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1979-06-01 第87回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年六月一日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 登坂重次郎君    理事 中山 正暉君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 北側 義一君    理事 渡辺 武三君       井出一太郎君    石川 要三君       内海 英男君    大塚 雄司君       大坪健一郎君    谷川 寛三君       中島  衛君    中村  靖君       西田  司君    伊賀 定盛君       福岡 義登君    吉原 米治君       渡部 行雄君    瀬野栄次郎君       松本 忠助君    中井  洽君       瀬崎 博義君    川合  武君  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 中野 四郎君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      多田 欣二君         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁土地局長 山岡 一男君         建設政務次官  渡辺 紘三君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設大臣官房会         計課長     永田 良雄君         建設省計画局長 丸山 良仁君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 稲田  裕君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      塚越 則男君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     西島 茂一君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     大塩洋一郎君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)    江里口富久也君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   川島 廣守君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   大平 拓也君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   川合  武君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   加地  和君     川合  武君 同月二十二日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     北山 愛郎君   川合  武君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     伊賀 定盛君   甘利  正君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   加地  和君     川合  武君 四月十七日  辞任         補欠選任   川合  武君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     川合  武君 同月十九日  辞任         補欠選任   川合  武君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     川合  武君 五月八日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     瀬崎 博義君 同月二十五日  辞任         補欠選任   中井  洽君     中村 正雄君 同日  辞任         補欠選任   中村 正雄君     中井  洽君 同月二十九日  辞任         補欠選任   大坪健一郎君     石川 要三君   川合  武君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     伊藤 公介君 同月三十日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     川合  武君 同月三十一日  辞任         補欠選任   中井  洽君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   小宮 武喜君     中井  洽君 六月一日  辞任         補欠選任   石川 要三君     大坪健一郎君     ――――――――――――― 三月二十三日  住宅宅地政策改善に関する請願高沢寅男  君紹介)(第二三五四号) 四月四日  都市緑化促進等に関する請願山本政弘紹介)  (第二九〇五号) 同月十一日  泥水処理センター設置に関する請願稲富稜人  君紹介)(第三〇二七号) 同月二十日  小笠原村振興に関する請願鈴切康雄紹介)  (第三〇六四号) 五月四日  不動産経営管理士業務資格認定に関する請願  (中山正暉紹介)(第三三七八号) 同月十日  公団賃貸住宅大量建設等に関する請願(阿部  昭吾君紹介)(第三四〇五号)  不動産経営管理士業務資格認定に関する請願  (坂本三十次君紹介)(第三五三〇号) 同月十一日  公団賃貸住宅大量建設等に関する請願渡辺  武三紹介)(第三六二一号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第三七三七号)  同(小林政子紹介)(第三七三八号)  同(柴田睦夫紹介)(第三七三九号)  同(瀬崎博義紹介)(第三七四〇号)  同(東中光雄紹介)(第三七四一号)  同(三谷秀治紹介)(第三七四二号) 同月十四日  不動産経営管理士業務資格認定に関する請願  (新井彬之君紹介)(第四〇五四号)  公団賃貸住宅大量建設等に関する請願中井  洽君紹介)(第四〇五五号)  同(西村章三紹介)(第四〇五六号)  公営住宅政策に関する請願中村茂紹介)(第  四〇五七号)  同(伏木和雄紹介)(第四〇五八号) 同月十五日  東関東自動車道東京湾岸道路環境対策に関  する請願染谷誠君外三名紹介)(第四二六七号)  同外一件(木原実紹介)(第四二六八号)  同(柴田睦夫紹介)(第四二六九号)  同(新村勝雄紹介)(第四二七〇号)  同(小川国彦紹介)(第四二七一号)  公営住宅政策に関する請願瀬崎博義紹介)  (第四二七二号) 同月二十八日  建築施工監理士制度制定等に関する請願(大  塚雄司紹介)(第四四一七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  東海北陸自動車道建設促進に関する陳情書  (第二〇一号)  一般国道バイパス等整備促進に関する陳情書  外一件  (第二〇二号)  豪雪過疎地帯における市町村道整備に関する  陳情書  (第二〇三号)  都市計画推進に関する陳情書  (第二〇四号)  都市計画区域の見直しに関する陳情書  (第二〇五号)  住宅宅地政策改善に関する陳情書外二件  (第二〇六号)  公団住宅家賃安定対策に関する陳情書外二件  (第二〇七  号)  流域下水道整備促進に関する陳情書  (第二〇八号)  水資源対策充実強化に関する陳情書外三件  (第二〇九号)  本四連絡架橋に伴う関連公共事業に対する財政  等援助に関する陳情書  (第二一〇号)  佐賀県大和町の河川事業等に関する陳情書  (第二一一  号)  建設工事における下請企業に対する前払金保証  制度確立に関する陳情書  (第  二一二号)  定住構想推進に関する陳情書  (第二一三号)  過疎地域振興対策に関する陳情書外二件  (第二一四号) 五月十二日  土地対策に関する陳情書  (第二五六号)  日本住宅公団家賃改訂早期解決に関する陳情  書(第二五七号)  建設業推進のための公共事業費拡大等に関する  陳情書  (第二五八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君日本住宅公団理事大塩洋一郎君、日本住宅公団理事有賀虎之進君、日本住宅公団理事江理口富久也君、日本鉄道建設公団総裁川島廣守君及び日本鉄道建設公団理事大平拓也君に御出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
  5. 石川要三

    石川委員 きょう、この機会をお与えいただきまして心から感謝申し上げます。  与えられた四十分というきわめて短い時間でありますので、要点のみをお尋ねいたしたいと思います。したがって答弁は、できるだけ簡潔にお願いできれば、ありがたいと思います。  私は、きょうは時間の関係上、昭和記念公園についてだけ、お尋ねしたいと思います。大臣もせっかくお越しでございますし、時間の関係もあるようでございますから、順序を変えまして先に大臣に御所見を承りたいと思います。  御承知のとおり昭和記念公園は、私の知る範囲では、その建設は、立川にございます立川基地跡地と、同じ東京多摩地区でございますが多摩弾薬庫、これは現在まだ返還がされていないところでございますけれども、この立川基地跡多摩弾薬庫のところに二極構想建設されるということになっておるようでございます。その点は間違いないと思いますが、それを先に確認したいということが一点。  それから大臣に対するお尋ねでございますから伺いますが、この昭和記念公園というものは恐らく閣議にもかかるのじゃないかと思います。私、全然わかりませんが、閣議昭和記念公園をつくろうということが議題になり、これが閣議決定になっているのではないかと思いますが、そういうものであるかどうかということが二点目。  三点目としては、その閣議の際に、その場所も、いまの二眼レフ構想であるということも含めての決定であるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  6. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 最初の点でございますが、現在、立川基地国有財産中央審議会公園とすべく審議お願いしておりまして、これが認められましたなれば直ちに昭和記念公園としてやりたい。そのために本年度予算におきましても十五億円ではなかったかと思いますが予定して、進めてまいりたいと考えております。それから弾薬庫はまだ返還されておりません。しかし建設省といたしましては、これが返されたときには立川と二眼レフの形で昭和記念公園としてやりたいという方針で進んでおります。  第三点の閣議決定の件でございますが、これは寡聞ながら、私のときに閣議決定はございませんでしたので、事務当局から答弁させます。
  7. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 閣議決定の件につきましてお答え申し上げますが、五十一年に、天皇陛下在位五十年記念として昭和記念公園を設置するという方針閣議了承されております。そこで立川基地跡にこれを設置するという問題につきましては、国有財産審議会におきまして国有財産処分が最終的に決まりましたならば、それを受けまして、五十一年の方針に基づく場所立川であるということを、その段階閣議決定を求めるという運びになるわけでございます。  なお申し添えますと、これは返還決定し、その処分国有財産中央審議会において審議の結果、決定されたという手続を踏んでからのことでございますので、あくまで立川基地跡に限定されるものでございまして、多摩弾薬庫跡地につきましては、大臣がお答え申し上げましたように、まだ返還決定しておりませんので、その段階では閣議決定という手続には、まだ至らないわけでございます。
  8. 石川要三

    石川委員 局長に再度お尋ねしますが、こういうふうに理解してよろしいかどうか。  閣議決定は五十一年に、昭和記念公園をつくろう、この方針決定された。しかし場所立川の点については国有財産審議会等の議も経なければならない。それが決定されれば、それをつくるということでありますが、まだ、そのような時点であった。したがって多摩弾薬庫については全くペンディングでしたから触れなかった。要するに閣議決定だから場所はいずれにしても、方針の中に二眼レフ構想としてつくるのですよというものであったのか。そして、そのときも返還されればという前提条件があったとしてでも多摩弾薬庫というものの名前が挙がっておったのかどうか、そこいら、もう少し詳しく。
  9. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 五十一年十一月に、総務長官及び建設大臣の発言を了承という形で閣議了承されました方針は、天皇陛下在位五十年記念事業として記念公園を設置するという方針了承されたわけでございます。したがって場所については、この閣議了承内容に入っておりません。立川及び多摩弾薬庫構想大臣がお答え申し上げました構想でございますが、これは昭和五十二年に建設省が、公園事業調査費の一部をもちまして天皇陛下在位五十年記念公園につきましての調査を行いました。そのときに、この立川及び多摩弾薬庫跡地それから池子の弾薬庫等候補地として概況調査を行っております。したがいまして、この昭和記念公園として立川及び多摩弾薬庫を二眼レフとしての構想は、その段階建設省構想として出したものでございます。  その後、立川基地跡の方が御承知のとおり先行しまして返還決定され、国有財産中央審議会審議を待つばかりの状態になっておるということでございますので、まず、その返還決定され、次の国有財産処分段階であるという今日の時点におきましては、立川基地跡だけを、とりあえず国営公園というふうにして、審議会等審議が終わりましたならば閣議決定を改めて正式に求めたい。つまり場所をリンクして求める。(石川委員「「求めたい」ですか」と呼ぶ)はい。これは立川基地跡ということで閣議決定はこれからの問題でございます。これは既定の方針で各省とも折衝を一応進めてきておるわけでございます。  したがって弾薬庫跡につきましては、繰り返しになりますが、まだ返還が決まっておりませんし当然、国有財産審議会審議の爼上にも上ってないわけでございますので、次の、近いうちに予想される閣議決定内容には、これは入ってこないわけです。建設省構想としては、返還されるならば二眼レフという方針構想で、依然として関係方面お願いは続けていきたい、こういうことでございます。
  10. 石川要三

    石川委員 実は、その点が私は非常に大切なところではないかと思いますので重ねて質問を続けますが、そうしますと五十二年に、立川あるいは多摩その他を候補地として、いろいろ調査を進めたわけですね。そして現在に至っている。そしてまた近き将来においては、その国有財産審議会の議も調ったときに、そしてまた地元意向も定まったときに、その候補地としての立川ということで閣議決定の問題として出る。やがてまた、いつの日にか多摩弾薬庫も同じようなプロセスをたどって出ると思うのです。そのときに、立川返還されているからいいのですが、片っ方は返還されていないわけですね。そうすると日本安全保障とのいろいろな問題も出てくると思うのですね。そのときに閣議の中で安全保障との関係で、建設省は二眼レフで、そこだというふうに定めて、ねらい撃ちしても結構なんですが、そこいらはちょっと危惧というか、言葉ではなかなか微妙なんですけれども、私の言わんとするところを察知してもらいたいのですが、大丈夫なんでしょうかね。これは大臣に対する一つの聞き方かもしれませんが。
  11. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 安全保障条約その他の関係外交交渉上の問題で、公園所管建設省が、これを返還された場合には公園にしたいというふうなことを言っておっても余り力はないじゃないか。もっと広い大きな別の舞台の問題ではないか。建設省がそういう構想を持ち希望を持っておっても、実現の可能性というものは一体いかがなものか、大体こういう御趣旨の御質問だというふうに了解しまして、お答え申し上げますが、これは国有地でございますから地主は、所管省からいいますと大蔵省でございます。ただ多摩弾薬庫に限らず、米軍施設につきましては日本じゅうにたくさんあるわけですが、一般市民団体、自治体、あるいは場合によりましては、いまの多摩の場合のように私ども国行政機関、こういうようなものが、さまざまの理由、さまざまの立場から直接米軍に、あるいは大蔵省に、あるいは防衛施設庁に、いろいろこういうふうな使い方をしたいから返してほしいというふうな要望陳情をしているわけです。私ども建設省としましては公園行政所管省といたしまして、先ほど申し上げましたような構想に基づいて、窓口であるところの防衛施設庁に対しまして非公式ながら、そういう構想を示しまして折衝をし、米軍に対して返還交渉をしていただくようにというお願いをしておる次第でございます。
  12. 石川要三

    石川委員 非公式で防衛施設庁の方にそういう要請をされたということでございますが、それにはやはり何らかの具体的な案を持って要請されていると思うのですね。まあ絵がかけているらしいように私は聞くのですけれども、その絵も、私が常識的に考えていたのは全体の地域に対する絵ではなかったかと思うのですが、最近、何かそれが縮小されて半分ぐらいの広さの公園としての絵がかかれているようにお聞きしているのです。それは事実かどうかわかりませんが、もしそうならば、どうして、そういうふうに縮小されたような絵になったものか。また、それが建設省の公式のものとして見ていいのか。その二点。それを持って要請していると思うのですが、そういうふうに解釈していいのか、そこです。
  13. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 縮小というふうな考え方はないわけでございますが、御承知のとおり、あそこは約二百ヘクタールございます。そのうち半分ぐらいがゴルフ場になっております。そこで私どもが非公式に防衛施設庁折衝をしました構想は、ゴルフ場を抱えた公園残りの百ヘクタールぐらいを森林を主とした公園、こういうふうな考え方折衝しております。これは別に縮小というわけではございません。現に都市公園におきましてゴルフ場を一部に持っておるという例は幾つかあるわけでございまして、特に奇異な問題ではないというふうに考えております。  それから、それは建設省の公式な考え方かどうかという御質問でございますが、公文書をもって申し入れたというのを公式と仮に解釈するならば、そういう意味では公式ではございません。
  14. 石川要三

    石川委員 大臣にお尋ねしますけれども日本安全保障防衛庁長官でありますが、しかし大臣も一人の閣僚でもあるし政治家という立場で、未返還土地対象としての絵でございますが、そういったような面におきましては、これは当然、建設省対象地として進めるのに、そういったような点については決して心配ないというふうに御判断の上だと思いますが、そこいらの所見をちょっと承りたい。
  15. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 現在いろいろ状況をながめましたなれば、弾薬庫米軍の方は弾薬庫として使用しておらぬということで、そのために私らの方では、それなれば返還をしていただきたいということを防衛庁を通じ施設局から向こうへ当たっていただいておる、こういう状態でございまして、防衛上の判断その他は防衛庁主管庁となってやられることでございますが、現在は米軍防衛上のために利用しておられないということでございますから私たちは返還を求めておる、こういう姿であります。
  16. 石川要三

    石川委員 大臣に対する質問は終わりますので、どうぞひとつ結構でございます。  次に、防衛施設庁にお尋ねしたいと思います。  防衛施設庁は、以上のようなことで、この問題を受けているわけですが、防衛施設庁として、この記念公園をどのように受けとめているか。そして返還について建設省からの御要請に対して今日まで、どのような行動をとられていたかを明確にお答え願いたい。
  17. 多田欣二

    多田政府委員 公園に対する施設庁考え方ということでございますが、施設庁は一応、防衛施設行政所管の役所でございまして、地元にそういう強い御要望もあり、あるいは建設省大蔵省の中に国の公園という御計画もあるということでございますので、米軍了承が得られるならば御協力をしたい、こういう考え方でございます。  先ほど建設省からもお話がございましたように、建設省及び大蔵省から、返還に対しての非公式な米軍意向打診をしてもらいたいという御要請を、かねて受けておりまして、私どもといたしましては施設問題を取り扱う専門の施設分科委員会という、合同委員会の下の分科会がございますが、その分科会の場で、昭和五十一年の十二月と本年の二月と、さらに今月の初めでございますが、三回にわたりまして、米軍返還意向があるかどうか、返還できるかどうかということについて意向打診をいたしております。現在、米軍返事は、あの地域米軍軍人軍属家族のいわゆるレクリエーション施設福利厚生施設として十分に使われており、将来にわたって使用を継続したい、お返しすることは大変むずかしいという返事でございます。
  18. 石川要三

    石川委員 三回の交渉では、いまお答えのような状況があったということでございますが、これはどのような地位の方が、どこで交渉されるのですか。
  19. 多田欣二

    多田政府委員 施設分科委員会日本側代表防衛施設庁長官の玉木でございます。米側代表在日米軍司令部の第四部長をしておりますツルスデールという大佐でございます。この問で話し合われております。
  20. 石川要三

    石川委員 そうしますと現在、平行線のような形になっているというふうに受けとめるわけです。弾薬庫文字どおり弾薬庫なんですが、現在どのように使われているのですか、ゴルフ場とかなんとか言っていましたが。
  21. 多田欣二

    多田政府委員 よく通称、多摩弾薬庫弾薬庫と言われておりますが、あそこは弾薬庫ではございません。御承知のように、あそこは旧軍がいわゆる多摩火工製造所という形でつくりましたのを米軍が戦後、引き続き接収をいたしまして、実は弾薬庫として使用をしておりました。しかし弾薬庫としての使用昭和四十二年に廃止をされております。その後は使用目的が変わりまして、在日米軍軍人軍属家族福利厚生施設ということで使用をされているわけでございます。名称多摩弾薬庫ということではなくて、正式に名称変更を、すでに、しておりまして、多摩サービス補助施設と申しますのが正式の名称でございます。約百九十八万平方メートル面積がございますが、その約半分、百万平方メートルがゴルフ場地区残りの九十八万平方メートルが、練成地区と称しておりますがキャンプその他をやる地域ということで、現在の使用目的使用名称、こういうものは、すべていわゆる福利厚生施設ということでございます。
  22. 石川要三

    石川委員 そうしますと昭和四十二年に弾薬庫から、いまのように土地利用が変わっているわけでありますから、広い意味においては安全保障という枠の中に入るかもしれませんけれども、直接的には、かなり違った家族健康管理そういう面に使用されていて、直接軍事的な使用のものではないというふうに、いま完全に、なっているわけですね。  実は、こんなことは古いことで、いまさら話にならないと言えば、それまでかもしれませんが、当初は少なくとも、あの土地は周囲の市民の所有地であったと思うのです。それが軍事的な目的のために徴収される、こういうことで来たと思うのです。したがって現在のような二百ヘクタールにも及ぶような広大な面積を、そういう目的に使っているものであるならば、これは地区住民の強い要望もあるし、建設省として国の記念公園をつくろうという大きな目的もあるということであるならば、この問題は——私は天の政治家としては日本安全保障というものは絶対にゆるがせにできない、そういう立場であります。そのためには日米安保条約の必要、それに基づく、いろいろな基地提供も是認をしている立場でありますけれども、しかし、いまのような説明であるならば、私は違う目的のために使用されるということも安全保障の上において差し支えないというふうに判断するものですけれども、そこらは施設庁立場としては、どういう見解を持っていますか。
  23. 多田欣二

    多田政府委員 先生御承知のように安全保障条約、それに基づく地位協定に基づきまして米軍に対して施設、区域を提供しているわけでございますが、その提供施設というものは、いわゆる直接的な軍事施設と称するものには限っておらないわけでございます。軍隊がそこに駐留をし、訓練をし、戦力を維持するということのためには当然、軍人あるいは、それを支援する家族等に対して福利施設等のようなものを提供いたしまして、その士気を維持するということは大変重要なことでございまして、福利厚生施設であるから要らないのではないかということには直接ならないのではないか。米軍がいる以上、しかも米軍福利厚生ということに対する考え方が、やや日本人とは違います。たとえば日本の官庁等におきましても、われわれのところでも、そうでございますが、やはり、ある程度の福利厚生施設というのはすべて持っているわけでございまして、特に米国人の場合には福利厚生ということに対する関心が非常に高うございます。そういう意味で、福利厚生施設だから直ちに要らないんではないかという議論には通じないんではないかと思います。ただ福利厚生施設として、ある程度割愛し得るか、他で代替できないかというような問題はあろうかと思いますので、そういう面を含めまして米軍と話をしておる、こういう状況でございます。
  24. 石川要三

    石川委員 私は、そういう考えであることは否定いたしませんが、ただ、この施設が現在ゴルフ場と、半分は名称はちょっと忘れましたがキャンプ場のようなものではないかと思いますが、そういう施設に使われている。現実に、どの程度使われているか数字わかりますか。ゴルフ場だけで結構です。
  25. 多田欣二

    多田政府委員 私ども承知している範囲で申し上げますと、五十三年度における一日の利用人員は約百八十名程度のように承知をいたしております。
  26. 石川要三

    石川委員 これはどういう資料に基づいての数字か知りませんが、私どもが調べた点では全然違います。私は五十三年度いっぱい調べたわけじゃございませんが、できる限りの知る方法でやったんですけれども、そんな三けたなんという数字は、どこから求められたか、むしろ私としては、その資料を知りたいのです。ごく最近の一日、二日を見ても一日二十人ですよ。こんな天気のいい、しかもゴルフとしては一番最適のシーズンだな。このいまのときに二十人。しかも、これが全部日本人ではないと思うのですね。  こうなった場合、私は、いまのような施設も必要としないわけではありませんけれども、片や先日、建設委員の先生方が御視察をされたあの多摩ニュータウン、あれが完成されますと人口が三十万張りつけられるわけですね。あの周辺の自治体を入れますと約五十万、それ以上の都市があそこにあるわけです。そして過密の中にある、あの広大なグリーンを見た場合、昭和記念公園計画建設省にある。何とか、それを割愛というか、その一部を使用して、そういった二眼レフ構想で、その公園をつくりたいという熱意があるのですが、それに対して何とか実現すべきではないか、私はこう思うのです。そのために、いままで三回交渉されたと思います。昭和五十一年それから五十四年に二回。しかも、この質問があるせいか知りませんが、五月にまたやった。五十一年時代のものは、まだ素案が本当に決まってないころじゃなかったかと思うのですけれども、もう少し熱意を持って米軍交渉に当たる必要が当然あるんじゃないかと私は思うのです。その辺はどうですか。
  27. 多田欣二

    多田政府委員 先ほど申し上げました使用実績につきましては、私ども自身がチェックする能力はございませんので、米軍から聞いた数字でございます。  それから、さらに熱意を持って交渉せよということでございますが、何分にも、やはり非公式の意向打診ということで一応の限界はございますが、私どもといたしましては、地元で強い御要望もあるということもよく承知をしておりますし、建設省大蔵省意向もございますので、さらに機会を見まして米軍と話し合いをしていきたい、このように存じております。
  28. 石川要三

    石川委員 いま非公式の交渉、こういうふうに言われましたけれども、じゃあ公式な交渉とはどう違うんですか。そして公式な交渉にする意思があるかどうか。少なくとも最近、二万名の署名が関係省庁に出されていると思うのです。二万人の署名というのは大変な数でありますし、ただ数で私は驚くわけではありませんが、それに対する要望、願望というものが、この二万人という数字の中にあるとするならば、これは非常に大きく取り上げなければならない住民意思ではないかと思うのですが、そういうものを受けとめて進んでいくときに、非公式と公式とは、どういうふうに違うか私にはわかりませんが、もう少し公式的な、正式な交渉をやるべきではないか、こういうふうに思うのです。  ただ特に私が指摘したいのは、多摩地区というのは人口がどんどん流入されておる。交通は渋滞されておる。多摩ニュータウンというのは、でき上がれば世界一の大規模なものですね。私はあれはでか過ぎると思うのです。ああいうでかいのをつくるのはどうかと思うのですが、その点での見解はさておきまして、とにかく、あのような世界一の規模の大団地、そういうふうなもののすぐ隣接した隣に、確かに、それは士気高揚も結構でしょう。しかし利用度合いというものは米軍の資料だけでは私はとても信用できないんで、私どもがもう毎日あそこを通って、いるところを見てわかるんですね、毎日、私は通っておりますから。大体十八ホールしかないところに百八十人も来ていれば、これはセーブするようですよ。順番がずっと並んで、それこそ昼休みなんか一時間もとらなければプレーできないと思います。プレーやっている方は、それは現実的にわかると思うのですね。それがいつ行っても、だれも人影も見えないようなゴルフ場で、果たして百八十人という数字が、どこから——姿が映らないような人間がやっているなら別ですよ。しかし、そんな人間はないわけですから、そんなものはあり得ないと思うのですがね。そうなると私は、いまのような状態をそのままに放置していくことが、かえって日本安全保障条約に逆効果になる、こういうふうに思うのです。そこらから、ぜひひとつ、これを熱心に交渉を正式にやっていただきたいのです。  非公式と公式との差の見解、そしてまた、それに対してやるべきだという一つの私の意見に対する答弁を聞きまして、私は質問を終わりたいと思います。
  29. 多田欣二

    多田政府委員 公式折衝と非公式打診との差と申しますと、公式折衝というものは正式に文書をやりとりしながら交渉していく、いわゆる交渉でございます。非公式意向打診ということになりますと、口頭でやりとりをする、こういう違いがございます。それから、おのずと迫力も違います。  現在、私どもといたしましては、先ほど建設省からもお答えございましたように、建設省さんからも大蔵省さんからも私どもに対しても非公式の形で非公式に打診をしてくれ、こういう御依頼でございますので、それに従ってやっておるわけでございまして、両省の態度がお変わりになれば、われわれも、それに応じて対応していきたい、このように考えております。
  30. 石川要三

    石川委員 委員長、私はもう質問を終わると言ったので、これでいいんですが、いまの答弁を聞きながら再度、要望を申し上げたいと思いますが、建設省大蔵省、これは大蔵省要請することが必要かどうかはよくわかりませんけれども、そういうものが、もし必要とするならば、建設省大蔵省も、そんな非公式だなんということではなくて堂々とお願いをして、それをまた受けて防衛施設庁はひとつ交渉に当たっていただきたいと思うのです。  そして特に、あのゴルフ場が半分、半分はキャンプか何かの施設になっているのですが、これはそう言っては何だけれども、ほとんど使用はない。夏休みに子供さんが来て何人かやるというぐらいのものでしょう。そういう施設でありますから、やはりゴルフ場だって、いまのような数だけの。プレイヤーならば、あの周辺にたくさんあります、それに特別のプレーをできる資格を与えてやれば何ぼでも差し支えなく、米軍の士気高揚はますます盛んになるというふうに思うのです。ですから問題は、何も専有しなければならないということは私はないのじゃないかと思うのですが、ぜひ、そういうこともく含めて、ひとつこれからは正式に交渉を再度、強く要請いたしまして質問を終わります。
  31. 伏木和雄

    伏木委員長 午後零時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時十分休憩      ————◇—————     午後零時三十五分開議
  32. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村茂君。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 ここに日本住宅公団発行の文書が一つあります。最初に、この文書の所在と中身を確認したいというふうに思うのですが、表題は「建物引渡所有権移転登記請求事件の一部和解について 五十四年一月十九日 日本住宅公団」で、一、二、三、四というふうにあって、その四点目のところにこういう内容になっています。   このうち、13団地の訴訟については併合で審理されていたが、昭和52年6月7日に裁判長から職権による和解の勧告があり、昭和52年7月5日からその手続が進められていた。審理の過程で10年後譲渡の約束があったことが明らかとなった6団地についてこのたび和解し、譲渡することとした。   譲渡することとしたのは、内神田1丁目、神田鍛冶町、万世橋、外神田6丁目、勝どき3丁目、五反田の各市街地住宅である。   なお、残りの8団地については、引続き争うこととしている。 この文書と、この中身、これで間違いないか。
  34. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 お答えします。  これは、私どもが和解に当たりまして新聞発表したときの文章であろうかと存じます。いま中村先生お読みになった点、内容、そのとおりでございます。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、お聞きするわけですが、この当時の譲渡については、建設方針として三十一年、三十二年は十年後譲渡。それから三十三年以降、将来譲渡。そして三十一年、三十二年については、すでに譲渡したのもありますし、譲渡しないのもある。  この訴訟事件は、三十三年以降の将来譲渡の分について訴訟を起こされた、裁判になってきた。ということになっているとすれば、いま、この四項でも言いましたように、将来譲渡の団地が「審理の過程で10年後譲渡の約束があったことが明らかとなった」ここのところが私はわからないんですね。建築方針として将来譲渡という方式をとった年度において、しかも裁判を起こされて審理してきたら、いや十年後譲渡だった、そういうことが明らかになった。どういう経過と内容で、こういうことになっているんでしょうか。
  36. 澤田悌

    澤田参考人 三十一年度、三十二年度のものが十年後譲渡の約束であった。それから三十三年度以降の建設のものは将来譲渡という形であったのに、どうかという御質問でございますが、この当時のことを、いろいろ調べてみますと、三十三年度から、公団のいわゆるげたばき住宅建設というものについての方式が変わりまして、三十三年度からは十年後譲渡ということでなくて将来、公団がこれを譲渡するときには、その土地の所有者、すなわち施設の所有者でございますね、それに優先譲渡する、こういう、いわゆる将来譲渡の約束に変わった次第でございまして、契約書は三十三年から、そうなっておるようでございます。それが十年後譲渡にせよという裁判になりまして、結局そういう契約書にかかわらず、十年後譲渡と同様の約束があったことが明らかになったということを考えてみますと、その裁判のいろいろな調査、証言等によりまして、こういうことではなかったかと思います。  というのは、ああいう住宅でございますから、三十三年に突如として新しいものが出てくるというのではない。三十三年度契約のものでも、三十一年度あるいは三十二年度から、いろいろ話し合いが行われておる。そういう事実の上で、三十三年度から形式上は契約がはっきり将来譲渡という形になっておったけれども、そのいろいろな計画の話し合いの中では十年後譲渡と思わせるようないろいろな折衝があった。十三団地のうちの六団地について裁判の過程において、そうみなさざるを得ない、裁判上そういうことが明らかになった、こういうことではないかと思います。  それによって裁判所の方から、そういう事実認定のもとで和解を職権によって提示された。公団といたしましては、なるほど契約は将来譲渡の契約であるけれども、そういう認定と申しますか、そういうことであればやむを得ないということで十年後譲渡と同様に譲渡を実行する。それは和解に応ぜず裁判決定されても同じ結果に相なりますから、やむを得ない、こういうことが、その経過ではなかったかと思う次第でございます。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 どうもまだ、その説明では納得しかねます。というのは公団の方針も将来譲渡だった、契約もそういうふうになっていた。ところが、その経過の中で十年後譲渡という約束があったことが明らかになった。何の約束なんですか、口約束かね。そうでしょう。方針が将来譲渡で、しかも、いま言われたでしょう、契約がそういうふうになっているんでしょう。それが裁判の中で、どこから何が出てきたか知らぬけれども、十年後譲渡の約束がどこにあったんですか、もう一回。
  38. 澤田悌

    澤田参考人 これは裁判の認定でございますから、私の方から、とやかく言い得ない部分が多いわけでありますが、いずれにしても、そういう事実認定だと思いますが、十年後譲渡の約束があったと同様にみなすべきであるという裁判所の勧告でございます。それに従って和解せざるを得ない、こういうことでございます。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 そういう方針であり、いわば、そういう契約。ところが裁判やったら、どういうところから、どういうものが出てきたか知らぬけれども、いずれにしても十年後譲渡の約束がどこかにあったんだ、そういう勧告が出された。しかし、これだけ方針と契約がはっきりしていたら、決着はどうせ勧告どおりだろうという意味のことを先ほど言われましたけれども、最後まで、やったらどうですか。そんな裁判ずっとやっていって決着もそうなるだろうというような見通しでなくて、これだけ、きちっとしたものがこちらにあるなら。私どもの前に、どういうところに、どういう約束があったのか、それが明らかにできぬようだったら、和解なんかに応じないで裁判やってみたらどうですか、応じていますけれどもね。  そこで時間がありませんから、私が調査した内容で申し上げますと、全部まだ調査し切れませんから五反田のについて申し上げますと、五反田のについては裁判の過程で準備書面が原告側から出ていますね。その準備書面の後段の方に、こういうふうに書いてあるのです。「尚問題の覚書は建物完成後見せられ当初の約束と違うことを指摘したところ当初の約束通りであると謂われ捺印した。」ここで言っていることは、この覚書を結んだわけだ、いわゆる将来譲渡という覚書。それで建物が完成後それを見せられた。指摘したところ当初の約束どおりですと言われて判こを押したということは十年後譲渡。しかし覚書はそういう覚書で、口約束でそう言ったという意味だ。真実かどうか知りませんよ、言っていることは。それから「本件の契約には田中角榮氏が絶対に大丈夫だからと自ら保証人となって居り、前記のように十年後譲渡を予定して売買契約をしたことを被告が承認している事実からも、」被告というのは公団ですよ。「被告の抗弁は到底通用しないものである。」これは準備書面で裁判所に出たものだ。それで和解して、和解調書によると、先ほど名前が出てまいりました田中角榮、これは利害関係人として、この和解調書に判こを押しているわけですね。利害関係人ですね。では、この持ち主はだれかと言えば入内島金一さん、田中金脈と言われたときに刎頚の友というふうに言われた入内島さん。その利害関係人というふうに言われる田中角榮氏。そして先ほどの準備書面の中には絶対に大丈夫だからと保証人になったとある。こういう裁判で、それで続いてきて、やれ口約束があったからどうだからといって、正式な覚書があるにもかかわらず——私は裁判所も裁判所だというふうに思うが、裁判が正しいかどうか知りませんけれども、しかし裁判所がそういうふうに勧告してきても毅然たる態度で臨んだらどうでしょうか。そこら辺のところのお考え、いかがです。
  40. 澤田悌

    澤田参考人 当初は当然、裁判で争うということで、現に残りの八団地につきましては、これは明確には、まだ和解でなしに争っているわけでございます。ところが、この六団地につきまして、その裁判所でのいろいろな経過において、先ほど申しましたような三十一、二年ごろの公団のやり方が切りかわる時期においての、いろいろなやりとりから判断して、これは十年後譲渡と同じように見るべきであるというふうに裁判所が認定して、職権による和解を勧告してきたという経過でございますので、これについては公団としても、やむを得ない、こういうふうに考えた次第でございます。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 どういう口約束かどうか知らぬけれども、いずれにしても裁判所がそういうふうに認定するようなことが、どこにあったかわからぬけれども、この責任はどこでとるのですか。
  42. 澤田悌

    澤田参考人 これは裁判なり勧告に、裁判の決着はもちろんでございますが、それに従うわけでありますが、明白に、こういう勧告がありました場合に、それに従うということは公団としてやむを得ない。かように考えるわけでございます。(中村(茂)委員「責任」と呼ぶ)それによって、和解に応じたことによって生ずる責任と申しますか、まあどういうことを御指摘かわかりませんけれども、公団としての負うべき責任があれば公団が考えることは当然でございます。
  43. 中村茂

    中村(茂)委員 三十三年から公団の建築方針も将来譲渡の方針だったのでしょう。覚書も、そういう覚書を結んでおいたのでしょう。ところが裁判で、いろいろ審理してしていったところが、どこかに約束があったという判断をしたのでしょう。そういう方針と違う運営が公団としてあるわけですか。だから私の言っているのは、そういうどこかに約束があるような運営というものがずっと行われたとすれば、その責任は公団がとるべきじゃないですか。しかも毅然たる態度で、それだけの覚書がきちっとあり、その当時の方針もそういう方針であったら、裁判長の勧告があろうと何であろうと最後まで結審を求めてやればいいじゃないですか。だから私が五反田のやつで申し上げましたように、何かそういうものが、いろいろ臭いものが出てくる。そこのところを言っているのですよ。時間がございませんから、これ以上追及しませんけれども、私は絶対に納得できません。  そこで、今度は次の問題ですけれども譲渡する場合に、やはり五反田のやつで申し上げますと、これはもう百八戸あるのですね。そのうち優先入居というのが二十五戸。ですから八十三戸について入っているというわけですね。いま空き家になっているようですけれども、その後入れないで。しかしまあ八十三尺そして譲渡価額は一億二千七百三十二万六千百二十円。一戸当たりで割ってみますと百十八万円。それと借家権価額一覧表というのがあります。一つの例ですけれども住宅番号の三〇一号の借家権価額は四十三万五千円、これは全部それぞれ違いますけれども、平均してみますと借家権は四十二万円。  そこで、お聞きするわけですけれども、時間があれば、その算出だの、私は非常に安いんじゃないかというふうに思うから、いろいろ聞きたいと思いますけれども、時間がございませんから、この点だけ、ひとつ、まず最初に明らかにしてください。この譲渡価額の中から借家権価額というのを差し引いた分を実際には払い下げ人が支払う仕組みじゃないでしょうか、その点。
  44. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 いま先生がおっしゃられた数字、多少、私どもの手持ちの資料とは細かい点ではちょっと違っているかもしれませんが、大体そんな見当でございます。この価額につきましては、この五反田のみならず六団地について全部鑑定評価をとりまして鑑定していただいた価額でございます。いまお尋ねの、その借家権価額ということにつきましても鑑定した価額でございますけれども、私どもがこの団地を譲渡いたしまして所有権が完全に移転するのは三年先でございますけれども、そのときにまだ居住者が入っている場合には、譲り受け人に対しまして、この借家権価額を差し引いて譲渡する、こういうことになります。したがって、その間、先ほど来お話がございましたけれども、公団では三年の間になるべく他の公団住宅に移転をしていただくように、いろいろと勧奨しておりますし、また、そういった措置もとっておりますので、そうして空き家になった場合には、これはもともとのあれでございますから全く引かないで、もとの、その百何万かの金で譲渡する、こういうことでございます。
  45. 中村茂

    中村(茂)委員 この移転は五十四年四月十九日から五十九年十月二十五日までが支払い期日になっていますけれども、借家権は三年ですね。そうすると、そのずれは私どもはやはり三年というふうに見ておいていいですか。完全に移った後、まだあるにしても。そこのところはどういうふうに解釈すればいいのでしょうか。
  46. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 住宅の価額にしましても借家権にいたしましても、譲渡契約を結ぶときに鑑定評価をとりまして、あと住宅につきまして先ほどお話のありました年数というのは約六年で割賦譲渡するわけでございます。しかし、その間、三年間はこちらに所有権を留保いたしまして、その問に先ほど申し上げたような他に移転していただくとか、いろいろな措置を講じていく、こういうことでございまして、三年たって完全に所有権を移転するときに、そのときになお居住者がある住宅につきましては、先ほど申し上げたような借家権価額を差し引いて価額が確定する、こういうことでございます。
  47. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると三年後に、これだけの人間がそっくり入っているとすれば、細かい数字はいいけれども、二月百十八万円から四十二万円を引くと二戸当たり七十六万円で譲渡されることになるが、その場合には人間が一緒についていく、こういうことですね。  それで今度、一緒についていって、そこから本人が出たいという場合には、この借家権というものは本人に支払って出ることになるのか、どういう意味合いを持って、これをつけてあるのか、その点ひとつお聞きします。
  48. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 私どもの公団から建物を譲り受け人に譲り渡したとしましても、借家人は当然、借家法上そのまま継続をして住むことができることとなっております。したがって私ども、三年後に所有権が全部移転した場合でも、居住者はずっと継続して、おられるということでございます。なお、その後は所有権が譲り受け人に移るわけでございますから、その問は、なお継続して居住している方々と、その譲り受けを受けた建物の所有者との関係でございますので、その問には、いろいろ公団が介入するとか、そういったことはできない、こういうことだと思います。
  49. 中村茂

    中村(茂)委員 そうだと思いますが、私が、十年後譲渡で、すでに譲渡したものについて調べたのがあるのですけれども、十五団地三百四十六一尺このうち、あっせんによって他のところへ移った人たちが五三・七%、あとの残りは二〇%は地主分としての優先入居、それから、あとの二六%これはどういうふうになっているか、まだよくわかりません。しかし、この二六%の人が三年後にずっと入っていて、いま、そこに入っている人はほとんどいません。どうしてかというと、家賃がどんどん値上げされてしまう、それに耐えられない。したがって出てしまう。出るときに話で家主から、この借家権に基づく価額が支給されたかというと、もらった人は一人もいない、こういう結果ですね。  そこで、もう一つ質問しなければなりませんから申し上げておくのですけれども、先ほどから申し上げていますように、最終的には和解に応じたのだけれども、公団の方も裁判を受けて立って、やってきたわけですよ。良心的にとれば、中身や経過はいろいろあるにしても、やむなく和解に応じたということですよ。ところが、入っている人は、そのことによって、よそへ出ていきなさい、あっせんしてくれるとは言っておりますけれども、そういうかっこうですね。一番先に入った人は、そこに二十年住んでいるわけです。二十年も住めば、大体そこのところは自分の家のように、いろいろな関係で定着してくるし、将来も住めると思っていたわけです、その人たちは。ところが和解によって、いや、あっせんしてくれるから、どこかへ出なさい。ところが、あっせんしてくれるという住宅、いわゆる公団の持っているところ、それはここのところと、ここのところはあっせんできないから、全体のある中の、それを除いた分をあっせんしてくれる、こういう通知がいっているわけですね。それを見れば、この近くにはありません、ほとんどありません。もう遠くの方。それは人によっては遠くの方でも環境のいいところという人もあるでしょうが、また、こういう人もあるわけです。神田あたりが多いのですけれども、神田に入っている。あそこの秋葉原の青物市場のところへ勤めている、朝早い。これはよそへ行けといったって、じゃ入るところを見たところが、そんなところは一つもない。ところが、あなたの方の勝手で、あっせんするから出てくれ。こういう人もいるわけですね。  ところが、そういうあっせんについて私の目から見ると、非常に官僚的に、こういうふうになったから、やむを得ないから、こことここだけはあっせんしてくれるから申し出なさい。しかも、その日付は五月幾日です。それまでになかったものについては、その限りではございません、こういうやり方ですね。この点が私は、経過が経過だけに、また二十年も住んでいるというだけに、もっと親身になってやってもらいたいと思うのです。言えば、こういう問題こそ一人一人をお邪魔して懇談して、こういう事情になったけれども、ひとつ何とかということで、本当に、その人の身になって対処してもらいたいというふうに思うのです。その点いかがでしょうか。
  50. 澤田悌

    澤田参考人 先ほどもお話がございましたように、公団としても居住者の方々に御迷惑がかかるということが最も気にかかる点でございます。それで今回の六団地につきましても、和解に応ぜざるを得ないという結果に相なりまして早速ことしの一月から説明の文書を各戸にお配りいたしました。それから二月に入りまして各該当の団地で説明の会合をいたしました。皆さんに、事情やむを得ないところを御説明申し上げて御理解を願ったわけでございます。  しかし、お話にもありますように民間の住宅になりますと二、三年ごとには、どんどん家賃が上がるというようなこともありますし、なかなか厳しいわけでありますから、不本意ながら、そこを出ざるを得ない。決して出なければならないのではありませんけれども、そういう事情の方々も多くなるようなのは御指摘のとおりでございます。それで公団はいろいろな措置を講じて、そういう場合の皆さんの便宜をお図りしたいと考えておりまして、いま、いろいろ御不満の御指摘もございましたが、住宅変更のあっせん、または公団分譲住宅の優先譲渡等の方法によりまして公団の住宅にできるだけお移りできるように、しかも、その場合に、移転に伴う引っ越し料とか移転の雑費等は公団で御負担いたす。それから退去のときには居住者の負担で修理をしていただくわけでありますが、そういうのも御負担願わないというような、いろいろなことをいたしまして、このやむを得ざる結果の居住者に及ぼしまする御負担をできるだけ軽減したい、このように努力をいたしておるわけでございます。
  51. 中村茂

    中村(茂)委員 くどいようですけれども本当に、この譲渡することになった団地にいる皆さんの後の始末を親身になってやってください。  それと私は、まだ五反田の団地のような文書まで、はっきりしたような証拠になっていませんから名前は挙げませんけれども、ある団地へ当たってみますと、いわゆる本当の団地の名前じゃなくて、いわゆる政治家の何々団地、先ほどのは、あそこへ行ってみると田中角榮団地と言ってますわ。こういう中に、そういうのがまだあるということです。そこのところの人たちはよく知ってます。だから、この問題については、先ほども私は納得できないと言ったのですけれども、これは慎重にやってもらわなければ困るのですよ。そのことを最後に申し上げて次に移らせていただきたいというふうに思います。公団はいいです。  次に、上越新幹線の大清水トンネルの坑内火災事故についてお聞きしたいと思いますが、一つ一つお聞きしていけばいいわけですが時間がございませんから、事故の状況などについて私の方から簡単に申し上げて質問に入りたいというふうに思うのです。  事故の発生日時は昭和五十四年三月二十日午後九時四十分ごろ。発生個所は大清水トンネルの前田建設工業株式会社の請負区間。発生原因、坑内でドリルジャンボのガス切断器による解体作業中に火花が易燃物に引火したものと思われる。それから経過と被害状況、これは出火当時ドリルジャンボ解体作業のために同工区内には五十四名が入坑中であったが、うち四十名は自力で脱出、十四名が坑内に残され、坑内に残された十四名全員及び、その状況確認に向かった二名の合計十六名が死亡、そのうち前田建設株式会社の従業員が三名、渡辺工業株式会社の従業員が十三名、最後の遺体確認は二十四日午後七時五十分ごろ、こういう状況ですね。  私は一口に言って、これは人災であった、こういうふうに思うのです。そこで発注者の、略称で鉄建公団と言わせていただきますが、鉄建公団として、この事故をどのように受けとめているか、どのように責任を感じておられるか、総裁からお考えをお聞きしたいということなんであります。
  52. 川島廣守

    川島参考人 お答えを申し上げます前に、いま、お話もございましたように十六名というたくさんの、とうとい人命を損ないましたことにつきまして、御遺族はもちろんでございますが、このために大きく世間をお騒がせ申し上げたことを心から、おわびを申し上げたいと思うわけであります。  事故の原因の真相等につきましては目下、捜査当局が現場検証を含めまして捜査を続行しておりますので、事柄の真相はまだ定かではございません。ございませんが、いま先生がお話しなさいましたようなことが恐らく原因ではなかろうかというふうに現段階においては推察しておるわけでございます。  われわれ公団といたしましては、青函トンネルを初め大規模な長大トンネルを幾つも、いま掘削中でございまして、安全の確保こそが最優先の問題であるというようなたてまえで、これまでも安全教育あるいは訓練等に努めてまいった次第でございます。しかしながら、いまお話のようなことが結果として起こってしまいましたことを、まことに遺憾に存じている次第でございます。  したがいまして公団といたしましては事故が起こりました直後に、現在施工中の二十六トンネル、四十工区のすべてにつきまして、運輸大臣からの御指示もございましたことに加えまして総点検をいたしまして、その総点検の結果、いろいろな意味合いにおきまして安全の施設の面において、あるいは、この施設を使います作業員の訓練の問題につきまして、いろいろ幾多の欠陥と申しましょうか、改善しなければならないことを改めて実は発見をいたしまして、目下、五月末で当面と申しましょうか、いま考えられ得る安全の施設、たとえて申しますれば火気を使います場合の管理体制でございますとか、あるいはまた緊急時におきます連絡体制の多重化でございますとか、こういうものをほぼ一応完了を見た次第でございます。  したがいまして、今後におきましては、備えつけます消火器でございますとか、あるいは避難用具等につきましても、いろいろトンネルの内容は区々でございまして、高温多湿のところもございますれば非常に乾燥したところもございまして、また、その大きさ、内容等につきまして大分異なりますので、要するにそういうものの施設の点検と、ふだんの訓練というものを今後、種々あわせて行いまして、そうすることによって、この種の事故を絶対に起こさないということをたてまえにして、目下そういう意味合いでの訓練をしたり、あるいはまた会議を開いたり、あるいはまた現地において現地指導したりというようなことをいたしておる次第でございまして、深く責任を痛感している次第でございます。
  53. 中村茂

    中村(茂)委員 いま総裁が言われましたように確かに指導はきちっとされてきたのですね。しかし指導はきちっとされてきても、そういう事故が起きる、そこに一番大きい問題があるというふうに私は思うのです。  皆さんの方で出している資料についても私ずっと見せていただきました。五十二年七月十八日にも出ています。それから五十三年一月十日にも出ています。また五十四年一月十日、ことし出ているわけです。しかも、その前段のところには「昭和四十九年をピークに年々減少してきたが、明り区間の工事の進展に伴って再び多発の傾向となり、昨年は死亡六件、休業傷害亘二十九件の多きに達した。  特に死亡事故の六件は、すべて八月以降の発生という誠に憂慮すべき異常な状況にある。」ここまで深刻に考えて、それで中身を見ていっても相当細かく、いろいろなことをやりなさいと書いてあります。そういう文書で出して、しかし、こういう事故が起きるのですね。だから、そこのところにやはり問題があるのじゃないか、私はこういうふうに思うのです。どこかに欠陥なり手抜きなり、あるんじゃないか。  そういうことを前提にして二、三点お聞きしたいと思うのですが、大清水トンネルは全長二十二・三キロ、時速二百二十キロで走るというふう言われているんですが、そうするとトンネルを通過する所要時間は五分ですね。こういう大トンネルを五年間で工事を完了する、こういうのが至上命令だというふうに、請け負っている会社なり、そこに働いている労働者の皆さんは言って一生懸命やっているわけですね。ですから五年間で、これだけの大きな仕事をするということになっていくと、工事の規模はもちろん大型化になっていく。その大型化になった工事を集団的に、サークル的に管理していかなければいけない。こういう大型の新鋭の機械というのはスピード化に対応するというような形が出てくる。そういうふうになっていくと、技術も必要でしょうし、また、そういう技術を習得した労働力というものが全体的に対応してこなければならぬ。その点が追いついていないのじゃないかというふうに私は思う。機械とか工事の規模、そういうものがずっと先に行って、そこに働く労働者なり訓練されている人なりがどうしても追いつかない、そこに非常に無理が出てくるんではないか。  それから鉄建公団で請負者に出すわけですけれども、請負者に出す場合の業者などについては十分選定して、それにたえ得る業者に指名するのでしょうけれども、そういう契約上の業者の指定の問題とか、また、あれだけの大きな工事をやるには安全対策としての予算措置ですね。立て坑など、そういうところはつくっているようですけれども、避難坑というものはつくってやってないのですよね。そういうものがきちっと措置されていけばいいでしょうけれども、しかし請け負ったところは、そういうものをつくっていれば、とても、それだけやっていくだけの予算措置がない。ですから、そういう根本的なところをひとつ見直して考えてみる必要があるのではないかというのが、まず私の第一番の疑問です。
  54. 川島廣守

    川島参考人 一般的な事柄につきましては私がお答えするのは適当でないかと思いますので、いまお尋ねのございました大清水トンネルに即して、お答えをさせていただきたいと思います。  お話ございましたように、私の方でつくっておりますのは鉄道の軌道でございまするので、何と申しましても人命を運ぶ、しかも二百キロ以上の高速で走るわけでございますから、その土木工事そのものにつきましても豊富な経験と技能、技術力というものがございませんことには作業ができないわけでございまして、そういう意味合いでは、国鉄とともに業者の選定については審議会を設けまして二年ごとに、業者の業務経歴でございますとか、あるいは安全成績を含めました業務成績あるいは財政の状況でございますとか技術力でございますとか、そういうものを総合的に勘案をして請負の資格を認定をしておるわけでございます。しかもまた、それに加えまして、いま申しましたようなことで、特に大清水のような世界で最も長大の山岳トンネルでございまして、これは六工区に分けて今般施工したわけでございますが、その業者につきましては、きわめて慎重に、指名入札ではございまするけれども、いろいろな業務の経験、技術力、そういうものを勘案して選定をした次第でございます。  今度の場合には大変残念なことに、一月二十五日に実はこの二十二・三キロの大トンネルが開通を見たわけでございます。お話がございましたように、開通を見まして後ジャンボ掘削機が不要になりましたので、その不要になりました掘削機を溶断をいたしましてスクラップにするというような、そういうような仕事の最中に実は引き起こしました事故でございます。そういう意味合いで、いまお話のございましたように、われわれ業者の能力、技術力あるいは安全成績につきましては、ふだんから最大の関心を持って考えておる次第でございまして、今後につきましても、そういう点を十分に踏まえて、業者の選定はもちろんでございますが、何と申しましても作業員に対します安全に対する認識と申しましょうか、あるいは教育と訓練というものが当面最も欠けておる、実は私、事後でございますけれども、大変注意力が足りなかったということを深く反省をいたしておるわけでございまして、そういうことを踏まえまして施設と人の両面から十分に御期待に沿えるように努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  55. 中村茂

    中村(茂)委員 この事故の起きた昭和五十四年三月二十日に、労働基準局長それから同署長、前橋検察庁検事正が連れ立って大清水トンネルに視察に行っているのですね。それで、その夜あれだけの事故が起きたわけですね。そこが私また、どうしても、よくわからなくなるのですね。ああいう事故を労災という立場で管理監督していくところが労働基準局でしょう。その局長と署長と、そういうところに前橋の検察庁の検事正がどうして行ったか、それはわからぬけれども、まあいいですわ、行ったんだ。そうして視察をした。それで、その夜あれだけの大きな事故ができておるわけですね。事故の原因とかいろいろについては、いま調査中で、しさいにはわかりませんけれども、それだけの視察を大がかりにやっておいて、坑内には多くの危険物と可燃物があったということですね。それから非常警報機装置がなかったということが問題になっておるのですけれども、そういうものがやはりなかった。それから設置を義務づけられている消火器、こういうものもあったのかなかったのか、性能がどうだったのかということも全然わからない。しかし、そういう中で、これだけの大がかりな視察があって、午後あれだけの大きな事故になった。それから、このトンネルについては同じく基準監督署の監査官が五回にわたって立入検査しているんですね。それにもかかわらず非常警報機の有無とか消火器の設置とか性能、緊急避難、こういうものについては注意もされたこともなければ、そういうことに全然気がついていない。  ですから先ほどから少し言っているのですけれども、確かに業者をきちっと指導してやっていくことも必要でしょうね。しかし、こういうところが、ただ視察してくる、立入検査して、そういうところが目こぼしになってしまう、このところが私としては今度の事故を通じて納得できないし、私どももよく視察なんて行くんですけれども、視察というのが、言えば、そんなことを言っては悪いけれども、ただ一つの行事みたいなふうになっているんじゃないか、こんなような気がして、たまらないわけですね。その辺について労働省、来ていると思いますけれども、どうぞ。
  56. 西島茂一

    ○西島説明員 お答え申し上げます。  その前に今回の事故で十六名の被災者が出ました事実について、まことに遺憾に存じておるところでございます。  いま先生御指摘の労働基準局の現場に対します監督の問題でございますけれども、私ども厳正かつ公正に労働基準監督を実施しているわけでございます。ただ当日の視察につきましては、御指摘のように検察庁の方の現場認識を十分に持っていただきまして、私どもが送致いたします労働安全衛生法等の送致の場合に、いろいろな事前の御認識をいただくという意味も兼ねた視察でございまして、決して甘い考えで現場に行ったものでないということでございます。  なお、その現場につきましては事前に数回の監督を実施し、労働安全衛生法の違反を指摘しておるところでございます。
  57. 中村茂

    中村(茂)委員 甘い考え方で行ったんじゃないというふうに言われるけれども、だれが考えても、その日の午後ですよ。やはり視察などの、そういうやり方について考えてもらわなければならないと私は思いますがね。  時間が参りましたけれども簡単に、もう一点お聞きしておきたいというふうに思うのですが、補償の問題について鉄建公団にひとつお願いしておくのですけれども、労災の面については、もうほとんど決まってきているようです。それから、あと会社の、いわゆる見舞いになるのかどうか知りませんけれども、そういう面については決まってきているようですけれども、私のところに三通まだ不満だということで委任状が実は来ているのですよ。私ども全部調べたわけではないから、わかりませんけれども、二千八百万程度のようです。これではとてもじゃないけれども不満だ。私どもはもう少し、やはり納得できるような指導をきちっとしていただきたい。細かく申し上げたいのですけれども時間がございませんから……。  それから、これはやはり鉄建公団でいいのですか、会社がこれだけの大きな事故を起こしてしまったのですけれども、これを見ますと二十九名、大清水トンネルだけで死亡者が出ておるんですね。今回十六名で、その前に前田建設が一名あって、前田建設は二十九名のうち十七名死亡者を出したわけですね。こういう事故を起こした、これは下請がやったんですけれども。そこで二つあるのですが、一つは下請重層というものについて、こういう事故を起こす大きなもとになっていくというふうに私ども、いま指摘してきたわけです。ですから、その点、これは建設省の方も大きい工事では関係あるのですけれども、下請におろす場合には、どうしても、これだけというふうに値段も決められてしまう。その中で、いつまでということでやるので、どこかで無理が出、手落ちが出てくるのではないか、それが一つですね。  それから、これだけ大きな事故をやって、ペナルティーをどういうふうに考えているのか、その点、簡単で結構ですから、ひとつ。
  58. 川島廣守

    川島参考人 まず最初の補償の問題でございますが、私も事故発生直後に現場へ参りまして三泊四日、現場でいろいろ救出に当たったわけでございます。その間、元請の前田の社長も一緒にずっとおったわけでございます。今回の犠牲を受けられました十六人の方々は、お一人を除きましては、すべて一家の大黒柱でございまして、その遺家族の受けられている精神的な苦痛、経済的な将来の不安は大変なものでございます。私も一人一人お会いいたしましたけれども、そういうことを考えまして、社長にはもちろん、いま先生おっしゃいましたように、いろいろ先例もございますけれども、どなたがごらんになられましても社会的に妥当な額で、しかも御遺族の納得のいくような補償に誠心誠意当たるように、実は助言と申しますか指導をいたしたわけでございます。今日までのところ、私の聞き及んでおります範囲では、十六御家族との問では円満に補償額について話がついたというふうに承っております。いま初めて先生のお話を承りましたけれども、そういうようなことについては、御遺族の方々に対しては会社は誠心誠意、最後まで話し合いをする姿勢を持っているはずでございますから、十分御遺族の声に耳を傾けて善処いたしますように、また私から御指導してまいる所存でございます。  それから、もう一つの問題は下請の問題でございますが、御案内のように、これは下請契約の約款がございまして、下請と元請との関係につきましては、平等の関係でございますとか、責任の範囲でありますとか、いろいろ約款がございますので、そういう約款の内容に準じたことで下請契約を結んでいくように私どもは指導しておりますので、御案内のような、かつてのような過酷な労働条件でございますとか、そういうことのないように、われわれ発注者として常々心を砕いている次第でございます。
  59. 中村茂

    中村(茂)委員 特に前段でやった公団の地主への払い下げなどについて、大臣からも答弁をいただこうと思ったのですが時間がございません。ずっと聞いていただいたので、公団等をきちっと指導して、特に、そこに入居している者について温かい手を伸ばして、よく相談に乗ってやるような指導を、ひとつ建設省の方からもしていただきたいということを最後にお願いして終わりたいと思います。
  60. 伏木和雄

    伏木委員長 吉原米治君。
  61. 吉原米治

    ○吉原委員 質問の第一は中小建設業の振興についてお尋ねをいたします。  最初に、昭和五十二年の第八十国会で、当委員会として中小建設振興に関する小委員会が設置をされまして、その小委員会で全会一致でまとめられました中間報告の中で「中小建設業者に対する受注の確保を図るため、」云々の後段で「共同請負制度及び協同組合による請負制度の活用について十分に配慮すること」こういうことが報告をされております。しかし、この中間報告が出されました以降、中小建設業の振興について建設省あるいは住宅公団等々では一体どのような配慮がなされ、努力がなされてきたのか、これをまず最初にお尋ねをいたしておきます。
  62. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 ただいま先生のお話にございましたように、当委員会から建設大臣に対しまして御要請がありました中小建設業の振興対策につきましては、われわれといたしましては最大限の努力をしているところでございます。特に中小建設業の受注の問題につきましては、一つは共同請負制度いわゆるジョイントベンチャーの活用ということ、もう一つは、いま先生のお話のございました協同組合による受注の促進ということをやっているわけでございますが、共同請負制度、ジョイントベンチャーにつきましては、たとえば四十八年には全体の工事費の七・九%程度がジョイントベンチャーでありましたものが五十三年度には一八・六%と倍以上にふえているわけでございまして、割合で申し上げますと中小対中小というジョイントベンチャーが約五割、大手と中小というジョイントベンチャーが約二割、両方合わせますと七割以上を占めるような状況になっているわけでございます。  しかしながら、いまお話のございました協同組合につきましては、先生御指摘のようになかなかうまくいっていない、こういう実情でございまして、この件数はほとんど数える程度しかないというのが実情でございます。これにつきましては、われわれは協同組合制度を奨励しているわけでございまして、協同組合そのものは十年前と比較いたしますと約三倍、三千五百ぐらいの協同組合ができているわけでございますけれども、この協同組合のしておる仕事は、資材の共同購入であるとか、あるいは共同の福利厚生施設をつくるとか、こういうようなところに協同組合は力を注いでいるわけでございまして、発注の問題につきましては、現在の段階では協同組合そのものが受注するというのは、なかなか困難な状況にございます。  と申しますのは、協同組合に技術者を抱えるとか、あるいは労務者を抱えるとかいうようなことがなかなか困難でございまして、協同組合に発注いたしましても、これは傘下の組合員に一括下請のような形で出すという形になるものでございますから、これを助長するためには、やはり協同組合そのものの受注体制を強化していく、このような施策を講じていかなければならないと考えるわけでございまして、先生のおっしゃるように協同組合の受注につきましては、まだ現在の段階では、その緒についたばかりであるということでございます。
  63. 澤田悌

    澤田参考人 住宅公団といたしましては、ただいま局長から話のありましたような国の方針にも従いまして、従来から中小業者の受注機会の確保には努力してきたところでございます。昭和五十二年度におきましても、閣議決定されました住宅公団の発注目標三三・七%でございますが、わずかながらこれを上回る三三・八%の発注実績でございます。ただ、公団の事業の性格上、中小建設業者が施工するのになじみにくい工事が少なくないのでございますけれども、今後とも事業協同組合を含めまして中小企業者の受注機会の確保につきましては一層配慮してまいりたいと考えておる次第でございます。
  64. 吉原米治

    ○吉原委員 建設省の方はうまくいってない。その緒についたばかりだ。住宅公団の方は、私の資料では、中小企業者に対する発注実績は三一・四%、事業協同組合に対する工事発注状況は、件数にして四件、一億二千八百万、全体の官公需契約総実績六万二千件の中の四件、あるいは金額にしましても三千三百億の中の一億二千八百万という、片一方で協同組合方式を行政指導として指導されながら、このような実績であっては、この協同組合というのは単に開店休業といいますか、それに終わってしまう、つまり休眠状態だ。私は業者の方々とこの間も懇談をしたわけでございますが、協同組合に入っておっても仕事がもらえない、こういう悩みを訴えておりました。だから仕事をもらえないから勢い個別に受注をするという体制をとらざるを得ない。これはもう悪循環を繰り返しておるわけですから、積極的に協同組合方式を建設省として推進をしていくというお考えがあるんなら、もっと発注を思い切ってやる、こういう姿勢がないと、受ける方の側は、協同組合に入っておったんでは仕事がもらえぬからということで勢い疎外をするようになる。こういうことがどうも実情のようでございますから、ひとつ、この協同組合方式をより助長するといいますか推進をしていく方向で、工事発注についても一方で協同組合側を十分指導しながら発注するという、そういう両面相まった行政指導が必要じゃないか。  そういう意味で私は、五十二年の小委員会でせっかく全会一致でまとめられた方向というものが、いわば形骸化、軽視されておるといいますか、そういうふうにどうしても受け取らざるを得ない。一体この五十二年の中小建設振興に関する小委員会のそういった方向を尊重して今後一層、努力される気構えがあるのかないのか、このことを最初に聞いておきたい。
  65. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、当委員会からの御要請は十分に尊重してやっているつもりでございます。ただし先ほども申しましたように、協同組合そのものが、まだ工事を受注するにはなかなか困難な事情がある、こういうことでございますから、われわれはむしろ協同組合そのものの育成に努めて、工事の発注者側が安心して発注できるような体制に持っていきたい、このように考えているわけでございます。それから、その間におきましては、いわゆる中小対中小のジョイントベンチャー方式、これは非常に順調に伸びているわけでございますから、これを伸ばすことによりまして中小企業への発注体制を確保してまいりたい、このような考え方でございます。もちろん協同組合の受注も最近伸びつつございますから、この傾向は十分助長してまいりたいと考えておるわけでございます。
  66. 吉原米治

    ○吉原委員 この中小建設振興に関する問題については、きょうの主要な私の質問事項でございませんので、時間の関係で、いま申し上げました協同組合の育成強化に向かって、ひとつ前向きに努力をしてほしい、このことを強く要請をして次の質問に入りたいと思います。  次の質問は、昨年も当委員会質問をしたわけでありますが、国家公務員の再就職、言いかえますと俗に言う天下り人事、こういうものに関連をして数点、質問をいたします。  特にこれは建設省だけのことを指して言っておるわけではございませんが、すべて行政の側は業界に大変甘いということが、ちまたで言われ、昨年も各地で汚職事件が摘発され、企業と行政の癒着というものが大変問題になった。その原因のすべてではございませんが、大きな要因になると思われるいわゆる天下り人事、これが絶えず話題に上がるわけです。そこで、李下に冠を正さずということわざがございますが、そのためにも営利企業に対しては、できるだけ天下りを粛正といいますか、少なくしていく。あるいは特殊法人などについては内部登用あるいは民間登用、こういうものを図っていかなければならぬ。特に最近のように大変不況下で就労の場が狭まっておる今日の社会状況でございますから、少なくとも天下り人事と称するものはできるだけ手控えて、広く民間に就労の場を広げていく、こういうことが私は大切であろうかと思います。  そこで昨年の状況を、私が質問いたしました以降どういう努力がなされておるのだろうかと思って、きょうは追跡質問といいますか、どれだけの効果が建設省側あるいは住宅公団側で努力されたかなと思って、実は関心を持って資料をもらって調査をしたわけでございますが、依然として、これは建設省だけではございませんが全般的に言いまして、天下り官僚と称される役員が一〇〇%を占めておる法人が一昨年は二十六法人だった、ところが去年はこれが三十法人にふえておる、こういう傾向が出ております。一体、建設省並びに住宅公団では、先ほど前段で申し上げました営利企業への天下りは少なくしながら、特殊法人では内部登用や民間採用をやる方針、こういう方針はお持ちでないのかどうなのか、基本的な姿勢をお尋ねをしておきます。
  67. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 営利企業への天下りの問題でございますけれども、人事院の承認を得まして営利企業に就職した者の数でございますけれども建設省関係でございますが、昭和五十二年が二十一名でございましたが、五十三年はこれが十六名と減になっておるわけでございます。  いわゆる営利企業への就職の問題につきましては国家公務員法に厳格な規定があり、かつ人事院の厳格な審査を経て承認をされるものでございます。われわれといたしましては、営利企業への就職につきましては、いやしくも官民癒着の疑惑を招かないように適正な処理をしてまいりたいと考えております。  それから特殊法人の役員への就職状況でございますが、昭和五十二年は建設省から関係公庫公団に五人、それから五十三年は三人でございます。特殊法人への建設省関係の職員の就職の問題でございますが、特殊法人は政府の特殊法人でございまして、政府の行政事務の一部を分担するという役割りを持っておりますので、ある程度、政府関係職員が関係公団へ就職することは必要であると思っております。ただ、これが過度にわたっては指弾を受けることもございますので、われわれとしては、できる限り内部登用の道を開くよう努力をしておるわけでございます。たとえば住宅金融公庫につきまして本日、一名理事の発令をいたしましたが、これは住宅公庫の生え抜きの貸付部長の任用を住宅公庫にしていただいたというようなこともございまして、努力をしておるところでございます。
  68. 吉原米治

    ○吉原委員 建設省はさすが努力をなさっておるようでございますが、まだまだ建設省だけでなくて、ほかの各省にも、この種の同質の問題があるのです。ですから、少なくとも企業と行政が癒着をしておる、そこから、いまの汚職というものがすべて発生しておるというのが、これは社会的な常識でございまして、昨年も、その点について大臣に決意のほどを伺ったわけでございますが、そういう問題については厳しく対処する、こういう大臣の決意を伺っておるわけでございます。ひとつ天下り人事と称するこの問題について、新しくなられました大臣の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  69. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ただいま官房長から述べましたとおりでございまして、この件につきましては昭和五十二年ですか閣議決定もございますので、この閣議決定の線に沿いまして厳正にやらせていただかなくてはならない。少なくとも、これによって癒着のような状態を起こす、そこに汚職の温床を生むというようなことにつきましては、行政を行う者として厳に注意をして処理をいたしたい、このように考えております。
  70. 吉原米治

    ○吉原委員 大臣は五十二年とおっしゃったのですけれども、私は五十一年のように理解しておるのです。つまり特殊法人の数やあるいは常勤役員、こういうものを減らすべきだという閣議決定がなされておりますが、私の記憶では五十一年の五月十一日というふうに理解しておるのです。この閣議決定、まあ私の記憶違いなら五十二年でも構いませんが、この五月十一日の閣議決定の精神は、総理大臣もかわったことだから、もう失効されておるのでございますか、無効になっておるのでございますか。  といいますのは、建設省所管だけでも日本住宅公団あるいは首都高速道路公団あるいは日本道路公団、水資源開発公団、阪神高速道路公団とございますが、いずれも役員の数は、水資源開発公団で一名減でございますが、あとの公団は減ってない。これは一体、もし閣議決定の精神が生きておるとするなら、いささかも努力の跡がうかがえないわけでございますが、この点に対して、ひとつ、どなたでも結構ですから、おっしゃっていただきたい。
  71. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げました閣議決定昭和五十二年十二月二十三日の閣議決定でございまして「特殊法人の役員の選考」についてというものでございます。この内容は、民間からの登用の積極的な推進とか、あるいは国家公務員から出す場合におきましても、関係省庁にとらわれず広く人材を選ぶとか、あるいは、いわゆるたらい回し的異動の禁止とか、あるいは役員の長期留任の制限とかいう問題でございます。  いま先生の御指摘の閣議決定は、要するに政府関係機関、特殊法人の役員の定員の削減の問題ではないかと思うわけでございまして、建設省といたしましては、以前にも御答弁申し上げましたけれども住宅金融公庫、首都高速道路公団、本州四国連絡橋公団につきましては、それぞれ役員の一名定員削減を行っておるわけでございます。なお、その他の公団でございますが、これは、その閣議決定を受けまして建設大臣から内閣に計画を報告をいたしております。その計画に沿って実施すべく現在検討中でございまして、日本住宅公団、宅地開発公団につきましては近く実施をいたす考えでございます。
  72. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで私は前段に天下りの問題をお尋ねしたわけでございますが、ことしになりましてから、三月でございますか、関東住宅管理協会というものが新たに設立されたようでございます。この住宅管理協会というのは私もうっかりしておったのでございますが、関東がことしになってできて、関西と茨城の方は、すでにもう設立されて発足されておるようでございます。この住宅管理協会は、後ほどお尋ねいたしますけれども、入居者のサービスやあるいは住宅の維持管理など本来、住宅公団自身が総合的に行わなければならぬ業務内容でございますが、それに必要な公団の体制といいますか機能といいますか、そういうものを充実させていって利用者並びに関係者のニーズにこたえていくべきだ。私に言わせれば、つくる必要のなかった宅開公団と同じように、また不必要な団体を一つつくることになりますね。しかも、いま天下りの問題でお尋ねをしましたけれども、この住宅管理協会のほとんどの役員が住宅公団からの横滑りといいますか天下りといいますか、こういう役員配置になっておる。  一体、資料の中で設立の趣旨を読んでみますと、遠隔地にある団地に対するきめ細かい現地管理を実施する、こういうことが言われておりまして、この管理協会の事務所を東京都千代田区に置く、こうなっておりますが、少なくとも千代田区に事務所を置いて、きめの細かい現地管理をやるといったって地形的に無理な話じゃないか。しかも、これ全額、住宅公団からの二千万からの出資でございましょう。こういうことが一体何の目的で、また、その必要性があって、こういうものができるのかどうなのか、私はどうしても不可解でございますので、ひとつよくわかるように御説明を願いたい。なぜ、こういう住宅管理協会などをつくらなければ住宅公団本来の仕事ができないのかどうか。
  73. 澤田悌

    澤田参考人 御指摘のように関東住宅管理協会、財団法人を設立したわけでございますが、最近の公団住宅管理の状況を見ておりますと、その戸数がますます増大するのみならず、住宅の高層化等が進んでおりまして団地の業務が非常に複雑化していることはもう御承知のとおりでありますが、御指摘のように現行営業所から遠隔の地にある団地で、公団が直接日常管理することがむずかしいような団地、あるいは法令によりまして二十四時間常時管理することが必要な非常用エレベーター等の特別設備が設置されましたような団地がふえてきておるのであります。これらの団地におきまして、その地域に即して、いわゆる即地的に管理業務を行うことにつきましては、これは当然、公団が行うことではありますけれども、公団が直接行うには組織あるいは人員等で限界があるという状態になってきておるわけでございます。  先ほど、お話しのように関西においては、すでに五十一年七月に同じ財団法人で関西住宅管理協会を設立し実績を上げておりますが、このたび関東住宅管理協会は、いま申しましたような状況下の団地において公団に代行して現地管理業務を実施するためのものでございます。その陣容を申しますと常勤役職員は二十八人でございますが、そのうちの十九人は、それぞれ現地に張りついている現場の管理人でございまして、それでもわかりますように、いま申したような趣旨から、それに即して、公団の当然やるべき管理であるけれども、こういう公益法人としての協会によってやらした方が、より目的にかなうということでございます。  なお敷衍して申しますと、そういう公益法人としまして団地周辺との協調を図る、あるいはテレビ電波共聴施設等の管理もやる、あるいは公共の公開空地等の諸施設の管理も行う、それから団地管理に関する調査研究も行うというようなことを、それぞれ現地に即した機能を持ってやりたいということが設立の趣旨でございます。現在、先ほど申しましたように常務役職員は二十八人でございますが、これはもう発足間際でございまして、まだ採算もとれない、それから同時に、公団からの常時密接な連絡のもとに行う必要がありますので、公団の職員との兼務というようなのも多い状態でございますが、そういう趣旨から出ておると申していいと存じます。
  74. 吉原米治

    ○吉原委員 どうも、いまの総裁のお答えでは、こういう住宅管理協会なるものをつくる必要性というものを私はどうしても理解がいかない。いま、あなたのおっしゃったような趣旨でいくなら、むしろ住宅公団そのものの中に、いま、あなたがおっしゃったような部分を充実をしていく、それがために必要な人員は補充していかなければならない。新たに、こういう協会をつくりますと、もちろん理事長は当初、非常勤になっておりますけれども理事長ほか役員も相当配置をさせなきゃならぬ。私はむだなことのように思うのでございますが、いささかも、そういう点についてはむだだと思っていないのか。なぜ、いまの住宅公団そのものの中で、そういう分野の充実強化がやれないのか、どうしても納得いかぬ。もう一回説明していただきたい。
  75. 澤田悌

    澤田参考人 この組織は発足間際でもありますから、きわめて簡素でございます。常勤役員は一名しかおりません。あとはすべて非常勤。それから先ほど申しましたように十九人が、それぞれ即地的に現地に張りついて仕事をしておるというようなことでございまして、公団の本来やるべきことであるとは申しながら、公団自体の職務あるいは勤務体制等から見て、どうしてもなじまないもの、たとえば二十四時間常時勤務するエレベーター管理というようなもの、あるいは非常に遠隔地にある団地というようなもの、そういうものを公団の公的活動にかわって実施するというには、こういう協会をつくってやるのがふさわしい、かように考えておる次第でございます。
  76. 吉原米治

    ○吉原委員 それなら総裁に一つお尋ねするのですが、少なくとも公団の出資三分の二、金融機関が三分の一の資本金で、すでに三十六年から発足しております団地サービス株式会社という会社がある。いま総裁がおっしゃったような趣旨で、この団地サービス株式会社というのは、わざわざ資本金の三分の二を住宅公団が出資をしてつくられたのじゃないですか。そうなれば関東——関東だけじゃない関西もございますが、住宅管理協会とこの団地サービス株式会社というのは一体どういう関係になるのか。いたずらに屋上屋を重ねる、それに過ぎないのじゃないですか。
  77. 澤田悌

    澤田参考人 御指摘のように団地サービス、これはなかなか大きい組織で、現に全国で活動いたしておりますが、なお詳しくは担当の理事から申し上げますけれども、一言申し上げますと、これは株式会社でございます。それで、やはり公団の団地管理の仕事ではあるけれども、こういう公的な公団がするには必ずしもなじまない仕事、御承知のように清掃でありますとか修理あるいは汚水処理場の維持管理それから建物の補修、分譲住宅の委託管理などいろいろあるわけでございまして、このほかたくさんございます。そういうものは株式会社組織、しかも民間の資本も入れたもの、あるいは民間資金も使い、それで機動的に実際に即して行うことがふさわしい。これは現にそういう需要にこたえまして非常に大きい組織になり、今後も公団の管理住宅はますますふえますから、そういう面での団地サービスの活動分野というのは今後も多くなりこそすれ少なくならない。一方、先ほど申しました協会の仕事は、これとちょっと性質が違う。そういう関係から、両者はそれぞれの分野において任務を果たし得るもの、かように考えておる次第でございます。
  78. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 ただいま総裁から答弁したことで大体尽きることとは存じますが、実際に先ほど来申し上げておりますように、私ども現在、公団の賃貸住宅だけでも五十八万数千戸ということでもって、人口にしますと大体二百万になんなんとする団地があるわけでございますが、こういった団地を、これからいかにして適正な管理をいたしまして、そうして快適な生活を営んでいただくようにするかということは私どもの日夜の悩みの一つで、大変な問題だと考えておる次第でございますが、そういう場合に、先ほど来御説明申し上げておりますように、公団を広げる、あるいは、ある部分は先生がおっしゃられるような団地サービスの業務を何とか使う、拡大するとか、いろいろなことも考えられるわけでございますけれども、やはり先ほど来申し上げましたように協会においてやるものは、公団の本来業務であるけれども、たまたま遠隔地の問題とか二十四時間勤務だとか、そういったたぐいのもので公団の組織を拡充してやるよりも、やはり一つの別な法人で代理させてやった方が能率的といいますか、仕事になじむというふうなものは協会でやっているわけです。  そこで団地サービスの方でございますけれども、当初、設立以来、公団の補助的機関としまして団地の管理のいろいろな部分を担当してまいったわけでございますけれども、いま申し上げたように相当団地の数が多くなり、量としましても多くなってまいりました今日におきましては、それぞれになじむ仕事を分担し合って、総合して全体としての団地管理の適正を図るということが私どもはいいのではないかと思っておりまして、比較的、株式会社になじむ、いま申し上げたような清掃業務とか、あるいは補修の請負とか汚水処理場の管理とか、また団地に住んでいる方々からの注文による必要な修理といいますか、そういったようなものは団地サービスがやっているわけでございまして、そういうふうに、おのずから、それぞれの分担するものは違うわけでございますので、先ほど来お話しが出ておりまする協会の設立というものにつきましては、ぜひとも必要である、私どもはこう考えて大阪のもの以来、今日までつくってきたわけでございます。
  79. 吉原米治

    ○吉原委員 どうも、わかる答弁をしていただけません。恐らく、わかる答弁ができぬと私は思うのですよ。少なくとも発想は、公団の職員なら二十四時間勤務ができるとかできぬとか、変則勤務がなじまないとかなじむとか、公団職員ならネクタイを締めてあるべきものであって、住宅の清掃業務だとかなんとかいうものは本来、公団の職員ではやるべき仕事でない、そんな感覚を持っていらっしゃるから、私は住宅公団にどうしても一言も二言も言いたいのですよ。何で公団職員がやらないことが民間に移せばできるのですか。官民格差といいますか、非常に発想がおかしいのじゃないですか。  また、団地サービス株式会社が発足するときに住宅公団法の一部を改正する法律案がこの委員会にかかった。この一部改正のときに、わざわざ、こういう附帯決議がついておるのですよ。「日本住宅公団は、公団の投融資による公団住宅居住者へのサービス機関の設立に当っては、居住者の意思が充分反映し、且つ運営が営利に走らないよう措置すると共にその規模並びに業務を充実して公団々地問に著しい格差を生ぜしめぬよう考慮すること。」こういうふうに「営利に走らないよう」ということが附帯決議にある。  民間資本といいながら三分の一は金融機関の資本でございましょう。資本金の三分の二を公団は出していらっしゃる。そういうものをわざわざ三十六年に発足して今日まで来ている。もう一つ住宅管理協会をつくらなければならぬ必要性がどこにあるのですか。業務内容を見てみましても全部、団地サービスで今日までやってきておる。自分たちで必要があると認めてつくった。なるほど株式会社名ですよ。だけれども、わざわざ附帯決議で「運営が営利に走らないよう」と言っている。ここ四、五年は、この会社は八分配当してある。非常に堅実な経営内容のようでございますが、こういう会社を自分たちの手でつくって、そして全国ネットワークといいますか、恐らく公団の住宅のある分野でございましょう、東京、大阪、千葉、神奈川、埼玉、名古屋、福岡、それぞれ会社の出先がある。そういうもので今日、利用者へのサービス等々がやってこられたのに、なぜ、この住宅管理協会が必要なんですか。どうしても納得いかぬ。わかるような答弁をしてください。
  80. 澤田悌

    澤田参考人 団地サービス設立後二十年近くたっておるわけでございます。その間、団地サービスの果たした業績というのは、これは評価していいと思うのでありますが、先ほども申しましたように、繰り返しになりますが、いろいろな情勢の変化、公団の団地の実態の変化等にかんがみまして、ひとつ公益的な感覚で、そういう部門の仕事をする、こういうものを設立した方がいい、しかも、それで団地サービスと両立して、かえって仕事がしやすくなるというふうに考えて、まず関西に管理協会というのが設立されました。筑波には茨城県と共同で管理協会が設立されたわけでございますが、関東地方におきましては一層、問題が複雑でございますので、やはり同様趣旨の管理協会を設立して、そして公団のそれにふさわしい仕事は協会でやってもらう、こういうふうにすることが必要であると考えておるわけでございます。
  81. 吉原米治

    ○吉原委員 団地サービス株式会社のやっておる業務と、この三月発足した関東住宅管理協会の業務内容、これは非常に重複しておるのですが、いま総裁は両立をしてとおっしゃった。団地サービス株式会社と住宅管理協会はともに手を取り合って両立していくという発想でございますか。そうなってくると従来の団地サービス株式会社の受け持っておった業務内容、そのシェアの中に、この管理協会の業務が入っていくわけでございますか。その関連はどうなるのでございますか。
  82. 澤田悌

    澤田参考人 両立というのは、競合するということではないと私は理解しておるわけです。競合とは反対の観念、それぞれのそれにふさわしい仕事を、それぞれが行う、こういう意味で二つあった方がよろしい、こういう意味でございます。
  83. 吉原米治

    ○吉原委員 両立をしてやるということは、競合するという意味じゃない、競り合うという意味じゃない、こうおっしゃいましたね。団地サービス株式会社がやることはふさわしくなくて、住宅管理協会がやるにふさわしい仕事といったら一体何ですか。
  84. 澤田悌

    澤田参考人 これは先ほどの繰り返しになりますが、株式会社団地サービスは一つの非常に経済活動的なサービス、そういうものが私はふさわしいと思うのであります。(「具体的に言えよ、そんな抽象論を言ったってわかるか」と呼ぶ者あり)先ほど有賀理事からいろいろと挙げた例がそれでございます。協会の方は、公団という公的なものがやる方がいいのですけれども、それにかわって公益的な法人として実行する。たとえば先ほど申しましたように、法令に基づいて常時管理をしなければならないエレベーターの仕事とか、そういったもの、これが公益法人としての協会の仕事、これは結局、団地サービスとともにあって、しかも、それぞれ分担していくのにふさわしい仕事、かように考えるわけでございます。
  85. 吉原米治

    ○吉原委員 どうしても総裁の答弁では私は納得できません。恐らく聞いていらっしゃる委員の方も、おかしいじゃないかという考え方を持っていらっしゃるに違いないと思うのです。この団地サービスの発足をする段階で、少なくとも営利に走ることのないようにと指摘され、あるいは先ほど天下り人事の問題も指摘をいたしましたが、この当時の挾間という総裁が、公団の職員のおば捨て山にするという考え方は毛頭持っておりません、こういう発言もされておるのです。少なくとも、この団地サービス株式会社が発足するときには、いま、あなたがおっしゃった公益的な意味も持ち、株式会社と名前はつけるけれども、出資金も、いま言ったように三分の二を住宅公団が持つ。そしておば捨て山にする考え方は毛頭持ってないと言われるけれども、現実には発足当初から今日まで住宅公団の横滑り、天下りという人事で重要ポストを占めている。こういうものが経済的に活動して、いまからやります住宅管理協会は公益そういう分野に業務内容をしぼるとおっしゃいますが、私は、どうしても、いまおっしゃる意味がわからない。団地サービス株式会社が今日までやってきておる仕事は、少なくとも住宅公団の意向を受けて、いま、あなたがおっしゃった公団の公益的な業務をやっておるのではないですか。それは株式会社だから、そういう公益的な部分は、いままでやらしてなかった。だから今回、管理協会というものを発足して、その分野をやるのでございます、これなら話はわかるのですよ。今日まで、すべて公団の意思に基づいて、この団地サービス株式会社が運営されてきておるのでしょう。どこに管理協会をつくらなければならぬ問題があるのですか、私はどうしてもわからない。  時間が参ったようでございますから、押し問答しても、しょうがございませんが、少なくとも、おば捨て山にする考え方は毛頭持っておりません、こう当時の総裁は言っておりますが、最近になりまして、私も顔なじみでございますが南部哲也前総裁が、この団地サービス株式会社の代表取締役に就任をされた。それから以後の状況というのは、南部さんが、そういう発想でやられるのかどうかは知りませんけれども、従来、比較的いい労使慣行が、この団地サービス株式会社の中では持たれてきた。それが破壊をされて、きょうも実は天下り人事反対という目的で時限ストライキが決行された。総裁、きょうストライキをやっておるのは御存じでございますか。そういう従来のいい労使慣行が築かれておったのにもかかわらず、南部総裁が就任されると同時に険悪な労使関係になってきた。その具体的なあらわれが本日の時限ストライキになった。もともと二十年近く、この会社が設立されてから今日まである。長い歴史と伝統が、それなりの職場なり会社にある。住宅公団の総裁から天下って、その会社の取締役に就任をされて途端に、官僚的な発想で、民間会社——非常に公益性の強い民間会社でございますけれども、そういう場面におりられて腕章一つ巻いてもけしからぬとかいう発想のようでございますが、私どもに言わしたら、きわめてナンセンスなセンス。少なくとも、こういう団地サービスの運営の面あるいは労使関係を破壊する、そういう運営がなされておることは、どうも間違いないようでございますが、そういう現状に対して、住宅公団は三分の二の出資をしておるのですから当然、発言権は大いにある。どういう指導をされようとされておりますか。
  86. 澤田悌

    澤田参考人 団地サービスは公団の非常に重要視しているサービス会社でございます。団地サービスがいい実績を上げ、サービスの実を上げ、そして発展していくことは、公団にとって非常に望ましいところでありますし、そのために公団もいろいろな面で非常に努力をしておるところでございます。南部前総裁が社長を引き受けてくださったのも、そういうわれわれの気持ちを十分くんだ上で団地サービスを一層よくしょうという意図で就任された、私どもその今後に非常に期待をいたしておるわけでございます。御承知のように南部さんは住宅公団の労使の調整に非常に功績のあった人でございます。したがいまして、いま団地サービスの労使関係が破壊されておるからというような御懸念のお言葉もございましたが、いろいろ経過はあるにしても、団地サービスの労使の関係も次第にますますよくなって団地サービス自体の活動も精彩を放つものというふうに考え、かつ、それを期待しながら団地サービスにはいろいろ注文もつけ、御協力もしたい、かように考えておる次第でございます。
  87. 吉原米治

    ○吉原委員 時間が参りましたから、尋ねたいことも十分できませんが、最後に一つだけ総裁お願いしておきたい。  当面、天下り人事に反対ということで団地サービス株式会社の労使は意見統一がなされてないようでございますから、あなたとしては南部前総裁に、前総裁は先輩でございましょうから多少言いにくい点はあるかもわからぬですが、それは現住宅公団総裁として、人事の問題についても少なくとも労使が激突するようなことのないように円満に、ひとつ早期に、この問題を片づけるように注文なさっていただけますか。
  88. 澤田悌

    澤田参考人 労使が長く意見が一致しないというのはよろしくないことでございます。一日も早く平和を確立して、業績という面、サービスという面において団地サービスが大いに成績を上げますように、そういう意味のことは団地サービスの幹部にはよく申したいと考えております。南部総裁は先輩とおっしゃいましたが、年は私の方が上でございます、よけいなことでございますが。遠慮なく、いろいろ話したいと思っております。どうぞよろしく。
  89. 吉原米治

    ○吉原委員 時間が参りましたから終わりますが、くどいようでございますが、いま総裁の答弁がございましたように、団地サービス株式会社の設立の趣旨に沿って、その企業体がより前向きに前進するように、ぜひ行政指導をしていただきたい、このことを強く要請をして質問を終わります。
  90. 伏木和雄

    伏木委員長 松本忠助君。
  91. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は本日、都市の中小河川の改修の問題と宅地の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に都市の中小河川の改修の問題についてお伺いをいたすわけでございますが、本年の二月二十一日の当委員会におきまして、首都東京の中小河川改修事業につきまして促進を図る意味から、過去の水害の実例を挙げまして、その一日も早い事業の完了を期するために予算その他についての特段の御配慮をお願いしました。そうした私の懸念を裏づけるように、この五月十四日から十五日の未明にかけまして東京都を襲った集中豪雨、大臣も御存じと思うわけでございますが、特に東京の石神井川それから神田川、目黒川、こういったところがはんらんがひどかったわけでございます。その周辺の住民は今回の浸水によりまして多大の被害を受けているわけでございますが、これが年中行事化しているところについて、私はもう一度、大臣に御認識をしていただきたいと思うわけでございます。  特に神田川について言いますと、これは昭和四十八年七月二日、このときは余り大した被害ではございませんが、翌年、四十九年は七月十一日、その年の七月二十日には新宿区の戸塚では床上浸水四百二十六、床下が百三十、また早稲田の鶴巻町、中野区の東中野、弥生町、こういう一帯が全部浸水をした。五十一年になりまして、九月九日に杉並区の久我山で、これもちょっとした被害がございました。五十二年は八月十九日並びに九月十九日にもありまして、特に昨年の四月六日、春の集中豪雨は大変な被害を及ぼしたわけでございます。新宿区の高田馬場、床上浸水三百四十三一尺床下が百九十八戸、同じく西早稲田で床上三十戸、床下百二十二尺豊島区の高田では床上百八十二戸、床下二百七十三一尺こういうふうに大変な被害が出ています。  また石神井川の方を見ましても、四十八年七月二日には北区の滝野川、四十九年七月十一日には上流の小平の方、同じく七月二十日には板橋区大谷口、田無の方でもありました。五十一年の九月九日には板橋区の大谷口で床上浸水五百五十三一尺床下が九百四十三尺練馬区の関町では床上二百五十、床下が五十。それから五十二年の八月十九日、九月十九日、板橋区の大谷口北町、練馬区の関町というのは前年の五十一年と同じように出ています。そして五十三年四月六日には、これまた板橋区の大谷口北町あるいは東山、こういうところで床上が二百七十一、床下が千四百四十二、下流の方の北区の王子本町、滝野川、こうしたところでも被害が出ているわけでございます。  住民の方々は天災じゃないよ、人災だよ、何とかならぬのかという声がいつでも充満しているわけです。そういう住民の方々のいら立つ気持ちは私もよくわかるわけです。こういうように春先の集中豪雨あるいは秋口、もう毎年のように被害が出てくるわけですね。一体どうして、こういう被害が出るんだろうかということについて、具体的な答弁は河川局長からお伺いするとして、それをどうやったら食いとめることができるかということについて、お答えいただきたいと思うわけでございます。
  92. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 東京都の都市河川、いま御指摘のとおりでございます。私もせんだって早速参りまして、朝早くから当局者、担当者を呼びまして、どの地域がどのように浸水したかということをつぶさに聞きました。いまも申されましたように毎年同じところがやられておる。これは都市河川が現在の都市に十分適合していない、そのために起きておるということで、かねてから東京都とも連絡をとりまして、その対策に万全を期しておりますが、なかなか、その工事がおくれておるというのが実情じゃなかろうかと思います。  具体的な数字その他については事務当局から答弁もさせますが、現在では三十ミリの姿で都市河川がいっておる。しかし少なくとも五十ミリに耐え得る都市河川にしないことにはいけない。このために、ことしの予算におきましては治水対策に二三%アップの予算もいただきましたが、特にその中でも都市河川の充実ということに重点を置いて進めさせていただいておるような次第でございます。先般、東京都の知事がかわられましたときにも、向こうからごあいさつがございましたときに私そのことも挙げまして、東京都にやっていただく事業でございますから、建設省としては、このように五十四年度は考えておる、十分この点について御配慮を賜りたい。いずれ案が固まったら建設省東京都の実務者と十分連絡をいたしましょうということで、向こうの案を固めていただく。恐らく鈴木知事のもとに予算を組まれると思いますが、その中にどのように入れていただくか、お答えをお待ちしておるというのが実情でございまして、今後とも現在の計画を推し進めてまいりたい、このように考えております。
  93. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり神田川、石神井川、目黒川等につきましては、まだ改修が十分でない点が多々ございます。今回の災害におきましても、東京都の報告によりますと神田川、石神井川、目黒川で床上浸水が六百二十九戸、床下が千百三十六戸、計千七百六十五戸ということでございまして、このうちで内水等のはんらんを除きました河川からのはんらんで浸水した分が約千五百戸という報告を受けております。  それで、ただいま大臣からも申し上げましたが、神田川、石神井川等の東京都の河川は現在、時間雨量三十ミリに耐え得るというところまで改修がまいっております。今回の降雨は多いところで約四十ミリ、一番多いところで四十五ミリというような時間雨量でございますので、三十ミリ対応の河道でございますから当然いま申し上げましたようなはんらんが生じたわけでございます。それで私ども考え方といたしまして、これを時間雨量五十ミリに耐え得るように、できるだけ早く、したいというのが当面の目標になっております。  現在、中小河川の全国平均で申し上げますと一四%程度が五十一年度の整備状況でございますが、五カ年末におきましては、これを二〇%までに上げたいと考えておるわけでございます。特に、こういった市街地区につきましては、一度はんらんしますと被害戸数も多うございますので、都市部の河川につきましては現況が二六%でございますけれども、五カ年末には、これを四四%程度まで進捗を図りたいということで鋭意進めてまいっておるわけでございまして、五カ年計画におきましても特に重点的な施策と考えております。この石神井川、神田川等につきましても、できるだけの促進を今後とも図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  94. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろと対策を講じていただいていることは、大臣の御答弁でも、いまの河川局長の話でも、わかるわけでございますし、特に今回、鈴木知事の就任に当たっても、そういうことが話題になったということは、地域住民の非常な苦労を考えますと、一日も早く改修工事を完了してやらなければいかぬと思っておるわけです。  御承知とは思いますけれども今回の豪雨で、はんらんがありました後で私どももいろいろ調査をしてみました。石神井川の方の問題でございますけれども、東武東上線というのが池袋から川越の方にいっております。この東武東上線の鉄橋のかけかえをしようということになっている。その部分だけが非常に狭くなっている。それをはりをかけかえてやろうということになっていまして、これも着々と進むという状態にあったわけであります。要するに東武東上線の鉄橋の橋脚の部分を早く撤去すればよかったのに、それができなかった。そこに問題があった、こういう声があります。そういうこともありますので私どもも、その辺を見てみました。確かに東武東上線が一つの問題だったとは思うのです。古い橋台の撤去ができなかった。そのために上流の方に向かっての、川越街道の石神井川と交差している上板橋というところ、その間だけ特に今回は多かった。特に右岸の弥生町というところが浸水がひどかったわけです。  私どもは、そういう現場を見ておりますので何とかして早くこれをやりたい。確かに季節外れの集中豪雨ということもあったと思います。工事を担当している人に私ども聞いてみますと、いろいろ御苦心なすっていることはよくわかるのです。市街地の真ん中でございますから、野原の真ん中とか山の中ではないのですから、夜間工事をしてくれとか騒音が出ては困るとか振動があっては困るとか、さんざんいろいろなことを言うわけですね。そういう問題を市街地の真ん中で、どうかして公害を少なくして、やっていこうという苦労はよくわかるわけでございます。付近の住民の方々も協力してくださればいいのですけれども、中には、いろいろな思想を持った方がありまして、これがなかなかうんと言わないわけでございますね。そういう御苦労はよくわかるわけでございますし、そういった中で現場の方々が一生懸命にやっておられることも、よくわかるわけですけれども、何としても付近の住民の協力も当然のこととしまして、行政の側でも先手先手、前へ前へと、いろいろな手配をしていただかないと、これはどうも早目、早目の対応ということが必要じゃないかなというように、今度も現場を見て私は考えてみたわけです。一生懸命やってくれていることはわかるのですけれども、そういう点があるんじゃなかろうかと思うわけであります。  それからまた、神田川の方も私、行ってみました。確かに新宿だけでも床上浸水四百五十八、床下浸水三百二十六、そういう方々に対する災害救助法の発動もあったわけでございます。しかし、これも現場の人に聞いてみますと、神田川の改修工事の方も、高田馬場の分水路、それから江戸川橋の分水路、この二つの分水路は完成しているわけです。現在、明治通りに交差しているところに高戸橋というのがありますけれども、そこと江戸川橋との間の約二キロの問のところを川幅を広げようということです。現在十六メートル、これを二十六ないし四十四というふうに川幅を広げて、時間雨量五十ミリに対応できるようにしよう、こういうふうに作業をやっていらっしゃる。こういう御苦心はよくわかるわけでございます。  そしてまた建設省としましても、東京都の中でも特に神田川の場合、前年大きな被害が出たので、五十二年度の途中から激特の河川としての七億五百万をつけてもらいました。そしてまた、ことしも十四億三千百万、こういうふうに神田川だけ、つけてやる。こういうところを見ると、その意気込みはよくわかるわけですけれども、しかし、この神田川それから石神井川、この両河川の流域が先ほど申し上げたようにいつもいつも年中行事であるわけであります。こういうところを考えて、私どもも、その御苦心はよくわかるわけだし、特に財政的な配慮もしていただいていることも、よくわかるのでありますけれども、この石神井川、神田川を今後どう改修していくのかということについて、ぜひひとつ河川局長から具体的にお伺いしておきたいと思うのです。
  95. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 お答えします。  石神井川でございますが、確かに、おっしゃいますように東武東上線のピアの撤去というのは実は六月中旬ということで予定いたしておりまして、今回の出水はその前の出水で、若干、工事が完成していなかったところに来たという状況でございます。それで、この石神井川につきましては、いままでも、この周辺にいろいろなネックがあったわけでございますが、このネックを住民の方々の御理解を得ながら逐次広げてまいってきまして、この東武東上線のネックを広げますと、この地区におきましては今回程度の出水につきましては、まずまず流れるのではなかろうかというふうに考えております。この東武東上線につきましても、五十二年の四月に協定を行いまして、五十三年の二月に着工しております。そして全体竣工いたしますのは五十六年の三月ということを見込んでおりますが、全体竣工までにも、やはり、この地点の疎通能力は広げたいということで、ただいま橋の暫定のかけかえをやりましたので、旧橋を撤去いたしますと大体、疎通能力はある程度満たせるということで、これを特に急いでやらせておったわけでございます。これにつきましては今年の六月、恐らく中旬には、ほぼ河積は確保できるということで工事を進めさしてまいりたいというふうに考えております。  それから神田川でございますが、先生御指摘のように去年四月六日の災害で、江戸川橋と高戸橋でございますか、この間につきまして激特に採択いたしまして、この部分につきまして広げるということが、その上の高田馬場の分水路の開放につながるわけでございまして、この部分の激特事業につきましては五十六年度末までには竣工させたいという考え方で事業を進めております。それから、これが竣工いたしますと、上の高田馬場の分水路につきましては全面的に開放できるというふうな形になろうかと思います。そういたしますと、すでに、この分水路の中を通っている下水道管につきましても、これを分水路に直接流入させるということも可能となると思いますので、この付近につきましては今回程度の出水ですと十分に対応できるというふうに考えております。  それからさらに、この神田川の下流で、もう一つ関連ある工事があるわけでございますけれども、水道橋の分水路というのが、もう一本、下流に必要になっております。これにつきましても高田馬場の分水路を五十七年にあけるべく、いま鋭意工事を進めておりますので、その時点に合いますように、この水道橋の分水路につきましても工事を進めていきたい、かような方針で現在やっておるわけでございます。
  96. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまのお話で、よくわかるわけですし、先ほど私から申し上げたように、計画を立てて、がっちり、その計画のとおり進んでいけば問題はないわけですけれども、ときどき、いろいろな問題ができるたびに、いま、お話のあった計画のとおり進むことを私は大いに期待するし、また、そうなってもらわなければ困ると思うわけです。ぜひ、その計画どおりに工事が進行するようにお願いをしたいと思います。  いまもお話のあったような東武東上の橋脚の問題も、あるいはまた神田川の方の江戸川橋、またその下流の水道橋の問題、こういったものが全面的にでき上がってくれば、まずまず東京のいわゆる、この年中行事がもうなくなるのではなかろうかと思いまして、私はその点を非常に期待をしているわけでございます。  特に今回、私、調査をしてみまして、いままでも感じていたのでありますけれども、下水道の整備という問題と中小都市河川の整備というものがアンバランスになっているのじゃないか。要するに受けざらができないうちに下水道の方が先にできちゃったということが、やはりアンバランスで、これを解消しないと、なかなか大変じゃないか。いま河川局長からお話のあった川自体の改修、それは確かにできますけれども、なかなかこの問題は後まで尾を引くのじゃなかろうかということを考えるのです。要するに河川の抜本的な改修というものが先行して、それに連携のとれたところの下水道の整備というものがなされるべきであろう。ところが、そうではなくて逆になっちゃっている。  特に問題は、都市の道路その他の舗装化、コンクリートとかアスファルトでもう舗装されてしまっている。そういったために雨が降っても水が地下に浸透していかないということがあるわけですね。そのためか、雨が地面の中にしみ込んでいって自然と出ていくのなら問題はないのですけれども、一挙に下水道を伝わって中小河川に流れ込んでしまう。これは私も調べてみますと、私の住んでいる北区で、公立の中学校が二十あるのです。それから公立の小学校が四十六校あるのですが、合計で六十六校のうち土のところは一校しかないわけです。あと六十五校はダスト舗装とかアスファルト舗装というふうになっております。小学校の庭とか公園とかというところだけは、ぜひとも土の舗装にしておいて、少なくとも、そこだけでも雨がしみ込んでいけるようにしたらば、ずっと違うのじゃなかろうかと思うわけです。確かに、雨が降れば、それが下水道を伝わって一挙にどっといくものですから問題になってしまう。東京都の建設局の方の記録も私、調べてみますと、昭和五年には降った雨の四〇%が流入する、そして、その雨水が隅田川に流れ込むまでには五時間四十分かかると想定した。ところが四十五年には八〇%、二時間二十分、こういうふうに想定されているわけです。現在では、それよりもますます舗装化が進んでおりますので、その率ももっと高くなっているであろうし、時間はもっと短くなっているだろうと思うわけです。  今回の水害を体験された方々の話を聞いてみますと、あれは真夜中でございますから、余り近所が騒ぐので、びっくりして起きてみると川が目の前であふれる瞬間だった。道路よりも少なくとも一メーター五十くらいは障壁ができている。それを越えて出てくるわけですね。そのあふれる瞬間だった。大変だといううちに、どんどん床上浸水になってしまった。ですから一階にあった荷物を二階へ上げることもできない。大体あの辺の家は道路よりも三段ないし四段くらい段々をして、少なくとも川の方の障壁よりも玄関の方が幾らかでも高くなっているような家屋の構造で、毎年毎年被害を受けるものですから全部、自分でそういう防御をやっているわけです。それがまたたく問に水がふえてしまう、こういうことでございます。  それから、もう一つはポンプ場があって、それから下水をくみ出すようになっているところもある。ところが、そのポンプ場の周辺が水がいっぱいになってしまう。そしてポンプの方の能力を超えて、そこに水が押し寄せてきますから、くみ切れない。そこでポンプ場の周辺が浸水してしまう、こういう例もあります。  それからまた、水が逆流してくる。その逆流がどこから来るかというと、ふろ場から来るのです。表から入ってくるのじゃなくて、おふろの流し口のマンホールから、ばあっと黒い水が吹き出すのです。見ているうちに、まず家の中から浸水が始まってしまう。こういう状況をいっぱい私、見ておりますので、何とか早くしてやりたいと思うのです。いまのお話のように、神田川にしてみても、昭和の初期には五十ミリの雨に対応できるように改修されていたけれども、現在では三十ミリが限度だ、こうなっていますね。そういうことで、いわゆる都市型の鉄砲水がどっと一度に来るわけです。  こういう問題を直すのには、まず何といっても、いわゆる下水道整備と中小河川の整備のアンバランスを直すことがまず先決だ、こういうふうに私は思うわけでございます。私のところにも、いろいろな意見を言ってまいりまして、たとえば道路にしみ込まさないから水が出てくるのだから、しみ込むような舗装にしてはどうだ、こういうことですね。浸透性のある舗装だ、こういうことを言ってくる方もある。ところが、これにもなかなか問題があるわけです。夏場になりますと、べとべとしてしまって、どうにもならなくて、動きがとれなくて転んだなんという人が出てくるわけで、浸透性のある道路というのも、なかなかむずかしい。それからまた公共施設の地下をため水をするようにプールみたいにしてはどうか、こういう意見も言ってくる。さまざまな意見が寄せられてくるということは、これ自体、都市の中小河川が著しくおくれていることの証拠だと私は思うのですね。  そういうことで緊急を要するところの中小河川の改修事業というものは、いまもいろいろお話がございましたように計画を一生懸命やっていただけば、それにこしたことはないのですけれども、なかなか計画どおりにいかない。いろいろな事件が次から次へと出てきて計画にそごを来す、これが現在の状態です。  そういうところから考えまして、特に私、御要望申し上げたい点があるのですが、それは河川審議会の都市河川小委員会昭和四十六年七月に「都市河川は一時間の雨量五十ミリに対応できるようにすべきである」という趣旨の「都市河川対策の進め方」という中間報告が出ています。現在、各地で実施されている改修も、この報告に準拠して行われているわけでございますけれども、首都東京においては八年前の状態と非常に変わってきていることは大臣も御承知のとおりと思う。特に都市化が上流地点までかなり進んでいるわけですね。急速に進んでいます。神田川の例も申し上げましたけれども、五十ミリ対応が現在は三十ミリ対応の機能しか果たせない。こういうところから、いまの中間報告の全国一律五十ミリ対応という基準を、特に都市化の顕著なところについては見直しを図るべきではないかというふうに思うわけなんです。ですけれども、これも、いまも答弁もありましたし、この前、二月二十一日に私、質問したときの御答弁の中にもあったのですが、全国の中小河川の整備率というものは一四%です。特に東京のような都市化の進んだところの神田川、石神井川においても三〇%だという整備率から考えると、ひとまず、その段階までやらなければならない。その後さらにさらに進めなければならぬ。それはわかるのでありますけれども、とにかく整備の達成というものに対して大臣がどれほど熱意を持っていらっしゃるのか。もちろん、それは東京都知事にも現場として責任もあるでしょうけれども建設行政、河川行政の大元締めである大臣として、どのようにお考えであるかを、ひとつお伺いして、この問題について終わりたいと思う。
  97. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ただいまの河川と下水の整備状況のアンバランス、これは急速に進んでまいりました。都市化に現在の工事が対応し切れなかったという点は御指摘のとおりであろうと思います。私といたしましても、その実情を一刻も早く誠意をもって前進させたいというので、全力を挙げさせていただいておりますが、そのために先般から新聞にも出ております昭和六十年までの経済七カ年運営の中でも、河川のシェアというものを、いままでのシェアの五・五%から五・九%にまで上げさせていただいて、二百四十兆の中の河川面を前進させていきたい。その河川のシェアの中でも特に都市河川の充実を期していきたい。そのために都市河川に対する今回の予算の中におきましても特別の措置をとらしていただいておる。いま東京都の問題にもお触れになりましたけれども、実は、この事業は都の事業でございまして、それに対する金をつけていく。何といいましても東京都の問題でございますから鈴木知事にも、そういうふうなお願いをし、東京都の対案が決まりましたら早急に私の方と密接に連絡をとりながら、一日も早くこの問題が計画どおりの解決に向かうよう努力させていただきい、このように考えております。
  98. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 中小河川の改修に関する大臣の熱意、よくわかりますので、どうか、この問題は建設省の大きな方針として一刻も早く都市中小河川の改修という問題、そしていま私も申し上げました下水整備の問題とのアンバランスの是正という問題を真剣に考えてもらわなければいかぬと私は思うのです。その中小河川の流域に住んでいる住民の方々の苦労を思うと——本当に被害に遭ったことのない人は、東京の真ん中で水が出て床上浸水なんということは考えられないでしょう。ところが現実に毎年のようにあるわけですから、ぜひ、この問題について特段の御配慮を建設省として今後やっていただきたいということを申し上げておきます。  次に、土地の問題でございますが、国土庁が五月の十五日の閣議了承を得ました五十三年度のいわゆる国土利用白書を発表されております。初めての試みとして、わが国と欧米諸国の住宅地の価格を比較しております。日本住宅地がいかに高いかということを現実に、この白書の中で言われているわけですが、一九七六年で一平米当たり三万五千円、ところがアメリカは三千九百円で約十分の一、イギリスの場合は二千百円ですから、これから比べると十七倍、こういうふうな驚くべき実勢を公表されております。確かに可住地の一平方キロ当たりの人口密度というものはアメリカの場合の三十倍、英国の三・六倍というふうに高いわけですし、経済活動の差もあるし、いろいろ特殊事情もあるようでございまして、それらの説明も加えてはございますけれども、確かに日本のは高過ぎると思うわけでございます。  また宅地の供給面から市街化区域内の農地の分析に相当のページ数を割いておられますが、土地の利用転換の状況も報告されている中で、住宅用地の購入者の実態を見ますと、購入面積が全国平均で二百三十平米であるが前年よりも二十三平米小さくなっております。一方、購入の価格は五百三十九万円から六百十七万円というふうに上がっている。こういう点を見ますと、地価の高騰ということの実態がはっきり、ここにあらわれているわけです。その原因についてもいろいろと述べられておりますけれども、何といっても大都市の住宅地の需給のアンバランスということがまず第一だということが言われております。  これとは別に、また国土庁が先ごろ発表しましたことしの第一・四半期の地価動向調査を見ましても、全国平均一・五%と前年同期〇・七%の二倍です。それから消費者物価上昇率の〇・五から見れば三倍という高い上昇を示しているわけであります。中でも三大都市圏の住宅地の価格の上昇率はいずれも二%を上回って、特に東京では三・二%値上がりした、ということは年率に直すと実に約一三%の上昇につながるわけですね。こういうことは、もう釈迦に説法で大臣とうに御存じのことでございますけれども、とにかく、この地価上昇の勢いというのは非常にテンポを速めてきているんじゃなかろうか、こう思うわけでございます。  こういう問題については当委員会でもしばしば問題になっております。このことは白書にも述べられているとおりでございます。もう大都市圏の宅地供給というものは頭打ちの状態ではなかろうかと思っておるわけでございます。この地価の高騰が住宅建設を阻んでいる主要なる原因であることはもう御存じのとおりでございます。土地問題の解決なくして住宅問題の解決はないということは、もう言い古されている言葉です。ですけれども五十三年度の新設住宅の着工戸数というものが、政府の内需拡大のかけ声にもかかわらず前年度を三万四千戸も下回っております。住宅金融公庫の融資枠が十三万六千戸も前年度より拡大したにもかかわらず、住宅建設は四年ぶりに落ち込んでいるという状態。この最大原因は何かと言えば、公庫融資を利用しても、所得の伸びを上回る地価の高騰で、もうマイホームに手が届かないというのが現状ではないかと思うのです。  こういうふうにして、いつまでも何にも手を加えないでおきますと、いわゆる土地ブームといいますか、また一億不動産屋こういうことになりまして土地買いを誘発して、それがさらに地価の高騰を呼ぶという悪循環が本格化してくるんじゃないか。こういうことに加えて卸売物価の上昇、公共料金の値上げ、こういうものからいいましても、すでに物価の動向も警戒水域に入っておると言われておりますので、インフレ再燃にもつながる、こういうことになると思いますので、この辺でやはり根本的な地価抑制ということについて国土庁長官もお考えであろうし、また住宅問題からいっても建設大臣としても勇断をふるわなければならぬ、こう私は思うのでございますけれども、両大臣のお考えをひとつ聞かせていただきたいと思うわけです。
  99. 中野四郎

    ○中野国務大臣 仰せのとおり最近の地価の上がり方については、国土庁といたしましても非常に苦心の存するところであります。そこで当面、地価の値上がりを抑えつつ一方においては地価の安定を図る、これにすべてをかけて、せっかく努力をしております。これは改めて先生に申し上げるまでもなく、最近の地価の上昇の原因は、一口に言えば効用増とでもいいますか、交通整備あるいは周辺の整備等が進むに従って、その辺に需要が多くなってくる。それからもう一つは、需要が多いのに供給が少ない。四十七、八年当時のような、ああいうばかげた時代とは違いまして、とにかく最近の地価というものに対しては相当苦慮しなければならぬ。当面は、投機的な土地取引の抑制というものは、もう御承知のとおり規制をされておりまするから相当な効果を発揮しておりますが、住宅地需要に対する優良な住宅地供給の促進を図るということも大切でありますので、建設省とも、たびたび緊密な連絡をとりつつ、一方においては、その供給をふやすような措置をとらなければならぬ。たとえば線引きの見直しをやる。一方におきましては、優良な土地を供給し得る能力のあるところに対しては税制上の措置をとっていく、こういうことで、ただいま、せっかく努力を推し進めておるさなかでございます。
  100. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 土地の問題、御指摘のとおりでございまして、特に三大圏の中でも住宅地、市街地における土地の絶対量の不足が今日の地価の上昇につながっておるということは、もう御指摘のとおりでございます。このために従来から総合的な、いま国土庁長官が申されましたようなことをやっておりますけれども、まだ、それに及んでいないという姿でございますので、建設省内におきましても特に宅地、住宅に対するあり方につきまして事務次官を長とする委員会を設けまして、これに対する適切なる措置のあり方を鋭意検討させていただき、いままでと違った抜本的な姿で努力させていただきたい、このように考えております。
  101. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう時間もございませんので、はしょってもう一問だけ伺いますが、いま国土庁長官から線引き見直しというような具体的な言葉も出てまいりましたけれども、どうも土地政策というものを見ても国土利用計画法、都市計画法、新住宅市街地開発法、新都市基盤整備法、大都市措置法、地価公示法、いろいろな法律があるのですね。土地の税制についても、さまざまな税制がつくられて何とか宅地化を促進しようというふうに考えられていることは、よくわかるんですけれども、ちっとも実効が上がっていないように思うのですよ。ですから、いま建設大臣が言われるように委員会をつくって鋭意検討するという、これは大臣の答弁の決まり文句でございまして、なかなか、これが実行に移されていかないところにうらみがあるのです。  そこで最後に国土庁長官に、ひとつ私、伺っておきたいのは、この前の委員会で私、埼玉県の伊奈の問題を取り上げました。これはもう御承知のように新幹線が入るために土地が急上昇する。だから、ここへ地価の暴騰の傾向があるので埼玉県の知事が国土利用計画法に基づくところの規制区域指定を考えているようだ。それに対して踏み切れないでいるんだけれども、長官としては、もういっそのこと、ここをやってはどうかというふうに私は申し上げたんですが、そのときに長官は「土地を商品化し、投機の対象にすることは大変なことでありまするから、時と場合によれば伝家の宝刀を抜かざるを得ずと思います。」こう答弁があったんですね。御存じと思います。ついに、この宝刀を抜くチャンスを失しているうちに、あのこの間の大騒ぎになったわけです。  もう御存じのように先月の十四日から十八日にかけて連日、新聞をにぎわした。とにかく落札の価格が二倍だ。そして五十三区画に対して二千三百八十一名も押しかけたというような状態ですね。ところが、だんだん日がたつにつれて、大手の建設業者が社員を動員して買い占めをはかったことがわかったというような事件があったわけでございます。この問題も、本当にこういうふうに連日にわたりまして報道がありますと、何とかして土地を手に入れてマイホームを建てたいと思っている人、要するに、あの白書の中でも六三%のサラリーマンが何とかして自分の家を建てたいと考えているということですが、こういう人が、もうとてもだめだよということになってしまうわけですね。あの問題を私は御指摘しておいただけに、大臣があのとき思い切ってやっていただけば、ああいうことにならなかったのではなかろうかというような気持ちもするものですから、あえて、そのときの問題をもう一度持ち出して、大臣のお考えを聞いて終わりたいと思います。
  102. 中野四郎

    ○中野国務大臣 これには経緯がございますから後ほど事務当局から。  ただ問題点は地方都市の、あそこで言えば知事でありまするが、知事の意向というものが第一になりまするものですから、その点について十分の、こちらから意思表示はしておったのでありまするが、なかなか、そこまでは具体的にまいりません。今後のあり方につきましても当局から一応ひとつ御報告を申し上げさせていただきたいと思います。
  103. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生御指摘のとおり伊奈町で、ああいう事件が起きましたことについて大変よくないことであったと思います。早速、現地の事情も調べまして、幸いに建設省、県、町当局等の指導がございまして是正の措置がなされたのでございますけれども、当地については特に規制区域の指定事前調査というのを特別細かく、いま県の方にお願いしております。県の方でその後の御報告をいただいておりますけれども、あそこの区画整理済み地のところにつきましても過去数回にわたりましては適正値段で、しかも売れ残りがたくさん出た。最後に、ずいぶん宣伝をしたようでございまして、その結果ああいう措置になったんだろうということでございまして、あの件一件だけで投機的取引がエリア全体にわたって起こっておるとは言えないというのが現在の県当局の判断でございます。先ごろも畑知事さんにもお会いしたわけでございますけれども、十分監視を続けて、必要があればいつでも伝家の宝刀は抜くつもりだというふうにおっしゃっておりました。私どももそういうような状況を踏まえながら十分に連絡をとってまいりたいと思っております。
  104. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  105. 伏木和雄

  106. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実は冒頭に要求、御要望を申し上げておきたいと存じます。きょうは大蔵省の塚越主計官にもおいでを願っておりますが、実は私が確認を申し上げたいと思いました事項が若干、連絡等の関係で十分に回答ができないような状況だというふうに考えますから、きょうは要求だけ申し上げておきますので次回六日の日にひとつ、その回答をお願いしたいと思います。  その要求は、すでに御承知のように本年度の予算の審議をめぐりまして、実は与党である自民党と公明党並びに私どもの民社党、三党間において建設省関係の予算案につきまして、ある点で合意を見ておるわけでございます。実は、これは長い経緯がございますから、その経緯の段階におきまして予算委員会における総理の答弁あるいは参議院の建設委員会における建設大臣の答弁等々、私も拝見をいたしておりますが、それらはあくまでも詰めの過程でございましたから、大臣の御答弁も「誠意をもって検討を進め適切に対処をしてまいりたい」このような答弁をされておるわけでございますが、その後、実はこれらの答弁がございました後に、この三党間で十分な詰めを行いました。  その結果どのような合意ができておるかと申しますと、住宅関連公共施設整備促進事業費につきましては五十四年度予算には六百億が計上してあったわけでございますが、さらにそれに三百億を上積みする、これが合意事項の第一点でございます。  第二点は、住宅金融公庫の融資住宅につきましては計画に五万戸を追加する、これが合意事項の第二点でございます。  したがって、このように具体的な数字を挙げて、それぞれ明確に合意ができておるものでございますから、誠意をもって検討し善処するという段階では実はございません。したがって、この三党間の合意事項に対しまして政府、大蔵省建設省がどのように対処されるのか、これにつきましては、ひとつ次回の委員会で明確に御答弁願いたい。要望を申し上げておきます。大蔵省お見えになっていますね。どうかよく検討して明確な答弁を要求しておきます。  それでは次に移りますが、御承知のように六月に入りまして雨季が近づいておるわけでございます。私どもの郷里も実は七月には大変な集中豪雨で水害を受けたこともございますが、この雨季にかかりますと、いろいろ河川の問題が出てまいるわけでございまして、この問題は、とかくやはり事故が起こってしまってから、問題が起きてしまってから、必要以上に、予想せざる以上に雨量が多かったんだとか、そういう言いわけ的な弁解が新聞紙上に載りまして、そして迅速な災害復旧の事後処理がなされる、そういうことの繰り返しで実は過ごされてきております。そして事後処理が終わりますと、いつしかまた忘れられていく、こういうことが繰り返されておるわけでございますが、過去の経過を踏まえて見ましても、私は治山治水事業というものを一回反省してみる必要があるのではなかろうか、このように考えるわけでございます。  そこで現在、第五次治水事業五カ年計画というものが遂行中だと思いますか、この辺につきまして、まず、その概要と進捗状況をひとつ御説明願いたいと思います。
  107. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 第五次治水事業五カ年計画昭和五十二年度から五十六年度までの五カ年計画でございます。その柱といたしましては、重要河川の整備、中小河川、都市河川対策の強化、土石流対策の強化、水資源開発とその高度利用というふうなことを柱に進めておるわけでございます。その中身は、治水事業費が五兆八千百億円、災害関連・地方単独事業が一兆二千四百億円、予備費を含めまして総額が七兆六千三百億円という投資を行うことになっております。このうち五十四年度が第三年度に当たるわけでございますが、五十四年度末におきましては三兆二千九百二十億円、進捗率にしまして五六・七%となる予定でございます。
  108. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 数字の上で御説明になりますと実は何が何だか、よくわからぬということに相なるわけでございますが、実は先年も、伏木委員長地元であります神奈川県にも私ども建設委員会として視察に参りまして、都市河川を見せていただきました。私は大変に整備がおくれておるという感じを抱いたわけでございまして、築堤すら満足に行われていない。しゅんせつも滞りがちで鳥が飛び歩いておるという状況を目の当たりに見てまいりました。いろいろ聞きますと、どうも上流の開発が盛んで、整備をしても整備をしても、すぐに川が浅くなってしまうのです、こういうような説明もありました。  そこで考えられることは、確かに人口の集中によりまして、そのような住宅開発が行われておりますが、そのようなニュータウン建設なり、あるいは都市開発というものが、治水事業とどういうふうに実は関連づけられ、検討されておるのか。そのような状況だけ見れば、何かばらばらで行われておるのではなかろうか。住宅対策は住宅対策で人口増加に伴って宅地を開発して住宅を建てるということだけに主眼が置かれ、そのために土砂が河川に流れ込む流量とか状況とか、それをどうするのかというような事後処理的な問題なり、関連性を持って起こってまいります問題についての対処の方向なり、そういうことが果たして十分に関連づけられて開発が進められているのかどうか、この辺を実は非常に疑問に思ったわけでございます。その辺の実態はどのようになっておるのでございましょうか。
  109. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 都市部の河川につきましては、先生おっしゃいますように都市の開発、それから特に下流の低湿地への住宅のスプロールと両両相まちまして、治水上、非常に問題を多く含んでおります。こういうふうな都市部の河川の処理につきまして、河川管理者としても、いろいろ検討してまいったわけでございますけれども、特に河川審議会の方で総合的な治水対策の柱を立てまして御審議を願いまして、総合治水対策ということで、流域の保水、遊水機能を維持すること、それから流域の開発に見合った治水施設の早期暫定的な整備も進めなければいかぬということで、全体的な地域の開発と見合ったよう治水計画をつくるというのが柱になりまして、制度的にも今年度から総合治水対策事業という制度を設けております。それで逐次、都市開発の盛んな河川につきまして、この制度に乗っかって整備を進めるということで、今年度から九本の川がこの指定を受けて現在やっておるわけでございます。  この進め方といたしましては、その地域地域に総合治水連絡協議会というものを設立して、これはその関係の地方公共団体の土木部門のみならず、その他の開発関係の部門と、それから関係市町村ももちろん入れまして、そういう関係者の方方にお入り願いまして、その流域の開発と河川の整備の見合いをどういうふうにするべきかというような、流域の開発との関連の基本計画をつくるということで、現在その九河川につきましては準備会をつくりまして寄り寄り協議をしておるわけでございまして、こういうふうな方針のもとに、全体の開発に見合った治水工事、それから、その間を埋めるべき保水、遊水機能の維持ということを総合的に判断しながら進めていきたいという方針で現在やっておるわけでございます。
  110. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣、このごろ公害問題では安全係数が非常に高くシビアに決められておりまして、たとえば放射線などは、われわれが健康管理のためにエックス線撮影をしていただいても、そこで浴びる放射線よりもはるかに厳しいような基準が設けられておるようでございます。また普通われわれがレントゲン撮影を受けるときに浴びる放射線の何分の一かの放射線を他の装置から浴びたということになりますと、新聞も大変なキャンペーンが行われまして安全性に対する疑問が投げかけられる、こういう状況ですね。  そのように公害全般の問題について検討いたしますと大変高い安全率をもって対処をしようといたしておるわけでございますが、一方いま申し上げておりますように、河川等は事故か相当長い間にわたって間隔をあけて繰り返されるといいますか、それが起きますと大変な人命的な損害を受けるわけでございますけれども、どうも、そのうちに忘れられていく。そして起きたと碁には、いつも予期せざる雨量だったとかなんとかいうことで、ごまかすと言っては何ですけれども、そういう話になってしまう。そこで本来あるべからざる、そういう予想せざるようなものまでも十分含めた、安全係数の上でしっかりとした治水対策を確立をしておく必要があるのではないか、こう考えるわけですか、ひとつ大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  111. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 特に、わが国の国土が山が多く、しかも直ちに河川になって海へ流れ込む。また一方、毎年のごとく台風に見舞われるというふうな国土でございますから、十分な上にも十分な治水対策がとられなければならないということは先生御指摘のとおりであろう、こう思います。  しかながら、これが十分にまだ、そこまで行われていない。せめても、ここまで上げていくという姿で、やむなく五カ年計画の中におきましては、むしろ、いま言われる安全値が低いのではないかと思われるような姿になっておりますけれども、極力この面は、わが国の国土というものを考えまして十分なシェアを持っていかなければならない。そのために私も、本年度の予算編成当時に、一方では新経済七カ年計画に対する問題が進んでおりましたので、この点につきまして、いままでの公共事業に対するシェアよりも、少なくともこれはふやして取らなければいけないというところから、先般ちょっと新聞に、ほぼ決まりのものが出ましたが、二百四十兆の中で河川のシェアも伸ばさせていただいたという姿でございまして、今後ともに、この点は努力してまいらなければならない、このように考えております。
  112. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 河川改修の基本的な方針でございますけれども、河川法によりまして工事実施基本計画を定めることになっております。それで全体的な長期の目標といたしましては、先生おっしゃいますように確かに、めったに降らないような雨でも安全にするというのが私ども考え方でありまして、第一級河川につきましては、おおむね百年から二百年に一度降る程度の雨に対しても将来には安全にしたいということで基本的な計画を持っております。それから中小の河川等につきましては、やはり五十年から百年程度に一回降るような雨でも安全にしたいということで、そういう意味での長期の計画を持っておりますが、何しろ現在の整備水準というものが、いま申し上げましたように、まだ非常に低うございますので、その全体的な長期計画と矛盾しない範囲におきまして、できるだけ早く、いまの水準をある段階まで上げたい。いわゆるシビルミニマム的な考え方を現在とっておりまして、大規模な川につきましては戦後最大の洪水に対応する工事をできるだけ早く実施する。中小河川につきましては先ほどからも御説明申し上げておりますように、時間雨量五十ミリ程度までは、せめて、できるだけ早く上げたいというふうな中間暫定目標を持ちまして、現在、鋭意整備を図っているというふうな考え方でございます。
  113. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 次に、道路問題について若干お伺いをいたしておきたいと存じます。  その前に、最近の新聞を拝見いたしますと特に大蔵省の見解は、現在、道路財源となっておりますガソリン税など自動車関連の諸税の一部をエネルギー開発へ転用していきたいというような見解を、どうも持っておるようでございますが、この辺では、やはり私は相当認識が違うのではないか、こう考えておりますから、この辺の対処の仕方について、ひとつお尋ねをしてまいります。  最近、論議を醸しております実は省エネルギー問題、こういう問題から、わが国会も何か服装まで変えるというふうな話も出ておりますが、確かに資源有限の時代に入って、エネルギーというものが大変大切だということは国民共通の認識になっておりまして、この省エネルギーに真剣に取り組んでいくということは当然なことだ、こう考えるわけでございますけれども、しかし、これは大変むずかしい問題でございまして、ともすると対策を誤ってしまう。  特に、われわれが関係をいたしております道路関係等はエネルギーの消費が、たとえば車は非常に高いんだ。そして鉄道の方がうんと安いんだから、道路を抑制をして鉄道をつくったらどうかというような論議が実は間々行われるわけでございますけれども、この辺にも私は一つ大変な疑問を実は感じておるわけでございまして、えてして、そのような論議の論点の根拠になりますのは、エネルギーの消費率というものが試算をされていくようでございますが、鉄道なら鉄道が常に満杯にされて、そして走行しておると、どの程度の消費率であろうか、一人当たりどうだ。自動車乗車定員はわずかだから大変高いものになる。こういうような試算が非常に多いわけでございますけれども、実は実態はそうではないということなんですね。  私も名古屋までは鉄道でたびたび帰りますが、ほんの二、三人しか乗っていないときも実は間々あるわけでございまして、そういうときのエネルギー消費率というものは一人当たり大変なものになるはずでございますね。したがって、そういうふうに考えるのと同時に、また、それらの交通手段が形成をされる問におけるエネルギーの消費、これも決して無視はできないわけでございまして、鉄道建設に要するエネルギーの消費あるいは車をつくるために要するエネルギーの消費、こういうものをトータルエネルギー的にやはり判断をしていかないと往々にして間違えてしまう。そこで新聞等にいろいろな投書が出て、学者もそういうようなことを盛んに言う人もありますから特に惑わされてしまう。本当にそうだろうかということをしっかり考えながら、しかも省エネルギーに何が一番役立つであろうか、こういう観点から、やはり道路行政というものを十二分に見直していくという必要があるわけでございまして、いま申し上げておりますように、そのような単純な比較から、道路さえ抑制すれば、そして鉄道を敷設すれば省エネルギーに役立つんだという考え方、こういう考え方のもとに新聞等でもいろいろ投書が出ておるようでございますけれども、果たしてそうだろうか。一体建設省としては、どのような御認識をお持ちになっておるだろうか、こういうことをひとつ、お尋ねをしておきたいと思います。
  114. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘、大変ごもっともだという認識を持っております。第一の交通密度との関連において、どうだという議論でございます。やはり貨物あるいは旅客、いずれの場合も同様でございますが、交通密度との関連におきましてエネルギー効率が議論をされなければならないわけでありまして、極限された状態、たとえば大都市におきます通勤通学の交通といったような場面におきますエネルギー効率の問題と、地方部におきます比較的交通需要の発生がまばらであるといったようなところでは大変違うわけでありまして、それぞれエネルギー効率という観点から考えましても、総合的な交通体系との関連において議論がされなければならない、かように実は考えておるわけであります。  また、第二に御指摘になりました道路施設、基礎的な施設から、その上を走る部分、車体等、さらにそれを動かすために必要なエネルギー、燃料あるいは電力、トータルとして考えてまいらなければ的確な判断はできない、こういうように考えておるわけでありますが、わが国の自動車交通がエネルギー消費においてどういう地位になっているのか、こういうことを調べてみますと、やはり諸外国に比べて大変低位でございます。国民一人当たりの最終エネルギー消費量といったようなことから比較してまいりますと、日本の場合は道路交通が全体に占める割合が一二・二%、これに対してアメリカでは二七・七%、フランスでは一八%、イタリアでは一七・四%、こういった観点から考えますと、わが国におきます自動車交通におけるエネルギーの消費割合というものはかなり低いところにある、こういった数字が、一例でございますが、そうは申しながら、やはり私ども道路整備の分野でエネルギーの節約という観点からの最善の努力は果たしてまいりたい、かような認識を持っておるところでございます。
  115. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 つまり、わが国のエネルギー消費量の最大のものは、実は産業であるわけですね。この産業分野におけるエネルギーの消費率が実は五〇%をオーバーしてしまっておって、大半は実はこの部門にある、こういうことでございますから、交通手段全体のエネルギー消費量を見ましても実は一七%強ぐらいですね。その中で自動車が一%ぐらいを占めておる、こういうことでございますから、現実にエネルギー消費の構成から見ていきましても、交通手段によってエネルギー消費を何とか縮減しようとしましても実際には、さほど効果が上がらない、全体の割合から見ていくと、そういうふうに考えられるわけでございますから、そういう意味では、どうも一般的な認識として大蔵省見解には私は疑問を持たざるを得ない、こう考えておるわけでございますし、さらには道路そのものが、これは私どもが何回も建設委員会で申し上げておることでございますけれども、単に陸上交通というものが処理されるということだけにとどまらないはずでございますね。  申し上げるまでもなく道路というものがあるために、つまり全国津々浦々まで人の交流、物の交流、移動、こういうものが可能になってまいりますし、特に都市におきます道路というものは、交通のみならず、われわれの家庭に配給をされますガス、水道、電気、こういうものの施設がいわば道路に埋設されておる。道路を利用して、そういうことが行われ、われわれの生活を支えておる、こういうことでございますし、さらには一たん事故が起こった場合、災害が起こった場合、大火災が起こった場合、こういうときには都市内の道路というものは防災空間としての役割りを非常に高く実は、しておるわけでございまして、人命救助にも大変な役立ちをしておるわけでございます。  これはちなみに大正時代にありました江戸の大震災ですか、このときのデータを詳細に調べてまいりましても、道路によって火災の延焼が防がれた、この率が一番高いんですね。いかに消防が一生懸命になってやりましても延焼はなかなか防ぎ切れない。よほどの大火災になりますと、いわば都市空間による道路による延焼防止ということにも大変な役割りを果たしておる。そのような社会的貢献を見ますと、単に交通状態だけをながめて、そして道路はもういいんだというような議論が実は間々なされてしまう。この辺では、私ども建設委員会でございますから、いつも意見を一致して、そうではないんだという委員会見解等で議論がなされますけれども、どうも一般的に、そういうような理解がまだまだ足らないんではないであろうか。  さらに諸外国と比較をしたわが国の道路整備、このもの自身も大変に低いということは、これも毎回申し上げておる事実でございまして、そのような現状を踏まえて見てまいりますと、毎々新聞にあらわれてまいります投書やら、あるいは大蔵省首悩等が税制の立場から考えていらっしゃるような、その事柄とは、やはり私どもの認識とは大変違う、こういう気がしてならないわけでございます。  そこで私は、道路の効用については建設省もう少し理解をさせるといいますかPRをする必要があるんではないだろうか、こう考えておりますが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  116. 山根孟

    ○山根政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘の道路の持っております機能、交通のみならず、いろいろな機能を持っておりますことは御指摘のとおりでありまして、また、とりわけ公共空間としての役割りが大変大きいわけであります。ただ、そういった点の道路に対する理解という点につきまして私どもは、もっと国民一般の方々の理解を求める努力が確かに不足しているという点は事実でございます。そういった点は私ども最善の努力を尽くしたいと思っておるわけであります。  いまエネルギーの観点から、じゃ一体どう道路をとらえてまいるかという点についても、私ども積極的に私ども考え方を、PRと申しますか申し述べなければならぬであろうという気持ちも一方ではあるわけであります。そういった観点からいたしますと、大きく申し上げまして二つの観点があろうかと考えておるわけであります。  その第一は渋滞の解消の問題でございます。つまり、たとえば東京都内におきます小型乗用車によります調査によりますと、スピードにいたしまして毎時五十から七十キロメートルぐらいのスピードというのが、実は燃料消費量から見て一番効率的なスピードでありますが、現実は時速二十キロ以下、交差点があるところの渋滞など、これが五十キロというスピードに仮に上がるといたしますと、約三〇%の燃料が節約されることになるといったような調査結果があるわけであります。  第二は舗装化による省エネルギー、こういった点があるわけでありまして、砂利道から舗装道ということになることによりまして約二五%の燃料消費が図られる、こういった事実があるわけでありまして、こういった観点からの道路整備というものの意義、エネルギーという観点からは、そういうようなとらえ方ができようか。こういった観点から第八次道路整備五カ年計画によります道路整備が行われるといたしますと、年間約三百七十万キロリットル程度の節約が可能になりまして五十二年度の自動車による燃料消費量の約八%程度が節減されるものではなかろうか、こういう試算をいたしておるわけであります。  具体の道路整備それぞれについて、いろいろな施策があるわけでございまして、これらにつきましても鋭意進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  117. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 建設行政というものは、やはり国家百年の大計を樹立するという将来の希望を十分に考えながら行っていかなければいけないであろう。目先だけの問題ではなくて、たとえばイギリスあたりは、いろいろなニュータウンを試みにつくって、それは立体交差であったり平面交差のないニュータウンをつくってみたり、あるいは歩車道完全分離をしたニュータウンをつくって、いろいろ検討してみたり、将来に向かっての積極的な施策が行われておりますね。ところが一方、日本では、住宅公団おりませんけれども、十年一日のごとくマッチ箱のような公団住宅が立ち並んでおる。そこには何ら新鮮味もない。こういうのが実情でございまして、果たして国家百年の大計を頭に描きながら、おやりになっているかどうかに大変に疑問を持たざるを得ない。  一遍スウェーデンでも行って、いろいろごらんになってくるといいと思いますが、スウェーデンは非常に勇気のある実験国家ではないか。確かに新しいものを開発していこうとしますには、いろいろな抵抗がございますし、また、いろいろな問題も出てまいります。ところが、それに勇気を持って取り組んでおる、こういう姿勢が実は、ありありと見れるわけでございます。残念ながら日本は、どうも、そうではないようでございまして、まねすることはうまいから、よそがいいと言ったら、あわててまねをするという風潮でございますけれども、それでは日本は世界の孤児になってしまうというおそれもあるわけでございますから、ある程度の危険も覚悟しながら将来に向かっての新しい方向を模索をしていくという努力、これが私は必要ではないかというふうに考えております。どうか建設行政、これから、そういうような方向を十分に考えながら行っていただきますように要望いたしまして質問を終わります。
  118. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、来る六日水曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十八分散会