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福田政府委員 今回の四十一条の三の助言義務の御質問でありますが、これは第一条の
趣旨から申しましたように当然の
規定であります。したがって、当然の
規定でありますから書かなくてもいいということもございますが、これはやはりその中で中心をなす脱税に対しては厳しい目を持つということが
税理士には必要であると思います。これはまた社会一般からの目であるわけでありますから、現在のような社会情勢ではなおさらでございます。したがって、ここでその
趣旨を明確にするということは、これは
一つの社会的責任の
明確化という
意味で大事な
規定であろうと思うのです。これが社会から支持されている今回の
改正のポイントであろうと思うのです。これを書かないことよりも書いた方がベターであるというふうにお考え願いたいと思うのです。
もう
一つは、この中が余りにも抽象的に免れもしくは免れようとしたということでは、この辺のまた客観的事実の認定に問題が生じますので、ここに書いてありますように、不正に「賦課若しくは徴収を免れている事実、」というのがまずございまして、あとは、免れようとしてというふうな表現も考えられたわけでありますが、ここはやはり具体的なことで書かないと
税理士の保護にならないわけであります、反対に申しますと。したがって、「事実の全部若しくは一部を隠ぺいし、若しくは仮装」というふうな明確な書き方になっておるというふうにまずお考えを願いたいと思います。
この違反は、脱税
相談の
規定は適用されませんが、一般の
法令違反の一般懲戒の
対象にはなります。現在の
規定でも信用失墜の禁止というのが三十七条にあります。「
税理士は、
税理士の信用又は品位を害するような
行為をしてはならない。」これだってなかなか
内容は決めがたいわけで、しかしこれは同じく一般の懲戒の
対象になるわけであります。ここはその種のものに比べますとむしろ、はっきりした
税理士の責任を書いておるわけでありまして、脱税
相談の禁止というのが三十六条にありまして、これは四十五条でその場合の懲戒がはっきりしておりますが、さらに、故意に真正の事実に反して
書類を
作成したときとか、この種の
規定とのバランス、すなわち、脱税
相談というような積極的な脱税指導というものに至らないで、しかも明確に脱税の事実を知っておる、または脱税に至る事実を知っておるというときにアドバイスする、助言というよりも注意をするというのは
税理士の当然の責務であろうと思うのです。これはアメリカの規則にも明確に書いてあるところでありまして、これは
税理士をやっておられる以上は当然に守るべき義務であろうと思います。
ただ、これの義務違反を脱税
相談と同じに扱うことには問題があると思います。これは作為的に指導しておるものと不作為的なものとの差、したがって、一般的な
法令違反というものとして扱う。しかし、その場合の扱い方はおのずから常識のある
判断が行われようと思います。まして新しい
規定でありますので、その辺の
運用がどうされるかは危惧のないように持っていく必要がございますし、この注意をすることによって脱税の事例が減っていく、九〇%は注意をされれば減ると思います。そこに社会的なやはり
改正の
意味があるというふうにお考え願いたいと思います。むしろ懲戒をすること自体に
目的があるわけではありません。そういうふうにに考えるわけです。以上であります。