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1979-02-15 第87回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月十五日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 松野 幸泰君    理事 大西 正男君 理事 染谷  誠君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 和田 一郎君 理事 西村 章三君       相沢 英之君    木村武千代君       地崎宇三郎君    宮澤 喜一君       与謝野 馨君    加藤 万吉君       新村 勝雄君    細谷 治嘉君       小川新一郎君    権藤 恒夫君       三谷 秀治君    加地  和君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     澁谷 直藏君  出席政府委員         警察庁刑事局長 小林  朴君         警察庁刑事局保         安部長     塩飽 得郎君         警察庁交通局長 杉原  正君         警察庁警備局長 鈴木 貞敏君         自治政務次官  大石 千八君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      花岡 圭三君         自治省行政局長 柳沢 長治君         自治省行政局公         務員部長    砂子田 隆君         自治省行政局選         挙部長     大橋茂二郎君         自治省財政局長 森岡  敞君         自治省税務局長 土屋 佳照君         消防庁長官   近藤 隆之君  委員外出席者         国土庁大都市圏         整備局総務課長 中村 博英君         大蔵省主計局主         計企画官    伊藤 博行君         大蔵省主税局調         査課長     亀井 敬之君         大蔵省銀行局銀         行課長     平澤 貞昭君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     岡松壮三郎君         運輸省自動車局         業務部貨物課長 尾松 伸正君         建設省都市局都         市再開発課長  小林  実君         建設省住宅局市         街地建築課長  和田 友一君         自治大臣官房審         議官      久世 公堯君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ————————————— 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   加地  和君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     加地  和君     ————————————— 二月十四日  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(田  中龍夫紹介)(第九八八号)  退職地方公務員共済年金恩給等改善に関す  る請願小川省吾紹介)(第一〇三二号)  同(大島弘紹介)(第一〇三三号)  同外一件(坂本恭一紹介)(第一〇三四号)  同外二件(中西績介紹介)(第一〇三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 松野幸泰

    松野委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。与謝野馨君。
  3. 与謝野馨

    与謝野委員 まず澁谷自治大臣にお伺いしたいのですが、昭和五十四年度の地方財政計画が出ました。この財政計画性格について、自治大臣は先般その内容について所信を表明されましたが、私どもとしましては、端的に言って、一体ことし出されました地方財政計画根幹となる性格というのは一体何なのか、あるいは非常に危機に陥っている地方財政を一体どういうふうに再建されようとしているのかという大臣の今年度の、昭和五十四年度の地方財政計画に対する一般的な御見解をお伺いしたいわけです。
  4. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 五十四年度の地方財政計画の一番大きな問題は、やはり四兆一千億円にも上った巨額な財源不足ということが最大の問題でございました。本来的には、このような巨額な財源不足をもたらす地方財政あり方骨格というものに対して、再建方向に向かってどのような手だてをするかということが、本来の取り組まなければならない課題だと考えておりますけれども、しかしながら、他方、国の財政も御承知のように大変な赤字の状態でございますので、本格的な地方財政再建というものと取り組むのにはどうしても現状においては無理がある。こういうことで、とりあえず五十三年度の予算編成においてルール化した方式にならって四兆一千億の財源不足を補てんした、これが今回の五十四年度の地方財政計画一つ骨格といいますか、そういうふうになっていると考えております。
  5. 与謝野馨

    与謝野委員 そこで景気政策との関連をお伺いしたいのですが、この地方財政計画性格景気に対して中立的なのか、景気を刺激するための諸般の考慮がされているのか、あるいはことし後半、インフレあるいは物価等の懸念がされる中で予算執行面についてはどういうお考えを持っておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  6. 森岡敞

    森岡政府委員 景気状況は、政府経済見通しでも示しておりますように、対外経済面では円高に伴いまして相当問題がありますけれども内需は着実に回復基調にあるわけでございます。この回復基調にあります内需中心といたしました経済景気回復を年度間を通じて一層顕著なものにしていきたい、これが国の予算及び財政投融資計画並びに地方財政計画の基本としているところであると私ども考えております。  そのような観点から、地方財政計画伸びは総額で一三%でございますが、投資的経費につきましては、公共事業単独事業、双方とも二〇%を超える規模を維持いたしまして、またその他、維持補修費などにつきましても相当額伸びを見込み、加えて、構造不況地域につきましてはきめ細かい不況対策が講ぜられますように、地方債計画の中で一般単独事業でありますとか、あるいは道路整備事業につきまして一定の枠を設けるというふうな措置を講じまして、最初に申しましたように、着実に回復してまいっております景気の動向をさらに顕著なものにしていく、こういうことでございますので、端的に申しますれば、景気維持型とでも申しましょうか、そういうことではなかろうかと私どもとしては考えております。
  7. 与謝野馨

    与謝野委員 先ほど冒頭に自治大臣より地方財政再建する方向に持っていきたいというお話がありましたが、一体地方財政再建するために自治大臣一般消費税等新税が必要と考えられるのか、あるいは一般消費税導入の前に、地方自治体あるいは自治省としてなすべきことがあるというふうにお考えなのか、一般消費税導入の是非、地方財政再建のために必要かどうかという点を自治大臣にお伺いしたいと思います。
  8. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御質問の一般消費税導入の問題はきわめて大きな問題でございます。地方財政、これは国の財政と不可分の関係にあるのはもう言うまでもございませんが、それで、与謝野さん御案内のように、異常な状態にきておる国の財政、これを立て直すということはまさに緊急な国家的な課題でございます。そのためには、あらゆる角度から検討した結果、一般消費税を五十五年度内に導入することが必要である、こういう結論が政府・与党の間で出ておることは御承知のとおりです。私は、この地方財政というものを前にして考えた場合に、やはり国と同様に一般消費税導入は必要である、このように考えます。  ただ、一般消費税導入する場合に、その前提として、国も地方自治団体もなすべきことをなさなければならない、このように考えておるわけであります。     〔委員長退席中山(利)委員長代理着席〕 それは一言で言って、高度経済成長下の過程で国も地方もかなりぜい肉がついておる、私はこういう認識を持っております。国民に対して増税をお願いしなければならぬ、こういう立場でございますので、地方自治団体国民増税をお願いする前に、果たしていま主での行財政あり方の中にむだはないのか、ぜい肉はないのかということをやはり徹底的に見直して、それを是正する努力をしなければならぬ。そういう努力と並行して国民消費税導入について御協力をお願いする、こういうたてまえでいくべきだと考えております。
  9. 与謝野馨

    与謝野委員 そこで、仮に一般消費税導入されたといたしまして、税制調査会答申の中に、一般消費税地方に一部分分ける、仮に地方消費税という名前をつけるということになっておりますが、政府委員の方にお伺いしたいのですが、いま大蔵省事務ベースで一体どういう配分にしたらいいのかというお話をされているのかどうか。それからたとえば地方消費税というものが導入された場合、これは道府県が直接取るものなのか、あるいは国が一度取って地方交付税のようにこれを配分するという形式にするのか、あるいはその組み合わせになるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  10. 土屋佳照

    土屋政府委員 昨年末の税制調査会答申の後ろにつけられております大綱におきましても、新税のうちで地方配分される部分の一部は地方消費税、仮称でございますが、という形で独立税として配分をするということにされておるわけでございまして、私どもとしてはその配分につきましてはあくまでも形の上で地方独立税ということで一部をもらい、そしてその他の部分というのもあるわけでございますが、これは全体の財政状況から見て財源偏在といったような問題が出てこないように、全般的な財政を見ながら交付税という形で配られるという形がよかろうという考えを持っているわけでございます。そういった点について大蔵当局とも折に触れて意見は交換しておりますが、いまのところどの程度ということが決まっておるわけではございません。ただ私どもといたしましては、少なくとも現在の仕組みが、先生よく御承知のように、国税地方税を通じた全体の税を国が二、地方が一というかっこうで配分しております。そして国税部分の三税の三二%が交付税配分されて、それで一般財源ベースでのバランスがとれておるということもございます。そういったことを今後とも踏まえて考えていただきたい。そのたてまえを崩すということは基本的に問題を生ずることになるということで、こちらの意見は述べておるわけでございます。したがいまして、税制調査会のそういった答申方向に沿いながら、今後そこらの配分をどうするかということはこれから詰めていくという問題に相なろうかと思っております。  なお、税制調査会答申にもございますように、これは道府県税として新税の一部を配分するということになっておるわけでございます。したがいまして、府県と市町村の間における税源配分というものを十分今後配慮していかなければならないと考えております。
  11. 与謝野馨

    与謝野委員 自治大臣にお伺いしたいのですが、自治大臣新税導入する場合には高度成長下についた地方自治体ぜい肉を相当落とさなければいかぬ、こういう御発言がありましたが、自治大臣考えておられるぜい肉というのは一体どこについているぜい肉でしょう。
  12. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 ぜい肉は、私が包括的に、抽象的に申し上げているわけでございますが、どこについているかというと、これはそれぞれの自治体事情が違うわけでありますから、一律に言うことは困難かと思います。  共通的に言えることは、やはり人員職員の数ですね、それから人件費、このあたりは共通して言えることではないか。与謝野さん御承知のように、国家公務員給与水準地方公務員給与水準に差がございますね。この辺は大体共通しておる一つの特徴的なことでございまして、その辺は地方自治団体全体を通じているぜい肉一つの代表的なものじゃないか、こういうふうに考えております。
  13. 与謝野馨

    与謝野委員 昭和五十二年度の実績で、国家公務員を一〇〇としたときのラスパイレスは、地方公務員全体としては幾つくらいになっているでしょうか。
  14. 砂子田隆

    砂子田政府委員 五十三年四月一日の給与ラスパイレスにつきましては、実は給与実態調査の年に当たっておりましてまだ出てないわけでございます。五十二年四月一日現在で一〇七・九でございます。
  15. 与謝野馨

    与謝野委員 それは最近落ちていると考えた方がいいのか、上がっていると考えた方がいいのか、どちらの傾向でしょう。
  16. 砂子田隆

    砂子田政府委員 公共団体給与も、実は昭和五十年を境にいたしまして若干給与の是正の方向指導してまいりました。その結果、昭和五十年度に比べますと五十二年の一〇七・九というのは二・五ほど下がっております。五十三年四月一日現在の調査はまだ出ておりませんが、恐らくこれよりは少し下がるだろうというふうに見ております。
  17. 与謝野馨

    与謝野委員 自治省も数年前から人件費の抑制ということで相当努力をされておられまして、その成果が上がっているものと私は考えております。ただ、自治大臣にお願いし、お伺いしたいのは、地方自治体の中ではラスパイレス一三五とか一四〇とかいう自治体がある、これは自治省としてももう少し指導なり勧告なりを強化する必要があるのではないかと思います。一〇七・九とか一〇八とかいう数字はまだ国民あるいは住民の納得し得る範囲のラスパイレス指数ですが、ラスパイレスが一三五とか一四〇とかいう自治体大都市衛星都市に非常に多く見られるのは非常に困ることであります。この点について自治大臣の御見解をお伺いしたいと思う。
  18. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私はあなたと全く同じ考えを持っております。とにかく一三〇を超えるような格差を持った給与が行われてくるということは、どう考えても適切ではないわけでございますから、自治省としては数年前からかなり強力な指導をしておりまして、漸次効果があらわれております。かつては一三八とか一三五といった自治体が漸次下がってきております。しかし、まだかなり高い水準にありますので、今後さらに強力な指導を継続して、できるだけ早い機会に適正な水準までこれを持っていくように努力をしていきたいと考えております。
  19. 与謝野馨

    与謝野委員 自治大臣はまた人員の問題を御指摘になられましたが、定数管理については今後どのような御指導をされるでしょうか。
  20. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 とにかく財源が物すごく窮迫しておるわけですから、そういう中で人員をふやしていくというようなことは私は絶対に避けなくちゃならぬと考えておりまして、むしろ、ふやすどころかこれを減らす方向指導をしてまいりたい、かように考えております。
  21. 与謝野馨

    与謝野委員 人員の問題もありますし、それからまた退職金が異常に高い地方自治体もありまして、人件費人員退職金等国民の納得のいく水準、あるいは国家公務員等に比べましても妥当性のある水準まで下げると言ってはおかしいのですが、バランスを回復させる作業自治省に特に強くお願いしたいわけであります。  それから、最近地方自治体首長に伺ってみますと、やはり減量経営をするためには、いまの地方公務員法には定年制条例化するために必要な条文がない、定年制をしくか、しかないかはそれぞれの地方自治体固有判断によるけれども、少なくとも条例化できるための入り口だけはつくっておいてもらわないと減量経営行政改革といっても非常にむずかしい、そういう意見が強いのですが、自治大臣のところに寄せられておる各地方自治体首長からの御意見地方公務員定年制を必要とするという意見が強いのか、あるいはそんなもの全然必要ないという意見が強いのか、どちらでしょう。
  22. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 正確に調査した上でのお答えではございませんけれども、私の感じとしては、定年制導入がよろしい、こういう意見の方が多い、このように考えております。そして私自身、あらゆる点をいろいろ考えてみますと、国も地方定年制導入はもうやるべき時期に来ておる、こういうふうに私は考えております。
  23. 与謝野馨

    与謝野委員 国家公務員制度との関連もありますけれども自治省としてはいまから十年くらい前に定年制導入のための法律を用意したと私は伺っておりますが、今後そういう作業をする御予定があるのか、あるいはそういう法律あるいは定年制導入地方財政再建のため、あるいは地方自治体全体を通じての行政改革減量経営のために必要だとお考えなのか、自治大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  24. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御案内のように、地方公務員給与は全体として国家公務員給与に準ずる、こういうたてまえをとっておるのは御承知のとおりでございます。したがって、この定年制の問題につきましても、私はやはり国家公務員と足並みをそろえることが適当である、こういうふうに考えております。したがって、国の方も導入という方向で現在作業を進めておるようでございますので、そちらの方と十分連絡をとりながら、やるときは一緒、こういうことでやりたいと考えております。
  25. 与謝野馨

    与謝野委員 やるときは一緒でも結構なんですが、地方自治体の中ではすでに独自の判断でやりたいと思っているところが非常にたくさんあるのではないかと私は思うわけで、地方公務員法の中にそういう地方自治体独自の判断を生かせるような条文というものをつくっておく必要があるのではないかと思うのです。定年制をしくかどうかはその地方自治体固有判断に任せるということにぜひともしていただきたいと思うわけです。  それから次に、東京都の財政問題ですが、一月二十四日ですか、東京都知事自治大臣を御訪問になられました。そのときのお申し越しの用件、案件というのは一体何だったのでしょうか。
  26. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 美濃部さんが私のところに参りましたときの話の内容は、五十三年度の予算編成のときに、都は再建団体に落ち込むすれすれのところであったわけでございますから、それをそういう状態にさせないようにということで、一年間は都の職員定期昇給はストップしますということが、自治省との間においても一つの基本的な約束であったわけですね。しかも、これは単に自治省東京都知事との約束であるばかりでなしに、東京都議会におきましても全会一致で決議されておるということなんですね。  美濃部さんが参って私に対するお話は、そういう重大な根幹ともなるべき約束定期昇給を一年間ストップするという措置を守ることができなくなりました、これはいろいろな事情を言っておりましたけれども、繰り返し私に対しては、これほど重大な約束を破ったということについて心から申しわけないと思います、おわびを申し上げます、こういうことであったわけであります。
  27. 与謝野馨

    与謝野委員 それに対する自治大臣の御返答はいかがだったでしょうか。
  28. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私は、美濃部さんが、繰り返し繰り返し申しわけない、心からおわびを申し上げるということを言われたわけでございますが、個人の立場は別として、自治大臣という公の立場であるわけでありますから、とにかく一番根幹になる約束を破ったということに対しては、私は心からはなはだ遺憾であります、おわびをしたからそれで結構ですというわけにはまいりません、こういうふうに答えておいたわけです。
  29. 与謝野馨

    与謝野委員 昨年、自治省東京都の再建計画約束というのは、加藤自治大臣もこれは誠実に履行されるべきものだ、こういう御答弁をされておられますし、また東京都と自治省との約束だけでは担保がないので、その担保として東京都議会附帯決議、そういうものもあるのだ、こういう話だったわけです。  再建計画根幹といいますけれども、あの再建計画は、一つ都有財産を売り払うという売り食いの話と、それからもう一つは、とにかく都民負担を重くして受益者負担適正化を図ろうというので、各種の公共料金、高校の授業料水道料金バス料金等々、全部値上げして、都民負担増は確かに達成されたわけですが、その東京都庁内部合理化内部努力であり、まさに根幹というか、まさに再建計画そのものである定昇部分を一年もたたないうちに破るということ、それには一体事情変更原則が適用されるような大きな事情変更があったのかどうかということを政府委員の方にお伺いしたいわけです。
  30. 森岡敞

    森岡政府委員 東京都の話を伺いますと、今回条例及び予算都議会に提出しておられますが、新たな合理化計画といたしまして四千三百人を超える条例定数削減をする、なおそのほか、期末、勤勉手当その他につきまして、いままでいろいろ問題がありました事項をすべて合理化と申しますか、きちんと片をつける、そういうふうな一連の合理化内容とする議案を都議会に提案しておられるわけでございますが、それを評価してもらいたい、したがって、定昇延伸はやらないことはやむを得ないと了解してもらいたい、こういうお話でございました。  私どもは、それはとうてい納得できない、いまお示しのように、都だけでなくて、都議会もまた都の当局も、また都民にも、それぞれ忍ぶところは忍んでいただいて財政再建をやろうということで、公的に健全化計画をおつくりになって出していただいたわけでございますから、それが根元から崩れるということば、私どもとしては納得できないということを強く申し上げました。定数削減について評価してくれないのかというお話でございましたが、それはそれなりに私どもとしては健全化の御努力は評価をいたしますけれでも、それとこれとが引きかえになるような問題ではないということを強調しておる次第でございます。
  31. 与謝野馨

    与謝野委員 美濃部さんがそれほど自治大臣の前で頭を下げられ、この四月には東京部庁を去っていく方ですが、それとこれとは別でございまして、まさに内都努力そのもの定昇を無原則に解除する、特に大きな事情変更もなかったわけでありますので、この東京都議会の会期が終わりますとどういうふうに都議会条例補正予算等を議決されますか、それは予断を許しませんが、やはり起債許可については筋の通ったことをやっていただきませんと、あしき先例になると私は思うわけであります。約束はどんな約束でも約束でありまして、やむを得ず事情変更が許される場合とこの場合とは、私は違うように考えておりますが、財政局長、いかがでしょう。
  32. 森岡敞

    森岡政府委員 私どもといたしましては、いま申しましたような考え方に立って、なお、すでに提出されました健全化計画の誠実な履行を期待いたしております。そういう観点から、都議会の審議を非常に関心を持って見守っております。ことにいまお示しのように、四十七都道府県それぞれ財政健全化のために大変な努力をしておる時期でございますので、他の府県から見まして東京都だけが大変違った行き方が認められるということになれば、これはとうてい私どもの責務を全うすることは困難になろうかと思います。そういう意味合いで適切な対処を考えてまいりたいと思います。
  33. 与謝野馨

    与謝野委員 自治大臣にお伺いしたいのですが、大平総理田園都市構想というのをお持ちであります。田園都市構想というのはまだ構想なんで、一体内容はどうなるかわからないという説もありますが、こういう構想自治省役割りとは一体どういうふうになっているのか、その点について御見解をお伺いしたい。
  34. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御案内のように、大平総理田園都市構想というのは、大体、都市の持つ高い生産性、それから田園の持つみずみずしい自然環境というものを調和させた二十万ないし三十万の生活空間をつくる、こういうことになっておるわけでございまして、それは二十万ないし三十万の地方都市をつくるという構想でございますから、その中心主体はあくまでも地方自治体ということになることは当然のことであります。そういう点で自治省というものは、これはもう地方自治団体の元締めというような立場にあるわけでございますから、一番深いかかわり合いを持つ役所である、かように考えております。
  35. 与謝野馨

    与謝野委員 次に、政府が持っております各種交付金の中で、電源三法による電源立地交付金というのがございますが、通産省の方に来ていただいておりますので、電源立地交付金の本年度の状況についてまずお伺いしたいと思います。
  36. 岡松壮三郎

    ○岡松説明員 お答えいたします。  電源立地促進対策交付金につきましては、御存じのように、四十九年からスタートしたわけでございますが、五十二年度までに約三百八十億円の交付金を地方公共団体に交付いたしております。それで、五十二年度につきまして申し上げますと、予算額二百三十七億円でございますが、交付実績は約百二十七億円ということになっております。五十三年度につきましては、予算額約三百五十一億円を計上いたしまして、現在交付事業を執行中ということでございます。
  37. 与謝野馨

    与謝野委員 この電源立地交付金というのは、もらう方の自治体からしますと、大変使いづらい交付金だ、申請もやかましいし、使うときもなかなか思うように使わしてくれないし、金はなかなか来ないので、手金で最初やっておいて、後で金をもらうという方法になっているし、会計検査院の検査もうるさいしというので、地方自治体はありがたいやら何となく使いにくいやらという感想を持っておるところが多いようです。  そこで、自治省にお伺いしたいのですが、電源立地交付金について、もう少し自治省も関与する、あるいは地方自治体に使いやすいような方法をとれないものかどうか、その点についてお伺いしたいわけです。
  38. 森岡敞

    森岡政府委員 電源立地交付金の問題につきましては、関係市町村なり関係県からいろいろ意見を聞いておりますが、お示しのように、非常に使いにくい、使途が制限されておるというようなことから、改善方の要望が強うございます。  大きく分けまして、二点あると思いますが、一点は、補助事業の裏負担には原則として使わせない、これは当初非常に厳しかったわけでございますが、現在は法律に基づかない予算補助の事業で補助率が二分の一以下のものについては使ってよろしい、こういうふうに改善されてきておりますけれども、しかし、それでもなおかつ、そこに限定されておりますから、全般的に補助裏事業に使わしてもらいたいという要請が非常に強うございます。もう一つは、お示しの交付手続を簡素化してもらいたいという意見でございます。私どもは、毎年予算編成前に各省庁に、各省予算で改善方をお願いしたい事項につきまして網羅的に申し入れをいたしておりますが、電源立地交付金につきましては、ここ数年来毎年のようにこの二点につきまして強く要請をいたしております。  その結果、交付対象事業の拡大でありますとか、交付金単価の引き上げ、交付金交付の対象となる発電用施設の拡大というふうな改善が逐次行われてまいりました。しかし、率直に申しまして、まだ相当の繰り越しが出るということ自体がこの制度自身の持つ問題点を端的にあらわしておると思います。私どもといたしましては、さらに抜本的にこの改善が行われますように、通産省及び大蔵省に対して強く申し入れてまいりたい、かように思います。
  39. 与謝野馨

    与謝野委員 次に、警察庁と運輸省にお伺いしたいのですが、最近、昨年の道交法の改正に伴いまして、トラックの過積載の取り締まりが非常に厳しくなった。両罰規定もあって、トラックが積載許可を受けている重量しか運ばないという結果、全国的な規模で見ますと大変輸送力が落ちた。あるいは運賃単価の上昇によって建設資材その他の物の値上がりが見られる。これは道交法インフレだという説もあります。そこで警察庁の交通局長にお伺いしたいのですが、道交法改正前と改正後の過積載の取り締まりの状況をまずお伺いしたいと思うわけです。
  40. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  昨年道交法の改正を御審議いただきました際にいろいろ御意見がございましたが、改正道交法の施行ということで、過積載の取り締まりそのものが強化をされたということではございません。これが十二月から非常に自粛をされるようになりましたのは、実は法改正によりまして、その自動車の使用者が運転者に対して過積載を下命し、あるいは容認をするという場合には、従来は刑事罰だけがあったわけでございまますけれども、これを三回繰り返しますと車の使用禁止処分を受けるという法体制になりました。したがいましてこの下命容認の罪というのは四十二年から創設されて今日まで来ておりましたけれども、たまに見つかって罰金を払ったぐらいでは余りこたえなかったのが、今度は車の使用禁止がかかるということで、取り締まりは全く同じようにやっておりますけれども、業界の自粛が非常に徹底をいたしました。  それで、従来の過積載の状況、大体年間に十二、三万件の取り締まりをやっておりますけれども、いわゆる自粛が非常に徹底をいたしまして、とめて調べる車の中で過積載をやっておる件数が、従来は違反率が二一%ぐらいでございますけれども、それが七%と約三分の一に減っておるという実態でございます。それから同じ過積でありましても、いわゆる十割以上といいますか、倍以上積んでおるというふうな車が非常に減っております。そういうことで、業界の自粛が非常に徹底をしてきつつあるというふうに考えておるわけであります。
  41. 与謝野馨

    与謝野委員 業界が自粛をされた、その結果、一台のトラック当たりの輸送量が減ったということだろうと思うのですが、年間の死亡事故のうち過積載によって誘発されたような死亡事故というのは大体何%ぐらいでしょう。
  42. 杉原正

    ○杉原政府委員 概数で申し上げますと、昨年の例でございますけれども、年間の交通事故によります死亡事故の件数、これが八千三百十一件ございますけれども、そのうちの三二%に相当するものがトラックによるものでございまして、このトラックを第一原因といたします死亡事故が約二千七百件ほどございますが、このうちの約一〇%が過積載が直接、間接原因になっておるものというふうに分析をいたしております。
  43. 与謝野馨

    与謝野委員 いまトラックの輸送力の減少というのは国鉄あるいは沿岸の船の輸送でカバーされている分があると思いますが、もしトラックの輸送力の減少分をトラックだけで補うとすれば、あと何台ぐらいトラックが必要なんでしょう。
  44. 杉原正

    ○杉原政府委員 これは現在の過積がどの程度現実に総数として行われているかということの把握がないとなかなかむずかしいわけでございますが、去年の九月ごろからトラックの販売台数というのが非常に伸びておるわけでございまして、大体一四、五%から、多い月になりますと対前年同月比で二五%ぐらいふえておるようでございます。当分の間はまだかなりトラックがふえるのではないかと思います。ただ、企業でいろいろな話を聞きますと、荷物をこれは鉄道、これは海運、これはトラックというぐあいにだんだん企業で仕分けをしておられるようでございますので、必ずしも従来の過積分が全部トラックに置きかわるかどうかちょっと不明でございますけれども、そういう状況でございます。
  45. 与謝野馨

    与謝野委員 いろいろな説をなす人がいて、現在のトラック等は非常に安全率が高くとってあって、十トン積みでも二十トン積んだって平気なような構造になっているのだ、もともと積載限度が安全サイドにとられ過ぎているんだという意見があるわけですが、運輸省ないしは警察庁でその点についてはどういうようにお考えでしょうか。
  46. 尾松伸正

    ○尾松説明員 御説明をいたします。  ただいまの御質問、私、貨物課長といたしましては、所掌外になりますのでここで御説明いたしますのは適切かどうかとは思いますけれども、実はトラックの最大載量と申しますのは、道路運送車両の保安基準に定められております安全あるいは公害の基準に適合する範囲内で最大のものを車両ごとに定めることになっております。したがいまして、定められております最大積載量、これを超えて積載をいたしますことば、その保安基準に適合しない状態になるということになりまして、たとえばブレーキが距離が長くなる。たとえて申しますと、積載量十トンの車でございますと、初速五十キロメートルのときの制動停止距離は十八メートル程度なんですが、これが五割増加をいたしますと二十二メートル四十センチぐらいになるというふうにブレーキ距離が冠びるということ、あるいは車体の疲労が早く進みまして強度低下が進む、そういうことで車両としての安全性が損なわれることになるということで問題があるわけでございます。  また、波及的な問題といたしましても、過積載状態で運行いたしますと、排出ガスとか騒音等の交通公害も増大させることになったり、あるいは交通渋滞のもとにもなるということで波及的問題も発生するのでやはり問題がある、こういうふうに考えております。
  47. 与謝野馨

    与謝野委員 交通局長にお伺いしたいのですが、いまの問題はそれまでといたしまして、土曜日の午後、各幹線道路に歩行者天国があるわけですが、土曜日の午後というのはまだ中小企業等が働いている時間なわけですね。そのときに幹線道路が一部歩行者天国をつくることによって大渋滞を来すというのは、私は経済的、社会的に非常に不公平だし、ロスも大きいと思うわけですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  48. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  当初日曜日の歩行者天国が始まりまして、それから週休二日制などというものがだんだん多くなってまいりまして、土曜日の午後というのが日曜日と余り変わらないような人出、買い物というふうなところが部分的に出てまいりまして、見ておりますと歩道だけじゃもうあふれてしまうという状態部分的に出てまいりました。     〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうのを見てまいりまして、地域の方々からもこれは何とか日曜並みにしてほしいというふうな非常に強い要望がございまして、都内等でもかなりの個所で土曜日の午後も歩行者天国をやるというところがございます。ただ、これは先ほど先生から御指摘もありましたように、土曜日の午後働いておられる商店その他もたくさんあるわけでございますので、一般的にやりましたものについても、他の周辺の交通事情の変化というのはしょっちゅうあるわけでございますので、そういうものを見ながら部分的な手直しというのはしょっちゅう必要であるというふうに考えておりまして、御意見のような方法で具体的、部分的に物事をさらに検討してやっていきたいというふうに考えております。
  49. 与謝野馨

    与謝野委員 警察庁にお伺いしたいのですが、先般、右翼の人に大平総理が襲撃をされた。それは十分な善後措置をとられたと思いますが、最近、この国会周辺あるいはソ連大使館、中国大使館周辺でトラックに乗った右翼の騒ぎ方というのは尋常ではないし、目に余るものが実はあります。道交法違反でもありましょうし、また威力業務妨害罪だとも私は思っておりますが、非常に多数の機動隊を動員してこれを規制せざるを得ないというように見受けられますが、こういうトラックに乗った右翼に対する取り締まり状況あるいはその右翼の勢力、活動状況というのは一体どういうふうになっているのでしょうか。
  50. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 お答えいたします。  大平総理襲撃につきましては、いろいろ御心配をかけてまことに申しわけないわけでございますが、これにつきましてはきのう第一回の公判がございまして、起訴の上、公判になっているというふうな状況でございます。  この事件は彼自身、広瀬純夫の単独犯であるというふうなことで、背後関係その他は徹底した調べの結果も出ておらないというふうな状況でございますが、右翼は、御承知のとおり団体としまして約六百、構成員で約十二万人というふうなことでございまして、そのうちで日常街宣ということで街頭宣伝をしておる、そういったものを含めまして非常に活動の活発なもの、これが約二万一千人というふうに私たちの方は把握しております。しかも、これらのうちで特に危険性が強い——それぞれの情勢に応じまして、そのときそのときの問題をとらえて政府あるいはいろいろの陣営に抗議あるいは陳情、いろいろの活動をやっておるわけでございまして、その際、一般日常的にトラックあるいは自動車によりまして街頭宣伝をし、それぞれおのがじし主張を都民なりにアピールする、こういうふうなかっこうでやっているわけでございますが、この街頭宣伝につきましては、道交法によりまして許可を受けて、それで都内一円でやっているわけでございます。  私たちの日々、千々に最も心を砕いて取り締まりをしている騒音の問題でございますが、拡声機を使用してのいろいろの声の規制というのは、御承知のとおり軽犯罪法等があるわけでございますが、これは非常に罰則も軽い、しかも身柄を押さえるためには、身分がはっきりしなくては逃走のおそれがあるとか、そういう一つの限定がございます。さらにまた、東京でいえば東京都公害条例というものがありまして、これで騒音を規制するというような条項があるわけでございますが、東京都の場合は政治的な目的には一切東京都公害条例は使わない。しかも、具体的な規制、処分は都知事にあるということでございまして、そういう面からも警察としてはこれにこの条例を使うことはできないということでございます。率直に言いまして、この国会の周辺を含めて、右翼等の街宣による騒音に対しましては、警職法によりまして、いわば実力的に阻止する、こういうふうな手だてをとっておるということでございます。航空機の騒音等は特別法がございまして、ちゃんと規制があるわけでございますが、一般的にこういう街頭における拡声機を使っての異常に高い音の規制につきましては、まだ非常に不十分な状況でありまして、警察も、日教組大会あるいは教研集会、そういった際には大量に右翼が押しかけまして拡声機でがなり立てる、これを実力で規制するというようなことで、かえって逆に警察の方が告訴されたりしている状況も全国至るところにあるわけでございます。  国会周辺の静ひつというふうなものも絡みまして、警視庁は非常に苦労しておるわけでございますが、率直に言いまして、特別法的なものがなければ完全なるこういう音の規制はできない、かように思っている次第でございます。
  51. 与謝野馨

    与謝野委員 そういう右翼団体と暴力団との境目は一体どうなっているのかという点が第一点。そういう右翼の中には暴力団くずれが非常にいる、あるいは総会屋まがい、総会屋をやっているのもたくさんいる、一体あれだけの活動をするためにどこから資金を持ってくるのか、こういう点もお伺いしたい。  私が最近聞いた話では、これは事実でございますが、たとえばある民族系の石油会社が中国から原油を輸入することに決めた。右翼が早速その石油会社に押しかけていって大演説をぶつ、かなり長期間にわたって演説をされ、また帰ってくるぞと言われるので、音を上げて金を払う。金も何万円という額ではございませんで、四百万円ぐらい恐喝される、そういう事例も実はあります。企業も市民も、ああいう威圧的な暴圧的な言動あるいは暴力団まがいの行動に大変恐れをなしているわけでありまして、こういうものに対しましては、暴力団並みの取り締まりをしていただかないと困ると私は思っております。もちろん理論的な右翼、純粋な右翼の政治活動は別といたしまして、暴力団、総会屋あるいはたかり、恐喝、この範囲に及ぶものは、やはり警察は徹底的にやっていただきませんと困ると思っております。  そこで、道交法の改正に伴いまして、都内あるいは周辺の暴走族の取り締まり、あるいは暴走族団体の解散等が進んだと思いますが、その現況はいかがかお伺いしたいと思います。
  52. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  この暴走族の関係につきましては、法改正で共同危険行為ということで御可決をいただいたあれが非常に効きまして、この十二月からは、従来の大体二十分の一くらいの数になっておるというふうに考えております。  団体そのものも大分、解散声明その他をやっておりますが、これはまだ、私どもの情報で見ましても、擬装解散みたいなものもありますので、当分の間はかなり向こうの出方を見ておりませんと、こちらが態勢を崩しますとまたいつでも出てくる、こういう状況になっております。いまのところはうんと鳴りをひそめておるというのが実態のようでございます。
  53. 与謝野馨

    与謝野委員 警備局長にお伺いしたいのですが、暴力団の知能犯罪的な部分として総会屋、あるいは企業に対するたかり、ゆすり、おどし、あるいは賛助金等の名目で相当暴力団が企業関係に入り込んで資金を吸い上げているという話があります。企業もなかなか警察の捜査、調査に、あるいは自粛要請に協力をしないということもありましょうが、把握されている範囲で暴力団の総会屋活動等についての現況についてお伺いしたいと思います。
  54. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 暴力団の方は刑事局所管でございますが、私もかつて刑事局の方に籍を置いた関係上——これは御承知のとおり暴力団を根絶するという意味で、何といいましても資金源を断たなくてはならぬ、これが一つの命題でございます。そういう意味で、それぞれ各署管内にいわゆる企業暴力粉砕のための委員会を設定し、いろいろ情報を交換し、とにかくそういうものを締め出すというふうなことで努力しているところでございまして、そういう意味で企業の方も積極的な努力によって、賛助金の二割カットとかいうことを昨年あたりから積極的に打ち出すというふうなことでございます。  そういうことで暴力団、特に広域的な暴力団、山口組を初めとしまして、これらに集中的にいろいろの取り締まりをしまして、昨年の検挙率でも、五万数千人という暴力団を検挙をしておるというふうなことを聞いておるわけでございます。  当方の右翼関係につきましても、資金源がどうだというふうな問題、これもいろいろお尋ねを受けるわけでございますが、やはり団体の規約等によりますと、会の経費は入会金、会費、各種の事業収入あるいは寄付その他の収入によって賄う、大体こういうのがそれぞれの右翼団体の規約による資金源ということでございますが、先ほど仰せのとおり、企業からいろいろ賛助金をもらうというふうな形態もあるようでございまして、それぞれの企業の自主的なそういうものを排除する機運と同時に、警察もこういった違法行為、たとえば恐喝とか暴力行為とかいうふうな事案につきましては、徹底的にこれを検挙するということでひとつ今後ともやっていきたいと思います。
  55. 与謝野馨

    与謝野委員 最後に、国家公安委員長にお伺いしたいわけです。  右翼、暴走族、暴力団、新左翼、過激派等、国民の生活の静ひつを乱すようなものはたくさんあるわけでありますが、新国家公安委員長として、こういうものにどのように取り組まれるか、その辺の御決意をお伺いしたいわけであります。
  56. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 言うまでもなく治安の確立というのは国民生活存立の基盤をなすものでございまして、したがって、国民の安静な生活というものを脅かすような暴力その他のそういう行為に対しては、警察としてはもう厳然たる態度でこれの鎮圧に取り組む決意でございます。
  57. 与謝野馨

    与謝野委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
  58. 松野幸泰

    松野委員長 次に新村勝雄君。
  59. 新村勝雄

    ○新村委員 私は最初に、地方自治に対する政府の基本的な姿勢についてお伺いをしたいわけであります。  先般の大平首相の施政方針演説を伺ったわけでありますけれども、この中で総理は地域に関する政策等をお述べになったわけでありますが、遺憾ながら地方自治に対する御見解なり具体的な政策は何もなかったわけであります。この中に直接地方自治に言及をされたところが全くないということでありまして、申し上げるまでもなく、地方自治は、国政と並んで、あるいは国政とある面では一体となって、国民生活にきわめて深い関係あるいは役割りを持っておるわけでありますけれども、この地方自治に対する具体的な政策なりお考えが全くなかったということはどうしたことであろうかというふうに直感的に感ずるわけでありますけれども、現内閣の地方自治に対する基本的な姿勢についてまず大臣からお答えをいただきたいわけであります。
  60. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 総理の施政方針演説は、御案内のように、非常に限られた時間で国政全般についての首相の考え方を国民に訴える、こういうことでございますので、とにかく時間が限られておる、したがって国政全般について網羅的に発言するということは実際問題として非常に困難である、こういうことで地方自治についての発言がなかった、こういうことだと理解をしております。しかしながら、申し上げるまでもなく、地方自治というものが民主政治の基盤であるということは厳然たる事実でございまして、その重要性は非常な重さを持つものでございますので、大平内閣におきましても、当然国政の最も重要な問題の一つである、こういう認識を持っておることば間違いございません。
  61. 新村勝雄

    ○新村委員 時間が限られておって、網羅的には述べられないというお話でありましたけれども地方自治の国政全般の中におけるウエート等を考えた場合には、これは何十か網羅をされるその中の一項目というような軽いものではないわけでありまして、これはまさに国政の観点からいたしましても基本的な問題であろうと思うわけであります。特に最近、地方自治の時代であるとかあるいは地方自治見直しの時代であるというような、こういうことがしきりに各方面で言われておるわけでありますから、こういう中にあって、地方自治に対する基本的な御見解が明示をされていないということは大変残念なことでありますが、大臣、もう少し具体的に地方自治に対してどうお考えであるかということをもう一回伺いたいと思います。
  62. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 施政方針演説の中では確かに地方自治について触れられなかったわけでございますが、大平総理は、例の自民党の総裁選のとき、いろいろな考え方、公約というものを国民に訴えたわけでございますが、その中にはこの地方自治の確立、地方分権、そういったものについて非常にウエートを置いた考え方を示しておるのは御案内かと思います。私は、したがって大平総理の政治と取り組む考え方の中には、地方自治というものに対するウエートは非常に高く考えておる、こういうふうに認識をいたしております。
  63. 新村勝雄

    ○新村委員 確かに総裁公選の中ではお話があったと思いますけれども、これは何といっても国民に対して正式に総理の政治姿勢を示すのは施政方針であるわけであります。この中で地方自治に対する御言及がなかったということはきわめて遺憾だと思うわけでありますが、大臣はこの演説の内容あるいは草稿等について、これは当然閣議にかけてお決めになるのだと思いますけれども、事前に御相談があったかどうか伺います。
  64. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、総理の施政方針演説は閣議で相談をして閣議で決めるわけでございますから、当然私もこの閣議に参加しておるわけでございますから……。ただ、冒頭に申し上げたように、とにかく時間が非常に少ない。その中でいろいろな重要な問題がいっぱいあるわけでございますので、そういう取捨選択という点で地方自治というものに触れる機会がなくなった、こういうことで、確かに御指摘のようにこれだけの重要な問題について触れなかったのはどういうわけだという御質問の趣旨は、私も同感するところが多いわけでございますが、とにかく限られた時間で触れることができなかった、こういう事情でございますので、御了承をいただきたいと思います。
  65. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣のお答え大変不満でございます。私は長いこと地方首長をやっておりまして、毎年全国市長会等があるわけですけれども、総理大臣が全国市長会においでになったのは、十数年のうちで一回か二回しかないですね。これはいかに地方自治が軽視をされておるか、口では地方自治は大切だ、国政の基本だとおっしゃいますけれども、実際に台閣諸公を初め要路の方々が果たして地方自治を本当に身にしみて重要だとお考えになっているのかどうか、はなはだ疑問であるわけであります。網羅的に多くの政策を限られた時間で言えないということでありますけれども、文化の時代だという基本的な大平哲学がございますね、こういう基本的な哲学の次に、当然、地方自治は国政を下から支える本当の力であり、また実際にその機能を果たしておるわけでありますから、その施策なりあるいは評価なり構想なりというものが出てこなければならないわけでございますね、本当に地方自治を重要視されておるのであれば。こういう点で私は、非常に大臣のいまの御発言に対しても、あるいは総理の地方自治に対する考え方についても、大変失礼でありますけれども、遺憾ながら疑問を持たざるを得ない。ということでありますが、ひとつ大臣のこれからの御任期の中で、地方自治が国政の基本である、それについては現政府は全力を挙げて取り組んでいるんだということを身をもって示していただきたい、あるいはまた具体的な政策を通じて示していただきたいと切にお願いを申し上げる次第であります。これは全国民の願いであろうし、また同時に、第一線で日夜恵まれない状況の中で活躍をしている地方首長あるいは議員、こういった方々の偽らざる願いであると思いますので、特にこの点をお願いをいたしたいわけであります。  次に、これもまた首相のお話の中に出てくるわけでありますけれども、総理は田園都市づくりの構想を進めると言っておられますが、それは基本的にはどういう構想であり、方向であるのか、お伺いをいたします。
  66. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 この点については、予算委員会におきましても総理みずからが何回も答弁をされておるわけでございますが、もう御承知のように、要するに都市機能とそれから自然の持つ自然環境というものを調和させた二十万ないし三十万の生活空間をつくろう、一言で言えばこういうこと。この考え方は別に新しいことでも何でもないので、もう十数年来、そういったものをつくりたいということはお互いの大体の共通の認識になっていると言ってもいいと思うのです。ただ、それを総理は、ただ単なるそういった認識とかなんかではなしに実際の国の行政の中でそういうものを現実につくり上げていく、こういうことで強調されておるわけでございまして、したがって、私どもといたしましては、内閣、各省一体となって総理の掲げたこの田園都市構想というものを実際に実現をしていく、こういうことで現在努力をしておるところでございます。
  67. 新村勝雄

    ○新村委員 田園都市構想、これは必ずしも非難されるべきものではないわけでありまして、これが正しく運用されればそれ相当の意義なり成果は上がろうと思います。しかし、従来やっておりました広域市町村圏を中心とするいわゆる広域行政の程度では、本当に地方自治がそこで機能している形での成果はむずかしいのではないかと思うわけであります。いま大臣がおっしゃった程度ではその全容についてまだよく了解できないわけであります。いまに始まったことではない、従来やっておることをこれからさらに広く展開をしていくのだというようなお話でありますけれども、それではやはり十分ではないのではないか。従来の広域行政あるいは広域市町村圏、現在全国で三百二十九ですか、ありますけれども、その圏域の中においていままでやっておったことは、地方自治観点からすれば必ずしも十分な運営ではなかったし、特に住民自治という観点からするとはなはだ不十分な運営であったようであります。  そこで、いままでやっておった広域市町村圏をこれからさらに拡充をして展開するのだということだけではなくて、田園都市とおっしゃるのであれば、やはりいままでの広域市町村圏の運営にさらに質的なあるいは量的な革新がなければならない。いままでのものを継続するのであれば、これはいまに始まったことではないということになりますけれども、いまに始まったことではないということではなくて、いま本当に各地域で機能する地方広域行政をこれから新しい構想で展開していくのだということでなければいけないと思うのでありますけれども、その辺のお考えはいかがでしょうか。
  68. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私の言葉が足りなかったわけでございますが、これはいままでやってきたことだ、こういうふうにはもちろん考えておりません。ただ、田園都市構想という考え方はいまになって出てきたものではない、こういうことを申し上げておるわけでございます。考え方はいま新しいものではございませんけれども、それではその田園都市といったような構想に向かって実際に仕事をやってきたかというと、御指摘のように、私はやってきておらぬと思うのです。それで私どもは、御指摘のとおりに、従来やってきた広域市町村圏、これではもちろん田園都市構想というものは実現できないわけでございますから、量的にも質的にも新しいものを加えて、そして田園都市というものをつくり上げていかなければならぬ、御質問のとおりに考えております。  そこで、これは関係する省庁が非常に多うございまして、大体十六の省庁が関係をするわけでございます。そこで、この総理の提唱された田園都市構想というものを具体的にどう実現していくかということにつきまして、関係省庁がことしになってからも二回ほど会議を開きまして思想の統一を図っておるわけでございます。各省ばらばらでやられたのでは国民も困るわけでございますから、十六もの関係省庁がやはり一つの共通の認識、共通の考え方に立って、そして力を合わせて田園都市構想を実現していく、こういう方向に持っていかなければならぬ、かく考えておりまして、そういう方向に向かって足並みをそろえて現在努力をしておる、こういうことでございます。
  69. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣のお考えわかるような気がするわけでありますけれども、総理の演説あるいは自治省からいただいておる資料等を拝見いたしましても、この広域市町村圏の基本的な考え方が何か中央政府立場から、いわば中央集権的な立場からの構想で進められるのではないか、こういう感じがするわけであります。これは大平首相の施政方針の中にもありますし、いまの大臣のお考えでも、広域行政あるいは広域市町村圏、これがどう住民自治と関係していくのか、あるいは単位自治体とどういう関係で進められるのかというような点についての明確なお答えがないわけであります。田園都市構想が成功するかどうかということは、実はこれが正しく住民自治の中に根差して住民自治と関係づけながら運営されていくかどうかというところにあるわけでありまして、この田園都市構想といえども政府のイニシアのもとに中央集権的な形で進めるということであっては成功しないと思います。何といってもこれは地域の問題でありますから、その地域の自治体の協力なりあるいは地域の住民の理解あるいは住民の参加、これがなければ田園都市構想は成功しないと思うのです。そういう点でどうも政府考えが、中央のイニシア、中央の構想あるいはコントロールのもとに常に進めていこうとする、こういう傾向が見られるわけでありますけれども、住民自治との関係あるいは地方単位自治体との関係をどうお考えになるのか、これは後で市町村圏の運営の問題についてまた詳しく伺いたいと思いますけれども、その点についてだけ、大臣、ひとつお答えいただきたいと思います。
  70. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 非常に重要な御質問だと思います。  私は、今回の田園都市構想を実現するに当たって大事なポイントが二つあると考えております。  一つは、御指摘のように、従来のように中央集権的な考え方で何もかも中央が指導してやっていくという方式ではいかぬということであります。そういう二十万なり三十万の都市をつくろうという計画でございますから、この仕事の中心主体はあくまでも地方自治体でなければならぬ、これはもう一番大事なポイントだと私は考えております。  それからもう一つは、ただいまも答弁の中で申し上げたように、やはり関係省庁が十六もございますので、いま言われておるのも、自治省で言えば広域市町村圏、今度新広域市町村圏という構想を打ち出しておるわけですが、国土庁の定住圏構想、建設省の生活圏構想、そういったもの、いろいろなことを言われておるわけでございますから、そういうものを各省がばらばらでやられたのでは、これはもちろんいい仕事はできませんし、大体受ける国民が戸惑ってしまうわけでありますから、そういう各省ばらばらのセクショナリズムではなくて、一つの統一した考え方、政府が一体となってやるということでセクショナリズムを廃止するということが第二番目の大事なポイントだ、こういうふうに考えております。  したがいまして、関係省庁の会議の中でも、私ども自治省からは、この田園都市構想を推進する中心はあくまでも地方自治体でございますよということだけは強調しておりまして、幸いに各省庁とも私どもの主張に十分な理解を示しておる、こういうことでございます。
  71. 新村勝雄

    ○新村委員 広域市町村圏の件について後でまたお伺いしたいと思います。次に、大臣の所信表明のお言葉の中から幾つかの点を伺いたいわけなのです。  その一つは、二ページの後段ですか、「昭和五十三年度に制度化された地方交付税所要額の確保のための方式の活用、臨時地方特例交付金の増額及び建設地方債の増発により」云々とございますが、大臣は新しく任におつきになったわけでありまして、前の経過等ももちろん御存じだと思いますけれども財政危機が表面化いたしまして以来、すでに五年ですかになりまして、その間、国におきましては地方交付税法の本来の姿どおりに運営できないということで、当然これは地方交付税法六条の三第二項の規定によって税率を変更して本来の姿で運営すべきところでありますけれども、それが政府部内のいろいろな事情のためにできない。そこで、それに代替する方式を制度化をしてやってまいったということでありますが、これについて、結果的には交付税の増額が確保されることば事実であります。しかし、確保の仕方あるいはまたその交付税内容を分析してみた場合の性格、これについては、六条の三第二項を適用した場合と現在の方式とでは、同じ交付税額が確保されるにしても性格的にばかなり違ってきておる。それからまた、失礼でありますけれども、こういう本来の姿から逸脱をした形で運営するということが、交付税本来の精神をその限りでは曲げておるというふうにわれわれはいままで主張してきたわけであります。  そこで、大臣、おかわりになりまして、この交付税法の運用の仕方についてどうお感じになっておられますか。まずその点をお伺いしたいと思います。
  72. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、本来ならば、地方財政がこれだけ窮迫をし借金を抱えておるわけでございますから、地方交付税の率の引き上げ、これによって対処すべきだと考えております。したがって、五十四年度の予算編成に当たっては、自治省としては、大蔵省に対して地方交付税の税率の引き上げを実現してもらいたいという要求も出しておったわけであります。これに対して大蔵省から、国の財政がとにかくああいういまだかつてない巨額の赤字公債を発行せざるを得ないという状況でございますので、自治省の要求する交付税率の引き上げにはとうてい応ずることができない、逆に、国もこれだけの赤字公債を発行してとにかく予算編成をしようとしておるのだから、地方自治体も赤字公債を発行してもらいたい、こういう強い要求があったわけでございます。そしていろいろ折衝をした結果、地方自治体の赤字公債の発行は法のたてまえからいっても断じて容認することはできない、こういうことで、私どもの方でこれはお断りをいたしました。これは最終的には大蔵省がのんだわけであります。と同時に、私どもが要求しておりました地方交付税税率の引き上げについては、国の財政状況がこういう状況だからことしはひとつ見送ってもらいたいという大蔵省の要求を私どもがのんだ、こういうことでございます。
  73. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣の御努力には敬意を表するわけであります。今後とも地方交付税法の精神をできる限り守っていただくような御努力をお続けをいただきたいわけであります。  次に、三ページ後段でありますが、「国庫補助負担基準の改善等財政秩序の確立を図るほか、地方財政計画の算定内容について所要の是正措置を講ずること、」とありますが、これは五十四年度で具体的にどのような改善が行われるのでしょうか。
  74. 森岡敞

    森岡政府委員 いま御指摘の国と地方との間の財政秩序の確立の問題の中心は、いわゆる超過負担の解消の問題でございます。この点につきましては、関係省庁に強く要請し、また大蔵省とも協議をいたしまして、実態調査の結果に基づきますもの及びその他のもの、合わせまして事業費べースで五百二十九億円、国費ベースで三百六十億円の超過負担の解消を行っております。保健所運営費の補助金の給与格づけの改善でありますとか、保育所職員給与格づけの改善などを初めといたしまして、補助単価の改善及び補助基準の改善、双方通じましてそのような措置を講ずることとしたわけであります。なお、地方財政計画内容の改善につきましては、実態なり決算の状況を見まして給与費等の一部につきまして必要な是正を行っております。
  75. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、四ページの後段ですが、「長期的には国民に一般的な租税負担の増加を求め、地方自主税源の充実強化を図ってゆく必要がある」、こうおっしゃっておるわけですが、これは大筋の方向を示されたものであると思いますけれども、現在の状況からして増税がどうしても必要なのかどうか、また、長期的に考えた場合に租税負担の増加を求める場合にはどういう方向であるのか、お示しをいただきたいわけであります。特に地方自治体の場合には直税が主体でありますから、税の負担感が非常に大きい。これは国税以上に税の負担感が大きいということができます。さらに国民健康保険の税というようなものもございますし、直税主体で、しかも住民生活に非常に密着をしているだけに、地方税の対策、方針というのはきわめて重要だと思いますけれども、大筋のところで結構でございますから、直税が主体になるのか、間税が主体になるのか、あるいは所得課税になるのか、資産課税になるのか、そこらの大筋の方向をわかればお示しをいただきたい。
  76. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 地方財政は、御案内のようにとにかく窮迫を告げて漸次借金が重ねられてきておる、それで将来を展望しても、国の経済成長が御承知のように低成長になってまいってきておりますので、現在の制度のもとで財政の需要をカバーするだけの税収が取れるというふうにはとうてい考えられません。一方において、行政に対する国民サイドからの需要は、これは高まることはあっても低くなることはないというふうに考えられます。したがって、両者の間にこれはかなり大きなギャップがずっと続くわけでございますので、このギャップはどうしても埋めなければならぬ、いつまでもいつまでも借金でやっていくということは限界があるわけでございますから。  そこで、財政再建ということになってくるわけでございます。私ども現在考えておりますのは、午前の答弁でも申し上げましたけれども、国と地方あわせて一般消費税という形で国民にひとつ増税の御協力をお願いしたい、かように考えておるわけであります。
  77. 新村勝雄

    ○新村委員 各問題点、詳しくお伺いする時間がありませんので、簡単に先へ進むわけでありますけれども……。  次に、いま大臣がおっしゃっいましたけれども、五ベージ後段に「なお、一般消費税につきましては、そのうち地方公共団体配分される額の一部を地方消費税とすることとし」云々とありますけれども、この一般消費税については、いま国民の間に大変な反響と論議を巻き起こしておるわけでありまして、総理も先般の施政演説の中あるいは予算委員会等において、十分これは国民の間の論議を待って、そしてこれから十分国民的なコンセンサスを得たいというふうにおっしゃっておるわけですね。そして予算委員会等でも、野党の絶対反対の中ではこれはとてもできませんね、こうおっしゃっておるわけでありまして、新しい財源が必要なことば私どもよくわかりますし、何らかの形で国民の皆さんに税負担を願わなければならぬということはわかるわけでありますけれども、少なくとも事税金に関する限りは、できる限りの論議と国民的な合意を得なければならぬと思うわけでございます。ところが、総理は大変慎重に発言をなさっておるわけでありますけれども自治省が真っ先に、一般消費税をいかにも実現するのだ、これはちょうだいするのだという形で先頭に立っていらっしゃるということは、ちょっと理解に苦しむわけでありまして、一般消費税は、これはもうむしろ総理の御指導のもとに全国民的な完全な合意を得て、そしてまた、あるいはその衝に当たるのは大蔵省だと思いますね。こういう表現をされるということに何か私ども抵抗を感ずるわけでありますけれども大臣は、一般消費税自治省が旗を振って実現に邁進するのだという、そういうお考えなり御姿勢が誤解を招くと思うのですけれども、どうなんでしょうか。総理さえも、もっと慎重にこの問題については詰めてもらいたい、あるいは国民的な合意を得てからにするということをおっしゃっておるわけなんですけれども、そこら、どうなんでしょうかね。
  78. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 一般消費税導入について自治省が先頭に立って旗を振るような考えは毛頭持っておりません。ただ、一般消費税導入については、もう政府・与党の一つの決定を見ておることでございまして、この方針は政府・与党の間におきましては一つの方針として決定を見ておるわけであります。大蔵省の五十四年度の予算編成に当たっても、大蔵省自体は五十五年度中には一般消費税導入を実現をしたい、こういうことを予算委員会でも大蔵大臣から何回も答弁をしているとおりでございます。  ただ、これを実現するということに対しては、国民の間からも非常な反対があることも私ども承知をいたしておりまするし、また野党の皆様方からもこれに対しては厳しい批判があるということも十分承知をいたしておるわけであります。したがって、総理が答弁されておるように、これを実現するまでの過程において、国民の間にも、さらにまた国会におきましても、あらゆる角度から十分な論議が積み重ねられていくということは、これは当然の前提でございまして、一般消費税をどういう形でやるかということもまだ固まっておらないわけであります。したがって、論議はこれからでございまして、私どもはあくまでも各方面からの、あらゆる角度からの真剣な慎重な論議を経て、そして最終的には皆様の納得の得られるような形で消費税の導入を図っていきたい。この点については総理の考え方と全く相違はないわけでございます。
  79. 新村勝雄

    ○新村委員 これは大臣に申し上げると失礼ですけれども、政治に重要なことは、政策の選択と同時に、それを実現をするプロセスがそれ以上に大切な問題だと思うのですね。ですから、財源の必要なことはよくわかるのですけれども、どうぞひとつ政策実現のためのプロセスを大切にしていただくようにお願いをいたしたいと思います。  次に、八ページの前段に、「住民の自治意識の向上に資するため、コミュニティーにおける生活環境の整備、コミュニティー活動の促進などコミュニティー施策の推進を図ってまいりたい」とおっしゃっていますけれども、これはコミュニティーという、外国語をことさらお使いになったのはどういうお考えであるのか、コミュニティーという言葉の持つ内容等について概念的にどんなお考えを持っているのか、お伺いしたいと思います。
  80. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 このコミュニティーという言葉を自治省としては前から使っておるわけです。私は、来てからまだ二月ちょっとでございますので、どうもやはりしかるべき日本語があれば日本語の方がいいのではないかと、率直にそう考えております。しかし、なかなかコミュニティーという言葉をそのまま表現する適当な日本語がどうも見当たらないということでコミュニティーということを使っておるわけでございますが、内容としては、何といいますか、お互いに親近感のある近隣社会と言った方がいいのでしょうか、どうも適切な日本語が思い当たらないのでございますが、やはりお互いに人間としての、人間と人間との触れ合い、つながり、そういったものが身近に感じられる近隣社会、こういうことではないかと考えております。
  81. 新村勝雄

    ○新村委員 実は私どもは、このコミュニティーという概念を正しく解釈をされ、その持つ意味を実際にその地域に実現をしてもらいたいという考えを持っておるわけですよ。コミュニティーというのは、日本のいわゆる古い形での縦社会の概念ではないのですよ。これは西欧的な個の独立、そして封建的な束縛から解放された自由人としての個の確立、そういった個人の集まりとしてのいわば地域的な連帯感、こういったものによって統合されておる地域の姿ですよね。ですから、そういう形でひとつこのコミュニティーという言葉を誤解をされないで、少なくともこういう言葉をお使いになって構想されるわけですから、この考え方のいい面を地域に取り入れていただきたいわけであります。それを特にお願いをいたしたいわけであります。コミュニティーという言葉を、ひとつ本来の正しい意味で地域で展開していただきたいと思うわけであります。  あと、広域市町村圏の運営については、実は私いろいろな問題点をお伺いしたかったわけでありますけれども、時間がございませんので、きわめて簡単に、大急ぎで申し上げますが、現在政府がやっておられます三百二十九の広域市町村圏、これが一つございますが、これは一部事務組合と、それから自治法に、いわゆる協議会という形で行われておるわけでありますけれども、この組合にしても協議会にしても、制度的に住民参加の配慮がないわけですよね。たとえば、議会の議員に対する解職請求、いわゆるリコールの権利が住民にはない。また直接請求の権利がない。この一部事務組合の規約あるいは条例の制定、改廃等についての住民請求の権利がない。また、この財務の監査についての、あるいはその違法な支出についての訴訟の権利が住民にないということで、単位自治体、都道府県、市区町村、こういう自治体の住民に保障されておる基本的な権利である直接請求の権限あるいは直接参加の権限がないか、あるいは大幅に制限をされておるという事実があるようであります。この点をこれからどうなさるのか。広域市町村圏を大規模に展開するとすれば、その法的不備を再検討して補っていく必要があるのではないかということが一つであります。  それからもう一つは、これは地方自治体予算の編成のたびに問題になるのでありますけれども、同じような、法人格を持たない、いわば申し合わせの単位自治体を超える複数の自治体の連合体のたくさんの協議体あるいは協議会、名前はいろいろでありますけれども、そういうものがあるわけであります。人口十万前後の中規模の団体で百四、五十ございます。規模が大きくなればさらに大きくなるだろうと思いますけれども、たくさんの横断的な組織がございます。ところが、この横断的な組織の運営については、予算の執行についてはもちろんのこと、単位自治体から切り離されておるわけです。単位自治体では負担金を出すときには予算の議決をいたしますけれども負担金として出してしまえばもうその自治体の権限を離れてしまう。そして住民からはチェックの方法がない。こういうことで、いわば自治法律の盲点みたいな形でいま運営されておるというのが実態であります。しかも、これはそれぞれの行政目的があるわけでありますから一概に非難はできませんけれども、その費用がまたばかにできない。中規模の都市で二億程度はそういう団体の経費が毎年支出をされておる。推定でありますけれども、全国では千二、三百億がこういう方面での経費に充てられておるのじゃないか、これはもちろん住民の税金でありますけれども。こういう住民の税金が住民から全く手の届かないところで、住民コントロールの全く及ばないような形で運営されておるという事実があるわけです。こういったことについて自治省はどういうふうにお考えであるのか、あるいはまた、こういうことについて今後どういう対処の仕方をなさるのか、それを伺いたいと思います。
  82. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 お説のように、確かに住民のいろいろな権利が制限されて間接的になっておるわけでございます。しかも、だんだんとそれが大きくなっていろいろな仕事をやっていく、こういうことでございますから、現行のままでいいのかどうかという御指摘は確かにお説のとおりだと思います。したがって、これは一体今後どうしたらいいかということにつきましては、ひとつ真剣に検討を重ねてまいりたいと考えます。
  83. 新村勝雄

    ○新村委員 いまの広域市町村圏における事業実施の主体の性質別の統計、あるいは法人格を持たない単なる協議会程度の団体がたくさんございますが、先ほど申し上げたように、中規模の団体で百四、五十あるわけです。こういう団体の統計、どのくらい経費が支出をされておるか、ございましたらお示しをいただきたいと思います。
  84. 柳沢長治

    ○柳沢(長)政府委員 いま手元に資料がございませんので、後刻お届けさしていただきたいと思います。
  85. 新村勝雄

    ○新村委員 これはこういう形での行政でございます。すでに行政主体として機能しているわけですが、こういう行政の形がしばしば軽視をされておるわけですよ。しかし、その意味するところは決して軽くないと思うのです。ですから、それらの実態を十分に把握をされて、今後どういう形で対処されるのかということをひとつはっきりしていただきたいと思うわけでありまして、これをお願いいたしたいと思います。  次に要綱行政についてお伺いをしたいわけでありますが、御承知のように、最近武蔵野市において、要綱行政に違反をした者に対する市の処置が違法であるということで市長及び関係者が起訴されるという事態が起こっております。この問題について、大臣どうお考えでございましょう。
  86. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘の武蔵野市ばかりでなしに、大体同じような人口急増都市に多いと思うのでありますが、そういった地区におきましてはいろいろな新しい問題が発生しておるわけでございまして、そういった情勢に対処して一つの秩序を持った町づくりを進めていくというためにはやはり市としての一つのまとまった考え方というものを示して、それに市民に御協力を願っていくというのは、私は行政の進め方としてはこれはまことに適切なものだ、かように考えます。ただ、いずれにしても法治国家でございますから、その要綱はあくまでも法律の範囲内で行われなければならぬということは当然だと考えております。したがって、要綱というもの、要綱行政とまとめて言われておりますが、そういうものは適切に運営されれば、これは妥当で、大変効果も上がる、私はかように考えておりますので、あくまでも法律の範囲内でという枠は、その節度は守っていくべきだ、かように考えております。
  87. 新村勝雄

    ○新村委員 いま三百を超える自治体が実際に要綱を制定して、その内容には若干の相違はございますけれども、とにかく大同小異の要綱をつくってやっておるわけであります。この実態については国、特に自治省も先刻御承知でありまして、正式にいいとおっしゃっているかどうかわかりませんけれども、とにかくその実態については御承知なわけであります。こういう中でああいう事態が起こったということについては、これは法律の解釈の問題もございますし、また法治国家とはいいましても、その半面、これは法律と同じくらいの力のある慣習法といいますか、社会一般が支持をし、そして認めておる一つの秩序の体系、法体系ではないけれども秩序の体系があるわけであります。これはあらゆる分野でそういう部分があるわけでありますけれども、こういう急激な都市化の中で、自治体の運営と住民を守るためにはやむを得ずこういうものが出てきた。しかもそれが一つの体系あるいは体制と言ってもいいほどに一般化をしておる、これが実態だと思います。こういう中で、たまたまそれが単純な法律解釈のために違法であるという指摘を受ける、指弾を受けるということは、これは大変残念なことでありますけれども、これについてひとつ大臣、もう一回伺いたいと思います。
  88. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 武蔵野市の例に見られるような人口急増というような異常な事態に対処して、一つの秩序を持った町づくりを進めなければならぬという立場に立つ立長、市当局というものが大変御苦労されておるという事情は私も十分理解できます。武蔵野の市長さんにも私はお目にかかりました。その間の事情もいろいろ伺ったわけでございます。したがって、そういった事情は十分理解できますけれども、しかし、法治国家でございますから、法律で禁止しているものを超えた要綱というものを実施するということはどう考えても適当ではないわけでございますから、私は繰り返して申し上げますが、やはり法令の範囲内でその節度は守って要綱行政というものを推進していっていただきたい、かように考えるわけであります。
  89. 新村勝雄

    ○新村委員 局長にお伺いいたしますけれども、現在全国で行われておる要綱行政あるいは要綱の内容を、三百を超える団体がやっておるというようなことを聞いておりますけれども、その実態をひとつ伺いたいと思います。
  90. 久世公堯

    ○久世説明員 お答えいたします。  一昨年の十二月現在で調査をいたしましたところによりますと、現在宅地開発指導要綱を制定しておりますのが八百八十五団体でございます。ただ要綱数は、一つの団体でも二つの要綱をつくっているところがございますので、要綱数は九百二になっております。内容でございますが、その要綱の目的といたしましては、良好な生活環境の整備を目的とするもの、あるいは乱開発の防止を目的とするもの、それから地方団体の財政負担の軽減等を目的とするもの、これらの目的は相互に重複したものがかなりあるわけでございます。  大体以上でございます。
  91. 新村勝雄

    ○新村委員 こういう実態、それからまたこの事実経過、これについては自治省はいままで十分把握されていらっしゃったと思いますし、これについていままでどういう考え方で対処をなさってきたか、伺いたいと思います。
  92. 久世公堯

    ○久世説明員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、この宅地開発指導要綱等は地方団体が地域の実情に応じまして自主的な判断に基づいてつくられているものでございます。     〔委員長退席中山(利)委員長代理着席〕 かつ、ほとんどが市町村の要綱でございますので、私どもといたしましては、その指導は都道府県を通じて行うことにいたしております。  ただ、指導の方針といたしましては、こういう宅地開発指導要綱等に対する行政指導といいますものは、先ほども申し上げましたように、たとえば無秩序な宅地開発を防止するとか、良好な生活環境の整備を図る必要があるとか、あるいはまたこの過重な地方団体の財政負担を軽減するというようなことを目的としておりますので、そういう内容あるいはその方法、そういうものが適切であるものにつきましては、首肯し得る面があると思っているわけでございます。ただ特に行き過ぎの場合があれば、それにつきましては、都道府県を通じて指導することにいたしております。
  93. 新村勝雄

    ○新村委員 行き過ぎというのは具体的にどういうものであるのか、また実際に運用されたその実績の中でどういうものがいままであったかなかったか、伺いたいと思います。
  94. 久世公堯

    ○久世説明員 要綱の内容につきまして、たとえばこの定めている中に、適用の最小規模と申しますか、規模の非常に小さいものについてまで適用しているとか、あるいはまた協力金とか用地とか施設の提供、そういうものの金額ないし面積等が著しく高いと申しますか、常識を逸するようなものがあれば従来指導をいたしております。
  95. 新村勝雄

    ○新村委員 抽象的で具体的にはわからない面が多いのですけれども、武蔵野市の場合には要綱——これは確かに要綱であって条例ではございませんけれども、議会の承認も得ておりますし、また、その運用に当ってはほとんどすべての市民の支持を得ておるわけであります。また、実際の運用についても、これは全くしゃくし定規に現象面だけを考えれば、現行法にさわる部分があるいはその過程の中ではあったかもしれませんけれども、この運用全体については決して非難されるべきものではないというふうに私どもは見ておりますし、調査もいたしておるわけであります。そういう点で、これは市民の生活を守り、自治体の運営を守るための緊急避難的な措置であったわけでありまして、これに対してなおかつその責任者が起訴をされるということでありますと、政治の原理は果たしてどこにあるのかということが疑いたくなるような事態であるわけであります。  そこで、大臣にお伺いをいたしたいのですけれども、これからもこういう問題が繰り返されるかもしれませんし、また事態は決していま急速に解決を見るという事態ではないわけでありまして、過密化の中で市民相互のいろいろな矛盾も起こってきておる、こういう状態の中で起こった不幸な問題でありますので、今後この要綱行政についてどういうお考えで対処をされようとするのか、またこの問題を矛盾なく解決するためには、現状をこのままほうっておいてはいけないわけでありますから、これをどう解決をされようとお考えであるのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  96. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 すでにお答えをいたしておりますように、こういった人口急増という異常な現象を抱えた地域において、一つのまとまった秩序を持った町づくりを進めていくということは絶対必要なことでございますから、その目的を達成するために必要な考え方を要綱という形でまとめて、そして市民の、住民のコンセンサスを得ながら町づくりを進めるという手法は、私は必要でまた適切だ、かように考えます。  ただ、繰り返し申し上げておりますように、いずれにしても法治国でございますから、いかに必要であるからといって、法律を超えた規制というものをすることは、要綱という形ですることは許されないわけでございますから、あくまでもやはり法令の範囲内という節度を守って、そして適切な指導をやっていただきたい、かように考えるわけでございます。そういうことでございます。
  97. 新村勝雄

    ○新村委員 時間でありますからこれで終わりますけれども、この問題はこれで済む問題ではないわけでありまして、こういう状況は各地域にずっと存在をいたしておるわけです。ですから、こういう矛盾を政治の立場から、あるいは立法政策の面から解決をしていただいて、こういう矛盾が起こらないようにひとつ大臣、特段の御努力をいただくことをお願い申し上げまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  98. 中山利生

    中山(利)委員長代理 加藤万吉君。
  99. 加藤万吉

    加藤(万)委員 当委員会に私が所属いたしまして、今度で三人目の大臣であります。私は、地方行政全般をわが党の立場なり、国民立場で提言をするときには、単に当委員会におけるお互いの質疑のやりとり、あるいは合意というだけではなくして、できれば日常会話の中にも大臣とそういう話ができ、それが国の政策として展開をされることを実は望んでいるわけであります。先ほども同僚の議員から、総理の所信表明に地方行政、地方自治の問題が欠落していることを指摘をいたしました。今度の大臣は識見、経験とも大変豊かな大臣でありますので、ぜひ——この二年の間に三人も大臣がかわるそのこと自体が、内閣の地方自治に対する姿勢、そういうものに疑いを持たざるを得ないわけでありまして、今度の大臣はそういう意味では大変識見ともに豊かな方ですから、野党も挙げて、次の改造があっても自治大臣に留任ができる、こういう姿勢をぜひ貫いていただきたいと思います。  そこで、大臣の所信表明を先般承りまして、その中で大臣は、長期的な見通しに立って行財政の見直しを行うべきである、こう発言をされておるわけであります。ところが、残念ながら翌日の新聞ないしはまた地方財政計画が出た後の各識者の意見等は、一斉にこの財政計画については長期的な見通しが欠けている、あるいは財政硬直化について解決の方途がこの所信表明なりあるいは財政計画の中では見出すことができない、あるいは地方自治はこのままでいくと慢性的な重圧、借金財政の中にひたり込んでしまう、こう書き上げているわけであります。具体的に私が申し上げるまでもありませんけれども、やはり四兆一千億という財源不足、あるいは借入金と地方債の比重がだんだんと拡大をしまして、今年度は借入金の依存度が一八・五%、さらに財政計画によりますと、地方債の残高が二十五兆円という状況、一体こういう具体的な事実関係に対して、大臣がおっしゃっている行財政の見直しと長期的な見通し、こういう見通しをこの中でどこをどう見出していったらよろしいのか、率直に言って、私らもその方途を見出すのは非常に困難だという感じを受けざるを得ないわけであります。  そこで、いま言いましたように、たとえば四兆一千億という財源不足、当面この財政計画が進められる限り、これは拡大しようとも縮小される可能性というのはほとんどないわけであります。あるいは借入金、地方債の比重そのものも今日の状況から見て、これが縮小していくという傾向がありません。一体、大臣は、こういう言葉としての長期的な見通しと行財政の見直しはわかりますけれども、具体的なこういう事実に対してはどういう見解あるいはどういう方向で長期的な見通しをお立てになり、あるいは財政再建の方途を見出そうとされているのか、大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  100. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 非常に大事な御質問でありますが、同時にまた非常にむずかしい問題でもあるわけでございます。それで国の方でも、国の財政収支試算というものを国会に提出をしておるわけでございますが、御承知のように、これとても非常にきちんと計算をし、積み上げられた収支試算にはなっておりません。非常にいろいろな仮定の問題を含み、しかも非常に漠然とした内容を持った収支試算しか提出できないというのが実態でございまして、これに並行して私ども地方財政再建を目指しての収支試算というものを現在鋭意詰めておるわけであります。できれば今月中いっぱいくらいにはまとめ上げて提出をしたいと考えておるわけでございますが、これとても国の場合とほとんど条件は同じでございまして、確信を持った数字で積み上げた、こうしてこうしてこうなるのだという確信を持った提案をすることば非常に困難だと考えております。しかし、御指摘のようにこの問題はきわめて重要なことでございまして、とにかくいかに困難であっても、何年計画かで地方財政再建はこうしてやります、こういう方途を見出すということは私どもの責任でございますから、そういった自覚に立ってとにかく真剣に現在取り組んでおる、こういうことでございます。
  101. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度の財政計画を見まして、大臣の所信表明とあわせて、一体その中で何か再建の方途なりあるいは財政確立の方途を見出す文言ないしは計画があるのか見てみますと、一つは行政面では人件費を縮減する、それから財政面では一般消費税道府県税に取り入れる、この程度にしか実は見出すことができないのです。私はここ二、三年の傾向、いわゆる国の不況状況等もありますけれども、やはり公共事業投資的経費にその傾斜の度合いを強めている。いわば地方団体の公共事業に、言葉は悪いですけれども、馬に食わせるほどの事業計画を押しつけている。その財源的な裏づけは全部起債、国が政府資金を充当してこれを促進する。今年度も十五兆二千二百五十五億ですね。私はそこに手を入れなければいけないと実は考えているのですよ。というのは、私、何回も申し上げましたけれども、一体民間の投資をどう喚起するのかということがなければ、国の財政計画はぼくは再建できないと見ているのです。民間需要を旺盛にするために国の施策がどうあるべきかという原点に立ちませんと、不況の段階を二年、三年、四年と公共事業でつないでつないで、結局それは投資的経費を拡大し、起債、いわゆる借金で補って景気の中継ぎをしてきた。ドイツに見られますように、ドイツの場合には、石油ショック以来二年目にはもう民間投資をどう喚起するか、そういうところから国の財政の建て直しをしたわけですね。わが国は少し戸惑いがありまして、福田総理はトンネルを抜ければ春だ、雨が降れば次は晴れだ、こう言っていましたけれども、それが三、四年続いてしまった。それが地方公共事業、いわば景気喚起のための公共事業に国の施策の重点を置いたから民間需要の喚起というのが抜けたんじゃないか、私はそう見ているのです。そう見ますと、大臣が、もしこの状況から脱出をするとするならば、今年度の行政の見直しで人件費とか云々という問題もありますけれども、同時に、いま押しつけられと言っては失礼ですけれども、その公共事業、いわゆる投資的経費部門を逆に言えばどう抑えていくのか、そういう中身がなければ国全体の財政の立て直しということはできないのじゃないか。むしろ大臣の所信表明にそういう方向性というのが明示されたときに初めて今日のトンネルから抜け切ることができるという、そういう評価を得たのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  102. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 非常に貴重な御指摘だと拝聴をいたしました。御指摘のように、確かに国、地方を通じてこの数年来投資的経費に非常に傾斜しておるわけでございまして、それは余りにも行き過ぎではないか、民間の活動がもっと活発になるということが、もっとより基本的なことではないかという御指摘は、私は大いに傾聴に値する御意見だと考えております。  ただ、率直に申し上げて、この三年来、特に去年はそうでございましたが、もう政府としてはいろんな角度から民間の活動を刺激してこれを上向きに持っていきたいということでいろんなことをやったわけです。ところが、予想以上に日本の経済は冷え込んでおりまして、政府のいろんなそういった政策にもかかわらず、民間の活動が盛り上がってこなかったということも、これは否定できない現実でございまして、したがいまして、その余りにも予想以上に冷え込んだ日本の経済活動というものを何らかの形で支えて補給をしなければ、いよいよ冷え込んでしまうわけでございますから、そういう意味で非常な無理をした、借金をして公共事業でこの日本経済の冷え込みを防ぎ、これを支えてきた、こういうことが現実でございまして、五十四年度の政府あるいは地方財政両面を通じてそういう考え方が残っておるわけであります。昨年ほどではございませんけれども、とにかくこの現状を維持し、さらに上向きになるきっかけはこの予算でつかもう、こういう考え方が出ておるわけでございます。そして、御案内のように、この一月、二月、特に一月は数字で出ておるわけでございますが、幸いに日本の民間の経済活動が、あらゆる経済指標が示すように、非常に活気を取り戻してきておる、上向きに転じつつあるということを、そこまでやってきたわけでございますので、いましばらくひとつ見守っていきたい、かように考えておるわけであります。
  103. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、石油ショックの時期に景気の冷え込んだこと、あるいはそれをつなげてきて公共投資をやること、これを別に否定しているのではないのです。ただ、一体日本の産業はどっちの方向に向いているかということをきちっととらえてないから、こういう状況が四年も五年も続いちゃったのですよ。そうでしょう。だから、石油産業を見ましても、いま問題になっているイランに三井さんが進出をする、あるいはサウジアラビアに住友さんが進出をする、日本の石油精製工業はだんだん下降になっていくわけですよ。造船が一番いい例ですね。韓国で百万トンのドックができれば日本の造船は壊滅する、あたりまえなんですよ。とすれば、化学の場合にはたとえばファインケミカルにかわってくる。あるいは電気産業でいえば、家庭電器が次の情報産業にかわってくる。造船でいけば、造船はプラント輸出にかわってくる。その方向をきちっと見出せば、その間における公共投資を何にやるべきかが出てくるのですよ。私、前回も言いましたけれども、もう百万トン、五十万トンタンカーをつくらなくてもいいにもかかわらず、港湾整備にお金を投資する。むだですよ。問題は、そういう方向性を見出したときに初めて民間需要が喚起をされてくる。いま民間需要が喚起されてきているというのは、政府の誘導政策じゃないでしょう。主として民間の新しい産業構造の転換でしょう。この中でいろいろな亀裂があります。雇用問題なんか最たるものですけれども、こういう状況の上に公共投資をどうすべきかがあれば、今日のようにいわば景気浮揚のためだけと言っては失礼ですけれども、新幹線事業を見ましても、一体、東北新幹線が開通してどれほど日本の経済、今日の状況経済の発展あるいはその方向になるのかちょっと疑問ですよ。  私は、問題は、去年もこの席上で申し上げましたけれども、公共投資のあり方というものが、日本はやがて、たとえば機械産業でも非常に付加価値性の高い高度なものになってくる。とするならば、その付加価値性の高い高度の機械を使う分野、たとえば医療機械をとらえてみましょうか。とすれば、これは福祉関係の予算を拡大してそこへ日本の産業は誘導的に配置をされていく。そのために当面公共投資はどうすべきか、こういう方向性を見出せばできるのじゃないでしょうか。民間の活気が出てきたというのは、主としてそういう民間自身が自力によって産業構造の転換をした中での民間需要が喚起されておる。私は今度のこの五十四年度の投資的経費をこう見まして、もちろん私どもが満足すべきものもあります。しかし、全体の方向性としてそういう方向。いわゆるむだと言ってはおかしいのですが、当面景気浮揚策としてとらえるものはなるべく抑えて、次の民間需要ないしは日本の産業構造に適応するような方向にこの公共投資が向かわれていく、そういう方向性を、これは自治省だけの問題じゃございません、全閣議の問題でございましょうが、そういう方向性をぜひことしも大臣には追求していただきたい、こう思うわけであります。  そこで、大臣からいまお話がありました例の財政の収支試算ですね、国の方で出しまして、予算委員会でわが党から大分指摘をいたしまして、たとえばこの経済の成長率にいたしましても、あるいは他の分野に振りかえる財源措置にしても、その方向で可能かどうか、こう追及を行いました。きょうはそのことを論議する時間はございませんからやめますが、自治省が出しました地方財政財政収支計算、一応一つの目標として今日まで私どもはとらえていたわけですね。ところが、今度は国の方で財政収支試算の変更が行われまして、二年これが延長されたわけです。どうなんでしょう。自治省がいまつくられつつある財政収支試算も当然それによって二年延長される方向、そしてその中身は一体どういうものになってくるのでしょうか、大まかな大筋でよろしいですが、お示し願いたいと思うのです。
  104. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、現在一生懸命詰めておるわけでございまして、ただ、御質問の、国が二年延びたわけでございまして、それに関係する部門については地方財政収支試算も国と大体並行して二年繰り延べになる、かように考えております。
  105. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、前に当委員会に出されました地方財政収支試算の五十七年度に要調整額がゼロになるという方向は、当然五十九年度に延長される、こう見ていいわけですね。そうしますと、国の場合でも赤字国債の発行は五十九年度にゼロにする、こう出ているわけですね。この場合に国が御承知のように増税をとりまして、五十九年度には国民所得に対する租税負担率は二六・一%、現状から見ると七%アップをしている。この中に一般消費税が含まれてくるのだろうとは思うのですが、地方財政の場合は国の交付税の問題あるいは一般消費税で四税になればこれによっての収入増もありましょうけれども、いま地方財政の収支試算の中では、地方税としてはこの間一体どのくらいの伸びが出るようになるのでしょうか、あるいはそういう試算がいま行われつつある過程ではあると思いますが、地方税そのものについてはどのくらいの増税になってくるのでしょうか。
  106. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、地方財政の収支試算においてもいろいろ検討中でございまして、特に基本となる税収がどうなるかということは検討中でございますが、新経済社会七カ年計画の基本構想にございますような、一応二六・五%ぐらいの租税負担率にするという方向になっております。それを分析し、国のいまの収支試算が検討されておる中身等も検討しながらやっておるわけでございまして、また、経済の年率の伸びその他と、それからそれに対応します弾性値、いろいろな見方がございますので、ちょっといまのところまだ固まった数字はできておりませんけれども、私どもとしては全般のそういった動きを見ながら、財政収支試算を提出する際は、十分詰めて御説明をできるようにしたいと存じております。
  107. 加藤万吉

    加藤(万)委員 地方財政計画ができたわけですから、自治省としては当然並行的に地方財政の収支試算というものが作業としてなされていると私は思うのですよ。それがないから、どうも、大臣が先ほど言ったように、確かに不確定要素はいっぱいあります。いっぱいありますけれども、不確定要素を盛り込んで、なお五十九年度には要調整額がゼロになります、そのためには、一方ではこれだけの増税が必要です。ただいま前の財政収支試算のモデル等を見ますと、五十四年度は六千何百億増税になります、総体で三兆何ぼ、こう出ておりますね。そういう背景がないから、どうしても大臣の所信表明が、場当たり的な、五十四年度の財政はこうやってつじつまを合わせましたよという方向で、将来の財政の長期的な見通しとか、大臣が所信表明で冒頭に言われている地方財政再建という問題が把握ができない。いずれにしても、これはこれから収支試算が出るでしょうから、その際に私どもじっくりと審議をさせていただくことにしまして、どうでしょう、いつごろ当委員会にその財政収支試算は出ますか。
  108. 森岡敞

    森岡政府委員 ただいま鋭意作業を進めております。できるだけ早くと思っておりますが、二月中にはぜひ提出いたしたい、かように考えております。
  109. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度の地方財政の中で、投資的経費については、民間需要を喚起するようなものと、同時に、日本の産業が将来どうしても福祉型産業経済になるだろう、したがって、そういう方向に重心を置いた投資的な経費を見てほしい、私はこういうふうに言いました。ところが、今年度の財政計画をいろいろ見てみますと、必ずしもそういう方向になっていないのですね。特に、先ほど言いました十五兆何がしという膨大な投資的経費は、ますます地方財政を借金に追い込んでいるわけです。  今度のこの財政計画一つの目玉であります広域市町村の整備計画、これは一方で定住圏やモデル生活圏とも交差をする部分はあるわけですが、一般会計で本来負担がされるべき投資的経費が、たとえばいま言ったような定住圏構想にいたしましても、あるいはモデル生活圏にいたしましても、あるいは広域市町村整備計画にしても、そこに追い出されて、結果として、その中での起債負担率が非常に高くなっているわけですね。私は、一般会計が窮屈ですから、一般会計から投資的経費を追い出して、その追い出した部分をさらに拡大して、しかも、国の景気浮揚という需要策にリンクをして、そこに起債、特に借金を押しつけられているという可能性というのを非常に持っているような気がしてならないわけです。  たとえば広域市町村整備計画は、昭和四十八年をとってみますと、当時広域市町村整備計画の一般財源は、総体の事業費の中で三二・二%です。起債が三八・九%です。五十二年度は一般財源の持ち出しが一六・一%、起債が五〇・四%、国の補助が二五・五%なんですね。そこで、国の補助と一般とを——これは国からお金をいただくわけですから地方財政は借金ではないわけです。それを比較してみますと、昭和四十八年に国庫負担と一般財源では五一・九%、約五二%ですが、五十二年度になりますと、国の補助と一般財源の割合は四一・六%です。その部分だけいわゆる起債が拡大をしているわけですよ。総事業費が拡大をして、なおこの負担割合がいまのように一〇%の格差ができてまいりますと、いわば、どんどん広域市町村計画をやりますから、ひとつ地方自治体はこういう事業を、それは起債で埋めます、そういう方向が、これは一つの例ですけれども、拡大をしているのではないでしょうか。  一体、こういう起債のあり方、いわば借金財政というその方向について、大臣どういう所見をお持ちでしょうか。
  110. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 残念ながら細かい数字についてつまびらかではございませんけれども、御指摘のような起債の部分が漸次拡大をしてきておるということは、これは事実だと思うのです。それは恐らく国の借金がどんどんふえてきておるということと並行しているのではないかと思うのです。要するに、国も税収が上がりませんから、仕事はやらなければならぬ、それは借金で補う、それがだんだんと借金が積み重なって拡大をしてきておるわけでございますから、国ほどではございませんけれども、それと同じような傾向が地方財政においてもあらわれてきておる、こういうことではないかと思います。
  111. 加藤万吉

    加藤(万)委員 起債が拡大するということは借金がふえるということですからね。  それは百歩譲りまして、今度の広域市町村整備事業は、前年度比マイナス七十七億ですね。一方、地域総合整備事業はプラスの七百七十七億です。広域市町村計画については、先ほど言いましたように、一般財源の持ち出しと国の補助があるわけです。多少地域総合整備事業についても国の補助対象の事業があるようですけれども、大体総体としては地域総合整備事業は起債による部分が非常に多いわけです。広域市町村整備計画でも起債の枠が拡大をし、——もちろんこの地域総合整備事業と広域市町村整備事業とは対象とする事業内容は私は違うと思いますよ。しかし、この広域市町村の方はマイナス七十七億になって、地域総合整備事業が七百七十七億拡大するということは、単に広域市町村整備事業の中の起債負担率が拡大しただけではなくして、今度は地域総合整備事業の中では、ほとんどが起債なんですから、この部分では今度は——片っ方はマイナスにして、これは国庫補助のダウンからマイナスになったのかもしれませんけれども、地域総合整備事業では七百七十七億いわゆる起債をまたそこで拡大をしているわけですよ。こうなってきますと、国の景気浮揚策だからというだけではもう地方財政はローテーションがつかない、こんな感じを実感として受けるわけですが、いかがでしょう。
  112. 森岡敞

    森岡政府委員 地方財政計画上、広域市町村圏整備事業が五十三年度千五百二十七億に対して五十四年度千四百五十億、したがって七十七億減ということになっております。別途、地域総合整備事業が七百七十七億ふえて、合計両者を合わせましたところでは七百億増、こういうことになっているわけでございます。  これは実は事業の中身を整理いたしまして振りかえたわけでございますが、ひとつ御理解をいただきたいと思いますのは、地域総合整備事業と申しますものは、新広域市町村圏計画に基づきましてかなり先行的、集中的に投資をやるということが中身になってまいるだろうと思うのでございます。いろいろな福祉施設にいたしましても、集会施設にいたしましても、あるいは地場産業の振興にいたしましても思い切った集中先行投資が必要だろうと思います。  そういたしますと、本来もう地方債でもってかなり思い切って財源を投入してやっていくということが必要なものだろうと私ども考えておるわけでございます。そのようなことから昨年五百億円の事業債を七百億円増額するという思い切った措置をとったわけでございます。できますれば、一般財源がもう少しありますれば、一般財源の投入をできるだけふやして地方債の負担を少なくしていくということも望みたいわけでありますけれども、御案内のような財政状況のもとでございますので、現段階ではこのような措置でもって必要な地域総合整備事業を実施していくという方向に踏み切ったわけでございます。  将来の地方債の償還につきましては、自治省といたしましては万全の措置を講じていくということをこれから検討してまいりたいと思っております。
  113. 加藤万吉

    加藤(万)委員 言われていることはわかるのです。私が言っているのは、それもそうですけれども、同時に起債部分が非常にファクターの多いものを、地方団体から言えばニーズはいっぱいあるわけですから、あれもやりたいこれもやりたいという中で、率直に言って地方財源がこれだけ赤字財政になっているわけですから、たとえば起債をつけるからおまえ仕事をやれというのじゃなくして、その部分については抑えて一歩も百歩も譲って、広域市町村計画の中に織り込んでそこで一般財源と国の補助財政をつける、そういう方向がなければ地方財政はますます赤字を促進することになるのではないか。片っ方が七十七億減で、片っ方が七百七十億増というのは、どう見ても国の施策として地方団体に赤字財政を押しつけるような方向を、この中だけでも、これは一つの例ですけれども、どうも見出すようなことになって、私どもは、これじゃ地方団体は大変だな、こういう危惧を強く持つわけですよ。  ですから、おっしゃられるように、優先してしかもいま早急にやらなければならないものは起債として外へ出して、そして総合計画でやったというその意味はわかるのです。しかし、本来そういうものをある程度ある地域においては抑え込んでも、なお地方財政財政確立に重心を置きながらこの財政計画を立てられるべきではなかったかというのが私の意見なんです。どうでしょう。
  114. 森岡敞

    森岡政府委員 地方債の比重が高まって借金財政になってきておるということはもう事実でございますが、全体の地方財政で見ますと、投資的経費の中で占める地方債の構成比が昭和四十八年度では一八%でございまして、五十四年度では三二・二%というふうにふえてきております。ただ、この中に御承知財源対策債が含まれているわけでございます。財源対策債を除きますと二一・四%、微増ということになるわけでございます。要するに、地方財政の歳入面における硬直性の一つのシンボルはこの財源対策債ということになろうかと思います。私どもは、財源対策債についてはいろいろ御指摘がございましたけれども、やはり財政が前へ出て景気の下支えをするという必要がございますので、公共事業単独事業合わせまして相当の地方債を用意してそういう政策を推進してまいったわけでございます。できるだけ早い時期に財政体質の改善をいたしまして、一般財源の増強を図ってこれは解消していきたいという気持ちを強く持っているわけでございます。  ただ、いま御指摘の広域市町村圏ないしは地域総合整備事業債につきましては、お言葉ではございますが、いま申しましたように、若干思い切った先行整備をやらなければならぬということになりますと、一般財源のみに頼っておってはできないだろうと思うのでございます。しかも、それは相当の地域全体を通ずる波及効果を持った施設をつくってまいるわけでございますので、ここはやはり地方債をかなり活用していいのじゃないだろうか。それに対する将来の償還財源についての適切な措置考えてまいりますならば、そういう方向で選択をしていっていいのじゃないだろうかという考えを持っております。
  115. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いずれ交付税の法案を審議する際に、もう少しお互いに討論をしてみたいというふうに思います。  先ほど同僚議員から要綱行政について意見を述べました。武蔵野市の課題をとらえてやったわけですが、大臣は、要綱行政はその存在と必要性は十分わかる、だが、しかし、法の範囲内でこの問題はとらえられるべきだ、こういう御意見でございました。  私は、一つ事例を挙げて、こういう場合は大臣、一体どうしたらよろしいのでしょうという御意見を聞きたいと思っているのです。  実は、各都市それぞれ要綱行政で宅地あるいは住宅開発に対する抑えはやっておるわけですが、私の地域に相模原市という市がございます。ここは内陸工業地帯でございます。その結果、たとえば神奈川県の造船業もそうですが、いまあらゆる産業が減量経営方向に行っておりますものですから、従来内陸工業地帯に発注すべき製品製造を自前でやる、いわゆる下請を切り捨てているわけです。あるいは系列の会社が縮小されつつあるわけです。工業地域にある工場が閉鎖をされるわけです。この工業地域の閉鎖された工場を大手の会社が買うわけです。住宅会社が買うわけです。ここヘマンションをつくるわけです。ちなみに数字をちょっと申し上げてみますと、工業地域における住宅開発の状況ですが、昭和五十年には件数で二件、二千四百四十九平米。ところが、今度は五十三年になりますと、それが十倍になりまして、件数で十三件、二万四千三百十七平米、しかも現在申請中のものが七件ありまして十三万一千五百五十八平米、事前の協議中のものを入れますと、昭和五十年から何と実に六十倍です。工業地域が撤退をする、その跡にマンションをつくるのです。しかもこのマンションをつくる会社は、それぞれ大手の住宅建設会社。相模原市にとりますれば、ここは工業地域ですから、できる限り一種住居地域ないしは二種住居地域に工業地域の住民は移動してもらって、ここはできるならば将来は専業工業地域にしたい、そのために地域整備を行う、いろいろな整備を行ってきたわけです。流れが逆になっているのです。一種ないしは二種住宅地域ではきわめて地価が高い。しかも広い面積を確保することができない。そこで工業地域の中小企業が撤退した跡を買って、そこヘマンションをつくるわけです。これを抑える法律が何もないのです。たとえば、これは大臣承知でしょうが、一種、二種、先ほどの要綱行政でもこういう地域に対する規制は相当厳しいですね。日照権の問題を含め、あるいは負担金の問題を含め、その他を含めて非常に高いのです。したがって、工業地域へいきますと、これは全部カットされるわけですよ。まずいわゆる日照権の問題は相当緩和されていますね。もちろん工場地帯ですから、日照権の問題なんか言ったら工場なんか建設できませんから。あるいは下水道負担とかそういうものもずっと緩和されているわけです。その緩和をされていることをいい条件に、次から次にここに移ってくるわけです。そこで市長さんは、こういうものが出てくるものですから抑えるわけです。抑えようがないのですよ。現行法体系の中では、専業工業地域でない限りマンションをつくっても構わないわけです。あるいはいま言ったように、市の指導要綱は一種、二種住宅地域についてはいろいろありますけれども、工業地域についてはないわけです。また国の、たとえば私は国土利用法で工業地域に線引きしたものは抑えることができるのじゃないか、こういうふうに言いましたら、いわゆる二千平米以上の売買についての国土利用法による制限は、県知事の許可、認可の問題があるわけです。ほかは何もないのですよ。従来工業地域の中に今度は逆流しているわけですから、これを指導要綱で抑えようといっても、一応の限界があるわけですね。建築確認に対して留保をする、その間にいろいろな詰めをやる、しかし、最終的には建築基準法に基づいても何ら法的には抵触しないということで首長は許可をせざるを得ない。しかも大手の企業がやるマンションですから、一遍に六百尺四百戸、三百戸というでかいやつですね。人がふえるわけですから、行政費が物すごくかさむわけです。こういう状況を一体どうして抑制したらよろしいでしょうか。建築基準法ではできないわけですよ。いまこういう課題が、実は私どもに限らず先ほど大臣がおっしゃったように、人口急増地域ではこの形になっているのですよ。  田園都市という構想は、言葉どおり解釈すればまさに田んぼと緑のある、そこに住民が住みつきたくなる、そういう都市計画ですね。いまの場合は、工業地域に住民を住まわせようという一方の住宅政策があるものですから、そういう形になっているわけです。  そこで、要綱行政とは国の法律の範囲内と言うけれども、こういう法律の網と言ってはおかしいですが、すき間を縫ってできるものに対してはどういう行政指導を、あるいはこれからそういうものに対しては、たとえばどういう形での法律上の規制を与えていけば、自治体の本来あるべき線引きをされた、ここは工業地域あるいは準工業地域、そういうものに沿うような都市構造というものができるのでしょうか。ひとつ大臣、所見を伺いたいと思います。
  116. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、人口急増地域は変化が非常に急激でございます。したがって、いままでは全然予想しなかったような事態が次から次と起きてくる、こういうことだと思うのです。したがって、これにどう対応するか、既成の法律では十分な対応ができない、そういうジレンマの中で責任ある立場に立つ首長さんとか当局は大変苦労されておる、そういう実態は十分わかります。したがって、そういう異常な状態に対処するために非常な苦心をして要綱をつくって対処されておるというその御苦心、十分私は理解できるのです。ただ、何といっても、とにかく法律を要綱で抑えるというわけにはいきません。ですから、どうしても現行の法制では欠陥がある、十分な対応ができない、こういうことになれば、政府なり立法府が十分その実態を踏まえて、必要ならば新しい法律をつくる、あるいは法律を修正する、こういう努力が必要なのではないか、一般論として私はさように考えます。
  117. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そのとおりだと私は思うのです。しかも、地場の小さな住宅会社が十戸つくったとか二十戸つくったというなら話は別ですけれども、いまのこの例で行きますれば、積水ハウスが三百二十五戸のマンションあるいは大和ハウスが六百八十九戸。仮に三人家族にしても一遍に四千人近くふえちゃうのですよ。どうにも追いつかぬですよ。  そこで私は当面の処置と、それから将来にわたる処置と二つあると思うのです。住居地域と工業地域とは、将来の都市構造から見て、線引きをされた都市計画法に基づいたそういう方向に実際に地方公共団体は投資をしているわけですから、都市がそういう状況になるように当面仕向けるべきだと思うのです。しかも、いま大臣に申し上げましたように、工業地域への住民の浸透率といいますか建設率といいましょうか、六十倍ですよ。  そこで、当面の処置としては、こういう工業地域に対してまず産業を誘導する。撤退する産業に対しては、跡地はやはり産業を誘導する、これが第一でしょう。  第二には、そういうところはもうつくっては困るのですよということを行政上いろいろな面で指導される必要があると思うのです。いま土地価格の騰貴に対して日銀が自粛をしてほしいというのを出しましたね。大蔵省の方が見えていますが、どうでしょう、こういうものに対する資金需要については、出すなというわけにまいらぬでしょうけれども、相当チェックをしてその資金需要を抑えていく、このことがまずあれば、相当抑制できると思うのです。大蔵省のいままでの話の経過から見て、そういう方向指導されるのかどうか御意見をお聞きしたいのと、大臣には行政指導上そういうものに対してはどういう歯どめ策があるのかお聞かせ願いたいと思うのです。
  118. 平澤貞昭

    ○平澤説明員 ただいまお話がございましたように、金融機関のいわゆる土地取得等の関連融資につきましては、そのうち特に土地騰貴を助長するような面への融資については、四十七年以来たびたび大蔵省としても自粛するよう通達等を発していろいろの措置をとってまいったわけでございます。最近におきましても、若干土地に上昇傾向が見えることもございまして、去る二月七日に金融機関の各団体の代表者を呼びまして、今後そのような土地騰貴を助長するような面への融資は自粛してほしいということを重ねて強く要望した次第でございます。  先ほど来ここでお話のございましたような件につきましては、結局、住宅、マンション等を建設する場合の適地の問題でございますが、そういう適地の問題については、先生おっしゃいますように都市計画法その他の法令の中での仕切りの問題というふうにわれわれ考えておりまして、そういう中て仕切りを明確に打ち出していただきましたら、うちの方でもそういう中で考えていきたい、こういうように考えております。
  119. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、答弁の前に、私はそういう意味では地方自治体指導要綱をやはり強くつくる必要があると思っているのです。  それから、大臣は先ほど法の範囲内でと、こう言いましたね。私は建築基準法にしましても、国土利用法にしてもやはりナショナルミニマムの問題だろうと思うのですよ。したがって、指導要綱はそのナショナルミニマムの中でその地域に合った条件、シビルミニマム的な要素を持ったものだと実は思うわけです。たとえば、いま言ったように工業地域にどんどんマンションが建つなんということは、ナショナルミニマムの範囲では法律上抑えることはできません。したがって、シビルミニマム、いわゆるその地域の生きた法律と言われている指導要綱でこれを抑えていく。武蔵野の場合には、指導要綱は法律でないからということで争いが起きたわけです。もし、武蔵野が給水問題を含めてあれが条例だったらどうだったろう。ところが、現行法では条例としてあれをつくることはできなかったと、こう言うのです。いまの相模原のような場合でも、指導要綱で抑えていっても、争いになれば最終的には地方自治体側ば負けですよ。  そこで、先ほどそういう要求が起きているのなら法律の改正を考えなければならぬ、こう大臣はおっしゃいましたので、憲法二十九条の二項の財産権の内容は、公共の福祉に合致するような方向、それを受けて地方自治法二条三項十八号−二十号、いわゆる住民の業態に基づく地域に制限を設けることができるとある。これを拡大をして、できれば、いまいわゆる指導要綱が依拠している法律の中でなお地方に分譲できる権限は明快にしながら、依拠できるものは、こうこうこういうものについては条例としてその地方自治体が設定しても構いませんよ、あるいはむしろそういうことを助成をするといいましょうか、誘導するといいましょうか、そういう方向をとられるべきじゃないかと実は思うわけであります。  そこで、建設省もきょうは来ていただいておりますから、建設省の課長さんに聞きますけれども、いま言ったようなことをいま地方自治体が抑える方向というのはありますか、ないですか。恐らく答えは、ないというふうに答えるだろうと思うのですが、時間がありませんから……。その答えが、ないとするならば、当面の処置として、建築基準法上の違反事項はございません、工業地域に工場をつくります、地元では工業地域に対して買収する力もないというのでという、そう状態が起きたときに、建築基準法上地方自治体が抑制できるどういう手段がありますか。同時に、先ほど言いましたように、指導要綱が生きている法律とするならば、現行地方自治法の中でこれを条例化する等、位置づけてやる。いわゆる法の中にあるからだめだというのではなくて、法そのものを拡大をする。そのために建設大臣あるいは国土庁の関係その他を含めて自治省は早急に対応するための処置をとられるべきだというふうに思うのですが、この二つの点についてお答えをいただきたい、こう思うのです。
  120. 和田友一

    和田説明員 先生御質問の中でお触れになっておりますので、もう十分実態を御存じの上での御質問と考えられますけれども都市計画法で工業地域という指定がございますが、この工業地域につきましては、その中の工業の利便を増進するということを主たる目的といたしておりますけれども、残念ながらわが国の都市状況から言いますと、必ずしも工場だけが集中しているというような地域というものが特定の地域を除きましてないわけでございます。したがいまして、現在の建築基準法の制限の中身といたしましては、ある程度幅を持たせた制限内容になっておるというのが実態でございます。したがいまして、一般的な工業地域の場合には、特に住宅等の建設を排除するというような仕組みにはなっておりません。したがいまして、御指摘のような工業地域内にマンション等が建つということを現行の工業地域の指定の範囲では制限できるようにはなっておりません。都市計画法並びにそれを受けました建築基準法の想定しておりますそういう地域的な純化の制度といたしましては、住居地域あるいは商業地域あるいは工業地域というような一般的な地域のほかに、先ほどお話に出ましたような専用地区の制度を設けておりまして、御指摘のような地域につきましては、そういったような指定ができるできないという問題があろうかと思いますけれども、その公共団体の実情を踏まえた上での意思によりまして専用地域の指定をお願いするというふうに考えております。
  121. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 非常に大切な問題でありながら、なかなかむずかしい問題だと考えます。しかし、貴重な提言でございますので、私ども関係省と連絡をとって直ちに検討の上で結論を出したいと考えます。
  122. 加藤万吉

    加藤(万)委員 基本的には、やはり生存権を基本に据えまして、値価の高い権利には低い権利が譲歩するという姿勢で、条例というか法の改正、同時に、地方の公共性のできれば法的な位置づけをきちっと明確にしていただきたいものだ、こういうふうに思います。同時に、当面起きているこういう事態に対しては、地方団体の長が困らないような当面の指導を強化されることを強く望みます。  時間がありませんから、最後に一点だけお聞きしますが、最近、例の病人のたらい回しその他がたくさんありまして、救急指定病院がないということで、救急車の出動その他、資料をいただきましたが、ふえているのですね。私はある地域の状況を聞きましたら、救急指定病院が非常に拡大したら、実は救急車の出動が大変少なくなった、こういう話を聞きました。これは当然のことです。どうして少なくなったかというと、救急指定病院がたくさんできるものですから、急病人ができた場合、住民が自分の車で運べるというわけですね。  そこで、これは一つの提言ですけれども、いま救急指定病院がどこにあるかということを住民がなかなかつかみ切れないわけです。きょうあそこは休日診療をやっていますかと聞いても、なかなかわからない。そこでたらい回しをして、救急車ですら最終的には死に至らしめてしまう。そこで、一一〇番というのがございますね、あるいは警察消防署関係で特設電話がある。救急指定医がここにありますよということを知らせる、そういう特設電話をつくったらどうか。たとえば、これは番号は余りよくわかりませんけれども、一一一番、いい医者という意味でね。それを電電公社と相談しまして、一一一番、ここへ電話をおかけください、日曜日はどことどこの病院がやっていますよ、夜間はどことどこの病院が外科については診療していますよ、そういう案内をしてやる。どうでしょう、大臣。こういう発想をもって、いまたらい回しで困っている病人を救うことば、全部とは言いませんが、可能だろうと思うのですが、そんな方向をひとつ考えていただけませんでしょうか。いかがでしょう。
  123. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 関係方面と相談をして結論を出します。
  124. 加藤万吉

    加藤(万)委員 終わります。
  125. 中山利生

    中山(利)委員長代理 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後二時三十二分開議
  126. 松野幸泰

    松野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について、質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  127. 小川新一郎

    小川(新)委員 警察関係は時間の関係できょうは割愛させていただきますので、委員長、お帰りを願いましたので御了承いただきたいと思います。  公明党の考え方、私の考え方をまぜながら少しお話をさせていただきますし、また御質問をさせていただきます。大臣は有能なる内務官僚としての御経験もございますし、また国務、国政全般にわたっての見識と博学の中で、大平内閣の重要な閣僚の一人であるという認識に立って御質問させていただきます。  昨年暮れの自民党総裁選挙に立候補したときの大平総理の公約の中には、はっきりと税財源、雇用機会、教育、文化機能を地方自治体配分し、福祉などの行政機能も大幅に地方に移譲するというような地方分権の方向がうたわれておりました。しかしながら、総理が現実に総裁となり、総理となってからは、田園都市構想という言葉のみがあって、はっきりとした地方分権、地方への権限、税源、事務の移譲という言葉が消えてしまっているのは私に理解できませんが、閣僚の御一人としてどう御判断なさっておりますか。
  128. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 総理が総裁選挙でうたわれた地方分権という考え方は、総理になった現在も恐らく変わりはないと私は認識をいたしております。ただ、施政方針演説の中でそれほど具体的に言っていないのではないかという御指摘はまさしくそのとおりでございますが、午前の御質問にもお答えしましたように、非常に限られた時間で国政全般について触れなければならぬという制約のもとで、言葉が足らなくなった、こういうふうに理解をいたしております。
  129. 小川新一郎

    小川(新)委員 総理大臣の施政方針演説という大事な演説の中に、限られた時間とか、限られた文章とかというような問題で、この地方自治に取り組む姿勢が外されたということはまことに私は遺憾でございます。  そこで、閣僚会議もしくは閣僚として、そういった言葉の足りなかったこと、そういう施政方針演説に盛り込まれなかった、落とされた、欠落した部分についての、実際問題、大臣にはどのような御指示や指向が示されておりますか。
  130. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 特別に総理から指示は承っておりませんけれども、今後も私は総理と一体になって、地方分権の確立という方向に向かってこれはもう全力を傾けて努力をしてまいりたい、かように考えておりまするし、総理も私のそういった姿勢、考え方に対しては異議のないものと確信をいたしております。
  131. 小川新一郎

    小川(新)委員 具体的に大臣は、逆に総理に提言なさった、逆に総理を激励なさった、こう理解して、それではその内容について特に問題になったところはございますか。
  132. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 具体的にというと、まだ組閣後二月しかたっておらないわけでございますから、ございませんけれども、たとえば、これから御質問も出てまいると思いますが、総理の大きな政策、一つ中心的な政策として提唱しております田園都市構想のこの実現の問題でございますが、私は総理にいち早くお会いしまして、これは総理がかねて言われた地方分権という考え方を具体的に実現する政策であります。したがって、これを実現するに当たっては、従来のような中央集権的な考え方、またその手法で、中央が何から何まで地方に指示してつくらせるというやり方ではいけません。あくまでもこれは地方自治体というものが中心になって、その自主性と主体性のもとにおいて計画を立てる、それを中央が援助する、協力する、こういう考え方でいかなければならないと私は考えておりますが、総理どうですかと言ったら、総理は全く同感だ、こういうことで総理も御支持をいただいておるわけでございますが、これは一つの具体的な事例でございます。
  133. 小川新一郎

    小川(新)委員 お聞きしている範囲では、全くそれは常識的なこと、自治大臣として常識的な御発言のように私もお伺いしているのですけれども自治大臣の施政方針が今度出たわけです。これが向こう一年間のあなたの方針ですけれども、その中にこういうことをおっしゃっていますね。所信表明の中で「長期的な展望の上に立って行財政両面にわたり見直しを行い、地方自治の基盤の一層の充実を図ることが必要であります。」と述べているが、具体的にはどのような方向でいくのか、一つ。  そして行財政の見直しは行うのか。ところが、部分的な地方財政のところでは、昭和五十四年度の地方財政対策の概要を述べているのにとどまっており、今日よって来る原因である地方財政危機を克服するための中長期の展望については全く見通しを明かされていない。忽然と五十四年度の財政対策のみ簡単にお述べになっている。これが私にはよく理解ができないのでございますが、この二点について。
  134. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私は、基本的に中央と地方の事務の配分あり方、これと並行する財源の分配のあり方、これは一つの大きな転換期に来ておるという基本認識を持っておるわけであります。したがって、いままでやってきたこの手法に大きな変革を加えなければならない時期に来ておる、そういう意味で、もちろんこれはもう国政、地方全般を通ずる大きな大問題でございますから、そう簡単に短日月の間に実現するものではございません。そういう意味で、私は長期にわたって行財政両面にわたって見直しを行わなければならない、こういうふうに申し上げておるわけであります。  それから五十四年度の財政計画については、将来の再建の見通しが明らかにされておらないという御指摘は残念ながらまさしくそのとおりでございます。これは午前の質問にもお答えしたのでございますが、現在国会に、今月いっぱいには提案をしたいと思って一生懸命急いでおるわけでございますが、地方財政の収支試算、これが中期的に、これからどういう順序と手だてで地方財政再建の軌道に乗せるかということに対する私ども考え方をお示しするわけでございますが、それが正直に言ってまだまとまっておりません。今月いっぱいにはひとつ最終的に結論を固めて提案をしたいと考えておりますので、その方に譲った、こういうことでございます。
  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省にお尋ねいたしますが、先日の予算委員会に、赤字国債を昭和五十九年までに——このいただいた財政収支試算というものは去年いただいたものとは全く異なりまして、A案、B案、C案というケースを全く外して、もう増税一本やりのあれになりまして、経常部門の歳入の分野で特例公債が昭和五十九年にゼロ、昭和六十年度にはゼロということにこの試算を提出しておりますけれども、これはいまの税率をどのくらいアップすればこれは確実にゼロになるのですか。
  136. 亀井敬之

    ○亀井説明員 お尋ねの趣旨が財政収支試算に出ております税収、その中で表にございますような通常の予想できる税収と財政収支試算で入っております税収の差、一般的には先生御指摘になられましたようないわゆる増税部分、こういう点でございまして、それが税率としてどのくらいか、税率としてという御指摘でございますので、恐らく一般消費税のという御指摘であろうかというふうに考えます。  ただ、財政収支試算自体は経済企画庁の新しい経済計画にのっとりまして、あと御指摘のような五十九年に特例公債から脱却するという前提で計算をいたしたものでございまして、五十四年から五十九年まではわりあい機械的につないでおりますので、それがどういった税目でいつどういうふうに増税をするか、そういったことを申し上げる性質のものにはなっていないわけでございます。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 国会に提出をいただきまして、いろいろな面から私ども財政の見通しや財政の立て直し、国、地方が大変だという認識に立って検討するわけでございますので、確実とは言いませんが、整合性のあるものを要求ということで、過日の予算委員会では相当議論が集中したことは私もよく了解しております。  そこで、これは自治省にお尋ねいたしますけれども地方財政収支試算はいつ提出なさるのですか。
  138. 森岡敞

    森岡政府委員 ただいま大臣からも申し上げましたように、できる限り急ぎまして二月中には提出いたしたい、かように考えております。
  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 中期地方財政計画はどうなんでございますか。
  140. 森岡敞

    森岡政府委員 中期地方財政計画を策定すべきではないかという御意見がかねがねあるわけでございます。別途、国の財政につきまして財政計画、中長期の財政計画をつくるべきではないかという御意見予算委員会でたびたび出ておるわけでございます。地方財政につきましては、国家財政と異なります点は、御承知のように、三千余を超える地方団体の財政の集合でございますので、国のような単一の財政ではございませんから、その面で中期的な財政計画をつくることは私は非常に困難だと思うのであります。いま一つの問題は、その困難を克服して仮につくったとしますと、かなり地方団体に拘束を与えることになる可能性もある。そういたしますと、地方自治のたてまえから申しましてそのようなのがいいのかどうかという懸念もあるわけでございます。私どもは、個々の団体がそれぞれ中期的な財政計画をつくって、それに基づいて財政の運営を適正に堅実に行っていただくことが必要だと思います。その場合に、自治省といたしましては手助けができますのは、先ほど来御指摘のあります中期的な財政収支試算というものを実態に合うようにつくって、これを手がかりに各団体で個々の財政計画を手がけていただくという方が合理的であり、また地方自治の本旨に合うのではないか、かような考え方でいままで進んでまいりました。現段階でも同じような考え方でおるわけでございます。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、やはり試算でもって検討するということでございますから、それはそれなりに私も早急に出していただいてその試算の作成をお願いしたいのでございます。  そこで、大蔵省にもお尋ねしたいのですけれども、いまのような増税を行って、昭和五十九年、六十年度には少なくとも赤字公債をなくすのだ、特例公債をなくすのだということになりますと、よく見ますと、その歳出の分の六十年度、「社会保障移転支出」が十六兆八千九百億円、「その他」の項が二十八兆四千二百億になっております。  そこでいただきました中で、参考資料として増税を行なわないでいくとどうなるかというケース、すなわち参考資料IIの参考ケースAによる特例公債依存型、要するに赤字公債にそのまま依存していくやり方でいきますと、昭和五十九年には特例公債は実に十二兆八千五百億、六十年には十三兆九千五百億にもなってしまうのだ。だから、増税でゼロにするためには一般消費税導入するのだ。私ども一般消費税導入の是非についてはいまここでは申し上げませんけれども、この試算ではそういうふうに出ております。ところが、増税をしないのがいま申し上げました六十年度に十六兆八千九百億円、「社会保障移転支出」と「その他」——「その他」というのは何を入れておるかというと、地方自治体地方財政関係費として含まれておる。「その他」というのは地方財政関係費、文教及び科学振興費、防衛関係費、食糧管理費、社会保障関係費、その他の事項となっておるのですが、その中では増税しなくとも「その他」の部分が二十八兆四千二百億円、増税しても二十八兆四千二百億円というのは、増税しても地方には全然お金が来ないという試算ですか。
  142. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  私どもの作成しております財政収支試算、これは先生御案内のように、企画庁が中心になってつくっております経済計画の基本構想というのを手がかりにして試算してございます。作成の手法といたしましては、御案内のように、個別経費を積み上げるということではなくて、基本構想に示されております経済あるいは財政のマクロ的な姿を手がかりにいたしまして、マクロ的な形で財政収支を試算したというかっこうのものでございます。したがいまして、いま御指摘の中にございました地方交付税あるいは地方財政対策関係費が「その他」の中に幾ら入っておるかという積み上げ計算をしてございません。  しからば、試算の本表とそれから参考表のAとで「その他」の部分が同じ額というのはどういう意味かという点でございますけれども、個々の経費についての積み上げをしてございませんので、便宜、本表で考えたと同じ歳出水準を前提にして、それで増税ということを考えない場合に公債は一体どうなるであろうか。言うなれば、主たる関心事といいましょうか、試算をはじく際の関心事は、その歳出水準を一応そのままということに置いた場合の公債発行額がどうなるかということを見ようという形で試算しておりますので、先生がおっしゃるような一般消費税あるいは何らかの増税が行われた場合の地方への配分をしないとかいうようなことを前提にしてはじいたものではございません。その点を御理解賜りたいと思います。
  143. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、ゼロにするためには、おかしいですね、地方公共団体の「その他」の方へ、増税してもしなくても同じはじき方で試算が私たちに出された。それじゃ昭和五十九年、六十年にゼロにするために、地方公共団体やその他、社会保障費だとかいろいろなところに回したら、五十五年から五十九年だけでも九兆一千百億円の大増税を行うという案は全く御破算にしなければならないのじゃないですか。
  144. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 先ほども申し上げましたように、歳出の「その他」につきまして個別経費の積み上げをしてございません。先生おっしゃるように、五十九年度というのは相当先の時期でございますけれども、しかし、経済企画庁がまとめております基本構想におきましても、特例公債からできるだけ早く脱却したいというのが一つ課題として掲げられておりまして、そういう政策目標を前提に置きまして、かつ、総体としての歳出水準を企画庁の基本構想に手がかりを求めましてはじいた場合にどういった形になるだろうかということで試算しております。いま御指摘のように、「その他」の部分には、おっしゃるような地方財政関係経費やその他もろもろの経費が入ってございます。どの経費が幾ら入っておるかという形の積み上げをやっておりませんので、これは仮定の話でございますけれども地方財政関係費のシェアがその部分で相当部分を占めるということになりますれば、仮に五十九年度脱却、それからその他の税のところをここの試算で示されているような前提で考えますと、「その他」の部分はより少なくなるということでどの経費がどうということの試算をやってないということがこの試算の性格であるというふうに申し上げたつもりでございます。
  145. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、たとえば防衛関係費なんというのを削るのですね。それから食糧管理費こういうものを削って、いまのままであなたのお考えになっているような新経済七カ年計画で合わせようとして増税をやった、地方公共団体にお金を回さなければならぬと、恐らく出てきますよ。地方自治体における財政不足のために、たとえばそのふやした部分についてまず地方交付税の対象にするのかしないのか。だって、大臣だって地方のために地方消費税というのですか、いただこうと言うのですから。都道府県税として地方消費税というものをつくろうと言うのですから。そうすると、試算というものはそういうことと全く関係ないんだ、国の赤字国債をなくすために何でもかでもくっつけた、だからこれを見たってほかのことはわからないのだ。その整合性のなさを予算委員会で、これは福祉部門について高福祉高負担だ、増税して——もう一遍お尋ねしますか、あなたのいまのこのふやし方でいきますと、税率の部面で、三千万世帯の一般家庭平均の税金の率というものはどれぐらい上がって、どれぐらいの金額が生活費にはね返りますか、この試算でいくと。
  146. 亀井敬之

    ○亀井説明員 とっさのお尋ねでございますので、いまの先生の御質問の趣旨を十分理解したかどうか、若干心もとないわけでございますが、仮に一般消費税を五%ということにいたしますと、全体の税収がおおむね三兆円程度というふうに私どもは申し上げているわけでございます。先生は世帯数を三千万というふうな御指摘でございますが、そこら辺の問題は、それぞれ非常に各世帯等の消費支出の状況といったものがございますので、機械的に割れば幾らかという問題はあろうかと思いますが、私どもといたしましては、そういう具体的な計算をまだお示しいたしていない状況でございます。
  147. 小川新一郎

    小川(新)委員 国民の税金をふやすことに、一般消費税導入するしない、私は賛成とか反対とかいうのでなくて、試算で検討して財政の赤字国債をなくすことは結構ですが、それでいったら国民負担が一体どれぐらいふえるのだ、そのふえたお金が公共団体に回るのか回らないのか、こういう問題は全くこの数字の上には示されない、お聞きしてもわからないということになりますと、何でもいいから出してひとつ検討してください、こういう考え方では、大臣、これは大蔵省に文句を言わなければいかぬと思います。  そこで、この収支試算の整合性のなさというのは、増税してもしなくても福祉、社会保障費なんというものは十六兆八千九百億円、この試算でいくと同じなんですよ。五年間で九兆一千百億も国民増税負担しておって、社会保障費は昭和六十年度に十六兆八千九百億、ふやしてもふやさないでも同じだ。また、それじゃその九兆何がしをふやすためには、一般消費税だけでも五%で三兆円なんだから、これは単純に計算して、赤字国債を昭和五十九年に全くゼロにするため歳出の洗い直しもやらない、いまのままでいって、地方公共団体の言うような——大臣、それじゃこれはお尋ねしたいのですが、仮に一般消費税を五%ふやしたときには、地方公共団体にはどれぐらいもらいたいですか。
  148. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 率直に言いますれば、地方財政があのとおりの状況でございますから、できるだけ多くいただきたい、かように考えますけれども、しかし、これは大蔵省は余りよけい出したくないと考えておるわけでございますから、そこで大蔵、自治両省の間で激しい攻防戦になるわけでございます。私どもは、とにかく一般消費税導入された場合は、その一部分地方消費税として、地方独立税としていただく、これはもう一つの強い既定方針でございまして、なおその上に、交付税の対象の税目にもこれをぜひ入れていきたい、かように私ども考えておるわけであります。
  149. 小川新一郎

    小川(新)委員 たとえばいま言った五%で了解を取りつけたとして三兆円、これは財政局長の方が詳しいと思うのですけれども、世帯当たりの国民負担はわかりますか。それが一つと、もう一つは、いまの地方公共団体の消費税ですね、都道府県に入る、町へ入ってくる消費税というものと一般消費税交付税の対象にした額、三兆円のうちどれくらいになるのですか。
  150. 森岡敞

    森岡政府委員 いまの一般消費税国税地方税双方考えられておるわけでございますが、合わせて三兆円で三千万世帯、バーヘッドで割りますと一世帯十万円ということに算術上なります。  それから次に、こういう新税導入いたしました場合の国と地方財源配分あり方につきまして、基本はいま大臣から申しましたように、一つ地方自治の自主性の確保という観点からぜひ地方独立税をふやしたい。その場合に、現在の国と地方税源配分が、御承知のように国が三分の二、地方が三分の一でございます。自治の拡充という観点からすれば、私どもはもっと地方に税源を移譲していただきたいという気持ちを持っております。ただ、これは事務配分とかそういう問題にも関連いたします。少なくとも現行の三分の二対三分の一という税源配分を下るということはあってはならない、それはぜひ確保したいと私どもとしては考えております。しかし、それだけでまいりますと、特定の府県に集中し偏在してまいりますから、あわせて、交付税というすべての団体に均てんする財源保障機能を持った財源配分考えていかなければならぬ。  そこで、両方合わせて国と地方で一体幾ら配分するのかということを先般来大蔵省といろいろやっておるのでありますが、率直に申していまの段階ではまだ両省意見の一致を見ておりません。大蔵省は、国家財政地方財政の現在の窮迫状況などを考えてくれと、こういうお話でございます。私どもの方は、それもさることながら、現在の窮迫状況というのはまさしく法人関係税のような、国によっておる税金が景気の変動のために、これは構造的な変動と言ってもいいのだろうと思いますが、落ち込んでおるわけでありますから、それはまたある時期になればもとへ戻る。そうしますと、やはり現在の税財源配分の通常の状態を踏まえて考えていただくのが筋ではないかということを強く主張しておるわけでございます。通常の状態の税財源配分割合ということになりますと、おおむね半々ということになるわけでございます。
  151. 小川新一郎

    小川(新)委員 三兆の半々というと一兆五千億ですか。
  152. 森岡敞

    森岡政府委員 半々ということになりますれば一兆五千億でございます。
  153. 小川新一郎

    小川(新)委員 すると、大蔵省は一兆五千億——その前に大臣地方財政収支試算を今度出すのでしょう。こんな大蔵省みたいに無責任な、地方のことなんか考えてない、社会保障も考えてない、赤字国債をなくすための整合性のないのを出してきたわけです。こんな整合性のないのを出さないで、地方財政計画が主体ですから、今度は増税になったら地方はどうなるかという姿が見たいのですから……。逆に言えば、それを見れば地方財政の展望というのははっきりするのですから。いま半分いただこうというのですから、一兆五千億ぐらい。それは地方消費税と、交付税の対象にふやして三二%とると相当な額になって大体総枠の半分にはなるのだ。地方消費税だけではいま言ったように都道府県の中でも大都会に集中して、島根県だとか青森県のようなところにはどうしてもお金が落ちてこない。そういうアンバランスになることを当局では心配なさって交付税の方にも対象に加えたい、そして何でかんで総体的に新税増税分については半分だけはいただかなければならない。こういうものを盛り込んだ試算は出していただけるのでしょうな。
  154. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 やはりこれから何年間にもわたる見通しを出す、こういうことでございますから、経済状態もいろいろ変わりまするし、そういういろいろな仮定の問題を含めて出すわけでございますので、大蔵省としても、いま御指摘のように、どうもしっかりしたものでないものを出さざるを得ない、こういう事情だと思うのです。  それで、地方財政ということになりますると、当然これは国の財政、特に税の関係、これがどう動くかということで大きく左右されるわけでございますので、その根元の国の税の見通しがきちっとできない、そういう前提で地方財政の収支試算をつくらざるを得ない、こういうことでございますので、私どもとしてはできるだけしっかりしたものを出したいということで努力はしておりますけれども、結論的に申し上げると、どうもそう御期待にこたえられるようなしっかりしたものを出すことは非常に困難ではないか、かように考えております。
  155. 小川新一郎

    小川(新)委員 だんだん歯切れが悪くなっちゃったですね。それでは困るのですね。ばかにさっきは半分はどうしてもいただかなければならないって力んでいるそばから、大臣が水を差すようなことを言われては困っちゃうのですよ。財政当局ではこれから一生懸命やろうというのですから。
  156. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 一般消費税の実現した場合に、その配分は国と地方と半々にしていただきたいと考えておることは、私もそのとおり考えております。ただしこの問題は、財政局長もお答えしましたように、大蔵省との間にまだ意見の一致を見てないわけですよ。ですから、最終的に両省の間でどういうふうに結論が出るかということはまだ未定でございますので、そういう意味で申し上げておるわけです。
  157. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、半分ということは、確かに森岡財政局長の情熱として、私それはそれなりに買います。でありますと、これは全然ゼロということはないのだから、オール・オア・ナッシングでゼロだということはないので、それはどれぐらいの配率で来るかわからないが何がしか来ると、これは、この財政試算で言う五十九年、六十年に赤字国債がなくなるということは、一般消費税の税率を五%ではできないだろう。五%ではとても——だんだん上がっていってふやしていく、最終には何%になるかわかりませんけれども、いずれにしても地方やその他に回す、赤字国債をなくすということになれば、この大蔵省の出した収支試算以上の増税をしなければゼロにはならないのではないかと理解しているのですが、どうですか。
  158. 森岡敞

    森岡政府委員 大蔵省の方からも御説明がありましたように、財政収支試算の歳出の部分の「その他」は非常にマクロ的な成長率などをもとに計算をしておられるわけですので、一般消費税の税率が何%であればこれに見合うのかというふうなところまでの結びつきと申しますか、具体的な判断はそこにはなされていないと私は考えております。しかし、いずれにしても総額といたしまして累積で九兆円を超える国税としての増税が必要であるということはこの収支試算表が示しておるわけでございます。  しかし同時に私ども地方財政収支試算を編成いたします際には、先ほど来お話のありました仮称地方消費税という独立税収入、これは地方税の租税負担の増加をお願いせざるを得ないわけでございます。それを見込みますと同時に、国税収入の増収額は地方交付税の増加に反映されるように従来の収支試算も計算してまいりまして、今回もそういう方向で検討してぜひ歳入の見積もりをいたしたいと思っております。  その結果、国の財政収支試算の「その他」歳出のところが、その分を考えますと大変窮屈になるだろうということは、私は事実だろうと思います。しかしそれはこの収支試算の読み方の問題でありまして、個々の毎年度毎年度の財政あるいは予算編成の問題あるいは税制の問題とはまた別個にこれはお考えいただかなくてはならないのじゃないか。たとえば新税の税率をどうするかということは、その年度年度の財政状況なり予算状況をお考えいただいて御審議を願う、こういうことではないかと思います。
  159. 小川新一郎

    小川(新)委員 いずれにいたしましても、先ほど大臣いみじくも申したように、大増税を前提とした、地方も国も画期的な財政論がいま先行して、歳出の洗い直しとか不公平税制の問題だとか、またどこに予算の重点配分を行うかとか、どうやったら地方財政再建につながっていくような大蔵、自治の対決点を私たちの前に出すのか、そういう問題が明確にならない限り、地方財政再建だとか、新しい時代の新しい袋に新しい水を盛るなどと言ってみても、また田園都市構想だと言ってみてもこれは始まらない論議であって、私はまず整合性のないこういった大蔵省の試算については、先ほどからもクレームをつけておりますが、これは予算委員会ではありませんから、それ以上ここで時間を割いてどうのこうのは言いませんけれども、いずれにしても大臣の率直なるお考えは、一般消費税五%ではだめなんだ、これはもう大蔵大臣予算委員会でお答えになっておりますが、自治大臣としては地方にも潤沢な資金が回るということになれば、当然国民にこれ以上の負担をかけなければならない。先ほども、五%と計算しても平均十万円一家庭に負担がかかるということであれば、これが倍になれば、一〇%になれば、二十万円も負担がかかってくる、税の上で負担がかかるということを御承知の上ででも、やはり地方財政を立て直さなければならないという立場になれば、大増税もやむなしというお考えなんでしょうか。
  160. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 増税を行うということはそう簡単なことではないわけでございますから、五%では足りない、だから一〇%にしなくちゃならぬという、そういう単純なことにはならないだろうと私は考えております。また、すべきではないと考えております。
  161. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは、大蔵省は、いまのような私の議論を聞いていてよくおわかりですが、そうなりますと、皆さんがお考えになっているようなラインよりは上回っていくと私は判断しているのですが、いかがですか。
  162. 亀井敬之

    ○亀井説明員 同じようなことをお答えして大変申しわけないと存じますが、現在の段階で税率はどういうふうなことを考えておるかといったようなことを申し上げる段階ではないし、そういったことばこれから十分経済財政状況考えて決定していくべきものではないかというふうに考えているわけでございます。
  163. 小川新一郎

    小川(新)委員 まことに私は質問の要点が決まらないのでいらいらしているのですけれども大臣のお考えも私は理解いたしまして、これからその試算を見てもう一遍いろいろ質問させていただきますが、澁谷自治大臣は御就任になってまだ二カ月かそこらでございますから、何から何まで御注文するような不心得なことは申し上げませんけれども、重点政策というものは、自治大臣はどうお考えになっているかということなんです。この前の加藤自治大臣がおつくりになった重点政策、その中で外形標準課税を取り入れるということであったのですが、これを中止なさいました。これは二つの理由があると思います。その二つの理由をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  164. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまお話のございましたように、五十四年度の重点施策におきましては、「新税の創設を含め、地方税源を増強することとし、新たに事業税における外形標準課税の導入を図る」というふうにしておるわけでございまして、私どもといたしましては、新税の創設ということが一つございまして、その際に地方税源にそれは独立税として一部持ってまいりたい。その際に、従来から先生よく御承知のように事業税の外形標準課税の導入の問題がございました。それをあわせて解決を図るという趣旨で重点施策に書いたわけでございます。したがいまして、われわれの当初の考えといたしましては、一般消費税という形でございましても、一昨年の税制調査会の中期答申で提案しておりますように、事業税とそれの課税標準、外形標準課税を導入した場合の課税標準というものと、一般消費税導入した場合の課税標準として考えられる売り上げというものは大体類似しておる、同じものでございますので、そういった類似したものを二つの税として考えていくか、あるいは納税者の便宜その他を考えていきまして、同じ一つの税を分け合うというかっこうでやった方がいいのか、いろいろと税制調査会でも御議論をいただいたわけでございますが、私どもといたしましては、事業税において外形標準課税を導入した場合の課税標準が一般消費税と似ておるならば、そういった納税者の便宜等を考えまして、新たに国では一般消費税地方では従来の事業税のほかにまた外形標準課税としてのものをプラスするというような形でやれば余りにも繁雑になるといったようなこと等もございまして、大体従来の趣旨が実質的に生かされるものならば、一般消費税の中で地方消費税というものをつくって、それで実質的に外形標準課税の導入が図られたということになるならば、その方向でいっていいのではなかろうかということでございまして、形としては税制調査会の昨年の暮れの答申地方消費税という形で提案をされておりますが、私どもとしては、当初に重点施策の際に考えた趣旨と実質的に同じ形で解決がされるならば、納税者の便宜その他、現実的な解決法として税制調査会の提案の方向でいっていいのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  165. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは非常に責任のある言葉でございまして、外形標準課税を取り入れない理由はいま明らかにされた理由でございますから、それがその分にはね返らないような、要するに、それをやらないかわりに一般消費税から地方消費税とかそういったものをこちらへ回すということで、繁雑になり二重構造になるというようなことはすべきでないというようなことから、または、いまの企業が非常に停滞している経済の中で大変なときにという案もあるでしょう。でありますから、私は大蔵当局との交渉の中で現に外形課税をわれわれは打ち切るのであるならば、それに見合ったような税源というものを取らなければならないという責任のある言葉だという、私の言い方が悪ければおしかりをいただきますが、そういう理解を私はいたしておりますが、そのとおりですか。
  166. 土屋佳照

    土屋政府委員 御承知のように、そもそも事業税の外形標準課税そのものは、一般消費税をつくることによって大幅な財政収支の不均衡を埋めていくというよりも前に起こっておった問題でございまして、かなり古くからそれを検討してきた。そこへ国も地方財源が不足ということで新たな負担を求めるという関係で一般消費税が出てまいったわけでございますから、その二つが重なった場合にどういうふうに解決をするか、一般消費税一般消費税事業税の外形標準課税は外形標準課税ということになりますと、本当に同じような課税標準をもとに繁雑なものが出てくるということで変わるわけでございますから、これにかえて地方消費税の形で外形標準課税問題の解決を図ろうというわけでございますから、われわれとしては従来から考えておりました、形の上では道府県における税収の安定的な増収を確保する、あわせてまた地方財政全体の中での税源の拡充を図るということをそれによって期待しておるわけでございますから、ただいまおっしゃいましたように、必要な額はぜひ確保したいというふうに考えております。
  167. 小川新一郎

    小川(新)委員 よくわかりました。  そこで、大臣は御就任になる前に、自治日報新年号のあいさつの中で、いろいろと述べております。「増大し多様化している国民の要求に応え、地域住民の福祉の向上」云々というくだりから、ずっときまして、「事務及び財源配分」についてはやるとか、いろいろおっしゃっております。  その中で、大事なことが一つあるのですが、「行政と家庭との役割分担を明確にする」必要があると言っておりますが、現在国や地方自治体が行っている行政サービスの中で本来家庭が行うべきことが含まれている、こうおっしゃっていらっしゃるのですけれども、これはどのような行政事務なんですか。
  168. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私は、そこまで明確に一つ一つ拾い上げて発言をしたわけではございません。ただ、一般的に、高度経済成長の続いている中で、行政のサービスというものが本来守るべき領域よりもどうも余分に出ておる面がありはしないか、こういう感じを持っておるわけであります。それで、一方において地方も国も財源が非常に窮迫してきておるわけでございますから、将来の再建という展望を考えた場合に、本来地方自治体自治体としてやらなければならない行政分野は一体どこまでなのか、そういった面をこの際再建計画の中でひとつ吟味することが必要ではないか、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  169. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常に含蓄のあるお言葉ですけれども、家庭と行政、それがいろいろ政治の場に反映するということは総理大臣も申されておりますね。そういう分を補足してのお考えだと私は理解しておりますから、少なくとも家庭に影響を与えるような地方や国の行財政というものがあってはならない。それが一歩も二歩も前進するよう御配慮していただきたいために、自治日報の新年号でむずかしい言葉を引かれていろいろとごあいさつしたのだと理解いたしておきます。  そこで、時間がございませんから、どんどん進ましていただきますが、東京都の財政の問題について、具体的なお話も御質問も他の議員からもおありだと思いますが、私は私なりに御質問させていただきます。二重になると思いますが、ひとつお聞きいただきたいと思います。  首都東京都の財政が非常に苦しいことはよく御理解いただいておると思いますし、また、昭和五十二年度の決算においては、都がパンク寸前で五百五十億の特例債を出さないと起債制限団体に落ち込むのだ、だから、五十三年度の予算においてはこれこれこういうことをいたします、また、東京都もいろいろな面で値上げできるものはいたします、だからひとつ御了承いただきたいということを五十二年、五十三年両年にわたっての財政計画というものの中で東京都は出してきたわけです。その中で、議会も承認したのですかどうか私は知りませんけれども、そういう交渉を自治省に持ってくるまでの各党の態度というものは、一致して美濃部さんに委託したと聞いておりますが、その中で五十三年度に約百三十六億の定期昇給分、これこれこういうわけで五十三年度の財源不足は差し引き二千七百億だ、赤字限度額は一千百億だ、どうしても必要な所要額が一千六百億だ。その財源措置としては減収補てん債が八百二十億、起債の追加が百億、執行抑制百億、退職手当債が五百八十億。そして五十三年度の中でこれだけのことはやります、ベアが五十三年度定期昇給分百三十六億、五十二年度末の手当の二百三億云々とございまして、こういう財政再建計画を出しますから、何とかひとつ助けてくださいというように聞いております。ところが、そういう定昇の分の百三十六億などというものは最初は全然認めないということで、五十二年度の赤字五百五十億を出し、五十三年度では五百八十億ですか、出すわけですが、そういう問題は自治大臣としては約束違反になるのだ。しかし、いまここで表明することは、地方の議会という大事な審判機関があるのだから、その東京都の追加補正予算が否決されるのか採択されるのか、それを見た上で私は考えたい。まことに慎重な御配慮のある言葉でございますが、そこまではよくわかっておるのです。  そこで、大臣、もしもそれが採択された場合と否決された場合と両方仮定いたしまして、前提はそれを見てからということでわかっておりますが、ここではあくまでも東京都の財政が非常に大変だということと、地方公務員の当然の権利である人事院勧告の定期昇給分の削減についての復活、こういう問題等を踏まえて議会が賛否両論になった場合、私がそこまで理解した上での御質問ですから、大臣としてひとつお答えをいただきたいと思います。
  170. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 率直に申し上げまして、実はこの問題で私自身非常に苦慮しておるわけであります。先般、美濃部さんが来られまして、重大な約束違反をしたことはまことに申しわけない、こういう発言があったわけでございますが、とにかくこの定昇を一年間ストップしますと、これは御指摘のような都の財政再建計画根幹をなす項目であるわけでございますから、しかもそれば自治大臣と都知事との間の約束だけにとどまらないで、東京都議会全会一致で議決をしておることでございますので、私といたしましては、今回都知事が提案しておりますこの予算案に対して、都民を代表する都議会がどのような対応をするのか、これを見守って、その結論を見た上でありませんと、私自身がどうするということは言うべきでもありませんし、私自身もまだ結論を出しておらないのです。これは率直に申し上げます。そういうことでございます。
  171. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこまで私は理解しているからどうだという、先に突っ込んだ話をしたのですけれども大臣としてはどうしても言えないということになりますと、まさか私もそれ以上のことは言えないのですけれども、そこでかわるべき考え方として、東京都は四千三百八十三人を五十四年度に削る。昭和五十三年度より約千百人ぐらい多いのですね。それでふえた分を差し引きますと二千六百六十九人。これに必要な経費といま言った定昇分とを比べますと、どちらが多いのですか。
  172. 森岡敞

    森岡政府委員 お示しのように、東京都は、補正予算の中身といたしまして四千三百八十三人の定数削減を提案いたしております。ただ、増員が千七百十四人でございますので、差し引き減員は二千六百六十九人でございます。四千三百八十三人という定員削減のベースで算術をいたしますと、これはこっちの方が数字は大きい、定昇の延伸よりは大きいわけでございます。ただ、私どもは、財政再建という問題は単年度の予算額で事柄を判断すべきではなくて、やはり中長期的に財政に与える影響、財政構造というものを考えていただかなければならぬということと、それから、これはもう御案内のとおりでございますが、定昇延伸という健全化計画は、定昇延伸だけがあったのではなくて、財産の売り払いということで都自身も苦労する、同時に都民にも各種公共料金の引き上げを通じて忍んでもらうところは忍んでもらう、そのかわりに職員もこの定昇延伸は一年間しんぼうしてもらいたい、こういうことでできた健全化計画でございますから、その重みというものは大変大きいものがある、かように私は考えております。
  173. 小川新一郎

    小川(新)委員 結局、五十二年度の財政の問題を五十三年度でカバーしよう、五十三年度の約束がどうもできないから、五十四年度でひとつこういう案を出すから五十二年度の分をカバーする。単年度でなくてつながって、大きくふろしきを広げて財政再建という問題を東京都は考えてきているわけですけれども自治大臣としてはこの削減についてはどのように評価なさっているのか、これが一つ。  もう一つは、組合側が強烈に定昇復活という中でどうにもならなくなってしまってこういう問題になったんだということの評価はどうなんでしょう。この二点。
  174. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 東京都が実質二千六百人余の人員削減をやるというその努力は評価していいと私は思っております。ただ、美濃部さんも私に対して重大な約束を破らざるを得なかった、それは対組合との問題だということをるる説明されました。それは、都知事としてはそういう判断をされたのだろうと思いますけれども、ただいま財政局長も、お答え申し上げたように、とにかく都民にも相当な負担の増加をお願いしておるわけですね。都の財産も売り払っておるわけです。そういう三つがセットになって都の財政再建計画というものが進んだわけでございまして、それでほかの二つはやった。しかし、職員がもうこの際一緒になって自分たちもがまんしようという部分だけが破られたということは、どうも私としては納得できない、こういう気持ちでございます。
  175. 小川新一郎

    小川(新)委員 納得できないということになりますと、都議会がこれをどう評価するかはいまわからないにしても、自治大臣の心の底というものは大体浮き彫りになってきたわけでございますけれども、それにしても人員削減については評価はする。評価はするけれども都民全体に対する約束違反は、政治という最も信頼、信義を守らなければならない場においては納得できない、こう理解するわけでございます。したがって、このまま東京都が混乱状態になるということは、やはり一国の首都でございますから、東京都だけでおまえ勝手にやれというわけにもいかないでしょう、これは。それには財政需要もまた財政構造もいろいろと複雑になっております。先ほど言った地方消費税などというものが入ってくれば東京都は一転して黒字になるんじゃないかと私は思うのですけれども、それは先の話ですし、まだ賛否両論の中で軽々に言えない問題です。  では、現実に東京都がそうなったときには、何らかの仲介、一歩トーンを下げて、このことをやればそれに見返るようなこととして評価をしてもいいという内々の腹案というものがあって、これだけの財政問題を解決してあげるという国の大きな立場、それから東京都の問題は、アメリカのニューヨークの財政危機を国が救ったように、やはり何らかの措置を講じなければならぬという腹案もあって突っぱねているのか、全然そういうものはないんだ、これは都議会に任せるんだけれども、おれの考え方はいま言ったように底が見えただろう、小川もよくわかってくれというような理解のもとでの御発言なのか、その辺のところをもう一遍お尋ねしたいのです。
  176. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 非常に大きな問題でございまして、先ほど申し上げたように、私自身も非常に苦慮しておるわけです。とにかく何といっても日本の首都でございますから、これが行政的に非常な混乱を起こす、あるいは行政の運営が円滑に進まないという状態になることは、これはもとより望ましいことではございません。したがって、一体どうしたらいいのか、その腹案はあるのかという御質問でございますが、正直に私申し上げますが、いまのところこれならばよろしいというような腹案は持っておりません。  いずれにしても、都議会全会一致で議決をしておるわけでございますから、その議決をした議員は、メンバーはかわっておらないわけでありますから、都民を代表する立場にある都議会が提案された予算案に対してどのような結論を出すのか、それを見た上でひとつ私も慎重に結論を出したいと考えております。
  177. 小川新一郎

    小川(新)委員 私もそこまで言われますと、大臣を攻め立てるような気持ちにはさらさらなれないのですけれども、都知事選挙とか大きな政治の季節でございます。そういう面で筋を通す。また都民と都政、東京都と国、知事と自治大臣、こういう複雑な中で大臣がいま腹案がないと申しますが、財政当局では何らかこれにかわるべきものを用意されて、いざという場合には大臣に助け舟を出そう、提言をしようというお考えがございますか。また、そんなことは全然無関心だ、おれは知らぬ、大臣も言わないのならおれらはなお言えないじゃないか、何を言っているのだと一笑に付するのか、私は刮目して、いま注目して答弁を待っています。
  178. 森岡敞

    森岡政府委員 大臣が大変苦慮しておられますような状態に立ち至りましたことは、私どもの補佐も十分でないということで私も大変心配をいたしております。  ただ、しかし、いま大臣から申し上げましたように、東京都という首都の行財政が麻痺といいますか混乱といいますか、そういう状態になることはやはり避けなければならぬと思います。しかし、また同時に、都議会全会一致でその誠実な履行を決議された健全化計画というものの扱いの問題であります。  若干事務的なことを申しますと、東京都から美濃部さんが大臣のところへ参られまして、情勢についての御報告とおわびがあったのでございますが、五十二年度末に提出された財政健全化計画というものを一体どうされるのか、これは公式の文書として出ておるわけでありますから、その辺のところも実はまだ東京都は態度をお決めになっておりません。これはまたやはり都議会の審議の結末を見て方針を決めて私どもの方に御相談に来られるのだろうと思います。ですから、その辺のところも十分慎重に見きわめませんと、中途の段階で軽々に私どもがいろいろなことを申し上げると、かえって混乱をするという心配もいたします。端的に申しまして、私どもといたしましては、現段階でもなお健全化計画の誠実な履行を都当局及び都議会が良識を持って考えて補正予算案の御審議がいただけるもの、またいただきたい、こういう期待を依然として強く持っておる次第でございます。
  179. 小川新一郎

    小川(新)委員 さきのは五十二年度の財政危機に対しての五十三年度にやる分を言われたのですね。それで五百五十億の特例債を出すことを条件にしたわけでございます。ところが、いまのままでいきますと、それとは別にしても、昭和五十三年度でも約千六百億の財源確保がなされないと、起債制限団体に転落すると言われております。さきに述べたような四千人以上の定数削減というものを行って、地方財政再建促進特別措置法に基づいて退職手当債の許可を得ることで転落を回避しようと考えていると聞いておりますが、この手当債の五百八十億は当然許可されると私どもは思っておりますけれども、いろいろと五十二年度でも約束違反する。五十三年度の分はそう追い打ちをかけるということはどうかと思いますけれども、その辺の自治省の御理解はいかがですか。
  180. 森岡敞

    森岡政府委員 五十三年度の地方債の問題といたしまして、退職手当債五百八十億円を補正予算の歳入に見込んでおられるわけでございますが、ただ、退職手当債は、職員の定数条例の改正が決定されまして、それに基づいて現実に退職者が決まり、その実人員が決まりませんと確定いたしません。都の五百八十億円という金額は、そういう意味合いでは、大変推計であると私ども考えております。  ですから、この段階でどの程度の退職手当債が認められるかということについては、まだ資料が不十分でございます。具体的な内容を、少し先になりますが、精査した上で、通常の都道府県の場合と同様の基準によりまして、退職手当債の地方債は認めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  181. 小川新一郎

    小川(新)委員 当然先ほど申しました再建促進特別措置法に基づいてもこれはやらなければならぬと思いますが、東京都の退職金のベースが他の都道府県よりも高いということで、そういうべースを下げろとかいうようなお考えもちらちら聞いているのですけれども、そのようなことはあるのですか。
  182. 森岡敞

    森岡政府委員 東京都の場合にいろいろな面で財政上問題があるわけでございますが、給与関係経費について言いますと、一つはやはり機構が非常に肥大化しておるということ、人員が多いということ、それから、御指摘の退職手当の基準が他の地方公共団体と比べますとかなり高いということ、その辺が指摘されると思います。昨年の五十二年度の健全化計画の際にも、退職手当基準につきましては論議の対象になったように聞いておりますが、最終的にはそれば爼上に上らなかった。五十三年度の今回提出されております補正予算におきましても、定数削減のほか数項目について合理化措置が提案されておりますが、依然として退職手当の合理化についてはまだペンディングという状態のように聞いております。  私どもとしましては、やはりこれだけ経済界あるいは国民生活が低成長下でそれぞれ苦しい生活を余儀なくされておる事態でありますから、国家公務員や他の地方公共団体職員と同じような基準の退職手当にできるだけ持っていっていただく方が筋として望ましい、かように思っております。
  183. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、そういう議論を踏まえた上で、首都である、私たちの顔である東京都をこのままにしておいていいという考えはどなたも持っていない。ただ、政治的なモラルや政治的な配慮やそういった約束事や、いろいろなファクターが重なっておりますから、一概にしてぽっといまは出せないということでございますが、東京都は、御案内のとおり昼間人口と夜間人口の格差がひどい。私なんかも、埼玉県から東京へ来ていろいろと需要を巻き起こして、その基準財政収入の方はない。こういう人間が国会議員の中にもいるわけですね。だから、東京都は国会もある、大使館もある、宮城もある、いろいろな首都としての整備がされている、そういう需要に対する交付金制度というものはあってしかるべきだ、これが一つの理由です。  それからもう一つは、起債許可制度の弾力的運用を東京都に与えてはどうか。これも、起債能力も他団体に比べては非常に高い、そういう高い東京都に対して同じ制限をする必要が一体あるのかどうか、これが第二点であります。  それから、赤字債の発行を認める特例法の制定をやらなければならない理由の一つとして、まあ東京都のように、ほかの団体に比べて税などの一般財源伸びが低いということはもう年じゅう言われておるわけでございますから、そういう一般財源の不足を補う赤字債を発行することを認めてあげてもいいんではないか。伸び率だけ見ても、地方財政が悪くなった五十一年度は四十二年度に比べて四・八倍になっているのに、東京都はこの間四・二倍に税の伸びが落ちてしまう。仮に地方財政並みに四・八倍に伸びていれば、これはもう五十一年度だけで、東京都は大きいですから、二千億円近い増収となる。この昭和五十一年度の実質的赤字である七百七十五億などというものは当然補えるのだ、こういう理論を東京都も持っておりますので、この際、いろいろな東京都側の不満についての今後の財政措置として、いま私は三つ申し上げましたが、この三点についてお答えをいただきたいと思います。
  184. 森岡敞

    森岡政府委員 まず第一点の、都が首都といたしまして特殊な行政需要を有しておる、これは私どもも十分理解をいたしております。これは、東京都ももちろんそうでございますが、他の大都市におきましても流入人口のような条件を考えますと、それに似たような状態が、程度の差はありますけれども、見られるわけでございます。私どもは、地方交付税の基準財政需要額の算定に当たりましては、そういう点を十分反映できるようにいままで努力をしてまいりました。したがって、東京都だけに特別の交付金をなぜ設けなければならないかというその根拠、理由というものは、私は乏しいと思うのであります。そういう意味合いで、新たな交付税以外の特別交付金を設けるという理由はちょっと見出し得ないと思います。  それから第二の、地方債の運営の弾力性の問題でございますが、これにつきましては、全体といたしまして自主性、弾力性が持てるように、御承知のように枠配分という方式を最近は多用してまいりまして、個別の事業ごとの一件審査というのはできるだけ少なくしてまいりました。しかし、これまた東京都にだけなぜ特別の地方債の詮議方針の基準を設けなければならないかという理由は、これはまた見出し得ないと思うのでございまして、やはり通常の地方債の許可基準と同じのでちっとも不都合はないというふうに思います。  それから三番目の、赤字地方債の問題でございますが、要するに、建設公債あるいは赤字公債、まあ地方債、借金であることは同じでありますけれども、御案内のように、建設公債はいろんな生活関連施設をつくりますために発行する借金であり、赤字公債は経常経費、毎日の生活費が足りないということで出す公債であります。要するに、現在の世代の負担を後代に転嫁するということでありますから、これは、私ども財政の基本から申しまして絶対に避けるべきだと思うのであります。ことに、私どもぜひ強調させていただきたいのは、財政運営が放漫である状態のままで赤字地方債の発行を認めますならば、それは住民に対して大変な重い負担を将来に残すことになると思います。そういう点から、私どもは赤字地方債の発行については、絶対に東京都といえども、他の地方公共団体と同じように認めるべきではない、かように考えております。
  185. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常に厳しい見解が述べられたわけでございます。そういう見解をもとにしてこれから東京都に臨もうという財政局長の決意のほどがあらわれているのですけれども、ひとつ対決の場は、不毛の対立を生みますから、どうか理解のある、お互いに一国の首都を守るということで御理解を進めていただきたいと思います。  そこで、地方公共団体財政の赤字になっている問題で、高度経済成長政策時代に非常に国が政策を進めた工業団地、流通業務団地、この二点が  いま非常に問題になってまいりました。  そこで、まず建設省にお尋ねいたしますが、流通業務団地の整備事業は流通業務市街地の整備に関する法律に基づいて実施される事業でございます。事業認可は建設大臣であり、協議しなければならない省庁は経済企画庁、農林水産省、通産省、運輸省、国土庁、自治省——まあ自治省も入っております。建設省が所管している流通業務団地の実態は一体どうなっているのか。土地の造成事業を行ったもののうち現在まだ処分されずに残っている土地の面積は幾らか、それにつぎ込んだ資金、すなわち借入金は全部でどのくらいなのか、借入金に伴う毎年の金利負担はどのくらいになっているのか、これをお願いいたします。
  186. 小林実

    小林説明員 流通業務市街地の整備に関する法律によりまして現在までに造成を終わりましたもの、それから現在造成中のものは十四団地あるわけでございます。そのうち完成いたしましたものが七団地でございまして、この七団地につきましては岐阜の一団地を除きましてほぼ売り切れておるわけでございます。  いま造成中の七団地でございますが、このうち二つにつきましては埋め立て区画整理方式で実施をしております。埋め立て区画整理方式をとっておりますものにつきましては、処分者がわかっておりますので、処分の見込みがついていると言えるかと思います。それからもう一つ、埋め立てをしておるものがございますが、五十二年度末で四割ほど売却済みと聞いております。この事業は五十六年まで予定しておりまして、五十六年度までに処分を完了させる予定である、こういうふうに聞いております。  残る五団地でございますが、これは準公営企業債を借りまして造成しておるものでございます。このうち札幌と兵庫県で行っております二団地につきましては、五十三年度あるいは五十四年度で完了するわけでございますが、それぞれ八〇%あるいは七五%売却済みでございまして、あと二、三年のうちには売却できるという報告でございます。  三団地につきまして現在造成中でございます。これは鹿沼と埼玉県の越谷、それから神戸市の西神でございます。このうち二団地につきましては、五十六年あるいは五十八年までかかるわけでございまして、まだ用買中あるいは造成にかかったばかりでございまして、それぞれ処分計画はまだ決まっていないという状況でございます。埼玉旧の越谷につきましては、八五%程度完成をしておるようでございます。これにつきまして状況を聞いたわけでございますが、地元の市と取りつけ道路の問題で話がつかないということで売却できていないわけでございますが、このうち県分が実施します三十九ヘクタールのうち約三分の二程度は卸売業あるいは倉庫、市場で売れる見込みである、こういうふうに聞いております。  結論として申し上げますと、準公営企業で実施しております五団地につきましては、総事業費として六百八十億予定されておりますが、札幌、兵庫県のものにつきまして大分売れております。二百四十億売却済みでございます。面積にいたしますと、造成いたしますものが五百二十一ヘクタールでございますが、売れておるものが百八十七ヘクタール、こういうことになっております。
  187. 小川新一郎

    小川(新)委員 五百二十一ヘクタールで売れているのは百八十七ヘクタール、これはこれから大変にがんばらなければならない。金も六百億を超えるということでございます。  そこで、国土庁に工業団地の実態をちょっとお尋ねしておきます。  土地造成事業を行ったもののうち、現在まだ処分されずに残っている土地の面積は幾らか、それにつぎ込んだ資金、借入金は全部でどのくらいか、借入金に伴う毎年の金利負担はどのくらいになりますか。
  188. 中村博英

    中村説明員 お答え申し上げます。  私ども、首都圏それから近畿圏の近郊整備地帯、それから都市開発区域の中で工業団地の施工を監督いたしておりますけれども、私どもで所管いたしておりますのが工業団地の売却処分関係でございます。  全国で現在までに二十九団地の工業団地が施工され、あるいは施工済みでございます。その内訳で申し上げますと、現在工事中が七団地でございます。それからすでに分譲を開始いたしましたものが二十二団地ございます。  さらにその内訳でございますけれども、二十二団地の分譲を開始いたしましたものの中で分譲を完了いたしましたものが十七団地ございます。なお分譲継続中のものが残り五団地でございます。さらにその五団地の内訳で申し上げますと、そのうち五〇%以上売却を完了いたしましたものが三団地ございます。それから五〇%未満の処分しか終わっていないものが二団地ございます。これを面積で申し上げますと、いまの二十九団地全部でございますが、これで売却処分を終わりましたものが三千九百ヘクタールほどでございます。それから未処分で残っております。面積が四百三十七ヘクタールでございます。  そのような状況でございます。
  189. 小川新一郎

    小川(新)委員 伴う毎年の金利負担または金額、借入金の額、これらが抜けておるのですが、これは所管はどこでございますか。
  190. 小林実

    小林説明員 先ほど事業費で申し上げましたわけですが、金利負担につきましてまでは、私どもいまの時点で把握しておりませんので、必要があれば後刻報告申し上げます。
  191. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治大臣、いまお聞きになったような実態でございますから、とやかく批判は申しませんが、高度経済成長時代には都市での公害発生、またはもっと機能の整備された団地に移りたい、こういうことでどんどん都市中心部から追い出されていくための受けざらとしていまのような流通団地や工業団地をつくらされた。ところが、景気が後退し不景気になり、いろいろな面でいまそれが消化ができなくなった。たとえば、土地は買ったのだけれども、いまのあれでは整備され、売り終わったのだけれでも、まだまだ工場機能として完了ができないという実態をどこも掌握なさっておりません。こういう問題は非常に大きな、地方公共団体だけに任しておく問題でありませんので、どうかひとつ国ががんばってもらわなければならないと思います。  一例を申し上げますと、私の住んでいる埼玉県の例ですが、越谷流通業務団地はこの法律に基づいて指定を受けたものであり、首都園基本計画の中でも埼玉県の北西部及び北東部の地域に新たな流通業務団地の配置を図ることになっております。またこの法律に基づいて、東京都についての流通業務施設の整備に関する基本方針の中にも、国鉄武蔵野線沿いに整備するものについては、鉄道の貨物駅、大規模なトラックターミナル、卸売市場、倉庫及び道路貨物運送業、貨物運送取扱業または卸売業の事務書または店舗並びに荷さばき場、そういった関連のものができるわけです。これが越谷の流通業務団地でありますが、越谷の場合、昭和五十三年度末で七〇%の進捗率ですが、事業費は百十二億八千百万円に上っております。  その他埼玉県の事業として、鷲宮産業団地、これの進捗率が五九%、児玉の工業団地はもう絶望的でいまとまっております。七四%で終わっております。川越の工業団地が五九%、川島の工業団地が五八%、五団地で大体六〇%平均でとまっているのでございますが、これは進んでいるところもございますが、総合計三百七十八億四千二百万円でございます。埼玉県下でも久喜、菖蒲、東松山団地、これらを加えるとその金利負担は全部で昭和五十三年度だけでも二十六億五千二百万円に上っているわけでございます。こういう国の政策に従って、法律に基づいてつくったものと埼玉県とかその公共団体が単独、県単事業でやるものとこれはおのずから違いますが、後で述べます千葉県などは県単事業で行き詰まっちゃった例もたくさんあるのですが、こういう国の政策が急転回し、または急ブレーキがかかったために、卸売ターミナル、工業団地または流通団地等の問題について公共団体のこういった金利負担を何とか救ってあげなければならぬと思いますが、これらは何ともしようがない道なんでございましょうか。
  192. 森岡敞

    森岡政府委員 いろんなケースがあると思います。いまお話の中にもございましたように、地方単独事業としてやっておるものもありますれば、あるいは政府の援助を受けてやっておるものもあるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、政府の方針といいますよりは経済全体の状況あるいは社会全体の状況がかなり急角度に変わってまいったということから、いまお示しのような困難な問題が生じておるものだと思います。  私ども立場といたしましては、その資金が大部分縁故地方債でございますので、計画どおりなかなか用地の造成が進まない、あるいは処分ができないという場合には、地方債の借りかえというものを弾力的にやってまいるということを考えてまいりたい、また現にそういう措置もとっております。しかし、基本的にはこれからはやはりこういう工業団地造成につきましては、かなり長い目で見通してこういう困難な事態が生じないように本当に慎重にやっていただかなければならぬ事態に来ておると思います。また、それは地方団体だけの責めではありませんで、政府の関係省庁自身もそういうことで間違いのないような指導をぜひしていただきたいと思っておる次第でございます。
  193. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、千葉県下においても県の土地開発公社、都市公社、県住宅供給公社、それから土地の先行取得、工業団地、宅地造成などを行ってきたわけですが、県の直轄でなくてこういう公社とか外郭にやらせているところが、千葉県の場合は一時、物すごく開発ブームで東京湾の開発と成田の開発と二つのことで攻め立てられてきたわけでございますが、そのための金融機関からの借入金は一千百億、用地買収面積は一千百ヘクタールでありますが、このうち買い手のつかない土地は約半分の六百ヘクタール、これに相当する借入金は四百六十億、毎年の金利負担は一年間三十三億。成田空港関連事業の受けざらとしての工業団地、すなわち大栄工業団地、富里工業団地、三里塚団地、芝山第二工業団地、多古団地、横芝団地などの六団地だけでも二百四ヘクタール、借入金は七十億六千六百万、金利負担五億九百万です。昭和四十八年の石油ショック以来不況が長期化し、進出企業の見込みがほとんどできなくなった東京湾の開発、またはこういった公社、公団等にやらせてつくらせたもの、いまお話があったようでございますけれども、少なくとも成田の関連事業については法案が用意されて公共団体に多少の便利を与えるようにできておりますので、私どもの党も賛成はいたしますけれども、その以外のところ、こういう問題があるわけです。  いま一つの例を挙げてやったわけでございますから、その中でいま局長が申されたような縁故債の借りかえ措置、公的資金融資の金利を引き下げられるかどうか、利子補給措置がとれないのかどうか、道路、下水道など関連公共施設に対する特別の財政措置はできるかどうか。これは二つに分けて成田のような国策に従ったものと県単事業でやったものと、またそれによっては差があると思いますけれども、いずれにいたしましても、国の政策に協力してきた公共団体の、いまこれが荒れ果てた、残された、日本高度経済成長政策のもたらした後始末のひずみでございます。これはこれからの指導というものは非常に大切でございますけれども、現在こうして残された、国破れて山河ありではありませんけれども、国の政策に踊らされたと言ってはおかしいのですけれども、では先の見通しがなかったと言えば国も地方公共団体もともに責任を負わなければならないのです。現実には地方が全部おっかぶってしまったというこの残された悲劇について、いま私が四点申し上げましたような救済手段ができるのかできないのか、お願いいたします。
  194. 森岡敞

    森岡政府委員 いろいろな救済措置があろうかと思いますが、まず縁故債の借りかえにつきましては、先ほど申しましたように、私どもの可能な政策手段でございますので、できるだけ弾力的に対処してまいりたいと思っております。  利子補給につきましては、これはやはり私はそれぞれ非常に事情の違う、まあ踊らされたというお話がございましたが、率直に言ってそういう思惑違いというものもあったということ、これは否めないと思うのでございます。そこのところはその事業主体であります地元である程度の責任を持たなければならない、それを全部どこかでけつをぬぐえというのもそれはちょっと問題だと思います。  その場合に、いま御指摘のように、成田関連というふうな場合には、やはり政府の施策なりあるいは国全体の政策に協力していただいておるわけですから、私どもも可能な方策を検討してまいりたいと思います。その他につきましては、これは自分みずからの責任である程度の処理はするということだろうと思います。  公的資金の金利の引き下げの問題は、これは大蔵省当局とも非常に関連いたしますので、なお相談はいたしますが、現在金利はかなり下がっておりますので、将来の問題としてもう少し長期に見ていくということではなかろうかというふうに考えております。  なお、道路、下水道の関連施設の問題につきましては、成田関連は、御承知のように補助率のかさ上げが行われておりますし、またその他につきましても、必要なものについては適切な財政措置をやってまいりたいと思います。
  195. 小川新一郎

    小川(新)委員 あと五分で終わりますけれども、最後に、では田園都市構想、こういうものだって国の政策として打ち出されるわけです。大臣、これに関係する省庁は幾つありますか。
  196. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 十六省庁です。
  197. 小川新一郎

    小川(新)委員 十六省庁なければ田園都市構想はできない。その前に国土庁が提唱した何とか構想というのがあります、クイズじゃございませんけれども定住圏構想。その前にやっていたのが地方公共団体主体でやる自治省のやっている広域市町村構想。また建設省の流域構想とかというものもございます。それから都市再開発法なんというものは二つか三つしかできてない。それから田中さんのときにも何とか三十万構想とかいう構想がございました。こういうふうに国の政策がどんどん打ち出されてきて、先ほど大臣もいみじくも言われていたけれども、国がやるのじゃないのだ。地方自治体が主体でやるのだ。結構です、地方自治体が主体でやるのは。だけれども、その地方自治体にしりぬぐいをさすようなこと。政策がまた転換して、総理大臣がかわって、総理大臣が二年でやめるのじゃこれは全く気の毒なんですが、これもわかりませんけれども田園都市構想なんというものは一体どれくらいでできるのですか、こういうものの見通しは……。
  198. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 これは事柄の内容性格から言ってかなり長期間をかけてやらなければでき上がらない、かように考えます。
  199. 小川新一郎

    小川(新)委員 大平内閣存命中にできますか。
  200. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 大平内閣が何年続くかこれはまだどなたにもわからないわけでございます。したがって、内閣の存命中にできるかどうかということに対しては的確なお答えはできませんけれども、いずれにしても、ただいま申し上げたとおりかなり長期間かけて持続的にやらなければできない。ですから、私どもは、やはり最初が一番大事でございますので、的確な見通しのもとに十分ひとつ注意深くそのスタートを誤らないように持っていきたい、かように考えております。
  201. 小川新一郎

    小川(新)委員 定住圏と言い、広域市町村圏と言い、まだ志半ば、青写真の三分の一も埋められない、そういうときに次々と新しい都市構想が生まれる。田中角榮総理のころの三十万中核都市構想、まあ煮詰めていくと大体同じようになって名前だけ変わっているのだと言う人もありますけれども、いずれにしても何だかわからなくなって消えていく。これはそういうことのないようにやるためのあれでございますから……。先ほど申したような流通団地や工業団地の問題にしても、全部地方公共団体が国におんぶだなんて言っているのじゃないのです、局長。何でもみんなおっかぶしちゃうなんだって、そんな厳しい局長が受けるわけもないし、東京都の財政問題一つ取り上げても、物すごくシビアです。そういう局長が傍らにいらっしゃるのだから、私も安心して地方財政を任せられるという面もございますけれども、いずれにしてもこの問題は大変な問題でございますので、十二分な配慮を大臣の口からひとつ最後にお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  202. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘の件は、一口で申し上げますと、高度経済成長が続いている中で石油ショックで急激にカーブが切られた、それの犠牲だと見ていいと思うのです。ですから、その後を国が何もかも見るというわけにはもちろんまいりませんけれども、おまえたちが自分勝手にやったのだから国は何も知らないよということも、これはやはりちょっと冷た過ぎるという感じもいたしますので、ひとつ十分実情を把握した上で対処してまいりたいと考えます。
  203. 小川新一郎

    小川(新)委員 以上で終わります。
  204. 松野幸泰

    松野委員長 次に、西村章三君。
  205. 西村章三

    ○西村(章)委員 来年度の地方財政に対する財源不足対策からお伺いをいたします。  大臣自治大臣に就任をされまして初めて手がけられたお仕事、これがかつてない地方財政の危機の中で全国三千三百の地方自治体財源をどう確保していくのか、また地方公共団体をどう守っていくのかという、いわば非常に大変なお仕事だったわけであります。大臣自身、来年度の財源不足対策として今回おとりになった措置について率直にどのように認識をされ、どのように評価をされておられるのか、まずこの点から承りたいと思います。
  206. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、五十四年度の予算編成に際しまして、地方財政全体で四兆一千億の財源不足が、大体見通しが出てきたわけでございまして、これはもう言うまでもなくいままでにない巨額な財源不足でございますので、これにどう対処するかというのは、自治大臣としては最も大きな、責任のある仕事であったわけでございます。  それで、午前にも答弁申し上げたのでございますが、大蔵省は、国ももう借金、火の車で、これだけ赤字公債を出しているのだから、地方もつき合ってくれ、こういうことで大蔵大臣から再三にわたって強い要請があったわけです。しかし、私は、地方交付税法の法のたてまえからいっても、それからまた地方自治団体性格、実態からいっても、国と同じように赤字公債をつき合いなさいという大蔵省の主張に対しては、自治大臣としては絶対に同意するわけにはいかぬということで、この主張は貫いたわけでございます。しかし、国もあのとおりのとにかく借金財政でございますから、私が念願をしておりました地方交付税の税率の引き上げという主張はとうとう実現することができませんでした。やむを得ませんので、御承知のように、前年度に一つのルールができ上がりました、あのルールを踏襲して、地方交付税額の増額とそれから公債の増額、こういうことでこの四兆一千億を補てんしたわけでございます。  どのように評価しているかということに対しては、私は一つは赤字地方債の発行を食いとめたということ、それから非常に窮屈な財源状態の中で四兆一千億のこの財源不足を完全に補てんすることができたということで、私はまあ一応の評価をしていいのではないか、かように考えております。
  207. 西村章三

    ○西村(章)委員 大臣はいろいろと御努力をされたようでありますが、昭和五十年から五十二年にかけまして二兆円台でありました地方財源の不足額が、本年度は三兆円台、来年度は四兆一千億円、こういうふうに雪だるま式に赤字がふえ続けておるわけであります。  この財源不足に対する対策でありますが、これは毎年この問題が当委員会で論議をされるたびごとに同じ議論が繰り返されてきた。私どもは常に地方税財政制度について抜本的な改革をしなさい、あるいは交付税の税率を引き上げなさいという主張をいたしてきたわけであります。これに対しまして政府側は、経済情勢が流動的であるとか、あるいは当分の間の経過措置であるからとかということで、毎年同じような借金による穴埋め措置、この方法をとり続けてこられたわけであります。そして今回の地方財政計画を見てみましても、来年度もまた同じパターンを繰り返して借金で穴埋めして収支のつじつまを合わせていこうと、非常に安易な措置だと思うのであります。この穴埋めのための借金は今日まで四年間ふえ続けてまいりまして、将来の負担というものは非常に大変なものになる。また、地方債にいたしましても、公共事業関係の充当率が軒並み九五%、ぎりぎりいっぱいまで引き上げられております。自治体の消化能力ももはやこれが限界だというところまできておるわけであります。地方制度調査会におきましても、昨年末答申の中で、このように多額な地方交付税の原資の借り入れ、大幅な地方債の増発で収支のつじつまを合わせていてはやがて財政破綻は必至だと強く警告をいたしておりますし、この際勇断をもってこれに対処をしなさい、こう警告をしておるわけであります。  こうした厳しい情勢の中で、五十四年度予算の編成に当たって、自治省はその基本方針をどこに置かれたのか、特に、予算要求をする中で、ただいま大臣からも答弁ありましたが、大蔵省との折衝の過程で何が問題になって、それがどういう形で決着をつけられたのか。いま大臣は、赤字地方債の発行を食いとめた、大きな補てんも何とかやれた、こういう評価をしておられますが、その辺をもう一度明らかにしてください。
  208. 森岡敞

    森岡政府委員 大要はいま大臣から申し上げたとおりでございますが、基本的に私どもが明年度の地方財政対策として大蔵省に当たりました方針は、まず第一は地方税源の充実強化でございます。住民税の減税を一方において行う、と同時に自動車関係税の増税等によりまして相当の増収措置を講ずることができたと思います。もっとも、現在の財源不足状況から申しますと、税制改正による増収はそれほど大きくはございませんけれども、少なくとも財政体質の改善のための最大限の努力はさしていただいたと思うのでございます。  第二点は、地方交付税の増額でございます。これにつきましては、大臣から申し上げましたように、当方は地方交付税率の引き上げを要求いたしました。大蔵省からは赤字地方債でもって交付税を肩がわりしてもらいたいという要請が出されました。私ども交付税率の要求も通りませんでしたが、赤字地方債については断固としてそれは排除したわけであります。  第三点は、地方債資金を確保いたしますと同時に、ことに良質の資金をできるだけ確保するということでございます。  地方債計画の総額は七兆四千十億円でございまして、対前年度比一九%の増でございますが、財政投融資計画自身の伸びが一三%強でございます。地方債計画及びその中での政府資金は一九%伸ばすことができましたので、これまた大蔵省にかなり協力をしていただいたものと私ども考えております。  第四点は、公営企業金融公庫資金の拡充とその貸付条件の改善でございます。公庫資金の総額は一兆一千三十億円ということで二三・六%増加いたしました。原資は政府保証債が中心でございますが、政府保証債全体で二千億円ふえました中で千五百億円、七割強を公庫の原資に確保することができたわけでございます。  同時に、いわゆる特利対象事業につきまして六・二五%という政府資金と二馬身差、二厘差の開きがありましたのを六・一五%に一厘引き下げまして一馬身差に近づけることができたわけでございます。  以上のような四点がそれぞれ問題になり、私どもが得た結論でございます。
  209. 西村章三

    ○西村(章)委員 ただいまの答弁を承っておりますと、四項目にわたってそれなりの最善の努力をした、言葉をかえて言えば、名を捨てて実をとった、こういう感じにも受け取れるわけでありますが、本来、地方交付税といいますものは地方自治体の均衡ある発展を目指して同時に安定した財源を与える、こういう目的で設置をされたはずであります。しかし、今日段階では三二%の税率ではもうとうてい無理だ、これはわかり切ったことであるはずでございますのに、制度的な要求も余りせずに、これから逃げて財源の帳じりだけを合わせていこう、こういうことにも受け取れるわけであります。  私は、もうこの辺で一時的なこういう措置はやめて交付税率そのものをアップする、このことを考えられてはいかがかと思うのであります。一度税率を引き上げてしまうともうもとに戻せない、そう言うのであれば、交付税率というものを変動させて制度を弾力的に運用する、こういう方法も考えられるわけであります。  交付税率を上げるのが筋なんだということはただいま大臣もおっしゃったわけでありますが、それをわざわざ今度の措置をとられた背景には、やはり近い将来、いわゆる増税一般消費税導入という問題、これを予定されておって、それによって交付税率の問題もまた変わってくる、それを期待して、それまでの臨時応急的な措置として今回の措置はやむを得なかったのだ、こういうぐあいに考えられるのでありますけれども一般消費税導入につきましては、すでに先ほど同僚議員からも聞かれておりますが、地方財政危機という立場から、この一般消費税というものをどうとらまえておられるのか、もう一度聞かせていただきたいと思います。
  210. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、国、地方両方の財政再建という問題は、もうこれ以上放置することを許されない緊急な、大きな課題になってきていると思います。したがって、これはその場逃れのびほう策というようなことで対処するわけにはまいりません。私は、内閣が本当に不退転の決意で国、地方財政再建をどうして実現するかということに取り組まなければならない時期だと考えております。  そこで、地方交付税率の引き上げを実現すべきではなかったかという御指摘はまさしくそのとおりでございまして、私どもは何とかしてこのオーソドックスな対処の仕方を貫きたいということで最後までがんばったわけでございますが、いかんせん、その大もとの国の財政がどうにもならない状態でございましたので、本年度はやむを得ずこれは一歩後退という形で妥協せざるを得なかったということでございます。  一般消費税導入の問題は、これだけで国の財政地方財政再建ができるというものではないと私は思います。しかしながら、いずれにしても財源が足りないということは絶対的な事実でございますから、その不足の財源をどう補うかということになりますと、一般的には増税ということに当然なってくるわけであります。それで、税調におきましても、いろいろな議論をした最終結論として一般消費税導入が適当であろう、こういう結論が出たわけでございまして、それを受けて政府・与党も大変な論議をしたあげく、五十五年度には一般消費税導入を実現しようという合意を見た、こういうことでございますので、私ども大蔵省と一体になって、本当に国民の納得の得られるような形で、そのことに最大の努力をしながら五十五年度中には一般消費税導入を実現をしたい、かように考えておるわけであります。
  211. 西村章三

    ○西村(章)委員 一般消費税導入について大きな期待をかけられておるようでございますが、先ほども公明党の委員の方からこの税率にわたってのしさいな質問がございました。  私は具体的にお尋ねをいたしますが、一般消費税が仮に導入をされました場合に、国税である一般消費税といわゆる一般地方消費税配分割合をどうするおつもりなのか。また、国税の一部を地方交付税の対象税目に繰り入れて総額のアップを図っていく、さらには地方消費税のいわゆる府県と市町村との配分、朝の委員会の答弁ではまだまだ固まっていないのだということでございましたが、現在自治省としてその願望も含めてどういうお考えを持っておられるのか、聞かせていただきたいと思います。
  212. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいま大臣から話がございましたように、国、地方を通じます大幅な財政収支の不均衡を埋めていこうということで一般消費税という考えも出てまいりました。税制調査会で御検討いただいて、昨年の暮れに答申をいただいたわけでございますが、その一般消費税大綱によりますと、一応税率は初年度五%ぐらいからといったような指摘がございます。と同時に、国と地方との関連につきましては、当然これは国、地方を通ずる財政収支の不均衡の是正でございますから適正に配分されなければならないとい私ども考えておりますし、この大綱におきましても、新税のうちで地方配分されるものの一部は地方消費税(仮称)として、道府県税でございますけれども、そういう形で配分をする、ということは要するに地方の分の他の部分があるということも示唆されておるわけでございまして、私どもとしてはかねがね、配分される場合は地方独立税として一部は配分される、そしてまた財源偏在という問題等の調整もございますので、その他の部分交付税の対象税目として国税分を充ててもらいたい、こういう要望を持っております。いまのような大綱の考え方もそういったものを示唆しておるものと私どもとしては期待をしておるわけでございます。  そこで、全体としてどういった配分がよかろうかということになるわけでございますが、いろいろ考え方はございましょうけれども、少なくとも現段階においては、国と地方の税源の配分は全体の国民負担する税のうちでおおむね三分の二を国、三分の一を地方ということに相なっておるわけでございます。そしてその国税のうちの分から三税の三二%が交付税として配分されまして、それで一般財源ベースではうまくバランスがとれて行政が円滑に動いておる、こういう姿になっておるわけでございますので、この新税がつくられた場合に、これが国、地方を通じます赤字の穴埋めということでございますならば、いまのようなバランスを崩すということでは困るので、やはり大筋が壊れない形で進んでもらいたいという強い希望を私どもとしては持っておるわけでございます。  なお、これは形の上では道府県税地方消費税ということで配分することになっておりますが、当然、地方団体全体についての財源配分ということでございますから、府県と市町村の間における税源配分も適正にしなければならないと思っております。ただ、府県と市町村になりますと、たとえば現在ございます個別消費税というものがどういうふうに消費税として関連していくのか、あるいは市町村分の何かが吸収されるのかしないのか、そういったいろいろな関連もございますから、そこらを十分見きわめませんと適正な方法は考えられない。そこで、導入の際のそういった姿を見ながら必要な税源を市町村に配分するということで、私どもはそういうことを頭に置いていまも議論はしておりますが、その段階に至って適切な方法を見出したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  213. 西村章三

    ○西村(章)委員 もちろん、私どもも今日の財政の現状から見まして、将来においては何らかの形で財政健全化をするために国民負担をお願いする、こういう時代が来ることについては否定をいたしません。しかし、これはもう何回も論議をされていることでございますが、増税を求める前にやるべきことがまだまだある。先日からの委員会でもこの点につきましてはしばしば議論に上っておるところでございますが、不公平税制を是正するであるとか、あるいは現行の税財政制度を徹底的に見直して地方なり自治体なり、その機構、定員の削減人件費の抑制、こういった思い切った歳出の合理化を図る必要があるのではないか、こういった前提なしに消費税を導入するということは、なかなか国民の理解のいかないところではないかと思うのでありますが、これに取り組まれるお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  214. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私は、もう全くそのとおりだと考えております。
  215. 西村章三

    ○西村(章)委員 次に、私は田園都市構想について伺います。  この問題もけさからそれぞれ質問がございましたし、重複する部分がかなりあるかと思いますが、大臣はこの構想はいま初めて聞いたものではない、かなり以前からこういう形というものは考えられておったものだ、こういう御答弁でございましたが、昨年の暮れの総裁選挙の中で大平総理が示されました政策要綱の中には、税財源、雇用機会、教育文化機能、これを適切に配分する、同時に、福祉など行政機能も大幅に地方に移譲する、こうはっきり書かれておるわけであります。したがって、これは将来の地方行政のあり方にも大きな影響を及ぼすものでございまして、大臣は、この主張の物の考え方あるいは地方行政を統括する最高責任者の立場として、この田園構想に対してはどのようにこれを評価し、これから具体化していくのか、この点について御意見を承りたいと思います。
  216. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 まず最初に、大きく考えた場合に、もう改めて私が申し上げるまでもないことですが、中央集権、それから中央集権から地方分権へというのは、これは日本の全体の大きな流れの方向である、これは間違いないと思うのです。したがって、それに伴って中央集権から出る画一的な行政指導というものが地方主体の多様化の行政に移行していくということも大きな歴史の流れとしては間違いない方向だ、かように考えております。したがって、大平総理が打ち出した田園都市構想というものは、ただいま申し上げた日本の国の大きな歴史の流れの方向に沿った一つの政策の提唱である、そういう意味でまことにタイミングもいいし、内容もいいし、適切な政策である、かように私は理解をしておるわけであります。
  217. 西村章三

    ○西村(章)委員 私は、この構想を具現化するためには、かなり長期的な展望を持たなければならぬ、同時に総合的な施策を講じなければならぬ、こう思うのであります。それと同時に、この構想が目指すいわゆる個性ある地域づくり、特色ある地域づくり、これは大臣も言われているように、あくまで地方が主体である、これに国が強力なバックアップを行うんだ、こういうことになると思うのでありますが、地方が主体となるためには、行政権限と財源地方移譲、これも行わなければなりません。また、さらには各省庁統一した行政を考えなければ、今日のような各省庁がばらばらの状態ではとうてい不可能であろうと思います。  いずれにいたしましても、この構想中心的な推進の役割りを果たすのは、各種十六省庁が関連しておると言われておるのでありますが、各省庁は非常に縦割りの行政色が強いのでありますが、そういう立場から考えますと、全国の地方に横断的な指導と監督権を持つ自治省が主導的な役割りを果たさなければならぬ。自治省としてこの田園都市構想を推進する上で自治省が果たす役割りは何であるのか、自治省はもっと強い姿勢で臨んでもいいんじゃないか、私はこう思うのでありますが、実情なり将来展望、さらには今後の方針、決意について大臣のお考えを承りたいと思います。
  218. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私は、先ほど申し上げたように、中央集権から地方分権へ、画一的な行政から多様化の行政へという大きな歴史の方向というものを誤りなく認識をして、その方向に即した行政の展開を図らなければならないと考えておるわけでございまして、そういう意味でこの田園都市構想の具体化、実現化に当たっては自治省中心的な役割りを果たさなければならぬというのが私の信念であります。  御指摘のように、関係省庁が十六ございます。これが従来のようにそれぞれのなわ張り争いで思い思いのことを言っておったのではとうていまとまったりっぱなものができるはずもございませんし、そこにむだがあり、非常な時間、金のロスも出てくるわけでございます。それよりも、とにかく国民が非常に迷惑するわけでございますから、田園都市構想の具体化に際しては、あくまでも地方自治体中心でやらなくてはならぬということ、これは田園都市構想の生命線だと私は考えておるわけであります。同時に、各省のセクショナリズムというものを排除しなければならぬ。そういう意味で関係省庁に対して強く私どもの主張を展開してまいったわけでございますが、幸いなことに、関係省庁も私どもの主張を非常に理解をしていただきまして、モデル定住圏、現在はそういう名前になっておりますが、これを各都道府県一カ所選定しよう、その選定の主体は各道府県知事が関係市町村と協議してそのモテル定住圏の候補地を選定する、ここまでは合意を見たわけです。これは一見ささいなことのようでございますけれども、従来の長い中央集権の日本の行政手法の流れから見ますと、これは画期的なことだと私は思うのです。各省庁がよくここまで私どもの主張に同調してくれたものだなと私は内心実は驚きで見ておるわけでございますが、とにかく幸いなことにそこまでやってまいりました。あとは各省ばらばらというこの弊害をどう除去するか、関係省庁で一つの協議会をつくって窓口は一本、そういう体制でやるべきだ、私はこういう主張を展開してまいったわけでございますが、この点につきましても関係各省庁の御同意を得て協議会をつくることになりました。そして、その窓口といいますか幹事役は国土庁がやる、ここまでは意見の一致を見たわけでございます。
  219. 西村章三

    ○西村(章)委員 まだ構想段階で、具体的にはこれから煮詰まるわけでございますが、私は、この構想を推進するのには多くの難問題があると思うのであります。たとえば、圏域の範囲の設定一つをとってみましても、それぞれ自治省なり建設省なり国土庁なり多くのメニューを持っておられる。また、受けとめる自治体の側から見ましても、まだ十分このメニューというものがのみ込めておらないという感じが強いのであります。この圏域構想があいまいであるし、あるいは事業計画につきましても、さらには国がその圏域にどのような財政援助を与えるのか、すべてがまだまだこれからの問題でございます。しかし、圏域の中核になります核といいますか中核都市には、相当な財政援助をやらなければこの実現はなかなかむずかしいのでありまして、そういう施策的な配慮というものがかなり重要なウエートを持ってまいると思います。  この財政援助につきましては、現段階ではまだまだ予算化もされておりませんし、わずかに一圏域当たり二百万円程度の計画策定費のみで、あとは起債に頼る、こういうことであります。これでは非常に魅力が乏しいのではないか。地方自治体が進んでこれを推進しよう、こういう気が起こらないのではないかという気がいたすわけでありますが、これを推進するためには自治省は資金面の裏づけとして地域総合整備事業債、これを償還金の一部を国が肩がわりする、さらには従来の自治体の補助金を統一して総合的な補助金にして交付をしていこう、こういう考え方をお持ちのようでありますが、私自身もこれはぜひ必要であり、やっていただきたいと思うのであります。この点について大臣意見を聞かしていただきたい。
  220. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、このモデル定住圏というものをつくり上げていくためには、その基幹的な施設の整備については国が相当財政的に援助することは欠くべからざる一つの前提だと考えております。そういう方向に沿って政府全体の足並みをそろえていきたい、かように考えておりますが、いまの御指摘の総合事業整備債、これの活用を私は非常に大事なポイントだと考えておるわけです。でき得れば、この整備事業債の活用によって事業を先行させて、それに対してその一部分を国が資金のめんどうを見ていく、こういうやり方が一番実態に即して、しかも実行可能な最善の方法だと私は確信しております。  それからもう一つ、いま御指摘の個別の補助を一本にまとめて総合的な補助制度にしたらどうかという御提案も、私は全面的に賛成であります。これができ上がると、従来の中央集権の行政手法に対する一種の革命だと思います。ぜひ私としては実現をさせたいと考えておりますが、いま申し上げたように、これは従来の手法に対する革命的な変化でございますから、当然各省庁の抵抗は非常に強いわけでありまして、これが本当に実現するまでにはなお相当な紆余曲折を覚悟しなければならぬと考えております。
  221. 西村章三

    ○西村(章)委員 これは直接的には田園都市構想と関係ないのでありますが、いまおっしゃられたようないわゆる補助金の一本化だとかそういうことに関連をいたしまして、現在国レベルにおきましては縦割り的な色彩が非常に強いわけであります。そうした中で、自治省地方団体の立場に立ってよくその意向を代弁し、また、国が行うあらゆる行政にその声を反映され、地方団体の利益を守ってこられたわけであります。にもかかわらず今日なお地方団体は、国レベルでの各省庁にまたがる税財源配分あるいは補助金、政令、法令による委任事務、こういった問題で非常に当惑している問題が多いということであります。こうした中で自治省は各省庁にまたがる予算、計画段階での調整、統合など地方自治体立場に立って今日までも各省庁に十分に物を言ってこられたと思うのでありますが、五十四年度はこのような問題でどのような問題点があって、それについてどのように努力をされたのか、この辺があれば、この際お示しを、ただきたいと思うのであります。
  222. 森岡敞

    森岡政府委員 国庫補助負担金の合理化の問題につきましては、大きく分けまして二つあると思います。  一つは、国と地方との間の負担区分を乱さないということでありまして、言葉をかえて言いますと、いわゆる超過負担地方に押しつけることをいたさないということでございます。これにつきましては、毎年毎年その改善の努力が進められておりますが、私どもまだ完全にいっておると思いません。五十四年度におきましても強く主張いたしまして、事業費ベースで五百二十九億円、国費ベースで三百六十億円の改善を行うことになっております。  第二は、いまお示しの国庫補助負担制度の整理合理化ないしは統合メニュー化の問題であります。すでに目的を達したもの、あるいは零細なもの、あるいは経済効果が十分でないと考えられるような補助金はできるだけ整理統合して一般財源にしてもらいたい、それからいま一つは、同じような種類の補助金が各省各課各係で個別に出ておる、そういうものはできるだけメニュー化して地方団体がある程度弾力的に使えるようにしてもらいたいという要請をいたしております。  五十四年度の資料をまだ大蔵省からちょうだいしておりませんので、古くて恐縮でございますが、五十三年度の資料で申しますと、廃止いたしたものが百四十三件二百九十五億円、合理化して減額したものが四百五十三件六百十億円、統合いたしましたものが、これは件数だけでございますが二百二十二件から九十二件までなど、合計、統合整理対象件数が九百六件、金額が九百十九億円というのが五十三年度の結果でございます。五十四年度もかなりの努力をしていただいていると思います。  なお、資料につきましては、後刻入手いたしましてまた御報告いたしたいと思います。
  223. 西村章三

    ○西村(章)委員 これからの田園都市構想の推進あるいは地方財政の改革等を考えてまいりますと、自治省の任務は非常に重大になってまいります。それに伴う担当分野の拡大であるとか、あるいは行政事務の増大、これを消化するためにはかなりスタッフが必要なのではないか。そういう意味ではスタッフの充実と定員の充足というものが先決だと思うのでありますが、にもかかわらず、現在自治省は他の省庁に比べて職員の数が非常に少ないというぐあいに聞いておりますし、全くその点での余裕がないということだそうであります。地方自治体から研修目的で来ておられる職員さんも使ってやりくりをしておるそうでありますが、現在の定員数でこういった今後の作業量を消化をしていけるのかどうか、五十四年度の増員要求で何名要求をされて、査定結果はどうであったのか。今後この事態にどのように対処をしていこうとされるのか、この見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
  224. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、自治省は確かに人間の数は足りません。増員の要求をいたしましたけれども、最終的に、減員もございますから、差し引いてネットの増はわずかに二名でございます。しかしながら、先ほど来からいろいろと御論議がございますように、とにかく国民増税をお願いしよう、こういうところまで来ておるわけでございますから、まず国も地方もとにかくぜい肉を切り落とさなくちゃならぬという、私はこの点は強く考えておるわけであります。でありますから、自治省は確かに人は足りない、そういう意味で職員か非常な過重な負担の中で仕事をやっておるわけでございますが、国も地方もこういった火の車のような状態でございますから、私はあえてこの負担には耐えて仕事をやり抜いていく、そういう決意でやっていきたい、かように考えております。
  225. 西村章三

    ○西村(章)委員 有能な自治省職員さんが多いわけでございますし、また地方団体での定員の問題あるいは人件費削減等をいわば指導をしておられる立場から、なかなかむずかしいと存じますが、今後そういう面では大いにがんばっていただきたいと思うわけであります。  次に、私は警察関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  大臣が所信表明で言われましたように、最近、銃砲を使用した暴力団の対立抗争事件あるいは強盗殺人事件など、悪質な事件というものが非常に多いようであります。先日の大阪で発生をいたしました三菱銀行北畠支店での猟銃による強盗殺人人質事件は、その典型的な凶悪犯罪であります。かつて、わが国が諸外国と比べて犯罪の件数が少ない、治安がよい、こう言われましたのは、警察行政の優秀さもございますけれども、それ以外に麻薬及び覚せい剤、さらには銃砲の取り締まり、こういったものが非常に厳しかった。それが治安の維持、凶悪犯罪の頻発防止に大きく貢献していた、かように思うわけであります。ところが、最近の犯罪情勢というものを見てまいりますと、この傾向が崩れてきておって、逆に麻薬や銃砲に起因する犯罪が非常に多くなってきた。  そこで、現行の銃砲取り締まりと対策につきまして、特に銃刀法は昨年改正をされたばかりでございますが、この現行法が完璧であるのか、不備はないと思っておられるのか。あるいはさらに若干の法改正が必要だと思われるのか。また、もう一歩進んで抜本的な見直しが必要だと判断をされるのか。現行法についての現段階での見解というものを承りたいと思います。
  226. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 非常に基本的な御質問でございますので、私からお答えをいたします。  率直に申し上げて、今回の大阪における三菱銀行北畠支店の凶悪な犯罪の発生は、私にとっても一つの大きな衝撃でございました。しかも、その犯人が使用した銃が四十八年に許可を受けたわけでございますが、その犯人は十五歳のときに殺人強盗という凶悪犯の前歴を持った者であるということが判明したわけでございます。こういうことを考えますと、私は、この銃砲の取り締まりというものに対しては厳しい態度で臨まなければならぬ、かようにまず直観的に考えたわけです。  それで調べてみますと、この散弾銃の所持許可を受けた者だけでも全国で七十一万か二万になっておるわけです。それにライフル銃それから空気銃と、こういうものを含めますと、正確な数字はわかりませんけれども、恐らく七十五、六万になるのじゃないかと思うのです。言うまでもなく、そういった銃は持つ者の意思次第によっては直ちに殺人の凶器になるわけでございますから、そういう膨大な量に上る銃砲がとにかく合法的に所持を認められておるというこの現状は、果たしてこのままでいいのかどうか。大阪の北畠支店におけるああいった一つの凶悪な犯罪が起きたこの際に、私は、法の改正も含めて基本的な検討が必要だ、かように考えております。
  227. 西村章三

    ○西村(章)委員 私は、今回の事件で人質救出のために非業の殉職をされました警察官お二人につきましては、その果敢な行動をたたえ、みたまの安らかな御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対しましては心からの御同情を禁じ得ないのでありますが、今回の事件発生後、世間では犯人に対する怒りの声とともに、警察がおとりになられました対応措置につきまして、なまぬるいとか、あるいはなぜもっと早く犯人を射殺しなかったのか、あるいは負傷者を早期に救出していれば一命を取りとめたのではないか、こういううわさがたくさんあるわけでございます。私は、あの状況からして、人質の人命を守ること、これを第一義に、犯人の逮捕を目的とした対応の内容については、おおむねやむを得ざる措置だということで了解ができるのでありますが、ただ一点、具体的な事実としてお尋ねをしたいのでありますが、射殺されたお二人の警察官が持っておられたピストルのうち一丁が故障をし、物の役に立たなかった、発射不能の欠陥ピストルであったことを、犯人梅川が指摘をしたと言われております。このことは一部新聞でも報道されておるのでありますけれども、その後、このピストルについて犯人とのやりとりの中で収録したテープあるいは押収したピストルの鑑定をおやりになったと思うのでありますが、警察の威信にもかかわる問題でございますので、この際、その鑑定結果を明らかにしていただきたいと思います。
  228. 小林朴

    小林(朴)政府委員 この事件におきまして、犯人の梅川が殉職いたしました警察官二名の拳銃を奪取いたしまして、うち一丁の拳銃につきましてそういう問題が出てきた。と申しますのは、ちょうどこれが立てこもったのは二十六日でございますが、二十八日の午前、本人が射殺される前でございますが、午前四時三十分ごろに銀行内の捜査本部へ電話をしてまいりまして、おまえのとこの拳銃はいかれているやないかというようなことを言ったわけでございます。そういうことで、念のために二月一日に大阪府警本部の刑事部の科学捜査研究所におきまして、犯人梅川が言った拳銃を綿密に鑑定をしたわけでございますけれども、発射機能に何ら異常は認められなかったわけでございます。
  229. 西村章三

    ○西村(章)委員 発射機能そのものに異常がなかったという御答弁でございまして、私も一安心をしたわけでございます。こういった事件に遭遇した場合に、ピストルが使えないということであれば、これは大事な問題でございますので、いまの答弁は、私はそれを聞きまして安心をしたわけであります。  先ほどの質問に対して、大臣は今回の事件を教訓にして厳しい態度で臨まねばならぬとおっしゃっておられるわけでありますが、もう一つ事実関係として、犯人の梅川に対する猟銃の所持許可の過程における調査なり判断が甘い、こう指摘をされている面もございます。当委員会にもこの件につきまして資料が出されておるわけでありますが、この資料によりますと、過去の前歴から申請を取り下げるように説得をしたけれども、本人はなかなか応じなかった、やむを得ず最終的には許可をした、こう言っておられるのでありますが、先ほど大臣もお述べになったように、少年時代の梅川の窃盗や強盗殺人事件を起こした当時の家庭裁判所の調書、鑑別所の鑑定結果、さらにはその所見、また送検書類などで梅川は性格的にもきわめて異常だ、今後社会に出れば非行を繰り返して、再び犯罪を起こして犠牲者が出るおそれがある、こう明確に書かれていたそうでありますが、この種の資料は銃砲等の許可を与える時点で許可審査の際に参考にされたのかどうか、まずこの点について聞かしていただきたいと思います。
  230. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 犯人の梅川に対します猟銃の許可の問題に絡みまして、少年時代の経歴というものが出てまいったわけですけれども、ただ、鑑別所等で作成する報告書につきましては配付先が限定されておりまして、確かにいま言われたようなことが述べられたものがあるやに伺っておりますけれども、実際には銃砲の許可事務を担当する者が通常の場合こういった報告書等は見る機会はなかったということでございます。したがいまして、大阪府警におきましても、事実この報告は承知していなかったというふうに聞いております。  前歴等の調査につきましては、検察庁それから裁判所あるいは矯正機関などにおきます記録の内容について照会するとか閲覧するとかの方法がございますけれども、少年事件の場合に審判や鑑別の内容を少年の保護以外のこと、たとえて言いますと、今回の銃砲所持許可の際の危険性の判断に利用できるかどうか、そういった問題もございますので、関係省庁とも話し合いの上でこれからどうするかというふうなことをなお検討してまいりたいというように考えております。
  231. 西村章三

    ○西村(章)委員 今後の許可につきましても大きな問題を投げかけたものだと思いますので、その点につきましては早急に改善をしていただきたいと思うのでありますが、問題は銃刀法の第五条一の六ですか、「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」、これに該当するということでありまして、過去の前歴からいってこのおそれは十分にあると判断できるわけであります。「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由」、この「相当な理由」というものの解釈が問題でありまして、これがやや甘いのではないか、こういう気がするのでありますが、いかがでございますか。
  232. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、この基準を適用する、運用する、さらにそれの基準を警察庁において指示して運用しておるわけであります。ですから、ただいまの御指摘のように、この基準の運用が少し甘かったのではないかという御指摘は、私は肯定せざるを得ないという感じを持っております。したがいまして、今後の運用については、従来の運用基準というものを新たに全面的に見直してもらいたい、こういう指示をいたしまして現在見直し作業をやっておるわけであります。
  233. 西村章三

    ○西村(章)委員 現在、銃刀法に基づいて所持許可をされております銃砲の数量は約八十八万もあるそうでございますが、問題は、銃砲の所持許可を与えられたもののうち、紛失や盗難で行方不明になっておる猟銃あるいはライフルですか、こういうものが一体どのくらいあるのか、そのなくなった分につきましては、その後の行方についてどの程度捜査なり調査をされておるのか、この辺についてはいかがでございますか。
  234. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 行方不明になりました猟銃につきましては、昨年五十三年十二月末現在でいわゆる所在不明銃というものにつきましては千七百十五丁ございます。この所在不明銃と申しますのは警察の監視外にありまして、危害予防上好ましくない状態にあることは言うまでもないことでございまして、解明のための積極的な追跡捜査もやっておるところでございます。その結果と申しますか、毎年少しずつは減ってきております。  それで、所在不明銃の数は、四十五年の末には、当時四千八百六十四丁あったわけですが、それが逐年減りまして、三千百四十九丁減って現在の千七百十五丁ということになっておりまして、これからも、その所在の捜査については鋭意追及してまいりたいというふうに考えております。
  235. 西村章三

    ○西村(章)委員 行方不明の銃等がいわゆる暴力団関係に流れたり、あるいは凶悪犯罪者に利用されたりということでありますが、この銃砲等の保管、管理、これは特に厳重であらねばならないのでありますが、紛失者や盗難者、特に紛失者に対しては罰則みたいなものがあるのかないのか、それから、その後の許可条件として何か特別な措置を講じておられるのか、その辺はいかがですか。
  236. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 銃砲の保管につきましては、法令上は強固な保管設備にかぎをかけまして、施錠してみずから保管するということが原則になっておるわけでございます。  そこで、銃砲を紛失したりまたは盗み取られた者で、いわゆる銃砲の保管が堅固な保管設備に施錠して行うという保管義務に違反した場合につきましては、そういった堅固な保管をしないでそのためにとられてしまったというふうなことになりますと、十万円以下の罰金に処せられるということになっております。  それからさらに、保管義務に違反しまして今度は罰金以上の刑に処せられたそういう者に対しましては、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から三年間はこの所持許可をしないということができることになっております。
  237. 西村章三

    ○西村(章)委員 銃そのものも大事でありますけれども、これに使う弾についての購入あるいは使用、本人の管理責任、これは現在どうなっておりますか。
  238. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 猟銃用の弾、いわゆる実包でございますけれども、実包につきましては、その譲り渡しそれから譲り受け、所持、消費につきましては火薬類取締法の規制を受けることになっております。  と申しますと、まず購入につきましては、都道府県公安委員会から譲り受けの許可を受けまして、許可証を火薬類販売業者に提示しなければ購入できないことになっております。これには例外がございまして、狩猟に使用する場合には一狩猟期で三百個までは譲り受けの許可を受けることなく購入することができるというふうになっております。次に、使用する場合につきましては標的射撃の場合がございます。これは一日に四百個、それから狩猟する場合には一日に百個を超えて消費するときは、公安委員会の消費の許可を要するということになっております。さらに保管につきましても、先ほど申しましたような堅固な保管庫に保管する場合に限りまして八百個まで自宅でも保管することができるようになっているわけでございますが、この場合でも猟銃とは別にしまして保管しなければならないという決まりになっております。  また、火薬類の譲渡、それから譲り受け、消費または貯蔵の規定に違反した者につきましては、一年以下の懲役または十万円以下の罰金ということになっておりますほかに、さらに実包を今度は猟銃とともに保管する場合、そういったときには十万円以下の罰金に処せられるということに規定がなっております。
  239. 西村章三

    ○西村(章)委員 この事件が発生をいたしました後、国家公安委員会は銃刀法の改正を含めた許可基準の再検討並びに凶悪犯歴者への許可除外を打ち出した、こう受けとめておるのでありますが、また先ほど大臣からもそのようなお話がございました。文字どおりそのとおりだと受けとめてよろしゅうございますか。
  240. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 事件の発生した翌日に全国に通達を出しまして、凶悪な前歴を持つ者に対する所持の許可は当分保留にしなさい、こういう指示を出して、そのまま保留の状態に現在まで来ておるわけであります。それからなお、法改正を含めて基準全体の見直しをするということはただいま申し上げたとおりであります。
  241. 西村章三

    ○西村(章)委員 そろそろ時間が参りましたので、最後にこれは大臣にお尋ねをしたいわけでございますが、私は今回の三菱銀行の事件というものはいろいろな教訓を残したと思います。特にその中でもいわゆる銃刀法の所持についての基本的な認識の問題があったと思うのであります。  銃刀法の第三条、これは次のように書いております。何人も、「銃砲又は刀剣類を所持してはならない。」この条文で規定するとおり、所持禁止がいわば原則である。ところが、現在の警察行政は、欠格事由に該当するケース以外は許可しなければならないように思い込んでいる傾向が強い。しかし、この考え方は銃刀法の解釈、運用を基本的に取り違えているものでございまして、いわば許可件数の多いのは百害あって一利なし、かように思えるのでありますが、先ほどから大臣の決意もお伺いをいたしておりますが、根本的に法改正をするおつもりがあるのかどうか、もう一度御確認をして私の質問を終わりたいと思います。
  242. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 ただいまの御指摘の点は、私はきわめて重大な点だと考えております。従来の法解釈がそのような解釈であったとすれば、これは相当重大なことだと私は受けとめておるわけでございまして、そういう点も含めて私は根本的な見直しを行う、こういう決意でございます。
  243. 西村章三

    ○西村(章)委員 ありがとうございました。終わります。
  244. 松野幸泰

    松野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十四分散会