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1979-02-28 第87回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月二十八日(水曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 登坂重次郎君 理事 中山 正暉君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上  泉君    理事 中村  茂君 理事 北側 義一君    理事 渡辺 武三君       内海 英男君    大塚 雄司君       谷  洋一君    谷川 寛三君       塚田  徹君    中島  衛君       中村  靖君    西田  司君       伊賀 定盛君    福岡 義登君       吉原 米治君    渡部 行雄君       瀬野栄次郎君    松本 忠助君       中井  洽君    瀬崎 博義君       川合  武君  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 中野 四郎君  出席政府委員         国土政務次官  保岡 興治君         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁地方振興         局長      佐藤 順一君         建設政務次官  渡辺 紘三君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 丸山 良仁君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 稲田  裕君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  委員外出席者         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澤田 光英君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    栂野 康行君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     坂口  力君   瀬崎 博義君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   坂口  力君     瀬野栄次郎君   寺前  巖君     瀬崎 博義君 同月二十八日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     広沢 直樹君 同日  辞任         補欠選任   広沢 直樹君     瀬野栄次郎君     ————————————— 二月二十六日  住宅公団の家賃値上げ問題に関する請願(伊藤  公介紹介)(第一二六三号)  同(吉原米治紹介)(第一三一八号)  公営住宅法の改正に関する請願枝村要作君紹  介)(第一二九五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣提出第一四  号)  特定市街化区域農地固定資産税の課税の適正  化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一五号)  奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復  興特別措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君日本住宅公団理事澤田光英君、日本住宅公団理事有賀虎之進君、日本道路公団総裁高橋国一郎君及び水資源開発公団理事栂野康行君に御出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 国土庁長官あるいは建設大臣、新しく大臣になられて、それぞれいろいろな抱負を持って、それぞれの省庁でがんばっておられると思うわけですが、まず私は、建設省官房長国土庁官房長それぞれから御答弁を願いたいのは、新大臣になられて何か変わったことがあるのかどうか、まず建設省官房長から。
  6. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 大臣就任以来、われわれ御指導を賜りながら建設行政推進に努めておるところでございます。  先般、当委員会におきまして大臣から御答弁ございましたように、建設省所管事業はすべて国民生活に最も密接に関連する仕事ばかりでございますので、大臣は、その仕事重要性を御認識されまして人間中心建設行政を進めるということをおっしゃっておるわけでございます。五十四年度予算におきましても、特に住宅宅地対策、また公共事業につきましては全般にわたって計画的な施行を図りながら、国民生活に最も密接に関連をする下水道、公園、あるいは道路の中でも市町村道とか街路等に重点を置いて予算編成に当たるべきことを指示され、そのとおりの予算ができたわけでございます。われわれといたしましては、大臣のそういう人間中心というお考えを受けまして建設行政推進に当たる考えでございます。
  7. 河野正三

    河野(正)政府委員 お答えいたします。  大臣就任以来、その豊富な御経験に基づきまして、特に庶民的な感覚をもって官僚的発想を排するという立場から大変御指導を賜っているところでございます。土地問題あるいは田園都市あるいは定住圏構想等につきましても漸次、大臣の色合いが施策の中に時々刻々と入ってきておりますが、今後これを大いに具体化していくのがわれわれの責務かと考えております。
  8. 井上泉

    井上(泉)委員 別に理屈を言うわけではないですけれども大臣がかわっても変わりばえのないというのが、いままでの閣僚の入れかえで、変わりばえがあるはずもないと思うわけでありますけれども、まあ自民党の閣僚である限り、そう変わるわけはないと思うのですけれども、特に人間中心考え方基本に置いたということは、いままでの建設行政というのが、ややもすれば人間疎外の、人間犠牲の、そういう点についても余り考慮をされていなかったということを裏づけした立場だと思うわけで、そういう点で、建設大臣人間中心考え方というものは歓迎をする態度だと思うのですが、人間中心考え方であるならば、たとえば先般、東京の荒川でしたか、河川管理の不十分のために堤防が決壊されて何十戸の家が大きな被害を受け、それに対する訴訟を提起して、そうして、その訴訟住民側要求が認められたわけですが、その認められたことに対して建設大臣が、建設省控訴するというような話を聞いたわけですが、一体、人間中心建設行政考え方からすれば、これは相反した考え方じゃないか、矛盾しておるじゃないか、そう思うわけですが、これは官房長見解を先に聞いておきたいと思います。
  9. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 多摩川水害事故というものは非常に痛ましい事故でございまして、建設省としては、その復旧に全力を傾注してまいったところでございます。被害を受けられた方々に対しては、まことにお気の毒でございますが、事は裁判上の法律判断の問題でございまして、法律判断の問題といたしまして河川管理責任限界はどこにあるのか。河川のような自然を相手とする自然公物道路のような人工公物と、その法律的な関係において違うのではないか。その判決が示しておる法律判断は今後の河川管理無限責任を負わすものである。ある意味では正当な限定責任というものもあっていいのではないかということで、上級審法律判断を求めることにいたしたわけでございます。
  10. 井上泉

    井上(泉)委員 河川管理の面から言うても、河川管理が十分であったら、こういう災害は起こってなかったということは事実でしょう。
  11. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 河川予算が非常に潤沢でございまして、すべての河川に同時に完成できるような予算が組まれるような財政状況にございますれば、先生のおっしゃるようなことであろうと思いますけれども、やはり、わが国の河川は非常に急流河川も多く、河川の数も多いわけでございまして、その重要度に応じて計画に従い、あるいは毎年度の予算に従って実施をしているわけでございますので、残念ながら、すべての河川を完全な状態に置いておくことができない状態でございます。なお今後、今度の新経済七カ年計画におきましては治水事業のシェアを大幅にアップいたしまして、河川管理の十全を期するように努力をいたしておりますが、残念ながら現状では、そういう状態でございます。
  12. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことは、河川管理が金がなかったから十分できなかった、こういうことであって、河川管理を十分しておったら、こうした被害は受けなくて済んだ、こういうことを裏づけする、いまの官房長見解であるわけですし、まあ私もそうだと思います。そうである限りにおいては、なおさらのこと、金がなかったから、おまえのところは、あそこの堤防はやれなかった、あそこの管理防災はできなかったということで国民犠牲を背負わすということは、やはり国として、あるべきことではないと思うわけですが、これは国土保全の見地から、庶民的感覚を持って政治に取り組んでおられるという国土庁長官、これに対する見解はどうですか。
  13. 河野正三

    河野(正)政府委員 建設省所管河川管理及びこれに関連する多摩川訴訟問題につきましては、国土庁所管ではございませんので、長官としての御感覚は出ないかと思いますが、国土庁所管行政に関しまして庶民的感覚あるいは官僚的発想を排するということを二点申し上げましたが、これらに関しましては、災害対策の問題あるいは大都市としての東京の首都問題をどうするか等々につきましても大臣から別途特命をいろいろ、われわれ受けておりまして現在、検討中でございますが、漸次、中野長官らしい行政の展開をわれわれ図れるものと考えております。
  14. 井上泉

    井上(泉)委員 私の質問に対する答弁とは受けとめがたい御見解です。私は、国土保全ということで日本の一億国民が住みやすい地域をつくる、国土をつくる、こういうことが国土庁の設置の大きな目的だ、こう思うわけです。だから建設省所管であろうとなかろうと、やはり一億の国民が、住みやすい地域でないところに住みやすい地域をつくるための建設行政の立ちおくれから大きな被害を受けたこと、そのことを裁判所も認めて住民の訴えを支持したわけです。だから、国土保全の面において手抜かりがあるということを表明をしたものなわけで、これは官房長のいわゆる官僚的なという言葉がどうかわかりませんけれども河川管理予算がなかったからやれなかったんだから、そのことで河川管理責任を追及されても困ると言われるけれども被害を受けた住民立場に立つと、これはやり切れない気持ちになるわけです。そうしたことは全国河川に全部問題があったというわけではないし、問題の提起をしたところは必ずと言ってよいほど負けておるのだから、建設大臣、ひとつそうした訴訟を行うということは、もう取り下げたらどうですか。
  15. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 被害を受けられました住民に対しまして完全なる措置ができておるかどうか、またあの当時どのような措置をしたかということも十分聞かしていただきました。幸い、あそこから立ち退かれると言われる方も少なくて、直ちにあの土地を回復いたしまして、現状維持にして家も建てておられる。その点については建設省としても住民方々に万全の措置をしたということも聞かされました。また今回の訴訟控訴はいたしましたが、裁判所の示す額は仮処分という形でお支払いに支障のないように、被害者の方には全部一応の処分としてお支払いもいたしております。  私は、いま言われました井上委員のお気持ちは十分わかるのでございますが、あの判決文を私も二回、三回にわたって読ましていただいたのですが、裁判官の意見の中で、いま官房長も述べましたように、自然公物であるところの河川、それと人的公物である道路、その管理責任を同レベルに置いて、責任限界を超えたような過酷な責任をあの判決文の中に書いておられるという姿に対しては、今後の河川管理のこともございますので控訴いたしまして、その点は主張させていただき、なお裁判所意見をお聞きしたい。こういう意味にほかならないのでございます。住民皆様方にはまことに申しわけないと思いましたが、できるだけの気持ちをよく御承知願いました上で控訴をさせていただいて、管理責任裁判所の面におきましても、いま一度御検討願いたい、こういう意味控訴させていただいたのでございまして、御了解をお願いいたしたいと思っております。
  16. 井上泉

    井上(泉)委員 裁判所の決定が仮処分つきであるから、それはもうすでに支払いをしておるということは、これは控訴審で争っても負ける要素というものが、このこと自体からも推測できるわけです。いま大臣は、そのことよりも自然公物に対する災害責任を負わなければいかぬかどうかということについての裁判所見解をただす意味控訴した、こういうふうに言われるわけですが、いま日本の、ここ五、六年の間に、こうした河川防災工事のおくれのために起こったと称せられる——これは建設省側にすれば、おくれとは言わないかもしれないけれども、こういう紛争個所というか訴訟ざたというものは随所にあると思うわけですが、その主なところを二、三カ所挙げて、どういう状態になっておるのか、これは河川局長から御答弁願いたいと思います。
  17. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ただいま水害関係訴訟係争中のものが全国で四十三件ございます。その中で一番有名なのは加治川訴訟と大阪の大東の訴訟でございます。この両件につきましても、やはり基本的には、いま大臣が御説明しましたように河川管理責任限界というのが一番大きな課題として争われております。加治川訴訟等につきましては今回の判決と違いまして、河川管理というものにつきましては道路等人工公物と違いますので、河川の生成の由来からいきましても、自然的にはんらんの危険のあるものを逐次改修によりまして安全にしていくというふうなことで安全度を高めるというのが本来の河川工事のやり方でございます。そういう点と並びに私ども考えますのは、河川相手としますものが降雨、洪水というものでございまして、相手天然現象でございます。したがいまして、これを道路のように危険が内在するからといって交通遮断等で安易に回避する手段を持たないわけでございます。そういうふうに自然公物で自然を相手にするという特殊性から考えまして、河川におきましては道路のような絶対責任でなしに、ある程度、限定された責任しか課すことができないのじゃなかろうかというふうな判断も若干あるわけでございます。今回の多摩川判決の中身といたしましては、これに対して道路と何ら異なることのないような責任を課せられるかのごとき判決でございますので、この点に関しましては控訴しまして上級審判断を得たいというので控訴したわけでございます。
  18. 井上泉

    井上(泉)委員 上告して裁判所判断を仰ぎたいというようなことを考え裁判所に問題を転嫁するというのではなしに、災害というものは大半が天然現象です。これは火事とかいうような場合には、きょうも北九州市で火災があったのですが、自分のところから火を出したのでなくて他の家の火災が移るというふうな場合がある。そういう災害自然現象から起こってくる災害、そういうものを防いで住民に安心できる生活環境を保障する、それが国の行政責任ではないかと思うわけです。防災関係災害復旧というようなことは国土庁がよくやっておるのですけれども、そういう自然現象から生ずる災害から国民を守るというのは、やはり建設省国土庁のそれぞれの責任だと思うわけです。責任であるし、任務の最たるものだと思うわけですが、それを任務のごく一部とお考えになっておるのでしょうか、私は国土庁長官の御見解を承りたいと思うのです。
  19. 河野正三

    河野(正)政府委員 御承知のように災害対策基本法基本精神は、災害に対する防除あるいは応急の対策住民さらに地方公共団体にあることを前提といたしております。そのことが一番端的にあらわれましたのが昨年制定いただきました大規模地震対策特別措置法でございまして、これは自然現象でございますが、この法律の中には明確に住民責務地元公共団体責務、国の責務ということが分かれて書かれておりまして、すべての自然現象に基づく災害が全部、国の政治行政責任だという前提に立ちますと、日本列島はモザイクのような列島でございまして、また御承知のように自然現象が厳しく襲いかかる国土でございますので、なかなか、そこまでは行政政治責任を明確に受け持っていくということが現実には適当でないというふうに考えております。いろいろな法律体系もそうだと思います。さればと申しまして、でき得る限りのこれに対する防除あるいは事前予防ないしは現実に起きましたときの復旧ということに努めることはもちろんでございます。  以上、簡単でございますが……。
  20. 井上泉

    井上(泉)委員 これに時間をとっておったらあれですが防災というものは何のためにあるかということは、自然現象から生ずる災害から国民を守るというのが私は防災だと思うわけです。防災が全部に行き渡らなかったら、災害を受けた者に対して一々国の責任というのではなしに、可能な限りの——たとえは、いま河川係争地域が四十三件もあるということですけれども、この四十三件のうち、たとえば私の高知県の鏡川、あの流域の住民訴訟を起こしておるのですけれども、いまは、おかげで非常にみごとな復旧がなされたわけですが、ああいう工事がなされておったならば、あれだけの雨で災害が起こることは、住民被害を受けることはなかったと思うのです。だからこそ復旧防災工事というものをやっておられるわけです。それを住民訴訟しておるからといって、鏡川訴訟についてもまた仮に判決が下った場合に、建設省が気に入らなかったら控訴するか、こういうことになるわけですが、鏡川訴訟はどういうふうになっておるのですか。
  21. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 鏡川訴訟につきましては、現在まだ公判中でございまして、私どもとしては、その考え方といたしましては自然公物論責任限界というものに主張を置いておきまして、これから裁判所判断を仰ぐという形でございまして、まだ内容については申し述べるような事態ではありません。
  22. 井上泉

    井上(泉)委員 自然公物災害、こういうことでありますけれども防災というものは、建設行政あるいは国土庁国土保全という点から災害復旧関係等についても、住民に暮らしよい生活環境をつくるということを言われておる中でも、安心をして住める、こういう地域というものに国土をしていくことが大事なことではないかと思うわけです。  そこで、これは官房長に問うておるのではないのですから、政治経験の豊かな国土庁長官に御答弁を願いたいと思うわけですが、庶民的感覚を持ったあなたの国土庁に対する行政が漸次しみ込んでおる、こう言いますけれども、二年も三年も長官がやられるということなら、その成果というものは見えるわけですが、やはり今日せっかく国土庁長官就任をされたのですが、いままでの三全総の中で定住圏構想ということをよく言われるのです。その定住圏構想発想が何を背景として生まれたのか、そのことについて大臣就任以前にこの構想は出されておったのでありまするから、定住圏構想については取り組んでこられたと思うわけですが、どういう見解を持っておられるでしょう。
  23. 中野四郎

    中野国務大臣 定住構想について、自然環境あるいは生活環境産業環境というようなことを申し上げるよりも、そのねらいとするところは、地域社会づくりでございまして、住民一人一人の自発的な創意を基盤としまして、地方公共団体が主体的にその役割りを努めつつ、その地域の特性を生かして総合的に居住環境を整備していくというのが基本でありまして、国民としても、地方公共団体中心となってやりますものに対して、地方意見中心として、この構想を実現していく方向に進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 井上泉

    井上(泉)委員 その定住圏構想が、いま構想の段階であるわけですが、これが実際具体化されて、住民が、ここはりっぱな快適な生活環境であるよという、いわゆる定住圏というものが仕上がるのは、大体いつをめどにしておるのですか。
  25. 福島量一

    福島政府委員 お答えいたします。  先生承知のように、三全総では広域的な新しい生活圏として定住圏というものを提唱しておるわけですが、三全総では全国におよそ二百ないし三百程度の圏域の形成が行われるであろうという想定をしておるわけでございます。  いまお話の中にもございましたように、定住圏目的と申しますのは、生活領域の拡大と申しますか広域化に伴いまして新しい住みよい地域づくりをやっていくためには、従来の市町村圏域を越えた広い形のところで、各般の施策を調整し、総合的に実施していく必要があるという認識から考えられたものでございますが、いわゆる総合的居住環境の整備ということになりますと、それぞれ地域の事情もございますし、また、その課題もきわめて広範多岐にわたるものでございますから、容易にはこれを達成することができない。一朝一夕にはとてもまいるものではございませんし、見方を非常に超長期にとりますと、国家百年の計でもあるということにもなろうかと思います。順次その地域の実情に応じて事業施策の積み上げを図りながら、望ましい環境をつくっていくということでございまして、何年ごろまでとか、いつまでとかいう時期の目標、ターゲットは特に予定してはございません。
  26. 井上泉

    井上(泉)委員 その時期の目標が定まっていないということは、結局、定住圏構想として指定をした地域で、その計画ができ上がって青写真を示すことはまずない、とにかく順次、こういうことですから。ただ指定したからということによって何があるか。地域開発予算の配り方を見ましても、たとえば農林水産省や水産庁高知県に配分をされた関係のを見ても一億と、こう言うて出ておる。ところが一億と出ておっても、それなら農林省が七百九十二万、水産庁が五千四百万、その水産庁の五千四百万は海中牧場をつくったりいろいろなということで、別にこれは三全総と関係のない予算。それから、あるいは通産省の工業基地等開発調査費にしても、何か住民に対して一つのごまかし的幻想を与えて、さぞ豊かな地域環境がつくられて、そうして都会の過密人口状態の中から地方の豊かな地域づくりができるかのごとき幻想を振りまいておるわけで、それは国民に夢を与えなきゃいかぬと言えばそれまでですけれども、その夢が、国家百年の計というように百年先やら二百年先になるやらわからぬような、そういうことで、この定住圏構想だとかいうことを余り過大に宣伝をしてやるということは、かえって行政がそういう夢を与えることによって逃げておる、私はこういうように思うわけですが、この点について、これはやはり所管大臣としては、この定住圏構想というもののあるべき姿といいますか、将来像というものについて何か希望を持っておるのですか。
  27. 中野四郎

    中野国務大臣 無期限にというのではないのでありまして、おおむね十年ぐらいを目途といたしまして、このことの具体的実現を図ろう、こういうたてまえで、このような見地から今般、関係十六省庁からなる定住構想推進連絡会議を設置いたしました。政府としましても推進体制をどんどんと整えるということが大事でありまするから、来年度から新たにモデル定住圏の整備をば政府一体となって推進することとしております。国土庁としても今後とも関係省庁間の緊密な連絡調整を図りながら定住構想の具体化に鋭意取り組んでまいりたい、かような考えでおる次第でございます。
  28. 井上泉

    井上(泉)委員 これは定住圏構想についての予算が三億計上されておるわけですが、この金を全部、選ばれた地域に配賦するのについては、どういうふうなことが目安になって、基準にして、この三億円の金は配分されるのですか。
  29. 福島量一

    福島政府委員 先生お尋ねの三億円の予算の額は、定住構想推進調査費のことでございましょうか。定住構想推進調査費でございますと、これは必ずしも、いま大臣が申し上げましたモデル定住圏地域に配分するということが前提になっておるものではございませんで、先ほど大臣から申し上げましたような定住構想を今後、具体化していくについての各般の調査にこれを充てるという趣旨のものでございまして、当該地域にそれぞれ、その三億の中からの幾ばくかが振り向けられるという性格のものではないというふうにわれわれは考えております。
  30. 井上泉

    井上(泉)委員 そうなると、その定住圏構想の、たとえば高知県なら高知県で、ある地域を指定をして、それで国土庁にそれを上申をしてくる。そうすると国土庁は、その地域を指定するということになるのでしょうけれども、そうなった場合の、そういうふうな地域定住圏構想を進めるための調査研究とか、それに基づく具体的な事業とかいうようなものは、これは地方自治体でつくるのですか、それとも国土庁の方でつくるのですか。
  31. 福島量一

    福島政府委員 先生のお尋ねはモデル定住圏に関してのことだと思いますが、モデル定住圏圏域をどのように選ぶかということにつきましては、これは各県知事が関係市町村長と協議して決めてもらうということにしておりまして、その決めたものを国の承認を得るとか、そういうことではございません。ただ、その決めた後で定住圏計画をつくっていただくわけでございますが、それに関連しまして地方定住圏計画策定費補助といたしまして地方振興局に二億二千五百万円の経費が計上されておりまして、それが各県に調査計画のための補助金として出ます。と同時に一方、この県、市町村計画づくりに関連いたしまして国側としても先ほど大臣が申し上げましたような政府一体としてこれを支援するという観点から、中央省庁の関係の向きで、それぞれ、その地域についての必要な調査を行い、地方から求められれば助言等を行うということで国側の調査を行う。その場合に、先ほど御指摘になりました三億円の一部を使うことが必要となることになるではないかということで、いま部内で検討を行っておる段階でございます。そういった意味では、先ほどの三億円の予算というものは、いま御指摘のモデル定住圏調査に関連した性格を持っておるということは、そのとおりでございます。
  32. 井上泉

    井上(泉)委員 それならモデル定住圏とかというのを知事が指定する場合にも、皆それぞれの自治体は、おれのところの町へもできてくれ、おれのところの市へもできてくれという、こういうようななにで、知事が、その地域政治的支配をするための一つの手段として使われる、使おうとしておる要素というものがあるし、あるいは国にしても、やはりその地域を指定することに対して下から、そういう府県にその責任を持たして選定をさせてくるということは、国としても責任を回避するやり方だ、こう思うわけで、そういう点で私は、この定住圏構想というものが本当に地についたものになるとは考えられないわけでありますが、それはできぬ先にだめだと言うのも酷でありますので、定住圏構想がどういうふうに具体化していくのか。少なくともいまの大臣のときに、私は、この定住圏構想の青写真ぐらいはつくるべきだと思うのですが、大臣、そのお気持ちはあるのですか。
  33. 中野四郎

    中野国務大臣 責任を回避するということはもう全然あり得ないのでありまして、先ほども申し上げましたように、そもそも住民一人一人の自発的な総意を基盤としておる。地方中心といたしますから、これから盛り上がってくるものをとらえて、そこに初めて物を顕現していく、こういう考え方でおります。無論この職におりまする限りにおきましては、私の在任中に何らかのめどを明確につけていかなければならぬ、かような決意でおることでございます。
  34. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、各地方で四国地方開発審議会だとか、あるいは九州地方だとか、日本列島全部の地域に開発審議会というのがあるわけですが、先般、四国地方開発促進計画というのが四国地方開発審議会で案がまとまって計画ができ上がっておるわけです。この計画を見れば非常にりっぱで、こういうふうになれば災害もないようになるし、水の不足に困ることもないし、交通状態も緩和されてくるし、本当に住みやすい楽土日本、楽土四国になるわけですが、こうした四国地方開発促進計画とかいうようなものは政府の中で、どう位置づけられておるのか、この点、国土庁の方から御答弁願いたいと思います。
  35. 佐藤順一

    ○佐藤(順)政府委員 お答えいたします。  ただいまお尋ねのありました各地方にわたります地方開発促進計画につきましては、それぞれの地方開発の促進法という法律に基づきまして、それぞれの地域につきましてございます各地方開発審議会、この議を経まして内閣総理大臣がこの計画を定める、そうして政府が一体としてこれを推進していく、こういう体制になっておるわけでございます。そのために一方におきましては原案作成の段階におきまして、できる限り地方の各府県を中心といたします意見をくみ取りまして、そしてまた関係省庁とも連絡調整をいたしまして、その後で、ただいま申し上げました審議会にお諮りをする。審議会の議を経ましたものにつきまして、やがて政府といたしまして正式に決定をする。このような過程を経ましたものでありますだけに、政府におきましては関係各省庁が緊密な連絡をとりながら一体となりまして、できる限り計画の実現について配慮をしてまいる、こういう取り組みでございます。
  36. 井上泉

    井上(泉)委員 この三全総と、それから四国地方開発促進計画あるいは九州地方開発促進計画、こういうようなものはやはり相互に関連のあるものであるはずですが、それが政治的な責任といいますか、せっかく、こうやって答申をしたということの政治的な責任というものは、これはやはり政府が持って、推進をするというたてまえになっておるのですか。それとも、ただ作文をつくっただけで、いやあれもやった、これは開発促進計画に沿ってあの道路もやったというような、普通一般にやっておる行政行為が、そのまま促進計画の中の一部だというような考え方で処理をするのとは違うのですか。
  37. 中野四郎

    中野国務大臣 去る二十三日でございましたか、四国地方の開発審議会から四国地方開発促進計画案を妥当と認める旨の報告が内閣総理大臣あてにされました。無論これは計画だけでなく、諮問を出し、そして諮問案が決定され総理大臣がこれを受諾いたしました限りにおいては政府の責任において、これをきわめて早い機会に計画を決定して、そうして活力のある豊かな四国を実現するために関係庁全部が協力しまして、その実施のために極力配意をし実現を図る決意でおることを申し述べます。
  38. 井上泉

    井上(泉)委員 官僚のこうした作文といいますか、こういう作文と、それから多くの政治家の国民に言われる言葉は非常にいいことばかりですけれども現実がよくないわけだから、この現実を直視をして私は国土庁行政というものを進めていただきたいと思うわけであります。  長官は参議院の関係もあるそうですから長官に対する質問はまた次の機会にして、参議院の方へ行かれて結構です。  そこで建設大臣に、これは時間がなくなって非常に残念ですが、建設省の主たる任務公共事業関係というものが建設省の大きな柱ですが、最近、建設資材の非常な値上がり、不足、こういうようなものが工事の施行に大きな影響を与えておるわけですが、これに対する対策というものは十分立てられて進めておるのかどうか、その点ひとつ、しかるべき者から答弁願いたい。
  39. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 いま先生おっしゃいますように、公共事業の円滑な執行を図るためには資材の確保が最重点だと考えられるわけでございます。そのため建設省といたしましては、各地方建設ごとに通産省とか農林省とか、あるいは県とかに入っていただきまして公共事業の執行対策地方協議会、こういうものをつくりまして、そこで地域ごと、四半期ごとの資材の需要動向の把握に努めておるわけでございまして、その結果、最近いろいろの事情がございまして資材の一部に値上がりが出ておるわけでございますけれども、資材が不足をして公共事業ができないというような事態には幸いなっていないわけでございます。  なお今後とも関係省庁と密接な連絡をとりまして、資材の安定的確保あるいは不当な価格のつり上げ等がないような監視を強めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  40. 井上泉

    井上(泉)委員 いま現実に値上がりがされておる。これは、たとえば砂利の場合にしても積載制限の関係もあって自動車不足、運賃の高騰、こういうようなものが出ておるということは御認識しておられるでしょうか。
  41. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 それはおっしゃるとおりでございまして、昨年末までは資材の価格は比較的安定していたわけでございますが、年末以来、過積載の問題あるいは海外要因による原料高等が影響いたしまして、製材であるとか小形棒鋼であるとか骨材の一部に値上がり傾向が見られているわけでございます。しかしながら今後、海外市況がどうなるか、あるいは原油の確保がどうなるかというような非常に不確定な要因もあるわけでございますが、過積載規制による値上がりというものは一時的なものでございまして、今後とも、いままでのような傾向が続くとは、われわれは考えていないわけでございます。  なお、これらの対策につきましては、たとえば値上がりしたものにつきましては速やかに発注単価に反映するとか、あるいは便乗値上げは先ほども申しましたように厳重に監視していくとかというような措置は慎重にとってまいりたいと考えておるわけでございます。
  42. 井上泉

    井上(泉)委員 前の石油ショックのときでも、いまと同じような答弁がよくなされるわけでありますけれども、末端においては過積載による価格の値上がりというものは一時的ではなしに恒常化するわけです。大体八トン車に二十トンも積むということは間違いだから二十トン積むのを八トンにしてやれば、勢い運賃単価というものは非常に値上がりしていくわけですから、これは一時的でなしに、いまの運賃の値上がりというものは恒常化するわけでありますので、そうした点についての建設省の配慮、対策というものが立てられておるかどうか、そういうことに非常に疑問を持つので、あえて質問をしたわけであります。  公共事業のそういう資材関係、けさも一〇二か何かでやられていたのですけれども、合板なんかも、この三年くらい前には不況で困っておった。ところが公共事業の伸びによって企業が活気を呈すると同時に値段というものも上がってきた。こう上がってきて、いわば不足の状態になってきておるということも言われておるわけですが、そういうようなものを一番もろに受けるのは、建設事業をやっておるものでも大手の建設業になりますと大口契約の中でやるわけで、やはり中小建設業がこうした資材の高騰等については一番被害を受けるわけです。そういう面についての対策というものを十分考慮していただきたいと私は思うわけです。  そこで関連をして言うわけですけれども、最近、大手の建設業が地方公共団体仕事にまで、いろんな手だてを使って入ってきておるわけで、勢い地方の建設業としては大手との競争の中で受注の機会というものが狭められておる、こういう現象があるわけですが、具体的に中小建設業の振興というか受注の機会を確保するということについて、建設省としては従前どおりの政策であるのか、あるいは今年度はちょっと変わったことを考えておるのかどうか。その点ひとつ計画局長から御答弁願いたいと思います。
  43. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 先生、御案内のように、建設省としては毎年予算の執行に当たりまして、地方建設局のみならず関係公団、都道府県、また都道府県を通じて市町村に対しまして、中小企業の受注機会の確保について通達をいたしておるところでございます。その中身は御存じだと思いますが発注標準の遵守、分割発注の推進、共同請負の実施、この三本を骨格といたしておりまして、中小企業への受注機会が確保されるように努力をいたしておるところでございます。  なお、官公需についての中小企業の受注機会の確保に関する法律というものがございまして、毎年度、中小企業の受注の目標率というものを定めております。ちなみに昭和五十三年度におきましては目標を四四・六%と、直轄工事の場合でございますが定めておりますが、上半期の実績を見ますと四六・四%でございます。なお、この目標率は毎年かさ上げをしてまいりまして、五十一年が四二・七%でございましたが、五十三年度は先ほど申し上げましたように四四・六%でございます。なお従来どおり強力に、この方針を実施してまいるつもりでございます。
  44. 井上泉

    井上(泉)委員 官房長すらすらと答弁をされるのですけれども、大体そういうふうにすらすらといっていないのですから、あなたの頭でとらえておるのと現場の実態は非常に違うので、その辺については、なおひとつ、あなたがすらすらと答弁されたことが現場においても実行のされるように、果たして実行されておるかどうか一遍調査もされるように、そのことを要望しておきたいと思います。  その次は水問題ですが、水問題は期せずして建設大臣国土庁長官も、昨年の渇水にかんがみて、こういうことで出ておるわけです。昨年は建設大臣国土庁長官も兼務をしておったわけですが、そういう中で国土庁の水対策あるいは建設省の水対策、いずれも渇水からかんがみて、こういうことになっておるわけです。渇水から受ける被害というものをなくするために水対策というものは必要であるという立場において、それぞれの省が検討されておると思うわけですが、この点について相互の省庁において違いというものがあるわけです。そういう違いというものの中で、有効な水資源の活用ということを考えた場合に、そういう渇水に悩まないためには、どういうふうな対策を今年度は特に取り上げておるのかどうか。それぞれの省庁、建設省あるいは国土庁予算的に、その対策の説明を受けたいと思います。
  45. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 水資源の問題でございますが、先生御案内のように水資源の開発施設のダム等につきましては、いずれにしましても調査段階から建設段階まで相当長期間を要するものでございます。したがいまして、その長期の見通しに立ちまして計画的に施行しなければならないというのが一番基本ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  それで全体的な見通しでございますが、去年の八月に国土庁の方で、昭和七十五年、六十五年等の需要見通し並びにそれらに対する供給等につきまして検討されたわけでございます。私どもとしましては、その基本的な見通しを受けまして、去年の十一月に今後六十五年までの開発のめど等につきまして検討をいたしたわけでございます。  六十五年までに国土庁の方の試算で年間約千百四十五億トンの水需要が必要であろうというふうな見通しがなされております。それに対応しまして、これらの供給の中で河川から供給の必要があろうというものが二百九十億トン程度というふうに推計いたしておるわけでございますが、その中で利水の単独並びに利水各省の開発等を考慮しまして、建設省としましては治水とともに多目的ダム等で開発しなければならない量が約二百六十億トンというふうに考えております。これの開発に必要な各地域の施設計画につきまして検討いたしたわけでございますが、おおむね三百六十程度の施設をつくらなければならないというふうな見通しを得たわけでございます。  それにいたしましても、なお地域的には若干水需給の昭和六十五年に逼迫する地域があるわけでございますけれども、これらを計画的に実施をするというのが緊急の課題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、現在行っております治水事業五カ年計画におきましても計画的な促進を図るということで、現在まで促進を続けておるわけでございますけれども、来年度におきましても全般的な治水事業の中でダムにつきましては特に二四%の事業費を充てまして、これの促進を図ることといたしておるわけでございますが、しかしながら、この促進を図るためには一番重要なのはやはり水源地域対策ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。水源地域対策につきましては水特法等によりまして地域対策をやっておるわけでございますけれども、なお、その中でも特に水没住民の生活再建対策というものが一番緊急の課題であろうということで、来年度におきましては直轄ダムにつきまして生活再建対策費というのを新たに制度的に設けまして、特に水没者の方々の生活再建の問題につきまして重点的に配慮いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  なおまた、特に水需給の逼迫してまいることが予想されます三大都市圏とか北部九州等につきましては、経年貯留ダムと称しておるわけでございますけれども、洪水を経年的に貯留いたしまして渇水のときに使うというふうなダムにつきましても、その事業化を図るべく調査を来年度から実施いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 中野四郎

    中野国務大臣 建設省から、いまそれぞれの専門的立場について担当しておる点を申されましたが、国土庁は総合調整官庁として、今後とも、これらの行政を総合的に推進するように努めてまいりたい、かように考えております。
  47. 井上泉

    井上(泉)委員 水問題にしても、あるいは道路河川の問題、すべてが建設大臣の言う人間に関係したもので、あらゆるものが人間の生存に必要な諸要素を整えるための工事になるし、特に建設省国土庁は、いわば国民の生命、財産を守るという点からも非常に重要な使命を持っておるわけで、私が前段申し上げました裁判の問題、河川管理の手おくれのため——不十分とは言いません、手おくれと言います。手おくれのために不測の災害住民に大変な迷惑をかけたというような状態を繰り返すことのないように、現在の危険個所等については、いまの予算の中で、できるかどうかは知りませんけれども、少なくとも市街地に隣接をする河川あるいは市街地に流れ込む河川等についての防災といいますか安全対策というものは、これはもう十二分に、しかも早急に対処せねばならないと思うわけですが、その点については御心配ないでしょうか。その点ひとつ大臣見解を承っておきたいと思います。
  48. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 防災の問題が国の行政の重要なる責任であることは痛感をいたしております。このためには全力を挙げて、その事業に邁進しなければならない、これはもう御指摘のとおりでございまして、今度の五十四年度予算、また経済七カ年計画におきましても、この点に十分配意をし、十分とは言えませんけれども、できる限りの予算を乗せていただきますように努力いたした次第でございます。なお、この予算の実施に当たっても十分御意図の点を体して努力してまいりたい、このように考えております。
  49. 井上泉

    井上(泉)委員 私、最後に河川局長に。いま大臣の言われたことから考えて、いま都市に流れ込む河川について、改修工事を進めなかったならば、その地域は水浸しになる、あるいはまた流失をするという危険な個所などが相当あるんじゃないか。なければ結構ですけれども相当あるんじゃないかと思うわけですが、それらについての対策というものは事務当局では十分なされておるのか、その工事計画というものは十分なされておるのかどうか。そうならば、これは計画を立てて進めておったけれども、そこに災害が起こって家財道具が流夫した、あるいは財産、生命が失われたというようなことになっても、ある程度、責任というものは軽くなるわけですが、そういう点からも、そういう危険な個所、早くやっておかねばならないという地域については、その準備といいますか、対応がとられるように五十四年度予算の中でもされておるのかどうか、その点ひとつ河川局長にお尋ねして、私、質問を終わりたいと思います。
  50. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 都市周辺の河川並びに都市化の進展の著しい河川の改修でございますけれども、特に都市周辺につきましては五カ年計画の当初五十一年度におきまして、都市周辺の河川の改修というのが現在二六%程度でございます。それも暫定的な目標といたしまして時間雨量五十ミリに対応するというのをまず目標に置いてやっておる計画に対してでございまして、決して、まだまだ十分な状態とは申し上げる段階には至っておらぬわけでございますが、特に先生おっしゃいますように都市周辺におきましては、水源地域の宅地開発あるいはまた下流のはんらん原への住宅の進出というふうなことで、都市周辺の河川につきましては非常に危険が大きいわけでございます。  来年度につきましても、これらの対策につきましては特に重点的な配分をして事業の推進を図りたいというふうに考えておるわけでございますけれども、その中でも特に問題の河川につきましては、来年度の制度といたしまして総合治水対策の特定河川制度というのを設けまして、全般的な流域の開発並びに流域の開発の流動等とも兼ね合わせまして、さらにまた流域の保水、遊水機能等も維持しながら計画的な推進を図るということで、特定河川制度等も設けまして推進を図ることにいたしておるわけでございます。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  52. 伏木和雄

    伏木委員長 福岡義登君。
  53. 福岡義登

    ○福岡委員 ビル防災について、まず初めに質問したいと思います。  建設大臣の所信表明にビル防災の問題が述べられておるのでありますが、「技術的基準の検討及び対象建築物についての調査の結果」行政指導でやっていける見通しがついたので、そうしたい、こう述べられておるのですが、実は、この問題には経過がございまして、先日、同僚の中村議員からも質疑をしたところなんですが、衆参におきまして時の建設大臣が何回も、法案としてできるだけ早い機会に国会に提案をする、こういう言明なり約束をされておるわけであります。その約束事については何らここには書いていない。歴代の大臣がこういう約束をしたけれども、かくかくしかじかの理由で法案提案を断念して行政指導でやることにしたと、こう書いてあれば、事のよしあしは別にいたしまして筋は通るわけであります。一言あってしかるべきだというように思うのですが、その辺、建設大臣どう考えられますか。
  54. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 所信表明の中に結論だけを述べて前のことに触れていない、御指摘ごもっともでございまして、御指摘のとおりであると思います。この問題につきましては先般、当委員会でも述べさしていただいたのでございますが、実は私、この防災の発端となりました大阪における千日前のあの雑居ビルの火災のときに、自治大臣として消防責任者の立場から明くる日すぐ現地に参らしていただき、雑居ビルの姿等も、その後、視察してまいったという経験もございまして、この問題の成り行き、委員会ではございませんでしたが、注意を払っておったのでございますが、このために、いろいろ担当者が法制をやるということを委員会等でも申されてきたということも十分承知いたしております。ただ私、着任いたしましてから、その検討の件をいろいろ聞いたのでございますが、学識経験者あるいは関係行政機関、関係業界、その他全部に当たりまして、しかも、これに該当するビルそのものを個別にほとんど調査もされた結果、それらの懇談会から、個別に技術的その他においてすべきことがあるために、むしろ法制化よりも行政指導でもって実施していく方がよいんじゃないかという結論を出されたということを聞きまして、個別に、そこまで当たっておられるという部面も踏まえまして、法制化でなくして行政指導で当たりたい、こういうことに決めさしていただきましたが、要は、法制でやらぬことには守らない、行政指導であるから逃げていく、そういったことのないように、行政指導でありましても、これは個別に十分調査をいたしておりますので、ぜひとも行政指導で、委員皆様方考えておられ、あるいは国民皆様方が当然やるべきこととして法制化を望んでいた、その実が上げられるように十分努力するということを前提に、法制ではないが行政指導でやりたいという決心をさしていただいたので、ひとつよろしく御了承をお願いいたしたい、このように考えます。
  55. 福岡義登

    ○福岡委員 私はいま中身をどうこう言っておるんじゃないのであります。行政指導でやっていこうという御決定をされたという経過も、この前も聞いたんですが、そうであれば、じゃ立法府と行政府の約束事を一応の整理をしなければならない。それが所信表明に何も書いてないということを私は問題にしておるわけです。何回もこれはやって一回や二回じゃないんですね。当委員会でも委員長委員会の集約意見を述べて、大臣がそれを受けて、できるだけ早くと、こう約束をしておるんですから、当然、建設大臣としては当委員会に対して、立法の約束をしたけれども、こうなんだ、御了承願いたいという一くだりがなければ国会軽視と言われても仕方がないんじゃないか。だから改めて、その点を言明されるお気持ちがあるのかどうかですね。
  56. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 この点は、所信表明におきまして言葉が足らなんだという点は率直に認めます。改めまして、ただいま申しましたような理由で行政指導でやるということにさせていただきましたので、決して国会軽視とかそんな気持ちではございません。よろしくお願い申し上げます。(「申しわけありませんでしたと一言言えばいいんだ」と呼ぶ者あり)もうそのとおりでございます。御指摘のとおりでございます。
  57. 福岡義登

    ○福岡委員 一応、大臣のそういう御見解を承りましたので、その点は、その程度にするといたしまして、内容について一言、私ども見解を申し上げておきたいと思うのであります。  当初、法案が提案された当時に、防災工事に必要な工事費は幾らかということをただしましたら、おおむね二千五、六百億と推定される、こういうお話がございました。今度、行政指導でやられようとする工事費を伺ってみますと、この前五百十六億というお話でございまして、大体五分の一ぐらいにダウンしておるわけです。これで本当にビル防災が達成できるのかどうか非常に大きな疑念を持っております。しかし、政府としては行政指導で安全性が確保できるとおっしゃる。われわれは、とうていそれでは安全性は確保できないだろうという見解を持っておる。特に私ども党内でもいろいろ議論しましたが、前段で申し上げました立法問題と、それから後段の行政指導でやられようとしておる技術基準、いずれにつきましても、そのまま了承するわけにはいかないという結論になっている。しかし、きょうは時間がありませんので、われわれの態度表明だけ、させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。  次の質問は土地問題でありまして、二、三しぼりまして御質問をしたいと思うのでありますが、一つは開発利益についてであります。開発利益とは一体何か、いろいろ議論があるところでありますが、私どもの理解は、道路でありますとか、あるいは鉄道であるとか、そういう公共的な施設の建設によって地価が上昇する、それを開発利益と、一般的にもそう理解されておると思うのであります。現在この開発利益は、固定資産税での評価がえ時などにおいて固定資産税で一定の課税がされておる。あるいは土地を譲渡した場合に一定の所得税が課税されておる。これらは一部開発利益を還元しておるといいますか、税金で取って、それをまた社会的に還元しておるわけですから、ある程度、開発利益が還元されておるとは思います。しかし、開発利益の全体から見ればほんのわずかでありまして、大部分は現行制度によりますと土地の所有者に帰属をしておる。これは社会的な公正という面から考えましても大きな問題があると思う。何とかしようじゃないかという議論はいろいろ聞くのでありますが、現在のところ具体的なものがまとまっていない。何とかしなければならぬ緊急な課題である、こういうふうに思うのですが、国土庁長官いかがお考えでございますか。
  58. 山岡一男

    ○山岡政府委員 いま先生のお話ございましたとおり、最近におきまして一部税制の改正を提案いたしておりますけれども基本的な枠組みは従来どおりを残しております。現行の土地税制は、先生御案内のとおり譲渡所得課税におきましては、個人の譲渡所得についての短期譲渡につきましては四〇%から総合課税の一一〇%というきつい税制でございます。長期譲渡につきましても、いわゆる四分の三総合課税、それから法人等の譲渡益につきましても二〇%の重課、それから保有課税といたしましても固定資産税、都市計画税を三年ごとに適正化を図っているというようなことでございまして、私ども開発利益の吸収につきましてはもう十分やってあるのではないかと思っております。  一例を申し上げてみますと、たとえば、いまの譲渡所得等につきましても譲渡益に対しまして五二%から八八%という非常に高い譲渡課税になっております。特に保有が長期にわたる先祖伝来の土地を売るというような場合につきましては、譲渡益の五%が元の所得であると見まして九五%に四分の三総合課税をかけるというふうなことでございます。そういうことでございますので、私どもといたしましては現行税制の枠内で十分開発利益の吸収は行われておるのではないかというふうに考えております。
  59. 福岡義登

    ○福岡委員 山岡土地局長は十分開発利益は還元されておるという御見解ですが、これはやはり詭弁だと思いますよ。具体的に私どもも何カ所か例を知っておりますが、反当五万円のところが、このごろ坪一万八千円している、八年間で。それを売買したときに、どれだけの課税をされておるかという計算もしておりますよ。そこへ今度、長期譲渡の場合、六つの条件は付してありますけれども、二〇%の定率部分が二千万円のものを四千万円に引き上げようとしておるわけでしょう。二千万円以上四分の三を総合課税にしておるのを今度四千万円以上二分の一に引き下げようとしておるわけでしょう。現在十分開発利益が還元されていないのを、さらに後退させるという政策を政府はとろうとしておられるわけですか。まず現行でも山岡局長がおっしゃるようには開発利益は十分還元されてないと私どもは認識しておりますけれども、さらに今度こういう税制改正を計画されておる。開発利益の還元どころじゃない、逆行する政策をとろうとされておる。どうですか、これは。
  60. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在、長期譲渡所得課税の本則は二分の一総合課税ということになっております。今回、宅地供給の促進が地価の安定等のためにきわめて重要であるという観点から、優良な住宅地の供給に寄与するもののみにつきまして二分の一総合課税と本則並みにしたわけでございます。  ちょっと例を申し上げてみますと、たとえば所得税本則の二分の一総合課税によりまして、現在一億円の土地を売ったという場合に、たとえば年収が平均三百八十万円ぐらいというのが五十四年度の平均の年収給与だろうと思いますが、そういう場合の本則によります課税は、国税で二千五百八十六万円、それから地方税で七百八十五万円ということになります。今回の優良住宅地に対します二分の一総合課税の改正によりまして、国税で二千五百八十一万円、それから地方税で七百三十四万円、ほぼ本則並みというのが今回の改正でございます。しかし、それ以外のものにつきましては四分の三総合課税が厳然として残っておるということでございまして、私ども本則の二分の一総合課税でも相当な開発利益の吸収をしておるというふうに考えておりますので、そういう意味からいいますと今回、特に良好のものに対して道をあけたということはございましても、それよりもきつい四分の三総合課税等が現在残っておる状況では、まあ相当な開発利益の吸収が行われておるというふうに思うわけでございます。
  61. 福岡義登

    ○福岡委員 そこの土地が、開発される以前に、どのくらいしておったかというところから出発しないと、これは意味がないのです。さっき言いましたように反当五万円ぐらいのものが坪当たり一万八千円もするというのは何倍になっていますか。本来、地価が上昇したというのは土地所有者の努力によるものじゃないですね。公共事業をやることによって、その地価が上昇したんですから、だから開発利益を計算する場合には開発される以前の地価がどのくらいしておったか、それで現在の地価が幾らか、それで幾ら税金がかかっておるのか、つまり開発利益としての還元が課税としてこうなっておるという計算をしなければだめなんだ。あなたがおっしゃるのは開発以前の地価を全然度外視して、払う税金だけ一億に対して三千万払えば三割が税金じゃないか、こういう計算でしょう。そこに考えの間違いがある。
  62. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在、譲渡益に対します課税につきましては、取得時の価格を売りましたときの価格から差し引くという、その差額についてかけておるわけでございます。したがいまして超長期の保有でございますと、昔うんと安かった、いまは非常に高いという場合に、やはり昔の値段がわかっておる場合には、それに従いますが、そうでない場合には譲渡益といいますか、売却値段の五%が昔の値段であったという推定をいたしまして、売り値の九五%を対象に税金をかけておるということでございまして、相当な重課であろうと思っております。
  63. 福岡義登

    ○福岡委員 そういう説明もできるかもしれませんが実態はそうなっていない。できれば、技術的には相当むずかしい点もあるのですが、基準価格というようなものを設定をしておいて、それで何年先にそれが売買されるかしれませんが、貨幣価値その他も換算しなければなりませんけれども、いわゆるそういう基準価格から開発利益というものを算出をして、それに一定の税率を掛けていく。われわれは段階的に、最初は五〇%ぐらいから出発をいたしまして、それで六〇にしたり八〇にしたり、最終的には一〇〇%というところまで持っていくべきだという勉強の結果を持っておるのですが、長官の御見解はいかがですか。
  64. 山岡一男

    ○山岡政府委員 社会党の中期経済計画の中に非常に詳しく書いてございまして、私ども勉強いたしております。ただ先生おっしゃいましたように基準価格の設定という大変むずかしい問題が一つあろうかと思います。それと同時に、これは私の個人的な意見でございますけれども土地を持っておる者が開発利益を受けるというのは、やはり取得したときから始まるのではないか。したがいまして、その取得した時期からの開発利益につきまして個人別に社会に還元をしていただくという現行制度でも、ある程度、目的を達しておるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  65. 福岡義登

    ○福岡委員 どうも私ども考えるのと根本が違うようでございます。しかし、ぜひ大臣から御見解を承りたいのですが、いろいろ議論の中身はまだあるといたしましても、開発利益がゆえなく土地所有者に還元されるというか、帰属するというのは社会的な不公正である、これを何とかしなければならぬという方針については、どういうようにお考えですか。当然だというようにお考えになると思うのですが、お伺いしておきたいと思います。
  66. 山岡一男

    ○山岡政府委員 開発利益は、いわば土地の所有等につきましての本人の労に帰さざる利益でございますから、社会のために還元するのは当然であるというように考えております。
  67. 福岡義登

    ○福岡委員 そこで、なかなか大臣は口を開かれぬのですが、山岡局長の御説明のように相当程度の開発利益は還元されておるという御説明でありますが、私どもとしては十分でない、こういう見解を持っておる。そこで、基本的に開発利益は社会に還元されるべきであるということが確認されるのであれば、いま確認されたわけでありますが、具体的にどうあるべきか、還元の方法はどうするべきかというようなことを政府としては検討していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  68. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど来申し上げておりますとおり、やはり税制による開発利益の吸収が現行制度としては一番いいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  69. 福岡義登

    ○福岡委員 検討する意思なしという御答弁だと承ります。まことに心外です。本当に国土庁としては土地問題とまじめに取り組もうとしておられるのかどうか、その真意を疑うのでありますが、いずれまた機会を改めまして、この問題はさらに検討を進めてまいりたいと思います。  そこで、今度は土地取引関係について二、三お伺いいたしますが、まず第一は、国土法の運用についてであります。  先般、埼玉県の伊奈町で、新交通システムの計画ができまして非常に地価が高騰するおそれがある。埼玉県畑知事は規制区域に指定することを考えた。国土庁に非公式に相談をしたところ、これは慎重を期するべきであるという御指導がなされたやにお伺いいたします。その結果、現在なお指定区域に指定してない。私は、国土利用計画法を制定するときに、その審議に参加した者の一人でありますが、規制区域の設定を全国的にまだ一カ所もしてないわけであります。たまたま埼玉県からこういう問題が持ち出されたときに国土庁が、それに慎重であるというような指導をしたとすれば、これは問題だと私は思うのですが、そういう事実があるかどうか。
  70. 中野四郎

    中野国務大臣 福岡先生のいまの伊奈町の話ですが、いささか、その実態に見解の相違があるようですから、当局から詳細に説明させます。
  71. 山岡一男

    ○山岡政府委員 規制区域の指定につきましては、先生は当時、提案されました中心立場におられましたので釈迦に説法でございますけれども法律の第十二条によりますと「都道府県知事は、当該都道府県の区域のうち、次に掲げる区域を、期間を定めて、規制区域として指定するものとする。」「指定することができる」という表現ではなくて「指定するものとする」という表現になっております。したがいまして私ども、規制区域の指定につきましては、そういう姿勢で臨むべきだというふうに法の解釈をいたしております。したがいまして伊奈町につきまして、正式の御相談ではございませんが新聞等に出たり、それから担当の者が来まして、どうかねというようなお話があったことは事実でございます。しかし、その際、私どもといたしましては、この法十二条の趣旨に従って、本当にそういう状態が起こったら、やるべきじゃないかというふうなことは申し上げましたけれども、その際に、ただし、いまの現地の実情については十分調査をやった方がいいよということは申し上げました。したがいまして、その十分調査をやった方がいいよ、その上でおやりなさいよと言ったことが慎重論ととられたというきらいはあったかと思います。しかし私ども、いまでも、そういう点につきまして、いささかも制肘をするような気持ちはございません。  ただ現状を申し上げますと、その結果、いま埼玉県の方では特別に、私どもが別にそういう規制区域の指定の蓋然性の高いところにつきまして事前詳細調査というのをやっておるわけでございますけれども、さらにその細目の調査をしたいということでございまして、現在、伊奈町の周辺に八地点新しく基準地をつくっております。そして新基準地の調査を四月、七月、十月、一月、それぞれに不動産鑑定士を使いまして鑑定評価を実施する。それと同時に地価変動要因詳細調査というのを事前詳細調査の中でやりまして、これは毎月やるということでございます。  最近の情勢を、この間ちょっと聞いてみたわけでございますが、その土地動向調査の中間報告なるものを県でまとめておられますが、詳細の数字はマル秘だそうでございますが、報告の概要を申し上げてみますと、伊奈町における「取引の内容は、主に、伊奈町の市街化区域内で土地区画整理事業を了えた地区での住宅地の取引であり、実需要に基づくもの」が多い。それから「地価動向調査の結果では、土地区画整理事業により、街路整備が進んだことなど、地域要因の向上を反映して、地価は高水準となっているが、一部の建売り住宅地に割高と思われるものがみられるほかは、おおむね正常な取引となっている。」「土地の取引及び地価については、計画が未だ具体化していないこと、先行き期待が先行し、取引想定価格が過大となっていること、地元農家には換金需要がそれほどないことから、当面、投機的取引の集中や正常価格を大幅に超える異常な地価の上昇はないものと思われる。」しかしながら、今後継続して調査を実施する必要があるというのが報告の概要であったようでございます。
  72. 福岡義登

    ○福岡委員 国土法によりますと、都道府県知事のみならず総理府の長としての内閣総理大臣も必要によって規制区域を指定することができるように規定があると思います。先般、同僚議員のどなたかが質疑をしたのでありますが、例の地価公示価格、対前年度六・三%ですか全国平均上昇した。しかし、これは実態から相当かけ離れておる。特に三大都市圏などは二〇%ないし三〇%の上昇が見られる。北側委員でしたか、具体的に資料を持って質疑をされた。どの程度以上を異常な高騰と考えるのか。つまり規制区域の指定の基準は一体どこに置いておるのか。各都道府県知事の判断はそれといたしまして、国土庁として、異常な地価の高騰もしくは、そのおそれがあるという、この規制区域指定の基準はどういうところに考えておられるのか。同時に現在、日本の地価上昇の動向を見たときに規制区域を指定する必要な個所はあるのかないのか、どういう判断をされておるのか、お伺いをしたいと思います。
  73. 中野四郎

    中野国務大臣 法による規制区域の指定は、もう先生よく御承知のとおりであります。  第一は、土地の投機的取引が集中して行われる、したがって、それによって地価が急騰する、こういう場合の緊急措置として規制をするというものでありますが、お尋ねのように指定要件に該当する例は、いまのところはないと考えております。該当する可能性の強いと思われる地域につきましては、土地取引等の実態を常時それぞれの関係機関をして監視をせしめております。それとともに必要な場合には機動的かつ効果的な指定を行うよう都道府県を指導しているところでありまして、今後ともに、その指導はさらに一層強化をしてまいりたいと存じますが、御承知のとおり国会審議の際のいろいろ論議がありまして、そういう指示権の発動などに対しましては、きわめて地域の実情に通じた知事の総合的な判断を尊重しなければいけない。この基本理念に基づきまして、今後も、そういうような措置をとる場合には都道府県の知事の意見をまず第一の基盤といたしまして、しかも、そういう事態が発生する可能性ありとすれば、可及的速やかな措置をとる考えでおるのでございます。
  74. 福岡義登

    ○福岡委員 先ほども申し上げましたように二〇%、三〇%宅地が上昇しておる、これはまさに異常な状態だと私ども考えます。恐らく規制区域を指定いたしますと売買が許可制度になる。そうすると不許可になった場合は買い取り請求される。その買い取り請求がこわいから都道府県知事も規制区域の指定をちゅうちょしておるという話も散見いたします。要望しておきたいのでありますが、申し上げましたように二〇%、三〇%の宅地上昇というのは異常な状態であると思いますので、詳細検討されて、必要な場合は規制区域を指定するなどの措置をとっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、同じく国土法の運用問題でありますが、届け出制の問題についてであります。市街化区域二千平米、調整区域五千平米、その他一万、こうなっておるのでありますが、特に市街化区域における届け出制というのは地価上昇について相当効果が上がっておるように思います。都道府県知事が、届け出あった土地について価格なり利用目的について検討の結果、正常でないものがあれば、それを指導する。最終的に勧告をするということになりますが、それで相当の効果を上げておると私ども判断しております。  まさか事実ではないと思うのでありますが、最近国土庁が、その地価抑制の都道府県知事の行政指導に対して、もう少し幅を持つべきじゃないか、これは宅地供給をさせるためにという意図が働いておるかもしれませんが、そういう指導国土庁がもししておるとすれば、これは問題だと思うのであります。そういう事実があるかどうか、お伺いしたい。
  75. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先般も担当者会議を行いまして、私どもから、いまほど国土法の適確な運用が必要な時期はない、適確ばかりではなくて迅速にやることについて十分配慮されたい、きつく指示をしたところでございます。
  76. 福岡義登

    ○福岡委員 まさか、そういう事実はないと思いましたが、今後も十分気をつけていただきたいと思います。  そこで、これは運用というよりも法の改正ということになるかもしれませんが、届け出の制度をもう少しちょっと進めて、いま都道府県知事が環境とか価格とか、そういう土地利用のあれも含めまして、届け出られたものを審査しておるのでありますが、もうちょっとここを進めまして、その土地の利用計画というものを住民参加のもとに策定をして、たとえば住宅の密集地であれば規模の小さい家は建てさせない地域だ、あるいは三階四階以上でなければだめである、あるいは耐火構造でなければならぬとかいう、そこまでの細かい土地利用計画を決めて、もちろん、その計画は申し上げましたように住民参加ということが前提になるのですが、その利用計画に合致しない土地の利用は認めない。諸外国でも西ドイツなどは、そういうやり方をやっておるわけであります。そういう方向に検討を進めていただきたいということを要望だけいたしておきます。  それから土地取引関係の改善ということで一、二お伺いしたいのですが、申し上げるまでもなく、土地というのは限られた国民共有の資源である。そういうことから考えますと土地の投機的な取引などは厳しく規制をされなければならぬ、こう思うわけであります。ところが現在、土地取引というのは特定の場合、公共事業であるとかあるいは公有地拡大法に基づく土地の取得であるとか、そういう一部のものにつきましては公的取引、こういうことですが、他の土地取引はほとんど民間に委託されておるわけであります。そこにまた投機を呼ぶ動機なり地盤もあるわけであります。そういう立場から考えまして、土地取引をできるだけ公的機関——ちょっと表現が微妙でありますが、国有化せいとか、そういう意味を言っているのじゃないのであります。可能な限り土地取引を公的機関を通じて行うような制度を検討するべきではないか、こう思います。  それからもう一つは、公有水面の埋め立てをする、あるいは干拓をするわけであります。その公有水面の埋め立てであるとか、干拓され造成された土地が、工業用地であれ農業用地であれ、現行制度はすべて売り渡し方式になっている、御承知のとおりです。これなんかは私どもは前から主張しておるのでありますが、国有地なり公有地として持っておって、利用目的に合うものに、これをずっと利用させていくという利用権を認める。所有権はあくまでも公的、国なり地方公共団体が持つべきではないか。もし現行制度のような売り渡し方式だといたしますと、八年なり十年、一定の期間は転売できません。あるいは利用目的を変えるわけにいかない。しかし、一定の期限を過ぎますと、これは投機の対象として、その土地を売ってもいい、あるいは勝手に利用目的を変えてもいい、そういうことになっておるわけであります。せっかく公の機関がやる造成地につきましては、せめて売り渡し方式から賃貸方式といいますか、そういう方向に切りかえていって、土地投機の機会をできるだけ減らすというようなことは、とりあえずやるべきだ、こう思いますが、いかがですか。
  77. 中野四郎

    中野国務大臣 大変貴重な御意見です。考えさせていただきたいと思います。
  78. 福岡義登

    ○福岡委員 長官考えさせてくれという言葉をお使いになるときには、わかったということだと聞いておりますので、今後ひとつ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。  土地問題はそのぐらいにいたしまして、次は、長良川河口ぜきにつきまして二、三御質問をしたいと思います。  昭和四十八年の七月十四日、水資源公団総裁と岐阜県知事が協定書を結びました。二項目あります。短いから読んでみますと「1 水資源開発公団は、長良川河口堰本体工事の着手に当たっては、岐阜県知事と協議したうえで、これを行なうものとする。2 岐阜県知事は、各種補償、漁業対策その他地域に関連する諸問題等について、関係者の了解が成立したことを確認したうえで、前項の協議を行なうものとする。」つまり、地元関係者が了解した、そういうことを前提にして着工のサインを送る、ゴーサインをする、こういう協定なんであります。五十三年九月になりまして、知事は水資源公団に対しまして合意をしたわけであります。つまり着工を了解したわけであります。  ところが、協定二項にある要件が実体的には満たされていない。たとえば関係市町村のうちで岐阜市議会は同意していない。それから漁業協同組合は、二つの組合は同意いたしましたが、七漁協は今日なお同意をしていない。あるいはまた、差しとめ請求をいま、しておる原告団が二万六千名を超えておる。係争中なんです。こういう事情の中で県知事が水資源公団総裁に対して同意をしたということは、もちろん県知事の大きな責任問題であります。同時に、そういう実体を承知しながら水資源公団が着工したということも、これまた全然責任がないとは言えない。その辺について、どういうお考えを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  79. 栂野康行

    栂野参考人 お答えいたします。  先生おっしゃいましたように岐阜県知事との間に協定ができておったわけでございます。公団としましては、せき本体の着工につきましていわゆる河口ぜき建設に係ります諸問題、たとえて申し上げますと輪中対策あるいは漁業対策につきまして地元関係機関と緊密な連絡をとりまして鋭意、調査検討を現在まで進めてきたところでございます。それで、先ほど来お話がありましたように、岐阜県知事から同意の回答を得た次第であります。知事さんの着工同意の回答というものは、県の立場におきまして関係者の意見を十分集約された上で回答されたと解しておりまして、公団としましては、これを受けまして現在、本体着工の手はずを整えておるというところでございます。したがいまして、今後とも関係者の理解を得ながら円滑に本体工事が進んでいくように努めてまいりたいと考えております。
  80. 福岡義登

    ○福岡委員 堰体工事の手はずは整っておる。しかし十分話し合ってやっていきたいということでございますから、それをそのまま実行していただければ、また別の方法も考えられると思うのですが、去年の九月に社会党の岐阜県本部が関係市町村、岐阜市、安八町、海津町、板取村、この四市町村を対象にアンケート調査をした。ダムに賛成か反対か、県知事が賛成したことがいいかどうかという結論のところだけ申し上げますと、反対してもらいたかった、反対すべきであるというのが、全体の四九・七二%であります。それから、もっと慎重に考えて同意してもらいたかったという人が三五・六四%であります。合計いたしますと八五・三六%の住民は反対もしくは慎重にしてもらいたいという気持ちなのであります。そこへ、さっき言いましたように二万六千名の原告団があって、いま裁判中である、こういう事情もありますので、さっき栂野理事がおっしゃいましたように手はずは整っておっても、実際に着工するのには慎重を期してもらいたい、こういうことを重ねてお尋ねいたしますが、どうですか。
  81. 栂野康行

    栂野参考人 お答えいたします。  先生おっしゃいますように、地元関係者の理解を得ながら円滑に進めていきたいと考えます。
  82. 福岡義登

    ○福岡委員 監督官庁責任者である建設大臣としての御見解も、この際お伺いしておきたいと思う。
  83. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 地元の協力なくして実行することは不可能でございますので、円滑にいきますように今後とも慎重に指導していきたい、このように考えております。
  84. 福岡義登

    ○福岡委員 申し上げるまでもないことかもしれませんが、河口ぜきがなぜ必要なのか、その点について現地と水資源公団、総元締めは国土庁だと思うのでありますが、相当見解に相違があるようであります。たとえば愛知県は昭和四十五年に、昭和六十年を想定した水需要の計画を立てておる。そのときは百四億トンという需要計画。五十二年にこれを見直しまして改定したところ五十億トンでよろしい、こういうことになっておる。まさに二分の一にダウンしておるわけです。、どういう事情がその中身にあるのか私も詳細は承知いたしませんけれども、こういうことになっておる。確かに最近、全体の経済事情がこういう状態でありますから、いろいろな計画が見直されておる。その中で水問題も見直しをされて、昨年国土庁はああいう計画を立てられたのでありますが、地元住民考えというものは、県がこういう見直しをしておるのだから、河口ぜきは必ずしも、そんなに急ぐ必要はないのじゃないかということを言っておるわけであります。  それからさらに、河口ぜきをつくることによる漁業被害、シジミとかアユとかカワマス、そういうものが全滅するおそれがある。あるいは、しゅんせつによって護岸の根元が破壊されるのじゃないか、洪水時に破堤の場合も考えられるというような不安もある。あるいは漏水によって、その地域全体が湿地化していく心配もある。あるいはせきができることによりまして、洪水時にそれが原因で水害になる場合も心配しておる。何よりも伊勢湾に日量二百万トン以上の長良川の水が流れ込んで、伊勢湾全体の浄化効果というものを上げておるわけでありますが、これが失われるという心配もしておるようであります。さらに水資源公団の方で、塩害防止のために、このせきは必要である、こういう御説明もされておるようでありますが、地元の関係者に言わせますと、塩害というのはそんなにないと思う。塩害があるとすれば、どのぐらい塩害があるのか説明をしてもらいたいというけれども具体的な説明はない。全然ないということではないと思うのですが、仮にわずかな塩害対策のために、何百億という投資をすることが果たして妥当なのかどうかという疑問も持ったりいたしておるのであります。その辺は、さっき十分話し合いをするとおっしゃるのでありますから、その中で現地の関係者のそういう疑問なり不安というものを解消するように努力をしていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  85. 栂野康行

    栂野参考人 お答えいたします。  水産に対する影響とか、あるいはしゅんせつによる護岸の根が崩れる問題とか、あるいは湿地化の問題、そういういろいろな問題がございまして、水公団としましても、こういう問題につきまして十分調査検討しておりますし、また、その対策も立てていきたい。現在もブランケット工法その他によりまして湿地対策についてやっておるわけでございます。あるいは承水路、排水路あるいはまた排水ポンプというものを現在でも計画しておりまして、今後とも、そういう対策を進めていきたいというふうに考えます。
  86. 福岡義登

    ○福岡委員 建設大臣に重ねてお伺いをしておきたいと思うのですが、方向としては十分話し合いでやっていこう、無用な摩擦は避けていこう、こういうお話で大変結構なんですが、再度確認したいという点は、申し上げましたように差しとめ請求の裁判中なんであります。この結論が出るくらいまでは、やはり強行してもらいたくない、こう思いますが、いかがでしょう。
  87. 栂野康行

    栂野参考人 お答えいたします。  現在、差しとめ裁判が続いておるわけでございまして、これがいつ結審するか予測が立たないわけでございます。一方、河口ぜきの重要性といいますか、基本的な目的は治水でございます。五十一年に長良川が大破堤した。このとき私つくづく感じたわけでございますけれども、あのとき、もし、しゅんせつが行われておれば、こういうことは助かったのではなかろうかということを痛切に感じた次第でございます。本当に長良川にとりましては、やはり治水の基本はしゅんせつでございます。このしゅんせつをやるには、どうしても河口ぜきをつくっていかなければいけないということがございまして、訴訟との問題は、訴訟訴訟で、また着工は着工で、十分地元の理解を得ながら円滑に進めていきたいというふうに考えます。
  88. 福岡義登

    ○福岡委員 判決がどう出るかは予測できないところであります。判決が出る前に工事を進めるということになりますと、もし差しとめ請求が認められた場合にはどうにもできぬでしょう。したがって私は、判決が出るまでは強行をしない、もちろんその過程で関係者の皆さんが十分に了解されれば、この限りでない、そうでない場合は判決が出るまでは強行すべきでない、こう思いますが、いかがですか。
  89. 栂野康行

    栂野参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、本当に治水の重要性ということを認識いたしますと、やはり河口ぜきはできるだけ早く着工いたしたい。しかしながら、先ほど先生が何度もおっしゃいますように、十分関係者の理解を得ながら進めていきたいというふうに考えております。
  90. 福岡義登

    ○福岡委員 本日は、この程度にしておきまして、事態の推移を見ながら、また意見を述べたいと思います。  あと、時間がないのですが、二つほどお伺いいたします。  住宅公団にお伺いするわけでありますが、例の空き家住宅の問題です。去年も私、予算委員会の一般質問でこれをやって、当時の大蔵大臣村山さんから前向きの答弁をいただいておるのですが、その前に空き家住宅の現状を、いろいろ公団の方から資料をもらいまして計算をいたしますと、総戸数は三万八千四百四十六戸ということになります。その内訳は、未入居戸数と保守管理関係と二つに区分されておるのですが、未入居戸数の方は相当減っております。この一年間で相当減っておる。ところが保守管理分につきましては、去年五十二年度末二万三千九百九十二戸が、この十二月末現在では二万八千十七戸になっておる。ですから約四、五千戸近くふえておる、どこかに問題がある、こう思うのですが、なぜこういう空き家が生じたか。  過ぎたことは、時間もありませんし、省略をいたしますが、きょう質問したい一つだけのポイントは、さっき言いました去年の予算委員会で大蔵大臣が、私の提案つまりこれは公営住宅、県営住宅なり市営住宅に切りかえるということを考えたらどうか、これには金が要るわけなんですが、前向きに検討したい、こういうお話だった。その後、住宅局が中心になっていろいろ対策を講じられたようでありますが、十七団地で八千戸を対象に、いろいろ県なり市町村と折衝を試みた。しかし今日まで全然できてない。恐らくいろいろな事情があると思いますけれども中心的な問題は金の問題だと思うのであります。申し上げるまでもなく公営住宅は用地は自前であります。補助の対象になっていない、相当用地費がかかる。受け取る家につきましても相当建設費がかかっているので、市町村の財政としては応じかねる。去年その予算委員会の当時に私が計算しました三万九千戸で計算しますと、建設費が四千二百五十億かかっている、空き家に対する年間の支払い利息は百六十二億である、こういう状態になっておる。みすみす毎年百数十億円の利子を払って家賃収入が全然ない。全く不経済な話だ。  そこで私は、特別の特例といいますか便法を講じる、たとえばこの宅地部分につきましては、市町村が買い取るといいましても、いますぐ財源的な裏づけがないとすれば、しばらくの間、貸してもいいじゃないか。土地は賃貸で借せる、あるいは何年かの月賦で払わせる。その資金も起債その他で手当てを国が考えてやる。それから建築費の補助率につきましても一種二分の一、二種三分の二の補助率を少し特例を設けて、公営住宅に切りかえる、そういう何らかの措置を講じなければ、こうやって百五、六十億の利息を払うことになる、むだな話である。個々のやりとりをする時間がありませんが結論として、この空き家対策建設省としては公営住宅に切りかえる特例を考えてもらいたいというのが私のきょうの問題点であります。大臣、いかがですか。
  91. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 昨年の先生の御提案に基づきまして私どもも、これは真剣に前向きに検討したわけでございます。その検討の経過につきましては先生もう御承知のとおりでございますが、私ども、その検討内容を判断いたしますと、先生ただいま御指摘の公営住宅を引き取る場合の価格なり家賃なりという問題もないことはございません。しかし私ども、この検討でなかなかうまくいかないという問題の一番大きな問題は、公営住宅の階層というものが、やはり一般の公団の入居階層と比べますと、もっと立地限定型の需要である。したがって、地域的に余り遠いところから通勤できないというような事情がございます。そういうことで、たとえば千葉県あるいは埼玉県の県営住宅等も、ちょっと立地の悪いところでは募集しましても、すぐに満杯にならないというような状態もございます。そういった、むしろ公営住宅階層の需要面から見て、こういったところがいいかどうかという問題が私ども、一番のネックだというように考えております。そういったことを通じまして、さらに検討を加えてまいりたいと思いますが、そういった意味におきまして、もし先生の御提案みたいな財政措置等を行う必要があるかどうかということにつきましては、そういった需要面が確定した段階で、もう一遍検討させていただきたいというように考えております。
  92. 福岡義登

    ○福岡委員 最後に、大変お待たせしたのですが、道路公団にお伺いをしたいと思います。  道路公団におかれましては、五十四年度において通行料金の値上げを計画されておられるやにお伺いいたします。どういうことを検討されておられるのか、これをひとつお伺いしたい。  それから第二番目にはプール制について。各路線の料金をずっとプールしておるわけでありますが、このプール制について政府部内でいろいろ意見が出ておる。つまり路線別に、また、もとに返したらどうかというような意見が出ておるやに聞きます。出ておらなければ結構、それが一体どうなのか。  それから、もう時間がありませんから全部一緒に言ってしまいますが、もし五十四年度に相当の値上げを計画されておるのであれば、御案内のようにガソリン税であるとか国鉄運賃であるとか、たばこであるとか、いわゆる公共料金関係がメジロ押しに値上げをされようとしておる。これは国民生活に相当大きな影響を与えるものであります。したがって、通行料金改定を計画されておるとしても、それは慎重を期してもらいたい。そう簡単に料金を上げるということをされないように、最後は意見でありますが、以上三点について道路公団の御見解をお伺いしたいと思う。
  93. 高橋国一郎

    ○高橋参考人 高速道路の料金につきましては、ことしの一月十七日に当公団の料金検討委員会、学識経験者からなっておりますが、委員会に諮問いたしまして現在、同委員会の中に小委員会をつくりまして、料金水準の改定その他それに関連します料金制度全般にわたりまして見直しを行っておるところでございます。まだ、現時点では結論を得ておりませんが、今後、精力的に小委員会は検討を重ねまして、できるだけ早い機会に、できれば来月の十日別後ぐらいに結論を得まして、答申をいただくようなことになっております。私の方は、それを受けまして所要の手続を経たいというふうに考えております。  それから、第二点の御質問のプール制の問題でございますが、もう先生すでに御承知と存じますが、昭和三十八年の七月に名神高速道路の尼崎−栗東間が開通いたしました時点では一本しか高速道路ができておりませんので、その路線単独で採算がとれるような料金が設定されております。しかしその後、昭和四十二年の八月に建設大臣の諮問機関でございます道路審議会が、これも学識経験者からなっておりますが、高速自動車国道の全体についての料金制度につきまして検討を重ねまして、四十七年の三月に建設大臣に答申が出ております。この答申に基づきまして、高速自動車国道につきましては全線プール制が採用されることになったわけでございます。  この高速自動車国道全路線プールするという考え方は、第一には、高速自動車国道は各路線が全部連結しておりまして、全国的な枢要交通網を形成しておるわけでございまして、したがいまして、料金はなるべく一貫性、一体性を持たせることが必要だということでございます。つまり、東北地方を百キロ走っても九州を百キロ走っても料金は同じであるべきだということが大原則かと存じます。ところが、建設の時期の違いによりまして、つまり早い時代につくった高速道路はわりに安くできておりますが、遅くなるに従いまして建設費が高くなっております。一例を申し上げますと、名神高速道路は一キロ当たり六億三千万でできておりますが、東名高速道路は約十億、九億八千万でございます。現在建設中のものは大体二十億前後でございます。したがいまして路線別にもし料金を設定いたしますと、現在のものは名神の三倍、東名の二倍の料金になろうかと思います。それでは、国民全体から見ますと非常に不均衡になるのじゃないか。したがいまして、全路線が画一な料金、つまり先ほど申しました一キロ当たり幾らであるかというふうな料金、国鉄と同じようでございますが、そういうふうな制度をとるべきであるということが骨子かと思います。それをもとにしまして全国的なプール制が、そういう答申に基づいてなされておりますので、それを受けまして現在、料金の改定の準備を進めておるわけでございます。  それから、最後の先生の御指摘でございますが、おっしゃるとおり公共料金等が新年度を目指して大分次々と上がるような情勢でございまして、われわれといたしましても大変心苦しいわけでございますが、ただ、高速道路を建設するためには、どうしても今回の料金アップをしていただかないと道路公団の長期の経営が成り立たぬということでございますので、まことに心苦しい次第でございますけれども、ぜひお願い申し上げたいと思いまして現在、検討を加えているところでございます。
  94. 福岡義登

    ○福岡委員 終わります。
  95. 伏木和雄

    伏木委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  96. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
  97. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 建設大臣並びに国土庁長官の所信表明に対し質問いたします。  建設大臣は所信表明の中で「昭和五十四年度予算の編成に当たり、適切な内需の拡大により景気の回復基調の定着を図るため、需要創出効果が大きく、かつ国民生活充実のための基盤整備に資する公共事業について、財政事情の許す範囲内において、できる限りの規模の確保を図ったところであります。」このように述べておられますが、この中で、どのように規模の確保を図られる考えであるのか、まず大臣から承りたいと思います。
  98. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 御承知のとおり本年度の予算は三十八兆六千一億、昨年度と比較しまして一二・六%の伸びでございますが、経常経費を抑えまして、特に公共事業につきましては二二・五%という伸び率を確保することができた。このために、建設省計画しております各種五カ年計画等も支障なく執行できる、このように考えております。その意味では、予算編成におきまして公共事業の規模の確保ということに、できるだけの努力をさせていただいた、このように自負いたしております。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに建設大臣は所信表明の中で「特に人間中心考え方基本に置き、住宅・宅地対策、都市対策道路整備、国土保全、水資源開発等の諸施策計画的、総合的に推進することによって、この課題にこたえていきたいと思います。」と述べておられます。「諸施策計画的、総合的に推進する」ということについて、どう対処されるか、これも冒頭承っておきたいのであります。
  100. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 建設省所管行政はいずれも国民生活に密着したものであり、住宅、公園、下水道、街路等、生活水準の向上に直接資する諸施策を行う行政でありますが、これらの事業がバランスのとれた姿で長期的展望において建設されるよう努力いたしております。特に現在、最も緊急な課題となっております都市問題あるいは住宅問題につきましては、省内に特別な対策委員会を設けまして、総合的に、これの推進を図るよう努力いたしておるところでございます。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国土庁長官にもお伺いしておきますが、国土庁長官の所信表明の中で「わが国におきましては、狭い国土、水資源の不足等厳しい国土資源の制約のもとにおいて、今後なお増加する国民が、長期にわたり、安定した生活を亨受し得るよう国土の均衡ある発展を図ってまいらなければなりません。」と述べておられますけれども、「国土の均衡ある発展」をどう図っていかれるのか、これまたお伺いしておきたいと思います。
  102. 中野四郎

    中野国務大臣 三全総では安定成長への高度成長からの移行、そして国民の価値観の変化等を踏まえまして、長期にわたりまして国土の安定したかかわり合いを確保するために、それぞれの地域の特性を生かしながら地域社会づくりを支援していく必要があると考えておりまして、このような見地から今般、関係十六省庁からなる定住構想推進連絡会議を設置して、この構想を実現化する上において計画等を含め推進を図っておる次第でございます。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 なお、国土庁長官は所信表明の中で「人間居住の総合的環境計画的に整備することが、国土行政に課された重要な課題」こういうふうに冒頭述べておられますけれども、「総合的環境計画的に整備する」ということについて、具体的にはどういうことをお考えになって、このような所信表明をしておられますか、さらにお伺いをしておきたいと思います。
  104. 中野四郎

    中野国務大臣 ただいま申し上げましたような総合開発計画におきましては、大都市への人口の集中これを抑えなければいけないと思うのです。一方、地方の方を大いに振興しなければならぬ、過密と過疎問題でございます。いまも申し上げましたような東京圏、大阪圏というようなものに人口が集中することによって、これは非常な問題があります。さればといって一方に過疎のことを考えますれば、いわゆる集落再編成等の問題もありまして、こういう諸問題に対処しながら全国土の利用の均衡を図る、これが基本でございます。  そして人間居住の総合的な環境の形成を図るという方式をとっていきたい。つまり生産環境とか自然環境あるいは生活環境というようなものの自然調和のとれたものでなければ意味をなしませんから、居住の安定性を確保するためにも雇用の場をば、また確保したり、住宅及び生活関連施設の整備とか教育、文化、医療水準の確保、こういう基礎的な条件について、特に大都市圏と比較して定住人口の大幅な増加が予想される地方都市の生活環境の整備、それから先ほど申し上げましたようなその他周辺農山漁村の環境整備、こういうものが優先して図られることによって、その目的を達成していきたい、かように考えております。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全国土の均衡を図る、こうおっしゃいますが、いまのようなことも当然含まれておると思うのですけれども国土庁として、全国土の均衡をどの程度まで果たし得るのか。私たちは、かねがね国土庁イコール土地局というようなイメージを持っておるわけですけれども、そういった面で各省庁との調整もさることながら、国土庁としては、どの程度まで全国的な均衡を図るという決意でやるのか、もう少し具体的に詳しくお聞きしておきたいと思うのです。
  106. 福島量一

    福島政府委員 全国土のバランスのとれた利用を図るということは、二十一世紀に向けて予想されまするところの一億四千万人くらいまでに人口がふえるかもしらぬ、しかもかなり老齢化社会になるというようなこと。一方、国土面積は御承知のように三十七万平方キロということで限られておるわけでございまして、その中に賦存する資源等も、わが国では、きわめて乏しいと言わざるを得ないわけでございます。しかも、そういった状況が、ただいま大臣が申し上げましたように過密過疎現象ということで極端な集中と、一方で地域社会の活力を維持するのも困難なような条件のところができつつある。何といっても、このアンバランスな姿を改善して、そして土地にしろ水にしろ、そういった基礎的資源の余裕のあるところに人口と産業を定着してもらって、その結果として、先ほど来、大臣から申し上げましたような意味での過密過疎によってもたらされるところの弊害を極力排除しながら、生産、生活あるいは自然、そういった環境条件というものを相互に関連を持たせながら居住環境を整備していこうというのが三全総の考え方でございます。  このためには、国土庁だけの施策でこれを達成することはもとより困難でございまして、政府が全体としてこれに取り組んで推進するということが要請されるわけでございまして、その観点から、先ほど大臣からも申し上げましたように関係の十六省庁からなりますところの定住構想推進連絡会議を設けるというようなことで、政府側の調整連絡の機構を確立するということをいたしたわけでございます。  一方、具体的に各地域ごとに、この定住構想推進に取り組む方式としましては、午前中からも御議論いただきましたような意味での定住圏整備という方式を通じて、その地域住民の創意工夫、努力というものを基盤としながら地方公共団体の主体的な取り組みを期待する。国は基礎的な国土管理保全その他の基礎的な条件について各般の施策を講じながら、これを支援していく、こういう体制で三全総の目標とするところの総合的居住環境の整備を図ってまいりたいというのが私どもの現在、予定しておるプログラムでございます。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上、所信表明に対する総論的なことを一応お伺いしまして、今後勉強さしていただこうと思うのですが、以下、同僚委員の質問と重複を避けながら具体的な問題について質問してまいりたいと思います。  五十四年度住宅対策についてお伺いいたしますけれども、昭和五十四年度予算案によると住宅金融公庫融資五十五万戸、うち個人住宅四十四万六千戸でありますが、公営住宅が七万五千戸、公団住宅四万戸と、全く前年度並みの公庫融資主導の持ち家偏向型というような予算になっております。第三期住宅建設五カ年計画、すなわち昭和五十一年から五十五年度計画でありますが、五カ年間に公営住宅四十九万五千一尺公団住宅三十一万戸、住宅金融公庫融資住宅百九十万戸を建設するというようになっておりますけれども、建設白書を見てみたのですが、仮に五十三年度計画分をすべて達成しても公営住宅の進捗率は四七・一%になっておりまして、さらに公団住宅は四〇・三%と大幅におくれております。計画を上回っているのは住宅金融公庫融資住宅のみであるように私、見受けております。これでは公営住宅や公団住宅を唯一のよりどころとしている土地を持たない都市サラリーマンの方や低所得層の住宅対策の軽視ではないか、かように私は当委員会に所属して勉強しまして感ずるわけでございますけれども、その点は政府はどういうふうにお考えであるか、まず承っておきたいと思います。
  108. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 先生御指摘のとおり、第三期住宅建設五カ年計画におきまして、政府公的資金によります住宅全体としては進捗率はむしろ計画を上回っているという状態でございます。特に公庫住宅につきましては五十四年度で、すでに一〇〇%を超えるという状態になっております。一方、先生御指摘のように公営住宅あるいは公団住宅の進捗がおくれていることも事実でございます。  これは基本的には、最近の低成長時代に入りましてからの、いわゆる住宅需要の変化というものが一つあろうかと思います。すなわち、大都市への人口流入がほとんどストップしたというような問題、あるいは新規の世帯分離が非常にスローダウンしたというような問題がございます。そういった需要の変化に加えまして、公営住宅、公団住宅の建設が伸び悩んでいる原因には、先生承知のとおり非常にいろいろな問題が起こっております。特に公共団体との関連公共公益施設の整備に関する調整とか、あるいは周辺の住民方々との居住環境の問題に関する調整とか、あるいは用地取得難とか、いろいろな問題が起こっております。そういった問題を排除しながら、極力できる限りの建設を進めておるというような状態でございます。また、そういった障害に対処しますために、政府としましても種々の施策を続けてきておりますし、新規のいろいろな政策も織り込んでいるつもりでございますが、残念ながら、このままの調子でございますと、そういったものの達成はなかなかむずかしいというようには考えておりますが、極力努力してまいりたいというように考えております。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 こういうことについて、建設大臣お伺いしますけれども、私はどう見ても第三期住宅建設五カ年計画の達成は、戸数のトータルでは可能であっても、肝心の居住水準の向上に指導役割りを果たすべき公営住宅とか公団住宅の達成は不可能である。すなわち五カ年計画の達成はできないのではないか、かように申し上げるわけです。いまから来年度予算を審議して来年度実施されるわけですけれども、果たして、この五カ年計画の達成が明るい見通しであるかどうか。その点は建設大臣はどう見通されておられますか。先ごろの所信表明の中でも、建設大臣は「適切な内需の拡大により景気の回復基調の定着を図るため、需要創出効果が大きく、かつ国民生活充実のための基盤整備に資する公共事業について」「予算の相当部分を預かる建設省責任はきわめて重く」ということをおっしゃって、そこのところを所信表明で決意を述べておられますけれども、その点についてはどうですか。確信がおありなんですか、お答えをいただきたい。
  110. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 五カ年計画そのものは戸数は確保できておる、民間建設戸数は伸びて、これをカバーしたが、公団住宅あるいは公営住宅その他が少ないじゃないか、いま局長が答えましたとおりでございまして、事実その部面はまだ進捗がおくれておりますけれども、この原因その他は、御承知のとおり今日の状態では都心に近いところに自分の住居を求めるという傾向が非常に強くなっております。その都心においては、なかなか土地が得られないということで、公団住宅にいたしましても遠隔地の公団住宅ということがあらわれたために、住居という問題についても非常な問題が……。  もう一つは、低所得者層に対するものは公営住宅へ補助金を出して地方公共団体にやっていただいておりますけれども、これも同じような理由から少なくなっておるのじゃないか、こういうように思っておりますので、極力努力はさしていただいて、これらの公営並びに公団住宅等も、まず現在の国民の希望に沿うような宅地の確保ということで極力計画実現のために今後努力していきたい、このように考えております。
  111. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 建設大臣は極力努力するということでありますが、努力してできない場合もあるわけでございますけれども、どうも少し声の張りが自信あるように受けとめられません。所信表明に対しての質問でございますので、いずれまた委員会でも、いろいろと機会もございましょうから、その程度にしておきまして、公庫融資と住宅ローンのことについて、私は提案を兼ねて、若干、政府の見解をただしておきたいと思います。  住宅金融公庫の昭和五十三年度個人住宅資金利用者調査、これは中間報告ですけれども、これによりますと公庫利用者の低所得層化が顕著である。すなわち所得区分の第一分位は一七・七%、ちなみに昭和五十年度は四・八%でございますが、一七・七%に増加しておりまして、高額所得層は相対的に減少傾向にあるが、これは高額所得層の住宅事情がほぼ安定し、今後の住宅事情が低所得層へ移行していることを示している。  また建築工事全国平均九百四十五万五千円、土地代を除くわけですけれども、これの調達状況を見ると、自己資金二百七十三万円、二八・九%、公庫借入金四百十七万二千円、四四・一%、公庫財形借入金九千円、〇・一%、公庫以外からの借入金二百五十四万三千円、二六・九%となっております。  昭和五十三年度高層住宅購入資金利用者調査の中間報告を見ましても、同様に低所得層化が著しくありまして、第一分位は昭和五十一年度の三・一%から五十三年度には七・二%に倍増しておりまして、東京圏では居住面積も狭小化しております。  一方、建設省の資料に基づいた標準住宅、宅地二百平方メートル住宅百平方メートル一戸建ての価格を調べてみましたら、五十二年の十月現在で東京区部では三千九百十七万円、三鷹市で三千百十七万円、大阪市で二千九百二十一万円、京都市で二千六百二十五万円、こういうようになっております。  このような実態から明らかなように、東京や大阪など大都市で適正な居住水準の住宅を取得することが至難であることは言うまでもありません。しかし、このまま放置すればミニ開発やスプロール化がますます進んで、居住環境はますます過密化して、都市防災の面からも将来に禍根を残すことになることは火を見るよりも明らかであります。そこで政府はいかなる対策考えておられるか、この点ひとつ明らかにしてください。
  112. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 新規住宅の取得の層が低所得の方にシフトしたりしていることは先生御指摘のとおりでございます。そして、そういった階層、私どもは特に年収三百万前後の方々が適正な住宅を持つことができるように、どうするかということが一番の政策課題だというように認識しているわけでございます。そういった中で結局は家をお建てになる方あるいはお買いになる方の償還能力を高めて差し上げるということが一番重要な政策課題だろうというように考えまして、五十三年度には、木造住宅でございますと公庫の償還を十八年から二十五年に延ばしまして、あるいは一年据え置きというような制度をとりました。さらに五十四年度には、公庫の貸付限度額をふやすということは負担が非常に軽くなるわけでございますから、特に土地を持っておられない方が土地と一緒に建物を建てたり、あるいはお買いになったりする場合に公庫の貸付限度額をふやすという措置とともに、ステップ償還と申しておりますが、三年間非常に低額な償還金で済むような制度も導入するというようなことで、そういった低所得の方々も、できるだけ償還がしやすくなるような制度を導入したいというように考えております。
  113. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで適正な居住水準、たとえば不燃構造、耐火構造で適正規模で社会資本としてりっぱに通用する住宅、こういった住宅取得に対して二世代にわたる超長期ローン制度というものを創設してはどうか、かように私、提案を兼ねて申し上げるわけです。私も農林水産委員会等では林業関係なんかについても長期にわたる、親子二代にわたる公庫資金の融資等を提案し、実施の運びになってまいったわけですが、この場合も、そういった二世代にわたる超長期ローンの制度を設けるというようなことも当然考える時期に来ているんじゃないか、かように思うわけです。いろいろ文献を見ますと西ドイツなどの西欧では五十ないし百年の超長期ローン制度があるように私、見たのですけれども、そういったことはお考えではないんですか。また将来そういった展望をお持ちであるかお答えをいただきたい。
  114. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 先生御指摘のように特に西ドイツ等では五十年ないし百年というような融資制度を持っております。これはしかし国情も違いますし、たとえば建築費の全額を、そういった百年という形ではなくて、むしろ建築費の二割とか三割とか、その一部について非常に償還しやすくなるような百年というようなローンをとっているというようなことのようでございます。また現実には繰り上げ償還を奨励いたしまして、繰り上げ償還される場合には有利な償還ができるような形で、実際上、百年も借りておられる方はいないんじゃないかというような話も聞いております。  しかし、そういったことも償還能力を高めて差し上げる一つの有力な手段だとわれわれは考えておりまして、いろいろ検討しております。ただ私ども検討している中で、日本人というものが、自分の子供にそういった借金を残したくないという意識がまだ非常に強いということも、われわれ実感として持っております。本年度、償還期間をたとえば木造でございますと二十五年に延ばしていただきまして、そして、これを五年刻みの選択制にして募集したわけでございますが、全体では五六%の方が二十五年の最長を選んでおられます。二十五歳以下の方では六〇%、ところが、だんだん年齢が高くなるに従いまして、この比率が下がってまいりまして、五十一歳から五十五歳の方では四〇%、五十六歳から六十歳の方では三四%というように次第に下がってきております。住宅金融公庫では従来も当然そういった形で二世代の債務承継ということは認めておるわけでございますが、さらに、これを超長期化するかということに関しましては、さらに私ども検討さしていただきたいというように考えております。
  115. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 何しろ時間が短いもので十分いろいろお尋ねすることできませんが、利子補給の問題ですけれども、大幅な利子補給の引き上げを図ったらどうかということで、いろいろ申し上げたいんですが、時間の関係で、いろいろなデータを申し上げる時間がございませんけれども、国債増発が限界に達した現在、住宅ローンの大幅拡大は国債増発に頼らずに需要を拡大できる有効な政策であると私はかねがねから思っております。そういった意味で住宅ローンにおいても住宅の国民生活に及ぼす重要性ということを考えてまいりますと、本格的な利子補給制度を導入したらいいんではないか、またそうすべきではないか、こう思っておるんですが、端的にお尋ねしますが、どういうように政府はお考えでございますか。
  116. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 現在も住宅金融公庫の資金の原資は、御承知のように財投資金を使いまして、それに約一%の利子補給をいたしまして五・〇五%でお貸ししているわけでございます。先生のお尋ねは、それだけでなくて民間のいわゆる住宅ローンに対しても利子補給したらどうかという御提案かと存じますが、最近、家をお建てになる方の大半の方は住宅金融公庫と民間ローンと両方を併用しておられるということでございます。したがいまして、利子補給等の何らかの国の援助をそれに入れる場合に、これは民間住宅ローンに入れても住宅金融公庫のローンに入れても同じでございますが、ただ違いは、民間住宅ローンは、これは企業という立場から当然、償還能力の高い方から優先して貸す傾向にございます。ところが住宅金融公庫の場合には、どちらかというと政策目的的に選別的な融資ができるという面がございます。そういった面から私どもは、同じ国の援助をするのなら住宅金融公庫に援助を厚くすべきだというような観点を持っております。また一方、これは事務的で恐縮でございますが、民間住宅ローンに対して利子補給するということは事務的には非常に大変なことでございまして、そういった観点からも私ども、やるのなら住宅金融公庫を中心に伸ばしていくべきだというように考えている次第でございます。
  117. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係で通告した質問を多少はしょりまして、次にダム堆砂問題についてお伺いをいたします。  本来ダムは国民生活に欠かせない水資源確保のみならず洪水を防ぎ、灌漑、水力発電によるエネルギー供給など、かけがえのない社会資本であることは言うまでもございません。ところが、このダムが流入土砂で埋没しようとしておるわけで、特に、わが国のように急峻な山間部を梅雨、台風期に集中して流れる谷や川では土砂流出が激しく、ダム建設後十年余で、堆砂率——建設当初の総貯水量に対する堆積土砂の割合、こういうふうに建設省は説明しておられますが、これが九〇%以上のところも、あちこちにあるように伺っております。しかもダム堆砂はダム近辺にとどまらず五ないし十キロほど上流まで、川底いわゆる川床をはって堆積しているということもあちこちにある、こういうふうに聞いておりますが、まず堆砂率八〇%以上のダム名と水源名及び堆砂率を説明していただきたいと思います。たくさんはないと思いますけれども、もし、たくさんあれば後で資料を御提出していただけば結構です。
  118. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 全国で貯水容量が五百万トン以上の二百六十七ダムについて調査をした結果でございますと、全堆砂率が八〇%以上のダムというものは三ダムでございます。一つは天竜水系の泰阜ダムで、八三・六%でございます。同じく天竜水系の平岡ダムが八八%、木曽川水系の大井ダムが八二・四%でございます。
  119. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 三水系のダムについて御説明がございましたが、このような堆砂は、貯水容量減退に伴う水資源の喪失を初め、洪水調整機能とか治水効果の後退をもたらし、一たび洪水が起これば下流地域に大惨事を誘発する危険性をはらんでおることは、もう言うまでもありません。今回、政府では堆砂ダムということを新しくお考えになったようですが、その点について計画を明らかにしてください。
  120. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ただいま御説明申し上げました三ダムというのは、いずれも電力会社所有のダムでございますが、私どもの方としましても多目的ダム等で相当数のダムを建設しておりまして、また相当の年数が経過することによって堆砂の生じているダムもあるわけでございます。特に、土砂流出の著しい先ほども出てきました天竜川水系にあります私どもの美和ダムとか、あるいは小渋ダム等につきましては、在来からも試験的に貯砂ダムを設置するというようなこともやりまして、堆砂の排除を促進してきたところでございます。さらに来年度の施策といたしまして、建設省所管のダムにつきまして貯砂ダムをつくって、土砂の搬出路を設けて堆積土砂を排除する、あわせて土砂を有効利用するとともに貯水池も保全するというふうな事業を創設することを考えておりまして、当面五ダムについて実施したいというふうに考えております。
  121. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 当面五ダムについてお考えのようですが、一般的にはダムの耐用年数は五十年から百年、こういうふうに言われておるわけでございますけれども、わが国の場合、建設後二十年前後で八〇%以上の堆砂率を示しているところが多い、こういうふうにも私たちは聞き及んでいるところであります。この堆砂は、ダムの上流域五ないし十キロまで河床を押し上げて、水位を上昇させている。大変、右岸左岸の住民被害をもたらしているというふうにわれわれは聞き及んでおりますが、先ほど局長から御説明がありました天竜川水系の平岡ダムでは、堆砂による水位の上昇で両岸流域の民家八十三戸が災害対策上、立ち退きを余儀なくされまして、すでに七十三戸が移転しており、残りの十戸も交渉中のようであります。このように災害対策上、立ち退く場合の移転補償体制というものはどういうふうにお考えであるのか。また今日まで全国で何戸ぐらい移転対象となり、移転済みとなっておるのか。ひとつ参考までにお聞かせいただきたいと思います○稲田(裕)政府委員 ただいま御指摘の天竜川の泰阜、平岡ダム等につきましては、電力会社において移転をしたという実績がございます。ダムの計画を立てるときには、私どもの方では、貯水池に流入します土砂の対策といたしまして、想定される流入土砂量の百年分の堆砂容量というのをあらかじめ設定しておきまして、計画的に対応をしてきているところでございますが、貯水池の末端につきましては、その上にさらに堆砂の実態等に即しまして必要な余裕をとるというふうな措置もやっておるわけでございます。また、貯水池の保全を図るためには、先ほど言いましたような貯水池の堆砂対策を実施しようとしておるわけでございますが、これらの土砂量の多いダムにつきましては当初から、こういう堆砂ダム等につきましても、これから計画の中で検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  122. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ダムの堆砂除去作業というのは、いろいろな困難な問題があろうかと思います。たとえば水中掘削の方法、しゅんせつ機械の開発とか技術の開発とかが伴うわけです。また平場の確保、除去した堆砂の運搬のための道路確保、堆砂をいわゆる砂利骨材として活用する場合の需要と価格の問題、いろいろあろうと思います。私は、このダム堆砂についてはぜひ推進を図っていただきたいという考えでありますが、建設省とか通産省などの関係省庁でもいろいろ認識されて十分な検討をしておられる、かように思いますけれども、こういった問題について早急な具体的な対応策を示してもらいたいということが一つと、たとえ堆砂除去作業が一時的に経済効率にはマッチしなくても、長期的、総合的展望に立てばダム機能を回復し寿命を延ばすということになるわけでございますので、これは三カ所とか五カ所ではなくて相当量のダム堆砂があるやに聞いておりますので、私はそういった対策を講じていただきたい、こう思うのですが、その点について将来のお考え等を含めてお答えをいただきたいと思う。
  123. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 御指摘のようにダムの堆砂問題につきましては今後とも重点的に対応していきたいと考えておるわけでございますが、いま御指摘のとおりに各ダムの地域的な特性によりまして、特に掘削しました土砂の処理とか捨て場が、うまく利用できるダムはよろしゅうございますが、利用できない場所につきまして、特に処理捨て場等につきましては現地の実情に即しながら処理していかなければならないというふうに考えております。これらを十分検討しまして今後これらの対策を進めてまいりたいと思っております。
  124. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 このダム堆砂の問題に関連して、私は一つの具体的な例を申し上げて、ぜひ建設省の検討をお願いしたい、かように思います。     〔委員長退席、北側委員長代理着席〕  建設省が熊本県の一級河川、白川上流に建設を検討してきましたところの立野ダムについてでありますが、この立野ダムは多年の念願であっただけに、ようやく昭和五十四年度から実施調査費が予算に計上され本格化したわけであります。立野ダムは建設省が去る昭和四十三年以来、白川の治水を目的とするダムを熊本県阿蘇郡立野に建設することが可能かどうかと検討をし続けてきたのでありますが、この問題については私も過去十年間にわたり当委員会並びに予算委員会の分科会等で八回にわたり、さらには災害対策特別委員会等においても二回にわたり政府の見解をただしてまいりました。特に五十一年には本員の提案によって九地建に開発調査課が設けられまして、具体的に安全性の上から徹底的な調査をすることになったわけであります。それ以後、本格的な調査、建設促進が図られてきていることは当局も十分御承知のとおりでありますが、これまで土質の問題等で一時は建設が困難視されたこともありましたが、結局は建設可能との判断で実施調査費を要求する段階になったわけであります。そこで改めて私は、これまでの経緯を踏まえての建設の見通しを、まずお伺いしたいのであります。
  125. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 立野ダムにつきましては、四十三年から熊本県におきまして予備的な調査を開始しまして、四十四年から私どもの方で予備調査をやっておったわけでございます。来年度から実施計画調査ということで実施段階の調査に入りたいというふうに思っておるわけでございますが、この地域は阿蘇溶岩地帯でございまして、地質的にも非常にむずかしい問題がございました。なおかつ、いま御指摘のようにヨナの流出というものが非常に多い地域でございます。したがいまして、地質的な条件を克服する見通しは立ったわけでございますが、なお細かい実施計画上の調査を数年やることが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。それとともに、いま議論になっておりますダムの堆砂の処理につきまして、特に洪水吐き等を低く設けるとか、あるいは、その他の方法で土砂をいかに処理するかというふうな具体の問題につきましても、まだ若干の調査年数が必要じゃなかろうかというふうに考えますが、それらの具体的な成案を得まして、工事に着手したいというふうに考えておるわけでございます。
  126. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 地元で私もたびたび現地を見ておりますけれども、実施調査が昭和五十四年度から始まりましても、少なくとも三、四年はかかるのじゃないかというふうなことを言っておりますけれども、おおよそのめどは建設省としては、どういうふうに見ておられますか。
  127. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 実施計画調査としましては四、五年必要ではなかろうかというふうに、いまの時点では考えております。
  128. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 白川は、人口五十万を超える熊本市の中央を貫流する一級河川でありますが、昭和二十八年六月二十六日の集中豪雨によって大はんらんを起こし、三百数十名の方が犠牲になられました。熊本市並びに周辺町村に大変な大災害を起こして、かつてない災害であったわけです。その後、河川の拡幅などの改修工事が実施されてまいったわけですが、六・二六災害のような集中豪雨に見舞われた場合には、同様な大災害が発生するおそれがありまして、立野ダム建設は治水事業の上からも絶対不可欠の緊急課題であろうと私は思い、十数年前から一貫して、この問題をとらえて政府に対策を迫ってきたわけですけれども、実施調査を早期に進めていただいて、一日も早い着工、建設を望むものでございます。  しかし、これまでもたびたび問題になってきました、ダムサイトの地点にあります北向山に日本有数の原生林がありまして、この自然保護の問題があります。また下流漁業協同組合や水没地点の住民の反応など、いろいろ問題が残されておることは言うまでもございません。特に北向山原生林については、昭和四十四年、阿蘇北向山原生林として天然記念物の指定を受け、また四十七年から四十八年にかけて、九地建熊本工事事務所と熊本県林務観光部で自然環境調査も実施し、多くの暖地性植物が生育しておるために、その保存が指摘されておるところであります。さらにダム予定地が火口瀬で、地質的な問題があるとされておりますが、特にこの一帯には、熊本−大分構造線が走っておりまして、しかも、この断層は中央火口岳溶岩も切っておる新しいものであるだけに、漏水の危険性が指摘されております。  このほかにも地元では、これまで、はっきりした計画を示されたわけでもないので反応も複雑であります。まず具体的に計画を知り、それから対応を考えたいとしながらも、ダム建設そのものに対する反対の声は、いまのところはないのでありますが、ただし温泉の泉源を確保し、近くで温泉旅館の営業を続けたいという希望はあるわけであります。ただ自然が相手だけに、地盤などの安全性に対する心配、あるいは水没予定者数が少ないために、十世帯以下ですけれども、これらの補償についての不安等の問題があることは当然でございます。そこで、これらの問題を抱えて今後もかなり曲折があろうことは想像にかたくありませんが、これらの問題について具体的にいかに対処していくのか、改めて建設省のお考えをお聞きしておきたい。
  129. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 このダムサイトで、私どもの現在の調査では水没戸数としては四戸というふうに聞いております。当然、水没される方並びに関係住民方々の理解を得ながら進めていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。水源地対策につきましては、けさほどの委員会でも御答弁申し上げましたけれども、十分な手当てをやりながら、なおかつ生活再建につきましても配慮していきたいと思います。  さらに御指摘の北向山の原生林につきましては、いま先生おっしゃったように、地建の方でも県等と共同で、この天然記念物に関する環境面の調査も鋭意進めております。これらの環境面の保全につきましても十分な配慮をしながら、これから進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、地質等の問題につきましては、先ほども答弁申し上げましたけれども、非常にむずかしい地質のところでございます。これは治水ダムとして現在、計画を検討してまいっておるわけでございます。なお地質等の十分な調査を経た上で、このダムの最終的な形等につきましては検討してまいりたいというふうに考えております。
  130. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 立野ダムの規模、構想でございますけれども、私たち九地建熊本工事事務所等で伺っておりますが、阿蘇郡長陽村立野の白川につくる立野ダムについては、堤高九十二メートルの重量コンクリート方式、総貯水容量千十万トン、集水面積は三百八十三平方キロ、洪水調整としては、基準地点の熊本市代継橋付近で毎秒三千二百トンの流量を二千八百トン程度に抑えると聞いておりますが、当局は、現時点における立野ダムの規模、構想について正確にひとつ説明をいただきたいと思います。
  131. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ただいまの時点での計画といたしましては、先生おっしゃるように堤高おおむね九十二メートル、総貯水容量一千百万トン、その中で治水容量として約七百八十万トンというのを予定いたしております。洪水調節につきましては、ダムサイトにおきまして二千七百トンの洪水を五百トン、カットいたします。それが基準地点代継橋におきまして、御指摘のように三千二百トンの洪水を二千八百トンまで洪水調節をするという計画になっております。
  132. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 立野ダムの構造は治水ダムでありますが、利水の検討はどうなっているかということを当局に伺いたいのであります。  すなわち、白川右岸、左岸に農業及び工業関係の用水確保、また熊本都市圏の工業用水の水資源の確保、こういった重要な課題があるわけでございますが、白川流域関係市町村の最後に残された唯一の水資源でもございます。もちろんダムに満水しますと、地震とか災害時に万一決壊すると、熊本市が全滅をするというようなことにもなりかねないし、二十八年六月二十六日の大水害を想起したときに、われわれは慎重であることは十分わかりますが、さりとて今回のこのダム構築によって得るところの得がたい水資源というものは、今後再び、こういった機会は訪れない、かように思いますので、その点について建設省の対処方針を承っておきたい、またお考えを聞いておきたい、かように思います。しかも地元県知事等もそういう意向を持っておりますし、関係市町村でも、そのような意向が強いわけでございますので、十分ひとつ地元の相談に応じた計画を立案していただきたい、かように思うのですが、御見解を承っておきたい。
  133. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 お答えします前に、先ほど私、総貯水容量一千百万トンと申し上げましたが、一千十万トンの誤りでございますので、訂正させていただきます。  御指摘の点でございますけれども、このダムサイトは、先ほども御説明しましたように阿蘇溶岩地帯でございます。したがいまして、漏水の問題とか堆砂の問題等十分配慮しなければならぬわけでございますので、これらの関係を慎重に検討しまして最終的な形を決めたい、かように考えております。おっしゃるように水資源開発につきましても流域全体の問題としては非常に重要な問題というのはわかっておりますので、今後、全体の流域の中でいかにあるべきかという立場におきまして検討をいたしておきたいというふうに思っております。
  134. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 立野ダムは、阿蘇山の火山灰土が底部に多量に堆積することが予想されます。地元九地建でも検討を進めておりますけれども、堆砂率はこの立野ダムの場合は、どの程度と想定しておられますか、お伺いします。
  135. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 このダムサイトは、全国の平均に比べまして流出土砂量は多いような推定をいたしております。大体全国平均では、私どものダムサイトでは平方キロ当たり一年間に四百立米程度というのが大体の平均でございます。このサイトにつきましては、在来からいろいろ調査をいたしておるわけでございますが、現時点の数字では約六百立米ぐらいが年平均方キロ当たり出るのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございますが、なおこれは調査の上もう少し煮詰めていきたいと思っておりますが、そういうふうなことで一応、現在のところ二百三十万トン程度が百年分の堆砂量になるのじゃなかろうかというふうに推計いたしております。
  136. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点はわかりましたが、いま地元九地建等で検討しておられる計画を私、見ますと、ダムに満水をすると災害時、地震のときに熊本市に大災害をもたらすということで、ダムサイトの中から下の方に三カ所の放水路を設けて、常に、たまるところの堆砂と水を常時流す。そしてダムサイトを満水にしないというような画期的な防災ダムになっておりますが、余り放水路が下になりますと、どうしても右岸左岸の灌漑用水等の水の確保に事欠くということにもなりますので、その辺の兼ね合いを私心配するわけです。いずれにしても、先ほど所信表明の中でいろいろ質問してまいりました堆砂ダムの問題に関連するわけですけれども、この立野ダムも堆砂ダムの建設を検討するということで、いろいろ来年度から実地調査が始まるわけですから、あわせてお願いしたい、かように思うわけでございます。全国三カ所とか五カ所とか言わずに、重要なダムでございますので、その点のお考えも、この機会にあわせてお伺いをしておきたい。
  137. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ダムの低い部分に土砂吐きを兼ねました放水管を設けるという案も現地では検討いたしておりますが、これにつきましても、まだ最終的な段階でございませんでして、さらに今後の検討を進めてまいりたいと思います。  堆砂ダムの件につきましては、先ほども申し上げましたように堆砂ダムをつくりましても、これはそんなに大きい容量がございませんので、満杯にすれば、すぐにまた、それを越して下のダムにたまるということもあり得るわけでございまして、しょっちゅう排土しなければならぬというふうな問題も抱えておるわけでございます。これにつきましては捨て場とか処理の関係がございますので、それらも含めまして、ひとつ今後の検討課題として検討さしていただきたいというふうに思っております。
  138. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 現在の立野ダム建設プランを見ますと国鉄豊肥線、いわゆる白川第一鉄橋との問題が出てくるわけですが、これについてはどう対処すべく検討しておられるかということを伺いたいわけです。  すなわち、日本有数の高い白川第一鉄橋であります。鉄道橋で河川ぎりぎりのところを鉄道が走るというようなことになります、ダムの水没地帯になりますから。そこでダム建設に伴い橋脚が水没する、ほとんど七、八割が水没いたします。ゆえに乗客の安全措置の上からも橋梁のつけかえの必要性が出てくるのではないか、かように思うのですが、その点はどう対処するつもりでおられるのか。すなわち橋梁のつけかえをしますと、両サイドがトンネルでございます。相当急峻な山を隧道が通っておりますので、それらまでつけかえるとなると大変な工事量になるわけでございますので、その点はどういうように検討を進めておられるのか、その点も、この機会に明らかにしていた、だきたい。
  139. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 高森線の白川第一橋梁というのは現在アーチ橋でかかっております。アーチ橋というのは先生御存じのように、上に鉄道線路がございまして下にアーチがあるわけでございまして、その脚部は水没するということが予想されます。が、トンネル自身は水没との関係はない位置にございます。したがいまして、このアーチ橋につきましてはかけかえをすることによって、他の橋梁形式に変えることによりまして処理できるものというふうに考えております。
  140. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう一つ最後に承りますが、豊肥線の立野駅の鉄道線路でございますけれども、地元九地建でいろいろ打ち合わせましたところ、これについては工事期間中一時つけかえをする必要が起きるのではなかろうか。ダムによる水没は免れるけれども、鉄道線路の一時つけかえを行い、ダム工事の本体が終わってから、またもとへ戻すということで十分事足りる見通しがついたやに伺っておりますけれども、その点についてお伺いしておきます。
  141. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 御指摘の豊肥線でございますけれども、豊肥線の立野駅につきましては水没と直接関係ございませんので、かさ上げの必要はなかろうかと思っておりますが、ダムサイト付近の高森線のルートにつきましては工事関係上、おっしゃるように一時的なかけかえということが予想されておりますので、しかるべく対応したいというふうに考えております。
  142. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わりますが、何しろ一時間で、はしょった質問で十分できませんでしたけれども大臣の所信表明に対する質問でございますので、以上で終わりまして、また次回に時間を見て残余の質問は政府の見解をただすことにしまして留保し、きょうはこれで終わります。
  143. 北側義一

    ○北側委員長代理 瀬崎君。
  144. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず、公団住宅の家賃問題について伺います。     〔北側委員長代理退席、委員長着席〕  昨年九月の値上げ家賃の当否は裁判で争われることになったわけでありますが、この一年余りにわたりました公団と居住者との家賃をめぐる紛争から、公団総裁も、それなりの教訓はくみ取っていらっしゃると思うのですが、いかがですか。
  145. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 何せ数十万の入居者の方相手の、しかも初めての一斉値上げというものでございますので、私自身、当初から相当の反対運動なり未払い者の動きがあることは予想をいたしておりました。それで、それなりの私どもは全力を挙げた努力をいたしたわけでございまして、その過程において私どももいろいろ勉強するところがございました。
  146. 瀬崎博義

    瀬崎委員 澤田総裁は昨年十二月に二度にわたって自治協の代表の方と会っていらっしゃるわけですね。その場に立ち合った方々の残されました議事録等で拝見しますと、総裁は「今後のルールをつくる上でみんなの意見を聞いて案をつくることが大事だということでは今度の経験は非常に参考になる。」さらに進めて「確定し、実施する前に話し合いをし、」これは値上げ申請をする前という意味かなと思うのですが、「意見を交わす手続が必要だと痛感している。」こう発言をされているのですね。われわれから見れば、これはぜひ実行してもらいたい大事なことだと思うのです。そこで、その実行のために今後、具体的にはどういうことをやろうとお考えになっているのですか。
  147. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 ただいまお読みいただきましたのは、恐らく自治協の書かれたものではないかと思います。そのとおりのニュアンスで申したかどうか、これはまた若干違う点もあろうと思いますけれども、今度のああいう一斉改定というなかなかむずかしいことでございますので、法令の定むる所定の手続を踏みまして、特に国会においてもお取り上げになりまして御審議をいただきましたが、主務大臣の御承認を得て昨年九月一日実施いたしたことは御承知のとおりでございます。その後の経過は、ただいま申しましたようにいろいろと反対運動があったわけでございますが、私どもは実施前から引き続き入居者の方々の御理解をいただくために最善の努力を尽くしてまいった次第でございまして、その結果、当初は五割以上の反対者がございましたが、逐月、新家賃での納入者の方々が増加いたしまして、一月現在ではその反対者は三〇%台に減少いたしております。これは皆様だんだんと私どもの家賃改定の趣旨を御理解いただいた結果であると思っておりますけれども、なお私どもは最善の努力を続けてまいりたいと思います。しかし、どうしても新しい家賃で払っていただけない方々に対しましては、法令の定むる手続によりまして裁判の判断を仰ぐということをせざるを得ないものと考えておる次第でございます。
  148. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私の質問に答えてほしいんですね。昨年九月における家賃改定問題というのは、公団側からあれこれのアクションを起こすまでもなく、自治協の側から、裁判で、その当否をはっきりさせるのだというふうに方針を決めているわけでしょう。私がいま聞いているのは、今後の問題として、この一年間を振り返った教訓から新たなものをつかんでいるのかどうか、こういうことを聞いているんであります。  時間の関係もありますので、もう少し具体的に伺いますが、公団の居住者あるいは自治協の要望というのも、できれば話し合いで解決したかったということなんですよ。ただ公団側が、どうしても昨年九月の家賃値上げ実施の内容に関する限りは一切話し合いは不可能である、こういう態度に終始されたために、九月値上げ分の当否を裁判にゆだねる、こういうことになったにすぎないわけです。したがって、それ以外の問題というのはたくさん残っているわけです。たとえば修繕の公的負担の拡大問題あるいは修繕の個人負担の軽減問題、特別団地環境整備費の使い方の問題、共益費の問題、狭さ解消の促進の問題、今後の家賃改定の民主的なルールづくりの問題などについては、これはやはり引き続いて誠実な話し合いをしたいというのが居住者あるいは公団自治協の熱望なんですよ。だから、少なくも多少のニュアンスの違いはあっても、公団の幹部諸君と、ああいう話し合いをされた以上は、やはりこういう話し合いについては誠実に具体的に応じていく、できれば、それを一定のルールのもとに話し合いを今後継続されるのが望ましいと思うのですが、いかがですか。
  149. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 御指摘のような自治協の要望というのは、いわゆる十項目というものに関連していることと理解いたしますが、私どもは従来も居住者の方あるいは居住者団体の方との話し合い、懇談ということを一遍も拒否したことはございません。常にいろいろ御意見は伺っておるわけでございますから、そういう意味での話し合いの継続というのは今後も引き続きやっていく用意がございます。ただ、今回の家賃の決着を前提として、これこれのことを、こういう何か結論が出なければ今度の家賃改定には応じられないというような意味での話し合いということになりますと、なかなかむずかしい問題が多い。ただしかし、いまお挙げになりましたような問題は、今度の家賃改定が決着しても、今後いろいろな御希望や御意見を伺っていく項目になろうと思います。そういう意味でのお話し合いという意味でございますれば、ただいま申したように今後も引き続き、いろいろと懇談をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  150. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは建設大臣に伺っておきたいのですね。大体、建設大臣に認可権がある、建設大臣が認可行為を行うわけですね。それがもっと慎重でなければならなかったのではないかとも私は考えております。昨年九月のあの値上げ問題についても国会の方がずいぶんと熱心に審議をいたしましたので、これを通じて居住者の意見あるいは値上げの不当性といった点も政府の行政にある程度反映したと思うのです。ところが、本来は建設大臣自身が、この認可行為を行う前に十分居住者の意見も聞いておく、値上げ内容についても不当性がないかどうか検討しておく必要があったと思うのです。ところが、昨年一月に開かれた住宅宅地審議会は一日だけしか開かれなかったのではないですか。もう一つ聞いておきますが、その審議会に建設省が提出した資料というのは、当時、記者向けに発表されておりました値上げ申請内容の資料であって、いわゆる公団が大臣あてに出した資料そのものではなかった、こういうことではないのですか。
  151. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 私、ちょっと正確には覚えておりませんが、少なくとも二回以上やった記憶はございます。それから、そのとき御議論していただきましたのは、住宅宅地審議会では個々の団地の何が幾ら上がるかということではなくて、基本的な考え方を御説明し、そしてそれに御意見をいただくという考え方から、値上げの基本的な方針という形で、おっしゃるとおり新聞記者レクに使った資料をもとに御説明申し上げたわけでございます。
  152. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣、結局、公団の値上げ申請のもとのものを資料として出せというのも国会側の要望から出てきたのです。その結果、敷金の値上げ問題であるとか、あるいは去年の段階で、ことしの四月からの値上げの分も、こっそり含んでおったというふうなことがわかってきて、これらはいずれも撤回されておるのです。本来ならば、そういうこと自身が審議会の席上で明らかにされて審議対象になってなくちゃいけなかったのだと思うのだけれども、そうではなかったのですね。そこらは非常に軽率な面もあったし、慎重さを欠いておったし、そういう建設大臣の認可行為そのものが、一年以上に及ぶトラブルの一つの大きな要因にもなっていると私は思うのですね。だから、そこからは教訓をくみ取ってもらいたいと思うのです。たとえば運輸審議会あたりになりますと、運賃値上げ申請に対しては利用者の声を聞く公聴会などを開いたりしているでしょう。こういうことも、あるいは検討の課題になるのではないかと思うのですね。それから、もう一つは家賃を引き下げる方法として、政府のやれる方法として、概算要求段階では家賃計算利子率を五%から四・一%に引き下げるための予算措置もたしか出ておったはずなんです。ところが、こういうものがけられているわけですね。そういう点でも私は政府側にも重大な手抜かりといいますか、怠慢があったと思うのです。こういう点で、これは建設大臣としても今後の公団住宅の運営に当たって、この一年間の教訓を学び、もっともっと居住者の立場に立ったやり方をひとつとるように要望したいのです。いかがですか、大臣
  153. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 認可のときに手落ちがあったという具体的なこと、ただいま担当局長から述べましたが、私は不敏にして具体的な措置を知っておりませんので、前任者に対してのことでございますから、担当局長から答えさせようと思いましたが、なおその後、当委員会におきましても、いろいろこの問題については、あるべき方法を御審議願って十分検討の上、九月、家賃改定の時期を選んでいただいた、このようにも承っております。今後の問題につきましては十分、御指摘の点、考慮すベき点もあろうと思いますが、前の問題につきましては、私はそういう姿でございますので、なお担当局長からお答えさせていただきたいと思います。
  154. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 私ども、先ほど公団総裁が申し上げましたように、初めての家賃改定でございますし、いろいろ手続等についてトライ・アンド・エラーでやった面もございます。しかしながら私どもは、やはり誠心誠意やったつもりでございます。また国会におきましても、この問題について十分御審査いただきまして御意見をいただきまして、それを両院の委員長の要望を受けて建設大臣が認可したということは、それは先ほど先生の御指摘されたとおりでございまして、今後これをどうするかということにつきましては、先日の当委員会において大臣から中村先生の御質問にお答えしましたように住宅宅地審議会をどう活用していくかというようなことについても検討させていただきたいというように考えております。
  155. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もう一言だけつけ加えておきたいのは、先ほど来、公団総裁大臣も国会の要望にこたえたとおっしゃるのですね。しかし国会のあの委員会の要望もきわめて不十分であったのですよ。だから私どもは反対をしておりますね。逆に言うと、それほど九月の家賃改定——あのときは九月ということが前提になってないのですよ、もっと延ばせということなんですね。その改定内容が最低限度のものであるということの、これはまた反証でもあるわけなんです。それを私ども守っておると思ってないのですよ。このことだけははっきり申し上げておきたいのですね。そのことと、それから審議会に対して洗いざらいの資料を出さないで都合のいい資料だけで審議している、こういうことだけは今後絶対に改めてもらわなければいかぬ問題だと思うのです。その点だけお答えいただいて、次の問題に入りたいと思います。
  156. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 審議会に対しまして資料はもう少し詳しいものを出した方がいいんじゃないかという御指摘でございますが、これも私ども十分検討させていただきたいというように考えております。
  157. 瀬崎博義

    瀬崎委員 じゃ公団総裁、結構です。  次は、政府が賃貸住宅を大幅に減らして持ち家主義に偏っているわけですね。われわれは持ち家はいかぬというわけじゃありませんが、ところが、せっかく苦労してマイホームを手に入れたら、それが欠陥住宅だった、あるいは欠陥マンションだった、これもいま一つの大きな社会問題になっております。ある週刊誌のグラビアに欠陥モデルルーム展示場なんて、わが家をそういう形で開放しているような写真も載っておりました。深刻だと思うのです。  そこで、私どものもとにも数多くの苦情が持ち込まれておりまして、中には、すでに建設省行政指導を通じて改善された例もあることはあるのです。しかし以下に報告するのは、きわめて悪質な例でありますし、買い主に対して誠意ある態度を売り主が示さない、宅建業者が示さないという点で、いま建設省の強力な行政指導の望まれている問題なんであります。時間の関係で、実物を見てもらいながら説明をしたいと思うのです。ちょっとこれを大臣に見てもらおうと思います。  ここに挙げております欠陥住宅団地は、近畿土地建設グループと称する、主力の会社は近畿土地と近畿土地建設工業、どっちも内輪同士の会社なんです。本社が京都で、大阪市等でずいぶんと手広く建て売り団地を建設、販売をしております。東京にも、たしか営業所は置いておると思います。大臣許可であります。たまたま近江八幡市の川原町にある約百戸余りの団地のUさんから私どもに苦情が参りまして、私も現地を見に行ってまいりました。そのときの写真なんです。大体、部屋の中を歩くと妙にぐらぐら揺れる、いかにも揺れがひど過ぎる、そういうこと。それから、その建築確認申請に付された設計図では、二階の洋間に窓があることになっているんだけれども、実物には窓がない。とゆが二カ所しかついてない。ふろの浴槽が下へ下がってしまってタイルの壁との間に大きなすき間ができてしまっている。それから床の間の柱が節だらけで、これは余りかっこが悪いから自分で取りかえた、こういうようなことだったのですね。たまたま私も行って見ましたが、確かに部屋の中を歩いたときの建具の揺れなどはひどい、置いてあるものがこけそうになるのですね。これは構造上の欠陥ではないかというので、畳をはがして床を見るとか、あるいは天井裏へ上がったりしたわけであります。  その写真があります。たとえばAと書いてありますね。その写真は、むねを支えております中央のけた、これは本来つなぎ目がないのが一番いいんだろうけれども、つなぎ目がある場合には、普通かま継ぎとか、あり継ぎとかいうことをやって、両方から引っ張られても外れない、上下左右に多少の振動が加わっても外れないようにするのが普通なんですが、この欠陥住宅は、けたの位置が上下にずれたんでしょうね、これも妙な話ですが、片方のけたの上に乗っけてあるだけ、これはちょっと地震が来たら外れてしまいますね。  それからBの写真を見ていただきますと、屋根を支えるために、はり丸太が使われる場合があります。わざわざ丸太を使うのは、その反りを利用して屋根の重みが直接下部構造にかからないようにするためなんですが、長いはり丸太を使うと高くつくというので短いはり丸太を二本持ってきてつないでいるわけです。それでは真ん中の柱に全重量がかかって、はり丸太の意味は何もないわけでしょう。  それからCの写真をごらんください。はりの角材が余りにも細いために弓なりに下がってしまっておるわけです。だから、その上に立っているつかも同じように下がって、屋根を支えているもやが途中の継ぎ目のところで折れているわけですね。外から見れば屋根が、そこは下がって見えるわけなんです。それから床下の方に行きますと、根太、畳の下の床板を打ちつけてあるたるきですが、この根太は本来は土台の上につけられていなければいかぬのに、これも恐らく何かの間違いでしょう、高さが狂ったのか、土台にくぎで横づけにされているんです。だから重みで下がりますから、後で支柱みたいなものを横につける。  それからDの写真をごらんください。ふろの据えつけが悪い。壁の中に入り込んでしまっているわけです。だから、ふたをしますと、ふたを支える縁がないので滑り落ちてしまうので、わざわざ支えの木を置いているわけですね。  それから、その次の写真をごらんください。幾つか挙げてありますが、たとえば写真を見られたら一目瞭然、けたとか、もやなどの構造材が柱とほとんど変わらないような太さのものですね。マッチ箱みたいなものです。それから、けたの取りつけ部分は本来ならば刻みを入れて組み込んでおかなければいかぬのに、俗に言ういもすけで、ひっつけてボルトが締めてあるだけ。それから床のつかは本来、固定した基礎の上に乗っけなければいかぬのに、石ころの上に置いてあるだけ。ずれたら外れてしまいますね。それから木造の住宅であるにかかわらず、押し入れの中がしけているわけですね。  これは私も時間の関係で三軒見ただけで、そういう内容なんですね。恐らく、その百軒の団地のほとんどが大小そういうふうな状態ではないかなと推察をされるわけであります。この建て売りというのは外見は非常にかっこうよく見えるんだけれども、一つ中に入ってみるとこういう状態で、まさに、これは一つの典型だろうと思うのです。  ところが、こういう点について買い主が何度も売り主、つまり近畿土地に対して苦情を言っているんだけれども、誠意ある態度が示されない。そういうことで今日に至っておるのですが、私どもはちょっと大きい地震でも来たら、これは居住者に危険がある、こういうふうに感ずる次第なんです。そういう点では、これは建設省の勧告等も含む強力な行政指導前提としては調査も要るでしょうが、これを要求しておきたいと思うのです。また建築基準法上も、これで果たして建築基準法をパスするんだろうかという疑問も持っているのです。いかがでしょうか。
  158. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 建築基準法の問題につきまして私からお答えいたします。  写真を見せていただきましたが、先生御指摘のいろいろな問題があるようでございます。ただ、これが直ちに建築基準法上の問題につながるかどうかということについては詳細な調査が必要かと思いますが、これは調査させていただきたいと思っております。
  159. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 ただいまのお話は、いま初めてお伺いしたものでございますが、建設省といたしましては、昭和五十一年ごろに例の欠陥住宅問題が問題になりましたときに、計画局長、住宅局長、両局長名をもちまして指導通達を出しまして、こういうことのないように協力指導しているところでございます。また、現実に欠陥が生じた場合におきましては、当事者に建設省に来ていただきまして、いろいろ調整を図っているところでございますから、至急この問題につきましては近畿土地責任者を呼んで事情を聞いてみたいと思っております。
  160. 瀬崎博義

    瀬崎委員 事情をお聞きになって、欠陥住宅であるということがはっきりした場合には、その改善についての実効ある処置は講じられますね。また、そういうふうな建設省行政指導が十分実行されない場合の措置等も考えていられますね、いかがでしょう。
  161. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 事情をよく調査してみないと、いまはっきり申し上げかねますけれども、もし宅建業法違反等の事実がありましたら厳正に処分する考えでございます。
  162. 瀬崎博義

    瀬崎委員 時間がないので詳しく申し上げませんが、最後の写真をちょっとごらんください。それは別のマンションなんですね。ちょうど屋根のひさしの部分のコンクリートが大きく亀裂いたしておりまして、落っこちるかもわからぬというので、辛うじて、いま鉄のバンドルで巻いてあるわけですね。中から見ますと、押し入れの天井をはがしてみますと、まさに空が見えるわけですね。昔なら風流ということもあるかもしれませんが、現在のこういう欠陥マンション、これは通行人にも危険があるかもしれないという事態なんです。  そこで私は、この問題の結論として申し上げたいのですが、一つは、何といいますか、一般の住民にも、下手な建築物が販売されると被害が及ぶという問題ですから、こういう点では現在の宅建法の最も有効な運用は当然図ってもらわなければいかぬが、これで手が届かぬというのであれば改正も考える必要があるのではないかということが  一点であります。  それから、先ほどの近畿土地の住宅の方は一応、検査済みになっているのです。地方自治体の検査員が見たことになっているのですが、しかし地方自治体の実情は、これだけたくさんの建築物をとうてい丁寧に見れない。もし十分な人員を置こうと思えば予算がもたない、こう言っているわけです。そういう点では地方交付税などの中で、こういう検査業務の一定の予算を見ているようですが、とてもそれでは足りない。住宅金融公庫の住宅では一定の検査に対して補助金を出していますが、こういうものを少なくも建て売り関係あるいはマンション関係に拡大する必要があるんじゃないかな、こう思っておりますが、いかがでしょう。
  163. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 御指摘のとおり、公共団体の建築行政の要員というものが手が足らない。したがって目が届かないということは事実でございます。したがいまして、私ども地方公共団体指導しているのでございます。また、自治省に対しましても地方交付税の算定について、いろいろお願いし、ふやしてもらっております。ただ残念ながら、私ども自治省にお願いしておるのでございますが、自治省の地方交付税の算定基準以上につけて置いていただいている公共団体が少ないということでございます。とりあえずは地方公共団体に自治省の地方交付税の算定基準までは少なくともふやしていただいて、その上で自治省に対しても、さらにふやしていただくというお願いをしたいと考えております。
  164. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 現在、宅建業法につきましては住宅宅地審議会に諮問いたしまして改正の検討中でございますから、その際にいろいろ御議論を賜りたいと思っております。
  165. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いまの問題も検討しますね。  それでは次に、悪徳土地商法、これはわれわれがつけた名前でありますが、これで通用すると思います。建設省もずいぶん苦労をしてもらっているのですが、去年の十一月十七日に不動産業課が発表した「宅地建物取引業者の一斉調査結果」というのがありますね。これによりますと、事務所七百三十六カ所、分譲地百六十五カ所、計九百一カ所を調査して、業者数七百八十五業者ですか、二百九十六業者が現地注意、百七十業者が出頭命令を受けた。こういうことであります。こういう調査は四十三年以来毎年一回ずつ行われてきたようでありますが、傾向として違反業者は減ってきているのですか、ふえてきているのですか。
  166. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 統計的に、いま手元に資料がございませんけれども、ふえている傾向にあると私、考えております。
  167. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど住宅宅地審議会に宅建業法の改正について諮問しているとおっしゃったので、その七項目で十分かどうか、同じ諮問するなら、こういうこともやっておかなければいかぬのじゃないかという点を幾つか指摘しておきたいと思うのです。  たとえば、ごく最近、私どもに来た苦情なんですが、こういうチラシで土地の販売が勧誘されているのですね。これは八王子市内の美山台にある地目山林、市街化調整区域なんです。「市街化調整区域(建築不可)」とわざわざ書いて売っているのですね。その宣伝文句はいろいろありますが「一区画百平米 九十万円より」「地価急上昇中。  見逃せない…価格、後日に残す大きな財産八王子市街地などは高くて、とても投資には向きません。そこで狙目は市街地隣接の安い土地です。」ここらがみそなんですね。しかも口頭では、市街地隣接の土地建設省から旧市街化区域の拡大のための線引き見直しの指示があったからという話がついてくる。あたかも近くこれが市街地域に編入されそうな印象なんです。  そこで私、思うのに宅建業法第二条「宅地」とはそもそも何かという疑問を持つのです。「建築不可」と断らなければならないような山林、こういうものも売っていいものなのかどうか、販売対象にしていいものなのかどうか。  もう一つは広告の仕方ですね。これは家は建てられない、財産として価値がある、こう意味では投機目的に買いなさいと言っているのと一緒ですね。この二点について大臣あるいは担当局長でも結構ですから見解を承りたい。
  168. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 宅地の定義がございまして、家を建てるための土地でございますけれども、いまの場合、宅地が不可と書いてありましても、これは宅建業法の許可が要らないで売買できるというようなことになるわけでございまして、逆に宅建業法に抵触しないということになるわけでございます。  それから、いまのような書き方をして、市街化調整区域が市街化区域になりそうだというようなことを宣伝材料に使っている場合につきましては、誇大広告のおそれがございますから、そういうような点で十分検討してみたいと思っております。
  169. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そこらの点ですね。宅地でなければ宅建業法の規制を受けないから逆に自由に売れるのだ、こういう法律の抜け穴、こういう点をふさぐことも一つの課題ではないかと思います。  それから去年来ずいぶん建設省にも持ち込み、建設省もいろいろと苦労されたのは、例の北海道の、現地へ行ってみればクマザサの生い茂るような急斜面の土地、だれが考えても、とうてい宅地にはなりっこないような土地をばんばん売っていったわけですね。その売る方法としては、普通では買いませんから、関係のないところに旅行に連れていくわけです。そしてかん詰めにして、いいことを並べて売りつける。大体こういう土地を売る場合に現物そのものを見せないで売るということ自身からも間違いが起こると思うのです。そういう点では法改正に当たって、物件つまり土地を必ず買い手に見せる、こういうことの義務づけも必要ではないかと思うのですが、いかがですか。
  170. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 土地をお買いになる場合に、重要な買い物でございますから、普通の方であれば当然見てお買いになるのが普通ではないかと思います。しかし、見なくても買いたいという人まで見ろというような法律の改正は、なかなか困難ではないかと私は考えます。
  171. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そこにまた業者側のつけ込みが生まれるわけだから、しかも局長、笑って不まじめだよ、あなたたちが一番よく知っているのであって、旅行に連れていって現物そのものは見せないで売るというのは、半ば脅迫的な手段等も伴うわけですよ。そういうところへ入れられて、見たいと思っても見れないわけですね。だから、もしも見たいという希望があった場合には必ず見せなくちゃいけない、逆に言えば、こういうふうな規定ぐらいはあってしかるべきではないかと思うのです。どうですか。
  172. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 見たいという場合には当然見せなきゃいかぬというようなことは検討してみたいと思います。  いま問題になっております、土地を全然見せないで、たとえば北海道の土地を売るのに箱根に連れていったというような問題につきましては、現在の審議会の検討の中に入っておるわけでございますが、その場合には、いわゆるクーリングオフの制度を設けまして、一度契約をいたしましても考え直して、いやだという場合には、一定期間内であれば、すぐに一方的に解除できる、こういう制度を設けたいということで、いま審議会で御検討いただいておるところでございます。
  173. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もちろんクーリングオフは絶対必要だと私は思います。しかし、クーリングオフの期間については少なくとも二週間以上の余裕を見てないと、余り短かったら意味がないと私は思います。  それと同時に、そのトラブルの中に、たとえば一万円の手付金だけで売買契約が結ばれている。こういう場合、一万円をほかす気になれば解約はできるわけです。ところが、その点、買い手の無知につけ込んでということでありますけれども、おどかしも手伝いながら、一万円でも払って契約した以上は、もう逃れられないんだということで残金を無理やり払わしてしまって被害を大きくしているという面があるのです。そういう点でも、手付金については買い主がそれをほかす気になれば、いつでも解約はできるんだということを売り主が相手方に必ずはっきり伝える、文書で明記する、そういうことも一つの必要条件にすべきじゃないかと考えるのですが、いかがですか。
  174. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先ほども答弁申しましたように、いま検討中でございますから、先生の御意見も参考にいたしまして検討してみたいと思います。
  175. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それから、これは東京都であったことなんですが、三人の被害者から被害の申し立てがあった。売り主がたまたま都知事許可業者であったために、都の行政指導になったわけですね。つまり、これは業法違反と判断いたしまして、被害者の救済なしに直ちに宅建免許の方を取り消したわけです。     〔委員長退席、北側委員長代理着席〕 そして処分後に被害者が何とか救済してくれぬか、こう言ったら、免許を取り消した業者に対しては、もう指導権限がないから救済できない、こう言ったというわけです。これでは何のために処分したかわからないと思うのです。こういう点の矛盾も、どう解決するかも一つの課題と思いますが、こういう点については本来ならば、どうあるべきかということ、また現行法で、こうなることもやむを得ないというのなら、これも改正の内容になるべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  176. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 宅建業法上の処分と、いわゆる行政指導による、そういうあっせんとは別の問題でございまして、なかなかむずかしい問題だと思います。いま行政指導でやっておりますのは法律に基づかないでやっておる行為でございますから、そういう点までを宅建業法の改正の中に入れられるかどうか、この点は法制的にも十分検討してみなければ、いまここで即答はいたしかねる問題ではないかと思います。
  177. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もう一点、逆に言うと東京都のいわゆる行政措置に手抜かりがある、こういうことになりますか。
  178. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 東京都の行政措置には手抜かりはございません。ただし、われわれがやる場合には、いまのように免許を取り消してしまいますと行政指導のしようがなくなるわけでございますから、実際問題といたしましては、本来、免許を取り消すような事案でありましても、まず行政指導をやってから処置をするというような取り扱いをしているのが現段階でございます。
  179. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは悪徳土地業者に関する問題は終わります。  最後に、公共事業予算の拡大と、その執行体制の問題についてであります。  建設省の定員も御多分に漏れず削減をされてきて、私の承知する限りでは、五十三年度一年間で二百七十一人、さらに五十四年度、これからでありますが、一年間で二百六十七人、合わせて五百三十八人削減ということではないかと思うのです。ところが一方、政府全体の予算が抑えられている中で建設省所管公共事業はぐんぐん伸びているわけですね。五十三年度は三四・五%の伸び、五十四年度は二二%の伸びの予定でしょう。単純に加算いたしましても二年間で五六・五%の伸びですね。これは、ふえたものに対して、またふえるのですから実態はもっとふえていると思います。二年で公共事業は一・六倍、人員の方は五百三十八人削減。五百三十八人というと平均規模の工事事務所が三つか四つなくなったことになるのじゃないかと思うのですが、われわれは常識で考えて、これは相当無理が来るのじゃないかと思うのです。建設省も、こういうふうな公共事業がぐんぐん伸びて定員が削減されているという傾向はお認めになると思うのですが、果たしてこれで国民責任を持つ建設行政を進めていく上で矛盾が起こっていないのかどうか。いかがですか。
  180. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 いま先生御指摘のように、建設省といたしましては政府一般の定員削減の方針に従いまして、昭和四十三年以降定員削減を実施しているところでございます。また一方、お話のございましたように公共事業予算は五十三、五十四と大幅に伸びておるわけでございます。そこで、定員削減というのは政府の方針でございまして、なるべく合理化をすることによって定員を削減し、安い経費で国民にサービスをするという一つの大方針でございますので、われわれはやはり、これについては忠実に履行する必要があると思っております。  そこで問題は、そういう削減された人員と増大する事業量をどういうふうに調和するかということが問題でございますので、建設省といたしましては地建局長会議、部長会議、課長会議を通じまして、職員一人一人の創意工夫に期待をいたしますとともに、また公共事業の施行に関しましては一定の方針を立てまして、標準設計の活用でございますとかコンサルタントの活用、あるいは業者の自主的施工の促進、そういう業務の合理化によりまして公共事業の施行の促進に努めてまいったわけでございます。おかげさまで職員の努力もございまして、昭和五十三年度の一月末の契約率は九〇%に達しておりまして、年度内の完全消化も可能であろうと思っておる次第でございます。
  181. 瀬崎博義

    瀬崎委員 さらに長期に見ますと、最盛期の昭和三十九年ですと約三万五千七百人ほどの職員数でしたが、現在は二万九千三百人ですから六千人から減っている。これはたしか近畿地方建設局が二つ消えたと同じぐらいになるのじゃないかと思うのです。非常に大きなもので、いま官房長が言われたけれども非常に楽観的だし、われわれには、ややしらけて聞こえるのですよ。もちろん、われわれも決してむだな行政をやりなさいとは言いません。今日のことですから、できるだけむだを省いて有効な行政をやってもらいたいが、しかし事業そのものを抱えている建設省の場合、その事業の方に手抜かりができたり、また下請を拡大することによって、そこでいろいろな不祥事件が起こっても、これはかえってマイナスです。  そこで少し伺ってみたいのです。公益法人で建設弘済会あるいは建設協会と名乗っているのがありますが、各地方建設局を単位といたしまして全国で八団体あるようです。東北建設弘済会、ここは建設協会でしたか、それから関東建設弘済会、こういうふうな八団体は建設省行政機構の一部とみなすべき組織なのか、それとも建設省行政機構とは全く独立した別の組織とみなすべきなんですか。
  182. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 いま御指摘の建設弘済会でございますが、これは永年建設省に勤務し退職した人々が、その知識と経験を生かし、建設事業の円滑な遂行に寄与するとともに、退職者及びその家族の福利厚生を図るために、昭和三十八年から四十三年にかけて設立された公益法人でございまして、建設省の組織とは全く別のものでございます。     〔北側委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ざっと、この弘済会の定款からやれる事業を見てみますと、河川及び道路調査、測量、設計、施工管理河川巡視、河川維持、それから官民協会類の設置、これは道路も全部同じことです。さらには水門操作、これは河川の方に入ります。道路の方にいきますと情報連絡というのがあります。最後に、その他河川管理また道路管理及び調査に関する業務の受託、こうなってきますと、およそ建設行政の中でできないことは何もない、こういう印象を受けるのですが、そういう理解でいいわけですか。
  184. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 建設省責任を持ってやるべき仕事の委託を受けてやるということがございますが、責任はあくまで建設省でございます。
  185. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これらの弘済会には、業務委託員というのがいらっしゃいますね。去年の七月一日現在の数字で見ますと八団体、全国で千二百二十六名となっているのです。業務委託員は一体どういう身分で、どういう仕事をしていらっしゃるのか。具体的に、どこかの弘済会の例でおっしゃっていただいて結構です。
  186. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 身分は弘済会の身分を持っておるわけでございます。業務委託員という身分を持っておるわけでございまして、一例を挙げてみますと、関東弘済会の例で見てまいりますと厚生福祉業務、これは庁舎内外の清掃でございますとか賄いでございます。これが七十四名従事しております。それから電話交換等に四名、あとは資科の整理でございますとか計算の補助等で四十九名従事をしておるということでございます。
  187. 瀬崎博義

    瀬崎委員 弘済会の身分はわかっておりますが、この業務委託員に対する給料の支払い等は、きちっとした給与表があって支払われるのですか、それとも請負というような形で、雇用関係ではない扱いになっているのですか。その点いかがですか。
  188. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 弘済会と業務委託員との雇用契約によって身分関係が成立をいたしまして、給与は弘済会の職員に準ずる給与を支給しておるということでございます。
  189. 瀬崎博義

    瀬崎委員 職員に準ずるということは、職員そのものではないということですか。千二百人もいらっしゃるのですよ。
  190. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 役員、職員、業務委託員というふうに、属する人員の名称を決めておりますけれども、準職員とでも言うべきものというふうにわれわれは理解をしております。
  191. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いま資料整理業務に四十九名ですか、その方の仕事の場所はどこですか。
  192. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 工事事務所、出張所等でございます。
  193. 瀬崎博義

    瀬崎委員 つまり、建設省の事務所の中で仕事をしていらっしゃるというわけですね。  次に、いわゆる職員という身分の方もいらっしゃいますね。いまの委託員は準職員だとおっしゃる。今度は本物の職員という方もいらっしゃるのですね。これも去年七月一日現在の数字で見ますと六百六十三名というふうに出ております。もちろん、この中にはキーパンチャーとか運転員、売店の方など、具体的職種の明記されているのもあるのですが、その中に一般という職種がありますね。これは何をしていらっしゃるのですか。
  194. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 これは弘済会が行います一般的な事務処理を行っておるわけでございます。
  195. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは、こういう方々仕事の場所はどこですか。
  196. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 弘済会の事務所で働いているわけでございます。
  197. 瀬崎博義

    瀬崎委員 本部の職員については、そういうことは言えると思いますけれども、支所とか支部とか連絡所とかの、いわゆる一般職の職員というのは仕事の場所はどこですか。
  198. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 売店もいたしておりますので、売店が事務所、出張所にありまして、そこで当該売店の事務を処理しておるというふうに聞いております。
  199. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうじゃないのですよ。本省にいらっしゃる職員、この中で一般という分類のところには百二十一人いらっしゃる。これは確かに弘済会の独自の事務所にいらっしゃると思います。ところが別に事務所、支所または連絡所等となっていて、ここにも、いまの運転員とか売店の職種以外に一般という職種があるのです。こういう職員の方々はどこで仕事をしていらっしゃるのですか、こうお聞きしているのです。
  200. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 先ほどお話がございましたように、弘済会は大体地建ブロックごとにつくっておりますので、広域的なブロック単位に置かれておるわけでございますので、県単位に置かれている支所等に勤務をしておるという者もおるわけでございます。  なお、詳細につきましては、さらに調査をさせていただきたいと思います。
  201. 瀬崎博義

    瀬崎委員 こういう方々も結局、建設省の出先機関の事務所の中にいらっしゃるわけなんですよ。さらに職員約六百名の方の中で、先ほどおっしゃいました建設省に長年お勤めになった方々建設省OBと申しましょうか、こういう方は何人いらっしゃるのですか。
  202. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 二百五十三名でございます。
  203. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ですから職員全体の数の中では、建設省OBの方々はむしろ少数派になってきているわけですね。建設省とは関係なく一般の従業員として採用されている方がふえてきている、こういうことがはっきり、ここにあらわれているわけですね。  こういう方々の職員の給与について、給与表とか給与体系というのはきちっと決まっているのですか。
  204. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 給与体系につきましては、各弘済会の自主性でやっておるわけでございますが、聞くところによりますと大体、国家公務員に準じた給与が支払われると聞いております。
  205. 瀬崎博義

    瀬崎委員 さらに職員約六百人の方々の中に嘱託という方が九十四名、ほぼ百名もいらっしゃるのですね。この嘱託というのはどういう身分なんですか。何をしていらっしゃるのか。
  206. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 役員をやめた人とか職員をやめた人を再雇用をしているようでございまして、相談役的な機能を果たしているようでございます。
  207. 瀬崎博義

    瀬崎委員 建設省の職員のOBの方々が弘済会に行き、今度は弘済会をやめた方々が嘱託になっている、こういうことでしょうかね。しかも、そういう方々が、実は同じ職場、建設省の出先機関の建物の中で同じフロアで机を並べて仕事をしていらっしゃるわけですね。恐らく国民の目から見れば、一体どなたが国家公務員の資格を持った建設省職員か、一体どなたが弘済会の職員なのか、あるいは弘済会の委託員なのか、あるいは嘱託なのかわからないと思うのです。もし国民の側から相当なむずかしい問題を投げかけられて、正規の建設省職員でなくては答えられないような場合があるかもしれない。国民と応対するときに一々いや私は公務員ではないのですよ、弘済会の職員ですよ、こういうことを明らかにしながら仕事をされているのでしょうか。
  208. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 当然、建設省責任ある仕事をする者は建設省の正規の職員でございまして、弘済会の職員がそういうことをする資格はないわけでございます。もし一般の国民の方が事務所においでになって、事務所におりますのは先ほど申し上げましたように書類の整理とか計算の補助でございますので、一見、見分けがつくと私は思いますけれども、そういうことをお聞きになった場合には、その辺は明確にお答えをすることと思います。
  209. 瀬崎博義

    瀬崎委員 実際問題としては、そこの区分けというものはきわめて不明確だし、また実際、区分けつくはずがないのですよ。ここらに一つの問題が指摘されている現状を知っておいていただきたいと思うのです。次に、弘済会の仕事の量の問題なんですが、いわゆる収益事業の中の事業収入、先ほど申し上げました河川道路調査、測量、パトロールあるいは工事監督等々の業務ですね。八つの弘済会、合計で見ますと五十年度は五十一億だったのです。ところが五十二年度は五割ふえまして七十六億になっているのです。特に、たとえば北陸の場合ですと、七億であったものが約倍の十三億、中部も三億が六億、近畿が八億が十三億、九州が六億が十一億、まさにこれは建設省公共事業予算の拡大が、こういう形で反映している以外の何物でもないと思うのですよ。四十七年三月二十三日の「公益法人監督事務連絡協議会における申合せ」を見ますと、収益事業について「設立目的を達成するため、附随的に収益を目的とする事業」と規定されておりまして、かつ「本来の事業」つまり公益事業「に比べてその規模が過大でないこと。」こう申し合わされているのです。その公益事業の規模はどのくらいかといいますと、これは剰余金とか諸引当金、基金繰り入れ等、全部ひっくるめてですけれども、たかだか一千万円前後なんです。多いところでも二千万ぐらいですね。これでは収益事業が公共事業の付随的ではなくて、まさにその逆、収益事業の付随として公益事業が行われている、こういう形になるのじゃないかと思うし、このまま伸びていけば、その差は開くばかりではないかと思うのです。このような実態が建設省としては常態だ、これでいいのだ、あたりまえなのだとお考えなのかどうか。
  210. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 収益事業と公益事業の比率は、いま御指摘のとおりでございます。弘済会は公益法人でございまして、公益事業を営むことが本来の責務でございますので、将来とも公益事業を伸ばしていきたいと思っております。ただ、公益事業をやりますにつきましては、これはほとんど無償の行為でございますので、それにつきましての財源を得るための収益事業というのも、ある程度必要ではないかと思いますが、いずれにいたしましても公益事業の拡大に努めてまいりたいと思います。
  211. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ところが現在のようにほぼ無制限に、民間に発注されていると同じような仕事まで、この公益法人にどんどん発注されている。だから当然、仕事によっては損益を伴ってくると思うのです。その証拠に、各収益事業の各期ごとの損益勘定を見てみますと、確かに、よくもうけるところは一年間に四千五百万円という利益を上げているところもあります。ところが逆に、わずかに十九万円とか六十五万円とかいう利益しか出ないところもあるのですよ。これなんかは粉飾だとは私は言いませんけれども、ひょっとしたら赤字だったものを黒字にしているかもわからぬ。こういうふうなつまり大きなリスクを公益法人に負わしていった場合、もうかったらもうかったで、あるいはこれが利権のもとになりかねない。損が累積したらしたで結局、最後は建設省がこれをめんどう見ざるを得なくなってくる、こういう性質のものじゃないかと思うのです。こういう点では、国民責任を持つ建設行政がこういう形で弘済会におんぶしているということ、こういうことは私は正常とは思われないのですが、大臣はどうお考えになります。
  212. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 先ほど来申し上げておりますように、建設省本来の責務建設省で確実にこれを達成をしていくつもりでございます。弘済会の発足の趣旨が先ほど申し上げましたような趣旨でございますので、その趣旨に沿って適正に運営が行われるよう、われわれは努力をいたしたいと思います。  なお、所管公益法人については随時監査をやっております。弘済会についても五十年度、五十二年に監査をいたしておりますが、さらにそういう監査等を通じて業務の適正な運営を図るようにいたしたいと存じております。
  213. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これだけ事業量が数億から十数億というふうにふくれてきますと、弘済会自身の職員や何ぼ委託員を雇ってきても賄い切れなくなって、また結局、今度は弘済会が民間に委託をしているのが出てきているのです。委託というか下請発注、つまりトンネル機関になってきているわけですね。だから、こういうことがこのまま拡大していけば、私は必ず問題を引き起こすということだけは指摘をしておきたいと思うのです。  役員が全部で約百六人ほどいらっしゃるわけですが、この方々は全員建設省のOBの方ですね。
  214. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 さようでございます。
  215. 瀬崎博義

    瀬崎委員 百人のこの役員の中で、常勤者は何人ですか。
  216. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 八弘済会に、各弘済会ごとに約二名ずつおります。
  217. 瀬崎博義

    瀬崎委員 数億から十数億の事業、それも年々五割ずつふえていくようなこういう状況のもとで常勤役員わずかに二名、これで本当の独立した責任体制と言えるのだろうか。これは結局、建設省と不即不離の関係にあるからこそ、こういうことが成り立っているのじゃないかと思うのです。かつ、理事長クラスの人がほとんどが各地建局長または国土地理院長とかあるいは土木研究所長さんですね。そして理事がほとんど工事事務所長さんのOBと、こういうところですから、構成は第二地方建設局と同じようなかっこうですね。こういうふうなことになってくる最大の原因は、この弘済会が、公団などの天下りとはまた別の性格でしょうけれども地方段階の比較的高級な建設省職員の方々の天下り先あるいは親睦団体的な性格が強いからこそ、こういう形になるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  218. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 設立の趣旨が先ほど来申し上げましたようなことで、役員構成あるいは職員構成に建設省職員が多いということは、ある意味では当然だと思うわけでございます。ただ、先ほどお話ございました理事長は地建局長等の経験者が多いわけでございますが、これはいずれも無給でございます。また、役員になっておる方々も、非常に安い年収でもって一生懸命やっていただいているということを申し上げておきたいと思います。
  219. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私はむしろ、このように実際何億という事業をやるようになったら、きちっと常勤の役員をふやし、もし本当に必要なら払えばいいわけです。非常勤ということは、恐らく他に定職を持っていらっしゃるから、これは非常勤でできるのでしょう。ということは、片手間にしか、この弘済会を見られないということです。片手間に弘済会を見てもらっておいて、この大事ないわば建設行政の一環を、何億も何十億も、全部合わせれば七十億もやっていただくのですから、これでは国民は安心しておれません。  さらにこういうのがあります。これは五十一年十一月の中国建設弘済会の文書の中に「おことわり」というのがありまして「中国建設弘済会は中国温旧会を母体として、」この温旧会というのは、そのほかにも建仁会とかいわゆる親睦団体としてのOB会みたいなものがあるのです。それらしいのですが「中国温旧会を母体として、表裏一体という考え方で、会員も同一でありましたので、従来から会員名簿は合併で発行しておりました。」一体だということを言っているのです。「弘済会と温旧会は、一体であるという考え方は変りませんが、表面上では、別個の団体であり、弘済会は法人としての諸官庁に手続提出書類として必要とすることが、再三有りますので、形式上今回から分離することにいたしました。」だから、これまでは完全に温旧会とこの弘済会は一体だった。五十一年の十一月になってやっと、実体は一緒なんだけれども形式的に分離することにしましたということで今日に至っているわけです。こういうことで、本来、公益法人しかも、これだけの建設行政を担っている事業をやる組織としていいのでしょうか。
  220. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 いまお読みになりました文書、私は存じませんが、いずれにいたしましても建設大臣が認可をした独立の公益法人でございますので、各独立の法人が独自にその設立の目的の趣旨に沿いまして適正に運営されるよう今後も厳重に監督をしていくつもりでございます。
  221. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それじゃ大臣、最後にいま申し上げましたように、しょせんは一方で公共事業をどんどん拡大する。それも二年間で一・六倍というような規模になる。一方で毎年、工事事務所が二つずつくらい消えていくような人員整理がある。こういうことの結果として本当の意味で、むだが省かれて有効に行われているのならいいのだけれども、結局、建設省が本来やるべきところをどんどん弘済会に下請に出されていく。弘済会は弘済会で、その成り立ちからして親睦団体と不即不離一体のような関係があり、一方で建設省と表裏一体なれ合いのような関係があるということになるならば、けじめも不明確ですね。こういう状態では、国民の生命、財産を守る上できわめて重大な建設行政が、私は全幅の信頼を置けるとは言えないと思うのです。こういう点では、やはり弘済会のあり方について収益事業の限界、内容はこの基準でやるべきものだ、ここまではこれは弘済会でやるけれども、ここまでは建設省責任を持つ、こういうことをひとつ明確にされる必要があるだろうということ。  それから、現在できているのですから、われわれ、この弘済会をなくせとかなんとかと言っているのじゃないのです。しかし職員の半分以上が建設OBあるいは建設省関係のない一般から募集されている従業員ということです。あるいは従業員の倍の業務委託員がいらっしゃるというような現状になってきますと、こういう従業員の生活安定、身分の安定ということも考えてやらなければならぬことですね。こういう点でも、理事建設省OBで全部占めておる、非常勤ばかりだというのではなくて、やはり従業員の中からも役員が選ばれて、本当に弘済会の運営に責任を持つというようなことも考えなければならぬのじゃないかと思うのです。いかがですか。
  222. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 弘済会が公益法人であり、建設省がその認可に当たったということでございますので、公益法人である本来の業務が的確に運営されるよう、今後とも注意をし監督し努力してまいりたいと思います。  なお、いま六千人減ったけれども倍にふえたんじゃないか。弘済会の人員を御指摘になりましたけれども、いまの臨時というと何ですが、入れましてもわずかなものです。予算の中から占める額も、決して少ないとかなんとか言いませんけれども、この点につきましては私もかねがね、工事量はふえておるのに職員の方は減っておる、これは定員削減に忠実に建設省やらなければならないけれども、それだけ職員の皆様方に御努力願わなければならないという点でございますので、私できるだけ、このごろ地方建設局等回っておりますが、回りましたら建設局の局員の訓示を必ずやっておりますが、そのときにはこのことを申し上げて、ひとつ精励恪勤していただきたいということをやっておりますので、ひとつ御了承賜りたい。
  223. 伏木和雄

    伏木委員長 川合武君。
  224. 川合武

    ○川合委員 建設省の扱われております補助金の総額、各局全部合わせまして総額はいかほどでございますか。
  225. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 五十三年度で申し上げますと当初予算で二兆五千二百八十一億円、五十四年度で三兆三百八十五億円でございます。
  226. 川合武

    ○川合委員 そうしますと地方団体に渡される国庫補助金は五十四年度の予算案では大体三割くらいということになりませんですか。間違っていたら直していただきたいのですが、全省庁の地方団体にいきます国庫補助金のうちで建設省が扱う分は三割くらいということになりませんか。それから目で結構ですが、建設省の分で件数は何件ぐらいになりますか。
  227. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 最初のお尋ねの、全省庁のうち何割占めるかにつきましては、いま、ちょっと的確にお答え申し上げる資料を持っておりません。ただ建設省予算のうちの大体七割であるということは申し上げられます。  それから日数でございますが、百十二件でございます。
  228. 川合武

    ○川合委員 これはどなたでも結構ですが、国庫補助事業に関する出張状況を調査した知事会の資料があるわけでございます。あれを見ていただきたいと言ったのですが、それを見ますと、ずいぶんいろいろなことが書いてある資料でございますが、たとえば建設省のうちの一つの例をとりましても、一つの県の職員の上京出張が二十八人、県内出張が二百十五人、従事延べ日数千六十九日、こういうようなことが書いてございますね。それを全体読みました所感といいますか、この姿というものは、私ども、少しいかがであろうか、国庫補助事業がいかに大事だとはいえ、これだけの県、地方自治体からの出張が重ねられておって、それに要する事務がこれだけ多量膨大であるということについて、どうかなという感じを持つのですが、建設省として、どんな感じを持たれるか、所感を承りたいと思います。
  229. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 たまたま一例としまして五十年度のこういった建設事業、ある県の資料がございます。これを見て私ども感ずるわけでございますが、一つは、この県営の団地が三団地あるようでございます。この三団地の県の工事が、それぞれ六月とか八月とか十月とかというように、工事の着工が三回に分かれて行われているようでございます。これがもし六月段階でその計画全体がまとまっておりますと、これは一回の補助申請で済んだんじゃないかというような感じは受けております。また、こういった建設事業では、県は自分が事業主体としての立場と、それから県内の市町村の補助申請を取りまとめて建設省に申請するという二つの立場を持っております。したがいまして、これは県営の事業のことだけではなくて、あわせて県下の市町村の補助申請をまとめて建設省に提出するというようなことも含まれておりますので、果たして、これが内容がどうか私ども判断つきませんが、少なくとも、そういったまとめることは可能だったのじゃないかというような感じを持っております。  それからまた、特例加算あるいは特定施設の補助申請なりというものが、また普通の補助申請と別に上京をされておるようでございます。これは私ども、できるだけ上京しないで書類だけ送ってもらえればいいというような指導をしておるわけでございますが、ただ実際の細かい見積もり的な積算の内訳をいろいろ査定するに当たりましては、上京をしていただくこともやむを得ないことかと思います。  それから、前年度に来年度の計画書の提出について上京、これは、これまでは上京していろいろ事情を聞かせてほしいというようなことをやっておりましたが、もう現在、取りやめております。そういうことで、私どももそうでございますが、県の方でも、もっと工夫をいたしまして合理化してまいりたいというような感じを持っております。
  230. 川合武

    ○川合委員 そうすると、局長の率直な感じでは県の方がむだが多いという感じになるのでございますか。私は、いまおっしゃったように、それは若干の努力をされているということも聞いております。また、それは五十年度の出張状況の調査ですね。ですから、現在そこに若干の違いがあるとは思いますけれども、少なくとも遊びに来ているんじゃない。これは補助金が、建設省の場合はほかの役所に比べて零細補助金はわりと少ないですよ。ないとは言わないけれども、ほとんどありませんね。しかし、相当膨大な金額の、いわば大事な補助金だが、やはり縦割りで相当細分されている。それで、その補助金を取るのに一つ一つ申請書を出す、また交付指令を受ける、あるいは事業の執行を報告する、精算書を出す、こういうふうに、いまの補助金の申請、交付のシステムが複雑だから、そういうふうに出張が繰り返されなければならないんだ、それは県内の市町村のためであろうとも、何であろうとも、こういう感じなんですけれども、もう一遍伺います。
  231. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 これは建設省全体ではございませんが、私ども、この例に置かれております工事受託の建設事業につきましては、いわゆる標準建設費システムをとっております。と申しますのは、たとえばある地区の、どういう構造の建物なら一月当たり標準建設費で幾らで、それの二分の一ないし三分の二の補助金を差し上げる、それを上回っても、そこで打ちどめというようなシステムをとっております。ただ実際にそういうシステムをとっておりますと、事務的には非常に簡素化できるわけでございますが、御承知のように、どうしても超過負担というものが、ある数%は生ずることはもう当然でございます。そういった御要望もございまして、私ども先ほど御説明しましたような特例加算あるいは特定施設工事費というような形で、その分をある程度穴埋めするというようなシステムをここ数年とってまいっております。ところが、それはある程度、設計ができて、そして、ある積算ができて金額が確定しませんと補助申請ができないということになりますと、この例でございますように、七月、九月、十一月というように工事契約が三回になって別々な団地で分かれておりますと、その都度、補助申請をしなければならないというような結果になろうかという感じでおります。私ども、そういった標準建設費システムの合理化と、それから超過負担の問題、これをどう調和させていくかということが、これからの検討課題だろうというように考えております。
  232. 川合武

    ○川合委員 今度はひとつ大臣にお答えいただきたいと思います。  横浜市長の細郷道一さんがある雑誌に書いているところによると、この補助金を申請する、受け取る、そのための雑費といいますか諸掛かりといいますか、主に旅費ということにもなりましょうか、これに大体、補助金額の一割から二割は使われているということを書いております。これは細郷氏の見立てでございます。私もそんなような感じ、相当の額の雑費、諸掛かりが補助金の受け取りに使われておる、こういうふうに思います。  御承知のように、一つの町が町づくりをいたしますときには、補助金は施設別に分かれておりますので、道路道路、下水は下水、こういうふうに補助金が入ります。それで町づくりをしますときに、いろいろな事情で公園はできたけれども道路はできない、下水はできたけれどもなにはできない、こういうような場面が多く見受けられます。いわば、いまの補助金は点と線の補助金であるけれども、実際の町づくりは総合された面だと思います。こういう町づくりにおけるところの縦割りの補助による弊害というものが私どもいまの日本現実の姿だろうと思います。  私は一番最初に、これからお尋ねしますことの前に基本的な私の考えを申し上げさせていただいて、そして大臣のお答えをいただきたいのですけれども、やはり基本は、国と地方自治体との事務の範囲を明確にして、それに裏づける財源を十分にする。ことに行政簡素化を言われ出したわけでございますから、この点に考え方の重点を置いていただきまして、本当は補助金なんというのは全部やめちゃって、初めから地方団体が使う分は地方団体に自主税源として、あるいは自主財源として与えるべきだと思いますが、いまの補助金の姿を見ました場合に、先ほどから申しますように建設省には零細補助金はほとんどない、また住宅局長のお話では、その手続の簡素化に相当努力されている、結構な話でございますが、しかし建設省は何分にも、さっき承りますと国庫補助金の相当な額、私の見立てでは、あるいは間違っておるかもしれませんが、全部の補助金の三割ぐらいというように感ずる相当の金額を扱っておられる、言うまでもなく国庫補助金の大きな役所、大どころでございます。でございますから、政府も補助金の整理統合を唱えられているので、私の申しますように補助金の全廃、これは理念として、その方向に向かって一歩でも前進していただきたいのですけれども、当面の問題としては補助金の整理統合、この問題について、ほかの省に先駆けて建設省は御努力いただくお考えがあるかどうか、大臣に伺いたいのであります。
  233. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 私も、零細補助金はこれをできるだけなくして、そしてそれにかわる地方財源を与え、地方自治体が自分の責任において実施すべきである、このようにかねがね考えておりまして、この点は川合さんの意見と変わらないと思います。  ただ建設省の事業は、御承知のとおり全補助金の中の、いま御指摘になりました数字であれば約三割ではないかと言われるほど膨大なものでございますから、その意味からいいましたら、これに使います経費その他、細郷君が書かれました二割ですかは補助金の手続をとるために消えておるというのも、建設省の場合は、いま言われましたように零細補助金が少ないものでございますから、補助金の額とそれに要する事務経費と大いに違いがある、こう思います。  私もそのことを感じまして、大臣になりましてから、建設省の中に、いま廃止すべきような零細補助金は残ってないかということを事務当局に検討をさしたのでございますが、ただいま申し上げましたような状態で、これを直ちに地方へ移譲するという姿のものは少ないのでございます。ただ、建設省が行っております予算の三割くらいが直轄で、これは建設省が直接実施しなければならぬ広域な道路あるいは河川等でございまして、直轄で行っておりますが、七割は補助の形で地方団体にやっていただいております。その七割を少なくとも地方団体の意思をよく尊重して事業を実施していくように努めていただきたいということを申し上げますと同時に、補助手続等はできるだけ簡素化して、地方の費用をかけないようにやらしたい、こういうような方向で事務当局も検討し、その実が上がるようにやっていただいております。なお、事務的経費の補助につきましては、五十二年の閣議決定にございますので、この部面は忠実に守りまして逐次廃止をしておりますので、御了承賜りたいと思っております。
  234. 川合武

    ○川合委員 非常に見識のある大臣でございますから、もうおわかりになっていることで、私が重ねて申し上げるまでもないと思いますけれども、無論、零細補助金は非常に悪い。しかし、あに零細補助金のみならず、私らは、建設省の扱っておられるような公共事業のものであっても再検討すべきものだろうと思っております。  それで問題は二つあると思います。念のため申します。先ほど申し上げましたように雑費、諸掛かりがかかる、こういうむだですね。これは非常によくない。この問題が一つ。  それから、初めのころ言いました町づくりをするときに補助金がばらばらに縦割りで来るとアンバランスになるので町づくりがうまくいかない場合がある。進度調整、進みぐあいが同じにいかない場合がある、こういう不便といいますか、不都合さというものがある。さらに、もっと言えば、私いま地方自治体の仕事のやりっぷりは必ずしもいいと思っておりません。それは非常に放漫なところもあるし、責任観念が薄いところもあると思います。しかし、これはもっと国と地方自治体の責任範囲を明確にして、自前のお金を持たせて自主性を持たせる、そうすれば、私は地方自治体といえども一生懸命やると思います。くどくなりましたけれども、むだ遣いになりはしないかという雑費、諸掛かりの問題が一つと、地方自治体の自主性による責任体制の確立、こういう二つの観点から補助金の整理統合という道へ進んでいただきたいと思います。  そこで今度は、どなたでも結構でございますが、こういうことはできませんでしょうか。たとえば河川局なら河川局の補助金を分けないで一括して、また道路局なら道路局の補助金は全部一括して、それぞれの地方自治体に渡す。地方自治体が自主判断でそれを使う。せっかく、さっき局長もおっしゃっているように補助金の問題については合理化の方向へ大分努力されているのですから、ひとついま言ったような方向で——意味わかりますでしょうか。厚生省やほかの役所は目を丸くするかもしれないが、ひとつ、そのぐらいのことをやっていただく考えはございませんでしょうか。
  235. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 先生のいまの御要望は、現行の予算制度を超えた御要望だと考えております。たとえば河川事業一つとってみましても、項は河川事業でございますけれども目が何項目かに分かれております。たとえば中小河川改修、局部改良、小規模河川改修というふうに分かれているわけでございます。これも予算制度上、項の中がそういうふうに分かれておりますのは、やはり河川整備を一定の基準のもとに全国的に均衡のとれたものにするということで予算が組まれているものだと考えておるわけでございまして、現行の予算制度上は非常に問題があるかと思います。  ただ、制度を超えた問題御提起というふうに受けとめた場合には、これは一つの御意見だろうとは思いますけれども河川改修なり道路整備というものは地方のニーズと同時に全国的な観点から国がある程度調整する分野も残されておりますので、各事業ごとに国と地方公共団体とが相談をしながら事業個所を決めていくという必要もあるのではないかというふうに考えております。
  236. 川合武

    ○川合委員 いまのシステムですね、官房長、私の言ったこの程度のことくらいなら——私は実はもっと大きなことを考えているのです。だけれども、いまの程度なら、いまの制度内でもできない問題じゃないような気がします。それはいまの制度は私の言ったような考え方じゃなくて、できていることは事実でございますね。ですから、それはそういうふうに方向を転換できないかということを言っているのですが、しかし、ただ評論家的に言っているのじゃないので、この程度のことならば実現可能じゃなかろうか、こう思って申し上げているのですから、ひとつそういう意味で検討していただきたい。  官房長の言われたように、地方自治体が自主的判断で使うといっても、それは建設省を全く無視して勝手にやれ、こういうことまでは私は言ってないのです。いろいろな技術の面でも、あるいは企画の面でも建設省の英知、それを受けながら、これはやるべきものだ。しかし県の実情によって、ことしは、こういう点に重点を置いた河川あるいは道路の事業をやりたい、その方が全体的に能率的だ。そのかわり早く終えちゃって来年はこれ、こういう場合も、それぞれの地方自治体にはあろうと思う。それがいまの補助金では縦割りで、細分と言うと、おたくの場合、反対するかもしれぬが、私から言えば細かく分かれていますね。それによって縛られているから、地方自治体が、ことしは、この点を重点的にやっちゃって早く終えて、その次、来年はこう、こういうような感じを持っても、うまくいかない。それは能率的じゃないのじゃないか。町のためにもならぬし、お国全体のためにもならないじゃないか。相談しながらやる、こういうことで中央政府、建設省地方自治体が相互の信頼の上に立っての話ですから、ひとつ、その点は官房長よく了解して検討をしていただきたいと思います。  それでは次に、こういうのは、どうなんでしょうか。こういうのは、どうなんですと言うとおかしいですけれども、いま官房長も言われたように、建設省地方自治体が道路なら道路、下水なら下水、河川なら河川、何年計画か、五年か十年か、それはそのものによりましょうが、何年計画か設定しておいて、地方自治体がそれを早くやっちゃいたい、また早くやるべきだ、いろいろな意味で早くやりたい。それで自治省が地方債を認めるか認めないかは別にして、地方債を認めると前提して、地方債でもって仕事を早くやっちゃって、それで、その翌年から受ける補助金で元利償還していく、こういう方式というのはどうなんでしょうか。建設省の方針にも別に反しないで地方自治体は喜ぶような気がしますけれども、どうでしょうか。
  237. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 先ほどの点につきましては御趣旨はよくわかります。ただ現行制度の問題等がいろいろございますので、むずかしい点はあろうかと思いますが、地方公共団体の要望を十分聞いて、地方公共団体の意欲に合致したような補助金を交付するという態度で従来ともいっておりますし、今後とも、その精神でまいりたいと思います。  いまお話しの、地方債を発行して、これを後年度、年次計画を立てて補助金を交付するというお話でございますが、これは一部、建設省の下水道事業につきまして特別地方債制度として取り入れておるところでございます。この取り入れておりますのは終末処理場でございまして、これは多額の経費がかかるものでございますから一度に国費をつけることは非常に困難だということで、まず最初に五分の一の国費をつけまして、あと四年間分を地方債を発行いたしまして、それを四年間で元利を補助金としてつけていくという制度でございます。先生御提案の趣旨は一部そういう方面で生かされております。また住宅公団で関連公共施設を立てかえ施行をしておる場合がございますが、これも住宅公団が立てかえをいたしまして後、後年度、地方公共団体が公団に返すという制度でありまして、これは特別地方債制度まではいきませんが、一部その精神が入っておるものだと考えております。ただ、これも地方債の発行限度の問題でございますとか、あるいは当該年度ごとの財政状況に応じた国費の充当の問題ですとか、いろいろ財政上の困難な問題があると思いますけれども、一つの御提案だと認識をいたしまして研究をさしていただきたいと思っております。
  238. 川合武

    ○川合委員 研究していただくということですから、もうつけ加える要もないのですけれども、私は特別地方債のことを言っているんじゃないんです。だが、そういう考え方があって特別地方債でやっておられるということですから、これは全く不可能なことではないと私は思うのです。おわかりだろうから、くどく言うまでもないですが、特別地方債じゃなくて地方自治体の側が地方債を発行して、毎年の国庫補助金で五年かかってやるものを私ども地方債を発行してやってしまいますよ。そのかわり来年からの分を予約みたいになりますけれども国庫補助金をいただきますよという、地方自治体側からの発想で、特別地方債じゃなくて、そういう制度を考えていただきたい、こう言っているわけでございます。  それからこれも余りくどく言うといけないのかもしれませんけれども局長がさっき言われた自治体、地方団体の要望に沿ってやっている、これはもうわかっています。私、建設省そんな変なやり方やっていると思って質問しているのじゃないのです。ですけれども、どうしたって、いまのあれは建設省といえども局、課に分かれていて細分された縦割り行政ですよ。その範囲内での予算がおりていくんだから、それを自治体が受けた場合に、まとめて使えるように。各局、各課はみんなよく要望聞いて地方自治体とあうんの呼吸合わしてやっているけれども、それをその町々の事情で流用——流用といいますと言葉は不正確かもしれないけれども、まとめて自主的に使えるような考え方を進めていただきたい。私がいま言った地方債なんかの問題も、本当は建設省だけじゃなくて、ほかの役所も、A省とB省との間にまたがっている一つの事業をやろうとするときに、どこかの省、どこかの省と二つも三つもの省から補助金が来ている場合に、地方自治体がまず地方債でやっちゃって、それであと総合してやっちゃう、こういうところにむしろ各省間にまたがっている場合に私の申し上げたようなことは非常に意義があるんだと思うのですけれども、まず建設省から、ひとつ率先してやっていただけないものか研究していただきたいと思います。  次に質問いたしますが、一級河川というような言葉、言葉というとおかしいが一級とか二級とかいうのができたのはいつごろでしたでしょうか。これはわからなければわからないで結構です。
  239. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 四十年四月から河川法が改正されまして一級河川の制度が施行されております。
  240. 川合武

    ○川合委員 四十年というと高度成長ですね。それまでは都道府県でしたか。
  241. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 それまでは河川管理者は都道府県知事でございました。改正されまして一級河川につきましては建設大臣河川管理者、二級河川につきましては知事ということになったわけでございます。
  242. 川合武

    ○川合委員 高度成長といいますか、そのときの政治、経済、社会の情勢の必要に応じて管理権が、むしろその場合、中央集権的に上に上げられちゃったわけですが、私は、それなりに、そのときの社会情勢の必要だったと思うのですね。しかし、いま事情も大分変わってきておりますし、先ほどから申し上げますような私の考え方からするならば、こう思うのですね。特殊なもの、たとえば国でなければいけない仕事がございますね。簡単に言ってしまえば国防だとか貨幣の制度だとか司法だとか、そんなものはむろん国固有の仕事でございますけれども、しかし中央政府と地方自治体との両方にまたがって共同でやらなければならないような仕事、こういう面については中央政府はプランニングあるいは調整こういう事務にとどめて、実際の実施事務というものはなるべく地方自治体に任した方がいいんじゃないか。また現に大部分は公共事業といえども地方自治体がやっているわけですから、地方自治体に任した方がいいんじゃないか。念のために申しますけれども、そうすると広域にわたる道路とか河川なんかというものは県の境を越えるじゃないかという議論も出てくると思いますけれども、しかし、いまの時代なら地方自治体同士の共同処理の方式で、建設省がうまくそこを指導されれば、やっていけるのじゃないか。  こういう意味で、行政簡素化ということもございましてお尋ねするのですが、国道、一級河川、こういうものも、そんな考え方はやめちゃおう。国道とか一級河川だとかいう言葉もやめちゃおう。やめちゃって地方自治体に執行を——企画したり立案したりするのは建設省ですよ。だけど、その実際の執行は地方自治体にもう任しちゃってやらせる。どうでしょうか、そういう考え方は。
  243. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 一つの御意見だとは思っておりますが、戦前は、すべて道路河川先生承知のように地方長官たる都道府県知事の事務であったわけでございます。それが戦後、地方自治の確立と、国と地方の事務の明確化ということで、現行道路法、河川法ができて、国道なり河川の区分けをいたしまして、管理責任を明確にしてまいったわけでございます。特に河川の場合は従来、区間式ということで当該都道府県内の河川は知事が管理するということであったわけでございますが、それでは広域的な災害対策あるいは広域的な実情に対応できないということで、一級河川制度を設けまして国が管理する河川制度を設けたわけでございます。いずれにいたしましても、やはり河川なり道路なりとらえてみました場合に、国がやるべき分野と地方責任を持つべき分野とは、おのずから別れるものではないかと思うわけでございまして、いま直ちに先生御提案のような、種別を全部廃止して知事が管理する、国は計画の立案にとどまるというような点は、国との均衡ある発展を図る建設事業の立場からいたしますと、なかなか直ちにはとり得ないのではないかというふうに考えております。
  244. 川合武

    ○川合委員 ちょっと、それでは異論があるのですが、また別の機会にゆっくり議論させていただくことにしまして、こういうことはどうでしょうか。確かに少なくともいまの段階においては、一気に地方自治体に——私は国道とか一級河川考え方をやめろと、こう言うのですよ。国の事務じゃなくしちゃえと、こう言うのですよ。だけれども、その議論はまた後日にして、ともかく現状では国、中央政府、建設省と、地方自治体と両方が共同で仕事をやるべき、まあ共同の責任といいますか、両方で共同の責任を持たなければならないような場面が多いと思うのですね、現実には、いまでは。そこで、たとえば道路のごときは公団に、いまの道路公団がいいのかどうかわかりませんが、ともかく公団ですね。ああいうシステムに国も地方自治体も、これは共同の公団ということにする、何かそういうのがありましょう、阪神だとか首都だとか。そういう共同のものにしちゃって、事業の執行はそういう公団がやる。建設省が一々直轄だとかなんとか言わないで、建設省は知恵で勝負していって、事実行為みたいなものは公団で、せっかく公団というような考え方が現在あって存在するならば、そういう事実行為は公団という、しかも国と地方自治体とが共同の公団にして執行に当たる、こういうことはどうでしょうか。
  245. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  道路公団が実施主体、実際の仕事道路の場合でも、すべてやったらいかがか、こういうような御趣旨のように承ったのでございます。実は先ほど来、首都高速道路公団、阪神道路公団の話も出ておりましたので、先生の御趣旨と若干その前段として異なる点があるかもしれませんが、ちょっと御説明申し上げさせていただきたいと思います。  実は日本道路公団は、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成いたします高速自動車国道……(川合委員「時間がないので、申しわけございませんが、高速道路のお話は結構です、私はちょっとたとえで言っただけですから」と呼ぶ)それで、日本道路公団の場合はやや全国的な視野から施行するという観点から、実は地方との関係よりは、むしろ全国的な観点から一元的に建設管理をするというような考え方をとっております。これに対して首都、阪神、本州四国連絡橋公団の場合は、地方公共団体も出資をいたしまして国、地方の協力体制のもとで事業を執行をいたしておる、こういう状況にあるわけでございます。では一般国道等その他はどうかということになりますが、日本道路公団の場合に特に重要な一般国道の部分も実は申請に基づく事業としてやっている部分がございます。ただ、地方におきます幹線道路等の大宗は、有料道路として遂行いたす場合は、これは地方道路公社が中心になってやっておるというような実情にあるわけでございます。
  246. 川合武

    ○川合委員 現在の道路公団とかなにかの姿を説明してくれと言ったのではなくて、私が道路公団と言ったから私の言い方が不十分で、そういうふうにおとりになったかもしれないけれども、まあ一つの考え方を、いまの道路公団を考えるのではなくて、もし、あれならば、あの道路公団の中身を変えて、そして私のような考え方というものがあり得ないのか成り立たないのかということを御質問したのですけれども、また、これも後日チャンスがあると思いますから、時間の関係で先に進ませていただきます。  行政簡素化の観点から水防法について御質問したいと思います。これは私が水防法を、水防団を目のかたきにするわけではございませんが、しかし一つの大きな例として水防法をおやめになってはどうか、こういう観点からでございますけれども災害対策基本法と水防法の活動法規で違っている点といいますか、災害対策基本法にはないけれども水防法にはある、あるいは内容が違っている。活動法規ですね、組織面じゃなくて作用の面で違っている点がありますか。これは長い御説明は、ちょっと恐縮ですが時間が足りなくなっちゃったので、あるかないかだけ言っていただけば結構です。作用面で、両方で違っているのがあるかどうか、私から見ると全く同じように思うのだけれども
  247. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 災害対策基本法と水防法とで違っている点と言えば、初動の関係と巡視の関係等ではなかろうかというふうに考えております。水防団が動き出す初動の関係と、あとは巡視の関係等ではなかろうかというふうに考えております。
  248. 川合武

    ○川合委員 水防団の数ですけれども、これはそちらからいただいた資料ですが確認しますけれども、丸い数字で五十二年が二万人くらいで三十五年には十万人だった、これで大体よろしゅうございますか。丸い数字で、専任の。
  249. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 専任の水防団員数というのは二万百二十八人というふうに現時点でつかんでおります。それから水防管理団体数は五十三年四月一日現在で三千二百二ということになっております。(川合委員管理団体じゃなくて、三十五年の」と呼ぶ)三十五年の数字は、いま手元に持っておりませんが、約十万人ということでございます。
  250. 川合武

    ○川合委員 私は、水防団の功績は非常にあるし、同様に水防法の功績もあると思うのですね。非常に活躍された歴史を持っていると思いますね。けれども歴史的な役割りは終わったのじゃないかと思うのです。この法律の書かれた時代には、水害というのはもうほとんどというか、全部と言っていいぐらい河川のはんらんであったわけです。その後、集中豪雨などという言葉ができたけれども、水防法ができたときには、集中豪雨という言葉さえもなかったというふうに私は聞きます。いま水害と言えば集中豪雨とか内水はんらんも水害の大どころになっている。それから全部完了したとは言えないけれども、治水だって水防法ができた当時、二十四年ごろに比べますとずいぶん進んでいる。水防法が無意味法律だったとは毛頭申しません、いままで果たしてきた歴史的な役割りは非常に大きいと思いますが、現に水防団員も三十五年が十万なのが五十二年は二万、こういうふうに減ってきておるということが移り変わりの姿を示しておるし、それから水防組織というものが存在しているということは、やはり二重行政みたいなことになりますね。二重行政の副作用、弊害というのはありますね。水防団には二万人もいるのだから、その水防団の活躍を期待するということは、どこかの法律に書いておかなければいけない。しかし、これだけ大がかりな水防法というものは、行政の簡素化の意味から、もうおやめになった方がいいのじゃないか。先ほどから聞いておりますと、災対法と活動法規はほとんど同じ、それから水防組織も別に、これがなければ動かぬというものでもない。それならば水防法は発展的に災害対策基本法の中に吸収されて、歴史ある功績を惜しまれつつというか、たたえられつつ幕を引かれても決しておかしくないのじゃないか。余り老残の身を横たえるよりは、大建設省だから、行政簡素化の率先の意味でも、そういうふうに進まれるべきじゃないか、こう思いますが、どうも私の質問時間がなくなってしまったので、簡単で結構でございます。
  251. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 河川の整備も確かに逐次は進んでまいっておりますが、まだ最近、平均いたしましても一般被害、公共土木被害等で年間五千億余りの被害を生じておるというのが現在の河川の状況でございます。なおまた、河川の整備状況から申し上げますと、大規模な河川につきまして、戦後最大洪水の暫定目標に対しましても現在は五〇%余の整備しかできておりません。なおかつ、中小の河川につきましては、時間雨量で五十ミリという暫定目標に対して現在一四%程度の整備率しかないわけでございまして、まだまだ私どもとしましては水防活動というものはやはり必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  私が説明するまでもなく、先生御存じのように、水防活動というのは沿川地域住民の自衛活動として営まれてきておりまして、河川管理者と密接な連携のもとに発展を遂げてきたわけでございます。水防法はこのような実態を踏まえまして、水防組織だとか洪水予報、水防警報、水防活動等について法制化されたものでございまして、水防の基本法的な役割りをいままで果たしてきたわけでございます。およそ水防というのは、河川管理と密接な連携のもとに実施するのが一番実態に即して必要ではなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。せっかくの先生の御提案等もあるわけでございますけれども、これまでの経緯から見まして、水防法を基本法に吸収して一本化するということは、地元住民の水防意識を阻喪させるというふうな問題もあるでしょうし、また水防業務と河川管理とのかかわり合いが薄れるということも恐れるわけでございますので、なおまた慎重に研究をさせていただきたい、かように思うわけでございます。
  252. 川合武

    ○川合委員 ちょっと反論があるのですけれども、また、いずれかにいたしまして、国土庁長官に伺いたいのですけれども、首都移転の問題について、これは長官政治的なお考えで、事務的なことでなくて結構でございますが、もうこれは人口、それから、いろいろなファンクションが東京に集中し過ぎていて、そこでいろいろな弊害があるということは議論の余地がないと思いますので、その議論は省略して、その前提で申し上げますが、首都を移転するという問題について、長官はどんなお考えでございましょうか。ノーでしょうかイエスでしょうか、ちょっと御見識を承りたいと思います。
  253. 中野四郎

    中野国務大臣 これは非常にむずかしい問題でありますけれども、避けては通れない問題です。どんなにむずかしい問題であっても、この問題は解決に最善を尽くさなければなりません。首都東京には現在いろいろな中枢管理機能が集中しております。そして過密対策、いまお話しの防災対策、このような見地から、このように東京に一点集中となってきた首都機能の移転また分散、こういうような問題は非常にむずかしいことでありますけれども、私はこれに真剣に取り組んでみたいと思いまして、現段階におきましては、いろいろ首都改造計画策定などというので調査を始めておりますが、きわめて近い将来に、私の考え方なんですが、首都に対する改造の、いろいろの学識経験者あるいは各分野の専門家、それから国と地方公共団体とが一体になってこれを研究するとか、首都に対する世論の動向、こういうものを把握して、この問題の改善に最善を尽くしていきたいという決意でおることだけは、どうぞ御了解いただきたいと思います。
  254. 川合武

    ○川合委員 いずれまた、これも中野大臣の、事務的じゃない政党政治家としての御見識をひとつ承りたいと思いますが、私は要望を申し上げておきます。  何かきざなことを言うようでございますけれども、かつて藤原京に移ったときも大宝律令というものができて、そのときに移っている。ですから過密ということからくる弊害、それが首都移転の大きな理由であることは間違いないけれども、しかし何か、そこに哲学というか理念というものが首都移転になくてはいけない、こう思うのです。やはり地方分権の理念というものによって、この首都移転というものを研究していただきたいと思いますが、私どもから言えば、行政官庁も東京にみんな固まっていなくたっていいのではないか、こう思います。終戦直後は統計局が小田原にあって別に不便でもなかったし、私どもの党は、文化庁は京都になどと言っているのですけれども行政官庁が全部東京に集まっていなくてもいい。この分散は政府の決断でできることで、そんなこともあわせてひとつ御検討をしていただきたい。これは要望を申し上げます。  最後に田園都市構想でございますが、これは一方的に私がしゃべりますので、ひとつ最後に長官のお答えをいただきたいのですが、私は田園都市構想というのはどんなものだか、正直のところ、まだよくわからないのです。しかし、物の考え方として、やはり日本の国全体の町づくりの一つの哲学、理念を示されようとしておるんだと思うのですが、もし、そういう考え方田園都市構想が練られているということで、私の判断で間違いがないとするならば——しかし、いままで田園都市構想と言われているものの中で聞いた話では、文化薫るだとか、あるいは安らぎだとか豊かな人間性だとか、ふるさとを取り戻すとか、そういう話を聞くのですが、こんなものは大平総理大臣がおっしゃらなくたって、だれだってみんな求めているので、あえて大平さんが言われなくたって、みんなこれに反対する人はないと思うのですね、文化だとか安らぎだとか豊かな人間性だとか。私は町づくりの哲学、理念というものは地方の自治体、さらにもっと言えば住民が、それぞれの町においてつくるべきものだと思うのですね。それでなければ、ここで田園都市構想で言っている個性あるとか持ち味ある町づくりなんというのはできないと思うのですね。極端に言えば、これはちょっと脱線かもしれぬが、おれのところは田園都市でいきたい、あるいは工業都市でいきたいというところだってないとも限らない。それで自分の町の哲学、理念というものは、みんなが、それぞれの住民がむしろ考えるべき問題だと思うのですね。ですから、こんな田園都市構想なんというようなことをおっしゃらないで、もし、そういうお気持ちがあって田園都市のようなものの実現を期せられるならば、さっき申し上げました、地方自治体の行政権限、財源をしっかりするために国と自治体との責任範囲も明確にして、そして地方自治体の行政権限と財源とをはっきりする、そういう努力をされることが個性ある町づくりの基本的な要件になるのじゃないか、こう思うのですが、国土庁長官の御意見を承りたいと思います。
  255. 中野四郎

    中野国務大臣 しばしば、これもお尋ねがありますとおり、大平総理みずからが、具体的に何をという問題ではないんだ、私は政治理念としてこう考えておるんだ、そして三全総に言う、いわゆる定住圏構想と軌を同じゅうするものだという意見を述べておられます。ただ私は、ここで一応考えてみる必要があると思うのです。その前段として大平総理は、高度成長時代と変わって、いまの低成長時代にふさわしい豊かな地域づくりというもの、そこで特に家庭を基盤としてと言っておられるのです。私は、これは高く評価していいと思うのです。政治理念として地域をば重点といたしまして、しかも、その土地土地の特徴を十二分に調和をとるようにして、そして家庭を基盤とした調和のとれたいわゆる町づくりに志してもらいたい、こういうような考え方のもとに、われわれは、三全総に言う定住構想は、田園都市構想の目指す地域づくりに当たって、その基盤を計画的に整備する役割りを担うものである、こういう考えのもとに今後邁進いたしたいと考えておる次第でございます。
  256. 川合武

    ○川合委員 最後の最後でございますが、田園都市構想を大平さんが言われるのは結構でございます。それを取り消せとは私は申しません。申しませんが、言われるからには、まず先に行われるべきものがあるのじゃないか。それは政府が田園都市構想を言われるならば、まず先に行われるべきものは地方への行政権限と財源の移譲であって、そして、それによって大平さんの言われるような田園都市構想も実現するのじゃないか。それを言わないで、地方自治体への行政権限、財源のことを言わないで田園都市構想を言われるのは、どうもおかしいんじゃないか、こういうことでございますが、いかがでございましょうか。
  257. 中野四郎

    中野国務大臣 その点には言及されておるのです。よく文章の上では地方分権と言っておりまするけれども、私はそういう意味でなく、中央におけるところの行政上の事務、なお地方における財源のでき得るものは、だんだんと地方に移譲していってはどうか、そういうことによって、いわゆる田園都市構想というものが実現し、健全なものとして発展していくようにしたい、こういうわけですから、いま先生がお尋ねのような、直ちにとはいきませんけれども、徐々にでき得る行政上の権利、財政上の措置をとっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  258. 川合武

    ○川合委員 終わります。      ————◇—————
  259. 伏木和雄

    伏木委員長 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案特定市街化区域農地固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。渡海建設大臣。     —————————————
  260. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ただいま議題となりました農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この臨時措置法は、昭和四十六年に、農地所有者等による居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅の供給を促進するとともに、市街化区域の水田を主とした農地の宅地化に資することを目的として制定されたものであります。その適用期限は、当初、昭和五十一年三月三十一日までとなっておりましたが、昭和五十一年第七十七回国会において三カ年の延長を行うための一部改正法が制定されまして、昭和五十四年三月三十一日までを期限として今日に至っております。  この制度による賃貸住宅の供給は、これまで着実に実績を上げてきておりますが、三大都市圏を中心とした都市地域における住宅対策推進は、なお大きな課題であり、この制度は現在においても重要な役割りを持っておりますので、この臨時措置法の適用期限の延長を図る必要があると考えます。  また、これに伴い農地所有者等に資金の融通を行う融資機関の貸付条件を改善するため、融資機関の融資の利率を昭和五十四年度当初から引き下げることとし、法律上量局限度として定める利率の範囲内において、全般の金利体系の中で機動的かつ弾力的に決定し得るようにすることが必要であると考えられます。  以上がこの法律案を提案した理由でありますが、次に、その要旨を申し上げます。  第一に、農地所有者がその農地を転用して行う賃貸住宅の建設等に要する資金の融通について政府が利子補給金を支給する間における融資の利率は、現行では法律で定められておりますが、この利率を法律で定める限度の範囲内で政令で定めることといたしております。  第二に、政府が利子補給金を支給する旨の契約を結ぶことができる期限を三カ年延長し、昭和五十七年三月三十一日までとするとともに、昭和五十七年三月三十一日において現に賃貸住宅を建設するために宅地造成に関する工事が行われている土地に建設される賃貸住宅に係る融資につきましては、その期限を昭和五十九年三月三十一日まで延長することといたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  ただいま議題となりました特定市街化区域農地固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この臨時措置法は、昭和四十八年に、特定市街化区域農地すなわち三大都市圏の特定の市に所在するいわゆるA農地及びB農地に対して固定資産税の課税の適正化を図るに際し、これとあわせて、これら農地の宅地化を促進するために必要な措置を講ずることを目的として制定されたものであり、特定市街化区域農地の宅地化促進のための事業の施行、資金に関する助成、租税の軽減等をその内容としております。これらの措置の適用期限は、同法のほか、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法、租税特別措置法及び地方税法により、当初、それぞれ昭和五十年度までとされておりましたが、昭和五十一年第七十七回国会において各法の一部改正が行われ、それぞれ三年間延長されて昭和五十三年度までとされております。  しかしながら、特定市街化区域農地の宅地化の動向及び今後の三大都市圏における宅地需要を考えますと、昭和五十四年度以降においてもこれらの措置を引き続き適用し、特定市街化区域農地の宅地化の促進を図ることが必要であると考えられるのであります。  以上が、この法律案を提案した理由でありますが、次に、その要旨を御説明申し上げます。  前述のとおり、特定市街化区域農地固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法に基づく措置につきましては、同法のほか、他の法律によりそれぞれその適用期限が定められておりますが、この法律案におきましては、同法の附則において適用期限が定められている土地区画整理事業の施行の要請及び住宅金融公庫の貸付金利の特例の措置につきまして、その期限を昭和五十七年三月三十一日まで三カ年延長することといたしております。  なお、前述の他の法律により適用期限が定められている措置につきましては、別途今国会に提案されているそれぞれの法律の改正案において、その適用期限を三カ年延長することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げます。      ————◇—————
  261. 伏木和雄

    伏木委員長 次に、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。中野国土庁長官。     —————————————
  262. 中野四郎

    中野国務大臣 ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明を申し上げます。  奄美群島につきましては、昭和二十八年の本土復帰以来、復興特別措置法、振興特別措置法及び振興開発特別措置法のもと、復興計画、振興計画及び振興開発計画に基づき各般の事業を実施し、これにより奄美群島の基礎条件の改善とその振興開発を図ってまいったところであります。  しかしながら、奄美群島をめぐる諸条件は依然として厳しく、なお本土との間に格差が存すると考えられます。今後、その格差の是正を図り、国土の均衡ある利用を推進するためにも、奄美群島の特性とその発展可能性を生かし、積極的に総合的居住環境の整備と地域産業の振興を進める必要があります。  このような見地から、現行の振興開発特別措置法の有効期限を延長することにより振興開発計画計画期間をさらに五カ年延長し、これに基づく事業を推進する等特別措置を引き続き講ずる必要があると存ずるのであります。  また、小笠原諸島につきましては、昭和四十三年の本土復帰以来、復興特別措置法のもと、復興計画に基づき各般の事業を実施し、その成果を上げてまいったところでありますが、本土からきわめて隔絶した外海離島であるという自然的条件等のため、人口の定着、産業の育成等が十分には達成されていないと考えられます。  このような見地から、現行の復興特別措置法をさらに延長して振興特別措置法とし、新たに総合的な振興計画を策定し、これに基づく事業を実施する等特別の措置を引き続き講ずる必要があると存ずるのであります。  以上が、この法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして御説明を申し上げます。まず、奄美群島振興開発特別措置法の一部改正につきましては、第一に、この法律の有効期限を五カ年間延長して昭和五十九年三月三十一日までとし、奄美群島振興開発計画の内容について所要の整備を行うとともに、計画期間を五カ年から十カ年といたしております。第二に、奄美群島振興開発計画に基づく事業に要する経費について、国の負担または補助の特例を改めております。第三に、奄美群島振興開発基金の保証業務に要する資金に充てるため、新たに国が追加して出資することができるようにいたしております。第四に、奄美群島振興開発審議会の委員定数を十五人以内とすることといたしております。次に、小笠原諸島復興特別措置法の一部改正につきましては、第一に、題名を小笠原諸島振興特別措置法に改め、法の目的についても、新たに総合的な振興を図っていくのにふさわしいものに改めるとともに、法律の有効期限を昭和五十九年三月三十一日まで五カ年間延長することといたしております。  第二には、新たに昭和五十四年度を初年度として五カ年にわたる小笠原諸島振興計画を策定することとし、その内容についても積極的な振興を図るための計画事項を定める等の規定の整備を図っております。  第三に、小笠原諸島復興審議会の名称を小笠原諸島振興審議会と改めております。  以上が、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重審議の上、速やかに御可決いただきまするようお願いを申し上げます。
  263. 伏木和雄

    伏木委員長 以上で三案の提案理由の説明聴取は終わりました。     —————————————
  264. 伏木和雄

    伏木委員長 三案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来たる三月二日金曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時散会      ————◇—————