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1979-02-21 第87回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月十四日(水曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  住宅宅地問題に関する小委員       大塚 雄司君    谷  洋一君       中村  靖君    中山 正暉君       中村  茂君    吉原 米治君       瀬野栄次郎君    渡辺 武三君       瀬崎 博義君    川合  武君  住宅宅地問題に関する小委員長 中山 正暉君  中小建設業振興に関する小委員       小沢 一郎君    谷川 寛三君       塚田  徹君    中島  衛君       井上  泉君    渡部 行雄君       松本 忠助君    中井  洽君       瀬崎 博義君    川合  武君  中小建設業振興に関する小委員長                 井上  泉君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十四年二月二十一日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 登坂重次郎君    理事 中山 正暉君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上  泉君 理事 中村  茂君    理事 北側 義一君 理事 渡辺 武三君       井出一太郎君    大塚 雄司君       谷川 寛三君    塚田  徹君       中島  衛君    中村  靖君       丹羽 久章君    西田  司君       伊賀 定盛君    福岡 義登君       吉原 米治君    渡部 行雄君       瀬野栄次郎君    松本 忠助君       中井  洽君    瀬崎 博義君       川合  武君  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 中野 四郎君  出席政府委員         国土政務次官  保岡 興治君         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁大都市圏         整備局長    堺  徳吾君         国土庁地方振興         局長      佐藤 順一君         建設政務次官  渡辺 紘三君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 丸山 良仁君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 稲田  裕君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         建設省住宅局参         事官      吉田 公二君  委員外出席者         経済企画庁調整         局審議官    田中誠一郎君         経済企画庁物価         局審議官    下山 修二君         大蔵省主計局主         計官      塚越 則男君         大蔵省銀行局銀         行課長     平澤 貞昭君         通商産業省基礎         産業局鉄鋼業務         課長      岩崎 八男君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   香田  昭君         運輸省自動車局         整備部車両課長 丹羽 一夫君         自治省行政局行         政課長     中村 瑞夫君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澤田 光英君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     不破 哲三君 同月十七日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     瀬崎 博義君 同月十九日  辞任         補欠選任   大坪健一郎君     羽田野忠文君 同月二十日  辞任         補欠選任   川合  武君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   大原 一三君     川合  武君     ――――――――――――― 二月二十一日  住宅宅地政策改善に関する請願下平正一君  紹介)(第一二一二号)  宅地建物取引業法改正に関する請願下平正  一君紹介)(第一二一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十五日  住宅宅地政策改善に関する陳情書外三件  (第七〇号)  公団住宅家賃値上げ反対等に関する陳情書外  二件(第七一  号)  地すべり対策等促進に関する陳情書  (第七二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川寛三君。
  3. 谷川寛三

    谷川委員 私は、きょうは、せんだっての両大臣所信表明関連いたしまして、若干の点につきまして政府のお考えをお聞きしてまいりたいと思います。  最初土地問題でございます。地価等につきましては先日の委員会でも同僚委員から御質問がありましたが、重要な問題でございますから、重複するかもしれませんけれども、お伺いをしたいと思います。  銀行局の方に伺いますが、銀行局長が去る二月七日に口頭で、それから翌八日には文書で、金融機関に対しまして土地関連融資についての指導を行ったようでありますが、もう一度ひとつ、どういう方面に対して、どういう内容の指導を行ったか御説明をしていただきたいと思います。
  4. 平澤貞昭

    平澤説明員 お答えいたします。  先ほどお話がございましたように、二月の七日に口頭自粛要望いたしますとともに、八日に通達を出しまして今後、不動産関係融資数字大蔵省に出すようにということといたしました。  これにつきまして、このような措置をとりました背景でございますけれども、最近若干、土地等に動意が見られるということもございまして、狂乱物価時代金融機関融資が、そのような土地値上がりにかなり加担しているというような御批判がございました過去の先訓もございますし、ここで金融当局といたしましても、ある程度自粛を要請した方がいいのじゃないか、こういうことを考えまして行ったわけでございます。  ただ、実際に具体的な数字を見てみますと、五十三年十一月末における全国銀行不動産向け貸し出し状況でございますが、伸び率が一一・七%ということで、総貸し出し伸び率が九%というのに対しまして若干強目に出ているということでございます。これにつきましては、われわれといたしましては、一昨年以来の公共事業を主力とする各方面施策の結果といたしまして住宅その他の動きが激しくなっているということに伴う、いわゆる健全な実需に伴う不動産融資の増であろうというふうに考えておりますけれども、しかし先ほど申し上げましたような先訓もございますので、今後、投機的な土地取得、そういうものを助長するような融資、これは自粛してほしいということでお願いしたわけであります。具体的には全国銀行協会連合会というのがございまして、そこの代表者や、それから地方銀行協会、それから相互銀行協会、さらに信用金庫連合会及び損保、生保、こういう方面代表者を呼びましてお願いした、こういうことでございます。
  5. 谷川寛三

    谷川委員 そうしますと、いまの不動産関連貸し出し残高等から見て、いま直ちに土地転がしを、心配するということではないわけですな。
  6. 平澤貞昭

    平澤説明員 御指摘のとおりでございます。
  7. 谷川寛三

    谷川委員 そこで、建設省国土庁どちらでも結構でございますが、お伺いいたしますが、さきに国土庁が発表いたしました五十四年の公示地価動向によりますと、去年の地価上昇率全国平均で五年ぶりに消費者物価上昇率を上回っておる。それから大都市住宅地上昇率はさらに著しい。東京都の住宅地で申しますと、おととしの三倍近いアップになっております。確かに私、いまも銀行局の方からお話がありましたが、警戒を要する状況であると考えておりますが、こういった最近の地価上昇の現状をどのように分析しておられるかを、もう一度伺っておきたいと思います。  実需であろうか仮需であろうか。それから一番大きな値上がり要因は何だろうか。それから私、心配しますのは、四十六、七年当時、過剰流動性がもたらした土地投機が例の列島改造ブームと相まちまして、すさまじいものになったことを考えますと、今度の田園都市国家論がまた前のイメージにつながるおそれはないだろうか、大変心配でございます。ただいまは大都市中心値上がりのようでありますが、これが地方に波及するおそれはないか、こういったこと等々につきまして、できたら大臣からお答えを賜りたいと思います。
  8. 中野四郎

    中野国務大臣 最近の地価動向についてお尋ねでございますが、いま谷川先生指摘のとおり五十二年ごろまでは、物価指数からいいますと地価の方が少し下がっておったのですが、五十三年から、やや地価の方が上がってまいりました。これにはいろいろな要因があります。また円高差益等の問題もあって、物価はある程度まで落ちついてきた。地価上昇要因は何かと申しますと、宅地需要供給の不均衡にあるという一言をもって尽きるように思うのであります。  たとえば全国的な指数を見ますと五・一%でありまするが、住宅、商業地いろいろなものを比較してみますと、住宅地値上がりが少し強いのです、六・三%。特に三大圏、この方面地価というものが、ただいま御指摘のとおり非常に高まってきておる。こういう点について、その要因が大体何だと言いますと、効用増値上がりという方が妥当ではないかと思うのであります。  たとえば三大圏、特に東京圏周辺におきましては、付近に地下鉄とかバスあるいはその他の交通機関がだんだん新設されてきて、住むのに非常に便利である、通勤に便利である。それから道路網公共事業の推進に基づきまして、だんだん新設されてくる、整備されてくる。同時に付近に、いろいろな商店が開設されたり、生活にはきわめて便利になってくる。公共事業の中では、下水道とか公園あるいは学校、病院というものが整備されてくる。こういうところへ住宅地を求める人が非常に多くなりましたのが一つ傾向だと思うのでございます。  しかし、いま先生指摘のように四十七年、八年のようないわゆる投機によって土地が非常に大きく変化をするのじゃないか、地価が大きく変化をするのではないかという御懸念は、すでに国会におきましていろいろと御配慮をいただきまして、国土利用計画法に基づきまして、そういうような場合をもし想定することがあるなれば、それぞれの措置をできる道もありまするし、投機的に、いま地価が非常に大きく上がっておるというような傾向は見られないように感じておる次第でございます。
  9. 谷川寛三

    谷川委員 いま大臣からのお話で、ただいまの土地アップ需給アンバランスが主だというお話がございました。  そこで私、心配することがありますので、要望等も含めましてお話を承っていきたいのでありますが、四十六、七年当時の狂乱地価の際、確かに、さっきも銀行局課長さんが心配されておったように、大蔵省対応は率直に言いまして機敏なものではなかったと言わざるを得ません。そういう苦い経験にかんがみまして今回の地価抑制の早期警戒体制的ですか措置をとられたものと思うのでありまして、一応当面、適切な措置であると私は考えます。  しかし、いま大臣からお話がありましたように、主として需給アンバランスによる地価上昇であるということを考えますと、土地供給促進を図ることこそ重要ではないかと申し上げなければならぬと思います。申し上げるまでもございませんが、五十四年度におきましては、優良宅地供給促進という見地から土地税制の見直しなどの措置が講じられておりますが、地価抑制のただいまの金融措置も、これと矛盾しないように、つまり行き過ぎのないように慎重にやってもらわなきゃならぬ、かように思います。  もちろん前回のような狂乱地価は絶対に起こしてはならぬ。また常識的に考えましても、不況下設備投資資金需要も少ない。銀行にはいまお金が余っておる、それでつい土地への誘惑に乗ってしまうというところもあるかもしれないとは思いますけれども、先ほどの銀行局指導によりますと各四半期ごと土地関連貸し出し実行状況を報告させることになっておりまして、相当厳しいチェックであると思います。銀行等金融機関は、銀行局長からこういう通達がありますと、ぴりぴりしておりますから実需に基づく必要資金についてまで円滑化を阻害することになりはしないかと、いささか心配をするものでございます。せっかく最近は庶民方々マイホームのなにが届き始めたという気持ちでおられますから、そういう庶民マイホームの夢にまで水を差すようなことにならないよう、くれぐれも御指導に当たっては御注意を願って、やり過ぎてもいかぬけれども、そういうふうになってもいかぬ。節度ある実行を私は望んでおきたいと思います。  そこで私は、土地投機の再燃を防いで地価を安定させますためには、何と申しましてもインフレマインドを起こさせないようにすることが一番大切だと思っておるのでありますが、その地価安定と住宅地供給促進は、どういうふうにして両立させながら政府ではお進めになっていかれるのか。これまた建設大臣国土庁長官どちら様からでも結構でありますが、お答えをいただきたい。
  10. 山岡一男

    山岡政府委員 先生お話にございましたとおり、地価の安定を図るということが現下の土地対策の最重点でございますが、そのためには投機的な取引につきましては、これを厳しくやらなければならない。反面、需給ギャップに対しましては供給促進しなければならない。両方の面があるわけでございます。  その中で投機的な土地取引につきましては、先ほど大臣お話にございましたように国土利用計画法による届け出制度による価格チェック等がございます。それから土地税制による抑制効果がございます。これはいわゆる法人重課、個人の長期譲渡取得重課特別土地保有税等々でございます。それからさらに、最近、大蔵省で行っていただきました融資による規制がございます。いずれも投機取引につきましては抑制効果をねらったものが多いわけでございます。  しかし、その中身といたしましては、たとえば国土利用計画法の運用におきましても事前確認制度を設けまして迅速適確な便宜を図るとか、それから各種の土地税制におきましても、良好なものについては免税、非課税の措置が講ぜられるとか、それから融資規制におきましても、不要不急なものに対しては抑制いたしますが必要なものには融資をする姿勢をとっていただくとかということになっております。そういう意味から申しますと、投機的な取引抑制についてのいろんな規制措置の中にも供給促進のための必要な配慮は十分尽くしてあるとわれわれ考えておりまして、あとは供給促進のための対策を強力に進めていき、両々相まって地価安定策が講じられていくだろうというように私は考えておる次第でございます。
  11. 谷川寛三

    谷川委員 それで私は重ねてひとつ、くれぐれも行き過ぎのないような御指導をいただくようにお願いいたします。さっきの銀行局長指導の前日ですが、松沢全銀協の会長さんが記者会見で、地価上昇をあおるような融資は個々の金融機関判断自粛をしていった方がいいと語っておりまして、明るく七日には、銀行局長指導と呼吸を合わせるかのように森永日銀総裁も、金融機関窓口指導や考査を通じて土地融資チェックする姿勢を示しておりますので、非常に金融機関にきつく響いておるのじゃないかと思いますので心配をして要望をしたものでございます。  いろいろ土地問題についてもお話を聞きたいところがありますが、たくさん質問したいことがありますので、この程度にしまして、次は公共事業関係につきまして、ちょっと御意見を承っておきたいと思います。  予算委員会の議論を聞きましても、政府は、雇用面での心配はあるけれども景気の方は一応着実に回復に向かっている、こういう判断から、今後は物価の面に、より一層の注意を払いながら政策を進めていくべきであるというような方針が示されております。そして五日でしたか、産業行政責任者でありますところの通産次官も、記者会見で事実上の景気回復宣言をしたという記事新聞に出ております。  こういったようなことを考えますと、昨年までは公共事業執行も前倒して、じゃんじゃんやっていればよかったのですが、これからは公共事業かじ取りもなかなかむずかしいぞ、かように思います。かじ取りやり方いかんで右に行くか左に行くかが決まるわけでありますが、私がお伺いしたいことは、きょう企画庁の方もお見えになっておりますが、景気回復は本物だろうか、本当にもう大丈夫なのだろうかということ。それから、いま申しましたように、これは事業本部のある大蔵省でしょうか、どういう方針かじ取りをしていかれるのか、お考えをお聞きしておきたいと思います。
  12. 田中誠一郎

    田中説明員 お答えいたします。  最近の経済情勢でございますが、先生指摘のように現在の景気は緩やかではございますが着実な拡大傾向をたどっておるというふうに私ども考えておるわけでございます。その要因は、申し上げるまでもなく公共投資の累積的な効果がこのところに出てまいりましたし、在庫調整がかなり進展しておるという非常にいい環境がございます。  その中で御存じのように輸出入を見ますと、輸出は数量ベースでマイナスでございます。一方、輸入は数量ベースでは一〇%を超えるプラスになうておるということでございますが、ドルベースで見ますと、かなりの顕著な減少にはなっておりますが、なお、かなり高い水準にある、これが国際的には減少を要請されるという事情にございます。しかし国内的に見ますと、消費はかなり着実な回復傾向を示しておりますし、設備投資は非製造業中心でございますけれども、やはり着実な回復を示しておるという状況にございます。  こういった事情背景といたしまして、生産はこのところ着実に上昇しておりまして、十−十二月の前期比で見ますと二・四%という高い上昇でございます。これはその出荷の増に支えられておるわけでございますが、この結果、稼働率もかなり上がりまして十二月で一一五・二と非常に高い水準回復してきたわけでございます。  先生が御指摘になりました雇用問題につきましても、いまなお失業者の数はかなり高うございますけれども、有効求人倍率もかなり改善してまいりましたし、環境は、民間需要拡大というのを中心といたしまして、かなり明るい面を持ってきているという状況にあるかと思います。  ただ御指摘のように、物価につきましては幾つかの要因がございますけれども、一つには、いわゆるレートが安定してまいりまして、円高のメリットが対外的には少なくなったという面がございますし、また海外市況も上がってきたという事情がございます。さらに先ほど来お話のございましたように、国内需給の地合いの変化もございますので、物価面ではかなり警戒的な要因が出てきたという事情にあるかと思います。  しかし私どもといたしましては、こういった景気回復基調を五十四年度につきましても着実に持続させるように政策運営をとってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、景気回復物価の安定というのはかなり両立しがたい面もございますけれども、両者の調和を保ちつつ経済運営を図っていきたい、かように考えている次第でございます。
  13. 塚越則男

    塚越説明員 五十四年度公共事業予算執行の問題についてお尋ねでございますが、四十一年度以降の上半期における公共事業等執行状況を見てみますと、施行促進年度におきましては、上半期契約率が大体七三から七七%程度、それから施行時期の調整を行った年度におきましては五三から五五%程度、その他の年度におきましては大体六五から六六、七%という程度になっております。  そこで、五十四年度公共事業等施行をどうするかという問題でございますが、これは経済情勢でございますとか、五十三年度公共事業等施行状況でございますとか、あるいは建設資材、労務、用地等動向を見ながら関係省庁等意見も聞きまして、五十四年度の開始までにめどを立てたいというように考えております。  現在の時点での概括的な感じを申し上げますと、先ほど企画庁の方からも御説明のありましたような最近の経済情勢等から見まして、五十三年度のような大幅な前倒しをするのはいかがであろうかというふうに考えております。
  14. 谷川寛三

    谷川委員 いまのようなお話を前提にしながら公共事業執行につきまして少し細かく伺っていきたいと思います。  最初に、最近の主要建設資材価格動向でありますが、いただきました資料を見ますと大分上がっておるようでありますが、この動向についてどうお考えになっているか。たとえばセメントなんかでありますが、表によりますと高知とか広島、山口、高松とかいったところは何か非常に高いような感じがします。地域によりますと建設資材が不足して値上がりする等の問題が生じておるということを話にも聞きますし、やはり新聞記事等によりましても見るのでありますが、そういう問題についてどういう安定策を講じておられるか。  関連がありますので続けて伺いますが、そういうことの一つの原因として、私は改正道交法施行に伴います過積み規制強化があるんじゃないかと思います。これは私のところは高知県で山の関係になりますから、木材の方々からもいろいろ問題が出ております。各方面で問題とされておりますが、ベニヤ板とかコンクリートパネルなど建設資材価格にも少なからない影響が出ておるように私は思います。高知県などは地の利も悪いところでありますから、そういうハンディがありますので、つまり輸送費ハンディでありますが、規制強化前でも資材がよそよりは高かったのでありますが、今度の規制強化で大変困っております。  さらに、きょうは運輸省の方もお見えになっていただいておりますのでお聞きしますが、ダンプ車等輸送車の確保の問題もあると思います。こういった問題につきまして、ひとつ、それぞれの担当の役所から対応策等について伺っておきたいと思います。  過積み規制で確かに事故は減ったでしょう。したがって私も過積みを見逃してほしいというわけではございません。それは言うわけにいきません。しかし、物価コストアップに対する措置は、ぜひとも早急に講じなければならぬと思うわけでありまして、これは後で大臣からも御所見を承りたいわけでありますが、ひとつ万全の策を講じていただきたいと思います。それから、まとめて伺いますが、新聞で見ますと、この問題につきまして実態調査をやっておるようでありますが、どこで、どういう調査をやっておられるか、また、いつまでにまとめるかということも伺っておきたいと思います。それぞれの役所からお願いいたします。
  15. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 最近の建設資材の問題でございますが、いま先生指摘のとおり相当値上がりしております。その原因は、いまお話のありましたように過積載の規制の強化、それから、もう一つは海外要因、先ほどもお話がございましたが、円高がストップしているというようないろいろの原因が一遍に重なりまして、そのために製材であるとか小形棒鋼であるとか骨材であるとかいうものにつきまして値上がりが見られるわけであります。  しかしながら海外要因等につきまして今後どうなるかということは、なかなかむずかしい問題でありますが、過積みの影響は一度出てしまえば、それで私どもは今後も、なおかつ上がるというものではない、このように考えておりますから、今後この傾向が長く続くものであるとは考えておらないわけであります。  したがいまして建設省といたしましては、現在も地方ブロックごとに関係省庁から成ります公共事業施行対策地方協議会というものを設けておりますが、これが中心になりまして便乗値上げ等がないように十分な配慮をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  それから値段が上がった場合には、先ほど、どういう調査をしておるかというお話でございましたが、われわれといたしましては各地方建設局ごとに毎週一週間ごとの値上がり状況調査をしておるわけでございまして、これに基づいて発注単価を適正にするように速やかに措置を講ずる、こういう措置を講じておるわけでございますから、新規発注分につきましては、少なくも、この値上がり分で業者に迷惑をかけるとか、あるいは、その影響を下請に及ぼすというようなことはないものと考えております。  それから、たとえば高知県の例が出たわけでございますが、確かに先生おっしゃいますように高知県におきましては骨材を除きまして、ほとんどのものが他の地域に比べまして高くなっております。これは一つには、やはり輸送の問題があるのではないかと思います。たとえば沖繩を例にとりますと、沖繩はほかの地域に比べまして非常に高いわけでございますが、これは大きな原因が輸送費関係ではないか、このように考えられるわけでございまして、高知の場合にも、その点が大分影響があるわけでございますが、たとえばセメントなどを例にとりますと、高知県にはセメント工場があるわけでございます。それにもかかわらず値段が上がっておるということは、われわれもなかなか納得のできないところでございますから、この点は通産省とも相談をいたしまして、十分原因を究明し、値下げをしてもらうように努力をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  16. 谷川寛三

    谷川委員 そういう御指導をお願いするとともに、いまお話がありましたが、工事の発注につきましては建築資材の実勢価格を単価に反映させるように今後とも、ひとつ十分御配慮をいただきたいと思います。  それから価格関連いたしまして通産省の方に伺っておきたいのですが、小形棒鋼についてであります。  中小企業団体法による減産カルテル、不況カルテルでありますが、去年の十二月で期限切れになっておりまして、電炉業界からは一−三月についてもカルテル延長の申請が出ておるようであります。二月十二日の新聞を見ますと「構造不況対策洗い直し」という「通産省の意向」だという見出しでありますが、公共事業の浸透によりまして小形棒鋼についても需要も堅調に推移しておるから、通産省はこれを「認可しないとの最終結論を近く出す方針」だとなっております。私も建築資材値上がりを抑えるためには、いろいろ検討しなければならぬ問題があると思っておるのでありますが、これはどうお扱いになりますか。
  17. 岩崎八男

    ○岩崎説明員 小棒につきましては、いま先生指摘のとおり長期にわたる不振を解決するために一昨年の十月から中小企業団体法による生産調整事業を続けてまいりました。片や設備の処理を、いわゆる構造不況法に基づいて、この三月までに終えるよう、いま進めておるところでございます。  私どもは基本的には、この三月までは需給上この調整事業を続けた方がいいのではないかと思っておりました。また、実際の価格も、去年の三月までに水準の適正化といいますか手直しが行われた以降、この一年間非常に安定しております。これは小棒という非常に市況商品的な性格のものとしては、過去にも例がないほど安定しておったと思います。これは減産の効果と、それから公共事業による需要拡大が昨年の四−六月期に急速に出てまいりまして、その結果だと思っておりますけれども、昨年中は非常に平穏な状況で続いてまいりました。ところが昨年十二月、いまの過積み規制の強化の問題、それと米国からの輸入スクラップが高騰したということもございまして、それまで秋口に軟化傾向にございました市況が急反発をいたしました。  確かに過積み規制の強化の結果、物理的な引き渡し、スクラップあるいは製品の引き渡しに、やや過渡的な渋滞等もございまして、こういう市況商品的なものでございますので、そういうことが思惑的な価格上昇のスパイラルにつながるというふうなことを恐れまして、私どもは、この一−三月の業界から出されております生産調整事業の延長申請を実は十二月末段階で留保しておるわけでございます。それがずっといままで続いております。  冒頭申し上げましたとおり私どもは、小棒の需給あるいはユーザーとメーカー間の力関係等から考えましても、あるいはいまの設備調整の円滑な完了等から考えましても、現在やはり基本的には、そういう生産の計画的な遂行というのがなお望ましいのではないかと思っておりますけれども、いまみたいな特殊な要因もございますので、やはり現状においては業界からの申請の取り下げがない限り、いまの留保の状況でまいりたいというふうに考えております。
  18. 谷川寛三

    谷川委員 よくわかりましたが、いま申しましたように大分いろいろと建築資材値上がりをしておる。物価にも響くし、公共事業執行にも差し支えがあるということでありますから、ひとつ慎重に考えていただきたいと思います。  それから、公共事業執行関連いたしまして、もう一つ伺っておきたいのでありますが、地域によりましては、鉄塔とか橋の建設などで専門の技術を持った労働者が不足したり、さっきお話がありましたが用地の取得がむずかしくなっておるというニュースも耳に入ります。特に下水道につきましては、これは大変重要でありますが、ことしは三三%でありますか、大幅にふえた。ところが地方の中小建設業者とか初級の技術者の能力をもってしては、設計の標準化の促進等をやってもらわぬと、とても五十四年度の予算はこなし切れないということも話に出るのでありますが、こういった点につきまして現状と対策を承知しておきたいと思います。
  19. 小林幸雄

    ○小林(幸)政府委員 五十三年度におきましては、下水道の事業費の伸びが過去最高の五〇%近い伸び率を示しております。しかも五十二年度の下半期におきまして一次、二次補正がある。そこへ五十三年度、非常に大きな未曽有の伸び率をした事業費を、さらに前倒し執行という拍車がかかったわけでございまして、五十二年度下半期から五十三年度上半期にかけまして、これは前例を見ない異常な集中的な発注が行われたということは事実でございます。その結果、発注者側においては、これは昨年の国会でもいろいろ御質問がございましたけれども、私どもの想定どおり何らの支障がなかったというふうに思っておりますが、一部のコンサルタントにおきまして、やや限界に近いような設計業務の受託状況があったと見受けられるということは新聞報道のとおりかと思います。  これは、コンサルタントについて、その点を申し上げますと、過去の例から見ますとコンサルタントのシェアといいますか、コンサルタントに対する依存度、これはほぼ二%程度というふうに見ております。したがいまして五十四年度の場合、約一兆七千億弱でございますから、コンサルタントに対して消化を期待する設計の事業量と申しますものは三百三十億強程度になるのじゃないかというふうに考えられます。それに対しまして、新聞等に指摘されております一部の業者が非常に忙しい思いをしたという五十三年度上期及び五十二年度下期、これは実に約二百七十億円という発注が下水道関係でなされておるということは、非常に異常に集中しておったという状況であると思います。  五十四年度におきましては、先ほど来いろいろ各省から御答弁がありましたように、まず五十三年度のような異常な上半期集中というふうな発注の状態は、ちょっといまのところ考えられませんので、事業量としては伸びておりますけれども、まず十分消化可能である。なお加えまして、大手のコンサルタントにおきましてはコンピューターを導入する等の体質の改善を相当図ってきております。あれこれ考えてみますと今年度におきましては、まず、その心配はない。しかしながら発注の平準化ということは、コンサルタントのみならず直接発注する事業主体の体制から見ましても、きわめて重要な問題でございますので、そのような方向で指導してまいりたいというように考えております。
  20. 谷川寛三

    谷川委員 それでは次に、中小建設業関係につきまして若干伺っておきたいと思います。  まず、公共工事関係の中小建設業者の受注のシェアとか、それから建設省所管工事だけでいいですから、中小建設業者の最近の発注状況をちょっと説明してくれませんか。
  21. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 資本金一億円以下と以上とに分けますと、資本金一億円以下のいわゆる中小業者の公共工事全体に占めるシェアは昭和五十年度におきましては四六・九%でございましたが、これが五十三年度の四月から十一月までにつきましては五一・九%、約五%ぐらい上がっております。したがいまして、われわれといたしましては、いろいろ中小企業の発注には配慮しているわけでございます。  また建設省の所管事業について申し上げますと、全体では中小企業の占めるシェアが五十二年度で五五・八%でございます。その内訳を申し上げますと、補助事業につきましては、これは大部分が小規模工事が多いわけでございまして中小に適する、こういうことから、そのシェアは六九・八%、約七割になっております。しかしながら直轄とか公団等の事業は事業の性格上、大規模工事が多いわけでございますから、なかなか中小の入り込む余地が少ないということでございまして、直轄、公団を合わせまして三一・四%という形になりまして、先ほど申しましたように全体では五五・八%、こういうシェアになっております。
  22. 谷川寛三

    谷川委員 そこで、いま話に出たのでありますが、中小建設業者の受注確保の要請が一方においてあるわけです。一方では、事業の効率的執行をするためには大型発注という要請があるわけでありますが、そこをどう調整していかれますか。建設大臣所信表明の中でも中小建設業者の受注確保というのが強くうたわれておりますが、ちょっとお話を。
  23. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 建設省関係公共事業の受注の問題につきましては、毎年度、予算が決まりましてから予算の執行通達をもちまして各関係機関に令達をいたしておるところでございますが、その中でも特に地元中小建設業者の活用を図るということを一つの眼目といたしております。  その具体的な方法といたしましては、先生御存じのように建設省といたしましては、一般土木工事につきましてはA、B、C、D、Eと五段階に発注基準を設けまして、相応の工事を相応の業者に請け負わせるという措置をとっております。  二番目は、いわゆる分割発注の推進でございまして、分割可能なものにつきましては単位をなるべく小さくして中小建設業者に受注の機会を与えるということでございます。  第三番目は、中小同士の技術力の補完という意味でジョイントベンチャーを活用いたしまして、それによってランクづけを高めて受注機会を与える、そういうような方策をもちまして中小業者になるべく受注の機会が得られるように努力をいたしておるところでございます。
  24. 谷川寛三

    谷川委員 いまA、B、C、D、Eの発注基準が出ましたが、大分据え置きになっております。中小建設業者の育成の見地から、この際この標準を見直すお考えはありませんか。  実は去年の五月から十二月までの数字ですけれども高知県の例をとってみましたところが、もうずいぶん大企業が小さな工事まで取りに来ております。四千万とか六千万、小学校なんかのも来ておるのですが、そういうことを一方において考えると、この際やはりもう少し大きいものも取れるようにしてあげる必要があるのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  25. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 いま先生指摘になりました、いわゆる大手が小さい工事を取るということにつきましては、先ほども申し上げました発注標準を守ることによりまして、その防止を図ることといたしておるわけでございますが、発注標準の改正の問題でございますけれども、最近の改正は四十九年八月一日に行われておりまして、その際は四十六年四月一日から工事費が五九・五%の増になったということで改定をいたしておるわけでございます。われわれも以前から、工事費の値上がり等を調査をいたしまして、いつ改定すべきかということにつきまして検討はいたしておるわけでございますが、現在のところ、まだその程度までに至っていないのではないかと考えておるわけでございますが、なお工事費の増高等の状況を見ながら機動的に対応してまいりたいと考えております。
  26. 谷川寛三

    谷川委員 これはお答えは要りませんが、要望しておきます。いまのような大企業の進出の状況でございます。ですから工事費の値上がり率などだけではいかぬのであって、こういうことも御判断いただきながら、勘案しながら、発注基準について、ぜひこの際、見直しをしていただきたい、要望をしておきます。  それから元請、下請関係の合理化についてでありますが、その指導要綱が昨年の十一月ですか策定された。そして関係方面通達されたようでありますが、その後の状況はどうでありましょうか。特に私は、高知県の建設業協会も説明会等で早速なにしたことでありますが、下請契約約款、これはどうしても守っていただきたいと思うのでありますが、実際に使用されておるでしょうか。そういう点。
  27. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 昨年の十一月に、合理的な下請契約の締結あるいは適正な下請代金の支払い、下請における適正な雇用管理というようなことを目的といたしまして、元請、下請関係の合理化指導要綱、こういうものを出したわけでございます。したがいまして、それを出しましてからまだ三カ月ぐらいしかたっていないわけでございますから、その普及状況とかいうことは、いま把握しておらないわけでございますが、今後とも、この問題につきましては積極的にその趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えております。  それから、いま御質問のございました下請契約約款についてでございますが、これは五十二年の四月に定めたものでございまして、その後、昨年の六月ちょうど一年ぐらいたってから政府公共事業等施行推進本部で調査をいたしたわけでございますが、一年間の普及率は約二五%、こういう形になっております。したがいまして、これも普及率がまだ非常に低いわけでございますから、これにつきましても今後とも業界を強力に指導して、ほとんどの業者がこれが守られるような形に持っていきたいと考えているわけでございます。
  28. 谷川寛三

    谷川委員 まだ通達してから間もないわけでありますから、なにですけれども、これは十分ひとつ御注意を願っていきたいと思います。  そこで建設大臣、いま、いろいろ中小企業関係お話を伺いました。建設省ではそういうことでやっておられますが、公共事業、これは文部省もありますし方々ありますが、よそはどうなっておりましょうか。同じようなことをやっていただくように、建設省指導するというわけにもいきませんが、やっぱり、どこかからやっていただかぬと、建設省の公共工事だけはそうなっておるけれども、よそはなっていないということでは困るのでありますが、ひとつ、そういう点をどういうふうに御調整願っていくか、お答えをいただきたいのです。大臣からちょっと。
  29. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 ちょっと事務的なことを初めに申し上げます。  その点につきましては私の方が建設業者全体の指導、監督、助成をいたしているわけでございまして、あらゆる各省通じての責任を持っているわけでございます。したがいまして、いまのような指導要綱あるいは下請約款等につきましては、次官名あるいは計画局長名をもちまして各省庁にも伝達をいたしまして、御協力を願うようにお願いしているところでございます。
  30. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま指導要綱のことにつきましては事務当局から答えたとおりでございますが、通達を出しましてから、まだ期間もたっておりませんけれども、私は何か公的な機会に、どこで言いましたか忘れましたが、この通達を出しておるのに、それに従わぬというふうなことが明々白々な業者に対しては、指名停止等の強硬手段に訴えてもやむを得ないとまで考えておるということを、どこか公的な場で発言させていただいたのですが、強力に御趣旨のように推し進めていきたいという気持ちでおります。
  31. 谷川寛三

    谷川委員 いまの指導要綱だけではございません。最初にお伺いした中小建設業者の受注確保の要請と大型発注の要請をどう調整していくか、これは運輸省の港湾についてもありますが、そういったいろいろななにがありますので、ひとついろいろな機会に建設大臣も全体の公共事業について統一的にやっていただきますようにお願いをしたいと思います。  それから、たくさん質問がございますが、もう時間が参りましたので、一つだけ最近の問題で、これはここでやることではないのかもしれませんけれども、みんなで一緒に考えていかなければならぬ問題ではないかと思いまして申し上げるわけです。近年マンションとか公社、公団等の集団住宅それから飲食ビルなど密閉型の建物が急増しております。ところが、こうした密閉型建物の増加に伴いまして、ガス爆発等ガスに起因する死傷事故も、何件ぐらいあるのかも後で御披露していただきたいのでありますが、続発する傾向にございます。  最近で申しますと、皆さん御案内のとおりでありますが二月十日の朝であります。池袋のマンションでガス爆発がありまして、これなどは周辺の住宅など約七十戸それから百世帯が被害を受けたということであります。それから近くの小学校の授業中の学童が、割れたガラスの破片で何人かけがをしておる。こういうようなことで、その部屋だけではなくて隣近所、もう通行人等まで大変な被害を及ぼすわけであります。こういった痛ましい事故が、これからたくさん出てくることが予想されるのでありますが、何とかして未然に防がなければならぬではないかと私はかねがね考えておるのであります。これは建設委員会でやるのではなくて商工委員会でやることかもしれませんが、建物に関係することでありますから、なにするのでありますが、私がまずお聞きしたいのは、建造物にガス配管とか施設をする場合、監督官庁が臨場チェック等をやっておるのかどうか、やっておるとすれば何法でやっておるのか。それから、やってないとすれば件数が多いから手が足らぬということであろうか。書類だけで形式的にオーケーを出しておるのではなかろうか、こういうようなことも心配しておるのでありますが、これをお答えをいただきたい。
  32. 香田昭

    ○香田説明員 お答えいたします。  都市ガスの場合でございますが、ガスの屋内配管それからガス栓までは、これはガス事業者の保安責任ということでガス事業法で決まっております。したがいまして、ガスの配管工事につきましては、すべてガス事業者が直接、あるいはガス事業者が指定する工事業者が行っておるわけでございます。ガス事業者に対しましては、ガス事業法の規定に基づきまして、ガス工作物の工事、維持、運用に関する保安を確保するために保安規程を定めることになっておりまして、また、その保安規程の遵守義務があるわけでございますが、屋内配管の工事に関しましても、この保安規程に基づいて行われる。保安規程の中には、工事を行う者あるいは監督する者の保安教育、そういったことも定められております。またガス事業法で、配管に関します技術基準を定めておりまして、ガス事業者が当然この技術基準に適合するように設置することになっておるわけでございます。
  33. 谷川寛三

    谷川委員 いまのお答えによりますと法律上は官庁がチェックすることになってないようであります。私は、ガス会社にやらせるのではいかぬのじゃなかろうか。それからまたガス会社は下請にやらせるわけですから、指導その他はあるようでありますけれども、その下請の能力もどうも心配であります。現行法のままで万全を期することができるだろうかどうか心配を持っておるものでございますが、どうでしょうか。
  34. 香田昭

    ○香田説明員 お答えいたします。  ガスの屋内配管の工事につきましては、先ほど申し上げましたようにガス事業者の保安責任ということで、すべてやっておりまして、それはガス事業法上は保安規程ということで、私どもが保安規程の遵守ということで監督をいたしておるわけでございます。保安規程につきましては、もちろん保安規程の改善命令ということもあるわけでございます。なお、ガス爆発事故につきまして、昭和五十二年の数字でございますが、これはガス事業法に基づきます報告による集計でございます。昭和五十二年は全体で百三十五件のガスの事故が発生いたしております。このうちガス爆発と考えられるもの、これは小爆発もすべて含んでおりますが二十八件でございます。二十八件の内訳でございますが、このうち消費者のミス、たとえばゴム管が外れたとかカランの誤操作、こういったことによるものが十四件でございます。それから消費者の自殺に基づくものが十件、それから消費者のミスあるいは自殺いずれか判定しかねるというのが四件でございまして、先生指摘のガスの配管工事の不備に起因するガス爆発事故というものは発生いたしておりません。
  35. 谷川寛三

    谷川委員 いや、発生してないからといって安心していいとは私は思わぬのであります。  消費者相談所というのがありますね。そこで聞きますと最近、建築の手抜きの相談が相当ありますよ。本体の建物が手抜きだったら、その中に入っていく配管等が常識的に考えまして危ないのじゃないかと思うのです。ぼくの常識が間違っているならば別でありますが、どうもこれじゃいかぬ、この際、何か考えてもらわなければいかぬのじゃないかと思うのです。いま取り扱いのミスとか自殺とかいうのがありました。これだけでもできるのでしょう、新幹線のATSのような安全装置の開発を政府でぜひやってもらいたい。民間の専門家も入れまして調査会のようなものをつくってやるべきじゃないかと思うのですよ、さっき言ったように財産だけじゃなくて人命に影響するのですから。それが一つ。  それから時間がありませんから続けてお伺いいたしますが、人が大ぜい集まるところにスプリンクラーを設置することが先年義務づけられました。これはたしか、ずいぶん古い建物にもつけさしたのですね。そのように一定規模以上の密閉型の住宅などには、ガスの設備の現況を査察いたしまして、これは安全装置が開発されなければならぬわけでありますが、場合によっては強制的に改良させるし、そういったものをつけさせる、そういう義務づけができるような制度も検討すべきではないか。単に換気扇をつけるとか煙突を外に出してくださいというようなことでは済まぬのじゃなかろうかというふうに考えるのです。  それから、さっきのお話ですと、下請の人はどういう人が来ているかもわからぬわけでありますが、いろいろなそういった工事をする人とか器具の取りつけなんかをする人については、これは資格づけをすることが──建設省のいろいろな建物防災についても、そういった資格づけをいっぱいやっておるでしょう。そうですね。ここらが一番危ないんだから、やってもらう必要があるのじゃないかと思いますが、これはひとつ真剣に考えていただきたいが、どうでしょうか。
  36. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 たび重なるガス爆発のたびに建設省におきまして、いろいろな事故の調査委員会を設けまして、原因の調査及び対策を検討しております。その中で基本的には、建物サイドで爆発をとめる、いわゆる建物を耐爆構造化することはこれは非現実的だというようなこと。それからエネルギー源の転換ということも、省エネルギーその他の観点から、なお検討を要するんじゃないか。当面の目標としまして、ガス漏れあるいは爆発防止のための設備機器の開発をすべきじゃないかというような結論を得ております。  したがいまして、昭和五十一年度、五十二年度の両年度にわたりまして住宅生産工業化促進費補助というのの中から集合住宅のガス安全機器の開発を行っております。その開発が相当進んでまいりました。したがいまして、昨年十二月、省内に学識経験者等から成ります建築におけるガス消費設備安全対策委員会というものを設けまして、そういった開発の成果を踏まえまして、総合的に、こういった爆発事故対策をどうすればいいかというような検討を現在、鋭意進めているところでございます。
  37. 香田昭

    ○香田説明員 お答えいたします。  先生指摘の、ガスが漏れた場合の検知ということでございますが、御指摘のようにガス漏れを完全に防止することは非常に困難であろうかと思っております。したがいまして、生ガスの放出が生じた場合に、それを検知し、それから警報するシステムの開発、これは事故の減少に大いに寄与するのではなかろうかと期待されておるわけでございますが、何分、都市ガスにつきましては物性がそれぞれ異なるガスがたくさん使われておりますし、また雑ガスの影響を受けやすいということで、警報器の実用化に当たりましては非常に困難な問題もあろうかと思いますけれども、これらの問題の解決を含めまして、当省といたしましては五十三年度から、ガス機器の検定を行っております日本ガス機器検査協会というところにガス漏れ警報器の調査研究を、委託費を計上いたしまして実施推進させております。これは五十四年度も引き続き行うことになっております。  それから消費機器の設置の工事の問題でございますが、御指摘のように、ガス機器がいかによくても設置の仕方が悪ければ保安は保てないということでございますので、ガス機器の設置を行う者につきましての資格制度と申しましょうか、そういったものについて検討をいたしておりまして、ガス消費機器の設置が適正に行われるように、それを工事、設置する者あるいは監督する者に対しまして、一定の知識、技能を有する者に行わせる有資格制度の法制化につきまして現在、鋭意検討しておる段階でございます。(谷川委員「法律改正するということですね」と呼ぶ)そのように検討を進めております。
  38. 谷川寛三

    谷川委員 いろいろ御質問申し上げたいこともありますが、時間が過ぎましたので、これで終わりますが、最後の問題、これはいま取り扱い業者について資格づけの法律改正を研究されておる、一歩前進でございますが、建設大臣、御所管ではないかもしれませんけれども、本体の建物は建設大臣の御所管でございますから、どうでしょうか、一言だけ。真剣に政府でこの問題とお取り組みいただきますように、いまのままでは、これは不十分だと思うのですが、いかがでしょうか。
  39. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私、前に、この委員会お答えしましたように、雑居ビル等に対する措置の問題等あのときは自治大臣として消防の責任者として関心を持ってやったのでございますが、この問題も同様に重要なる人命にかかわる問題でございますので真剣に取り組まさせていただきたい、こういうように考えております。
  40. 谷川寛三

    谷川委員 以上で終わります。
  41. 伏木和雄

  42. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まず建設省からお伺いいたしますが、その第一点は、今日、日本における海外建設工事の実態についてでございますが、たとえば全体の受注状況、その推移あるいは受注した国数、労働者数、その主な仕事の内容などについて、まず御説明を願いたいと思います。
  43. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 わが国の建設業界が海外において受注しております概要を申し上げますと、昭和四十七年におきましては国数で三十カ国、件数で百四十一件、受注額で四百六十七億というような状況でありましたものが、昭和五十二年度におきましては国数で四十二カ国、件数で二百三十四件、金額では三千六百四十八億というように相当増大してきております。これを地域別に見ますと、これは五十二年度数字でございますが、中近東が四五%、アジア地域が四〇%、中南米が四%、アフリカ四%、その他七%というような形になっております。  また主なる工事の内容を申し上げますと、過去五年間で十億円以上の工事でございますが、これは四十八年に二十一件、大体八百億円、四十九年度に二十七件、約一千億円、それから五十年度で五十二件、約三千億、五十一年度で六十件、三千七百五十億、五十二年度で六十六件、二千五百億というような形になっております。  また工事の内容等につきましては、いろいろあるわけでございますが、大きなものを申し上げますと、たとえばスエズのしゅんせつであるとか、あるいはイラクの火力発電所の建設であるとか、そういうようなものがございまして、大部分が橋梁であるとか建設工事でございますが、日本の建設工事と大体似たようなものをやっておるわけでございます。  なお、これに従事している職員でございますが、昨年の十月現在でございまして、イランの動乱等がありまして大分引き揚げてきておりますから、そのときの数字で申し上げますと、全体で四千三百七十九人という形になっております。
  44. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この海外建設工事をやっている中で今日、何が問題になっているのか、その問題点があれば明らかにしていただきたいと思います。  また、その労働者の中で技師とか設計士とか、そういうのは派遣されているのかどうか、その辺も明らかにしていただきたいと思います。
  45. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先ほど、わが国の建設受注が大体三千数百億ということを申し上げたわけでございますが、これを諸外国に比べますと決して大きい数字ではないわけでございまして、たとえばアメリカにおきましては六兆五千億、西ドイツにおきましても八千七百億というような数字になっているわけでございます。このように先進国と申しますか西欧諸国が相当の受注をしているのに、日本が相当伸びているとは申しながらも、まだそれに追いついていないということの原因といたしましては、一つはやはり歴史的に、わが国の海外に出ていきましたのが期間が短いという点にあるわけでございます。  それから第二の大きな問題は、いわゆる人材不足の問題でございまして、たとえば中近東に出ていく場合にアラビア語がしゃべれる人間がほとんどいないというような状況にあるわけでございます。  その他情報収集体制が整っていないとか、あるいは工事を取る場合の事前調査にいろいろ問題があるとか、そういうような問題を抱えているわけでございまして、これから、こういう点に力を注いで、なお一層、海外に建設業が出ていけるような形にしなければならないと考えております。  また、先ほどの御質問の技師とか、あるいは設計関係の人が出ていっているかどうかということでございますが、これは詳しい資料は手元にございませんけれども、当然コンサルタントというような形で海外に出ていっているわけでございます。
  46. 渡部行雄

    渡部(行)委員 工事をやっていて、実際その国と日本との関係ですが、友好促進についてはどういうふうに寄与しておるか、その点の評価をひとつお願いしたいと思います。
  47. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 私から答弁申し上げるのもどうかと思いますけれども、わが国の経済協力のあり方というものは、主として産業開発中心あるいは輸出的な考え方で出ていっているわけでございまして、われわれが担当しております国際協力の建設業というものは、いわゆる開発途上国の生活基盤の整備であるとか、あるいは社会資本の整備であるとか、そういうようなものを主として行っているわけでございますから、非常に国際協力には寄与する、このように考えておるわけでございまして、今後も、これからの海外協力のあり方は、こちらの方面に主力を注ぐべきではないかと私は考えておるわけでございます。
  48. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ただいまの御答弁の中で、大変国際協力の成果が上がっておる、こういうお話でございましたが、そこで、その工事の内容を見ますと、経済協力ベースと商業ベースとに分けた場合に、経済協力ベースというものは非常に少ないわけです。商業ベースは三千二百億ぐらいの仕事を、これは五十二年度ですが、やっておるのに対して、経済協力ベースは四百四十七億ぐらいしかやっていない。こういう差があるということは、やはり余り利潤追求の方に力を入れ過ぎておるのではないか。もっと真剣に国際協力あるいは発展途上国に対する援助という姿勢を強めるべきではないかと思うわけですが、その点、今度の海外建設事業に対する昭和五十四年度の援助予算額を見ますと、委託費と補助金を合わせて総額でわずかに一億八千七十一万九千円であるわけです。こういうことでは私は十分な海外活動はできないではないか。しかも、四十二カ国にもわたって、この仕事がなされておるとなれば、私は、これはもっともっと力を入れて、そして、この国々の言葉を十分使えるような技術者、そういうものの養成が必要になってくると思いますが、その点はいかがでしょうか。
  49. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、商業ベースと経済協力ベースを比較いたしますと、経済協力ベースが非常に少ない、こういうことでございますが、これは先生御承知のように、三年間で経済協力ベースを二倍にするという政府方針があるわけでございまして、これは建設省所管の事業ではなくて、外務省を中心といたしました国際協力の予算の方で措置されておるわけでございます。したがいまして、いまお話のございました一億数千万の金と申しますのは建設省関係の、建設業者が海外に出ていく場合に、その国の経済基盤の状況がどうなっているか、あるいは将来の整備計画はどんなものがあるか、あるいは日本の建設業者が受注できるような優良なプロジェクトはどういうものがあるかとか、そういうようなものの事前調査をするための予算でございまして、私も決して十分な予算ではないと存じますので、今後は、この予算の拡充に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  50. 渡部行雄

    渡部(行)委員 確かに海外協力援助の予算は外務省が主たる所管だと思いますけれども、これは建設省としても、その事業を行っている限り、外務省に対して強力にそれを要請すべきだと思います。  それからもう一つは、今日の建設業が国内需給は大体頭打ちになってきているのではないだろうか。そうした場合、これから、どこにその手を伸ばしていったらいいのか、そういう点では海外工事というものは決して見落としてならないと思います。私はただシェアの拡大というだけで物を申し上げるのでなくて、日本が今日、資源有限の中で物質資源に恵まれていない、こういうものを遠い将来に対して戦略的に政策考えた場合、これから開発して、その資源を求める対象となるのは未開発国ではないだろうか、発展途上国ではないだろうか。そうした場合、日本が第三世界に対するもっと積極的な援助協力をしながら、そうしてお互いの交易を盛んにしていく、こういうことが国家百年の大計として非常に重要ではなかろうか。その際、建設業の果たす役割として、その一環を担うことが非常に大切だと思いますが、その点についてお伺いいたします。
  51. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 ただいま渡部委員から御指摘がございましたが、私も就任以来、この点は痛切に感じておるものでございまして、御意見まことに同感でございます。このために、わが国は海外協力援助というものをやることによりましてドル減らしと申しますか、それをやっていかなければならぬ。ところが海外経済協力が外務省の所管となっておりまして、主として経済企画庁、外務省、大蔵省、そこらによって進められてきた状況をながめますと、海外経済協力も商業的なベースのものを主にやっておりますからエコノミックアニマル、こう言われるような批判を受けておる。  一方、わが国が最も近い関係にあるASEAN諸国等は未開発地でございまして、建設事業という未開発国に対する生活基盤を上げていきます事業は、喜ばれこそすれ、そういった批判を受けるものでないということを痛感しております。また大手業者に対しましても、このために特に海外に目をつけてくれということを私、機会あるごとにお願いしておったのでございますが、すでに日本の業者相当数、業者自身の負担において出ておられるという実況は、いま計画局長が述べたとおりでございますが、ここへ海外経済協力基金という国家的な後押しをすることによりまして、より一層伸ばしていきたい、このように考え、農林大臣等も閣議で発言いたしておりましたが、限られた外務省の考え方でなくして、各関係の省庁に密接に連絡をとっていけということでございまして、私も先般タイ国から総理がやってこられましたときにも、タイ国の中には、そういった開発を現に行っておるし、それを要望しておるものがあるから、ぜひ入れてくれということを外務大臣にも申し上げまして、百億足らずの金でございますが借款に入れていただいたということもございますので、今後ともに、その方面におきまして海外経済協力基金の一環としてやっていきたい、このように考えております。  私らの方では機構の中におきましても国際課があるだけでございまして、この点、非常に少ないのでございますけれども、手不足でございますが今後、強力に進めてまいりたい。現在も外務省に協力を求めまして、中南米のちょっと北にあります石油産油国の島国ですが、ここの中央官庁を、ぜひ日本で、三百億のものですが、やってもらいたいという申し入れが政府に対してございましたので、視察に出させておるという姿でございまして、今後、御指摘の点、十分踏まえて努力してまいりたい、このように考えております。
  52. 渡部行雄

    渡部(行)委員 大臣はもうわかっておられると思いますが、日本の海外援助協力、いわゆる第三世界に対する援助というものが非常に国際的には批判の的になっておる。したがって、ドルをためて批判されているばかりでなくて、援助の方でも批判されておるわけですから、特に、この点は強く要望しておきます。  それから、いま日本の建設技術というものは、世界の中でランクづけすれば、どの程度になっているか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  53. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 物によって違いますから国際比較をするということは大変むずかしいと存じますけれども、聞くところによりますと、どこへ持っていっても恥ずかしくない技術だと聞いております。
  54. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次には、大蔵省及び経済企画庁に対してお伺いいたしますが、公共事業というのは景気浮揚及び物価との関連について、どういう意味を持っているのかということです。昨年は十五カ月予算が組まれて前倒し七三%目標で、この仕事をやったわけですが、実績は七六%となっておるわけでございます。  この事業の進め方についてでございますが、ことしは、いまから大分インフレの危険信号が出されて、しかも公共料金あるいは建設資材土地等値上がり、さらに加えてイランの情勢の非常な不安定、こういうことから石油の危機が叫ばれておるというこの状況考えますときに、インフレというのは目の前に見えてきているような気がするわけでございますが、しかし一方においては約百二十万からの完全失業者を抱えて、不況産業もまだ完全に立ち直ってはいないし、そういう不況構造を見ますときに、一体これからの発注というものはどういうふうにやるべきなのか。  しかし先ほど若干、谷川先生お答えに、はっきりしない御返事がありましたけれども、余り慎重過ぎると、雇用創出とか不況産業の不況からの脱出を図るという側面が消えてしまうのではないだろうか。したがって私なりに考えますと、どんなにインフレを警戒しても、発注形態の中では六五%以上は前倒しが必要ではないだろうか。なお、インフレを抑制するには、ただ発注をおくらせるという形でやるのではなくて、別な方法でインフレに対するブレーキをかけるべきだと私は思うのでございますが、この辺に対する一つ考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  55. 塚越則男

    塚越説明員 五十四年度公共事業施行の問題でございますけれども、先ほどお答え申しましたように、この点につきましては今後の経済情勢でありますとか、あるいは五十三年度中の公共事業執行状況それから物価建設資材、用地というようなものを総合勘案いたしまして、各省庁とも御相談の上、五十四年度の開始までにめどをつけたいと思います。  ただ、先ほども申しましたように現在の経済情勢から見まして、五十三年度ほどの大幅な前倒しをするのはいかがかというふうに考えておるわけです。と申しますのは、五十三年度におきましては公共事業等の大幅な拡大とか追加を行いまして、また、その施行促進ということに努めてきたわけでございますが、その効果もございまして、最近の経済動向を見ますと生産、出荷等が順調に拡大しております。また稼働率上昇有効求人倍率改善等が見られておりますので、国内需要中心とした順調な景気回復が進んでいるように思われます。五十四年度におきましてはこのような景気回復基調年度間を通じて確実なものにしていくことが基本的な課題であるというふうに考えておりまして、公共事業等施行に当たりましては経済情勢とか労務、資材需給動向に十分注意しながら着実な施行推進に努める必要があるというふうに考えているところでございます。
  56. 渡部行雄

    渡部(行)委員 何かわけのわからぬ、ただ始まるときまでには決めると言いますが、もう予算も、そう長くない期間に決定されるわけですから、いま、それほど発注というような問題を経済の動きに敏感に対応していくという、そういう性質のものではないだろうと思います。私は、いまの経済情勢を踏まえて、どういう方向でいくかという大方針を決めてかかるのが当然じゃないだろうか、こういうふうに考えるのですが、その辺はどういうようなものでしょうか。  大幅に去年並みとは言わなくとも、いままでどんどん、どんどん経済を刺激して、そうして公共事業によって需給を高めていく、設備投資を高めていく、こういうような一つの方策として公共事業の積極的な取り組みがなされたわけですから、いま、ようやくその熱が出て、これからもっとやろうというときに、もしここで、その情熱を冷ますようなことになれば、いままでやった公共事業の流れからして非常に問題が出るのではないだろうか。それをそのまま野放しにしてはならないが、その意欲を保ちつつ、ある程度抑制をしていく、こうして考えると、やはり少なくとも六五%以上の早期発注が必要になるのではないだろうか。この考え方について、もう一度お願いします。
  57. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 事務的な答弁では、いま係官が述べた以上の域は出ないと思いますが、私の気持ちといたしましては、公共事業をやることによりまして、せっかく五十三年度景気回復が緒についたと思われるものを安定的な回復基調に持っていかなければならぬ。そのために本年度の予算で公共事業費に経常経費を割いてでも、たくさんいただいたということは事実でございます。その重要なる施行でございますが、わが国会計年度ということから考えましても四月から始まるものでございますから、時期的なものもございます。また特に積寒地等に対しましては工事期間が限られたものでございますから、いま渡部委員指摘されました少なくとも六五%以上というふうな数字は、私はいままでもやってきておりますし当然でなかろうか、そのように考えております。ただ前年度行いましたように、刺激をするために何でも前倒しだという姿は避けますけれども、そういった意味では発注をおくらすことによりまして冷却を来すというふうなことにしてはならないと思っております。  しかし、そのことによって資材の高騰を来すということは極力避けなければならないのでございますが、これはむしろ個々の資材そのものの地域的な需給アンバランスが起こらないように、各地方でやっております公共事業対策協議会により念を入れて各省と連絡をとりながら工事施行に伴うところの資材需給アンバランスが起こらないように厳重に注意させていくということを図らなければならない、このように考えておるような次第でございます。
  58. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで一つは、公共事業の発注のあり方そのものが物価に及ぼす影響というものについて、経済企画庁はどう考えているか。それから第二点は、今日、建材等が相当値上がりしておるのでございますが、これはいわゆる原材料が値上がりしたために、それに付随して値上がりしたものか。つまり卸売価格が上がったから小売価格が上がったというものか、そうではなしに一つ需要供給の力関係の中で小売価格値上がりしてきたのか、この辺の問題についてはどう考えているか、お伺いいたします。
  59. 下山修二

    ○下山説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の第一点の、発注そのものの発注方式その他による物価への影響でございますが、これはただいま建設大臣お答えなされたとおりでございまして、特に資材別に見て、地域的に見て、また時期的に見て、どういう問題が起きているかということをよく注目しながら発注すべきであろう、総論的でございますが、そのように私たちは考えております。  それから次の問題点の建設資材値上がりの原因をどういうふうに考えるかという御指摘でございますが、これは先生も御指摘になったとおりでございまして、まず第一に考えられるのは、もちろん原材料の値上がりでございます。最近、卸売物価は若干、上昇率を前月比で高めてまいりましたが、この一番大きな資材別分類でいきますと、やはりその中では全体の中で、ここで問題になっているような建設材料でございます。建設材料の中で、さらにまたその中を区分けしてみますと、先生が御指摘の原材料が高くなったもの、これは木材がその代表的な例だと思いますが、これはアメリカの景気の問題、住宅がたくさん建つという問題における日本への輸出が価格が上がる話、それから南方の洋材につきましては、港湾の積み出しが若干支障を起こしたとか、あるいは若干の資源ナショナリズムと申しますか、高い価格でしかラワン材を売らないというふうな状況が、まさに現在、円高の進行がとまっておりますので、かつてのように為替レートで捨象されて低くなるというような影響がないということに重なりまして、すなわち先生指摘の原材料価格が上がったという分野が相当大きな分野を占めていると思います。  それから需給関係先生お触れになりましたが、これは当然、公共事業につきましての大幅な執行がございますので、他の物資よりは需給は堅調でございます。最近の値上がりもございまして若干、在庫の積み増しもふえているというふうなことを考えまして、他の資材から比べますと、どうしても需給はタイトになっているというふうなことであろうかと思います。ただ、いま私は定性的に申し上げたわけでございまして、一つの製品価格の中で、どれだけが原材料価格関係すなわちコスト関係であるか、どのくらいが需給関係であるかということは、なかなか見定めがたいというふうに考えている次第でございます。
  60. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、少しローカル色になりますが、東北横断高速道路の問題についてでございますけれども、これは昨年の十一月に郡山−猪苗代間が基本計画から整備計画に格上げされたわけでございます。しかし、この猪苗代−郡山間というのはわずか二十六キロしかないので、このままでは非常に利用価値がないのではないか。所要時間二十分と書いてありますが、四十九号線で行けば、これは大体三十数分かかれば普通は行っているわけです。建設省が書いてきたのは五十四分などという大幅な時間を書いてきておりますけれども、実際私どもここを通ってみて普通の人は大体三十数分で行ってしまう。そうすると、この所要時間からすると、わずか十数分か二十分足らずのところに五百円出して、これを利用する者はいないと思うのです。  これからの高速道路の建設の仕方についても考えるべきだと思うのですが、私は、やはり採算線というものの区間というものを設定して、まず、そこを早く営業開始する、そうして次に発展させていく、こういうことでないと、営業開始をおくらせれば、それだけマイナスになるのじゃないだろうか。しかも、この東北横断道路の問題は、郡山と会津若松というこの都市を結ぶということをまず第一に考えるべきものであって、これを猪苗代町に結んで、それだけを第一期にしたということは、私はどうしても理論的にも納得いかないわけでございます。しかも料金が五百円といいますから、これを時間割りで計算してみますと、大体白河−郡山間は国道四号を通った場合と東北縦貫道路を通った場合の時間差は二十四分ぐらいなんです。二十分そこそこでございます。それに対して八百円である。片や十数分のところで五百円である。こういうふうにすると全くどうも割りに合わない計算になるのではないだろうか。そういうことを考えますときに、これは専門家が知らないはずはないと思うのです。それなのに、なぜ会津若松までを一つの工区にしなかったのか、この点についての理由をお聞かせ願いたいと思います。
  61. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、昨年の十一月に郡山−猪苗代間二十六キロの整備計画の審議会での御決定をいただいたわけであります。提案するに当たりまして、私どもいろいろ検討をさせていただいたわけでございます。この区間は郡山から会津坂下までの間約六十キロ近い延長になりますが、東北横断自動車道全線二百四十三キロのうち、この郡山−会津坂下は第一に着手すべき区間ではなかろうか、こういうことで、実は四十八年に基本計画の御決定をいただいた経緯がございます。そういう方針で進めてまいったのでございますが、以下申し述べますような理由から、猪苗代から会津若松を通り、会津坂下間の整備計画を御提案申し上げるのを延期をさせていただいた、こういうことでございます。  その理由の第一点は、圃場整備との調整の問題でございます。と申しますのは、ちょうど猪苗代から会津の町に参りますまでに大きな圃場整備が三地域にわたって行われております。すなわち大谷地区の圃場整備事業、これは現在実施中でございます。それから西の方に参りまして会津若松のちょうど真北になりますが、河東第二地区の圃場整備、これはすでに完成をいたしております。さらに西の方に参りまして勝常地区、これが実は未着工のまま現在、構想段階、計画段階である。こういう大きな圃場整備計画ないし圃場整備事業との調整をどう図って路線を考えていくか、こういう点が第一であります。  なお、もう一つは、恵日寺というかなり広いお寺が先生御存じのとおり、ある。それとの調整をどういたそうか、こういういわば社会的な条件があるわけでございます。  一方また猪苗代湖の地域は磐梯山のふもとになるわけでありますが、標高が五百メートルを超える地域であります。一方、若松から会津坂下の方にかけましては二百メートル以下、いわばこのわずかな区間で三百メートル以上の地形の高低差があります。したがいまして、この間を技術的にどういうぐあいに路線を設定するかということに、いろいろ困難な問題がある。こういった社会的な条件と自然的な条件を絡み合わせて、どういう計画をまとめていくべきか、こういう点に、なおかなり慎重を要する事項があろう、こういうことで私ども御提案を申し上げる段階までには立ち至らなかった、こういう事情でございます。ただ、冒頭申し上げましたように、会津若松ないし会津坂下までの間は一つの区間ではなかろうかというような理解はいたしておるわけでございます。
  62. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私が、なぜ会津若松と言ったのかと申しますと、これは最初から会津坂下町というのが計画でございましたが、いま勝常地区に若干、問題が整理できないままでおりますので、仮に、それを後回しにしても会津若松までは当然考えるべきではなかったか、こういうことでございます。  しかも、いま三つの点を御指摘されましたが、逆に圃場整備をやっておるからこそ、その中に高速道路の構想を入れて調和をとる、調整をとる、この方がむしろ大事ではないだろうか。圃場整備ができた、その後に、また高速道路の敷地をつくるということは、かえって事業を困難にさせるのではないだろうか、このことが第一点。  それから、高低差が三百メートルあるので技術的に非常に問題がある。しかし、こういうことは平−新潟間が計画路線になっている以上、初めから予想されているものであり、どんなことがあっても克服しなければならない問題なのでございますから、そういうことは理由にならないのではないだろうか。  恵日寺の問題は、そういう国家の大きな計画の正当性というものを十分理解させれば解決できる問題だろうと思いますし、また解決しなければ、このせっかくの計画はどうにもならない。それじゃ路線の変更をやるのか、こういうことに当然発展してくるわけですが、その点についてお聞かせ願いたいと思います。それから、今後の方針についてもお願いします。
  63. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  圃場整備との関連、地形上の問題、そういった点の御指摘がございました。地形上の要件から、路線としては、いま申し上げました圃場整備ないし恵日寺との関連が生じてきて、そこに路線を選ばざるを得ない、これが最も適切な計画ではなかろうか、こういう考え方をとっておるわけでございます。したがいまして、これはまさに圃場整備との関連という点では先生指摘のとおりでございます。したがいまして、この基本計画はすでに決定をされておりまして、高速自動車国道を建設するという国の考え方は明確になっておるわけでありますから、現在、整備計画を作成するプロセスであります。当然この間に環境影響評価等も含めて地域との調整を図ることになるわけでございますので、これは現在も進めておりますが、そういった点の調整をすることによって先生指摘の点を解消するように努力してまいりたい、かように考えております。  それから、今後の見通しはどうであるか、こういうことでございます。私ども、冒頭申し上げましたような観点から、事業を進めるにつきましての第一段階であります新国土開発幹線自動車道審議会にお諮りする時期については、いまのところ何とも申し上げられないわけでありますが、次の機会には若松ないし会津坂下までの区間を何とか計画としてまとめて提案をし、事業の場合には経済効果その他を勘案して、これらが同時に供用できるような考え方をとってまいらねばならぬかというようなことを実は検討しておるわけでございます。
  64. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは、その同時供用ということで、これは強く要望しておきたいと思います。  次には、いま一市五町を対象とした上水道や灌漑用水の多目的ダムである三春ダムを建設中でございますが、この三春ダムの問題について、現在の方針では、どうしても承服できない、こういうことで、常葉、大越、滝根の三町がこれに反対して、計画から私たちはおりる、こういうことになったのでございます。これというのも、一つはこの各町ごとの水利権の調整の問題、もう一つはポンプアップによる灌漑用水というようなことで上流地域にある人たちが非常に受益者負担を多く取られるではないか、こういう心配があって、このようになったわけでございます。しかも、この反対運動は相当大きな運動が巻き起こっておるわけですが、これは一つの方法として、聞いてみますと、ちょうど沖繩の水利用のような状態に、上の方から小さなダムを幾つかつくって、そうして利用させながら、最後に三春ダムでこれをためていって一市五町に水を利用させる、こういう方向ならば住民は納得するのではないだろうか、こういう意見もあるわけでございますが、いまの方針をそのまま、しゃにむに通すつもりなのか。それとも、この辺で一つの方向転換をしていこうとするのか、その辺についてお伺いいたします。
  65. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 お答えいたします。  三春ダムにつきましては、すでに先生御存じのように、阿武隈川の水系の治水並びに、いまおっしゃった一市五町の上水道並びに農業用水の灌漑というふうな目的を持ちました多目的ダムとして私どもの方で計画を進め、五十年から建設工事に着手というふうな経緯をたどっておるわけでございます。ただいま先生から御指摘のように、常葉、大越、滝根の三町におきましては、五十三年の九月に、このダムには参加しないというふうな話を県に申し入れたということを聞いておるわけでございます。  この地区、郡山、三春、船引並びにいま申しました三町の地域につきましては、水需給につきましては現在もある程度逼迫いたしておりますし、将来につきましても、やはり逼迫が予測される地域でございます。それで、このダムからこの三町につきまして水をポンプアップするというのは、確かに、いろいろの問題点があったわけでございますが、この三地区につきましては、その後、県等関係方面でいろいろな指導等を進めておるわけでございます。したがいまして現在、聞いておりますところによりますと、常葉町、大越町等につきましては、地下水等に依存できる方法はなかろうかというふうな、地下水に水源を求める方法を現在検討いたしております。滝根町につきましては、これは夏井川等からの取水が可能ではなかろうかというふうなことで現在、他の水源につきましての検討を進めておるわけでございます。大越町につきましては、すでに五十三年度におきまして地下水を水源といたしまして措置したいということで、厚生省の方の認可も得ておるやに聞いております。  そういうふうな三町の状況でございますけれども、この三春ダムそのものにつきましては、やはり阿武隈川の洪水調節をやるためには、この地点で相当規模のダムが必要であるということと、なお、ほかに郡山、三春の主として上水道でございます。それから一部若干現在、工業用水があるわけでございますが、そのほかにダムの水没地の代替地として必要な農業計画、それから、そのほかの農業の開発計画等もございますので、これらの計画も踏まえまして、やはり三春ダムとしては、いま考えております程度の規模におきまして、まとめていくという方針でやりたいというふうに考えておるわけでございます。
  66. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると事実上方向転換した、こういうふうに受け取っていいのでしょうか。
  67. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 いま申し上げましたように、一市五町から当初は一応このダムに乗って水を取りたいというふうな申し入れがあったわけでございますけれども、その後去年、三町につきましては、このダムに参加せずに他の方式によりたいというふうな申し入れがございまして、指導しておるということでございます。
  68. 渡部行雄

    渡部(行)委員 だから、その方向を転換したと受け取っていいのか。
  69. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 三町につきましては、そういうふうに方向転換したというふうに御理解願って結構だと思います。
  70. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間がありませんので、これはまた後日に譲りたいと思います。  次に、国土庁長官にお伺いいたしますが、これからはいよいよ三全総に基づく定住圏構想が具体化していくわけでございますけれども、いわゆる国土の均衡ある発展を期するためには、どうしても交通網の科学的整備が必要であると思うわけでございます。私のこの科学的整備ということは、つまり将来に向かって、どういう運搬手段の利用をしていくか。たとえばリニアモーターカーの開発や都市における交通システム化の問題、その他航空機、いろいろ立体的に考えますときに、日本列島をどういう交通手段で結んでいくべきか。あるいは都市と農村、地方都市間交通の問題、あるいは生活圏内の交通の問題等々について立体的、総合的な交通政策を、いわゆる科学的という言葉で申し上げたわけです。そこで、この国民から期待されておる定住圏の確立と均衡のとれた田園都市の形成を図っていくには、その大動脈としての交通網が最も重要な課題となると思うのでございます。そこで、この交通網の総合的な対策について御説明をお願いしたいと思います。
  71. 中野四郎

    中野国務大臣 御承知のとおり、定住構想というのは、地方公共団体が大体中心になりまして、その地域地域の特性を十二分に生かして総合的居住環境を整備するのが基本でございます。したがって、ただいま先生の御質問のように、国土利用の均衡を図るためには、いままでのような道路、鉄道というものをば東京一点に集中するというような、そういうやり方は改めた方がいいのではないか、また改める必要があると考えております。そこで、新しい全国の幹線の交通体系を再構築するには、そのことが必要でありまするから、その基本的な考え方に立って、いろいろと考えていかなければならぬ。幹線交通のサービスが全国において享受のできるような長期的な目標、それから交通需要の見通し、ただいまお話のありました鉄道、道路あるいは港湾等の交通機関の特性というものを考え、地域の条件等のいろいろな事情を勘案しながら順次その整備を進めていきたい、そうして新しい幹線交通体系の形成を図る必要があると考えておる次第でございます。
  72. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いま大臣がおっしゃられたとおり、鉄道等については特に大都市集中の形で行われておる、それを直さなくちゃならぬという大臣のお考えには私全く賛成です。ところが現実には、国鉄の今度の方針ではローカル線を皆切り捨てるというような方針が出されておるわけです。これは全く国土庁方針と矛盾すると思うのですが、この点についてひとつお伺いしたいと思います。
  73. 福島量一

    ○福島政府委員 お答えいたします。  国鉄の小委員会の答申の話というのを私ども詳しくは承知しておりませんけれども、それぞれの各ローカル線の事情に応じて、場合によったら、これを廃止してバス輸送に切りかえるというようなことも、その提言の中に入っておるようでございます。その点につきましては運輸省の方も正式にどうするか、まだ態度を決定しておらぬようでございますが、私どもも重大な関心を持って、その推移を見守っておるわけでございますが、一方で地方の交通問題ということを考える場合に、その地域の条件に合った交通システムと申しますか交通手段をどう確保するかというのは、さまざまな対応の仕方があるのではなかろうかというふうにも考えられるわけでございまして、三全総でも、これからの地方におきましては定住人口が非常にふえる。そういうことに伴って物の流れ、人の流れを勘案すると昭和六十年で大体現在の一・六倍ぐらいの需要量が出てくるんではないか、六十五年では一・八倍だったと思いますが、そういうような見通しをしておるわけでありまして、大きな地域相互間の交通の問題と同時に、域内交通と申しますか、そういった問題が非常に大きな問題になってくる。その場合に、在来の鉄道の充実という方向によるべきか、あるいは、いまあるバスの問題によるべきか、さらには、その地域の実情に応じた新しいシステムというものを考えていくべきか、地域の事情によって、いろいろ課題というか問題の取り組み方が違ってくるんではなかろうかということを前提にして物を申しているわけでございます。  ローカル線の問題自体につきましては、いま国土庁として、とやかく申し上げる段階にはございませんけれども、先般二月一日に全国の県の企画部長会議を開催しました際にも、東北、北海道地域で大変重要な関心を持っておられるということの御発言もございましたので、そういったことも踏まえた上で、これから国土庁としての態度も決めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  74. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで要望しておきますが、国鉄はいわゆる営業上、経営上の観点だけで、あのような方針を出してきておるわけですが、交通網というのは、そういうことで考えられては全く困るわけで、これは日本の国土全体、国民全体の問題を考えて、これからの方策を立てるべきだと思います。そういう点で考えますと、この国土計画というものは、まさに国家的な大事業でございますので、自分の採算の上で勝手に交通という公益の問題を独断するようなことは断じて許してならないと思うのです。そういう点では特に国土庁から国鉄に向かって大きな発言をしていただきたい、このことを私は要望し、その他の問題については、時間が来ましたので後日に譲りたいと思います。  以上で終わります。
  75. 伏木和雄

    伏木委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  76. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君、日本住宅公団理事澤田光英君及び日本住宅公団理事有賀虎之進君に御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  78. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑を続行いたします。伊賀定盛君。
  79. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 河川局長にお伺いしますが、昨年の八月にできました「長期水需給計画」というのは、なかなかりっぱにできておると思うのですが、苦労話でもありましたら、ひとつ伺いたいと思うのです。
  80. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 昨年、私どもの方で水資源開発と水利用ということで昭和六十五年に向けての計画を検討したわけでございます。これのもとになりますのは、もちろん六十五年における水需要でございますけれども、これにつきましては国土庁の方で六十五年における水需給の計画を、その前にお立てになっております。それの水需要等を見ながら、私どもといたしましては、建設省で所管いたしますのは水資源開発主体でございますので、各地域地域の地域性なり、あるいはその現実のプロジェクトが可能かどうかというふうな一応の見通しを持ちながら、その地区の将来の計画をつくるというのが主体でございますので、その面につきましては在来からも、いろいろ私どもとしては資料を集めたり、努力しておったわけでございますが、特に国土庁のお立てになった中身を地区に分割しながら検討したというのが私どもの方の検討の特徴ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  81. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 大変りっぱなんですが、いまおっしゃる七十五年の水資源の使用率というものを見ますと、これは北海道、東北、こういう地域区分をしておりますが、全体として見たときに水資源の使用率は三九%が使用されまして、あと六一%が未使用ということになっておるわけです。もちろん、この中には地域的に見ますと、たとえば関東が七四%の使用率、その次が北九州で七二%、沖繩が五五%、近畿が五〇%、山陽が五〇%というようなものもありますが、平均して三九%が使用されて、六一%は依然として七十五年時点で未使用、こういうことになっておるわけです。そして一方で、けさの新聞でありますが、昨年は異常渇水で平年比八〇%で、いよいよ水が逼迫してきておるというような新聞記事も出ておるようなことでありますが、この点についていかがでしょうか。
  82. 北野章

    ○北野政府委員 お答えいたします。  国土庁で昨年八月に策定いたしました超長期見通し、これがただいま先生が御指摘になりました七十五年の一つの見通しでございまして、これによりますと七十五年に対しては、渇水年の水資源の賦存量に対して、七十五年における使用率が全国平均で三九%になるということでございます。ここまでに参ります過程におきまして、水の需要に対して供給施設を全国的に実施してまいるわけでございまして、超長期の見通しでございますので、一応三九%で六一%余っているじゃないかというふうなことでございますが、これはそういうことではございませんで、七十五年には一応、渇水年の賦存量に対して三九%の使用率になるのだというふうなことでございます。したがって、水需給の逼迫の問題を検討する場合には、やはり六十年とか六十五年とか、具体のことで積み上げてまいらないと、なかなかそういう結論にはまいらないわけでございます。
  83. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 そうすると、これでもう水は十分だ、こういうことになるわけですか。
  84. 北野章

    ○北野政府委員 需要に対して供給が、七十五年において使用率三九%になるということでございまして、今後さらに需要がふえた場合には、この使用率が上がっていくということになるわけでございます。  ここで申し上げますが、水資源の賦存量の三千三百三十八億トンと申しますのは、わが国の平均の年降雨量が六千七百億トンでございまして、大体それの五〇%に相当するわけでございます。しかし、この六千七百億トンのうちには蒸発散、浸透それから洪水等で、なかなかとらえにくい水資源もございまして、ぎりぎり三千三百億トンというのが限界の量であろうというふうな想定をいたしております。したがいまして、具体のプロジェクトにこれをアプライいたしますと、三千三百億トンよりさらに賦存量が少なくなりまして、大体の想定では二千億トンというのが一応わが国の水資源の使える限界ではなかろうかというふうに想定しておるものでございます。
  85. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 やはり、この水の長期需給の中の二十七ページに「今後なお見込まれる水需給のひっ追に対応するためにも、水使用合理化の推進等による節水型社会の形成と相まって、水資源開発」云々とあるわけですね。いま伺っておりますと、必要に応じて三九%まで持っていけば足りるのだ、こういう御答弁ですが、長期見通しの中には、ちゃんと今後「水需給のひっ迫に対応するためにも」と、もう水は限度が来ておるのだから、だから節水型の社会をつくらぬと対応できない、こう書いてますね。いまの、需要に応じて三九%使えばいいのだという御答弁と、これは矛盾しないですか。
  86. 北野章

    ○北野政府委員 お答え申します。  ただいまの三九%は、これは全国平均でございまして、ここにございますように使用率が関東では七四%、それから近畿では五〇%、北九州では七二%ということで、もう限界に来ている、来るだろうというふうな見通しでございますので、ただいま御指摘のように、いまから水合理化あるいは節水というふうなことで、節水型社会を志向するような対応を講じなければならぬというふうなことでございます。
  87. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 それで一方で、同じくこの計画の中に「第三次全国総合開発計画との整合」というところで「この計画は、限られた国土資源を前提として、それぞれの地域の特性を生かしつつ、歴史的、伝統的文化に根ざし、人間と自然との調和のとれた安定感のある健康で文化的な人間居住の総合的環境を計画的に整備することを基本的目標として定住構想を推進する、第三次全国総合開発計画を踏まえつつ、水資源の開発、保全及び利用を進める性格を有する」こう言うてますから、この水計画は三全総と全く一致しておるのだ。そして一方で、水資源の有限性が顕在化しつつある状況下においては、相対的に水需給に余裕のある地域に定住人口を誘導するよう長期的な観点から定住構想を進めていくことが必要である、こう書いてあるわけです。  そうすると人口が都市に集中したから、流域を中心として二百五十から三百の定住圏を指定するのだ、こういう定住圏構想だそうですが、しかし、人口を水のあるところに誘導する、こう言っていますが、具体的にどういう施策で、具体的に何年計画で誘導されようとするのか、お聞かせ願いたいと思います。
  88. 福島量一

    ○福島政府委員 三全総の基本的な考え方は、ただいま先生が御指摘になったとおりでございます。水の問題につきましても、人口の増加でございますとか一人当たりの使用量の増加といった問題あるいは工業生産の増大なり圃場整備の進捗によりますところの水田の排水条件の改善といったようなことを考えますと、生活用水の面でも工業用水の面でも、さらにはまた農業用水の面でも水需要は増大する一方であろうということが考えられるわけであります。対しまして供給の方は、先ほど水資源局長から申し上げましたように非常に限られたものでございますし、しかも地域的に非常に逼迫する地域と、まだ多少余裕のある地域とが分かれるわけでございます。  そこで人間が生きていくための欠くことのできない水資源の問題ということを考えますと、一方で過密、過疎の解消という課題にもこたえながら、資源的に余裕のある地域に定住人口を誘導するということが、これからの国土政策の課せられた最も大きな課題であるというふうに考えておるわけでございまして、そのために新しい生活圏として定住圏という構想を提唱し、その中で総合的居住環境の整備をする。それから住みよい生活環境をつくり上げて、そこに人々が定着してもらうというのが三全総の基本的な目標であるわけでございます。  ただ、これをどのぐらいの期間で何年間に達成するのかということにつきましては、実は三全総では明確にはうたっておりません。おりませんが、二十一世紀に向けて、いま申し上げましたような各般の施策を講ずることによってバランスのとれた国土利用と申しますか、人と国土との安定したかかわり合いを実現するということで政府全体として取り組んでまいる必要があるということを強調しておるわけでございます。
  89. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 そうしますと建設大臣所信表明の中に「第二に、都市対策についてであります。」と書きまして「近い将来全人口の約七割が都市に定住するものと予想されます。」云々とあるわけです。そうすると、都市以外それに対応して地方都市と、こう対応させておるわけですから、われわれが通常人口何万以上を都市と言い、地方都市を何万以下を言うのか、定義の問題もありましょうが、おおむね大臣が言わんとするのは、現在のまあ大都市と言われるところに七割が定住するものと予想される、あと三〇%が大都市以外にと、こういうふうに理解できます。そこで、先ほど指摘しましたが七十五年の──七十五年といいますことは、いま五十四年ですから、ざっと二十年先ですね。二十年先に三九%の水が使用されて六一%が使用されてない。そして地域別に何%、何%、こうあるわけです。たとえば北海道で昭和五十年に一二%が七十五年に一九%云々、以下こういうことになっておるわけですが、そうすると、先ほど指摘しました定住圏からいいますと、水のある地域に人口を誘導するんだ。七十五年の計画というのは二十年先ですから、そうすると現在の姿から水のある地域に誘導させて、この使用率が立てられたものなのか、現在の人口をそのままにして、お立てになったのか、そこら辺はどうなっているんでしょうか。
  90. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私の所信表明の表現の仕方が少し誤解を受ける姿じゃないかと思います。前にも、この委員会で答えさしていただいたんですが、私が七割だと言うたのは、いま御指摘のありましたいわゆる大都市圏が七割だと言うたんでなくして、人口二万余りの市もございますしいろいろありますけれども、いわゆる市と名前のつけられておるところ全体をつかまえまして七割になるだろう。その中核になる市とその周辺の農村とを地域的にとらえまして整合性のある住みよい国土をつくっていきたい、こういうふうな意味で述べさしていただきましたので御理解を賜りたいと思います。
  91. 北野章

    ○北野政府委員 お答え申します。  七十五年におきまして水需要の想定になります人口、それから経済活動であります工業出荷額等、そういったものにつきましては三全総の想定−に基づいて推定しておるわけでございます。
  92. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 そうすると、もしそうであるならば、七十五年の水使用率これは人口がずっと入るのですか。いま直ちに人口を報告をしてほしいとは言いませんけれども。
  93. 福島量一

    ○福島政府委員 七十五年の地域別の人口の推計というのは三全総でやっておりまして、ただいま先生指摘の北海道を例にとりますと、北海道は昭和五十年で人口が五百三十三万八千人でございますけれども、昭和七十五年にはこれが七百五十四万人になるであろう。それから東北につきましては同じく昭和五十年が千百六十二万五千人の人口でございますが……
  94. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 もうあとは後で資料をいただけばいいです。  それで、私は、確かに電子計算機か何かをはじけば、その数字は簡単に出ると思うのですが、しかし実際に七十五年にそういう人口配置になるのか。好ましいことですが、なかなかならぬではないか、これは私が思うわけです。そうしますと人間が移動するのと水を移動させるのと一体どっちがたやすいですか。と言うのは、人間には意思があるのです。水には意思はないわけです。だから、こっちの方がいいんですよと言うて道路をつけたり水を持ってきましても、いや、わしはやっぱり東京がいいと言う。水は意思がないんだから、いやと言いません。そこら辺はどうでしょうか。
  95. 福島量一

    ○福島政府委員 大変むずかしい御質問でございまして、にわかに的確なお答えができないかと思いますけれども、三全総でねらっておりますのは、先ほど来申し上げておりますように地域特性に応じて魅力ある環境をつくって、そして、そこに人々が定着できるような条件を整える、これがバランスのとれた国土利用を実現するための手段であり、そのことによって人々の移動も期待できるのではないかということで実は考えておるわけでございます。  御指摘のように人間は意思があるわけでございますから、かつ住居選択の自由は本来持っているわけでございますから、これを強制とかなんとかという手段で対処するわけにはまいらぬことは確かでございます。ただ一方、水の問題も、これは技術的な問題にわたるので私の方から申し上げるのはいかがかと思いますけれども、たとえば北海道から東京に水を運ぶというのは、これはまた容易ならぬ大事業になるかと思いますし、大変なコストのかかることでございます。比較的近隣のところで水の配分を考えるということは対応できましょうし、現にやっていることだと思いますけれども、相当距離のところで水をさばくということも実はなかなか大変な事業で、コストと申しますか、社会的費用全体として考えるならば、どちらがとるべき施策であるかということについては、にわかに結論の出ない問題ではなかろうかというふうに考えております。
  96. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 それは、人が移動するときには個人がお金を出して土地を買って汽車賃を払うわけですから、国は責任がなくていいです。その点、水を移動しようと思いますと、個人が水道を引っ張るということはないですから、これは国の負担は大変だと思います。  しかし、私はそこで二つほど思うのですが、私は農村ですから、ひがみがあるんですけれども、東京は日本の一億一千万の十分の一の人口が集中しておりまして、もう水も限界だと言っております。ところが坪五十万も百万もするところに、お金のある人は家を建てて、そうしますと国も都もあわてて、最近の東京の水というのは、いわゆるいまおっしゃるコストは大変高くついておると思うのですが、その水をあわてて供給しますね。だからますます人口は都市に集中します。そして、これは後ほど触れたいと思いますが、私は兵庫県の日本海側ですけれども毎年毎年、水の被害を受けておりますが、これは金がないと言って国も自治体も見向きもしません。  そうすると都市の人口集中を排除するためには、これ以上ここに家を建てても水を供給しませんよ。電気がなくても、ろうそくで生活できます。都市ガスがなくても、これはプロパンがありますから生活できますが、水がなければ生活できないのですから、人口の都市集中を排除し、そして水のあるところに人口を誘導するというのなら、そういう水からの規制というようなことはお考えにならなくてもいいですかということが一つ。  それからもう一つは、流況調整事業というのを建設省でおやりになっておりますが、この流況調整事業というのは、どういう趣旨で、どの範囲のものをお考えになり、流況調整ですから何か水系の違うものの調整という意味だろうと思いますが、今後どういうお考えでお進めになろうとしておられるのか。
  97. 福島量一

    ○福島政府委員 前段の部分についてお答え申し上げます。  いま先生指摘東京都一千万人という数字でございますが、千葉、埼玉、神奈川の三県を含めまして俗にわれわれは東京圏と言っておるわけでございますが、東京圏の人口は昭和五十年で二千七百万人余りでございます。最近の状況からいたしまして、いわゆる社会増ということは大体頭打ちになってまいったのでございますが、自然増、すでに東京に来ておって、そこで家庭を持って生活しておる方々のいわば子供さんができてくるということで、これまた昭和七十五年、つまり西暦二〇〇〇年には約三千四百万人くらいの人口になる。つまり七百万人くらいふえるという見通しに実は立っておるわけでございます。これは先ほどちょっと北海道のことを申し上げましたが、そういう数字も踏まえた上で、なおかつ七百万人くらい一都三県において人口がふえるというのは、計画段階では不可避の人口増と考えておるわけでございます。  したがって、すでに現在でも限界に達しつつあるところの水資源の問題あるいは電力等のエネルギーの問題にも非常に大きな問題を生ずるだろうということは三全総でも警告しておるわけでございますが、それらの人々に対しまして水の供給を、まあほうっておくと申しますか、供給のための努力をいたさないでおくということは、いわば半強制的に人口疎開を試みるということにもなりましょうし、それが国の施策として当を得たものであるかどうかについては十分考えないと、にわかに結論の出しにくい問題ではなかろうか。  もとより、先ほど先生お話にございましたように、兵庫県の日本海側で毎年洪水があって水がむだに流れて、しかも被害をこうむっておるというような事実を放置してよろしいというものではございませんし、まさに、そういうところにおいて基盤の整備を行いまして、国土の保全を考え、生活環境をつくって、そうして、そこに人々に定着してもらうということを考えてまいるのがいわゆる定住構想でありまして、これが三全総の基本目標とするところであると考えております。  前段の部分についてだけ、ちょっとお答え申し上げた次第であります。
  98. 北野章

    ○北野政府委員 お答えいたします。  ただいま計調局長が答えましたが、水の方から人口を誘導するような法的な根拠がいまございません。水道法によりますと豊富低廉、清潔ということで、そこに人口が定着いたしておりますと供給する義務があるわけでございます。  したがいまして、水といいますのは土地とともに有限の国土資源でございますので、国土全体の均衡ある発展を図るためには、従来、水はそういったものの後追い的な施策しか講ぜられなかったのですが、これからは、そういった国土の均衡ある発展のための国土計画あるいは地域計画の主軸として考えなければいかぬ、そういう前提に立ちまして、先ほど申しましたように、一応超長期の展望を示すことによって、この地域は水資源について相当な余力があるのだというふうな一つのガイドラインといいますか展望でございまして、今後、水の開発についてはそういった立場から、われわれも考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  99. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 両方の大臣に伺いますけれども、水は有限ですというお話がありました。土地も有限です。土地は、ここは農業振興地域です、ここは調整区域です、調整区域は家を建てられぬことになっているのですね、ここは住宅地域でありますということで法律で決めておるわけです。土地は、ここは住宅を建ててもよろしいよ、これはちょっと都会の近くだからいけませんよ、これは農業を振興するところです、こう区分しておいて、水だけは水道法によりまして、どこでも山のてっぺんでも──山のてっぺんというのは極端な話ですが、たとえば東京の周辺ますます集中するところに家を建てても、水道法によって、どんなに高いコストになりましても、なるべく低廉かつ清潔な水を提供しないといけません、こういうことになりますと、これは矛盾してないですか両大臣
  100. 中野四郎

    中野国務大臣 元来、水は地域性の強いものなのです。したがって水をここへ導入するということには相当な問題点がある。先ほど三全総のお話が出ました。定住構想そのものが都市と農村、いわゆる生活圏についてこれを調整していこうということで、たとえば先生先ほどお話しになりましたような東京圏の問題一つ考えてみましても、これはもう限界ですよ。利根川の水を導入しまして、そして何ぼでも入ってこいというようなわけには、とうていいくものじゃありません。したがって首都圏整備というようなものを考えて、北関東あるいは関東各方面に人口の集散を行う、そして水もまた、その人々に十分利用していただけるように生活に支障のないような措置をとるという、ここが三全総のねらいであります。こういう見地で、水が幾らでも、山のてっぺんからでも持ってこれるなどという考え方は少し行き過ぎではないか。水はやはり地域性の強いものである。その水を十分に生かして、その都市都市において生活に誤りなからしめるような措置をとろうというのが今度の定住構想のねらいであろう、こういうふうに私は考えております。
  101. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま国土庁長官から答えられたとおりでございますが、いま福岡で平常であっても時間給水をしておる現状でございまして、福岡に定住し、経済活動をなされておる住民に対して、これに必要なる水を供給するためのことを私たちはやっていかなければならない、そういうふうな姿で、大きな地域的な水資源の利用というものを考えていかなければならない。皆さん御承知のとおり神戸市、ほとんど水を持たずに渇水に苦しんだことがございましたが、そのためには琵琶湖から近畿圏の水をいただき、そのほかにも加古川流域のダムを図ることによって神戸の六甲以北の水資源を確保したいというので、いま進めておるような状態でございまして、私たちは、人間の住むところ、いま申しました水道法に規定されております水を国土全体として低廉に、良質なるものを与えるように開発していかなければならないのではなかろうか、このように考えております。
  102. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 いや、私が求めた答弁とちょっと違うのです。一つは水を供給するということ、それから再生利用その他の節水をするということ、それから規制、こう三つ考えまして、土地の面からは住宅地域、調整地域、農業地域とこう区分をして規制しておるのですから、この際、水の面から水の利用区分といいますか、そういう形で三全総と定住構想をより強化していくという、これは規制面。一方では、水資源の開発ということは、三九%で六一%が未利用だから、それをどう利用するかということ。最初に、そういう水の立法が必要と違いますかということについて大臣の御見解をひとつ。
  103. 中野四郎

    中野国務大臣 実際、量がもう足りないところ、たとえば、いまのような東京圏におきましては、これはもう先生のおっしゃるように水規制という問題は、ある程度考えなければならぬ時期に到達しておるのじゃないでしょうか。しかし、いま申し上げたように非常に地域性の強いものですから、水の豊富なところもあるわけで、お話の筋合いから言えば、大都市圏というものに、すでに水に対する適当なる措置考えてしかるべき時期に来ておるのではなかろうか、私もさよう考える一人であります。
  104. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 水規制の立法、なかなかむずかしい問題であろうと思いますが、地下水をくみ上げることによって地盤沈下を起こす、これらは地下水を持っておる土地であっても使ってはいけないというふうな規制もすでに考えられております。また、水道に対する補助金のあり方にいたしましても、全国一律に幾らの補助をするということでなくして、ある一定量の高い水道がつくところにのみ補助金を出すというふうな制度で進まれてきた、私も現在の状態を数字的には存じておりませんけれども、そのように考えております。これらが一つ規制措置でなかろうかと思います。  なお、いまのような全般を含めての規制ということにつきましては、まだ、そこまでのものはございませんけれども、検討をさしていただきたいと思います。
  105. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 早急にひとつ水の立法をお願いしたいと思います。  それから、だんだん時間が切迫しましたのでなんですが、水の供給の面です。実は、私は水の問題で生活用水、工業用水、農業用水、その他にエネルギー源としての水力の問題についてもお尋ねしたいと思っていたのですが、通産省エネルギー庁の水力課長がいま中国に行っておられるそうでして、今晩お帰りだそうです。したがって、きょうは控えたわけですが、コストの問題もさることながら、流況調整につきまして、ちょっと御説明を求めたのですが、余り的確なお話はございませんでした。私は、流況調整事業なるものを拡大しまして、全国の水系をトンネルや運河で、たとえば百メートルレベルなら百メートルレベルでつなぐ。たとえば私どもの方から言いますと日本海側は、私らの辺では弁当忘れてもかさを忘れるなと言うほど雨が多いのですが、一方、瀬戸内海側はは雨が降らぬわけです、渡海大臣の方は。ですから全国を、私どもの方は水が余って被害があるわけですが、西日本は西日本で、山陰から東北にかけまして、ずっとトンネルで、運河でもいいですが、結びます。表は表で結びます。それで、集中豪雨のあるときには少ない方にトンネルを通して持っていく。これは飲料水も工業用水も生活用水も含めての話ですが、中国は、最近の新聞ですと千二百キロぐらいの運河をつくるというのですね。千二百キロといいますと、ちょうど日本列島の端から端までです。これだけ高い技術水準に達した日本が、コストがどうとかいって、最近は水が足らぬから海水の淡水化なんてやっているそうです。砂漠の南アフリカに行きますと、石油の金をたくさん持っていますから、ふんだんに海水を淡水をやっていますね。日本はそこまでいかぬでも、それは河川局長、流況調整なんてちゃちなことを考えずに、トンネルをやるようなことをお考えになる時期と違うかということと、もう一つは、第五次治水五カ年計画、道路は八次五カ年計画、一次を五年としますと道路に比べて河川は十五年おくれているわけですね。これらについて河川局長、責任をお感じになりませんか。
  106. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 流況調整河川のお答えを先にさせていただきます。  現在、流況調整河川と申しますのは、私ども手がけておりますのは主として河川の中下流部の流況をお互いに調整するというふうな仕事に手をつけております。  それで七十五年の見通し等につきましては、いままでいろいろと国土庁等から御答弁がありましたけれども、私どもといたしましては現在、当面六十五年に目標を置きまして、六十五年の目標に対していかなる措置をやらなければいかぬか。と申しますのは実はダムが竣工するにつきましては御存じのようにやはり十年ぐらいの歳月を少なくとも要するわけでございまして、現在から目標を立てなければいかぬということで、一応、昭和六十五年までに三百六十程度のダムあるいは流況調整河川等の施設をつくる必要があるだろうというふうなめどを立てたわけでございます。  それで、まず基本的に、水資源の開発には現時点におきましては上流の水源地域において、その水系の水資源開発を促進する。と同時に、いまおっしゃるように水需給の非常に逼迫している地域につきましては流況の異なる河川をお互いに結ぶことによりまして流況を補完し合うということで、これを現時点におきましては次の手段というふうなことで考えて、現在、利根川、木曽川あるいは佐賀の導水というふうなところで実施いたしておるわけでございますが、次のステップといたしましては、先生おっしゃるように、さらに範囲を広げたような彼此融通というふうな水の利用体系等についても取り組まなければならないというふうに考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても水の利用形態というのは、河川の生成してきた由来から、ずっとその河川河川ではおのおのの水の利用の形態が成り立っておるわけでございます。したがいまして、ここで水資源開発をして新たに水の供給をやるということになりますと、在来の水供給体系等に与える影響もいろいろございます。そういうふうな意味でも、やはりある程度、地域性の高いものでございますので、それらとの調整等も十分図りながら進めていかなければならない問題であろうというふうに認識しておるわけでございます。
  107. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 河川局長に伺いますが、遊水地帯という言葉がありまして、私は河川法をずっと一条から読んでみたのですが、河川法の中には遊水地帯という言葉がないのですね。法律用語じゃないんですね。これは局長さんが勝手につくったんですか。
  108. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 遊水地帯というのは、おっしゃるように法律用語じゃございませんけれども、河川の管理施設の中で、私ども堤防とか護岸とかいろいろな計画を持っておるわけでございますが、その中で計画的に遊水するものというのを、われわれとしては遊水地かように呼んでいるわけでございまして、河川の改修計画上の言葉としてあるわけでございます。
  109. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 そうしますと局長さん、遊水地帯という網をかぶせておけば、毎年、住宅が水につかろうと、あるいは田畑が冠水しようと、局長さんには責任ないわけですね。
  110. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 遊水地帯といいますか、やはり河川の改修がまだ十分でございませんところにおきましては、出水のときには、その地帯にはんらんするという地帯があるわけでございます。それを遊水地帯というふうに一般的には言っているという例もあるわけでございますが、私がいま申し上げましたのは河川の計画上、遊水地として計画的に取り入れるというものが遊水地でございまして、これにつきましては、やはりしかるべき手当てをしましてから河川区域に指定していって河川管理処理をするというふうな方式をとっておるわけでございます。
  111. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 大変具体的な話なんですが、私の住んでおるところに円山川という一級河川がありまして、一番下流に城崎という、これは温泉町ですから御承知の方があるかもしれません。この城崎町の旧村の中に内川村というところがあるんです。これは遊水地帯でして毎年水がつかるわけです、洪水でなくても雨が降ったら。これは遊水地帯なんです。米は毎年半分ぐらいしかとれないです。固定資産税もちゃんと払っておるんです。ちょっと雨が降ったら家につくんです。いや、六体水のつくようなところに住むおまえさんたちが悪いんだ、こういう議論があるわけです。ところが、昔は水がつかなかったんです。というのは上流に水の遊ぶところがたくさんありましたから。しかし河川局長さんのおかげで上流はどんどん堤防がよくなりまして遊ぶところがなくなっちゃった。ですから雨が降りますと、みんな円山川にさっと入ってきます、鉄砲水で。昔は分水嶺が生野町というところで、ここから六時間ぐらいかからぬと旧城崎まで水が流れなかった。ところが、このごろは河川改修のおかげで二時間ぐらいで水がついちゃうわけですね。だから毎年ですから畳はちゃんと二階に上げるように、はしご段まで準備してあるわけです。布団も持って上がらなければいけない。ところが二時間では準備したはしご段も──だから、これは大体水のつくようなところに住む方が悪いんだと言うんですが、昔はつかなかった。それが河川行政のおかげで水がつくようになった。この責任は一体だれがおとりいただくんだろう。
  112. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 先生指摘の個所につきましては、いま私、直接資料を持ってないわけでございますけれども、河川改修の基本的な考え方といたしましては、一般的には河道の改修をやる場合には下流から逐次、安全度をふやしていくというふうな方式で改修を進めてまいっておるわけでございます。やむを得ず、その上流地域等に災害があったとか、あるいは他事業の関連等で上流部の改修を急がなければならぬというふうな場合等もあるわけでございますけれども、そういう場合でも、できるだけ下流の流下能力等も勘案しながら上流の改修を進めていくというふうなことで現在、進めてまいっておるわけでございまして、そういう事態のないように、やはり注意をしながら改修というものは進めなければならぬということでやっておるわけでございますが、具体的に、いま先生のおっしゃる点につきまして現在資料を持っておりませんけれども、一般的には、災害等やむを得ない場合には上流につきまして若干、下流の暫定改修とも見合いながらやっていくというケースもあろうかと思います。
  113. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 最後に、例の有名な多摩川水害判決というのがありまして、一月二十九日ごろに一斉に新聞が書いております。私は何も局長さんの責任を追及したからといって解決されるものではありませんが、しかし見出しだけ読んでみますと「定着した河川の安全確保義務」「治水行政を総点検せよ」これはすべて社説ですね。「多摩川水害判決を考える」「多摩川水害の教訓を生かせ」「被害救済へ前進」「今後の治水政策に影響」「限定責任論を否定」「整備率何と一四%中小河川」「なお天任せ治水行政」「多摩川水害は国のミス」こういうふうに当時の新聞が報じておりました。先ほど申しましたように、私は局長さんや建設大臣の責任を追及してみたところで始まらぬと思うのです。いろんな考え方がありますが、ここに東京新聞の社説で、簡単ですから、まとまっていますので読み上げます。    治水行政を総点検せよ   これに対し、判決は、国賠法の「通常有すべき安全性」の解釈を一般論で示し、その予測が可能であったとしたばかりでなく、国側のいう限定責任論は「行政の論理」として否定、被害者救済を命じたわけである。   人間の歴史は、ある意味で、水との闘いと協調の歴史でもあった。たしかに「自然の猛威」に対して、人知の及ばない場合があるかもしれない。行政の対応能力を超える場合もあるかもしれない。しかし本件の場合は、主な争点についての明確な判決姿勢には説得力がある。   水害から四年五カ月がたった。被災地付近の多摩川は、すべての悪夢を洗い流して平和に見える。だが、被災家庭の内側に残る怒りと悲しみと重い負担は決して消えていない。   この種の裁判のたびに気になるのは──たとえそれが法理の闘いとして当然であるにしても──いつも「勝った負けた」の判定で処理されるかに見える点である。どちらが勝ち、どちらが負けたということより、被害者を救うための最善の道は何かを考えねばならない。水害であれ、薬害であれ、その他の公害であれ、悲惨な被害者を救うために、国が、自治体が、他の団体が、隣人が、何をしてあげられるかが問題なのだ。   建設省の調べによると、国や自治体を相手取った河川水害訴訟は、岐阜県の長良川など四十三件もある。多摩川水害を機会に行った同省の総点検によれば、全国の河川工作物のうち、約二万三千五百カ所が補強必要と確認された。そのうち手当てがすんだのは、たったの一割で、全部完了するにはまだ四年もかかるという。整備の必要な河川堤防の整備率は大河川で五二%、中小河川では一四%とたよりない。このままでは、あす水害が起きたとしても少しも不思議ではない。   この総点検は建設省自身の手になるものである。ここでは、はっきりと「危険予測」が確認されているわけだ。そういう背景を確認した上で、今度の多摩川水害判決を貴重な教訓とすべきである。この判決は、国側が被害者救済を優先ずること、さらに「天任せ」の感のある治水行政全般を総点検すべきことを教えている。というまとまった論説がありましたので読み上げましたが、決して、書いてありますとおり、勝った負けたで問題は解決しませんが、今後これらをどう河川行政に反映されていこうとするのか、ひとつ御決意を局長大臣に伺いたいと思います。
  114. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 多摩川の水害判決が先月の二十五日にあったわけでございまして、大体は新聞で報じられている経緯のとおりでございます。私ども河川改修を担当しておるわけでございますけれども、現在、大規模の河川につきましては戦後最大の洪水に対しまして安全にするというのを当面の目標に置いております。また中小の河川につきましては時間雨量五十ミリ程度に当面、安全にしたいということで改修を進めてまいっておるわけでございます。大規模な河川につきましては現在五〇%余りの整備率でございます。五カ年終わりまして、この暫定目標に対して六〇%程度というふうな整備率に上がるということでございますが、なお中小の河川につきましては現在、新聞にございますように一四%程度の整備率でございます。五カ年を終わりまして二〇%でございますけれども、これらの大規模並びに中小の河川につきましても、やはり一応シビルミニマムとしてのこの暫定目標につきましては、ここ十年程度を目途に、できるだけの整備を図っていきたい、かように考えておるわけでございます。  なお、多摩川の水害判決で、いろいろな基本点の議論があったわけでございますけれども、やはり河川の改修と申しますのは、もともと自然に流れておりました河川というのは危険を内在しておったわけでございます。なおかつ現在、逐次改修を行っているわけでございますけれども、降雨というふうな自然物を相手にしなければならないものでございますので、やはり河川管理をしていく上におきましては、全般的に緊急を要する個所から逐次、安全度を上げていくというのが河川改修のあり方ではなかろうかと思いますけれども、このピッチを、ひとつ、できるだけ速めて今後とも進めていきたい、かようにいま思っておるわけでございます。なおまた、その新聞にもございましたように河川管理施設なり、あるいは工作物等で危険なものに対しましては、五十三年度末までにも、総点検の結果を踏まえまして現在鋭意これの対策を図っておるというところでございます。なお一層、治水の進捗を図りながら対処してまいりたい、かように考えております。
  115. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 ただいま局長より答弁をいたしましたが、私この問題を取り扱いまするに、まず被害を受けられた方々に対する後の施策は完全にできておるかどうかということを詳細に聞きました。もとどおりの姿に戻し、そこに家を建てていただき、できておる。それともう一つ、仮執行に対しましても万遺漏なきよう手を打たしていただいたような状態でございますが、控訴さしていただきましたのは、判決文の中に、道路のような人工的なものと自然の河川のようなものとを同一に取り扱われるような判決の趣旨というふうな姿がございましたので、道路のように人工的なものであり、またこれを危険を防止するためにも通行どめをやるというふうなことができるものに対する国の管理と、河川のように自然のものであり、またこれを危ないからとまれというわけにいかないようなものとに対する考え方が、おのずから違うという姿の判決であってほしかったという点で、なお控訴することによりまして、この点を主張さしていただきたい、こういうふうな意味で控訴さしていただいたということでございます。
  116. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 最後に、いま大臣のおっしゃいました三億六百万円かの被害者補償がすでに支払われておるようであります。私は、さらに四十何件の訴訟が続いて、どの訴訟も三億ずつぼんぼん、ぼんぼん上がってきて、それが全部河川費の中から出たら大変だと思いまして、いろいろ聞いてみたら、そうでもないそうです。しかし、考えようによりましては、そういう大臣のおっしゃることはよくわかりますね。限定論か絶対的な責任かということはわかるのですが、限定的に責任がないんだということになりましたら、これは大臣余り責任感じませんわね。それよりも責任あるんだということで、これはお金が大蔵省から出るということならば、次から次に判決が出て一年に何百億という被害者補償をせんならぬということになってきたら、そんなに出すようなら、もう河川費に思い切って予算つけて、この際、未然に被害を防ごうということになるかもわからぬですね。という意味で、判決の行く末は別としまして、ひとつ大臣、初めての大臣じゃないのですから、三回目ですか、大臣は。ひとつ大蔵省あたりに本格的にこの多摩川訴訟を一つの契機として──さっき指摘しましたが、道路行政ばかり第八次五カ年計画まで来て河川がわずか五次五カ年計画、これ道路も河川も同じ建設大臣の子供ですから、分け隔てをしないように、まんべんなく子供がすくすくと成長するように今後の土木行政の一層の進展ないしは河川行政が道路行政におくれないように要望して私の質問を終わります。
  117. 伏木和雄

  118. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は、きょう首都の改造計画の問題がまず第一番目、二番目に総理の田園都市構想と三全総の絡みについて、三番目に地方公共団体の土地の売買の問題、四番目に住宅用の建設資材並びに工賃の値上がりの問題、それから五番目に都市の中小河川の改修の問題、六番目に岩渕水門の完成目途について、なお時間があれば湾岸道路の建設の問題についてお伺いをしたい、こう思っておるわけであります。  まず第一番目に国土庁長官お尋ねを申し上げるわけでございますが、先般大臣の所信の表明をお伺いをいたしました。この中で私、非常に関心を持ってお伺いをいたしましたのは、私自身が東京都選出の議員でございます。したがいまして、長官の言われました第四の「大都市圏整備の推進」こういう条項の中で「首都東京につきましては、新たに首都機能の適正配置を含めまして首都改造計画の策定を進めてまいる考えであります。」こういうくだりがございます。私も、これをお伺いしまして、自分自身に非常に影響のある問題でございますし、なお、おたくの方からいただきました国土庁の予算の概要というものを見ますと、その大臣の言われました第四の問題が、この予算概要の中では十八ページに「首都改造計画の策定」という項目で書いてございます。「首都東京における居住環境の悪化、防災機能の低下等の過密問題を解消するとともに、首都東京を全国的、国際的な中枢都市にふさわしい都市として改造することを目標として、首都機能の適正な配置を含めて、全国的、長期的な観点から首都改造計画の策定を進める。」こうありまして、一億百万円の予算が計上されております。これは昨年度予算にはございませんでしたので全く新しい首都改造計画の策定調査費、このようになっているわけでございます。  そこで私、この首都改造という問題につきまして、いろいろいままでも研究しておりますけれども、概略三つの方法が考えられるのではないかと思うわけでございます。その一つ東京改造いわゆる改都論、それから二つ目には新しい中枢管理機能を新しい首都に遷都するという遷都論、それから三番目に中枢管理機構を分散配置するという分都論、こういうふうな三つの考え方があるのではなかろうかと思います。  御承知のように第三次全国総合開発計画の中では、都及び周辺県の区域を含めて全人口の約二四%が居住しているということが、これは昭和五十四年度の話でございますが載っております。中枢管理機構すなわち経済であるとか行政、教育、文化、社会、こういったものが集中していることはもう御承知のとおり、大震災などの災害に対処する視点から根本的な再編が必要であるというふうにも言われているわけでございます。なお将来はどうなるかというと、東京圏の工業の再配置、教育、文化それから医療機能の適正配置が進められていますけれども、昭和七十五年には首都圏の人口は自然増加が大きく、社会増加が減少しても三千五百万人に達すると推計される、大変な数字になるというお見込みでございます。  こういうことを考えますと、いま大臣がここに首都の改造ということで新しく一億百万円の予算を組まれた、その理由が私も納得できるわけでございますけれども、それでは、いかような方法によって、これを進めていくのか、まず大綱について、なおまた専門的な問題について局長からお伺いできればと思うわけでございます。
  119. 中野四郎

    中野国務大臣 これはなかなかむずかしい課題であります。しかし、これを避けては通れない大問題であります。  本来からいいますと、敗戦直後の焦土化した東京をどういうような構想をもって再建するかということで、当時国会議員であり、ちょうどその当時の牛込の区会議長を務めておりまして、中島守利君が委員長で私が副委員長でありました。元来は人口的にまず制限をしなければならないというような考えでおるうちに、もう中央東京市いわゆる都と区が合同しまして、都の力がそこまで及ばないうちに今日のような現況になったのであります。  首都東京の人口は、産業の集積の結果、世界にかつて類例を見ないような人口が集まってしまったのです。そういう巨大都市になってしまったのです。したがって、居住環境が非常に悪化しております。それから防災上の問題から考えても、これはなかなか大変な問題があります。こんな過密化した東京はないのであります。それだけに非常に深刻なんです。このような過密問題を解決し、東京大都市地域の住民が安んじて生活ができるようにするということは、これはもう今度の一番大きな主眼であろうと思います。  そこで、都市の機能を円滑に発揮することができるようにするために、長期的な観点に立って根本的な改造計画を策定しなければいけない。端的に分都、遷都、こういうような言葉は、言葉の上では言えますけれども、これはもう世界的な問題といってもいいほどの大問題でありまするだけに、国土庁のあらゆる機能をば集めまして、有効適切なる道を開くための最善の努力をいたしたい、熱意を持ってこのことを遂行いたしたい、私はかように考えております。  それぞれの企画等の問題は、事務当局から御説明をいたします。
  120. 堺徳吾

    ○堺政府委員 お答えいたします。  首都改造計画策定調査の趣旨につきましては、ただいま大臣が申されたとおりでございますが、先ほど先生も御指摘になられましたように、一都三県の人口が昭和五十年で二千七百万でございましたけれども昭和七十五年の二十一世紀になりますと三千五百万、約八百万も増加するであろうということは三全総でも指摘しておるところでございます。それで先生が御指摘のように、その増加人口の多くは、むしろ社会増ではなくて自然増である。これまで高度成長で集中してきた人たちが今後自然増としてふえていくということでございます。こういう過密問題を解消いたしまして、この大都市地域に人間性を回復いたしまして安んじて生活ができる、それからまた、首都としての機能が十分に今後とも発揮できるようにしていく必要、二つの必要があるわけでございます。そういった観点から首都改造計画をどうしてもやる必要があるだろうということで、来年度からの計画調査を予定しておるわけでございます。  御案内のように、いま首都東京の抱えている課題というのは、われわれとしましては四つばかり考えておるわけでございます。  一つは、都市構造のひずみと申しますか、業務機能が都心に集中しました結果、昼間人口がどんどん都心ではふえますけれども夜間では減るというような形で、一方、外延的に市街地が無秩序に広がっていく、こういうことはまさに都市構造のゆがみだと思うのですが、こういった問題を再編成する必要があるだろうということが第一点でございます。  それから第二番目としましては、そういう過密の状態から非常に防災機能が低下している、これも御承知のとおりでございまして、密集木造住宅の再開発等いろいろございますが、そういった防災性の向上という問題があります。  それから第三番目には、総合的な居住環境の整備。これは公害などで居住環境が非常に悪くなっておるわけでございますけれども、大都市地域の改造によりまして住環境をよくしていくという問題、そして大都市に人間性と地域連帯のある社会をつくっていきたい。それからもう一つは、非常に巨大都市化しまして、土地、水、エネルギー等の限界性といいますか、限界的な制約がだんだん高まってきておるわけでございまして、こういったものに対処をする必要があるだろう。  それからもう一つは首都機能の問題。先ほど先生が触れられましたように遷都、転都というようないろいろな分類があるわけでございますけれども、この首都機能の問題は、御案内のように非常に東京にいろいろな産業、人口が集中した、その要因というのは、まさに権限の強い首都機能が一点集中型で東京にあるために、こういう状態になっておるわけでございます。この問題につきましても、実は昭和五十年以来、超党派の先生方による新首都問題懇談会でいろいろ議論されてきておるわけでございますけれども、私どももこの首都改造計画策定調査の中で、やはりこの問題は避けて通れない問題でございますので、将来の方向を見定めながら、この改造計画を策定していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  121. 松本忠助

    松本(忠)委員 お話を伺いまして、わかるわけでございますけれども、その調査の方法あるいはまた、その調査が完了するのはいつか、こういうおおよそのめどといいますか、それは考えておいでになるわけでございますか。
  122. 堺徳吾

    ○堺政府委員 調査でございますけれども、最初はどうしても基礎的な現況調査でございますとか将来予測の問題でございますとかいったことから基本的な方向を打ち出す、そういうものをやっていく必要があると思いますし、また、この改造は二十一世紀に向かっての計画でございますので、そういう改造の理念についての、それぞれ先ほど申しました課題解決のための検討事項があるわけでございます。そういった問題をいろいろ、これからおよそ三年ないし五年ぐらいをかけて計画を策定しまして、結論を出していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  123. 松本忠助

    松本(忠)委員 大体そうすると三年ないし五年ということになると長くて昭和五十九年、六十年代には一応の目安が出る、そういうふうなお考えと思うわけでございますけれども、もちろん、それまでの中間で中間報告とかそういったものも当然なければならないと思うわけでございますが、民間の意見というものを相当に私は吸収してもらいたい、こう思うわけでございます。その点についていかがでございましょうか。
  124. 中野四郎

    中野国務大臣 無論これは東京都民の意思を十二分にそんたくしなければならぬ問題でありまするし、方法論等につきましては、まだ、いま未定でありますから、全東京圏内の区長あるいは市長あるいは住民の代表というものを集めて、これからだんだん、いろいろな意見も徴収するつもりでおります。しかし、根本の腹構えというものは、日本列島における首都とは何ぞやというこの基本的な考え方をまず明確にしなければいけないと思うのです。首都を改造するとか、やあというような問題でなく、首都とは何ぞや、ここに一遍、腹を置きまして、そしてもう小乗的なことではいけませんから、大乗的な見地から、この東京都のあり方、東京都民の将来のあり方というものを決めていきたい。そういう意味におきましては、それぞれの知識のあるあらゆる方々を網羅し、機会あるごとに人の意見を承って、一刻も早く、この問題を推進するようにいたしたいという決意でおります。
  125. 松本忠助

    松本(忠)委員 わかりました。長官の御決意は今後、国土庁としても大きくこの問題に推進されるでありましょうから、どうか長官の決意を体して、ひとつ十分に調査研究をしていただきたいと思うわけでございます。  きょうは、この問題につきましては、それぐらいにとどめまして、次に移りたいと思いますが、総理の言われた田園都市構想と三全総の問題は、ちょっと後に回します。これだけでも時間が約二十分ばかりかかってしまいましたので、私はその次の問題を先にお伺いいたしたいと思います。  それは、先ほども申し上げましたように地方公共団体の土地の売買の問題でございます。国土庁長官も先般の所信表明の中でおっしゃっておりますけれども「土地対策のかなめは、地価の安定であります。地価は、昭和四十九年以降、おおむね安定的な基調で推移してまいりましたが、最近においては、三大都市圏の住宅地について、強含みの傾向があらわれてきております。」こういうふうに原稿には書いてあるのですが、長官はそこで「やや」という言葉を入れました。私は長官が「やや」という言葉を入れられたことをよく理解できるわけでございます。  そこで、この問題は本当に大変な問題でございますので、いろいろ私どもも重大な関心を持っているわけでございますが、土地がいわゆる値上がりするという問題、これはまことに、われわれ庶民にとっても住宅を建設したいという大きな希望があるわけでございますが、そういう中で土地値上がりしていく、とても家を建てることなどは手も足も出ないというような状態があると思います。そこで先般も、わが党の北側委員がいろいろと質疑応答をされました。その中で、いわゆる地価上昇の原因、これについて山岡局長お話がございました。私も伺っておりました。いわゆる需給ギャップというものが最大要因だというふうなお話でございました。しかし、それだけではないと私は思います。いわゆるミニ開発によるところの地価の引き上げ、あるいはまた道路などの生活環境の整備、あるいは新しく鉄道が敷けた、こうなりますと駅が新設もされます、あるいはまた駅と駅の中間が相当の距離あったけれども、そこが住宅で埋まってしまった、新しい中間駅が必要になってきた、こういうことで新駅が設置されますと当然その周辺が地価が上がります。それからまた財政金融政策による需要創出からくるところの需要超過がもたらすところの地価の引き上げ、こういうものも当然あると思うわけでございます。  そこで、この地価の問題については国土利用計画法では二千平米以上の土地取引チェックできるようになっております。日本道路公団とか地方公共団体などの公的機関が土地の売買を行うという場合には何を基準にし、どういう規制があるのかという点についてお伺いをいたしたいわけでございます。
  126. 山岡一男

    山岡政府委員 公的機関の土地の取得、売却の場合につきましては、地価公示法、公有地の拡大の推進に関する法律、国土利用計画法の趣旨に沿ってやっていただくということになっておりまして、こういう各法律の施行以来、次官通達その他におきまして公的機関に対しまして地価公示価格を規準とした価格取引をしていただくよう、きつくお願いをしておるというのが現状でございます。
  127. 松本忠助

    松本(忠)委員 お尋ねいたしますが、地価公示法ということになりますと第九条に規定がございます。それに準拠するわけでございますか。
  128. 山岡一男

    山岡政府委員 公共用地の取得の際の規準義務というのを九条で決めております。ここで規準というふうに規という字になっている点に御注意いただきたいと思います。
  129. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は、地価公示法によらない、そして地方公共団体が売買した例というのを幾つか挙げてみたいと思うわけであります。  昨年の夏に東京都の品川区が区内の大井六丁目にございました電通吉田記念館の跡地三千平方メートル、これを買収いたしました。その買収の価格が非常に高値になりましたために、それが原因で周辺の土地が大分高くなった。この跡地を品川区が買うについては文化施設をつくりたい、こういう意向がございまして、公有地拡大法の適用を受けて総額八億二千万円で優先的に買い取ったものでございます。なお、この公有地拡大法の適用を受けた場合の土地買い取りについては、土地の所有者から譲渡届け出や買い取り希望の申し出に基づいて買い取り協議を行うようになっていることは御承知のとおりでございます。その場合の買い取り価格にも、この公有地拡大法の第七条に規定された条項がございますし、それを規準になさるのかどうか、この点もひとつ確かめたいわけでございます。
  130. 山岡一男

    山岡政府委員 公有地拡大法の第七条におきましても規準義務を明示いたしております。ただ、この際の品川区大井六丁目の案件につきましては公有地拡大法によるものではなかったというふうに実は承知しております。
  131. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、そういう、よらなかったこと、それを国土庁としては、そのままでよろしいとお認めになっているわけでございますか。
  132. 山岡一男

    山岡政府委員 地方公共団体がいわゆる公共用地それから公有地拡大等に伴いまして用地を買収いたします際には規準の義務がございます。その他の取得とか売却等に当たりましては、そういうものの趣旨をわきまえてやるようにというのが趣旨でございまして、大体、売買の一方が公的団体もしくは両方が公的団体というような場合におきましては、たとえば許可制を置きます規制区域の場合には協議でよろしい。それ以外の場合には、そういうふうな趣旨にのっとってやってくれという意味の通達によります指導をいたしておるわけでございます。
  133. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣も、もう御承知と思いますけれども、この電通記念館というのは周辺の公示価格は五十三年一月一日の坪当たり単価を一応考えてみますと六十万から七十万、ところが周辺の実勢は、これはちょっと古いのでありますけれども五十二年三月の時点で六十五万から八十万だったわけです。これに対しまして実際に買い取りをしましたのは坪当たり九十万ということになっているわけでございます。このように実勢価格というものと周辺の公示価格というものが八%から一四%乖離しておりますし、調査時点が若干違いますけれども、少しこれは乖離が大きいんじゃなかろうかと私は思うわけでございます。こういう問題があるわけでございまして、こういうものは一片の通達でそれを済ませていく、そういう規準による、なるべくそういうふうな方向でいってもらいたいという程度のことではならないと私は思うわけでございます。  もう一つは今度は売りの場合。いまの品川の場合は品川区で買ったわけですけれども、今度は売却の場合。これは東京都の土地でございます。東京のいまの財政状態というのはどんなになっているかは、もう御存じだと思うわけでございますから、私も都民の一人としまして一銭でもよけいに値売りしたいというのはよく理解もできるのですけれども、昨年の七月五日に都有地が五カ所ほど売りに出されました。競売によって落札したわけでございますけれども、その落札価格というものも公示価格や実勢価格より非常に高い、こういう例でございます。  一つの例は大田区の石川町の土地でございますが、小さい土地でございますよ。いずれもこれは、いろいろなもの、道路をつくるとかやって、そして余ったところでございます。しかし、民間がここへ住宅を建てるのなら十分建てられる、こういうところでございます。二百六十七・七平方メートルでございますが、これの要するに落札の価格が総額で二億四百万円、坪当たりにしますと約九十万円。この辺の坪当たりの公示価格というものは四十五万円でございますから、落札価格は約二倍に当たるわけです。実勢価格も八十万でございますから、坪当たり落札価格の九十万にいたしますと一・二五倍ということになるわけです。  もう一つは足立区の古千谷五丁目というところにございました百四十六・四一平方メートル。これの方は物件も小さいものですから、売り値は落札価格が六千百万円、坪当たりの単価が四十二万。この辺の公示価格は約二十万でございますから二倍に当たります。実勢価格は二十八方でございますから一・五倍、こういうふうになっております。  こういうふうに競売でございますから、いずれも高いところに落札するのは当然の話としましても、それが原因で周辺の土地値上がりしてくるということは、これはもう火を見るよりも明らかなことでございます。そうなりますと、これはもう全く民間人としては土地を求め住宅を建てるなんということは、とてもじゃないけれどもできない相談になってくるわけでございます。こういう問題が単に国土庁としては、その通達を出して、それに準拠してほしいというような要望程度のものではならないと私は思うのです。役所が売ったり買ったりするものこそ、まず本当に、その地価というものの決定が周辺の地価に及ぼす大きな影響を考えてみれば、この買い取りの場合も、あるいは売り渡す場合にしてみても、公示価格に近い、いや、そこまでいかぬでも実勢価格にほぼ近いものになるべきであろう、こう思うわけでございますが、大臣のこの点についてのお答えをひとついただきたいと思うわけでございます。
  134. 中野四郎

    中野国務大臣 全く同感であります。  都心周辺の地価値上がり需要供給のバランスが崩れておることは無論、論をまちません。そこで、いろいろな方法で優良土地に対してはこうする、ああすると言っておりますけれども、私は新任早々でありますから余り華々しいことは申し上げられないけれども、東京に五十何年も住んでおりますと、いま東京の真ん中で気のきいた土地の空き地というものを求めようとすれば、大体、官公の持っておる土地が非常に大きな面積になっておるのです。こういうところの売買について規制がない。  これはいま言うように、東京都も今度はいろいろと知事がかわられるについて土地を、いままでは保有しておられたものを売却したい。たとえば都電というものがなくなってしまいました。路線は別としましても、電車の寝るところの車庫というものは非常に大きな面積であります。一例を挙げれば青山の車庫、あれなんかいま都心の非常に高いところ、都の方とすれば、この際のことだから、都民のためにも高く売らなければならぬ、これは御指摘のとおりなんです。しかし、そのことが東京都民全体に及ぼすその地価というものの影響を考えましたとき、やはりこれは考慮すべきものだと思うのです。端的に、これは注意ぐらいじゃだめですね。やはり、これはひとつ計画法の中にも入れて、官公署が率先して都民の生活を十分考え地価等の急騰をさせるような措置をとらないようなことを考えていきたい、私も同感でありまして、こう考えております。
  135. 松本忠助

    松本(忠)委員 東京都内のたとえばいま御指摘になりましたような都電の車庫というようなものは切り売りは全くいたしておりませんし、そこへ大きな都営の住宅を建てるというようなことが大塚あるいは青山においても行われているわけでございまして、私はそういうものは問題ないと思うのですよ。そうして公共住宅をお建てになる方がむしろよろしいと思うわけでございますけれども、問題はやはりこういうふうに東京都が売る場合、それは財政の情勢からいって一銭でも値売りしたいというのはわかりますけれども、やはりこういうことを考えますと、それを実行いたしますと、それが周辺に大きな影響を及ぼすということです。  そこで私は自治省の方のお考えをひとつ聞いてみたいと思うわけでございますが、おいでになっていらっしゃいますか。ひとつ、この問題について自治省はどのような見解をとっていらっしゃるか、地方公共団体の土地の売買について。
  136. 中村瑞夫

    中村説明員 お答えを申し上げます。  地方公共団体に係る土地の売買等の問題でございますけれども、先生お尋ねの中にもございましたように、地方公共団体の土地その他財産の売買、これに関連いたします契約の締結につきましては地方自治法二百三十四条等に基本的な考え方がございまして、それは公の財産である土地その他をできるだけ公共団体に良好かつ有利に保全し運営し、かつ処分するようにという考え方で定められておるわけでございまして、こういったことを基本といたしまして各種の取引が行われているわけでございますが、いまほど御指摘のございましたような事情もこれあり、特に地価公示という制度もございますので、地方公共団体が具体的な土地取引を行う場合におきまして、地価公示法一条の二にございますように公示価格を指標として取引を行うように努めるべきということは当然のことであろうというふうに思うわけでございます。  先生指摘のございました件につきまして、私ども逐一実情を承知しておるというわけではございませんけれども、関係の都なり区なりに、おおよその事情を聞き合わせたところによりますと、やはり都なり区なりにおきましても、ただ高く売れればよろしい、高く買えばよろしい、何でも必要なものを手に入れればよろしいということではございませんで、財産価格審議会、これには民間の不動産鑑定士等も入っているようでございますが、そういったものをつくりまして、適正な予定価格の算定に努力をする、そうして近くに適当な公示価格があります場合には、これとの均衡がとれるように配慮をするというようなこともいたしておるようでございます。ただ現実の問題といたしまして、これも御指摘ございましたように、都内にはなかなかまとまった土地物件というものがない。したがいまして、売りに出す場合に競売にいたしますと相当高い値がつく。あるいは買う場合におきましても、いま例に引かれましたような土地につきましては、まさに、その土地そのものが必要なわけでございますので、そういった場合におきましても、やはり実際問題といたしまして公示価格との間に差が出てくるというようなことでございます。  そんなことで、地方団体といたしましても、いろいろ苦慮をいたしておるようでございますけれども、何と申しましても影響するところが多いことでございますので、いろいろと実際の取引を進めるに当たりましては他に累を及ぼすことがなるべくないように配慮をする必要があろうかというふうに考えておるわけでございまして、今後とも東京都等におきましては、そういう意味で財産処分をいたします場合には、できるだけ他の公共団体に優先して渡したいというようなことも考えておるようでございます。そうした地方公共団体の努力を期待しながら、私ども、また制度的な面につきましてはいろいろと留意をいたしてまいりたいというふうに存じておるわけでございます。
  137. 松本忠助

    松本(忠)委員 いろいろ自治省には自治省のお考えがあること、わかりますけれども、長官、こういうふうに差があり過ぎるのですから、この辺で公示価格そのもののあり方というものを考え直す時期に来ているのじゃなかろうか、私はこう思いますけれども、この点についてはいかがでございましょう。
  138. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほどのお話に出ておりました、たとえば公的団体について、地価公示法の直接の適用がなくておるのはどういうわけかということでございましたけれども、これは立法の際にいろいろ議論がございまして、やはり地方公共団体は悪をなさないのだということが前提でございました。実際の実行上の問題として、いま御指摘のような事例が、たとえば売却等によりまして生じておるというのは事実でございます。その点につきましては今後十分、戒心をして協議してまいりたいと思っております。  しかしながら、地価公示法で定めております現在の地価公示の任務といたしまして、これは正常な取引価格を示すものでございまして、その正常な取引価格を規準といたしました額を、不動産鑑定士等の鑑定の場合には当然これに従っております。それに従わない場合には罰則もございます。公共用地の取得の際の規準義務、収用委員会の補償金算定の際の規準義務、それから国土利用計画法の規定に基づきます規準価格の算定の際の規準義務、地方公共団体、土地開発公社等が公有地の拡大の推進に関する法律の規定に基づいて土地を買い取る際の規準義務、いろいろと規定されておりますが、それぞれの実効は相当上がっておるというふうに私どもは考えております。  ごく最近でございますけれども、その中の一例といたしまして、公共用地の買収価格の実態につきまして実は調査をしていただきました。五十一年度中の公共用地の買収価格の実態でございますが、約一万件の事例の中で、公示価格から規準をいたしました額と比べまして二〇%を超したというものが八十事例ございました。もちろん一月一日の告示でございますので、それからの年間の分の差額等を考えまして、いろいろなことを聞きますと、超えました八十事例につきましても、それぞれ理由があるということのようでございました。なお最近、特に三大都市圏内におきます地方建設局、それから東京都におきます最近の買収実例につきまして抽出調査をしていただきました。全体といたしまして、とりあえず二十二件調べたわけでございますが、その中で二例が二割を超えておりました。それ以外はいずれも一〇%程度以内におさまっておりまして、いずれも規準価格ということで見れば、まあまあ正当に運用されておるのではないかとわれわれは考えた次第でございます。  それらの点もございますので、今後さらに地価公示の内容の充実、それから使用されるものの的確さというものについての努力は大いに必要かと考えておりますけれども、制度そのものについて現在直ちに改正した方がいいというふうには考えておりません。
  139. 松本忠助

    松本(忠)委員 国土庁長官、先ほどから申し上げておりますように、土地対策のかなめは地価の安定だ、こう言われましたとおりでございますけれども、先ほどの事例を二つ三つ挙げましただけでも、地価は官庁主導型で値上がりをしていると言っても過言ではないと私は思うわけでございます。したがいまして、都内の不動産屋に聞いてみますと、もうすでに去年に比べて大体二〇%以上上がっている、ことしはそれを超える値上がりはもう間違いないということで、買いあおりをしているような状態がございます。そうなりますと、長官が言われました土地対策のかなめ、地価安定、そして「このような現状にかんがみ」以下四行に書いてあること、このことを実現できるということは、私はなかなかむずかしいのではなかろうかと思うわけでございますが、この御決意をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  140. 中野四郎

    中野国務大臣 仰せのとおり、なかなかむずかしい問題です。需要供給のバランスさえとれれば何でもないのですが、都心周辺の最近の状況から見まして、バランスがだんだん崩れ、また固定した領土の中に人口が五十年ごとに倍増していくのですから、地価が下がるというようなことはちょっとむずかしい問題です。ただ、急騰、暴騰するというような場面は大いに警戒しなければなりませんので、これはすでに規制をする方法等もありまして、もう四十七、八年当時のようなことは、だれも想定できないと思います。しかし、これからの土地考えてまいりますと、必要なものは、いま言うような官公署の遊休の土地を、あるいは線引き等を見直していくとか、土地税制改正をして供給をなごやかにしていく、こういうような考え方で最善を尽くしていきたいと思っております。これはなかなかむずかしい問題ですが、むずかしいことであるだけに最善の努力をしなければならぬ。異常な決意をもって臨む考えでおります。
  141. 松本忠助

    松本(忠)委員 異常な御決意は結構でございますけれども、値上がり一つの問題として土地投機という問題があろうと思う。要するに、いろいろな物価が上がります。公共料金の値上がり、それからまた、もう詳しく申し上げるまでもなく、そちらが御存じのとおり鉄道も上がる、トラックも上がる、そしてタクシーも上がるということになると、いろいろな問題が、運搬費から計上されて物価値上がりになってくる。石油の値上がり考えられますし、なおまた国債の増発によるところの、いわゆる日銀の買いオペ、そしてまたさらには日銀券の増発、インフレ要素は、一つ一つ数え上げれば切りがないほどあるわけです。  こういう中で最も恐ろしいのは土地投機だと思うのですよ。土地は絶対的に供給不足の商品ですから、したがいましてここに目をつけて、すでに四十六、七年ころ、あのような問題があったことは御承知のとおりでございます。現在、企業の手元には相当の余裕金があると私は見ております。これは減量経営で非常に収支が改善されました。そうした中で当面、設備投資に金が必要ないということになりますと、この金がいわゆる株式市場なんかにも流入しておりまして、相当の株高を招来しております。そこで、こうした大口の余裕資金、これを持っておる企業が土地投機に走る危険があるのじゃなかろうかと思うわけでございます。こういう点では、大蔵省も日銀当局も、四十六、七年ごろの一億総不動産屋的な、ああいうことに走らないように、いろいろと自粛を要請しているようでございますし、経企庁長官もそのようなことを発言されております。しかし、土地投機の対象にしていく、こういうことになりますと、これは大変なことになってくると思います。  そこで私は、土地投機抑制策といいますか、そういうものについての私見を申し上げてみたいわけでございますけれども、結論を言えば、国土利用計画法に基づいて規制区域の指定をせよ、こういうことでございます。御承知と思いますけれども、これは大変な英断を必要とする問題だと思います。御承知のように、埼玉県の伊奈というところ、新幹線が通ることになりまして、町の様相が大きく変わる。特に新幹線が通る一つの条件として、新交通システムを採用する、それを設置する、こうなりましたので、非常に地価が暴騰している。これを埼玉県としてもゆるがせにできないので、県知事が規制区域指定をやろうというふうに考えているようです。しかし、実現をしていないようでございますけれども、この地価抑制策、企業の土地投機抑制策、それには最も必要な、そしてまた適切な方法ではないかと思いますけれども、そういう場合に国土庁長官として、そういうところがあったとしたならば、当該都道府県知事に対して、これを適用するように要請をしてはどうか、こう思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  142. 中野四郎

    中野国務大臣 土地を商品化し、投機の対象にすることは大変なことでありまするから、時と場合によれば伝家の宝刀を抜かざるを得ずと思います。知事の方も、十三条を発動いたしまして国土庁がこうだとか総理大臣がこういうふうに考えたという場合におきまして、知事の方がこれを素直に聞いてやってくれればよし、いけないような場合においては、国がこの決断をするというような式になっておりますので、都道府県の知事にも十分そのことを浸透せしめまして、最善の方法を講じ、少なくとも土地投機の対象にして商品化し、値上げをさせるようなことをしないように努力をいたしたいと考えております。
  143. 松本忠助

    松本(忠)委員 伝家の宝刀というのは、確かに抜かないで見せているだけ、その方が効果はあると思いますけれども、それは英断をもって、やはり抜くべきときには抜かなければ、ますます土地が上がってしまう。土地は要するに製造できない商品なんです。ですから、これを投機の対象にすれば当然また四十六、七年のようないわゆる土地ブーム、一億総不動産屋、そして銀行も今度はばかなことはやらぬとは思います。前のように金を貸してしまって、それが焦げついてしまって回収できない、そういう状態は金融機関もやらぬとは思いますけれども、やはり私は、この土地値上がりという問題に対しては一大英断をもって、県知事さんに国土庁長官の方から、やってはどうかというような一本きつく入れていただく、それが必要だと私は思います。ぜひどうかそういうことで、この土地値上がりというものを何らかの方法で防いでいかなければならない、こう思いますので私見を申し上げたわけでございます。  それでは次に移りまして、建設資材値上がりの問題についてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のように全国各地におきまして建設資材値上がりが急であることが報ぜられておりまして、私どものところにも中小企業のいわゆる建設業者から何とかしてもらいたいということで、しばしば陳情がございます。そこで建設大臣にお伺いいたしたいわけでございますが、今回の建設資材値上がり、これはどのような要因によって惹起されていると把握されているかどうか、お伺いしたいわけでございます。もちろん、まだ建設省としては、そこまで値上がりしておらぬというような解釈をとっていられるのじゃないかと思いますので、私は自分自身が調べました最近の値上がり状況を、後ほど、びっしりと申し上げてみたいと思うのでありますが、ひとつまずお伺いしたい。
  144. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 実情の問題でございますから、私から答弁させていただきます。  今回の値上がりは、一つは道交法の改正に基づきます過積載の規制が原因になっていると思います。それから第二番目の要因は海外要因で、海外の原料が上がっておるということだと思います。それから第三番目の要因は、円高がストップいたしまして、そのために、いままで円高傾向のために安くなったものが安くならなくなった、これが大きな要因ではないか、このように考えておるわけでございます。  それで実際の値上がり状況でございますが……
  145. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま値上がり要因をそれぞれ挙げられました中の第一番目に、建設省として、十二月に行われたところのいわゆる道交法改正によって値上がりしたのだというようなことは、どうも私ちょっと受け取りがたいのですよ。お役所同士で警察庁と当然建設省でも──この積載オーバーということでは、いままでもいろいろな事故が起きているわけです。この事故を未然に防止するために積載量をきちっとしましょうということについても、単に警察庁で決めた問題ではないと私は思うのです。当然、警察庁の方から建設省お話があって、そして決められた問題だと私は思うのですよ。それを値上がりは要するに積載が非常に厳しくなったからだ。いままで、たとえば十トン運ぶのに、倍も積んでいたわけですから五トン車一台で済んでいたけれども、それを今度は十トン運ぶのに五トン車二台使わなければいかぬ、これはあたりまえのことなのです。あたりまえのことなのですから、そこのところを余り言われると、私はどうも伺えないのですな、やはりこれは当然、役所同士できちっと御相談になって、それをやられたのだと思うのですよ。  そこで時間もございませんから私は次に移りまして、建設資材値上がり状況、いま御説明下さるというようなお話でございましたけれども、役所の説明を聞きますと、とても安いのですよ、まだまだ安い。決して値上がりはしてない、こうなる。しかし、私は独自の調査によりまして、都内の中小の建設業者を訪問いたしまして帳票などを見せてもらいました。そうして調査した結果でございます。したがいまして、いわゆる「建設物価」なんという雑誌が出ておりますけれども、そういう雑誌によって私が申し上げたのではないということは御了解願いたいのです。  まず生コンですが、これはいわゆる百八十キロと言われるようなものが、五十二年十二月には立米当たり一万七百円、それが五十四年二月には一万二千二百五十円ですから、一四・五%の値上がりです。建設省の資料によりますと、これも一万一千四百円なんと言っているわけですが、実際は一万二千二百五十円。  それから鉄筋です。十三ミリの異形棒鋼が、五十二年十二月に五万二千円だったものが、一七%上がって、ことしの二月には六万一千円、これは一年三カ月で、こういうふうになっているわけですね。  それから合板、これも十二ミリのものが、五十三年二月には一枚当たりが千三十円だったものが、ことしの二月には、これは一年経過しておりますが、千三百円、これは二六%の値上がりです。五・五ミリのものは五十三年二月五百八十円が五十四年二月六百八十円、一七%の値上がり。  骨材は、砂利が五十三年五月には三千五百円だったものが五十四年二月には四千三百円、二三%の値上がり。  砂が五十三年五月には三千九百円だったものが五十四年二月で四千八百円、二三%の値上がり。  ガラスは昨年の五月以降一五%ずつ三回の値上がりが行われる、こういう状態。  それから電設資材でございますが、略称Fケーブルと言っておりますけれども、VVFケーブル一・六ミリの二しんのものです。これがメーター当たり五十三年二月には三十円だったものが五十四年二月には三十六円五十銭、二二%の値上がり。これは内線工事に非常に多く使われる材料でございますから御承知と思います。それから略称IV線と言っておりますが、これも一束が三百メートルでございますけれども、一・六ミリのものでメーター当たり十一円七十銭が十四円二十銭、二一%の値上がり。  それから今度は手間の方です。鉄筋工の手間です。これもトン当たりで五十三年五月には三万八千円だったものが五十四年二月に四万五千円、一八・四%の値上がり。  型枠工は平米当たり五十二年十二月に千八百円だったものが五十四年二月には二千八百円というわけで五五%の値上がり。こういうふうに非常に値上がりをしているわけです。  これはお役所の方では、これほどまだ値上がりしてないとおっしゃっていますけれども、現実にこういうふうに、中小のところへ行きますと大変な値上がりで、もう工事ができないというふうに言っているわけでございます。こういうことを考えてみますと、今後これらの値上がりがどのようになるか、非常に心配せざるを得ません。五十四年度以降の事業の執行に相当な影響が出てくるのじゃなかろうかと思うわけでございます。その点についてお伺いをいたしたいわけでございますけれども、なおもう一つは、先ほどの道交法の改正については大臣はどのようにお考えになっているか、この道交法の改正の一点だけにしぼって大臣お答えをいただきたいと思います。
  146. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 道交法の改正でございますが、当然行われるべきことであり、警察当局だけでない、建設省運輸省も当然これに合議しなければいかぬ、そのとおりでございまして、値上げの原因になったことは事実でございますけれども、あくまでも道交法は厳に守ってやってもらわなければならない、そのように考えております。
  147. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 いま先生がおっしゃられました数字は、先生がお調べになったものでございますので、そのとおりだと思いますが、われわれが発注する場合には「物価版」という例の財団法人で出しているものに従いましてやっておりまして、それによりますと、いまおっしゃられました数字と近いものもございますし、それよりも低いものもございますが、全体的に見ますと、大体われわれの統計では七%程度の平均の値上がり率である、このように見ているわけでございます。  それから道交法の問題につきましては、このことが十二月からということはわかっておりましたから、われわれといたしましては五月ごろから各事業団体を指導いたしまして、水平積み運動を展開し、一遍に値段が上がらないようにという指導はしてきたわけでございますけれども、それにもかかわらず、十二月になりまして上がったことはまことに残念だと思っております。
  148. 松本忠助

    松本(忠)委員 役所の方が契約をするときには、そのように一つの基準といいますか、あるわけですけれども、実際に仕事をする中小の方にとりましては、いま申し上げたような価格で買わなければならないことは事実なのです。そうしますと、見積もりと自分たちで購入するものに大きな違いがあるわけです。仕事はやりたい。やはりそこで犠牲を払って入札する、こうならざるを得ないわけですね。そういう面まで十分私は考えてやらなければいかぬのだと思うのでありますけれども、一つだけ伺いたいんだが、中小建設業者の既契約分、すでに契約をしている分、こういうものについて積算価格が上がってきた、こういう場合には積算価格の見直しというようなものを建設省としてはおやりになる考えがあるかないか、時間がございませんから、簡単にひとつ。
  149. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 公共工事の標準契約約款によりますと、一年以上の工事で三%以上上がった場合には契約の見直しを行う、こういう規定があるわけでございます。いま御質問の問題は、一年以内のもので値段が上がった場合にどうか、こういうことだと存じますけれども、現在のわれわれの判断の範囲では、契約を更改するまでに至っていない、結論から申しますとこういう判断でございます。と申しますのは、一つは前払い金を四割払っております。これによって資材の手当てをするのが原則でございまして、短い工事につきましては資材の手当ては、それで、ある程度できておる。  それから、もう一点は物価に著しい変動がございました場合には、やはり契約約款によって契約を変更することができる、こういうことになっておりますが、先般の動乱物価のときの、この規定に基づく契約の状況を申し上げますと、一つ資材が工事費の五%以上を占める場合に、二〇%以上値上がりした場合に契約の見直しをしているわけでございます。今回の場合には、まだ幸いなことに、そこまでは至っておりませんから、現在の段階では契約の更改をやる考えはございません。
  150. 松本忠助

    松本(忠)委員 お説は拝聴しておきますけれども、現実に中小企業の方々はすべて一年以下のいわゆる小さな仕事ばかりであります。確かに前渡し金はもらっているかもしれません。その前渡し金で、そのままきちっと材料を買って、そしてきちっと保管しておくということになれば、それは間違いないわけです。しかし、それは場所も要ることですから、結局しようがないから、ある程度の金を渡して、そして向こうに保管をさせておいて、必要になったときに持ってくるというようなやり方です。ところが現実にどうしても値上がりしてくると、前渡し金を向こうへきちっと渡して、そして保管を委託しておいても、全部の金を払っておるわけじゃありませんから、どうしても向こうは泣いてくれと言ってくるわけです。  そうした場合に、三%というような限度があるかもしれませんが、現実に、いま私が申し上げたように各種の資材がそれぞれ値が上がっていく、そしてまた型枠工にしてみても鉄筋工にしてみても、そっちの方はどうにもならぬ状態です。材料は確かにそうでしょう。しかし現実に仕事する人たちが少ない。熟練工がいない。そうした中で型枠工であるとか鉄筋工というものが非常に少ないわけですから、職人の奪い合いになっているわけです。そうすると、どうしてもこれはやり切れないということで、私がさっきお話ししたように、この既契約分についても積算価格の見直しということができないか、こういうふうに言うわけでございます。  しかし、それはできないんだというような規則一辺倒のお話でございましたけれども、そういうことでなくて、もう少し中小企業者をかわいがってあげるというか、伸ばしてあげるというか、そういう意味合いから当然、私はやっていただかなければならぬことじゃなかろうかと思うわけです。大企業は確かに一年以上、二、三年にわたるこころの大きな工事でございますから、そしてまた前渡し金も相当渡してございますでしょう。そういうものからいって大企業の方は心配ないと私は思うのです。むしろ中小企業に対して私はやってもらわなければならないことだと思うのです。確かに、ことし、去年、おととしと公共事業が多かった。恐らく五十四年度も相当出る。こうなりますと五十四年度はぶらぶらやる以外にないだろう、こういうことを言っているわけですよ。そういうことを考えますと、大型の公共投資公共事業をやることは景気浮揚につながるんだというようなお話がございますけれども、中小企業の建設業者にとりますと不景気の浮揚だ、こうなるわけです。むしろこれは中小企業の方々のためには何とかこの既契約分についても、こうしたたくさんの大幅な値上がりがあった場合にはやってもらわなければならぬ、こう思うわけでございます。  時間がなくなりましたので、あと簡単に中小河川の問題と岩渕水門の問題を建設大臣に伺って終わりますが、中小河川の問題で、大臣も御存じだと思いますけれども、特に都市の中小河川、この問題は私は何とか改修促進するためのことについてお訴え申し上げておきたいわけです。  治水は国民の生活安定と国土保全の基盤だ、こういうふうにも思います。特に首都東京におきましては人口と産業の過密集中によりまして急激な都市化、こうなってきまして、特に河川の流域において開発が進みまして、河川整備との関係が著しく均衡を失っております。そうした中で住民が常に水害の脅威に悩まされているわけでございますが、特に首都東京におきましては神田川であるとか石神井川、野川あるいはまた白子川あるいは三沢川、こういうふうな大小の河川が四十二ございます。そして昭和五十年から五十二年にかけて三年間に浸水事故を起こさなかった河川は一つもないのです。  このことをちょっと申し上げてみますと、この三年間で、五十年度にはその浸水面積というものが百五十一・四ヘクタール、床上浸水が二百三十七戸、床下浸水が三千十七戸、合計三千二百五十四。五十一年度には浸水の面積が三百四十六・八ヘクタール、それから床上が二千百六、床下が五千五十六、合計七千百六十二。五十二年度では浸水面積が百七・九ヘクタール、床上が二百三、床下が二千二百七十一、合計二千四百七十四。この三カ年合計いたしますと、浸水面積が六百六・一ヘクタール、床上が二千五百四十六戸、床下が一万三百四十四戸、合計一万二千八百九十も、この浸水で被害を受けているわけであります。  特に、この中で大はんらんを起こしたのは、御承知と思いますけれども昭和五十三年四月の春先の豪雨です。私も地元におりまして石神井川のはんらんの場合はしばしば現地に飛んでまいりますけれども、昭和五十一年九月九日あるいは五十二年八月九日、いずれもこれは大谷口北町であるとか小茂根二、三丁目あるいはまた東新町二丁目、東山町という一帯だけなんです。五十三年四月の春先の豪雨ですよ。いわゆる台風時期でない春先の豪雨で、これは床上浸水四百八十二、床下が八百七十。この地域はいつでもこのように浸水を受けているわけです。こういう状態の中、特にこれは板橋区の例を申し上げましたけれども、首都東京中心部と言われる高田馬場あるいは早稲田、こういうところでも春先豪雨で五十三年四月六日には神田川が大はんらんを起こしました。激甚災害対策特別緊急整備事業の御指定をいただきまして、五十三年度には七億五百万円の予算がつきました。このことは本当に御理解あることだったと思うわけでございますけれども、五十三年度には東京の中小河川の改修に関する予算といたしましては、ただいまの激特の七億五百万円を含んで総額八十四億三千七百万円、これだけしかついていないのですよ。やはり私は相当額ひとつ上乗せをしてもらって、都市部における中小河川のはんらんというものを何とか食いとめなければいけない、こう思うわけです。  ここにもございますけれども、この記事は昨年の四月七日の朝日新聞記事でございますが「首都圏に春の大雨」「一時間に六二ミリも」降っているわけです。要するに五十ミリの水がのめるような設備はしてあるわけですけれども、なかなかそれ以上のものが降ってきますとどうにもならない、溢水してくる。これは「五千余戸が水浸し」「新宿区に災害救助法適用」「遅れる改修中小河川」こういうふうな見出しでございます。これは昨年の記事でございますから少し古いのですけれども、毎年毎年、年中行事のようにこれが行われるわけです。こういう点を考えますと、私は何とか都市部のいわゆる中小河川というような問題については特段の御配慮をひとついただきたいと思うわけです。  そしてまた上流の方面は、いま三十ミリの雨に耐えられるような状態になっておるわけであります。五十ミリというのは下流だけでございまして、なかなか上流の方までその工事が進んでおりません。したがいまして、昨年の四月六日も、いわゆる石神井川の上流であるところの練馬区の中で大きな事件が起きているわけです。  こういう問題を考えますと、本当に私は都市部における中小河川の改修というものはやはり何とかしてあげなければいかぬのじゃないか。毎年毎年、水騒ぎで大騒ぎしている、こういうものに対してどのようにお考えなのか。そしてまた、ことしの予算について特段の御配慮をひとつお願いしたい、こう思うわけでございます。ひとつ簡単な御返事だけいただきたいと思います。
  151. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 都市周辺部の河川の改修でございますが、特にいま先生おっしゃいますように都市周辺部の市街化の激しいところにつきましては、在来ございました保水、遊水機能等の減少ということによりまして相対的に治水の安全度が落ちておるということは言えるのじゃないかと思うわけでございます。特に、いま私どもといたしましても、これらの中小河川の対策につきましては非常に重点を置いておりまして、在来からやっておりました中小河川の改修のシェア等も広げてまいっております。また、ただいま御指摘の神田川及び石神井川等につきましても、全国の中小河川、先ほども御説明申し上げましたけれども平均の整備率が現在一四%でございますが、いまおっしゃるような石神井川、神田川につきましては現在で約三〇%の整備率でございます。それにしましても、まだ相当整備する区間が残っております。これにつきましても、なお一層の対策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  また、なお、こういうふうな河川につきましては単に改修計画だけで対応できないというふうな面もあるわけでございまして、緊急暫定的には、やはり十年程度を目標に、こういうふうな河川につきましては五十ミリ整備を進めたいと思っておりますけれども、なお保水、遊水機能等も維持しながら、流域の保全も図りながら相まってやりたいということで、五十四年度からは総合治水対策というふうな柱も立てまして対応してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  152. 松本忠助

    松本(忠)委員 まことに申しわけございませんが、先ほど申し上げましたように総理の田園都市構想、三全総の問題は後ほどに伺います。したがいまして、きょう申し上げました岩渕水門の問題について一言だけ大臣に伺いたいと思います。
  153. 伏木和雄

    伏木委員長 松本さん、結論を急いでください。
  154. 松本忠助

    松本(忠)委員 はい。  五十年着工、五十四年完成と言われておりました岩渕水門でございますけれども、これが完成が非常におくれております。五十四年度完成はちょっと無理じゃなかろうかと思いますので、これがいつ完成するか、その完成の年度、それからまた、ことし建設資材値上がり等がありますので、やはりこういうものに対して十分な予算をつけて、この問題の解決をしませんと、いわゆる東京の下町六区が水浸しになるおそれもなきにしもあらずということでございますので、この点についても特段の御配慮をひとつ願いたいと思います。簡単にお答えをいただければ結構でございます。時間が過ぎておりますので、よろしくお願いします。
  155. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 岩渕水門の改築でございますけれども、これは当初から本体は五十七年度で竣工するという予定で進んでおります。現在、左岸側二本につきまして工事をやっておるわけでございますが、これは五十四年度で竣工いたしまして、引き続きまして右岸側の一門の着工をいたしまして、五十七年度には新しいせきができまして、全体的に取りつけ護岸等あるいは旧ぜきの撤去等含めまして昭和六十年には全部を竣工したいというふうに考えております。
  156. 松本忠助

    松本(忠)委員 ありがとうございました。  時間が経過いたしましてまことに申しわけありません。以上で終わります。
  157. 伏木和雄

    伏木委員長 中井沿君。
  158. 中井洽

    中井委員 私自身この委員会初めてでございます。ある意味では単純な、あるいは委員会で何度も御議論があったようなことについてもお尋ねをするかもしれません。そこのところは、ひとつお許しをいただきまして、建設省国土庁、関心のある問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。  建設大臣所信表明の中で、建設省公共事業予算の大半を実行する重要な省庁である、がんばるのだ。あるいはまた「建設行政の基本課題は、社会資本の整備を通じて、すべての国民が快適な生活を」云々、こういう御決意を述べられているのであります。それはそのとおりであろうと私は思いますし、がんばってやっていただきたいと思うわけでありますが、公共の福祉あるいは社会資本の整備、こう言いますと一見すべていい。あるいは「すべての国民が快適な」こういうお言葉もありますが、公共の福祉と個人の福祉の衝突というのが最近なかなか多うございまして、どちらを重要に考えるか、あるいは、どういうふうにこの衝突を処理していくか、非常にむずかしいところであろうと思うわけであります。大臣個人として、どのような心構えで、これらの問題あるいは紛争に当たられるおつもりか、お聞かせを願いたいと思います。
  159. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 個人と公共の調和という点でございますが、道路一つをとってみましても、大部分ができておるのに一つだけがんばられておる。その個人にとっては言うべきことは言いたいという理由は多々ある、こういうふうに思いますが、私は、あくまでも話し合いということは進めてまいりますけれども、公共の必要性ということを認識していただきまして、この点は解決していきたい。そのためにも建設行政の中に、住民に自分らの郷土というものは自分たちがっくるのだという住民意識の参加を非常に望んでおる次第でございます。
  160. 中井洽

    中井委員 これからも、どんどん個人の権利あるいは民主主義ということが行き渡って、地方あるいは国、こういった公共団体がいろいろな社会福祉というものを充実させていこうという場合でも、やはり民主主義でありますから反対運動が起こっていく。私らが小さいころには、郷里の方で役所の仕事に反対をするなんという人はほとんどなかった。いまはたくさんある。あるいはまた環境面という問題が大きく出てきた。自分の土地を取り上げられるからいやだという反対じゃなしに、この道路をつくる、あるいは、ここの河川を改修する、こういうふうにする。社会資本が充実していいじゃないかと言うても、いや、そういうものは少々忍んでも環境というものをよく保つのだ、こういった御意見方々も出てきた。  この調整をどうしていくかというのが私は建設省にとって大変重要な課題になろうか。あるいは建設省だけではなしに、もろもろの行政が行われる場合に、そういう話し合いの方式というものが確立されていないというのは非常に残念に思うわけであります。いままでは日本の社会全体に大変余裕がある、あるいは財源自体に非常に余裕があって、少々反対をするならお金を積んだらどうだ、あるいは反対でちょっとむずかしいから、しばらく置いておいて、もう少し空気をあれしてから、したらいいじゃないか、こういう解決の方法が多かったように思うわけであります。  たとえば委員会が違うわけでありますが、成田空港の問題なんというのは、私らに言わせれば本当にああいう解決は、いまはりっぱに運営をされているからいいわけでありますが、住民との話し合いの方法、あるいは話し合いがある程度行われたら実行するのだ、こういう方法が確立されていないために税金の大変なむだ使いをしたと私は思います。あるいは札幌オリンピックのときに、妙な話でありますが、北海道のスキー会場を国立公園の中でつくるのだ、いや、つくらせないのだということで大変もめて、一度国立公園の中でつくって、そして今度はオリンピックが終わったら、また大変なお金をかけて、もとへ戻すのだという植林をやっておる。これはこれで一つの発想であろうと思うけれども、私はこれからの社会は、そういったむだ──むだという言い方がいいのか悪いのかわからないが、そういった解決の方法というのは余り許されない。もう少し政治、行政の者が責任を持って民主的な手続で決めていく。そして反対の人たちが十分御賛成をいただくような努力をする、その後やはり実行するのだという政治のリーダー、行政のリーダーの人たちの決断というものが必要になろうかと思うのであります。そういった観点で大臣の御決意あるいはお考えというものを、もう一度お聞かせを願いたいと思います。
  161. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私も終戦直後に町長をやってまいりました。民主主義という名のもとに、いろいろの住民運動が起こってまいりました。しかしながら、その中には地域エゴ的なものもたくさんあるのじゃなかろうかと思います。現在でも、そういった意味で下水道の処理場の場所あるいは治水の大ぜきをつくるところの漁業権の問題あるいは多目的ダムの建設に対する自然景観の問題というふうなもので、いろいろ問題が起こっておりますが、話し合うべきは私はあくまでも話しますが、時の責任の衝にある者は断固たる決心を持って、了解はあくまでも求めるとともに実施はしていくのだという姿で臨んでいきたいと思っております。私も、いろいろな問題、前年度からできなかった櫻内大臣からの問題も引き受けさせていただいておりますが、自分の時代に、できるだけ責任を持って解決していきたい、そういうような方向で行政をやらせていただきたい、こういうふうに思っております。
  162. 中井洽

    中井委員 ありがとうございました。  私が申し上げたのは、大変、若いのに過激なように聞こえるかもしれませんが、一つの話し合いの決着の完成のルールというものを、そろそろ日本の社会というものはつくっていくべき時期に来ているのだ、このように感じるわけでございます。  そういった観点から、きょうの新聞でありましたか、きのうの新聞でありましたか、一つ残念な話が載っておりました。建設省には直接関係がないわけでありますが、アセスメント法というものが閣議でなかなか出されないといいますか、自民党さんの方といったらいいのですか、そういう状態になってきたということが報じられているわけであります。  こういうのをつくってはどうだという形で発想されてから、もうすでに四年であります。去年ぐらいまでは通産あるいは建設両省の反対等が多くて、自民党内あるいは政府内でなかなかまとまらない、こういうことでございます。私個人は、党にもいろいろ意見があるわけでありますが、アセスメント法というのも、そういった一つの公的な事業を行う場合、住民運動あるいは住民の方々と同じレベルで話し合いをする、あるいは評価をし合う一つの土俵づくりにとって大事なものである。この法案ができることによって、いろいろな試行錯誤的な面が出てくるかもしれぬけれども、私はこれからの日本の社会にとっては必要な法案だ、このように考えているわけであります。承りますと、どうやら環境庁と建設省ということに関しては、このアセスメント法の施行ということについて、まあまあ話し合いがついたというふうには聞いているわけでありますが、建設大臣として、このアセスメント法というものをどのようにお考えになっているか、お聞かせを願いたいと思います。
  163. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 ただいま環境庁におきまして進めておられます法案、私は前向きに取り組んでいかなければならぬ、こういうことでございます。しかし、ただ単に前向きで取り組むだけでなく、環境庁そのものの法案が将来、建設行政をやる上におきまして今度はいろいろな障害を生じる点につきましては、十分に話し合ってやっていくように事務当局にも指示をし、そういった方向で臨んでおりまして、私自身は環境庁が出されることに前向きで臨んでおるという姿でございます。
  164. 中井洽

    中井委員 国の方でアセスメント法がだんだんおくれているに従って、各地方自治体でどんどん先行して条例をつくっていく、こういう傾向にございます。私どもの郷土三重県でもつくる、こういうことでございます。各地区では、そういった形でどんどんやっておるのに国だけがおくれておる。そのことが、先ほどから申し上げております公共事業をやる、あるいは社会資本の投資をやるという場合に、国民あるいは住民との摩擦、誤解を逆に招いて、おくれさせてしまう、こういうことになりはしないか。あちこちで、お役人の方々あるいは自民党の方に聞きますと、公共事業がおくれるからな、こういう言葉が返ってきます。しかし逆に言えば、いまの状態だっておくれているのでありますから、新しい発想の転換、こういったものをやっていただきたい、このように要望するわけでございます。  次に、国土庁の長官にお尋ねをいたします。  先般来から何回も、この委員会でも定住圏構想について質疑が交わされました。私は去年もおととしも他の委員会で定住圏についてお尋ねをしたわけでありますが、急にまた総理大臣がかわったことによって出てまいりました田園都市構想あるいは地方生活圏あるいは広域行政圏、これらの関連がまだうまく頭の中へ入らないわけであります。一番理解しやすいのは、田園都市は大平総理大臣で定住圏は国土庁で生活圏は建設省、広域は自治省、これだけ覚えておいてやっていくのが一番いいのじゃないかとすら思うわけでございます。  過日から何か定住圏の会議等が行われて、いよいよ予算等も少しついて実行に移されるということでございます。地方の各団体は大変な混乱を来すわけであります。定住構想は聞きますと各県で一つずつモデルを設定してやっていくのだということで御準備を進められているようでありますが、そのモデルをつくる場合にも各知事が中心になるということであります。知事連中がこのことについて明確に理解をしないと、なかなかつくりにくい、このように考えるわけであります。その点について簡単に御説明をいただければありがたいと思います。
  165. 中野四郎

    中野国務大臣 改めて申し上げるまでもなく定住構想のねらいというものは地方公共団体が主体的に、その地域の特性を生かして総合的に定住環境を整備するのが基本であるとうたつております。それから田園都市構想というものに対しましては、大平総理は本会議の席上におきましても、予算委員会、各委員会におきましても、低成長時代にふさわしい豊かな地域づくり、家庭をまず基盤とした楽しい田園都市、調整のとれた都市政策、こういうふうに言っておられまして、具体的に何があってどうということは考えていない。  そういうふうになりますと結局、定住構想と軌を同じゅうするものだというお言葉をそのまま受け取ったといたしまして、俗なお話でありますが、一つは定住構想の彫りの一段と深くなった高い政治理念である、こういうふうに受け取りまして、われわれの方では今後その構想を具体化して計画あるいは推進をするというふうに考えておる。そこで田園都市構想のそういう考え方にきめ細かく対応しながら定住圏の整備を促進することによって、この構想を具体化して大きく貢献をしていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  166. 中井洽

    中井委員 時間もありませんので、それぞれの構想あるいは哲学等、結構でございますが、実行が可能な形で各省十分協議の上お進めをいただきたいと思います。  それからもう一つ、私の理解の仕方が悪いのかどうかわかりませんけれども、悪ければ御訂正を願えれば結構だと思うわけでありますが、定住圏構想というのは全国を三百ぐらいの地域に割って、しかも、その中心として河川の流域を決めて、その地域地域で住民参加のもとに歴史的なものあるいは文化的なものを尊重しながら町づくりをしていくのだ、こういう大変すばらしい発想のように私は理解をしておったわけでございます。しかし国土庁長官のごあいさつやら何やらかにやら見ますと、あるいはまた、いま進められております一県一つの定住構想のモデル地区、こういったものをお聞きしておりますと、首都圏、中部圏、近畿圏の幾つかの府県というものが抜けておる。そうすると、この定住圏構想というのは東京中心とした首都圏あるいは名古屋を中心とした中部圏、近畿を中心とした近畿圏というのは除いて考える、こういうふうに理解をするのがいいのか、あるいは首都圏、中部圏、近畿圏というのは、ここらは圏として、もう少し大きい範囲で思い切った都市政策をやるのだ、そして地方は定住圏という構想でやるのだ、こういう二つに分けたものか、第三次総合計画というのは二つに分けて出てきたものか、ここらのところがちょっとわからないのでございます。御説明をいただければありがたいと思います。
  167. 佐藤順一

    ○佐藤(順)政府委員 お答え申し上げます。  一県一圏域ずつモデルと言うにふさわしいような圏域を選んで、まず推進をしようというのが明年度の計画であるわけでございますが、この場合におきまして、ただいまお話の首都圏、近畿圏、中部圏というところについては、どう考えるかということでございますが、実は率直に申しまして当初は首都圏、近畿圏、中部圏というところ以外の地方圏について一県について一圏域ずつ考えていこうかということを考えた時期もございましたけれども、やはり、それぞれの首都圏、近畿圏、中部圏の中の各県から、さらにモデル定住圏の計画づくりについて御相談がある場合には、これはやはり乗っていくべきではないかということで、結論を申し上げますと、東京、大阪それから愛知といったようなところにつきましては、国土庁におきまして、なお所要の調査、検討をするということにいたしまして、他の府県につきましては、お申し出があれば御相談に乗っていくということで、数字といたしましては、おおむね四十県くらいについて一県一圏域ずつ御相談に乗っていきたい、これが現在の考え方でございます。
  168. 中井洽

    中井委員 ちょっと、それでわからなくなるわけであります。私の理解をしている定住圏というのは、たとえば私の郷里の三重県なんかも、そういう形でやっていくのだ、こういうふうに理解しておるわけであります。ところが、いまのお話だと、大体四十なんというと、名古屋の近所というと三重県は入らなかったりするんじゃないか。三重県をどうこうせいという話をしているんじゃありません。はっきりとしてほしいのです。はっきりとすべきだと思うのです。知事が定住圏でやりたいというなら、やればいいんだ、日本じゅう全部やればいいじゃありませんか。東京だって、どうして抜かすのだ。だから三全総に盛り込まれている定住の理念というのは、要するに東京、大阪、愛知、こういったところを除くのだ、こういうことなのか、あるいは、この近辺も入れてあるのか、どちらか、こういうことであります。
  169. 佐藤順一

    ○佐藤(順)政府委員 お答え申し上げます。  もう一度申し上げますと、東京、大阪、愛知というようなところにつきましては、これは別途引き続き検討することにいたしましてと申し上げましたが、あと北海道につきましては北海道開発庁の指導のもとに、沖繩県につきましては沖繩開発庁の指導のもとに定住構想を御検討いただくことにいたしまして、これを除きますと、おおむね四十県になるわけでございまして、お尋ねの三重県は御相談に乗る方に入っておるわけでございます。三重県を初めといたしまして首都圏や近畿圏、中部圏に属します各府県は御相談に乗っていく方に入っております。
  170. 中井洽

    中井委員 私の申し上げておるのは、それではこれから十年、二十年の全国計画の中で東京、大阪、愛知というのは定住構想というのとは違うものをまた出すのだ、要するにここには人口を余り入れないのだ、先ほどから都市の問題として出ておる問題。そして、その他の府県においては、それぞれ流域で幾つかの圏をつくって、そこで子供が生まれて学校へ行って就職できる、そして両親のもとで一緒に住んでいく、こういう圏をつくっていくのだ、こういうことなのか、こういうことを聞いているわけであります。おわかりいただけますか。東京、愛知、大阪というのは、この定住圏という私らのイメージからのけるのか、こういうことであります。
  171. 福島量一

    ○福島政府委員 大都市圏問題に入って全体の話になりますと私の方の担当でございますからお答え申し上げますが、先ほどお話ございましたように、定住圏の数を二百ないし三百というふうに、これは想定でございますが三全総で想定しております場合は、東京も大阪も名古屋も一応入っておるわけでございます。ただ、大都市におきまする定住圏という圏域の広がりをどういうふうにつかまえていくかという問題になってまいりますと、先ほど大都市問題でいろいろ話も出ましたように、住民の意識の問題とか、さまざまな問題が実はございまして、どういう圏域でこれをくくったらいいかという点につきましては実はなかなかむずかしい問題もありまして、私どもの頭の中でも、まだ十分整理されておらない。したがいまして来年度以降、大都市における定住圏構想というのをいかなる形で取り上げるべきかという点につきまして、これは私どもの仲間の大都市圏整備局でございますが、予算を用意しまして調査、検討を行いたい。  しかし大都市地域といいましても、愛知県といいましても愛知県にも過疎地帯があるわけでございますし、大阪府ということになりましても、いわゆる大阪市とかごく近くのものは別として、北の方に上がるとどうかというような問題もありますし、一概に大都市地域というくくり方だけで考えるのもどうかなという感じもいたします。しかし、いずれにいたしましても、われわれの頭のイメージにあります大都市地域というたとえば東京二十三区とか大阪市内とかいうようなことを想定いたしますと、その中での定住圏というのはいかにあるべきかというのは、昼間人口、夜間人口といったような問題も絡んでまいりますし、非常にむずかしい問題ですから、この次までに少し勉強させていただきたい。考え方としては、理念としては、大都市地域においても定住圏という網で対処していきたいという基本的な考え方でございます。
  172. 中井洽

    中井委員 ありがとうございます。私が申し上げたかったのは、こういうことを実行していくのもなかなか大変なことでありましょうが、しかし先ほどから御質疑もいろいろありましたように、都市の問題一つとりましても東京都なんということだけで絶対解決をしない。あるいはお話がございましたように、愛知県にだって過密のところもあれば過疎のところもある。こういうことでございます。たとえば三重県でたびたびお話をいただくものであれですが、それでは三重県で定住圏をつくれ、こう言ったって、いまのようなお考えであるならば、たとえば知事が愛知県にすぐ近い四日市を中心としたところへ定住圏を持ってきたときにどうなんだ、あるいは京都、大阪に近い私らのところで定住圏をつくっていくのかどっちなんだ、こういうこともわかっていない、こういうことでございます。私は別にわかっていないから悪いと申し上げているのじゃありません。  ひとつ国土庁長官に要請をいたします。いままでのような都道府県の境といったようなものだけで単純にぽんぽんと切ったり張ったりしていったところで、いまの都市の問題なんというものは解決しない。あるいは、こう申し上げては大変生意気でありますが、先ほどからるる申し上げております公害の問題でも、あるいは道路の問題でも、縦割りの行政だけではなかなか解決しないようになってきているわけであります。国土庁はそういったことを調整するためにもつくられた庁でございます。ひとつ大いに御検討をいただきたい、このことを要望しておきます。  次に道路局の方にお尋ねをいたしますが、現在、予算に出ておりますたとえば道路の環境に使う金額あるいは安全対策に使う金額、こういうものは、大変たとえはあれですが、教えていただきたいわけでありますが、一本の道路を完成するのに大体何%ぐらいの費用となっているのか、計算ができましたらお答えをいただきたいと思います。
  173. 山根孟

    ○山根政府委員 お答えを申し上げます。  一本一本の道路について、一体この部分はどういう部分が環境対策であり、どういうところが、いわば交通に供するに必要な費用であるか、これは個々の場合によって大変違うわけでございます。と申しますのは、道路自身は実は全体の道路網として機能するわけでございますから、いわば足元の区画道路という段階の、いわば学校、住宅といったようなものがそれに接続をして常に出入りをするというような道路から、補助幹線、幹線、主要幹線といったような、それぞれのネットワークを構成をいたします道路の果たす役割りに応じて変わってくる、こういうことでございます。したがいまして、一概に申せませんが、これをたとえば五カ年計画の中で交通安全あるいは環境対策というものに分けて一体どういうことになるであろうか、こういう試算と申しますか数字がございますので、それを申し上げることでお許しをいただきたいと思います。  第八次道路整備五カ年計画で実は五つの柱を立てております。第一が道路交通の安全確保、第二が生活基盤の整備、第三が生活環境改善、第四が国土の発展基盤の整備、第五が維持管理の充実等、こういう五つの柱に分けて考えました場合の五カ年計画におきます費用の投資の割合を、地方単独事業を除いて申し上げますと、道路交通の安全確保が二六・五、生活基盤の整備が一七・三、生活環境改善が一七・一、国土の発展基盤の整備が二七・六、維持管理の充実等が一一・五というシェアに実はなっておるわけでございます。これはしかしながら一応便宜上のものでございまして、一つ考え方を整理するためのものでございます。道路網全体として機能をすることになりますから、必ずしも、これをこういった分け方で判断することがいいかどうかという若干の検討の余地はあるわけでございます。一応そんな柱のもとでのシェアは以上のとおりでございます。
  174. 中井洽

    中井委員 大変生意気で申しわけないのですが、尋ねましたことだけをお答えをいただいて、それは答えられなかったら答えられないで結構でございます。  それでは環境対策のお金と安全対策のお金が現在予算に出ております。それが新しくこれからつくる道路に使われる比率と、いまある既存の道路に公害対策あるいは安全対策として使われるお金、この比率を教えてください。
  175. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  狭い意味の環境緑化対策、遮音壁等の環境対策というように限定をいたしまして数字を申し上げますと、既設道路に対して五カ年計画におきましては二千八百四十億円、新設道路に対して四千六十億円という数字でございます。したがいまして、既設道路に対して新設道路が六、七〇%高いということでございます。
  176. 中井洽

    中井委員 私はなぜ、こういうことをお尋ねをするかといいますと、当委員会に所属をしておりません間にも、あるいはまだ議会に出ておりませんときにも、一般の道路というものをつくっているのを見さしていただきますと、たとえば私なんかは、新しい道をつくれば人の通るところに歩道の部分をつくっていくというようなことはあたりまえでありますし、鉄道の踏切があれば、新しい道をつくるならオーバーしてオーバーブリッジというのですか跨橋をつくっていくというのがあたりまえでありますし、あるいはバイパスをつくればふだんの道と立体交差するのはあたりまえだ、こう私どもは思うわけであります。ところが現実に、いま道路がつくられておる状況を見ますと、バイパスができてもなかなか立体交差しない。したがって交通緩和のためのバイパスをつくりながら、そのバイパスの交差点はやはり交通渋滞を起こしておるわけです。あるいは、まあまあここらぐらいまでは来たのかなと思うのでありますが、鉄道の踏切、電車の踏切があれば、その新しくつくった道のところに将来その鉄道の踏切を越えられるような用地の買収だけはしておく、そして交通量がある程度まできたら、その踏切を上に行く工事をする、こういうことでお進めをいただいておるように拝察をするわけでございます。  これはやはり建設省として、そういう一つ一つの道路を後で手を入れなくていいようにしていくよりも、そこまでの余裕はないのだ、全国まだまだつくる道はたくさんあって、各地に少しでも道路をふやしていきたい。したがって、そういった新しくつくる道路の安全対策とか、あるいは公害対策というのは少し後回しにして後の予算でつけていくのだ、こういう発想であろうと私は思うわけであります。私は日本の社会状態といいますか、私どもが現実に自動車を運転している感覚あるいは若い人たちが自動車を運転している感覚というものは、道路ができたときには、もうそういったものが全部そろっておるんだ、こういうことで、あたりまえのような感覚になってきておると思うのであります。そういった発想の転換をぼちぼちお考えになるということはございませんか、その点についてお伺いをいたします。
  177. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の点は、まさにそのとおりでありますが、やはりその地域の状況、交通の状況、自動車交通、徒歩交通その他の状況に応じて現段階は整備を進めていく段階ではないか、そういう考え方でございます。しかし必要な場合には積極的に進める。やはりその実情に応じた進め方ではなかろうか、かように考えております。
  178. 中井洽

    中井委員 同じような発想で、住宅局の方にもお尋ねをしたいのでありますが、国のおつくりになっておる公営の住宅、あるいは住宅金融公庫等で融資をいただいて建てる民間の住宅、こういったものも追い追い御努力いただいて少しずつ広くなってきたというふうに感ずるわけでありますが、まだまだ狭いのじゃないか。ここに、きょうの日本経済新聞の切り抜きがございまして、民間のある調査によりますと、民間の住宅建設の戸数というものは昭和四十七年や四十八年より大きく下回っている。しかし広さだけはピークである昭和四十八年に追いついておるのだ、こういうことでございます。日本の社会は御承知のようにだんだん核家族になってきておるわけであります。私は昭和十七年生まれでありますが、私の同級生は大抵四人くらいあるいは三人兄弟であります。しかし私らの子供は大抵二人であります。しかし家はどんどん広くなっている。広くてあたりまえであります。  ところが、いま公団とかそういういろんな建物──私も八年前に住宅金融公庫でお金を借りて家を建てたことがあるのでありますが、それ以上広かったらだめというような妙なことを言われて貸してくれませんでした。何か広さが合わない。広過ぎたのでしょうか貸してくれないということがございました。建った家に入りますと、私は百八十センチ近くあるのでありますが、すぐ、かもいにぶつかりますし、どかっと横に寝転がったら四畳半全部ふさいでしまいますし、もう少し家なんというものは発想を転換していただいて、しかも日本もGNPが世界二番というところまできたのでありますから、肝心かなめの住宅問題を、大変御努力いただいているのはわかっているのであります。御努力いただいているのはわかっているのでありますが、もっと大きくつくっていく。私はそのためには少々お金を出したっていいと思うのであります。たとえば私の郷里なんかでは家百年、こう言うのであります。やはりおじいさんがつくって孫の代に建て直す、こういうところであります。だから、がっしりつくりますし、広くつくります。こんな家なんか住宅金融公庫でお金を貸してくれと言ったって絶対貸してくれないのであります。東京、都会と、土地がうんとある地方と違うかもわかりませんが、もう少し心豊かな政策への転換あるいは発想の転換をしていただきたい、こういう要望をするわけであります。どうでございますか。
  179. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 量から質への転換と言われてから久しいわけでありますが、低成長時代に入ってまいりまして現実にそういうことが行われておりますし、われわれも、そういう目標に進むべき時代が来たというように考えております。そういう意味で実際の住宅も最近非常に広くなっておりまして、持ち家では、すでに去年の四月から十一月までの平均では百十四平米、少なくとも、これは諸外国に比べて遜色のないところまでは来ております。しかし、先生おっしゃるように、まだ地方では、もっと大きい家へ住みたいというような希望もございます。現在、住宅金融公庫では百五十平米までの住宅融資の対象にしておりますが、昨年行いました住宅統計調査の結果などを分析いたしまして、できれば、もう少し拡大することも検討すべきではないかと考えております。
  180. 中井洽

    中井委員 こういった発想について、住宅公団の方がいらしておると思いますので、お答えをいただきたい。  それと同時に、これはもういままでも、しょっちゅう委員会で問題になっておったと思われますので、私が申し上げるのもなにだと思うのでありますが、たとえば私の郷里の三重県の名張市、これは大阪経済圏にあるわけであります。しかし行政としては三重県であります。住宅公団が大変御努力をいただいて、ここの新しいところに団地をお建てになった。しかも、名古屋の住宅公団の管轄なのに、話をしていただいて大阪の住宅公団がお建てをいただいた。しかし、建った住宅公団の中にはなかなか人が入らない。なぜかというと、その地帯へ初めて建ったアパートなんですね、大臣。ある民間の大手の私鉄の開発業者がそこら一帯を開発した。もう、いま人口がその地帯だけで約一万になろうとしておる。しかし、みんな二戸建ちなんです。そういうところへばんと住宅公団がアパートを建てられた。私はわからないのであります。その当時、政治にタッチしてなかったのでありますが、どういうことであったかわかりません。そのときには、そのときの情勢があったと思うのでありますが、そういう発想も必要ではないか。みんなが一戸建ちのところを考えておるのに、無理してアパートを建ててしまう。それじゃだれも入らない。そういったところには思い切って形式を変えて一戸建ちを建てていく、こういう発想の転換も含めて住宅公団の方からお答えをいただきたいと思います。
  181. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 澤田でございます。  御質問の御趣旨、住宅に対する国民のニーズの変化対応して、いろいろ工夫すべきじゃないか。その中で広さということが非常に大きい要素であると私どももよく認識いたしておりまして、先ほど建設省住宅局長からもお答え申し上げましたとおりの趣旨にのっとりまして努力を続けているところでございます。  それから、御郷里名張の桔梗ケ丘団地、御指摘のように未入居の多い団地でございます。これは私、公団に参りまして見ても、なかなか難物の方の一つでございまして、先生の御郷里に、こういう難物があるということはまことに申しわけないのでありますが、これも抜本的に解決をしなければならぬと思ってありますが、二つの問題、なお技術的な問題にもなりますので、担当の澤田理事の方からつけ加えて申し上げます。
  182. 中井洽

    中井委員 いや、もういいです、時間がないから。発想の転換をしてやっていただければ……。時間がございません。具体的なものについては、いつでも私どもも入る人がふえるようにせいぜい相談に乗ります。お越しいただきたいと思います。  来ていただいたついでで大変失礼でありますが、私も、どういう形で質問をすればいいのか迷っているわけでありますが、住宅公団にとりまして大変な問題でございまして、いわゆる去年九月の家賃の値上げであります。  十九日の朝刊に、公団住宅の自治協の幹事会が家賃の不払いを中止する、こういうニュースが載っております。このニュースを読まれて、住宅公団総裁の率直な御感想をお聞かせいただければありがたい。
  183. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 公団の家賃改定問題、これは御承知のように公団が創立以来初めて実行することになったのでございまして、昨年初め衆参両院の建設委員会でも集中審議をいただきまして、その結果を踏まえて建設大臣の御承認を得て昨年九月一日実行いたしたわけでございます。  改定の内容を申し上げることは省略いたしますが、まことに控え目な改定とは申しながら初めての改定でございますから、ある程度の反対があることは予想されたのでありますが、その反対も逐月減少いたしまして、まだ一月分は集計ができておりませんが、十二月では、すでに反対者過半数を割りまして四四%程度になっております。過半数以上の方が、この趣旨を理解されて新家賃でお納め願っておる。しかし、なお相当多数の人が反対運動をされておる、こういうことでございますが、昨年、この反対運動の団体であるいわゆる自治協の方から、前向きにこの問題を解決するために話し合おうじゃないかというお話がありまして、私どもも、これは前向きに解決することは望むところでございますので、従来やってきたと同じように進んで話し合いに応じたのであります。その結果、昨年の十二月からこの一月にかけて五回ほど精力的にお話し合いをいたしました。  ただ問題は、先ほど申しましたような手続を経て、すでに実行し、過半数の方々がもう納めておられるという家賃改定の内容そのものを変更してほしいという要請には遺憾ながら応ずることができないということが一つ、それから自治協というような任意団体が公団の運営、経営等に介入するというような形での物の処理は筋違いであるというこの二点が私どもの基本的な姿勢でございまして、その話し合いで公団に要請されました十項目ほどのいろいろな御要望がございますが、これが家賃の改定という問題に関する限りは、その基本的な考え方の点から受け入れることがむずかしい。そういうことで五回ほどにわたりまして、いろいろお話し合いをしましたが、先月の二十五日でございましたか、この問題は何遍やっても、もう説明をし尽くしたというようなことで一応打ち切りのような形になっております。それで今月の十八日でしたか、自治協の方では幹事会を開催されまして、新聞に出ておるようなことが、そこで討議されたというふうに聞いておるわけでございます。  公団といたしましては、いつまでも──実施してからでも、もうすでに半年でございます。これがそのままじんぜん日を経ることは、まことに適当でございませんので、今後いろいろ努力するとともに、どうしても新家賃でお納め願えない方々には、遺憾ながら法律の定めるところによって裁判によって判断をしていただくという手続をとらざるを得ないという考え方で、いま、その詰めをいたしておるところでございますが、自治協の方も何か裁判を起こす、これはよくわからないのでありますが、不払いを打ち切るけれども、なお裁判をするということで、その辺がどういうことか、実は私どもも、いろいろ向こうのお話も聞き、いま検討中のところでございます。そういうことで遺憾ながら、やはりこれは裁判の判断を求めざるを得ないというところに来ておるというのが現在の事態でございます。
  184. 中井洽

    中井委員 ありがとうございました。時間がございませんので、お考えだけお尋ねをして、不平等のないように御努力をいただきますようにお願いをいたします。特に、自治協の方々が支払いをする、こういうことを決めていただいて、私らもほっとしておるわけでありますが、残った、そういう決定に従わずに支払わないというような方々が多くなるということのないように、ぜひとも御努力をいただきたいと思います。どうもありがとうございました。結構でございます。  次に、私やめようかなと思ったのでありますが、先ほど伊賀先生から少し遊水地のことについて御質疑が出ましたので、私の郷土で大々的にやっております木津川の遊水事業のことについて、二、三お尋ねを申し上げたいと思います。  御努力をいただいて大分進んでおるようでございますが、問題は地役権の補償ということになろうかと思うのであります。私どもの郷土では、法務省と建設省の間で地役権ということについて、まだ話し合いが済んでいないのだ、煮詰めが済んでいないのだ、こういう形のことが言われているわけでございますが、この点、建設省の方はいかがでございますか。
  185. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 御指摘の上野の遊水地につきましては現在、淀川水系の改修基本計画におきまして、同地域を遊水地として指定するということで改修の方針を進めておるわけでございます。それで新たに遊水地となる地域につきまして、私どもといたしましては、ここに地役権を設定いたしまして、必要なときに洪水を遊水させて洪水調節をし長いうことでございます。  法務省との関係お尋ねでございますけれども、地役権設定につきましては疑義はないということでございまして、なお事務的な詰めとして現在、登記手続上の問題として若干、要役地並びに承役地についての事務的な手続関係につきましての詰めば残っておりますけれども、地役権を設定して遊水地の効用を果たすということについては疑義がないというふうに考えております。
  186. 中井洽

    中井委員 お願いがございます。私どもの郷土、数百年の水害をなくしていただけるということで大変、私どもの郷土も喜んでおるわけでございますが、十年前に計画が発表されて以来、今日まで、まだ地役権の設定について、いまお話がございましたが法務省と少し残っておる、こんなのんきなことでは困るわけであります。これから地役権補償というものが出てくる。そうすると、それの金額の詰めが行われる。この十年間に私どもの郷里はあちこちから大変な土地ブームで土地買いが入っておる。それを何の法的根拠もなしに私どもは抑えてきたのであります。地方公共団体も、たんぼを売らぬでおいてくれ、家を建てなんでおいてくれと言うて、何の権限もないのにとめてきたのであります。それをいま、まだしてないというのは、ちょっと私は納得できない。地役権の補償でいくという一番初めの話の後すぐに、そういった問題は法務省との話し合いが済んでいなければならないと私は考えるわけでございます。あるいはまた地役権というものは地価の何%にするのだ、こういったことも冒頭に決まってなければならないわけでございます。  私どもの郷土では本当に三、四年前まで、ひたすら建設省のこの事業を待ち焦がれておったわけであります。余りにも、そういう形で何回も何回も話が煮詰まらない、あるいは先に延ばされる、計画が変更される、こういったことによりまして各地で反対運動が起こっているわけでございます。しかも、ありがたいことに、あっちこっち河川事業を着々とやっていただくものでありますから水がつかなくなってまいりました。水がつかぬようになったから、いいじゃないか、もうやめてくれ、こういった問題すら出てきておるわけでございます。  大臣は御存じないかもしれませんが、決闘鍵屋の辻いうのがございます。この地帯は、角倉了以が昔、私どもの郷里から大阪堂島への米を運ぶための水路をつくったところです。しかし、この地帯一体が大変な水つき地帯でございます。私の家なんかも百年前に、私の家と言ったって私が住んでおったわけではないのですが、百年前に屋根までつかったというところでございます。これを日本でたった一つの遊水事業の進捗地としてやっていただいていると、本当に感謝しているわけであります。しかし根本の地役権設定の問題を法務省と詰めてないとか、そういうお答えをいただくというのは少し納得がいかない。早急にお詰めをいただきたい、このように思います。  それからもう一つは、これが地役権として設定をされます。そうすると地役権補償という形でお金が払われます。そうしますと、その後は河川法の適用を受ける、こういうことでございます。もう大変な広さの地帯でございます。幸い、たんぼ、畑が多いわけでございますが、どんどん住宅街になろうというところであります。しかし、もう住宅にはできません。あるいは、もう百姓をやめて売るのだというても、これは安くなって絶対に売れない、こういうことでございます。しかし、ここへ遊水地として水を入れるというのは私は五十年に一遍か百年に一遍のことであろうと思うわけであります。そういったところを、いままで私的な権原というものを法的根拠なしに、まあまあという形でさんざん抑えられておいて、そして三〇%ぐらいの地役権の補償で河川法の適用で河川敷として規制してしまうのだ、こういう形は少し住民感情としても納得いかないのじゃないか、このようにも私は思うわけであります。こういった点も含めて早急に御検討をいただくように要望いたしまして、最後の質問に移らせていただきます。  これまた先ほどから、るる出ております過積みの問題でございます。公明党の松本先生お話のございましたように、過積みをしておるのは悪いに決まっておるのであります。厳重に罰していく、あたりまえのことでございます。実は私も去年まで地方行政委員をやっておりましたので、これは大賛成してやったわけであります。しかし現実に、どこへ行きましても、この過積みの問題を何とかしてくれという話を聞くわけでございます。それほど過積みでやっておったということでございます。過日、わが党の塚本書記長が予算委員会で、いっそのことトラックの容量を、この際、少しふやしたらどうだ、こういう質問をいたしました。それに対して運輸省の方が、それは道路の強度の問題あるいは橋の問題、こういったことでできないのだというお答えがございました。  私は現実的に、この過積みの問題を値上げを引き起こさずに、あるいはトラック不足というものを引き起こさないで解決をしよう、あるいは一、二年で決着をつけよう、しかも交通事故を防いでいこう、こういったことを考えると、ブレーキの問題あるいはハンドルの問題あるいは先ほど運輸省からお話のございました橋の強度の問題、道路の強度の問題、こういった問題はございますけれども、やはり、ここ一、二年つくられた新しいトラックを車検をやり直して二割くらい積載をふやさす、こういう方法しかないように思うわけでございます。この点について運輸省はほかに何かお考えがおありかどうか。運輸省の方おられると思うのであります。お答えをいただきたいと思うのであります。
  187. 丹羽一夫

    丹羽説明員 端的に申し上げます。  自動車の総重量制という問題と、それから先生の御質問の中にいろいろまじっておるかと思いますけれども、大きい車に対する物の考え方と、それから小さな車に対する物の考え方がいろいろ分かれてまいります。一番条件の悪いものについて考えますと車両総重量は、現在の道路運送車両法に基づく保安基準に従いまして、また道路関係法令におきましても、一般則としては最高の総重量は二十トンでございます。  それから道路関係の法令の中にも、またうちの保安基準の中にも、特例的に分割不可能な物品を運ぶというような問題、たとえばブルドーザーのようなものとか、あるいは大型のもので、どうしても分割不可能な物を運ぶ場合には保安基準を緩和するというような手続、それから道路の方にも緩和手続がございます。また警察関係の法令にも道交法に従ってございますが、そういうような大きな物の特例を除きましては、車につきましても道路につきましても、安全を計算する場合の基礎根拠になる数字がございます。  その数字を二十トンというところに計数を置きまして計算してまいりますので、先生の御指摘でございますが、一割や二割余分に積んでも大丈夫じゃないかというようないろいろな声が一般的に出てまいりますが、実は基礎根拠になる最大積載量も、道路のでこぼこがあったり橋梁とか何とかもあるし、自動車の場合でも物として考えてみますと、疲労強度の問題がございます。インパクトの問題もございます。悪路の場合でも自動車も安全でなければいかぬし道路も安全でなければいかぬということから押さえておる一種の約束事の基本でございますので、その基本を動かすということは、一トンか二トンという話じゃなしに、相当広範囲な検討が必要だということで、技術的に、また交通安全上から見ましても、先生指摘のようにブレーキの問題もハンドルさばきの問題もあるし、特に大きな車になってまいりますと最近問題になっております左折事故というようなデメリットもございます。それから公害の問題もございますので、そういう点を総合的に考えなければならないということで、いま直ちに車両総重量二十トンを単純に引き上げるということは困難かと思います。
  188. 中井洽

    中井委員 よくわかっておるのであります。たとえば過日のわが党の渡辺議員の質問に対して建設省方々は、過積みができなくなったという言い方はおかしいのでありますが、運賃を適正な形で調査しながらやるというお答えをいただいておる。あるいは先ほどからの大臣の御答弁の中にも、過積みが値上げの一つの原因になっておるということもございます。私どもに、運送業者の人、自分でたとえば材木を運んでいる人、いろいろな人が悲鳴を上げていると言うてくる。しかし、これは先ほどもお話がございまして私も申し上げたように、道路交通法を決めたわけであります。守らなければならぬ。ところが、どうしようもないという形になっていくと、物価を上げる一つ要因にもなっていく。あるいは中小零細の地方の人たちは、それじゃもうしようがない、昔どおりやっちゃえというようなことになってしまう。このままでいけば、警察に対して世論全体で圧力をかけて少し目こぼしせいと言う以外に方法がないような気がするわけであります。  私は、たとえば二十トンのところを二十二トンにせいと言うているわけじゃありません。たとえば十トンのを十二トンぐらいにしたらどうだ、やれるじゃないか、五トンのを六トンぐらいにしたらどうだ、それぐらいならできるじゃないか。建設省のつくっている道路がそんなやわなことはないし、現実にいままでは、みんな五割以上過積みで走っておったわけであります。そして二割なら二割の範囲できちんと守らすということでもやらないと、物価高の原因とか、運送業あるいは中小の材木といったものを運ぶ人たちの生活の問題にもなってこようかと思う。過積み、そういう形でいかんともしがたしと言うておられれば、国鉄の貨物が少しもうかっていいのかどうか知りませんが、これはまた別の問題でございまして、大変な問題となっておる。私どもも、こういった法律をつくったときに、これほどまで影響が出ようとは考えずに、人命に関することだし、守ってあたりまえだという形で法律を喜んでつくった。余りにも、そういう社会の実態を知らずに、事前に調整をやらずにつくったという責任もあろうかと思う。ひとつ柔軟な発想で、この過積み問題に対処していただくことを建設あるいは運輸当局両方にお願いをいたしまして、時間でございますので、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  189. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会