運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1979-05-08 第87回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月八日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 橋口  隆君    理事 野中 英二君 理事 武藤 嘉文君    理事 山下 徳夫君 理事 渡部 恒三君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 岡本 富夫君 理事 宮田 早苗君       鹿野 道彦君    始関 伊平君       島村 宜伸君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       原田昇左右君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    後藤  茂君       上坂  昇君    渋沢 利久君       清水  勇君    中村 重光君       長田 武士君    玉城 栄一君       工藤  晃君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         通商産業大臣  江崎 真澄君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         経済企画庁総合         計画局審議官         兼物価局審議官 戸田 博愛君         通商産業政務次         官       中島源太郎君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君         資源エネルギー         庁石油部長   神谷 和男君         資源エネルギー         庁公益事業部長 豊島  格君         運輸省自動車局         整備部長    小林 育夫君         建設省住宅局参         事官      吉田 公二君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全調査室長  佐々木壽康君         大蔵省主税局税         制第一課長   水野  勝君         建設省道路局企         画課長     渡辺 修自君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   大成 正雄君     中馬 弘毅君 同日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     大成 正雄君     ————————————— 五月四日  出版物再販制廃止反対に関する請願(安宅常  彦君紹介)(第三二八五号)  同(大出俊紹介)(第三二八六号)  同(小林正巳紹介)(第三二九七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  エネルギー使用合理化に関する法律案(内  閣提出、第八十四回国会閣法第七八号)      ————◇—————
  2. 橋口隆

    ○橋口委員長 これより会議を開きます。  第八十四回国会内閣提出エネルギー使用合理化に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渋沢利久君。
  3. 渋沢利久

    渋沢委員 省エネルギーの問題というのは、全体のエネルギー対策とのかかわりの中で言うまでもなく存在するわけでありますから、この法案の内容に直接かかわります前に、幾つかの点でまずお尋ねをしておきたいというふうに思うわけであります。  最初に、石油の後には原子力エネルギー開発しかないという観点で、電力業界ともども日本政府原子力エネルギー開発の旗を高く掲げて、また推進に当たってきたわけです。現にまたその道を進んでいるわけでありますが、一つ見方としては、こういう政策選択の傾斜が、一方では省エネルギー対策あるいはクリーンエネルギー開発というような点のおくれをつくり出している要因ではないのか、こういう見方もあるわけであります。原子力エネルギーの問題というのは避けて通れない課題一つだと思うわけでありまして、特に、最近、アメリカスリーマイル島の原発事故の発生にかんがみて、いわゆる原発安全性の問題の見直し、あるいはこのことに関連をして原子力エネルギー開発それ自体に触れてさまざまな議論がこれあり、アメリカカーター大統領の志向する方向も一層際立ってくる、こういう状況が一つあるわけであります。したがいまして、そういう観点で、日本政府対応がいかがなもりかということは一つ問題点だと思いますので、まずその点に触れて幾つお尋ねをさせていただきたいと思います。  最初に、大飯原発運転を停止いたしましたが、これはいかなる経緯、いかなる理由運転をとりやめられて、いまいかなる対応をなさっていらして、どういうお見通しでありましょうか。まずその点から、特に原子力安全委員会とのかかわりの問題にも触れて、最初説明を願いたい。
  4. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生お尋ね大飯原子力発電所の件でございますが、これはスリーマイルアイランド事故に端を発しておるわけでございまして、アメリカ規制委員会といたしまして、スリーマイルアイランドにおける事故の中で、同じPWR型の加圧器水位に問題があるのではないか、そういうことで、そういう水位計が特殊な事故、たとえば逃し弁が開いたままで蒸気が噴き続ける、そういう場合には加圧器の中の水位が上へ張りつきまして、そのために水位計が実際は水がなくなっていくのにもかかわらず、満杯であるかのように指示をする、そういうような問題に端を発しまして、ECCSがそれによって作動するのが遅くなるという問題を提起されたわけでございます。     〔委員長退席渡部(恒)委員長代理着席〕  そういうことで、ウエスチングハウス社からそれに対する対応の問題について提起されまして、それで日本といたしまして、PWR型の原子力発電所として大飯の一号機が運転中でございましたので、それに対する対応をどうするかということで考えたわけでございます。  対応と申しますのは、当初はウエスチングハウス社といたしましては、圧力低下だけでもってECCSが働くようにするということでございましたけれども通産省の方の検討といたしましては、在来のPWR型とは大飯原発というのは若干構造を異にしておりますので、そういう点で一概に圧力低下のみでECCSを動かすということなく運転できるのではないかということで、安全委員会の方にその報告ないしその運転の仕方について御相談申し上げたわけでございます。しかしながら、その加圧器水位の問題について十分なる科学技術的な検討といいますか、データが不足しておりまして、そういうことで数値的な解析というのが十分でないということもありまして、したがいまして四月十四日に大飯原子力発電所をとめ、直ちにその解析を行うということを決定したわけでございます。したがいまして、関西電力は四月十四日の十一時ごろ解列いたしまして、その後出力を低下させて現在に至っているわけでございます。実際はその発電所を停止いたしませんでも、その解析そのもの電子計算機で行いますので、いいわけでございますが、しかし科学技術的な検討が十分に済まないのに運転をしておるということに対して、若干社会的な不安を惹起するという点も考慮いたしましてとめたわけでございます。  その後、加圧器水位計関連した事象解析をいたしまして、一つは二次側の給水が全部とだえてしまって、それでしかも補助給水ポンプが動かないという場合に一体どういうような現象になるかということの解析、それからさらに逃し弁が噴きまして、それがまたとまらないという場合にどういうような事象になるかという解析と、その二つの解析をいたしまして、第一の事象につきましては、これは逃し弁が開くことなく安全に停止する、それから後者の方につきましては十分後にECCSが働きまして、これも安全に原子炉が停止するということが確認されたわけでございます。その結果を四月二十四日に原子力安全委員会報告しておりまして、それでまた五月一日、その解析の結果に基づきまして、通産省といたしましては、安全性は十分に確保されるということが計算の上からも確認されましたので、現在の施設のまま運転しても差し支えないと考えておるということを原子力安全委員会報告しております。  これを受けまして現在原子炉安全審査会におきまして審議をしていただいておりまして、その結果が出たところで通産省としては大飯一号機の運転再開をしたい、こう考えておるわけでございます。
  5. 渋沢利久

    渋沢委員 私どもの党は、原子力については平和利用限り自主、民主、公開を原則として、その安全性が確保されるのであれば認める、こういう基本方針であります。ただ、いま安全性ということで言うといろいろ問題があるので、研究開発の段階、こう位置づけていろいろ究明せよということになっている立場がありまして、いま少し突っ込んで、この点一体どういう安全保障がわが通産省にはおありになるかを確かめておきたいというふうに思うわけですが、いまの説明によりますと、通産としてはとめる必要はないけれどもという意見、しかし安全委員会の方は、いろいろいま言われたような理由で、むしろこれはとめるという意見で、それを尊重する形でとめた、こういうニュアンスで承ったわけなんです。そしていろいろ検討の結果、もう再開してよろしい、こういう判断委員会の方に出している、あとは安全委員会意見を待っている、こういうふうに受けとめるわけなんです。新聞報道なんかは、そういう意味で伺うとずばり当たっておるような感じがするわけですが、マスコミの報道によれば、停止の必要がないと抵抗し、最後に原子力安全委員会に屈した、こう伝えられるわけですから、抵抗した理由や、屈したという言い方が適当かどうかは別として、合意をした理由がどういうことか聞きたいところだけれども、同時に新聞が伝えるところによると、現場で働いている技術者労働者の諸君は、再開について慎重な取り扱いを求めているというふうに言われるわけですけれども、同時に通産は非常に再開を急いでいる、こういうことも言われておるわけです。この辺のところを、電力供給の責任が一つあり、一方では安全性の究明という課題と、忠ならんと欲すれば孝ならずというような式のかかわりがあって、通産としては、ひたすら安全性の障壁を乗り越えても再開という方向を急いでおられる意図はわからぬわけではありませんけれども、しかし、あいまいにしていい問題でもありませんので、いま少しその点をただしておきたい。  それで、安全委員会というのは、科学技術庁もお見えのようですから念のために聞いておきますが、これは、聞いておる範囲では、安全点検判断を下す技術的な検査実務に当たれる人というのはきわめて限られておるという指摘があるわけですけれども委員のほかにスタッフというのは、専門安全委員会の担当をしている者は何人おるのですか。そして、事実、技術的な検査実務に当たる人間というのは数人しかおらぬ。NRC、つまりアメリカの例の規制委員会が二千数百名のスタッフを備えているのと対比して、日本政府には、原子力エネルギーにかかわる安全保障についてのまじめな姿勢のかけらもないという批判専門家からもあるわけです。参考までに、どんなスタッフで、どんな体制でおやりになっているかをちょっと聞かしていただきたい。
  6. 佐々木壽康

    佐々木説明員 ただいまの問題についてお答え申し上げます。  安全委員会のもとには、現在、原子炉安全専門審査会というのがございます。これは政令によりまして、定員が四十五名以下というように規定されておりまして、現在三十九名を発令いたしております。この方々専門的に審査をなさるわけでございますが、この審査会のもとには三つの部会がございます。発電用炉の場合には発電用炉部会というのがございまして、約三十名の方々がこの部会に所属しておられますが、その方々によって詳細な審査がなされております。  それから、御指摘事務局の方でございますが、科学技術庁原子力安全局の方に原子力安全調査室というのがございまして、五十四年度の定員で十二名ということになっております。このうち、審査関係を担当しておりますのは七名でございます。先生指摘のとおり、事務局の方は確かにそれほど人数的には充実しているとは言えないかもしれませんけれども専門家方々のいろいろな御援助をいただきまして、私どもとしては、安全審査にできる限り万全を尽くしているわけでございます。  それから検査の方でございますが、私どもは、検査は担当しておりません。検査の方は行政庁、つまり発電炉につきましては通産省の方がなさっておられますので、検査の要員は必要ございません。
  7. 渋沢利久

    渋沢委員 いかに粗末な体制でこの重要な課題を担っているかということをお答えいただいたにすぎないわけです。  そこで、通産省の方の意見をどうしても聞かなければいかぬのですが、日本安全性の問題について非常に批判が強いのは、たとえばアメリカで起きたような事故は別といたしましても、事故の件数は意外に日本でも出ているのですね。ところが、いままでのケースで言うと、いろいろ追及され、指摘されて、後で説明を加えるという式のケースが多いために、関係者の間で非常に不信感が強い、こういうことがあるのです。大体、日本原発事故なんかも、公表されただけでも百件を下回らない数がありますね。公表されない部分、微細な部分を入れると、これも三百件を超えると専門家は言っております。しかもいま言ったように、非常に物を隠して隠しおおすというケースが多いことが、むしろ安全性に関する不安を広げているという感じがするわけですね。大清水トンネルのこの間の事故じゃありませんけれども消火設備がちゃんと置いてあって、あの程度のことで事故が起きるはずのない体制に本来保安管理上なっているはずです。理屈から言うと、あんな事故は起きちゃならぬのですよ。先ほどの御説明からいいましても、何の心配もない、大飯原発も直ちに再開して結構とおっしゃるわけだけれども、素人は大変心配なんですね。とかくこの種の事故は安全だ安全だと言うだけで、安全の実証が十分にされない新しい分野の機器の災害というのは大変恐ろしいというふうに思うわけです。  そこで、エネルギー庁の長官は、エネルギー問題全体にわたってのまさに専門家、大変なオーソリティーでいらっしゃるので、最近特に各方面で大いにその議論を展開されておる。特にこの間「通産ジャーナル」の四月号か何かであなたの文章を拝見しましたけれども、その中でもかなり大胆に、安全性についていささかの疑念もないことを強調されておる。表現はそのままでありませんけれども、たしか、いろいろ御心配になるような原子力エネルギーについては危険性というものはない、公害もない、こう言い切っていらっしゃる文章を拝見いたしました。  私どもわかりませんので、その専門家立場幾つか伺っておきたいんですが、たとえば、これは私の調査ということじゃなしに、石谷さんという、学術会議エネルギー資源問題特別委員会委員長で、阪大の先生です。御存じだろうと思いますが、この方がこの間論文で、アメリカ原発事故関連をして、日本の問題に触れて幾つ指摘をされています中に、途中省略いたしますけれどもハインリッヒ法則という安全技術の大法則に照らして、このアメリカ事故というのは起こるべくして起こっている、そしてたまたまスリーマイル島で現実化したにすぎない、原子炉には幾重もの防護システムがあるから、一つ一つを完全に点検しておけば事故は起きないという見方は、まさに安全技術常識違反であるということを指摘しておられるのが一つ。  もう一つ、この先生が言っておりますことの中に、公正な第三者検査機能を欠いている、これはよその国との対比の中で非常に際立っておるということを言っています。アメリカ西ドイツ、イギリスなどの場合に、この第三者検査機関というものが非常な権限を持って、そしていざというときに対応する仕組みができておる。日本にはそれがない。それから、先ほど私も聞きましたように、安全委員会機能も大変微弱であるというようなことをつけ加えて言いますと、この種の専門家原子力発電について非常に心配である、これは何らの安全保障もないと言っていい状態だという警告を発していらっしゃるわけであります。こういうことについて、ひとつ長官の、安全性問題についての認識を伺いたい。
  8. 天谷直弘

    天谷政府委員 私が「通産ジャーナル」に発表しました論文は、省エネルギー月間で、名古屋におきまして、その行事の一つとしてした講演の記録でございます。その中で申し上げておりますことは、若干舌足らずの点もありますので敷衍して申し上げますと、石油供給の将来につきましては、中長期的に見まして私どもは非常に重大な、危険な問題がはらまれている、こういうふうに考えております。もし石油供給が足りなくなったら、すなわち油断が発生いたしましたらどういうような危険が起こるかということにつきましては、世上いろいろ言われているとおりでございまして、食糧供給その他に相当な重大な混乱が発生するということは不可避であろうと存じます。万一油断が発生すればその危険というものは重大である。そういたしますと、それに対応する措置を講じなければなりませんが、私どもとしましては、現在の石油不足対応するためには、原子力一本などということはもちろん考えておりませんので、原子力石炭LNG、LPG、毛利元就ではございませんが、この三本の矢を束ねてやっと間に合うかどうかというふうに考えておるわけでございます。原子力を欠いた場合には、やはりそこの穴が大き過ぎて、LNG石炭だけでカバーすることはできないのではないかというふうに心配をいたしております。     〔渡部(恒)委員長代理退席委員長着席〕  そこで原子力でございますが、私がその講演等で申し上げましたことは、原子力が絶対的安全とはとうてい言えないということでございます。原子力であろうと電力であろうとあるいは石炭であろうとLNGであろうと、この世の中に存在するもので絶対的安全というものはあり得ない。もし絶対的安全を主張するということになりますと、それは、原子力の絶対的安全を主張すれば、原子力を否認することになります。電力の絶対的安全を主張すれば、電力存在を否認せざるを得ない。しかし、電力なり原子力なりの存在を否認いたしますならば、それに伴って起こるところの不便なり危険なりというものはまた著しく大きいものがあるから、したがいまして、われわれとしてなし得ることは、人間の知恵の限りをしぼって原子力安全性を一歩一歩高めていくということが必要である。絶対的安全性が確証されない限り原子力をやってはならないということでありますならば、その結果は、むしろ石油不足によって招来されるところの危機を拡大してしまうおそれがある。したがいまして、いまの原子力というのは、起こってくる事故実績等から見ますならば、ほかのエネルギー源と比べて著しく危険なものであるとは私どもは考えられないということであります。しかし他方、現在のエネルギーが絶対的安全であるとも考えておりません。ですから、技術開発をし、人知の限りをしぼりながら安全度を追求していくと同時に、しかし、原子力開発を進めることによって、将来起こるべきエネルギー危機から導き出されるおそれがあるところの危険に対して、対処しなければいけないのではなかろうかということを言っておるわけでございます。  ハインリッヒ法則につきましては、私はなはだ浅学でございましてよく存じませんのでお答えできません。  第三者検査に関しましては、アメリカ西ドイツ等がやっておる、日本ではやっておらないという御指摘でございましたが、一般的に申しまして、検査制度をますます充実しなければならないということは御指摘のとおりであろうかと存じます。しかし、アメリカの場合、第三者検査をやっておったということと、スリーマイルが起こったということがどういう関連になるのかよくわかりませんけれども、私どもアメリカ西ドイツ等制度もよく調べて、もし第三者検査制度の方がはるかに有効であるということであれば、そういうことも日本検討しなければならないと思います。
  9. 渋沢利久

    渋沢委員 いまの長官の話を聞いてあなたの文章を思い起こしていたのですけれども、ここにあります。まあひどいことをおっしゃっているので、いまは何か、だから安全性保障する、高める施策を推進しなければならないということをつけ加えられましたけれども、このお話では一言も、かけらもそういうことをおっしゃってない。いま御自身おっしゃったように絶対的な安全なんというものを追うことにどだい無理がある、こういう論理を展開されておって、酒だってたばこだって飲み過ぎれば安全じゃないのだよ、こうおっしゃっておる。飛行機や自動車事故もあるじゃないか、こう言っている。原子力エネルギー反対だと言うなら、ろうそくで暮らしたらどうだ、その意味指摘をされておって、安全性保障については一言もおっしゃっておらないところに、私は非常に際立った印象を受けたものですから、それでお尋ねをしたわけなんですが、しかしいまの論理は非常に飛躍があるのじゃないかという感じがいたしますね。私はやはり酒やたばこ自動車事故と対比してこの原子力の安全問題を論破される姿勢というのは、長官としていかがなものかというふうに考えるわけです。安全性についてすべての専門家科学者に対してきちんと解明されておって、そのための努力が十分にされているということがあれば、あるいはまた説得力があるのですけれども、残念ながらそういう努力がむしろ欠けておる。むしろあなたに言ってほしいことは、私がいま聞きたかったことは、いろいろ御心配だけれども、こういう論拠安全性の問題については御心配に及ばないのだということを、やはり国民全体にわかるように訴えていく、こういうことが必要なんです。私が長官からお聞きしたがったのは、あなた自身の安全性に触れての確信を伺いたかったわけです。言葉じりだけで言っちゃいけませんけれども、この言いようはむしろ本当に開き直りでして、これで安全性の問題にあなたがお答えになったというのではいかがなものでしょうか。  そこで、あなたに幾つかなお直接お尋ねをしておきたいと思うのです。  今度のアメリカ事故が、むしろいままで安全性の問題に触れて指摘をされておった幾つかの論拠に、非常な説得力、有力な保障を与えた感じがありますのは、たとえばアメリカネーダーが三年前に言っておることで、ECCSという安全装置が働くかどうか、「フル・スケールの実験ではまだ実証されていない。アイダホの実験施設で行われた二分の一の規模の実験では、六回のうち六回ともECCSはうまく作動しなかった。「原子力規制委員会の少なくとも一人の専門家は、安全だという有名なラスムッセン報告があるにもかかわらず、ECCS妥当性が実証されなかったことを認めている」」、こういう文章の一節があります。これは三年前にネーダーアメリカ緊急炉心冷却装置にかかわる所見の中で指摘をしておるのです。まさに起こるべくして起こったというふうな感じが今度のアメリカ事故の中でしているわけですが、日本の学者の中でも非常に強い批判心配を、この安全性の問題について展開している方々がありますが、その中で、たとえば法政大学の力石さんが出しました論文の中に一つありますので、これは安全性については酒やたばこについての安全性を云々するようなものだ、そうおっしゃるならろうそくで暮らしなさいとおっしゃる長官安全性についての不動の確信をひとつ裏づけていただきたいわけで、そういう意味で私の知恵ではとても足りませんので、力石さんの指摘している部分に触れて、当然反論がおありになりはせぬかと思うので、念のために伺っておきたいと思うのです。  この力石先生が出した安全性に触れた部分について、こういう指摘がございます。「原子力発電所は、煙突と冷却水のなかに微量放射能を排出している。境界地の人間の被曝線量は年間五ミリレムに抑えられている。われわれは、自然放射能を年間八〇ないし一〇〇ミリレム前後あびているので、五ミリレムは、まったく問題にならない線量であるということになっている。」これはまさにあなたのおっしゃるように酒やたばこの範疇だということなのだ。こういうことが言われている。しかし、パリ大のピエール・サミュエル教授が明らかに指摘しているように、自然放射能と人工放射能は明確に区別しなければならない。「自然放射能は、宇宙のかなたや地殻の底にある放射性原子から照射を受けているもので、原子そのものは生体から遠いところにある。ところが、原発からでる人工放射能は、放射性原子そのものであって、生体との接触を避けることは困難である。セシウム一三七やストロンチウム九〇は、カリウム、カルシウムといった生体にとって不可欠な元素と化学的に近縁関係にある。したがって、これはカリウムやカルシウムの代りに生体組織に結合されてしまい、ガンや白血病、遺伝子の損傷などのような有害な作用をするのである。」省きますが、大変こういう専門的な、自然放射能と人工放射能との性質の違いを指摘した論文で、これは、お読みになれば、われわれが見ましても全くそのとおりだと思わせるような内容を含んで論文が続いております。そうしてまた、現にシッピングポート原子力発電所周辺でのがん発生率の調査資料が、具体的にアメリカのペンシルベニア州の中でのデータがつけ加わりまして、そうして微量の放射能といえども、遺伝的な影響その他を含めて、科学者の間では重大な解明が残されている、未解明の分野だ、これはゼロにしなければいけない、こういうことを指摘した論文でございます。  大変極端な意見を長々と引き合いに出して恐縮いたしますけれども、こういうことについて長官は、いやそれは間違っておるよというような御意見でもおありなら伺いたいし、あるいは安全性についてあなたがしかとそれだけ強い御確信であるとすれば、いままででもこれからでも、この種原子力エネルギー開発について、とりわけ安全性について学究的な、科学的な課題として、投げかけられている疑問に積極的に答えていくような対応エネルギー庁としておとりになる、そういうお考えがおありになるか、それともエネルギー開発というものは国民専門家各層の理解、協力とは無関係に、あなた方の御判断でお進めになるという性質のものとお考えになっておるのか。私どもの理解で言えば、すべてそうですけれども、とりわけエネルギー問題というのは国民の理解と協力なしに進めることのできる仕事ではどだいないし、そのための手だてというものが余りにも足らない、後でも触れますけれども、そういうふうに思っているわけです。まして、先ほど来のあなたの御指摘をまつまでもなく、石油需給の内外の状況、また新たに指摘されるような八〇年代後半での枯渇状況、資源埋蔵量に対する認識というのは、ときどきいろいろに変わりますが、そのことを別にいたしまして、そういうかかわりの中で原子力エネルギー開発に力点を置こうとするあなたの立場は、それなりにわからないわけじゃありませんけれども、ならば、やはり国民各層の理解と協力を得てこれらの事業を進めようということであれば、安全性の問題については酒とたばこも同じだという言い方だけでは、それじゃ自動車事故がこわいのなら、あなた車に乗るのやめなさい、そんな開き直りで片づく性質のものではないように思いますので、どんな感覚、お考えでいらっしゃるか、伺いたいと思う。
  10. 天谷直弘

    天谷政府委員 原子力安全性の問題は非常に専門的な知識を要する事項でありまして、私のような行政官がその専門的論争の中に入り込むべきではないと思っております。たとえば五ミリレムの人工的放射能が子々孫々にどういう影響を及ぼすであろうかということは、放射線医学であるとか遺伝学とか生物学とかの、いろいろな学問の成果を必要とする問題であろうと思いますから、私のような、そういうことについて何も知らない者が安全であるとかないとかということを言ってみても、余り足しにならないのではなかろうか、そういうことについてはむしろ意見を差し控えた方がよろしいのではなかろうかというふうに思っております。しかし、そういう問題が専門家によりましてできるだけ徹底的に、冷静に研究されることはきわめて必要なことであるという認識に関しましては、その点は先生と私とは同様であろうというふうに考えております。ただ私が申し上げたいことは、そういう徹底的な論証、子々孫々に至るまでの安全性が確立されるまでは、原子力発電を進めてはいけないのかどうかという点の問題でございます。私どもは、やはり現在の日本が置かれている、あるいは世界が置かれているエネルギー情勢を考えてみますと、原子力発電が絶対的に安全とは言えないけれども、しかしながらやはり原子力開発ということは進めなければならない。同時にまた、科学技術の粋を挙げて原子力発電安全性検討は推進していかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、たとえば電気なら電気を何年か前に日本に導入しましたときに、電気の感電事故というものは絶対ないのかどうか、その安全性が絶対的に確立されるまでは電気は入れないというのは、私は一つの選択ではあると思いますけれども、それは国民の価値観なり何なりによって判断すべき問題ではなかろうかというふうに考えております。  なお、安全性のPRなり国民の御理解を得る努力が足りないのではないかという御指摘につきましては、先生の御指摘はまことにごもっともであるというふうに、まじめに受け取らなければならないと考えております。安全性の問題なりこのエネルギー事情の問題等につきましては、国民に事態の御理解をお願いする努力というのは、今後とも一層強化していかなければいけない、現状ははなはだ不十分であるというふうに私どもも考えておりますので、その辺の努力は一層傾けたいと存じております。
  11. 渋沢利久

    渋沢委員 私、時間がないので、余りこのことばかりやっているわけにもいかないのではしょったのですが、安全性の問題で言えば、遺伝的な部分だけではなしに、もっと技術的なことで、ウランの採掘あるいは濃縮、使い果たした燃料の廃棄物処理そのものを含めて、未解決、未解明の問題がたくさんあるという中で、エネルギー庁の長官がいま安全性の問題について触れるのはいかがかというようなことをおっしゃっておるけれども、しかし大変大胆な指摘をされておって、あなたのああいう言い方が、安全性の問題についてまじめに心を砕いておられる方々に、いとも簡単にエネルギー庁の長官が水をかぶせるという、そういう役割りしか果たしておらないという意味で、しつこいようでしたけれども私はあえて伺ったわけなんです。  単に遺伝的な影響だけではなしに、言うまでもありませんが、現にアメリカでは、先般報道されたように、カリファノ・アメリカ厚生教育長官が三日に上院の政府活動小委員会で、スリーマイルアイランド原発事故では、住民の放射能被害は予想以上に大きく、この事故によって起きるがんでの死者は一名ないし十名に及ぶと、がんの発生とそれに伴う死者の推定数まで証言をせざるを得ないというような事態は、これは背筋の寒くなる思いがするわけなんであります。しかも、同種同型の原発開発を行っております日本政府の責任者として、安全性については門外漢だから黙して語らずというのがよかろうというような言い方だけでも、これもまたいかがかと思うし、まして、先ほどの、ここにあるようにろうそくで暮らしてはいかがかという式の、こういう物の言い方は、これは反省をしてもらわないと大変困る問題だというふうに考えるわけであります。このことを強く指摘しておきたいと思います。  単に安全性の問題だけではなくて、経済性の問題、コストの点でも、一体エネルギー収支はバランスがとれるのかどうかということもいろいろ指摘をされているところです。しかしそのことでの質問は時間がありませんので省略をいたしますが、ちょっといまの安全性の問題について、長官と多少議論しましたが、大臣の所見をこの際明確に伺っておきたい。
  12. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 天谷長官は、安全性の問題については、私どもを補佐する立場で非常に強力な発言を私どもにはしております。いま例に引かれました講演は、あの事故が発生する前の講演であったというふうに私も理解をいたしております。今度の場面でも、私は、言いかえてみるならば、結果においてはやはり二重、三重に安全性を確保した原子力発電の機器そのものは、最終的には安全であったということも言えるのではないか。これはまだ最終結論ははっきりした報告は出ておりませんが、渋沢さんも御存じのように、二次冷却水を回しておるポンプの故障から始まったわけですね。それから非常用の炉心冷却装置というものは、テストとしては回転させる場面もあったが、本当にこれが動くかどうか、非常の場合にどう作動したかという点については、事実ECCSは動いておるわけですね。それをまた後から手でとめてしまったというあたりが、どうも私どももあの一連の報告を聞いておりましてよくわからないところであります。したがいまして、当然こういう故障が起こる、これは人間のやることですから、万全に、安全装置が幾重にもなされておりましても、やはり過ちはあるのだなというこれは一つのあらわれでありますから、これを十分検討いたしまして、今後わが国においても絶対こういうことのないように、十分配慮をしていかなければならないというふうに考えております。現在まで原子力安全委員会報告を聞きましても、まあこのミスというのはごく初歩的なもの、それから理解しがたいミス、どうしてこういうことが起こったかということについて理解に苦しむ、それなるがゆえに真相を究明するということを言っております。すでにもう危険状況にあるということについては、収束宣言がアメリカにおいて出されておることも御存じのとおりでありまするが、十分私どもは原因を究明し、カーター大統領も世界に公表する責任を痛感しておるようでありますが、特にアメリカにおいて開発された原子炉を使っておりまする日本としては、その実情を踏まえて、国民にも十分理解を得るような努力を続けることが、今後とも安全性確保をしながら原子力の電源開発を進めていく上に非常に重要な点であるというふうに考えておりまするので、安全第一ということは今後とも進めてまいりたいと思います。
  13. 渋沢利久

    渋沢委員 東京サミットに先立って、過般専門家会議、いわゆる箱根会談なるものが行われましたが、いろいろ幾つかの点が伝えられております。そして、さらに引き続いて国際エネルギー機関の理事会も五月に開かれるということですが、この理事会へ臨む、あるいはサミットの主要なテーマになるであろうこのエネルギー問題等に触れて、日本政府は特に積極的な提案を何か提起をする、こういう用意がおありでしたら伺っておきたい。  これは、欧米諸国から、省エネルギー対策についてもあるいは新たなエネルギー開発の取り組みについても、日本は非常におくれている、冷たいということはしばしば批判を受けてきたところだと思います。そういう中で、にわかに大平総理もエネルギーづいたというか、大変積極的な姿勢だけはお示しになっておるようですが、私ども危惧するのは、余り中身がない、ただ東京サミット対策で何かエネルギーショーが展開される、そのための政府対応努力ということであってはならないという気がするわけですが、具体的に日本が積極的な指導性を発揮して政策提起をするというような用意はおありなのか、それともこの箱根会談でも伝えられるように、あるいは理事会でも伝えられるように、諸国の御検討を承ってそれに対応していくということなのか。五%節約の方針も、たしかことしの当初、二月ごろには三%という方針を通産はお出しになっている。三%でいくんだ、こう言っておった。ところがこの理事会に出たら、これは世界の趨勢で五%という提起がされて、あわてて五%を追っかけてお出しになったという印象を持たざるを得ない。あれこれそういう印象の中で、政府姿勢を伺っておきたい。
  14. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 三%を打ち出したというのは、とりあえず打ち出したわけで、特にあの当時は諸外国におきましても冷静に対処しよう、ここであわてて対処することは、前回の例に徴して、消費者がばかを見て生産者及び石油関連業者が不当な利得を得たという前例もある、ぼつぼつやっていこうじゃないかということで、まず三%程度が妥当ではないかということになったわけであります。  五%については、御存じだと思いまするが、これはIEAにおいて話し合いをいたしました積み増し分も加味して五%の節約をしよう、こういうことになったわけでありまして、ただ、三%というものが腰だめで決められたものではないという点だけは、ひとつ御理解を願っておきたいと思います。  いや、しかし、その五%節約が本当に徹底しておるのか、こう反問されるならば、私どもも、これが十分国民の間に徹底しておるとはまだ考えられません。したがいまして、この非需要期である夏に向けての時期に、十月以降の最需要期での対応を十分に認識してもらうように、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、先ごろのサミットを控えてのいろいろな準備が行われる中で、わが国にポジションペーパーの作成が分担されました。このライターは天谷エネルギー庁長官であるということで、天谷長官の主張を中心にしてサミット参加国のそれぞれの理事者級が参りまして、箱根においてみっちり二日半にわたる熟議を重ねたわけであります。私は、この理事者クラスの討議というものは、そんなに激しいものではないのではないかというふうに一時予想したこともございましたが、もう二日半というもの、全く夜を徹して議論が尽くされたという状況を天谷君から聞きまして、大変まじめな態度、真剣な態度というものを再認識したわけであります。  そのときに、天谷長官日本側として何を提議したかというお尋ねでありますが、これは本人からも説明があろうかと思いまするが、五%の節約であるとか、代替エネルギーをどうするかとか、石炭利用を盛んにする、また石炭液化を促進する、LNGをどうするか、そういった一般常識的に考えられる議論のほかに、次期エネルギー、いわゆる太陽熱を初めとする核融合その他のエネルギー開発に、各国はそれぞれ、たとえば経済力に応じて分担金を拠出し合って、先進国は協力体制のもとに次期エネルギー開発研究すべきではないかというような提言をしたもののようでありまするが、これはお互いに政治的な問題も加味されることであるし、一応承っておこう、ただ、現在欧州諸国においてもインフレ防遏の問題もありますし、国際収支上の問題もありますし、経済的な問題と絡み合って相当高度な判断を要することである、趣旨としては理解したというようなやりとりがあったということは聞いておりますが、その他いろいろな議論がなされたわけであります。  もし必要があれば、天谷君から差し支えない範囲においてそれらのディスカッションの内容に触れても構わないと思います。
  15. 渋沢利久

    渋沢委員 余り時間がありませんので、先に進みますが、たとえば日本アメリカの関係で言えば、研究開発協力協定、四十九年ですか、福田・カーター会談での合意文書とか幾つかあるのですけれども、実績をいま見てみましても、確かに液化の共同研究などは一定の進歩があることは私も認めます。しかし、全体としてかなりちぐはぐ、十分だとはなかなか胸を張れる状況でもない。その原因は幾つかあると思いますけれども、その一つに、アメリカと比べて日本の場合は、研究開発の作業が、民間企業任せという言い方は少し乱暴かもしれませんけれどもアメリカ政府主導型と比べると、民間依存の体質がこの種開発事業に一本太い骨が入ってこないという弱点となり、少なくとも日米共同開発作業は、いろいろ協定を結びましても、つり合いのとれないかみ合いを私ども感じます。ですから、サミットでいろいろかっこうのいい文書をおつくりになるのは結構だけれども、ひとつ中身のあるエネルギー開発についての検討を期待をしておきたい。  問題の指摘だけにとどめまして、次にお尋ねをしておきたいことは、省エネルギーの部門別の目標です。たとえば日本エネルギー消費の際立った特徴ということで、アメリカなどに比べて非常に産業部門に偏っているといいましょうか、産業部門で五七%、民生が一九%、輸送十三%、ロスほか一一%というようなことで、民生部門はエネルギー消費が非常に低いということが、先進諸国の中でも際立った特徴だ、こう言われるわけですけれども省エネルギーの目標は部門別に言うとどういうことになりますか。
  16. 天谷直弘

    天谷政府委員 昭和六十年度、それから六十五年度における省エネルギー見通しは、長期暫定見通しの中に含まれているわけでございまして、総合計いたしますと、昭和六十年で一〇・八%、石油八千万キロリットル相当分の節約、こういうことになっておるのでございますが、これの計算根拠といたしましては、省エネルギー率が産業部門で一一・五%、キロリットルにいたしますと四千七百七十万キロリットル、民生部門で一四・六%、二千二百七十万キロリットル、輸送部門で一〇・一%、九百六十万キロリットル、こういうふうな一応の計算になっております。  この計算の根拠になっておりますのは、産業部門、なかんずくエネルギー多消費部門につきましては、産業ごとに昭和六十年までに、たとえばどのような燃焼技術の開発、改善が行われるか、あるいは省エネルギーの新しい設備投資、たとえば高炉炉頂圧発電というものは典型的な省エネルギー設備投資でございますけれども、こういうものが昭和六十年までにどの程度行われれば、エネルギー節約がどれくらい行われるであろうかという計算に基づいております。  民生部門につきましては、これから新築の住宅等につきましては、断熱化ということが普及していくだろうと思われます。日本ではヨーロッパ、アメリカと比べまして、従来は断熱化ということが余り進んでおりませんでしたけれども、今後急速に進むのではないだろうか。その辺のところが、民生部門の省エネルギー率が一四・六%というふうに、ほかより高く出ている原因かと存じます。  輸送部門につきましては、乗用車、バスの燃費の向上であるとかそういうことで一〇・一%見込んでおる、一応こういう計算根拠になっておるわけでございます。
  17. 渋沢利久

    渋沢委員 そのエネルギー消費で見ると、民生が大変低い。しかし、省エネルギーということでいくと、民生に非常に高いウエートをかけて産業部門は抑えていく。省エネルギーが企業のいわば活力を損なうような形、影響を与えてはならない、その景気動向一つを物差しにしながら、そういう配慮がこれだけは際立って生き生きと貫かれておる感じがするわけであります。大臣がニュースタイルで、省エネルックでいろいろ宣伝される。きょうは着ておらぬようですけれども、その点は結構なんだけれども、しかし、これだけは一言言っておかなければならぬと思うのです。釈迦に説法だから具体的には言いませんけれども、欧米各国は、一定の企業に対しての厳しい要求をしている。同時に非常に強い補助を出す、あめとむちと言いますけれども、いろいろ議論のあるところでしょうけれども、企業の活力への影響というような部分でだけ省エネルギーの問題をとらえるという発想自体が、実は問題なのではないかという有力な見解もあるわけです。もともと省エネルギーというのは、少ない資源で、狭いスペースの国土で、たくさんの日本人が息長く生き抜いていくためのありように触れる問題ですから、言いかえれば日本の産業構造それ自体、エネ調の中間答申の文章にもあるように、多消費型産業構造から省エネ型構造への転換なんて、言葉では簡単におっしゃっているが、言葉のみありきで、内容的にはどこがどう本当に変わっていくような構造としてとらえられているのか、少なくともここに出された法律を見る限りにおいては、さようなものはいささかも、そんな高い次元のものではどうもなさそうに思うし、日本エネルギー政策を見ても、エネルギー基本法というような長期総合的な政策があって、その中で省エネルギー対策というものが位置づけられるというようなものでもないし、乱暴な言い方で言うと、いまある熱管理法の焼き直しではないのかと思わせるような、やや矮小化された法案の内容という印象を受けざるを得ない、ここが実は問題なのではないのか。むしろ企業への影響ということへのおもんぱかりというのは、これはやはりエネルギー問題で考える限り、いささか近視眼的な配慮、姿勢ではないのかという感じがいたします。  そこで、この法案になじまない提案になるかもしれませんが、やはり省エネルギーという課題に真正面から取り組む、対応するということであれば、もっと国民各層の協力が得られる、知恵を結集する、こういう仕組みがどうしても必要なんではないのか、一体省エネルギーというものをどう考えているのだろうかと改めて尋ねざるを得ないような感じに、この法律の内容から見れば思うのです。ガイドラインを設けてあれこれ言うていますけれども、一定の効果はもちろんあるでしょうが、しかし、日本ほどある意味省エネルギー政策にかけなければならない、欧米諸国の進んだ例を挙げるまでもなく、日本どもっと深刻にこの課題ではかけなければならないにもかかわらず、これは通産省の仕事がちょっとふえた程度の、日本省エネルギーというよりは、通産のお役人の皆さんが多少仕事がふえてハッスルする程度の省エネルギー……(「洋服だけだ」と呼ぶ者あり)そうそう、そういう感じが、私はそうは言いませんけれども、世間ではやっぱりそういう言い方をしておるように思うわけであります。これはひとつ大臣がこの法案をもってよしとされておるかどうかをお尋ねしておきたいというふうに思うわけであります。  一つには、いま言いましたように、やはりもっと広い各層、専門家、そして国民の理解と協力を得るという仕組みが省エネルギー政策の推進には不可欠だが、そんなものはかけらもこの法律の中にはない。あるいはエネルギー消費の実態というものをもっと国民に知らせるための提起、省エネルギー白書というようなものも私はあっていい、そういうものを国民の中に、日本エネルギー構造のすべて、そしてその消費の実態というものを克明に知らせるということの努力も、やっぱり政府の大きな責任だというふうに思う。あるいはまた、人的資源の確保、これはやはり技術開発のまさに大きな責任、能力が問われる分野ですが、日本の頭脳流出、アメリカエネルギー各機関の中に日本の有数な頭脳が張りついている。いまの日本の仕組みの中では、こういう人材を定着させ得ない構造が残念ながらある。本当に省エネルギーの効果ある施策の運用のためには、人的資源をどう実際確保していくかという課題にもこたえていかなければならないという問題もあると思うのですが、全くそういう視点がないという感じがいたします。これで省エネルギー施策のすべてと言えるのでしょうか、この法律は。初めてお出しになった、省エネルギー法第一号なんだけれども、大臣の率直な所見を伺いたい。
  18. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 最初の御指摘の大口需要者の規制を行わないのは手ぬるいのではないか、これにつきましては、御承知のように、景気の持続、雇用の安定、物価の安定、これが私はことしの三大政策と言っても差し支えないと思うわけでございます。したがいまして、大口需要者にはやっぱり石炭の混焼であるとかあるいは石油の節約であるとか、そういう面では積極的に協力を求めておるところです。ただ、大口需要者の規制を行政指導でやりますと、これは生産に直ちに響きます。これは製造業ですから、したがってすぐ雇用面に響いてまいります。そういう面でわれわれとしても配慮をしておるわけですし、前の、石油が四倍になったあのショック以来、企業の面においては節約が的確に行われ、合理的に行われ、経済が成長しておるにもかかわらず、たとえば、日本の生産がピークに達しました石油ショック直後の四十九年一月より、五十四年の二月は六%も生産稼働率は上がっておるわけです。それにもかかわらず、製造業の石油消費量はおおむね横ばいということで、高くなったことによって価格メカニズムが働いて、非常な節約を呼んでおるわけです。ところが、一般民間においてはこの認識が比較的浅い。むしろ石油ショック時までのあのエネルギー消費のピークよりも、四%ぐらい消費が上回っておるわけですね。これはやっぱりだんだん生活が便利になった、需要が多くなったと言えばそれまででありますが、御指摘のように、確かに民間の協力というものがいまだしの感があるわけであります。したがって、民間を中心に、今後エネルギー節約というものは日本にとってはむしろ暫定的なものではなくて、永久のものであるということを徹底することが必要である。これはもうぜひ御協力をお願いしたいと思います。  それから、法律については、もう時間もないようでございますから簡単に申し上げますが、エネルギー使用合理化についていろいろな措置を盛り込んでおるという点が一つ。それから、熱管理法というものが産業部門の一部についての措置であったというのに比べまして、今回は民生とか輸送のすべての部門のエネルギー使用合理化措置を積極的に盛り込んでおります。そういう点では飛躍的な対象拡充がなされたのではないかと言えると思います。それから、熱管理法に比べまして、たとえば建造物、機械器具の規定が加わっております。いま申し上げたように民生部門、輸送部門にまで対象が広がった。それから、産業部門につきましては対象エネルギーとしての電気が加わったこと、勧告の措置を新たにつけ加えたこと、それから中小企業の省エネルギー化につきましても、本法に基づく判断基準をもとに、第五条によりまして中小企業を含めた工場に対する指導、助言を行うことにしております。それから、省エネルギーセンターによる診断指導、エネルギー管理従事者の研修、情報提供を行うことにもいたしております。そしてまた金融面では、これはまことに乏しいと御指摘がありましたが、とにもかくにも中小公庫による融資制度を考えたこと、税制面では省エネルギー設備投資に対する特別償却、固定資産税の軽減措置も考えたということ。ですから、これはいまの場面であるいは十分でないということは言えるかもしれませんが、ずいぶん画期的に前進させた措置をとっておるわけでありまして、ぜひひとつ御理解をいただきまして、まずこの法律案を成立させていただくということをお願いしたい、こういうふうに思っております。
  19. 渋沢利久

    渋沢委員 大臣としてはいろいろおっしゃいますけれども、たとえば住宅融資の面だって別に特枠があるわけじゃなし、まあさような活用をするものがあれば、多少めんどうを見るという程度の姿勢ではないですか。  時間がありませんので先へ行きまして、経企庁が見えているはずなので一点伺っておきます。  総合交通問題閣僚協の議長が経企庁だということで、経企庁が事情を知っておられるかどうか、簡単でいいですが、最近の石油情勢に絡んで、交通政策の見直し、総合交通体系に基づく対策の見直しの検討を始めたということが言われておるのですが、これは運輸省任せではできるわけがない。本当にやるつもりで何かさようなことが決められたのか。時間がないですからその政策の中身はいいですが、どこの機関がいつから見直しを始めることになったのか、そのことだけちょっと聞いておきたいと思うのです。
  20. 戸田博愛

    ○戸田(博)政府委員 先生も御承知のように、臨時閣僚協議会というのが昭和四十六年に開かれまして、総合交通体系についての基本的な考え方が示され、それに基づいて交通政策が進められてきたわけであります。  しかし、最近一段と厳しさを増しましたエネルギー事情等も踏まえて、そのときの閣僚協議会の決定を見直すべき点があるかどうかという点について、当面運輸省は運輸大臣の指示に基づきまして事務的な検討をいたしておりますし、経済企画庁も、総合交通担当大臣であります長官の指示によりまして事務的な検討を始めたところでございます。ある程度事務的な検討が進みました段階で、総合交通体系についての昭和四十六年の閣僚協の決定を見直すかどうか、関係各省とも協議をしてまいりたい、そのように考えているところでございます。
  21. 渋沢利久

    渋沢委員 大臣、一つ伺っておきます。  確かに前年度から見るとムーンライト等のことしの予算はかなりふえました。ですから、伸び率だけで言えば大変力が入ったように言われるかもしれないけれども、いま実際の政策の重要性から言うと、これはお粗末に過ぎると私は思うんですよ。ですから、これは先へ向けてさらに大幅に省エネルギー研究開発のプロジェクト、予算措置を強化していく、そういうものをやるお考えがあるかどうか、これはぜひ強めていただかなければならぬ。ムーンライトと言いますけれども、これは暗やみの豆電球にも劣るものでして、威力ないですよ。先ほどもちょっと言いましたけれども、どうもぼくは、民間の企業に依存するというここを抜け出ることを政府は本気で考えないと本物にならぬのじゃないか、こういう危惧を含めてこの点を要望しておきたい。  それから、最後の質問ですから大臣に一言伺っておきたい。  同じ自立性ということで言えば、石油の問題で言うと、長期的にはやはりメジャーからの脱出、自立供給体制をどう日本政府は目指していくのか、ユーゴなんかすでに国家間取引という方向へ踏み出す。お国柄もあるからでしょうが、日本でそう簡単に言えることじゃないでしょう。メジャーすなわちアメリカ政府かと思わせるような構造の中で、そういう意味での自立体制というものをどう考えていくのか、これは非常に重要な課題じゃないでしょうかね。大臣のファッションショーはともかくとして、危機を言われるなら、危機に見合った積極的な大胆な構想で、ぜひ踏み出していただかなければならぬということではないかと思います。  最後に、そのことも含めましてもう一つ、事のついでで恐縮ですが、サマータイムについての法制化について何か検討があるように伝えられていますけれども、具体的に何かそういう検討の用意があるのかということを含めて、最後にお尋ねいたしたい。
  22. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ムーンライト計画は、いまおっしゃるように積極的に進めなければならぬと私は思います。豆電球とは思いません。まあ一番星くらいの明るさはあるわけですから、これを月くらいの大きさにしていくこと、これは大事ですね。そのとおりだと思います。どうぞそういう雰囲気を渋沢さんにおかれても御推進を願いたい、私どももひとつ積極的に努力いたします。  それからサマータイムにつきましては、週休二日制などと同様にいま前向きに検討しておりますが、ただ、サマータイムは、エネルギー節約という面から言うと、ムードづくりにはなるかもしらぬが、さまで大きな効果は上がらないというのが関係者の一致した見方のようであります。エネルギー政策というならば、むしろ週休二日だということになると思います。しかし、これも、ただエネルギー節約で週休二日制というのにはちょっと検討の飛躍があるように思います。これはやはり各関係省庁と十分熟議をした上で決めたいと思いますが、私どもの個人的な見解はどうかと問われるならば、サミットに集まってくる国々というのは週休二日制をおおむね八〇%以上実施しておるのですから、日本においてもそういう方向にいくことが望ましいと私は考えておるものであります。
  23. 橋口隆

    ○橋口委員長 後藤茂君。
  24. 後藤茂

    ○後藤委員 同僚議員の渋沢委員から、省エネルギー問題につきましての概括的な質問があったわけでございますが、私は重複を避けまして、なおエネルギーの問題に対しましての基本的な認識あるいはこれからの見通し等の問題について、最初に大臣にひとつ見解をお伺いをしてみたいと考えているわけです、     〔委員長退席渡部(恒)委員長代理着席〕  いま私たちが、この化石燃料と言われております石油なり石炭なりというようなものを、約六億年あるいはもっと以前からつくり上げて人類に提供してくれた、それをもうこの数十年の間に大変な速度で消費をしているわけです。石炭の時代から石油の時代、さらに新エネルギーの時代というものが私たち人類に訪れるわけですけれども、いまこの石油の時代がもう近く終わっていくんじゃないかというような意見、大変楽観的に見ましても二〇〇〇年ごろには大変な事態になるんじゃないか、非常に悲観的に見ますと、もう一九八〇年代の半ば前後には増産傾向には入らなくなってくる、つまり、新規油田の開発なりあるいは生産よりも消費の方が上回ってくるというようなことも言われているわけです。こういった石油資源というもののこれからの見通しを、大臣はどのようにごらんになっておられるかということを、最初にお伺いをしてみたいと思います。
  25. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点は私も同感に考えております。石油の安定供給というものが一体どう見通されるか、まことに不確実な状況がだんだん増幅するばかりであります。それから、仮にこれがいまおっしゃるように供給が続くとしても、価格の問題で、エネルギー源として一体本当に産業に利用できるかどうか、この点も危惧されます。カーター大統領ども、今度の中東情勢などをめぐって、石油危機は早まったのではないか、特にシュレジンジャーはこれを強調しております。一九九〇年代に問題は来るであろうということが言われておることは、いま御指摘になったとおりであります。そうなると、やはりわが国としては次期エネルギー研究開発、これは大平総理がカーターさんとの間で、昨年の福田訪米以来の懸案の問題として調印がなされました。調印したのは外務大臣とシュレジンジャー・エネルギー庁長官だったと思いますが、いずれにしろ研究開発を旺盛にしていくこと、これは長期的な視点ですね。中期的にはやはり石油代替エネルギーとしての石炭の効率を高める、石炭使用を高めるということ、天然ガス、それから、やはりいま問題になっておりまするが、原子力安全性というものを十分確保して、いまでも確保しておるわけでありまするが、先ごろの事故にかんがみまして、国民に十分理解と納得を得てこれが開発をしていくことが、やはり大切なことだというふうに考えております。
  26. 後藤茂

    ○後藤委員 世界の石油の賦存状況というのは二兆バレルとか言われているようですけれども、すでに三千四百億バレルが消費をされて、確認埋蔵が六千六百億バレル、さらに未発見が一兆バレル、こういうようなことが言われているわけです。特に未発見の場合、北海なりあるいはメキシコなり等々で発見をされておりますけれども、これからは恐らく極地あるいはまた深海等々に入っていくだろうと思うのですね。そうなりますと、もっと石油危機というものは深刻になりはしないだろうか。私はこれは後で専門であります天谷長官にお伺いをしてみたいわけですけれども、従来と同じように、仮に中東等で石油が産出をされてくる、生産をされてくるという場合には、危機のテンポといいますか、私はこれはおくれてくるだろうと思うのですけれども、そうではないのじゃないか。つまり、今度のイラン政変等を考えてみましても、産油国というものの国家的な政策というものが変化をしてくるんではないだろうかというように私は考えるわけです。  そこで、もう一つ大臣にお伺いをしてみたいのですけれども、ニクソンにいたしましても、フォードにいたしましても、あるいはカーター大統領にいたしましても、アメリカではエネルギー教書のようなものをその都度提起をしてきております。もちろんこれは国内の政治基盤あるいは国内的な政治的配慮をしながらの教書ということもありますから、額面どおりにその教書をそのまま受けとめるというわけにはいかぬだろうと思います。あるいはまた軍事力以上に、いまエネルギー戦略というものが非常に重要な課題となっているわけですから、そういたしますと、仮に自主開発にいたしましても、あるいは省エネルギー等にいたしましても、これまた額面どおり受け取るというわけにはまいらぬだろう。つまり、外交的な配慮というものが非常に大きいということもわかるわけです。  そういう意味通産省なり政府としては、そういった世界各国のエネルギー戦略に伴う情報というものは十分に承知をされているんだろうと思うのです。その上に立って、しかし、なぜエネルギーの問題について、石油ショック以後今日まで出されてきましたエネルギーに関する政府の方針なり見解なり見通しなりというものが、こんなにのんびりしたものなんだろうか、余りにも配慮し過ぎて、天谷長官に言わせれば、余り刺激をすると、かえってテンション民族はすぐに突っ走ってしまうという危険性ももちろんあるんでしょうけれども、もっと今日の世界のエネルギー、それからまたわが国のエネルギーの需給というものについて、国民に明らかにしていくということがとられていかなければならないんじゃないだろうか。総理の施政方針演説にごく抽象的、羅列的に資源の問題だとか、あるいは省エネルギーを進めていかなければならぬということは言われておりますけれども、その程度では、私は今回出されております法律案の実効の面にいたしましても、あるいはこれからの将来エネルギーに関する日本エネルギー需給構造の転換の問題にいたしましても、道遠しの感を持つわけです。政府のこれまでのエネルギーに対する考え方なりというものを、なぜ国民の皆さんに、こう考えている、こういう方向にしていかなければならないんだということを出されていないんだろうか。この点はどうも大変合点がいかないわけですけれども、大臣の御見解をお伺いをしたい。
  27. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点は私も重要だと認識しております。もっと国民に徹底させなければなりませんですね。ただ、こういうことも言えるんですね。いま値段はどんどんつり上げておりますが、量は、五%節約を使用量の多い先進諸国二十カ国が本気で取り組めば、これはあるんですね。第一、今度の場合でも、それは商社の努力があるんだと言えばそれまででありまするが、今度の四—六の場合でも二百七十万キロリットルぐらい多く入荷することが可能なんでしょう。それはどう考えてみても、節約がなされる、経済は伸びておりまするけれども、北海油田は開発された、アラスカ石油が出てアメリカの積み増し分についてカバーしておる、メキシコ原油も開発された。ですから、総量からすれば、その二百万バレル・パー・デーを節約することによってあるはずなんですね。これがどんどんつり上がる。そこに節約の徹底をもっとしていけば、私は値段調整もOPEC諸国の恣意に任せることなく、完全にやることができるというふうに思うのです。ですから、おっしゃるように、石油節約についてはこの夏から秋にかけて十分徹底していきたいということを思っております。これはやはり国民レベルにおける節約が第一ですね。これがもっともっと強く認識されませんと、日本は非常に不幸せで、またOPEC諸国の恣意に任せて値段をつり上げられるという現象から逃れることはできないと思います。十分心得て対策いたします。
  28. 後藤茂

    ○後藤委員 私がいま質問の仕方がちょっとまずかったからかと思いますけれども、私がいま御質問申し上げたのは、節約一辺倒に入れという意味で実は申し上げたわけではないんです。もちろんきょうは省エネルギー法案の審議ですから、エネルギーの消費を節約していかなければならぬということも大きな論議の課題になると思います。  私は、そうじゃなしに、仮に相当石油供給が潤沢であるといたしましても、この化石燃料の消費というものをこういうような形で使っていくということは、いずれ限界も来るわけですから、それに対応する政府姿勢、先ほどから渋沢委員に対しても御答弁がございましたけれども、新エネルギー開発だとか、サンシャイン計画なりあるいはムーンライト計画なりというものは先行いたしておりますけれども、全く中身がないというのは先ほどちょっと触れておられました。やはりこれだけイランの問題があったとしても、五百万バレル・パー・デーですか、そのくらい輸入されておる石油、そんなに心配しないで済んでいる。どこかに高度成長期あるいは昭和三十年代から今日まで、ほとんどみずからの手で苦労をしないで石油が潤沢に、しかも安く入った時代というものを、まだ、危機だと言いながら、あるいは心配だと言いながら、国民のすべてにそういう意識というものが働いていはしないだろうかということを私は考えるものですから、いま大臣にその点を御質問申し上げた。  エネルギーの問題というものは、政治の課題としては第一義的な大きな課題になるべきじゃないだろうか。日本の政治の場合にはどうしても防衛問題等々が華やかに展開されますけれども、もっとエネルギーの問題というものは論議されていいのじゃないだろうか。しかも、エネルギーの問題はあの防衛問題等と違って、政治選択の幅は狭いと私は思うのですよ。原子力の問題については非常に意見が多岐に分かれますけれどもエネルギーを確保していかなければならぬというのは、弾性値の問題だけ考えていったって、数字ではじけるわけです。しかもそれを石油に頼るのか、石炭に頼るのか、LNGに頼るのか、あるいはその他のエネルギー源に頼るのかということは、だれでも簡単にはじけるわけです。そうしますと、日本エネルギーの需給構造というのが石油に偏っておる。しかもその石油は、これからも開発を進めていくにいたしましても、まず値段も高くなるでしょうし、それから生産よりも消費が上回っていくということになってまいりますと、どうしても石油というものへの依存から脱却していかなければならない、そういうエネルギー構造に持っていかなければならぬわけでしょう。そういう意味で私は申し上げた。それが節約節約に矮小化されていくと、これからのエネルギー需給計画の方向を誤っていくのではないだろうか、こう考えるわけです。  そこで長官にお伺いをしたいわけですけれども、昭和五十二年に長期エネルギー需給暫定見通しというものが明らかになった。それからもう約二年経過をしているわけです。いろいろな国際的な事件も起こっているわけです。この長期エネルギー需給暫定見通し、暫定という言葉がありますね。暫定ですからずっと変わっていくのだろうと思うのですけれども、この暫定見通しに対して、再検討なり手直しなり、あるいはそれぞれのエネルギー別の積み重ねといいますか、積算等の作業はなされているのでしょうか。
  29. 天谷直弘

    天谷政府委員 暫定見通しが出された時点と現時点との間で大きな事件が二つあったと思います。  第一は、言うまでもなくイランにおける混乱ということでございますし、第二は、原子力発電に関してスリーマイル島における事件があったということかと存じます。特に第一の中東における政情不安定化、それに伴う石油供給の不安定化ということは、今後の世界のエネルギー需給に対しまして非常に深刻な影響を持つであろうというふうに思われます。スリーマイルにつきましては、まだ事件の全容が明らかになっておりませんこともございまして、今後の原子力発電開発のおくれにどの程度影響するかということは、いまのところまだはっきり測定しかねるというような状況ではないかというふうに考えます。  中東の情勢につきましては、これまた政治情勢というのは見通しがよくわかりませんし、それからもう一つはサウジアラビアの産油能力が一体どのくらいあるのかということにつきましても、いろいろな見方がございまして、これも正確に推定するということは非常にむずかしいわけでございます。しかしながら、二年前と比べまして明らかに石油供給事情が厳しくなった、不安定度が増大したということは明らかでございます。われわれとしましては、まず第一に、イランそれからサウジアラビアその他中東の政治情勢、石油供給能力、石油供給の安定性、こういうものに関しましてできるだけ正確な情報を得、見通しを立てるということが一番必要なことだと存じておりますが、なかなかむずかしい問題でございます。したがいまして、あの計画にある昭和六十年四億三千二百万、これはLPGを含んでおりますけれども、これの調達が果たしてうまくいくのかどうかということは、二年前と比べれば確かに疑問点がふえてきておるということは言えるだろうと存じます。特に原子力につきましては、スリーマイルとは無関係にあの計画と対比いたしますと、現実の運びの方がおくれてきておるということが言えるわけでございます。  しかし他方、いろいろ民間あるいは政府努力もございましてLNGの調達の方は、あの長期見通しの予定よりはやや進むのではないかという感じを持っております。それから一般炭の調達につきましても、一般炭による石炭火力を従来以上に努力していくというようなことで、あの計画にあらわれているよりは若干ではございますけれども進むのではないだろうか。したがいまして、トータルとして見れば、あの四億三千二百万の中で原子力が若干減って、LNGが若干ふえるとかいうようなことで、現段階におきましてそれほど大幅に狂ってはいないという感じはいたしておりますけれども、しかし当初に申し上げましたように、そもそも四億三千二百万、原油に直しますと大体四億キロリットル前後でございますが、その四億キロリットル前後を昭和六十年に入手するという基本的な想定が甘くはないのかどうかというのは、確かに重大な問題であろうかと存じます。現段階であれば、もう少し厳しい想定に組みかえた方がいいのではないかという考え方も当然あり得ることだろうと思いますが、一般的な経済計画とのすり合わせの問題とか、あるいは中東情勢が、何と申しますかもう少し見通しがつくようになるとかいうようなことも考えまして、あの暫定見通しをつくりかえるかどうかということにつきましては、慎重に検討したいと考えております。
  30. 後藤茂

    ○後藤委員 四億三千二百万キロ、エネルギー別の供給体制の中身に若干違いがあるかと思うが、大体この程度はということは、逆に言えば、当然経済の成長率なりあるいは雇用の問題等を考えていってみて、どうしてもこれは必要だということだと思うのですが、私は、いま長官が言われたようには実は思えないのです。  最初からずっとはじき出していって積算していって、最後に原子力にぶつけていって、過大に原子力の比率が高められてはいないだろうかということが一つと、それからクリーンエネルギーでありますLNGにいたしましても、最近はスリーマイル島の原子力の問題もあったのでしょうけれども、東京湾なり大阪、瀬戸内海等々の危険性、つまりLNG専用船があの海上の銀座と言われるようなところを通る場合に、わずかな衝突であっても大変な危険性を伴うということが、新聞やテレビ等々でも最近言われている。それだけじゃなしに、受け入れ体制が、東京、大阪、名古屋の都市ガスにLNGを仮に使ったとしても、それだけではごくわずかであろうと思いますし、ここで計画されておりますような三千万トンというようなものを、一体どのように受け入れ基地を設けて、そしてそれのパイプラインをどのようにつくっていくかという積算が明確になっているのだろうか。  それから、一般炭の輸入にいたしましても、日本の場合は、かつてはソフレミン報告等では、七千二百万トンというようなことも昭和三十年代の初めにはフランスの調査団が提起をされたこともあります。恐らく国内炭は二千万トン前後を超えないだろう。一般炭をどうしても入れていかなければならないし、IEAの勧告を見ましても、これからは石油火力でなしに石炭にしろということを言ってくる。そうすると、これまた大変膨大な投資が要るだろうと思うのです。いま数字的には一般炭が少しふえるだろうということであったといたしましても、この受け入れのコール基地をどうやってつくり上げていくか。あるいは石炭の場合だったら、シベリアなり中国なりオーストラリア等々になっていくのでしょうけれども、その開発投資が一体どのような裏づけがなされてきているのか。私は、いま長官が言われたような形では、いまの政府の予算のつけ方を考えてみましてもうまくいかないと思うのですね。だから、どうしたって石油のウエートが高まっていかざるを得ないと考えるのですが、いかがでしょうか。
  31. 天谷直弘

    天谷政府委員 エネルギー情勢は非常に不確定でございまして、たとえば現在の石油の値上がりにつきましては、半年前はだれもこのような値上がりがあると想定はいたしておらなかったわけでございます。それから、今後、たとえば六月のOPECで、一体またどのような値上げがあるのかあるいはないのかということも、いまのところ見通しは不確定でございます。  IEAでは一応七九年の需給アンバランスが大体二百万バレルというふうに見ておりますが、こういう需給のインバランスが来年も続いていくということでありますならば、スポットマーケットの狂乱というのが続き、OPECの価格もさらに引き上げということが起こる可能性がございます。したがいまして、こういうことを防ぐためには、節約によりまして需給をバランスさせることが必要でございますが、不幸にして節約が行われないということになれば、どうしても価格の騰貴という問題が起こらざるを得ないだろうと思います。そして価格が著しく騰貴すれば、今度はそのために世界経済が不況に陥るということで、昭和四十八年から五年間ほとんど世界の石油需要が伸びませんでしたが、これは四倍値上げの結果、世界経済が不況に陥り、石油に対する需要の伸びが落ちてしまったということで、要するに値上げによる強制的節約が行われたということを意味していると思います。  ですから、いまの石油の値段が余り上がらないということであれば、多分世界経済はある程度の成長をし、石油需要も伸びていくであろう。しかし、その間によほどの省エネルギー努力等をしませんと、場合によっては石油需給のアンバランスが起こりまして石油価格が高騰してしまうだろう。高騰いたしますと、いやおうなしに石油の節約が強制的に行われる。そして石炭LNG原子力その他の代替エネルギーに対する設備投資が経済的な原則に基づいて刺激されて、それによって経済的な適応が行われる。余り気持ちのいい愉快な過程ではなくて、不愉快な過程だろうと思いますけれども、そういうことが起こらざるを得ないのではなかろうか。非常に大きな要因は、やはり今後石油価格がどう動くかということに依存していると思いますが、私どもは余り石油価格を上げないで、節約をすると同時に、他方、代替エネルギー開発することによって、余り摩擦を起こさないで石油への依存度を減らしていきたい、こういうふうに考えているわけでございますけれども、いま先生が御指摘になりましたように、石炭にしろLNGにしろ、一つ一つ取り上げてみれば、これにシフトしていくのには容易ならざる問題がございます。政府の予算が少ないという御指摘も、少なくとも資源エネルギー庁としてはそういうふうに、同じような意見を持っておりますので、本当はもっと努力をしなければいけないのではないかと思いますけれども、しかし、財政上いろいろな制約もあることでございますから、その中で一生懸命努力をいたしまして、できるだけ代替のエネルギーへのシフトということを図り、石油価格の高騰を余り刺激しないようなことで円滑に進んでいきたいというふうに希望をしておる次第でございます。
  32. 後藤茂

    ○後藤委員 後の方で実は触れようかと思ったのですけれども、経済的刺激、つまり石油の価格が上がれば当然代替エネルギーというものが浮かび上がってくるわけですから、エネルギーコストが高いものも一応採算ベースに乗るということも恐らくあるでしょう。しかし、原子力はちょっと性格が違ってくると思いますね。先ほど渋沢委員が重ねて指摘をいたしておりましたけれども、やはり安全性の問題は非常に大きなファクターを持っているわけですから、そういたしますと、三千三百万キロというのは、これは非常にむずかしい問題を抱えていると私は思うのです。  そこで、私どもはよく提案をしていたのですけれども、たとえば小水力を開発していけば、まだ開発可能地点が二千万キロくらいあるじゃないかということを言う専門家もいるわけです。それから、揚水発電等に対してもっと積極的姿勢をとっていいんじゃないだろうか。もちろん揚水発電等については大変なエネルギーコストがかかるわけですけれども、私は昨年ルクセンブルクのビアンデンの揚水発電所を見てみまして、あれは人口三十五万ですね。それが十万キロの発電機九基、二十万キロの発電機が一基で、百十万キロの揚水発電所を建設しているわけですね。こういった揚水発電等に対して、ここでは相当大きく見込んではおりますけれども、これだっていまのような姿勢では、千八百五十万キロというのは実現できないだろうと思うのです。こういった揚水発電に対する取り組みというものは、もっと積極的にしていっていいんじゃないだろうか。  そこで私は申し上げてみたいのですけれども、三月十五日ですか、省エネルギー・省資源対策推進会議決定がなされ、この中では、これはムード的なものでしょうけれども、たとえばテレビの放送終了時刻を繰り上げろとかいうようなことを言われる。恐らく電力会社にしてみれば、夜のテレビをつけてくれているのは、どうせこれは余剰電力なんだから使ってもらった方がいいという姿勢があるだろう。したがって、通産省としても、こうは書いてありますけれども積極的指導はなされてないだろうと思うのですね。あるいはこれは文部省の方の所管になるのかと思いますけれども、たとえば高校野球が夏甲子園で行われて、あれの消費電力というのは非常に大きいということを、私は九州電力調査に行ったときに関係者からお聞きをしたのですが、この社会経済国民会議の資料を見てみますと、こういう項目があるのですね。これは昭和五十二年ころの本だと思うのですけれども、「全国でテレビの使用を一日に三十分だけ短かくすれば、それだけで岡山県の家庭電力がまかなえるそうです。また、」というところで「甲子園の高校野球で作新学院の江川投手が登場したときには、全国の電力消費が発電所一個分ふえたといいます。」という言葉がある。この発電所の規模は書いておりませんから私はわかりませんけれども、あのときのピークというものに合わせて、電力というものは、釈迦に説法だと思いますけれども、平均値を出せませんので、ピーク時に合わせた設備というものが必要になってくる。そして、それを見ている。さらにクーラーをつけっ放しで見ている。こういたしますと、こういうところも、あの一番不需要期ではありますけれども、そのピークは需要期以上にピークになっていくというものに合わせた電源を確保していかなければならない。  高校野球は国民行事にはなっておりますけれども、こういう高校野球等の実施時期あるいは時間、こういうことに対しても、単にムードじゃなしに考えていっていいんじゃないだろうか。始業時間なり夏の休暇の設定等についても、これは文部省の問題ですけれども。そういうようにしていって、そして夜間の消費電力等も節約をさしていきながら、それを揚水に回していく、こういうような姿勢がこの暫定見通しでは読み取れないわけです。  石油の安定供給というものは、非常に不確定な要素をたくさん持っているわけですけれども、そう考えてみますと、私たちがまだ国内で開発されていかなければならぬ問題というのはいっぱいあるだろう。新エネルギーの時代というのは、長官、二〇〇〇年、つまりこれから五十年、百年先だというようにも言われているわけですから、まだまだ投資をしていかなければならぬ。そう考えてみますと、この小水力の開発だとかあるいは揚水発電だとか、もっと開発していかなければならない面があるだろうと思う。  ついでに申し上げますと、たとえば地熱発電等にいたしましても、百万キロワット。去年私はカリフォルニアのガイザーの地熱発電を見てまいりましたけれども、ああいうロッキー山脈のふもとの砂漠のようなところで、確かにその付近は若干の公害を起こしておりました。樹木も枯れているところがありますけれども、だれも文句を言わないようなところです。ただ、日本の場合にはほとんど国立公園の中にある。そうしますと、私は百万キロなんかもいまの技術をもってすれば大変むずかしいと思います。  こういう対策促進ケースの中で、四億三千二百万キロという数字はどうしても確保しなければならないということになりますと、もう一度エネルギー別の政策決定というものを変えていかなければならぬじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  33. 天谷直弘

    天谷政府委員 先生指摘のとおり、いまのエネルギー構成のままで果たして六十年までいけるのかどうかということは、われわれも非常に疑問としておるところでございますけれども、しかし、それでは現段階において一体どういう数字が妥当なのか、四億三千二百じゃなくて一体幾らがいいのか、幾らならばそのアベラビリティーがあると考えるのか、あるいはその中でLNGとか石炭についてどれくらいの目標を掲げれば、いまの掲げてある数字よりはるかに確度が高くなるのか、その辺のことは非常にむずかしい問題でございまして、私どもはもう少し中東の石油情勢とか中東の政治情勢とか、そういうものが少し安定してから考えるのがいいのではないだろうか。いまの案でもって自信があるというわけでは毛頭ございませんけれども、もう少し情勢の推移を見て、少し世の中が相対的にも落ちついてから、暫定見通しの見直しということをやった方がよいのではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  34. 後藤茂

    ○後藤委員 私も、長官、四億三千二百万キロが過大であるとか過小であるとかということを実は申し上げているわけじゃないのです。経済成長率を考えていけば、弾性値が一を切っているわけですけれども、それを掛けていけば、この数字は余り動かぬだろうと私は思うのですね。思いますけれども、最近は、石炭火力にいたしましても、石油火力にいたしましても、政府が認可をいたしましてから稼働するまでに相当な時間がかかるわけでしょう。五年から六年というようにもかかる。もちろん原子力にいたしましては十年もかかるのじゃないだろうか、こう言われているわけですね。そういたしますと、私は、中東の情勢等も、もちろん見ていかなきゃならぬものはいっぱいあると思います。あると思いますが、仮に石油が従来と同じように価格が若干上昇して安定供給が可能であったとしても、日本エネルギーの需給構造から考えていけば、もっとこういった面に、石油以外のエネルギーの面に、政治的な選択の視点が変わっていかなければならないのじゃないか。そういうシフトがここではなされていないのではないかということを申し上げているわけです。  大臣、この点はいかがでしょうか。先ほどから石油の問題についてはるる大臣からも御答弁がありました。すぐにこの数字を変えろということを申し上げているのじゃなしに、物の考え方としては、もういまからもっとねじりはち巻きで作業をしておかなければならないエネルギーの問題ではないかということを私は考えるものですから、その点からいきますと、原子力にシフトし過ぎていたのではないか、あるいはLNGはこれから大切だと思いますけれども、それを受け入れる体制が、基盤が、財政的にあるいはその用地等におきましてもできているのか。さらに、一般炭にいたしましてもそうじゃないか。とりわけ石炭等になってまいりますと、公害の規制というものはもっとやはりむずかしくなってくるだろうと思うのですね。そういうようなことを織り込んで、この石油情勢とにらみ合わせて、この暫定見通しというものをこれからどういうように変えていくのか。まだしばらくじっと、洞ケ峠じゃないでしょうけれども、小手をかざして中東の情勢を見ておるというだけでは済まぬ面がいっぱいあるだろう。そういう要素をかみ合わせて政策決定をしていく必要があるだろう、私はこう考えるわけです。大臣、いかがでしょうか。
  35. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 本法案が目的とするところは、私は、やはりこれはこれでまず成立させていただく、そして御指摘がありまするように、情勢の変化に沿って、やはりケース・バイ・ケースで今後エネルギー政策というものを中期、長期の視点から確立していく。これはもうやはり大事なことだと思います。  アメリカの場合も、これは日本の消費量の約四倍近い消費量がありまするから、特に日本とはまた違った意味国民的に警告を発しておるわけですが、しからばわが国の産業とこのエネルギー源としての石油の関係を考えれば、これはやはりアメリカにまさるとも劣らない。特にアメリカはまだ資源を持っています。ところが、わが方には皆無でありますだけに、もっともっと国民的意識を高め、節約を徹底することは当然だと思います。  さっきお話にありましたが、高校野球のような、ああいう国民的行事にまで高まったような、そういう興味の中心にあるものをとめることは、これはしたくないと私は思うのです。これはちょうど国体以上に国民的関心が集まっておる。そうであるならば、こちらの方でひとつ電気の節約をしてくれ、家庭の節約をこういうふうにされたらどうだというようなことを強調していくことは、やはり国民に対してアピールすると思いますし、何かそういう手段を一つずつ考える段階が来ておるのですね。そういう点においては、やはり役所というのは比較的対応が緩慢になりがちですから、そういう面はわれわれ政治家が、皆さんの協調を得ながら具体的に進めていくことが必要だということを痛感する次第でございます。
  36. 後藤茂

    ○後藤委員 省エネルギーの問題でこの法律をずっと読んでみたわけですけれども、どうも大臣が言われるほど私は中身がないように思えるのです。たとえば熱管理法が、これは昭和二十六年ですか、古くからできているわけですね。この熱管理法を見ましても、目標原単位がきちっと提起をされている。果たして目標原単位がその都度提起をなされてきたんだろうか。今度の法律でも判断の基準を与えるということを言っておりますけれども、果たして判断の基準をいまの姿勢で出していけるのだろうか、実は私、こういう心配をしているわけです。  それよりも、これは四月十六日の日経の「ニュース対談」の中で長官も触れております。私も全くこの意見に賛成なんです。「資本主義経済のもとで産業が市場の中で生きていくには、エネルギーや原材料などの使用合理化を徹底的に図らなければいけない仕組みになっている。したがって、放っておいても市場メカニズムによって効率化、省エネルギーが進む仕掛けになっているわけで、」と、そうだろうと思うのですね。特に石油ショック以後四倍にもはね上がってまいりますと、エネルギーコストというものは非常に高くなるわけですから、政府が音頭をとらなくたって、あるいは判断の基準を提起しなくたって、やはりそれぞれに電気代が上がった、石油代が上がった、エネルギー代が上がったということになれば、その節約には入っていくだろうと思うのですね。  そういたしますと、この法律の効果というものは一体どこにあるのだ。しかも、先ほども長官が言っておられましたけれどもスリーマイル島の事故があったあるいはイランの政変があった、去年出されてから一年間というものは出されっ放しで全く手も何もつけられない。第一段だという説明はなされると思いますけれども、私は内閣修正等だったって可能だろうと思うのですね。いや、いろいろ考えたけれども省エネルギーの対策としてはこれしかないのだということではないんじゃないだろうか。もしそうだとすれば、つまり省エネルギー省エネルギーとは言っておりますけれども、ムード的、倫理的な点だけであって、まだこれからのエネルギーの需給に対する理解というものが通産省としても不足してはいないだろうか。もっと大胆な問題提起がなされていかなければならない段階に来ているように思うのです。いろいろ考えて、省エネルギーの法案はこんなのでお茶を濁すというわけにはいかぬだろうと思うのです。長官、いかがでしょう。
  37. 天谷直弘

    天谷政府委員 私は、この省エネルギーに関しましては、いろいろなアプローチの仕方があるというふうに思っております。  第一番目が、科学技術的な省エネルギーでございまして、これはたとえば高炉の炉頂圧発電をやるとかいう式の新しい技術を開発する、あるいは新しいソフトウエアを開発することによりまして、エネルギー消費原単位を下げるという行き方でございます。この法律が目指しておりますのは、大体このカテゴリーの省エネルギーということを主たる目的としておるわけでございます。  第二の範疇といたしましては、経済的省エネルギーというのがあると思います。これは市場メカニズムでございまして、エネルギーの値段を高くすれば当然節約が起こってくるという意味で、プライスメカニズムを利用するところの省エネルギーでございます。たとえば西ドイツは、お説教などで節約節約と言うよりも、値段を上げた方がはるかに節約になるから、市場メカニズムを抑えるようなことはしなくて、むしろエネルギーの節約が本当に必要ならば高価格政策をとればいいんだというふうに言っておりますが、ドイツの場合はこの経済的省エネルギーに非常にウエートを置いておるということでございます。  三番目が、倫理的省エネルギーでございまして、これは二宮尊徳的と申しますか、もったいないことはよせという式のことでございまして、非常にわかりやすい話でございますけれども、しかし、これを余りきつくやりますと戦時中の東條英機みたいになりかねないおそれもある。ですから、いまの憲法のもとで、倫理的省エネルギーにつきましてはあくまでもPRの問題であって、余り強制的にはやれないんじゃないかと思います。  四番目は、緊急避難的な省エネルギーでございまして、これは現在の需給適正化法が頭に置いておるところの省エネルギーでございます。すなわち、エネルギーの需給に関しまして緊急事態が起こってくる、そういたしますとエネルギー需給適正化法を発動いたしまして、場合によっては切符制にまで行く、そして強引に法律的、強制的に節約をやるという考え方でございます。  それから、最後のカテゴリーとしましては、産業構造を変える。エネルギー多消費の産業の比重を落として、知識集約型の産業の比重を大きくして、産業構造を変えることによって省エネルギーを図る。  こういうふうに省エネルギーには幾つかのアプローチの道がございまして、私はこの法律が考えておるのはそのうちの一つであるというふうに思っております。  したがいまして、それだけで省エネルギーは万全ですというようなものではございませんで、省エネルギーをやるためには、そのときどきの状況に応じましていろいろなアプローチの仕方をしなければいけないのではないか。しかしながら、この科学的技術的省エネルギーというのは、多分あらゆる場合に怠ってはならない、いつもこれだけはぜひとも必要な省エネルギー策ではないだろうか、一つ省エネルギーのベースをなすものではないだろうかというふうに考えておりますので、この法律によりましてぜひともそういう効果を上げていきたい。  ただ、先生も御指摘になりましたように、民間企業について言えば、あくまでも市場メカニズムがベースになっておりますし、そのベースの上で科学技術的開発も行われるはずでございますから、政府としましてはいわば助産婦的といいますか、そういうことで、そういう当然の合理化のプロセスが行われるのをさらに推進をしたい、こういうことかと考えております。
  38. 後藤茂

    ○後藤委員 いま長官がちょっと触れておられました構造的省エネルギーですか、私はしばしばこの委員会でも御質問を申し上げているわけです。この間も海外経済協力基金のところでも申し上げたわけですけれども、この構造的省エネルギーの問題というものは、もっと積極的アプローチが必要じゃないかと実は思うわけです。もちろんこれは国際的な問題ですから、わが国だけが構造改善をしてしまって、さあ買おうと思ったときには高い物を買っていかなければならぬということにもなる危険性はあるわけですけれども、たとえばエネルギー多消費産業は、単にこの法律が政策目標を設定していくということだけではなくて、大胆にこれまたこの多消費産業に対する構造改善、かつて産計懇ですかが提起をいたしました、大変粗っぽいネガティブリストを差し出していくということは、雇用の問題あるいは地域経済等々の関係からいってむずかしいものがあると思いますけれども、これまた長期に考えていかなければならぬ課題であろうと思う。そういった産業構造、とりわけ構造的省エネルギーの問題に対して、検討なりの作業はされているんでしょうか。
  39. 天谷直弘

    天谷政府委員 産業構造の変化という問題は非常にむずかしい、いろいろな摩擦を伴う問題でございますから、計画経済じゃない限り、余り強引にこれを推し進めるというようなことは多分できないのではないだろうかというふうに思います。  しかし、昭和四十八年から最近までの日本経済の動きを見てまいりますと、構造不況産業と言われた産業の大部分は、すべてエネルギー多消費産業であったと言ってよろしいかと思います。このエネルギーコストが相対的には著しく不利になってきたということの直接の結果といたしまして、構造不況産業はこの四、五年間ほとんど成長を停止してしまった。のみならず、マイナスの成長をした産業もございます。他方、自動車、家電、エレクトロニクス等のいわゆる知識集約型産業は、この石油ショック後の不況を非常に早く克服をいたしまして、いち早く成長産業に転化する、輸出をどんどん伸ばしていく、こういうような著しいコントラストをなしております。すなわち、石油危機後の数年間におきまして明らかに産業構造は知識集約化に向かっておる、そして省エネルギー化に向かっておる、これは必ずしも政府が直接的に政策として推進したというよりも、エネルギーコストの変化がそういう過程を推進したものと思われます。これが非常に厳しいものですから、むしろ政府がやったことは構造不況対策ということで、余り激しい構造変化が起こりますと、雇用問題その他で著しい摩擦が起こりますから、いわばその摩擦を緩和いたしまして、構造変化にエンジンブレーキをかげながら緩やかに移っていく、こういうことをやってきたということが言えるのじゃなかろうか。したがいまして、今後ともエネルギーのコストが著しく高騰をするというようなことになりますならば、私は自然の過程として構造変化は行われていくのではなかろうか、ただその際、労働問題であるとか中小企業問題であるとか地域問題であるとか、いろいろな摩擦が起こってまいりますから、その摩擦が耐えがたいようなことにならないように、政府としてはいろいろな配慮をし、施策をしていくということが必要ではなかろうかというふうに考えております。
  40. 後藤茂

    ○後藤委員 時間がございませんので、せっかく運輸省来ていただいておりましても、これを質問して答弁を求めておりますと時間が経過をしてしまいますので、むしろこれは大臣に御要望的な御意見で申し上げておきたいんですが、このエネルギーの問題は、環境政策とか産業政策、とりわけ交通政策に非常に大きくかかわってきておるわけですね、パーセンテージとしては産業部門よりも少ないわけですけれども。特にこの「運輸経済年次報告」ですか、運輸白書を見ましても、公共交通の充実強化、確立が指摘をされておりながら、この省エネルギー観点からいきまして、この法律でもそうでしょう、せいぜい自動車の燃費の問題程度のことしか触れていない。大変むずかしい問題です、総合交通体系なり交通問題は。私は閣僚会議の中でも今日のようにむちゃくちゃになってしまっておる交通のあり方、交錯輸送から、公共交通が全くそでにされて、にっちもさっちもいかないような状況になってきておる。そしてたくさんのエネルギーを消費してきておる。ここにメスを入れていかなければならないわけですから、総合交通体系の確立の中で、公共交通というものをどのように確保していくか、特に自動車の社会的責任というもの、東大の宇沢弘文さんが岩波新書の中でも書いておりますけれども自動車の社会的責任というものをコスト計算をしていきますと、大変なコストですよ。みんな車を買って、そして車保有の税金等を払って、ガソリン代だけ出せば走る交通機関のように思っておりますけれども、大変な国民的、国家的投資をしているわけでしょう。しかも公共交通というものはこういう状況になってきている。これはぜひひとつ閣僚会議の中におきましても、もちろんエネルギーの安定供給確保というものは、責任を持って通産行政の中で進めていかなければならぬわけですけれども、縦割り行政の一番悪いところが出てきているだろうと私は思うのです。つまり政策調整機能というものがエネルギーに関しては十分ではないと思いますし、思い切った発言が、他の省庁にわたるものについてなされていないのじゃないだろうかという気がしてならないわけです。したがって、公共交通、とりわけ鉄軌道の確保というもの、そしてこれに対する充実強化というものを、大臣、大いにやっていただきたいということを申し上げておきたいのですが、どうでしょうか。ひとつ大いにやっていただけましょうか。
  41. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 傾聴すべき御提議だと私思っております。よく検討しまして、問題解決を図りたいというふうに思います。
  42. 後藤茂

    ○後藤委員 時間がございませんので、実は私がきょう申し上げたかったのは、何回も触れましたけれども、この暫定需給計画でやっておる総量というものはそう大きくは変わらないだろう、しかしこの辺でもう一度一つ一つエネルギー別のあり方については検討していかなければならないのじゃないだろうか。イランの石油がほぼ日本に匹敵すると言われる。これがなくなったと同じ状況を考えてみた場合、それからいままではイラン等も経済成長率十三%ぐらいを三〇%ぐらいにしようとしていた、大変急いだということも今度の政変の一つの原因になっているだろうと思うのですね。そういたしますと、サウジにいたしましても、中東諸国は何も近代化を急ぐ必要はないじゃないか、この与えられた石油というものを細く長く使っていきながら、自国の国民の生活安定に資していく方がいいのじゃないだろうかという姿勢を私は当然とるだろうと思うのですね。そうなってまいりますと、幾つか申し上げていきたいのですけれども、余りにも私たち日本は、金さえ出せば、そして若干の近代化プラントの技術協力なり経済協力さえすれば、石油というものは供給してもらえるのだという意識が働いていはしなかっただろうか。もっと中東の歴史なり風俗なりあるいは政治的な面を私たちは理解していかなければならぬじゃないか。この間もアラビア語を話している教授に聞いてみますと、最近若い学者の卵が出てきて、アラビア語を教えている人もいるようですけれども、百人ぐらいだというのです。アラビア語を理解する人は恐らく数百人いないんじゃないかと言うのですね。これは日本人が朝鮮語を専門にし、理解をする者がいないのと同じ物の考え方に立っていると思うのです。東京の方では東京外語と慶応が一つの学科を持っているというように聞きました。恐らく西の方ではどこか大阪の方でも一つぐらいあるかもわかりませんけれども、そういった姿勢にいるということをこれからの行政の中では考えていかなければならぬということを私は御要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  43. 渡部恒三

    渡部(恒)委員長代理 午後二時から委員会再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時五分開議
  44. 橋口隆

    ○橋口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。長田武士君。
  45. 長田武士

    ○長田委員 法案の内容に入る前に、まずエネルギー全般の問題について若干お尋ねをいたします。  初めに、去る四月二十日、石油審議石油部会の了承を得た、昭和五十四年度から昭和五十八年度に至る石油供給計画についてでありますが、この石油供給計画は、例年では三月末に決まるはずでありますけれども、四月二十日に決定をされておるようであります。そこでお尋ねしたいのでありますけれども、どのような問題で時間をとったのか、具体的に御説明をいただきたいと思っております。
  46. 神谷和男

    ○神谷政府委員 石油供給計画の策定に時間を要しましたことについて御説明いたします。  基本的には、申すまでもなく、国際的な石油情勢が例年に比べましてきわめて不透明であるということが基本でございますけれども、それに関連いたしまして、原油の供給についての当面の見通し、第二に、先般のIEAの会議の決定を受けての五%節約を需要想定に織り込むに当たりまして慎重を期したというのが第二点でございます。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕 さらには、そのような形で需要を想定いたしました際、その需要に対応する供給に、最小限の原油でいかに対応していくかという場合、起こってまいります種々の問題点をどのようにこなしていくかという点が第三点でございます。  第三点について若干付言いたしますと、中間留分の伸びというのが、やはり節約を見込みましてもここのところ年々際立って高くなってまいっておりますので、節約を考えた場合に、その中間留分の不足にどのように対応し得るような供給体制が組めるか、それに関連して電力業界等に生だきの削減等を要請し、それが具体的に可能であるかどうか等を微に入り細にわたり、かつ具体的に検討いたしましたので、例年に比べまして策定に若干時間を要した次第でございます。
  47. 長田武士

    ○長田委員 この供給計画を見ますと、五十四年度の石油製品の国内需要量は、当初見込みに比べまして千二百五十万キロリットル減らしておるわけであります。前年度の実績見込みに比べますと、二%増と、例年にない低い伸び率を示しております。このような低い伸び率では、現在の景気回復を目指すわが国の石油製品需要の盛り上がりを見ますと、このままの計画を達成することに執着をいたしますと、景気回復傾向に対しまして足を引っ張るのではないか、そういうことを私たちは心配をいたしておるわけであります。この点について通産省はどのように対応されようとしておるのか。前年度の場合も二・七%の伸びを示しておるわけですね。そういう点はいかがでしょうか。
  48. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、前年度二・七%の燃料油系での伸びを示しておりまして、経済活動が回復基調にございます本年度におきまして、前年度の伸び率を下回る二%の伸びで需給がバランスし得るかどうかというのは、一にかかって五%の節約がどれだけ実効を確保し得るかということにかかっておるわけでございます。  ただ、御承知のように、この五%の節約は、経済活動に影響を与えない範囲内において可能な最大限の節約というものを志向しておるわけでございますので、この供給計画の需要想定におきましても、産業用の原材料あるいは燃料になるような石油製品に関しましては、産業活動あるいは経済活動を阻害しないように、原局等とのすり合わせを十分行いながら、その供給の確保に万全を期し得るような見通しないし供給計画を組んでおるわけでございます。ただ、民生用の諸石油製品に関しましては、節約量を一定量織り込んでございますけれども、たとえば寒暖の差によって非常にぶれの大きい灯油等につきましては、ある程度の調整弁としての余裕を見て節約を織り込んでおる等、若干の配慮をいたしておりますので、今後はこの供給計画の実施状況と需要の動向を慎重に見守りながら、適宜適切な対策を講じてまいりたいと考えております。
  49. 長田武士

    ○長田委員 次に、アメリカスリーマイル原子力発電事故に絡みまして、わが国の原子力発電所の一部の運転が停止に追い込まれておるわけであります。このため、夏の電力ピークのときには、火力発電所のフル活動が当然予想されるわけであります。この供給計画では、夏の電力ピーク時における対策が考慮されていないのではないかと私は考えるのですが、その点どうでしょうか。
  50. 豊島格

    ○豊島(格)政府委員 ただいま先生指摘の、夏のピークにおいて火力発電を、原子力がもし動かなかったときに使うという点は考慮されておりません。いまの段階で、夏のピークに原子力が間に合わないということにはなっておらないので、そういう計算になっております。
  51. 長田武士

    ○長田委員 それでは、その問題はついては後ほどお尋ねをいたします。  さらに、揮発油や灯油について、この供給計画を見てまいりますと、五十四年度における揮発油の国内需要は、五十三年度実績見込みに比べまして一・四%増と相当低い伸び率であります。灯油の国内需要は、五十三年度実績見込みに比べますと七・四%増の伸びに実はなっておるのですね。しかし、温風暖房機や石油給湯機などの大幅な伸びが今年度も当然予想されるのではないかと思われるわけであります。そうなりますと、このままでは当然不足するのではないか、こう思わざるを得ないわけであります。そこで、通産省はこの問題についてどう対応されるつもりなのか、お尋ねをいたします。
  52. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、ガソリンにつきましてはきわめて低い伸び率を需要見通しで想定をいたしております。これは先ほど申し上げました五%節約のうち、マイカー通勤の自粛であるとかあるいは官用車、社用車の運行削減等々を勘案いたしまして、一定の想定のもとに節約量を見込んでおりますのでこのような低さになっておるわけでございますが、これにつきましては、私ども、時々刻々動いておるガソリンの需要動向でございますので、実際の石油製品、特にガソリンの売り上げ動向を常時ウォッチしながら、節約運動の効果の浸透ぐあいを他方で勘案し、必要な対策を講じてまいりたいと思っております。たとえば、十分な節約が行われていない場合には、日曜、祭日等の給油所の休業等について、さらに強力な協力を要請する等の措置を今後続けてまいりたいと考えております。  灯油につきましては、節約を一定量見込みましてもなおかつ七・四%という伸びになっておりますので、この伸びについては節約を見込んでもかなり高い伸びだという見方もございますし、先生指摘のように温風暖房機の普及等を考えますと、これで大丈夫であるかというような見方と、二つございます。  ただ、この灯油につきましては、先ほどの繰り返しになりますが、需要想定の中に一定の節約は織り込んでおりますが、供給面での予備三百万キロリットル強を持たせてございますので、平年度の寒さでございますれば、ことしのような暖冬でなくても何とかしのげるのではないかと考えております。もちろん、これには最小限大口需要者、ビルその他の灯油暖房等について、行政指導を十分遵守していただくことが必要であり、この面での協力要請はさらに強力に行ってまいりたいと考えております。
  53. 長田武士

    ○長田委員 石油の節約について徹底させるということでありますけれども政府が去る三月十五日に発表いたしました石油消費節減対策の推進については、国民の協力を得なければ期待どおりの効果が上がらないのじゃないかと私は思うわけであります。そこで、国民に対する広報活動が大事になってまいるわけでありますが、こうした点も含め、政府石油の節約をどのように徹底されるつもりなのか、その点、まだ意識としては非常になまぬるいんじゃないかという感じを私は持つのですね。その点をお答えいただきたいと思っております。
  54. 天谷直弘

    天谷政府委員 政府では、去る三月十五日に、省エネルギー・省資源対策推進会議において対策を決定したわけでございますが、四月二十日にはさらに推進会議の幹事会を開きまして、その周知徹底策を決定しております。その主な内容は、以下に申し上げるとおりでございます。  中央の省庁、事務所等の大口需要家につきましては、一般的節約措置の実施状況を四半期ごとに調査報告をしていただきます。これによりまして、どの程度節約策が実行されているか、正確に実情を把握いたしたいと思っております。  第二に、省エネルギー政府広報において重点的なテーマとして取り上げるほか、日本道路公団等を通じましてマイカー利用者に広報し、あるいはまた省エネルギーセンターを通じまして一般家庭等に周知徹底を図りたいと思っております。  第三番目に、一般的な節約措置といたしまして、夏季の冷房温度の引き上げに関しましては、中央省庁が率先軽装に心がけるよう、職員に周知徹底するほか、冷房の始期をいつもより半月くらいおくらせまして、七月十六日以降冷房を開始する。さらに、官公庁におきましては、通勤用のマイカーについては構内の駐車を原則として認めないというようなことで、マイカーの規制を図りたいと思っております。  以上の措置につきましては、官公庁が率先して実行いたしますが、政府関係の機関あるいは一般事業所等についても協力を求めたいと考えております。  また、電気事業の燃料転換に関しましては、これは大口でございますので、これも報告を求める。また、大口エネルギー使用工場におきましても、決定事項の実施状況がどうなっておるか、調査報告をしていただきたいと思っております。  テレビ放送終了時刻の繰り上げ、ガソリンスタンドの休日休業、ネオン点灯時間の短縮、風俗営業の終業時刻の厳守等につきましても、これは文書をもって関係業界に御協力方をお願いしたところでございますが、今後、ガソリンスタンドにつきましては毎月一回、その他につきましては四半期ごとに実施状況の調査をいたしたいと思っております。  以上のような措置によりまして節約策の周知徹底を図りまして、五%の節約をぜひとも実現させたいものというふうに考えております。
  55. 長田武士

    ○長田委員 ただいま御答弁がございましたような徹底によって、政府石油換算でどのぐらいの節約ができると見込んでおられるのか、その点お知らせをいただきたいと思います。
  56. 天谷直弘

    天谷政府委員 五%がおおむね千五百万キロリットルに当たりますので、千五百万キロリットルの節約でございますが、そのうち、暖冷房によりまして七百数十万キロリットル、マイカー自粛で二百万キロリットル、それから電力関係で三百万キロリットル、この辺のところが大口でございます。
  57. 長田武士

    ○長田委員 石油の節約について周知徹底を図りながらその実行の確保に努めるため、定期的に実情調査を行ったり報告をとるということでありますけれども、この方法によって石油節約の実効が上がっていないと判断される場合は、通産省はどういうふうな手を打たれるのですか。
  58. 天谷直弘

    天谷政府委員 これから世界の石油需給情勢がどういうふうに展開するか、必ずしも明らかではございませんが、現状を前提にして考える限りにおきましては、石油節約政策につきましてはあくまで自発的な協力をお願いしていく、そういうことで周知徹底に努めていきたい、こういうふうに考えております。石油需給適正化法という法律がございまして、内閣総理大臣が緊急事態であるというふうに認定をいたしますと、石油需給の規制ということができるようになるわけでございますし、電力需給につきましても、電気事業法によりまして、特別の事態の場合には強制的な節約ということも可能でございますけれども、いまの諸状況を判断する限りにおいて、そういう強制的な節約まで進むということは、現段階におきましては考えておりません。
  59. 長田武士

    ○長田委員 これらの対策を推進されて、現在の見通しといたしましては五%節約の千五百万キロリットル、これは、自信はおありですか。
  60. 天谷直弘

    天谷政府委員 何事も初めから自信があるといいますか、勝負に勝つに決まっておるとかいうようなことはなかなかむずかしいことでございまして、一生懸命目的を達成するように努力をいたしたいと思います。
  61. 長田武士

    ○長田委員 政府は、本年六月末に開かれる東京サミットで、協調的エネルギー戦略を提唱しようとされておるようでありますが、このためにもIEAの五%の石油節約策はぜひとも達成しなければならないと私は考えるんですね。私は、政府が決定している自発的協力期待型の対策では、五%の節約はちょっと無理ではないかという感じを実は持っておるわけであります。そこで、政府は一部に強制力を伴う対応策が必要ではないかと私は考えるんですけれども通産大臣、この点はどうでしょうか。
  62. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 五%節約はぜひ実現したいと考えております。それから、先ごろ日本で行われました東京サミットの準備会、特にエネルギー問題を中心にしての議論におきましても、長期的視点に立って来年も同じように五%節約を実行していこう、こういう話し合いがなされたところであります。恐らくこれは東京サミットにおいて、首脳間において合意を見るであろうと考えられます。したがって今後とも国民の自覚にまって節約を実行する。先ほど天谷長官が申しましたように、五%節約ということはそんなに至難のわざじゃないわけですね。やろうと思えばできることであります。政府が力で国民に節約を求める、押しつけるという形になりがちでありますが、そういう事態は極力避けたい。これはやはり国民判断国民の理性的な協力ということを中心にいきたいと考えておりますが、どうしてもだめだという場合には、また検討をしなければならぬこともあり得る。しかし私は、そういう事態は極力避けていきたい。日本人はそれほど愚かな国民ではないというふうに確信いたします。
  63. 長田武士

    ○長田委員 石油節約を徹底さしていく努力を重ねたい、こういう御説明でございますが、節約が思うように進まず、その結果品不足を招いて、現在石油各社が打ち出しておりますところの石油製品の値上げに拍車がかかるのではないか、そういう心配も実は一方にあるわけであります。こうした場合に、通産省としてはどのような調整をとるおつもりなのか、この点いかがでしょうか。
  64. 天谷直弘

    天谷政府委員 前回の石油危機のときに、いわゆる狂乱物価という現象が起こり、その中で一部の石油業者が千載一遇の好機などと口走りまして、石油の価格が非常に不健全な動きを示したということは、今日なお記憶に新しいところでございまして、そういう事態を繰り返してはならないと考えておる次第でございます。  前回の状況を考えてみますと、ああいうことになった最大の原因は、第一に過剰流動性が充満しておったということではないかと思います。過剰流動性が充満しておりますと換物思想が横行する。物を買いさえすればもうかる、バスに乗りおくれるなというわけで、石油危機が起こる以前から綿糸とか羊毛とかあるいは背広であるとか絵画、骨とう、土地、ゴルフ場の会員権等々、何でも買っておけばもうかるんだ、こういうような空気がびまんしておりましたところに石油危機が起こりまして、そこで、やれ灯油を買え、トイレットペーパーを買え、洗たく石けんを買え、こういうようなことになったのでありますが、基本的には過剰流動性が充満しておったということであろうと存じます。現在を前回と比べてみますと、過剰流動性が前回のようにM2ではかって二十数%に達するというようなことではなくて、かなり現在の方が落ちついた状況ではないだろうかというふうに考えております。  それから第二番目には、一部の消費者なりそれから一部の業者が、あるいはあわてふためいて、あるいはぼろもうけしてやろうと思って投機買いをする、買いだめをする、これが狂乱物価の最大の原因であろうと存じます。もちろん片一方には、今度は売り惜しみをする業者もありまして、買いだめ、売り惜しみがぶつかりますと、そこで石油の価格が高騰してしまう。ですからこういうことが起こらないようにするためには、われわれとしては、一方では買い手の方に対しまして、浮き足立って買いだめに走ったりあるいは投機買いに走ったりすることのないよう、冷静に行動をしていただきたいというのが第一でございますし、それから他方、それに見合って、売り手の方では売り惜しみ的な行動に出ないようにということも厳重に指導をしてまいりたいと存じております。  ただ、もとのOPECの方で原油価格を値上げをしているわけでございますから、この値上げ分を石油業界がしょい込むということは不可能でございますから、合理的な転嫁ということは行われなければいけない。ところが、この合理的な転嫁に便乗いたしまして、便乗値上げ的なことが行われると、これは非常に困る。ですからそういうことがないように、秩序正しく、合理的な転嫁が行われるように、これは売り手、買い手両方が注意深く行動しなければならないと思いますので、資源エネルギー庁のみならず、通産省全省の組織を挙げて、円滑な石油の流通価格体系が確保されるように努力をしていきたいと考えております。
  65. 長田武士

    ○長田委員 エネルギー価格が上がれば必然的に需要の自然減が期待できるというような音量も実はあるのですが、先ほど申し上げました理由によりまして、石油製品が大幅に値上げされますと、石油節約の効果よりも、現在危険な状況にありますところの物価の動向に大きな影響を与えます。インフレの引き金にも実はなりかねないと考えておるわけであります。したがって、石油製品の値上げ幅については、市場の需給関係に任せておくだけではなくて、通産省としても十分な監視体制をとる必要があるんではなかろうか、そう私は思いますが、その点いかがでしょうか。
  66. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは先ほどエネルギー庁長官が申しましたように、やはり便乗的な値上げ、それから買い急ぎ、こういったことが一番顕著な弊害になると思います。したがって、今後地方通産局などにおいても、そういった値段の動向など週報のような形でとっていく、これはもうすでに実行に移しておりますね。節約の度合いがどうであるとか、またそういう諸物資、石油関連物資の動向がどういうふうであるかというあたりについては相当厳しくチェックをいたしておるところでありますから、そういう面でできる限りの実効を上げていきたいというふうに考えます。     〔野中委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 いわゆる需給の原則によって値段が適正に決められる。これはどうも自由市場のたてまえからいってやむを得ぬわけですから、冒頭申し上げましたような弊害については十分配慮をしていきたいと思いますし、要するに、石油節約が徹底すればその値上げもある程度防止することもできる。また緩和することもできる。極力努力をするつもりでおります。
  67. 長田武士

    ○長田委員 次に、わが国の一次エネルギー供給は、昭和五十二年度で石油に七四・六%と大きく依存をいたしておるわけであります。しかも、そのほとんどを輸入に頼っておる事情にあります。その石油需給は近年国際的に不安定化し、そして高価格化に向かっておるわけであります。さらに増産限界到来の予測等もありますし、今後ますます流動的に推移するものと考えられるわけであります。このため、わが国にとって省エネルギーの意義は確かに国内的にも国際的にもとりわけ大きいものと言わなければならないと思っております。しかし、わが国が適切な経済成長を維持し、国民生活の向上を図っていくためには、一定規模の一次エネルギーの需要増加というものは不可避であろうと私は考えるのです。この需要増加分を石油に大きく依存することは、先ほども申し上げましたとおり問題があるわけでありまして、困難ではなかろうかと考えております。  そこで省エネルギーの推進とともに、石油に代替するエネルギー開発、導入が必要であろうかと思います。当面する代替エネルギーとしては水力、石炭、地熱の国産資源があるわけでありますが、今後こうした資源をどういうふうに見直し、その開発を図っていくのか、通産省の計画について、具体的にひとつ御説明をいただきたいと思っております。
  68. 天谷直弘

    天谷政府委員 いままで石油に余りにも大きく依存しておりましたので、石油にかわるような代替エネルギー資源を見つけるということは大変な難事業でございます。さしあたってこれから十年ぐらいの期間で、石油に少しずつ代替していき得る大きな可能性を持っているエネルギーといたしましては、原子力石炭LNG、LPG、こういうところが一番頼りになると申しますか、頼りにしなければならないエネルギー源であるというふうに考えております。  原子力につきましては、一方で安全性問題に細心の注意を払うと同時に、できるだけ既定の計画に従って開発を進めていきたいというふうに考えております。  石炭につきましては、これは地球上に賦存するエネルギー量といたしましては最大でございます。大体われわれに身近な品物でありますから利用の仕方もわかっているわけでございますから、石炭につきましては今後より一層の努力を傾けて、利用拡大を図っていきたいというふうに考えております。  LNG、LPGにつきましては、これは石油と違いましてまだ余り利用されていない。特に産油国の油田地帯におきましてはフレアガスとして燃やされてしまっている。量も少なからずあるわけでございますので、人類のエネルギー資源活用という意味からいいましても、LNG、LPGの活用の余地はまだ相当あるというふうに思いますし、既存の石油火力を切りかえるといたしますれば、LNG、LPGが唯一の代替エネルギーであるというようなこともございますので、LNGにつきましても一層の努力を傾けたいと思います。  地熱、水力、こういうものは、水力はもちろん長年われわれが親しんできた国産のエネルギー源でございますから、今後ともまだ水力資源が残されている限りにおきましては、これをできるだけ活用する方向に行かなければならないと思いますが、残念ながらそれほど大きな資源が残っているわけではございませんし、物によりましては非常に高コストになってしまうというところもございます。しかし今後の石油価格の推移によりましては、水力をまだ活用する余地もあると思いますので、六十年度末までに一般水力で二千二百五十万キロワット、揚水発電で千八百五十万キロワット、計四千一百万キロワットの規模に到達するように水力の開発は続けていきたい。  それから地熱でございますが、これは環境との調和問題という非常にむずかしい問題がございますし、それからまた地熱のあり場所を発見する技術、あるいは砒素の問題であるとか、珪酸が析出して目詰まりを起こす問題とか、技術上いろいろ問題がございますので、技術開発を熱心にやらなければならないと思いますが、昭和六十年で考えてみますと百万キロワット程度というのを開発目標にしていきたい。しかし地熱等につきましては、将来はさらにもっと大きな国産エネルギー資源として開発、利用できるようにしなければいけないと考えております。
  69. 長田武士

    ○長田委員 また、準国産資源といたしまして原子力発電が考えられるわけでありますが、アメリカ原子力発電所事故以来、安全性の確認が大きな問題となっておるわけであります。この安全性確保という点からどのような体制整備と対策を講じようとしておられるのか。  さらに、総合エネルギー調査会需給部会の長期エネルギー需給暫定見通しに示されておりますが、昭和六十年度には原子力発電が二千六百万キロワットから三千三百万キロワットは必要であるという計画が実は出ているのですね。こうなりますと修正が必要じゃないかなという感じを私は持つのですが、その点はどうでしょう。
  70. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 ただいま先生の御質問の、米国での事故の問題に関連して原子力開発をどういうふうにするかということでございますが、今回の事故は、通産省といたしましても原子炉の安全対策を考える上で非常に重要な意味を持つものと受けとめております。そういう意味原子力安全委員会意見を踏まえまして、三月三十一日に資源エネルギー庁長官から、原子力発電の管理体制について再点検を指示いたしまして、電気事業者からの報告を受け、その一部を取りまとめまして四月二十四日の原子力安全委員会報告いたしました。  原子力発電所の安全確保にさらに万全を期するという観点から、原子力発電所に特別保安監査チームを派遣いたしまして二十四日から開始いたしておりますし、またPWRにつきまして、大飯につきましては五月七日からやっております。そういう再点検を実際に確認いたしました上でその発電所運転再開に備えたいと考えております。  それからさらに、事故の情報の入手とその検討に全力を挙げまして、前述の点検結果を詳細に検討いたしまして、また、原子力安全委員会意見を踏まえつつ、必要に応じ所要の処置を講ずることによりまして、原子力発電所の安全確保にさらに万全を期してまいる所存でございます。  こういうようなことで、安全には安全をということで万全を期してまいりまして、スリーマイルアイランド事故によっての原子力の安全に対する不信感を一日も早く払拭しなければいかぬ、こう考えております。  それで、ただいま先生から御質問ございましたように、三千三百万キロワットを六十年度までに開発するという計画で推進しておりますが、現在までに着工中のものは約二千八百万キロワットでございます。それでさらに官民総力を挙げまして、国民の理解と協力のもとにさらに着工を進めたい、こう考えておりますが、五十四年度には約二百万から三百万くらいの着工ということでございます。したがいまして、三千三百万キロワットには若干及ばないわけでありまして、約三千万キロワットということでございますが、約一年おくれで三千三百万キロワットを達成できるのではないか、こう考えておる次第でございます。
  71. 長田武士

    ○長田委員 代替エネルギーとして、やはり中期、長期にわたりまして新しいエネルギー開発、これはどうしても必要ではないかと私は考えるわけであります。わが国においても昭和四十九年度からサンシャイン計画を発足させておりますけれども、その実用化の見通しですね、この点についてお尋ねをいたします。
  72. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 サンシャイン計画につきましては、太陽、地熱、石炭のガス化、液化、それから水素などのクリーンな新しいエネルギーを活用するための革新的な技術を開発をいたしまして、将来のわが国のエネルギー供給の安定化に資すと同時に、環境問題にも貢献しようということで、昭和四十九年七月に発足したのでございます。現在すでに発足後五年を経過いたしまして、昭和五十三年度末までには約二百六十億円の国家資金が投入されまして、昭和五十三年十月には一千キロワットの太陽熱発電の建設に着工するというような状況でございまして、主要なテーマについては、基礎的な研究段階からプラント開発研究段階に移行しておるわけでございます。  サンシャイン計画のプロジェクトのうちで、太陽冷暖房及び給湯システム技術開発、これはソーラーシステムと言っておりますけれども、それにつきましてはすでに個人住宅、これも既設の個人住宅、新しく建てる個人住宅、あるいは集合住宅、それから大型の建築物というような四つの例を選びましてモデルハウスの建設を行いまして、現在運転研究中でございます。この成果はかなり上がっておりまして、いまや普及を迎える段階に来ておるというように考えております。  また、そのほかのテーマにつきましても、これまでの成果を踏まえましてできるだけ早期に実用化を図るように、一層の研究開発の促進を図りたいというように考えております。
  73. 長田武士

    ○長田委員 このサンシャイン計画につきまして、昭和五十四年度の関連予算を見ますと、約百十九億円が計上されておるわけであります。五十三年度で他の先進国と比較いたしますと、アメリカの六%、西ドイツの六五%、フランスの四五%にしかなっておらないわけであります。これはエネルギー消費国の国際比較から見ましても、私は少な過ぎるのじゃないかという感じを持つのですね。エネルギー無資源国の立場からすれば非常に対応が不十分じゃないか、そういう感じを私は持っております。したがって、新エネルギー研究開発については財源問題について検討いたしまして、可能な限り速やかに資金投入をしなければならないと私は考えるのですが、その点どうでしょうか。
  74. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。いまざっと計算されただけでも五十五年から六十年の間の六年間に七兆円を要するということが言われております。一般会計から投入をしましてもやはり三兆七千億、約四兆円くらいのものが不足するのではないかということが言われておりますので、これは今後の最も急を要する対策ということで、この財源対策には努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  75. 長田武士

    ○長田委員 新エネルギー研究開発につきましては、現在工業技術院を中心として進められておるわけでありますが、私は民間の活力をもっと積極的に利用することが重要じゃないかという感じを持つのですね。そのためにも諸般の施策を早急に拡充強化するとともに、官民の協力体制を一層強化する必要があるのではないかと私は思っております。この点についてはどうでしょうか。
  76. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 お説のとおりだと思います。民間のエネルギーもやはり当然活用しなければなりませんし、それからまた、受益者負担という見地から国民的協力を得ていくことも考えなければならぬというふうに、総合的に考えております。
  77. 長田武士

    ○長田委員 わが国はサンシャイン計画とともに、省エネルギー技術研究開発のためにムーンライト計画が昭和五十三年度から創設されておるわけであります。そこでこの計画の推進のためには、さきに質問いたしましたサンシャイン計画と同じような問題を抱えている関係上、同じような対策が実は必要だろうと私は思うのですね。と申しますのは、ムーンライト計画とサンシャイン計画が有機的に提携しつつ、強力な技術開発の推進を図ることは当然のことと考えるからであります。  また国際的な技術の研究開発については、二国間での相互協力とともに、IEAを中心とした多国間協力が進められておるわけであります。特にIEAにおいては、昭和五十四年二月現在、省エネルギーを含め二十九の研究開発実施協定が締結されております。アメリカが二十八、西ドイツ、スウェーデンが十九、イギリス、スイスが十三の実施協定に加盟をしておるわけであります。これに対してわが国は十の実施協定に加盟していることになっておりますけれども、このうち省エネルギーに関する協定は九協定あるにもかかわらず、わが国はエネルギーの多段利用による省エネルギーに関する研究開発に加盟しておるだけであります。これらの研究開発実施協定は、加盟国の共通の利益実現を目指すものであり、資源小国であるわが国としては、将来、新エネルギー開発と同時に省エネルギー対策をも大々的に推進しなければならないわけであります。こうした点から見ましても積極的に協定に参加すべき立場にあると考えるわけでありますが、現在一つの協定にしか加盟していないその理由お尋ねをしたいと思っております。
  78. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 ただいま御指摘のとおり、IEA関係の協力につきましては二十九協定、四十二プロジェクトでございまして、わが国がこれに参加しておりましたのは十協定、十七プロジェクトでございました。しかし最近二つの協定に参加いたしまして十二協定、十九プロジェクトということになっております。そのうち、御指摘省エネルギーという点から申しますと、改良型のヒートポンプというプロジェクトに参加することに決まったわけでございます。そういうような方向で、エネルギー研究開発協力の重要性にかんがみまして、わが国はIEA発足以来可能な限り参加、貢献するという基本方針で対処しておりまして、今後もその方向で引き続きやっていきたいというように考えております。  ただ、多国間協力としましてIEAで取り上げられる個々の研究プロジェクト全部が、必ずしも日本の国で行っております研究にちょうど対応するというわけにはいっておりませんし、また、いろいろ国内法上の制約などもございますので、必ずしも現在直ちに全部のプロジェクトに参加するわけにはまいりませんけれども、前向きに進めるということが方針でございます。
  79. 長田武士

    ○長田委員 昨年の七月のIEA東京理事会における対日エネルギー政策審議会の全般的な評価といたしまして、政策推進目標を達成するため、政府の確固たる決意と効率的、総合的な協力体制が必要であると言われておるわけですね。政策努力の一層の強化の必要性が指摘されておるわけでありますから、こうした国際的な要請にこたえるためにも、国際共同研究開発実施協定に積極的に取り組むべきだと私は考えるのです。むしろ指導的立場で参加する必要が日本の場合あるのじゃないかと思うのですが、通産大臣どうでしょうか。
  80. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 国際的積極的協力、これはもうもとより必要なことであります。
  81. 長田武士

    ○長田委員 それに余り参加できないというのは、何か財政的な理由があるのでしょうか。
  82. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 先ほども申し上げましたとおり、たとえば実例で申し上げた方がわかりやすいかと思いますが、省エネルギーに関しましては、エネルギー貯蔵というようなプロジェクトがございます。こういったものは、地下の帯水層だとかあるいは湖沼に温水を貯留いたしまして、そして熱を蓄える、こういう研究テーマでございまして、こういったものにつきましてはどうも日本としては余り興味が持てない、こういうことがあるわけでございます。一例でございます。
  83. 長田武士

    ○長田委員 それでは次に、わが国のエネルギー状況と最近の石油をめぐる国際情勢を見た場合、エネルギー供給面の対策を一層強化拡充するとともに、エネルギーの需要面においても省エネルギーを推進し、使用合理化をできる限り進めることは、わが国経済の安定成長にとって不可欠な問題であろうと考えます。したがって、省エネルギーの推進に当たっては、エネルギー消費並びに省エネルギーに関する統計データを整備し、その上に立って省エネルギーを促進するため具体的な計画を策定し、省エネルギーの計画的な推進を図ることが当然必要だろうと考えるのですね。昭和五十二年六月、総合エネルギー調査会需給部会は長期エネルギー需給暫定見通しを発表し、ここで初めて省エネルギー率を公表したことが、省エネルギーの必要性を政府として強調した出発点になったわけでありますが、この見通しを見てまいりますと、昭和六十年度の省エネルギー対策促進ケースでは、昭和四十八年に比べ一〇・八%、石油換算で八千万キロリットル省エネルギーが必要である、こう明示されておるわけであります。現時点において、四十八年度に比較いたしましてどの程度省エネルギー対策が推進されてきたのか、数字でひとつお示しをいただきたいと思っております。
  84. 天谷直弘

    天谷政府委員 一番新しいところまではわかっておりませんが、昭和五十二年の時点の数字で申し上げますと、まず実質GNP単位当たりのエネルギー原単位でございますけれども、これは昭和四十八年度におきまして三十八・二キロカロリー・円でございましたが、これが昭和五十二年には三十四・七キロカロリー・円ということになっております。この五年間にかなりの向上が見られておるわけでございます。  それから、これを部門別で申し上げますと、産業部門の昭和五十二年度と四十八年度との比較でございますが、省エネルギー率で言いますと六%。それから、これは試算でございますけれども石油換算にいたしますと、産業部門の省エネルギー量が千四百七十万キロリットル、同じく民生部門が二・九%、二百四十二万キロリットル、それから輸送部門が一・三%、七十六万キロリットル、合計いたしますと、省エネルギー率にいたしまして四・二%、それから石油相当量にいたしまして千七百八十八万キロリットルの節約が行われた。これは一つの試算でございますし、それから不況の影響と本当のいわゆる省エネルギーなるものとが混在しておりますから、これの分析もちょっとむずかしゅうございますけれども、一応の試算では、日本の場合、諸外国にまさるような省エネルギー石油危機以後行われてきたということが言えるのではないかと思います。
  85. 長田武士

    ○長田委員 それでは法案に入りたいのですけれども、その前に通産大臣、私は省エネルギーについては、企業にしてもあるいは民間にいたしましても、当然節約の問題でありますから、できる限りそういう精神といいますか、その努力はするということは間違いないと思うのですね。しかし、需給見通し等につきましては非常に不安定なものがございますし、そうなりますと、勢い景気の回復という面について危惧が実は出てまいります。そういう意味でやはり物価高の問題も当然絡んでまいりますし、そういう点を兼ね合わせた省エネルギーというのは非常に景気の足を引っ張る要素もございますし、その点危惧しているわけでございますけれども、その点、どうなのでしょうか。
  86. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いま御質問の点については、私どもも非常に憂慮しておるわけです。そういうことでいわゆる大口消費者、たとえば製鉄であるとか発電であるとか、こういったところの大口需要を規制するということはしなかったわけですね。しかし、石油以外のエネルギーに切りかえられるもの、あるいは石炭の混焼などでしのげるものはぜひしのいでもらいたい、また節約も、大口需要者ほど徹底してもらいたい、これは厳しく実は要請をしておるところであります。これはことしの大きな政治課題である景気の持続をどうするか、これと一体的な関連にある雇用の安定をどう図っていくのか、それから、いま御指摘のあった物価をどう安定させていくのか、この三つを遂行する上からまいりますると、やはりこの遂行にはどうしても民間の協力態勢にまつ。午前中もお答えしましたように、大口需要者の場合は、あの四十八年の石油ショック以後油代が非常に高くつくということで、やはり市場メカニズムといいますか、価格メカニズムというか、そういったものが作用して、相当な合理化と節約が実行されておる。ところが民間においては、生活が多少豊かになったということと比例して、電気製品その他便利な製品が家庭内に入り込んでまいりまして、四%近い消費の伸びが見られておる。今度の節約を民間協力によって実行しようといたしますにつけても、やはりどうも民間側の認識が必ずしも十分とは言えません。したがって、私どもとしては数次にわたって節約を呼びかけておるわけでありまするが、今後粘り強く、機会あるごとにということじゃなくて、やはり常時節約を呼びかけていく体制をとっていきたいというふうに考えております。これはどうぞ御協力をお願いいたします。
  87. 長田武士

    ○長田委員 次に法案についてお尋ねをしたいのでありますけれども、第四条の事業者の判断の基準と第十四条の建築主の判断の基準とは具体的にどのような内容となるのか。またそれらの当該者に対してどのような周知徹底をしていかれるつもりなのか、この点についてお尋ねをいたします。
  88. 天谷直弘

    天谷政府委員 この法律におきましては、工場の事業者、それから建築物の建築主、特定機器の製造事業者等に対しまして、エネルギー使用合理化に関しまして自主的に努力を求めるということにいたしておりまして、その自主的努力のよりどころとなるところのガイドラインといたしまして、判断の基準を定めて公表するものとしておるものでございます。その内容につきましては、法律の施行までに詳細詰めることになるかと思いますが、概要は次のとおりでございます。  まず工場等に関しましては、第一に燃料の燃焼の合理化、これが一番重要かと思いますが、技術的になりますけれども、適正な空気比を設定するかしないかによりましてエネルギー効率が著しく違うということでございますから、空気比の設定維持を行うための燃焼管理を実施する、そういうことのガイドラインを決めたい。それから加熱、冷却並びに伝熱の合理化に関しましてガイドラインを決めたい。それから三番目に放熱、伝導等による熱損失の防止に関しましてガイドラインを決めたい。四番目が廃熱の回収利用、五番目が熱の動力等への変換の合理化、六番目に抵抗等による電気の損失の防止、七番目、電気の動力、熱等への変換の合理化等々の項目がございますが、内容は技術的にわたりますから省略をさせていただきます。  建築物に関しましては、住宅とそれ以外の建築物とに分けまして、住宅につきましては床面積当たりの熱損失率を地域別に定める。住宅以外の建築物に関しましては、熱損失係数を地域、用途、規模別に定め、空調設備を有する建築物につきましては、当該設備において、設計上消費されるエネルギー量を、室内を所与の条件に保つため理論上必要なエネルギー量で除した値を地域別、用途別、形態等により定めることというふうにいたしております。  特定機器に関しましては、乗用車、冷蔵庫等を特定機器の対象として考えておりますけれども、これらの製造事業者等の判断の基準といたしましては、たとえば自動車に関しましてもいろいろの種類の車をつくっておりますから、一定の範囲でクラス分けを行った上で、クラス別に一年間に国内向け製造または出荷される機器のエネルギー消費率の加重平均値が一定の基準値を満足させるというようなことで、ガイドラインを設定したいというふうに考えております。
  89. 長田武士

    ○長田委員 第六条による指定工場に対しては、記録義務、勧告などの規定条項によって省エネルギー対策を推進することはできましても、中小企業などに対するエネルギー使用合理化診断指導や情報提供について、このままではちょっと不十分じゃないかと私は思うのですね。したがって、五十三年十月に財団法人として設立いたしました省エネルギーセンターを積極的に活用すべきでありますし、そのためにはこのセンターを、省エネルギー政策推進の中核的機関として一層の拡充を図っていく必要があると私は考えております。通産省はこの点どうでしょうか。
  90. 天谷直弘

    天谷政府委員 おっしゃるとおりでございます。  中小企業に関しましては、この省エネルギーセンターの無料診断指導等を通じまして、個々の中小企業の業種業態に応じて具体的な親切な指導をしていく。それからまた、一般的なPR等を通じまして、中小企業あるいは国民全般に省エネルギー意識を普及徹底させていく等々の施策を講じまして、中小企業等につきましてもこの省エネルギーが浸透していくように、格段の努力を図りたいというふうに考えております。
  91. 長田武士

    ○長田委員 次に、法案第三章の「建築物に係る措置」についてお尋ねをしたいのであります。  まず十三条の「(建築主の努力)」規定についてでありますが、この規定では、建築主が政府、地方自治体、公共団体、民間などすべてに当てはまるようになっておるわけであります。そこで、学校や病院など公共施設に関しては、別項を設けて建築物に係るエネルギー使用合理化を図るよう義務づけるべきであると私は考えますが、その点いかがでしょうか。
  92. 吉田公二

    ○吉田政府委員 十三条におきまして、すべての建策主に対しましてエネルギー使用合理化を行うように努力を課しているわけでございますので、国の所管にかかわります公共的な建築物も、当然その努力義務を負っているということになるわけでございます。そうした線が出るわけでございますので、国といたしましては、当然そういった線に従って公共的な建築物について十分省エネルギー化に努めてまいるつもりでございますので、特段に改めて別に立てることは考えないでもよいのではないかと思っておるわけでございます。
  93. 長田武士

    ○長田委員 それでは、最後に大蔵省にお尋ねをいたします。  建設省は五十四年度の税制改正時において、個人住宅の場合、新築する断熱化住宅には一万円の所得税税額控除など、税制上の措置を要求したわけでありますが、なぜこの要求を受け入れることができなかったのか、その点についてお尋ねをいたします。  また法案第二十二条に「(金融上及び税制上の措置)」が明確に明記されておるわけでありますが、省エネルギー対策の促進を図るためには、金融及び税制上の措置の拡充がどうしても必要でなかろうかと考えております。したがって、この規定に対して具体的にどのような方針で臨まれるのか、決意のほどをひとつお尋ねをいたします。
  94. 水野勝

    ○水野説明員 わが国のエネルギー事情から申しまして、省エネルギー対策が非常に重要な政策課題であるということは、私どもといたしましても理解いたすわけでございますが、一面におきまして、現在のわが国の財政事情は三九・六%を国債に依存するというきわめて厳しい実情にあるわけでございます。したがいまして、各種の税制上の施策につきましても、負担を軽減申し上げるということだけでなく、あるいはそれにかえて一定の場合には負担を増加させていただくということもまたお考えをいただく必要があるのではないかと思うわけでございまして、私どもといたしましてはそういう各種の観点から総合的に勉強をさせていただきたい、このように考えておるわけでございます。
  95. 長田武士

    ○長田委員 終わります。
  96. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 宮田早苗君。
  97. 宮田早苗

    ○宮田委員 エネルギー使用合理化に関する法律案、いわゆる省エネルギー法案が、現下のわが国エネルギー事情から量の確保、さらには産業構造の転換促進という三つの大きな政策の柱の一つであることを認識しながら質問を続けてまいります。  わが国の産業界は、石油ショック以後の長期不況の苦しみの中で、エネルギーコストの切り下げを経営の最重点課題として取り組んで、それなりの効果を上げてきていると理解をしておるわけです。不況からやっと脱出という時点でイランを中心とする中東の政情変化、OPECの値上げ、さらにアメリカ原子力発電所事故という国外のエネルギーを取り巻く環境変化に直面をして、二十一世紀どころか、八〇年代前半をすら明るく展望することができなくなっているのが今日の実情かと思います。省エネルギーエネルギーの節約は積極的にやらねばならないわけですが、省エネルギーの前提は、快適な国民生活を維持するに足るエネルギーの確保ができるのかどうかだと思います。  そこで、本論に入る前にエネルギー全般についてお伺いをするわけですが、国内でも原子力発電所の総点検を実施しておるわけであります。しかし、問題の炉の運転再開につきまして、科学技術庁通産省の間に意見の食い違いがあるように承っております。そこで、科学技術庁としてはどのような条件下で運転再開を認められるのか、まずその点から御質問いたします。
  98. 佐々木壽康

    佐々木説明員 お尋ねの件でございますが、科学技術庁と申しますか、原子力安全委員会という立場で御答弁さしていただきたいと思います。  この大飯発電所一号炉の停止に至りますまでには、実はNRCの方のアメリカ原子力発電所に対する通達というものがございまして、その中で、今回のアメリカ原子力発電所事故のような場合におきましては、加圧器の中の水位が上限値を示すという現象があるということで、原子炉の緊急炉心冷却系統がこういう事故の場合には的確に働かないおそれがあるから、その場合にはマニュアルで、人間の手動操作で緊急冷却装置を作動させなければならないというような通達があったわけでございます。その後、これは手動ということではなくて、自動的に加圧器圧力のみでこの緊急炉心冷却装置が作動するというようなふうに通達が変更されておりますが、こういう問題につきましては、安全委員会といたしましては、これは十分に解析する必要があるという結論に達したわけでございます。  一方、通産省の方では、この問題をやはり非常に重要視されまして、この問題を十分解析した上で安全委員会日本原子炉については問題がないということを報告した上で、それまでは原子炉を停止いたします、こういう通産省側からの申し出がございまして、安全委員会といたしましても、今回の事故の重要性にかんがみまして、そういう通産省の申し入れは妥当であろうということで、四月の十四日に安全委員長のああいう談話というものを発表したわけでございます。こういう関係がございますので、安全委員会としましてはすでに四月の二十四日と五月の一日に通産省からこの問題の解析結果の報告を受けております。現在、原子炉安全専門審査会という原子力安全委員会の下部機構がございますが、この下部機構の中で、こういう問題を検討いたします発電用炉部会というのがその下部機構の中にさらにございまして、ここでさらに現在検討を続けております。この結論が出ますと、その結論に従いまして通産省さんの方にこの大飯原子力発電所についての安全性については通産省解析は非常に妥当である、そういうような御回答をするということになろうかと思います。その上で、通産省に対する解析結果に対する安全委員会意見が述べられまして、その結果として通産省の方で、たとえば何らかの施設について変更等の措置がございますと、その変更がなされた上で炉の運転再開されるという運びになるのではないかと私どもは考えております。
  99. 宮田早苗

    ○宮田委員 それでは通産省の方にお聞きをするわけですが、ただいまの答弁に関連をいたしまして、定期検査中のもので検査が終了した時点、そうした場合には通産省はどういうふうな措置をなさるか、お考えを聞かしていただきたいと思います。
  100. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 大阪一号につきましては、ただいま調査室長の方から御答弁ございましたとおりの手続でまいりますが、それに加えまして通産省といたしまして保安規定の遵守状況の調査というのを三月三十一日の資源エネルギー庁長官名で各社に出しておりまして、それのヒヤリングが終わったところで具体的な立入監査を実施しております。そういうふうに、書面の審査とそれから実際の監査等を行った上で、その発電所安全性というのを確認いたして運転開始をしたい、こう考えております。  大飯発電所以外の発電所につきましても、やはり保安規定の遵守状況の調査というのを進めておりますので、それと監査を実施した上、それから定期点検の上での一つ検査が一通り終わったところで、その原子力発電所運転再開についての安全性を確認して逐次運転を開始させる、営業運転に入らせるというふうにしてまいりたいと思っております。  そういうことで、一番最初運転開始されますのが島根の原子力発電所でございまして、もういますでに蒸気を発生しておりまして、定期点検のためのいろいろな検査をいま実施中でございますが、これもそういう所要の手続が終わりましたらさっそく営業運転に入らせていただきたい、こう思っております。
  101. 宮田早苗

    ○宮田委員 この問題の原子炉は、関西電力を中心に八基あると思います。能力にして五百六十万キロワットで、全部の原子力発電能力の約五〇%を占めておると思います。これらの八基がこの夏稼働できなかった場合の電力需給は、各電力会社ごとに見ると一体どうなるか、この辺を説明していただきたいと思います。
  102. 豊島格

    ○豊島(格)政府委員 先生指摘PWRにつきましては八基あるわけですが、九州電力と四国電力につきましては、そういうことをわれわれ予想しているわけじゃないのですが、仮に稼働しないというような事態があっても、火力の発電所の補修期間を少し調整するとか、若干の措置によって夏は十分乗り切れるということでございます。問題は関西でございまして、関西に相当集中しているわけですが、関西につきましては先ほど来問題となっております大飯発電所というのがございます。これがもし仮に夏に間に合わないというような事態になれば、非常に苦しい状態は避けがたいと思いますが、先ほど来私どもから御説明申し上げておりますように、通産省としては一応現状のままで動かしても差し支えないという解析結果をもって安全委員会と協議いたしておりまして、その結論を待っておるわけでございます。これが動くということであれば、特に夏のピークだけの問題であれば何とかやっていける、こういうことでございます。
  103. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいま答弁されましたように、関西地方の需給が非常に窮屈になるというようなことなんですが、そこで、政府石油の五%節約計画の中で、電気事業の燃料転換効果を約三百万キロリットルと試算をされておるわけでございます。原子力発電が問題の炉をもし動かせなければ、その分石油消費を多くしなければならなくなり、五%の節約の達成がそこで困難になることが予想されるわけですが、この点はいかがでございますか。
  104. 豊島格

    ○豊島(格)政府委員 先ほど児玉審議官の方から御報告申し上げましたが、すでに現在点検中その他のものであっても、安全が確認されたものにつきましては運転再開するという手順でございますし、大飯発電所につきましても先ほどのようなことで進めておるわけでございます。将来のことでございますので、確実なことは申し上げられませんが、そういうことで安全を確認の上動かしていくということであれば、現在若干とまっておるということで、この石油消費量の節約が非常に大幅に狂うということはまずないというふうにお考えいただいてよろしいんじゃないかと思います。もちろん事態がどうなるかということが変われば別でございますが。それから、たとえば石炭をもう少し従来の計画よりたくとか、いろいろな方策も考え、また会社側にも要請いたしておりますので、何とかして五%の石油節約につきましては達成したい、このように考えております。
  105. 宮田早苗

    ○宮田委員 通産省科学技術庁の方に原子力発電所問題についてもう少し続けてお伺いするわけです。  スリーマイル事故の詳しい情報がだんだん明らかにされておるわけでございますが、事故の原因の一つ運転誤操作があるわけでございます。日本原子力発電では起こり得ない運転員のミスだという見解もあるようでございますが、この事故を教訓として生かすこともまた必要だと思います。核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律で、原子炉設置者は原子炉主任技術者を置くことを義務づけておるわけでございますが、今回のような突発的な事故を想定した場合、有効に機能というか対応できる体制になっておるかどうかということ。またアメリカでは運転員が免許制になっておるようですが、このような制度がわが国になじむかどうかわかりませんけれども検討の余地はあるんじゃないか、こう思っておりますが、その点について両省庁の見解をお伺いいたします。
  106. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、今回の事故の大きな要因の中には、原子炉運転者のいわゆる判断ミス、不注意なミス、そういうようなことが指摘されております。そういう意味通産省といたしまして、先ほど申し上げましたけれども、三月三十一日付で長官名で、保安規定の見直しと運転要員の訓練状況、それから異常時の対応策というようなことについて調べたわけでございます。  それで若干日本の現状をお話し申し上げてみたいと思いますが、まず運転の一番の責任者というのは運転当直長というのがおりまして、その下に直に入っております、大体制御室におりますのが五人ぐらいおりまして、それから現場に六人おるわけでございます。そういうことで、大体十二、三名がいわゆる直でやっておるわけでございまして、その当直長の年齢と申しますのは大体四十歳ぐらいというところで、一番判断力も統率力もあるという人がいまのところ全部勤務しております。そしてその約十二、三名の中で、BWR型、それからPWR型、おのおのタイプは違っておりますけれども運転訓練センターというのがおのおの用意してありまして、BWR型ですと福島に、それからPWR型は敦賀にその訓練センターがございまして、そこでこういう運転に入る前にすでに訓練を十分積んだ上で入るということになっております。これは初期の訓練コースが五カ月のものがございまして、その後再訓練コースが二週間というのがございますが、普段の訓練というか運転の状況、それから異常時の対応策というのがそこでもってトレーニングできるようになっておりますので、そこで訓練した者が約半数以上勤務している状況になっております。そういうことで、現在のところ実際に運転に従事している者については、各社内の訓練と、それからいま申し上げたような会社外の、いわゆる訓練センターで訓練をしております。  それから保安規定上では、先ほど先生おっしゃいましたように、原子炉主任者を必ず選任しなければなりませんし、原子炉主任者は保安に関する進言といいますか、忠告といいますか、そういう指導的な助言を所長にしなければならないことになっております。所長はそれを尊重しなければならないということになっておりまして、法的に定められました主任者が所長を十分補佐して行うというふうなかっこうになっております。しかしながら先生おっしゃいますように、確かにこの運転要員の訓練ということも非常に大事なことでございますので、その再研修というのをどれくらいのインターバルでやるべきかということについて再度検討いたしたい、こう考えております。
  107. 佐々木壽康

    佐々木説明員 先生が御指摘なさいましたように、今回の事故はたとえば二次給水系の方で補助給水ポンプのバルブが閉まっていたとか、そういう問題、それからいろいろな途中の段階で事故をさらに大きく拡大するような判断ミスがあったということがございまして、安全委員会といたしましてもこのような運転員のいわば資質にかかわるような問題を非常に重要視するということでございます。  それでこの観点から三月三十日の安全委員長の談話におきまして、国内の原子力発電所について、発電所のみではございません。すべての原子炉について総点検をすべきであるということを申しておるわけでございます。こういうことで安全委員会といたしましては、この運転員の訓練というのを非常に重要視いたしております。  それから通常安全審査の段階で、この安全委員会ではこういう従業員の訓練といったような問題を一応チェックいたしております。現在のところでは、この安全審査の段階で技術的能力はどの程度あるかということをチェックいたしておりますが、その中には、先ほど先生が御指摘になりました原子炉主任技術者というのが何人ぐらいいるか、あるいは運転要員の訓練計画はどういうふうになっているかというような問題、それから実際にそういう訓練を受けた人たちが何人ぐらいいるかというようなことを安全審査の段階でチェックいたしております。  しかしながら、こういう安全審査の段階でこのようなチェックはなされておりますが、これをさらに今回の総合点検で行政庁である通産省あるいは科学技術庁がさらにその実態を検査いたしまして、その結果に基づきまして、安全委員会としてはさらにどのような問題があるかということを審査したい、こういうふうに考えておるところでございます。
  108. 宮田早苗

    ○宮田委員 運転員の免許制の問題について一つ御答弁なかったわけですけれども検討する余地があるかないか、簡単に、どうですか。
  109. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 先生指摘のようなそういう免許制というのが日本の現在の法体系の中でなじむかどうかをあわせまして、また外国の、アメリカばかりじゃなくてよその国の運転状況もあわせて考えまして検討させていただきたい、こう思います。
  110. 宮田早苗

    ○宮田委員 通産大臣にお伺いいたします。  原子力発電所安全性問題がいろいろな角度から取り上げられておるわけでございますが、現時点で政府がなすべきことといいますのは、原子力に対する国民の信頼を取りつけることだ、こう思うのです。石油代替エネルギーとして原子力の有望性は確たるものがあるわけでございますが、昭和六十年三千三百万キロワット、六十五年が六千万キロワット、こういう開発目標があるわけでございますが、これにどう取り組むか、その決意のほどをお聞かせ願いたい、こう思います。
  111. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点は最も重要な点だと私どもも認識いたします。したがって、アメリカの今度のミスは、いままで情報をキャッチした点では、ここでも議論になりましたようにごく初歩的なミスですね。しかし、これはやはりお互い人間がやることですからミスがあるという、一つのやはり大きな警告になったことは事実だと考えます。したがいまして、こういうことのないように十分配慮することはもとよりでありまするが、的確に今回のミスの経緯を、情報をキャッチすることがまず大切だと思います。カーター大統領もこれは全世界に公表する、こう申しております。それから、先ごろの大平・カーター会談のときにも、やはりこの安全性の問題についてはいろいろ意見の交換があったやに聞いております。また、東京サミットのエネルギー問題の準備会に参りましたアメリカの代表などもカーター大統領が国際原子力機関に今後の安全性について十分協力を求め、また協議をしてまいりたいというような意向があるということを伝聞いたしております。  したがって、これは情報をキャッチすると同時に、日本の点検の結果等についても関係者に知悉徹底させることはもとよりでありまするが、今後の安全対策というものについて、やはり世界的なスケールで安全確保第一主義ということを再確認して、そうしてお互い国民が納得する形で進めていくということになれば、私は決していまお示しのわれわれが計画しておりまする予定は不可能ではない。この点にはわれわれも全力を挙げまするが、宮田さんにおかれてもぜひひとつ御協力を賜りたいところでございます。
  112. 宮田早苗

    ○宮田委員 産業界の省エネルギー対策は、冒頭申し上げましたように、今度の長期的にわたります不況を切り抜ける手段といたしましてそれなりの効果を挙げてまいった、こう思います。天谷長官が好んで使われておられますオオカミ論議ではございませんが、企業経営者はすでにオオカミの姿をはるかかなたに見ておるのじゃないか、こう思うのです。コストという独自の物差しを持っている企業でございますから、量の予測はむずかしゅうございましても、エネルギー価格が上昇することを前提にして省エネ対策を真剣に考えて実践しておるわけでございます。だから、本法案の効果が疑問だと申すつもりは毛頭ございません。まだまだ改善の余地がありましょうし、いわんや中小企業分野での経営改善はこれからだろうと思います。本法の運用によります効果測定はむずかしかろうと思いますが、どの程度期待しておいでになるか、その点まずお伺いをいたします。
  113. 天谷直弘

    天谷政府委員 昭和六十年度の対策促進ケースによりますところの省エネルギー率一〇・八%、八千万キロリットル、これの大部分といいますか、六割ぐらいのところが産業部門のエネルギー節約によるわけでございますが、この産業部門を二つに分けまして、エネルギー多消費部門と一般部門といたしまして、エネルギー多消費部門につきましては、その個々の企業に当たりまして、昭和六十年までにどのような燃焼技術の改善を実施できるか、それからまた、炉頂圧発電のような新規の設備投資によりまして、どの程度のエネルギー節約ができるであろうかというようなことを詳細に検討いたしまして積み上げた結果、その程度の節約は可能であるということに立脚いたしまして、そういう見通しを立てておるわけでございますし、次に、民生部門につきましては、日本の場合、ヨーロッパ、アメリカ等と比べて従来断熱化が非常におくれておりましたけれども、これからはエネルギーの値段も高くなることでございますし、それからまた、この法律によりましてあるいは省エネルギーセンターの活動によりまして、民間に家屋構造の断熱化につきまして周知徹底を図りたいと思っておりますので、従来と比べましてはるかに断熱化も進むであろう。そういたしますと、いままですうすう逃げておった熱が逃げなくなるわけでございますから、相当程度民生部門における省エネルギー化ということも行われるのではなかろうか。それからまた、特定機器に関しましては、これもまたこの法律を通じましてメーカーに努力をお願いいたしまして、燃費、熱効率の向上ということを今後とも一生懸命やっていただく。この面の効果もあらわれてくるはずである。運輸部門につきましては、バス、トラック、あるいは一般乗用車等につきまして、さらに熱効率の改善を図っていただく、あるいは交通体系に関しましては運輸省の方でいろいろ御判断をいただくというようなことで、合わせまして一〇・八%。  しかし、特にそのうちの産業部門が一番大口でございますが、この大口の産業部門につきましては、その省エネルギーが現実に確実に実行される見通しは高いというふうに私どもは考えておるわけでございます。したがいまして、この八千万キロリットルの節約、これの大部分エネルギー使用合理化、すなわちこの法律と非常に密接に関連した分野で行われるわけでございますから、民間の努力とこの法律による推進とが相まちまして一〇・八%、八千万キロリットル程度の節約が行われる見通しはかなり高いものというふうに考えまして、努力を傾けていきたいと考えておる次第でございます。
  114. 宮田早苗

    ○宮田委員 製造業の工場は省エネルギー効果が比較的にはかりやすい、こう思うのです。しかし、本法案では、いまもちょっと触れられたと思いますが、住宅や機械器具にまで対象を広げておるわけでございますので、住宅や機械器具に対しまする利用者といいますか、消費者のニーズは省エネとは逆行することも十分に考えられるのじゃないか。そこで、供給するメーカーにしてみますれば、国民一人当たりのエネルギー消費量は欧米先進国に比較いたしますとまだまだ低い、商品開発の隘路になりかねないという、こういう意見もまた別にあるわけでございまして、本法とどうこれを調和させていくかということがこれから問題だ、こう思うのですが、この点どうですか。
  115. 天谷直弘

    天谷政府委員 一方では経済成長が続きまして、国民の生活がだんだん豊かになっていきますならば、暖房用の機具あるいはその他のエネルギーを消費する器具につきましても、俗な言葉で言えばだんだんぜいたくになっていくといいますか、ニーズが多様化するといいますか、そういうことはある意味では避けがたいと思います。メーカーの方もそういうニーズの多様化に対応するために、いろいろな機器を開発していく、これはある意味では避けがたいことではないかと思います。しかし、他方、世界の石油需給の情勢を見てみますと、石油価格あるいはエネルギー価格がだんだん高くなっていくであろう、多分一般物価上昇率よりも高い速度でそっちの方が上がっていくであろうということも、かなりの確率をもって推定されるところでございます。  そういたしますと、消費者なりあるいは機器メーカーがそういう状況に対応いたしますためには、やはりエネルギー消費の効率化ということを一生懸命やらなければならないはずでございまして、そういう意味でこの法律とそういう動きとは全く一致するのではなかろうか。この法律は、そういうぜいたくなことはよせというような、二宮尊徳的なことまでは考えておらないのでございまして、ニーズの方はニーズのままに認めますけれども、そのニーズを充足する手段、方法においてできるだけ合理的な、熱効率の高いやり方を採用しろ、それを推進するということでございますので、そのニーズの芽を摘んでしまうとか、そういうことは考えておりませんから、正面から矛盾するのではなくて、むしろ補完し合うのではなかろうかというふうに考えております。
  116. 宮田早苗

    ○宮田委員 機械器具のエネルギー消費効率向上についてもう一つ大きなのがございますのは自動車問題でございまして、わが国の自動車の将来と省エネルギーという観点から考えてまいりますと、わが国のメーカーがアメリカの省エネ対策車の開発促進に対抗するためにも、燃費改善が急務であることは言うまでもございませんが、わが国の自動車生産の伸び率は、産構審にも示されておりますように、八〇年代半ばに向けての伸びの鈍化あるいは車一台当たりの走行距離が少なくなること等から考えますと、ガソリン消費のトータルはどうなのだろうか、このことと本法によって示されまする燃費基準の設定をどう絡ませるか、この点についてのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  117. 天谷直弘

    天谷政府委員 私の方からは、判断基準の内容についてだけ御答弁を申し上げます。  乗用車の判断基準といたしましては、メーカーによりましていろいろつくっている車のタイプが違うものでございますので、一定の合理的な範囲でクラス分けといいますか、グループ分けをいたしまして、クラス別に一年間に生産される乗用車の国内向け製造または出荷台数で加重平均した燃費効率の総合成績が一定水準以上になるようにというようなガイドラインを設けまして、これによって自動車メーカーの燃費向上を推進しよう、誘導しよう、こういうふうに考えているわけでございます。
  118. 宮田早苗

    ○宮田委員 関連するわけでございますが、燃費規制の厳しいアメリカでは、自動車メーカーが頻繁にモデルチェンジをして燃費効率の向上を図っておるわけでありまして、今後もそれが続くというふうに聞いておりますが、省エネ対策を考える際に、自動車の走行エネルギーといった部分的な消費エネルギーで見るのではなくて、製造段階まで考慮した総合的な消費エネルギーでもって判断する必要があると考えるわけでございます。以上の観点に立って今後の国産車の燃費向上を進めていく上で、当局はモデルチェンジをどのように位置づけているのか、この点お伺いいたします。
  119. 小林育夫

    小林(育)政府委員 運輸省といたしましては、従来から自動車のモデルチェンジに当たりましては、安全性の確保とか公害の防止等、そういうものを十分に考慮した上でメーカー各社を指導してまいったものでございます。したがいまして、今後のモデルチェンジにつきましても、安全、公害の面からだけではなくて、省資源、省エネルギーの面からも考慮をいたしまして、メーカーを指導してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。  先生指摘の、単に個々の自動車の燃料消費だけではなくて、製造段階におけるエネルギー節約も考えてと、そういうお話でございますけれども、現在わが国におきましては三千五百万台の自動車があるわけでございまして、それが今後ふえないものといたしましても、耐用年数を何年と仮定いたしますかわかりませんけれども、それが代替をいたしてまいります。そうすると年に数百万台という車が新しく生産される。その新しく生産される車についてはやはり低燃費の省エネルギーの車というものをつくっていかなければならない、そういう問題があるわけでございまして、やはりこの燃費規制という問題はゆるがせにできない問題ではないかと私ども考えている次第でございます。
  120. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 運輸省の方から運輸省の考え方の御説明があったわけでございますが、通産省としての見解を私から申し述べさせていただきたいと存じます。  一般的に申し上げますと、自動車の燃費改善のためには軽量化等の、車両設計の変更を要するわけでございます。いわゆるモデルチェンジということが必要になろうかと思います。従来からモデルチェンジにつきましては過度にわたることのないように自粛を要請しているところでございまして、当該モデルチェンジの妥当性につきましては、それによる燃費改善の度合いとか、安全、公害面における進歩の程度等を勘案しながら総合的に判断してまいりたい、これが通産省の基本的な姿勢でございます。
  121. 宮田早苗

    ○宮田委員 車の省エネ対策で、車本体の改良をハード部門だといたしますと、道路の改良を含む自動車道の整備はソフト部門の一つだ、こういうふうに見てもいいんじゃないかと思いますが、財政難等から、今後公共投資の中心となっております道路建設がスローダウンするのではないかという見方も別にあるわけでございまして、建設省として省エネの観点から今後の施策をどう進めていかれるものか、御説明願いたいと思います。
  122. 渡辺修自

    渡辺説明員 お答えいたします。  省エネルギーのために、交通渋滞といった道路の問題がきわめて大きな問題であるという適切な御指摘をいただいたわけでございます。先日のゴールデンウイーク等でも、非常に渋滞を各地の幹線道路でしたわけでございますが、こういう特殊な場合は除きましても、最近じりじりこの渋滞がふえておる状況がございます。御指摘にございましたように、一般の舗装道路で円滑に走れる場合を基準にいたしますと、混雑した道路では大体三割増しぐらい、それから著しく混雑いたしますと五割増しぐらいの燃料消費量の増があるということが言われておりますし、また、私ども東京都内で実験をした例等によりますと、走行速度が、渋滞をいたしまして平均十キロぐらいの場合、それから、円滑に五十キロメートルで走れる場合というのを比較いたしますと、三〇%違うというようなデータも出ております。したがいまして、御指摘にありましたように、道路整備によってエネルギーを節約できるという点はきわめて大きな効果があるわけでございまして、試算によりますと、ただいま実施いたしております第八次道路整備五カ年計画が完成いたしました場合に、その翌年の五十八年でございますが、ガソリン換算で年間約三百七十万キロリットルぐらいの節約が可能であるというような計算もつくっております。  したがいまして、今後スローダウンするのではないかという御指摘でございますけれども省エネルギーの問題で、ただいまの渋滞の解消というような点では、都市周辺部での環状道路、それからバイパスの建設、交差点の立体化あるいは踏切の除却といったようなことを精力的に進めてまいりたいと思っておりますし、また、先ほどは申し上げませんでしたが、まだ舗装ができていない砂利道でございますと、これもまた三割ないし四割増しの燃料が要るわけでございますので、地方部におきますところのすれ違い困難な区間の改築とか舗装事業をあわせて推進する。また、特に地方におきまして、交通が不便なために自家用車を使うというような地域がきわめて多いわけでございます。こういうところはバスをなるべく使っていただくという意味合いにおきまして、バスのすれ違いが可能になるようにするとか、あるいは渋滞区間の解消とか、それから、駅前広場あるいは交通ターミナル等の整備、こういったこともやってまいりたいと思っておるわけでございます。  まだ財源等きわめて厳しい状況はございますが、こういったことを各方面に御説明をいたしまして、御理解を得つつ、道路整備を今後とも強力に進めてまいりたいと考えております。
  123. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に移りますが、建築物におきますエネルギー使用合理化は、主として断熱効果の向上に重点を置いているわけでございますが、わが国の住宅問題を考えますときに、断熱と高温多湿な気象条件をどう絡ませるかがあると思うわけなんです。高温多湿な地域の断熱化は、逆に夏の冷房需要を拡大することにつながると思いますが、それでもこれからの住宅政策はこの断熱化でいくことになるのかどうか、この点お聞かせ願いたいと思います。
  124. 吉田公二

    ○吉田政府委員 この法案によりまして、建設省といたしましては、住宅の設計でございますとか施工に関する指針というものを定めることになっておりますが、私どもといたしましては、寒冷地あるいは温暖地、そうした地域別に、壁でございますとか天井、床等の部位ごとに材料の選択方法等を定めるというようなことをいたしまして、個個の住宅建設を行う場合の有効な素地にしていこうということを基本的に考えているわけでございます。  ただいま先生がおっしゃいました、断熱化が逆に省エネルギーにつながらないのではないか、こういう御指摘でございますが、住宅の断熱化は、冬場におきましては熱の損失を防ぐことになりますし、夏におきましても、日射というものの影響が室内に及ぶのを防ぐという意味において非常に有効なわけでございます。御指摘のとおり、わが国の大半のところは夏季、高温多湿という状態にございますが、そういう意味で、夏季におきます通風というものも大きな要素かと思います。私ども考えております住宅の断熱化対策というのは、必ずしも開口部を閉じるということを考えているわけではございませんで、通常の開口部を持っている住宅でございましても、断熱化しているかしていないかということにおきまして、夏季の居住性というものは、むしろやはり断熱化をしていた方がはるかに有効でございます。それがまた、たとえば暖房、冷房なんかした場合にはさらに有効でございますが、現在と同じような居住をしている場合におきましても、断熱化をしたことに伴ってデメリットが起こるということはないと私どもは考えている次第でございます。
  125. 宮田早苗

    ○宮田委員 石油で年間三千キロリットル以上使います工場が熱管理指定、それから千二百万キロワット以上の工場が電気管理指定、一定のその基準を設けるということでございますが、問題は基準以下の工場、事業所、主として中小企業が対象となりましょうけれども、この分野はエネルギー問題のための要員を確保する余裕がないところが多いと思います。政府は財団法人省エネルギーセンターで指導するとしておりますが、これをどう実施していかれるものか、御説明願いたいと思います。
  126. 天谷直弘

    天谷政府委員 中小工場につきましてもこの法律案の三条、四条、五条は適用されるわけでございます。したがいまして、これらの工場につきましては、国が第四条の「判断の基準となるべき事項」を勘案して、直接指導、助言ということも行ってまいります。  すなわち、地方支分部局を動員いたしまして、直接中小工場の指導にも当たりたいと思っておりますが、それだけでは足りませんので、昨年十月に設立されました省エネルギーセンターにおきまして、国の補助のもとに中小企業に対してエネルギー使用合理化のための診断指導事業を行っていく、それから中小企業のエネルギー管理従事者に対しまして研修事業を実施する、省エネルギーのためのわかりやすい技術情報の提供というような事業を行う、こういうことで中小工場の省エネルギーの推進に努めていきたいと考えております。  また、省エネルギーの設備投資に関しましては、特に中小企業向けとして五十三年度から新たに中小企業金融公庫の融資制度の中に、省エネルギー貸し付けの特別枠が設けられておりますし、また国税における特別償却制度、地方税における固定資産税の軽減制度などの税制上の特別措置も設けられておりますので、これら種々の制度を組み合わせまして、中小企業の省エネルギー化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  127. 宮田早苗

    ○宮田委員 それから、本法に直接ひっかからない民生用エネルギーの節約も積極的に推進しなければならないわけですが、中でもサービス業を中心といたします第三次産業部門での省エネ対策も今後重要な課題となってくると考えるわけです。この流通業あるいは飲食産業等、所管官庁が多岐にわたっておるわけでございますが、通産省並びに建設省のこれからの取り組みをお伺いをいたします。
  128. 天谷直弘

    天谷政府委員 この分野は行政的に把握することがなかなかむずかしい分野でございまして、私どもも正直に申し上げまして名案がないのでございますけれども、関係の各種団体等を通じまして、できるだけこの法律の趣旨あるいはまた五%節約の趣旨の徹底等を行いまして、効果が上がるように努力をしていきたいと考えております。
  129. 吉田公二

    ○吉田政府委員 建設省におきましても本法の第三章に関する規定の適用によりまして、建築物としての効率のよいものに持っていくということに努力をしてまいりたいと思っております。
  130. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後に通産大臣にひとつお伺いをするわけでございますが、省エネルギー機器の開発あるいは実用化に対しての金融、それから税制上の拡充整備策についてお伺いするわけでございます。  幾度も申しましたように、製造業分野での省エネ化は独自に相当進んでいるわけでございますが、その対策、設備に対します金融あるいは税制措置が、公害防止機器の設置等に比べてまだまだの感があるわけでございます。今後省エネ化設備はますます多岐にわたってくると予測されるわけでございますが、本法の制定を機会に特別償却制度の拡充とか、固定資産税の減免とかあるいは開銀資金の特利等を大蔵省に対しまして要求すべきだと思いますが、大臣の御所見を最後にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  131. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点はやはり重要な問題だと私も認識します。すでに現在、いま御指摘ありましたように省エネルギー化設備投資に対しては、熱交換器、廃熱ボイラー、これは日本開発銀行それから中小企業金融公庫の融資制度がありますが、これは大幅なものじゃありませんですね。やはり時代の要請にこたえ、わが国の特に重要なこの問題解決のためには相当な助成措置を講じる。この助成は初期の段階において大いに奨励すべきだと私は思うのです。そのことが節約を国民の間に徹底させる一つの奨励措置になるというふうに理解いたしますので、今後ともこの予算の増枠については十分努力をしてまいりたいと思います。もうすでに大蔵大臣とこの点は非公式に話し合いをしておるところでございます。
  132. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 工藤晃君。
  133. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) エネルギー使用合理化に関する法律案について質問します。  わが党は、このエネルギーの問題で自主的、総合的政策を打ち立てなければならない、こういうことをかねて主張しておりますし、その場合四つの可能性をくみ尽くすべきである。そこに総合性が出てくる。その中には国内資源の開発の可能性、それから新しい科学技術の研究開発の可能性、さらに外交上の可能性、四つ目にエネルギー節約の可能性というふうに位置づけております。     〔山下(徳)委員長代理退席渡部(恒)委員長代理着席〕 その意味で、このエネルギーの節約という方向は必要であるというふうに考えております。  しかし、われわれがこれから自主的、総合的エネルギー政策を持たなければいけないという場合でも、世界的見通しによって裏づけられる必要があるのではないか。そこでこの問題は非常に多く議論したいし、政府の見解を伺いたいわけでありますが、一つだけ私持ってきましたのは、WAESレポートとして知られている「世界エネルギーの将来」で、二〇〇〇年にまで至る見通しであります。これは日本でもすでに刊行されている国際共同研究で、十五カ国からいろいろ専門家が参加しておりまして、わが国からもパーティシパントが七名とアソシエートが五名参加しております。個人の資格でいろいろ意見を述べたということでありますが、この中には通産省総合エネルギー調査会の方も参加しております。名前はもう申し上げません。  そして、ここで一つ大事なのは、二十一世紀、二〇〇〇年のときの見通し、どういう世界的な需給バランスになるであろうかということで一つの見通しが出されているわけであります。  その幾つかの点を言いますと、一つ石油供給不足になるであろう、資本主義世界の希望石油輸入量の三〇%が不足する、これは成長率が高いとか低いとか四つのケースでやってみて大体三〇%不足する、これが第一点であります。  第二点は、天然ガスは世界全体の需給バランスから言えば問題なさそうだけれども、天然ガスの場合は輸送のためのパイプラインやLNGタンカーや、こういったインフラストラクチュアの建設が伴わなければいけないということでいくと、産出国と消費国との間でいろいろアンバランスが出てくるであろう。  三つ目の点として、しかし石炭の生産量は供給過剰になるであろう、そして想定される石油供給不足量の一割ないし五割ぐらいの供給過剰がこのままいくと予想される。そこで一つの結論としまして、石炭は全体的に見て石油に代替する重要な燃料となる可能性を有している。ただ、そこで残念なことに、石炭は燃料としてこのところ余り選好されてない、石油、ガスの方が選好される燃料となっている、だからこの選好状態をそのままにしておくと石炭が過剰になり石油不足になるであろうということであります。  そこでいろいろなケース、C1ケースというので中に一つあるのですが、石油供給不足になったときの対策は何が考えられるか。一つは社会主義国から輸入しようということです。二つ目は石炭石炭の形で利用することで石油に代替していこう。三つ目が石炭からの合成原油、石炭液化です。それから四つ目が電力生産に投入する燃料を低下させることによってロスを減少させるという、この四つの対策がある。  ガスについても、ガスの貿易の拡大は資源的には可能かもしれないけれども、政治的な決定で実現されないことも考えられるということで、その場合は石炭石炭として利用することでガスに代替する、ここでも石炭で代替させていく。それからガス発電を石炭原子力発電で置きかえる。三つ目がまた社会主義国が出てきまして、社会主義国からの輸入を拡大する。四つ目が石炭からの合成ガス。それから五つ目が発電用の利用を抑え、ロスを減少させるということになっているわけであります。  そこでまとめていくと、石炭はさっき言いましたように、想定される石油及びガスの供給ギャップを埋める上で重要な役割りを果たし得ると考えられるというこの結論であります。ただし、さっき言った燃料の選好がこのままの傾向で続くといろいろ問題があるから、WAESが予測された燃料に対する、エネルギー源に対する選好態度が変えられていく必要がある、そうすれば石炭が代替しながらこの穴埋めができるであろうというのがこの二〇〇〇年についての結論になるわけであります。  この中の三百二ページのところで、では電力生産でどうするか。電力生産では石油、ガスにかわって石炭、水力、その他原子力へと、さらにはもう石炭も使わなくて、化石燃料に基づく火力発電というものは電力生産から追放していくという考え方でいく、産業用は石油、ガスにかわって石炭にしていく、そして電力も、最初予想された電力需要よりも少し低目にならなければいけない、民生用についても同様、石油、ガスにかわり石炭が大きな役割りを果たしていって、電力も少し減らなければいけない、こういうことであります。つまり、世界的に二〇〇〇年まで展望をしたときの見通しということからいいますと、石炭がこのように位置づけられている。それと同時に、やはりいままでのエネルギー源に対する選好をそのままにするのでなしに、ある転換を行いつつ、この統合をやっていくことによって問題を解決する、こういう考え方が出されているわけであります。  もちろん、ここに出たのは政府の代表として出たわけではないと断っておりますから、それはよく存じておりますが、たとえばこういうWAESの見通しに対して政府としては大体賛成なのか、あるいは大いに異議があるのかどうなのか、その辺ちょっと伺いたいと思います。
  134. 天谷直弘

    天谷政府委員 二〇〇〇年までを想定する場合に、非常に不確定要素が多いわけでございますから、そこでもいろいろなケースを想定しているように、一義的なこのケースということは非常にむずかしいと思います。いわば非常に壮大な連立方程式体系ということで組み立てられているわけでございますので、一カ所をいじれば大体全体に波及するような性質を持っておりますから、いまここでWAESの報告の全体についてコメントするということは、それだけの用意もしておりませんし、時間的にもむずかしい問題であろうかと存じます。  そこで、一番強調されておりますところの石炭の将来性の問題でございますけれども石炭が地球上において一番豊富に賦存しておる資源であり、かつ人類が使いなれてきた資源である、また日本立場から申しますならば、環太平洋圏においてきわめて豊富に賦存しておる資源であるというようなことから見まして、石炭利用をこれまで考えておったよりもさらに力を入れて推進していかなければならないという点につきましては、われわれも全く同じ意見を抱いております。  しかしながら、WAESにも指摘されておりますように、石炭選好についてはいろいろ問題点がございます。特に日本の場合一番大きな問題は、やはり土地が狭い、そして人口が密集しているということから発してくるところの困難であろうと存じます。まず石炭をたこうといたしますと、貯炭場のために大きな土地が必要でございますが、既存の人口密集地にあるあるいは人口密集地に近い火力発電所におきましては、貯炭場を新たに見つけるということはきわめて困難でございます。あるいは石炭火力発電所を都会地に近いところでつくろうといたしますと、土地の調達がむずかしいという問題が起こってまいります。次に、御承知のとおりの粉じんであるとかNOx、SOxという問題が出てまいりまして、これも技術開発その他もっと一生懸命やらなければなかなか問題が解決しない。それから最後に、出てきたかすをどうするかという問題が出てまいります。  そういうわけで、選好の問題一つとりましてもいろいろ解決すべき問題がございますし、そのほか産炭地におきましても、大規模な石炭生産をやるとすれば、特に新しい山を開発するというようなことであれば、道路、港湾、鉄道等のインフラストラクチュアを建設しなければならない。輸送にもいろいろ問題がある。したがいまして、LNGの場合にあった指摘と同じでございますが、産炭地それから輸送、揚げ地、ここに一貫して巨額の設備投資を行っていかないと、なかなか石炭の利用がうまくいかないというようなことがございまして、問題点は非常に多いわけでございますけれども、われわれとしましては、できるだけこの問題点の解決に取り組みまして、石油不足によって起こるところの衝撃をできる限り多く石炭によって吸収をしたい。それは長期的エネルギー戦略として正しい方向であるというふうに考えております。
  135. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) ちょっと具体的なことを伺いますが、ヨーロッパの西ドイツ、イギリス、フランス、そのほかアメリカ日本での火力発電の中での石炭の地位といいますか、その数字をちょっと教えていただきたいのです。
  136. 豊島格

    ○豊島(格)政府委員 ちょっと手元の資料が見つかりませんが、イギリス、アメリカ等では五割を超えて六割くらいいておる。それからイタリアが一番すくなくて一〇%を切っておりますが大体そんなところであったかと思います。
  137. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) きのう公益事業部の技術課から伺ったところでは、これはOECDの七六年版で、西ドイツが六五%、イギリスが六三%、アメリカが六一%、フランスが三四%、日本が五%というわけで、日本の火力発電においてはヨーロッパの国と比べて異常と言えるほど石炭の利用がないがしろにされてきたわけです。石炭はこのところずっと選好性がよくないと言われるのは、先ほど言われたような困難というのは、これはどこの国にもあるにもかかわらず、もちろん日本の国土の特殊性というのはあるでしょうけれども、ヨーロッパもずいぶん狭いところに人口がいっぱい入っている国が多いわけだから、それだけが言いわけにならないということです。  そこで、先ほど私がWAESについて伺いまして、天谷長官は大きな見通しとしてはこれに賛成であるし、あるいはこれまで以上にもっと石炭を重視しなければいけないという趣旨を言われましたが、ただ、WAESに日本から参加した人の名前をちょっと挙げますと、経団連会長の土光敏夫氏、通産省総合エネルギー調査原子力部会長の松根宗一氏、日本貿易会会長の水上達三氏、産業研究所理事長の稲葉秀三氏、前海外経済協力基金総裁の大来佐武郎氏、総合研究開発機構理事長の向坂正男氏、こういう日本ではエネルギー問題というと代表になる人が出て、十五カ国からこういうクラスの専門家が参加して、このほかにもっとスタッフ的な協力者というのもずいぶん多く来て、相当膨大な研究なんです。この中での原子力の位置づけその他については、どうもこれは推進派であるということも考え、いろいろ批判がありますけれども、しかしやはりこういう国際的な共同研究というのはそれなりに重みを持っていると私は思って、それで挙げたわけです。たとえそれが個人の立場で出たとしても、そういうところでふだんやっておられる方が、それと全く矛盾したことを出すわけではない。  そういう中で、いま言いましたように、石炭の位置づけの問題が一つ挙げられてきますときに、従来、特に六〇年代に入ってから、これからはもうエネルギー革命だ、石炭はさようなら、石油よこんにちはという調子で、国内の炭鉱がそのためにずいぶんつぶされてきたわけであります。それから、いま日米経済協力だなどと言ってやろうとしている石炭液化の研究というのは、戦前はドイツ、日本が非常に先に進んでいて、それが戦後、特に一九六一年に、私が聞くところでは民間の北炭でやっていた研究が最後で、もう中断されてしまうという、そういう空間をつくってしまったわけです。ところが、この世界の十五カ国の共同研究によりますと、結局、これから少なくとも二十一世紀までということになれば、言ってみれば石炭が未来のエネルギーである、もっと大きく長期的に展望すれば石炭はつなぎのエネルギーである、こういう位置づけになってくる。  こういうことから見ると、これまでの日本石炭の政策は、安易に国内の炭鉱をどんどんつぶしたり、石炭の利用そのものの研究を中断させてきたというようなこと自体、これは国内の資源に対する浪費といいますか、取り返しのつかない浪費を含んでいるわけでありまして、こういう点に対しての反省というか、そういうものも政府としてしっかり出されなければこれからの省エネルギー政策の方向も、最も積極的な形で打ち出せないのではないだろうか、そういうことを懸念しながら私はいまの質問をしたわけでありますが、この点につきまして、通産大臣の方からお考えを述べていただきたいと思います。
  138. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 石炭に比較して石油エネルギー効率が高かったということ、しかもきわめて安価であるということ、それに、御承知のように日本の炭質が必ずしもよくないというようなことなどが、急速にエネルギー源石油に変わった大きな理由であることはもう申し上げるまでもないと思います。しかし、御承知のようにこれは埋蔵されておるわけでありまして、また見直しの時代が来ればもう一遍これを発掘することは決して不可能な話でもありません。ただ、経営が困難になって閉山してしまったということは残念でありますが、世界の経済の従来の運行を見ておりましても、いろいろな試行をしたり錯誤を繰り返したり、また反省をして前進するというようなことは、お互い人類の歴史にありがちなことであります。  そういう点で、日本石炭はいまの輸入炭に見るように品質が必ずしもよくない、また価格も高いわけですが、今後はもう一度見直していこう、二千万トン体制は確保していくというわけですし、同時に、石炭の液化等については今度カーター大統領と大平首相の間にも共同開発の研究がなされる。御指摘のように、私も東大に石炭液化の研究をやっておった教授を知っておりますが、だんだん熱情を失って他に転じてしまった、いま数えるほどしかいない、残念な状況でありますけれども、これも一つの時代の流れであったと言えば言えないことはないと思いますけれども、今後、見直しの時代に入ってまいりましたので、鋭意努力してまいりたいと考えます。
  139. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私が指摘したのは、政策として一つの大きな歴史的な失策として反省しなければいけない、それをただ時代の流れということだけでは済まされない問題があるということでありますが、同時に、いま大臣はいろいろ錯誤を重ねたということ、あるいは見直す時期も来るとかいうお話もありましたので、この問題は一応そこにおきまして、先ほど私も言いましたように、省エネルギー自体、省エネルギーのための省エネルギーというよりも、総合的なエネルギー政策の中でこれをどう位置づけるか、そうするとまず総合的エネルギー政策ができてなければいけない、これは言うまでもありません。しかし、同時に、その中での省エネルギーというのが一体どういう位置づけで、それから省エネルギーといっても一体何がいま大きな課題なのか、そういう大きな課題に対して、今度の新しい法案でやろうとしているいろいろの対策というのはどういう位置を持つものか、この辺ははっきりさせる必要があると思うわけです。  そういうことで、今度の法案を見ますと三つの柱があって、工場における熱管理と、建築物にかかわるエネルギーの効率を高める、それから三つ目が自動車など機械器具にかかわるエネルギー使用合理化ということで、三つ出されているわけであります。もちろん政府としてはこれだけで省エネルギーをやるのではないという答えがすぐ返ってくるだろうということは予想しておりますが、そうは言っても、もう一度全体としていま省エネルギーにどういう具体的な課題があり、どういう可能性があるのか、その中でともかく何を追求するのか、そういうことをはっきりさせる必要があるのではないか。  そこで、ここに一つありますのは資源エネルギー庁監修の七九年の資源エネルギー年鑑、重たいからコピーにして持ってきました。その中の七十八ページにエネルギーの消費フローというのが出てきて、このフローの中でどこでロスが大きいかというのがフローチャートからは見られるようになっているわけです。そこでいくと、まず幾つか問題があって、エネルギーと産業、運輸それから民生ですか、そういうふうにいろいろ分けていきますが、最初エネルギーそのものでは、さっき言いましたように、WAESレポートの中でも化石燃料をそのままぼんぼん燃やして発電して、それで産業や民生用にそのまま使うのがいいかどうか、転換の必要ということも出しているわけですが、なるほどこのフローチャートを見ましても、ともかく発電及び送電のロスが大体六〇%出るようになっているわけです。そうしますと、この発電や何かでのロスを防ぐために熱の回収だとかいろいろ対策を立てる、それはそれで必要だと思うけれども、もう一つ考えなければいけないのは、火力発電なんかでは四〇%が限界と言われている、これをそのままにしておくのでなしに、何で発電をしていくのか、電力はどうして得ていくのかというところでのこれからの全体のエネルギーそのものの構成、それで電力はどこで使うかという課題も立てて、それに対する対策というのを出さなければいけないだろう。これはほんの一つの例だと思います。  それから、二つ目の問題からいいますと、産業構造の問題が出てくるわけです。これは産業構造について日本エネルギー経済研究所の資料から見ますと、たとえば産業のエネルギーの中でも鉄鋼だけでも三八・七、化学だけで二五・〇、窯業土石で七・六、これだけで七一・三%がある。これまでの高度成長政策というのが結局重化学工業重化学工業ということで、外国から生の原料を持ってきて、その生の原料を精製したり加工したりして一番エネルギーを食う産業部門を肥大化させてきたということで、こういう今度の日本省エネルギーという場合、特に産業部門の比重が高いということが言われ、産業部門の中でも重化学工業部門が大きいということが言われるとき、産業部門の転換をどう積極的に取り組むのかということが同時に出されなければいけないのじゃないか。というのは、鉱工業部門のフローを見ますと、この中でのロス、これはかなりあるわけですが、それに対する対策はもとより要るわけですが、同時に、そういうエネルギーを非常に食う部門だけが肥大してきたような構造の転換が、同様に非常に大きな地位を占めているのではないだろうか。そういうことで、要するにここで各工場の熱管理をやるのは結構だけれども、それだけにとどまらないで、特に産業の場合から言うと、この産業構造の転換という課題は、産業部門での省エネルギーでは実はかなり大きな戦略的課題としてはっきり位置づけて、それに対してもっと真剣に取り組むということが要るのではないだろうか、このことであります。  その点でも、産業計画懇談会が七二年十月、七八年六月、改革案を出しておって、これはどちらかと言うと財界の研究機関からの提起でありますが、しかしこういうものが出された裏には、これはもう避けて通れない問題になっているということを同時にあらわしていると思うわけなんで、このように個々の企業や工場の管理だけじゃなしに、もっと全体的なそういう転換の問題をどう積極的に取り組むのか、あるいはこれは余り方法はないのだというふうにして避けていくのか。そこをはっきりさせる必要が実際あるのではないか、このように考えます。
  140. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 エネルギー源を多様化する、これはもう当然なことであります。さっきお話が出た石炭の見直し、利用、これは当然なことですね。それから、原子力開発推進、これはまた安全性を確保して、あなたの方の政党にも御理解をいただいてぐんぐん進めるということになれば、そんなに現在の産業構造を直ちにここ一両年のうちに変えなければならないということにも、私必ずしも迫られないというふうに思うわけでございます。しかし、やはり絶えず変化に適応していくためには、産業構造の積極的な変革を求める、知識集約型の付加価値の高い産業を進めていく、これは政府としても産業構造の将来ビジョンというものをはっきり国民にわかるように打ち出していくことも必要であります。  また、技術開発の推進をするというような施策をどんどん執行に移していく。特に、省エネルギーの重要性という点からいくならば、こういった点は度外視できないと思います。やはりアメリカも世界の原子力機関と相談をし合って安全性をもう一遍確認し合おう、こう言っているのですから、科学的という言葉を非常にお好みになる共産党は、どうぞひとつ大いにこの原子エネルギーの利用という点にも御理解を示されて、こういった共同的な推進にひとつ御協力を賜りたいものだというふうに思います。
  141. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 原子力の問題では、要するにいまの軽水炉型の炉でやっていく原子力開発というのは、確立された技術でない部分が非常に多いわけですね。そういう意味で実証された技術でない。まして、それから出てくる死の灰をいろいろ再処理していくそこの全体のサイクルからいくと、ますます大きな問題があって、未確実の問題があるので、わが党としては安全対策をまずやって、急がば回れということを言っているのです。急がば回れというのがわが党の主張でありますから、それは間違いなくやりまして、いまの中でも私言いましたのは、産業の場合ですと、確かにロスはこのチャートによりますと二二%出るのです。だから、この二二%の対策は要るのだけれども、同時に産業の場合は構造というものが非常に大きな地位を占める、そういうことであります。  また運輸の問題も、これで見ていきますと、ともかく七五%がロスだということになっていくわけです。その場合、やはり個々の自動車の燃費をよくするとかそういうことは課題としてあるでしょうけれども、しかし、運輸の場合はもっとこういう大きな課題があって、それへこういう対策以上に熱心な取り組みがなければ、この省エネルギーということになっていかないのじゃないか。  その一つは、交錯輸送の問題です。交錯輸送の調査というのは残念ながら余りないのです。ないけれども、きょう運輸省も来ていますが、私は運輸省としてもこれは積極的に調査を進めてほしいと思っていますが、これについても、先ほど挙げました産業計画懇談会の産業構造の改革の中で一つだけ引用がされてあって、政治科学研究会の調査で、交錯輸送、東京に工場があってそれが関西に運ばれる、関西の工場がまた同じ東京に運ぶというので、むだな輸送をやっている。野菜なんかでもUターンというのがありますね、東北あたりから東京へ来て、それからまた戻っていく。そういう交錯輸送というのが、少なくとも石油製品、鉄鋼、化学肥料の三品目で、これは国内の全体の中長距離輸送の一五%強が交錯輸送になっているという、こういう交錯輸送のむだをどうするのかというのが一つ。  それからもう一つは、自動車輸送の問題でありますが、これは東京大学助教授の西村肇氏も指摘しております。西村肇氏によりますと、要するに自動車の生産、それから自動車の使う燃料、自動車に必要な道路工事、これだけで原油輸入量の二一%、一つの商品でこれだけエネルギーを食う商品はないであろうという指摘もあります。とにかく日本自動車は、トンキロ当たりのエネルギー消費量比較でいくと、鉄道の七倍から八倍、大体そういうことになっている。この自動車と公共交通との関係をどうするか。これが交通面では二つ目の課題であります。  そして三つ目の課題が、自動車輸送の中でも特に自動車による貨物の長距離輸送、これが西村氏の指摘によりましても、百キロメートル以上はトン数で五%だけれども、トンキロ数で五〇%を超えるから、恐らくこれだけで燃料の五〇%を食っているであろうと言う。この問題が放置できない問題になっている。ですから、交通問題でもこういう一番省エネルギーで取り上げなければいけないところとそれこそ積極的に取り組みつつ、同時に個々の燃費の改善とかそういうこともやるということで初めて全体の展望が開けると思うのですが、その辺は一体どうなっているのか、特に交通問題について伺いたいと思います。
  142. 小林育夫

    小林(育)政府委員 私の直接担当ではございませんけれども、いま先生指摘のように、交錯輸送の問題とかあるいはトラックによります長距離輸送の問題あるいは鉄道との問題あるいは内航海運との問題、こういう問題につきましては、実はそういう実態としてはあるわけでございます。これは一つには、まあやむを得ないといいますか、流通段階におきます消費者の嗜好の多様化といいますか、ある特定の銘柄の米が欲しいとか、ある特定の銘柄の木材が必要であるとか、そういう特定の産地のものが非常にある特定の地域で求められるということもございまして、同じ製品だから、地元でとれるものでがまんせい、そういうわけにもまいりませんので、そういうことから交錯輸送というものが行われる。実際に貨車を見てまいりましても、同じ品物が上り下りの列車の中にあるというのが実態でございます。そういうことで、運輸省といたしましてもそういう実態については調査をしておるわけでございますけれども、それでは強制的にそれを、いま申し上げましたように一定の地域以外には運ばせないというわけにはなかなかいかないわけでございます。そういうことで、何とかそういう交錯輸送を避けると申しますか、往復ともに荷物があるようにする。  それから、トラック輸送につきましても、いま国鉄の輸送と長距離トラックとの競合の問題が大きな問題になっておるわけでございますけれども、これも実はトラックで運ぶのが悪いということでは必ずしもないと私は思いますが、ほとんどのトラックの長距離輸送というのが片荷でございます。片っ方の方向は非常に荷物が多いけれども、その反対側の方向が非常に荷物が少ないということで問題になっておるわけでございまして、できるだけ往復ともに荷物を積んで輸送効率を上げるということで、私どもいま研究しておるところでございまして、将来先生指摘のように、個個のトラックの燃料を節約するということだけではなくて、使い方の方で効率をよくしていくということもあわせて研究してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  143. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 要するに、いままで伺ったところで、さっき言いましたように、特に発電でのロスの問題の対策、産業の場合でいうと産業構造の問題、それから交通でいうと三つばかり挙げたわけで、いま交錯輸送問題だけお答えになったのですが、そういうことが実はそれぞれの戦略的課題みたいになっていて、それへの積極的な取り組みがあり、なおかつここで法案で取り扱うようなことも進められるということになると総合性が出てくるのですが、そこでもバランスが欠けているといいますか、戦略的課題の方がまだほとんどやられていない、未確立である。ここにいまの政策上の問題があるということを指摘しまして、もう少し具体的な問題でいきたいと思います。  それは、特に消費の問題でいうと、やはり戦後の高度成長政策で使い捨て文化といいますか、それが大いに推進された。政府がどれだけそれにかんだかということはここで具体的に申し上げませんが、ともかくそういうことが行われてきたわけであります。  そこで、特に一つの具体的な問題で、日本の場合、自動車の耐用年数がどうもヨーロッパやアメリカと比べて短いのではないか、その問題は一体何を意味し、そこを改善することによってエネルギーの消費量にどういう影響が出てくるのか、この問題についても私はひとつ伺いたいわけであります。  最初に、自動車の耐用年数について、日本西ドイツアメリカ、イギリス、フランスなど、それぞれどうなっているのか、資料があれば示していただきたいと思います。
  144. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 乗用車の法定耐用年数は六年でございます。しかしながら、実際にいま使っておりますのは六年を超えておりまして、いわゆる平均耐用年数ということで申し上げますと、四十八年に七年でございましたものが、五十二年には八・二年に長くなっておるというのが、手っ取り早く申し上げますと日本での現状でございます。  それから、御質問のございましたほかの先進諸国との比較でございますが、この比較は大変むずかしゅうございまして、車に対します考え方あるいは使い方、車検のあり方等がそれぞれの国でまちまちでございますので、一概に比較するのは大変困難でございますけれども、あえて申し上げてみますと、先ほど申し上げました日本の八・二年、五十二年の数字で申し上げますと、アメリカが十一・二年、イギリスが十一・七年、フランスが十一・五年、西ドイツが九・八年といった状況でございます。
  145. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) これはもう御存じだと思いますが、日本経済調査協議会の資源の有効利用の中に、自動車の耐用年限問題が出されておりまして、これは自動車工業会の資料を使って、このときは、日本は六・五年、西ドイツ九・五年、アメリカ十一年、イギリス、フランス十一・五年というのが出ております。それで、日本の方は比較的最近の時点で少し長くなったということだろうと思いますが、いずれにせよ、日本の方がまだ耐用年数が短いことが実情だろうと思います。そして、その場合なぜ日本が短いのかということで、これは日本の場合特に性能が悪いということでないことはもう言うまでもないと思いますが、結局いまも説明がありましたように、車に対する考え方だとか車検のあり方だとか、いろいろあるということですが、しかし、一つ考えなければいけないのは、何といっても大企業の側の販売政策によって次々と、いわゆる商品の製品差別化政策というふうに専門的には言っておりますが、要するにモデルチェンジを次々とやりながら、これは新しいはるかに便利なものであるということで、非常に買いかえをやらせていくその速度が速かったということは明らかだと思うわけなんです。  そういうことで、この法案に即して聞きますと、自動車についてこの法案で消費効率についてのガイドラインを決める。そうすると、それだけだとまたモデルチェンジが頻繁に行われてしまって、そのことが結局生産の台数をふやしていく。生産の台数がふえるとどうなるかというと、いまの自動車工業会の資料によると、自動車の生産では普通鋼の一八・六%、うち冷延薄板なら四一%、特殊鋼は二九・〇%、アルミの一九・八%、ゴムの五〇・八%というように、かなり資源を食う生産なんですね。そこへ響いていく。だから、個々の燃費を上げようと思ってモデルチェンジにいく、モデルチェンジにいくと、それが自動車の生産をふやしてしまって、逆にまたエネルギーの消費をふやしていくという関連が出てくるわけですが、そういうことを考えるとき、これは先ほども同様の問題を出されたわけでありますが、こういう燃費の改善だけでないほかの対策を自動車の場合には一体どのようにとろうとしているのか、この点について伺いたいと思います。
  146. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 まずお答え申し上げたいことは、自動車がいわゆる省エネルギーに協力できます分野と申しますのは、ハードウエアとしての省エネルギー化ではないかと思うわけでございます。御承知のとおり、自動車と申しますものは使い手、いわゆる乗り手の乗り方によりましてどうでもなるわけでございますので、機械そのものが省エネルギー化いたしましても、ソフトウエアの方が伴いませんと所期の目的が達成できないということでございます。私どもが本法におきまして期待いたしておりますのは、いま申し上げましたハードウエアにつきましてのガイドラインというものをつくりまして、それによりまして、いわゆるメーカーサイドからの御協力という立場をとっているわけでございます。先ほど来先生が御指摘のような総合的な対策というものは、この面からも必要になってくるということでございまして、単にハードウエアにつきましての自動車省エネルギー化に努めましても、その辺が伴いませんと所期の目的が達成できないということが一つあろうかと思います。  そこで、いまお話のございました耐用年数を長くしたらどうかという問題につきましては、全く同感でございます。私どもといたしましても、できるだけ耐用年数を長くするということは、省資源という立場から見ましても必要なことだと思いますけれども、先ほど来お答えいたしましたように、本法との絡みで申し上げますと、やはりそこに一つのハードウエアとしての対策がございますので、必ずしも耐用年数を延ばしていくということだけで目的が達成できるかどうかよくわからない、その辺の調整というものを十分考える必要があるのではないか、こういうことが私どもの見解でございます。
  147. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 耐用年数を長くするのは同感であるということだったので、その辺でこれは関係官庁の取り組みを私は要請するものであります。  一つだけこの問題が出ましたついでに指摘しておきたいのですが、これは日経調の行った昭和五十一年五月の「資源の有効利用」の中では、要するに日本自動車の耐用年数を西ドイツ並み、アメリカ並みにするとどういう影響が出てくるか、これはマクロ、ミクロで研究しております。結論としては、マクロもミクロも同じところがありますので、同じところで言うと、結局西ドイツ並みにしても自動車の生産がまず低下するであろう、三〇%から二〇%低下する。二〇%というのは、輸出比率三三%を想定した場合二〇%低下するであろうということで、これがエネルギー使用に影響が出てくる。しかし、この指摘はそれとは逆のことも二つ言っているのですね。一つは、古くなるほど燃費が悪くなってくるということを言っているのですね。それからもう一つは、廃車が減るためにリサイクルがおくれるだろう、鉄くずが少なくなるだろう。しかしそれは鉄くずの過剰状態とかなんとかによって、あるいは輸入とかということによって解決できる問題だから大きな問題じゃない。本当に古くなれば燃費が悪くなるだろうかというので、実はここに出てきた調査というのも、カ−グラフィック誌という雑誌の上で示されたブルーバード十三〇〇についての試乗テストでそうなったという一つの例だけなのですが、私はこの際、日本自動車工業会の技術部や日本自動車研究所の研究部や日本車両検査協会その他、関係するであろうと思われるところにこの問題について伺いました。伺ったところが、耐用年数を延ばすと燃費がどんどん悪くなって、それでエネルギーロスが出るということに同感であると裏づける資料というのはなくて、逆にそう変わらないという答えがみんな出されてきたわけであります。たとえば日本自動車研究所のあれでは、これも非常に詳しいデータがあってと断ったわけではありません、推測ではあるがと言っていますが、五万から七万キロメートル走行までではほとんど変化がない。これは何か一万から二万キロで猛烈に変化があって、がくっと落ちるということを言っているのですが、そういうことはない。タクシーの場合は三十万キロを走っても、修理点検を行っているので余り変わらない。だから結論としては、修理をよくしていけば燃費は距離によって変化しないという、これは一つの例でもございます。  それからもう一つは、企画庁の国民生活白書の一九七七年によりますと、乗用車の使用年数、これはいわゆる耐用年数とちょっと違った概念で、特別の使い方がしてあるわけですが、大体その前の年にどれだけ買いかえたかというその割合から判断しているものですが、ともかくこれがこのところ延びていっている。これが延びていっているのは、先ほどここでも答弁がありました、最近耐用年数が延びているということに大体合致するのだろうと思いますが、それともう一つは、通産省からいただいた資料で、これは自動車輸送統計、陸運統計要覧などからのあれで、リッター当たり何キロ走るかという燃費の効率ですね、それがちょうどこの延びている期間にほとんど変わっていないということを見ても、実は走れば走るほど燃費が悪くなるというようなことでないから、むしろこの耐用年数を延ばすとすれば、それが自動車の国内生産に影響していって、そして資源を節約する、エネルギーを節約するという、こういうことになることが主な効果として出てくるということが当然予想されるわけなので、私はこの点でやはり関係官庁、通産省も運輸省も相手が自動車メーカー——自動車メーカーはなるべく売らんかなでありますが、それにもかかわらず、やはりこういう大きな視野から耐用年数が延びるように指導していくということが必要ではないかと思いますが、この問題につきましては、ひとつこれは、通産大臣答弁したら悪いわけですか、そういうこともないと思いますが。
  148. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 消費者の側から言うなら、耐用年数が長くて、しかも堅牢であるということはきわめて好ましいことですから、私は奨励すべきことだと思います。さっきアメリカとの比較が出ましたが、アメリカ自動車に比較して決して日本自動車は劣るわけではありません。従来は道路が悪かったとか、扱いが荒っぽかったとかいろいろあると思いますが、道路事情などということが大きな理由であろうというふうに思われます。御指摘の点は私も賛成ですから、今後とも耐用年数が長くなるように、特に耐久消費財、自動車に限りません、他の製品などにつきましても奨励する方向をとりたいというふうに考えます。また消費者の側も、やはり大切に使って、そして手直しをすればいつまでも堅牢であるということが望ましいわけで、これは消費者の心がけも大切だというふうに思います。
  149. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) それでは自動車の問題から家電製品の問題に移しまして、やはり使い捨て使い捨てということ、またそれをあおるようなモデルチェンジや行き過ぎた広告、いろいろ問題があるわけです。その点で、これまで通産省の方で家電製品の補修用性能部品、これは、性能部品というのはある定義があるわけですが、最低保有期限について定めているわけです。いまは大体どういうふうになっておりますか、あるいはまたこの機会に新しく改定するようなお考えがあるのかどうか。
  150. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 家電製品の部品につきましては、先生御承知のとおり、前回の石油ショックの後に通達を出しまして、一定期間部品の保有をすることを行政指導したわけでございます。当時二十三品目程度ございましたものを三十二品目に品目をふやすと同時に、保有期間の年限を一、二年延長するという行政指導をしたわけでございます。その後技術革新等がございまして、折に触れ、私ども通達という形ではございませんで、行政面における要請を続けてまいっておりまして、昨年の六月に、業界の方が自主的に五十品目につきまして一定の期間保有することを申し合わせをいたしました。これは公正取引委員会の了承も得た上で、そういう措置を講ずるということを実施いたしておるところでございます。
  151. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 業界の自主的申し合わせということでありますが、実はこの前出した通達ですか、これは七四年四月十六日ですね。もう事実上五年くらいたっているわけであります。  なぜこの問題を出すかといいますと、一つは、やはり国民生活白書の一九七七年によっても、使用年数というのが電気冷蔵庫、電気洗たく機、電気掃除機、電気こたつ、このところ傾向として延びているわけですね。たとえば電気洗たく機で言いますと、四十八年の八・五年から五十一年の十二・六年というぐあいに延びている。国民の側ではこういう努力がやられている。そういう変化がこのところ起きているのに、こちらの方の通達の方はそういう業界任せだけでいいのかどうかということで、それだけでは済まされないのではないかというふうに考えるからであります。そういうことで、国民生活センターの四十九年三月の「耐久消費財の買換理由及び修理状況」という調査、これは国民生活センターですから経済企画庁の所管になるわけでありますが、これを見ると、この問題は相当ないがしろにできないことがたくさんあるということを感じざるを得ないわけですが、この問題できょうは企画庁においでになっていただいているわけですが、この調査結果に基づいて関係官庁に対して、こういう結果だからこういう点でもっと努力せよという要望を出したりして、促進したということはやられたのかどうか、それについてちょっと伺いたい。
  152. 井川博

    ○井川政府委員 お話のとおり四十九年の三月に国民生活センターが「耐久消費財の買換理由及び修理状況」という調査をいたしたわけでございます。この調査は関係機関には全部配付をいたしてございます。特にこれに基づいて具体的にどうこうしろということは、この内容自体からは出てまいりません。  しかし、いまお話がございましたように、耐久消費財について非常に堅牢なものをつくり、耐用年数を延ばしていくということが大事であることは十分わかるわけであります。その点、われわれは生活白書等におきまして、その後累年、耐用年数ではございませんけれども、先ほどおっしゃいました使用年数という観点調査をいたしておりますが、そういう使用年数は特に石油ショック以降国民の間に節約意識が浸透し、使用年数が延びてきているというデータを得ているわけでございまして、そういう意味で事実上そういう方向に向かっているというふうに考えているわけでございます。
  153. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) どうもそれだけで向かっているというふうに私は判断できません。それよりも、ここで指摘されたことはかなり的確でもあるし、深刻な状況が指摘されてあって、こういう問題に対応するには相当強力な対策を各官庁でやらなければならないと思ったわけです。  たとえば、買いかえ理由の中に、故障したから買いかえたという例が非常に多いわけです。洗たく機で言うと七二・四%、掃除機で言うと七六・七%は故障したから買いかえた。それで、故障したから買いかえたという中で、故障したからこれは新製品にかえるよいチャンスだと、中にはそう思って買いかえたという例もありますけれども、これ以上やっても修理代が高いから買いかえざるを得なくなったとか、部品がないと言われたとか、もう直らないと言われたとか、何回修理してもまた故障になるとか、そこを修理してもまた別のところが故障する、こういう形で買いかえたという例が大半を占めるわけです。これが洗たく機みたいなものでも、さっき言った七二・四%は故障したから買いかえた、そのうちさっき私が挙げたような理由で買いかえたというのは四四・八%というふうになって、これが多数を占めるわけなんです。  それで同時に、この調査報告の中で指摘されていることに、故障していないのに廃棄した例が四分の一以上ある、こういう問題があります。それから、品目によっては過半数が故障していないのに廃棄されている。しかしこれは、ただ消費者側だけの責任だというふうに言えるかどうか。日本のメーカーの広告のあり方だとかモデルチェンジのあり方だとか、そういうことに非常に関係してくるわけなので、ただ消費者だけの努力に求めるわけにいかぬ、こういう問題があります。しかし、何といっても大多数が故障によって壊れた、しかしこの故障は、この調査によりますと大体一定個所に決まったところで起きている。メーカー側がそこのところで耐久性をもっとよくすれば全体としてもっと長引くのに、耐久性向上という点ではまことに無責任であるという考え方に立った指摘がされているわけです。  それから、部品のないための買いかえが五%から一〇%あるというけれども、さっき言った通産省の出した通達に反して部品がなかったという例にもぶつかった。だから通達自身が守られていないという指摘もこの中にあるわけなんです。  そこで、実はこの中で、通産省の出している通達の期限そのものがまだ短いのではないかという指摘が出されております。どのように短いのかといいますと、結局、この調査によって平均使用年数、たとえば洗たく機が八・六年であるとか冷蔵庫が九・六年である、こういう平均使用年数に比べてさえ短いから、せめて平均使用年数まででも延ばすべきではないかという指摘がここにあるわけなんです。こうなるとかなり具体的な指摘で、何か漠然とやっていくということでなしに、ともかく通産省が出しているこれだけ部品を置いておきなさいという期限、これは生産ストップしてからの期限なんですが、それも短いのではないかという指摘をしてあるわけで、せめてこの調査で出てくる平均年数ぐらいは長さを延ばすべきである、こういう指摘があるので、この問題はやはり通産省で考えなければいけないのではないか。  しかも、実は平均がたとえば洗たく機で八・六年で、最長が十八年とありますね。だから、こういう省エネルギーとか省資源という精神からすれば、平均だからいいという以上に、長い人が不便しないように配慮する行政が要るのじゃないかということになりますね。だから私は単純に十八年にしろと言っているわけではないけれども、これは最低限、せめて平均の期限使った人が不便を起こさないようにその保有年限を決めるべきであるという提言をしている、これを受けて、しかも実はその平均の倍も長く使っている人もいるという実情を考えて不便を起こさないようにする、そういう努力ですね、いわゆる耐久性をもっと強調すること、それから部品の保有期間をもっと延ばすということで、もう五年たったから、ただ業界の自主判断でなしに、やっぱり政府として対策をとることを検討してほしいわけですが、その点最後に伺います。
  154. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 たとえば電気冷蔵庫で申し上げますと、私どもの方の通達での保有期間は九年ということになっておるわけでございます。片や電気冷蔵庫が平均的に何年使われているかと申しますと、九・八年というような数字もございます。したがいまして、私どもはおおむね妥当な数字ではないかという期待を持って通達を出しているわけでございます。しかし、御指摘のように四十九年の通達でございます。五年間たっておるわけでございますので、再検討する必要があろうかと思います。  ただ、基本的には先ほど私答弁申し上げましたように、業界が自主的に昨年六月に改定をしたわけでございます。省資源、省エネルギーという立場から見ますと、今後のこういった家庭電気製品の競争はいかに省エネルギーであるか、あるいは省資源であるかということが決め手になるわけでございますので、そういった観点で業界そのものがそういう方向に走るということは、これは大変好ましいことでございますので、もちろん行政指導はいたしますけれども、行政指導だけで済むという問題でもないのではないか、こういう感じがいたします。  それからもう一つの問題といたしまして、これはマクロの立場で申し上げますと、先ほど来お話のございましたできるだけ耐用年数を長くするように行政指導しろ、こういう御指摘に対しまして私全く同感だと思いますけれども、逆な面が一つだけございまして、自動車で申しますと、燃費の改善された車の導入がおくれることによりまして、技術開発が若干問題を起こすという問題がございますし、さらにいまの電気製品につきましても同じようなことが言えるのではないかということでございますので、もちろん耐用年数の長期化に努力はいたしますが、そういった面の配慮ということも両々考え合わせまして行政をやってまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  155. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 先ほどの調査によって、一つ通産省が決めた期間、当然あるべきだと思ったものがなかったという例があるので、これがどれだけ守られているかという問題と、それからさっきの国民生活白書が出しているように、使用年数というのはこのところ延びておりまして、先ほど言われました冷蔵庫も七三年が約十年、それから七六年は十一年を超えるというわけで、そういうことから見ると九年では足りないということ、それからもう一つは、さっき言ったようにこれはあくまで平均であって、平均以上の人たちにも不便をかけないというような心の配りがなければまずいではないかということもあわせて言って、もちろん行政指導だけで片づく問題ではないけれども、やはり通産省として五年前出してそれで済ましていくわけにはいかないということを要望しまして、そういうことで再検討するということでありますので、私はこれで一応きょうの質問は終わります。
  156. 渡部恒三

    渡部(恒)委員長代理 次回は、明九日水曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会