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松本(操)
政府委員 まず前段の
YS11でございますが、
昭和三十九年に
型式承認を取得いたしましてから、
製造打ち切りになりましたのが四十八年でございます。そしてその間に百八十二機生産されたわけでございますが、昨年十二月現在で
残存機数が百六十六。これは、いま
先生がおっしゃいましたように
定期航空のは七、八十でございますが、そのほかに私
どもも使っておりますし、
海上保安庁もございますし、そういうものを含めて百六十六機が全
世界に残っておるわけでございます。
そこで、この
飛行機の
寿命がどのくらいあるかということでございますが、人間の年齢にたとえますと、まだ
壮年期と申してもよろしいのではなかろうか。それからまた
運航実績から見ましても、現実に
定時出発率等もいささかも衰えを見せておりませんので、十分に使いこなしていける
飛行機と思います。また一方、
製造メーカーでございました方でも、
世界の
定期航空で五機が残っている限りにおいては
部品の補給については
責任を持つ、こういうことを言明いたしておりますので、したがいまして、早急に消えてしまう運命の
飛行機ということでは必ずしもなかろうかと存じますけれ
ども、ただ、何せ
ターボプロップという形でございますので、
スピードも遅うございますし、人数も六十人から六十四人程度ということでございますので、そういったような面から、
路線によってはある程度
ジェット機との入れかえということをしなければならないような問題が出てくることもあろうかと思います。ですから、
飛行機自身の
寿命が尽きるということではなくて、輸送上の
諸般の要求から、一部の
YSにつきましてはリタイアということもあり得るかと思いますけれ
ども、
機材そのものにつきましては、まだここ十年ぐらい、つまり、いま一九七九年ですから、八九年ぐらいのところまでは十分に使いこなし得る
飛行機ではないか、このように
考えております。
しかしながら、これの
後継機という問題は当然
考えられるわけでございます。どういうふうな
後継機があるかということでございますが、その
後継機の
資格をどういうところに置くかということが非常に問題になるところかと思います。
まず、
先ほど御質問ございました千五百メートルの
滑走路を持ちます
空港に
YSが現に就航しているというところに強く着目いたしますならば、
滑走路長千五百メートルで十分に離発着でき、かつ、現在の
YSの六十人というのは、
時代の趨勢から見ますと
旅客の数がやや少のうございますので、倍の百二、三十人からできれば百五十人ぐらいというふうなところを
念頭に置いたといたしますと、それにぴったりという
飛行機は残念ながら現在ないわけでございます。もう少し
旅客の数を減らして
考えますと、
フォッカーのF28でございますとか、あるいは
BAC111と呼ばれております
機種でございますとか、そういうものがございますけれ
ども、千五百で離発着が正確に、安全に保証できるというふうに見ていいのかどうかという点、あるいは
先ほど申し上げました
旅客の数が百二十人足らずというところでございますので、やや下回っているのではないかというふうな感じもいたします。したがって、これらが今後長い期間にわたって
YS後継機たり得るかどうかという
あたりについてはなお
相当研究をしなければならないだろう。
それから次のステップとしまして、いま私が申し上げましたような
機材の変化型と申しますか、発展型と申しますか、そういうものがございます。たとえば
フォッカーで申しますと、F28のマーク六六〇〇あるいはF29あるいは
BAC111−670あるいはダクラスのDC9−80SFといったようなものが
メーカーの方ではいろいろと言われておりますけれ
ども、これらは正直に申し上げていずれもペーパープランと申しますか、
設計図の
段階でございますので、実際の運用に当たって有効かつ経済的に使えるかどうかという
あたりの点につきましては、なお
相当詰めていく
必要性が残っているのではないか、このように思います。
それからもう一つ、
YS11の
後継機の
資格といたしまして、
騒音の問題を無視するわけにはいかないかと思います。現在
YS並みというような漠然とした言い方でとらえられておるわけでございますけれ
ども、
YSの
騒音は
ジェット機の静かなものよりもやや低いというのが実情でございますので、今後
ターボプロップが新たに生産されるということは、いまのところでは恐らくないのではないか。ただ、もっと非常に数の少ない五十人乗りぐらいの
飛行機でございますと、
ターボプロップについての
新型機も出ておりますし、構想もあるようでございますけれ
ども、百数十人というオーダーの
ターボプロップというのは、現在
開発の
計画がないようでございます。したがって、
ジェット機で
YS並みの
騒音レベルを維持しなければならない、こういうことになってくるかと思います。
それで、
世界各国の
エンジンメーカーがそれぞれ低
騒音の
エンジンの
開発にいま全力を傾注しておるようでございますけれ
ども、いまの
時点で、この
メーカーのこの
型式の
エンジンであるならば十分に
YS並みと言い切れるというものは必ずしも見つかっていないようでございますので、これらも今後試作、
実験等が繰り返されていく中でおのずから取捨選択が行われていくのではないか、このように思います。
いずれにもせよ、日本の
YS後継機というふうにしぼって
考えますと、
滑走路が短いこと、能率が低いという点を充足しなければなりませんので、いまの
時点で私の方から明確に、これらの
機種が該当するのではないかと言うことはちょっと時期尚早ではないか、このように
考えます。