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左近政府委員 産地を取り巻く条件が変わってまいりまして、問題点が生じておることはもう御
指摘のとおりでございます。そこで労働問題についてでございますが、まさに御
指摘のとおり、ことしの白書でアンケート調査をいたしましても、昨年のように一般的に
不況で、
雇用調整が行われたといわれている
時代でも実は
中小企業は人手不足である、つまり働き手が欲しいけれども得られないというふうなアンケートが出てきております。したがいまして、われわれとしては優秀な労働力が
産地の
中小企業に確保できるということが、こういう
時代でも大いに必要であるというふうに考えておるわけでございます。ただ、ことに若い人が働く場として居つくというためには、やはりその
産業が発展性を持っておるということで、将来の希望が持てなければなかなか人が集まらないということもございますし、また発展性があり、かつ現在収益力がございませんと、賃金も十分に払えないしあるいは労働環境も整備できないあるいは休日なども十分とれないというような問題もございます。したがいまして、やはり基本は
産地の
産業、その
企業が将来性のあるような、力のつくような
対策をまずしなければ、なかなか労働
対策だけではうまくいかないというのがわれわれの
考え方でございます。したがいまして、むしろ
産地対策自身を円滑に進めていくということ自身が労働確保に一番基本的に役に立つと思います。しかしながらそれだけではなくて、労働省におきましてもいろいろな労働
対策をとっていただいておりますし、われわれ自身といたしましても、研修制度とか
技術者の養成制度ということをいたしまして、いわば
技術を高度にして、それによってそこに働く場を可能にするというようなことも考えております。したがいまして、そういう点での技能労働者の確保、若い青年の確保という点については、十分な
努力をこれからしていきたい。しかし、それはむしろ
産地の
企業が、先ほど申しましたように新
製品を
開発し、新
技術を
開発して、より強くなっていくということがやはり必須条件であろうというふうに考えておるわけでございます。
それから、原材料の問題も御
指摘のとおりでございまして、従来の天然産品ではなかなかうまくいかない、もうなかなか入手しにくいということがございます。それに対しては今後どういうふうに
転換していくかという問題で、
一つは御
指摘のとおり輸入に仰いでいくという点もあります。あるいは原料
転換をして化学
製品というようなものにしていくという点もございますが、こういう点については、この
産地対策振興計画の中でいろいろ考えていくという必要があろうかと思いますが、その場合に、大
企業製品に依存するという場合に、またいろいろな問題点も出てまいります。したがいまして、そういう点は
産地の
計画に即して、この原材料問題で
産地の
振興がつまずかないような
対策を
ケース・バイ・
ケースで
実施していこうというふうに考えておるわけでございます。
なお、若干余談という形になりますが、この
産地対策の
適用を受けないところにつきましても、実はいろいろな
業種別
組合に対しまして活路
開拓調査指導
事業というものをやっておりまして、
組合が原材料の枯渇問題について調査研究をするというものに対しても
助成をやっておりますので、そういうものを一般の
地域には
適用する、それから
産地についてはより手厚く
適用するということで
実施していきたいというふうに考えております。
それから、伝統的工芸の問題も、やはり
産地というものは、伝統的な工芸というものが
中心に発達したという
ケースが非常に多うございます。したがいまして、こういう
地域につきましては、いわゆる伝産法によりまして後継者の育成をやるとか、あるいは伝産会館をつくるというようなことで、伝統的な
技術の保存に努めていくということを一歩進めておりますけれども、またわれわれの方の
産地として考えますと、そういうふうな伝統的な
技術を保存するとともに、その
地域の中ではそういう伝統的な
企業を生かして近代的な
製品をつくっていくという芽も育てたい、そしてそれはまたこの
産地法の方でそういう点をやっていきたいというふうに考えております。したがいまして、この伝統的な工芸
産地も、伝統工芸そのものをやって生きるという
企業もあれば、そういう素地を生かして、
技術とかあるいはデザインとかそういうものを生かしながら新
製品を
開発するというふうな、二つ相並んでその
産地が
振興するという形が適当ではないのではなかろうかというふうに考えておりますので、そういう点で、やはりこの
振興計画の
内容でわれわれもいろいろ御
意見を申し上げ、指導を申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。