますと、あと半年で結局四十三万近くの契約増をとったということですね。私は、がんばってやれば受信契約というのは百万か八十万かぐらいはいままでの実績から見ましてもとれるのじゃないか。それを五十一年は改正したから、料金を上げたからちょっと遠慮しておるところがあったとしてみても、その証拠に五十二年は六十万を超しているわけですね。そうですね、六十八万もとれているわけですから。ですから、どうも毎年、予算の場合は受信契約増を低く見て低く見て、その低く見た額よりもなお実際は低くなるという形はとるべきでない、このように指摘しておきます。  そこで全体の問題でございますから、この受信契約増というものがNHKでは純粋に財政収入のふえる部分もとになるわけですから、それに見合う経費の方はどうかといいますと、まず一つ取り上げてみますと、未収受信料の欠損償却というのをやってあります。これが五十一年度では、受信収入に対して約五十億近い二・六%。恐らく五十二年はそれ以上の数字になるでしょう。そうしますと、いま申し上げましたように五十三年度に対して受信料が四十八億しかふえない。そういう中で、償却が仮に三%と見ても六十三億ですよ。これが経営のもとから破壊してしまっておる。収入の増よりも、償却で落とす分だけでもその収入増をオーバーしている。このほかに経費の増もありましょうし、こういう状態であるわけでございますが、五十三年以降、受信料収入よりも償却がふえる、これは確実であります。五十三年だけでも四十八億円で、大体前の年が五十三億ですから、六十億程度になると思います。こういう償却を落としていくということは、現場では、いまこちらの契約を一件とった、こちらで二件未収があるのを損失に落としていくというようなかっこうですから、これは経営の努力はしてもらったと思いますけれども、問題があるのではないか、そういうふうに私は思います。  それから、先ほど午前中に、受信料の滞納の問題でお話が出ております。これでもそうですね。五十一年度は十何万ふえたけれども、五十二年度は九万か何ぼで終わった、そういう説明がありました。もう時間がありませんから、私の方から指摘だけしておきますけれども、午前中の中塚さんのお話では、五十一年の滞納者の数は五十二年になってトーンダウンした、五十一年は十五万ふえたけれども、五十二年は十万ぐらいにとどまった、その後努力をしたためにそういうふうに減ったのだと言う。問題は中身だ。いつも住居不在の人、これは余り変わらないとしますと、内容を見てみますと、NHKに対する無理解、払わぬぞという人、このふえ方が一番多いのです。このふえ方は五十年対五十一年も五十一年対五十二年も、数においては余り変わらない。五十二年は、先ほど聞きますと、東京と大阪では百人もの特別な人員を投下してやった、それでその効果が上がっているというようなお話だったけれども、この内容を見てみますと、実際は上がってないですね。全体では少しふえ方が減っておるかもしれませんけれども、無理解者、NHKに対して批判する人は横すべりですね。こういう問題が私は大事な問題じゃなかろうか、こういうふうに思いますから指摘をしておきます。  そこで、受信契約でございますが、受信契約については私も四十八年以降ずっといろいろ指摘をしてきた。五十一年の改定のときには、具体的に内容について指摘をいたしました。ことしは基本問題調査会も開かれそうでございますから、この機会が最後だろうと思います。もう少しこの受信契約の問題について実態をきちっと把握しないと、私の方から把握してくださいということを提起いたしましても、なかなかそれがならないという点がございます。  ここに受信契約の状況をいただいておりますが、協会の方からいただいた契約状況から申し上げますと、まず推定世帯数、それに見合うテレビの所有推定世帯数、この契約率が全国で大体推定世帯数に対しては七八%、所有推定世帯数に対しては九〇%、こういうふうな数字が出ておりますけれども、まず第一点として、過去五年間というお話先ほど中塚さんからありましたが、四十八年以降五年間をとってみましても、大変な経費と大変な能力を費やしてみても、この契約率というのは四十八年とほぼ同じです。これが一点です。  それから、私が前に指摘しましたように、世帯数の推定の中には住民基本台帳、それから国勢調査による世帯の調査があります。ところが、これはNHKの方でもわかっておるように、これにどうしても漏れる人も出てくるのですね。一〇〇%はなされていないようです。ですから、この漏れた人の中で、テレビを持っておる人、そして受信契約をNHKとしておる人、そういう人がありますよということをここで指摘したわけなんです。それに対して何らかの御回答もあるかと思いますけれども、ここではいまのところありません。問題は、そういうことを指摘しまして、そしてそれが明らかになりませんと、いわゆる契約率というのはあやふやなものになってしまう。未契約の世帯というのがここに出ております。全国で五十二年度でも三十万というような数字が出ておりますけれども、私はこんな数字じゃないだろう、こういうふうに思うわけです。  もう一つ内容としてあるのは、今度は非世帯ですね。非世帯のテレビの推定台数、これが大変少ない、これも私は指摘をいたしました。全体が少ないから、契約者も、未契約になっておるものも実態と合わないような不正確なものになっておる、こういうように思うのです。そういうことについてどのように思われますか。
  146. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 全国の世帯の数を私どもが把握する一つの数字といたしましては、五年ごとに行われます国勢調査というものがございます。確かに先生御指摘のように、この国勢調査から漏れている方があることはあると思いますけれども、私どもはやはりこれ以上信用する数というのはないのではないか。むしろ国勢調査の場合には、簡易旅館に宿泊している人、あるいはいわゆる浮浪者、そういう者まで克明に調査をして人口を調べ、かつ簡易宿泊所に住んでいる方等もあるいは浮浪者も一世帯というふうに国勢調査ではカウントいたしております。したがって、むしろ国勢調査の世帯数というのは、実際に世帯と言えるものよりも多い数になっているのではないか。もろちん、調査から漏れている方はあると思いますけれども、それはむしろ例外的ではないかというふうに思っておるわけでございます。  それから、住民基本台帳、いわゆる住民登録というものは、これも架空の登録があるはずでございまして、たとえば東京都の千代田区で見ますと、これは昭和五十年十月の国勢調査でございますけれども、そのときの千代田区の世帯数は一万八千、同じ時期の住民基本台帳では二万九千というふうになっております。そういうふうに架空の登録というものがある。これはいわゆる越境入学とか、そういう理由によって登録されているということもございます。したがって、完全に両方とも実態を表示しているかということにつきましては、私はいろいろ問題はあろうかと思いますけれども、グローバルとしてやはりこういうものを一つの基準にして、その中で私どもがどれだけの契約をしているか、実際に営業の現場活動といたしましては、集金の業務に当たります者が集金に回りますときに受信者のリストというのを持って、それでそのリストに載っていない世帯を必ず訪問をして、契約がされていなければ契約してもらう、テレビを持っておられれば契約をしてもらうというやり方をやっているわけでございます。しかし、それでも確かに漏れがあるということは私も否定はいたしません。その漏れができるだけないように努力を続けているわけでございます。  それから、非世帯の問題もいつも御指摘を受けるわけでございますけれども、私ども非世帯の実態の調査をいたしますと、非世帯、いわゆる事業所統計に出ている事業所の数、それと実際にテレビが設置されている数というものの間に相当大きな開きがある。したがって、全国の事業所の数と事業所が持っておられると推定されるテレビの数との間に相当な開きがある。その推定のテレビ設置台数に対して現在約七十二、三万の契約をしているわけでございまして、約八五%ぐらいの契約率になっているということを申し上げてきたわけでございますが、しかし、この中にも漏れがあるということは私は否定できない点でございまして、昨年度も特別のプロジェクトをつくりまして、企業のいわゆる事業所に設置しておられるテレビの台数、それから各官庁に設置しておられる台数、これを可能な限り調べまして、それから独身寮、これは世帯契約でございますけれども、それを徹底的にやりまして、全国で約三万ほどの新しい契約がとれたという事実がございまして、今後もそういう活動をさらに強化いたしまして、先生御指摘のような点のないように、できるだけ可能な限り契約漏れのないように今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  147. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 再度の指摘になりますけれども、私が問題にしているのは、それは確かに努力はいろいろしてもらったと思います。だけれども大臣会長、よく聞いておってください。全国の世帯の七割ぐらいつかんでいます、テレビを持っている方の世帯に対して九〇%は契約させてもらっております、こういうふうに言いますが、いま中塚さんの御答弁なさったのはそれなりに私わかりますが、それはどうもおかしい。だから私がずっと以前から指摘しているのは、先ほどから出ておりますNHKの委託集金人さんが実際カードを持ってお伺いをして、そしてカードのないところの所帯を訪問して契約をいただく、これは当然でしょう。ところが、七割とか九割というものの一番正確なものをつかまなければならぬのは、そうじゃなくて、お伺いしている中で、受信契約をもらっている中に、住民基本台帳にも国勢調査にも漏れている人がありはしないか、それを調べるとわかりますよ、こう指摘しているのです。それを何か知らぬが、住民基本台帳が架空であるとか、何か日雇いの人、そこまで調べているとか、こういうことでは私は議論を繰り返すだけになりますからやめたいわけです。そうじゃなくて——それじゃもう少しまた具体的に申し上げます。  先ほど、テレビを持っている人の九〇%と言ったでしょう。これは全国平均です。じゃ都会と田舎ではどうなっているか、大変な問題があるわけです。ずっと何年間かこの問題は指摘されてきておるはずです。ですから、いまここで一つ一つ根拠を、何遍も私は言っておりますから、総括的に申し上げますと、東京では七〇なり九〇なりの地域的なアンバランスがあるということです。それが、地方の方が大変だから契約率がまあまあで、都会の方はいろいろな人がおって、だからよく把握してありますというならいいのですけれども、それが逆なんですね。これはやはり問題です。東京では全体的な推定世帯数に対しては大体契約率は、いままで私とNHKでいろいろ議論してきた中から出しますと、大体五〇%から六〇%いっていないと思うのです。私はここに出しているのは五八%です。それから、テレビを持っているだろうという人に対しては七五%です。私の方から数字を言っておきます。テレビを持っている人の七割ちょっとぐらいしか契約はとっていないのです。未契約の世帯数なんかもこの計算でいきますと、大体東京なら東京の未契約世帯は倍になりますよ。五十一万と東京はなっておりますけれども、その計算でいきますと百万近く、九十何万ぐらいになります。ですから、半年で、契約をとろうというと月に七万もとれる。その前の半年は、たった半年間で三万しかとれぬという結果があるのではないか。それはほかに料金改定の問題はありましょうけれども、そういうことが大局的にうなづけると私は思うのです。それじゃ宮崎とか熊本とか、いまここで出してもらっておりますけれども、これを見ますと大体推定に対しては八〇%、テレビを持っているだろうという人に対しては九五%近くにいっている。大臣も佐世保出身ですから……。あっちの方はテレビを持っている人の八割以上契約されている。東京あたりは七〇%しかされていない。これはやはり問題じゃないですかね。大阪と熊本と比較してみてもそういう結果が出てくる。ですから、そういう大変な問題がありましょうけれども、そういう姿になっておることだけはひとつ協会の方もおわかりになっておってもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  148. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 確かに、ただいま先生から御指摘がございましたように、東京、大阪等の契約率と、あるいは熊本であるとか宮城県であるとか、そういうところの契約率との間には数%ないし一〇%ぐらいの差がございます。滞納につきましても、全国の滞納数のほとんど六割近いものが東京と大阪に集中しているということは事実でございます。したがって——したがってと申しますか、要するに契約につきましてもあるいは収納につきましても大都市に一番問題がある。それは原因はいろいろございます。単身の世帯が多いとか、あるいは世帯の異動の率が高いとか、あるいは常時不在の家庭が多いとか、いろいろ理由があるわけでございます。したがって、私どもはこの大都市にやはり重点を置いた対策を従来もやってまいりましたし、今後もやってその格差を縮めると申しますか、全国的に同一レベルに上げていくという努力を続けてまいりたい、このように考えております。
  149. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それはやはりNHKが国民から支えられているとか、それから日本放送協会の法律に従っても公平な負担をしなければならないということ、そういうことを完全にやってからこそNHKに対する信頼というものが生まれてくるし、その信頼からNHKに対する批判、無理解というようなものも減ってくる、こういう順序になると思うのです。ところが、どうも先ほどから言いますように、それがきちっと整合性がない。無理解者はどんどんふえていく。だからいまおっしゃったように、都会に人を百人も投入してやるけれどもなおふえていく。問題は、そういう人を投入すれば経費もかかります。経費の面からちょっとお話ししておきますと、営業費というのは大体加入者の受信契約の拡大とそれから集金のために要る費用が営業費ということだそうでございますが、その前に、私不思議でならないのは、契約者が口座を利用したり、口座を利用する中に前納する人もおりますね。先ほどちょっと数字が出ておったようですけれども、そういう人が、四十八年を仮にとってみますと、ずっと四十八年から五十二年幾らか口座利用する人がふえておりますけれども、口座利用もまた都会の方がよくなければいけないのだけれども、悪いのですね。これはいわゆる契約書なんかに口座利用しない方々、自分の家に取りに来てもらっている方々にいまの営業費なんか要るわけですから、それを見ておりますと、全国で大体自分のところへ取りに来てもらうところの契約者が四十八年で千二百万、五十二年で一千万、ですから減っているわけですね。件別に外務員の集金人の方が回って集金する対象は減っているのです。その減っていることと話は別ですが、会長、覚えておられますか、口座利用については五十三年の予算審議のときに、大体五十三年度末には口座利用五〇%を目標にして促進するというNHKの試算表をもらっている。そこに書いてあるのですが、大都市を中心に重点的に収納成績向上を図るとともに、口座振替、前納利用率五〇%達成を目標にしてがんばる。ところがいまは三七%ですから、効率化というのはそういうところに出てこないといけないと思う。その三七%にしてみても、いまの一千万件ですね、口座利用する以外のこの一千万件は過去五年間よりもずっと減っているのですね。減っている中で営業費は全体で四十八年の約二倍にふえております。その中で委託集金人関係の費用が一・八倍、一・九倍にふえておる。償却費なんかは三倍にふえておるでしょう。これは費用がかかるわけじゃありませんけれども、いわゆる損失としてですね。職員の給料も大体一・八倍。ですから、委託集金しなければならない対象物は減っておりながら、そして口座利用を進めていきながらそれは目標に達しなくて、そして経費は二倍近いものがいっている。これはちょっと私は、このような状態では経営の改善なんかできないと思うのですが、いかがでしょうか、感想だけで結構ですから。
  150. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 先ほど先生、五十二年度末の口座利用率全国で三七%ということをおっしゃいました。確かにそのとおりでございます。それが五十三年度末現在では三八・四%にまでなっておりますが、確かに地方都市、地方の県における口座のふえ率は東京とか大阪等の大都市より多うございます。東京都だけで見ますと五十三年度末にはほほ五〇%に達しております。これは東京電力の場合は五五・六%、東京瓦斯の場合は六六・五%の口座利用率になっておりまして、これよりは数%あるいは一〇%ほど低いわけでございますが、ある程度のところにまで達している。そういたしますと、これはなかなか銀行の力に頼る部分が多いわけでございますが、ある程度のところまで達しますとふえ方が鈍くなるという現象がございます。そこでわれわれとして、直接NHKが口座利用を勧奨するという努力をさらにこれからも続けてまいりたいというふうに考えております。ただ、口座がふえまして直接集金の人が行く件数が相対的に減ってくる、確かにそのとおりでございます。しかしある地域ごとに全部が口座化されるということではございませんで、くしの歯が欠けるように口座がふえてくるということでございますので、やはりその残った直接集金のところは回らなければならない。したがって、人はそう極端に減らすわけにはまいりません。それから、一方で契約の取り次ぎというのは、これは一軒ずつシラミつぶしに回らなければならないということがございますので、この委託の集金の方を口座がふえたからそれに比例して減らせるというものではございません。それで一方この人たちの処遇と申しますか、それはやはり世間並みに年々改善していかなければならない。したがって、直接訪問をして集金をする件数は減ってもこの営業費というものは減らないと申しますか、その処遇の改善その他の理由によって営業費はかさんでいく、したがって一件当たりの収納コストなり契約コストというものは、受信料をそのままにしておく限り上がっていくという現象はあるわけでございます。
  151. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 どうも中塚さんと話しておりますと細かいことの議論だけしなければいかぬということで、私がきょう言っておりますことの真意と合致しないようで大変残念でございますが、五十一年度の改定のときに予算を認めたときの附帯決議というのは、普通の年と違ってここに八項目もよけいについておりまして、この中でも受信料が国民生活に及ぼす影響を考えて「営業活動を積極的に進めて負担の公平を期する」とあるでしょう。それが五十一年度から二、三年たって負担の公平は期されていないという結果しか出ていないですよ。それは負担の公平が少しされたところもあるでしょう。されておっても、いまずっと申し上げたような問題から見ると、負担の公平はさらに損なわれている。大臣わかりますか、そういう意味は。受信契約の問題はこれで最後で、私はもう言うつもりはありません。だけれども、ことしの秋にはこの改定がなされようとしておる。だから、そのためにはいままでの議論が生かされていかなければ、いつもまじめな者だけがNHKの負担をして、ずるいやつがどんどんふえていく、それで国民のためのNHKと言って大きな顔をされる、これじゃ行き詰まるから申し上げているわけです。  もう一遍おさらいしてみますと、受信契約の増についても、先ほどから言いますように五十一年度は上半期は半年間遊んだみたいなことで、後半期は月七万で四十三万も増加させることができた。こういうものを今後も年間通して、五十二年、五十三年、五十四年と見ていくならば、いまの予算に上がっている契約増加数というのは問題ではないかと言っているのでしたね。それから、受信料の滞納を取り上げて、滞納者の問題は収入に影響する大きな問題ですよと申し上げた。そして三番目には、その公平でなければならないものが、地域的に見ても、片方は九〇%、片方は七〇%、都会に重点を置いて調査した結果が七〇%、こういう負担でいいだろうか。そしてさらに、いま申し上げたような経費が、それは経費は要るでしょうが、経費の要る対象物が全体的に減っておるならば、経費を減らす必要はないけれども、ふやすならふやすで、ふやすことによって、対象が減っているわけですから、それに見合うような経費を使っていったらいいのじゃないでしょうか、こう申し上げておる。そういうことはほかにもたくさんございます。  時間がなくなりましたが、これだけはやっておかなければいけませんからここで申し上げれば、NHKは特殊法人として法律に基づいて活動をやっておる、そして、どういう人たちからも一定額の受信料をいただいて、国民から支えてもらっておる、そして公共放送だと言うならば、公共放送としていままでいろいろな面で改善の努力をされてきましたけれども、いま申し上げたような格差がかえって広がるようなことでは、利用者、国民の信頼をなくす。信頼のなくなったところには批判も起こり、不公平のそしり、声が出てくるでしょう。これにどう対応していくのがいいでしょうか。大臣会長から、大体のところで結構でございますから、お聞きしておきたいと思います。
  152. 坂本朝一

    ○坂本参考人 この問題につきましては当委員会先生からしばしば御指摘を受けながら、残念ながらなかなか胸を張ってお答えできるというようなところに至っておりませんことはまことに申しわけないと思い、私自身じくじたるところもございますけれども、その困難な事情については先生も御推察いただけているかと思いますので、それを突破していくということについて、場合によれば法律の問題にもかかわって御検討願うというような事態も出てくるのではなかろうかと考えておりますが、いずれにいたしましても何とか胸を張ってお答えできるように努力したいと思っております。
  153. 白浜仁吉

    白浜国務大臣 いろいろな点について非常にお詳しい御指摘をちょうだいしまして、私も拝聴しておったところでございますが、会長からもいまお話がありましたとおり、いろいろな面について、基本問題調査会と申しますかそういうものをつくって検討しようという段階でありますので、私ども、NHKと十分相談してこの対策を立てていきたい。そうしなければ御指摘のとおり公平であるということがなかなか言われないのではないかという感じがしますので、努力をしていきたいと思います。
  154. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それじゃ、その努力を期待することにして、受信料制度についていろいろな人から聞く話をお伝えして、その努力一つの糧にしてもらいたいと思うので申し上げます。  まず受信料制度にかかわる問題で、先ほどからも出ておりましたが、いま一世帯で何台持っておっても一台というような徴収の仕方になっているのですね。これを複数のテレビ台数にして受信料を考える、こういうこともよく言われます。これも当然検討の中に入っておると思います。  それから、受信料が法的に納めてもらいたいという義務制度になっていると言うけれども、これがどうも思わしくない。納めない者は納めないでそのままで済んでいくという問題についての法の面での歯どめ——罰則規定も云々とかちょっとこわいことを言う人もおりますが、これはやはり考えなければならぬ。  それから、私いままで聞いている中で、これは中塚さん、ぜひ参考にしてもらいたいのですが、先ほどから言っております非世帯——去年も視察に行きましたら、田舎のNHKの局長さんが契約増加のために一生懸命がんばっている涙ぐましい状態を見ました。それで聞いてみましたところ、ある一つの事業所で二百九十、三百の台数の契約をいただいておる。恐らく、ああいう田舎で三百台もの契約台数があるのだったら、東京あたりではもっとたくさんなければいかぬ、こういう問題が頭にあります。それで、ある人がこういうことを言ってくれました。私はそういう非世帯が特に契約率が悪いと見ているのですが、NHKのどういう単位でもいいのですが、NHKがカバーしております受信契約者、受信料を納めてもらっている方たちを何らかの姿で公表してはどうか。あすこの事業者とここの事業者は受信料を納めている、あすこの事業者は納めていないということがそれでわかるのじゃないか、何かこういうふうにして世間に訴えるという形での方法もとれないだろうか、これを一応申し上げておきます。一世帯、一世帯公表するかどうかということがございますけれども、これは今後基本問題調査会等でも御検討いただいていいのではなかろうかと思います。  それから、いつも私の頭から離れないことは、皆さんよく実態を知った上で議論していただいておる。私もそのつもりでそういうことに一番関心を持っているのですけれども、いまの受信料収入について実態を一番知っておられるのはやはり委託集金人さんだと思う。それは委託集金人さんの中にも、この前の改定のときなんか、一年分滞納しておってもそれは一カ月分でいいですよ、納めなさいと言って納めさせたとか、表面に出ないいろいろな問題が現場ではあるわけです。それと、毎年落としてきた未収金の償却、こういう問題と関連してくると、これは法的に完全に問題のあるようなことが現場で行われている。ですから、この委託集金人さんを基本問題調査会なんかに呼んでいただいて、おたくの職員の方ですから、三千人とかおられるということですが、それぞれ地域代表で呼んでいただいてその実態を披露してもらうというようなことをすれば、本当の実態を知った上で——有識者二十数名のりっぱな方ばかりいらっしゃるようでございます。あのメンバーを見たら、恐らく口座で払ってあるか、受信料七百円ぐらいのものを云々されるような方でないという感じですから、今後のNHKの財政確立を図っていくについては、そういう実態の上に立ったものをなるたけ吸収していくことが大事だと思いますから、そういう面での考え方を持っておりますが、それに対する見通しか何かお答えいただけますでしょうか。
  155. 坂本朝一

    ○坂本参考人 大変具体的な問題にも触れて御示唆いただきましてありがとうございます。  先生の御提言等につきましては、担当の方で十分参考にさせていただいて、先ほども申し上げましたような成果を得てお目にかかることができるように努力したいというふうに思う次第でございます。
  156. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これは一応五十一年度決算の審議でございましたから、私強く踏み込まなかったのですが、前回の私の質問と関連しまして、五十四年から五十六年までの三年間、先ほど言いましたように受信料収入か五十億か百億以下ぐらい、百億伸びないでしょう、二%とか一%と言えば。一千億ですからね。そういう一%か二%しか伸びない中で、経費は五十四年度は九%ですか、五十五年度は二%ですか、五十六年度はやはり平均で九%、こういう見込みの立て方ですね。これも一遍考え直さなければならないのではないか。当然この料金の改定ということを踏まえた上でのことになると思いますけれども、そういう面については見直さなければいかぬのではなかろうかと思います。  そこで、最後に受信料ですね。いまの法的な受信料というものに対していろいろ議論を申し上げましたが、大臣としてNHKの受信料というものについて大体どういう御感想といいますか、御構想といいますか、またそのお考えに対する今後こうあってもらいたいというものがあればお聞かせ願いたいと思います。
  157. 白浜仁吉

    白浜国務大臣 NHKの受信料については、財政基盤の問題でございますから、いまいろいろNHKにおいても調査会を設けて検討をしている最中でございまして、そうしたものを踏まえていろいろな案が出てまいりまして、これでいこうということになりますならば、私どももできるだけその意に沿うて考えてみたいと思うわけでございますが、いまここで田中委員からおまえはどう思っているかということを申されましても、なかなかNHK対郵政省という問題はむずかしい関係にございまして、私ども一もここで即答するわけにはまいりませんので、御理解をいただきたいと思います。
  158. 石野久男

    石野委員長 次に、藤原ひろ子君。
  159. 藤原ひろ子

    ○藤原委員長 時間にわたりまして御苦労さんでございます。私はNHKの五十一年度決算の審議に関連をいたしまして、高層建築物などによりますテレビの受信障害、きょうはいわゆる都市難視の問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、郵政省にお聞きをいたしますが、今日社会問題にまでなっておりますテレビの都市難視の問題でございますが、このような問題がどういう背景によって生じてきているのか、郵政省はこの点についてどのような認識をしていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  160. 平野正雄

    ○平野政府委員 実は郵政省といたしましては、昭和四十年ごろから電波障害対策協議会という中央及び地方における雑音問題を主として取り上げていく協議会を持っておったわけでございますけれども、その協議会の中におきまして、先生承知のように高層建築物が逐次ふえてくる、それに伴いましてやはりテレビジョン放送の都市における難視というものが問題になってくるという話が中央及び地方において起こってまいったわけでございまして、その後におきまして従来のテレビジョンの雑音による難視、これを主として取り上げてきたわけでございますけれども、高層建築物による難視問題、これをやはり協議会としても取り上げていくべきである、こういうことになったわけでございます。もちろんその後におきましては、その協議会の中に建設省等もお入りをいただきまして、また中央だけではございませんで、地方の各県あるいは市町村にもいわゆるそのような会の出先があるわけでございまして、それぞれ都市における難視問題に関係のある方々に御参加をいただいて、その後活動を続けておるわけでございますが、ただいま先生申されましたように高層建築物が逐次ふえることによって都市における難視問題が生じた、これに従来から積極的に対応する必要があるということで活動を続けてきておるという認識でございます。
  161. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 つまりテレビの都市難視というのは高層建築物によるもの、つまり都市の過密化によってもたらされたものだ、人為的な結果であるということになるわけですね。
  162. 平野正雄

    ○平野政府委員 もちろんテレビジョンの受信につきましては、送信あっての受信ということになるわけでございますので、全く送信側、受信側が無関係であるということは言えないと思います。しかし本来受信側が非常に明瞭に受信できる状況であった中で、ただいま先生御指摘のように、高層建築物が乱立をする、林立をするということによりまして障害が発生している原因と結果というものが明瞭である場合がほとんどでございます。
  163. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣お尋ねをいたしますが、いまのように送信があって受信がある、その間に都市におきましては高層建築物というような障害物がある、こういう人為的な結果をつくり出しました原因は、やはり政府の都市計画に基づいたものであり、このことは受信者にとりましては何らその責任はないというふうに私は考えますけれども、国務大臣のお一人として、この考え方はいかがでしょうか。
  164. 白浜仁吉

    白浜国務大臣 技術的な問題を含めていま局長からも答弁申し上げたようでございますが、私ももう全くそのとおりだというふうな感じがいたしますけれども、それでいいのかどうかも実は的確にわからないというのが正直なところでございます。
  165. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 わからないのではなくて、送信と受信の間に障害物があるということは歴然たる事実であって、感想とか感触ではなしに事実であるわけです。そうしますと、この都市難視というのは、放送を受ける側、受信者にとっては何ら責任はないというふうに思うわけですが、このことをまず私は明確にした上で質問を続けなければならないというふうに思うわけです。  そこで、NHKにお聞きいたしますが、現在、都市難視といいますのは全国にどのくらいあるのか、そのうちにテレビが正常に視聴できないということでNHKと受信契約を結んでいないというふうな世帯数は何世帯くらいあるのか、金額にするとそれは年間どのくらいの額になるのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  166. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 受信障害による滞納というのは現在で約五万件くらい、年度末の滞納者数の内訳はまだ正確に分類いたしておりませんけれども、五十三年度の上半期末で約四万六千件でございますので、約五万件くらいあるのではないかというふうに考えております。しかし、このほかに常時不在の家庭が相当ございます。したがって、この面接が非常に困難な受信者の中にも、受信障害によって払わないという方も相当あるのではないかというふうに推定いたしておりますので、この五万よりもある程度多い数になっているであろうというふうに考えております。仮に五万といたしますと、年間約八千円でございますから四億くらいになるというふうに考えております。
  167. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 五十一年度の受信料などの経常事業の収入は約一千九百十五億円、そういう中で五十一年度難視改善の経費として百三十七億円を使われたわけですね。私は、この総額に対する難視改善の経費というのは相当莫大なものだ、いろいろ努力がされているというふうには思うわけです。受信者の見るという権利を保障するために予算が計上され、それが実行されているというふうに思うわけですけれども、しかし、今日雨後のタケノコのようにビル、高層建築ができてくるわけですね。それでそこに電波障害が起こってくる。そうすると、以前障害がなかったのに複合障害が出てくるというふうな状態にあるわけですが、こういったことが、私は一にかかって政府の都市建設、こういったものに責任があるというふうに思うわけです。放送法の第三十二条は「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」という規定がございます。第三者の介在によりましてこの契約行為を行うことができなくなった場合、契約の一方の当事者でありますNHKといたしましては、当然その介在者に対して何らかの措置をとっていくべきだというふうに思うわけです。NHKは、この受信契約行為を正常に行わしめるために、第三者の介在者、つまりその障害を起こしている原因者に対して、具体的にどのような施策をとっていらっしゃるのでしょうか。
  168. 沢村吉克

    ○沢村参考人 先生御指摘の受信障害を受けている世帯に対し、あるいはそれの原因者に対して、NHKとしてはどういう施策をとっておるかという御質問でございますが、私どもNHKといたしましては、できるだけ完全な形で受信をしていただきたいということで電派を出しておるわけでございまして、そこに電波をさえぎるような、あるいは反射をするような妨害物が出た場合、この改善につきましては原因者の方で自主的にやっていただくことを期待いたしております。ですけれども、単に期待をするだけでは事が運びません。私どもといたしましては、放送の専門家である、またNHKというものの使命にかんがみまして、障害が起こりました場合、その障害状況調査に御協力を申し上げる、また技術的にどうすれば最も効率的に、また完全に解消ができるかという技術的な改善方法の御指導を申し上げる。一番手間のかかりますのは、原因者と被害者といいましょうか、その土地の住民の方々との間の折衝に当たりましての仲介の労をとるということが大きな手間でございます。さらに将来に向けましては、より完全な、あるいはより効率的な改善の技術、施策というものにつきましての研究開発を進めていくというようなことが私どもが現在とっております具体的な施策でございます。
  169. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私も、地元などにおきまして苦情があればNHKが出かけていき、調査をし、その原因を明らかにする、そして原因者を突きとめて、原因者責任主義の原則を実行させるためにその調査というのは大変役に立っているということを知っているわけです。その一つといたしまして、京都の下京区の電波障害の問題について、例を挙げてお尋ねをしていきたいと思うわけです。  下京区の梅小路本町に長谷川工務店という建設業者が梅小路スカイハイツという分譲マンションを建設中なんですね。ところがこのマンション建設に伴って、マンション付近に電波障害が起こってきた。このマンション業者は、電波障害の実測調査をみずからの下請業者である新日本通信建設株式会社にやらせたわけです。つまりそのための事前の調査を行ったわけですね。その結果二百十世帯が被害世帯数だ、こう言われていたのですけれども、この調査は不十分だ、まだほかに被害が出ていると住民から言われて、改めて調査をし直した結果、倍以上の四百数十世帯に及んでいたわけです。  ここで問題になりましたのが、建設主の下請業者がみずから調査した資料をNHKの京都放送局に提出をいたしました。NHKはこの資料を検討した結果として、ここへ持っているのですが、たとえば調査機器は良ですというところに丸をしているわけですね。それから調査チャンネルも良であるとか、いろいろ七つほど項目があるわけですけれども、その結論といたしまして、追加調査は不要だということを出して、住民の側にNHKのこの資料をつけて渡しているわけです。そういたしますと、住民の方は、これは事前調査であるというようなことは、専門家じゃありませんからわかりません。とにかくNHK様が追加調査は不要だ、こう言っているんですよと出されると、もう後何も言われない。結局、これがお墨つきになってしまっているわけですね。私自身はいろいろなことを知っておりましたので、たまたまその皆さん方に、これは事前調査であるのでという説明はしたわけですけれども、なるほどこれを見せられた住民はそう思ってもいたし方ないな、問題点があるなということを感じたのです。それは、NHK京都放送局の営業部長名で「建造物によるテレビ受信障害調査資料の検討結果について」こういう表題ですね。事前の検討結果についてではないわけです。「御依頼のありました表記の件につきましては、別紙のとおり」ということで、このように追加調査は要らないのだ、NHKがこう言っているんだ、こういうふうにお墨つきとしてこれが振り回されていることを知ったわけです。ですから、こういうものが出される場合には、たとえば事前調査はこうだけれども、事後、障害を発見したならば追加調査は必要なんだというふうなことを付記しておくとか、この表題に、これは事前の調査なんだということがだれの目にも、よくそういうことを知らない人にも理解ができるというふうな書き方に改めるべきではないか、ということがまず第一点なんです。NHKはこういう受信障害の実測調査をしている業者に対して、全国的にこのように対処をしていらっしゃるのでしょうか。もしもそういう対処をしていらっしゃらないとすれば、少なくともこういう業者に対して改めてNHKの真意を伝えていただきたい。私は、京都放送局でそれが発見されて、京都放送局の局長さんは、それはなるほど私たちも気がつきませんでしたというふうにおっしゃっておりましたけれども、やはり全国的な問題だというふうに思いますので、やはり業者に対して、株式会社長谷川工務店に対してもNHKの真意を伝えていただきたいし、今後改善をしていただきたいということを要望したいと思います。いかがでしょう。
  170. 沢村吉克

    ○沢村参考人 先生の御指摘の件につきましてはおっしゃるとおりでございまして、私ども、障害の予想されます事前の調査をする、その調査結果を持ってこられまして、この事前調査が不十分かどうかということについてのお答えを申し上げたはずでございますけれども、確かに一般の方にしてみますと、これが最終的な結論だと誤解を招いたことは非常に残念だと思います。実際の場合、そういう問題につきまして、事前調査はこれでいいのだけれども、建築をした後、実態をもう一度確認する必要がございますよということは口頭では申し上げたようでございますが、文書としてそんな形で出ますと誤解を招きかねない。おっしゃるとおりでございまして、今後十分注意をいたしたいと思います。  いまの件につきましては、先生の御指摘で実は京都の局でも気がついたようでございますし、建築後の調査につきましても早速取りかかって調査をしたようでございます。現在、その調査結果の取りまとめ中でございますので、事前の予測ですでに行われました共同受信施設、そのままでいいのか、あるいはそれをある程度拡張する必要があるかどうかというようなことは、また地元の原因者あるいは被害を受けていらっしゃる皆さん方と御相談をしながら、実態を示して解決を図りたいと思う次第でございます。また、全国的にもこういうことが、誤解を招くような報告書なり回答書が出ることは将来にわたって非常に問題でございます。十分指導してまいりたいと思います。
  171. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 さらに、この事例を見ますと、現在の郵政省のテレビの都市難視に対する行政指導の不十分さということが浮き彫りになってくるわけです。と申しますのは、この業者が住民の要求に基づきまして再調査をした結果、障害の対象区域が広がってきた。その中に、一定部分の地域では大阪瓦斯会社のガスタンクとそれからマンションとの複合障害になっているということなんですね。そういたしますと、障害を受けている住民にしてみれば、交渉の相手先が二つになってきた。長谷川工務店だけでも、大変な労力を要して二年間という長い間交渉しておられる。それじゃ、今度は調査してもらったら、ガスタンクも複合障害になっているんだということになって、倍の労力を使わなければならない、こういう問題が起こっているわけです。  そこで、郵政省にお尋ねしたいわけですが、こういう事例というのは全国に数限りなくあるのじゃないかというふうに私は思ったわけです。そこで、こういう障害を除去するために受信者の側に立った仲裁の役割りを郵政省が果たしていただかないと、住民は大変な難儀をするなあというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  172. 平野正雄

    ○平野政府委員 先生ただいま御指摘いただきました郵政省が策定をいたしました指導要領でございますけれども、指導要領を読んでいただきますと、その中には、複合障害と申しますか、二つ以上の原因によって障害を生ずるケースにつきましては、主として障害を与える者が中心になって、従となって妨害を与える者と十分に協力しながら対策を講じていくのだということが書いてございます。もちろん、われわれといたしましては、あらゆる手だてを通じまして関係方面、建築主を初めとする関係方面に周知指導いたしまして、いわゆる原因者主義という考え方が相当定着してきておるというふうに考えておるわけでございますけれども、もし、まだ周知が不十分であるというような状況でございますならば、さらに一層われわれはその周知に努めてまいりたい、このように存ずる次第でございます。
  173. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 法的にこれが手を下せるようになっていないというので、郵政省側も結果として野放しのようなことになってしまうという苦心のほどはわかるわけなんです。指導要領にいろいろ書いておられたり、通達を出したりというふうな努力をしておられるわけですけれども、いまの答弁では、私もそれから住民の側も、なかなかおなかの中におさまらないというふうに思うのです。なぜかといいましたら、郵政省というのは電波の監理をする事務をつかさどるところなんだ、電波監理局というのは電波の監理をする事務をすべて住民の側に立ってつかさどるところだというふうに私は認識をいたしますので、おなかの中におさまらないわけなんですね。  で、テレビの受信障害といいますのも、テレビが日常生活において大した意味を持っていなければ、受信者はそれほどの被害意識は生じないでしょう。けれども、少なくとも今日、わが国におきましては、テレビが国民の日常生活に重要な必需品となってきているわけですね。そういうことで、テレビの良好受信を維持しなければならないという問題が起きてくるわけです。日常生活におきましてこのようにテレビが果たしております役割り重要性であるとか、日常生活のテレビに対する依存度というものがいかに高いかは、今日までの論議でも、また周りの情勢でも、世論調査などでも明らかになっているし、これはもう共通の認識になってきていると思うわけです。文化的、精神的な活動面におきましてもどうしても必要欠くべからざる生活の利益になっている。そういう役割りをテレビが果たしているということは確かなことなんだと思うわけですね。したがいまして、テレビ受信の妨害というのはいわゆる生活妨害として理解されるべきものではないかと考えるわけです。  私がそう考えるだけでなくて、テレビ受信妨害というのは人権侵害なんだ、こういうことで人権擁護委員や法務局に持ち込んで人権侵害問題として解決をしたケースが現にあるわけですね。御存じだと思いますけれども昭和四十二年に阪神電鉄が平面軌道の一部を高架化するということに当たって、約二千世帯にわたってテレビの受信妨害が起こってきた。このために被害を受けている住民が電波公害被害者協議会というのをつくって、阪神電鉄と神戸市に対して妨害を除去してくれ、こういう交渉をしたわけなんです。ところがそれは受け入れられなかった。そのため協議会の人たちは、神戸地方法務局に、市及び電鉄会社の人権侵害であるというふうにして訴えたわけですね。これに対して、神戸の地方法務局と同じ神戸の人権擁護委員調査しました結果、テレビを見るのは現代人の当然の権利である、人為的に妨害されることは明らかに社会の動きを知る権利を奪い、生活権をも脅かすことになる、こういう結論を出しました。テレビ電波障害は公害対策基本法においても公害として扱われずに放置されているが、広義の公害と言える、こういう見解を明らかにして仲介の労をとり、解決をした、こういうケースがあるわけですね。  これらのケースを見るまでもなく、私は国民にとって必要不可欠な生活利益となっておりますテレビ受信というのは、第三者の妨害から法的に保護されることに値するものである、こう言っても言い過ぎではないというふうに今日考えるわけなんです。テレビの都市難視に対します郵政省の施策は遅きに失しているのじゃないか。  冒頭に私質問いたしましたように、テレビの都市難視をつくり出した原因は政府にあるわけです。都市計画事業にもたらされているということにあるわけですから、受信者にとって何ら責任はない。こういうものを受信者に対し何の負担もさせない立場で早急に対策を打つべきではないかと考えるのですが、この点につきまして最後に郵政大臣の見解を承りまして、質問を終わりたいと思います。
  174. 白浜仁吉

    白浜国務大臣 おっしゃられるとおり大変広範な問題を含み、また放送というものが国民の間になくてはならないということでありますので、私どもも十分心得て対処していきたいと思うわけでありますが、御承知のとおり、行政というものがなかなかその場その場に間に合わない、そういうふうなことも十分御承知のことと存じます。各省庁とよく連絡をとりまして、私どももなるたけ早く、そうした障害が起こりました際に早目早目に手が打てるような方途を講じていきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  175. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終わります。
  176. 石野久男

    石野委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  177. 石野久男

    石野委員長 討論の申し出がありませんので、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和五十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いた卸ます。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  178. 石野久男

    石野委員長 起立総員。よって、本件は異議がないと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 石野久男

    石野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  180. 石野久男

    石野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する件、特に国際電信電話株式会社の事業について調査のため、来る六月六日、参考人として同株式会社から出席を求めることとし、その人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 石野久男

    石野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る六月六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会