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1979-05-23 第87回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月二十三日(水曜日)    午後一時一分開議  出席委員   委員長 有島 重武君    理事 左藤  恵君 理事 佐藤 守良君    理事 中村 弘海君 理事 前田治一郎君    理事 太田 一夫君 理事 青山  丘君       井上  裕君    玉生 孝久君       野中 英二君    井上  泉君       野坂 浩賢君    山本 政弘君       広沢 直樹君    伊藤 公介君  出席政府委員         総理府総務副長         官       住  栄作君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         警察庁交通局長 杉原  正君         運輸省自動車局         長       梶原  清君         運輸省自動車局         整備部長    小林 育夫君         運輸省航空局長 松本  操君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局宇宙企画         課長      堀内 昭雄君         大蔵省銀行局保         険部長     貝塚敬次郎君         通商産業省機械         情報産業局航空         機武器課長   畠山  襄君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ───────────── 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   吉原 米治君     井上  泉君   宮井 泰良君     広沢 直樹君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     吉原 米治君     ───────────── 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 有島重武

    有島委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十三年度交通事故状況及び交通安全施策現況並びに昭和五十四年度において実施すべき交通安全施策に関する計画について説明を聴取いたします。住総理府総務副長官。
  3. 住栄作

    住政府委員 昭和五十三年度交通事故状況及び交通安全施策現況並びに昭和五十四年度に実施すべき交通安全施策に関する計画について御説明申し上げます。  この年次報告は、御承知のとおり、交通安全対策基本法第十三条の規定に基づきまして、政府が毎年国会に提出することになっておるものでございます。  初めに、昭和五十三年における交通事故状況について御説明申し上げます。  道路交通事故による死者数は八千七百八十三人、負傷者数は六十万人弱でございまして、前年に比べまして死者は一・八%の減少で、昭和四十六年以降八年連続しての減少を達成いたしましたが、負傷者数は〇・二%と微増を示しております。  鉄軌道につきましては、運転事故による死傷者数は二千三十二人、そのうち踏切事故による死傷者数は千百三十六人でいずれも前年に比べて減少いたしております。  海上交通につきましては、海難に遭遇した船舶は二千三百五十七隻でございまして、前年に比べ若干の減少となっておりますが、死亡・行方不明者は四百四十八人と、前年に比べ若干の増加となっております。  航空交通につきましては、死傷者数は三十人でございまして、前年より十七人の減少となっております。  これまで交通事故が着実に減少してまいりましたのは、昭和四十五年に制定された交通安全対策基本法に基づき、昭和四十六年以降、五年間を単位とした第一次及び第二次の交通安全基本計画を策定しまして、これに沿って国及び地方公共団体が各般にわたる交通安全対策を強力かつ総合的に推進しますとともに、国民もまた積極的な協力と自主的な活動を惜しまなかった成果であると考えられます。しかしながら、ここ数年の道路交通事故の動向を見ますと、交通事故減少が鈍化する傾向を示してきております。  昭和五十三年におきましては、特にその傾向が顕著にあらわれ、一時は道路交通事故死者数が前年に比べ大幅に増加するなどしましたが、交通安全施設整備等のこれまでの諸施策に加えまして道路交通法の改正、例年にない夏の全国交通安全運動実施交通事故防止に関する当面の対策実施など諸般施策推進しました結果、八年連続しての死者数減少を達成することができました。このほか、踏切道整備港湾航路整備航空保安施設整備等の諸施策も引き続き推進してまいりました。  次に、昭和五十四年度において実施すべき交通安全施策に関する計画について御説明申し上げます。  昭和五十四年度は、第二次交通安全基本計画の第四年度としまして、陸上交通では、信号機歩道等各種交通安全施設整備はもとより、歩行者自転車利用者等のいわゆる交通弱者保護対策推進運転者対策充実、家庭における安全意識高揚対策等各種交通安全教育交通安全運動推進救急医療体制整備被害者援助措置充実等被害者救済対策充実踏切道整備等施策を講ずることといたしております。次に、海上交通におきましては、港湾及び航路整備を図るほか、船舶交通ふくそう海域での交通規制推進海難救助体制整備等施策を講ずることとし、また、航空交通におきましても、空港及び航空保安施設整備航空機の検査、整備体制充実等施策を講ずることといたしております。  以上のような諸施策によりまして、交通事故の一層の減少を期することといたしております。  これをもちまして説明を終わります。
  4. 有島重武

    有島委員長 交通安全対策に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 ただいま総務長官から五十三年度の実績なり五十四年度の交通安全対策について御説明がございました。特に施設整備あるいは弱者対策運転者対策航空海上陸上、万般にわたっての総花的な説明が行われたわけであります。私は、きょうは航空機の問題あるいは過積み防止対策に関する問題、特に自重計問題等について質疑をしたいと思うのでありますが、時間がなかった場合にはそれぞれ割愛をさせていただくということを冒頭に御容赦をいただきますようにお願いをしておきたいと思うのであります。  まず航空機の問題についてお尋ねをいたしますが、この間の新聞を見ますと、運輸省国鉄当局に対して夜行列車廃止なり貨物列車段階的廃止というものを検討するように指示しております。いずれ運輸委員会なり本委員会議論をすることになると思うのでありますが、こういう状況と、今日のスピード時代を迎えて航空機の発達といいますか開発というものはさらに促進をされ、需要は非常に伸びてくるという傾向が強かろうと判断をするわけであります。  そこでまず、これは局長でもどなたでも結構でありますが、私の資料によりますと、わが国飛行場は大体七十あって、千五百メーター以下の滑走路飛行場は五十だ、こういうふうに承知しておりますが、それに間違いないでしょうか。
  6. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  定期航空が発着をしております空港というふうに限って数えますと、総数が七十。これはすべてが私どもの直接管理する空港という意味ではございませんが、ともかく空港の数としては七十。それから滑走路長が千五百メートル級以下の飛行場は、八百メートル級を含めましておっしゃるように五十でございます。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 最近この滑走路の問題をめぐりまして、YS11という飛行機がありますが、現在七十八路線に就航しておるというふうに承知をしております。ところが、このYS11型飛行機は四十七年で製造中止になったというふうにも伝えられておるわけでありまして、現在就航しておるのは民間航空では七十五機で、その他航空会社以外に使用されておるYS11は三十五機、計百十機だというふうに聞いておるのでありますが、この飛行機命脈数といいますか、いまは一九七九年でありますが、いつごろまで寿命があるものか、いつごろまで就航ができるのか、そういう点が一点であります。そして、これを継ぐ後継機というものはどのように考えられておるだろうかということをお尋ねしたいと思うのであります。
  8. 松本操

    松本(操)政府委員 まず前段のYS11でございますが、昭和三十九年に型式承認を取得いたしましてから、製造打ち切りになりましたのが四十八年でございます。そしてその間に百八十二機生産されたわけでございますが、昨年十二月現在で残存機数が百六十六。これは、いま先生がおっしゃいましたように定期航空のは七、八十でございますが、そのほかに私どもも使っておりますし、海上保安庁もございますし、そういうものを含めて百六十六機が全世界に残っておるわけでございます。  そこで、この飛行機寿命がどのくらいあるかということでございますが、人間の年齢にたとえますと、まだ壮年期と申してもよろしいのではなかろうか。それからまた運航実績から見ましても、現実に定時出発率等もいささかも衰えを見せておりませんので、十分に使いこなしていける飛行機と思います。また一方、製造メーカーでございました方でも、世界定期航空で五機が残っている限りにおいては部品の補給については責任を持つ、こういうことを言明いたしておりますので、したがいまして、早急に消えてしまう運命の飛行機ということでは必ずしもなかろうかと存じますけれども、ただ、何せターボプロップという形でございますので、スピードも遅うございますし、人数も六十人から六十四人程度ということでございますので、そういったような面から、路線によってはある程度ジェット機との入れかえということをしなければならないような問題が出てくることもあろうかと思います。ですから、飛行機自身寿命が尽きるということではなくて、輸送上の諸般の要求から、一部のYSにつきましてはリタイアということもあり得るかと思いますけれども機材そのものにつきましては、まだここ十年ぐらい、つまり、いま一九七九年ですから、八九年ぐらいのところまでは十分に使いこなし得る飛行機ではないか、このように考えております。  しかしながら、これの後継機という問題は当然考えられるわけでございます。どういうふうな後継機があるかということでございますが、その後継機資格をどういうところに置くかということが非常に問題になるところかと思います。  まず、先ほど御質問ございました千五百メートルの滑走路を持ちます空港YSが現に就航しているというところに強く着目いたしますならば、滑走路長千五百メートルで十分に離発着でき、かつ、現在のYSの六十人というのは、時代の趨勢から見ますと旅客の数がやや少のうございますので、倍の百二、三十人からできれば百五十人ぐらいというふうなところを念頭に置いたといたしますと、それにぴったりという飛行機は残念ながら現在ないわけでございます。もう少し旅客の数を減らして考えますと、フォッカーのF28でございますとか、あるいはBAC111と呼ばれております機種でございますとか、そういうものがございますけれども、千五百で離発着が正確に、安全に保証できるというふうに見ていいのかどうかという点、あるいは先ほど申し上げました旅客の数が百二十人足らずというところでございますので、やや下回っているのではないかというふうな感じもいたします。したがって、これらが今後長い期間にわたってYS後継機たり得るかどうかというあたりについてはなお相当研究をしなければならないだろう。  それから次のステップとしまして、いま私が申し上げましたような機材の変化型と申しますか、発展型と申しますか、そういうものがございます。たとえばフォッカーで申しますと、F28のマーク六六〇〇あるいはF29あるいはBAC111−670あるいはダクラスのDC9−80SFといったようなものがメーカーの方ではいろいろと言われておりますけれども、これらは正直に申し上げていずれもペーパープランと申しますか、設計図段階でございますので、実際の運用に当たって有効かつ経済的に使えるかどうかというあたりの点につきましては、なお相当詰めていく必要性が残っているのではないか、このように思います。  それからもう一つ、YS11の後継機資格といたしまして、騒音の問題を無視するわけにはいかないかと思います。現在YS並みというような漠然とした言い方でとらえられておるわけでございますけれどもYS騒音ジェット機の静かなものよりもやや低いというのが実情でございますので、今後ターボプロップが新たに生産されるということは、いまのところでは恐らくないのではないか。ただ、もっと非常に数の少ない五十人乗りぐらいの飛行機でございますと、ターボプロップについての新型機も出ておりますし、構想もあるようでございますけれども、百数十人というオーダーのターボプロップというのは、現在開発計画がないようでございます。したがって、ジェット機YS並み騒音レベルを維持しなければならない、こういうことになってくるかと思います。  それで、世界各国エンジンメーカーがそれぞれ低騒音エンジン開発にいま全力を傾注しておるようでございますけれども、いまの時点で、このメーカーのこの型式エンジンであるならば十分にYS並みと言い切れるというものは必ずしも見つかっていないようでございますので、これらも今後試作、実験等が繰り返されていく中でおのずから取捨選択が行われていくのではないか、このように思います。  いずれにもせよ、日本のYS後継機というふうにしぼって考えますと、滑走路が短いこと、能率が低いという点を充足しなければなりませんので、いまの時点で私の方から明確に、これらの機種が該当するのではないかと言うことはちょっと時期尚早ではないか、このように考えます。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 空港整備五カ年計画で五十一年の十月に閣議決定をされておりますが、その中で、航空交通の安全の確保と、特に環境の保全ということに力点が置かれております。いま局長からお話しいただきましたように、滑走路の長さが千五百メーター以下のものが五十だ。そして私ども地域では、YS11はもう製造中止なのだから当然ジェットエンジン航空機に切りかえていかなければならない。わが県の鳥取飛行場でも千五百メートルであります。今度実施計画調査費を二千万円つけていただいております。あるいは米子も滑走路延長、あるいは出雲空港もそうである。全国的にそういう動きが非常に顕著であります。  まず、延長の問題にいたしましても、滑走路延長ということになりますと相当の金額だと思います。私ども承知しておるのは、百メートルで大体五十億ぐらいかかるのではないかと思うわけであります。それで、滑走路延長の問題が出てまいりますとどの地区でも同じように騒音公害、そして住民が反対をする、こういうのがほとんどの滑走路延長に伴う住民動きであろうと承知をするわけであります。特にこれからの環境問題等閣議でも議論されておるわけでありますが、低騒音、そして今日の燃料節約時代、省エネルギーの時代でありますから低エネルギーの問題、あるいは滑走路距離をどうやって短くするかという三つの問題が住民関心事であろうと思います。また、それにこたえていかなければならないと私ども考えるわけでありますが、これに伴ってわが国科学技術庁なり通産省で一いま局長がF26とか29とかBAC111とかダグラスの問題とか後継機足り得るかわからぬがまだ机上プラン段階であると言われておるわけでありますが、ファンジェットSTOL機についてはどのような見解であろうか、そして四月二十五日でありましたか、通産省航空機機械工業審議会航空機工業部会YXあるいはYXXYS11の後継機として考えなければならぬ、こういうことが非常に具体的に紙上に発表されておるわけでありますが、これに対する航空局の考え方は一体どうだろうかと思うわけでありますが、どのようにお考えでしょうか。
  10. 松本操

    松本(操)政府委員 まず最初の滑走路長の問題でありますが、先ほどは千五百を前提YS後継機考えている、しかしなかなかむずかしいということをお答えしたわけでございます。ということは、現時点考えます限り滑走路二千メートルがジェット化スタンダードと理解するのが妥当ではないか。ただ、その場合に、まさに先生指摘のように騒音の問題が必ず起こってまいりますので、低騒音という点については妥協を許さない考え方で取り組んでいかなければならない。そういうことであるといたしますと、つまり騒音の問題については音源的に相当の手当てができるということであれば、地元の御了解という点についてもわりあいに話をしやすいということはあろうかと思います。  そこで、低騒音ということが非常に問題になってくるわけですが、低騒音化滑走距離を短くすることとは技術的になかなかうまく結びつかない問題でございます。いま先生からお話がございました科学技術庁でやっております短距離離着陸機は大体八百か九百くらいあればということを念頭に置いておるようでございますけれども、このためにはいろいろと工夫をしなければなりません。その工夫をすることが、民間機の場合には絶対的な安全ということを前提に置かなければなりませんので、そういった工夫が仮に故障した場合でも離着陸ができないと困りますので、したがって、滑走路にある程度のゆとりを持たないと困るという問題が出てこようかと思います。  それから、通産省の方でいろいろとバックアップをしておりますいわゆる7×7計画と呼ばれているもの、つまり具体的には現在ボーイングとの提携によります767というのが出てきておるわけでございますが、これは滑走路の長さは二千メートルあるいは二千メートルを多少超えるのではないかという考え方でございます。したがって、二千メートルというものをジェット機スタンダードとするという考え方現時点ではある程度避けられない問題ではないか、そのためには低騒音化に特段の努力を今後とも払っていかなければならない。  短距離離着陸ジェット機という問題につきましては科学技術庁等でいろいろと研究をしておるわけでございますけれども、そのためには技術的にかなりむずかしい仕掛けが要る。民間機の場合にはこれらの仕掛けが仮に故障しても安全な離着陸が確保されなければならないということになりますので、滑走路にある程度のゆとりを持たせるということもまたやむを得ない問題になってくるのではないか、これが当面の私ども考え方でございます。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 先ほど局長に聞きましたときに、YS11というのは大体最低十年の寿命は大丈夫なんだ、五機あれば部品は完全に補給するんだ、こういうことでございましたね。——それは確認しておきます。  いまお話がありましたSTOL実験開発計画についてお尋ねをしたいと思うのです。  この資料を見ますと、必要滑走路延長は大体七百メートルだ、九百メートルあれば大丈夫だというふうにお話がありますし、ことしの予算にも九億五千六百万円と国庫債務負担行為が二十五億二千二百万円、こういうことになっているわけであります。開発経費は総経費として百八十億必要である、いよいよ六十年度には量産体制に入れるのじゃなかろうか、こういうことがSTOL機研究の中で明らかにされておるわけであります。飛行機もなかなか安くてはできぬものでありますから、相当オプションといいますか契約といいますか発注というか、そういうものがなければなかなか量産体制に入れ込めないというふうにも聞いておるわけでありますが、科学技術庁はそういうことも展望して、ただ実験だけではなしにそういうこともお考えになっておるだろうか。  それから、具体的に六十年には目安として文字どおり、局長お話しになりましたように、いまの滑走路延長しなくとも百五十人は積めるというふうに書いてあるわけでありますから、七百メートルで百五十人で低騒音離着陸ができるということになれば、そう飛行場滑走路の問題で大きな問題を地域で起こさなくとも済むのじゃなかろうかと思うわけでありますが、それらの見通しについて科学技術庁責任者の方、そして相次いで通産省のこれの取り扱いについてそれぞれお答えをいただければありがたい、こう思います。
  12. 堀内昭雄

    堀内説明員 お答えいたします。  先ほどお話がございましたように、ファンジェットSTOL機は短い距離離着陸ができまして、かつ騒音の少ない、新しい型式航空機であるということで、先ほどいろいろ御指摘がありましたように、空港用地難でありますとかあるいは騒音公害を軽減し縛るというわが国の国情に適した機材であると考えております。  そのためわが国で独自に実用STOL機開発し得る技術をまず確立しようということと、それからあわせましてわが国航空技術の飛躍的なレベルアップをやりましょう、こういう目的で現在科学技術庁航空宇宙技術研究所におきまして、昭和五十二年度から低騒音STOL実験機の製作及び飛行実験を含むファンジェットSTOL機研究開発を進めているところでございます。  いつごろその計画が完成するかということでございますけれども、現在の計画におきましては大体実験機の初飛行は五十七年度ごろ、若干おくれるかもしれませんが、大体そのころを目当てにしております。これが飛行実験の始まりでありまして、大体三カ年くらいの飛行実験をやる必要があろう、こう考えておる次第でございます。  それから以後どういうふうに実用化になるかという問題につきましては、これは当庁といたしましては当庁の所管事項外のことでございますので、その実用化の具体的な案につきましては特に当方としましては申し上げる立場にはないということでございます。いずれにしましても、STOL実験機開発というのは実用機開発の基盤をなすものでございますので、当庁といたしましてはこの実験機成果を踏まえまして、一刻も早くそのSTOL実用機実用化されるということを期待しております。
  13. 畠山襄

    畠山説明員 お答え申し上げます。  先生お尋ねの点につきまして、航空機の生産を所管する立場からお答えさせていただきますけれども、まず先ほどお話が出ましたように、現在通産省YXという計画がようやくスタートした段階でございます。それで、これは航空局長お答えになりましたように、滑走路長が千八百メートルでございますとか二千メートルぐらいでございまして、いずれにしても千五百メートル以下というようなことではなくて、やや幹線型の航空機でございます。先ほど先生指摘になりました四月二十四日の航空機工業審議会で今後の航空機工業政策をどうするかということが議論になりまして、それにつきましてはこの夏ごろまでに一応の中間的な結論をいただこうということになっておりますけれども、当然そのYS後継機の問題というのも検討の材料になっておるわけでございます。ただ、YXが現在スタートしたばかりでございますものですから、たとえばメーカーの方の人員の面でございますとかそういったところで直ちにYXXと申しますか、そういうところへすぐ入っていけるのかどうかというのは実際問題としていろいろ問題もあろうかと思います。したがいまして、その入っていくタイミングも含めましてどういう時点でどういうものをやったらいいのかということについて審議会結論をいただこうと思っておるわけですけれども、事務的に私どもが思っておりますことは、先生指摘の低騒音であり、そして燃費が低くて、そして滑走路長ができるだけ短いということであろうかと思いますので、そういう御指摘も踏まえて審議会で今後検討していただこうと思っております。それで、STOL機につきましては科学技術庁さんで現在実験機をやっておられまして、これはあくまでも実験機でございますので、この実験研究が成功裏に終わりました後、それを実用化するための開発をする必要がございます。ですから、若干その六十年度以降時間的な余裕をいただかぬといかぬということになるわけでございまして、それも含めて先ほど審議会の中でどうやっていったらいいかというのを議論をしていただきたいと思っておるという状況でございます。
  14. 野坂浩賢

    野坂委員 このYXは、日本が一五%、イタリアが一五%、アメリカが七〇、こういう配分でそれぞれ作業が進められようとしておるわけでありますが、この開発費用もたしか三百三十六億ですか、それで当面半分予算をつけておる。これはいま畠山さんがお話しになったように千八百から二千ということであります。ただ、私が特に申し上げますのは、ほとんどの飛行場というのが、三分の二は千五百メーター以下だ、これで低騒音で低燃費で短距離で飛ばないかということがやはり後継機としては考えられなければならぬだろうと思うのです。いま科学技術庁堀内課長お話しになりましたように、五十七年には試作ができて、これで試験実験を行い、飛行実験を行って、三年間で大体量産製造段階に入り得るだろう、こういう見方であります。今度は生産の方は通産の方でありますし、また日本全体の飛行場なり航空機を掌握をしていらっしゃる運輸省航空局としては、YS11がなくなるんだ、だからジェット機へということではなしに、このYS11は最低といえども十年間もつんだ、新しく後継機というものは、YS11の後にはその程度で飛べる、そういうところがあるから、大丈夫この輸送体制にも自信が持てる、こういうようなことをこの際はっきりしておいてもらった方が——全日本の小飛行場や離島の飛行場、そういうところは非常に心配をしておると思うのであります。ただ航空局がそう言っても、全日空とかあるいは東亜国内航空がそろばんをはじいて、どうもそれでは引き合わぬ、これではだめだということがないように、そういう点も十分踏まえてやっていけば、このSTOL機は日の目を見るのではなかろうか。あるいは日本だけで、このYXは百六十五機、すでにオプション契約があるというふうに聞いておるわけでありますけれども、このSTOLの問題にいたしましても世界にそういうことを明らかにしながら進めていくということになれば、日本の航空機業界に画期的なことになるであろうし、地方自治体等もその実態をよく承知をしてそういう展望を持って、これからの飛行場政策なり航空対策というものに対して自信を持って政策を進めることができるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、その点についての考え方と、これから地方自治体等を指導する上においてあるいは航空機会社等を指導する上においてそのような措置を講じたらいかがか、こういうふうに提言をするわけですが、お考えをお聞かせいただきたいと思うわけです。
  15. 松本操

    松本(操)政府委員 ただいま科学技術庁及び通産省の方からそれぞれの御所管についてお話があったわけでございますが、先ほどお答え申し上げておりますように、STOL機にまず限定して申し上げますと、現在科学技術庁実験機をバックアップしておいでのSTOL機につきましては、やはり短距離離着陸性能を持たせるための相当工夫をした飛行機でございます。現在飛んでおりますデハビランドのDHC6といったような、わりあい小さな飛行機に大きな羽をつけて間違ってもそのSTOL性能が失われないというふうなものとはやや趣を異にしておりますので、旅客を積んで飛行するということのためには相当実験を重ねていかなければなりませんでしょうし、安全の確保について万全の自信を得た後でないと実用化というのはむずかしかろうと思います。ただ、そうは言いながらも、地形上その他の理由から滑走路をどうしても延ばせないという、たとえば離島の空港のようなところは幾らかは残ってしまうわけでございます。こういうふうなところにおいてこそまた航空輸送の必要性というものも高いわけでございますので、科学技術庁のあるいは通産省のせっかくの御努力によってこういったようなものが本当に実用機として使えるようになるといたしますならば、私どもとしてもむしろそれは積極的に期待をしたいところでありまして、地形的にどうにもならぬからといって飛行機が飛ばなくなってしまうというふうなことはシビルミニマムという点からも問題があろうかと思いますので、そういうふうなことは十分に念頭に置いてまいりたいと思います。  一方、その他の約四十ございます千二百あるいは千五百級の滑走路を持っておるローカル空港につきましては、確かにYSは後十年ぐらい使おうと思えば使えます。またYXというお話もございました。しかし、YXにつきましてはどうも千五百では無理なようでございます。そこで当面の問題といたしまして、だんだんと需要がふえてまいりますとYSの便数をふやさなければならないという問題が出てまいります。航空路というものの中に押し込み得る便数というものにはおのずから限りがございますし、管制上の問題からもなるべく便数は減らして大きな機材で運んだ方がよろしいということになりましょうし、また先ほど来屡次御指摘騒音の問題におきましても飛行数を減らしていくということはかなり効果があるというふうに考えられますので、したがっていたずらにYSを用いて便数をふやして次の飛行機ができるのを待つということよりも、むしろ真実そこに需要がございます場合には、そして先ほど私が申し上げましたように低騒音化及び周辺対策の徹底によって周辺住民の理解が得られますならば、その地点においては二千メートルという基準的な形にいたしまして、そこにジェット機を就航させ、一機当たりの収容人員をふやし便数を低減する、そして全体の需要に対応していけるというふうな措置を講じていくのも一つの有力な方法ではないか、このように考えております。したがいまして、地方自治体等から御相談がありました場合には、そういったような面を十分に念頭に置きまして、果たしてその空港延長するに足る空港かどうか、延長しようとした場合に、周辺住民の協力、合意が得られるのかどうかという点に十分配慮した上で、無理をしないということを念頭に措置をしていくべきであろうかと考えております。  今後の問題といたしまして、先ほど来いろいろと御説明のございました新型機材が実用化のめどがついてくる。一方、地形的にたとえば千二百を千五百に持っていくのがいっぱいいっぱいで、とても二千は無理だろうとか、そういう空港も何がしかは出てまいります。そういうふうな空港につきましては、仮に百五十人乗って千メートル足らずで確実に安全に飛べるという飛行機が出てくるのだといたしますれば、それを拒むものではございません。そういったようなものをむしろ積極的に活用していくのが、先生おっしゃるとおりに一つの筋であろうかと思いますが、ただそういう新しい機材というものは、実用化になりますまでに相当の紆余曲折もあることでございます。また、どの程度の発注機数があるかということが生産に取りかかれるかどうかという一つの踏ん切りにもなろうかと思います。そういう点については関係省庁の間で御相談もしていかなければならないとは存じておりますけれども、当面の問題といたしまして、激増する需要にYSのみをもって対応していくというのはやや実態に合わない面も出てくるのではないか、このように考えますので、そういう点について十分な配慮をしながら今後の問題に取り組んでいくようにいたしたい、このように考えます。
  16. 野坂浩賢

    野坂委員 局長は、小飛行場あるいは離島の飛行場はなかなか延ばせない、延ばせないところはやむを得ぬ、私の方は、いまあるローカル空港はその機能を十分生かして千五百メートルで使ったらどうか、この辺の違いがあるわけであります。その辺が基本的に違うわけです。たとえばわが国の国産機であるSTOL機、これはことしの予算で九億五千六百万が認められておる。あるいは国庫債務負担行為が二十五億認められておる。認められて、しかもYS11というものの今後の消長というものが大体出てきた。これが実用化をするまでに相当量の発注がなければなかなかむずかしかろう、紆余曲折があるだろう、その辺はわかりますけれども、せっかく科学技術庁があるいは通産省が協力し合ってやるものならば、十分に政府部内で統一をして将来の展望をし、それに改良を加え、この国産機というものをわが国の小飛行場なりいまの五十の飛行場で十分使えればそれで間に合うのじゃなかろうか。わざわざ767ですか、そういうものを使ったりいろいろなことをしなくても、いまのわが国で生産される三年後には、恐らく航空機のレベルアップ、技術のレベルアップ等が行われて実用化ができるということを科学技術庁は言っておるわけですから、政府部内で十分話し合っていただいて、そういう姿の方がむしろ土地をつぶさなくても済みますし、そしていまの日本の基幹空港というものは、われわれはそういうことを否定しておるわけじゃないわけですから、あとの二十幾つの幹線空港はそのまま二千なり二千五百ということはありますが、ローカル色を生かしてローカルで十分それで間に合うということになれば、大体百五十人なり百六十人乗りのジェット飛行機、低騒音であるいは燃費が少なくて滑走路が短ければそれにこしたことはないというふうにわれわれは考えるわけですけれども、延ばせないということよりも延ばさないで済む方法を先に考えるべきではなかろうか、こういうふうに国民は考え、私ども考えておる、こういうふうに思うわけですが、その辺の見解を、通産省は一体どう考えておるのか、科学技術庁はどう考えておるのか、航空局はどうお考えなのか、それぞれお話をいただきたい、こういうふうに思うわけです。
  17. 畠山襄

    畠山説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、空港を延ばさないで済む技術開発ができ上がりまして、そのでき上がった技術に基づきまして、さっき航空局長から御説明がありましたように、十分な発注機数をもって飛行機を販売できるということでありますると、確かにそういう方向に行くのが一番よろしいというふうに考えております。  今後のYXXなり今後の航空機開発に当たりましても、そういう方向で努力をさせていただきたいと思っておりますけれども、ただ若干問題があると思いますのは、たとえばSTOLでありまするとその短距離離着陸性能というものは非常によろしいわけでございますけれども、特別の工夫をいたしまするものですから、機体が非常に割り高になるとか、あるいはエネルギーを使うとか、そういう別の面もまた出てまいります。ですから、STOLを、技術開発を行うことは非常に重要でございますけれども、それをそのまま実用化にすぐつなげていった方がいいのか、これは若干時間がかかります。あるいはそうではなくて、もう少し在来の型であって、かつ、ある程度YS11の後継機として機能できるようなそういうものを入れたらいいのかというのは議論の存するところであろうかと思っておりまして、その辺も含めまして審議会で今後検討していただこうというポジションでございます。
  18. 堀内昭雄

    堀内説明員 先ほど申されました実用化の問題につきましては、当庁の所管外でございますので、当庁としましてはできるだけ早く技術を確立しまして、いろいろな候補機種の検討の際に有力な資料を提供するということで、いまわが方としましては技術の確立ということを一刻も早く達成したい、こう考えております。
  19. 松本操

    松本(操)政府委員 先生の御指摘は、私十分理解するわけでございますけれども、さしあたって非常に近い将来の問題といたしまして、やはり空港によりましてはもはやそう長い間、激増する航空需要を現状の施設では支え切れないというふうな状況に陥っているところがあるわけでございまして、先ほど五十の千五百メートル級以下の空港ということを申し上げましたが、たとえばふと思いつくだけでも秋田でございますとかあるいは山形でございますとか、そういうところはすでに将来、それも近い将来でございますが、の航空需要ということを念頭に置いて二千メートルへの延長に踏み切っておるというところもあるわけでございます。したがって、需要の伸びぐあいとか、あるいは先ほど来私が何度も御説明、御答弁申し上げておりますような周辺との関連とかいうことを十分に念頭に置くべきであるとは思いますけれども、やはり航空需要に適切に対処していくという意味において——適切というのは単にキャリアの航空会社の利害得失というだけではございませんで、騒音の面でございますとかあるいは管制上の問題でございますとかいうふうな面も含めまして適切妥当に対処していくために、当面実用化されあるいはされようとしておる二千メートル級の滑走路を使うジェット機というものが問題なく使えるということであるとするならば、それに対応した措置をしていくということも、ローカル空港の中の幾つかについて必要ではないか、私はこのように考えますが、しかし、まさに先生おっしゃるように、せっかくの国産機として開発しているものでもございますので、こういったようなものの将来性というものについて、関係省庁間で十分に連携をとりながら、早くこういうものが実用化されてくれば、それに対応した措置を私どもの方でもとっていくという政府全体としての協調というものは当然必要であろうと考えております。  いろいろと御指摘の点を十分に念頭に置きまして、これからの航空政策というものをまた考えていくようにしてまいりたい、こう考えます。
  20. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がなくなりまして、最初申し上げておったように、割愛せざるを得ないわけでありますが、無理をしないでそういうところは進めていこう、住民の賛成というものを十分配慮してこれからの体制をつくっていくというふうに局長お話しでありますから、その点は確認をして、次の問題に入りたいと思います。  自動車局長においでいただいておりますから、去る一月二十五日でありましたか、高知市で保冷車が、過積みの問題があって約一週間警察署とトラブルがあったということは、よく御承知だと思うのであります。非常に険悪な状態でありましたけれども、過積み問題解消のために警察は厳然として措置をして積みかえを行わせたというような記事が連日出ておったことであります。これらの対応策は一体どうお考えになるだろうか。暴走族と同時に過積みをなくするためにも、道交法の改正が行われて、一たん非常に減少した、ああいうのは。ほとんど陸上の貨車輸送、国鉄の貨車輸送に変わった。ところが最近は、トラックで走るとつかまるものでありますから、フェリーボートに乗って、フェリーボートは容積が問題になるけれども、重量は余り問題にならない、こういうことでそのままいっておったのですが、この間の高知市の例は一つの具体的な例である。これに対する対応策は、ああいうことにならないで済む方法は一体どのようなことをお考えになっておるのか。その点が一点。  それから、最近あなたの方も自動車局長の名前で積み合わせの許可証問題が出ておりますね、五十三年の五月に。これは区域免許を持っておって路線事業をやるというところがわが国にたくさんありますよ。それについては、これは法律違反でありますから、どのように取り締まっておるだろうかということが一点。  それから、そういう違反をすると運輸省はこういうことを言っておるのじゃないかと思うのですね。手続をしてやるのなら路線申請をせい、そしてそれに許可を与える。違反をした者にわざわざ呼んでそういう申請をさせて許可をする。ちょっと常識では考えられないわけでありますけれども、まあ取り締まりをしなくても済むということにもなりましょうが、そういう点については一体どうかなというふうにわれわれ考えるわけでありますが、その点についての取り締まり対策は一体どのように進めておるのかということをお聞きをしたいと思います。  それからもう一点、時間がありませんからみんな申し上げておきますが、大型貨物自動車過積載防止装置研究委員会というのがありまして、ことしの三月ごろに私もこの委員会議論をいたしまして、当時三塚さんでしたか、政務次官からもお答えをいただいたわけですが、三月ごろにははっきりと方向を定めます、こういうふうにお話があったのです。聞いてみると、十二月からつけたけれども六月までやってみてだということであります。その間の経過は一体どうなっておるか、ストレーンゲージ方式ということに決めてこれから作業に入って、具体的な実施は一体いつなのかということをお尋ねをして、私の時間が来ましたから質問を終わりますので、丁寧に答えてください。
  21. 梶原清

    ○梶原政府委員 従来、御指摘の鮮魚とか木材、骨材、鉄鋼等、一部の品目につきましては、残念ながら過積載が常態化しておったわけでございますが、過積載につきましては、ブレーキ距離の増長とか走行安定性の悪化とか、そういうことによりまして事故が多く発生しておりますし、起きました場合の事故も大きくなるわけでございます。それで、道交法でも禁止されておったわけでございますが、昨年来取り締まりの強化をいたしておりまして、過積載の自粛ムードが特に営業トラックにつきまして高まっております。定量積載の遵守という努力が進められておるわけでございまして、今後手を緩めることなく秩序正しい、そして効率的な輸送体系を確立していくための努力を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  この過積載といいますのは、先生御案内のとおり、運賃ダンピングとのかかわりがあるわけでございまして、運賃ダンピングを過積載で採算合わせをするというのが実態であったわけでございます。したがいまして、今後適正運賃収受につきまして関係事業者を指導しますとともに、荷主団体につきましても強力に要請をしてまいりたい。また、根源的な対策といたしまして、全国に三万二千五百ありますトラック業者の九十数%が中小企業であるという実態から、荷主に対する経済的な立場が弱いためにこういうことになるわけでございまして、今後中小トラック事業者の構造改善事業を一層推進いたしまして、トラック業界の経営基盤の強化に努めてまいりたい。また、効率的な輸送を確保するために、帰り便のあっせんとか協同一貫輸送とか、そうした面にも鋭意努力をいたしまして、トラック輸送の効率化を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  第二点として御質問のございました、昨年、五十三年の五月に自動車局長から各陸運局長にあてて道路運送法運用上の取り扱いについて通達をいたしたわけでございます。これは、先生御案内の佐川急便の問題等が契機になりまして出した通達でございますが、積み合わせ運送の許可につきましては、一般路線貨物自動車運送事業者によることが困難な場合にのみ許可を出すという趣旨でございますので、積み合わせの区間または範囲が事業区域外に及ぶ等、特に一般路線貨物自動車運送事業との調整を要する事案の許可に当たりましては、あらかじめ公示を行い、聴聞の申請がありました事案につきましては聴聞を行って、路線トラック事業者との調整を図るというふうにいたしたわけでございます。従来、公示もしない、聴聞もしないで処理しましたのをより慎重に取り扱いたいという考え方に基づく通達でございまして、こういう積み合わせの許可を得ないでやっておる者につきましては、これは決して望ましい行為ではございませんので、私ども厳重に取り締まりを進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なを、第三番目に御質問をちょうだいしましたトラックの過積載を防止するための自重計の問題につきましては、整備部長が参っておりますので、整備部長から御答弁をさせていただきたいと存じます。
  22. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答え申し上げます。  昨年の十月十八日の本委員会におきましてお答え申し上げましたとおり、改良型のストレーンゲージを四社のそれぞれ十台の車、四十台の車に・昨年の十二月に取りつけまして、それから六カ月または一万キロの走行試験をするということを申し上げたわけでございます。したがいまして、現在その車が大体六月ごろまで試験の途中にあるわけでございます。その結果につきまして、中間報告的に三月までの結果につきまして去る五月の十一日に過積載防止の研究委員会が開かれまして報告がされたわけでございます。その結果によりますと、この四十台のうちで、精度の面で当初予想したとおり非常にいい成績のものもございます。しかし中には非常に精度が悪いというものもございます。したがいまして、この六カ月という試験をこのまま継続すべきかどうかというような議論もあったようでございますけれども、とりあえず六カ月の運行試験は継続する、と同時にこの誤差の大きいものにつきましては、どういう原因で誤差が大きいのか、要するに取りつけ方が悪いのか、ふだんの点検が悪いのか、その辺につきまして原因を調査するということで、一応六カ月の調査期間を終えた後で今後どういうふうにするかということの結論を出すということで、一応中間的な委員会を終わったようでございます。したがいまして、この六カ月の走行試験が終わり、総合的な結果並びにこの精度の面で誤差が大きなものの検討結果を見まして、今後この調査をどうするか、さらに継続するか、あるいは新しい機器を取りつけてさらに運行試験をするかというようなことが委員会で検討されるものと、そのように考えておる次第でございます。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 これで私の質疑を終わりますが、いまの小林整備部長の御答弁もありましたが、使用上十分に注意をしていただくように、ただつけておけというようなことを言われておるというようなことも聞き及んでおりますので、その誤差の原因等も厳しく追求をしていただければ明らかになるだろうと思いますし、いまの区域免許と路線免許との関係については十分取り締まりを強化していただきたいと考えております。  最後に、これは答弁をしていただかなくても結構でありますが、予算委員会等で過積みは少し緩やかにというようなことが話になったことがありまして、運輸大臣がその点についてはそういうことはしない、こういうことを明確に言っておるわけですから、その方針どおり警察庁も運輸省も過積みということは断固排除するという方向で進めていただくだろうということを確信しておりますが、自席でそのとおりだというふうに御答弁をいただければ、これで終わりたいと思うのです。
  24. 梶原清

    ○梶原政府委員 先生のおっしゃいました御趣旨どおりでございまして、過積載の禁止、定量積載の遵守という方向で進んでまいりたい、かように考えております。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 終わります。ありがとうございました。
  26. 有島重武

    有島委員長 次に、前田治一郎君。
  27. 前田治一郎

    ○前田委員 先ほど松本航空局長が答弁しておられました。これに関連して若干お尋ねをいたします。その後警察の方へも質問がございますので、御在席をお願いしておきます。  先ほど松本局長航空路、滑走路の問題のときですけれども航空路という言葉をお使いになったのですが、航空路とは何なのですか。
  28. 松本操

    松本(操)政府委員 私、いま正確な文言を記憶しておりませんが、航空法の中に、航空路とは航空機の通航に最も適した通路をいう、こういうような趣旨の規定がございまして、航空機がA地点からB地点へ飛ぶのに当たりまして、たとえば必要な航空援助施設とかそういうふうなものをそろえまして、これを航空路であるというふうな形で世の中にはっきりとさせてあるものが幾つかございます。こういったようなものの中にはいわゆるそういった本格的な航空路とか、あるいは非常に高度の高いところにだけ設定されておりますジェットルートと呼ばれるものでありますとか、あるいは離陸して相当の高度をとりました航空機が海洋を越えて、たとえばアンカレジへ飛んでいくというふうな非常に長距離航空路につなぎとしてくっつける航空路とか、内容的にはいろいろ種類がございますが、ともかくもたとえば道路地図のように航空路図というものがございまして、その中にこれが航空路であるというふうに明らかに、示されている空域中の航空機の通路というふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
  29. 前田治一郎

    ○前田委員 大体そんなものだと思いますけれども、その航空路を先般若干改正したということを航空局の方で御発表になったということが、新聞で読んだのですけれども、ございました。  それから最近のノータムというのですか、空港関係各国へ流しておるレポートですね、それに自衛隊の百里基地の航空の訓練空域を設定した、その設定に当たっては時間的に管制を分離して、一般航空機かあるいは米軍の特別機か知りませんけれども、それの運航を妨げないようにするのだという意味のことが書かれておった。こういうふうな資料があるのですけれども、それはどういうことになっておるのですか。
  30. 松本操

    松本(操)政府委員 まず前段の航空路の改正というのは随時行われておりますので、先生のおっしゃるのがどれか私ちょっと思い当たりませんが、わりあい大幅なものといたしましては、昨年成田が開港いたしました時点で関東空域の幾つかの航空路について大幅な修正をいたしました。その後も必要な航空保安施設等の整備に伴って航空路の改廃をいろいろとやっております。これらはすべて先生おっしゃいますようにノータムというものをもって通知することになっております。ノータムにもいろいろ種類がございますが、こういった重要なものはおおむね四週間前に出すノータムというもので印刷物で周知徹底を図るということになっております。  そこで後段の百里の訓練空域でございますが、去る五月十七日、これは世界的にノータムを出す日というふうに決まっておりますが、その日にノ一夕ムを発行いたしました。そして六月の中旬から鹿島灘の上空にE1、E2、E3という三つの自衛隊用の訓練試験空域を設定する予定であるということを予告いたしたわけでございます。  その使い方におきましては、E1とE2、E3はやや異っておりまして、E1につきましては時間を限ってその間有効、こういうふうな使い方をしてございますけれども、E2とE3につきましてはその空域だけをあらかじめ設定しておきまして、それに対して訓練をしたいと思う自衛隊の側からその空域を管轄いたしております東京航空交通管制部の方に調整をとってこい、東京管制部の方でそこを通る民間機がないということが明らかな場合には何時から何時までの間は使ってよろしい、こういうふうに返事をいたしまして、その間は訓練空域として使ってもよろしい、こういう形でございます。先生のおっしゃいましたのと、私の聞き損ないかも存じませんが、やや違っておりまして、民間機の方を優先させまして、使っていないときは訓練をしてもいい、こういう意味で、時間分離と申せば時間分離かと思いますが、そういうふうな使い方をするよということをノータムで周知させたわけでございます。
  31. 前田治一郎

    ○前田委員 自衛隊の訓練空域というものは全国各所にあると思うのですが、私は東京−大阪間をしょっちゅう旅客機で飛んでおりますが、浜松の海岸あたりにも自衛隊の訓練空域があったと思う。そういうところは航空路の高度というものに、まだ聞いてありませんけれども、五千メーターとか千メートルとかというふうな制限があるのじゃないかと思いますが、そういう航空路と自衛隊の訓練空域というものと、それが事故を起こさないように、たとえば百里基地の今回のノータムに書いておるような時間制限、そういうものを浜松なんかの場合も設けておられるのかどうか、それを知っておきたいのです。
  32. 松本操

    松本(操)政府委員 訓練空域の設定の基本的な考え方は、四十六年の雫石事故を契機として出ました「緊急対策要綱」というのがございますが、これの趣旨にのっとって訓練空域の設定を図ってきておるわけです。その中で、いま御質問のございました、航空路と訓練空域の間には一定の緩衝地帯を置くということが決まっておりますので、したがいまして、いまお話にございましたのは浜松沖のK空域だと存じますが、このK空域と、そのさらに沖合いを通っております航空路との間には所定の間隔が設けてございまして、万が一訓練空域を逸脱したとしても航空路の中に訓練機が飛び込んでこない、こういうふうな配慮をしてございます。  通常はそういった平面的な分離がしてあるわけでございますが、高度、つまり高さをもって分離をした例もございます。これは新潟の沖合い、佐渡の上空より北の方にできております超高速の訓練空域というのがございますが、これは四万三千フィート以上だったといま記憶しておりますが、そこに訓練空域を設定いたしました。通常の民間機はそんな高いところを飛びませんが、それでもなおかつ東京管制部に問い合わせた上で、そこがあいているということならば訓練に使ってもよろしいというふうな形で分離をいたした例もございます。  ですから、一般的には一定の距離をもって分離し、場合によっては上下の間隔をもって分離し、場合によってはこのたびの百里の予定空域とか、あるいは北海道の方にございますC1の中に入れましたC2空域のように、時間を限って、何時から何時までは訓練してもいい、それ以外はだめであるというふうな形で分離を図るとか、いろいろな方法で民間機の航行と試験、訓練という特殊な訓練等が混淆しないようにという安全のための配慮を図りつつこれらの空域を設定しているというのが実情でございます。
  33. 前田治一郎

    ○前田委員 最近一年間に日本の空域の中でニアミスは何件ぐらいあったか、それからニアミスを起こした航空機の種類はどういう飛行機同士だったか、わかっていましたらお答え願います。
  34. 松本操

    松本(操)政府委員 ニアミスの統計は暦年でとっておりますので、五十三年の集計ができておりますので申し上げます。  年間にニアミスとしてパイロットからレポートのございましたものが十七件でございました。その十七件について精査をいたしました結果、回避等の余裕が余りなく、ほっておけばあるいは空中衝突という惨事になりかねなかったのではないかというふうに判断されたものが三件でございます。  それから、どのような形の間で行われたかと申しますと、飛行機の飛びざまといたしまして有視界飛行と計器飛行とございますが、問題は計器飛行同士、つまり管制を受けながらなおかつニアミスを起こしているあるいはレポートが出ておるというのが問題でございますが、これが十七件中八件でございました。残りの九件は、有視界飛行と計器飛行あるいは有視界飛行と有視界飛行という間でございます。  それから、民間機民間機の間の問題としてレポートされておりますのは、十七件のうちの十二件でございます。ほとんどでございまして、一件は軍用機同士のニアミスということで報告をされておりまして、残りの四件が民間機と軍用機、この場合の軍用機というのは自衛隊機及び米軍機をおしなべて軍用機と通称しておりますが、四件は民間機と軍用機との間のニアミスとしてレポートがされております。
  35. 前田治一郎

    ○前田委員 ニアミスの発生原因に、航空管制官というのですか、管制官ミスが若干あるということをいまお答えになりましたけれども、私思うのに、日本の空を管制塔は何区域に分けて管制をしておるのか。それから、その区域の分け方が安全飛行を図る上において適当なのかどうか。あるいは管制勤務をしている係官の能力、あるいは人員等において、たとえば人が足らなくて非常に過酷な勤務を強いておるとか、過労のために瞬間的にポカをやるとかというふうな、そういう原因はないのかどうか。言いかえますと、管制塔というのですか、管制所をふやし、そこに勤務する管制官をふやすというような必要はないのかどうか、その辺いかがでしょうか。
  36. 松本操

    松本(操)政府委員 航空機の管制につきましては、大きく分けて二つに分かれます。先生おっしゃいました管制塔と通称されておりますのは、空港の周辺の空域について管制をいたします場合、これは進入管制とか飛行場管制とか呼ばれるものでございます。それから、冒頭御質問のございました航空路について管制をいたしますものは、管制部というところで管制をいたしております。  まず、管制部の方から申し上げますと、全国を札幌管制部の空域、東京管制部の空域、福岡管制部の空域及び那覇管制部の空域というふうに四つに分けまして、さらにその分けた空域をセクターという空域に細かに分けております。そして、あるセクターから次のセクターへ滞りなく飛行機の受け渡しができるようにということを配慮してきておるわけでございます。  空港周辺の空域につきましては、レーダーを使いあるいはレーダーを使わない場合もございますが、この航空路から受け渡しを受けた航空機が無事に着陸するように、あるいは離陸した航空機が無事に航空路に乗るようにという部分のところを管制するわけでございます。  そこで、管制官の人数でございますが、昭和四十六年度、ちょうど私どもの第二次の空港整備計画がスタートいたしましたときに七百八人の定員であったわけでございますが、昭和五十三年度の定員は千三百六十六名でございますので、航空交通量の増加に十分に対応して人員的な配慮はしてきたつもりでございますが、なお今後とも航空交通の流れが複雑化するという傾向がございますので、それに対応してセクターを分ける、その分けたセクターに適時適切に管制官を配置するというふうな形で所要の管制官の増強を図ってまいりたい。  それから、施設的な面で申しますと、まず航空路の管制につきまして、昭和四十六年度においてはわずか二カ所のレーダーが航空路を見張っていたにすぎませんが、本年の四月以降におきましては、全国を八つの航空路レーダーによってほぼカバーをいたしております。ほとんどの主要航空路についてはレーダーによる管制ができるようにいたしました。  また、空港につきましても、昭和四十六年度にレーダーを持っておりました空港は九つでございましたが、昭和五十三年度は十三の空港をレーダーによる管制をするようにいたしております。  このように、レーダー管制をすることによって管制上の安全の向上と能率の向上ということを図ってきたわけでございますが、それと同時に、管制官もまた相当高度の技術を駆使するということが要求されてまいりますので、四十九年に仙台空港のそばの岩沼というところに航空保安大学校の分校を置きまして、そこで管制官の集中再教育をするという措置をとってきたわけでございますが、ここにおきましても発足当時三十三名でスタートしました教官の数が現在四十四名に増加しておりまして、年間教育数も四百名足らずから五百二十名を超えるところまで持ってまいりました。  こういうふうなことを逐次整備することによりまして、施設面でも空域面でも、あるいはこれを取り扱います管制官の質の面でも向上を図っていくということによって、御指摘のニアミス等が起こらないようにという処置を講じてきておるわけでございますが、なお、それでも管制官といえども人間でございますので、ちょっとした気の緩み等によって問題を起こすことなしといたしません。そこで、二重監視と申しますか、ダブル・ウォッチ・システムと呼んでおりますが、主任とか副主任とか、こういうふうなものを設けまして、それぞれそれらをチームに配置するということによって、第一線の管制官が行っております作業をある程度のゆとりを持って後ろからウオッチできるようにする、問題があったときにはいっでも相談に乗ってやれるようにするという形も逐次整備を図ってきておるわけでございます。したがいまして、先ほど計器飛行方式同士のニアミスというものは管制に直接かかわりがございますということを申し上げたのでありますけれども、管制官の側における明らかなミスというふうに指摘されるものはそう数は多くないわけでございまして、これの絶滅を図るということを念頭に置いて今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
  37. 前田治一郎

    ○前田委員 そこで、少し話は変わりますけれども旅客機が空港へ着陸する場合いわゆる着陸態勢に入るわけでございますが、それは滑走路の端っこから大体何キロぐらい手前からそういう体制に入るのが通常とされておるのか。私は、さっきも言いましたとおり東京−大阪間をしょっちゅう飛んでおりますので、羽田とかあるいは伊丹の国際空港のことならよくわかるのですが、大阪を例にとりますと、大阪空港の場合は原則として東から西へ向かって着陸するようになっておるのじゃないかと思います、いつもそういうふうになっているから。よほどの横風がない限りは西すなわち山側からは着陸しないように思うのです。そうすると、大阪空港の場合どのあたりが着陸態勢に入る起点になっておるのか。城東区の天王田というところに電波を発信しているところがあると聞いておりますが、その電波は何のための電波なのか、その辺をちょっと御説明を願います。
  38. 松本操

    松本(操)政府委員 着陸態勢というのをどこら辺から着陸態勢と言うかというのはいろいろ議論があろうかと思いますが、いまの大阪の例で申しますと、名古屋の南の方に河和というところがございます。東京から参りました場合に、河和を越えて、奈良県に大和というところがございます、その上空あたりのところから大体着陸の態勢、つまり管制部の方の手を離れまして大阪の飛行場の進入管制の手に渡っていくというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。そこら辺を着陸態勢の始まりというふうに考えますと、大体十五ないし二十分くらい前、着陸の時間からそのくらい前のところから着陸にだんだんかかっていくというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。  いまおっしゃいましたのは私どもが城東ビーコンと呼んでいるものではないかと思いますが、大阪空港に通常着陸いたしますときには実は南から北へ向けて着陸をしておるわけでございます。北側には山がございますので、よほど南風が強いときでなければ北からはおりません。通常は南からおりてまいります。おりますときに、空港の中にILSという装置がございまして、これから三度の角度で電波が出ているわけでございます。航空機はこの電波をキャッチいたしまして、正確に三度の角度を保ちながら空港に接近して着陸をする、こういう作業をするわけでございます。この城東にございます装置は、滑走路の端から、ちょっといま私、正確な数字を記憶しておりませんが、八マイルぐらいではなかったかと思うのですけれども、その上を通過いたしますと操縦席の中にサインが出ます。それによってパイロットは正確にコースに乗っているということ、それからそのときの高度を読むことによって高さも正確であるということ、間違いなく滑走路に向いているというふうなことを確認してさらに着陸を続行する、そういうふうな着陸のための援助施設という形でこの装置が置いてあるわけでございます。
  39. 前田治一郎

    ○前田委員 時間がありませんのでなるべくイエス、ノー式でお答え願いたいのですが、先ほどの八マイルというのは、私、算術は弱いんだが、十・八キロぐらいですか。違いますか。  それから、そこでの飛行機の高度は常識として一体どのくらいなのか。
  40. 松本操

    松本(操)政府委員 一マイルが一・八キロでございますから、十四、五キロというふうに御理解いただいていいと思います。  それから、高度につきましては大体二千五、六百フィートでございますから、メートルに直しまして七百五十から八百メートルぐらいではないかというふうに思います。
  41. 前田治一郎

    ○前田委員 伊丹空港騒音公害関係でいろいろと対策を講じております。これは運輸省だけじゃなしに、地元の府県、兵庫県、大阪府あるいは市町村一緒になってやっておるわけでございますが、その騒音公害対策をする地域として定めておる地域というものは空港から何メートルでしたかな。どなたか御記憶ありませんか。
  42. 松本操

    松本(操)政府委員 ちょっと申しわけございませんが、正確な数字を私いま記憶しておりませんけれども、大体新幹線の大阪駅の辺まで第一種の空域の先つぼの方は延びていたのではなかったかというふうに記憶しております。城東ビーコンはさらにその南側でございます。
  43. 前田治一郎

    ○前田委員 城東ビーコンはずっと向こうなんですね。新幹線あたり空港の端から大体三千メートルぐらいですか。だから私が言わんとしているのはこうなのですね。城東ビーコンで飛行機は大体七百五十か八百メートルくらいの高度でしょう。それから空港滑走路へだんだん高度を落としながら一直線に飛んでくるのです。ところが空港の周辺だったら三千メートルぐらいまでは騒音被害の補償をしているのですね。頭の上から、八百メートルからあるいは六百メートルからもろにおりてくる轟音というものはたまったものじゃないと私は思う。私らは地元の人間としてこの被害者を救済しなければならないとは考えておるけれども具体的によう提案しないのは、飛行機の飛んでいる位置がちょっと狂うと下の方がもろに外れてきますね。だから狂いがあっても全部網にかかるのだという程度のことを考えると大変幅の広い、また距離の長い区域の対策を講じなければならぬ、これは恐らく行政としても不可能に近い困難さがあると思うので私らは何にも言わないでおるのだけれども、どうですか、日本の国内で、大都会のど真ん中に城東ビーコンのような電波を発信する装置があって、それから三度の角度とおっしゃいましたけれども飛行機の飛んでいくコースが大都会の真上を飛んでいっている、こういうふうな空港はほかにあるのでしょうか。私は何もそのことを責めようとは思っていない。伊丹空港滑走路をねじ曲げない限りこの飛行方向を変えることはできないのです。あの空港の状態を見るとねじ曲げることはどうにもできません。いまの三千メートル滑走路をつくるときに私らもずいぶん土地買収なんかで地元の人間として奔走した一人ですから、だからあの方向は変えられない。したがって城東のラジオビーコンの位置は変えられないけれども、しかしそこで八百の高度である、真っすぐに空港へ飛んでいく、その真下が大都会の住宅などが密集している地域なのだ。いまこれを出しましたのは、心配なのは、もしそのあたりで着陸態勢に入ったままで飛行機がトラブルを起こして墜落したらどうなるのだろうか、いつも私はそれを考えるのです。そういう人家密集の地域飛行機が墜落したら、ヨーロッパなんかでもそういう事故がありましたけれども、あれどころじゃない、もっと大きな事故が起こりはせぬか。飛行機の着陸が一〇〇%安全とは保障されないのですから、仮に〇・一%の危険度があってそれが発生したらどうなるかというふうに考えておるのですけれども、こういう私の心配は無用なのでしょうか。航空局はどうお考えですか。
  44. 松本操

    松本(操)政府委員 まず前段の騒音の問題については現在八十五WECPNLで線を引いておりますが、近く八十にし、最終目標は七十五まで持ってまいりますので、その時点においてどういうふうになるかという点はこれからの問題の中で十分に取り組んでまいりたいと思います。  それから、後段で御指摘のございました着陸態勢に入った航空機が一〇〇%安全と言えるのかという点につきましては、理論的には残念ながら一〇〇%安全とは言えないというのが事実であろうかと思いますが、それをあくまでも実務的に一〇〇%の安全に持っていくための努力を私どもは一生懸命しておるということでございます。理論的にゼロと言えるか、・こう言いますと、墜落の危険が全くあり得ないのですというふうなことは私も申し上げかねる次第でございます。
  45. 前田治一郎

    ○前田委員 御答弁の言葉の意味よくわかります。私も決して無理は言おうとは思いませんけれども、だから安全の検討を一生懸命やっているのだということでありますけれども、そこで関西地域から新関西空港の建設という案が出てきたわけでございまして、地元の方に若干の反対があるようですけれども海上四キロ、五キロの沖合い、さらにそこへ幅千メートルの島をつくったとしても、滑走路がどの位置になるかわからぬが、そうすると四・五なり五・五なりの向こうの沖合いに陸地平行の滑走路ができた場合、これは伊丹空港なんかの問題じゃない。騒音公害というものは、私はほとんど陸地の方へは来ないんじゃないかというふうに考えておりまして、そういう意味合いで言われておるところの新関西空港を早くつくってほしい、早く使用できるようにしてほしい、これは日々八百メートルの高度で飛行機が姿勢を整えて空港へ向かっていくのだけれども、そのいわゆる行幸道です、その行幸道の下にはずいぶんと密集した人家があるのです。ここへもし墜落でもしたら大変じゃないか。だから事故を起こさない間に早くこの空港を使用しないようにしてほしいという私の願いがあるわけでございまして、そのために私は航空局長にぜひともひとつ新関西空港の建設を急いでもらいたいということをこの機会にお願いを申し上げておく。さらにまた、というてもなかなかこの建設は大変でしょう。時間がかかるでしょう。だからその間頭の上八百メートルから轟音がおりてきたらどんな状態か。それはその下の家々はもうテレビは聞こえない、画面は揺れる、電話は聞こえない、それでもやむを得ぬと思って皆さんがまんしているのだけれども、何とかこれに対して気は、心でもいいから補償措置も考えていくべきじゃないか。新幹線の新大阪駅までだと言って、だれが一体そこで線を引いて限定しているのか。八十ホンとおっしゃったけれども、もっとひどい音が出るのです。しかも二分、三分間隔にそういう被害を受けている人がずいぶんたくさんコース下におるということを考えて、私は大阪空港の周辺の騒音被害に対する対策の枠の拡大、区域の拡大というものを航空局に検討してもらいたいのですが、その点いかがでしょうか。
  46. 松本操

    松本(操)政府委員 まず安全性の問題に関連しての新空港の早期建設という御指摘につきましては、単に安全の問題だけではなくて騒音の問題を含めて、新空港はあくまで公害のないということを標榜してスタートしているわけでございますので、そういう点について目下あらゆる環境アセスメントをしております。それを予定どおり終わらせて地元の関係者の理解を得ながらなるべく早く工事にかかれるようにしたい、こう考えております。  次に、騒音区域の拡大については、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在のところは八十五WECPNLというのは環境庁の定めました環境基準を一つの目安といたしまして、五十三年暮れというところを第一次目標に八十五WECPNLを置いております。しかし、次に五十八年にはそれが七十五に下がってまいるわけでございますので、中間的なものとしてまず八十五と七十五の間の八十というものをことし早々に設定しよう、そして防音工事その他も早急に進めてまいりたい。さらにその次に七十五まで十分に広げて、それによって環境基準を早期に達成するようにいたしたい、このように考えておりますので、結果的ではございますが、先生指摘の対象区域の拡大ということについては、私どもも前向きに取り組んでおるつもりでございます。
  47. 前田治一郎

    ○前田委員 もう一件航空問題で聞きますけれども、定期路線旅客便、これは時刻表を発表して営業しておりますけれども、あれは運輸省で認可あるいは許可なさっているのですか。
  48. 松本操

    松本(操)政府委員 時刻表そのものではございませんが、発着の時刻につきましては、事業計画の変更ということで航空法上認可の対象になっております。
  49. 前田治一郎

    ○前田委員 発着の時刻というものは事業計画の一環でしょうけれども、大変これを利用する側に影響がある。また、その路線の設定が必要であるかないかという基本問題をも論じ得る原因をつくるものである、私はそういうふうに思うのです。だから、路線を認可した、そこへどういう飛行機をどういう時間帯に飛ばすかということについては、事業の内容だから一応目は通しておるけれども、そう意に介していないのだというようなことでは、これは行政としては大変な落ち度である、こういうふうに考えます。だから、少なくともどの空港からどの空港へどの会社が日に何便どういう時間に飛ばすかということをチェックなさって、それがそこへそういう路線を設ける必要性があるかないかというところまで検討する材料になっておる、つまらない時間に飛ばすのだったら必要ないじゃないかというふうになさる、そういう行政措置がなされていなければならぬと思うし、私は認可する以上は、飛ばす時間というものについては、出発から到着までの飛行時間というものの計算もありましょうし、よほど慎重な検討が運輸省航空局においてなされておると考えておったのですが、その点いかがでしょうか。
  50. 松本操

    松本(操)政府委員 航空機の運航ダイヤの設定につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、わが方で認可をしておるわけでございまして、決して先生指摘のように安穏とした形でやっているわけではございません。十分に目を通し、所要の指導もしてまいっておるつもりでございますが、しかし、結果論的に見まして先生指摘のようにわりあいに同一方向に接近してダイヤが組まれておる、場合によっては五分とかあるいは同じ時刻とかいうふうなことで同一方向にダイヤが組まれておるという例が空港別に拾ってまいりますと、特に大きな基幹空港において実は存在していることも否定できません。これはいささか弁解がましくなって恐縮でございますけれども、ダイヤを設定していきます場合に、ローカル空港の中には運用時間の制限のあるところがございます。そういうふうなところにつきましては、そこを優先的に飛行機を配備してまいりませんと、飛行機が張りつけられなくなってくるというふうな点もございまして、いろいろな技術上の問題等もございまして、現在のところまだ何件か御指摘のような好ましからざるダイヤが残っている面があるわけでございますが、今後ともダイヤの変更の認可をしていくに当たりまして、事前に十分に関係企業を指導するということをも含めて、・なるべくこういったダイヤを解消し、旅客の側から見て合理的に納得のいくようなダイヤの設定ができるように、今後ともせっかく努力をしていきたい、このように考えております。
  51. 前田治一郎

    ○前田委員 私はもう知らないことは言いません。東京—大阪間をしょっちゅう乗っているからその点だけについて言いますけれども、現在の時間表で大阪発朝の七時三十分、これは全日空も日本航空も同時に出発することになっているのです。これを航空局が認可されたということは、皮肉な言い方をしますけれども、二機が押し合いへし合いで滑走路へ行って先陣争いをやって、同時に発進するというふうなことで、地上においても空においても衝突をして事故を起こしてやりなさいという意味なんですか、これを認可したということは、同時刻ということは。どうなんですか。
  52. 松本操

    松本(操)政府委員 そこまでおっしゃられますと大変に私も答弁に苦しむのでございますが、そういうことではございませんので、先生御案内のように、時刻表に書いてあります時刻と申しますのは、車輪どめを外す時刻でございます。したがって、離陸態勢に入って離陸をしていく段階においては、当然後先の順序がつくわけでございますから、いまおっしゃったようなことを容認、黙認しようということでは毛頭ございません。できることなら、たとえば三十分置くとかいうふうなことで処理をしていくのがよろしいことはおっしゃるとおりでございますので、今後十分にそういう点には気を配ってまいりたい、こう思います。
  53. 前田治一郎

    ○前田委員 局長そうおっしゃっているけれども、なおしつこいようですけれども、大阪−東京間は一日に十四本飛んでいるのですね。この十四本という便数は決して私は多いとは思いません。東京−札幌間の便数、東京−福岡間の便数から比べれば、たとえ新幹線があるとは言い条、日本を代表する東京と大阪の間を飛ぶ便数としては多いとは思いません。それからもう一つ、局長がおっしゃったように、空港にはそれぞれの条件がある。大阪の空港は深夜飛べないようになっていますから、あれは九時でしたか、それまでに到着しなければいけないという条件があるから、朝の七時から晩の九時までの間しか使えないのだというふうに考えましたら、使える時間が十三時間か十四時間ですね。十三時間か十四時間とすれば、その時間帯に十四本のフライトを飛ばすとすれば、これは一時間に一本という計算が出てきますね。運輸省あたりで、これは一時間一本にしなさいというふうな行政指導をどうしてなさらぬのか。全日空と日本航空が手前の都合だけで勝手に時間帯を組んできたのをあなたの方が盲判を押すからこんなかっこうになるのです。現在のダイヤグラムで調べてみますと、三十分間隔ぐらいだったらまだわかるのですけれども先ほど言いましたように同時刻というものがある。あるいは十分間隔というのが何便もある。十五分間隔というのもある。そうかと思うと、二時間十五分間隔があいているのがある。一時間五十分あいているのがある。二社ありながら、二時間十五分も一時間五十分もの間一本も便を飛ばさない。かと思うと十分刻みで飛ばしてみたり、同時刻に飛ばしてみたり、これは一体何ですか。だれのために飛ばしているのか。もし旅客、乗客のために飛ばしているのだったら、先ほど私が言いましたように、十四時間で十四本だったら、一時間刻みに飛ばしましょうということが両社の申し合わせでできるし、運輸省の行政指導でもできると思うのです。もうちょっと利用者、旅客側を考えてやらなければ、会社が持ってきたものをうのみにするというような行政では困ると私は思うのです。  そうかと思うと、伊丹空港は便数の制限もあるのだとおっしゃるかもしれないが、東京−大阪間を十四本しか飛ばしていないのに大阪−高知間は一体何便飛んでいると思いますか。二十何便飛んでいるでしょう。それは往来する人が多いのだ、まあ船でしか行けないところですから、飛行機は便利だから多いのだ。しかも、これは先ほども質問に出ましたけれどもYS11しか飛べない高知空港の状態なのだということであれば、高知空港なんかは滑走路を延ばそうと思えばもっと延びるのですから、延ばすことを運輸省でおやりになるとか、一機の大型機を採用することによって二便、三便をカットできる。この高知便なんか十五分ごとぐらいに出ていますよ。市内バスじゃあるまいし、十五分間隔で飛行機を飛ばさなければならぬほど高知−大阪間は経済的にも必要性はないでしょう。そういう点もやはりお考えにならぬと、一体運輸省航空旅客の取り扱いについてはどんな考え方で行政をしているのだと国民は思っていますよ。私はきょうはそれを代弁したのだけれども、こういうことについての局長の御意見はいかがですか。
  54. 松本操

    松本(操)政府委員 大変ごもっともな御指摘で、十分肝に銘じてまいりたいと思いますが、ただ、十四時間の間に十四本だから一時間に一本ずつ飛べるではないかという御指摘につきましては、実はそこに一機の飛行機を張りつけて行ったり来たりというわけでも必ずしもございません。そういったような航空機運航技術上の問題をも含めて措置をいたしませんと、なかなかダイヤの編成というのはうまくいかない面もあるわけでございます。それで、高知の例についても先生十分に御承知の上での御発言かと承っておったわけでございますけれどもYSの場合とジェット機の場合とでは大阪空港の枠もおのずから違っておるわけでございますし、同じジェット機の中でも、エアバスとそうでないものとの間にまた格差がございます。そういうふうなものをすべて込みにした中で、かつ、まさに先生の御指摘のような旅行者にとって最大限利便が確保されるようなダイヤの設定ということをしていくべきことは仰せのとおりであろうかと思います。決して盲判というふうなことでなく従来もやってきたつもりでございますが、今後とも一層そういう面に配慮して、できる限りの改善の努力をするようにしてまいりたい、このように存じます。
  55. 前田治一郎

    ○前田委員 十四便という便数が少な過ぎるのですよね。だから一時間に一本飛ばす。さらに、夕方とか朝とかラッシュの時間には三十分刻みぐらいにすることにして、もう一本でも二本でも便を入れる。東京−大阪間は、少なくとも日に片便二十便ぐらいは飛ばさなければいけないと私は思うのです。需要状況もよく御検討になって、航空会社をうまくリードしてくださるようにお願い申し上げておきたいと思います。  今度は警察の方へお伺いいたします。  道交法が改正されまして大変いい成績が上がっているそうでございますけれども、実は特に大都会の道路上に、駐車禁止の標識が上がっているにかかわらずずらっと並んで車が駐車されている、運転手がいないというふうなことは、どうも法を無視した姿ではないかと私は考えております。しかも、さように駐車しておる車の間から子供が飛び出したりしてよく事故を起こすということでございまして、この道路上の駐車、特に交通頻繁な道路上の駐車は相当考えなければならないというふうに思っています。  しかも、その駐車しておる車に運転手がおればいいけれども、運転手がいなかった場合には、ときには警察官が運転手が出てくるのを夜通しじっと待っておることがあるそうですね。これは改正前の道交法は運転手主義であったから、車の持ち主とか、あるいは使用者には何ともできない。運転手が出てくるのを待っているのだ、出てこなかったらそれでおしまいだというようなことになっておったと聞いておりますが、今日の道交法ではどうなっているのですか。そういう場合はやはり運転手主義なのか、持ち主あるいは使用者主義なのか、この取り締まりが改正道交法の施行以来どういう成績を上げておるか、その辺をお伺いいたします。
  56. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えいたします。  いま、道路交通の管理という立場から言いまして、私どもがこれから基本的に一番考えていかなければならぬと思っておりますのは駐車の問題で、御承知のとおりでございます。それで昨年の道交法の改正では、実はその駐車の問題はいじりませんでしたのでございますが、車について本当にドライバーの責任ということだけでいいのかどうか、これも先ほど申しました基本的な問題に絡んで大きな検討課題に値すると思っております。  ただ、車というのがとめないと用事が足せないという一面を持っておるものですから、他方で車の数がどんどんふえるということになりますと、一つは商店街とかいろいろなものを考えていきますと、都市構造あるいは路外駐車場、そういう関連施策が総合的に進められないとなかなかやっていけない。年間に約百八十万の駐車違反の取り締まりをやっておりますし、その中でかなりのパーセントは現実に邪魔になってどうにもならぬ、ドライバーも見つからないということで例の車を引っ張っていくことまでやっておるわけでございますが、ただ、先ほど指摘ございましたように渋滞の原因になったり、事故の大きな原因になったりいたしますので、私どもも、警察官の配置運用、その他の問題を通じて、これからさらに積極的な対策考えていく必要があるというふうに考えております。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
  57. 前田治一郎

    ○前田委員 駐車違反の取り締まりについて私若干の意見がありましたので述べるつもりでおりましたが、もう時間がなくなってまいりました。そこで総まとめ的に申し上げますけれども、私は笑い話みたいにこんな意見を述べたことがあります。特に通行の激しい道路に不法駐車しておる車、駐車禁止の標識を無視して平然としてとめておるような車はどんどんレッカー車で引っ張っていくことにしたらどうか。そうすると、その引っ張っていくレッカー車の台数の問題になるけれども、これは警察がするわけにはいくまいから、各警察に防犯協会とか交通安全協会というふうな団体があるが、現在では、中央ではこれをまだ余り認めてやってないような私生子的な組織になっておるけれども、実はそうではない、非常に活発に動いておる団体だから、こんなものを全国的に警察庁がぱちっとお認めになって仕事をさせ、補助金もやるようになさって、そういう警察ごとの団体にレッカー車を何台か持たしてどんどんと押収していくというふうにする。しかもこれ、遺失物として扱うのかどうか知らぬけれども、一年間保管しなければならぬとなると、もし取りに来なかったら大変ですわね。あんな大きなもの、よほど考えないと、置き場がないからどうにもならない。だから、臨時にどこか広っぱがあれば、そこを借りて、入るだけどんどんほうり込んでおく。そんなものは何日も保管できないから、一週間あるいは五日ぐらいの間に取りに来なければ競売処分してしまうぞというくらいの厳重な措置を講ずることによって、路上不法駐車というものを減少さしていくというふうな措置をお考えになったらどうか。そういう意味合いで、これはいろいろな関係法律がありますから、改正を図っていかなければならぬでしょうが、そういうことを考える気はありませんかということを一つ聞きたかった。  それから、事故が大変減ってきて喜ばしいと思いますけれども、それにしても自動車事故については、やはり補償とか弁償とかいろいろなことがつきまとうわけでございますが、これは運輸省の保障課だったと思いますが、できればいまの自賠責保険の取り扱い範囲を拡大できないだろうか。たとえば、自損事故に対しては、現在は保険しないということになっておりますけれども、自損事故も含めて、およそ自動車によって起こった事故全般について保険しましょうというふうに変える。これは現在の自賠責法の基本が変わらなければだめなんですけれども、基本を少し改正でもして、あるいは別の法律をつくってでも拡大をして、何もかも自賠責保険で片がつくようにする。それから天井も、現在の天井をもうちっと拡大をしていって、十分な保険ができるように改正をしていく。さらにまた、当委員会においても、最近盛んに質問で皆さんがやかましくおっしゃっておられる植物人間等に対する介護料、これは予算がついていますから、ことしの八月に実施されるわけでありますけれども、それの細目はまだ決まってないと伺いましたが、決まってなければないで結構ですけれども、しかし、今度の予算編成の精神を十分くみ取ってもらって、たとえば家族が介護している場合でも、これに対しては介護料を出してもらうというような措置も、自賠責保険の延長として扱う方が本当はいいと私は思うのです。今度は別の予算になっていますが。こういう交通事故の保障に対する考え方というものを、運輸省においても警察においても大いに拡大するという意味合いでお考え願いたいと私は思っております。これについてどういうお考えをお持ちか承りまして、時間でありますから私の質問を終わりたいと思います。
  58. 杉原正

    ○杉原政府委員 御指摘の駐車の問題、特に違法駐車の排除の問題でございますが、駐車の問題というのは、特に都市内の交通総量を削減するという意味においても、また事故防止の上からも非常に重要な問題であると思います。いま車で引っ張っていくということ、あるいは保管のところまでは道交法で手当てがしてございますが、それから先のことが実は手当てがしてないということ、御指摘のとおりでございまして、この問題は大変な検討課題でございます。それからパーキングメーターの運用の問題。それから引っ張りにしましても、大阪などのように安全協会の事業そのものとしてやっているところと、民間に任しているところと、いろいろ区々でございます。この辺も、一体どういうぐあいにやっていった方が一番いいのか、これから十分に検討さしていただきたいというふうに考えます。
  59. 梶原清

    ○梶原政府委員 自賠責保険制度につきましては、関係省庁と協議をいたしまして、逐次拡充強化をしてまいったところでございますが、自損事故を自賠責保険の対象とすることにつきましては、先生指摘もございましたが、自賠責保険が加害者の損害賠償責任を担保するものであるところから、自賠責制度の根幹に触れる問題でございます。また、自損事故に備える保険まで、その法を強制する必要があるかどうか、こうした点に種々問題がございますので、今後慎重に検討してまいりたい、かように考える次第でございます。  また、重度後遺障害者、いわゆる植物人間に対する介護料の問題でございますが、五十四年度に予算をつけていただきまして、日額三千円の介護料を支給する、これを八月を目途に実施を予定いたしておりまして、実施機関としましては自動車事故対策センターを予定しておるわけでございます。先生指摘の家族の介護につきましても前向きで検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 前田治一郎

    ○前田委員 私の質問、これで終わります。
  61. 太田一夫

    ○太田委員長代理 次に、井上泉君。
  62. 井上泉

    井上(泉)委員 いま前田先生の、駐車違反に対する解決、問題点についての質問に対して、杉原交通局長、これは速記を見たらわかるが、何を言っておるのかわからぬ。本当に駐車違反をなくするような対策を講ずる考えがあるのかどうか、ただもやもやして時を過ごす、こういうふうな取りとめのない気持ちに考えられるわけですが、駐車違反の問題は交通安全対策上非常に重要な課題であるので、警察庁はもうちょっとすっきりした指導方針というか、取り締まり方針というものは持たないものですか。
  63. 杉原正

    ○杉原政府委員 先ほど先生の御指摘のとおりでございまして、これからのいわゆる車社会の管理というものを考えていきます際の一番の問題は、やはり駐車の問題に逢着すると思いますし、都市問題というものを考えましても、この駐車をどうするかということが一番の基本になってくるだろうという認識でおります。いま年間百八十万とも二百万件ともいわれる駐車違反というものの処理をいたしておりますが、駐車違反の実態というのは、われわれが取り扱っておりますものの数倍あるいは十倍近いものがあるだろう、これを一体どう処理をしていったらいいのかということ、これはいろんな基本的な——ここまでの大量処理になってまいりますと、制度的に一体これをどうしていくのか。いまみたいな駐車違反があるからそれを取り締まる、そういうことをやっているだけでこの問題は解決するのかという疑問をときどき感ずることがあるわけでございます。  都市の駐車問題を考える際にいろんな側面があると思いますが、一つは、都心への乗用車その他の乗り入れというものをある程度抑制をしていく、できるだけ公共輸送機関に振りかえていくというふうなことを基本に考えていきますと、どうしても都心の駐車禁止というものをやっていかなければならぬ。駐車禁止というものをやっていく場合に、路上に置けず、片方で車を使用するという実態があるとすれば、それをどこかに置かなければならないというふうな問題があります。そうしますと、そこで都市政策としての路上駐車場というふうな問題もある、しかし、他方で、余り乗り入れちゃ困るという実態があるとすれば、余り都心に路上駐車場を設けちゃいかぬというふうな物の考え方もあり、いろんな考え方の側面のものを組み合わせながら、一体各都市ごとに、駐車というものを基本的にどう考えるんだというところの、全体的なオーソライズされた結論というものはまだないように思います。そこにやっぱり大きな問題があるのではなかろうか。そういう点について関係機関、団体が集まって、これからの車社会の中での駐車問題というものをどうするかという一つの方向づけというのをやっていかなければならない時期にいま遭遇をしているのだろう。  ただ、当面の措置といたしましては、やはり駐車問題というのは、いろいろな経済活動その他の側面というものが、当然商店街その他を考えますとあります。そういう面で、たとえばパーキングメーターで処理する路線というふうなものもありましょうし、それから、どうしてもここに置いてはならぬというところについてはもっとレッカーでの移動措置というふうなものも強化をしていかなければならぬというふうなものもありましょう。それから、時間的、場所的、曜日的に、駐車をしていいところと悪いところとの区分けという一ふうなものをもっと実態に合わせて考えていかなければいかぬというふうな問題もありましょう。そういうふうないろいろな問題があるものですから、答弁をいたしますと何を言っているかわからぬような面がありますが、実は駐車問題というのはそれほどむずかしい。しかし、どうしてもこれは解決をしなければならない問題であるという認識でおるわけでございます。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
  64. 井上泉

    井上(泉)委員 それは局長、駐車禁止区域にしたところは、ここへ駐車してはならぬということにしたために駐車禁止にしておるのでしょう。あなたの話を聞くと、駐車禁止しておるけれども、これはしようがない、大目に見なければいかぬなという感じの中で駐車禁止をしておるように想像されるわけですが、駐車禁止区域に指定した場所に駐車すること、それが都市政策だ何だというのは、あなたが東京の都知事になるかあるいは自治大臣になられてやるのか、そういう遠大な構想の中でやるのではなしに、警察庁の交通局長として、駐車禁止区域にしたところに駐車しておる者に対しての取り締まりというものは、これはいろんなことを考えなくても、徹底的に取り締まることによって付近の商店からも苦情が出てくる、あるいは付近の人からあんなに駐車違反を厳しくやられたのでは困るというふうなことになれば、そこで初めて総合的な駐車の問題に対する政策が生まれるでありましょうけれども、ただ、警察はやたらに無鉄砲に駐車禁止の、区域をどんどん指定したものではないでしょう。やはり、ここは路上交通上障害になるから駐車禁止という区域を張っておるのですから、その駐車禁止に指定をした場所の取り締まりをするのは警察庁の責任ではないですか。もうそれだけでいいです。
  65. 杉原正

    ○杉原政府委員 御指摘のとおりでございます。
  66. 井上泉

    井上(泉)委員 それならそれを徹底的にやりますか。
  67. 杉原正

    ○杉原政府委員 さらに推進をしていきたいというふうに考えております。
  68. 井上泉

    井上(泉)委員 数十倍もあるというのだったら、どんどん取り締まりをやって反則金も取ってやったらそれは財源もできるではないですか。そういう違反をした者に対しての取り締まりをやってそこから反則金を取ることは、私はそう国民から非難を受けることはないと思います。駐車した者から文句が出るかもしれませんけれども。どういうふうに進めていくのか、今後の推移を見ていきたいと思います。  それから、私は、自動車の保険の問題で若干質問したいと思うわけですが、最近、交通事故も非常に減少したということについては、これは関係当局の御努力によって、そしてまたドライバー自身の自覚というものも生まれてきた結果だと思うわけですけれども、しかし、そういう点においても保険というものの役割りもかなり重要な役割りを果たしておるわけですが、この自賠責の中で、不心得な運転者というものが依然として後を絶たない、それで自賠責保険すら掛けてない車がまだまだ多い。特に原付自転車、いわゆるモーターバイクは車検制がないこともあってその普及率が六〇%前後ということで、これは非常に私は危険だと思うわけです。モーターバイクによる事故者が多い今日でありますが、これについていま運輸省としては、いつも当交通安全委員会でも指摘されておる問題ですが、どういうふうに取り組んでおるのか、この際承っておきたいと思います。
  69. 梶原清

    ○梶原政府委員 無保険車両の解消につきましては、自賠責制度の趣旨にかんがみまして従来から種々対策を講じてきたところでございますが、先生指摘のとおり、とりわけ原動機つき自転車の加入率が、昭和五十三年三月末現在の実績で見ましても六三・九%にとどまっておるわけでございまして、必ずしも十分な成果を上げることができない状況にあるわけでございます。  このため、運輸省におきましては、総理府、警察庁等の各省庁並びに損保協会等各種団体の参加をいただきまして、昨年十二月に無保険バイク対策協議会を開催いたしますとともに、十二月からことしの三月にかけまして百日間、無保険バイク追放キャンペーンを全国的に展開をしたわけでございます。事業といたしまして、広報活動の強化、バイク販売店頭での加入促進、保険の期限切れ防止、監視取り締まり等の強化を行ってまいったわけでございます。このキャンペーンの結果につきましては現在取りまとめ中でございまして、付保率等につきましてまだ具体的な数値を持ち合わせておらないわけでございますが、茨城県等重点県を中心とするキャンペーンの盛り上がり状況等から見てかなりの成果が上がったのではないか、かように考えておる次第でございます。  この無保険車両の解消につきましては、さらに今後努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  70. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことでキャンペーンをやった。キャンペーンをやった結果が六三・何%なんですか、それともこれはキャンペーンをやる以前ですか、どっちですか。
  71. 梶原清

    ○梶原政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、六三・九%といいますのは五十三年度のものでございまして、キャンペーン実施前でございます。
  72. 井上泉

    井上(泉)委員 そのキャンペーンで大体どれくらい効果があったようにつかまえておられるのですか。
  73. 梶原清

    ○梶原政府委員 現在、キャンペーンの成果につきましては取りまとめ中でございまして、実態がよくわかっておりませんけれども、重点県につきましての状況等から、相当成果が上がったのではないか、かように期待しておるところでございます。
  74. 井上泉

    井上(泉)委員 この交通白書によっても、相当無保険車による交通事故に対して保障というものが政府でなされておるわけです、三十一億二百万円ですか。これは一般の自動車、原付でなしに普通の自動車等における保険の加入率というものは相当いっておるでしょう。パーセンテージでどうですか。
  75. 梶原清

    ○梶原政府委員 一般の自動車につきましては、検査等の過程でチェックをいたしますので、ほとんど全部が加入をいたしております。
  76. 井上泉

    井上(泉)委員 同じような法の対象になっておっても、一般のものはそういうことからほとんど一〇〇%に近い加入の状態にあるということですが、こちらはまだ六三%、キャンペーンをやって成果が上がってこれが七〇%になるというようなことは恐らくないと思うわけですが、これを、一〇〇%までいかなくてもせめて八〇%まででも近づけるために、キャンペーンだけでなしに、何かもっと恒常的にこの加入を促進するような具体的な手だてというものは考えられないものかどうか、その点。
  77. 梶原清

    ○梶原政府委員 先ほど申しましたように、広報活動とか監視取り締まり活動の強化ということに加えまして、このキャンペーンの実施と同時にやっておりますのは、保険契約の期限切れを防止しますためにバイク販売店等において長期契約を勧奨する、契約期間の長いものを勧奨するということをやっておりますし、従来代理店等を通じて送っておりました期限切れ通知を直接保険会社から送付するというふうに改めておりますので、こういうふうな成果があらわれてくるのではないだろうか、かように期待をしておるところでございます。
  78. 井上泉

    井上(泉)委員 私は勉強不足ですが、自賠責保険を掛けてなくても別に罰則はないですか。
  79. 梶原清

    ○梶原政府委員 自動車損害賠償保障法の第八十七条に罰則がございまして、「六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」こういう規定になっておるわけでございます。
  80. 井上泉

    井上(泉)委員 六カ月か五万円以下の罰金に処した者がどれぐらいあるのかということを、キャンペーンをやったときに相当数出たでしょうけれども、それの資料とかいうようなものはありますか、どうですか。
  81. 梶原清

    ○梶原政府委員 大変恐縮でございますが、現在、手元にその実績がございませんので御答弁しかねるわけでございます。
  82. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、これはこういう罰則規定があるということですが、警察庁の方ではこういうふうな保険を掛けておるとか掛けてないということは取り締まり対象外ということで、その点については交通取り締まりの際に調査するとかいうことはしないのですか。
  83. 杉原正

    ○杉原政府委員 昨年の十二月に道交法の改正がありまして無車検、無保険のものにつきましては点数制度の対象に取り入れるということにいたしたわけでございますが、去年の十二月一日からこの四月三十日までの間に無車検で取り扱いましたものが千三百九十三件、無保険二千八百六十一件でございます。いずれも十二月の道交法改正前に比べましてかなり大幅な取り締まりが行われているということです。
  84. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう点数が減るということはドライバーにとっては金を払うよりもまだしんどい罰則でありますが、罰則規定を適用する場合には、法律にはそう書いてあるが、どういう手続で適用するのですか。告発をして裁判所の判決を得なければ適用できない仕組みなのかどうか。
  85. 杉原正

    ○杉原政府委員 これは自賠責法違反で検挙いたしておるということでございます。通常の刑事手続になるわけでございます。
  86. 井上泉

    井上(泉)委員 それでやっておるのは知っておるが、六カ月とか五万円とかいうようなものは調査して資料としては出てこないでしょうか、調べればわかるでしょうか。
  87. 杉原正

    ○杉原政府委員 御質問の趣旨があれですが、たとえば車の種別ごとにどういうものが無車検で無保険であったというふうなものは取り扱いのデータとしてあるわけでございます。
  88. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことで何でも取り締まり取り締まりでやることもどうかと思うわけですけれども、こういう無保険の車がまだかなりな数横行しておるということから考えましても、運輸省の方でもこれの解消にもう少し積極的な熱意を示してやっていただきたい、こう思うわけです。それについては、たとえばキャンペーンをやった、キャンペーンをやったところでこれだけの増加になったとかどういうようになったとかいうようなこと、運動したらその結果を掌握していくようなことでないと、そのキャンペーンをやった結果の掌握というのは、それをやったから掛けたんじゃない、掛けなければいかぬから掛けた、こういうことを言えば数の把握はできないと思うのですが、少なくともこれから一年の間にはいまの六三・九を七〇%ぐらいまでには加入者の率を引き上げていくというだけの一つの業務の目標を設定してやるとかいうお考えはないでしょうか。
  89. 梶原清

    ○梶原政府委員 無保険バイク追放キャンペーンは昨年の十二月からことし三月にかけましてが初めての試みでございまして、本年度も実施をいたしたい、かように考えておる次第でございますが、このキャンペーンの結果につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように目下取りまとめ中でございまして、その成果を見て次のキャンペーンの参考にしたい、かように考えておる次第でございます。  なお、この加入率の向上につきまして努力目標を設けてやる必要があろうかと思いますが、これにつきましても鋭意努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  90. 井上泉

    井上(泉)委員 自動車事故の被害者救済のための自賠責にいたしましても任意にしても非常に大きな役割りを果たしておるわけですが、それが不幸にならないように、不公正にならないように適正に支払いがなされることが一番保険の生命だと思うわけです。それについて、自動車保険の算定の基準というものがなければならない。甲の保険会社はこうやってくれた、乙の保険会社は同じような事故でもこうであった、あるいは保険会社の意図によって保険金算定の基礎が違っておるとかいうようなことではせっかくの自賠責保険の意味がないと思うわけですが、最近それについて賠償の水準とか賃金、物価の動向とかから保険金の支払い基準を改定するというようなことを聞いておるわけですが、いまこれについてはどういうふうにお考えになっておるのか、自賠責の関係については運輸省から、任意の関係については大蔵省からそれについての説明を承りたいと思います。
  91. 梶原清

    ○梶原政府委員 自賠責保険の支払い基準、これは損害算定の基準でございますが、被害者救済の充実を図るという見地、また公正を図るという見地からほぼ二年ごとに見直しをしてまいっておるところでございまして、最近におきましてはことしの二月に改定を行ったところでございます。  支払い基準は、先生指摘のとおり保険金の支払いに当たり被害者の損害を算定するための基準でございまして、先ほど申しましたように、本年二月の改定に当たりましても被害者の所得算定の基礎となる年齢別平均給与額の改定を中心といたしまして、このほか近親者看護料、休業損害、慰謝料等につき改定を行ったわけでございますが、今後とも判例傾向とか経済動向、保険収支の動向等を勘案いたしまして被害者保護に欠けることのないように適宜適切に措置してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  92. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  任意保険につきまして、先生指摘のように従来はその被害者の損害額の算定というのは各保険会社が個々に裁判例等に基づきまして定めました支払い基準で実施したわけでございますが、いま御指摘のような問題点がございましたので四十八年の十一月からこれを統一化いたしまして制定しております。  いま運輸省の方からお答えになりましたように、任意の方もその後賃金、物価、賠償水準の動向を見ましてほぼ二年に一遍ずつ変えておりまして、最近では五十四年の二月の一日から支払い基準の改定を行いまして、これは二月一日以降事故発生のものから適用されるわけでございます。  具体的に申しますと、たとえば傷害による損害の場合で療養中に家族等の近親者が付き添った場合は、従来一日二千四百円を二千八百円にする。それから、休業損害も従来の二千五百円を三千円に引き上げる。その他いろいろございますけれども、基本的には自賠責に合わせております。ただ、自賠と違いまして若干弾力的に、たとえば自宅看護料なども新設いたしましたし、先ほど申し上げました療養中の付き添いの看護料なども二千八百円というふうにやっておりますが、立証資料等によってこれを超えることが明らかな場合で社会通念上必要と認められるものについては認めるということで、自賠と同じように、しかし若干弾力的に支払い基準を決めている、そういった状況でございます。
  93. 井上泉

    井上(泉)委員 それぞれ運輸省にしても大蔵省にしても被害者救済という自賠責保険の使命を果たすためにいろいろと改善を講じておられるということは結構なことでありますが、最近自動車事故による被害者が自動車事故というものによって保険金を詐取するとか、あるいはそれによって殺人まで犯すというような形で生命保険の面からも保険金を詐取するというような事件が往々にして発生するわけですが、こういうふうな不正な保険金詐取というようなものについては、これの対策というものは当然考えておるわけですが、まず自賠責保険について運輸省の方ではこういう不正な保険金の請求事件というものについてどういう対策考えておられるのか、承りたいと思います。
  94. 梶原清

    ○梶原政府委員 まず最近の状況でございますが、自賠責保険金の不正請求につきましては、私ども調査によりますと、昭和五十三年度中に判明しました不正請求件数は九十一件に上っておりまして、金額にいたしまして九千百万円余になっておるわけでございます。これらは、故意に追突事故を起こさせる等によって保険金を詐取したものでございます。この保険金の不正請求に対しましては、一部のものにつきましてはすでに民事訴訟を提起して回収に当たっておりますが、その他のものにつきましては、事件内容を十分調査の上、保険会社等が不正行為者等と交渉をいたしまして、求償に応じない者に対しては弁護士に委任して民事訴訟を提起して回収する、こういうことにいたしておるところでございます。  このような自賠責保険の不正請求事件につきましては、自賠責保険がその付保が強制されて公共性の非常に強い保険であることにかんがみまして、不正請求事件の多発しないように今後とも努力を続けてまいりたいわけでございますが、その方法といたしましては、事故内容につきまして慎重に審査をするということがまず第一点でございます。疑義が生じました事案につきましては警察当局、治療機関等の関係先への照会調査を徹底する、連絡通報を密にするということが第二点でございまして、このような方法によりまして、不正請求の防止に努めるよう保険会社を指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  95. 井上泉

    井上(泉)委員 この際警察にお尋ねするわけですけれども、保険金を請求するに事故証明は必ず必要なものですが、これは、不正に、いわゆる故意に相手を傷つけて事故を起こしたものであろうがなかろうが、被害者救済という立場に立って考えれば、被害者の事故ということで、事故を起こした者の動機がどうであろうと事故証明は出すものですか。
  96. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  事故証明というのは事故が現実に発生したという事実を証明するものでございます。
  97. 井上泉

    井上(泉)委員 事実を証明するものであるということは、たとえば故意に追突をして事故を起こそうが故意に人を殺そうが、現実に事故が発生をしておるから事故証明というものはその限りにおいては発行する、こういうことですか。
  98. 杉原正

    ○杉原政府委員 これは、現場で、要するに当事者の間で事故が発生をしておるその時点で疑わしいいろんな状況が出てくるというふうなものにつきましてはすぐに捜査に着手をいたしますが、通常の裏故につきましてはいわゆる業過として事案を処理するというのが大半でございますので、一般論として事故の証明というものはそういう種類のものであるということを申し上げたわけであります。
  99. 井上泉

    井上(泉)委員 おかしいと思ったときは捜査をする。その際には事故証明を出さないですか、出しますか。
  100. 杉原正

    ○杉原政府委員 一般的には事故証明は出します。ただ、捜査というのはうんと時間がかかります。ですからその間に証明を出さないというわけにはまいらないのであります。
  101. 井上泉

    井上(泉)委員 被害者救済のためには、事故証明を出してもらわぬと、故意にやられたということによって保険金も受けとることができないということになっては大変なことなので、そういうことについて保険会社が保険金を支払うためには事故証明というものが、それが故意であろうが過失であろうが、絶対的な——そういう場合には事故に遭ったという者に対しては絶対的に保険金は支払うことが保険として任務づけられておるものですか、その辺はぼくは不勉強でわからぬですけれども、それはどこがやられるのか。自賠責の強制の方ですか。強制の方では故意に追突して事故を起こしても払うかどうか、運輸省の方で答えてください。
  102. 梶原清

    ○梶原政府委員 悪意による事故につきましても被害者から請求がございましたら支払うわけでございますが、悪意であることが後で判明いたしました場合に返済をしていただく、こういうことになろうかと思います。
  103. 井上泉

    井上(泉)委員 その場合の返済を求めるのは被害者の方じゃないでしょう。局長、よくお聞きになっておらぬとわからぬですよ。被害者の方に返済を求めるわけでないでしょう。それをだれに求めますか。
  104. 梶原清

    ○梶原政府委員 被害者に悪意があります場合には被害者から返済をしてもらう、加害者に悪意があります場合には加害者から返済をしてもらうという仕組みでございます。
  105. 井上泉

    井上(泉)委員 その場合には事故証明というものはあってもなくても関係ないですか、被害者から請求する場合には。
  106. 梶原清

    ○梶原政府委員 原則として警察当局の事故証明を前提として支払うわけでございます。
  107. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、警察の方は善意であろうが悪意であろうが、現実に事故が起こったということに対する証明を出す。その証明を出すことによって保険金が支払われる。そうすると被害者は救われるわけですが、警察の方の事故証明というのは、そういうことがあってもなくても、故意であろうが過失であろうが、それはいわば保険金をだまし取ろうとして故意にやっておるということが疑われるようなことがあっても、結局事故証明を出すことには変わりはないですか。
  108. 杉原正

    ○杉原政府委員 事故の現場におきましてはそういうことがわからないのが一般でございます。したがいまして、事故証明というのは出す。その際に、一体いつこれが保険に入ったか、いろいろなことを調べるというのは、一般的に警察というのは事故処理でもそういう民事のところまでは入りません、そういう原則がございますから。したがいまして、査定の段階で、これはおかしいじゃないかということがいろいろ出てまいる、そういうことをまた通報を受けてうちの方が捜査の補強をしていくというのが一般的なやり方でございます。
  109. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、こういう不正請求の問題というのは、自動車保険に限らず、ブラジルまで警察庁も行かなければならぬというような大変な事件で、保険を目的とした犯罪、殺人行為であるわけですが、こういう保険会社の相互情報、任意保険の場合には特に保険会社間の相互情報とかいうようなものが必要であろうと思うので、そういう点については大蔵省、どういうふうな対策をとっておられるのか。  それからさらに、不正請求で支払ってその返還を求めた件数というものがどれくらいあるのか、あるいは金額としてどれくらいなのか、これは後日で結構ですから資料として提出をしていただきたいと思います。  そこで、いま私が前段申し上げました、不正請求を防止するための措置というもの、運輸省あるいは大蔵省それぞれ対策考えておられると思うわけですが、それについての対策をお示し願いたいと思います。
  110. 梶原清

    ○梶原政府委員 先ほど質疑がございましたような状態でございまして、保険金の支払いに当たりましては事故内容を慎重に審査するということがまず大切でございます。その次に、疑義が生じました事案につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、警察当局、主要機関等関係先への照会調査、相互通報ということをさらに徹底するということが必要であろうかと思うわけでございまして、この方向で保険会社を指導してまいりたいと考える次第でございます。
  111. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  不正請求につきましては、各保険会社の内部の問題と横の連絡と二つあると思いますが、従来は約款で、たとえば搭乗者傷害保険は、入院のときは一人一万五千円に切るとか、通院の場合は一万円に切るとかいって金額の制限をやったわけでございますが、それだけでは、いま先生指摘のように、なかなか実効が伴いません。横の連絡が悪いということは確かにそのとおりでございますので、実は昨年の秋に保険会社を指導いたしまして、各地方別に地方環境整備委員会というのをつくりまして、不正請求者に対する情報交換でありますとか、お互いに事例を紹介といいますか情報交換とか、あるいは警察と定例的に会合をいたしまして手口を教えていただくとか、そういうものをつくっております。それから情報センターというのも同時に設置させました。これは本来事故が多発いたしますと料率が上がるわけでございますが、そうすると、ついほかの保険会社へつけるということがございますので、それを十分にチェックするようにいたしますとか、それから後遺障害で二重にやるようなケースもあり得るわけでございますので、その点は二重請求を防止するために、いま申し上げました情報センターというものをつくりまして、徐々にやっております。  現在まで、先ほど申しました環境整備委員会は、東京以外に名古屋、京都、大阪、神戸、それぞれに設置されておりますし、情報センターにつきましては、どのくらいの金額から情報交換するのかちょっとまだ方法論が固まっておりません。これは至急やらなければいけません。  それから、警察とは随時連絡協議会を開きまして横の連絡をとっております。  いまは一般的に自動車保険のことだけでございますが、先ほど指摘のように長崎のような事件がございまして、これは生命保険にも関係するわけでございますので、たまたまいま大蔵大臣の諮問機関で保険審議会というのをやっておりまして、そこでこういういわゆるモラルリスク対策をどうしたらいいかということが検討になっております。保険審議会の小委員会の方での検討は大体終わっておりまして、やがて六月には答申をいただきますが、その内容は、やはり高額のものについては情報交換をしろ、それからほかの会社に入っているか入ってないかを必ず契約者に通知してもらう、そういう二つの方法で何とかして防ぐべきじゃないかというようなことが大体現在討論されておるところでございます。正式な答申は六月になると思いますが、御指摘のように横の連絡を今後とも強化していきたいと思っております。
  112. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう横の連絡をとり、あるいは保険金の支払い等についても事故の発生原因とかいうようなものを十分調査をされるということは結構なことですが、それによって被害者救済がおくれることのないように、被害者が、あれは相手が不正にやったものだということで保険金の交付が受けられないという不安のないような措置というものはぜひまたとるように指導願いたいと思うわけです。  最後に、昨年、五十三年の三月に総理府の交通安全対策室が窓口となってつくられた交通事故紛争処理センターというのは、中立公正だということで案外利用者に評判がよいわけですけれども、やはり各地方にもこれに準ずるようなものが設けられてしかるべきだと思うわけなので、その点総理府に最近の運用状況について簡単に説明をしていただきたいということと、あわせて、これに協力的機関の大蔵省としても今後の方針はどうするのかということ、それから運輸省の方でも自賠特会から助成策を考えるべきである。前の福永運輸大臣はそういうことを考慮しなければいかぬという答弁をしておったわけですけれども、五十四年度には考慮したけれどもだめだったか知らぬが、数字としては全然出ていないわけですが、五十五年度はどういうふうに考えておるのか、この三点をそれぞれの役所から御説明をいただきたいと思います。
  113. 三島孟

    ○三島政府委員 ただいまお話しの交通事故紛争処理センターは昨年の三月十五日に私どもの方で設立を許可した公益法人でございます。この交通事故処理センターにおきましては、交通事故に関しまして弁護士による無償法律相談あるいわ和解のあっせんあるいは紛争解決のための審査等の事業を行っておるわけでございますけれども、現在東京の本部のほかに名古屋、札幌、福岡にそれぞれ支部が設けられております。さらに本年五月下旬には広島支部が開設される予定になってございます。  この本部及び各支部とも常時三人程度の嘱託弁護士によりまして法律相談等に応ずる体制をとっているわけでございますけれども昭和五十三年度、昨年度の相談件数は全部で四千二百三十七件に上っております。相談内容の主なるものは賠償額に関するものがやはり一番多いということになってございます。
  114. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 御指摘のように交通事故にかかわる賠償問題の円滑な解決と被害者の救済の促進ということは自動車保険行政上重要な問題でございまして、いまの御指摘のセンターがそういう面において相当実績を上げていることは大いに評価しているわけでございます。われわれといたしましては、先生承知のように自賠責に運用益というのがございます。これにつきまして、そこからしかるべき金額を毎年支出しております。  従来の実績を申しますと、四十八年度は二千百万円、四十九年度は三千五百万円、五十年度は八千百万円、五十一年度も八千四百万円、五十二年度は一億四千万円でございます。五十三年度はまだちょっと決算が終わっておりませんが、五十二年度を上回るような金額を運営費として保持していく方針でございます。
  115. 梶原清

    ○梶原政府委員 財団法人交通事故紛争処理センターに対しまして自賠特会の運用益から補助金を出すかどうかということでございますが、自賠責の運用益全体をいかに効率的に使用するかという見地からの調整が必要であると考えるわけでございます。将来、同センターから自賠責特会からの補助について要請がございました場合には、同センターの主務官庁でございます総理府を初め関係省庁とも協議して検討してまいりたい、かように考える次第でございます。  なお、補足して申し上げますと、運輸省所管の財団法人日弁連交通事故相談センターというのが昭和四十二年度から設立をされておりまして、五十三年度の実績について見ますと、交通事故相談一万五千件程度、示談あっせん約四百件等となっておりまして、これとの関係もございますが、先生指摘のように財団法人交通事故紛争処理センターに対する助成につきましてもし要請がございます場合には、先ほど申しましたように関係省庁と協議して検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  116. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは質問を終わります。
  117. 有島重武

    有島委員長 次回は、明二十四日木曜日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十四分散会